クリフトとアリーナへの想いはPart9

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
クリフトとアリーナの行く末を語らうスレです。
職人さんによるSS投稿、常時募集!


クリフトとアリーナへの想いは@wiki(携帯可)
http://www13.atwiki.jp/kuriari/
まとめサイト
http://www.colorprinter.tk/kuri-ari/
携帯版
http://www.colorprinter.tk/kuri-ari/mobile.html


前スレ
クリフトとアリーナの想いはPart8
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1193991148/

性描写を含むもの、あるいはグロネタ801ネタ百合ネタ等は、相応の板でお願いします。
また、ファンサイトやファンサイトの画像への直接リンクを無断で貼るのは控えましょう。
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/21(月) 20:47:26 ID:zU/4vqDY0
過去ログ
クリフトとアリーナの想いはPart7
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1172068262/
クリフトのアリーナへの想いはPart6
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1154693017/
クリフトのアリーナへの想いはPart5
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1145158924/
クリフトとアリーナの想いは Part4.2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1137763522/
【片想】クリフトとアリーナの想いは Part4【両想】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1127912729/
【脳筋】クリフトとアリーナの想いは3【ヘタレ】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1107964272/
クリフトとアリーナの想いは その2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1054024302/
クリフトのアリーナへの想いは
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1027954353/
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/21(月) 20:50:51 ID:zU/4vqDY0
「クリフトとアリーナの想いはPart9」
が正しかった…
「へ」が多くてごめんなさい。
4名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/21(月) 21:56:47 ID:Hy0m1CDk0
最初に「ブライの」が付けば、また違ったものに…

…いや、乙w 引き続きがんがってw
5名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/21(月) 23:08:03 ID:s3yDAbjP0
いや通じるよ大丈夫さ! >>1
6名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/22(火) 01:53:54 ID:6puYHOlz0
wikiがちゃんとテンプレに入ってるのに感動した
>>1 乙!
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/22(火) 02:36:12 ID:adSKWP5VO
>>1
乙!!

スレタイちょっとワロタww
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/22(火) 09:33:18 ID:X4TF5cuD0
しかし・・・wikiを見るといまさらながらに煩悩さんの筆の速さを実感するな・・・
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/22(火) 17:56:55 ID:mnah6O7/O
クリアリへの住人の思いは

つーことで
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/24(木) 18:12:05 ID:R2Q3CgOt0
ほす。
クリフトスレは盛り上がってるなー。
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/25(金) 07:17:17 ID:vIgt+dgFO
前スレ埋まったー
最後の方はクリアリ結婚&子供ネタで盛り上がってたよ!
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/25(金) 13:14:23 ID:3kGgd/zzO
前スレの話を引っ張るんだが…

アリーナ似の女の子だと、お嫁に出す時クリフトが凄く可哀想な感じになる気がするから、そんな理由で女の子はクリフト似を希望。

更に言うなら一姫二太郎で。
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/25(金) 14:02:59 ID:hSMxRbl1O
子は最低7人くらいは欲しいのぅ
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/25(金) 17:39:51 ID:i7DQGpTD0
>>12
お兄ちゃん!ていうのも萌えるけどな
あるいは男女の双子で…って、あれ?それ何て天空の花よ(ry
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/25(金) 19:16:09 ID:Rv815meZ0
7人!
そりゃ産むアリーナは大変だ。

育児するクリフトはもっと大変だ・・・・・

基本アリーナはお姫様育ちだから家事とか育児はあまりしなさげなイメージ。
乳母とか侍女とかが世話するんだろうけどさ。
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 01:05:22 ID:bj+Jfgso0
アリーナ「クリフト大変!子供が天井にめり込んじゃったの!」
クリフト「なんでそんなことになったんですか!?」
アリーナ「それが高い高いをしてたら、手が滑って…」
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 01:30:34 ID:7/1E4/bg0
>16
吹いたwww
めり込んじゃったじゃねーよww

しかし、日本の家屋と違って王宮の天井は高そうだぞ!
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 13:08:55 ID:E2+nhlWf0
おまけに城は木造ではなく、石造りだろ。
石にめり込んだら死ぬw
19名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 13:55:31 ID:qFg8mZoZO
きっと城じゃなくて
クリフト夢の赤い屋根のスウィートホームでの出来事なのであろう
20名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 16:28:15 ID:dA8p8rtg0
きっとクリフトはそんな事態を見越して
柔らかい素材で家を作ってもらったんだよ そうに違いない
21名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/26(土) 23:28:50 ID:nmTQe5PoO
そんなやわな家だったら子供が出来る前に
姫に破壊しつくされると思うのだが
そしてクリフト涙目w
22名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 05:08:14 ID:Nu8pWLU40
ゴム素材のような、打撃で破壊しづらい材質でお願いしますw
23名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 07:12:46 ID:n+QIRUTX0
アリーナ「WAAAAAANABEEEEEEEEEEE!!」
こども「お父さーん、お母さんがおかしいよー」
クリフト「お母さんはね、一味違うのですよ」
24名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 07:53:57 ID:RLsadPGC0
子供が死んでも、ザオリクがあるもの・・・。
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 10:40:25 ID:vWInX7t/0
そうしてその子供は将来外交時に
「お前はあの世って奴を見たことはあるか?俺はある。」

なんていって脅すわけですね
こりゃあサントハイムが世界を征服する日も遠くないぜ!
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 11:00:32 ID:X+NkEywP0
このスレが殺伐になるとは思いもよらなかった
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 11:13:03 ID:i1UiULrA0
>>16さんのに勝手に続きを書いてみました。

「おーい、大丈夫かい?痛くはないかい?」
「あ、お父さまだ。うん、ちっとも痛くないよー!」
「よかった。事前にかけたスカラの効果がまだ残っていたんだ」
「でも、助けたくても天井が高すぎて、はしごじゃとても届かないわ」
「仕方ありませんね。少々手荒ですが、この手を使いましょう」

クリフトはスカラを唱えた!
クリフトの守備力が243増えた!
クリフトはキメラの翼を放り投げた!
クリフトは天井に頭をぶつけた!
……が、同時に天井にめり込んでいた子供を抱え、
無事に助け出すことができた。

「わーい、下りてこられたよ。ありがとう、お父さまー」
「さすがクリフトね。やっぱりあなたと結婚して正解だったわ」
「そ、そんな。私は親として当然のことをしたまでです。次からは気をつけて…」
「これでいつでも安心して高い高いができるわ。さあ、次は玉座の間で遊びましょうねー」
「はーい。じゃあお父さま、行ってきまーす!」

(はあ。二人とも全然懲りていない。困ったものだ……)
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 18:54:01 ID:y5BFQ1YI0
>27
ほのぼのに戻ったww
泣くどころか楽しんでる子供も、さすがアリーナの血を引いてるね。
子育て楽しんでる感じでいいね!
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 18:58:10 ID:50Zw4mhD0
さすがサイヤ人
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/27(日) 19:13:08 ID:X+NkEywP0
とりあえず子供の名前は「クリリン」だな
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/28(月) 00:33:10 ID:PQsE3LP4O
アリーナ「戦闘力たったの5… クズめ!」
クリフト「いくらなんでもそれはひどい」
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/28(月) 08:50:50 ID:9n1LLTS50
 __|__|__
 \___/
  |  ^o^ | < せんとうりょく たったのご くずめ
   \_/
   _| |_ / ̄\
  |     | |    |
        |___|
        |     | < いくら なんでも それはひどい
         \_/
         _| |_
        |     |
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/28(月) 23:31:27 ID:RsPj6Wba0
最近のクリフトスレのノリがダメだ・・・
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/28(月) 23:45:43 ID:+XpDT6Ip0
>>33
なんつーか、ほんとに「mixiや個人サイトでやってくれ」なノリなんだよな。
腐女子なのは別に構わんが、あそこまでアレな雰囲気を撒き散らされると正直引く。
そういう意味では早くコミュでも何でも公開してそっちに行ってくれと思っている。
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/29(火) 00:29:56 ID:nifNS0gxO
>>34
こっちでウダウダされるのも端から見たら五十歩百歩ってのも分かってね。
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/29(火) 00:44:36 ID:mHU3ZwJT0
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 01:58:16 ID:P65CbHJnO
私はあえてニヤニヤしながら眺めてるよ
2ちゃんでmixiでの自分の存在暴露するくらいなんだから
きっとネットの怖さを知らない若い子なんだろうと思う
まあそのうち自分の行動に気付くでしょ
38名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 02:50:49 ID:fO4EkgOd0
>>33 34 37他トピの悪口とかここで吐くな他でやれ
39名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 03:23:01 ID:6fXPXSOBO
自分かけ持ちだけど、少なくともこっちよりは楽しくやってんじゃないの

そういうこと書くとここが余計に過疎るからやめようぜ

どっかの神がSS投下してくんねーかな
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 11:19:45 ID:YHsLsYKc0
正直この流れの方が痛いスレに見えるよ…

wikiのまとめも終わったみたいだな、管理人さんご苦労さん!
さあて新スレ一発目のSSはまだかなー
41名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 12:10:44 ID:Joc2nBYhO
携帯からの投下は不可?
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 12:42:24 ID:OOCMDzzGO
不可。

43名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 12:46:08 ID:Joc2nBYhO
でもやっぱ読みにくいだろうな

パソ直ってからまた来るわ
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/04/30(水) 22:39:47 ID:5gj2iRRy0
>43
楽しみに待ってます!

こんばんは、wiki管理人です。
part8までのss、全214本収録終わりましたー
part4まで収録した時点で、「4月中に終わる」などと大口を叩いてしまったのですが、part4.2以降のssの多さに半泣きでした…
一度読んでいるはずなのですが、こうして読み返してみると本当に神作が多くて、このスレの凄さを実感しました。

wikiにすでに収録されているssで取り下げて欲しいという人は、wikiの「管理人に連絡」からお知らせ下さい。
あと、スレに投稿する時に「載せないで!」とあれば収録しませんので、よろしくお願い致します。

前スレで変換機を教えて下さった方、ありがとうございました。
コレを知らなければ、wikiを作ろうとは思いませんでしたので、本当に感謝です!
では、神々の集いしこのスレにどうかご加護がありますように!
45ぱふぱふ屋の店長 ◆ByK7Tencho :2008/05/01(木) 05:29:35 ID:XAZWpdsi0
お久しぶりです。すっかりご無沙汰しています。

遅ればせながら、wikiと新スレ乙です。
自分も心機一転ということで、苦手な甘め?のものに挑戦しました。

また、書き上げたSSで規制にかかって投下できなかったものが
いくつかありますので、こっそり上げておきます。

http://www9.uploader.jp/home/SSmenu/
461/4 ◆ByK7Tencho :2008/05/01(木) 05:31:26 ID:XAZWpdsi0
長かった人と魔族との争いに終止符が打たれて、はや数年。
ここサントハイムでも、人々が平和を享受し、日々穏やかな生活を営んでいた。

「…残念ですが、これらは全て却下せざるを得ません」
「なんでダメなの?わたしなりに一生懸命頑張って考えたのに〜」

とある日の昼下がり、サントハイム城の二階にある一室で
そうきっぱりと告げたのは、この城に仕える若き神官、クリフト。
持ち前の聡明さと、世界を救った英雄の一人として名を馳せた彼は、
かつてない異例の早さで大聖堂の長へと抜擢された、この国が誇る自慢の逸材。
一方、細工の施された小さな机でふてくされているのは、
その活発さから、親しみを込めて『おてんば姫』と呼ばれるこの城の王女、アリーナ。
弱きを助け、強きをくじく、正義感あふれる美しくも勇敢な女傑。
クリフトと同様、八人の英雄の一員として世界にその名を轟かせている。

二人はつい先日、国中の祝福を受け、質素ながらも厳かに婚姻の儀を終えた。
その後、慌しかった結婚式も終わり、宮廷魔術師のブライを連れての
外遊へと出かけた国王の名代として、王女であるアリーナが国務を担うこととなった。
もちろん、婿となったクリフトの手助けを借りるのを大前提として。

「ご努力には敬意を表します。しかしながら、このような内容ばかりでは、
 施行どころか陛下やブライ様の審議をお受けになること自体、もってのほかです」
「これのどこがいけないっていうの?ちゃんと説明してほしいわ」

クリフトは、乱雑に置かれた書類の山を集め、丁寧にまとめていく。
片付け終わった書類を一瞥すると、深い青の瞳を閉じてため息をこぼした。
どうにも納得のいかない表情のアリーナは、机を叩いて抗議し、
困惑しているのは自分だといわんばかりに、夫君の端整な顔を睨みつける。

「まず、兵士の皆さんの武器を全て鉄の爪にすること…これはあまりに無謀すぎます。
 鉄の爪は接近戦用の武器。槍などの長手の武器に慣れ親しんだ方々に、
 いきなり持ち替えろとおっしゃるのは、酷な話でしょう」
472/4 ◆ByK7Tencho :2008/05/01(木) 05:32:49 ID:XAZWpdsi0
「それと、神学生の授業の半数を武術にするという案も、同意できかねますね。
 わが国の神学校は、魔法王国の名に恥じぬよう、相当の授業時間数を設けております。
 新たな科目を組み込む余裕など、今の履修過程ではとてもございません。
 それから……」

淡々と理由を述べるクリフトの声が子守唄代わりになったのか、
アリーナは静かな寝息を立てて舟をこぎ始めた。
こみあげる笑いを抑えつつ、クリフトは鍛え抜かれた身体には似合わぬ
新妻の華奢な肩に優しく手を触れ、軽く揺さぶった。

「聞いておられるのですか、姫さま―――」

クリフトの最後の文言を聞き取った瞬間、アリーナは閉じていた目を開いた。
素早く机から身体を起こし、上目づかいでクリフトの顔を見つめる。
しまった、謀られた。
状況を察知したクリフトはあわてて口を押さえたが、すでに遅かった。
言葉の末尾は、澄んだ川のごとく緩やかに空気と溶け込んでいく。

「ねえクリフト。今わたしのこと『姫さま』って呼んだでしょ?」
「いえ。わ、私は別に…あの…その…」
「あら、とぼけたってダメよ。この耳でちゃーんと聞いたんだから」
「そ、そうでしたか。申し訳ありません、たしかにお呼びしました…」

アリーナに詰め寄られたクリフトの顔は、一気に赤みを増した。
細身の身体は硬直し、無機質な長椅子と同化しているようにも見える。
冷静沈着な彼らしからぬ反応を見せるのには、ある理由があった。

晴れて結婚が決まった時、二人はある一つの約束事を交わした。
それは、敬称をつけずに名前だけでお互いを呼び合うこと。
もちろん、公の場ではそれにふさわしい呼称を使うべきだが、
『家族になるんだから、名前で呼ぶのは当然』という、
アリーナたっての希望により実現した。
483/4 ◆ByK7Tencho :2008/05/01(木) 05:34:36 ID:XAZWpdsi0
普通の夫婦の間では造作のない、ごく当たり前のことである。
しかし、アリーナの臣下として仕えてきたクリフトは、長年彼女のことを
敬称で呼んでいたため、今までの習慣から抜け出すのは容易ではなかった。
自分とは立場が違っていた関係上、仕方がないのかもしれない。
さすがのアリーナも譲歩し、しばらくの間は二人きりの時だけ、という条件を附した。

さて、図らずもアリーナとの『約束』を破ってしまったクリフト。
果たせなかった約束は、何らかの埋め合わせをするのが世の常識である。
アリーナは席から離れ、クリフトに何かをせがむ素振りを見せた。

「い、い、いけません。だ、誰かに見られでもしたらどうするんです?」
「ここはわたしたち二人の部屋よ。他の誰かなんているわけないじゃない」
「そう言われれば、そのとおりなのですが…」
「でしょう?だったら…お・ね・が・い」

早く早くといわんばかりに、アリーナは満面の笑みでクリフトの腕にしがみつく。
公私の別が厳格で有名な聖職者も、女神の笑顔にはめっぽう弱かった。
泣き所をつかれた彼に、もはや選択の余地など残っていない。
覚悟を決めたのか、クリフトは椅子から立ち上がろうとした。
だが、腰を少し上げたところでアリーナに止められてしまう。

「座ってる位置の方がいいわ。背伸びするのって、結構疲れちゃうのよね」
「は、はあ。承知いたしました。で、では、目を閉じてください」

クリフトは、アリーナの首筋に絡まった赤い髪を肩へと流し、
一文字に結んだ唇をアリーナの唇にぎこちなく重ね合わせる。
小さな部屋は、一瞬にして甘美な空気に包まれた。

かといって、いつまでも脱線しているわけにはいかない。
アリーナの髪の色に負けないくらい赤くなってしまった頬を、
神官帽子のつばで隠したクリフトは、再び書類の束に目を通し始めた。
49名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 05:40:49 ID:THMqW5izO
おお、リアルタイム遭遇!
wktk
504/4 ◆ByK7Tencho :2008/05/01(木) 05:46:42 ID:XAZWpdsi0
「コホン。さて、それでは本題に戻りましょうか。次はですね…」
「え〜、まだあるの〜?もういいわよ、いいかげん聞き飽きたわ」
「いいえ、いけません。ひ…アリーナ様…は、我が国の次期女王となられる御方。
 これくらいのことで音を上げられては、先が思いやられます」

名前の後ろに『様』が付けられ、アリーナの整った眉根が片方だけ高々と上がる。
クリフトもその様子に気がつき、しばしたじろいだ。
しかし、その後は両腕で頬づえをついてはいるが、静かに話を聞き流している。
助かった。今回は気付かれずにすんだようだ。
ほっ、と安堵の表情を見せたクリフトは、冷や汗を手で拭い、進行役に徹した。

(さすがにかわいそうだから、今のは特別に許してあげようかな。うふふ…)

大の苦手なお説教にもかかわらず、楽しそうに顔をほころばせるアリーナ。
それもそのはず。クリフトの『埋め合わせ』は、先ほどので五回目になるからだ。
もちろん、今日一日での話である。

さらに話を進めながら、クリフトはある言葉を思い出していた。
婚約が発表された時、長年自分とアリーナの行く末を
陰ながら見守ってくれていたブライから、直々に賜ったこの祝詞。

『お主はうぶな男じゃから、一生尻に敷かれることになるじゃろうな』

そう断言されたクリフトは、ただ黙って耳を傾けるだけだったが、
今から思えば、人生の大先輩たる老師の言葉は、的確に的を射ていたようだ。
松かさよりも年かさ。亀の甲より年の功。
さすがはブライ様。あの方にかかれば、自分はまだまだ青二才の若輩者。

だから、この罪作りな約束に翻弄される状況を、実は内心楽しんでいるのも
とっくにお見通しなのだろう。
クリフトは、そう心の中でつぶやき、同時に苦笑した。
51鳥なしですがてんちょです:2008/05/01(木) 07:50:54 ID:TJT7lWxnO
以上でおわりです。
通院の途中なので、携帯から書いています。
もっと甘々なSSを期待していた方には申し訳ありませんが、
自分には甘いものはこれくらいが限界みたいです。
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 09:48:42 ID:znKztxPfO
嗚呼携帯からって駄目なのかorz

大人しく読み手にまわって正解だったなあ

てんちょGJ!
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 11:34:09 ID:l/Pj51w+0
てんちょさんGJ! 一度に合計5つもあげてくれるなんて超幸せっす

携帯からでもてんちょさんの見やすいね
だから見やすければ別に携帯からでもいいと思うんだけどな>>52
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 12:41:45 ID:FGFdz/ANO
てんちょさん最高!
久々に理想のクリアリが見られて感激した
クリフト受験話の続きもぜひ見たいです!
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 14:16:19 ID:kfmbKieI0
>45-51
あま〜い!アップロードの方も美味しく頂きました!GJ!
このスレでは新婚生活書いて下さる方が少ないので、ニヤニヤしっぱなしです。
アリーナ何気に策士だなぁ… うぶクリフトも大好きですよ!

>52
改行に気をつければ携帯でも大丈夫じゃないかな。
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 17:31:24 ID:FGFdz/ANO
アリーナは自分より強い人と結婚したいってゲームでも言ってたけど、
アリーナがクリフトと真剣勝負したら、
スカラベホマ持ってる彼には絶対勝てない気がする
・・・ザキザラキで一瞬ってのもあるけど、彼の性格上それは使用しないだろうし
57煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/05/01(木) 21:44:52 ID:J8od94uv0
スレたて人さん、wiki管理人さん、てんちょさんGJGJGJ!!

58煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/05/01(木) 21:52:12 ID:J8od94uv0
おぉ、規制(アストロン)が解けた!

このところずっと規制にかかっていて、「私が何したと?」状態でした。
また暇を見つけてSS投下にやってきますね。ではノシ
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 22:28:28 ID:KN+Y67dR0
スカラは会心で打ち抜けるから
キラーピアスしだいで
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/01(木) 23:11:48 ID:a7QtaXH3O
うほっ 久しぶりにスレ覗いたらてんちょと煩悩さんがきてた(・∀・)

てんちょ GJ!

煩悩さんもたのしみにしてるよ
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/02(金) 07:02:34 ID:smXOLt+X0
慨出+スレ違いだったらスマンが
サントハイム3人組がすごくよかったのでここへ
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2075629

小芝居は個人的には無い方が好きなんだけど、
SSとかじゃなくて表現する媒体が色々増えてきてるんだなって思ってすごいやら嬉しいやら
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/03(土) 03:45:48 ID:OUi+1OFk0
店長さん、煩悩さんお帰りなさい!
何だかにぎやかになってきてwktk

クリフトスレの影響で、ゲームブックを4冊アマゾンでポチってきました!
本の代金4円
送料1360円って!!
(はぁと)の姫さまを心待ちに連休を過ごします。

>61
前スレでも話題になってたよ。
もう一つのイラスト動画の方は、小芝居中にアリーナが怒ってるとか…
クリアリの問答が好き。
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/03(土) 04:44:13 ID:taFsK0iFO
>>61
その歌い手さんのジャンルの広さは異常
天才としか思えない
サントハイムズが萌えるのは言うまでもなく
ヒーリング的なほこらシリーズは癒されるし(王家の墓!)
ハードロックなシンシアを想うと
民族音楽的なモンバーバラ劇場なんかはシナリオ思い出して泣ける

スレチスマソ
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/03(土) 22:36:08 ID:lL2JsziS0
>>61
コレ大好きだ。 クリフトとブライの小芝居とか(クリフトの「ザラキ・・・ザキ!」には大笑い)
中でも好きなのが ♪ねぇ、本当の強さって・・・ のくだり。
あのクリアリは萌える!
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/03(土) 22:54:28 ID:euLX8vToO
ヒャダインは2章はいいけど4章はネタ系で歌詞が好きじゃないな
ふんどしテラヒドス
2章の小芝居は笑えるけどクリフトが腹黒いからないほうが好き
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/04(日) 01:12:12 ID:CXUAhg060
ヒャダイン2章は3人が可愛すぎてヤバい
>>65に同じく小芝居はなくてもよかったかな・・・
どうせなら、どっちでもなくアリーナ派と言って欲しかったorz
4章はジプシーダンスのほうは好きだけど
前半のオーリンのはネタ歌詞で台無しだと自分も思う
冗談の歌詞だとはわかっていても姉妹好きとしてはちょっと・・・
勇者のは涙で前が見えなくなる

塚微妙にスレ違いスマソ
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/04(日) 21:23:30 ID:c3s5plp20
つかニコ厨に反応してんなよ
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/05(月) 09:21:44 ID:UAKB/FSS0
別にSS専用板じゃないんだしいいんじゃね?
アリクリで萌え要素感じたら何でも教えてほしいし、語り合いたいよ
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/05(月) 14:42:00 ID:lzjC95BO0
DS版のいたスト進めてるんだけど、こういうゲーム苦手なんでなかなか進まん…
ツアーモード「メロメロ!美人だらけ〜」で詰まってるんだけど(かなり序盤)これから先、クリアリ要素のあるステージってある?
フリーモードでクリアリと対戦ばっかりしてるよ…

大砲で好きな人の所に飛べるコマがあるんだけど、1プレイ中にクリフトはアリーナの元へ、アリーナはクリフトの元へ飛んで行ったよ…
クリアリの相互に飛んでく率は高い気がするんだけど、そういうプログラムにしてるのかな?
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/06(火) 00:53:13 ID:vTRVcvH90
>>69
いたストって運もけっこう絡むからなぁ
以下のことに気を付けてやってれば、運が悪くない限りは勝てる

1.序盤、持ち主がいない店に止まったら、できるだけ買う
                         (基本中の基本)
2.株も買える時は買う。優先事項は、
 @買収(独占)率の高い地域(自分や他人に関係なく)
      (他人の所に自分が止まってもダメージが軽減できる)
 A人が通りやすいところ
   (十字とか、ルートが交差しているところや、銀行近辺)

3.すでに他の人に買われてても、まだ安ければ5倍買いを狙う
  (価格は、自分の所持金と持ち株の合計の30%以下が目安)
 @通りやすいところ(交差点付近、銀行近辺)
 A自分が、2つか3つ店を持っているエリア

4.自分の店のエリアの株を買い込む(50以上?)ことができたら、
  その店にできるだけ増資する(増資額も多い方が良い)
  (急に一気に上げ過ぎても、他から避けられるようになる場合も)

5.無理せず、余裕を持って。

ツアーでクリアリなのは魔神像だけみたいだな
(ホラーアドベンチャー2つ目)
大砲についてはたまたまそうなったと俺は思うが
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/06(火) 12:31:25 ID:RpjxC2ij0
クリフトの妄想スレ乙
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/06(火) 19:43:55 ID:UD8QI8hc0
>70
おお、攻略サンクス!
ツアーは魔神像だけかぁ…魔神像は一応クリアしました!
背景のミニ勇者達がかわいくて大好き。

店の購入と増資は、なかなか自分の店に止まれなくてうまくいかない事が多いんだよね。
株はあんまり買ってなかったから、株に気を付けてみるよ!
73名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 00:08:31 ID:1gieLXNB0
宇多田ヒカルの「Prisoner of love」の歌詞がアリ→クリにしか聞こえない自分はもう病気なのかも
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 00:22:15 ID:AJCIkqF4O
あー言われてみればアリ→クリかも

私を/応援して/くれる

自由でも/余裕でも/一人じゃ/虚しいわ

残酷な/現実が/二人を/引き裂けば
より一層/強く/惹かれ合う

あたりが特に
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 01:14:54 ID:1gieLXNB0
退屈な日常が急に輝きだした あなたが現れた あの日から
孤独でも つらくても 平気だと思えた あなたに愛されたあの日から


・・・これは全ての恋愛に言えそうだけど、やっぱり自分の中ではアリクリに脳内変換されてしまうww
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 01:24:45 ID:1gieLXNB0
人知れず辛い道を選ぶ私を応援してくれるあなただけを友と呼ぶ
強がりが欲張りが無意味になりました あなたに愛されたあの日から

この辺もww
スレチになりそうだからここまでにするよスマソ
77名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 10:16:58 ID:BeHfzpUe0
アリーナ「女はとうに 捨てました〜♪」
クリフト「サソリ番長ですか」
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/09(金) 12:22:16 ID:KaXsXtX8O
うぉ、本当だ(゜∇゜)

クリアリ歌認定


>>77なにそれ?
79名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/10(土) 17:16:31 ID:oHrFlVC9O
皆とコメント被るけど・・・てんちょさんと煩悩さんだー!
そしててんちょさん甘々GJ!

「Prisoner of love」かぁ・・・いいねぇ。
成長したアリーナって感じだね。
80名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/11(日) 18:20:18 ID:87nFdDpLO
クリフトとアリーナが大好きだーーーーー!!

と叫ばずにはいられないぐらい好きだ
ゲームもやったけどそれだけじゃ納まりそうにない
81名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/11(日) 23:57:46 ID:UkPUF2OMO
最近レスの伸びが悪いので


ここらでクリアリやクリアリファンを自己流に分析してみないかい?


みんな何故クリアリが好き?どのへんに魅力を感じる?
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 00:43:34 ID:5Wkk7FX+O
身分違いの恋っていうのがそもそも萌える
姫と騎士みたいな主従萌えなんで、
二人の信頼関係とかたまらんね
クリフトが奥手で、想いを告げられないのが
じれったくてまた良い
恋愛からまなかったとしても
アリーナもクリフトも1キャラとしても好きだから
その二人がカップルになってくれるなら最高に幸せ
83名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 00:49:11 ID:hIt8fmKO0
身分違いの恋でも、ジメジメとかドロドロとかしてなかったり
変に死亡フラグたってたり悲恋になりそうだったりしないところがいいね。
悩んでるのは当のクリフトだけなんだろうなぁ、とか
素直にがんばれ!と言いたくなってしまう。
なんというか、中高生くらいのときの純粋さを思い出すw

もちろんSSとかではいろんなパターンがあってこれもまた萌える。
そのフリーダムさがまたいい。
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 01:15:35 ID:aBgl/7yR0
一発ネタ 1/3

場所:サランの街、クリフトの住居

クリフト「これはブライ殿、わざわざこのような狭苦しい所へ…
ブライ「いやいや、よいのじゃ。どれ、適当に座らせていただくぞ
クリフト「は。それでは、お茶など…
ブライ「すまんの。…ときにクリフト、最近姫の様子がおかしいのじゃが…
クリフト「…は?いえ、そうですか?
ブライ「うむ。ワシにひとつ心当たりがあるのじゃ…
アリーナ「…
クリフト「えっと、ブライ殿は砂糖二つでしたね
ブライ「うむ、そうじゃ。ああ…ありがとう
クリフト「それで…話とは?
ブライ「ああ、そうじゃった。実は姫がのう…
アリーナ「…クリフト
クリフト「ひ、姫…!
ブライ「こ、これは姫!なぜこちらに…!
アリーナ「…おかし
クリフト「お、お菓子…!? しょ、少々お待ちくださいっ!
ブライ「…姫?一体全体なぜかような所に…
アリーナ「…
ブライ「こ、紅茶もですな?
アリーナ「…うむ
クリフト「ここには、ろくなものがなくて…お口に合いますかどうか…
ブライ「クリフト、紅茶もじゃ!姫はのども渇いておるんじゃ!
クリフト「こっ、これは申し訳ございませんっ!ただいますぐにっ!
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 01:16:11 ID:aBgl/7yR0
一発ネタ 2/3
アリーナ「…
ブライ「もしや姫、ワシのあとをつけて参られたので…?
アリーナ「…うむ
クリフト「あの、姫、よろしいでしょうか。ミルクと砂糖は?
ブライ「ばかものっ!姫はミルクたっぷり、砂糖たくさん、じゃ!
クリフト「はっ!
アリーナ「…
ブライ「ほっほっほ、クリフトは粗忽者にて…お許しくだされ
アリーナ「…よい
クリフト「お、お待たせいたしました姫。ささ、熱いうちにどうぞ…
アリーナ「…
ブライ「…クリフト、すまんの。神官たる者に茶を入れさせるなど…
クリフト「い、いえ、とんでもございません
アリーナ「…っ
ブライ「姫!?ばっ、ばかものっ!姫が熱いとおっしゃられておるではないか!
クリフト「も、申し訳ございませんっ!
ブライ「姫が火傷されたらなんとする!…姫、火傷はございませぬか…?
アリーナ「…
クリフト「申し訳ございません、こうなれば私の首を…
アリーナ「…ふーふー
クリフト「は、はい…?
ブライ「ば、ばかものっ!ふーふー、と息を吹きかけて冷ますのじゃ!
クリフト「は、はっ!…ふー、ふー、ふー
ブライ「ほ、ほっほっほ、しばしお待ちくだされ
アリーナ「…うむ
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 01:16:44 ID:aBgl/7yR0
一発ネタ 3/3

ブライ「と、ところで姫、最近、外の世界に武術大会なる…
クリフト「姫、お待たせ致しましたっ!
アリーナ「…うむ
ブライ「お、おお、早いのう
アリーナ「…
ブライ「おおっ!姫はお喜びじゃ!
クリフト「み、身に余る光栄でございますっ!
ブライ「ささ、お菓子もおひとついかがですかな…?
アリーナ「…
ブライ「…クリフト、迷惑をかけるの
クリフト「い、いえっ! …ところでブライ殿、お話とは…?
ブライ「それは、また後ほど…
クリフト「はぁ
ブライ「今はまずいのじゃ…おぬしにしか相談できぬことゆえ…
アリーナ「…すぅ
ブライ「…ひ、姫!? いかがされたのですじゃ?
アリーナ「…ねむい
ブライ「なんと、大変じゃ…!すぐさま、王宮に戻らねば…
クリフト「…あ、あの
ブライ「だいじょうぶじゃ、ワシが姫を送る
アリーナ「…
ブライ「後ほど参るでの、すまんが待っていてくれぬか
クリフト「は、はい
ブライ「ささっ姫、参りましょうぞ…
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 08:32:15 ID:SegB/9XWO
ごめん、意味がわからない。
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 08:43:13 ID:/ZqgwudZO
意味不明。
つかオチは?
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 11:07:26 ID:5Wkk7FX+O
面白くない、
出直してまいれ。
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 12:29:24 ID:W5FGQhAyO
自分が何故クリアリに萌えるかと言うと、おそらく自分がアリーナタイプだからだと思う。

アリーナって冷静に見てみるとかなりなワガママでしょ。
自分も自他認めるワガママだし、そのワガママを許してくれて、なおかつ見守ってくれるような男性がいるといいなと思っている…と。

文庫本ベルばらの解説か何かで読んだんだけど、「女性なら誰でもアンドレのような存在に憧れる」(うろ覚え)とあった。
そういう憧れの眼差しでクリアリを見つめてる感じだな。


実際にはクリフトのような男性は絶対にいないと分かっているから尚更orz
91名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 12:36:05 ID:Aiiv/jG5O
千一夜スレの人だよね?
アリーナがこっそり2人の後を着いて来たのは、可愛くて好きだけどなぁ…
でも、昔スレで見た亭主関白アリーナを思い出した。
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 19:57:14 ID:MS5Ww8kz0
一生懸命面白さを理解しようとしたけど無理でした
自分が出直してくるノシ
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/12(月) 23:40:54 ID:3AH+yHf30
意味が解らないのは、ブライの本来の目的にばかり目が行って
書き手が伝えたい「本当はここを見て欲しいんだ」というところを
見てないから、と言ってみる
俺も元ネタとかよくわからんけど、
その光景やアリーナの様子を想像してみたら面白みを感じたぞ

ここよりはアリーナ萌えスレ向きかもだが
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/13(火) 00:18:54 ID:y6vt6+DH0
>>93
そうか成る程
作者さんの見て欲しいポイントは何となく理解できたw
しかし面白いんだけど微妙にアリーナのキャラから
ズレてるから違和感があるというか・・・
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/13(火) 15:54:57 ID:4YNI4V580
>>84-86
俺はこういうの好きだ
アリーナの性格が王様っぽいけど、お菓子が欲しいとか可愛い部分もあるw
かなり独自の解釈が入ってるが、戦国ランスの謙信が好きな俺としては十分にアリだ
うん可愛い
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/13(火) 22:58:21 ID:Vm0dWkh70
つーか、『ト書き』が無い台本形式なので
キャラがどんな動作や表情をしているのかが、イマイチ分かりにくいのが欠点かなぁ・・・?>>84-86

あと名前とカギカッコの間はひとマス開けると読みやすいかも。
      ↓こんなカンジで

>クリフト 「これはブライ殿、わざわざこのような狭苦しい所へ…
97名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 00:33:25 ID:5vEXxSJVO
でもアリーナは「うむ」ってキャラじゃないな
「うん…」ならいきなり可愛くなるけどw
98名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 08:25:49 ID:CCnyLVByO
なんか、いま人気のあの漫画に出てきそうなアリーナだww

これはこれでなかなか可愛いんじゃない?
アリーナ萌えスレの住人たちは喜びそう。
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 20:50:38 ID:9SD7k5Fk0
一人称が「わらわ」っていうキャラに似合うそうなセリフだなwww
3のヒミコとか
100名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 21:46:35 ID:RQSyGboXO
小説のみたいな口調がいいな。一人称は私で。
そんなSSをどっかで読んでかなり萌えた。
BL〇A〇Hのル〇アみたいな…
101名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 22:43:54 ID:5vEXxSJVO
アリーナはCDのが一番好きだな
幼過ぎず男みたいでもなくキャピキャピしてないし丁度いい
マジなときは凛々しいし、まさに「お転婆」がぴったり
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/14(水) 23:00:29 ID:9SD7k5Fk0
小説のアリーナとル○アはちょっと違うのでは・・・
年がばれるが小説アリーナは例アースの日刈るのイマゲ
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 00:24:55 ID:m3vQNxFGO
大丈夫、年なんてみんなそんなもんだよorz
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 10:26:45 ID:1lqDYQuvO
クリフトスレが独身説な流れで
書き込みしづらくなってきた
やっぱどうしてもクリフトはアリーナと結婚してほしい
アリーナが姫である以上世継ぎのため
独身でいるのは難しいと思うし
ゲームはクリフトばかりがアリーナloveだったみたいだけど
アリーナがクリフトを意識してる台詞ってなかったの?
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 11:48:25 ID:p1gIEZRHO
これだというのは無い
というかまだ恋愛には興味なさげだし

あえて言えばレイクナバのセリフと手作りケーキを食べさせる仲というとこか
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 15:17:09 ID:Z+fc5f770
手作りケーキ?そんなんあったっけ
107名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 15:23:56 ID:RhAg4Dtx0
パデキアはアリーナの手作りケーキのような味
そのこころは、まずくて苦い
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 19:57:59 ID:QCkgr7OUO
体にいいんですね、わかります
109名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/15(木) 21:19:56 ID:/ljW5vnW0
>104
あっちはクリフトスレだから、あんまりクリアリ発言はしない方がいいとおも。
ゲーム本編はなくても、いたストではかなりアリーナ→クリフト発言多いみたいよ!
110歩兵:2008/05/15(木) 22:05:48 ID:RY4kV6dw0
ここは長寿スレですね。相変わらずの萌えっぷりにお慶び申し上げます。
ところでスレと関係ない質問で恐縮ですが、DQ板でスレ立てを依頼したいときは
どこに書けばいいか教えていただけないだろうか。
111名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/16(金) 00:32:18 ID:TXtOJB/A0
>110
歩兵さん?過去ログで見かけた方と同じ人かな?
スレ依頼は、自治スレでいいんじゃないかな。
ttp://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1198177127/l50
112歩兵:2008/05/16(金) 21:47:15 ID:bcq0f5IR0
>111
ありがとう。確かに昔カキコしました。
自治スレに行ってくる。
113歩兵:2008/05/18(日) 00:26:59 ID:cIC2pNtt0
自治スレで拒否された・・・涙。

ということで、このスレで1話だけ投下するので読んで下さい。
114歩兵:2008/05/18(日) 00:28:16 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 1

アリーナ15歳

「すまん、アリーナ」
王は深々とわが子に頭を下げた。
「いいのです、お父様」
アリーナは穏やかに笑みを浮かべる。
「私だってこの国の王女。どれだけおてんばでわがままと言われようと、この国の
ために何をすべきかわかってます」
「しかし、お前はこの国、いや世界を救ってくれた。すでに充分すぎるほどのことをして
くれている。お前がイヤだと言うなら、わしは…」
「もうやめましょう、お父様」
アリーナの瞳は澄んでいた。迷いのない人間のもつ不思議な穏やかさをたたえていた。
「でも、約束ですよ。2年間は私の好きなようにさせてもらうって」
「うむ。好きにするがよい。夜な夜な男遊びを繰り返すとか、犯罪を犯さない限りは
私はもう何も言わん。思うがままに行動してよい」
「ありがとう。男遊びの趣味はないから安心していいわよ」
一瞬だけ、アリーナはかつての表情と口調に戻った。

翌日、アリーナはサントハイムを発った。
アリーナは世界中を旅した。モンバーバラで流行の芝居や踊りを堪能し、アネイルで
温泉に浸かり続け、エンドールで武術大会に飛び入り参加し、ミントスで水揚げ
されたばかりの魚料理を食べつくし、ガーデンブルクで女性衛兵たちに武術を師範し、
ソレッタで村おこしの一環として「アリーナ」という名のパデキアの売り込みに協力して
キャンペーンの先頭に立ったり…。
しかし、アリーナが一番輝いていたのは、やはり勇者、ライアンらとともに遠征軍を組織し、
デスパレスでの残党たちを討伐したことだった。自ら魔物たちと戦うアリーナの姿は、
まるで残りわずかな青春を燃やし尽くそうとするかのような激しさがあった。
そして、アリーナの傍らには、常に護衛として随行するクリフトの姿があった。
115歩兵:2008/05/18(日) 00:29:25 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 2

アリーナ 17歳

「エンドールのマイケル王子、サントハイムのアリーナ王女と結婚」
この知らせは世界中をかけめぐった。
マイケル王子はエンドールを離れ、サントハイムに婿入りする。
世界の強国であるエンドールとサントハイムが婚姻関係で結ばれたことで、世界は
ますます平和なものになるだろうと、世間では好意的に受け止められた。
式典は両国で大々的に行われた。
マイケル王子は20歳。エンドールでは「図体はでかいが、頭が弱いんじゃねえの」と
しばし陰で笑われていた。しかし式典ではアリーナが気品ある振る舞いで夫をたて
各国からは「似合いの夫婦」と好評を博した。
サントハイムに住居を移してからも、アリーナは一歩下がって夫を立て続け、仲睦まじい
夫婦として国民から愛された。

クリフトはサントハイムを離れ、ホフマンタウンの教会に赴任した。
自らの希望だった。
クリフトはそこでずっと神の教えを説き続けた。信心深い者もそうでない者もいたが、
クリフトは誰にでも分け隔てなく接し、人々から慕われた。
116歩兵:2008/05/18(日) 00:30:26 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 3

アリーナ 20歳

アリーナは男女の双子を出産した。
世界中はその知らせに喜び、平和を実感した。
夫マイケルは喋るのが苦手で、語彙が極端に少ない上にどもるくせがあった。
しかし公の場ではアリーナが終始夫をカバーし、惜しみない献身ぶりで立て続けた。
各国からは「美しく聡明な王女」と賞賛された。

クリフトはアッテムトの教会に異動した。
そこは想像以上に過酷な場所だった。
モンスターこそいなくなったものの、ガスは相変わらず噴出して人々を蝕んでいた。
クリフトが最初にしたことは、聖書を机の引き出しの奥に仕舞いこむことだった。
次の日から、クリフトの過酷な日々が始まった。
朝暗いうちから起きだし、鉱山に入る。そこでガスが噴出してくる場所に行って
土砂で埋めるのだ。この過酷な作業でクリフトの体調もかなり悪化したが、クリフトは
やめなかった。
昼になると診療所を訪れる。今もガスで身体を悪くした者は多いが、それを治療する
人手が全くいなかった。クリフトは彼らを見舞い、勇気付け、出来うる限りの治療を
行った。
その後は近くの林に向かい、木を切り倒す。クリフトはここを開墾して畑にするつもり
だった。危険な鉱山での仕事に頼らなくても、農業で何とか生活が成り立つように
なれば、との思いだった。暗くなるまで斧や鍬を振るい続けた。
すっかり暗くなると、クリフトは教会の小部屋に戻る。そこで粗末な食事をし、
神に祈りをささげ、寝台に倒れこむ。それがクリフトの毎日だった。
過酷な献身を続けるクリフトの姿は、アッテムトの人々を驚かせるに充分だった。
周囲からは「そこまでしなくていい、あなたが倒れてしまう」と何度も忠告を受けたが、
クリフトは「困っている人を救うことが神の意思であり、私の喜びです」と穏やかに
微笑んだ。誰もがクリフトのその態度に感動した。
117歩兵:2008/05/18(日) 00:31:34 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 4

アリーナ 22歳

サントハイム王が崩御し、アリーナがサントハイムの女王に即位した。
アリーナは、わずか1日で喪服を脱ぎ捨て、翌日には政務についた。
「私は女王。悲しみに伏せっている状況ではありません」
その毅然とした態度はサントハイム国内のみならず、各国からも絶賛された。
国葬、即位式でもアリーナは完璧に自らの役割を果たした。
それに対して、夫マイケルはあまり公の場に顔を出さなくなった。
宮廷での噂によれば、ノイローゼ気味であるらしい。

クリフトの労苦が、徐々に実りつつあった。
アッテムト鉱山から有害なガスはほとんど出なくなり、体調を崩していた人々も
一人二人と社会へ復帰してきたのである。
クリフトの開墾した畑も、収穫があがりはじめた。おそらく来年か再来年のうちに
農業で生活していける者も出てくるだろう。
人々はみなクリフトに惜しみない感謝を送った。
クリフトもまた、人々を救えたことで感動していた。
「やっとアッテムトの人々の暮らしが落ち着いてきた。そろそろ、神の教えを説く
という本来の職務ができそうだ」
そう考えていたクリフトだが、彼はほどなくロザリーヒルズへの赴任を命ぜられる
ことになる。
118歩兵:2008/05/18(日) 00:37:00 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 5

アリーナ 25歳

夫マイケルは、宮殿にこもって全く外に出てこなくなった。
精神面でまいってしまったという。
アリーナは多忙な政務の傍ら、時間をみつけては夫のもとを訪れた。一切文句は
言わず、ただひたすら優しい笑顔で励まし続けた。
まるで天使のようだ、と宮廷での評判だった。

ロザリーヒルズに移ってすぐ、クリフトは病に倒れた。
アッテムトで無理を重ねた反動が来たらしい。
エルフたちの手厚い看護がなかったら、おそらくその生命の火は消えていただろう。
クリフトが数年後、やっとおきあがった時には、クリフトの体から肉は削げ落ち、
顔は痩せこけていた。
それでもクリフトは、再び職務を再開し、毎日献身的に教会の仕事をこなした。
エルフ、ホビットたちがその信者になった。
119歩兵:2008/05/18(日) 00:38:03 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 6

アリーナ 30歳

アリーナの治世により、サントハイムはますます繁栄した。
すでにエンドールとの間には絆が生まれていたが、アリーナはさらに世界中を飛び回り、
各国と友好関係を築き、平和を守った。
経済政策でも、王宮の役割を縮小し民にまかせる方針を掲げ、それにより民間に
活力がわきあがり国は栄えた。
しかし、いいことばかりではなかった。
アリーナの夫マイケルは、もはや宮廷の自室から一歩も出なくなっていた。
もともとエンドールでも精神薄弱の傾向があったらしく、年を経るにつれそれが
加速してきたようだ。
世間では「最高の女王、最低の婿」とはやされた。
それでもアリーナは夫に愛想を尽かすでもなく、少しでも時間があれば夫のもとに
おとずれ、こまごまと世話を焼いた。

クリフトはエンドールに赴任した。
体はまだ充分癒えたとは言えないが、早朝から深夜まで精力的に職務をこなした。
エンドールは世界一の商業都市であり、「金さえ儲ければいいよ。宗教など知らん」
という拝金主義者が多かった。しかし、「それでいいんだろうか」と疑問をもつ者も
少数ながらいた。クリフトは辛抱強く神の教えを説き、人はお互い助け合う存在で
あることを日夜語り続けた。
少しずつではあるがその教えは、エンドールの民の間で広まっていった。
120歩兵:2008/05/18(日) 00:38:52 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 7

アリーナ 35歳

サントハイムで、アリーナは5年後の議会の設立を宣言した。
王政はそのまま保存するが、実権を徐々に国民の手に移管していくのがアリーナの
考えだった。
国民は王室を慕っており、特に民主化の希望があがっていたわけでもないが、
あえてアリーナはそれが近代国家への道だと考え決断した。
世界からはその英断を称えられた。
その一方では、健康を害していた夫マイケルが、ついに病死した。
国葬が行われ、アリーナは全てを取り仕切った。
この時もアリーナは国葬の時以外は喪服をつけず、政務を執り続けた。
国中を飛び回って政務に勤しみ、夜は子供たちを育てるその姿に、近習たちは涙した。

クリフトはデスパレスに赴任し、司祭となった。
魔物の本拠地が取り壊され、ようやく人が住み始めたこの地方には、そもそも
教会すらなかった。
クリフトは自分で教会を建てることから始めなくてはならなかった。
さらに、奥深くには魔物の生き残りがまだおり、しばしば人を襲う事件が起こっていた。
クリフトはそのたびに剣を抱えて討伐に赴いた。以前の健康なクリフトだったら、目を
つぶってでも倒せたような魔物たちと、クリフトは青色吐息で戦った。
そんな毎日に、クリフトの肉体はすっかり傷ついていた。
それでもクリフトは、魔物が出るたびに剣を手に取った。
人々はそんなクリフトを敬愛した。
掘っ立て小屋同然の教会の中で、信者は増える一方だった。
121歩兵:2008/05/18(日) 00:40:35 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 8

アリーナ 40歳

息子リチャード王子の成人を期に、アリーナはリチャードに国王の座を譲り、自身は
摂政となった。
ちょうど議会が設立され、サントハイムは議会君主制へと歩み始めた。
混乱もあったが、アリーナは改革には痛みを伴うものだと知っていた。
国の近代化のためには、それが必要なことだと信じた。
少しずつ、国は落ち着きを取り戻していった。

クリフトの今度の赴任地は、サントハイムだった。
20年ぶりの帰郷だった。
クリフトは司教となった。しかしクリフトに変化はなかった。ただひたすら、体の
不調に耐え神の道を人々に説き続けた。
王宮には一度も近寄らなかった。
122歩兵:2008/05/18(日) 00:41:29 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 9

アリーナ 45歳

アリーナは摂政職を退き、一切の公職から身を引くと宣言した。
国民からも国外からも、それを惜しむ声はひっきりなしに寄せられた。しかし国政では
すでに新国王リチャードのもと、議会に権力が移り始めており、大きな影響は
なかった。
アリーナは1人、静かに王宮の片隅へと移っていった。

クリフトは健康不良を理由に、神官職を辞した。
実際、この頃のクリフトは歩くのも困難なほどまで悪化していた。
大司教からも慰留されたが、クリフトの決意は固かった。
クリフトは1人、数十年をおくった教会を後にした。
123名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 00:44:34 ID:TPnpJrMI0
7部作とは結構な巨作、期待の支援
過疎ってるし、個人的には多少のパラレルでもここでOKだと思ってる
124歩兵:2008/05/18(日) 00:50:37 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 10

季節が秋から冬へ変わろうとしている頃。
エンドール近くの小島、すっかり緑の消えた山道を、1人の男が歩いていた。
「今年の冬は寒くなりそうだな」
クリフトだった。しばらくの療養生活の後、ようやく外を歩ける程度には回復していた。
かつての精悍な顔立ちと頑健な肉体は、今はまったく面影をとどめていない。
ただし、瞳に宿る知性と誠実さはいささかも失われてはいなかった。
クリフトは足をひきずるように、王家の墓へと向かった。
「クリフト、来たのね」
入り口に先約がいた。アリーナだった。護衛もつけず、おしのびで来たようだ。
「陛下…」
「陛下はやめて。私はもう女王でも何でもない、ただのおばさんよ」
アリーナはころころと笑った。彼女もまた年相応の皺と脂肪をたくわえていた。
しかし、若い頃にはなかった落ち着きと深みもまた備わっていた。
「随分久しぶりね」
「あれから、もう30年がたっているのですね」
30年前。2人は何かにとりつかれたかのように世界中を飛び回っていた。
夢がまもなく終わり、現実が待っていると知っていたから。
せめて、今だけは短い夢を楽しみたいと思っていたから。
それから30年。2人は国のために、人のために、自らを犠牲にして働き続けた。
2人はその過ぎていった歳月に、しばし思いをはせた。
125歩兵:2008/05/18(日) 00:51:46 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 11

ここは王家の墓。エンドールの王族及び皇族たちの眠りの場。
アリーナはそれぞれの墓前で祈りを捧げた。クリフトもそれにならった。
「お父様…私、女王として精一杯尽くしました。褒めていただけますか」
「マイケル…子供たちは立派に育ったわ」
「ブライ…おてんば姫だった私だけど、国を思う気持ちは負けなかったわ」
墓参りを終え外に出たときは、すでにすっかり陽は落ちていた。
「じゃあ、帰ろうか」
2人は船着場まで向かい、そこからサントハイム向けの船に乗った。
夜の帳の中、船はゆっくりとサントハイムに向かう。2人は船上で備え付けの
椅子に並んで座り、しばらく無言で暗い海を見つめていた。
「クリフト、これからあなたどうするの」
サントハイムの街の灯が近づいてくる頃、アリーナが口を開いた。
「はい、しばらくは療養に専念するつもりです。体調のいい時には教会に来て、
神の教えを広める手助けができればと」
「私も、そろそろ王宮を出ようと思うの。国はリチャードと議会にまかせておけば
大丈夫」
「そうでしょうか。まだまだアリーナ様は必要なお方だと思いますが」
「いつまでも、私がいたんじゃ皆のためにならないわ。子供たちも成人したし。
それに、必要な時にはいつでも会えるしね」
126歩兵:2008/05/18(日) 00:53:58 ID:cIC2pNtt0
はるかなる思い 12

そして、アリーナはクリフトの方へ向き直って言った。
「どう、クリフト。私と暮らさない?」
クリフトの目は点になった。
「わ、わわわ私とですか」
「何驚いてるの。私を好きだって言ってくれた気持ちはもうないの?」
アリーナの悪戯っぽい言葉に、クリフトはあわてて首を振る。
「そんなことはありません。私の気持ちはずっと変わりません。でも、私でよろしい
のですか?」
アリーナは直接は答えず、海を見ながら言った。
「マイケルとは政略結婚だったけど、それは最初から決まっていたこと。あの人は
弱い人だったけど、やさしかった。愛してはいなかったけど好きだった。もしも
病気で死んだりしなかったら、ずっと添い遂げるつもりだった。だけど、子供たちも
立派に育ったし、もう10年たった。あの人も許してくれると思う。
私がクリフトを愛してたのかどうかは、正直自分でもよくわからない。でも、ずっと
私にとっては一番大切な存在だった。マイケルには悪いけどね。辛い時には
いつも、あの結婚前の旅を思い出してた。あれが心の支えだった。クリフトは
私でいいの?」
「いや、いいも何も、私はアリーナ様にお仕えすることが最大の喜びでした」
「じゃあ決まりね。小さな家を借りて2人で住もう。あ、一応言っておくけど籍は
入れないわよ。子供も無理、跡目争いにでもなったら大変だから」
「はい、それはもちろん」
「しばらく静養していいお医者にかかれば、きっとクリフトの体調もよくなるはず。
そうなったらまた2人で、世界を旅行しようよ。これまで2人とも身を犠牲にして
働いてきたんだから、少しくらい楽しんでもいいよね」
「はい、姫さま」
20年ぶりにクリフトがアリーナをそう呼んだ時、ちょうど船がサントハイムに
到着した。
アリーナは立ち上がって手を伸ばした。クリフトがおずおずとそれを掴んだ。
こうして2人は、遅れてきた青春の光に向かって歩き出した。 (了)
127歩兵:2008/05/18(日) 01:07:20 ID:cIC2pNtt0
投下してみるとやたらと長かった・・・。読んでくれた方ありがとう。
第4期7部作のトリのつもりで書いてたものです。

>123
パラレルどころか、7話中5話はアリクリ以外他のキャラが主人公なので・・・。
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 01:08:07 ID:qsXqyaG90
せ…切ない

大作GJ
129名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 01:12:58 ID:g2rk1ikm0
おおおおおなんと献身的な2人!
最後は一緒になれてよかった!感動しますた超GJ!
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 01:14:02 ID:TPnpJrMI0
お疲れ様、お互い付かず離れずノンビリと暮らしていきそうですね。
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 03:03:00 ID:t914tsxr0
>114-127
40過ぎてるのに初々しい二人…良いですねぇ〜
歩兵さんGJでした!
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/18(日) 03:13:05 ID:/TznoZxpO
熟年カップルな二人も良いと思えた
切ない話だけど、結果的に二人が結ばれたから良かった
133名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/19(月) 12:17:39 ID:zLG26u6JO
GJ!よかった。こういうハッピーエンドもありだな〜。
歩兵さんの7部作読みたいなぁ。自サイトではできないのかな?
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/19(月) 22:07:00 ID:1hTzpQmY0
age
135名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/19(月) 22:09:10 ID:2SHqm0DR0
その病はパデキアでは治らんのですか
136名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/19(月) 22:25:10 ID:0FFWjiprO
歩兵さんお疲れ様です
他の作品も読みたいです
137歩兵:2008/05/20(火) 00:25:05 ID:8xkXZhxA0
昔書いたアリクリSSならあるけど、いる?
138名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/20(火) 03:15:01 ID:rqFd260T0
>137
需要ありまくりです!
しかし、クリアリじゃなくてアリクリなんですか?
どっちが主導権握ってても美味しくいただけます!期待!
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/20(火) 11:14:58 ID:/Lm/ZPNzO
アリクリー!?自分はずっとアリクリなんで超嬉しい。
歩兵さんのさばさばしたもの言いをするアリーナ好きだw
140歩兵:2008/05/20(火) 21:11:02 ID:OHce/Yib0
ごめんw。
「アリーナとクリフトを軸にしたSS」を略しただけで、順序に意味はないです。
先にお断りしておきますが、あまり甘いのはないですよ。

とその前に、過去ログ見れる人に質問。
私の記憶が確かなら、私は2003年12月または2004年2月にこのスレでSSを
投下しているが、それが「それぞれの道」だったか「誓い」だったかを教えて頂きたい。
よろ。
141名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/21(水) 07:55:08 ID:GAqtEr4iO
03.12.14それぞれの道

とwikiには書いてあったよん
142名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/21(水) 08:02:17 ID:GAqtEr4iO
04.02.15 誓い

ってなってるね
143名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/21(水) 18:26:32 ID:ApmnXCbuO
歩兵さん投下期待
144歩兵:2008/05/21(水) 21:35:05 ID:v6HI/LT90
・・・ま、まさきwikiに載っていたとは・・・。今日まで知らんかった。
「それぞれの道」なんて別スレなのに。
それよりも問題は「誓い」。ありえんくらいのミスをしでかしてたから、今回改訂して
UPしようと思っていたのに、すでにしっかりと晒されていたとは・・・orz。
ま、まあ気を取り直して投下することにする。
投下が終わったあかつきには、このスレの住民の皆さんに相談というかお願いが
あるのでよろ。

第3期7部作より クリフト編
145歩兵:2008/05/21(水) 21:37:04 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 1

「クリフト様、お茶をおもちしました」
クリフトは眉をあげる。そこには小柄なで垢抜けしていない、いかにも
純朴そうな娘がいた。ほんのりと頬を染めている。
「ありがとう、リンダ。そこへ置いておいてください」
リンダと呼ばれた娘は肯き、カップをテーブルに置く。
「寒くありませんか。他に何か必要ありませんか。何なりとおっしゃって
下さい」
「そんなに気を使わないで下さい。私は賓客ではないのだから」
「いいえ。クリフト様は、ここにいるべきお方ではないと信じてます」
リンダは迷いもなく言い切る。クリフトは苦笑する。
ここはガーデンブルクの地下牢。勇者達一行は二日前、この城にたどりついた。
ところが首飾りを盗んだとの言いがかりをつけられ、女王の裁きを受けた。
クリフトの見たところ、女王は彼らが犯人だとは思っていないようだった。
にもかかわらず、彼女は勇者にこう命じた。
「自分達が犯人でないというなら、あなたがたの手で真犯人を見つけ
なさい。ただし、逃亡しないように、一人人質として預からせてもらいます」
勇者は仕方なくそれを受け入れた。そして誰を人質にするかについて、
「全員必要なメンバーだ。誰か一人をなんて選べない。くじで決めよう」
となり、くび引きが行われた。そして見事当たりを引いたのが、われらが
神官クリフトだった、という経緯である。
「すまない、クリフト。調査が一段落したら戻ってくる。そうしたらまた
くじ引きして交代するから」
勇者は本当にすまなそうにクリフトにわびたが、アリーナは
「クリフト、せっかくだからずっとここで暮らしたら? 女ばっかりでハーレムじゃん」
などとはしゃいだものだった。
かくてクリフトは一人地下牢にて過ごすこととなった。
若く健康な男にとって、ろくに日もあたらぬ地下牢に終日閉じ込められる
というのは拷問でしかない。ましてや、愛するアリーナと離れ離れに
なって過ごさなくてはならないなんて、とても耐えられない。
146歩兵:2008/05/21(水) 21:38:01 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 2

「ああ、もどかしい。俺も一緒に冒険したい」
「俺のいない間に、姫が勇者あたりといい仲になったりしたら…」
あげくには、
「そもそも、どうして俺なんだ。回復役で剣も使える俺よりも、人質に
ふさわしい人はいるだろうに」
などと、平素なら絶対にしない思考までがクリフトの脳裏をよぎった。
そのクリフトのところへ、ガーデンブルクの女性兵士が入れ代わり立ち代わり
に訪れる。
最初は、よほど逃亡を警戒されているのか、と思った。しかし彼女たちは
そんなそぶりも見せず、ただクリフトの様子をうかがい、遠巻きにして
見守っているだけだった。
クリフトには理由はわからなかったが、城の中ではクリフトは一躍アイドル
となっていたのだった。もともと男が滅多に訪れない女の園、そこへ
現れたのは知的な容貌と頑健な肉体をあわせもつクリフトである。興味を
ひかない方がおかしかった。
と言っても、彼女たちがクリフトと直接口をきくことはない。その役目は、
もっぱらリンダという純朴な娘が担当だった。彼女は女王に命じられて、
クリフトの世話をすることになっているらしい。
「女王様だって、クリフト様たちが犯人ではないとおわかりのはずです。
でも、訴えがあった以上無条件で釈放するわけにもいかないんです。
すいません、クリフト様をこんな所に閉じ込めたりして」
「別にあなたのせいじゃないですよ、リンダ」
クリフトは穏やかに言った。リンダがさらに頬を染める。
リンダは最初からクリフトに好意的だった。寒くないようにと毛布や
布団を運び込み、クリフトの希望を知って聖書を差し入れたり、そして
お茶やお菓子と細々と世話を焼く。
リンダはどうもクリフトに好意を持ち始めたらしい。クリフトは正直喜ぶ
よりも当惑していた。俺は勇者とともに世界を救うという使命があるし、
何よりも愛する人がいる…。
そう考えて、クリフトはため息をつく。
147歩兵:2008/05/21(水) 21:38:58 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 3

今日で3日目。勇者たちはまだ戻って来ない。何をしているのやら。
そのクリフトのため息を耳にし、リンダはあわてた。
「あの、クリフト様、何か私お気にさわりました?」
「え、いや、何もないけど」
クリフトは自分のため息がリンダを誤解させたと知り、慌てて言った。
「すまない、リンダ。ただ勇者達はまだ戻って来ないのかなと思って、
ついため息をついてしまいました。あなたのせいじゃありません」
「そうですか…でも」
「でも?」
「勇者様達が真犯人を見つけてお戻りになられたら、クリフト様もここを
出ていかれるのですね」
そう独り言のようにつぶやくと、はっと我に返って言った。
「やだ、私何を言って…ク、クリフト様、これで失礼します」
リンダは大きな足音を立てて出ていった。鍵を開けっ放しにして、である。
やれやれ、と思いつつもクリフトは門番を読んで鍵を締めさせた。
勇者達は今日も戻らなかった。
148歩兵:2008/05/21(水) 21:40:18 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 4

4日目。
リンダは今日もやってきて、自分が焼いたというケーキとお茶をもって
かいがいしくクリフトの世話を焼く。
「クリフト様、外の話を聞かせていただけませんか。私、生まれたときから
ずっとガーデンブルクで過ごしたので、外の国を知らないんです」
リンダが目を輝かせる。クリフトも退屈していたことであり、望まれるまま
話をした。サントハイムのこと。エンドールの武術大会のこと。勇者たちと
ともに今まであちこち冒険してきたこと。
どの話になっても、クリフトはいつも最後はアリーナの話題になった。
リンダは黙って聞いていた。クリフトが話し終わると、リンダは寂しそうに
「クリフト様は、本当にアリーナ様を愛していらっしゃるんですね」
そう言い、そして去っていった。
後にはクリフトが一人残された。
いつしか夜になっていた。今日も勇者達は戻らなかった。
俺は必要ないのか? 俺なしでこれから冒険するつもりなのか?
クリフトはそんな思いにとらわれ、激しく落ち込んでいた。
149歩兵:2008/05/21(水) 21:41:06 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 5

5日目。
今日もリンダはクリフトの元に来ていた。
俺はいつまでここに閉じ込められているんだ。クリフトの苛立ちは頂点
だった。温和なクリフトとしては珍しいことだった。
リンダは懸命にクリフトをなだめ、気を紛らわそうといろんな話をした。
「大丈夫ですよ、勇者様もアリーナ様もきっとすぐお戻りになります」
何度もリンダはそう言い聞かせた。クリフトはこの無関係な少女に
慰められる自分を恥じた。
「リンダ、すいません。あなたに当たったりして」
「いいえ、全然気にしません。でも、もし本当に勇者様たちがお戻りに
ならなかったら、ここで私と…」
「…」
「ごめんなさい。忘れて下さい。私、どうかしてるんです」
「リンダ…」
クリフトはリンダを見つめる。
そう、ここでリンダと暮らして何が悪いというのだろう。勇者達が自分を
必要としていないなら、俺は自分を必要としてくれる女と一緒に暮らしても
誰からも文句を言われる筋合いはない…。
そう考えて、あわててクリフトはその思いを振り払った。
いけない、自分は何を考えているのだろう。
リンダは去っていった。今日も勇者たちは戻らなかった。
150歩兵:2008/05/21(水) 21:42:30 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 6

6日目。
昼を大きく過ぎたというのに、今日はリンダが来ていない。どうしたんだろう。
いつしかリンダは、クリフトにとって大きな存在になっていった。
門番に聞いてみる勇気もなく、ただクリフトは落ち着きをなくし、そんな
自分が情けなくて、聖書を読んで懸命に心を落ち着かせていた。
「クリフト殿、出られよ。勇者殿がお戻りだ」
クリフトの前に現れたのはリンダではなく、門番だった。
クリフトはあわてて身を起こし、一路牢の外へと駆け出した。
151歩兵:2008/05/21(水) 21:43:26 ID:v6HI/LT90
牢獄の花 7

「遅くなってすまなかった、クリフト。洞窟が想像した以上に大きくて、
戻ろうにも戻れずに、結局最深部まで行って盗賊を倒してきたんだ」
勇者がクリフトに詫びる。
「いいえ、疑いがはれて助かりました」
クリフトは答える。彼らは王女に再びまみえ、最後の鍵や天空の防具を
受け取り、城を後にすることになったのだった。
「クリフトは女に囲まれて楽しくやってるだろうから、放っておいて
あげようかって私勇者に言ったんだけどね」
アリーナがクリフトに笑いながら言う。さすがのクリフトもムッとする。
見送りの人々に挨拶しながら、クリフトはその中にリンダの顔を見つめた。
遠目にでもすぐわかった。懸命に涙をこらえているようだった。
「俺がここでリンダと暮らして、何が悪いんだろう」
再びクリフトにその思いがよぎった。クリフトは振り返り、勇者を見た。
「俺、ここに残ります」
まさにその言葉を発しようとした瞬間、アリーナの言葉が先に届いた。
「ほらクリフト、何してるの。ここで休んでた分、これからあなたには倍も
頑張ってもらうんだからね。早く来てよ」
クリフトはアリーナを見た。アリーナは悪戯っぽい笑みを浮かべている。
その笑顔に、クリフトは一瞬で身も心も吸い込まれる思いを感じた。
ごめん、リンダ。やはり、俺はこの人にはかなわない。
「はい、姫さま。今まいります」
クリフトはそう言うと、振り返ることなくアリーナの元へ駆けていった。

fin
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/21(水) 21:50:11 ID:UwqkE3a50
俺?
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/22(木) 02:19:20 ID:Z8tAUUmA0
>145-151
歩兵さんGJでした。
僕はよく見かけるけど、俺クリフトは珍しいね。
散々心動かされてたはずなのに、アリーナの笑顔ひとつで戻っちゃうところがクリフトらしい!

