ふきだまりの街で、脱出方法は見つからないかと散策に出るマリベル。
しかし女一人での外出は危険だからとアルスも同行する事になり、二人きりになる。
不安に怯えるマリベルを気遣って「離れちゃ危ないから手つなごう」と差し出すアルスに赤面するマリベル。
密かに隠しているアルスへの想いを気付かれやしないかと、ドキドキしつつも手を繋いで歩き出す。
しかしそこへ街の荒くれ者数人がマリベル達に絡んできた!
「おーおーいいねえ若いうちからラブラブでさー」「ガキのくせにツーショット?」「ヒューヒュー」
「(やだ、な…なんなのよこいつら…!)」
呪文も特技も奪われてしまった今では大男ですら恐怖の対象であり、思わず身震いしてしまう。
「マリベル、行こう」 「う…うん」
「待てよおい」
無視して歩き出そうとしたアルス達を男達は取り囲み二人の腕を掴んだ。
「いいかげん手ぇ離せよ。アツ過ぎるんじゃねーの?」バシッ!
「きゃっ!」
荒くれの一人に腕を払いのけられマリベルはよろめいてしまった。
「な……なにするんだよ!!」アルスが男に飛び掛った!
「ガキの癖にナマイキなんだよ!」
しかしアルスはあっさり返り討ちに遭ってしまった。
「………っつ〜〜」
アルスは睨み付けながら立ち上がり、男の一人に蹴りを入れた。
「ふざけるな!マリベルを離せ!」
「なんだこいつ」「やっちまおう!」
男に捕まったマリベルを助ける為果敢に挑むアルス。しかし戦いの経験を積んできたとは言え
数人の大男に敵う筈も無かった。
抵抗虚しくあっと言う間に羽交い絞めにされ、頬や体を何度も殴られる。
「……あ……や、やめ…」マリベルはただ硬直し、泣いて様子を見守るしかできない。
「しっかり押さえとけよ!」ドスッ
「うっ」
重い一撃が入ったのかアルスは深く顔をしかめた。
「や、やだ!もうやめて!離して!アルスを離してよ!」
マリベルはとうとう泣き叫んだ。一心不乱に男達に掴み掛かる。その時、
「コラ!何してんだテメーら!!」
背後からスイフーの声が聞こえた。
「やっやべっ」「ズラかろーぜ!」
この街を牛耳るボスに見付かった為、男達はアルスらを置いて逃げてしまった。
そして、その場に二人残されたアルスとマリベル。
アルスの体ははあざだらけで、苦しそうに座り込んでしまった。
「だ、大丈夫……?」目に涙を溜めたままマリベルは駆け寄る。
ホイミはおろか薬草も無い為回復ができない。しかし苦しそうな顔をしているものの
致命傷には至らなかったようだ。
「よかった………死んじゃうかと思った……ひっく」
そう呟くとアルスの胸に顔を埋めて泣き出した。
「マリベル…」
「ひっく……ごめ…ごめんねっ。あたしのせいで……うっ」
「何言ってんのさ。全然マリベルの所為なんかじゃ…」
そう囁くと、マリベルの髪を撫でながら優しく抱きしめた。
「でも…でも……」
「平気だよ。もう、へーき」
「でもぉ……ひっく」
自分の胸の中で泣き続けるマリベルを覗き込む。たまらずマリベルも顔を上げた。
「ほら」
そう微笑むと、アルスはマリベルの唇にゆっくりと口付けた。
「(え………?)」
突然のアルスからの口付けに、マリベルは泣き止んで目を見開いた。
「あ……」
アルスも我に返った。二人は唇を離すと互いに紅潮してしまい、しばらく見つめ合う。
「あ…あれ?……えっと…」
「……………ア、アル…」
その時、
「おーい二人とも大丈夫かー?」
心配したガボが迎えに来た。二人が硬直状態で佇んでいる原因をガボは知る由も無かった。
なんかSS来たね。いい感じ
あったまクルクール 毒舌ペラペーラ
それがなんなのよ あたしマリベル
フィッシュベルの 網元の娘
どんなもんよ あたし マリベルよ
奇妙奇天烈 摩訶不思議
