もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら17泊目
315 :
311:2011/10/15(土) 22:03:14.87 ID:mD6SzKnD0
>>311 亀レスですまん
全く知らない街だけど、いつも外国。マカオみたいなところ(海辺に中国人の店やレストランがある)か
スイスみたいなところ(スーパーがなぜか結構高い山の中腹の小さい町にある)の夢が多いんだけど。
探索してると割と町の人は平気でこちらに話しかけてくるけど知らない人。
探索した後、いつも布団が気になって最初の場所に戻るw
それで現実世界で目覚めるw
何の布団なんだwww
DQ世界でないのが残念。
こんやもお楽しみでしたね
>>315 マカオとかスイスだったらじゅうぶんDQ世界に似ていると思えるけどな
きみの夢に入ってみたいww
じゃあみんなでオフ会しようぜ
今晩
>>315の夢の中に集合な
320 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/16(日) 23:25:47.05 ID:LTQT4o740
見た夢を語るスレ
森の中でうさぎと会話
ほしゅ
保守点検
324 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/30(日) 12:59:21.15 ID:goW23+2nO
ルラフェンの地酒を飲んでみたいわ
325 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/30(日) 23:16:27.72 ID:1HxfzSVHO
パフパフ
326 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/31(月) 00:04:25.10 ID:4XWnmxgB0
泣いておうさまに「もとの世界に帰してくれ」と頼む
327 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/10/31(月) 00:08:14.00 ID:HQaDMoWJ0
温泉のぞき
328 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/01(火) 18:27:41.94 ID:v+7tnDkr0
ねる
329 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/02(水) 17:29:30.76 ID:cWSaZunw0
おおお
街を散策
331 :
井戸魔神F ◆Tny1JrNujM :2011/11/06(日) 08:58:48.83 ID:vj/b/JU/0
ステータスチェック
昨日は女戦士の、むちむちとした体を堪能した
もう一泊して今度はツルペタ商人を可愛がってやろう
くくく…
鍛え抜かれた屈強な女戦士の体が脂肪でむちむちなはずがない
銅の剣を買う。
335 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/10(木) 21:34:18.95 ID:ucrOS5d40
.....
素手でスライムと戦う。
337 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/13(日) 16:15:32.37 ID:WaLL9ihIO
>>333 女戦士「私、筋肉つきにくい体質なのよね」
薬草なしで、町を出る。
339 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/13(日) 17:51:43.14 ID:fVe9yqNeO
毒消し草なしで毒沼散歩
340 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/13(日) 19:51:05.58 ID:t7r3ADP5O
王様になって女はエッチな下着しか装備してはいけないという法律をつくる
>>337 あんた戦士に向いてないよ転職しな
>>340 美人でスタイルのいい女なんてほんの一握りだぞ?
残りは恐ろしい外見になるぞ
きっと、下着を急いで買いにいくだろうなぁ.....
お絵描き掲示板に妙な虫が湧いておりますぜ
駆除してくだせぇ
344 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2011/11/18(金) 18:38:59.15 ID:6cvEVoSi0
おきる
>>343 報告ありがとうございます。
コメNo59-67までの謎コメントを削除しました。
>>345 うお。タカハシ氏お久しゅう。
最近は投稿がなくて寂しい限りですなあ。
おれが聞いた情報によると、もうじき中国はバブルがはじけて昔の貧乏な中国に戻るらしい
もう経済は破綻してて、取り戻すのは無理なんだそうだ
その世界では有名な政府関係者筋から聞いた確かな情報だよ
まあお前ら頭の良い連中には、今さらなくらいのネタだね、
お前らからすればもう常識的なくらいの知識だろ?
