+基本ルール+
・参加者全員に、最後の一人になるまで殺し合いをしてもらう。
・参加者全員には、<ザック><地図・方位磁針><食料・水><着火器具・携帯ランタン>が支給される。
また、ランダムで選ばれた<武器>が1つから3つ、渡される。
<ザック>は特殊なモノで、生物以外ならどんな大きなものでも入れることが出来る(DQの大きな袋を思えばおk)
・生存者が一名になった時点で、主催者が待っている場所への旅の扉が現れる。この旅の扉には時間制限はない。
・6時間ごとの一日四回に、それまでの死亡者が発表される。
+首輪関連+
・参加者には生存判定用のセンサーがついた『首輪』が付けられる。
この首輪には盗聴器と爆弾が内蔵されており、着用者が禁止された行動を取る、
または運営者が遠隔操作型の手動起爆装置を押すことで爆破される。
・24時間以内に死亡者が一人も出なかった場合、全員の首輪が爆発する。
・日の出時に現れる『旅の扉』を二時間以内に通らなかった場合も、爆発する。
・無理に外そうとしたり、首輪を外そうとしたことが運営側にバレても(盗聴されても)爆発する。
・なお、どんな魔法や爆発に巻き込まれようと、誘爆は絶対にしない。
+戦場となる舞台について+
・このバトルロワイアルの舞台は日毎に変更される。
・毎日日の出時になると、参加者を新たなる舞台へと移動させるための『旅の扉』が現れる。
・旅の扉は複数現れ、その出現場所はランダムになっている。
・旅の扉が出現してから2時間以内に次の舞台へと移らないと、首輪が爆発して死に至る。
━━━━━お願い━━━━━
※一旦死亡確認表示のなされた死者の復活は認めません。
※新参加者の追加は一切認めません。
※書き手として参加される方は話の前後で混乱がないように配慮してください。
※参加者の死亡があればレス末に、【死亡】の表示を行ってください。
※又、武器等の所持アイテム、編成変更、現在位置の表示も極力行ってください。
※人物死亡等の場合アイテムは、基本的にその場に放置となります。
※本スレはレス数500KBを超えると書き込みできなります故。注意してください。
※放送を行う際は、スレで宣言してから行うよう、お願いします。
※最低限のマナーは守るようお願いします。
+魔法・技に関して+
・MPを消費する=疲れる。
・全体魔法の攻撃範囲は、術者の視野内にいる敵と判断された人物。
・回復魔法は効力が半減します。召喚魔法は魔石やマテリアがないと使用不可。
・初期で禁止されている魔法・特技は以下の通り↓
「復活・蘇生系の魔法、特技」(レイズやザオリク等全般) 「デジョン」「テレポ」「ラナルータ」「ルーラ(風の帽子)」
・それ以外の魔法威力や効果時間、キャラの習得魔法などは書き手の判断と意図に任せます。
+ジョブチェンジについて+
・ジョブチェンジは精神統一と一定の時間が必要。FF1とFF3のPCはジョブチェンジ不可。
+支給される武器に関して+
・FFDQを関する外伝作品全てと現実世界の携行火器・兵器を対象とします
(核ミサイルなど明らかにロワにそぐわない物は禁止)
・生物は騎乗系(馬、チョコボなど)のみ可とする
+作中時間について+
ゲームの開始時間は朝の6時から。状態表では朝と表記してください。
(必ずしも朝から始める必要はなく、ある程度時間が経った午前、昼でも結構です
ただし第一回放送のある真昼まで時間を進めることは禁止します)
【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8 ←ゲームスタート
午前:8〜10
昼:10〜12
真昼:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
+SSの最後に状態表をつける+
・死亡者が居る場合死亡表記をつけること
【キャラクター名@出典作品:死亡】(同名のキャラが作品間に複数存在するため、キャラ名の後に出典作品を明記する)
【残り人数】
【キャラクター名@出典作品:状態】
【所持品:キャラクターが所持している道具を記載する。(アイテム名の頭にEマークを付けることで装備中を表わす)
作品によって同名のアイテムでも効果が違うことがあるため、これも出典作品を明記する】
第一行動方針:優先する行動
第二行動方針:次に優先する行動(※行動方針はあまり増やし過ぎないよう留意しましょう)
基本行動方針:キャラクターのスタンス
【現在位置/時間】
↓
以下人数分
※備考などあれば
例
【セフィロス@FF7 死亡】
【残り77名】
【竜王@DQ1 HP1/5 MP1/3 人間形態 右腕欠損(止血済み) 気絶中】
【所持品】Eエクスカリパー@FF5 E爆発の指輪@トルネコの大冒険2 エリクサー@FFUSA
第一行動方針:身体を休める
第二行動方針:勇者を殺す
第三行動方針:ローラ姫を探す
基本行動方針:ローラ姫以外皆殺し
【現在位置:D-7・ナジミの塔4F、民家のベッド/真夜中】
※セフィロスの所持品はその場に放置されています
参加者名簿
○生存 ●死亡
2/3 FF1 ○ナイト○ガーランド●スーパーモンク
4/4 FF2 ○フリオニール○マリア○レイラ○マティウス(こうてい)
5/5 FF3 ○忍者○導師○狩人○エリア○2ヘッドドラゴン
6/6 FF4 ○セシル○カイン○ベイガン○ローザ○リディア○ゴルベーザ
11/11 FF5 ○バッツ○ファリス○レナ○クルル○ガラフ○シド○リヴァイアサンに瞬殺された奴○オメガ○神龍○エクスデス○アポカリョープス
8/8 FF6 ○ロック○セリス○エドガー○マッシュ○シャドウ○ケフカ○ダンカン○モグ
6/7 FF7 ○クラウド○ティファ○ユフィ○レッドXIII●シド○セフィロス○宝条
10/10 FF8 ○スコール○ゼル○キスティス○アーヴァイン○セルフィ○サイファー○風神○雷神○ラグナ○シュウ
5/5 FF9 ○ジタン○ガーネット○ビビ○ミコト○クジャ
5/5 FF10 ○ティーダ○キマリ○ユウナレスカ○シーモア○ジェクト
4/4 FF12 ○バルフレア○ジャッジ・ガブラス○バッシュ○ヴァン
4/4 FF13 ○ライトニング○スノウ○ホープ○サッズ
7/7 FFT ○ラムザ○ディリータ○アグリアス○オルランドゥ○ウィーグラフ○労働八号○ダイスダーグ
3/3 DQ1 ○えにくす(勇者)○ローラ姫○竜王
4/4 DQ2 ○もょもと(ローレシア王子)○サマルトリア王子○プリン(ムーンブルク王女)○ハーゴン
5/6 DQ3 ○アレル(男勇者)●フルカス(男戦士)○シーリン(女武闘家)○ドロシー(女賢者)○女海賊頭領○バラモス
7/8 DQ4 ○女勇者●マーニャ○クリフト○アリーナ○エビルプリースト○エッグラ○チキーラ○ピサロ
10/11 DQ5 ○主人公○息子○ポピレア(娘)○ビアンカ●フローラ○デボラ○パパス○ゲレゲレ○スラりん○ダニー○ブラウン
10/11 DQ6 ○ウイル(主人公)○バーバラ○チャモロ○アモス○カダブウ○ジャミラス●グラコス○デュラン○アクバー○キラーマジンガ○ハッサン
7/7 DQ7 ○エデン(主人公)○ガボ○マリベル○フォズ○グレーテ姫○シャークアイ○マリベル家のメイド
5/5 DQ8 ○主人公○ゼシカ○ヤンガス○ドルマゲス○ミーティア
3/4 DQ9 ○ノイン(女主人公)○女パラディン●ルイーダ○サンディ
2/2 DQS ○主人公○セティア
2/2 DQM2 ○ルカ○イル
FF 77/79 DQ 58/63
合計135/142
+書き手の心得+
・この物語はリレー小説です。
みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
可能な限り原作の設定を無視せず、矛盾のないように。
・本スレにUPされた作品を修正することになると皆に迷惑がかかります。投下する前に推敲してください。
・極力ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
・感想や指摘は謙虚に受け取りましょう。自分で気付けないことは人間誰しもあるものです。
・投下後はちゃんと経過を見守りましょう。
投下したSSには責任が伴います。蒸発だけはしないように。
+破棄の対象となるSSについて+
・投下されて3日以内にしたらばの避難所にてSSへの修正要求があった場合、
したらばでの書き手と要求者との議論を行ってください。
議論終了から修正までの期限は現状では3日。これを行わない全てのSSは破棄扱いとなります。
・修正要求を出す際には、
「明らかな矛盾がある」「設定が違う」「時間の進み方が異常」
などきちんとした理由を明示してください。
書き手は要求を出されたら謙虚な姿勢で対応しましょう。
・リレー間隔を24時間に設定し、守られないSSは破棄扱いとなります。
リレーされた後、前話で矛盾が発覚し修正が発生した場合、
巻き戻っての修正となりその後の話に影響が出る可能性があるためです。
+議論の時の心得+
・意見は基本的にしたらばで。議論は議論スレで行ってください。
本スレで議論が紛糾するとSSも感想も投下しづらくなってしまいます。
・ケンカ腰の議論からはなにも生まれない。意見を投下する前に一旦頭を冷やしましょう。
自分の意見の根拠をちゃんと説明できるか、ロワの進行・進展のための意見であるか、
ただの私情になっていないかを見直してから発言してください。
+読み手の心得+
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしはスルー。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
・書き手は感想があるから頑張れます。また指摘があるから上達します。素敵なコメントお待ちしてます。
追加枠(この中から9人)
DQ3 ○マーゴット
DQ4 ○シンシア
DQ5 ○ベラ○ポワン
DQ6 ○テリー
DQ7 ○かみさま○メルビン○ホンダラ
DQ8 ○トーポ○ククール
DQ9 ○リッカ○イザヤール○ラヴィエル○ニード○男バトルマスター○女魔法戦士○パスリィ
DQM2 ○わるぼう
FF1 ○赤魔導師
FF2 ○レオンハルト○ゴードン○スコット
FF3 ○カラテカ
FF4 ○ジオット
FF6 ○ティナ○リルム
FF7 ○エアリス
FF9 ○スタイナー○エーコ○フライヤ○ベアトリクス
FF12 ○パンネロ○フラン○アルテマ
残り人数 144/151
未登場者一覧
1/3 FF1 ○ナイト
3/4 FF2 ○フリオニール○マリア○レイラ
2/5 FF3 ○忍者○狩人
2/6 FF4 ○セシル○ベイガン
4/11 FF5 ○レナ○ガラフ○シド○エクスデス
6/8 FF6 ○ロック○セリス○エドガー○シャドウ○ダンカン○モグ
1/7 FF7 ○レッドXIII
9/10 FF8 ○スコール○ゼル○キスティス○アーヴァイン○セルフィ○サイファー○風神○ラグナ○シュウ
3/5 FF9 ○ガーネット○ビビ○クジャ
5/5 FF10 ○ティーダ○キマリ○ユウナレスカ○シーモア○ジェクト
2/4 FF12 ○ジャッジ・ガブラス○バッシュ
0/4 FF13
5/7 FFT ○ラムザ○ディリータ○アグリアス○ウィーグラフ○労働八号
1/3 DQ1 ○竜王
1/4 DQ2 ○サマルトリア王子
1/6 DQ3 ○女海賊頭領
2/8 DQ4 ○女勇者○チキーラ
3/11 DQ5 ○主人公○息子○ビアンカ
4/11 DQ6 ○バーバラ○アモス○デュラン○アクバー
3/7 DQ7 ○ガボ○グレーテ姫○シャークアイ
3/5 DQ8 ○主人公○ヤンガス○ミーティア
1/4 DQ9 ○女パラディン
2/2 DQS ○主人公○セティア
1/2 DQM2 ○ルカ
FF 43/79 DQ 22/63
合計65/142
テンプレ完了
みんなでまったりとバトルロワイアルしていきましょう
此れは一体何だろう?
