もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら七泊目
ここは
「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」
ということを想像して書き込むスレです。
小説形式、レポ形式、一言、オリジナル何でも歓迎です。
・スレの性質上、レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので
スレ容量が470KBを超えたら次スレを立てて下さい
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい
(トリップは名前欄に「#(半角シャープ)+半角8文字」で出ます)
・同じスレ内で続きをアップする場合は
アンカー(「>>(半角右カッコ2つ)+半角数字(前回レスしたスレ番号)」)
をつけるとより読みやすくなります
前スレ
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら六泊目
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1142080254/ まとめサイト
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」冒険の書庫
tp://www.geocities.jp/if_dq/
「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」避難所
tp://corona.moo.jp/DQyadoya/bbs.cgi
4 :
www:2006/05/28(日) 12:37:36 ID:B1DBFQjQ0
糞ゲーのスレは糞スレですwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
へへへ きのうは おたのしみでしたね
つまり私が勇者てことで桶でつか
GANTZのパクリ
>>8 そもそもが、そう珍しい設定ではないよ。
自分の知ってるモノの中から似た材料を探し、あてはめパクリだとするのは
様々な物語が氾濫している今、ナンセンスでみっともないからやめた方がいいよ。
とマジレスする優しい自分に酔ってみた。
釣れてますね
12 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/29(月) 17:26:50 ID:1JOoqPmjO
ageるか・・・
保守っとな。
4の人のはリアル鬼ごっこと大差のない作品。
それだけ面白いと言うことだww
リア鬼は文芸板じゃ糞扱いだぞ。つーかあれ自費出版らしいな。
一応プロ(らしい)し
そのカッコおかしくないか
ああ、おかしいさ。でもそれがオレの生き方でもあるんだ!
19 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/05/30(火) 23:21:45 ID:YI1VI+zG0
いまだに『INN』の意味を
英和辞典で調べていない
もし目が覚めたら全米No.1だったらスレはここですか?
今月は上手く掲載できますよーに!!
30 :
omikuji:2006/06/01(木) 11:22:20 ID:H+JQZGdb0
ミスった。
ごめん
全米ウルトラ横断クイズ
ショクニンヒトリモキテナイ
>>前スレ665
から続き
●偶然
『あなたの世界とこの世界は、繋がりが皆無なわけではありません
大きな、それは大きな"意思"によって繋がりを持っています』
お、おい
いきなりそんな、ずいぶん大きな話だな…
で、それが俺と何の関係が?
『…例えるならその意思とは即ち宇宙の意思
その繋がりを持つから、あなたをこの世界へ引き込むことが出来た』
…
『あなたを呼び寄せた理由…
そう、ゾーマの存在です
実はそのゾーマは過去に一度、勇者によって討ち取られたはずでした
ですが九番目の始まりを創った時に再び現れてしまったのです』
あんたは神なんだろう?
なぜ未然に防げなかったんだ?
『確かに私は神です
ですがその神の力を上回る… 宇宙の力の一部を彼は利用した』
よくわからないが…
あんたたちよりも大きな力を魔王が使ったという事か
『そうです
私たち神は創りだした世界へ直接干渉する事が出来ません
なので今までも勇者という強い存在を、私たちに変わり世界の危機を救う人間を選出してきました』
なぜ魔王が存在することを止めることが出来ないんだ?
『この世界の摂理だからです
そして私には世界を創り続けるという使命があります』
神なのに摂理に従うというのか
俺には理解ができないよ
『タカハシ、私たち神も創られた存在なのです
いつ誰がどのようにして創り出したかまではわかりません
わかっているのは宇宙の意思によって創られた…』
宇宙か…
それじゃあ俺の世界で宇宙開発が進めばこの世界へたどり着けるかもしれないのか?
『いいえ
宇宙といっても、その形はともあれ無数に存在しています
この世界はそんな無数にある世界のうちの一つ、あなたの世界も小さな宇宙の一つ…』
はぁ…
さっぱりわからない
……その話はもういいから、俺とこの世界の関係を教えてくれないか
『あなたとこの世界の関係… 直接は関係が無いのです』
な?!
関係ないのに俺はこんな思いを…!?
『聞いてくださいタカハシ
関係はないのですが、あなたはこの世界の神の力を確かに宿しています
それは九番目の世界を創った時に、あなたの世界へ神の力を送り込んだ時から』
力を送り込んだ…?
『そうです
この世界を創った時にゾーマの不吉な力は感じていました
そして私の力が抑え込まれていくのも感じ取れました
彼は肉体として存在せずとも、宇宙の力を利用できるのでしょう
同時に一番目から八番目の世界が徐々に崩壊を始めた…
それは確かにゾーマによる邪悪な力の働きでした
…そこで私たちは禁じられている異世界の神同士で話し合いを持った
この時点で世界の神の力はとても弱められてしまっていました』
その話し合いで、俺をこの世界へ連れてくる事が決まったのか?
だけど…
あんたは前に俺に言った
俺は"勇者"では無いと…
一体、俺になにをさせようとしているんだ?
『この世界で勇者を育てるのは不可能でした
ゾーマの力で神の力を抑え込まれてしまうからです
そこで、私たちの力を別の宇宙へ飛ばし、そこで成長させるべく…
今ならまだ別の宇宙へ干渉する力をゾーマは持っていませんから、そうしたのです
力を飛ばす際、宇宙を酷く疲弊させてしまいましたが…
……そして実際はその力を宿す者は誰でもよかった
タカハシ、あなたに力が宿ったのは偶然なのです
あれから五百数年、ようやくあなたをこの世界へ存在させる為の力を蓄える事が出来、引き込みました
魂だけですが』
偶然……
他の人間を連れて来て、俺は戻すって事は出来ないか?
それに五百年ったって俺は二十四だぞ?
『あなたの世界とこの世界では時間の流れが大きく違います
あなたが元の世界へ戻ったとしても、時間はまったく経過していないでしょう
そして代わりの人間を引き込む事も出来ません
もう力が残っていませんし、時間もありません』
偶然、ぐうぜん…
そんな理由で俺は必死になって旅をして…
ははっ
なんだよ
なんなんだよ…
『偶然ですが、それは宇宙の意思によるものだと私は考えています』
……
『あなたに勇者になってもらおうという考えは今もありません
あなたにはこの世界を─』
この世界を…?
『消し去ってもらおうと考えています』
な、なんだって…?
消し去る?
そんな事が… 俺に…
『出来ます、その為にあなたは力を宿しているのですから
まだ完全ではありませんが、その力を使えば可能です』
俺に世界を破壊しろとでも?
『そうではありません
魔王ゾーマを倒す、それだけで良いのです』
…これで全部か?
俺に話していない事は、他には無いのか?
『今できる話は、すべて話しました』
まだなんかあるような、含みを持ってるな
まぁいい
教えてくれて感謝するよ
でも、俺は二度と戦いはしたくないんだ…
戦って果たして、俺に何が残るんだ?
これ以上、何を失えばいい?
トルネコも元に戻せないしメイは二度と動かない…
そして俺は偶然で連れてこられた
そんな俺にこれ以上何を失えと?
次はこの世界を消し去れなんて、よくそんな事が言えるよ
生きている人々を消せって言ってるんだぞ?
ごめんだな
元の世界、戻さないってのならそれでもいい
いいよ、俺は
ただ放っておいてくれないか
疲れたんだ……
自力で連投回避
『……あなたは今、自分の中へ閉じ篭もっています
このままだとあなた自身が完全に壊れてしまう
すぐにこの中から出してあげましょう……』
まて!
やめてくれ 今の俺にはここが一番居心地いいんだ!
もう俺を引きずりまわすのは……!
今回はここまでです
連投規制厳しくなってる?
タカハシさんお疲れっすー
ところで一部はどこで見れます?
44 :
42:2006/06/03(土) 01:43:03 ID:gBrivSVv0
サンクス!
ところで五泊目の初投稿でうpしてたのが一部ではないんで?
あれで見れなかったから聞いてみたのだけど、探し方足りなかったかな
>>44 そうです、初投稿が第一部のテキストでした。
アップローダーから消えたので見れなくなったんだと思います。
>>43 のURLはその後アップしたもので、変な表現など些細な箇所が変更されてたりします。
早くまとめも本スレに追いつかなければと思いつつ、物語書くのを優先し全く進みません…
人集まるだろうか
48 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/04(日) 17:12:44 ID:7GEcYg1fO
タカハシ、乙!!!!あせんなくていいから細く長くを希望します。
ついでに暗黒魔城都市の如く浮上age。
保守
ドルマゲスは立ち去った後、炎の音だけが響き渡った。
タケ「な、何とか生き延びれたな…」
もょ「あ、ああ…」
タケ「どないしたんや?もょ?」
もょ「か、からだがふるえている…」
タケ「無理もないわ。悔しいが今のあいつには太刀打ちできへん。」
もょ「くそっ!!」
もょもとは壁に思いっきりパンチをした。
タケ「止めろや。拳を痛めるだけやで。」
もょ「おれはくやしいんだ!いつもタケばっかりたよって…けっかてきにはなにもできなかった…」
タケ「俺もそれは一緒やで。ドルマゲスの野郎があんなに強いとは思わなかった。
それにトーマスさんの盾を消滅させてしまったしな。」
もょ「もっと――――つよくなりたい――――」
タケ「もょ、その気持ちを忘れるな。お互いに強くなろうやないか。」
もょ「そうだな…」
数分後サマル達がやって来た。その後にリア、下で会ったおっさんもやってきた。
リア「もょもとさんどうしたの!?酷い怪我じゃない!」
もょ「ドルマゲスとでくわした。」
サマル「ククール達が言っていた魔術師の事?」
もょ「そう。あいつはつよすぎる。ムーンやククールいじょうにすごいじゅもんをとなえたんだ。」
サマル「そ、そうなのか…」
リア「嫌なプレッシャーを出していたのはドルマゲスみたいだね。」
もょ「それよりムーンは?」
サマル「このおじさんが背負ってきてくれたんだ。」
リア「何でも薬剤師なんだって。確か鎮静剤って言う薬でムーンさんを眠らせたの。」
もょ「すみません。ごめいわくかけました。」
*「君も無事でよかった。モンスター達を虐殺したのは君達が話していた魔術師に間違いは無いだろう。
それに酷い火傷だ。わしの秘伝の薬草で治してあげよう。」
おっさんが袋から薬草っぽい草を取り出した。薬草に似ているが妙に緑色が強い薬草だった。」
もょ「これは…」
*「通称上薬草って呼ばれる薬草だ。使ってみれば普通の薬草より効果があるから。」
もょもとが上薬草って呼ばれる薬草を使うと俺の火傷が一瞬にして回復した!
タケ「(凄ぇ!ムーンのベホイミ並みに回復したで!)」
もょ「(そんなにすごいのか。)」
タケ「(ああ、復活豚カツ愛は勝つ!!って感じやな!)」
もょ「(――――――――――――なにいっているんだ?タケ?)」
タケ「(アホかい!今の所は笑う所やで!人が折角ボケたのに。)」
もょ「(たしかにそうだな。ハハハ…)」
もょ「ありがとうございました。」
*「わしの方もお礼を言う立場だ。安心して橋を渡れるからな。それに君達に頼みがある。」
サマル「どうしたのです?」
*「わしを護衛して欲しい。ルプガナに着くまでなんだが…」
リア「任せておいて!」
サマル「勝手に引き受けたらダメじゃないか!」
もょ「そういう事を言うな。サマル。この方がいなかったらおれはしんでいたしかもしれない。」
サマル「それもそうだね。」
リア「なら決まりだね!おじさんの名前は?」
*「わしの名はシャール。宜しく。それより何か燃えるのが止まないのだがおかしくないか?」
言われてみればシャールの言うとおりだ。仮に死体みたいに異臭を放っているわけではない。
サマルが橋が繋がっている所に走り出した。
サマル「みんな!橋が燃えている!大変だ!」
もょ「なんだと!?」
サマル「早く渡らないと燃え尽きてしまうよ!急がないと!」
シャール「しかしこの状態じゃ僅かな重量で橋が崩れてしまうぞ。」
もょ「ここまできてどうすることもできないのか………」
確かにこの状態で渡るとしたら海に転落するのは間違いない。この状況にう意外な人物が発言した。
リア「それなら私に任して!」
シャール・サマル・もょ「えええええっ!!!???」
リア「論より証拠よ!ヒャド!!」
リアが呪文を唱えるドルマゲスほどの吹雪ではないが燃えている炎に吹雪が向っていった。
もょ「すごいな!リアちゃん。」
リア「ムーンさんとククールさん教わってこの呪文を覚えたの!」
シャール「これなら燃える橋を凍らせて橋を支える事ができるな。」
リア「どんどん炎を凍らせていくね!」
サマル「………………………………………………」
サマルの奴嫉妬しているな。言葉では何も言ってはいないが表情が嫌そうな顔をしている。
何とか無事に橋を渡りきり俺達はルプガナに向う事ができた。
もょもと&タケ
Lv.15
HP:91/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
タケ専用 :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御
新スレ&皆さん乙ですッ!!
約1ヶ月もの間投稿しないとは…申し訳ないです…
6・7月はもっと投下できるように頑張るぞ!
と自分に発破をかけておきましょう
ジパングくらいまでは進みたいなぁ…
では前スレ
>>632からの続きです
〜Tower of Babel〜
――――――――――――――――――――1――――――――――――――――――――
結婚式に初の同盟成立とめでたい日が終わり、使者一行は早々に出発する事にした。
見送りにフィリーとプエラが出向いてくれていた。
「皆さん、次はどちらに向かわれるんですか?」
「ポルトガですな。我々もそろそろ船での移動を、と考えまして」
「なるほど。海を渡るというのはさぞかし気持ちの良いものなんでしょうね」
プエラが遠い目で、少し間の抜けた返答をする。
「しかしそれならば私の国の船を使えばいいのでは…父に頼みましょうか?」
「いえ、既にロマリア王にも頼んだのですが、
息子夫婦に会えなくなるのは困る、と言われましての」
少し芝居がかったその発言にフィリーは赤面し、他の面々は声を上げて笑った。
「すいません…」
「いやいや大丈夫ですぞ。こうしてロマリアまでは送ってもらえますから。
それに紹介状も頂きました」
これからロマリア王の船で帰るところなのだ。
そしてパトリスの手にはロマリア王からポルトガ王に宛てた手紙が握られている。
「フィリーのお父様は家族想いの良い方ですわね」
プエラが目を細めて笑う。
その笑顔には、ほんの少しの悲しみが交じっていた。
それに気付く人がいるのは年を重ねた人のなせる業なのか、
それともただ単にプエラが若いからだろうか。
「…姫」
今度は真面目な口調で、優しく語りかける。
「あなたの母上も姫の事を愛しておられます。このパトリスが保証致しましょう」
「……はい」
皆がその本当の意味を理解していない中で、
プエラは心底嬉しそうにして、ありがとうございますと頭を下げた。
真理奈はその輪の中から一人外れ、出発の時を待っていた。
ブルーをボール代わりに、一人キャッチボールをして遊んでいる。
右手から左手へ、左手から右手へ…
弾むスライムの体の感触は、何とも言えず心地良い。
回転をかけたりするとブルーの表情が苦しそうで、今の真理奈には面白く思えた。
「真理奈さん、本当によろしいのですか?」
一人なのに気付いたプエラが声をかける。
昨日もその話をしたのだが断られてしまっていた。
「ん……?あぁ、いいのいいの」
真理奈はプエラに背を向け、その話題にはさも興味無いようにブルーで遊ぶ。
「ですが……」
「だってそれは2人の宝物なんだから。それに金色なんて趣味悪いし。
……じゃあね」
そっけなくそう言って真理奈は会話の中から抜け出した。
プエラがそれを心配そうな目で追いかける。
「悪いな。アイツ、今朝からおかしいんだよ」
「どうされたんでしょう…いつもならもっとこう…うりゃあー!