すみません、wiki管理人です。
「本当はクリアリ〜」スレにも個人的に好きなssが多かったので、収録対象とさせていただきました。
作品取り下げでしたら受付ていますので、このスレでもwikiからの連絡でもお知らせ下さい。(でも勿体ないような…)
ところで、相談とは何でしょう?
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/22(木) 07:52:42 ID:vM45kIAnO
GJ!
俺クリなのはともかく
今だかつて一番普通の人間らしいクリフトだね。
成人君子過ぎるてるより新鮮でよかった。
155名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/22(木) 08:40:34 ID:HFXy8qDkO
あ、それわかるw
普通っぽい所があるから葛藤が理解しやすい気がするね。

斬新でした。
乙です。
156歩兵:2008/05/23(金) 23:33:49 ID:6Q63F1g50
>153
管理人さんでしたか。乙です。
「誓い」について、小学生なみのミスをしでかしているので、一部修正が無理なら
削除をお願いしたく思います。
相談については後ほど。

「俺クリ」については、この時点でのクリフトの精神状態では、それが一番自然だと
判断しました。まあ通常の彼のキャラじゃないが・・・。
これで違和感を持たれるなら、今回の投下はどうなることやらw。

第1期7部作より クリフト編
157歩兵:2008/05/23(金) 23:34:40 ID:6Q63F1g50
堕落と復活 1

「クリフト、これから突っ込むからやられたらホイミ頼むわよ」
「はい姫様、ご存分に」
自らの声でクリフトは目覚めた。また、夢を見ていたようだ。
クリフトはため息をついて寝床に目をやる。傍らで粗末な毛布に包まって
マリアが寝息をたてていた。
俺の人生、どこでこうなったんだろう。
クリフトは何百回めかの独白をした。もちろん答えてくれる者はない。
クリフトは起き上がった。神官だった頃に比べ筋肉は落ちて体はたるみ、
顔には以前の精気がなかった。勇者たちとの旅で恐るべき敵を次々と
倒し、味方を幾度となく回復魔法で救っていたあの頃からわずか2年しか
たっていないというのに…。

「どうして俺の面倒をみてくれるんだよ」
クリフトがマリアに尋ねた。何度目だろうか。
「俺はお前と結婚するつもりもないし、抱いてやろうとも思わないぜ」
いつしか、クリフトにはそんな下品な口調が似合い始めていた。
「いいのよ」
マリアは微笑む。幸薄そうな、弱々しい笑みだった。それを見るたびに
クリフトは、同じ女でもこうも違うものか、と思わざるを得ない。クリフトが
全霊をこめて愛した女は、笑うときはいつでも声高らかに笑った。迷いと
いうものを見せたことがなかった。憎々しいまでに高慢で、精気に満ち、
そしていつでも光り輝いていた。
マリアはここホフマンタウンの酒場につとめていた。この街にたどりついた
クリフトは、すでに酒に溺れ身も心もボロボロだった。マリアはそんなクリフトを
自分の部屋に連れて行き、看病した。マリアもそれほどの稼ぎはない
はずだが、自分は粗末な食事ですませ、クリフトに滋養のある食事と高価な
薬草を買い与え続けた。
158歩兵:2008/05/23(金) 23:35:45 ID:6Q63F1g50
堕落と復活 2

クリフトの体はそれなりに戻ったが、心の痛手は一向に癒えない。その
いらだちは時としてマリアに向けられた。マリアは何の見返も求めずに
クリフトを養い、そのクリフトから暴力を受けた。それでもマリアはただ
おだやかな笑みを浮かべていただけだった。かつてのクリフトなら、「あなた
こそが女神です」とでも感動したかもしれない。しかし今のクリフトは、ただ
そんなマリアを憎々しげに睨み付けるだけだった。

ある日、クリフトが酒場で酒を飲んでいると(もちろんマリアのつけで)、
旅の商人という男が自慢げに情報を披露していた。
「なんでも、地獄の帝王デスピサロに代わって、こんどはエビ何とかが魔界の
王を継いだらしい。勇者たちがまた冒険だって、かつての仲間を集めてるよ」
商人の言葉にクリフトの胸が高まった。勇者との冒険。あれは俺の人生の
最も輝いていた時だった。
俺も行きたい。また姫様と戦いたい。
クリフトは叫び出したい思いだった。ちなみにこの酒に溺れた無精ひげの
男が、神官クリフトであるとは誰も気付いていない。
しかし。俺はサントハイムを自ら捨てた身。今更どうやって戻れるだろう。
戻ったところで、今の俺ではとても姫様の助けにはなりそうにない…。
そもそも、戻る路銀すら持っていない。
夜マリアの元に戻ったクリフトは、自らの思いを断ちきるように言った。
「マリア、俺は明日からちゃんと働くよ。こう見えても前は神官だったんだ。
回復魔法が使えるから診療所開いてもいいし、力仕事だって平気さ。
ずっと2人でこの町で暮らそう」
マリアはただ笑みを浮かべて聞いていた。
翌日、マリアはいなくなった。夜まで待ったが戻ってこなかった。
さらに翌日、クリフトはマリアの使いと名乗る男から手紙と金を受け取った。
159歩兵:2008/05/23(金) 23:36:52 ID:6Q63F1g50
堕落と復活 3

あなたが神官クリフト様だって知っていました。
私は3年前に両親とミントスに住んでいました。覚えていらっしゃらない
でしょうが、私たちが街道を歩いていると突然魔物に襲われ、たまたま
勇者さまご一行が通りがかって助けに来てくれたのです。
でも私は助かりましたが、両親は天に召されました。その時、クリフト様が
涙を浮かべて私に
「力不足でご両親をお救いできませんでした。申し訳ありませんでした」
と深々と私に謝ったのです。私は一瞬悲しみも忘れて「こんな立派な
人がいたんだ」と感動しました。「いつかこの人のお役にたちたい」と思った
ものでした。
あなたを勇者様が、そして姫様が必要としておられます。行って下さい。
お金を送ります。路銀にして下さい。二度と会えないでしょうがお元気で。

「マリアはどこに行ったんだ」
クリフトは使いの男に詰め寄った。しかし男は「口止めされてる」の一点
ばりで答えなかった。
クリフトは必死でマリアを探した。しかし見つからなかった。

クリフトはサントハイムに戻った。
装備を整え、宿屋では呪文の修練と肉体の鍛え直しを徹底して行った。
1ヶ月後、城に戻ったクリフトはかつての精悍さを取り戻していた。
そして、再び冒険が始まった。
160歩兵:2008/05/23(金) 23:37:36 ID:6Q63F1g50
堕落と復活 4

1年後。クリフトはサントハイム城で至福の時を過ごしていた。
魔王との戦いの活躍が王に認められ、前代未聞ながらクリフトは姫の
結婚相手としてみとめられたのだった。
盛況な結婚式が行われ、クリフトはアリーナのそばで幸せ一杯だった。
「酔ったかな」
久々の酒で酔ったクリフトが、夜風に当たろうとバルコニーに出た時だった。
クリフトは外を見下ろす。一人の女と視線があった。
「あ、あれは」
一瞬だった。しかし女は足早に去っていった。
「あれは、マリア?」
クリフトは城の外に駆け出そうとした。しかし
「クリフト、何してるのよ。勇者が来てくれたわよ」
世界でもっとも愛する人の声が響いた。
クリフトは外を見続けたが、すぐに「今行くよ」と言って会場へと戻っていった。
その女がマリアだったのかどうか、それをクリフトが知る日は来なかった。

おわり
161名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 02:22:59 ID:8u+d7GI40
ん?これ千一夜に載ってない?
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 07:31:29 ID:R9rO9rt20
>>161
歩兵さんが投下したものでしょ
本人だったら別に昔の作品の投下でも大歓迎!
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 07:59:47 ID:BYqIkoWhO
あれ?ここサゲ進行でオケ?
164名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 13:13:31 ID:LvTVksb7O
ageる理由はないかな

sageろとは言わないが
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 14:36:56 ID:+vGbntdmO
さすがに再録はどうかと…
166名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 21:53:42 ID:ME787r4dO
実は単なる荒らしだったりして
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/24(土) 21:57:25 ID:/kBA4+p8O
荒れるの嫌だから極力sageてほしいかな
168歩兵:2008/05/25(日) 19:25:40 ID:ri+Fikuo0
反対が多ければやめるので意見よろ。
ところで千一夜って何?
169名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/25(日) 19:53:32 ID:cfH0BfhfO
再投下はトリップとかで確実に本人と特定できるものじゃないとなんでもありになっちゃうし
あらかじめ再投下だって断りがないのは良くないと思う
どっかで読んだことある?とか盗作疑われたりするし
実際盗作が出てくるかもしれないよ
170名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/25(日) 19:58:25 ID:cx88IJee0
>>168
その前に「FFDQ」を付けてぐぐれ
171名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/25(日) 19:58:51 ID:e+YHk8TP0
>>168
本人ならばトリつけてくれ。
トリがないなら、新作以外の再投稿はご遠慮願いたい。
もっとも、崖っぷちウォーカーさんの時代から歩兵さんはトリつけてなかったが……。

昔この板に投稿した作品はちゃんと保管サイトに保管されていると思っていいですよ。
172名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/25(日) 20:51:09 ID:PLtFQpwR0
過去の投下作品を連作の一部として使うなら、
その過去作品が確実に投下した本人だって証明できること(まあトリしかないけど)、
昔投下したことがあるって一言があるのが必要じゃないかなぁ。

そうじゃないと、千一夜とかwikiから名前借りて盗作投下し放題、になっちゃう。
>>137の「昔書いた」がまさか昔投下したものだとは思わなかったよ。
173歩兵:2008/05/26(月) 22:44:16 ID:rXP6dfrZ0
千一夜見てきました。
確かに昔のが載ってるね。載ってないのもあるが。
こんなスレがあるのだったら、今回再度投下する必要もないので
これで投下は終わりとします。
読んでくれた人ありがとう。
174名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/26(月) 22:46:29 ID:Srzy6wLT0
もう来なくていいよ
175名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 07:40:24 ID:kiHwADzPO
正直、自分専用スレを立てようとしたあたりで引いた…。
過去作品の再投下も含めて、個人サイトでやるべき内容じゃないかな。
新作SSだったら歓迎だよ。
176名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 07:59:13 ID:E3ligIzq0
うん、新作SSの投下とか普通の会話とかしに来て欲しいね。
前に千一夜で読んでいいなーと思ってたんだけど
今回のも面白かったから、また新しいのができたら読みたい。
177名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 08:47:17 ID:iMBrRFq0O
久しぶりに一連のクリアリスレとSSを読んだらクリアリって
まんま川原泉の笑う大天使の和音さん俊介さんとのイメージだ〜。
アンドレとオスカルもだけどクリフトのキャラ的には俊介さんがまんまハマる。
マニアックな話スマソ
1781/5:2008/05/27(火) 11:16:25 ID:W1s554Fy0
 ここは牢獄、わたしは囚人。
 床には赤い絨毯、ふかふかのベッドは天蓋付き。
 恵まれた生活の中、すべて決まった人生が待っている。
 クリフト。
 あなたに出会わなければ、あなたを愛さなければ、
 運命を素直に受け入れられたかもしれないね。


 変わりない平穏な毎日が淡々と過ぎていく。少し退屈に感じてしまうほ
どの平穏さが今となってはありがたいことなのだと、アリーナは思いなが
らそんな日々を送っていた。けれども以前と違って、どこか心が休まらな
かった。周りにいる者に秘密を抱えて、それを決して悟られぬようにして
過ごす時間はやはりひどく息苦しかった。
 そんな息苦しさから開放されるのはクリフトのそばにいる時だった。
 大臣が用意したいくつものお見合い話を拒否し続けて、アリーナはクリ
フトへの想いを募らせていった。それまでの少し遠い主従関係の距離感が
嘘のように、少しずつお互いの気持ちを高めあってきたふたりはいつしか
密やかに恋に落ちていた。
 午後、アリーナはバトランドからの来客に面会するため、王座の間へと
やってきていた。そこには国王をはじめ、大臣やブライの姿もあり、クリ
フトも教会の関係者として挨拶だけでもとその場に呼ばれていた。
 来客のことなど頭にはなく、ただアリーナはわざとらしくないようにク
リフトのほうへと視線を向けていた。クリフトも控えめに、アリーナへと
その穏やかな眼差しを送っていた。


 誰にも知られてはいけない。
 気配を殺して、息を潜めて、お互いを求め合う。
 自分たち以外の全ての人を欺きながら。

1792/5:2008/05/27(火) 11:17:21 ID:W1s554Fy0
 月のない深い闇夜に、ふたりきり。
 城の北側の裏庭、ゴン老人の家を西に見るその場所が、いつもふたりが
人目を忍んで逢瀬を重ねる場所だった。城壁のすぐ真下の少しだけ開けた
ところでクリフトはアリーナを待っていた。ここはほとんど見張りの兵士の目も届かない、死角となった場所だった。
「……クリフト…」
 闇に溶け込むような小さな声が聞こえた。
 クリフトが視線をそのほうへと向けると長いワンピースのような夜着
を纏い、肩から毛糸のケープを羽織ったアリーナの姿がそこにあった。
「姫さま……」
 近づいてきたアリーナの身体を自分のほうへと引き寄せて、そうっと腕
を回して抱きしめた。こうしてふたりだけでこっそりと会うときには、必
ずクリフトはまずアリーナを抱きしめた。アリーナもそれに応えるように
クリフトの背にそっと手を這わす。お互いの存在を確認するかのように体
温を分け合った。
 そうして城壁を背もたれにしてその場にふたりは座り込んだ。指先を絡
めるようにして手をつないだまま。
 以前ならば他愛のない話で笑い合えたのに、お互いを求めてこうして密
会を重ねながらも、昔のように無邪気に笑うことはできなかった。互いに
愛しい存在を目の前に切なさに押しつぶされそうになる。ただ寄り添い肩
を預け合い、ふたりだけで過ごせるわずかな時間を噛み締めていた。


この先は行き止まり。
未来など、見えないし語れない。
そんなことは最初からわかっていたはずなのに、
想う気持ちは簡単に断ち切れない。


1803/5:2008/05/27(火) 11:18:27 ID:W1s554Fy0
「わたし…クリフトのことが好きよ」
 小さな声でアリーナは囁いた。大きな瞳を少し細めて愛くるしいまでの
笑顔を浮かべ、クリフトのほうを見上げながら。
「…とっても、好きよ」
「……姫さま…」
「でもね。…苦しいの。すごく、苦しいのよ」
「………」
「……わたし、…みんなに嘘をついてるわ」
「姫さま…申し訳ありません……」
 クリフトはアリーナの言葉に全てを察知した。
 いずれ国を継がねばならない立場のアリーナには、その責務を全うしな
くてはならない無言の重圧がある。世界中を冒険してつかの間の自由を与
えてもらってから、自分の立場というものに対してアリーナは真摯に向き
合ってきた。
 自分はどういう存在なのか、それを客観的に捉えるということを学べば、
今の自分がいちばん最初にしなくてはならないことがすぐに思い当たっ
た。それは今までずっと拒み続けてきたお見合いの話であり、そう遠くな
い未来にしなくてはならない結婚だった。国の永続のためにこの血を後に
残さねばならない。母国サントハイムのために。
 国民が望んで当たり前の未来を、本当は叶えたくないと思っている自分。
 できることならもうこのまま、全てを投げ出したかった。それが決して
できないことをわかっていて、それでもクリフト以外の誰かと夫婦として
過ごしていくことに対しての猛烈な拒絶の感情をアリーナは持て余すば
かりだった。周りの人間にもただ上っ面で微笑むのみで、本心を打ち明け
ることなどできなかった。
 それほどまでに、罪深い。
 自分は祖国を絶やしてしまうのか。


1813/5:2008/05/27(火) 11:19:14 ID:W1s554Fy0
「姫さま……」
「…クリフト、ごめんね……」
 こらえきれない感情が溢れて、アリーナの瞳からは大粒の涙が零れ落ち
た。その涙に罪悪感と愛おしさが同時にクリフトの胸を満たしていく。
「……私が、いけないのです。姫さま、どうか泣かないでください」
「………」
「身の程をわきまえず、あなたを愛した私が悪いのですから……」
 クリフトはそっとアリーナの方へと身を寄せて、大きな手のひらでその
頬をそうっと包んだ。
 ただの憧れだけで済ませられたらどれほど楽だっただろう。
 まだ幼い頃に出会い、友達のような関係を築きながら育っていった。自
分とアリーナの違いをはっきりと理解するようになった少年時代に、もう
恋心は小さく芽吹いてしまっていたのだ。
 早すぎた出会いが全ての間違いだったのか。
 大人になってから出会っていれば、恋に落ちることもなかったのか。
「私は、あなたが泣いていることが一番悲しいのです」
「……クリフト…」
「いつでも笑っていて欲しいのです。太陽のようにまぶしく、きらきらと
輝くような笑顔でいて欲しい……いずれ、私と離れなくてはならなくなっ
たとしても、…笑みを絶やさずにいて欲しいです」
 再び溢れたアリーナの涙に、クリフトはそっと唇を寄せた。そうしてア
リーナの頭を胸に抱え込むように引き寄せて、更に頬を伝う涙を吸い取る
ように何度も唇を触れさせた。
「…嫌よ、そんなの嫌だよ……クリフト」
「………」
「クリフトがいなかったら、わたし…笑えない……」
「……姫さま…」
 小さなアリーナの身体を抱くクリフトの腕に力が篭る。
 震える熱いため息がクリフトの唇から零れ落ちた。全ての感情を封じる
ような、切なく辛い、ため息がふたりの間の空気を揺らした。
1825/5:2008/05/27(火) 11:20:02 ID:W1s554Fy0


 万人受けする大衆演劇のように。
 あなたを、世界の果てまで連れて逃げたい。
 衝動的で情熱的に。
 姫さま。
 痛みを伴う後悔を生涯背負ってでも、
 あなたと暮らせたらどれほど幸せでしょう。




 そう遠くはない未来に。
 いつか必ず残酷な現実はやってくる。
 その時まで、もう少し。
 この儚く悲しい、愛の牢獄で。




                      END.
183506:2008/05/27(火) 14:27:50 ID:W1s554Fy0
どうもです。506です。
上の方で「Prisoner of love」の話題が出てたので
それとなく意識しながら書いてみました。
私も「Prisoner of love」はクリアリっていうか
アリクリっていうかなんかそれっぽいなーと
思っていたので。
でもなんか、報われない内容になってしまった。
先に注意書きしとけばよかったかな、と
ちょっと後悔しています。

苦手な方、ゴメンなさいです。
184名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 20:11:01 ID:rNpM0ztv0
>>177
禿同。
185名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 21:39:25 ID:tlINSQvQO
待ってましたよ506さん!
GJです!
“ゴン老人”って表現につい笑ってしまったけど、今はうるうるしてます。

アリーナはクリフトより行動力がありそうだし、難しい事を考える前に自分の気持ちと向き合う事が出来そうだから、両思いになったら結構アリクリっぽくなるイメージが私の中ではあるかも。

今ファミコン引っ張り出してDQ4をやってるんだけど、ミントスのアリーナの台詞や行動を見てると、アリーナはとても素直で優しい子なんだな〜と感じてしまう。
決して強さや武器にしか興味のない子じゃないよ。
186名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/27(火) 23:30:21 ID:E3wr91BFO
アリーナは積極的だろう。
うじうじ悩んでたのはクリフトだけってなりそう。
187名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/28(水) 00:17:48 ID:n3G9YifNO
クリフトが身分とか難しいこと考えずに
アリーナにどーんと告白出来るような性格だったら
とっくに二人はカップルになってるだろうな
「クリフトももうちょっと頭が柔らかければ」発言が、
アリーナもクリフトが告ってくるのを
待ってるようにしか見えない
188名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/28(水) 20:36:05 ID:RiDJAr45O
姫を常に支え続け、伝説の勇者と交友があり、マスタードラゴンに会い、世界(サントハイム)を救った英雄の一人。

大丈夫、これだけの事をしてるんだ!
自信をもてクリフト。

城の外から出た経験なんてほぼ皆無な王子様や親のスネかじりな貴族のぼっちゃんにアリーナの相手なんて無理だし、サントハイムを守れるのは自分しかいないぐらいの事を思ってもバチは当たらないさ!
189名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/28(水) 23:55:09 ID:cZs29raK0
>178-182
506さんGJです!!
ここまでラブラブなのに、悲恋道真っすぐで切ない…
この先やっぱりクリフト次第で、駆け落ちにも悲恋にもなりそうなのがいいなー
190名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/29(木) 01:09:08 ID:dDBsneRP0
前スレでも言ったけど
元々サントハイムは魔法王国で、国王も魔法が使える
ブライも現役の時期は凄かったらしいしな
他の国に王家の墓がないのに、サントハイムだけにあるってのも面白い
死んだ人を大切に扱ってるってのは宗教や信仰の厚さを物語ってる
後はサントハイムの歴史の深さもな

身分とか何とかってのはクリフト考えすぎだw
過去のサントハイム王を調べ上げれば、神官の人間もいるだろうし
魔法使いだった人間もいると思うよ

ドラクエって、4に限った事じゃないけど
特に古いドラクエは、世界観設定が凄く深いんだよな
191名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/29(木) 01:18:05 ID:qVaieO0Y0
むしろアリーナに魔法の力が全くないから、夫には魔力の強い者を迎えたいよね。
ザオリクとザラキの両極端の呪文を人間で使いこなせるって凄いよ。
192名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 00:16:17 ID:VUz34la2O
>>190
>国王も魔法が使える
> ブライも現役の時期は凄かったらしいしな


それどこの情報?
193名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 00:41:15 ID:Ll+CPNnP0
>>190
王家の墓ってFC版の時は
いつの時代の誰のものかは今ではもう語られることもない
って設定だったのにいつからサントハイムのものになったんだろう
どう見てもエンドールの方が近いし…
サントハイムは元々あの辺にあったのか?
194名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 00:54:21 ID:WP/+luLZ0
>>192
「導きの書」(FC版発売時に出たエニックスから出た設定本)に書いてある
でも王が魔法使えるとまでは書いてないんだけどな…
たぶん「サントハイムは魔法国家」との表記から推測したんだと思う
195名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 01:05:52 ID:DuxskNFm0
まあ、予知夢も魔法みたいなもんな気がする。
196名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 03:48:09 ID:nVJF6EgnO
いやまて、まさか国王は魔法使(ry
197名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 13:31:08 ID:FbjnI1H+O
アリーナの怪力も魔力の発現ってネタはたまにみる
198名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/30(金) 21:04:48 ID:wolxyqfrO
天然バイキルトかw
199名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/31(土) 01:14:33 ID:bnBCq9YQ0
+ピオリム
200名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/31(土) 09:02:40 ID:1ncrcxBE0
魔法力を、肉体能力に自然に体内変換
201名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/05/31(土) 13:38:21 ID:cyLR3IUl0
リメイク版アリーナは格闘のことしか考えてない
武術にすべてをささげたとか言ってるし
202コマンド? |>全板トーナメント:2008/06/01(日) 01:13:31 ID:MxC/2x+O0
wiki管理人です。
新しいアンケートを設置してみましたので、よかったら投票お願いします。
アリーナが年上のssを2本ほど見た事あるので、項目に入れてみました。
確かにアリーナは姐さんって感じはするかも…

収録作品の修正については、トップページのフォームに、詳しい事を書きましたので、そちらからお願いします。

ttp://www13.atwiki.jp/kuriari/
203コマンド? |>全板トーナメント:2008/06/06(金) 07:12:57 ID:LcGfMvBK0
保守
204名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/09(月) 22:07:51 ID:VHQyuvzG0
ほす。
205DAGGER:2008/06/10(火) 19:13:40 ID:RFjiu41TO
犯罪者予備軍氏ね
206ペギー ◆e.sLpeggy2 :2008/06/10(火) 22:24:55 ID:zYTHveF10
こんばんは、ペギーです。
お久しぶりです、ということで、リハビリ小ネタを1本投下させてください。
ライアンさんが加わった頃の一行の話と言う感じで。
207おかわりをどうぞ 1/5:2008/06/10(火) 22:26:34 ID:zYTHveF10
「クリフト、おかわり!」
旅の途中、焚き火を囲んでの夕食。
空になったシチューの皿を突き出すアリーナに、勇者が目を剥いた。
「おいおい、アリーナ、まだ食べるのかよ〜。
 全く、そのちっこい体のどこにそんなに入るんだ?」
「ちっこいは余計よ!」

2人のやり取りに苦笑しながら、クリフトがアリーナの皿にシチューを注ぐ。
「はい、姫様。これで最後ですよ。余りお召しになるとお腹を壊しますからね。」
「えー…。じゃあ、大事に食べよ。」
アリーナは口を尖らせながら、ゆっくりとスプーンを動かした。
そうすると、とたんに優雅な雰囲気が漂うから不思議なものである。

「しっかし、ホントに良く食べるわね〜。城でもそんなに食べてたの?」
マーニャが、こちらはシチューはそこそこに、酒のグラスを傾けながら笑った。
アリーナが、行儀よく口をナプキンで軽く叩いてから答えた。
「そうでもないかな。お城の食事はこんなに美味しくなかったもの。」
「え?だって専門のシェフとかいるんでしょ?」
「うーん、そうだけど…クリフトの作るご飯の方が、美味しい。」

「あっらー、聞いた?クリフト〜!!
 専門家の料理より、あんたの料理の方が良いってよ!」
ここぞとばかりにマーニャがからかいの言葉を入れる。
クリフトは真っ赤になった。
208おかわりをどうぞ 2/5:2008/06/10(火) 22:27:47 ID:zYTHveF10
「そ、それは、単に、お城よりも旅をしている方がお体を動かされますし、
 空気が良いから美味しく感じられるだけであって…。」
「こら、クリフトやめんか、こっちに跳ねる。」
両手でおたまを持って鍋をガシャガシャ掻き回し始めたクリフトに、
ブライが顔をしかめた。

「そんなことないよー、クリフトのご飯、本当に美味しいよ?
 お城に戻っても、ずっとクリフトのご飯が食べられたら良いのに。」
アリーナの発言に、その場の空気が固まった。
クリフトも、両手でおたまを握り締めたまま硬直している。
しかし、当のアリーナは、周囲の変化に全く気がついていないようで、
シチューを一口食べると「ほら、美味しーv」と満面の笑みを浮かべた。

ようやく金縛りが解けた勇者が小さい声でマーニャに囁いた。
「なあ、さっきのアリーナの発言って…、
いわゆる『君の作ったみそ汁が飲みたい』って奴じゃねーの?」
「まあ、客観的にはそう聞こえるけど、ねぇ…。」

2人はクリフトを同情の目で見た。
クリフトは、いまだ硬直したままだ。
「さすがに気の毒過ぎて、からかう気も起きないわ…。」
マーニャはため息をついた。
209おかわりをどうぞ 3/5:2008/06/10(火) 22:29:54 ID:zYTHveF10
しかし、パーティにはもう1人、空気の読めない人間がいたのであった。
「いやはや、アリーナ姫のお言葉、まるでプロポーズのようですな。
 わっはっはっは!」
ライアンは肩をゆすると、ヒゲを震わせて笑った。
「しかし、料理も上手いし手先も器用、クリフト殿だったら
拙者も嫁に欲しいくらいだのう。はっはっは!」

どうやら、ライアンにしては珍しく、酔っているらしい。
楽しげに笑うライアンに、場はますます固まった。

「…とりあえず、メラゾーマかましていいかしら…。」
マーニャの呟きに、周囲の連中が否とも応とも答えなかったのは、
どちらと取って良いものか。

そこにアリーナが口を出した。
「だめよー、ライアンの嫁だなんて。」
そして頬を膨らませたまま、クリフトを振り返った。
「ねえ、クリフト?」
クリフトは握り締めていたおたまを鍋の中に落とすと
「は、はい、いえ、私は神に仕える身ですから、結婚などと…」
と、しどろもどろに語り始めた。
「…それ以前に、ライアンさんの嫁ってところに突っ込めよ…。」
勇者が、はーっとため息をつきながら額に手を添えた。
210おかわりをどうぞ 4/4:2008/06/10(火) 22:31:10 ID:zYTHveF10
と、アリーナが再び声を上げた。
「あれ?ライアンさん寝ちゃった?」
ライアンは、いつの間にか後ろに倒れて高いびきをかいていた。

「…ミネア、あんたラリホーかけたでしょ。」
「メラゾーマよりは穏便ですでしょ。」
姉妹のひそひそ声はアリーナには届かなかったようだ。
「なーんだ、きちんと釘を刺しておこうと思ったのに。
 クリフトは、ずっとサントハイムにいるんだって、ね?」
無邪気に笑うアリーナに、再び姉妹がひそひそ声を交わした。
「…ミネア、あんたアリーナにもラリホーかけときなさいよ。」
「それは嫌です、クリフトさんに恨まれちゃいますもの。」

クリフトは、アリーナの笑顔に弱々しい笑みを返した。
「ええ…そうですね、私はサントサイムの臣下ですから…。」

そして、鍋の中からおたまを救い出し、しばらく鍋をかき回していたが
やがて顔をあげて微笑んだ。
「姫様…今日は特別です。あと一杯だけ召し上がりますか?」
「わ、いいの!?やった、ありがとう、クリフト!」
「…姫様には、たくさん私の料理を食べていただきたいですから。」

そう言うと、クリフトは、誰にも聞こえないくらいの小さい声で付け加えた。
「…せめて、こうやって、料理をお作りすることができる間に…。」
211ペギー ◆e.sLpeggy2 :2008/06/10(火) 22:32:49 ID:zYTHveF10
レス数間違えた…5じゃなくて4でしたorz
お付き合いいただきましてありがとうございました。
…もう少しリハビリに励んできます。

そして、wiki管理人様。
御礼を申し上げるのが遅くなりましたが、どうもありがとうございます。
とても読みやすくて、良いまとめページですね。
重ねて御礼申し上げます。
212名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/10(火) 23:44:19 ID:rjs/TiJE0
>>211
GJ!乙です
213名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/11(水) 02:14:56 ID:0SL0DK/CO
>>211
GJ!二人はもちろん、
まわりのキャラのやりとりも良かった!
でも最後のクリフトのセリフがなんだか切ないよ…
どこにも行かないでくれクリフトー!
214名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/11(水) 03:12:58 ID:zssc6f2zO
ライアン空気読めないのかwww
GJでした!

某番長漫画読んでてちょっとだけアリーナ思い出しちまったぜ。
215名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/11(水) 04:42:32 ID:CGfX0I550
何故金剛番長といえない
216名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/12(木) 21:58:39 ID:InwudKBA0
>211
ペギーさん来てた!!GJです!
アリーナが男らしいのにかわいい!

しかしライアンは、これだけKYだとホイミンも苦労しただろうねww
217名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/13(金) 21:46:33 ID:2+FPWfYL0
敗者1位 ◎ニュース速報+  やる気さえ出せば本選でも上位候補の強豪
敗者3位 ○CD-R,DVD     Douwnloadが通しに行くはず。てか何でこんなところに
14組5位 ▲ニュース実況+  最後まで激闘、間隔が短いので立て直せれば
13組5位 △国内サッカー.   二次予選敗者中最多得票、まだまだやる気十分
07組5位 ☆スロットサロン.  死の7組では仕方ない。イレグイ13氏の頑張りに期待
12組5位 ×萌えニュース+.   ニュース3つとかあまりにもむごい組で
07組6位 ×スマップ      ジャニーズ総支援があれば直角ラシは脅威
敗者2位 ×アニメ       メロンexがどこを通しに行くかによるが、積極的なここか
敗者5位 ×アニメサロン   アニメと同じ理由
04組5位 ×ギャルゲー    最後脚が止まったが、途中まで上位を快走
03組5位 ×漫画サロン    もういっちょう漫画いけるだろ
06組5位 ×シャワートイレ.  うちの板に来てくれた選対が女性だった。個人的に応援w

その他の有力候補は軍事、ラウンジ、女向ゲー一般、スケート、議員・選挙、家庭用ゲーム、
ネトゲ実況2、お絵描き・創作、パチンコサロン、ゲームサロン、ほのぼの、農学、ポケモン、
既婚男性、戦国時代、懐かし漫画、旧シャア専用、エレクトロニカ、2ch運用情報、
なんでも質問、漫画、なんでもあり、ミステリー、創作文芸、戦時などなど

【FFDQ】第3回全板人気トーナメント11【6/15抽選】
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1213026000/l50
218名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/15(日) 13:09:54 ID:mdPDQvoNO
ライアンのKYっぷりが受けました。
アリーナとクリフトもかあいかたすo(^-^o)
219名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/16(月) 03:26:54 ID:hcAzmSzNO
>>218
IDおめ!
220名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/17(火) 12:40:47 ID:jZ1AR31P0
ペギーさん、GJ! 空気読めないライアン大好きですw


時間が空いたので、SSを書いてみました。投下させてくださいね。
221【にぼしな気持ち】1/4:2008/06/17(火) 12:43:18 ID:jZ1AR31P0
人々の視線が、往来を闊歩する青髪の青年と赤毛の少女に注がれていた。

「ちょっとクリフト。手、放してよ」
赤毛の少女が僅かに頬を赤らめながら青年を見上げる。しかし対する青年の態度は
しれっとしたものだった。
「いいえ、放しません」
青年は少女の抗議を聞き入れるどころか、逆に少女の手をしっかりと握り締めた。
「やだ、人が見てるし……恥ずかしいよ」
自分たちに注がれる視線に気付き、少女がますます赤くなりながら俯く。
その初々しい姿に周囲の人間は思わず微笑むのだが、それさえも少女にとっては拷問のようだ。
そんな恥ずかしさに悶絶している少女にちらりと視線を送りつつも、クリフトと呼ばれた青年は
素気無く言い放つ。
「自業自得ですね」
その言葉に少女は「それはそうだけど」と小声で呟き、口をへの字に曲げた。
「お願い。ちゃんとひとりで歩けるから」
しつこく食らいつくも、青年の答えはにべもない。
「信用できません」
「そんな、私、もうこどもじゃないわっ」
「そうおっしゃって“迷子”になられた方はどなたですか?」
あえて“子”というところに力を入れて話すあたりが、ちょっぴり意地悪かもしれない。
少女が言葉に詰まると、青年は短く息をつき歩みを止めた。そして少女と向かい合うと
微かに愁いを帯びた瞳を伏せた。

「こどもじゃないっておっしゃるのでしたら、私に……いえ、ブライ様と私に心配を
かけるようなことはなさらないでください」
222【にぼしな気持ち】2/4:2008/06/17(火) 12:45:11 ID:jZ1AR31P0
そこまで一息で言い切り、青年は瞳を開けた。そして互いの指を絡めるように握りなおすと、
わざとらしいくらい明るい口調でこう続けた。
「だから、これは罰です」
恥ずかしいくらい何ですか。
そのおどけた口調と裏腹に青年の瞳は真摯なもので、青年がどれほど心配していたかが滲み出ていた。
それがわかったのだろう。少女は僅かに睫毛を震わした。
「ごめんなさい」
「おわかりいただけたならよいのです」
青年の瞳が和んだことで、少女の表情も穏やかなものに変わる。
そしてどちらからともなく再び歩き始めると、少女が「そういえば」と視線をあげた。
「ねぇ、クリフト。……ブライ、怒ってるかな?」
「どうでしょうね」
「お小言、食らうかしら」
「ご心配をおかけした分は、覚悟なさっておいたほうがよろしいかもしれませんね」
「……ねぇ、クリフト」
「なんですか?」
「一緒にお小言聞いてくれる?」
「どちらかというと、私も“お小言”を申し上げる方にまわりたいのですが」
「えーっ」
少女の泣きそうな叫びに、青年はくすくす笑うといたずらっぽく片目を瞑った。
「じゃあ、この先新しい街についたら私の傍を離れないとお約束していただけるなら、
このクリフト、ブライ様のお小言を短くするように尽力いたしましょう」
「……その約束には、これも含まれるの?」
繋がれた手を掲げて見せ、少女が首を傾げた。すると青年は顔色一つ変えずに頷く。
「当然です」
少女はその答えに動揺したようだ。しばらく顔を赤らめてうんうん唸っていたが、
よっぽど小言が嫌なのか、ついにはあきらめたように頷いた。
「わかった。約束するわ」

223【にぼしな気持ち】3/4:2008/06/17(火) 12:47:47 ID:jZ1AR31P0
塀の陰で老人はうんざりとした表情で佇んでいた。
「勘弁してほしいのう」
待機していた宿屋の窓からふたりの姿を発見し迎えに出たのだが、正直声をかけられる
雰囲気ではなく、不本意ながら覗き紛いのことをする破目に陥った。そして知ったふたりの
『約束事』は老人の苦悩と憔悴を掻き立てるものだった。
「この先、新しい街に着くたびに、あれなのか」
確かに手をつないでさえいれば迷子になどならないから、青年の提案は悪くはない。
ついでに、変な虫も寄ってこないだろうから、一石二鳥ともいえよう。
そう、その有意性を否定する術を自分は持ち合わせていない。
ふたりの間に恋愛感情が芽生えているとなれば、何が何でも引き離す必要もあるだろうが、
青年のほうはともかく、少女のほうは未だ艶めいた気配は一切ない。
となれば、当人同士が納得していて、それでいて少女の身の安全が図れるのであれば、
特に問題はないといえる。
あとは自分が、青年が暴走しないように見張るだけだ。

224【にぼしな気持ち】4/4:2008/06/17(火) 12:49:46 ID:jZ1AR31P0
だが、仲良く手をつないだふたりと一緒に連れ立つ自分は、一体どんな顔をしていればいいのか。
とってもお邪魔虫な自分が脳裏に浮かび、深々とため息をつく。
「かなわんのう」
せめてもう少しましな代替案があればとは思うが、これといって浮かばない。
「かといって、わしと手をつなぎなされ、というのは無理じゃろうし」
好奇心旺盛・行動力抜群の少女ゆえ、見守るだけや注意を促すだけでは到底抑えきれない。
だからといって、誰かと手をつないでいれば大丈夫というわけでもない。そう、枯れ枝のような
自分ではたとえ手をつないでいたとしても、少女の暴走を止めるどころか腕が折れかねない。
「まさか紐でつなぐわけにもいかんしな」
老人は再度ため息をつき、うなだれた。どうやら『お邪魔虫』の立場を受け入れるしかないらしい。
それにしても、と思う。
「わしの“小言”をダシにしおって……」
楽しそうに歩き去っていく青年の姿を見送りながら、老人はひとりごちる。
「わしは“にぼし”かっ」
いやな気分を払拭すべくそう口走ったものの、干からびた魚の姿が年老いた自分の姿に重なり、
老人はますます憂鬱な気分になり落ち込んだ。
                                       (終)
225煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/06/17(火) 12:56:48 ID:jZ1AR31P0
し、しまった。トリつけ忘れてた!
てか、コテも!

なんかいろいろ駄目駄目な煩悩神官でしたorz
226名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/17(火) 13:24:34 ID:015YZsBVO
GJ
227名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/17(火) 22:15:57 ID:xU/rdaFG0
GJです!
この漢らしいクリフトは煩悩さんっぽいなーと思っていたら、
やはり煩悩さんでしたか…!!
ううう、煩悩さんクリフト、相変わらず強気でカッコいいです…!
そして、にぼし扱いのブライが気の毒すぎるww
228名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/18(水) 00:21:24 ID:f7OT2eGK0
>225
煩悩さんGJです!
クリフト…その手の繋ぎ方は恋人繋ぎじゃ……
クリフト密かにやりたい放題ですね!
個人的に、5章でもこれをやってたのかが気になります!
229名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/18(水) 03:18:12 ID:Ct/Jhlhr0
>>225
GJです!
保護者としての責務を真剣に果たすクリフトから
垣間見えるような見えないような彼の内面が良いですねo(^-^o)
で、ブライの描写がまたGJですね
ドラクエの世界にニボシでダシをとる食文化があるかちょっと分かりませんがw
230名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/19(木) 13:52:41 ID:lCeYE1MYO
ブライwww
煩悩さん GJ!


いつも思うのだが 煩悩さんのSSって ギャグ?甘々?ほのぼの?
wikiのアンケートで迷うんだ
231名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/20(金) 20:06:32 ID:Lci7AVSZ0
>230
煩悩さんは色んなジャンル書けるから、一つに括れないと思う。
今回のはほのぼのかな?
すっぽんぽん祭りは確実にギャグだと思うww
232名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/22(日) 19:50:22 ID:aZUvENz+O
今回のって、ほのぼのなのか・・・。
てっきり、ギャグだと思ってたわw
233名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/22(日) 22:16:43 ID:Mvk9Oujf0
自分の中では煩悩さんがギャグ、506さんが切ない、ペギーさんがほのぼので
分類されているwてんちょは切ないベースでちょいエロwかな
まあ煩悩さんは切ないもほのぼのもあるんだけど
234名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/23(月) 14:40:59 ID:hJC68jGC0
そうか…みんな色々感じ方が違って面白いな。
私はてんちょうさんは、新婚ネタといたストネタのイメージが強いから、ほのぼの甘甘なイメージだ。
235てんちょ ◆ByK7Tencho :2008/06/24(火) 06:50:48 ID:435YrFe40
どーも、ご紹介に預かりましたちょいエロ職人ですw
まあ、最近は柄になく甘いものもありますが。

>ペギーさん
ライアンではないですが、ここのクリフトなら俺の嫁にしたいです。
>煩悩さん
ブライ老からは煮干し顔負けのいいだしが取れそうですね。
お二人ともGJです。

さて、規制のため投下が遅れましたが、一応父の日が元ネタです。
1レス分縛りプレイで書いてみました。
そのため、言葉足らずで少々わかりにくいかもしれませんが、
ご一読くだされば幸いです。
236父の日 ◆ByK7Tencho :2008/06/24(火) 06:53:14 ID:435YrFe40
どこかの世界では、ちょうど今頃、父親に感謝をする日があるという。
ささやかなプレゼントを贈ったり、心のこもった料理を作ってあげたり。
わたしもそれに習って、異国の風習をたしなんでみることにした。

わたしの父は歌うのが大好きで、一日四回の練習は欠かさない。
だから迷わず、世界の民謡集(楽譜付)をプレゼントとして選んだ。
もちろん父は大喜び。さっそく練習のレパートリーに加えるそうだ。
課題曲がまた増えるから、王立交響楽団の皆さんには気の毒だったかな。

今日の公務を終えたわたしは、寝室のドアを開けて部屋の灯りをともす。
もう一人の『父の日』の対象者に送る、プレゼントを用意するためだ。
二人掛け用のテーブルの上に、わたしは小さな箱をそっと置いた。
中身は男性用のベルト。中央のバックルは王家の紋章が入った純銀製。
神官である夫に見合うよう、華美さを抑えつつも精巧な装飾に仕上げてもらった。
帰ってきてこの箱を見つけた時、あの人はどんな顔をするだろう。
プレゼントの理由を聞いたら、びっくりしてその場で卒倒するに違いない。
いろいろな顔を想像するだけで、自然と笑いがこみ上げてくる。

一息ついたわたしは、足元に注意しながら椅子へと深く腰を掛けた。
ある事実を告げられてからは、細心の注意を払うようになったからだ。
頬づえをつくわたしの右手が、無意識に下腹へと向かった。
まだ二月半で、ふくらみなんてないはずなのに、気になって仕方がない。
二人が待ち望んだ出来事を、誰よりも先に伝えたい気持ちがそうさせてしまうのか。

しばらく待っていたけれど、忙しいのかまだ帰ってはこない。
この調子だと、今夜も遅くなりそうなので、わたしはベッドへと向かった。
いつものように寝たふりをして待ち、戻ってきたら飛び起きて出迎えるために。
そして、すべてを知って驚きで目を丸くするであろう愛しき伴侶に、
お腹に宿ったこの子の分も含め、飾らない言葉で素直に伝えよう。
当たり前になりつつある幸せの中で、いつまでも持ち続けたい感謝の気持ちを。

「いつもありがとう。そして…おめでとう、お父さん」
237名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/25(水) 01:39:28 ID:T5EK6e8x0
>236
噂をすればなんとやら…店長さんGJです!
おお…店長さんとこのクリアリもとうとう親になっちゃうんですね。
このスレで、結婚後を丁寧に書いてくれる人は珍しいので、個人的に続きが楽しみです。
クリフトに子供ができたら子煩悩になるに、ちいさなメダルを100枚賭けてもいいですよ!
238名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/25(水) 09:22:43 ID:IvJYlvNQO
結婚後の話は確かに珍しいけどとても良いね!
クリフトはさほど変わらなさそうだけど
アリーナが若干母らしくしとやかっぽくなってて新鮮!
もっと二人の新婚生活見てみたいです
239名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/25(水) 22:32:14 ID:gXG5q/LK0
>>236
てんちょさんGJです〜♪ あ〜・・・ニヤニヤ顔が直らない〜。w
240名前がない@ただの名無しのようだ:2008/06/26(木) 00:45:43 ID:wFQLVYXy0
てんちょさんナイスーー
今夜はいい夢が見られそうだよ。
241名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/01(火) 00:48:03 ID:0cR5kfGT0
wiki管理人です。
「理想のクリアリの年齢差は?」のアンケート締め切りました。
答えて下さった方々ありがとうございます!
集計結果は

同い年(4)
クリフトの方が1〜2歳上(20)
クリフトの方が3〜4歳上(27)
クリフトの方が5歳以上上(3)
アリーナの方が年上(1)

クリフト1〜4歳年上あたりが一番多いですね。
やはり根強いアリーナ年上ファンが居るようですね!
同い年も予想以上に票が入ったのに驚きです。
同い年だったら、アリーナの方が身長とか大きかった事もあったのかな…?

メニューが縦に長過ぎたので、ちょっとまとめてみました。
作品ページに作者名タグを埋め込んだので、タグ検索で呼び出せるはずです。
(数字をコテにしている方は、リストで呼び出しができなかったので、数字+さんで登録してあります…)
では!
ttp://www13.atwiki.jp/kuriari/
242名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/05(土) 22:14:57 ID:wACuzwAa0
wiki管理人さま、お疲れ様です。
いつもありがとうございます。

なんだか人が少なくてさみしいですね。
クリフトはアリーナより3〜5歳年上がいいな。
243名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/10(木) 22:06:30 ID:fGExx+So0
保守
244名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/15(火) 16:08:23 ID:jf1XLnOs0
「いったい、どこまで続くの…」
吹きすさぶ吹雪の中、一本の線路が延々と続いている。
「今度の相手は、とてつもない強敵ですよ…」
セブン、萌えにゅ、ノーパン、ヒッキーを次々と倒していった二人だったが、
今度の相手はかの無敵の王者VIPをも倒した猛者。恐れを感じずにはいられなかった。
「やはり、ここが限界なのでしょうか、姫様」
「何を言ってるのよ、クリフト。ここで諦めたら何もかもおしまいじゃない。
 志半ばで倒れていった仲間のためにも、最後まで戦うのよ」
「何かよい策はおありですか」
「…今さらウダウダ考えたってしょうがないわ。とにかく進みましょう」
二人はなおも吹雪の中を進み続けた。
やがて、二人は駅に着いた。
「ここが終着駅みたいね」
と、その時、雪嵐の中から何者かが現れた。
「ついに現れたわね」
「よくぞここまで来た。さあ、我の力を見せてやろう!」
猛烈なブリザードが二人を襲う。二人は防ぐのが精一杯で、身動き一つ取れなかった。
「姫様、大丈夫ですか」
「何のこれしき。こっちも実力を見せてやりましょう」
「どうかな。ここがそなたらの終着駅となるんじゃないか」
「私達はこんなところで終わるわけにはまいりません」
「…そう。私達の旅は決して終わらないわ。
 たとえこの勝負の行方がどうなろうとも…
 終着駅についても旅はまだ続く…」

果たして勝負の行方は!?
全板人気トーナメント準々決勝1組
FF・ドラクエ VS シベリア超速報
只今熱戦中です!!
245名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/15(火) 22:01:29 ID:KibEP2QS0
>>244
おおクリアリでありながら支援SSとは良いですな
246名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/15(火) 22:08:27 ID:egOZ0r5Q0
>244
感動したので1票入れてきた!
アリーナはクリフトの嫁!
247名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/16(水) 22:13:21 ID:cDPURkNj0
>>244の人とは違うのですが、全板トナメ選対の者です。
昨日は突然の宣伝で失礼いたしました。
残念ながらFFDQは準々決勝で敗退してしまいましたが、
おかげさまで1854票という、第3回FFDQとしては最多の
票数を獲得することができました。
板としてもベスト8という結果は初めてであり、本当に
感謝しております。ありがとうございました。

昨日の試合で行ったアンケート結果をお持ちしました。
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1212098173/147-148
お祭り企画ですので、正確なものではないことを踏まえて、
気楽に見ていただければ幸いです。
248名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/17(木) 00:52:50 ID:Ye5cItM10
>244,247
乙でした!
アリーナ2位、DQ4 2位とはすげえな!
249名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 04:53:32 ID:4h50EsO20
DS4の新嫁デボラにアリクリ子孫疑惑があると聞いてすっ飛んで参りますた
250名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 11:27:53 ID:QY4j4hXP0
DS5やってる。
新嫁デボラは武闘家タイプで二回攻撃+ザキ使い。マジ強い。
クリアリの子孫かよ!とおもた。
251名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 22:13:34 ID:J+66qv8nO
デボラも勇者の血を引いてるんだよね?
ということは・・・
252名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 22:15:23 ID:kV0X8G9R0
つまりクリアリの子と勇シンの子が
253名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 22:21:26 ID:UX8XjHQ80
>>252
4が女勇者の場合はどうなるんだw
254名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 22:21:40 ID:2lsWKNOL0
性格的にはどっちかっちゅーと
ビアンカ=アリーナ  フローラ=ミネア  デボラ=マーニャ  って感じだけどな。
255名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 23:28:56 ID:i18ygTgD0
初DQ5プレイで、元気ッ娘が好きだから嫁はビアンカにしようと思ってたのに、デボラと迷うじゃないか!
ていうか、みんなプレイ早いな。まだ妖精の国をうろうろしてるよ。
256名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/19(土) 23:43:59 ID:2lsWKNOL0
>>255
いや・・・自分(>>254)も、いま妖精の国をうろついているぞ。
(しかもすぐ気絶しそうになる。城はおろか、洞窟にもなかなか近づけない・・・)
ただ公式で見れるムービーやその他をいろいろ見て、デボラはマーニャっぽいかな?と思った次第。
(ビアンカとフローラは以前から知っているしね)
257名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/21(月) 23:05:50 ID:b04/Huz8O
>>252
格闘2回攻撃でザキ使いで勇者の血をひいてるとなると
クリアリの子と勇シンの子が
結婚してできた子の子孫に違いねぇ!
と一人妄想してたが皆考えることは同じなんだねw
258名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/22(火) 23:18:38 ID:7kJzfZQaO
クリアリ一家と勇シン一家が登場するほのぼのSSを見てみたいなんて我が儘を言ってみるテスト。
259名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/24(木) 23:10:31 ID:BMquDs7E0
ほすほす。
260名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/25(金) 00:47:09 ID:VIoNg3zI0
てんちょさんところのアップロードに新作が上がってた!

クリアリアンソロも予約受け付け始まったねー
コミケで買うつもりだったけど、売切れとかあるんだろうか…?
261名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/28(月) 16:19:27 ID:akWccCsB0
こんなにも 逞しい 姫君と 旅する僕は
とてもひ弱で とっても臆病で ザキ好きなスケベなヤツさ

街角のモンスター 切り刻んで ちょっぴり僕に 微笑みながら
火照った体 そっと摺り寄せて 君はベホマをせがむんだ

オー・マイ・アリーナ ベホマしてあげよう
オー・マイ・アリーナ こんなにも愛してる
オー・マイ・アリーナ 二人黄昏に 肩寄せ歩きながら
いつまでも いつまでも 離れない夢を見るよ
262名前がない@ただの名無しのようだ:2008/07/31(木) 13:29:49 ID:NxCUk0nk0
盗んだバイクで走りだすクリフトが頭に浮かんで噴いた
263名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/01(金) 09:48:13 ID:ERxyJau70
1つ教えてくれ、どうやって皆アリーナとクリフトがくっついたこと知ったの?
俺はニコの動画ではじめて知った
264名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/01(金) 11:08:56 ID:Z8R1J9rw0
お前は何を言っているんだ
265名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/02(土) 06:55:17 ID:DumsFajs0
そんな動画あるの?
266名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/02(土) 18:27:42 ID:WbB10anU0
ヒャダインファンクラブの動画には、ちらっとアリーナ出てくるのは多いけどクリアリがくっついてるようなのはないよね。
馬車の〜は死んでも見たくない動画だし。
267名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/02(土) 19:28:11 ID:F75S45Q90
馬車の〜 の中に「公式で姫とくっつくのは自分なのに」って感じのセリフがあった。
弾幕で全否定されてたけど。

あれは知ってるサークルさんの絵がバンバン無断使用されててイライラする。
アンソロの表紙描いてる人は3人とも使われてたね。
268名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/02(土) 20:05:12 ID:6zFKYDF90
くっついたという表記なんかないからこそいいんであって
269名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/02(土) 21:31:52 ID:0PSY+Bte0
くっつかないとも限らない、ぐらいがいいんだよな
くっつくともくっつかないとも明言されたら萎えるだけ
270名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/03(日) 10:55:01 ID:m/sPhMMHO
「馬車の」で検索してもひっかからない…
ヒントプリーズ
271名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/03(日) 12:51:48 ID:T6PZ4bDj0
ライアンですが でニコニコ検索
272名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/03(日) 23:47:38 ID:/Q/kTiVk0
唯一あるのは、CDシアターの最後くらいかな。
ヒャダイン系でもこの人のは絵もうまいし、アリーナ沢山出てくるから好き。
ttp://www.nicovideo.jp/watch/nm4074147


豚切って、月刊wiki管です。
7月のアンケート答えて下さった方ありがとうございました!
単に私の興味本位だったのですが、PS>FC=DSくらいだろうと予想していたら、真逆の結果でちょっと驚きました。
さすがオリジナルは強いですね!

Q;プレイした/読んだ作品は?(08.07.01〜08.07.31)
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今月は夏らしく「クリアリのサマーバケーション行くならどこがいい? 」
個人的には、水の都スタンシアラをイチオシ致します。
イカダではなくて、ゴンドラだったらいいのに…
ttp://www13.atwiki.jp/kuriari/
273名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/04(月) 11:45:24 ID:BqACfxZu0
>>266
アレはネタ動画だからなw
すんげぇ下品な内容だし、取り合えず笑えればOKって感じのヤツだ
ネタ動画だけに、笑える人と笑えない人が分かれるのはご愛嬌

絵の無断使用は、使いどころがヒドイと確かに腹立つけどなw
274名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/07(木) 09:19:27 ID:pYvB3auL0
数日前にこのスレを発見して、貪るように読みふけってました。
なんと素晴らしいスレでしょう!
クリアリ好きな皆さんと職人さん、wiki管理人さんに感謝です。
クリアリ熱再び、です。

恥ずかしながら、勢いで自分でもSS書いてしまいました。
今日明日中に投下したいと思います。
275名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/07(木) 10:05:24 ID:JKVJnAw3O
期待Age
276名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/07(木) 16:12:28 ID:CLbcHpkv0
>>274
wktk
277274 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:06:45 ID:jGgtbFdC0
初SS、思った以上に長くなってしました。
投下します。
2781/5 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:09:06 ID:jGgtbFdC0
真夏の太陽が容赦なく照りつける。
サントハイムから南西。小さな島にひっそりと佇む海辺の村。
特に何があるわけではないけれど、人も少ない静かなこの村に来たかった。
久しぶりに城を出た開放感からか、少しもじっとしていられなくて、波打ち際へと急いだ。
白い波と砂が、心地よい冷たさで足に絡みつく。
太陽があんまり眩しくて、わたしは目を細めて振り返った。

「ねえ!早くいらっしゃいよ」
そんなわたしを見て、彼がいつもの穏やかな顔で笑う。
サントハイムの神官、クリフト。わたしの唯一の幼馴染。
「姫様、あまりはしゃぎ過ぎると、お疲れになりますよ」
「だって、二ヶ月ぶりよ?公務、公務の毎日で、そっちほうが疲れちゃうわよ」
「そうでしたね。昔の姫様でしたら、壁を蹴破って逃げていらしたでしょうね」
おかしそうに笑うから、ふくれっ面をしてにじり寄る。
「姫様は本当に辛抱強くなられました。大人になられたのですよ」
「わたしだけじゃないわ。クリフトだって、そうでしょ?」
「そうですね。私も…」
クリフトの綺麗な瞳が、微かに揺れた。
どうして、そんなに寂しそうな目をするの?
「大人になれば、いろいろな事が見えてきます」
どうして、そんなに辛そうな目をするの?
「もう、昔のままでは居られないのです」
違う。違うわ。
「そんなことないわ。大人になったって…」
わたしは知っている。気づいている。
2792/5 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:10:21 ID:jGgtbFdC0
強引に城を抜け出し、自由に生きてみたかったあの頃。
勘の鋭いブライとクリフトが後を追ってきた。
それはそれは疎ましかったけど、いつしか、一緒に居てくれることを有難く思った。
どんなに苦しい戦いの中でも、クリフトは何よりもわたしを護ることに必死でいてくれた。
その背中を見て、ようやく気がついた。

彼の心と、わたしの心。

いつも仲間にからかわれて真っ赤になっていたのは、そういうことだったのね。
思い返してみると、今更ながらに自分の鈍感さが恥ずかしい。
そんなにずっと前から想っていてくれたなんて。
だけど、彼は決して想いを口にしてはくれない。

臣下である聖職者と、王女。
幼い頃はそんな事気にもしていなかったのに。
大人になるにつれて、自分の立場と、わたしとの身分の違いが、鎖のように彼を縛り付けていた。
お堅いクリフトの事だものね。気持ちはよく解るわ。
でも…。

わたしの想いはどうすればいいの?
2803/5 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:11:45 ID:jGgtbFdC0
公務に追われて息が詰まりそうになっていた数日前。
突然、マーニャとミネアが訪ねてきてくれた。
「それがさぁ。クリフトの奴がどうしてもって言うからさ」
「アリーナさんが凄い形相だって仰るから…」
姉妹で顔を見合わせて、くすくす笑った。
かつての旅の仲間と過ごす時間は、自分が王女である事を忘れさせてくれる。
特に、同性の彼女たちの前では。
「相変わらず心配性ね、クリフトったら。でも、会えて嬉しいわ」
「全くね。相変わらずなのは心配性だけじゃないみたいだし、あの男は」
「ちょっと!姉さん!!」
「いいじゃない、別に。その様子じゃ、ちっとも進展してないんでしょ」
流石。なんでもお見通しなのね、マーニャ。
「あ〜あ。もう見てらんないわ。あんたのそんな湿気た顔。いつもの元気はどうしたのよ」
「…らしく、ないわよね」
「しょうのない奴らね。仕方ないから百戦錬磨のおねえさんが、いいコト教えてあげるわ」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら、やさしく頭を撫でてくれた。
「男ってね、本当に大切な人の前では情けないくらい臆病になるのよ。
それに、受身でいるなんてアリーナらしくないんだから。あんたがちょっと勇気を出してごらん。
そしたらね…」

彼女の言葉が耳から離れない。

そう。わたしが勇気を出せたなら…。
2814/5 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:14:03 ID:jGgtbFdC0
遠い水平線を眺めている瞳は、わたしの頭のずっと上。
いつのまに、こんなに背が伸びていたんだろう。
背伸びをしてもまだ足りないから、袖をぐいっと引っ張った。
一瞬、体勢を崩されて驚いた顔のクリフトが映ったけど、後は目を瞑ってしまった。
初めて触れる、温かくて柔らかい唇。
本当に、ちょっとだけ。すぐにクリフトの胸におでこを押し付けて、顔を隠した。
だって、きっと、真っ赤よ。わたし。

「姫様…」
初めて聞く、少し上ずった声。
「どうか…お赦しください」
耳元で囁かれた、小さいけれど熱っぽい声に、鼓動が跳ね上がる。
もう、立っていられないかもしれない。
波の打ち寄せる音が遥か遠くに聞こえた。
「アリーナ様」
細く長い指がすっと顎を持ち上げ、左手で腰を抱き寄せられる。
少し潤んだ瞳がゆっくりと閉じられた。
もう一度重ねられた唇は、さっきの幼いキスとは違っていて。
息が止まるほどの、長い、長いキス。

「今までずっと、決して姫様に触れてはならないと、心に誓っておりました。
感情に走ってしまったら、きっと私は自分を抑えられなくなってしまう。
ですが…姫様が私を赦してくださるのなら、私はいつか…」
沈黙が落ちた。それ以上は語られない。
だけど、あんなに欲しかった言葉なのに、今はもう必要なかった。
「いいのよ。わたしは今、言葉よりももっと大切なものを貰ったわ。
ありがとう、クリフト」
苦しいくらいに抱きしめられて、全身から伝わってくる想い。
それだけで、充分過ぎる。
2825/5 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:16:02 ID:jGgtbFdC0
「マーニャが言ってた事、本当だったんだわ」
思わず笑ってしまう。
不思議そうな顔をしたクリフトの唇に、人差し指を押し当てた。
「キスするだけでね、笑っちゃうくらい簡単に、世界は変わるものなんだって!」
そう言って、今度は自分の唇に指を当てた。
こんなに大胆になれるのは、やっぱり、夏のせいよね。
「いや…あの……そう、ですか…。マーニャさんでしたか。姫様をそそのかしたのは」
クリフトの顔が、見る見るうちに赤くなる。
情けない顔で何やらブツブツ呟いていたけど、一つため息をつくと、観念したように、
「やはり、女性には敵いませんね」と笑った。

海に抱かれるように沈んでいく太陽。大きな雲を紫に染めていく。
さっきよりも冷たくなった潮風が、頬を優しく撫でていった。
思うよりも、夏は早く過ぎ去っていくのかもしれない。

「やはり、姫様には敵わない…」

世界が二人の楽園に変わった日。
わたしたちは言葉にならない思いを確かめるように、何度も唇を重ねた。
283274 ◆HDjZd37Phw :2008/08/08(金) 01:19:40 ID:jGgtbFdC0
以上です。
勢いで書いてしまったので、何がしたいんだか…お恥ずかしい。
お付き合いいただいた方ありがとうございました。
そして、ごめんなさいw
284 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 05:56:32 ID:ZpQgBA8q0
おはようございます。てんちょです。

>>274
初々しい二人がすごくよかったです。
クリフトはアリーナには一生頭が上がらなさそうですね。

>>260
あれれ、見つかっちゃってましたかw
新作の他に、今までのも加筆修正しています。

>>274さんの直後にうpするのはどうかと思いましたが、
今日からしばらく留守にするので投下します。
内容は前回の「父の日」の長編バージョンです。
ろだ用に書いたものですが、よろしければお付き合い下さい。
285父の日(長編)1/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 05:57:38 ID:ZpQgBA8q0
ある初夏の日、ここサントハイムでは久々の好天に恵まれた。
先週からずっと続いていた長雨も、ここらでしばし一休み。
城内の洗濯場では、整然と列をなした洗濯物が風で勢いよくはためく。
だが、日が落ちてからは異常なほどの蒸し暑さに見舞われた。
特に賄い場では、鍋や釜から出る熱気もあってか、灼熱のようだったという。
かくて、今年初めての熱帯夜となった今夜は、暑さで眠れないと嘆く声が
あちこちで上がっていることだろう。

「ふう、今日もすっかり遅くなってしまった」

勤めを終えたクリフトは、凝った肩をとんとんと軽く叩き、
疲れて棒になった足を引きずるように寝室へと向かっていた。
音を立てぬよう静かにドアを開けると、これでやっと休めるという安堵感と同時に、
疲労による鉛のような重みが、長身の痩躯にずしりとのしかかってきた。
高位の象徴である厚手の法衣も、今の彼にとっては重厚な鎧に等しい。

クリフトは上着を手早く二つ折りにし、そっと椅子にかけた。
詰襟のボタンを外すと、うだるような暑さが少し和らいだ。
わずかに開いた出窓のすき間から入る風も、一服の清涼感をもたらしている。
クリフトは、ふと月明かりに目をやった。
差し込んだ淡い光に当てられた何かが影となって、自分にまとわりつく。
手にしたランプを影の主の方向にかざすと、机の上にぽつんと小さな箱が。

(なんだろう、この箱は…?)

