【タイトル:ラディカルネガティブ☆スーパースター】
自分という人間が強運に恵まれてるなんて思い上がってはいませんでしたよ。
でもね。
まさか。
よりにもよって。
牢獄の中に飛ばされるとはね。
ご丁寧に、カギまで掛かってるとはね。
さすがに、ここまでの不運な状況は、想像していませんでしたよ。
はじめは、ほら。
ザックの中に牢屋のカギとかあるのだろうなって思っていました。
いくらなんでも、初期配置で詰んでるなんてことはないだろうとね。
そんな都合のいいこと、考えていたのです。
……無かったんですけどね。
じゃあ、せめて格子を切断できる剣とか、
壁を粉砕できるハンマーとか、
転移できる魔法のアイテムとか、
ミニマムの本とか、
まあ、やりようによっては牢屋から脱出する助けになる、
そのへんのものがあるかなって思いなおしました。
……無かったんですけどね。
じゃあ、何が入ってたのかって?
さあ、見てください。
笑ってしまいますよ?
【バッカスのさけ】5本セット
【ちんせいざい】5本セット
【こうふんざい】5本セット
まあ、それもふさわしいのかも知れません。
生き汚く逃げて、逃げて、逃げ続けて。
国も捨てて。
仲間も捨てて。
この身一つで生き延びたの言うのに。
国の為に戦いもせず。
仲間の為に弔いもせず。
この身一つでいつまでもうじうじしている自分には、ね。
それに引き換えスコット、わが兄。
最期まで失われた祖国の為に、強大な帝国に挑み続けた勇者。
貴方は立派だった。偉大すぎる。
とても私が同じ血を引いているとは考えられない。
ああ!!!
何故私はあの時逃げたのでしょう!
何故兄の代わりに私が死ななかったのでしょう!
私のような無能な怖がりが生き残って一体なにが出来るというのですか?
神よ、あなたは連れて行く人を間違えた!
兄ではなく私を……
私を……
やっぱり、死ぬのは怖い。
想像の中の自分の死すら、私は避けてしまう。
なんて臆病者。
なんて卑怯者。
私なんて、私なんて、もう……
はぁ……
ダメだ。辛い。辛過ぎる。
一人でいるとネガティブマインドが次から次へと溢れてくる。
逃避しないと……
なにか楽しいことを思い浮かべて……
そうだ、ヒルダの笑顔だ。
ああ、ヒルダは美しい。
素敵だ。
いつも気を張って凛々しくしているところも、
時折みせる純白の野ばらが如き笑顔も、
陶磁器のように透き通った肌の肌理も、
どこをとっても美しすぎる。
さすがはスコットの婚約者だ。
あ。
スコットか…… ここでもまたスコットか……
スイッチ切り替え失敗。
カウンターによるダメージは甚大。
逃げたい……
もうここに居たくない……
ダメです。
逃げ場がありません。
牢屋の中は、物理的にも、精神的にも。
行き止まりのどん詰まりです。
あーもー死んでしまいましょうか?
そうしたら楽になれるのでしょうか?
……なんて、嘘です。
どうせ私には首を吊る勇気も無いのです。
進むことも戻ることも出来ず、
ただ立ち止まることしかできなのです。
こんなときはいきつけのバーで浴びるほど飲んで、
泥のように眠るのがいつものパターンですが、
それも、牢屋から出られない現状、不可能ですので……
ん?
そう言えば、ありましたね、バッカスのさけ!
ヘイストが掛かるというメインの効果はこの際気にしない!
この場合、酔えることが大事なのですから。
では、早速……
ごきゅごきゅごきゅごきゅ。
これは結構度数が強いようですね。
流石は酒の神様の名を冠しただけのことはあります。
口当たりは滑らかだな。
ああ、体がぽっぽしてきた。
なんか、こう……
じっとしていられない!