干し
ほ
ほっしゅ
>>167の続き
前略 母上様
俺がこのワンダーランドに迷い込んで、一日が経ちました。
恐らくそちらではまだ騒ぎにはなっていないのでしょうね。
それとも、同居している弟が異変に気づいて慌て始めている頃でしょうか。
最初こそ戸惑いましたが、この世界にも少しずつ慣れてきています。
そう、中世風の町並みにも、何故か言葉が通じる外国人にも、
「この洞窟、ずいぶん入り組んでやがるな。まるで迷路だ」
到底ありえない魔物の存在にも、
「!ハッサン、危ない!」
「ぬわっ!こいつ!」
体液や贓物が飛び散るグロテスクでバイオレンスな戦いにも、
「どりゃあ!!……ったく、油断も隙もありゃしねえ」
「仲間は……いないみたいだな」
「一撃で倒すなんて驚いたわ。さすがね、ハッサン」
「へへっ、会心の一撃ってやつか?うまい具合に入ったみてえだ」
少しずつ慣れつつ、慣れ……
慣れるかあああああああああああ!!!!
どうなってやがんだ!とんだワンダーランドだよここは!
俺はふらふらとした足取りで彼らの後に続く。
あれから俺は荷物持ちを申し出、始めと同じように戦いは離れたところから見るだけに留めさせてもらうことにした。
何故ならば、あの魔物に止めを刺した直後、非日常とプレッシャーの連続に耐えられなくなった俺は
胃の中で消化中であった朝食を全て吐き出してしまったからだ。嘔吐した後も吐き気は収まらず、胃液まで吐いた。
そんな情けない俺を、ボッツたちは非難するどころか、優しく背中をさすってくれた。気遣ってくれた。
どこまで優しいんだよこいつら。涙がちょちょ切れそうだ。
ゲロ臭を撒き散らしながら進むのは魔物たちに居場所を示しているようなものらしいので、
口などを川の水で丹念に綺麗にしてから探索を開始した。ゲロだまりが気になったが、あれはあれで役に立つらしい。
何でも、人の臭いより強いから囮に使えるのだとか何とか。
畑に髪の毛を撒いておくと、人の臭いがするから動物が寄ってこないとか何とか聞いたことがある。あれの逆バージョンってわけか。
なるほど、そういえばあれから魔物に出くわす頻度が減った気がする。
かえって助かったとハッサンは笑ってくれたが、同性の前でならまだいいとしても、
ミレーユのような美人がいるところでリバースなんてショックもショック、大ショックだ。
まあこれくらいで人を嫌うほど器が小さい女性には見えないが、俺にも俺なりに男のプライドというものがだな……。
その時ボッツが足を止め、まっすぐに前方を指差した。
「人だ!」
「イリア?誰だいそりゃ?そんなことより、大変なことになってるぜ!
宝をいただこうとここへ来たら、あの男が倒れていたのさ。
かなりの傷を負ってるところに魔物がまた襲ってきたんだ!」
両手をばたつかせながら、角つき覆面を被っている男は声を震わせた。
その向こうで獣とも人ともつかない者の咆哮が上がる。
ひぃっ、と細い悲鳴を上げて男は頭を抱え、体を小さくさせた。がたがたと震えている。
「あのままじゃやられちまうぜ!何とかならないのかよ!」
そのムキムキの筋肉は何のためにあるんだよ!と非難したくなるのをぐっと堪える。
俺が言えたことじゃない。何はともあれ、この人はイリアさんじゃないみたいだ。ということは……。
「お、おい!ボッツ!?」
俺は届かない手を伸ばす。
ボッツが背中の剣を抜いて魔物のいる方へと走っていってしまったからだ。
ハッサンとミレーユが慌ててその背中を追い掛けたので、俺も思わずそれに続いてしまう。
果たしてそこには、でかい魔物を前にして地面に片膝をつく血まみれの男がいた。
青い鎧はところどころ砕け、どこも真っ赤に染まっている。剣を地面に突き立てて体を支えているが今にも倒れそうだ。
そんな男の様子を見て魔物は不気味に微笑んだ。
見る者全てを竦み上がらせるような、そんな笑みだ。
丸太のような腕がぐわっと振り上げられる。
傷つき、凍りついてしまった男にはもはやそれを避ける術はない。
「待てッ!!」
間一髪、ボッツの剣が魔物を横から薙ぎ払った。
しっかりと男の首に狙いを定めていたはずの長く鋭利な爪は無念にも鼻先を掠めていく。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!!」
そこへ高く跳び上がったハッサンが、旅で鍛え上げられたのであろうぶっとい足を魔物の顔面にめり込ませた。
いわゆる飛び膝蹴り、というやつだ。プロレスとかで見たことはあるけど、生で見るのは初めてだ!すっげえ迫力!
