FFをかなり真面目にノベライズするスレ その8

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
FFを「かなり真面目に」ノベライズしていくスレです。

□現在の進行状況
・FF4  トロイアでギルバードと再開し、磁力の洞窟へ向かうまで(前スレ>633)
・FF5  マギサ、フォルツァと激突中。(4スレ目87)
      ジョブはバッツ『ナイト』ファリス『青魔道士』レナ『黒魔道士』ガラフ『モンク』
・FF6  サウスフィガロ、シャドウの初登場イベントまで(前スレ>889)
・FF7AC ルーファウスとカダージュの会話でセフィロスの名前が出るところまで(前スレ>619)
・FF8  電波等頂上でビッグス&ウェッジを倒したところまで(前スレ>650)
「過去ログ」

初代
http://snapshot.publog.net/html/ff/2004/08/04/215356.html
その2
http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game10.2ch.net/ff/kako/1115/11154/1115452328.dat
その3
http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game10.2ch.net/ff/kako/1125/11258/1125830783.dat
その4
http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game10.2ch.net/ff/kako/1134/11348/1134807046.dat
その5
http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game10.2ch.net/ff/kako/1137/11376/1137678422.dat
その6
http://mimizun.com/cgi/dattohtml.pl?http://mimizun.com:81/log/2ch/ff/game10.2ch.net/ff/kako/1142/11425/1142573716.dat
参考
セリフ集
http://members.at.infoseek.co.jp/nayuka_aaaa/wp/ff.html
まとめサイト
http://ff-novelize.main.jp/
2名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/05(金) 14:17:56 ID:zwyQ18Av0
進行状況補足。
・FF10 10 ティーダ、アーロンが最初のシンのコケラとバトル中(前スレ>250)
・FFUSA フォレスタ到着、枯れ枝入手まで(前スレ>832)
・FFTA 初エンゲージ後、ロウとクランの説明まで(前スレ>930)

このスレのコンセプト。

DQはちゃんとした小説がエニックス出版から出ていますが、FFは2以外まったく刊行されていません。
文才と多少の暇のある方、どうかこのFFDQ板でFFのどの作品でもいいので、ストーリーの最初から
最後まで完全小説化してみてください。
といっても一人でこんなこと最後までやりつづける人はいないでしょう、普通。印税入るわけじゃないし。
ただの趣味だし。根気が続くはずが無い。
なので、リレー小説にするのが妥当かと。
結構おもしろい企画だと思いませんか?

ただ飽くまでも「公式の小説が出版されていない作品を情熱あるこの板の住人がノベライズする」
がコンセプトなので、FFでなくてDQでもいいです。
ただしDQ1〜7は当然対象外になるわけで、可能なのはモンスターズ等でしょう。
やはりプロの作品にはかなわないですから、DQ1〜7は書く必要がないわけです。そういうものです。

>>1超乙
3名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/05(金) 14:31:01 ID:ubU8NYSu0
4 ◆HHOM0Pr/qI :2007/01/05(金) 17:59:56 ID:Dyya2HnI0
FINAL FANTASY IV #0456 5章 3節 不和の旋律(5)

実のところ、セシルたちに次なる手段のあては無い。ギルバートの見舞いには、歌を通して各地の伝説・伝承に通じた彼の知識を借りられないか、という思惑も含んでいた。
質問を受けたギルバートの指が、見えない琴糸をかき鳴らし、喉の奥で旋律を奏でる気配が生まれる。しかし、彼の唇から音が漏れることは無かった。
「……それらしい歌は聞いたことがある。
 磁力の洞窟の話は、昔からこの国で有名だそうだから」
期待に見事応えたギルバートは、彼の知る古い物語をセシルに教えた。
それは世界を巡り、莫大な財を成した男の冒険譚の一部。無実の罪によって魔物がひしめく洞窟に置き去りにされた男が、己の知恵と幸運で窮地を切り抜け、両手いっぱいの宝石と共に帰還するまでを綴った一節である。
殺した魔物の肉を餌に巨大な鳥をおびき出し、その両足に捕まって海を渡る下りは特に人気が高く、その部分だけ抜き出して歌われることも多い。
その鳥が、空飛ぶ黒いチョコボという現実味に乏しいものでさえなければ、セシルにとっても大いに参考となったところだ。
感謝を述べようとして、セシルは、ギルバートの不透明な視線に気がついた。
「……相変わらずなんだね、君は。
 羨ましいよ」
「どういうことだ?」
聞き返すセシルに向けた、ギルバートの表情は柔らかい。しかし彼の声は、眼差しと同様、どこか乾いている。
「言葉通りだよ。
 僕はアンナに何もしてあげられなかった。
 ローザのためなら、なんだって出来る君が羨ましい」
共に旅をしていた頃は、考えもつかなかった印象をセシルは受けた。
ギルバートのかすれた声は──ひどく耳障りで不愉快だ。
「君たちの事情は、神官様から教えていただいたよ。
 クリスタルを、ゴルベーザの手に渡すわけにはいかないんじゃなかったのかい?」
5 ◆HHOM0Pr/qI :2007/01/05(金) 18:00:35 ID:Dyya2HnI0
FINAL FANTASY IV #0457 5章 3節 不和の旋律(6)

──ローザの命は土のクリスタルと引き替えだ──

あの日、バロン上空でカインが切り出した取引は、少なからずセシルたちをも悩ませた。特に、風のクリスタルを守るという目的のもと、多くの部下を失ったヤンの迷いは深かったようだ。
セシルたちは互いの思うところを率直に話し合い、意見を出し合った。そして、当分は指示に従うフリをしようということで意見がまとまったのだ。
全面的に条件を呑むことは出来ない。しかしゴルベーザの行方は知れず、こちらからローザ奪還に出向くことが難しいのも事実。
まずはローザを救い出し、カインを説得する。可能ならばその場にゴルベーザを引きずり出し、討ち取る。
そのための材料として、クリスタルを手に入れなければならない。
それらの方針は、まだこの国の神官たちにも打ち明けてはいない。仲間内で確認しあっただけだ。
諸々の込み入った事情を知らぬまま、セシルがクリスタルを求めているとだけ聞かされたギルバートが、疑問を抱くのは仕方の無いことだ。
「……僕を信じて、犠牲になった子供たちがいるんだ。
 あの子たちに、顔向けできなくなるようなことはしない」
セシルはギルバートにすべてを話し、最後にそう付け加えた。それを機に、身じろぎひとつせずにいたダムシアンの王子が、全身の力を抜く。
「……すまない、つまらないことで勘繰って。
 僕は根が卑しいんだ。許してくれ」
「そんなことはない!」
誤解を受けたこと、それ自体は、確かに気持ちのいいものではない。だからといって、ギルバートに非があるとセシルには思えなかった。
彼は、かつてセシルが為し得なかったこと、これから挑まなければならないことを、やってみせたのだから。
「君は──」
6 ◆HHOM0Pr/qI :2007/01/05(金) 18:01:12 ID:Dyya2HnI0
FINAL FANTASY IV #0458 5章 3節 不和の旋律(7)

「失礼します」
ノックの音と共に、病室の外からかけられた声が、セシルの言葉をさえぎる。
扉が開き、医師が姿を現した。彼女の後から、薬と包帯の盆を持った看護夫が続く。
「薬を替える時間です。
 申し訳ありませんが、そろそろお引取りを」
雰囲気を察しているのかいないのか、腰を浮かせたセシルに医師は淡々と話しかけ、一方でギルバートの額の包帯を手早く解き始めた。かがみこんだ小柄な背中が、『邪魔だ』と語っている。
小卓に盆を載せた看護夫が、取り成すような笑顔をセシルに向けた。
「ギルバート、それじゃあ……」
「セシル、これを持っていってくれ……」
退出しようとしたセシルに、ギルバートが手を伸ばした。咎めるように医師が体を広げたが、ギルバートはそれをやんわりと押しのけ、手の平に乗せた奇妙な品物をセシルの前に差し出す。
「これは?」
「ヒソヒ草。
 僕の代わりさ……
聞いたことのない名前だった。そもそも、全体が緑がかっている以外、植物らしい特徴もない。
両端を切り落とした魚の骨に細い柄をつけたような形で、柄には黒い紐が絡みつき、その先に小さな角笛のようなものがぶら下がっていた。
どういう代物か、まるで見当もつかなかい。
「持っていってくれ」
ギルバートが更に腕を伸ばす。戸惑いながら、セシルはヒソヒ草とやらを受け取った。見た目から予想していたよりも重い。植物とも金属とも違う、奇妙な手触りだった。
「……ありがとう。また来る」
「待ってるよ」
まるで今の心境を表しているような、どうにもおさまりの悪い外観の土産を手に、セシルは医務室を出た。
──近いうちに、もっときちんと話がしたい。
ヒソヒ草を受け取ったとき、ギルバートは安堵したような笑みを浮かべた。彼もまた、同じ気持ちである証拠だ。
セシルはそう考えることにした。
7 ◆HHOM0Pr/qI :2007/01/05(金) 18:08:49 ID:Dyya2HnI0
FINAL FANTASY IV #0459 5章 3節 不和の旋律(8)

セシルは宿に戻り、ヒソヒ草を皆に見せた。
「ふ〜む、これはまた、面白いものを貰ってきたのう」
シドが身を乗り出し、セシルから受け取った品物をしげしげと見回す。
「ダムシアン王家には、ホバー船のような古の不思議な力を持つ宝がいくつか伝わっていると聞く。
 この草も、そうした宝物のひとつなのだろうか」
「かもしれない」
やはり視線はヒソヒ草に向けたまま、セシルとヤンの会話は半ば、輪に加わろうとしない老人に向けられていた。
ギルバートの名を出すまで、明らかにテラもこの珍品に興味をそそられていた。それが今は卓にも着かず、瞑想と称して毛氈の上で胡坐をかいている。
思い切って、セシルは彼に声をかけてみたが。
「食堂に行っておる」
会話すら拒否して階下に去る足音に、セシルは密かに溜息をついた。
「頑固だな」
一人娘を失って悲しむのはわかる。だが本当に憎むべきはゴルベーザであり、あそこまでギルバートが責められる謂れは無い。
セシルはそのように思っていたのだが、シドとヤンの反応は冷ややかだった。
「仕方あるまい。事情が事情だ」
「こればっかりはな。
 一生許せなんでも無理はないわい」
シドはともかく、ヤンはセシルと同様、あるいはそれ以上にギルバートの人柄を評価していたのではないのか。
セシルの問いかけに、ヤンは首を横に振った。
「いかにも。だが、それとこれとは話が別だ。
 男子たるもの、妻を迎えんとするならば、まず己が一人前であることを周囲に示すのが筋というもの。まして、多少の反対で挫けるようでは話にならん。
 思うにテラ殿も、最後にはギルバート殿を娘婿として受け入れるのに吝かではないのだろう。
 しかしギルバート殿は選択を誤ってしまった。そして、取り返しのつかぬ結果を生じてしまった。
 そうではないか?」
いつに無く饒舌なヤンの傍らで、シドが熱心に頷いている。ふたりの間に漂う連帯感を目にして、セシルは食い下がるのをやめた。
この件に関しては、独り身である自分が一番、核心から遠いところにいるらしい。
8 ◆HHOM0Pr/qI :2007/01/05(金) 18:09:56 ID:Dyya2HnI0
FINAL FANTASY IV #0460 5章 3節 不和の旋律(9)

「ローザ殿のお父上はご健在か?」
「……いや、ずいぶん前に亡くなっているけど」
質問に答えたセシルだが、突然話題を変えたヤンの意図を掴みかねていた。その首に手を回しながらシドが言う。
「なあに、心配いらん。なんせあそこのお袋さんは、下手な男よりよっぽど気が強いでな。
 それで足りなければ、このワシがいくらでも代わりを務めてやる」
笑いながら宣言する技師に首を絞められながら、セシルは己の右頬に指を滑らせた。

バロンを発つ前の日のことだ。城の一室で、生き残った兵や文官らと共に会議を開いていたセシルの元を、一人の老婆が訪れた。
"この疫病神!"
ローザの母アイリスはそう叫んで、入ってくるなり薔薇の茎の束でセシルを打った。衝撃で白い蕾が千切れ飛び、石床の上に転がる。
"あんたを追ってローザは飛び出していったんだよ!"
かつて、ファレルの女当主は美しかった。娘とよく似た、しかし一段と派手な顔立ちで、年齢から来る衰えなど微塵も寄せ付けなかった。
それがいまや、部屋着のまま髪も結わず、化粧もせず、目のまわりを落ち窪ませた悪鬼のような形相で、セシルに詰め寄っている。
"あの子は今、どこにいるんだい!?
 さっさとお出し!!"
アイリスを追って現れたシャーロットが、女主人を宥める手を止め、希望に満ちた眼差しでセシルの顔を注視する。
答に詰まったセシルは、頬を流れ落ちる血を指でぬぐった──

「それにしてもお主、さては相当苦労したな?」
「──実に頑固な御仁であった。
 テラ殿にも引けはとらん!」
忌々しげに吐き捨てるヤンの声は同時に、限りない親愛と、尊敬の念で満ちている。
「……テラと話してくる」
シドの拘束をすり抜け、セシルは賑わいはじめた食堂へと降りていった。ギルバートにもう一度チャンスをくれるよう、頼むつもりだった。
いったいどう切り出したものか。思い悩むうち、たまたま、階段脇に貼った古い紙に目をとめる。
『新種のチョコボ発見される! 黒チョコボと命名!』
タバコや料理の煙で紙は変色し、インクは薄れ、ほとんど消えかかったその見出しは、なぜか鮮烈に浮き上がってセシルの目に飛び込んできた。
9名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/05(金) 23:04:39 ID:xezhz9TZ0
>>1&HHO
10名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/06(土) 16:53:57 ID:SSb+fXS10
>>1 乙
>>4-8 GJ!
11名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/07(日) 12:51:56 ID:/0ywvN680
まとめ落ちてる
12名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/07(日) 23:51:20 ID:+RXb6LX40
周知の事実
13名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/08(月) 23:00:25 ID:HyfbyNyM0
 
14名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/09(火) 16:46:52 ID:R1BsFhxhO
9候補は逃亡したか
15名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/10(水) 23:04:45 ID:92XrfaMj0
意地悪かいちゃだめ
16名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/11(木) 22:29:20 ID:mwCU0YY+0
ギルバードガンガレ!!
17名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/13(土) 19:45:06 ID:tInedMiC0
18606:2007/01/14(日) 00:17:46 ID:6n3Ega5Z0
FF6-korutu mountain-(1)

翌日、日の出とともにサウスフィガロを後にした一行は、順調にその日の行程をこなし、正午過ぎには、コルツ山のふもとに着いていた。
「うっ…気持ちわりぃ…。」
朝からロックは、吐き気と頭痛に苛まれていた。
「自業自得だ。」
エドガーは呆れている。
「ん?ティナどうしたんだ、その靴?」
ようやくロックは、ティナの靴が、昨日までの靴と違うものであることに気づいたようだ。
「えへへ!エドガーに買ってもらったの!」
ティナは嬉しそうに『ダッシューズ』を見せびらかした。
「今日は登山だからな。ティナの足の負担を、少しでも軽くするのは当然だろう?」
「…どうやら、いつものエドガーみたいだな。」
ロックとティナは、お互いに顔を見あわせ笑いあった。
「何のことだ?」
「こっちの話さ。…っと、それよりこいつを渡すのを忘れてたぜ!」
ロックは、道具袋から『ミスリルスピア』を取り出し、エドガーに手渡した。
「…これは!?」
「すごいだろ!ナルシェでモーグリたちに貰ったんだ!」
エドガーは、二人から離れミスリルスピアの感触を確かめように、素振りを開始した。
19606:2007/01/14(日) 00:19:05 ID:6n3Ega5Z0
そして、「ハッ!!」
と、気合の入った声と共に、近くにあった大岩に勢いよく突き刺した。
岩は崩れることなく、槍を突き刺された一点だけ、綺麗に貫かれている。
「軽い…そして硬い!これほど純度の高いミスリルが取れるとは…。」
エドガーは、槍の刃先の部分を確かめるように触り、何か考え込んでいる。
「エドガー?」
「いや、このナルシェの資源にフィガロの機械、そしてドマの兵力を一つにすることができれば、
ガストラ帝国の抑止力になることがいよいよ現実味を帯びてくると思ってな…。」
ドマとは、ナルシェのはるか東、レテ川と『蛇の道』とよばれる曲がりくねった独自の潮の流れをもつ海域を隔てた大陸にある国である。
国念が『義・信・人』であることでも世界に名を馳せており、事実、屈強の戦士・優れた英傑を多く有している。
ドマは、帝国の侵略に対し徹底的に異を唱え、早くからリターナーに属していた。
帝国もドマに対し、ナルシェやフィガロのような融和政策をとらず、強硬路線をとってきた。
現在は、難攻不落で知られるドマ城の近くに帝国軍の前線基地をつくり、頻繁に小規模な戦闘を繰り返している。
「…まぁ、ここで考えても仕方がない。今は一刻も早くリターナー本部に向かおう!」
「うん!」
力強く頷くティナとは対照的に、ロックは浮かない顔をしている。
「ロック?どうしたの?」
「…いや、何でもない。ぐずぐずしてると夜の山越えになっちまうな。
早いとこ登ってしまおうぜ!」
このとき、ロックは一行の背後に何者かの気配を感じていた。
20606:2007/01/14(日) 00:20:20 ID:6n3Ega5Z0
FF6-korutu mountain-(2)

象ほどの大きさを誇るゴルギアスや、毒性の触手をもつテラリウムなどのモンスターを相手にしつつ、
山越えを目指す一行は、山頂付近の吊り橋にさしかかった。
「エドガー…誰かがおれたちの跡をつけている。」
ロックが後方に細心の注意を払いながら静かに話し始めた。
「…帝国の手の者なのか?」
「いや、そんな気配は今のところない…が、かなり手強いことは確かだ。」
「…仕掛けてくるなら、もうそろそろだろう。」
コルツ山を越えるとサーベル山脈が連なり、さらに陸路を進むと、世界でも有数の商業都市、港町ニケア方面へと向かうことが出来る。
しかし、機械の発展と共に、造船分野が発達したため、各港からの海路で二ケアに向かう人が増えた。
以降、サウスフィガロ・二ケア間においても、時間も労力もかかる陸路は衰退していった。
現在では、コルツ山ふもと付近ならともかく、頂では人通りもほとんどない。
登山道も舗装されていないため、無造作に伸びきった樹木や岩がそこら中に点在している。
奇襲をかけるなら絶好の地理・地形だ。
吊り橋を渡り、開けた台地を通りがかったとき、エドガーの予想は見事に的中した。
一行の背後から一人の男が襲い掛かってきたのである。
21606:2007/01/14(日) 00:20:57 ID:6n3Ega5Z0
FF6-korutu mountain-(3)

とっさの判断で身を伏せたため、ロックを狙った奇襲者の一撃は、地面を直撃し砂塵が巻き起こった。
「…マッシュの手の者か?」
砂埃の中から現れた男と対峙し、只者ではないと見たエドガーとロックがティナの前に立った。
「マッシュだと?マッシュはいるのか!?」
「…『マッシュ』、その名前どこかで…。確か、エドガーの双子の弟!!」
エドガーの動揺した様子から、ティナはフィガロの神官長の話を思い出した。
「さっきから うろちょろしてたのはお前だな?」
「知るか!ふ、貴様らが何者とて捕まるわけにはゆかん。
このバルガスに出会ったことを不運と思って死んでもらうぞ!!」
バルガスは、ロックの問いに答える様子もなく、指を口にくわえ指笛を鳴らした。
すると、エドガーたちの背後の大岩から、のっそりと熊のようなモンスターが二匹姿を現した。
「こいつらはオレの可愛いペットでなぁ…。ちょうどエサの時間だったのだよ。やれ!イプー!!」
雄たけびをあげながら、二匹のイプーはエドガーたちの背後を襲った。
「くそっ!問答無用で挟み撃ちかよ!」
「ロック!ティナとともに後ろのモンスターを頼む!
おれは、この男から聞かねばならぬことがある!!」
エドガーはミスリルスピアを構えバルガスの動きを牽制した。
「…少しは出来るようだな。面白い、しばしの間相手をしてやろう!」
22606:2007/01/14(日) 00:22:06 ID:6n3Ega5Z0
FF6-korutu mountain-(4)

「ロック!少しの間、時間を稼いで!」
ティナは瞳をとじ、魔法の詠唱を始めた。
そのティナをめがけ、一匹のイプーが鋭くとがった爪で襲いかかった。
ロックはティナの前に立ち、イプーの爪を『ミスリルナイフ』で受け止めようとしたが、
イプーの硬質な爪は細身のナイフの強度を上回り、ロックのミスリルナイフは真二つに折られてしまった。
ロックは腹部にかすり傷を負ったが、先ほどコルツ山中の宝箱から入手した『マインゴーシュ』を、
予備の腰鞘から手早く取り出した。
もう一匹のイプーの攻撃に備えようとマインゴーシュを構えた時、ティナの魔法が発動した。
「『ファイア』!!」
二匹のイプーの足元から火炎が巻き起ったが、イプーたちはダメージ以上に、このような場所・状況で突如炎が巻き起こったことに驚いた。
イプーたちは錯乱し、一匹はロックたちから一目散に逃げ出し、もう一匹は炎を巻き起こしたと思われるティナに猛然と襲いかかった。
襲いかかるイプーに対しロックは、マインゴーシュをイプーの喉元に突き刺した
イプーはうめき声をあげながら倒れこみ絶命した。
「ロック!怪我は!?」
「このくらい何ともない!それよりもエドガーは!?」
23606:2007/01/14(日) 00:23:08 ID:6n3Ega5Z0
FF6-korutu mountain-(5)

「マッシュはどこにいる!?」
「…聞きたいのはこちらのほうだ!!」
エドガーは華麗な槍捌きを放ちつつ、バルガスに問いかけたが、バルガスはエドガーの槍を紙一重でかわしていた。
「ハアァアァ!!」
エドガーがバルガスの動きを読み、隙をつき渾身の一撃を突き出した。
槍は大岩に見事に突き刺さったものの、バルガスは超人的な動きでこの一撃も回避し、刃先の上にゆうゆうと立っている。
「なかなかの槍捌きだ…が、しかしこの程度ではおれを倒すことは出来んぞ!」
「くっ…!!」
エドガーは槍を引き抜き、バルガスと距離をとった。
「エドガー!大丈夫か!?」
その時、ロックとティナがエドガーのもとに駆けつけた。
「ほぅ…!その様子だとイプー共を倒したようだな!まぁ、何人集まろうともおれの敵ではないわ!…烈風殺!!」
突き出したバルガスの片手の掌から、強烈な真空波がロックとティナに放たれた。
「きゃぁあぁ!」
「ぐっ!…風を操るのか!?」
しかし、ロックとティナの方へ目をやっていたバルガスはエドガーの動きを見失っていた。
エドガーは、この機を逃さず素早く機械甲冑を展開させた。
「『フィガロ機術参式バイオブラスト』!!」
右腰のパックから細長い砲身が現れ、そこから紫煙が勢いよく噴き出した。
噴出した紫煙はバルガスをあっという間に包み込んでしまった。
「これは…!?毒の霧か!!チィ!こざかしい!!まとめて、あの世に送ってやる!!」
…我流奥義!連風燕略拳!!!」
24606:2007/01/14(日) 00:24:02 ID:6n3Ega5Z0
バルガスは紫煙を吹き飛ばし、さらにエドガーたちをも吹き飛ばす程の竜巻を放った。
ロックとティナは近くにあった大岩に隠れ、難を逃れたが、竜巻から逃れたがエドガーは直撃をくらってしまった。
吹き飛ばされ、崖っぷちまで追い込まれたエドガーだったが、地面にミスリルスピアを突き刺し、この強風に何とか堪えている。
「エドガー!!」
ロックとティナはエドガーを助けだそうとしたが、いまこの大岩から出れば二人ともあっという間に谷底へ落とされてしまうだろう。
そうこうしているうちに、エドガーの槍が突き刺している地面は、早くもピキピキとひびが入り始めている。
「命拾いしたか…だがっ!むん!!」
バルガスは、容赦なく竜巻の威力をますますあげていく。
「くっ…!こ、このままでは!?」
「ハハハ!これで終わりだ!安心しろ…貴様を屠ったあと、仲間の二人もすぐに後を追うことになる!」
この強風の中では顔をあげることもままならない。
(…ここまでか…。マッシュお前は無事で…。)
エドガーが、足元のいまにも抜けそうな槍先を、見つめながら必死に堪えていると、ふいに自分の上空を何者かの影が通った気配を感じた。
「やめろ、バルガス!!」
懐かしい声が聞こえると同時に、エドガーを襲っていた竜巻が突然止んだ。
驚き顔をあげると、何者かに顔面を蹴られ、大きくのけ反るバルガスと、一人の男の姿がエドガーの目に飛び込んできた。
25名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/14(日) 00:35:02 ID:WSGXpTSA0
ツマンネ
26名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/14(日) 00:57:37 ID:HBQ//IL00
悪くないんじゃない
27名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/14(日) 10:25:19 ID:i2ZXamQR0
なんとなく、パッパッパと進んでしまって単調な気がした。
でも、やっぱ書くってのは凄いと思うし、応援してるからガンバテ
28名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/15(月) 20:38:48 ID:Vv802ZvhO
とりあえずkorutuはないだろw
サントラの英語タイトルにMt.koltzってあるし
29名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/16(火) 12:45:57 ID:FEC2hU5Y0
コルツって魔法障壁?
30名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/17(水) 15:49:04 ID:xQ+E5NO40
バトルシーンの稚拙さを何とかして欲しいな。
6に限ったことではないが。
31名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/17(水) 22:18:16 ID:aeDkKuNz0
はっきり言うとこんな感じ

FF4>FFTA>FF7AC>FF8>それ以外
32名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/17(水) 22:25:26 ID:e6MzzQ9t0
はっきりとっていうかあなたの意見なわけで・・
俺としては7ACがそんな上に来る感じがしないが・・
てか、こういうランク付けは嫌な気分になる人が多いと思うな
自分も7は下とか言っちゃったけど7も面白いし作者さんは皆がんばってください
33名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/18(木) 15:51:06 ID:71N0ECKb0
>>18-24
バルガスに吹っ飛ばされる順番まで再現してる細かさに感動した。
それと、ナルシェでモグから装備を剥ぐのを、「貰ったんだ!」と言い切った泥棒稼業ロックの表現も面白い。
…そう感じるのは純粋にプレーヤーの性格が悪いだけなのかも知れんがw
こう言う小ネタが好きな自分にとっては面白かった。でもちょっと淡々としてる印象はあるかな。
この次はいよいよサシで勝負か、常に継承問題がつきまとう熊さんの心境は複雑だろうな。
何はともあれ楽しみにしてます。
34名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/19(金) 11:38:05 ID:Tlh+opg50
未プレイのせいなのか、TAのどこがいいのか分からん。
ぐだぐだと説明ばっかし。
ストーリーの展開にあわせて、必要な情報だけを逐次明かしてけばいいのに。
35名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/19(金) 13:19:19 ID:MRF9kom60
説明書を読んでもあまりおもしろくない
36名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/19(金) 16:34:56 ID:++/Zohay0
TAの文章力はかなり高いだろ…
オリジナル設定とか本格的な動きが出てくるのはこれからだから、批評しにくいものだがな
37名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/20(土) 11:57:05 ID:bYbID6zl0
TAは構成力がなっちゃいない
いくら文章がうまくても、これじゃ宝の持ち腐れだ。
38名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/20(土) 13:03:28 ID:D2pvftFY0
何を偉そうに言ってるんだ?
39297:2007/01/21(日) 14:31:02 ID:RB5E/53A0

お久しぶりです。
しばらく見ないうちに色々話が進んでますね。
◆HHOM0Pr/qI氏は相変わらず達筆。


ところでまとめサイトが落ちてしまってるようで……、過去ログ見れないですね。
どなたか他に過去ログ閲覧できるような場所を教えて頂けませんか?
29ちゃんねるもだめでしたもんで、よろしくお願いします。
40名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/21(日) 17:50:59 ID:0LtJFY560
>>1で見れない?
41297:2007/01/21(日) 18:08:13 ID:RB5E/53A0
>>40
5だけ見れないんですよ、困った。
42名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/21(日) 21:33:40 ID:9A99anVc0
43名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/21(日) 21:52:49 ID:5lwGjAgOO
で、\は?
44名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/22(月) 10:56:57 ID:a66Mo9Ls0
>43
いまはTAを書いてる。
45名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/22(月) 21:34:54 ID:ndXJDtVhO
]の職人戻って来ないかね。少し他の職人と比べるとまだまだって感じがするが、書いてる内に少しずつ上達するって事もあるし、俺はあの作風が嫌いじゃない
46名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/22(月) 22:11:20 ID:rmxKhVDj0
まとめが復活して欲しいな・・・
前のは綺麗にまとめてあって読みやすかった
47名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/22(月) 22:27:13 ID:IIrBYnkU0
>>44
TAはいいので9をお願いします
48名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 15:49:05 ID:ChAUVxOVO
\候補者はいつからTAになったんだ
ま別にいいけど
49名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:00:56 ID:c5kpzvuw0
FINAL FANTASY TACTICS ADVANCE 
第三話 ナッツクラン(1)

 次の日の朝、宿を出たぼくはモンブランに連れられて街を歩いた。
 ひょっとしたら夢から覚めたら元のセント・イヴァリースに戻ってるんじゃないかってまだ少し思っていた。
 けど現実として、街にはモーグリや昨日見たバンガ達が普通に歩き回っていた。
 一晩経ったからぼくの方にも少しは余裕ができて、落ち着いて街を見回すことができた。
「もう人間以外の種族も覚えたクポ?」
 モンブランが振り返って尋ねてきた。
 大雑把に種族の特徴は教えてもらった。
「うん。見た目で区別もつきやすいし、覚えた……と思う」
 噴水の周りでちょうど色々な種族が休憩していた。一人一人心の中で指さして再確認する。
 まず、モンブランと同じモーグリ族。ぬいぐるみのように小さくてふわふわしてる。
 大人でも体は小さくて力はないけど、手先が器用で工業の中心を担ってる。
 昨日絡んできたバンガ族。大きくてがっしりした体に、やっぱりトカゲの顔。
 全体的に気性は荒いけど、義理堅くて力も強いので頼りにされている。
 あっちの女性はヴィエラ族。人間に近いけど、うさぎのような耳と白い髪が特徴だ。
 素早くて弓や剣の扱いに長け、精霊と話すことでその力も借りられるらしい。
 そして犬のような頭にずんぐりした体のン・モゥ族。
 長寿で膨大な知識を持ってて、性格も穏やかな人が多い。魔法使いとしては並ぶ種族がいないらしい。
「モンブランのクランにはどんな種族がいるの?」
「モグも含めて全部の種族が一人ずつ、五人だクポ。マーシュが入るから人間が二人になるクポ」 
「へぇ……種族間で仲違いとかはないの?」
「自分の種族を馬鹿にされたら昨日のバンガみたいに怒るけど……基本的には仲良しクポ」
 人間だけでも肌の色で戦争したりするのに、ここでは種族だって越えられるんだ。
 それは素直に凄いことだと思い感心していると、モンブランは突然疲れたように呟いた。
「まぁ……種族関係なく相性が悪いって組み合わせもあるけどクポ」
「え?」
「多分すぐに、嫌でも分かるクポ」
 脅しというより苦笑する感じでそう言った。
50名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:02:51 ID:c5kpzvuw0
 それから十分も歩いただろうか。
「ここクポ」
 着いたのは中から賑やかな声の聞こえる店だった。
「酒場? ぼく未成年だけど、入っていいのかな」
「基本的にクランの集まる場所だから、お酒を頼んだりしなきゃ大丈夫クポ」 
 やっぱりお酒は駄目なんだ。
 そういえばどんなゲームでも冒険者は酒場に集まるな、なんて思いながら二人で扉をくぐった。
 喧噪がさらに大きくなる。
 武装した色んな種族がテーブルを囲み、陽気に話をしている。
 傷跡だらけの壁には「本日のロウ」や「指名手配」といった張り紙が雑に貼られている。
 モンブランの言ったとおり、ぼくと同じくらいの子供もちらほらと見えた。
 年齢も種族もばらばらだ。ただ一つ共通してるのは、
「みんな強そうだね」
「クラン同士だけじゃなくて魔物とも戦うし、弱かったらご飯も食べていけないクポ」
 そっか。いくら死ななくても仕事ができないと話にならないんだ。
 改めて身が引き締まる。せめて足手まといにならないようにしなきゃ。
 外観の割に広い店内を歩き、モンブランはきょろきょろと見回す。
 大体は多人数が集まって話をしているけど、普通の酒場としての客なのか一人で座ってる人もちらほらと見える。
 そういう人は武装してないから一目で分かる。
 昼間ということもあるんだろうけど、さすがに肩身が狭そうだ。
「多分地下にいるクポ。今日はちゃんと集まってるといいクポ〜」
 暗にいつもは集まりが悪いことをほのめかし、モンブランは階段へと歩いていった。
51名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:04:30 ID:c5kpzvuw0
 地階に降りていくと、さすがにクランばかりになるのか会話の音も大きくなった。
 酒場での騒ぎっていうよりは砕けた雰囲気の会議って感じだ。
「たしか待ち合わせはあっちのテーブルに……あ、いたクポ!」
 クランのメンバー。
 引っ越してきたとき最初の授業のときみたいに、少し緊張してモンブランの指さすテーブルを見た。
 人間とバンガ族が座ったまま、お互いに剣を突き付け合っていた。
「……ええっと、どっちが?」
「……どっちもクポ」
 またクポ、と呟いてモンブランは溜息をついた。
 攻撃には及んでいないからか、まだジャッジは現れていない。
 そのテーブルには他に、興味なさそうに飲み物を飲んでいるヴィエラ族と、困った顔をしながらも凄い速さで本をめくっているン・モゥ族もいた。
 各種族がそれぞれ一人ずつ。これがモンブランのクラン員らしい。
 モンブランも声をかけかねているのかじっと見ていると、ン・モゥ族がふと顔を上げてこちらを見た。
「おや、モンブラン。お仕事ご苦労様です」
 少ししわがれた、年齢を感じさせる声だった。
「……マッケンローさん。そこの二人、気づいてるんなら止めてほしいクポ」
 すると隣のヴィエラが顔も上げないまま合いの手を入れた。
「いいんじゃない? いつものことだし」
 いつものことなんだ……『相性の悪い組み合わせ』ってこの二人のことなのかな。
 モンブランはやれやれとばかりに首を振ると、人間とバンガの間に割って入った。
「エメット、モーニ、今日はどうしたクポ?」
 人間がエメット、バンガがモーニっていうらしい。
 昨日ポジション争いとか言ってたエメットはやっぱり人間、か。
「お、久しぶりだなモンブラン。聞いてくれよ。モーニの野郎、さっき魔法を避けるのに俺を盾に使いやがってさ」
「勝手なこと言ってンじゃねぇ、エメット。オレが魔道士追い詰めたところに割り込ンできただけだろうがよ」
「魔法に気づいてて止めなかっただろうが」
「止めたらオレが喰らうのに誰が止めるかよ」
「やっぱ盾にしてんじゃねぇか」
「オレのために自分から盾になったンだろ? 誇りに思えよ」
 モンブランが口を挟む間もなく次から次に言い合う二人だった。
 ……なんだか、実は仲いいんじゃないのかって、何となく思った。
52名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:05:35 ID:c5kpzvuw0
「大体手負いしか相手にできねぇくせに前線に出てンなよ」
「でかい図体でとろとろやられてたら日が暮れてもエンゲージが終わらないからな」
「なンだと、当たりゃ倒れるひ弱なヒュムのくせに」
「避ける力がないから固く固く進化したバンガ様とは違うんでね」
「てめぇバンガを馬鹿に――」
「とにかく! クラン内での私闘は御法度クポ!」
 痺れを切らしてモンブランが大声で叫んだ。
 結構響いたと思うけど、こういうこともここでは普通なのか、振り向く他クランは少ない。
「まったく、ジャッジが来たりしたらお帰りいただくのが面倒クポ。周りの迷惑も考えるクポ!」
 まるで生徒を叱る先生みたいに床を爪先で叩きながら指を突き付けている。
 喧嘩していた二人も毒気を抜かれたのか剣を下ろし、肩をすくめた。
 何となくこの中の人間(?)関係が見えてくる構図だった。
「ところでさぁ、モンブラン」
「クポ?」
 ヴィエラ族の気怠げな声に肩で息をしていたモンブランが振り向く。
「そっちの可愛い男の子は何? お土産?」
 可愛い……っていうのも何だか嬉しくない形容だ。
 四人の視線が僕の方に集中した。
「そうだったクポ。みんな、新しいクラン員だクポ」
「えっと、マーシュ・ラディウユって言います。よろしくお願いします」
 タイミングを逃した後の自己紹介は、その分緊張も薄らいでいた。
「ちょっと込み入った目的のある子クポ。その辺はおいおい話すけど、仲良くやるクポ〜」
 さっきのやり取りからして受け入れられるか疑問だったけど、意外にも反応は好意的だった。
「へぇ。じゃあ俺にもようやく後輩ができるってわけか」
「またヒュムか。ま、せいぜい足手まといにならンよう頑張ンな」
 喧嘩していた二人もあっさりと表情を和らげていた。
53名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:08:46 ID:c5kpzvuw0
「では私達も自己紹介といたしますか。私はマッケンローと申します。よろしくお願いします、マーシュ」
 ン・モゥ族が深々と頭を下げ、僕もそれにつられて頭を下げた。
「マッケンローさんは傷を治してくれる白魔道士クポ。知識も豊富だから後で色々聞いてみるといいクポ」
 物腰も柔らかくて、いかにもン・モゥの種族の特徴そのままって感じだ。
 毛深い体につぶらで理知的な瞳。仙人っていうか大魔道士っていうか、そんな雰囲気。
 でも自己紹介をしながらも本を読むのはやめていない。相変わらず常にページがめくられている。
 続けてヴィエラ族が頭の代わりににうさぎの耳を折った。
「あたしはカロリーヌ。可愛い男の子は大歓迎よ」
「よ、よろしく」
 ヴィエラのカロリーヌさんは、耳以外ほとんど人間と変わらない。
 浅黒い肌と白い髪が印象的な女の人で、何ていうか……美人だった。
 白い髪、っていうとライル達のリッツへの悪口を思い出すけど、実際に見ると綺麗だ。
 ちょっと緊張しているとエメットが横から茶々を入れた。
「マーシュ、だっけか? カロリーヌは若い男を取って食って若さを保ってるって噂だから気をつけろよ」
「え? それってどういう……」
 尋ねると同時。凄い風切り音がしたと思うと、エメットの背後の壁に矢が突き刺さっていた。
 カロリーヌさんが弓の弦を離した姿勢で微笑み、エメットは青ざめて固まっている。
「まぁ、そういうわけでよろしくね」
 何がそういうわけなのか分からないけど、慌てて頷いた。……弓使いってことはよく分かった。
「で、オレがモーニ。最前線に立って他の四人を守ってるウォリアーってわけだ」
 差し出された手を握ると固くて大きい。さすが戦士の種族、バンガ族だ。
 鱗は生えてるし顔はやっぱりトカゲ……おっと。
「俺がエメット。最前線に立って他の四人を守ってるソルジャーだ」
 顔色の戻ったエメットがモーニを押しのけて手を出した。
 ……同じこと言ってる。案の定押しのけられたモーニがエメットを押しのけ、押し合いになった。
「まぁそこの二人は放っておくとして、これがモグ達のナッツクランだクポ」
 ナッツクラン。それがぼくの入るクランの名前か。
「……うん。それじゃあ改めてよろしくね、モンブラン」
「こちらこそクポ」
54名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 18:09:45 ID:c5kpzvuw0
長くなりそうなので一旦区切り。

>>34>>37
本編入ったらテンポよく行けるよう精進したいので今のとこは勘弁。

>>44
リレーで書くのか?
55名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/23(火) 19:15:31 ID:PAbHRw5C0

イメージと違ったりはあったけど、クランメンバーがそれぞれ丁寧に描かれてて良かったよ
それと、どうみてもいらない煽りに乗らないところが好印象w
56名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/25(木) 20:09:04 ID:buewJA8z0
ほす
57名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/26(金) 16:19:54 ID:K88bHlIfO
つまんね
58名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/26(金) 16:56:19 ID:+OR8wTaU0
6のバルガスVSマッシュの『左 右 左 A だ!』に期待。
どう描写されるんだろうな?
59名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/26(金) 19:13:55 ID:CZ2u9t1h0
>>54
乙!
ここ初めてだけど、好きなTAが投下されていて嬉しい限り
続き期待してます
60名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/26(金) 21:05:01 ID:Or7BQ05d0
言い訳など聞きたくない
わ!