ああ私って何でこんなにダメなんだろう何をやっても本当にダメでいやになる比較対象と
して優秀すぎる兄がいることがこの劣等感に拍車をかけるずるいですスコット私の中で完
璧な偶像のまま死んでしまうなんて永遠に貴方に対する劣等感を払拭する機会を失ってし
まったのですからああこうやってなにかにつけ兄の面影を追ってしまう自分はある意味未
だに兄に甘えているのだろう自立していないんだ嫉妬して比較してそれでも兄なら兄の大
きな器ならば許してくれると思っているなんて甘ったれた子供なんだ!あれ?私は何でこ
んなに高速に自己批判してるんだろうこれだけ脳の働きが活性化しているのなら脱出方法
を検討したり他にもなんだか使い道があるはずなのにやっていることといえば反省と自虐
と悪いこと探しと自己憐憫ばかりで全然建設的じゃないしてことは何酔って泣き寝入りし
ようと思ってたのに逆に頭が冴えちゃって全然眠れないって事?このヘイストの効果って
いつまで続くんだろう超高速連続自己批判なんてどんどん自分を追い込んで疲れさせるば
かりじゃないかダメだ落ち着きを取り戻さないと私がいつもの三倍増しの私になってしま
う何か方法は……あそうだ鎮静剤こいつを摂取すればきっと頭も落ち着くに違いない!!
……………………。
………………。
…………。
……。
「おーーーいおいおい!」
悲しい、なんて悲しいのでしょうか!
一人酒を飲んで逃避しようとしてる私とはどこまで哀れで惨めなのでしょう!
あ、見つけた!
ついに私、スコットより凄いトコ見つけましたよ!
それは、情けないトコ!
あははっ、なんて悲しい事実なのでしょう。
そう。
私の半生は常に悲しみに彩られていた……
……って。
おかしいですね。
ここまで極端に自己憐憫に走るのは、私の思考から逸脱しています。
ああ、それほどまでに追い詰められた私ってなんて可哀相……
じゃなくて。
常のパターンとしては、自虐と憐憫と嫉妬と諦観が入れ替わり立ち代り襲ってくる、
それでもそれぞれが一線を越えることはない、
絶妙なバランスで自我を保てるように加減されているはずです。
……本当、卑怯者ですね、私。
それがここまで自分が可哀相で悲しみに耽溺してしまうということは、
これは多分、鎮静剤の影響……
じゃあ、この興奮剤で中和すれば……… ちくり。
……………………。
………………。
…………。
……。
ふう。
なんとか嵐のような悲しみに溺れずにすみました、が。
どこかで聞いたことがありますね……
強い薬を飲用したときは、酒を飲んではいけない、と。
酷い悪酔いをしてしまうのだと。
ということは?
やっぱり?
今、この胸いっぱいに出口を求めて渦巻いている
言いようのない気持ち悪さは……
「えろえろえろえろぉ!!」
急にせり上がってきたので、上手く吐き出せず、
上着が吐瀉物でぬちょぬちょになってしまいました。
気持ち悪い…… いいえ。
これがまた、鼻を突く臭気さえ気にしなければ意外と悪くないですね。
人肌でぬくぬくですから……
ああ、ようやく眠気がやってきました。
凄く胸がムカムカしますが、それに増して襲い来る睡魔が……。
このまま寝たら、きっと悪夢を見るのでしょうね。
ぐちゃぐちゃでどろどろの、極彩色でサイケデリックな夢を。
……まあ、いいです。
考えるのも面倒になってきましたし。
いいなぁ、この投げやり感。
うじうじ悩み続けてきた自分がバカみたいです。
でも、目覚めたらきっとまたイジけるんだろうなぁ。
酔いつぶれて眠ったことを後悔するんだろうなぁ。
だったら、もう。
このまま死んじゃってもいいかなぁ。
誰かが寝てるうちにサクっと殺してくれないかなぁ……
【ゴードン@FF2 泥酔、ゲロ塗れで爆睡中】
【所持品】バッカスの酒×4@FF2 鎮静剤×4@FF7 興奮剤×4@FF7
第一行動方針:現実逃避
基本行動方針:もう、どうにでもなれ
【現在位置:E-7・アリアハン城地下牢(左/カギが掛かっている)/朝】
以上で投下終了です
乙!
