お、生き返った
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名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/24(木) 01:01:42 ID:rPX7pE37O
あらら、ばっさり削除されちゃったね。
誰か削除依頼出したの?
糞スレなんだから、さっさと落とさせればいいのに。
シーモアに襲われ、橋まで逃走してきて小半時が過ぎようとしていた。
ヴィンセントとギルガメッシュは息も整い、そろそろ次の行動はどうするかという話になる。
「ヴィンセント、支給品はその武器だけか?」
ギルガメッシュはデスペナルティを指さす。
「私の支給品はこの銃と、これだ」
ヴィンセントがザックから取り出したのは、拳大の透明色を帯びた石だった。
「クリスタルに似てなくもないが…何なんだ?」
ギルガメッシュは妖しく輝く石をまじまじと見つめる。
「ザックに入っていた説明書には”暁の断片”と書いていた。
これは装備した者の魔力を吸収し続けるそうだ。戦いの役には
立ちそうにない…」
「ハズレアイテムってことか。何もしなくても魔法が使えなくなるんじゃあなぁ」
ギルガメッシュは残念そうに呟く。
二人は知らない。この石に強大な破壊の力が秘められていることを。
「とりあえずその石のことは置いといて、何処に移動する?
東は勘弁してくれよ。また『アレ』と出くわすのは勘弁だ」
真っ先にギルガメッシュが提案した意見にはヴィンセントも同意した。
あの男の強さは身をもって知っている。短い時間と言えど、一戦交えたのだから。
「それなら西か」
「だな。このまま橋を渡って、道沿いに城までいくか?
夜になれば下手に動くのはまずいからな」
二人は相談の末、なるべく戦闘は避けることになった。武器がない訳ではないが、
どちらも回復魔法が使えず、回復手段が癒しの杖のみだからだ。
ギルガメッシュの提案どうり日が落ちるまでに城へ移動し、潜伏することになった。
そこで武器や食料でも調達できれば上出来だろう。
そして二人は善は急げと移動を開始した。
もう少しで橋を渡りきる所で、不意にギルガメッシュが足を止める。
「どうした、ギルガメッシュ」
「いや、何か変な音が聞こえないか?猛獣のうめき声のような…」
そう言われてヴィンセントは耳を澄ます。
微かではあるが、確かに聞こえる。それも自分たちが進む方角からだ。
「この音は…」
だんだん音が近づいてくる。視線を向ける先に黒い物体が見えてくる。
それは大小二人の人間を乗せ、煙を吐きながらヴィンセントたちの前で停止した。
「何だ、こりゃ…」
ギルガメッシュは見慣れぬものに呆気にとられ、思ったことをそのまま口に出す。
「ヴィンセント、無事だったか」
チョコボに似た、金髪にツンツン頭の青年がヴィンセントの名を呼ぶ。
「…クラウドか」
ヴィンセントは知った顔と確認すると、銃に添えていた手を離した。
「いや〜、またゲームに乗った奴と鉢合うのかとヒヤヒヤしたぜ。
ヴィンセントの仲間で良かったよ」
ギルガメッシュは心の底から安心したと言わんばかりの口調で話す。
「驚かせてすまなかったな。俺はクラウド。こっちはパロムだ」
「よろしくな、変なカッコのあんちゃんに銃のあんちゃん」
右手をひらひらとふり、笑顔で挨拶をする。
「へ、変なカッコ…」
ギルガメッシュはおもわず復唱した。
自覚はしているものの、やはり人に言われると傷つくのだろう。
そのやり取りには気にかけず、クラウドは話を切り出す。
「ところでヴィンセント、ゲームにのった奴とあったのか?」
「ああ、少し前にな」
ヴィンセントはシーモアとの出来事をできるだけ詳しく説明した。
おそらく魔導師ということ、人を殺すのにためらいはないこと、肩に軽い傷をおっていること。
名前はザックに入っていた名簿で知ることができた。
「なるほどな。かなり危険な男みたいだ」
ヴィンセントの話を聞き、クラウドはうなづく。
「だろ。何せ俺が話しかけてたらいきなり襲って来たんだからな」
ギルガメッシュが横からシーモアの恐ろしさを語ろうとしたが、
「それはあんちゃんが変なカッコしてるせいじゃないの?