に期待してるんだがw
61名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/26(金) 23:58:19 ID:RNBlBADK0
>>60
×言い訳
○たわごと

じゃなかったけ?
62名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/27(土) 00:32:17 ID:rVU0EXovO
バルガスはモグタン将軍・ダダルマーに並ぶネタキャラだからな。
63名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/30(火) 00:15:19 ID:POaxwkE10
保守
64名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/01/31(水) 18:47:28 ID:0yuuG/1f0
ほす
65名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/01(木) 15:16:51 ID:EBbJIfAd0
 
66名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/02(金) 15:59:04 ID:TBTnJCC30
 
67名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/03(土) 23:37:51 ID:Ouy4Vlf40
68名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/04(日) 11:44:53 ID:+j5yjN4r0


a
g
e















69名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/04(日) 15:12:22 ID:X0xSFHHz0
はいはい
70名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/04(日) 17:37:50 ID:eHtugBnRO
警告はこれで最後だwww
71名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/04(日) 17:42:13 ID:QdiWwHJP0
保守
72名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/06(火) 17:54:20 ID:8jHUkjlNO







73名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/07(水) 00:37:38 ID:6OIL+an90
受験に就職活動の時期だからか過疎だね
74名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/07(水) 20:03:36 ID:HrjxQmp10
まあ仕方あるまい
75名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/07(水) 22:14:01 ID:NxH0NF+rO






a
g
e
76名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/08(木) 19:46:39 ID:T/hhWclMO



















77名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/09(金) 21:47:23 ID:YGNkBIn60
保守
78名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/11(日) 16:43:59 ID:3p3VSRdu0
ほしゅ
79名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/12(月) 22:05:16 ID:pGM6gsb+0
80 ◆HHOM0Pr/qI :2007/02/12(月) 23:46:12 ID:Ypn9btB30
FINAL FANTASY IV #0461 5章 3節 不和の旋律(10)

たっぷりと水気を含んだ空気が遠景を朧に滲ませ、立ち上る陽炎が地平線を歪めている。
黒ずんだ森の表面には、蛇行する褐色の筋が走っている。トロイア二大河川の片割れ、ハルワタートの支流のひとつだ。
雨季のあいだ降り注いだ雨水に、削り取った表土を溶かし込んだ濁流は、季節ごとに川筋を変え、無数の三日月湖と共に地を歩むものの行く手を阻む。
しかし今やそれも、単調な景色に添えられたアクセントでしかなかった。

『クエッ!!』

ざんざんざん、と葉を揺らし、強靭な脚が枝を蹴る。翼を広げ気流に乗って、一気に河を飛び越える。
吹き抜ける風がセシルの髪をかき乱し、後方へと引っ張った。ちぎれて雲になりそうだ!
セシルたちを乗せ、黒チョコボはトロイアの空を駆け抜けた。
黒チョコボとは、ごく最近になって見つかったトロイアの固有種である。通常のチョコボより一回り大きな体と、はるかに巨大な翼を持ち、主に樹上で生活する。
最大の特徴は、なんと言っても空を飛べることだ。
とは言うものの、その飛行法は鳥よりも飛竜のそれと近い。木の枝を蹴って飛び上がり、翼で滑空するのである。
羽の色も黒というには薄く、紫に近い。
だがトロイアの人々は、滅多に地上に降りないこの亜種を、あえて慣れ親しんだお伽噺と結びつけたのだった。
『クェ〜〜〜!』
潮の香が混じり始めた風を受け、高々と黒紫の巨体が舞い上がる。
海峡を飛び越え、四羽の黒チョコボは森の縁に降り立った。
81 ◆HHOM0Pr/qI :2007/02/12(月) 23:47:12 ID:Ypn9btB30
FINAL FANTASY IV #0462 5章 3節 不和の旋律(11)

大きく鋭い鉤爪のついた足が、太い枝をしっかりと掴む。翼を広げ、しなる枝の上で巧みにバランスを取って揺れがおさまるまで待つ。
まだ地面ははるか下にあった。もつれ合う枝が足場を作り、四人と四匹の体重を支えている。
セシルたちは足元を確かめると、黒チョコボを降り、カラブの実が詰まった袋を手近な枝にかけた。
漂う芳醇な香りに、利口な鳥たちが甘えた鳴声を発する。袋の口を緩めると、チョコボたちは喜んで顔を突きこみ、好物をむさぼり始めた。
セシルたちは突き出た幹に4本の縄をかけ、それぞれの端に輪をつくった。目で合図を送り、いっせいにチョコボの足に結わえ付ける。
黒チョコボたちも異変に気づき暴れだすが、既に時遅く、自由を奪われてしまった。
『クェッ!』
「ごめんよ。戻ってきたら解くから」
繰り出される蹴りをかわしながら、セシルはチョコボたちに詫びる。
チョコボという種族は帰巣本能が強く、背から降りた途端、一目散に住処へ戻ってしまうのだ。
つながずともその場に留まるチョコボとなると、百の卵を孵して一羽得られるかどうかもというほど貴重なのである。
黒チョコボにも同じ性質があるとは限らないが、セシルたちに他の方策はなかった。こんなところで置き去りにされてはかなわない。
5本目の縄をおろし、瘤だらけの幹を伝って地上へ降りる。地面はかなり乾いていて、ブーツのめりこみ方も先日の日ではない。
テラがテントを解体して、魔物避けの方陣を描いた。半日ほどで効果は切れるが、その前にセシルたちが戻っているはずである。
全ての準備を終えると、セシルたちは磁力の洞窟に向かって歩き出した。すぐに森は途切れ、灰色の岩肌が取って代わる。
「いよいよじゃの」
「………ああ」
それぞれの得物を構え、洞窟へと足を踏み入れる。
壁に含まれた鉱石が燐光を放ち、死者の魂のように揺らめいて、一向を迎え入れた。
82名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/13(火) 09:35:05 ID:6JN8isro0













83名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/14(水) 10:30:30 ID:jvQlZLzUO
>>80-81
神の描写、いつもGJ!
続きがワクテカ!
84名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/14(水) 23:34:51 ID:NRzmkYIgO
糞スレ
85名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/15(木) 09:51:42 ID:RqnwHHwf0
>>80-81
GJ!!チョコボの描写がすごくよい。
86名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/16(金) 19:09:18 ID:dhGgJIrE0
87名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/17(土) 23:12:38 ID:J59klH640
88名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/17(土) 23:40:28 ID:9YrZ1/EV0
89名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/18(日) 18:18:51 ID:1S6ZgracO


ウ゛

90名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/19(月) 18:08:08 ID:LtpSVyLB0


91名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/21(水) 20:25:11 ID:5dDnlEEC0
だな
92名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/22(木) 21:04:32 ID:Bz7ONIsNO


93名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/23(金) 11:50:18 ID:5jl1Dzlj0
 
94名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/23(金) 15:57:42 ID:Dq3/gLlsO












95名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/25(日) 14:46:21 ID:Z2AFchhG0
96名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/26(月) 23:41:07 ID:Hag3q54W0
97名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/27(火) 10:57:21 ID:K00qCOKC0
煽りに負けずがんばるのだ
98名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/02/28(水) 21:49:22 ID:EGqBHAhI0
保守
99名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/01(木) 11:17:01 ID:vhySMI6S0
以前の299氏はコテつけたの?
100名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/02(金) 13:53:25 ID:gp/OOwox0
















101バニラビーンズ ◆BRsbobrq/Y :2007/03/02(金) 14:02:52 ID:FiRXHTil0
煽ってるのが携帯厨wwww
102名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/02(金) 17:36:45 ID:M2O/2X4x0
保管庫落ちてるので作っていい?
103名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/02(金) 17:52:38 ID:JBHIZZxK0
任せたぞ
104名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/02(金) 23:08:37 ID:M2O/2X4x0
ttp://co2.jp/humakiraz/
とりあえず途中まで保管した
7スレ目は見れないからとりあえずスルー
FF4多いから面倒だな……
105名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/03(土) 00:55:20 ID:kvvzktbNO
キモチワルイスレ
106名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/03(土) 08:56:18 ID:6u9e+AlD0
>>104
乙!
107名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/03(土) 12:47:42 ID:xmsUthvB0
>>104
GJ!&乙
108名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 12:57:20 ID:1dwjTsFT0
まとめ乙、と言いたいところだが、よりによって7ACってw
あんなの保存する価値があると思ってんのは作者だけやんw








稿










109名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 13:21:27 ID:0rufuZACO
FFの映画っておもしろい??
110名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 15:58:27 ID:vomu+53N0
飽きないねえ君も
111名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/04(日) 21:22:02 ID:+1ExEU6X0
当分消えないな
諦めず保守
112名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/05(月) 13:16:31 ID:1WYwyHYs0






























113名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/06(火) 19:25:05 ID:T4xDZiZtO
FF9かFF10キボン。


下手くそでいい。書いて活気をつけてくれ
114名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/08(木) 01:40:44 ID:JPkju6ag0
保守
115名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/08(木) 15:42:27 ID:hAcSl/so0
保守
新保管庫更新無いな……
116名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 09:04:55 ID:3mWF4Ij70
つ AC保管庫
117名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/09(金) 22:33:09 ID:Dzn+RA920

3月1日から更新してないが?
118名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 13:00:43 ID:UV8++7R70





























119名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 13:02:36 ID:lwX7PSrx0
なんか知らんが凄いアンチだ。
このスレも悲惨だな
120名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/10(土) 16:46:14 ID:0lQ65KZjO
アンチンポ
121名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/11(日) 13:02:36 ID:CuX0PfMI0






























122名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/11(日) 20:17:35 ID:8G+JQV+s0
123名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 16:09:55 ID:P/6e2DZs0






























124名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 19:44:37 ID:eTOTjBB10
この場所に腰を下ろしてからどれぐらいの時間が経っただろうか。分からない。
振り返ってみれば、他の仲間が囲んでいる焚き火はとおに燃え尽きていた。
煙さえ立ち上っていないところを見ると、俺は随分と長い間夕日ばかりを眺めていたのだろう。
夕日なんてこれまで何百回も見てきたはずなのに、俺はじっと丘に座ってそこから見える夕日を眺めていた。
ただ、世界の終わりって、こんなものなのかなと唐突に考えたりもした。

ゆっくりと腰を上げた。
夕日から目を逸らすと明度の差で一瞬だけクラリと視界が歪む。

足元の待宵草がしゃらん、と揺れる。
ゆっくり、歩を進める。
俺をいれて、焚き火の跡を囲んでいるのは8人になった。
いつしか宿屋で過ごしたみたいに騒ぐことはなく、皆俯いたり遠くを見つめている。思い思いに視線を遊ばせているけれど、きっと考えることは同じなんだなって、思って。
俺はゆっくりと口を開いた。

「最後かもしれないだろ」

一度深く息を飲み込む。“最後”という単語に心なしか力が入った。夕日はまだ沈まない。
立ち上がった俺を見上げる仲間の目をみて、なんだかあついものが込み上げた。この気持ちに名前を付けるとしたら到底思い浮かばない。

ただ、悲しかった。本当は嬉しいはずなのに。旅の終わりを喜ぶべきなのに。一番近い名前で表現すればきっとこの気持ちは【悲しさ】なのだろう。

込み上げてきそうな何かを堪えるために、そっと自分の手を握りしめた。
手の平の豆がチクリと痛む。ざわりと夕方の涼しい風が吹き抜けた。

「だから、全部話しておきたいんだ」

これは、俺の、俺だけの物語。
待宵草に合わせるように、今度はちゃんと「しゃらん」という音が耳に伝わった。見れば、丘の上に突き立ててある杖。俺たちがずっと守り続けてきた女の子の、その職務を証明する召喚士の杖の鈴が風に揺れていた。凛とした儚い音が、やけに耳をつく。

息を飲むような夕日が照らす丘の上。全てを無音に包み込んでしまうような風の中で俺たちは、運命に立ち向かった。
125名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 20:00:50 ID:VGrf8DQ30
すれ違い
126名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 20:03:25 ID:VGrf8DQ30
うわ、誤爆スマン…orz
えっと、これは…えっと…すまんやったことないやつ…orz
127名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 20:13:32 ID:eTOTjBB10
ちょ…こっちが>>2見てなかったorz
FF10もう書いてたのね

スルーお願いします
128名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/12(月) 22:03:28 ID:l0B0II7P0
前の続きから書けばいいんじゃないの?
前書いてた人はもう来ないような気がする
129名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 13:28:03 ID:7NXsm9DR0
FF6-korutu mountain-(6)

「ぬ、来たか、マッシュ」
ゆっくりとマッシュに向き直って、バルガスが言った。
「なぜ、なぜ、おっしょうさんを・・・実の息子であるあなたが・・・」
搾り出すような声で、マッシュが返す。
「知れたこと、あの男は一子相伝の究極奥義を、こともあろうに貴様に伝えようとした。
この俺を差し置いて、技量の未熟な貴様にな」
「それは・・・」
ちがう、確かに俺の技量はあなたよりも未熟だが、おっしょうさまはあなたの精神に疑問をおぼえたからこそ・・・
そう反論しようとするのを遮るように、割って入った人物がいた。
「マッシュ!マッシュなのか!」
エドガーだった。
いぶかしげに声の主を振り返ったマッシュは、驚きの声を上げた。
「アニキ?なんでここに?」
「バナンさまをお連れしてナルシェに向かうところだったのだ」
「バナン様を・・・そうか、帝国打倒に向けて、アニキもようやく重い腰を上げる気になったのか!
ちっとも動こうとしないフィガロを見ていて、ジリジリする思いだったんだぜ」
「そう言うな。意味なく動くのは匹夫のする事。ずっと機を伺っていたのだ」
「へっ、アニキらしい言い様だな。それにしても懐かしいな。何年ぶりだ?」
「そうだな、もうかれこれ・・・いや、そんな事よりマッシュ、お前はここで何を?」
「いや、それがさ・・・」
130名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 13:37:09 ID:7NXsm9DR0
「いい加減にしろ、貴様ら!この俺を差し置いて何の真似だ?」
無視された形となったバルガスが叫んだ。
「いけね、忘れてた」
頭をかきながらマッシュが言った。
「アニキ、話は後でな。今はこちらを片付けないとな」
そう言ってマッシュはバルガスと対峙した。
「片付けるだと?弟弟子の分際で、言うようになったな」
「やかましい!とっととケリつけてやる。いくぞ!」
「うむ、来い!」
「食らえ、わが師ダンカン最大の拳、レベル5デブ!」
無数の闘気がマッシュの拳から放たれ、バルガスを直撃する。
衝撃で吹っ飛ぶバルガス。しかしすぐに起き上がる。
「無駄無駄無駄無駄!レベル5デスなど、この俺には通用せぬわ」
「デスじゃない、デブだ。レベル5デブ」
「何だと?」
と、見る間にバルガスの体が膨らみ始めた。
「な、なんんだこれは?、か、体が重い・・・」
「それがレベル5デブだ」
勝利を確信したマッシュが落ち着いた声で言った。
131名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 20:18:06 ID:svsjBZnN0
どっかで見たような気が・・
132名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 22:47:12 ID:TynOE7JF0
うん…元ネタがわからん…創作?
133名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/13(火) 23:30:15 ID:QKn3ZMWb0
昔、FF6を小説にするっていうスレがあってそこの転載かな?
あれは最初面白かったが・・
134名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 00:19:37 ID:33pi262Q0
昔レベル5デブってスレがあったのだけは知ってるが…うーむ
135名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 07:25:15 ID:q9YCu4KH0
これは…
136名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 12:01:05 ID:geH8SZqZ0
>>129-130はスルーしていいのか?
話も微妙に本線とは違うみたいだし。
ちょうど>>18-24の続きを書いていたんだが……
137名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 13:10:10 ID:tXPawV4QO
゙真面目゙のかけらもないし、スルーでいいでしょ
138名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 13:20:41 ID:6EZZvW+C0
FF10書いた奴と同一人物と見たw
139名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 13:42:44 ID:geH8SZqZ0
>>137
了解。それじゃあ、>>18-24の続きということで、投下します。
140FF6-Mt.koltz-(6):2007/03/14(水) 13:43:25 ID:geH8SZqZ0
 筋肉に覆われた2メートルに達しようかという巨躯。短く刈り込んではいたが、自分とよく似た色の金髪。わずかに伸びている後ろ髪は赤いリボンで結っている。
 風が吹いた。
 土や草の匂いに混じって、僅かに茶の香りがした。かいだことのある、あいつの好きな、お茶の香りが。
「大丈夫か、エドガー?」
「……エドガー?」
 昔はあんなに病弱だったのに、大きくなったな……
 ティナとロックに助け起こされながらも、エドガーはその逞しい後姿を眺め続けていた。

「マッシュか!」
 鼻血をぬぐいながら、バルガスは怒りと憎しみのこもった声をあげた。
 対するマッシュの表情は、戸惑いと、悲しみ。
「バルガス、なぜ……なぜ、なぜ、ダンカン師匠を殺した? 実の息子で、兄弟子の貴方が!」
「それはなあ……奥義継承者は息子の俺でなく……拾い子のお前にさせるとぬかしたからだ!」
 バルガスの言葉に、マッシュはかぶりを振って否定した。
「それは違う!」
「どう違うんだ? 違わないさ、そうお前の顔に書いてあるぜ!」
「師は、俺ではなく……バルガス! 貴方の素質を……」
「たわごとなど聞きたくないわ!」
 吼えてバルガスは身構えた。
「自らあみ出した奥義! そのパワーを見るがいい!」
 狼狽するマッシュを睨みすえ、バルガスが叫ぶ。
「必殺! 連風燕略拳!」
 再び繰り出される竜巻に、マッシュは踏ん張って耐えた。
 しかし次の瞬間、マッシュの眼前には――マッシュから見ても――巨大な肉体が迫っていた。それはまさに風の如く。変幻自在に繰り出される拳がマッシュを襲う!
「おぉああぁあ!」
 しかし修行の賜物か、たとえ精神が不安定であろうともマッシュの体は自然に動いていた。無数の拳を弾き、受け止め、避け……
 再び両者は距離をとって対峙した。バルガスは無傷。マッシュは腹部に一撃くらっていた。
「さすがはマッシュ。親父が見込んだだけのことはある男」
「や、やるのか……」
「宿命だ。そしてお前には私を倒すことは出来ぬ! それもまた、宿命だ!」
141FF6-Mt.koltz-(6):2007/03/14(水) 13:44:05 ID:geH8SZqZ0
 戸惑いの表情を残したまま、マッシュは構えた。再び突撃してくるバルガスを迎え撃つ。
 怒りに震える拳を避け、憎しみに燃える脚を受け。バルガスの猛攻に、マッシュは防戦するしかなかった。
「オラオラ!」
 受けて受けて避けて受けて……マッシュは体の異常に気が付いて大きく後退した。
 腹の奥に違和感が……
「ごほ!?」
 大きく咳き込み、マッシュの口の中に鉄の味が広がった。手には赤い液体。腹が痛む、膝が震える。
「お前の命も、あとわずかだ!」
 どうやら、先ほどの一撃が効いているようである。確かにあまり長くは持ちそうにない。
 早くけりをつけたいところだが、止まない攻撃に反撃の糸口を見つけられず、ダメージだけが徐々にマッシュの体を蝕んでいった。
「どうしたマッシュ、あとがないぞ!」
 バルガスのハイキックを腕を交差させて受け、大きく後退したマッシュは、背をなで上げる風に背後を振り向いた。そこには暗い谷底が口を開けて待っていた。
 腹の痛みも増してきている。口の中に広がっていた鉄の味もわからなくなってきた。息も荒く、片膝をついてしまっている。
「くっ、そ……!」
 バルガスがゆっくりと近づいてくる。勝利を確信しているのだろう。口の端を吊り上げ、邪悪な笑みを浮かべている。
 突如、マッシュの脳裏にある人物が現れた。もう二度と聞くことはないと思っていた師の姿が。
142FF6-Mt.koltz-(6):2007/03/14(水) 13:44:38 ID:geH8SZqZ0
『闘いの基本は隙をつくことじゃ。そして、その隙は勝利を確信したときにこそ出やすい。
 よいか、たとえ相手が這いつくばっていようと、虫の息であろうと、決して隙を見せてはいかん! 手負いの獣ほど危険なものはいないからな。
 逆に、自分が追い詰められているときにこそ、相手に神経を集中させるのじゃ。勝利を確信した相手には隙が生じる。
 相手の隙を見極められれば、多少の実力差など簡単に覆せるのじゃ!』
 そう言いながら、師はいつもマッシュとバルガスを手玉に取っていた。一部の隙も見せずに。
 バルガスが拳を振り上げた。……隙だらけだ。
「俺の勝ちだ。やはり奥義を継承すべきは俺だったんだ!」
(師匠から何を教わっていたんだ、バルガス……。これじゃあ、師匠がうかばれないじゃないか)
 振り下ろされる拳。隙だらけの大ぶりな一撃をマッシュはバルガスの懐に飛び込んでかわした。
「バルガス……」
 マッシュの拳に力がこもる。腕が一回り大きくなったような気がした。
「爆裂拳!」
 無防備な兄弟子の腹に、マッシュは何度も何度も拳をめり込ませた。師から教わった奥義を、全力でバルガスに叩き込んだ。
「うっがががっ! す、既にその技を……!」
 バルガスは前のめりに倒れ、そのまま谷底へと落下していった。
「貴方のそのおごりさえなければ……師は…………」
 つぶやくマッシュの言葉は、谷に反響することもなく。
 暗い谷底は、次の食事を待ちわびているように口を開いていた。
143FF6-Mt.koltz-(7):2007/03/14(水) 13:45:53 ID:geH8SZqZ0
「マッシュ!」
 戦いが終わり、谷底に視線を落としている男にエドガーは声をかけた。ゆっくりとマッシュは振り返る。
 次の瞬間、ぽかんと口を開いた。
「兄貴?」
「お……弟、双子の!?」
「お……弟さん? わ、私……てっきり大きな熊かと…………」
 マッシュ以上に驚きの声をあげたのはロックとティナだった。
「熊ァ!? 熊か……そりゃあいい!」
 二人の驚きも無理もないだろう。エドガーといえば、女性という女性に片っ端から声をかける軟派な男である。まさかその彼の弟が、熊と間違えられて大笑しているこの大男だとは誰も思うまい。
「マッシュ、今の男は……」
「あぁ……さっきの話を聞いてたろう? 俺が弟子入りした人の息子で、俺の兄弟子だ。どうやら、奥義継承者が俺になってしまったらしく、それに逆上して師を殺して姿をくらませたんだ。
 だから一度、会って話をしたくて探していたんだが……こういう結果になっちまった…………」
「………………」
「まあ、残念なことになっちまったが、暴走したあいつが歪んだ拳をこれ以上ふるうのは、師匠も望まないことだと思う。
 バルガス……あの世でもう一度、師匠に鍛えてもらいな。技だけでなく、心も……」
 再び谷底へと視線を移し、マッシュはつぶやいた。
「マッシュ…………」
「それより兄貴。いったい何だってこんなところに?」
 再びこちらをみたマッシュに、悲しみの表情はうかがえなかった。感情を押し殺しているのだろうか?
 あまり触れないほうがいいだろう。エドガーは弟の問いに答えた。
「サーベル山脈に行くところだ」
 マッシュの目が鋭くなった。詰め寄って更に問う。
「もしや……地下組織理ターナーの本部?
 とうとう動き出すか! 影ながら冷や冷やしてながめていたぜ。このままフィガロは帝国の犬としておとなしくしているのかってな」
「反撃のチャンスが来たんだ。もうジイヤたちの顔色をうかがって帝国にベッタリすることもない」
「俺の技もお役に立てるかい?」
 力強く構えて見せて、マッシュは言った。
「来てくれるか? マッシュよ……」
「俺の技が世界平和の役に立てればダンカン師匠もうかばれるだろうぜ!」
144名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 13:48:43 ID:6EZZvW+C0
なんかあっさりしすぎの感じもあるが、とりあえず乙。
145FF6-Mt.koltz-(7):2007/03/14(水) 13:49:02 ID:geH8SZqZ0
 うなずいて、マッシュはロックとティナに向き直る。
「このフィガロ国王の弟、マッシュだ。よろしくな!」
「俺はロック。トレジャーハンターだ。まさかエドガーの弟がこんな筋骨隆々だとは思わなかったぜ」
「ティナよ。さっきは熊だなんて言ってごめんなさい」
 再びマッシュは大笑した。
「いいっていいって、気にしないでくれ。っげほっごほ!」
「大変、さっきの怪我が!」
「大丈夫か、マッシュ?」
「ああ、ちょっと内蔵を傷めちまったのかもな」
「ちょっと待って。――」
 言うとティナは呪文を唱え始める。
「――ケアル!」
 柔らかな光に包まれて、マッシュの傷が癒えてゆく。あちこちにあったあざやすり傷も全て消えてしまった。
「お? なんだか体が軽くなったぞ。凄い能力だな。ありがとよ、ティナ!」
「う、うん。どういたしまして」
 快活にマッシュは礼を言う。少し予想と違った反応に、ティナは戸惑った。また驚かれるのではないかと思っていたようだ。
 ロックとエドガーが二人から離れて何やら密談を始めていた。
「魔法を見ても全然驚いてない……お前の弟は凄いな」
「いや、単にアバウトなだけだろう……」
「ロック、エドガー。どうかしたの?」
「いや、なんでもないよ、ティナ」
「さ、行こう!」
 怪訝な表情で近づいてきたティナの肩に手をかけようとしたエドガーを押しのけて、ロックは出発の声をあげた。
146名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 16:07:38 ID:90eiC4Yv0
>「たわごとなど聞きたくないわ!」

「わ」で改行しないなんて…!
とにかくGJ。
147名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/14(水) 19:54:45 ID:K7m3QUsn0
まとめ更新したがいくつかのスレが見れないな
148名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 00:56:44 ID:w/TXmbEL0
日本語でおk
149FF10−夢の始まりー1:2007/03/15(木) 02:06:54 ID:HtWV8wFH0
目の前に立ちはだかる大槍状の生物<シンのコケラ>は巧みな剣術を持つ中年の男性によって、切り倒された。
同時にその生物は無数の白い光の塊となって四方八方へと散っていく。少年はその見たことの無い光景に暫く目を奪われていた。
はっ、と気を取り戻した時には、隣にいた中年の男性、アーロンはもう小さく見える程先にいた。慌てて少年は閑散としたフリーウェイを駆けていく。
アーロンの元へ追いつくよう、駆けていく途中、一つの建物に映る広告像が目に入った。
少年が幼い頃から嫌い、避け続けた父親、ジェクトの広告像。腕を組み、自身に満ちたその表情はなんとも彼らしい。
「笑ってんじゃねえよ、クソ親父。」
そういつもの様に悪態をついてその場を走り去っていった。
150FF10−夢の始まりー1:2007/03/15(木) 02:10:30 ID:HtWV8wFH0
めっちゃ短い・・・それに稚拙でごめん。
151名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/15(木) 06:49:55 ID:pFXNFjkWO
短いなwwwwでもとりあえずGJ
152名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 11:25:21 ID:cZYqoeGP0

稚拙な文章など読みたくない
























わ!
153名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 11:45:02 ID:x6jOyV6YO
>>152とりあえずsageろよ。それとお前だけだよ、そこまで稚拙じゃない
154名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 11:53:19 ID:cZYqoeGP0

















155名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 12:45:34 ID:cZYqoeGP0
>>68と、それに続く諸君の反応がこうさせたのだ。
こうなることは十分予見できたというのに。愚かな。





























156名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 16:50:28 ID:rmPUjFap0
>>68からずっと粘着してるのかw
かわいそうな奴
157名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 18:13:10 ID:iq9T2Kgn0
こういう文章系スレ荒らすヤツが漢字間違うハズないって。
スレを活気づけようと頑張ってる保守屋なんじゃない?
いつもご苦労さんw
158名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/16(金) 23:52:32 ID:3LGbzsbZ0
保守屋さんw
159名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 00:24:24 ID:HM82b/KvO
なるほどww構ってちゃんな保守屋さんかwww
160FF10−夢の始まりー1:2007/03/17(土) 01:55:54 ID:qsWWUwY90
相当な距離を走った。追い掛けていた影はいつの間にか隣に見えていて。
「アーロン!逃げた方がいいって!」
肩を上下に大きく揺らしながら声を絞り出した。
「迎えが来ている。」
「はあ?」
そう一言返すとアーロンは再び道なりに歩き出した。
「つきあってらんねえっての!」
追い着こうと気持ち速足で歩くも、直ぐに足を止める事に。
無数の魔物がザナルカンドの空から流星の如く二人の周りに降り注いだから。
羽化を始める蝶の様に翅を広げる。とは言っても蝶の様に翅が伸び切るのに数十分必要な訳でなく。
決して美しく無い翅を激しく光らせながら、攻撃のタイミングを計っているようだった。
161FF10−夢の始まりー2:2007/03/17(土) 02:28:11 ID:qsWWUwY90
「ふん、手に負えんな。」
アーロンは太刀を構えながら呟く。
いくら凄腕の剣士でもこの数の魔物相手では仕方ない。分かっているからそう言葉が出たのだろう。
それでもここで死ぬ訳にはいかない。[迎え]が来ているのだから。この場を打開する為に周りに目を向けていた彼は1つの[武器]を見付けた。
「おい、あいつを落とすぞ。」
慣れない剣を必死に振り回しながら魔物から身を守っているティーダに声をかける。
アーロンが促す方へ目をやった先には、路端に引っ掛かっているタンクローリー。どうやらそれが彼の打開策らしい。
「何で!」
意味が分からずに理由を聞くとアーロンは
「面白いものを見せてやる。」
そう言って魔物の大群を剣で掻き分け乍路端へと向かっていく。ティーダも攻撃をかわしながら向かう。流石はブリッツのスター選手。反射神経の良さは素晴らしい。
相変わらず魔物に囲まれているもしっかりと対応しながらタンクローリーを落とす作業を進めていく。
162FF10−夢の始まりー3:2007/03/17(土) 03:44:56 ID:qsWWUwY90
アーロンが最後に太刀で衝撃を与えると半壊していたタンクローリーは高架橋の下へと落ちていった。
(これで本当に助かるのかよ・・)そう考えていた次の瞬間、ドン!!という音と強い光。落としたタンクローリーが下方で爆発した為。同時に隣に聳え立つビル、ジェクトの広告像が映し出されたビルが衝撃によってティーダのいる方へ倒壊してくる。

「うわわわわわわ!!!」
慌ててティーダはその場から離れ、安全な方へと身を置く。それと同時にアーロンの作戦が当たった事に感心した。あれだけいた魔物の殆どが崩れたビルの下敷きとなっていたから。再び二人の前に道が開けた。
「走れ!」
アーロンが促す。自分達が立っている高架橋も崩れ始めていた。
燃え盛る道を掛け走る。必死に必死に。
自分の後ろの方で大きな爆発が起きた。その爆発による爆風を利用して大きく飛び上がり目の前に見える崖飛び移った。
間一髪で落下を免れる事はできた。が、足は宙に投げ出され、両手だけで身体を支えていたその状態は決して安心出来ない。
落ちまいと必死でもがくティーダの目にアーロンの姿が見えた。
「アーロン!!アーロン!!」
助けて欲しい。その一点で名を叫び続けた。
「いいんだな?」
アーロンの問い掛けはティーダではなく、上空に見える異形の生命体、「シン」にであった。
倒壊した街を引き寄せる光景は不気味で他ならない。
アーロンはティーダの胸ぐらを掴み持ち上げる。腕の力じゃない。「シン」が引き寄せているのだ。フワッと持ち上げられる感覚が証明していた。
「覚悟を決めろ。 他の誰でもない・・・。これはお前の物語だ。」
最後の言葉と同時に二人は光に飲まれた。
163名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 12:29:15 ID:q8+Me2dY0

 
あ  





す 


じ 





164名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 12:58:42 ID:+vRPIlqV0
そして保守乙
165名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 14:20:27 ID:q8+Me2dY0































166名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 14:33:01 ID:q8+Me2dY0









>>ff10
・小説以前のあらすじでしかない
・読んでいて情景が目に浮かんでこない
・かといってキャラに感情移入できるほどの心理描写があるわけでもない
・総じてダラダラ感がつきまとい、最悪なテンポ

ブログ世代の悪い傾向だ。
お気楽に自分の書いたものが世に問える反面、
世に問うだけの文章力が備わっているかを顧みようともしない。
167名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 14:37:03 ID:ThZrGdPT0
俺はお前を支持するぞ。
がんばれ!
168名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/17(土) 14:39:18 ID:NHWz8WN3O
なんというジェントルマン…
辛口感想は貴重だ。
169FF10−夢の始まり:2007/03/17(土) 16:32:52 ID:qsWWUwY90
>>166コメント乙。 そうかあ、やっぱ難しいな。こうすればまともになるっていう助言も頂けないか?
170名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/18(日) 04:08:47 ID:oOKVOtS2O
とりあえず頑張れ。書くなとはいわないから。努力あるのみ
171名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 01:51:51 ID:y4Ck0Yja0
保守員仕事しろよw
172名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/19(月) 13:03:04 ID:AdQDelxf0
いや、来ないなら来ないで全然いい
173名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/20(火) 07:15:28 ID:lrISwrrdO
一文が短いのは故意的なものか否か。
174名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/20(火) 18:29:28 ID:wM5Z/IAf0
>>166
早くFF9書けや
175名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 09:15:23 ID:HorosDpDO
糞スレにたかる蝿ども
晒 し あ げ ↑↑↑↑↑↑↑
176名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 12:09:14 ID:78WLC1mOO
FF9が充分糞なのも周知の事実
177名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 15:18:48 ID:kckuvEnp0
一年前にFF5を書いていた者です。
この一年は受験で手が付けられませんでした。すこしだけ書いたので
投下します。
178FF5:2007/03/21(水) 15:33:50 ID:kckuvEnp0
FINAL FANTASY 5 (64) 「飛竜」15

巨木のような腕が疾風となって迫ってくる。その攻撃は単純で素直であり、そして残虐。
容赦のないその一撃をもろに受けることは、即ち死を意味していた。

それは拳打か、手刀か、嘗底か、それは恐らく些末な問題だろう。とにかくバッツは後ろに跳躍して袈裟から下ろされる
一撃を避ける。ソレを受けていれば、その部位の骨は間違いなく粉砕するだろう。

しかし、この化け物の勢いは止まらない。
こいつは一つの方法しか知らないのだろう。
接近して、攻撃して、殺す。
それだけのことが、如何に恐ろしく合理的であるのか、バッツは今身を持って思い知っていた。

だが相手に隙がないわけではない、これほどの大振りだ。
左のストレート、さらに後退したが、その長い腕がバッツの胸に叩き込まれ、景色が倍速で遠のいて行った。
ミシッ、という自らの骨が軋む音を聞きながら、なんとか倒れずに地に足を着く。
後ろに下がりながらだったので威力は半分にも満たなかったが、それでも侮れるダメージではない。
「うっ、くそ・・・!」
バッツに相手の隙は見えているし、体術で劣るとも思わない。しかし圧倒的な身体能力の差がそこにはあった。
(1対1の勝負じゃ、勝ち目はない!)

