クリフトとアリーナの想いはPart7

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
クリフトとアリーナの行く末を語らうスレです。
職人さんによるSS投稿、常時募集!


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前スレ
クリフトのアリーナへの想いはPart6
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過去ログ
クリフトのアリーナへの想いはPart5
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1145158924/
クリフトとアリーナの想いは Part4.2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1137763522/
【片想】クリフトとアリーナの想いは Part4【両想】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1127912729/
【脳筋】クリフトとアリーナの想いは3【ヘタレ】
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1107964272/
クリフトとアリーナの想いは その2
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1054024302/
クリフトのアリーナへの想いは
http://game2.2ch.net/test/read.cgi/ff/1027954353/


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2名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/21(水) 23:31:27 ID:Lw+HCBqn0
■■ここまでのあらすじ■■

いままでアニメやギャルゲーの美少女にしか興味のなかった>>1
しかし、正月番組で偶然見かけた芸能人らしき美女に一目ぼれしてしまう。
テレビの中とはいえ、生身の人間に恋をしたのは、これが初めてだった。

アニメヒロインならスリーサイズや食べ物の好みまで熟知している>>1であったが、
現実の美少女アイドルとなると、モーニング娘。が何人なのかも知らない程度だ。

そこで、自分の唯一の味方である愛機(パソコン)のキーを叩き、ここ「2ちゃんねる」の住人たちに
自分の惚れた絶世の美女の名前やプロフィールを探ってもらおうと、こうしてスレッドを立てた。

3名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/21(水) 23:57:42 ID:4uVaTLolO
>>1
乙!!
4ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/22(木) 12:19:28 ID:7HCirQzQ0
>>1
ありがとうございました〜!
5前前前スレ506:2007/02/22(木) 14:14:30 ID:xHIb6KJK0
どうも。新スレおつです。
続き気になるレスいただいてたみたいなので
ちょっくら出てきてみました。
どうにも忙しくてなかなか時間がとれず…。
申し訳ないです。
時間を見つけて必ずや…。では。
6ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/22(木) 14:39:43 ID:7HCirQzQ0
あああああああ!!!
前前前スレ(すごいw)506さんだ!!!
…感涙…!

いつまででもお待ちしますとも!
お体にお気をつけくださいませ。
7名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/22(木) 21:10:11 ID:PfhOTqmkO
このスレではシンシアは生き返ってないのかな。エンディングは幻覚っていう解釈?
8名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/22(木) 22:02:40 ID:lSkU6cma0
>>1
アンソロすごい豪華メンバーだね
ここの職人さんの参加はないのか・・
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/22(木) 22:17:13 ID:bKkm6r+c0
>>1 乙!
>>5 気長に待ってます!
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/23(金) 02:02:43 ID:nFsVs9hg0
>>7
どっちでもいいんじゃない?
職人さん個人個人の考えでストーリー書いてくれればいいと思う。
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/23(金) 10:27:10 ID:KNeoT8qOO
>>1 乙&ありがと〜!
>>5 おぉ〜待ってます!
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/24(土) 01:33:03 ID:5fKIzMCk0
新スレ乙!
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/25(日) 13:57:47 ID:usMKNfkj0
保守
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/25(日) 22:28:55 ID:vfmlLvEPO
つお題【勝負】
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/25(日) 23:33:04 ID:Up1nNbCcO
お題は、「明日世界が終わるとしたら何をする?」
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/26(月) 12:53:49 ID:8pvwi7SxO
ミネアがクリフトに片思いしてる作品は、きのこの人?
あの人のSSも好きだぁ。
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/26(月) 17:35:54 ID:xYQDtkonO
伏兵ミネアのやつ?
あれはいろんな職人さんが書いてたね。

自分もきのこの人のSS好きだー。
18名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/26(月) 19:45:44 ID:DLTcpyWvO
自分はいろんな職人さんのSSが好きだあぁぁ!!
19ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:37:35 ID:LUTvY6IV0
私もきのこの人のミネア→クリフト、大好きだー!
前、ミネアSS書いてみたら、きのこの人の影響を思い切りそのまま受けてて
自分で笑ってしまったことがあります。

お題【勝負】、チャレンジしてみました。
勝負、になってるかな…?
甘くはありません。例によって。
20【勝負】1/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:39:03 ID:LUTvY6IV0
旅の途中で魔物に遭遇した勇者一行は、勇者、ライアン、マーニャ、アリーナのパーティで応戦した。
しかし、魔物の中にデビルプラントがおり、マホトーンを唱えられてしまったため
マーニャは後手に回り、ライアンとアリーナが中心、勇者がサブとなって連携を組むことになった。
そして、魔物を全滅させた後、アリーナが晴れ晴れとした表情で言った言葉が事の発端となった。
「うーん、やっぱり、最後に信じられるのは自分の腕よね!」

アリーナに悪気はなかったのであるが、魔法を封じられて充分に攻撃に参加できず、
ストレスの溜まっていたらしいマーニャは、この言葉にムッとした顔をした。
これで済めばその場は適当に収まったのであろうが、これにライアンが余計な相槌を打ってしまった。
「うむ。やはり、鍛錬と汗によって身につけたものは、決して自分を裏切らないからの。」
ライアンとしては、「努力すれば報われる」程度の意味で言ったのであろうが、
選んだ言葉とタイミングが悪かった。
その場にいた全員が、マーニャのこめかみあたりで、ブチっと音がするのを聞いた。
「ちょっと何よ、その言い方!魔法は、信じられない役に立たずってわけ!?」
「い、いや、マーニャ殿の鉄扇は、魔法がなくても充分脅威であるぞ!」
ライアンが慌ててフォローしようとするが遅かった。しかも、
「ライアンさん、今の場合はそれじゃフォローになってないよ…。」
勇者は呟いた。
マーニャはアリーナとライアンにびしっと指を突きつけた。
「こうなったら、勝負よ!ライアン!アリーナ!魔法とあんたたちの武術と、
どっちが強いか試してみようじゃないの!!」
21【勝負】2/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:40:27 ID:LUTvY6IV0
「マーニャさん!困ります!姫様にそんなことけしかけないでください…!」
慌ててクリフトが前に出る。
「そうそう、マーニャさん、そんな、仲間内で勝負だなんて、やめましょうよ。」
トルネコがとりなし顔に頷いた。
しかし、アリーナは目をきらきらと光らせて、ガッツポーズを作った。
「面白そうじゃない!やるわよね!ライアン!」
ライアンも、困ったように髭をなでていたが、何しろ、勝負事は大好きな王宮戦士、
「しかし、そうだとすると、拙者達2人対マーニャ殿1人では、ちと不公平…。」
頭の中では既に段取りに入っているようだった。
「何言ってるのよ。あんた達の腰抜け武術なんか、あたし1人で充分よ!」
「なんですって!あたしだって、1人で充分よ!」
マーニャの言葉にアリーナが色めき立つ。
闘いが日常である勇者一行の間では、戦闘能力の向上は最大の関心事の一つであり、
互いの腕を競い合うこともないではない。
特に、負けず嫌いのアリーナとマーニャが角つき合わせることはしょっちゅうであった。
しかし、今回はいつもとは違い、何やら抜き差しならない雰囲気となってきている。
こういうときに頼りになるはずのブライは、腰痛で馬車の中で寝込んでいた。
既に、アリーナとマーニャはお互いの間合いを取り始めており、
ミネアとトルネコは、もはや説得は無駄とみて、黙々と薬草と包帯を準備し始めた。
「ちょっと、2人とも…ソロさん、何とかしてください!」
クリフトは勇者の袖を引っ張ったが、勇者はあさっての方向を見ていた。
「無理無理。あの2人がああなったら、誰にも止められない。」
それに、2人とも、たまには痛い目に合った方がいいって、と苦々しげに言う勇者に、
クリフトは唇を噛み締めた。
22【勝負】3/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:41:58 ID:LUTvY6IV0
マーニャの魔法に、アリーナの武術。
本気でぶつかりあえば、互いに軽くはない傷を負うのは必定である。
クリフトは、意を決したようにアリーナ達の方へ歩み寄った。
「そういうことならば、強さ比べのルールは、第三者である私が決めさせていただきます。」
突然割り込んできたクリフトを、2人は胡乱な顔で見やる。
「強さを試す方法として、お互いに戦うのではなく、私を倒してみてください。
マーニャさん、姫様がそれぞれ交替に攻撃をして、私を先に倒した方の勝ちです。
傷を負えば、交替のときに自分に回復呪文をかけますから不公平にはなりません。」
アリーナは、驚いた顔で首を振った。
「そんな!クリフト、危なすぎるわ!」
「そうよ、あんた何考えてるのよ!」
マーニャもアリーナに同調する。
クリフトは、そんな2人を見てほがらかに笑って見せた。
「お2人とも、随分な自信がおありのようですね。私としては、太陽が地平線に沈むまでに
どちらかが私を倒せることができたら、お慰みだと思いますけども。」
太陽は中天を過ぎたと言っても、入日には程遠いところにある。
らしくないクリフトの挑戦的な発言に、勇者は驚いた顔で振り向き、
ミネアとトルネコも、薬草を持ったまま手を止めて目を見張った。
ライアンは、何か言いたげに眉を上げたが、口は閉じたままだった。
しかし、アリーナとマーニャは、クリフトの口調にカチンと来たらしい。
「言ったわね!クリフト!もう許さないんだから!」
「後悔するんじゃないわよ、その言葉!」
2人はクリフトに向かって構えを取った。
23【勝負】4/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:43:17 ID:LUTvY6IV0
「はあ、はあ、なんで、クリフト1人ごときを倒せないのよ!」
既に太陽は地平線に沈もうとしていた。
ギャラリーは、ミネアが入れたお茶を飲みながら座って観戦している。
アリーナもマーニャも、肩で息をしていたが、クリフトはまだ、たいした傷もなく立っていた。
クリフトは、アリーナの攻撃にはスクルト、マーニャの攻撃にはマホトーンを唱え、
あとは剣と体術で躱わすという非常にシンプルな方法で対応していたのみであったが、
なんといっても、クリフトの補助呪文のタイミングは、常日頃の実戦で鍛え抜かれている。
2人がそれぞれ、呪文の詠唱の隙を狙って攻撃しようとしても、うまく急所を外され、
気づいたときにはすでに呪文は完成し、主な攻撃の手が封じられている、という状態であった。
加えて、クリフトは、攻撃をかわしながら絶えず2人を挑発し続けており、それが
2人の冷静な判断力を失わせていた。
今も、悔しげにクリフトを睨む2人に対し、クリフトは馬鹿にしたような薄笑いを浮かべた。
「そろそろ日が沈みますよ。所詮、あなたの魔法なんて、そんなものですか、マーニャさん!
姫様も、武術大会で優勝された割には、攻撃がお粗末でしたね!」
2人の顔が赤く染まった。
「〜〜〜!もう許せない!」
「く〜〜!むかつく〜!!」
「マーニャ!」
「やっちゃいましょう、アリーナ!」
2人は同時にクリフトに向かって突進した。
「わ、ルール違反。」
お茶をすすりながら勇者が呟く。
ミネアは黙って用意した薬草を取り上げた。
24【勝負】5/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:44:49 ID:LUTvY6IV0
クリフトとて、同時に複数の呪文を唱えられるわけではない。
とりあえずマホトーンを唱えることに成功し、黒焦げはまぬがれたものの、
その間に間合いに入ったアリーナの突きが見事に決まり、遠く宙に舞った。
「アリーナ、よっしゃーー!」
「やったわ!マーニャ!」
手を取り合って喜ぶ2人の横を、ミネアと勇者が通り過ぎ、クリフトを覗き込む
「ザオラル、必要そう?」
「いえ、べホマで何とかなりそうですわ。」
あとで、薬草の包帯もしておきましょう、とミネアがクリフトに手をかざした。
「あっつ…、ありがとうございます、ミネアさん。姫様の突きは、相変わらずきついですね。」
クリフトが苦笑しながら体を起こした。
そんなクリフトにマーニャとアリーナが駆け寄って来た。
「どう!クリフト!」
「あんまり女をバカにするもんじゃないわよ!」
肩を組んでブイサインを決める2人を見て、勇者とミネアが静かに言葉を交わす。
「俺、こいつら殴ってもいいかな。」
「むしろ、クリフトさんにザラキしてもらって放置した方が静かですわよ。」
ライアンとトルネコも近寄ってきた。
「いや、クリフト殿、体を張ってのご仲裁、見事でしたな。」
「私にはとてもまねできません。クリフトさんならではの方法ですね。」
その言葉に、アリーナが我に返った。
「そういえば、私、マーニャと勝負してたのよね。」
25【勝負】6/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:47:13 ID:LUTvY6IV0
「でも、全部クリフトによけられちゃった。クリフト、いつの間にそんなに強くなったの?」
「ホントよ〜。相変わらず、隅に置けない男よね〜。」
全く反省の色を見せずにあっけらかんとしている2人の言葉に、クリフトは首を振った。
「私が強くなったわけではありません。今回の攻撃は、マーニャさんは魔法、姫様は打撃と、
あなた方がどんな攻撃をしかけてくるか、事前に分かっていましたから、防御する側としては
こんなに簡単な戦いはありませんでした。」
お2人が力を合わせない限り、私はいつまでもあなた方を防ぎ続けられましたよ、と続けると、
クリフトは、2人を厳しい目で見据えた。
「そして、それは、魔物にとっても同じことが言えます。」
2人は、ハッとした顔をした。
「分かりましたか、お2人とも。魔法と武術のどちらが上か、なんて全く意味のないことです。
それぞれが、互いに足りないところを補い合ってこそ、本当の強さが生まれるんですよ。」
2人はバツが悪そうに目を見合わせる。
クリフトは、そんな2人を見て表情を緩めると、優しく声をかけた。
「…それが、仲間でいるってことじゃないですか。」
その言葉にマーニャは照れくさそうに頬をかき、アリーナは満面の笑みで顔を上げると、
思い切りクリフトに抱きついた。
「クリフト!クリフトって、やっぱりすごい!」
「え?え?ひ、姫様!!??」
とたんに今までの威厳はどこへやら、真っ赤になってオロオロし始める神官を見て、
周囲は明るい笑い声を上げた。
―――それが、仲間でいるってことじゃないですか。
暮れなずむ空の下、クリフトの言葉は、仲間達の胸の中に暖かい炎をともしたのだった。
26ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/02/27(火) 12:47:55 ID:LUTvY6IV0
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

最近、説教臭いクリフトばかり書いている気がします。
とりあえず、マーニャ姉さんはもう少し大人にならなければと思います。
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/27(火) 14:57:45 ID:xJtyIhaJ0
クリフトができる男ですごいかっこいいよ…
クリフトはやっぱできる男じゃなきゃな!最高!
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/28(水) 00:02:00 ID:0QW6xPmVO
オイオイなんだよこのクリフトは・・・






カッコイイ!!じゃないか(・∀・)
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/28(水) 00:07:10 ID:g7pXfcg80
ペギーたんGJ!
クリフトが体張りまくりでしたね。
デキる&(頭の)キレる男でカッコイイです!
でも最初の朴念仁ライアンの余計な一言もちょっとウケた…w
しかも彼は悪気ゼロw
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/28(水) 00:47:35 ID:ITYA0elB0
GJ!!!クリフトカッコヨス!!!
そのミネアSSも読んでみたいぞ!
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/28(水) 21:54:09 ID:pnHETwC40
そうそう、クリフトは本来できる男なんだよ!
勇者とミネアの冷静な突っ込みにワラタ。
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/02(金) 18:51:22 ID:1Oh4SKDMO
ほ〜(*´д`)
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 07:53:11 ID:/p1Q8wHXO
しゅ〜(´Ο`*)
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 11:59:23 ID:RQN+ok1yO
このスレの勇者(ソロ)がすげえ好きだ。
辛い旅のはずなのにそんな素振りを一切見せずクリアリをからかいながら時に気を利かせて粋な計らいを見せたり…
マーニャと一緒になって悪ノリしすぎることもあるけど自ら旅の雰囲気が重くならないように明るく振る舞っていい奴だよ…
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/06(火) 04:39:41 ID:KnRZ96SJ0
勇者単体スレって今は無いよね?ちょっと残念
クリアリも好きなんだけど勇者も好きだったり
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/06(火) 08:52:30 ID:Cx0/q0y8O
♂W勇者のスレはないね。
クリアリが一番だけど、ブライも好き。
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/06(火) 20:49:42 ID:ufmGhczHO
投下街
38ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 11:55:56 ID:JBc0rd1S0
こんにちはです。
お題【勝負】への感想、ありがとうございました。

>>30
ミネアSS…きのこの人トリビュート、とかいう形だったらありかもしれませんが(^_^.)
もうちょっと推敲してみます。

レイクナバイベントで、クリアリを書こう!と思ったのに、
何故かトルネコとクリフトしか出てきませんでしたorz
別題「トルネコ、少子化防止キャンペーン」(笑)
39トルネコさんと1/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 11:56:57 ID:JBc0rd1S0
クリフトは、トルネコと2人、星空の下、無言でレイクナバの街を歩いていた。

古い友人と共に教会に行く、と言うトルネコに付き合ったクリフトだったが、
その古い友人の息子が、教会のシスターと結婚していることを知り、驚愕した。
神に仕える身でありながらこの人を愛してしまったと、しかし、幸せそうに
夫を見つめて微笑むシスターの姿は、いつまでもクリフトの脳裏を離れなかった。

沈黙をやぶって、トルネコがクリフトに話しかけた。
「クリフトさんは…結婚なさらないのですか?」
トルネコも、先ほどの夫婦のことを考えていたらしい。
「私は、神に仕える身で…。」
クリフトは、その種の質問に対し、いつも用いている常套句を口にしかけて、
今回に限ってはそれが通用しないことに気づいた。
トルネコは、顔をしかめたクリフトにくすくす笑った。
「そうそう、だめですよ、クリフトさん。今回はいつもの決まり文句では逃げられませんよ。
たった今、神に仕えながら素晴らしい家庭を築いている人にお会いしてきたばかりですからね。」
「…私は、不器用ですから…。新婚と家庭の両立などできません…。」
クリフトはトルネコから顔をそらすと、苦しげに言った。
トルネコは、笑い顔を引っ込めた。
40トルネコさんと2/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 11:58:33 ID:JBc0rd1S0
再び2人の間に沈黙が落ちる。
夜のレイクナバには人影もなく、石畳に、2人の足音だけが響いた。
トルネコは、しばらく無言で歩いていたが、やがてポツリと呟いた。
「…家庭を持つと言うことは、いいものですよ。」
さっきの話を蒸し返すつもりか。
クリフトは、逆にトルネコに質問することで攻撃をかわすことにした。
「だったら、トルネコさんは、なぜご家族を置いて旅に出ていらっしゃるのですか。」
実際のところ、以前から不思議だった。
エンドールの大商人であるトルネコが、どうしてこんな危険な旅に出たのか。
街にいれば、愛する妻と子と、何不自由なく豊かな生活が送れるというのに。
「そうですね、もし、私とネネだけだったら、旅に出てなかったかもしれません。
でも、ポポロが生まれたから…だから、私は旅に出たんです。」
クリフトは不思議そうな顔をした。
逆ではないのか。家族が増えれば、逆に家を離れられなくなるのが普通だろう。
トルネコは、満天の星空を仰ぐように上を向いた。
「私はね、ポポロに、平和な世の中を残してやりたいと思ったんですよ。
そのために、勇者さんたちと一緒に旅をすることにしたんです。」
「…でも、それだったら、他の方法だって…。何も、こんな危険な旅をしなくても。」
「おや、私はこのパーティでは、お役に立ってませんか?」
「いえ、そんなことは…。」
確かに、トルネコは戦闘能力こそ低いものの、その宝を探す能力、武器の目利き、
行く先々の街での人脈など、今の一行にはなくてはならない人物であった。
41トルネコさんと3/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 12:01:32 ID:JBc0rd1S0
「私は、世界を良くするために、自分を一番効率的に使える方法を選んだだけなんですよ。」
効率は大事ですよ、と商人の顔でトルネコは笑った。
「子供のために、親は、世界をより平和に、住みやすいようにしようと自分の持てる力を尽くす。
そうやって世界は少しずつ良い方向に変わっていくと思うんです。」
そう言って、トルネコは、クリフトを正面から見据えた。
トルネコは、もう笑っていなかった。
「クリフトさん。確かに、神様にお仕えすることも、大事なお仕事です。
でも、自分の子供に平和な世界を残してやるという喜びは、親にしか経験できません。
私は、クリフトさんにも、その喜びを経験して欲しいんです。」
クリフトは、トルネコの真剣さに気圧されたように顎を引いた。
「どうして、私に…?」
「クリフトさんだけじゃない、ソロさんもアリーナさんも、マーニャさん、ミネアさん…、
お若い皆さんには、全員、幸せになってほしいんです。
傷ついて、戦って、その先には、あなたたち皆に、幸せな生活が待っていると信じたいんです。」
「トルネコさん…。」
「私の夢は、クリフトさん、あなた達が、いつかは愛する人と結婚して幸せな家庭を作る、
そんな平和な世界が来ることなんです。」
「…トルネコさんの夢……いつかは、私も、愛する人と…。」
クリフトは、トルネコの言葉をつぶやくように繰り返していたが、
やがて、静かに首を振った。
42トルネコさんと4/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 12:03:09 ID:JBc0rd1S0
「トルネコさん、ありがとうございます。」
「…。」
「でも、私は…。
…トルネコさんは、私の気持ちをご存じだから、こんなことを言われるのでしょう?」
トルネコは驚いたようにクリフトを見た。
クリフトが自分の想いを他人にあからさまにすることは今までなかったことだ。
クリフトの表情は、星明りの下、どこか儚げに見えた。
「確かに、私は、姫様をお慕いしております。」
トルネコは、言葉もなくうなずいた。
「でも、だからと言って、私は自分が姫様と結ばれたいとは思っておりません。」
何か言いたそうに口を開けたトルネコを、クリフトはさえぎった。
「いや、それは、私も弱き人間ですから、そうなったらどんなにか…と夢見ることはあります。
しかし、姫様には、誰もが祝福するふさわしい相手と、幸せな結婚をしていただきたいのです。」
そして、それは私ではあり得ないんです、とつぶやいた。
「だから、アリーナさんとの結婚は望まないと…?クリフトさんは、それでいいんですか?」
「胸が全く痛まないと言ったら嘘になりますが…。」
クリフトは、以前、勇者とアリーナのことを誤解したときのことを思い出し、苦笑した。
「でも、これは、私の、偽らざる気持ちです。」
きっぱりといった。
「…そうですか。」
トルネコは、それ以上クリフトを追及することはなかった。
43トルネコさんと5/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 12:03:52 ID:JBc0rd1S0
十字路に来た。
クリフトは、トルネコに向き直った。
「トルネコさん、やはり、私はもう少し教会で祈りを捧げてから帰ります。」
そして、分かれ道を、ゆっくりと丘に向かって登っていった。

トルネコは、そのクリフトの後姿を愛情溢れる表情で見つめると、独り言を言った。
「クリフトさん。あなたは、アリーナさんが幸せになるために一番大切なことを忘れてますよ。」
一番大切なのは、アリーナの気持ち。
そして、トルネコは、アリーナ自身、気づいていないかもしれないその気持ちが、
誰に向かっているのか、分かっているような気がした。
「私は、アリーナさんの父上のような予知能力はないですがね。」
―――ここ一番というときの、私の勘は、外れたことはないんですよ。
トルネコは微笑むと、ゆっくりと宿への道を向かった。
44ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/07(水) 12:06:24 ID:JBc0rd1S0
地味〜な話にお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
トルネコ、実際にこんなオヤジが身近にいたら、ものすごくウザいと思います。

お題【明日世界が終わるとしたら】は、何故か訳の分からん長編活劇になりつつあります。
もう少し練り練り頑張ります。
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/07(水) 16:13:51 ID:2VkRBPcH0
ペギーさんGJ!トルネコは導かれし者たちの中で唯一妻子ある身だから
他の仲間とは違う見かたができるんですね。いいオヤジだぁ〜w
若いクリアリ・ソロ・姉妹、ホント幸せになってほしい。
あぁ、もちろんトルネコ&ブライアンも!

個人的に長編は嬉しいです。次のお題も楽しみにしてます!
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/08(木) 11:12:19 ID:t9WGtanYO
乙!面白かった!!
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/08(木) 11:26:36 ID:Bo/3QLX70
ちょw「新婚と家庭の両立」って。
うっかり願望が口に出たみたいだw

まあそれは置いといて、乙でした。
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/08(木) 12:18:28 ID:H1v6T5ziO
何かホントにトルネコが言ってそうな物語だったね。
楽しませていただきました!
49ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/08(木) 12:55:55 ID:1+9nBcP90
>>47
あ…!
わー、恥ずかしい、×新婚→○信仰です。

何度も誤字チェックはしているはずなのに…orz
50名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:01:43 ID:VXyJBjm80
(1)
姫様に仕官するようになった
6歳の時すでに運動神経で叶わなかった。子供心に、悔しかった。

14歳になって、身体つきはぱっと見、私が勝ってるように見えたのに
1対1で戦えば、勝敗は国中の人が一斉に私ではないと声を揃えるだろう。
無論、私もそう思った。

17歳で、私はやっと姫様への思いに気付いた。遅すぎだ。
そして、身分をひどく呪った。他所の国の王子が、羨ましかった。

19歳。姫様は城を飛び出した。
逃がしてなるものかと。
離れてなるものかと。
陛下の命令以前に、本能が私の足を動かしていた。



追いかけることしか出来ない。
身を案ずる事しか出来ない。
もしも貴方が私に何かを望まれても
それを叶えて差し上げる力は、

この私には無かった。






『Innocent Sinner 穢れなき罪人』
51名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:03:55 ID:VXyJBjm80
「いよいよ明日かあ…なんか、憂鬱。あ、これってマリッジブルーってヤツなのかしら」
「憂さ晴らしに壁を壊したりはしないようにお願いしますぞ、姫様」
「やだ、もうそんなことしないわよ」

嫁の貰い手がいなくなる、と教育係だったブライは口癖のように言っていたが
世界を救った勇者一行のうちの一人であり、サントハイム城の姫君という事、
お転婆な性格に目を瞑れば、容姿端麗の美女であるアリーナだ。
成人を迎えた途端、たちまち世界中から后にと無数の申し込みがきた。
一人娘であるが故、サントハイム王は散々迷ったが、
結局武術に長けると言われているブランカ国の王子の申し出を承った。

アリーナは明日、結婚する。
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:04:51 ID:VXyJBjm80
(3)
城中、結婚の準備で皆忙しく動き回っていた。

アリーナ姫の幼少時より仕官している、幼馴染の神官クリフトは
とうとう、十数年越しの想いを伝えられず、早く時間が過ぎるようにと
人一倍忙しく作業をしていた。


「ブライ、あたし皆に挨拶してくるね」
「いってらっしゃいませ」

アリーナは、迷うことなく向かった。
恐らく、二人っきりで話せるのはこれが最後だ。


「クリフト」

「姫様」

教会の本棚の聖書を新調し、整理していたクリフトは、足音と声に気付き彼女の代名詞を口にする。
叶わない恋を抱く片思いの相手。しかも明日、他の国に嫁ぐ身の女だ。
出来るだけその美しい姿を見ないようにと、わざとらしくテキパキ作業する。

「いま、忙しい?」

「あ、今はその…」

「そのままでいいよ。挨拶に来ただけ」

「…はい」
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:06:47 ID:VXyJBjm80
(4)
アリーナは、近くの長椅子に腰かけ、クリフトの手際の良い様な悪いような、
不自然な手の動きを目で追いながら、呟いた。

「明日、あたしは顔も知らない男のところにお嫁に行くわ」

「…姫様、失礼しました。ご挨拶が遅れてしまい…ご結婚、おめでとうございます」

「ありがとう」

いけない。
ただでさえ、自分の感情を隠すのが下手なのだ。
辛いときは、辛い表情が出てしまう。
クリフトは今、涙を必死に堪えていた。

「あたしね」

いとしい人の声が耳にまとわりつく。心に響く
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:08:24 ID:VXyJBjm80
「あたしね」

いとしい人の声が耳にまとわりつく。心に響く。

「結婚するなら、あたしより強い人がいいなって思ってたの」


私は6歳の時すでに運動神経で叶わなかった。


「あたしのことを、もういいよって思うくらいいっぱい愛してくれる人がいいの」


17歳で、私はやっと姫様への思いに気付いた。


「それからね…思い出を共有してる人がよかったの」


19歳。姫様は城を飛び出した。逃がしてなるものかと。離れてなるものかと。


「でも、それは私のわがままなの。わがままは、あの旅で終わりにしようって決めてたから…
 腐っても私は一国の姫だもの、私のわがままで国が傾くような事は二度と無いようにしなきゃ」


もしも貴方が私に何かを望まれても
それを叶えて差し上げる力は、この私には無いのです。
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:14:04 ID:VXyJBjm80

「初めて会ったのは、あたしが4歳の時だよねクリフト」

「はい。私は6歳でした」

「クリフトはあの頃から、ちっとも変わってないね」

「姫様こそ…」

「いつもクリフト、ヘトヘトなのに、私の遊びに文句も言わないでずっと付き合ってくれたよね」

「・・・」

「クリフトは真っ先にホイミを私にかけてくれてたよね」



「ありがとうね」






「滅相もございません」





姫様は私に背を向け、天を仰いで呟く様に言った。
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:18:12 ID:VXyJBjm80
(7)
「…クリフトは…あたしが姫じゃなかったら、って考えた事ある?」




何度も心で思ったことか。
あなたが、サントハイムの姫君でなければ。
姫君と言うことを取ってしまえば、私の幼馴染で。


気が強くて。

頑固で。

快活で。

美しくて。




ずっと、好きでした。
好きで好きで、死ぬほど好きでした。

「…貴方が姫様で無ければ、私がずっとお仕えする事もありませんでした…
 私は、主に姫様と出会えた事を感謝しております」
57名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:19:36 ID:VXyJBjm80
主よ

お許しください。

私は神官失格です。

私は大嘘つきです。

何度貴方を恨んだことか。



「顔も知らない王子様に、私の相手は務まるかしら…?
 顔も知らない王子様に、私を十分に愛せるのかしら…?
 …顔も知らない王子様は、私と何の思い出も共有していないのに…」

美しいはずの姫様の声が、不満で満たされている。
姫様にはいつでも美しくいて欲しいから私は姫様を軽く制した。

「姫様。そんなことを申されるべきではございませ…」

そこまで言ったあと、私は姫様の大声で逆に制されてしまう。

「何よ!!私の気も知らないで!クリフトなんか大嫌い!!」
58名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:21:55 ID:VXyJBjm80
(9)
大嫌いと凄む声にも驚いたのもあるけれど…

それよりも
振り返った姫様の大きな瞳から流れ落ちる涙に、言葉を失ってしまった。
どんなことがあっても、人前で泣く事がなかった姫様が泣いていた。
かつてサントハイムが魔物に支配されてしまった時も、
どんな凶悪な相手にその身体を傷つけられようとも、
涙を流す事はなかったのに、泣いていた。

私は謝罪の言葉を投げかけようとするが、更に姫様は私を制した。
私の胸に飛び込んできたのだ。



「ひ、めさま…?」
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:22:54 ID:VXyJBjm80
「クリフトの馬鹿ァ……鈍感……何で、分かってくれないの…」

身体が硬直している。
息をする事も忘れてしまった。顔が熱い。



「好き…」




姫様は私を見上げて、涙を次々に零しながら訴えてくる。



「好きなの、クリフト…
 大嫌いなんてウソ…ずっと好きだったの…今まで言えなかったの…好き…
 好きだよ…好きだよクリフト!!」
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:31:06 ID:VXyJBjm80
(11)
主よ

お許しください。

私は身分もわきまえず姫君を愛しています。

何度も心で思ったことか。
あなたが、サントハイムの姫君でなければ。
姫君と言うことを取ってしまえば、私の幼馴染で。
姫君でなければ。
姫君でなければ。

姫君で・・・・・・

「…私は、サントハイムに、貴方様に忠誠を誓う身です…涙を拭いて…
 私は貴方の気持ちにお答えする事が出来ません」

「姫様。どうかお元気で。嫁がれても、私はここで姫様のご無事を祈っております」


良かった。


涙を堪えて言えた。
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:33:35 ID:VXyJBjm80
(12)
姫様の手のひらが、
私の右頬を強く叩いたおかげで
辛い気持ちもどこかに飛んだようです。
痛い。

痛くて熱い。

ひりひりと、耳の奥まで痛みが伝わる。

ホイミをかければ治るけれど、


否、これが最後の痛みなのです。
じっくりと、この痛みを覚えておこう


アリーナが走り去ったあと、
クリフトは、アリーナの手のひらの跡が付いた右頬に、自分の手のひらを重ねた。
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 06:55:14 ID:VXyJBjm80
(13)
婚姻の儀は速やかに行われ、アリーナはとうとうブランカへと旅立った。
純白のドレスがとても似合っていた。透き通ったヴェールの向こうの、アリーナの表情は見えなかった。
知らない男が、アリーナの指に婚姻の証をはめ、その唇に自身の唇を重ねた。

お幸せに。
お元気で。
クリフトはいつでも貴方の事を想っています。

涙がとめどなく溢れた。
誰かにこの姿を見られたら婚姻の儀の雰囲気に感動したと言い訳をしよう。

主よ
お許しください。
私は神官失格です。
私は大嘘つきです。

姫様にも、皆にも、そして私自身にも。
これからずっと、嘘をつき続けることになるのでしょう。

なんと、罪深き事か。

私はサントハイムと姫様に仕える神官。
今日からは、ひとつ、守るべき対象が減った。集中して業務に励む事が出来る。
そういう事にしておけばよい。荷物が一つ減ったと、思っておけばよい。

涙を止める術も無く、クリフトはただ心で嘘をつき続けた。

fin
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 09:04:56 ID:KgwipaBB0
>>50GJGJGJ〜!!!

うおおお号泣!
切ない、切ないよクリフト・・・!
またよろしく頼みます!
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 09:14:33 ID:rx9I6bQo0
素晴らしかったです。
最初のモノローグがアリーナとの会話にリンクしていて
とても悲しい展開なんだけど
どこまでも理性を貫き通すクリフトが良かったです。
6550:2007/03/09(金) 09:16:19 ID:VXyJBjm80
>>63
おっと、挨拶もなしにいきなり投下してしまってごめんなさい。
本当は二人にはくっついて欲しいのですが、何故かこんな話の展開に…。
どこかのサイトで、血統図を見たのですが、
クリフトの子孫はDQ5のマリアで、
アリーナの子孫はDQ5のヘンリー、というのを見かけたので、
今度はそれにまつわる話も書いてみようかなって思います。

長くて、しかも改行が多くてごめんなさい。
6650:2007/03/09(金) 09:21:18 ID:VXyJBjm80
>>64
ありがとうございます。少々、くどかったかな?と
不安だったのですが、そんな風に言って下さるととても嬉しいです。
クリフトは理性の高さが仇になるタイプかな?と勝手に想像してます(^^;
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 11:31:16 ID:r5DlryggO
いやぁ すげーヨカッタ…ってか切ねぇ。
ぜひまた書いてください。
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 19:23:50 ID:JwSG/ukyO
これはよかった
大学落ちたのがどうでもよくなった
69名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 19:42:16 ID:0PwUySFm0
>>68
たしかに今日は東大とか国立発表の日だったな
元気出せとしかいいようがないが元気出してくれ。
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 21:27:24 ID:UHZzFQZ50
>>50
切なさがいいねぇ・・・泣けてきちゃった。

ところでブランカがどんな所か思い出せなかったのはナイショだ。w
5章で最初に訪れる城(街)なんだけど、どうしても凸凹姉妹と合流するエンドールの方が印象深いもんで・・・
強いて覚えてることを挙げると、ルーラを使うと(屋外でも)天井に頭をぶつけることかな?
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/11(日) 13:03:31 ID:bWt8vKpIO
ペギーさんも>>50さんもシリアスで良かった。GJ!!
72ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/12(月) 04:45:12 ID:L2Mim3wf0
…!!
ぎゅんぎゅん来ました。
>>50さん、めちゃGJです。
明け方から、切ないよ〜(;_;)
73ごぶさたのてんちょ ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 09:33:52 ID:TA2INSrp0
ペギーさん
>>50さん
お二人ともGJです。読んでてじーんときました。

さて、せつない系が続いてるので、自分も便乗しました。
設定が未来すぎたか?とも思いましたが、
もう書いちゃったので、用事が終わったら置いていきます。
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 18:32:15 ID:ZEzeeDXCO
てんちょだ!ひさしぶりー
用事終わるのマダ-?
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 21:39:23 ID:woxZdFxd0
>>73
    ∧_∧
    ( ・∀・) ドキドキ
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) ワクワク
  oノ∧つ⊂)
  ( ( ・∀・) てんちょさん期待してます。
  ∪( ∪ ∪
    と__)__)
76ソロ・昔語り 1/5 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:31:58 ID:q2ceUQuJ0
「もう……眠ったんだな」

俺は、目の前で横たわるクリフトの手を取り、両手で軽く握りしめた。
こことは別の世界に旅立ったばかりの奴の掌はまだ温かく、
もうこの世に別れを告げた者の脱け殻とは、まだ信じられなかった。

あの壮絶な戦いから、もう数十年が過ぎていた。
一緒に行動をともにした仲間たちは皆年老いたというのに、
なぜか俺だけは、まだ「青年」と呼ばれてもおかしくない外見のままだ。
知ってのとおり、俺の身体には、天空人の血が半分流れている。
彼らは、地上の者の何十倍もの寿命を持つと、空に浮かぶ城で聞いた。
そこの長である竜の神が、俺に天空の世界で暮らすよう諭したのは、
大切な仲間たちとの別れの時が、予想以上に早く到来するのと、
友のいない孤独な生涯を送ることになる俺への、
神様なりの粋な計らいだったんだろう。

だが、自分の運命を知らない俺は、その申し出をきっぱりと断り、
迷わず仲間たちと地上に戻ることを選んだ。
神様はしばらく考え、何かを俺に伝えようとしたみたいだが、
結局は何も言うことなく、地上への帰還を承諾した。

なあ、クリフト。俺たちが出会った頃を覚えているか?
重い病で寝込んでたお前に、俺は特効薬のパデキアの根を煎じて飲ませた。
で、意識が戻っての開口一番が、「はっ、姫様!」だっただよな。
お前がアリーナのことを好きだってこと、初対面の俺にもすぐにわかったぞ。
あれじゃ、いくら隠してるつもりでもバレバレだって。
ったく、苦労して薬取ってきたのは俺なのに、なんて奴だって思ったよ。
でも、旅を続けてるうちに、だんだんお前のことをさ、
応援したいって気持ちになってきたんだ。
だってお前、他のことは冷静沈着で非の打ち所のない完璧な神官なのに、
アリーナの一件になると、とたんに不器用なただの男になっちまう。
そのギャップが、捻じ曲がっていた俺の心をぐっと惹きつけた。
77ソロ・昔語り 2/5 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:34:57 ID:q2ceUQuJ0
だから俺は、旅が終わってからお前とアリーナをくっつけようと、
涙ぐましい努力をしてきたわけだ。時には裏工作も使ってね。
お節介だってわかってたけど、手を貸さずにいられなかった。
ラブレターの書き方、デートの誘い方、それから…おっと、これ以上はまずいか。
ま、恋愛に関しては、俺の方が先輩だったってのもあるけどな。
それから数年経って、お前らが結婚するって聞いた時は、そりゃ嬉しかったさ。
当人同士より喜んでるって、マーニャさんにからかわれてたっけ。
あの頃は「いいことをした」と、二人の縁結びを気取って有頂天になってた。
それが、お前に苦渋の道を歩ませることも知らずに。

俺はブランカ王の使者として、サントハイム城を何度か訪れたが、
そのたびに耳にするのは、お前の身分の低さを罵る声だった。
「平民出の青二才」だの、「影の神官王」だの、好き勝手に言いたい放題。
特に、貴族階級からの嫌がらせはひどいものだったらしい。
議会での妨害は日常茶飯事で、まともに会議すらできなかったそうじゃないか。
端整な顔立ちが売りのお前の眉間には、くっきりとしわが刻まれていた。
そんな辛い毎日を送るきっかけを作ったのは、俺なのかもしれないな。
俺さえ余計なことをしなければ、お前は平凡ながらも、
立派な聖職者として平穏な人生を送っていただろうに、と。

俺は一人、心の中で自問自答を繰り返す日が続いた。
自分が果たせなかった願望を、お前らに押し付けただけじゃないか、と。
がらになく悩む俺を慰めるかのように、人払いをしたあとのお前は、
見覚えのある笑顔を見せ、昔よく入れてくれたハーブティーをふるまった。
その隣にはアリーナが寄り添い、自分のカップに注がれるのを待っている。
少し痩せたかなあ。昔はもっとぽっちゃりして…なんて冗談を言ったら、
俺をじろっと睨んで、指の関節を鳴らすんだもんな。ありゃ心臓に悪かったよ。

『たとえ辛くても、愛さえあれば二人で乗り越えていける―――』
よくある恋愛の歌の文句じゃないが、お前ら二人を見てると
そんな歌詞がぴったりだったんだよな。
78ソロ・昔語り 3/5 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:37:26 ID:q2ceUQuJ0
故郷に戻ったあと、俺は半ば強引にブランカ王に頼み込んで、
形だけの二国会談を年に数度、お城で開いてもらった。
もちろん、会議なんてなしさ。針のむしろと化したサントハイム城を
離れている間だけでも、夫婦水入らずの時間を過ごしてもらいたかった。

時は流れ、お前らによく似た鼻たれ坊主とじゃじゃ馬娘の誕生を
心から喜んでいたブライさんが、ガキ共の成長を願いつつこの世を去った。
それから二十数年後、バトランドの老軍師となっていたライアンさんが亡くなり、 
世界の大富豪・トルネコさんも、最後は家族に看取られ、静かに息を引き取った。   
さらに十数年後、往年のトップダンサーとして不動の地位を築いたマーニャさんが
公演中に舞台の上で倒れ、そのまま帰らぬ人となった。
翌年になって、今度はミネアさんが突然行方をくらました。未だ消息はつかめずだ。
同業者の間では、自分の死期を悟った彼女が、死に際を見られたくないと
皆の前から姿を消したのではないかと囁かれている。

そして、お前にとって一番恐れていた日がやってきた。
アリーナの死だ。

アリーナは、自他とも認める素晴らしい運動能力の持ち主だった。
だがその分、肉体に過剰な負担をかけていたのには気付かなかったらしい。
せめてもの救いは、苦痛をそれほど伴わなかったことだろうか。
でもな、クリフト。俺は知ってたんだぞ。
お前がずいぶん前から不治の病を患い、長い間苦しんでたってこと。
他の連中は騙し通せても、俺の目はごまかせないさ。
それと、病弱だったお前が知恵を絞って考えた、プロポーズの言葉。
「私はアリーナ姫様をおいて、先に逝ったりなどいたしません!」だったっけな。
お前は偉いよな。ちゃんと約束を守ったってわけだ。
俺は、お前を誇りに思うぞ。お前の友達でいられて……本当によかった。
79ソロ・昔語り 4/5 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:39:24 ID:q2ceUQuJ0
気がつくと、俺は黒い列の一員となっていた。
別れの儀式は滞りなく終り、クリフトの死を悼む参列が果てしなく続く。
人々のすすり泣く声が、見えない棘となって俺の心に突き刺さる。
たまらなくなった俺は、そこから一人はみ出し、列をぼんやりと眺めた。
さっきまで突っ立ってた俺の場所が、ぽっかりと空いている。
まるで、黒い糸がぷつんと切れたみたいだ。

とうとう、俺一人ぼっちになっちまったか。
人前ではかろうじて堪えていた涙が、俺の頬を伝ってゆく。
拭う気力なんて、今の俺には残っていなかった。
温かい雫は重力に逆らうことなく、ただ土へと還っていくだけだ。
できれば俺も、皆と同じように年を重ねていきたかった。
将来の人生設計を語ったり、趣味を老後の生き甲斐にしてみたり。
叶うことのなくなった夢が一つ、また一つと消えていく。
緑もゆる大地へと注がれる、俺の思い出の証と一緒に。

遠くから、俺の名前を呼ぶ声がかすかに聞こえた。
おかしいな。俺のことなんて、もう誰も覚えていないはずなのに。
首をかしげていると、向こうからガキんちょ二人が近づいてきた。
小さな胸には、純銀で作られたサントハイム王家の紋章が光っている。
そうか、あいつらの孫か。まだ小さいってことは、末の息子の子供だろうか。
こいつら、俺に遊んでほしいとせがんできやがる。
感傷に浸る暇も、与えてくれやしない。困った奴らだ。
わかったわかった。相手してやるからまとわりつくなって。
それと、俺は「おじちゃん」じゃなくて「お・に・い・さ・ん」だからな。
見かけはまだ若いんだから、ちゃんとそう呼んでくれよ。

人は命を紡ぎ、次の世代へと繋いでいく。
何の因果か、二つの世界の血筋を受け継いでしまった俺。
どの世代までかわからないが、皆の子孫たちの行く末をを見届けるのも、
今の俺にとっては、一種の責務なのかもしれない。
80ソロ・昔語り 5/5 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:45:26 ID:q2ceUQuJ0
さあ、ガキんちょ共。何して遊ぶ?鬼ごっこか?かくれんぼか?
は?カードバトルゲームだって?俺、そんなのやったことねえよ…
あっ、お前ら笑ったな。バカにすんな、遊び方くらいすぐに覚えてやるさ。

……悪いな、クリフト。俺はまだまだお前らの処には行けそうにない。
もうしばらく、こっちで頑張ることにするよ。
いつかはわからないが、俺もそちらの世界にお引っ越しの日が来るだろう。
その時は、またお前の入れた茶の一杯でも飲みたいもんだ。
話のネタには事欠かない俺だ。他愛のない話で盛り上がろうぜ。



だから、そこで待っててくれ。おいてけぼりは許さないからな!



(おわり)
81 ◆ByK7Tencho :2007/03/12(月) 22:50:19 ID:q2ceUQuJ0
遅くなってすみません。
用事が終わった後で、WMP11を入れたら
パソがけいれんを起こしてしまいました。

今回は暗い話で、ご期待に添えなかったかもしれません。
天空人とのハーフである勇者と、地上の人間である
クリフトたちとは、寿命の長さが違うのではないかと
以前から思っていたため、こういう話になったわけです。
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 23:03:01 ID:XP/eZ7/MO
GJ!!泣けた!
ただ、個人的にはソロの語りならシンシアについて一言でいいから触れて欲しかった…。スレチになっちゃうけどね。
8350:2007/03/12(月) 23:38:09 ID:wHc0T+zq0
感想レスくださった皆様。誠に有難うございました。
とても暗い話で、しかもクリフトとアリーナが結ばれない話なので
どうかと思いましたが、皆様の言葉に助けられました。ありがとうございます。

>>76
てんちょさん、お話読ませていただきました!
「一人ぼっちになっちまったか」で涙が出てしまいました。
とても表現が上手で入り込んでしまいました!

あの、もしかしたらスレ違いかもしれませんが、
自分の名前の後ろに◆トリップを入れる方法、教えて頂けませんでしょうか?
前回の続き物が出来上がったのですが、いつまでも名前が「50」だと
滑稽に思えるので(^^;
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 00:03:58 ID:XEC3nLYH0
 コテ名#任意の文字列

を名前欄に書き込めばよろし。コテ名は無くてもよい。
例えば、
#クリアリ  これを名前欄に入れて書き込むと、 ◆ROREzJxPKY
同様に、
#クリフト      →   ◆QTiHWQWOXE
アリーナ#クリフト →  アリーナ ◆QTiHWQWOXE
クリ#アリ      →  クリ ◆/x6HAvLz7.
50#50です     →   50 ◆Nxo.MngFa.
◆の後に出てくる文字はあるスクリプトで決まり、それは[任意の文字列]と一対一対応。
意味のある文字の並びが欲しいなどの場合、詳しくは初心者板か、こちら。
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97_(2%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AD%E3%82%8B)

◆の前のコテ名は毎回変えられる。だが、#の後の文字列はパスワードのようなもの。
当然察知されにくいものを選び、また、忘れたりしないようメモっておくべし。
#を入れ忘れたり$と打ち間違えたりするとそのパスワードがバレて悲惨なことになるので、十分お気を付けを。
85 ◆I4yYouOL42 :2007/03/13(火) 00:18:03 ID:DthFl0cL0
>>84
>>50です
ご親切にありがとうございます(TдT)
スレ違いにも関わらず…とても分かりやすかったです。
今度からこのトリップで行こうと思います。
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 00:46:27 ID:2UBKhQFU0
何か賑やかになってきてうれしいぞ!
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 01:02:59 ID:XEC3nLYH0
しまった。
明日じゃないか!
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 19:58:43 ID:VjB+K8bB0
職人さんみんなすごいな。GJ!!!

>>87 ホワ(ry
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 21:22:32 ID:M5bb4peD0
>>85
クリフト・ミネアきぼんぬ
90名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 21:58:48 ID:bQdL0wgWO
つお題【お返し】
91名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 01:38:21 ID:u5Rr5UeKO
こんな良スレがあったなんて(´;ω;`)
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 02:08:18 ID:LUnAZXqy0
>>16-17
激しくうpきぼん!
93名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 02:25:41 ID:LUnAZXqy0
ttp://yotsuba.saiin.net/~1001ya/alflailawalaila/index.html
必死でググったらちょっと見つけたw
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 02:28:19 ID:jx3mNfLq0
この板の保管サイトとはいえ、21禁なんだからせめてリンクはトップページを貼ってくれ。
95名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 02:41:19 ID:LUnAZXqy0
そこがトップじゃないかったの??

スミマセン・・ orz
96ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:24:02 ID:zyTEPsQz0
てんちょ、読んでて涙腺きました…ソロ、切ないよ…!
4の勇者と8の主人公は、こういうの、あり得ますよね…悲しい。
あと、個人的に、「老軍師ライアン」がツボでした。

ええと、以前、お話しましたミネアSSです。
あくまでも、きのこの人トリビュート、ということで読んでいただければ…。
いや、トリビュートなんて言うのもおこがましいのですが、
我ながら、はしばしに影響のあとが見えるもので…。
97ミネア1/4 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:25:00 ID:zyTEPsQz0
私とクリフトさんには、共通の話題が多い。
同じ回復系呪文の遣い手であり、お互い、手芸や料理も嫌いじゃない。
また、神官であるクリフトさんは、霊の世界にも詳しくて
私達は、暇さえあれば、2人でいろいろなことを語り合っていた。
にもかかわらず、仲間うちで私とクリフトさんの仲が取りざたされることはなかった。
皆、クリフトさんが心から想っている人が誰か、良く知っているから…。

「ねえミネア。あんたまさか、クリフトのこと好きなの?」
ある日、2人きりのとき、姉さんからの突然の質問に私は冷やりとした。
「何を言うの、姉さん。あの人にはアリーナさんがいるじゃないの。」
「それじゃ、答えになってないわよ。」
「ばかばかしい。年下の、しかも他の女性を好きな人なんか、好きになりません。
クリフトさんとは良いお友達よ。」
「…なら、いいけどね…。」
疑わしそうな姉さんの視線をさけるように、私はその場を離れた。
姉さんに言った言葉がそのままはね返り、私を切りつけてくる。
…他の女性のことを好きな人なんか…、か。
98ミネア2/4 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:26:22 ID:zyTEPsQz0
クリフトさんに最初に会ったときには、
力尽き、闇の力に取り込まれそうになっている姿を、恐ろしくも気の毒に思った。
回復した後は、その常識ある言動や神官らしい落ちついた物腰に安心と好感を抱いた。
その後、クリフトさんが、あのとき闇に取り込まれていた理由を知った。
自分の命を危険にさらして、神官としての誓いに背いてまで、禁呪を覚えた。
全ては、想い人のため…。
たとえ、その想いが届かなくても。
それでも、守る。命を懸けて。
その、アリーナさんに対するクリフトさんの真摯な想いを知ったとき。
―――私は、恋に落ちた。

本当に、ばかばかしくて、笑ってしまう。
他の女性を想う心を知ったがために、その人を好きになってしまうだなんて、
要領が悪いにも程がある。
99ミネア3/4 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:26:55 ID:zyTEPsQz0
そんなある日、私は、クリフトさんにあることを打ち明けた。
「メガザルを覚えた…?何てことを!!」
「私なんて、攻撃も回復も中途半端で、これくらいしか役に立てないから。」
「そんな!ミネアさんは、いつも素晴らしい働きをされてるじゃないですか。
皆、ミネアさんを必要としています。」
真剣な目で私を見つめるクリフトさん。
「…だから、お願いですから、そんな呪文、使わないでください。」
そんな目で、そんな声音で、でも、あなたの想いはここにはない。

―――それでも、かまわない。
私が好きになったのは、アリーナさんを一心に想うあなた。
だから、あなたに、アリーナさんへの想いをあきらめて欲しいとは思わない。
ただ…、一つだけ…。
100ミネア4/4 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:27:30 ID:zyTEPsQz0
私がメガザルを覚えた理由。
私の命と引き換えに、他の皆が完全に回復したそのとき。
そのときだけは、クリフトさんの思いは私だけに向けられる。
きっと彼は、全身全霊で、私に蘇生呪文をかけようとするだろう。
クリフトさんの瞳に写るのは、私だけ。
…いっときでいい。
…あなたを、独り占めさせて欲しい。
それが、私の、たった一つの望み。

気づくと、クリフトさんは、まだ心配そうにこちらを見つめていた。
「…そうね、できるかぎり使わないようにします。」
私は、さらりと嘘をつくと、クリフトさんに微笑んでみせた。
101ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/14(水) 06:40:00 ID:zyTEPsQz0
すいません、すいません。これ以上は何も言いません。
脱兎。

102名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 06:42:44 ID:LUnAZXqy0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!


クリフト・アリーナがデフォなのは判ってるんだ・・(´・ω・`)
だからこそクリフトの真摯な心とミネアの献身的な一途さが共鳴して惹かれ合うのも
アリなんじゃないかと思ってたりする
想い人とか心に秘めた思いとか クリ・アリのカップリングリスペクトだからこそ
その裏側のサイドストリーBってな感じのクリフト・ミネアとかにも萌えるんスよ・・
チラ裏スミマセン

>97-100 GJ!
103 ◆I4yYouOL42 :2007/03/14(水) 06:47:00 ID:kkeueVv90
>>97さん
メガザルの使い方うまいと感心!!ミネアの恋心が可愛いです!
DQ4は魅力的なキャラばかりなので、みんな好きです…

>>89さん
では今からクリフト・ミネアを書いてみます。
>>90さんのお題の「お返し」を題材にしますね。
恐らく夜までにはでき上がるとおもいます。
クリアリ小説と同時進行に作業中なので、やや荒削りになってしまいそうですが
お許しください。
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 15:04:57 ID:WlddxxPcO
できればクリミネはよそでやってほしい
ここはクリアリスレだからクリミネはみたくない
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 19:09:58 ID:htfWe8YnO
まあそういう意見もあるわな
だから職人は控えめにしてどうしても書きたいときはタイトルに入れたらあぼーんできるからいんじゃね?

問題は携帯はあぼーんできないことだな
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 19:21:11 ID:w6V3jmQ0O
伏兵ミネアみたいな「クリアリ前提」のミネアならいいんだけど
最初からクリミネ前提はスレ違いかな
107 ◆I4yYouOL42 :2007/03/14(水) 20:00:53 ID:kkeueVv90
あっクリフトミネアとは言ってもクリアリ前提です。
ミネア→クリフト⇔アリーナのような感じになるかと(゚∀゚;)
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 21:42:45 ID:fFXD3D+cO
>>50楽しみにしてるよ!

以下独り言
鳥だけだと呼びづらいから出来ればコテも付けて欲しいな〜
109煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/03/14(水) 23:27:29 ID:d9Gtag6a0
久しぶりにやってきたら、なんだかすごい事になってた。まず、>>1さん、乙です。
そして
ペギーさん、>>50さん、てんちょさん、GJGJGJGJGJ……!!!!!
切ない系っていいですね〜。
次回作、楽しみにしています。

あ、今日ってホワイトデーだったのか。いまから考えても間に合うかな?
とりあえず一度落ちますノシ
110でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/14(水) 23:36:57 ID:kkeueVv90
すみません、コテつけました…由来は気にしないでください

小説、出來上がりました!
長いのでアプロと書き込みどちらにしようか迷っています
111【お返し】 ◆cbox66Yxk6 :2007/03/14(水) 23:55:00 ID:d9Gtag6a0
「お、クリフト。アリーナのところにいくのか?」
ニヤニヤとアヤシイ笑みを浮かべながら、ソロさんが言います。
「5倍…10倍返し位は必要でござろうな」
ライアンさん、私を見くびってもらっては困ります。
100倍返しでも、1000倍返しでもドンと来い、ですよ。
「倍返しというのも重要ですが、『質』も大切ですよ、『質』も」
そう、『質』は大切ですよね、『質』は。ご忠告ありがとうございます、トルネコさん。
「バレンタインデーの時はほっぺにチュ、だったんだろ?じゃあさ……」
……ソロさん、あまりはっきりと言わないでください。『照れ』ますから!!

「では、行ってきます」

お三方の熱い声援を背に、私が気合を入れて立ち上がった、その時でした。

「姫様が『おたふく風邪』に罹ったようじゃ。……クリフト、おぬしは『おたふく風邪』に
罹ったことがなかったはずじゃな。近づかん方がええぞ」
ブライ様が疲れた顔をして部屋にお戻りになりました。

『おたふく風邪』…確か男性がおとなになってから罹患すると『とある機能』に支障をきたす
恐れが高いとか…。

私の背筋に戦慄が走ります。

『おたふく風邪』…よりにもよって『おたふく風邪』!?
私と姫様の甘いホワイトデーは??

「……おぉ神よ。私はどうすれば…」

……こうしてホワイトデーは過ぎていった。
112【お返し】 ◆cbox66Yxk6 :2007/03/14(水) 23:56:09 ID:d9Gtag6a0
(おまけ)
「はい、アリーナ。クリフトがパデキア取ってきてくれたわ」
「……マーニャ。どうしても飲まなきゃ駄目?」
「ん〜、でも、彼、おたふく風邪に罹ったことないみたいだから、治るまで会えないわよ?」
「…………じゃあ、飲む」
「相当苦いみたいだから、鼻つまんで一気に飲みなさいね」
「どうせだったら……に『口移し』で飲まして欲しかったな」
「そんな顔しないの。おたふく風邪が治ったらさ、『口直し』してもらえばいいじゃない」
「あ、それもそうね。じゃ、一気に…………って、まっずーーーーーいぃぃ…!!」

……どうやら『口直し』は一回ですまなさそうだ。
113煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/03/15(木) 00:03:55 ID:d9Gtag6a0
あ、危なかった〜〜〜。リロ忘れて投下しちゃった。
でり子さんとかぶらなくてホントよかったです。
つぎからは気をつけます。そして、14日中に間に合ってよかった。

ではまたノシ
114名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 00:06:39 ID:fFXD3D+cO
煩さんひさしぶり!相変わらず書くのはやっw
治ってからの二人が気になる・・・!!


でり子さん
独り言だったのにありがとう(・∀・)アプロでも投下でもどちらでもドゾー!
115でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:09:48 ID:Ww5j3d2K0
「ミネアさん、よろしいでしょうか?」

「え?」

何やら嬉しそうにわたしに突然話しかけてきたのは、クリフトさんだった。
珍しい。いつも姫様姫様ってアリーナの後ろばかりついていってるのに。
もう一人の付き人であるブライさんもいないようだし…

「どうしたのですか?珍しいですね ひとり?」

私は自分の思ったとおりにクリフトさんに返す。
私の問いに、少々バツの悪そうな笑顔を浮かべて、口元を手で隱しながら小声で言った。


「私のこと、占ってほしいんです」

「は?」


「お返し」>>89さんリクエストありがとうございます。
116でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:10:28 ID:Ww5j3d2K0
「つまり恋占い?」

私の一言は、この人の羞恥心に火をつけたらしい。
まさに瞬間湯沸かし器とでも例えるのが易し、みるみる顔が赤く染まった。

「いやっあの…、デスピサロ討伐という目的の最中、大変不謹慎なのは承知の上なのです。
 しかし…どうも気になって夜も眠れないのです…」

「へーぇ…」

慌てまくる樣子がおかしくて、笑ってしまうのも失礼だと思い、水晶玉に目を落とした。

私は、はっきり言って男性不審だ。
姉さんの派手な男遊びを目の当たりにしてきたというのもあるけれど、
モンバーバラで過ごしていた頃に、姉さんの舞台を見に来ていた醉っぱらいの男に絡まれ、
乱暴された過去もあった。その所為で私はどうも男性が純粋な人間だとは思えない。
デスピサロ討伐のこの旅で出会った人たちの温かい心のおかげで、少しは和らいだけれど
それでもいつも一歩下がったところで会話をする。仲間を信じていないわけではない。
けれど、まだ怖い、そしてまだ憎い。しかし私の過去は姉さん以外の人に話していない。
私を冷めていると見る人も多いだろう。
わけもなく私のような立ち振る舞いだったら、そう思われても仕方ないと思っている。
だから、私は心のどこかで驚いていたのが少しと、鬱陶しいのが少し、

そして

嬉しいのも少し。ほんの少し。
117でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:11:10 ID:Ww5j3d2K0
「相手はアリーナさんで宜しいですよね?」

水晶玉を見つめながら、当然のように聞いてみた。
が、何をそんなに慌てる事があるのか、大げさな声をあげた。

「な、何故わかるのですか?さすがはミネアさん、占い師って素晴らしいですね」

「………」

気付いていないのは当人たちだけのようですね。



私は水晶を台座に乗せ、タロットを組んだ。

「あれ?その水晶は使わないのですか?」

「これでも占う事は出來ますが、とても大まかなものなのです。
 水晶があることによって、タロットの魔力はより力を増し、より正確な結果を得る事ができます」

対人関係ならセブン・テーリング法が良い。

「現状」の位置に一枚。
「自分」の位置に一枚。
「相手」の位置に一枚。
「原因」の位置に一枚。
「注意」の位置に一枚。
「方法」の位置に一枚。
「結果」の位置に一枚。
118でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:12:05 ID:Ww5j3d2K0
思えば恋愛の占いなんて初めてかもしれない。
モンバーバラにいた時も、仕事や金錢、生命・健康にかかわる占いばかりだった。
それに私自身、恋愛経験がないものだから…少し、興味が湧く。

「では貴方の手で、順にカードをめくってください」

「え?あ、はい」

生唾を飲み込む音が聞こえた。
あくまでも占い。私の占いはよく当たると言われるけれど、絶対ではない。
私の占いに頼る人でさえ、「いいことだけ信じる」という風な考えばかり。
それなのにこの人は、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際のような切羽を詰まった顔。
とても必死。

なんだろう。
不思議な人。


「めくり終わりましたよ。ミネアさん」

はっと我に帰る。
私とクリフトさんの目の前には

「現状」に「吊るされた男」の正位置。
「自分」に「愚者」の正位置。
「相手」に「力」の正位置。
「原因」に「節制」の正位置。
「注意」に「塔」の逆位置。
「方法」に「戦車」の正位置。
「結果」に「隠者」の正位置。
119でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:13:25 ID:Ww5j3d2K0
「あ、あのミネアさん、これってどういうことなんですか?」

クリフトさんがうずうずした樣子で私に尋ねてくる。
私は解析と解説を同時にすることにした。

「そうね…まずは現状。今はひたすら耐える、そして尽くす一方のようですね。
 己を磨く時期とも出ていますわ」

「尽くす一方・・・」

自分で読んでいて笑えてしまう。まさかこんなに当たるなんて。
アリーナさんとクリフトさんの関係はまさに今そんな感じね。

「次。自分というのは自分の考えや心理状況、立場をさすのですが…愚者の正位置ね。
 ……夢想と無知。強いて言えば、まだ女性の事をあまり分かっていない、と」

「私は神に仕える身なもので」

「占いですよ。あくまで。そんなに真剣に答えないでください。次…
 相手の考えや望み、心理状況ね。これは強固な意志と長期戦の意味を持ちます。
 好きな人以外には見向きもしないようね。好きな人がいればの話ですけれど…
 あ、気を落とさないでくださいね。占いですから。」

今のアリーナさんを見ていると、私と違った意味で恋愛に興味が無さそうな気がする。
それに強固な意志というのはもしかしたらデスピサロを倒すことで頭がいっぱいなのかもしれない。
120でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:14:21 ID:Ww5j3d2K0
「そして原因。これはどうして今のような状況になったのかということ。
 …節制の正位置。調和や自制、節度、献身にとらわれすぎている為…と言った所でしょうか」

「・・・」

もはやクリフトさんは何も言わなくなった。
私の一言一言が効いているらしく、首を縱に降りつづけている。

「そして注意。これは今後注意するべき点を表します。…まあ、不吉なカード。
 突然のアクシデントや誤解に気をつけるべきだわ。
 …もっとも誤解はともかく、突然のアクシデントは避けられない事なんですけれど」

「・・・注意のしようがないじゃないですか」

「それは次の「方法」で説明します。これはどうすれば良いのか表しているんです。
 これは…援軍を求めるというのが良いみたいですね。アリーナさんとクリフトさんを
 取り持ってくれる人を探したほうがいいということです。
 もしもトラブルが起こった際は、その人に頼んで誤解などを取り除いてもらう事ですね」

「はい」

「そして、結果。二人の行く末は…
 不滅の愛。そして思い出になると出ています。相手を尊重しあう関係になるようですね。
 親の奬める縁談がキーワードになっています。人目を気にしていると示しています。
 まあ、あくまでも占いです。占いが全てではありません。
 どんな結果が出ようとも、諦めることなく、問題を打破して行くことが一番の希望でしょうね」

不滅の愛が思い出になるというのはどういうことなのだろう。
自分で占っておきながら不思議で仕方がなかった。

「はい。ありがとうございます」
121でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:16:20 ID:Ww5j3d2K0
クリフトさんは、複雑な笑みを浮かべて私に頭を下げた。
これほど長く異性と個人で話したのは、お客さま以外で初めてだ。
まあ、ある意味お客さまなのかもしれないけれど。
でも、何故か疲れる。頭から腰にかけて、疲労感がどっとのしかかる。
慣れない占いをしたせいだ。早く休みたい。


ん?