それで、その人があんちゃんのことゲームに乗ってるって思ったのかも」
とパロムに冗談を含む口調で言われ話すのを止めた。また傷ついたのだろう。
「クラウド。お前のほうでは何かなかったのか?」
ヴィンセントは問われてクラウドは顔をあげる。
「俺たちもゲームにのっている奴とあった。えっと…こいつだ、マティウス!」
名簿の中の一枚の写真を指さす。
「魔法の腕はかなりのものだった。パロムの機転で城から出ることができたんだ」
「城だって?」
うなだれていたギルガメッシュがクラウドの言葉に反応した。
「ああ、E-2の城にいた。パロムが『ヤバい奴がいる』っていうから
そんな奴は放っておけないと思って、倒しに城へ入ったんだ。なあ?」
「うん。あいつの魔力は尋常じゃなかった。結局たいした傷を負わせられなかったんだ」
パロムはクラウドにうなづいて同意する。
「そんな奴が城にいるのかよ…。なあヴィンセント、どうするんだ?」
「こんな話を聞いた以上、城へ行くのは止めたほうがいいだろう。
ところでクラウド…あんたは何か目的はあるのか?」
「俺はパロムの仲間探しに協力している。それと…」
「それと…何だ」
次の言葉を出すのを止めてしまったクラウドにヴィンセントは問いかける。
「いや、何でもない。それだけだ」
「……?そうか…ならば大人数では動きが鈍るな…。別行動をとるのがいいだろう」
少しクラウドの態度に違和感を覚えるも、話の腰を折る訳にもいかないので
気にせずそのまま話を続ける。
「ああ、そうしてもらえるとありがたい。これから俺たちは橋を渡って北東へ
進むつもりだ」
「…わかった。私たちもパロムの仲間を見つけたら伝えておこう」
「ああ、頼むよ。パロム、行くぞ!」
クラウドはパロムを呼び、ハーディ・デイトナにエンジンをかける。
あたりに獣の叫び声のような重低音が響く。
「…クラウド!」
いざ発進しようとしたクラウドをヴィンセントが呼び止める。
「何だ?」
「必ず生き残れ。もとの世界にはあんたを必要としている人が残っている」
ヴィンセントらしからぬ言葉に少し戸惑いつつも、クラウドは笑顔で答える。
「ああ。ヴィンセント、また逢おう」
そしてヴィンセントとギルガメッシュの前から去っていった。
「なあ、本当に良かったのか?一緒に行動したほうが良かったんじゃ」
あっさりとクラウドたちを見送ったヴィンセントにたいして疑問をぶつける。
「クラウドは強い。一緒にいた少年もかなりの力を持っているようだった…大丈夫だ」
「それならいいんだけどよ…」
(そう、クラウドは簡単には死なない…。大丈夫だ)
ヴィンセントは心の中で復唱して自分に言い聞かせた。
「ヴィンセント、G-3に洞窟がある。しばらくここで待機しようぜ」
地図を確認したギルガメッシュが再度提案する。
「…ああ。急ごうか…」
心の中に何とも言えないもやもやを溜め込んだまま、ヴィンセントたちは移動を再開した。
「あんちゃん、何で自分が探してる奴のこと聞かなかったんだよ。
聞こうとしたのに話すの止めちゃうし」
草原を疾走するハーディ・デイトナの後部に跨がるパロムはクラウドに訊いた。
「どうしてそんなこと訊くんだ?」
「何でって…。あの二人が探してる奴に会ってたら何処にいるか分かるかもしれないのに。
会ってなくても、おいらの仲間みたいに伝えるだけでもすればいいじゃんか」
「……会っていたらあの二人はもう死んでる」
「へ?」
突然、『死』と言う単語を耳にしてパロムは素っ頓狂な声をあげた。
探し人と会ったらあの二人は死んでる?
つまりそれは探し人は危険な人間。ということは…。
「あんちゃんが探してる人ってもしかして…敵?」
そう聞くと、クラウドは一呼吸おいて話し始めた。
「そうだ。ヴィンセントにそんなことを言えば止められるだろう?
『一人で敵に向かっていってどうするつもりだ』ってな」
「だから言わなかったのか?」
「ああ。ヴィンセントとはそこまで長い付き合いじゃないけど、
仲間なのは変わらない。俺は、仲間を心配させたくないんだ」