外見からして、特に不審なものではなさそうだ。
クリフトは、ランプを隅に置いて包みを丁寧に開き、箱の蓋を開けてみた。
箱の中身は、最高級のなめし革で作られた男性用のベルトであった。
中央の部分には、王国の紋章が彫られた銀製のバックルが付されている。

「そういえば、あの旅が始まってからずっとこれだったな」
286父の日(長編)2/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 05:58:18 ID:ZpQgBA8q0
クリフトは懐かしそうに笑みを浮かべ、自分の胴に視線を移した。
かなり前から愛用している今のベルトは、今ではすっかりくたびれていた。
革のあちこちが傷んで擦り切れ、バックルの紋章も朧月のようにかすんでいる。
幾度となく修理を繰り返してきたが、もうそろそろ限界だろうか。
もともと物持ちのよいクリフトでさえ、新調が必要だと考えていた。
当初は教会からの支給品かとも思ったが、それにしては高級感がありすぎる。
新調の申請は、忙しさを理由に未だできないままになっていたので、
おそらく教会からのものではないだろう。

「あ、クリフト。お帰りなさい。今日もお疲れさま」

クリフトが訝しげな顔でベルトを眺めていると、
白いローブを羽織ったアリーナがベッドから起き上がり、彼を出迎えた。

「すみません。起こしてしまいましたか」
「ううん、今ベッドに入ったところ。さっきまでここで座って待ってたから」

アリーナは軽く笑い、斜めにずれたナイトキャップを両手で手早く直した。
二人が国の内外から祝福を受け、結婚したのは昨年の晩秋のこと。
クリフトは神官としての職務に、アリーナは王族としての公務に追われ、
自由な時間を作ることすらままならない日々が、延々と続いていた。
それでも、仲違いすることなく円満に過ごしてこられたのは、
貴重な夫婦水入らずの時間を大切にし、互いの意思疎通を図ろうとする
二人の努力の賜物といえよう。

クリフトがランプを明るめに調整したあと、二人はほぼ同時に椅子へと腰掛けた。
月明かりとランプの光が溶け合い、不思議な色合いを生み出している。
クリフトは送り主が不明のベルトを指差し、アリーナに尋ねた。

「ところで、このベルトはどなたからのものでしょうか?」
「ああ、それ?わたしからよ。父の日のプレゼントとして選んだの」
「父の日、ですか…?」
287父の日(長編)3/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 05:59:06 ID:ZpQgBA8q0
父の日。
それは、父親への日頃の感謝の気持ちを表わすため、
こことは異なる世界の、とある国で始まったとされる行事。
平和が訪れてからというもの、異世界の各地より伝わった行事や風習が、
こちらの世界でも、少しずつ取り入れられるようになっていった。
いつ魔族からの襲撃があるかわからない数年前までは、
人々はその日を生きるのに精一杯で、そんな余裕など皆無に等しかった。

クリフトは、勉学のかたわら、異世界の歴史や風習の書物を読み漁ってきた。
幼少の頃は、雨で外に出られずにふてくされるアリーナの機嫌を直すため、
面白そうな話を吟味しては彼女に読み聞かせていた。
人一倍好奇心の強いアリーナは、目を輝かせてクリフトが語る物語に聞き入り、
まだ見ぬ未知の世界に思いを馳せていたものだ。

「ありがとうございます。そろそろ新調しようかと思っていたところです」
「それは…気に入ってくれた、って解釈でいいのかしら?」
「もちろんです。たしかにそのとおりなのですが…」
「あら、なにか気になることでもあるの?」

明らかに何かを知っている素振りを見せながらも、アリーナは軽い口調ではぐらかす。
答えてくれないなら、まずは外堀から埋め、少しづつ聞き出すしかあるまい。
クリフトはそう考え、くすぶる疑問を投げかけた。

「ええ。父の日でしたら、私ではなく陛下…いえ、義父上にこそふさわしいかと」
「お父さまにはちゃんと別のものを用意したわ。これは間違いなくあなたへの贈り物よ」
「あの…おっしゃっている意味が、よくわからないのですが?」

アリーナの真意が理解できず、クリフトはますます困惑を強めるばかりだ。
そんな彼をよそに、アリーナは含み笑いを浮かべながら、
どうして早く気がつかないのかと言わんばかりに、小粋なため息をつく。
288父の日(長編)4/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 05:59:43 ID:ZpQgBA8q0
「だって…あなたも来年は、父親になるんですもの」
「えっ?では、あの、その…」
「そうよ。わたしたちにも、やっと赤ちゃんができたってこと」
「ええっ、あ、あ、あ、赤ちゃんが、ですかっ!?」

アリーナの予想外な答えに、クリフトは驚きの声を上げ、椅子から立ち上がった。
そのあまりの勢いに、椅子は激しい音とともに床へと転げてしまう。
が、目の前の新妻はあくまで想定の範囲内、といわんばかりの冷静な表情。
夫君の驚愕も椅子の転倒も、さほど気には留めていないようだ。
口元に手を当ててくすくすと笑いながら、倒れた椅子の足に手をかける。
自分の仕出かしたことに気づき、苦笑いを浮かべたクリフトもすぐさま手伝い、
椅子を元の位置に戻した。

「す、すみません。あまりに突然の話で、気が動転してしまって…」
「ふふっ、謝らなくていいわよ。別に気にしてないから」

顔を真っ赤にして頭を下げるクリフトを見て、アリーナの顔はさらに破顔した。   
慌てふためく様子の中にも、喜びでほころぶ表情を見逃さなかったからだろう。

「もうわかったでしょう?これはね、わたしを大事にしてくれている
 誰かさんに贈る、わたしとこの子からのプレゼントだってこと」

アリーナは自分の下腹部にそっと手を当てたあと、クリフトの両手を取り、
プレゼントの品であるベルトをしっかりと握らせた。
そして、忙しさにかまけて日頃なかなか口にできない感謝の気持ちを、
彼女らしい飾り気のない率直な言葉で締めくくる。
 
「おめでとう、お父さん」

アリーナの一言が、クリフトの胸を強く打った。
これが親としての自覚に目覚めた瞬間か、といわれると返答に苦慮するが、
自分が父になるのだ、という実感は少しづつクリフトの心を満たしていく。
289父の日(長編)5/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 06:52:11 ID:3MkxHAAW0
「身体に気をつけて、元気な子供を産んでください」

クリフトは、穏やかな双眸で自分を見つめる新妻の肩を引き寄せた。
アリーナの方も、夫君から発せられた引力に逆らうことなく、
新しい生命を宿した身体ごと、そのままクリフトの胸に頬を寄せる。   

早くに両親に先立たれたクリフトは、親の愛情を知ることなく育った。
もちろん、彼が誰からも慈しみを受けなかったわけではない。
幼年期を過ごした孤児院の神父や神学校時代の司祭、
それに妻となったアリーナのかつての教育係だった老賢者、ブライ。
彼らは皆、厳しくも温かい眼差しでクリフトの行く末を見守ってくれていた。

実の両親の情とは似て非なるものとはいえ、今日の自分があるのは
尊敬すべき恩人たちのおかげだ。
クリフトは、一度たりとも感謝の心を忘れたことはなかった。
だからこそ、もしも我が子をこの手に抱く機会があるのなら、
自分が彼らから受けたように、できる限りの愛情を注ごうと心に決めていた。

それは、物心つかぬうちに母を亡くしたアリーナも同じ思いだった。
だが、二人が描く今後の設計図には微妙なずれがあったようだ。

「さて、子供が無事に生まれるまで…」
「そうね、赤ちゃんが生まれてくるまで…」

「もっともっと身体を鍛えなくっちゃ!」
「今まで以上に無茶は慎んでもらわねば!」

それぞれの最後の台詞は、やはり不協和音に終わった。
一瞬の沈黙のあと、きょとんとした顔で互いの顔を見つめる二人。
アリーナは真っ先に抗議の声を上げようとしたが、先にクリフトが手を打った。
290父の日(長編)6/6 ◆ByK7Tencho :2008/08/08(金) 06:53:27 ID:3MkxHAAW0
「ということで、明日からの稽古はしばらく中止です。大事なお身体に障りますゆえ」
「冗談じゃないわ。そんなことしたら、身体も腕もなまっちゃうじゃない!」
「だめです。もう自分お一人の身体ではないのですから、どうかご自重ください」
「イヤよ。いくらあなたのお願いでも、これだけは譲れないわ!」

クリフトに念を押され、ぷいっと横を向いてすねる仕草を見せたアリーナ。
しかし、面差しこそ少女のあどけなさを残すものの、もう昔のおてんば娘ではない。
母となる心構えの整った、芯の強い大人の女性の姿であった。

(…まあ、赤ちゃんがいるんだから、今回は仕方ないわね。お腹が大きくなったら、
 さすがに苦しくなりそうだもの。稽古は二日に一回くらいに減らしておくわ)

一方、クリフトはへそを曲げた新妻をなだめようと、あたふたするばかり。
そのせいか、アリーナの機嫌がすでに直っているのにも気づかないままだ。

持ち前の機転のよさで、時に夫君を出し抜くほどまでになったアリーナだが、
他人が聞けば笑われかねない少々子供じみた趣向が、一つだけある。
それは、冷静沈着でどこにも間隙のないはずのクリフトが
慌てふためいた時に見せる、困惑の表情と狼狽の仕草をこっそり楽しむこと。
アリーナいわく、普段のクリフトと正反対なところがたまらないらしい。

面白いから、気がつくまでしばらくそのままにしておこう。
笑い顔を手で隠し、大げさに不機嫌なふりを続けるアリーナであった。


(おわり)
291名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/08(金) 13:43:11 ID:8biGijt90
>>274さんもてんちょさんもGJ!!
292名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/08(金) 16:07:16 ID:w1Ut7mF60
たくさん投下キテル!!!
>>274
雰囲気があって、2人の想いが切なくて、すごい良かった!
まさに「クリフトとアリーナの想いは」って感じでしたGJ!
>>てんちょ
相変わらずほのぼのラブラブな2人にGJ!!
293名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/09(土) 20:51:20 ID:ZwMhc4/80
48kg級でヤワラちゃん負かして優勝した人「アリーナ」だね
294名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/09(土) 21:03:15 ID:ZFwH28Z9O
>>293
あんなおばちゃんをヤワラちゃんと呼ばないでくれ
295274 ◆HDjZd37Phw :2008/08/10(日) 00:01:11 ID:LyqLkKnh0
>>てんちょさん
初めまして。いつも楽しく拝読しております!
てんちょさんのは二人がとってもほのぼのラブラブで可愛いです!
クリフトがお父さんになるのかぁ…(妄想中)
女の子だったら、アリーナと娘ちゃんにメロメロになっちゃうでしょうねw

>>291-292
ありがとうございます。
雰囲気出てましたでしょうか?
「好き」「愛してる」を使わずに想いを遂げさせるには…をテーマに
初SS挑戦してみました。

いくつかネタがあるので、纏まったらまた投下させて下さい。
296名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/10(日) 01:42:57 ID:OlP+ximn0
二本一挙投下とか反則です!!二人ともGJ!!!!

>278-283
バカンスもの、誰か書いてくれるのをこっそり待ってました!!
初々しいのにラブラブなアリクリごちそうさまでした。

>285-290
子供の頃のクリアリ好きなので、卒業試験の続き楽しみにしてます。
クリフトの狼狽えっぷりがかわいいすぎて、アリーナの気持ちも分かります!
297274 ◆HDjZd37Phw :2008/08/11(月) 20:32:23 ID:58fEluQy0
>>296
ありがとうございます。
思いっきりイチャイチャさせたくて、人気のない所を選んでみましたw

今取り掛かっているのは、半分くらい書きあがりました。
ただ、私のはどうしてもアリ→クリになってしまいます。
もっと攻めのクリフトを格好よく書きたいんですけど…。
298名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/16(土) 10:22:46 ID:sl6QLx0j0
保守
299 ◆HDjZd37Phw :2008/08/18(月) 01:22:19 ID:M2AAK5Dj0
こんばんは!
>>297で書いていたモノがちっとも進まず…
あんまりクリアリにはならなかったのですが、別のを一本書いてみました。
ミントスのイベントです。
初めて4をプレイしたとき、ここでかなりクリアリに萌えたのを覚えてますw
よろしければお付き合いくださいませ。
3001/3 ◆HDjZd37Phw :2008/08/18(月) 01:33:08 ID:M2AAK5Dj0
私がミントスの町で倒れたのは十日前の事だったらしい。
「らしい」というのも、人事不省に陥っていたからなのです。
「クリフト!しっかりして。イヤよ!!」という姫様の絶叫を最後に意識が遠のいていって…。
あれから十日も経っていたなんて、思いもよりませんでした。

目が覚めると、姫様の泣き腫らした赤い目が私を覗き込んでいました。
「ひ…ひめさま?」
起き上がろうとした私を制し、再びベッドに横たえさせてくださいます。
「ああ、よかった!気がついたのね!もう大丈夫。お薬が効いたのよ。
ごめんなさいね。ずっと無理させてきたから…。
クリフトの病気ね、旅の人たちが治してくれたのよ。
それに、その人たちもデスピサロを追ってるんですって!多分一緒に行く事になると思うわ。
もう一度お礼も言いたいし、私はちょっと話してくるからね。
絶対起きちゃだめよ!あなたはゆっくり休んでて」
一気にまくし立てると私に背中を向け、足早に出て行かれました。
その後姿をぼうっと見送った後、私は再び瞼を閉じました。

どのくらいうつらうつらしていたのか。枕元に人の気配がします。
「起こしてしまったかの」
言葉とは裏腹に、ブライ様は何か言いたげなお顔で私を見下ろしていました。
きっとかなりのご迷惑をおかけしたのでしょう。
お叱りを覚悟で「一体、この数日どうしていたのでしょう?」と、それまでの経緯を伺いました。
「おぬしが倒れた後の姫様の取り乱しようは凄まじく、それはそれは尋常ではあらせられなんだ」
皺枯れた声がますますかすれています。
ブライ様は疲労困憊、精も根も尽き果てたといったご様子でしたが…

姫様が取り乱すほどに私を心配してくださっていた!
嗚呼!なんと身に余る光栄でしょう!!

…いやいや、そんな不謹慎な事を言ってる場合では……。
3012/3 ◆HDjZd37Phw :2008/08/18(月) 01:35:49 ID:M2AAK5Dj0
私の心の声が聞こえたのか、ブライ様は大きな咳払いをしてからお話を続けます。
「姫様は町で、不治の病もたちどころに治してしまうというパデキアの噂をお耳にされてのう。
わしがお止めするのも振り払い、早々にお一人でご出立なされたのじゃ」
矢も盾もたまらなくなったブライ様は、宿屋で偶然出会ったソロさん達に助太刀をお願いなさり、
すぐさま後を追ってソレッタに向かわれたそうです。
「ソレッタでは既にパデキアは絶えておった。唯一、種が洞窟にあるだけという有様でな。
今では多くの魔物が住み着いて、踏み入る者は誰も居ない。
しかし姫様のことだから必ずそこに居られると確信したんじゃ。
案の定、どこの馬の骨とも分からぬ連中を引き連れて魔物と戦っていらしたわい」

そこまで聞いて、私は卒倒しそうになりました。
例えこの身が果てようとも、姫様をお守りする事こそが我が使命だというのに!
その姫様を私のせいで危険に晒してしまうとは、なんと情けないことか。
しかもどこぞの馬の骨と一緒だなんて!
許すまじ、馬の骨!!

…いえ、別に、やきもちを妬いている訳ではないのですが……。

ブライ様が今度は鋭い眼光で私を射ておられます。
「あ…ええっと…それから、どうなさったのですか?」
余りに痛い視線に、私は先を促しました。
「結局パデキアを手に入れたのはわし達でな。姫様はそのままミントスに戻られたのじゃ。
今回の件でご自分の無鉄砲が身にしみたはず。以後自重してくだされと申し上げた」
ブライ様は相当きつくお説教なさったのでしょう。

「しかし『クリフトがあんなになってるのに、黙って見てろっていうの?!』と逆にお怒りになられた。
まったく。おぬしのせいで散々じゃったわい。
回復魔法の使い手なら、自分の管理もしっかりせい!しゃきっとせんか、このうつけが!!」
洞窟の寒さと姫様の反撃が骨身に応えられたのか、ブライ様はいつにも増して語気が荒くなっています。
ちょっとやそっとじゃお怒りは解けそうにありません。
「ご迷惑をおかけしまして、面目もございません!」

がばと平伏した所に、姫様とソロさん達が入って来ました。
3023/3 ◆HDjZd37Phw :2008/08/18(月) 01:39:55 ID:M2AAK5Dj0
「またクリフトに厭味言ってるの?病み上がりなんだから、そっとしておきなさいって言ったでしょ。
クリフトは気にしなくていいのよ、ブライの言う事なんて」
「申し訳ございませぬ。ですが、小言の一つや二つ言わないと気が済みませんでな」
「クリフトのせいじゃないわよ!だって、クリフトに頼りっぱなしで負担をかけてたのは私達よ」
「ええ、ええ。分かっておりまする」
ブライ様はいかにも「面白くない」といった目で私を一瞥した後、姫様と暫し睨み合い、
どちらともなくぷいと顔を背けると、それぞれに部屋を出て行かれました。

お二人の間で身の置き所のない思いでいた私に、ソロさん達が囁きます。

「おお、怖い。あれじゃ身も蓋もないわねぇ」
「私もいつも妻と子に挟まれて悩むんですよ。どっちに付いても角が立つ。
いやぁ。身につまされますよ」
「クリフトさんも大変ですわね。今度はご心労で身が細らなければいいのですが…」
「あの二人っていつもあんな感じなのか?おまえ、身、持つか?」

皆様が口々に憐れみの言葉をかけてくださいます。
この短時間で私の置かれている立場がどのようなものか理解なさっている。鋭い洞察力です。

私は今までの、そしてこれからの道中を思うと、くらくらと眩暈に襲われました。
お二人の仲違いの間に立たされるのは、毎回私だったのですから。
姫様大事!は勿論なのですが、かといって、ブライ様も決して蔑ろには出来ない御方だし…。

「こりゃ、身の振り方に悩むだろうなぁ」

私の気持ちを代弁してくれたソロさんの前で、私はただただ、うな垂れるしかなかったのであります。

303 ◆HDjZd37Phw :2008/08/18(月) 01:47:56 ID:M2AAK5Dj0
以上です。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
アリーナの気持ちがクリフトに向かいつつあって、
それに気づいたブライが不機嫌になる。
なんて妄想をしてみましたw
リメイク版だとパデキアの洞窟、楽しそうなんですけどね。姫様w
304名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/19(火) 22:23:33 ID:/FnV00kAO
 
305名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/20(水) 18:33:04 ID:XIANz8nOO
ごちそうさまでした
306名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/21(木) 22:57:18 ID:TOFOCWicO
ほしゅ
307名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/22(金) 10:54:51 ID:AGvlBb000
>>303
ミントス話、大好きだ!
姫様がクリフトを大事にしてる感じがすごい良かったです
ブライやきもちww
308名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/22(金) 22:52:26 ID:YSzW4OIK0
>303
GJです!
私もクリアリに目覚めたのパデキアの所だったので、このイベント大好きです!
クリフトを看病しているアリーナを想像しただけで萌える!
309名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/22(金) 23:31:09 ID:ax2l0TQo0
>303
遅ればせながらGJ!
このイベントはクリアリの転換期だと思ってるので萌えました〜
「大丈夫だって言うのをみねうちして大急ぎで宿屋まで運んだんだから」
っていう姫がもうかわいくてかわいくてww
310名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/25(月) 20:12:55 ID:iEc6i9BVO
age
311 ◆HDjZd37Phw :2008/08/28(木) 00:12:57 ID:CXBOM0SM0
やっぱりクリアリ語るなら、このイベントは外せませんよね!
リメイク版のセリフはちょっとイメージ壊された部分もあるんですけど…
それでもミントスはかなり萌えますw
洞窟で「クリフトは私が必ず助けるわ!」って意気込んでるのが、もう!!!
FCだとたしか「私たち」だったような…。
そしてブライのネチネチした数々の愚痴も、
二人の仲が急速に接近してくのを物語っている気がしてw
312名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/29(金) 20:11:32 ID:vYBs7wDy0
小中時DQ3・4(勿論FC)やっただけ、PSもDSも触ったことないオバサンです。
「クリアリ」という萌えジャンルがあることを最近知りました。
3と4は音楽が特に素敵で気に入ってたんですが(オケCDは今でも聴いてます)
4は章仕立ての物語なところがさらに面白かったのですよね。
2章の冒頭のセリフ、たったあれだけで、ちょっとした少女漫画を読んだ後の
ように、切なくさせられたのを憶えています。
大団円に、二人の行く末が暗示すらもされてないのがチョイ消化不良気味で…

その後社会人になり長いこと忘れていたのですが、ふとしたきっかけで覚醒し
(以前から好きな有名少女漫画のファンサイトを渡り歩いていたら、設定が
ソックリなキャラとして挙げられてた。男勝りの姫さまとヘタレ従者という)
最近ではなぜかその古典的名作漫画よりハマっています。
たったあれだけのセリフで、アリーナとクリフトを幸せにしてあげたい!
って思ってた人、私以外にもたくさんいたのですね。

現在、ある試験を控えているにもかかわらず、勉強そっちのけ。
音楽も画像も美しいというPS版がやってみたくて仕方ありません。
30すぎてからのオタク化は、なまじ財力がついている故に
一度切れたら暴走しそう…
長くてすみませんでした。(イタすぎて、周囲には誰にも話せないんだもの)
313 ◆HDjZd37Phw :2008/08/29(金) 20:44:10 ID:tTFXJ8C20
すいません!
感想をいただいておきながら>311でお礼が抜けておりました!!
改めまして、ありがとうございます。

>312さん
歳、近いですねwうふふ。
>二人の行く末が暗示すらもされてないのがチョイ消化不良気味で…
そうなんですよね!消化不良…
でもだからこそ、根強いファンがいるのかも!
想像(妄想?)でいかようにも料理できますからww

リメイクのセリフ集を見ていたら、無性にミントス後日談書きたくなりました!
急いで書いたのでとっちらかってるかもしれませんが、投下させてくださいね。
よろしくお付き合いくださいませ。
3141/2 ◆HDjZd37Phw :2008/08/29(金) 20:46:54 ID:tTFXJ8C20
パデキア騒動から数日後―――。

「まだ少しふらつきますけど、もう大丈夫です。
姫様ブライ様ばかりでなく、皆様にまでご迷惑をおかけして……」
恥じ入ったようにクリフトが深々と頭を下げる。
「本当に申し訳ございません!私にできることがあれば何でも仰って下さい」
「謝って済むことか。今まで以上に扱き使ってくれるわ、阿呆め!!」
相変わらず手厳しいブライは、クリフトの方へは見向きもせずにぴしゃりと言い放ち、
御者台に腰を下ろした。

それを見たマーニャが、まるでステップを踏むように軽やかにクリフトの隣に寄ると、
自分よりも高い肩に右腕を回し、ぽんぽんと叩いた。
「まぁ、いいじゃないのさっ!無事で何より。人助けもたまにはしてみるもんだわ。
若い男が身近にいるっていうのはいいモンよね。張り合いがあるわよ、うん!」
「俺だって若い男だけど?」
「あらぁ。そうだったわね、ソロくん。御免遊ばせぇ」
マーニャがおどけて笑う。今度は左腕を絡め、クリフトに抱きつくような格好になった。
「姉さん!クリフトさんが困ってるわよ」
ミネアが諌めると、マーニャはクリフトの顔を仰ぎ見て、盛大に吹き出した。
「あはは!!なんて顔してんのよ、堅物!
……それにもう一人、こわ〜い顔の子がいるわね」

皆の視線が一斉にアリーナに注がれた。
「わ、わたしは別に…そんな……」
アリーナは耳まで真っ赤になりながら、口を尖らせてぷいっと顔を背ける。
そしてわざとらしく声を張り上げた。

「あーあ!結局またブライやクリフトと一緒なのね。つまんないのー!!!」

3152/2 ◆HDjZd37Phw :2008/08/29(金) 20:49:10 ID:tTFXJ8C20
「…あんなこと、言ってますわよ」
「クリフトは私が助けるわ!って、そりゃあもう必死だったのにねぇ」
「眼なんかうるうる潤んじゃっててさ。可愛かったよな、アリーナ」
クリフトの顔もパパパっと赤く染まり、口篭る。
「ど、どうも…ご、ご迷惑をおかけしまして…」

気付けばアリーナはパトリシアよりも遥か前方へ。
両腕をぶんぶん振って、大股で歩いて行く。
「照れるな照れるな〜!」
「墓穴掘ったわねっ」
仲間の楽しそうな野次が飛んだ。

「やれやれ…余計な事は言わんでいただきたいのう。阿呆が調子に乗ると困りますゆえ。
…かしましいのやら、むさ苦しいのやら……先が思いやられるわい」
ブツブツと、それでも周りにしっかり釘を刺すようにブライが言った。
「旅は道連れ世は情け!いいじゃありませんか!人数が多いほうが旅も楽しいってもんです。
それに、ブライさんもなかなか大慌てでしたよね」手綱を握るトルネコが片目を瞑る。
「パデキアの種を手に入れてからは、早くパデキアをクリフトに!
早く早く!!と何回言っていた事やら。十は超えてましたね。ふふふ」
抜け目の無い商人は、数勘定もしっかりしている。
ブライはバツが悪そうに、それでも次には精一杯の渋い顔を作り直して
「覚えておらんな」と、白を切った。

苦笑いを浮かべながらもクリフトは、何ともいえない温かさが胸を満たしていくのを感じた。
アリーナの背中がさっきよりも更に遠くに見える。
クリフトは走り出した。
 
「姫様!お一人では危ないですよ。お待ちください!!」

                                  
                                   (終)
316名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/29(金) 21:00:41 ID:gfhdrY6v0
不覚にもトルネコGJと思ってしまったw
317名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/30(土) 01:15:55 ID:ieJPiLB5O
俺もw
そしてなんだかんだでクリアリSSには
マーニャはいつも一役かってるんだよな
マーニャが茶化すとクリアリの距離が縮まるというか
ツンデレブライ可愛いGJw
318名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/30(土) 15:13:16 ID:TWKre4DQ0
皆のお父さん的トルネコが好きだ!
クリアリも好きだけどその周りの仲間たちもいいんだよな
だからきっと自分はWにはまってるんだと思う
319名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/30(土) 15:39:09 ID:qKdNUe6d0
>312様
同世代かと。。
FC時代もアリーナ、クリフト大好きでしたが、DSやって再燃。
是非もう一度プレイされることをおススメします☆

>313様
ナイスですぅぅぅ!
思わずこっちの顔がホッコリしてしまいました(*^-^*)
Wの仲間っていいなぁ・・・。

320名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/30(土) 16:28:52 ID:txPr3dBO0
(*^-^*)ホッコリ
321名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/30(土) 23:25:49 ID:M08CPZKH0
GJ
萌えた…
ブライに
322名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/08/31(日) 05:07:24 ID:qAvE4gUr0
2章キャラは全員萌えキャラだからな
323 ◆HDjZd37Phw :2008/09/01(月) 00:22:08 ID:5OptxAAz0
感想下さった方々、ありがとうございます!
おおっ!!ブライとトルネコ大人気w
クリアリ萌えを書かねばならないのに……
でもセリフ見たときに、この二人、美味しいなとww
書いていても楽しかったです。
そして、やはりマーニャがやってくれるんですよね〜。
自分を投影しやすいというか…
中学生の恋愛を傍からヤイヤイいう感じでw
4はキャラの役割分担がしっかりしてるので大好きです!

ところで、皆さんはクリアリのどんなシチュエーションに萌えますか?
私は最近『悩み多き神官と、悩みはするけど行動派な姫』が脳内で…
324名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/01(月) 10:34:47 ID:pBL14wTFO
クリフトがマーニャもしくはミネアといるのを変に誤解したアリーナが、その場をダッシュで離れるんだけど
そこで初めて自分はクリフトが好きなんだと自覚
追っかけてきたクリフトにえらくドキドキ

そんなシチュエーションに萌えるノシ
325名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/01(月) 17:04:40 ID:m0juG1y/0
クリフトのことを大好きだけど恋愛感情とは気づいてない鈍感アリーナ
自分の恋心は自覚しているが真面目さ故にそれをひた隠すクリフト
そんな2人を見てイライラやきもきしながらも温かく見守る仲間達ノシ
326名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/01(月) 23:53:30 ID:S2vwSpdw0
>325
私もそういうシチュ大好きだー
あとは寸止め大好き。寝てるアリーナにキスしようとして息がかかる程まで近づくけど、結局できないヘタレというか真面目っぷり。
327名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 00:33:13 ID:lOXLV6Fy0
当たってるのも気にせず(というか問題行動の自覚なし)に
所構わずクリフトにしがみついたりたまにほっぺた摺り寄せてくるアリーナで
328 ◆HDjZd37Phw :2008/09/02(火) 01:15:47 ID:3mOVZMZD0
ヤバイ!全部のシチュに萌えます〜!!!!!

総括すると、にぶちんアリーナが萌えポイントですかね?
そして「ここはもうイッとけよ、オマエ!」な状況でも、手が出せないヘタレ神官とかw
やっぱりこの二人には、旅の間は絶対にプラトニックであって欲しいなぁ…

ちょっと異色かもしれないけど…
クリフトがジキルとハイドみたいな二重人格になるっていうのも面白そうw
クリフト悪魔神官化ww(というかククール化)
329名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 20:45:40 ID:AjqyRuZC0
暗黒クリフトはファンサイトじゃよく見るけど、このスレじゃほとんど見ないねー
黒フトだと、アリーナと絡ませると難しいんじゃないかな。
悲恋どころか、地の果てまで落ちていきそうな展開になりそうだしww
330名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 21:24:22 ID:lOXLV6Fy0
黒フトはもはやクリフトじゃないからなー
たとえ設定が同じでも性格が変わったらもうクリフトじゃないわ
331名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 22:19:06 ID:i9iOO3fSO
初っ端から黒なのはあんまりだが、戦いの毎日に疲弊して黒フト化するのは嫌いじゃないな
姫さまきっかけで自分を取り戻してくれるのが前提なんだけど
白→薄墨色→どど黒→(クリフトは王女の愛を手に入れた)→清濁併せ呑む聖者グレーが理想です
332名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 22:52:57 ID:yTzcryNk0
ベルバラじゃないけど。。
アリーナが、クリフトの意外な逞しさにドキっとするようなのが
萌え〜〜〜でつ。
333名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 23:13:24 ID:3mOVZMZD0
真っ黒黒フトはやはり苦手です…。
ちょい腹黒なら美味しくいただけるんですけどw
クリフトは神官であってこそ!だと思うんですよね。
↑のは、何かのきっかけで軟派クリフトになっちゃって、アリーナやきもき…
とか妄想してましたwあたるとラムみたいなラブコメでw
でもやっぱりクリフトじゃなくなっちゃいますね〜。イクナイ!!
>332さんの意外な一面に惹かれていくっていうのも、萌えますw
クリフトの意外な…ってなんだろう?ううーむ…。

最近“いたストのクリアリ”と“リメイクのクリアリ”に悩まされてます。
いったい君達はどっちなんだーー!!!!と。
希望としてはいたストですがw
334名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/02(火) 23:37:21 ID:1CE8hCnG0
>クリフトの意外な一面


胸毛


335名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/03(水) 01:31:42 ID:AvSA1Lyb0
胸毛吹いたwww
DS版からの新しいセリフで、クリフトが鏡を見ると「こんなところに剃り残しが!」だっけ?
クリフトにもヒゲ生えるのか〜(そりゃ生えるんだけど)と意外だった。
ペギーさんのひげ剃りの話も好きだったなぁ〜
336名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/03(水) 19:24:17 ID:7AlChHwzO
黒フトも結構好きだけどなw
アリーナにちょこっと強い所も見せてほしい
337名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/03(水) 22:43:03 ID:63eh679pO
俺はちょっとでも黒いのは苦手だな
クリフトは純白の心だと思ってるしw
いかがわしい妄想が頭をよぎっても
天使と悪魔が戦っていつも天使が勝ち、
結局姫に手出しできないクリフト萌え
逞しいクリフトっていうと
胸板とか二の腕の筋肉ぐらいしかおもいつかねえ
ライアンほど隆々なのは勘弁w
338名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 00:09:52 ID:zZawQeE30
二次創作だと、クリフトは長身で美形、秀才な設定がやたら多いけど
公式ではそんな設定は皆無だし、どちらかというとパッとしない奴でしょ?
鳥山絵的には、DQ4における美形キャラはどうみても男勇者だよね。
(クリフト、ヤムチャだし)
でも、男勇者がクリフトに比べて背も低く「未熟な子供」が強調されて
描かれてることが多い。
作家さんたちよ、萌えるのはいいが、美形補正かけすぎw

いや、自分も楽しんでるんだけど、冷静になって考えれば、
「そういえばこの傾向、いつどこからなぜ?」とか思ってしまうよ
339名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 00:21:49 ID:2huvtnlb0
>>338
普通に「神官学校首席卒業」「女の子にモテモテ」は
導きの書とかエニックス攻略本に書いてある
340名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 00:28:14 ID:qx/cw63t0
4勇者は確かに美形だと思うけど、やっぱり自分=勇者の図があるから、いくらでも性格付けができるんだよね。
FC版の導きの書とか見ても、勇者は結構楽しそうにしてる表情多いから、明るいキャラなのかなーと思ってる。
341名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 00:46:43 ID:cEJOmUgG0
>>338
ヤムチャは美形設定だぞ…
342 ◆HDjZd37Phw :2008/09/04(木) 01:08:22 ID:axFXJICj0
>>339さんの言うとおり、FC版の設定から入った人は、美形秀才イメージなんだろうなぁ。
そういう私も導きの書、攻略本に萌えた一人ですw
ただ、私の中では美形というよりも『可愛い男の子』タイプ。
顔面偏差値でいえば、勇者の方が上。
長身は・・・うーん・・・アリーナがちっこいからっていうのもあるかな?対比で。

>>334さんの胸毛wではネタが浮かばなかったんですけど、>>335さんの髭で書いてみました。
よろしければお付き合いくださいませ〜。
343 ◆HDjZd37Phw :2008/09/04(木) 01:09:43 ID:axFXJICj0
クリフトって、お肌すっべすべよね〜!!」
「そうね。あんなに綺麗なお肌、羨ましいわ」
姉妹は草むらに腰を下ろし、自分の頬を撫でながら、しみじみと呟く。
過酷な長旅でろくなお手入れもできずに、肌は荒れていく一方だった。
「そういえばそうだね。髭なんて、見たことないし…」
アリーナは立ったまま、うーんと伸びをする。
秋の空は高く、真っ白な雲が、ゆっくりと流れていた。

「あいつはお洒落とはいえないけど、身嗜みはいつも整ってるもんね」
「でもさ…わたし、髭って結構好きなんだー」
アリーナの突然の告白に、姉妹は目を丸くした。
「お父様もだし、ブライも、ライアンも、トルネコも。髭って男らしくて、カッコいいじゃない!」
「いや、そりゃ、似合ってれば、いいんだけどさぁ……」
「クリフトさんの髭だけは……想像、できませんわ……」

―――そこに運悪く通りかかってしまった、当のクリフト。
「ちょっとー!!こっち、おいでよーぅ」
獲物を見つけた猫のように瞳を輝かせるマーニャ。
手招きされたクリフトは、なにやら不吉な気配を感じたものの、逆らえるはずも無かった。
「何か御用でしょうか?」
「クリフトさんのお肌が綺麗ですねって、話してたんですよ」
やはり自分を肴に盛り上がっていたのかと、眉をひそめたクリフトに、アリーナが無邪気に笑いかけた。
「ねぇ、クリフト、ちょっとしゃがんで?」
「はい?」
アリーナは腰を落としたクリフトの頬へ両手を伸ばし、自分の顔の前に引き寄せてから、撫ぜまわした。
「―――ちょ!!ひ、ひめさまっっ!!!」
「やーっぱり、すべすべだねぇ。きもちいー!!クリフトなら、髭無くてもいいやっ」
クリフトの顔が瞬く間に燃え上がる。
「ちょっとさ、頬っぺた、くっつけてみてもいい?ミーちゃんみたいに…」
「いいいいいいけません!どど、ど、どうか、お気を確かにっ!!!」
振りほどく事も出来ず、全身硬直状態のクリフトを見て、マーニャとミネアは
必死に笑いをかみ殺していたが、遂にはお腹まで痛くなってきて、堪らず声を上げた。
何事かと様子を伺いに来た男達は、眼に飛び込んできたその光景に、唖然として立ち尽くした。

――――――ただ一人を除いては……

「こんのド阿呆めっっ!何をしておるんじゃーーーーー!!!」
電光石火のごとく二人を引き離したブライの、対魔物戦でも聞いたことのないような咆哮が、
秋の澄んだ空に響き渡った。

344名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 01:12:05 ID:4/voSNPiO
パッとしない印象がある人はリメイクしかやってないんじゃないか
FC版公式攻略本読んでると「女の子に人気がある」「仲間うちでも優等生」とか
メチャクチャきらびやかな奴にしか見えないぞ
345 ◆HDjZd37Phw :2008/09/04(木) 01:19:32 ID:axFXJICj0
髭ネタと頬摺りネタを合わせてみましたが…
すみません!最初のカッコが抜けてました!!反省。
346名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 01:48:56 ID:s7mXFP7C0
クリフトは秀才、顔はよくもわるくもヤムチャ並、
っていうくらいが公式じゃないか?
頭よくて顔が人並み以上なら女の子に人気あるだろうし。
リメイクでは「神官学校首席卒業」「女の子にモテモテ」に
触れてないだけで、覆してもいないと思う。

ただ、極端な性格づけされると、作者さんと趣味合致してない限り
苦手だ。
347名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 01:58:26 ID:s7mXFP7C0
>>343
GJ!
投下早くてうらやましいです。
自分もクリアリSS書いてみるものの、どうもうまくまとまらない…
348名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 02:08:45 ID:qx/cw63t0
>345
いちゃつきGJ!
アリーナの無自覚は無敵だと思います!
ヒゲネタ入れてくれてありがとーー!!
349名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 08:51:45 ID:xi42HJPTO
>>343
どもるクリフト最高GJです!
やっぱクリフトはうろたえてこそ、らしいと思うw
姫の前でも淡々と喋るクリフトが作家さんたちの間でも結構多いが
なんか違う気がしてたんだよね
350名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/04(木) 09:25:42 ID:HWV55qmu0
>姫の前でも淡々と喋るクリフトが作家さんたちの間でも結構多い
そうかな?
このスレでは普段は淡々としてるけど姫の前ではオロオロ、がデフォだと思ってた
351幼さを盾に1/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:14:00 ID:BizW8h+n0
「このクリフト、地の果てまでもお供いたします」
「クリフト、大好き!」
まだまだ心の幼い姫様にとって、意のままになる者、快を与える者は皆、
大好きの対象でした。
その無防備な言葉に、何度焦れたことでしょう。

サントハイムの人々が消えた謎を解明すべく、姫様は旅を続けると
おっしゃいました。
私はもちろん、旅の終わりをあれほど望んでいたブライ様でさえ、
思いは同じでした。
きっとみんな帰ってくるはず…
そう信じて疑わない、いえ、疑いをかき消すことに必死な姫様の姿は、
見ていて痛々しく、どのような言葉をおかけしたらよいものか、
見当もつきませんでした。
私は私で、気の利いた言葉ひとつ言えないなら、せめて姫様のお役に
立たなければと、これまた随分と思いつめていたようです。
己の体力を鑑みなかったせいか、ミントスで病に倒れ、結局姫様に
多大なご迷惑をおかけしてしまい…
すっかり回復して目が覚めたら、世界は一変しておりました。
352幼さを盾に2/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:14:48 ID:BizW8h+n0
まず第一に、旅の目的です。
姫様は新しい仲間が増えた、とおっしゃるのですが、聞けば世界を救う
勇者様ご一行とか。
私たちはそんなたいそうな旅の一員に加わったのです。
今までは姫様の従者兼護衛であるだけだった私が、これからは勇者様の
お役に立てるよう、働かなければならないわけです。
世界を救う旅とあれば、相当な苦難が待っていることは想像に難くありません。
回復呪文くらいしか能のない、一介の神官風情に、そんな大役が務まるものか、
とか、また病に倒れでもしたら、とか、どうにも不安が押し寄せてきます。
姫様は「旅は多いほうが」なんて、相変わらず無邪気というか軽率というか…

そして第二に、姫様の私への態度です。
もちろん、ミントス以前の姫様のことを知っているのは私とブライ様だけです。
態度の変化に気づいたのも、つまりその2人だけなのですが…

ミントスを出航し、キングレオに向かう間、私は新しい旅の仲間に
馴染もうと必死でした。
ことに対人関係においては受け身の私が、ここまで他人に喰らいついて
いったのは初めてです。
もしかしたら、無意識のうちに、姫様を避けていたのかもしれません。
しかし姑息に逃げ回っていた罰でしょう、私は仲間の前で、痛恨の一撃を
食らう羽目になったのです。
353幼さを盾に3/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:15:42 ID:BizW8h+n0
「…私、クリフトが、好き!」
今週の調理当番を任されることになり、食材の保管場所などを説明して
もらっている最中のことでした。
船内の設備を説明してくれていたトルネコさん。
私の知らない調味料について、それに皆様の好みまで教えてくださっていた
ミネアさん。
そして(私にとって)運の悪いことに、何故かそこにいたマーニャさん。
猪突猛進な姫様は、3人の部外者など意に介さず、私に言葉を突きつけて
きたのです。
「…あまりに突然のことで…すみません…」
熱っぽい顔をしてこちらを見つめる姫様に、搾り出すように言った言葉が
それでした。

私はその場から至極冷静に離れ、ブライ様のもとへ向かいました。
こうした話では面倒な老人ですが、他の仲間(特にマーニャさん)に見られた
以上は、誰から洩れるかわかりません。
ここは誰より先んじ、報告しておくべきでしょう。
354幼さを盾に4/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:17:55 ID:BizW8h+n0
「ミントスでおぬしが病に倒れたとき、姫様はご自分の気持ちに
 気づかれたのじゃろうなぁ…」
ブライ様は何か悟ったような、諦めたようなといったふうで、静かに
おっしゃいました。
「おぬしと姫様がどんな道を選ぼうと、わしには、何も口出しできんよ」
「…は?」
思わず声がうわずってしまいます。
「あのお方は若い。
 このような過酷な運命に晒されるには、あまりに若すぎたのじゃ。
 姫様が笑ってお過ごしになるというなら、それを咎めることなど…」
いつものシニカルな物言いを期待していた私には、まったく拍子抜けの
言葉でした。
もうこの旅について行くべきではない、そんな結論さえ覚悟していたのですが。

ブライ様、もはや身分の差は、恋の成就の障壁とはなり得ないのですか?
あまりに出来過ぎた展開に、恐ろしささえ感じます。
頬をつねって夢ではないなら、ここは天国でしょうか。
もしかして私は、病に臥せったまま、独り淋しく死んだのではないでしょうか。
355幼さを盾に5/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:19:02 ID:BizW8h+n0
部屋を出ると、そこには姫様が立っておられました。
どうやら私が出てくるのを待っていたようです。
「お願い…クリフトの気持ちを教えて…」
姫様、貴女は堪え性がなさすぎます。
もう少しお待ちいただけませんか?
今はまだ、何も考えられません。
「…私のこと、嫌い…? 迷惑だった…?」
「いえ、そんな…!
 サントハイムの人間に、姫様を嫌うような者はおりません。
 それに、従者に過ぎない私が迷惑などと…」
「そういうんじゃなくって…!」
いったいどれだけ、今の貴女と同じ言葉を、心の中で繰り返したでしょうか。
「クリフトは、ずるい…!」
うっすら涙を浮かべ、私を詰る姿は、この上なく愛らしくて、
良心が痛みながらも、ただただ見入ってしまいました。
そうするうちに、姫様のお気持ちが手に取るようにわかる優越感と、
わかっているのに姫様を焦らしていることへの罪悪感とがごちゃ混ぜになって、
ますます私は混乱してきました。
決して意地悪や駆け引きをしたいわけではないのです。
でも姫様、貴女は幼さを盾に、もうずっとずっと長いこと、
私の気持ちを掻き乱してきたんです。
身分を傘に、ほんの少し返事を保留にするくらい、お許しいただけませんか?
356幼さを盾に6/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:21:28 ID:BizW8h+n0
しかし私はいったい、何を躊躇っているのでしょう。
手をのばせば、もう届いてしまうのに。

その夜は、恐るべき強さの好奇心を隠そうともしないマーニャさんに、
一緒に飲まないかと誘われ、私も断りませんでした。
船の甲板で、満天の星空を眺めながら飲むお酒は、格別ですからね。
姫様はまだ未成年ですし。
「で? で?
 どうしたの?
 なんて返事したの?」
「それはまだ…」
「え〜っ、なんでよ?」
話を引き出そうという魂胆からか、マーニャさんはどんどんお酒をついできます。
私もやめておけばいいのに、随分と無茶な飲み方をしてしまいました。
祝杯なのか、ヤケ酒なのかもよくわからないような心持ちで…

酔いが、私の口を軽くしたのでしょう、ふいと、言葉が出ました。
「…欲しいものに手が届きそうだと、急に切なくなりませんか?」
それを言葉にしたら、何かずっと心にひっかかっていたことが、
形になったような気がしました。
「まあ、確かに片想いで相手を追いかけてるときが、恋愛の最盛期よね。
 星は夜空で輝いているからこそ美しい、手に入ってしまえばただの石ころ、
 ってね」
357幼さを盾に7/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 14:22:48 ID:BizW8h+n0
「姫様は、石ころなどではありませんよ」
「アハハ、もののたとえじゃない」
そう言われても、あまり良い気分はしませんが。
しかし、私の心にひっかかっていることはまさにそれなのだと、
思い知った気がします。
「アンタってミネア寄りの人間かと思ってたけど、案外アタシと似てるのかもね」
「ちょ…ひとつふたつ、考え方に共通点があったからと言って、
 『似てる』なんてやめてください」
「馴れ合い御免なトコも似てるわ〜」
マーニャさんは茶化すように笑ってから、少しだけ真面目な顔で言いました。
「でも、アンタが怖いのは、お姫様が石ころかもしれないこと?
 それとも、自分が石ころかもしれないこと?」
「え…姫様が…私で…石ころ…???」
投げかけられた質問の意味を考えようとしましたが、もう頭がまわりません。
とても重要なことを聞かれているような、冗談にしてはいけないような…
考えようとすればするほど、ぼんやりと靄がかかったようになってゆきます。
と、そこへ。

「…クリフト!」
声の主はすぐにわかりました。
そして、その人が今何を思っているのかも。
358幼さを盾に8/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 15:16:59 ID:BizW8h+n0
「私、ずっと待ってたのに…
 クリフト、ずっとずっと、私のこと、避けてたでしょう…?」
そんなつもりでは、と言いたかったのですが、言えませんでした。
姫様の言う通り、ずっと避けていたのですから。
「私はクリフトと旅ができて嬉しかったけど、クリフトは違ったのね。
 だからいつも他の人と仲良くしてるのね」
「…それは違います!
 姫様には…私の気持ちなど、わからないでしょうが」
「…わからないから、教えて、って…言ってるんじゃない…」
姫様がまた、涙を滲ませるのを見たら、酔いなど一気に醒めました。
泣いている姫様はとても可愛い、でも笑っている姫様のほうが千倍可愛い。
そう思ったら、私まで泣きたくなってきました。
「姫様が私しか知らないまま、私を好きになるのは必然です。
 当たり前のことです。ごくごく自然ななりゆきです」
「…そうよ?
 クリフトのこと、私が好きになるのは当然でしょう?
 だってクリフトは優しいし、頭も良いし、かっこいいし、あと髪の毛も
 サラサラで…」
そんなにベタ褒めしないでください。
恥ずかしさで頭がおかしくなりそうです。
「いえ、そうではなく…
 私は姫様以外の異性と親しくしたことはありませんし、
 姫様だってそうですよね?
 それなのに、何故、私なのですか?」
359幼さを盾に9/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 15:17:49 ID:BizW8h+n0
「別に私、クリフト以外の人と親しくしたいなんて思わないわ。
 だってクリフトが好きだもの」
ああ、もう。
そうじゃなくって。
「ですから…
 たとえば、たとえばですよ?
 私だって男ですから、モンバーバラの踊り娘さんに興味があっても
 おかしくないと思いませんか?
 それでも…」
そこまで言って、私は激しく後悔しました。
姫様が、殺気に満ち満ちた目で、マーニャさんを見ていたからです。
「…私よりマーニャがいいっていうなら、
 はじめっからそう言えばいいじゃない…!」
「ひ、姫様…そういう意味では…」
「…クリフトのバカぁ…! 大ッ嫌い…!!」
姫様は、私の右頬に思い切り平手打ちをお見舞いしてから、走り去って
いきました。
「大丈夫〜…?」
マーニャさんが、心配そうな声をかけてくれましたが、その顔は他人の不幸を
楽しんでいる人間のものです。
「大丈夫じゃありませんよ…
 …姫様に嫌われてしまいました…」
冗談半分で言ったつもりだったのに、涙がポロポロこぼれてきます。
我ながら情けない、こんなことで。
いや、こんなことって。
これ以上大切なことなんて、私の人生にあるだろうか。
360幼さを盾に10/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 16:15:04 ID:p1kgoflz0
翌朝、私は二日酔いと自己嫌悪で、ベッドから動けませんでした。
「入るわよ、クリフト?」
ああ、姫様です。
あまりに気まずくて、私はシーツをすっぽりかぶりました。
「お水持ってきたから。ここにおいておくね」
ひと呼吸おいてから、姫様はおっしゃいました。
「…昨日は殴ったりしてごめんね」
「…いえ…」
姫様も気まずく感じているのがよくわかります。
もうどうにもいたたまれません。
「ごめんね、クリフト。
 私、クリフトの気持ちに全然気づかなくて。
 確かに私、クリフトの他に親しい男の人いなかったから…」
そうです、だから私は怖かったんです。
姫様はまだ何も知らない子供で、今はまだその世界に私しかいないのでしょう。
でも、これから先、世界はどんどん広がり、他の男性(たとえば勇者様とか)
と親しくなるはずです。
いつかきっと、姫様は心変わりするはず…そう、私は恐れおののいていたんです。
そして、そんな仮定話で姫様を傷つけ、私の恋は終わったんです。
あまりに自業自得すぎて、涙が出ます。
「モンバーバラで踊り娘さんのショーが見たいなら、
 そう言ってくれたらよかったのに」
「ハァ?」
何と?
まったく予想もしていなかった言葉に、私は思わず飛び起きてしまいました。
361幼さを盾に11/11 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 16:16:44 ID:p1kgoflz0
「あの後、マーニャが教えてくれたの。
 たいていの男の人は、『踊り娘さん』とか『ぱふぱふ』とかに
 興味あるんだ、って。
 でもクリフトは真面目だから、私の気持ちに応えたら、そういう『遊び』が
 できなくなるんじゃないかって、思ってるんでしょう?」
ああもう、貴女という人は!
誤解のレベルを遥かに超えた超解釈に、どう弁明してよいものやら…
とりあえず、マーニャさんにはあとでたっぷり後悔してもらいますからね。
「それくらい、私、大丈夫だよ?
 …ううん、本当はちょっと…イヤだけど…
 でも大丈夫!」
そう言って、姫様は精一杯の笑顔を見せてくれました。
赤く、腫れぼったいまぶたのせいで、痛々しい笑顔でした。
そして私は、己の罪深さを思い知りました。
「姫様…私は…左の頬も殴って欲しいくらいです」
「…え? え? 何で?」
私の気持ちが誤解なく伝わる言葉は、ひとつしかありませんね。
「もう何でもいいです。
 私も姫様が好きです。
 はい、言いましたよ」

姫様に「好き」と言われたくらいで、形勢逆転したような気になって
いましたが、気の迷いでした。
いやというほど姫様の幼さを思い知らされた私は、当分、
保護者の立場を卒業できそうにありません。

しかし心のどこかで安堵しているのは、私の狡さゆえでしょうか。
362 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/04(木) 16:18:12 ID:p1kgoflz0
以上、心臓バクバク言いながら投下してみました。
アリーナの気持ちがこっち向いてても、身分が障壁でなくても、
えんえん悩み続けてしまうヘタレクリフトを書いてみたかった。
流れぶったぎったうえ長々スマソ。

投下途中、連投規制にひっかかったときは死にたくなった…
363名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/05(金) 06:53:57 ID:Ln90xIIB0
GJ!
364343:2008/09/05(金) 23:09:49 ID:FEfSFdYf0
>>347-349さん
ありがとうございます!
髭と頬擦りなら一本にできると思い、書きました。
姫の前では冷静沈着キャラが崩れてしまう神官が、本当に楽しいです!
クリフトはこの後鼻血を噴き、更にブライのマヒャドをくらったに違いないw
そこまで書こうと思ったんですが・・・玉砕しました。

>>362さん
GJ!!超大作乙です〜。
両思いでも悩み続けるクリフトが、らしいですね。
私はどうしてもクリフトに「好き」のセリフを言わせられないので、
他の方のSSで告白シーンがあると、異常にドキドキしますw
365名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/06(土) 01:01:09 ID:wHBOUtw80
>351-361
GJ!!
ちょっと固い感じが真面目なクリフトぽくて良かったです!
366 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/06(土) 05:38:35 ID:UI5pr+440
感想くれた人、ありがとうございます。

頭痛くて眠れないのだが、クリアリ妄想ばかりが浮かんでくる…
勢い余って書いてしまったので、意味不明だが投下させてください。
367ベロリンマン ◆YISOKD5/z2 :2008/09/06(土) 05:40:14 ID:UI5pr+440
「人は、互いに近づけば近づくほど、孤独を知ります。
 私と姫様は、それぞれ別の檻に囚われた精神です。
 肉体という檻は、人間に孤独を思い知らせる、絶望的な溝です。
 檻の内側に入れる他者は、自己の投影に過ぎません」

「クリフトの言うことは、私にはいつも難しすぎるわ」

「すみません…もう少しわかりやすく説明してみます。
 姫様は、ずっと私の中の、私だけの姫様でした。
 ところが姫様は、突然私の外側、私の前に現れたんです。
 私のことを好きだと言う姫様、本物の姫様が。
 そう考えると、淋しくなります」

「う〜ん…つまり、ベロリンマンみたいなこと?」

「ベロリンマン…武術大会で姫様が戦った、あのベロリンマン、ですか?」

「そうよ。
 私、試合の後に聞いたの。
 分身の技はどんなトリックなのかって。
 あれ、高速で動いてるのかと思ってたらね、違うんだって。
 マヌーサみたいに相手の精神を侵食して、幻覚を見せてるんだって」

「はあ…」

「クリフトも、私の幻覚に囲まれて、本物の私がつかまえられない
 ってことでしょ?
 だから、ね? こうしててあげる」

そう言うと、姫様は私の手をつかみ、ギュッとしてくださいました。

ところで私が病に臥せっていたとき、姫様は私を励ますように、
優しく手を握ってくださいました。
その時初めて、私の外側に姫様はいるのだと気づいたのです。
しかし、姫様はその手を振りほどいて行ってしまわれました。
ずっとこうして、手を握っていて欲しかったのに。

姫様には、何もかも、見透かされているのかもしれませんね。

(おわり)
368名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/06(土) 10:55:08 ID:lwKmmNfn0

>>366-367

良かったです!!
深いな…。すごく哲学的ですね。
やっぱクリフト神官だw アリーナも理解が早くて賢いですね。
最後の辺りは違うゲームでスマソだが何かFF8のリノアのセリフの意味を考えさせられた
ハグハグの意味。 (FF8とリノアが好きじゃない人ごめん)
とにかくGJ!
369名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/07(日) 01:46:54 ID:9bxOKd3z0
>367
GJ!!
クリフトカッコ良すぎる!!
短いのにラブラブだなー
私もクリアリ妄想ばかり浮かんでるけど、こんなに頭の良さそうなクリフト出て来ない……
370 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/09(火) 15:15:30 ID:mkW5hLxv0
旬はとっくに過ぎてますが、いたストDSネタで1本投下させてください。
371メダパニの効果1/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/09(火) 15:17:40 ID:mkW5hLxv0
「あーあ…
 あそこでピーチがメダパニのカードを引かなかったら、
 私にも勝ち目があったのに…」
居城への帰り道、アリーナは何度も不満を漏らした。
父であるサントハイム王は、苦笑を浮かべながら娘の隣を歩いている。

世界中の有名人を一同に集めて行われる、とあるボードゲームの大会。
世界を救った勇者の仲間であるアリーナにも、大会の参加招待状が届いた。
他の仲間にも同じものが届いていたようだったが、都合が合わないなどの
理由により、皆参加を辞退していた。
そんな中、アリーナとクリフトは参加を決めた。
いや、サントハイム王の熱心な勧めにより、渋々参加することになった、
といったほうがよいかもしれない。

しかし、結局アリーナは決勝戦で負けてしまった。
クリフトはというと、前日に行われた予選で、運悪くアリーナと当たってしまい、
本気を出せずに終わってしまった。
372メダパニの効果2/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/09(火) 15:20:00 ID:mkW5hLxv0
サントハイム王は、大会での娘の姿をずっと見守っていた。
そして会場から帰る今も、同じように穏やかな顔で見守っている。
娘のこんなにいきいきとした顔を見るのは、いったいいつぶりだろう、と。
そんな父に気づき、アリーナは気恥ずかしそうに言った。
「…ごめんなさい、お父様。
 私、羽目を外しすぎちゃったわ。
 ピーチやデイジーみたいに、エレガントじゃなくって、
 お父様もがっかりしたでしょう?
 私もドレスで参加したらよかったかしら…?」
アリーナに、旅をしていたときの格好で参加するようにと言ったのは
サントハイム王だった。
観客は、サントハイム王女としてのお前ではなく、勇者の仲間としてのお前を
期待しているのだと。
「お前は、お前らしいのが一番じゃよ」
アリーナは照れたように少しはにかみ、悪戯っぽく言い返した。
「でも、私が相変わらずおてんばだって噂が広まったら、
 誰も結婚してくれなくなっちゃうでしょ?」

おてんばで、乱暴で、頑固で、負けず嫌いで。
ほとほと手を焼いていたあの頃が、今は懐かしい。
短所だと思っていた部分が、実は一番の魅力だったのかもしれない。
373メダパニの効果3/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/09(火) 15:22:05 ID:mkW5hLxv0
旅から戻ったアリーナは、実に聞き分けの良い娘に成長した。
王女としての自覚を持ち、国を統治する為に必要なことを、
実に熱心に学び始めた。
今まで散々嫌がっていた花嫁修業も、文句ひとつ言わずに励んでいる。
だが、そんな娘の姿を見て、王は言い知れぬ淋しさを感じた。
娘は、何か大切なものを諦めてしまったのではないか、と。
そしてそれは、王女という立場故なのではないか、と。

「…ときにな、アリーナ。
 メダパニをかけられたとき、
 『クリフトのことばかり浮かんでくる』
 とかなんとか、言っておったろう?」
「や、やだわ…そんなこと、言ったかしら?」
アリーナは顔を真っ赤にした。
「あの男が、好きなのじゃな?」
「…わからないわ、そんな…
 そんなふうに考えたことなんて、なかったから…」
旅の間は、一緒にいてくれるのが当たり前で、関係がどうこうなんて
考えてもみなかった。
旅が終わると、お互いに多忙な日々が待っていた。
今日の決勝戦も、教会の仕事の都合で、クリフトは応援に来ることが
できなかった。
アリーナは、それが当然なんだと、受け入れるようになっていたのだ。
自分はいつか、他の誰かと、結婚するのだから…と。
374メダパニの効果4/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/09(火) 15:23:20 ID:mkW5hLxv0
「でも…でも、もしも、本当にそうだったとして…
 お父様は…許してくださるの?」
泣きそうな声で確かめる娘に、父は穏やかな微笑みを浮かべて、こっくりと頷いた。
「…本当? 本当に!?
 嬉しい!」
花がほころぶような笑顔だった。
父は、とっくに答えは出ていたのだな、と、思い知った。
「あのね、昨日クリフトに誘われたの。
 今度一緒にサーカスを観に行きませんか、って。
 二人で行ってきても…いい?」
ほろ苦い気持ちを噛み潰しながら、瞬きで答える。
普段なら鈍感な娘が、こんな微かな表現で意味を読み取る、皮肉を感じながら。
「やったぁ!
 そしたら私、絶対にサーカスに飛び入りさせてもらうわ」

娘は、彼への恋心を抑えるのと同時に、いろいろなことを諦め、受け入れ、
大人になることを選ぼうとしていたのだろう。
しかし、王はそうはさせたくなかった。
誰よりも「おてんば姫・アリーナ」のファンであるのは、父親である
サントハイム王なのだから。
375名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 00:22:14 ID:Lhr63BZK0
GJ!王様ちょいセツナスw
376名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 11:00:55 ID:yEOtYt/e0
GJ!父の背中になんとなく哀愁が…w
でも王公認なのかぁ。よかったね、クリフト!

悲恋や駆け落ちなんかもあるけど、やっぱ公認でラブラブして欲しい。
幸せになってくれなきゃイヤだよーーー!!
377名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 11:23:55 ID:jOiCdFETO
王様がGJと思えたのははじめてだw
公認で結婚できるのが一番幸せだよね
本当に公式がこんな展開であることを望むわ
378名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 11:47:00 ID:yEOtYt/e0
>>371-374に触発されて妄想が湧き上がってきた……
今それとは別に一本製作中ですが、すっ飛びそうw
379名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/10(水) 12:58:52 ID:GBjnFcS10
最近またスレが盛り上がってきた!うれしい!!
380 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/10(水) 13:34:12 ID:hLrn8OBf0
いっぱい感想いただけてうれしいです。
何よりスレの盛り上がりに少しでも貢献できたならば
これ以上の喜びは…

調子にのってまた投下します。
書き始めると次の妄想がどんどん連鎖するものですね。
381勘の鈍い占い師1/3 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/10(水) 13:35:18 ID:hLrn8OBf0
私ね、クリフトさんのこと、常識人だと思ってたわ。
でも、あの人はとんでもない変人よ。
どうして私の周りには、おかしな人ばかり集まるのかしらね。
聞いてる、姉さん?
え? 類は友を呼ぶ? 冗談でしょ!

初めはアリーナだけが変わってるんだと思ってたのよ。
パデキア飲ませたときも、クリフトさんはもう大丈夫だって言ってるのに、
アリーナが無理矢理残り全部、飲ませてたじゃない?
根っこを煎じたときにちょっと舐めてみたんだけど、あれ、相当苦いのよ。
まったく、ひどいことするわ、アリーナって。
そもそも病気で倒れたのだって、アリーナにこき使われてたせいだと思うの。
しかもその後でクリフトさんに聞いたら、
「パデキアは姫様の手作りケーキの味」だなんて。
そんなケーキ、完全に罰ゲームじゃない。
アリーナって、クリフトさんを虐めるのが楽しくて仕方ないんだわ。

木こりのおじさんの家に行ったときも、
アリーナったらわざと犬をクリフトさんにけしかけて…
クリフトさん、すっごく怖がってたわ。
まあ、犬をあんなに怖がるのもどうかと思うけど。
382勘の鈍い占い師2/3 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/10(水) 13:36:05 ID:hLrn8OBf0
ああ、海辺の村でもそう。
クリフトさんは小さい頃溺れかけたから鬱…みたいに言ってるのに、
アリーナが無理やり浜辺に連れていって。
でもクリフトさんも、はっきり嫌だって言わないのよ。
そういうところが、見ていてイライラしたわ。

世界樹行ったときのこと覚えてる?
私たちが馬車にいたとき、下まで悲鳴が聞こえてきたじゃない?
アリーナが面白がって枝をゆらしてたそうよ。
恐ろしい子!
そもそも行きたくないって言ってるクリフトさんを、「私を守るって約束は」
って脅して、無理矢理連れて行くなんて、アリーナは鬼よ。悪魔よ。
まあ、高い所が好きって時点で、姉さんみたいで、私には理解できないんだけど。

で、なんでクリフトさんが変人なのかって?
その話はこれからよ。
この前、お願いされたの。
もうこの旅も終わりだから、最後に占って欲しいことがあるって。
何かと思ったら、私と姫様の今後、ですって。
まったく…今後も何も、あんな子のそばにいたら駄目に決まってるじゃない。
命がいくらあっても足りないわ。
だから私、言いたいことははっきり伝えろ、って、言ってやったわ。
あんなにひどいことされてるのに、黙って我慢するなんて、男らしくないもの。
占いなんかしないわよ。だってそれ以前の問題でしょ?
383勘の鈍い占い師3/3 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/10(水) 13:37:01 ID:hLrn8OBf0
それで、昨日のことなんだけど…
昨日はクリフトさんの誕生日だったでしょ?
アリーナったら、また例のケーキを作ってたのよ。
できあがったケーキ、こっそり味見したけど、聞きしに勝る味よ。
パデキアを凝縮したような味だった。
だからクリフトさんに、前もって言ってあげたわ。
今日こそは、長年心にしまっておいたことを言いなさいね、って。
積年の恨みを晴らす、絶好のチャンス到来、そう思ったら、
他人事ながらウキウキしちゃって。
私、部屋の外から覗いてたの。

それなのに、ねえ…
クリフトさん、なんて言ったと思う?
「姫様の作ったケーキを、毎年食べたいです」ですって。
信じられない!
私なら今年1回限りでも遠慮するわ、あんなの!

