積極アリーナごちそうさまです!
まさに「あま〜いっっ!!」ssでした!
ブライには毎日頑張って作ってもらいたいww
あまーいGJ!
ブライがアイスを作るのが想像できない
と思ったらそうかヒャドですねwわかりますw
アリーナが積極的なのいいね
927 :
737:2009/04/22(水) 21:35:03 ID:4xxo+MHp0
甘いの待ってました!
小悪魔姫様ですね。
こういうのがもっと投下されて欲しいです。
おかわりをぜひ!
↓先述のケンカネタです。
ベタで甘くないのが難点ですが、口直しにどうぞ。
928 :
737:2009/04/22(水) 21:36:01 ID:4xxo+MHp0
【喧嘩】
勇者一行は今宵休息する街に着き、馬車で全員自由解散になった。
マーニャは勇者に声をかける。
「ねぇ、明日のスタメン、あたしと勇者とアリーナとクリフトでしょ?
二人でちょっかい出して、アリーナとクリフトをそそのかそうよ!
嫉妬させちゃったりしてさ!面白そうじゃない?」
マーニャは悪戯っぽく微笑った。勇者は呆れて目を細める。
「やだよ。クリフトに嫉妬されるとめんどくさいし。
……やるんなら勝手にやって。」
勇者はそっけなかった。
「それに、明日のクリフトの作戦、ずっと“めいれいさせろ”にして
ザラキ使わせないようにするんだから。機嫌が悪くなったらやりづらいんだよ。」
「あ、そ。じゃーいいわよ。あたし一人でやるから。」
「でもさ、仮にお前が何かクリフトにけしかけてアリーナが嫉妬したとしても
所詮、友達におもちゃを貸せない子供の感覚と一緒で
アリーナ自身が変わらなきゃ何の意味もないと思うけど。」
勇者は淡々と正論を述べた。
その饒舌でナマイキな口ぶりがマーニャの癪に障る。
「ふん、なにさ。分かったような口きいちゃって!
あんたなんか恋愛の“れ”の字も知らないガキのくせに!!」
「あぁ?お前こそ、年増が若さに嫉妬してんじゃねーよ!」
「なんですってぇええ!?このガキ、ガキ、ガキ!!」
「うるせー!この年増、年増、年増!!」
お互いそこまで“ガキ”でも“年増”でもない二人が醜い争いをしていると
そこにアリーナが通りかかった。
「二人ともケンカしてるの!?」
アリーナの目はキラキラと輝いていた。
「「……は?」」
「いいなぁ、私、そういう対等な口げんか誰ともしたことないのよ!」
「え〜〜、クリフトとはあるでしょ?」
マーニャが尋ねる。
「クリフトとは………ケンカというかお説教だし。」
マーニャはにんまりと笑う。
勇者は我関せずといった様子で自分の荷物を片付け始めた。
「ね、アリーナ。クリフトとケンカしてみたい?」
「え?………まぁ、そうね。」
「ふ〜〜〜〜〜〜ん、そぉ。」
勇者は先に街へと行ってしまった。
929 :
737:2009/04/22(水) 21:37:12 ID:4xxo+MHp0
次の日。
滝の流れる洞窟に潜入した勇者一行。
メンバーは予定通り、勇者・アリーナ・クリフト・マーニャである。
さっそくマーニャは作戦を実行し始めた。
マーニャはくねくねしながらクリフトに迫る。
「クリフトぉ〜!すりむいちゃったわぁ。ホイミしてぇ!」
「あ、はい。」
クリフトはマーニャにホイミをかける。
勇者は冷ややかな目でマーニャを見ていた。
アリーナは特に気にしている様子はない。
さらに洞窟の奥へと進んでゆく。
マーニャは事あるごとに、クリフトの体に触れたり絡んだりしていた。
クリフトはいちいちウブく反応していたが、
アリーナは全くの無反応であった。
そして、滝の見晴らしのいい場所に出ると
マーニャは大げさに両手を広げる。
「わぁ〜〜っきれいねぇ!!」
マーニャはいきなり、滝を背に鍾乳石の柱をポールと見立て
腰をくねらせてセクシーなポールダンスを踊り始めた。
「ねぇねぇん、クリフトも一緒にど〜お?」
「…………………。」
これにはさすがに勇者も痺れを切らした。
「マーニャ、不思議な踊りは止めろ!オレのMPが減る!!」
「なっ………んですってえぇぇええ!!?」
「お前、バカじゃないのか!? ちょっとは場所と状況を考えろ!」
勇者とマーニャはギャーギャーと言い争っている。
アリーナとクリフトは唖然としていた。
戦闘の合間にクリフトは勇者に声をかける。
作戦の都合上、二人は声の届く範囲にいるのだ。
「勇者さんはマーニャさんとケンカしてるんですね。」
「ん?あぁ……、まぁな。」
「なんだかうらやましい。」
「………何が?」
「そうやって、ケンカできるところがです。
私は誰ともそういう口ゲンカをしたことがない。」
「アリーナも同じようなこと言ってたぞ。」
「姫様が……ですか?」
「アリーナとケンカしてみたら?