書き手氏が残っていてくれて嬉しい
97 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/03/31(土) 17:05:14.73 ID:0BS3jHvA0
保守あげ
98 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/05(木) 13:28:13.87 ID:Qjv6fd9s0
浮上
保守
100 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/05/10(木) 01:35:34.82 ID:fCOEcZTT0
100
ほしゅ
ほ
し
これはいったいどうなってんだ。
俺ってこんなゲームに呼ばれちまうほど大物か?
だってありえねーだろ!
このメンツはいったいなんだってんだよ。
魔王みたいなのはいるわ、まんま化け物もいるわ、怪獣もいるわ、そんでもってもう人間離れしたとしか
思えねえ強さになったエデンやマリベル達までいるんだからな!
「……ふう」
ホンダラは頭を掻きむしってついつい絶叫したくなるのを慌てて口の中に飲み込むと(なにしろ大声出したら
気づかれちまうもんな!)
唾をおもいっきり飲み込んで、胸を一発ゴンッと叩いて、ぜえぜえと荒い息をしながら何とか気分が落ち着くようにと、
うたた寝のときにするような安らかな思いに耽るイメージを、何度も何度も頭の中で繰り返した。
(考えちゃいけない、考えちゃいけない。落ち着け、落ち着け)
するとホンダラは仕事もせずに怠けて酒をかっくらう毎日に戻ったかのように、呆けた気分になってきた。
これで本当に酒の一本もあれば眠りにつけそうだぜ、と軽くよだれを垂らしながらホンダラは思ったが
(いけねえ。俺としたことが本当に眠っちまったらどうする。襲われてやられちまうじゃねーか)
と、正気に戻り、なんとか自分を取り戻すのであった。
乾いた風が吹いて、随分伸びた無精ひげがさわさわとなびいた。
頭に被った頭巾もよれよれで洗濯もろくにしていなかった。
こんななりで死んだら、ろくに社会に貢献していない無職が無様をさらしてくたばったのだという
事実だけが残る。
最悪である。
こんなところで死んでたまるかと思った。
ホンダラはこうなったらどうにかして生き残って、今回の経験を生かしてこれまでみすぼらしかった
自分の人生に華を咲かせてやると、心に決めた。
「ようし、やってやるぜ俺は」
と意気込んだ。
しかし、とホンダラは思う。
さっき考えたとおり、魔物たちとの戦いで経験を積みまくったエデンたちは、もはや鼻つまみの
ガキどもではない。レベルが段違いに高いのだ。たぶんデコピン一発でホンダラなどダウンだろう。
前に訪ねて来たときは、軽くあしらって用もろくに聞かず逆に金をせびって借りることにさえ
成功したわけであるが、今はとてもそんな真似はできない。
ふと、それを思い出してホンダラはしまったと口に出した。
(そういやエデンのやつに500ゴールド借りてたんだった。やべえ。……でも知るか。もう敵なんだし)
うっ、とホンダラは呻く。
つい『エデンはゲームに乗った敵』という想定の下に立ってしまった。
曲がりなりにも同じ島で育った人間である。
それを敵認定してしまうのは薄情なのではと少し悩んだ。
だが、もう生き残りをかけて戦ってやると誓ったのだ。後戻りはできないのだ。
「そう、俺はもう前に向かって全力疾走するしかねえんだ……」
ぐつぐつと煮えたぎったスープ鍋のようにホンダラの心を燃え上がらせるものがあった。
それはぐうたら生活からの脱出の心意気だ。
貧乏ヒマあり、酒呑みっぱなし、借金まみれの人生からあばよと背を向け、希望に満ちた
日の光を浴びて毎日を明るく楽しく贅沢に生きるのだ。
その為ならなんだってやってやる。
鬼にもなってやる。敵は敵だ。同情なんてできるか。
(やってやる。相手が誰だろうが容赦はしないぜ、やってやって、やりまくるぜーー!)