「あの、まだ何か?」

占いを終えたクリフトさんは何故か私の前から立ち去ろうとしない。
ここに尋ねてきた時と同じように、バツの悪そうな顔で私に微笑んでいる。
神官という職業だからなのか、
それともこの人の性格なのか、
優しい顔。
それが心の底からなのか、仮面なのか。
つい、私はクリフトさんを凝視してしまう。

「援軍、お願いできますか?」

クリフトさんの一言で私は凝視を止めた。

「え、え ん ぐ ん ?」
122でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:18:06 ID:Ww5j3d2K0
「はい。占いに全て頼るつもりではありませんが、
 やはりトラブルは怖いものです。未然に防ぐ事ができるのであれば、助っ人を頼むに越した事はありません。
 女性をよく分かっていない私にとって、姫様と同性である貴方の意見はきっと役に立つと思います。
 お願いします、私の助っ人になって頂けませんか?」

手。
手を握られた。

喉から額にかけて、じわっと熱が上がっていくのが分かった。
なぜかしら。

「あ、ああ、あの…」

声が上ずる。こんなの変。わたしじゃない。

「だめですか?」

その優しそうな顔を近づけないでほしい。
仲間とはいえ、あなたは一応私の苦手な男性なんですから…
頭が真っ白だわ。何も考えられない。

ドクン
ドクン
ドクン。

「・・・わ、わかりましたから手を離してください・・・」
震えながら搾り出すように言った。

どうしよう、引き受けてしまった。
123でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:19:24 ID:Ww5j3d2K0
「ありえないわ…ありえない」

口から飛び出してしまった了承の言葉で、クリフトさんは手放しで喜んだ。
異性から恋のアドバイスを受けるなんて初めてです!なんて
今にも泣き出しそうな顔で嬉しがった。
そんなの、私だって初めてよ。私なんて、まだ人を好きになったことすらないのに。
私が引き受けると言った途端、アリーナさんの長所や、アリーナさんとの出会い、
自分がどれ程アリーナさんを愛しているか、などなど、
聞いてもいないのに、満面の笑みを浮かべて私に教えてくれた。
聞いてるこっちが顔から火を出しそうなほどの内容だった。

「人を好きになるって、恥を捨てるってことなの?」

宿をとった私達は二人一部屋で割りあてられ、
私はいつものごとく、マーニャ姉さんと相部屋。
姉さんは何時も私に金と男と酒とギャンブルの話しかしないから、
いつもそれを聞き流していた。けど、今日は別。
クリフトさんの恋愛相談を引き受けたからには、私が無知でいてはいけない。
姉さんに相談するなんて、心底イヤだったから、他に誰に聞けるわけもなく、独言のように呟いた。

「え?ミネア、好きな人できたの!?」

大きな独言だったのか、興味津々にこちらを見る姉さんの一言に
心臓が鷲づかみにされるように脈打つ。
124でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:20:35 ID:Ww5j3d2K0
「そんなわけないじゃない!ひ、独言よ!!」

「ふ〜ん??まあいいけどぉ。
 恥を捨てるんじゃなくて、最初から恥ずかしくないってことじゃなぁい?」

恥ずかしくない?
あれが?
どう考えても恥ずかしいわ。人によるかも知れないけれど、私にとっては
ザラキより、惚気と言うのかしら?とにかくあの甘い話が恐ろしいわ。
ありえないわ。

恋愛って変。不思議。
125でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:20:57 ID:Ww5j3d2K0
「あ、ミネアさん。昨日はどうもありがとうございました」

翌日。またも私はクリフトさんに話しかけられた。
バツの悪そうな笑顔は確信犯なの?

「いえ。それよりもクリフトさん。助っ人の事ですけれど…
 私は占いをする事に関しては、抵抗はありません。本業ですし。
 ですが、恋愛の事に関しては…全く経験がないもので。お役に立てるとは思えません」

私は、彼を出来るだけ傷つけない言葉を選んで、斷った。…つもりだ。
だけど彼は、何を勘違いしたのか花が咲いた様な笑顔で

「そうですか。私も恋愛素人なんです。仲間がいて本当に嬉しいです」

………

なんなのこの人。
126でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:22:37 ID:Ww5j3d2K0
「姫様はお転婆だとブライ樣は仰られますが、そこが姫様の魅力だと私は思っております。
 ミネアさんもそう思いませんか?」

「やはり姫様がお慕いする男性は、武闘派の方なのでしょうか…
 でしたら私はもっと鍛錬しなければいけませんよね」

「姫様が」「姫様の」「姫様に」

本当に、目をキラキラと輝かせてアリーナさんの事を語る。
まるで少年。穢れを知らない男の子。
その笑顔を見ていると、少しだけ癒されてしまう。
決して心を許したわけではないけれど、つられ笑いってやつかしら。
私は姫様姫様と連発するクリフトさんがおかしくて、つい

「ふ」

と笑ってしまった。

「あ」

クリフトさんが目を丸くさせて私を見た。
慌てて私は緩んだ口を手で覆う。

「今、笑いましたか?」

見られてしまったみたい。

「ごめんなさい」
127でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:23:54 ID:Ww5j3d2K0
頭を下げた。理解できないにせよ、人の一生懸命な気持ちを笑うのは失礼だ。
顔を上げたら、クリフトさんが、男の子のような笑顔で言った。

「いえ。ミネアさんの笑った顔って素敵だなって思って」



世 界 が 、 真 っ 白 に な っ た 。
128でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:24:58 ID:Ww5j3d2K0
きっと確信犯だわ。
私の反応を見て樂しんでいるんだわ。
そうよ、そうに決まってる。そういうことなのミネア。
なのに何故。

私は鏡に向かって笑顔を作っているの?
頬を淡く染めているの?

恥ずかしい。恐ろしい。
そして熱くて苦しい。

理解不能だわ。


翌日も、そのまた翌日も、今日も、明日も、明後日も。
来る日も来る日も、クリフトさんはアリーナさんに関する話を持ってくる。
だけど私はすっかり面白くなかった。
鬱陶しいからなの?でも話をする事自体は嫌いじゃない。
男性不審とは言え、仲間なのだし…
だけどとてもとても腹立たしかった。
だからほとんど話を聞き流した。
なんてイヤな子。わたしったら。

理解不能だわ。
129でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:25:47 ID:Ww5j3d2K0
うんと私が小さい頃、占術を教えてくれた方が私に言ったのを思い出した。
占いは自分のために占っても、上手くいかない、と。
どういう事なのだろう。禁止されているわけでもない。どうしてだろう。
私の占いはよく当たる。それでもダメなのだろうか。

手が勝手に動いていた。

頭に浮かぶのは私自身の気持ちの正体だ。
私は、一体どうしてしまったのだろう…

タロットを一枚だけ引いてみる。
めくりかけたときに、絵柄が覗いた。
それだけで、鼓動が高まった。

「運命の輪・・・」

方向転換の時期。思いがけない幸運。
新しい分野への挑戦。イメージチェンジ。
あらゆる可能性を見出す。周囲の人間関係が変化する。

そして突然の恋であればそれは絶好期となる。


恋?

この私が?


誰に?
130でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:27:47 ID:Ww5j3d2K0
『ミネアさんの笑った顔って素敵だなって思って』

まさか。
そんな。
恋なんて。違う。慣れない言葉を掛けられた所為で驚いただけ。
そうよ、だからこんなに鼓動が早いの。
寿命が縮まったらクリフトさんのせいだわ。

…クリフトさんの。



…クリフト…さん。

心で名前を呟くたび、それに反応するように

ドクン、ドクンと脈打つ。

ありえないわ。
ありえない。理解不能だわ。

鏡を覗くと、私の顔が赤く染まっていた。

恥ずかしい。首元がくすぐったい。
どうせ占いよ。絶対ではない。

私はカードをそのまま道具箱に伏せてしまって置いた。
131でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:29:11 ID:Ww5j3d2K0
「…どうしましょうミネアさん」

心臓が飛び上がる。まさに渦中の人。クリフトさんがいつになく元気のない声で話しかけてきた。

「ど、どうしたんですか?今日もアリーナさんのこと話してくれるんでしょう?」

少し嫌味が入ってしまったかな…と私は思ったけれど
クリフトさんの元気のなさを悪化させることはなかった。

「それがですね…昨日から姫様が私と口を聞かなくなってしまって…
 ブライ樣や他の皆様とは普通に接しているのに、私だけが何故か…」

「え?あんなに仲が良かったのに」

イヤだ。いやな女だ。
クリフトさんがアリーナさんと上手くいってないと聞いた途端、ほっとした自分がいや。
その時。
船が大きく揺れた。世界がゆらりと回る。
私は均衡がとれなくなり、重心が傾くままに倒れこむ。

「ミネアさん!」

クリフトさんは私の後頭部に手のひらを回して、一緒に倒れこんだ。
大きくて、優しくて、暖かい。私の後頭部にじんわりとクリフトさんの手の感触が伝わる。

時間が止まった感覚だ。
ただ、私の鼓動だけはやむどころか、速さを増す。

「危ないところでした…ホラ、ここの角に頭をぶつけたりしたら、大変なお怪我をすることに…」

倒れこんだ私を、覗き込んでクリフトさんが安堵の溜息をつく。
下から見上げたクリフトさんの前髪がゆれている。
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 00:33:10 ID:vWbl7vHMO
長編支援!
133でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:40:43 ID:Ww5j3d2K0
ドクン
ドクン
ドクン。


顔が、熱いわ…
熱でもあるのかな。


ううん。
クリフトさんが、私に触れているから。


やっと、わかった。


私、好きなんだ  クリフトさんが
134でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:41:06 ID:Ww5j3d2K0
「…クリフト」

私もクリフトさんも、同時に声の方向に目をやる。すごい速さで。
船搖れは治まり、私達の無事を確認しに来たのか、
クリフトさんの愛しい人が、私達を見つめていた。
いつも天真爛漫で、笑顔の多い彼女の目は翳っていた。

「姫!」

クリフトさんは、私を手で抱き起こし、アリーナさんの元へと駆け寄る。

「御無事でしたか?お怪我は?どこかぶつけませんでしたか?」

クリフトさんは、何事もなかったように、アリーナさんの身に怪我がないか確かめ、
ホイミの詠唱をしようとする。しかし、その手をアリーナさんは叩いて突き放した。

「いらないっ!!クリフトのホイミなんかいらないっ!!」

「…え」

アリーナさんの大きくぱっちりと開いた意志の強そうな瞳には涙が溜まっていたのは、私の見間違えじゃない。
クリフトさんは拒絶された事に、混乱と、そしてショックを受けているようだった。
アリーナさんは、走り去る間際、私を睨み付けた。
その瞬間、恋愛経験のない私でも、嫌でも気付いてしまった。


ああ。
クリフトさんは、一方的なんじゃないんだってこと。
135でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:45:00 ID:Ww5j3d2K0
何よ。私の出番なんか、最初からいらないんじゃない。
恥ずかしい。
一人で舞い上がって。

『恥を捨てるんじゃなくて、最初から恥ずかしくないってことじゃなぁい?』

姉さんは言ったわ。
違うじゃない。すごく恥ずかしいじゃない。馬鹿馬鹿しい。


気まずい雰囲気に勝てなかったクリフトさんは、私に一礼して、
アリーナさんの後を追いかけて行った。
136でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 00:56:42 ID:Ww5j3d2K0
運命の輪のカードは外れたの?
突然の恋であればそれは絶好期となる。
期待してたわけじゃないわ。
そうよ、悲しいのは、私の占いが外れた事よ。
腕が鈍ったのかしら?

込み上げそうな熱さを我慢して、ぐっと堪えて、
宿に戻る。

ベッドに寝そべる姉さんを横目に、私は昨日そのままにしておいた
タロットカードをめくる。

「…あ」

やはり、自分の事を占うべきではないと、やっと意味がわかった。
占いの結果どうこうの問題じゃない。
自分の事を占うときは、感情が先走りする。
こうあればいいのに、このカードが出るように、と
少なからず希望が入る。
あの時、確認もしないで運命の輪の絵柄だけを見て意味を捉えた。

今私の目の前に出たのは、昨日のカード。

運命の輪が 逆さを向いていた。
137名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 01:01:03 ID:WWcrscLI0
支援!!!
138でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:03:03 ID:Ww5j3d2K0
タロットカードは、正位置と逆位置では意味が異なってくる。
どんなに良いカードでも、逆位置の場合、良いとは限らない。

運命の輪の逆位置の意味。
見込み違いのゆえ、物事が悪化する。不安定な時期。
そして失恋と、つかの間の恋。すれ違いが多くなる。判断ミスが多くなる。
けれど、今は苦しくてもいつかは幸せになる

そんなカードだったのだ。

「ふ、ふふ…ふふふ」

私はカードを見つめながら、笑った。
自分が、滑稽でたまらない。ほんと、馬鹿馬鹿しいことこの上ない。

「な、何よミネアったら!気持ち悪いわね!」

姉さんが私を不気味に思ったのか、怒鳴った。
けれど、私は笑い声をとめることができなかった。

止めたら

泣いてるって思われちゃうでしょ?

だから、止めない。
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 01:06:48 ID:+APoTadXO
しえーん
140でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:08:14 ID:Ww5j3d2K0
私の体は私の意志で動いてる、そうでしょ?
なのに何故。言う事を聞いてくれないの?

涙なんか、流したくないのに。


ポタ

ポタ

ポタ。


止まれ。
止まれ。
いいから止まりなさい。
良かったじゃない。
私の占いは外れていなかったんだ。

「ミネア」

姉さんが私の肩を両手で包み込んだ。
暖かくて、クリフトさんの手の温度を思い出してしまった。

ポタ

ポタ

ポタ。
141名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 01:10:48 ID:WWcrscLI0
シェーン
142でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:18:03 ID:Ww5j3d2K0
「姉さん。姉さんは『最初から恥ずかしくない』って言ったわ。
 けれど、私にはそう思わない。とても恥ずかしい思いをした。
 こんなにカッコの悪い事はない…」

姉さんに涙を見られないように、私はカードを見つめたまま、
平然を装って淡々と喋る。

「違うわよ、ミネア。
 あたしが言いたかったのは、『人を好きになることは、恥ずかしい事じゃない』ということ。
 ミネア、好きになったのね?初めて人を好きになったのね?」

ポタ ポタ ポタポタ。

頷いた時に、涙が一気に落ちた。
姉さんは私を後ろから抱きしめて、頭を撫でた。

「でも、クリフトさんは私の事、見えてない」

「そっか・・・ミネア、よく頑張った。
 辛い事があったとき、私はもうあなたが一生恋愛できないんじゃないかって思った。
 ごめんね、元はといえばあたしのお客だったんだ。何も出來なくてごめんね。
 でも、あたしが保障してあげる。世の中、捨てたもんじゃないよ。
 そりゃ、中には腐った男だってたくさんいるわ。けれど、ミネアがあいつの事、好きって思ったのは
 あいつの優しいところ見たからでしょ?…ちょっと頼りないけれどね。
 大丈夫、いっぱい恋愛してるこのあたしが言うんだから!ミネアには、きっと幸せにしてくれる男が
 この先いっぱい、出てくるよ。恋をすることは、恥ずかしい事じゃない。ミネア、自分を褒めてあげな」

姉さんがいつになく優しい言葉で言うものだから、
私の涙はついにとまらなくなった。
143名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 01:19:04 ID:V9b6DlPkO
私怨
144でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:24:04 ID:Ww5j3d2K0
姉に顔を見せた。きっと、見ていられないくらい醜い顔で私は泣いているのだろう。
そんな私の顔を抱き寄せて、姉さんは肩に埋める。

「初めての恋が上手くいくのは、とっても少ないんだ。
 神様が経験の少ない人に与える試練なんだ。あんたはまだまだこれからだから、頑張りなさいって。
 だからいっぱい泣いて、いっぱい成長しな。そんで、魅力的になって、
 あんたを振ったこと、後悔させてやるくらいになってやるんだ、ミネア」

「… う ん …」

私は姉に抱きついて、泣きじゃくった。
145名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 01:26:06 ID:WWcrscLI0
wktk試演
146でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:31:39 ID:Ww5j3d2K0
そうだ。
あの二人は、私たちが出会う前からずっとずっと一緒にいたんだ。
私が入る余地もない事は当たり前なんだ。
むしろ、それほど人を好きになれるクリフトさんは素晴らしいと思う。
きっと、アリーナさんを幸せに出來るのはクリフトさんだ。

ならば私のすべきこと。
私は二人の援軍になる。

突然のアクシデント・誤解。
塔の逆位置は、船搖れの件をさしていたんだ。

ここまでくれば、戦車の援軍が私しかいない。

こんなところで、クリフトさんの恋を終わらせはしない。

好きな人には幸せになってほしい。
147でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 01:47:19 ID:Ww5j3d2K0
「…!…ミネア」

アリーナさんの部屋をノックもしないで、入ってしまった。
相部屋だった、勇者さんも驚いて声を上げた。

「ごめんなさい、勇者さん。
 アリーナさんと二人でお話がしたいのです。少しの間、席をはずしていただけますか?」

「ん、了解。じゃあ、私外の空気吸ってくるわ」

扉が閉まる。勇者さんの足音が遠ざかるのを確認してから、私は口を開いた。

「あ、あの…船での一件。謝ろうと思って…ごめんなさい。
 言っておきますけど、船揺れのせいであって私とクリフトさんは何も…」

アリーナさんは、幼い顔で俯いて不機嫌そうな顔をした。
そのせいで、小さな女の子がふくれっつらをしているように見えた。

「…分かってるよ…。こっちこそ、ミネアのこと睨み付けちゃってごめんね」

「いえ」

「あたし、やっぱり城で育ったから、わがままなのかなあ…
 クリフトがね、毎日毎日ミネアと喋ってるのを見ると、なんだかとてもいらいらしちゃって。
 誰と喋っても良い筈なのにね。でもそのイライラを、クリフトにぶつけちゃって。
 よく分からないや、ハハ…」

アリーナさん、あなたは知らないと思うけど、
私とクリフトさんが喋っていたのは常に貴方の事だったの。
私だって、そう。私だって…貴方の事ばかり話すクリフトさんにとても嫌な態度をとってしまった。
最初は何故、こんな事をしてしまうのか理解できなかったけど
…そう。あれは正真正銘の嫉妬。
148でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 02:00:39 ID:Ww5j3d2K0
「クリフトさんとあれから仲直りした?」

船の一件のあと、アリーナさんを追いかけたクリフトさんのその後を聞いた。
けど、アリーナさんは不貞腐れて首を2回横にふった。
多分、私達は恋愛に置いてはとても似ている。
自分の気持ちに正直じゃないんだ。それに、…きっと初恋なんだ。
たった一つ違うところは、

私は片思いで、

貴方は両思い。

「クリフトさんに冷たくした事、後悔してる?」

「うん」

「じゃあ、素直にならなきゃ。
 貴方が素直になれば、クリフトさんはとても喜ぶと思うわ。
 …仲良しなんだから、ケンカしてるととても違和感があるの。パーティもギスギスしちゃうし、
 やっぱり、普段どおりが一番よ。明日、仲直り、できるわよね」

少し間のあいた後、アリーナさんは小さく頷いた。

アリーナさんがクリフトさんのことを好きなこと。
クリフトさんがアリーナさんのことを好きなこと。
わざとそれは言わなかった。私って嫌な女かな?

でも、この二人はきっと、大丈夫だよね。
149でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 02:14:17 ID:Ww5j3d2K0


数日後、いつも通りの風景がそこにあった。

クリフトさんは相変わらず姫様、姫様で。
アリーナさんは前以上に楽しそうで。

私の想いがこのまま封印されるのは、すごく悲しい事。
だけど悪い事じゃない。私はこれから、成長していく。
そして…

「あ、ミネアさん」

クリフトさんが私に話しかけてきた。

「姫様からお聞きしました。私が姫様と仲直りできたのはミネアさんのおかげです。
 やっぱり、貴方に援軍を頼んだのは正解でした。ありがとうございます。
 これ、昨日姫様と一緒に出かけて、よろず屋で買ったものです。私達からのお返しです」

私達、か…
見せ付けてくれるわね。
クリフトさんは、赤い包装紙に包まれたケースを私にくれた。

「ありがとうございます」

そう言って、私は微笑んだ。
150でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 02:26:07 ID:Ww5j3d2K0
自分の部屋でクリフトさんからもらったケースを開けてみる。
中から出てきたのは、 A Roda da Fortuna と彫られ、
美しい装飾が施されたイヤリングだった。
A Roda da Fortuna。
私への当てつけなのかしら?どこかの国の言葉で「運命の輪」。

「フフ…嫌味なお返し」

私は早速、そのイヤリングを身につけた。
まるで、最初からそこに身につけるのが当たり前かのように、しっくりくる。
私はもういちど、タロットを取り出し、自分の事について占った。
めくったカードは、運命の輪の逆位置。

「やっぱり、すぐには変わらないわよね」

カードを見つめて、左手でイヤリングに触れながら呟いた。
いつか、いつか、私はもっと成長して、綺麗になって、笑顔を増やして、素直になって。
幸せになるの。
私が好きになった人に、私以上に私を愛してもらう。
そしたら幸せになった私を、あなたに見せ付けてあげる。私って嫌な女。
だから、クリフトさん。このプレゼントのお返しはその時、に。

『失 恋 と 、 つ か の 間 の 恋 。
 け れ ど 、 今 は 苦 し く て も い つ か は 幸 せ に な る 。 』

(fin)
151でり子 ◆I4yYouOL42 :2007/03/15(木) 02:31:05 ID:Ww5j3d2K0
長くて申し訳ございません!!!!
途中、完成した文章がPCフリーズによって途中から書き直し、という事態になってしまって
えらく時間がかかってしまいました…支援していただいた方ありがとうございます。
投下物を読むのが面倒な方は、ttp://s-d-l.j-mx.com/okaeshi.txtでダウンロードできます

お付き合いいただき有り難うございました。
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 03:45:03 ID:YIfQfQ6e0
伏兵ミネアってのも意外にいいな
失恋フラグが似合いそうってのはちょっと可愛そうだが
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 04:00:00 ID:+APoTadXO
ヤバい、切ねえ・・・泣けた・゚・(つД`)・゚・
マーニャやっぱりいい姉ちゃんだったんだなぁ・・・
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 04:11:47 ID:YIfQfQ6e0
>>100
最後の2行に想いが集約されててすごく イイ!(゚∀゚)

投稿職人さん達みんな文章上手いな。
155名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 05:55:53 ID:lJ2VRcpcO
てんちょさん、ペギーさん、煩悩さんときて、>>50さんことでり子さん、と……
まるで何かの祭みたいだ! みなさんグッジョブ!!

……でも、最近はアリーナ視点の作品が少ない気がして何だかさみしい……。
勘違いだったら申し訳ないけど。
156名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 09:35:56 ID:s63vXdjfO
そういう時期もあるさ
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 10:18:10 ID:6MLFkBy6O
煩悩さん
乙&GJです。この文体をみるたび、オチを連想しながら読むんだけど、
おたふく風邪オチには吹きましたwクリフト、セツナス

でり子さん
大作乙ですー。いい、いいよ、ミネア。いい女だぁー!!
クリアリ前提のミネアは切なかったり、可愛かったり、魅力的で好きだ。本当にGJでしたー。
158名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 10:19:45 ID:b7U7pqS8O
職人さんみんな超GJ!
でり子さん長編乙でした!ほんのちょっと黒いミネアがいい感じです
辛い想いした分だけミネアにも幸せになってほしいです。
姉さんも最高!w
159名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 10:37:51 ID:+APoTadXO
ミネアをレイプした男は死刑だな。
しかしでり子さんはGJ!!
160名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 18:43:36 ID:WWcrscLI0
職人さん達、みんなGJ〜!!!
マジ最高です!

個人的にルーシアが絡む話も読んでみたいです。
アリーナとは正反対のイメージなので‥w
でもクリアリならなんでもいいです!w
161名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 20:05:57 ID:0EjBQQhF0
じゃあルーシアに対するPSクリフトのセリフ投下。イメージ喚起にどうぞ
「いなくなって はじめて
 人の良さって わかるものですね。
 いえ ルーシアは
 一緒にいるあいだも ちゃんと
 いい子でしたけど。」
162名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 20:32:16 ID:EOqFaFlDO
いい子、ってことは
完全に子供扱いか。
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 21:15:49 ID:+APoTadXO
むしろデスピサロ討伐後のSSでシンシア登場キボン




と、やり辛い難題を振ってみる
164名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 21:33:29 ID:WWcrscLI0
>>161
あのクリフトの言葉は微妙に冷たい感じがするな〜
ここでお別れって言ってんのに全然淋しくなさそうだったし。w
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 21:40:41 ID:YIfQfQ6e0
俺も、勇者・シンシアのSSキボンしたいところだが『カップリング』では激しくスレ違いなんだよな・・

でも職人さんのSS投稿スレでまともに機能してるのはココぐらいだから微妙

166名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 00:03:52 ID:+4HV+tuP0
もちろんクリアリ主体にしつつ
できればちょっと触れてくれ〜程度のリクにしてみては?

ルーシア関連もうちょい投下。でもこれ要は世界樹のセリフだからな…w
(ルーシアの「助けて」のセリフに対して)
「………。
 私が助けてもらいたい
 ぐらいです………。
 うっうっ た 高い……。」
(ルーシア仲間にした直後)
「ひどいケガをなさって。
 かわいそうに………。
 し しかし
 この上 さらに
 天空の塔に 天空のお城だなんて
 ああ 私はどうすれば……とほほ。」
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 00:38:08 ID:2+pHpvXk0
クリアリ いざ書こうとしたら難しいな
色恋関係は2人とも行動起こしそうで起こさない
狂言廻しになるキャラかエピソードが必要 パデキアの根のイベントがそれだけど
目新しさがないな うう

職人さん うまく話を転がすコツを教えてくれ
168ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:19:48 ID:+sx+E7nd0
すごいすごい、ホントにお祭りみたいです!
煩悩神官さん、お久しぶりです!そしてGJです!
煩悩神官さんの飄々としたクリフト、ホント大好きだ〜!

でり子さん、大作GJです!
マーニャが、いい姉さんでホロリと来ました。

ええと、お題【ルーシア】が【もしも明日世界が…】より先にできちゃいました。
ルーシアって、余り印象に残ってないんで、キャラ違ってたらごめんなさいです。
169【ルーシア】1/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:20:58 ID:+sx+E7nd0
「きゃー、クリフトさん、見てください、あの青くてプルプルしてるのはなんですかあ?」
「またかよ、勘弁してくれよ…。」
ルーシアの歓声に、御者席に座っていた勇者は頭を抱えて呟いた。
一行が世界樹の上で拾った、ルーシアと言う天空に住む少女。
羽を痛めて天空に戻れないという彼女を連れて、地上に降りたのは数日前のことだった。
地上に降りるのが初めてと言うルーシアは、見るもの全てが珍しいらしく、
馬車から頭を突き出し、何かに目を止めては馬車を降りて走り出す。
天空の塔に入るために必要という天空の装備を揃えるため、海鳴りの祠に向かう一行であったが、
その道行きは、遅々として進まなかった。

ルーシアの声に、勇者以外にもう1人、不機嫌そうに眉根を寄せた者がいる。
アリーナだった。
旅の仲間達は、ここ数日のルーシアの止め処もない質問の嵐に疲れて、
ルーシアに何かを聞かれても、適当にあしらうようになっていたのだが、
クリフトだけは、生来の生真面目な性格故、根気良くルーシアの質問攻めに付き合っていた。
自然、ルーシアも、クリフトにもっぱら話しかけるようになる。
今では、クリフトはルーシアにつききりの状態となっていた。
今も、
「ああ、あれはスライムですよ。世界樹にはいないんですか。
弱いですが、一応モンスターですから、余り近くによってはいけませんよ。」
「ええ〜、あれ、モンスターなんですかあ。あんなに可愛いのに〜。」
ルーシアの言葉に、クリフトがクスクス笑う声が聞こえてくる。
「スライムが可愛いなんて、ルーシアは面白いことを言いますね。」
アリーナが馬車の後ろを振り返ると、クリフトがルーシアの頭をぽんぽんと叩いていた。
アリーナは思わす、馬車を飛び降り、2人の元に駆け寄った。
170【ルーシア】2/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:21:35 ID:+sx+E7nd0
「クリフト!こんなにしょっちゅう馬車を止めてたら、全然前に進まないじゃない!」
いつになくきつい語調のアリーナに、クリフトは驚いたような顔をした。
ルーシアも怯えたようにクリフトの後ろに隠れる。
それを見て、アリーナは眉間の皺を深くした。
「皆が待ってるんだから、早くして!」
投げ捨てるように言うと、アリーナは2人から顔を背け、その場を足早に立ち去った。
「アリーナさんは、どうしてあんなに怒ってるんですかあ。」
ルーシアの不思議そうな声を背中で聞きながら、
アリーナは、それが知りたいのは自分の方だと思った。
アリーナ自身、何故、ここのところ自分がこんなに苛々するのか、理由が分からなかった。
しかし、この苛々があの天空の少女に関係していることだけは、何となく分かる。
彼女が一緒に旅するようになってから、どうも気分が良くない。
―――あの子が、ああやって皆に迷惑をかけるからだわ。
アリーナは自分自身にそう言い聞かせた。

結局、その日はほとんど前に進まないままに、一行は森のそばで足を止めた。
「へえ〜。シチューはこうやって作るんですかあ。」
夕食の準備をするクリフトの隣に、ルーシアがへばりついていた。
いつもであれば、夕食の準備をするクリフトの隣はアリーナの特等席であり、
クリフトを手伝いながら(と言っても、ほとんど手伝いになっていないのであるが)、
その日にあったことを色々とおしゃべりをするのはアリーナの楽しみの一つだった。
しかし、ルーシアが来てからは、アリーナが割り込む隙間がない。
アリーナは仕方なく、不機嫌のオーラを漂わせながら、ミネアと一緒に食器を並べていた。
周囲の仲間達は、そんなアリーナを腫れ物を扱うように遠巻きにしていたが、
アリーナは仲間の反応にも気づかず、クリフト達の会話に一心に耳を済ませていた。
171【ルーシア】3/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:22:13 ID:+sx+E7nd0
「天空人は、ホントは、食べ物を食べる必要はないんですよお。
でも、単に楽しみとして食事をすることはあるんです。」
クリフトさんのお料理はおいしいから、つい私も食べちゃいます、というルーシアに、
クリフトは「それは光栄ですね。」と嬉しそうに笑った。
アリーナは、その笑い声を聞いた瞬間、手にした食器を地面に叩きつけた。
木でできた食器は、壊れはしなかったものの、大きな物音に皆が驚いて振り返る。
アリーナは、自分の行動に自分でも驚いたが、ルーシアを睨むと声を張り上げた。
「何よ、食べなくてすむんだったら、食べないでよ!
食べ物がいつもいっぱいあるわけじゃないんだから!」
アリーナのいつにない乱暴な態度に、クリフトが叫んだ。
「姫様!」
その厳しい声音に、アリーナは思わず身構えたが、反抗的な目でクリフトをにらみ返す。
クリフトはそれを見てため息をつくと、ルーシアに、
「少しの間、この鍋を見ていてくれますか?」
と言い置くと、アリーナの方を向いた。
「姫様…。ちょっとこちらに。」
アリーナは、頬を膨らませると、しぶしぶクリフトに付いて行った。

皆から離れると、クリフトは静かな声でアリーナに尋ねた。
「姫様、最近、一体どうなされたのですか?」
「…。」
「確かに、ルーシアは、何かと我々とは相容れない部分があるかもしれませんが、
地上人ではないのですから、多少は仕方ないじゃありませんか。」
アリーナは、相変わらず頬を膨らませたままだったが、ふとあることに気がついた。
「クリフト…。何でルーシアを呼び捨てにするの?」
172【ルーシア】4/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:23:19 ID:+sx+E7nd0
クリフトが女性を呼び捨てにするのは非常に珍しいことだ。
クリフトはアリーナの質問に面食らったような顔をした。
「姫様、私の話を聞いて…。いえ、ルーシアの呼び名の件は、
彼女がそう呼んで欲しいというものですから。」
天空では、皆から呼び捨てにされていたので、他の呼び方をされると寂しいらしいんですよ、
と優しい目をしていうクリフトに、アリーナの中の苛立ちが再び顔を覗かせる。
「だったら、もし、私が呼び捨てにして欲しいって言ったら、
クリフトは私のこと、呼び捨てにしてくれるの?」
「な、何をおっしゃるんですか。そんな畏れ多いこと、とんでもありません。」
ぶんぶんと物すごい勢いで手を振るクリフトに、アリーナはいつになく距離を感じた。
―――今まで、クリフトを遠くに感じたことなんかなかったのに…。
まるで、ルーシアが、自分に取って代わってしまったかのようだ。
アリーナは、じわりと目の奥が熱くなって下を向いた。

そのとき、遠くから能天気な声が聞こえてきた。
「クリフトさーん、お鍋、焦げてますけど〜。」
ほてほてとこちらに向かってくるルーシアに、クリフトは額に手をやった。
「ルーシア…。『見ていて』というのは、そういう意味ではないんですが…。」

と、クリフトの額に当てた手がそのまま止まる。
アリーナも、はっと顔を上げた。
2人のそばまで来たルーシアは、不思議そうな顔をして2人を見たが、次の瞬間、
アリーナに突き飛ばされた。
173【ルーシア】5/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:29:46 ID:+sx+E7nd0
ふう、と肩で息をつく2人の後ろから、ぱちぱちと拍手が聞こえた。
「すごいすごい、お2人は、ものすごく息が合ってるんですね〜。」
ルーシアがはしゃいだように手を合わせている。
「もしかして、お2人は恋人同士なんですかあ?」
ルーシアの無邪気な質問に、剣を背中に収めていたクリフトが固まった。
「な、な、な、な、何を!?ルーシア、あなたは…。」
パニックに陥っているクリフトに、ルーシアはのほほんと首を傾げてみせる。
「ええ、違うんですかあ?だって、あんなに息がぴったんこなのに…。」
アリーナも何となく自分の頬が熱くなっているのを感じ、クリフトを見上げた。
クリフトは、赤くなったり青くなったりしていたが、アリーナに見上げられ、
飛び上がるように背筋を伸ばすと、
「そ、そうでした、シチューが焦げてるんですよね!鍋を見に行かないとっ!」
と叫び、焚き火に向かって脱兎のごとく駆け出した。
「へんなクリフトさんですねぇ。」
首を振るルーシアに、アリーナが慌てて言い訳をする。
「あ、あのね、ルーシア、別に私とクリフトは恋人なんかじゃないよ。」
「ええ、そうなんですかあ?でも、お2人の間には、他にはない強い絆が見えますよお。」
天空人の私には分かるんです、と胸を張るルーシアを、アリーナは疑わしそうに見つめたが、
それでも、ルーシアの言葉はアリーナの胸にほんわりと暖かく広がった。
―――強い絆、かあ。
何となく、頬が緩んでくるのが分かる。
さっきまでルーシアに感じていた苛立ちも、何故か嘘のように消え去ってしまったようだった。
174【ルーシア】4.5/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:33:55 ID:+sx+E7nd0
うわわ、1つレス飛ばしちゃいました!
173の前に、こちらをお読みください…!


「きゃあ、何するんですかあ!」
アリーナは、ルーシアの前に立つと、背中でルーシアに声をかけた。
「そのまま、立たないで!向こうの木まで這って移動して!」
既にクリフトは、アリーナの横で剣を構えている。
2人の視線の先を追ったルーシアは、ブルホークの集団が森から現れたのを見てとった。
「うわわ、これもまた、初めて見るモンスターですね…。」
のん気に呟くルーシアに、アリーナが叫ぶ。
「ルーシア、早く!クリフト!」
アリーナの声に、クリフトが、はい!と答えてスクルトの呪文を詠唱する。
防御の光が完成すると同時に、アリーナは前に飛び出した。
その隙にクリフトはルーシアを抱えて、ほとんど放り出すように木の陰に置いた。
「いたた。乱暴ですねぇ。」
ルーシアの抗議に全く耳を貸さず、クリフトは踵を返すとアリーナの元に走り寄った。
「姫様!」
ブルホークの鋭い角で怪我をしたアリーナにすかさずべホイミをかけると、
クリフトは手近の1頭を剣で切り倒した。
回復したアリーナが再び前に出てブルホークの横面を蹴り飛ばす。
アリーナが奮闘している後ろで、クリフトは左手を掲げ、死の呪文の詠唱を始めた。
「闇の遣い魔達よ、我が呼び声に答えよ…。」
クリフトの左手に黒い気が溜まる。
クリフトがアリーナに声をかけた。
「姫様!」
それに応じてアリーナがクリフトの横に飛びずさった。
「ザラキ!」
魔物達は、一瞬にして灰となった。


175【ルーシア】6/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:36:40 ID:+sx+E7nd0
うーん、流れが悪くなっちゃったですね。
これは、173の続きになります。174→173→このレス、という順で読んでください…。

それからというもの。
「アリーナさん、見てください〜!すごいきれいなお花ですう!」
「わあ、ホント!ねえ、クリフト、これで花冠作れそう!?」
ルーシアの行動にアリーナが便乗するようになり、旅の進行はさらに遅れることになった。
「何なんだよ、あいつら…。アリーナ、一体どういう風の吹き回しなんだ?」
勇者は御者台の上で胡坐をかいて、花冠を作り始めた3人を眺めていた。
その後ろから、マーニャが顔を出した。
「大方、クリフトに『姫様が一番大事です』とか何とか言われたんじゃないの?」
いつものことじゃない、と笑うマーニャに、
「ったく。まあ、この前みたいにピリピリされるよりはいいけどさ…。」
旅が進まねえんだよなあ、と勇者はため息をついた。

その後、何とか天空の塔までたどり着き、いろいろあったが、一行は、
ルーシアと別れを告げ、再び旅を続けることとなった。
のべつ幕なしに歓声を上げていたルーシアがいなくなり、一行の日常は元に戻ったが、
「何だか、あの『見てください〜!』が聞こえないと、妙に静かに感じるわね〜。」
伸びをしながら言うマーニャに、クリフトがうなずいた。
「いなくなってはじめて、人の良さってわかるものですね。
いえ、ルーシアは一緒にいるあいだも ちゃんといい子でしたけど。」
慌てたように付け加えるクリフトに、マーニャがニヤニヤと笑った。
「あんたは大変だったものね〜。ルーシアに付きまとわれたおかげで、
大好きな姫様のお世話もロクにできなくてさあ。」
マーニャの言葉に、クリフトが真っ赤になる。
クリフトの隣にいたアリーナも、一緒になって赤い顔をした。
176【ルーシア】7/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:37:10 ID:+sx+E7nd0
マーニャは面白そうに、赤くなった2人の顔を見比べた。
「ホントに面白いわね、あんた達。いいから、ほら、アリーナ。
これからはゆっくりクリフトに世話を焼かせて上げなさい。」
マーニャはアリーナをクリフトに向かって押し出すと、
あとはごゆっくり〜と手を振って馬車に戻って行った。

後に残された2人は、しばらく気まずそうに突っ立っていたが、
クリフトがコホンと咳払いをすると、アリーナに話しかけた。
「姫様…?陽気も良いようですし、しばらく、馬車を降りて歩きますか…?」
アリーナは、顔を上げると、目を輝かせてうなずいた。
「うん、クリフト、一緒に歩きましょ!」
「ああ、でも、一応マントはお召しくださいね、それから飲み水も持った方が…。」
クリフトが忙しそうにバタバタと用意を始める。
それを見て、アリーナは嬉しそうに笑った。
ついこの前までは、クリフトに細々と世話を焼かれることを、何となくうるさく感じていた。
でも、今は、クリフトがいろいろと構ってくれることが、こんなにも嬉しい。
―――私とクリフトは、強い絆で結ばれているんだから…。
―――いつまでも、一緒に歩いて行こうね、クリフト。
アリーナは、心の中でそっとクリフトに呼び掛けた。
177ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/16(金) 13:41:30 ID:+sx+E7nd0
ほわあああああorz
電話しながら投下作業していたら…大 失 敗。
最近、御簾が減ったと思ったらやっちまいました。
そもそも7レスじゃなかったし。

反省してきます…。


178煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/03/16(金) 13:49:07 ID:K7gYam2t0
うわっ、こんな時間にペギー神様とリア遭!
G〜J〜!!!
嫉妬アリーナ、かわいい〜〜〜最高です!

なんか今日はいいことがありそうだ(・∀・)

>でり子さん
うまいですね〜。ミネアの暗い過去が淡い初恋につながるとは…思わず引き込まれてしまいました!
もう何ていってよいやら…GJです!(ボキャが貧困でスマソです)
179名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 15:08:31 ID:Zoqdy66/O
うほぅ!ペギーさんGJ!
ルーシアのお題出した者です。感激です!
ルーシアのキャラはあんな感じだと思います。
悪気ゼロ・大らかな天然さん。w
嫉妬アリーナ・面倒見のいいクリフト、とても良かったです!

煩悩さんこんにちは〜!
180てんちょの足跡 ◆ByK7Tencho :2007/03/17(土) 00:50:48 ID:e3QzCyYG0
>>煩悩さん
お久しぶりです。パソの前でお茶吹きました。おたふく風邪、恐るべし。

>>でり子さん
長編乙でした。弱いようで強いミネアに惚れ直しました。

>>ペギーさん
ミネア&ルーシアネタよかったです。
名前呼び捨ての謎も解けて、頭がすっきりしました。

実は、この間書いたSS >>76-80 には続きがあります。
勇者とシンシアの話なのでスレ違いなのですが、
やっぱり入れたくなったので、ろだにうpしました。

http://up2.shinetworks.net/cgi-bin/snup-mini/index.html

shinemini2976.zip
DL:>>82のID, 解凍:てんちょ
181名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 01:32:40 ID:tnEk7Fqa0
>>180
花弁一枚じゃなくて完全復活させてあげたいです・・ (´・ω・`)
182名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 23:16:18 ID:hmb002Bj0
各職人さん、面白く読ませてもらっています。
私もひとつ思いついたのですが、ある映画のパクリなんですよね。
やっぱり投下するのはまずいかな?
183名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 23:25:10 ID:tnEk7Fqa0
気になるならリスペクトとかオマージュとか呪文唱えとけばおk
184名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 02:25:45 ID:ljWHz3Jv0
世の中に完全にオリジナルなんてものはないよ。
気づいてなくとも何かしらには絶対影響受けてるはず。
こういうのは程度の問題だから、とりあえず投下してみてはいかが?
185名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 03:08:07 ID:Pn6GaOOM0
職人さん、勇者xシンシアをシンシアスレに投下おながいします・・
186名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 20:19:24 ID:X3J990Rz0
>>185
シンシアまだ復活してないけどOK?
187名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 20:21:01 ID:Pn6GaOOM0
>>186
ドラクエ4のシンシアを語ろう
http://game11.2ch.net/test/read.cgi/ff/1169218987/
188名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 21:08:58 ID:JmDGW/pp0
スマソ誤爆した
189名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 10:15:12 ID:28Gm7K0EO
>>182 逆に興味あります。ぅpしてください!
190名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 12:59:02 ID:HxIMz/+rO
>>180
続編・・読めば読むほど味が出てくるなんともいえない終わり方ですね。。。
ハッピーでもバッドエンドでもないような…
4のエンディングにあてはめて考えるとシンシア復活は現実(完全ではないが)、
駆け付けた仲間たちの方が幻(というか思い出?)
みたいな解釈になるんですかね?うーむ深い。。。。
191名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 13:28:05 ID:MT8YSjDWO
申し訳ないが
ここはクリアリスレなので、
続編であっても別カップルならそれ相応のスレか
個人サイトでやってほしい。
192名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 13:51:04 ID:Rpa4v6te0
うむ。他キャラや他カップルもちょっと出張ってもいいと思うが
あくまでメインはクリアリのスレだからな
193名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:40:20 ID:ORtlasl60
こんばんは>>182です。
早速投下させていただきます。クリアリとはちょっと外れますが。
194名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:44:31 ID:ORtlasl60
キングレオ城でキングレオを倒し、ライアンが加わり導かれし者が全員揃った。
次はサントハイムにいるバルザックを攻略すべく、キングレオ周辺の地域で訓練度を上げていると、日が暮れてきた。
メンバーの疲労も溜まってきたようだ。勇者はアッテムトに泊まることにした。
だが、何せアッテムトの宿屋だからお世辞にも綺麗とは言えない。


「あーあ、何もこんな辛気臭いところに泊まらなくても…」
何やら宿屋の女主人と話しこんでいる勇者を横目にマーニャは不満タラタラである。
「さ、一杯飲んでさっさと寝ようっと」
マーニャは持っていた酒の入った小瓶を取り出しグイッと引っかける。
195名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:45:31 ID:ORtlasl60
真夜中−
日中の戦闘の疲れから、一同は熟睡している。すると突然、稲妻とおぼしき轟音と共に金属音がガチャ、ガチャとした。
「何だこの音は!?」
「敵襲だ!?」
「何、こんな所にまで魔物が!?」
「早く反撃しましょう」
「ひ、姫!ご無事ですか?」
一同は暗闇の中飛び起きて敵に応戦しようとした。しかし、

グキッ
「あいたたた、こ、腰が…」
ブライの腰が音を立てた。

ゴッ
「うわっ、足が引っかかった」
トルネコがベッドに足を引っかけ転倒する。

ドスン
「トルネコ殿、お、重いでござる」
トルネコの巨体の下でライアンが下敷きになっている。

ムニュッ
「ちょ、ちょっと、どこ触っているんですか!」
ミネアは胸のふくらみを触られ、恥ずかしさの余りクリフトの頬に平手打ちを浴びせる。

パシーン
「痛い、ミネアさん、そんな事言っている場合じゃないですよ!?」
突然の事の上に寝起きも重なり、なかなか反撃態勢に入れない。
196名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:48:55 ID:ORtlasl60
一同がようやく態勢を整え音のした方向に出ると、そこには勇者が立っていた。そう、この騒ぎは勇者がライデインを唱え、
持っていた剣で音を立てて敵襲に見せかけたのである。わざわざアッテムトに泊まったのは寂れきったこの宿屋なら
多少床を焦がしても問題は無いだろうという考えからだった。女主人と話しこんでいたのは許可を取っていたのだろう。
勇者は一同の醜態を見て、
「全滅だぞ!」
一言そう叫ぶと、
「いいえ、違うわ」
勇者の背後から声がした。勇者が振り返ると、アリーナが鉄の爪をピタッと勇者の首元近くに当てていた。
おーっ、と一同からは感心したような声が上がった。
「よく慌てずに飛び出したな」
「うーん、わざわざこんな所に泊まるから何かあると思ったのよ。やけに主人と話しこんでいたしね」
素早さもさることながら、なかなか勘も鋭いようだ。
「とにかく、これが野外だったら命取りだぞ。寝ている時も油断しないように」
いくら夜襲の訓練とはいえ、随分と強引な手段をとるものである。
197名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:49:50 ID:ORtlasl60
一同は再びベッドに戻ると、
「やれやれ、明日は馬車で休ませてもらうかのう」
ブライは腰の調子が良くないようだ。
「ううっ、まさかこう来るとは…」
トルネコは相変わらず呆気に取られている。
「…本当に油断出来ませんね」
実戦経験の豊富なライアンでもさすがに驚いたようだ。
「とにかく今晩はちょっと遅くまで寝させてもらいましょう」
ミネアは気まずいのか、クリフトとは目を合わせずに言う。
「うーん、さすがは姫です」
クリフトは感心している。先程のミネアとの出来事は完全に忘れているようだ。



「グー…」
この騒ぎの中、相変わらずマーニャだけは熟睡していた。寝酒がよく効いているようだ。
198名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 20:53:25 ID:ORtlasl60
以上です。何せ初めてなもので、至らない点は平にご容赦を。
元ネタについては後々明かすつもりです。
ではこの辺で失礼します。
199名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 21:41:35 ID:FkWS+WU00
乙…でもやっぱり、ここはクリアリスレなんだよな。
クリアリ以外のものは、見合ったスレに投下して欲しいなあ。
200名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 21:59:52 ID:idBf2IPV0
んー、でも、アリーナに感心しているクリフトあたりが、ちょっとクリアリ?
アリーナがクールでカコイイよ。乙!

ちなみに、元ネタ分からんな。

201ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:45:31 ID:XNCrYX/d0
煩悩さんとリア遭していたなんて…!すぐに戻ってくれば良かった…!
そして、ルーシアSSにご感想いただきました皆様、ありがとうございました。

>>てんちょ
記憶のないシンシア…切ない!幸せなのかもだけれど、切ないです…。

>>182さん
1人機敏なアリーナが格好良かったです。
ミネアに殴られながら「そんな場合じゃない」発言のクリフトも、らしくて受けたw

えーと、以前書きかけのSSが、ちょっとシンシアに触れていたので、完成させてみました。
でも、エンディング後じゃなくて、時期的にはサントハイム一行が加わってすぐあたりです。
そもそも、勇者×シンシアか微妙だし、しかも、出てくるのは勇者とクリフトばっかりです。
そんなもんでよろしければ、お付き合い下さい。
202シンシアのこと1/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:47:26 ID:XNCrYX/d0
クリフトが倒れた。
先日の戦闘で、クリフトはアリーナをかばい、ちょっとした怪我を負ったが、
その後も、連日の戦闘続きで、皆、体力、気力ともに限界の状態であったため、
クリフトの怪我が完治していなかったことに、誰も気がつかなかったのだ。
戦闘中、最後の魔力でアリーナにべホイミをかけると、そのまま地面に倒れ込んだクリフトに、
戦っていたアリーナ、勇者、マーニャは驚愕した。
彼らが魔物達をものすごい勢いで片付けている間に、馬車から飛び降りたミネアが
クリフトに懸命に回復呪文を施した。
それでどうやら怪我は癒えたようであるが、今度は熱がひどく、起き上がれない。
結局、一行は手近な街を目指すと、クリフトを宿に担ぎ込んだ。
心配顔でクリフトの枕元に集まった仲間達だったが、医者の
「怪我から少々ばい菌が入って弱っていたところに、風邪を引いたんじゃよ。
ま、いずれにせよ、しばらく安静にしていれば大丈夫じゃろ。」
との診立てに、ほっと胸をなでおろした。
「…申し訳、ありません…。」
高熱にうなされながら、途切れ途切れに謝るクリフトに、ブライが真っ赤な顔をして怒った。
「こんのアホ神官めが!ミントスの時の教訓が全然生きとらんではないか!」
その横で、ミネアが安心したようにため息をつく。
「でも、今回は大したことにならなくて、本当によかったですわ…。」
「まーったく、あんたは人騒がせなんだから!怪我くらいちゃんと治しときなさいよ!」
マーニャはクリフトにびしっと指を突きつけると、
迷惑だから、とっとと寝て早く元気になりなさい、と、皆を誘って部屋を出ようとした。
しかし、1人だけ、クリフトの枕元から離れようとしない者がいた。
203シンシアのこと2/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:49:06 ID:XNCrYX/d0
「アリーナさん…お医者様もああおっしゃってるんだから、大丈夫ですよ。」
トルネコに声をかけられても、アリーナはうつむいたまま動こうとしない。
「今回は、ミントスのときとは違うのよ、アリーナさん。」
ミネアに覗き込まれて、ようやくアリーナは顔を上げたが、その目には涙が光っていた。
「…本当に、大丈夫?今回は、パデキアはいらないの?」
涙に潤んだアリーナの声を聞いて、クリフトが体を起こそうとした。
「姫様、ご心配を、おかけして…。」
「ああもう、あんたはいいから寝てなさい!」
マーニャがクリフトを殴り倒すようにしてベッドに押し戻す。
「ほれ、姫様…。姫様がおられては、こ奴もゆっくり休むことができませんじゃ。」
ブライの言葉に、アリーナはしぶしぶ腰を上げた。
「そうそ、後の世話はソロに任せて。」
マーニャに言われて勇者が「げ。」と声を上げたが、マーニャはそれを無視した。
「アリーナ、私達は、下の食堂でおいしーいもの、いっぱい食べてましょ!」

皆が部屋から出て行くと、勇者はやれやれ、とクリフトの向かいのベッドにごろりと横になった。
「ソロさん…。あなたも、風邪が、うつりますから、他の部屋に…。」
クリフトがかすれ声で勇者に呼びかけたが、勇者は起き上がろうとしない。
「お前じゃあるまいし、そんなへなちょこ風邪なんかうつるかよ。
大体、今日は宿は満室だぜ?アリーナと相部屋してもいいなら、出てくけどな。」
勇者の答えに、クリフトが黙り込む。
しばらくの間、部屋にはクリフトの苦しげな息遣いだけが響いた。
勇者は、そのまま天井を見つめていたが、やがて、ポツリと呟いた。
「…お前さ。もうちょっと自分を大切にしろよ。」
204シンシアのこと3/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:49:45 ID:XNCrYX/d0
「…?」
クリフトが、いぶかしげに顔を勇者の方に向けた。
勇者は、上を向いたままクリフトの方を見ずに続ける。
「どうせ、お前、アリーナへの回復呪文を優先して、自分の怪我放っておいたんだろ。」
「…。」
「自分を犠牲にして、アリーナを守ろうなんて、考え違いもいいところだよ。」
「…それは。」
言いかけたクリフトを、勇者が強い口調でさえぎった。
「残された方の気持ちも考えてみろってんだよ!」
クリフトは、その口調の激しさに驚き、片肘をついて半身を起こした。
見ると、勇者の手には、小さな羽帽子が握られていた。
クリフトは、その羽帽子をこれまでにも何度か見たことがあった。
何に使うかも分からなかったが、荷物が増えても、決して勇者が手放さないアイテム…。
「…ソロさん。」
勇者の答えはない。
「よろしければ…その、羽帽子の、方のこと、お話、いただけますか…?」
そういうと、クリフトは激しく咳き込んだ。
「ああ、もう、寝てろっつんだよ、この馬鹿。」
勇者が慌ててクリフトに駆け寄ると、その背中を支えて寝かせ、額にタオルを乗せる。
クリフトは、世話を焼かれながら、懇願するように勇者を見上げた。
「…そんな目で見るんじゃねえっての。…仕方ねえな。」
泣く子と病人には勝てねえよ、と勇者は頭をかくと、アリーナが座っていた椅子に腰掛けた。
「そんじゃ、ま、子守唄代わりにでも聞いてくれ。」
勇者は、どこか遠い目をすると、語り始めた。
205シンシアのこと4/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:50:17 ID:XNCrYX/d0
故郷の村で、自分を育ててくれた桃色の髪のエルフの乙女。
もの心ついたときから、いつも一緒だった。
幼い頃は、母親のように、その後は、姉のように…
そして気がつけば、自分は彼女の背を越すほどに成長していた。
ずっとずっと、誰よりも、大切な存在だった。
いつもまでも、彼女と一緒にいられれば、それだけで幸せだと思っていた。
ところが、あの日。
魔物達の咆哮、村人達の怒号と悲鳴が聞こえてくる中で
―――あなたにもしもの事があったら 私……。
心配そうに自分を見上げるシンシア。
―――でも大丈夫。あなたを、殺させやしないわ。
その言葉を最期に、彼女は目の前から去っていった。
この、羽帽子だけを残して…。

淡々と語る勇者を、クリフトは、瞬きも忘れたように見上げていた。
勇者は、ふと気付いたようにクリフトの額の上のタオルを取り上げる。
「ああ、温まっちまった。ひどい熱だな、お前。」
クリフトは、タオルを洗面器に浸して絞る勇者に問いかけた。
「…ソロさん。あなたは、その、シンシアさんの、ことを…?」
「好きだったかって?まあ、好きだったのは確かだよ。」
勇者がさらりと答える。
そして、絞ったタオルを広げると、小さい声で付け加えた。
「だけど…女性として、好きだったのか、よく分からないんだよな。
 だいたい、シンシアだって、俺のこと男として見てたのかどうか…。」
206シンシアのこと5/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:50:51 ID:XNCrYX/d0
誰よりも、大切に思っていたのは、事実。
誰よりも、大切に思ってくれていたのも、分かる。
でも…。
―――私達、大きくなっても、ずっとこのままでいられたらいいね―――。
―――ソロのことが大好き!だから、いつまでも一緒よ、ソロ!
笑顔と共に言われた言葉が、恋心の表れだったのか、単なる親愛の情だったのか、
それを確認する前に、その機会は永遠に失われてしまった―――。
そして、それと一緒に、自分の気持ちも永遠に宙に浮いたまま…。

「なんで、お前が泣いてるんだよ。」
勇者は、クリフトを見ると、畳んだタオルをその目元にポン、と軽く叩きつけた。
クリフトは、そのタオルを上から押さえると、すいません、と謝る。
「…なんで、謝るんだよ…。」
「…いえ、ソロさんが、泣かないのに、私などが、泣いていいものでは、ないのに…。」
「…泣くのに、資格なんかいらないだろ。」
勇者は呟くと、声の調子を変えた。
「俺の話を聞いて泣くくらいなら、自分を犠牲にしてアリーナを守るなんてこと、やめろよ。」
「…。」
「俺は絶対に認めないからな。残された者の気持ち、考えろ。」
クリフトはタオルに手をやったまましばらく黙り込むと、低い声で答えた。
「シンシアさんと、私とでは、立場が…。私が、いなくても…姫様は、大丈夫です。」
クリフトの言葉に勇者はカッとなった。
「馬鹿ヤロ、お前、さっきのアリーナの様子、見ただろ!
どうあれ、お前がアリーナにとって大切な存在であることは確かだよ!」
207シンシアのこと6/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:54:00 ID:XNCrYX/d0
どこまでも自分の価値を認めようとしない神官に、勇者の苛立ちは募る。
「お前が自分を卑下するのは勝手だけど、それで辛い思いをするのはアリーナなんだ!
分かってくれよ…俺みたいな状態に、アリーナを置きたくないんだよ…!」
勇者は、もどかしげに叫んだ。
その声に含まれた悲痛な響きに、クリフトが目の上からタオルをどけて見上げると、
勇者は、背中を丸めて両手に顔を埋め、肩を震わせていた。
クリフトは、無言で起き上がると、勇者の肩にそっと手を回した。
勇者は頭をクリフトに持たせかけると、弱々しい声で呟いた。
「頼むよ…。もう、あんな思いをするのも、あんな思いを誰かがするのを見てるのも、
俺は嫌なんだよ…。」

誰よりも、大事な人が。
目の前で。
自分のために。

クリフトは、初めて、勇者の心の傷の深さを思い知った。
そして、自分の行動が、知らず、勇者を傷つけていたということも。
それは裏を返せば、勇者が、自分やアリーナをそれだけ心に受け入れてくれている証でもあり。
クリフトは、嬉しさと申し訳なさが入り混じった思いで、勇者の肩に回した手に力を込めた。
「ソロさん、すいません。…ありがとう、ございます…。」
勇者は、しばらく黙ったまま動かなかったが、やがて、ふっと笑い声をもらした。
「謝ったり礼を言ったり、ややこしい奴だな。……お前、また泣いてるのかよ…。」
「…泣いて、ません…。」
「ま、いいけど…それより、俺、男と抱き合う趣味はないんだけどな…。」
そうぼやきながらも、勇者は、クリフトから離れようとはしなかった。
208シンシアのこと7/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:54:54 ID:XNCrYX/d0
翌日、すっかり回復したクリフトの隣のベッドでは、勇者が熱で赤い顔をして横たわっていた。
「ちょっとちょっと、何なのよ〜。風邪なんかうつらないって言ってたくせに。」
マーニャがベッドの横で呆れ顔をするが、勇者は反論する元気もない。
「…そもそも、風邪がうつるほど近くに寄ったというのは、どういう状況ですの?」
ミネアがドスのきいた声で勇者に歩み寄る。
勇者は本能的に身の危険を感じ、思わず助けを求めるように辺りを見回した。
それを見たクリフトは、勇者の枕元に走り寄ると、その場をとりなすようにミネアの前に立った。
「ミネアさん、ソロさんは私の看病をしていて、風邪がうつってしまったんです。
ですから、こんどは私が責任を持って看病いたしますから…。」
「……これは、由々しき問題ですわね…。」
今にも懐から銀のタロットを出しかねない雰囲気のミネアに、勇者はシーツの中に潜り込んだ。
そこに、
「でも、ソロのおかげで、クリフトは元気になったのよね?ありがとう!ソロ!」
アリーナの元気な声が響いて、勇者はシーツから顔を覗かせた。
アリーナがクリフトの隣で、花が咲いたかのような笑顔を見せており、その横ではクリフトが、
優しい目で幸せそうにアリーナを見つめていた。
―――ああ、ほら、こうじゃないと。
勇者は、満足そうな吐息をついた。
それにクリフトが気づき、小さく頭を下げる。
勇者は、目を瞑ると、アリーナとクリフトの会話を遠くに聞きながら、心の中で呟いた。
―――シンシア…俺達の身代わりにするわけじゃない。だけど…こいつらだけは、幸せに…。
意識が途切れる直前に、笑顔で微笑むシンシアが見えたような気がした。
209ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/03/20(火) 00:59:56 ID:XNCrYX/d0
お付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
シンシアSSをご希望の方には、多分、物足りなかったかと…。

それにしても、なんで、うちの勇者はこんなにクリフトに甘いのか。
クリフトにも、お前年上だろ、しっかりしろ!と自分で突っ込みたくなります。
210名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/20(火) 01:34:27 ID:YXwwDOwa0
いやクリアリと勇シンを絡めるには良いやり方だったと思いますよ
どちらも満足させるSSの投稿ありがとうございました!
211名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/20(火) 01:36:26 ID:qxRPlkv50
乙乙乙
こういうのだったらクリアリSSだな。
このあとまたクリフトにうつったりするんだろうかw
212名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/20(火) 02:32:28 ID:RdnK+hFZ0
>>209
職人さん ありがとうございます!

210さんが言うように クリアリと勇者シンシア含んだ内容ですごくよかったです。
勇者がクリフトに優しすぎww
213名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/22(木) 12:28:14 ID:hLORuchSO
ぽしゅ
214名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/24(土) 02:07:10 ID:c9L+ADBKO
ああっ過疎ってる…
何かシチュ提案でもできればいいんだが…

ありがちに「初キス」ものとか萌える
215名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/24(土) 13:34:40 ID:mdvMCoc30
「マッサージ」とか
216名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 21:21:42 ID:lucA+X840
ほしゅ。
217名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 21:25:01 ID:eOoUym3Q0
クリムゾン的展開なのを希望

クリでもアリでもどちらでもよいので
218名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 21:44:42 ID:U3SpyHgz0
>>217
 ド ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア

クリフト「なにイィィィィィィィィーーーーッ!!
     アリーナッ!!!!!!!!!!!」
     「まさかッ! そんなッ! まさかーーーッ!!」
     「まさかッ! 王はッ! オレたちに護衛の任務をさせたのはッ!
      自分の娘を確実に自らの手で始末するためなのかァァァァァーーーーッ!!!」

王「そのまま帰った方がいい………………
  その柱から出たら…………お前は死ぬことになる…………」

クリフト「きさまにオレの心は永遠にわかるまいッ!!
     くらえ『ザラッキィーーー・フィンガーズッ!』」

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

クリフト「これは……!? !? !?」

王「最後だから教えてやろう………………
  おまえがたった今目撃し そして触れたものは………
  未来の おまえ自身だ
  これが我が『キング・クリムゾン』の能力!!

