どういうわけか父はおびえる息子をひしと抱きかかえて馬を走らせる事になった。
父 「息子よ、なぜ顔を隠すのだ」
息子 「お父さんには魔王が見えないの。かんむりをかぶって、長い衣を着ている・・・」
父 「うーん?息子ちゃんさぁ、魔王じゃ余りにも平凡じゃない?」
息子 「はい?」
父 「サタリウム・オヴ・シューヴェルトゥでどう?」
魔王 「ですね」
父 「それと長い衣なんだけど、僕の解釈だとあれは衣じゃないんだよね」
息子 「は?」
父 「あれは『たなびく霧』なんだよね、幻想の霧」
魔王 「『霧をまといし者』ね」
子 「お父さん、お父さん!きこえないの。魔王がぼくになにかいうよ。」
父 「落ち着きなさい、僕の解釈ではそれは何かを言っているのではなく『枯葉のざわめき』と呼びたいな。それとね…」
一時間後
腕に抱えられた子はすでに死んでいた。