二人の距離は3.5メートル、フォルツァならば1拍で詰める距離だ。
そして、今まさにそうしてバッツの息の根を今度こそ止めてみせよう、というその瞬間、フォルツァの
背後に青い光が輝いた。

「ブリザドッ!!」
レナがフォルツァに向けて突きつけているロッドの宝玉から青白い冷気の光が迸る・・・!
179FF5:2007/03/21(水) 15:35:32 ID:kckuvEnp0
FINAL FANTASY 5 (65) 「飛竜」16

「ヒヒヒヒッ!焼け死にな!」
マギサは再び魔法の標的をファリスに戻した。
一瞬、ゆら、とファリスの視界が歪んだ。その光景は見覚えがあった。黒魔法『ファイア』。
しかしマギサの放とうとしているそれは、道中レナが放ったものより威力が大きいだろう。熱の感じ方が違う。ましてやこの
至近距離で受ければ剣で振り払うどころの問題ではない。全身丸焼きにされてしまう。
ファリスはほんの一瞬考え、そして、

「おおおおお!!」
マントで身を守りつつ、そのまま突進する。
直後、灼熱が全身を包む。ファリスならば二拍あればこの灼熱を突破し、マギサに肉迫できるだろう。火炎自体の殺傷力
は低い。一種の賭けではあるが、少ないダメージで接近できれば勝てると踏んだのだ。
だがこの炎はただの炎ではない。魔力で練られた、意志を持った悪意の火。執拗にファリスに纏わりつき、焼き尽くそうと猛る。

二泊、ファリスは灼熱を脱し、剣を振り下ろす。マギサは咄嗟に腰から短剣を抜き、剣を交えた。
押しつ押されつの均衡。本来なら腕力ではファリスに分があるのだが、ファリスは段々と力負けし、押されつつあった。
ファリスはファイアの炎に焼かれ、手足の神経が麻痺しかけていた。筋肉に力が入らないうえに、膝は震えている。
「ヒヒ・・・ヒ・・・」
「ちっ・・・しくった・・・!」
二人の視線が交わった。何が気に入らなかったかと言えば、マギサはファリスのその眼が気に入らなかった。絶望を知らない、
決して諦観しないその勇気が。
「アアアアア!」
力任せにファリスを押し倒した。仰向けに倒れるファリスの上に馬乗りになったマギサ、ファリスの眼はまだ絶望しない。
それに完全にキレたのだろう、素早く剣を振り上げ、ファリスの首に突き立てようと振り下ろす、
その直前

その腕を、死角から素早く接近したガラフが掴んだ。
「フンッ!」
マギサに防御体勢を取らせる間もなく、一本背負いの要領で空中に放り投げた。
180FF5:2007/03/21(水) 15:37:36 ID:kckuvEnp0
FINAL FANTASY 5 (66) 「飛竜」17

一瞬我を忘れたマギサは、ハッとして空中で体勢を整える。
しかしもう遅すぎた。
マギサは今断崖へと向かって空中を進んでいる。そのまま行けば何とか崖に落ちるか落ちないか、というところだろう。
ファリスが、かすかに震える掌をマギサへと向けた。
「アッ・・・」

思い出す。つい数秒前、マギサがガラフへと放った魔法。そのときのマギサを流れる魔力の練られ方、流れ方・・・全てを。
その手に流れる自らの魔力を感じ、解き放つ!

「エアロ!!」

放たれた風の塊は、マギサの服と体を引き裂きながら、吹き飛ばす。
エアロ、そして特大のファイアと連続して魔法を放ったマギサは、瞬時にさらに魔法を放てるほどに魔力を練ることができ
なかった。
下級の風の魔法、しかしマギサほどの体重の人間を2mほど空中で押し出すには十分な威力だった。

「ウ・・・アアアアアアアアアァァァァ・・・ァァ・・・・・・ァァ・・・」

マギサは、そのまま深緑の中へと消えていった。

「バッツ!レナ!」
ガラフとファリスが同時に振り向いた。
バッツは口から血を流していたが、フォルツァに剣を突きつけていた。レナも後ろからロッドを突きつけている。
状況は明白だ。

「見たとおりだ。アンタの相方は死んだ。先に仕掛けてきたのはそっちだし、文句を言われる筋合いはない。・・・・まだ
続けるのか?」
淡々と、それとも感情を付ける余裕もないのか、バッツが告げた。
181FF5:2007/03/21(水) 15:39:39 ID:kckuvEnp0
FINAL FANTASY 5 (67) 「飛竜」18

フォルツァは、形容しがたい複雑な感情を抱いたが、すぐに捨て去った。
そもそも、そんな悲しみにくれる資格など自分にはない。
そして今の状況・・・1対4。勝ち目はゼロだ。
「いや・・・まいった・・・」
少しの間バッツは剣を突きつけていたが、すぐに納めた。

どっかりとその場に座り込んで、フォルツァはうなだれた。
そうして落ち着くと、何故かいつもより頭がすっきりした。
フォルツァは妻とは言いつつも、そう思ったこともないし、抱いたこともない。確かにバッツが言うとおり、フォルツァとマギサの
関係を言うとすれば、それは”相方”または”相棒”が最も適切だろう。
しかし、その相棒と共に人を殺めてきた。そんな自分が相棒の死を悲しんでやれる資格などない。

「何故、山、来た?」
低い声でフォルツァが聞いた。
「飛竜だよ、タイクーン王のなんだが、そいつを追ってきた」
バッツが懐から小型の魔法飲料ポーションを出して、ガラフとファリスに渡しながら答えた。
そのバッツに頭だけ向き直り、フォルツァが言う。
「・・・・・・・山のテッペン、そこにいる」
バッツたちは驚き、一瞬沈黙する。
「そいつは本当か?」
聞いたのはファリスだった。
フォルツァは虚空を見つめたまま、ゆっくりとうなずいた。
四人は顔を見合わせていたが「とにかく行ってみよう」というバッツの言葉で、頂上を目指して歩き出した。

(あの人は、この先ずっとひとりなのかな・・・)
レナはそう考えたが、その後のフォルツァのことを何も想像できなかった。
王城の外のことを知らない自分。ましてや孤独など想像すらできない自分が、なんとなく歯がゆい思いだった。
182名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 15:43:53 ID:kckuvEnp0
とりあえず以上です。
多分何もいわずに一年放置していたというふうに記憶してます。
マジですいません。

なんとか場面を切り替えてスピード感を出そうと思ったんですが、駄目ですね、やっぱ。
バッツとレナvsフォルツァの途中経過は省略しています。
アドバイスとか待ってます。
183名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 20:19:44 ID:Y1YzuMvR0
やや視点が乱れている。
あと基本の三点リーダーはちゃんとするように。
184名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/21(水) 23:05:27 ID:kckuvEnp0
なるほど、読み直してみて実感しました>視点乱れ
三点リーダー気をつけます。
アドバイスありがとうございます、如何せん未熟者なもんで。
185名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/23(金) 00:50:07 ID:0ZVVUi0u0
ほしゅ!
186名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/24(土) 06:41:28 ID:0wA+bbk8O
めちゃくっちゃ糞スレやっちゅーねーん
187名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 02:02:50 ID:iRymsVQGO
月曜日も火曜日も
188名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/25(日) 07:04:30 ID:pLbVQaUiO
水曜日も木曜日も
189名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/27(火) 23:36:59 ID:iWwYFtKp0
ほしゅ!
190名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 05:47:24 ID:EJjiB/RMO
上げ
191名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 11:39:55 ID:jZI0vVu10
>>ff6
原作の台詞にこだわり過ぎ。
台詞のやりとりだけを原作に忠実にするあまり、他の点がいい加減になっている。
結果テンポがわるくなり、ボリューム配分も中途半端。何も伝わってこない。
これではただのシナリオ集。
ゲームと小説、媒体が異なれば表現方法も異なる点に留意。
原作からの引用は印象深い台詞だけに留めるべき。
192名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 11:45:19 ID:jZI0vVu10
>>ff5
視点の切り替えが雑。
同一場面で複数の視点を描くと、読み手は混乱するだけ。
そもそも切り替える必然性があったとは思えない。
初心者にありがちな主語の欠落も散見される。
視点がずれた上にこれをやられると最悪。
欠落してても通じると思い込むのは、書き手の先入観でしかない。
193名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/28(水) 12:10:52 ID:jZI0vVu10
<文章構成>
・「状景描写」「行動描写(特に戦闘描写)」「心理描写」
 この3つの描き分け、組み合わせが文章にリズムとテンポをもたらす。
・1話(1レス)毎に今回は何を描写するのか、きっちり決めて書く。
 これができないと読み手にダラダラした印象を与えてしまう。

<状景描写>
・状景、背景はメインとなるものだけを細部まで描く。
・他の部分はあっさりと表面的な描写にとどめ、読者の想像力に任せる。
 すべてをきっちり描こうとすると、メインとなるものがその中に埋没してしまう。
 結果として、読み手には何も伝わらず、ただダラダラ感のみが残る。

<戦闘描写>
・一文を短く、改行を多様。
・文末を現在形「〜する」や体言止めにするのも効果的。
・たったこれだけのことでも、文章に緊迫感とスピード感が生まれる。
・心理描写の挿入は極力控える。行動描写から行間を読みとらせるくらいで十分。
 せっかくのスピード感を阻害するくらいなら、心理描写などない方がよい。

<心理描写>
・描くと決めたのなら、ストーリーの進行を止めてでもきっちりと描く。
 心理描写に関しては特に、中途半端がいちばんダメ。
・描く対象にも充分注意を払う。
 三人称小説では視点の切り替えにより、どのキャラの心理も描けるが、
 それをやると途端に安っぽくなる。
・主人公から見て、敬慕(ヒロイン)・尊敬(師匠)・畏怖(ラスボス)の対象となるキャラは
 敢えて心理描写をしない。何を考えてるか直接的にわからないからこそ、
 ミステリアスな印象を読者に与えることができ、結果としてストーリーの緊張感を維持できる。
194名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 13:53:46 ID:+ceHhPMz0
>>191-193
あんたに対する見識を改めたよ。
相変わらず口調は辛辣極まりないが、批評としては鋭いと思うな。
単なるダメ出しで終わってない点も評価できるね。
195名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 13:57:54 ID:+7nu9uvRO
自演乙と言いたい
196名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 14:10:21 ID:SjM2bk+J0
久美沙織の「新人賞の取り方教えます」読めばいいんじゃないか。
あれは小説の書き方本の中でも傑作の部類。特に初心者にとっては
197名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 19:40:43 ID:TsN+964Z0
68神だな
198名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/31(土) 10:45:21 ID:P9zgRfvK0
199名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/01(日) 21:45:17 ID:+9TX7Qlx0
作品の批評は良いとしても>>193のアドバイスは無用。
ここは小説道場のスレッドじゃないから
200名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/02(月) 22:03:43 ID:2uL5sNEL0
使えるかどうかはともかくアドバイスすることは文章の向上に役立つからいいと思うぜ
もちろん、ここで創作する前に小説の書き方本やら情報サイトやらを熟読するべきだと思うけど
201名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 00:25:14 ID:MtJmLy+e0
投下される文章に最初から完璧を求める方が間違ってると思うが。
ここは単なる匿名掲示板な訳だし、うまい文章・面白い話が読めればラッキー程度。
たしかに時折あまりにも読むに耐えない文章があるのも事実だけど、
ノベライズスレの書き手に必要なのは、対象作品への理解と熱意、それから適度な緊張感。

読み手は面白い作品を読むため、書き手は力の向上のため、
的確なアドバイスは双方にとって希望を叶える確率を高めてくれるんだから
出来る人にはどんどんやってもらいたいな。
202名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 02:24:19 ID:buSvBjVZ0
批評スレが残ってたらよかったのにね。
203名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 12:30:56 ID:yDMlhkfl0
俺は>>193みたいなのは押し付けがましいし、型にはめようとする感じが
強くて嫌だな
204名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 13:04:14 ID:f3FrmpTo0
>203
アドバイスそのものは否定しないが、押し付けがましいのは嫌いってことか?

わけわかんねーw

押し付けがましくないアドバイスなんてモノがあると思ってんのか?

「自由にやれ」ってアドバイスも、自由を押し付けてんだぜ。

お前は単に俺のことが気に入らないってだけで、
「押し付け」「型にはめる」云々はただの後付け・こじつけに過ぎねーよ。

裏が見えすぎて哂える。203は背伸びしたい年頃なんだろうなw
205名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 13:21:28 ID:Ece+3Ia50
うん、他人の性格をどうこう言う前に>>204はsageを覚えような
ちゃんとした意見言えばそれなりに擁護してもらえるんだから
そんな安易なこと書き込んで他人を不快にさせるんじゃないぜ
206名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 13:24:08 ID:f3FrmpTo0























207名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 21:15:13 ID:4Z2z7g1L0
残念ながら評価には、人を不快にさせられる(心を動かす)だけの影響力はない。
いくら口調は悪くてもあくまで「評価」だからね、そこから得る物を見出せないなら受け手側の問題。
評価を鵜呑みにするか、自己の感性を信じ貫き通すかは各々の判断。
だけど自己の感性を貫くための手段として文章を選ぶなら、評価は無いよりあった方が良い。と自分は思う。
こうして的確な評価を示せる人を、羨ましくすら思うよ。

…つーかお前やっぱ良い奴だろwwいつも乙。
208名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/03(火) 21:20:41 ID:4Jt5IkBc0
68 is god
乙なのだ
209名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 10:57:14 ID:A9OBLJRE0


















210名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 11:12:51 ID:A9OBLJRE0












 







211名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 12:01:28 ID:QknaTR+M0
とりあえず、作品投下が来ないな・・・
212名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 12:03:33 ID:bll80YWj0
>>204
うえ・・・あれアドバイスのつもりで書いたのか。
それじゃ別にいいわ。
213名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/04(水) 19:42:12 ID:XeEzFmga0
書くやつはゴッドに否定されないようにがんばるのだ
214名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/05(木) 22:26:11 ID:SB9F/jra0
保守
215名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/05(木) 22:36:36 ID:q9lQhfpI0
運用
216名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/07(土) 22:13:30 ID:UgHXMsEr0
これいきなり別のシーンを書いてもいいのか
217名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/08(日) 01:05:31 ID:IOeIqoeC0
駄目だろ
218 ◆HHOM0Pr/qI :2007/04/08(日) 03:02:01 ID:cmvE/Zm60
FINAL FANTASY IV #0463 5章 4節 Eternal Melody(1)

地底から巨大な城が生えている。磁力の洞窟に踏み込んだセシルは、そんな印象を受けた。
入り口こそ狭いものの、その先に続く空間は恐ろしく広く、そして深い。
生ぬるく湿った空気をたたえた底知れぬ深遠から、無数の岩の柱が突き出して、平らな柱頭を足場として提供している。
そしてそれらは、何本もの橋によって結ばれていた。
「変わった組み方じゃの。
 しかし頑丈なのは間違いないな」
目の前の橋を拳骨で叩き、シドは感心したように顎を撫でる。
彼の言うとおり、しっかりと組まれた木材は表面こそ朽ちているが、技師の荒っぽい試験にも立派に耐えていた。
せいぜいが数人規模の探索者が、ありあわせの材料で作ったものには見えない。
きちんと測量し、正確な図面を引き、しかるべき処置を施した建材で造られたものだ。
そのつもりで周囲を観察すると、青みがかった灰色の岩肌に細い窪みが並んでいる。動物の角を象ったレリーフに囲まれ、底には蝋の塊が残っていた。
「これは良い道標になりますな」
早速ヤンが予備の松明を挿した。いざというとき、手を使わず明かりを維持できるだけでもありがたい。
「時期を選べば、簡単に来れるって話だったけど。
 思った以上に人の手が入っているみたいだね」
「あるいは、人間以外の種族が住んででもいたか」
「ドワーフか。
 会えるものなら会ってみたいもんだがの」
テラのほうは軽い気持ちで推測を述べたのだろうが、シドの声は半ば本気だ。
洞穴に暮らすドワーフ族は、古代の英知を蓄え、匠の技を誇るとされる。頑健矮躯、鉱物と酒をとりわけ愛する、とも言われる。シドとはさぞ気が合うだろう。
だが残念なことに、ここに棲みついているのは陽気な小人ではなく、敵意をむき出しにする魔物たちなのだった。
219 ◆HHOM0Pr/qI :2007/04/08(日) 03:02:32 ID:cmvE/Zm60
FINAL FANTASY IV #0464 5章 4節 Eternal Melody(2)

鍛え抜かれたモンク僧の感覚が、音もなく忍び寄る敵の気配を捉える。
「くっ!」
身をひねりざま腕を上げ、ヤンは喉元をかばった。そこへ巨大な影が躍りかかり、赤い血が散る。
無意識のうちに、セシルの手が腰に伸びる。しかし、抜き放とうとした刃はそこにない。
背後から飛び掛った獣は、そのままセシルたちの前方に着地し、豹に似た全身をあらわした。小柄な馬ほどのもある身を低くかがめ、唸り声を上げている。
トパーズ色の地に斑点をちりばめた毛皮には、ヤンの爪による三本の掻き傷があった。あの一瞬で、急所をかばうと同時に反撃までしていたのだ。
「ワシにまかせい!」
出遅れたセシルに代わり、シドが木槌を振り上げた。もとは純粋な工具だが、その強度や重量を熟知したシドの手にかかれば、心強い武器にもなる。
雄叫びをあげてケット・シーに突進する技師を横目に、セシルはケアルの詠唱を開始した。
無理に攻撃に参加して仲間の足を引っ張るより、自らは防御に専念し、仲間の負傷に備えておいたほうがいい。
テラもまた何かの呪文を唱えかけたが、二人に任せておけると判断したのか、手は出さずに様子を見ている。
(剣が使えれば……)
攻撃に回せる人数が多いほど、反撃を受ける機会は減る。無傷のまま敵を倒せる確率が上がる。回復のために、魔力を費やすこともない。
しかしそれは出来ないのだ。洞窟に張り巡らされた磁力が、あらゆる金属を大地に縛り付ける。
剣だけでなく鎧も盾も使えない今、セシルに残っているのは、パラディンになると同時に備わった白魔法の力だけだ。
「こら、逃げるな!」
「よそう、無駄な殺生は避けたい」
戦いはすぐに終わった。不利を悟ったか、背を向けた獣にシドが罵声を浴びせる。二人とも特に怪我はないようだ。
「セシル殿、治療をお願いできますかな」
出番のなかったセシルに向けて、ヤンが左腕を差し出す。最初のケットシーの一撃は、かすり傷よりやや深いダメージを彼に与えていた。
220 ◆HHOM0Pr/qI :2007/04/08(日) 03:03:16 ID:cmvE/Zm60
FINAL FANTASY IV #0465 5章 4節 Eternal Melody(3)

エリスが城に仕えて、もう二年になる。
主な仕事は場内の清掃と食材の仕入れ、最近は庭園で飼われている鳥の世話も言いつけられることがある。
今日任されたのは、南西のテラスの掃除だった。
飛んでくる木の葉や埃を一所に掃き集め、ある程度溜まったところで籠にすくい上げる。
何度か繰り返すうちに、汗が噴き出して来た。一休みして柵に寄りかかる。折りよく吹き付けた湖からの風が、エリスの労をねぎらった。
『……応えてくれ……』
その風の合間を縫って、声が聞こえることにしばらくしてエリスは気づいた。
『聞こえるかい……セシル……
 テラ……ヤン……
 返事をしてくれ……』
驚いてあたりを見渡し、南からの日を浴びて白く輝く壁の一角に目を留める。
閉め忘れたのか、外の空気を入れたいのか。いつもなら、磨き上げられた樫の扉が嵌っているはずの場所に、今日は薄い緞帳が風に揺らめいていた。
この先は一種の離れになっていて、建物自体は本棟の一部であるものの、このテラスを通らなければ中に入ることは出来ない。あまり使われることのない部屋だが、最近は一人の客が臥せっているらしい。
異国の王族だとか、いきなり押しかけてきた例のバロン人の仲間らしいとか、さまざまな噂が飛び交っているが、あいにくエリスは実物にお目にかかったことがなかった。
立ち入りを禁じられている、という訳ではない。だが用もないのに病人の部屋に押しかけるのは、非常識というものだ。
『セシル……テラ……
 お願いだ、返事を……』
弱々しい声は、いつから続いていたのだろうか。時々混じる咳き込む音に、どうにも嫌な感じがする。
そもそも、この場にいない相手へ呼びかけ続けるのはおかしい。もしかすると熱でも出して、うなされているのかもしれない。
なんとなく周囲を見渡して、誰もいないことを確かめると──思い切って、エリスは緞帳をめくり上げた。
221 ◆HHOM0Pr/qI :2007/04/08(日) 03:05:30 ID:cmvE/Zm60
FINAL FANTASY IV #0466 5章 4節 Eternal Melody(4)

洞窟を下るにつれて、あたりの空気は急激に冷えていった。
闇の底からかすかに水音がする。次第に濃くなる、水棲のモンスター特有の生臭さ。
「上だ!」
警告と同時に闇が剥がれ落ち、天井から逆さ吊りにこちらを見下ろす、女性型モンスターの存在をあらわにする。
赤紫の髪、薄暮の色の翼、縊死体の紫に染まった肌。赤く輝く目と唇から除く牙が、彼女の持つ吸血の習性をセシルたちに教えた。
しなやかな指がセシルたちを示す。虚空から四匹の蝙蝠が湧き出し、主の命令に従って獲物めがけて飛び掛った。
「サンダラ!」
「どりゃぁっ!」
テラが杖を振りれかざし、魔法を放つ。数条の雷が敵を打ち据え、横ざまに振り抜かれたシドの木槌が、体勢を崩した獣を豪快に吹き飛ばした。
「はっ!」
同時にヤンが床を蹴り、目にも留まらぬ速さで足技を繰り出す。残る蝙蝠も塵となって四散し、伸び上がる爪先は、高みの見物を決め込んでいた女妖の眼前にまで迫った。
ばさり。淀んだ空気を翼で叩き、ヤンの攻撃を回避するドラキュラレディ。
その間にセシルは弓を引き、慎重に狙いを定めていた。ヤンが離れたタイミングを見計らい、不死なる淑女をめがけて矢を放つ。
外れた。
いち早く軌道を見切った魔物が嘲笑を浮かべる。冷たい肌に突き立つはずの矢は、翼の先をかろうじてかすめた。
次の瞬間、鏃に使われた火竜の牙の欠片が炎を発した。
光を忌むアンデッドは、光を生む火に弱い。金色の塊が翼から髪の先、そして胴体を次々に飲み込んでゆく。
悲鳴をあげる間もなくドラキュラレディは焼き尽くされ、ただ一掴みの灰がセシルたちの頭上に降り注いだ。
「お見事」
「……ありがとう」
ヤンの賞賛に含むところは感じられない。かえってばつの悪い思いで、セシルは弓を握った腕を下ろした。
剣が使えないのなら、とセシルは当座の武器に弓矢を選んだ。基本的な扱いは陸軍時代にひととおり学んでいる。
矢はいずれも何らかの魔力や祝福が込められていたし、弓も戦闘用に強化されたものだ。
だが当たらなければ意味がない。
(剣さえ使えれば……)
歯痒さが、セシルの中で育ちつつあった。
222名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/09(月) 18:23:11 ID:94kMnR6F0
gj
223名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/13(金) 22:56:46 ID:/460CQ4O0
セシルの剣が使えないもどかしさが、うまく表現されててGJ。
続き待ち
224名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 12:04:48 ID:/Cbn7Ztg0
神が講評しない・・・
225名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 12:35:26 ID:hOTzBqtV0
知らなかったのか?
神は駄作しか講評しない
226名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/14(土) 21:42:37 ID:NHOYm8BG0
駄作しか講評出来ない神などいらぬ
227名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/16(月) 14:02:09 ID:Iz2a1gZm0
ほしゅ
228名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/19(木) 19:39:51 ID:/S/gLzgX0
229名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/21(土) 19:16:46 ID:LM6kYnnU0
FF4がシリーズ最愛で本当によかった
230名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/25(水) 16:57:36 ID:MBlhe4SM0
保守
231名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/25(水) 21:34:28 ID:6pYdhzb+0
あう
232名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/25(水) 21:35:20 ID:5ZIGAlk30
まとめ放置でごめん
233名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/26(木) 00:19:47 ID:DYGGL9zh0
俺らはいつだって待ってるんだぜ
234名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/04/28(土) 11:22:24 ID:HU5AQy9b0
FFSみたいに過去の貼る
まとめサイトなくなったし。
235名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/02(水) 12:21:03 ID:EXOpOr7J0
ほす
236 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:14:44 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0467 5章 4節 Eternal Melody(5)

初めて目にする異国の男は、エリスには、狂っているとしか思えなかった。
寝台の上に上体を起こし、手にした骨細工のようなものに向かって、一人でつぶやいている。
俯いた横顔を髪が隠しているので、顔はよくわからない。ただ、大きな傷跡のようなものは見えた。
今にも命が危ういような、差し迫った気配はない。
「セシル……ヤン……
 返事を……」
声をかけるべきか、誰かに報告すべきか、素知らぬ顔で立ち去るか。迷いながら物陰で中を窺ううち、男の様子に変化が現れた。
「セシル……聞こえるか!?
 気づいてくれ、僕だ、ギルバートだ!」
呼びかける言葉に確信が宿る。耳を澄まして返事を待つ。応答はない。人の声では。
代わりに聞こえてきたのは、恐ろしげな唸り声。硬い物が打ち合う響き。柔らかく重たい何かが、どさり、と地面に落ちる音。
それらは全て、客人──ギルバートが手にした、奇妙な品から発せられていた。
ヒソヒ草、という名前をエリスは知らない。ただ、目の前の男が狂ってなどいなかったことを理解した。
厚い布を通したような、くぐもった物音が、遠く離れた磁力の洞窟での出来事を、この場に伝えているのだ。
戦いの最中にあると知って、ギルバートは一時呼びかけを中止した。息を詰めて、手の中のヒソヒ草が届ける情報に耳を傾けている。
やがて雷鳴のような鋭い音を最後に、争いあう音は止み、人の話し声が取って代わった。
聞き取り辛いが、どうやら休息を取ろうとしているようだ。
「セシル……!」
三度の呼びかけで、ヒソヒ草の向こう側から音が消える。
「ギルバートだ。ヒソヒ草を通して声を送っている。
 聞こえていたら、返事をしてくれ……」
今度ははっきりと反応があった。
荷物をかき回すような、ごそごそという音がしばらく続き、突然、音が鮮明になる。
『ギルバート!?
 本当にギルバートなのか!?』
「……ああ。僕だよ、セシル」
ギルバートの口元に、かすかな笑みが浮かぶ。こっそりその様子を見ていたエリスも、なぜか自分のことのように嬉しかった。
237 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:15:14 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0468 5章 4節 Eternal Melody(6)

進むにつれて気温はさらに下がり、氷室さながらの鋭い冷気が、吐く息を白く染める。
磁力の洞窟と呼ばれる場所が、かつて、何者かの暮らす都市であったことは間違いない。先へ進めば進むほど、痕跡は増えていった。
平らな床。鹿角を模した石造りの蜀台。木製の櫃に入った古い貨幣。つる草のレリーフを施した扉。
魔物を寄せ付けない結界が張られた部屋も、いくつか残されている。
そのうちのひとつで、セシルたちは休息を取っていた。
魔法陣の上にテントを張り、楽な姿勢で干し肉や木の実を齧る。くつろいだ輪の中心に、ヒソヒ草が置かれていた。
「さっきは驚いたよ。幽霊かと思った」
『すまないね、説明しそびれてしまって。
 でも勝手に殺さないでくれよ』
ヒソヒ草の向こうで、苦笑している気配がする。
ギルバートの体調が、確実に良いほうへと向かっていることは、その声の調子からも窺えた。
『まさか、本当に歌の通りにやるとは思わなかったよ』
「そんなに変かな?
 町の人にも呆れられたけど」
森のどこかにいる黒チョコボを見つけ、空を飛んで磁力の洞窟へ向かう──その手伝いを頼んだとき、しばらく大口を開けていたロドニーの顔をセシルは思い出した。
あまりに深い森で囲まれているせいだろうか。どうもトロイアの人間には、野生のチョコボを乗りこなすという発想がないらしい。
野生の群れが存在しない砂漠育ちのギルバートには、彼らと同様、セシルたちの行動が大胆に思えるのだろう。
『いや。……ただ、少し残念かな。
 洞窟へ行く方法を探すなら、今の僕でも手伝えると思ったんだけど』
「なんの、その気持ちだけで十分じゃよ」
「ここは我々に任せて、ギルバート殿は養生に専念されるがよかろう」
『……ありがとう。そうさせてもらう』
二人の気遣いで、空気がいっそう和やかなものになる。
それを、苛立たしげな声が一瞬で粉砕してしまった。
「ようやく分かったか。貴様の浅知恵などに用はない」
「……テラ!
 おぬしいい加減に」
「ぐずぐずしてはおれん。そろそろ先へ進むぞ」
さすがに見かねたシドを振り払い、テラは早々に腰を上げた。
238 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:15:54 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0469 5章 4節 Eternal Melody(7)

「しかし、テラ殿の魔力も、まだ完全では……」
「ふん!
 だらだらと無駄話をしているよりはよほど良いわ!」
とは言うものの、テラの顔色は良くない。
ただでさえ、魔力の回復は体力のそれよりも時間がかかる。一行の中で最も休養を必要としているのは、間違いなくこの老いた賢者だ。
「ここからが本番なんだ。ちゃんと休んだほうがいい」
やはり休息を勧めたセシルに向かって、テラは盛大に鼻を鳴らした。
「なにを呑気なことを!
 そもそも、捕らわれているのはおぬしの恋人ではないのか。
 ここでモタモタしている間に、何かあったらどうする!?」
「それは……」
「私はもう御免じゃ。オクトマンモスの時の様なことはの」
虚空を睨み付けたテラの言葉が、セシルの気持ちを動かした。
「分かった。行こう」
「良いのですか?」
「言い出したら聞かないよ」
尋ねるヤンは知らない。かつてダムシアンへ通じる道を塞いでいた魔物の名前を。
そのとき、戦いに備えて、一晩の休息を提案したのはテラのほうだったということを。
もしもあの時、先を急いでいれば──
『侮ってはいけない。
 ダークエルフの魔力は、クリスタルのせいで増大しているんだ!』
病床から、ギルバートが警告を発する。
だが彼の助言を、今のテラが聞き入れるはずはなかった。
飾り柱のような岩の列の間を抜け、奥へ。貝殻や貴石を象嵌したひときわ見事な扉の向こうが、クリスタルルームになっていた。
壁も床も、淡く輝く水晶のような物質で作られている。中央には鈍色の祭壇。クリスタルの間近へ続く正面の階段には、色褪せた毛氈まで敷かれている。
かつてミシディアやファブールで見たそれと、まったく同じ構造だ。こんな場所に神聖な台座が存在する事実に、セシルは驚きを隠せなかった。
階段の上で、痩せこけた影が振り返る。
蟷螂を思わせる細い手足に、ぼさぼさの白髪。薄い緑色の肌。黄色く濁った目ばかりが目立つ、しわに覆われた顔。まるで枯死した雑草のようだ。
クリスタルの輝きを背に受けて、筋張った体の輪郭を、黄金の光が縁取っていた。
239 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:17:06 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0470 5章 4節 Eternal Melody(8)

「オマエタチ ヨクココマデ コレタ!
 ダガ タドリツクコトハ デキテモ
 ツチノ クリスタルハ オマエタチノ テニハ モドラナイ」
片言でダークエルフは宣告し、いやに大きな右手を振りあげる。
「タチサレ!」
突然足元から吹き上がった炎が、セシルたちを飲み込んだ。
不意を突かれたが、魔法によって生み出された火は、長くは続かない。
「でぇぇぇぇい!」
炎を振り切ってシドが突撃する。体重の乗った一撃が、まさに振り下ろされようとした瞬間、ダークエルフの姿が歪んだ。
火が燃え移った木槌は標的を外れ、床に打ちつけられて砕け散った。
「おのれ、生意気な!」
お返しとばかりに、テラがファイラの呪文を放つ。だが鈎爪の伸びた手が振られると、賢者が喚んだ炎は一瞬で掻き消えてしまった。
ヤンは静かに気を高めている。
セシルは彼らの治療のために、ケアルラの詠唱を開始した。
それよりも先に、ダークエルフが次の手を打つ。
「オロカナ」
またしても業火が。そして冷気が、雷光が。身構える暇も与えず、次々と襲い掛かった。
セシルは何とか呪文の続きを唱えようとした。だが雷に打たれたせいなのか、体が痺れて口がうまく回らない。
「オモイシレ!」
竜巻が生まれ、部屋中を荒れ狂う。散々に翻弄されたセシルの体を、最後に透き通る床が受け止めた。
氷に等しい冷たさが、残る僅かな体力さえも吸い尽くす。
「勝ち目がない……退くぞ!!」
耳元でヤンが怒鳴る。朦朧とする意識の中で、セシルは勝ち誇るダークエルフの嘲笑を聞いた。
「オボエテオケ!
 オマエタチ ゴトキガ コノワタシニ カテルモノカ!」
目の前で、シドが空の酒樽のようにひっくり返っていた。テラはピクリとも動かない。