思ってることを正直に言えばいいんだよ。」
930 :
737:2009/04/22(水) 21:38:05 ID:4xxo+MHp0
洞窟の最深部でついに“はぐれメタルの剣”を手に入れた。
「わぁーっ!これが最強の攻撃力の剣なのね!!」
アリーナが剣を振り回してはしゃぐ。
「姫様、危ないですよ!」
クリフトがアリーナを制しようとする。
するとアリーナはその手を振り払った。
「平気よ。クリフトはマーニャの心配でもしてればいいじゃない!」
マーニャと勇者は驚いて目を見張る。
無反応かと思っていたアリーナが嫉妬していた。
これが“おもちゃを貸せない子供の心理”なのか
“女としての心理”なのかはよく判らないが。
「一体何をおっしゃってるんですか!?」
「私のケガより、マーニャのこと優先して回復してたじゃないの!
何よ、二人で楽しそうにしちゃって!」
「あれは、マーニャさんが絡んでくるから仕方なく――――」
「言い訳なんか聞きたくないわっ!!」
クリフトはいつもの条件反射で謝ろうとしたその時だった。
頭の中で先ほどの勇者の言葉が反芻される。
“思ってることを正直に言えばいいんだよ”
クリフトは一瞬迷ったが、重い口を開き、絞り出すように声を発した。
「…………姫様だって、いつも勇者さんと
仲良く はしゃいでるじゃないですかっ!!」
勇者はぎょっとする。少し罰の悪い表情になった。マーニャは瞳を輝かせる。
アリーナはクリフトの反論に少し驚いた表情を見せたが、すぐに眉をひそめた。
「なんでそこで勇者の名前が出てくるのよ?
勇者は関係ないじゃない!」
「いいえ!関係ありますともっ!!」
「何の関係があるって言うのよ!?」
「姫様は無神経すぎるんですっ!
私の気持ちなんてちっとも分かって下さらない!!」
「クリフトの気持ちって何よ!?」
「!」クリフトはグッと怯む。
「それは…………!その……………………、
…………………………………申し上げられません。」
マーニャはがくっとなった。
「ちょっとぉおお…!そこで言わないでどーすんのよっ……!!」
小声でぼやき、もどかしそうに指を動かした。
「ねえ、勇者!あんたもそう思わない!?」
マーニャが勇者の方を見る。
とんだとばっちりを受けた勇者は苦虫を噛んだような表情をしていた。
「お前のやることは、いっつもトラブルの元なんだよ。」
「あら、随分な言いがかりねぇ?」
「事実だろ。」
勇者とマーニャは火花を散らして睨みあう。
アリーナとクリフトもギャーギャーとしばらく言い争っていた。
「おかえりなさい!海賊の宝は見つかりました?」
ミネアが出迎える。
「………あぁ。」勇者が答える。
しかし4人とも不機嫌そうな表情で雰囲気はギスギスとしていた。
「………?」
ミネアは唖然とする。
「……姉さん、何かあったの?」
マーニャは大げさに手振りをした。
「そりゃあもう、いろいろとね!!」
《おわり》
うーんかわいい〜GJ!
プチ(ブチではない)切れたクリフトナイスwあと一歩だ!
なんか勇者とマーニャがカップルに見えてきたwいいコンビだな
可愛い喧嘩ネタGJです!
クリフトはアリーナと言い合いしてなんかスッキリしちゃってそう
気づいたらとっくに告ってたとか
突然セクシーダンスを踊りだすマーニャも面白かったw
堀井雄二の構想では結婚どころか告白もしないらしいね
934 :
737:2009/04/26(日) 13:46:45 ID:zl3V/Yqy0
この喧嘩ネタは時の砂をオチに使いたかったのですが、
ケンカに発展しなくて止めたバージョンがあります。
↓分岐ということで読んでください。
935 :
737:2009/04/26(日) 13:48:24 ID:zl3V/Yqy0
【喧嘩→分岐】
「なんでそこで勇者の名前が出てくるのよ?
勇者は関係ないじゃない!」
「いいえ!関係ありますともっ!!」
「何の関係があるって言うのよ!?」
「姫様は無神経すぎるんですっ!
私の気持ちなんてちっとも分かって下さらない!!」
「クリフトの気持ちって何よ!?」
「私が姫様のことを愛しているということですっ!!」
クリフトはハッとする。アリーナはその大きな瞳をさらに丸々とさせていた。
アリーナは頬を紅く染めることは全くなく、
完全に脳裏にない不意打ちの言葉をくらったような表情であった。
クリフトは自らの発言が時期尚早であったと嘆いた。
「……………………………。」
アリーナのその表情と微妙な沈黙に耐え切れなくなったクリフトは
思わず先ほど手に入れた“時の砂”を振りかざした。
砂がさらさらと舞い、時がぐるぐると巻き戻されてゆく。
・
・
・
・
・
「平気よ。クリフトはマーニャの心配でもしてればいいじゃない!」
アリーナが先ほどと全く同じ言葉を紡ぐ。
クリフトは時が戻ったのだと自覚した。
言葉を選んでから口を開く。
「………いいえ。私はアリーナ姫が一番心配なのです。」
「何よ、さっきはマーニャと二人で楽しそうに―――――」
アリーナはクリフトを見る。
少し悲しそうな憂いを含んだクリフトの瞳にアリーナは言葉を失った。
「…………………………。」
二人は無言で見つめ合う。
936 :
737:2009/04/26(日) 13:50:18 ID:zl3V/Yqy0
「うーん……。クリフトが反論しないからケンカにならないわねぇ。」
少し離れたところで二人の様子を見ているマーニャが呟いた。
「ま、アリーナが一応嫉妬らしき態度を見せたし、まぁいっか。」
「ちっともよくねぇよ。」
マーニャの側にいた勇者が反論した。
「あのさぁ、こういう命賭けてる場所では
もうちょっと真面目にやってくれない?」
「あら、あたしはいたって真面目よ。
“真面目に不真面目”なのがあたしのモットーなの!」
「下らない屁理屈言ってんじゃねーよ!」
勇者とマーニャは火花を散らして睨みあう。
無言で見つめ合うクリフトとアリーナ。
その神妙な雰囲気にアリーナは耐えきれなくなったのか、
アリーナが沈黙を破った。
「ま、まぁ海賊の宝も無事見つけたし、一件落着ね!
