◆ 100レス到達 & DQ2発売日記念 ◆
〜 復活の呪文の都市伝説に迫る 〜
語呂合わせではない通常の復活の呪文の話になるが、
「DQ2ではウソの復活の呪文を教えられることがある」…こんな噂を聞いたことがないだろうか。
“もょもと”で冒険を進めた時だとか、呪いの装備品を身につけている時だとか、
どんな条件の時なのかについては情報が錯綜しており、確認できた事例もない。まさに都市伝説といえよう。
果たして、これは実話なのだろうか。
餅は餅屋ということわざもあるように、復活の呪文スレ住人のひとりとして考察を進めてみたい。
復活の呪文とは、現在の主人公(パーティ)のデータを一定のアルゴリズムに従って変換した文字列である。
ただし当時のカートリッジの容量不足のため、すべてのデータを格納するわけにはいかず
レベル・仲間の名前・各種「つよさ」など、別のデータから演算で求められるデータや、
これまでに取得した宝箱、現在のHPやMPといった重要度の低いデータはオミットしている。
このように復活の呪文としてのデータをギリギリまで圧縮した状態で、
わざわざトラップ用のダミーデータを埋め込む余裕があっただろうか。常識的に考えれば無いだろう。
もちろん復活の呪文の解析結果からも、このようなデータを収めたビットの存在は認められていない。
それでは、なぜ冒頭に挙げたような噂が広まっていったのだろうか。
DQ2発売当時の「ファミリーコンピュータ・マガジン」(ファミマガ)には
「DQ2 Q&A」という、ゲーム中の様々な謎をプログラマの中村光一氏が回答するコーナーが連載されていた。
しかし、ファミマガ読者の年齢層からか、プログラムやシステム面からの難しい回答ではなく
Q:敵がこちらに気づいていないので逃げようとしたら回り込まれた。なぜ?
A:足音や草むらがざわめく音で気づいちゃったのかも。
Q:祈りの指輪のようなモンスターしか持たないレアアイテムは2つ以上持てないの?
A:世界に1つしかないから。それを捨てると持ち主の敵がそれを拾いに来るほど貴重品。
というような、現代で言う「謎本」を彷彿とさせるゲーム設定や世界観を意識した回答になっている。
(余談ながら「プログラムやシステム面からの回答」については、後に原作者の堀井雄二氏が
「DQ3マスターズクラブ」内のQ&Aコーナーを担当している。)
ここで復活の呪文に話を戻そう。
復活の呪文を聞こうと王様などに話しかけたとき、ついでに教えてもらえる情報がある。
それは「次のレベルまでの経験値」、天空編では教会で「お告げ」と呼ばれる情報である。
実は、このお告げは時にウソを教えられることがあり、この疑問を中村氏にぶつけた投稿があった。
これは質問と回答、それぞれの原文を掲載しよう。
Q:王女がLv29からLv30になるときに、Exを稼いだのにLvは上がらず、さらにExを稼げと言われた。
A:キミは、何てついてないんだ!
王女のLvが、最高の35に近づくLv29〜31あたりで、こんな現象が見られる。
これはハーゴンの悪あがきとでもいうか、一番弱そうな王女に対するイヤがらせだね。
目標のExを稼いだのにLvが上がらないなんて、キミの嘆きはよ〜くわかる。
だけど、2度続けてLvが上がらない、なんてことはないと思うから、
試練だと思って一生懸命Exを稼ぎまくってくれたまえ。
それにしても、か弱い王女だけを狙って、こんなイジワルをするなんて、本当にハーゴンってヒドイ奴でしょ!?
「お告げ」として必要な経験値を稼いだのにレベルが上がらなかった。
これはプレイヤーが「騙された、ウソを教えられた」と思っても仕方の無いことだ。
この中村氏も公認した「お告げ」に関するバグは、近年の解析により次のように判明した。
>次のレベルまでの経験値が65536を超えているとき、次のレベルまでの経験値を聞くと、
>実際の数値より少ない(65536減らされた)数値をいわれるバグがある。
つまり、次のレベルまでの必要経験値を格納する領域の桁不足という理由こそが真相であり、
ましてプログラマという立場からであればこちらの回答のほうが断然良いはずなのだが、
そこは大人の事情なんだろうか。ハーゴンはとんだ濡れ衣を着せられたものである。
(もっとも、このハーゴンと戦うときに濡れている衣を着ていることが多いのは王女であるが。)
もう、お分かりいただけただろうと思う。
「復活の呪文とセットで教えてもらえる『お告げ』でウソを教えられることがある」
この事実がいつの間にか「復活の呪文でウソを教えられることがある」に変化してしまったのだろう。
さらに終盤は復活の呪文の文字数が長くなる傾向にあり、書き写しや入力の間違いが特に増えてくる。
“もょもと”は高レベルのためどこへでも遠征できるし、呪い装備も終盤でないと手に入らない。
そしてもう一つ。ここでDQ1の話に飛んでしまうが、
DQ1ではラダトーム王のほか、竜王からも復活の呪文を聞くことができる。
しかし竜王の呪文は「レベル1(経験値0)・ゴールド0・道具なし・装備なし」という
現在の勇者のステータスとは異なる呪文で、ある意味「ウソの復活の呪文」と言えるだろう。
作品は違うとはいえ、この竜王の呪文も例の噂を広めることに大きく関わっているような気がする。
「お告げのウソ+終盤の復活の呪文の筆記・入力ミス(+竜王の復活の呪文)=ウソの復活の呪文」
これらが絶妙にミックスされて広まっていったものが
「DQ2ではウソの復活の呪文を教えられることがある」という噂の真相ではないだろうか。