私、ずっとクリフトさんのこと心配してたのに、
もう、馬鹿らしくなっちゃって…
これからもずっと虐げられたいなんて…どんだけ変人よ。
それとも、アリーナが怖くて、媚を売るしかできないのかしら。
どっちにしたって、情けないとしか言いようがない。
ライアンさんじゃないけど、神官なんて女の腐ったような奴だ
って、本当思ったわ。
384 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/10(水) 13:43:35 ID:hLrn8OBf0
以上です。
ミネアの一人語りでお送りしました。

もっと陰のあるミネアも好きですが、PS・DS版のセリフを見ていると、
少々毒のあるお茶目さんって感じでそれも好きです。
385名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/11(木) 13:53:16 ID:uHc1AWis0
GJ!
386 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:10:53 ID:BDHvxGK80
GJ!ミネアの毒が凄まじい。でもズレてるw

昨日すっ飛びそうだったものが無事に書きあがったので投下します。
>>326さんのシチュからインスピレーションが沸いたものです。
それでは、よろしくお付き合いくださいませ。
387眠り姫1/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:12:36 ID:BDHvxGK80
地獄の帝王エスターク撃破から一夜が明けた今日。
皆の集まったテーブルの上には、瘴気渦巻くエスターク神殿で見つけた
一つの古ぼけた壷が置かれていた。

「なんだかわかるか?トルネコ」
トルネコはその壷を撫でたり、振ったりしながら、「うーむ」と唸った。
「私にはガラクタにしか見えないんですけどね。ただ……」
「ただ?」
「リバーサイドで耳にした話が気になりまして」
ソロたちは黙って話の続きを待った。

「その昔、人も空飛ぶ乗り物を持っていた、と。
 しかし地獄の帝王がその乗り物の源を奪い、地底に封じた……」
「よくそんな話を覚えておるものよ」
感心しきり、といった風情のブライ。
「どんな所に商売の種が落ちているとも限りませんからね」
「いやはや、商魂たくましいなぁ」
ライアンが肩を揺すって笑う。

トルネコは少し照れ笑いを浮かべたが、すぐに真顔で断言した。
「これはあの神殿から出てきた壷ですから、間違いなく、空飛ぶ乗り物の源ですね」
「……そういえばリバーサイドに、その乗り物を作りたいと言ってた学者さんが!」
「いたいた!そうよ。それがあれば、宝の地図の、あの岩山の先にも行けるじゃない!」

そういうわけで一行は、リバーサイドへと赴いた。

388眠り姫2/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:13:50 ID:BDHvxGK80
リバーサイドに住む学者は、一目見て「その壷を譲ってください」と願い出た。
それが目的で来たと告げると、
「必ずお礼は致します!明日には気球を完成させてみせましょう」
学者は図面の束を抱えながら、自信たっぷりに笑った。

「明日、また来てくれって。それまでは自由行動にしようか」
学者の家から出てきたソロは、外で待っていた仲間達に提案した。
ブライがやれやれといった様子で、腰をとんとんと叩きながら、早々に歩き出す。
「わしはちぃと疲れたので、宿をとるとしますかな」
「トルネコ殿、武器屋に付き合ってはくれぬか」
「ええ、行きましょう」
二人は談笑しながら、船に乗り込んだ。

それを見届けたマーニャが何を企んだのか、ミネアを目で促し、ソロの背中を押した。
「あたし達も船で遊ぼ!ね、ソロ」
「んえええ?なんで俺も?!」
「いいからさ。ほらほら、早く」
「なんでー?」
「じゃあねぇ、お二人さん」
背を向けて手を振るマーニャに引きずられながら、ソロの姿が船内に消えていった。
それとほぼ同時に船は前進し、ゆるゆると川を進んでいく。
取り残されたアリーナとクリフトは、対岸へ向かって進みだした船尾を、
突っ立ったまま、ぽかんと見送るばかりだった。

「―――もしかして、のけ者にされてない?わたしたち」
アリーナが悔しそうに地面を蹴る。
「まったく!あの人はどうしてああも……」
低くうめいたクリフトに、アリーナは首をかしげた。
「ん?何か言った?」
「い、いえ。何でもございません」
「あら、そう?……うーん。仕方ないから、二人で散歩でもしよっか」
アリーナはクリフトの袖をつかむと、腕を大きく振って歩き出す。
「は、はい。お供いたします」
上気した顔を悟られまいと少し俯きながら、クリフトは同じ歩幅で歩き出した。

389眠り姫3/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:14:41 ID:BDHvxGK80
暫くするとアリーナが、「この前見つけた場所に行きたい」と言い出した。
暗いトンネルを抜けると小さな原っぱがあり、右手には川、
左の奥は林に囲まれている静かな場所だった。

「今日はあのお爺さんいないのね。釣りはお休みかしら」
辺りを見回しながらアリーナが腰を下ろす。
クリフトはアリーナから一歩下がったところに立っていた。
「クリフトも座ってよ。久しぶりに物語でも聞かせて欲しいわ」
自分の隣をぽんぽん、と叩きながら言う。

アリーナは幼い頃から本を読むのが嫌いだった。
だが物語そのものは好きだったので、退屈な時は決まってクリフトにせがんだ。
神学書をはじめ、説話集、歴史書など、サントハイムの書庫にある本という本を
全て読破していたクリフトは、アリーナの本代わりでもあった。
それに、クリフトの温かく、耳に心地よく響く声が好きだというのも、
せがむ理由の一つだった。

クリフトは控えめに、少し後ろに座した。
「どんな話にしましょうか?」
「そうねぇ。ちょっと眠くなってきたから、そういうのない?」
「ありますが……姫様、途中で寝てしまわれそうですね」
「寝ない、寝ない」
かぶりを振るアリーナに微笑みかけ、
「寝てしまわれても、構いませんよ。それでは―――」
すうっと川風を胸に吸い込むと、クリフトは語り始めた。

390眠り姫4/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:16:14 ID:BDHvxGK80
「昔、ある国にとても仲の良い王様とお妃様がおりました。
 二人の間に子はまだ無く、お妃様は来る日も禊ぎをして願を掛けていました。
 ある日、一匹のカエルが言いました。
 貴女は一年以内に女の子を授かりますよ」
「何でカエルなの?」
「カエルは卵をたくさん産みますからね。子宝の象徴なんです」
「そうなんだー」
アリーナがうつ伏せになり、頬づえをつく。

「お妃様は間もなく美しい女の子を産みました。
 王様はとても喜んで祝宴を開き、国内の魔女を十二人呼びました。
 ですが、本当はこの国には、十三人の魔女がいたんです」
「わかった!不吉な数だから呼ばなかったのね」
「そうです。怒った魔女は宴に乱入して、姫に呪いをかけました。
 十五歳で糸車の針が刺さり、死んでしまうと。
 すると、一人の魔女が進み出てこう言いました。
 私は先の呪いを解くことはできませんが、弱めるくらいならできましょう。
 姫は死ぬのではなく、百年の眠りにつくのです」
「百年かぁ……退屈ね。体が鈍っちゃうわ」
今度は仰向けになり、頭の後ろで両手を組んだ。
いかにもアリーナらしい言葉に笑いが込み上げてきたが、クリフトはそのまま続けた。

「王様は直ぐに国中の糸車を燃やし、呪いがかからないように用心しました。
 そののち、姫はそれはそれは美しく、優しく、聡明に育ちました。
 ちょうど十五歳になった日。
 古い塔の上で糸紡ぎをしていた老女に出会いました。
 初めて見た糸車に興味を持った姫が指を伸ばすと」
「刺さっちゃったの?」
「はい。姫はそれきり、長い長い眠りに落ちました。
 その間に城は茨で覆われ、美しい姫が眠っているという噂を聞きつけた
 男達が侵入しようと試みても、鋭い棘で命を落としていきました」
「……」
「百年が経ち、隣国の王子が茨の城にやってきました。
 王子が進むと、不思議な事に茨が道を開けていきます。
 塔にたどり着いた王子は、眠り姫の美しさに息を呑みました。
 そして王子は姫に」

クリフトが言葉を切った。
左隣からは、すうすうと、規則正しい寝息が聞こえてくる。

391眠り姫5/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:18:13 ID:BDHvxGK80
「やはり眠ってしまわれたのですね」
クリフトは穏やかに微笑むと、うっとりとした瞳でアリーナを見つめた。
その瞳には、忠臣のそれとは違う、別の感情が滲んでいる。
戦いのときには真っ先に躍り出て敵をなぎ倒していく猛々しさもあったが、
こうして見つめている寝顔は、まだあどけなさの残る可憐な乙女そのもの。

長い睫毛。通った鼻筋。そして、真紅の薔薇が咲いたように艶やかな唇。
匂いたつばかりの美しさ……。
――――まだ、物語の余韻に浸っていたのかもしれない。

「私は王子ではないが……
 貴女のためなら、茨の道を歩む事も厭わない」

クリフトは上体を倒し、アリーナの耳の横に左肘をついた。
覆いかぶさるような体勢で真上から美しい眠り姫を見下ろすと、
見えない糸に引っ張られ、息がかかるほどまで近づいていった。
おもむろに瞼を閉じる。

「私は姫様を、あ……」

唇が触れそうになったその時―――。
川魚が勢いよく跳ねあがり、ちゃぽん、という水しぶきの音が静寂を破った。
クリフトの体が一瞬金縛りにあったように硬直したが、次の瞬間には目を見開き、
体を起こして後方へと飛び退った。

風が渡る銀色の水面には、緩やかな波紋が拡がっていた。
―――アリーナは未だ、夢の中。

「わ、私は、一体なにを……!」
口元を手で覆い、乱れた呼吸を必死で整えようとしたが、
心臓が早鐘のように鳴り響き、全身の血が一気に頭にのぼっていくのがわかる。
「な、なんて、こと……」
くぐもった声で繰り返すと、今度はどっと水を浴びせられたように、
冷や汗が噴き出した。

なんて愚かなことを!
私は姫様が目覚めたときに、今までと変わらず平静を保てるだろうか……。
虚ろな目で宙を見つめたままのクリフトの顔が、苦悶で歪んでいた。

「ああ、神よ!どうか、罪深い私をお赦しください……」

392眠り姫6/6 ◆HDjZd37Phw :2008/09/11(木) 17:19:50 ID:BDHvxGK80
(おまけ)

実はこっそり物陰で見物していた五人は、放心しているクリフトに気取られないように
その場を離れ、宿へと向かっていた。

「ちょっとー!!見た?あれ」
「ブライが居なくてよかったよ、マジで」
「それにしても、あともうちょっと、だったんですけどねぇ」
「おしいですなぁ。あそこで魚が跳ねたりしなければ!」
「でも寝ている女性にあんなこと……ほんとにしてたら見損ないますよ」
「確かに。無抵抗の女に手を出すなんて、俺のポリシーに反する!!」
「抵抗されたいの?!」
「ちょw違う違う」
「……不潔」
「しっかし・・・・・・あのキザなセリフ、聞いたー?」
「クリフト殿はかなりのロマンチストですな」
「若さ、でしょうねぇ」
「あーあ。せっかく二人きりにしてあげたのに、結局今日も進展なし、か」

「「「「「ずっと、このままだったりして」」」」」

重なり合った五人の声が、風に流されていった。
393名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/11(木) 21:35:08 ID:T0pf3ZLb0
私の思い描くクリフトと姫そのものでした。GJ!!
あと仲間達の行動言動もw
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/12(金) 00:05:19 ID:iLb3uJGj0
>387-392
GJ!326です!ありがとうございます!
好きシチュなうえに、キザセリフまで!
覗き組、てっきり姉妹と勇者だけだと思ったら、ライアンとトルネコも混じってたww


>381-383
GJ!自分は衛藤ヒロユキミネアがデフォなので、毒ミネア大好きです。
パデキアケーキを毎年食べたいだなんて、十分漢らしいですよww
しかし、アリーナは裏の意味に全く気が付かず
「え?あのケーキ気に入ってくれたんだ!うん。毎年作ってあげるね!」くらい言いそう。
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/12(金) 17:11:07 ID:EhtjUL+b0
>>387
2人をおちょくりながら見守っている仲間達がイイ!
しかしトルネコとライアン、いつ戻ってきたんだw

>>381
毒ミネアいいなw
ボケっぷりにワロタ
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/12(金) 21:16:26 ID:JixTs1EO0
クリフトスレでDS版4が海外で出るっていうんで、公式サイト見てたら一番右のマルチメディアコンテンツの4コマ漫画で、しっかり姫バカを披露していたww

http://na.square-enix.com/dq4/
397名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/12(金) 23:11:03 ID:nL375Wsv0
かわいいwやっぱクリアリの基本はこれだよなーww
例えブライと自分が瀕死で姫がかすり傷でも、姫にベホマしないと気の済まない神官
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/13(土) 04:01:01 ID:C+1SLpoR0
リメイク版は姫様優先回復仕様なんだよね
プレイしてても実感なくてつまらん
399 ◆HDjZd37Phw :2008/09/13(土) 12:31:09 ID:FBdhBn4x0
感想くださってありがとうございます!
>393さん
「本代わりだとか声が好きだとか、まだクリフトへの恋心をはっきり自覚できない姫」
そんなんだったら可愛いな〜と。
そしてクリフトの前じゃ常に無防備で、ペースを乱されるクリフト希望w
>394さん
こちらこそ、萌えシチュを提供してくださってありがとうございます!
魚が邪魔しなくても、きっと寸止めだったことでしょう。ヘタレだからw
キザセリフは……クリフトはこういうセリフ言うのかな?とも思ったんですけど
スウィートライフだなんだと言ってるので、吐かせてみましたww
>395さん
そこは「商人の勘」ということでw
やっぱり仲間達はおちょくりながらも、生温かく見守るスタンスがいいですね。

>396さん
姫バカ可愛い!
クリフトの作戦には「姫さまだいじに」と「ザラ(ry」しかなかったりしてw

妄想炸裂長文、失礼しました!!
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/14(日) 13:22:09 ID:6cxyf8Nf0
>>400GET
401無自覚な恋1/2 ◆HDjZd37Phw :2008/09/14(日) 17:44:20 ID:J1vQD44h0
いつでもどこでも直球勝負の姉さんが、単刀直入、アリーナさんに
「クリフトのこと、どう思ってんの?」と、にやけながら尋ねた。
「どうって訊かれてもなぁ……」
小首をかしげながら、「うーん」と考え込んでいるアリーナさんは
まるで幼子のようで、質問の意図を正しく理解しているのかも怪しかった。

「小さい頃からずっと一緒にいたから、お兄ちゃんみたいだよ」

「おにいちゃん?!」
私達は頭のてっぺんから抜けるような、素っ頓狂な声をだしていた。
ああ、可哀想に。
クリフトさんはお兄ちゃん……。
姉さんが苦笑いしながら、人差し指でこめかみをポリポリと掻いた。

「だけどあんまり強くないし、シャキっとしてないし、なんだか頼りないよね」

―――トドメの一言。
幾らなんでもあんまりな言いようよ、それは!
クリフトさんが貴女のために、いつもいつも苦労してるのを知らないのね。
私はお気楽極楽に、ひたすら我が道だけを往く人間に振り回される苦労を、よーく知ってるわ。
他人事とは思えなくて、クリフトさんの不憫さに、こっちが泣いちゃいそう。

他人(クリフトさん)の不幸は蜜の味―――
あからさまに嬉々とした顔の姉さんが、
「融通きかなくて頭カタいし、いいとこナシね」なんて罵倒した。
402無自覚な恋2/2 ◆HDjZd37Phw :2008/09/14(日) 17:47:10 ID:J1vQD44h0
とたんにアリーナさんの表情が一変した。
口を尖らせ、ちょっと顔を赤くして……目なんかも、心なしか釣りあがってる?

「そんなことないよー!いいとこだって、たっくさんあるんだから!!
 クリフトは本をいっぱい読んでるから物知りだし、勉強熱心だし。
 ときどき物語を聞かせてもらうんだけどね、すんごくいい声なの。
 空気に溶けてくみたいに柔らかくて、少ーし低めの声でね、
 あの声聞いてるだけで、ホッとするんだよ」
一気にまくし立ててから大きく息を吸い込むと、また話し始めた。

「回復魔法だって、あんなにあったかいの他に知らないよ。
 実は、皆と一緒になってから気づいたんだけどね。
 ミネアのとも、ソロのとも違う温かさで、なんかこう、
 むぎゅーって、ちょうどいい力加減で包まれる感じがするの」
むきになってきたのか、まだ続く。

「それに、サントハイムではモテてたんだって!
 最初は信じられなかったけど、旅をして、いろんな人を見てわかった気がする。
 あんまりいないよね、クリフトみたいな人。
 背もまあ高いし、顔だってカッコいいほうだよね?
 誰にでも優しいし、気配り上手だし、礼儀正しいし……」

「だあーっ!ごめんごめん、もうわかった、もういいよ!!」
姉さんが「降参」と、両手を頭の上に挙げてひらひら振っている。
……確かに、参ったわ。
これだけクリフトさんを好きなのに、まったくの無自覚だったのね。

「降参って、なにが?」
きょとん、と不思議そうに姉さんを見ているアリーナさんが、
急に可愛くて可愛くて仕方なくなった。
だけどこればっかりは、私達があれこれ口を挟むものでもないわね。
流石の姉さんも私と同じ考えらしく、黙ってアリーナさんの髪を撫でていた。
私達にできるのは、見守ることくらいかしら……。

クリフトさんの為にも、一日も早く自分の恋心に気づいてね、お姫様!

403名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/18(木) 07:36:56 ID:OP5Q/Nn40
保守
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/20(土) 12:09:51 ID:KRgIDqnh0
>>402
無自覚なアリーナいいなw
SSの前後に何か書いてくれるとレスしやすいかも
405 ◆HDjZd37Phw :2008/09/21(日) 01:43:19 ID:zjcDCD610
前書きも後書きも無く投下し、しかも流れをぶった切ってしまってごめんなさい。
ただひたすらに反省するのみです。
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/21(日) 03:04:37 ID:LXB5Mrpl0
>401
GJ!
クリフトもアリーナも本人の(起きている時)前で言えよ!
二人とも言えないんだろうなぁ…
アリーナの自分が悪く言うのはいいけど、他人が言うのはダメ!的な感じが好きです。
407クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 07:47:51 ID:AlLLcMUy0
厳密にはクリアリではないかと思います
二人とも別の人間と結婚していますので

「姫様がいないのです」
広大なサントハイム王城の一室、次期王位継承権の保有者の寝室の前。
メイド達によって特に念入りに磨かれた大理石の床面に顔を写しながら少年―ミゲルは申し訳なさそうに言った。
「朝のお勉強のお時間になりましたので、お迎えにあがったのですが、どこにも見当たらず・・・」
ミゲルはたれた頭をゆっくりと、恐る恐る上げながら言葉をつなげた。
「すると」
濃紺の法衣に身を包んだ青髪の男が質問した。
「またしても、逃げられたというわけかな?あれほど必ずお連れしろと言ったにも関わらず?ミゲルよ」
「疑問の余地はありませんよ。クリフト殿。それにしても姫様はさすが陛下のお子であられますなあ、なんとも見事な・・・」
黒いローブを身にまとった日に焼けた顔の男が暢気な声で応じた。
彼は彼の養父がそうであったように、件の脱走者にして王位継承者の教育係の一人であった
「ブライ殿。」
青髪の男は若干の苛立ちを含めながら彼をたしなめた。
「申し訳ありません父上・・・。いかがいたしましょう?」
ミゲルが父―青髪の男の顔色を伺いながら言った。
「どうと言っても、なあ。」
青髪の男が嘆息しながら呟いた。

今度こそ、一国の姫としてふさわしい教育を存分にさずけなければならない。
かれは次期王位継承者の教育係となったときからそう決心していた。
かつて彼が付き人として使えていた女性との思い出がその思いをより一層強いものにしていた。
―これでは陛下の幼い頃と全く同じではないか。
かれの脳裏に幼い頃さんざん己の手を焼かせ悲惨なめにあわせた幼馴染の顔が浮かんだ。
まだ壁を壊さないだけ陛下よりマシなのだろうか。
青髪の男は大きなため息をつきながら、今やこの国の女王となった昔馴染みのことを想った。

「とにかく、姫様を探さねばなりませんな。」
日焼けした顔の男、ブライは―彼の名前は奇しくも養父と同じであった。―笑いをこらえながら言った。
「ええ、勿論です。」
ミゲルの父―クリフトは蒼髪をなでながら頷いた。
408クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 07:50:18 ID:AlLLcMUy0
かれ、クリフトはこの国で最も有名な人間の一人であった。
神学校を主席で卒業し、現女王のお付として王国を、引いては世界を救った英雄に名を連ね、
先帝の絶大な信頼を得たかれは若年ながら王の相談役として国の政務に関わった。

先帝が崩御し、現女王―アリーナが即位した後は彼女の側近中の側近として振舞った。
国の重要な政務を担い、祭事の一切を取り仕切るなどその重用ぶりは周囲を驚かせたのであった。

今やかれは平民の出でありながら貴族の称号を得、高位の神官職についており、その名前を口にする者の声音には常に敬愛の念がこもった。
救国の英雄、稀代の大宰相、彼にはそんな美辞麗句が常につきまとうのであった。
無論彼自身はそれが過大評価であることをよく認識していた。
彼は国の重臣達からすれば若輩者であり、彼らの力無しには政務に関わることはできなかったのだ。

―第一彼にまつわる話がすべて事実であるとすれば、彼は己の体を分身させ、
年齢を自由に変えられるというなんとも特殊な能力を有していることになる―

故に彼は決して驕ることもなく、幼年時代青年時代と変わらず、誰に対しても同じ姿勢で臨んだ。
そんな彼の人柄からか彼をうらやむ声はあっても醜い嫉妬の類はあまり見られなかった。
あるいはその激務に耐える毎日がある種の同情を呼んでいるのかもしれなかったが。

とにもかくにも彼はこのサントハイムで最も敬愛され、影響力を発揮する人物の一人なのである。

その彼がここ最近はたった一人の少女がために頭を悩まされることになっていた。
勉強をすっぽかしミゲルを連れて「冒険」に出かける、貴族の子弟と取っ組み合いの喧嘩をする、外へ出れば必ず生傷を作って帰る。
まさに少女は、彼がかつて傍で仕えた母アリーナ女王の生き写しであった。
前述の決意を有していたクリフトにとってそれが頭痛の種であった。
そして今もまた次期王位継承者であるはずのその少女は姿をくらましていたのだった。
409クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 07:53:41 ID:AlLLcMUy0
「ミゲル、あれほど姫様を見ていろといったではないか」
クリフトは不甲斐ない息子に向けて言った。
「そう無理を言われるものではありませんよ。クリフト殿。ミゲルはよくやっておる。」

―少なくとも、あなたが陛下におつかえしていたころと同じくらいにはね。
ブライはそう心の中で付け加えながら言った。

「何を言われますかブライ殿。私が陛下にお仕えしていたころは―」
クリフトが薀蓄をはじめると、ブライはまたか、と嘆息した。
かれはミゲルが失敗をするとこうやっていかに自分が現女王にお仕えし、苦労し、いさめたかを語るのであった。


自分が失敗ばかりであったから、姫様の教育はしっかりと―ではなかったのですかな?クリフト殿。


ブライは薀蓄を続ける彼に心の中でごく軽い悪態をついた。
「で、あるからしてなミゲル。姫様にお仕えする以上は―」
クリフトは急に言葉を切ると、壁にもたれかかった。
「クリフト殿?」「父上!」


眩暈がした。
いかに自分が幼い陛下に忠誠をつくし、忠勤に励んだかを息子に聞かせているところだった。
特にこれから話そうとするところはかれの一番のお気に入りの部分であった。
己の哲学が凝縮された部分であり忠誠のなんたるかを息子に教えるための・・・とにかく彼の薀蓄の最大の見せ場なのだ。

そんなときであった。

言葉をつなげようとしても口から出ず、どころか足元がぐらつき壁にもたれかかってしまった。
どうしたというのだ?と彼は思った。
己の体の状態を上手く把握することができなかった。
とにかくかれは体を起こそうと足に力を入れようとした。
力が入らず足が崩れ、彼の体は床面に四つばいになった。
少し遅れて彼の頭を鈍い痛みが襲った。
410クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 07:58:58 ID:AlLLcMUy0
「お疲れなのですよ。」
つんと薬品の匂いのする、王室お抱えの医者の部屋の中央にたち、ラテン系の顔をした白い衣服に身を包んだ女が言った。
「だそうですよクリフト殿。」
ブライがベッドの上に寝かされたクリフトに向かって言った。
「疲れなどと・・・私がこれぐらいのことで。」
「なりません。」
無理に体を起こそうとするクリフトを女が制した

「クリフト様、あなたがご多忙な身であることは存じております。
 しかし、医者として言わせていただきます。あなたは生活のリズムを崩しすぎです。
 ちゃんと睡眠はとられていますか?お食事は?」

女医は腕を組みながら厳しい口調と顔つきで言った。

「私とて医学の見地ぐらいあります。それに私の体は私が一番良くわかっております。
 疲れ、確かにそうでしょう。しかしただ眩暈がしただけのこと。少し休めばこれぐらい。
 ご好意はありがたいですが私は忙しいのです。」

クリフトは尚も体を起こそうとしながら言う。

「なりませんクリフト様。しばらくの間、そうですね一週間ほどは政務をお休みください。
 体を休めなければなりません。」
女医はきっぱりと言い放った
「クリフト殿。したがっておくべきですよ。どう見てもあなたは体調を崩されている。」
ブライもそれに追従する。
「し、しかし・・・。」

「父上。どうかお休みください。お疲れなのです。」
ミゲルがやつれた父親の顔を心配そうに見つめながら言った。
「ミゲル・・・お前まで。」

「大丈夫ですよクリフト殿。あなたが少しぐらい政務を離れたところで何も変わりません。
 日は昇るし、夜は月が輝きます。サントハイムの民は仕事に精を出すでしょう、な。」
ブライがくっくと笑いながら言った。

「クリフト様は気負いすぎなのです。少しお休みなられたほうがよいでしょう。」
女医が彼に続けて言った。
「父上。」
411クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 08:01:22 ID:AlLLcMUy0
クリフトはしばらく迷うように三人の顔を見つめていたが、やがて観念したようにベットに身を横たえた。
やがて一息つくと
「ミゲル」
「はい。」
「姫様を探してお稽古事をなさるよういさめるのだ。」
「分かりました父上。」
ミゲルは踵を返して部屋から駆け出していった。

―親子揃ってクリフトに面倒を見てもらうとはな。
ブライは女王の娘のことを案じて渋面を作るクリフトを眺めながら同情の念を禁じ得なかった。
412クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 08:06:55 ID:AlLLcMUy0
体を休めるという行為は実に暇なものであった
特にここ最近は重要な祭事も多く仕事がたてこんでいたクリフトにとっては、
ただ何もせずベッドに横たわるというのは無駄な時間の浪費にしか思えなかった。

かれはしばらく心の中で文句を言いながら天井を眺め続けていた。
しかし疲労にはその超人的な勤労精神も打ち勝てずやがて眠りに入った。


「こっちよ!クリフト」

「お待ちください姫様!」

姫様はいつも私をお連れになって外へ「冒険」に出かける。
姫様はあの広大なサントハイム王城を「せまい」と言われた。

「クリフト!はやく!」

「姫様!」

アリーナと共にあるときクリフトの世界は無限に広がっていた。
クリフトと共にあればアリーナは広い世界へ迷うことなく飛び出すことが出来た。

「クリフト!」
413クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 08:12:25 ID:AlLLcMUy0
「ぬ・・・」
目を開けると既に太陽が稜線のかなたに沈みかける時刻になっていた。
焼け付くような赤が窓から差し込んでいた。

―ずいぶん眠っていたなようだな。やはり疲れていたか。
クリフトはやはり休んで正解だったかもしれないと思った。

ミゲルは上手くやっただろうか?姫様のお稽古事はどうなった?
ああ、そうだ今日は姫様にサントハイム史の講義を行う日であった
やらなければならないことが山ほど―

「目が覚めましたか?クリフト。」
彼の思考を中断するかのように女の声が聞こえた。

なんだ、あの医者がずっと見ていてくれたのか?
クリフトはそう思い感謝の言葉をかけようと体を右に傾けようとした

―ん?クリフト?

かれはサントハイムの権力の中枢に身を置いている人物であった。
そんな彼を呼び捨てに出来る人物など限られている
ましてやそれが女性あるならばそれは―
嫌な予感がしたクリフトは急いで声の主がいるほうへと向き直った

「へ、陛下!?」

「ようやく目が覚めましたかクリフト。随分気持ちよさそうに寝ていたわね?」
サントハイムの最高権力者、救国の英雄、アリーナ女王が笑みをたたえながら彼を見つめていた。
414クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 08:19:28 ID:AlLLcMUy0
彼が疲労で倒れたと聞いた。
医者に小言を言われてしまったのだ。

―陛下はクリフト様のお体をなんとお思いなのですか―

ここ最近は重要な祭事が多く彼に多量の仕事を任せることになってしまった。
その上通常の業務に加えて自分の娘の教育まで任せているのだ。
それが彼にどんな疲労を与えるかは容易に想像がついた。

―側近の体も気遣えないようじゃ君主失格ねえ

女王、アリーナは苦笑いを浮かべた。

またぞろあの子が迷惑をかけたのかしら?あの子は私にそっくりだから。
自分と今は亡き夫の娘であるお転婆姫のことを想った。
415クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 08:49:01 ID:AlLLcMUy0
彼女、アリーナはこのサントハイムの最高権力の地位にあった。

まだ10代のころ彼女は世界を救った英雄としてサントハイムに凱旋した。
彼女を待っていたのは民衆の熱烈な歓迎と、愛してやまない父であった。
その後彼女は人が変わった様に勉学に身を打ち込んだ。

ようやく二十歳を越えた頃先帝である父が崩御し、彼女が新しいサントハイム王として即位した。
彼女の人気は絶大なもので、一部で実しやかに囁かれた王制廃止の噂など、彼女の威光の前には消し飛んでしまった。
優れた人材に恵まれ、民衆の心を理解し、世界的見地に優れた彼女の統治はサントハイムに繁栄をもたらしていた。

彼女の人気を支えていたのは彼女個人のみによるものではない。
むしろその基盤を支えていたのは彼女の伴侶―世界を救った英雄ソロの存在であったともいえる。

アリーナとソロの馴れ初めも、どのようにして彼女らが結婚にいたったのかも民衆は誰一人として知らなかった。
救国の女王アリーナと世界を救った英雄ソロ、民衆にとってはそれだけ十分であった。
二人のラブ・ロマンスを扱った創作の類も出回ったがどれもこれも当の二人が破顔する内容であった。

とにかく、彼女とソロの統治はサントハイム王国繁栄の基盤を確固たるものとした。
アリーナはサントハイム史上最も優れた統治者の一人に数えられるようになった。


416クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 09:25:04 ID:AlLLcMUy0
「でも、クリフトもクリフトよねえ。」
アリーナは額を揉みながら呟いた

「私めにお任せくださいませ」
「不肖クリフト必ずや陛下のご期待に答えて見せまする」
「このクリフト此度の仕事を仰せつかることが出来、光栄の極みにございます」
「陛下、このクリフト必ずや成し遂げてみせます」

クリフトは万事が万事こんな調子で激務に耐え仕事を続けている。
彼はあらゆる仕事をそつなくこなすために、アリーナも頼るところが大きかった。

―昔からがんばりすぎなのよ、あなたは。
小さい頃「冒険」をしていたときも
ソロたちと本当の「冒険」に出ていたときも

彼は常に全力でアリーナを守ろうとしていた。

アリーナはしばらく額をもみながらぶつぶつとクリフトに軽い悪態をついていた。
やがて、膝を打ち「よし!」と呟くと、クリフトが眠っているであろう部屋へと向かった。
417クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 09:45:48 ID:AlLLcMUy0
クリフトは驚きに目を見張った。
ソロが死んで以来アリーナがこのように玉座の間や自分の寝室を出て城の中を出歩くなど滅多になかった。
彼女は民衆の慰撫や執務を行うときのみ表に姿を表していた。
殆どの人間はアリーナと二人きりで会話をすることなどなく、クリフトもそれは例外ではなかった。
勿論政務に関わることでは会話を交わしたが、このような場面は決してありえないことだった。

「陛下、何故わざわざこのような場所に・・・。」

クリフトがいずまいを正して言った。

「私が臣下の見舞いをすることがそんなにおかしなことかしら?
 私はあなたの労をねぎらいに来たのよ。
 あなたには仕事を任せっぱなしですからね。」

「しかし陛下は・・・」

「引きこもっていたって?」

クリフトが言い終わるか終わらないかのうちにアリーナが遮った。
「いえ、決してそのようなことは・・・」
クリフトは慌てて取り繕った。

「私はあなたにお礼が言いたくてきたのよ。」
アリーナは尚も笑みを浮かべて、優しく答えた。

「へ、陛下・・・。」
クリフトは肩をふるわせながら呟いた。

「クリフト、あなたには感謝しているわ。あなたがいなければこの国は廻らないわね。
 娘のことも、何から何まであなたに頼っているわ。」

アリーナは一度言葉を切ると

「いつも有難う。クリフト。」

まだ彼女が幼かった頃、そしてクリフトやソロと共に旅をしていたころと変わらぬ満面の笑みを浮かべながら言った。

「へ、陛下・・・もったいないお言葉。このクリフト恐懼に耐えませぬ・・・。」
クリフトは今にも泣き出しそうな顔で答えた。















418クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 10:41:24 ID:AlLLcMUy0
「いつも有難う。クリフト。」
有難うとアリーナが言ったのは何年かぶりだった
ソロが死んだ後の彼女はたとえどのような大役をこなしたとしても
「ご苦労でしたね」の一言ですませていた。

どうしてかは彼女にも分からない。
彼女は君主であり、クリフトも含め皆は臣下であった。



「いつも有難う。クリフト。」
アリーナがそういった瞬間クリフトは涙があふれそうになった。

いつであったか、アリーナが怪我をしてしまったとき幼いクリフトがホイミをかけ傷を癒したことがあった。
そのときもアリーナは全く同じような顔でクリフトに「有難う」と礼を言った。
あの時となんら変わらぬ顔であった。
419クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 10:53:21 ID:AlLLcMUy0
クリフトは不躾に思いながらもアリーナの姿をしげしげと眺めた。
そこにはかつて自分が手を焼かされたお転婆姫の姿はなかった。
気品あふれるたたずまいに、抑えられた声音。
モンスター相手に鉄拳を振るっていた姿など思い起こすこともできない。

サントハイム女王の姿がそこにあった。
しかし、その笑顔はやはり「姫様」のものであった。


「なんて顔をしているの。いちいち礼を言われたぐらいで泣くものじゃないわ」
アリーナがあきれたというような顔をしていった。
「は、も、申し訳御座いません。」
クリフトはこぼれそうになる涙を必死でこらえながら応じた。

アリーナは裾で涙をぬぐおうとするクリフトを見つめていたが、やがて身を乗り出すようにしてクリフトに顔を寄せた。

「クリフト、随分と苦労をかけているわね。―特に最近はミーティアのことで。」
ミーティア、それがサントハイム次期王位継承者の名であった。
「め、迷惑などと。滅相もございません私は姫様のご教育に携われることを光栄に思っております。」
クリフトが首を大きく横に振りながら答えた。
420クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 11:10:03 ID:AlLLcMUy0
「あら、そう。親として嬉しいわね。それでは」
アリーナは一度言葉を切ると
「あの子、ミーティアの最近の様子はどうかしら?あなたがついているんですものね?」
笑みを浮かべながらそう尋ねた。

「は、ひ、姫様ですか。そ、それはもう勉学にもお稽古事にもはげまれております。
 この間などは長いサントハイム叙事詩をスラリと暗記なされて・・・。」

クリフトは己の背中に冷汗が流れるのを感じた。
ミーティアの様子は若干の脚色を加えてアリーナに報告していた。
そうでもしなければ、「教育係」などというものを名乗ることはできなかった。

「ぷぷっ。クリフト。顔を引きつらせながら嘘を言うものじゃないわ。」
アリーナがこらえきれず吹き出しながら言った。
「本当のことを教えて頂戴。聞かなくてもなんとなく分かるけどね。」
アリーナは尚も笑いながら催促した。

「は、はい、そ、その、幼き頃の陛下によく似ておられ、元気がよく、お外で遊ばれるのがお好きなようで、
 その、活動的と申しますか、民草の心を理解されようと―いえ、決して勉学を疎かにしておられるわけではなく・・・」

クリフトはしどろもどろになりながらも何とか体裁を整えようと答えた。
背中を伝う汗の量が増えたのを感じた。

「つまり」
アリーナがぴしゃりと言い切った
「私そっくりのお転婆と言いたいのね?」
「い、いえ陛下ほどではございません。陛下の幼き頃は本当に」
421クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 11:29:57 ID:AlLLcMUy0
「クリフト。」
アリーナは微笑んだ。
「はッ。」
「あなた生意気言うようになったわね。」
「いえ決してそのような。」
「クリフト。」
アリーナがさらに深く微笑む、というより目じりのしわを多くした。
「も、申し訳ございませぬ。」
クリフトは深く頭を垂れた。
アリーナはそんなクリフトを尻目に続ける。

「分かると言ったでしょう。私はあの子の親ですよ。」
「勿論でございます。」
「あの子にはしかるべき教育を受けさせます。勿論あの子の思いは尊重してあげたいわ。」
「それでも」
アリーナは言い切った。
「私と全く同じようにされては困るわね。父上のお気持ちが今になってわかったわ・・・。」
アリーナはかぶりを振りながら今度は優しい笑みを浮かべた。

「しかし陛下によく似ておられるのは本当です。下々の者にも分け隔てなく接せられ、
ミゲルにも友人として接しておられるようです。」

クリフトは微笑んだ。
「陛下が私に友人として接して下さったように。」

「草木や花、ありとあらゆるものに愛情を持っておられ、命を大切になされるお方です。
 姫様はとても優しい心をお持ちのようです。」

クリフトは微笑みながら続けた
「陛下がそうであられたように。」
422クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 11:39:35 ID:AlLLcMUy0
「な、なんだかむずがゆくなってくるわね。」
アリーナは若干頬をそめながら応じた。
「いえ、陛下はすばらしいお方です。私も含めた臣下皆が、民衆がそれを知っております。」
クリフトが胸を張って答えた。

「私はそんな出来た人間じゃないわ。でも。」
アリーナは再び満面の笑みを浮かべた
「ありがとうクリフト。あなたにそう言われると、とても嬉しいわ。」

「陛下がお望みであれば何度でも」
「では、一日に一回はほめてもらおうかしらね。」
「承知いたしました。」
クリフトは微笑みながら応じた。
アリーナは微笑みながら頷いた。
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/22(月) 11:47:32 ID:PsvH+iXQ0
ID:AlLLcMUy0さん

・連投規制に何度も引っかかるぐらい長い = 長時間のスレッド専有化
・スレッド内に受け入れられない人間が出ることが容易に予測できる内容(要するにクリアリ物ではない)

この2点のうち、片方だけでも満たした時点で
スレッド内に直接投下するのではなく、
どこかのアップローダーにテキストファイルをあげ、
リンクを提示する方策を採るべきだと思います
424クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 11:48:47 ID:AlLLcMUy0
「あの人が死んで、もう8年になるのね・・・。」
アリーナが既に日の沈んだ窓の外を眺めながら言った。
「ミゲルも、ミーティアも大きくなったわ。」
そして再びクリフトに視線を戻すと「本当にあっという間ね」と続けた。

「私の妻も。」
クリフトが少し顔を曇らせながら応じた
「もうそんなに経つのですね。」

今から8年前サントハイムを疫病が襲った。
王都とて例外ではなく貴族のうちにも倒れるものが続出した。
その中にはアリーナの夫ソロとクリフトの妻へレナも含まれていた。
当時ミーティアとミゲルが産まれてまだ2年とたっていなかった。

「はやり病でしたからね。あれは元々体が弱かったものですから。
 しかし、ソロ殿までお倒れになるとは思いもよりませんでした。」
クリフトは渋面を作りながら言った後、「申し訳ございません。お辛いことを。」と続けた。

「いいのよ。本当にあいつは体力だけが取り柄だったのにね。
 私もソロが倒れるなんて思いもよらなかったわ。」
アリーナはどこか寂しげに微笑みながら言った。
425クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 11:52:23 ID:AlLLcMUy0
>>423
ではそうさせていただきます
といってももうじき終わりなので大したことはありませんが

スレ汚し失礼いたしました
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/22(月) 13:45:14 ID:AZlHIfMyO
>>425
こういうせつない話自分は好きだ。GJ
続きが気になります
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/22(月) 19:02:39 ID:3tHmP9r+0
ミーティアってドラクエ8の姫の名前じゃなかったっけ…?
わざと?
428クリフト&アリーナ:2008/09/22(月) 23:53:45 ID:AlLLcMUy0
>>427
思いつかなかったので拝借しました
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/23(火) 00:45:20 ID:YnYKeWJeO
クリフトがアリーナを愛しすぎて憎さ100倍な感じでザキ唱えて殺すっていう
ダークな話も好きな自分は異端ですかね。
430名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/23(火) 02:21:49 ID:w7su66SC0
>>428
とても素敵なお話だと思います。
いつか続きを書かれたら、是非読ませてくださいね。

名前は難しいですよね。ドラクエの世界観をこわさない、違和感のない名前って
結構考えちゃいます。
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/23(火) 11:06:26 ID:wEddqVmPO
私も素敵な話だと思います
たとえ結末がクリアリでなくとも、クリフトとアリーナが
互いを意識していた過去があるという設定もいいなあと・・・
どうみてもクリアリじゃないのは萎えますが、これくらいは許容範囲では?


なにはともあれ続きを楽しみにしてます
めげずに頑張ってください
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/23(火) 19:58:50 ID:mhoyigclO
設定はかまわないけど長すぎる
他の人が書き込めないよ

せめて何分の何って書いてあれば先が見えるんだけど
433名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/24(水) 00:17:47 ID:mptSJR7C0
他の人が書き込めないって言っても、
最近はほとんど何日もレスがないような状況だったしな…。
その前にSSが投下されてもずっと無反応だったしさ。

自分は>>428さんの話好きだった。
クリ×アリでなくても、2人が良い関係ならいいんじゃないか?
ただでさえ最近は職人さん減ってるんだし…。
434名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/24(水) 08:28:08 ID:oVPM8II3O
>>428
GJGJGJ
続きうpしてくだしあ

>>429
微ダークは自分も好きだ
クリフト→→→→→←アリーナ
の構図が好き
クリフトがアリーナ好きで好きで好きd(ry
みたいな
435名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 02:36:35 ID:A8S2Yhqa0
ダークなクリフトいい!
って思ってSS書きはじめてみたけど
姫相手にザキ使いたいって真剣に思ってるクリフト(いちおう未遂)
って内容
人を選ぶかもしれないし、投下しないほうがいいのか…
436名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 06:45:21 ID:QV9Xx+fK0
と・う・か!!
と・う・か!!

頭に注意書き付けておけばOKじゃないかな
437名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 11:41:13 ID:ysKxhmjMO
>>435
投下してくれ!w
>>436さんの言う通り注意書き沿えれば全然おkだとオモ
438 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:26:06 ID:gULownVZ0
>>436-437 d

書きあがったので、
姫様にザキ未遂のクリフトSS投下します。
ダークというか、人格障害者の手記になってしまった。
気分を害する人がいたら申し訳ない。
439眩暈1/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:27:04 ID:gULownVZ0
ああ、眩暈がする。
ここが塔の屋上だからだろうか。
それとも、むせ返るような花の匂いのせいだろうか。

塔の屋上には見事な庭園があり、我々は手分けしてさえずりの蜜を探した。
とはいえ、エルフのいた形跡はあちこちに残っていたので、
私は簡単に見つけることができた。
そのとき、貴女がひょっこりと、背丈ほどもある草木をかきわけながら、
目の前に現れた。
緑の中に、突然現れた貴女は、さながら花のようで。
さえずりの蜜を見つけたと伝えたら、貴女は輝くばかりの笑顔で、
私に飛びついてきた。
大切なお父上のお声を戻す、唯一の手段。
それが見つかり、貴女は純粋に嬉しかっただけなのでしょうが。

私は、思い余って、貴女の唇を奪ってしまった。
貴女がほんの少しだけ、ビクリと身体を強張らせた感覚が伝わってきて、
しかしその後の記憶は途切れている。
極度の疲労と心労が重なったせいか、そのまま意識を失ってしまったのだ。
440眩暈2/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:29:31 ID:gULownVZ0
目を覚ますと、サントハイム城の自室であった。
「気が付いたのね」
声の主は、よくよくわかっている。
この国の王女にして私の主であり、かつ大切な人。
「大変だったのよ?
 クリフトったら塔のてっぺんで気を失ったりして。
 ブライのルーラのおかげで助かったけど」
「申し訳…ございません…」
謝りながら記憶を辿り、そして唐突にあの感触に行き着く。
ここは塔の上ではないというのに、また眩暈がしてくる。
しかし眩暈がひどくてあんなことを、なんて、言い訳にもならない。
「姫様…あの…それから…」
「何?」
「あの…塔の上での…非礼…お許しください…」
身分もわきまえず、己の職も省みず、相手の気持ちさえ無視した行為。
謝っても、謝りきれない。
いや、許されようというのがそもそも図々しいのかもしれない。
「…気にしてないわ。
 幸い、ブライには気づかれていなかったし、お互い忘れれば済む話だわ」
気にしていない? 忘れる? あれを?
ズキンと、胸が痛む。
441眩暈3/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:30:33 ID:gULownVZ0
「しかし…あのようなことを…王女であるアリーナ様に…
 私は、どのような処分も覚悟しております…」
「処分なんかしないし、させないわ。
 だって私、クリフトのことを助けてあげるって決めてるのよ。
 クリフトは、可哀相な子だから」
思わず、耳を疑った。
この人は何と言ったのか。
「それは…どういう…?」
「クリフトは身寄りもないし、こんなふうに病弱だし、
 可哀相だなって思ってるのよ?
 庇ってくれる人もいないだろうし。
 だからクリフトが咎められるようなことはしたくないわ」

貴女のその言葉で、私は完膚なきまでに思い知った。
初めから私は貴女より下の存在で、取るに足らない存在。
多少不快な気持ちにさせられても、「可哀相な子」のすることだからと、
黙って受け流すのだろう。
私の気持ちなど、貴女には何の興味もないのだ。
それくらいなら、罵倒され、拒絶されたほうがまだ良かった。
442眩暈4/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:34:51 ID:gULownVZ0
武術大会への参加を許された貴女は、ますますもって輝きを増していった。
そして、大会で優勝した貴女を見たとき、私にはまるで手に入らない存在
なのだと確信した。
生きて、輝いている貴女は。

けれど、その輝きを消してしまえばどうだろう。

武術大会の後、無人となったサントハイム城から、私は1冊の本を持ち出した。
禁呪について書かれている魔道書だ。
私は、寝る間も惜しんで、その習得に励んだ。

禁呪で命を絶たれた人間の死に顔は、とても美しいと聞く。
生きている貴女が思い通りにならないなら、いっそ殺してしまえたら。

ミントスに向かう船の中で、私は貴女に約束をした。
次の町に着いたら、覚えたての呪文を披露してさしあげます、と。
貴女は、どうせ上位の回復魔法としか思っていないだろう。
でもそれは、貴女が私だけのものになる、とても素敵な魔法なんですよ。

ミントスには世界でも指折りの宿屋があるらしい。
貴女とのスウィートライフの為に、一番良い部屋を準備しなくては。
まずは邪魔な老人をどう処分しようか。
443眩暈5/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:36:35 ID:gULownVZ0
しかし、宿を用意したのはその老人だった。
何故なら私は、町に着いて間もなく、病に倒れてしまったので。

随分長い間苦しんでいたような気もするし、短い間だったような気もする。
意識が戻ったとき、そこにはやはり貴女がいた。
「良かった!
 気がついたのね クリフト!」
貴女は、いつも通りのまぶしい笑顔で、死の淵から戻った私を迎えてくれた。
私は、貴女からその笑顔を消してしまおうとしていたのに。
そんなどうしようもない私を助ける為に、貴女は必死で薬を探してくれたのだ。
涙が、滲んでくる。
「お恥ずかしい……。
 姫様を守るべき私が、このようなご迷惑を」
いつだって私は貴女に庇われ、助けられているのに、対等に扱ってくれないことが
許せないだなんて。
なんという驕りなのだろう。
なんと卑しく、情けない人間なのだろう。
「いいのよクリフト」
貴女のその言葉は、とても優しかった。
あまりに優しすぎて、何もかもわかっていながら、すべて許してくれたのでは
ないかと、錯覚しそうになるほど。
444眩暈6/6 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:39:20 ID:gULownVZ0
「いいえ…いいえ!
 私は姫様にとんでもないことを…!」
もう、すべてを告白し、懺悔したい気持ちだった。
しかし貴女は、いつもの言葉で私の気持ちを軽く受け流した。
「気にしてないわ、クリフト。
 だからあなたも気にしないで」
ああ、この期に及んで、気にしていないとは!
私の心に渦巻くどす黒い感情を知っても、貴女は相変わらず気にしていないと
言うのだろうか。
貴女が気にしないというものゆえに、貴女は命を落とすかもしれないのに。
「姫様…私は…
 私は、気にして欲しいんです…!」
私は貴女に懇願した。
その姿は、貴女からすれば随分と哀れで滑稽なものだったのだろう。
「大丈夫よ、私はずっとあなたを見捨てないわ。
 これからも、いつだって助けてあげる」
そう言うと、貴女は私の手をとった。
「さあ、旅を続けましょう」

貴女に触れられると、何も考えられなくなる。
理性が吹き飛び、破壊的な本能に飲み込まれそうになる。
どうか哀れな私を助けてください、慈悲深いアリーナ姫様。
私は貴女に飲み込まれたいのだ。

ああ、眩暈がする。
445 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/25(木) 12:40:42 ID:gULownVZ0
以上です。
FC版プレイしてたとき、アリーナの「いいのよクリフト」に
とても妄想をかきたてたられたのを思い出して書きました。
446名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 12:46:14 ID:ysKxhmjMO
GJGJ!!!
黒フトもやっぱりいいなwww
447名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 13:21:06 ID:KfY9sgHi0
これはいい黒フトwww
448名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 15:19:48 ID:QV9Xx+fK0
GJGJGJ−−−!!!
姫の無邪気な優しさが辛いな
よい黒フトでした、ありがとう!
449名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 17:14:48 ID:R5X+rj/a0
GJ。
黒いクリフト、いいなあ。
450名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 18:45:49 ID:7UQXnOgmO
黒フト良かったww
451名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/25(木) 18:56:35 ID:ysKxhmjMO
嫉妬黒フトもおながいします
452 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/26(金) 16:47:05 ID:seX3N+n50
予想外に好評でビックリです
調子に乗ってザラキ編を考えてるんですが
やっぱむづかしい…

黒フトといえど悲恋はイヤなのですが
どう考えてもバッドエンドになってしまう
453名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/26(金) 23:17:15 ID:PSWu55TB0
>>452
うp!!!!!うp!!!!!
454名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/27(土) 09:44:33 ID:lrA0qcnvO
>>452
うおー!
自分もうp希望!
455名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/27(土) 12:08:35 ID:wcOuFo8lO
ひとまずあげます
456名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/28(日) 00:52:17 ID:dkrTkB47O
久々に覗いたらGJ黒フト作品が
>>452
次回作楽しみにしてますw
457名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/29(月) 22:05:23 ID:BDi5EqN6O
>>451
自分も嫉妬クリに萌えます
458名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/29(月) 23:20:03 ID:P7WPgCMs0
嫉妬もだけど悶々と懊悩する神官に萌える
もちろん邪な想いとかそういうのも含めて一人激しく身悶えてるクリフトさん
神官<兄的存在<一人の男
↑こうなりつつあるもう一人の自分に流されそうでジタバタしてる男、クリフト
日に日に衰弱していく彼を心配げに見ている姫
459 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 02:11:13 ID:7bZSL+CV0
黒フト(?)続編投下します

ザラキ編といいつつザラキ関係なかった
個人的趣味まるだしでクリフトらしからぬ気も
とにかく反省してます
460こころ1/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 02:11:45 ID:7bZSL+CV0
「勇者って、可哀相なのね」
我々サントハイム一行は、縁あって世界を救う勇者様の旅に加わることになった。
お互いの自己紹介を終えた後、我が姫が言い放った言葉はそれであった。

当然、そんなことを言われた勇者様は、ショックを隠せない様子だった。
私は、姫様が高貴なお方であるゆえに、時に失礼な物言いをしてしまう、
とお話しし、その場を収めた。
勇者様は腑に落ちないという顔をしていらしたが。

しかし腑に落ちないのは私も同じだ。
姫様から初めて「可哀相」という言葉を聞いたときは、どうしようもない絶望と
無力感に打ちひしがれた。
だが、私以外の人間に同じ言葉が向けられたとき、何故だか強い嫉妬を感じたのだ。

そんな一件がありながらも、姫様は新しい仲間にすぐに受け入れられた。
言葉を知らず、率直すぎる嫌いがあるのは否めないが、それでも無邪気で愛らしい
姫様は、誰からも愛されて当然だった。
反面、私は日に日に孤立していった。
私は聖職者としての振る舞いを保ち、世俗的な会話などは一切断ち切っていた為、
大方つまらぬ奴だと思われたのだろう。

キングレオ城では、新たな仲間、バトランドの戦士ライアン殿が待っていた。
姫様も認める、相当の実力者である。
それでも、次々と襲い来る魔物への応戦に、我々は憔悴しきっていった。
いったいどれだけの魔物を屠ったものか…といった頃、勇者様は、私に苦言を
呈してきた。
461こころ2/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 02:12:23 ID:7bZSL+CV0
勇者様の言い分はこうだった。
既に魔物は最後の1匹、しかも手負い。
止めをさしてから、仲間の回復をしてもよかったのではないか?
そのうえ、一番傷を負っていたのは自分であったのに、
何故アリーナを優先したのか?

それに対して、私はこう反論した。
私は常に万一のことを考え、味方の回復を優先している。
勇者様を回復しなかったのは、ご自身が回復魔法を使えるから、ただそれだけだ。

互いの意見はそのまま平行線をたどる勢いだった。
そこへ助け舟を出してくれたのは、同じく回復魔法を使うミネアさんだった。
「あの…
 クリフトさんには、いつもベホマラーを使っていただく、
 ということでどうでしょうか?」

その夜、私は姫様に呼び出された。
理由は案の定、勇者様との口論に関してだった。

「私なら大丈夫だから、勇者を優先してあげて」
「…それはもう終わった話です、姫様。
 私が皆様を平等に回復すればよいだけですから」
何故、あの男にお気遣いなされるのか。
「でも、一応勇者がリーダーなわけだし、誰よりも優先しなくちゃいけないわ」
いつになく食い下がってこられる様子に、私は苛立ちを隠せなかった。
「しかし姫様、勇者様はご自分で回復できるんですよ?
 それなのに、その手段をお持ちでない姫様や、
 ブライ様たちより優先しなければいけないのですか?
 もし私が勇者様の立場でしたら、自分のことは自分で面倒みますがね」
462こころ3/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 02:13:20 ID:7bZSL+CV0
思わず感情的になってしまった私に、姫様は面食らっている様子だった。
しばらく黙って考え込み、それから諭すように言った。
「みんながクリフトみたいに潔癖なわけでもないし、
 完璧に生きられるわけでもない。
 人間には、心があるのよ」
貴女がそれを言うのですか?
「…わかりました。
 勇者様を優先することと、
 『心』に何のつながりがあるのかはわかりませんが…
 姫様が望むなら、そのように致します」
そう言いながらも、到底得心いかなかった。
貴女の口から、他の誰かの名前を聞くだけで、私の心は引き裂かれんばかりなのに。
そんな、私の心を知ろうともしない貴女に『心』などと。

我々はサントハイム王家の墓に来た。
魔族の居城に乗り込む為に、変化の杖なるものが必要らしく、それを求めて
やって来たのだ。
墓所内は複雑な構造だったが、程なくして杖を手に入れることができた。
しかし困ったことに、王家の財宝に目が眩んだ武器商人が墓所内に取り残された
らしく、捜しに行った老人もまた戻っていなかった。
私は、ミネアさんと墓所の周りを散歩しながら待つことにした。

ミネアさんは、ベホマラーの一件以来、何故か心を開いてくれるようになった。
バルザックとの間にあったことを、少しずつだが、話してくれたのだ。
マーニャさんには秘密にしているであろうその話を、私は黙って聞いた。
姉妹だからこそ言えない、それでも誰かに話したい…そんな心の葛藤があるのだろう、
と感じながら。
いつからか私も彼女を信頼して、姫様への想いを相談するようになっていた。
463こころ4/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 02:14:00 ID:7bZSL+CV0
「ここってとても理想的な場所ですよね」
「奇遇ですね、私もそう思っていました」
ミネアさんとは共通の話題が多く、好みも似ていた。
「王家の方はこちらで防腐処理をされていたのでしょうか?
 …あ、いえ。
 この辺りにはそうした効果のある植物がたくさん植えられているようなので」
「防腐処理ですか…
 なるほど、そうしたことも考えなければなりませんでしたね…
 あ、いえ、こちらの話です」
怪訝そうな顔のミネアさんに、私はニコリと微笑んだ。
「錬金術師の娘さんともなると、流石に博識ですね」
「…バルザックがいつもいろいろ教えてくれて…
 やだわ、私ったら、また…」
ミネアさんはしばらく黙り込んだ。
彼女曰く、私と話しているとバルザックのことを強く思い出してしまうらしい。
「私でよければ、いくらでもお話を伺いますよ。
 話して楽になることもありますから」
「…ありがとうございます。
 でもいつも甘えてばかりでは申し訳ありませんわ。
 私も、クリフトさんの悩みを解決してさしあげられればよいのですけど」
私の悩みが、占いやアドバイスが有効な程単純ではない、ということを、
彼女はよくわかっているようだった。
「まあ私の場合、当面の課題は姫様を守れるくらい強くなる、
 といったところでしょうね。
 姫様も、やはり強い男が好きなのでしょうし」
「それこそ難しい悩みですわ」
ミネアさんは苦笑した。
「ええ、私には姫様を打ち負かすなど、とてもできません。
 …いっそのこと、ザキでも使えれば…」
「いけませんわ、そんなこと」
ふいに、空気が変わった。
464名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/30(火) 08:24:07 ID:viy98dYLO
続き投下待ち
465こころ5/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 09:28:28 ID:qa9+JkFW0
「冗談ですよ」
「冗談でも…大切な人を殺すなんて…」
この人は、そういう偽善者めいたところさえなければ、と思う。
「今日のミネアさんはなんだか意地悪ですね。
 いつもなら私の気持ちを理解してくれるのに」
「ごめんなさい…
 クリフトさんのお気持ちはわかっておりますわ。
 でも、その想いが破滅的な願望につながるのだとしたら…
 何だか、人の心というものは恐ろしいと、感じてしまっただけなんです」
ああ、うんざりする。
心だなんて見えないものをことさら取り立てて、いったい何になるというのか。
何もわからない他人が、相手の心を理解したつもりになって、余計な気遣いを
することに何の意味があるのか。
「では私が破滅的な願望を抱いているとして、貴女はどうなさるのですか?
 私と姫様の仲を引き裂きますか?」
「そんな…私はただ…貴方を助けたくて…」
「助けるとはどういう意味ですか?
 貴女の思い上がりではないですか?」
もはや返す言葉もない彼女に、私は止めをさした。
「仮に私を救えたとしても、何の贖罪にもなりませんよ。
 貴女は大切な人を救えなかったんですから。
 その手で殺したんですから」

変化の杖を手に入れ、魔族の本拠地、デスパレスに乗り込むのかと思っていたが、
向かったのはサントハイム近く、名もなき海辺の村だった。
何故この村に来たのか、詳細は不明だが、海賊の財宝が何とか、という話を聞いた。
そんなものには当然興味もなく、私は一人宿屋で休んでいた。

仲間たちは皆、浜辺に出かけたらしい。
日光浴だろうか、いい気なものだ。
466名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/30(火) 09:28:28 ID:4X22bKdDO
同じく待ち
467こころ6/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 09:28:59 ID:qa9+JkFW0
頬杖をつくと、まだ痛む気がした。
あの後、ミネアさんに平手打ちされた左頬。
唯一心を開いてくれたミネアさんに、私は暴言を吐いてしまった。
毒蛇は恩を仇で返すというが、まさにそれか。

そうしてぼんやり考え事をしている間に、いつの間にか日が傾いていた。
仲間たちは宿に戻っているようだったが、老人の慌てたような声が聞こえる。
姫様が戻っていないらしい。
私は一人、外に捜しに出た。

姫様は、浜辺にぽつんと座っていらした。
昼間は暑かったせいか、普段よりも薄着の様子だった。
「こんなところにおられては、お風邪を召します」
「…待っていたの」
「は?」
「潮が満ちるのを待っていたの。それでさっき見つけたのよ、これ」
姫様が差し出したのは何やら石のようなものだった。
「ずっとみんなで探していたんだけど、全然見つからなかったの。
 でも、潮が満ちてきたら、手がかりがつかめるんじゃないかって思って。
 渇きの石っていうくらいだから」
そう言いながら、姫様はその石を波打ち際に置いた。
石は寄せてくる波を吸い込み、さらわれることなくそこに留まった。
「流石は姫様ですね」
姫様が、実は頭が良いということを知る者は少ない。
あの老人も、姫様の考えがわからず、いつもの迷子だの騒いでいるようでは、
モウロクしたとしか言いようがない。

「…時の砂で時間を戻せたら」
時の砂。
時間を戻せる不思議な道具がある、という話は、この村で誰かから聞いた気がする。
「そうしたら、サントハイムをもとに戻せるのに」
私は、姫様の淋しそうな横顔を見ていたら、何とも言われぬ気持ちになった。

一番可哀相なのは私でなければならない、と思っていた。
姫様は、私のものだから。
私だけに、心を注いで欲しかったから。
468こころ7/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 09:30:00 ID:qa9+JkFW0
でも本当は、貴女のほうがずっと可哀相で。
父を失い、国民を失い、取り戻せるかもわからぬまま、それを信じて
戦いに身をやつす日々。
挙句、こんな私に同情を寄せたばかりに執着されて、いつ殺されても
おかしくないのだ。

「私は…戻れるならば、生まれる前に戻りたいです…」
消えてしまいたかった。
こんな私は、生まれるべきではなかった。
姫様は、ふっと笑った。
さっきまでの淋しげな雰囲気はもうどこかに消えていた。
「ミネアさんの言ってたことは本当かもね。
 クリフトは母親の胎内に戻りたいっていうのと、飲み込まれるのが怖いって
 いうのが同居してる人間なんじゃないかって言ってたわ。
 だから、海が怖いのよ、きっと」
下世話な辻占い師風情が、何をわかった風なことを。
「…海が怖いのは、昔、溺れかけたからですよ」
「ああ! そんなこともあったわね。
 あの時も私が助けてあげたのよ。知ってた?」
「ええ、無論です。…ですが…」
貴女も私も、あの頃から、何も変わっていない。
それでも、きっとこれから貴女は変わってゆくのだろう。
王女としての役割に戻り、やがては誰かのものになるのだ。
「ずっと助けられてばかりではいられません。
 姫様は、いつかクリフトのことを置いていってしまわれますから」
私は、持ってきていたマントを姫様の震える肩にかけた。
やがては誰かのものになる、それは極めて確信的なことのように思えて、
今すぐにでも姫様を私だけのものにしなければならないような強迫感に
襲われた。
正体のわからない力に引き寄せられるように、私の手が、貴女の首へとのびた。
後ろから、ちょうど首を絞めるように…しかし力なく、撫でるように。
指先をそっと滑らせると、頚動脈の拍動を感じた。
逸る脈が心地良い。
何より、ぬくもりがあった。
469こころ8/8 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 09:32:00 ID:qa9+JkFW0
姫様はまだ震えていた。
それは寒さのせいなのか、それとも。
「ねえ、ミントスに着いたら披露するって言ってた魔法のことだけど…」
首に手をかけられたまま、貴女は唐突に喋り始めた。
「ああ…覚えてらしたのですか」
「あれってザキでしょ?」
何故貴女はそう思ったのだろう。
触れた肌から、私の心が貴女に流れていったのだろうか。
私には、何も伝わってこないのに。
「…いいえ、ベホマです」
貴女はフフと笑った。
私もつられてフフと笑った。
お互いどこかぎこちなく、凍りつくような笑いだった。

「…ねえクリフト。
 私は自分より強い人じゃないと結婚しないわ。
 だからもっともっと強くなるの」
「…ええ」
「お父様やサントハイムのみんなが帰ってきても、旅は続けるわ。
 クリフトも一緒よ。絶対よ」
姫様は、首にかかる私の手に、ご自分の手をそっと重ねた。
そうして私は、自分の手がすっかり冷え切っていたことに気づいた。
「…ええ、姫様が望むなら」

貴女の心など私にはわからない。
そんな正体不明のものなど要らないと思っていた。
それでも、私を必要としてくださる限りは、貴女の望みを叶えたい。

貴女は生きている。
その熱と脈を感じながら、私は静かに目を閉じた。
470 ◆YISOKD5/z2 :2008/09/30(火) 09:33:23 ID:qa9+JkFW0
以上です
おつきあいありがとうございました
黒フトはむずかしいのでもう封印します
いつかリベンジしたい
471名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/30(火) 19:32:15 ID:4X22bKdDO
GJGJGJGJGJ!!乙!!
472名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/09/30(火) 23:21:24 ID:viy98dYLO
乙でした。「時の砂で時間を戻せたら」という下りに何故か萌えてしまいました。
アリーナだけでなくきっと誰しも思うことなんでしょうね。
473名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/01(水) 11:18:23 ID:M2YuEWfbO
乙です。GJ!!