ハッサンは崩れ落ちた魔物から素早く距離を取り、ふうっと息を吐き出した。
軽やかなステップとは裏腹に表情は険しい。
……もしかして、まだ終わってない……とか?
「大丈夫ですか?さあ、こちらへ!」
「…ぅ……」
いつの間にかミレーユが男に肩を貸し、こちら……つまり俺の方へと誘導させていた。
うわあやばい超血まみれじゃんあれやばい本当やばいって死んじゃうって!
「タイチ、この人をお願い」
お願いと言われましても
「私は二人に加勢しないと。今あなたに背負ってもらってる荷物の中に薬草があるわ。
それでこの人の傷も少しは治せるはず…」
えっ、でも
その時、背後で耳をつんざくような叫び声が轟いた。
叫んだのは言うまでもない、あの魔物だ。
あいつ、あんなクリーンヒットをもらっといてまだ生きてたのか!
びびる俺をよそに、ミレーユは手早く、しかし丁寧に男を横たわらせた。
「大丈夫、タイチならきっとできるわ。それじゃあお願いね!」
いや、そんないい笑顔で言われても―――ちょ、ミレーユさああああああん!!?
……行ってしまわれた。ああ、なんて頼もしい背中。
つうか待ってくれよ!怪我人託されても困るよ!
応急措置とか高校の保体で教えられたっきりだよ!
薬草だけでいいの?包帯とか消毒薬は!?
「うっ、う…………ナ……ジ……」
横たえられた男が、苦しそうに呻く。なじ?ネジか?
まるで熱に浮かされているようだと思って額を触ってみると、
およそ平熱とは思えない熱さが返ってきた。
「……マジかよ」
鼻をつく血の臭いが、このままでは男の命がやばいことを告げていた。
死ぬのか、この人。
そう思うと同時、俺は背中のでかいふくろを下ろしていた。薬草!どこだ!?
ミレーユはきっと、俺なら助けられると信じてこの人を託したんだ。
その信頼を裏切るわけにはいかない。
それに俺がためらったせいで人が死ぬくらいなら、やれるだけやった方がいいに決まってる。
ふくろを漁っていると、束になった草がいくつか見つかった。確かこれが薬草だったはずだ。
薬草は傷口に当てるようにして使ってたけど、これだけの大怪我にも効くんだろうか?
ひっかき傷とかだったら問題なく治ってたみたいだったけど……。
ああ、ファンタジーに慣れつつある自分が怖い。
「とにかくやってみるしかないよな……」
傷もだけど、まず出血がひどい。もたもたしてる時間はなさそうだ。
ええっと、まずは……血を洗い流せばいいのか?うん、そうだな。傷口がどこかわかりにくいし。
薬草と一緒に見つけた、細かい模様が刻まれた瓶を握る。
中に水が入っていて、血を洗い流すにはちょうどよさそうだったのだ。
よし……。俺は蓋を開けて、右肩の傷口らしきところに向けて恐る恐る瓶を傾けた。
「ヒッ!」
水が傷口にかかったその瞬間、男がびくんと跳ねたもんだから、思わず情けない声が出てしまった。
そ、そうだよな、水なんかかけたら傷に滲みる。そりゃ痛いよな、動くよな。
でもこういうのって少しずつかけた方が……いいのか?
よくわからないままに続行していると、ふと険しかった男の顔が幾分か和らいでいることに気づいた。
苦しそうだった呼吸も整ってきている。試しに額に手をあててみると、熱が下がっているように思えた。
おいおい。傷口がきれいになっただけでそんな変わるもんか?