砂浜に巨大な物体が鎮座していた。機械仕掛けで、全体的に青、白、金を基調とした色彩だ。
砲塔のようにも見える二本の突起、その合間にある赤い硝子?張りの一角に目を凝らすと、どうやら座席のようなものがあるらしい。
「つまり、此れは乗り物なのか?」
紫色のターバンとマントを羽織った男だった、歳の頃は二十代後半から三十代と言った所だ。
彼の名はアベルと言い、一国の王たる地位についている存在であった。
アベルは黒く太い眉の下にある双眸を眇め、自らの”ザックから出てきた物体”を見上げていた。
乗り物と言っても馬車のような車輪がついているわけではない。いや、車輪に似たような円盤状の物体は確かに二つ存在するのだが、それは横向きで、回転する機能こそあるようだが、地上を走るようには設計されていないようだ。
機体の後方には折り畳まれた翼のようなものがあり、如何にかすれば其れが広がるようであるが、アベルにはその方法はわからなかった。
(…多分、飛ぶ事が出来るんだろうな。絨毯や天空城のように)
例えが独特であるのは彼の歩んできた半生が数奇なものであるが為であろう。
(もしかしたら此れに詳しい人も居るかも知れない。その人物が友好的であるかどうかはわからないけれど)
それまでは迂闊に手を出すべきではないとアベルは判断した。
アベルはザックに機体を仕舞いながら(仕舞えるのだ、これが不思議な事に)この機体について考える。
これは空を飛ぶものだ。それは恐らく正しいのだろう、だが一体何故このようなものが支給品の中にあったのか。
脱出する為?それは不可能であるとアベル達をこの島に送り込んだ張本人が言っている。
この首輪がある限り、何処に羽ばたこうとも無慈悲な死神は常に側に在るのだから。
(なら戦う為か?武器として。いや、それとも特に意味は無いのか?)
何かしらの意味はあるのだと思う。だがそれがまだわからない。それにこの機体ばかりに刻を割いてばかりもいられない事情がアベルにはある。
支給された名簿には、アベルの愛する妻、そして二人の子供達、馴染み深い二人の女性、相棒たるキラーパンサーに冒険を共にしたモンスター達の名が記されていた。
そして…。
「一体どうなっているんだ」
アベルは声に出して唸った。名簿には、彼がまだ子供であった頃に彼と友を庇い、魔物によって命を絶たれた父パパスの名が確かに存在していたのだ。
これにアベルは嬉しさよりも先ず疑問符を浮かべるのだ。ゼムスは、死者を甦らせたとでも言うのだろうか。
アベルとて教会の奇跡、或いは高度な蘇生呪文による蘇生術の存在は知ってはいたし、実際に冒険の中で見てきたりもした。
だがその何れもが完全に肉体を消滅させたような者や、死後長期間を経たような者を甦らせるような事は不可能であった筈だ。父は正しくその状況であった。
あのゼムスと名乗る老人は、それすらも可能とさせる力の持ち主であると言うのだろうか。
「…わからない事だらけだな」
だがやらなくてはならない事ははっきりしている。家族を、大切な者達を守るのだ。それは幼少の頃、アルカパの少女と共にレヌール城を探検した時から、
或いは、それより以前にサンタローズの洞窟で人助けした時から此れまで一貫してきた事だった。
***
キスティス・トゥリープは、走っていた。彼女は確かに見たのだ。
彼女の知る物とは大分大きさも形状も異なってはいたものの、あれは確かに【飛空艇】だった。
(あれがあれば…)
キスティスは想いを馳せる。確かにリスクはあるだろう、しかし、飛空艇を用いる事が出来たならば、徒歩でそうするよりもずっと仲間を探すのも容易な筈だ。
あれの持ち主が友好的な人物である事を祈る。もしも危険人物であったのならば…。
端整な顔を顰めるキスティスはやがて駆ける足を止めた。もう二歩程進めば今居る森から砂浜に出られる。だが、彼女は見た。
手に銃器らしき得物を持った、まるで幽鬼のように歩む男が砂浜へと入り込むのを。
***
「…何だ、私の体じゃないか。うむ、私だ」
森の中で目を覚ましたウィーグラフ・フォルズは無表情で先ずそう呟いた。
手にしているのはザックに入っていた円盤状の鏡だ。【ラーの鏡】と言うのだそうだ。
其処には三十代程だろう、精悍な顔立ちの男が映っている。…決して、おぞましい羊の怪物の姿ではなかった。
出で立ちも神殿騎士団のものではなく、骸旅団の頃へと戻っていた。
(私は、ウィーグラフだ…醜いルカヴィなどではない…此れが、私なんだ)
目を閉じれば、生々しい記憶が甦る。聖石の力で体を魔人により乗っ取られた。
いや、本当に乗っ取られたのか?あれが魔人ではなく、己自身ではなかったと自信をもって言えるのか?
ウィーグラフの頬が一度痙攣した。
(…馬鹿な事を)
嫌な迷いを否定するように首を振り、ウィーグラフは鏡をザックに戻した。
彼が歩んできた人生を全否定するかのような戯言を吐く魔人の記憶が鮮烈すぎたが故に、なまじその時の記憶を持ち合わせてしまったが故にそんな詰まらぬ事を考えるのだ。
そうに決まっている。そうでなければ、自分が最愛の妹を否定するような…
「ミルウーダ…」
そうだ、妹…ミルウーダだ。
「…待っていろ、ミルウーダ」
ウィーグラフはザックから一丁の銃を掴み出す。
「…私は、戻るぞ。そしてやり直すんだ、何もかもをな…」
慣れぬ武器であるが、仕組みは知識として頭に入っている。銃を手にした状態で木々の合間より伺える砂浜を見た。大きな機械が見えた。
「お前を甦らそう…私と共に、やり直すのだ。ミルウーダ」
そう呟き、ウィーグラフは何処かふらふらとした足取りで砂浜へと足を踏み入れた。
***
濡れた手拭を思い切り叩き付けたような音と、「避けて!」と言う女性の叫び声がほぼ同時に響いた。
「え」
その時アベルにできたのは、そんなすっ呆けたような声を上げる事だけだった。気がつけば彼は肩口に強烈な衝撃と、灼熱の痛みを与えられ、砂浜に尻餅をついていた。
「――ぐ、ぁあっ!」
紫色のマントに黒々とした風穴が開く。飛来した銃弾はアベルの肩を貫き、尚砂浜へと穿たれた。
廻る視界の中でアベルは砂浜を此方に迫る銃を手にした騎士風貌の男と、更に別の方角より駆けて来る金髪の女を見た。
「…チッ」
位置にしてH−6北東部、岩山沿いの砂浜に居たアベルを襲撃したウィーグラフは北西部の森から現れ、キスティスはウィーグラフからやや南下した西部の森より現れていた。
二人の男女が目印としたのは、共にアベルの出した機体――【飛空艇】である。
砂浜に出て直ぐ手にしていたロマンダ銃によりアベルを銃撃したウィーグラフだが、慣れぬ武器と、そして標的とば別の存在の登場に舌打ちした。
(…こうも扱い辛い武器であったとはな、ラムザめ…良い仲間に恵まれていたらしい)
本来の持ち主はムスタディオと言う名の青年だ。彼の狙撃技術には幾度と無く辛酸を舐めさせられた。そんな過去を思い返すのは一瞬。
「あの女…」
ウィーグラフはアベルに向って駆け出しているキスティスを一瞥してから銃口をアベルからキスティスへと移す。
遠目だが、若い娘だ。妹のミルウーダより若いかも知れない。ウィーグラフはそれに片頬を小さく痙攣させ、眉根を顰めると引き金を引いた。
(雑念を捨てろ!私は決めたでは無いか…ッ優勝し、ミルウーダを甦らせるのだと…!相手がミルウーダのような年頃の娘だとて…ッ!)
