11 :
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ここはアルマの塔、竜もどきの アルマトラが住む塔さ。
アルマトラのヤツ もう ず〜っとずっと 300年も 塔の上で
ねむったきり 目をさまさないんだ
アルマトラったら 魔獣のくせに すごい ねぼすけで お人好しで
ずっと昔 アルマトラは 天使と仲良くしてる 女の子を見つけて
心配ばっかりしてさ。アルマトラの予感は当たって 女の子は事件に巻き込まれたんだ。
そのとき 見かねた アルマトラは 女の子を助けて この塔に つれてきたんだよ。でも…
ねぇ。ぼく アルマトラが心配なんだ。あいつのこといい加減 誰かが
起こしてあげなきゃいけない。おねがい!僕を塔のてっぺんまで連れて行ってくれる?
ほ ほんと?ありがとう!いこう!アルマトラの元へ!
そ そっか…… いいよ 大丈夫。僕 自分で何とかする。スライムだけど……
12 :
_:2010/02/06(土) 22:54:19 ID:PWsM2RU50
やあ やっと 頂上だね。連れてきてくれてありがとう!
アルマトラ!アルマトラ!おきろ!おきろったら!
ねぇ!どうして……?
だめだ…… ごめんね。せったく つれてきてくれたのに。
アルマトラはね。眠りにつく前に ガナン帝国城に行ったんだ。
助けた女の子 ラテーナを つれて……。
戻ってきたとき アルマトラは ひとりだった。様子もなんだか 違ってた……。
ねぇ!お願い 助けて……。アルマトラの 目を覚まさせて!
300年前に なにかが あったんだ。
ガナン帝国城に行けば アルマトラ 助ける方法が わかるかもしれない……。
アルマトラは ねむりについた 300年前…… 最後に ガナン帝国城へ行ったんだ。
ガナン帝国城に行けば アルマトラを助ける方法が分かるかもしれない……!
13 :
_:2010/02/06(土) 23:25:36 ID:PWsM2RU50
栄えある ガナン帝国が ほろびをむかえた あの日…。
青い服の娘が つばさを持つ男を 助けるために 魔獣の背にのり
この城へ やってきたのだ。
私が見たのは 夢か幻か……。
あの日の娘に よく似た者が 今 また 閉ざされし牢獄へ……。
300年前…… 私たちは ここへ来た娘のために この牢獄の扉を 開いてやったのだ。
娘のため 翼を持つ男のため ここにいた 皆が 協力した……。
結果 私たちは 命を落としたが 悔いは なかった。この手で行えた
最後の 人としての行為だったのだから。だが 今の娘は……?
14 :
_:2010/02/06(土) 23:39:30 ID:PWsM2RU50
なんだ?今 通り抜けていった娘は まるで……。
私は 夢でも見ているのでしょうか?
300年前 魔獣とやってきた娘は 兵士らの手によって
この先で 命を落としました。すると 娘をあわれんだ魔獣アルマトラが……
竜もどきが ひとつぶの涙を落としたのです。アルマトラの 娘を あわれむ心が
奇跡を起こしたのか その涙は 竜のなみだ と変わりました。
そして その竜のなみだが 翼を持つ男の 魔力を ひととき 解き放ったのです……。
……しかし 男の心は 既に 深い憎悪に 蝕まれておりました。
男は 解き放たれた その力で 城の人々を 焼き滅ぼし
この地を 無人の荒野に変えたのです。
あの滅びの日……魔獣アルマトラの 落とした涙は 竜の涙と 変わりました。
そして その竜の涙が 翼を持つ男の 魔力を ひととき 解き放ったのです……。
あのとき 男は とらわれの身から 自由になることが できたものを……
男は 解き放たれた その力で 城の人々を 焼き滅ぼし
この地を 無人の荒野に変えたのです。
15 :
_:2010/02/06(土) 23:53:39 ID:PWsM2RU50
ラテーナ
「アルマトラ…… そこにいるの?ごめんなさい。あなたも 怪我をしたのでしょう?
竜の涙を 私が 見つけだせていたら エルギオスの力を すぐにでも
解き放つことが できたのに……。待ってて エルギオス。
私は……… 私は……死んでも あなたを助け出す……。
たどりついてみせる。 たとえ どんなに はなれても……
何十年…… 何百年かかっても……。」
アルマトラ
「つまらぬことを言うな。人は 死んだら それまでだ。
ラテーナ
「…………。」
アルマトラ
「娘。さあ立て。背に 乗せてやる。……どうした?
……娘。立て…… 目を開けろ。いったい 何のために ここまで来た。
何のために……… 何の………… ここで死んで どうする………。
目を あけろ…… ラテーナ………。
16 :
_:2010/02/07(日) 00:08:17 ID:9z08CDgS0
それは何? 竜の涙? ……なんて キレイ。
それが 300年前に アルマトラが 失った力なの……?
アルマトラ
「…………ウウ。
スライム
「………アルマトラ?
アルマトラ
「人間が…… なぜここにいる?
長い夢を見た…… 私は…… あの娘の命を奪った人間を ゆるしはせぬ……。
失せろ…… 人間は 嫌いだ……!!
スライム
「アルマトラっ!!だめだっ その人は……!
17 :
_:2010/02/07(日) 00:22:40 ID:9z08CDgS0
アルマトラ
「ウ…… ウ。……(主人公の名)? お前は(主人公の名)か……?
そうだ。お前のことは 知っている。 ずっと夢の中から 見ていた……。
なぜ私は お前を…… すまない。私は 我を失っていたようだ。
……とても 長い夢を見ていた。300年もの昔……。
人間の娘が 竜の涙を探して 長い旅を続け…… ついには
ガナン帝国で 命を落とすまでの夢だ。
いつしか 娘は 私の夢の中から 外の世へと ふみこえて…… そうだ
お前にも会ったな (主人公の名)よ。
あの時 ラテーナと 翼の男を 助けられなかったことは 長きに渡って
私を 苦しめた。
だが あの星吹雪の夜 立ちのぼる星々を見て 知ったのだ。
二人は ようやく 救われたのだと……。
そして それが (主人公の名)。
お前達によるものだということも 私には わかっている。
これは 心ばかりの礼だ。お前達に会えたら 渡そうと思っていた。
私は お前を見守っている。この高き塔の上で いつまでもな。
18 :
_:2010/02/07(日) 00:28:38 ID:9z08CDgS0
スライム
「な〜にが 見守るだよ 助けて貰って えらそうに! ねえ?
でも ありがとう。アルマトラを 助けてくれて。よく知らなかったけど
きっと ラテーナって人も 喜んでいるよ。
アルマトラ
「その スライムは 私の古くからの友人なのだ。お前をつれてきた 彼にも
感謝しなくてはな。 ……星達が ふぶいた あの日 私は ようやく解放される思いだった。
(主人公の名)よ。私は お前を見守ろう。この高き塔の上で いつまでもな。