勇者、もう帰りましょう!」
アリーナは勇者とマーニャの元へ駆けていった。
その後姿をクリフトはじっと眺める。
勇者と会話をするアリーナ。
二人には身分など関係なく、いたって自然体であった。
自分も勇者のようにアリーナと出会えていたら、
あのように対等に接することが出来ていたんだろうか。
クリフトは悲しくなった。
「おーい、クリフト!リレミトで帰るぞ〜!」
うつむいた顔を上げると、勇者が笑顔でこちらを見ていた。
クリフトが駆け寄ると、勇者はつい先ほど手に入れたはぐれメタルの剣を差し出した。
「クリフト、これお前が使えよ。ずっとマグマの杖じゃ飽きるだろ?」
「勇者さんはいいのですか?」
「オレはほら、天空の剣 待ちだから。」
勇者からはぐれメタルの剣を受け取る。最強の攻撃力の剣だ。
クリフトはなんだかこれが勇者からのエールのような気がした。
「ありがとうございます…………頑張ります。」
(これで少しは肉弾戦がマシになって、ザラキの頻度が減ればいいけど……。)
勇者の本心をクリフトは知る由もなかった――――。
《おわり》
ご無沙汰してます。
素敵なお話の数々、楽しく拝見させてもらいました。
>737さん
連作乙です。そちらの勇者さん、気苦労多そうですね。
こちらはほんの手土産ですが、神官さんにどうぞ。
肉弾戦の強化(ザラキ削減)対策に、ぜひお役立てください。
つ ちからのたね × 10
さて、いくつか書いた中で、甘めのものを用意しました。
少々微糖ですが、よろしければお味見してみてください。
ううっ、寒ーい。おまけに風も強いし。
もう春だっていうのに、これじゃ真冬に逆戻りじゃない。
いったいどうしちゃったのかしら?
朝の稽古が終わったわたしは、吹きつける風の冷たさに
全身を震わせながら、お城の廊下を歩いていた。
湯浴みの直後、身体がぽかぽかしていたのも束の間、
あまりの寒さで、一気に湯冷めしちゃったみたい。
つい二、三日前までは温かくて、春らしい陽気だったの。
おまけに、お昼なんてまるで真夏のような暑さで、
あわてて夏の衣装に着替えたくらいなんだから。
まあ、気まぐれなお天気に八つ当たりしても仕方がないわね。
早く温まりに行こうっと。
そうそう。最近お城では、寒い日の夜に身体を温める
手軽で便利な道具があって、すごく人気があるみたいなの。
こことは違う世界から伝わったらしい、って話だから、
きっとトルネコさんが、どこかから仕入れてきたんだと思うわ。
使い方はとっても簡単。
お湯を沸かしたら、亀のお腹をくっつけたような形をした
金属の入れ物に注いでいくの。
あとは厚手の袋に入れてひもを縛り、足元に置けば完成。
これだけで、一晩中温かいベッドで眠れるんですって。
お父さまやじいやのブライも、すっかりとりこになっちゃってるの。
じいなんか、この間まで『異国の奇天烈な道具になど頼りませぬ』
なーんて言ってたくせに、ほんと調子いいんだから。
まあ、これのおかげで、寝る前に暖炉に火をつけたまま
うっかり眠って火事になる、っていうのが減ったらしいから、
みんなが使ってくれるのはいいことだと思うわ。
でも、わたしにはそんなもの必要ない。
武術を志す者、寒さなんて気合いで吹き飛ばさなくっちゃ!