ダークエルフの魔力の前に、セシルたちは敗れ去った。
240 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:17:43 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0471 5章 4節 Eternal Melody(9)

傷ついた体を引きずり、セシルたちは魔法陣の部屋まで退却した。
幸いにして、テラもシドも息はあった。またダークエルフの追撃もなかった。ヤンによれば、ただ傲然と敗走する一行を見下ろしていたという。
「とにかく、今は体力を回復させることだ」
頑強なモンク僧も今は精根尽き果てたか、寝袋に身を横たえ、憔悴した顔を天井へ向けている。
ありったけのポーションと魔法で、傷は何とか塞がった。必要なのは、疲労を追い出す時間だ。
そしてその間に、ダークエルフの魔力を打ち破る手段を見つけなければならない。
あまり猶予はなかった。ここで時間をとりすぎると、黒チョコボのところに残してきた、魔除けの効果が切れてしまう。
地上まで戻る道のりも考えて、テラの魔力の回復が、ぎりぎり間に合うかどうかだった。
「忌々しいが、魔法は効果が薄いようじゃ」
「近づくことさえ出来れば、この爪で喉を掻き切ってやるものを!」
「じゃがあやつ、ワシが殴りかかったら面妖な術で避けおったぞ。
 木槌が……」
「隙を突いて、一気に仕掛ければなんとか……」
それぞれに先の戦闘を思い返し、必死で弱点を探す。しかし、具体的な策は一向に出てこなかった。
なす術もない敗北に、弱気になってしまったのだろうか。
「剣が……剣さえ使えれば……!」
とうとう、セシルはその思いを口にしてしまった。
この洞窟に満ちた磁力が消えない以上、仮にこの場に剣があったとしても、クリスタルルームまで持っていくことさえできない。
そもそも、金気を帯びた品はすべて、トロイアの町に置いてきてしまったのだ。
無い物ねだりに逃げようとした己の弱さに、遅まきながら怒りがこみ上げてくる。
『ダークエルフ……妖精……
 もしかしたら!』
「何か思いついたのか!?」
煮詰まった空気に、一陣の風を吹き込むように。ヒソヒ草を通して参加しているギルバートが、高い声を上げた。
241 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:18:25 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0472 5章 4節 Eternal Melody(10)

「誰か……誰か居ないか!?」
トロイア城のベッドの上で、ギルバートは精一杯の声を上げた。
「はっ、はい!
 な、なな、なんでございましょう?」
意外に早く、なぜか扉の影から現れた見慣れぬ顔の侍女に疑問を抱くこともなく、用を言いつける。
「大神官様……それと、楽司様に伝えてくれ!
 ギルバートが、至急お目通りを願う、と!」
「はい、ただいま!」
勢い良く駆け出した侍女を見送ることもせず、ギルバートは手元に視線を向けた。
「この国の巫女たちが奏でる音楽は、悪しき妖精を鎮める力があるそうなんだ。
 それが本当なら」
『この草を通して、力を借りられる?』
『そういうことか!
 お手柄じゃな!』
彼の思い付きをセシルたちに説明する。ヒソヒ草の向こうからも、良い反応が返ってきた。
何かの力になれれば、と渡した品が、希望の鍵となるかもしれない。ギルバートの心は浮き立ち、明るい予感で満たされた。
程なくして、息を切らしたさっきの侍女が、二人の女性を連れて戻ってくる。
トロイアを治める八人姉妹、その長姉である大神官と、祭事のときに歌と踊りを捧げる役を担う七の姫。
この城に来たとき以来、大神官とは会って居ないギルバートだが、七の姫とは最近親しい。
彼女の引き合わせでセシルたちと再会したことがきっかけになり、たびたび見舞いに来てくれていたのだ。
役目柄、詩人としても名の知れたダムシアンの王子には、以前から興味を持っていたらしい。
そう語った次の瞬間、気まずそうに口をつぐんでからは、音楽のこともダムシアンにも、一切触れはしなかったが。
彼女らを前に、あらためてギルバートは考えを説明し、セシルたちへの助力を願った。
話を聞いた二人の女性は、目配せを交わし──まずは、使いに寄越された侍女を労う。
ギルバートが差し出した、ヒソヒ草を受け取る前に。
「ご苦労でしたね。元の仕事に戻りなさい」
要は人払いだ。一礼して去っていく侍女が扉の外に消えたとき、既にギルバートは返答を予測していた。
242キバヤシ ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:19:23 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0473 5章 4節 Eternal Melody(11)

覚悟はしていた。
「大変心苦しいのですが」
恨みに思う筋合いではない。
「ご期待には添えません」
それでも、磁力の洞窟で今の言葉を聞いているセシルたちのことを思うと、ギルバートは尋ねずにいられなかった。
「……何故ですか?」
そのために、彼の秘密が暴かれたとしても。
「理由は、あなたもよくご存知のはずです。
 飛空挺での攻撃は、地上からでは防げない。
 どこか安全な場所にクリスタルを移したほうがいい──
 そう仰っておいででしたね」
「……僕の、せいですか……?」
「決断したのは私たちです」
うなだれたギルバートの手からヒソヒ草を受け取ると、大神官はセシルたちへ語りかけた。
「お聞きになられましたね?
 申し訳ありませんが、手をお貸しすることは出来ません」
『なんでじゃ!
 あんたら、クリスタルが盗まれて困っておるんでは……』
「より邪悪な企みを抱いた者の手に、渡ることがあってはなりません」
『……我々が信用できないと?』
「ダークエルフに勝てない者に、クリスタルを守りきることが出来るとお思いですか?」
控えめな表現で、大神官は現実を突きつける。
「ですが、このままでは問題の先送りにしかならないことも確かです。
 もしもあなた方がクリスタルを奪い返し、生きてこの城に戻ってこれたならば、国を挙げてお力添えをいたしましょう。
 大神官の名において、約束します」
城内と、洞窟と。二つの部屋を沈黙が覆う。
大神官の、やや肉付きの薄い手が、ギルバートの膝の上にヒソヒ草を置いた。
243 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:20:50 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0474 5章 4節 Eternal Melody(12)

「待って下さい!」
風変わりな謁見を終えようとした大神官に、ギルバートは食い下がった。
「彼らは……僕の友人なんです!
 見捨てないでください!」
情に訴える亡国の王子を、大神官は無言で見下ろしていた。その両目に初めて、痛ましげな光が宿る。
「クリスタルは自然の力の象徴。その恩恵は、全ての生命に等しく注がれます。
 私たちのものでなければ、トロイアという国の持ち物ですらありません。
 ただ預かっているに過ぎないのです。遠い先祖から、はるか先世の子孫へ向けて」
「……分かっています。
 ですが……」
「あなたは良い方です。ギルバート殿下。
 ご友人方も、良い人たちなのでしょう。
 それでもあれは、個人の情を理由に扱って良いものではありません。
 火のダムシアンの王統を受け継いでいる方ならば、骨身に染みておりましょう」
穏やかに諭され、もはやギルバートに返す言葉はない。
「お暇いたします」
会釈を残し、大神官は去っていった。ついに一言も発することのなかった七の姫が、表情を殺したまま付き従う。
『……ギルバート……』
「生きているとは思わなかった……」
窮地に陥っているのはセシルたちの方だ。だというのに、ギルバートの口から溢れ出たのは、あろうことか自己弁護の言葉だった。
「みんな死んでしまったと思ったんだ!
 もうバロンは止められないと、だから、だからせめて、僕にできることをしようと……」
干上がった舌が、唇が、聞くに堪えない言葉を紡ぐ。
これが自分の本性なのか。絶望の中で、ギルバートはせめて誰かに止めて欲しいと願った。たったそれだけのことさえ、一人では成し遂げられないから。
けれどセシルもヤンも、シドも、情けない言い訳を遮ろうとしない。
『言ったであろう。貴様の知恵など、はじめから当てにしとらんわ』
冷え切った賢者の言葉が、はじめて彼の望みを叶えた。
244 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:26:42 ID:lbiIxhI80
FINAL FANTASY IV #0475 5章 4節 Eternal Melody(13)

『……すまない』
「君が悪いんじゃないさ」
気落ちしていない、と言えば嘘になる。それを気取られないよう、セシルは努めて前へ進む方法を見出そうとした。
しかし、仲間たちが彼を諌める。
「もう眠れ、セシル」
「テラ殿の言うとおりだ。
 今後どう動くにしても、体調は万全にしなければ」
「考え事なら、この天才シドに任せておけ!」
口々に言われ、セシルはしぶしぶ寝袋に潜り込んだ。いい夢は見られそうにない。
確実に生きて戻るなら、ひとつだけ手がある。諦めるのだ。ローザのことも、カインのことも。何もかも。
……そんなこと出来るはずがない。
パロムやポロム、これまで出会った人々から寄せられた厚意にも、まだなにひとつとして、満足に応えていない。
なにより。
”ローザは……カインのところにいます”
バロン城で、ローザの母アイリスに娘の行方を問い質されて。咄嗟にそう応えた瞬間、広がった安堵の空気。
ただセシル一人の胸に燻っていた感情は、騙すような真似をした、罪悪感だと思っていた。
それだけではない。今なら分かる。
ローザを守るのはセシルの役目だ。カインでも、他の誰でも、あってはならない。
だから、証明しなければならないのだ。テラがギルバートに求めたもの。アイリスがカインに期待したもの。
伴侶を守り抜く力。
──ID……EM URODO ITAU A……ROT──
──UKU…… KUSH O…… NEHA……OCH──
かすかな歌声を聞きつけ、セシルは耳を澄ました。
「ふん、無駄なことを」
やはりギルバートだ。耳が慣れると、別の低い濁った音も聞き分けることが出来た。あの錆びた竪琴だろう。
「気持ちはありがたいが……」
「これではのう……」
普通に話す分には、だいぶ良くなっていたように感じたが。ギルバートの歌声は、古くなった革紐のように伸びやかさを欠いていて、どんな力も秘めていそうには思えなかった。
「いいから、お主はとっとと寝るんじゃ」
テラが向けてきた杖の先端から、灰色の靄が噴き出す。スリプルの魔法はたちどころに効果を発揮し、無理やりセシルを眠りの中へ引きずり込んだ。
245 ◆HHOM0Pr/qI :2007/05/05(土) 13:27:17 ID:lbiIxhI80
毎回お待たせして申し訳ありません。
今回はGW特別増刊号ということで、分量・捏造度ともに、過去最大規模でお届けします。
246名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 11:49:46 ID:xOn/eCrm0
台詞量の少ない場面をよくここまで広げられるものだと感心しきり。
247名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/06(日) 17:50:17 ID:Z+lCMFJ60
これはすごい
GJ
248名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 02:33:13 ID:eZCZyEAU0
ヌゲー これは小説にできる
249名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/07(月) 19:27:54 ID:c9eRZ1Y60
もうなってるよ
250名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/09(水) 23:37:21 ID:WICL9cqa0
4がDSでSDリメイクされるって噂が出てきましたね。
世界観も構築しなおすとのことで、いろいろと楽しみ。
251名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/12(土) 23:28:57 ID:HH35q0xa0
252名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/16(水) 00:09:26 ID:f28RkFDm0
 
253FF8:2007/05/17(木) 09:47:15 ID:FlWumZbO0
息が詰まる。呼吸が荒くなるのが自分でも判る。それでも俺の足は走る
のを無意識化の内に止めない。
「もおぅ……嫌……!」
すぐ隣を歩くセルフィの悲鳴とも付かない愚痴が俺の耳に届いて来る。
「なんで<あれ>は止まらないの!」
セルフィの指すもの――先程から、俺たちを悩ませている元凶たる<それ>は、
俺達とは違い、疲れと言ったものを知らぬといった感じで未だ、ガッチャンガッチャンと
音を立てつつ、その足取りを緩める事を止めない。
しかし、いくら理不尽を感じようが、「機械」として当然であり、義務を全うしようとして
いるだけなのだが。

実地試験の最中俺たちの班は班長命令により持ち場を離れ電波塔へと向かった。
そして命令無視とも呼べるその最中、ガルバディア将校と激突する事と
なった。そして、今はその将校――ビックスと言う名だったかの怒りを買ってしまった
ようで、将校が、逃がさんとばかりに機動したガルバディアの最新兵器に追い回される
ハメとなった。当初は応戦をこころみたものの、その最新機動兵器には自己修復機能
が搭載されていた模様。俺たちは応戦を諦め、浜辺まで逃走する判断へと切り替えた。
254FF8:2007/05/17(木) 09:49:36 ID:FlWumZbO0
「おいっ! 何、冷静な顔してんだよっ……!」
俺と、セルフィと同じく不幸にも機動兵器に追い回されてしまった三人目であるゼル
が急に大声を上げる。
「どうした、ゼル?」
「どうしたもこうしたもあるかよっ!」
俺の質問に呼応するかのように更に声を荒げるゼル。
「そもそも俺がこんな目に遭ってるのはお前とな――」
そこまで言って慌てたかのように一旦口を閉じる。
「いや……サイファーのせいだよ。あいつが我が侭な事しなけりゃな! 犬位で無期ムキ
になってさ! あいつ今回も駄目だぜ、きっと――」
「ちょっと、呑気に走ってる場合ではないわよ!」
サイファーへの怒りをぶつけるゼルをセルフィがいなす。
「速く走る。三十分以内でなければ取り残される。判ってるよね……?」
その言葉を聞きゼルは無言で走りを速め――
「サイファーのバカ野郎ぅーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
……無言では無かったが走りを速めた。

それにしても、サイファーはどうするのか?
一足先に帰ったあいつはもし帰ったとしても、ゼルの言った通り、この独断のお陰でSEEDへの
道はたたれたも同然だ。
そうなれば、また次になるのか? でもあいつの事だから次も、そして、その次も……
否、あいつもそこまで愚かではないだろう。抑も、ガーデンへと居られる期間は
限られている。ガーデンに来てからある一定の次期になると、ガーデンはその者を
一向にSEEDへと馴れないもの――不適格者と見なし放校処分とする。
そうなれば、今までガーデンに居続けた理由は? 少なくとも俺は無いと思う。
そもそも、俺はどうだ? この件には俺も無関係では無い。もし無事に生還できたとしても
俺がSEEDになれるって誰が保障してくれる? それなら次もか。サイファーと一緒に
もしかしたらその次も? ひょっとすると俺はサイファーと一緒にずっと――ガーデンを
追い出されるまで試験を続けるのかもしれない。まさか、そんな事は無い。御免だ
そんな事。だったらあいつを相手にするな。ゼルが言ってた、カドワキ先生も。
255FF8:2007/05/17(木) 09:51:51 ID:FlWumZbO0
「スコール!」
不意に聞こえたセルフィの声が俺のまとまらない思考を打ち切った。
「セルフィか……」
ふっと周囲を見回すと、電波塔のある丘の終着点。ドール市街へと続く橋まで
辿り着いていた。
「ほんと……ゼルの言葉を借りるわけではないけどないけど、よく冷静な顔をしてられるね」
「…………」
確かにそうだと思い、俺は無言を続ける。
「あいつ、だいぶ引き離したみたいよ、これなら逃げ切れそう……」
ご丁寧に機械をあいつ呼ばわりするセルフィを横に俺は後ろへと視線を向ける。
見ると、先程まで視界一杯に存在したあの機動兵器も随分とその姿を小さくし、耳を揺さぶって
いたあの足音もボリュームを小さくしている。
「それよりいいの? この先は市街だけど……」
そう言って、セルフィは俺と同じく、そっと後ろの方へ目配せする。
「そうか……」
セルフィが心配した事。それは今俺たちを追いかけている、機動兵器が街へと潜入
してしまう事だろう。
「ああ、市民の殆どは市街から避難しているだろうし、実地生のみんなも――
俺たちが最後だろうから大丈夫だと思う……」
「なら……良かった」
そう言って今までの印象とは違った面持ちでほっと胸をなで下ろす。
「…………」
256FF8:2007/05/17(木) 09:55:21 ID:FlWumZbO0
「どしたの?」
そんなセルフィを物珍しそうに眺めていたのか、セルフィは普段の表情に戻って、俺に語りかける。
「いや、なんでもない。そうだ、なんでもない……」
ふと、そこで会話を止めようとしたが、急に一つの言葉が思い浮かんだ。
「それにしてもセルフィは――」
「おいっ! スコール!!」
ゼルの声が俺の声を打ち消す。
「大変だぜ! あれを!」
早口と共に指されるゼルの指先にはドール市街の中心部である広場が――
「あれは、犬……」
確か、市街広場に待機していたサイファーのしびれを切らした野良犬。
「あいつ、気づいていないのか……!」
野良犬は俺が最後に見たときと同じように噴水近くを歩き回っている。
「あのままじゃ……」
「想定外とはこういう事を言うのだな……」
飼い犬ならまだしも、野良犬には逃げる場所など無い。一つの街に張り付き、そこで暮らし、朽ちていく。
<飼い犬は誰かについて行けばいい。だが、野良犬――捨て犬はどこにも行けない>

「ゼル、セルフィ。先に行ってろ!」
それだけ言うと、俺は広場近く、つまりは野良犬の方へと駆け出した。
何をやってるんだ俺は……?
「早く逃げろ!」
半分怒鳴り付ける勢いで野良犬へ叫ぶ。野良犬はびっくりした様子で、俺を見る。
「判らないのか? 逃げろ!」
そこまで捲し立てると流石にといった感じで慌てて広場から走り去って言った。
方角的には港の真逆。つまりは俺たちからも正反対となる。機動兵器の目的は俺たちなのだからこれで安心だろう。
しかし、何をムキになっている俺は……? 野良犬の一匹放っておけば良かったのでは? 
否、勿論俺も幾ら野良とはいえ目前の動物を見捨てるのは白状だとは思う。だが、今は自分自身にも危険が迫っているのだ。
優先するのは自分なのでは……? 現に今俺は、こうして二人に遅れを取り、機動兵器はぐんぐんと俺に向かって近づいている。
「今は逃げる事に専念しろ」
そうだ、まだ助からないと決まった訳ではない。希望とか奇跡等とか言う言葉を大安売りの如く、信じるのは好きではないが諦めるよりかはましだ。
257FF8:2007/05/17(木) 09:56:12 ID:FlWumZbO0
その自問自答――厳密には、答え等も出ていないし、門問というべきものでもないのだが。
それが全て終わらない内にでも俺は駆け出していた。
走る間、俺は無心に近かった。一心不乱と言うべき感覚で走り続けた。後ろからは機動兵器が
市街の道路を、道行く建物を砕きつつ、足音を近づけていた。
爆発音が響き、焦げ臭い、臭いが漂ってくる。
だが、何事が起こっても俺は振り返らなかった。
見ると、視界の先には薄汚れ、黒混じりの砂浜が広がっていた。
その先には俺をドールへと誘った、小型機動艇が停泊している。その前にはゼルとセルフィが
立っている。俺を待っていたのか?
ゼルの方は手を振っている。急げ。そう言っているに違いない。
これは、助かったのか。ほんの一瞬だけ、俺に安堵感が湧き出てくる。
そして、それは直ぐに打ち砕かれる。ゼルとセルフィが乗り込むと、小型艇の入り口は閉ざされた。
それどころか、出向の為に段々と砂浜を離れ始めている。

アレに置いて行かれると俺は間違い無く……
その思いが、俺を更に加速させる。
入り口は閉ざされた。だがまだ、小型艇の上に配備されるタラップに飛び乗れば。
咄嗟の考えがで俺はタラップへと大ジャンプする。
沖へと進め、砂浜から距離を離す小型艇に俺の体は段々と、距離を縮めていく。
タラップまで後、五メートル――二メートル――一メートル。
だが、間に合わない。
駄目か。そう思ってタラップの上を見るとSEED服を纏ったキスティス先生が、小型艇に備え付けてある、機関銃の照準を
機動兵器へと向けている。
俺が飛ぶのと同時、或いはそれよりも前に一斉に機銃掃射。その大きな機関銃から一斉に解き放たれた弾丸は
次々と機動兵器へと向かっていく。
これには流石の鋼鉄のボディに加え自己修復機能まで備えた兵器も答えただろうか。
俺の背後で、先程――逃げている時に感じた爆発とは比べ物にならない位の爆風が吹き上がった。
その爆風は俺を……沖の方向へと吹き飛ばし、小型艇との距離を縮めていった。
258名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/17(木) 09:59:01 ID:FlWumZbO0
かなり前に一回だけFF8を書いた人ですが又書いてみました。
妙にハイスペースですが一応。
書き出しの人に習ってスコールの一人称で書いてます。
259名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 01:02:03 ID:OPmpWiar0
GJ
犬がいいですねw

ただ誤字が多かった。気になるほどじゃなかったけど
260名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 13:42:51 ID:eGAeiMnq0
・主人公の独り語り、主人公の視点を通じての描写、それが一人称小説なのに、
 「彼」を「俺」に置き換えただけの箇所が混在している。
 一人称小説に視点のブレなどあってはならない。
・ストーリーを端折りすぎ。まるでダイジェスト。
 リレーだから仕方ない面もあるが、それまでのリズムやテンポをブチ壊している。
 そのくせ説明的な描写が長く、クドさを感じる。スピード感も緊迫感もまるでない。
・何より誤字の多さに呆れる。文章力以前の問題だ。猛省を促す。
261名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 19:00:26 ID:8ILyQ+K70
これは・・
神光臨だろうか?
262名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/18(金) 21:03:38 ID:6G/60XhL0
一人称小説かどうか知らないけどキャラクターの視点と作者の視点が混ざる

主観と客観のまざる小説はあるね

貴志の小説とかはそういうのがあったと思う
263 ◆mgMQDUQocw :2007/05/19(土) 10:42:53 ID:h8u6KN0c0
>>253-257
リレー乙でした。
実地試験をどう〆ようか苦吟していたのですが、
おかげ様で頭を切り替えて次に進めそうです。
本当に乙&サンクスでした。
264 ◆mgMQDUQocw :2007/05/19(土) 11:07:01 ID:h8u6KN0c0
FF8 第一章 SEED-

煌々と輝くシャンデリアのもと、談笑する声、グラスの触れ合う音が、そこかしこから聞こえてくる。
それらを邪魔しない程度の音量で、楽団が華やかな曲を奏でている。
「カクテルはいかがですか」
「・・・ありがとう」
ウェイトレスに扮した女子学生からグラスを受け取り、俺は背後の壁に寄り添った。
そして今日一日の出来事を振り返る。
早朝のサイファーとの一騎討ちに始まり、炎の洞窟の課題クリア、ティンバーでのSeeD実地試験・・・なんとも忙しい一日だった。
そして今、俺はSeeD就任パーティの会場にいる。
「おっ、よぉスコール!」
名を呼ばれて顔を上げると、そこにはゼルが立っていた。真新しいSeeDの制服に身を包んでいる。
「へへっ、これからはお互いにSeeDだな!」
ほろ酔い加減のゼルの言葉に、俺は複雑な心境だ。
思い返すまでもなく、実地試験は散々なものだった。当然ながら落第したものと思っていたのだが、
どういう訳か俺とゼル、そして伝令のセルフィは合格という結果に終わった。
「サイファーにゃ悪い気もするけどよ、ありゃアイツの自業自得だぜ」
ゼルの言う通り、持ち場を離れた責めは、その指示を下したサイファーが一人で負うこととなった。
職責上、俺たちは班長に従わざるを得ない。以後の対処も迅速かつ適正なものであったと判断され、
俺たちは晴れてSeeDとなることができたのだ。
「ま、これからもよろしく頼むわ」
そう言うとゼルは握手を求めてきたが、俺は取り合わなかった。馴れ合いはご免だ。
「へっ、SeeDになっても相変わらずってわけか、お前らしいわ。じゃ、またな」
言い残してゼルは去っていった。しかしそこを運悪く、セルフィに捕まってしまった様だ。
「あ、ゼル〜!ゼルも一緒に学園祭実行委員に・・・」
「あっ!俺、用事思い出した用事!ま、またな」
「ぶ〜!」
見つかると面倒だ・・・次の獲物を探すセルフィに見つからぬよう、俺はその場を後にした。
265 ◆mgMQDUQocw :2007/05/19(土) 11:23:31 ID:h8u6KN0c0
FF8 第一章 SeeD-

パーティの喧騒を嫌って、俺は会場の一隅に佇んでいた。
そんな俺に声を掛けてきた者がいる。
「キミが一番かっこいいね」
振り向くとそこには、一人の少女が立っていた。
年齢は俺と同じくらい。艶やかな黒髪と、円らな瞳が印象的だった。
来賓の一人か?しかし、そうは見えないが・・・
SeeD就任パーティは、新人SeeDを祝福するためだけのものではなく、新人のお披露目、セールスも兼ねている。
それゆえパーティには、各国の指導者や軍関係者がゲストとして招かれる。
彼女もそうした来賓、おそらくはその令嬢の一人なのだろうが、それにしては、
彼女はどこか雰囲気が違っている。何というか、場慣れしていないような感じだ。
「知り合いを探してるの。それまでつき合ってよ」
そう言って彼女は、ハイヒールのおぼつかなげな足取りで、こちらに歩み寄ってきた。
よく見れば、シックな白いパーティドレスの着こなしも、どことなくぎこちない。
彼女、何者なんだ・・・

「!」
会場を明るく照らしていたシャンデリアが、ふいにその光量を低く絞った。
タイミングを同じくして、楽団の奏でる楽曲が、スローテンポなものに切り替わる。
「あ、この曲!ねぇ、知ってる?」
「・・・ああ」
舞踏会用にかなりアレンジされているが、この曲なら知っている。
俺が生まれる少し前に流行った曲だ。タイトルは確か・・・
「アイズ・オン・ミー。私、この曲にはちょっと思い入れがあるの。ね、踊ってくれない?」
彼女は俺の手をひいて、ダンスフロアへと誘なおうとした。
「いいからいいから。ね?」
来賓に失礼な真似はできないが、今の俺はそんな気分じゃない。
俺は無言のまま、彼女の手を振りほどいた。
266 ◆mgMQDUQocw :2007/05/19(土) 11:42:00 ID:h8u6KN0c0
FF8 第一章 SeeD-

「なによ、もしかして、好きな子としか踊らないってヤツ?」
勝手に決めつけ、彼女は一方的に喋りだす。
「ふ〜ん・・・私のことが、好きにな〜る、好きにな〜る♪」
俺の眼前で指をクルクル回しながら、彼女は言った。呪文でも唱えるかの様な、妙な節回しだ。
「・・・ダメ?」
小首をかしげ、ニッコリ笑顔で聞いてくる。
勘弁してくれよ・・・正直、この手のノリにはついていけない。
「踊れないんだ」
俺はぶっきら棒にそう応じたが、もちろんこれは嘘だ。
任務を遂行する上で、パーティに紛れてターゲットに接近する必要が生じるかもしれない。
そんな事態を想定して、俺達はパーティでの振舞いについても、一通りのことはマスターしているのだ。
「いいからいいから。私が教えてあげる。行きましょ」
俺の胸中など意に介す様子もなく、彼女は再び俺の手をとった。
仕方がない。気は進まないが、このままでは解放されそうにない。
俺は彼女に従って、ダンスホールへ向かうことにした。

「なんだ、ダンスできるじゃない」
アイズ・オン・ミーの調べに乗って、俺達は軽快にステップを刻んでいく。時折高度なターンも交えつつ・・・
「とっても上手よ♪」
少し上気した顔で彼女は囁いた。
それにしても彼女、何者なんだ・・・そういえば自己紹介がまだだった。
「俺の名はスコール。あんたは?」
しかし彼女は俺の問いかけを聞いてはいなかった。あっ、と小さく叫ぶと同時に俺のもとを離れ、
そのまま駆け出して行ってしまったのだ。
なんなんだよ、一体・・・探していた人を見つけたのか・・・それにしても・・・
一人取り残され、俺はしばし呆然としていた。
267名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/22(火) 19:54:27 ID:pTSzhCzV0
ちょい淡々としすぎてね?
268名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 13:32:18 ID:jyrtWu5C0
FF8 第一章 SeeD-

あれから一体、どれだけの時間が過ぎたのだろうか?
一時間? 二時間か? それぐらいの時間ぐらいだろうか? 
否、別のそんな事はどうでもいい。
もう少しもすれば日付が変わる位の時間だ。パーティーの喧噪は次第に
落ち着きを見せ始めているようだ。
そんな中、俺は一人騒ぎの中を外れて、外が見渡せるテラスへといた。
此処にいれば、不思議とすぐ近くにあるどよめきなどは遥か遠くのものとさえ感じられる。
「ふう……」
落ち着いて一息つくとすぐにでも俺の頭は、とある一つの事を考え出す。
「彼女は誰なんだ?」
言うまでもない事だろうが、彼女とは先程、俺をダンスへと誘いかけてきた一人の女性の事だ。
自分でも何度思った事か分からないが、俺は人付き合いは良い方では無い。
宛も無い誰かからいきなり話かけられる事は殆ど無いし、その逆も皆無ではある。
協調性が無いとも言われがちだが、任務やガーデンでの課題の時は最低限の付き合いはこなしては
いる。わざわざ、俺に近づくものは物好きか、余程人付き合いがいいものだけであろう……
最も……俺の周りにはそのような人物が結構――沢山いるのだが……
269名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 13:34:11 ID:jyrtWu5C0
FF8 第一章 SeeD-

「スコール」
ジャストタイミングと言うべきか。先程例えた「物好き」な一人が話しかけてくる。
「なんですか……先生」
俺は少しばかり、無愛想な返答を返す。
「もう……折角のお目出度い日なのに、何よその態度は」
あまりに素っ気のない返答に、キスティス先生は少しばかり不機嫌そうな態度をする。
「そう、SEEDになったんだからもう少し嬉しそうにしたらどうなの? 私も……教官と
して……だった者としてはとても光栄に思ってるわ」
「…………」
その。指導者としてお決まりといったばかりの台詞を俺はウンザリしながら聞き流していた。
俺の思考は未だに先程の事を考えている。
「それにしてもあなたは本当に成績優秀ね。何をやらせても文句の無い人ね……
実戦、筆記……それにダンスとか……」
「!」
ベタ褒めする言葉――厳密にはその最後の言葉に、俺は思考を咄嗟に打ち切り、先生を方を振り返る。
「ふふ……」
まるで興味無しといったばかりに、無視を続けた俺を振り向かせた事に、少しばかり
勝ち誇った感じで笑っている。
「おかげ様で……」
俺は、取りあえずといったばかりの適当な言葉を返しておく。
270名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 13:34:59 ID:jyrtWu5C0
FF8 第一章 SeeD-

「何か用か……?」
少しでも早く、この状況を終わらしたい俺はそう言った。
少なくとも、何かようがあって彼女は此処に来たのだろう。それならば
とっとと用件だけ聞き出して帰ってもらおう。俺はそう判断した。
「ふうん……」
だが彼女――キスティス先生は少し意地悪そうな顔をする。
「知らない女の子とは踊るのに、私と一緒にいるのも嫌なの?」
最前からの俺の悩みの種。それを知ってるのを最大の武器とばかりに、事実を
有りの儘に言葉として突きつけてくる。
「悪かったな」
俺もむっとして切り返す。
正直言って、俺自身も戸惑っていた。
見知らぬ初対面の女性。促されるままに一緒に踊ってしまった。その上、自己紹介までしてしまった。
それを誰かに見られていた。見知った顔に。別段困ることではないはずだ。それなのに……
そう、俺は何以上にこんな状況を作りだしてしまった自分に苛立ちを覚えていたのだ。
271名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 13:35:43 ID:jyrtWu5C0
FF8 第一章 SeeD-

「でも、あんた先生だろ? ……あんたはここの先生で、俺はあんたの生徒。先生が自分の側で
ずっと黙ってるのは嫌な気分だ」
もういいだろ。この話は終わりにしよう。その一心で俺は切り出した。
先生はあくまで集団の生徒という者を受け持ち、その全員をきちんと公平且つ責任をもって指導する。
俺は教鞭をとる者はそう在るべきだと思っている。
だからこそ、このような状況で――プライベート中な生徒一人に対し、個別に話しかけてる事は
指導する者としてどうだ? と思ってさえいる。
今朝の炎の洞窟の様な、指導者と生徒の立場で目的を持っての行動ならば例外であり、正しい
行動だとは思うのだが……
以上を俺の持論として、無視するとしても、一人の生徒に対し、先生が黙ってる事に
いい気分をする者はそうそう居ないはずだ。
尚かつプライベート――少なくとも今のような状況では理屈抜きで嫌な気分、めんどくさい気分、
例え、彼女に好意的であったとしても、なんらかの気まずい気分さえしてしまうのは誰だって同じだろう。
272名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/23(水) 13:36:23 ID:jyrtWu5C0
FF8 第一章 SeeD-

「ああ……そうだったわね。すっかり忘れてたわ……大丈夫かな私……」
今の言葉に少し動じたのか、声の張り合いが多少落ちた用に思えた。
「命令よ! あなたはこれから私と一緒に、通称「秘密の場所」に言ってもらいます」
「秘密の場所?」
聞き覚えの無い言葉を思わず声に出す。
「消灯時間後に、生徒達がこっそり会って話しをするところよ
訓練施設を越えたところにあるの」
ガーデンの施設は消灯後、その殆どが使用不可能になる。だが、訓練施設だけは
例外だ。日々鍛錬する者の為、二十四時間ずっと開いている例外中の例外の場所なのだ。
それを逆手にとって、消灯後も未だ遊び足りぬ者達が、こぞって集まる所という事か。
「そこで何をするんだ?規則違反だから部屋に戻れってみんなに言うのか?
俺はそんなのは,嫌だからな.風紀委員にやらせろよ」
ご苦労な事だな。わざわざ訓練施設を越えるという危険までおこしてまで何がしたいんだ。
夜中に集まる者、それを止める者――物好き同士勝手にやってろ。
「私服に着替えたら訓練施設入口に集合。いい? これは私の最後の命令よ!」
「最後」という言葉。それに、一連の会話の中でも一番とも思われる勢いのある声には
拒否や否定と言った言葉を返す力を失わせる力があった。
結局、俺はその命令を拒否する事が出来ず、パーティーの後、訓練施設へと向かう事になった。
273名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/25(金) 20:30:32 ID:VYG7kWJT0
おつ
274名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 10:54:16 ID:/N5Eu4Oj0
275名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/05/27(日) 15:54:10 ID:vyUgewrj0
神の言うように、あらすじかシナリオ集のような作品が多いね。
さらっとし過ぎで、もう少し臨場感たっぷりに描いてほしい。
276名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 19:11:03 ID:TCj8sgUD0
277名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/01(金) 21:46:09 ID:m245AjnW0
278名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/03(日) 13:00:47 ID:cWidn8ZfO
保守
279名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/06(水) 13:38:15 ID:2H9ceTzu0
280名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/08(金) 20:51:55 ID:Q4hOUb900
281名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/11(月) 20:57:24 ID:MoC6l9yY0
保守
282名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/15(金) 19:30:38 ID:8N5yW/mr0
283名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/19(火) 06:41:18 ID:EpaRAb4m0
ほす
284名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/22(金) 12:29:54 ID:jAnZ5EHX0
285名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/23(土) 23:51:26 ID:wtZIMjbrO
まさかスレが落ちるなんて思わなかったんだ。
もうこれからは落ちそうになったら絶対保守するよ。
286名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/25(月) 22:53:25 ID:H/EomuEs0
保守
287名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/06/28(木) 07:15:29 ID:ekuiQ09N0
 
288名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/01(日) 22:09:23 ID:eDcHhE+B0
ほす
289名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/02(月) 16:01:22 ID:SSVrY/aJ0
 
290名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/05(木) 00:10:13 ID:KTygqKKc0
保守
291名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/07(土) 09:37:31 ID:rTL5Ef6W0
292名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/11(水) 20:17:58 ID:70SCdDN80
hoshu
293名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 16:51:40 ID:88OE8b180
なぜ
294名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/12(木) 16:53:11 ID:88OE8b180
ごめ、誤爆
295名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/15(日) 08:51:22 ID:UdqZ/XWe0
296名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/18(水) 11:01:52 ID:J3SHT0Sl0
保守
297名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/21(土) 14:55:48 ID:JiFRNwNO0
 