「――ッ!」
弾丸がキスティスの足下を穿ち、砂塵を僅かに巻き上げた。被弾はしていない。ザックに手を突っ込んだキスティスが、目当ての物を引き当て、アベルへと向いながら引き出した。
鮮やかな黄色の羽毛が広がった。”それ”は二本足で大地に立ち、長い二本の垂れた耳のような部分を震わせ、高らかと鳴いた。
《クエーッ!》
「チョコボだと!?」
ウィーグラフはキスティスが軽々と跳躍して黄色い巨鳥―チョコボに騎乗する様を見ながら呻いた。だが、ウィーグラフが目を剥くのはそれだけではない。
チョコボに乗ったキスティスが金の髪を払うように掛けていた眼鏡を剥がした瞬間、その胸元に小さな稲光が発生したかと思うと、次の瞬間、一条の稲妻がウィーグラフに向けて解放たれていた。
***
肩から流れる血を押さえつけるかのようにマントの上から片手で肩を押さえ、アベルは顔を歪めながら小さく呪文を唱えた。
初級の治癒術であるホイミによる癒しの耀きは、常より弱く、回復力も低下していた。だが、違和感を気にしている余裕はアベルには無かった。
鈍痛の残る身を起こすアベルの前方で、ウィーグラフが飛来する稲妻より逃れるべく飛び退いていた。
「くっ…」
違和感を感じていたのは”サンダー”の魔法を放ったキスティスも同様だった。
ウィーグラフを捉える事は出来なかったものの、砂浜を焼くその威力に特に問題は無い。だが常よりもやけに疲労を感じるのだ。
(面倒ね…ッ)
内心吐き捨てるキスティスはチョコボ騎乗により、瞬く間にアベルへと迫る事が出来ていた。
ただ、それを黙って見ている程ウィーグラフは甘くは無い。
「大地の怒りがこの腕を伝う――」
聖剣技を得手とするウィーグラフにとって、剣があれば問題は無かったが、忌わしい事に刀剣を支給される事は無かった。だが、武器となるものは他にもある。
慣れぬ銃などよりも信頼に足るは、拳術。ウィーグラフが銃を持たぬ側の拳を握りこんだ。
「防御あたわず、疾風、地烈斬!」
砂地に叩き込むように拳を振るう。そこから発生した衝撃波が、地を裂くように時折砂塵を散らしながらアベルへ迫った。
絶対不可避の技であった。少なくともウィーグラフは己の行なってきた戦いに於いて、この技より逃れた者を見た事が無い。
宿敵たるラムザ・べオルブにすら一矢報いた技であった。それが…
「バギマ!」
砂塵を盛大に巻き上げる旋風の一撃により阻まれていた。
「―何!?…グッ!」
アベルの放った真空の刃を纏った突風が、小規模ながらも砂嵐と化してウィーグラフを襲った。
砂塵により視界を鎖され、咄嗟に両腕をクロスさせ身を守るウィーグラフの両腕を、脇腹を、太股を浅いが真空の刃が裂いていく。
その好機にキスティスが呼応した。
「掴まって!」
傍らにまで達したチョコボの上からキスティスが伸ばした手を、アベルは咄嗟に掴んでいた。
駆け出すチョコボの背へと飛び乗るアベルは一度ウィーグラフを一瞥し、キスティスと共に北部へと逃走した。
***
砂浜に残されたウィーグラフは、ザックから手探りで飲料水を掴み取ると、それを躊躇い無く眼部に振りかけ、砂を洗い流した。
「…何と不甲斐無く、無様か…」
目を赤く腫らしたウィーグラフは、自身の失態に唸った。油断、そして妹に近い年代の娘の姿に動揺したか、先ず両者が失態の原因であろう。
傷は浅く、そしてアベルの唱えた魔法も既に効力を失っている。アベルとキスティスが逃れた方角も知れている。にも関わらず、ウィーグラフはその場を即座に離れる事はしなかった。
ピッ―
片膝をつくウィーグラフの傍らにあるザックから電子音が鳴った。
「…」
ウィーグラフはザックに手を入れ、掌大の物体を掴みだす。説明書には【探知機】とあった。
1エリア範囲内での他者及び己の首輪を探知する力があるそうだが、それ以外の機能は無い。
画面も簡単なもので、至極シンプルな地図に、首輪を示す光点が映し出されるだけだ。あの二人の反応はもう捕捉できやしないだろう。が。
ピッ―
自分のいるこのエリア内の幾分離れた地点に幾つかの反応があった。
視線を向けるも砂浜に人影は無い。となると、森だろうか。
「…今度こそは」
呟き、ウィーグラフは立ち上がる。ロマンダ銃を手に、歩み出した。
***
【アベル@DQ5 HP9/10 MP8/10 右肩に銃弾による傷(回復中)】
【所持品】シュトラール@FF12、その他不明(2つ)
第一行動方針:ウィーグラフから逃れる
基本的行動方針:家族、及び仲間達を助け、事態を打開する
【キスティス@FF8 健康 MP9/10】
【所持品】下界のチョコボ@FF13、その他不明(2つ)
第一行動方針:アベルと共にウィーグラフから逃れる
第二行動方針:飛空艇(シュトラール)で仲間を探したい
基本行動方針:仲間達と合流する
【現在位置 H-5 森/朝】
【ウィーグラフ@FFT HP9/10 両腕、脇腹に細かい切傷】
【所持品】Eロマンダ銃@FFT(弾丸2発消費)、探知機、ラーの鏡
第一行動方針:新しく生まれた反応を追う
第二行動方針:剣が欲しい
基本行動方針:優勝し、ミルウーダ(妹)を蘇生させるつもりだが、未だ若干の迷い有り
【現在位置 H-6 砂浜北部/朝】
*探知機は映画版バトルロワイアルに出たものをイメージです。探知範囲は1エリア内のみ。
>>1乙です。予約からかなり遅れました、申し訳ありません。
投下完了です。
以下修正です。
【ウィーグラフ@FFT HP9/10 両腕、脇腹に細かい切傷】
【所持品】Eロマンダ銃@FFT(弾丸2発消費)、探知機、ラーの鏡@DQ4
第一行動方針:新しく生まれた反応を追う
第二行動方針:剣が欲しい
基本行動方針:優勝し、ミルウーダ(妹)を蘇生させるつもりだが、未だ若干の迷い有り
【現在位置 H-6 砂浜北部/朝】
*探知機は映画版バトルロワイアルに出たものをイメージです。探知範囲は1エリア内のみ。
>>1乙&投下乙!
シュトラールって結構でかいよね?
四次元ザックやわぁ
18 :
誘導:2011/07/16(土) 00:02:33.96 ID:mlv0CwSv0
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
かすかなるくさぶえ
いちめんのちのはな
ラムザ・ベオルブの半生とは、迷い多き人生であった。
貴族と平民。権利と義務。理想と現実。善と悪。犬と豚。
背反する理念と情念が、刀と同等に振るわれた混迷の乱世。
その中で彼が選び取ったのは、青臭い理想論であった。
【誰をも利用せぬ道】。
達成の為に他者を踏み台にする全ての信念とは悪であり、
奇跡や権威などに頼らず、自らにのみ拠って立つのだと、
ラムザは、声高に嘯いた。
兄に、同胞に、友に、敵対者に。
何かを選び取った為に何かを切り捨てた全ての大人たちに。
―――努力はしている!
故に、悪を為さぬ道を―――人である道を模索した。
できれば、善でありたかった。
しかし、そうある為には、彼の手は汚れ過ぎていた。
眩しい理想には、どす黒い現実が立ちはだかり。
現実とは即ち、立場を持つ他者に他ならなかった。
戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って戦って。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して。
気付けばラムザの足跡には、花が咲いていた。
通り過ぎたその場所に、一面の血の花が咲いていた。
彼の進むその先にも、きっと変わらぬ鮮血の花園が待っている。
人の世に欲がある限り。
彼が信念を捨てぬ限り。
その、信念が折れるやも知れぬ最大の危機が、ラムザの身を襲った。
妹、アルマが。
数多くのラムザの知己が、次々と彼を裏切り、
或いは彼の理想を否定して対峙してゆく中で、
揺れることなく、彼を信じ続けてくれた妹が。
ただ一人の、心を許せる妹が。
血塗られた聖天使として無理矢理覚醒させられ。
倒すべき敵として、降臨したのである。
『身体を取り戻したぞ……』
『アルマーッ!!』
ラムザ・ベオルブはその瞬間に召喚された。
今、アリアハン大陸西部の鬱蒼と生い茂る森林を、ラムザは歩いている。
幾種類もの広葉樹が競うように葉を伸ばすその下を、陽だまりを避けるように歩いている。
藪の深いところは、手にした配布品、QSB91式で切り裂いて歩いている。
使い古されたシンプルな着衣には汗がたっぷりと染み込んでおり、
その汗の大部分は移動による発汗ではなく、アルマ覚醒に伴う脂汗であった。
歩行には慣れており、体力は満ちている。
で、あるにも関わらず。
彼の膝は、疲労感で折れそうになっていた。
いや、折れそうなのは膝ではなく、彼の心であった。
「アルマ……」
その少女には戦う力は無い。
秘めたる素質も無い。
名門貴族の娘という特殊な立場を除いたのなら、あとは歳相応の身体能力に、
少々の正義感を持っただけの、普通の少女である。
だのに。
その肉体が、聖石に選ばれた。
「わかっている、わかっているさ!
血塗られた聖天使は、倒すべき悪なのだと。
見逃せば、未曾有の大虐殺を招くことになるのだと。
でもッ! アルマに罪は無いじゃないかッ!」
理性はアルマを殺すことを是とし、感情はアルマを殺すことを非とする。
そして、どちらの選択をしたとしても。
ラムザは、犠牲を容認することになる。
詰まされている。
どちらをどう選択しようと、ラムザの信念は折れてしまうのである。
「分からない…… いや、分からなくなった……
自分の信じる道が、為すべき事が、選ぶべき答えが……」
言葉にすればするほど、思案をすればするほど。
絶望感は膨れ上がり、ラムザの脳髄は焼き切れて行く。
その苦しみが、臨界点に達しようとする寸前に。
ふと、彼は気付いたのである。
「この音は……」
風に乗って運ばれてくる笛の音を耳にした瞬間、脳裏に鮮やかに蘇った。
健在であった頃の父に、親友と共に草笛の手ほどきを受けた情景が。
この世の暗部の存在に気付いてすらおらぬ、無垢な日々が。
ラムザは、息急き駆けた。
根瘤を飛び越え、藪を漕ぎ、腐葉土を踏みしめて。
転倒し、土塗れになっても、拭うことすらせずに。
そうして、森を抜け、丘を登り。
びいよ…… びいよ……
素朴にしてノスタルジックな草笛の音は、走馬灯の如く記憶を喚起させる。
その、殆どと言って良いほどの記憶の中に、その少年がいた。
ディリータ。
意思強きかつての親友。
道を違えた今でも、彼の心を揺さぶる男。
そして、ただ一人、ラムザの葛藤を理解する男。
びいよ…… びいよ……
そうして暫く、幼き日の英雄王との記憶に身を委ねていたラムザであったが。
やがて草笛は途絶え、追憶もまた途切れた。
絶望の中の、まどろみの時が、終わりを告げた。
ラムザは笛の音の発生源、日の光を反射する大きな花崗岩の裏側へと、回り込む。
そこに、いた。
立ち尽くすラムザを見上げる、オールバックの青年が。
そこに、あった。
今、ラムザの心を満たしていた少年の、成長した姿が。
「ディリータ!」
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
ディリータ・ハイラルの半生とは、出来過ぎの立身出世物語であった。
平民として生まれ、戦場を駆け抜け、王女と結ばれ、畏国王へと成り上がった。
無論、その立身は幸運のみによるものではない。
彼の出世のバックボーンとは、現実的な方法論の徹底であった。
【誰をも利用する道】。
非情で冷徹な努力であった。
他者に知られてはならぬ努力であった。
しかしディリータに、躊躇は無かった。
教会勢力を、貴族階級を、友を、恋人を。
人と人とを線で結んで、欲と情とで絡め取った。
―――オレは利用されない。利用する側にまわってやる!
達成の為に他者を踏み台にする全ての手段は、是であるのだと。
奇跡や権威すらも操作して、自らに都合よく捻じ曲げて。
故に、彼の前に栄光へと通じる階段は現れ―――彼は足を踏み外さなかった。
利用されぬ為には、利用するしかない。
ある意味、過剰なまでの自己防衛の中で、彼の手はどす黒く汚れていった。
欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて欺いて。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して。
気付けばディリータの足跡には、花が咲いていた。
通り過ぎたその場所に、一面の血の花が咲いていた。
彼の進むその先にも、きっと変わらぬ鮮血の花園が待っている。
人の世に欲がある限り。
彼が信念を捨てぬ限り。
その、信念が折れるやも知れぬ最大の危機が、ディリータの身を襲った。
妻、オヴェリアが。
数多くのディリータの知己が、次々と彼に廃せられ、
或いは彼の理想を否定して道を違えてゆく中で、
揺れつ怯えつも彼を頼り、その傍らにあった妻が。
ただ一人の、心を許せる妻が。
誕生祝いの花束を渡そうとしたディリータの隙を狙って、
隠し持った短刀でもって、夫の脇腹を突いたのである。
『…そうやって、みんなを利用して!
…ラムザのように、いつか私も見殺しにするのね……!』
ディリータ・ハイラルはその瞬間に召喚された。
今、アリアハン大陸西部の小高い丘に、ディリータは座している。
大きな花崗岩に背を預け、朝日を避けるように座している。
配布武器・XM2010を脇に立てかけて座している。
豪奢な礼服の脇にはたっぷりと血が滲んではいたが、傷自体は浅く、
彼の命を損なうような物ではなかった。
で、あるにも関わらず。
彼は、動くことすらままならなかった。
より深く傷ついているのは、彼の心であった。
「オヴェリア……」
確かに彼は、妻を利用していた。
妻の王女という箔を利用して王位に就いていた。
しかし、そこには愛があった。
運命と立場に翻弄されるがままであったこの女を幸せにしてやりたい。
その思いは、強く持っていた。
だのに。
その女に、裏切られた。
「おまえはオレを理解してくれていると思っていた……
理解者として、共犯者として、伴侶として、
オレに信頼を寄せてくれていると思っていた……」
ディリータとは強く、オヴェリアとは弱かった。
流れに抗う者と、流れに抗わぬ者。
その違いを、これまでのディリータは視界に収めていなかった。
その違いを、刺された今になって、ようやく気付いたのである。
「誰をも利用する道、か。
誰にも言えないはずのそれを、なぜおまえに告げたと思う?
