ファイナルファンタジー・バトルロワイアルLV2

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581FINAL STAGE1/16
「うわあああああああ!!!!!」
クジャは耐え切れない。耐えられない。許せない。
何がなんだかわからなかった。
腹の底からふつふつと怒りがこみ上げる。
いや、何かはわかっている―ネズミに逃げられた。
目の前に居る5匹のネズミ。
白い奴。でかい奴。こまい奴。細い奴。ごてごてした奴。
その内しとめた2体は、散々な口ぶりでクジャをなじり、その内3体にはあっさり逃げられた。
これをどうして許せよう?
これをどうして腹立たずにいられよう?
「ついにきれたーーー!」
クジャは叫んだ。赤い何かが弾けた。
クジャの姿は変じていた。
先程弾けた赤い何か―それをまとった赤い赤い燃えるような魔人の姿。
フ。
フフ。
アハ。
クジャは哂った。みなぎるぞ、みなぎるぞ、力がみなぎる。
途方もない力がクジャの体を宙に浮かす。
「みんな死んでしまえーーーっ!!!!」
光が奔る。大地を穿つ。木を裂き、岩を砕き、川を蒸発させ、奔る。奔る。
世界を消滅させる程の力だった。禁じられた力、アルテマが解放された時だった。
582FINAL STAGE2/16:2006/06/13(火) 22:12:53 ID:BZBr+rMu0
モリガンは本を読んでいた。赤い光の迫るのには気付かなかった。
後ろから斜め下に貫く形で、頭と、本を支える腕、本が消し飛んだ。一瞬の出来事だった。
二撃、三撃、続いて光が彼の体を撃ったが、彼がそれを知ることは無かった。

コリンは見た。自らの視界を覆う草越しに、それから漏れる赤い光を。
危険な力だ。来る、と思う。
しかし、速い。コリンがわずかに身を起こそうか、そう思うよりも早く身を貫かれていた。
次々と撃つ、撃つ。光はコリンの体を貫く。
彼の不幸は絶命する急所をなかなか撃たれなかったことだった、嬲られるように痛みが彼を襲った。
だが、やがてそれも彼の死とともに終息した。

セーラは途端、その身を担がれ振り回された。
死を運ぶ赤い光には気付かなかったが、同行していたSeed、スコールがいち早くそれに気付いた。
彼女を守るため、彼が抱え上げたのだ。
かわす、かわす、人一人を抱えているというのに見事な体捌きであった。
が、しかし、光は広がり、陸そのものが藻屑となった。
彼らにかわす場所は無くなったのだ。セーラも死んだ。

ガーランドも見た。その光を。
強大な魔力。圧倒的な破壊の力。
止むを得まい、カオスの力を解放した。
その時である、光が弾けた。ガーランドの意識は消えた。
583FINAL STAGE3/16:2006/06/13(火) 22:14:14 ID:BZBr+rMu0
フリオニールも見た。その光を。
かつて見たことも無い強大な魔力。彼の知る最高の魔力、皇帝マティウス以上の物であろう。
―まだゲームは始まったばかりじゃないか。
無念だった。しかし、どうしようもない。静かにその死を受け入れた。

ミンウは光を見ることは無かった。
半死半生だった。セルフィという狂気じみた陽気さの少女―それに殴打され重傷だった。
わずかに残った命を、得意の白魔法でなんとかつなぎ止めていたが、
その体で、迫るアルテマの光に抗することなど全く出来なかったのだ。
ミンウは光を見るよりも早く絶命した。

マティウスは、光が放たれるよりも早く、その異様な魔力に感づいていた。
―なんという魔力だ!
皇帝として、魔王として、自分以上の存在を彼は知らなかった。
―パンデモニウムよ……!
必死に地獄に呼びかける。彼のいた古城は光の中に消失した。

導師は見た。その光を。
赤 赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤―光が広がっていく
赤 赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤赤―全てが飲み込まれていく
私は…?私は?私は…
私も死んじゃった!