  『時間を消し去って』 飛び越えさせた……!!」


お眼汚し失礼
219名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 21:52:47 ID:JIx+ynwr0
あまりの馬鹿馬鹿しさに吹いたw
220名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 22:04:55 ID:eOoUym3Q0
>パデキアの種を探す為に南の洞窟に潜入するアリーナ。
>だが、それはモンスターの巧妙な罠だった。
>
>「いつもの力が出せれば…こんなモンスターなんかに…!」

こんな感じのを期待してたのに・・ (´・ω・`)
221名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/26(月) 00:48:19 ID:PL3mftXl0
「どう、クリフト。気持ちいい?痛くないかしら?」
「はい、姫様。とても気持ちがいいです。お気遣い感謝いたします」

姫様自らが、私ごときにマッサージを施してくださるとは。
私は感激のあまり、胸がいっぱいになっていました。
それに、これは正直驚いたのですが、力の加減がちょうどよく、
特に、背中から腰にかけての絶妙な揉み解しが、
酷使し続けた私の身体に、束の間の安らぎを与えてくれるのです。

そのため、少しでも気を抜くと、眠りに落ちてしまいそうです。
私は枕を握り締め、夢の世界への誘いを必死で拒み続けました。
仲間の皆さんは、姫様の日頃の戦い具合をご覧になっているからでしょうか、
姫様からのご厚意を固辞するようにとおっしゃったのです。
しかし私は、あえて受けることにしました。
そして今、私の判断は正しかったと自負しております。

アリーナ姫様。臣下である私めへのご厚情、本当にありがとうございます。
ですが、一つだけお願いがございます。

どうか、私の背中に馬乗りになられるのだけは、ご遠慮くださいませ。
他の方がご覧になったら、あらぬ誤解を招きかねませんし、
なにより……私の理性が、どこかに吹き飛んでしまいます。

と、申し上げたいのはやまやまですが、
姫様の生き生きとした笑顔を見ていると、つい口をつぐんでしまうのです。
ああ、神よ。ご存知ならば、なにとぞご教示ください。
私の神官としての理性は、いつまで持ちこたえられそうでしょうか。
222名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/26(月) 21:19:18 ID:NaJC8C5B0
>>219
ブライ「わしらはサントハイムなくしては生きられないんじゃ」
223名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 00:51:25 ID:Zc0Ak64FO
>>221 GJ!
224名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 17:24:43 ID:NtORbjGqO
>>221
馬乗りGJ!
225名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 19:35:18 ID:fD0wWhMX0
「よっしゃー、お題!初めてのキス!」
酔っ払ったマーニャが叫んだ。

宿屋で皆で酒を飲みながら、いつの間にかゲームが始まっていた。
お題を決めて、カードを皆で一斉に引き、ジョーカーを引き当てた者が
お題についての自分の体験を告白する、という他愛もないゲームである。

カードを引いた勇者が、げっ、と声を上げた。
「あ、ジョーカー引いたわね!さあ、初キスについて語ってもらうわよ!」
「マジかよ、勘弁してくれよー。」
と、勇者が目を上げると、教会に行っていたクリフトとアリーナが戻ってきた。
「パス!俺、このお題クリフトにパスする!」
「そんなルールは、ありませんじゃ。」
「男らしくありませんぞ。」
ブライとライアンは抗議したが、マーニャはしばし考え、にまりと笑った。
「よし、採用!そっちの方が面白そう!」

マーニャに呼び止められたクリフトとアリーナは、面食らった顔をした。
「はあ?初めてのキスの思い出?」
「何なの、いきなり?」
「いいから!そういうゲームなの!クリフト、とっとと話しなさいよ!」
酔っ払ったマーニャ姐さんに叶う人間はいない。
「なんで私が。どういうルールですか、それは。」
ぶつぶついいながらもクリフトは昔を思い出しているような遠い目になった。
皆は、興味津々でクリフトを見守っている。
アリーナも、息を詰めるようにしてクリフトを見上げていた。

ふいに、クリフトがほっこりと、幸せそうな笑みをもらした。

226名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 19:37:27 ID:fD0wWhMX0
「おお!!!」
皆が激しく反応する。
「何、何ですか今の!クリフトさん、何を思い出したんですか!?」
「【初キス】お題であんたにそんな楽しい思い出があるわけ!?」(←大失礼)
「クリフト殿も隅に置けませんな。」
「相手はどんな女だ、どんな!」

アリーナは、言葉を失っていた。
(クリフトの初キス…?私、そんなの知らないよ?)
急に周囲の空気が薄くなったように、息が苦しくなった。

皆の大騒ぎに、思い出に浸っていたクリフトが我に返った。
「どんな女とは、失礼な。私は母のことを思い出していたんです。」

「・・・母?」

一気に下がった周囲のテンションに気付かずに、クリフトは懐かしげに語った。
「はい。私の母は早くに亡くなりましたが、毎晩寝る前に、良く眠れるようにと、
優しくおでこにキスをしてくれたことは、今でも良く覚えてます。」
227名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 19:37:57 ID:fD0wWhMX0
「いい話ですねえ。」
トルネコが家族を思い出したのかしんみりうなずいた。
「いや、いい話なんだけど、ちょっと違う…。」
勇者が横から小さく突っ込みを入れた。

アリーナは、ほっと息をついた。
また、普通に呼吸ができるようになっていた。
そこに、クリフトから声がかかった。
「さあ、姫様。もう夜も遅いですし、寝る時間ですよ。」

クリフトに連れられて2階に上がりながら、アリーナは首をひねった。
(さっきは、何で急に息ができなくなったんだろう?)
考えたが、答えは分からなかった。

アリーナが、自分の気持ちに気づくのは、まだだいぶ先のことになりそうだ。
228名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/30(金) 02:35:20 ID:OinmHaOg0
可愛らしい小話をどうも!
鈍感なアリーナも可愛いし、クリフトもすげークリフトらしいわw
2291/5:2007/04/01(日) 21:12:14 ID:CqTa95t30
「はあ、いったいどうすればいいんだ…」

勇者ソロは、馬車の手綱を引きながら、憂鬱な表情を地面に落とした。
一行が現在いる場所は、ガーデンブルグ城から少し離れた小高い山。
自分たちに着せられた盗みの濡れ衣を晴らすため、
真犯人を追うべく、盗賊の隠れ家があるという南部の洞窟へと向かう途中だった。

最重要かつ最大の問題は、メンバー編成をどうするかであった。
が、いくつかの作戦を実行したものの、ことごとく失敗する有り様だ。

では、これまでの結果を振り返ってみるとしよう。

<作戦その一>
神官クリフトに、人質として牢屋に入ってもらい、
自分、王女アリーナ、他二名で洞窟へ潜入する。

城を離れて数分後、アリーナの機嫌の雲行きが怪しくなってきた。
ソロが話しかけても、気づく素振りすら見せない。
原因は、クリフトが人質になっていることだけではなさそうだ。

「あの素敵な旅の神官様が、人質として地下牢に入られたそうよ」
「まあ、お気の毒に。私、何か差し入れを持っていこうかしら」
「キャー、神官様と目が合ってしまったわ。横顔も凛々しくて素敵…」

クリフトが人質になった件は、あっという間に知れ渡り、
城中の女性たちがこぞって地下牢へと集まってきた。
それは、若い男性とほとんど接する機会のなかった彼女たちにとって、
千載一遇ともいえる出会いのチャンスでもあった。
理知的で端整な面差しと、すらりとした長身。聖職者らしい温和な人柄。
どの要素も、女性たちにはさぞかし魅力的に映っただろう。

「なーによ、クリフトったら、デレデレしちゃって。神官として最低だわ!」
2302/5:2007/04/01(日) 21:14:03 ID:CqTa95t30
アリーナは独り言を口走り、周囲の岩盤に当り散らした。
岩盤は無残にもその形を留めておらず、もはや崩落寸前だ。
クリフトが女性たちからの熱い視線を集めることが、どうやら気に入らないらしい。

アリーナの不機嫌は、戦闘にもよく現れていた。
いつもにも増して会心の一撃を連発。戦闘の時間も大幅に短縮された。
だが、モンスターを倒しても有り余る殺気は、周囲の雰囲気をも殺伐とさせる。
これは精神衛生上、非常によろしくない。
第一の作戦は、予想どおり失敗に終わった。

<作戦その二>
アリーナに、人質として牢屋に入ってもらい、
自分、クリフト、他二名で洞窟に潜入する。

アリーナ自身、「初めてのことだから、ちょっと新鮮でいいかもね」
と言っていたため、これは一石二鳥かと思われた。
しかし、今度はクリフトの様子がどうもおかしい。
さっきからそわそわして落ち着きがなく、城の方角を振り向いてばかりいる。

「今頃、アリーナ姫様は牢屋でお寂しい思いをされているに違いありません。
早く真犯人を捕まえ、姫様を牢からお出ししなければ!」

いかにも主君の身を案じる、忠実な家臣らしい台詞だ。
だが、アリーナのことが絡むと、気持ちばかりが先走ってしまうようだ。

「おい、ザキばっかり唱えてないで、回復の方にも力を入れてくれよ」
「何を悠長な!こうしている間にも、我が姫様は、暗い牢の中で
必死に耐えていらっしゃいるのです。今の我々には、一刻の猶予も許されません!」

たしかに、クリフトの働きはアリーナと同様、戦闘の短縮につながった。
が、気がつくと、周囲にはおびただしい数のモンスターの死体。
2313/5:2007/04/01(日) 21:16:07 ID:CqTa95t30
そして、「姫様大事に」の作戦で、一人突っ走るクリフトの姿が。
どちらも精神衛生上、極めてよくない。
もし彼に、自分の意のままに動けと命じれば、迷わず素直に従うだろう。
だが、仲間の自主性を大事にしたいと思うソロの計らいが、かえって裏目に出た。
第二の作戦も失敗に終わったのは、言うまでもない。

二人を引き離すのは、ある意味危険だ。
そう悟ったソロは、次なる作戦を打ち出した。

<作戦その三>
自分、アリーナ、クリフト、他一名で洞窟に潜入する。

これは一見無難な作戦だが、ある致命的な欠点があった。

「姫様、指先から血が滲んでおられます。手当ていたしましょう」
「いつもありがとう、クリフト。あなたにはいつも助けてもらってばかりね」
「とんでもございません。姫様をお守りするのが、私の務めですから」
「やあね。そんな真顔で言われると、恥ずかしくなっちゃうじゃない…」

頬を染め、手を取りあうクリフトとアリーナ。
第二の作戦終了時以降、恋愛小説にありがちな一シーンが、
緊張感あふれる戦闘の合間を縫って幾度となく繰り返された。

「いちゃつくのは勝手だが、周りの空気くらい読んでほしいものだ」

そんな二人を見るたびに、さすがのソロも正直辟易するようになった。
やっかみも少々含めて、精神衛生上好ましくない。
第三の作戦も、またもや失敗に終わった。

<作戦その四>
二人とも馬車に残し、自分と他三人で洞窟に潜入する。
これなら、雑念に煩わされることなく、目的を達成できるだろう。
2324/5:2007/04/01(日) 21:20:15 ID:CqTa95t30
今度はきっと大丈夫だ。ソロは内心、ほっと胸を撫で下ろした。
しかし、それは「甘い期待は通用しない」という教訓の一つに過ぎなかった。

作戦の途中、強力なモンスターの奇襲に遭ったソロたち。
自らリレミトの呪文を唱え、やむを得ず地上に戻った。
真っ先に彼らを出迎えたのは、馬のパトリシアではなく、
意外にも馬車に残ったメンバーであった。

「ソロ!何とかしてよ。あいつらに馬車ジャックされて、お化粧直しもできないわ」
「勇者様。お二人の仲がよいのは結構ですが、あれでは休息が取れません」
「青春とはよいものですなあ、勇者殿。いや、拙者もまだ諦めてはおりませんぞ」
「私と妻の若い頃を思い出します。久しぶりにネネの顔を見たくなってきましたよ」
「皆が二人のことで不平不満を漏らしておる。教育係として恥ずかしい限りですわい」

クリフトとアリーナが、幌の中で二人の世界に浸っている間、
残りの一人は肩身の狭い思いをしていたようだ。
まったくもっていい迷惑である。精神衛生上、これも問題があるといえよう。
第四の作戦も、結局は失敗に終わった。

――――人質を替えても、メンバーを替えても解決しない。
決断力の早さには定評のあるソロも、今回は真剣に悩んだ。
思いあぐねるたびに足取りが止まり、手綱を持つ手には汗が滲んでいる。
人質……?そうか、その手があったか!
ソロは瞬時に踵を返し、意気揚々とした表情で城へと戻った。

「クリフト。真犯人を捕まえる間、お前が臨時の勇者だ。頑張れよ」
「し、しかし私は神官ですし、リーダーであるソロさんがいないのはどうかと…」
「だから、今のリーダーはお前だって。安心しろ、人質は俺が引き受けてやる」

ソロは満面の笑みを浮かべて、自ら進んで牢の中へと身を委ねた。
その囚人らしからぬ振る舞いに、女兵士たちは顔を見合わせ、ひそひそと囁きあう。
クリフトは、仕方なく他の仲間たちを引きつれ、洞窟を目指すことにした。
2335/5:2007/04/01(日) 21:21:19 ID:CqTa95t30
しばらくすると、地下牢の中はしんとした空気に包まれた。
ソロは天井に向かって、ため息を一つつく。

「ふう、やっと静かになった。肩の荷が下りたってもんだぜ。
あの二人に振り回されるのは、俺もごめんだからな。さーて、ゆっくり休むとするか…」

頭からすっぽりと毛布をかぶったソロは、そのまま眠りへと落ちていった。
234名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 22:36:44 ID:H/i8+N2w0
ラブラブすぎるクリアリが微笑ましいなw
ソロ君お疲れ様でした〜
って本当はガーデンブルグに勇者って預けられないよね?
235名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 01:30:08 ID:VOJ0keuHO
>>229-233
GJ!ソロ最後は逃げたなって感じでしたw
臨時勇者クリフト頑張ってくれ〜!w
236名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 20:55:16 ID:3J5ebDuf0
GJ!
勇者、お疲れだ〜!
このスレの勇者は苦労症が多いなw
237名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 17:51:48 ID:RZP8bGd20
バカップル全快のクリアリGJ!
ただこのSSの調子だとソロ一生地下牢だなw
238名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/07(土) 09:19:34 ID:o1X5Lj0C0
みんなどこに行っちゃったの・・・?(´・ω・`)ショボーン
239名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/07(土) 10:51:33 ID:+jz7kzAgO
いるよ、俺はいつもここにいるよ
240名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/07(土) 14:56:02 ID:sJpBGM0l0
いつでも見守っているよ
241名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/07(土) 17:24:31 ID:NcVdqD+30
俺もいるから安心しる
242名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/08(日) 09:14:37 ID:ReCn9vb/O
(・ω・)ぼくくりふと

ですぴさろをたおすためにありーなひめとたびをしてるしんかんさ

せんじつめがんてっていうあたらしいじゅもんをおぼえたんだ
ぼくだってしんかんなんだからめがんてくらいつかえないと

そのことをありーなひめにほうこうしたらすごいかなしそうなかおをされちゃった…
このじゅもんだけはぜったいにつかわないでってありーなひめからいわれたよ

だからみんなもないしょにしておいてね
ひとづかいのわるいゆうしゃさんにしられたらぼくにめがんてをつかえってめいれいしてくるかもしれないから…
ぼくはありーなひめをかなしませることはぜったいにしたくないからね
やくそくだよ
243名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/08(日) 17:40:47 ID:Ynqa/3VZ0
なんか使いそうな結末が待ってる気がするのは俺だけか
244名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 10:35:15 ID:hfuJbC8W0
>>242

おーい、ソロ君、クリフトがメガンテ覚えたってよ〜!!
245名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 11:22:55 ID:/1e0YoN70
トルネコヒドス
246名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 15:57:27 ID:rGAFmvNR0
>>242
命短し 恋せよ青年
とだけ言っておこう
後の展開はわからぬ
247名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 16:33:04 ID:73bctrh2O
鉄砲玉サマルを思い出した
248名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 19:49:21 ID:Hd0n+7YbO
>>244

アリーナ「と、トルネコさん!?。あ、あなたって人はー!!」

アリーナの攻撃

会心の一撃っ!!!

トルネコ「ぐはっ…!」
249名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 20:10:12 ID:wr3nnQ0F0
キャラヘイトイラネ
250名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 21:46:55 ID:0a3a5mnp0
>>242さんの顔文字が可愛いので、神官の帽子(ちょっと長すぎだけど)をかぶせてみた。

|⌒|
|+|
|_|
(・ω・) ぼくくりふと
251名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 23:41:39 ID:hfuJbC8W0
クリフト「このままでは全滅だ・・・!メガザ・・・」

ソロ  「ダメだ!クリフト!お前がいなくなったら、誰がアリーナを回復するんだ!」

ミネア 「チョット、アンタ、それ、あたしにメガザル使えって言ってるワケ!?」

ソロ  「い、いや、そういうワケでは・・・」

クリフト「いいんです、ソロさん、ミネアさん、実は私はもうMPがなくて・・・」

ソロ・ミネア「はよ、メガザル唱えんかい!!!」

クリフト「(´;ω;`)」
252ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:28:38 ID:9hWYl6470
こんにちは。
何だか可愛いクリフトがいっぱいいるww

「もしも明日世界が…」のお題は、こねくり回していたら
もうどうにも収拾がつかなくなってしまったので、
代わりに、途中で浮かんだこちらを置いていきます。

ザオラルについてのお話です。
253ザオラル1/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:29:29 ID:9hWYl6470
クリフトの一日が、祈祷で始まり祈祷で終わるのは昔からのことだ。
しかし、ここ最近のクリフトの打ち込みようは、普通ではなかった。
まだ暗いうちに起き出して、不寝番の者に馬車に戻るよう伝えると、
東の空に向かって一心に祈りの言葉を唱え始める。
神への感謝を捧げ、祈りを終えて腰を上げるころには、
だいたい、東の地平線に朝日が指し染め、壮大な朝焼けが始まっていた。
クリフトは、目を細めてその光景をしばらく眺めると、
ようやく起き出してきた面々と共に、朝食の準備を始めるのだった。
それ以外にも、毎回食事の前には感謝の祈りを欠かさなかったし、
また、日の入りと就寝前にもそれぞれ長い祈りを捧げていた。

「ねえ、なんでクリフト最近そんなにお祈りしてるの?」
朝食の席でアリーナがクリフトに尋ねた。
「なんでと言われましても…私は神官ですから。」
クリフトは何でもないようにさらりと流したが、アリーナは食い下がった。
「だって、旅に出たばっかりの頃は、こんなに、いつもいつもお祈りしてなかったじゃない。」
これは、ごまかせそうにないなとクリフトは苦笑すると、小さい声で答えた。
「…実は、ザオラルを覚えることができないものかと思いまして。」
「ザオラル?」
アリーナは首をかしげた。
勇者が、はっとクリフトの方を見たが、クリフトは気づかない振りをしていた。
254ザオラル2/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:30:08 ID:9hWYl6470
「ザオラルって蘇生呪文だっけ?それって禁呪じゃないの?」
サラダをつついていたマーニャが不審そうな顔をする。
「確かに、許可された教会の神父以外の者が、みだりに蘇生呪文を扱うことは
禁止されていますが……私に禁呪なんて、今さら、ですから。」
即死の禁断呪文を操る神官は、こともなげに肩をすくめて見せた。
「あんたも不良神官になったわね…まあ、でも、ザオラルが遣えれば一大戦力よ。
せいぜい頑張って覚えてちょうだい。」
「はい、頑張ります。」
マーニャの言葉に頷くクリフトに、アリーナが横から釘を刺した。
「でも!無理はしちゃダメだからね!クリフト!」

朝食の後、案の定クリフトの後を勇者が追ってきた。
「クリフト!」
「なんですか?ソロさん。」
「お前、ザオラルって…、ホントなのか?」
クリフトの左手を見ながら勇者は口ごもる。
クリフトは、勇者に正面から向き直ると、ため息をついて見せた。
「あなたには、随分みっともない姿をさらしてきましたが…
 もう、禁呪でオロオロするようなマネはいたしません。
 それに、蘇生呪文は、禁呪といっても、人を癒し、回復するという、
神官系呪文の究極の形と考えても良いですし…。」
ただ、と左手を上げて、苦く笑う。
「これがあるせいか、ザオラルを唱えるのに必要なだけの、聖なる気が、
どうにもうまく集まらないんですよ。」
それで、毎日祈祷をして身を清めることに精を出してるんです、
と空を見上げるクリフトを、勇者はじっと見ていたが、やがて、ポツリといった。
255ザオラル3/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:30:50 ID:9hWYl6470
「俺も、ザオラル、学べないかな…?」
「ソロさんが?」
クリフトは驚いて勇者を見た。
「そうですね…。聖職者以外の人間が蘇生呪文を使う、というのは
聞いたことはありませんが…ソロさんだったら、あるいは。」
清浄なオーラを放ち、時として天空から雷を呼び寄せさえする不思議な少年。
彼ならば、たとえ前例はなくとも、蘇生呪文を扱って見せるかもしれない。
むしろ、闇を飼っている自分などよりもよほど…。
「…でも、ザオラルは禁呪ですよ?」
からかい気味に問うと、
「俺に禁呪なんて今さら、だろ?」
勇者は、先ほどのクリフトの言葉をなぞって、不遜な笑いをして見せた。
その勇者の表情を見て、クリフトはからかい顔を改めた。
聖なる雷を呼び寄せ、天空の兜を身にまといながらも、この少年は神を信じていない。
―――神に祈ったって、神様は、何もしてくれやしない。
以前、彼が呟いた言葉。
彼は神を信じない、恐れない。
彼が恐れているのは、神でも魔物でもなく、唯一つ、仲間が欠けること。
―――自分のせいで失われる命を、これ以上見たくない。
クリフトには、蘇生呪文を学びたいという勇者の言葉に隠された、
勇者の、孤独に対する恐怖が、手に取るように分かった。
256ザオラル4/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:31:28 ID:9hWYl6470
クリフトは、小さく吐息をつくと、悲しげな瞳で勇者を見つめた。
どうしたら、この少年に分かってもらえるのだろう。
自分とは違って、彼には、神に愛される資格がある。
辛い試練を課そうとも、神は、勇者を愛し見守っているのだ、ということを。
クリフトは、心の中で、勇者に呼びかけた。
―――神様だけじゃない、私も、姫様も、皆、あなたと一緒にいます。
―――だから、あなたは1人じゃない…1人だけで頑張ろうとしないで下さい。
自分は、辛いとき彼に助けられた。
だから、今度は、自分が彼を助けたい、とクリフトは強く思う。
例え微力であっても、彼の力になりたい。
この命は―――愛する姫のものだけれど。
でも、もし、自分が彼と一緒にいることが、少しでも彼の救いになるのならば、
自分は最後の闘いの場まで、彼と歩みを共にしよう。
そして全てが終わったとき、彼がまた神の愛を信じることができるよう、心から祈ろう。

しかし、それを言葉にする代わりに、クリフトは勇者に向かって頷いた。
「分かりました、ソロさん。…一緒に、ザオラルの修行をしましょう。」
そして、勇者を軽く睨んだ。
「そうとなったら、今までみたいな寝坊は許しませんよ。容赦なく叩き起こします。
朝晩みっちりと、精進のためのお祈りをしてもらいますからね。」
「…俺、早起きもお祈りも、苦手なんだけどな…。」
勇者は、口を尖らせながらも、どこかほっとしたような顔をした。
257ザオラル5/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 12:37:06 ID:9hWYl6470
「へーっ、で、結局、あんた達2人ともザオラル使えるようになったわけ?」
「すごいことだわ…。ひとつのパーティにザオラル遣いが2名もいるなんて。」
数ヵ月後、夕食の席で誇らしげに報告する勇者に、マーニャとミネアは感心の声を上げた。
あっけらかんとアリーナが言う。
「そっか、じゃ、これからは戦闘中に死んでも安心ねっ。」
「「冗談じゃない!」」
2人の蘇生呪文の術者は、アリーナの言葉に声をそろえて目をむいた。
「このクリフト、命に代えても姫様のお命に危険が及ぶようなマネはさせません!
姫様に蘇生呪文なんて、考えただけでもぞっとします!」
「安心して死んだりなんかしたら、絶対に蘇生呪文なんかかけてやらないからな!」
まくしたてる2人に、アリーナがたじたじとなった。
「なによう…それじゃ、蘇生呪文覚えた意味がないじゃない…。」
ミネアがアリーナの頭をなでながら言った。
「蘇生呪文なんてお守りみたいなもので、使わないに越したことはないのよ。」
マーニャが片目をつぶって言った。
「そうそう、どんなときにも、いのちだいじに、が肝心ね!」
それを聞いた勇者は、少し目を見張ると、次の瞬間、心からうれしそうに笑った。
258ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/10(火) 14:59:30 ID:9hWYl6470
お付き合いどうもありがとうございました。

何か盛り上がりのない中途半端なお話ですが、この後に、ザオリクのお話が続く予定で、
この話はその前振りみたいなもので…すいません。

ザオリク編はもうちょっとアリーナ出てきます…多分。
259名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/10(火) 16:41:34 ID:Skno/7wsO
あぁぁ!ペギーさんGJです!!
ザオリク編も楽しみに待ってます
260名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/10(火) 18:27:13 ID:VYGuLlOc0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
261ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:31:24 ID:B8WosjmC0
>>259さん
ま、待っていただき、どうもありがとうございます…!

ザオラルの続きです。捏造全開です。
最初の方、やたら説明が多くて読むのが面倒です…が、
もしよろしければ、お付き合い下さい。
262ザオリク1/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:32:12 ID:B8WosjmC0
クリフトと勇者がザオラルを覚えてしばらく経った。
旅はますます厳しさを増し、出会う魔物の強さも日に日に上がって来る。
それに伴い、好むと好まざるとにかかわらず、2人が蘇生呪文を使用する場面も増えてきた。
しかし、蘇生呪文といっても、ザオラルの生還率は50%に過ぎない。
「ねえクリフト、あんたさ、この際、ザオリク覚えちゃってくれない?」
なので、ある日の夕食時、マーニャが口にした要望はもっともしごくであった。
しかし、クリフトは首を横に振った。
「ザオリクは特殊な呪文ですから…。フィールドで使うのは無理なんですよ。」
「へー、そうなの?単にザオラルの強力版だと思ってたわ。」
意外そうな顔をするアリーナに、クリフトは解説を始めた。

「ザオラルもザオリクも、死者の魂の呼び戻しと言う点は共通しているんですが、
その方法が根本的に違うんですよ。」
「どういうこと?」
「ザオラルは、人間が、自らの清浄な気と意志の力を高めて、それによって発動する呪文で
呼び戻しを行なうんですが、ザオリクは、その場に神の御力そのものを呼び奉ることによって、
それを行なうんです。…ザオリクは、呪文と言うより、むしろ儀式に近いですね。」
「…うーん。難しくて、よく分からない…。」
眉間に皺を寄せるアリーナ。
「要するに、ザオラルは人間の力だけど、ザオリクは神の力ってことですかしら。」
ミネアが首をかしげた。
「そのとおりです、ミネアさん。故に、ザオリクは100%の蘇生が可能なんです。
ただ、神の御力を呼び奉るには、聖域が必要になります。例えば教会などがそうですね。
逆にそういう場所であれば、術者自身の能力はそれほど必要ないんですよ。」
263ザオリク2/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:32:52 ID:B8WosjmC0
「そういや、教会とかではフツーの神父さんが軽々と蘇生させてるもんな。
あれは、教会が聖域だからできるってことなのか。」
と勇者がうなずき、マーニャは口を尖らせた。
「そうすると、つまり、フィールドじゃ聖域がないから、ザオリクは無理ってこと?」
「そうですね、教会と同レベルの聖域を、一人の人間が無から作り出すと言うのは、
まず不可能に近いと思います。…物の本には、遥か昔に勇者と旅をした賢者が、
フィールドでザオリクを使ったなんて話もありますが、伝説の域を出ないですね。」
クリフトの話に、皆、感心したようにほーともへーともつかない声を出した。
「そもそも、私の場合…。」
クリフトは、そこでふと口をつぐんだ。
「クリフト?どうしたの?」
アリーナの問いにクリフトは、なんでもありませんと首を振ると、心の中でつぶやいた。
―――闇を身の内に飼う私が、神の御力を呼び奉るなんて話、問題外だ…。

数日後、一行は、ゴッドサイドに向かうことになった。
クリフトは、目的地に近づくにつれ、難しい顔をして考え込む時間が増えていた。
勇者もまた、ゴッドサイドの南にそびえる天空の塔を眺めながら、
いつになく物思いにふけっているようだった。

魔物に最も敏感な2人が、他に気を取られていたせいかもしれない。
気がついた時には、一行は、強力な魔物達の群れに囲まれていた。
264ザオリク3/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:33:32 ID:B8WosjmC0
非常事態として全員で戦闘を開始したが、この周辺の魔物は手ごわかった。
しばらく戦っているうちに、トルネコ、ミネアは倒れたまま動けなくなった。
ブライもマーニャも魔法力を使い果たして、膝をつき、肩で息をしている。
ライアンは、満身創痍ながらもやつざきアニマルの群れに切り込み、1頭を切って捨てたが、
これをすかさずブラックマージが蘇生させた。
「こしゃくな奴らめ!…魔物の癖に、蘇生呪文を使うとは!」
「魔物には魔物なりの神様がいるってことかしらね!」
マーニャは歯を食いしばって立ち上がると、鉄扇を手にライアンの助太刀に駆け寄った。

勇者とアリーナ、クリフトは、背中を互いに預けながら、健闘していた。
しかし、クリフトのベホマで回復しながらも、3人の体力もそろそろ限界だった。
繰り出した剣をかわされ、勇者の足がよろめいた。
その瞬間、横からオーガーが鉄球を振り上げ、痛恨の一撃が勇者を直撃した。
「がはっ!」
勇者は、後ろで闘っていたクリフトともども吹き飛ばされ、2人は岩壁に叩きつけられた。
「クリフト!ソロ!」
アリーナが顔色を変えて叫んだ。
265ザオリク4/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:34:12 ID:B8WosjmC0
「げほ、げほ…。ソ、ソロ、さん、大丈夫、です、か?」
クリフトは、咳き込みながら口中の血を吐き出すと、そばに倒れている勇者ににじり寄った。
回復呪文をかけようと勇者に手を触れた瞬間、クリフトの背筋がヒヤリとした。
勇者は、息をしていなかった。
「ソロさんっ!?」
そのとき、アリーナの悲鳴が聞こえた。
「きゃあぁ!」
クリフトが振り向くと、アリーナが、じごくのもんばんの鎌に右肩を切り裂かれ、鮮血に染まっていた。
「姫様!!」
ベホマの詠唱を始めたクリフトに、アリーナが絶叫した。
「だめっ!!だめよ!クリフト!先に、ソロにザオラルして!」
「…っ!」

確かに、ここでアリーナを回復させても、残りの仲間の状態でこの魔物達を倒すのは困難だろう。
ベホマズンを使える勇者を蘇生させれば、勝算はある。
しかし、勇者蘇生の確率は半々だ。
クリフトに、ザオラル2回分の魔法力は残っていなかった。
1発で勇者が生き返らなければ、全滅である。
―――ならば、姫様だけでも…。あるだけの魔法力で回復させて、スカラを使えば、姫様なら逃げ切れる…!
回復呪文のため、再びアリーナに向けて右手を挙げたクリフトを、アリーナの強い声が引き止めた。
「クリフト!」
アリーナはクリフトに向かって首を振ると、苦痛に息を切らせながらも、にこりと微笑んでみせた。
―――大丈夫。クリフトのこと、信じているから。
アリーナの笑顔がそう言っていた。
―――クリフトなら、ソロのこと、必ず生き返らせてくれる。
266ザオリク5/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 11:51:35 ID:B8WosjmC0
敵は、こちらの戦力が尽きかけているのを知って、獲物をいたぶって遊ぶことに決めたらしい。
それ以上の攻撃はして来ずに、のんびりとこちらを伺っていた。

クリフトは、魔物達を横目で見ながら唇を噛んだ。
―――ここで、蘇生呪文を成功させなければ、姫様も皆も、おしまいだ。
しかし、姫様は、自分を信じて、全てを託してくれた。
その姫様の信頼に応えられなければ、自分は一体、何のためにここにいるのか。
クリフトの目に、強い決意が浮かんだ。

クリフトは、胸のクルスをつかむと目を瞑り、全身全霊を込めて祈った。
神よ、私自身は、あなたの加護を求めるに値しない者ですが、今だけ、力をお貸しください。
姫様のために――誰よりも、気高く清らかな心を持ったあの方を、助けるために―――。
どうか、神よ―――!

クリフトは、必死に神へ祈りながら気を込めて勇者に手をかざした。
と、クリフトの右手から白い光が溢れ、勇者とクリフトを包み込んだ。
魔物達が、その光の眩しさに目を覆って悲鳴を上げる。
その悲鳴に、闘っていたマーニャ、ライアンが振り向き、倒れていた者達も顔を上げた。
周囲に漂う魔物達の瘴気を吹き払い、そこに出現したのは、紛れもない清浄な空間。
一同は、信じられないという顔をして、光とクリフトを見つめていた。
「これは…まさか…。」
震えるクリフトの目の前で、白い光が一点に集約し始める。
次の瞬間。
まばゆい閃光が辺り一面にはじけ散ると同時に、凄まじいエネルギーの爆発が起きた。
「きゃあ!!」「うわっ!」
皆の悲鳴が上がるなか、クリフトは、崩れ折れた。
267ザオリク6/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 12:01:05 ID:B8WosjmC0
閃光が徐々に収まり、周囲の風景に輪郭が蘇ってきたとき、勇者が、呻きながら体を起こした。
「…な、んだ?今のは…。」
「ソロ!」
アリーナは喜びの声を上げたが、同時に、クリフトが倒れていることに気づき、息を飲む。
勇者も、自分の横で動かないクリフトに気づき、慌ててその体を引き上げた。
「おい、クリフト!大丈夫か!」
揺さぶられて、クリフトは、うっすらと目を開けた。
「…ああ、ソロさん、生き返って…良かった。…大丈夫です、目が眩んだだけ…。」
そして、クリフトはアリーナを振り返って右手を上げると、
「姫様、すいません…。もう、魔法力が、これしか…。」
アリーナに向かってホイミを詠唱した。

「…よく分からないけど、助けられたみたいだな、クリフト。」
勇者は立ち上がりながら魔物達を睨みつけた。魔物達は、今の不可解な出来事に怯えたように後じさる。
「おかげで、体力も魔法力も満タンだぜ。」
勇者は両手を上げると、ベホマズンを唱えた。
強烈な回復の光が皆を包む。
倒れていたトルネコ、ミネア、膝を付いていたブライが、ゆっくりと起き上がった。
マーニャとライアンが、光に包まれながら、不敵な笑みを交わす。
蒼白い顔をして、ぐったりと岩壁に寄りかかっていたクリフトの頬にも赤みが差した。
アリーナが立ち上がって、クリフトに駆け寄った。
勇者の手の中で雷が音を立て始めた。
「…お前ら、覚悟しろよ…!ギガデイン!」
聖なる雷の爆音が、その場に響き渡った。
その後、体力を回復した勇者一行が、混乱した魔物達を殲滅するのに、さほど時間はかからなかった。
268ザオリク7/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 12:01:53 ID:B8WosjmC0
戦闘後、薬草を使って皆の怪我の手当てをしていたクリフトに、勇者が尋ねた。
「クリフト。さっき俺を蘇生させたとき、いったい何があったんだ?
なんかいつもと違って、全身にものすごい力がみなぎって…、爆発しそうな感じだったぜ。」
「私も、…自分では受け止めきれないほどに大きな…そして聖なる力を感じました…。」
考え込みながら、クリフトが答えた。
「あれは…。もしかして、ザオリク、だったのではないかと…。」
「…え?で、でも、クリフト。ザオリクはフィールドで使えないんじゃ…?」
驚愕の表情の勇者に、クリフトは困ったように首を傾げた。
「はい…そのはず、なのですが…。」
横で話を聞いていたアリーナが、うれしそうに両手をぱちんと打ち合わせた。
「クリフト、すごいじゃない!それって、クリフトが自分で聖域を作り出したってことよね!」
伝説の賢者様と同じよ!と目をきらきらさせるアリーナを、クリフトは、眩しそうに見つめた。

―――聖域を作り出したのは、自分の力ではない。
アリーナが、自分を信じてくれたから…アリーナの信じる力こそが、聖域を生み出したのだ。

「クリフト?泣きそうな顔してどうしたの?」
アリーナが不思議そうにクリフトの顔を覗き込む。
「…いいえ、姫様。なんでもありません。」

神の愛は、もはや望めない自分だと思っていた。
それでもいいと、仕方ないことだと、思っていた。
しかし、アリーナが信じてくれれば、自分は、奇跡さえ起こすことができる。
―――姫様。あなたが信じてくださる限り…私は、神の赦しを求めても…よいのでしょうか?
クリフトは、胸に手をあてて空を見上げると、そっと目を瞑った。
269ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/04/11(水) 12:02:33 ID:B8WosjmC0
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
ちなみにクリフトがザオリク唱える前のMPは、22です。どうでも良いことですが。
270名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/11(水) 23:22:23 ID:O5BK1a5K0
ペギーさん2つもSSお疲れ様!
271名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/12(木) 12:40:53 ID:Nf4kax7+O
ペギーさん、ザオラル&ザオリク超GJ!
感動しました!ペギーさんのクリフト&ソロ好きです
272名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/13(金) 10:29:22 ID:3YXzDDdsO
ソロ「クリフト・・・」
クリフト「ソロ様・・・」
トルネコ「わ、私も…」
アリーナ「アッー!!」
273名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 07:05:02 ID:nJ1Y9mtdO
ミネア「ハァハァ」
274名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 14:24:47 ID:EtHZuXZPO
認めないぞ俺はミネアが腐だなんて絶対に認めなアッー!
275名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 16:42:50 ID:YxyX/4Xf0

   〈⌒l./,⌒\
   .`ヽ|l |\_ノ
.   ソヘl.liトヾ)、  Θ
.   (ソ((リノ"))ソ /
   ソ从.゚O゚ノミ / ホモが嫌いな女子なんかいません!
   (リとyーー)づ
    ~"!ヾ/i /
      し'J
276名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 16:55:49 ID:AJxqxDlg0
そんなのいやーー
277名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 19:15:33 ID:+F0KnT4l0
ペギーーーーー!!
GJだ!!!

自分も、ペギーたんのクリフトとソロの関係大好きだ
278名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/15(日) 00:26:39 ID:0nZ4uiih0
3人が仲いい感じがイイ!
279名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/16(月) 11:20:50 ID:2K8tL68QO
ペギーさん、GJ!

ペギーさんのソロ&クリフト、煩さんのサンちゃん&ブライが好きな漏れは腐か?
280名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/16(月) 15:43:38 ID:+065kAkYO
煩悩さんときのこの人の安否が気になる
281名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/16(月) 17:49:42 ID:uwQiNKNq0
きのこの人は、アンソロが忙しいんじゃないかな
煩悩さんは、ちょっと前は仕事と風邪でダウンしてたみたいだけど・・・

てんちょや506さんもお元気かなあ


282名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/17(火) 00:29:31 ID:/ZbvTYoj0
昔からの職人さんも新しい職人さんも
どなたさんもこなたさんもいらっしゃいませ

このスレの隆盛を祈って!

つお題【惚れ薬】
283名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/18(水) 00:35:09 ID:xNHuISls0
やばい某クリフトザラキスレで紹介されていたゲームブッククリフトに超萌えた

誰か、ゲームブッククリフトのキャラでクリアリ書いてくれないかな・・・!
284名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/18(水) 00:56:42 ID:gU54hay70
煩悩さん、506さんのクリフトはゲームブックっぽい感じがするね。
あときのこの人のクリミネもそれっぽかった。
(ゲームブックではミネア→クリフトっぽかったから)

あの非の打ち所のない性格だから高所恐怖症が萌えポイントだったのになー
285名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/19(木) 01:54:57 ID:skr/p7/M0
LOVEvv
286名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/20(金) 00:38:29 ID:XCCJbYBCO
っお題:装備品
女性特有の装備、又はかっこいい・強い装備品が出てくるSS希望ですm(__)m
287装備品:2007/04/20(金) 23:33:13 ID:+cWVdPl60
アリーナ「ぶーー」

クリフト「姫様、何をぶーたれておいでなのですか?」

アリーナ「だって、ミネアは銀のタロットでしょ、マーニャは鉄のおうぎでしょ、
     2人ともおしゃれな専属の武器を持ってるのに、私のは、鉄の爪とか、
     悪魔の爪とか、炎の爪とか、ごついのばっかりなんだもん!!!」

クリフト「いーんです!!姫様は、ご自身が1つの完成された美しい武器な の で す!!!」

アリーナ「やだ・・・クリフトったら・・・(ポッ)」

ソロ  「けっ!俺なんか、天空シリーズ独り占めだもんねーだ!!!」
288装備品:2007/04/21(土) 08:17:25 ID:27PgIfUK0
クリフト「姫様、新しい防具を持ってきました!」

アリーナ「へえ、なになに?」

つ ピンクのレオタード

アリーナ「このセクハラ野郎がッ!!!!!」
ボグシャー

                                 おしまい


ああすまん悪かった悪乗りしてみたかっただけなんだお願い許して
289名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/21(土) 21:09:13 ID:1l8ojVgi0
>>287>>288は続いてないんだよね・・・?
290名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/22(日) 18:26:42 ID:JGrtfF7nO
》287
カビラ?
291名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/23(月) 08:52:57 ID:35WiwgcSO
292名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/23(月) 14:54:31 ID:eFBDAQ3nO
今度のシティでは本あるかなー
アンソロも楽しみだ。
293【装備品】 ◆cbox66Yxk6 :2007/04/24(火) 18:39:08 ID:mjbVEkFN0
「なぁ、アリーナの最強装備品って何だと思う?」
ソロが何気なく発した問いに、その場にいた者たちの視線が一点に集中した。
「それは……」
「やっぱり……」
「じゃな……」
視線の先に『いた』のは、蒼い髪の青年。
「攻撃(姫様危ない!『ザラキ』)、防御(姫様危ない!『スカラ』)、そして回復(姫様
危ない!『ベホマ』)……どれをとっても最強でござるな」

―――どうやらアリーナ最強装備品はクリフトのようらしい。
294煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/04/24(火) 18:44:50 ID:mjbVEkFN0
こんばんは。そしてお久しぶりです。煩悩神官です。
安否が問われていたようですので、小ネタ片手に、顔出ししてみました。

一ヶ月もスレにきていないと、読むのだけでも大変ですね。でもとても楽しませて
頂きました。職人さん方、GJです!

おっと、もうこんな時間。ではまたノシ
295名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/24(火) 22:03:07 ID:JUR3+B7oO
あっ煩悩さんだ!お久しぶりです
そして 小ネタGJ!

アリーナに首根っこ掴まれたクリフトが浮かんだのは内緒だw
296名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/25(水) 09:20:50 ID:gg1kF5ueO
煩悩さんおひさ!
相変わらずうまいなあ。
297名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/26(木) 00:29:09 ID:buM5nMkE0
おお!煩悩さんだ!!
いいなあ、この煩悩さんのほのぼのギャグと
ペギーさんのシリアスな感じ、両方好きだ。
298名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/28(土) 22:39:40 ID:u4Jg5ekS0
一羽の小鳥が、強固な鳥篭の中で窮屈そうに飛び回る。
鮮やかな緋色の翼をなびかせ、外の世界を瞳に焼き付けていた。
元気溢れる小鳥にとって、そこは自分を縛り付ける退屈な牢獄でしかない。

やがて成長した小鳥は、鳥篭の扉をこじ開ける知恵を身につけた。
待ち望んだ巣立ちの瞬間を想像し、期待に胸を膨らますことだろう。
狭苦しい篭から勢いよく飛び出すのも、もはや時間の問題かもしれない。

誰よりも自由を求め、秘めた力を持て余す小鳥よ。
翼を広げて飛び立つのならば、私は風となって何処までも寄り添おう。

あなたの心が喜びに満たされた時は、勢いをつける追い風として。
あなたが怒りで我を忘れた時は、御身を諌める向かい風として。
あなたが悲しみに打ちひしがれた時は、優しく包み込むそよ風として。

振り返ると、いつの間にか鳥篭はもぬけの殻となっていた。
主なき篭には、隙間風が小さな音を立てて吹き抜けるだけ。
頬にかかる風の息が、旅立ちを躊躇う私の背中を後押しする。

次の風に我が身を任せ、私も新たな一歩を踏み出した。
薫風にさゆらぐ新緑と、新調した深緑の衣を纏う私の姿が、
穏やかな木漏れ日の中で溶けるように混じり合う。

束縛などものともしない、勇ましくも可憐な小鳥よ。
今こそ思うがままに、広い世界を縦横無尽に飛び回れ。
おそらくこれきりであろう、手にした自由を精一杯謳歌するのだ。

そして傷つき疲れた時には、私の側でそっと羽を休めてほしい。
私は何時でも、あなたに休息と安寧をもたらす静寂の凪となろう。
299名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 00:16:46 ID:MTQ0zGZd0
誤爆?
300名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 00:51:36 ID:o/Bc0tNM0
>>299
どう考えても誤爆じゃないと思うw
クリフトの内面を詩っぽくしたんだろう
301名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 01:07:26 ID:MTQ0zGZd0
早とちりか。悪いことしたわ
302名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 10:07:53 ID:pLL/WFH9O
>>298
ポエム、キター!!
こういうのもいいねぇ。
>煩悩さん
起承転結あっさり小ネタGJです。4コマ的で大好きだ(・∀・)
303名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 10:36:53 ID:zSnXZlow0
スレ汚し失礼しました。
298のことは忘れてください。
304名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 13:02:54 ID:g6BBPUF+0
せっかくとても良い詩なのになあ・・・
305名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 15:25:37 ID:8Gz7e/Z70
>>298>>303
何言ってるんですか!スレ汚しどころか、極めてGJですよ。
306名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/29(日) 18:54:54 ID:md0198fc0
>>298

今日の天気とばっちり合ってて、とってもGJ!
うちに吹いてくる風もクリフトだったらいいのにな〜。
307名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/30(月) 11:19:45 ID:VSboo+WTO
煩悩さん>>装備品のお題を出した者です!
確かに最強です。w
うますぎます。GJ!
308名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/30(月) 14:15:19 ID:4XJNm8Y5O
クリフトはこんな詩をこっそり書いてて、
それを勇者あたりに見つけられてひやかされるんだろーなー
309名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/30(月) 15:08:30 ID:yHLRxyvL0
アリーナ本人に見つかって馬鹿笑いされたりな
310名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/01(火) 09:54:27 ID:tpMXZ3IFO
見つかってしまったクリフトは顔が真っ赤なんだろうね。
311名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/01(火) 17:40:55 ID:7qVt6c190
>>310
そんなクリフト・・・可愛いじゃないか!
312名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/01(火) 19:40:03 ID:ac61aacNO
クリフトモエー(*´д`)
313名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/02(水) 11:03:15 ID:fmJPpZL9O
誠実でシャイなあなたが大好きです!
314名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/02(水) 15:09:11 ID:/cRemI+pO
ブライに見つかってもおもしろそうw
315名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/02(水) 15:15:48 ID:H54IxTJJ0
最悪のケースはマーニャかもしれんな。
316名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/02(水) 16:02:27 ID:f5LtkimRO
でも皆、からかいながらも心の中では応援してるんだ!

俺もだけど。
317名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/03(木) 11:35:57 ID:p2I8SJMb0
クリフトの気持ちは周りにバレバレだって考える人が多い気がするけど
でもFC版は元々クリフトはそんなにはっきり意思表示してなかったし
PS版ですら周囲からつっこまれたり全くしてないから

自分は クリフトの気持ちは周囲にバレてない派 なんですが。
でもなんか見かけないな…あれー?? まあそれだと創作しづらい気もするw
318名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/03(木) 20:44:28 ID:tqgl5nL5O
クリフト以外の視点だと難しいよね
319名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 00:39:20 ID:l0D2aPCQ0
意思表示はしていないが、鳥山絵であの顔、性格なら周りにバレバレだろうというのが暗黙の了解みたいになってんのかもね。
320煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:13:12 ID:dfejicMU0
クリフトの気持ちが周囲にばれていない……難しそうだけど、おもしろそうな
シチュですよね。暇ができたら妄想でも練ってみようかな?

先日は、小ネタにて失礼。>>307さん、ちゃんとしたssじゃなくてごめんなさい。

少し時間が空いたので、いくつか出ていたお題でSSを書こうと思ったのだけど、
>>298さんのGJな詩とその後のスレの流れに目を奪われ、お題とはまったく関係の
ない代物を書いてしまいました。しばらくSS書きから遠ざかっていたので、読みにくい点も
あるかとは思いますが、せっかく書いたので投下させてもらいますね。
321【詩】1/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:16:02 ID:dfejicMU0
「まだ……残っていたのですね」
古ぼけた机の引き出しの底板をはずすと、微かにかび臭さの漂う紙の束が姿を現した。
『日記』と題字されたそれは、クリフトが旅に出る前まで日課としてつけていたものだ。
いや、正確にいえば、裏日記といったところか。
人知れず保管されていたその日記帳には、誰にも吐露できない、まだ青い春の中を
彷徨っていた頃のクリフトの思い出が詰まっている。
「懐かしいですね」
ぱらぱらと頁をめくれば、苦悩と情熱でかき乱れる己の姿が垣間見え、自然、苦笑混じりの
微笑を浮かべる事になる。
「しかし、よく残っていたものですね」
しみじみと呟き、つい一月ほど前までのサントハイム城の姿を脳裏に描き出す。
数年にわたる魔物の占拠、そして無人の荒城……。
決して短いとは言い難い月日の間、誰の手入れもされずに放置されていた城は、至る所が
傷み、破壊されていた。
その中にあって、城内の教会とそれに隣接していたクリフトの部屋は、まさに神の奇蹟か、
殆どあらされた形跡も無く、以前の姿を保ち続けていた。
「神聖な空気を嫌ったのでしょうね」
サントハイム城の復興を手伝いにやってきてくれたトルネコが、教会の祭壇に飾られた
ご神体に目を光らせながら、そう呟いていたのを思い出す。
「このご神体の指にはめ込まれていた指輪に、魔を退ける力があったのでしょう」
もっと早く気づいていれば、旅の間も楽ができたかも、とため息混じりにそう言った
希代の大商人。その言葉に聖職者であるクリフトが難色を示すと、彼はいつもの優しい微笑を
浮かべたままこう続けた。
「でも、この指輪がここに存在していたから、お城の人たちも無事に戻って来られたの
かもしれませんね」
指輪の存在に気がつかなかったからこそ魔に打ち勝つだけの実力を手に入れることができ、
また、この指輪の存在がサントハイム城の人々を魔の手から守り抜いていたのではないか。
「この指輪がここに存在したこと、それこそが神の奇蹟ですよね」
―――信仰に厚いサントハイムの人々に示された神の恩恵ですよね。
そう彼は締めくくった。
322【詩】2/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:17:56 ID:dfejicMU0
その恩恵に与ったもののひとつが、いまクリフトの手元にある。
面映いような嬉しいような不思議な感覚に、頁をめくる手を早めれば、遂に最後の日付と
なる記述に行き当たった。
「……そういえばこんなものも書きましたね」
そこに書かれているもの。
それは、一篇の詩―――自由を求めていまにも飛び出していかんとする敬愛する姫君を、
サントハイムの王女アリーナを想って詠んだ詩だった。
「……見つからなくてよかったかも」
その一字一字を目で追いながら、クリフトは思わずくすりと笑う。
比喩が施されているとはいえ、それは明らかに恋心を彷彿とさせる。
「……仕舞っておこう」
少し照れくさくなって冊子を閉じようとすれば、それを横合いから素早く奪う手があった。
「え?」
驚いて振り返ると、そこには華やかな正装に身を包んだ美しい姫君がつい先頃まで
クリフトの持っていた冊子を手に立っていた。
「もうクリフトったら、ずるいわよ。自分だけ宴を抜け出して」
「ひ、姫様?」
突然の来訪者に驚きと戸惑いを隠せない。
「どうしてこちらに?」
よりにもよって一番まずい相手が目の前に現れ、クリフトは内心かなり強い動揺と焦りを
感じていた。
が、クリフトの心など知る由もないアリーナはぷうっと頬を膨らませる。
「それはこちらの台詞ね。サントハイム城復興記念の祝宴を抜け出して、どうしてここに
いるのよ。ソロたちだってまだ広間にいるのよ」
「それは……華やかな席が苦手だからです」
常だったらうまいかわし方も思いつくであろうに、アリーナの手にする冊子が気になり
受け答えに集中できず、つい馬鹿正直に答えてしまう。
「クリフト、あなたね、私が宴を抜け出すたびいつも言っていたじゃない。
『主役が席をはずしてどうするのですか』って。今日はあなたも主役の一人でしょ」
案の定、揚げ足をとられ、クリフトは言葉に窮した。
323【詩】3/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:19:39 ID:dfejicMU0
「そ、それはそうなのですが……」
ちらちらと冊子に視線を送りながら口ごもれば、アリーナは漸くその存在に気づく。
そして『日記』という文字を目にするや、にんまりと笑い頁を繰った。
「おもしろそうね。じゃ、これと交換に、ひとりで抜け出したことを不問に付してあげるわ」
「えっ」
思いもかけない事態にクリフトが硬直すれば、アリーナは嬉しそうに読み進める。
「えーっと、なになに……『今日、サランの町で写真が売られていた。被写体を見れば
姫様のお姿……なんとけしからぬ事だ。仕方がないので私はそこにあった全ての写真を
買い占めた。これで、姫様のお写真で妙な気を起こすものもいないことであろう。
おぉ神よ。お導きをありがとうございました。
……とはいえ、かなりの出費を要してしまった。今月こそは『新・信仰と祈り』が買える
と思っていたのに……来月に持ち越しのようだ』って何これ?写真?そんなの見たことないわ。
クリフト、後で出しなさいよ……次は」
次々と読みあげていくアリーナに、我に返ったクリフトは必死の思いで冊子を取り返そう
と試みる。
「姫様、お返しください」
「いいじゃない」
ひらりひらりとクリフトをかわしながら、アリーナは器用に目を通していく。
「姫様っ」
経験が物を言うのか。
正装に妨げられ、思うように動けないクリフトに対し、こちらは盛装とも言える華やかな
衣装を身に纏っているにもかかわらず、アリーナの動きは留まるところを知らない。
次々と頁をめくっては、焦るクリフトをからかうようにひらりと身をかわす。
とはいえ、やはり動きながら冊子をめくるのは難しいようで、読む頁は飛び飛びになって
いる。そのせいであろうか、クリフトが見られては困ると思っているようなものは意外と
避けられているようだ。
不幸中の幸いといって良いのかは判らないが、それがクリフトにとって救いであるのは
今のところ確かだった。
だが、その幸運にクリフトが感謝する暇があらばこそ。彼が長年信仰してきた神は、彼に
試練を突きつける。
324【詩】4/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:21:25 ID:dfejicMU0
ふいに、動きを止め、アリーナがしげしげと冊子に見入った。
そして小首を傾げたと思うと彼女はその華の顔を引きつらせ、次の瞬間、お腹を抱えて笑い出した。
「姫様、返してくださいっ」
漸く動きの止まったアリーナの手から冊子をもぎ取ったクリフトだったが、肩を震わせ、
目に涙をためて笑い続けるアリーナの姿に、不審なものを感じた。
「そんなに大笑いされるようなものがございましたか?」
恥ずかしいというよりはあっけに取られ、そう問えば、アリーナは涙の滲む目をこすり
ながら開きっぱなしになっていた日記を指差した。
「その頁……」
アリーナが見ていた頁に視線を落とせば、そこには彼が記した『詩』が載っていた。
「ご、ごめん。笑うつもりじゃなかったんだけど……なんだかその」
笑いの滲む声に、クリフトはそこはかとない寂寥感を覚える。
見つかると困る、そう思っていた『詩』。
それは、如何に比喩が用いられているとはいえども、見る人が見れば誰が誰を思って
書いたものかは一目瞭然の代物だった。
だからこそ危惧していた。
秘めたる想いを、彼女に知られてしまうのではないかと。
それなのに、彼女はこの詩を読んでただ笑うに留まっている。
即ち、彼女はこの詩の真意に気づいていないということなのだろう。
クリフトの、彼女への恋心に気づいていないということなのだろう。
325【詩】5/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:23:21 ID:dfejicMU0
―――これほど赤裸々な想いにすら気がついてもくれないのか。
肩透かしを食らったように思えて項垂れれば、笑いをおさめたアリーナが、クリフトの
顔をのぞきこむようにして微笑んだ。
「ごめんね。本当に笑うつもりじゃなかったのよ。だってとても素敵な詩なんですもの」
だけどね、と彼女は赤らんだ頬を押さえながら続ける。
「何だか少し照れくさいかも」
「照れくさい?」
不思議に思って問い返したものの、自作の詩を見遣れば、若すぎる感性が妙な羞恥心を
あおる事に納得する。
「まぁ、確かに、照れくさいかもしれないですね」
冷静に分析し頷くと、アリーナが怪訝そうにこちらを見上げてくる。
いったい、何だというのだろう。
目線で訊ねると、彼女は困ったように眉根を寄せ、口を開いた。
「ねぇ、クリフト。私の言葉の意味、わかってる?」
「え?それはどういう……」
唐突な言葉に、首を捻る。
先程の言葉に、どんな意味があったというのか。
もう一度考えてみるもののさっぱり見当がつかず、お手上げとばかりにアリーナを見れば、
彼女はやれやれといった様子でため息を漏らした。
「わかってないのね」
そのあきれた様子に、クリフトはますます当惑を深める。
一体全体、なんだというのだろう。
謎かけのようなアリーナの態度に混迷を繰り返す。
―――自作の詩、姫様の笑い、照れくさい。
焦れば焦るほど、訳がわからなくなりクリフトは心底困惑する。
「姫様……」
答えを求めて声を発せば、それまでじっとクリフトを見つめていたアリーナがその言葉を
遮った。

「ねぇ、クリフトは自分のことを書かれた詩を読んでも照れくさくないの?」

326【詩】6/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:27:18 ID:dfejicMU0
―――彼女は一体、何と言ったのだろう。
混乱する頭を小馬鹿にするかのごとく、いち早く反応したのは彼の胸だった。
「あ……」
信じられないほど鼓動が早まり、息苦しささえ感じる。
何故?と思う間もなく、全身が熱くなる。
「姫様、それは……」
思考より先に言葉が漏れる。
どくどくと脈打つ音が耳に響き、頬が火を噴くのではないかと心配になるほど熱くなる。
自分の体はどうなってしまったのかと疑いたくなる。
冷静になるんだ、と己に言い聞かせてみるものの、思うようにならない。
自分の意志とは関係なく、胸が高鳴り、頬が熱をおびる。
潤む瞳でアリーナを見遣れば、こちらを見上げていた彼女と正面から視線が絡んだ。
「姫様……もしかして私の詩の意味を?」
掠れた声でそう呟くと、彼女は先程よりもはるかに赤くなった頬を押さえながら
恨めしげに睨んだ。
「やぁね、もう。どうしてさらっと流せないのよ。……そんな反応されたら、
こっちまで恥ずかしくなっちゃうじゃない」
そう文句を言いながらも、アリーナは律儀に頷く。
「わからないわけないじゃない」
アリーナは笑う。
「だってね、私もクリフトと同じ気持ちだから」
自身も白磁の肌を薔薇色に色づかせながら、彼女はクリフトの赤くなった頬へ手を伸ばす。
「クリフトに比べたら、まだ短い想いかも知れないけど」
それでもね、と迷いのない瞳でクリフトの目を覗き込む。
「想いの深さなら、負けないわよ」
生来の勝気さすら覗かせて、アリーナはますます艶やかに微笑む。
「クリフト。私、あなたが好きよ」
―――素敵な告白を、ありがとう。


327【詩】7/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:30:23 ID:dfejicMU0
―――誰かが呼ぶ声がする。
そう知覚すると同時に背後で扉が勢いよく開け放たれ、酒瓶をかざしたソロとマーニャが
なだれ込んできた。
「おい、クリフト。おまえ、ずりーぞ。すこしはおまえものめよな〜」
「宴はさ、もう終わりらしいんだけど、ブライが秘蔵の酒を出すから、部屋で飲み
なおさないかって〜」
「おまえ、こんどはさんかしろよなー。さっきろうかですれちがったアリーナにも
さんかするようにいっといてやったんだからさ〜」
「そうそう、酔った勢いで……なーんてこともあるかもよ〜」
相当酒を過ごしたのか。呂律が怪しい。
それでも妙な使命感に駆られたふたりは、クリフトを誘うべく歩みを進める。
「ちょっとぉ〜」
「クリフトってばよ〜」
ふらふらと覚束ない足取りでクリフトに近づいてきたふたりだったが、次の瞬間、
酔いなど忘れてしまったかのような俊敏な動きを見せた。
「ちょっと、クリフト。あんた、大丈夫なの?」
「まじ、ふつーじゃねーぞ、その顔色。飲みすぎたんか?」
「そんなことどうでもいいから、ソロ、水よ」
「お、おう」
「クリフトも遠慮なんかしなくてもいいから横になんなさいよ」
急にどたばたと立ち回り始めたふたりを前に、クリフトは不思議そうに小首を傾げた。
「御酒は……ほとんど召しておりませんが?」
328【詩】8/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03:32:38 ID:dfejicMU0
どこかぼんやりとしてはいるものの、酔いの見られないしっかりとした口調で告げられ、
慌てていたふたりは怪訝そうに振り返った。
「お酒を?」
「飲んでない?」
「えぇ。ほとんど口にしておりませんが?」
クリフトが頷くと、ふたりは顔を見合わせ、いままで以上に慌てた様子でクリフトに
駆け寄ってきた。
「ちょっと、なんかの病気じゃない?」
「パデキアいるか?」
真剣そのもののふたりに迫られ、クリフトは思わず仰け反る。
「いえ、別に病気って訳では……姫様に日記を見られただけ……」
思わず正直に答えかけ、慌てて口を噤む。
が、ふたりがそれを聞き逃してくれるはずも無く――。
「ちょ、なに?なんかあったの?そこんとこ、詳しく話しなさいよ」
「え、まじ?っておまえ、手に何もってんのさ」
「あら?日記帳?ちょっと貸してごらんなさいよ」
「あ、ちょっと、それは……」
「ほら、マーニャ。いまだ」
「あ、そ、そんな……あぁぁぁ」
妙に連携の取れたふたりの攻めにあえなく撃沈したクリフトを残し、ソロとマーニャは
日記を手に廊下を走り去る。
そして―――クリフトの裏日記は、見たくもない陽の目を見ることとなる。

329名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 03:39:02 ID:DM/N61hXO
しえん?
330【詩】9/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 04:07:17 ID:dfejicMU0
「ふぉふぉふぉ、若いっていいのう」
真っ白な髭をしごきながら、ブライが柱の影から姿を現す。
それを聞こえない振りでやり過ごせば、目の前に桃色の鎧を纏った戦士が立ちふさがる。
「なんと情熱的な……いやいや、拙者、クリフト殿を見直しましたぞ」
褒めているのか、からかっているのかわからない口調。クリフトは即座に踵を返し、
人影の少なそうな中庭に足を踏み入れる。
「あら、クリフトさん。ごきげんよう」
いつもと変わらぬ笑顔でミネアが近寄ってくる。
一瞬身構えたものの、あまりに普段どおりの彼女にほっと力を抜く。が、直後クリフトは
顔を赤らめて全力疾走する羽目になる。
「クリフトさん。この水晶玉ならアリーナさんの○○も××も覗き放題ですよ?
おいくらで買われます?」
一行の良心と思っていたミネアにまで、ソロとマーニャの手は伸びていた。
その衝撃に打ちひしがれながら中庭を突っ切れば、前方に丸っこい影が現れた。
「やぁ、クリフト君。大変そうですね」
一行の中で唯一の妻帯者、トルネコ。
彼は穏やかな微笑を浮かべて、クリフトを労う。
「でも、よかったじゃないですか。アリーナさんと両想いになれて。クリフト君、
頑張っていましたからね。神様がきっと恩恵を与えてくださったのですよ」
からかいも冷やかしの色もない、優しい言葉。
クリフトが思わず頭をさげると、彼はクリフトの肩をぽんぽんと叩きつつ、囁いた。
「―――で、私にも神の恩恵のおすそわけを。アリーナさんとの婚儀がまとまったら、
ぜひあの日記を出版しましょう。絶対売れますよ」


―――世界を救った勇者たちに、神は恩恵を与え給う。
                         神の恩返し―――クリフト編・完
331煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 04:12:00 ID:dfejicMU0
アストロンがとけた!
やっとアクセス規制から抜け出せました。ほっと一息。しえんしてくださった方、
ありがとうございます。

全然関係ないのですが、アストロンがとけたの『とけた』は解けた?溶けた?
後者の成れの果てはまさかはぐれメタル?

思考が変なのでとりあえず寝ます。では、またノシ
332名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 05:03:15 ID:HoZKUJH+O
おおお!
ちょっとした合作じゃーないですか!

すげー!
GJです。

俺は解けただと思っていましたが…
ああでも、石だから溶けそうですね。
333名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 05:06:15 ID:HoZKUJH+O
はっ!
石じゃなかった鋼鉄…だよね?
334名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 05:54:07 ID:pYoyLP9dO
おお!煩悩さんだ!!
夜更かししててよかった!!
実にGJ!! 二人がかわいくてなんかもう悶えるほど素敵でした
335名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 09:00:49 ID:nI4b7pWz0
トルネコさん、ぜひ出版してくれ!
336名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 22:09:47 ID:KqSic/hq0
煩悩さんの描く人物って、腹黒さ満開なのに、どうして皆こんなに可愛いんだろう。
いつもサントハイム王に腹黒全開で勝ちを収めてるクリフトが、
仲間たち相手にいいように遊ばれてるのは、楽しかったです。
サンちゃん! 今ならクリフトに勝てるぞー!!
337名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/04(金) 23:59:30 ID:DM/N61hXO
すげぇ スレの流れがちゃんと組み込まれてる
GJすぎ!

それにしても、煩悩さんの書くSS、文体と内容にギャップありすぎwwwww
338名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/05(土) 18:06:53 ID:Fzb2IdA4O
なにげにミネアのセリフがすごいw
339名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 06:56:51 ID:7lNE/pJwO
職人さん方GJです。
突然ですが、皆さんが思う、これぞクリアリソング!て歌、ありますか?
自分は最近、何聞いてもクリアリに聞こえるんですが…。
ってか、こういう話題OKでしょうか…?
340名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 12:57:30 ID:QiVm8XEP0
>自分は最近、何聞いてもクリアリに聞こえるんですが…。
それはハマり過ぎではないかな。
341名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 15:47:15 ID:C42M/7d90
酒井法子の夢冒険とかどうだろう?
342名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 15:57:56 ID:N5ObwUqQO
心に冒険を
夢を抱き締めたくて
そんな君の傍見守ってたい

枯れた芝生ねころんで
夕陽を胸に吸い込む
愛情するよりこんなとき友情したい

とかって歌詞だっけ?>夢冒険
343名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 23:30:25 ID:C42M/7d90
そう。それそれ。
344名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 19:20:20 ID:ROAx9iGpO
クリアリにハマりまくってた時期は、強く相手を想ってる系の曲(特に片想い)は全てクリフトのテーマソングにしてたよ。
曲全体つーか、ちょっとしたフレーズにクリフトの気持ちを重ねて、そこだけリピート(笑)

夢冒険…今度探して聴いてみようかな…
345名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 19:42:55 ID:I01aAwe/0
アリーナの曲をミミコピで弾いてる
346名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 21:20:12 ID:cJI1A6cz0
秋川雅史氏の『アネモネ』(マスカーニ作曲の歌劇カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲)を
聴いたとき、「あ、クリフトだ」と思ってしまった。
悲恋なのに諦めきれない想いが切なくていい。
また悲恋物SS、投下されないかなぁ。以前読んだSSはどれも好きだった。

煩悩さん
>―――クリフトの裏日記は、見たくもない陽の目を見ることとなる。
この一文、妙にツボりました。いったいどんな内容の日記だったのか気になるw
GJでした。
347名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 22:28:25 ID:/ZourAic0
>>344
夢冒険だったら、サビ以降の部分が(・∀・)イイ!! 

微笑むその度 夢だけを数える  横顔しっかり 灼きつける・・・

い・つ・で・も!

心に冒険を 夢が聴こえるよね  自分のペースで 近づけばいいよね
心に冒険を 夢を抱きしめたくて  そんなキミのそば 見守っていたい


それにしても懐かしいなぁ「アニメ三銃士」・・・
348名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 22:30:38 ID:vU/eReapO
349名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 09:50:50 ID:owuEfdLiO
>>348
えっと、これは秋川氏の曲が298さんの詩のイメージとマッチするってこと?
それとも、煩悩さんの日記の内容が298さんの詩だってこと?

煩悩さんのSSの中に詩の具体的な記述はなかったような・・・行間読めてないのか、俺orz

夢冒険、あの曲、いいよね。
350名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 11:24:02 ID:SGo2RGywO
>>349
おいおい…
行間どころか文章読めてないぞ。
秋川氏はまるで関係ない。
最後の質問に対する答えが>>348

煩悩さんは>>320ではっきりと、「この詩とスレの流れで作ったSS」と書いてる。
351名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 13:56:44 ID:PFY1+aCz0
うん、私も>>298さんの詩を浮かべて読んでた。けど、確かに>>349さんが言うように
SSの中では一切詩の内容に触れてないことに気づいた。
ということは、脳内で別の詩を思い浮かべていても無問題?
>>298さんの詩が無くても普通に読み物として楽しめる仕様になってるところが
煩悩さんらしい罠w
352ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:04:53 ID:j51YEDoX0
何か、スレが素敵な流れになっている!!

>>298さん
季節感ぴったりのポエム、素敵ですね!
姫様を守ろうとするクリフトの心情が…いい!