怪訝に思いながら傷口に目を戻したが、またおかしいことが起きた。
男の右肩から傷口がなくなってやがるのだ。
見失った、ということはない。
だってその部分の鎧は壊れているし、破れている服には血が染みている。断じて俺の見間違いではない……はずだ。
ここで俺に電流走る―――!
もしかして、この水にも薬草と同じように傷を癒す効果があるんじゃないか?
なるほど、町のおばちゃんが魔王に襲われる心配をするわけだ。
こんな便利な水、敵側に置いておきたいわけないもんな。
とにかく、俺は胸を撫で下ろした。何とかこの人を助けることができそうだ。本当に良かった!
傷口に水をかけたり薬草を充てているうちに、男の体はみるみる治っていく。
これ、普通だったら全治二ヶ月くらいの怪我じゃないか……?全身縫いまくりだよ。
もはや消えゆく命を助けられたという感動は俺の中に無く、この不可思議な世界観に首を傾げるばかりだった。
完治まであと薬草二つ分、というところで、男が目を覚ました。
ぼんやりと瞬きを繰り返している。
かと思えば勢いよく起き上がり、腰に携えていた剣に手をやったもんだから、
次にはうずくまる羽目になった。
「いてててて……ちくしょう」
「だ、大丈夫ですか?無理しない方が……」
「おう、すまねえ……。あの魔物は……まだ倒せてねえみてえだな」
自分の顔がさっと青ざめるのがわかった。
そうだ!手当てにいっぱいいっぱいで全然気が回らなかった。ボッツたちは大丈夫なのか?
それに気づいた瞬間、呪文を唱える声や魔物の咆哮が耳に流れ込んできた。
なんで今更!己の体の鈍感さを憎らしく思いながら後ろを振り返る。
すると、すぐ近くに見覚えのあるツンツン頭が立っていた。
ボッツだ!
あちこちに怪我をしてるが、見る限りそんなに深い傷じゃないみたいだ。
それにしたって、いったいどうしたんだろう。
ボッツに遮られてよく見えないが、物音からすると、まだ魔物との死闘は続いている。
一緒に行動するようになって日は浅いけど、ボッツは戦っている仲間を見捨てて逃げるような奴じゃない……はずだ。
あ、もしかして、手持ちの薬草がなくなったのか?
なるほど、それでふくろを背負ってる俺のところに来たわけね。
「オッケー、薬草だな?ちょっと待ってろよ……」
ふくろに手を突っ込み、まさぐってみる。
うーん、手当てに結構使っちゃったからな。まだ残ってるといいんだけど。
と思ってるうちに、葉っぱ特有の感触が見つかった。いやいや良かった、使い切ってたらどうしようかと思ったぜ。
ま、それで人ひとり助けられたんだからいいけどな。俺は薬草(仮)を引っ掴み、さっそく目の前の仲間に渡すべく、顔を上げた。
「ほらよ、ボッツ」
しかし次の瞬間、視界が揺らいだ。間もなく体が岩壁に叩き付けられる。痛え。
何だ?何が起こった?いやわかってる。多分あの男に突き飛ばされたんだ。
意味わかんねえ!俺はただ、仲間に薬草を渡そうとしてただけだっていうのに。
痛む体を起こし、いっちょ怒鳴ってやろうと口を開いたが、声は出ず、あろうことか開いた口が塞がらなくなってしまった。
ボッツが剣を手にしていたのだ。
いや、それは別におかしくない。今は戦闘の真っ最中。剣を抜かないでどうすんだって話だ。
言い直そう。ボッツは剣を振り下ろしていたのだ。
――――ついさっきまで、俺のいた場所に。
タイチ
レベル:5
HP:30/32
MP:0/0
装備:ブロンズナイフ
くさりかたびら
けがわのフード
特技:とびかかり
お久しぶりです。実に八ヶ月ぶりです。
アモールがなかなか終わりません。
前回でMP13になったのに、ミスで0に戻ってしまいました。太一ごめん。
>>355 投稿お疲れ様です。
太一、元気だったんだな。安心したよ。
>>タイチの人
投稿おつ。
久しぶりに続きが読めて嬉しいよ。
アモールは結構好きなイベントだから俺得だw
「ボッ、ツ……?」
ゆらり。剣を振り下ろした態勢からボッツが立ち上がる。
なんだこれ、どうなってんだ。
岩壁に背をつけたまま、俺は愕然としていた。
ボッツが、俺に、剣を向けた。
なんでだよ。俺何かしたか?
