「死守ワード」について考える
語呂合わせ復活の呪文を捏造するときは、単語の並べ替えや入れ替えなどの試行錯誤を繰り返していくのだが
呪文のテーマともいえる単語で「この単語だけは絶対に残す」とあらかじめ決めておく単語がある。
これはスレ内で「死守ワード」と名づけられているが、今回はこの死守ワードについて考察をすすめてみたい。
■「死守ワードが長い呪文」と「死守ワードが多い呪文」、難しいのはどっち?
「どらくえは ねとげになつて つまらない あうと」スレに投下した拙作だが、
次のAとBの呪文を比べてみてほしい。
【呪文A】分類:DQ
『もつておけ せかいじゆのは できますね そせい』
(持っておけ、世界樹の葉。できますね、蘇生) 勇者:っなょい(レベル25)
死守ワード:せかいじゆのは(7文字・1単語)
【呪文B】分類:時事
『ぬかがいた きゆうまもいた なまえだし もりや』
(額賀居た、久間も居た。名前出し。守屋) 勇者:ちあ6ら(レベル26)
死守ワード:ぬかが・きゆうま・もりや(10文字・3単語)
しばしば混同されがちだが「死守ワードが長い呪文」と「死守ワードが多い呪文」は似て非なるものだ。
上の例では、呪文Aでは死守ワードは1単語しかないものの、その文字数が長く「死守ワードが長い呪文」といえる。
一方の呪文Bは、死守ワードの1単語あたりは3〜4文字と短いが、それが3単語もあり、死守ワード全体の文字数は多い。
こちらは「死守ワードが多い呪文」の代表であろう。
さて、こうして2つの呪文を見比べた場合、より作成が難しいのはどちらだろうか?
ズバリ言えば、呪文Aのほうが難しい。
なぜかと言うと、呪文Bでは3つの単語(3人の名前)をあちこちと動かすことができ、試行錯誤しやすいからである。
ひとかたまりになっている単語が長いほど、位置を動かしづらく、語呂合わせ機能も使いにくいのだ。
また、これは各呪文作者の好みによるところも大きいだろうが
死守ワードが7文字で1単語だと、どうしても6〜12文字目に入れたくなるのが人情だし
そうなると必然的に呪文は「五七五調」にせざるを得なくなり、より難易度が跳ね上がる。
まとめると、次のようなことが言えるだろう。
・死守ワードが長いほど難しい。(2文字より3文字の方が難しい)
・短い死守ワード複数より、長い死守ワードの方が難しい。(3文字x2より6文字x1の方が難しい)
そこでこの観点から、作成された語呂合わせ復活の呪文について、その捏造の難しさを数式化することを思いついた。
スレ住人の有志により、スレ内で発表された式は2つある。
【式1】各死守ワードの文字数を二乗し、全てを足す
この式では「難易度指数」を3文字→9、4文字→16、7文字→49といった具合に算出するのだ。
この方法の場合、数字が大きい方が難易度は高めになる。
上の2つの呪文を例にとると、「難易度指数」は呪文Aでは49、呪文Bでは9+16+9=34になる。
これでも大小比較はできるが、√を使うともっと面白い。
√は2乗の反対なので、「難易度指数」に対して使うと「文字数」に戻ることになる。
例えばBなら、√34は5.83…になるので、6文字x1よりは簡単となる。
【式2】最大の長さの死守ワード÷(死守ワード以外の文字数合計+死守ワードの単語の数)
この計算式の場合も、数字が大きい方が難易度は高めになる。
上の2つの呪文を例にとると、呪文A=7÷(10+2)=0.58、呪文B=4÷(10+3)=0.31、となる。
■「準死守ワード」という考え方
語呂合わせ復活の呪文を捏造しているときに、狙って出したわけじゃなくても、
偶然、関連性のある語句を引き当てることがある。
これは「死守ワード」と全く同じものではないだろうが、「準死守ワード」と呼べそうだ。 一例を挙げよう。
【呪文C】分類:時事
『ゆるすまじ みかさふうずは じこまいで ぎそう』
(許すまじ! 三笠フーズは事故米で偽装) 勇者:1ゆゅそ(レベル16)
死守ワード:みかさふうず・じこまい(10文字・2単語)
この呪文は、三笠フーズの事故米転売のニュースをテーマにしたものだから
「みかさふうず」「じこまい」は絶対に外せない単語、いわゆる死守ワードである。
だが、末尾3文字の「ぎそう」は「ふせい」(不正)でも文意は通じるので、呪文捏造時には
「ゆるすまじ みかさふうず? じこまい? ぎそう」
「ゆるすまじ みかさふうず? じこまい? ふせい」
と、「ぎそう」と「ふせい」を入れ替えながら語呂合わせを試していた。
(もちろん左5文字についても、いろいろと試行錯誤をおこなっている)
この呪文では、準死守ワードは「ぎそう」(他候補:ふせい)といえるだろう。
また、いくつか候補を選択している事から「選択ワード」とも呼べそうだ。
この「準死守ワード」「選択ワード」とも呼べる単語を語呂合わせ機能で引き当てられたら
呪文の完成度は、より高く感じられる気がする。
完成形を見ると、どれが補った文字だかわからない呪文は凄いと思う。
狙ってもなかなか出来ないし、運次第って事で難しい。
運と言えば、この呪文Cのように、死守ワードがそのまま偶然にも判定の厳しい13〜17文字目に適用できるとラッキーだ。
そのぶん、他の部分で自由をきかせやすくなり、より呪文の完成度を上げやすいからである。
語呂合わせで補った文字の部分が死守ワードと見分けがつかないというのは、理想のひとつだ。
復活の呪文作成講座ではセオリーのひとつとして最後の1字「助詞」を引き当てる方法が紹介されているけれど、
それの難易度よりは上の難しさだと思う。
■「美しい呪文」と「難しい呪文」
語呂合わせ復活の呪文による言葉遊びは、
・五七五調や助詞の適正さなど文章にこだわった、文系的な「美しい呪文」
・死守ワードの長さや数にこだわった、理系的な「難しい呪文」
という、2つの楽しみかたがあると言えそうだ。
「美しい呪文」は個人の感性によるところが大きいが、
「難しい呪文」はこれまで説明してきたように、その難しさを数値化することができそうだ。
もちろん、美しくかつ難しい呪文は、とても完成度が高い呪文といえる。
スレに投下されている呪文を例にとれば、
スレ内イベント「復活祭」は、美しい呪文を競う場といえるし
ドラクエのアイテムやモンスター、呪文・特技などを復活の呪文で表現するシリーズは
死守ワードが長くなりがちで、難しい呪文が要求される。
また、ドラコの俳句は一般のゲームに例えるなら一種の制限プレイと言えるほど、桁違いの難易度を誇るだろう。
慣れないうちは20文字内に単語を収める事すらままならない復活の呪文の捏造。
ただでさえ五七五調は難易度が高めとされているはずで、
そこへさらに、死守ワードとして末尾3文字ドラコ固定と季語を要求される。
これはラスト2文字による調整は18〜20文字目不可を意味するのだ。
日本語としての美しさまで要求されると、難易度はなかなかのものではなかろうか。