そして、煩悩さん、ホントにお上手です!
なんでこんなにささっと書けちゃうんだ!?
装備品も、ピリッとまとまった小話で、面白かったです〜。

ええと、流れをぶった切るようですが、
お題【惚れ薬】できたので投下させてください・・・。
相変わらず・・・長いです・・・。
353【惚れ薬】1/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:06:19 ID:j51YEDoX0
ミネアは、馬車の中で、液体の入った皮袋を目の前にして悩んでいた。
占いの御代にといって、怪しげな老婆がよこしたのは、曰く「史上最強の惚れ薬」。
「恋しい人の口にほんの数滴、あとはそれを飲んだ後に、一番先にそいつの目に入るようにな。」
いかにもありがちな話であり、うさんくさいことこの上ない。
にもかかわらず、ミネアが、皮袋に入った緑色の液体を捨てられずにいるのは、
脳裏に浮かぶ、碧い髪、碧い瞳を持つ青年のせいだった。

―――クリフトさんがアリーナさんのことを好きなのは、分かってる。
―――それでいい…私は、このままで、全然かまわないの。
―――だいたい、こんなもの効かないに決まってるし…。
―――効いたとしても、すぐに効き目は切れるだろうし…。
―――だったら、ほんのひと時、ちょっと夢見るくらいなら…。
そこまで考えて、ミネアは、はっとした。
―――馬鹿なことを考えるんじゃないの、ミネア。
頭を振って、皮袋の中身を捨てようとしたが、少し躊躇する。
そして、結局、中身を捨てずに皮袋を自分の荷物の横に押し込むと、
昼食の用意をするために馬車を降りた。

ミネアが馬車から降りた後、しばらくして、勇者がバタバタと馬車に戻ってきた。
「まーったくクリフトの奴は、自重しろっていってるのに…風邪薬、風邪薬、と、これか?」
ぶつぶつ言いながら、馬車の奥の荷物を探っていた勇者は
ミネアの荷物の横にあった小さな皮袋に気づき、それを開けて中身を覗くと
「んーー、何か変な色と臭いしてるから、多分、これだろ、よし。」
皮袋を手に馬車を飛び出して行った。
354【惚れ薬】2/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:06:57 ID:j51YEDoX0
食事の用意をしていたミネアは、背中で勇者、クリフト、アリーナの言い合いを聞いていた。
「大丈夫です、風邪なんかじゃないですって、ソロさん。」
「いーや、大丈夫じゃない!さっき、ヘンな咳してたじゃないか!」
「そうよ!クリフトはそうやって、いつも無理するから、倒れちゃうんじゃない!」
薬、飲みなさい!と2人に諭されて、クリフトがしぶしぶそれに従う気配がする。
―――クリフトさん、また、体調を崩されたのかしら…?
心配になって振り向いたミネアは、息を止めた。
クリフトが今まさに飲もうとしているのは、例の「惚れ薬」。
―――なんで、あれがここに!?
混乱する頭で、ミネアはクリフトに叫んだ。
「クリフトさん、それ、飲んじゃダメです!!」

ごっくん。

皮袋の中身を一口飲み下したクリフトが、ミネアの叫びに驚いたように振り向き、
そして、そのままの姿勢で固まった。
「―――!!」
ミネアの心臓が、跳ねた。
クリフトの碧い瞳は、ミネアを真っ直ぐに見つめていた。

ミネアは、周囲の音が、突然聞こえなくなったのを感じた。
クリフトから目を離せず、時間さえも止まってしまったかのようだった。

クリフトが、ミネアに向かって、一歩前に踏み出した。
355【惚れ薬】3/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:07:46 ID:j51YEDoX0
しかし。
「クリフト?どうしたの?」
アリーナが、怪訝そうにクリフトの服を引っ張った。
クリフトが、はっとしたようにアリーナを見下ろすと、その顔をまじまじと眺めた。
「な、なによう、どうしたって言うのよ、クリフト。」
珍しく至近距離から見つめられ、アリーナは照れたようにえへっと笑って見せた。

その笑顔を見たクリフトは、衝撃を受けたように後じさった。
そして、慌ててミネアを振り返ると、ひどく混乱した表情で頭を抱えた。
「う…あああぁぁぁぁあああ!」
クリフトが頭を抱えたまま叫び始めた。

「ど、どうしたんだ、クリフト?この薬、なんかやばかったのか!?」
「クリフト!?やだ、どうしちゃったの!?」
パニックになる勇者とアリーナ、そして、それを呆然と見守る他の仲間達。
そこに鋭い声が飛んだ。
「ラリホー!」
倒れこんだクリフトを勇者が慌てて支える。
クリフトは、安らかな寝息を立てていた。

呪文を唱えたブライは、ゆっくり進み出ると、震えているミネアの前に立った。
「さて、何が起きたのか話していただけますかの、ミネア殿。」
ブライの声音は厳しかった。
356【惚れ薬】4/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:08:50 ID:j51YEDoX0
「惚れ薬ぃ〜!?また、なんでそんなものを取っておいたわけ!?」
ミネアの説明に、マーニャが素っ頓狂な声を上げた。
「……こ、恋占いとか、何かの、役に立つかと思って…。」
苦しげに言い訳をするミネアの隣で、勇者が青ざめた。
「ってことは、俺は、クリフトに惚れ薬を飲ませちゃったってこと…?」
「そうよ、だいたい、あんたも中身確かめないで飲ませるってどういうことよ!」
そのとき、大人しく皆の話を聞いていたアリーナが、ぽつんと呟いた。
「それじゃ、今は、薬のせいで、クリフトはミネアのこと好きになってるの…?」
「まあ、話を聞くと、そういうことになりますかな。」
あっけらかんと答えるライアンの後頭部に、マーニャが無言で鉄扇を叩き込んだ。

「でも、それだったら、クリフトは何であんな苦しそうに叫んでたの?」
アリーナの問いに、トルネコは、アリーナとミネアを交互に見やり、首を振った。
「考えられる原因は、まあ、1つでしょうねえ…。」
勇者も、不機嫌そうに、手の平にこぶしを打ちつけた。
「あいつは、何でもくそ真面目に思いつめるからな。」

ミネアは、皆の会話に、耳をふさぎたい気分だった。
―――結局、そういうことよね…。馬鹿みたい…。
所詮、薬では、クリフトのアリーナに対する想いを消すことはできなかった。
無理矢理自分へとねじ向けられた想いは、クリフトを混乱させ、苦しめるだけだった。
―――こんなみじめな思いをするなんて、薬を捨てなかった罰があたったんだわ…。
打ちひしがれた様子のミネアを見て、マーニャが心配そうに眉根を寄せた。
357【惚れ薬】5/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:09:21 ID:j51YEDoX0
アリーナは、しばらく黙って考え込んでいたが、やがて決然とした表情で顔をあげた。
「何かよく分からないけど、つまり薬のせいで、クリフトは、あんなに苦しそうなのね?」
唇を噛み締めるミネアを横目で見ながら、ブライがうなずいた。
「まあ、惚れ薬の効き目が切れれば…あやつの混乱も治りますじゃろ。」
「だったら、早く解毒剤を探さなきゃ!」
アリーナが立ち上がった。

「と言っても、こういう蠱惑系の薬の解毒は、作り手自身でないとなかなか…。」
トルネコが困ったように言う。
「だったら、そのお婆さんを探せばいいのよね、ミネア!」
アリーナの強い瞳に見据えられ、ミネアはたじたじとなる。
「で、でも、どこに住んでいるか聞いてないわ…。」
「だったら、占って!ミネアの占いだったら、探し出せるわ!」
アリーナの必死の表情に、ミネアは胸がちくりとうずくのを感じた。
―――アリーナさん、そんなに、クリフトさんが私のことを好きなのが、いや…?
「…じゃあ、水晶玉を取りに行かないと…。」
ミネアは、のろのろと立ち上がった。
「馬車にはクリフトが寝てるだろ、ミネアが行っても大丈夫か?」
勇者が心配そうに声をかける。
「でも、水晶玉は、分かりにくいところに隠してあるから…。」
「他の者がガサガサ探し回るより、ミネア殿が行ったほうがいいじゃろう。」
ブライがミネアにうなずいた。
「くれぐれも、クリフトを起こさんようにな!」
358【惚れ薬】6/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:12:28 ID:j51YEDoX0
ミネアは、馬車の入口近くで眠るクリフトを気にしながら、静かに、水晶玉を取り出した。
しかし、気配に敏感なクリフトは、目が覚めてしまったらしい。
「…あれ?…ここは…?」
クリフトの呆けたような声に、ミネアは水晶玉を持った手を止めた。
―――ど、どうしよう…。私に気がついたら、クリフトさんはまたさっきみたいな状態に…。
ミネアが固まっているうちに、クリフトがミネアに気付いたようだ。
「そこにいるのは…ミネア、さん…?」
背後から聞こえたクリフトの声に、乱れは見られなかった。
―――もしかして、薬の効き目が切れた…?
ほっと息をついて振り返ったミネアは、水晶玉を手から取り落とした。
起き上がったクリフトは、顔を赤らめ、熱い瞳でミネアを見つめていた。

「ミネアさん…私は、どうしてここに…?」
クリフトは、赤い顔をしながらも、不思議そうに辺りを見回した。
クリフトが先ほどの出来事を思い出せば、また混乱するかもしれない。
ミネアは、慌ててクリフトに駆け寄ると、その肩に手をかけ、横になるよう促した。
「大丈夫です…ちょっと体調を崩されて、貧血を起こしただけ…。」
と、そのミネアの手をクリフトがつかんだ。
ミネアは息を飲んだ。
顔を上げると、こちらを見下ろすクリフトの真剣な表情に、そのまま動けなくなった。
気がつくと、ミネアはクリフトの腕の中に抱きしめられていた。
「ミネアさん…私は…。」
甘く低い声で囁かれて、ミネアは気が遠くなりそうだった。
359【惚れ薬】7/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:13:04 ID:j51YEDoX0
そのとき、馬車の外から、アリーナが小さく呼びかける声が聞こえてきた。
「ミネア、水晶玉、見つかった?」
その瞬間、クリフトは、弾かれたようにミネアから体を離した。
そして、真っ青な顔をして手で口を覆う。
「私は…今、何を…?」
ミネアは、すかさず呪文を唱えた。
「ラリホー!」
クリフトは、再び安らかな寝息を立て始めた。

「遅くなってごめんなさい、アリーナさん。クリフトさんが目を覚ましかけたので…。」
「あ、それでラリホーかけてくれたのね、ありがとう、ミネア!」
無邪気に礼を言うアリーナの顔を、ミネアは見ることができなかった。
いまだ胸の鼓動は収まらない。
気を落ち着けるために、大きく息を吸い込むと、ミネアは水晶玉に集中した。

「…で?結局、その婆の住んでる場所は分かったのか?」
気力を使い果たし、ぐったりとしたミネアの横から、勇者が水晶玉を覗き込んだ。
「ええ。ここだったら、すぐそばまでルーラで行けそう…。」
「よし、疲れてるだろうけど、善は急げだ。ミネア、行こう!
こんな物騒な薬をばらまく奴には、一言言ってやらなきゃな!」
「物騒なのは、それを確かめもせず人に飲ませるあんたでしょーが!」
「ソロ!マーニャ!待って、私も行くわ!」
「…確かに、姫様は、今は、あ奴から離れていた方が良いかもしれませんのう。」
結局、ミネア、マーニャ、勇者、アリーナの4人が、老婆の住む森に向かって飛び立った。
360名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 22:13:37 ID:PAr+UQPA0
 
361【惚れ薬】8/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:13:45 ID:j51YEDoX0
老婆は、いきなり現れた4人に驚いたようだったが、ミネアから話を聞くと楽しそうに笑い始めた。
「あの薬に抵抗するとは、大した男だわい。よっぽど惚れてる女子がおるんじゃの。」
老婆の言葉は、ミネアの心に鋭い痛みをもって突き刺さった。
しかし、アリーナはほとんど老婆の言葉を聞いておらず、もどかしげに前に進み出た。
「あなたの薬で、クリフトが苦しんでいるの。お願い、解毒剤の作り方を教えて!」
老婆がアリーナをじろりと見やった後、ミネアの方を向いた。
「その男のお相手は、このお嬢ちゃんかい。」
「…ええ。」
ミネアは痛む胸を押さえながら小さい声で答えた。
「ふん。」
老婆は、アリーナに向き直ると、からかうような目つきでアリーナを見た。
「お嬢ちゃん、クリフトって男は、あんたにとって何なんだい?」
アリーナは、突然の問いかけに、目をぱちぱちさせた。
「何って…クリフトは、大事な仲間よ!」
「それだけかい?」
「それだけって、どういうこと?」
アリーナが、いぶかしげに眉根を寄せる。
老婆は、そんなアリーナに向かって、再び「ふん。」と鼻を鳴らした。
「つまり、お嬢ちゃんは、クリフトとやらが苦しんでいる状態が治ればいいわけじゃな。」
「そうよ!」
「じゃったら、話は簡単だわ。ほれ、この占い師の姉さんを目の前に置いて、
残りの惚れ薬を全部その男に飲ませればいいんじゃよ。」
老婆はミネアを指差して笑った。
362【惚れ薬】9/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 22:14:16 ID:j51YEDoX0
老婆の言葉にミネアとアリーナは呆然と立ちすくんだ。
「今は、惚れ薬の量が足りてないから、気持ちがあっちこっちするんじゃ。
皮袋の中身を全部飲めば、なんぼなんでも、収まるところに収まるじゃろ。」
勇者が慌てて前に飛び出した。
「ダメだ!そんなの、絶対にダメだ!」
「何がダメなんじゃ。おぬしら、その男の混乱を収めたくて来たのじゃろ。
この姉さんと一緒になってめでたしめでたし、解毒剤なんぞ使わんでも円満解決じゃ。」
「円満でも何でも、とにかく、惚れ薬で解決なんて、絶対にダメだ!」
「兄ちゃんに、何の関係があるんじゃ。」
「あるんだよ!あいつは、自分で、自分の気持ちに決着をつけなきゃいけないんだ!」
必死に叫ぶ勇者の隣で、マーニャがゆっくりと腕組みを解いた。
「悪いけど、あたしも、お婆さんの案には賛成できないわ。」
「…姉さん。」
「何が円満解決よ。そんなことしたって、ミネアは幸せになんかなれないわよ。」
ミネアは、マーニャから目をそらした。
そんなことは、分かりすぎるほど分かっていた。
惚れ薬で、クリフトが自分のことだけを見るようになったとしても、それはまやかしに過ぎない。
それでも。
―――ミネアさん…私は…。
あのときの自分を見つめるクリフトの表情と、腕のぬくもりが蘇る。
あの甘い囁きの続きを聞くことができるのなら…例え、まやかしでも…。
そのとき、ミネアの横で、凛とした声が聞こえた。
「だめ。そんな解決方法、絶対に許さない。」
アリーナが老婆を睨みつけていた。
363名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 22:25:05 ID:Y+o/rKJA0
支援
364名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/08(火) 22:45:21 ID:P4bngpgx0
リアル投下ktkr!wktk♪支援。
365【惚れ薬】10/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 23:25:44 ID:j51YEDoX0
「薬で好きにさせるなんて、クリフト自身の気持ちは、全然無視じゃない!
そんな方法で、クリフトが、幸せになれるわけない!」
正論だが、ミネアにとってはひどく残酷な言葉だった。
―――アリーナさんの立場だったら、そう言うのは簡単よね…。
ミネアはうつむき、初めて、クリフトに愛されているアリーナを憎らしいと思った。
そんなミネアを横目で見ながら、老婆が意地悪そうな笑みを浮かべてアリーナに尋ねた。
「えらそうに言うが、お嬢ちゃんは、その男の気持ちを知ってるのかい?その男は、
もしかして本当に、この占い師の姉さんのことが好きなのかもしれないじゃないか。」
「え…。」
アリーナは、老婆の指摘に、うろたえたように一歩後ろに下がった。
「た、確かに、ミネアは優しくてきれいだし…、クリフトはミネアと一緒にいること多いし…、
私だって、クリフトは……ミネアのこと本当に好きみたいって、思うことあるけど…。」
先ほどまでの勢いはどこへやら、アリーナの声はだんだん小さくなり、消えていった。
ミネアは、驚いて顔を上げた。
アリーナが、クリフトと自分のことをそんな風に見ているなんて、思っても見なかったことだ。
―――だったら…アリーナさんが必死になって解毒剤を求めているのは……?
肩を落としていたアリーナは、何かを思い切るように、ぶん、と頭を振った。
「でも、だったら、だからこそ、クリフトは自分の気持ちでミネアに好きって言わなきゃ!」
アリーナの口調は勇ましかったが、その顔は今にも泣き出しそうだった。
―――アリーナさん…あなた…。
「やれやれ、あんたは、何の権利があって、その男の人生に口出しするんだね、お嬢ちゃん。」
またしても意地悪げに尋ねる老婆に、アリーナは呆れたように答えた。
「権利ですって?クリフトの幸せを考えるのに、権利なんて必要ないわ!」
老婆は絶句した。
366【惚れ薬】11/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 23:26:18 ID:j51YEDoX0
「分かった分かった、そこまで言われちゃ、わしの負けじゃよ。」
老婆は笑いながら、机の中から青い液体の入った小瓶を取り出した。
そして、それをアリーナに渡しながら、優しく微笑んだ。
「どうやら、クリフトとやらの想いは、成就しそうじゃの。」
「え?そうなの…?」
アリーナは、何とも言えぬ複雑な顔でミネアを振り向いた。
「アリーナさん、あのね…。」
アリーナの誤解を解こうとするミネアを、老婆が横からつついた。
「姉さんも大変だったんじゃから、お嬢ちゃんも、これくらいは悩んでもいいじゃろ。」
ミネアに向かって片目をつぶると、しっしと片手を振った。
「さ、あんたら、用が済んだらさっさと帰っておくれ。わしは忙しいんじゃ。」

4人は急いで帰ると、クリフトをたたき起こした。
そして、勇者が有無を言わせず、小瓶の中身を全部クリフトの口に流し込んだ。
「げほっ、何をするんですか、ソロさん!風邪薬はさっき飲んだじゃないですか!」
クリフトは、この間の出来事を全く覚えていなかった。
ミネアは、少し寂しい気持ちになったが、これでいいんだと思い直した。
―――覚えてたりしたら、クリフトさん、きっと、私と目も合わせられないもの。

夕暮れの中、ミネアは馬車の御者台に座って、ぼんやりとクリフトとアリーナを眺めていた。
アリーナは、夕食の用意をするクリフトの周りを、いつものようにうろちょろしながらも、
ミネアの方をちらちらと気にしているようだ。
―――ほんとに、まったく、あの子ときたら…。
苦笑するミネアの後ろから、声がかかった。
367【惚れ薬】12/12 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 23:27:23 ID:j51YEDoX0
「今回の件は、あんたには、とんだ災難だったわね。」
振り向くと、両手に酒の入ったグラスを持ったマーニャが立っていた。
「…そうね。でも、災難だけってわけでもなかったのよ。」
ミネアは、マーニャからグラスを受け取りながら、くすりと笑った。
マーニャが、ミネアの笑顔にほっとしたような顔をして、その隣に座った。
「なによ、姉さん、何か言いたいことでもあるの?」
「別にー。あんたが良けりゃ、あたしからは何も言うことはないわよ。」
「………私ね。…心の底では、クリフトさんに想われたい、ってずっと思ってた。」
姉さん、知ってたでしょ、とミネアは笑い、酒を一口飲んだ。
「でもね、今回のアリーナさん見てて、自分はだめだなって、しみじみ教えられちゃった。」
「…。」
「…相手が誰を想おうが、何よりも相手の幸せを一番に思える関係って…すごいわよね。」
「…。」
「ずっと年下なのに、何かもう、全然敵わない。却って、すっきりしちゃった。」
「…あの子の場合は、その自覚が全くないところが、それはそれで厄介だけどねえ。」
「そうね、うふふ…。そこら辺は、これから頑張って自覚してもらいましょ。」
ミネアは空になったグラスを置いて立ち上がると、クリフトに手を振って叫んだ。
「クリフトさーん、夕食の用意、手伝いましょうかー!」
クリフトが嬉しげにミネアに向かってうなずき返し、アリーナがその横で体を強張らせた。
「…ミネア、あんたって、けっこう意地悪ねー。」
「あら、私だって災難だったんだから、これくらいのお返しはかまわないと思わない?」
それに、そろそろアリーナさんにも自覚してもらわないと、とミネアは明るく笑うと、
馬車を降りてクリフト達のもとに駆け寄った。
368ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/08(火) 23:30:24 ID:j51YEDoX0
やっと、全部投下できましたー。
途中、ご支援いただきました>>363さん、>>364さん、どうもありがとうございました!

さるさる言われ続けて辛かった・・・。
「アストロンが解けた(溶けた?)」って、ものすごく感じ分かりました>煩悩さん


369ホイミン:2007/05/08(火) 23:54:21 ID:Y11Tihpy0
リアルタイム投下に感激です。ペギーさん乙!!
370名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/09(水) 00:43:01 ID:NBqJa7UyO
ペギーさんGJです!
アリーナ大好きだけど、ミネアのアリーナにムッとする気持ち少し分かる気がしますねー
無自覚なだけで、ちゃんとクリフトに惚れてるみたいだからいいけど、惚れてもいないのにあんな感じだったらクリフトもミネアも可哀相です。

クリアリは勿論のこと、ミネアとかマーニャとかその他(←酷っ)も皆、幸せになって欲しいですねぇ。
371名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/10(木) 16:53:07 ID:1zA0TSMWO
ペギーさん、煩悩さん、一言いわせてくれ







GJ!
372名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/11(金) 19:56:05 ID:eYZVOrW2O
>>371
オチ(?)が読めたぞ!
でも本当にGJです!

アニメ三銃士のOP(夢冒険)のムービーを友達に貰いました!

最初は“これクリアリかなぁ?”と思ったんだけど、聴き込んでるうちにクリアリに聞こえてきた!

頭の中にサントハイム三人組みを描いたり、夕日の草原でアリーナのちょっと後ろの方でアリーナと同じ方向を見つめてるクリフトを思い描きましたよ!

ええ、思い描きましたとも!
373名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 12:24:53 ID:i5Q1RIYR0
いたストDSにクリフトも参戦キタヨー ヽ(´ー`)ノ
クリアリのかけあい今から期待しとく
…SPより姫がやさしくなってるといいなあ
374名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 16:11:07 ID:qf8lGGSK0
いたストDSクリフト参戦オメ!! しかもCランクにUPしたそう。
いやーマジで嬉しいこれで購入決定だわ。

いたストSPのクリフト真面目ですごく好きだったからこっちも期待してる
375祝出場 1/2:2007/05/13(日) 17:34:56 ID:QuxtdgUR0
すっかり暑くなったわね。みんな初夏バテしてない?
あたしは今、毎日がすっごく忙しい。
実はね、恒例となったすごろく大会がいよいよ来月に迫ってきたの。
今度もまた、いろいろな世界で楽しめるのね。楽しみだわ。

ちなみにあたしは、これで三回目の出場になる。
そろそろクリフトのところにも、届いてる頃かもしれない。
今ごろ参加証を見て、びっくりしてるんだろうな。
当たり前よ。あんたに内緒で、あたしが勝手に申し込んだんだから。

だって、前々作では二人揃って出場できたのに、
その次のでは、クリフトは出してもらえなかったじゃない。
ま、代わりにマーニャとミネアが一緒に来てくれたから、
それはそれで結構楽しかったのは嘘じゃないわ。
でもね。やっぱりあんたがいないと、なんだか寂しくって。

だからね、あたし「開発部」ってところに行って直談判してきたの。
もちろん、クリフトも出場させてほしいってお願いするためよ。
以前あんたが「交渉も戦いの一つです」って言ってたから、
あたしは右手に炎の爪を装備して、単身乗り込んでやったわ。

こちらの要求はたったの二つ。
クリフトを出場させることと、ランクを上げること。
だって最低のDランクだと、人のいいあんたのことだから
また手を抜いて相手に勝ちを譲ろうとするじゃない。
少しでもランクを上げたら、みんなだって本気でかかってくるから
さすがのクリフトもそれなりに戦わざるを得ないわ。
これでもあたしなりに、あんたのことちゃーんと考えてるのよ。
376祝出場 2/2:2007/05/13(日) 17:37:03 ID:QuxtdgUR0
あ、来た来た。
ねえねえクリフト。あんたも出場できるんですってね。おめでとう!
ランクは?えっ、Cランクに上がった?
なによ。たった1ランクだけ?開発部のくせに意外とケチなのね。
ううん、こっちの話だから気にしないで。また一緒に頑張りましょ。

さあ、舞台と役者も揃ってきたわね。
今度こそ、正々堂々と勝負してもらうわよ。
前みたいにわざと負けたら、お仕置きだけじゃすまないんだから!
377名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 18:57:59 ID:XmQ25l4P0
店長?
378名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/13(日) 22:01:45 ID:i5Q1RIYR0
さっそくktkr
GJ!

そういやアリーナのランクはまだ不明か
379鳥なしですがてんちょです:2007/05/13(日) 22:41:33 ID:4efZsU1J0
お久しぶりです。
鳥をど忘れしたので、今回は鳥なしで書きます。
>>373-374を見て、衝動的に書いてしまいました。
反省はしてますが、後悔はしてません。

あと、一つお知らせがあります。
>>298の詩ですが、あれの作者は自分の友達のようです。
こちらのパソのごみ箱に原稿らしきものが捨ててあって、
何度か問い詰めた結果、本人の犯行だと自白しました。
投下はしたものの、やっぱり恥ずかしくなったみたいです。
お騒がせして申し訳なかったこと、および
つたない詩で盛り上がってくれて感謝します、とのことでした。

>>煩悩さん
素敵なSSありがとうございました。お見事です。
友達に代わって、お礼を言わせていただきます。
>
>ペギーさん
揺れるミネアの女心がすごく伝わってきました。
長編乙でした。
380差し替え 2/2:2007/05/13(日) 22:49:24 ID:4efZsU1J0
(すみません。一部文章が抜けていました)

で、交渉なんだけど…あたしがあいさつ代わりに
炎の爪を何度か振り回したら、向こうのおじさんってば、
あっさりこっちの要求を呑んじゃったの。
意外と物分かりがいいのね。あたし、こういう人って好きだわ。

あ、来た来た。
ねえねえクリフト。あんたも出場できるんですってね。おめでとう!
ランクは?えっ、Cランクに上がった?
なによ。たった1ランクだけ?…開発部のくせに意外とケチなのね。
ううん、こっちの話だから気にしないで。また一緒に頑張りましょ。
どうして自分が出場することを知ってるのかって?
あ、あら。ついにあたしにも王家の予知能力が身についたのかしら?
ていうか、大の男が細かいこといちいち気にしないの。

さあ、舞台と役者も少しずつ揃ってきたわね。
今度こそ、正々堂々と勝負してもらうわよ。
前みたいにわざと負けたら、お仕置きだけじゃすまないんだから!
381名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 07:51:18 ID:m1SbjvztO
正直、いたストDSのアリーナイラストはどうかと思うんだ…
仮面ライダーごっこですか姫

クリフトもどうなるか心配だ
382名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 11:45:00 ID:QsWwkWBHO
いたストの絵は苦手なんだよな
二次創作は別に平気なんだけど…

攻略本の絵描いてる人(村上さんだっけ?)が好き。
あの絵で8みたいなリメイクしてほしい。
383名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 17:26:11 ID:rjhA7e2B0
個人的にはいたストの絵好きだなあ。DSのは見てないけど。
クリフトがキリっとしてて普通に格好良かったしイメージにあってた。
384名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/14(月) 22:38:29 ID:gstTlb3Y0
絵とか以前にいたスト苦手でどうにも…orz
385無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/14(月) 23:51:03 ID:oJWAEqWoO
シュッ シュッ
夜の闇を切り裂くように拳の音が聴こえてくる
いつものように馬車の外で、アリーナが戦闘に向けてのトレーニングをしているのだ

トン トン
後ろから不意に肩を叩かれ、アリーナは驚いて後ろを振り返った
「そんなに驚くことないじゃない」
「あぁマーニャだったの!てっきりモンスターかと思って」
「こんな御丁寧なモンスターがいるかしら?」
「それもそうね、だけど急にどうしたの?いつもはまだカジノに行ってる時間なのに」
「それがお金がなくなっちゃってさ、馬車に戻って来たのよ」
「それで、お金はあったの?」
「・・・」
「マーニャ?どうしたの?」
「中に・・・入れる雰囲気じゃないんだよね」
「?」
「クリフトとミネアが凄く楽しそうにお喋りしてるんだもん」
386無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/14(月) 23:58:24 ID:oJWAEqWoO
「でも、ブライも一緒でしょ?」
「じいちゃんはもう寝ちゃってるわ」
「勇者は?」
「トルネコさんと一緒に町の酒場に行ってる」
「じゃあライアンさんは?」
「東の森で剣の訓練をしてるわ・・・」
「じゃあ今、馬車の中でクリフトとミネアが2人っきりでお喋りしてるの?」
「そういうこと」
「ふぅん、そうなんだ。でも私には関係ないわ」
「本当にそう思ってるの?」
いつになく鋭いマーニャの眼差しに、アリーナはたじろいだ
「うん。だって私はこれでも1国の姫だし、クリフトはその侍従だし・・・」
「そういうことじゃなくて、アリーナの気持ちを聞いてるの。クリフトのことをどう思ってるのかってことを」
「そっそれは嫌いじゃないけど、好きでもないけど、好きっていうか・・・」
アリーナは動揺して自分でも何を言っているのか分からなくなり、頬を赤くした
387無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/15(火) 00:05:30 ID:+MXEGJLWO
やはり携帯からの長文は厳しいorz
もし迷惑じゃなかったら、明日か明後日続きを書かせてください
388名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/15(火) 09:22:58 ID:fvXTDg93O
おー!待ってるよー
389無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/15(火) 10:58:22 ID:+MXEGJLWO
「後で悔やんでも遅いんだよ!自分の気持ちをしっかりクリフトに伝えなきゃ!」
アリーナは自分の気持ちに、驚きを隠せなかった
今まで『異性』として意識したことが無かったはずの、クリフトのことをこんなに好きだったなんて
「うん・・・わかった」
意を決したアリーナは、馬車へと向かった
390無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/15(火) 10:59:46 ID:+MXEGJLWO
馬車の中からクリフトとミネアの話す声が聴こえてくる
アリーナは馬車に近付き、2人の会話を聴いた

「姫様、喜んでくれますかね?」
「えぇきっと喜んでくれると思いますよ。クリフトさんの手作りですもの」

アリーナはすっかり忘れていたが、明日はアリーナの誕生日だったのだ
391無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/15(火) 11:02:04 ID:+MXEGJLWO
アリーナは自分が情けなくなった。普段『ありがとう』の一言も言えない自分を、クリフトは大切に思ってくれている
それは侍従と姫の関係だからかもしれない

でも、それでも良かった。これからは自分の気持ちに素直になろう
アリーナはそう思った

(終)
392名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/15(火) 13:09:15 ID:5UIJvhfg0
無差別格闘流さんGJ!
アリーナがクリフトを好き、でもクリフトの気持ちは分からないってのが新鮮でイイ
393名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/15(火) 23:35:45 ID:RNjsBMif0
おおーGJGJ!!
かわいいなぁ、みんなかわいいなぁ!
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 02:41:11 ID:eyMdxms9O
いい!アリーナが可愛くてクリフトがさりげなくてなんかツボだぜ!
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 08:22:56 ID:3K2VC5oC0
クリフトの手作りプレゼントが何なのか気になる
アリーナかわいい
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 20:53:26 ID:TmuSHk2hO
>>395
冬なら手編み系でその他の季節なら食べ物に1G!



無差別格闘流さんGJです!
アリーナが可愛い!
素直なアリーナ大好きです!
397無差別格闘流 ◆XoPr4cCBXY :2007/05/16(水) 22:19:47 ID:8I/EUwQ7O
皆さんレスありがとうございます!
機会があったらまた書いてみたいと思います
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 23:17:03 ID:JBmUmMan0
無差別格闘流さんGJ!

ところで、まとめサイトって今どうなってるのかな。
昔のスレのところpart5で止まってるよね。

●持ってない自分は前スレが読めない・・・orz
399名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/17(木) 16:26:50 ID:mGiWk5wJO
青春ですなぁ
テラカワユス
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 09:34:59 ID:8w0t1drP0
新しい職人さんの登場はうれしい!
無差別格闘流さんまたよろしくです!
401名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 03:02:20 ID:cfSXJlUdO
アリーナ「ねぇ、トルネコってどうしてそんなお腹になっちゃったの?」
トルネコ「ははは…これはネネが原因ですよ。ネネはいつも私の好きな料理を、テーブルにのりきらない程作ってくれるんです。
それがまたうまくて、ついつい食べ過ぎてしまってね。」

クリフト「愛情のこもった奥さんの手料理か…いいですね。」
アリーナ「幸せそうで羨ましいわ。私もいつかは愛する人に手料理を作って、たくさん食べてもらいたいな。
…でも私、クリフトがトルネコみたいなお腹になっちゃったらどうしよう?量には気をつけないとね!」
クリフト「ひっ姫様!?それはどういう意味で…」
402名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 03:05:27 ID:cfSXJlUdO
突然こんな会話思いついたんで初めて書いてみた。下手ですいません。
403名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 04:52:32 ID:a2xE/dA0O
>>401-402
いや、そんなことないよ アリーナかわいかった!
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 15:34:37 ID:4bCpBknuO
>>401
GJ
ちょっと欲を言えば、焦るクリフトを見てのアリーナの反応が見たかったかな
405名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 16:10:56 ID:L3498sqF0
なんて卑屈な奴なんだ
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 22:58:05 ID:Alf47Pa0O
あえて書かないのがいいんじゃないか
407名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/19(土) 23:35:22 ID:s6NgDc6aO
>>401-402
GJですよ!

職人さんが増えるのはいい傾向ですねぇ。

こうゆうアリーナ大好きです。
アリーナの手料理...不味くてもクリフトならば食べるでしょう!
408人魚姫(一応クリアリ):2007/05/20(日) 08:00:19 ID:L5X57kNKO
昔々とある海底に、明るい栗色の髪に、綺麗な緋色の瞳をした可愛らしい人魚姫がいました。

人魚姫は好奇心旺盛なお転婆姫だったので、本当は15歳になるまで行ってはいけないと言われた海上にもちょくちょく遊びに行き、その度に国王や教育係りのじいやに叱られていました。

それでもめげない人魚姫は今日も海上へ遊びに行き、そこで嵐に遭った船から王子様が投げ出されるというとんでもないシーンに遭遇しました。

“あ、大変”泳ぎの得意な人魚姫は急いで救助に向かい、おかっぱ頭の王子様をなんとか助け出す事に成功しました。

それから数日後―
海に戻った人魚姫はあの日以来、王子様の事ばかり考えていました。
“あの王子様、大丈夫だったかなー。ひ弱そうだったから寝込んでいるかも…あたしが武道を教えて、鍛えてあげた方がいいんじゃないかしら?”

そんな人魚姫の思いは日に日に大きくなり、もう自分しか王子様を鍛えられる人物はいないんだわ!と感じた人魚姫は、海底の外れにある魔女の家へとむかいました。
409人魚姫:2007/05/20(日) 08:02:37 ID:L5X57kNKO
魔女に綺麗な声と引き換えに、人間になる薬をもらった人魚姫は、その薬を飲み干し、陸へと上がり、足にとてつもない激痛を感じてその場へ倒れ、意識を失っていました。


立派なベッドの上で目を覚ました人魚姫は、そこであの王子様と再会しました。

そしていきなり王子様に求婚され、びっくりした人魚姫はうっかりOKを出してしまいました。

実は王子様には正式な婚約者がいたのですが、一目で人魚姫の虜になった王子様は、すぐさまその婚約を破棄し、皆に人魚姫と結婚すると宣言したのでした。
410名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/20(日) 08:13:59 ID:L5X57kNKO
あ、長過ぎた(続きが書けない)

普通のクリアリじゃなくてすみません。
急に思い付いてしまったので…
411名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/20(日) 15:07:45 ID:/vyv6RcF0
>>408
いえいえ、面白かったですよ。
「王子様に恋をして」じゃなくて
「ひ弱そうだから鍛えてあげる」ってのがアリーナらしくてGJです。

ところで、携帯ゲ板のいたストスレから拾ってきたんだけど
台詞があまりクリフトっぽくない。と、思うのは自分だけではないだろう・・・
クリフトだったら「導きなさい」じゃなくて「導きたまえ」のような気が
・・・ちゅーか、クリフト その台詞、もしかしてマルチェロに取り付かれてないか?w

ttp://gonintendo.com/wp-content/uploads/2007/05/03675_itadaki_street_ds_vj_2007july-l_resize_122_467lo.jpg
412名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/20(日) 23:21:03 ID:nEdslAuw0
クリフトの服、またイラストだけ長袖か。
イラストどおりのデザインでゲームで見たかったよ。

アリーナの鉄の爪が消滅…
ポリゴン数削減のためか?それとも対象年齢による制限か?
413名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/20(日) 23:28:05 ID:FAMqOIW8O
期待あげ
414名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/21(月) 00:16:57 ID:MJ3xEcekO
いたストSPでアリーナとクリフトが同じマスに立ってるとなんか嬉しい
ハートマークのマスなんかに一緒に立ってると(*´Д`)
415ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20:24:16 ID:0PuqldL20
DSライト欲しい…。
最近、また職人さん増えてきて、うれしいですね!

えーと、小ネタ投下します。
416子猫1/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20:25:36 ID:0PuqldL20
クリフトとブライと3人で旅に出てから1ヶ月が経った。
お城をこんなに長い間離れていたのは初めてで、何もかもが新鮮で最高!

ある日、川で顔を洗っていると、どこからか、か細い泣き声がした。
辺りを見回すと、木の上で降りられなくなったらしい、小さな子猫。
お城のミーちゃんの小さい頃を思い出させるような、真っ白な子猫だった。
私は思わず地面を蹴って枝に飛び上がると、子猫をそっと抱き上げた。

「ダメです、姫様。動物を連れて旅などできません!」
子猫を連れて戻ってきた私に、クリフトは早速お説教モードだ。
「でも、ここら辺魔物も多いし、この子、食べられちゃうかもしれない!」
私の抗議の声にこたえるように、子猫がニーーと鳴いた。
それを見て、クリフトの表情がちょっと柔らいだ。
チャンス!
私は、すかさず子猫をクリフトに押し付けた。
「わっ!姫様、何を!?」
子猫も、びっくりしたみたいにクリフトの神官服に爪をひっかけた。
「こら、爪を立てるんじゃありません!服がほつれる!」
クリフトは文句を言いながらも、子猫が落ち着くように抱えなおした。
その表情はすっかり緩んでいる。
ほーら、クリフトが猫好きだってことは良く知ってるんだから。
こんな可愛い子、一度抱きしめたら、もう手放せないでしょ。
案の定、クリフトは咳払いをするとしかつめらしい顔で言った。
「…仕方ありません、このまま、魔物の餌食にするのも見過ごせませんね。
でも、次の街に着くまでですよ。街に着いたら放しますからね。」
えへへ、やったね!私って知能犯!
417子猫2/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20:27:06 ID:0PuqldL20
ブライはぶつぶつ文句を言ったけど、2対1では勝てっこない。
白い子猫、命名しろちゃんは、私達の旅の仲間になった。
数日もすると、しろちゃんは、クリフトにすっかりなついてしまった。
いつも、気がついたらクリフトの膝の上で丸くなっている。
クリフトも、それが嬉しいらしくて、大人しくしろちゃんのベッドになっていた。
今も、膝の上で寛いでるしろちゃんの背中を、指先で優しく撫でてあげてる。
へー、あんな顔もするんだー、クリフト。
とろけそうな顔っていうのは、こういうことを言うのかしら。
旅に出てから、クリフトのこと、けっこう剣が得意とか、寝癖がつきやすいとか、
いろいろと新しく発見してるけど、こんなクリフトも、初めて見るなぁ。
…。
……。
なんか、面白くない。
そもそも、私が助けてあげたのに、なんで、クリフトにばっかりなつくのよ!

と、私の後ろから、くつくつ言う笑い声が聞こえた。
振り向くとブライがおかしそうな顔をしてクリフトとしろちゃんを見ている。
「ブライ、何がおかしいの?」
ブライは、クリフトをこっそり指差した。
「あやつが、お休み中の姫様を見ているときと同じ顔をしているのがおかしくて…。」
ほんに、分かりやすい奴じゃ、とブライはまたくつくつと笑った。
………。
へ、へー……。クリフト、私のこと見てもあんな顔するんだー…。
私、年下だから、クリフトの中では子猫扱いってこと?
何となく釈然としない気もするけど、そっか、へー。
クリフト、あんな顔で、私のこと見てるんだ…。
418子猫3/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20:29:53 ID:0PuqldL20
私は、クリフトのところに駆け寄ると、すとんとその隣に腰を下ろした。
「…どうされました?」
クリフトがしろちゃんを撫でる手を止めて、怪訝そうに私を見る。
「えへへへへ。」
私は、何となく笑って、クリフトの手を引っ張ると、私の頭の上に乗せた。
「姫様!?」
クリフトが赤くなって手を引っ込めようとしたけど、だめ、放してやらない。
「ね、クリフト、私のことも撫でて!」
「!?!?」
クリフトは真っ赤な顔に?マークをいっぱい貼り付けてたけど、言われたとおり頭を撫でてくれた。
はじめはぎこちなかったけど、だんだん、ゆっくりと柔らかい動きになってくる。
気持ちいーい。
私は、しろちゃんがやっていたみたいに、目を細めてみた。
と、クリフトの顔が視界の端に入った。
クリフトは、さっきのしろちゃんを撫でてたときと同じ目をして私を見ていた。
えへへへへ。
なんか嬉しい。なんでか嬉しい。
ニー。
クリフトの膝で、しろちゃんが抗議の声を上げた。
ごめん、もうちょっと待っててね、しろちゃん。
あなたがクリフトになつく理由、よく分かったわ。
クリフトに撫でてもらうのって、こんなに気持ちいいんだね。
向こうの方では、ブライが何故だか赤い顔をして、私達を見ていた。

そんな、昼下がり…。
419ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/22(火) 20:31:18 ID:0PuqldL20
…アリーナ、命名センスなさすぎです。
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/22(火) 20:51:26 ID:6oUcMTz70
いいね
421煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/05/22(火) 20:55:28 ID:SyspvvWB0
な、何ということだ。二十日ぶりくらいでのぞいたスレでペギーさんとリア遭!
おぉ、神よ。お導きをありがとうございます。
最近、職人さんが増えて嬉しいですね。一住人として職人さんたちを応援しています!

>ペギーさん、GOD JOB!
アリーナかわいい。かわいすぎる!そして寝癖クリフトを想像して萌えたw
ぜひまた素敵SSを投下してください。正座して待っています!



……喜びのあまり風呂汲んでたの忘れた煩悩神官でしたorz
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 03:04:08 ID:A7OtU6+MO
>GOD JOB
神作?wwwwwwwww
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 03:15:51 ID:36FdyIe/O
スペルミスなんだろうけど、ゴットで間違いない位素晴らしいっす!

猫もアリーナもクリフトもかわいい!
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 09:32:41 ID:pKebZM5zO
ペギーさんのアリーナ、可愛いなぁ!GJ!
煩悩さん、お久しぶり!GOD JOBは、ワザとじゃね?

ところで、人魚姫でクリアリ世界名作劇場の妄想に取り付かれてしまった。

アリーナずきん「お婆ちゃんのお口は、どうしてそんなに大きいの?」
ソロばーさん「それは、お前を食べるためだよ!いただきまーす!」
アリーナずきん「何すんのよ!」
会心の一撃!
クリフト猟師(…私の出番がないっ!)
とかね。
お目汚し失礼。
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 10:46:12 ID:a0FD1i8TO
あれ?このスレってgod jobって使わないのか?他のスレでみたことあるけどなw
まぁ、書き手が煩さんってトコが微妙だな。
天然のような気もするが、レス内に神を匂わせてるあたり、わざとだろうwww

そして、ペギーさん
まさに神の御業!ゴッド ジョブ!次回作も楽しみだ

>>424
いいねぇ
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 15:32:40 ID:f3TR1ZQv0
クリアリ世界名作劇場ってなんかいいな。
ロミオとジュリエットじゃあまりにベタだから、
白雪姫とかシンデレラとか眠れる森の美女とかか?

どれもヒロインが合わなすぎwww
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/24(木) 18:02:52 ID:Mrktw7rbO
ペギーさんのほのぼの大好きだなあ

最近悲恋を見てないから
読んでみたいな・・
特に煩悩さんときのこの人の・・

もちろんどなたの作品でも大歓迎です!
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/25(金) 21:14:24 ID:+O+SEf5lO
自分はハッピーエンドが好きだけど、悲恋の方が綺麗な物語になるんですよね。

シンデレラはクリフトがシンデレラで、王子はアリーナって話を何処かで見たことがあります。
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/25(金) 22:35:55 ID:Zy3PtQEeO
いたストDSは今のところ、クリアリ以外のIVからの参加はないんだな。
トルネコも交代しちゃったし。

魔神像MAPの目になぜかいる背景勇者、参加者を見ながら何を思うのか…
430名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/25(金) 23:33:55 ID:lxszzjO80
>>429

そこら辺、てんちょに書いて欲しいなんて思ったり。
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 12:10:03 ID:KhAVJUdNO
アリ×クリはどっちが攻め受けかでわかれるよな
俺はクリフト攻→アリーナリバという、ラブラブが好きだ
(*ノ∀へ)
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/28(月) 19:18:51 ID:BpImUem8O
互いが互いを大切に思いあってれば、どっちが攻めでも好きですよ〜
一生懸命、攻めたり攻められたりして、幸せオーラを振りまいて欲しい。
433ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:03:52 ID:nBRISody0
皆様、小ネタに感想、どうもありがとうございました!
そして煩悩さん、お久しぶりです!
煩悩さんのクールクリフト、待ってます!(いやもちろん、お時間のある限りで…!)

クリアリ世界名作劇場、思わずシンデレラ妄想してしまいました。
といっても、ものすごーーーーーーーくアホな話です。すいません。
私には、悲恋は書けない…orz
434シンデレラ1/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:04:48 ID:nBRISody0
あるところに、輝く太陽色の髪、真紅の瞳を持つ、それは美しく清らかな少女がおりました。
その少女の名前は、シンデレラ。
シンデレラは、継母とその連れ子である、紫の髪をした姉達に…。

「ちょっと待ったーーー!」
「姉さん!しょっぱなから話の腰を折らないでちょうだい!」
「だって、何であたしが意地悪姉の役なのよ!どう考えても主役はあたしでしょー!」
「…いや、酒乱のシンデレラって、想像するだけで怖いから。」
「年齢的にも無理ですよね。やはり、主役は姫様しかいらっしゃらないかと。」
舞台裾でひそひそ囁き合う勇者とクリフトに、
「…あんたたち、なんか言ったかしら。」
マーニャが低い声で呪文を詠唱し始めた。
舞台下からトルネコが慌ててメガホンで呼びかける。
「マーニャさん!姉の役が嫌なら、あとは魔法使い役しか残ってないですよ!」
「…くっ!後で覚えてなさいよ、あんた達!」
「はい、リテイク行きます!」
トルネコの掛け声で劇が再開された。

心優しいシンデレラは、継母とその連れ子である姉達に、いつもいじめられていました。
「お姉さま、床掃除はこれくらいで良いかしら。」

ほうきと雑巾を持って舞台に現れたアリーナを見て、クリフトがハンカチで目頭を押さえた。
「ああ、姫様、何ておいたわしい…!」
「しっ、クリフトうるさい!」
435シンデレラ2/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:07:02 ID:nBRISody0
「あーら、シンデレラ。この床の染みはなんですかしら。」
「あ、すいません、お姉さま。」
「こんな大きな汚れにも気付かないなんて、どこを掃除していたのやら。」
「…ミネア、あんた、妙にこの役、似合ってるわね…。」
「ムカ。いいから姉さん、セリフをつないでよ!」
「分かったわよ!シンデレラ、この役立たず、えい!…って何すんのよ、アリーナ!」

アリーナをぶとうとしたマーニャは、逆に舞台端まで投げ飛ばされて激怒した。
「ご、ごめん、マーニャ、つい反射で…。」
「カーット、カット!」
トルネコがメガホンで指示を出す。
「仕方ありませんね、ここらは、あとで適当に編集しますから、次のシーンに移りましょう。」

継姉達は、シンデレラを置いて、お城の舞踏会に行ってしまいました。
シンデレラは1人残された台所で、ほぅ、とため息をつきました。
「武闘会かぁ。私も、是非、出席したかったわ。」

「姫様、セリフが違っておりますじゃ。」
「…聞いている分には同じですから、ここは流しましょう。」

そこにバン!という音とともに煙が上がり、背の高い魔法使いが現れました。
「ビビディ、バビディ、ブゥ!あなたの望みを叶えましょう!」
「…クリフト。何やってるの?」
「…素で話しかけないで下さい!今の私は、良き魔法使いなんです!」
436シンデレラ3/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:08:34 ID:nBRISody0
舞台裾では、出待ちの勇者が首を傾げていた。
「なあ、トルネコ。シンデレラに出てくる魔法使いって、婆さんじゃなかったか?」
「マーニャさんが魔法使いやってくれないし、役者が足りないんで、この際目をつぶりましょう。」

「さて、シンデレラ。あなたは良い子なので、ご褒美としてお城に行かせてあげましょう。」
「え、でも、こんな格好じゃ…。」
「大丈夫です、あなたに似合う素敵なドレスを用意しております、そーれ!」
シンデレラのボロボロの衣装が、あっというまにレースをふんだんにあしらったドレスに変わりました。
「わ、こんなんじゃ、武闘会で闘えないわ!」
「(早く出番を終わらせたいので聞こえない振り)お城に行くのに、乗り物も必要ですね、ほらっ!」
「あ、かぼちゃが!今日の夕飯のおかずにしようと思ってたのに!どうしよう!」
「大丈夫です!夕飯は私が変わりに作っておきます!」
「そっかー、じゃあ安心だー、クリフトの作るご飯、おいしいもの♪」
「え、そ、それは…どうもありがとうございます///。」
「あら、ホントのこと言っただけよ。」
「姫様…。」

舞台上で繰り広げられる2人の会話に、勇者が舞台裾からトルネコに声をかけた。
「なんか、途中から2人の世界に入っちゃってるけど、いいのか?」
「うーん、良くはないんですが、面白いからこのまま撮りましょう。」
「俺の出番が、なかなか回って来ないんだよな〜。」

舞台の外での会話に、魔法使いは、自分の置かれた立場に気付いたようです。
「こほん、えー、シンデレラ、最後にこの靴を履いてください。」
マントの中からガラスの靴を取り出しました。
437シンデレラ4/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:09:26 ID:nBRISody0
「えー、何これ、動きにくそうで、やだな〜。」
「いけません!これは、王子様と結ばれるための重要なアイテムなのです!
帰るときに片方の靴を置いていくのが正しい使用法ですからね!」
「うーん、よく分からないけど、履けばいいのね。」
シンデレラは、ぶつぶつ言いながらもガラスの靴に足を入れました。
「…では、シンデレラ。魔法は夜中の12時に解けますから、それまでに戻ってくるんですよ。」
「うん!どうもありがとう、クリ…じゃなかった、魔法使いさん!」
シンデレラを乗せたかぼちゃの馬車は、お城へと去っていきました。
魔法使いは、それをどこか寂しそうに見送ると、ぽつんと呟いたのでした。
「どうか、王子様とお幸せに…。」

さて、舞台は変わって舞踏会会場。
緑色の髪を煌かせる王子の周りを、貴族の姫君達(マネマネによるエキストラ)が
きゃわきゃわと取り囲んでおりました。
「よっしゃー、やっと俺の出番が来たか!ふはははは!」
「王子。今日こそ、結婚のお相手を決めてもらいますぞ。」
「わかってるって、爺。…っていうか、ブライ、今のセリフ実感こもってるなー。」
「当然ですじゃ。同じセリフを何度姫様に申し上げたことか…ううう!」
爺やと話している王子の目の前に、紫色の髪の姉妹が近寄ってきました。
「王子様、あなたと私が結ばれる運命が見えますわ。」
「何言ってるのよ。あたしの色気で一発撃沈よ、ね、王子様!」
「え、えーと…?」
ありえない強引なアプローチに、王子は思い切り引いておりました。
と、そのとき、大広間の扉がバーンと音を立てて開かれました。
「待って!私が勝負よ!」
438シンデレラ5/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:10:40 ID:nBRISody0
「む、お前はシンデレラ!」
「こしゃくな、あともう少しだったものを!」
「…おい、ちょっと、お前ら、何か話を間違えてないか…?」
王子の突っ込みは軽く流され、シンデレラは一撃のもとに継姉達を倒したのでした。

王子は倒れた継姉達を前に、しばらく腕を組んで考え込んでおりましたが、
今の流れは無視することに決めたらしく、シンデレラに向き直るとダンスを申し込みました。
ホールを踊るお似合いの2人の姿に、皆が賞賛の目を向けます。
「どしたの、ソロ?何だか顔色が悪いわよ?」
「…いや、先ほどから背中に殺気を感じて…。」
(ザキという呟き声が聞こえたのは、気のせいだよなっ!)

王子は、背後を気にしながらシンデレラの手を握ると、その目を見て言いました。
「何て可愛らしい人なんだろう。シンデレラ、私と結婚してくれますか?」
「え…。」
そのとき、お城の時計が12時の鐘を鳴らし始めました。
「いっけなーい、門限過ぎちゃう!」
シンデレラは王子様の手を振りほどくと、一目散に家に向かって走り始めました。
「あ、そうそう、ここで、このアイテムを使うんだったわね。」
シンデレラは走りながらガラスの靴を脱ぐと、振り向きざまにそれを全力で放り投げました。

がすっ

1人後に残された王子様は、顔面にガラスの靴を突き刺し、血をだらだら流しながら
立ち尽くしておりました。
439シンデレラ6/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:11:21 ID:nBRISody0
家に帰ったシンデレラは、楽しそうに、魔法使いにその日の出来事を報告しました。
魔法使いは、優しく微笑みながらシンデレラの話を聞いておりましたが、
つとシンデレラから目をそらすと、低い声で尋ねました。
「…それで、王子様とのお話はいかがでしたか?」
「うーん、ゆっくり話す間もなく帰ってきちゃったからなぁ…。」
シンデレラの答えに、魔法使いは、何故かほっとしたような表情になりました。

それからしばらく経ったある日のこと、城からお触れが回ってきました。
筋骨隆々の戦士が、シンデレラ達が住む館を訪ねてきたのです。
「王子殺害未遂事件の捜査中である。これが、犯人が現場に残した凶器だ!」
王宮戦士が取り出したのは、まさに、シンデレラが王子に投げつけ…いや、
その場に脱げ残ってしまったガラスの靴でした。

「ねえねえ、シンデレラって、こういう話だったっけ…?」
「なんか、微妙に違うような気もするんだけど…。」
舞台裾でスナックを齧りながら、マーニャとミネアが囁きを交わした。
「ほらほら、そろそろ出番ですよ、お2人さん。」

「舞踏会参加者は、全員容疑者だ!お前たちも、ガラスの靴をはいてもらうぞ!」
王宮戦士の命令に、継姉達がおっかなびっくりガラスの靴に足を入れました。
「あー、良かった〜、私大丈夫だった〜。」
「私にも、少し小さいようですわ。」
王宮戦士はむむむ、と口をへの字に曲げた。
「しかし、ここが最後の家なのだ!だとすると、犯人は一体誰なのだ?」
そこに、掃除を終えたばかりのシンデレラが通りかかりました。
440シンデレラ7/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:12:48 ID:nBRISody0
「あ、私の靴!」
ガラスの靴を見て、シンデレラがのんきな声を上げました。
と、同時にその場の空気が凍ります。
王宮戦士が懐から手錠を取り出して叫びました。
「お前が犯人か〜!大人しくお縄をちょうだいせい!」
「え?え?何なの?」
シンデレラは、何が起きたのか分からず混乱した顔で辺りを見回しました。
そこに、
バン!
と音がしたかと思うと、魔法使いが現れ、シンデレラに手を差し伸べました。
「シンデレラ!こちらに!早く!!」
シンデレラは訳が分からないままに、魔法使いの手を取りました。
「待て〜い!ルパーーン!」
王宮戦士は追いすがりましたが、魔法使いとシンデレラはそのまま煙の中に姿を消しました。

「ライアンさん、乗ってるな〜。」
「完全に役を間違えてますけどね。まあいいでしょう。」

魔法使いは、安全なところまでシンデレラを連れ出すと、その顔を覗き込みました。
「シンデレラ。もはや、あなたは全国指名手配のお尋ね者です。
こうなったら、魔法の国に逃げて、私と一緒に暮らしませんか?」
シンデレラは、しばらく考えておりましたが明るい笑顔で答えました。
「うん、いいわ!掃除ばっかりしてるのも飽きちゃったし、魔法使いさん好きだもの!」

こうして、シンデレラと魔法使いは、魔法の国でいつまでも幸せに暮らしましたとさ。

                                    FINE.
441シンデレラ8/8 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:13:51 ID:nBRISody0
「カッーート!いやー、感動しました、素晴らしい!」
満足そうに拍手をするトルネコに、勇者が血糊を拭きながら抗議の声を上げた。
「ちょっと待てー!何なんだこの展開は!!シンデレラは王子と幸せになるんだろーが!
これじゃあ、俺、ただの馬鹿みたいじゃねーか!」
クリフトも、魔法使いの衣装を脱ぎながら、不満そうな顔をする。
「そうですよ、これでは、魔法使いがシンデレラをだまし討ちしたようで不愉快です。」
そこにさっさと着替え終わったアリーナが、ひょこ、と顔を出した。
「そうかな、私、このお話の結末、けっこう好きよ。お城で王子様と暮らすより、
魔法の国で魔法使いと暮らす方が、断然楽しそうじゃない!」
クリフトが、着替えの途中で固まった。
「アリーナ、意味深だわ〜、それ。どういう意味なのかしら〜。」
マーニャがにやにやしながらクリフトを見る。
「え?って、言葉通りの意味だけど…。」
「だってさ。魔法使いさん、頑張ってシンデレラを魔法の国に連れてってやらないと!」
マーニャにつつかれ、クリフトは赤い顔をして部屋から逃げ出した。

トルネコは、楽しそうに皆を見ながら映写機を巻き戻すと、1人呟いた。
「できることなら、この映画を、お2人の結婚式で上映したいもんですね…。」

ホントにおしまい。
442ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/05/30(水) 20:15:16 ID:nBRISody0
ホントに…こんなアホな話にお付き合いくださいましてどうもありがとうございました…。

ちなみに、何で映画なんか撮っているかというと、
お馬鹿な勇者君が、イムルでだまされてお鍋のフタをしこたま買い込んでしまったため、
路銀を稼ぐ必要があったからです。
…でも、この映画、確実にヒットしないだろうなぁ…。
443名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/30(水) 23:57:24 ID:6Ww5Q7LoO
ペギーさんGJ!今回は笑ったw
ソロが可哀想でしたw

最後のトルネコの一言が良かったです。
いつか本当に二人が結婚できるといいですね。
444名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/31(木) 00:25:05 ID:kd928sfVO
ペギー先生、サインを下さい!(意味不)
って思う位にGJです!

王子じゃなくて魔法使いを選ぶシンデレラなら、神官を婿に迎える日も近いはず!

童話は勇シン、ピサロザなら様になりますが、クリアリは変化球っぽいですね
白雪姫もクリフトは小人どまりっぽいし…
445名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/31(木) 00:27:13 ID:Wrz4l/ih0
GJ!!
ギャグあり感動ありの素晴らしいお話でした。
446名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/31(木) 04:55:38 ID:0A4A4WtCO
GJ!!!!
王宮戦士なはずのライアンが、なぜか銭形のコスプレをしている姿が
自然に想像できたw
447丸山朋成:2007/05/31(木) 21:29:39 ID:fH0xdWsL0
アリーナ「ああ、クリフト、あなたはなぜクリフトなの?」
 
          アリーナに縁のない言葉
448名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 08:51:11 ID:gPtwvOCqO
いたストDS公式で、アリーナのセリフや動きが見られるけど

ますますサイヤ人化が進んでおられるようで…
449名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 12:46:53 ID:1TGk7/MlO
>>448 アリーナならいつかなれる。
450サイヤ人:2007/06/01(金) 22:24:39 ID:Kam/8s3UO
〜エンドール第二回武術大会〜
「許しません!私は貴方を許しません!」
「ねぇ、あなた…アタシのこと誰かと間違えてない?」
「間違えてません!貴方はアリーナ姫様でしょう!?」
「それでは第二試合始め!」
「私、あなたに会った事ある?」
「あります!」
(中略)
「約束も忘れてしまいましたか!?私をムコにしてくれるって!私は貴方とデスピサロを倒す旅にお供した神官のクリフトです!」
「あー思い出した!帽子被ってないからわからなかったわ!言ったわ、確かにクリフトをムコにするって」
「思い出してくれましたか!」
「じゃ、結婚しましょ」
「はいっ!」
451名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 22:27:07 ID:Kam/8s3UO
悟空とチチの話のパクリです。
ちょっとやってみたくなったので…。

すみません。
452名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 22:30:06 ID:w3OZLJLn0
おもしろいよ
453名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/02(土) 01:48:34 ID:qux8YWxs0
い、いくらアリーナだってもうちょっと考えてから決めてくれると信じたい
でも・・・PS版のアリーナだとこんな感じに本当に決めそうだよなw
454名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/05(火) 02:55:12 ID:4wzvyYihO
ほしゅ
455名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/05(火) 20:42:45 ID:l4ol8ot9O
456名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/05(火) 22:46:31 ID:ea5rhZNm0
>>455が気になって仕方がないのだが
457名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/05(火) 22:59:30 ID:cHsTuAnf0
なぜに454が晒されなければならないのだろう
458名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/05(火) 23:52:58 ID:yzGGf7IT0
きっと>>454の保守に感動して注目させたかったんだよ
459名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/06(水) 00:46:35 ID:zHNYTYoOO
sageてちゃ保守にならないからじゃねーの?
460名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/06(水) 01:13:40 ID:w7sfWa/60
足きりはスレの書きこみ時間で起きるからsageでも保守は出来るよ
461名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/08(金) 13:42:47 ID:j4kw4Dz0O
ほしゅ!
462名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/09(土) 13:07:47 ID:qkfYqzsjO
   *``・*。
   |   `*。
  ,。∩    *
 + (・ω・`)*。+゚
 `*。 ヽ つ*゚*
  `・+。*・`゚⊃ +゚
  ☆ ∪~ 。*゚
  `・+。*・ ゚


ほ〜〜しゅっ
463名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/09(土) 17:13:13 ID:Q9jUcHfp0

|⌒|
|+|
|_|
(・ω・) <ホイミ
464名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/09(土) 22:38:37 ID:qTgzjE950
>>463 ちょw
なんかふいたw
465名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/10(日) 03:12:29 ID:Q4IYqcixO
>>463
  ∧
 ===
J(・∀・)し <アリガトウ

こないだドラクエ好きの友人と、アリーナの髪は巻き毛なのか外はねなのかで議論しちゃいました。
結論としてはハネ過ぎによって外巻きになった。で落ち着いたんですが、皆さんのイメージはどんなですか?

ふわふわ?ぴょこぴょこ?
466名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/10(日) 04:28:46 ID:q4IR/6KwO
>>465
ふわふわの巻き毛かな
ちなみに色は黄色っぽいオレンジ
普通に見たら赤毛だけど、太陽の光に透かして見ると金色に輝く
というイメージ
467名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/10(日) 17:44:10 ID:kZrr0ecb0
アリーナの目は何色かな・・。
深い青か緑かな
468名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/12(火) 12:40:14 ID:oe3pzygKO
アリーナの髪はふわふわの巻き毛。色は赤とオレンジの間。
瞳の色は濃紺なイメージ。
469名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/13(水) 14:59:58 ID:3HN73ukK0
いたストDS公式サイトのデイジー姫の紹介を見ていて、
FCの頃のアリーナが懐かしくなった。
ああいう感じのおてんば姫だと思ってたんだよな…
リメイクでそのイメージは木っ端微塵にされたが…orz
470名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/15(金) 05:18:41 ID:ENbFw+seO
いたストDSにデイジーが出るのは大体予想できてたから
キャラもカラーリングも少し被るところがあるアリーナは出ないと思ってた

まあ確実にキャラの差別化は図られるだろうから・・・





やっぱり サイヤ化かな・・・やだなあ・・・
471名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/16(土) 22:13:02 ID:KlpwrUzn0
保守
472名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/19(火) 21:36:05 ID:9THb0wN+O
いたストDS、最初から相手に選べるキャラは、22人中8人らしい。
その8人にクリフトは入っていて、アリーナはいない件。
もちろん、遊んでいれば条件解除されて選択可能になるはずだけど。

つまり、初期にアリーナが出番がなくてイライラウズウズしている間、
クリフトは他のみんなと楽しく遊んでいるという構図…
ちょっとだけ立場逆転ぽくて萌えたw
473名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/19(火) 22:28:33 ID:yk7cnt280
    ______
    | |       |
    | |  (+)  |
    | |_____|
    |______|
   |______>
  /  ─    ─\ 
/    (●)  (●) \ 
|       (__人__)    |
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |  
  \ /___ /   
474名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/20(水) 22:29:17 ID:39AWGpVJ0
【いたストDSブログ】
ttp://itasutods.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_67a4.html

ちょっ・・・クリフト「ひっひっひ」って・・・ w
なんか、マルチェロ団長に憑かれていないか?
(ランクはCだけど)

それとも高い所に昇ってテンパっちゃったのか?
475名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/20(水) 22:36:09 ID:ZvcMuUU/0
それ、PS版でパノンがいるときに聞ける仲間会話。
476名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 09:13:10 ID:6s5gJYRU0
いたストDS

406 名前: 名前が無い@ただの名無しのようだ [sage] 投稿日: 2007/06/22(金) 01:45:04 ID:YohxeTkOO
自キャラ女の子にクリフトの帽子をかぶせて、アリーナに見せてみた。

「○○! クリフトとおそろいなの!?
なんか フクザツな気分……」

ツンデレktkrwwwww
477名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 16:25:02 ID:6s5gJYRU0
500 名前: 枯れた名無しの水平思考 [sage] 投稿日: 2007/06/22(金) 16:23:57 ID:pzXU3EQb0
チャンカでメダパニがかかったら

アリーナ「あれれ… なんだか 
      クリフトのことばっかり うかんでくるわ…」

━━━━━(゚∀゚)━━━━━!?!?
478名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 18:58:28 ID:6s5gJYRU0
>「わたしが うさみみバンドつけたら
> クリフト なんていうかしら? ふふふ」

>━━━(゜∀゜)━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━(゜ )━(∀゜ )━(゜∀゜)━━━!!!!!