殺したくなるほど足手まといだっていうのか?
ああそうだよ、確かに俺は役立たずさ。みんなの足を引っ張ってばっかりだ。
だけど、だからって、だからって殺そうとすることないだろ! そんなに俺が邪魔かよチクショウ!
悔しさに拳を握り締める。薬草が潰れたのか、汁が手を濡らした。
ああもう、思考回路はショート寸前だ!
「おい! おい兄ちゃん!」
ボッツを挟んだ向こう側で、男が手を振った。
何をのんきな、と怒鳴りたくなったが、彼がいなきゃ今頃俺は真っ二つにされてただろう。
ぐっと堪えて「何だよ!」と捨て鉢に応える。
「あんたも冒険者ならわかってるだろうが、こいつぁ混乱させられてるだけだ!
一発殴ってやりゃあ正気を取り戻すはずだぜ!」
……へ?
「何呆けた顔してんだ。
魔物の中には敵を混乱させて仲間割れを誘う奴がいるんだよ。
……まさか、知らねえのか?」
し――――ししししし、知ってたし! そんなのマジ常識だし!!
いやー知ってたわー二年くらい前から知りまくってたわーあまりにも当たり前のこと言われたからびっくりしちゃったわー!
よーしパパあいつを正気に戻しちゃうぞー!
もう見てらんない、とばかりに男は手で顔を覆うのが見えたけど、そんなの知るもんかい。
ネガティブモードはここまでだ。ハッサンとミレーユは魔物の相手に手一杯。
つまり、この俺がやるしかない!
すっくと立ち上がり、虚ろな目のボッツにずかずかと近づく。
怖くないのかって? 正直言うとめちゃくちゃ怖いです。
また切り掛かられたら避けられる自信ないし。でもやるしかない!
ボッツはおろおろと、何をしたらいいのかわからないといった風に辺りを見回していた。
よ、よし! これなら俺でも!
ああ、ビンタの神様。どうか俺に力をお貸し下さい!
いーち!
にーい!
さーん!
「ダアアァァァァァァァァァッ!!」
「ありがとうございますっ!」
よし、闘魂注入完了。
ふっふっふ。我ながら見事なビンタだったぜ。
「あ、あれ……?」
尻餅をついたまま、ボッツが辺りを見回した。目に光が戻っている。
「ボッツ! よかった、元に戻ったな」
「元に……? 確か、あの魔物に妙なダンスを見せられて……」
そこで痛みに気づいたのか、ボッツはハッと右頬に手をやった。
あ、やべ。赤くなってるじゃねえか。
仕方なかったとはいえ、今更罪悪感が沸いてきた。
あ、そうだ! こんな時こそ薬草の出番じゃないか。
ボッツ、これ使ってくれ。さっき握り締めたから、
成分とかそういうの、ちょっと薄くなってるかもしれないけど。
「はは、ありがとう。何から何まで悪いな!」
ボッツは爽やかな笑顔で薬草を受け取り、それをくわえると戦場に戻っていった。
何あのイケメン。憎らしい。
ポッキーのCM出れるんじゃねえの。
それから数分もしないうちに、あの恐ろしい魔物は倒された。
とどめはボッツのメラ(火の魔法だった)で怯ませてからのハッサンの飛び膝蹴りだ。
魔物が崩れ落ちた瞬間、ファンファーレが聞こえたような気がしたくらい見事な連携だったぜ。
三人はハイタッチして(なんとミレーユも!)勝利を喜び合った後、こちらに駆け寄ってきた。
ああ、当たり前だけど、みんな傷だらけだ。
「ありがとうよ。おかげで助かったよ」
男が足をふらつかせながら立ち上がろうとしたので、思わず肩を貸した。
すまねえなぁ、と申し訳なさそうに笑う彼に、さっき助けてもらったし、気にするなと首を振る。
薬草や水は、傷はきれいに治してくれるくせに、疲労や体力までは回復してくれないらしい。
そこまで万能じゃないってわけか。ファンタジーにも限界があるんだな……。
「俺ははやてのイリア。へへ、俺としたことがとんだドジをふんじまったぜ」
ってことは、この人がジーナの恋人か。
恋人が殺し合うなんてドラマや映画ならよくあるけど、現実じゃ見たことない。
痴情の縺れじゃなさそうだし、いったい何があったんだ?