おまえにだから告げたのだと、そう、思えなかったのか?」
言葉にすればするほど、思案をすればするほど。
空虚感は膨れ上がり、ディリータの胸を締め付ける。
その苦しみが、臨界点に達しようとする寸前に。
ふと、彼は気付いたのである。
「この草は……」
何気なく弄んでいた草に目をやった瞬間、脳裏に鮮やかに蘇った。
かつての養父に、親友と共に草笛の手ほどきを受けた情景が。
この世の暗部の存在に気付いてすらおらぬ、無垢な日々が。
ディリータは、無表情のまま、草を毟った。
葉の繊維を裂かぬよう注意を払って折り曲げ、癖をつける。
唇を濡らして、なじませる。
そうして、静かに目を瞑り。
びいよ…… びいよ……
素朴にしてノスタルジックな草笛の音は、走馬灯の如く記憶を喚起させる。
その、殆どと言って良いほどの記憶の中に、その少年がいた。
ラムザ。
心優しきかつての親友。
道を違えた今でも、彼の心を揺さぶる男。
そして、ただ一人、ディリータの本質を理解する男。
びいよ…… びいよ……
そうして暫く、幼き日のラムザとの記憶に身を委ねていた畏国王であったが。
やがて草笛は破れ、追憶もまた途切れた。
絶望の中の、まどろみの時が、終わりを告げた。
ディリータは重い瞼をゆっくりと開ける。
そこに、いた。
心配げに座したディリータを見下ろす、金髪の青年が。
そこに、あった。
今、ディリータの心を満たしていた少年の、成長した姿が。
「ラムザ……」
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
ひばりのおしゃべり
いちめんのちのはな
「どうしたんだ、その傷は?」
「……気にすることはないさ。浅い傷だ」
「にしても、手当ては要るだろう?」
「いいんだ。この傷は、正当な傷だ。
オレの体に残しておかなくてはいけない、しるしだ」
「そうか……」
ラムザはそれ以上言葉を重ねず、ディリータの隣に座した。
ディリータは無言で腰元の細長い草を毟り、ラムザに渡した。
びいよ。 びいよ。
2人はただ、草笛を吹いた。
ただ、己の笛を吹き、友の笛の調べを聴いていた。
余計なことは何一つ考えずに。
びいよ。 びいよ。
始めはどこかぎこちなく、相手を探るように慎重に奏でられていた草笛は。
やがて、何処と無く互いの調べに寄り添いだし。
それに合せて、二人のわだかまりも緩やかに解け始め。
びいよ。 びいよ。
びいよ。 びいよ。
ハーモニーは斉唱となり。
音だけでなく、心もまた、重なった。
……びいぃぃぃよ。
……びいぃぃぃよ。
完全なユニゾンは暫く続いたが、やがてどちらからとも無く笛を吹き止めて。
花崗岩に日光を遮られた暗く涼しい陰の溜まり場を有為の静寂が包み込んだ。
沈黙、幾許か。
含羞を見せつつ口を開いたのは、ディリータであった。
「ラムザ、おまえに聞きたいことがある」
「なんだい、ディリータ?」
そうして紡ぎ出された言の葉は、構えや衒いのない、素の言の葉であった。
心に直結した無防備な言葉であった。
草笛が喚起した望郷の念が、二人の心を裸にしていたのである。
「おまえは、何を手に入れた?
誰をも利用しない道―――
おまえの選んだその先には、何があった?」
「……何も」
「そうか…… おまえでも、そうか……
誰もを利用する道の果てにもな、ラムザ。
何ひとつ無かったよ」
友情の絆で硬く結ばれている二人は、また、喪失感においても強く結ばれていた。
多くは語らぬ。
ラムザはアルマのことを、ディリータはオヴェリアのことを、口にはせぬ。
それでも、二人は通じ合っていた。
自分たちが、同じ心の痛みを抱えているのだと、笛の音の交流で理解できていた。
誰をも利用せぬ道。
誰をも利用する道。
二人が辿った道は、正反対の道であった。
それでも。
一面の血の花―――
それが彼らに共通する心象風景であった。
微かなる草笛―――
根拠無き希望に満ちていた頃の残滓であった。
仮に、の話をするならば。
ゼムスに召喚されなかったら、の話をするならば。
彼らの喪失感は、すぐに淘汰される筈であった。
ラムザの苦しみの元であったアルテマ憑依覚醒は、如何なる神の御業であるのか
アルマはあっけなく血塗られた聖天使からの分離を果たしたし、
ディリータの苦しみの元であった妻からの暗殺未遂は、やがて彼の情の部分を完全に殺し、
逆に冷徹で偉大なる王へと至る契機とすらなっていた。
解釈には異議を唱える向きもあろう。
しかし、彼らは再び己の足で立ち上がれる筈であったのである。
それが。よりにもよって。
最も心が弱っているときに。
彼らは、出会ってしまった。
「なあ、ラムザ」
「なんだい、ディリータ」
人の心とは、逆境や絶望によってのみ折れるものではない。
一番つらい時に。
悲しみで胸が張り裂けそうなときに。
一番会いたい人に会えた。
凍えた指先が、ぬくもりに触れた。
安堵を感じることによって折れることも有るのである。
柔らかく優しく手折られることも、まま有るのである。
「あの頃は幸せだったよな」
「うん、やりなおしたいね」
契約は、それで完了した。
直截な言葉は無くとも互いに意図する処は伝わっていた。
追憶と後悔。
ただ二つの、共有できる想いを胸に。
二人は、殺戮者となった。
「あの頃に戻って、悲劇の芽を摘むんだ」
「君がいて、ティータがいて」
「おまえがいて、アルマがいる」
「心から笑えていたあの暖かな日々を守るんだ」
本当に大切な数少ないことを守る為に。
それ以外の全てを利用し、排除する。
程度の差こそあれ、殆どの人間はそれを当たり前に行っている。
他人より友人を優先し。
他人より恋人を愛し。
他人より家族を守る。
それを、彼らはしてこなかった。
極端から極端へと走り、信念のみを疾走させていた。
それはある意味、英雄の資質と呼ぶべきものであろう。
だが、押しも押されぬ光と影の英雄二人が。
互いの傷を舐め合ったことによって。
小市民的な幸せを望む視点を、獲得してしまったのである。
はるか上空を飛翔していた英雄たちは、再び地を這う存在と堕したのである。
「そうか。そういうことだったのか」
「何がだ、ラムザ?」
ラムザ・ベオルブ。
この理想主義の体現者は、地に落ちたことで、初めて―――
かつての敵たちが怒りと共に自分にぶつけて来た言葉の意味を、
胃の腑に落としこむことができたのである。
―――その責務を、おまえは“悪事”というのかッ!!
―――たとえ理屈でわかっていたとしてもおまえにはその実感がない! それがおまえの限界だ!
―――“正義”だと? そんな言葉、口に出すのも恥ずかしいわッ!!
当時のラムザはそれらを【悪】であると切って捨てた。
自己正統の戯言であると判じ、傾聴することもなかった。
今も尚、彼らが正しいとは思わない。
しかし……
それぞれ奉ずる物は違えども、大切な物の為に他の全てを利用し、邁進する姿勢。
決して理解できてはいけない筈の、彼らの主張を、ラムザは理解した。
思考ではなく、心で理解した。
してしまった。
それは、彼の信念が折れた瞬間に他ならなかった。
「ディリータ…… 僕らは【悪】に堕ちたんだな」
「違うなラムザ。オレたちはただ【大人】になったんだ」
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
いちめんのちのはな
あやめるあさのつき
いちめんのちのはな。
【ラムザ@FFT 健康 ジョブ:? アビリティ:?】
【所持品】E:QSB91式ナイフ銃(弾4/4 予備弾8/8)@現実 不明支給品(1〜2) 草笛
第一行動方針:優勝に向けての策を練る
基本行動方針:自分かディリータの優勝。過去に戻ってやり直したい
【ディリータ@FFT HP4/5 ジョブ:? アビリティ:?】
【所持品】E:XM2010(弾5/5 予備弾10/10)@現実 不明支給品(0〜2) 草笛
第一行動方針:優勝に向けての策を練る
基本行動方針:自分かラムザの優勝。過去に戻ってやり直したい
【現在位置:A-5・丘/朝】
以上で投下を終わります
遅くなりまして申し訳ございませんでした
うまく言えないがとにかくものすごくコレ好きだ
安心が心を折るとかすげーわかる、うんうんって感じ
ラムザとディリータに感情移入し過ぎてしまう
くそ、ボキャ不足で伝えたいことが表現できなくて悔しい
InCZn6g2gEさんありがとう!
投下乙!
FFT勢のマーダー率が半端ないな……アグリアスさんカワイソス
本当にもう…参加時期って大切だよね!
36 :
18の経過報告:2011/07/17(日) 16:20:57.50 ID:XiBgOKnD0
シュトラールは後々尾を引きそうだけどね
例えばエンタープライズや飛行石は有りなのだろうか
38 :
誘導:2011/07/18(月) 22:02:58.85 ID:Md7J+6Ur0
39 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/07/26(火) 02:59:58.63 ID:Hr7LkoUJO
産休
はは!
肩の辺りで切りそろえた艶のある黒髪が、海風に揺れる。
女性パラディンの正装である、チェインドレスという名の鎖帷子を纏った少女。
パラディンのミーナは、アリアハン北東部の森の中を歩いていた。
名簿に記された自分のパーティのリーダー、ノインを探し求め、この地に着いてからずっと歩き続けているのだ。
ミーナに支給されたのは何とも頼りがいのない棒切れと、それには不釣合いな美しい盾。
だが盾の方はまるで「使わせてやっている」とでもいいたそうな素振りで、ミーナの手に余るものだった。
仕方なく彼女は貧相な棒一本で、何が起こるか分からない危険なこの島を散策していた。
そんな時、可愛らしい少女の声がミーナの背後から聞こえた。
「ねえ、そんな装備で大丈夫なの?」
ミーナは慌てて声の聞こえた方向に振り返り、武器を構える。
そのときに否応なしに見えてしまった自分の装備は、とてもじゃないが問題無いとは言えなかった。
***
「じゃあ、ミーナはノインってのを探して、棒一本で森をウロウロしてたの?