おいおいどうなってんだよいたストDSwww
どうせ片思いの滑稽さをネタにするだけだろと思ってたクリアリ要素が、本編以上とは。
ちなみにクリフトは、女の子にうさみみバンド装備して見せると

「○○さ〜ん そのうさみみバンド
 とってもにあってますね〜」

とか言い出すので、早く対策をとった方がいいと思われます、姫。
479名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 19:50:31 ID:R3X7OJj80
これは買うしかない!?
480名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 23:26:22 ID:xA3xbWTIO
うきゃー。
アリーナかわいいよアリーナ
ツンデレ姫も、無自覚でクリフト意識してる姫も超可愛い!
いたストナイス!
481名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 23:59:28 ID:E18xB37w0
ちなみにクリフトはルイージに親近感を感じるそうです
482名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 00:00:07 ID:hTnHe5h30
>>477
これはヤバイ素敵すぎるwww

クリフトがアリーナに店交換依頼したらOK(しかも2連続)したのに
アリーナがクリフトに頼んでも断りやがったw(こちらも2連続)
案外アリーナって断れない性質なんじゃないの?
これはいける頑張れクリフト。
483名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 01:36:13 ID:SRfeq2gOO
>>477
チャンカのメダパニは、引いた人以外全員の次のダイスの目が
強制的に1になる、というものなので

いつもは素早いアリーナが、頭の中をクリフトでいっぱいにしながら
ふらふらと1マスだけ進む、という光景を想像。

萌え尽きて灰になりそうです。
484名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 20:30:33 ID:paklXeH+0
そういや、SPのボツ要素の中に、メダパニがあったんだ。
で、内部データにはメダパニにかかったときの各キャラセリフが入ってるんだ。
クリフト「アリーナ様 好きじゃーっ!!」
…ボツでよかったよ。

でもこれを踏まえたうえで、DSのアリーナメダパニを見ると、
なんか面白いというかニヤニヤできるかも。(・∀・)ニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤ 
485名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 23:43:36 ID:x+6ljegP0
>>484

五代君とPSクリフトは、確かにどこか共通しているものが・・・。
486名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/24(日) 12:31:43 ID:jbFmQUB60
>>481
やっぱりwww
487名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/24(日) 17:59:09 ID:FkzTH5/W0
どこでもカードを手に入れたらクリフトに
「そんなカードより姫さまのブロマイドのほうが大事です!」って言われたwww
488名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 00:30:08 ID:ctgZCuxs0
>>486
ルイージさんって なぜか
しんきんかんが わくんです。
どこか にているのでしょうか?

って言ってたよ。…子供向けとはいえ漢字で言ってくれwとは思ったw
489名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 00:41:40 ID:ptyOO6xk0
>>488
クリフト色だよ
色だよクリフト

スターを影で支えてるというポジションも似てるか?
いやクリフトは好んで影だけどルイージは違うか
490名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 00:45:02 ID:q9wvYgRF0
おてんば王女が相方である、という点もにてるかな。
デイジーかわいいよデイジー
491名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 01:14:18 ID:ctgZCuxs0
クリアリかけあいセリフ投下。

ク「姫さまも 〜さんのように
  おしとやかで いてくれたら……はあ。」
ア「……クリフト きこえてるわよ。」

ア「おめでとう 〜。
  なんだか じしんが ついてるわね!」
ク「おめでとうございます。
  レベルがあがったからって
  カベをけったりしちゃ ダメですよ。」

ア「〜 すごいわねー!
  クリフトにも みならってもらいたいわ。
ク「姫さま 私って そんなに
  ダメダメでしょうか……しくしく。」

ア「〜 もう目標額たまったのね。
  わたし 負けたくないのに〜。」
ク「姫さま いっしょに 〜さんを
  たおす……止めるための
  さくせんを 考えましょう!」
492名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 01:15:24 ID:ctgZCuxs0
〜はプレイヤーの名前ね。
でも負けたくないのに〜は本当に「〜」です。わかりづらくてゴメンorz
493名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 14:38:05 ID:q9wvYgRF0
>>476
男の子がクリフトの帽子装備してると、
 「どこかで 見たことあると思ったら、
  それ クリフトのぼうしね!
  なかなか おにあいじゃない!」

女の子のときとは態度違うね。
やっぱ女の子がかぶってると妬きますか姫様www
494名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 19:46:55 ID:x2XS2H0D0
>>476
>>493

どこのツンデレのテンプレですかこれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
いたストにはグッジョブと言わざるを得まい
495名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 19:48:11 ID:x2XS2H0D0
>>494
ツンデレじゃないやラブコメのテンプレって言いたかったんだ
ちょっと興奮しすぎましたごめんなさい
496名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/26(火) 02:43:43 ID:6oxpkr7iO
いたストのツアーモードで魔神像をプレイ中、
1周目で半独占のエリアを作った直後にももんじゃに相乗りされたうえ
アリーナ、クリフトもレベルアップ間近で銀行のすぐそばに居る
ああ、これは先に相乗りされるな、と思っていたところ
アリーナ銀行に到着→アリーナ自身が2件持っているエリアの株を99株買う
クリフト銀行に到着→アリーナが買ったエリアの株を49株買う

増資あまりは確実に自分の半独占エリアの方が多かったのにもかかわらず
アリーナについていったクリフト
これは、はたしてただの偶然なんだろうか、それとも・・・
497名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/26(火) 19:39:34 ID:B8vILT8y0
それと「次はあの目に・・・」←だっけ?クリフトが言ったとき
空き家もないのにそんなこと言ってそのあとアリーナの店に止まってたし
498名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/26(火) 20:04:26 ID:Eg1q/QU90
2人の掛け合いを見るためだけにいたスト買ってしまったw
499名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/26(火) 21:10:11 ID:lhVEkxZrO
プレイヤーが男の子だと、アリーナが「どれくらい強いか気になる」と言って
クリフトは「姫さまは○○さんみたいな人が気になるんでしょうか」てショボーンするけど
女の子だと、クリフトが「姫さまも○○さんみたいにおしとやかだったら」とか言い出して
アリーナが「聞こえてるわよ」とすねるという

何この王道すれ違いラブコメwww
500名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/26(火) 23:58:06 ID:hsSdt7Ic0
クリフトが目標金額達成、優勝目前
アリーナ
 「クリフト!わたしをさしおいて!!
  あとでどうなるか おぼえてなさいっ!」

………どうなるんだろう(;´Д`)ハァハァ
501名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 01:48:46 ID:4zISA3OEO
プレイヤー男の子で、目標金額を越えると

ア「えっ もう ○ゴールド!?
 クリフト! ○○を
 動けなくしちゃいなさい!」
ク「ザ…… ごほん
 姫さま 私そんな呪文
 おぼえてませんよ」

ナイスコンビネーションwww
502ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:10:08 ID:nvkLSFGq0
お久しぶりです、ペギーです。
あちらこちらで見かけるいたストDSのクリアリセリフに転げまわっておりましたが、
>>476>>493の情報に妄想が押さえきれなくなりました。

セリフ集の流れを止めてしまって申し訳ありませんが、
賞味期限のある話でもあり、投下させていただきます…。
503いたスト1/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:10:51 ID:nvkLSFGq0
私は、先日やっと神学校を卒業し、正式な神官となった。
神官になると、神官用の衣服一式が支給される。
ミサ用の服、奉仕活動のときのための服、いろいろあるが、
一番嬉しかったのは旅のときに着る、明るい緑色の服と帽子だ。

神官は、神の教えを説くためにあちらこちらを旅することが多い。
旅の途中では、怪我をしたり、祈りを欲していたりなど、神官を必要とする人々と出会うこともある。
そういった人々のため、神官の旅装には、神官である証として、サントハイム十字が
目立つところに刻まれているのが通常だ。
それ以外には、特に決まった型があるわけではなく、服自体のデザインは皆さまざまだった。

私が賜った旅装の場合は、服と同じ明るい緑色の、背の高い帽子の正面に白い布地が張られ、
そこに大きくサントハイム十字が刺繍されていた。

旅用の神官服を着て、鏡の前に立つ。
額の上の十字が、お前は神官なのだ、この十字を常に掲げ、困った人々の役に立たねばならないのだ、
と語りかけてくるようで、身のうちが震えるような気分だった。

しばらくは嬉しくて、この服と帽子を身につけたくて、私は暇さえあれば外出していた。
そのうち、城の中でもこの服と帽子は、すっかり私のトレードマークになってしまったらしかった。

そんなある日。
中庭を歩いている私を呼び止める声がした。
504いたスト2/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:11:37 ID:nvkLSFGq0
「ちょっと、クリフトってば!」
振り向かなくても分かる、愛らしいその声。
「何でしょう。」
笑顔で答えると、果たしてそこにはふくれ面をした姫様がいらっしゃった。

「クリフト、その服着てるってことは、今日もお出かけなの?」
「はあ、その予定ですが…。」
「もう、クリフト、最近外出ばっかりじゃない!お部屋に行っても全然いないんだもの。」
そういえば、と私は気がついた。
ここ1ヶ月ほど、姫様とお茶をしていない。
「申し訳ありませんでした。今日の午後、お茶にいらっしゃいませんか?」
姫様の顔がぱっと輝く。
「え?いいの?だって、用事があるんじゃないの?」
「今日の用事はサランに届け物をするだけですので、すぐに戻ってこられますから。」
「…ホントにいいの?忙しくないの?」
「姫様にいらっしゃっていただければ、むしろ、私は嬉しいです。」
「そっか…そしたら、午後のお稽古が終わったら行くわ!」
姫様の笑顔は、本当に見る人の心を暖かくする。
私は、特別においしいお茶をお入れしようと思いながら、サランに向かった。

午後、城に帰ってきて、お茶会の用意をしていると、姫様付の女官のベラさんが、
私が厨房に頼んでおいたお茶菓子を持ってきてくれた。
「わざわざどうも…。」
ベラさんの呼びかけに振り返った私は、その場で絶句した。
505いたスト3/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:13:49 ID:nvkLSFGq0
ベラさんが身につけていたのは、さすがに十字の刺繍さえないけれど、
私の旅の神官服と全く同じデザインの服と帽子。
固まる私に、ベラさんは楽しそうに笑い出した。
「驚いた?クリフトさん。これ、特別に頼んで作ってもらったの。似合う?」
「え、い、いや、その、お似合いだとは、思いますが、その服…。」
「うっふっふー、お、そ、ろ、い♪」
再び楽しそうに笑うベラさんに、私はただ混乱していた。
この服をわざわざ特別に頼んで作ってもらうなんて…もしかして、この方は、
内心、神にお仕えすることを望んでいるのではないか?
だったら、姫様には申し訳ないけれど、良い教会をご紹介できるかもしれない。
「ベラさん、あの…。」
私の言葉は、背後で聞こえた驚きの声に途中で止まってしまった。
そこには、驚愕の眼差しでベラさんを見つめる姫様がいらっしゃった。
「ベラ、どうしたの、その服…!」
ベラさんは、居心地悪そうにもじもじしている。
それはそうだろう、神にお仕えしたいという希望を姫様に知られることは、
姫様付き女官という立場のベラさんにとって、気まずいものだろうから。
何とか助け舟を出そうとした私の耳に、姫様の小さな声が聞こえた。
「何か、複雑な気分…。」
姫様は独り言のつもりで言われたのだろうが、私にははっきり聞こえてしまった。
おかわいそうな姫様。
ベラさんは姫様が小さい頃から、姫様に仕えていたのだ。
彼女がお側を離れるつもりがあると知って、ショックを受けられるのも当然だ。
506いたスト4/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:14:41 ID:nvkLSFGq0
と、姫様がベラさんに向かっていった。
「ベラ、それ、ベラには似合わないと思うの。その服のデザイン、やぼったいもの。
 ベラには、もっと、可愛い服が似合うと思うな。」
ベラさんは、真っ赤な顔をすると、その場を逃げるように立ち去ってしまった。
私は私で、今の姫様の言葉に少なからず傷ついていた。
ベラさんを手放したくないからと言って、「やぼったい」とは…。
私が、一番気に入っている神官服なのに…。

結局、その日のお茶会は、良い天気、おいしいお茶にもかかわらず、私も姫様も黙りがちで、
何とも気詰まりなものに終わってしまった。

その日以降、私は例の神官服を着ることを避けるようになっていた。
―――やぼったい…。
姫様の言葉が、胸にこだまする。
これは人々のための服なのだから見た目は関係ない、と自分に言い聞かせるのだが、
服に腕を通そうとすると、ベラさんの神官服を見ていた姫様のお顔が浮かんでしまう。

―――でも、今日はテンペまで行かねばならないし…。
ため息をつきながら、着替えのために自分の部屋に戻ろうとすると、目の端を緑の布地がよぎった。
顔を上げると、門兵のニールが、ベラさんと同じ、十字のない神官服・帽子を身につけていた。
「ニールさん!?どうされたんですか、その服!?」
ニールは私の方を向いてにやりと笑った。
「いやー、今お城の女の子の間で、この服が密かな人気だと聞いたからさ。
俺も、服の人気にあやかろうってところで。」
507いたスト5/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:23:36 ID:nvkLSFGq0
人気?そんなはずはない。
「だって、先日ベラさんが着てらっしゃったときは、姫様はその服はやぼったいって…。」
私はうつむいた。
それにもかかわらず、お城の女性陣にこの服が人気ということは…。
「お城に、神を必要とされている方がそんなにも多くいらっしゃったとは、
全く気づきませんでした。私は、神官だと言うのに…。」
ここのところ、自分の見てくればかりに気をとられていた自分が恥ずかしかった。
しかし、ニールは呆れたような顔で私を見ると、ため息をついた。
「ほんっとに、相変わらず鈍いのな、お前って。」
「…は?」
「ま、そこが人気の秘訣なのかもしれないけどよ…。こればっかりはマネできねーなぁ。」
ぶつぶつ何やら訳の分からないことを呟くニールに、私が首をかしげていると、
ニールはぽんぽんと私の肩を叩いて、言った。
「俺としてはお前がこの服を着てくれないほうが助かるんだが、武士の情けだ。」
「何のことです?」
「今さっきこの服着て歩いてたら、アリーナ姫にお会いしたんだよ。」
私は、その言葉を聞いて緊張した。
ニールはそんな私を見てにやりと笑うと、
「姫様は、この格好見て『クリフトと一緒ね、なかなかお似合じゃない』ってご機嫌だったぜ。」
そして、かかかかと上を向いて笑った。
私は再び混乱した頭で考えた。
ということは、先日の姫様の発言は、やはりベラさんが離れてしまうと思っての
発言だったのだろうか………姫様ご自身は、この服を気に入ってらっしゃる…?
私は、現金にもだんだん気分が上向いてくるのを感じた。
508いたスト6/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:25:31 ID:nvkLSFGq0
その後、私は再びあの神官服を着るようになった。
しかし、前ほど頻繁には着なくなった。
大事なのは、服装ではなく心だと気が付いたから…。

ところで、ベラさんだが、後日、こっそりと教会の話を持ちかけてみた。
すると、ベラさんは、きょとんとした顔をして、次の瞬間、大爆笑された。
そして、笑いすぎて息を詰まらせながら、
「あー、もう、ここまで通じてないと、情けなくって笑うしかないわよね!」
と涙をぬぐってらっしゃった。

…ベラさんは、神にお仕えしたかったのではないのだろうか…?
どうやら、私は、まだまだ神官として未熟者らしい…。
509ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12:26:32 ID:nvkLSFGq0
お付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
今は落ち着いてゲームやってる余裕もないので(それでもネタは書く奴)、
これからもしばらく、皆さんのセリフ投下で転げまわっていようと思います。
510名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 13:01:14 ID:4zISA3OEO
ペギーさんキター!!
がんがってセリフ集めた甲斐がありますた。
これは良い妬き姫でつねwありがとうございました。

バニーさん関連とか、女の子プレイヤーをクリフトが褒めたら
ククールが「他に言う相手いるだろ」と突っ込むとか、
もういたストDS神過ぎるw
511名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 16:56:17 ID:nZfzL8Sa0
いたストSSキター!! セリフ集めがんばろうって気になりました。
じゃあ姫さま関連で出てなさそうなのを投下。

なんてすばらしいお店でしょう……
なんと 姫さまのお店でしたか!
でしたら もっとお支払いを……!! (表情は涙)

いくら 姫さまの お店でも
この金額は とてもキツ〜イです。
……しくしく。

あの方への 思いと
同じくらい ほしいお店を
見つけました……ぽっ。

ひ 姫さまっ!
よければ 私と デートを!
あ いやっ お店を交換しませんか?

こ このままでは
姫さまとの スウィートライフが
かないません……。 (最下位)
512名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 17:01:47 ID:nZfzL8Sa0
このまま1位を キープできたら
姫さまは ほめてくれるでしょうか……
……うっとり。

姫さまが 優勝!?
な なんとっ!
祝いの準備を しなくては!!

ワープって いつもおどろいちゃいます。
実は 姫さまも にがてなんですよ。

もしも このエリアを 独占できた
そのときは あの方に……
ああっ そんなっ いけません!

優勝できた あかつきには
私のキモチを あの方に……
そ そんなマネ 私には……ああっ! (心の声)

私だったら いつでも
姫さまのところに とんでいくのに…
あっ なんでもありません。 (プレーヤーが移動カード)

ここは ぶき屋にしましょう。
もしかしたら 姫さまが
来てくれるかも……うふふ。

そろそろ 賞金の使いみちを
考えても いいころですね。
あの方へ なにか プレゼントでも……。
513名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 19:28:41 ID:6Z+4ykaqO
ペギーさんGJでーす!
いたストの姫様好きだから誰かSS書いてくれないかなーと思ってたら!きたきたきたー!
もう感無量です!
514名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 20:53:59 ID:oQukhn9M0
アリーナに
「しんでんをたてたがる人って頭のカタい人が多いけど
○○もそうだったの?」って言われた
誰のことだ誰のw
515名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/27(水) 22:08:09 ID:nZfzL8Sa0
アリーナの神殿を5倍買いしたときも(交換したから珍しく持ってた)
「そういうことすると 頭のカタい人たちが
おこっちゃうんだからー!!」 みたいなこと言ってたな。

ところでアリーナは気球乗り場ばっかり建てるし(稀に関所)
クリフトは神殿ばっか建てるんだが他所のセリフを見るにはどうすりゃいいでしょ?
516名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 20:35:45 ID:/Yrbgsoy0
(女の子 Eアリーナの帽子)
そのぼうし 姫さまと同じ物ですね?
○○さんにも おにあいですね。

(男の子 Eアリーナの服&帽子)
○○さんですね?
私が 姫さまと ○○さんを
まちがえるはずありませんって。

ちなみに男の子 Eアリーナの服 だけだとセリフは出ない。
517名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 21:24:51 ID:eh/shES+O
〉〉516
クリフトの方は、アリーナほどやきもきしてないところが、アリーナ→クリフトっぽくて、また…。
518名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 22:09:45 ID:JKQAnqRY0
>>517
そうそう、クリフトは表全開にアリーナ好きじゃー光線を出してるけど天然だよね
主人公に赤いバラのようだとか言うらしいしwどこから聞いても口説き文句じゃねえかw
うさみみバンドつけたらなんて言うかななんて言ってる乙女の前でそんなこと言ってたら
ドロドロ展開まっしぐらですよ!
まあクリフトは他意なく発言してるだけだから
アリーナ一人がドロドロするだけだけどw
519名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 22:36:46 ID:iZGj3Nqc0
クリフト、アリーナとの掛け合いでは
「姫さまもおしとやかだったら」だの
「カベをけったりしちゃダメですよ」だの言ってるからなあ。

そんでプレイヤー(女)に「まるで赤いバラ」。(←ククールとの掛け合い)
さらにバニースーツだとサービス満点とか大喜び。

バニースーツ女のことクリフト+アリーナ+ククールでプレイしたら
テラカオスな予感www
520名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 02:57:15 ID:JN4KBZQ7O
100G均一で得したとき、アリーナがこんなことを。

「安いときに いろいろ買うのって
たしか クリフトが よくやるのよねー」

なんか急に生活感あふれてきたんですがw
ていうか、クリフトのお買い物状況まで御存知ですか姫さま。
今回アリーナがやたらクリフトクリフト言う気がして、嬉しいな。
521名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 03:47:06 ID:vtsavVj4O
きっとマーニャ辺りが浪費家で、他のメンバーもお金に疎いから、クリフト、ミネア、トルネコ辺りが生活費を浮かせる為に頑張ってたんだろうね。

つーか今回の姫様、どうしちゃったんですか?
お城で平和な生活をしてる内に、武道以外のものにも興味を持ち出しちゃったんですか?
良かったねクリフト!

クリフトがあんまり妬かないのは、恋を超越して愛になってしまったからなのかなぁ。
それともそうゆうのは慣れっことか…。
522名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/29(金) 16:14:43 ID:eWIdUA0+0
>>470
私もどういうキャラ区別化が図られるのかと、gkbrものだったんだが
まさかクリフトにデレる方向で来るとは思わなかったwww
まあほんのちょこっとだけど、それでもSPの態度のひどさに比べればすごいことだ。
523名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/30(土) 23:54:39 ID:21Tv3NUP0
(女の子 Eアリーナの服)
あれ 姫さま……?
なーんだ ○○さんじゃないですか。(心の声)

女の子 Eアリーナの服&帽子 は男の子の場合と共通セリフでした。
524名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 02:20:37 ID:9Pj0aBHQ0
>>516
男の子がアリーナ服で、クリフトのコメントあったよ。

「○○さん。
 それ 姫さまのお服ですよ……」

ってドン引きしてたw
525名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 08:19:48 ID:69xVGYSk0
>>524
なにぃー3回くらいやっても出なかったのはなぜだ!?
衣装のセリフがある場合って他のに優先されて出るっぽい感じしたから
3回やって出ないなら、きっと無いんだろうと思ったけど…
それだと他の装備ももっと回数確認しなきゃならないのかorz
ああとにかくありがとう。
526名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 09:18:13 ID:wTRDaiN6O
>>525
影響あるかはわからんけど、自分の場合はヒゲを一緒につけてた。
527名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 16:57:33 ID:9Pj0aBHQ0
女の子がクリフトの服を着た場合

アリーナ「あら クリフトとおそろい?
     ○○は女の子なんだから
     もっと 他の着ればいいのに〜」

帽子のコメントを見た後だと、クリフトとおそろいにさせたくないんだね!
としか思えないwww
528名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 17:16:31 ID:fvTHCOom0
DSのアリーナはラブコメだなあ
完全クリフトだとどうなるの?
ぼうしの時と同じ?
529名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 20:52:59 ID:wTRDaiN6O
完全クリフトコスの場合

「○○ クリフトのマネしても
すぐわかるわ! だって
クリフトは シャキっとしてないもの!」

…いや、そうかな…?
ガイドブックの村上絵のクリフトとか、めっちゃシャキーン!じゃないですか?

まあ、クリフトのマネしてもすぐわかる、までは非常に萌えるコメントですが。
530名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 23:15:05 ID:wTRDaiN6O
プレイヤーが空き地に気球乗り場を建てた

「○○は いっしょに乗りたい人とかいるの?
わたしは… みんなでたのしく乗りたいわ!」

そ の 間 は な ん だ w

これ実は、プレイヤーが女の子の場合限定。
男の子だと、気球はラクでいいわよねーとか言います。
女の子相手に限って一緒に乗りたい人の話題なんて、
いつからそんな乙女になったんだアリーナ?
531名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 00:35:00 ID:la7hGmIB0
>>529
これは男の子?女の子?

そういえばPS版のクリフトのイラストは猫背になってて気になった
やっぱりFCの鳥山絵が良かった
532名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 00:42:22 ID:vRnwgahuO
>>531
共通。

PS版は全員改悪だったと思う。
もう忘れさせてorz
533名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 01:31:52 ID:/JGWg/yK0
PS版は村上絵が神だったな
女はちょっとケバいけど男は正直鳥山絵より好きだ
534名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 02:59:34 ID:uQTJf7z2O
アリーナちょっとツンデレ入ってる?
シャキっとしてない発言も、単に、すぐ違いがわかってしまった自分に対しての言い訳のような気が...

PS版は絵がどうこうより、性格(?)が苦手です。
特にサントハイム三人衆がなぁ
535名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 03:02:44 ID:uQTJf7z2O
あ、でも、PS版が好きだって人もいるよね。
そうゆう人には不快な発言だったかな...すみません。
536名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 04:08:25 ID:ESgO90W6O
>>516
遅レスかもしれないけど
クリフトは女の子がアリーナの服と帽子を着ていても
男の子の場合と同じことを言ってた
あと、アリーナの帽子とクリフトの服を身につけていた時は
アリーナの帽子の方に反応していた。
クリフトの帽子がまだ出てこないので、その逆はまだ確かめてない。
537名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 10:47:30 ID:bXKq/NPu0
帽子(頭)と服の条件がかぶった場合は
・帽子(頭)と服がセットで発動するセリフがあるならそれ優先
・無いなら帽子(頭)優先

って感じみたい。
自分も男の子verのクリフトの帽子だけが出なくて困ってるんだw
538名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 12:51:04 ID:OOwTv2Mz0
気球乗り場を他のみんなが建てつくしてたら、アリーナが神殿を建てました。

「たたかう神官の しんでんって
 いいと思わない?」

ちょwwそれなんてマイリーwwwww
一応クリフトもめっちゃ武器使って戦うんですが。
539538:2007/07/02(月) 12:53:49 ID:OOwTv2Mz0
ゴメソ
sage忘れてましたorz
540名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 14:19:11 ID:2QQjN+OhO
姫様モンクがお好きなんですかね

服と帽子ってセットで出てくるかと思ってた
いままで最初にクリフトセット、次にアリーナセットが出てきたから…

女の子にクリフト装備させたときの動きがカワユス
…ってこれはクリフト萌えスレ向きかw
541名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 20:48:24 ID:vRnwgahuO
わたしがうさみみつけたら〜、のセリフは不意打ちで驚いたな。
名指しでクリフトロックオンだし。しかも「ふふふ」ですよ。
男の子プレイヤーだと、うさみみだけでも完全バニーでもこのセリフって、
目の前のネタよりクリフトですか。どんだけ(ry

そりゃメダパニでクリフトのことばっか浮かんでくるわけだよwww
542名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 23:47:48 ID:NKE17mQi0
順番決めダイスのときにアリーナとクリフトが並んでるときの身長差に萌える
543名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/03(火) 14:45:31 ID:PtArYnjMO
>>529
たぶん、アリーナの前ではオロオロしてるんじゃないかクリフト

旅の最中は全く意識されてなかったのに
旅が終わってからはクリフトのことばっかりなんですね姫様
旅が終わって気付いたのかなあ…w
544名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/03(火) 22:29:02 ID:UrMl7U940
>>478 >>541
OK、つまりこういうことですね?

     .ハ ハ
     /ノ/ノ
    .,'" ⌒ヽ
   / ,ノノハ) ) 
  (9ノ ノ*゚ヮ゚ノi  クリフト ミテミテ!!
 @ノ⊂l∞iつ   ウサミミvバニーサンv
     ( V )
     し'ノ

クリフト「ちょwwww姫さmwwwくぁswでfrtgyはれるやlp;@
545名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/03(火) 23:13:14 ID:fwN7a2lQ0
FCクリフト 「姫さま! そんな破廉恥な格好を なさってはなりませぬ!」
PSクリフト 「姫さまのバニー姿 ……ぶはぁっ!!」
DSクリフト 「姫さまの バニー姿が 見れるなんて……どきどき。
       いや姫さまは そんな格好を してはいけませんよ!」
546名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/04(水) 21:14:30 ID:0SoFW1D8O
こんな感じ?

↑煩悩0
 
FC
 
SP
DS
 
 
PS
↓煩悩たっぷり
547名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/04(水) 22:39:06 ID:eoahES640
じゃあアリーナは

↑乙女

DS


FC
SP
PS
↓サイヤ人

PSPはシラネ
548名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 18:09:12 ID:/fq6ymmL0
気球建てたとき
クリフトが
「あれ?気球たてたんですね。え?乗ってもいいって?
 私は・・・えんりょしときます。」
                アリーナがたててたらのってたな・・・・・
549名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 18:11:50 ID:c34FIvf10
>>548
それは男の子の場合?自分が女の子で見たときは

「わあー べんりそうですね。
 え 私も使っていいと?
 えーっと……えんりょしておきます!」

だったんだけど。アリーナだったらなおさら乗らないかもね。
550名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 21:08:07 ID:pqWMTLhO0
おそらく>>548は記憶で書いているのではないだろうか
たぶん>>549と同じセリフのような気がする
551名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 22:17:16 ID:Wf1HcecCO
>>544の翌朝

*「ゆうべは おたのしみでしたね」
552名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/10(火) 23:20:42 ID:2m1KrsQX0
ほしゅ
553名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 04:37:34 ID:sviy3KXaO
やっとクリフトの帽子が買えたので、女の子にかぶせて
アリーナの例のセリフを見てみた
あからさまに怒るんじゃなくて考えるときの動きで言っているのが
よりいっそう複雑な気分という感じでいいな
ところで、逆に、クリフトにアリーナの帽子をかぶった男の子を見せたら、
その帽子どこで売っているのですかみたいなことを言われたんだが
まさか……買うつもりか?
554名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 10:00:18 ID:LjUAsCaRO
いたストDSのメダパニアリーナをようやく見られたんだが、
確かにクリアリ好きは萌え死ねるw
表情6「驚き」だから、戸惑ってオロオロしてる感じがまたいいね。
あの後、クリフトと顔を合わせる度に意識しちゃって、ぎこちなくなる姫とか
最高だなwww

お題【メダパニ】で…といっても、舞台がいたストだと扱いが難しいな。
でもせっかくクリアリ熱が煽られまくってるんで、形にできるかがんがってみる。
555名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 21:44:00 ID:7U+Hf75+0
アンソロが楽しみになってきた
556名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/13(金) 15:49:05 ID:idLKbNW30
>>555
表紙と内容紹介アップされたね。
いいね。
557名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 03:44:03 ID:JaRLu6mt0
プレーヤー(男?)に相乗りして大きく儲けた場合のアリーナのセリフ
3行目に萌え死んだ

「○○! ありがとう!
 あなた クリフトより やくにたつわ!
 まあ ちがうよさがあるんだけどねっ!」

クリフトの良さがちゃーんとわかってたんですね姫さま。
558名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 04:28:14 ID:NiM/rE3sO
>>557
「ちがうよさがあるんだけどね。」で終わってたら
少し冷たく言い捨てる感じになるところを
「っ!」があるだけで何とも言えないデレっぷり
DSの姫さまは可愛すぎて困る
もしかしたら、鍛練大好きな脳筋キャラだとハッサンとかぶるから
差別化を図るためとか?
559名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 09:20:05 ID:SPQ/txhrO
うわあ、マジっすか。
以前ならフォローが入ること自体有り得なかったよなあ。
これはすごい前進だ。
560名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 19:30:44 ID:oglAkI380
前作のいたストポータブルでは、クリフトいなかったから
きっと寂しかったんだろうな〜と思っているw
それで今回デレ入って、クリフトクリフト言ってるのかと。
561名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/17(火) 04:26:34 ID:deYpjOxF0
ここはSSの投下はアリですか?
562名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/17(火) 15:27:43 ID:dcA5tTA60
もちろんSS大歓迎ですよ。
563名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/17(火) 17:36:14 ID:OeGBdpJpO
最近SSがなくて寂しいよ
煩悩さんとかきのこの人とか前々スレさんとかペギーさんとかどこいっちゃったんだあ
564おてんば姫:2007/07/18(水) 14:52:34 ID:0S57Ldn00
「しかし、クリフト君が懸想しておることはみな知っているようだ
が、残念ながらお相手たる肝心の姫君だけが、トンと気づいておら
れぬようだ。彼に冷たい姫君の態度を見るにつけ、私などには彼が
不憫に見えて仕方ありませんな」
 派手なピンク色の甲冑を身に纏った戦士は杯を軽くあおると、苦
笑しながらそう漏らした。
 戦士の隣に座る丸々と太った優しげな男が肯き、口を開いた。
「若い、という事なのでしょう。想いを隠せない彼も、未だ異性に
恋することを知らないアリーナさんもね」
 ブライは、酒が注がれた杯から目を外すと、わずかに視線を彼ら
へと向けた。
 ここはエンドールの酒場である。カウンターから少し離れたテー
ブルを囲って三人の男が酒を飲んでいた。
 ライアン、トルネコ、そしてブライである。
 彼らが一緒に酒をたしなむ機会は割に多い。
 三人以外の仲間は若者たちばかりで、静かに酒を楽しもうとする
者は自然と一所に集うことになるからだ。もっとも今日に限って言
えば、騒ぐ者たちはすでにみな寝室に引っこんでしまっていたが。
565おてんば姫:2007/07/18(水) 14:54:11 ID:0S57Ldn00
 一緒に飲むと言ってもブライが会話に加わる事はあまりない。今
のようにライアンとトルネコが、二人で会話をする横で静かに酒を
飲むのが常であり、ブライとしても別にそれに異存はなかった。
「我々にしてみれば、羨ましくももあるが、もどかしくもある話で
すな」
 トルネコが肯いた。
「しかし、そうした気持ちには、女性の方が先に目覚めるものだと
妻が申しておりましたが、彼らの場合はどうやら逆だったようです
ね」
「ふむ、アリーナ姫の器量の良さは有名だが、それ以上に男勝りの
おてんば姫という呼び名は、遠い他国、そう、我がバトランドにな
どにまで知れ渡っているほどですからな。クリフト君も難儀な方に
惚れたものだ」
「いや、まったく」
 ライアンとトルネコは声を合わせて笑った。

「姫様はおてんばではありませんぞ」
 ブライは静かに告げた。
 今まで黙っていたブライがとつぜん会話に入って来た事に驚き、
ライアンとトルネコは顔を見合わせた。
「いや、これは失敬。言葉が過ぎたようだ」
「私もお詫びします。どうも慣れぬ酒を飲むといけませんね」
566おてんば姫:2007/07/18(水) 14:55:26 ID:0S57Ldn00
 姫への非礼を窘める発言ととられた事に気づき、ブライは苦笑し
た。
「いや、お二方を咎めだてしようとしたわけではない。ワシは姫様
が小さな頃から教育係を仰せつかっておったからの……単に事実を
述べたまでじゃ」
「事実……というと、アリーナさんが変わったという事ですか?」
 トルネコが興味深げに訊ねた。
 ブライは首を横に振った。
「姫様は今も昔も変わっておられぬ。小さな頃からずっと芯が強く
て真面目なお方じゃった。元々元気なお子であられたが、それ以上
に利発で、ワシの見立てでは僧侶系呪文に対する高い才能に恵まれ
ておいでじゃったな」
「僧侶系!? ……では、アリーナさんは呪文を学ばれていたので
すか?」
 ブライはゆっくりと首を縦に振った。
「素手で戦うのを基本とする武闘というものは、王家の者の学ぶも
のとしてはかなり異端じゃ。かててくわえて姫様は女性。学ばせる
のが白兵戦の技術であるより、呪文であることは自然の流れじゃろ
う? バトランドの戦士団にいらしたライアン殿なら、ご存じであ
ると思うが?」
「うむ。それは確かに。王家の者が武器を学ぶとすれば剣であるの
が通例であるし、学ぶ者はほとんどが男だ。まして王家の淑女が素
手による武闘を学ぶのは極めて稀であろうな」
567おてんば姫:2007/07/18(水) 14:57:06 ID:0S57Ldn00
「では、なぜ武闘家として?」
「武器を持たずとも、己の身一つで戦うことのできる武闘家という
もののありように惹かれた。……そう姫様は仰っていたが」
 ブライは杯へと目を落とした。
「王家に生まれた者に自由はない。女性ともなれば、幼いうちから
結婚相手が決まっている事も多い。男勝り、おてんば、勉強嫌い。
そう振る舞う事は、少しでも婚姻を遠ざけるとお考えじゃった。無
論、王や王妃様は、そうした姫様のお心をご存じであったし、それ
に心を痛めておいでであった。ゆえに渋々という体で武闘家になこ
とや、しばらくの間、世界を見てまわる事をお許しくだされた。そ
して、姫様もそれを存じておられる」
「……なるほど、愛し、愛されていらしたのですね」
「ふむ。どうやら我々は少々姫君の事を見誤っていたようだ」
「見誤ってくださる事こそ姫様の望み。この話は酒の上での戯言と
思ってくだされ」
 ブライは微笑んで目を閉じた。
 彼らに話すわけにいかない事もあるのだった。
 彼の脳裏に、幼い頃の姫の姿が浮かぶ。

 ――ブライ、大事な話があるの。

 ――貴方の事だからもう知っているでしょうけど、私、好きな人
ができたの。だから、呪文の勉強を止めて、これから武闘家を志す
わ。
568おてんば姫:2007/07/18(水) 14:58:11 ID:0S57Ldn00
 ――だって、私が拳を振るうことと冒険にしか興味のない、危な
っかしいお姫様なら、彼が私の側にいる意味が出来るでしょう?

 ――私は王女よ。やさしく見守ってくださるお父様やお母様、そ
れにサントハイムのみんなを裏切ることは出来ないわ。けれど、私
を好いてくれる人に、報われない事を承知の上で側にいてとは言え
ない。だから、彼にこの想いを知られる訳にもいかないの。

 ――だって、私の想いを彼に知られたら、きっとそれを強いる事
になるわ。そうでしょう? 愛想をつかされても、嫌われても構わ
ない。たとえ短い間でも彼の隣にいる事さえできれば……私はそれ
だけでいい。だから、ごめんねブライ。

 ――今日から私は、サントハイムのおてんば姫よ。

(了)
569561:2007/07/18(水) 15:04:02 ID:0S57Ldn00
「おてんば姫」
>564-568

このスレには初投下となります。
微妙にむさ苦しくて、まとまりの無い作品になってしまいましたが、よろしければご覧ください。
感想、批評、誤りの指摘。なんでも構いませんので、一言いただければ幸いです。
570名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/18(水) 19:26:44 ID:w7BVpHsP0
(・∀・)イイーオナズン!!!!!
久々萌え投下キタ━━━━━━━━━━━━ !!!!!
571名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/18(水) 21:27:35 ID:hL441aJl0
>>564-568
やっべー、すごいキタ。
健気だよアリーナ健気だよ(/_;。)

そして、ブライが異様に渋くてかっこいい件。
572名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/18(水) 21:42:33 ID:OOIJNp8/0
ブライ萌えしたわw
>>564禿げ乙。ご馳走様でした。
573名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/19(木) 00:09:31 ID:qf3f8ruM0
>>564-568
GJ!ブライ渋いよブライ
アリーナもかわええ…こういうのもありかな…

指摘としては簡単に
文の流れを変に切らないように気をつけましょう
561氏の文を改行して修正するとボリューム減りそうですがそこは地文でカバー
台詞だけで長々とほぼ1レス丸々は空白を空ける箇所がなくなりがちですし
文が詰まりすぎててちょっと見難いかと(ただこれは好みかと。上手い人は上手いです)
後、自分がSS書くときに個人的に意識してる点なんですが
40前後位で改行すると横移動も程々で文が読みやすくなると思います
561氏の文を使って例を出すと

「しかし、クリフト君が懸想しておることはみな知っているようだが、残念ながら
お相手たる肝心の姫君だけが、トンと気づいておられぬようだ。
彼に冷たい姫君の態度を見るにつけ、私などには彼が不憫に見えて仕方ありませんな」

こんな感じで
何だかんだ言って内容はGJ!でした
次も期待してますね
574名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/19(木) 00:13:23 ID:qf3f8ruM0
指摘したくせに改行ミスった…

「しかし、クリフト君が懸想しておることはみな知っているようだが、残念ながら
お相手たる肝心の姫君だけが、トンと気づいておられぬようだ。
彼に冷たい姫君の態度を見るにつけ、私などには彼が不憫に見えて仕方ありませんな」

こうですね…すみませんorz
      ↓
「しかし、クリフト君が懸想しておることはみな知っているようだが、
残念ながらお相手たる肝心の姫君だけが、トンと気づいておられぬようだ。
彼に冷たい姫君の態度を見るにつけ、私などには彼が不憫に見えて仕方ありませんな」
575名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/19(木) 04:46:49 ID:7av0MMASO
>>573-574
っ「お題:ブライ」

>>564-568
GJ。大人な酒を嗜むおやじ衆が渋い。
576561:2007/07/20(金) 02:30:08 ID:u+BRIgmw0
>573
エディタの桁折機能を使って、丁度30字でズパッと改行がされてます。
等幅表示のエディタ上では綺麗に表示されるんですけどね。
読みにくかったようなので、次回からは気をつけようと思います。
ありがとうございました。

>570-575
皆さん、読んでいただいてありがとうございます。
アリーナSSにも関わらず、ブライの方が人気でちょい複雑ですw
以前、ブライとライアンのSSを書いて以降、自分の中で渋キャラ扱いが決定してしまいました。
ちなみにアリーナにこういう設定があれば、自分的にはどんなにサイヤ人化しても許せるかなという妄想から生まれました。

今書いているものがあるので、スレの基準に合うようならまた投下させていただきます。
それではまた。
577名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/20(金) 19:21:17 ID:332fMGzuO
>>564-569
GJです。
ちょっと切な目でホロリときてしまいました。
自分の中のFC版ブライのイメージは、こうゆう素敵な爺さんですよ!

>>573-574さんの指摘も、具体的な例があってわかりやすいですね。
こうゆうわかりやすい指摘があると、直しやすくていいと思います。
578お久しぶりのてんちょ ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:24:18 ID:dKR7mLQS0
ごぶさたしてました。
アク禁が続いてるので、友達のパソからです。

>>564-569
こういうタイプの爺さま、自分も大好きです。
いじらしいアリーナにもほろりときました。

さて、自分もいたストを題材にしたSSを書いてみました。
ブランクがあるので少々読みにくいかもしれませんが、
とりあえず置いていきます。
579うさみみバニー 1/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:29:39 ID:dKR7mLQS0
「ふぁーあ。こう休んでばかりだとさすがに退屈ね。身体がなまっちゃいそう」
かつて自分たちが冒険を繰り広げた、懐かしの魔神像をモチーフにした会場。
その最上階で、出番のないアリーナが退屈そうに暇を持て余していた。
一月ほど前に、華々しく開幕したすごろく風のゲームの舞台であるが、
現在は別の場所で行われているため、今は各自の控え室として使われている。

「ふーん。これが『うさみみバンド』っていうのね。なんだかおもちゃみたい」
アリーナが手にしているのは、頭の部分にうさぎの耳が付されたヘアバンド。
とある世界では、女性用の防具として使用されているという。
先日初めて顔を合わせたエールという名の少女から、対戦の記念にともらったものだ。

「なによ。クリフトってば、エールには『とっても似合ってますね〜』なんて言っちゃって。
ふん、わたしだって一応女の子なんだから、絶対似合うに決まってるわ。よーし・・・」
最初は特に興味を示す様子もなく、もらったうさみみバンドを
ただくるくると指で回すだけのアリーナだったが、急に気が変わったのか、
赤い髪を手で両耳にかけ、鏡とにらめっこしながらそっと頭につけてみた。
うさぎの耳のふかふかとした感触が、柔らかな巻き毛とよく合っている。

「あら、これって意外と悪くないわね。こうして見ると、わたしって結構いけてるかも?
いつもの帽子にもそろそろ飽きたし、次はこれをつけて出場しちゃおっかなー」
顔を横に反らし、垂れた耳を指先で何度もいじるアリーナ。
巻き毛と一緒に揺れる大きな耳が、彼女の中に眠っていた女心を呼び覚ましたようだ。
「これでよし、と。クリフトがわたしのうさみみ姿を見たら、なんて言うかしらね。
エールには『似合ってますね』だったから、わたしには『かわいいですね〜』とか
言ってくれたらうれしいんだけどなぁ。うふふふ」

アリーナは立ち上がり、部屋の隅に置いてあった紙袋の封を開いた。
袋の中身は、彼女の身の丈に合わせた漆黒のバニースーツ。
昨日のゲームが終わった直後、大急ぎで仕立ててもらった特注品である。
「それに、クリフトの『姫さまのバニー姿を見てみたいものです』って発言には驚いたわ。
頭の固い生真面目な人だと思ってたから、空耳じゃないかって疑ったくらいだもの」
580うさみみバニー 2/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:33:00 ID:dKR7mLQS0
「でも、着ていたあの子のよりも、わたしの方が見たいだなんて・・・
参加してるみんなの前で言われたから、さすがにちょっと恥ずかしかったわ」
鏡の前でバニースーツを合わせ、顔を赤らめてはにかむアリーナだったが、
周りに誰もいないのを確かめると、愛用のワンピースを豪快に脱ぎ捨てた。
それからごくりと唾を飲み込み、少し緊張した面持ちで真新しいバニースーツに足を通す。
少々胸がきついような気がしたが、着心地自体はなかなかいい感じだ。

「ふふっ。これを着てうさみみバンドを身につけたわたしが目の前に現れたら、    
クリフトはどんな顔するかしら?そう考えると、次のゲームが楽しみになってきたわ」
アリーナは珍しく鏡の前でポーズを取り、茶目っ気たっぷりに右手を頬に当てた。
と同時に、次のゲームの開始を告げる予鈴が鳴り響き、出場者の名前が放送で次々と呼ばれていく。
しかし、アリーナの名前は挙がらなかったので、またここでの待機となりそうだ。

「これで三回連続じゃない。クリフトって人気あるのね。ちゃんと休憩取ってたらいいけど。
まあいいわ。自分が出なくてもこんなにわくわくするなんて、初めてなんだもの。
さあ、この衣装で会場まで先回りし、てクリフトをびっくりさせちゃうんだから!」
アリーナが屋外へ出るため、魔神像の目の部分から飛び降りようとした時、
コンコンと扉を軽く叩く音がした。

「アリーナ姫さま、私です、クリフトです。入ってもよろしいでしょうか?」
声の主は、アリーナが今一番会いたいと思っていた相手だった。
自分から出かける手間が省けてよかったわ、と心の中で密かにほくそ笑む。
いつの間にか緩んでいた頬をあわてて引き締め、アリーナは勢いよくドアを開けた。
「はーい、ク・リ・フ・ト。またまた出場おめでとう。しっかり頑張ってきなさいよ!」
「わわっ!ひ、姫さま・・・なのですか?そ、そ、そのお姿はいったい・・・???」

出場前に自国の王女であるアリーナへの挨拶を欠かさない律儀な青年は、
予期せぬ主君の艶姿に驚き、その場で腰を抜かしそうになった。
「ああ、これね。びっくりした?うさみみバンドはね、エールって子にもらったの。
でね、せっかくだからわたしもバニースーツを着てみたってわけ。どう?おかしくない?」
581うさみみバニー 3/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:35:50 ID:dKR7mLQS0
「・・・お、おかしいだなんて、とんでもございません!大変よく・・・お似合いでございます」
真っ赤になった顔を帽子のつばで隠したクリフトは、アリーナを正視できずにうつむくばかり。
艶のある甘えた声で、アリーナはクリフトにさらなる追い討ちをかける。

「本当にそう思ってくれてる?まさか、お世辞じゃないでしょうね」
「は、はい。私は神に仕える身でありますゆえ、決して嘘偽りは申しません!」
「じゃあ、あの子・・・エールと比べて、どっちが似合ってると思う?」
「エ、エールさん・・・ですか?ああ、この間私たちと一緒に対戦した女の子ですね。はてさて・・・」
「もうクリフトったら。ごまかさないでちゃんと答えてよ!」

アリーナは小さな口を尖らせ、ぷい、と拗ねた素振りを見せた。
幼い頃からの付き合いもあり、それが自分の気を引くための策略だと見抜いていたクリフトだが、
あえて諌めはしなかった。いや、むしろアリーナの振る舞いにいじらしさを感じていた。
「・・・姫さまのこんなお姿を拝見できて、このクリフト、世界一の幸せ者・・・です」
クリフトは目を細めて微笑み、右手でアリーナの頭をそっと撫でた。
今度はアリーナの頬が赤く染まったが、視線は真っすぐクリフトの方を見つめている。

「本当?本当なのね、クリフト」
「ええ。でも、今の私の発言はエールさんや他の皆さんにはくれぐれも内緒に・・・うわっ!」  
人差し指を口に当てたクリフトが台詞を最後まで言い終わらないうちに、
興奮で自分を抑えられなくなったアリーナが、クリフトの胸にしがみついてきた。

「あああ、あの・・・ひ、姫さま!?」
不意に胸に飛び込まれ、両手が上に挙がったまま固まってしまったアリーナ。
そんな彼の様子に臆することなく、アリーナはクリフトの広く温かい胸にそっと頬を寄せた。
「だって・・・クリフトに褒めてもらえて、すごくうれしかったんだもの」
早鐘を打つクリフトの心音を耳で確かめると、アリーナはくすっと笑って顔を上げた。

「ねえ、今のわたしって・・・かわいく見えるかしら?」
「も、もちろんです。もちろんですが・・・姫さま、一つお願いがございます」
「なあに?」
「あの・・・今の衣装をお召しになるのは、私の前でだけと約束してくださいますか?」
582うさみみバニー 4/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:38:54 ID:dKR7mLQS0
いつもの低く落ち着いた声とは違い、やや上擦った声ではあったが、
クリフトはアリーナの方に視線を合わせ、はっきりと自分の願望を告げた。  
「あ、当たり前じゃない。他の人の前でこんな恥ずかしい格好、できるわけないでしょ!」
アリーナは熱を帯びた顔に両手を当て、恥じらいの仕草を見せる。

「それを聞いて安心しました。やはり私は果報者のようですね・・・」
先ほどの抱擁のお返しだと言わんばかりに、クリフトは端整な顔をほころばせた。
行き場を探して彷徨っていた彼の両手は、自然とアリーナの華奢な背中へと回っていた。
温かい感触を背中に感じたアリーナはゆっくりと目を閉じ、再びクリフトの胸にその身を委ねた。

甘い沈黙のひとときが続く中、クリフトに早く会場へ集合するように促す
場内放送が繰り返し流れてきた。
しかし、今の二人にとっては、気にとめることもないただの雑音でしかないようだ。

翌日の朝。
昨日の出来事もあってか、アリーナの機嫌はいつもにも増して上々だった。
久しぶりにゲームへの出場が決まり、気合い十分のアリーナは、   
エールと同じ世界からの参加者だという少年と合流し、会場へと向かっていた。
「ねえ、ジョン君・・・だっけ。わたしはアリーナよ。初めての対戦になるけど、よろしくね」
アリーナは立ち止まり、右手を差し出して握手を求めた。
「はい、アリーナさん。まだまだ力不足だけど、ぼく頑張ります!」
ジョンと名乗った少年は、力強くアリーナの手を握り返した。

再び歩き始めたアリーナは、少年の頭上にある馴染み深いものに目を留めた。
「・・・あら?ジョン君、それクリフトと同じ帽子ね。なかなかお似合いじゃない」
アリーナが帽子を人差し指で弾くと、少年は穏やかな笑顔を見せ、帽子のずれを直した。
「クリフトさん、ぼくの調子が悪い時はいつも元気づけてくれたから・・・
だからぼく、クリフトさんみたいな人になれたらなあ、と思って、これをかぶってみたんです」
「クリフトは、自分よりも他人のことを優先させちゃうからね。ま、そこがいいんだけど」
顔を合わせたことのない他人にも、クリフトが好感を持たれていることを知り、
アリーナは自分が褒められること以上にうれしさを感じていた。
583うさみみバニー 5/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:44:10 ID:dKR7mLQS0
「それにクリフトさん、意外と気さくな人だったんですね」
そうかしら、と思いつつも、クリフトが褒められたこと自体に悪い気はしなかったアリーナは、
うんうん、と首を縦に相槌を打った。
「だってクリフトさん、ぼくが賞金を取った時に『一緒にモンバーバラに行きません?』って

誘ってきたんです。見かけがすごく真面目そうだから、ぼくびっくりしちゃって・・・」
それまで軽やかだったアリーナの足取りが、ぴたっと止まった。
「賞金がいっぱいたまったら、一度行ってみるつもりです。どんなところか楽しみだなあ・・・」
少年はさらに話を続けるが、そこから先の話はアリーナの耳にはもう入ってこない。

あれほど行くなと、何度も何度も念を押したのに――――
アリーナは、悔しさと怒りのあまり両の拳を握り締め、全身をわなわなと震わせた。
「・・・ジョン君、わたし用事を思い出しちゃったの。悪いけど、先に会場へ行っててくれない?」
「ぼく一人で、ですか?」
「急に言い出しちゃってごめんね。ゲームが始まるまでにはちゃんと行くから」
「はあ・・・わかりました。じゃあ気をつけて」
アリーナは呆然とする少年をその場に置き去りにし、どこかへと足を急いだ。

「どうしたのかなあ、アリーナさん。急に怖い顔になっちゃったし・・・」
最初は何が起こったのか理解できず、少年はしばらくその場で立ち尽くしていたが、
怒りを殺したアリーナの不自然な笑みは、彼に漠然とした不安と恐怖を与えた。
「なにか悪いことが起きなきゃいいけど・・・」
少年は嫌な予感を心に秘めたまま、再び会場への一歩を踏み出した。

「ねえ、悪い人にきつーいお仕置きをしなきゃいけないの。なにかいい道具はないかしら?」
出場者の衣装や武器などに似せた道具などを売っている店、
通称『着せ替えショップ』と呼ばれる場所に、アリーナの姿があった。
「そうですねえ・・・これなんかいかがでしょう?」
「うーん、わたしたちの世界では見かけないけど、かなり効きそうね。これちょうだい!」
アリーナは、店番をしている赤い頭巾をかぶった女性から、お目当てのものを受け取った。
584うさみみバニー 6/6 ◆ByK7Tencho :2007/07/20(金) 21:46:43 ID:dKR7mLQS0
「・・・・・・クリフトのバカ。もうバニー姿になんか、二度となってあげないんだから!」
ショップをあとにしたアリーナの表情は、どこか悲しげだった。

だが、それはほんの一瞬。次に顔を上げた時には、いつもの凛々しい顔に戻っていた。
さっきまでの潤んだ瞳は、まるで獲物を追う狩人のように鋭さを帯びている。
「ふう。片手で使うにはちょっと重いわね。でも、これならいいお仕置きになりそうだわ」
アリーナが手にしているのは、巨大なハンマーだった。
鍛え抜かれた鋼の鎚先が、いぶし銀に似た鈍い光を放つ。
これで急所を叩かれでもしたら、さすがのクリフトでも一たまりもないだろう。

「これで会心の一撃でも出ちゃったら、危ないかもしれないわね。
でも、クリフトは回復系の呪文が使えるから、もしもの時でも安心だわ。ふふふ」
アリーナが一人でくすくす笑っていると、向こうからクリフトが声をかけてきた。
「姫さまー、このクリフト、ついに念願の一位になることができました!」
クリフトは両手を高々と上げ、ゲームで獲得した賞金の入った袋らしきものを見せる。

「おめでとうクリフト。よかったわね」
初めての優勝に興奮さめやらぬクリフトに対し、アリーナの返事はどこかそっけない。
本当なら自分も一緒に喜びを分かち合いたかったのだが、時すでに遅し。
アリーナはやや引きつった笑顔で手を振り、クリフトがこちらに向かうのを静観する。

背中に隠し持つ巨大な天誅を振り下ろすのを、今か今かと待ち構えながら。


(おわり)
585名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/20(金) 22:12:26 ID:JGFZxt6KO
いたストSSキター!!
…ちょwwwクリフト逃げてwwwwwwww

明るいお話が好きな自分的に、最高でした。GJ!
やっぱいたストDSの姫はかわいいなぁ。
586名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/21(土) 00:05:15 ID:onPpWhHh0
GJGJGJ〜!!いたストDS版見たかった!!

そういえばクリフトって完全バニーだと「姫さまのバニー姿も見てみたい」だけど
バニースーツのみだと「サービスまんてんですね!」とかなんとか言うよねw
サービスまんてんwwwww
モンバーバラでよろしくない言葉を覚えてくるクリフトとそれに怒る姫という
今までと逆の構図が実に良い!
587名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/21(土) 00:06:44 ID:pQgCKCDq0
ところでまじんのかなづちって4に出てこなかったっけ?
588名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/21(土) 04:45:06 ID:Addt9IbGO
てんちょさんお久しぶり!! いたストSS、GJです!
いたストDSのアリーナはほんとかわいいよなぁ
それなのに、公式ガイドに載っているアリーナのセリフは脳筋なものばっかり・・・
>>557のセリフはあったけど3行目は見事にスルーされてたしなぁ
クリフトの方はスウィートライフとかブロマイドとかあったのに

>>587
FC版はあるかどうか知らないけど、PS版には確かにあるね
でもそんなのどうでもいいじゃないか
589名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/21(土) 09:52:02 ID:+hHvvRZuO
>>588
わざとクリフト関連のセリフを避けてるとしたら、編集者嫉妬乙wwwなんだが
もともとのセリフを改ざんしてまでってのは悪質だな。
アンケートとかレビューで指摘してみようか。
590あとがき&訂正 ◆MEuq/rQmNY :2007/07/22(日) 11:28:55 ID:g2TEiJqe0
読んでくださった皆様、ありがとうございました。
自分もDSの姫さまはかわいくて大好きです。

6/6の5行目は改行ミスですので、無視してください。
あと、ここでのハンマーですが、いたスト内のグラフィックから見て、
マリオシリーズからのものだろうと思い、あのような台詞にしました。
そういえば、DQ4でありましたね、まじんのかなづち。
すっかり忘れてました。

先ほど、いたストでこちらの高額店を踏んだ姫さまから

「ぼったくりなんて ゆるせないわ
てんちょー でてきなさいっ」

とのお呼び出しがありましたので、お叱りを受けに逝ってきます。
591再訂正 ◆MEuq/rQmNY :2007/07/22(日) 11:53:10 ID:g2TEiJqe0
何度もすみません。
6/6 → 5/6の間違いです。
592名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/22(日) 15:16:58 ID:3cdgBC23O
アリーナはなぜ男勇者に惚れないのか
593名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/22(日) 16:13:39 ID:aHPENxP/0
>>592
クリフトが好きだから。
594名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/22(日) 17:56:51 ID:CJ8SAIFz0
勇者=プレイヤー
595名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/24(火) 21:19:33 ID:LCRlVFg60
スレ違いの話をする奴は死ね
596名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/24(火) 22:59:36 ID:frbQLPwc0
DS、モンバーバラとかバニーさん関連の砕けたクリフトは新鮮だったなぁ。
きっとお城でも、同年代の男友達と話すときはあんな感じなんだろうと思ってみる。

で、いつも姫と接しているときとは態度が違うのを見てなんだか悔しくなり、
わたしと話すときも同じようにしろとわがまま言って困らせる姫、まで妄想した。
597名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/25(水) 21:52:04 ID:NgfFwn0O0
いたストDSで、ククールにザラキー魔(要約)だのとからかわれるクリフトも可愛いなぁ・・・
なんかあの二人って、凸凹コンビってカンジで大好きだ。
598名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/25(水) 22:21:27 ID:j+y4ctjGO
ククールは、ゲーム作品内でクリフトの気持ちに気付いている唯一の存在…
ブライですら知らないというのに、スゴイやw

掛け合いでククールが、言う相手がどうのこうのとけしかけているのが好きだwww
599名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/26(木) 02:33:36 ID:mNWYY6+E0
クリフトの気持ちについては今まで誰も全く触れてないのに
そう考えるとククールはすごいよね。
そこは恋愛の達人ってことでピピっときたのだろうか?w
600ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 12:53:18 ID:ZFkNzhta0
お久しぶりです、ペギーです。
>>564さん、GJです!ブライがかっこよすぎる…!
てんちょ、お久しぶりです〜。いたストの世界まんまですね、さすがです!