という感じで元気ですのに…」
そう言いながら腕を振り上げる姫。可愛い…
「案外フィリーと別れるのが嫌なんだったりして」
「そんなのダメですっ!」
そう言いながら顔を真っ赤にする姫。可愛い…
「冗談だよ、冗談」
「もう!……あの、ジュードさん。代わりに黄金の爪預かって下さいませんか?」
ジュードは真理奈の後姿に目をやり、少し考えてから答えた。
「アイツがいらねぇって言ったんだ。俺が持っててもしょうがねぇしな」
「……」
「アイツがそれを必要とした時に渡してやってくれよ」
「…はい」
返事はしたものの、やはり寂しそうなプエラだった。
「ほんじゃ、そろそろ行くとするかの」 「じゃあな」
「お気をつけていってらっしゃいませ」
「あなた方にルビス様のご加護がありますように。世界の平和の為に…」
「……」
最後のはフィリア。王子と姫に挨拶するでもなくじっと見つめた後、
皆の後を追って船に乗り込んで行った。
「ロマリアか…久し振りな気がするな」
船の自室で、遠ざかるイシスの大陸を見ながら一人思いにふける。
やる事が出来たストゥルーストはいったん自国へ帰る事にしたのだ。
アリアハン王に連絡しなければならないし、イシスとの交流を深めなくてはならない。
そして息子のアッサラーム奪還の手伝いもしなくてはならない。
しかし王はわずらわしいとは感じなかった。
それはそれらに勝る程の嬉しさが心の中にあるからだろう。
後は孫でも見られれば、言う事はなくなるのかもしれない。
が、それはまだ先の事だ。当分は遊ぶ事も出来ないだろう。
しかしそれは前魔王の時代に遊んでいた事のツケが回ってきたのだ、と思う事にした。
「しかし連合とは面白い事を考えたものだ」
やがて景色は青と白だけになる。
「魔法使いパトリス、か…食えない爺さんだ」
今朝も早くに自分を訪ねた者の事を考える。
彼の幸せがあるのは確かに彼らのおかげだ。
その為にさずがに船はやれなかったが、その代わりを要求してくるとは……
「ふふふ、まぁいいだろう。今は連合に尽くしてやるか」
昔はよく城を抜け出しモンスターと戯れたものだ、と思い出す。
晴れた海の景色と同じように王の心も晴れていた。
幸せとはこうも人を活き活きとさせるものだろうか。
このような幸せを世界中の人が感じられるようになるならば、
魔王を倒す事に異論のあるヤツはいないだろう。
後は実行に移すだけだ。
――――――――――――――――――――2――――――――――――――――――――
造船都市ポルトガ。
ロマリアの西に位置するこの国は、勇者ロトに船を与えた事で一躍有名になった都市である。
それまでは特に特徴の無かったのだが、以来は本格的に船の生産に乗り出し今に至る。
海岸沿いには造船所が立ち並び、町の男達が毎日忙しく腕を振るっている。
その甲斐あってか、今やポルトガの船と言えば「世界を渡る事の出来る船」として
評判を喫しており、多くの国や金持ちの一種のステータスとなっていた。
「こりゃあ何とも…忙しそうな町だな」
ロマリア王の手紙を持つ真理奈達は、途中の関所も難なく通る事ができた。
ポルトガの町に入ると、住民達は脇目も振らずに早足で歩いている。
「今が最も稼ぎ時じゃからの。他国からも働きに来るらしい」
「そりゃ凄い。でもまぁこれなら船の一隻くらい簡単に手に入りそうだな」
ジュードがそう言うのも、海岸の方に船の帆がたくさん並んでいるのが見えるからだ。
「んじゃあさっそく催促に行こうぜ」
ジュードが踏み出そうとした時、真理奈がそっぽを向いてポツリとつぶやいた。
「私、行かない」
「…何でだよ」
「何だっていいでしょ。紹介状だってあるんだし。
それに私よりおじいちゃんの方がエラい人には気に入られるよ」
「お前っ…!!」
思わず怒鳴ってしまう。すかさずパトリスが間に入り、なだめる。
「まぁいいわい。真理奈はフィリアと一緒にいなさい。ジュード、行くぞ」
「……ちっ」
ジュードが舌打ちをしてパトリスについて行く。
それすら真理奈にはわずらわしく思えた。
悪い事をしてるとは分かっているのだが……
「お目にかかれて光栄です、ポルトガ王。
私はアリアハンの使者、パトリス。こちらはジュードと申します」
「あぁ、それで、何用かな?」
王との会見が実現したのは、パトリス達が城を訪ねてから2時間もしてからだった。
それにもかかわらず王は自分の事については何も言わず、すぐさま用件を聞こうとした。
しかしパトリスはその事には触れず、話を進める。
「…はい。実は私達は世界連合結成の為、世界を回らなければならないのです。
貴国の船が立派なのは、遠くアリアハンにも聞こえております。
そこで世界の平和の為にも、私達に船を分け与えてくださらないかと参った次第です」
王は静かに聞いていたが、最後の方には興味無いというような目になっていた。
「世界の平和、ね…」
いかにもくだらない、といった感じで言葉を発する。
「結論だけ言う。無理だ」
「…なぜです、ポルトガ王」
「今我が国は、自国とエジンベアの為だけに船を造っているのだ。
そなた達の為にやれる船は一隻も無いわい」
「しかし、こうしてロマリア王の紹介を受けている訳ですから……」
「ロマリアか……」
王は考えるように、少し天井を見上げるようにした。
「しかし、我が国だけの一存では決められない。
エジンベア王に船の納品が遅れる事を承認してもらえれば、考えない事もないがな…」
「それが世界平和に繋がるとしても?」
王は、一呼吸置いてから答えた。
「私から言えるのはそこまでだ」
「そうですか。ではその後、またお伺いいたします」
王はそれには答えず立ち上がり、席を外してしまった。
「散々待たせといてあれかよ……じいさん、いいのか?」
小声で愚痴る。
会見に居合わせた者達に目をやると、あからさまに視線を逸らされた。
「仕方あるまい。今の王には、我々に向ける余裕は無いようじゃからの」
「くそっ…それにしたってエジンベアまでどうやって行くんだよ。
あそこ行くのだって船がいるってのに」
「泳いで行くか?」
「そしたらモンスターに食われてこの旅も終わりだな」
2人が退出しようとすると、王座の横で控えていた大臣が独り言のようにつぶやいた。
「あぁ、そうだ。今日の午後にエジンベアに納品の為、船が出発するんだったな」
パトリスは声に出さず礼をして、その場を下がった。
そして城を出た所で目を細めてこう言った。
「ま、エサにはならずに済みそうじゃな」
真理奈は海岸の砂浜に寝そべって、空を見上げていた。
ここは町の外れの方で、船を造る音よりもさざ波の音の方が良く聞こえた。
真理奈は流れる雲の一つを見続ける。
そしてそれが視界から消える度に、右手に持った携帯を開いてはため息をつくのだった。
隣にはフィリアが座っているが、そんな真理奈には関心が無いようだった。
体育座りをし、ブルーを両手で持ちじっと見つめている。
ブルーもフィリアを見つめ返しては、時々意味無く「ピー」と鳴いている。
「はぁ……」
この頃の真理奈は携帯を見るのが癖になっていた。
1日に何回も。
それくらい普通だと思われるかもしれない。
しかし、真理奈のそれは少し違う。
黒くなった画面を見るだけなのだ。
そこに自分の顔が映るのが見えると、途方も無く虚しくなった。
そして、閉じる。
その繰り返し。
何の操作も出来ない。
真理奈をこの世界に運んだのは、ルビスとこの携帯だと彼女は思っていた。
その一つが使えなくなった今、この世界を平和にする事にどんな意味があるのだろうか。
ましてや、もう一つの要素であるルビスとの連絡手段がこの携帯なのだ。
その両方を失った事に等しいだろう。
だから真理奈はやる気を無くした。
「……ねぇ、フィリアちゃん。元の世界に戻る呪文って無いの?」
真理奈は、ごろっと体をフィリアの方に向けた。
そしてフィリアの幼く可愛い顔を見る。
「…そんな呪文知らない」
しかしフィリアは真理奈の方を見もせず、答えた。
「そうだよね〜…あぁ〜……」
無意味にフィリアの体の脇をつついてみる。
ちょっとビクっとしたフィリアはそこで初めて真理奈の方を向いた。
「……ブルーが、可哀相だと思う」
そう言ってフィリアはブルーを真理奈のお腹に乗せる。
そして立ち上がり、どこかに歩いて行ってしまった。
「……んん〜意味分かんないよぉ〜フィリアちゃあ〜ん……」
手足を伸ばしバタバタと暴れてみる。
ブルーは分かっているのかいないのか、真理奈のお腹で跳ね、「ピー!」と元気に鳴いた。
今日はここまでです
ポルトガ王の名前考えたのに、出すの忘れたな…
乙です。
>>40 からの続き
●時を前後して
「こ ここもか…」
青い鎧を身にまとったその男、言葉と共に乾いた地面へ腰を下ろす
彼の名はテリー
世界からはゆっくりと人間が消えていた
なんの前触れも無く刺激も痛みも声も無く
まるで幻の源がその場から立ち去ってしまうかのように
「世界は一体、どうしてしまったんだ
人は消える… 神の加護を全く感じない…
このままでは無人の世界になってしまうではないか…!」
ガツンと、彼は拳を地へ叩き付けしばらく項垂れる
彼、テリーはタカハシと別れた後グランバニア近郊で商いをするメルビンと合流した
毎日まいにち剣の修行に明け暮れ過ごした
数ヶ月してメルビンの教え全てを吸収したテリーは単身修行に出る
壮絶な修行だったけれど自身が強くなるのを自分で感じることが出来た
修行の途中、チゾット近くで倒れるタカハシを手助けしたりもした
ある日、旅商人と大地の上で会話していると目の前で突然消える商人
テリーは嫌な予感と焦りを感じ、情報収集のためグランバニアへ赴いたが町人も兵士も王も
そして姉ミレーユの姿もついに見つけることが出来なかった
姉を思いテリーは少し泣いた
泣いたけれどそれではいけないと、何が起こっているのかを知りたいとタカハシを探しここライフコッドへやってきたのだ
「タカハシ…! お前は一体どこにいるんだ…
まさかお前も消えてしまったのか……?!」
突如、耳の中、頭の中へ音が響く
やさしく聞いたことがある、初めて聞く声
「……そうか、そういう事なのか─」
テリーは立ち上がり歩き始める
その顔は希望と少しの笑顔が混じっていた
短いけど今日はここまで
前に4の人がやっていた幕間をやってみたかった
お疲れ様
今回とてもいい味出てますね
69 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/08(木) 21:30:28 ID:GmiIa/Js0
全米がワロタ
70 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/10(土) 07:55:20 ID:JSAvW4tWO
あげ
71 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/10(土) 11:25:23 ID:2dhV0+1R0
4の人はもっと文を短くすべきだな
72 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/10(土) 11:32:30 ID:6zSG8vWr0
???
釣れますか?
過疎
毎日スレは必ず見てるけど、仕事がアレでなかなか書き進まず
このスレは伸びない
長編はモチベーションがね・・・
ホス
何故か目が覚めるとドラクエの世界にいた。
ちょwサッカー見てたのにwwどうなったんだよ
テレビがないものかと探してみたがあるわけがない。
仕方がない。諦めよう。どうせあと10分だ、どうにもなっていないだろう。
俺はジーコJapanを信じる。
さて。もう一度いうがここはドラクエの世界である。なぜだかはわからないが俺はドラクエの世界にいる。
ドラクエ=魔法という我ながら頭の悪い方程式の出来ている俺は、とりあえず手頃な木に向かって
「メラァ!!!」
メラァ…ラァ……ラァ………ァ…………
間抜けな叫びがこだました。アホらしい。
ポケットに手を突っ込んだら10Gと書かれたコインが30枚入っていた。
宿屋代にはなるだろう。もう日も沈み、とっぷりと暗くなっていたので宿をとることにした。
その夜中。
「お客さん!大変だ、火事だよ、火事!!」
「なにぃ!!!」
「あぁ、近くの森の木から何故だか火が出たんだ、さぁ、早く逃げて」
あ、すみませんでした。(という言葉は一生この胸にしまっておこうと思う)
保守するよ!