ニセコも見た。その光を。
―もっと強い奴と戦いたい。
しかし、この光の主は強すぎた。これ程のスケールの強さもあったのか。
自分がいかにちっぽけな存在の中で粋がっていたか…、それを知った時が彼の死の瞬間だった。
584FINAL STAGE4/16:2006/06/13(火) 22:15:35 ID:BZBr+rMu0
イリアも見た。その光を。
「バッツさん!」
バッツも光に気付いていた。
しかし、二人に抗う力は無かった。

スリークも見た。その光を。
「うっおおおおお!なんだありゃ!超やべーぜ!
 光が遥か彼方より迫っております!あ〜っと、私のすぐ横の地面が穿たれました!
 土が!草が舞い上がります!おっと!木がへし折られました!
 あ〜〜〜〜!そして!そして!ついに私の正面に光がやってまいりました〜〜〜〜!」
―なぜ実況をする。
「皆さんさようなら〜〜〜〜〜!!!!!」
ズガン!
最後の最後まで、やかましい男であった。

デッシュはその光を見ることは無かった。
疲れており、彼が光を見咎めるより早く彼の命は消えた。

セシルは見た。自分ではない、目の前のヴァンに迫る光を。
―危ない!
そう思うと、彼の矛に貫かれるのにも構わず彼をかばった。
『あんた…、なんで…?』
セシルはただ申し訳無さそうに微笑むだけだった。
彼をかばった時、光に胸から下、体の三分の二を吹き飛ばされていた。

カインはレノに怒鳴られた。
『危ない!』(―光が、迫ってるぜ、と。)
それを聞いて、即座に彼の身を抱え、ジャンプをしたが、
しばらくの内に光はこの世界全てを覆いつくし、逃げ場はなくなった。
585FINAL STAGE5/16:2006/06/13(火) 22:16:35 ID:BZBr+rMu0
ヤンも見た。その光を。
クジャとの戦いでは絶命しておらず、なんとか半死半生で機会を窺っていた。
だが、それも徒労に終わった。
アルテマの力に抗する力は彼にはないのだから…。
傍で倒れるサイファーも、あきらめ顔だった。
―やれやれ。

ポロムも見た。その光を。
余りに強い魔法の力。いかに天才と呼ばれようと、遥かに自分の魔力を凌ぐ力。
(シェル?リフレク?―無理!)
逡巡する彼女を、セフィロスは拾い上げ、光から逃げ惑った。

パロムも見た。その光を。
「あんちゃん!」
クラウドは、そんなパロムをひょいと摘み上げるとハーディ・デイトナの後ろに乗せた。
走る、走る。光をかわす。
しかし、それでも、彼らも同様に逃げ場は無いのだ。

バッツも見た。その光を。
「イリア!」
彼も答えるように彼の名を呼ぶ。逡巡する暇は無い。
光を避けるべく、目の前の古城に転がり込んだ。
爆音が響く。安全なのはほんの僅かな間だけあった。
彼らが身を潜める古城も光に消えた。

クルルも見た。その光を。
「え…?」
見たのと、体を貫かれていたのがほぼ同時だった。

ギルガメッシュは死んだ。光の中に霧散した。
「あ〜〜〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜。」
586FINAL STAGE6/16:2006/06/13(火) 22:17:50 ID:BZBr+rMu0
セリスも見た。その光を。
「まだ死ねないのに!」
光は奔る。かつて世界が崩壊したのを思い出した。
「ロックゥゥ〜〜〜〜〜〜!」
最後のその時まで愛する人を信じていた。―今度は彼は来なかった。

カイエンも見た。その光を。
かつて世界が滅んだ時に目にした火、それを思わせる激しい魔力。
「なんと!」
だが、今は光から逃げる手段は無いのだ。
「すまぬ、ミナ、シュン…。」

セッツァーも見た。同じく世界崩壊を思い浮かべるあの光を。
(チクショウ、ファルコンがあれば!)
空を駆ける俺の翼、親友の忘れ形見!それさえあれば、逃げられたかもしれないのに。
―しかし、彼にあるのはその身一つなのだ。
「今思ってることの逆が正解。だが、それは大きなミステイク。」
―そう、彼の傍にはラムザがいた。
その類稀なるジャンプ力はセッツァーの身を抱え上げ、光をかわした。