298名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/24(火) 14:29:30 ID:QTfjEcmN0
ffの小説を書いてるサイトがあるよ。
でも、ここの方がクオリティが高い気がする。
まぁ好みの問題だと思うけど。
ここと似た感じで面白いと思ったサイトある人は教えて!
299名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/27(金) 12:30:01 ID:g7nBNt+/0
教えてって
ここに晒せってことかそれ?
300名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/29(日) 21:31:06 ID:ZaX5pXtd0
それ以外にどうやって教えるんだよ
アドレスも書いてないし
聞いてばっかじゃなくて頭使えや
301名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/30(月) 10:00:52 ID:kak7UtVI0
890 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2007/07/21(土) 21:43:05 ID:???0
ヴォルデモード神秘部で死亡
スネイプはナギニ(ホーラックス)にやられて失血死
スネイプ真っ白、緑の瞳にラブラブでした。
最期はハリーを見つめて‘Look...at...me...’といい、緑の瞳に看取られる。
リリー&ペチュニアとセブルスは幼馴染
ペチュニアも姉と甥にラブラブでした
ルーピン&トンクス結婚&出産→死亡
モリーは家族を守るために騎士団を裏切るが、フレッドがベラに殺されて
ベラトリックスはモリーに倒される(殺されてはいない?)
コリン死亡、ムーディー死亡、ヘドウィグ死亡、バチルダ女史とピーターとテッド・トンクスも死亡
ワームテール、グレイバック、クラッブ死亡
ドビーはトリオとマルフォイ家を助けて死亡
透明マントが“死の秘宝”の一つ
レイブンクローの分霊箱は必要の部屋にあったティアラ→クラッブが壊す(死亡)
ブラック家にあった本物のロケットはマンダンガスがアンブリッジに売った
ロンがそれを取り戻し、グリフィンドールの剣で破壊
ルシウス・マルフォイおとがめなし。重傷を負うが、マグルの手術法で助かる。
ナルシッサは母の愛で寝返り
シリウス&ダンブルドアは生き返えらない
ダンブルドアは指輪破壊時の呪いで余命1年だった。
それを知り、スネイプの2重スパイがバレない様に命を捧げた芝居を講じた。
19年後のファンフィクションのようなエピローグ
ハリー&ジニー結婚 3児を設け、養子を含めて4児の親に
長男はルーピン&トンクスの遺児(テディ・トンクス)を養子として
次男はジェームズ、三男はアルブス・セブルスと名付ける。長女はリリー
ロン&ハーマイオニー結婚 ローズとヒューグという2児を設ける。
マルフォイは息子スコーピウスの手を引いて見送りに来るようなパパになりますた。
スプラウト先生が老衰死だったのでネビルは植物学の教授に就任
ハグリットとピーブズとマクゴナガルはまだホグワーツにいます。
302名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/30(月) 17:34:41 ID:h7p377BG0
>>300
それがどういうことか分かってるのかて聞いてんのよ
少しは頭使ってそれぐらいのニュアンスは拾えやこのトンチキ
303名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 18:35:30 ID:By/DrQ/x0
どういうことかって書いてんのみたら分かるだろ
面白そうなサイト知ってたらここにそのサイトのアドレス書けってことだろうが
ほかにどうやって教えるんだよ
ここまで書かないと分からないってどんだけ馬鹿なんだよ。
だから頭使えって書いたんだよ。
304名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 20:53:12 ID:gIKrJba40
わかってないなあ
俺が聞いてるのは教えることの内容じゃなくて意味だよ
一般のサイトを、2chにあるこのスレに晒すことが、どれだけ危なっかしいことか、わかってるのかって聞いてるんだよ
頼むからもうちょっと頭使ってくれよトンチキ
305名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 21:52:45 ID:fTFXrEUS0
はぁ?
ヲチ板でもないこの板でしかもほぼ最下層にあるこのスレに
一般のサイトのアドレス書いてどんな危険性があるんだよトンチキw
大体人に頭使えって言うならお前が頭使って分かりやすく書けよトンチキw
分かって欲しけりゃ頭使って誰でも分かるように書けやトンチキw
306名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/07/31(火) 22:43:32 ID:gIKrJba40
ヲチ板でもない板の最下層にあるスレであっても、安易に外部のサイトにリンクしていいってことにはならんよ
どこのどんな輩が見ているかわかったもんじゃないという危険性は、2chというあらゆる意味で特殊な場所にある以上、否定してはいけない
特に今は夏休みの時期なんだしね
現に、過疎りまくりなこのスレにだって変な粘着荒らしが湧いたことがあったじゃないか(本当に荒らしだったのかどうかはまあ置いといてw)

それに、2chに自分のサイトが晒されていると知ってどう思うかな?
別になんとも思わないかもしれないし、ここのスレタイや内容を見て納得するかもしれない
でも、アドレスに「2ch」という文字列を見ただけでサブイボが出るような人種は、君が思ってるよりずっと多いよ

誰でもわかるように頭使えって、俺は最初から「晒す」っていう毒のある単語を使って
そういう含みを持たせてたつもりなんだけどな
先に人に頭使えって言ったのは君のほうじゃないか。それならそれ相応の読解力というものを示さないと

反応に困るからそんなムキにならんでおくれよ
これ以上噛み付いてくるようなら俺も君のこと次から正義の味方トンチキマンって呼ぶぞ
307名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 00:05:23 ID:0JtZ3o1L0
一点目 2chにさらすと危ないという事について
もはや2chは特殊でもなんでもないただの巨大な掲示板。
見てる奴が多いから危険?この最下層のスレで見てる奴が多いはないだろう。
変な粘着荒らしってのは縦書きで批判してた神のことか?
あれぐらいならまともなサイトなら対応できるだろ。
そもそもサイトを建ててる時点で荒らしに対応できません><はないだろ
(俺の主観かな?まぁオナニーサイトはアクセス制限かけて仲間内だけでやれって思う。
公開している以上不特定多数に見られることを目的としていると思う。)

二点目 管理人がどう思うか?
「2ch」という文字列を見ただけでサブイボが出るような人種
まぁ証拠はないがあんたを信じるとして、そいつらは2chにこのサイトを知らせないでとか書いてるんだろ
(そうでなければそいつが2ch嫌いだと知れるはずがない)
そういうやつらのサイトは晒さなければいいだけだろうが。
というかそのサイトが好きなら晒すわけないだろ。

三点目 頭使え
確かにこの流れだと298,300,303も俺に見えるが別人だ。
(証拠がないから主張しづらいが)
よって俺はお前が頭使えって使ってるんだと思った。
でも、まぁ頭を使ってよく読むべきだったな。

俺の言いたい事はこのスレで晒すのは危険じゃないって事。
298のアイデアはいいなって思ったこと。
それを2chで晒すなとか言ってるトンチキがいて嫌な気分になって噛みついたってこと。
あと、トンチキは気に入ってるからそう呼んでくれてもかまわないよw
308名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 00:15:17 ID:0JtZ3o1L0
長文が続いて進展があったと思う人へ
>>272以降進展なし
あと301にネタバレがあるから注意
ID変わったけど305=307
長文ごめん。他の人は保守代わりだとでも思っといて。
309名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/01(水) 07:44:17 ID:9mlYtyGO0
ffν
310名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/02(木) 00:02:32 ID:x79iuipt0
今探してみたらウェブリングってなくなったんだな。
俺がこのスレ知ってFFのファンフィクを探して読んでたのは三年前だけど
あの頃ですら衰退気味だったからなぁ。
309のはウェブアーカイブで見れるな。
311名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/02(木) 16:34:00 ID:G6kOxKx20
二次創作で検索したらいっぱい出てきたが・・・
正直どれが面白いか分からない
312名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/04(土) 21:07:09 ID:mNdGCf6g0
とうとう最下層記念sage
313 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:21:55 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0476 5章 4節 Eternal Melody(14)

その後、エリスはしっかりこき使われた。仕事を放り出し、立ち聞きに現を抜かした罰である。
野菜の皮むき、床磨き、空き部屋の掃除に続いて彼女が押し付けられたのは、両腕いっぱいの洗濯物だった。
裏に回り、大きなたらいに水を張って灰を混ぜた中に汚れ物を浸す。凝りはじめた首や肩をもみほぐしながら、エリスは布に洗濯液がしみこむのを待った。
そこへ、さらなるシーツの山を抱えて、同僚のミオが応援に現れる。
「手伝いに来たよ〜」
どさり、と投げ出された大量のリネン。エリス一人の作業量は、どう考えても増えている。
「ほらほら、天気がいいうちに済ませちゃお」
ミオはスカートの裾をたくし上げ、素足をざっと水で洗うと、洗濯物を足で踏んで揉み洗いを始めた。
エリスも彼女に倣い、たらいの中に入った。少しだけ温まった水が、酷使された足に心地いい。
「ふんふーふーふーんふふーん♪」
リズミカルに上下する膝に合わせて、ミオが鼻歌を歌い始めた。
祭のたびに奏でられる、精霊たちに捧げる旋律。
古の言葉で綴られた歌詞を諳んじることが出来るのは、ごく一握りの巫女たちだけだが、ゆったりとしたメロディーは、2歳の子供でも知っている。
「ずいぶんとご機嫌ね」
「そういうわけじゃないけど、さっきから二階のほうで歌ってる人がいてさ。
 ずーっと聞いてたから、つい」
「二階?
 ……楽司様ではないのね」
「男の人の声だったよ。それに、あんまり上手じゃなかったし。
 誰だろうね?」
お気楽なミオの返答で、異国の王子の思いつめた横顔がエリスの脳裏によみがえった。
314 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:22:37 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0477 5章 4節 Eternal Melody(15)

海の底から見出され、どんなに深い眠りの淵にも、妙なる音色を響かせる。
その楽器はかつて、『夢の竪琴』と呼ばれていた。
「こうか……?
 違う。
 これなら……?」
幾度となく繰り返される古い呪歌のメロディーが、静寂をより引き立てる。
大神官たちが退出してから、これで何百回目になるのか。ギルバートはいまだ知られざる一節を求め、愛用の竪琴を爪繰っていた。
この国に伝わる、悪しき精霊を縛める歌。それを唯一の手がかりに、勝利をもたらす旋律を編み出す。
それがどれほど無謀な試みかは、ギルバート自身も承知していた。

彼が手にした魔法の品は、特殊な旋律を奏でることで、様々な効果をモンスターに及ぼすことができる。
だが定められた旋律はモンスターの種族によって異なり、場合によっては相手を力づけてしまう恐れもあった。
従って、未知の魔物を相手に竪琴の力を使うときは、慎重に相手の様子を伺いながら『効く』旋律を探る──あのダークエルフを前に、そんな余裕はない。
頼れるのは、今までに培った経験と知識。一介の吟遊詩人として身につけた技能だけだ。
(大丈夫、出来るはずだ……)
ギルバートの知らぬ間に、竪琴を覆っていた錆はきれいに磨き落とされ、傷みきった糸も換えられていた。
いったい誰が直してくれたのか。そんな疑問は、もはや脳裏をかすめもしない。
彼の体を気遣い、休ませようとした医師や看護師の手を払い……
──自分を信じるのよ!──
絶えず彼方から響く声、それさえもギルバートは拒絶した。
さもなくば見出せぬ。楽師の直感がそう囁くからだ。
ただ一枚の葉の形にこだわっているうちは、森の広さ深さを知ることは出来ない。
たとえその一枚が、大きく裂けていたとして──誰がそれを気に留めよう。
あの声は悲しみを連れてくる。歌との同化を妨げる。
純粋な、光そのものが結晶したような曲の真髄を掴み、聞き分けるためには、余計なものでしかない。
ギルバートは目蓋を伏せ、すべてを素朴な旋律に向けて投げ出した。
もの柔らかに移ろう音階。大地と調和を讃える言葉。
生命の歓びに満ちた歌。
315 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:23:15 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0478 5章 4節 Eternal Melody(16)

ジョグは酒場を追い出され、河岸で石を投げて時間をつぶしていた。
彼はトロイアの住人ではない。かつては両親と共に、バロンの城下町で暮らしていた。
しかしジョグの父は、いち早く不穏な空気を嗅ぎ取り、店を畳み国を出た。赤い翼の、ミシディアへの出兵が発表されたころの話である。
やや遅れて、同じように国を捨ててきた者が何人か流れてきた。
彼らが語るバロンの情勢は、酷くなる一方だった。聞くたびに父は、真っ先に逃げ出した自分の勘の鋭さと、避難先にこの国を選んだ判断力を自慢した.
──まあそれはいい。ジョグが許せないのは、叔母のお産の手伝いに里帰りしていた母親を、父が待とうとしなかったことだ。
店を売った金を酒場女にばら撒いて、妻を置き去りにしてきたと得意げに話すあの男は、たぶん自棄を起こしている。
最近ジョグは、父親の顔を見るのも嫌になっていた。相手もそれは同じらしく、ここ数日、目を合わせた覚えもない。
石を投げるのにも飽きて、ジョグは川上へ向けて歩き出した。
じっとりと湿った空気がうっとうしいが、風があるだけ幾分かましだ。そろそろ日が翳りだす時刻だというのに、一向に涼しくならない。
しばらくして、中州の近くに生け簀を見つけた。網の中で、魚が何匹か跳ねている。
辺りに誰もいないことを確かめると、ジョグは川面から突き出た杭を蹴り、生け簀を壊した。
逃げ損ねた魚を網ごと掴んで、川とは逆の方向に放り投げる。
いくらか気が晴れたところで、さらに進んでいくと、風に乗って女の声が聞こえてきた。
前方を見上げると、お仕着せ姿の娘が川沿いの土手に座り込んでいる。
ジョグとそう変わらない年に見えた。買ったばかりなのか、きらきらと光るビーズ細工を膝の上に広げ、鼻歌交じりに検分している。
かわいい。
単純な少年はたちまち機嫌を直し、指笛を吹いた。こちらに気づいた少女へと笑いかけ、目配せを送る。
少女は一瞬驚いた顔をしたあと、手早く荷物をまとめ、ジョグから離れるように駆け出した。揺れる背中を見送りながら、ジョグは彼女の勤め先はどこかと思案をめぐらせる。
知らぬうちに、その鼻先からも歌がこぼれだしていた。
316 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:23:57 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0479 5章 4節 Eternal Melody(17)

右手奥、特別室への扉越しに、いやに景気の良さそうな声が聞こえる。すぐ横のテーブルで頬杖をつく少年は、父親が出てくるのを待ってでもいるのだろうか。
今度は黒チョコボを捕まえる、などと突拍子もないことを言い出した外国人の手伝いを終え、戻ってきたいつもの店のいつものテーブル。
だらしなく椅子の上でひざを組み。ロドニーはため息を吐き出した。
「どうした大将、やけに萎れてるじゃないか」
肩を叩いた顔馴染みの青年に、くたびれた中年は返事をせず、淀んだ視線をむけた。
「生簀が壊されちまったんだってさ!
 まったく、それぐらいで食い詰めるような稼ぎじゃないだろうに」
代わって事情を明かしたのは、この店を取り仕切る女主人だ。
最近は倉庫を改造し、『特別室』と称した施設をでっちあげ、戦火を逃れてやってきた外国人からたんまりと巻き上げているらしい。
そうしたやり手の一面とまるでそぐわぬ気安さで、女将は盆でロドニーの頭を小突き、彼の前に佐瀬を欠いたグラスを置いた。
「あたしの店の真ん中で、そんなシケた面されちゃ迷惑だよ!
 奢ってやるから機嫌なおしな!」
「ほな、お言葉に甘えて」
グラスから立ち上る匂いに反応し、ロドニーは満面の笑みを浮かべる。
「ん〜、この香り!
 タダ酒に勝るもんはこの世にありませんな〜」
「……落ち込んでたのは芝居かい! このろくでなし!」
「いやいやいやいや、ほんまヘコんでたっちゅーねん」
「誰が信じるかい!
 今度やったら叩き出すよ!」
「それは堪忍な〜」
軽薄な口調に呆れ帰り、怒りも露に厨房へ去っていく女将の背に乾杯の真似事をして、傍らの青年に片目をつぶって見せるロドニー。
それに応えて青年は口笛をひとつ残し、奥の席へ向かう。
彼が目当てのテーブルについたころ、背後から陽気な鼻歌が聞こえてきた。
317 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:28:23 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0480 5章 4節 Eternal Melody(18)

歌は広がっていく。少し浮かれた気分と共に、水に溶かしたインクのように、トロイアの町を染めていく。
その現象を、誰が意図したわけでもなかった。
「なりませんよ、ラグトーリン」
大神官の私室に続くバルコニー、紅茶と風を味わいながら、トロイアを統べる貴婦人は妹を諭した。
「言いたいことは分かります。
 ですがそなたとて、この国の政を担う身。決定には従いなさい」
「……これが最後かもしれないのです」
久方ぶりに本名で呼ばれた七の姫も、そう簡単には引き下がらず、十ちかく離れた姉を相手に嘆願を続ける。
「吟遊詩人としても名を馳せた代々のダムシアン王族の中でも、1・2を争うとまでいわれた方。
 一度で良いから直に聞いてみたいと……出来れば、共に奏でてみたいと、ずっと思っていました」
姉妹の視線が合わさり、風が止まった。大神官の指が白磁のカップの縁を撫ぜ、花を透かし彫りにした丸テーブルの下で、ラグトーリンが拳を握る。
「歌い手として、素晴らしい弾き手と合わせたいだけです。
 どうか、許しをください」
「噂など当てにはなりませんよ? 第一あの方は、もはや詩人としても」
「噂以上の方でした。
 元が優れていればいるほど、今の声と鈍った指に、打ちのめされてしまうはず。
 あれほどまでに揺るぎなく歌い続けることは……少なくとも、私には出来ません」
長姉の言葉を、ラグトーリンが遮る。彼女らの記憶にある限り、それは初めてのことだった。
涼気を帯びた風が、バルコニーを吹き過ぎる。
それは人の声を乗せていた。かすかな──大勢の声が溶け合った、街角に流れる歌を。
ため息をひとつついて、大神官は譲歩した。
「楽司として歌うのではないのですから、祭具には一切触れてはなりませんよ。
 ただの娘が戯れに何を口ずさむかは、私の知ったことではありません」
「……ありがとう、姉様!」
目を輝かせ飛び出した妹を見送り、大神官はカップを傾けた。最後の一口を口の中で転がし、ゆっくりと飲み下す。
結い髪で半ば隠れた耳元に、風が再び歌を届けた。

それからさらに、時は経ち。
「……みつけた」
詩人はついに指を止め、確信を込めて呟いた。
318 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/06(月) 00:29:00 ID:iYo8XqSg0
FINAL FANTASY IV #0481 5章 4節 Eternal Melody(19)

ギルバートの歌は、目覚しい効果をあげた。
「ナンダ! コノ、フカイナオトハ!」
ダークエルフは身悶えし、せめてもの抵抗とばかりに、枯れ枝のような指で尖った耳を押さえている。
その尋常でない苦しみようは、全滅をも覚悟の上で再戦に臨んだセシルたちが、拍子抜けするほどだった。
「そうかそうか気に入ったか!
 ホレホレ! たーっぷりと聞かんかい!」
小刻みに震える妖精に向けて、シドがヒソヒ草を突き出す。ダークエルフは悲鳴を上げて、台座から転げ落ちた。
「木槌の仇じゃー!
 ホレホレ、ホレホレ!」
「グ……ゲゲゲ! ガゴゴ……」
あれほどセシルたちを悩ませたダークエルフが、起き上がることも出来ず、芋虫のように床の上を這いずり回る。
調子付いたシドは、軍旗のごとくヒソヒ草を振りかざし、その後を追い回した。
「技師殿も、案外根に持ちますな」
「道具は職人の命、ってよく言ってたからね……」
「ふん、見苦しい!」
テラの表情は苦々しい。セシルも、さすがに悪乗りが過ぎると感じた。
敵の力は、まだ消えていない。竪琴の力を借りて、一時的に抑えているに過ぎないのだ。
演奏が続いているうちに、次の手を打たなければ。
「今のうちに止めを刺すか?」
「……いや、クリスタルさえ手に入ればいい」
土のクリスタルのせいで、ダークエルフの魔力が増大している。ならばそれを取り戻せば、恐れる必要はない。
甘い、と言いたげな視線をテラが送るが、セシルはどうも、ダークエルフの命まで奪う気になれなかった。
半分は、眠りに落ちる直前に聞いてしまった話のせいだ。残る半分はシドのせいだが。
「それでいいだろう。
 クリスタルさえなければ、さして害のある存在ではないようだ」
賛同してくれたヤンにうなずきを返し、セシルはクリスタルを目指して足を進めた。
そこへ、シドに追い立てられたダークエルフが体当たりしてくる。ただの偶然か、少しでも邪魔をしようとしたのかは分からない。
セシルは足元を一瞥し、邪魔な妖精を無雑作にまたぎ越した。
次の瞬間。
ヒソヒ草から、ぶつ、と異様な音が響いた。
319名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 01:11:58 ID:/RhO8LHx0
おお
ギルバートがついに…!
320名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 10:28:35 ID:3AtX4hGL0
ギルバードに感動した そしてシドにワロタ

久しぶりにGJ!!
321名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/06(月) 18:19:38 ID:FPep5uuc0
なんという
322名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/07(火) 16:13:09 ID:nm73I9iHO
ただ一言
素晴らしい
323名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/07(火) 19:41:53 ID:uGd9pCFb0
淡々とストイックに作品投下していく4の人に惚れる。
324名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/08(水) 13:13:18 ID:vQRHwHUP0
保管庫の人、はやくFF4全部保管してくれ
325名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/10(金) 21:00:46 ID:q1hbKgbi0
保守
326名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/11(土) 02:27:29 ID:aH+lPJ96O
おれが昔その場しのぎで書いたギルバードの攻撃設定使ってくれてるのか
なんかすげーうれしい
327名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/16(木) 19:39:10 ID:Oc/ZWe9+0
 
328名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/19(日) 01:56:11 ID:PhtiDLBm0
保守
329 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:20:20 ID:m7qfFwT50
>ALL
いつも読んで下さってありがとうございます。
本編だけで手一杯なため、あまりレスも出来ませんが、現スレ、過去スレを読み返しては
皆さんの反応を励みにちびちびとと書いてます。
だからみんなもっとホメテーw

>326
ギルバートが具体的に何をどうがんばったのか、という点で
結構悩んでいたもんで、あの設定があって助かりました。

では、夏休み最終日の駆け込み投下行きます。
330 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:20:52 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0482 5章 4節 Eternal Melody(20)

呆然と、ギルバートは切れた琴糸を手に取った。
ガラクタも同然の姿に成り果てていた”夢の竪琴”。
磨きなおされ、まっさらに生まれ変わったように見えた彼の楽器には、見えない罠が潜んでいた。
波と潮風でひどく傷みながらも、辛うじて切れずにいた、数本の弦。
名も知らぬ修復者は、多分、できるだけ以前の面影を留めるよう気を使ってくれたのだろう。
旋律を追うことだけに気を取られ、物言わぬ相棒への配慮を忘れた報いが、最も重要な場面で現れたのだ。
『クリスタルを!』
ヒソヒ草の向こうで、ヤンが叫んでいる。
ギルバートは手早く切れ端を本体から外し、視線を巡らせた。
水差しを載せたテーブル、いくつもの小瓶を収めた作り付けの棚、色とりどりの衣服でいっぱいのクローゼット、どこにも求める品はない。
隅で忘れられた鏡台の上を漁り、引き出しの中身を掻き出す。
ひととおり室内を荒らしたあと、誰かに頼んだほうが早い、ということに気づき、ギルバートは人を呼ぼうとした。
しかし突然、激しい眩暈と吐き気が彼を襲う。次に気づいたときには、寝台の上に横たわり、首筋を綿布で拭われていた。
「無理をしすぎです」
目を開けたギルバートに言い渡し、年老いた医者は血で染まった布を手桶でゆすぐ。
少し首を動かすと、汚れた床を拭き清めている、助手の青年の姿が見えた。
薄靄がかかる視界の中、浮き上がるように散った赤。その濃く鮮やかな色合いが、出血からほとんど時間が経っていないことを示している。
まだ、間に合う。
「おやめなさい、まだ動ける状態ではありません!」
竪琴は鏡台に置かれたままだった。小柄な老婆にすがるようにして、ギルバートは身を起こす。
「……心配いらない。
 すぐそこまで……」
やけつく喉から搾り出した返事は、果たして声になっていたか。すぐさま膝が崩れ、上下の区別さえ覚束なくなる。
(今、セシルたちを救えるのは)
床を這うギルバートの意識に、闇が降りてくる。
(僕しか……いない……!)
決意とは裏腹に、闇は容赦なく迫ってくる。彼を飲み込み、ただひとつの希望を閉ざす。
──いいえ、もうだいじょうぶ。
囁く声が誰のものか、思い出す力ももう残されていなかった。
331 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:21:48 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0483 5章 4節 Eternal Melody(21)

突然の異音を最後に、ダークエルフを縛り付ける竪琴の音が止まった。
「クリスタルを!」
仲間の指示が飛び、セシルは台座へと走った。クリスタルに手を触れると同時に、巨大な丸太のような何かが、彼を弾き飛ばす。
壁際まで吹き飛ばされたセシルが、まず目にしたのは、巨大な蛇だった。
「ヨクモ……ヨクモ、ヨクモ!」
いや、竜か。
部屋を一周するほどの巨大な体と、不釣合いな短い手足。それらを覆う鋼色の鱗。
濁った両目に殺意をたぎらせ、魚類を思わせる口から吐き出される声は、紛れもなくあのダークエルフのもの。
新たな名を与えるなら、ダークドラゴンとでもするか。
「モハヤヨウシャハシナイ!
 オマエタチ、コロス!」
長い尾がうねり、鋭く尖った鰭の先を刃のように閃かせて、ダークドラゴンはセシルへと踊りかかった。
「下がれ!」
「ええい、当たる相手が違うだろうが!」
すかさずヤンが割って入り、テラが詠唱を始める。
間一髪で取り戻したクリスタルを抱え、セシルは敵との距離をとった。これを奪い返されてはお終いだ。
「おうい、どうした!
 何があったんじゃ!?」
沈黙を続けるヒソヒ草へとシドが問いかける。返答はなく、聞こえてきたのは、何かをひっくり返すような物音。
何かあったのは間違いない。戦いの最中、ギルバートの身をそれ以上気遣う余裕はなかった。
クリスタルをシドに託し、セシルは弓に矢をつがえる。
「せいっ!」
「スロウ!」
鞭のようにしなる竜の髭をモンク僧の爪が切り裂き、賢者の魔法が敵の動きを鈍らせる。
彼らの助けもあり、セシルの放った矢は見事に暗色の鱗を射抜いた。
傷ついたダークドラゴンは、大きく口を開ける。矢傷の近くにもう一撃を加えたヤンが、牙から身を守るために距離をとった。
しかしそれは敵の思う壺だった。一箇所に集まったセシルたちに向けて、ドラゴンの口から黒色のガスが吐き出される。
広がった闇色の雲は瞬時にセシルたちを包み込み、手足が腐り落ちていくような、言いようのない疲労で戦士たちを蝕んだ。
332 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:22:23 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0484 5章 4節 Eternal Melody(22)

「ムダナコト
 ショセン バンゾクニ ソレハ アツカエヌ」
回復に追われるセシルたちへ、ダークドラゴンは嘲笑を浴びせた。
実際、盗みだされたクリスタルは、ダークエルフの魔力を著しく増大させていた。
しかし、今それを手にしているセシルたちには、何の恩恵ももたらそうとしない。
「ココデシネ!」
かっと開いたダークドラゴンの喉の奥から、またしても闇があふれ出した。
肉体に目に見える損傷はなく、しかし、確実に生命を削り取る黒。まるで、森の悪意を極限まで濃縮したかのようだ。
ねじくれた木々と毒を持つ花。腐った葉と屍骸の溶けて混ざり合った泥が、活力を根こそぎ吸い取っていく。
「……ケアル!」
次の攻撃が来る前に、とテラが自分を治療する。シドが腰のポーチから、ポーションの瓶を取り出した。
ただひとり、攻撃に回る余力を残していたモンク僧が、身を低くして床を蹴る。
見事敵の懐に潜り込んだ、と見るや、ドラゴンの巨体が信じがたい素早さで翻り、強かにヤンを打ち据えた。
「もう切れおったか!?
 この私のスロウが!」
ならば、とばかりに、さらに強力なストップの魔法を放つテラ。
効けば完全に相手の動きを止めてしまう、恐ろしい呪文だ。しかしダークドラゴンは意に介さず、全身でヤンに巻きついた。
「ケアルラ!」
遅ればせながらセシルが、仲間全員に回復魔法をかける。
シドはポーチから攻撃用の魔法具を取り出したが、ヤンの巻き添えを恐れてか、使いあぐねているようだ。
「カンネンスルガイイ」
ドラゴンの体が締まり、骨の砕ける音が響いた。ぐったりとしたヤンの体を振り落とし、ダークドラゴンが三度巨大な口を開く。
次は耐え切れない。思わずセシルは拳を握った。
そこへ、ひやりとした何かの感触。
見れば、シドが土のクリスタルを押し付けている。
琥珀色の宝石は、今や脈打つように黄金の光を放っていた。
『パラディンよ、クリスタルを手にするのです』
技師の太く器用な指には、ヒソヒ草も挟まっている。
それを通じて大神官の言葉と、大勢の人々の声が、セシルの元へ届けられた。
333 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:23:11 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0485 5章 4節 Eternal Melody(23)

鈴のような声があった。割れ鐘のような声があった。中にはひどく、調子外れのものまであった。
賑わう酒場の一角で。夕風の吹き渡る岸辺で。あるいは河に浮かべた小舟の上で、幼い弟妹の手を握り。
セシルが知らない、おそらくはこの先も、出会うことのない人々。彼らのほうでもセシルのことを何一つ知らないまま、ひとつに声を合わせている。
光の粒子を舞い散らせ、クリスタルもまた、共に歌っていた。
そして。
高らかに歌う結晶をセシルが手にした瞬間、黄金の光が膨れ上がった。
輝きが津波のごとく周囲を満たし、影という影、闇という闇を遠く追い払う。
光の波に浚われ、セシルの視界から一切の輪郭線が消えた。燃え盛る炎のように熱く、それでいて心地よい感触。
これまで振ったどの剣よりも、握った誰のてのひらよりも、クリスタルはセシルの手に馴染んだ。
このまま一体となって、光の中で溶け合わさる。そんな錯覚を覚えるほどに。
「EZAN!」
ダークエルフが──竜身から、もとの貧相な姿に戻った妖精が、驚愕の叫びを上げる。
太陽が降りてきたかと見紛うような光の中で、そこにだけ、薄汚い染みが出来ていた。
セシルはその染みに向かって右手をかざした。宝石が彼の意を汲み取り、さらに輝きを強める。
「AGIHC……ONION NEIEA BERAEAS……
 URAT USIRUK!」
やけに流暢な断末魔と引き換えに、ダークエルフの影が消えた。
それで終わりだった。
『やったー!』
ヒソヒ草の向こうで、少女のような歓声が湧く。負傷したヤンの元に仲間が駆け寄り、手を尽くして傷を癒している。
セシルはクリスタルを掲げ持ち、その様を見守った。
高揚がまだ、体の中に残っていた。
334 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:26:38 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0486 5章 4節 Eternal Melody(24)

あまりにもあっけないダークエルフの最期に、どこか腑に落ちないものを感じ、セシルは周囲を見渡した。
透き通った壁や床がクリスタルの輝きを反射して、あたりはさながら光の海だ。
ずっと昔、夕映えの中を飛んだときのことをセシルは思い出した。
山吹色の雲の塊が空いっぱいに広がり、それが次第に茜色へと微妙に色合いを変えていく。乗組員総出で見とれたものだ。
けれど、まだどこかにあるはずだ。この光で、消し去ってしまわなければならない闇が。
それはじきに見つかった。腹から血を流し、祭壇の手前でうずくまっている。
誰よりも良く見知った姿。血塗られた闇。
暗黒騎士セシル。
『あなたはこれからも、僕と一緒に常に歩き続ける』
かつて、セシルは確かにそう言った。
試練の山の山頂で。己の過去であり半身たる暗黒騎士に向かって。
けれど今ならば。このクリスタルの力があれば、完全な光になれるかもしれない。
心に無限の光をたたえた、伝説の聖なる騎士──真にパラディンの座にふさわしい人間なら、もう二度と、邪悪な力に屈しはしない。
十にもならない子供らを、みすみす死なせたりはしない。
誰より大切な人を、いつまでも捕らわれたままにはしない!
セシルは再度クリスタルを掲げ、見出した闇を消し去ろうと力を込める。
『やめてえぇーーーーーっっ!!』
しかし彼の下した鉄槌は、光の中から滲むようにして現れた人影によって阻まれてしまった。
それは女性の姿形をしていた。どこまでも白く、美しく整っていた。
そのくせ邪悪を庇っている。
「どうして君が」
『どうしてあなたがこんなことを?』
「下がるんだ……」
『お願い──! 正気に戻って!』
彼女はセシルの説得に耳を貸さず、頑として動かなかった。
きっと気づいていないのだ。その背に庇った暗黒騎士が、闇と血の匂いで、彼女を汚してしまうことに。
なら仕方ない。
大丈夫だよ。そいつが消えれば、君も目が覚めるから。
汚れも全部削り落として、真っ白な君に戻してあげる。
僕の大事な、可愛いローザ。
335 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:27:10 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0487 5章 4節 Eternal Melody(25)

「セシル!
 おい、セシル! 返事をせんか!」
呼びかけと同時に、強く体をゆすぶられる。衝撃で、セシルの手からクリスタルがこぼれ落ちた。
そのとたん光が弱まり、世界に輪郭が戻ってくる。
「……シド」
「どうしとったんじゃお前さん、ボーっとして!」
「どう、って……」
まるで眠りから覚めた直後のように、何かが突然、切り替わったように感じる。
セシルは大きく頭を振り、意識をはっきりさせた。
「僕は何をした?
 ダークエルフを倒してから」
「特に、何も」
あらかた傷の癒えたヤンが、簡潔にまとめた。違和感が残るのか、しきりに治りたての手足を動かしている。
「そうか……
 なら、いいんだ」
クリスタルをシドが拾い上げ、セシルに突き出す。ややためらった後、セシルは手を伸ばした。
受け取っても、恐れていたようなことは起きない。琥珀色の結晶の中心で、光は小さく瞬いている。
それは闇を突き刺すものでなく、木漏れ日のような、柔らかな輝きだった。
ヒソヒ草の向こうでは、まだ音楽が続いている。
──それも道理かもしれない。彼らはただ、歌うために歌っているのだから。
誰かが止めても、別の誰かがあとを継ぐ。今に伝わるすべての歌が、そうやって、時を渡ってきたように。
セシルはクリスタルルームを見渡し、床に落ちた小さな短剣を見つけた。
黒曜石の刃に、動物の角か骨で作った柄がかぶせてある。セシルたちの持ち物ではない。
拾い上げて裏返すと、浅く刻まれた鹿角のレリーフが現れた。
「……そうか」
面を虚空に向けたテラが、誰にともなくつぶやく。
「これが、お前の選んだ男か」
ちっぽけなヒソヒ草からあふれる歌は、広いクリスタルルームの中で幾重にも反響する。声と言葉と旋律は、終わりのない雨となって、セシルたちの頭上に降り注いだ。
336 ◆HHOM0Pr/qI :2007/08/19(日) 21:28:29 ID:m7qfFwT50
FINAL FANTASY IV #0488 5章 4節 Eternal Melody(26)