って、強がりたいところだけど、今だけは寒さに勝ちを譲っておくわ。
血色のない凍えた両手は、まるで降参した時に揚げる白旗のよう。
足を早めたわたしは、目的の場所へと急いだ。
はあ、やっと着いたわ。
わたしは音を立てないよう、両開きのドアをそっと開けた。
あ、いたいた。まだお勤めの時間じゃないのに、もう始めてるんだ。
たくさんの分厚い本を両手に抱えて、大変そう。
魔物たちに荒らされ、すっかり傷んでしまったお城中の本を
一つ残らず修復するという、根気のいる作業を続けていた。
国の復興の一環として、大切なお仕事だってことはわかってる。
だけど、今はそれよりも先にしてもらいたいことがあるの。
隠れていた本棚の陰から、わたしは勢いよく飛び出した。
「お・は・よ・う、クリフトっ!」
「えっ……?う、うわあっ!」
わたしは呼びかけると同時に、大きくて広い背中にしがみついた。
二人の身体が合わさった瞬間、本の落ちる音とクリフトの絶叫が、
立て続けに重なる。
「ああ、びっくりした…ひ、姫さまでしたか。おはようございます」
「おはよう。今日も朝早くから頑張ってるわね」
「いったいどうなさったんです?こんな朝から」
「あら、ただのあいさつよ。そんなに驚くことないじゃない」
二人きりだというのに、部屋の中はちょっとした騒動になっていた。
こうすると、いつもクリフトはびっくりして悲鳴を上げるの。
わたしと違って、恥ずかしがりやな一面がある人だから、
こっちから行動を起こさないと、手だってつないでくれないし。
まあ、そのおかげでクリフトの真っ赤な顔も震える声も、
すっかり慣れっこになっちゃったけどね。
「朝の寒さで、身体がすっかり冷えてしまったわ」
「それはいけません。すぐに暖炉に火を入れましょう」
「そこまで待てないわ。今すぐぎゅっと抱きしめて、温めてほしいの」
「な、何をおっしゃいます!ここは神聖なる大聖堂の中ですよ」
「でも、まだお勤めの時間じゃないし、神様だってきっとまだ寝てるわよ」
「し、しかし、誰かに見られでもしたら、大騒ぎになります」
「大丈夫よ。人がいないのを確かめて、こっそり入ってきたから」
「は、はあ。しかしですね…」
人一倍真面目なクリフトの反論は、だいたい予想がつく。
ここまでの展開は、こちらの計算どおり。
あとは、とどめの一言を放って勝負あり、といきたいところね。
「もう。早く温めてくれないと、わたし寒くて風邪をひいちゃうわ!」
おねだり半分、本音が半分。
本当はもう少し引っ張りたかったけど、身体の冷えがもう限界。
袖からはだけた無数の鳥肌が、まさにその証拠ね。
「わ、わかりました。お風邪を召されてはいけませんので…」
「そうよ。もし風邪で寝込んだら、クリフトのせいなんだから」
「少し…だけですよ、少しだけですからね」
不機嫌そうに口を尖らせ、すねたふりをしたわたし。
クリフトは長身の身体を硬直させたまま、ぎこちなく笑った。
それを合図に、わたしはしがみついていた両腕の力を緩める。
普段の笑顔も好きだけど、わたしだけに見せてくれる
この照れ笑いが、一番のお気に入りなの。
「ああ、温かい。やっぱりここが一番居心地がいいわ」
わたしは自分の小さな全身を、クリフトの大きな腕の中に預けた。
受け止めた広い胸が、冷え切った身体をあっという間に温めていく。
早鐘を打つ鼓動が子守唄のようで、とても心地がよかった。
もっと聞いていたい。少しだけだなんてもったいない。
わたしはクリフトの胸にそっと耳を当て、静かに目を閉じた。
「あの…姫さま」
「なーに?」
「も、もうそろそろ…よろしいでしょうか?」
「だーめ。まだ温まってないから、もう少しこのままでいて」
わたしはわざと駄々をこねた。
居心地がよすぎて、つい離れたくない気持ちが強まってしまう。
それでも、最後は自分のわがままを聞いてくれるクリフトが大好き。
今のわたしが夢中なのは、暖炉や温泉、それに異国からやってきた
便利な道具よりもずっとずっと温かい、究極の暖房。
強いて欠点をあげるとしたら、夜の間は使えないってことかな。
でも、それも今年限りでおしまい。
次の冬からは、もう寒さで震える夜を一人で過ごす必要はないの。
だって、その頃には…優しくて、ちょっと照れ屋な誰かさんが、
一緒にいてくれるはずだから。
アリ→クリがいつ覚醒するかって言うのは職人さんによって様々だよね。
はじめからって言うのもあれば、旅の途中でってのもあるし、
506さんみたいに旅の後で、というのもあるし…。
いろいろなアリ→クリが見られるのも、このスレの魅力だね。
「まぁ! 素敵じゃない」
丁寧に包装され、手のひらに乗るほどの小さな箱をミネアが開けると、マーニャが目を輝かせた。
美しい多面体にカットされたその石は、光を反射し薄紫に輝いている。
「これ、ガーネットじゃない? それにしても上品な色合いね」
姉が宝石に詳しい事に少し驚きつつ、
ミネアはこの小さくも美しく輝く石のついた片方だけのピアスをじっと見つめた。
この綺麗な装飾品に心が躍らないわけではない。
しかし――
「で、このピアス、誰から貰ったの?」
ある日、地階のバーにて一行は夕食のあと少しばかり酒を楽しんでいた。
「お前シラフだから有利だよなぁ」
勇者は椅子に寄りかかり、ふてぶてしくダーツを投げた。
「いえ、私なんかまだまだですよ・・・」
クリフトは慣れない手つきながらも直立し、真剣に的に狙いを定めている。
一方、離れた女性だけのテーブルでは、会話が盛り上がってるようだ。
「あら、もうすぐミネアの誕生日なの? じゃあなにかプレゼントを用意しないとね!」
明るい口調でアリーナが両手を合わせた。
「私ね、プレゼントを考えるの大好きなの!」
マーニャは無邪気なアリーナの姿に笑みをもらす。
「ね、クリフトも一緒に考えてね!・・・クリフト! 聞いてる!?」
少し離れた席から大声を出すアリーナの声に、
振り向きながら「あ、はいっ!」と返事をすると、
クリフトは思わずダーツを投げる手元が狂った。
ボードから大きく外れた所に刺さったダーツを見て、勇者が大笑いしている。