俺たちが聞くまでもなく、イリアは事情を話してくれるつもりらしい。
奥に恭しく奉られている宝箱を指してから、彼は俯きながらも言った。
「そこの宝箱を開けたとたん、中にいた魔物に取り付かれちまってよ。
気がついたらジーナに切り掛かっていて、それでジーナが俺を……」
そこまで話して、イリアは弾かれたように顔を上げた。
「ジーナ!」
焦りを含んだ声が洞窟内に反響していく。
ちょっ、キョロキョロするのはいいけど、あんまり暴れないでくれよ。バランス崩しそうだ。
もちろん、今も上で剣を洗い続けているだろうジーナに声が届くわけはなく、返事は無い。
「あのバカ! もしかしたらオレが死んだと思って……!
悪い! 助けついでだと思って、オレを上まで連れていってくれねえか?」
断る理由なんてあるわけない。
もともとそのために来たようなもんだしな。
俺たちが揃って頷くと、イリアは顔をくしゃくしゃにして、歯を見せて笑った。
印象的な笑顔だ。
「へへ、悪いな!」
「いいえ。それじゃあ行きましょう。リレミト!」
ミレーユが声高々に唱える。
おお、また魔法か。いいなぁ、俺も使ってみたいなぁ。
って……何も起きないぞ……?
「変ね……もう一度。リレミト!」
が、これまた何も起きない。
三度目の正直だとばかりにもう一度唱えたが、結果は同じだった。
ミレーユたちはいよいよ首を傾げる。
「どうなってるんだ?」
「魔法が使えない場所……ってぇわけじゃねえしなぁ」
「仕方ないわ。歩いて戻りましょう」
よくわからないが、三人の話から推測するに、
リレミトはこういう場所から脱出する魔法らしい。
いいなぁそれ。俺もリレミト使って大学やバイト先から脱出したいぜ。
そしたら家までひとっ飛びだもんな。
「ダイガク……っていうのが何だかわかんねえけど、それだったらルーラだな」
ガッハッハとハッサンが笑う。瞬間移動はルーラなのか。よくわからん。
ホイミヒャドメラリレミト。この世界にはあといくつ魔法があるんだ?