今日も雨がしとしとと…
でもドラクエ世界は雨が降らない
だから天気の話題があまり書けない…
さらにアレフガルドでは陽も差さない
なのに虹の雫で虹の橋が架かるんだよな〜
とかとか思いつつ
>>62からの続きですな
――――――――――――――――――――3――――――――――――――――――――
甲板に立つ真理奈の髪が海風にサラサラとなびく。
何も考えなければ、それはとても気持ちの良いものだ。
しかしそれとて真理奈の憂鬱な気持ちを吹き飛ばしはしなかった。
「おい」
ジュードのその声も同様だった。
むしろその声色から、自分にとっては良い話では無い事を直感する。
「何よ」
「最近気合は入らな過ぎだぞ」
「またその話ー?」
真理奈はうんざりといった表情で顔を背け、両手を後頭部に回し、ジュードに背を向けて喋る。
心の中には、仲間に悪いという気持ちがあるのかもしれない。
「いいじゃん。実際私がいなくても上手くいってるじゃん」
「いってねーから言ってるんだろ。
一応リーダーなんだからしっかりしてくんないと困るんだよ」
「え?私ってリーダーだったの?」
純粋に不思議だといった顔をしてジュードの方に振り向き、聞き返す。
「一応、な。まぁ盛り上げ役とも言うが」
「バカにしてるでしょ?」
「してねーよ。お前がそんなんだとだな〜、その……」
口ごもるジュードに真理奈は痺れを切らす。
「もういいわよ。じゃあリーダー役はジュードに譲ってあげる。
それでいいでしょ?」
「俺が?」
「そう。新リーダー頑張ってね。はい、一件落着」
真理奈は早く会話を終わらせたくてそんな事を言ったようだった。
「……俺がリーダー、か…」
船首に向かう真理奈を見ながら、一人つぶやく。
「良い響きだ」
エジンベアへ向かう道中。
その船を進ませる海風は、ジュードの方に良く働いたようだ。
『世界の中心であり、最も品の高い国』を自称する国、エジンベア。
国民達にとっては、それは真実そのように信じられている。
いつの時代も貴族としての精神を忘れぬよう、教育を施されていた。
故にそれは他国を軽視する思想を生む土壌ともなった。
エジンベアにおいて最も特記すべきは、その軍事力にある。
鍛えられた兵達の戦闘能力と統一力は世界一で有名である。
そしてもう一つ、この国を語る上で外せないものがある。
王のコレクション趣味である。
お宝専用の部屋があり、仕掛けを作って何百という宝を保存しているらしい。
時にコレクション収集の為だけに出兵する事もあるようだ。
何にせよ、自分達がやっている事に疑問を持つという事は無いのかもしれない。
「駄目だ。許可証が無い者は中には入れぬ」
ポルトガから出航した船に乗り、たどり着いた一向は城に入ろうとしたところで止められてしまった。
「しかし、アリアハンからの使者であるし、ロマリア・ポルトガからの――」
「駄目なものは駄目だ」
ニヤリと不気味な笑みを浮かべて、真理奈達の前に立ちはだかる門番兵士。
「どうあっても通してはくれんのかの?」
「まぁ、無理だな」
顔は笑っているが、目だけは威嚇するようなキツイ印象だ。
「それでは仕方ありません。実はそれとは別にもう一件、
エジンベア王に献上したい一品があったのですが……止むを得ませんな」
いかにも残念だという振りをして、パトリスは踵を返す。
「ほう……それは何だ」
パトリスの狙いに気付いているのかいないのか、兵士が呼び止める。
「伝説の……オーブにございます」
一瞬驚いた表情に変わったが、すぐに笑みを取り戻す。
「そうか。では特別に許可証を出してやろう」
一枚の紙に何かをサラサラと書き付け、折りたたんでからパトリスに手渡した。
「いいか?これをしっかりと王に見せるのだぞ」
そう念を押してから兵士は城内に入れてくれた。
「何アレ?」
「兵が功績を求めない事は無い、という事じゃな」
パトリスのその説明にも真理奈は首を傾げるばかりだった。
こうして真理奈達はエジンベア王と接見する事に成功した。
新リーダーとなり、張り切るジュードに無理矢理連れてこられた真理奈は多少むくれていたが…
「はじめましてエジンベア王、私達はアリアハンの使者でございます。
アルドゥス陛下のお声は我らアリアハンにも聞こえております」
「おぉ、アリアハンのような田舎にも私の名前が届いておるのか。結構結構」
王は満更でもなくパトリスの世辞に満足したようだった。
「本日はポルトガからの船の第一陣が届いた事をお知らせにあがりました」
「そうか、ご苦労だったな。用はそれだけか?」
「いえ……」
パトリスは、いかにも言いにくい事だという雰囲気を出してから喋り出した。
「実は私達は世界連合結成に向けて旅をしているのですが、船が無いとやはり不便だと感じました。
そこで船を一隻頂けないかと申し出たのですが、ポルトガ王に断られましての。
しかしエジンベア王が許可すればいい、とおっしゃられたのでこうして参った次第です」
「ふん。ナヴィアスめ、余計な事を……」
アルドゥスは少し考えるようにした。
「しかしな、今は船の一隻も無駄にはできんな」
「と、おっしゃいますと…?」
「今我が国は戦争の準備中なのだ。西に新たな、良い町があると聞いての。
やがて世界を制する我らの支配下に、まずそこから加えてやろうと思っておるのじゃ」
その言葉にさすがのパトリスも黙ってしまう。
「お前ッ!今の状況分かってんのかよ!こんな時に戦争なんてなぁ!!」
ジュードが堪らず前に出て、怒鳴りつけてしまう。
失言。本来ならその発言だけでこの場には居られなくなる。
間を置かずにパトリスが繕う。
「申し訳ありません陛下……何分若いものですから……」
「ふん。やはり東の国は野蛮らしいな」
殺気立つ控えの兵士達を下がらせるアルドゥス。
パトリスもジュードに目をやり、黙らせる。
「確かに陛下のおっしゃる通りですな。この国は気高く上品で貴賓に溢れています。
西の大陸など植民地にしてしまえばいいのです」
「そうじゃろそうじゃろ」
突然の発言内容に驚く真理奈達を気にもせず、パトリスは続ける。
「しかし陛下とて戦争などという野蛮な行為を、出来るならばなさりたくないはず。
それでは東の国と変わりませぬ。
そこでです。
一度向こうに使者を出し、降伏を勧めてみてはいかがでしょう?」
東の国と同じ呼ばわりされた事に顔をしかめはしたが、王は冷静に聞いていた。
「なるほど…成功すれば血を流さずに済むな。ではさっそく使者を出す事にしよう。誰か――」
「いえ、それには及びません」
間髪入れなかった事と、それが意図の読めない返事だった為、王は少し戸惑う。
「……?」
「我々がその役目を負いたく存じます」
「そなたらが?しかしな…」
発せられる事の無い王の言葉の続きをパトリスは敢えて待ってから発言した。
「…陛下はこの方をご存知ではないのですか?」
そう言ってパトリスは真理奈を王の前に連れ出す。
困惑する真理奈。それを見、王は記憶を探る。
「……?知らぬが」
「かのロトの子孫でございますぞ」
「「え?!」」
予想だにしない答えに驚いた真理奈と王は、共に間抜けな声を出してしまう。
そして互いに、その場を繕おうと咳払いをする。
「真理奈、オーブを」
「?う、うん」
取り出したそれは、誰の目をもその光の中に取り込み、心を解放に導こうとしているかのようだった。
この実物を見て、これが偽物だと言う人は誰一人存在しないだろう。
「胸に輝くロトの紋章。そして伝説のオーブを持つ者。
ロトの末裔だと信じるに足りない事はないでしょう」
「そう言われれば…そんな気も…」
真理奈をジロジロと見つめる王。あんまりオヤジに見つめられるのは良いモンではない。
真理奈は少しげんなりとする。
「もし我らの役目が無事に果たせましたら、このイエローオーブを差し上げましょう」
「本当か?!」
一瞬にして王の表情が変わる。
そこでパトリスは勝利を確信した。
「ルビス様に誓って」
「そうかそうか。ではお願いする事にしよう」
「ありがとうございます」
パトリスは上手くいった、という感じで王に礼を言う。
「その代わりと言っては何ですが……」
「ん?あぁ、よいよい。分かっておる。安心して事を運ぶが良い」
すっかり上機嫌となった王にパトリスは再度礼を言い、真理奈達はその場を後にした。
今日はここまで。
避難所の方で、ステータスの表示をして欲しい
という要望が出てますね。
ステータスとか考えた事無かったからすぐには出来なさそう
でも真理奈は技とか無いからなぁ…
MPも使わないしw
まぁちょっと考えてみるか
GJ!!!!
真理奈は武闘家??
『おい なんか へんじゃないか?
『そういえば‥‥
仲間たちが口々に言い出す前から、俺も気づいていた。
昨日までは別に何の異変もなかった。町の周囲のモンスターどもを一しきり狩ったあと、
俺たち4人は減ったHP・MPを回復させるべく、いつもと同様に宿に泊まった。ただそれだけだったはずだ。
しかし一夜明けただけで、町の様子は一変していた。
のどやかというか、牧歌的というか。雰囲気がまるで違う。
道行く人々の姿も、動作までもがおかしい。
移動しないときくらい大人しくしていればいいのに。なぜ延々と足踏みを繰り返すのか。
一体、何が、どうなって。
『どうなってんだ?
『さあ‥‥
『とにかく まちのそとに でてみようぜ
『そうだな‥‥
疑問を抱きつつ、とりあえず昨日の狩りの続きをするために、俺たちは町の外に出た。
町の外もまた、やはりいつもと雰囲気が違う。
いつもの見慣れた風景の、あのすっきりした感じがない。
良く言えばほのぼのとした、悪く言えば垢抜けないフィールド。
それでも気にしないことにして、モンスターを探し求めて町の周囲を歩き回る。
と、草むらの陰から飛び出した3つの影が、俺たちの行く手をふさいだ。
ようやく戦闘か、と思い目を向けると………やはりこいつらもおかしい。
3匹のうち2匹は、見たところプリン系のモンスターのようだ。
ぷるぷる震える青くて小さい体、そのほぼ全体を占める大きな顔。
しかし真ん丸の目に牙のない口、無邪気に笑っているようにさえ見える。
残りの1匹はコウモリの姿をした、初めて見る生物。
何故か頭ではなく、胴に顔が付いている。やはり凶暴さのかけらも感じ取れない面構え。
なんなんだこいつら。本当にモンスターなのか、真っ当な経験値や金を持っているのかどうかすら疑わしい。
どうしたものかと仲間たちと顔を見合わせた、その隙に奴らは襲いかかってきた。
上等だ。そっちがそのつもりなら、手加減する理由などどこにもない。
突撃を右にかわし、すれ違いざまにはがねのつるぎを一閃。切断されたコウモリの残骸が地に落ちる。
………はがねのつるぎ?
自分の身につけているものを改めて確認し、そして驚愕した。
Eはがねのつるぎ
Eてつのよろい
Eてつのたて
Eてつかぶと
なっ、なんだこれは!?
せっかく買ったばかりのミスリルソードも、愛用のアイアンシリーズの防具も、
いつの間にこんな野暮ったい名前に!?
畜生、こんなの装備して戦えるか! 金を返しやがれ!
残りの2匹も、仲間が片付けてくれた。俺と同じく、この状況を訝しく思っていたようだが。
全員の装備品だけならまだしも、手持ちのアイテムすらもまるで違っていたのだ。止むを得まい。
しかし、やくそうだのどくけしそうだの、液体に加工もせず草のままなのは何とかならないのか。
おまけに旅には必須であるはずのめぐすりも見当たらない。暗闇状態になったらどうするんだ。
結論。
俺たちはどうやら、今までとは全く違う世界に飛ばされてしまったらしい。
何らかのイベントがあったことを4人のうち誰も憶えていないというのも妙な話だが
他に納得のいく説明が付かないのだから仕方ない。
そんなことより、はるかに切実で重大な問題がある。
今後の身の振り方を考えなくてはならないのだが……
『それで これからどうする?
『きっとなんとかなるさ!
『それもそうだな!
『よし いこうぜ!
俺たちは再び歩き出した。
クリスタルを探し求め、世界に光と平和を取り戻す旅は、まだまだこれからなのだ。
最後に弁解しておきます。
筆者は決してDQ嫌いではありません。
むしろ大好きです。1〜8まですべてクリアしています。FCの頃からのファンです。
ケチをつけるような描写がいくつか混じってしまいましたが、それらはすべて
「彼ら」の視点からではこう見えるだろう、という点をそのまま表現しただけです。他意はありません。
どうぞご容赦くださいますようお願い申し上げます。
>>91 分類的には武道家ですね〜
高校の制服に鉄の爪というヘンテコな格好で戦っておりますw
しかしレベルとかいくつなんだろう…(苦笑)
FFか〜それも面白いな
クリスタルの代わりにオーブでも集めるのだろうかw
>>暇潰し氏
面白くなって来ましたね、続きも楽しみにしています。
じじいがかなりの切者ですね、ファンになりそうです。
>>一発ネタ氏
恐らく誰も文句は無いと思います。
ちゃんと朝起きたらDQの宿屋なんだから大丈夫!
個人的には続けて頂きたい。
これはFFVをベースに作ったのかな
個性の無い4人っぽいしw
暇潰しさんと一発ネタさんお疲れです!
ステータスは作者側に何か特別な意図がなければ必要ないように思いますが。
例えば4の人の場合主人公はあくまで一般人というアピールに、レッドマンさんは
タケともょもとの違いをわかりやすく比較するのに役立ってますね。
もちろん、ただステータス表示をするのが楽しいから、という人もいると思います。
要はこだわらずご自分のやりたいようにやるのがよろしいかとw
>>98 スレ違いだけどDS版は名前とキャラを戴いてるらしいよ。
今のスクエニソフトは買いたくないけど悠久の風だけは気になるんで悩む…。
なにも小説を載せるだけがこのスレの全てじゃないだろ?ここはもし宿屋に居たらを想像して書き込むスレだ
うはwwwwなにこの青い奴wwwwいっとょ潰すかwww(数秒後死亡)
101 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/17(土) 16:13:07 ID:0QcDoVZO0
ある朝目覚めたら隣にフローラがいた。
ビアンカごめん・・・。
>>100 あんた正しいぜ!
うはwwwスライムwwww実在かよwwこれが鳥山クオリティwww
(3秒後死亡)
>>97 ありがとうございます〜じじいは今のところ一番登場してるような(苦笑)
お偉方との交渉となるとどうしてもご老人の方が出番となりがちなんですよね
しかし、大人の会話は難しいですな
「戦うおじいちゃんキャラ」っていうのが好きなのでパトリスを気に入ってもらえるのは嬉しいです
>>99 なるほど〜そういう役割なんですね〜
自分の物語ではみんな知らずにレベルアップしてるような気がします
なのであまりステータスとか気にしないでいきたいかな、と。
それよりも心の成長を感じていただければな〜と思ったり
まぁそれも含めてレベルアップなんでしょうけどねw
その代わりと言っては何ですが、今度キャラ紹介みたいなのをやってみたいなと考えています
投下前はいつもくだらない事を喋っているので、それよりはいいかと思ったりw
真理奈……真理奈……私の声が聞こえますね…
私は全てを司る者。
あなたはやがて真の勇者として私の前に現れる事でしょう。
しかし、その前にこの私に教えて欲しいのです。
あなたがどういう人なのかを…
さぁ私の質問に正直に答えるのです。
用意はいいですか? →はい
「はい、とか言っちゃったけど、これやる意味あんの?」
まずあなたの真の名前を教えて下さい。
「能登真理奈。ってか知ってるでしょ?」
生まれた月日を教えて下さい。
「9月8日。プレゼントでもくれるの?」
ではこれから幾つかの質問をします。
難しく考えず素直な気持ちで答えて下さい。
そうすれば私はあなたを更に知る事になるでしょう。
「ってか私の質問は無視ですか……」
あなたにとって人生とは退屈なものですか?
「全然!探せば面白い事いっぱいあるよ!」
あなたにとって冒険とは辛いものですか?
「冒険は楽しいけど、早く帰りたいよー」
あなたにとって勝利とは戦いで得られるものですか?
「そうね。でもそれ以外の勝利もあるんじゃない?」
あなたにとって太陽とは自然の王様ですか?
「う〜ん、分かんない。一番エラいのは宇宙なんじゃない?」
仲間を連れるより、強力な武器防具を持った方が心強いですか?
「皆といる方がいい!」
街の人と話すのは楽しいことですか?
「話すのって楽しいよね〜」
洞窟を見つけたらすぐに入ってみたくなりますか?
「何かワクワクする」
近くの高い宿より、面倒でも遠くの安い宿に泊まりますか?
「え〜?どっちでもいいから早くシャワー浴びたい…」
剣で戦うよりも魔法で戦う方が好きですか?
「剣も魔法も使わないからな〜でも魔法で戦うのカッコイイよね」
防具よりも武器にお金をかける方ですか?
「防具!ってか服欲しい!」
空を飛べたらどんなにいいだろうと考えますか?
「気持ち良さそうだよね」
困ってる人を見るとつい助けてあげたくなりますか?
「そうねー毎回助ける訳じゃないけど」
鳥は自由だと思いますか?
「そんな事言ったら、私達だって自由だよ」
色々考えて眠れなくなってしまう事がよくありますか?
「あんま無いかな〜寝るの好きだし」
海と山では山の方が好きですか?
「海!泳ぎたい!」
何もしないでいると退屈で退屈でたまらなくなりますか?
「まぁね。でもたまにはそんなのも良いと思う」
よく夢を見る方ですか?
「時々見る程度かな」
もしも今度生まれ変わるとしたら王子様あるいはお姫様になりたいですか?
「何か堅苦しそうじゃない?」
体を動かすのが好きですか?
「大好きっ!」
誰かに追いかけられる夢を見る事がありますか?
「見ないー」
犬より猫の方が可愛いと思いますか?
「どっちも可愛いよね♪」
親友の恋人を好きになるのは良くない事だと思いますか?
「しょうが無いんじゃない?好きになったんなら」
人に褒められるのは照れくさいですか?
「でも悪い気はしないよ」
友達は多い方ですか?
「多い方かなーあんま気にした事ない」
服装に気を使う方ですか?
「そりゃ女ですから」
あまり知らない人といるのは疲れますか?
「別にー」
占いを信じる方ですか?
「良い時だけ信じるw」
少しの事ですぐにイライラしてしまう方ですか?
「少しの事ならすぐ忘れちゃうかなー」
思い立ったらすぐにやる方ですか?
「まぁそうかな」
たとえ意見が違っても言い争いはしたくないと思いますか?
「気分による」
例えどんな理由があっても約束を破るのは許されない事だと思いますか?
「ちゃんと理由があるなら、いいよ」
人から頼まれるとイヤと言えない方ですか?
「うーん、イヤなものはイヤ」
一度何かに集中しだすと周りが見えなくなってしまう事がよくありますか?
「あるね〜」
何があっても守りたいと思うものがありますか?
「あるよ」
早く大人になりたい、あるいはなりたかったですか?
「早くお酒飲んでみたいかな」
欲しいものが絶対手に入らないと分かると余計に欲しくなりますか?
「ん〜、手に入らないのならいらないかな」
夢を見続けていればいつかその夢が叶うと思いますか?
「叶うよ!」
自分が正しいと思った事はどんな事があっても貫く自信がありますか?
「うん」
時々空想して遊ぶ事がよくありますか?
「よくはないかな。たまに?」
失敗してもあまり気にしない方ですか?
「気にしないね」
もし願いが一つだけ叶うとしたら、今すぐその叶えたい願いを言えますか?
「だから早く帰りたいんだってば」
昔の事をよく思い返しますか?