かっこいいね!ある意味勇者だよ!」
「もうセティアったら、からかわないでよ。ノインの事が心配で、ちょっと焦っちゃったのよ」
照れたように笑うミーナの手にはちゃんとした槍が握られており、少女――セティアはミーナに守られるようにその後ろを歩いている。
先ほどセティアが取った行動は、支給品を餌に、自分の護衛を引き受けてくれる人を待っていたということらしい。
そんな折、棒切れ一つでうろついていたミーナを見つけて声を掛けたのだ。
ノインや自分を守るために武器を必要とするミーナと、護衛が欲しいセティアの利害が一致し、こうして行動を共にすることとなったのだった。
(なんか成り行きで護衛の事引き受けちゃったけど……。
まあ、ノインを守ってあげるためだし、困ってる人を見捨てたら、パラディンの名が廃るよね)
ミーナは後ろを振り返り、セティアがしっかり着いてきているか確認する。
どうやら少し早足になっていたようで、セティアは少し遅れ気味だった。
少し立ち止まり、今度は空いた手でセティアの手を取って歩き出した。
「ごめんね、早くノインに会いたくって、つい急いじゃった」
「へーき。あ、ねえねえ、さっきから言ってるノインってどんな人なの?」
そういえばずっと、ノインの事ばかり考えているな、とミーナは思った。
セティアも気になっていたのだろう、ミーナの返事を待っている
「そうね……天使みたいに可愛い女の子よ。白い肌に桃色の髪、青い目がとても似合ってて……。
素直で、誰に対しても分け隔てなく優しくて、正義感も強くって。
それに笑顔が本当に素敵なの。ノインの笑顔を見ていたくて、私こうしてずっとノインと冒険してるのかも」
「……ね、ミーナってノインのこと好きなの?」
セティアが言った言葉に、ミーナは曖昧に肯定のような返事をした。
照れ隠しなのか、歩調が今までより早まる。
「内緒よ、ノインに言ったって困らせるだけだもの」
「可愛い天使とそれを守る騎士でしょ?なんかいい感じじゃない。応援しとくね!」
「それは……まあ、ありがとう」
「さ、早くノインちゃんを見つけましょ、『ヘロロン』!」
「……セティア、『ヘロロン』って何?」
「あだ名よ。他のがよかった?」
ミーナは小さく溜息をつくと、この可愛らしい、でも少し変わった相棒を見つめる。
この森を抜けた先に、愛する少女が居ることを信じて、ミーナとセティアは歩き続けるのだった。
【ミーナ@DQ9女パラディン 健康】
【所持品】Eウィンドスピア@FF5 ひのきの棒@DQ3 天空の盾@DQ4 ファイト一発@DQ5
第一行動方針:ノインを探す
第二行動方針:セティアを守る
基本行動方針:ノインを守る
【セティア@DQS 健康】
【所持品】 Eそよ風のマント@FF6 不明支給品0〜1
第一行動方針:ミーナと一緒にノインを探す
第二行動方針:DQS主人公を探す
基本行動方針:ミーナと一緒に居る
【現在位置 G-8 森/朝】
投下終了です
ミーナはOPの女僧侶や仲間作成時のデフォの子。
女パラディンは百合っ娘か
ノインのこと天使に例えてるけど本当に元天使だってことは知ってるのかな
投下乙!ミーナ可愛いね
しかしヘロロンて……女の子につけるあだ名じゃないw
ただ現在位置だけど、G-8って一面の海だったから多分間違ってる
実際はどの辺?
>>46 指摘ありがとうございます
【現在位置 G-8 森/朝】を
【現在位置 G-1 森/朝】に修正します
此れは一体何だろう?
砂浜に巨大な物体が鎮座していた。機械仕掛けで、全体的に青、白、金を基調とした色彩だ。
砲塔のようにも見える二本の突起、その合間にある赤い硝子?張りの一角に目を凝らすと、どうやら座席のようなものがあるらしい。
「つまり、此れは乗り物なのか?」
その物体を一人見上げているのは紫色のターバンとマントを羽織った男だった、歳の頃は二十代後半から三十代と言った所だ。
彼の名はアベル。グランパニア国の王たる地位についている存在であった。
乗り物と言っても馬車のような車輪がついているわけではない。いや、車輪に似たような円盤状の物体は確かに二つ存在するのだが、それは横向きで、回転する機能こそあるようだが、地上を走るようには設計されていないようだ。
機体側面のタラップは下りている状態であるが、アベルがタラップを上がり、入り口らしき箇所を調べてみてもうんともすんとも言わなかった。鍵が掛かっているのだろう。
タラップを降りて機体後方へと歩く。機体の後方には折り畳まれた翼のようなものがあり、如何にかすれば其れが広がるようであるが、アベルにはその方法はわからなかった。
(…多分、飛ぶ事が出来るんだろうな。絨毯や天空城のように)
例えが独特であるのは彼の歩んできた半生が数奇なものであるが為であろう。
(もしかしたら此れに詳しい人も居るかも知れない。その人物が友好的であるかどうかはわからないけれど)
それまでは迂闊に手を出すべきではないとアベルは判断した。
アベルはこの広々とした浜辺で異彩を放つ機体について考える。
これは空を飛ぶものだ。それは恐らく正しいのだろう、だが一体何故このようなものがこんな場に存在するのか。
脱出する為?それは不可能であるとアベル達をこの島に送り込んだ張本人が言っている。
この首輪がある限り、何処に羽ばたこうとも無慈悲な死神は常に側に在るのだから。
(なら戦う為か?武器として。いや、それとも特に意味は無いのか?)
何かしらの意味はあるのだと思う。だがそれがまだわからない。それにこの機体ばかりに刻を割いてばかりもいられない事情がアベルにはある。
支給された名簿には、アベルの愛する妻、そして二人の子供達、馴染み深い二人の女性、相棒たるキラーパンサーに冒険を共にしたモンスター達の名が記されていた。
そして…。
「一体どうなっているんだ」
アベルは声に出して唸った。名簿には、彼がまだ子供であった頃に彼と友を庇い、魔物によって命を絶たれた父パパスの名が確かに存在していたのだ。
これにアベルは嬉しさよりも先ず疑問符を浮かべるのだ。ゼムスは、死者を甦らせたとでも言うのだろうか。
アベルとて教会の奇跡、或いは高度な蘇生呪文による蘇生術の存在は知ってはいたし、実際に冒険の中で見てきたりもした。
だがその何れもが完全に肉体を消滅させたような者や、死後長期間を経たような者を甦らせるような事は不可能であった筈だ。父は正しくその状況であった。
あのゼムスと名乗る老人は、それすらも可能とさせる力の持ち主であると言うのだろうか。
「…わからない事だらけだな」
だがやらなくてはならない事ははっきりしている。家族や仲間達と合流し、一人でも多くを救い、そして帰還するのだ。
それは幼少の頃、アルカパの少女と共にレヌール城を探検した時から、或いは、それより以前にサンタローズの洞窟で人助けした時から此れまで一貫してきた事だった。
***
49 :
48:2011/07/31(日) 01:37:09.95 ID:jh0bVvN10
すいません、間違えて再修正版の前の版のものを投下してしまいました
また1/5から投下します
此れは一体何だろう?
砂浜に巨大な物体が鎮座していた。機械仕掛けで、全体的に青、白、金を基調とした色彩だ。
砲塔のようにも見える二本の突起、その合間にある赤い硝子?張りの一角に目を凝らすと、どうやら座席のようなものがあるらしい。
「つまり、此れは乗り物なのか?」
その物体を一人見上げているのは紫色のターバンとマントを羽織った男だった、歳の頃は二十代後半から三十代と言った所だ。
彼の名はアベル。グランバニア国王の地位についている存在であった。
乗り物と言っても馬車のような車輪がついているわけではない。いや、車輪に似たような円盤状の物体は確かに二つ存在するのだが、それは横向きで、回転する機能こそあるようだが、地上を走るようには設計されていないようだ。
機体側面のタラップは下りている状態であるが、アベルがタラップを上がり、入り口らしき箇所を調べてみてもうんともすんとも言わなかった。鍵が掛かっているのだろう。
タラップを降りて機体後方へと歩く。機体の後方には折り畳まれた翼のようなものがあり、如何にかすれば其れが広がるようであるが、アベルにはその方法はわからなかった。
(…多分、飛ぶ事が出来るんだろうな。絨毯や天空城のように)
例えが独特であるのは彼の歩んできた半生が数奇なものであるが為であろう。
(もしかしたら此れに詳しい人も居るかも知れない。その人物が友好的であるかどうかはわからないけれど)
それまでは迂闊に手を出すべきではないとアベルは判断した。
アベルはこの広々とした浜辺で異彩を放つ機体について考える。
これは空を飛ぶものだ。それは恐らく正しいのだろう、だが一体何故このようなものがこんな場に存在するのか。
脱出する為?それは不可能であるとアベル達をこの島に送り込んだ張本人が言っている。
この首輪がある限り、何処に羽ばたこうとも無慈悲な死神は常に側に在るのだから。
(なら戦う為か?武器として。いや、それとも特に意味は無いのか?)
何かしらの意味はあるのだと思う。だがそれがまだわからない。それにこの機体ばかりに刻を割いてばかりもいられない事情がアベルにはある。
支給された名簿には、アベルの愛する妻、そして二人の子供達、馴染み深い二人の女性、相棒たるキラーパンサーに冒険を共にしたモンスター達の名が記されていた。
そして…。
「一体どうなっているんだ」
アベルは声に出して唸った。名簿には、彼がまだ子供であった頃に彼と友を庇い、魔物によって命を絶たれた父パパスの名が確かに存在していたのだ。
これにアベルは嬉しさよりも先ず疑問符を浮かべるのだ。ゼムスは、死者を甦らせたとでも言うのだろうか。
アベルとて教会の奇跡、或いは高度な蘇生呪文による蘇生術の存在は知ってはいたし、実際に冒険の中で見てきたりもした。
だがその何れもが完全に肉体を消滅させたような者や、死後長期間を経たような者を甦らせるような事は不可能であった筈だ。父は正しくその状況であった。
あのゼムスと名乗る老人は、それすらも可能とさせる力の持ち主であると言うのだろうか。
「…わからない事だらけだな」
だがやらなくてはならない事ははっきりしている。家族や仲間達と合流し、一人でも多くを救い、そして帰還するのだ。
それは幼少の頃、アルカパの少女と共にレヌール城を探検した時から、或いは、それより以前にサンタローズの洞窟で人助けした時から此れまで一貫してきた事だった。
***
キスティス・トゥリープは、走っていた。彼女は確かに見たのだ。
彼女の知る物とは大分大きさも形状も異なってはいたものの、あれは確かに【飛空艇】だった。
(あれがあれば…)
キスティスは想いを馳せる。確かにリスクはあるだろう、しかし、飛空艇を用いる事が出来たならば、徒歩でそうするよりもずっと仲間を探すのも容易な筈だ。
もしもあれに持ち主が居るのであれば、その者が友好的な人物である事を祈る。だがしかし、危険人物であったのならば…。
端整な顔を顰めるキスティスはやがて駆ける足を止めた。もう二歩程も進めば今居る森から砂浜に出られる。だが、彼女は見た。
手に銃器らしき得物を持った、まるで幽鬼のように歩む男が砂浜へと入り込むのを。
(――狙われている!?)
飛空艇の近くには紫色のターバンとマントを羽織った男が一人いる。そして銃を持った男は明らかにそのターバンの人物を狙おうとしていた。
(冗談じゃないわね)
キスティスは急ぎ砂浜へと踏み込むと同時にザックへと手を入れていた。
***
「…何だ、私の体じゃないか。うむ、私だ」
森の中で目を覚ましたウィーグラフ・フォルズは無表情で先ずそう呟いた。
手にしているのはザックに入っていた円盤状の鏡だ。【ラーの鏡】と言うのだそうだ。
其処には三十代程だろう、精悍な顔立ちの男が映っている。…決して、おぞましい羊の怪物の姿ではなかった。
出で立ちも神殿騎士団のものではなく、骸旅団の頃へと戻っていた。
(私は、ウィーグラフだ…醜いルカヴィなどではない…此れが、私なんだ)
目を閉じれば、生々しい記憶が甦る。聖石の力で体を魔人により乗っ取られた。
いや、本当に乗っ取られたのか?あれが魔人ではなく、己自身ではなかったと自信をもって言えるのか?