この黒フト小説を読んで、去年、ものっそい黒クリアリな舞台を見たことを思い出した。
474名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/02(木) 01:16:38 ID:Et1YABlE0
クリアリな舞台って…
見たいような見たくないような
475名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/02(木) 20:56:07 ID:gyndloTwO
好きカプに絶好調禿げしくハマってる時に
恋愛映画やラブソングなんかを聞いてると
なんでもかんでも好きカプに聞こえるよねw
昔鯛タニックでクリアリ妄想した事思い出して赤面したwww
476名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/02(木) 21:26:48 ID:SAlmaGyJO
>>473
舞台内容kwsk

>>475
タイタニッククリアリ萌えるwww
477名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/02(木) 23:33:18 ID:YCEFhiLH0
>>475
確かにあの二の腕の太さは(ry
478名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/02(木) 23:59:43 ID:QNg4OHP2O
自分より強い人とじゃないと結婚しない
だからもっと強くなる
=誰とも結婚したくない
ってことなんだろうか

だからクリフトも強くなってね
ってセリフがあとに続くなら
めちゃ萌えるんだが
479名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 03:51:37 ID:16JI2h3GO
自分は初期の某海賊映画のカップルでクリアリ妄想したwww
シリーズを重ねるにつれて気が多くなるヒロインに萎えたが
ジャックを男勇者だと思えばまた萌えそうだwww
480名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 08:06:09 ID:rlj8Tu37O
>>476








主要登場人物はお転婆なお嬢様(=アリーナ)、その幼なじみ兼召使(=クリフト)、ヒーロー(=勇者?)。

クリフトはアリーナが好きだが、想いを伝えられず、そうこうしている内にアリーナは勇者に惚れて二人は相思相愛に。
そんな中革命が起きて三人はバラバラに。
貴族であるアリーナは没落。
クリフトはなぜか出世。(黒フト)
勇者はなぜか旅してる。
黒フトは自分の地位を利用し勇者を断頭台に送ろうと目論み、アリーナを無理矢理自分のものに。
(ここが1番萌えどころで、黒フトの一人称「俺」になるわ、アリーナにタメ口だわ、拉致軟禁だわでスゴイ。)

しかしアリーナは勇者と共に自ら牢獄に入り、共に死ぬ。
最後に黒フトも改心するんだが、その想いは届くことがなかった。
という話で、ものすごい脳内変換して楽しんだ。
481名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 08:58:18 ID:2I4dAP7wO
ベタだけどロミジュリでクリアリ妄想したな…
482名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 09:26:38 ID:FrblOog20
童話系で妄想したことならあるかも
でもだいたいヒーローがアリーナ
ヒロインがクリフトに逆転してしまう
483名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 17:21:19 ID:YVga2tOk0
このスレでも童話クリアリ変換SSいくつかあったよね
赤頭巾でクリアリとか誰か書いてくれないかな
>>480
萌えたwww
484名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 17:47:49 ID:eef/kqQlO
黒クリの方、お疲れ様andGJでした。
文章が秀逸すぎて、引き込まれてしまったよ…
リメイククリフトにマッチングのナイスキャラ付け、アリーナもただの無邪気じゃない魅力を感じました。
続編待ってます!
485名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/03(金) 18:30:09 ID:LWCs6Z9Q0
赤ずきんならペロー版がいい
狼に喰われてENDのやつ
486 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/03(金) 20:54:25 ID:Mcpj7Uni0
自分で赤ずきん考えてみても
どうしても大人向けになってしまうので
眠り姫モチーフのSSを投下してみます
487寝たフリ姫 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/03(金) 20:55:41 ID:Mcpj7Uni0
「姫様、お茶をお持ちしました」
姫様は、ベッドに横になっているが、明らかに寝たフリだ。
この辺りの海域は、魔物も少なく、姫様には少々退屈な船旅らしい。

「食事の後の二度寝は感心しませんね」
寝たフリだと見破られたのが癪だとでもいうように、
不機嫌そうな声が漏れる。
「…私だってお姫様だもの、
 愛する人がキスしてくれたら、目が覚めるのよ」
私はわざとらしくため息を漏らしてから、
いやみなくらい優しい声で言ってみた。
「私でよろしければ」

予期せぬ返答だったのだろう。
姫様は答えあぐねたようで、しばらくもぞもぞ動いた後、
ようやく言葉を返してくれた。
「愛が足りなかったら、ずっと起きないんだから」
愛情を吸い取って動力にするんですか? 貴女は。

「それは困りましたねぇ…
 愛情の深さに比例して活動するとおっしゃるなら、
 私がキスしたら、姫様は飛び起きた勢いで、
 船の甲板を蹴破ってしまうかもしれませんね」
「なっ…失礼ね!
 私、そんなことしないわよ!」
よっぽど屈辱的と感じたのか、姫様はシーツを払いのけて
ガバッと起き上がった。

つまりそこで口実はなくなってしまったのだが…

私は姫様の唇に、自分の唇をそっと重ねた。
488名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 01:27:22 ID:4x6UB55d0
(*゚∀゚)=3 ムッハー!!  GJ!
挑戦的なクリフトとツンデレ姫、よすぐるw
489名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 18:37:07 ID:TvbPKolf0
ツンデレといえば、DS版はアリーナの戦歴で
「ツンデレプリンセス」というステージがあるけど、
どこがツンデレなんだ?
特に、何をもって「デレ」といわれるんだ?
490名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 22:08:10 ID:IO9keyXp0
>487
GJ!!!
ツンデレ大好き!
あまりツンすぎるとワガママになっちゃうし、具合が絶妙だよ!

>489
お父さまに対してのデレ…
アリーナの「お父さま」心配具合はハンパじゃないww
5章ならクリフトに対してにできそうなんだけどねー
491名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 22:40:11 ID:UN3K655D0
>>490
あ・・・あなたたちと一緒にいたいからじゃないんだからね!
お父様のお声の為に、さえずりの塔に行くんだからね!

こうですか?わかりません!
492名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/04(土) 22:59:23 ID:S05ooRhM0
寝たフリ姫w
GJ!!!!!!
この少々余裕の出てきたあたりのクリフト(否黒フト)が好みじゃあ〜
493名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/05(日) 22:12:55 ID:+kLhUFeK0
確かにお父様にデレだった
ツンデレってそういうことだったのか
ミントスでは同じノリでクリフトのこと心配したんだろうか
494てんちょ ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 22:57:38 ID:7J3uUQYL0
ご無沙汰してます。
素晴らしいSSばかりの投下に驚きです。
読むのに夢中で、書く手がすっかり止まってました。

>◆HDjZd37Phwさん
遅ればせながら、こちらこそはじめまして。
素敵なSSの数々、楽しませてもらってます。

さて、◆YISOKD5/z2さんの黒フトに感化され、
黒フトSSを自分なりに書いてみました。
よろしければご一読ください。
495神官黒フト(?)1/5 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 22:59:49 ID:7J3uUQYL0
穏やかな海原を、追い風を受けた帆船が颯爽と進む。
舵を取るのは、背高の帽子に深緑の法衣をまとった聖職者らしき若者。
その隣では、淡い紅色の鎧に身を包んだ壮年の戦士が、
魔物の急襲に備え、その鋭い眼光で注意深く見回りを続けている。

戦士の名は、ライアン。
神より賜りし予言に詠われた、最後の導かれし者。
その彼が仲間に加わったにもかかわらず、皆の表情は暗く険しかった。
その原因は、キングレオ城の大臣が言い放った無情な一言。
バルザックがサントハイム城の新たな主として納まっている、と。

これを聞いて逆上したのが、本来の主である同国の王女アリーナ。
その怒りたるや、バルザックを宿敵として追うモンバーバラの美しき姉妹、
マーニャやミネアよりも凄まじかったという。
直ちに自らの祖国へ向かうよう、強く主張するアリーナの気迫に負け、
リーダーである勇者ソロは、半ば押し切られた形で出発を決めた。
強敵キングレオとの消耗戦のあと、疲れきった身体を休める間もなく
一路サントハイムへと船を北上させている次第だ。

「姫君のあのご様子では、さぞお世話も大変であろうな、神官殿」
「お世話だなんて。私は傷を癒すこと以外お役に立てない、無力な者です」
「謙遜することはない。貴殿のような優秀な臣下がいるからこそ、
 勇猛果敢な姫君は思う存分戦いに集中できるのだからな」
「お褒めにあずかり、誠に恐縮です。戦士殿」
「しかし、貴国の城がもとは人間とはいえ、異形の者の手に落ちるとはな。
 姫君はもちろんのこと、貴殿やあの老賢人も断腸の思いであろう」
「ええ。姫さまやブライ様のご心情を思うと、私も胸が痛みます」
 
どちらからともなく、二人は船上で話を始めていた。
話の種となった王女アリーナの忠臣である神官、クリフトは、
先の死闘で深手を負った仲間たちの治療に専念していたため、
戦士ライアンへの自己紹介がまだなされていなかったのだ。
496神官黒フト(?)2/5 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 23:02:22 ID:7J3uUQYL0
「ところで神官殿。まだそなたの名前を聞いてはいなかったな。
 拙者はかつてバトランド城に仕えていた戦士、ライアンと申す」
「こちらこそ申し遅れました。私はサントハイム城の神官でクリフ―――うわっ!」

クリフトが自らの名を口にしようとした瞬間、船が大きく左右に傾いた。
大海原に巣食うならず者、たこまじんの群れだ。
巨大な触手が、海水に覆われた甲板へと不気味に忍び寄る。

「しまった。魔物が甲板にっ!」
「おのれ、この船ごと喰い尽くす気か。そうはさせぬぞ!」

ライアンは腰に携えた破邪の剣を引き抜き、魔物に立ち向かおうとした。
ところが、再び船が大きく傾き、無様にもひっくり返ってしまう。
身につけた鋼鉄の鎧の重さが枷となり、甲板上では思うように身動きが取れない。

「ライアンさん、ここは私に任せてください!」
「よせ、神官殿。貴殿の細腕であの大群に立ち向かうなど無謀だ。
 この場は拙者が引き受けるゆえ、舵取りを頼む―――おいっ!」

ライアンが諌めの言葉を言い終わらぬうちに、クリフトは
ホーリーランスを片手に魔物の群れへと飛びかかっていた。
見かけによらぬ敏捷さで相手の攻撃をかわし、八本の足を切り落としていく。

「ほう。あの若者、剣術の心得があるのか。どうやら拙者の出る幕はなさそうだ」

ライアンが感心している間も、クリフトの快進撃は続いた。
敵わないと判断したのか、たこまじんたちは次々と船から離れていく。
そして、最後の一匹の胴体をホーリーランスの切先が見事に穿った。
断末魔の叫びを上げ、のた打ち回るたこまじん。
耳を劈く絶叫とともに口から何かを吐き散らし、やがてその場で絶命した。
497神官黒フト(?)3/5 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 23:04:49 ID:7J3uUQYL0
「なーに?どうしたの??いったい何の騒ぎ???」
「まあ、甲板に魔物が!さっきの揺れの原因はこれだったのね」
「おお、これはまさしくたこまじん!これ、塩茹ですると美味しいんですよ」
「ワシは年のせいで歯が弱いから、遠慮しておこうかのう」

生あくびを噛み殺すマーニャ、水晶玉を抱えて息を飲むミネア、
息絶えたたこまじんの足をつまみ、商人特有の品定めを始めるトルネコ、
それを横目に首を横に振りながら顔をしかめるブライが、
甲板の異変を察知してすぐさま船室から飛び出してきた。

「魔物はどこ?どこにいるの?わたしの一撃でやっつけてやるんだから!」
「いや、その必要はなさそうだ。ライアンさんが倒してくれたようだからな」

その後、数秒遅れで鉄の爪を装着したアリーナと、
周囲の状況を冷静に判断し、いきり立つ彼女を制止するソロの姿が現れた。

「勇者殿。残念ですが、こやつをしとめたのは拙者ではござらん」
「ええっ、本当ですか?あ、そういえばクリフトの姿が見えないなあ」
「神官殿なら、あちらにおられますぞ。いやあ、実に見事な槍さばきであった」

ライアンの視線の先には、槍を握り締めたまま硬直する黒い塊が。
瞬きを繰りかえさなければ、その正体が自分たちの頼もしき仲間である
若き神官だということに、誰も気づかなかっただろう。

「拙者出会って早々、この“クロフト”殿に大きな借りを作ってしまったな」
「あの…ライアンさん。私の名は“クリフト”なんですが…」
「いや、これは失敬。今の貴殿の姿を見て、つい間違えたようだ。はっはっは」
「いくら私が墨まみれで黒いからって、あんまりですよ!まったく…」

読み間違いなど気にするな、と豪快に笑い飛ばすライアンとは対照的に、
端整な顔を歪め、珍しくむきになって不快感を表に出すクリフト。
498神官黒フト(?)4/5 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 23:07:34 ID:7J3uUQYL0
傍から見れば、陳腐な寸劇の一幕と見間違ごうほどの二人の間合いに、
一同は額に冷や汗を浮かべ、ただただ沈黙を守るしかなかった。

「やだ、クリフトったら真っ黒じゃない。それじゃまるで柱みたいね、あははは…」

それを打ち破ったのが、漆黒の塊の正体にやっと気づいた観客の笑い声。
クリフトの変わり果てた姿にどう反応すべきかわからず、
硬直していた他の者たちも、それにつられて一斉に笑い始めた。
思慮深いミネアまでもが、笑いすぎで涙目になっている。
クリフトは、すっかり居心地の悪くなった甲板で皆を一瞥すると、
ぎこちない繕い笑いで応えた。

と同時に、彼はあることに気がついた。
キングレオ城を出た時からずっと引きずっていた重い空気が、
いつしか払拭されていたことを。

怒りで我を忘れかけた目の前の主君も、暗く悲壮な表情から一転、
元気一杯の笑顔で皆と笑い合っている。
笑い者になったのは多少癪に障るが、仲間たち、そして何より愛しい姫君に
笑顔が戻ったのなら、それはそれでよかったではないか。
普段は熟考しがちなクリフトも、今回はすんなり納得できたようだ。

「久しぶりに笑ったせいで、何か緊張の糸が解けたような気がするな。
 なあみんな。あの島に町があるみたいだから、一休みしていかないか?」

ソロの提案に、一同は賛成の合図を送った。
が、一人だけ甲板の床に視線を落とし、返事を躊躇する者がいた。
表情に迷いが見えるアリーナに、クリフトが優しく声をかける。

「姫さま、少し休養を取りましょう。お気持ちはわかりますが、あせりは禁物です」
「…そうね、そうしましょう。あなたもそんな格好のままで、
 サントハイムに帰りたくはないでしょうからね。くすっ、くすくす…」
499神官黒フト(?)5/5 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 23:10:29 ID:7J3uUQYL0
またもアリーナに笑われ、クリフトの顔は真っ赤になってしまった。
ただ、全身が黒づくし状態のため、頬の赤みが目立たなかったのは、
彼にとっては不幸中の幸いだったかもしれない。
アリーナから手渡されたタオルで、クリフトは手足や身体を拭き始めた。
本当は真っ先に顔の墨を取りたかったのだが、赤面がさらされるのを恐れ、
顔にはタオルを軽く当てる程度にしておいた。

魔物の群れが去り、広大な海にはもとの平穏が戻りつつある。
白い帆に風を含んだ帆船は針路を西に変え、
島の海辺に広がる町へと向かうのだった。



(おわり)
500 ◆ByK7Tencho :2008/10/05(日) 23:18:09 ID:7J3uUQYL0
以上です。
性格が極悪な黒フトを期待した皆様、すみません。

あと、ろだに上げる予定の卒業試験(後期)ですが、
HDDがお亡くなりになった際にデータが消失したため、
現在は記憶を頼りに一から書き直し中です。
頑張って完成させますので、お待ちいただければ幸いです。
501名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/05(日) 23:52:22 ID:B8Hx+q790
いい黒フトだw
この黒フトなら好みかもしれない
502 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/06(月) 00:25:48 ID:7sT3VP4o0
てんちょさんはじめましてです。
神官黒フト(?)、流石です!
やっぱりクリフトはこうじゃないとwww

書き込みついでに一本投下させてください。
ジョークっぽい感じで考えたものですが。
503名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/06(月) 00:26:59 ID:fLMsx1YD0
まさに黒フトwwwww!
GJでした!
5043つの願い ◆YISOKD5/z2 :2008/10/06(月) 00:29:46 ID:7sT3VP4o0
母国サントハイムのみならず、世界を救った王女アリーナ、
神官クリフト、老賢者ブライ。
サントハイム国王は、3人にこう告げた。
「この国を救ったそなたたちに褒美を取らせよう。
 なんなりと望みを言うがよい」

まず、神官クリフトがこう答えた。
「私の望みは、これからも我が国サントハイムに尽くすことです。
 この国の繁栄の為であれば、どのような苦行にも耐えましょう」
「うむ。殊勝な心掛けじゃ」

次に、老賢者ブライがこう答えた。
「わしは姫様の教育係として勤めを果たしただけですじゃ。
 お約束の年金をいただいて、ささやかな隠居生活ができればそれで十分。
 強いて言うなら、姫様の花嫁姿を早う見たいといったところですかな」
「うむ。まったくもってじいの言う通りじゃな」

最後に王女アリーナ。
「ちょっ…花嫁姿って…
 お父様、私はまだまだ結婚する気なんてないわよ。
 だいたい私より強い人なんて世界中探してもいないってわかったし。
 …でもまあ、私を自由でいさせてくれる人なら考えてもいいわね。
 うん、私が毎日武術大会を開いても
 文句を言わないような人と結婚するのが私の望みよ!」

王はしばらく考え込んでいたが、ふいに何か閃いた様子で玉座から立ち上がった。
「あいわかった!
 そなたたちの願い、わしがまとめて叶えよう!」

それからひとつきもせぬうちに、アリーナとクリフトの婚礼が行われた。
式は実に盛大で、エンドールに劣らず長きにわたるものだった。
さらに式の期間中、予選を勝ち抜いた挑戦者を花嫁姿のアリーナがなぎ倒す、
といった武術大会形式の余興が行われ、観客の目を大いに楽しませた。
ただ一人、ブライだけが、そんなアリーナをうらめしそうに見ていたという。

クリフトは望み通り、サントハイムの繁栄に貢献することができたが、
それが苦行であったかどうか、知るものはない。
505名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/06(月) 01:23:07 ID:wxeBw8lG0
>500
完全にヤラレタ!!
最初の文章の硬さからして絶対に黒フト来ると思ったのに!!
てんちょさんのクリフトはいつも通りで安心したよ。

うぷろだ自体が初期化を行ったせいか、全部消えてしまってるようです…
卒業試験の方も楽しみにしてますねー


>504
クリフトからしたら棚からぼたもち!
サントハイム王からみて、アリーナとの結婚は苦行だと思ってるわけかww
506名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/06(月) 18:01:54 ID:QIehYiPq0
ところでアリーナたちって2章終了後どうやってミントスまで行ったの?
コナンベリーから船でミントスに、はゲーム中に言ってるけど
コナンベリーまでは?

章ごとの時系列を考えると面白いけど、?な部分も多いよね
507名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 21:05:41 ID:YSx+Hs/r0
2章終了 
サントハイム

3章裏側 
エンドール

トルネコが通した橋と洞窟を利用してブランカ

4章裏側
ホフマン一家の制止を振り切って馬車なしで砂漠縦断

クリフトが熱さで体調を崩すが何ともないフリを続けてコナンベリー

5章裏側
ミントス到着 アリーナのみね打ちで宿屋に運ばれる

こんな感じ?2章の時点ではエンドールの右と上の橋って両方壊れてるんだっけ…?
しかしこれだとあの砂漠を乗り切ったブライすげぇ!
508名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 22:13:53 ID:/jVkFpm8O
氷のまじつし(←なぜry)ブライさんの呪文で砂漠もらっくらく!
509名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/07(火) 22:37:48 ID:Ftw0EjaG0
ブライ「わしゃこれでも氷系呪文の使い手じゃからの」
510名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/09(木) 12:10:34 ID:A1dPFjGw0
アリーナ自身5章で「橋が壊れてた」みたいなこと言ってたし
エンドールから船っていうのもありうるのかな
でも確かに砂漠は無理矢理縦断して欲しいw
511名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/12(日) 12:42:15 ID:oUx3fI13O
今までずっと砂漠を無理矢理横断したから
クリフトがぶっ倒れたんだと思ってたw
512名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/12(日) 16:13:41 ID:5q3OlIR90
でも老年のブライは平気だったんだよなw
…ああそうか、クリフトは野宿中(夜中)に
エネルギーを大量消費しちゃったのかな。昼間は熱かっただろうし
513名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/12(日) 23:06:26 ID:4UKMVnZo0
姫様のこと考えすぎて頭パンクしちゃったんじゃないのか
514名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/13(月) 13:22:28 ID:rHKrjqefO
黒クリフト好きの人って
黒執事のセバスにクリフト重ねて見てたりしない?
515名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/13(月) 15:10:23 ID:20amJRgn0
パデキアが見つからなくて落ち込む姫のセリフに萌えました。かわいい〜!!
アリーナがあんなに心弱さを見せるシチュは、他にはないよね
きっと床にへたりこんでいたことでしょう
516名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/15(水) 19:26:39 ID:AccUS2ki0
黒太って・・・w
517ペギー ◆e.sLpeggy2 :2008/10/16(木) 01:22:58 ID:bjEy6Nuq0
お久しぶりです。
今さらなのですが、前スレで投下したアリーナ自覚話が
自分の中で消化不良の状態だったので、
その続きなどというものを投下させていただきたく。

前スレの話を読まないと、やや分かりにくい内容で申し訳ありません。
その話はwikiの2008.02.19に保管していただいてますので、
読んでやってもいいぜ!と言う方は、そちらをご参照いただければと…。
状況としては、アリーナがクリフトに対する想いを自覚してから後のお話です。
518泡沫の恋 1/10:2008/10/16(木) 01:24:09 ID:bjEy6Nuq0
クリフトは、薪を集めて火を起こすと、黙々と当番の夕食を作り始めた。
1人、ジャガイモの皮をむきながら、時々ため息をつく。
以前は、食事の用意をするときはアリーナが常にまとわりついて、
楽しそうにあれやこれや話しかけてきたものだ。
しかし、ここ最近、アリーナのクリフトに対する態度は、明らかにおかしかった。
クリフトと偶然に顔を合わせると真っ赤になり、その場を逃げ出す。
食事の場などでは、いままで通りクリフトの隣に座ってくれるが、
クリフトの方を見ようともせず、動きもギクシャクと不自然だ。

―――やはり、先日、目を開けたことを怒ってらっしゃるんですかね…。

先日、アリーナに目をつぶれと言われ、「目を開けちゃダメ」と念を押されたのに
自分は思わず途中で目を開けてしまった、という出来事があった。
そのときには、目の前にアリーナの顔があって思考が吹っ飛んだのだが、
我に返った後、これは大方、マーニャか勇者が絡んでいるに違いないと見当をつけた。
そこで、あの日の夕方、勇者の腕を捕えると馬車の裏に引っ張って
「ソロさん。今日の昼の姫様の行動、何か心当たりがおありじゃないですか。」
と満面の笑みを浮かべて尋ねたのだ。

クリフトの笑顔に青くなった勇者が、しどろもどろに説明したところによると、
あれは目をつぶった相手にどこまで顔を近づけられるかというゲームだったらしい。
勇者の説明が要領を得ないためルールは良く分からなかったが、とにかく、
クリフトが途中で目を開けてしまったために、アリーナは負けたということだった。

―――しかし、あそこで私が目を開けなかったら、一体どうなったと思うんですか。
   悪ふざけも大概にして欲しいものですね!

そのおかげで、こちらは、あれ以来ずっと姫様に避けられる始末だ。
クリフトは忌々し気に、馬車の御者席にノホホンと座っていた勇者を睨んだ。
勇者はクリフトの視線に気がついたようで、慌ててこちらに背を向けた。
519泡沫の恋 2/10:2008/10/16(木) 01:25:47 ID:bjEy6Nuq0
不機嫌でも、夕食はきちんと作る。
その日のメニューはクリフトの得意料理、おおにわとりのシチューだった。
皆がおいしそうに舌鼓を打つ中、クリフトの隣のアリーナのスプーンは動きが鈍かった。
クリフトは心配そうにアリーナを眺めやった。
アリーナが自分を避けていることも、もちろん気になるのであるが、それ以上に
最近、アリーナが、どうも元気がなさそうな様子であることが気がかりであった。
しかし、アリーナに避けられているために具合を聞くこともできない。

―――せめて、沢山召し上がっていただくよう、姫様の好物を作ったのだけど…。
「姫様、そのようにお食事を残されては、体力が持ちませんよ。」
アリーナに向かって、優しく諭すように呼びかけると、アリーナは飛び上がった。
「そ、そう、よね…。」
アリーナは、クリフトの視線を避けたまま、頬を赤くして慌ただしくスプーンを動かし始めたが、
スプーンは皿の底を掻きまわしているだけで、口に運ばれることはなかった。
クリフトは、アリーナに聞こえないよう、そっとため息をついた。

それから日々は過ぎて行ったが、アリーナの余所余所しさに変化は見られなかった。
クリフトは、落胆しながらも、アリーナの態度に、どこか心騒ぐような感覚を覚えていた。
―――なんだろう、この不安な…いや、不安とも違う、落ち着かない気持ちは…。
しかし、同時に、頭の片隅で、その原因を突き止めてはいけないと警報が鳴っていた。
クリフトは、頭を振ると、その感覚については、それ以上突き詰めて考えないようにした。

アリーナの挙動不審は、徐々に、その戦闘能力にも影響を及ぼし始めていた。
戦闘中に、しばしば集中力を欠くようになってきたのである。
当然、怪我も増えるのだが、アリーナは戦闘中もクリフトを避けようとしているため、
いつもに比べて、どうしても回復が遅れがちになる。
とうとう、今日は痛恨の一撃をもろに食らい、途中で戦闘不能の状態となってしまった。
「姫様!!」
クリフトが叫んだが、アリーナはクリフトの方を見ようとしない。
勇者はそれを見て舌打ちをすると、アリーナに駆け寄って回復呪文を唱えた。
520泡沫の恋 3/10:2008/10/16(木) 01:27:54 ID:bjEy6Nuq0
戦闘が終わって皆が一息ついているとき、勇者がアリーナに歩み寄った。
「アリーナ。お前、しばらく待機要員だ。」
アリーナは、はっと顔を上げたが、勇者は厳しい顔でアリーナを見据えていた。
「自分の感情をコントロールできない奴に、背中は任せられないからな。」
アリーナは、端からはっきり分かるほどに青褪めた。
クリフトは、心配そうにアリーナを見やった。
闘うことを何よりも誇りとし、喜びとするアリーナが、この措置に傷つかないわけがない。
―――しかし、姫様は、いったいどうされてしまったのだろう…。
うつむくアリーナに、クリフトはどう慰めの言葉をかければよいか分からずにいた。

そのとき、ふと気付くと、マーニャがクリフトをきつい目で睨んでいた。
その隣で、ミネアも眉をひそめてこちらを見ている。
見回すと、他の面々も、クリフトを非難がましい顔で見ているような気がした。
―――な、なんだ…?皆、どうして私をそんな目で見る?
クリフトは、訳が分からないながらも、何となく居心地が悪くなり、
皆から顔を背けるように帽子を目深にかぶりなおすと、足早にその場を立ち去った。

翌日からの戦闘には、アリーナの姿はなかった。
戦闘に出ない日々が続くにつれ、アリーナは、だんだんと無口になり
以前のような笑顔も見られなくなっていった。
そして、笑いの中心だったアリーナが沈み込んでいるせいで、
パーティ全体のムードも湿りがちなものになっていった。

そんなある日、難しい顔をした勇者がクリフトを呼び出した。
「おい、クリフト、話がある、ちょっと顔貸せ。」
521泡沫の恋 4/10:2008/10/16(木) 01:30:47 ID:bjEy6Nuq0
勇者は森の外れにクリフトを呼び出すと、いきなり尋ねた。
「お前、アリーナがあんな状態になってんのに、何で放っておくんだよ。」
クリフトは面食らった。
「放っておくって…そもそも、ソロさん達が、あんなゲームなんかするから…。」
答えながらも、クリフトは、胸の中のざわめきが大きくなってくるのを感じていた。
勇者は、クリフトの答えに目を細めた。
「おい…お前、本当に分かってないのか?」
クリフトは心臓の鼓動が早くなっていくのを感じながら、ゆっくりと答えた。
「分かってない、って……何を、ですか?」
「ゲームだなんて、お前、本当にそんな話、信じてるのか?」
「…ですが、ソロさんご自身がそうおっしゃって…。」
「ゲームくらいで、あそこまでアリーナがお前のこと避け続けるか?」
「え…。」
勇者はため息をついた。
「鈍いとかそういう問題じゃねーよ。あのライアンでさえ気付いてるんだぞ。
 ……お前、わざと、自分をごまかして、分からない振りしてないか…?」
クリフトは、勇者の顔を呆然と見つめたまま、立ちすくんでいた。
いまや、心臓は、うるさいくらいに早鐘を打っていた。
勇者はなおも続けた。
「お前たちの問題だから、俺は口を出すのはやめようと思ってたけど、こんな調子じゃ…。
 いいか、クリフト。アリーナは、お前を」
「ソロさん!」
クリフトは、大声で叫んだ。
522泡沫の恋 5/10:2008/10/16(木) 01:33:22 ID:bjEy6Nuq0
クリフトは、今まで、心を騒がせていたものの正体をやっと悟った。
それは、気付いてはいけない事実―――聞いてはならない言葉だった。

「…いけません、それ以上は、言っては…。」
そう言ってクリフトは勇者から目をそらした。
「なんでだよ?お前だって、アリーナのことを」
「ソロさん!…お願いです。それ以上は、何も言わないで下さい。」
再びクリフトに遮られ、勇者は、かっとしたようにクリフトの胸倉をつかんだ。
「ふざけるな!お前、アリーナの気持ちも、何もかも分かってて、逃げる気かよ!」
クリフトは、胸倉をつかまれたまま、苦しげな表情で目を閉じた。
「姫様は、…何か、勘違いをされているんです。しばらくすれば、元に戻ります。」
クリフトの答えを聞いて、勇者はクリフトを突き飛ばした。
「お前…あんな状態のアリーナ見て……戦うことさえできないんだぞ!?
それでも、あれが、勘違いだっていうのか?」
クリフトは、ゆっくりと体を起こしながら、低い声で答えた。
「…ええ。勘違い、です。…勘違いでなければ、ならないんです。」
勇者は、もう一度怒鳴ろうと口を開けたが、自分を見上げたクリフトの表情を見て
口をつぐむと、こぶしを握って下を向いた。
「お前は、自分勝手だよ…それは、単なる独りよがりだ。」
そして、クリフトに背を向けると足早に立ち去った。
一人残ったクリフトは動かず、唇を噛み締めてうつむいていた。

―――ソロさん。あなたには、分からない…。
    想いだけでは、どうしようもないものも、あるのです。
523泡沫の恋 6/10:2008/10/16(木) 01:36:05 ID:bjEy6Nuq0
一行は、沈んだ雰囲気のまま、補給のため街に入った。
夕食後、勇者たちは気分転換に飲みに行ったが、クリフトは早々に部屋に引き取った。
部屋で一人、就寝前の祈りを捧げていたクリフトの部屋のドアを叩くものがあった。
「ソロさん?鍵は開いてます、よ…」
ドアを開けたクリフトは、息を飲んだ。
クリフトの前に立っていたのは、アリーナであった。
「ひ、めさま…。」
「クリフト、ちょっといい?」
そう言って部屋に入ってこようとするアリーナを、クリフトは慌てて押しとどめた。
「い、いけません、夜分にお1人で男性の部屋にいらっしゃるなど。」
アリーナは足を止めてクリフトを見上げた。
「…だったら、外に行くから、一緒に来て。」
そのまま、さっと踵を返すと先に部屋を出て行った。

クリフトは、訳が分からず呆然と突っ立っていたが、アリーナが立ち止まり
こちらを見ているため、小さく吐息をつくと、のろのろとアリーナの後ろに続いた。

小川のせせらぎと虫の音が聞こえてくる中、アリーナはクリフトに向き直った。
「クリフト。私ね、自分の気持ちをすっきりさせることに決めたの。
 このままじゃ、私、お父様やサントハイムを救うこともできそうにないもの。」
笑顔こそなかったものの、そう言うアリーナの表情には持ち前の明るさが戻っていた。
反対に、アリーナを見つめるクリフトは青褪め、顔をこわばらせていた。
アリーナはクリフトの表情を見て少し悲しそうな顔をしたが、明るい声で続けた。
「クリフトの答えは、もうだいたい分かってる。正直に言ってもらっていいわよ。
 答えを聞いたら、この場限りで全部忘れるから。
 明日からは、元のアリーナに戻って、デスピサロを倒すことに集中する。」
クリフトは、かすれた声で答えた。
「姫様、一体、何を…。」
524泡沫の恋 7/10:2008/10/16(木) 01:40:02 ID:bjEy6Nuq0
アリーナはクリフトの目を見ると、きっぱりと言った。
「私、クリフトのことが、好きよ。…友人や、臣下としてじゃなく。
 だから、クリフトの気持ちが知りたいの。お願い。はっきり答えて。」

クリフトは、アリーナを見つめたまま固まっていた。
この場で答えるべき模範解答は、いく通りも頭の中に用意してあった。
曰く「私は、国民の皆と同じように姫様を敬愛しております。」
曰く「姫様は、心細くなっておいでなのです。陛下やお城の皆がお戻りになられれば、
    そのようなお気持ちは忘れてしまいますよ。」
曰く「姫様ともあろうお方が、そのようなことを考えるべきではありません。
    今考えるべきは、サントハイムを魔物から取り戻すことです。」
しかし、アリーナの真剣かつ明快な問いかけは、そのような言い逃れを許さないものだった。
クリフトは、アリーナの強い意思を持った瞳に、自分の中の箍が外れかけているのを感じた。
そのとき、ふと先日の勇者の言葉が胸の中に蘇った。
―――お前は、自分勝手だよ。…それは、単なる独りよがりだ。
確かに、その通りかもしれない。
アリーナは、こうやって、全身全霊でぶつかってきてくれている。
それに対して、これ以上逃げるのは、卑怯なのかもしれない。

―――それに、姫様は、この場限りで全部忘れるとおっしゃった。
クリフトはそのアリーナの言葉を自分自身への言い訳にすると、心を決めた。
「…姫様…。」
クリフトは、アリーナの前に跪くと、その手を取った。
そして、真っ直ぐにアリーナを見上げた。
「姫様、私は…私の方こそ、昔からずっと、姫様をお慕いしておりました。
 この想いは、一生姫様に告げることはないと思っておりましたが…。
 ここでこうやって姫様にお伝えすることができて、私は…。
 私は、この場で死んでも本望でございます。」
525泡沫の恋 8/10:2008/10/16(木) 01:43:41 ID:bjEy6Nuq0
今度は、アリーナが固まる番だった。
アリーナは、手を取られたまま、呆然とクリフトを見つめていた。
「え、と、あ、あれ…?クリフト、私のこと、好き、なの…?」
「はい。」
「…私が好きって言ったから、無理して嘘ついてるんじゃなくて?」
「いいえ。私のこの想いは、ずっと昔から、正真正銘の本物です。」
クリフトはアリーナを見上げて微笑む。
アリーナの表情がだんだんと理解の色を深めていき、そして、次の瞬間、
アリーナは輝くような笑顔を浮かべてクリフトに抱きついた。
「クリフト!嬉しい!!どうしよう、私、すっごく嬉しい!!」
クリフト、大好き!と繰り返すアリーナの頭をなでながら、クリフトは囁いた。
「…姫様。でも、今のことは、この場限りでお忘れくださいね。」
アリーナが不思議そうにクリフトを見上げた。
「どうして?」
「どうして、って…姫様、先ほどそうおっしゃったじゃないですか。」
クリフトは慌てた。
「だって、それは、クリフトが私のこと好きじゃないって思ってたからよ。
 クリフトが私のこと好きでいてくれるんだったら、忘れる必要なんかないわ!」
「な…!」
満面の笑みで返すアリーナに、クリフトは眩暈を感じた。
アリーナの性格を考えれば、この展開は読めたはずなのに…自分は何と愚かだったのだろう。

アリーナが、クリフトの様子を見て笑顔を消した。
「クリフトは?…今日のこと忘れたいの?」
「―――!!」
切なそうな瞳で見上げられ、クリフトは思わずアリーナを引き寄せた。
腕の中で、アリーナが息を飲む気配がする。
「そんなわけ、ないじゃないですか…!」

―――むしろ、この瞬間で、時が止まってしまえばいいのに…!
526泡沫の恋 9/10:2008/10/16(木) 01:45:34 ID:bjEy6Nuq0
アリーナを抱きしめていた時間は、一瞬にも永遠にも感じられた。
クリフトは、二度とこの腕を放したくないと切に願った。

しかし、やがて川のせせらぎと虫の音がクリフトを現実に引き戻した。
理性を総動員すると、クリフトはアリーナを抱きしめる手を離した。
アリーナが上気した顔でクリフトを見上げる。
クリフトは眩しげに目を細めると、一歩後ろに下がり、息を吸い込んだ。

感情に流されてはいけない。
自分の立場を忘れてはいけない。

「…姫様。」
「なあに?クリフト。」
「…我々は、サントハイムを取り返す旅の途中です。
 2人のことだけにかまけるわけにはいきません…分かりますか?」
「…そう…そうね!クリフトの言うとおりだわ!」
アリーナは、大きく頷いた。
「何よりも、サントハイムを取り戻すことが優先よね!
 クリフト!旅が終わるまで、私我慢する!
 その代わり、皆を取り戻したら、一緒にお父様に報告に行きましょうね!」
 クリフトの手を取って笑うアリーナに、クリフトは寂しげに微笑んだ。

サントハイムを取り戻し、元の生活が戻ってくれば、
自分がアリーナの隣にいられる可能性はほとんどないだろう。
今の関係は、旅の間の泡沫の夢に過ぎないのだ…。
527泡沫の恋 10/10:2008/10/16(木) 02:11:26 ID:bjEy6Nuq0
1人考えに沈んでいるクリフトの袖をアリーナが引っ張った。
クリフトが何か、とアリーナを見ると、アリーナは赤い顔をしていた。

「…あのね、クリフト。」
アリーナがもじもじとクリフトの袖をこねくり回した。
「明日からは、ベタベタしないから、今だけ、あのね、キ、キス、して欲しいの…。
 この間は、結局、その、できなかったし…。」

いじらしいその姿を見て、クリフトは、愛しさと切なさに涙が出そうになった。
アリーナは、目を潤ませながら期待を込めてクリフトを見ている。
どんな理由があろうと、これを拒むことなど、クリフトにはできなかった。

―――神様。今、この場で一度だけ、姫様に触れることをお許し下さい…。
心の中で神に祈りながら、クリフトは身をかがめた。
そして、目を閉じて睫を震わせているアリーナの唇に、軽く触れるだけの口付けを落とした。
唇が離れると、アリーナは花が綻ぶように微笑み、再びクリフトに抱きついた。

アリーナの頭をなでながら、クリフトは心の中で呟いた。

―――これからも私の姫様に対する立場は、変わらない。
    命がけで姫様をお守りしていくだけだ。…そう、今までと同じように…。
528ペギー ◆e.sLpeggy2 :2008/10/16(木) 02:12:49 ID:bjEy6Nuq0
以上です。

結局、何も前進していないような気も…
それでは、お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
529名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 03:51:08 ID:pcXQZdNKO
GJです!
夜中に目が覚めたお陰で
いいもの見れました!!
二人とも可愛すぎる…っ
530名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 09:10:17 ID:p/20tiiG0
かなりの甘口だったので
塩味の聴いたおおにわとりのシチューでお口直しをさせてください
そしたらもう一回読めるから
531名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 09:12:35 ID:TUjvi81zO
gj過ぎる!
まさに理想のクリアリ!
自分の感情に素直に従えず、
変にいろいろ気をまわしすぎるとこなんかクリフトらしい
やっぱ姫から積極的に行動してくんないと
この二人に進展はなさそうだw
532名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 09:31:41 ID:zCO0BDMeO
はあーん!萌えたwww
可愛いよアリーナ可愛いよ
にやにやしながら読んだ
おおにわとりの料理ってww魔物食べちゃうのかよww
533名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 17:51:32 ID:zVTnNQcX0
かわいらしい素敵なお話GJ!

ただ、これはクリアリに限らず他の恋愛ものSS全般に言えることだけど
「告白」の部分が幼稚なことが多い。小中学生の妄想っぽいノリ。
まあかわいくてアリだとは思うけど、せっかくの力作なのにそこだけ
リアリティに欠けてて、読んでいて恥ずかしい時もある。
クリアリだととくに、中学生っぽいノリの「好き」だけではない感情が背景に
あるはずなのに、告白場面だけ薄っぺらくて気になる。
書き手さん自身の恋愛経験にもよるかなーと思っているのですが。
534名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 18:44:31 ID:6l/l9CJ+O
>>533の恋愛経験が気になって仕方がないw
535名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 21:08:38 ID:dn4KPPTc0
ペギーさんGJ!!
恋するアリーナがかわいいよ!
折角両想いになってもなんとも切ない…

>533
人に注文する前に自分で書きなよwww
536名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 21:17:20 ID:zVTnNQcX0
注文してなくてただ素直な感想を述べたまでですが。
それとも褒め称えるレスしか書いちゃダメなの?
かわいいお話でGJってちゃんと書いたけど。
他のスレでもここでも時々投下してますよ。
私は批判を頂くのがありがたくてよく投下しているわけですが。

真面目な感想はここでは嫌がられるみたいなので消えますね。
お騒がせしてすみませんでした。
537名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 22:12:39 ID:/RQoNIOIO
同意するかしないかは別として>>533は全うな意見だ
ただ最後の一行は真面目な感想にはみえないな


SSスレなんてのは作家に好意的な人が多いんだから、叩かれたくなかったら叩かれないようなレスをしましょう。
538名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 23:24:17 ID:0NiVWOmg0
>>533
そもそもクリアリでSSって時点で小中学生の妄想っぽいノリだと思ってたけどw

率直な感想や批判がないスレは痛いけど
あなたのは書き手の恋愛経験が薄っぺらいって言ってるのと一緒に見える
真面目な感想を言いたいなら他人を不快にさせないで欲しいし
煽り叩きは(ryってことなら叩かれても逃げ出さなけりゃいい

個人的にはSSは短くうまくまとまってて、オチがついている(ギャグという意味ではなく)ものが好き
リアリティがあるものもいいけど、冗長になるくらいなら
薄っぺらくてもいいからうまくまとめて欲しい
539名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 23:35:05 ID:dDFPZSQl0
>>536
あのねえ。
君の感想に文句レスをつけた人も、君に対して素直な感想を述べただけっしょ?
自分の素直な発言を正当な感想として認めてほしいなら、他人の率直な発言に対してその態度はどうなんだ。
また、君が素直に書いた結果、こうしたもめ事が(必然的に)起きたという事実を、しっかり噛み締めてくれ。

感想を書く際は、それがよほどの駄作でない限り、賞賛/批判>1 になるよう書いてほしいものだ。
これができないなら、残念ながら感想を書く能力をアナタは持ち合わせていないと考え、自重しよう。

ま、「お義理GJ」を禁止するなら批判感想は全面禁止してもいいのだが、それは難しい。

同級生とかバイト同僚とかと何となしに付き合って何となしに別れたという恋愛経験しかない俺っちは、ベタベタ甘々な話しか書けません。
本気で女を好きになるのが怖いんでしょと言われた事あり。リアルの純愛を怖れるからこそバーチャルの純愛に憧れるってことか。
もっとも、クリアリの二人は、性格的に純愛しかできそうにないがな。
540名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 23:44:35 ID:0NiVWOmg0
>>539
新参だからかもしれんが
このスレに男がいるなんて思わなかった
気分悪くしたらスマソ
率直に驚いてるだけなんだ
541名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/16(木) 23:58:22 ID:dDFPZSQl0
>>540
あたしゃー、本当クリアリ時代から住んでる、クリフトは嫌いだがクリアリは好きな、ただの読み専爺さんだでよ。
542名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:04:05 ID:PHuNDy+00
クリアリは男率高いよ。

作品に対する意見はいろいろあっていいと思う。
自分だって読みづらい箇所とかおかしい箇所を指摘することはある。
義理で褒め称える必要は全くない。

でも、作者本人の生き様に対して失礼なこと言うのはよくない。
あえて言わせてもらうけど、最後の一行がよくなかった、ってことが理解できないなら、
あなたの作品も薄っぺらいものなんだろうな、って思うよ。
543名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:13:23 ID:apk1DGOt0
まさか男率高いとは!
結構前にクリアリの萌えは「クリフトあっての萌え」って
言ってる人が多かった記憶があるから
勝手に女率高いと思ってたよ
544名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:17:19 ID:SqaegVwx0
なんか急にスレのびてる!新しい作品?と思ったらこういうことかw
概ね同意だけど、最後の一行は確かに余計だったかもね。
それじゃただの煽りになっちゃう。
オタで喪女の漏れは核心をつかれて痛いがw
良い作品が書けるように、恋愛に限らずいろいろ社会経験しないとだめだなー、
とは常日頃思ってるけど、なかなかどうして。
545名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:18:47 ID:PHuNDy+00
>>543
クリフトは男にも大人気だぜ
546名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:26:49 ID:apk1DGOt0
クリフトってDQ史上男にもっとも嫌われる男性キャラだと思ってたw
ちなみに自分は女だけどクリフトに感情移入して「姫様ハァハァ」ってカンジだ
男の人もそんな感じなのかな?
547名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:32:15 ID:D9vj61HWO
リアリティもなんもどうでもいい
短い文章でいかに萌えさせることができるか
それがいい職人だ
ペギーさんGJ
548名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:40:53 ID:GQN0X7Kx0
気を取り直しておおにわとりのシチューとあばれうしどりのステーキ食おうぜ
というわけで
お題リク「アリーナ姫初めての食事当番」
なんてお願いできますか?
549名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 00:44:01 ID:apk1DGOt0
あばれうしどりはDQモンスターの中でもかなりうまそうな部類だと思ってる
しかしそれを姫が調理するのか…
550名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 01:04:40 ID:7F8R5ddsO
まあ、自分がペギーさんだったら、もう二度とこのスレには投下しないなw
悪いことは言わないから、きのこの人みたいに自サイト作ったほうがいいよ。
そうしたら>>533みたいに身分違いな恋愛経験豊富wな人も来ないしwww
551 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/17(金) 04:58:37 ID:Q50sHUth0
眠れない夜はクリアリ妄想
ってことで一応お題に沿って書いてみましたが
メニューはおおにわとりのシチューだけになってしまいました
あとエッグラチキーラあたりのセリフ使いましたがピサロはいません…
552一流のシェフ1/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/17(金) 04:59:24 ID:Q50sHUth0
朝、アリーナは目玉焼きを一口食べてこう言った。
「私、タマゴはどっちかっていうと、しっかり焼いたののほうが好みだわ」

夜、アリーナはチキンソテーにナイフを差し入れながらこう言った
「ニワトリは、ゆっくりふっくら焼いたののほうがおいしいと思うのよ」

黙っていなかったのは、その日の食事当番であるマーニャだ。
「アンタねえ、人がせっかく作った料理に、その言い草はないでしょ!?
 この大人数で、全員の好き嫌いなんて覚えきれないっつーの!」

そもそも、アリーナが食事当番を免れていることが、マーニャには不服だった。
アリーナが当番のときは、何かと理由をつけてクリフトが代わりに料理を作っているのだ。
馬車での旅のときは、食料調達や野営準備などを手伝っているアリーナも、
今のように船旅の間は、仲間の為に何かすることはなかった。

「お姫様だかなんだか知らないけど、ここではみんな対等でしょ?
 人に頼ってばっかだから、いつまでも子供扱いされんのよ!
 そんなに文句があるんだったら、自分で作ってみたら!」
そこまで言われると、アリーナも売り言葉に買い言葉である。
「…わかったわ! 明日の料理当番は私がやる!」

この言葉に、顔面蒼白になったのは、クリフトとブライである。
二人はアリーナの料理の腕前をよく知っていたからだ。
553一流のシェフ2/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/17(金) 05:01:30 ID:Q50sHUth0
次の日。

朝食のメニューはバナナだった。
「バナナはね、体にいいのよ!
 朝はやっぱりこれに限るわ」
アリーナは自信満々に言い放った。
誰も何も言えず、ただ黙って目の前に用意されたバナナを見ていた。
そんな中、一番に手を伸ばしたのはマーニャだった。
「夕飯もこんなだったら承知しないからね!」
と、悔しそうにつぶやきながら。

「姫様、今夜のメニューは何になさったのかの?」
「じいったら心配しないで。
 ちゃんとじいでも食べれるように、お肉ホロホロのシチューにするわ」
「姫様、何かお手伝いを」
「あらクリフト、ありがとう。
 でも料理は私がしなくちゃ意味ないから、材料の調達をお願いできるかしら?
 おおにわとりくらいなら、クリフト一人でも捕まえてこられるわよね。
 あっ、でも海にはいないし、じいにルーラで連れて行ってもらわないと無理ね」

クリフトとブライは、ブランカ城から程近い砂漠にやって来ていた。
キャラバンさえ待たず、無理矢理縦断する羽目になった、苦い記憶のある地だ。
しかし、二人にとっては、そんな苦い過去など最早どうでもよかった。
重要なのは、今目の前、今夜のことなのである。
「うーむ…困った…姫様が料理を作ることになるとは…」
「ええ…朝のように食材そのものなら良かったのですが…シチューとなっては…」
おおにわとりの足を手際よく縛りながらうなだれる青年に、老人は言った。
「こうなれば…あの手しかあるまい」
「そうですね…」
554一流のシェフ3/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/17(金) 05:02:53 ID:Q50sHUth0
「よしっ!
 材料は全部揃ったし、始めようかしら」
一人きりの厨房で、アリーナは誰に向けてでもなく言った。
何かに没頭すると、思っていることがつい声に出てしまうのは、アリーナの悪い癖だった。
「えーっと…
 勇者は肉の臭みが気になるって言ってたから香草たっぷりで下ごしらえして。
 トルネコはお弁当見た感じだと野菜嫌いみたいだから野菜は抜き。
 ライアンは骨付き肉にかぶりつくのが好きだから、このまま使えば平気だわ。
 丸ごと使ったほうがコラーゲンもたっぷり出るし、
 お肌を気にするミネアも喜ぶわね、きっと。
 マーニャは猫舌だから、冷めてもおいしい味付けにしなきゃね。
 あっ、でもじいには味付け薄めにしたほうがいいのかしら。
 クリフトは…嫌いなものなんてなかったはずだし、まあいいわ。
 …う〜ん、みんなの好みに合わせるのって、結構面倒なのね。
 でもやっぱり一流のシェフは、食べる相手の好みを把握してなきゃ!」

そして夕食のときが来た。
アリーナ手ずから、器にシチューが盛られ、皆の前に並んだ。
555一流のシェフ4/4 ◆YISOKD5/z2 :2008/10/17(金) 05:04:02 ID:Q50sHUth0
「うまい!」
真っ先に言ったのは勇者だった。
滅多に料理の感想など言わない彼が、顔を輝かせて言ったのだ。
見ればトルネコもライアンも、夢中で骨付き肉にかぶりついている。
ミネアは微笑みながら、マーニャに視線を送った。
「…悔しいけど、負けを認めるわ」
勝った喜びに浸っているアリーナの横で、クリフトとブライは顔を見合わせた。
『うまくいった!』、と。

アリーナのシチューは、シチューなどと呼べる代物ではなかった。
調理の過程を覗き見ていたクリフトとブライにしてみれば、
味見をすることさえ憚られるようなモノであった。
そこで、煮込みに入り、アリーナが厨房を離れた隙を突き、
クリフトが調理したものとすり替えたのだ。

1杯目を完食した勇者は、お代わりを要求しながら言った。
「アリーナ、また作ってくれよ」
アリーナはますます気を良くしたらしく、ニッコリ微笑み軽く返事をした。
「ええ、いいわよ。
 シチューなんて簡単だもの。
 煮込んでるだけで美味しくなるんだから」

皆がその味に舌鼓を打ち、和気あいあいとする中、クリフトとブライだけが
無言でシチューをすすっていた。
絶妙な味付けのはずのシチューは、何故だかしょっぱかった。
556名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 10:52:08 ID:UCQviZIZO
荒れたスレに作品乙です

>>550
煽りは自重してくれないかな。お願いだから。
557名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 11:03:10 ID:QUkg4yvC0
>>528
遅くなったけどGJ!
またの投下を楽しみにしてます!

>>555
こんな中での投下ありがとう!
サントハイムお付きの人は大変だなw
何だか腹減ってきたww
558名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 18:04:18 ID:PynnuhjeO
>>546
男に嫌われる…FCの頃ならありうるな。
可愛い姫様の側近で、ハイスペック設定テンコ盛り。使えばザラキ魔で思い通りにならず…
リメでヘタレにされて親近感アップで親しみ易い奴になったな。
559名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/17(金) 22:22:27 ID:+FPqohyl0
クリアリなレスじゃなくて悪いが

戦闘中ってプレイヤー(勇者)の感覚からするとマジ疎外感じゃね?

FC版の頃は仲間の行動理解できなかったし
リメイク版は自分以外の仲間はちゃんと連携取れてる
(みんなが示し合わせたようにモンスターBを攻撃する中、自分だけがモンスターAを攻撃)

これがストレスでDS版積んでるw
560名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/18(土) 04:00:02 ID:UZ06QTQF0
お久しぶりです。
久しぶりにSSを書いたので投下にきました。
大丈夫だとは思うのですが、微妙に性的表現含まれてますので、そういうものが苦手な方は読まないでスルーしていただけると幸いです。
561「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:01:26 ID:UZ06QTQF0
 クリフトが慌てたのも無理はない。
 探索を終えて宿へと戻り、自室で日課の祈りを捧げていた時に、突然バタンと部
屋の扉が開け放たれたからだ。
「ちょっと、クリフト!」
「うわっ!」
 扉に背を向けていたクリフトは、思わず跪いたまま飛び上がるという高等テクニ
ックを披露していた。
「あ、ゴメン。驚かせちゃった?」
 闖入者はクリフトに謝ると、今さらながらに開いている扉をコツン、コツンとノ
ックした。
「入っていい?」
「ど、どうぞ、姫様」
 ドキドキする心臓を落ち着かせながら振り向きかけて、クリフトは石化した。
 声を聞き間違えるはずもない、後ろにいたのは敬愛するアリーナ姫。その意味に
おいて、彼の見たものは正しかった。
 しかし、いつもと違うのは彼女の姿。四肢の動きを阻害しないいつもの武道着で
はなかった。身軽という点では共通すると言えるのかもしれなかったが……。
 彼女が身にまとっているのは、胸元から足の付け根までをようやく隠すだけの薄
布一枚だったのである。
「ありがと。今、お祈り? 忙しかった?」
 アリーナは扉を閉めながらたずねた。
「い、いえ。今終わった所です」
 両手を組んだ祈りの姿勢から全く体を動かせないまま、クリフトは答えた。頬の
体温が急激に上がってゆくのが感じられる。
「あの、姫様……その格好は?」
「ん? ああ、今お風呂あがりなのよ。大丈夫、心配しないで。もう髪は乾いてい
るから」
 アリーナは髪を軽く手で束ねると、クリフトのベッドに腰を下ろして、えーいと
背中から後方へと倒れ込んだ。その拍子に下腹部の布の重なり合った部分がヒラリ
ときわどくひるがえり、クリフトは慌てて顔を背けた。
「は〜、気持ちい〜」
「……」
 どうして、こんな夜遅くに、姫様が私の部屋に!?
 しかもこんなあられもない格好で?
 石になってしまった体とは裏腹に、頭の中では疑問符が嵐を起こしていた。これ
ほどパニックという言葉が似合う事態もない。ひょっとして本当は今は戦闘中で、
メダパニやマヌーサを掛けられて惑っているのではとクリフトが訝ったほどだ。
「ねえ?」
「……」
「ねえってば?」
562「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:02:16 ID:UZ06QTQF0
「は、はい……?」
 顔を背けたままクリフトは答える。
「ちょっと、何してるのよ。用事あるんだから、こっち来て。それともやっぱり邪
魔だった?」
「い、いえ。そんな事は……」
「じゃあ、早く」
 アリーナは寝ころんだままパンパンとシーツを叩いて、自分の隣をクリフトに促
した。
「は、はい」
 クリフトはギクシャクしながらも立ち上がると、アリーナのそばへと腰をおろし
た。
 アリーナは腕を振る反動で、よっと身を起こすと、下から窺うようにクリフトの
顔を覗きこみながらニッと笑った。その拍子にクリフトの視界に隅に彼女の胸の谷
間が飛び込んでくる。
 ドクンと心臓が跳ねた。
 いつもの彼女の服装から想像するよりもはるかに量感のある柔らかそうなその谷
間は、禁欲を是とする規範に生きてきたクリフトにとって強烈にすぎた。
 クリフトの手のひらと背中に得体の知れない汗が滲む。
「あのね、クリフトにお願いがあるんだけど?」
「……な、なんでしょうか?」
 谷間に吸い寄せられそうになる視線を、意志の力でなんとか逸らす。
「私に……シテ」
「は?」
 一瞬、何を言われたのかわからなかったクリフトは、目を逸らしていたのも忘れ
てアリーナに顔を突きあわせてしまった。
「だから、私にもしてほしいって言ってるの」
 アリーナはにっこりと微笑んでいる。
 その頬にわずかに朱が差しているように感じるのは、彼女が風呂上がりだからだ
ろうか?
 クリフトの頭は恐ろしい速度で回り始め、なぜか旅の仲間、父、母、友人、サン
トハイムの人々、いろんな人の顔や言葉が脳裏を駆けめぐった。
「ねえ、いいでしょ?」
 アリーナが肩に手をかける。鼻腔をくすぐる石鹸の香り。微かに二の腕に感じる
ふくよかな感触。
 吹き出した汗が、こめかみから頬へと流れる。
 初めに思ったのは、これは夢ではないかという事だ。クリフトは、アリーナから
見えないところで太股をつねってみた。
 痛い。
 夢ではない。
 では、アリーナの言葉「して」が何を示しているのか。
563「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:03:05 ID:UZ06QTQF0
 何をシテ欲しいのか。
 今までそんな事を考えるだけでも彼女を汚すと、自らに禁じてきた妄想の数々が
頭をよぎる。憧れ、そして忌避してきた男女の行為への興味、想像。抱きしめたい
という欲求。
 いや、いや。駄目だ。駄目だ。駄目だッ!
 頭を振って妄想を追い出す。
 姫様がそんな淫らな事を口に出す筈がない。
 そう信じていながらも、以前マーニャに「あんたは積極的にアプローチされても
、女の子押し倒す度胸なさそうよね〜」とケラケラ笑われたのを、少し苦々しく思
い出していた。
 しかし、やはり間違いがあってはいけない。ここはキッチリ確認するのが私のあ
り方だろうと、クリフトは自らを得心させた。
「あ、あの……何をでしょう?」
「え? この格好で分からないの?」
 アリーナは両手を広げ自らの姿をアピールしつつ、不満げに口を尖らせた。
「は、はぁ……」
 答えながらも胸の拍動は期待と欲望で早まってゆく。
 くうっ、神様、やはり私は度胸なしなのでしょうか! ああ……
「ま」
 しっとりと濡れた花びらのようなアリーナの唇が、言葉を紡ぐ。
「……ま?」
 ゴクリと生唾を飲み込む。
 ま、何だろう?
 ま、まん……いやいや、ま、ま、ま、まーまん、ま、ま……。
 やっぱり×××か?
 いやいや! そんな決して!
 ああ、願わくば姫様の口から下品な言葉が発せられませんように。
 いやいや、本心を偽るな。
 言われれば死ぬほど嬉しい癖に、認めろこの○○○。
 くっ、い、いや。しかし、私は本心から姫様の事を……。
 でも、常識的に考えて、この状況は××しか……? 
 そうなのだろうか? あああっ、しかし、もし××だったら……神よ、私はどう
すれば、どうすれば良いんでしょうかあああああああああああ……。

「ッサージ」
「は?」
「だから、マッサージよ。マッサージ」
 盛大にベッドから滑り落ちた。
「きゃ、だ、大丈夫!?」
564「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:03:45 ID:UZ06QTQF0
「いっ、いやー、あ、あはははははははははははっ、自分は、クリフトは、まった
くもって大丈夫であります! あっ、あたたた……」
 滑って打ったお尻をさすりながら、クリフトはベッドに座り直した。
 失望はあったものの、やはり姫様は姫様であらせられる、と少し安堵もしていた

「マーニャから聞いたのよ。『クリフト君にマッサージしてもらったら、凄く気持
ちいいわよ』って、マッサージ上手なんでしょ?」
 アリーナの無防備な笑顔。
 この笑みにクリフトは昔から弱かった。
「は、はい。と、特に上手というほどの腕ではないのですが、神官戦士としての修
練の内にあったので、それなりに心得てはおります」
 もっとも口には出さないが、修練で習う以上にその技術に興味を見いだし、研鑽
を積んだため、そこいらの者にマッサージに関して引け目をとることはない。そう
自負していた。
 なにしろ宿でライアンに施術した時に「なかなかの腕前」と、何事につけても厳
しい彼に褒められたほどである。そのとき一緒に居たマーニャが、アリーナにその
ことを話したのだろう。
「はー、なるほど。そんな修練があるのね。ま、とにかくヨロシクね!」
「え?」
 アリーナはベッドの上にごろんと転がり、うつぶせになった姿勢のまま長い髪の
毛を束ねて脇へとよけた。
 お湯で磨き上げられたアリーナのうなじから肩への白く柔らかなラインが露わに
なり、布一枚ごしに浮かび上ががるキュッと引き締まった背中から腰、そして、ぷ
っくりと膨らんだお尻から伸びる引き締まったふとももの稜線が、クリフトの両目
へと突き刺さった。
 キワドイ、キワドすぎる。
 先ほどの肩すかしで抜けていった緊張が、舞い戻ってきた。
 いくら経験があるとは言っても若い女性に、しかもこんな肌を露わにした状態で
施術したことなどない。
「あのう、姫様……」
 顔を部屋の隅にある洋服棚の方へと背けて、クリフトは言った。
「ん〜、なーに?」
「この任は、その、私の手に余るというか……恐れおおいと言いますか」
「……」
「ミネアさんも心得があると思いますので……できれば、その……」
「……」
 ……アレ?
 そこまで言いかけてクリフトは、微妙に場の空気が凍りついていることに気づい
た。
 うつぶせのままのアリーナの背中が、ピリピリと刺々しい。
565「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:27:53 ID:UZ06QTQF0
「……ふーん。じゃあ、私にはマッサージしたくないっていうの?」
 冷や汗がしたたる。アリーナは声を荒げたりはしていないが、その言葉は確実に
剣呑な空気を孕んでいた。
「いえ、決して! そういう訳では……ないの、です……が……」
「じゃあ、どういう訳?」
 キチンと説明しなさいと言わんばかりに身を起こしたアリーナ姫を前に、怒った
顔もかわいくあられるなと思いつつ、クリフトは困り果てた。
 王室育ちの彼女は、儀礼で臣下に湯浴みの世話をされることもあり、人前で肌を
晒すことにそれなりに慣れている。そんな彼女に男の生理や、羞恥心がどうのとい
う話が通じるのかどうか、はなはだ疑問だったからだ。
「姫様……」
 口を開きかけたクリフトを、アリーナは制した。
「私たちサントハイムでは王族と臣下よね?」
「は、はい」
「でも、こうして旅をしているときはそうじゃないわ。旅の仲間で大切な友達だと
思ってる。だからこうして二人だけの時は、昔みたいに様を付けずに呼んでくれて
も構わない。ううん、むしろ、そうしてくれる方が嬉しいかな」
 とても彼女の顔を見ることはできなかったが、その言葉に胸が熱くなる。
「それでも私に手を触れるのは恐れおおい? それとも嫌? 嫌なのだったらもう
頼まないわ」
 論点が違う事は分かっていたが、いくらクリフトが自他ともに認める朴念仁でも
アリーナにここまで言わせておいて、我を通すのは情けないと思えた。むしろ、ア
リーナに触れるのは、望んでも叶わない事だと考えていたほどなのだから。
 要は自分がしっかり理性を保てばいいだけの話だ。
 クリフトは決意した。
「分かりました。では、失礼します」
「ん、よろしくね」

 平常心、平常心、平常心。
 心の中で三度唱えてから、クリフトは施術を始めた。
「んっ……」
 指先に香油を絡めて、足先から心臓の方へと滞った血を押し出すようにゆっくり
と丁寧に掌を滑らせる。今までマッサージしてきた人たちとは、根本的に柔らかさ
も肌のキメもハリも段違いだった。
 アリーナの弾性に富んだ筋肉の疲れ具合を指先で意識しながら、柔肌に香油を擦
り込んでゆく。もやもやとした欲望は次第になりをひそめ、クリフトは純粋に技術
的なアプローチのみに集中していく……

「あっ……痛っ、クリフト……くっ……ちょ、そこ、あっ……気持ちいい……」
566「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:28:52 ID:UZ06QTQF0

 わけがなかった。
 いや、そんな自分になりたい、なろう、とは思っているのだが、クリフトはまだ
まだ若く、しっとりと吸い付くようなアリーナの肌は魅力的に過ぎた。
 くっ、情けない、情けないぞ、クリフト。
 自分自身を叱咤するが、肉体には逆らえない。
 まるで嬌声のようなアリーナの吐息も殺人的な破壊力だった。
 見られては困る場所が、見られては困る状態になっていたが、アリーナがうつぶ
せでこちらを見ることができないのが、クリフトにとって幸いしていた。
 ああ、私は……私は……。
 申し訳ありません。姫様、私はまだまだ修行が足りません。
 クリフトは涙を流しながらマッサージを続けた。嬉しいのか、辛いのか、あるい
はその他の感情なのか、そのいずれもなのかすでによく分からなくなっていた。

 ほどなくして、クリフトは戦いを終えた。
 悶々とし続けたために果てしない疲労感がどんよりと身を包んでいた。
 長いように思えたものだが、実際は短い時間だったようだ。
「はい、一応、一通り終わりました」
「んーッ。ありがと。すごくすっきりしたわ。体もなんだかポカポカしてるし、い
いものね」
 アリーナは起きあがって伸びをした。クリフトは香油を片づけるフリをして彼女
に背を向けていた。
「お役にたててなによりです」
「うん。ありがと」
 その時、扉がコンコンとノックされた。
「マーニャだけど? いい?」
 どうぞ、という返答とほぼ同時に、少し開けられた扉の隙間からマーミャのニヤ
ニヤと値踏みするような笑みが覗きこんだ。
「どう? 気持ちよかった?」
 訊きながらマーニャがちらりとクリフトの方を見る。それはアリーナに訊くフリ
をしながら、クリフトに何かを訊ねる視線だった。
 ……まさか。
 クリフトは嫌な予想にゴクリと唾をのみこんだ。
「うん。最っ高に気持ちよかったわ」
「ふふーん。それはよかった。私も勧めた甲斐があったわね」
 マーニャは部屋へと滑り込んできた。
「そうね。でも、こんなにイイだなんて思わなかった。ずるいじゃない。マーニャ
はいつからマッサージしてもらっていたの?」
「あら、私は彼にマッサージしてもらった事なんてないわよ」
「えっ、だってマーニャ、気持ちよかったって言ってたじゃない? この格好で」
567「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:29:37 ID:UZ06QTQF0
 アリーナが両手を広げた。
「あの時は、単にお風呂に入っただけよ。マッサージなんてしてもらってないわ」
「そうなの?」
 振り返ったアリーナにクリフトが答えた。
「え? あ、はい。このパーティで施術したことあるのはライアンさんとトルネコ
さんだけですが……」
「なあんだ。私てっきり……」
「あら、てっきりなあに?」
 マーニャが妙に楽しそうに訊ねる。
「ん? あれ? なんだろう。うーん。とにかく私もやってもらわなくちゃって思
ったのよ」
「あらそう〜。よかったわね〜。クリフト君」
「な、なにがですか!」
 急に振られてクリフトは慌てた。
 変な汗が、頬を流れ落ちた。
「なにが、ってトボケちゃってぇ。姫様にご奉仕できるのは臣下の喜び、でしょう
? うるわしの姫様に望まれるなんて光栄じゃない。奮いタっちゃったんじゃない
の?」
 マーニャは口元に手をあててウププと笑った。
 見てなくても知ってるわよ、という口調だった。
「……」
 ああ、やっぱり……。
 クリフトはガクリと頭を垂れた。
 やはり、この状況はすべてマーニャの企てだったらしい。
「あら、こうして旅をしている間はクリフトは姫と臣下じゃなくて、対等な旅の仲
間なのよ。ねえ、クリフト」
「え……あ、は、はい」
 それを聞いて、マーニャはおもちゃを見つけた猫のように目をキラキラと輝かせ
た。
「ふーん、そうなんだ。だったら、対等に今度はアリーナがクリフトくんをマッサ
ージしてあげなきゃね〜」
「い!?」
「ああ、それはいい考えね!」
 アリーナがパンッと両手を打ち合わせた。
「あ、でも、私はマッサージのやり方知らないから、クリフト教えてくれる?」
「う!?」
「ふふ。良かったわね〜クリフトくん。いっぱいレッスンして、いっぱい気持ちよ
くしてもらいなさいな。気持ちいいついでに、そのままアリーナを押し倒しちゃっ
たりなんかして〜? うふ」
 ちょ、ちょっと、マーニャさん! 姫様になんて下品な事を!
568「そんな姫様だからこそ」:2008/10/18(土) 04:58:12 ID:LYhwBM2Y0
 そりゃあ、私も男ですし、そういう事がしたくないとは言いませんし、いやむし
ろそうした、い、いや、いや、いやっ!
 それはいくらなんでもまずいでしょう!!
 クリフトの顔から、サーッと血の気が引いてゆく。
「え? え? 押し倒すって……マーニャ、そ、それは……」
 きょとんとしたアリーナが交互にマーニャとクリフトを見回した。やがて、その
頬にゆっくりと朱がさしてゆく。
 クリフトは頭を抱えた。
 ああああああああっ、申し訳ありません、姫様ああああ〜!!