「ん〜最近はそうかも。昔って言うか、私の世界の事だけど」
食事の時、好きなものは最後に残る様に考えて食べますか?
「そんなのめんどくさいじゃん」
世の中には楽しい事よりも悲しい事の方が多いと思いますか?
「半分づつかなー」
石にけつまづいて転んだ時、つまづくのは石ではなく自分の不注意のせいだと思えますか?
「そうだね」
人の噂話が気になる方ですか?
「気になる〜」
人に騙されるのは騙された方にも責任があると思いますか?
「え〜騙す方が悪いよ〜」
神様は本当にいるとそう思いますか?
「ってかルビスって神様なの?」
私は全てを司る者。
今あなたがどういう人なのか分かったような気がします。
「いや、質問に答えろよ。特に最後のとか」
さぁそろそろ夜が明ける頃。
あなたもこの眠りから目覚める事でしょう。
私は全てを司る者。
いつの日かあなたに会えるのを楽しみに待っています。
では
>>89からの続きです。
――――――――――――――――――――4――――――――――――――――――――
四度目の航海ともなると、船揺れで寝れなかったりする事も無くなって来るものだが、
真理奈は夜、目が覚めてしまった。
ベッドの上で上半身を起こし、少しぼーっとしたまま隣のベッドで眠るフィリアに目をやる。
窓から差し込む月明かりにフィリアの幼顔が照らされて、何だかそれは、
物語に出て来る妖精の様だなぁ、と真理奈は感じるのだった。
フィリアの顔のすぐ横にはブルーが寝ている。
そのツーショットは、かなり微笑ましいものなのだが、
最近は一緒に寝てくれないブルーに、心のモヤモヤが沸きあがる。
"ブルーが可哀相だと思う"
それは、やっぱりそういう事なんだろう。
いつまでもウジウジしてる自分が悪いのだ。
でもしょうがないじゃん。と、いつもの言い訳を自分にして真理奈はベッドを抜け出す。
(夜空を見に行こう。今日はきっと天気が良いはず)
真理奈もきっとこの鬱屈した気分から抜け出したいのだ。
フィリアを起こさないよう部屋をそっと抜け出し、外に出る為廊下を進む。
「!!うわっ!!」
夜目に慣れない内に何かにぶつかってしまった。
「な、何???」
「触るな」
正面のものを確かめようとしていた手を引っ込める。と同時に、人とぶつかった事を理解する。
「あ、何だ。兵士長じゃん」
「……どけ」
彼はそう言うと、真理奈を無理矢理横に退かして進路を確保した。
「ちょ……!何なのよー」
彼はキャビン。エジンベアの兵士長。王の指示だとか言って今回の旅に参加している。
要はお目付け役だろう。アルドゥスはさすがに全てを任せる程バカでは無いらしい。
「やな感じー」
「おっ、ジュードじゃん。どうしたよ」
甲板に出ると、ジュードが船側に肘をかけ、星を見ていた。
そこにジュードが居た事にびっくりしたのと、
微妙にケンカ中だったな〜とか思い出して、思わず男言葉で声をかけてしまう。
ジュードは目の端で真理奈をチラリと見て、すぐに目を星に戻す。
「何だよ、好きな女でも出来たか?」
ジュードの隣に行き、おちゃらけた調子は止めずに肩を叩く。
「ふー……いいよな、お前は気楽で」
「あんだと〜俺だって色々あんだぞ」
少し無理矢理、場を明るくしようと試みているのだろうか。
しかしジュードは真剣な表情を崩さずに真理奈の方に顔を向ける。
「…な、なによ?」
「……」 「……」
夜の穏やかな風が肌を撫でていく。
波の割れる音が聞こえる。
時間の流れが遅く感じる。
「……お前今やる気ねぇんだよな?なのに何で俺らに付いて来るんだ?」
「…え…?」
「連合作るだけだったら俺らだけで出来んだよ。やる気が無いなら辞めちまえ」
ジュードはそう言うと、真理奈から離れて行ってしまった。
真理奈はその場に立ち尽くす。
心臓の音だけが、やけに響いた。
――――――――――――――――――――5――――――――――――――――――――
商人の町。この世界では一番新しい町である。
数年で一大商業都市へと発展し、『世界中のものはここに集まる』とか
『ここで手に入らないものはない』などと噂されるようになった。
実際に訪れてみれば、それが本当かもしれない事を実感するだろう。
そしてもう一つの特徴が、移民の受け入れである。
人種を問わず誰でも受け入れ、しかもやり直しがきく町として有名でもあるのだ。
そんな町であるから、原住民であるスー民族との交友も良い。
普段は新しい町に入れば、真理奈が騒ぎ、ジュードがそれをたしなめようとし、
それをフィリアがじーっと眺め、その脇でパトリスが町の解説をしてくれるのだが、
そんな様子は今日も見られないようだ。
言わずもがな、あの2人の雰囲気が悪いからだ。
いつもと違っても仕方の無い事なのかもしれない。
さらにはあの兵士長もいるのだ。警戒心も相まって、沈黙のまま足を運ぶ。
対して町は喧騒に包まれつつも、独特の空気を作り出していた。
「おい!いくらなんでもその値段は無いだろう?!」
一際大騒ぎになっている一角に通りかかる。
「いや、ここに傷が付いている。これでは少し値が下がるくらい承知だろう?」
「このくらい何だっ!使う分には変わらんだろうがっ!!」
「確かにそうだ。しかし、商品として店に出す為には修理しなくてはならない。
これだけの傷でもね。安くなるのは、その修理代だ」
「ふざけんなっ!!そんなのこっちの知った事じゃねぇ!!」
金がやり取りされる社会では金銭トラブルは付き物だ。
やれやれと、パトリスが仲裁しようと足を踏み出そうとした時、一つの声が辺りに響き渡った。
「まったくうるさいわね〜どうしたの?!」
「なるほどね、だいたい状況は分かったわ」
「何なんだよお前!」
それには答えず、女性はその客をキッと睨みつける。
「あなた、泥棒したわね?」
「あ?何言ってやがる!」
「こんな新品を売りに来る客なんて、まずいないわ」
「どうしてこれが新品だって言えるんだよっ!」
「はぁ…しょうがないわね〜いい?
これを作ったマヌ爺さんは自分の作品に日付を入れてるのよ?
それを見れば一目瞭然じゃない」
盾を突き出し、これでもかと相手にしっかりと見せ付ける。
「うっ……」
「この傷はどうせ盗った時に付けちゃったんでしょ。
まったく…盗るならもっと上手くやりなさいよね〜」
「……」
どうやら盗賊らしいそいつはタジタジになって何も言えない。
「で?」
「……?」
「いくら欲しいの?!」
少し怒気を込めて問いただす。
「う…あ……3000」
「3000ね。はい、毎度あり〜」
盗賊の手に3000Gを握らせ、そのまま顔を近づけてつぶやく。
「もし次やったら黙ってないからね?」
盗賊はその言葉から逃げるように去って行った。っていうか逃げた。
「ふぅ!」
わあっ!!っと店の周りの見物人達が声を上げ、皆その中心にいる女性に一声かけていった。
「いや、すまねぇなプレナ…」
店主もその女性に礼を述べる。
「いいのよ。あぁいうのもいるから気をつけなきゃね」
にこやかに笑いつつ、相手に少しの反省を促すやり方。
その意図を店主はしっかりと汲む。
「あぁ、悪かった。そうだ、お代を――」
その申し出を軽く手で制する女性。
「それにしてもマヌ爺さんのトコは夫婦揃って隙だらけなんだから。困ったものね」
そんな事を言いながら店主に手を振り、その場を後にしようとする。
その目が真理奈達のところで止まる。
「あっ!」
嬉しそうな声を上げて真理奈の前まで走って来て、こう言った。
「あなた達アリアハンから来たの?!」
今日はここまで〜
暇潰しさんGJです〜。
あの質問は自分で考えたの?
お疲れ様です。
SFC版ドラクエVでゲームを始める時に性格を決める質問があって、あんな感じでしたね。
ただ種類はものすごい増えてるようですが。
116 :
某作者:2006/06/22(木) 00:09:35 ID:jltE4Xb5O
なかなか更新ができなくてすまない。
よた話だが聞いてほしい。
今日電車で寝過ごして家まで歩いて帰らなければならなくなった。
距離は15q。家に着くのが夜明けになるであろうと思ったが、たまたま犬の散歩をしていたおっちゃんに道を尋ねたらなんと俺の家の近くまで送ってくれるいうのだ。
流石に俺も断ったんだがおっちゃんが言うには、困った時はお互い様だからっという事でその好意に甘えさせていただいた。
これは見返りをしなければいけないなと思ったがそのおっちゃんは別にそういう事は望んでなかった。
こんな腐った世の中で些細な好意があるのが信じられなかったよ。
チラシ裏スマソ。
>>116 いい話だ。俺ら若者もそういう気持ちは大事にしたいな。
2chのような掲示板見てるならなおさら荒みやすいし。
利点はあるんだけど、やはり心無い書き込みが多いんだよなぁ…。
特にハードが絡むスレなんかは業者がすごくて近寄れないほどだ。
とにもかくにも、116と見知らぬおっちゃんサンクス!癒された。
118 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/22(木) 12:55:38 ID:uAmAdrps0
作者なら、そう書かずに、物語の中で表現すればいいのに
とは思う
あーあ、また始まったか、作者潰し
なかなか更新できなくてすまない。
オタ話だが聞いて欲しい。
最近大会前で稽古が熾烈を極め疲れた俺は授業の合間をぬって
なんとなくパチ屋に行ったんだ。お座り1kで勝負だゴラァ!
リュウジ…あんた最高だよ。そのまま相手を殴っては倒し殴っては倒し
あれよあれよと5000枚。
こんな腐った世の中で些細な奇跡があるのが信じられなかったよ。
部活遅刻して拳立て300回やらされたけど無問題!
これは続きをかけとの神の思し召しに違いないので試合終わったらガンガン更新します。
チラシの裏スマソ。
こういうレス見るとこのスレって厨房しかいないんだなと思えて鬱になる
鬱になる保守
むしろ躁になるw
普通に119の方が精神年齢低そうにみえるわけだが
こういうレス見るとこのスレの住人はスルーできないんだと改めて知って鬱になる
127が119に見える俺は歪んでるのだろうかw
まあ最近人が減ってるし残ってる住人はイライラしてるのかねえ
こういうレス見るとこのスレって厨房しかいないんだなと思えて鬱になる
ローラ姫ばりの無限ループ突入の予感
馴れ合いがきつくなって来たな。
なんのための避難所だか・・・
こんな言い合いしてるから作者さんが減ってく一方なんじゃねーか?
雰囲気が悪いところにわざわざ自分の作品投下したくなんかねーべ
作品を楽しみに来てる以上は投下しやすい雰囲気を維持すべきだろ
書き手に感謝する気持ちもないんじゃ早晩つぶれるぞ
煽りに反応した時点で敗北ケテーイ
また氷河時代に突入か
このスレはスルーすらできない住人ばかりで鬱になる
ここで職人さんが流れをぶった切るように作品投下↓
「うっここは・・・・?」
オレが目を覚ますとそこは貧相な宿屋だった。
とりあえずぶつぶつ言ってるピザ(宿主)をCQCでぶちのめしさっさと外に出ることにした
スライムが現れた
うはwwwwwなにこれwwドラクエwwwよ〜しいっちょ潰してやるぜwwwwwwwww
オレはCQCを使ったしかしスライムには触れられなかった
「液体だからCQC決まらね・・・・オkw(」1秒後窒息死)
「先輩!久し振りの登場ですねっ!」
「あぁ、何の話だ?」
「嬉しくないんですか?」
「ん〜……」
「先輩やる気ないっすね〜俺は気合入りまくりっすよ!
今度のアッサラーム奪還の為の兵士募集にも参加しようと思うんです」
「お〜頑張れよ」
「頑張りますよっ!!そんで強くなってアイツを見返してやるんですっ!」
「そうか。でもイシスだろ?熱そうだな…」
「そんなの気合っすよ!モンスターだって怖くないです!
あ、親父さん、おかわり下さいな〜」
「あいよ〜」
「しかし、元気にしてるのかな?」
「え?アイツですか?大丈夫っすよ。魔王なんか楽勝だって言ってましたからねw
……もしかして先輩もアイツの事、狙ってんすか?」
「おいおい、お前酔い過ぎだぞ」
「そんな事どうでもいいんです!今は先輩に質問してるんですよっ!」
「あぁもう……どうしたもんか」
「せんぱぁ〜い…会いたいっすよぉ〜……」
(はぁ……今日俺の誕生日なのにな…完璧忘れられたな)
「へいお待ちっ!
>>112からの続きだよっ」
「あなた達アリアハンから来たの?!」
興奮気味にそう言った女性は真理奈の手を握り、ブンブンと上下に振る。
「私の家に寄って行かない?話聞かせてよ!」」
そして真理奈達の返事も聞かず、その手を引っ張っていく。
「…どうするよ?」
「まぁ話を聞くぐらい、いいじゃろ。ここの住民にも信頼されておるようじゃし。
…お主はどうするんじゃ?」
「…俺にはやる事がある」
パトリスがキャビン兵士長にたずねるが、兵士長はそう言い残し、人ごみに消えて行った。
「何なんだ、アイツ。俺達の見張りじゃないのかよ」
「分からん。が、ワシらにもやる事がある。彼がいない方が事を運びやすい」
パトリスはそう言って真理奈に着いていく。
ジュードはどこか腑に落ちないままそれに続いた。
「ようプレナ!景気はどうだい?」
「皆の税金でウハウハよ」
「ケケケッ…」
「お、プレナじゃん!今度また勝負しろよな〜新しい必殺技覚えたんだぜ!」
「どうだかね〜生意気言ってるとまた返り討ちよ」
「む〜今度のはホントに凄いんだからな〜!!」
「プレナちゃ〜ん、お手手繋いじゃって新しい彼女?」
「バカ言ってるんじゃないわよ。私はちゃんと男の人が好きなのw
少なくともあなたじゃないけどね」
「そりゃないぜ〜」
「フヒヒ…プレナちゃん……今日も可愛いね」
「ありがと。でもこの2人も可愛いでしょ?」
「も、萌え〜!!」
………… ……… …… …
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
(.___,,,... -ァァフ| あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|i i| }! }} //|
|l、{ j} /,,ィ//| 『おれは 自分の部屋で寝たと
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ 思ったら いつのまにかスライムに襲われていた』
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ |
/´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
/' ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ おれも 何がおきたのか わからなかった…
,゙ / )ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉
|/_/ ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ 頭がどうにかなりそうだった…
// 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐ \ 夢だとか妄想だとか
/ // 广¨´ /' /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
ノ ' / ノ:::::`ー-、___/:::::// ヽ }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::... イ もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ……
「はい、楽にしてね。今飲み物用意するから」
「すみません。それにしても凄いですね…一体何者なんですか?」
「あれ?自己紹介してなかったか。ゴメンね。私は商人のプレナ。よろしくね」
プレナは紹介にもならない事を言って皆と握手を交わす。
「思い出した…商人プレナと言えばこの町の創設者じゃ」
「「え?!」」
「バレたかw」
そう言ってプレナは台所へ消える。
「この町は数年前に作られたばかりなんじゃが、見てきた様に急成長を遂げ、
今に至っている。それはひとえにプレナの手腕による、と聞いておる」
「プレナさん凄いんだ」
「ふふ、ありがとうございます。でもここまで町が大きくなったのは皆で頑張ったからよ。
私一人の力じゃないわ」
プレナは皆に飲み物を配り、一息付ける。
「プレナ、だれか きたか?」
「あ、ゲノ。ただいま」
階段から一人の老人が降りてくる。
羽やら骨やらを身に着けていて、その装飾品からインディアンっぽいな、と真理奈は思う。
「紹介するわ、スー民族のゲノ。彼が私にこの町を作ろうと提案してくれたのよ。
ゲノ、こちらアリアハンから来られたお客さんよ」
よろしく、と一通り挨拶を済ませ、ゲノも含めてお茶をすする。
「あれ?でもどうしてアリアハンから来たって分かったんですか?言いましたっけ?」
「だってその紋章アリアハンの伝統工芸じゃない。私もアリアハン出身だから分かるの」
プレナが真理奈の制服を指し示しながら、懐かしそうな目でそれを眺める。
「そうだったんですか〜」
しかし普段敬語を使わない真理奈がプレナには敬語を使っている。国王にもタメ語なのに…
変なヤツだ。
「そうそう!だからアリアハンの話が聞きたかったのよ!最近何か変わった?」
そんなプレナの勢いに引き込まれて、しばらくアリアハン談議に花を咲かせる。
……皆、何しに来たか忘れてるんじゃないの?日が暮れちゃうよ…
「それで?どうしてこの町に?」
「おう、そうじゃった。忘れるところでした。実はですね……」
かくかくしかじか、とパトリスの説明を作者は華麗に回避した!