しばらく楽しく皆さんのセリフをROMっていたのですが、
>>596さんの発言が、余りにもツボだったもので…。
ちなみに、>>503->>508の後日談になってます。
601それぞれの1/5ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 12:54:04 ID:ZFkNzhta0
お城の廊下を歩いていると、曲がり角の先で、楽しそうな笑い声があがった。
なんだろうと思ってのぞいてみると、クリフトと門兵のニールがいた。
ニールは、クリフトの肩に手をかけ、お腹をかかえて大笑いしている。
それに対して、クリフトは、何かむくれたような顔をしている。

神官という職業のせいか、子供の頃から私の遊び相手だったせいか、
クリフトが同世代の人と親しくしているところは、余り見たことがない。
なんだか珍しいものを見たような気がして、私は思わず廊下の影に隠れて、
見つからないようにそっと様子を伺った。

ニールは、ひぃひぃ笑いながら、クリフトを見上げた。
「おま、鈍いにもほどがあるって。そら、ベラだって笑うしかないよなあ。」
「そんなこと言われたって、そんな遠まわしな表現、普通分かりますか!?」
「いや、分からない方が普通じゃないんだってば。」
ニールはひとしきり笑うと、涙を拭いてクリフトに真正面から向き直ると、
その両肩に手をかけた。
「それで?クリフト君。ベラの本当の気持ちを知った今、君のお答えは?」
ニールは、真面目な顔をしてるけど、目は笑っている。
クリフトは頬を赤くして、両手をわたわたと振った。
「何をおっしゃるんですか、私は神にお仕えする身なんですよ!」
「サントハイムでは、別に、神官の婚姻は禁止されてないぞ。」
「そういう問題じゃありません!」
602それぞれの2/5ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 12:55:31 ID:ZFkNzhta0
…何の話をしてるのかしら。
ベラのこと?
ふと、この間ベラがクリフトの神官服と同じ格好をしていたことを思い出して
そのときの嫌な気分がよみがえった。
なんで、ベラがあの服を着てるとこんな気分になるんだろう。
ニールが着てたときは全然平気だったのに…。
考え込んでると、ふと、私の名前が耳に飛び込んできた。

「そうそ、お前の場合、問題は神様じゃなくて、姫様なんだよな。アリーナ神。」
「なっ…!」
クリフトを見ると、ゆでだこのように赤くなっていた。なんで?
「ホンっトに、お前も分かりやすい奴だなー。」
ニールは、腰に両手を当てるとクリフトをしげしげと眺めた。
クリフトは、くー、とか言いながら、下を向いて体を震わせている。
何?私がどうしたっていうのよ?
「まあ、でも、ベラから聞いたけど、姫様も、この間の様子だと…。」
ニールの言葉を最後まで聞きたかったのに、いいところでクリフトが暴れだした。
「あーーーっ、もう、うるさい!!!いい加減に私も怒りますよ!」
そういうと、クリフトはニールの頭をがしっと脇に抱え、腕で首を絞めはじめた。
「ちょ、おい、何すんだ!神官が暴力なんか振るっていいのか!」
「おしゃべりな門兵に、悔い改めるよう戒めを与えているだけです!!」
「何が戒めだーーー!完全に私情だろーが!!」
2人はののしりあいながらもどこか楽しそうだった。
603それぞれの3/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 12:56:27 ID:ZFkNzhta0
…あんなクリフト、初めて見た…。
私は、何となくその光景から目をそらすと、その場を立ち去った。
私の前でクリフトが笑うときは、いつも静かに、穏やかに微笑むだけだ。
あんなに開けっぴろげに、楽しそうに笑っているクリフトは見たことがない。
部屋でぼんやりと考えているうちに、クリフトの神学の講義の時間がきた。

「姫様、失礼いたします。」
いつもどおり、礼儀正しく一礼して部屋に入ってくるクリフト。
さっきの、ニールの首を絞めていた姿とは大違い。
「ねえ、クリフト。」
「はい?」
「今日は勉強しなくないな。おしゃべりしたいの。」
クリフトは、私のおしゃべりにも「悔い改めよ」ってやってくれるかしら。
しかし、クリフトは、困ったように眉を下げ、ため息をついただけだった。
「…姫様。勉強というものはその日の気分でやるものではありません。
日々の積み重ねこそがものをいうのですよ。」

やっぱり。
私がどんなにクリフトを怒らせるようなことをしても、
クリフトは困った顔をしてため息をつくか、怖い顔で説教するか、その両方かだ。
あんなふうに、笑いながら怒ってくれるようなことはない。
クリフトは、私と一緒にいても、楽しくないのかな…。
604それぞれの4/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 12:56:59 ID:ZFkNzhta0
「クリフトは、私のこと、嫌いなの…?」
あ、まずい。
口に出したら、それが本当のことに思えて目の前がぼやけてきた。

「そんなことをおっしゃったってダメですよ…って、姫様!?」
説教口調で顔を上げたクリフトは、私を見てぎょっとした顔になった。
「姫様、どうされたんですか!?何があったのですか?」
私は、目をごしごしこすった。
「だって、クリフト、私といても全然楽しそうじゃないんだもの。」
クリフトは、驚いたような顔をした。
「そんな…先ほどは、姫様が困ったことをおっしゃるから、つい
厳しいことを申し上げましたが…。」
「…。」
私が黙り込んでいると、クリフトは、私の側に跪いて、私を見上げた。
「私にとって、姫様のお側にお仕えすることは、人生の中で一番の喜びです。
…楽しくないなんて、とんでもない。」
そういうと、にっこり微笑んだ。
クリフトの笑顔は優しくて、柔らかくて、私をふんわりと包み込んでいくみたい。
何だか、さっきまでの悲しい気持ちが融けていく気がした。
クリフトは私の顔を見てもう一度微笑むと、立ち上がった。
「姫様は、最近行事続きでお忙しかったからお疲れなのかもしれないですね。
 今日は、もう勉強はやめにして、お茶をお入れしましょうか。」
「…うん。」
605それぞれの5/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 13:00:35 ID:ZFkNzhta0
部屋の中にお茶のいい香りが広がる。
いつもながらの、おいしいクリフトのお茶。
私は、すっかり落ち着いていた。
「ホントに、クリフトのお茶、おいしい。ね、皆にも言われるでしょ。」
私の何気ない質問に、
「いえ…その…。」
クリフトが口ごもった。
私が首をかしげてクリフトを見ると、クリフトは横を向いた。
「…私がこのお茶をお入れするのは、姫様にだけですから。」
そして何故か顔を赤らめた。

そうなんだ。
このお茶飲めるの、私だけ、なんだ。
…そっか。

少し照れくさそうにお代わりをすすめるクリフトを見ているうちに、
何だか嬉しい気持ちがこみ上げてきた。
ニールにはニールのクリフトがいるように、私には私だけのクリフトがいる。
それでもいいのかな、なんて。

私は、クリフトに笑いかけると、ゆっくり2杯目のカップに口をつけた。
606ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/07/26(木) 13:07:00 ID:ZFkNzhta0
久しぶりだったせいか、タイトルミスった…orz
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。
微妙に>>596さんの内容とずれてしまったような。
ちょっとアリーナに乙女入りすぎました。
607名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/26(木) 18:00:15 ID:ygeaaZPEO
ペギラマキター!!!!!
608名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/26(木) 23:10:16 ID:kaBDUenqO
ヘッドロックとはwww
アクティブですなw
609名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/27(金) 22:49:34 ID:P3bh3h1a0
>>601
いいなぁ。二人とも可愛いよ。


ところで、いたストの魔人像をどうにか(2位で)クリアしてきた。(優勝はアリーナ)
クリフト・アリーナ目標額突破時 『姫様が優勝? うたげのじゅんびをしなくては! (うる覚え) 』

あのさぁ、クリフト。 あんた今、僅差ではあるけどドベなのよ。
そんな悠長な事言ってる場合じゃないでしょ!w
(で、クリフト結局ドベでした。ももんじゃ許すまじ!w)
610名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/29(日) 22:23:49 ID:6y9mha/WO
うわーSSがいっぱーい!
皆さんGJGJGJでーす!
いたストネタ明るくていいな〜
姫が萌えるw

>>609
生活費切り詰めて、水だけ生活してでも祝うんだね!
クリフトは!
611名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/29(日) 22:50:28 ID:FI/LTGLH0
んと
ククとクリフトの掛け合いで
クリフト「○○さんかがやいておられますね まるでバラのように。」
  クク「その言葉他に言う相手がいるんじゃないか。」
だったっけ女の子じゃないとないかも
一応神官同士だからあるんだろうね
612名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 13:44:39 ID:SvHnXSA+O
DSで再リメイクきましたよ〜。
PS版の大惨事を思うと、このスレ的には喜ぶには早いけど…

いたストDSの姫のデレが、この伏線として活かされるといいなあ
613名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 14:30:58 ID:cQk49nTHO
姫、ひんぬーだな…w
614名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 16:06:35 ID:IeOKLFcD0
ソースどこー?
PS版のクリフトだったらムシロまったく喋らないほうがいいんだけど、
色々きになる
615名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 17:22:06 ID:ueEHdfemO
リメイクでクリフトが格好良いセリフばかりに戻ってますよーに
アリーナもサイヤ人からおてんばに戻ってますよーに
間違っても2人ともPS風でありませんよーに
616名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 21:56:59 ID:iSc7T07S0
無理
617名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 03:37:22 ID:AdlXR2gKO
姫がどんどんロリになってきている気がするけど、気のせいかなあ
女勇者と比べると、なんか、13歳前後に見えてしまうよ
ところで、サントハイムの紋章?が変わっているね
丸の中に十字のマークではなくなっているということは
もしかして、北米での発売も視野に入れているとか?
618名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 06:07:45 ID:HGy+5YSn0
ロリにするのは、性に対する未成熟(性格面での女らしさの欠如)に違和感をなくすためじゃないかと。
619名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 06:19:47 ID:y/nkDUNiO
サントハイムの王様になったクリフトと妻アリーナを見届けて眠るように大往生するブライ
620名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 09:14:05 ID:vfdxfF0/O
あの姫に欲情してたらクリフトただの変態です。
しかし姫様おっぱいないな。

でもこれでスレに活気が戻ったり本たくさん出たりしたら嬉しいな。
621ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:22:47 ID:Q6+1TO1f0
こんにちはです。


再リメイク、嬉しくて踊り出しそうです。

突然ですが、マーニャ単体でクリフトと絡ませた話を書いたことがないな、と思い。
新しくできたスレの方がなじむ話かとも思ったのですが、
あくまでもクリアリがベースなもので、こちらで投下させていただきます。
あと、オリキャラが1人…最近、オリキャラ使ってばかりですいません。
622神官クリフト1/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:23:52 ID:Q6+1TO1f0
「ざ、懺悔!?」
「何よ、その天変地異を目の当たりにしたような顔は…。」

昼下がりのモンバーバラの宿。
アリーナがミネアと買い物に出かけたため、珍しく部屋で1人読書をしていたクリフトのもとを、
マーニャが突然訪れ、開口一番「あんた、懺悔聴くことできる?」と尋ねたのである。

マーニャが険悪な目で睨むと、クリフトはコホンと咳払いをした。
「いえその…、マーニャさんは、教会や聖職者に関することがお嫌いだったのでは?」
「大嫌いよ。」
「では、なぜ急に懺悔など。」
「あたしじゃないわよ、あたしの友達よ。病気で寝込んでて……多分、もう長くないのよ。」
「ああ…。そういうことでしたか…。」
クリフトが痛ましそうな顔でうなずいた。
「あたしと違って、あの子は神様信じてるからさ。
…死ぬ前に、神様の赦しを得たいって言うのよ。」
「しかし、そういうことであれば、こちらの教会の司祭様にお願いした方がよろしいかと。」
「別に、あんたでいいわよ。」
「私は、まだ、司祭の資格はございませんので…。」
「資格なんかいらないわよ。」
「いえ、そういうわけにはいきません。」
クリフトは真面目な顔で首を振った。
「ゆるしの秘蹟は非常に大切な儀式ですから、
私みたいな未熟者がおろそかに行なえるものではないのです。」
「あー、もう!めんどくさいわね!…分かったわよ、もういいわよ!あんたには頼まないから!」
マーニャは頭をかきむしると、きびすを返して部屋を出て行った。
623神官クリフト2/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:24:23 ID:Q6+1TO1f0
「まったく、あの堅物神官…。」
下町の、ややいかがわしい界隈にある安酒場で、マーニャは独り言をつぶやいた。
「使えないったらありゃしない。」
「それはまた、ずい分なお言葉ですね。」
後ろから聞こえてきた澄んだテノールにマーニャは驚いて振り向いた。
場の雰囲気に非常にそぐわない、神官姿の青年が、腕組みをして立っていた。
「…良くここが分かったじゃないの。」
「マーニャさんは目立ちますから。道行く皆さん覚えてらっしゃったので助かりました。」
クリフトはにっこりと微笑んで、マーニャの隣のスツールに滑り込んだ。
「…。」
ということは、この神官は、道すがらマーニャの行き先を訪ね歩いて来たというのか。
花街で、いかにも清げな若き神官が、街一番の人気を誇る舞姫の行方を訪ね歩く…。
明日には、街中の盛り場で囁かれるであろうゴシップを想像して、マーニャは頭を抱えた。
「どうしました?マーニャさん」
「どうしましたって、あんたねぇ…。アリーナにそんな噂、聞かれた日には…。」
ぶつぶついうマーニャに、クリフトが声を落として話しかけた。
「マーニャさん、先ほどのご友人のお話なんですが…。」
「ああ、いいの、もう忘れて。」
マーニャは片手を振って見せたが、クリフトは引かなかった。
「…何かご事情がおありのようですね。」
「…。」
「話して、いただけませんか。」
マーニャは、ふーっと息をはいた。
624神官クリフト3/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:24:58 ID:Q6+1TO1f0
「あの子…マイラはね、踊り子の同期でさ。年も近かったし、すごく仲良かったのよ。
でも、マイラの家は、貧しくて…、踊り子としての稼ぎだけじゃ、一家は食べていけなかった。」
マーニャの手の中で、グラスの氷がカランと音を立てる。
「マイラは、この街で商売してたの。この意味、分かるでしょ。」
「…。」
「マイラの客は、ほとんどが教会の司祭連中だったわ。常連でね。」
「な…!?」
クリフトがマーニャに信じられないといった顔を向ける。
マーニャの表情は険しかった。
「ところが、連中、マイラが悪い病気にかかったとたん、我先にと逃げ出したのよ。
そして、マイラを教会から締め出した。邪なる者は、聖なる場所にふさわしくないってね。」
「そんな……ひどい、ことを。」
「ほんと、ひどい話よね。で、マイラはこの汚い街で、懺悔もできず、死ぬのを待ってるってわけ。」
マーニャは、残りの酒を一気に呷った。
その隣で、クリフトの硬く握り込まれた両手の手袋が、キュ、と音を立てた。
「…マーニャさんが、教会や聖職者をお嫌いな理由は…その出来事のためですか。」
「…まあ、もともと、ああいうお堅い雰囲気は苦手だったけどね。」
「……申し訳、ありません…。」
「あんたが謝ることないじゃない。」
「いえ、神に仕えるものとして…心から情けない気持ちでいっぱいです。」
クリフトは、しばらくうつむいていたが、急に憤然と立ち上がった。
「参りましょう、マーニャさん!私がマイラさんの懺悔をお聞きします!」
「…資格がないんじゃなかったの?」
「資格などなくても、性根の腐ったバカ司祭どもに比べれば、よっぽどましです!」
クリフトの目は、怒りに燃えていた。
625神官クリフト4/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:25:29 ID:Q6+1TO1f0
マーニャは、クリフトを、花街の外れの朽ちかけた家に連れて行った。
その屋根裏の、ほこりっぽく薄暗い部屋の中に、女が一人、横たわっていた。
「マイラ?あたしよ。」
「…マーニャ?」
かすれた声で返事をすると、女が振り向いた。
頬はこけ、目は落ち窪み、唇は乾いてかさかさのその姿は老婆のようで、
とてもマーニャと同じ年頃には見えなかった。
「マーニャ…。さっき、枕元に死神が来たわ。」
「マイラ。またそんなこと言って。死神なんていないわよ。」
「いいえ、私の罪は神様に赦されていないから、私は地獄に落ちるの!怖い、怖いわ、マーニャ!」
マイラは起き上がると、必死の形相で、マーニャにしがみついてきた。
マーニャは、途方にくれて、マイラを抱きしめた。
クリフトは、部屋の入口に立って2人を見ていたが、そっと歩み寄ると静かな声で呼びかけた。
「マイラさん、大丈夫ですよ。神は、いつでも、我らを見ていてくださいます。」
マイラが、神官服のクリフトを見上げた。
「…神官様?」
「はい。あなたのために、お祈りをさせていただきたくてお邪魔いたしました。」
そう言うと、クリフトはマーニャに目顔で外に出るよう促した。
マーニャは、マイラの腕をそっとはずすと、
「頼むわよ。」
と一言だけ残し、部屋を後にした。

626神官クリフト5/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:26:08 ID:Q6+1TO1f0
クリフトが部屋から出てきたのは、ずいぶん長い時間がたってからだった。
屋根裏部屋に続く階段を下りてきたクリフトは、青褪めた顔色で、憔悴しきっていた。
「ちょ、ちょっと、大丈夫?」
「大丈夫です。少し疲れただけですから…。」
ぐったりと部屋の壁にもたれかかるクリフトの様子も気になったが、マイラの方が気にかかる。
マーニャは屋根裏部屋に上ると、小さい声で呼びかけた。
「マイラ…?どう?」
「マーニャ。」
ベッドの上で振り向いたマイラの表情に、マーニャは思わず足を止めた。
さっきまで、幽鬼もかくやと言った形相だったマイラが、満ち足りた穏やかな表情で、
幸せそうに微笑んでいるのだ。
マーニャは、その笑顔を見て、思わず涙がこぼれそうになった。
まだ、少女だった頃のマイラだ。あの頃のマイラが戻ってきた…。
「あのボンクラ神官、どうやら役に立ったようね。」
「…神官様は、一言ももらさず、私の話を聞いてくださったわ。
そして、『あなたは、何も悪くない。これは、私達の罪です。』って謝られたの。
私の魂はきれいなままで、神様はそれをご存知だって、心をこめて祈ってくださった。
…ねえ、マーニャ。私、これでもう、死ぬのが怖くないわ。」
「…。」
「神官様を連れてきてくれて、本当にありがとう、マーニャ。」
「…マイラ…。」
627神官クリフト6/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:38:32 ID:Q6+1TO1f0
マーニャが階段を下りると、クリフトは、まだ、ぼんやりと壁にもたれかかっていた。
「ああ、マーニャさん。…もうよろしいのですか?」
「うん、マイラは眠ったわ。…ありがとう、クリフト。」

帰り道、よろよろとしながら歩くクリフトを見ながら、マーニャが尋ねた。
「ねえ、『ゆるしの秘蹟』って、そんなに疲れるものなの?」
「いえ…。私は、未熟者なので、つい自分の感情に振り回されてしまうので…。
本来、聴罪司祭は、神の代理人として、個人的な感情を超越した存在でなければ
ならないのでしょうが…。」
苦笑するクリフトを、マーニャは横目で盗み見た。
告解者と一緒になって、悩み、傷つき、右往左往している不器用な神官。
―――でも、あんたのおかげで、マイラの魂は救われたのよ。
黙り込んだマーニャに、クリフトがためらいがちに呼びかけた。
「…マーニャさん。」
「なに?」
「マイラさんのことで、マーニャさんが、教会や聖職者を嫌うお気持ちは分かります。」
「…。」
「でも、聖職者が皆、そのような者ばかりではありません。心無い一部の人間のために、
神の慈悲を疑わないで下さい。…神の愛を、あきらめないでいただきたいのです。」
マーニャを見つめるクリフトの目は真剣で、誠実な心情が溢れていた。
628神官クリフト7/7 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:41:34 ID:Q6+1TO1f0
マーニャは、しばらく黙ってクリフトを見返していたが、ぷっと吹き出した。
「ホンっトにあんた、根っからの神官なのね。そういう目は、女を口説くときするもんよ。」
笑いながら、クリフトをつつく。
「今度、アリーナにその目でささやいてみなさいよ。けっこう効き目あるかもしれないわよ。」
クリフトは真っ赤になった。
「な、何を…!マーニャさん!私は真剣に…!」

まったく、ほんとにこの神官ときたら、不器用だったらありゃしない。
…でも、まあ、こういうヤツが信じている神様なら、ちょっとは信じてやってもいいかな。

「マーニャさん、人の話を聞いてるんですか、あなたは!」
「聞いてるわよ〜、きちんと。」
マーニャは、クリフトの抗議を背中で聞ききながすと、
―――次の街では、久しぶりに教会に顔を出してみようかな…。
そのときのクリフトやミネアの驚く顔を思い浮かべて、くすりと小さな笑みをこぼした。
629ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/03(金) 17:42:44 ID:Q6+1TO1f0
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

えーと。
教会関係者の方がいらっしゃったらごめんなさい。
他意はないんです。
630名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/03(金) 19:06:05 ID:yYGk1336O
ク、ク、クリフトが珍しく神官っぽい!
ペギーさんありがとう!

クリフトは結構、アリーナが見てないところで、男前というか、素敵な行動を取ったりしてるんだろうな。
そしてマーニャさんはそうゆう部分をいつも見てて、アリーナにもいつか見せてあげたいなと思ってるんだろうな〜。
なーんて妄想が膨らみましたよ!
631名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 00:56:19 ID:0vFZvrQJ0
GJ!!!
クリフト、たまには神官らしいこともするじゃないかwwwww

クリフト嫁スレのほうが盛り上がっててちょっと寂しいんだがw
632名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/05(日) 02:01:45 ID:FrZeUy5l0
まぁ向こうは立ったばっかだから仕方ないよw
こっちは7スレ目だし(昔は他にもクリアリスレあったし計7じゃすまないか)

いたストのセリフ集めにハマってたのにリメイク熱で吹き飛んじゃったよ
がんばってやる気を取り戻さなきゃ〜
633名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 01:14:17 ID:U6CU44YAO
>>632
頑張れー。
DS本体が無い自分には、応援する事しか出来ないっす!
でも今度のリメイクが良かったらWiiじゃなくてDS買っちゃおう!
5や6も久しぶりにやりたいしね!

でもなんか流れ的にはPS版まんまっぽいんだよね?
やっぱり妄想クリフト、脳筋アリーナ、毒舌ブライで、クリフトの想いは一方通行…。
本当言うとトルネコの性格もしっくりきてないし、直して欲しいとこだらけなんだけどなぁ。

姫のロリ化は個人的にはあんまり歓迎出来ないけど、でも、自分があまりにも幼児体型過ぎて『クリフトはきっと私の事、女として見てくれてないんだわ』って悩んだりするアリーナとかは好き(笑)
634名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 19:12:00 ID:jFiTpkTRO
ペギーさん好きだなぁ
635名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/09(木) 00:06:26 ID:5feeNWdZO
リメイク姫、ひんぬーだな。
…だがそれがいい。
636名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/09(木) 00:14:46 ID:5z+Y1DRz0
FC時代のイラストと比べて、涙が止まらなくなった。
637名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 15:08:42 ID:9IKnAdzGO
手元にFC時代のイラストが無いから(鳥山絵じゃないイラストならあるけど)比べようにもわからない。

小学生にすらなってなかったしなー
自分でプレイせず兄貴のを横で見てただけだし…鳥山絵はカセットの勇者2人しか、もう覚えてない。

FC時代のアリーナのイラストは神って話を聞く度に見たくて仕方ないんだけどね。


ところでよくあるクリアリのティータイムネタは何処から始まったんだろう?
なんかもう、自分の中ではアリーナがクリフトの部屋で紅茶を飲むのは公式のような気さえしてますが…
638名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 22:05:30 ID:h0wHUp7h0
FC時代のアリーナに最も近い顔は、
三回目の天下一武道会のときのブルマ(カラー版)だな。
639名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 22:27:52 ID:mOKah50I0
>>637
ほい
ttp://www.rpgclassics.com/shrines/nes/dw4/characters.shtml

ティータイムはプリアリとかじゃないか?
まあ、中世っぽい雰囲気だし、ティータイムのイメージはもとからある。
640名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 22:38:55 ID:9IKnAdzGO
>>639
マジでありがとう!
でも携帯だから気持ちだけ受け取る。

プリアリか〜
お城に住んでる人達だから余計に紅茶が合うよね。
でもブライは緑茶も似合うと思う。

>>638
そっちなら実家に帰れば見れそうだ。
641名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/12(日) 18:08:59 ID:0kheE76SO
>>639
DSの新イラストもいいけどやっぱりこの頃のアリーナが一番好きだ
というかFCの絵は線が丸っこいからか、女の子勢が皆可愛い気がする
ミネアは妖しい感じが出てて凄くイイ
マーニャはお姉さんっぽくて、なにより若いからイイ
642名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/12(日) 19:00:06 ID:298wdamY0
>>639

俺の知識に間違いがなければ
クリフトのキャラ解説欄の最後にはっきりと
「ザラキ馬鹿」と書かれている気がする…
643名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/12(日) 19:12:25 ID:wQYBVmLk0
>>642
そのとおりです
644名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/12(日) 21:47:25 ID:vSVHHiwR0
海外でも、ザラキー魔呼ばわりされてるクリフト・・・w
.        .     
    ,-ー──‐‐-、.   
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   !‐|--------┤
  |::::i /´ ̄ ̄`ヽi  
  |::::i |(´・ω・`)||. 
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  |::::i |.カワイソース||  
  |::::i L__________」| 
  |::::i : : : : : : : : :|  
  `'''゙‐ー-----ー゙ 
645名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/14(火) 23:19:38 ID:G1jw5nH60
4・5・6のリメイクで、クリムトとクリフトの間に
後付の因縁は生まれるのだろうか。
646名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/16(木) 16:51:46 ID:Wh+OZ3omO
明日はコミケだね。
アンソロ楽しみだ。ひさびさにきのこの人の短編が読めるー。
647名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/17(金) 05:53:50 ID:lwody6rS0
きのこの人、日記でスレに戻ってくるようなことも言ってたよね。
wktkしながら待ってるんだぜい。
648名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/18(土) 13:22:49 ID:Cnph0DrCO
コミケ行った方いかがでしたか?
649名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/22(水) 03:19:37 ID:bS0Q8TAXO
保守
650名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/23(木) 03:06:55 ID:W+C23kp3O
姫様ホッシュ
651ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/23(木) 15:06:02 ID:qTz+eA9B0
こんにちは、ペギーです。
何だかスレが寂しいので、以前書いたアホ小ネタをこっそり投下。
652小ネタ 1/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/23(木) 15:06:50 ID:qTz+eA9B0
木陰で読書をしていたクリフトに、アリーナがためらいがちに近づいた。
「ねえ、クリフト…。」
「はい?」
「私…私ね…。」
うつむくアリーナ。
しばらくもじもじしていたが、
「やっぱり、なんでもない!」
クリフトに背を向けて走り去って行った。

しばらく後。アリーナがおずおずと戻ってきた。
「クリフト…。」
「何でしょう、姫様?」
「…だめ、かな。」
アリーナは、クリフトをじっと見つめた。
その目は、心なしか潤んでいるようだ。
クリフトは、ため息をついて読んでいた本を閉じると、立ち上がってアリーナに向き直った。
「姫様…。私とて、姫様のお気持ちは…分かっております。」
「クリフト!それじゃ…!」
嬉しそうに頬を染めて、クリフトを見上げるアリーナ。
「しかし、いけません、姫様。」
「!!」
「この世の中には、越えてはいけない壁というものがあるのですよ…。」
悲しげに言うクリフトに、アリーナはがっくりと肩を落とした。
653小ネタ 2/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/23(木) 15:07:42 ID:qTz+eA9B0
とぼとぼと歩み去るアリーナを見つめるクリフトの背後から、2つの憤然とした声が上がった。
「おい!クリフト!なんだ今のは!お前って奴は、見損なったぞ!」
「そうよ、クリフト!女性があそこまで勇気出してるっていうのに…!
 あんたなんて、男の風上にも置けないわ!」
クリフトは、またか、とうつむき片手を眉間に当てると、ゆっくりと振り向いた。
「…ソロさん、マーニャさん。人の話を立ち聞きするのは行儀が悪い、と
 何度も申し上げたはずですが…。」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!何であんた、あの子にあんなひどいこと言うのよ!」
「そうだよ、お前、いい加減にしろよな。」
食ってかかるマーニャと、その横でうなずく勇者を、クリフトは不思議そうな顔で見返した。
「だって、じゃあ、お2人は、モンスターの子供を飼うことに賛成なんですか?」

「「……モンスター?」」

「私だって、親に置き去りにされたことは可哀想だとは思いますが、いくら子供だといっても、
 モンスターはモンスター。人間との間には、越えられない壁があると思いますが。」
そもそも旅の最中だというのに、モンスターなんか飼えると思いますか?と問うクリフトに、
勇者がおそるおそる尋ねた。
654小ネタ 3/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/23(木) 15:08:39 ID:qTz+eA9B0
「…ちょっと、ごめん、クリフト。さっきのアリーナの話から、どうやったら、
 モンスターの子供が出てくるんだ?」
クリフトは呆れたように勇者を見た。
「そんなもの、姫様の様子を見ていれば一目瞭然じゃないですか。」
「…。」
「…あんた、分かった…?」
「いや…マーニャは?」
「分かるわけないじゃない。…でも、アリーナも、話は通じてる前提で話してたわよね…。」
「こいつらの会話って、ほとんど熟年夫婦のノリじゃねーの。」
「…熟年夫婦だって、こうはいかないわよ…。」
ボソボソと囁き合う2人に、クリフトはキッとした目を向けた。
「と・に・か・く!ソロさんもマーニャさんも、今後、人のプライバシーを覗き見
 するようなマネは、絶対にやめてくださいね!」

ブツブツいう2人を追い払うと、クリフトは、やれやれと木の下に再び腰を下ろした。
そして、読みかけの本を開いたが、その目は、文字を追わずにいつしか宙をさまよっていた。

―――越えられない壁…それは、人間とモンスターの間だけではなく…。
「姫様…。」
クリフトは、切なそうにつぶやくと、何かを思い切るように首を振り、
読書に集中すべく、本に目を戻したのだった。
655ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/23(木) 15:10:10 ID:qTz+eA9B0
アホ小ネタにお付き合いいただきありがとうございました。

職人さんたち、戻ってこないのかな〜。
656名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/23(木) 21:21:05 ID:bLkqrQHY0
熟年夫婦クリアリ素敵ですねw
ペギーさんのSSはいつもほのぼのさせられて大好きです
ぜひこれからも投下してくださいな〜
657名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/23(木) 22:33:42 ID:LIHdr3pg0
その会話を聞いて、ホイミンを思い出すライアンが想像できた。
658名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/25(土) 22:11:48 ID:Xf9he8jG0
ほしゅほしゅ。
659名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/26(日) 12:21:35 ID:mReo/kuRO
うにゃーッ。
ペギーさーん。
いつも心にオアシスや萌えを分けてくれて有り難う!

導かれし者たちに育ててもらったらホイミンみたいに素直なモンスターになると思うな。
そしてなんだかんだでクリフトとライアンが一番可愛がったりするんだけど、モンスターはソロに一番懐いたりしてクリフトとライアンは寂しそうにしてるとか。

2人の会話は凄いね〜もうほとんどテレパシー状態なのに、クリフトの想いは伝わらない…
3人旅の時はブライも加わって、主語なし会話を繰り広げていたのかな。

モンスター飼いたがる姫さま可愛い過ぎだ〜
660名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 16:50:04 ID:QUEuLbPs0
保守 
661ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/27(月) 16:50:36 ID:V2p7I76F0
こんにちはです。
アホな小ネタにレスいただいてありがとうございました。

気付けばクリフトザラキスレにすっかり抜かれてしまいましたねぇ・・・。
寂しいので、アホ小ネタ、もう1個投下していきます。
662小ネタその2 1/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/27(月) 16:51:49 ID:V2p7I76F0
「ソロって、眉も、睫も、緑色なのねぇ。」
船旅の途中、アリーナは、所在なさげに甲板をぶらぶらしていたが、
ふと、天空の剣を研いでいる勇者の隣にしゃがみこみ、その顔をしみじみと眺め始めた。

「今さら何言ってるんだよ。ていうか、気が散るから、そんなにジロジロ見るなよ。」
勇者が、武器から目を上げずに答える。
アリーナは、勇者のそっけない対応にも、全く動じない。
「うーん、ソロの髪って、本当にきれいよねえ。」
「!!!」
勇者は、思い切り手を滑らせてしまい、悲鳴を上げた。
そして、涙目になりながら、自分に回復呪文を施すと、アリーナに向き直った。
「何なんだよ一体!俺は剣を研いでるの!お願いだから、あっち行ってくれ!」
勇者が必死になっているのは、気が散るからだけではない。
斜め後ろにいる神官が放つ、どす黒いオーラを先ほどからひしひしと感じるのだ。

「だってさー。」
アリーナは、勇者の必死の懇願にも頓着せずに続ける。
「ソロとか、クリフトとかみたいな、珍しい色の髪ってうらやましいんだもの。」
クリフトの名前が出たことで、勇者は少しほっとした。
そして、この機会を逃すまいと、急いでクリフトに向き直った。
「おい、クリフト!アリーナがお前の髪の色、うらやましいってよ!」
663小ネタその2 2/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/27(月) 16:52:27 ID:V2p7I76F0
勇者に呼ばれたクリフトは、いかにもしぶしぶといった感じに腰を上げた。
「まったく、人の読書の邪魔をしないでくださいよ…。」
勇者は、クリフトのその言葉に内心100回くらい突っ込みを入れたかったが、
身の安全のため口には出さなかった。

と、いきなりアリーナがクリフトに近寄り伸び上がると、その髪を撫でた。
「いいなークリフトも、きれいな青い髪。しかも、さらっさら〜。」
クリフトは耳まで赤くなって固まった。
「ひ、ひ、姫様、何をなさるのですか!!!」
勇者はいい気味だとばかりに、面白そうにそれを眺める。
「だって、うらやましいんだもの。私のは単なる赤毛のくせっ毛だし。」
その言葉に、クリフトはとたんに我に返り叫んだ。
「そんなことはありません!姫様の御髪は、輝く太陽のようだと皆申しております!」
「皆って言うより、お前が、だろ〜。」
勇者にわき腹をつつかれて、クリフトは再び赤くなる。
そこへ、マーニャとミネアが通りかかった。
「何よ〜楽しそうじゃない、混ぜて混ぜて〜。」
「そういえば、マーニャとミネアの髪の色も珍しいわ。」
「ふっふっふ、何を今さら。宵闇の輝きといわれたこの美髪を捕まえて!」
「誰がそんなことを…でも、確かに、紫の髪は珍しいと言われますわね。」
若者でワイワイやっているところに、トルネコとライアンが参加する。
「いやー、それよりも、皆さんの髪質がうらやましいですね、私は。
こう見えて剛毛なので、寝癖が付くと大変なんですよ。」
「おお、トルネコ殿もか。拙者なぞ、それが面倒で短く刈ってしまったわ。」
664小ネタその2 3/3 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/27(月) 16:55:29 ID:V2p7I76F0
皆であーだこーだ盛り上がっているうちに、クリフトははっと気が付いた。
ここに、仲間の1人が足りないことに。
嫌な予感がして、恐る恐る、後ろを振り向くと―――。

そこには。
涙目でふるふると震えているブライがいた。
「これ以上…これ以上、髪の話はやめてくだされーーー!」
ブライの悲痛な叫びは、大海原に響き渡ったのだった。

―――その後クリフトは、ブライの機嫌が治るまで、毛根に良い薬を調合し続けたらしい。
665ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/08/27(月) 16:57:02 ID:V2p7I76F0
アホ小ネタばかり投下してすいません。
今度は、もうちときちんとしたSS作ってきます。

>>660さん
おお、最近のこのスレでは珍しいリアルタイム遭遇…!
なんか、漂流中に船に行き会えたような嬉しさですね。
666名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 17:54:57 ID:+J2QWE3i0
ブライカワイソスwwwww
何というかほのぼのしてて和みました
ペギーさんGJ!!
667名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 20:55:35 ID:QXIhOdT+0
ブライの髪型こそが最も珍しい部類のはずさ、しょげるな!!
すごい笑わせてもらいました。そして美髪ズに萌え。
668名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 22:50:02 ID:5d2QHdmWO
いいなあ
ペギーさんのほのぼの大好きだあ
669名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/27(月) 22:50:34 ID:KEj0mlg70
ペギーさんGJ!
でもブライさんには、立派なお髭があるじゃないですか。

なお 「例の毛根の妙薬が欲しい」 と、どっかの聖堂騎士団長が申しておりますぞ。www
670名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/29(水) 22:16:21 ID:etiN1vlc0
ほしゅ。
671名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 12:51:38 ID:iRPaRm0g0
保守
672名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 22:59:07 ID:lywvSHKE0
職人さんどころか住人も減っちゃったんだね…。
いままでだと投下後には人が増えてたのに。
ペギーさんいつもありがとう!
673名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/01(土) 14:17:23 ID:2Fy/cxaHO
ゆ、油断してました。
まさかペギーさんがこんな短期間に2つも投下してくださるなんて…ペギーさんGJです!

>>672
DSリメでむしろ盛り上がるんじゃないかと思ってましたが、いたストの時の方が盛り上がってましたね(苦笑)
でも、コミケなどに力を入れてた人達がそろそろ戻ってくるかもしれませんよ!
…前みたいにお題を次々と出していけば盛り上がるのかなぁ…?
674名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/01(土) 15:22:39 ID:kW04QKGL0
夏コミかー。いけなかったな。
今年はどうだったんだろう。
675名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/02(日) 13:35:26 ID:p32YuHtp0
こないだまで人大杉で長期間見れなかったんですよね。
やっぱり専ブラじゃなくてIE等で適当に見る人のが多いわけで。
676名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/02(日) 23:23:08 ID:pC3vLNNpO
保守
677名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 02:42:21 ID:rQh4v6snO
昨日、友達とモスで
“クリフトが猫耳になって、アリーナに(本能の赴くまま)ミャーミャー甘える”
という痛い妄想話を2時間位してしまったのですが、皆さんは言うのも恥ずかしいようなクリアリの妄想ネタって何かありますか?

関係ないけど、専ブラが専用ブラウザの略ではなく、専用ブライの略じゃないかと疑ってしまう位、サントハイムが大好きです。
678煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/09/04(火) 10:29:02 ID:SibwIwCi0
専ブラという文字を見るたびに、「クリフト印の姫様専用ブラ○ャー」と密かにニヤニヤしていたり、
猫耳と聞いてブ○ジャーを被ったクリフトを妄想したのは、秘密だw

お久しぶりです。煩悩神官です。とりあえず生きています。
679煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/09/04(火) 10:29:46 ID:SibwIwCi0
ごめん、sage忘れた。
680名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 11:19:27 ID:BVEd2nypO
煩悩さんだああああああっ
681名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 11:47:28 ID:VN/MrU9Z0
わぁぁぁぁあああ!
煩悩さん、お帰りなさいぃぃぃい!
682名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 16:26:18 ID:B1R9mxCnO
上には上がいた!?

てか、煩悩さんじゃないですかー!
うにゃーんvvv
683名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 02:50:20 ID:izvquwybO
スレに元気が無いから皆にベホマラー。
 | ⌒|
 | +|
 | _|
(`・ω・)ノ〜〜☆
684ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:00:57 ID:2LR6dCIR0
ベホマラーで元気がでましたww

そして、煩悩さーーーん!!!
お久しぶりですーーー!!!!
てか、ブ○ジャーってwww

さて、何となく、2人の出会いを妄想して書いてみました。
まぁ、ありがちなシチュではあるんでしょうが…。
685出会い 1/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:02:05 ID:2LR6dCIR0
バルザックを倒した一行は、身も心も、装備も、満身創痍の状態であった。
そこで、次の長旅に耐えうるようになるまで、しばらくサランの街で回復に努めることにした。

アリーナとクリフトは、サランの街を、人目を避けながらぶらぶらと歩いていた。
クリフトは、アリーナの様子を気遣いながら、その斜め後ろをゆっくりと歩いていたが、
ふと通り向こうに目をやって、「あ。」と声を上げた。
「何?どうしたの?クリフト。」
「…いえ。神学校の終わる時間のようです。」
クリフトが指差す先には、教会に併設された建物から溢れ出てくる子供達がいた。
「初めて会ったときのクリフトも、あんな感じだったよね…。」
神学生の制服に身を包んだ子供達を眺めながら、アリーナが呟いた。
クリフトは目を細めて答える。
「…ええ、あれは、私が神学校に入学して間もない頃でしたから…。」

当時、王妃は病に臥せっていた。
その治療のため、優れた癒し手として名高いサラン大聖堂の神官、ルーべンが呼ばれた。
ルーベンの愛弟子であったクリフトは、侍者としてルーベンに付き添うことになった。
初登城の日、王妃の前で、かちこちに緊張しきって頭を下げるクリフトの元に、
幼く、人形のように愛らしい姫が駆け寄ると、ちょこんとお辞儀をした。
「初めまして!私、アリーナって言うの!よろしくね!」
そして、太陽のように明るい笑顔を浮かべた。
クリフトは、こんなにも曇りのない笑顔を見たのは初めてで、思わず見惚れてしまった。
それが、2人の出会いであった。
686出会い 2/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:03:41 ID:2LR6dCIR0
ルーベンに付いて王妃のもとに通ううちに、アリーナはすっかりクリフトに懐いてしまった。
「クリフトは、子供なのに神官様のお手伝いできて、えらいのね!」
薬草を調合するクリフトの手元を、アリーナが興味津々と言った顔で覗き込む。
クリフトは、邪魔だと思いつつも、アリーナの無邪気な様子につい笑みがこぼれた。
「私は、幼い頃からルーベン様のもとで育てられましたので…薬草の調合は慣れてるんです。」
「ふーん、これは、何に使うの?」
「これは、乳鉢と言って…ああ、姫様、危ないですから手を伸ばさないで下さい…!」

そんな2人の様子を、王妃は優しい微笑を浮かべながら、嬉しそうに眺めていた。
「アリーナは、いつも私につききりなもので、同じ年頃の子と交じわることもなくて…。
こうやって、アリーナと遊んでくれて、クリフトには感謝しています。」
クリフトに頭を下げる王妃に、クリフトは恐縮しきってぶんぶんと手を振った。
「ととととととんでもないことです、王妃様!!感謝なんてそんな畏れ多いこと!」
王妃は、真っ赤になったクリフトを見て楽しげな笑い声を上げたが、その後、顔を曇らせた。
「本当は、アリーナも、沢山の人と出会って、いろいろなことを学ばなければいけない、
ということは分かっているのですけれど…。」
ふっとため息をついた。
「一緒にいられる時間もあとわずかだと思うと…。私の我侭で手元から離せないのです。」
クリフトは、王妃の言葉に思わず薬草をより分けていた手を止めた。
クリフトに微笑みかける王妃の姿は儚げで、今にも消えてしまいそうだった。
クリフトは、気になってアリーナの方を盗み見たが、アリーナは乳鉢に夢中になって
今の会話を聞いていないようだった。
―――どっちにしろ、姫様には今の会話の意味は分からないだろう…。
クリフトはほっと安堵の息をついた。
687出会い 3/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:04:20 ID:2LR6dCIR0
ルーベンの懸命の治療も空しく、王妃の病状は日に日に悪化して行った。
国王は、激務にもかかわらず日に一度は妻の容態を見舞いに来ていたが、
王妃の寝室を出ると、悲しげな顔でルーベンと目を見交わすようになった。
女官達も沈みがちで、クリフトには、館の上に暗雲が垂れ込めているように感じられた。
しかし、そのような中、アリーナの太陽のような笑顔だけは変わらなかった。
そして、アリーナの笑顔だけが、今の王妃をわずかでも微笑ませるのだった。
―――姫様は幼くて、まだ、王妃様がどういう状態なのか分かっておられないから…。
無邪気で、幸せいっぱいといった笑顔。
クリフトは、そんなアリーナの姿を少しうらやましいような思いで眺めていた。

ある日、ルーベンに言われクリフトは、館の近くの薬草園に薬草を摘みに行った。
と、どこからか、小さな泣き声が聞こえてきた。
―――猫?いや、違う…これは…。
泣き声は、薬草園の裏にある生垣の方向から聞こえてくる。
クリフトは、苦労して生垣をよじ登ると、驚いて息を飲んだ。
生垣に囲まれて偶然できた小さな空間で、アリーナが膝を抱えて泣いていた。
「―――姫様!?」
アリーナは、はっとしたように上を向くと、慌てて両手で目をこすった。
クリフトは生垣からアリーナの隣に飛び降りると、アリーナの顔を覗き込んだ。
「どうされたのです?どこかお怪我でもされましたか?」
クリフトの問いにアリーナはふるふると頭を振った。
しかし、その目には再び涙が盛り上がってきていた。
「…姫様。何かお辛いことがあるのであれば、このクリフトにお聞かせくださいな。」
クリフトは、優しく問いかけた。
アリーナの両目から大粒の涙が零れ、ふっくらした頬を転がり落ちていった。
688出会い 4/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:05:00 ID:2LR6dCIR0
アリーナはしゃくりあげながら、クリフトにしがみついた。
「お母様のことを考えると、時々悲しくなるの…でも、ダメなの。
アリーナは、泣いちゃいけないの。泣くと、お母様が心配するから…。」
クリフトは頭を殴られたような衝撃を感じた。

この年端も行かない姫は、全てを分かっていながら、母を心配させまいと、
わざと無邪気に振る舞っていたというのか。
そして、こうやって、人目の付かないところでひっそりと泣いていたというのか。
―――姫様は、幼いから何も分かってない、なんて、誰が言った…?
クリフトは、思わずアリーナの小さな体をしっかりと抱きしめた。
「姫様、申し訳ありません…!」
アリーナは、驚いて泣き止むと、不思議そうにクリフトを見上げた。
「…クリフト?どうしてクリフトが謝るの?」
「クリフトは、馬鹿だからです。」
「えー、クリフトは馬鹿じゃないよぉ。いろんなこと知ってるじゃない。」
アリーナは、頬に涙の跡を残したまま、笑って見せた。

クリフトは、アリーナから腕を放すと、その前に膝を付いた。
「姫様。これからは、お辛いときは、いつでもクリフトにおっしゃってください。
 クリフトは、いつでも、姫様のおそばにおりますから…だから、もうこれからは、
お1人で泣いたりしないで下さい。」
アリーナは、きょとんとした顔でクリフトを見ていたが、やがて、輝くような笑みを浮かべた。
「うん!分かった!じゃあ、これからはいつもクリフトが一緒にいてくれるのね!」
689出会い 5/5 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:05:40 ID:2LR6dCIR0
サランの路地裏をさわやかな風が吹き抜けていく。
既に、建物の前に子供達の姿はなかった。

アリーナは、ぽつりと言った。
「クリフト…子供の頃、薬草園の裏で約束したこと、覚えてる?」
「…はい。」
「クリフトは、本当に、あれからずっと、一緒にいてくれたよね。」
「…約束、ですから…。」
アリーナはクリフトを振り返った。
「…どうもありがとう、クリフト。一緒にいてくれて。」
アリーナの髪が、柔らかな風にふわりと舞い上がる。
「な、何をおっしゃいます。私は、当然のことをしているだけです。」
赤くなって答えるクリフトに、アリーナは小さく笑った。
「ねえ、クリフト。今、少しだけ…泣いてもいい?その後は、元気になるから。」
「…いくらでもお泣きになってください。私は、そのために姫様のお側にいるのですから。」
クリフトが優しく微笑むと、アリーナは、遠い昔のようにクリフトの胸にしがみついた。
「…お父様…!」
小さくすすり泣くアリーナの頭を、クリフトは、これも昔のように優しく撫で続けた。
「大丈夫、大丈夫ですよ…姫様。陛下も、皆さんもきっとご無事です。
 皆で、力を合わせれば、必ず、助けられます。……大丈夫…。」

アリーナのすすり泣きと、クリフトの静かな囁きは、風に乗ってサランの空に溶けていった。
690ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/07(金) 18:06:55 ID:2LR6dCIR0
お付き合いいただき、どうもありがとうございました。

アリーナの例のセリフは、サランじゃなくてサントハイム城でだし、
しかも相手はクリフトじゃなくてもいいわけなんですが(涙)、
そこは、妄想で脳内補完ということで…。
691名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 01:03:53 ID:rIGQ3DBXO
ペギーさーん!
GJです!

作品書き上げるの早いですねー。
何かコツとかあるんですか?


姫様は小さい頃から心の強い女の子だったんだろうな。

お妃様はとっても素敵な女性って感じがするけど、姫様も負けず劣らず素敵な女性になりそうですね。

クリフトはそんな姫様をお傍でずっと支え続けて、そしていつかはムフフフフーですね!
692名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 02:20:20 ID:zmLgP8wW0
アリーナの例のセリフは大好きだ〜
たまたまあのセリフを最初に聞いたときクリアリ2人だった自分にとっては
まさしくリアル!wだぜ。
ペギーさんGJ!!
693名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 02:56:27 ID:7TW9W+QoO
ペギーさん、毎度毎度GJです。
出会いの話は確かにベタなネタだけども
書く人によって話が大きく変わるのがいいですよね。
それぞれの話を読むたびに新しい発見ができる気がします。
細かく設定されていない分、好きなようにいくらでも妄想できるから
考える方も楽しいですし。
694名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 22:01:15 ID:17a19f9d0
アリーナ「>>691さん、ムフフフフーってなんのこと?」
695名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/08(土) 23:42:25 ID:rIGQ3DBXO
>>694
エッΣ(゚∀゚;)ヒメ!?

そのう......ク、クリフトさんに聞いてみて下さい。
696名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 23:54:03 ID:aFAScL7P0
保守
697名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/11(火) 12:45:39 ID:+VRIWmu2O
ペギーさんいつもGJ!
このスレにくるとほんとクリアリには幸せになってほしいと思うなぁ。
6981/6:2007/09/12(水) 06:13:25 ID:vm6sdHgY0
ペギーさんに触発されて自分も「出会い」をテーマに書いてみました。


サントハイムの城につづく石畳の道は、丘の急な斜面を蛇行しながら通っていた。
クリフトは、その道を汗をぬぐいながら、登っていた。
季節は初夏。
道に根を張らぬよう周囲の木は伐採されている為、日の光を遮るものも無い。
丘の上には、まだ城は見えない。
クリフトは青い空に浮かぶ積雲を見つめながら、一歩一歩踏みしめるようにして歩いた。
幼い頃に両親をうしなったクリフトは、教会の運営する孤児院で育った。
慈善活動とはいえ天から金が降ってくるわけでもなし、収容されている子供の数が増えれば食事も寝床も行き渡らなくなる。
そうなると年長の者から順に、孤児院から去っていく事になる。誰が言うでもなく。
クリフトはそんな不問律を幾度も見てきた。
そして、クリフトもまた同じようにして孤児院を出たのだった。
しかし、彼は幸運である。行く当てがあるのだから。
彼は、孤児院にいる間、神父の説教を熱心に聴き、またその意味をよく理解した。
彼の利発さに気付いた神父は、様々な儀式の執り行い方や、より深い教義や、生命に作用するいくつかの呪文を彼に教えた。
クリフトはたちまちそれらを飲み込んだ。
そして、若干15歳にして神官として認められたのだった。
しかも、初めての任地はサントハイムの城。
孤児院を出たばかりの少年には、信じられない出世である。
だが、彼にとってはそんなことはどうでも良かった。
彼は生まれて初めて、自由というものを実感していた。今まで孤児院の塀の中の世界しか知らなかったのだ。
知らない道を歩き、知らない人間とすれ違う。それだけで嬉しかった。
新しい生活の不安も、照りつける太陽も、彼の足取りをとめることは出来なかった。
6992/6:2007/09/12(水) 06:14:33 ID:vm6sdHgY0
やがてクリフトの眼前に大きな門が姿をあらわした。高さは3m以上はあるだろうか。
クリフトは傍らの門番に声をかけた。
「あの、すいません」
「うん?」
門番は気だるそうに返事をした。
この炎天下に厚い甲冑を身に着けているのだから無理もない。
「城内の聖堂につとめるよう陛下と教会より仰せつかったクリフトという者ですが」
「あぁ。話は聞いてる。今、門を開けてやる。」
そう言うと門番は、ドンドンと門を叩いた。内側からかすかに返事が聞こえる。
「例の神官が着いたぜ。門を開けてやってくれ。」
それからしばらくすると、ガラガラと大きな音を立てて門が開いた。
クリフトは門番に礼を言って、城内へと足を踏み入れた。
そこは広大な庭園だった。
庭師の手入れが行き届いた木々や花がそこかしこに並び、噴水は涼しげな水音を立てていた。
クリフトはゆっくりと歩き出した。
辺りには人がまったくいない。
懐の時計は、2時を指していた。最も暑い時間だ。
皆、日光を避けて城の中にいるのだろう。
先ず王様に赴任の挨拶をしなければならない。
建物はいくつもある。どれに王様がいるのだろう。クリフトには皆目見当もつかなかった。
門の所まで戻って聞こうか?いや、自分で探そう。
別に急ぐわけでもない。それに、もう少しこの庭園を歩き回ってみたい。
そんな子供っぽい好奇心にクリフトは従う事にした。
7003/6:2007/09/12(水) 06:15:13 ID:vm6sdHgY0
夏の重たい空気の中を、花から花へと蝶が舞っていた。
静かだった。噴水の音も、遠くから聞こえるセミの鳴き声も、音として認識するにはあまりに景色に溶け込みすぎていた。
「あなたね?今日ここに来るって言う神官は」
少女の声が、静寂を破った。
クリフトは声のしたほうを見上げた。
傍らのヒノキの太い枝の上に声の主がいた。
その少女は、麻のワンピースに身を包み、木漏れ日に照らされながらこちらを見下ろしていた。
歳は自分よりも2つか3つは下のようだ。
栗色の髪に赤い瞳が印象的なかわいらしい少女だ。
「ああ、僕の事です。君もここで働いているの?」
「わたし?」
彼女は少し驚いた風に目を見開いた。
「私は・・・うーん。働いてるって言うのはちょっと違うような。まあ、でもそんなようなものかもね。」
身格好からして身分は高くなさそうに見える。
「僕が来る事、よく知ってましたね。」
「それはそうよ」
少女はさも当然というように答えた。
「この城にはこれまで何人も神官がいたけど、皆おじさんばかりだもの。若い子が来るっていうんで何日も前から噂の種になってたのよ。」
「そういえば、人が見えないけれどもどうなってるんでしょう?」
「アフタヌーンティーよ。皆でお茶を飲みながらくだらないおしゃべりしてるわ。」
彼女はそう言って悪戯っぽく笑った。
こんなことを言って大丈夫なんだろうか。
「王様に会うにはどこに行けばいいかわかります?」
「あっちよ」
彼女はヒノキの枝の上で立ち上がると、尖塔がいくつも並ぶ大きな建物を指差した。
「わかりました。色々と教えてくれてありがとう。」
クリフトは彼女の指差した方へと足を向けた。
すると少女がクリフトを呼び止めた。
7014/6:2007/09/12(水) 06:16:28 ID:vm6sdHgY0
「ねえ、あなた名前は何ていうの?」
「え、ああ、クリフトですけど・・・。あなたは?」
「私の名前?それは、秘密。」
「?」
「そんな事より行かなくていいの?王様を待たせたりしたら一大事よ。」
彼女の言葉を聞いて、クリフトは慌てて走り出した。

宮殿の入り口で名を告げると、クリフトは謁見の間に通された。
少女が冷やかしたような事態にはならなかった。王様はまだ部屋には居なかったのだ。
クリフトはそこで立ったまま待ち続けた。
王様が謁見の間にやってきたのは10分ほど経った頃だった。
左右に控えていた近衛兵は、田舎から出てきたばかりの少年などには視線もくれてやるものか、という風に澄ましていたが、
王様自身はクリフトにねぎらいの言葉をかけてくれた。
クリフトが王族と直に会うことなど、もちろん初めての事だったが、
今までに、王様というものに持っていた威圧的なイメージはそこには無かった。
クリフトは、抱えていたいくつかの不安の中の一つが杞憂に終わったことに安心した。
それからクリフトは聖堂に行き、同僚となる神父にも挨拶を済ませた。
少女の言うとおり、神父は50近い中年の男だった。
彼から神官が被る縦長の帽子を授けられた。
それを被った時、クリフトは身が引き締まるのを感じたのだった。
城内を歩くと、侍女や使用人の女が遠巻きに自分の事を見たり話したりしているのが気になった。
神父が言うには、彼女たちは常に退屈しているのだというが、クリフトにはよく解らなかった。
新参者がせねばならない面倒な種々の物事を片付けた頃には、太陽は西の空に沈もうとしていた。
ようやく一段落つけると、クリフトは宮殿のテラスで夕日を見ながら涼んでいた。
彼方に見える黒い林からヒグラシの物憂げな鳴き声が聞こえてくる。
この城でやっていくためには、神学や呪文に長けているだけではダメだということをクリフトは1日目にして痛感していた。
もっと世間を知らなければ・・・。
空が紅から群青に変わろうという時、ひとりの老人がクリフトに声をかけてきた。
7025/6:2007/09/12(水) 06:17:44 ID:vm6sdHgY0
「おぬしが赴任してきた神官かな?」
老人は、緑色のローブを身に纏い、その右手には樫の杖が握られていた。
禿げ上がった頭と、豊かなあごひげを持ち、小柄ながらも威厳を感じさせる男だった。
「わしは魔法使いのブライ。この城では姫様の教育係を任されている。」
「はじめまして。クリフトといいます。」
クリフトは背筋を正して答えた。今日何度目の挨拶だろうか。
「(最近の若者にしては悪くない返事だ、感心感心。)実は、我らが姫君、アリーナ様がおぬしに興味がおありでな。
おぬしと話がしたいと仰っている。すまぬが、姫様の部屋までご足労願えぬかの?」
「喜んで。」
クリフトは、そのブライに付き従って城内を歩いていった。
城内は夕食の準備で慌ただしく人が往来していた。
姫の部屋は、最上階の一角にあった。ブライが手の甲でドアをノックした。
「どうぞ」
中から返事がした。それから二人は部屋へと入っていった。
さすがは一国の王女の部屋である。壁には趣向を凝らした装飾がなされ、天井にもキラキラと輝くシャンデリアが吊ってあった。
例の姫は、正面のソファーに腰掛けていた。
彼女を目にした時、クリフトは度肝を抜かれた。
そこにいたのは昼間、ヒノキにのぼっていた少女だったからだった。
あの栗毛の少女が、今度は膨らみ袖のついた豪奢なドレスを着て目の前に座っているのだ。
「ブライは席をはずしてくれる?」
少女、いやアリーナが言った。
「わかりました。・・・しかし、姫様。私が見ていないからといって粗相をなさってはいけませんぞ。」
ブライはそう言って、部屋から出て行った。そうするや否や、アリーナはクスクスと笑い出した。
「驚いた?」
アリーナはさも楽しそうだ。クリフトは呆然としていた。
「驚いたなんてもんじゃありませんよ・・・。」
クリフトは思わず汗をぬぐった。これは昼間の汗とは違う。冷や汗である。
7036/6:2007/09/12(水) 06:40:40 ID:vm6sdHgY0
「あんな所で何をなさっていたんです?あの時言ってくれれば好かったのに・・・。」
「あはは。それじゃあ詰まんないわ。あなたを驚かせようと思ってたんだもん。」
「人が悪いです。」
クリフトはムスッとして言った。
「この事、お父様やブライには内緒よ。あんな格好で城外を歩き回ってたなんて知れたら大目玉だから。」
「それは・・・約束しかねます。」
「イジワル!」
アリーナは口をへの字に曲げて、声を上げた。
「そういう問題じゃないでしょう・・・。」
そう答えたクリフトだが、自分をじっとにらみつけているアリーナの妙な真剣さに思わず笑いがこみ上げてきてしまった。
これではもう、まじめに話など出来そうもない。
彼女の前では、肩肘を張って、大人ぶってみても全く通用しないようだ。
「わかりました。この事は、ブライ殿には黙っておきます。」
クリフトの言葉に、アリーナは笑顔で返事をするのだった。
そんなアリーナに微苦笑を禁じえないクリフトであったが、同時にこれほど愛らしい人もいないとも思うのだった。
出会いが人生を変えることは往々にしてあることだが、この出会いが二人の人生をどのように変えるかを知る者は誰もいないのだった。
窓の外に広がる初夏の夜空には、天の川が輝いていた。
704ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/12(水) 18:31:18 ID:6sLd6bEz0
おおおーーー!
GJです!!

いたずらっ子アリーナがいいですね〜。
クリフトもブライも、すごくらしくて、いい!

情景描写がきれいで、すごく自然に場面が目に浮かんできます。
ほのぼのSS、どうもありがとうございました…!
705名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/12(水) 22:34:50 ID:skyv/Ej10
小悪魔なアリーナが可愛いなw
そして冷静なクリフトが好きなんで嬉しいーーーGJ!
706名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/13(木) 23:26:38 ID:AKg8RaD8O
GJ!
夏のサントハイム城の景色が頭に浮かびました。素敵なSSをありがとう。

ところでクリアリにするとライアンってあんまり活躍してない気がするんだけど、誰か糖度高めのライアン話書いてくれないかなー。
707名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/15(土) 02:16:12 ID:IRE7m/1OO
そうだね。ライアンと同世代のトルネコは気の利く人だから登場させやすい感じだけど‥
ライアンがクリアリに絡む話もいいね。
708ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/15(土) 19:37:23 ID:+ANoqwnO0
こんにちは。
なんか、最近スレに入り浸っているような気がしないでもないですが…。

ライアン絡みネタを考えていたら、全然違う方向の話ができあがってしまったw
…またしても、オリキャラが、けっこう出張ってます。

>>691さん
早いといっても、煩悩さんほどでは…ww
コツというか、妄想はまると、がががっと一気に書いちゃいますね。
もちろん、最初に書いたのは大体めちゃくちゃなので、その後、延々といじり倒しますが。
709バトランドの王子 1/13:2007/09/15(土) 19:38:56 ID:+ANoqwnO0
バトランドに立ち寄ろうとした旅の一行であったが、フィールドを彷徨うちに、
どうやらバトランド軍の野営地に紛れ込んでしまったらしかった。
バトランドの国旗をはためかせた天幕がそこここに点在し、大勢の兵士達が行き来している。
「ふむ。我が国の護りは万全のようですな。」
周囲を見回し満足そうに頷くライアンの元に、見張りの兵士らしき者達が駆け寄ってきた。
「お久しぶりでございます、ライアン殿!!」
「おお、お前たちは…では、これは第一近衛師団か?」

兵士達に是非に師団長に会って欲しいと懇願され、一行は、野営地の中心に同行した。
一際大きな天幕に着くと、同行した兵が、天幕の中に向かって敬礼し声を張り上げた。
「師団長殿!ライアン殿とそのお仲間をお連れいたしました!」
「おお、ライアン。久しいな。」
天幕の入口をくぐって出てきたのは、ライアン並にたくましい体をしていたが、
ライアンよりもだいぶ若く、輝く金髪、整った顔立ちの好青年であった。
「あっら〜!いい男じゃない。」
マーニャが上機嫌で叫んだ。
ライアンは、うやうやしく師団長の前に跪くと大声で叫んだ。
「リリアン殿下にはご機嫌麗しく、恐悦至極に存じます。」
「相変わらずだな、ライアン。」
青年は苦笑すると、一行を眺め、天空の装備をまとった勇者に目を止めた。
「…どうやら、お前の勇者探索の旅は上首尾に終わったようだな。」
「はっ、しかし、旅はこれからが本番でござって…。」
そのとき、ライアンをマーニャが後ろからつついた。
「ちょっとちょっと!今、あんた、殿下って言わなかった?」
710バトランドの王子 2/13:2007/09/15(土) 19:39:48 ID:+ANoqwnO0
「おお、これは失礼仕った。」
ライアンは向き直ると大声で呼ばわった。
「このお方は、バトランド国第三王子、第一近衛師団長にしてバトランド最強の戦士、
 リリアン殿下であられる!」
そして、王子に再敬礼をした。
「殿下、勇者殿と旅の仲間達を、殿下にご紹介申し上げてもよろしいでしょうか!」
王子はほがらかに笑って頷いた。
「そうかしこまるな。こちらこそ、さっきから紹介して欲しくてうずうずしていた。」

ライアンが仲間を順番に紹介していく中、アリーナの名前を聞いて、王子は眉を上げた。
「サントハイムの…アリーナ王女?あの、武術大会で優勝した?」
「優勝って言っても、決勝戦は不戦勝だけど。」
アリーナは肩をすくめる。
「そうか、噂のお転婆姫が、こんなに可愛らしい方だったとは…驚いたな。」
王子の言葉に、アリーナの後ろに控えていたクリフトが、ピクリと反応した。
王子が、それに気付いたように顔を上げたが、クリフトは王子から目をそらしていた。
そこに、アリーナがはしゃいだ様子で王子に声をかけた。
「それより、あなた、バトランド最強だったら、ライアンよりも強いの?」
「これ、姫様。他国の王子に対し、失礼でありましょう!」
ブライが慌てて注意したが、王子は笑って手を振った。
「かまわないよ。私も堅苦しいのは苦手だ。」
そして、アリーナに笑いかけた。
「今まで彼に負けたことはないはずだが…久しく手合わせをしていないし、
ライアンはその間に随分腕を上げたようだから、何とも言えないな。」
アリーナは目を輝かせた。
711バトランドの王子 3/13:2007/09/15(土) 19:40:18 ID:+ANoqwnO0
「ライアンに負けたことないなんて、すごいわ!私なんか、3回に1回しか勝てないもの!」
王子は感心したようにライアンとアリーナを見比べた。
「ライアン、お前…この姫に3本に1本も取られているのか。」
「…面目ありませぬ。」
「それ言ったらね、ソロは3回に2回はライアンに勝つわよ!」
王子は、賞賛の目で少年を見、勇者は居心地悪げにぽりぽりと頬をかいた。
「さすがは勇者殿だ!これは、是非、皆さんにこちらに滞在していただきたいな。」

結局、王子の要望を断るわけにもいかず、一行はしばらくの間、野営地に留まることになった。
アリーナはすっかり王子と意気投合し、ほどなく、2人で野営地を歩き回るようになった。
兵士達とも手合わせをしては盛り上がっているらしく、アリーナはすっかり人気者だった。
手合わせには、勇者やライアンはもちろん、他の仲間達もときどき参加していたが、
クリフトだけは、ただ1人黙々と、天幕の横で薬草類の手入れに勤しんでいた。

「クリフト!今日も薬草のお手入れ?」
そんなある日、薬草を広げて乾かしているクリフトのもとに、アリーナが立ち寄った。
野営地に来てから、クリフトがアリーナと2人きりになるのは久しぶりのことだった。
「たまには一緒に手合わせしましょうよ。リリアンはホントに強いわよ!
今日の昼食のあとも、手合わせの約束してるの。今度こそ、勝って見せるわ!」
頬を紅潮させて楽しそうに報告するアリーナに、クリフトは微笑んだ。
「姫様…楽しそうで、何よりです。
 でも、私は、こちらでの滞在中に薬草類を整えておきたいので…。」
アリーナは口を尖らせた。
「んもう、クリフトったら相変わらずね!じゃあ、時間ができたら顔を出してね!」
そして、元気に手を振ると走り去った。
712バトランドの王子 4/13:2007/09/15(土) 19:40:58 ID:+ANoqwnO0
クリフトは、アリーナの後姿を見送り、小さく息をつくと、再び薬草を広げ始めた。
そこに、
「おい、クリフト、いいのか?」
「…ソロさん。」
後ろから声をかけられ、クリフトは振り向いた。
天幕の影から、不機嫌そうな顔をした勇者が現れた。
「…殿下がご一緒ですし、この陣営の中ならば、姫様の御身は安全でしょう。」
「そんなこと言ってんじゃ……。まったく、お前ときたら、素直じゃない奴だよ。」
勇者は、立ち去り際に、何気なく一言放った。
「王子は随分アリーナを気に入ってるみたいだぜ。」
クリフトは、それには答えず、ただ、手にした薬草を強く握り締めた。

その日の午後、アリーナは予定どおり王子と一緒に出かけ、他の面々は適当に寛いでいた。
クリフトは木陰で薬草を選り分けていたが、そこにライアンが鼻歌を歌いながら近づいた。
「いやー、クリフト殿!殿下はすっかりアリーナ姫をお気に入りの様子でござる。
 リリアン殿下とアリーナ姫ならば、まさしく好一対、お似合いの2人ではないか!
 お2人が結ばれて両国の架け橋となられれば、我々臣下としては、喜ばしい限りですな!」
うれしそうに叫ぶライアンに、クリフトは弱々しい笑みを返した。
そして、口の中で何か呟いて立ち上がると、ライアンに軽く頭を下げて、その場を後にした。
ライアンはクリフトの後姿を見ながら、はて、と首を傾げたが、次の瞬間、
勇者とマーニャに後ろから襟首を捕まれ、ぐえ、と声を上げた。
「な、何を、ソロ殿、マーニャ殿…!」
うろたえるライアンを、勇者とマーニャは、怖い顔をして睨んだ。
「あんたも、いい加減に空気を読むってことを覚えなさいよ。」
「この件については、これ以上何も口に出さないようにして欲しいんだけどな。」
ライアンは、2人の勢いにきょとんとした顔をしていたが、次の瞬間、相好を崩した。
713バトランドの王子 5/13:2007/09/15(土) 19:41:41 ID:+ANoqwnO0
「相分かった!こういったことは、本人たちに任せるのが一番!
周りが騒ぎ立てると却ってうまくいかなくなるものですからな。」
了解了解、と頷きながら立ち去るライアンを見ながら、勇者とマーニャは顔を見合わせた。
「…どうやったらああいう勘違いができるかしらね…。」
「ま、まあ、結果論としては、これでよかったのかな…?」

「クリフトさん、クリフトさん!」
野営地を歩くクリフトに、トルネコが後ろから追いすがった。
「何でしょう、トルネコさん?」
クリフトが、やや構えたように振り返る。
「ねえ、本当にいいんですか、リリアンさんとアリー…」
クリフトは、トルネコの言葉を途中で遮った。
「トルネコさん。以前にも申し上げたとおりです。
私の望みは、姫様が、誰もが認める素晴らしい方と結ばれることだと。」
「…で、あなたは、リリアン王子が、その素晴らしいお方だと認められるわけですか。」
「…違いますか?殿下は、身分、指導力、ご見識、いずれも何の問題もないかと。
それに何よりも、姫様が殿下のことを好ましく思われておられるのですから…。」
「私には、アリーナさんは、単に手合わせを楽しんでるだけに見えるんですけどねぇ。」
トルネコは苦笑した。
「いずれにせよ。」
クリフトは首を振った。
「姫様のお相手について、臣下の私がとやかく言うことではありません。」
そういうと、どこか不服そうなトルネコに背を向け、足早に去っていった。
714バトランドの王子 6/13:2007/09/15(土) 19:44:42 ID:+ANoqwnO0
そのまま、数日が過ぎ、そろそろ一行も旅立たねばならない時期がきた。
ある日の朝食で、勇者は、王子や皆に、明日は野営地を出るつもりであることを告げた。
王子は残念そうな顔をしたが、すぐに表情を引き締めた。
「仕方ない、君らは大きな使命を負っているんだから、これ以上引き止めてはいけないな。
 では、せめて今晩は、ささやかながらお別れの晩餐を設けさせてくれたまえ。」

朝食後、荷造りをしていたクリフトのもとを、王子がふらりと訪れた。
「リリアン殿下!?」
滞在中、クリフトと王子が言葉を交わしたことはほとんどなかった。
慌てて居住まいを正すクリフトに、王子は笑いかけた。
「忙しいところ悪いが、ちょっとそこまで、顔を貸してもらえるかな。」
クリフトは、一瞬ためらったが、何も言わずに腰を上げた。

王子は、クリフトを野営地から少し離れた草むらに連れ出した。
そこは、背の高い草が密集しており、野営地からは死角になっていた。
王子は、クリフトに正面から向き直った。
「今日の晩餐で、私は、アリーナに求婚しようと思う。」
クリフトは、わずかに肩を揺らしたが、その表情は変わらなかった。
「それは…おめでとうございます。」
「その言葉は、額面どおり受け取ってもいいのかな。」
「…どういう意味でしょうか。」
「君は、アリーナをどう思ってるんだ?」
クリフトの瞳が、一瞬、揺れた。
715バトランドの王子 7/13:2007/09/15(土) 19:45:26 ID:+ANoqwnO0
しかし、クリフトの口から出た言葉は、冷静そのものだった。
「どうとおっしゃられても。私は姫様を臣下として敬愛しておりますが。」
「…子供の頃からアリーナの側で仕えてきたんだろう?」
「はい。私の役目は姫様の御身の安全をお守りすることですから。」
リリアンの刺すような視線を、クリフトは静かに受け止めていた。
「…なかなか、強情だな、君も。」
何が、と口を開きかけた次の瞬間、クリフトは驚いて飛びすさった。
王子が、剣を抜いてクリフトに切りかかってきたからだ。
「殿下!これは一体どうしたことですか!」
叫ぶクリフトに、王子はにやりと笑いかけた。
「…けっこう、いい反射神経をしてるじゃないか。」
そして、「受け取れ。」と、自分の持っているもう1本の剣をクリフトに放った。
「君とは、是非一度手合わせしてみたいと思ってたんだ!」
「何を…おやめください、殿下!」
クリフトの抗議に耳を貸す風もなく、王子はクリフトに再び切りかかった。
クリフトは、うなりを上げる刃風に、反射的に鞘を払うと剣を抜き合わせた。
王子は、剣を構えたクリフトを見て嬉しそうに笑った。
「いい構えをしてるじゃないか…これからが本番だ、行くぞ!」
草むらに、激しい剣戟の音が響き渡る。
しばらく切り結んだ後、王子とクリフトは互いに後ろに飛び離れた。
2人とも、呼吸が上がっている。
王子は、感心したようなうなり声をだした。
「…やるな。頭脳派の太刀筋だ―――だが!」
クリフトは、次の瞬間凄まじい剣圧に押され、草むらに倒れ込んだ。
「いかんせん、重量が足りないな。」
716バトランドの王子 8/13:2007/09/15(土) 19:46:02 ID:+ANoqwnO0
クリフトの喉元には、王子の剣の切っ先がぴたりと押し付けられている。
「――こんなことで、大事な姫様を守ることができるのかな。」
王子が、皮肉気に口をゆがめて言った言葉にクリフトの目がギラリと光った。
初めて見る、激しい感情を顕にした神官の表情に、王子が驚いた顔で体を引いた。
クリフトはその隙を逃さず王子を跳ね飛ばした。
その拍子に剣先がクリフトの首筋を傷つけたが、クリフトはそれを気にする様子もなく
立ち上がると、怒りに燃えた目で王子を睨んだ。
「守りの方法は1つじゃありません…。私は、何があっても姫様だけは守ってみせる!」

しばらくの間、2人は無言で睨みあっていた。
先に口を開いたのは、王子の方だった。
「悪かった。」
クリフトの肩からも、力が抜けた。
「どうしても、一度君と手合わせがしたかったものでね…。」
「…いえ。私の方こそ、殿下に対し、大変失礼なことを……。」
クリフトは、先の勢いが嘘のように、力なくぼそぼそと呟いた。
王子は、そんなクリフトをしばらく黙ってみていたが、再び口を開いた。
「…もう一度聞くが、私がアリーナに求婚することに、君は異論はないのか。」
「…私が何かを申し述べる立場では」
「分かった。もういい。言っておくが、私は本当に彼女のことが好きだからな。」
王子は、そう言うと、クリフトをその場に残して立ち去った。
717名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/15(土) 20:28:29 ID:4oltGplw0
支援?
718バトランドの王子 9/13:2007/09/15(土) 20:31:41 ID:+ANoqwnO0
その日の晩餐は、野営地なりに豪華な食事が用意され、楽しげな会話が弾んでいた。
その中で、クリフトだけが一人、黙りこくってスプーンをのろのろと動かしていた。
「クリフトさん、大丈夫ですか?お顔の色が…。それに、その首の傷…。」
クリフトの隣に座っていたミネアが心配そうに尋ねる。
しかしクリフトは、大丈夫です何でもありません、と首を振った。
ミネアは眉をひそめ、クリフトの首元に手をかざすと小さく回復呪文を唱えた。
と、そのとき、王子が立ち上がった。
「皆に聞いて欲しいことがある!」
クリフトは、口を引き結ぶと目を瞑った。
「私は、この場で、サントハイム王女、アリーナ姫に結婚を申し込みたいと思う。」
その場にいる全員が、一瞬にして固まった。
王子は、皆を見渡してふっと笑うと、アリーナの前に跪いた。
「アリーナ姫。あなたは、強く、元気で、暖かい、私が理想とする女性だ。
 私は、王子といえど身軽な身。あなたとともに未来を夢見たいと思っている。」
アリーナは、突然の出来事に、驚愕したように目を見開いていた。
ライアンは嬉しそうに両手を上げたが、勇者とマーニャに恐ろしい目で睨まれ、
ゆっくりとその手を下に下ろした。
そこに、ブライが慌てたように割って入った。
「で、殿下、大事なお話中に大変失礼とは存じますが…じゃが、
わがサントハイムでは、王族の婚姻には貴族院の承認が必要でして…。」
王子は立ち上がるとからからと笑った。
「もちろん、正式な求婚は、全てが終わってからだ。今は、ただ、アリーナの気持ちを
 確かめておきたいだけなんだ。」
そして、ひたとアリーナを見つめた。
「アリーナ、君の気持ちを聞かせてくれないか。」
 
719バトランドの王子 10/13:2007/09/15(土) 20:32:45 ID:+ANoqwnO0
「え、えっと…。」
アリーナは、目をぱちぱちさせると、何かを探すように周囲を見回した。
その視線は、一瞬クリフトの上で止まったが、クリフトはアリーナから顔を背けた。
アリーナは、途方に暮れたように王子に向き直った。
「驚いちゃった…私、結婚なんて、そんなこと考えたこともなかったから…。」
王子は優しく頷いた。
「そうだろうね。ただ、ライアンから聞いたよ。
 君は、相手にするなら自分より強い男だ、と常々言っていたらしいね。
 …せめて、私は、その条件には当てはまらないだろうか。」
王子のその言葉に、アリーナは眉根を寄せた。
「うーん。そうなんだけど…。」
アリーナは、ゆっくりと、自分に語りかけるようにして話し始めた。
「昔、旅に出たばかりの頃は、武術で強いのが一番だって思ってたのよね。
 でも、最近、そうじゃないってことが分かってきて…。」
さきほどからずっと目の前の皿を凝視していたクリフトは、意外なことを聞いた、
というように目を瞬いた。
アリーナは、さらに続けた。
「例えば、私より弱い相手にだって、回復呪文を使いながら戦われたら負けるかもしれない。
 攻撃にしたって魔法の方が有効な場合もあるし…。強いって言っても、いろいろあるなって。」
王子は、アリーナの話を黙って聞いていたが、小さい声で呟いた。
「その考えの変化は…やっぱり彼の影響なのかな。」
クリフトが顔を上げると、王子は、クリフトを見つめていた。
アリーナが王子を見上げて首を傾げた。
「ん?何か言った?リリアン?」
「いや、なんでもない。で、これは、結果として私は振られてしまったということなのかな?」
720バトランドの王子 11/13:2007/09/15(土) 20:33:24 ID:+ANoqwnO0
「そういうわけじゃないんだけど。」
アリーナは、困ったように王子を見た。
「…あのね、私、これからも旅をしていくうちに、いろいろ考え方が変わると思うの。
だから、今は、確実なことは、何も約束できない。」
「姫様…こんなしっかりしたご意見を持たれるようになったなんて…。」
ブライが、小声で呟くと、ナプキンでそっと目の端をぬぐった。

クリフトは、ただただ、アリーナを呆然と見つめていた。
王子はしばらく黙っていたが、やがて大きな笑い声を上げた。
「よく分かった!やはり、君は素晴らしいよ、アリーナ!最高の女性だ。
 全てが終わったときには、必ず、もう一度結婚を申し込ませてもらうよ。」
そして、アリーナの両手を取って立ち上がらせた。
「君の使命に同行したいのはやまやまだけど、私には別の役割があるし…それに。」
ちらりとクリフトを見て言った。
「君の身の守りは、どうやら万全らしいから。」
そして、皆に向き直ると、杯を掲げた。
「皆、騒がせてすまなかった。君らの旅に神のご加護を!後は楽しんでくれたまえ!」
皆、ほっとした顔で一斉に杯を掲げた。
クリフトは、戸惑った顔で王子を見たが、目顔で促され、静かに杯を上げた。

晩餐の後、野営地の近くの丘で1人酒を飲んでいる王子に、後ろから声がかかった。
「王子様がこんなところで1人で酒盛りなんて、無用心じゃないか?」
「…ふん。今の私に勝負を挑んでくる奴らは地獄を見るよ。何の用だい、勇者殿。」
「いや…振られ男のヤケ酒に付き合おうと思ってね。」
勇者は、手に盛った酒瓶を持ち上げて見せた。
721バトランドの王子 12/13:2007/09/15(土) 20:34:08 ID:+ANoqwnO0
「失礼な、まだ振られてはいないさ。…で、君は酒は飲めるのか。」
「最近、少しだったら飲めるようになった。」
勇者は王子の隣に腰を下ろした。
王子は黙って勇者から酒瓶を受け取り、勇者と自分の杯に注いだ。
「振られてはいないが…分が悪いな。」
王子は、自分の杯を一気に干すと、息をついた。
「私が、アリーナと話していると…必ず、彼の話題になるんだよ。」
「…ああ。」
勇者は、「彼」が誰だかは聞かなかった。
王子は肩をすくめる。
「クリフトがこう言ってた、クリフトだったらこうするだろう、そればっかりさ。」
「しかも、アリーナ、自分ではそれに全然気づいてないだろ。」
勇者の言葉に、王子は苦笑してうなずいた。
「ホント、参るよ。なのに、彼ときたら全くのポーカーフェイスじゃないか。」
「…ポーカーフェイスになり切れてないところもあったけどな。」
「とにかく、それが気に食わなくてね…今日の昼、少し意地悪をしてみた。」
それを聞いて、勇者が非難がましい目で王子をみた。
「何やったんだよ、あんた。夕食のときのあいつ、幽霊みたいな顔してたぞ。」
「いや、ちょっと一手のご指南をお願いしただけだよ。」
「ぶちのめしたのか!?」
「とんでもない…。むしろ、こっちの方が打ちのめされた気分だったよ。」
彼の想いの強さにね、とぼやく王子を横目に、勇者はちびちびと酒をなめた。
「…で?それがなんで、今日の晩餐会でのプロポーズになるわけ?」
王子は、楽しそうな顔で勇者を見た。
「私からのちょっとした意趣返しと、あとは、宣戦布告も兼ねてね。」
722バトランドの王子 13/13:2007/09/15(土) 20:35:34 ID:+ANoqwnO0
「宣戦布告ねぇ…。」
「ああ。彼が、いつまでも躊躇しているなら、私がさらって行ってしまうよ、ってね。」
「お、それいいね。是非そうやってあのアホにハッパかけてやってくれ。」
「いや、私は本気なんだが…。」
と、そこに、下の方から、アリーナの声が聞こえてきて、2人は口をつぐんだ。

「クリフト〜!荷造り終わった〜?外に出てきなさいよ〜星がきれいよ〜!」
がさがさと天幕から人が出てくる音がする。
「…姫様?…もしや、お酒を召し上がったのですか!?」
「だって〜、だって、何だかさ〜。」
「ああ、上を向いてお歩きになられては、足元が危のうございます!」
「だってさ〜、こんなに、星がきれいなのに…きゃっ」
「姫様!」
「あははは〜、ほら、大丈夫だって〜。こうやってクリフトが支えてくれるじゃない!」
「そ、そういう問題ではありません!」

丘の上で、勇者と王子は顔を見合わせると、次の瞬間、ぷっと吹き出した。
「あーあ、やっぱり、私は分が悪いかなぁ。」
「ホントにタチ悪いよな、あいつら。つくづく同情するよ、王子さん。」
「いや、君こそ、この先いろいろと苦労するぞ!」
笑いながら肩を叩き合う男達の下では、
「そもそも転ばぬ先の杖と言ってですね、って、ほら、だから足元をご覧になって…!」
「えへへへ〜。…ありがとね、クリフト。」
叱り、叱られながらもどこかお互い楽しげな主従の声が、夜のしじまに響いていた。
723ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/15(土) 20:37:17 ID:+ANoqwnO0
>>717さん、ご支援ありがとうございます!
何とか全部投下することができました…!