ミネアは、この和やかな雰囲気の中、小さな幸せを感じていた。
誕生日のお祝いなんて、そんな事、長いこと忘れていたような気がする。
敵討ちに身をやつし、バルザックを仕留める事を常に考え旅を続けていた姉妹の妹は、
自分の誕生した日を祝ってくれようとする仲間達の暖かさに、胸が一杯になった。
その翌日。
夕食のあと、各々自由に町を見回っていた一行だったが、
一人でいたクリフトがふと美しい姉妹の後ろ姿に声を掛けた。
「すみません、ミネアさんにお話が」
振り返ったミネアは何故自分に、という思いにかられた。
同じく振り返ったマーニャは何か察したのか、
少々ニヤつきながらも、じゃあね、と言って足早にその場を立ち去った。
「ここでは何ですので、場所を変えてもてもよろしいですか?」
丁寧な物言いに、ミネアは人気のない民家の裏まで黙って神官の後に着いてゆく。
町の雑踏が遠のいた頃、クリフトはふと振り返り、
グローブをはずすと、おもむろにポケットから小さな箱を取り出した。
「あの、これを・・・」
心なしか頬を染め、いつもの真面目な表情で差し出されたリボンの付いた箱。
「きっとミネアさんに似合うと思います」
えっ、と驚きを隠せないミネアに、クリフトは構わず、一歩前に出た。
常に冷静沈着なはずの占い師は、思わず後ずさりする。
壁にその後退を遮られても、なおも近づいてくる神官に、自然と胸が高鳴る。
その手を取られ、クリフトの体温を感じると、
力の入らない手のひらに小箱を強引に乗せられた。
ミネアは反射的にお礼を告げる。
「あ、ありがとうございます・・・」
クリフトは表情を変えぬまま、ミネアの耳元まで顔を近づけると、動きを止めて低く囁いた。
「・・・この事は、くれぐれも姫様には御内密に」
「へぇ、クリフトがねぇ・・・」
ベッドに座りながら足を組み、長い髪を弄びながら、マーニャが呟く。
「でも、このピアス、一つしか入ってなくて・・・」
ミネアがややいぶかしそうに小さな箱を見つめる。
「あら、勇者だって片耳ピアスじゃない。アレ可愛いわよね。
ひとつだけでも、全然変じゃないわよ。ピアスは奇数の方が縁起がいいしね」
どうも納得のいかないようなミネアに対し、
マーニャはベッドから立ち上がると、ミネアの向かいの椅子に腰掛けテーブルに肘をつき、
始終顔を曇らせて座っている妹の顔を覗き込んだ。
「ま、普通に考えれば贈り主はミネアに気がある、ってとこかしら?」
姉の一言に、妹は否定の意を隠せない。
「まさか! だってクリフトさんはアリーナの事が、」
「叶わぬ恋をいつまでも続けるほど、彼も愚かではないって事じゃない?
アリーナはお姫様、つまり王族で、クリフトは城に仕えているとはいえ平民なんでしょ?
どう考えたって勝率ゼロじゃない」
たたみ込むようなマーニャの口ぶりに、ミネアは珍しく説得力を感じた。
それでも、自分につきまとう得体の知れない罪悪感。
かまわずマーニャが続ける。
「クリフトはいい男よ。頭も切れるし誠実だし、ミネアの恋人としては申し分ないわ。
・・・私が恋人になりたいくらいよ」
「そんな・・・」
ミネアはピアスを持った手を握り締め、椅子の背もたれに寄りかかり目を閉じた。
それでもひしひしと感じる妹の心の動揺を楽しむかのような視線に耐えかねると、
姉さん、少し一人にさせて、と言い放った。
マーニャが部屋から立ち退くと、ようやく部屋が静かになった。
ため息をひとつつき、テーブルの上の水晶を見つめた。
ビロードの布をゆっくり開くと、包まれていた水晶玉に美しい占い師の顔が映る。
いつもなら見ず知らずの人の運命さえ手に取るようにわかるその能力も、
どうやら困惑という感情に支配されているようで、おぼつかない。
「私、なんて顔をしているのかしら・・・水晶が濁って見えるなんて・・・」
彼の本心を探るべく占いを始めようにも、集中しきれない自分がいる。
ミネアはしばらく水晶玉の前で両手を顔で覆っていたが、
やがて顔を上げると、一つの結論を出した。
――クリフトさん、御免なさい。やっぱりこのピアスは身につけられそうにないわ・・・。
貴方はきっとアリーナと幸せになるはずだもの。
先刻貰ったピアスを箱の中に戻し道具袋に押し込むと、
ミネアは水晶玉をビロードで包み隠し、大きなため息をついた。
それから二日後、ミネアは誕生日を迎えた。
出発前の買い物の際、勇者がお祝いにと新しい防具を買い与えてくれた。
ミネアはさっそく魔法の法衣を装備すると、勇者に丁寧に頭を下げた。
「勇者様、ありがとうございます」
「いいよ。・・・そりより、ミネアはいくつになったの?」
軽く恩を売ってから、ここぞとばかりに勇者が尋ねる。
「そっ、それはその・・・」
姉から自分達姉妹の年齢の話題を硬く禁じられているミネアは、言葉を濁した。
「勇者さん、女性にお年を聞くのは失礼な事ですよ」
真面目な表情で、クリフトが珍しく口を挟む。
その後ろから、アリーナがやたらとニコニコしながら飛び出した。
「ミネア! お誕生日おめでとう!! ハイこれプレゼント!」
両手を伸ばし、大きな箱を差し出す。
「まぁ! ありがとう、アリーナ」
ミネアは表情を明るくして、素直に両手で箱を受け取る。
開けてみて、と言うアリーナに、ミネアは何のためらいもなく
皆の前でリボンをほどき、箱を開けた。
中身は箱一杯に詰まった、チョコやらクッキーやらキャンディー等のお菓子たち。
一同は思わず笑顔がこぼれた。
「嬉しいわ、アリーナ。これで当分おやつには困らないもの」
我が子からの贈り物を受け取った母親のようにミネアは微笑んだ。
「あら、美味しそう! いっこ貰うわね」
マーニャが、箱に手を突っ込む。
「もう! 姉さん!」
ひとつかみ菓子を持っていかれると、ミネアは大きな菓子箱の中に
小さな巾着が埋まっているのに気がついた。
思わずそれを大量の菓子の中から掘り出す。
ミネアは菓子入れをマーニャに預けると、その中身を確認した。
「こっ・・・これは・・・!」
見覚えのある、薄紫に煌めくガーネットのピアス。
心の動揺を強いられたそのピアスを手にすると、
ミネアは道具袋から昨日クリフトから受け取ったピアスを取り出し、並べて見比べた。
