大魔王ゾーマ、すべての魔族を統率する王は、魔族の未来をかけて勇者たちと対峙した。
奴はとてつもなく強かった。奴の強さの秘密は、「凍てつく波動」にあった。
勇賢僧魔型のパーティは、どうしても補助呪文に頼りがちとなる。その補助呪文の効果を消し去る
凍てつく波動は彼らにとって最大の脅威だった。
勇者「俺たちのパーティではここまでで限界なのか・・・」
勇者たちの士気低下を尻目に、今までとは違う行動をとる者がいた。女魔法使いだった。
彼女は、杖の先をゾーマの方に向けた。
勇者「何をするつもりだっ!?」
女魔法使いは、驚く勇者の方を振り向くことなく、一言つぶやいた。
女魔法使い「勇者、私に攻撃の許可を・・・」
勇者「ようし、やっちまえ!」
勇者のその一言が、戦場を火の海に変えた。
女魔法使いの杖の先から放たれた炎の矢は、ゾーマの胴体に深々と突き刺さり、
奴の力の源である「冷気」を消していく・・・ 彼女は、この炎の矢を連続で撃ち放った。
女賢者「うわぁ、かっこいいっ!」
ミーハー心旺盛な遊び人上がりの女賢者が、女魔法使いの行動をまねた。
ここでも「成長が遅い」という賢者のデメリットがでたため、女賢者の杖の先から放たれたのはメラミだった。
それでも、炎を弱点とするゾーマには効果てきめんだった。
ゾーマは、気を取り直して吹雪を吐いた。しかし、彼女たちの行動でパーティの士気は回復していた。
奴の攻撃に対し、僧侶は冷静な表情で賢者の石を振るった。
女魔法使いのメラゾーマ攻撃は止まることを知らなかった。一体彼女のMPはいくつなのだろうか?
しかし、そんな彼女も表情だけは普段と変わらなかった。
いつもと変わらぬ物哀しげな小さな黒い瞳・・・
ゾーマ「この魔法使いめっ、魔族の王であるこのわしを哀れみの目で見おって!」
圧倒的な女魔法使いの攻撃に押されるゾーマが屈辱的な言葉を発した。しかし、彼女の瞳は奴に向いていなかった。
女魔法使い「サマンサ、これがあなたが最も得意としてた攻撃呪文よ。
私は、この呪文でゾーマを倒す。攻撃呪文は決して無力な呪文ではないことを証明するために。
この思い、伝わってるかな・・・」
魔法使いには、他の魔法使いに意志を伝達する能力があるのだろうか?
いや、多種多様な呪文に長けた魔法使いなら、意思伝達の呪文くらい便利呪文の1つとして修得していてもおかしくないだろう。
すでにゾーマは紅蓮の炎に包まれており、勇者が奴に近づいて打撃攻撃できる状態ではなかった。
だがもはや、勇者が攻撃する必要はなかった。
最後の数ターン、勇者は回復呪文を1度使った以外は傍観しているだけだった。
女魔法使い「サマンサ、あと少しでこの戦闘は終わる・・・」
彼女がそうつぶやいた数秒後、ゾーマの体から火柱が上がり、奴の断末魔の雄叫びが響き渡った。
神竜への道は長く険しかった。
しかしその険しい道は、勇者たちに膨大な経験値をもたらし、かなりのレベルアップを得た。
そして神竜戦。
あの遊び人上がりの賢者もついにメラゾーマを覚えた。
無転職の女魔法使いに至ってはMPが300を超えていた。
勇者「メラゾーマ要員2人、賢者の石2個、勝機は十分にある。」
賢者と魔法使いのメラゾーマが神竜を襲った。
勇者はひたすら賢者の石を振り回した。
僧侶もフバーハを使いつつ賢者の石を振り回した。
神竜「見事だ!この私を35ターンで打ち負かすとは・・・」