…ウィーグラフの頬が一度痙攣した。
(…馬鹿な事を)
嫌な迷いを否定するように首を振り、ウィーグラフは鏡をザックに戻した。
彼が歩んできた人生を全否定するかのような戯言を吐く魔人の記憶が鮮烈すぎたが故に、なまじその時の記憶を持ち合わせてしまったが故にそんな詰まらぬ事を考えるのだ。
そうに決まっている。そうでなければ、自分が最愛の妹を否定するような事を言う筈が…
「ミルウーダ…」
そうだ、妹…ミルウーダだ。
「…待っていろ、ミルウーダ」
ウィーグラフはザックから一丁の銃を掴み出す。
「…私は、戻るぞ。そしてやり直すんだ、何もかもをな…」
慣れぬ武器であるが、仕組みは知識として頭に入っている。銃を手にした状態で木々の合間より伺える砂浜を見た。
其処には紫色のターバン、マントと言う目立った出で立ちの男と、そして大きな機械が見えた。
「お前を甦らせよう。私と共に、やり直すのだ。ミルウーダ。今度こそ私は…」
そう呟き、ウィーグラフは何処かふらふらとした足取りで砂浜へと足を踏み入れた。銃を標的に向けるのは直ぐだった。
確か、この北の大陸より持ち込まれた武器の使い方は――こうするのだ。
***
濡れた手拭を思い切り叩き付けたような音と、「避けて!」と言う女性の叫び声がほぼ同時に響いた。
「え」
その時アベルにできたのは、そんなすっ呆けたような声を上げる事だけだった。気がつけば彼は肩口に強烈な衝撃と、灼熱の痛みを与えられ、砂浜に尻餅をついていた。
「――ぐ、ぁあっ!」
紫色のマントに黒々とした風穴が開く。飛来した銃弾はアベルの肩を貫き、尚砂浜へと穿たれた。
廻る視界の中でアベルは砂浜を此方に迫る銃を手にした騎士風貌の男と、更に別の方角より黄色い巨鳥に跨り猛然と駆けて来る金髪の女を見た。
「…チッ」
位置にしてH−6北東部、岩山沿いの砂浜に居たアベルを襲撃したウィーグラフは北西部の森から現れ、キスティスはウィーグラフからやや南下した西部の森より現れていた。
二人の男女が目印としたのは、共にアベルの傍らで鎮座している機体――【飛空艇】である。
砂浜に出て直ぐ手にしていたロマンダ銃によりアベルを銃撃したウィーグラフだが、慣れぬ武器と、そして標的とば別の存在の登場に舌打ちした。
(…こうも扱い辛い武器であったとはな、ラムザめ…良い仲間に恵まれていたらしい)
本来の持ち主はムスタディオと言う名の青年だ。彼の狙撃技術には幾度と無く辛酸を舐めさせられた。そんな過去を思い返すのは一瞬。
「あの女…チョコボとは」
ウィーグラフはアベルに向って駆け出しているキスティスを一瞥してから銃口をアベルからキスティスへと移す。
遠目だが、若い娘だ。妹のミルウーダより若いかも知れない。ウィーグラフはそれに片頬を小さく痙攣させ、眉根を顰めると引き金を引いた。
(相手がミルウーダのような年頃の娘だとて…ッ!)
「――ッ!」
弾丸がキスティスの騎乗する巨鳥の足下を穿ち、砂塵を僅かに巻き上げた。被弾はしていない。
鮮やかな黄色の羽毛に、同色の長い垂れた耳のようなものをぶらさげた巨鳥だった。
最初、支給品として行き成りザックからこのチョコボが顔を出した時は仰天したキスティスだが、こうも早く活躍する場が訪れるとは思わなかった。
《クエーッ!》
巨鳥―チョコボが高らかと鳴いた。ウィーグラフはそんな様子に一つ舌打ちをする。その双眸が、チョコボからキスティスへと向いた瞬間、見開かれた。
チョコボに乗ったキスティスが金の髪を払うように掛けていた眼鏡を剥がした瞬間、その胸元に小さな稲光が発生したかと思うと、次の瞬間、一条の稲妻がウィーグラフに向けて解放たれていた。
戦闘用アイテム【ゼウスの怒り】は魔法・サンダーの効力を有するキスティスの、チョコボに続く支給品であった。
***
肩から流れる血を押さえつけるかのようにマントの上から片手で肩を押さえ、アベルは顔を歪めながら小さく呪文を唱えた。
初級の治癒術であるホイミによる癒しの耀きは、常より弱く、回復力も低下していた。だが、違和感を気にしている余裕はアベルには無かった。
鈍痛の残る身を起こすアベルの前方で、ウィーグラフが飛来する稲妻より逃れるべく飛び退いていた。
「くっ…」
足下で稲妻が弾ける様にウィーグラフの片眉が顰められる。
(良い反応ね…ッ)
内心吐き捨てるように呻くキスティスはチョコボ騎乗により、瞬く間にアベルへと迫る事が出来ていたが、それを黙って見ている程ウィーグラフは甘くは無い。
「大地の怒りがこの腕を伝う――」
聖剣技を得手とするウィーグラフにとって、剣があれば問題は無かったが、忌わしい事に刀剣を支給される事は無かった。だが、武器となるものは他にもある。
慣れぬ銃などよりも信頼に足るは、拳術。ウィーグラフが銃を持たぬ側の拳を握りこんだ。
「防御あたわず、疾風、地烈斬!」
砂地に叩き込むように拳を振るう。そこから発生した衝撃波が、地を裂くように時折砂塵を散らしながらアベルへ迫った。
絶対不可避とされる技であった。少なくともウィーグラフは己の行なってきた戦いに於いて、この技より逃れた者を見た事が無い。
彼にとって宿敵たるラムザ・べオルブにすら一矢報いた技であった。それが…
「バギマ!」
砂塵を盛大に巻き上げる旋風の一撃により阻まれていた。
「―何!?…グッ!」
アベルの放った真空の刃を纏った突風が、小規模ながらも砂嵐と化してウィーグラフを襲った。
砂塵により視界を鎖され、咄嗟に両腕をクロスさせ身を守るウィーグラフの両腕を、脇腹を、太股を浅いが真空の刃が裂いていく。
その好機にキスティスが呼応した。
「掴まって!」
傍らにまで達したチョコボの上からキスティスが伸ばした手を、アベルは咄嗟に掴んでいた。
駆け出すチョコボの背へと飛び乗るアベルは一度ウィーグラフを一瞥し、キスティスと共に北部へと逃走した。
***
砂浜に残されたウィーグラフは、ザックから手探りで飲料水を掴み取ると、それを躊躇い無く眼部に振りかけ、砂を洗い流した。
「…何と不甲斐無く、無様な事か」
目を赤く腫らしたウィーグラフは、自身の失態に呻いた。油断、そして妹に近い年代の娘の姿に動揺したか、先ず両者が失態の原因であろうが本当にそれだけなのだろうか。
「…」
傷は浅く、そしてアベルの唱えた魔法も既に効力を失っている。アベルとキスティスが逃れた方角も知れている。
…にも関わらず、ウィーグラフはその場を即座に離れる事はしなかった。
ピッ―
片膝をつき、砂浜に残された飛空艇を眺めるウィーグラフの傍らに置かれたザックから電子音が鳴った。
「…」
ウィーグラフはザックに手を入れ、掌大の物体を掴みだす。説明書には【探知機】とあった。
1エリア範囲内での他者及び己の首輪を探知する力があるそうだが、それ以外の機能は無い。
画面も簡単なもので、至極シンプルな地図に、首輪を示す光点が映し出されるだけだ。あの二人の反応はもう捕捉できやしないだろう。が。
ピッ―
自分のいるこのエリア内の幾分離れた地点に幾つかの反応があった。
視線を向けるも砂浜に人影は無い。となると、森だろうか。
「…今度こそは」
呟き、ウィーグラフは立ち上がる。ロマンダ銃を手に、歩み出した。
***
【アベル@DQ5 HP9/10 MP8/10 右肩に銃弾による傷(回復中)】
【所持品】不明(0〜2)
第一行動方針:ウィーグラフから逃れる
基本的行動方針:家族、及び仲間達を助け、事態を打開する
【キスティス@FF8 健康 MP9/10】
【所持品】下界のチョコボ@FF13、ゼウスの怒り@FF4(消費)、その他不明(0〜1)
第一行動方針:アベルと共にウィーグラフから逃れる
第二行動方針:飛空艇(シュトラール)で仲間を探したい
基本行動方針:仲間達と合流する
【現在位置 H-5 森/朝】
【ウィーグラフ@FFT HP9/10 両腕、脇腹に細かい切傷】
【所持品】Eロマンダ銃@FFT(弾丸2発消費)、探知機、ラーの鏡@DQ4
第一行動方針:新しく生まれた反応を追う
第二行動方針:剣が欲しい
基本行動方針:優勝し、ミルウーダ(妹)を蘇生させるつもりだが、未だ若干の迷い有り
【現在位置 H-6 砂浜北部/朝】
*探知機は映画版バトルロワイアルに出たものをイメージです。探知範囲は1エリア内のみ。
*アベルの支給品シュトラール@FF12がH-6砂浜にあります。飛行可能か、不可能か、又、何かしらの制限があるのか、
鍵を所持しているのが誰なのかは後の書き手の方々にお任せいたします。
以上で代理投下終了です
書き手氏も代理投下氏も乙&GJです
保守
ほ
も
さ
62 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/09/16(金) 11:56:42.67 ID:y9fAJSPr0
ん
11歳の時に父と母を黒死病で亡くした。母の遺体は黒い痣だらけだった。
16歳の時に妹を殺された。自分の目の前で、矢で討たれた。
一人になった時、背中をえぐるような無常感は野心に変わった。
封建社会の権力構造への疑問から、無二の友からも離れた。
戦場では真っ先に矢を向けられそうな金色の鎧を纏っていたが、彼は平民出で、
後ろ盾がなかった。教会の走狗となったのもその出自によるものである。
ディリータ・ハイラルは畏国出身の騎士で、天涯孤独の身だった。
意志をはっきり現したような黒い目と黒い髪が彼の印象を強くした。
馬の扱いも相当なものだった。
当時、流行病の横行に長引く戦争のおかげでグレバドス教会の権力の失墜していた。
実際にディリータも信仰心は持ち合わせていなかった(神殿騎士団の団員の多くがそうであったように)。
オーボンヌ事件の実行犯も自ら名乗り出ることによって、
敬虔なグレバドス信者を偽装した。
暗躍を重ねに重ね、ついに南天騎士団団長に叙任した。平民出身では異例である。
もちろん、前任のシドルファス・オルランドゥ伯が謀反の容疑がかかったのは教皇の告発によるものだった。
かつての持たざる者は人間への不信から、名誉を手にすることができた。
もう食糧や衣服に困ることもない。住む場所がなく寒さに震えることもない。
王立士官アカデミーで平民であることを原因に孤立することもない。
もう彼を見下す者はいない。傍らには多くの貴族出身の部下たちがいて、彼が通ると誰もが平伏した。
が、ディリータはその出自の故に誰も信じなかった。ある女性を除いては。
城から雲ひとつない晴天を見上げていた。風が涼しく、季節は秋になろうとしている。
イヴァリースの空は不安も杞憂もないかのように晴れ渡っていた。
冷たい石畳の城から秋空を眺めた。
―――オヴェリア。もう少しだ。
後の畏国王が妻に刺されるちょうど一年前の日だった。
アリアハンの花崗岩が畏国のそれと成分が似ていたのは偶然なのだろうか。
小高い丘は環境条件があまりにもマンダリア平原に似ていたので、
二人を郷愁に誘導しやすかったのは言うまでもない。
日の光がやわらかくまぶしい。丘を見下ろすとムクロジの樹々が生い茂っているのが見える。
啄木鳥が木をついばむのが確認できた。イヴァリースとは歴史も文化も違うが、
自然の美しさはどこも共通している。
ふと自分を呼ぶ声が気がして振り返ってみると、
そこには誰もいなかった。あるのは生い茂る草原ばかりだ。
瞬も待たずラムザが自分の名を呼んだのですぐそちらを追いかけた。
“nogias”
“「始まり」とは常に些細なことをきっかけに起こるものである、たとえそれが偶然の発見だとしてもだ”
丘から降り南下するという方針を採ることにした。優勝するという大義名分がある以上、
丘陵は強襲に対し打つ手が少なく生き残れる可能性が低かった。
長い戦乱を生き抜いてきた二人は経験という点では有利なのは明らかだった。
つまり二人が出した結論もあながち間違っていなかったといえよう。
20分ほどかけてA-6地点のやや海側に移動した。薄暗く鬱蒼とした森である。
海が近いのは潮風でわかった。湿気が多く鎧の中はすぐに汗だらけになり不快になった。
周囲を警戒しつつ南へ進む。音を立てないよう小枝を踏むのにも気を遣った。
まあ、隠密行動は慣れている。
「ラムザ」
「ん?」
前を行くラムザに声をかけた。
もちろん、聞こえないように警戒を緩めずに。
「ガリアンドアカデミーでお前と一緒にこういう演習をしたのを憶えてるか?」
「どうだろう……あったような気がするけど。」
思わぬ追憶にラムザが小さく笑ったのがわかった。
こういう会話をするのもひさしぶりだ。
「そう、確か入学してすぐの頃だ。初めての実地訓練で緊張していたな。」
「ああ〜、あったかもしれないね。担当の教官がムカツくヤツだったよ。」
「ああ」
「アイツ名前なんだったかな……。忘れちゃった。」
過去に戻りたいという目的を抱いたからか、
段々と昔のことが思い出されてきた。戦場を駆け回っていたので過去を逡巡する間などなかった。
なにしろずっと戦ってきたのだ。今を生きることで頭が一杯だった。
生き残ればあの頃に戻れるのだろうか?