――――――――
「……って、それができれば苦労はねーよなあ」
ここで少し上のほうの、レベル段違い云々の話に戻るのである。
ちょっとここで思考にカーブをかけて今度はマリベルのことも考えた。
あの嬢ちゃんは小生意気で俺に金を貸そうとしなかった。
(あんなメイドまで雇ってる金持ちのくせによくも貧乏人に辛くあたりやがって、このゲームでちょうどいい、
成敗したるわ!)
と、思いきや、よくよく記憶をたどってみると、実はマリベルからも金を借りていたのだった。
それもマリベルから直接借りたのではなく、エデンの口添えでマリベルがあんたが言うなら仕方がないと
冷たい目をしながらも用立ててくれて、それをホンダラがありがたーく受け取っていたのだ。
この件も思い出すと、エデンには頭が上がらなくなりそうだった。
(エデンってつくづくいいやつだよなー。泣きたくなるぜ。でも金は絶対返さないけどな?
ついでにマリベルこのやろう!)
この野郎!マリベルこの野郎!
と、心の中で悪態をつきぜえぜえと荒い息をした処で、ようやく次のステップにいけそうな気分だった。
「……支給品ってのを見てみるか」
ザックを漁って色々調べてみると、杖が二本発見できた。
ちゃんと説明書が入っており、それによると魔法の効果を出す杖らしい。
一つはレムオルの杖、これは対象を透明にして見えなくする効果。
もう一つはおびえの杖、こちらは対象を恐怖状態にさせて戦闘できなくする効果があるようだ。
そして杖にはそれぞれ光るタグが付いており、どちらも使用回数残り9回と記されていた。
「あれ?」
なぜか支給品は二つしかない。三つのはずだが。
おかしいと思いがさごそと手を中にもう一度つっこむとそこに確かな感触があった。
(なんだこりゃ)
がっちり握って出てきた物は、何も無い物だった。
(おいおい、目に見えない道具ってことか?)
あると思ってそこにない。でも見えないだけでブツはすぐそこにある。
レムオルの杖が間違って発動したのかとホンダラは思ったが、杖の使用回数は残り9回のままだった。
冗談抜きでこれは最初から透明で身に見えない魔法のようなアイテムだ。
(カンナか何かか?いや、弦があるぞ。軽いけど、いて、手に刺さった、こりゃ弓か?
じゃ今のは矢?いてええ)
ホンダラは悪戦苦闘しながらも、目に見えない道具の正体が弓矢であることを確認した。
(すげえな。これならまったくバレずに敵を撃てるぜ)
こうなってくるとホンダラは俄然元気が出てきた。なんだかやれそうな雰囲気になってきたのだ。
ついでに威力の方も試してみたくなってきた。
(手ごろな狙いつけるものが何かねえか……あっ、誰か来た)
何者かが歩いてくるのが見えたホンダラは慌てて近くの岩陰に身を隠した。
まだホンダラはこの透明武器がどれほどの性能を持っているか知らない。
【ホンダラ@DQ7 正常】
【所持品】レムオルの杖(残り9回)、おびえの杖(残り9回)、ザイテングラート@FF12インター
第一行動方針:近づいてくる誰かを攻撃する?
基本行動方針:とにかく生き残る、手段は選ばないつもり
【現在位置 B-3 岩山付近/朝】
代理投下完了です。
したらばの避難所スレで、支給品の数についてツッコミがあったけど、
ホンダラの勘違いってことで、このままでもいいかと。
保守
ほ
し
ゅ
念の為保守
.
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sage
sage
FF5限定のロワでも始めようかと思ったらスレが立てられない
このスレ使ってもいいかな
いいんじゃね
保守
いいですともー
読み専だが諦めないぞ…
待ってる
バ
ト
ル
ロ