風に頬を撫でられ、ギルバートは闇の世界から帰還した。
「お目覚めになられましたか」
微笑んで語りかけてきたのは大神官だ。汗の浮いた彼の額を、手ずから拭ってくれていたようだ。
「僕は……いや、セシルたちは!?
 ダークエ……くっ、ごほっ」
気が急くあまり咳き込んだ青年の目を覗き込み、大神官は再び微笑んだ。
「ご心配は無用です。
 お立ちになれますか?」
不思議と、気分はあまり悪くない。ギルバートは大神官に手を取られ、寝かせられていた籐の長椅子から降りた。
そのままバルコニーの縁へと導かれる。
これまで、周囲の音に耳を傾ける余裕はなかった。だからはじめギルバートは、木の葉がざわめいているのかと思った。
大勢の人間が、思い思いに歌っている。
それは大神官が妹に許しを与えたときよりも、いっそう強く、また豊かなものになっていた。
「これは……いったい?」
「これがトロイアの、そしてこの大地の答えです。
 殿下のお心が民を揺り動かしました。
 そしてセシル殿が、クリスタルの力を解き放ちました。
 見事ダークエルフを討ち果たし、今こちらへと向かっています」
大神官の説明は、ほとんどギルバートの耳を素通りしていた。
町が歌っている。森が、大地が歌っている。
それが自らの成したことだと、ギルバートはようやく理解した。
彼は一枚の葉、一滴の水でしかなかったかもしれないが──
同時に風を受ける最初の葉、降り注ぐ雨の最初の一粒だった。
(アンナ……)
ギルバートの胸の中で、愛しい人の面影が、吐息が、鮮やかによみがえる。
抱きしめた肌の柔らかさも、暖かな鼓動も、すべて。
(なんとなく、わかった気がするよ……)
強く手すりを掴んだギルバートの元へ、優しく風が吹き寄せる。
歌は詩人と口付けを交わし、再び風に乗って、空高く溶けていった。
337名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/19(日) 23:29:57 ID:S8hO5Iqv0
GJ
338名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/19(日) 23:44:39 ID:QAIym4LcO
詩的で繊細な状況描写は安定してgood job
バトルにメリハリと迫力が加われば、その後の展開がさらに効果的になると思う
でもド素人の寸評なんて無意味に等しいけどね!
339名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 00:30:18 ID:SLPcWCCj0
>>336
気持ち悪いと思われるほど褒めて持ち上げてGJを連呼したい
340名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 12:33:24 ID:M9OyHJEr0
毎度のことながらGJ。
>>333のダークエルフの断末魔の台詞、芸が細かくてワロタw
341名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/20(月) 22:55:23 ID:SLPcWCCj0
>>340の書き込みで気づいたw>ダークエルフ
さすがだ
342名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/22(水) 02:03:28 ID:ojcTn5OQ0
ゲームよりもギルバードの活躍感が現せてて感動した
343名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/24(金) 23:38:34 ID:8nMH7nuz0
 
344名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/28(火) 20:01:48 ID:QL9dtU140
保守
345名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/08/31(金) 10:47:57 ID:FwOiHPSb0
 
346名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 13:36:02 ID:MAO+Gvh60
347名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 17:03:59 ID:DspfRF7b0
FF8 第一章 SeeD-

噂通りというべきか、俗に言う「秘密の場所」とやらは、人で賑わっていた。
各方面から様々な事情を含んだ話声が飛び交い、それが混ざり合い、辺り一体の
喧噪を作り出していた。
「ここ、久しぶりだわ」
場所のせいか、少しはしゃぎ気味な声のキスティス先生が喋る。
「今、何時くらいかな?」
「丁度……日を越えた辺り、零時過ぎだ」
そんな先生とは対照的に投げやりと言う表現が、一番しっくりくる声色で
俺が返答する。
自分で言うのもなんだが、無理もない。
先程のキスティス先生の覇気に押されて、此処まできたものの、元々
が乗り気で無かった上、実際にこの場所に来て俺は更なる憂鬱に見舞われていた。
「それで、どうするんですか?」
俺は、ぶっきらぼうに先生に訪ねる。
用件は聞かされていなかったが、教官たる者がこの場所に来てやる事は、注意くらいだろう。
最初からそう判断してた俺がこんな事を訪ねるのは、いわば先生に対する、催促みたいな
ものだ。
つまりは、早く用件を済まして帰らしてくれ。そういう気持ちを全力を込めての言葉だ。
348名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 17:04:34 ID:DspfRF7b0
FF8 第一章 SeeD-

「…………」
しかし、俺の嫌味とも言えるその言葉をうけても、キスティス先生は無言を続けていた。
「おいっ――」
少し、むっとした俺が何か言葉に出そうとした瞬間――
「宣誓っ! 告白しますっ!!」
俺のむすっとした低い声色を打ち消す程の大きな声。
「私、キスティス・トゥリープはただ今をもって教官じゃなくなりました!
事情は様々あれど、指導力不足! それが一番の原因です」
俺は慌てて辺りを――周りに散在する集団グループを見渡した。
幸いというか、何処も俺たち二人を見ていない。それに、よくよく冷静に考えれば、
辺りの喧噪もかなりのものだ。あの程度なら気付かないのであろう。
「ええっと……それだから今日からは私もあなたと同じSEEDです。これからは
一緒に仕事をする事になるかもね!」
そう言って、よろしくといわんばかりに手を差し出す。握手でもしようとしてるのか?
「そうか……」
俺は手を差し出さずに、無愛想に返す。
「それだけ?」
ノリの悪い俺に、不満といった様子だ。
「そう決まったんだろ。なら仕方ないんじゃないのか。ガーデンでの決まり事なら
従うしかないんだろ?」
正論だろう。キスティス先生――いや、もう先生ではないのだが――はしばらく黙りこんだ。
「第一……何故此処に来たんだ……それに何故俺も……」
「したかったの……して……たかったのよ……」
瞬く程の瞬間に俺の放った一人事が、沈黙を打ち消した。
349名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 17:05:42 ID:DspfRF7b0
FF8 第一章 SeeD-

「聞いて欲しかったのよ。そして掃き出したかったのよ何処かに……」
最前とは違い、その言葉は大変に明瞭且つ、正確だった。
「この場所でなら、大なり小なり、多少の振れ幅の悩みなんて溶け込んでくれる。
それに……誰かがいてくれたらなおの事……」
「…………」
「私,教官失格なんだって――」
しばしの沈黙の後、切り出してきたのは彼女の方であった。そこにはむしろここからが
本題だと言わんばかりの語気が感じられた。
「原因は指導力不足だって……言われたわ。若すぎるって……まあ、無理もないわね」
呆れ気味に語るキスティスには苦笑が混じっている。サイファー、否俺の事だとでも言いたいのだろうか。
「15歳の時SeeDになって17歳で教官の資格をとったの。成績は誰にも負けてないって思ったし、
実際に幾度も証明してきたはず……周りも、シュウ達だって認めてくれていたし、嫌な言い方かもしれない
けど、親しい人以外の評価だって高かったと自負してるわ……」
「…………」
「それからまだ一年しかたってないのに……何が悪かったのかな……」
一体――誰に――
「常にトップを走っていた実感もあったし、そうであろうとする努力も負けないようにしようとする
意気も備えていたと思うし、注目が集まれば反感があるのも仕方がないと覚悟もしてたし、色々頑張って
きたんだけどね」
俺は――
「ね,聞いてる?」
やや適当に聞き流していた俺の態度がキスティスにも伝わったのだろうか、言葉の矛先を俺に向けてくる。
350名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 17:06:40 ID:DspfRF7b0
FF8 第一章 SeeD-

「一体誰に話しかけているんだ?」
先程から沸き上がっていた感情を俺は言葉にした。
「え?」
少し冷たい語気をはらんだ俺の言葉は彼女のペースを打ち切った。
「だから、スコールでしょ。あなたに……」
「そうじゃない……!」
自分で驚くほど俺の言葉は冷静で鋭い。
「結局、俺は必要だったのか? 話は…まだ続くのか? そういう話は嫌いなんだ……
他人の不満や不安…そんなこと聞かされても俺には無にも言えないだろ?」
先程とはうってかわり俺は言葉を矢継ぎ早に彼女へと送り込む。
「何か……いってもらおうなんて思ってないわよ……話を聞いてくれるだけでいいのよ」
「だったら……」
たじろぎつつ放たれる彼女の返答あったが、俺はまだ言葉を続ける。
「だったら……壁にでも話してろよ。自分のことは自分でどうにかするしかないだろ?
俺は他人の荷物を持ちたくない」
言い終わらぬ内に俺は身を翻し、秘密の場所から駆け出していた。
351名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/03(月) 20:01:58 ID:GT7IM31J0
ひどいw
352名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 01:49:18 ID:WMjJLfoB0
ところで ◆HHOM0Pr/qI 氏はゲサロかどこかでも小説書いてないですか?
353名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 12:39:09 ID:Wr/MujuK0
>>351
そう?
354名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/04(火) 18:02:43 ID:wCrjHCxMO
壁に話してろは序盤スコールの代名詞だからな。
ともあれ8の人おかえり。
355 ◆HHOM0Pr/qI :2007/09/04(火) 22:22:24 ID:Crd2LgnJ0
>350
これがかの有名な台詞かw
スコールの言葉使いの変化に、彼の苛立ち加減が出てますね。


>352
書いてないっす。
ちょっと前はロボゲ板でネタ投下してたけど、最近はほぼこのスレ一本。
似たような文体の人でもいましたか?
356名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/07(金) 19:41:51 ID:9bo1NVGH0
ほっしゅ
357名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/09(日) 01:05:25 ID:NdhIgIJK0
DS版FF4も発売されることだし、このスレももっともっと盛り上がっていこうぜ!
358名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/10(月) 00:45:22 ID:J7ijV1++0
確かに盛り上がっていきたいが人が少なくなってきてるのではないかとおもう。
ってことで357も書いてみよう!
359名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/13(木) 22:38:40 ID:azbbUAN00
保守
360名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/15(土) 17:31:58 ID:QlQ1HZ9r0
 
361名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/17(月) 10:16:54 ID:5kWhL31K0
hosyu
362名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/20(木) 07:06:44 ID:0iVD4QsC0
b
363名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/22(土) 14:17:18 ID:7l8pHoYG0
364名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 01:19:10 ID:fi9SpuRi0
365名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/24(月) 14:59:00 ID:cyderW3G0
366名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/25(火) 23:06:23 ID:yKZWAJbA0
>>365
また毒ポーションか
367名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/09/28(金) 22:15:49 ID:NcAK+jeX0
368名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/01(月) 22:58:20 ID:oGHzod7s0
保守
369名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/06(土) 11:59:52 ID:IQwW+u+00
 
370名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/10(水) 17:38:55 ID:4OcvQuEQ0
保守
371名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 01:27:01 ID:CZOv5Vef0
372名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 14:06:23 ID:uJOAqFslO
保守
でなければ俺が書く
373名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 21:29:23 ID:2av4u/NA0
FF6の続きを誰か書いてくれ!
374名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/11(木) 21:32:29 ID:2av4u/NA0
つーか昔あったまとめサイト復帰してくれ。
読み返したくても読み返せない・・・
375名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/12(金) 15:11:39 ID:pmeB0rxS0
376名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/12(金) 15:43:21 ID:7K4CosHl0

しゅっしゅっシュラシュシュシューーーーー!!!!
377名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/13(土) 19:09:25 ID:F0WMIhWG0
>>372
書いてくれ!!
378名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/14(日) 20:08:49 ID:+NwbfwYa0
まとめサイトなくなってるじゃん…
379名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/14(日) 21:27:40 ID:14WTvcmy0
まとめサイトない。かなすい
380名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/17(水) 22:45:06 ID:kGxZ782Z0
ttp://co2.jp/humakiraz/
こっちはまだ生きてるようだ
381名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 15:31:25 ID:QDJqO/7P0
 
382名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/19(金) 23:02:52 ID:XfhJHRKB0
そっちがあってもFF4とか6ないじゃんそこ
383名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/23(火) 00:01:25 ID:IeYP4I0r0
保守
384名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/23(火) 18:11:10 ID:ChP8paf70
6の最初に人好きだったなー
なんか言いがかりつけられて出てった記憶
385名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/24(水) 03:00:41 ID:vnMDWyXO0
保守
386名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/24(水) 22:14:55 ID:2TQy/JaM0
>>384
387名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/25(木) 01:08:05 ID:/Iyi5Nc20
保守
388名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/26(金) 01:40:02 ID:LwMzddEz0
保守
389名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/26(金) 01:40:45 ID:O4makH5C0
>386
何が。
390名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/28(日) 01:22:18 ID:u6AtBl3P0
わからん
391名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/29(月) 01:33:15 ID:aYASP5S20
本人乙、擁護乙ってことだろ。多分
392名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/29(月) 12:32:15 ID:r8Nl1l/D0
もうおらんだろあの去り方だと…www
393名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/29(月) 18:44:58 ID:i5VEazY/0
FF8、昔幾つか読んだなー
G.ガーデン戦がぜんぜん違うふうに書かれてて、すげー衝撃受けたっけ
よく考えてみりゃかなりヒサンなことになってるんだが、それががっつり書かれてて、かなり考えたな
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/10/31(水) 01:19:35 ID:7C7bNhPp0
保守
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/01(木) 00:04:38 ID:h6GHmuKe0
保守
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 01:19:22 ID:8N4at4Jb0
保守
397名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 20:19:18 ID:cFeNFY/Y0
ここの住人の中で他人の文章に難癖つける奴がいて
そいつのせいで書き手は去ったんだろうよ……
自らスレを閑古鳥にしやがって。
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 23:25:05 ID:uVVhFId10
難癖というか、良いアドバイスもあったんじゃないかな?
元々ノベライズ自体、元作品の解釈に始まって作文と推敲…と段階を経たものだから
ただでさえ投下までには時間が掛かるだろうし。その上リレー形式だから前後の文脈も
把握してタイミング見計らって…と、意外と手間が掛かるし気も遣うと思う。
最大の要因は、書き手のモチベーションが保てるかどうかなんだけど、その辺はこの
スレの住人も協力したら効率いいんじゃないかなと思う。イベントの解釈とか、各自が
初プレイの時にした失敗が案外良いネタになる事だってあるんじゃないかな?
行き過ぎると雑談になるから基準が難しいけど、そういうネタの出し合いってのもあって
良いんじゃないかなと、このスレの流れを見てて思った。ま、一個人の意見だけどね。
399名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/02(金) 23:50:30 ID:cFeNFY/Y0
良いアドバイスもある分にはあったんだが、
投下しやすいスレにあるような雰囲気はあまり感じなかった。
 まあ、「かなり真面目にノベライズ」だからな。
でもあまり忠実にしようとするとガチガチになるし、
いい意味で遊びが入ると面白いんだが。
ネタの出し合いから創作意欲刺激される職人さんもいるだろうし。
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 00:13:15 ID:kDgrh9IE0
ゲームの忠実な再現と、ノベライズならではのオリジナリティ。
この両方を実現させるのはそう簡単なことではないと思うけど、
そのアイディアはゲームをプレイした人達なら、少なからず
誰しもが持ってると思う。見方の違い、感覚の違いはあるだろうけど。
この辺、書き手間で現れる違いが良い意味で遊びになるんじゃないかな、なんて思う。

たとえば(個人的な感覚で申し訳ないけど)、ゲームには「システム」っていう要素がある。
この「システム」が、物語の世界観とうまく調和した文章を読んだ時にすごく感動した。
自分にとってそれが、ゲームのノベライズが面白いと思ったキッカケになった。

キッカケを作る事よりも、それを維持・継続させることの方が何倍も難しいと言うのもあるけど…。
雰囲気作りは大切だと思うよ、一応言っておくと馴れ合いとは別物。
ま、スレがどうあれ書きたいヤツは書くだろうけどね。
長くなったけど、個人的にはこのスレの繁盛を願ってる。
401前にUSA書いてた奴:2007/11/03(土) 11:41:10 ID:7YscATjfO
なんかこのスレ久々に来たけどなんか寂れてるな…こんなになるまで書かなかった俺も悪いんだが…続きを書きたくてもどこまで書いたか思い出せない。

最初から書きなおしてもいいだろうか?
402名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/03(土) 15:01:14 ID:ijLMUIKe0
>>401
ログ持ってるから確認したけどUSAはフォレスタ到着、枯れ枝入手まで(前スレ>832)進んでる。


403名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 02:56:08 ID:1rhG3tHl0
真面目にノベライズさせるのに、リレー形式とはこれいかに。

書くなら書くで、その人なりの構想を立てないとめちゃくちゃになるだろうに。
もしくは、伏線回収の構想やら解釈やらを完全に無くした小説が御所望か。
ということでいくつもの解釈、見方で同じシリーズでも複数の小説があるようにすれば良かったな。
上手い人の続編を書かなければいけないプレッシャー、もしくは、他の人につながり難くされることがなくなって
書き込めにくい環境がいくらか緩和されるだろうに。

あとな、個人サイトとは違って、掲示板で燃料を枯渇させる行為に何の意味がある?
レスが付く分、こんな有様より馴れ合いのほうが全然マシだろうが。
ネタスレ企画スレなら、クオリティより盛り上げ重視だろう。たとえ駄作が多くても、そのなかに良作は紛れている。

ということで、一からやり直さないか。
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 03:07:26 ID:kbhTJf1y0
>>403
反対。
「一からやり直せば」って簡単に言うけど、まだ進行中の作品だって少なからずあるんだよ。
過去8スレ分の蓄積がね。歴史があるわけ。
そういう作品の作者さん達の気持ちを考えると、そんな言葉はとてもじゃないけど出てこないと思うな。
それなりに楽しみにしている読者だってもいるだろうし。
かくいう俺もその一人だけども。
スレの盛り上げが必要なことには同意だけどね。
中々良い代替案が浮かばないけど、とりあえず現段階で一からやり直すことには反対。

405名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 08:41:46 ID:FDHaV5Nj0
でもさあ、過去ログすらまともに残ってないんだぜ?
だったら新規の書き手が書きやすい流れにするために
せめて過去ログは自由に閲覧できるようにしてほしい。
 ログを持っている住人がいればの話だけど。
まとめを作るのは大変なことだしさ。
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 09:59:25 ID:cH967eh0O
>>405
そうだな、過去ログないと厳しいか。
とりあえずまとめは無いけど過去ログ詰め合わせうpしたよ。
パスはffnovels
ttp://www.uploda.org/uporg1095845.lzh.html
407名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 12:35:17 ID:hu03YamU0
>>403
>>404の気持ちも分かるが、意見としては403に概ね同意だな。
読む方としては、突然文体や中心になるテーマが揺らぐのはどうにも負担になる。
ノベライズしてるのは同じ作品なのに、統一性がないというか。
あと変なところで放り出されても継投できないし、読んでる方も放り出された感があって気分悪い。

方式としては、403の示した「複数のノベライズ」を可とすること。
あと>>2のコンセプトで示されている継続困難という所をカバーするために、
書き手継承の制度でも作れば良いんじゃないかなと思うよ。もちろんこれは、
新旧書き手の合意がなきゃ成立しない。
ただこの方式をとった場合、中途半端な(特にゲームの冒頭部分w)散文ばかりになる
可能性は否めない。
それをまとめられる人間がいるかどうかも疑問。まとめが今以上に重要になってくると思う。

FF4とか、長期間にわたって継続している作品は今のままのスタイルでもちろん良いと思う。
ただ、そのほかの作品はほぼ継続してないだろ?理由は示されてる。だったらやり直せば?
となるのは自然な流れだと思う。
スレが活性化することは、他の書き手・読み手にとっても有益になる事なんじゃないかなと。
408名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 14:26:15 ID:FIHGKRT60
>>406 サンキュ! やっと過去小説が読めるよ

そうそう! なんかさ、書きにくい感じ。
前の書き手が何かこの文に伏線を張った感じがするんだけど
どう生かしたらいいか分からない時もある。

ゲーム内の台詞に忠実な書き手もいれば、
独自の解釈で台詞や描写をする書き手もいるしさ。
自分としてはある一場面だけを小説で再現する短編もありにしてほしいんだが。
皆ここだけは書いてみたいという場面があるだろ?
そういう場面だけは書き手の人気が集中すると思うし。

長編のリレーでもさ、皆密かに自分が書きたい場面が来るまで
誰かが物語を進めてくれるまで待っている感じもするんだよね。
409名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/04(日) 21:48:28 ID:RRRmibH2O
そして書きたい場面は被りやすい
410名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 02:45:19 ID:irvvGMPr0
複数平行でやり直すのも可に1票
むろん今までの続きも続けた上で
411名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 06:39:33 ID:uPxDpHU7O
とりあえずまとめてくれる人がいないと大惨事だね
412名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 12:14:31 ID:6DoPZGSP0
まとめはやっても良いと思ってるけど、一人じゃ絶対無理だろうな。
あと、申し訳ないけど未プレイ作品とクリア作品とでノベライズへの愛着
(作品自体を読むのは好きだけど)が違うから、その辺も含めてまとめ人単独だと
負担になるんじゃないかなと思う。
そこで提案なんだが、まとめサイトは1つで、まとめ作業を担当制みたいにして
複数で分担ってのはどうだろう?
書き手もまとめ人も日常があるし、各々負担は少ない方が良いと思う。

現状維持にしろ、仕切り直すにしろ、
まずは過去ログをまとめて、新規の人にも今の状況が分かるようにしておく事が
良いんじゃないかなと思うんだけど。現状が分かれば違った意見も出るだろうし。
その作業と並行して、このスレの今後の方向性を話し合って行けば効率良くね?
413名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/05(月) 23:57:47 ID:eeHITBZc0
つかまとめはwikiにしちまえば本人が追加できるんじゃ?
414名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/06(火) 00:38:45 ID:gT2VnHu+O
wikiだと何か味気ねーな。
簡単だけど。
前にあったまとめサイトみたいな感じの方が読み易くて良いと思うけどな。
まあ誰が作るの?って話だがね。
415名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/06(火) 22:36:58 ID:4bUlJv8S0
wikiにして欲しい。
だって過去ログとかみると必ず1人はまとめサイト管理人に
文句言ったり、逃げただとか言ってる奴がいるんだもん。
人の好意で成り立ってるのに、あんな言いかたしたら
そら皆逃げるよ。
 本人が追加、もしくは気になる奴が追加でよくね?
デザインが気に入らなかったら自分で気に入ったやつを別途で作ればいい。
 絶対皆で作ったほうが良いと思う。個人じゃ負担大きすぎ。
416名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/10(土) 20:11:28 ID:R5fre6/H0
417名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/10(土) 23:25:59 ID:ewIqV30q0
>>416
不気味だからなんか書いて
418名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/11(日) 07:08:51 ID:3lZcEWGF0
ごめん、保守のつもりだったんだ
419名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/14(水) 22:22:34 ID:1w0neant0
保守
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/15(木) 21:48:06 ID:iSfpkhDjO
むかーしむかし、「魔列車」という短編書いた者だが、
物書きじゃないから当たり前だけど稚拙な文章だったなあ。
とてもじゃないが読めたもんじゃない。
継続して書くにはまず自分を殺さなきゃいけない。
応援は応援で嬉しいが自分が自分で自分の作品を読むこの恥ずかしさと絶望感に耐えられない限り継続して書けないよ。
421名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/16(金) 09:01:48 ID:UrHXRQqY0
そう思うなら書き直せ
そうやってるうちに上手くなるもんだ
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/17(土) 18:39:42 ID:5jAfDsHc0
>>420
あんま難しいこと考えないで書きたくなったら書けばいいんじゃない?
魔列車面白かったし。
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/17(土) 22:16:40 ID:TIYAo+2n0
いや、分からんが>>420は「ノベライズとして継続して書く事は難しい」って事を言いたいんじゃないか?
書き直しがきかない・気まぐれで書けない・テンションの維持が困難
これが単独でノベライズしていく最大の壁だろうと思うよ。

物書きじゃないから何とも言えないけど、過去を振り返ってその荒が見えるって事は
それだけ成長したって事なんじゃないかな?
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/21(水) 22:01:27 ID:wwXmzS3t0
保守
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/23(金) 18:42:26 ID:HZo51lqB0
保守
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/25(日) 00:52:28 ID:rFmnukPs0
はいほしゅ
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/26(月) 11:18:35 ID:0AWtYRXO0
保守るよ!
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/11/30(金) 01:35:41 ID:DQL/jRiS0
保守
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/02(日) 07:30:38 ID:L4V96qIW0
保守
430名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/07(金) 00:14:04 ID:1Slskwe80
 
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 06:07:54 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

その「声」が俺の耳へと伝わってきたのは、秘密の場所とやらを出てから
ほんの少しの時間も経っていないだろう。
キスティスにああ言ったきりの俺は、そのまま部屋へと帰る事に何故だが、
躊躇っていたのか、何処へ行くともなく訓練施設の内部を彷徨っていた。
ガーデン内の一フロアでしかないのこの場所は規模こそ小さいものの、
実戦を見通してのバトルフィールドが構築されている。
各地に植えられた木々に、小規模な湖。人為的に作られた岸壁はまるで
自分が何処かのジャングルにでもいるかのように錯覚させるには充分過ぎると
言っても過言ではなかった。
その施設内を何気なく一回りして、帰路へと付こうとした時であろう――
悲鳴混じりのSOSが、人口サバンナの喧噪を打ち破り俺へと届いた。
「何だ……」
俺の呟きと同時に人外なるものの呻きが続く。成る程……ベストタイミングな答えだ。
「まさか、そんな奴がいるとはな……」
自分の導き出した解答に対して、俺はまだ見ぬ救済者に対して呆れを感じた。
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 06:08:28 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

この訓練施設はガーデン内で唯一の常時開放された場所である。
それは当然ながら、日夜、Seedを目指す者達が何時でも、己の鍛錬を出来るように
という理由であり、決して仲間とのお喋り空間の提供では無い。
当然ながら、後者の目的の者は前者の理由を充分に察しているので、それを分かった
上で、皆々危険をかいくぐり、「秘密の場所」とへと行くのである。
それなのに……まさか、魔物に襲われる者がいるとはな――訓練が目的の者ならば
第一助けを求めたりはしないだろう。
つまりは、この声の主は訓練以外のその他の「用事」でここを訪れ、充分な対処を
欠いてしまってこのような結果へと見舞われた事となる。
「…………」
別段、糾弾する事ではないのだろう。今までも良くあったらしい。
誰かに助けを求めるという事は自分がこの時間に此処にいる。つまりは、
規約違反をしてまでの夜更かしをしていたという事は他の誰かに教えてしまう
事である。
過去にもこのような事で助けを呼び込み、自らの違法行為に対し、教官や教員から
厳罰を与えられた者も少なからず存在する。
無視しても良かったのだが、寝覚めも悪いだろう。俺は歩く幅を少しづつ速める。
433名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 06:09:06 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

結論としては、俺の推測は当たっていた。
訓練施設の入り口近くで、施設内に生息する魔物が、一人の女性を今まさに襲おうとしている
ところであった。
見るとことろ、魔物の種類はラルドとグラナルド。
いつかのHRだか、授業だかで説明された「訓練施設の利用方法と概要」によると、
ランクCクラス(個人戦用)に属する魔物だ。
特徴としては、羽の生えた、黄色に斑交じりの飛行体「グラナルド」がなんらかの信号をもう一つの
魔物――地面を這う甲羅覆われたグレーの生命体「ラルド」に対し送り込み、多彩な連携行動にて、
相手に対し、攻撃を仕掛ける事になっている。
グラナルド一体に対して、ラルドは大抵、二〜三体存在しており、対処方としては先にグラナルド
を始末、後に烏合の衆と化したラルドを各個撃破するという流れになっている。
この魔物との戦闘意義は一体対という戦闘ケースをどれだけ的確に捌く事が出来るかのスキル確認で
あり、一対一に於いての非被弾及びドローの実戦使用を目的としたDクラスの食虫怪物「グラッド」に
於ける戦闘意義に近いものである。
ちなみに魔物ランクはEからSまで存在しており、最大ランクの「アルケオダイオス」以外は訓練施設に
設けられたブロックに、各個放たれている。
434名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 06:09:37 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

「このランクなら……」
俺の敵ではないだろう。SEEDになる前から幾度無く、足を運んだこの場所で、各魔物との戦闘経験を積んで
きた俺にとってはこの施設の魔物との戦闘は既に体に浸みついていってると言っても過言では無い。
俺は殆ど反射的にガンブレードを準備し、戦闘準備へと入る。
踏み込む一瞬、俺は女性を見る、怪我などが無い所を見ると、襲われてすぐに悲鳴をあげたようだ。
「運が良かったな、アルケオダイオスでは無くて――」
俺は自覚する程に珍しく流暢に話していた。こんな時――自分の興味内のテリトリーに関連する自体や
話題になると、俺は普段に比べて多弁になる。自分ではやや、悪い癖だと感じてはいるのだが、そう簡単
に癖等直る物ではない。
刹那――自身に溢れ気味の俺の言葉は危機迫る彼女には聞こえていたのだろうか? 後から見れば違うと
でも断言出来そうであるが、今のおれにはそんな判断時間は微塵も無い。
だが、彼女はその言葉の後にこういったのだ……
「助けてっ! スコール!!」
435名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 08:32:27 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

「!!!!っっ――」
その言葉は俺を油断させるには充分過ぎた。
何故俺の名を……ゼルは否定していたが俺は学園でもさしたる知名度もないはずだ。
仮に人前で手を振って歩く事が出来ぬ程の物であっても、この場面で名前を呼ぶのは
やはり違和感がある。
ふっと悲鳴の主へとめくばせするがやはり、俺の知らぬ顔だ……忘れているっ?
…………そんな訳はないはずだっ! おそらく……
ならば、なおの事だ。おかしいだろ、初対面の名前すら知らない相手が自分に助けを
求めるなど……



――そこまでだった――



436名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/08(土) 08:33:02 ID:RGpw0VZE0
FF8 第一章 SeeD-

いくらCランクであろうが、いくら相手に馴れていようが、いくら事情があろうが
「油断」が背についた事は「敗北」を意味する。
やるか、やられるか、速い物勝ち。勝負とはそんなものだ。無論、それが人ではなくとも。
俺が彼女をへと見据えた視線を元に戻した時には、甲虫の魔物が俺への攻撃を開始しようと
しているところであった。
俺も素人では無い。初日ではあるもののSEEDだ。自負するだけの実力も身に付けている。
だが、戦闘とは何に於いても展開の早いものである。
咄嗟に体勢を立てようとするも間に合わない事が俺には分かった。
終わったのか……?
ふいにそんな考えがよぎる。
まだだ……一旦攻撃は喰らうが、何とかして被害を最小限に抑えて、今度は、なるべく
損傷軽微を維持。そこから再び相手を俺へと向けさせ、当初通りのプロセスをこなす。
だが、手負いを負ったからには、万全なる実力が出せない。
行けるか? 分からない? 出てくるのは消極的な言葉と選択肢だけだ。
「スコール」
突如、別の声がおれを遮った、同時に目前の甲虫の魔物が吹き飛んだ。
「攻撃を再開。飛行体へと集中しなさい」
驚く暇もなく機械的に言葉が繰り出される。
「了解」
戸惑う間をくれなかったというのが正直な所だが、俺は状況を咄嗟に理解した。
教官――厳密にはもう俺と同じSEEDなのだが、キスティスが援護したのだろう。
この機会を逃す訳にはいかないといった感じで、俺はなだれ込むように飛行体「グラナルド」
へと攻撃を開始する。
踏み込みの距離を計算。体に染みこませたタイミングを見計らい、地面を蹴る。
次第に近づく、目標へと攻撃を被せる。外れはしない。何度も戦った相手だ。
そして、幾多もの戦いを戦い抜いた「ガンブレード」のトリガーを引き、目標を仕留める。
437名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/10(月) 03:49:48 ID:+2cWK0R70
おつ
438名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/10(月) 22:04:19 ID:ItZ307yK0
久しぶりに来てみたら
まとめもノブモノHPも消えてて涙目。
439299だった人:2007/12/11(火) 08:07:50 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0489 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(1)

エブラーナ。
おおよそ、バロンやトロイアといった北の大国からは随分と離れた
島一つから形成されるその国は他とは一線を画す、ある一つの特色があった。
そもそも、他国から幾分もの遠方のこの地に於いて、一つのまとまりである国家
が出来上がるのには少しの遅れが生ずるものであった。
長年、各地で少数勢力が、日夜紛争を繰り広げ、日進月歩のスピードで国は形成されていったのである。
理由のとして挙げられる事には前述の通り、他国に比べ、隣国との距離が非常に離れている事が
あり、もう一つはエブラーナ国の周りの海流にある。
この島国を取り巻く海流は非常に激しく、他国が航海によっての外交的接触を果たす事は不可能
と断言できたのだ。
現実的にも、エブラーナ国が他国との関係をもったのも、約百年程前の事となるだろうか、
バロンの飛空挺という天駆ける船による、大空から介入であった。
その様な幾多の理由の結果として、このエブラーナ国は現在この世界に存在する国家の中で
最も歴史の浅い国であり、それと同時に他国の色をあまり受ける事の無い、独特の文化
を持ち発展してきた国が出来あがったのである。

そして、国家形成までの統一紛争に於いて最たる功労者且つ、特異として存在したもの――そして
現在でもこの国に於ける最重要戦力として存在するもの、それが「忍術」である。
440299:2007/12/11(火) 08:09:12 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0490 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(2)

それのルーツは魔法と同一とものとされており、知性を研ぎ澄まし、魔力を爆発させるだけなのである。
ただ、鎖国状態同然であった一つの島に於いて亜流進化を遂げただけであるといっても間違いでは
ないだろう。
どちらかといえば、白魔法的な性格よりも、黒魔法的な性格を持つ忍術であるが、原典たるそれにくら
べるとやや特殊といえる部位が存在する。
黒魔法に比べると忍術は隠密行動時や、密集戦での働きを考慮して、単価の威力や魔法の効果範囲を
考える以上に、確実に相手へと命中させる事、無駄に味方を巻き込まないような性能を保持している。
また、黒魔法側に比べ各詠唱時間を極端にカットしている事もあり、術者は戦士とのコンビネーションを
取る事より、打撃を織り交ぜ、ヒットアンドアウェイを中心とした単独戦術に適しているのである。
近年、その存在を知った魔術師の一部からは中途半端であり、バランスが悪いのでは? などの指摘も
あがってはいるが、平地が少なく、山岳が国家面積の多くを占めるこの国の戦いに関しては、忍術の
効率性は遺憾無く発揮されたといってもいい。
実際に、魔術師側の意見にもその成果を中心に忍術の有用性を主張する者も多く存在しており。
一部では無視の出来ないカテゴリーとして、バロンを中心とした若年魔術師の間で、今日でも議論や
研究が交わされている。
最も、エブラーナ王家により、忍術の奥義は門外不出とされており、忍術を詳しく知る者が他国には
居ないことも、現実であり、それを研究しようとする者は必然的に非国家レベル。所謂ところの民間
同士での武術の交流があったファブール国を通じての忍術との出会いを果たす事が現実的なのである。
そのせいもあってか近年の議論はファンタジー交じりの推論や不明瞭な点も多く、高齢たる重鎮魔術者
の間ではその存在を知らぬ者や認めない者もまだ多く存在するのも事実であり、現時点での他国での
実地投入は夢のまた夢であり、研究自体にも少数勢力ながらも更なる発展が期待されているのである。
441299:2007/12/11(火) 08:11:21 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0491 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(3)

エブラーナは島の中央に位置する城が中心となり、その周りに散在するように、各集落が存在している。
とりわけ、国家の中心部と言えるエブラーナ城は国家の大半の人口が生活しており、王を頭領とした
忍術を使う者――忍者と呼ばれる存在で構成されたエブラーナ軍が組織されている。
建国からまだ浅い年月しか経っていない国は国を統一したジェラルダイン家による一族世襲制により
当主が決められている。
そしてその現当主。つまりは、この国を統治する者には一つの悩み種があった。
「エドワードのやつめ……」
現エブラーナ王。彼は自分を苦しめる元凶たる者の名を呟き、玉座へと腰を下ろす。
「あやつはまた何処ぞやをふらつきおって! 自覚という者はあるのかっ……!」
「まあまあ、落ち着いてください」
一人愚痴をごちる王をすぐ側にいる女性がいなす。
「そうはいってもお前、少しは国の次を担う者としてな――」
「でも、あなたはエッジを評価していらっしゃるのでしょう?」
「うむ、そうなのだが……やはりな」
「あの子にだって考えはあるんですし、ただ遊んでる訳では無いでしょう」
「そうなのだが……」
「国のみんなもあの子の事を充分に分かっていますし、それを受け入れてるわ。それに、ほら……
子供達は家臣の奥様方にはすこぶる人気よ……」
「…………」
女性は常時落ち着いた口調で、「いつもの事」といった感じで王の言葉を処理していく。
これには一国の主であり、数多くの修羅場を潜ってきた戦士である彼も、段々と言葉を切らして
いかざるを得なかった。
「いつか時がくれば、物事は解決するわよ。それに……」
「それに……?」
「私とあなたの子ですもの」
すっかりと寡黙にオウム返しをする王とは対称的に女性――エブラーナ王妃はやや照れた様子で言葉を切る。
「はは…そうだなっ」
降参だと言わんばかりに、王も苦笑を交えた微笑をする。もはや幾度と無く繰り返された光景だ。
442299:2007/12/11(火) 08:12:26 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0492 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(4)