「寝技の組み手ねっ! 燃えるわ」

 またも盛大にコケた。
 見ると、マーニャもコケていた。
「フフフ、いいわ、いつでもいらっしゃい。負けないわよ、クリフト!」
 頬を興奮に紅潮させて、胸元に拳を握りしめたアリーナがコケたままのクリフト
を見下ろしながら言った。
「あの、それは本気で言ってるの……?」
 マーニャが訊ねる。
「もちろんよ」
「あ……、そ、そう……」
「さて、気持ちもよくなったし、明日からやることも出来たし、今日のところは部
屋に帰るわね。ありがとう、クリフト。じゃあ、おやすみ」
 そう言って、アリーナが上機嫌で部屋を出てゆくのを見送ると、クリフトとマー
ニャは、顔を見合わせた。
「よ、よかったわね。お許しが出たみたいよ」
「全く、勝てる日は来ない気がしますが……」
「……アンタも大変ね」
 アリーナのアハハハという笑い声が廊下の向こうへと遠ざかっていくのを聞きな
がら、クリフトはハァとため息をついた。
 でもまあ、とクリフトは思った。

 そんな姫様だからこそ、一生ついて行きたいと思うのだ、と。
(了)
569名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/18(土) 07:05:33 ID:UZ06QTQF0
「そんな姫様だからこそ」
>>561-568

投下中に連投規制に引っかかって難儀しました。
感想でも批判でも何でも構いません。一言いただければ、幸いです。
570名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 00:22:22 ID:aqVmWJj2O
文上手いな。
ムラッとしたw
続きをPinkでお願いしたい。
571名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 00:51:23 ID:UKjQfU2i0
乙でございます。ゆっくり堪能させていただきました。

うーん、文章の区切り位置が微妙で読みづらかった。
スレで読む分には、単語が途中で切れると読みづらいな。
見た感じ、オンじゃなくてオフの書き方っぽいね。
あと、タイトルに何分の何、って入れてほしい。

キャラの名前を間違えるのだけはちょっといただけない…。
ただのタイプミスなのはわかるんだけど。
昔のペギーさんの名前の由来を思い出しちゃったじゃないかwww
572名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 01:31:33 ID:300WbqPN0
おもしろかった! おもしろかったけど…

>感想でも批判でも何でも構いません。一言いただければ、幸いです。

って文が重いと感じてしまう、心の狭い人間はオレだけ?
それさえなければ、素直にGJ言えてたと思う…
573名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 01:32:31 ID:Ulfb3rLp0
>569
乙です!
久々にこのスレで下ネタギャグ読んだ!
性的な事に全く知識のない姫と、それに振り回される煩悩神官の図が大好きだ!

2chで連投した事がないのだけど、連投規制って何レスから引っかかるの?
574名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 01:36:12 ID:H7JZs9100
GJ!面白かった。
575名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 10:09:58 ID:8zZvV/oLO
ひたすら耐えるクリフトの葛藤が良かった!
無邪気な姫と煽るマーニャも最高w
576名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/19(日) 19:27:02 ID:GoCxAHDK0
>>573
10スレからじゃなかったっけ?
577名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/20(月) 00:27:42 ID:dpf+kSvu0
泣きながらマッサージw
切なすぎるw
578名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/20(月) 11:49:04 ID:EKx6PYSh0
>>569
文章上手いな!
クリフトの「まーまままま」で腹筋崩壊したw
キャラも理想のとおりで面白かった!GJ!!
579名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/21(火) 07:53:11 ID:/ui1BMSk0
読んでいただいた皆さん、ご指摘、ご感想くださった皆さん、ありがとうございました。
それなりに楽しんでいただけたようで幸いです。

>>570
>ムラッとしたw
頑張ってエロっぽくした甲斐がありましたw

>>571
以前にも同じご指摘いただいたのですが、見た目や文章のリズムを損なわずに改行いれるのがどうにも上手くいかず……。
でも、単語をまたがず改行するのはいいですね。次回投下時に検討してみます。
分数表記に関しては、今回は長めだったので、ホストに蹴られる条件がわからず、前もって総数を把握できませんでした。
名前の間違いは痛恨です。次回このような事がないように努めます。

>>572
すみません、いつも投下時に書いてる一文なのです。

>>573
自分の時は、5つ連続書き込みした時点で一度警告+十数分の規制。
その後3つ書き込んだ時点で「書き込み過ぎですばいばいさるさん」と表示されて長めの規制。
でした。
580名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/21(火) 16:43:11 ID:wcw9LmiN0
何故>>573までにしかレスがないのかが気になる
581名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 00:04:47 ID:sXCE1qTo0
573だけど、>576,579レスありがと。
過去ログ読んでると、間に支援書き込みとかあるからさ、あれで規制解除できるなら、手伝いたかったんだけど…
調べてみたら1時間程度で解除されるらしいので、大人しく待ちますね。
ttp://info.2ch.net/wiki/index.php?Good-By_Monkey
582名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 01:25:21 ID:W6lcitBE0
>>580
指摘を頂いた部分や、疑問に関しては一応個別にお答えしておこうと思いました。
性的描写で叩かれるかもと思っていたので、ほっと胸をなでおろしてます。
583名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 12:00:58 ID:iWojl7EU0
>>581
いつも思うんだけど、支援って規制される前にしないとだめだよね?
規制された後じゃ他レス入っても規制解除にはならなかったと思う。
ということは、投下が始まったら、連投規制に引っ掛からないように
3or4レス目で支援入れた方がいいってことか。
584名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 18:09:07 ID:a75AkwUrO
栗フトが悶々とする様は笑えるしほほえましいな。
支援したいのでどなたかどうぞ。
585名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/22(水) 20:01:07 ID:Ln1eteL6O
おおクリフトよ
×××てしまうとはなさけない
586名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/26(日) 10:00:56 ID:DP4fYRk40
めちゃ公式テイスト(美形変換少なめ)な絵を見てしまった。萌え。
krift.hp.infoseek.co.jp/d473.html

鳥山作品って、「結婚」や「出産」のエピソードは多いのに、
なぜか「恋愛」のシーンは描かれたことないですよね。
だから、もし鳥山センセーがラブシーンを描くとしたら
こんな感じかな…?とか妄想が止まらず。
一方で、ほとんど描かなかった理由も納得できるような。
(鳥山センセーが描くと“色っぽく”ならないような気が。)
587名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/26(日) 16:01:38 ID:IgjHXQbJO
鳥山さんはそういうシチュエーションを描くのが赤面するくらい恥ずかしくて
出来たらスルーしたいくらい苦手だというコメントを
画集か何かのインタビューで語ってたよ
描かざるをえない状況になったら
仲良しのDNA2作者の桂さんに頼むとかw
588名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/26(日) 18:02:29 ID:2KSGdNPo0
>>586
サイト晒しはやめろよスットコドッコイ
589名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 07:42:54 ID:E9vAfu+7O
>>586
ここのサイトお気に入りだからさらしてほしくなかった
どうしてもアピールしたいなら、せめてヒントくらいにして
アド直貼りはやめてほしい
590名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 07:49:48 ID:dIfpoQqt0
もう遅い
直リンじゃなかったのがせめてもの救いか

これで変なメールやら何やらが殺到してサイト閉鎖に追い込まれたら同責任取るんだ>>586
2ちゃんねるは決して良識の府じゃないんだぞ、悪意も同じぐらい、あるいはそれ以上に満ちているんだ
591名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 09:34:26 ID:TZ4NeYymO
職人のサイトですらURL晒しはないのにな
まじで半年ROMれ
592名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 11:39:07 ID:WKgNvXRPO
こんなフルボッコする必要もないわけだが
593名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 11:53:42 ID:GDiOB/ht0
いやあるだろう…
個人サイトの話をするのすらよろしくないのにアド晒しとは
昔よりだいぶマシになったが、まだ2chは2chだぞ
594名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 12:31:43 ID:g0Df2Oe40
ここのスレの雰囲気が柔らかいから、つい忘れてしまうけど
そういえばここは、あの2ちゃんねるなんだよね・・・
595名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 13:00:37 ID:jgbUchrn0
まあ>>586に言えるのは
テンプレ嫁

2chに晒されたからってそのサイトが荒らされるとは限らないけど
二次創作サイトは逆SEOとかやってこっそり活動してるようなとこもあるし
アクセス数が尋常じゃない勢いで上がったらそれだけで閉鎖してしまうかもしれないよね
596名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 13:49:15 ID:gKLUZpwJ0
それにしても、もうこの位でいいと思います。
叩きすぎは、荒らしを生みますし。
597名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 16:23:22 ID:g0Df2Oe40
>>596
そだね!というわけで、お題
つ【不寝番】

前にゲームブックだと思うけどクリフトがアリーナの部屋の前で
寝ずの番をしていたというエピソードに萌えてしまった
598名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 19:38:23 ID:WKgNvXRPO
>>592だけど、>>596みたいなことが言いたかった。
>>593もわかってくれてるだろうけど
599名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 20:56:59 ID:XVJmoaR/O
>>598
何その高飛車な物言い
仮に晒された管理人の身になって考えてみるといいよ
ごめんじゃ済まされない事態に陥る可能性だって否めない
クリフトスレで自分情報晒しまくってた人と同一人物?
600名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 21:04:59 ID:GDiOB/ht0
いつまでもその話をしていると確かに良くはない
早めに流してしまうに限るな
たくさんSSが来て次スレに移れるという状況がベストw

>>597
あのクリフトには自分も最も萌えたよ
601名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 21:19:13 ID:ZvTuIrSd0
でも宿屋で寝ずの番してたら、いつ寝るんだろう?
野宿のほうがよっぽど危険だろうから、そっちでも寝ずの番。
そりゃ倒れるわ……
602名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 21:19:41 ID:EhQageoq0
>>597
王道は姫の寝顔と寝言に過剰にドキドキする神官ですが
ここは敢えて逆パターンを見たいですな
寝てる神官のほっぺたつんつんとか
603名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/27(月) 23:00:05 ID:NR7puJfp0
野くじ引きや順番が回ってくるかして
野営の見張り番で二人きりってのもアリですなぁ・・・
604603:2008/10/27(月) 23:01:50 ID:NR7puJfp0
最初の「野」の字は不要ですな。(単純なタイプミス)
605名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/10/28(火) 00:41:03 ID:agnr1Mfc0
ほっぺつんつん…はあぁ
606名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/04(火) 08:45:01 ID:Ur9Q/yM50
保守
607名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/05(水) 09:30:26 ID:tjqDMN4ZO
クリアリ入門者です。
DSとPS、セリフなどは変わりませんか?
もし違うようであるば、どちらがおすすめか教えて頂けると嬉しいです
608名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/05(水) 20:53:03 ID:ni4Aj0OG0
>>607
ほぼ変わらん、まあゲームの都合であるセリフとないセリフがあるが 
PSのみ→移民の町・隠しダンジョン一部
DSのみ→鏡・隠しダンジョン一部
ただリメイクの会話は全体的にギャグなんだと覚悟しといた方がいいと思う

クリアリ的にはどちらでもいいが
DS版の方がステータスが高く、戦闘エフェクトがスムーズ、マネマネ動く、
などの細かい利点はあるかな
609名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/05(水) 20:53:12 ID:pvDT1AjF0
変わらない。
でもDS版はちょっとだけ台詞が減っている。
610名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/05(水) 21:10:03 ID:qlCf0Mi20
>607
DSしかプレイしてないけど、DSの移民の町の最終体形の由来が身分の差の恋の話で、ちょっとよかった。
でも、それに対してのクリフトのセリフがない…
あれは何か言って欲しかったなぁ。

DSはやっぱり手軽にできるのがいいよ。布団の中でも電車の中でもプレイできる。
腰を据えてプレイしたいのなら、PSが良いかも。
611名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/06(木) 12:21:07 ID:l2N9tBtZ0
697です、ありがとうございます
マネマネが動くのはものすごく捨てがたいw
でもじっくりもやりたいので、時間はかかるけど両方プレイ考えます
612名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/08(土) 02:52:35 ID:6iuFXy0B0
RecklessPriest
ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~hekipara/dorican/kaeuta/grandprix01/012.htm
替え歌 

原曲:Reckless fire
テーマ:FC版DQ4のクリフト
613名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/11(火) 00:32:44 ID:g2TjwqcC0
保守
614名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/13(木) 19:06:40 ID:/q0g7++20
615名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/14(金) 22:10:36 ID:7vDS1sPd0
>614
何の画像か一言言ってよ〜
グロかと思ってドキドキしちゃったじゃないか!!
バトルロード2、クリフトスレでも話題になってたけど、このムービーってミナデインのカードを持って無いと見られないのかな?
クリフトは賢者の石のカードがあるらしいけど、アリーナにも何かあるといいな。
616名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/15(土) 02:05:46 ID:c4qJMgth0
>>614
ミナデインのカードが必要なんだ? うわ〜レア率高そう…
クリフトカードは賢者の石ってどこ情報?
617名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/15(土) 02:32:52 ID:5sTZWeQ40
>616
ゲームショウで賢者の石のカードが公開されてたらしいよ。
バトルロードやった事無いので、詳しい事は分からないけど、614はミナデインのムービーだから、カード必要なのかなー?と。

いくらミナデインだからって、MP0のアリーナやライアン、トルネコまで参加するとはww
燃えるからいいけど!
618名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/15(土) 02:56:05 ID:5sTZWeQ40
カード名は「ギガソード」みたい。
放った魔法はミナデインだけど。

YouTubeでよければ
ttp://jp.youtube.com/watch?v=e5-TYSgQ65c
619名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/16(日) 01:07:18 ID:U5MVe00K0
新参です
宜しくお願いします
レス拝見させていただきました 
どのSSも良作ばかりだと思います。
それではお願いします
620名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/19(水) 09:28:40 ID:rxmrxknDO
バトルロードのサントハイム紋章もDS版なんだな
地味にがっかりだ
621名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/19(水) 19:09:10 ID:hkigCLrY0
島津の家紋が商標登録されてるから、使うとマズいんじゃないの?的な事をどこかで見た様な気がするけど。
ゲームの中で使うくらいなら大丈夫だとは思う。たぶん。

バトルロードも外国に置いたりするのかしら?
622名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/20(木) 14:37:03 ID:XcF7/clM0
海外版を見越して、十字架を外したんじゃなかったのか
623名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/21(金) 18:25:51 ID:yOVKwor60
冬合わせで新刊刷りたいのだが、
みんなどれくらいの部数刷ってる?

クリアリ最大手のあそこは300部くらいかな?
平均的な部数を知りたい…
624名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/21(金) 22:13:04 ID:y/4K9Riy0
同人ネタは同人板へ行ってくれ
625名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/21(金) 22:41:15 ID:tZtlrC4nO
その同人板が落ちている件について
626名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 00:24:10 ID:572yMyxQ0
必要と思うなら立てればいいじゃないか

まあこっちがいいんじゃないか
私の絵なら何部刷ればいいですか?10スレ目
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/2chbook/1222506546/l50
627名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 00:26:07 ID:R5sl3Jtm0
うわぁ…
628名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 00:26:08 ID:QHl41cph0
ちょっとぐらいいいじゃん
629名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 00:29:31 ID:W6l1yOb8O
人様、しかも特定が容易な人の部数を勝手に推測して書き込むあたりドン引きだな…
630名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 00:37:44 ID:QHl41cph0
自分は誰のことかわからんけど
631名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/22(土) 07:08:46 ID:J2aG8CEvO
それより、今日はPS版とDS版の発売記念日ですよ!
12月にはバトルロードが始まるし、来年も何かクリアリ関連の公式発表あるといいなー
632名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/23(日) 10:26:37 ID:xDLDY3orO
PS版とDS版って発売日まったく同じだったんだ?
どっちもいい夫婦の日ってクリアリ的にも嬉しい日だね
633名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/24(月) 18:44:55 ID:T1U8abal0
いたストも11月22日だったよ
634名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/11/30(日) 12:17:00 ID:jjqVIhSt0
ほしゅ
635名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/06(土) 01:58:17 ID:abz2V4Yy0
バトルロード2、クリフトの動画は見られたけどアリーナのはまだアップされてないなぁ…
とどめの一撃でクリフトとアリーナのカード2枚同時投入で、コンビ技発動!とか、ありえないけど妄想してます。
636名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/07(日) 23:18:44 ID:iXZ/31YyO
クリフトは賢者の石
マーニャは誘惑の踊り
ライアンは仁王立ち
勇者はギガソード
が個人カードらしいけど
アリーナ単体のカードって何?
637名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/07(日) 23:50:48 ID:ru8LU2pc0
マーニャとライアンに特技がw しかも仁王立ちww
638名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/07(日) 23:56:51 ID:H0rgDS3n0
>636
ほしふるうでわ
とどめの一撃は何だろうね?
639名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/08(月) 00:14:02 ID:RdQ0YnMc0
>>638
閃光烈火拳 とかいう名前らしいよ
ダイの大冒険に似た名前の技あったよなー
サントハイム城から抜け出すとの噂なので激しく見たいと思っているところ

そしてトルネコも忘れないであげて…w
640名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/08(月) 03:10:40 ID:pd2BIOf10
>>639
かっけぇ・・・!!!
リメイクで必殺技とか増えるのかと思ってたのに
なくて残念だったが、こんなところでwww
しかしブライとミネアは今回もナシなのか
この二人フィギュアでも後回しだったね
641名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/08(月) 21:57:00 ID:m7PSTkrA0
某格ゲーのホアチョウの人を思い出すw
642名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/09(火) 00:22:41 ID:Hg690Hgu0
>640
ブライは第一弾に入ってたよ!
第二弾に回されたのはトルネコとミネア
643名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/09(火) 11:00:41 ID:c3T7vN700
いやトルネコは正義のソロバンを持ってるカードがある。
見当たらないのはミネアとブライ。
ttp://www.dq-card.com/rb_card/flash_list01.html
644名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/09(火) 11:41:51 ID:TwUMYqsT0
>>643
>>642が言っているのはフィギュア第一弾の方だと思う
645名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/10(水) 21:39:19 ID:LVDkuEC10
アリーナのとどめの一撃

77 :ゲームセンター名無し:2008/12/05(金) 17:40:22 ID:jq0ykxfF0
>>75
サントハイムの城を駆け出して、地面がえぐれるくらいのスピードでダッシュ、敵にエネルギー波をぶつける>閃光烈火拳
マァムよりもむしろ、ロトの紋章のヤオに近い気がする
646名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/12(金) 15:02:17 ID:wMF1Pq61O
クリフト、ザラキーマ使えるようになったのかw
647名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/13(土) 00:27:40 ID:Jq6pizEpO
煩悩さんが料理したザラキーマネタが読みたいな…
648名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/14(日) 00:34:00 ID:Y0wyU3HU0
煩悩さんかあ…さんちゃんシリーズ懐かしいなwww
きのこの人とか、ペギーさんも元気かな?
649名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/14(日) 22:54:42 ID:22sCW9oZ0
職人のみなさんは冬のアレで忙しいのかな?
650名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/14(日) 23:38:24 ID:B1PbVnzYO
職人さんもそういうのやってんのかな
ちょっと欲しいかも
651名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/15(月) 13:55:55 ID:M+Q9q4lZ0
きのこの人はアンソロとかやってたけど煩悩さんやペギーさんはどうなんだろ
652名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/15(月) 16:06:05 ID:8F7Xxv7XO
煩悩さんペギーさんっぽい人はいないなあ

きのこの人はサイトがあるけど他の人はわからんね
653名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/18(木) 20:22:37 ID:7Q3MSthr0
最近リメイクやってみました。で、アリーナに萌えました。
だってあんな小さいグラフィックなのにかわいいんだもの。後ろ姿が。

アリーナとクリフトって、冒険後の公式系エピソードは今のところ
ないから、妄想100%で補うしかないのだけど、自分の妄想は
ドラマの篤姫で、クリフトはその中でいうところの瑛太。
幼なじみで、それぞれに相応しい人と結ばれながらも、
男と女というカタチを超えた…うまく言い表せないけど、
心の深いところで結ばれてて、その絆は一生続いていく、みたいな。
そーいうの萌えません?(私だけ?)
654名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/19(金) 11:19:57 ID:a2MDySrC0
そういうのもものすごく萌える
でもくっつくのを妄想しても萌える
クリアリは色んなパターンが考えられるから楽しい
655名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/19(金) 22:20:07 ID:BwyG2M+3O
私はやっぱりくっついてくれないと萌えられないな
どんなに絆が深くても伴侶がいたんじゃ
お互いが一番にはなり得なかったことになるもの
656名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/19(金) 23:15:09 ID:Jy21TtbpO
うーん、自分もくっついた方が好き派だけど
くっつかなかったからと言って互いが一番じゃないとは思わないな
最も愛し合うからこそ離れる…みたいなのも詩的だと思う

でもラブラブなSSが読みたいですw
657名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/20(土) 00:19:55 ID:km1XrYnh0
冒険後はラブラブハッピーエンドを願ってやまないです〜
ラブラブストーリーどなたかキボンヌ
658名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/20(土) 13:32:13 ID:qspQJEzJ0
>>653
今大河見てたら瑛太がサントハイムの紋章のお守り握り締めててワロタw
すっかりイメージ固まってしまったよw
659名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/20(土) 18:09:58 ID:6HyJ6ieY0
>658
晩年に、篤姫と二人で向かい合って碁を打ちながら、
静かで控えめでありながらも熱い、永年積もり積もった愛の告白
…ってシーン見て、クリアリもこんな感じで。。。とか

録画した方、碁をチェスかポーカーに変換してSSにしてくださいませんか
660名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/21(日) 13:03:54 ID:iTxqj6BKO
すまないが瑛太好きじゃないんでイメージ重ねるのやめてほスィ('A`)
我が儘スマソ


そして私もクリア後はくっついて欲しいと願う一人ノシ
661名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 00:38:07 ID:JeJRKDJS0
>>657薩摩藩ねワロタ、確かにサントハイムの紋章wwなんとなく語感も近い

ハマってたので篤姫バージョンを捏造しようとしてみたが、時代の導きとはいえ
姫の嫁ぎ先の大国を倒さんがために刃を向けるってとこはやっぱり悲しいな
悲恋物は人気ないね
662名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 18:51:22 ID:r2gEiUdoO
二人の幸せは願っているのだが
読み物としての悲恋は好きだ
663名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 20:35:12 ID:na+VwA1/O
>>660
なんでいちいちそういう意見を書き込むのかがわからん
好きだって言ってる人がいるのに
664名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 22:02:35 ID:na+VwA1/O
ちょ別にプチたん疑ったわけじょないんだが

プチたんは目立つから盾として利用されてるだけで
実はプチたんの比較的身近にいるヤシじょないかと桃てるお
あまりにプチたん周辺事情に詳しすぎるお
プチたんはここ見てるだろうしそれを知られてる事も知ってそうだし
こんなとこでわざわざ身バレるようなサクル叩きなんてしないでそ
665名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 22:06:11 ID:na+VwA1/O
盛大に誤爆弾したorz
スレの空気汚したらゴメソ
流してくれないか



逝ってくる・・・
666名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 22:20:00 ID:rzxDKd8G0
ドラマは見てないから分からないけど、クリアリ二人でポーカーと言ったら。
すぐに顔に出てしまいバレバレのアリーナと、ポーカーフェイスで何勝もするクリフト。
ムキになって何度も勝負を挑んで来るので、わざと負けてあげたら一発でバレて怒られるというのは受信した。
667名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/22(月) 23:21:09 ID:UoHEVz/I0
あぁ…うん、絶対にやってるだろうねそれは
姫様が勝って喜ぶ顔が見たいのにどうやっても自分が勝ってしまうジレンマw
668名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/23(火) 20:07:31 ID:OfR0sgRx0
ちょっと長い小説なんかだと感動したい派なので、悲恋ものは好きだ
短めだとほのぼのが好きなんだけど・・・
669 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 13:47:00 ID:GIUbkasK0
Merry Xmas!
こんにちは、ちょい暇getした煩悩神官です。
久しぶりにスレを覗いてみたら、懐かしがられててびっくりw
そっか、半年も来てなかったのか……。月日が経つのは早いなぁ。

でも、せっかく来たので久しぶりにSSか小ネタでも書いてみようかな?
>>647
「ザラキーマ」ですか・・・。
ちょっと妄想練ってくるw
670煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:35:54 ID:GIUbkasK0
書けたので投下に来ました。

煩悩神官のSSとしては珍しくダークな展開なので、
そういうのがへっちゃらな人だけ読んでくださいね。
苦手な人はNGワード【ザラキーマ】で。全5レスの予定。ではノシ
671【ザラキーマ】1/5 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:37:33 ID:GIUbkasK0
「ねえ、クリフト。ザラキの上級呪文って何だっけ?」
「上級致死呪文……ザラキーマのことですか?」
「あぁ、そう、それ。ザラキーマよ」
「それが……どうかしましたか?」
かすれる声を自覚しつつ問い返した私に、姫さまは無邪気に微笑んだ。
「前から思っていたのだけどね、クリフト、かなり修行を積んだでしょ? 
そろそろ唱えられるようになっても不思議じゃないかなって」

その言葉を耳にした瞬間に走った衝撃をどう言い表せばよいのかわからない。
ただ、頭に浮かんだのは、なぜそれを姫さまが訊くのかということだけ。
どうして、よりにもよって姫さまなのか。
ザラキーマについては、いつかは訊かれることだと覚悟していた。
旅を続ける上で、仲間の戦闘能力を把握することはとても大切なことだったから。
しかし、なぜよりにもよって姫さまが、それを私にお尋ねになるのだ。
私は震える唇をきつくかみ締め、呻くように呟いた。
「ザラキーマは……私には荷が重過ぎるようです」
私の返答を聞いて何を思ったのか、姫さまは「ふぅん」と小首を傾げ、私を見上げた。
「クリフトぐらい強くなっても難しいのね。わたしは呪文のことってさっぱりわからない
から何とも言えないけど……きっといつかは唱えられるようになるわよ」
ザラキーマを会得できず落ち込んでいると思われたのか、姫さまは私を元気付けるように笑った。
「……そうですね。そうなれればいいと、私も思います」
喉に絡みつくような不快感と戦いながらも、私はやっとの思いで微笑んだ。
「もうっ、気弱にならないの! クリフトならできるって、わたし、信じてるから」
―――信じてるから。
そう言って、まっすぐに見詰めてくる姫さまを直視することも適わず、
私はただ項垂れるしかなかった。

672【ザラキーマ】2/5 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:39:06 ID:GIUbkasK0
上級致死呪文、ザラキーマ。
高位の神官でさえ、唱えられるものは存在しないのではないかという超難度の神聖魔法。
否、正確に言えば、呪文自体を発動させることはある一定の水準を満たしていれば可能なのだ。
唱えるだけなら―――結果を顧みなければ―――可能な神官はいる。
いる、ということを知っている。
なぜなら、自分もそのひとりだからだ。
術を発動させるだけの技量も精神力も不足はない。
私は唱えようと思えば、今すぐにでも唱えることができるだろう。
だが、私は唱えることができない。
使えるのに、使えない……使わない。

―――なぜ?

それは、呪文の持つ性格ゆえ。
最上級致死呪文ザラキーマは、敵全体に向けて放たれるものだ。
―――敵全体。
それが問題なのだ。
初級致死呪文ザキ、中級致死呪文ザラキは、単体もしくは敵の一部のみに放たれる。
範囲が限られているため、目の前にいる敵に集中し、その姿を脳裏に思い描くことは
さほど難しいことではない。
要するに敵認定がしやすいのだ。
それに比べ、敵全体という定義はなんと曖昧で、恐ろしいものか。
673【ザラキーマ】3/5 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:40:09 ID:GIUbkasK0
私はそこに思考が至ったとき、そのあまりの恐ろしさに身震いした。
そう、敵とは何だ?

もし呪文の発動中に私が心を乱してしまったら結果はどうなる?

例えば、ソロさんに助けられる姫さまの姿を見て私は平静でいられるだろうか?
私が望むべくもない強靭な肉体を持つライアンさんに私は嫉妬を感じていないだろうか?
いつも明るい話題で姫さまを笑わせてくれるトルネコさんに、私にない魅力を感じて
苛立っていないと言い切れるだろうか?
私より長い時を姫さまと過ごしてきたブライ様を、どこか羨んでいないだろうか?

もし、彼らを心の奥底で憎く思っていたら?
無意識であったとしても、彼らを排除したいと思ってしまっていたら?

―――怖い…怖くてたまらない。


674【ザラキーマ】4/5 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:41:36 ID:GIUbkasK0
「おーい、アリーナ。悪いんだけどさ、水汲み手伝ってくれないか?」
「あ、うん。今行く」
ソロさんの呼びかけに快く答えつつ、姫さまが手を振る。

その光景に、私の胸がずきんと痛んだ。

この痛みがある限り、私はザラキーマを唱えることはないのだろう。
なのに、姫さまはそんな私の胸の裡を知ることもなく、仲間の待つ馬車に向かって
駆け出す。
その後姿をじっと見つめていると、ふいに姫さまが美しい赤毛を靡かせ振り向いた。
「ねぇ、クリフト。わたし応援してるからね」

675【ザラキーマ】5/5 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:42:58 ID:GIUbkasK0
だらりと垂らしていた腕に徐々に力が入る。
「姫さま……」
なぜ、なぜ貴女がそれをおっしゃるのか。
「貴女がいるかぎり、私はザラキーマを唱えることはできないのに」
貴女への狂おしいほどの恋心があるかぎり、私がそれを使うことはありえないのに。
「私は、こんなにも貴女が愛しくて、そして……」
握り締めた拳が、震える。
「その無邪気さが、優しさが……憎いです」
もし、私がザラキーマを唱えたら?
「私は貴女を……」
硬く目を閉ざし、震える拳で口許を覆う。
「私は貴女を、殺してしまうかもしれない」

―――この、恋心ゆえに。

                                     (終)
676煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:50:49 ID:GIUbkasK0
いくらなんでもクリスマスにダークすぎ?
うまく料理できなくてスマソです。
 
口直しに小ネタ追加しておきますね。
677【わがまま王女】 ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:54:52 ID:GIUbkasK0
「クリフト、大好き」

そう言って屈託無く笑うアリーナのことを、クリフトはとてもいとおしく思っている。
たとえ、彼女のせりふの後に「だから」が続き、「ブライの髪の毛10本取ってきてくれる?」とか、
「城を抜け出すために、お父様を自室に閉じ込めておいてくれる?」とか、
ほほえましいが結構無理難題なわがままが飛び出したとしても、それで大変な思いをする羽目に
なったとしても、彼の、彼女を愛しく思う気持ちが変わることは無い。

だからこの日も、彼は「クリフト、大好きよ」という言葉に「ありがとうございます」と応じつつ、
アリーナの“ちょっとしたわがまま”を待っていた。

「だから……してくれる?」
「はい?」
肝心な部分が聞き取れず身を乗り出すと、彼女は怒ったように顔を赤らめ、
ぐいっと彼の襟元を引き寄せた。

「だから……、だから、私と結婚してくれる?」

予期せぬ要求にクリフトは固まった。
しかしアリーナはそんな彼に容赦なく詰め寄る。
「返事は?」
「は、はい」


―――どうやらこの日もアリーナのわがままは叶えられたようだ。
                                 (終)
678煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2008/12/25(木) 19:56:56 ID:GIUbkasK0
では、よいクリスマスをノシ
679名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/25(木) 21:23:55 ID:89F0/OZ00
  /''⌒\     + ::.゜ ゜ ゜゜。・。
. ,,..' -‐==''"フ +::.゜ ゜ ゜゜。・。 . .*
 ゜(n‘∀‘)η 煩悩神官さんキタワァ !!

クリスマスに豪華2本立て!ご馳走さまでした。
アリーナはわがままデレ?
680名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/25(木) 23:55:04 ID:5ECOS5HB0
ザラキ効いたっっ!!ぐふう!
681名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/26(金) 01:50:18 ID:iSoCw0VV0
ザラキーマの話が私的にめちゃくちゃヒットでした
こういうちょっとだけ(←重要)病んでる切ない雰囲気の話が大好きだー

煩悩さんお疲れ様でした!
682名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/26(金) 12:13:26 ID:8SoBPSCtO
姫さまの隠し撮りしていたら気分が・・・まさかザラキーマか・・・

ぐふっ
683名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/26(金) 23:02:19 ID:O42709p/0
クリスマスプレゼントだ!GJです!
えー、モンバト2でクリフトがザラキーマを唱えている=クリフトの恋は成就した+2本目のssを合わせて考えて。
モンバト2出場時点で、クリアリは結婚してるぞ!という公式が、脳内で成り立ちました!
ぐふっ
684名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/27(土) 01:27:52 ID:77GRuykh0
GJでした!
685名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/29(月) 12:09:36 ID:pgYxzMfzO
gjでした!
モンバト2が結婚後…
ああーモンバト2のアリーナバージョンも見たくなってきたわぁ
686名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/12/29(月) 23:47:54 ID:NbaTBmolO
モンバトでロト(レア)ひいた!
…トルネコだった。


いやいや、がっかりしたりなんかしてませんよ。
687名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/01(木) 15:15:49 ID:PfLjPsM/0
明けましてクリアリ!
今年はいたストWii版あたりが出たらいいな〜
もちろんクリフトとアリーナ出場で、新しい3Dで新しいセリフとか増えてるといいな〜
688名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/08(木) 21:17:47 ID:d5C+IE390
hoshu
689名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/08(木) 23:59:26 ID:lrj5kS0C0
明けましてクリアリ!
昨年はDS版DQのおかげでクリアリ再燃しました。
このスレを見つけて嬉しかった。
今年も素敵なSS期待してます。
よろしくお願いします。
690名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/09(金) 01:25:57 ID:/e9cvjhU0
クリアリとかいうなーーー
691名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/09(金) 22:39:44 ID:r2YXCO4C0
>>690
ここのスレタイ見て言ってんのか?
692名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/09(金) 23:20:24 ID:WauRgEQG0
略すのがイヤなんじゃないか?w
693名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/10(土) 01:20:20 ID:HpsEKePk0
略すのを嫌がる人たまにいるからね
694名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/10(土) 13:36:34 ID:Cqm2l82K0
アリクリがいいんじゃね?
695名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/11(日) 00:59:23 ID:Vq/mQn7mO
そういやだいぶ何年も前に
クリフトとアリーナのカップリングが好きだけど
クリアリって言うのは嫌だと言い切ってたクリアリサイトがあったな
696名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/12(月) 02:28:41 ID:yUTQKX33O
自分もクリアリよりアリクリ派だな
カテゴリにアリクリがないから
仕方なくクリアリに登録ってサイトはいるかも
697 ◆YISOKD5/z2 :2009/01/15(木) 15:22:04 ID:MHR+25Gp0
アリーナがまっしぐらなのが好きなので
短いのを書いてみました
かなり恥ずかしいのですが
698無限ループ ◆YISOKD5/z2 :2009/01/15(木) 15:26:45 ID:MHR+25Gp0
ミントスで病に倒れたクリフトだったが、勇者一行との幸運なめぐり合わせにより、
一命を取り留めた。
命の恩人ともいうべき彼らは、何やら部屋の外で詩人と話し込んでいる。
ただ一人、主君であるアリーナ姫だけが、ベッドの傍ら、クリフトの顔を覗き込んでいた。

「ねえクリフト、パデキアまだ残ってる?」
「えーと…全部飲み干してしま…っ…」
言い終わる前に、クリフトの唇は塞がれていた。

「…ひ、姫…?」
熱がぶりかえしたような、ぼうっとした顔で、クリフトは呟いた。
アリーナはというと、舌をチロリとしては、苦いようで顔をしかめている。
「私にも病気がうつったかもしれないから、クリフトから薬を分けてもらったのよ」
「ええっ…!? し、しかしそれでしたら、新しいものをすぐに用意いたしますから!
 何もそんな方法で…」
アリーナはプイッと顔を反らした。
「冗談よ」
そう小さく呟いて、再びクリフトの唇に軽くキスをした。

病み上がりなうえに強烈な先制攻撃を受けたクリフトは、完全にパニック状態だった。
「じょ、冗談でこんなことをなさるなんて…!
 クリフトをからかっておいでなのですか…!?」
「違うわ。
 パデキアを分けてもらうっていうのが冗談ってことよ」
「…そ…それは…どういう…」
もう一度、今度は少し乱暴なキスだった。

「わかってもらえるまでキスするわ」
699名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/16(金) 01:42:31 ID:w8cgvkoe0
>698
GJです!
そしてハッと気が付いたらドアの隙間から、勇者達がニヤニヤ覗いてるんですねw
アリーナまっしぐらで猫まっしぐらという言葉共に、全速力でクリフトに飛びつく姿を想像した。
700名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/22(木) 10:53:47 ID:vQBauUnh0
ほしゅ
701名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/23(金) 00:51:28 ID:E3NEqj0tO
>>698
マーニャがすかさずやじを飛ばしそうな情景ww
GJでした!
アリクリも萌えるわー
702名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 08:16:09 ID:1wABgs7X0
カップリングとして考えると

奈良時代の孝謙天皇と道鏡の関係がまんまかぶる…とか思いはじめたら
頭から離れなくなった
女王と、側仕えで病気を治し彼女に愛される僧侶ってとこ
703名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 12:17:15 ID:aeD8RbaI0
道鏡は 座ると膝が 3つ出来 という下ネタ川柳は置いといてだなw

クリフトが天皇(王)の位を欲しがり、しかも失敗し激昂とか
(邪魔した清麻呂さんの名前を穢麻呂に変え、姉の広虫を狭虫にした)
アリーナが恋に狂って(別の男とのだが)自分の子供を戦争で倒してしまい
自分がもう一回天皇(王)になる、とか見たいような絶対見たくないようなw

日本史オタ(だった)ので詳細に反応してしまいスマン…
704名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 12:24:05 ID:aeD8RbaI0
…っとスマン、淳仁天皇は実子じゃなかったなスルーしてくれ
705名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 18:18:33 ID:tDn8qEm80
下ネタ川柳に反応してしまったw
706名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 20:39:36 ID:1wABgs7X0
道鏡の絶倫ぶりをよんだ川柳は他にもあるからぐぐってみよう。
絶倫で野心家なクリフト。。。ハァハァ

孝謙天皇は、それ以前のような夫と息子の中継ぎ的な女帝と違って
生まれながらの世継ぎ(皇太女)だったから、生涯独身だったらしいね。
アリーナもそういう道をいくのでは?
707名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 22:38:31 ID:Gto1/xyQ0
煩悩神官さんにエロ川柳ネタで、一発書いて頂きたいものですなぁ。w
708名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 23:47:10 ID:PixRBdmF0
今PSの4やってる友達から「クリフトって常に煩悩にまみれてるけどほんとに神官?」
ってメールがきて梅こぶ茶を吹いた
友よ…スルーしてあげて…
709名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/29(木) 00:37:48 ID:jVNWUqVc0
リメイクの彼は少年〜青年漫画の主人公的なノリだよね
健全な男の子って感じがして私は好きだ
710名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/29(木) 01:06:16 ID:ETocV1pd0
煩悩セリフは目につくけど、神官、従者モードのセリフもなかなかカッコいいんだけどな。
同年代の仲間(勇者とか)が出来て、つい本音を漏らしちゃった感じだよね。
711名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/29(木) 01:13:19 ID:NrIm9B4x0
>>708
昔はあんなに煩悩じゃなかったんだよwと言っといてあげてくれ
712名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/30(金) 00:02:03 ID:jwHLA7/S0
水着姿想像して鼻血吹いたりね…微笑ましい…よね、うんw
713名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/02(月) 01:47:11 ID:H7tB+G1jO
FC時代は冷静で落ち着いてるイメージがあるので
22才ぐらいかなと思ってたけど
リメイクは思春期まっさかりな感じのセリフが多くて
17才ぐらいに見えるね
714名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/03(火) 18:30:23 ID:tUn51e+10
FCはかなり厳しそうな感じだた
715名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/04(水) 07:43:55 ID:jkWb1gIpO
22才がいいけど、そうするとロリコンみたいになるから19才くらいで。
716名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/04(水) 22:54:56 ID:CAMl9v4X0
>>713
小説版の設定なら完璧だな
717名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 02:01:47 ID:DqPCZBBr0
クリ22、アリーナ18くらいかと思ってた
718名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 02:46:42 ID:P0WuBPDu0
20or21と15or16がなんとなくしっくりしてた個人的に
クリフトよりアリーナの年齢ありきで考えて。
アリーナがどうしても16以上には思えない…
5歳以上は離れてない気がするけど3歳以内も考えつかない
年齢いろいろ考えるの楽しいね
719名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 23:17:54 ID:xeZYZC4O0
>>715
うん、ロリコンは嫌だorz
リメイク版の2人だったら私も>>718の年齢設定かな
FCだとどちらもプラス2歳くらい
720名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/06(金) 13:22:44 ID:x0MW95pE0
年の差カプはむしろ好物なんだがリメイククリフトの場合は無理w
721名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/07(土) 03:22:12 ID:OkAY6NJ60
あそこのクリフトってロリコンにしか見えないwwwwww
722名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/07(土) 23:33:37 ID:vaspbn+t0
ロリコンっていうよりかはいきなりイメージしてた年齢がガタッと下がった感じw
姫の年齢はある程度一貫してるんだけどな
最初は幼い姫様のお世話係とか家庭教師的なこともしてたのかな〜と思ってたけど、
PS以降はとてもそんな風には見えなくなってしまった…
723名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/08(日) 00:26:03 ID:ntFvKVbT0
FC時代から、アリーナ15〜16歳で
クリフト17〜18歳のイメージだったなあ。。
少数派だったのかしらん。
724名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/08(日) 12:36:50 ID:6/AYpqBjO
汚物風俗ババァ網之ビッチ死ね
725名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/08(日) 13:49:19 ID:7Tjllxdh0
また網之助か・・・。
ホントどこ行っても汚物のように嫌われてるな。
726名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/08(日) 23:50:17 ID:kV3eRe+Q0
7歳差でも10歳差でも大人になったら、普通の年の差カップルだしなー
リメイクしかプレイしてないけど、おてんばって年齢なら14〜15歳。
若き神官、聖職者の卵と紹介されてたから結構若めのイメージで17〜18歳。

2章で旅立ってから5章(6章)が終わるまで何年くらい経ってるんだろう?
3〜4年くらいかなーと思ってたんだけど、ここの意見を見てるとクリフト22歳出発だと帰って来る頃には26歳に…
727名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/09(月) 12:36:20 ID:+yLX17oq0
圧倒的に17歳派が多いと思うが…
728名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/09(月) 21:42:11 ID:zy6HWNN90
>>726
ゲーム上では、1章から5章開始まで、1年経っていないのが定説。
5章開始から終了までも、1年経っていないと思う。
729名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/09(月) 23:13:43 ID:ntTWr7S90
仇うちサックサク進むなぁw
730名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/10(火) 00:44:48 ID:Ij0TV57z0
>728
え?そうなの?!
大陸を徒歩&馬車&気球で移動するのに、そんなに短時間で済むとは…
小説だとライアンが勇者に会うまで10年とか聞いたので、それは長過ぎるだろ!と思ってたけど、短すぎるのもイベント満載で忙しいな。
731名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/10(火) 01:24:35 ID:3gsi4Udx0
>>730
ゲームでは、1章でさらわれた子供が5章でも子供のままだから大した時間は流れてないっぽいよ。
小説の方は多分ゲーム内での矛盾を解消するための設定だから>1章から10年経過
1章ラストで、ライアンはいまだ幼い勇者を探して守るために旅立ったはずなのに、
勇者はとっくに青年になってましたじゃおかしいしね。
732名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/10(火) 12:27:55 ID:xTcxTRkp0
勇者は5章開始時に17歳になって成人するから(5章義理の父の台詞)
それ以前はまだ「子供」だの「幼いヒヨッコ」呼ばわりされてるんじゃないのかな
成人してない子供、という情報だけが錯綜して子供誘拐事件になったと思う
733名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/10(火) 14:52:16 ID:UjkAbwyh0
DS 版 2回目 2章プレイ中。
クリフトの想いとは裏腹に、防御力の弱いジジイ(ブライ)に
ホイミをかけることが多い。ww
734名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/11(水) 14:35:53 ID:EyFaqTZ1O
話豚切って悪いが
15日のオンリーの話はここではNGなんだよね?
どらくえの同人板探したんだが見つからんorz
735名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/11(水) 18:05:19 ID:A58zgbmDO
同人イベント板にあるよ。
そこを読んだ限りでは、あんまり良くなさそうだ…

そんな事より19周年おめでとう!
736名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 01:56:34 ID:p8D/c8LcO
相当ひどい主催らしい
バカ高い交通費払って
行こうとしてたんだがやめた
浮いたお金で4コマ全巻揃えるかな
プリアリはいまだにお目にかかれないな
737名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 02:30:34 ID:mojB7Fa/0
はじめまして。直球表現ですみません。
エンディング後という設定で読んでください。

【マーニャの散歩】
マーニャは暇になるとふらっとルーラで出かけるのが日課だった。
大概はエンドールのカジノなのだが、
その日はふと、サントハイムへ立ち寄った。
お姫様と神官の恋の行方が気になったからだ。
元勇者ご一行様のマーニャは手厚い歓迎を受け、アリーナの部屋へ通される。
マーニャは開口一番「最近どーお?」と悪戯っぽい笑みを浮かべた。
その変わらぬ姿にアリーナは笑った。


最近、アリーナとクリフトは恋仲になったらしい。
アリーナは少し照れながらも隠すことなく喋ってくれた。
頬は火照り、少し声が上ずっている。
(恋愛モード全開ねぇ)
マーニャは興奮することもなく客観的にその話を聞いていた。
散々二人を冷かしてきたマーニャではあったが、
実際にこうなると妙に冷静になってしまうのだった。
「で、どこまで行ったのよ?」

(2に続く)
738名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 02:32:56 ID:mojB7Fa/0
↓つづき
【マーニャの散歩】2

話を聞いていると、どうやらまだキス以上のことはしてないらしい。
「え!キスだけなの? その・・・胸とか揉まれたりもしてない?」
「い、いやだ!クリフトがそんなことするはずないじゃないっ!!」
アリーナは真っ赤な顔をしてうろたえる。
(何言ってんの。『まだ』してないだけでそのうち確実にしてくるわよ)
と喉まで言葉が出かかったが、マーニャはぐっと抑えた。
(お姫様には刺激が強すぎるか)

それにしても。
マーニャの読みは外れた。
クリフトは一度理性のネジが外れたら
一気に最後まで行くんじゃないかと思っていた。
(キスしようもんならアソコはビンビンに勃ってるわよね)
(そのあとトイレでオナニーでもしてるのかしら?)
マーニャは下世話な心配をしていた。

実はマーニャは旅の最中、クリフトに二度夜這いをしかけたことがある。
一度目は「愛する人としかできない」と真っ赤な顔でハッキリ断られた(勃起はしていたが)
二度目は変化の杖でアリーナに変身していったが「姫様の香りじゃない!」とあっさりバレた。
香りって・・・どんだけ変態なのよ、とも思ったが
この男がどんなセックスをするのかこの上なく興味を持ったのである。
--------しかもお相手が、このうぶなお姫様ときた。
この二人はどんなセックスをするんだろう・・・。
他人のセックスを観てみたいと初めてマーニャは思った。
「アリーナ。」
「・・何?」アリーナはまだ顔が赤い。
「今度またとろけるようなキスをしたら、クリフトのベルトのバックルを触ってみなさい。
 あ、厳密にバックルじゃなくていいわ。そのちょい下の方がいいかも」
「え・・・どうして?」
「恋に効くおまじないよ。」
そう言ってマーニャはニヤッと笑うと
窓に向かった。
「じゃ帰るわね。おまじないの結果、絶対教えてよ!」
マーニャはルーラを唱えて帰っていった。
739名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 09:30:04 ID:QSGXFNHq0
うーむ、個人的には少しお下品さを控えて、もう少しキレイな恋のお話がいいかな。
このままだと官能小説になりかねないな。
両想いの展開はいいことだ。
740名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 18:41:46 ID:y2sTTmR3O
終わり?続きがあるなら、エロパロ板で待ってます。でも、クリフトがテンパって何もできない展開も好きだ。
アリーナに何か教え込むなら、やっぱりマーニャだよね。
741名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 01:33:51 ID:laZYXbWW0
>クリフトがテンパって何もできない展開
それいいなー。期待。
742名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 02:42:21 ID:0IyyvKx20
いいんでないの。要年齢制限な描写があるわけでなし。
アリ(えーと、おまじない、おまじない…)
クリ「うわわわわわわわわわわわわわわわわひひひひひひひひひ姫っ」
アリ「きゃっ、どうしたの何よコレ」
クリ「そそそそれは」
アリ「まさか…」
クリ「……」
アリ「クリフトあなたまた病気なのね!どうしたら楽になるの?こう?」
クリ「vねるrjんぽrjbん;えおkjんv;おkじょうぇ」
743名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 12:04:24 ID:/EcFj+2N0
ちょ、いっきにギャグになたww
なんというクリフトクオリティw
744名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 18:42:47 ID:YJGB8+PL0
クリフトクオリティワラタwww
745名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 19:47:15 ID:0IyyvKx20
その2
アリ「クリフトあなたまた病気なのね!大変!じい!お父さま〜」
クリ「うわああああ姫さま、待っ…」
アリ「大変なの!クリフトがね、ここ(ry
王、ブライ「…………」
クリ「…………」
746名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 23:34:58 ID:+dljTEaH0
やばいよw解雇されるよwww
747名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/13(金) 23:52:57 ID:MuVtOZ5FO
次の日には国中に広まってそうだなw
そういう天然な姫も好きが
知識がなさすぎるのも困りもんだ
クリフトがんがれw
748名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/14(土) 00:18:21 ID:pdFnSlSp0
これはわろすw
749名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/14(土) 15:52:48 ID:JVhTNksP0
その3というか別バージョン【新婚初夜】
アリ(えーと、クリフトを寝技で羽交い締めにすればいいのね。)
       ↑結婚前に絵つきの解説書で勉強させられた
クリ「姫さま、どうかお手柔らかにお願いします」
アリ「そうね、わたしが本気出したらクリフトにはキツイでしょうから
   ちょっと手加減してあげるわ…きゃっ、どうしたの何よコレ」
(BGM:♪悪の化身、形態変化の効果音)
クリ「そそそそれは」
アリ「まさか…」
クリ「……」
アリ「クリフトあなた、進化の秘法を使ったのね。卑怯だわ!
   いいわ、そっちがその気なら、容赦しない。真剣勝負よ!!
   まずはそのはぐれメタルを…」
クリ「fhべオイfhべオイjvhpぢjcんぃsンmん。vlmンv。kmん。kンkンdン;いん;オン;おdン;ンvい
750名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/14(土) 23:49:16 ID:m74T4EHi0
しつこいと思ったけどやっぱりなかなか面白いw
しかしクリフト不憫すぎます
751名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 00:52:36 ID:tzkjK6IbO
はぐれメタルwww
いつまでたっても入れさせてもらえそうにないなw
752名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 11:41:49 ID:n09So/3kO
進化の秘宝にワロタw
753名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 14:24:03 ID:1KA3n4Nh0
笑っていただいてありがとうございます。
【マーニャの散歩】を見て「お、久々に下ネタがきてる」と、
調子に乗って下ネタ3連発したのは私です。737さんスミマセン
今読み返したら初夜の夫の言葉が「お手柔らかに」って何だよ…

ひとさまのラブラブ甘甘なクリアリ読むのはもちろん萌えるのですが、
あのヘタレキャラを見る限り自分の脳内では、クリフトに恋する姫なんて
どうしても作れない…アンドレに恋するオスカル並に想像不可能なんです。
だから、何かの経緯があって結婚ということになっても、姫はこんな感じ?
(勉強したもののセックスを格闘だと誤解していたり。甘甘にはほど遠い)
という私の想像をちょっとギャグに表現したのがその3だったり。
でもいつか身も心も甘甘で結ばれるといいね!前途多難だとは思うけど
その「何かの経緯」は現在妄想中なんですけど…(もちろん下ネタではない)
754名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 14:49:53 ID:tzkjK6IbO
乙。
その妄想が形になったら
また投下しておくれ
待ってるよノシ
755名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 21:35:42 ID:ldKvtvar0
>735タン
>アンドレに恋するオスカル並に想像不可能なんです。

わかります〜〜〜!!
でも、だからこそ、オスカルがアンドレの上半身裸姿を見て
逞しさにドキッとしたところとかが姫と神官でもあり得る、、、と
勝手に萌えたりするんですが。。
756名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 22:19:48 ID:1/ZEPFcI0
ところでアリーナは、やっぱりサントハイムの連中にチョコを配ったんだろうか?
(そして今年も地獄絵図が・・・w)

アリーナの場合、なんでも大雑把そうだから
料理はともかく、分量を正確に量らなくてはならないお菓子作りは苦手そうだね。

クリ 「姫様。小麦粉は軽量カップすりきり1杯で、よく篩って・・・」
アリ 「だいたいこんなモノね。(ドバ〜〜〜〜〜ッ!)」 

(中略)

アリ 「お父様。今年のバレンタインのプレゼントはブラウニーを焼いてみたのよ♪」
サン.。oO{ なんじゃ?この異臭を放つ真っ黒なはぐれメタルの親分みたいな形状の物体は・・・?}
757名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 22:45:41 ID:1Av4zJ7F0
>756
それでもクリフトは喜んで食べるね。というか、クリフトしか食べないんじゃww

アリ「また今年も、誰も食べてくれなかったわ……」
クリ「私が全部頂きますよ」
アリ「私の料理の良さを分かってくれるのは、あなただけよ。」

次の日クリフトが寝込むんですね、わかります。
758名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 00:29:59 ID:chN4qWnc0
>>757
そんな天然ラブの2人もかわいいけど、娘かわいい王様も死ぬ覚悟で食べてあげてそうw
そんで白目むいてビクビクしちゃったりしてクリフトが慌てて蘇生を…
759名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 01:35:18 ID:71XgkgFe0
サンちゃん対抗意識燃やしちゃうのかww
結局のところ、サントハイム王vsクリフトのアリーナへの愛情対決だよねw
760名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 02:29:28 ID:iOlH919bO
王もクリフトも、
チョコがもらえるかどうかそわそわしてたら
実はブライにのみあげてたりしてw
二人とも大ショック
761名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 03:51:52 ID:ZPap9a3C0
ブライ独り占めw
その発想はなかったw
762名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 13:55:49 ID:71XgkgFe0
アリ「え?お父様もクリフトもチョコが欲しいの?
だって、今日はお年寄りを労ってチョコをあげる日だってマーニャが言ってたわ」
というマーニャの嫌がらせ。

でもそのチョコ>756なんでしょ?
ブライお年寄りなんだから、一番危険ww
763名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/17(火) 21:44:03 ID:qVZScjCzO
ア→「ブライ、いつもご苦労様。感謝の気持ちよ」
ブ→「有り難い事ですじゃ…(毎年この時期は死を感じるのう…)」

王→「今年も(ザオリク)たのむぞ」
ク→「御意。(死んでもいいから姫さまのチョコ食べたい…)」

こうですか?わかりません!(携帯から失礼します)
764名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 00:38:07 ID:swf48gZG0
クリフトが死んだときに、ザオリクする人がいないw
765737:2009/02/19(木) 20:21:02 ID:DUt+8+Wo0
>753さん
続き書いていただいてありがとうございます。
続きがどうにも思い浮かばなくて困ってたので。

別のも書いてみたんで読んでください。初恋仕様です。
エロなし。マーニャ出ないんで下ネタもなしです。↓
766737:2009/02/19(木) 20:24:25 ID:DUt+8+Wo0
エンディング後 二人の関係とくに進展なしで読んで下さい。

『違和感』
「えっ!!クリフト病気なの!?」
サントハイム場の教会の中でアリーナの声が響き渡った。
見かけないな、とは思っていたが。
「病気ではありません。ただの風邪です。」
クリフトの上司である司祭は穏やかに答えた。
「2日間寝込んでいましたが、もう熱も下がっていますよ。
 大事をとって今日は休ませていますが・・・。
 よろしければお見舞いにおいで下さい。喜びますよ。」


クリフトの部屋の扉――――
“コンコン”
ノックをするが返事がない。
「クリフト?入るわよ。」
アリーナはゆっくり扉を開けた。
767737:2009/02/19(木) 20:25:36 ID:DUt+8+Wo0
『違和感』(2)

クリフトの部屋は静寂に包まれていた。
机とイスと書棚とクローゼットとベッドと。
アリーナはこの部屋には何度も来たことがあるが、いつも思う。
地味で質素な部屋である。
クリフトはベッドで眠っていた。
生成り色の地味な寝巻きを着ている。
アリーナは音を立てないようにそっとイスに腰かけた。
(制服を着てないクリフトを見るの久しぶりかも)
わずかに寝息が聞こえてくる。
表情も穏やかだった。
(よかった、大丈夫そうね)
時折、窓の外からさわさわと木の葉が揺れる音が聞こえる。
静かな空間。
アリーナはとくにすることもないのでぼんやりとクリフトの顔を見ていた。
目、鼻、口・・・


「!」
(これって・・・・・・・・・・・・ヒゲ?)
アリーナはクリフトの口の周りに生えているうぶ毛に気づいた。
(ク、クリフトにもヒゲが生えるんだ・・・・!)
考えてみれば当たり前である。クリフトは男だ。
年端のいった成人である。髭も生えていて当然だ。
しかしクリフトに髭という発想が全く湧かなかった。
思い返せば、アリーナはクリフトの寝覚めを見たことがない。
旅の最中はアリーナが目覚める頃にはいつもクリフトは既に服を着込んで準備万端だった。
(ミントスの町で倒れた時は生えてたっけ??
 でも、あの時はそれどころじゃなかったし・・・・!!)
クリフトの口元のうぶ毛を見つめる。もやもやとした気分になる。
クリフトは男で自分は女。変に自覚させられてしまった。
なんだか妙な違和感を覚えた。
無意識にアリーナはクリフトのその無精髭に手を伸ばす。
指先と頬が触れそうになった、その瞬間。
「姫・・・・・・・」
アリーナはびくっと手を引っ込め、身をこわばらせた。
クリフトは動かない。ただの寝言だったようだ。
鼓動が早くなる。なんだか居ても立ってもいられない気分になり、
アリーナは音をたてないように、クリフトに気づかれないように、逃げるように部屋を出た。

帰り際、足早に去ろうとするアリーナを司祭が見かけた。
「アリーナ姫。もういいのですか?」
「あ・・・、ええ、もういいわ。眠ってるみたいだから。起こすのも悪いし。」
アリーナは小走りに去っていった。
768737:2009/02/19(木) 20:29:25 ID:DUt+8+Wo0
『違和感』(3)

次の日。

あの時から感じた違和感が消えない。
アリーナはなんとなくけだるかった。
気を取り直して、息抜きにと城内を散歩する。
1Fをあてもなくフラフラと歩いていると後ろから声がした。
「姫様っ!」
クリフトが駆け寄って来た。神官服を着たいつものクリフトだ。
「く、クリフト!風邪は大丈夫なの?」
クリフトの顔を見る。頬に髭はなかった。思わず目を反らす。
「はい。おかげさまで。
 それより姫様、神父様に聞いたのですが、昨日お見舞いに来てくださったとか。」
「あ、うん。そうよ・・・・。」
「起こして下されば良かったのに。」
クリフトは自分を見つめている。違和感が強くなる。クリフトと目が合わせられない。
「いいのよ、よく眠ってたし!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
微妙な沈黙。時間にしてみれば僅かなのだが、妙に長く感じる。
「わ、私、部屋に忘れ物しちゃった!じゃあねクリフト!」
アリーナは小走りにかけだした。
なんだか動悸が早い。


あの時から感じた違和感が消えない。
<つづく>


初恋の基本の「好き避け」です。
続きが書けたらまた投下します。では。
769名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 21:00:40 ID:p4RWRnX6O
うはーアリーナかわいいw
冒険後に意識しだすってのもいいもんですね。
770名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 22:00:53 ID:AHukyS/GO
GJ!
避けられたクリフトは落ち込みそうだww
771名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 22:04:41 ID:AvXra7yYO
これは萌えますねww
髭…リメイクで鏡を見て髭の確認していたけど確かにそんなイメージはないし、男の象徴で自分もアリーナのようにドキドキしてしまったww
GJ☆
772名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 22:41:52 ID:am4ec0V00
GJ!
いいなぁ、なんか甘酸っぱい気分(いい意味で)になれた。

元々髭があるライアンやトルネコそしてブライはもちろんのこと
勇者が寝込んで、うっすらと髭が生えていても
アリーナはなんの違和感も感じないんだろうな・・・でもきっと、クリフトだけは特別なんだ。
773名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 00:15:03 ID:UdWdCruu0
GJすぎる〜〜!!
読んでるこっちがドキドキしちゃいました。
姫の恋の続きが気になる!!
774名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 00:59:48 ID:HvjzBi5OO
乙!萌えた
775名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 06:16:03 ID:VH99KXQY0
お下品より 256 倍いい。やっぱりあの二人はこうあるべきだろう。

官能っぽいのが書きたいなら、トルネコとネネの夜の性活でも書いとけ。
776名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 10:49:28 ID:X0VBCS+HO
そのレスはいらんだろ…
777名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 11:51:17 ID:qgyaGuxA0
GJ〜!萌えた
前にも髭話あったがこういう姫がクリフトの男を感じてオロオロする感じ好きだ
ところで風邪って病気じゃないのか
778名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 21:03:49 ID:lk2N2aE5O
>>775
お下品官能が好きなやつだっているんだから(ここに)
そんな嫌味レスやめて!
779名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 22:00:11 ID:L098rsIZ0
煩悩神官さんレベルのお下劣ネタなら大好きだ。
あれくらいのが時々無いと面白くない。
780名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/21(土) 08:33:01 ID:afQgyoG00
>>767
( `,,,,,,´) <髭なら私にもあるぞ。
781737:2009/02/23(月) 01:06:08 ID:QQESyeu40
こんばんは。【違和感】の続きです。投下しまーす。↓

【違和感の正体】1
アリーナはあの日以来、自分の部屋でぼんやりとすることが多くなった。
もちろん1階にも一度も行っていない。
クリフトに会うのがなんだか怖いのだ。
どうしても部屋を出るのがおっくうになってしまう。
そんな引きこもりがちなアリーナに説教をしてきたのは教育係のブライだった。
「姫、お部屋にずっと閉じこもるなんて不健康にも程がありますぞ!」
「なによ!お城の外には出してくれないじゃないの!」
「城内の国民に元気なお姿を見せるのも姫の大事な役割です。さ、行きなされ!」
アリーナは泣きそうな気分になった。

自分の家みたいな気でいたサントハイム城を
まさかこんなに緊張しながら歩く時が来るとは思わなかった。
すれ違う国民と愛想よく挨拶を交わしていく。
アリーナはダンジョンを探索する時よりずっと緊張していた。
この時間帯なら、クリフトは教会の中にいるはず。
クリフトに会わなくて済むルートを頭の中で何度も反芻した。
(曲がり角を曲がる時は周囲を確認して・・・っと・・・)
高揚感がずっと続いている。心地良いような悪いような、変な感覚。
(教会が近くなってきたから、ここからもっと警戒しないと・・・!!)
柱の影に隠れて前方を確認した時だった。
緑色の神官の制服を着た男性がいる―――
クリフトだ。
782737:2009/02/23(月) 01:07:47 ID:QQESyeu40
【違和感の正体】2

クリフトは銀の十字架のオブジェを磨いていた。
こちらには気づいていない。
(よかった・・。気づかれる前に気づいて。)
アリーナは安堵の息をついた。
丁寧に、慎重に、大切そうに十字架を磨いていくクリフトのその所作を
じっとアリーナは見つめていた。
その時である。
『ア リ ー ナ 姫 様 ! ご 機 嫌 う る わ し ゅ う !!』
全身の毛穴が一気に開いた。
声の主はガタイのいいサントハイム兵士だった。
(こ、こ、こここ、声がデカイ)
『城  内 、異  常  あ  り  ま  せ  ん !!』
(やめて、やめて、やめて、クリフトに気づかれちゃう)
変な汗が出る。
『そ れ で は 、 失 礼 い た し ま す ッ!!』
最敬礼をし、兵士は去っていった。
頭がクラクラする。
そんなことよりも一刻も早く
ここを立ち去らないと・・・・そう思って一歩踏み出した時にはもう遅かった。
目の前にはクリフトがいた。
「クリフト・・・・。」
今すぐに逃げ出したい気持ちでいっぱいになった。
783737:2009/02/23(月) 01:09:45 ID:QQESyeu40
【違和感の正体】3

「姫様。」
クリフトはまじまじと自分を見つめている、のが分かる。
目を合わせられない。クリフトの指先を見る。
長い指。銀の酸化した黒ずみが付いて少し汚れていた。
「姫様、何かお悩みでもあるのですか?」
どきりとした。
「な・・!?そんなもの・・・・ないわ。」
ひどく狼狽する。
「そうですか・・・・?」
クリフトは腑に落ちない様子だったが
無理に納得したような素振りをした。
暫く無言の後、クリフトは思い切ったように言う。
「姫様。失礼ですが、先日から様子が変です!」
「へ、変って何よ・・・。」
目線をクリフトに向ける。クリフトの頬にはやはり髭はなかった。
そんなことを確認してしまった自分がなんだか恥ずかしい。
「もしかしたら、私の風邪がおうつりになってるのでは・・・!?」
クリフトの顔が近づく。無意識に同じ分だけ離れる。
「う、うつってなんかいないわ。」
「でも、お顔が赤いですよ。」
「!!」
アリーナは目を見開いた。
「私の顔が、赤い・・・・・?」
「はい。ですから熱があるのではないかと。」
「・・・・・まさか、前に会った時も赤かった?」
「はい。」
アリーナは呆然とした。
自分はクリフトに対して赤面している?
あの時からずっと感じている“違和感”
クリフトにだけ感じている“違和感”
だるくて、息が詰まる、この“違和感”
この違和感の正体はもしかして―――

「・・・・私、部屋に戻って休むわ。」
「女官を呼んで参りましょうか?」
クリフトは当然だがアリーナの部屋のある3階には出入り出来ない。
「大丈夫。一人で戻れるわ。」
フラフラとアリーナは歩き出す。
クリフトが何か色々と喋っているがアリーナの耳には入らなかった。
歩きながらアリーナはずっと考えていたが、
自分の感情がうまくまとまらない。
ただ、これだけは確実に言える。
自分はクリフトを男性として意識してしまっている―――。
784737:2009/02/23(月) 01:14:24 ID:QQESyeu40
次で完結予定です。クリフトの出番増えます。
個人的には「好き避け」が書けて楽しかったです。
785名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/23(月) 17:23:53 ID:XSkUOEPv0
乙!続き楽しみだ!
786名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/23(月) 22:22:38 ID:0vb55p3Z0
まいど乙です。
アリーナ可愛いよ、アリーナ。
続きを楽しみにしています。 ノシ
787名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/24(火) 01:06:41 ID:fhfGNrRhO
好き避けいいね
クリアリではあまりみないから新鮮
続き楽しみにしてます
788名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/24(火) 02:05:20 ID:FkH/IKgL0
GJ! KY兵士もGJ!ww
目が合わせられなくて、指の細かいところまで見てしまう描写が萌えました。
789名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/25(水) 00:05:07 ID:sRGjxRLQ0
いいよね、ひげとか喉ぼとけとか手の大きさとか。
個人的にクリアリ醍醐味だと思ってるよ
790737:2009/02/26(木) 21:36:22 ID:uMs0zc110
感想ありがとうございます。
>>766【違和感】と
>>781【違和感の正体】の続きです。
これで完結です。ベタな要素満載です。
791737:2009/02/26(木) 21:37:25 ID:uMs0zc110
【予知夢】1

アリーナはクリフトに抱かれていた。
お互い一糸纏わぬ姿で。
クリフトの肌のぬくもりを全身で感じでいた。
暖かくって、心地よい。
広い背中に両腕をからめる。
気がつくと、クリフトの手がアリーナのこめかみにあてられている。
そのまま近づく、唇―――――

(え)
(ちょ、ちょっと!)
(ちょっと待って!!)