二人でひとつのプレゼントだったのだ。
「びっくりしたでしょう? どうせならちょっとしたサプライズをしたくて、
クリフトと一個ずつ別々に渡そうって事にしたのよ」
とアリーナが無邪気に笑った。
「そうね、驚いたわ。ありがとう、アリーナ」
ミネアはアリーナに優しく微笑んでから、少し恨めしそうにクリフトに目をやった。
「それにしても、随分凝った演出ですこと。人気のいない所に連れ出して
わざわざ手まで握って『姫様には御内密に』だなんて。
私、これでも少し悩みましたのよ」
秘密の暴露にクリフトがぎょっとする。
その隣にいたアリーナは顔を凍りつかせた。
「何それ」
途端に機嫌を損ねた姫様に、勇者がフォローを入れようと口を挟んだ。
「只の罰ゲームだよアリーナ。面白くしてやろうと思って、俺がクリフトにやれって言ったんだ」
――とはいえ、本当に言われたとおり実行するとは・・・クリフトの奴、真面目が仇になったな。
「申し訳ありません姫様、もう二度とダーツなど致しません」
神官の帽子を脱ぎ深く頭を下げるクリフトに、
アリーナはうつむき、握った手を震わせながら呟いた。
「そういう問題じゃないでしょ?
・・・私の手なんて、一度も握ったこともないくせに」
その言葉に一同が『えっ』と声を揃える。
「クリフトの馬鹿ッ!」
叫ぶなり、アリーナが走り出す。
みるみるうちに遠く離れていく姫を、棒立ちで見送る神官がいた。
「姫様・・・? 何故、あんなに・・・」
「何つっ立ってるんだよ、早く追いかけろ! 追いかけて抱きしめて来い!」
勇者が怒鳴ると、クリフトは「はいっ」と返事をして、
落とした帽子もそのままにアリーナを追うべく全力で走り出した。
マーニャはお菓子の箱を抱えたままその光景を目で楽しんでいた。
「やっぱりあの二人の未来は明るいわよね、姉さん?」
今日ひとつ年があがった妹の言葉に、姉はそうね、と頷いてから、
「あらミネア、もしかして妬いてるの?」
と意地悪っぽく笑って見せた。
物音ひとつしない馬車の中では、ブライ、トルネコ、ライアンが、
各々の手にプレゼントを握りしめ、
頬を染めてうつむきながらミネアが戻るのを待っていた。
【END】
rU9leHZ6PUさん
GJです!!
クリフトの優しいけど女心を全く分かってない感じが
たまらなくいいです
>>937 てんちょさんの続きも期待してます
保守&投下待ちです
>>941ってみんな見られてるのかな。
当時見たページと変わってて全然見られない・・・。
お久しぶりですペギーです。
多分もう、前々スレくらいになると思うのですが
【もしも明日世界が終わるとしたら】というお題がありまして、
挑戦したはいいがヘタれて放置していたのを仕上げてみました。
長くて捏造で甘くないですが、貧乏性ゆえ投下させてください。
一行が、コーミズ村のその話を聞いたのは、モンバーバラでのことだった。
モンバーバラに来る前にコーミズ村に立ち寄ったという旅人の話によると、
最近、コーミズに悪質な詐欺集団が横行していると言うのだ。
聖職者らしき格好をしたその一団は、村人たちに対し、
「魔王の復活により世界は破滅する。ただし、我らに捧げものをすれば、
教祖である魔道士様があなたの魂を守ってくれる」
と、まことしやかなでたらめで金品を巻き上げているらしい。
最近はアッテムト鉱山での出来事もあり人々の不安はピークに達していたから、
純朴なコーミズ村の人々を騙すのは容易いことだっただろう。
「連中に抵抗した人達もいたみたいだが、何故か皆、次々に魔物に襲われてるらしい。」
声を潜めた旅人の言葉に、クリフトは首をかしげた。
クリフトの表情を見て、勇者も片眉を上げて見せた。
「何だか妙だな、クリフト。」
「ソロさんも、そう思われますか?」
「え?何?何が妙なの?」
テーブルに手をついて伸び上がるアリーナに、クリフトが向き直った。
「彼らに抵抗する者だけを魔物が襲うなんて、偶然にしてもできすぎています。
かといって、人間に魔物を操ることはそうそうできるものではありません。
…ということは…連中の裏に、人型の魔物がいる可能性も…。」
その言葉に、それまで黙って話を聞いていたマーニャとミネアが立ち上がった。
「ソロ。旅の途中に寄り道させて悪いけど、コーミズに行ってもらえるかしら。」
「故郷が魔物に蹂躙されているとしたら…見捨てておくわけには行きませんわ。」
勇者は、黙って一同を見回した。皆、勇者の目を見返して頷く。
勇者はにやりと笑った。
「ここにいる連中は、みんな同じ考えみたいだな…よし、コーミズ村に進路変更だ!」
一行は、夜になってから闇にまぎれてコーミズ村に入った。
幸い、マーニャとミネアの家は村はずれにある。誰にも見咎められずに家にたどり着いた。
「旅人の話では、連中は村の家々から酒や食べ物を『捧げもの』と称して取り上げては、
村長の家の前庭で、宴会を開いて酔っ払っている、ということでしたわね。」
ミネアの言葉にマーニャは憤った。
「村長や村の大人達は何をやってるのよ、情けない!」
「いずれにせよ、まずは、村長宅に行ってみなければ、どうにもならんようだな。」
ライアンが、髭をなでながら呟いた。
クリフトは、皆があれやこれやとアイディアを出し合っている中、黙って座っていた。
普段なら、ブレーンであるクリフトは、作戦会議の中心となることが多い。
しかし、今日のクリフトは、時々必要な指摘をする意外はほとんど口を開かなかった。
そんなクリフトをアリーナがいぶかしげに見つめていた。
その日の夜遅く、クリフトは1人、村を見渡せる小高い丘の上に佇んでいた。
目の前の村には明かりも見えない。
クリフトは、胸に手を当てると小さく祈りの言葉を呟いた。
と、背後に気配を感じ、弾かれたように振り向いた。
そこには部屋着にマントを羽織ったアリーナの姿があった。
「姫様!このような時間にそのような格好で、お1人で出歩くなど!」
慌てて駆け寄ると、アリーナはクリフトの叱責の言葉にむっとした顔をした。
「その言葉、そっくりそのまま返すわよ。クリフトこそ、1人でどうしたの?