クラウドも見た。その光を。
パロムが何か喚いている。―構わない。
ハーディ・デイトナの後部に乗せ、光をかわすべく走らせた。
弾丸のように降り注ぐそれはかわしたが、
光が全てを飲み込み広がっていく時、クラウドとパロムもまた絶命した。

ヴィンセントも見た。その光を。
見たと同時に体を貫かれていたが、絶命はしなかった。
「私の体は死ねない体…。光に焼かれ、途切れること無い痛みは私に与えられた罰…。」
心地よい苦痛に身を委ねながらも、
その身が光に完全に消失しては"死んだ"と言わざるを得なかった。
587FINAL STAGE7/16:2006/06/13(火) 22:19:11 ID:BZBr+rMu0
レノも見た。すぐ脇の相棒に迫るその光を。
「危ない!」(―光が、迫ってるぜ、と。)
皆まで、言うまでにカインも気付き、彼の体を抱え上げジャンプしていた。
(俺達、案外いいコンビかもな、と。)
軽く安堵したが、光はやはり彼らを逃すことは無かった。

セフィロスも見た。その光を。
小さな相棒は、絶大すぎる魔力を感じたのか動きを止めている。
ひょいと摘み上げると、腕の中に抱え上げ、赤い破壊の光の矢をかわしにかわした。
しかし、光は彼にも逃げ場は与えなかった。
(母さん……!)

スコールも見た。その光を。
目の前のセーラをかばい、果敢に立ち向かった。
しかし、抗いきれる力でないことは既に悟っていた。
「すまない。」
仏頂面のままぶっきらぼうにしか言えなかったが、腕の中のセーラは笑ってくれた。
スコールも光に飲み込まれた。

セルフィも見た。その光を。
スコールと同じく、SeeDとして培われた観察眼は即座に助からないことを見抜いていた。
「なんや〜〜〜、うちいいトコ無しやん!」
―このまま死んでなるものか、悲鳴をあげる。
しかし、迫る。光は迫る。
―何か、言わなきゃ最後の台詞。
「まぁみむぅめも〜〜〜〜〜〜!!!!!」
ガーデンで流行らせることは出来なかったが、今度は"今際の台詞"として流行ったらいいな、少しそう思った。
588名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/13(火) 22:19:40 ID:CkM9YZgj0
なにやってんだ・・・
589FINAL STAGE8/16:2006/06/13(火) 22:20:27 ID:BZBr+rMu0
キスティスも見た。その光を。
満身創痍の自分にかわす術はあるまい。
しかし、再び彼女の白チョコボが彼女をかばった。
ひょいと嘴で彼女の体を浮かせると、その背に乗せて走り出した。
(またも、助けてくれた。ありがとう)
キスティスは思う。光は二度も三度も近くをかすめるが、チョコボの足はそれをかわした。
『ひょっとしたら助かるかもしれない』、キスティスは思ったが、次の瞬間、自分達の正面に光が迫るのを見た。
―セルフィの姿が見えた。
『あのなぁ、うち、これを流行らしたいねん。
 死ぬ前にちょっとでえぇから、"まみむめも"言うてから死んでや。』
パチンと顔の前で両手を合わせ、おじぎをする格好で懇願される。―幻像だった。
(―やれやれね。)
「まみむめも」
口の中でぼそりと呟いた。
『クワッ クィッ ク〜 クエ! コ〜〜〜!』
チョコも鳴いた。真似をするように鳴いた。
―たまらぬ死に様であった。

ジタンも見た。テラが崩壊する時に見た時以来のあの光だ。
「馬っ鹿野郎〜〜〜〜〜〜!!!!!」
『生きるということの意味が少し分かった』―信じていたのに。
ジタンは死んだ。