『いやぁぁぁぁあああああ!!!!』

目を開けたら、
アリーナの部屋のいつもの天井だった。
朝日が部屋に差し込んでいる。
「ゆ、ゆめ・・・・・?」




「夢を見た?」
女官がアリーナの亜麻色の髪をとかしながら鏡越しに聞く。
昔から身辺の世話をしてくれている母親のような存在だ。
「そう。最低の気分だわ。」
「恐ろしい夢だったんですか?」
「恐ろしくはないけど、妙に生々しくて。」
「どんな夢だったんですか?」
途端にアリーナの顔が赤くなる。
鏡を見ているので自分でもよく分かった。
女官はアリーナの顔を見る。
「・・・恥ずかしい夢なんですか?」
アリーナは答えられなかった。
耳まで赤くなってしまっているのがさらに恥ずかしい。
「そんなにリアルだったのなら、もしかしたら予知夢かもしれませんよ。」
「えっ!!」
「国王様には予知夢の能力がございますから、嫡子であるアリーナ様に
 そのような能力が目覚めてもおかしくありませんわ。」
アリーナの顔はまたさらに赤くなった。
792737:2009/02/26(木) 21:38:26 ID:uMs0zc110
【予知夢】2

女官は話題を変えた。
「あ、そうそう、今日の神学の講義なんですけど。」

アリーナは週に1日だけ教会で、
司祭とクリフトに神学の講義を受けている。
「神父様が終日外出なので、クリフト様お一人になるそうですよ。」
「な、なんですって!!」
思わず立ち上がった。女官は肩を押さえて座らせる。
「む、むむむむむ無理よ!」アリーナはうろたえる。
タイミングが悪すぎる。
昨日の一件でクリフトのことを意識している自分を自覚したのに、
しかも、あんな夢を見た直後にクリフトと二人きりになるなんて
恥ずかしすぎて精神が持たない。
「わ、私、昨日から熱っぽいし!」
「先ほど体温測られたら平熱だったじゃないですか。
 サボろうったってそうはいきませんよ。」
「お、おかしいわよ!若い年頃の男女が二人きりになるなんて、
危ないと思わないのかしら!?」
女官は目を丸くした。
「まさか・・・。アリーナ様のお口から
そんな発言が聞けるなんて夢にも思いませんでした!」
女官は嬉しそうに笑った。


アリーナは兵士に教会まで連行されている。
女官に逃げ出すだろうと判断されたためだ。
アリーナは今にも泣きそうな顔をしている。
顔とは裏腹に心臓の鼓動は高鳴っていた。

教会の前でクリフトが立って待っていた。
「アリーナ姫!」
クリフトが名前を呼ぶ。心臓が破裂するかと思った。
「姫様、お体の具合は?」
「平熱だったから大丈夫よ。」
なんだか全身がこそばゆい。
「せっかくの講義だもの。一日も無駄にできないわ。」
アリーナは恨めしそうに言った。
兵士に連れられ教会に入っていくアリーナ。
その姿を見送るクリフトは呟いた。
「姫様・・・・。その向学心、
素晴らしいです!このクリフト、
誠心誠意、一生懸命授業をさせて頂きます・・・!」
クリフトは何か誤解しているようだった。
793737:2009/02/26(木) 21:39:46 ID:uMs0zc110
【予知夢】3

厳粛でひんやりとした教会の中で
二人きりの神学の講義は始まった。
「姫様、寒くないですか・・・?」
「だ、大丈夫よ。」
優しく自分に気を使うクリフトにどきっとしてしまった。
ちょっと前まではこんなの当たり前で何とも思わなかったのに。
なんだか嬉しいような恥ずかしいような。胸がいっぱいになる。
心臓は破裂寸前のはずなのに、意外になかなか破裂しない。

クリフトは聖典を朗読し始めた。
クリフトの声が絶えず耳に入ってくるため、
少しでも気を緩めると今朝の夢のことを思い出しそうになる。


苦しい。
早く楽になりたい。
あの夢が嘘だったらいい。
予知夢だなんて信じたくない。
何か、嘘だと確信を持てるようなことはないのか。
あの夢が嘘になるようなこと―――――
夢を思い返す。クリフトの肌の感触が鮮明に蘇る。
いやな夢のはずなのに、夢の中の自分は幸せでいっぱいだ。
クリフトの胸に抱かれている自分。その目に映っているのは――――――
アリーナは目を見開いた。

(ほくろよ!)
夢の中のクリフトの鎖骨の下の左の胸元にはほくろがあった。
もし、この現実世界のクリフトに同じ位置のほくろがなければ
あの夢は虚構になる。
「クリフト!お願いがあるの!!」
突然アリーナは叫んだ。
クリフトは朗読を止めて本から目を離す。
「はい。何でしょうか?」
「クリフト、今すぐ服を脱いで!!」






・・・・・・・・・・・・・・・・時間が止まった。

「・・・・・・・・・・な。」
「ななななななななにをおっしゃるんですかっ!!???」
クリフトは全身真っ赤だ。
クリフトはパクパクと言葉にならない言葉を発している。
「お願いよ!私、確かめなくちゃいけないの!!
あの夢が現実なのかどうか!」

アリーナの瞳は強い意志の光が宿っていた。
何のことなのかよく分からないが、邪まな感情が一切ないのは分かる。
クリフトにアリーナの真っ直ぐな意思は届いた。
「・・・・・わかりました。」
「あの、でもここは神前ですので私の部屋で・・・・・」
794737:2009/02/26(木) 21:40:45 ID:uMs0zc110
【予知夢】4

講義は一時中断になった。
狭い部屋の中。
二人きりの沈黙。
クリフトは服を脱いでいる。
一枚、一枚、ゆっくり服を脱いでいく音だけが響く。
なんだか、変な気分になってくる。
アリーナは思わず首を振った。


ふと、クリフトを見ると
既に上半身は裸で
ズボンを脱ごうとしていた。
アリーナは動転する。
「ちょ・・っ!ちょっと待って!下はいいわ!」
慌ててクリフトの両腕を押さえる。
勢いよく押さえに行ったので
バランスを崩し、体重を委ねクリフトと抱き合う形になってしまった。
夢と全く同じの肌の感触。
「ひ、姫・・・・!」
低くて艶っぽいクリフトの声。
激しく波打つ心臓の鼓動。
これは自分の?クリフトの?
動転しすぎて訳が分からない。
頭がクラクラしておかしくなりそうだ。



そんなことよりも。
アリーナはハッとする。


確かめなければ!!


抱き合ったまま
アリーナはクリフトの鎖骨の下の左の胸元を食い入るように見る。
そこには――――。
アリーナは頭が真っ白になった。
「そん、な―――――――」
アリーナの意識は遠のいていった。
795737:2009/02/26(木) 21:41:51 ID:uMs0zc110
【予知夢】5

「姫様っ!意識が戻られたのですねっ!!」
クリフトがアリーナの右手を両手で握っていた。
クリフトは既に衣服を着用している。
アリーナはクリフトの部屋のベッドで横たわっていた。
「私・・・気絶してたの?」
「はい。突然お倒れになって・・・・・・・・」
クリフトは突然耳まで真っ赤になる。
「・・・その、私は はしたない姿で、姫様を抱きとめてしまって、
 あああああああの、その・・・・・どこか痛いところはございませんか?」
「・・・・・思い出せない。」
「覚えてらっしゃらないんですか!?」
「クリフト。私、何をしたの?」
クリフトはさらに沸騰する。
「あ、あ、ああの、その・・・。私の服を・・・・・い、いえ!
 ゆ、夢を見た、と。確かめたい、とおっしゃていました。」
「夢・・・・・?」

思い出せない。
思い出そうとすると頭が痛くなる。
夢のことは思い出せないけれど。
妙に頭が冴えている。
今なら、どんな難しい本でもスラスラ読めるし、
どんな問題でも解けるし、何でも言える気がする。
「そうだ・・・私、クリフトのヒゲを見たのよ。」
「髭・・・・ですか?」クリフトは眉をしかめる。
「!  もしや私のお見舞いに来てくださった時ですか!?申し訳・・・っ」
クリフトの言葉を途中で指先で制す。
「そう。それでね。クリフトは男の人なんだなって初めて思ったの。
 今までそんなこと思ったことなかったのに・・・。」
クリフトは言葉を発さない。探るような目でアリーナを見つめている。
「私、それからクリフトのこと意識しちゃって会うのが怖くなっちゃったの。
 なんだか胸が苦しくて、変な気分になっちゃって。」
クリフトは何かに気づいたように表情を変えた。
「・・・・・でもね。今日クリフトに会って、
恥ずかしくてすごく嫌だったけど、すごく嬉しかったの。」

クリフトを見つめる。クリフトの目は真剣だった。

ポツリとアリーナが呟く。
「なんだかこれって、私がクリフトのこと、好きみたいね。」
クリフトの目が潤んで一瞬だけキラっと光った。
アリーナの手を引き寄せ、祈る姿勢をとる。
「私もです・・・・・私も姫様のことが好きです・・・・・。
 ずっと、ずっと私は・・・・・!!」
手を握る力が強くなる。
アリーナもクリフトの手を両手で触れる。アリーナは微笑む。
「クリフトの手、きれい・・・・。」
「・・・・なんだか眠くなっちゃった・・・・。ここで少し眠っていい?」
アリーナはうとうとと目を閉じる。
「・・・・・はい。
 おやすみなさい・・・・・・アリーナ姫・・・・・。」
クリフトの目から一粒の雫が輝いた。

<おわり>
796737:2009/02/26(木) 21:46:19 ID:uMs0zc110
これで終わりです。長くてスマソ。
キスまでさせようと思ってたんですが流れ的に無理でした。
中学生くらいの感覚で書いてたんですが、
アリーナにはこれくらいがぴったりですね。
797名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/27(金) 00:59:50 ID:gljwyz5B0
これはいいww乙ですた!
798名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/27(金) 01:31:42 ID:DoxA8zLC0
乙です!
ドタバタラブコメいいな。
アリーナもかわいいが、クリフトも天然ぽくてかわいい。
ズボンは脱ぐなよwww
799名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/27(金) 10:13:11 ID:bXKeCHHQO
乙でした!
アリーナかわいいよ、アリーナ。
何気に胸元のほくろにそこはかとなくエロスを感じますた。
800名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/27(金) 11:14:31 ID:2xJ9pGIk0
JK!
男女はこれぐらいの関係のときが一番美しい。
801名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/27(金) 23:37:02 ID:UMDOknbqO
GJ!
で、眠りから覚めたアリーナは
さっき会話した内容を綺麗さっぱり
忘れてしまっているというオチですねw
わかりますw
802名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/28(土) 01:41:16 ID:HysRsd2s0
いいわぁ。
仕事で疲れ果てた心の中がうれしい気持ちでいっぱいに
なってしまいました(笑)←単純
どっちのキャラも光ってました!
803名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/28(土) 02:09:16 ID:otH4RM6aO
にやけが止まらぬ
上がってたからふと覗いてみただけなのに‥(゜∀゜)
804名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/28(土) 05:24:57 ID:KsTf20970
最後、アリーナがなんで眠くなって寝ちゃうのかわかんない・・・。
でもお話はかわいくてよかったです。
805名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/28(土) 11:17:13 ID:mjPoroprO
乙でした!面白かったー!
ズボンまで脱ごうとしてるクリフトワラタw
806名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/28(土) 18:13:31 ID:KLqjkyFP0
せっかくだから全裸になって欲しかった
807名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/01(日) 03:01:02 ID:GPSasmO2O
服を脱いでとしか言われてないのに
全裸になってどうする気だったんだクリフトはw
808名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/01(日) 15:19:24 ID:87Jea1qF0
羞恥心<<<アリーナの命令

だったんだろうねw
809名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/01(日) 22:35:48 ID:ZmXIra6j0
主従好きには命令重視は萌える。
しかし全裸の後は>749のはぐれメタルしかないwww
810名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/02(月) 14:03:15 ID:aP3kJoghO
くー、スレ上がってたからせっかくだと最初から読んでしまった。
そしたらハマってwikiまで読んでもた。
さらにDSDQ4まで始めてしまた。(´・ω・`)
811名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/03(火) 02:29:15 ID:dvj+g9UE0
>810=803?
いらっしゃい!
たまに上げるのも新規さんが増えていいかもね。
812名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/04(水) 20:41:13 ID:Tp58yUBEO
にやにやが止まりませんですたww乙であります。
ズボンを脱ごうとした天然クリフトに激しく萌えたww
813名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/07(土) 14:08:06 ID:9m7hyvINO
ある曲で
「君はあたしだけの回復アイテムだからね」
という歌詞が出てきてなんかクリアリっぽいなと思ってしまった。
814名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 15:48:24 ID:7KX6d8jMO
まさに究極の回復アイテムだ
死んでも生き返らせてくれるしw
815名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 23:25:03 ID:2r3AaxIs0
>813
クリ→アリでも、アリ→クリでもいいね。激しく萌えた!!!
816737:2009/03/15(日) 08:44:51 ID:uZo40Zhf0
遅くなりましたが、感想ありがとうございます!
逃げてばっかりで話が進まないので
予知夢を利用しつつ逃げられないように周りを固めました。

>>804 さん
眠ってくれないと終わらせられなかったというのが、
本当の理由なんですが、
普段使わない頭をフル回転させたので、
急激に疲れてしまったということにしてください。

純情妄想が出来たら、また投下します。
エロパロの方にクリアリエロ書いたんで、
エロに抵抗のない方は読んでみてください!
817737:2009/03/20(金) 02:57:46 ID:XdA0jXSi0
DS版4のピサロの強さに嫉妬して書きました。
勇者とクリフトのお話です。↓
せめて勇者のギガソードが敵全体なら良かったのに。
勇者の性格はバトルロードのカードをガン見して
少しナマイキにしました。
818737:2009/03/20(金) 02:58:44 ID:XdA0jXSi0
【アイデンティティ】
勇者は宿のベッドに寝そべり、暗闇の中、目を開けて佇んでいた。

今日、魔族の皇子ピサロが仲間になった。
あの宿敵“デスピサロ”だった男だ。
あいつは俺の父さんと母さん、シンシア、
それに村の人たちを皆殺しにした男だ。
恋人を殺されて修羅に堕ちたという
同情の余地があるのは分かる。
でも、俺にとってはただの憎き殺人鬼でしかない。
マーニャとアリーナとトルネコは親しげに話しかけていたけど・・・。
正直、俺はあいつを仲間としてわだかまりなく接する自信はない。

月明かりが部屋に射し込み、ぼうっと部屋の中が見える。
宿の大部屋にはライアン、トルネコ、ブライ、クリフトと
自分の5人が泊まっている。ピサロは別の部屋だ。
トルネコのいびきが部屋に響いていた。
(やれやれ・・・今夜は眠れそうにないな。)

隣のベッドでクリフトが何度も寝返りをしている。
「・・・クリフト?もしかして起きてるのか?」
「あ!・・・・はい。」クリフトは上半身を起こした。
「少し外で話さないか?」
819737:2009/03/20(金) 02:59:43 ID:XdA0jXSi0
勇者とクリフトは寝巻きのまま外へ出た。
クリフトは神官服に着替えようとしていたが、
煩わしいので無理矢理そのままの姿でひっぱり出した。
クリフトは周りをキョロキョロ見回している。
「何?」勇者は尋ねる。
「あ、いえ。こんな はしたない姿を姫様に見られやしないかと・・・。」
「プッ。お前、いっつもアリーナのことで頭がいっぱいなんだな。」
クリフトの顔が赤くなる。
「そうですともっ!!私は姫様をお守りするために旅をしているんです!」
しかし途端にクリフトの顔が暗くなる。
「でも、もう私は必要ないかもしれない・・・・。」
「え、なんで?」
「あのピサロという男!ベホマにベホマラーにザオリクに、それにザラキの上位呪文の
ザラキーマまで使えるんです!もう私のいる意味がありません・・・・!!」
クリフトは頭を抱えてうつむいてしまった。
「お、おい、そんなことないだろ?ほら、いくらピサロがザラキーマ使えたって、
 お前のザラキほど唱えてくれないよ!」
「いささか言葉にトゲを感じるのですが。」
クリフトはこういう時はやけに鋭い。
「いやいや!お前がいなかったらアリーナは誰が守るんだよ。
 ピサロはお前みたいに、誰よりも何よりも最優先にアリーナを援護なんかしないぞ!」
クリフトは顔をあげた。
「そうでしょうか?」
「そうだよ。アリーナはイノシシみたいに敵陣に突っ込むしか策がないんだから、
 お前が守ってやらなきゃダメだよ!」
クリフトの顔がパッと明るくなった。
「ありがとうございますっ!!勇者さんに話さなければ
 このまま一人で思い詰めているところでした!」
「・・・・もしかして、お前の眠れなかった理由ってそれなの?」
「はい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なんて単純なんだ。
オレが悩んでるのがバカバカしくなる。
―――ピサロは黒幕を倒すまで共に戦うと誓ってくれた。
あれこれ深く考えず、とりあえず信じてみてもいいのかもしれない。
「勇者さん?」
「・・・なんか、お前に癒されたよ。」
勇者は目を細め微笑んだ。
「さ、もう帰って寝ようぜ!トルネコのイビキが止んでたらいいんだけど。」

《おわり》
820737:2009/03/20(金) 03:03:16 ID:XdA0jXSi0
以上でした。
クリアリと勇者の三角関係はベタで面白そう
だと思ったので次書いてみます。
バトルロード家庭用に移植してくれたらいいのに…。
821名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/20(金) 03:08:03 ID:F4MHBYD70
>お前のザラキほど唱えてくれないよ!

クソワロタ
ここが一番の見せ場だったw
822名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/20(金) 12:23:38 ID:g6wtQI6I0
クリフトの悩みはアホらしくてかわいいなw

>>821
オレモww
823名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/20(金) 23:42:57 ID:H+a4Q3x40
ピサロに対する感情にいやんなるほど同意www
クリフトってほんとに毎日こんなことばっか考えてるんだろうな
かわいいw
大丈夫、姫はまかり間違っても絶対ピサロに傾くことはないから
824名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/21(土) 17:31:27 ID:a2ohltsm0
アリーナのイノシシっぷりをさりげなく認めているとこがワロタ

クリフト
 青いレモン
825名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/22(日) 22:29:48 ID:HQZJmytl0
>>820
GJ!面白かったです。 ザラキ&猪ワロスw
次回作も期待しております。

あと、>>816のの「アレ」も拝見しました。
コミカルなノリがどことなく見覚えがあったので、もしや?と思っていたら
やっぱり737さんだったんですね。マーニャの動向が気になる。w
あちらの続きも待ってます♪
826826  「誓い」:2009/03/23(月) 12:48:08 ID:vWhmkfyK0
日がすっかり落ちてきた。
どこまでも続く大地に、不安を覚えてきた二人。
「クリフト・・・もう私、疲れたわ・・・」
いつになく長時間歩いたアリーナが力なく言う。
「姫様・・・どうか希望をなくしませんよう。神は私たちを見捨てはしません」
クリフトは、大袈裟ながらもアリーナを元気づけようと精一杯だった。

「・・・姫様、あちらに小さな集落が見えます!」
クリフトが遠くを指差した。
自分の我侭で無理矢理にクリフトを連れ、城を飛び出したアリーナは
まるでその罰でも受けているかのような絶望感さえ感じていたが、
視界の先に見える小さな明かりに、思わず「良かった・・・」と漏らした。

小さな村に入る。
「まずは宿屋、宿屋よ! 今すぐ柔らかなベッドで横になりたいわ。足が棒みたい」
今にも座り込みそうなアリーナを気遣い、クリフトは素早く宿屋の看板を見つけると、
足早に駆け寄り、手配をするべくその扉を開けた。
しかし、その先に人の気配はなかった。
「もし・・・泊まらせていただきたいのですが。誰かおりませんか?」
返事はない。
カウンターの先の部屋は手入れがされている様子だが、誰もいない。
「姫様、申し訳ありません。今、宿に人がおりませんゆえ、教会にて尋ねて参ります。
 さしつかえなければ姫様もご一緒に」
クリフトが申し訳なさそうに言う。
「・・・・・わかったわ」
子供じみた事ばかりを言ってちゃいけないわねと、アリーナもそのあとに着いて行った。

「もし、誰かおられますか?旅の者ですが」
クリフトは教会の扉を開け、声を張って尋ねる。
アリーナは、その姿を凛々しくさえ感じた。
正直、クリフトがこんなに頼りになると思っていなかった。
というより、知らない地に行ってみたいという自分の我侭に、
これほどまでに真剣に付き合ってくれるとは思ってもみなかったのだ。

ほどなくして、シスターの声が返ってきた。
「お待たせしてしまいましたね。こんな小さな村へようこそいらっしゃいました。
 見たところ旅のお方のようですね。どうぞ、ゆっくりしていってくださいな」
シスターは、ランタンを手にゆるやかな足取りで二人のもとにやって来た。
クリフトはシスターにお礼の言葉をかけると、
教会に掛けられた大きな十字架に向かい、祈りを捧げた。
アリーナもあわててクリフトに寄り添い、同様にする。
目を開けたクリフトは、アリーナほうに目をやった。
アリーナの安堵している表情を見て、クリフトもやっと顔がほころぶ。
アリーナもひととおり祈りを捧げ終えると、クリフトと目を合わせた。
827名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 12:49:04 ID:vWhmkfyK0
「それにしても、このような辺鄙な所へおいでなすったのには、何か事情がおありなのですか?」
突然の問いかけに、アリーナはぎょっとする。
――クリフト、どうかこの人の前で私の事を姫様などと呼ばないで。
「いっいえっ!そのような事は一切合切ございませんっ・・・!!」
即座に答えると同時に両掌を突き出すクリフト。
その姿はどう見ても訳ありだ。
そんなクリフトに小さなため息をつくと、
アリーナは教会の片隅に置いてある白く美しい布に目をやった。

――あれは、花嫁が使うヴェールだわ。
今までの疲れなんてすっかり忘れ、アリーナは自分の花嫁姿を思い浮かべる。
その隣には、正装しているクリフトの姿。
「見てクリフト。あんなところにヴェールがあるわ・・・」
普段のアリーナからは想像もできないくらい、静かで女らしいその物言いに、
クリフトは思わず胸を締め付けられた。
無意識に、アリーナはその手をクリフトの腕にからませる。
クリフトは息をのんだまま、動けずに赤面していた。
「シスター、あのヴェールは?」
アリーナが尋ねると、シスターは静かに語った。
「かつて、とある恋人達がこの地に訪れました。
 訳あって結ばれることが叶わないその愛を、永遠のものとするために、
 ここで夫婦の誓いをたて、小さな結婚式を挙げたのです。
 あのヴェールは、その二人のために、私が縫ったものなのです」
クリフトは、シスターの話した二人と自分達とを重ねては、振り払う。
そして、胸の苦しみに耐えていた。
アリーナは、クリフトの腕に身を委ねたまま、黙って静かにヴェールを見つめていた。

シスターは二人の様子を悟ったのか、そのヴェールを手に取ると、
アリーナのもとに歩み寄った。
「もしあなた方がここで永遠の愛を誓いたいのなら、
 どうぞこのヴェールを使ってくださいな」
シスターが優しく二人に微笑みかける。
アリーナは、クリフトの方を真っ直ぐ見ると、
「クリフト、ここで私のために愛を誓ってくれる?」
と目を見開いて問いかけた。
それは、クリフトにとって、あまりにも突然な言葉だった。
自分はただ、姫様を見守っていられるだけでいい、
この気持ちに気づいてくれなくてもいい、
ずっとそう思っていた。
増して、アリーナのほうから愛を誓って欲しいと言われるなんて、
夢にも思っていない事だったのだ。
828名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 12:50:26 ID:vWhmkfyK0
しかし、クリフトの脳裏には身分不相応の行動に対する罪悪感が浮かぶ。
アリーナは、困惑するクリフトに、真っ直ぐに気持ちをぶつけた。
「私、クリフトの事大好きよ。クリフトの気持ちも知ってる。
本当は、ずっとずっといつも一緒にいたいの。
でも、ブライや父様は、それはいけない事だなんて言うの。
私に相応しい男の人がいる筈だ、なんて言って何もかも勝手に決めてしまうつもりだわ。
そんなの絶対に嫌よ。私、一緒になるならクリフトでないと嫌!
・・・だから、この機会に・・・きちんと、愛を誓って欲しいの」
――姫様。
クリフトはその言葉を呑みこんだ。
「そんなにも、私の事を・・・」
目に涙さえ浮かべ、今すぐにでもアリーナを抱きしめたい衝動にかられつつも、
シスターの手前、クリフトはできるだけ冷静を装い、アリーナをまっすぐ見据えると、
「・・・わかりました」
とだけ返事をする。
その一言に、クリフトからの誠実な愛情をしっかりと感じ取ったアリーナは、
目を輝かせて微笑んだ。
「そうだわ!じゃあここで、簡単でいいから式を挙げたいわ!」
我ながら名案、といいたげに胸元に両手を合わせるアリーナに、
クリフトは思わず絶句した。
「あら、嫌なの?」
その様子を見たアリーナが詰め寄る。
「いえっ、とんでもありませんっ」
――ああ、いつもの流れだ・・・

「では、私も二人の愛を祝福しましょう」
シスターの優しい言葉で、クリフトはアリーナの我侭をそのまま受け入れる形となった。
アリーナは嬉々としていた。
少々唐突ではあったが、
ドレスも、指輪も、招待客もない二人だけの儀式が、始まった。

ヴェールをアリーナの頭にふわりと乗せると、シスターは
祭壇に立ち、その中央に置かれた聖書を開いて、その一節を読み上げる。

愛は寛容であり、愛は親切です。また人をねたみません。
愛は自慢せず、高慢になりません。
礼儀に反することをせず、自分の利益を求めず、
怒らず、人のした悪を思わず、
不正を喜ばずに真理を喜びます。
すべてをがまんし、すべてを信じ、
すべてを期待し、すべてを耐え忍びます。
・・・愛は決して絶えることがありません。

クリフトは、その言葉のひとつひとつを、改めて胸に刻み込む。
アリーナは、聖書の言葉など普段は眠くなる筈だが、この時ばかりは
真剣に聖書の言葉に耳を傾け、幾度も頷いた。
シスターは聖書を読み終わると、神に祈りを捧げた。

「クリフトさん、アリーナさん。
 あなた達はお互いを生涯の夫、妻と定め、
 健やかな時も病める時も互いを愛し、助けあい、
 生涯変わず愛し続ける事を誓いますか?」
その問いかけに、クリフトがしっかりした口調で答える。
「はい、誓います」
アリーナもまた、静かに誓いをたてる。
「はい、誓います」
シスターは二人の言葉に深く頷くと、二人の手を重ね、神に祈りを捧げた。
829名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 12:51:30 ID:vWhmkfyK0
「では、誓いの口づけを」
その言葉に、クリフトはハッとした。
姫様に口づけなんてしていいものだろうか?
戸惑うクリフトを気にも掛けず、アリーナはクリフトの方を向くと、
膝を曲げて頭を低くし、顔の前に下がるヴェールを開けるよう促した。
そのままにさせるわけにもいかず、
クリフトは躊躇しながらも、そのヴェールを静かに開ける。
アリーナが顎を軽くあげ、目を閉じて待っている。
心が定まらず、視線が泳いでしまったクリフトは、思わずシスターを目が合った。
「・・・何か?」
首を傾げるシスターに、
「いいいやっなんでもありませんっ」と素っ頓狂な声をあげた。
アリーナの方を見た。さっきの姿勢のまま、クリフトからの愛の証を静かに待っている。
クリフトは手を震わせながらその細い肩に手をおくと、
ゆっくりと顔を近づけ、アリーナの顔を見た。
――姫様、本当にお綺麗でいらっしゃる。
大きく息を吸い込み、クリフトは一大決心をした。

シスターが、クスリと笑う。
幾多の恋人達の愛の儀式に立ち会ってきたが、
誓いの口付けでこんなにも真剣になっている新郎など、見たこともなかった。
そしてまた、額にキスを受けて不満をあらわにした表情の新婦も。

紙とペンを手に取り、シスターが誓約書を書いてくれた。
「まあ、誓約書まで!嬉しいわ」
アリーナの表情が一転して、ぱっと明るくなった。
シスターからクリフトへ、クリフトからアリーナへ、ペンが渡される。
和やかな雰囲気の中、シスターが二人に改めて祝福の祈りを捧げた。
二人は、互いの目をみつめ、喜びを分かち合った。

まるで夢をみているかのような、小さな結婚式だった。
アリーナは、ヴェールをシスターに手渡すと、心を込めて感謝の気持ちを伝えた。
「シスター・・・今日は私たちのために本当にありがとう
 この誓約書は私たちの宝物です」
クリフトが誓約書を胸に抱き、深く頭を下げる。
「いいのですよ・・・お二人とも、どうぞお幸せに。
 どんな事にも負けてはなりませんよ。愛は決してこわれることがないのですから」
シスターは、ヴェールを受け取ると、二人を暖かく見守った。

愛は決してこわれることがない。
その言葉を深く胸に刻みつけ、二人は肩を寄せ合った。
教会の奥にたたずむ女神像もまた、彼らを祝福しているかのように、優しく微笑みかていた。
830名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 12:53:49 ID:vWhmkfyK0
以上です。
ありきたりな話ですが、
二人に幸せになって欲しくて書いてみました。
831名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 20:21:18 ID:6QPpUXYBO
>>830
超GJ!
駆け落ちなのにほのぼの愛。
この期に及んでも額にキスのクリフトらしさ。
ごちそうさまでした!
832名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 22:48:44 ID:82uEXsJt0
このあと二人が周囲に認められて本当に幸せになることを祈ってやまない…
幸せなのに色々なことを考えると切なくなる話だ。
幸せなのに切ない、クリアリの真骨頂。私もごちそうさま!GJ!
833名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/25(水) 10:43:51 ID:nhu+SToAO
GJ!
誓約書を見て喜ぶアリーナは、
きっとこれをネタに
王やブライを認めさせるに違いないとオモタ
緊張しまくりなクリフトがらしくていいね!
シスターの方を見たのは、
人に見られていると
キスしづらいんですがって意味なのかと思った
834名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/25(水) 11:33:16 ID:SggVWsvM0
ついにイクとこまでイッたか。
ひねくれものの俺は、何で二人きりだったのかが気になる。
ピサロ戦の後もたびたびアリーナは飛び出してたのかな。
835名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/25(水) 19:32:58 ID:ICSy/ecIO
あ、駆け落ちだったのね
旅の途中かと思って、ブライどこいったと思っていた自分がいる
836737:2009/03/27(金) 06:02:09 ID:KMT3cko50
おはようございます。朝っぱらからSS投下します。
クリアリ+男勇者の三角関係ネタです。
勇者の性格は公式イラストの表情から
ナマイキな性格にしてあります。

5章の旅の途中のお話です。ではどうぞ。↓
837737:2009/03/27(金) 06:02:51 ID:KMT3cko50
勇者一行はモンバーバラの町に辿り着いた。
自由解散し、各々が町で好きなことをやっている。
勇者(男)は町に入らず、ひたすら剣を振るっていた。
ミントスの町で仲間が一気に3人増え、勇者は7人もの仲間のリーダーになった。
“導かれし者たち”は全部で8人。あと一人で全員揃う。
“勇者”としてもっと、もっと強くならなければいけない。
無心に破邪の剣を振るう。剣を振るう度に勇者の汗が散った。
日没が近いのか景色が赤く染まり始めている。
そんな勇者の姿をアリーナはずっと見つめていた。


「勇者、私と勝負して!」
「はぁ?」
勇者は剣を振るう手を止める。
「私と勇者、どっちの方が強いのか確かめたいのよ。」
「これから一緒に戦っていく仲間なのに、どっちが強いとか関係ないだろ。」
「あるわよ!」
「何?言ってみろよ。」
アリーナが自分にライバル心を燃やしているのは気づいていたが、
あえて聞いてみた。正直、面倒なことは避けたい。
納得する理由がなければ勝負を断ろうと思った。
アリーナは言葉に詰まっている。どうやら断れそうだな。
踵を返して剣の練習に戻ろうとした時、アリーナが叫んだ。
「あなたが私に勝てたら、何でも一つ言うことをきくわ!」
「・・・何でも?」
アリーナは頷いた。
なんだかちょっと面白そうだ。
「・・・二言はないな?」
アリーナはもう一度頷く。
「いいよ。勝負しようぜ!」
勇者は剣を離し、ひのきの棒を持って身構えた。
「何よそれ?ハンディのつもり?」
「違うよ。実力の差を測るなら条件を同じにしないとダメだろ。
お互い装備は布の服のみ。オレは普段素手では戦わないからひのきの棒だけは使わせてもらう。」
「いいわね。望むところよ。」
アリーナも身構えた。
「じゃあ今から3つ数えたら戦闘開始だ!」
838737:2009/03/27(金) 06:04:08 ID:KMT3cko50
「1」

「2」

2人の姿は残像を残して消えた。
次の瞬間空中でひのきの棒と拳がぶつかるにぶい音が響く。
「ぐっ」
すごい力だ。まともに食らったら致命傷になる。
隙をついて一気に勝負を決めよう。
勇者はいったんアリーナから離れる。
アリーナは離れた分だけ即座に間合いを詰めてきた。
拳の猛攻。勇者は防ぐのに精一杯だった。
腕とひのきの棒を交互に使ってアリーナの拳をかわす。
その時、アリーナの拳を防いでいたひのきの棒が無残に折れてしまった。
(まずいっ!!当たる!)
勇者はアリーナの拳を無理に避けようと体を反らし、
バランスを崩して仰向けに倒れてしまった。
アリーナの拳の追撃がふりかかる。
(やられるっ!!)
とっさに勇者は叫んだ。
「ギラ!!」
閃熱がアリーナを襲う。
「きゃぁぁああぁぁ」
アリーナはひるんだ。と同時にアリーナの喉元に折れたひのきの棒が突きつけられた。
「・・・・・私の負けね。」
「いや、魔法を使わなければオレが負けてた。魔法は使わないつもりだったんだ。」
「あら、魔法も実力の内よ。」
勇者はアリーナにホイミをかけた。みるみる傷が癒えてゆく。
「ありがとう。」
アリーナは薄く微笑んだ。
「私の完敗ね。勇者は回復魔法も使えるんだもんね。
 約束どおり何でも言うことをきくわ。何がいい?」
その時のアリーナが普段より大人しく、上目遣いで妙に色っぽかったので、
「・・・じゃあオレとデートして。」
と、とっさに言ってしまった。
自分の発言に少し焦る。
「わかったわ。・・・今夜でいい?」
え、いいのかよ。
「あ、ああ・・・・。」
「それじゃあ、後で部屋に迎えにいくわね。」
839737:2009/03/27(金) 06:05:17 ID:KMT3cko50
夜。
宿の勇者の個室。
勇者は落ち着かない様子でベッドに寝そべっていた。
アリーナの奴、本当に来るのかな。
まぁアリーナは可愛いしそれならそれでいいんだけど。
ていうかオレ、変に意識し過ぎだよな・・・。
と、その時ドアがノックされた。
来たか!?
息を呑む。
「開いてるよ。」
ガチャっとドアが開いた。しかし入って来たのはクリフト一人だった。
「勇者さん、一晩語り合おうじゃありませんか!」
クリフトの手にはワインボトルが三本とグラスが2つ、
それに何種類かのつまみが握られている。
「はぁ!?」
出会ったばかりで特に親しくもないのに何なんだこの誘いは。
・・・まさかクリフトの奴、夕方のやりとりをどこかで見てたのか?
もしかしてクリフトはアリーナのことを・・・・・。
なるほどね、このままここで一晩陣取って
オレとアリーナのデートを阻止しようってわけか。
クリフトの顔をじっと見てみると
今にも泣き出しそうな顔をしているように見えなくもない。
「・・・ぷっ」
勇者は吹きだした。
「いいよ。今夜はオレと飲み明かそうぜ。ただし、
 オレ、クリフトの恋バナが聞きたい!」


その晩、結局アリーナは勇者の部屋には来なかった―――――
840737:2009/03/27(金) 06:06:33 ID:KMT3cko50
次の朝。
勇者のもとへアリーナがやって来た。
「ごめんなさい!昨日私、疲れてすぐ寝ちゃって
 約束のこと、すっかり忘れてたわ!」
「あぁ・・・」
二人のやりとりをこわばった表情でクリフトが見ている。
「あの約束はもうナシでいいよ。
 そのかわり、今度何か奢って。」
勇者はニヤリと笑う。
「クリフト!昨日は一緒に飲み明かして楽しかったよな!?」
アリーナが怪訝そうな顔をする。
「クリフト、あなたお酒飲めないんじゃなかったの?」
勇者はクリフトの顔を見る。
なんだって!こいつ、飲めないのに無理して飲んでたのか。
クリフトの顔は真っ赤になっていた。
――――――ったく、大したヤツだな。
「ぷっ・・・あっはっはははは・・・!」
勇者は屈託なく笑った。
841名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/27(金) 11:16:42 ID:jzR1/8Pf0
続きに期待します!
842名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/27(金) 11:28:02 ID:dtzoJBSW0
まあ、三角関係というか、勇者はあくまで上から目線なんだな。w
何気に「肉弾も魔法も中途半端」さが出てるな。意図したのかはわからないけど。

あと、FC 版勇者にホイミはありません。と、どうでもいいツッコミ。
843名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/28(土) 01:24:56 ID:sUoP+rIIO
おぉ!ぜひ続きを!
844737:2009/03/28(土) 15:21:07 ID:NDESzxl70
連投規制で(5回)書き込めませんでした。
《続く》と書き忘れてました。これ、続きます。
クリアリスレなんで、最後はきっちり終わらせます。

FC版の勇者はホイミなかったんですね。
電池が切れてもう出来ないのでDS版を元にしてました。
845名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/28(土) 16:18:58 ID:BjwHqxBKO
勇者死ねばいいのに
846名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/28(土) 18:56:10 ID:N1R6GT4KO
勇者、女だったら誰でもいいみたいな、恋に恋する青少年みたいな感じだな…
クリフトがどんな恋バナしたのか気になるw
847名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/29(日) 21:04:10 ID:Dr8qe437O
ありそうでなかなかない当て馬勇者カマーン
848737:2009/03/30(月) 02:00:31 ID:XdxUpN8M0
>>837
の続きです。これで完結します。

男勇者は女の子に興味はあるけど恋愛には抵抗のある
ナマイキで器用貧乏な17歳を目指しております。
とんだ噛ませ犬です。
849737:2009/03/30(月) 02:01:32 ID:XdxUpN8M0
勇者一行は見事[天空の兜]を手に入れ、
スタンシアラ城下町で休息していた。
明日からは、天空の盾を求めてバトランドへ旅立つ。つかの間の休息だ。
町の外で勇者はブラシを使ってパトリシアの手入れをしている。
頭には天空の兜を装着していた。
少しずつ前へ進めていることが勇者の自信になる。
「よしよし、今日の毛並みも艶々だな!」
パトリシアの背をぽんぽん叩く。

その時、背後から強い語調で声をかけられた。
「勇者さんっ!!私と勝負してくださいっ!!」
「はぁ?」
声の主は全身を武装に身を固めたクリフトであった。
またか。
しかも今度はクリフトかよ。
クリフトがオレに突っかかってくるということは
絶対に・・・・・・・・アリーナ絡みだな。
勇者はため息をつく。
クリフトは以前勇者がアリーナと決闘した時の一部始終を見ている。
あの時の勇者はクリフトとアリーナの関係をよく知らなかったとはいえ、
“じゃあオレとデートして”あの発言は失言だった。
その晩クリフトと2人で飲んだ時も、クリフトの恋心はたっぷり聞いたが、
なんとなくその話題には触れられずに終わってしまった。
誤解されてもしょうがない。
(―――――自分で蒔いた種か。)

「なんでオレと勝負したいの?」
勇者は丁重に尋ねた。
「男の・・・・・意地ですっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
今までも嫉妬の視線をチリチリと感じることは何度もあったが、
この切羽詰まった感じは尋常じゃない。
誰かに何か吹き込まれたのか?
誰に・・・・・・って考えるまでもないな。
マーニャが茂みの陰でニヤニヤしながらこちらを覗いている。

「クリフト、悪い。この話は保留な。ちょっと待ってて。」
勇者は茂みのほうへ歩み寄る。
「・・・・・マーニャ、ちょっと話があるんだけど。」
「あら、バレてた?」
「2人きりで話せる?」
勇者は睨みのきいた冷笑をうかべた。
850737:2009/03/30(月) 02:02:41 ID:XdxUpN8M0
勇者とマーニャは馬車から離れ、人気のない茂みへと移る。
「お前、クリフトに何吹き込んだんだよ!?」
「吹き込んだなんて、人聞き悪いわねっ。
 私は何も言ってないわよ!ただ・・・・・。」
マーニャの話によると、ついさっきの昼食の最中に
好みの異性の話題になり、アリーナは「自分より強い男」と答えたらしい。
もちろんその場所にはクリフトも居合わせていたそうだ。
「・・・・・・言いそうだな。あいつなら。
 でもだからって、なんでその相手がオレになるんだ?」
「知らないわよ。クリフトがそう判断したんでしょ。
 でも実際、2人仲良くない?勇者もまんざらじゃなさそうだし。」
少し口ごもってしまった。
「確かにアリーナは強いし戦闘のメンバーとして気に入ってはいるけど、
それ以外で特別視してないし、それに、あいつが勝手に慕ってくるだけだ!」
マーニャがあきれた顔をする。
「あら、『勝手に』ですって!クリフトに言ったらそれ、火に油よ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
(めんどくせええええええええええぇぇぇぇ〜)
勇者は頭をかきむしりたい気分になった。
「・・・大体さ、恋愛なんて当の本人達だけで
 水面下で勝手にやっていくものだろ!?
 なんで関係ないオレが巻き込まれなきゃいけないんだよ!?」
「傍から見たら三角関係だから、無関係じゃないんじゃない?」
「アリーナは別にオレのこと、恋愛対象として見てないだろ!」
「予備軍てことなんじゃないの。」

「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜」
勇者は肩を落として深くため息をついた。
「マーニャ。オレどうしたらいいと思う?」
「あら、お姉さんに相談しちゃう?いい心がけね!」


勇者とマーニャは馬車に戻った。
馬車の傍にはクリフトと――――アリーナがいた。
「あ、勇者!聞いたわよ。クリフトと決闘するんですってね!」
アリーナは無邪気にはしゃいでいた。
人の気も知らないで。
「あぁ・・・・そのことなんだけど・・・。」
勇者は突然頭を下げた。
「クリフト!悪い!お前にはザキがあるから正直戦闘じゃ敵わない!
 だから別のことで・・・・・チェスで勝負しないか?」
「「チェス?」」
クリフトとアリーナが同時に口を開いた。

天気のいい穏やかな昼下がりに、
一人の女性をめぐってチェスの勝負が始まった。
―――――当の本人は少し退屈そうだが。
なぜチェスなのかと言えば、
クリフトと何か互角に戦えるもので全力で勝負しろ、
というマーニャの提案からである。
これでどちらが勝っても、文句いいっこなしだ。
851737:2009/03/30(月) 02:04:41 ID:XdxUpN8M0
お互い一言も会話することなく暫く対局は続く。
戦局は、かなり勇者にとって不利なものになっていた。
(・・・クリフトの奴、チェスは本当に強いな。
オレも山奥の村でそこそこ強かったから、わりと自信あったんだけど。)
勇者は目を細め、あごに手を当てる。クリフトは微動だにしない。
じりじりと汗が出る。
「チェック!」
クリフトの声が響いた。
勇者は目を見張る。
―――これ、絶対ビショップ(聖職者)でチェックメイトになるよう狙ったな。
ビショップがキングを倒してクイーンを護り抜くわけだ!
・・・大した演出じゃないか。
クリフトは盤面を見つめたまま、表情を変えない。
勇者は少しだけ悔しくなった。


「・・・・・・・参りました。」
「え、終わったの?」
アリーナは戦局を全く分かっていなかったようだ。
「クリフト勝ったの?すごいじゃない!」
―――・・・クリフトのやることは解りづらいんだよ。
勇者は鼻でため息をついた。
「いやぁ、オレは弱いよ!まだまだだな。
“強さ”っていうのは、単純に武術だけじゃないんだな。」
我ながらフォローめいた白々しい発言だ。
「そうそう、頭の良さとか、陰で支える心の強さとか
 一概に測れるものじゃないわね!」
マーニャがさらに白々しくまとめる。
「そうね。」アリーナはにっこり笑った。
クリフトはそんなアリーナを真剣な目で見つめている。

すると、アリーナが思いついたように口を開いた。
「あ、そうだマーニャ! さっきはいまいちピンとこなかったけど、
 私、あなたが言ってた理想の男性像もいいなって思ったわ。」
「「え?」」勇者とクリフトの声が揃う。
「い、いいわよ、別にリピートしなくったって!!」
 マーニャは動揺する。
「ど、どんな理想像なんですかっ!?」
ここはクリフトが食い下がった。クリフトも知らないようだ。
852737:2009/03/30(月) 02:07:28 ID:XdxUpN8M0
アリーナは空を眺めながら答えた。
「・・・『自分を一番愛してくれる人』がいいんじゃないか?って。
 オンナは愛されてキレイになって幸せになる、のよね?
 お母様もすごくキレイな人だったし、きっと幸せだったのね・・・。」
「ひ、姫様・・・・!」
クリフトは手を組んで感動していた。
勇者はマーニャを見る。
少し照れくさそうに髪をいじっていた。
なんだかんだ言ってマーニャの奴フォロー入れてたのか。
いや、フォローじゃなくて本当にマーニャの理想なのかもしれないけど。
「マーニャ。」
「な、何よ?」
マーニャはたじろぐ。
勇者はニヤリと笑いながら言った。
「『ケツがかゆくならあっ』!」
マーニャの華麗な蹴りを一発、尻に食らう。
「あ、クリフト!」マーニャに絡まれながら叫んだ。
「オレの完敗だったよ。だからもっと直球で行こうぜ!」
勇者は笑った。
アリーナはきょとんとしている。
「?・・・なんの話?」
「・・・いえ、なんでもありません。」
クリフトも笑った。
《おわり》

タイトル付け忘れてました。
【勇者17歳】ってタイトルです。
ここらで一つ、糖度の高い甘々なSSが読みたいです。
どなたかぜひ!!
853名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/30(月) 22:45:23 ID:Hg0pXhr70
乙でした!
タイトルちょっと吹いちゃいました
チェスの上手なクリフトって素敵だけど
アリーナがその魅力を全然わからないところが面白かったです
854737:2009/04/01(水) 00:35:10 ID:cNg2Sv370
↑の話は既に有名かもしれないんですが、
下記の動画に触発されて書きました。
“ケツがかゆくならあっ”なかんじですが、
聴いてるとクセになります。クリフトが歌ってますよ!

(つべ)
ttp://www.youtube.com/watch?v=GAFvvKBxkGI&feature=related 
(歌詞つきニコ動)
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm4641043
855名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/01(水) 03:11:03 ID:90JkYkFM0
クリフトの声甘くてかっこいーなー。
アリーナにも出てきて欲しかったよ
856名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/02(木) 11:27:17 ID:Y7kpXX0mO
GJ!
といいたいところだが
クリフトよりむしろ勇者に惚れてしまった
当て馬勇者最高
857名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/03(金) 20:44:08 ID:Km2lyAADO
非ゃ駄院は荒れるから話題に出すなとあれほど(ry
858名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/03(金) 21:02:38 ID:AJ2B2udW0
まぁ蒸し返さずに・・・
次の投下マダカナ
859名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/04(土) 11:27:39 ID:MsVjK54yO
脆弱クリフトは俺らですらボコれる。
860名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/04(土) 11:45:15 ID:aAoqS0R00
脆弱クリフトも好きだけどなぁ
861名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/05(日) 00:44:29 ID:VQzvpnGCO
病弱クリフトもいいなぁ
862名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/05(日) 01:00:19 ID:ObND5aTY0
アリーナに生気を吸い取られてる部分もありそうな
863737:2009/04/05(日) 20:41:40 ID:oABWxfeH0
非ゃ駄院さんのネタは荒れたんですね。すみません。
以後気をつけます。

↓こんなん書きました。
全然甘くないので口直しにどうぞ。
864737:2009/04/05(日) 20:43:02 ID:oABWxfeH0
【スライムピアス】
アリーナは馬車の中で、勇者(男)のスライムピアスを拾った。
とめ具の部分が壊れていた。おそらくそのせいで落としたのだろう。
「前からこれ、いいなって気になってたのよね。
 何の素材で出来てるのかしら?」
試しにぐっと押してみる。
するとヒビが入り、あっけなく砕け散ってしまった。
顔が青ざめる。アリーナは完全に力加減を誤った。
「どっ、ど、どどどうしよう……!?
 勇者、結構気に入ってたみたいだし………!」
アリーナは低い“かしこさ”で必死に考える。

(あ、そうだ!明日までに私が粘土で代わりのを作ればいいのよ!)
865737:2009/04/05(日) 20:45:55 ID:oABWxfeH0
「―――――で、おおみみずになっちゃたわけ?」
朝、宿屋の食堂でアリーナが昨晩夜なべして作った
スライム(になるはずだった)ピアスを見て、勇者が尋ねた。
「……ごめんなさいっ!!」
アリーナは勢いよく頭を下げる。
「………にしたって、天才的な造形だな。なんでスライムが
 おおみみずになるんだよ。」
「スライムの角の部分を作ろうとすると、こう細長くなっちゃって
 どんどん全体的に長くなっちゃったっていうか……。
 あ!ちなみに“おおみみず”じゃなくて“マリンワーム”よ。
 色が青いでしょ?」
「どっちにしろミミズじゃねーか!」

勇者はため息をつく。
「………いいよ、もう。壊れちゃったもんはしょうがないし。」
アリーナの表情がパッと明るくなる。
「じゃあ、コレつけてくれるの!?」
「絶対つけない。」
勇者は即答した。
「なんでよー!」
アリーナはぶつぶつ拗ねている。
「………あ、そうだ!」勇者はにやりと笑った。
「これ、クリフトにプレゼントしろよ!
 アリーナの手作りだって聞いたら、泣いて喜ぶぞ。」
866737:2009/04/05(日) 20:47:53 ID:oABWxfeH0
クリフトは馬車のそばで本を読んでいた。
「クリフトーーっ!!」
アリーナが笑顔で駆けて来る。
「姫様!どうなさったんですか?」
クリフトもつられてにっこり笑う。
「これ、クリフトにプレゼントよ。私の手作りなの!」
アリーナはピンクのリボンでラッピングされた白い小箱を差し出した。
―――もちろん、勇者が用意させたのだ。
「ひ、姫様が、私のために………?」
「ね、今すぐ開けてみて!」
「ありがとうございます!感激ですっ!死んでもお墓まで持って参り――」
クリフトの顔は固まった。
「どう?」
「どう……と、おっしゃられましても。」
「クリフトなら、つけてくれるでしょ?」
クリフトは顔を引きつらせる。
「あの……申し訳ないのですが……
 私はピアスの穴を開けてないので……」
「そう言うと思って、ちゃんと針も用意しといたわ!!」
アリーナは針を差し出す。
「ちょっ……!それっ、どくばりじゃないですかっ!!
 死にますよ!!」
「大丈夫よ。急所じゃないし。ほら、クリフト耳出して!!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!」
クリフトが後ずさり、じりじりとアリーナが近づいていく。
「あぁ……、あぁぁああーーーっ!!」
クリフトの悲鳴がむなしく辺りに響き渡った。

その頃、勇者は宿屋で剣の手入れをしていた。
(―――ていうか、オレはもう失くしたと思ってたから
 あんなの作らないで、そのまま知らんぷりしてれば良かったんじゃないのか?)
勇者は一人、苦笑した。
《おわり》

勇者メインはこれぐらいで止めときます。
867名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/05(日) 22:12:31 ID:ObND5aTY0
GJwwwかわいい2人www姫にどうしたって頭の上がらないクリフトが好きだw

私は第三者視点のカプSSも好物だから嬉しいけどな
その第三者が変に出張ったりしなければ
868名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/06(月) 01:41:25 ID:FoGepiDD0
完全に勇者に惚れてしまった…
869名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/06(月) 08:36:23 ID:tl75soQ60
クリアリを引き立てるのにはいいキャラだと思うよ
二人っきりの話もいいけど他キャラが出てくるのもイイ!!
870名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/06(月) 22:24:09 ID:wz7/nf4E0
どくばりワロタw
871名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/08(水) 09:44:03 ID:xEFny5XoO
>>868
まったくもって同意

どくばりで死んだクリフトを
勇者が苦笑いしながら
ザオラルかけまくるオチかとオモタ
872名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/08(水) 10:50:35 ID:sNHg5lzw0
自分もクリフトは死んだと思ってたw
873暖かい雨 1:2009/04/09(木) 02:58:24 ID:vHQtvFcR0
「私、クリフトのこと好きなのかな」

エンドールの宿屋の一室で、アリーナが唐突に口を開いた。
ベッドの上に座り、女の表情をしたサントハイムの姫は、うつむき加減に思いをはせる。
「どうしたの?」
マーニャがアリーナの隣に座り、亜麻色の髪を撫でた。
「クリフトと・・・キスしちゃった」
その言葉に、美しい双子の姉妹は目を合わせる。
クリフトの恋心についてはアリーナを除く皆が知っていた事だが、
それは一方的なものだと思い込んでいた節もあった。
さすがにキスの詳細までは聞けずにいた二人だったが、
ミネアがアリーナに目線の高さを合わせるべく膝を曲げると、優しく問いかけた。
「アリーナはクリフトさんとキスをして嬉しいって思ったの?」
唇の感触を思い出したのか、目を伏せ、頬を染めているアリーナは、
その胸の内を素直に吐き出した。
「わからない・・・でも、嫌じゃなかった・・・。嫌だったら絶対にぶっ飛ばしてたはずだもの」
クリフト、と声に出してみると、胸が締め付けられるような気持ちになった。
自分を必死に守ろうとする、サントハイムの神官としての信頼。
無意識のうちにそれ以上の感情があった事に、アリーナは気づき始めていた。

「・・・で?」
階下の酒場にて、勇者がクリフトに絡みつくような視線をやった。
重い口を開いたクリフトから出た言葉は、
アリーナに口づけをした、という事だった。
「それだけ?」
「それだけって・・・私は一国の姫にとんでもない事をしてしまったんですよ?
 あれから姫様は私を避けておりますし・・・」
「大袈裟だよ。ちょっと気まずいだけだと思うよ?」
少々あきれた勇者はクリフトに、飲め、と強引に酒を勧めた。
グラスを握り、戒律に厳しいはずの神官も
勇者の命令に逆らえなかったのか自棄な気分になったのか、ぶどう酒を少しばかり口に含んだ。
「私・・・姫様に嫌われてしまったんでしょうか・・・
 姫様は一度こうと決めたら貫き通すお方ですから、だとしたら私はもう・・・」
泣き入りそうな声で、クリフトは頭を抱えた。

あの夜、一人で部屋にいたクリフトに無防備にも近づいてきたアリーナに、
衝動的な感情から抱き寄せ、唇を奪ってしまった。
その後すぐに我に返って謝罪を繰り返したが、アリーナは黙って部屋から出て行き、
それから一切口をきいてくれなくなったのだ。
強い後悔の念が、クリフトに襲い掛かる。
「アリーナには好きだって事、伝えたんだよな?」
テーブルを肘をつき、指先で顎を支えながら、勇者がややけだるそうに問いかけた。
その隣でうなだれている神官は、黙って首を振る。
「馬鹿だな・・・それじゃただのヘンタイじゃんかよ・・・」
勇者の痛恨の一撃に、クリフトは今すぐにでも自分にザキをかけて死んでしまいたい気分になった。
慰めのつもりなのか、まぁ飲めよ、と促され、言われるままにぶどう酒を喉に流し込む。
恋に身を焦がす彼の姿に、勇者は少しばかり羨ましい気さえ感じた。
長い沈黙のあと、クリフトが立ち上がった。
「部屋に戻りますね・・・」
なんとなくおぼつかない足取りのクリフトを見送り、勇者は
「元気だせよ」
とだけつぶやいた。
874暖かい雨 2:2009/04/09(木) 03:01:02 ID:vHQtvFcR0
手すりを握りつつ、階段を上る。
酒場の賑やかな声が次第に遠のく。
ロビーから二階へ登る階段に足をかけたとき、
クリフトは階上から扉の開く音と聞き慣れた声を耳にした。
「・・・私、クリフトに会って確かめてくるわ」
聞いたとたん、焦燥感がクリフトを襲った。
自分が今いかに情けない表情をしているかなどわかりきっている。
クリフトは方向転換すると、思わず宿の扉を開け、外に出た。

「クリフトいる? 二人で話したい事があるの」
アリーナは隣の部屋の扉を無遠慮に開けた。
中ではブライが本を読みふけり、ライアンは武器の手入れを、トルネコはどうぐを見定めていた。
男三人が一斉に顔を上げると、ブライと目が合った。
いないならいいわ、とすばやく部屋を出ようとしたが、
ブライが恐ろしげな視線を送り、唸るように言った。
「クリフトと二人で一体何の話をするおつもりかな?
 あやつは最近姫様を見る目が血走っている故、感心しませんぞ」
悪意さえ感じる物言いに、アリーナはムッとして声を張る。
「クリフトはそんなんじゃないよ!」
バーン、と扉の閉まる音とともに、ドアノブが落ちた。
ライアンがおてんば姫のあまりのちからの強さに感心しながら、ノブを拾いあげた。
「ブライ殿が野暮な事を言うから、アリーナ殿が怒ってしまったでござらんか」
トルネコはどうぐ袋をいじりながら穏やかに言った。。
「彼はまだ若いが、誠実な人ですよ。だからこそアリーナさんも惹かれたのでしょう。
・・・私もネネと夫婦になる前は、ずいぶんと追いかけっこをしたものですよ」
ブライはしばらく黙っていたが、持っていた本を閉じると、
ため息をつくと、口を開いた。
「わしも馬に蹴られて死にたくは無いのう。
 ・・・どれ、トルネコ殿の懐かしい話でも聞かせていただくか」

階段を飛ばし飛ばし、アリーナは階下に降りていった。
地下の酒場に向かう途中、勇者と出くわす。
「ね、クリフト見なかった?」
だしぬけにアリーナが尋ねた。
「さっきまで一緒にいたけど、部屋に戻るって先に出たけど・・・」
勇者はあっけにとられたように答えた。
「部屋にはいないわ。何処に行っちゃったんだろう・・・!」
今すぐにでも会いたいのに。
その気持ちを察した勇者は、口の端を上げるとアリーナの顔を覗き込んだ。
「何? アリーナ、クリフトの事が好きなの?」
アリーナは目を見開き、動きが固まった。
「・・・好きよ。何がいけないの?」
言い放ったとたんきびすを返し、宿屋を飛び出たアリーナを見送りながら、勇者はひとり思った。
―― 一度こうと決めたら、か・・・。
   それにしてもクリフトは、アリーナに一体どんなキスをしたんだろう?
875暖かい雨 3:2009/04/09(木) 03:01:57 ID:vHQtvFcR0
宿の外では、霧雨が降っていた。
町は薄暗くなり、活気が薄れていた。
アリーナは考える。
「クリフトが行きそうな所・・・そうだ、教会だわ」
アリーナはエンドールの民をすりぬけ、駆け足で教会に飛び込んだ。
神父とシスターはいるが、クリフトの姿はない。
「ここに山高帽をかぶった背の高い神官が来ませんでしたか?
 藍色の髪で・・・一途で誠実な人なんです」
息を切らせながら尋ねるが、神父たちは黙って首を振った。
すぐさま教会を出ると、アリーナは視線を落とす。
――どうしよう。まさか一人で町の外には出てないわよね・・・
「クリフト! 何処にいるの?」
細かい雨にうたれながら、アリーナは思わず声を出した。

――姫様・・・!
教会の裏手で、ひとりたたずんでいた藍色の髪の神官は、自分を探すアリーナの声を聞いた。
のこのこ出てゆくわけにもいかず、息をのんで身を潜める。
「クリフト!」
「はいっ・・・!」
条件反射で、思わず返事を漏らす。
そのあとすぐ、草を踏む音が次第に近づいてきた。
アリーナがあらわれたところで、どんな態度をとったらいいものか見当も付かないクリフトは、
ただ、立ち尽くすしかなかった。
その姿をようやく見つけ、呼吸を整えると、
アリーナは一歩、また一歩と、近づいていき、
クリフトのすぐ目の前まで来ると、黙って彼に抱きついた。
神官の服は冷たくなっていた。
「こんなに濡れてるじゃない・・・」
クリフトの胸が締め付けられる。
「申し訳・・・ありません・・・」
謝罪しながらもアリーナを見下ろすと、クリフトはこんなに細く壊れそうな存在だったかと感じ、
その肩を抱きたい衝動にかられたが、クリフトは己の手を下げたまま拳を強く握り締めた。
粒の細かい暖かな雨が、二人に降り注ぐ。
「その・・・私は、姫様に取り返しのつかないことをしてしまって・・・」
「その事はもういいの」
アリーナは身体を離すと両手を伸ばし、霧雨に濡れたクリフトの顔をそっと拭った。
雨ではないものによって潤んだ黒い瞳がまっすぐにアリーナを見つめている。
ふと瞼を閉じたとき、体温と同じくらい暖かいものが、アリーナの指にこぼれた。
「クリフト、あなた泣いてるの?」
嗚咽を必死に押し殺し、クリフトはただ、
申し訳ありません、と繰り返した。
若き神官は、自分の罪を何処までも責めている。
「このような私が、今後も姫様をお守りするなど、とても・・・」
――それだけは嫌。ずっと側にいて。
アリーナの想いが、あふれる。
「私ね、クリフトのこと好きよ。真面目すぎるくらい真面目で、誠実で、
 ザラキばっかりで弱いけど私の事守ろうって一所懸命で。
 クリフト・・・大好き。だから、もういいの」
思いもらない言葉に息を呑み、目を見開いているクリフトの首に、細い手が回された。
二人の顔が次第に近づく。
「やっと気づいたの。すごく好きだってこと」
その愛を、アリーナは唇を触れ合わせることでクリフトに伝えた。
己の想いを伝える前に口を塞がれたクリフトは、黙って目を閉じ、
おてんばな姫の全てを受け入れた。
――愛しています、姫様。
その言葉を口にできないまま、クリフトは愛する人を抱きしめた。
雨はどこまでも優しく、二人を包む。


水晶玉の前で、めいめい喜び、驚き、嘆く仲間の心の内も知らず・・・。
876名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 03:03:20 ID:vHQtvFcR0
以上です。ヘタレなクリフトになってしまいました。
877名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 07:16:58 ID:+zP6YtSeO
GJ!
朝からいいもの読ませてもらいました!
最後のオチに吹いたけどw
初々しい二人にニヤニヤしたよ。
878名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 10:16:14 ID:TLKzvVq50
>ザラキばっかりで弱いけど
さらっとひでぇw
879名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 12:56:14 ID:HfCVTM9i0
>>878