「そんな…ひどい……」
「……ひがしのくには わるいやつ。たからを もっていった」
「昔、この町が出来る前ね。エジンベアはスーに兵隊を送って貴重な宝を奪ったのよ」
「それで今度はこの町が狙われたって事か。この町に何か凄い宝があるんですか?」
「さすがに町の全ての物を把握するなんて出来ないから…
私は王様じゃないから宝が私の所に集まってくる訳でもないし」
「しかし今やこの町の流通具合は素晴らしいものになっています。
エジンベア王は何か情報を掴んだのかもしれませんな」
そこでパトリスは茶に一口つける。もう建物の外は暗くなり始めていた。
「しかし気になるのはエジンベア王が"戦争"だと言った事じゃ。しかも今回は
ポルトガも絡んでおるからの。別の目的があるのかもしれん」
「だったら悪いのはエジンベアじゃない。なのにどうしてあんな事言ったの?
エジンベアを倒しちゃえばいいじゃん」
「あの時エジンベアはすぐにでも出兵しそうな雰囲気じゃった。だから時間を稼ぐ必要が
あると思っての。あぁしておけばワシらが帰るまでは動かんじゃろ。
まぁそれでも少しの足止めにしかなっていない事に変わりはないがな」
「ふ〜ん」
真理奈は分かった様な、そうでない様な返事をする。
「でも私達は戦争をする気はないわ。確かにここにはたくさんの物がある。武器防具もね。
けれどそれは人の血を流す為に使う物じゃないわ」
「もちろんその通りです。だから何か解決策があるのではないかと、相談しに来たのです」
「解決…策……」
さすがのプレナも初めての出来事に戸惑いを隠せないようだった。
「プレナさん、こうしてはどうでしょうか。
何と言ってもエジンベア王の発言力とアイテムに対する執着は見逃せないポイントです。
そこでこちらから王の食いつきそうなアイテムを差し出し、それをエサにエジンベアと
同盟、もしくは最低でも休戦協定の様なものを結ばれてはいかがでしょう」
「でもエジンベア王にはイエローオーブを差し上げましょうとか何とか言っちまったじゃ
ねーか。それ以外にまだやれるもんあんのかよ」
「イエローオーブ……」
ジュードの疑問に重なるようにプレナがつぶやく。
「だからあれは時間稼ぎじゃと――」
「でもきっと向こうはそう取っちゃくれねーぜ」
「むむむ…ではその時はまたワシの巧みな話術で――」
「どうだかな〜船を大量に造らせてる時点で攻める気マンマンだって言ってたじゃねーか。
約束果たせなかったと知ったらどうなる事やら……
支配しちまえばその土地のアイテムだって集め放題になる訳だろ?」
ジュードに反論されパトリスはシュン、と小さくなってしまう。
いやパトリス、あんたは悪くないよ。そんな事言わせた俺が悪いんだよ……
沈黙に伴う息詰まった空気が続いた後、プレナがそっと口を開く。
「イエローオーブ、今持ってるの?」
「?? ありますよ?」
真理奈がバッグからオーブを取り出し、プレナの方へ差し出す。
プレナはすぐには受け取らず、少しの間見つめた後、それに触れた。
その手は微かに震えていた。
「イエローオーブ……またこれに会えるなんて……」
両手でオーブを包み、感慨に耽る様に目を閉じた。
「プレナさん、またって?」
その問いには答えず、皆の疑問が目線で交わされる。
ゲノだけは微笑み、その答えを知っている様だった。
「うん、分かった」
そう言うプレナの顔は生き生きと輝いて見えた。
「エジンベアに服従なんてしない。媚びもしない。けど抵抗もしないわ。
私はもう町の皆を苦しめる様な事はしないって決めたんだもの」
「プレナ……」
ゲノが感動と心配を込めた声で彼女の名前をつぶやく。
「それに今は人同士で争ってる場合じゃないわ。だから私、王と話し合いに行くわ」
「…ホントにそれで解決すると思ってんのかよ」
「やってみなくちゃ分からないわ。それとも何か良い策があるの?」
しかしジュードには返事が返せない。
「王だって同じ人間でしょ。モンスターじゃないんだからきっと分かり合えるわ」
「ピーッ!!」
そこで真理奈のふとももで大人しくしていたブルーが跳ねて叫ぶ。
「あははwブルー君も大丈夫だってw」
そう言って笑うプレナの笑顔は、何とも言えず魅力的だった。
「も〜めんどくさいな〜こういう時携帯があれば便利なのにな〜」
話合いが終わったのが夜に差し掛かった頃だったので、出発は明日の朝という事になった。
ありがたい事にプレナの家に泊めてくれるという事になったのだが、
兵士長の事をほったらかしにしていたのを忘れていたのだ。
"探して来い"と言われて嫌々出てきた真理奈だが、
正直、別にあんなヤツいいじゃん、と思っている。
ちなみにブルーは眠たそうだったのでお留守番だ。
あと少し適当にフラフラしたら帰ろうとか考えていると、兵士長の後姿が目に入る。
兵士長は背が高いのですぐに分かる。
「おーい、兵士ちょ〜」
相手に届くような声量で声をかけながら兵士長の所へ走っていく。
その真理奈の声に気付き、兵士長が振り返る。
と同時に、その右手が振り上げられる。
その行動に真理奈は不思議に思うが、体は近づくのを止めなかった。
一瞬後、チクッとした痛みと共に体の力が抜けていくのを真理奈は感じた。
崩れ落ちていく真理奈を涼しい目で兵士長が見下す。
その右手には毒針が握られていた。
急所に入れればモンスターでさえ一撃で仕留められる武器だ。
刺す時間と毒の種類・量を間違えなければ、人間相手でも上手く戦闘不能に出来る。
「あ…あ……」
声も満足に出せなくなった真理奈を兵士長は片手で抱き上げる
そして懐から取り出したキメラの翼を放り投げた。
2人の姿は夜の闇に紛れるように消え去った。
今日はここまで〜
>>114>>115 勇者の性格判断の質問を全部載せてるサイトを見つけたので
真理奈に答えさせてみましたw
多いかな〜とは思ったんですがいかがでしたでしょうか
どういう人なのか分かったような気がしてくれたら幸いです
ちなみに一番最初のは、アリアハンで真理奈と一緒に戦った先輩と後輩ちゃんの会話です
それやる前に他のキャラ紹介しろよ!とは思ったのですが、思いついたのでやってしまいましたw
それと、今回会話ばかりになってしまってスイマセンでした
次は戦うぞ〜!
,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
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暇潰しさん乙w
しょうのない職人気取りが現れて鬱
こういう流れも楽しみましょう
こういうレスみると(ry
住人が排他的過ぎる。
何でこんなんなの?
まあどこにだって荒らしはつくもんだよ。ましてこの手のスレじゃあね。
気にせずにがんばれ作者さん達。
こういうレス見るとこのスレって厨房しかいないんだなと思えて鬱になる
hosyu
盛 り 下 が っ て 参 り ま し た
そんなんじゃ面白いものも面白くなくなると思うぞ
皆様お久しぶりです。
5スレ目
>>639です。
続きが出来ましたので、時間がだいぶ空いてしまいましたが投下させてください。
↓以下5スレ目
>>639-645 続き。
カビ臭い匂いと、埃っぽさが満たす空間。昼間でも尚薄暗いそこは、ロマリア王立図書館。
図書館とは言っても現代のように一般の人間が立ち入れる場所ではない。
そこに五、六才の、蒼銀の髪をした少年――今の自分はいた。
この世界。
ドラクエVの世界で目覚めた後に最初に会った男は、やはりこの少年の父だった。
男は名をローランと言いロマリアの北にあるカザーブの領主だった。
つまり自分は領主の息子としての権利を使って、この王立図書館に入ることを許されている。
正直なところある程度の地位のある人間だったのは不幸中の幸いだった。
少なくとも情報を手に入れることは出来るのだから。これが農民だったら目も当てられない。
しかし、図書館の存在をローランから聞かされて、すぐに行きたいと言ったのだけれど、随分と意外そうな顔をして驚かれた。
どうやらシャルルはあまり本を読まない子だったらしい。
今回は仕方のないことだったが、なるべく疑いを与える行動は避けるべきだ。
中世レベルのこの世界では命にかかわる。
それに、佐藤大介というこの世界に迷い込んだ異分子にとって、
少なからずローランという男と居ることは心の平静を保つ支えになっていた。
目覚めたらゲームの世界の住人になっていた。
そんな馬鹿げた現実に対策など思いつく筈も無く、打ちのめされようとしていた自分を救ったのはローランだ。
信じられない事態に食事も進まなかった自分を見たローランは病にでもかかったのかと勘違いして大慌てで色々な薬を買ってきた。
葉っぱに色とりどりの薬らしきものが乗ったものやら、株のお化けやら、少し濁ったガラスのビンに入った水やら……etc.
テーブルの上にあまりに雑多な、怪しげな物の山を築いたローランは。
――何が聞くか分からんから、手当たり次第に買ってきた。好きなものを飲め。ああこれなんかどうだ――
なんて、汗だくの真顔で言った。
薬なのに好きなのを飲めなんて、そりゃ無いだろうと面食らった。
が、そのあまりに必死な様子にしまった。と思った。
ドラクエVの世界に来てしまったのは自分のせいではない。
しかし、彼のせいでもないのだ。
彼にしてみても自分の息子を奪われたに等しい。
そんな彼に無用の心配をかけるのはどうか。
――元の世界に帰れば、全て解決する。
物事には必ず始まりと、終わりが存在する。
なにせ原因が思いつかないほどなのだから実は些細ななことなのかもしれない。
――それを探ればあるいは……帰れるかもしれない。
そう思い直し、その為に文献を片っ端からあさり始めて早二十日。
いまだ元の世界に帰る方法はおろか、糸口すらつかめていない。
「ふーーっ」
深いため息を1つ。
朝からずっと文献をあさっていたせいで目がしょぼしょぼしてきた。
小腹も空いてきたし、そろそろ昼食を摂りに宿に戻るか。と傍らに立てかけておいた護身用にと渡された
銅の剣を手にし図書館を後にする。
すると入り口で嫌な奴に出くわした。
今の自分と同じくらいの五、六才の少年。
やたらと高価そうな服に身を包んだソイツはロマリア大貴族の子供でサティロスという。
ロマリアではローランは高名な騎士で、その剣腕と人柄には多くの人が一目置いているという。
カザーブの領主である彼がロマリアに来ているのも、王に何か陳情する為らしい。
それが何かまでは知らないが、ロマリア貴族には都合の悪い事なのだろう。
1週間ほど前に始めて会った次の日から、サティロスは事あるごとに嫌がらせをして来るのだ。
……まぁ、子供じみたイタズラなので大した事はないのだが。
一線を越えて剣で挑まれたとしてもこれでも小中高と剣道を学んだ身だ。
見た目が同じくらいでも経験に大差がある。 負けることなど無いだろう。
それに、相手は格上の身分ではあるが、さすがに先に手を出しておいてやられても文句は言えないだろうというのもある。
注意する程ではないが、身分の差から無視することも出来ない。
つまり、ウザイのだサティロスは。
「おい。シャルル着いて来るのだ」
声を掛けられたので大人しく着いて行く。
「オマエ……僕に声を掛けられて返事をしないとは何事か! 」
「これは失礼致しましたサティロス殿。本日は何用でございましょうか」
怒っているので早めに下手に出て頭を下げた。
「……フン、まぁ良い。シャルル、君の父上はかの高名なローラン卿であったな」
「左様ですが……それが何か? 」
「いやなに、父君があれ程の剣腕を誇るのならば、さぞ君の腕も確かなのだろうと思ったのだ。
さて、君に1つ頼みがあるのだが聞いてはくれないだろうか」
サティロスはにたり、と口を歪めている。
何か悪巧みをしているのだろうが、彼の身分が上である以上は頼みごとを聞かないわけにもいかない。
「どのようなことでしょうか? 」
そう聞き返したが、着いて来れば分かる。という一言で封じられてしまった。
どうにも着いて行くしかないようなので、彼の後に続いて歩き出した。
サティロスに連れられて、たどり着いたのは図書館から少し離れたサティロスの家が所有しているらしい森だった。
サティロスは森の少し奥、十五メートル程行った先にある開けた場所を指して言った。
「君に頼みたいこととはあのスライムを倒して欲しいのだ。スライムとはいえ街中にモンスターがいるのは困る。
兵士を出すほどの相手ではないが、放っておくわけにもいかなくてね。
アレの処理を父上に任されたのだけれど貴族である僕が手を下すような野蛮なまねはしたくない。
そこで、君に退治してもらおうと思ってね。――さあ、任せたよ。見ててやるから早く退治してくれ」
これか、と思う。
ロマリア周辺にはスライムはほとんど生息していない。
大方こいつが親にねだって嫌がらせの為に自分の家が持つ森に放したのだろう。
……全く下らないことをするものだ、さっさと倒して昼食にするとしよう。
「かしこまりました。すぐに倒してご覧にいれましょう」
剣を抜き、下草を押し分け森の中に入った。
無造作に歩いてスライムに接近する。
……構える必要は無い、だってスライムだし。
サティロスも少し離れて後ろに続く。
そして、あと3歩程で攻撃できるというところで――スライムは、突然横合いから飛び出した牙に、捕食された。
……嫌な汗が噴き出す。
スライムを食べたのは、全長六十センチ位の小型のキャタピラーだった。
ぐじゅ、ぐじゃ、ねちゃ。
キャタピラーがスライムを咀嚼する音が森に木霊する。
既に半ば以上かじり取られたスライムが虚ろな瞳で笑いながら此方を見つめている。
ごくん。
それは自分達が息をのむ音だったのか、それともキャタピラーがスライムを飲み込んだ音だったのか。
確かなのはキャタピラーは己以外にこの場にいる2人の人間に気が付き、こちらに頭を向けたということだけ。
――まずい。
新たな食事として認識されたか、それとも食事の邪魔をされて怒っているのかは解らないけど友好的なはずがない。
「逃げるぞ! 」
サティロスに声を掛ける。
「あ? い、うぁぁぁーーーーーっ!! 」
無理も無かった、サティロスはパニックになっていた。
今のは例えるなら野良犬が共食いを始めた様なモノだ。
五、六才の子供の見るモノでは断じて無い。
とにかく、これで逃げるという選択肢は難しくなった。
サテイロスは気に入らない奴だが見捨てて逃げた、とあっては問題だろうし、死ねと思うほど嫌な訳でもない。
応戦しなければ。まずは――
「寄るなってんだ! 」
剣道の面の要領で近づいてきたキャタピラーの頭に一撃入れる。
青銅製の刀身は、キャタピラーの頭部を狙い通り捉えた。
キシャーと声のようなものを上げてキャタピラーは後退し、のたうちまわる。
が、すぐに先程よりも敵意を込めてこちらを向いた。
――効いて、無い?!