とりあえず、ジーナのところに着くまでは、イリアは引き続き俺が肩を貸すことにした。
ボッツたちはさっきの戦いでボロボロ……とまではいかないけど、
結構体力を消費したみたいだしな。
多分帰り道にも魔物は出る。ゲロだまりの囮もそろそろ限界だろう。
魔法や道具で傷を治して、さあ行こうと足を踏み出した時、あのツノ覆面男と目が合った。
「あんたら強いな! あんたらが来なかったら、イリアって旦那は確実にやられてたよ」
お前もう帰れ。
休憩を挟みつつも、俺たちは上に戻ってくることができた。
っていっても、実は道中一匹も魔物は出なかったんだよな。
運が良かったのか、それともあの魔物がここの主だったからなのか。
「ジ、ジーナ!」
ジーナの姿を見たとたん、戦いの疲れなんて吹っ飛んでしまったのか、
イリアは彼女のところへすっ飛んでいった。
剣を洗い続けるジーナの動きが止まり、ゆっくりと振り返る。
目が腫れぼったくなっていて、相変わらず頬は涙で濡れていた。
「イリア!」
剣が彼女の手から滑り落ち、かしゃん、と鳴る。
弾かれたように立ち上がったジーナとイリアはどちらともなく駆け寄り、抱擁を交わした。
そのままキスまでしてしまいそうな勢いだ。
「あ、あんた生きてたんだね! あたし、てっきりあんたを殺してしまったと思って……」
「おめえは相変わらずせっかちだな。このオレ様がそうカンタンにくたばるかってんだっ!」
「よかった、本当によかった…」
「バカヤロー。泣く奴があるか」
「だって……。だって本当に」
何だかファンタジー映画でも見てる気分だ。
洞窟の薄暗い闇はこの場に似つかわしくないと判断した――のかはわからないが、
ボッツがそっとランプに火を点けた。
闇がほどけ、向かい合う二人の姿がより濃く浮かび上がる。
普段ならハンカチ噛んで嫉妬するところだけど、今は何だか見守りたいという気持ちが強い。
いや、羨ましくないって言ったら嘘になるけど。
ここで「リア充爆発しろ!」なんて考えるほど、俺も無粋じゃないさ。
先程までとは違う、暖かい涙を流すジーナはすごくきれいだった。
照れたのか目を逸らし、ぽりぽりと頬をかくイリアが妙に可笑しい。
「まあいいや。それより例のものはちゃんと取ってきたんだろうな?」
「カガミのカギよね。ほらここに」
ジーナがどこからか小さなカギを取り出した。
何かの装飾が施されているように見える。
……ん? あれ?
「どうしたの?」
「いや、あのカギ……どこかで見覚えがあるような……気のせいかな」
この世界に来てから、まだ一日しか経ってない。
ちゃんといちから辿れば思い出せるはずだ。
どこかの女性が身につけてた気がするんだよな。えーっと……。
あの姉妹は違うな。人妻バニーでもない。教会のシスター……も違う。
くそ、喉まで出かかってるんだけどなぁ。あーもどかしい。
そこで太い歓声が鼓膜を叩き、俺の思考はかき消された。
「さすがジーナだ! オレが死んだと思ってもちゃんと取るものは取ってらあ」
「もしもの場合はあんたの形見にしようと思ってさ」
「よせやい。エンギでもねえ」
笑い合う二人の声が響く。
さあ軽口はここまでだ、そろそろ行こうといった時になって、
イリアが俺たちの方を振り返った。
「世話になったな。おかげで目的のカギも手に入ったし。なにかお礼をしなくちゃな」
「そんな。気にしないでください」
「いいじゃねえか。もらえるもんはもらっとこうぜ」
「そうそう、人の好意には大人しく甘えとくもんだぜ。
といっても、何がいいかな。えーと……そうだ! これをあんたたちにあげるよ」
イリアはこっちに駆け寄ってくると、指にはめていた指輪を外し、ボッツに握らせた。
おいおい、それペアリングとかじゃないだろうな。ジーナまた泣くぞ。
「そいつは“はやてのリング”。きっと役に立ってくれるはずだぜ」
「ありがとうございます!」
「やめてくれよ、礼を言うのはオレの方さ」
イリアがそこで、俺の肩にぽん、と手を置いた。
え、何その生暖かい目。
「頑張れよ……」
んなっ! い、言われなくても頑張るっつーの!
現代っ子なめんなよ!
「わははっ! そりゃ悪かった!
じゃあな。縁があったらまた会おうぜっ!」
また顔をくしゃりとさせて笑って、イリアはジーナのところへ戻っていった。
ちくしょう、マジ余計なお世話だ。
まだ冒険始めて一日目だぜ? 俺の快進撃はこれからだっつーの。
頑張って強くなって、魔王なんてケチョンケチョンにしてやんよ!
魔物根絶やしだコラァ!