時計を巻き戻すように全てが元に戻るのだろうか?
水に流すにはあまりにもたくさんの出来事が起こった。
だが今はラムザと行動を共にすることが適切だと考えた。
「ディリータ」
先ほどの会話から10分後、薄暗かった森から日差しが差し込み開いた場所に出てきた。
この事に内心ディリータは安心した。なにしろさっきから黒い瓜のような蛭がたくさんいたのだ。
6歳の頃にティータと森に出かけ巣にいる蟻のような大群の蛭を見て以来、
自分の嫌いなものの一つだった。明るい所に出れば数も減るだろう。
「ああ、ラムザ。気づいている。血痕が続いているな」
「乾き具合から見ると数刻前ってところか。かなり負傷しているようだね」
小さくだが、何者かが流血しながら歩いたと見られる痕跡を二人は発見していた。
戦場では致命的なミスである。消した様子もないことから、
余程の負傷なのか、戦闘に慣れていない者であることがわかる。なにしろセオリーではない。
「負傷者か。見つけたらどうする?ディリータ」
「もちろん」
事もなげにディリータは肩をすくめる。
「過去に戻ってやり直したいんだろ?」
血の痕跡を追っていくと、蛭のいた薄暗い地点から比べ日光のあたる地点まで出てきた。
啄木鳥の美しい鳴き声が聴こえる。近くに清流があるのか、水が流れる音がした。
丘から見下ろした場所なのかもしれない。ムクロジの木が競うように生えている。
童話に出てくるような森の景色だ。
血の痕は濃くなっていく。次第に、血がまだ鮮やかな色になってきた。ほとんど乾いていない。
ラムザとディリータの緊張は高まる。支給された武器を身構えた。
先行していたディリータが後ろのラムザにサインを出した。
ラムザに見えるように右手の人差し指をくるっと回した。
ラムザが身構える。それは『標的発見』という意味だったので。
ほとんど木が少なくなった小川の近くに白い花がたくさん生えていた。
それはイヴァリースにはない種であったので何の花かはわからない。
アリアハンでは王族の祝事にも献上される特有種だった。息を呑むように気高く白い花だった。
一面に咲き誇っている。花畑と呼んで差し支えないかもしれない。
黄色い蝶がはたはたとゆっくりと飛んでいた。
血を追う必要もなかった。標的が目視できたから。二人は銃を構えた。
ディリータはがため息をつく。
夥しい血を流しながらうつぶせに倒れていたのは、金髪の少年だった。
傍らには赤く染まった、いちめんのちのはな。
【ラムザ@FFT 健康 ジョブ:? アビリティ:?】
【所持品】E:QSB91式ナイフ銃(弾4/4 予備弾8/8)@現実 不明支給品(1〜2) 草笛
第一行動方針:優勝に向けての策を練る
基本行動方針:自分かディリータの優勝。過去に戻ってやり直したい
【ディリータ@FFT HP4/5 ジョブ:? アビリティ:?】
【所持品】E:XM2010(弾5/5 予備弾10/10)@現実 不明支給品(0〜2) 草笛
第一行動方針:優勝に向けての策を練る
基本行動方針:自分かラムザの優勝。過去に戻ってやり直したい
【ティムアル(王子)@DQ5 HP1/5】
【所持品】?
第一行動方針:?
基本行動方針:?
【現在位置:A-6・森/朝】
以上で代理投下終了です
投下乙!
ティムアルの怪我の原因は何だろう?
この近辺にいるのはジャミラスと愉快な仲間達やオメガ、少し離れたあたりに妹とロリコン皇帝か……
何かすごくカオスだなw
おつおつ!
待ってました
70 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/09/23(金) 20:40:35.69 ID:n7+uaFeZI
ロトの力を使って悪事ができるなら
キャラバンハートでギスヴァーグがロトのオーブに触れられなかった設定と矛盾する
ほ
72 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/08(土) 02:44:58.36 ID:zdnMVv7q0
す
ぴ
74 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/26(水) 22:37:31.65 ID:KhrNt16KO
ぽいぽいぽいぽいぽいぽぽいぴーぽいぽいぽいぽいぽいぽぽいぴー
75 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/01(火) 18:55:12.48 ID:ZAizsOAhO
あやまん
保守
77 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/21(月) 14:09:52.32 ID:p2hW6DuS0
77
FFTキャラ同士で絡みすぎてて、Tの二次創作?って思った
79 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/12/06(火) 16:13:14.61 ID:wygzLFuo0
保守
80 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/12/16(金) 05:19:16.35 ID:dWyarECL0
80
保守
ほしゅ
83 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/01/12(木) 17:46:13.16 ID:4nmZblIVO
ここどうなったの?
84 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/02/01(水) 15:04:18.00 ID:NvjDNp7J0
死んだ
ハッサン無双
86 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/03/06(火) 02:24:56.89 ID:Pi3ek92H0
ハッスル
【タイトル:ラディカルネガティブ☆スーパースター】
自分という人間が強運に恵まれてるなんて思い上がってはいませんでしたよ。
でもね。
まさか。
よりにもよって。
牢獄の中に飛ばされるとはね。
ご丁寧に、カギまで掛かってるとはね。
さすがに、ここまでの不運な状況は、想像していませんでしたよ。
はじめは、ほら。
ザックの中に牢屋のカギとかあるのだろうなって思っていました。
いくらなんでも、初期配置で詰んでるなんてことはないだろうとね。
そんな都合のいいこと、考えていたのです。
……無かったんですけどね。
じゃあ、せめて格子を切断できる剣とか、
壁を粉砕できるハンマーとか、
転移できる魔法のアイテムとか、
ミニマムの本とか、
まあ、やりようによっては牢屋から脱出する助けになる、
そのへんのものがあるかなって思いなおしました。
……無かったんですけどね。
じゃあ、何が入ってたのかって?
さあ、見てください。
笑ってしまいますよ?
【バッカスのさけ】5本セット
【ちんせいざい】5本セット
【こうふんざい】5本セット
まあ、それもふさわしいのかも知れません。
生き汚く逃げて、逃げて、逃げ続けて。
国も捨てて。
仲間も捨てて。
この身一つで生き延びたの言うのに。
国の為に戦いもせず。
仲間の為に弔いもせず。
この身一つでいつまでもうじうじしている自分には、ね。
それに引き換えスコット、わが兄。
最期まで失われた祖国の為に、強大な帝国に挑み続けた勇者。
貴方は立派だった。偉大すぎる。
とても私が同じ血を引いているとは考えられない。
ああ!!!
何故私はあの時逃げたのでしょう!
何故兄の代わりに私が死ななかったのでしょう!
私のような無能な怖がりが生き残って一体なにが出来るというのですか?
神よ、あなたは連れて行く人を間違えた!
兄ではなく私を……
私を……
やっぱり、死ぬのは怖い。
想像の中の自分の死すら、私は避けてしまう。
なんて臆病者。
なんて卑怯者。
私なんて、私なんて、もう……
はぁ……
ダメだ。辛い。辛過ぎる。
一人でいるとネガティブマインドが次から次へと溢れてくる。
逃避しないと……
なにか楽しいことを思い浮かべて……
そうだ、ヒルダの笑顔だ。
ああ、ヒルダは美しい。
素敵だ。
いつも気を張って凛々しくしているところも、
時折みせる純白の野ばらが如き笑顔も、
陶磁器のように透き通った肌の肌理も、
どこをとっても美しすぎる。
さすがはスコットの婚約者だ。
あ。
スコットか…… ここでもまたスコットか……
スイッチ切り替え失敗。
カウンターによるダメージは甚大。
逃げたい……
もうここに居たくない……
ダメです。
逃げ場がありません。
牢屋の中は、物理的にも、精神的にも。
行き止まりのどん詰まりです。
あーもー死んでしまいましょうか?
そうしたら楽になれるのでしょうか?
……なんて、嘘です。
どうせ私には首を吊る勇気も無いのです。
進むことも戻ることも出来ず、
ただ立ち止まることしかできなのです。
こんなときはいきつけのバーで浴びるほど飲んで、
泥のように眠るのがいつものパターンですが、
それも、牢屋から出られない現状、不可能ですので……
ん?
そう言えば、ありましたね、バッカスのさけ!
ヘイストが掛かるというメインの効果はこの際気にしない!
この場合、酔えることが大事なのですから。
では、早速……
ごきゅごきゅごきゅごきゅ。
これは結構度数が強いようですね。
流石は酒の神様の名を冠しただけのことはあります。
口当たりは滑らかだな。
ああ、体がぽっぽしてきた。
なんか、こう……
じっとしていられない!