いや、そんな事は無い。
よく見れば確かにキャタピラーの頭部の外皮は僅かにだがヒビが入っている。
幾ら硬いといっても金属である青銅より硬い筈は無い。
ましてや小型のキャタピラー、剣で打たれて全く無事ということはやはり無い。
ならばと、次の技を繰り出す。
小手、面、胴の三連撃。
剣道において何度も練習する基本の技。
何年も繰り返した動作は体が子供のものとなり速さも落ちていたが、それでも淀みなく繰り出されキャタピラーを簡単に捕らえた。
最後の胴を薙ぎ斬るように放ち、足を止めぬように稽古と同様に相手の脇を抜ける。
「――な! くそっ」
振り返ってみて自分の目が信じられなかった。
いまだ、のたうちこそするもののキャタピラーは健在だった。
稽古の時と同様にきれいに決まった筈だった。
それが効かないと言うことは……子供になったせいで膂力が足りないのか?
……ならばコイツとの戦いは――――自分と、コイツの体力。どちらが先に無くなるかの我慢比べ――――?
嫌な汗が、今まで以上に噴き出し。服が肌に張り付く感覚が、一層不安感を煽る。
……しかし、賽は投げられてしまった。
後には引けない。
サティロスを守らなければならないし、何年も練習した技全てが通じないとは思えない。
――――上等だ。我慢比べ。乗ってやろうじゃないか――――!
そうして自分は、より気合を入れてキャタピラーに打ち込んでいった。
――この時は。自分はあんな事になるなんて、思いもしなかった……。
眼前の敵から目を離さぬように額を流れる汗を無視する。
荒れた呼吸を整える為、大きく肩を上下させ深呼吸。
――まだ、保つのか? コイツ。
あれからキャタピラーに打ち込んだのは、十合を超え二十合に届くか、というところ。
時間にしても十分程度だろう。
しかし、自分の体力と集中力を奪うには不足ない時間だった。
状況は一見、拮抗していた。
だがキャタピラーにはいくらかの傷こそ負わせているものの、いまだ致命傷といえるダメージは与えることは叶わなかった。
キャタピラーが負ったダメージというのも体力を奪い、その動きを止めるには程遠いもの。
一方の自分といえば、辛うじて無傷ではあったが、その動きは確実に精彩を欠きつつある。
ここにきて天秤はキャタピラーへと傾きつつあった。
これ以上は不利だ。
かくなる上は――。
覚悟を決め、剣を頭上に大きく掲げる。
上段。
振り落とす力を最大限に利用し得る型、試合でも実際に使われる事は少ないが最も一撃の威力が増す構えを取る。
勝負は一太刀で決する。
この一撃で倒しきれれば、勝利。
さもなくば、敗北。
動きを止めたのを好機と見たのか、キャタピラーが迫る。
――故に。狙うのは頭部、それも芯だ。
息を吸う、
腰を落とす、
呼吸を止める、
腹に力を込める、
貯めた力は拡散し、全身へ。
そして再び集結させ、一刀の元に切り伏せる――――!
がぎん。という鈍い音。
裂帛の気合と共に放たれた刀身は半ばまでキャタピラーの頭に外皮を破り食い込んだ。
だが、そこまで。キャタピラーは止まらない。
頭部から緑色の液体を振りまきながら、その牙をこの身に突き立てようと襲い来る。
死ぬ。そう、思ってしまった。
全力の一撃の後。
体は当然動いてはくれず、避けることもできない。
不満はある、後悔もある、未練など溢れている。
ゲームの世界に来て、人生の結末を迎えるなど在り得ない。
何故、自分だけがこんな終わり方で死ぬのか解らない。
……だから、せめて目を見開いて少しでも、そのふざけた現実に抵抗しようと思ったのだ。
そして牙が触れようとした瞬間――剣(つるぎ)と共に弾丸と化し、彼は現れた。
あれほど硬かったキャタピラーの外皮は容易く十字を施した剣(ゾンビキラー)に貫かれ、その身体は剣によって木に磔にされている。
彼、ローランはそのままキャタピラーを磔にした木ごと切り上げた。
身体の半ばから真っ二つに分かたれたキャタピラーだったモノから、緑の血泉が勢い良く噴き出す。
その中で、ローランは静かに背を向けて立っていた。
それは残酷と言っていい光景だ。
けれども、その光景。
その一点、救ってくれた背中に安堵を覚えている自分がいた。
届かなかったモノに容易く背中に憧れを覚える自分がいた。
子は親に安堵を覚え、憧れを覚える。
この気持ちがこの身(シャルル)から出たものなのか、精神(じぶん)から出たものなのか。
それは判らない。
確かなことは一つ、自分はこの人に救われた――――
「無事か? 」
背を向けたまま振り向かず、静かな声が投げかけられた。
「は、はい。大丈夫です。」
「そうか……では、――オマエはだれだ? 」
――――――ッ!!
唐突に隠すべき真実を抉られ、心臓が掴まれた。
こちらを見ようともせず背を向けたままローランは続ける。
「父さん……いや、私はシャルルにあの様な技は教えていない。
とっさに振るった剣にしては洗練され過ぎている、先程の技は明らかに長年修練を積み反復して覚えた技だった。
シャルルは私以外と剣の鍛錬は積んでいないし、有ったとしてもそれほど洗練されるまでの時間はない」
ローランはゆらりと振り向き、この世界に来てからの自分に一度も見せたことの無い険しい顔で睨み付けながら言う。
「もう一度聞く。オマエは誰だ。私の、父の目を欺けるとでも思ったか」
ローランがそれに気付いたのは偶然だった。
昼になっても宿に戻らない息子を心配して、息子がここ最近通い詰めている図書館を訪れた時に耳に入ってきた町人の話だった。
――サティロス様がまたシャルル様に絡んで――
――またかよ。これで何度目だ? いつもの――
――いや、今日は何か企んでいる様で森の方へ――
ローランは自分がサティロスの家を始め、貴族達に疎んじられている事を知っている。
いや、正確にはローランを重用した先王が王位を退いてから、
冷や飯を食わされているのだから今の王を含む中枢のほとんどからだろう。
彼は今の悦楽を至上とする王とは折り合いが悪いのだ。どこぞの一派が彼の息子を狙わないとも限らない。
よもや、と思いローランは駆け出した。
支援
――私の息子に、もしものことが遭ったなら……ただでは済まさん――
サティロスと、図書館近くの森。とくれば目的地は1つしかない。
石造りの民家がひしめき合うように立ち並ぶ裏道を駆け抜け、緩やかなこの地方特有の丘を越え。
森への最短距離をローランはひた走る。
そして目的の森へとたどり着いた。
そこでローランが目にしたものは、確かに彼の息子が襲われている光景だった。
ただしその相手はローランが思い浮かべた様に人ではなく、モンスター。
そして彼の息子は、見たことも無い構えで剣を操り、モンスターと戦っていた――――
――どうする、正直に答えるべきか?
この期に及んで何も答えないということはできない。
かといって、正直に答えても信じて貰うことはできないだろう。
何せ自分でも未だに信じられないのだ。
事実だから受け入れていただけ。
ローランは黙ったままの姿を見て疑惑を深めたのか、より険しい視線を向けている。
この人と二十日間暮らしてみて解ったことがある。
とても子煩悩だということだ。
いつも子供(じぶん)のことを見守っていた。
今、この場にいるのも、険しい視線を向けてきているのも。
考えてみればその証明。
……この人なら、子を愛する父親ならばわが子(シャルル)を救う為にも事情を話せば力を貸してくれるかもしれない。
そう、ならば答えは決まっているはずだ。
だが言うべき言葉は閉ざされた口から出ることは無い。
――単に足りないだけ。
先程命を救われ、さらに力を貸してくれるだろうこの人に。
一歩を踏み出す勇気が自分には足りないだけ。
先程見た。救ってくれた背中は自分のものではでは無いと認めるのが、
頼るものの無いこの世界で自分が否定される事がただ恐ろしかった。
ローランも自分も固まったように動かない、二人の時は静止していた。
だから、平静を取り戻したサティロスが最初にソレらに気がついたのだろう。
「ぁ、う、あ、あ、アアアーーーーーッ!! 」
悲鳴に驚き、サティロスの視線を追った先にあったのは。
森の木々のそこかしこから此方をうかがう2メートルはありそうな巨大な猿――暴れ猿達の姿だった。
その数は十……いや、二十匹以上はいるだろう。
ローランがここまで気が付かなかったことから推察すると、よほど上手く気配を隠して近づいたのだろう。
……或いは、始めからそこにいたのか。
どちらにせよ自分にとって絶望的だ。
戸惑う自分とは反対に、暴れ猿の群れを見たローランの行動は早かった。
「話は後だ! サティロスを連れて早く逃げろっ! 」
そう叫ぶや否や、猛然と暴れ猿の群れの真っ只中に向っていった。
気絶したサティロスを背負って、ローランの言うとおりに森へと来た道を転げるように駆け戻る。
ハッ、ハッ、ハッ――
息は上がっている、けれど背中のサティロスを重いとは感じなかった。
ローランのことが心配でない訳、無い。
いくら彼でもアレだけの数を相手にするのは正気の沙汰ではない。
かといってキャタピラーにすら殺されかけた自分が、暴れ猿との戦いに介入できる筈が無い。
自分に出来ることは一刻でも早く助けを呼ぶこと、その程度。
――なら。背負ったモノが重い、なんて思う権利など、自分には無い。
力が無いのが恨めしい。
剣道をやっていた程度でいい気になっていた。
それがどうだ? 実際蓋を開ければこのザマだ、元の世界で学んだ技は通じず、命を救ってくれた人を置き去りに無様に逃げている。
――強く、なりたい。 心も、体も、逃げ出さなくて済むように。
そして視界が悔し涙で濡れた頃、目的の場所に辿り着いた。天を衝くような石造りの壮麗な建物。
そこはロマリア城、確実に兵士が詰めている所。
ここなら助けが呼べると思った。
涙で滲んで歪なレンズのような視界で、門の前にいた兵士らしき人を捉えて駆け寄った。
「お前は? ん、後ろにいるのは……サティロス様!? 貴様、サティロス様に何をしたっ」
背負ったサティロスを見た兵士は、慌てて詰め寄ってくる。
そんな問答している時間は無い。構わず口を開いた。
「ハァッ、ハァッ……たす、けて、下さ、い」
くそっ、息が上がっているせいで上手く喋れない。
深呼吸して息を整え一気に伝える。
「助けて下さい! 図書館の方にある森に暴れざるの群れが出ました父が戦っていますが二十匹以上います。
早く助けに! 長くは保ちません」
「な!? そんなヨタ話が信じられるか! そんな事よりサティロス様を此方に渡せっ小僧!」
兵士は憤り立って背負ったサティロスを奪い取ろうと手を伸ばして――背中から発せられた怒声に止められた。
「うるさいっ! 良いからコイツの言う通りにしないかっ!――それとも僕の言うことも聞けないとでも?」
――時間は少し遡る。
ひどく乗り心地の悪い揺れで目を覚ました彼が聞いたのは、彼と同じぐらいの少年が噛み殺したような泣く声だった。
声の主はカザーブの田舎領主の息子で、彼が嫌う少年だった。
彼はゆっくりと辺りを見渡し、森の中にいた筈が城の近くまで来ていることに気が付いた。
――助かったのか? そう、安堵して再び瞼を閉じる。
しかし、耳に飛び込んできた彼を背負った少年と、兵士の声で閉じた瞼はすぐに開けられることになった。
――なん、だって。一人であの群れと戦っている――?
彼は思う。
彼の父は真実、貴族だった。
――貴族とは人々を良き方向に導く為にその地位を与えられている。
そう彼に、常々繰り返していた。
そんな父親のことが彼は誇らしかったし大好きだった。
彼は父親の教えてくれたことはこなそうと彼なりに努力したし、洩らさず聞こうとした。
だから。
――あの田舎領主めは、全体を見ようとしていない。税を減らしたら皺寄せがどこかに出る。民の生活ばかり気にして、彼奴めは其処のところが分かっていない――そう食事時に父がこぼした何気ない愚痴も聞き取ってしまった。
そして彼は子供らしい発想で、ソイツの息子を少々困らせようとしただけだった。
――こんな事、僕は望んじゃいなかった――
彼にも田舎領主――ローランが自分たちを逃がす為に、あえて戦っていることはすぐに察しが付いた。
そしてただでは済まないだろう事にも。
――なんとかしなきゃ――
押し寄せる後悔を吐き出すように言葉にして、彼は兵士に叩きつけた。
「うるさいっ!――――――――
サティロスの一声で兵士は弾かれたように従った。
兵士は仲間を呼びに兵舎へと走っていった。
「おい。いつまで僕を背負っているつもりなんだよ」
「あ。悪い」
あっけにとられて思わず敬語で話すのを忘れてしまった。
取り合えずサティロスを下に降ろす。
……それと、礼を言わないと。
自分一人では助けを呼ぶだけすらままならなかったのを助けられたのだから。
彼に向き直り頭を下げる。
「ありがとう。助かりました。」
「……別に。別にお前の為にやったんじゃない。僕だってあんな事になるのは望んでなかった……僕の、僕の為に言ったんだから。
――僕こそ、すまない」
下げた頭は拒まれ、逆に謝られる。
サティロスが関わっていたのは最初のスライムだけだろう。
その後の反応を見ていても分かるし、彼は自分とは違い本当の子供なのだ。
今日の一件はやりすぎではあったが、それでも子供じみたイタズラには変わりなかった。
それが切欠で命の危機に晒され、救ってくれた人は今も窮地に追い込まれているとしても、
あんな所にモンスターがいたのは彼のせいじゃない。
――そもそも甘く見ていた自分の油断が原因だ。
戦えるなんて思ってキャタピラーに挑まずに、始めから彼を引きずってでも逃げることに専念していれば
暴れ猿に会わずに済んだかもしれない。
切欠はどうあれ、こんな事になったのは自分の責任だ。
なのに、彼には本来自分がするべき事まで結果としてやってもらった。
……正真正銘の子供に、だ。
だから、自分には礼を言う義務がある。
もう一度頭を下げた。
傍から見れば滑稽だろう。
こんな時に二人して謝って、無言のまま動かないのだから。
でも、それは自分たちには必要なコトだったのだ。
ガシャガシャと鎧が擦れる音を立てて兵士達が集まり始めた。
「兵達が来るぞ」
言外に、もう行け。とサティロスは言う。
その通りだ、自分はあの森まで兵士達を連れて行かなければ。
頭を上げてくるり、と踵を返し兵士達の方を向く。
背中に言葉が投げかけられた。
「必ずローランを連れて戻って来いよ、――――お前の父にも謝らなければならないんだから」
無言で歩き出す。
サティロスは、今度は返事をしなくても怒らなかった。
兵士達の鎧が当たる音が警鐘のように頭に鳴り響く。
森への道を兵士達と駆ける。
完全武装とはいえ訓練された大人のペースで走り続けて汗は滝のように流れ、心臓は今にも破れそうだ。
だが、そんなもの。
今も窮地にいるローランと比べれば無いに等しい負荷だ。
犬のように口を開けた。
汗と共によだれを垂れた。
もつれそうになる足を、無理やり前に出す。
――走る。
それがどんなに無様でみっともない姿でも。
その程度で間に合うのならば。
――それが自分に出来る、ただ一つのことならばせずにはいられない――
「――――――――――――」
そうして辿り着いた森で見た彼の姿に目を奪われた。
彼は体中に細かい傷は負ってはいる、しかし。
あれだけいた暴れ猿達は、そのほとんどが森の所々に伏し、物言わぬ骸となっていた。
ローランは剣士だ。
魔法は使えず、平時であったため身を守る頑強な鎧も、攻撃を受け止める盾も持っていない。
薬草など有るはずも無く、持っていても一対多の戦闘では使えまい。
一度でも足を止めたならば数の暴力に飲み込まれる。
そして回復もままならないまま死を迎えるだろう。
故に、持っていたとしても使えない。
だがそれは一度も大きな傷を負わずに避わし続けると云う事だ。
「――――――――――――」
兵士達も、自分も言葉が無い。
それはそうだ、避わすだけでは相手は倒れてはくれない。
しかし、その回避すら不可能に近い。
だが。現実に暴れ猿達の大半は息絶え、残るは五匹。
一体誰がこの結果を予想できよう―――――――――!?
.