エドワード・ジェラルダイン。自分を含めエッジと呼んでいる自分の息子を、彼は本気で困り者だと
思ってはいなかった。妻の言うとおり、時間が経てば、いずれはやって来る事なのだし、息子が王になること
に反対意見などは全く、心では安心しているはずなのだ。
だが、決して普段の素行が理想的だと言うわけでは無い為、無駄な心配をしているだけなのだ。一国の王とは
いえ、彼とて親としての心配といった感情は多少なりとも持ち合わせている。
「あやつが王になるのも、そう遠くないのかもしれんな」
王は妻にだけ話すといった感じで言った。最も、今この王の間には自分と王妃の二人だけしかいないのだが。
「どういう意味ですか?」
不思議と言った感じで王妃は聞き返す。
「うむ……」
「失礼します!」
夫婦の穏やかな会話を打ち切ったのはやや乱暴なドア音であった。
「大臣か」
「誠に」
「して何用か? 急ぎでも無ければなるべく穏便で頼むぞ」
部下へと注意を促す王の声は、先程までの王妃との会話に比べる鋭い。
「はい、実はエドワード様の事なのですが」
「エッ、エドワード王子がどうしたというのだ?」
「本当に……エドワード様は王になるつもりがあるのでしょうか……?」
「何?」
「ですから……王子はいつも何処かへと放浪しており、国政の事にもあまり関心がなさそうに見えるのです
ひょっとしたら……王になるつもりがないのかと」
「…………」
内容が内容なので、老齢の家老の口調はたどたどしい。
王は無言で言葉を待った。見ると王妃も彼と同じく神妙な顔となり、言葉を待っている。
「怖じ気づいたのではなどと言う者もおります、このまま王子に任せる事が本当に国としての未来になるの
でしょうか、ひょっとしたら怖くなったのではないでしょうか……そんな気持ちで王になってもらえば私も
困ります。この時勢です……他国とやっていけ――」
「そこまでにせいっ!!」
443299:2007/12/11(火) 08:14:06 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0493 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(5)

「ひっ!」
大臣は身じろいだ。
「よくぞそこまでの罵倒が出るなっ! いくら放蕩な輩とは言え、我が息子! 戯れ言はそこまでにして
もらおうか! 下がれぇ!!」
「はいぃぃ……」
王の逆鱗に触れた大臣は逃げるように扉へと手をかけようとした。
「待て」
「何か……」
まだあるのかといった様子の大臣は恐る恐る王へと振り返る。
「お前は誰だ?」
「は?」
「誰だと言っている」
「大臣です」
間が抜けた様子で問い返す。
「嘘を付け」
繰り出される王の言葉は最前、怒りを露わにした時とは違い、絶対零度の吹雪の様に鋭く冷たい。
そんな調子で淡々と繰り出される言葉は露骨な怒りの声以上に、人間には耐えられないものであろう。
「ですから……」
「もういい」
否、この時の王の言葉は見知った仲の者――人間に向ける言葉としてはあまりに気が無い。
「誰だと言っている!」
そう言い放ち、腰へと忍ばせた忍刀を大臣目がけて、投げつける。
エブラーナ忍者は忍術の他にも、武器に遠心力を付け、相手に投擲する技能にも長けている。
勿論、ただ曲げるだけなら誰にも出来るが、忍者のてから繰り出されるそれは通常の人間とは比べものに
ならない程の殺傷能力を秘めているのだ。
投擲する物には所謂、手裏剣と呼ばれる、専用道具もあるのだが、忍者にかかれば騎士達の使う剣、果てや
魔導士の用いる、杖やロッドといった武器類も遠距離用武器と化してしまうのだから恐ろしい。
444299:2007/12/11(火) 08:21:55 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0494 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(6)

「グゥゥーー」
刀は大臣の腹部へと勢い良く刺さる。
「え……?」
突如の奇行とも取れる王の行動を見て、王妃は少し震えた声を出す。しかし、その声は次第に別の事への
怯えへと変化する。
「どういう事?」
「やはりな」
二人の視線に注がれた大臣は呻きをあげ崩れ落ち動かなくなった。それは普通であった。しかし、大臣の体
からは血の一滴すら上げていない。
「人ではないの……?」
その疑問に答えたかのように大臣であったものが、再び動き出した。瞬時に王妃の元に飛び上かかろうとする。
「危ない!」
王は咄嗟に王妃を庇うように大臣から変貌した魔物に立ちはだかる。瞬き一つの時間で腰の忍刀をもう一つ
取り出す。忍者は他国の騎士達と違い、一太刀と盾を用いて戦うのでない。常に小振りの忍刀を二つ携帯
して、それで戦うのだ。これは二刀流と呼ばれ、忍術や投擲と同じく、忍者という戦士の独自の戦闘スタイル
の一つである。
「がっ……」
先手を取られた。王の腕に魔物の攻撃が入る。幸いにも利き腕――最も二刀流の使い手である忍者は両利きという事
になっているのだが――今刀を持っている方に傷を負わなかったのは不幸中の幸いだ。
「出てこい!」
何とか魔物を退けた王は、未だ見ぬ訪問者へと罵声を浴びせた。そう……何者かが、大臣であった魔物の他に
誰かいる。王はそう結論づけたのだ。
「ヒャヒャヒャーーーー」
重苦しい場には不釣り合いな陽気な声と、軽やかな拍手と共に先程、大臣が入室した扉が開く。
「素晴らしいっ! よくぞ分かりましたなぁ……さすがは一国の主じゃわぁ!」
朗らかと言った様子で表れたのは一人の老人であった。
445299:2007/12/11(火) 08:22:57 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0495 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(7)

「何者だ……」
見る限り、老人の出で立ちは明らかにこの国のものではない。白く全身を覆う程の大きさのローブの様な
物を羽織り、顔には両目をぴったりと隠すようにガラス片を装着している。
それも、ただ異文化たるこの国の人間ではないと納得して、他国からの来訪者として見ても、異質な存在
であるように見える事は確かである。
「わしはゴルベーザ様のブレインことルゲイエだよ……親密にぃ〜博士と呼んでもらって結構じゃよ」
「ゴルベーザだと」
ひとり不気味に微笑み自己紹介する老人――ルゲイエを目前に王は一人ごちた。
その名前に王は聞き覚えがある。
他国との国交が殆ど無いとは言っても、世界の情勢を把握しなければ、一国は崩壊する。それは現王である
彼にも重々承知であった。
その為、王は各地に密偵として忍びを紛れ込ませ、世界情勢を大方把握していたのだ。
仕入れた情報によると、その者は最近バロンに表れ、以前より押し進められていた、軍事主義を更に加速
させ、世界各国への侵攻を開始し始めた者である。
既に、ミシディア、ファブール、ダムシアンの三国は国の象徴たりえるクリスタルを奪われ、挙げ句には
ファブール、ダムシアンは壊滅的なまでに破壊され尽くしたと聞いている。既にトロイアに関してもなんらか
の政策をうって出たという情報までもが入っており、ここエブラーナに関してもクリスタルを保有していない
国であろうと、無関心なはずはない事は大体の察しがついた。
「その、ゴルベーザの手の者が何の用だ?」
「ははは。もう既に分かっておられるのでは?」
「……バロンとは不可侵条約をむすんでいるはずなのだが?」
「バロン? ああそんな国もあったのぉ!」
相次ぐ質問による応対を、先に取りやめたのはルゲイエの方であった。
「何……?」
「もう関係ないんですよ。あの国はぁ〜ゴルベーザ様にとってもわしにもね! ですからこの国も早く、我々の
ものにせねば! まだまだやる事は山ほど残されていますしっ!」
446名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/11(火) 12:58:19 ID:E/5ojPDb0
>>ID:lz5+a1wf0
朝も早よから乙。
いよいよエッジが出てくるのか…wktk

本編にはない、エブラーナ王・王妃拉致のいきさつっていうのは面白い。
次回以降も超期待しますよ!
447299:2007/12/11(火) 17:02:20 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0496 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(8)

「いっ……一体何が目的なのだ……」
これまで冷静さを保ち続けていた王ではあったが、ルゲイエの口から発せられる言葉とそこから滲み出る
狂気じみた気を感じ取り、段々と押され気味になっていた。
「この国にはクリスタルはないぞ……?」
「クリスタルですか。確かにそれは重要ですな。でも……」
「…………」
「他にも重要なものがあるんですよねぇ……折角集めた試金石も生かす<場所>ってのが必要ですしね。
それにわしもいい加減、地上の空気には飽きてきてねの、どうせなら地下深くとか……天高く――と言った場所
に行ってみたいって願望もあるからな……」
「もういい――」
ケタケタ笑いながら続く講釈を王は最後まで聞いていなかった。それどころか自らの語気でそれを打ち消した。
「兎にも角にもだ! みすみす乗り込んできた者を放っておくわけにはいかん! ただで帰られるとは思っては
いないだろうな!」
「ああ。勿論」
ルゲイエは平静であった。
「その言葉は此処に来るまでにも沢山聞いたからのぉ。主の信頼する者達から……」
そう言って自分の後方の扉を勢い良く開放した。
「ひっ!!!」
まず最初に声をあげたのは、すっかり無口となった王妃であった。
「貴様ぁ……!」
続けて王も激昂する。
開け放された扉から、室内へと入ってくるのは異臭と腐臭、それに生臭い血の臭い。
僅かながら呻き声が聞こえるがそれが誰なのかまでは分からない。だか何が起こったか、どれほどまで
のの惨劇が行われたかを想像するには、充分すぎる材料であった。
「そう……すっかり処理は完了しているのです。あとはお前達だけじゃよ」
そう言って窓の方を顎で指す。
「!」
駆け寄り、空を見上げるれば、魔物が青色を浸食しつつ、何隻かの飛空挺がうるさく駆動音をまき散らし
ている。
448299:2007/12/11(火) 17:05:59 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0497 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(9)

「ぐっ」
「どうした!」
そんな中、突如王妃がその場に倒れ込んだ。
「……おいっ」
慌てて駆け寄ると、王妃は呻きを上げつつ嘔吐している。無理も無いだろう。国の統一後もしばらく続いた
内乱などを初め、男であり、武人たる自分は幾多もの戦場へと赴いた。当然ながら、命の奪い合いと消える
さまにも必然的に遭遇しているし、今日、目前で起こった事の様な光景にも何度か直面してきた。
だが、そんな経験など微塵にも存在しない彼女にはこの状況はもはや耐えられないのであろう。
「駄目ですよぉ〜言っときますが降参だなんて甘い考えはナシですよ。勿論、彼女だけ助けろとかいうよう
な展開も許しません。わしが望むのは最低最悪のオチなんじゃ――」
「それくらいにしておけ」
一人暴走するルゲイエをとめたその声は扉の向こう――部下達の抵抗の跡から聞こえてきた。
「ああ……これは、ルビカンテ様」
ルビカンテ。そう呼ばれた者が足音と近づけると共に姿を王室へと表す。
「ここの総合指揮は私のものだ。勝手な行動をしてもらっては困る」
ルゲイエが配慮深く話すその者は真紅のマントを身に纏っていた。一見すれば、旅団風貌のただの人間に見えた
が、王にはその者が人外なる者である事はすぐに分かった。
あのルゲイエと言う者に対しては、平常ではないものの、人としての雰囲気はやはり感じられた。
だがこのルビカンテからはそのようなものは全く感じられない。その上、魔物としてみても、その者には
一般的な野生モンスター等とは比べものにならぬものがあり、唯ならぬ気配を感じさせた。
「貴殿かこの国の主か……ルゲイエが失礼な事をした。非礼を詫びよう。
我が方もこの様な一方的な戦を好んでいる者ばかりでは決してないという事をわかって頂きたい……」
その人外なる者――ルビカンテが軽く会釈を交える。
「だが、私も人に仕える身。命令を遂行するのは当然の義務。なので一騎打ちを申し込みたい」
449299:2007/12/11(火) 17:08:11 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0498 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(10)

「ちょ……待てっ! 待ってくだされ!」
慌ててルゲイエが横槍を挟む。
「それはどういう事ですかね?」
「言ったとおりだ。私は正々堂々とした勝負が好きだ」
「奴らにチャンスを与えるというのですか……」
「不服か?」
「それは、折角最悪の展開になっていたというのにのぉ……惜しい」
「残念だが、お前とは趣味が会わぬな。一方的な抑制などつまらぬ事この上無い。戦いとはお互い全力を
出してこそのものだからな」
そこまで言って再び王へと向き直り――
「幸い、この国にも相当な手練れがまだのこっているようなのでな……もし、貴殿が勝てば、我々は退こう。
勝てばこの国は我々がいただく。どうだ?」
王は静かに立ち上り、王妃へと手を差し出す。王妃も静かにその手を取る。顔色はいぜんに悪いままだが、
大分落ち着いてはいるようだ。そしてそのまま肩を抱え、後ろ側へと数歩歩き、王妃をゆっくりと玉座へと
座らせる。
「いいだろう」
王は背中越しの相手に、小さくも強く言い放ち、静かに振り返った。
450299:2007/12/11(火) 17:09:38 ID:lz5+a1wf0
FINAL FANTASY IV #0498 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(10)
FINAL FANTASY IV #0499 6章 1節 「変わる世界 交錯する言葉」(11)

「受けて立とう」
「それでこそだ!」
王の脳裏には様々な者の面影が浮かんでは消えていた。親愛なる部下達、いつも――そして今も自分を後ろで
支えている最愛なる王妃。そして――
「エッジ―」
何故、その名が出たのかは彼にも分からなかった。そしてその声は誰にも聞こえなかった。
「その手負いでは戦えまい。回復してやろう!」
言うとルビカンテは白魔法を唱える。先程負った傷の痛みが引いていく。
「では……」
間髪いれず、ルビカンテが言う。
王も黙って頷く。準備万全という意味だ。
「いくぞ」
戦いの火ぶたが切られた。
<あやつが王になるのも、そう遠くないのかもしれんな>
そんな中、王はいつか言った自分の言葉と形容する事の出来ない息子の顔が頭に浮かんでいた。
451名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/11(火) 17:13:42 ID:lz5+a1wf0
嘘から出た誠とはよく言ったものです…

お久しぶりです。
長くは書きませんが、自分の作品を好きだと言ってくれた方へ、
本当に有り難うございました。どうなるかわかりませんが長い目で見守ってくれると幸いです。
色々ありましたが、「わたしは笑顔でいます元気です」
452299:2007/12/12(水) 00:02:41 ID:lz5+a1wf0
www31.atwiki.jp/299nobe/

まとめサイトが消えているようなので。まだ全部保管できてはいませんが、
wikiを作ってみました。
453299:2007/12/12(水) 00:04:44 ID:pWDLayDk0
直リンクしときます。
http://www31.atwiki.jp/299nobe/

454名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/12(水) 00:12:40 ID:AJV0BFx/0
>>453
おお、乙。
仕事早いなぁ、299氏!
俺もログは全部持ってるから時間ある時にでも追加するよ。
455名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/12(水) 01:21:24 ID:1wweljya0
>>453
お、まとめ復活乙!
wikiはよく分からないから協力はできないかも知れないけど応援してる。
456名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 00:37:50 ID:CqprrInO0
まとめ更新着々と進んでるね。
保管人さん乙です。
457299:2007/12/13(木) 07:47:17 ID:c3jBVCy30
途中報告です。
まとめwikiの方は4の後半部分を除き、保管終了しました。
何か足りないところや間違いがありましたら、指摘してください。
書き手の皆様も何か要望があったら言ってください。
近いうちに残りも保管したいと思います。後、保管の手伝いをしてくれた
方(竜の騎士団をあげてくれた人)誰かはしりませんがどうもです。
458名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 15:38:08 ID:gJYDnZTk0
>>457
乙・・・だが要望いいかい?
ぶっちゃけプロローグ1、プロローグ2とか全ページ別れてるのは読みにくくて仕方無いんだが。
章ごとに纏めるとかって無理?
459名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 15:57:21 ID:xdBDBJ/XO
>>458
いや、まとめない方が俺は読み易いな。
章でまとめちゃうと1ページのスクロール量が半端ないことになるよ?
逆に読みにくくなること必至。
しおり機能でもあれば別だけど。
もしまとめるのなら節毎の方が良いんじゃない?
あとは一つ一つの本文のページに次の本文へのリンクを貼れば尚読み易くなるね。
460名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 16:42:25 ID:AEe8r7xG0
ちょっと待て、1レスで書ける文字量なんて本当に大したことないんだから
それを10レスや20レス並べたところで半端ないスクロール量ってありえね。
どんだけ文字苦手なんだよ。
461名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 16:56:21 ID:xdBDBJ/XO
>>460
いや、1章だけっていっても案外文量舐めたもんじゃないぜ?
特に4とか。
特別文字嫌いって訳じゃないけど、今みたいに区切られてる方が第一話、第二話みたいにけじめがあって好き。
それに以前のまとめサイトはちょうど今みたいに一レス毎に本文が区切られていただろ?
何であの時は何も文句言わないで今になって文句言うのか理解出来ない。
462名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 16:59:15 ID:LPr5ab0+0
住人が常に入れ替わってることはとりあえず頭に入れといたらとマジレス
463名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:17:36 ID:GF83q8PO0
>>457
乙。
段落毎の文頭の一字下げをした方が良いと思う。
これは暇がある時に俺もやっておくわ。
>>458
じゃあ竜の騎士団とか魔列車とかの短編物も1ページにまとめちゃうの?
ちなみに俺もまとめるなら章じゃなくて節派なんだけど。
つーかそもそも章がないタイトルに関してはどうするんのさ?
6とかACみたいな。
逆に8みたいな節の無いタイトルなら章でまとめちゃっても良いと思う。
464名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:23:04 ID:GF83q8PO0
あ、でも4に関していうと2章と6章は節が一つしかないから節でまとめる=
章でまとめるなのか。
逆に四章は6節もあるのね・・・。
章毎に結構長さにばらつきがあるな。
さて、どうしたものか。
465名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:36:17 ID:KXI5sJA80
>>461
根本的な問題として、要望を言うこと=文句を言うことなのか?
管理者自らが要望に対しておKと言ってるのに。

>>464
長ければ分ければいいんじゃないのとか勝手に。
作者の変わり目で勝手に別れるのとかもある品。
ぶっちゃけどうでもい(ry
466名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:41:51 ID:GF83q8PO0
>>465
どうでもいいなら別に今のままでもいいじゃないw
467名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:44:23 ID:KXI5sJA80
俺がどうでもいいかどうかはそれこそどうでもよくね?
468名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 17:48:25 ID:xdBDBJ/XO
>>465
言葉が悪かった、すまん。
469名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 18:49:13 ID:D2WHaU9w0
>>463
節ってはっきりしてる?ようには見えないんだけど
470名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 22:42:37 ID:CqprrInO0
>>469
はっきりしてるもなにも普通に分かれてるだろ…。

471名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/13(木) 23:24:21 ID:ryYPZSYG0
8,4,まとめ
472名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 08:05:36 ID:hCLnYnL00
>>470
どこが?
内容じゃなくて単に長さで区切られてるところも多いじゃん
それって節とは言わない
473名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:25:20 ID:dQ4w/4tdO
>>472
それはそっくりそのまま章に対して言うことも出来るな
474名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:36:21 ID:GvYvBwty0
作者が付けてる章に対してそれは失礼。
475名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:48:57 ID:8dQunVHk0
>>474
節だって作者が付けてるものだろうが。
名称まであるし。
476名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:50:35 ID:GvYvBwty0

節と章の定義をplz。
477名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:53:41 ID:8dQunVHk0
>>476
いや、定義云々を言いたいんじゃなくて、作者がわざわざ名称まで付けてる節は長さじゃなくて内容で区切られていると思うから、
節毎にまとめても意味があって良いんじゃないかってこと。

478名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:57:04 ID:GvYvBwty0
だから名称=章であって、
節は適当なんだが・・・?
479名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 11:59:15 ID:GvYvBwty0
いや、本来節も意味で分けるべきなんだが、掲示板だししてないよってことね。
なんかもういいや、ごめん。
480名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 12:02:22 ID:8dQunVHk0
>>478
何を言うか、例えば4だったら、
一章だと一節 闇と霧の邂逅、二節砂塵、三節光を求めて、三章だと一節モンク僧、二節剛の王国、三節Tow of usと
節にタイトルが付いとるだろうが。
どこに章にタイトルが付いているっていうんだよ。
それとも何か、節を章に置き換えるっていう意味で言っているのか?
481名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 14:50:17 ID:PQqcqoIN0
結局4のごく一部で定義したい8dQunVHk0
482名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 15:20:46 ID:SSDm1ukt0
>>479>>480
どっちも人による、以上。
483名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 15:42:42 ID:dQ4w/4tdO
youも何か知恵出しなyo-
484名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 16:12:01 ID:8dQunVHk0
>>481
別にそういう訳じゃないけど。
4は全ての章の節にタイトルがあるし。良く見てくれ。
節にタイトルがあるということは、作者自身何らかの意味を持たせたかったんじゃないかと思う。
まあこればっかりは実際にその該当部分の作者に意見を聞かないと分からん。
逆に、8みたいな節が無くて章だけの作品だったら章でまとめちゃって構わないし、短編物も勿論一つにまとめて良いと思う。
6や10や12やACは章がなくて節だけだから微妙だがな。あれを章としてしまうかどうか。
あと人の批判をする時は合わせて自分の意見も述べてくれると非常にありがたいんだがな。
>>482
人というか作者だな。
485名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 20:26:04 ID:cECs/ZGn0
何を議論してるのかサッパリ分からないが。

>>457
459で既出だけど要望はページ内リンクかな。(次頁、前頁への誘導)
文章のテンポが良くても、読む時のテンポがページのせいで悪くなる。
細かく分けてあるなら尚のこと、これは整えておいた方が良いと思う。
手間かけさすようで悪いけど。
486名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 22:32:04 ID:C5KMRIsQ0
とりあえず作者じゃない奴らは自重しろ
ていうか作者らしき人達が押されて縮こまってるように見えるんだが気のせいじゃないよな?
487名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 23:09:19 ID:dQ4w/4tdO
>>486
気のせいだよ
488名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/14(金) 23:10:12 ID:CiV/rhX40
>>486
気のせいだと思うよ。
489名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 00:22:39 ID:5m9gwT6CO
>>486
要はどういう表示形式が読者にとって一番読み易いかって話で、
作者云々は余り関係ないのでは
490名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 11:16:22 ID:IfsFk6wg0
ポカーン
なんたるゆとり、特に携帯厨
491名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 16:06:08 ID:u7M7eWyS0
>>457
既存のページにページ内リンク(次頁、前頁への誘導)追加に一票。
492名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 23:11:35 ID:tEn457260
はいはい、荒れない荒れない

>>491と同じく、リンク付けて下さるとありがたいです
・・・自分でやればいいだけだけど、時間が無いなorz
493名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 23:20:21 ID:9Xsk6JDb0
時間がなくてもせめてレス時間の確認くらいしろよ、余計荒らしたいのか・・・
494名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/15(土) 23:49:45 ID:tEn457260
あー、誠に申し訳ない・・・そして、ありがとうございます
495名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/16(日) 01:10:19 ID:hjeSznp8O
保守
496名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/16(日) 16:59:01 ID:quPbn4xi0
WiKiだけど、章ごとか節ごとにページ分けして
1レス分は見出しつけるのが見やすいんじゃ?
497名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/19(水) 14:06:29 ID:PeL5VUlN0





























498名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/21(金) 02:14:07 ID:GCMIJSJf0
ところでここの住人はDS版FF4は買った(買う)のかい?
499名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/24(月) 03:43:18 ID:V3cpnIUL0
保守
500名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/26(水) 14:07:52 ID:4TskTelu0
>>498
買うつもり。
…ネット上に攻略wikiとかが出揃ってからwww

500ゲトついでの保守。
501名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/28(金) 00:09:05 ID:HOrWkN1G0
>498
買ったよー。今2週目でパラディンになったとこ。
追加イベントはちょっとノベライズに組み込むの難しそうだ。
つーか、あれを素直に解釈したらミシディアの歴史が大変悲しいことにw
502名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/12/30(日) 02:20:31 ID:9LtweEow0
すっげー今更なんだけど、読み返してて気になったので
>439
>現実的にも、エブラーナ国が他国との関係をもったのも、約百年程前の事となるだろうか、
>バロンの飛空挺という天駆ける船による、大空から介入であった。
飛空挺の開発ってシドがやったんじゃ?
ノベライズ設定でも、ファブールからバロンへ向かう船上で
開発中の飛空挺に乗ってたエピソードをセシルが語ってたはずだし。
503名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/04(金) 13:49:13 ID:uRXdsna4O
やあ 明けましておめでとう
504名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/04(金) 14:00:29 ID:r696pPrY0
やあ ことしもどうぞよろしく
505名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/09(水) 17:06:46 ID:y+Q3xLVA0
どうもどうも
506名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/15(火) 23:59:36 ID:HB2shTLX0
507名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/16(水) 18:14:44 ID:3r0b6gryO
FF6で書きたいんですが…
>>145さんの続きから勝手に書き始めても
okでしょうか?
508名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/16(水) 21:32:50 ID:eP0r9bH50
良いと思うよ、今のところFF6は書き手さんいないみたいだし。
FF6大好きだから楽しみだ。
509名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/16(水) 21:38:00 ID:pH2YewFy0
>>507
乙ー。待ってます。
510名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/17(木) 19:07:52 ID:/1LcGXMm0
ここのスレに触発されて脚色満載のFF5を書き始めたんだけど、投下してみて良い?
FF5は既に現行のものがあるから、被るのが問題あるようなら自重するけど。
511FF6 リターナー本部:2008/01/18(金) 02:06:58 ID:1ycpyfIL0
 険しい岩山の中に溶け込むようにして、そこはあった。

 ティナ達は案内役を兼ねた見張りの兵士連れられ、
草木でカムフラージュされた狭い入り口をくぐった。
その先には、大人一人がやっと通り抜けられるほどの幅の通路が続いている。
 その通路を抜けると、内部には自然の空洞を利用して作られた、
やや広めの空間が広がっていた。
 ちょうど空間の中央あたりには、質素な作りの木製のテーブルと、
椅子が数脚置かれている。どうやらここは会議所として用いられているようだ。
 案内役の兵士はティナ達に椅子を勧めると、
深々と一礼して再び持ち場へと戻っていった。

 その後姿を見送ってから、ティナは隣に座っているロックに小声で話しかけた。
「ここがリターナーの本部なの?」
 ロックは頷く。
「ずっとここを拠点として戦ってきたんだ。
帝国から俺たちの未来を取り戻すためにね」
 少し得意げなロックの説明を聞きながら、ティナは改めて室内を見回した。
 確かに洞窟の内部にしては空気は澄んでいるし、室内も清潔に保たれている。
だが先ほどの兵士を含め、ここに来るまでに出会った人々の顔には、
出口の見えない戦いからくる疲労の色が浮かんでいた。
 帝国に対するにはあまりにも小さいこの拠点から、
何年にも及ぶ戦いを挑んできた彼らの気持ちは、
ティナにはとても想像できなかった。
(どうして、この状況でもみんな諦めずにいられるのかしら。
どうして勝てるって信じられるの…?)
 ティナの心の中には、答えのない問いだけが次々と現れては消えていく。
512FF6 リターナー本部:2008/01/18(金) 02:08:27 ID:1ycpyfIL0
「ティナ」
 ふいに名前を呼ばれてティナが振り返ると、
そこには、エドガーと見知らぬ初老の男が立っていた。
たっぷりとあごに蓄えられたひげといい、
さながらライオンのたてがみのように逆立っている茶色の髪といい、
初対面の者を怯えさせる程の威圧感を全身から放っている。

 その男はティナを見下ろしたまま、値踏みするかのようにじろりと睨んだ。
「ほう、この娘か…氷漬けの幻獣と反応したというのは」
 ティナは‘ゲンジュウ’という言葉を聞きとがめると、目を瞬かせた。
「ゲンジュウ?それがあの生き物の名前なの?」
「生き物?さて、な。
はたしてあれが死んでいるのか眠っているのか、
そもそも生き物なのかどうかすらわからん。
…ティナ、といったか。おぬしはどう考えておるのだ?」
 その問いに、ティナは困惑した表情でただ首をふるしかなかった。
代わりにエドガーが口を開く。
「バナン様、なぜティナが失われた力を持っているのか、
なぜあの幻獣に反応したのか、彼女自身にもわからないのです。
帝国に操られていたせいらしいのですが…」
 エドガーの言葉に、バナンの鋭い目がすっと細められた。
ティナを見つめる目つきは一層の鋭さを増す。
「伝書鳩の知らせでおおよそは聞いておる。
武装した帝国兵50人を相手に、たったの3分で皆殺しにしたとか…」
513FF6 リターナー本部:2008/01/18(金) 02:12:26 ID:1ycpyfIL0
 バナンの容赦のない物言いに、ティナは思わず耳をふさいで悲鳴をあげた。
バナンは構わず、まるで追い討ちを掛けるように言葉を続けた。
「逃げるな!逃げても事実は変えられんぞ!」
 そんなティナの様子を見かねたエドガーが、バナンとの間に割って入る。
「バナン様!お考えあってのお言葉でしょうが、
いくらなんでも酷すぎます!ティナは帝国の支配から解放されたばかりなのです。
もう少し時間が必要です」
 バナンはエドガーを一瞥し、ふんと鼻を鳴らした。
「時間?たとえ一時、目の前の現実から目を逸らしたところで
時間は何も解決してはくれん。
その事はお前が一番よく知っているだろう、エドガー」
「ですが…」
 バナンは何かを言いかけたエドガーを片手で制すると、
ティナを諭すように語り始めた。

「こんな話を聞いたことがあるか?
その昔、まだ邪悪な心が人々の中に存在しない頃、
開けてはならないとされていた一つの箱があった。
だが、好奇心から一人の男が箱を開けてしまった。
中から出たのは、あらゆる邪悪な心だった。
裏切り、嫉妬、破壊、独占、支配…。それはたちまち世界中へ飛び散ってしまった。
だが、箱の奥にはたった一粒の光が残っていた。
…希望という名の光じゃ」
 室内はしんと静まり返り、誰もがバナンに注目していた。
そんな中、ティナだけは俯いたまま、
思いつめた表情で床の一点をじっとみつめている。
 バナンは大きくため息をつくと、椅子から立ち上がった。
「少し疲れた…先に休ませてもらうよ。お前達も休んでいくといい」
 バナンは奥の部屋へと続く扉へむかって、ゆっくりと踵を返した。
ドアノブに手を掛けたところで、ふと立ち止まる。
「おぬしは世界に残された最後の一粒の光。
どんな事があろうと、自分の力を呪われたものと考えるな」
514FF6 リターナー本部 4:2008/01/19(土) 01:10:10 ID:Kb9G6Va40
---
 ティナが目を開けると、そこはベッドの上だった。
視線を巡らせると、傍らにはロックがスツールに足を投げ出し、
両手を頭の後ろで組んだ姿勢で天井をぼんやりと眺めている。
 その横顔を見つめながら、ティナはバナンの言葉を心の中で反芻していた。
自分が、彼らの希望になる……。
希望という言葉はあまりにも漠然としすぎていて、
考えてみても、霧のようにもやもやと捉えどころが無い。
 今はただ、あと一歩踏み出す為の勇気が欲しい、ティナは考えていた。

「ロックは…どうしてリターナーに入ったの?」
 いきなり声をかけられて少し驚いたようだったが、
ロックはティナに向き直った。 自分の右手をティナの額に起き、
次に自分の額に手をやる。そしてほっと小さく息を吐いた。
「熱は無いみたいだな。頭痛はもう大丈夫なのか?」
「うん。少し眠ったせいで気分は良いみたい」
 ティナが上半身を起こす。ロックは右手で軽く頭をかいた。
「で、なんだっけ。俺がリターナーに入った理由?」
 ティナが頷くと、ロックは自分の膝に視線を落とし、
両の拳をぐっと握り、やっと口を開いた。

「俺は大事な人を帝国に奪われた。
俺が帝国を憎むようになったのはそれからだ。
帝国がこのままのさばれば、俺のような人間が増える一方だ。だからさ」
「そう…大事な人の為なのね」
 一瞬、ティナは遠くを見るような目になった。
「でも、私にはそんな人はいないわ…」
 ロックは慌てた様子でティナの手を握った。
「そんな事はない。逆に君を大事に思ってくれる人もいるかもしれない。
その人のためにも…」
 慰めとも本気ともつかないロックの言葉に、
ティナは首を傾げながら立ち上がった。
515FF6 リターナー本部 5:2008/01/19(土) 01:28:04 ID:Kb9G6Va40
 歩きながらティナは考えていた。
(大事な人の為に…。
でも、大事な人って、どうやって見つけたらいいのかしら…)


「真剣に考えるのはいいが、悩みすぎると思考の迷路に迷い込むぞ」
 気づくと、すぐそばにエドガーが立っていた。
エドガーはティナと目が合うと、にこりと優しく微笑む。
 この人なら、だすべき答えを知っているかもしれない。
ティナはエドガーにたずねた。
「エドガーは、どうしたらいいと思う?私には、やっぱりわからない…」
「今、ティナに対して、いきなり我々の希望になってくれ、
と頼む事がどれだけ酷い事かは十分承知している。
それでも、我々はティナに考えを無理強いしたりはしない。
それは帝国のやり方と何ら変わりの無い事だからな」

 ただこれだけは覚えておいて欲しいんだが、と付け足してエドガーは続けた。
「ティナがたとえ戦いに加わらない道を選んだとしても、
我々は君を帝国から守る。それだけは揺らがないから、安心するといい」
「でも、もし私が逃げる方を選んだら?エドガー達は困るんでしょう?」
 ティナの言葉に、エドガーは言葉につまった。
と同時に、すばやく計算をめぐらせる。
516FF6 リターナー本部 6:2008/01/19(土) 01:31:12 ID:Kb9G6Va40
 現状では、ティナの力の源を探っていくしか、
帝国に対抗する手立ては無い。もし、ティナが協力を拒否すれば、
リターナー側が勝機を見出す事は永久に不可能となる。
 しかもりターナー側につく事をはっきりと表明した今、
フィガロ国も共に自滅は回避できない。
エドガーにとってそれだけは選択できない道だった。
(──ただ、それは国王としての立場の考えでしかない)
 エドガーは脳裏に浮かんだ考えを打ち消すと、
心配ないとばかりにティナに微笑んでみせた。
「心配ない。その時は別の方策を探すまでだ。ティナの意思を尊重するよ」

 たとえ選ぶべき選択肢が決まっているとしても、 
エドガーはティナ自身に自発的な選択をさせたかった。
……かつての自分がそうであったように。
 エドガーは最後にこう付け加えた。
「今の話とは矛盾するようだが…例え決められたレールだとしても、
結局その道を行くかどうか決断するのは自分だ。
だからティナには自分で決断して欲しい」

 そこまで話したところで、
エドガーははっとティナの思いつめた顔に気づいた。
いつもの軽薄な口調に戻し、おどけたように肩をすくめてみせる。
「おっと…余計困らせてしまったかな。
大丈夫、答えはもう自分の中にある筈だよ」
 エドガーはティナの肩をぽんぽんと軽く叩いた。
517名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/19(土) 01:35:19 ID:Kb9G6Va40
タイトルの番号振り忘れてました。すみません。
中途半端ですがとりあえず今はこんな感じで。
リターナー本部の辺りは近日中に終わらせるよう努力します。
518名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/19(土) 14:39:22 ID:VddDBLFI0
>>510
このスレのコンセプト(>>2)を熟読してみよ。
その上で、自身の作品がそれに合致していると思うなら投下すればいい。
でなければ自重しろ。
519名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/20(日) 15:13:14 ID:YEYe96XY0
FF8なら、上手いと思ったの2つほど知ってるが・・・
どっちもノベライズとは微妙に違うからなぁ
520名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/20(日) 23:10:11 ID:tm7DwR7I0
518
言ってることは正しいけど偉そうだなお前
521510:2008/01/21(月) 12:51:59 ID:oDhyeO9m0
そういえば、リレー形式だったか。
やっぱやめとくわ。
522名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/21(月) 12:53:50 ID:SOAipX8cO
>>521
まぁまぁそう言わずに。
いっちょやってみたらどうよ?
523名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/21(月) 18:37:51 ID:35UUQj9G0
FF6乙
524510:2008/01/24(木) 01:57:51 ID:etvkTfxd0
じゃあ、>>522の言葉に甘えさせてもらって、
試しに序章前半部分を投下してみる。
前にも書いたけど、色々脚色しているのであしからず。