今日は、ずっとふさぎ込んでたじゃない。」
腰に手を当てて自分を見上げてくるアリーナに、クリフトはハッとした。
「姫様、もしかして、私の後を追って出ていらしたんですか…?」
申し訳ありません、と謝るクリフトにアリーナは苛立った声を出した。
「んもう!そんなこと聞いてるんじゃないわよ!私の質問に答えてよ!」
アリーナは本気で怒っているようだ。
きちんと話さなければ部屋に帰ってもらえそうにない。
クリフトは、しばらく沈黙した後、低い声で語り始めた。
「考えごとを、しておりました。」
「考えごと?」
「はい。…お城で暮らしていた頃、私は、神官の使命とは、一心に神へ祈りを捧げること、
それが全てだと、そうすれば皆を幸せにできると、真剣にそう思っていました。」
アリーナは、口を挟まず黙ってクリフトを見つめていた。
「しかし、この旅を始めて…祈るだけでは平和は来ないかもしれないと思うようになりました。」
クリフトは暗い目で、眼前に広がる暗い村を眺めた。
「私は間違っていました。聖職者達が、教会の中で安穏と祈りを捧げて過ごすうちに
世の中は、人の心は、こんなにも荒れ果ててしまっています。
このままではいけないんです。祈るだけでなく、…行動しなければ、戦わなければ。」
クリフトは両手を硬く握り締めた。
自分は、戦うため、大切なものを守るために教会の戒律を破って禁呪を覚えた。
しかし、自分ひとりではどうしようもない現実が目の前に広がっている。
「神官として、自分は、いったいどうすれば良いのか…それを考えると眠れなくて。」
「…クリフト。」
アリーナが、つと歩み寄ると、クリフトの手をしっかりと握った。
「ひ、姫様?」
「クリフトは、えらいね。…いつも人のことを考えて悩んでる。」
「え、いえ、そんな…。」
「…私には、クリフトの悩みの答えは、難しすぎて分からないけど…。
でもね。だったら、できることから、始めればいいんじゃない?」
「…え?」
クリフトは、ぽかんとアリーナを見返した。
「私も、お城の皆が消えてしまったとき、最初、どうしたらいいか分からなかった。
でも、できることから1つ1つやってきて、今は確実にお父様に近づいてるって思えるの。」
アリーナはクリフトを見て、にっこり笑った。
「大丈夫。クリフトならできるって。」
クリフトはしばらく呆然とアリーナを見つめていたが、やがて小さく笑った。
「姫様は…本当にお強い…太陽の申し子ですね。
姫様を見ていると、何だか、うじうじと悩む自分が情けなくなります。」
アリーナが、握ったクリフトの手をぶんぶんと振り回した。
「何言ってるの、クリフト。
私が強くいられるのは、クリフトやブライがいてくれるからじゃない。
それに、クリフトは人のために悩んでるんだから、情けなくなんかないの!」
「…。」
「もう、いいから部屋に戻りましょ。体が冷えちゃう。」
くるりと背を向けて先を行くアリーナを、クリフトはしばらく見つめていたが、
その後ろ姿に向かってゆっくりと頭を下げた。
翌朝。
すっきりした顔のクリフトは、アリーナと顔を合わせるとにっこり笑って見せた。
クリフトの表情からは、昨日の憂いはすっかり消え去っていた。
それを見て、アリーナも嬉しそうにうなずいた。
「行きましょう。」
一行は家を出ると、堂々と、村長の館に通じる村道を歩き始めた。
「昨日は夜だから気づかなかったわ。こんなになっていたなんて…。」
ミネアが暗い顔であたりを見回した。
春も半ば、本来であれば新芽が顔を出す頃のはずの畑は、手入れもされずに荒れ果てており、
村人は、大人も子供も生気のない目をして、玄関横のチェアや庭のベンチにうずくまっていた。
その中で、生気溢れる勇者達の道行きは、異質な光を放っていた。
いぶかしげに一行を眺める村人達は、マーニャとミネアの顔を認め、はっとしたように腰を浮かした。
そんな村人達を力づけるように、マーニャとミネアは笑顔を返す。
村人達は、何かに惹かれるように立ち上がると、よろよろと一行の後を追い始めた。
村長の館に着く頃には、一行の後ろには、村人達の長い行列ができていた。
村長の館は惨憺たる有様だった。
前庭に並べられたテーブルの上には、空になった酒瓶が乱雑に転がり、その周りには
へべれけになっている男達が十数人ほどたむろっていた。
男達が、近くに控えている疲れた様子の男に「村長、酒が足りねーぞ!」とわめくと、
村長と呼ばれた男は、びくりと体をすくませ、もたもたと新しい酒瓶を奥から持ってきた。
聖職衣をだらしなく着崩した男達を見て、クリフトはさも不快そうに眉をしかめた。
「彼らは、どう見ても人間のようですが…。」
そのとき、男達の一人が、一行に気づき、ゆらゆらと立ち上がった。
「なんだぁ。お前ら。」
勇者がクリフトをちらりと見、クリフトがうなずき返して前に進み出た。
「私は旅の神官です。魔道士様の噂を聞き、ありがたいお話をお聞きしたいと思いまして。
…魔導士様にお会いすることはできますでしょうか?」
「ふん。魔導士様は奥の館におられるが、お前らがお会いできるようなお方じゃねぇよ。
お前らには、俺が代わりに祈ってやるって。」
男はそう言うと、酒に汚れた口をぬぐったその手でふざけて十字を切った。
クリフトの顔色が変わった。
すいません、連投規制にひっかかりました…!