ローランが疾風のごとく駆ける。
一匹目、向ってくる相手とすれ違い様に一閃。攻撃してきた腕ごと切り落とした。
二匹目、左斜め後方よりの腕の振り下ろしを低い姿勢でかい潜り、剣を穿つ。
反転、そのまま剣を背負い投げの要領で切り上げる。
三匹目、体当たりを狙った突進を回転する足捌きのみで避わし、後方から挟撃を試みようとしていた四匹目にぶち当てる。
回転の勢いも加え跳躍、三、四匹目の丸太ほどはありそうな首をまとめて斬り落とした。
そして五匹目、一番奥に陣取り動かない相手をローランはキッと見据え、剣を下段に構え一直線に駆け寄り、最後の一撃を解き放つ。
それは確実に相手を捕らえ――――空を切った。
――相手は黒い、怪しい影となり、霧散した。
「なっ―――――?!!」
ローランが息を飲み驚く。
その場に居た者は皆、同じ気持ちに違いない。
唯一の例外、影が再び集まり姿を現した敵。――アークマージ以外には。
そのアークマージの両手には剣呑な光が集まっていた。
「――――イオナズン」
力ある言葉が静かに紡がれ――光と共に、世界が炸裂した。
生じた爆発は木々と人の区別無くことごとくをなぎ倒し、遅れてやってきた熱が追い討ちをかけるように全てを焔に包んでいく。
閃光の中、馬鹿になった目で暴れ猿の死体が燃え上がるのを見た。
隣にいた兵士の肉が鎧ごと焼け焦げる匂いを嗅いだ。
ただの人間、それも子供がこの炎獄の中で生きていられる道理は無い。
白に染まった視界に引きずられるように、意識もまた白に染まろうとしたその時、自分に覆いかぶさる温もりを感じた。
熱いはずの焔の中、尚暖かいと感じたソレは自らを盾としたローランだった。
「あ、どう、して。なん……で? 」
頭が廻らない。
――何故。この人は。
自分とサティロスを救う為に、たった一人で暴れ猿の群れ戦った。
自分をイオナズンから守る為に、その身を盾とした。
――――何故、そこまで出来るのか――――?
閃光が収まり静けさをかって森だった場所は取り戻す。
ローランは意識を失っていた。
否、そんな生易しい物ではない。
ローランの体は無事な所など探す方が難しい、肩まであった髪は焼け焦げその殆どを失っている、
衣服はボロボロ、自分を抱きかかえている腕や背中は見れば炭化している箇所すら珍しくない。
「なんで……どうして……そんなにボロボロになってまで……」
答えは無い。
「――答えて、くれ。どうしてっ、そんなにボロボロになってまで俺なんかを守ろうとしたんだ!! 」
やはり答えは無い。
代わりにカンに障る声でアークマージが口を開いた。
「――ほう。子供が一匹燃え残りましたか……。まあ、良いでしょう、此方の損失分の元は取りました」
――やめろ。
「魔王バラモス様に楯突く人間どもの剣豪一人とこの程度の数の下等モンスターとなら……交換してお釣が来ると言う物です」
――――やめろ。
「さて、そこの子供(ゴミ)。……気分はどうですか? 何も出来ない自分の非力さを味わった気分は? 」
――――――やめろ。
「いや、何も出来ないという訳ではありませんでしたねぇ。意図しなかったとはいえこの男を始末できた最大の功労者は
――あなたでした」
――――――――やめろ。
「礼を言わせて貰いますよ……クッ、ククッ、フッ、ハハハハッ――――! 」
その、耳障りな声を――――――――「やめろってんだ――――――!! 」
体の底から声を張り上げ、アークマージを睨み付けた。
「ククッ、おや?――良い目をしていますねぇ。自分の至らなさと無力さがそんなに憎いですか?」
歯を食いしばって、筋が切れるんじゃないかという位強く力を込めて、手を握り締めた。
「フフフッ、あなたは生かしておくことにします。絶望は魔王様の望み、――精々後悔の檻に囚われて生きなさい」
では、と言い捨ててアークマージは去っていった。
悔しいけどヤツの言うとおりだ。
自分の甘さからこんな事になった。
もし、自分の力を過信せずにいれば、
もし、キャタピラーから逃げていれば、
もし、問い詰められた時勇気を出して答えていれば。
――こんな事にはならなかった。
「ちく、しょう」
知らず声が漏れた。
自分が憎い。
自分のせいで、この人を失ってしまった。
自分のせいで、家族もいただろう兵士の人たちも殺してしまった。
もし神様がいるのなら、何の為にこんな自分を送り込んだのか。
成しえた事は何も無く、撒き散らした物は不幸だけ。
涙が堰を切ったかのように溢れ出す。
「チックショーーーーー!!! 」
湧き上がって来るモノを吐き出すよな慟哭は、いつの間にか陽が傾きかけた
空に飲み込まれ、消えていった。
ゆらゆらと蝋燭の光が揺れる。
自分は夜の帳が下りる頃、宿屋に戻って来ていた。
あれから爆音を聞きつけた人々が集まって来るまでローランを抱えたまま泣き続けていた。
――ローランはまだ僅かに息が合った。
あの場っで生き残った者は自分とローラン二人だけ。
何があったのか聞いてくる人々を押し分け、集まった人々の中にいた神父が回復魔法を掛け続けてくれたのだ。
そして薬が有ったここに運び今に至る。
部屋の中にはローランと神父、そして自分。
ベットに寝かされ体中を包帯でグルグル巻きにされたローランに、神父は今も玉のような汗を浮かべて回復魔法を掛け続けていた。
その甲斐があったのかローランの閉じたままだった瞼がぴくりと動き、やがてゆっくりと開いた。
「ここ、は? 」
傷が痛むのか顔をしかめながらローランは口を開く。
亡くなったと思った人が生きている。
それはなんて喜びだろう――良かった。心からそう思えた。
――決心を固める。
伝えないといけない真実があった。
言わなければならない言葉があった。
自分はこの人に与えられてばかりで、何もしていない。
――返さないと。
例え、その結果がどんなことになっても――言わないといけない。
「――――――――――」
「――――――――――」
ローランと視線が合う。
ローランは瞳から意思を汲み取ったのか、神父の方を見て言った。
「神父、済まないがもう良い」
「! で、ですがあなたの体は「息子と話がある、席を外してくれないか」――ッ! 」
神父の言葉を遮るようにローランは口を開いた。
暫くの間迷っていた神父だったが、やがて静かに席を立ちローランに告げた。
203 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/28(水) 18:55:22 ID:MU4x32+H0
私怨
…間違えた、支援!
アゲてしまった
ごめん
「……一刻(三十分)だけです。貴方は今だ回復魔法でも癒しきれない程の重態です。 それに貴方は祝福を受けていない。
一刻を過ぎたら問答無用で眠っていただきます」
「承知した」
短くローランは答え、神父は部屋を出て行った。
「――さて、話を聞かせて貰おうか」
そして話し始めた、二十日前自分に突然起きた出来事を――
精神がこの世界の人間ではないこと、
元の世界で剣を学んだこと、
目覚めたらシャルルとなっていたこと、
どうしてそうなってしまったのか原因もわからないこと、
せめて少しでも情報が欲しくて図書館に通っていたこと、次々と包み隠さずローランに話した。
そして――ああこれだけは言わないと。
「ごめんなさい。……貴方の息子を奪い、貴方の息子とこの二十日間偽った。――それと、ありがとう。貴方に何度も救われた」
「……一刻(三十分)だけです。貴方は今だ回復魔法でも癒しきれない程の重態です。 それに貴方は祝福を受けていない。
一刻を過ぎたら問答無用で眠っていただきます」
「承知した」
短くローランは答え、神父は部屋を出て行った。
「――さて、話を聞かせて貰おうか」
そして話し始めた、二十日前自分に突然起きた出来事を――
精神がこの世界の人間ではないこと、
元の世界で剣を学んだこと、
目覚めたらシャルルとなっていたこと、
どうしてそうなってしまったのか原因もわからないこと、
せめて少しでも情報が欲しくて図書館に通っていたこと、次々と包み隠さずローランに話した。
そして――ああこれだけは言わないと。
「ごめんなさい。……貴方の息子を奪い、貴方の息子とこの二十日間偽った。――それと、ありがとう。貴方に何度も救われた」
ゴメンミスった。
そう言って頭を深々と下げる。
これで与えられたモノを返せたなんて気はしていない。
でも、これが今の無力で情けない自分に出来る唯一だった。
「……一つ。一つ訊く、何故キャタピラーに立ち向かった」
眉間に皺を寄せながら黙って話を聞いていたローランが口を開いた。
ずきり、と胸が痛んだ。
ローランの痛々しい姿はそのせいだ。
でも答えないと、せめて今からでも勇気を出さなければ。
「……それは、自分の力を過信して「そうではない」――え? 」
「何の為に、何をする為にキャタピラーに立ち向かった? 」
こちらの返事を遮ったローランが重ねて訊いて来た。
何の為って、あの時は――
「守ろうとしました」
「あの貴族の少年――サティロスをか? 」
「はい」
そうあの時パニックになったサティロスを守ろうとした。
だけど、それが何だと言うのだろう。
結果として最悪の事態を自分は招いてしまった。
――あのアークマージの言う通りに。
「それで良い」
「は? 」
「それで良い、と言ったのだ。お前は守ろうとしたのだろう? ならば結果がどうあれ、お前は間違っていない。
――剣とはその為に取るモノなのだから」
お前は正しい。そうローランは言った。
――何て人だろう。
自分が全身にこんなひどい怪我を負って、その原因にそんな事が言えるなんて――本当になんて人だろう。
脳裏にキャタピラーから救ってくれた時のこの人の背中が浮かんだ。
あの時に覚えた気持ちが、どちらから出たかなんて――関係無かった。
例えこの身が覚えた物だったとしても、心もこの人に惹かれたのだから。
「お前の名は? 」
「サトウ、佐藤大介といいます」
しっかりと目を見て答えた。
では、とローランは続ける。
「サトウダイスケ、君が元いた世界に帰る方法を探せ。……出来るならシャルルの精神を救う方法も探してくれ」
そう言われて頷く。
「――ああ、それと。サトウダイスケ、君を私の息子として認める。
帰るまでで良い。私の後を継いで、領主となれ、騎士となれ。解らぬ事はカザーブの城にオリビィエと言って妻がいる、彼女に訊け」
「なっ!! 」
驚きだった。
息子として認めると言ったのもだが、――何で、これで最期みたいな口ぶりなのか。
「何故そんな言い方をするんです!? 」
思わず横たわるローランに詰め寄る。
ローランは視線を外し、天井を仰ぐようにして言った。
「ああ、私はもう長くない」
「な、ならすぐに回復魔法を――」
すぐに神父を呼んで来ようとして、腕を掴まれる。
その力はもう長くない、と言った人間の者とは思えなかった。それに振りほどくことが出来ない意思を感じた。
「……私は、祝福を受けていない。祝福を受けていない者は蘇生する事は無い。それに回復魔法でもこの傷では二度と……剣は握れまい。
――頼む、息子よ。剣士として、騎士として……子を守った父として死なせてはくれないか」
騎士としての矜持だろうか。正直、自分には分からない。
ここで掴まれた腕を無理にでも振りほどいて、神父を呼べばこの人の命は助かるだろう。
命より大切なものなんて無い……でも、それは――正しいのか?
この事態を引き起こした自分の事を、正しいと言ったこの人に――報いることなのか?
「サトウ、私の剣を此処に」
黙ったまま答えない自分の腕を放し、ローランは言う。
迷いながらも言われた通りに彼の十字を施した剣を持ってくる。
剣を手に取ったローランは、戦いの時の動きなど見る影もない生まれたての小鹿のような動きで半身を起こした。
「私の前に跪け」
言われ跪いた肩に抜き身の刀身がとん、と当てられる。
剣にはあれだけの戦いの後でも刃こぼれ一つ、曇りの一つも無い。
しばらくそのままで静止し、ローランが口を開く。
「弱きを守るのだ。力なき民を守るのだ。常に正しき道を歩め。虐げられた人々を救い、闇を晴らせ。
――私の息子よ。
お前のその四肢は、その血潮は、そしてその心は。――今この時より、その為に在れ」
「この剣を持て」
おもむろに差し出された抜き身の剣を、そのまま両腕で抱えるように抱きしめた。
くしゃり、とローランは満足そうに頭を撫でてきて、最初にこの世界で目覚めた時のような嬉しそうな笑顔を見せた。
ざあざあと木の葉を揺らして風吹き明かりが消えた。
「それで、こそ……わた、しの……わた、しの、あい、する、む、す、こ――――」
それが最期。
笑顔のままでローランは逝った。
託された剣を抱く腕に力が入った。
「――――――ちかう、から」だから、と言いかけて止めた。
それは違う、と思ってしまった。
この人は己が息子に騎士の剣(ちかい)を託して笑顔で去った。
――この人に報いるなら。
――何度も救ってくれた、息子と呼んでくれた、許してくれた人に報いるのなら。
――託された誓いを貫き通す。
そうしなければこの人の笑顔を汚してしまう。
自分の息子がいなくなって平気な親などいる筈が無い、その心中は如何程のものだっただろう。
それでも。
この人はわが子を奪った人間を息子と認め、笑って逝ったのだ。
――その想いを汚すことだけは絶対にしてはいけない。
だから。
自分が言うべき言葉は、この人の生を願う言葉じゃない。
――――この人の想いに応える言葉こそ、言うべきなのだ。
立ち上がり、去った人を見据え、剣を捧げる。
「――――誓う。今、この時、この瞬間より佐藤大介は、シャルルの精神を救うまでローランの息子として弱きを守り、力なき民を守り、
常に正しき道を歩み、闇を晴らすと。――父、ローランに己が全身全霊を以って誓う」
返る言葉は無い。
当然だ、去った人が応えるという定理はどこにも無い。
それに、返事(えがお)は既に貰っている、ただ自分がすべき誓いを遅れて口にしただけ。
重い剣(つるぎ)を握る手を固く、固く握り締めた。
――この剣の重さに負けない自分に。必ず、なる。
月明かりすらない闇の中。
剣は鈍く。だが、確実に輝いていた――――
投下終了。以上です。
御免なさい投下ミスしてしまった……orz
>>206は脳内消去の方向でよろしくお願いします。
乙
218 :
お:2006/06/28(水) 20:03:54 ID:vhr/LRSmO
そっこ〜自分が主人公か調べる
おー、お疲れ様ー
かなり読み応えがありました
乙だねェ
超面白
これだからこのスレはやめられない
シャルルさん乙。
単発で終わると思ったんだがすげー更新されましたなぁ。
ダイスケがどういう展開になっていくのが楽しみです。
シャルル氏乙。とてもよかったです
ぐいぐい引き込まれました
224 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/06/29(木) 14:43:49 ID:e1Isa8Qv0
もっと短くできんもんかねぇ
頭悪い子ハケーン。
226 :
224:2006/06/29(木) 15:41:58 ID:z5PLjJnu0
色々なスレがあるんだな
保守
>216
今更ですが乙です。
展開良し、文体もお気に入り。そしてボリューム大とかなりいい感じです。
ですが…パナマ上陸とか航宙自衛隊とか突撃し続ける三州公とか言いたくなるのは何故でしょうか。(最後の一字が違うが)
ドラクエ自衛隊とか妄想してみる
まあ似たようなことを考えるヤツは居るわけで…
ほす
俺達は港町ルプガナに到着した。結構大きな町で結構人が歩いていた。
しかし、シャールが俺達に護衛を頼むって言う事は何かあったのだろうか?