細腕のミネアより力は弱いし、リメイクだとマーニャにまで劣るんだからシャアない罠
880名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 23:53:52 ID:ft01oHDHO
オチがひでぇw
皆そろって覗きとは・・・ミネア自重w
881名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/10(金) 00:13:31 ID:4XULEKtw0
GJ!
・・・ってか ザラキばっかで弱いとか、集団出歯亀とか
アリーナもみんなも何気にヒドス。w
882名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/10(金) 13:43:08 ID:tCZnC1oH0
ツマラン
883名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/11(土) 19:22:53 ID:lQsfabhs0
そういえばこのスレではバトルロードのキャンペーンカードが話題に出てないね。
ttp://www.dq-card.com/rb_campaign/
クリフトが持ってるのはアリーナのカードらしい。
884名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/11(土) 19:24:32 ID:lQsfabhs0
ごめんアドレス違ってた
ttp://www.dq-card.com/rb_campaign/medal01.html
885名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/12(日) 07:03:26 ID:0W/TskZt0
ブライのカードにクリフトがいるw
自分が見た感じではクリフトはやっぱりアリーナのカードは持っていないと思う・・
886名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/12(日) 10:05:34 ID:2RgBjs5x0
アリーナのカード3枚持ってるように見えるw
887名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/12(日) 13:19:09 ID:0W/TskZt0
拡大してみた


両手に三枚持ってるわ・・・
ちょっとショック
888名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/12(日) 16:07:56 ID:ItYo/BrD0
なんだこれ…クリアリは好きだがブロマイドの設定は本気でいらねえ
889名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/12(日) 21:29:54 ID:F59bjdAs0
しかもクリフトの頬が赤らんでる!!
890名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/13(月) 23:17:44 ID:Eowb3gml0
この歌聴くとクリアリ思い出すって曲ありますか?
先日「時の流れに身をまかせ」を聞いたら思い出してしまいました・・・
891737:2009/04/14(火) 01:08:09 ID:72TOOlaI0
>>890
曲じゃないですけど、
実写版ヤッターマン観てたらクリアリ思い出しました。
ドロンジョとボヤッキーのくだりで。

↓変化の杖ネタを1度書いてみたかったんで
書きました。連投規制のため途中までです。
892737:2009/04/14(火) 01:08:55 ID:72TOOlaI0
【変化の杖2.0】
マーニャは二日酔いの為、馬車の中で休ませてもらっていた。
目を覚ますと、馬車の中にはトルネコが一人と大量の道具が散乱していた。
「・・・何やってんの?」
「道具袋の整理ですよ。必要な時に必要なものが
 すぐに取り出せなければ、宝の持ち腐れですからね。」
トルネコの割には正論じゃない。
と思ったが口には出さなかった。
「ふーん・・・・」
マーニャは馬車の中で無数に散らばる道具を眺めた。
「・・・あっ、コレ“変化の杖”!」
マーニャは杖を手に取る。
「これ、色んなものに変身出来て面白いのに、
 使いどころが少なくて勿体無いわよね〜。
 ねぇ、ちょっとこれ借りてもいい?」
「いいですけど、今日中に戻してくださいよ。」
「わかってるって。」
マーニャは馬車を出た。
仲間は誰もいない。どうやらすぐ近くの町で一時解散になっているようだ。

「・・・・・さて。何に変身しようかしら。」
マーニャは変化の杖を構えた。
「モンスターに人間に、わりともうネタが出尽くした感があるけど・・・、
 何か画期的なものに変身したいわねぇ・・・・・・・あ、そうだっ!!」
マーニャは変化の杖を振りかざした。
(ぼわ〜〜ん)
マーニャは鏡を見る。
「よし、成功ね!!」
“もしも自分が男だったら”だなんて、
我ながら斬新な発想じゃない?
男になったマーニャは色黒でエキゾチックな雰囲気漂う美青年であった。
「ちょっとぉ・・・・!!あたしってばカッコいいじゃないの。
 あたし、男でもイケてるわ! あたし、やっぱり最強ねっ!」
マーニャは男としての世間の実力を試してみたくなった。

マーニャは意気揚々と町へ入っていった――――
893737:2009/04/14(火) 01:09:53 ID:72TOOlaI0
アリーナとクリフトは一緒にマーケットの露天商を見て回っていた。
なんだかんだ言って二人は楽しそうで、傍から見るとデートしているようだった。
(ふふ、ターゲット決定ね。これはクリフトを嫉妬させたら相当面白くなるわ。)
マーニャはにんまりと笑う。
アリーナとクリフトが切り売りのマンゴーを仲良く一緒に食べていると、
その前にマーニャ♂が立ちはだかった。
「「?」」
「お嬢さん、この先にある隠し武器屋に俺と一緒に行きませんか?」
アリーナのツボはおさえているつもりだ。
ちなみに、隠し武器屋というのは単なる出まかせである。
「なあに、それ?何が売ってるの?」
クリフトが露骨に制止に入る。そして小声でアリーナを諭す。
「・・・姫様、こんな怪しげな者の言葉を聞いてはいけません!」
“こんな”?それに“怪しげ”ですってぇ?
マーニャのこめかみがピクピクする。
「ちょっと、ニイサン。あんた邪魔だよ!
 俺はそちらの可愛いお嬢さんに用があるんだ。」
するとクリフトの目が途端に冷たくなる。普段みんなには絶対見せない目だ。
「・・・・・・・・・・・・・。」
マーニャ♂はあっさり圧倒されて怖じけづいてしまった。
その時だった。
「あっ、アリーナ!クリフトさん!」
「あ、ミネア!」
(げっ!!ミネア!?や、やばいっ、あのコは勘がいいから絶対バレる!!)
「ミネア、どうしたの?」
アリーナが応対する。
「姉さんを見なかった?二日酔いで馬車で寝てた筈なのにいなくなってるのよ。」
「ううん、見てないわ。クリフトは見た?」
「・・・・・・いえ。」クリフトはいつもの目に戻っていた。
「そういえば、今の人は誰?」ミネアが尋ねる。
「ううん。知らない人よ。・・・あら?いなくなっちゃった。」

(つづく)
894名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 03:00:21 ID:oL+EFEcR0
ちょw なんていう焦らしプレイ
895名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 03:01:07 ID:oL+EFEcR0
続き待ってます
896名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 11:22:03 ID:0XNHuO290
  ∧_∧
 ( ・∀・)  これはwktkするしかない!
 ( ∪ ∪
 と__)__)
897名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 22:51:59 ID:opye2bq/O
変化の杖って、実在するものにしか
変身できないんじゃなかったっけ?
898名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 23:15:30 ID:ePRXUOxb0
細けぇ事はいいん(ry
899名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 23:50:45 ID:+uQGHTcS0
続きが読みたい!!!
普段みんなには絶対見せない目がイイ!(・∀・)
900737:2009/04/15(水) 07:32:10 ID:VsMueD+J0
おはようございます。
↓変化の杖ネタの続きです。朝っぱらから投下します。

マーニャ♂はザーボン(変身前)をイメージしてます。
ピアスとかそっくりだし。

901737:2009/04/15(水) 07:33:51 ID:VsMueD+J0
【つづき】
マーニャはマーケットの人ごみに紛れて逃げていった。
人が多いのであまり遠くまで逃げられないが、ここまで来れば大丈夫だろう。
後ろを振り返る。
(ふぅ〜〜、危なかったわ〜〜 
 それにしてもクリフトはキレたら相当やばいタイプね。)
後ろを向きながら歩いていると、
何かがひじに当たった。
すると、屋台に溢れんばかりに積んであったりんごの山が
バラバラと雪崩のように崩れ落ちた。
狭い路地をりんごが埋め尽くす。
「〜〜っ!!」
「ちょっとあんた!売り物をどうしてくれんのよっ!!」
「すっすみません・・・!!すぐ拾いますっ。」
慌ててりんごを拾い出す。
(・・・・・あたし・・・・イケメンのはずなのに・・・・・・、
 ・・・・・・・・・・・・・超ダサい。)マーニャは泣きそうになった。
マーニャ♂が焦りながらりんごを拾っていると、
通りかかる人、皆がりんごを拾って戻してくれている。
みんなの優しさにマーニャはじーんと感動した。
そこへアリーナとクリフトも通りかかり、
二人もりんごを拾ってくれている。
「ねぇ、クリフト。
 りんごって二日酔いにいいかしら?」
「はい。果物全般には回復を促す効果がありますよ。」
「じゃあ、マーニャに買っていってあげましょ。」
「〜〜〜っ!!
 アリーナ!あんた優しいわねっ。
 昼まで寝てたから、もう大丈夫よ!」
マーニャはアリーナの手を握る。
「「!?」」二人の顔が不審に歪む。
「・・・・・・・・・あ。」
マーニャはまだ男の姿のままだった。
902737:2009/04/15(水) 07:34:49 ID:VsMueD+J0
「へぇ〜、変化の杖ってそういう使い方もできるのね!」
アリーナは目を光らせる。
「そ。面白いでしょ?」
マーニャ♂はりんごをかじりながら言った。
「ねぇ、私も男になってみたいわ。
 昔からずっと男になりたいって思ってたのよね。」
「姫様っ!何をおっしゃるんですかっ!!」
「何よ。ちょっとぐらい、いいじゃない。」
「いいわよ、いいわよ〜男になってごらんなさいな。」
マーニャは変化の杖を振りかざした。
(ぼわ〜〜ん)
アリーナは男になった。

マーニャはごくっと唾を呑む。
「イ、イケメンすぎる・・・・。負けたわ・・・。
 しかも強いし、王族だし!
 あんた、ずっとこのまま男でいてあたしと結婚してっ!!」
「マーニャさん!何を言ってるんですか!
 それに、男の姿のままでその発言は異様ですよ!」
「私ってそんなにかっこいいんだ!」
「あ、でも変身後の姿ってちゃんと生殖能力あるのかしら?」
3人の男は揉み合いになる。
「マーニャさんっ!!姫様の前でそういう下品な発言は止めてください!!」(クリフト♂)
「はぁ?別にそこまで下品でもないでしょ!!」(マーニャ♂)
「ねえねえ、それより鏡持ってないの!?」(アリーナ♂)
「・・・お前ら何やってんの?」
騒がしい3人に声がかけられる。
勇者だった。
903737:2009/04/15(水) 07:36:33 ID:VsMueD+J0
マーニャは事情を説明する。
「ふーん、変化の杖でねぇ〜・・・・・。
 なぁ、オレも女だったらどうなるのか見てみたい!」
「お、いいわね。勇者はもともとイケメンだから美人なんじゃない?」
マーニャは変化の杖を振りかざす。
(ぼわ〜〜ん)
勇者は女になった。
「なぁなぁ、どう?うわ、声が高い!」
「・・・・・・・・・。」
「何だよ。何で3人とも無言なの?」
「んん〜〜顔は凛々しくて申し分ないくらい美人なんだけど・・・」
マーニャは首をかしげる。
「・・・男の時の勇者さんの髪はストレートなんですけどね。」
クリフトが続く。
「なんでそんなギズモみたいな髪型なのかしら?」
アリーナが核心をついた。
「ギズモ!?」
勇者はあわてて頭を確かめる。
「うわっほんとだ!!すげーボリューム!!なんだこれっ!?」
勇者は笑い出した。つられてアリーナ、マーニャも笑う。
最後にクリフトが笑い出したときに3人が一斉にクリフトを見た。
「・・・・・・・え?」
クリフトの顔がこわばる。
「あんたはやらないの?」マーニャの目は座っている。
「そうよ!クリフトだけやらないなんてずるいわ!」
「人のこと笑っておいて、お前はどうなんだ?」
じりじりと3人が近づく。クリフトは後ずさる。
「い、いえ・・・私は・・・・や、やめてくださっ・・・」
マーニャは変化の杖を振りかざした。
(ぼわ〜〜ん)
クリフトは女になった。
3人は唖然とする。
「あっはっはっははは!!お前は男に生まれて正解だよ。クリフト」
「きゃはははっはははおかし〜涙出てきた〜〜!!」
「ク、クリフトッ・・・・!!あんた確かに女顔じゃないわっ。」

「な・・・・私は一体どんな顔なんですか?」
3人とも大笑いしたまま答えない。
「教えてくださいよぉぉおおおお〜〜」
クリフトの甲高い女声が町中に響きわたるのだった。

(おわり)
904737:2009/04/15(水) 07:43:21 ID:VsMueD+J0
月並みなオチですいません。
これは、アリーナとクリフトが日常生活において
自然体で当たり前のように仲がいい、
という非常にわかりにくい萌えを書きたかったんです。

次はケンカネタ書いてみます。
905名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/15(水) 08:26:11 ID:5E1Cym6M0
GJ!
面白かったです。
楽しい時間をありがとう!!
次回作も楽しみにしています。
ザーボンマーニャかっけぇ〜w
906名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/15(水) 08:57:19 ID:aX0ubaPbO
勇者ネタくそ吹いたwwww
朝からお疲れー!
907名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/15(水) 21:55:27 ID:kn/u+6S80
>>904
その萌えものすごいわかりますwGJ!
908名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 05:24:13 ID:rSr2K+0WO
男勇者→女勇者に変身ってことだよね?
クリフトがどんな姿になったのかすごく気になる
全然想像つかない・・・
909名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 19:16:04 ID:ujrc0VACO
ヤムチャが女になった姿を想像…で、できん。
910名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 21:21:39 ID:PkInW0YO0
ピクシブで女体化クリフト見たなぁ
男性閲覧者にモテてたw
911名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 21:41:35 ID:4at8QJU60
>>908
ショートカットのきりっとした美人>女体化クリフト
・・・いかん。 楠田枝里子しか思いつかん。www
912911:2009/04/17(金) 21:45:45 ID:4at8QJU60
あ、言葉が足りなかった。
>>911の女クリフトは、あくまで妄想であって
>>910さんのピクシブネタではありません。
913名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 21:48:36 ID:cVafXyEyO
もうキモイから女体化の話は止めてくれる?
914名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 21:58:21 ID:PkInW0YO0
うわぁ
915名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 22:04:55 ID:q/J7uLNhO
女体化の何がそんなにいいのか理解に苦しむ
せめてクリアリスレでするのはやめてほしい・・・
916名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 22:06:32 ID:PkInW0YO0
いいか悪いかじゃなくて投下小説の派生の話題なだけじゃないか
917名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/17(金) 22:39:48 ID:af6O9DOr0
誰も女体化がいいとは言ってないし萌え会話してるわけでもないような…
好き嫌いはあるだろうけど過剰反応しすぎてるとさらに過疎るだろうなこのスレ

>>904
ケンカネタ嬉しすぎる!クリアリのケンカって姫が怒るパターンとクリフトが
怒るパターンとどっちも萌えるから楽しみw待ってます
918名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/18(土) 10:45:59 ID:Uf9B/W6Z0
クリフトは怒ると冷たくなりそうなタイプだと思うな
普段さんざん甘やかされているアリーナがそんなクリフトに動揺するとか
919名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/18(土) 23:46:25 ID:/qiCBK2IO

そ れ だ



>>917
はしゃぎすぎる人がいるのも事実だけどね
まあマタリといきましょうよ
920名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 00:29:40 ID:39QJD+UU0
>>919
例えば?
921名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 02:51:18 ID:Byiml6uI0
流れを斬ってすみません。
SS投下いたします。
微エロかもしれませんので、合わない方はあぼんして下さい。
922名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 02:52:50 ID:Byiml6uI0
サントハイムの庭で、ひとりスプーンを口に運ぶ少女を、若い神官は見つけた。
美しく装飾されたベンチに座り、足をブラブラさせながらティーカップを持っている。
クリフトは、その後ろ姿に、姫様、と静かに話しかけた。
「あら、クリフト!」
明るい声で振り向くと、アリーナはベンチの真ん中から体をずらして
自分の右側を空け、座席をトントンと叩いた。
「何をお召しになっていらっしゃるのですか?」
丁寧な口調で、クリフトが問いかけながら姫の隣に静かに腰をおろす。
「アイスクリームよ」
スプーンを口に挟み、ちょっと幸せそうに、そして少し自慢げに答える。
「アイス・・・クリームですか」
「うん。ブライが作ってくれたの。冷たいお菓子よ」
アリーナがティーカップを持ち上げクリフトの頬にピタッとつけると、
ひんやりとした感触に、もの静かな神官も少しばかり肩をすくめた。
その反応を見て、姫がいたずらっぽく笑う。
「冷たいですね。成程ブライ様が手伝ったとは、こういう事なのですね」
「うん。クリームと、卵と、お砂糖と、あとバニラビーンズを混ぜて冷やすの」
冷えたカップを自分の膝に戻し、アリーナはその冷菓をスプーンにめいっぱいすくった。
「クリフトも食べて。おいしいよ」
口元に山盛りのアイスクリームの乗ったティースプーンを突き出されたクリフトは、
そのまま口を開けられずに、やや身を引きアリーナの手からスプーンを受け取った。
あーん、ってしてくれなかった事に、淡い期待を抱いていた姫は少し不機嫌になる。
甘ったるい香りに躊躇しているのか、
クリフトはしばらくスプーンに乗った冷菓を見つめている。
「早く食べないと溶けてドロドロになっちゃうよ」
上目遣いでクリフトを見つめ、アリーナはその先の行動を待っている。

――私の使ったスプーンで食べるのは嫌なの、クリフト?

甘味が苦手な神官は、まだ幼さの残る姫をちらりと見ると、
少し照れたような表情でアイスクリームを口に迎え入れた。
冷たく、甘く、柔らかい食感が喉を通る。
「おいしいですね」
顔を崩さず、微かに微笑むクリフトに、アリーナは胸がきゅんとした。
923名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 02:57:32 ID:Byiml6uI0
――この笑顔が好き。

スプーンを返してもらうと、
アリーナはさっきより嬉しそうに再びアイスを口に運んだ。
「おいしい・・・幸せ」
それは、クリフトが隣にいてくれるから。
アリーナはあっという間にティーカップを空にすると、
まだ冷たい容器をクリフトの手に強引に預け、スッと立ち上がった。
礼儀正しく座っている神官の正面に立つと、膝を伸ばしたまま身をかがめる。
「クリフト、後片付けお願いね」
ニコッと満面の笑みを浮かべた無邪気な姫が、クリフトのすぐ前で小首をかしげて命令した。
「・・・はい」
間近で目を合わせたまま、誠実な神官は姫の小さなわがままをすんなり受け入れる。
「ありがとう! 好きだよ、クリフト」

次の瞬間、アリーナはその小さく愛らしい唇を、クリフトの口元に寄せた。
クリフトの唇の左端に、ちろっとアリーナの舌先が走る。
目を開いて絶句しているクリフトをほんの短い時間観察すると、
アリーナはくるっと背を向けて庭の奥に走り出した。
「ふふっ、アイスがついてたよ!」
その後ろ姿はまるで花と戯れる蝶のようで、
今しがた自分の胸に衝撃を与えた人物と同じとは思えなかった。
急激に速度を上げた心臓が落ち着くまで、若い神官はベンチから張り付いたように動けない。
空のティーカップがすっかり暖められた頃、
ようやく立ち上がる事のできたクリフトは、ひとり、想った。

・・・またブライ様がアイスクリームを作っていただけないものか、と。
924名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 02:59:15 ID:Byiml6uI0
以上です。
925名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 05:47:37 ID:aJ3kOIay0
積極アリーナごちそうさまです!
まさに「あま〜いっっ!!」ssでした!
ブライには毎日頑張って作ってもらいたいww
926名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 23:42:53 ID:QHotbS5mO
あまーいGJ!
ブライがアイスを作るのが想像できない
と思ったらそうかヒャドですねwわかりますw
アリーナが積極的なのいいね
927737:2009/04/22(水) 21:35:03 ID:4xxo+MHp0
甘いの待ってました!
小悪魔姫様ですね。
こういうのがもっと投下されて欲しいです。
おかわりをぜひ!

↓先述のケンカネタです。
ベタで甘くないのが難点ですが、口直しにどうぞ。
928737:2009/04/22(水) 21:36:01 ID:4xxo+MHp0
【喧嘩】
勇者一行は今宵休息する街に着き、馬車で全員自由解散になった。
マーニャは勇者に声をかける。
「ねぇ、明日のスタメン、あたしと勇者とアリーナとクリフトでしょ?
 二人でちょっかい出して、アリーナとクリフトをそそのかそうよ!
 嫉妬させちゃったりしてさ!面白そうじゃない?」
マーニャは悪戯っぽく微笑った。勇者は呆れて目を細める。
「やだよ。クリフトに嫉妬されるとめんどくさいし。
 ……やるんなら勝手にやって。」
勇者はそっけなかった。
「それに、明日のクリフトの作戦、ずっと“めいれいさせろ”にして
 ザラキ使わせないようにするんだから。機嫌が悪くなったらやりづらいんだよ。」
「あ、そ。じゃーいいわよ。あたし一人でやるから。」
「でもさ、仮にお前が何かクリフトにけしかけてアリーナが嫉妬したとしても
 所詮、友達におもちゃを貸せない子供の感覚と一緒で
 アリーナ自身が変わらなきゃ何の意味もないと思うけど。」
勇者は淡々と正論を述べた。
その饒舌でナマイキな口ぶりがマーニャの癪に障る。
「ふん、なにさ。分かったような口きいちゃって!
 あんたなんか恋愛の“れ”の字も知らないガキのくせに!!」
「あぁ?お前こそ、年増が若さに嫉妬してんじゃねーよ!」
「なんですってぇええ!?このガキ、ガキ、ガキ!!」
「うるせー!この年増、年増、年増!!」
お互いそこまで“ガキ”でも“年増”でもない二人が醜い争いをしていると
そこにアリーナが通りかかった。
「二人ともケンカしてるの!?」
アリーナの目はキラキラと輝いていた。
「「……は?」」
「いいなぁ、私、そういう対等な口げんか誰ともしたことないのよ!」
「え〜〜、クリフトとはあるでしょ?」
マーニャが尋ねる。
「クリフトとは………ケンカというかお説教だし。」
マーニャはにんまりと笑う。
勇者は我関せずといった様子で自分の荷物を片付け始めた。
「ね、アリーナ。クリフトとケンカしてみたい?」
「え?………まぁ、そうね。」
「ふ〜〜〜〜〜〜ん、そぉ。」
勇者は先に街へと行ってしまった。
929737:2009/04/22(水) 21:37:12 ID:4xxo+MHp0
次の日。
滝の流れる洞窟に潜入した勇者一行。
メンバーは予定通り、勇者・アリーナ・クリフト・マーニャである。
さっそくマーニャは作戦を実行し始めた。
マーニャはくねくねしながらクリフトに迫る。
「クリフトぉ〜!すりむいちゃったわぁ。ホイミしてぇ!」
「あ、はい。」
クリフトはマーニャにホイミをかける。
勇者は冷ややかな目でマーニャを見ていた。
アリーナは特に気にしている様子はない。


さらに洞窟の奥へと進んでゆく。
マーニャは事あるごとに、クリフトの体に触れたり絡んだりしていた。
クリフトはいちいちウブく反応していたが、
アリーナは全くの無反応であった。
そして、滝の見晴らしのいい場所に出ると
マーニャは大げさに両手を広げる。
「わぁ〜〜っきれいねぇ!!」
マーニャはいきなり、滝を背に鍾乳石の柱をポールと見立て
腰をくねらせてセクシーなポールダンスを踊り始めた。
「ねぇねぇん、クリフトも一緒にど〜お?」
「…………………。」
これにはさすがに勇者も痺れを切らした。
「マーニャ、不思議な踊りは止めろ!オレのMPが減る!!」
「なっ………んですってえぇぇええ!!?」
「お前、バカじゃないのか!? ちょっとは場所と状況を考えろ!」
勇者とマーニャはギャーギャーと言い争っている。
アリーナとクリフトは唖然としていた。



戦闘の合間にクリフトは勇者に声をかける。
作戦の都合上、二人は声の届く範囲にいるのだ。
「勇者さんはマーニャさんとケンカしてるんですね。」
「ん?あぁ……、まぁな。」
「なんだかうらやましい。」
「………何が?」
「そうやって、ケンカできるところがです。
 私は誰ともそういう口ゲンカをしたことがない。」
「アリーナも同じようなこと言ってたぞ。」
「姫様が……ですか?」
「アリーナとケンカしてみたら?
 思ってることを正直に言えばいいんだよ。」
930737:2009/04/22(水) 21:38:05 ID:4xxo+MHp0
洞窟の最深部でついに“はぐれメタルの剣”を手に入れた。
「わぁーっ!これが最強の攻撃力の剣なのね!!」
アリーナが剣を振り回してはしゃぐ。
「姫様、危ないですよ!」
クリフトがアリーナを制しようとする。
するとアリーナはその手を振り払った。
「平気よ。クリフトはマーニャの心配でもしてればいいじゃない!」
マーニャと勇者は驚いて目を見張る。
無反応かと思っていたアリーナが嫉妬していた。
これが“おもちゃを貸せない子供の心理”なのか
“女としての心理”なのかはよく判らないが。
「一体何をおっしゃってるんですか!?」
「私のケガより、マーニャのこと優先して回復してたじゃないの!
 何よ、二人で楽しそうにしちゃって!」
「あれは、マーニャさんが絡んでくるから仕方なく――――」
「言い訳なんか聞きたくないわっ!!」
クリフトはいつもの条件反射で謝ろうとしたその時だった。
頭の中で先ほどの勇者の言葉が反芻される。
“思ってることを正直に言えばいいんだよ”
クリフトは一瞬迷ったが、重い口を開き、絞り出すように声を発した。
「…………姫様だって、いつも勇者さんと
 仲良く はしゃいでるじゃないですかっ!!」
勇者はぎょっとする。少し罰の悪い表情になった。マーニャは瞳を輝かせる。
アリーナはクリフトの反論に少し驚いた表情を見せたが、すぐに眉をひそめた。
「なんでそこで勇者の名前が出てくるのよ?
 勇者は関係ないじゃない!」
「いいえ!関係ありますともっ!!」
「何の関係があるって言うのよ!?」
「姫様は無神経すぎるんですっ!
 私の気持ちなんてちっとも分かって下さらない!!」
「クリフトの気持ちって何よ!?」
「!」クリフトはグッと怯む。
「それは…………!その……………………、
 …………………………………申し上げられません。」
マーニャはがくっとなった。
「ちょっとぉおお…!そこで言わないでどーすんのよっ……!!」
小声でぼやき、もどかしそうに指を動かした。
「ねえ、勇者!あんたもそう思わない!?」
マーニャが勇者の方を見る。
とんだとばっちりを受けた勇者は苦虫を噛んだような表情をしていた。
「お前のやることは、いっつもトラブルの元なんだよ。」
「あら、随分な言いがかりねぇ?」
「事実だろ。」
勇者とマーニャは火花を散らして睨みあう。
アリーナとクリフトもギャーギャーとしばらく言い争っていた。


「おかえりなさい!海賊の宝は見つかりました?」
ミネアが出迎える。
「………あぁ。」勇者が答える。
しかし4人とも不機嫌そうな表情で雰囲気はギスギスとしていた。
「………?」
ミネアは唖然とする。
「……姉さん、何かあったの?」
マーニャは大げさに手振りをした。
「そりゃあもう、いろいろとね!!」
《おわり》
931名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/22(水) 22:39:00 ID:2XTK2dRe0
うーんかわいい〜GJ!
プチ(ブチではない)切れたクリフトナイスwあと一歩だ!
なんか勇者とマーニャがカップルに見えてきたwいいコンビだな
932名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 11:01:33 ID:HhGgNZlc0
可愛い喧嘩ネタGJです!
クリフトはアリーナと言い合いしてなんかスッキリしちゃってそう
気づいたらとっくに告ってたとか
突然セクシーダンスを踊りだすマーニャも面白かったw
933名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/25(土) 19:02:05 ID:TYDIJjxWO
堀井雄二の構想では結婚どころか告白もしないらしいね
934737:2009/04/26(日) 13:46:45 ID:zl3V/Yqy0
この喧嘩ネタは時の砂をオチに使いたかったのですが、
ケンカに発展しなくて止めたバージョンがあります。

↓分岐ということで読んでください。
935737:2009/04/26(日) 13:48:24 ID:zl3V/Yqy0
【喧嘩→分岐】

「なんでそこで勇者の名前が出てくるのよ?
 勇者は関係ないじゃない!」
「いいえ!関係ありますともっ!!」
「何の関係があるって言うのよ!?」
「姫様は無神経すぎるんですっ!
 私の気持ちなんてちっとも分かって下さらない!!」
「クリフトの気持ちって何よ!?」
「私が姫様のことを愛しているということですっ!!」
クリフトはハッとする。アリーナはその大きな瞳をさらに丸々とさせていた。
アリーナは頬を紅く染めることは全くなく、
完全に脳裏にない不意打ちの言葉をくらったような表情であった。
クリフトは自らの発言が時期尚早であったと嘆いた。
「……………………………。」
アリーナのその表情と微妙な沈黙に耐え切れなくなったクリフトは
思わず先ほど手に入れた“時の砂”を振りかざした。
砂がさらさらと舞い、時がぐるぐると巻き戻されてゆく。





「平気よ。クリフトはマーニャの心配でもしてればいいじゃない!」
アリーナが先ほどと全く同じ言葉を紡ぐ。
クリフトは時が戻ったのだと自覚した。
言葉を選んでから口を開く。
「………いいえ。私はアリーナ姫が一番心配なのです。」
「何よ、さっきはマーニャと二人で楽しそうに―――――」
アリーナはクリフトを見る。
少し悲しそうな憂いを含んだクリフトの瞳にアリーナは言葉を失った。
「…………………………。」
二人は無言で見つめ合う。
936737:2009/04/26(日) 13:50:18 ID:zl3V/Yqy0
「うーん……。クリフトが反論しないからケンカにならないわねぇ。」
少し離れたところで二人の様子を見ているマーニャが呟いた。
「ま、アリーナが一応嫉妬らしき態度を見せたし、まぁいっか。」
「ちっともよくねぇよ。」
マーニャの側にいた勇者が反論した。
「あのさぁ、こういう命賭けてる場所では
 もうちょっと真面目にやってくれない?」
「あら、あたしはいたって真面目よ。
 “真面目に不真面目”なのがあたしのモットーなの!」
「下らない屁理屈言ってんじゃねーよ!」
勇者とマーニャは火花を散らして睨みあう。


無言で見つめ合うクリフトとアリーナ。
その神妙な雰囲気にアリーナは耐えきれなくなったのか、
アリーナが沈黙を破った。
「ま、まぁ海賊の宝も無事見つけたし、一件落着ね!
 勇者、もう帰りましょう!」
アリーナは勇者とマーニャの元へ駆けていった。
その後姿をクリフトはじっと眺める。
勇者と会話をするアリーナ。
二人には身分など関係なく、いたって自然体であった。
自分も勇者のようにアリーナと出会えていたら、
あのように対等に接することが出来ていたんだろうか。
クリフトは悲しくなった。
「おーい、クリフト!リレミトで帰るぞ〜!」
うつむいた顔を上げると、勇者が笑顔でこちらを見ていた。
クリフトが駆け寄ると、勇者はつい先ほど手に入れたはぐれメタルの剣を差し出した。
「クリフト、これお前が使えよ。ずっとマグマの杖じゃ飽きるだろ?」
「勇者さんはいいのですか?」
「オレはほら、天空の剣 待ちだから。」
勇者からはぐれメタルの剣を受け取る。最強の攻撃力の剣だ。
クリフトはなんだかこれが勇者からのエールのような気がした。
「ありがとうございます…………頑張ります。」


(これで少しは肉弾戦がマシになって、ザラキの頻度が減ればいいけど……。)
勇者の本心をクリフトは知る由もなかった――――。
《おわり》
937久々のてんちょです ◆ByK7Tencho :2009/04/26(日) 22:50:59 ID:DmKwNSUl0
ご無沙汰してます。
素敵なお話の数々、楽しく拝見させてもらいました。

>737さん
連作乙です。そちらの勇者さん、気苦労多そうですね。
こちらはほんの手土産ですが、神官さんにどうぞ。
肉弾戦の強化(ザラキ削減)対策に、ぜひお役立てください。

つ ちからのたね × 10

さて、いくつか書いた中で、甘めのものを用意しました。
少々微糖ですが、よろしければお味見してみてください。
938【究極の暖房】1/3 ◆ByK7Tencho :2009/04/26(日) 22:53:04 ID:DmKwNSUl0
ううっ、寒ーい。おまけに風も強いし。
もう春だっていうのに、これじゃ真冬に逆戻りじゃない。
いったいどうしちゃったのかしら?

朝の稽古が終わったわたしは、吹きつける風の冷たさに
全身を震わせながら、お城の廊下を歩いていた。
湯浴みの直後、身体がぽかぽかしていたのも束の間、
あまりの寒さで、一気に湯冷めしちゃったみたい。

つい二、三日前までは温かくて、春らしい陽気だったの。
おまけに、お昼なんてまるで真夏のような暑さで、
あわてて夏の衣装に着替えたくらいなんだから。
まあ、気まぐれなお天気に八つ当たりしても仕方がないわね。
早く温まりに行こうっと。

そうそう。最近お城では、寒い日の夜に身体を温める
手軽で便利な道具があって、すごく人気があるみたいなの。
こことは違う世界から伝わったらしい、って話だから、
きっとトルネコさんが、どこかから仕入れてきたんだと思うわ。

使い方はとっても簡単。
お湯を沸かしたら、亀のお腹をくっつけたような形をした
金属の入れ物に注いでいくの。
あとは厚手の袋に入れてひもを縛り、足元に置けば完成。
これだけで、一晩中温かいベッドで眠れるんですって。

お父さまやじいやのブライも、すっかりとりこになっちゃってるの。
じいなんか、この間まで『異国の奇天烈な道具になど頼りませぬ』
なーんて言ってたくせに、ほんと調子いいんだから。
まあ、これのおかげで、寝る前に暖炉に火をつけたまま
うっかり眠って火事になる、っていうのが減ったらしいから、
みんなが使ってくれるのはいいことだと思うわ。

でも、わたしにはそんなもの必要ない。
武術を志す者、寒さなんて気合いで吹き飛ばさなくっちゃ!
って、強がりたいところだけど、今だけは寒さに勝ちを譲っておくわ。
血色のない凍えた両手は、まるで降参した時に揚げる白旗のよう。
足を早めたわたしは、目的の場所へと急いだ。
939【究極の暖房】2/3 ◆ByK7Tencho :2009/04/26(日) 23:02:21 ID:DmKwNSUl0
はあ、やっと着いたわ。
わたしは音を立てないよう、両開きのドアをそっと開けた。
あ、いたいた。まだお勤めの時間じゃないのに、もう始めてるんだ。
たくさんの分厚い本を両手に抱えて、大変そう。
魔物たちに荒らされ、すっかり傷んでしまったお城中の本を
一つ残らず修復するという、根気のいる作業を続けていた。

国の復興の一環として、大切なお仕事だってことはわかってる。
だけど、今はそれよりも先にしてもらいたいことがあるの。
隠れていた本棚の陰から、わたしは勢いよく飛び出した。

「お・は・よ・う、クリフトっ!」
「えっ……?う、うわあっ!」

わたしは呼びかけると同時に、大きくて広い背中にしがみついた。
二人の身体が合わさった瞬間、本の落ちる音とクリフトの絶叫が、
立て続けに重なる。

「ああ、びっくりした…ひ、姫さまでしたか。おはようございます」
「おはよう。今日も朝早くから頑張ってるわね」
「いったいどうなさったんです?こんな朝から」
「あら、ただのあいさつよ。そんなに驚くことないじゃない」

二人きりだというのに、部屋の中はちょっとした騒動になっていた。
こうすると、いつもクリフトはびっくりして悲鳴を上げるの。
わたしと違って、恥ずかしがりやな一面がある人だから、
こっちから行動を起こさないと、手だってつないでくれないし。
まあ、そのおかげでクリフトの真っ赤な顔も震える声も、
すっかり慣れっこになっちゃったけどね。

「朝の寒さで、身体がすっかり冷えてしまったわ」
「それはいけません。すぐに暖炉に火を入れましょう」
「そこまで待てないわ。今すぐぎゅっと抱きしめて、温めてほしいの」
「な、何をおっしゃいます!ここは神聖なる大聖堂の中ですよ」
「でも、まだお勤めの時間じゃないし、神様だってきっとまだ寝てるわよ」
「し、しかし、誰かに見られでもしたら、大騒ぎになります」
「大丈夫よ。人がいないのを確かめて、こっそり入ってきたから」
「は、はあ。しかしですね…」

人一倍真面目なクリフトの反論は、だいたい予想がつく。
ここまでの展開は、こちらの計算どおり。
あとは、とどめの一言を放って勝負あり、といきたいところね。
940【究極の暖房】3/3 ◆ByK7Tencho :2009/04/26(日) 23:17:09 ID:DmKwNSUl0
「もう。早く温めてくれないと、わたし寒くて風邪をひいちゃうわ!」

おねだり半分、本音が半分。
本当はもう少し引っ張りたかったけど、身体の冷えがもう限界。
袖からはだけた無数の鳥肌が、まさにその証拠ね。  

「わ、わかりました。お風邪を召されてはいけませんので…」
「そうよ。もし風邪で寝込んだら、クリフトのせいなんだから」
「少し…だけですよ、少しだけですからね」

不機嫌そうに口を尖らせ、すねたふりをしたわたし。
クリフトは長身の身体を硬直させたまま、ぎこちなく笑った。
それを合図に、わたしはしがみついていた両腕の力を緩める。
普段の笑顔も好きだけど、わたしだけに見せてくれる
この照れ笑いが、一番のお気に入りなの。

「ああ、温かい。やっぱりここが一番居心地がいいわ」

わたしは自分の小さな全身を、クリフトの大きな腕の中に預けた。
受け止めた広い胸が、冷え切った身体をあっという間に温めていく。
早鐘を打つ鼓動が子守唄のようで、とても心地がよかった。
もっと聞いていたい。少しだけだなんてもったいない。
わたしはクリフトの胸にそっと耳を当て、静かに目を閉じた。

「あの…姫さま」
「なーに?」
「も、もうそろそろ…よろしいでしょうか?」
「だーめ。まだ温まってないから、もう少しこのままでいて」

わたしはわざと駄々をこねた。
居心地がよすぎて、つい離れたくない気持ちが強まってしまう。
それでも、最後は自分のわがままを聞いてくれるクリフトが大好き。

今のわたしが夢中なのは、暖炉や温泉、それに異国からやってきた
便利な道具よりもずっとずっと温かい、究極の暖房。
強いて欠点をあげるとしたら、夜の間は使えないってことかな。

でも、それも今年限りでおしまい。
次の冬からは、もう寒さで震える夜を一人で過ごす必要はないの。
だって、その頃には…優しくて、ちょっと照れ屋な誰かさんが、
一緒にいてくれるはずだから。
941あとがき ◆ByK7Tencho :2009/04/26(日) 23:24:37 ID:DmKwNSUl0
以上です。
残りはまとめて、ろだの方にうpしておきます。
システムの都合上、作業は29日〜からとなりますので
よろしくお願いします。





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942名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/30(木) 16:13:51 ID:8Rt4pNhLO
アリ→クリがいつ覚醒するかって言うのは職人さんによって様々だよね。
はじめからって言うのもあれば、旅の途中でってのもあるし、
506さんみたいに旅の後で、というのもあるし…。
いろいろなアリ→クリが見られるのも、このスレの魅力だね。
943 ◆rU9leHZ6PU :2009/05/01(金) 14:23:09 ID:/QDPETZa0
「まぁ! 素敵じゃない」
丁寧に包装され、手のひらに乗るほどの小さな箱をミネアが開けると、マーニャが目を輝かせた。
美しい多面体にカットされたその石は、光を反射し薄紫に輝いている。
「これ、ガーネットじゃない? それにしても上品な色合いね」
姉が宝石に詳しい事に少し驚きつつ、
ミネアはこの小さくも美しく輝く石のついた片方だけのピアスをじっと見つめた。
この綺麗な装飾品に心が躍らないわけではない。
しかし――
「で、このピアス、誰から貰ったの?」



ある日、地階のバーにて一行は夕食のあと少しばかり酒を楽しんでいた。
「お前シラフだから有利だよなぁ」
勇者は椅子に寄りかかり、ふてぶてしくダーツを投げた。
「いえ、私なんかまだまだですよ・・・」
クリフトは慣れない手つきながらも直立し、真剣に的に狙いを定めている。

一方、離れた女性だけのテーブルでは、会話が盛り上がってるようだ。
「あら、もうすぐミネアの誕生日なの? じゃあなにかプレゼントを用意しないとね!」
明るい口調でアリーナが両手を合わせた。
「私ね、プレゼントを考えるの大好きなの!」
マーニャは無邪気なアリーナの姿に笑みをもらす。
「ね、クリフトも一緒に考えてね!・・・クリフト! 聞いてる!?」
少し離れた席から大声を出すアリーナの声に、
振り向きながら「あ、はいっ!」と返事をすると、
クリフトは思わずダーツを投げる手元が狂った。
ボードから大きく外れた所に刺さったダーツを見て、勇者が大笑いしている。
ミネアは、この和やかな雰囲気の中、小さな幸せを感じていた。
誕生日のお祝いなんて、そんな事、長いこと忘れていたような気がする。
敵討ちに身をやつし、バルザックを仕留める事を常に考え旅を続けていた姉妹の妹は、
自分の誕生した日を祝ってくれようとする仲間達の暖かさに、胸が一杯になった。

その翌日。
夕食のあと、各々自由に町を見回っていた一行だったが、
一人でいたクリフトがふと美しい姉妹の後ろ姿に声を掛けた。
「すみません、ミネアさんにお話が」
振り返ったミネアは何故自分に、という思いにかられた。
同じく振り返ったマーニャは何か察したのか、
少々ニヤつきながらも、じゃあね、と言って足早にその場を立ち去った。
「ここでは何ですので、場所を変えてもてもよろしいですか?」
丁寧な物言いに、ミネアは人気のない民家の裏まで黙って神官の後に着いてゆく。
町の雑踏が遠のいた頃、クリフトはふと振り返り、
グローブをはずすと、おもむろにポケットから小さな箱を取り出した。
「あの、これを・・・」
心なしか頬を染め、いつもの真面目な表情で差し出されたリボンの付いた箱。
「きっとミネアさんに似合うと思います」
えっ、と驚きを隠せないミネアに、クリフトは構わず、一歩前に出た。
常に冷静沈着なはずの占い師は、思わず後ずさりする。
壁にその後退を遮られても、なおも近づいてくる神官に、自然と胸が高鳴る。
その手を取られ、クリフトの体温を感じると、
力の入らない手のひらに小箱を強引に乗せられた。
ミネアは反射的にお礼を告げる。
「あ、ありがとうございます・・・」
クリフトは表情を変えぬまま、ミネアの耳元まで顔を近づけると、動きを止めて低く囁いた。
「・・・この事は、くれぐれも姫様には御内密に」
944姫様には内緒 2/4 ◆rU9leHZ6PU :2009/05/01(金) 14:25:23 ID:/QDPETZa0
「へぇ、クリフトがねぇ・・・」
ベッドに座りながら足を組み、長い髪を弄びながら、マーニャが呟く。
「でも、このピアス、一つしか入ってなくて・・・」
ミネアがややいぶかしそうに小さな箱を見つめる。
「あら、勇者だって片耳ピアスじゃない。アレ可愛いわよね。
 ひとつだけでも、全然変じゃないわよ。ピアスは奇数の方が縁起がいいしね」
どうも納得のいかないようなミネアに対し、
マーニャはベッドから立ち上がると、ミネアの向かいの椅子に腰掛けテーブルに肘をつき、
始終顔を曇らせて座っている妹の顔を覗き込んだ。
「ま、普通に考えれば贈り主はミネアに気がある、ってとこかしら?」
姉の一言に、妹は否定の意を隠せない。
「まさか! だってクリフトさんはアリーナの事が、」
「叶わぬ恋をいつまでも続けるほど、彼も愚かではないって事じゃない?
 アリーナはお姫様、つまり王族で、クリフトは城に仕えているとはいえ平民なんでしょ?
 どう考えたって勝率ゼロじゃない」
たたみ込むようなマーニャの口ぶりに、ミネアは珍しく説得力を感じた。
それでも、自分につきまとう得体の知れない罪悪感。
かまわずマーニャが続ける。
「クリフトはいい男よ。頭も切れるし誠実だし、ミネアの恋人としては申し分ないわ。
 ・・・私が恋人になりたいくらいよ」
「そんな・・・」
ミネアはピアスを持った手を握り締め、椅子の背もたれに寄りかかり目を閉じた。
それでもひしひしと感じる妹の心の動揺を楽しむかのような視線に耐えかねると、
姉さん、少し一人にさせて、と言い放った。

マーニャが部屋から立ち退くと、ようやく部屋が静かになった。
ため息をひとつつき、テーブルの上の水晶を見つめた。
ビロードの布をゆっくり開くと、包まれていた水晶玉に美しい占い師の顔が映る。
いつもなら見ず知らずの人の運命さえ手に取るようにわかるその能力も、
どうやら困惑という感情に支配されているようで、おぼつかない。
「私、なんて顔をしているのかしら・・・水晶が濁って見えるなんて・・・」
彼の本心を探るべく占いを始めようにも、集中しきれない自分がいる。
ミネアはしばらく水晶玉の前で両手を顔で覆っていたが、
やがて顔を上げると、一つの結論を出した。
――クリフトさん、御免なさい。やっぱりこのピアスは身につけられそうにないわ・・・。
  貴方はきっとアリーナと幸せになるはずだもの。
先刻貰ったピアスを箱の中に戻し道具袋に押し込むと、
ミネアは水晶玉をビロードで包み隠し、大きなため息をついた。
945姫様には内緒 3/4 ◆rU9leHZ6PU :2009/05/01(金) 14:26:24 ID:/QDPETZa0
それから二日後、ミネアは誕生日を迎えた。
出発前の買い物の際、勇者がお祝いにと新しい防具を買い与えてくれた。
ミネアはさっそく魔法の法衣を装備すると、勇者に丁寧に頭を下げた。
「勇者様、ありがとうございます」
「いいよ。・・・そりより、ミネアはいくつになったの?」
軽く恩を売ってから、ここぞとばかりに勇者が尋ねる。
「そっ、それはその・・・」
姉から自分達姉妹の年齢の話題を硬く禁じられているミネアは、言葉を濁した。
「勇者さん、女性にお年を聞くのは失礼な事ですよ」
真面目な表情で、クリフトが珍しく口を挟む。
その後ろから、アリーナがやたらとニコニコしながら飛び出した。
「ミネア! お誕生日おめでとう!! ハイこれプレゼント!」
両手を伸ばし、大きな箱を差し出す。
「まぁ! ありがとう、アリーナ」
ミネアは表情を明るくして、素直に両手で箱を受け取る。
開けてみて、と言うアリーナに、ミネアは何のためらいもなく
皆の前でリボンをほどき、箱を開けた。
中身は箱一杯に詰まった、チョコやらクッキーやらキャンディー等のお菓子たち。
一同は思わず笑顔がこぼれた。
「嬉しいわ、アリーナ。これで当分おやつには困らないもの」
我が子からの贈り物を受け取った母親のようにミネアは微笑んだ。
「あら、美味しそう! いっこ貰うわね」
マーニャが、箱に手を突っ込む。
「もう! 姉さん!」
ひとつかみ菓子を持っていかれると、ミネアは大きな菓子箱の中に
小さな巾着が埋まっているのに気がついた。
思わずそれを大量の菓子の中から掘り出す。
ミネアは菓子入れをマーニャに預けると、その中身を確認した。
「こっ・・・これは・・・!」
見覚えのある、薄紫に煌めくガーネットのピアス。
心の動揺を強いられたそのピアスを手にすると、
ミネアは道具袋から昨日クリフトから受け取ったピアスを取り出し、並べて見比べた。
二人でひとつのプレゼントだったのだ。
「びっくりしたでしょう? どうせならちょっとしたサプライズをしたくて、
 クリフトと一個ずつ別々に渡そうって事にしたのよ」
とアリーナが無邪気に笑った。
「そうね、驚いたわ。ありがとう、アリーナ」
ミネアはアリーナに優しく微笑んでから、少し恨めしそうにクリフトに目をやった。
「それにしても、随分凝った演出ですこと。人気のいない所に連れ出して
 わざわざ手まで握って『姫様には御内密に』だなんて。
 私、これでも少し悩みましたのよ」
秘密の暴露にクリフトがぎょっとする。
その隣にいたアリーナは顔を凍りつかせた。
946姫様には内緒 4/4 ◆rU9leHZ6PU :2009/05/01(金) 14:27:31 ID:/QDPETZa0
「何それ」
途端に機嫌を損ねた姫様に、勇者がフォローを入れようと口を挟んだ。
「只の罰ゲームだよアリーナ。面白くしてやろうと思って、俺がクリフトにやれって言ったんだ」
――とはいえ、本当に言われたとおり実行するとは・・・クリフトの奴、真面目が仇になったな。
「申し訳ありません姫様、もう二度とダーツなど致しません」
神官の帽子を脱ぎ深く頭を下げるクリフトに、
アリーナはうつむき、握った手を震わせながら呟いた。
「そういう問題じゃないでしょ?
 ・・・私の手なんて、一度も握ったこともないくせに」
その言葉に一同が『えっ』と声を揃える。
「クリフトの馬鹿ッ!」
叫ぶなり、アリーナが走り出す。
みるみるうちに遠く離れていく姫を、棒立ちで見送る神官がいた。
「姫様・・・? 何故、あんなに・・・」
「何つっ立ってるんだよ、早く追いかけろ! 追いかけて抱きしめて来い!」
勇者が怒鳴ると、クリフトは「はいっ」と返事をして、
落とした帽子もそのままにアリーナを追うべく全力で走り出した。

マーニャはお菓子の箱を抱えたままその光景を目で楽しんでいた。
「やっぱりあの二人の未来は明るいわよね、姉さん?」
今日ひとつ年があがった妹の言葉に、姉はそうね、と頷いてから、
「あらミネア、もしかして妬いてるの?」
と意地悪っぽく笑って見せた。

物音ひとつしない馬車の中では、ブライ、トルネコ、ライアンが、
各々の手にプレゼントを握りしめ、
頬を染めてうつむきながらミネアが戻るのを待っていた。

【END】
947名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/02(土) 23:27:42 ID:HjbrOBPZ0
rU9leHZ6PUさん
GJです!!

クリフトの優しいけど女心を全く分かってない感じが
たまらなくいいです

>>937
てんちょさんの続きも期待してます
948名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/09(土) 02:33:49 ID:m/hA7koq0
保守&投下待ちです
949名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/12(火) 08:26:30 ID:i/lnwT5t0
>>941ってみんな見られてるのかな。
当時見たページと変わってて全然見られない・・・。
950ペギー ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:05:22 ID:hFO5/clX0
お久しぶりですペギーです。
多分もう、前々スレくらいになると思うのですが
【もしも明日世界が終わるとしたら】というお題がありまして、
挑戦したはいいがヘタれて放置していたのを仕上げてみました。
長くて捏造で甘くないですが、貧乏性ゆえ投下させてください。
9511/14 ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:07:00 ID:hFO5/clX0
一行が、コーミズ村のその話を聞いたのは、モンバーバラでのことだった。

モンバーバラに来る前にコーミズ村に立ち寄ったという旅人の話によると、
最近、コーミズに悪質な詐欺集団が横行していると言うのだ。
聖職者らしき格好をしたその一団は、村人たちに対し、
「魔王の復活により世界は破滅する。ただし、我らに捧げものをすれば、
教祖である魔道士様があなたの魂を守ってくれる」
と、まことしやかなでたらめで金品を巻き上げているらしい。
最近はアッテムト鉱山での出来事もあり人々の不安はピークに達していたから、
純朴なコーミズ村の人々を騙すのは容易いことだっただろう。
「連中に抵抗した人達もいたみたいだが、何故か皆、次々に魔物に襲われてるらしい。」

声を潜めた旅人の言葉に、クリフトは首をかしげた。
クリフトの表情を見て、勇者も片眉を上げて見せた。
「何だか妙だな、クリフト。」
「ソロさんも、そう思われますか?」
「え?何?何が妙なの?」
テーブルに手をついて伸び上がるアリーナに、クリフトが向き直った。
「彼らに抵抗する者だけを魔物が襲うなんて、偶然にしてもできすぎています。
かといって、人間に魔物を操ることはそうそうできるものではありません。
…ということは…連中の裏に、人型の魔物がいる可能性も…。」
その言葉に、それまで黙って話を聞いていたマーニャとミネアが立ち上がった。
「ソロ。旅の途中に寄り道させて悪いけど、コーミズに行ってもらえるかしら。」
「故郷が魔物に蹂躙されているとしたら…見捨てておくわけには行きませんわ。」
勇者は、黙って一同を見回した。皆、勇者の目を見返して頷く。
勇者はにやりと笑った。
「ここにいる連中は、みんな同じ考えみたいだな…よし、コーミズ村に進路変更だ!」
9522/14 ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:08:04 ID:hFO5/clX0
一行は、夜になってから闇にまぎれてコーミズ村に入った。
幸い、マーニャとミネアの家は村はずれにある。誰にも見咎められずに家にたどり着いた。

「旅人の話では、連中は村の家々から酒や食べ物を『捧げもの』と称して取り上げては、
村長の家の前庭で、宴会を開いて酔っ払っている、ということでしたわね。」
ミネアの言葉にマーニャは憤った。
「村長や村の大人達は何をやってるのよ、情けない!」
「いずれにせよ、まずは、村長宅に行ってみなければ、どうにもならんようだな。」
ライアンが、髭をなでながら呟いた。
クリフトは、皆があれやこれやとアイディアを出し合っている中、黙って座っていた。
普段なら、ブレーンであるクリフトは、作戦会議の中心となることが多い。
しかし、今日のクリフトは、時々必要な指摘をする意外はほとんど口を開かなかった。
そんなクリフトをアリーナがいぶかしげに見つめていた。

その日の夜遅く、クリフトは1人、村を見渡せる小高い丘の上に佇んでいた。
目の前の村には明かりも見えない。
クリフトは、胸に手を当てると小さく祈りの言葉を呟いた。
と、背後に気配を感じ、弾かれたように振り向いた。
そこには部屋着にマントを羽織ったアリーナの姿があった。

「姫様!このような時間にそのような格好で、お1人で出歩くなど!」
慌てて駆け寄ると、アリーナはクリフトの叱責の言葉にむっとした顔をした。
「その言葉、そっくりそのまま返すわよ。クリフトこそ、1人でどうしたの?
今日は、ずっとふさぎ込んでたじゃない。」
腰に手を当てて自分を見上げてくるアリーナに、クリフトはハッとした。
「姫様、もしかして、私の後を追って出ていらしたんですか…?」
申し訳ありません、と謝るクリフトにアリーナは苛立った声を出した。
9533/14 ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:09:38 ID:hFO5/clX0
「んもう!そんなこと聞いてるんじゃないわよ!私の質問に答えてよ!」
アリーナは本気で怒っているようだ。
きちんと話さなければ部屋に帰ってもらえそうにない。
クリフトは、しばらく沈黙した後、低い声で語り始めた。

「考えごとを、しておりました。」
「考えごと?」
「はい。…お城で暮らしていた頃、私は、神官の使命とは、一心に神へ祈りを捧げること、
それが全てだと、そうすれば皆を幸せにできると、真剣にそう思っていました。」
アリーナは、口を挟まず黙ってクリフトを見つめていた。
「しかし、この旅を始めて…祈るだけでは平和は来ないかもしれないと思うようになりました。」
クリフトは暗い目で、眼前に広がる暗い村を眺めた。
「私は間違っていました。聖職者達が、教会の中で安穏と祈りを捧げて過ごすうちに
世の中は、人の心は、こんなにも荒れ果ててしまっています。
このままではいけないんです。祈るだけでなく、…行動しなければ、戦わなければ。」
クリフトは両手を硬く握り締めた。
自分は、戦うため、大切なものを守るために教会の戒律を破って禁呪を覚えた。
しかし、自分ひとりではどうしようもない現実が目の前に広がっている。
「神官として、自分は、いったいどうすれば良いのか…それを考えると眠れなくて。」
「…クリフト。」
アリーナが、つと歩み寄ると、クリフトの手をしっかりと握った。
「ひ、姫様?」
「クリフトは、えらいね。…いつも人のことを考えて悩んでる。」
「え、いえ、そんな…。」
「…私には、クリフトの悩みの答えは、難しすぎて分からないけど…。
でもね。だったら、できることから、始めればいいんじゃない?」
9544/14 ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:10:36 ID:hFO5/clX0
「…え?」
クリフトは、ぽかんとアリーナを見返した。
「私も、お城の皆が消えてしまったとき、最初、どうしたらいいか分からなかった。
 でも、できることから1つ1つやってきて、今は確実にお父様に近づいてるって思えるの。」
アリーナはクリフトを見て、にっこり笑った。
「大丈夫。クリフトならできるって。」
クリフトはしばらく呆然とアリーナを見つめていたが、やがて小さく笑った。
「姫様は…本当にお強い…太陽の申し子ですね。
姫様を見ていると、何だか、うじうじと悩む自分が情けなくなります。」
アリーナが、握ったクリフトの手をぶんぶんと振り回した。
「何言ってるの、クリフト。
私が強くいられるのは、クリフトやブライがいてくれるからじゃない。
それに、クリフトは人のために悩んでるんだから、情けなくなんかないの!」
「…。」
「もう、いいから部屋に戻りましょ。体が冷えちゃう。」
くるりと背を向けて先を行くアリーナを、クリフトはしばらく見つめていたが、
その後ろ姿に向かってゆっくりと頭を下げた。

翌朝。
すっきりした顔のクリフトは、アリーナと顔を合わせるとにっこり笑って見せた。
クリフトの表情からは、昨日の憂いはすっかり消え去っていた。
それを見て、アリーナも嬉しそうにうなずいた。
「行きましょう。」
一行は家を出ると、堂々と、村長の館に通じる村道を歩き始めた。
9555/14 ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 11:12:16 ID:hFO5/clX0
「昨日は夜だから気づかなかったわ。こんなになっていたなんて…。」
ミネアが暗い顔であたりを見回した。
春も半ば、本来であれば新芽が顔を出す頃のはずの畑は、手入れもされずに荒れ果てており、
村人は、大人も子供も生気のない目をして、玄関横のチェアや庭のベンチにうずくまっていた。
その中で、生気溢れる勇者達の道行きは、異質な光を放っていた。
いぶかしげに一行を眺める村人達は、マーニャとミネアの顔を認め、はっとしたように腰を浮かした。
そんな村人達を力づけるように、マーニャとミネアは笑顔を返す。
村人達は、何かに惹かれるように立ち上がると、よろよろと一行の後を追い始めた。
村長の館に着く頃には、一行の後ろには、村人達の長い行列ができていた。

村長の館は惨憺たる有様だった。
前庭に並べられたテーブルの上には、空になった酒瓶が乱雑に転がり、その周りには
へべれけになっている男達が十数人ほどたむろっていた。
男達が、近くに控えている疲れた様子の男に「村長、酒が足りねーぞ!」とわめくと、
村長と呼ばれた男は、びくりと体をすくませ、もたもたと新しい酒瓶を奥から持ってきた。
聖職衣をだらしなく着崩した男達を見て、クリフトはさも不快そうに眉をしかめた。
「彼らは、どう見ても人間のようですが…。」
そのとき、男達の一人が、一行に気づき、ゆらゆらと立ち上がった。
「なんだぁ。お前ら。」
勇者がクリフトをちらりと見、クリフトがうなずき返して前に進み出た。
「私は旅の神官です。魔道士様の噂を聞き、ありがたいお話をお聞きしたいと思いまして。
…魔導士様にお会いすることはできますでしょうか?」
「ふん。魔導士様は奥の館におられるが、お前らがお会いできるようなお方じゃねぇよ。
 お前らには、俺が代わりに祈ってやるって。」
男はそう言うと、酒に汚れた口をぬぐったその手でふざけて十字を切った。
クリフトの顔色が変わった。
956ペギー@携帯から:2009/05/16(土) 11:20:21 ID:QYCKvboAO
すいません、連投規制にひっかかりました…!
さらに、要領がヤバい…。
自分のPCで確認したときは20KBくらいと思ってたんですが…。
いろいろすいません、連投規制解除されたら、まずスレ立てチャレンジして
そちらで続き投下します…!ホントに申し訳ない!
957名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 11:22:28 ID:9N4dc95A0
リアルタイム遭遇
ここまで乙です!!
続きが楽しみです。

アリーナの励ましで憂いを振り切るクリフト、
とても良いです。
958名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 17:56:35 ID:CR83UhVr0
クリトリスとヴァギーナ
959名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 22:04:47 ID:TSx65NwRO
書き込み規制が1ヶ月以上引っかかって感想書けない…

>937-941
おねだりアリーナかわいい!
甘いのごちでした!
ろだの後編も楽しみにしてます!

>943-946
恋心を抱いていないミネアの手は握れるのに、アリーナの手は握れないクリフトにニヤニヤ。
っていうか、誰か馬車組に気付いてあげてwww

>950-955
クリフトの「祈るだけでは〜」は好きなセリフなので出てきて嬉しい!
続き楽しみにしてます!

あとこのスレ立てた者なのですが、スレタイ間違ってるので、次は「クリフトとアリーナの想いは Part10」でよろしくお願いします。
960ペギー ◆e.sLpeggy2 :2009/05/16(土) 22:30:52 ID:1QNu0LlW0
ほんっとにスイマセン、連投解除はされましたが、
スレ立てはうちのホストからはできないみたいです…。
どなたかにお願いするしか…!ご迷惑おかけします。

>>957さん>>959さん、温かいお言葉ありがとうございます。
こんな体たらくで申し訳ありません。
961名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/17(日) 22:44:36 ID:LRmsCDpL0
次スレ立てたいけど・・・

クリフトのアリーナへの想いは

クリフトとアリーナの想いは

どっちがいいのかな
初代は上だけど
962名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/17(日) 23:24:52 ID:s0J4I4ay0
>>961
>>959の言うとおり 「クリフトとアリーナの想いは Part10」 でいいんでないかい。
・・・と、規制で次スレを立てられなかった自分が言ってみる。
963てんちょ ◆ByK7Tencho :2009/05/18(月) 00:31:37 ID:+o/SSqN70
同じくスレ立て不可だった自分が、ちょいと通ります。

遅くなりましたが、読んでくださってありがとうございました。
ペギーさん並びに他の皆様の作品も、楽しみにしています。

>949
ろだのメンテ後、URL等が変更になったようです。
これからは、こちらからでお願いします。
(上から4つめまでが新作です)







ttp://u9.getuploader.com/SSmenu/
964名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/18(月) 02:09:56 ID:HFvpYAT70
>>963
てんちょさん ありがとうございます!
965名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/22(金) 04:42:30 ID:JLRarm2y0
てんちょさん、待ってました!
966名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/22(金) 08:52:51 ID:23j8dnDF0
次スレがなかなか立てられない・・・
テンプレ貼りますので誰かお願いします。

スレタイ↓

クリフトとアリーナの想いは Part10



本文↓

クリフトとアリーナの行く末を語らうスレです。
職人さんによるSS投稿、常時募集!


クリフトとアリーナへの想いは@wiki(携帯可)
http://www13.atwiki.jp/kuriari/
まとめサイト
http://www.colorprinter.tk/kuri-ari/
携帯版
http://www.colorprinter.tk/kuri-ari/mobile.html


前スレ
クリフトとアリーナへの想いはPart9
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1208778416/

性描写を含むもの、あるいはグロネタ801ネタ百合ネタ等は、相応の板でお願いします。
また、ファンサイトやファンサイトの画像への直接リンクを無断で貼るのは控えましょう。

過去スレ↓

過去ログ
クリフトとアリーナの想いはPart8
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1193991148/
クリフトとアリーナの想いはPart7
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1172068262/
クリフトのアリーナへの想いはPart6
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1154693017/
クリフトのアリーナへの想いはPart5
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1145158924/
クリフトとアリーナの想いは Part4.2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1137763522/
【片想】クリフトとアリーナの想いは Part4【両想】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1127912729/
【脳筋】クリフトとアリーナの想いは3【ヘタレ】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1107964272/
クリフトとアリーナの想いは その2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1054024302/
クリフトのアリーナへの想いは
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1027954353/
967自治スレ代行818:2009/05/24(日) 15:37:07 ID:xJyPdkbz0
クリフトとアリーナの想いは Part10
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1243146695/

依頼を受け立てました。


>>1の内容に「過去スレ↓」ってのが含まれているのは
多分ちょっとした依頼ミスなんじゃないか?と立ててから思ったわけですが
できれば勘弁してください。

前は、全テンプレ貼りも自治で引き受けていた事もあったそうですが
10レス近いテンプレを自治スレに貼って依頼される方もいらっしゃったので
現在はスレを立てるだけたてて、>>2以降は依頼者の方におまかせしております。
968名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/24(日) 15:49:17 ID:vLdzeiAUO
スレ立てありがとうございました!
長い間PCからの書き込み規制くらってるので、助かりました!
969初めての依頼で…byてんちょ ◆ByK7Tencho :2009/05/24(日) 18:19:33 ID:sZdFtk7c0
自治スレにお願いして、立ててもらいました。
依頼の際はいろいろミスったようで、すみませんでした。
姫さまのキラーピアスで、痛恨2回くらってきます。。。

それと、お店の方に新メニューを追加しました。
お知らせする前にすでにDL件数があったので、驚いてます。

ではまた。
970名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/29(金) 11:04:55 ID:hYAXb+yK0
スレッドでアップしても大丈夫な内容だったとは思うけど・・・。
(全てが全てではないとしても)
SS投下が多いほうがスレも賑わうし。
971名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/29(金) 20:25:09 ID:VRWWQ3HYO
てんちょさんみたいに、外部でアップしてくれたSSって保管庫に入れるの?
972名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/29(金) 20:59:33 ID:ZOppiJUP0
外部でうpしたのを本人がここに貼るのは大丈夫なんじゃないかな
実は自分も千一夜に投下したやつを保管庫に入れて欲しかったりする
973名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/29(金) 22:18:05 ID:dDMquaHAO
wiki管理人です。
てんちょさんのうぷろだ作品、私も収録したいですw
うぷろだだと携帯で読むのは難しいし。
やっぱり、てんちょさん本人のOKが出ないと…

今回はうぷされてない悲恋作品(ファイルは保存してあります)の扱いも一緒に回答お願いします。

千一夜スレは現在保管サイトが動いてない状態だけど、勝手に収録するのもなぁ…
974てんちょの返事 ◆ByK7Tencho
>wiki管理人様
いつもお疲れさまです。
収録の件ですが、特に問題はありません。
お声をかけていただき、ありがとうございます。

たしかに携帯からは読みにくいですね。
ちなみに自分のでは、開くことすらできません。

あと、悲恋物については、現在加筆中のため、
それが完了してから収録していただけると助かります。
ライアンさんの素早さより遅い製作ペースですが、
何とか頑張って書き上げたいと思います。

スレの方にも近々投下する予定ですので、よろしくお願いします。