奇想天外 四捨五入
出前迅速 落書無用
マリベルちゃん マリベルちゃん
ホンワカパッパ ホンワカパッパ
マリベルちゃん
過去に封印された地が 現代によみがえる
それでいいのよ それでいいのよ
マ・マ・マリベル マリベルベル
天才少女 マーリベルベル
死んじゃっても教会で復活できるからなあ・・・
ドラクエじゃなかったら感動したかもしれない
まあ好きな男が目の前でフルボッコされてたら
取り乱すだろうよ。
>844-846続き
最近アルスの様子がおかしい。
ううん、アルスがおかしいのはいつもの事なんだけど…。
ダーマの危機を救ったあたしたちは無事にフィッシュベルに帰ることが出来た。
久々の帰還でやっと羽を伸ばせるってのに、アルスはずっと上の空で
時々悩んでるみたいに深くため息をついたりする。
そうかと思えば、何だか必要以上に優しくしてくれる。頻繁に「具合悪くない?」って
覗き込んで来たり、ちょっと重くなったあたしの荷物を
「持つよ」ってかついでくれたり。今まで自分から持ってくれることなんて無かったのに。
アルスがそんな調子だからあたしまで妙にギクシャクしちゃってる。
あの日以来まともに目を合わせられないし、そもそもあんまりしゃべれてないし…。
…そりゃあんな…キス…されて恥ずかしいからなんだけどさ……。
アルスはこのあいだのキスどう思ってるんだろう…なんかあたし一人で動揺してるみたい。
「マリベル、ちょっと来てくれる……?」
翌日、自宅で休んでいたあたしの所にアルスが訪ねてきた。
な…なんなのよ。不振さと恥ずかしさで顔をしかめるあたしに構わず、
手を引いてアルスは村の外れの洞窟へと連れて来た。
「ここ、座って」「あ……うん」アルスの差し出してくれた飲み物を受け取りながら
手ごろな岩の上へ腰を下ろした。ちょっと距離を置いてアルスも座る。
「………」「…………」「……」
シーンとしばらく沈黙が続く。やだ、何なのよ。アルスは何かを言いたそうに口を開いては
うつむいたりの繰り返し。やっぱりおかしいわよ。どうしちゃったのよ…。
「あっ、あのさっ」
「えっ?」ビクッ
決心が付いたのかいつになく真剣な顔であたしを見つめてきた。
「こ…このあいだのキス…で、もし、もしも子供が出来てたら…二人で育てよう!」
……………え?
「そりゃ親とかは反対するだろうけどさ……」
え?え?何?
ちょっとまさか、アルス、キスすると赤ちゃんが出来るなんて思ってるの?
そう言えば、昔、キーファにそんなホラを吹き込まれて真剣に聞き入ってた事があったっけ、こいつは…。
「僕たちまだ子供だけど、でも考えてみたんだけど、
僕貯金とかも少しならあるし…父さんの手伝いとかしてもっとお金貯めてさ……」
バ………バカ……。あたしは涙が溢れてきた。
「なんとかなるんじゃないかと思うんだ。ねっ」
こんな事真剣に考えちゃって………嬉しいよう。…バカだけど…。
あたしはボロボロ涙が出てきてアルスの腕に泣きついてしまった。
「どうしたのさ、心配しないでよ。僕頑張るからさ」
マヌケで、ボケッとして、でも優しいいつものアルスが戻ってきた。
「……違うよ。この間キスしたあと、あたしお風呂入っちゃったから…
たぶん子供できないよ」
「…………えっ?…お風呂?」
「知らないの?キスのあと入っちゃダメなんだよ」
…あたしは初めてアルスに嘘ついちゃった。
「え……あー……し…知ってるよ。なんだ……そうかー…」
拍子抜けなアルスの顔を見てあたしはクスクス笑いがこみ上げた。
……でもこんなウソなら、許されるよね。
「ねーえ、あたしがお風呂はいってホッとしてるでしょ?」
「! ち、違うよそんな事ないよ」
「ウソでしょ」「ホントだよ」「もうーウソばっかり」