スタイナーも見た。同じくテラが崩壊する時に見た、あの時以来のあの光だ。
「なななななななな、なんと!」
即座に理解した。クジャが何か、許しがたい何かに力を解放したのだろう。
『馬っ鹿野郎〜〜〜〜〜〜!!!!!』
横でジタンが叫んでいる。―恐らく、彼のことを信じていたのだろう。
スタイナーはどっかとあぐらを組んだ。
ならば、じたばたしても仕方あるまい。逃げ場はないのだ。
「無念!」
微動だにせず光に貫かれ、スタイナーは絶命した。
590FINAL STAGE9/16:2006/06/13(火) 22:21:59 ID:BZBr+rMu0
ガーネットも見た。やはりテラが崩壊する時に見た、あの時以来のあの光を。
寂しい思いだった、彼女も少し信じていた。
旅の中、ひどく苦しめられたけど、味方になってくれればきっと頼もしい。
目の前のカイエンとディリータに謝った。
「ごめんなさい。」
なんとなく身内の不祥事のように思えたから。
二人は飲み込めない様子であったが、言葉を交わす間もなく皆絶命した。

クジャは放つ、放つ。光を放つ。
破壊のカタルシスに酔いしれ、憎しみに捕らわれていた。

ティーダは見た。その憎しみの光を。
「うっおおおおおお!!!」
スリークはなんか必死で実況をしている。デッシュは死んだ。
さっきまでの陽気ムードは一気に消し飛んだ。
『何やってんスか!』―そうスリークに声をかけ、一緒に逃げようと思った。
光から一瞬、注意がそがれた。
ティーダはスリークに声をかけようとふりむいた瞬間、死んでいた。

ユウナも死んだ。
ティーダには会えなかった。

シーモアも死んだ。
既に満身創痍だった。
591FINAL STAGE10/16:2006/06/13(火) 22:23:04 ID:BZBr+rMu0
ヴァンも死んだ。
目の前の男の申し訳無さそうな微笑が印象的だった。

バルフレアも死んだ。
次から次からへと災難に見舞われ、またかと思ったが、今度は今までと桁違いだった。

バッシュも死んだ。
かばってくれたアーロンに申し訳なかった。

ラムザも死んだ。
セッツァーを抱え、果敢にジャンプでかわしたが、時と共に逃げ場はどこにも無くなった。

ディリータも死んだ。
目の前には覚悟を決める侍、謝る姫。自分は、したたかに最後まで生き抜きたかった。

オルランドゥも死んだ。
操りの輪により殺戮以外の意思の無い彼は、何も考えることなく、光に反応すらせず、打ち抜かれ死んだ。

ガフガリオンも死んだ。
逃げ場は無い。前後にはユウナとセリス、両手に華。『ン、そンな死に方も悪くないか』 諦めて素直に死んだ。
592FINAL STAGE11/16:2006/06/13(火) 22:23:58 ID:BZBr+rMu0
フフフフ。
アハハハハ!
アーハッハッハ!
宙空でクジャが笑う。幼児のように笑う。彼は捨て鉢だった。
全てが消えた。木が、建物が、岩が、川が。陸が全て無くなった。
もうもう瓦礫と煙がたちこめる。
「ん?」
と、クジャは瓦礫の中に異物を発見した。

皇帝は、ギリギリで地獄の召喚に成功した。
猛るアルテマの魔力は、張り巡らされた結界をも粉々に千切りさった。
結界が消え、光が自らに迫る瞬間、ギリギリで地獄の召喚に成功したのである。
地獄に逃れ、皇帝はアルテマの直撃を防いだのである。―卑怯な奴だ!

瓦礫の中に見える異物、それこそパンデモニウムであった。万魔控える、地獄の城。
そして、今、悪鬼共がクジャを喰らおうと、パンデモニウムより飛び出そうとしていた。
―最後の決戦だ!
しかし、クジャは慌てない。
「あらァ、まだ生きてたノ?死になさ〜い♪」
もう一つの切り札、『毒ガス』をクジャは解放した。
ギャアアアアアアアアアア!!!!AHEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!
毒ガスに化け物共がもだえ苦しむ。パンデモニウムの魔物は一つ残らず断末魔の悲鳴をあげ事切れた。
うぼぁーーーーーー!!!!!