言い忘れてたけど、FF6乙です。
525510:2008/01/24(木) 02:02:00 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(1)

王都タイクーン。クロシア大陸南西部イスカ高原地帯に位置するタイクーン王国の首都で、
風のクリスタルの恩恵の下古くから栄えてきた歴史ある街である。
多くの店が立ち並ぶ市場は活気に満ち、
町のあちこちに建ち並ぶ巨大な風車が行き交う旅人の目を楽しませる。
町の上空では、獅子の体に鷲の頭と翼を持つ魔物、グリフォンに跨った竜騎士が治安に目を光らせ、
彼らの姿に気付いた子供たちが尊敬の眼差しで手を振り、歓声を上げる。
町の中心部にそびえるタイクーン城は、玉座がある主塔を中心に幾つもの尖塔がそそり建ち、
各塔の間には網の目の様に廊下が渡してある。
また、塔の頂上には全て踊場が設けてあり、
精鋭の竜騎士で構成された『蒼い翼』が一斉にそこから飛び立つ様は、
まさに圧巻の一言である。
526510:2008/01/24(木) 02:07:15 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(2)

そのタイクーン城のある一室で、今、重要な会議が開かれていた。
出席者は五人。さほど広くない部屋のほとんどを占領するように長机が置いてあり、
一番奥にこの国を治めるタイクーン王が、
その左右に相対する形で大臣、及び外交、軍事、諜報の責任者が並んでいる。
その中で、諜報部の長官が立ち上がって各国の調査結果を読み上げていた。
「―――以上のように、やはりウォルスでも異変が相次いでいるようです。」
その報告を聞きながら、タイクーン王は誰にも気付かれぬよう細く長い溜息をついた。
年の頃は五十の半ば程、竜騎士としても名を馳せるその身体つきはガッチリとしており、
年とともに刻まれた皺が精悍な顔立ちをよりいっそう威厳に満ちたものとしている。
しかし、ここ最近の心労の為か、眉間に刻まれたそれは他のどれよりも深かった。
「それで、カルナックは?」
「は。密偵達の情報によるとモンスターの増加等、やはり似たような異変が起こっているようです。
 しかし、ここの所の不穏な動きは変わらず―――」
大臣達は深刻な表情で報告に聞き入っている。
ウォルスもカルナックも水や火のクリスタルを所持し、タイクーンと同じ様に古くから栄えてきた王国である。
そして今、同じような異変にみまわれている。
(分かりきった事だ。)
タイクーン王は心中でつぶやくと、机の中央に置いてある一通の手紙に目を落とした。
527510:2008/01/24(木) 02:11:16 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(3)

この手紙が届いたのは、もう二年も前の事になる。
差出人はシド・プリヴィア。世界最高の科学者であり、今起こっている問題を予言した人物。
そして、その原因となった装置を発明した人物でもある。
(いや………原因はクリスタルの力に頼り過ぎた我々の方だな。)
タイクーン王は自分の考えに一度かぶりを振ると、手紙の内容に思いを巡らせた。
そこには、このまま装置によってクリスタルの力を無理に引き出し続ければ、
やがてその力は衰え、最終的には砕け散ってしまうであろうと、
その過程で起こり得るあらゆる異変と共に簡潔な言葉で綴られていた。
手紙の届いた当時は、クリスタルの力は無限でありそんな事はありえない、
と誰もが一笑に付していた。
しかしここ最近の状況は、やはりシド博士が正しかったと証明している。
ふいにタイクーン王は立ち上がると、窓辺に近づいた。
タイクーン王の動きに気付いた長官が報告を止め、彼の主に目を向ける。
「陛下、如何なさいましたか?」
その問いには答えず、タイクーン王は窓の外へ目を向けた。
眼下では、クリスタルが安置されている風の神殿から吹く風を受けた風車が、
黄昏の中で弱々しく廻っている。
528510:2008/01/24(木) 02:14:40 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(4)

しばし外を眺めていたタイクーン王はやがて、
そのままの姿勢で、静かに、確固たる意思を込めて言った。
「………装置を、停止する。」
大臣達の動揺が、背中越しにタイクーン王にも伝わってくる。
「し、しかし、それでは………」
「わかっておる。今の繁栄も増幅されたクリスタルのおかげだ。
 だが…」
タイクーン王は振り返り、大臣達を見据えた。彼等は全員立ち上がっていた。
「クリスタルが砕けてしまっては元も子もあるまい。」
水を打ったような静寂が会議室を包む。
大臣達の沈痛な表情には、それぞれの苦悩が色濃く出ていた。
ややあって、外務長官が口を開いた。
「………他国は、納得するでしょうか?」
増幅されたクリスタルの力はタイクーン国内だけでなく、他の国家にも及んでいる。
裏を返せば、この国も他国のクリスタルの恩恵の下にあるという事になる。
「納得させる他、あるまい。」
五十年前まではクリスタルを巡って大きな戦乱がたびたび起こっていた。
その戦乱に終止符を打ったのがシド博士の発明品である。
それまでは、周辺のごく限られた地域にしか及ばなかったクリスタルの恩恵が、
この装置によって世界中に行き渡るようになったからだ。
しかしそれを停止したからといって、再び戦乱の世に逆戻りさせる事だけは防がねばならない。
タイクーン王は、それまでと違って力強い声で言った。
「ただ、カルナックの動きが気になる。
 これまで以上に情報収集に力を入れて貰いたい。」
「かしこまりました。」
「大臣は、各国の執り得る―――」
「陛下ーーーー!!」
伝令の必死な叫び声に、指示が途切れる。
529510:2008/01/24(木) 02:18:29 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(5)

タイクーン王は事前に、この会議室には誰も近寄らぬよう厳命していた。
にも拘らず、伝令がここに来るという事は………
各々の頭に最悪の事態がよぎる。
「まさかクリスタルが…!?」
ざわめく大臣達を残してタイクーン王は廊下に出る。
既に伝令はすぐそこまで来ていた。
「へ…陛、下………!」
伝令はタイクーン王の目の前で立ち止まると、
ろくに息を整えぬまま搾り出すように言った。
「風の、神殿から、緊急の伝、令です!」
タイクーン王の体中に緊張が走る。
遅れて大臣達も部屋から出てきた。
「神殿が、モンスターの大群に、襲撃されています!
 現在、神殿周囲に張り巡らせた風の結界の出力を上げる事で、
 かろうじて防いでいるそうですが、早急なる救援を望む、と!」
タイクーン王は体に入った力が少し抜けるのを感じた。
(クリスタルはまだ砕けてはいない!
 だが―――!)
結界の力の源は当然クリスタルだ。
この緊急事態にクリスタルへ掛かる負担はかなりのものとなる。
530510:2008/01/24(木) 02:20:51 ID:etvkTfxd0
FF-X imitated 序章 忍び寄る影(6)

タイクーン王は会議に出席していた将軍を呼びつける。
「レオ将軍!!」
「は!」
背後に控えていたレオが姿勢を正す。
タイクーン王は窓へ少し目をやり、考える。
(一刻を争うが、既に日は暮れかけている。
 夜間の飛行は危険な上、仮に着いたとしても着陸できぬ。)
タイクーン王は改めてレオを見据え、命令を下した。
「レオ、お前は準備が出来次第、第一、第二師団を率いて出撃し、
 神殿の救援、及び近隣の町の警護に当たれ!
 わしも明朝、夜が明け次第『蒼い翼』を率いて神殿へ向かう!
 残りの兵には王都の守護に当たらせろ!」
「かしこまりました!
 直ちに準備いたします!!」
レオは深々と一礼すると、ようやく息を整えた伝令を連れて階下へ向けて走り出す。
それを一瞥して残る大臣達にも目を移す。
「時間がない、お前たちも準備を手伝うのだ!」
「は、はい!直ちに!」
この命令に、大臣達も慌ててレオ達の後を追っていった。
独り残ったタイクーン王は壁に拳を打ちつけ、
「クリスタルを守るために装置の停止を決定した矢先…
 魔物からクリスタルを守るために装置に頼らなければならぬとは!!」
この皮肉な事態を苦々しく呪った。
531510:2008/01/24(木) 02:26:40 ID:etvkTfxd0
前半はここまで。
後半はまだ執筆中なので、書きあがり次第ということで。
なお、地名、将軍、蒼い翼は捏造品であり、オリジナルには存在しません。
532FF6 リターナー本部 7:2008/01/25(金) 00:23:43 ID:4CUY/SJD0
 ティナが会議の場として利用されている広場に戻ると、
その片隅ではマッシュが黙々と倒立腕立て伏せを行っていた。
マッシュはティナの足音に気づくと、
倒立したまま動きを止めずに言った。
「ティナもやるか?」
 マッシュの唐突な誘いに、ティナは慌てて首を振る。
「身体の鍛錬が精神の鍛錬に繋がる、ってのが俺の信条でね」
 それだけ言うと、マッシュはまた腕立ての作業に戻る。
切れた息の狭間で数を数えながら、黙々と鍛錬を続けるその姿に、
ティナは声をかけるタイミングを完全に逃がしてしまった。
190センチの巨体が一定のリズムで上下するのをただ眺めていると、
マッシュは体格に似つかわしくない身軽な動きで、
くるりと起き上がった。

 マッシュは全身を流れ落ちる汗をタオルで拭いながら、
ティナの目をじっと見つめる。
「俺にはどうするべきかなんてよくわからないけどさ、
昔から兄貴の言う事に間違いはなかった。俺の時の事を思い返してみても、
いつでも俺の事を思ってくれてたしな。
だから、ティナも信頼していいと思うぜ?」
 マッシュの言葉に、今自分が考えていた事を見抜かれたようで、
ティナは驚いて目を瞬かせた。
533FF6 リターナー本部 8:2008/01/25(金) 00:28:56 ID:4CUY/SJD0
「どうして、私がその事を考えているって…わかったの?」
 そうティナがたずねると、マッシュは拍子抜けしたような表情になった。
それを見て、今度はティナが拍子抜けする番だった。
「わかってて言ってくれた…んじゃないの?」
 マッシュは大げさに顔の前で片手を振ってみせる。
「まさか。俺は今思った事を口にしただけさ」
「そ、そうなの…」
 ティナはあっけらかんとしているマッシュの言葉に、ほっと息を吐いた。
 世界の命運さえ関わっている深刻な事態にもかかわらず、
まるでそれを感じさせないマッシュの態度は、
これから重荷を背負おうとしているティナにとって、
逆に心地よいものだった。

「おっと…俺がこんなこと言ってたなんて
兄貴には言っちゃだめだぜ。照れるからなー」
 そう言って笑うマッシュの屈託のない笑顔に、
ティナは無意識のうちに自然と微笑んでいた。
そして同時に、自分の中で徐々に迷いが晴れてきているのを感じていた。
 この人達のことを信じてみよう、そう小さく口ずさむと、
しっかりした足取りで、ティナはバナンの待つ入り口へと歩き始めた。
534FF6 リターナー本部 9:2008/01/25(金) 00:34:41 ID:4CUY/SJD0
-


外に一歩でてみると、洞窟内とは違い、
溢れる陽光と爽やかな一陣の風がティナを包む。
思わずティナは眩しさに目を細めた。
「答えは出たのか?」
 振り返ると、岩壁にもたれるようにして、バナンが待ち構えていた。
ティナはまっすぐにバナンを見つめ、大きく頷いた。

「そうか。では聞こう。
我々の最後の希望となってくれるか?」
 バナンの言葉に、ティナは再び頷く。
その表情は凛として、決意がにじみ出ている。
「はい。私のこの力が役に立つのなら…。
でも…本当は、まだ少し怖い…」
 表情とは裏腹に不安をのぞかせるティナの言葉に、バナンが応えるように頷く。
今や彼の双眸からは険しさが消え、優しさすら宿っていた。
「おぬしが不安な気持ちになるのも無理はない。
だが今は一人ではない。彼らの助けを借りれば、
自ずと道は開かれよう」
 そう言うと、バナンは改めてティナの両肩に手をおいた。
「ティナよ、今のおぬしはいい目をしておる。
その目で全ての真実を見てきなさい。
儂にいい考えがあるんじゃ。とにかく皆を集めてくれんか」

 ティナははい、と短く返事をすると、
皆のいる洞窟内へと走り出した。
535名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 00:42:10 ID:4CUY/SJD0
きりがいい所で一旦切ります。
では。
536名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 11:20:52 ID:OeYLCfhZ0

源氏の篭手もらわないとだめだよ
537名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 12:40:52 ID:JDnDR3TY0
おいおい、リレー無視して最初から書き始めるのってアリなんか?
それまで書いてた人たちに対して敬意を払うべきじゃね?
538名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 15:26:51 ID:IsoX/r4IO
今は見守ろうよ
539名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/25(金) 21:08:23 ID:kJ9lHYnN0
>>FF6
乙!
ゲーム中では(ティナからしゃべりかけて始まる)台詞の遣り取りだけだけど、
会話の間に細かな動作が加えられたことで、各キャラクターの個性が良い具合に
表現されていて、読んでて楽しいです。
自分なら源氏の篭手ルートでリターナーの話も見てみたい気もするけど、
逆にこっちの方がまとまりがあって良いですね。
(ガントレットルートだとティナが挙動不審になる恐れがあるしw)
540名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/26(土) 14:56:11 ID:rrrBe7OK0
そうか?
地の文で説明しすぎ。
これじゃ会話が引き立たない
541名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/27(日) 00:02:31 ID:0W0ifGWiO
間違ってはないけど、なんでそんなに偉そうなんだ?
542名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/28(月) 02:19:33 ID:7EaAuVzX0
>540
ああ、じゃあもっと引き立つように書いてくださいどうぞどうぞ。ばーか。
543名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/29(火) 16:40:04 ID:6dwh0jje0
喧嘩すんな保守
544名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/01/31(木) 00:42:32 ID:Wkdhgy/i0

545名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/07(木) 11:00:38 ID:akUdKNOF0
546名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/11(月) 00:59:47 ID:BtmVhyau0
>>525の続きを楽しみにしつつ保守。
547 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:33:38 ID:MqI2omlL0
突然ですが、FF4のサブストーリーその2を投下します。
時系列は#0308 4章 4節 これから(28)と#309の間になります。
548 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:33:56 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(1)

偽のバロン王との対決──そしてバロン王国の解放を明日に控えた日のこと。

セシルはヤンやテラと共に、城に入り込む手筈を相談していた。
地下水路の出口から玉座へ至る最短経路。シドが囚われているかもしれない地下牢の位置。
いざというとき、内側から門を開ける方法。万が一にもはぐれた場合の集合箇所。
大筋が決まった頃に、子供たちがいる台所から、何かを打ち付けるような音が聞こえたのだった。
「どうした!?」
兵士が踏み込んできたか、最悪魔物の襲撃かと、あわてて駆けつけたセシルたちの目の前で、激しい争いが繰り広げられていた。
──ただし、恐れていた状況ではなかったが。
「よくもやったな!」
「そっちこそ!」
ひっくり返った丸椅子の向こうで、半泣きのパロムとポロムが取っ組み合いを演じている。杖もロッドも放り出し、互いの髪や服を引っ張り合うのに夢中で、セシルたちには気付きもしない。
「よすんだ、ふたりとも!」
状況が飲み込めないまま、とにかく割って入るセシル。そこへ、
「あんちゃん!」
「セシルさん!」
この上なく切迫した顔の二人が詰め寄った。
「さきほどは申し訳ありません!
 もう平気ですわ、今度からはちゃんとやりますから!」
「さっきのはなんだよ!
 どうして普通のやつらまでやっつけちまうんだよ!?」
「……落ち着いてくれ、ふたりとも!」
セシルの左右から正反対のことを訴えて、困惑する彼を置きざりに、そっくり同じ顔を互いに突き合わせる。
言い争っているのは、多分……いや、間違いなく、昼間の戦いのことでだろう。
セシルらが、魔物ではない、同じ人間と命を奪い合う様に、二人はひどく動揺した。見境ない行動で、全員の危機を招くほどに。
四半日経った今もそれは尾を引いて、双子の意見を真っ二つに切り裂いていた。
549 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:37:42 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(2)

「わがままばっかり言うんじゃないわよ!」
「勝手に決めるなよ!」
口論を再開したふたりを、テラとヤンが引き離す。それでも双子の興奮は覚めず、足をばたつかせて言い争いを続けた。
「セシルさんだって、やりたくてやったわけじゃないのはわかってるでしょ!!」
「やりたくないなら、やらなきゃ良かったじゃんか!」
「そんな虫のいいことできるわけないでしょ!!」
「じゃあ何のためにパラディンになったんだよ!!」
宙に抱え上げられながら、双子の喧嘩はなおも続く。
彼らなりに事実を受け止めようともがく子供らに、かけられる言葉をセシルは見つけだせなかった。
「わたしたち、セシルさんのお手伝いをするために来たんでしょ!?
 邪魔しに来たんじゃないでしょ!」
ヤンの腕から解き放たれ、ポロムが床に飛び降りる。テラの戒めを振り切って、パロムがそれを迎え撃つ。
「そんなこと、言われなくてもわかってるよ!」「だったらちゃんとやりなさいよ!」「うるさいなぁ、ポロムにゃわかんねーよ!」
「……パロム!よせ!」
今はセシルにもいくらか状況が飲み込めた。だから彼は”パロムを”止めようとした。
「白魔道士のくせに!!」
彼は、言ってはならないことを言おうとしている。セシルにはそれがわかる。
「どうせポロムは、みんなにケアルするだけだもんな!
 やっつけるのは、オイラたちなんだぞ!
 ひとに全部やらせといて、自分だけいい子ぶるなよ!」

『ありがとうローザ。だが僕は暗黒騎士』

丸く見開かれたポロムの目に透明な粒が盛り上がる。それがこぼれるより早く、彼女は爆発した。
「パロムのばかぁぁぁっ!」
ほとんど体格の変わらぬ双子の弟を突き飛ばし、引きとめようと伸ばしたヤンの手をすり抜け、突進するポロム。流しの脇の勝手口に体当たりすると、もとから半開きの扉はあっさりと彼女の通行を許可した。
「言い過ぎじゃ、馬鹿者」
尻餅をついたパロムが、テラの拳骨を喰らっている。代わりにセシルがポロムを追った。
──ボクハアンコクキシ
手を汚すことのない君とは違う──
550 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:38:08 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(3) "白"

シドの屋敷はバロンのはずれ、高台のほとんどを占めている。四方は急激な崖となって落ち込み、さながらさながら天然の物見櫓だ。
ぐるりと周囲を囲んだ塀、その内側にわずかばかりの緑が配され、真上から降り注ぐ陽の恵みを受けている。
ポロムの姿を求め、セシルは心持ちゆっくりとした足取りで、草の上に残る新しい踏み分け跡を追った。
「服が汚れるよ」
「セシルさん……」
蓋をした井戸の上で、幼い白魔道士は膝を抱えていた。間の抜けた呼びかけに反応し、涙で汚れた顔を向ける。
セシルは彼女のそばの地面に腰を下ろし、今しがた通ってきた道を眺めた。
つられたか、ポロムも同じ方に目を向ける。塀に沿って続く茂みは、あまり手入れが行き届かず、方々に枝を伸ばしていた。
追いかけてきたは良いものの、慰めの言葉はまだ見つからない。
セシルは黙ってポロムの頭を撫で、髪に絡んだ葉を取り去った。
「……わたし」
頼りない声でポロムが話し出す。
「まちがったこと言ってません。
 パロムはずるいです。
 いっつも好き勝手して、いっつも魔法を使いたがってるくせに」
か細い声が、次第に刺々しくなっていく。拗ねたような言葉も瞳も、セシルのほうを向いてはいない。
「あんなの、ただのわがままです。
 そんなのいつものことだけど、でも、こんどは遊びじゃないのに。
 ちゃんとしないと、また迷惑かけちゃうのに。
 それなのに、人の気も知らないで……!」
「怒ってるのかい?」
「違います!」
怒ってるだろう、とは言わず、セシルは明るい栗色の頭を自分のほうへ引き寄せた。
セシルの手を嫌がるように、ポロムは激しく首を振って逃れ──そうかと思えば、逆に腕にしがみつく。
「パロムなんか……パロムなんか……」
いつものポロムらしくない、そしていかにも子供らしい糾弾に、すすり上げる音が混じりだし、やがて完全な嗚咽に取って代わられた。
551 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:38:26 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(4) "白"

ポロムは嘘をついている。
温みを帯びた髪を撫でながら、ぼんやりとセシルは思う。
パロムが、迷いもせず他人を傷つける姿など、彼女が見たがるはずがない。
ただ責任感から、自らの半身に戦いを強いているのだろうか。
それとも。

『あなたはそんな人じゃないわ』

弟のそんな姿を、思い描くことさえ出来ないのだろうか。
絶対の信頼を尊いと感じながら、それは今のパロムにとって、救いにはならないだろうこともセシルにはわかっていた。
魔法がいかに容易く人を傷つけるか、邪悪ならざるものの命をも、容赦なく奪ってしまいかねないものなのか、幼い天才黒魔道士は、見せ付けられたばかりなのだ。
強大な力が落とす影に怯えるあまり、彼自身が持つ光さえ見失ってしまっている。
そして自分を信じられなければ、大きすぎる信頼は逆に、とらえどころのない、薄っぺらなものに思えてしまうものなのだ。
ついこの間までのセシル自身が、まさにそうだったように。
パロムは彼よりずっと聡い。そしておそらく、ずっと強い。ポロムの存在が、あの子にとってどれほど大きな支えとなるか、じきに理解するだろう。
けれどポロムもまた幼い。たとえ一時のことにせよ、自分の好意が届かないことで、傷つかずに済むほど大人ではない。
ならば、今のセシルにしてやれることは──
「ポロム、掴まって」
セシルはポロムを抱き上げ、肩の上に乗せた。
戸惑っていた小さな手が、しっかりと首に回されるのを待って、敷地を囲む塀に歩み寄る。
子供の目線では気づかない。壁の先に待つのは、どこまでも広く、大きな空。
「どうだい?」
「……すごいです」
肩の上で、ポロムが身を乗り出す。セシルの口元にも笑みが浮かんだ。
552 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:38:52 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(5) "白"

もう何年前になるのか。おそらく、カインたちと知り合う前なのだろうが。少年とも呼べない年齢のセシルを担ぎ上げ、若き日のシドはまっすぐに指を突き出したのだった。
『ほれっ、いつまでもぐずぐずいうとるんでない。
 陛下のような、強いナイトになるんじゃろ?』
なぜ泣いていたのか、そもそもなぜこの家にいたのか。そうしたことは忘れても、あの日自分を支えていた腕と肩の頼もしさを、セシルは今も覚えている。
そしてこの空の広さも──世界の果てまでやってこいと、手招きしていた真夏の雲も。
「わかる気がします」
突然、肩の上でポロムが言い出す。
「このまま飛んでいきたいって、飛んでいける気がするって……
 この家にお住まいの人が、飛空挺をつくったのって、私、すごく分かる気がします」
「……ああ、そうだね」
生気に満ちた声が、過去に引き込まれかけていた心を、現在へと呼び戻した。
ポロムの瞳は、彼の頭上を通り越し、地平線を見つめている。
きっと以前のセシルもそうだったのだろう。おそらくはシドも。誰かの肩の上で、涙を拭い一心に彼方を眺めたことがあるのだ。
北から東にかけて、ハーヴィーの森に生い茂る木々が風に梢をきらめかせる。
西は一面マディン草原が広がり、そのむこう、雲と地面が接する際で気まぐれに光るのは、大河イストリーの支流のひとつだ。
流れる雲。遥か高みで輝く太陽。ひっそりと白く浮かんだ半欠けの月。
国や人が変わり果てても、バロンの自然はなお美しい。
世代をさかのぼり、ずっと昔から、子供たちは空に呼ばれていた。
「ここで待ってても良いんだよ」
思いもかけない言葉が、ごく自然に、セシルの口をついて出る。
「辛いなら、無理に戦わなくていいんだよ。
 君たちには本当に助けられたし、頼りにもしてた。
 来てくれて嬉しかったけど……」
僕らだけで何とかするよ。そう告げる間にも、首まわりをつかんだポロムの手に力が入る。
セシルは膝を曲げ、彼女に降りるよう促した。
553 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:39:10 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(6) "白"

地面に降りたポロムと、セシルは改めて向かい合った。膝を突き、目の高さを合わせる。
「わたしたち、お役に立てませんか?」
「いいや。
 君たちの実力は何度も見せてもらったし……敵の実態が、まるでわかってないからね。
 本当のところを言うと、戦力はあればあるほどいいんだ。
 でも」
一呼吸おいて、セシルは、彼の考えうる最悪の想像を、包み隠さず打ち明けた。
「僕らが戦う相手が、魔物だけとは限らない。
 もしかしたら、兵士でもない女性や老人を、傷つけてしまうかもしれない。
 ……もちろん、僕らが全滅する可能性もある」
無論、そんな事態はなんとしても避けたい。それでも、起きた場合を考えることが今は必要だ。
ひとつの言葉が放たれるたび、ポロムは小さくうなずいた。
すべてを語りつくした後、言われたことを噛み締めるようにじっとうつむいて、それからぎゅっと拳を握った。
悩み迷うというより、それは、己の内なる誰かの声に、耳を澄ませているようだった。
だとすれば、彼女を導く声の主は誰だろう。ミシディアの長老だろうか。それともポロム自身だろうか。
あるいは──いつもいつも彼女を振り回し、引きずって、否応無しに行き先を定めてしまう、双子の弟なのだろうか。
「パロムのことは、あいつに決めさせます。
 わたしも、おともさせてください」
「……ありがとう」
幼いなりの決意を秘めた姿に、リディアの面影が重なった。波間に消えた、小さな笑顔。
「大丈夫です。長老がおっしゃっていました。
 セシルさんがパラディンになれたのは、何か大きな使命を果たすためだろうって。
 だから、きっと全部うまくいきます」
気楽にさえ響く言葉は、自らに言い聞かせるためか、セシルの不安を透かし見たか。
力強く頷く彼女は、既にいつものしっかり者の顔をしていた。
554 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:39:28 ID:MqI2omlL0
FINAL FANTASY IV SubStory 2 nao chora mais(7) "白"

「もどろう。みんな待ってるよ」
セシルは立ち上がり、膝の土を払ってポロムに手を差し出す。
応じようとした手が途中で引かれ、いぶかしむセシルに、彼女ははにかみながら申し出た。
「あの、もう一度、お外を見せていただけませんか?」
「お安い御用さ」
再びポロムを肩に乗せ、鳥たちが囀る中、セシルは風景を一つ一つ指差して、それらが持つ名前や主な動植物などを異国から来た少女に教えた。
目の前の戦いを忘れ、待ち受ける運命を知らず。
ほんの僅かな時間だけ、ふたりは他愛無い話を楽しんだ。
555 ◆HHOM0Pr/qI :2008/02/12(火) 00:51:28 ID:MqI2omlL0
以上です。
もともとは本編に組み込む予定でさわりだけ振っていたんですが
もたもたしてるうちに話が進んでしまって、半端になってたエピソードです。
個人的に気になってたんで、勝手ながら補完させていただきました。
一応、パロム編も準備しています。

>FF6
バナンがすごく貫禄ありますね。ゲームだとひたすら天に祈ってたのにw
国王としての打算と、誠実さが同居しているエドガーもカコイイ!
明るい体育会系のマッシュと好対照。

>FF5 imitated
さりげなく、風のクリスタルが砕ける伏線を敷いてるのがうまい!
そして、レオ将軍と『蒼い翼』ににやり。
>クロシア大陸南西部イスカ高原地帯
このへんの地名はオリジナルですか?
556名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/12(火) 21:14:43 ID:hf9M4iAPO
うほっ、乙
なんか夫婦みたいな感じだなw
でも本当にありそうな衝突で面白い
久しぶりで待ちわびたぜ〜
GJ!
557名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/13(水) 14:42:39 ID:+eGD0mRZO
面白かった。パロム編も楽しみにしてます!
558名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/17(日) 21:15:35 ID:Tp1SR+8o0
hoshu
559名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/23(土) 12:08:45 ID:qFTW6kdt0


560名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/02/28(木) 22:48:31 ID:g3xAUkC70
561名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/03(月) 23:14:22 ID:oa5MTznOO
562名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/07(金) 19:47:49 ID:TIkfIrRK0
563FF6 リターナー本部 10:2008/03/11(火) 03:07:58 ID:fs9NzrIn0
 メンバーをホールに集めると、
バナンはゆっくりと階段を下り、全員の顔を見渡した。
テーブルの方へ一歩足を踏み出したところで、顔をしかめる。
「誰じゃ?こんな所にごみを捨てたのは…」
 バナンはぶつぶつ言いながら足元の紙くずを丸めてくずかごへ放った。
ティナがぎくりと肩を震わせたのには気づかず、
バナンはふんと鼻を鳴らした後、改めて口を開いた。

「さて……。
帝国が魔導の力を用い、戦争を始めたのは皆も知っての通りだ。
だがガストラがどうやって魔導の力を復活させたか?…ポイントはそこだ」
 ガストラの言葉を受けてエドガーが口を開いた。
「ロックに調べてもらったんだが、ガストラは世界中の学者を集めて、
幻獣の研究を始めたらしい。
こんな北方の雪山の事まで調べ上げるとは、
帝国の幻獣へ執念は並外れている」
「つまり、魔導の力と幻獣に何か関係があるということ…?」
 ティナは、エドガーとロックの表情を伺うように、順番に見比べた。
そういうこと、とロックが頷きながら付け加えた。

「魔導、そして幻獣。
この二つの言葉で思い出される事は一つしかない」
 バナンの言葉に、エドガーは眉をひそめた。
「もしや……」
「その通り。魔大戦じゃ」
"魔大戦"との言葉に、リターナーの面々からは、
おお、とかまさか、といった声が上がる。
564FF6 リターナー本部 11:2008/03/11(火) 03:28:56 ID:fs9NzrIn0
「枕元でばあちゃんが話してくれたのは…本当の話だったのか?」
「魔大戦の存在自体はな。フィガロにもいくつか古い文献は残っているが、
その詳細に関するものはほぼ失われている。
文字通り魔大戦が全てを焼き尽くしたというわけだ」
 エドガーの答えに、ロックはお手上げとばかりに両手を広げ、肩をすくめた。
「しかしバナン様、またその時の悲劇が繰り返されるというのですか?」
 バナンはふむ、と呟き、腕を組んだ。
「わからん。そもそもがもう千年も前の話じゃ。
それに歴史学者によっても諸説あるからのう。
一説よると幻獣から力を取り出して、人間に注入させたとのことだが…」

「それが魔導の…力?」
 ティナの声音は不安に満ちている。
 眉間に深い皺を刻んだまま、エドガーはしばらく沈黙していたが、
やがて顔をあげてバナンを見据えた。
「…だとすれば、帝国に立ち向かうには、
こちらも魔導の力を手に入れるしかないのでは?」
「ならん!それではまた魔大戦と同じ間違いを犯す事になってしまう」
 バナンは初めて声を張り上げた。
「では、どうしろと?」
 エドガーの問いにバナンは腕組みをし、答える代わりに、
まじまじとティナを見つめた。
「幻獣と話ができないかと考えているのだが、どうだ?」
「話をする?幻獣と!?」
 ティナが答えるより早く、エドガーが口を開く。
バナンの予想外の提案に再び場が騒然となる。
565FF6 リターナー本部 12:2008/03/11(火) 03:31:00 ID:fs9NzrIn0
  バナンは周囲の動揺をよそに、再び話し始めた。
「危険だが…もう一度ティナと反応させれば、幻獣が目覚めるかもしれない」
「幻獣は…本当に意思の疎通を図る事のできる存在なのでしょうか?」
「エドガーの疑問はもっともだ。確証は何もない。
だが、ティナならば可能かもしれない。
危険な賭けだ、といわれればそれまでだが…」
 バナンの口調は歯切れが悪い。険しい表情のまま大きく息を吐きだすと、
続けて言った。
「いずれにせよ…それを実現させるにはティナの協力が必要だ」

 自然と全員の視線がティナに注がれる。
ティナは突然の注目に戸惑ってか、青ざめた顔色で忙しく瞼を瞬かせた。
そんな様子を見かねたロックはそっとティナの側に回ると、
その肩に手をかけた。
「ティナ」
 そう言ってからロックはティナにだけ聞こえるよう声をひそめた。
「断ったっていいんだぜ?」
 何度目だろうか、また脈打つように痛み始めたこめかみを、
ティナはそっと押さえた。数日前にまみえた、
幻獣の不思議な光に包まれた時の感覚を思い出していた。
(あの時は嫌な感じはしなかった。
もしかしたら本当に話すことができるかもしれない…)

 ティナはロックにむかって薄く微笑むと、言った。
「やってみましょう」
566FF6 リターナー本部 13:2008/03/11(火) 04:16:44 ID:fs9NzrIn0
 その時、入り口付近から重量のある物体が床にぶつかったような、
鈍い音が皆の耳に届いた。
「何じゃ?今の物音は…」
反射的に全員が入り口へと向かう。

そこには背中に酷い傷を負った見張りの兵士が倒れていた。
荒い息をつきながら、懸命に身を起こそうとしている。
「た、大変です!バナン様。サウスフィガロ、が…」
「おい!何があったんじゃ!?」
 駆け寄ったバナンが抱き起こすと、兵士は苦痛に顔をゆがませながらも、
顔を上げた。
「帝国が、こちらにむかっています。サウスフィガロは恐らく…」
「気づかれたか…作戦を急がなくてはならん!」
 バナンは舌打ちし、エドガーを振り仰いだ。エドガーは黙って一度頷く。
「ロック!」
 エドガーの声にロックが弾かれたように立ち上がる。
「わかってる。サウスフィガロで内部から敵を足止めするんだろ?」
「お前の特技を見込んでのことだ、頼んだぞ!」

 エドガーは手元に置かれていた短剣をロックへと放った。
それを空中で受け止めて腰のベルトに収めると、
階段を数段下りた所でロックはティナの方を振り返った。
「ティナ!俺が戻るまで大人しく待ってなよ。
特に、手が早いので有名などこかの王様には気をつけろよ」
「ロック!一言多いぞ、お前は…!」
 エドガーが蹴る真似をすると、ロックは軽く笑いながら、
じゃあな、といって素早く身を翻した。出口へと姿が消えるのを見送りながら、
マッシュは半ば呆れたように付け加えた。
「兄貴…まだそのクセ直ってないのかい?」
567FF6 リターナー本部 14:2008/03/11(火) 04:23:25 ID:fs9NzrIn0
-

 負傷した兵士の応急手当を手早く終え、バナンは立ち上がった。
「こっちはどうする?」
 一気に慌しさを増した状況においても、
エドガーの態度はあくまで平静を保っている。
「ロックが足止めをかけているうちに、
レテ川を抜けてナルシェに逃げるのがいいでしょう。
炭鉱で見つかった幻獣の事も気にかかります」
「うむ。では裏口にイカダを用意させよう。
少々危険だが、他に手もあるまい」
 バナンはすぐ後ろの兵士に指示を出すと、
自身も小走りで裏口へと駆け出した。

 未だ状況がよく飲み込めず、呆然と立ち尽くしているティナの背中を、
エドガーは押し出すように軽く叩いた。
「ここは危険だ。一緒にナルシェへ向かおう。
自分の力を知るいいチャンスになるかもしれんぞ」
 ティナは頷き、手渡された長剣を決意と共にしっかりと握り締める。

 と同時に、バナンの号令が室内に響き渡った。
「皆グズグズするな!すぐナルシェへ向かうぞ!」
568名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 04:30:00 ID:fs9NzrIn0
2ヶ月ほど経っていて今更ですが、
レス下さった方ありがとうございます。
喜んだり反省したりしてます。
では。
569名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/11(火) 19:36:33 ID:VGOAK4FS0
otu
570名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/13(木) 14:49:22 ID:A2cpVh8a0
おっつー
571名前が無い@ただの名無しのようだ:2008/03/13(木) 15:53:14 ID:V3C0e1GL0
ここだけは落としちゃならん!
572名前が無い@ただの名無しのようだ
6の人乙。