デスピサロは同情の余地なき悪党 第三十四章

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81名前が無い@ただの名無しのようだ
ピサロは悪党ではない。人類の敵であっただけ。
俺らの世界では人間しかいないから善悪の二元論になるけど魔族がいればもう一つ増えるだけ。
魔物(やエルフ)と人間は別種族なので、相手を殺すことについて道義的な善悪は存在しない。
農民が雑草を引き抜くことを自然破壊とは言わないし、大漁を祈願する漁師を殺戮者とは呼ばない。
広く繁栄した2つの種が存在するとき、選択肢は3つ。互いに領域を侵さず住み分けるか、共生するか、闘争するか、である。
どの選択肢が優れているわけでもなく、生活圏が違えば住み分け、共生に適した2種ならば共生し、共生に適さない2種ならば闘争する。
そこには適不適はあるが善も悪も無い。
人間だって「人類を滅ぼす者が、どこそこに出現する」などと言われたら必死になって抹殺しようとするに違いないので、勇者の故郷を襲ったのも自然な防衛行動。勇者が怒るのは当然だが、他の人間には非難する資格はない。
だが、生きるためならともかく、ルビーの涙で安易に私腹を肥やすことを目的としてロザリーを虐待しようとした人間の行為は、ピサロはもとより勇者が見ても「あさましい」ものであろう。
ピサロに匿われる以前から、ロザリーを狙う人間はいた。それらの行為などから、魔物の長としてピサロは人類に絶望しており、人類と共存するのは益より害が大きいと判断した。
しかし、勇者たちは人間なので、人類に絶望するわけにもいかず、黙って滅ぼされる義理も無く、ピサロに妥協点する意思が無い以上、生き残るためには戦って倒さねばならなかった。
人類と魔物(やエルフ)の種族間闘争という背景を考えると、善悪よりも利害で考えた方が客観性が高い。
魔物が多種族の集合体であるという特殊な事情もある。