「さて次はいよいよ月鏡の塔だぜ。塔の扉をそのカギで開けて、」
「伝説のお宝、ラーの鏡が手に入るってわけだね」
イリアの言葉にジーナが力強く頷いた。
爛々と目を輝かせて、不敵な笑顔を浮かべている。
さっきまで恋人を想ってしおらしく泣いていたのが嘘のようだ。
きっとあれがいつもの顔なんだろうな。
「行くぜ、ジーナ!」
「待ってよおまえさん!」
硬い足音を鳴らしながらイリアとジーナは出口へと駆けていく。
外の光に向かっていくその姿は、二人の未来を暗示しているようでもあった。
きっと、いずれは結婚して、幸せな家庭を築くんだろう。
それをきっかけに盗賊稼業から足を洗ったりするかもしれない。
とにかくあれだな、幸せになってほしい。それだけだ。
……って、あれ?
カガミのカギってボッツたちも探してるんじゃなかったっけ。
きれいにまとめちゃったけど、行かせてよかったのか?
あ、待てよ。あの二人が月鏡の塔に行くことで、現実世界の塔の扉も開いたりするんじゃないか?
普通なら、夢が現実に影響を及ぼすなんてとても思えないけど、
この世界ならあり得なくはないかもしれない。
イイハナシダッタナー(;∀; )的な会話を交わしながら、ジーナたちに続いて洞窟を出る。
外はまだ明るく、入った時と変わらず雲一つない晴天だった。
目が、目がああああああああああ!!
あー、ラピュタ見たい。
「あ……! 見て!」
一刻も早く光に慣れようと目をしぱしぱさせていると、出し抜けにミレーユが声を上げた。
なんだなんだと全員で駆け寄り、視線を追いかけてみる。
―――ついぞ鮮烈な赤に染まっていたはずの川が、日の光を受けてきらきらと輝いていた。
川底が見えるほど透き通り、何事もなかったかのようにさらさらと歌っている。
元に戻ったんだ!
「ま、当然といえば当然だわな。原因が無くなったんだからよ」
ハッサンが水を差すようなことを言うもんだから、
俺は思わず睨むようにしてしまった。
逆に怒られるかな、なんて思ったが、なんとボッツも同じようにしている。
一人ならともかく、二人に睨まれるのは流石にばつが悪いのか、
ハッサンは降参をするように両手を挙げた。
「くすっ。ほら、早く戻りましょう。ファルシオンがお待ちかねだわ」
振り返ると、ミレーユが木に結んである手綱をほどいてやっているところだった。切り替え早くね?
ファルシオンはぶひひんと鼻を鳴らし、焦れているのか、左前足のひづめを地面を叩くように動かしている。
無傷なところを見ると、幸いにも魔物には襲われなかったみたいだ。
ボッツが撒いてた水の効果……だよな、多分。この世界の水は色々とすごいな。
「よしよし……ごめんな、ファルシオン」
ボッツがファルシオンの……なんつうの? 首から背中にかけての部分? を撫でてやると、
ファルシオンは嬉しそうにボッツの顔に鼻を擦りつけた。
あーあー、あのままじゃ鼻水まみれになってイケメンが台無しだな! いいぞもっとやれ!
と、胸中で密かに応援していたにも関わらず、
ボッツは鼻水攻撃からいとも簡単に抜け出してしまった。チッ。
――――ま、冗談はともかくとしてだな。
「戻りましょう。
多分、またあのベッドで眠れば、下の世界に戻れるはずよ」
ミレーユがそう言いながら手綱をボッツに手渡す。
すると、早く行きましょうよ、と言わんばかりに、ファルシオンのいななきが響き渡った。
タイチ
レベル:5
HP:30/32
MP:13/13
装備:ブロンズナイフ
くさりかたびら
けがわのフード
特技:とびかかり
アモールは次で終わりです。多分。
>>356-357 レスありがとうございます!
やっぱり感想頂けるのってすごく活力になります。
これからもがんばりますん。
太一「色々ありすぎて死にそうだけど、俺は今日も元気です」