私の中のライアンは、こんな奴ですw
とうてい、糖度の高い話は書けそうにない…。
しかし、相も変わらず、仲間達、よってたかってクリフトの世話焼きすぎですね。
724名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/15(土) 23:05:56 ID:9Yq6XTZSO
うわ〜こんなに早く書いてもらえるなんて…!

ライアンは恋愛に疎い感じがするから、やっぱり動かしにくいキャラなんでしょうね。

王子と勇者の会話がいいですね!
頑なに思いを隠そうとするけど、姫の事を真っ直ぐ思っているクリフトも素敵だし、無意識でクリフトを意識してるアリーナも可愛くて良さげです!

そしてさり気なく全員登場してる感じが良かったです。

ペギーさんありがとう。
725名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/18(火) 02:04:09 ID:QIP0d6obO
ペギーさんGJ!
空気読めないライアン、ウケましたw
アリーナが精神的にも少しずつ成長してってる感じが良かったです。
726名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 00:59:51 ID:UY1in161O
【誕生日】
【チョコレート】
【レモンの味】
【初恋の思い出】
【いつもと違う】
【眠れない】
【2人きり】
【皆とは違う】
お題を置くだけ置いて逃げ。

既出お題やどっかのお題に似てたらごめん。
ノシ
727煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/09/20(木) 20:27:33 ID:EtdFTOOU0
ペギーさん、GJです。徹夜明けにいいもの読ませていただきました。おかげで眠気すっきりw
ライアン、いい味出してますね。朴念仁も極まれりってところでしょうか。
ひそかにリリアン殿下の再登場を願っていたり……ペギーさんのSS、どれも大好きです。

>>726
むむっ、ちょっと妄想練ってみる。
728【誕生日】1/2 ◆cbox66Yxk6 :2007/09/20(木) 21:07:57 ID:EtdFTOOU0
サントハイム王にとって、誕生日はうれしくもほろ苦い思い出でいっぱいである。

「お父様、お誕生日おめでとう」
その年も、例年と変わらぬ幕開けだった。
屈託のない娘の笑顔と彼女の手作りケーキが、齢を重ねた王を出迎える。
「うむ。ありがとう、アリーナ」
つい目が行ってしまう形の崩れたケーキは、前年に比べてさらに謎の進化を遂げているように見えた。
乱雑に塗られた生クリームの下から垣間見えるスポンジらしき物体。
本来なら優しい黄色をしているはずのそれは、どう贔屓目に見ても黒かった。
王は沸きあがる生唾を飲み下しながら、気丈にも笑顔を浮かべる。
「アリーナ、今年はチョコレートケーキか」
「え? やだな、お父様。見ればわかるじゃない。お父様の大好きなふんわりスポンジの
生クリームケーキよ。もう、いくら年取ったからって老眼は早いんじゃないの?」

―――かわいい娘の笑顔と、苦い、苦いバースディケーキ。

その年も、サントハイム王はうれしさとほろ苦さを噛みしめた。

729【誕生日】2/2 ◆cbox66Yxk6 :2007/09/20(木) 21:10:18 ID:EtdFTOOU0
「おはよう、お父様。そして、お誕生日おめでとう」

今年も例年と変わりなく、アリーナの笑顔でその日を迎えた。
「うむ。ありがとう」
いつもどおりの挨拶を交わす。
そう、ここまでは本当にいつもどおりの誕生日の光景だった。
しかし、この年の誕生日は以前とほんの少しだけ違っていた。

「お父様、どう?」
アリーナから差し出されたケーキは、驚くほど美しく、そして美味しかった。
「うむ、美味い。美味いぞ、アリーナ」
感涙に咽びつつ頷くと、アリーナは至極うれしそうに微笑んだ。
「そう、よかった。クリフトに教えてもらった甲斐があったわ」
最近大人の色香を身にまとうようになったと評判のアリーナ。
それは彼女の内面が、美しく艶やかに花開いたが故に醸し出される芳香。
「ねぇ、お父様。来年はもっと美味しいケーキを焼けるように頑張るわね」
アリーナの言葉に含まれるのは、願望。
来年もかの青年とともにありたいという切なる願い。

サントハイム王は手にしたフォークを置くと、胸にくすぶるほろ苦い感情を押さえ込みつつ微笑んだ。
「あぁ、楽しみにしているよ」

―――かわいい娘の笑顔と、甘い、甘いバースディケーキ。

だがその年の思い出も、やはりほんのちょっぴり苦かった。
730煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/09/20(木) 21:13:40 ID:EtdFTOOU0
もうひとつ投下して、今日はもう寝ます。また暇があれば現れますね。ではノシ
731【レモンの味】 ◆cbox66Yxk6 :2007/09/20(木) 21:16:05 ID:EtdFTOOU0
「ねぇ、クリフト。ファーストキスはレモンの味って本当?」
恋愛知識に乏しいアリーナに妙なことを吹き込んだのは、恋愛ネタ大好きな踊り子だろうか。
クリフトはひとつため息を漏らすと、手にしていたカップを置いた。
「してみれば、わかるでしょう?」
「それもそうね」

*******ご自由に妄想してください*******

「どうでした? 私はレモンの味というよりは……」
「ん〜、そうね。ちょっと違うような……どちらかというと」

「「レモンティーの味」」


―――本日のティータイムのお品書き
・エンドール産レモンティー
・レイクナバ銘菓ビスコッティ
<追加>
・あまい口づけ
                                    以上
732名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 21:41:21 ID:SLV0m7NB0
肝心なとこを省略するなよばかーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
733名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 22:48:39 ID:Hns0yTML0
いい・・・・妄想だ・・・
734名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 23:02:55 ID:oSID35eu0
神官様GJ!

しかし、こんな時間だっちゅーに
美味しい紅茶とお菓子が食べたくなってしまったじゃないか・・・w
735名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/21(金) 04:09:21 ID:KWDO4RZFO
1本目の切なさにグッときたのに、何この2本目wwwww

スポンジケーキは本当に難しいだよな
初めて作ったときはあまりの膨らまなさには泣いた
膨らまないと焦げてなくても固いしパサパサだし卵臭いしで
ひたすらまずくなるんだよ、あれ
736名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/21(金) 19:04:51 ID:gjq7LTtFO
煩悩さん最高!
王がチョコレートケーキって言ったとこで笑いました。w
王の嬉しいけど切ない気持ちが伝わってきて良かったです。
737名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/22(土) 12:53:35 ID:ol3EyhQlO
読みはじめた時、煩悩さんにしてはベタな展開だなと思った2作目。・・・・・・やられたwww
がんがってもーそーするよ。
738ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/09/22(土) 16:20:13 ID:aBGKPWo/0
煩悩さぁぁぁあん!!
サンちゃんだー!クールクリフトだー!!

サンちゃんがだいぶ大人になったような気がするのは
気のせいでしょうかw

それにしても、相変わらずの光速神業ですね!
さくっとセンスある小話が書けてしまうその才能に敬服です。

739名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 02:29:20 ID:H4nsDZtLO
久しぶりの煩悩さんのお話、楽しませてもらいました。
ありがとう!

ああ、レモンティーが飲みたくなってきた。
740名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 23:14:45 ID:hn+WPYkF0
皆さんのステキss読んでいたら数年ぶりクリアリ熱が再燃。
ss投下させていただきます。
741アリーナとミネア:2007/09/23(日) 23:16:04 ID:hn+WPYkF0
「あー・・・気持ち悪い・・・ミーちゃん、水と薬・・・・」

と言ったきり姉、マーニャは布団から離れない。

まったくもう、情報収集だからと2、3日この町に滞在するって決めていたのは確かだけれども
あそこまで深酒しなくていいじゃない。
ブツブツ言いながら私はは二日酔いに効く薬草の調合をしている。

横ではユーリとの朝のトレーニングを終え、暇を持て余したアリーナが、乳鉢の動きを面白そうに眺めている。

「薬草の調合か〜クリフトみたい。こんな難しいこと良くわかるわね、ミネア凄い。」

先ほどからの沈黙に耐えかねたのだろうアリーナがふと声をかけてきた。

「慣れていますからね、姉の酒癖の悪さは今に始まったことではありませんし」

苦笑しつつ、アリーナの方を振り向くとちょっと寂しげな顔でアリーナが続けた。

「・・・・ねぇ、ミネア。マーニャから離れたがっているんだって?
ユーリが前にミネアがそういってたって聞いたけど・・・・・本当?」
742アリーナとミネア(2/3):2007/09/23(日) 23:17:06 ID:hn+WPYkF0
(私の夢は 姉さんから自由に なることです)

確かにかつて言った気がする。
皆が冗談だと理解してくれた言葉を、アリーナもまたそう取るであろうとユーリは思って言ったのだろうが
この純真なお姫様は本気にとってしまったのだろう。

「そうですね、本当に早く姉から・・・・」

カワイイお姫様をちょっとからかってみようかと言い掛けてふと気がついた。
きっと彼女が心配しているのは自分と姉との関係だけではないのだろう。
自分が姉の面倒をみているように、いや、それ以上に彼女を心配し、面倒をみている人がいる。
その人がもしアリーナを疎んでいたら、離れたいと思っていたら。
そう思って不安になったに違いない。

「・・・早く姉がもう少ししっかりしてくれれば有難いのですが、
実を言うと世話を焼くの嫌ではないのですよ」

え?とアリーナは首を傾げる。

「姉妹だから?ずーっと一緒だからもう慣れちゃったの??」

ああ、やっぱり、彼のことを気にしている。この可愛らしく真っ直ぐな瞳で見つめられたら嘘もつけない。
743アリーナとミネア(3/3):2007/09/23(日) 23:18:29 ID:hn+WPYkF0
「それもありますが・・・・・
私がマーニャという人間を好きだからです」

そう、私は姉が、マーニャが結局は好きなのだ。彼がアリーナのことを好きなように恋とは違うものだけど。
姉妹でなかったら、親友として今のように何かと世話をしていたに違いない。

「そうなんだ!私もマーニャ好きだもの、マーニャってステキな人よね!
やっぱりミネアもマーニャのこと好きだから一緒にいるのね!」

アリーナの顔がぱっと華やぐ。

「ええ、勿論ですよ。あ、アリーナさん、これは皆には内緒ですよ。姉の耳に入ると調子にのりますから」

「ふふ、わかったわ。私とミネアだけの秘密ね!なんだか嬉しいな・・・」

微笑むアリーナをみて
きっと嬉しいのは秘密を共有した為だけではないだろうと私は思った。
744名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/23(日) 23:46:19 ID:ExP5zsY90
ごめん、本当に悪く思わないでもらいたいんだけど、
地の文の目線があっちこっちいってて誰が誰やらわからない・・・。
ミネア一人称?だとするとセリフは「さん」付けで地の文は呼び捨てだし・・・。
745名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 15:35:20 ID:3kOYEVg6O
>>741-743
クリフトの気持ちを考えて一喜一憂しちゃう姫がとても可愛いです。

私はそんなに気にならなかったけど>>744さんの言ってる部分を直せばもっといいSSになりそうですね。

再熱でも何でもクリアリ仲間が増えるのは嬉しい事です。
746名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 00:26:35 ID:XesgOtYGO
私はちゃんと理解できたけど…>>744の読解力がないんじゃない?
747名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 00:34:49 ID:W1wm3vRB0
わからなくはないんだけど
台詞部分が「アリーナさん」なのに地の文?が「アリーナ」って言ってるから自分も一瞬戸惑ったな。
ミネアの目線なのか第三者の目線なのか。
さん付けにしたりマーニャは姉さんで統一するだけでも読みやすかったかも。
次回も期待していますよ〜職人さん増えるのは嬉しいですね。
748名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 00:36:07 ID:Dhs+twBcO
>>746
そういう言い方はイクナイ
749名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/27(木) 23:17:24 ID:XesgOtYGO
>>748
ごめん。でも悪く思わないでもらいたいとか言うなら、良い点も述べればいいんじゃない?と思って。ついイラッとしてしまった。
750名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 22:43:53 ID:igMxqcn+O
良い点を述べろとか(笑)
作者?ホメホメほしいのぉ〜?wwwwwあ゛〜?
751名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 23:57:49 ID:DXYpMEar0
>>749
批判するなら正しいやり方で堂々としろって言いたいんだよな
752名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 00:21:25 ID:3p5/eqki0
>>749
>>751
>>744のどこが批判なのかわからん。
別に失礼な書き方もしてないし、絶対褒めなきゃいかんということもないだろ。
直したほうがよりいいなら、次回作に生かしてもらいたいと思うだろ。
どうでもいい作品なら指摘すらされない。
正しいやり方で堂々とって、具体的にどうしたらいいんだ?
とってつけたような褒め方なんて、むしろ失礼だろ。
753名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 00:22:21 ID:qCdlOG4t0
全くだな
754名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 10:44:15 ID:dvX6wrHf0
じぇ4
755名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 21:34:51 ID:ncc4GoulO
749です。

>>750
私は作者さんじゃないよ。妄想乙。

>>752
言い方が悪かったけど、別にとってつけた様に褒めろとか>>744が批判してるとは言ってない。批判とか意見するのはいいけど、そういう人もGJの一言ぐらいあってもいいんじゃない?ってこと。悪く思わないで欲しいなら、なおさら。

最近、過疎り気味だから職人さんには居なくならないで欲しい。意見するなら、こっちも投下してもらってるって気持ちを忘れないで欲しいよ。
756名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 21:46:01 ID:b4EPUYopO
やっぱり作者wwwwwww
このスレ自体が妄想のくせ、くそSSを擁護してますます腐れwwwwwwwww
うんこ臭プンプンwwwwwwくちゃいくちゃいwwwwwwwwwwwww
757名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 21:52:05 ID:gWAsJwVBO
指摘しなきゃ作品向上はないし>>744さんは言葉を選んで指摘してると思う。
でもそれがキツい言葉に聞こえて、反論しちゃった人の気持ちも少しわかるかな。

皆それぞれ、違った感じ方・考え方があるかね。

という事で『もし姫様がクリフトの気持ちを偶然知ってしまうとしたら、それはどんなパターン?』(※クリフトの直接的な告白を除く)について考えてみない?

自分はソロとマーニャの会話を偶然聞いて知るに一票。

そんで次の日からクリフトを意識しだして、避けちゃったりする。
そんな姫を見てクリフはトショックを受ける。的な展開になると思う。
758名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 22:09:51 ID:Dt4wo3z8O
もーおまいらみんなまとめて

つ「お題:ブライ」
759名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/29(土) 23:55:26 ID:ncc4GoulO
>>757
そうだね…人それぞれだよね。職人さん少なくなってきてたから熱くなりすぎたonzごめん。

>>740さんもまた素敵SS投下しに来て下さいね。待ってます。

私は、戦闘でアリーナがピンチの時に、それを庇って瀕死になったクリフトの様子を見て気付くのがイイ(・∀・)!!
760名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 06:46:54 ID:uKXIOY2j0
このスレにけっこう人がいることに驚いた
761名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/02(火) 08:25:50 ID:OwOQVxN6O
い゛ま゛す゛よ゛
762名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/02(火) 15:46:05 ID:6ocn7SUP0
いるッスよー


今日が初見だけど・・・
763名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/02(火) 16:15:44 ID:4c1WRH0WO
きのこの人と煩悩さんと店長がせめぎあってたころは凄かったな
あの活気がもう一度欲しい
764名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/03(水) 20:52:02 ID:uoCRryeC0
765名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/04(木) 22:34:12 ID:kJyYuFEWO
これまた懐かしいものを
7661/8(506):2007/10/06(土) 11:22:59 ID:H72x171W0
アッテムトは北からの海風が冷たい、鉱山の街だ。街の北側は港の建設
も不可能なほどの断崖絶壁の海。南側はアネイル北の大砂漠ほどの規模で
はないが、砂の海が広がっていて旅人たちの行方を阻む。もうずっと昔か
ら、アッテムトは陸の孤島と称されるほどの辺境地だった。ハバリアから
続く街道も申し訳程度の砂利道で、ほとんど整備がなされてはいない状況。
領主のキングレオも自国の復興と自治に精一杯であり、アッテムトはすっ
かり取り残されてしまっている。
そんな寂しい街にクリフトがやってきてから、もうふた月が経とうとし
ていた。この地方でも名の知れた宗教大国サントハイムから派遣された神
官であるクリフトに、街の人々の期待もそれは大きなものだった。サント
ハイムの書庫で読んだ書物や、勇者ソロと彼の元に導かれた仲間たちと共
に世界中を旅した中で触れたことが、アッテムトに来てからのクリフトを
助けてくれた。エンドールからの物資援助を受けながら、魔物たちによっ
て壊された建物の修理をし、この痩せた大地でもできる作物や大地を肥や
す方法などを街の人たちに教えた。デスピサロの軍と発生したガスにより
多くの人々が命を落とし、弔いさえ満足にできなかったことを慮り、街の
北の丘に墓地を作った。さらには唯一この街の名前を世界に知らしめるこ
とのできていた例の鉱山の再調査をし、生き残っていたわずかな魔物を倒
し、そしてこの鉱山のほとりに温泉が湧いていることを発見した。寂しい
最果ての街に差し込んだ光。小さな希望の光に人々も絶望の淵から立ち上
がろうとしていた。
7672/8(506):2007/10/06(土) 11:23:58 ID:H72x171W0
 見事なまでに壊されていた教会もなんとか修復工事を終え、教会とつな
げて住居スペースを作った。クリフトはそこに老神父と魔物の襲撃で夫と
3人の子供を亡くした夫人ハンナ、同じようにして孤児となってしまった
数人の子供たちと生活している。毎日街のことで忙しいが、時間のあると
きには子供たちの遊び相手となったり勉強を教えたりした。そして毎朝毎
晩、サントハイムをはじめどこの国よりどこの街より質素ではあったが、
教会でのお祈りを欠かすことはなかった。
 毎日毎日忙しく何かをしていれば考える暇さえなく、祖国のことを思う
こともなかったが、夜になりベッドに横たわり、ひとりきりで天井を眺め
ていると考えずにはいられなかった。最後にひと目その姿を見ることすら
許されなかった、最愛の姫君。あれからずいぶんと長い時間が流れたが、
今頃どうしているのだろうか、と。国王やブライのことも、城やサランの
町の人々のことも。クリフトは決して戻ることのできない祖国を、アリー
ナの幸せを思わずにはいられなかった。
「只今帰りました」
 体調を崩している老人の家へと様子を見に行ってきたクリフトが帰っ
てくると、教会の子供たちが一斉に出迎え彼の周りを取り囲む。
「おかえり!」
「おかえり、クリフト兄ちゃん。本を読んで!」
「一緒に外で遊ぼう!」
「お昼ご飯を食べてから、ね。ほら、ちゃんとハンナのお手伝いをしなく
ちゃ」
7683/8(506):2007/10/06(土) 11:24:51 ID:H72x171W0
 元気いっぱいに自分の周りに纏わりついてくる子供たちの頭を優しく
撫でてやりながら、クリフトは子供たちを促した。子供たちはまた一斉に
台所に立つハンナの元に行き、テーブルを拭いたり料理の注ぎ分けを手伝
ったりし始めた。
「まぁったく、クリフトの言うことはよーっく聞くんだから」
 ハンナは少々あきれたように、それでもにこやかな表情で子供たちに向
けてそう言った。
 恰幅がよくおだんご頭のハンナはいかにも肝っ玉母さんと言った印象
だ。時に厳しく子供たちを叱ることもあるが、強い母性で子供たちをいつ
でも包んでいる優しい女性だ。亡くした家族のことを思いながら、この教
会で暮らす子供たちのことを我が子のように思い育ててくれている。
「ああ、そうそう。クリフト、さっき宿屋のご主人が来てね。街の入り口
のところであんたを待ってる人がいるって、知らせに来てくれたんだよ。
心当たりあるかい?」
 ハンナはスープをよそう手を止めてクリフトにそう言った。
「さっきですか?」
「ああ、ついさっきだよ」
「そうですか…。じゃあ、食事の前に行って来ます。客人を待たせている
のも申し訳ないですし」
「誰だろうねぇ?」
「この前ハバリアに薬草の買い付けに行った時、足りないものがあったの
で、もしかしたら持ってきてくれたのかもしれません。すみませんが、先
に食べていてください」
 再び出かけることになってしまったクリフトを子供たちが寂しげな様
子で見送る。夕食は必ずみんなそろって食べるのだが、朝と昼はこんな風
にクリフトだけ先だったり後だったりすることが多い。不規則な生活とい
うわけではないが、それだけクリフトは忙しいのだ。
7694/8(506):2007/10/06(土) 11:25:23 ID:H72x171W0
 街の東側、少し斜面になった丘の上の教会から、細い道を下って街の入
り口の方向へと歩いていく。ちょうど昼食時とあって、道行く人の姿は少
ない。皆それぞれの家で食事をしている頃だろう。
「………?」
 街の入り口の小さな門のところまでやってくると、傍にあるベンチに腰
をかけている人物の姿が見えた。フードつきのマントを装備しており、脇
には大きな荷物を置いている。格好はハバリアからの使いの者であっても
おかしくはないが、その荷物の多さに少々違和感を覚えながらもクリフト
はその人物のほうへと近づいていった。
「……こんにちは。旅の方ですか? 私がクリフトですが…」
 そんな風に声をかけると、旅人は顔を上げてクリフトのほうを見上げた。
目深にかぶったフードからは、その表情はまだ捉えきれない。
「………」
「どうかされましたか?」
「………フト…」
「え……?」
「……クリフト」
 目の前の人物が立ち上がった。思ったよりもずいぶんと小柄な、少年の
ような見た目のその人は、小さな声でクリフトの名前を呼んだ。その声に、
クリフトははっとする。
「……あなたは…」
 旅人がかぶっていたフードに手をかけた。髪がひと房こぼれ落ち、フー
ドを脱いでしまうとあふれる鮮やかな髪。赤い、巻き毛。
「クリフト!」
7705/8(506):2007/10/06(土) 11:26:08 ID:H72x171W0
 アリーナの姿がそこにはあった。仕立ての良い美しいドレスを着ている
わけでもない、髪をきれいに結っているわけでもない、あの旅のときより
もずっとみすぼらしい格好をしていたけれど、クリフトの目の前にいるの
は確かに、サントハイム国の姫君、アリーナだった。
「……姫さま、どうして…」
「来たの、あなたに会いに」
「誰かが一緒ではないのですか? どうして……」
一瞬、何が起こっているのかまったくわからなかった。この状況をクリ
フトは理解することができない。ただ呆然と彼女の姿を見ていた。兵士も
従者も連れずに、まさかアリーナがひとりだけでアッテムトまで来たとい
うのか。
「ひとりよ。ひとりで来たの」
「なぜ、そのような……」
「……クリフトに会いたかったからよ!」
 そう言うとアリーナはまだどこか現実だと認めきれていない様子のク
リフトに飛びついた。その胸に頬を寄せ背中にしっかりと腕を回した。
 温もりが伝わってくる。冷たい風に吹かれて冷えた身体が、温かなクリ
フトの体温に熱を取り戻していく。アリーナはそんな感覚をひしひしと感
じていた。しかしそれは、ただの身体の熱の変化を伝えているものではな
く、本当は彼女の心の中の消えかけていた小さな炎が力を取り戻している
ということ。冷えてしまった心がクリフトとの再会に、再び温かいものに
変わろうとしていた。
 アリーナはきつくクリフトに抱きつき、長い睫を伏せていた。
「……なぜ、そのようなことをなさるのです」
 クリフトはアリーナの肩を掴むと、強引に彼女を自分の身体から引き離
した。強い力で身体を押し戻されたアリーナは、ぽかんとしてクリフトの
顔を見上げるのみだ。
7716/8(506):2007/10/06(土) 11:28:12 ID:H72x171W0
「一国の姫が、サントハイム王国の王位継承者である姫さまが、ただひと
りのお供も連れずに何と言う勝手なことをなさっているのですか! 陛
下や大臣殿はこのことを知っておいでなのですか?」
「……クリフト…?」
「今すぐ、お戻りなさい。あなたの国、サントハイムへ」
「でも、クリフト! わたしは……」
「何も聞くことはできません。もう、私はあなたにお仕えしているわけで
はありません」
「……どうして、そんなこと言うの?」
「私はもう、サントハイムの神官ではありません。あなたに仕えている家
来でもありません。今はここで暮らしている、ただの住民です。あなたと
の間に、関係はもうないのです」
 すがるように言葉をかけてくるアリーナに、クリフトは努めて冷静に対
応した。残酷な言葉を連ねることに心がひどく痛むが、そんな風に突き放
す以外に何もできはしない。何のためにサントハイムの国王が自分をこの
地に向かわせたのか…全てはアリーナのためであるのに。
 薄曇だった空がクリフトの心の中をそのままあらわしているかのよう
に、だんだんと暗くなっていく。黒い雨雲が押し寄せてきているらしく、
遠くで雷鳴も聞こえ始めた。それに気づいてまもなく、ポツ…と雨粒が落
ちてきた。すぐに雨脚が強まり肌に当たると痛いほどの大きな雨粒が落ち
てくる。
「……姫さま、とりあえずこちらへ。雨に打たれると身体に悪いですから」
 きつい言葉を投げかけてしまった罪悪感から、クリフトはまともにアリ
ーナの顔も見れなくなってしまっていた。そっけなくそう言うとアリーナ
に後をついてくるよう促し、教会へと向かって歩き始めた。
772名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 11:31:37 ID:CSKC99DK0
支援?
773名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 18:45:12 ID:FA9awGWC0
506氏ktkr
774名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 20:20:26 ID:ve+em5GVO
506さんきたー!!!
っと、END.じゃないからまだ続きがある…のかな?
7757/8(506):2007/10/06(土) 22:09:36 ID:H72x171W0
 様々な感情に飲み込まれそうになる。まだまだ未熟な精神の海に立つざ
わざわとした波風をクリフトはどうすることもできない。ただひたすら冷
たくアリーナに接するのみ。
 あの日、あの夜、城の城壁で…想いを押さえ切れなかったことが悔やま
れた。もっともっと自分が人間として、また神官として成熟していたら、
アリーナへの想いはただただひっそりと心の一番奥底に潜ませて、ずっと
彼女のそばに仕えることができただろうに。アリーナの幸せを近いところ
で見守ることができたはずなのに。もちろん、その残酷さに打ちのめされ
そうにもなっただろうけれど。
 様々なことを思い巡らせるうち、クリフトの歩みは知らぬ間にどんどん
と早くなっていたらしい。背後にアリーナの気配を感じられず、はっとし
て振り向くとふたりの間にはかなりの距離ができてしまっていた。歩幅の
全く違うアリーナは一生懸命追いつこうとクリフトの後をついて歩いて
きている。
 自分のことで精一杯になってしまっていたあまりにアリーナのことを
全く気遣えないでいた自分を歯がゆく思いながら、逆戻りをしてアリーナ
に近づこうとクリフトは身体の向きを変えた。
「……姫さまッ!」
 ゆるやかな細い坂道を登るアリーナの脚が折れ、小さな身体が大きく傾
く。赤い巻き毛が跳ねるように弧を描いた後、乾いた大地を舐めた。
「姫さま!」
 倒れてしまったアリーナのところへ戻ろうとクリフトが駆け出す。アリ
ーナの元へクリフトがたどり着くよりも前に、彼女は3つの人影に取り囲
まれた。

776名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 22:21:29 ID:kvv8msNl0
506さんキタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆

そして支援。
7778/8(506):2007/10/06(土) 22:44:11 ID:H72x171W0
「クリフト! 姫様をどこか安全な場所へ案内せい! このままでは風
邪をお召しになられる」
 アリーナのそばに駆け寄った人物のうち、一番小柄な者がクリフトに向
かってそのように声を掛けた。クリフトの表情が変わる。老齢だとわかる
そのしゃがれたような声はまさに、クリフトが幼少の頃より世話になって
きたブライの声だった。
「ブライ様…?」
「何をぼけっとしておるのじゃ! 早くせいと言うておろうに!」
「は、はいっ! こちらへ……」
 アリーナと同じく旅装束に身を包んだブライ。ブライが連れていたふた
りの男にも見覚えがある。制服を着ていないため初めはピンとこなかった
が、彼らはサントハイム城の兵士だ。
 アリーナはひとりで来たと言った。しかし今クリフトの目の前にはお供
とされる人物が3人。頭の中が整理できない。クリフトは妙な焦燥感に苛まれる。疑問符ばかりが浮かぶも、答えが見出せない。
 兵士のひとりがアリーナの身体を横抱きにして抱えあげた。クリフトの
記憶の中にはいつでも笑顔で、桜色に染まっていたアリーナ頬。今は血の
気が引いたように青く、大粒の雨が無情なまでに打ちつけられていた。
 


                          End.
778506:2007/10/06(土) 22:47:02 ID:H72x171W0
すいません。途中で書き込めなくなりました。
忘れた頃に今更、て感じで更にすいませんですorz

779名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 12:48:43 ID:rnGahTEW0
506さんキターーー!!!
もう忘れ去られているかと思っていただけにうれしいぜ!!
そして、この先が気になるんだぜ!
このまましばらく置いておかれたら辛いんだぜ!
780名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 17:50:16 ID:8u24+FX40
506さんがキ
        タ
         ァ
          ァ
          ァ
           ァ
          ァ
          ァ
         ァ
        ァ
        ァ
         ァ
         ァ
      ヽ\  //
        ∧∧ 。
       ゚ (゚∀゚)っ ゚
        (っノ
         `J

そして早速続きが気になる欲しがりやのアタシ…いつまでも待ってます。
781名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 20:34:20 ID:I6evyWMB0
506さん、GJ!
ずーーっと待ってました!
続き楽しみにしています。
782名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/07(日) 23:39:01 ID:zDJUrtjBO
ああっ。
更に続きが気になる展開にっ!

506さんGJです!
783名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 06:13:09 ID:nJzFkm4OO
506氏はとんでもないものを盗んでいきましたぞ

私の心です
784名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 06:24:44 ID:RiYyLd99O
>>765
GJ
楽しみにしております!



チラ裏ですが、506氏が作品落下されたその晩に
作中のアリーナと似た状況を経験してました。

知らずにスレ開いて読んで号泣…orz
785名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 09:37:13 ID:RiYyLd99O
>>766
でした
・゜・(ノД`)・゜・。ゴメンヌ
786直球 ◆mMm.waU7LI :2007/10/12(金) 01:34:07 ID:YWXWbGxB0
506さんを待つ間おやつにドゾ

「ねえクリフト、キスしようか?」
「はあ?!」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。訳がわからない。これは夢か?
それとも何かのイタズラか?
返答に窮していると、姫様が唇を押し当ててきた。

・・・やわらかくて、温かな唇。軽く触れ合っただけの優しいキス。

一呼吸して、姫様が私の顔をみてふわりと笑った。

その瞬間私は激情にかられた。離れたくない。愛おしい。こらえられない。
夢中で彼女を抱きしめ唇を求めた。

空が明るくなった頃。
勇気を出して私は気になる事を聞いてみた。
「あのう・・・よろしいでしょうか。なぜ・・・その・・・き、キスしよう、などと?」
「あ、うん。キスって何かわからないからしてみたの。」
「はあ?!」
またしても変な声を出してしまった。吹き込んだのはあの踊り子か?
「でも気持ちよかったね。もう一回しようか!」
787名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/12(金) 04:50:27 ID:JtWSAZL20
506はまだかなー
788名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/13(土) 00:48:01 ID:nFq2bVdzO
とんでもないおやつがキタ━(゚∀゚;)━━━━!!!

何か色々吹っ飛んでるけど、甘くて美味しかったですよ。ご馳走さま。
出来ればおかわry
789ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/13(土) 01:20:47 ID:H5iP1TMV0
506さんが降臨なさってたとは…!!
相変わらず美しい文章にうっとりです。

そして、そして続きが気になる…!
けど、ご自分のペースで!いつまでも待ってます!!
(って、プレッシャー以外のなにものでもないか…orz)

>>786
私もおやつおいしくいただきましたvv
ごちそうさまでした。
7901/12 (506):2007/10/13(土) 11:41:37 ID:ck/9Jskj0
 兵士に抱きかかえられて教会へと連れられたアリーナは、来客用の部屋
へと通され質素な造りのベッドに寝かされた。クリフトはまだ食事の途中
だったハンナを呼び、事情をかなり省略して話した上でアリーナのことを
頼んだ。ハンナはアリーナの様子を見るとクリフトたち男性陣を部屋から
追い出し、すぐに濡れてしまった服を着替えさせた。アリーナはそのハン
ナが若い頃に着ていたと言う若草色のワンピースを着せてもらい、そのま
まぐったりとした様子でベッドの上に沈んでいる。
 そしてハンナは庭先で花の手入れをしていたこの教会の老神父を呼び、
アリーナの具合を診てもらうことにした。アリーナのいる部屋へとハンナ
とともに入っていった老神父がアリーナの様子を確認した後、部屋から出
てくるとクリフトはすぐに声を掛けた。
「あの、神父様…姫さま……いえ、彼女の具合は…?」
「心配はいらんよ。疲れがたまっておるようじゃから、今はとにかくゆっ
くり休めばよかろう。熱もあるようじゃから薬湯を飲んで、栄養のあるも
のを食べればすぐによくなるじゃろう」
「そうですか…ありがとうございます」
「ご面倒をかけて申し訳ありませぬ」
「ここは教会ですから、お困りのようでしたら力をお貸しします故」
 ちょうど年の頃が同じくらいの老神父に対して、ブライは曲がった腰を
更に曲げて深々と頭を下げた。老神父もまた同じように年を寄せ縮んだ身
体を折り、ブライに礼をした。その後ゆっくりと休んで過ごされるように、
とブライに言葉をかけると台所へと姿を消した。
「……詳しくは聞かないけれど、あの子のことであたしに何かできること
があったら、いつでも言っておくれ」
 旅人と思われる4人の来訪を快く迎え入れる一方で、クリフトの纏う雰
囲気にただならぬものを感じたハンナはそんな風に彼を気遣った。

7912/12 (506):2007/10/13(土) 11:47:01 ID:ck/9Jskj0
「ありがとうございます、ハンナ」
「旅の人、こんな辺鄙なところまで疲れただろう? おなかが空いている
なら何か作るから、こっちにきてひと休みしたらどうだい?」
「おお、それはありがたいのう。お前たち、せっかくじゃから呼ばれてこ
い。ここまでご苦労じゃったな」
 ブライはお供としてついてきたふたりの兵士にそんな風に労いの言葉
を掛けると、ゆっくりさせてもらうようハンナの言葉を受け取った。少し
だけ開いている台所の扉の隙間から、子供たちが訪れた見知らぬ人々の様
子を興味津々に窺っているのを、老神父が窘めている。ハンナは兵士たち
を招きいれながら台所へと戻っていった。
 バタン、と台所への扉が閉まり、アリーナの寝ている来客用の部屋の前
の廊下に、クリフトとブライは取り残された。長く沈黙が続いたが、ブラ
イがひとつ咳払いをすると顎に蓄えた髭に触れながら言葉を紡いだ。
「やれやれ……話が長くなりそうじゃの」
「ブライ様…あの……姫さまは…」
「とにかく、どこか落ち着けるところに案内せんか。立ちっぱなしじゃ腰
が痛うて話せるものも話せんわ」
「は、はい…っ…」
 すでにサントハイムの人間ではない扱いであるはずのクリフトに対し
て、ブライの口調は以前と何の変わりもなく、表面的にはそこに情を覗か
せない手厳しい言葉で言った。クリフトもまた以前と同じように、ブライ
の言葉に少し焦ったように返事をすると、教会のほうへと歩み出し、ブラ
イを案内した。

***


7923/12 (506):2007/10/13(土) 11:51:44 ID:ck/9Jskj0
 吹き抜けになっているわけでもなく、ステンドグラスがあるわけでもな
い、一般の民家と変わらないようなとてもとても質素な教会が、ここアッ
テムト唯一の教会。信仰する心さえも失わせてしまっていたアッテムトの
人々に再び祈りをもたらしたのもクリフトだ。決して強制することはせず、
祈ることで満たされる心を優しく説いていった。
 教会の祭壇は、以前クリフトがサントハイム城内の教会奥に与えられて
いた部屋で使っていた机ほどの大きさしかない、非常に粗末な物だった。
ブライにその祭壇の前の長椅子に座るよう勧め、ブライが腰を落ち着けて
からクリフトも静かにその隣に座った。
「あの…ブライ様。姫さまは……」
 また、しばらくの間互いに何も言葉を交わさぬ時間が過ぎる。動揺がブ
ライに伝わらないように、できるだけ落ち着いた声をと心がけてから、ク
リフトはそんな風に切り出した。
「どうして、ここまで姫さまが……」
「姫はおそらく……クリフト、お主を追いかけてひとりでここまで来られ
たのじゃ」
「私を、ですか…?」
「そうじゃ。お主に会うために、じゃ」
「おひとりで? まさか……でも、ブライ様や先ほどの兵士たちが一緒だ
ったのではないのですか?」
「ワシらは陛下の命で、姫に気づかれぬよう追いかけてきただけじゃ。姫
はほとんど着の身着のまま、旅の資金さえまともに持たずに城を飛び出さ
れてしまわれたのじゃ」
「………」
「姫が壁を蹴破って抜け出して、力試しの旅に出られたときと同じように、
また久々に姫の部屋の壁には大きな穴を開けられてしまったわ。まぁ、ワ
シらがサントハイムに戻る頃には修理も完璧に終わっておろうがのう」
7934/12 (506):2007/10/13(土) 11:52:40 ID:ck/9Jskj0
 そう言うとブライはどこかおかしげに柔らかく笑った。目尻の皺が更に
深みを増す。対照的にクリフトの表情は変わらない。膝の上に置いた手を
ぎゅ、ときつく握ったまま唇を真一文字に結んでいる。
「ワシらが姫に何も言わず、勝手にお主をここへと遣ってしまった。それ
が納得いかなかったのじゃろうな。お前がサントハイムにはもういないと
わかったとたんに、城を飛び出してしまわれたのじゃ」
「………」
「陛下は察しておられたようで、慌てることもなくワシに後を追うよう指
示をされた。そうしてワシは、姫に見つからぬようにこっそりと姫の後を
ついて、ここまで来たんじゃよ。姫は気づいてはおらぬ」
「そんな……」
「サントハイムを発ってから……もう、2ヶ月か……。途中で声を掛けよ
うと思うことは何度もあった。世間知らずなお方じゃからのう。いろんな
ことにやきもきしたりひやひやしたり、全く……寿命が縮んだわい」
 ブライはそこまで言うと深々とため息を吐いた。
 いくら勇者ソロとともにサントハイム王国の姫と言う身分を隠して世
界中を旅してまわったと言えども、アリーナの周りには常にブライとクリ
フトがついていたし、旅の間の金銭管理はトルネコが任されていた。立ち
寄った村や街で多くの人々に出会い、さまざまな習慣にも触れてきたが、
やはり一般常識的な部分にアリーナは大きく欠けている。後先省みずに城
を飛び出してしまったことを後悔することは多々あった。
 まず、サントハイムから砂漠の街までの連絡船にメロたちの協力あって
乗り込めたことは幸運だったが、その後いきなりエンドールへの関所を前
に立ち往生する羽目になった。サントハイムの兵が厳重に警備している関
所をうっかり通り抜けるわけにもいかず、仕方なく北へ向かうことにした。
フレノールとレイクナバとの海峡のみを行き来している不定期の連絡船
に幸運にも乗り込むことができ、アリーナはサントハイムの領地から脱出
した。

7945/12 (506):2007/10/13(土) 11:57:07 ID:ck/9Jskj0
 レイクナバで保存食や水を買い、大きな鞄に詰め込んで、たったひとり
で南へと向かって歩き続けた。晴れの日も雨の日も、風が強い日も。そう
して随分と遠回りをしてエンドールまで辿り着いた。
「ワシはな、姫は途中で諦めるじゃろうと思っておった。ちょうどエンド
ールに辿り着いた頃がその時期じゃと思っておったのじゃ。エンドールは
サントハイムとも親交の深い国。その気になればエンドール城に赴きサン
トハイムに帰ることもできたはずじゃし、エンドールにはトルネコ殿がお
るからのう。旅に出ていたとしても奥方のネネ殿がおるし、サントハイム
に戻る手段はいくらでもあった」
「………」
「エンドールに着いたとき、姫様はたったおひとりでの旅に酷く疲れてお
られた。サントハイムを発ってから後ろを振り向くこともなく前だけを見
続けて、一歩一歩確実に歩んで来られた。もう限界じゃと思ったよ」
 ブライが限界だと思ったのにはわけがあった。エンドールからハバリア
行きの連絡船の乗船券はとても高額だったからだ。世界は平和になり渡航
する人々が増え、船もそれなりに立派になって金額も上がっていった。も
う身に着けているものでお金に換えられそうな高価なものはない。今自分
が持っているのは旅に必要な手放すことのできない道具ばかりだ。キメラ
の翼も世界が平和になって魔物たちがほとんどいなくなってしまってか
らは非常に貴重な品で、あの冒険の頃のように街の道具屋に当たり前のよ
うに置いてあることなどなくなってしまった。わずかに残るそれはほとん
ど王家や貴族の手に渡っていた。身分を隠して旅をしているアリーナが手
に入れられるようなものではもはやなくなっていたのだ。
「姫様は、住み込みでエンドールの宿屋で働いたのじゃよ」
「は、働いた…? 姫さまが?」
「そうじゃ。宿屋の下働きじゃ。朝は早く起きて食堂の掃除。食事作りは
できぬから、野菜の買出しや食器洗いをしておられた。昼を過ぎたら宿の
居室の掃除をして、シーツ類の洗濯……と、まぁ、一国の姫がするような
ことではないことをずっとしてこられた」

7956/12 (506):2007/10/13(土) 11:58:05 ID:ck/9Jskj0
 頭の中がぐらぐらとして目が回っているような感覚の中、クリフトは座
っているのもやっとのような状態だった。最初のうちは食いつくかのよう
にブライの話を聞いていたのに、話が進むに連れて聞かされる内容に呆然
としてしまう。次第にブライの話が耳の中に入ってきて、それが頭の中で
繰り返される呪文のような感じになってしまった。
 信じるとか、信じないとか、そういった次元を超えている。あのアリー
ナ姫が、宿屋の下働きなど考えられなかった。確かに、事実アリーナは城
の中でのお姫様暮らしをずっと嫌っていたし、城を抜け出して力試しの旅
に国王の反対を押し切って出てしまった。しかし、それはアリーナが自由
になりたいと望んだこと。辛く厳しい宿屋の下働きと言う、奉公人の真似
事のようなことなど、彼女にとっては想像できないものだっただろう。
 そこまでして、自分に会うためにアリーナはここまで来たと言うのか。
 クリフトのまぶたが震える。熱い涙が込み上げて来るのをぐっと堪えた。
「……クリフト…、お主がサントハイムを追われることになったあの日…。
何も言わず、かばうこともせず、悪かったと思っておる」
「ブライ様……」
 ブライのしゃがれた声は時折、激しく屋根に打ちつける雨にかき消され
そうになる。だんだんと強まっていく雨脚にブライは一瞬、窓のほうへと
視線を向けた。窓には打ち付けられた雫が斜めに走っている。その後、再
び祭壇のほうへと視線を移ろわせながら言葉をつなげる。
「お主のアリーナ姫に対する気持ちを知らぬわけではなかった。あのよう
なことになる前に打つ手があったかも知れぬ。いずれ姫がご結婚をなされ
ようとも、お主がサントハイムを追われるようなことにはならなかったか
もわからん」
「……それは…」
「姫のそばから離れることと、いずれお主の目の前で起こるだろう残酷な
現実を見守ることと……どちらがいいのかワシにはわからんかった。無論、
お主にこんなことを聞けるはずもない」

7967/12 (506):2007/10/13(土) 12:02:41 ID:ck/9Jskj0
「ブライ様、私はここへ来ることができて感謝しています。私のしたこと
は……許されないことです。サントハイムの永久なる繁栄を願うのであれ
ば、姫に懸想した臣下など……必要ないのです」
「クリフト……」
「私は姫さまのお心を乱してしまった。更なる罰を与えられても仕方のな
い身です。陛下が命ずるのであれば、サントハイムの地下牢にでも喜んで
参りましょう」
「……姫様はまるで小鳥の雛のようなお方じゃ」
 ほとんど一方的なまでに自分に非があり、サントハイムの人間ではなく
なった今となってさえも、どんな処分でも受けると息巻くクリフトを落ち
着かせるかのように、ブライは樫の杖の先でクリフトの少し赤らんだ頬を
小突いた。そして再び言葉を連ねる。
「幼いときに母君を亡くされて、陛下も忙しく公務にあたられていて、年
の近い子供もおらず寂しい思いをされておった。ワシも構えるときは構っ
たものじゃが、懐いてくれてはおってもやはりこんな爺ではもの足らぬ様
子じゃった」
 ブライはそっと目を閉じた。皺の寄った瞼の内側には幼い日のアリーナ
が鮮明に映っている。後に『おてんば姫』などと呼ばれることになるなど
予想もできぬほど、少々引っ込み思案で人見知りの激しい子供だった。甘
えられる人のいない寂しい日々。どんなに綺麗なドレスやおいしいお菓子
に囲まれてはいても、アリーナが心から笑うことはなかった。
「陛下がお主をサランの教会からサントハイム王宮付きの神官見習いと
して呼び寄せたのは、お主がいくつのときじゃったかのう…?」

7978/12 (506):2007/10/13(土) 12:03:40 ID:ck/9Jskj0
「9歳になった、冬のことだと記憶しています」
「そうか…なら、姫5つのときか。お主が城に来てくれるようになって
から、姫は本当によく笑うようになった。初めて年の近い者との触れ合い
がよほど楽しかったのじゃろうな。感情を表に出すことが悪いことのよう
に思われていたのか、我慢をなさっておったのか、とにかく控えめに大人
の言うことを聞いていた姫じゃったが、お主と日々過ごすことによって自
分の思うことも口に出せるようになり、表情も豊かになられた」
「………」
「姫様は……初めて自分に、楽しいと思うことや美しいと感じることを教
えてくれた母鳥のようなお主に必死でついていこうとする、生まれて間も
ない雛鳥と同じじゃ。突然いなくなってしまったお主を追われたのじゃろ
う。宿の下働きをすることも厭わぬほどにお主の存在を求めたのじゃ」
「そんな……私は……」
 ブライの言葉にクリフトの頭の中にも過去のアリーナとの出来事が蘇
ってくる。本当に表情の乏しい、まさに人形のようなアリーナの遊び相手
になってくれと国王に頼まれてからは、クリフトは思いつく限りのことを
アリーナにして見せた。
 時には絵本を読んであげた。
 まだ成長し始めたばかりの背中にアリーナをおんぶした。
 かくれんぼもした。
 裏庭で花を摘み、首飾りを作った。
ただアリーナが笑うことがうれしくてし続けたことだ。それがブライの
目にはそのように映っていたなど、当時アリーナと同じく子供であったク
リフトにわかるはずもない。
「……私の罪は、私が子供の頃からもう…始まっていたのでしょうか?」
 クリフトは眉根を寄せて苦しげに言葉を吐いた。震える言の葉はすぐ隣
にいるブライの耳に届くことすらやっとのように小さく、今にも途切れて
しまい様なほど弱々しかった。
7989/12 (506):2007/10/13(土) 12:05:20 ID:ck/9Jskj0
「そうではない。アリーナが今のように明るくお元気に、伸び伸びとお育
ちになったのはお主あってのことじゃ。それを責めているわけではない」
「ですが、幼い日の姫さまのおそばに私がいたことが全ての元凶だったの
でしょう? 姫さまと私が関わりあってしまったことが、私が出すぎたこ
とを致してしまったがゆえに……」
「話を聞かぬか。そうではないと言うておる!」
 ブライの少し語気の強まった声にクリフトはやっと、自らを責めたてる
言葉を飲み込んだ。
「陛下はおっしゃったじゃろう? お主に感謝しておる、と。あそこまで
活発にお育ちになるとは思っておられなかったじゃろうが、当時のとても
内気で父君である陛下にすら感情を抑えて接する姫に、陛下はたいそう心
配なされておったのじゃ」
「……ですが、ブライ様……私は……」
「姫がお主を求めるのは、お主の存在が姫にとってとても自然であるから
じゃろう。そこにお主を慕う感情があるのかどうかは姫にしかわからぬが
……目が覚めたら、話をしてやってはくれぬか?」
「私は、姫さまに会ってもよろしいのでしょうか……?」
「何度も言うが……姫はおそらく、ただお前に会いたいばかりに、無鉄砲
にも城を飛び出されたのじゃろうからのう……お主の決心を揺るがすよ
うなことをして、申し訳ないのはワシのほうじゃ」
「……ブライ様…」
「姫の体調が戻るまでしばらくここに滞在させてもらっても構わぬか。兵
士たちには宿を取らせる」
「ええ、それはもちろん。旅の疲れが取れるまで、ぜひ」
「すまんが、頼んだぞ。クリフト」
「……はい…」
79910/12 (506):2007/10/13(土) 12:07:24 ID:ck/9Jskj0
 そう言うとブライはよっこらしょ、と言う掛け声とともにゆっくりと立
ち上がった。座ったままのクリフトとそう目線の位置が変わらない。しば
らく会わぬうちにブライが少し小さくなったように感じて、クリフトはは
っきりと定まらない心と混ざり合う感情に蓋をして、その申し出に短く返
答するしかなかった。
 ブライが住居スペースへと続く扉の向こう側へと消えていく。クリフト
は長椅子に座ったままそれを見送った。
 立ち上がり皆のところに戻る力がない。伝えられた事実に打ちのめされ
る。それは決して絶望を意味するものではなく、その逆でむしろ彼にとっ
ては希望とさえ言えること。長年恋焦がれてきたアリーナが自分を求めて
辛い旅をしてきたと教えられたのに、なぜ自分は幸福な気持ちになること
ができないのだろう。ただ罪悪感だけが募り行く。
 できることならばあの頃に戻りたい。恋する感情を知る前に時計の針を
戻して、アリーナと自分をつなぐ糸をひとつひとつ切ってゆきたい。小鳥
が追う親鳥の存在が、自分ではない他の誰かに代わるように。
 遠くに聞こえていた雷が近づいて来ている。まだ昼を過ぎたばかりだと
いうのに外は夜のように暗く、地面を抉っていくかのような強い雨が降り
続いている。稲光が空に浮かぶ黒い雨雲を切り裂くように閃光を走らせる
様子が、教会の小さな窓からも見えていた。
 
***
 
 結局、クリフトは子供たちの遊び相手をしてあげることもできずに、そ
の日の午後は調べることがあるからと言い訳をして自室に閉じこもった。
ほとんど上の空で子供たちやアリーナを除くブライ一行と夕食を取り、そ
の後は子供たちを寝かしつけるため子供部屋にて絵本を読み聞かせた。年
長の子供たちはクリフトの雰囲気の違いに少し遠慮がちにしてはいたが、
それがわからない年少の子供たちはいつものようにクリフトにくっつい
てなかなか離れようとしなかった。

80011/12 (506):2007/10/13(土) 12:08:18 ID:ck/9Jskj0
 子供たちが眠りについてから子供部屋を出たクリフトが廊下を歩いて
自室に戻る途中、ちょうどアリーナの部屋から出てくるハンナとはち合っ
た。
「クリフト、子供たちはもうみんな寝たのかい?」
「はい」
「そうかい。ありがとうよ」
「あの……具合は、どんなでしょうか?」
「夕飯に卵を落としたお粥を食べて、神父様が作ってくださった薬湯を飲
んだところだよ。あたしが少し無駄話をしているうちに、眠っちまったよ
うだね。熱もだいぶ引いてきているよ」
「そうですか……ありがとうございます」
「じゃあ、あたしもそろそろ休ませてもらうよ。おやすみ、クリフト」
「はい、おやすみなさい」
 にっこりと笑ってそう言うと、食器の乗ったお盆を持ってハンナは廊下
を歩いて行きその場を立ち去った。クリフトには何も聞かず、窺うような
素振りも見せず。そんなハンナの態度をありがたく思う一方、隠し事をし
ているような気がして胸が痛んだ。
 ブライの言葉を思い返し、躊躇う気持ちを整わせながらクリフトはドア
ノブに手をかけた。アリーナは眠っているとのこと。そっと物音を立てず
に部屋の中へと入って行く。来客用とは言えど、他の部屋とそう変わりの
ない狭い部屋にベッドがひとつ。その横に置かれている小さな丸テーブル
の上の古いランプが、電気のついていないくらい部屋の中に淡い光を灯し
ていた。
 クリフトは気配を殺すようにしてアリーナに近づいた。顔をよく見れば
日に焼けたのだろう、鼻の頭は皮がめくれて頬のあたりも少しかさついて
いる。更に幾分か痩せたように思えた。旅の最中、まともな食事もできな
かったのだろう。城にいれば毎日がご馳走だ。いつでも焼きたてのパンが
食べられるし、肉も野菜もたっぷり入ったスープが飲める。アリーナの好
きな甘いお菓子もたくさん食べられるのに。

80112/12 (506):2007/10/13(土) 12:10:56 ID:ck/9Jskj0
 掛けられている毛布から出ている手はあかぎれの跡がいくつもあった。
治りかけてはいるようだったが、何度も何度も同じ場所が治りかけてはま
た傷口が開き、繰り返し痛みを伴うような傷だったことがわかる。宿屋の
下働きをした際にできたのだろう。冷たい水に手を浸しながら懸命に掃除
にいそしんだことがわかる。
 滑らかだった髪の毛も艶を失い、触れずともごわごわとしているのがわ
かるほどだった。ひとりで野宿を繰り返しながら毎日風呂に入ることもで
きずにひたすら歩いてきた上に、街の南側の街道を北上する際に吹き付け
る砂漠の砂を含んだ風にあてられたためだろう。アリーナの姿をじっくり
と見れば様々な困難だったであろう状況が想像できて、クリフトは溢れる
感情を押さえつけるかのようにぐっとくちびるを噛んだ。
 クリフトはアリーナの手をそっと毛布の中にしまった。恐れ多いと思い
ながら触れた手はやはり、到底一国の姫とは思えぬほどにかさついていた。
 故国から遠く離れたこの場所で、ずっとアリーナの幸せを願い祈る生活
を送るはずだった。この街の人々のも受け入れられて、子供たちの面倒を
見ながら過ごすはずだった穏やかな日々。それがつかの間の夢だったかの
ように思えるほど、強烈な突然の再会がクリフトの心を掻き乱す。
 クリフトはアリーナに背中を向けて部屋から出て行った。大きな音を立
てないようにそっと扉を閉める。アリーナが目覚めたとき、彼女は自分に
なんと言うのだろうか。再会したときにあのような冷たい言葉を投げかけ
たことを責めるのだろうか。それとも、もう一度『会いたかった』と言っ
てくれるのだろうか。


伏せられているアリーナの緋色の瞳はいずれ開かれる。
クリフトはそれが少し、怖かった。


                          END.
802名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/13(土) 18:08:04 ID:aoxaDdjH0
わっこんなに早く続きが来てるとは・・・!
506さんありがとう、ありがとう!!

そして、姫・*:.。. (ノ´ω`・。)・*:.。.
まだまだ続きがきになりますな!!
803名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/14(日) 02:56:22 ID:bVy3p3oCO
毎回読ませるねぇ、魅せるねぇ。
それはそれとして

>>800
「電気」…(´・ω・`)?
804名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/14(日) 03:00:07 ID:nWKJoXgl0
電気…
805名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 00:36:46 ID:IwEdiWwp0
506さん GJ!
今回もすんごい引き込まれました!
806名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 07:13:47 ID:3gQSa7jHO
確かに引き込まれたが
やはり電気はヤバかった
807名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 07:19:46 ID:2niKm6Gm0
みんな電気にこだわりすぎww
808506:2007/10/16(火) 08:18:29 ID:UxGdQ2OU0
あー、やっちゃった。
電気ってなんだよ。
皆さんゴメンナサイ。
809名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 09:31:57 ID:01vOzHhxO
今回は職人さんに意見するなんて!の人が出てこないな
810名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/16(火) 21:51:35 ID:XzRDJ7RgO
506さんの続ききてたー!
今回もGJでした!

次はアリーナとクリフトの会話かな?
今から楽しみだ。


ってかペギーさん発見!
ペギーさんも自分のペースでこれからも宜しくです。
811名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/17(水) 22:48:30 ID:qXFqoT620
保守
506さんの続きが今回は早くきますよーに
812名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 03:06:59 ID:x+66sV9/O
>>809
いますよ。506さんは意見されてもまた投下してくれると思ったから言わなかっただけ。

506さんGJです!!続き楽しみにしてます!(`・ω・´)
813名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 03:12:38 ID:kIaSNkYB0
職人さんに意見するなんて!
814名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 08:35:45 ID:fI7cRvMT0
いや意見すること自体は別にかまわないでしょ…
度が過ぎるとアレなだけで。
815名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 13:28:13 ID:x+66sV9/O
>>814
この前のは、私的には度が過ぎてると思ったから。

なんか私が来ると荒れそうなので消えます…(´・ω・`)
816名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 14:15:55 ID:4zxg0LZ/O
ちゃんと謙虚に感想述べた人に暴言吐くほうがよっぽど度が過ぎてる。
あの感想程度でぶち切れるなら来ないほうがいいよ、嫌味じゃなくて。
817ペギー ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:29:48 ID:3msyz0ss0
こんばんは。
なんと506さんの続きが…!相変わらず切ないです…。
うう、この先が気になりまくる…!
で、でも、もちろんマイペースでお願いします…!

