不健全設定
男勇者 「……素晴らしい! あなたを師匠と呼ばせてください!」
男商人 「なに、商人は夢を売る仕事なのですよ。ではコレ。効力は一時間置きですから忘れずに」
女魔法 「………また、悪企みをしているのね」
女戦士 「ばっ、バカ野郎! いくらなんでもそんな事ができるか!」
男勇者 「やはり、恥ずかしいですか」
女戦士 「いくらなんでも広場でなんて! お前正気か? 二度とこの街に出入りできなくなるぞ!」
男勇者 「まあ、そういうと思っていました。そこで商人から、消え去り草を借りてきました」
女戦士 「……エジンベアに忍び込んだ時に使ったアレか?」
男勇者 「姿を晒しているから恥ずかしいんですよね。姿を消せばどこであろうが恥ずかしくないでしょう?」
女戦士 「……冒険を始めた頃のウブなお前はどこに消えたんだ?」
男勇者 「ボクにアレコレとしこんだのは、貴女ですよ。とことん付き合ってもらいます」
女魔法 「……!? なんでそんな事したいわけ!?」
男商人 「さあ、ピュアな男心としか申し上げようがありません」
女魔法 「……わ、私も彼ができたらあんな注文に答えないといけないの!?」
男商人 「ご安心下さい。私は完全にノーマルですから、ヘンな性癖など一切……」
女魔法 「……はいはい」
女戦士 「素っ裸になって、粉を振り掛けて……姿が見えたら、俺たちバカだよ」
男勇者 「完全に姿が見えなくなるわけではなく、水の中に入れたガラス彫刻のような見え方なんですよね」
女戦士 「たしかに、うっすらと、お前の輪郭が分かる」
男勇者 「光の屈折率の差が空気とほぼ一緒とか商人さんは言ってましたが、理解しなくても良いと言ってたので
細かい理屈は忘れました」
女戦士 「で、どこに行くんだ」
男勇者 「広場の噴水プールです。プールの中に大理石の彫像と演説台が設けてあるので、そこに腰掛けてしましょう」
女戦士 「……大道芸人や露店が立ち並び、人の往来が激しい場所……回り中から見られている錯覚に陥るぞ」
男勇者 「だからこそ燃えるんです」
女戦士 「……否定できなくなってきた自分が嫌になってきた」
女魔法 「なんかヘンな世界に触れて精神的にドッと疲れたから、シャワーでも浴びてくる。じゃあね」
男商人 「はい、ごゆっくり……。 ふむ、消え去り草の在庫はどこでしたか」
一般人A 「なんだ、アレ?」
一般人B 「素っ裸の女が……演台で上下してるように見える……集団幻覚か?」
女戦士 「な、なんか注目を浴びてるような気がするんだが……」
男勇者 「き、気のせいですよ。 ま、まだ一時間経ってません。ふうふう」
一般人C 「おーい、ネエちゃん、一人で盛大に乳を揺らしてナニやってるんだー?」
女戦士 「な!? 完全に見えてるじゃねえか!」
男勇者 「アレ、おかしいな。まだ10分余裕が有る筈ですよ。とりあえず、気にせず続けましょう」
女戦士 「や、やめろ。 私だけ丸見えなんだぞ!」
男勇者 「あ……キミ・ボクの順番に振りかけ、それからストップウオッチを動かしかけたから、キミの方が数分早く……」
女戦士 「こ、この大バカヤロウ!!!!!」
女魔法 「シャワールームの大鏡で見ると、確かにアタシって女戦士に比べて、身体のボリューム無いよね……コンプレックス。
ちょっと魅力に欠けるかな」
男商人 「そんな事ないですよ。十分に魅力的です」
女魔法 「だ、誰!?」
男商人 「……。」
女魔法 「……空耳かな?」
男商人 「(あぶないあぶない)」
男商人 「どうでした? 昼間、広場で騒ぎが有ったようですが……」
男勇者 「ちょっと時間を間違え、興奮度七割の段階で彼女だけ数分間、公衆の面前に裸を晒してしまいました」
女魔法 「え!? ちょ!?」
男勇者 「あんな大きな人だかりの中心にいるなんて、ちょっとできない体験でしたね。500人はいましたよ」
女戦士 「もうこんな事は絶対にしないからな!!!!!!!」
男商人 「だから時間にはあれほど気を付けてと言ったのに」
女魔法 「自分に置き換えて想像すると……きゃーっ! 穴があったら入りたい!」
男勇者 「でも、思わぬハプニングで彼女も大興奮でしたよ」
女戦士 「例えようもないくらい恥ずかしかっただけだーーーーーっ!!!!!!!」