ああ私って何でこんなにダメなんだろう何をやっても本当にダメでいやになる比較対象と
して優秀すぎる兄がいることがこの劣等感に拍車をかけるずるいですスコット私の中で完
璧な偶像のまま死んでしまうなんて永遠に貴方に対する劣等感を払拭する機会を失ってし
まったのですからああこうやってなにかにつけ兄の面影を追ってしまう自分はある意味未
だに兄に甘えているのだろう自立していないんだ嫉妬して比較してそれでも兄なら兄の大
きな器ならば許してくれると思っているなんて甘ったれた子供なんだ!あれ?私は何でこ
んなに高速に自己批判してるんだろうこれだけ脳の働きが活性化しているのなら脱出方法
を検討したり他にもなんだか使い道があるはずなのにやっていることといえば反省と自虐
と悪いこと探しと自己憐憫ばかりで全然建設的じゃないしてことは何酔って泣き寝入りし
ようと思ってたのに逆に頭が冴えちゃって全然眠れないって事?このヘイストの効果って
いつまで続くんだろう超高速連続自己批判なんてどんどん自分を追い込んで疲れさせるば
かりじゃないかダメだ落ち着きを取り戻さないと私がいつもの三倍増しの私になってしま
う何か方法は……あそうだ鎮静剤こいつを摂取すればきっと頭も落ち着くに違いない!!
……………………。
………………。
…………。
……。
「おーーーいおいおい!」
悲しい、なんて悲しいのでしょうか!
一人酒を飲んで逃避しようとしてる私とはどこまで哀れで惨めなのでしょう!
あ、見つけた!
ついに私、スコットより凄いトコ見つけましたよ!
それは、情けないトコ!
あははっ、なんて悲しい事実なのでしょう。
そう。
私の半生は常に悲しみに彩られていた……
……って。
おかしいですね。
ここまで極端に自己憐憫に走るのは、私の思考から逸脱しています。
ああ、それほどまでに追い詰められた私ってなんて可哀相……
じゃなくて。
常のパターンとしては、自虐と憐憫と嫉妬と諦観が入れ替わり立ち代り襲ってくる、
それでもそれぞれが一線を越えることはない、
絶妙なバランスで自我を保てるように加減されているはずです。
……本当、卑怯者ですね、私。
それがここまで自分が可哀相で悲しみに耽溺してしまうということは、
これは多分、鎮静剤の影響……
じゃあ、この興奮剤で中和すれば……… ちくり。
……………………。
………………。
…………。
……。
ふう。
なんとか嵐のような悲しみに溺れずにすみました、が。
どこかで聞いたことがありますね……
強い薬を飲用したときは、酒を飲んではいけない、と。
酷い悪酔いをしてしまうのだと。
ということは?
やっぱり?
今、この胸いっぱいに出口を求めて渦巻いている
言いようのない気持ち悪さは……
「えろえろえろえろぉ!!」
急にせり上がってきたので、上手く吐き出せず、
上着が吐瀉物でぬちょぬちょになってしまいました。
気持ち悪い…… いいえ。
これがまた、鼻を突く臭気さえ気にしなければ意外と悪くないですね。
人肌でぬくぬくですから……
ああ、ようやく眠気がやってきました。
凄く胸がムカムカしますが、それに増して襲い来る睡魔が……。
このまま寝たら、きっと悪夢を見るのでしょうね。
ぐちゃぐちゃでどろどろの、極彩色でサイケデリックな夢を。
……まあ、いいです。
考えるのも面倒になってきましたし。
いいなぁ、この投げやり感。
うじうじ悩み続けてきた自分がバカみたいです。
でも、目覚めたらきっとまたイジけるんだろうなぁ。
酔いつぶれて眠ったことを後悔するんだろうなぁ。
だったら、もう。
このまま死んじゃってもいいかなぁ。
誰かが寝てるうちにサクっと殺してくれないかなぁ……
【ゴードン@FF2 泥酔、ゲロ塗れで爆睡中】
【所持品】バッカスの酒×4@FF2 鎮静剤×4@FF7 興奮剤×4@FF7
第一行動方針:現実逃避
基本行動方針:もう、どうにでもなれ
【現在位置:E-7・アリアハン城地下牢(左/カギが掛かっている)/朝】
以上で投下終了です
乙!
書き手氏が残っていてくれて嬉しい
97 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/03/31(土) 17:05:14.73 ID:0BS3jHvA0
保守あげ
98 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/04/05(木) 13:28:13.87 ID:Qjv6fd9s0
浮上
保守
100 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2012/05/10(木) 01:35:34.82 ID:fCOEcZTT0
100
ほしゅ
ほ
し
これはいったいどうなってんだ。
俺ってこんなゲームに呼ばれちまうほど大物か?
だってありえねーだろ!
このメンツはいったいなんだってんだよ。
魔王みたいなのはいるわ、まんま化け物もいるわ、怪獣もいるわ、そんでもってもう人間離れしたとしか
思えねえ強さになったエデンやマリベル達までいるんだからな!
「……ふう」
ホンダラは頭を掻きむしってついつい絶叫したくなるのを慌てて口の中に飲み込むと(なにしろ大声出したら
気づかれちまうもんな!)
唾をおもいっきり飲み込んで、胸を一発ゴンッと叩いて、ぜえぜえと荒い息をしながら何とか気分が落ち着くようにと、
うたた寝のときにするような安らかな思いに耽るイメージを、何度も何度も頭の中で繰り返した。
(考えちゃいけない、考えちゃいけない。落ち着け、落ち着け)
するとホンダラは仕事もせずに怠けて酒をかっくらう毎日に戻ったかのように、呆けた気分になってきた。
これで本当に酒の一本もあれば眠りにつけそうだぜ、と軽くよだれを垂らしながらホンダラは思ったが
(いけねえ。俺としたことが本当に眠っちまったらどうする。襲われてやられちまうじゃねーか)
と、正気に戻り、なんとか自分を取り戻すのであった。
乾いた風が吹いて、随分伸びた無精ひげがさわさわとなびいた。
頭に被った頭巾もよれよれで洗濯もろくにしていなかった。
こんななりで死んだら、ろくに社会に貢献していない無職が無様をさらしてくたばったのだという
事実だけが残る。
最悪である。
こんなところで死んでたまるかと思った。
ホンダラはこうなったらどうにかして生き残って、今回の経験を生かしてこれまでみすぼらしかった
自分の人生に華を咲かせてやると、心に決めた。
「ようし、やってやるぜ俺は」
と意気込んだ。
しかし、とホンダラは思う。
さっき考えたとおり、魔物たちとの戦いで経験を積みまくったエデンたちは、もはや鼻つまみの
ガキどもではない。レベルが段違いに高いのだ。たぶんデコピン一発でホンダラなどダウンだろう。
前に訪ねて来たときは、軽くあしらって用もろくに聞かず逆に金をせびって借りることにさえ
成功したわけであるが、今はとてもそんな真似はできない。
ふと、それを思い出してホンダラはしまったと口に出した。
(そういやエデンのやつに500ゴールド借りてたんだった。やべえ。……でも知るか。もう敵なんだし)
うっ、とホンダラは呻く。
つい『エデンはゲームに乗った敵』という想定の下に立ってしまった。
曲がりなりにも同じ島で育った人間である。
それを敵認定してしまうのは薄情なのではと少し悩んだ。
だが、もう生き残りをかけて戦ってやると誓ったのだ。後戻りはできないのだ。
「そう、俺はもう前に向かって全力疾走するしかねえんだ……」
ぐつぐつと煮えたぎったスープ鍋のようにホンダラの心を燃え上がらせるものがあった。
それはぐうたら生活からの脱出の心意気だ。
貧乏ヒマあり、酒呑みっぱなし、借金まみれの人生からあばよと背を向け、希望に満ちた
日の光を浴びて毎日を明るく楽しく贅沢に生きるのだ。
その為ならなんだってやってやる。
鬼にもなってやる。敵は敵だ。同情なんてできるか。
(やってやる。相手が誰だろうが容赦はしないぜ、やってやって、やりまくるぜーー!)
――――――――
「……って、それができれば苦労はねーよなあ」
ここで少し上のほうの、レベル段違い云々の話に戻るのである。
ちょっとここで思考にカーブをかけて今度はマリベルのことも考えた。
あの嬢ちゃんは小生意気で俺に金を貸そうとしなかった。
(あんなメイドまで雇ってる金持ちのくせによくも貧乏人に辛くあたりやがって、このゲームでちょうどいい、
成敗したるわ!)
と、思いきや、よくよく記憶をたどってみると、実はマリベルからも金を借りていたのだった。
それもマリベルから直接借りたのではなく、エデンの口添えでマリベルがあんたが言うなら仕方がないと
冷たい目をしながらも用立ててくれて、それをホンダラがありがたーく受け取っていたのだ。
この件も思い出すと、エデンには頭が上がらなくなりそうだった。
(エデンってつくづくいいやつだよなー。泣きたくなるぜ。でも金は絶対返さないけどな?
ついでにマリベルこのやろう!)
この野郎!マリベルこの野郎!
と、心の中で悪態をつきぜえぜえと荒い息をした処で、ようやく次のステップにいけそうな気分だった。
「……支給品ってのを見てみるか」
ザックを漁って色々調べてみると、杖が二本発見できた。
ちゃんと説明書が入っており、それによると魔法の効果を出す杖らしい。
一つはレムオルの杖、これは対象を透明にして見えなくする効果。
もう一つはおびえの杖、こちらは対象を恐怖状態にさせて戦闘できなくする効果があるようだ。
そして杖にはそれぞれ光るタグが付いており、どちらも使用回数残り9回と記されていた。
「あれ?」
なぜか支給品は二つしかない。三つのはずだが。
おかしいと思いがさごそと手を中にもう一度つっこむとそこに確かな感触があった。
(なんだこりゃ)
がっちり握って出てきた物は、何も無い物だった。
(おいおい、目に見えない道具ってことか?)
あると思ってそこにない。でも見えないだけでブツはすぐそこにある。
レムオルの杖が間違って発動したのかとホンダラは思ったが、杖の使用回数は残り9回のままだった。
冗談抜きでこれは最初から透明で身に見えない魔法のようなアイテムだ。
(カンナか何かか?いや、弦があるぞ。軽いけど、いて、手に刺さった、こりゃ弓か?
じゃ今のは矢?いてええ)
ホンダラは悪戦苦闘しながらも、目に見えない道具の正体が弓矢であることを確認した。
(すげえな。これならまったくバレずに敵を撃てるぜ)
こうなってくるとホンダラは俄然元気が出てきた。なんだかやれそうな雰囲気になってきたのだ。
ついでに威力の方も試してみたくなってきた。
(手ごろな狙いつけるものが何かねえか……あっ、誰か来た)
何者かが歩いてくるのが見えたホンダラは慌てて近くの岩陰に身を隠した。
まだホンダラはこの透明武器がどれほどの性能を持っているか知らない。
【ホンダラ@DQ7 正常】
【所持品】レムオルの杖(残り9回)、おびえの杖(残り9回)、ザイテングラート@FF12インター
第一行動方針:近づいてくる誰かを攻撃する?
基本行動方針:とにかく生き残る、手段は選ばないつもり
【現在位置 B-3 岩山付近/朝】
代理投下完了です。
したらばの避難所スレで、支給品の数についてツッコミがあったけど、
ホンダラの勘違いってことで、このままでもいいかと。
保守
ほ
し
ゅ
念の為保守
.
.
sage
sage
FF5限定のロワでも始めようかと思ったらスレが立てられない
このスレ使ってもいいかな
いいんじゃね
保守
いいですともー
読み専だが諦めないぞ…
待ってる
バ
ト
ル
ロ