さらに、要領がヤバい…。
自分のPCで確認したときは20KBくらいと思ってたんですが…。
いろいろすいません、連投規制解除されたら、まずスレ立てチャレンジして
そちらで続き投下します…!ホントに申し訳ない!
リアルタイム遭遇
ここまで乙です!!
続きが楽しみです。
アリーナの励ましで憂いを振り切るクリフト、
とても良いです。
958 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 17:56:35 ID:CR83UhVr0
クリトリスとヴァギーナ
書き込み規制が1ヶ月以上引っかかって感想書けない…
>937-941
おねだりアリーナかわいい!
甘いのごちでした!
ろだの後編も楽しみにしてます!
>943-946
恋心を抱いていないミネアの手は握れるのに、アリーナの手は握れないクリフトにニヤニヤ。
っていうか、誰か馬車組に気付いてあげてwww
>950-955
クリフトの「祈るだけでは〜」は好きなセリフなので出てきて嬉しい!
続き楽しみにしてます!
あとこのスレ立てた者なのですが、スレタイ間違ってるので、次は「クリフトとアリーナの想いは Part10」でよろしくお願いします。
ほんっとにスイマセン、連投解除はされましたが、
スレ立てはうちのホストからはできないみたいです…。
どなたかにお願いするしか…!ご迷惑おかけします。
>>957さん
>>959さん、温かいお言葉ありがとうございます。
こんな体たらくで申し訳ありません。
次スレ立てたいけど・・・
クリフトのアリーナへの想いは
クリフトとアリーナの想いは
どっちがいいのかな
初代は上だけど
>>961 >>959の言うとおり 「クリフトとアリーナの想いは Part10」 でいいんでないかい。
・・・と、規制で次スレを立てられなかった自分が言ってみる。
同じくスレ立て不可だった自分が、ちょいと通ります。
遅くなりましたが、読んでくださってありがとうございました。
ペギーさん並びに他の皆様の作品も、楽しみにしています。
>949
ろだのメンテ後、URL等が変更になったようです。
これからは、こちらからでお願いします。
(上から4つめまでが新作です)
ttp://u9.getuploader.com/SSmenu/
てんちょさん、待ってました!
スレ立てありがとうございました!
長い間PCからの書き込み規制くらってるので、助かりました!
自治スレにお願いして、立ててもらいました。
依頼の際はいろいろミスったようで、すみませんでした。
姫さまのキラーピアスで、痛恨2回くらってきます。。。
それと、お店の方に新メニューを追加しました。
お知らせする前にすでにDL件数があったので、驚いてます。
ではまた。
スレッドでアップしても大丈夫な内容だったとは思うけど・・・。
(全てが全てではないとしても)
SS投下が多いほうがスレも賑わうし。
てんちょさんみたいに、外部でアップしてくれたSSって保管庫に入れるの?
外部でうpしたのを本人がここに貼るのは大丈夫なんじゃないかな
実は自分も千一夜に投下したやつを保管庫に入れて欲しかったりする
wiki管理人です。
てんちょさんのうぷろだ作品、私も収録したいですw
うぷろだだと携帯で読むのは難しいし。
やっぱり、てんちょさん本人のOKが出ないと…
今回はうぷされてない悲恋作品(ファイルは保存してあります)の扱いも一緒に回答お願いします。
千一夜スレは現在保管サイトが動いてない状態だけど、勝手に収録するのもなぁ…
>wiki管理人様
いつもお疲れさまです。
収録の件ですが、特に問題はありません。
お声をかけていただき、ありがとうございます。
たしかに携帯からは読みにくいですね。
ちなみに自分のでは、開くことすらできません。
あと、悲恋物については、現在加筆中のため、
それが完了してから収録していただけると助かります。
ライアンさんの素早さより遅い製作ペースですが、
何とか頑張って書き上げたいと思います。
スレの方にも近々投下する予定ですので、よろしくお願いします。