さて。
お題【初恋の思い出】を書いていたはずなのに、どんどん話がずれてきて、
初恋未満の話になるは、またしてもオリキャラは出てくるは、めっさ長くなるは…
しかも、今気がついたら「思い出」じゃねぇぇぇぇえ!!と言う状態に。

そんな話ですが、とりあえず完成したので投下させてください。
今回、ちょっと投下環境が違うので、いっぺんに投下できるか不安ですが。
818太陽の申し子 1/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:31:54 ID:3msyz0ss0
ここは、サランの街外れにある医療院。
まだ少年の面影を残す年若い神官が、額に汗を浮かべながら回復呪文を唱えていた。
「クリフトさん、呪文だけでいけそうですか?」
横から心配そうに覗き込んでいるのは、神官よりも幾分か年上に見える、白衣を着た青年。
「はい、何とか…。」
先ほどから、クリフトは、木から落ちて大怪我をした子供に回復呪文を施していた。
クリフトの、繰り返し呪文を唱える澄んだ声が辺りに響き渡る。
それとともに、子供の泣き声も小さくなっていった。
しばらくして、クリフトが
「さ、これでもう大丈夫ですよ。」
と声をかけると、子供は、クリフトに礼を言い、嬉しそうに医療院から駆け出して行った。
「こら、そんなに慌てて走るとまた怪我をしますよ!」
クリフトは走り去る子供に笑いながら声をかけた。

「クリフトさん、お疲れになったでしょう。少し、休憩にしませんか。」
後ろから、白衣の青年に声をかけられ、クリフトは振り向いた。
「レオンさん。午後の患者は、これでおしまいですか?」
「いえ、ここで患者がおしまいになるなんてことはありませんよ、ご承知のとおり。
 でも、無理矢理にでも休憩していただかないと、あなたはいつまでも治療を続けますから。」
レオンと呼ばれた若い医者の言葉に、クリフトは赤くなった。

クリフトは、この春に神学校を卒業し、一人前の神官となった。
神官にとって癒しの技を行なうことは、神に祈りを捧げることとならんで、重要な努めの1つだ。
そのため、クリフトは、城で神官としての努めを行なう傍ら、月に何度か、
主に貧しい医療院を周っては、今日のように治療の手伝いをしていたのであった。
819太陽の申し子 2/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:33:32 ID:3msyz0ss0
「あれだけの大怪我を呪文だけで完治するなんて、さすがですね。
 クリフトさんのおかげで、いつも本当に助かってますよ。」
レオンは、クリフトのカップに紅茶を注ぎながら微笑んだ。
クリフトは、若年にもかかわらず回復呪文については稀なる能力を持っていた。
その能力に敬意を払ってか、レオンら現場の医者達は、クリフトが嫌がるのもかまわず、
自分達より年下のクリフトに対し、目上の者に対する礼儀をもって接していた。

レオンからカップを受け取りながら、そんな、とクリフトは首を振った。
「こちらの医療院にも、本当はもっと頻繁にうかがえればいいんですが…。」
「いいえそんな。だって、クリフトさんは他の医療院も回ってらっしゃるのでしょう。
 ただでさえ、お転婆姫のお世話で大変だというのに…。」
レオンは不満そうに眉をひそめた。
クリフトが、若輩かつ平民の出自でありながら、国王の一人娘であるアリーナの家庭教師を
務めており、元気溌剌な姫君に常に振り回され気味なのは、皆が知る事実であった。
クリフトは、困った顔でカップを置いた。
「姫様は、一部の心無い者が噂するような、我が侭なお転婆姫じゃないですよ。
 周りが、小さいことに大騒ぎしすぎなんです。」

国王の唯一の実子にして、亡き王妃の忘れ形見。
そうである以上、周囲の者がアリーナの身辺に気を配るのは、ある程度当然と言えた。
しかし、最近の、お付の女官達の反応は、どうも過敏に過ぎるようだ。
アリーナは、今年11歳になったが、ほとんど城から外出することさえ出来ない。
クリフトが見る限り、アリーナの鬱憤はだいぶたまっているようだった。
アリーナのような生気溢れる少女を、無理矢理抑えつけようとすれば反発を強めるだけだ。
―――どうして、そんな簡単なことが、あの人達には分からないんだろう。
心配性の塊のような女官長の顔が目に浮かんで、クリフトは眉をしかめた。
820太陽の申し子 3/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:35:23 ID:3msyz0ss0
「…さん。クリフトさん、もう一杯お茶をいかがですか?」
レオンに声をかけられ、クリフトは自分が物思いにふけっていたことに気がついた。
「も、申し訳ありません、ぼーっとしてました。ありがとうございます、いただきます。」
レオンはクリフトに紅茶を注ぎながら笑いかけた。
「アリーナ姫のことをお考えだったのですか?クリフトさんは家庭教師の鑑ですね。」
意味ありげにからかいを含んだレオンの口調に、クリフトは赤面した。
最近、城の者にも同じような口調でからかわれることがある。
しかし、クリフトにとってアリーナは、いまだに初めて会った頃と同じ、小さな姫君であった。

―――遅くなってしまったな。
城に戻り、廊下を急ぎ足で歩いていたクリフトは、いきなり後ろから飛びつかれて喉を詰まらせた。
「がほっ、姫様、お手をお放し下さい!」
「あれ?何で分かっちゃったの?」
ひょい、と後ろから覗き込んだのは、太陽色の髪をした少女。
「…城の中で、このようなマネをされるのは姫様以外におられません。」
クリフトは、襟元を正しながら、アリーナを厳しい目で見据えた。
「お城の中を走ってはなりません、と何度も申し上げたはずでしょう。
 ましてや、人に後ろから飛びつくなんてとんでもないことです!」
腰に手を当ててアリーナに説教するクリフトと、それをふくれ面で聞いているアリーナ。
城の中では既におなじみの光景で、人々は微笑みながらその横を通り過ぎていった。
「…だって、最近、クリフトってば忙しいばっかりで全然遊んでくれないんだもん…。」
アリーナは、頬を膨らませた。
「あ…。」
―――そういえば、最近は、姫様とゆっくりお話しする機会もなかったな…。
クリフトはアリーナの様子を見て反省し、ふと、今日のレオンとの会話を思い出した。
―――レオンさんにも、姫様がどんな方なのか、知っていただきたい…。
「姫様。今度、姫様も一緒にサランに行けるよう、女官長様にお願いしてみましょうか。」
821太陽の申し子 4/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:36:59 ID:3msyz0ss0
「えっ、ほんと!?」
クリフトの言葉に、顔を輝かせたアリーナを見て、クリフトも自然と笑みが浮かんだ。
―――姫様には、本当に笑顔が良く似合う。
太陽の申し子のような少女。
アリーナには、いつも笑顔でいて欲しい―――クリフトは心からそう思った。

「何をたわけたことを言っているのですか。アリーナ様を場末の医療院に連れて行くなど!」
ある程度は予想はしていたことではあるが、女官長の返答はけんもほろろであった。
「場末の医療院」という女官長の言葉に、クリフトは思わずかちんときたが、
クリフトが致命的な発言をする前に、後ろから渋い声がかかった。
「エマ殿。今のお言葉は聞き捨てなりませんのう。」
「…ブライ様!」
いつの間にか、後ろには宮廷魔術師のブライが立っていた。
城の中では大臣に等しい地位を有するブライに、女官長は慌てて礼の形を取った。
「王国の実情を知るということも、王位継承者として欠くべからざる勉強ですぞ。」
あごひげを撫でるブライに、女官長が忌々しげな目を向けた。
「…分かりました。ただし、私の選んだ女官を1人同行させていただきますからね!」

「え〜、イーダが付いて来るの〜。」
アリーナの元に報告に行ったクリフトに、アリーナは顔をしかめた。
「これ、そう文句を申されますな。これでも、随分苦労したんですぞ。」
隣でアリーナを諌めるブライに、クリフトは改めて頭を下げた。
「ブライ様、先ほどはどうもありがとうございました。」
「いや、最近の女官達は、さすがに行き過ぎじゃと、わしも思うておった。」
ブライは、アリーナに聞こえないよう小さな声で答えると片目をつぶった。
「わしも同行したいところじゃが、都合が悪い。姫様の御身の安全、しっかり頼むぞ。」
822太陽の申し子 5/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:38:24 ID:3msyz0ss0
当日の朝、クリフトは苛々しながら城の広間でアリーナ達を待っていた。
既に、太陽は高く昇っている。
―――急患が出てなければいいけれど…。
クリフトは、心配そうにサランの方角に顔を向けた。

随分待たされた後に現れた、正装姿のアリーナと女官を見てクリフトは絶句した。
レースのドレスに包まれたアリーナは、完全な仏頂面だ。
女官のイーダは、クリフトがいつもの神官服を着ているのを見て眉根に皺を寄せた。
「行き先が貧しい医療院だとしても、王族の訪問を軽々しく考えてもらっては困りますね。」
クリフトはむっとしたが、言い合う時間も惜しく、キメラの翼を取り出すと2人に声をかけた。
「では、参ります!」

医療院に着いた瞬間、クリフトは、体をこわばらせた。
辺りに漂うのは、紛れもなく血の臭い。
「レオンさんっ!?」
医療院のドアを開けたとたんに飛び込んできた、目の前の光景に立ちすくむ。
そこにいたのは、全身血まみれになって呻いている大勢の子供たちだった。
「遅い!クリフトさん、何やってたんだ!!」
両手を血に染めて患者を治療していたレオンが、いつもの敬語も忘れて怒鳴った。
「すいません!一体何が起こったんですか!?」
クリフトは、レオンに駆け寄ると、目の前の少女に全力で回復呪文を唱え始める。
レオンは、隣の少年の血に染まったシャツをメスで裂きながら、荒々しく答えた。
「魔物だよ…!くそっ!サランの周辺は、まだ安全だと思っていたのに…!」
レオンの向こうでも、何人かの医師が忙しく治療を続けていた。
「こいつらが、いつも魚を捕ってる川に、魔物が出たんだよ。」
「…!」
823太陽の申し子 6/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:39:52 ID:3msyz0ss0
貧民街では、親の稼ぎだけで家族が食べていけるような家はなく、
働く年齢に満たない幼い子供たちでさえも、木の実や魚を捕るなどして家族の口を養っていた。
今日もそうやって子供たちが魚を捕っていたところに、魔物が襲撃してきたというのだ。

ふと、レオンは目を上げた。
「…なんだ、えらい場違いにちゃらちゃらしてるのがいるじゃないか。」
クリフトは、そのとき初めて、アリーナ達を連れてきたことを思い出した。
「おい、あんた、そんな格好でそこに突っ立っていられたら治療の邪魔だ!」
レオンがイーダに向かって怒鳴った。イーダの顔が紫色に変わる。
「ななな、なんて失礼な…!クリフト、姫様に向かってこのような扱い、許されませんよ!」
イーダの言葉に、レオンの手が止まった。
「姫様…?クリフトさん、あんた、王女をここに連れてきたのか…?」
「す、すいません、事前にお伝えしなくて…。却ってお気を使われると思って…。」
「―――王女様のご準備で、こんなに遅かったのか。そのために…。」
クリフトは、レオンの視線を追って、息を飲んだ。
奥のベッドに蒼白い顔で横たわっていたのは、先日、クリフトが治療に当たった子供。
「…ついさっき、息を引き取ったよ。」
レオンが、クリフトの後ろから声をかけた。
「教会の医療院に運ぼうかとも思った。でも、あんたを待った方が早いと思ったんだ…!」
レオンの口調が乱れた。
「―――ちくしょう!何で今日に限って、あんた、こんなに遅いんだよ…!
 所詮、あんたも、お気楽なお城の人間だったのかよ!」
涙ながらにレオンが叫んだ言葉に、クリフトは答えるすべもなかった。
824太陽の申し子 7/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:41:11 ID:3msyz0ss0
「…クリフト。もう我慢がなりません。姫様をお城に連れて帰ります。」
クリフトに、怒りに震えた声でイーダが告げた。
クリフトは、はっと我に返り、アリーナを振り返った。
アリーナは、こわばった表情のまま、何も言葉を発しなかった。
「申し訳ありません、イーダ様、姫様…。」
クリフトが言い終わるのを待たず、イーダはキメラの翼を宙に放り投げた。

レオン達の適切な治療と、クリフトの懸命の回復呪文で、他の子供達の命は何とか助かった。
全てが終わった後、クリフトは、先ほどの子供の亡骸の前に佇んでいた。
そのときになって、クリフトは、子供の名前さえ聞いていなかったことに気がついた。
クリフトの頬を涙が伝い落ち、治療の際の返り血と混じって服に赤い染みを作った。

クリフトが帰るときも、レオンはほとんど口をきかなかった。
クリフトも、レオンにかけるべき言葉を見つけられなかった。

クリフトは城門の前に降り立つと、疲れた体を引きずるようにして城門をくぐった。
部屋に帰ると、クリフトは、ベッドの端に座り、頭を抱え込んだ。
体は疲れ切っていたが、横になろうという気にならなかった。
先ほどの、小さな骸が目に浮かぶ。
あの子が生死の境で必死に戦っているとき、自分は城で、のんびりと立ち呆けていたのだ。

―――所詮、あんたも、お気楽なお城の人間だったのかよ!
レオンの言葉が脳裏に蘇った。

―――やっと正式な神官になったというのに…こんなんじゃ、失格だ。

そのとき、部屋のドアが小さくノックされた。
のろのろとドアを開けると、そこには肩を落としたアリーナの姿があった。

825太陽の申し子 8/17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:42:24 ID:3msyz0ss0
アリーナは、無言でドアの前に佇むクリフトをすがるような目で見上げた。
「クリフト…ごめんなさい。」
クリフトはアリーナから目をそらした。
「……姫様が謝られることなど、何一つございません。」
正直なところ、今は、アリーナの顔を見たくなかった。
クリフトはアリーナに背を向けた。
「もう夜も遅うございます。お部屋に、お戻りください。」
背後では、しばらく沈黙があった。
「…あの子、私のせいで死んじゃったんでしょ…。」
アリーナの言葉に、クリフトははっとして振り向いた。
アリーナの目には、涙がいっぱい溜まっていた。
「本当に、ごめんなさい…!」
クリフトは何か言おうと口を開いたが、アリーナはそのまま夜の闇に走り去っていった。
「…!」
クリフトは、拳でドア枠を強く殴った。
―――そうか、レオンさんの言葉を、姫様も聞いていたんだった…。
今日の出来事にアリーナがショックを受けなかったわけがない。
なのに、自分はアリーナにあんな態度をとって…こともあろうに泣かせてしまった。
アリーナの笑顔を守りたい、と思っていたはずなのに…。

―――ああ、もう、何もかも、最悪だ…!
クリフトは、やけくそな気分でベッドの上に倒れ込むと、いつの間にか眠ってしまった。
826太陽の申し子 9 /17  ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 18:48:09 ID:P5nUjjGu0
翌日、重い気持ちで城に上がったクリフトは、アリーナが部屋から出てこないという噂を聞いた。
―――昨日のことが、原因に違いない…。
クリフトは、後悔の念に苛まれながらアリーナの部屋に向かったが、控えの間で女官達に阻まれた。
「クリフト。何をしに来たのですか。」
息せき切ったクリフトに、イーダが冷たい視線を向けた。
「…姫様が、お部屋に篭られているとお聞きして…。」
「姫様は、お可哀想に、昨日の無礼な振る舞いに心がお疲れになってしまったのです。
部屋には誰も入れないよう仰せつかっております。特に、クリフト、あなた。」
イーダの視線が冷たさを増した。
「あなたは、今後姫様に近づかないよう。もう、家庭教師もしていただかなくて、けっこうです。」
クリフトは女官の顔を凝視した
「…どういうことでしょうか?」
「姫様のご希望です。姫様は、あなたの授業をお受けになりたくないそうですよ。」
クリフトは、自分の耳を疑った。
―――姫様が、私に、会いたくないと…?
「分かったら、とっととお下がりなさい。」
イーダはクリフトの表情を見て満足そうな笑みを浮かべると、控えの間の出口を指差した。

結局、アリーナは1週間ほど部屋に篭り、その後、通常の生活に戻ったようであった。
しかし、クリフトは、女官達の壁に阻まれ、アリーナにひと目会うこともままならなかった。
生憎、頼りになるブライは王命でエンドールに行っており、1ヶ月は帰ってこない。
―――姫様は、完全に私をお見限りになってしまわれたのだろうか…。
今までも、アリーナがクリフトに対し感情を爆発させることは多々あったが
最後はアリーナの方からクリフトに仲直り(?)を申し入れてくるのが常であった。
―――今回は、いつもとは違う。私は、姫様のお心を傷つけてしまったんだ…。
クリフトはため息をつくと、机に突っ伏した。
827名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 18:54:31 ID:oQIUGaPiO
C
828ペギー♯pegirama282:2007/10/18(木) 19:03:39 ID:GPQqeoaxO
>>827さんご支援ありがとうございます。
携帯からペギーです。
なんか、拒否られてます…orz
そして、今から出かけなくてはいけなくなったので、残りは深夜にでも再度チャレンジします。
中途半端なことになってホントすいません。
829827 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/10/18(木) 19:08:14 ID:oQIUGaPiO
>>828
マイペンライです。
830名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 19:08:22 ID:GPQqeoaxO
ギャアア、トリが…!
ああ、恥ずかしすぎる…!
次回はトリ変えますね…何やってるんだホントorz
831ペギー ◆e.sLpeggy2 :2007/10/18(木) 23:53:34 ID:PUcCYsOC0
ただいま戻ってまいりましたペギーです。
なんともはや、慣れない携帯書き込みなどするものではありませんですね。

ここ数年で一番恥ずかしい出来事でした…。
というわけで、今後は、こちらのトリを使わせていただきます。
いやはや…。
832太陽の申し子 10/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/18(木) 23:55:22 ID:PUcCYsOC0
アリーナに会えないまま日々が過ぎ、再び例の医療院の訪問日が巡ってきた。
クリフトは、最後に会ったときのレオンの表情を思い出し、憂鬱な気持ちで城を出た。

医療院の前に降り立つと、クリフトは、深呼吸して医療院の扉を開けた。
扉の開く音に、治療をしていたレオンが振り向いた。
「あ、あの…。」
とっさに言葉に詰まるクリフトに、レオンが満面の笑みで駆け寄った。
「クリフトさん!よく来てくれました!」
クリフトは、ぽかんと口を開けて、レオンを見返した。


「あのときは、大変失礼しました。余りの出来事に動転していて…本当にお恥ずかしい。」
クリフトに紅茶を勧めるレオンに、クリフトは、おずおずと尋ねた。
「あの…レオンさんは、私のことを怒ってらっしゃらない…?」
レオンは頭をかいた。
「考えたら、クリフトさんはこちらの状況を知らなかったんだから、どうしようもないですよね。
 そもそも、クリフトさんには善意で来ていただいているのに…申し訳ないったらない。」
クリフトに向かって頭を下げるレオンに、クリフトは首を振った。
「いいえ、レオンさん、やはり私がいけなかったんです。
 我々の奉仕活動は、神に対する義務であって、気まぐれな施しであってはいけないのに。
 …なのに私は、心のどこかで、善意の奉仕活動だからと甘えていたように思います。」
神官失格です、とうつむくクリフトに、レオンは
「相変わらず真面目なんだから」と、笑った。

833太陽の申し子 11/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/18(木) 23:56:41 ID:PUcCYsOC0
「…ところでね、クリフトさん。最近ちょっと気になることがありまして。」
レオンが、ふと気がついたように話題を変えた。
「…気になること?」
「ええ。先日、子供達が襲われた川のほとり、
 あの辺りで、最近、魔物の死骸が頻繁に見つかるようになって。」
「それは、また物騒な…魔物同士の縄張り争いでもあったんでしょうか?」
いぶかるクリフトに、レオンは首を振った。
「魔物同士の争いであれば、勝利した魔物が徘徊していると思うんですが…その様子もない。
子供達が言うには、最近、あの辺りはめっきり魔物が減っているそうです。」
「…不思議ですね…城の兵士が周辺を見回っているという話も聞きませんが…。」
2人は、首をひねって顔を見合わせた。

レオンに許されたことで、クリフトはだいぶ明るい気持ちになって城に帰ってきた。
城門をくぐったクリフトは、そこではっと足を止めた。
アリーナが、兵士達の鍛錬場から帰る途中らしく、珍しく1人で城内を歩いていた。
クリフトはしばしためらったが、アリーナに声をかけるチャンスは今しかない。
思い切って、アリーナに呼びかけた。
「姫様…!」
アリーナが振り向き、クリフトの姿を見てにこやかに手を振った。
―――あれ…?
アリーナは、自分のことを避けていたのではなかったか。
困惑するクリフトに、アリーナは駆け寄ると大きな擦り傷のできた腕を差し出した。
「ちょうど良かった、クリフト、ホイミお願い!ちょっと派手にやっちゃって。」
条件反射的に回復呪文を唱えながら、クリフトはアリーナをこっそり観察した。
アリーナの表情からは、クリフトに対する何の屈託も見られない。
クリフトは、それに力を得て、アリーナに小さな声で呼びかけた。
834太陽の申し子 12/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/18(木) 23:57:56 ID:PUcCYsOC0
「姫様…先日は、大変申し訳ありませんでした。」
「え?なんのこと?」
アリーナがきょとんとしてクリフトを見上げた。
「先日、姫様が私の部屋にいらっしゃったとき、大変失礼な態度を…。」
「あ、そんなこと。いいよ、私が悪かったんだもん。」
何でもないことのように答えるアリーナに、クリフトは、解せない気持ちで尋ねた。
「では、姫様が、私の授業をお断りになられたのは…。」
アリーナがぎくりと体を強張らせ、口の中でもごもご呟いた。
「いや、別に、それは、なんていうか…。」
と、そのとき、クリフトは、アリーナの上腕にかすかな傷跡があるのを発見した。
ほとんど消えかかっていたが、優れた癒し手であるクリフトは、それを見逃さなかった。
「その傷は…。」
アリーナは、はっとしたように腕を隠すと、じりじりと後ろに下がった。
「姫様、そちらの腕を見せてください。」
「だ、大丈夫!この間、ちょっと鍛錬で張り切りすぎちゃって、もう治ったから!」
そして、慌てて空を見上げると
「わ、もうこんなに暗くなってる!部屋に戻らなきゃ!クリフト、回復呪文ありがとう!」
そう言って、クリフトに二の句を告げる暇を与えずに走り去っていった。

―――姫様のあの傷。兵士との鍛錬でできたものではない。
癒し手としていろいろな傷を見てきたクリフトにはよく分かる。
薬草で治療をしたようだったが、あれは、確かに、鋭い牙による咬み傷の跡だった。
―――川のほとり、あの辺りで魔物の死骸が見つかるようになって―――
クリフトの脳裏に、先ほどのレオンとの会話が閃いた。
―――姫様、何てことを…!
クリフトは、息を飲んだ。
835名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/18(木) 23:58:56 ID:3bsLuG6/0
ペギーさん乙です!
続き楽しみにしています。
トリが‥ちょっとウケましたw
836太陽の申し子 13/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/18(木) 23:59:06 ID:PUcCYsOC0
その日の夜、クリフトはアリーナの部屋の外壁の下に息を殺して潜んでいた。
しばらく待っていると、夜の闇の中を、太陽色の輝きが降ってきた。
アリーナは音もなく地面に着地すると素早く周囲を見回し、
懐からキメラの翼を取り出して空に放り投げた。
―――まったく、キメラの翼など、どこから調達したんだか…。油断も隙もない。
クリフトも、苦笑しながらキメラの翼を取り出した。


クリフトは、サランの近くにある川のほとりに降り立った。
案の定、そこには、川岸を行ったりきたりしているアリーナの姿があった。
―――本当に、無茶をされるお方だ。
クリフトは、ため息をつきながらアリーナの方へ踏み出した瞬間、ぎょっと足を止めた。
闇に光る2つの目。
アリーナの前に、つちわらしが現れたのだ。
しかし、アリーナは臆する風もなくつちわらしに向き直ると、見事な飛び蹴りをかました。
そして、よろめくつちわらしに、休みなく手拳を叩き込む。
―――姫様、す、すごい…!
クリフトは恐怖も忘れ、アリーナの技に見入っていた。
アリーナの攻撃に息も絶え絶えになったつちわらしは、大きく口を開けて上を向いた。
―――まずい、確か、つちわらしは仲間を呼ぶ習性が…。
クリフトは思わず剣を手に、前に飛び出していた。
837太陽の申し子 14/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/19(金) 00:03:22 ID:AwpV8wQa0
「クリフト!?」
アリーナの目が驚愕に見開かれる。
「姫様、お気をつけ下さい!新手が来ます!」
クリフトの言葉が言い終らないうちに、新たに、つちわらしが2匹現れた。
「くっ!」
アリーナが、弱っていた1匹にとどめの一撃を加えると、新しい1匹に向き直った。
その間に、クリフトはアリーナの背後に回り、もう一匹と対峙する。
クリフトも、今までに何度か魔物に遭遇したことはあるが、一対一で魔物と戦った経験はない。
情けないと思いながらも、足が震えて止まらなかった。
つちわらしは、威嚇するように口を開けると、両腕を上げて攻撃をしてきた。

ざしゅっ

何とか直撃は免れたものの、右腕に痛みが走り、思わずひるむ。
アリーナが、クリフトを振り向いた。
「クリフト、大丈夫…きゃっ!」
よそ見をしたアリーナに、もう1匹のつちわらしが攻撃を仕掛けてきた。
「姫様!!」
クリフトは叫んだ。
―――姫様を傷つけるなんて…!
目の前の魔物に対して激しい怒りがわき、恐怖が消えた。
クリフトは、つちわらしに向かって剣を構えた。
後ろではアリーナが反撃に転じた音がする。
―――早く、こいつを倒して、姫様に回復呪文を唱えて差し上げなければ…!
つちわらしが、再びクリフトめがけて突っ込んできた。
必死に繰り出したクリフトの剣は、つちわらしの心臓を貫いていた。
838太陽の申し子 15/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/19(金) 00:04:43 ID:PUcCYsOC0
全てが終わった後、川のほとりは今までの喧騒が嘘のように静まり返っていた。
聞こえるのは、川のせせらぎと、風に揺れる芦のそよぐ音だけだ。
「やっぱり、今日会っただけで、クリフトにはばれちゃったんだねー。」
クリフトに回復呪文を唱えてもらいながら、アリーナが明るく笑った。
「姫様…1週間お部屋に篭られていたのは、壁に穴を開けるためですか。」
「あたり。さすがクリフトだー。やっぱり、部屋に呼ばなくて良かった。」
「では…私を家庭教師から遠ざけたのは。」
「女官達はごまかせても、クリフトには、すぐにばれちゃうと思ったの。」
クリフトは、空を仰いでため息をついた。
「姫様…。どうしてこんなことを。」
「だって、魔物がいなくなれば、あの子達も、もうあんな目に合わないじゃない。」
アリーナは平然と答えた。
「だからと言って、姫様ご自身が、こんな危険なことをなさらなくても…。」
「だって、エマに、お城の兵にサランの周りを見回って欲しいって頼んだのに、
 エマったら『そのようなこと、姫様がお考えになる必要はありません』って、
 全然聞こうとしてくれないんだもの。」
アリーナは、憤然とした顔でクリフトを見た。
「だったら、自分でやるしかないじゃない!」
クリフトは、アリーナをまじまじと見つめた。
―――このお方は…。
幼い頃からこうだった。
アリーナは、どんな大きな壁に突き当たっても、絶対にへこたれない。
必ず自分の力で解決しようと立ち向かうのだ。
―――なんて、お強いのだろう…。
まるで、太陽の申し子のように、強く、明るく。
839太陽の申し子 16/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/19(金) 00:05:47 ID:AwpV8wQa0
この少女の成長を、自分はこれからも身近で見守っていきたい。
クリフトは心からそう思った。

これは、光り輝くものへの、純粋な憧れ。
その想いは、まだ、恋と呼ぶには余りにも漠然として。

「…姫様。私は、これからも姫様のお側で、お仕えして良いのでしょうか…。」
クリフトは思わずそう口に出していた。
アリーナは、ぱっと顔を輝かせた。
「当たり前じゃない!ずっと前からそう約束してるでしょ!」

クリフトはアリーナに微笑み返すと、ふと表情を改めた。
「ただ、姫様。夜抜け出しての魔物退治は、おやめくださいね。」
「え…。」
不満そうなアリーナにクリフトは諭した。
「来週には、ブライ様がお戻りになられます。そうしたら、ブライ様から兵の見回りを
お願いしてもらいましょう。それまでは、私が、こちらを見回りますから。」
「えええー、クリフト、1人で大丈夫なの〜?」
疑わしそうに見上げるアリーナにクリフトはムッとした顔をした。
「こう見えても、剣の扱いはけっこう得意なんですよ。」
アリーナはまだ疑いの残る目をしていたが、クリフトは、決めの一言を放った。
「これを納得していただけないようでしたら、壁の穴の件は公にせざるを得ませんね。」
「ひどーい!それって、脅迫っていうんだよー!」
クリフトはにやりと笑った。
「脅迫けっこう。さ、お城に帰りますよ、姫様。」
クリフトは、ぶつぶつ言うアリーナの手を取ると、キメラの翼を取り出した。
840太陽の申し子 17/17  ◆e.sLpeggy2 :2007/10/19(金) 00:06:46 ID:PUcCYsOC0
しばらくして、サランの周囲を兵が巡回するようになり、魔物の出現は激減した。
同じ頃、クリフトは家庭教師の任に戻り、同時に、女官長が更迭された。
多分、ブライが後ろで動いたのだろう、とクリフトは推測したが確かなところは分からない。
女官長直属の女官達も一掃され、アリーナは以前よりも自由に外出できるようになった。
今では、ときどきクリフトと2人で医療院を訪れ、治療を手伝ったりもしている。

クリフトは、幸せそうなアリーナを見ながらも、心ひそかに思っていた。
―――いつかきっと、この方は、もっと広い世界に飛び立とうとされるだろう。
そのときも、やはり、自分は、アリーナの側にいたい。
この輝く太陽の申し子を、できる限り側で支えていきたい。

クリフトの中の気持ちが、別の形に変わっていくのはもう少し後のこと…。


841ペギー ◆e.sLpeggy2 :2007/10/19(金) 00:09:18 ID:AwpV8wQa0
いやー、もうね、何と言うか…。
自分の間抜けさ加減にいい加減嫌気が差してきましたよホント。
SSの方も何かしまりがなくてすいません。
これから、修行のたびに出てきます…。
842名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 01:19:02 ID:0ndLHdGx0
ペギーさん乙でした!
クリフトかっちょええ
843名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 03:48:28 ID:M3aCLql6O
ペギーさん毎度乙です!
恋の話じゃなくてもすごく楽しめましたよ!
やっぱりクリアリはいいコンビでもあるなと再認識したよ
844名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 07:57:46 ID:Df2vcf6+O
豊作じゃ〜
845名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 12:50:44 ID:1VWNSt/GO
ペギーたんGJ!
これがいずれ恋になるんだなーって思うとすごくいいですね。
アリーナもクリフトもいいなぁ。
846名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 17:38:07 ID:56kIPGlN0
ペギーさん乙です。
こういうのを見ていると、やはりアリーナの嫁はクリフトしかいないと再認識しますね。

・・・あれ?
847直球2 ◆mMm.waU7LI :2007/10/19(金) 23:11:27 ID:0ndLHdGx0
ごちそうがいっぱいだ〜!
勢いに紛れてジャンクフード投下。

姫と二人きり。周りには誰もいない。今日こそは・・・言う!
「あの、姫様。お話があります!」
「何?クリフト、改まっちゃって」
「ずっと・・・ずっとあなたを・・ お慕いしておりました!」

言った。ついに言った言ってしまった!自分で自分を褒めてあげたいッ!

「あら、ありがとう。それでお話って?」
「・・・・・ ・・・・・。(伝わっていない・・・)」

「あの・・・。要するに好きなので結婚してください」
「いいわよ」

    ゚ ゚(<_、 ξ[壁   ←のぞき見していたブライ
848名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 23:52:53 ID:y6xdFW/L0
ブライ死んだなこれはw
849名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/20(土) 01:25:19 ID:hYoAu8q10
>>847
こういうの好き

実際散々クリフトが悩んだ挙句、あっさりことが進みそうだ
850名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/20(土) 16:21:55 ID:CeJeiSJVO
二人ともGJGJGJ!!!

ペギーさんの話は泣いてしまいましたよ。
クリアリが住む世界ってこうゆう事が頻繁に起きていて、それと向き合いながら二人は成長していくんでしょうね。

直球さん(←名前じゃなくてタイトルか?)は短文でツボを押さえてくれててナイスです!
851名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/20(土) 21:46:45 ID:UvRwup6gO
>>847
これからもこういうぴりりとしたの読みたい!
852帰ってきたてんちょ ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:12:32 ID:m9VQTvh90
お久しぶりです。
一時退院の許可が出たので帰ってきました。

大作あり、小ネタあり…どれも楽しく読ませていただきました。
皆さん本当に乙です。
素晴らしい作品のあとだというのに、
こんな下ネタまがいのものを投下してしまう自分をお許しください。
853【硬い男】1/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:14:08 ID:m9VQTvh90
ここはアネイル。
癒しと安らぎを求め、世界中から観光客が集まる温泉の町。

浴場の隣にある休憩所では、朝風呂で英気を養った男たちがひそひそと話をしていた。
新緑の髪を肩で揺らす少年、真紅の鎧に身を包んだ戦士らしき者、
膨よかな腹が板についた商人風の中年、豊かな白髪と立派な顎鬚の小柄な老人。
一人を除いて屈強な男たちがその身を寄せ合う姿は、妙に不自然だった。
口火を切ったのは、意気消沈ぶりがひと際目立つ少年。
うつむき加減で溜め息を床に落としたあと、覇気のない顔でぽつりと呟いた。

「皆さん、クリフトの『あれ』見ましたか?俺のよりも硬くて、しかも凄いんです」
「なんと!もしや拙者のよりも硬いのでござるか?勇者殿」
「ええ。いつの間にか逞しくなってて、正直俺…負けたって思いました」
「まあ勇者君、そう肩を落とさずに。硬いだけが能じゃありませんよ」
「さすが既婚者の発言は余裕綽々ですな。さぞや細君も歓喜の声を上げたであろう」
「いやあ。妻は私の硬さ云々より、柔和な人柄が魅力的だそうですから」
「むむっ、並みいる独身者の前でお惚気ですかな?トルネコ殿」
「とんでもない。そういやアリーナさんは、強い男の人がお好きなんでしたっけ?
だったら『あれ』が立派なクリフト君も、ある意味強いのかもしれませんね」   
「ふん。クリフトの奴め、ワシらを出し抜くような真似をしおって。
ワシとてあと数十年若ければ、あやつのような青二才に引けは取らぬのに…ぶつぶつ」

「はあ、さっぱりしたわ。たまには温泉も悪くないわねー」
汗と埃を流し、火照った顔を手で仰ぐ鳶色の髪の少女が浴場から出てきた時、
男たちの怪しい会話が自然に耳へと入ってしまった。
「…もう、朝から堂々といやらしい話をして。同じ仲間として恥ずかしいわ」
垣根の陰にそっと隠れ、眉根を顰めて軽蔑の眼差しを向ける少女。
身分こそ隠してはいるが、少女はとある国の王位継承者たる姫君であり、
話題に上っているのは、彼女の臣下である聖職者の青年のことであった。
と同時に、少女の頭の中に「ある日の出来事」が鮮明によみがえってきた。
854【硬い男】2/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:17:13 ID:m9VQTvh90
かつて病に倒れ、その後奇跡的に回復した青年の身体を清めるため、
自分がこの町で入浴させた時のことを思い出したのだ。
(ふふっ。いろいろあって恥ずかしかったけど、結構楽しかったわね。
そうそう。わたしってば、うっかりクリフトの『あれ』を見ちゃったんだっけ。
あの時はもう驚いちゃって、落ち着いて観察する余裕なんてなかったから。
でも、みんなが言うように…クリフトのって、そんなに硬くて逞しいのかしら?)
少女の脳裏に、口ではとても言えない危なげな想像が展開する。
(どうしよう、クリフトの姿が頭から離れないわ。やだやだっ、早く消えてよー)
白い頬が再び赤みを帯びるのを自覚した彼女は、思わず両手で顔を覆い隠した。

その場で立ちすくむ少女を我に返したのは、話の肴にされた張本人の怒声だった。
「皆さん!公共の場で卑猥な雑談などなさらないでくださいっ!」
そこには、聖職者の青年が厳しい表情で腕を組み、騒ぎの主らを睨みつけていた。
男たちは一瞬固まったが、その真意にすぐさま気づいたようだ。
怒り心頭の青年をよそに、彼らは互いの肩を叩いて一斉に笑い始めた。

「あははは。なあクリフト、お前何か誤解してないか?」
「誤解?」
「俺たちが話をしてたのは、『守備力』のことだぞ」
「しゅ、守備力…ですか?」
「昨日はぐれメタルの盾とヘルムを手に入れて、お前に試着させただろ」
「ええ。剣や鎧とお揃いだからと半ば無理やりにですが。それが何か?」
「実はですね、皆さんの中でクリフト君の守備力が一番になるんですよ」
「俺の天空装備よりも上なんだぜ。さすがに悔しくってさ、つい愚痴っちまった」
「敏捷さの差も出たのでござろう。勇者殿やトルネコ殿、それに拙者は盾を扱えぬのでな」
「ワシは盾は扱えるが、鎧や兜を装備できん。今やお主は最も強固な男じゃよ」

頭の中が少々混乱し、男達の反論を聞くがままだった青年は、
狐につままれた状態から解放されるのに、しばしの時間を要した。
「つまり『硬い』とは、守備力が高くて打たれ強い、という意味だと?」
青年の説明に、そのとおりだと言わんばかりに一同が頷く。
855【硬い男】3/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:18:37 ID:m9VQTvh90
「…でしたら、ちゃんと防具の名称をつけてからお話をなさってください。
事情を知らない誰かがお聞きになったら、あらぬ誤解を招いてしまいます!」
青年は声を張り上げ、男たちに自重を促した。しかし――――

「誤解って、なんの誤解だよ?」
「我々は来るべき決戦に備えて、真面目に談義をしていただけでござるが」
「そうですよ。いったいどんな想像をしてたんですか?クリフト君」
「この愚か者めが!それだからお主は、融通の利かぬ『固い奴』だと揶揄されるんじゃ」
男たちと青年の間に、重く気まずい空気が漂う。
「は、はあ。どうやら私の考えが浅はかだったようです。大変失礼いたしました…」
ニヤニヤした顔で見つめる青年、あくまで朴念仁を貫く中年男、
意味深な笑みを浮かべた妻帯者、白眉を吊り上げて怒れる老師を前に、
純朴な青年はただ平謝りするより他に術はなかった。

ほっと胸を撫で下ろし、安堵の表情を見せる少女。
(なんだ…『硬い』って守備力のことだったのね。考えすぎて損しちゃったわ。
あーあ、温泉から出たばかりなのに、こんなに汗かいちゃった。もう一度入り直しね)
少女はその場で踵を返し、再び浴場の方へと戻っていった。
一方、すっかり気疲れした青年も、温泉に入るべく浴場を目指した。
日課である朝の祈りと、薬草など常備薬の整理のため、皆とは別行動を取っていたのだ。
(はあ。さっきの一件で全身が冷や汗まみれだ。温泉でしっかり流さなければ…)
重くなった足取りに鞭を打ち、青年は浴場へと向かった。

「おや、これはアリーナ姫さま。姫さまも今からご入浴ですか?」
「あ、うん。わたしは二度目だけどね。クリフトはみんなと一緒じゃなかったの?」
浴場の入口で、二人はばったり鉢合わせしてしまった。
青年は、主君である少女がつい今し方の話を立ち聞きしたことは知らないし、
無論、彼女が浮かべた官能的な想像など、知る由もない。
「いろいろと所用がありまして、やっと入る機会ができました。あの…姫さま」
「な、なによ?」
「少し頬が赤いようですが、大丈夫ですか?」
「し、心配しなくていいわ。長湯でのぼせただけだと思うし」
856【硬い男】4/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:20:39 ID:m9VQTvh90
実直で穏やかな眼差しを投げ掛ける青年の顔を、少女は直視できなかった。
もし見入ってしまえば、自分の思案を何もかも読まれてしまいそうだったからだ。

「すみません、失礼します」
青年は断りを入れると、遠慮がちに少女の前髪をかき上げ、額に手に当てた。
柔らかで大きな手の感触は、先程堪能した適度な湯加減を彷彿させる。
少女の心臓に早鐘を打たせるのには、十分すぎる刺激となった。
「たしかに熱はないようです。ですから、長湯はお身体に障るとあれほど…」
「はいはい、お説教はあとでたっぷり聞くから。それでいいでしょ?」
少女は胸の鼓動を悟られないよう、青年の手を振り払い、一定の距離を保った。
本当は、大きく温かい青年の手の感触をもっと感じていたかったのだが、
今の自分の状態では、彼に甘える余裕など残っているはずがなかった。

先に入るから、と言い残して女湯へと駆け込んだ少女を、心配げな表情で見送る青年。
通常なら膨れっ面での睨み返しだけで済むはずが、今回は手荒な仕打ちだった。
青年の繊細な指先には、まだ微かな痺れが残っている。
「いつもとご様子が違うな。お加減が悪くなければよいのだが…」
背高の帽子の顎紐を少しだけ緩めたあと、青年は男湯の扉へと手を伸ばす。
「いらっしゃい。おや?あの時の兄ちゃんじゃないか。元気にしてたかい?」
番台からは、面識のある顔と懐かしい声が飛び込んできた。
青年が病から全快し、恐れ多くも主君たる少女に入浴を介助してもらった際、
今日と同じく番台をしていた中年の女性である。

「お久しぶりです。小母さんもご健勝そうでなによりです」
軽く会釈を交わしたあと、青年はふと番台の向こうへと視線を移した。
「こりゃっ!どこを覗いてんだい?女湯の客はあいにく一人だけだよ」
「ごっ、誤解です。私は姫さ…いえ、旅の仲間の体調が気になるだけで、そんなつもりでは」
女性に怒鳴られ、青年は物凄い勢いで首と両手を振って否定する。
「ああ、さっきの子…そうか、あんたの連れだったね。安心おし。特に変わりはないよ」
「そうですか。すみませんが、姫…いや、彼女をよろしくお願いします」
「あいよ。任しときなって」
頬杖をついたまま、女性は笑顔で何度も頷いた。
857【硬い男】5/5 ◆ByK7Tencho :2007/10/21(日) 23:23:00 ID:m9VQTvh90
歪んだ口元が気になるが、青年は感謝の気持ちを込め、軽く頭を下げた。
「それより、あんたついてるねえ。今は誰もいないからゆっくりできるよ。…きりでね」
「ありがとうございます。…あの、最後は何とおっしゃったんです?」
「いやいや、こっちの話さね。さあさあ、ぼやっとしてないでさっさと脱いじまいな」
女性に急かされ、青年は慌てて脱衣所の隅でそそくさと着替え始める。
腹部をタオルで覆い、腰骨の位置で端をきつく縛った青年の姿は、
やがて湯気がたちこもる湯船へと静かに消えていった。

「ふう。朝の忙しさも一段落したし、そろそろ出そうかねえ」
女性は重い腰を上げ、番台から床へと足を下ろした。
「まったく、面倒くさいったらありゃしないよ。いつまで続けるつもりなのか…」
そのまま物置らしき場所へと向かい、よいしょと言いながら何かを引っ張り出す。
「一緒に来たところを見ると、あの二人は相変わらず仲がいいようだねえ。
まあ、初めてじゃないんだから、前みたいに大騒ぎにはならんだろうよ。ひっひひひ」
扉を開け、入り口に立て看板らしきものを置いたあと、女性は再び番台へと戻っていく。
看板には『ただいま貸切』の文字が大きく書かれていた。

休憩所での談話も一段落した頃、緑の髪の少年が溜め息混じりに立ち上がった。

「さて、と。そろそろ回収しに行くとするか」
「はて。何をですかな?勇者殿」
「俺たちの『命綱』です。今倒れられたら、あとあと厄介ですからね」
「いくらクリフト殿でも、ここの湯気に屈するほど軟な男ではなかろう」
「ライアンさん、これからは混浴が可能な時間帯なんです。閑散時の特別サービスとかで」
「ほほう、混浴とな。それはある意味天国ですなあ」
「冗談はよしてください。そうなれば、今頃あいつは床の上で卒倒して夢の中ですよ」
「いやー、私も若い頃は妻とよく一緒に入りましたよ。もう昔の話ですがね」
「自慢話はもうよいわ!…まあ、湯船が血の海になれば危険じゃて、薬は用意しておこうかのう」

「…じゃあ俺、行ってきますから」
どちらかといえば興味津々の中年二人と、淡々と事務的に準備を進める老人を前に、
少年の溜め息は、ますます濃厚さを深めるのであった。
858名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/21(日) 23:40:09 ID:x6YUtpys0
>852
久し振りてんちょさんキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
てんちょさんの下ネタ(?)話大好きだ。 GJ!
あと 一時退院中とのこと、お体大事にしてくださいね。

自分も体験あるけど、長期(?)入院は辛いですよね。
(今でこそ各種携帯ゲーム機があるけど、昔は無かったから暇つぶしに困ったわ。
 ラジオとテレビと文庫本とマンガが入院の友でした)
859名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/22(月) 00:15:34 ID:4aDSm5OB0
>>852
おお、てんちょが!お久しぶりです!
スレに活気が戻ってきてうれしい!
皆にいじくられているクリアリがいいな〜!

そして、入院されていたのですね、お大事にです…!
860名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/22(月) 11:07:13 ID:80r+1fgNO
このままじゃクリフトが死んじゃう><
861名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/22(月) 16:25:34 ID:nPieT+270
実は容量が限界近いんだ
注意してな
てか次スレを
862名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/22(月) 21:19:19 ID:FFKy4FBdO
ニヤけてしまった
863名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/23(火) 22:20:18 ID:6WvHVvggO
てんちょさん、お帰りなさい&GJです!

あの会話を勘違い出来るって事は、クリフトのアレはそれなりに硬くて凄くて立p(ry

と、てんちょさん一時退院中なんですね。
お体お大事に。
本当にGJでした!
864名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/28(日) 14:44:46 ID:VMc+g6F10
ほす
865名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/31(水) 17:52:17 ID:e/sYAoOf0
HOSHU
866名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 09:30:13 ID:8yTdVQf80
保守
867名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 17:15:12 ID:/U2iAhzg0
この過疎っぷりは皆容量を気にしてのことなのか…
だったら、これでどうだ!

クリフトとアリーナの想いはPart8
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/ff/1193991148/
868名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 00:21:41 ID:HwUvdyVw0
>>867
おお次スレ乙!!
これで残りの20KBを堂々と使いまくることができるな!
869名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 03:51:52 ID:DtaII8EXO
>>867
次スレ乙!

それにしても、容量を気にしてるうちにハロウィンが過ぎてしまっていたんだな
残念なことだ
870ペギー ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 10:54:21 ID:nHoEIJ8h0
こんにちは、ペギーです。
新スレ立ったので、安心してSS投下しちゃいます。
えーと、以前書いたザオリク話の続き…になるのかな。

そして、遅くなりましたが、てんちょ!GJです!!
てんちょの、ちょっとドキドキするほんわかSS、大好きです!
入院されているとのこと、お体お大事に…。
871いのちをだいじに 1/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 10:55:29 ID:nHoEIJ8h0
クリフトがザオリクを覚えてからというもの、蘇生はもっぱらクリフトの役割となった。
蘇生確立が5割のザオラルよりも、より多くの魔法力を使うとはいえ、
クリフトのザオリクの方が効率が良いのは致し方ない。
最初はザオリクを唱えるたびに肩で息をしていたクリフトも、
戦闘中、誰かが倒れ伏すたびに駆けつけて蘇生呪文を唱えているうちに、
当初のぎこちなさが消え、蘇生までの時間も早くなってきた。
しかし、勇者は、それにつれてクリフトの口数が少なくなってきているのに気が付いていた。

ある日、勇者はクリフトが一人のときを選んで、クリフトに声をかけた。
「クリフト。最近、悪いな。お前ばっかりに蘇生をまかせちまって…。」
クリフトは面食らった顔をした。
「ソロさん。いきなり何をおっしゃるかと思えば。」
「いや、みんな気軽にお前にザオリクほいほい頼んでるけど、
 他の奴ら、蘇生呪文を使うのが、どんなにきついもんかってわかってないんだ。」
まあ、お前一人に押し付けてる俺も同罪だけどな、と勇者は頭をかいた。
クリフトは、そんな勇者に首を振った。
「別に、今ではもう、ザオリクを使うこと自体は、私の体の負担にはなってませんよ。」
「…だって、お前、最近疲れてないか?」
「いいえ、全く。ザオリクもコツを覚えればそれ程きついものでは…。」
とクリフトは言いかけ、低い声で独り言のようにつぶやいた。
「そう、むしろ、それが問題なんだ…。」
「何?なんか言ったか、クリフト?」
「いえ、なんでもありません。とにかく、私は大丈夫です。」
クリフトはにっこり微笑むと、歩み去った。
872いのちをだいじに 2/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 10:56:18 ID:nHoEIJ8h0
勇者は、釈然としない気持ちのままその場に取り残されたが、そこに声をかけた者があった。
「ソロさん…。」
「ミネア。」

ミネアからの提案を聞いて、勇者は驚いた。
「ザオラルを学びたい?」
ミネアが真剣な顔で頷く。
「ええ、お願いします。ザオリクは無理でも、ザオラルを覚えれば、
 クリフトさんの負担を少しでも軽くできるかもしれない…。」
「…ミネア、お前、いい奴だなー。」
感心した顔をする勇者に、ミネアは赤くなった。
「そうじゃないんです…ただ、今のクリフトさんを見ていると…危ういような気がして…。」
勇者は、ミネアの言葉に顔を曇らせた。
「ああ…確かに、何かこう、いっぱいいっぱいっていう感じはするな…。」
勇者とミネアは心配そうに顔を見合わせた。

それから、数ヶ月が過ぎた。
「ミネアも、ザオラルを覚えたの!?すごいじゃない!」
恥ずかしそうに、ザオラル習得を告げたミネアに、皆が拍手喝采した。
クリフトは、驚いたようにミネアを見ると、複雑な表情をした。
勇者は、クリフトの表情に気づき、わずかに眉をひそめた。
873いのちをだいじに 3/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 10:57:14 ID:nHoEIJ8h0
「これで、3人目か〜、旅が効率よく進むようになるわね〜。」
マーニャが嬉しそうにミネアに笑いかけた。
ライアンがそれに呼応して頷く。
「ふむ。前は誰かが戦死するたび教会のある街や村まで戻っていたからの。」
「それに、私は、教会よりも、クリフトさんのザオリクの方が好きですね。」
「そうね、クリフトの蘇生呪文って、何だかほんわりと暖かくて、柔らかいのよね。」
「ああ、あれは不思議に良い心地がするものじゃて。」
そこから、一行は、クリフトからザオリクを受けたときの感想に花を咲かせ始めた。
当のクリフトは皆の会話に参加せず、表情を硬くして前を向いている。
勇者とミネアは、気遣わしげに、そんなクリフトと会話をしている仲間を交互に見ていた。

アリーナが、仲間達の言葉に目を輝かせた。
「へー、クリフトのザオリクって、そんなに気持ちいいの?」
「そうか、アリーナ姫は、まだ一度も蘇生呪文を受けたことはなかったか。」
「そりゃーそうよ、この子、いつも有り余るほど回復呪文かけてもらってるもの。」
マーニャは笑ったが、アリーナは悔しそうに頬を膨らませた。
「えー、でも、そんな気持ちいいなら、今度私もザオリク受けてみたいって」
「いい加減にしてください!」
アリーナの言葉を遮って、クリフトの叫びがあたりに響いた。
場がしん、と静まり返った。

クリフトは、立ち上がり、体を震わせていた。
874いのちをだいじに 4/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 10:58:07 ID:nHoEIJ8h0
アリーナは、驚いたように目を見張ってクリフトを見上げた。
クリフトが、このように激しい感情を顕にすることはめったにないことだ。
勇者が、首を振って小さなため息を吐いた。

「いいかげんにしてください、姫様も、皆さんも…!」
クリフトは、震える声で言った。
「蘇生呪文が禁呪とされていることの理由が、今なら良く分かります…。
 ザオリクのせいで皆さんは、生命の尊さを忘れてしまっています。
 …命を手放すということを、そんなに簡単に考えないで下さい!」
皆、言葉もなくクリフトを見つめていた。
「こんなことなら、私は、もう、蘇生呪文は使いません!!!」
そういうと、クリフトは皆から顔を背け、足早にその場を立ち去っていった。

「…クリフトが怒るのも当たり前だ、お前ら、能天気なこと言いやがって。」
勇者が不機嫌そうに皆をにらみつけた。
「軽々しく、死んだらどうとか言うもんじゃねえよ。」
ミネアも、厳しい顔をして頷いた。
他の仲間達は、うなだれ、あるいは面目なさそうに首をすくめた。
「とにかく、アリーナ、行って謝って来いよ。」
アリーナが、勇者の言葉に不服そうな顔をする。
「え、なんで私だけ?みんなで一緒に行こうよ!」
「いいから。他の奴らとお前では、同じこと言っても罪の重さが違うの!」
「…何それ。訳分からない。」
ぶつぶつ言いながらも、アリーナは立ち上がると、クリフトの後を追った。
875いのちをだいじに 5/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 11:05:10 ID:nHoEIJ8h0
アリーナは、すぐにクリフトを見つけた。
クリフトは、森の外れの木にもたれかかって、ぼんやりと空を見ていた。
その表情の暗さに、アリーナはギクリとなった。
後悔の色を顔一杯に浮かべ、アリーナはクリフトに駆け寄った。

「クリフト!」
クリフトは、はっとしたように体を起こした。
「姫様…。」
アリーナは、クリフトの袖をつかんで見上げた。
「ごめん、ごめんね、クリフト。…無神経なこと言って。」
クリフトは、驚いたようにアリーナを見ると、悲しげに頭を垂れた。
「申し訳ありません…。姫様が、謝られる必要など、ないんです。」
「だって…。」
クリフトは首を振った。
「違うんです…本当は、問題があるのは、私の方なんです。」
「え…?どういうこと?」
アリーナは首をかしげた。

クリフトは、ため息をつくと、遠い目をして空を眺めた。
「蘇生呪文を覚えてすぐの頃は…呪文を使うのが、本当に辛かった…。
仲間の死に顔が目の前にちらついて、しばらくは眠れませんでした。」
クリフトは自分の手に目を落とした。
「…なのに…今は、何も感じないんです。」
「…。」
876いのちをだいじに 6/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 11:06:14 ID:nHoEIJ8h0
「仲間の血塗れで息をしていない体、見開いたまま動かない瞳、
そんなものを目の当たりにしても、夢に見ることもなくなりました。
私が、その前にひざまずいてザオリクを唱えれば、彼らは息を吹き返す。
死が一体なんだというのだ、と、どこかで思っている自分がいるんです。」
クリフトは、両手を握りこんで目をつぶった。
「死の呪文と蘇生の呪文を当然のように繰り返していくうちに、
私は、自分が、だんだん人の生死に無関心になっていくことが怖い。
このままでは、私は…!」
「クリフト!!」
アリーナの強い声に、クリフトははっと我に返った。
「あ…。」

アリーナは、真剣な顔でクリフトを見上げていた。
「す、すいません、姫様…。」
アリーナは、ゆるゆると首を振ると、クリフトの手をとった。
「ううん…私こそ、ごめん、クリフト。…私、知らなかった。
クリフトが、蘇生呪文のたびに、そんな辛い思いをしていたなんて…。」
「いえ、そんな、姫様…。」
「でもね、クリフト。」
アリーナは瞳に強い光を宿してクリフトを見た。
「クリフトは、命を軽々しく考えてなんかいないわよ。」
「え…。」
877いのちをだいじに 7/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 11:07:13 ID:nHoEIJ8h0
「みんな、言ってたでしょ。クリフトのザオリクは暖かいって。
 教会の神父さんなんかより、ずっと気持ちが良いって。
 それは、きっと、クリフトが命を大切に思ってるから。
 クリフトの、命を大切に思う気持ちが、呪文に溢れてるからなの。」
「そんなことは…。」
否定しようとするクリフトを、アリーナは遮った。
「私は、ずっと昔からクリフトを見てるもの。分かるの。
 この先、何があっても、クリフトが命をおろそかにすることなんて、ない。」
自信たっぷりにそう言うと、アリーナはにっこりと微笑んだ。

「姫様…。」
クリフトは、呆然とアリーナを見ると、アリーナに手を伸ばしかけた。
しかし、はっとしたようにその手を握りしめた。

「クリフト…?」
アリーナが不思議そうにクリフトを見上げた。
クリフトは、泣き笑いのような顔でアリーナを見た。
「姫様…どうもありがとうございます。
 ご心配をおかけして、本当に申し訳ありませんでした。」

アリーナは明るく笑った。
「クリフトったら、またそんな馬鹿丁寧なの、やめてよ! 
このパーティの中では、私達、主人と臣下じゃなくて、
同等の仲間でいたいと思ってるんだから!」
878いのちをだいじに 8/8  ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 11:07:57 ID:nHoEIJ8h0
「…同等の……仲間、ですか…。」
クリフトが呟いた。
その表情は、影になっていてアリーナからは見えなかった。
アリーナは、うんうんと頷くと、笑顔を浮かべた。
「そう、大切な仲間!だから、私ばっかり特別扱いもナシ!」
「…。」
くすり、とクリフトの口から笑いがこぼれた。
「何?」
「いえ…。」
クリフトは顔を上げると、アリーナに向かって微笑んだ。
「…ありがたいお言葉、どうもありがとうございます。」
アリーナは両手を振り上げた。
「だからー、そうゆうのがダメなんだってばー!
 もうっ、みんなのところに戻るよ、クリフト!!」

アリーナの背中を見ながら、クリフトは、口の中で何か小さく呟いた。
しかし、先を行くアリーナにはその言葉は聞こえないようだった。


879ペギー ◆e.sLpeggy2 :2007/11/03(土) 11:08:42 ID:nHoEIJ8h0
以上です。
お付き合いいただきましてどうもありがとうございました。
相変わらずクリフトがうじうじと暗い奴でスイマセン。
そして、相変わらず甘くない話でスイマセン。
880名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 11:43:52 ID:4iTew3ILO
イイヨイイヨー
881名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 20:19:48 ID:4TosoENNO
ペギーさんGJ
>>867
882名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/06(火) 22:13:42 ID:aNZoamvY0
あと9KBか…SS一つきたら終わるぐらいかね。
さあ最後を締めるのは誰だ!!
883名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/11(日) 04:04:56 ID:e/hEQU97O
ほしゅ
884名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/15(木) 19:14:17 ID:AjF2pWofO
容量微妙だからなのか、過疎ってるな…次スレも立ててもらってることだし埋めちゃおうかな…
885名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/16(金) 23:29:20 ID:aryVgjZI0
  ∧_∧
 ( ・∀・) ドキドキ アトイシュウカン・・・
 ( ∪ ∪
 と__)__)  DS版4を待ちながら埋め。
886煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/11/17(土) 15:26:45 ID:ULTRhKge0
途中で切れたらスマソです。穴埋めSS投下
887【誘導】1/3 ◆cbox66Yxk6 :2007/11/17(土) 15:28:53 ID:ULTRhKge0
―――この紙片を見つけし者に告ぐ。これより>>867に向かい、青き扉を見つけよ。
さすれば、新たなる世界が広がるであろう。

アリーナの居室に残された一片の紙。
そこに書かれた謎めいた言葉に、サントハイムの首脳部は頭を抱えた。
「なんの暗号ですかな?」
「はて、私にはとんと見当がつきません」
「私も、ですね」
「しかし、姫様のお部屋から愛用の武具が消えていること、旅に必要な物が
なくなっていることを思えば、姫自らのご意思による失踪……で、間違いございませんな」
「相違なかろう」
互いに顔を見合わせ、同時にため息を漏らす。
「こういうときは、サントハイムの生き字引であるブライ翁にお伺いを立てるのが一番なのだろうが……」
「えぇ。でも、翁は確かいまは王命を受けてエンドールに滞在中のはず……」
「となると、やはり『彼』でしょうな」
「そうですね」
「それしかないだろうな」
意見が一致したところで、まとめ役の男は部屋の隅に控えていた兵士長に声をかけた。
「神官クリフトをここへ」
888【誘導】2/3 ◆cbox66Yxk6 :2007/11/17(土) 15:31:56 ID:ULTRhKge0
「なるほど、事情はわかりました」
クリフトと呼ばれる青年が頷くと、不思議な色合いを艶やかな蒼髪がさらりと揺れた。
その優美な光景に思わず目を奪われかけたまとめ役の男は、ひとつ咳払いをすると口を開く。
「して、その紙片に書かれた言葉の意味はわかるのか?」
「はい」
間髪いれずに返った答えに、その場にいた者たちに安堵の空気が流れた。
「では、早速捜索隊を……兵士長」
「はっ」
「至急捜索隊を編成し、事に当たってくれ」
「はっ、かしこまりました」
アリーナ捜索の命を受け緊張した面持ちで立ち上がった兵士長を、柔らかな声が遮った。
「お待ちください。大人数で動くのは得策ではありません。サントハイム兵の姿を見かければ、
姫様は連れ戻されると思って逃げてしまう可能性があります。まずは私が単身赴き、
一緒に旅を続けるふりをしつつ姫様の説得にあたります。兵士の方々には、少し遠回りになってしまいますが、
こちらの道筋で目的地に向かっていただきたいと思います」
そして、クリフトは何事かを紙に書き付け、兵士長に手渡した。
「こちらの指示通りに動いていただければ、特に問題なく目的地に辿り着けると思います」
「もちろんクリフト殿のご指示には従わせてもらいますが……しかし、あなたおひとりでは、
危険かと。せめて私だけでも随行いたしましょう」
兵士長がそう言うと、クリフトはやんわりと微笑み、かぶりを振った。
「お気遣いはうれしく思いますが、やはり姫様を油断させるためにも、
ここは私一人先行することをお許しください。私が命に代えても姫様をお守り申し上げますゆえ。
それに……おそらく姫様の失踪を陛下がお知りになれば、陛下自らが姫様をお探しに出られるはず。
兵士の方々には、その時に安全な道筋で陛下を導いていただきたいと思うのです」
兵士長は、言い出したら聞かない似た者親子を思い浮かべ、頷いた。
「導かれし者のおひとりであられるあなたに、私ごときがこのようなことを言うのも恐縮ですが……
お気をつけて」
889【誘導】3/3 ◆cbox66Yxk6 :2007/11/17(土) 15:40:00 ID:ULTRhKge0
>>1-200
>>201-400
>>401-600
>>601-800
>>801-866
>>868-行き止まりまで。を経て>>867へ。
そして青く光る扉を、感謝の気持ちで心を満たして開けること。

兵士長から事細かに指示の書かれた紙を手渡された時、ブライの脳裏を過ぎったのは、
愛する姫とふたりっきりの旅を楽しむ蒼い髪の青年の幸せそうな姿だった。
「……あやつ」
紙面に目を落とし、ため息をつく。
「気持ちはわからないでもないが、相変わらず腹黒いのう」
兵士長は「少々遠回りですが、安全な道筋」だと絶賛していたが、
その実、単なる時間稼ぎのための道順。
姫とのふたりっきりの時間を少しでも長く過ごすための、狡い手段。
「ま、あやつには悪いが、最短距離を……」
そうひとりごちたブライだったが、次の瞬間に起こった出来事に、その考えを一気に翻した。
「ブライっ、ハゲのくせに身支度に手間取るでないわっ! はよう、行くぞ」

……サントハイム王が次スレに辿り着くのはいつ?
                                         (終)
890煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2007/11/17(土) 15:53:09 ID:ULTRhKge0
げ、誤字発見。
2/3 (誤)不思議な色合いを→(正)不思議な色合いの

とほほな〆で、スマソです。
891名前が無い@ただの名無しのようだ
                    /^ヽ
                   /::::::::::ヽ
                  /:::::::::::ー-ヽ
                 /__、-:::::::::::::::ーヽ
                 /;::::::__、---、:::、:::ヽ
              _、-‐'''`~     ̄~~^^`''ー、_
           _、-''~;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、_
          、-^;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
         ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;_______:::::::::::::::::::::::::::::::::/
            、;;;;;;;;;;;;;;_、-‐'''^~:::::::::::~^'''ー-、::::::::ノ,:::/
           ヽ;;;;;;/;;;;;;::;;;;;___、---、::::::::::::::`ー、_/
            ヽ";;;;;_、-'''`~//::|::::::/_、.iヽ、_;;:::::i
            |;;_-´i;i:::i::i:::||:|::i:;i::::|' ` |:i::::iヽノ
       __     i::i;;;i:i、i、、、、:ノヽ'|、iー'ー、、|ノノ:iノ-|
     /^~^^ヽ.  i i ヽ、 i"i'`i、    i`'. ヽ'~//'i | _、-‐、‐、
    _|、:::::::::/ヽノ ノ、`´iヽーi i::0i   i:)j |~//.~'.ノ、i:::‐、:::ヽ:::i_
     i:::`:::::::::ヽ'-^~:/:、ヽヽ ヽ-" ,,   `ー'' /ー'/、:::::ヽノ:::::::::/:i
     、:::;;ヽ、::、-‐''~/iノ:::‐ヽ   、-‐‐   ./ー'~::、:::::::::ヽ、::;;;;;;;;;ノ
     ヽ;;;;;;:::::::::::::::''//::::|:|:|:ヽ、 `、,,ノ /、ヽ.、:、::`''ー、::::::::::'ー、
   /::::、:::::::::::::::::/:/:::::/^~'ヽ/`''ー-‐''´^、:::,::::i、:、ヽ::;;;;;;;ヽ;ー、::::|
   |:::::::ー-‐_,,,,、-、i^~ヽ|::::::::::::::::::::::::::::::::、::;ノ/ヽー、:ヽ::、'、、ー::ノ
   ヽー-:i''~;;;;::::::::ヽ~´、:ヽ、__:::::::::__、-‐''~:::''´ノノ~丿ー、、/ノノ^´