シャール「ありがとう。無事に町に着く事ができたよ。」
サマル「何事も無くて良かった。」
もょ「まずはムーンをやどやにはこんでそれからこんごのことをかんがえるか。」
リア「シャールさん、宿屋はどこにあるの?」
シャール「わしが知っている所に連れて行ってあげよう。」
シャールはそう言うと俺達を案内し始めた。案内された宿屋はローレシアやサマルトリアの宿屋も大きな建物だった。
サマル「で、でっかいなぁ…」
リア「結構高そうじゃない?」
シャール「この町は色んな国から旅人や商人が集まってくるからここは大衆向けの宿屋なんだ。料金はそんなに高くは無いぞ。」
もょ「なにからなにまでありがとうございました。」
シャール「護衛をしてくれたお礼だ。わしもやっと娘に会いにいけるからな。」
サマル「へぇ、そうなんですか。」
シャール「ああ、機会があったら是非わしの家にも来てくれ。後、薬を買うとしたら必ずわしの所に来るようにな。」
リア「シャールさんって商売上手だね。」
シャール「こりゃ可愛いお嬢さんに一本採られたか。ハハハ…」
シャールはそう言いながら町の方へ戻っていった。
もょ「さて、どうしようか?」
サマル「まずはムーンが目を醒めるのを待つ事だね。」
リア「ムーンさんが起きるまで休憩だね。」
うーん、このままではおもろーないわ。――――――――――ここは一発かき回すか。
タケ「サマル。留守番を頼めないか?」
サマル「どうしたんだい?もょ?」
タケ「リアちゃんとちょっと町をブラって回りたいからさ。」
もょ「(お、おい!タケ!い、いきなりなにいっているんだ!?)」
タケ「(まーまーここは俺に任せておけって。)」
サマル「えーっ?でも………………」
タケ「もっとこの町の情報を知りたいからな。それに男一人で動き回るよりもリアちゃんと一緒の方が効率が良い。」
サマル「わかったよ………じゃあ行っておいで。」
タケ「なら決まりだな。リアちゃん、行くぞ。」
リア「うん!」
よしよし俺の思惑通りに行ったで。さぁ!!!イッツ・ア・ショウタイムや!!!
タケ「(もょ。ついに初デートやな。)」
もょ「(か、か、かってにはなしをすすめるなよ!)」
タケ「(あのなー、もょも男ならこのチャンスをモノにしろや。まぁ、頑張れ。ひひっ。)」
もょ「(お、おい………………よわったなぁ……………)」
リア「もょもとさん。はやくぅ。」
もょ「あ、ああ………」
ドッキン、ドッキン――――――――――もょもとがすごく緊張しているのが良く分かる。
リア「もょもとさん。どうしたの?」
もょ「な、なんでもないぞ。」
リア「耳まで真っ赤っ赤だけど大丈夫?」
もょ「だ、だいじょうぶだぞ。と、とにかくいこうか。」
リア「あっちの方に行ってみようよ。」
リアがもょもとの手をつなぎ、引っ張っていった。
タケ「(もょ、どないや?)」
もょ「(き、きんちょうしてどうすればいいのかわからないな…)」
タケ「(ホンマに奥手やな〜。変に気持ちを入れ込む必要はないんやで。」
もょ「(あ、あたまではわかっているんだが…)」
タケ「(普段通りにしとけばええやん。俺も流石にイキナリ決めろって言っているんやないで。)」
もょ「(そ、そうゆうものなのか?)」
タケ「(ああ、何でも時間をかけて成長しやんとアカンやろ。剣も恋愛もな。)」
もょ「(だ、だからなにいっているんだよ!!)」
タケ「(もょ必死やなwwwwwwwwほらほら、リアちゃんが呼んでいるで。)」
リア「もょもとさんボーッっとしてどうしたの?」
もょ「ああ、ごめんごめん。さぁいこうか。」
俺は何も口出しせずにもょもととリアのやり取りを見ていた。
俺にもこうゆう事をしていた時があったっけ……懐かしいな……
まぁ、今は感傷にひたってもええやろ…
しばらく町を歩いて情報収集していたら、いろんな情報が集まった。
その内容は
・ルプガナから北東に向かうとラダトームの城があるのだが定期船の運行が中止になったらしい。
・しかもラダトームはロトの子孫アレフの故郷。
・ある富豪が嵐に巻き込まれて財宝を海底の底に沈んでしまった。
・シャールがルプガナに2年ぶりに帰ってきた。
リア「う〜ん・・・・船が要るみたいだね。」
もょ「ていきせんもないからふねをかりることがひつようだな。」
リア「シャールさんに頼んでみようよ!」
もょ「そうだな。とにかくなにもしないよりはこうどうをとることにするか。」
もょもと達はシャールの店に向う事にした。
シャールの店に入ろうとしたら怒鳴り声が聞こえた。
*「バカタレ!今頃に何しに帰ってきたんじゃ!この放蕩息子が!!」
シャール「悪かったよ。親父。だから誤っているだろう?」
*「自分の娘を2年間もほっておいた父親にそんな事言える立場ではないわ!」
シャール「マリンには申し訳ない事したって思っているよ。だから帰ってきたんだ。」
*「屁理屈言うとる奴なんかウチの敷居を跨ぐ事など許さないんじゃ!!出て行け!!」
シャール「ああ、わかったよ。このクソ親父!!」
シャールが勢い良く店から出て行った。ヤケになってたのかもょもと達に気がつかなかったみたいだった。
リア「ど、どうしたのかなぁ…シャールさん…?」
もょ「とにかくはいってみよう。」
数分後もょもと達は店に入った。
数分後もょもと達は店に入った。
もょ「こんにちは。」
*「やぁ、いらっしゃい。」
もょ「じょうやくそうを3ついただけませんか?」
*「上薬草?生憎ウチではとりあつかっておらんのぉ。」
もょ「そうですか…」
*「お客さんすまんのぉ。ワシの息子なら作れるんじゃが…」
もょ「シャールさんのことですね?」
*「………………………………………なぜワシの息子を知っているんじゃ?青年。」
もょ「シャールさんがくださったじょうやくそうでわたしをたすけていただいたのです。」
*「そうじゃったのか………」
老人が納得した表情で答えた。
もょ「シャールさんはどこに?」
*「どっか行ってしまったワイ。行き先は見当が附かないんじゃ。」
もょ「そうですか…」
*「しかし青年よ。シャールに何の用事だったのじゃ?」
もょ「ラダトームにいきたいのですが、ていきせんがちゅうしになったので、ふねのことでそうだんしにきました。」
*「そうだったのか…力に馴れなくてすまんのぉ。」
店の奥から女の子が出てきた。
もょ「このこは?」
*「ワシの孫のマリンじゃ。マリン、あいさつしなさい。」
マリン「こ、こんにちわ。」
女の子は元気が無さそうに挨拶した。シャールとじいさんの口論を見て凹んでいるのだろう。
リア「こんにちはマリンちゃん。私はリア。よろしくね!」
マリン「………………………………」
リア「マリンちゃん、お姉さんと一緒に遊ぼうか?」
マリン「う、うん!」
マリンの表情が一瞬だが嬉しそうな表情をした。やはり、リアには人を元気つけさせる力がある。
もょ「かってにしては………」
タケ「行っておいで!気をつけてな!」
リア「ありがとうもょもとさん!マリンちゃん行こう!」
リアとマリンが店から出た。
*「大丈夫ですかの?」
タケ「リアなら大丈夫ですよ。彼女は少しながら呪文も使えます。それに剣術も中々の腕ですよ。」
*「まぁ、青年が言うなら安心じゃの。」
もょ「(いまのはとめたほうがよかったんじゃないのか?)」
タケ「(リアちゃんは自由に伸び伸びさせた方ええで。その方があの娘にとってプラスになるわ。)」
もょ「(こんきょはあるのか?)」
タケ「(サマルと一緒におる時と今と全く表情が違うからな。今の方が生き生きしとるよ。)」
もょ「(う〜ん…そこまではみぬけなかったな。)」
もょ「おじゃましました。」
*「明日またきてくだされ。シャールの事で何か分かったら報告させてもらいますわい。」
もょ「しつれいします。」
俺達は店を出た。
もょ「これからどうする?」
タケ「宿屋で夜を待つ事にするか。まぁ、のんびりしようや。今日は疲れたで。」
もょ「じゃあやどやにいくか。」
タケ「おう。」
Lv.15
HP:91/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:はやぶさ斬り・魔人斬り
タケ専用 :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御
タケ乙!
ルプガナにとうとう着いたか〜。
ここから世界が広がってゆくよな…。
ムーンに照れてるもょカワイスwwともかく乙!
スマン、レッドマン氏だった…。
乙!
再度すまない、リアちゃんだった…。
逝ってくる
レッドマン
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
いなくなったと思ったぞ。とにかく乙!
シャルル・レッドマンGJ!
他の職人さんが戻ってくる起爆剤になろそうだな。
×なろそう
○なりそう
皆さんお疲れ様です
今回はキャラの名前について少し話そうかと…
たいていの名前はラテン語から取ってきています
まずはパトリス。patrisと表記します。ラテン語の父という単語からつけました。
まぁ父というよりは、おじいちゃんなんですけどね…
フィリアはfiliaで、娘という意味です。こっちもパトリスの孫なんですけどね
だいたい語感で決めてしまうのです…
ジュードはjudoで、聖書のユダ(juda)から取りました。ラテン語ではJはYと同じなんですねー
決して裏切る訳ではありませんよw
では真理奈はというと、聖母マリアからです。そのままですね…
でも全然聖母という感じでは無いんだよな〜もっとおしとやかにすれば良かったかな
他のキャラはまた今度って事で。
では
>>148の続きです
――――――――――――――――――――6――――――――――――――――――――
明朝、町の大広場の中心にフィリアは立っていた。
霧が薄っすらと立ち込める中、ブルーを抱え、じっとしている。
朝の散歩を楽しむ人に時々おはようと声をかけられ、ブルーがそれに答える以外は静かなものだ。
散歩人は反応したのがフィリアでなくスライムだったという事に驚き、いぶかしげに去っていく。
フィリアはほとんど喋らない。
真理奈達が挨拶してもチラリと目を合わせただけで終わってしまう。
でもそれは言葉ではない、フィリア特有の表現方法なのかもしれない。
「フィリアちゃん、やっぱいない?」
プレナが霧の中から現れ、フィリアに駆け寄りながら確認する。
フィリアはふるふると首を横にして左右に揺らして肯定した。
「はぁ……どこ行っちゃったんだろ」
「さぁな、もうほっといて出発しよーぜ。時間の無駄だ」
ジュードがプレナの後ろから近づいて来る。心底呆れたといった感じで冷たい言葉を放つ。
「仕方ないの……真理奈は事が済んでから探すとしよう」
パトリスもそれに合流する。
昨日の夜、兵士長を探しにいった真理奈はそのまま帰って来なかった。
朝になっても戻らないので、もう一回探してからエジンベアに出発する事になったのだ。
その問題を考えると、携帯があるというのは何と便利な事なのか、改めて理解されるだろう。
待ち合わせや、動向の確認がすぐにできるのだから。
この世界にもそのような呪文があれば良かったのだが、今は仮定の話をしても仕方が無い。
「とりあえず出発する事にしましょう。真理奈は弱い人ではありません」
ジュードの怒り。フィリアの疑問。パトリスの妥協。プレナの不安。
それぞれのモヤモヤがこの霧に表れている様だった。
パトリスがルーラを唱えようとした時、霧がさぁーっと動き、不意に視界が晴れる。
陽が差し込み、4人は目を伏せる。
まぶたをゆっくりと持ち上げると、広場を大勢の兵士が埋め尽くしているのが見えた。
しかし突然の出来事というのは理解するのに時間がかかるものだ。
「何だ、貴様らか」
兵士長が相変わらずの無表情でそこにいた。
(真理奈〜今日遊んで帰ろうよ〜歌わないとやってらんないよ〜)
「そうだね〜ストレス発散しよーぜ!」
…………
(あ、真理奈先パイ! もう帰るんですか? 今度デートしましょうよw)
「お〜おごってくれるならいいよw」
………
(能登、ウチの部に入ってくれよ。お前なら全国狙えるぞ)
「またその話ですか先生〜助っ人くらいならいいですよ」
……
(……真理奈 …起きて ……遅刻するよ?
………ったく……
起きろっつってんだろー!!)
「!!」
急に頭が回転しだす。が、そういう時は霧が晴れた時と同じ様なものだ。
赤い絨毯。右腕を下にして寝そべっている自分。動かない手足。
少しずつ理解していく、一種の防衛本能。
(あれ…? どうしたんだっけ…? 確か……)
「気が付いたかな?」
突然の声に驚く。その声は背後から聞こえてくる。
「誰?!」
「手荒な事をしてすまないな。けれど……ふふ、仕方ないんだよ」
絨毯を擦る音が聞こえる。声の主が近づいてくる。
それから逃げようとするが、体に力が入らない。
「まだ動けないはずだ。キャビンの腕はワシが認めている」
足音が耳元で止まる。
(キャビン! そうだ! 私――!)
「久し振りだな。会いたかったぞ」
そう言って後ろから顔を覗き込んでくる。この顔は……エジンベア王だ。
「お前っ!」
「おっと。女はそんな口を利くもんじゃないぞ。…くそっ、これでは待つのではなかった」
「どういう事だよっ! 早く動けるようにしろ!」
「まだ動けない、と言ったはずだ」
「み、皆は?」
「クク……もう殺されている頃じゃないか?」
「何だお前ら! 特にお前!」
ジュードが兵士長に吠える。
「我らの邪魔をしてもらっては困るのだよ」
そう言って兵士長は片手を振り上げる。それを合図に兵士達が解散しようとする。
「むっ! ボミオス!」
すかさずパトリスが兵士達の動きを止める。対象の素早さを限りなくゼロにする魔法だ。
「ふん…ピオリム!」
兵士長が真逆の魔法を唱え、パトリスの魔法の威力を相殺させてしまう。
「なんと?!」
動き始めた兵士達に今度はボミオスをかけ続けて全ての兵士の足を完全に止める。
「…邪魔をするなと言ったはずだが?」
「いきなり言われて、はいそーですかってなる訳ねーだろ。 …お前の目的は何なんだ?」
「ふん、まぁいい。貴様らから始末すればいいだけの話だ」
そう静かに言い放ち、兵士長はいきなり4人の方へ走り出した。
「!! こやつにボミオスは効いておらんぞ!」
走りながら剣を抜く兵士長。その刃がパトリスに届く直前にジュードが同じく剣で受け止める。
が、わずかに兵士長の方が力が強いようだ。ジリジリと押されていく。
ジュードに焦りの色が見える。しかし少しでも力を抜けばやられてしまう。
「ぐはっ!」
その時、ジュードと兵士長の競り合いの後ろから、フィリアの兵士長への攻撃が決まる。
ジュードはすかざず兵士長のヘソの辺りに蹴りを入れ、突き飛ばして距離を取る。
「サンキューフィリア……」
フィリアはジュードをじっと見つめる。しっかりしろ、と言いたいのかな…?
(分かってるよ……だけど、コイツ、強ぇ)
「先ほどの質問に答えていただきましょう。あなた達は何をしに来たのですか?」
戦いの間を使い、プレナが問いかける。兵士長は剣を杖代わりにし、立ち上がった。
「ふん、貴様らに言う必要はない」
「そういう訳にはいきません。私はこの町の責任者です」
ずいっとジュードの前に進み出て、その立場を示す。
「…なるほどな。では教えてやろうか。この町がどうして潰されるかを、な」
「なっ! 何でだよ!」
「最初から交渉など必要なかったのだ。必要なのはあの大陸へと渡る足だ。
足さえあれば後は町を潰すのみよ」
(な…何言ってんの?)
自前の論理を前提に話をされると、何を言いたいのかすぐには理解できないものだ。
しかし王はそれをする。基本的に傲慢なのだ。
「あの町は使える。あの物流をこの手にすれば世界中のアイテムは私の物だ。
そこへイエローオーブの話が舞い込んだ。お前達の事だ」
横たわる真理奈の側にしゃがみ込み、ニヤニヤと笑いながら機械的に事の次第を話し続ける。
王の間でだ。普通ならば到底有り得ない状況だが、それを咎める家臣はいない。
真理奈と王の2人きり…
「あの時お前が荷物からオーブを取り出した。という事はその中にはイエローオーブ
以外のオーブが入っているに違いないと感じた。事実そうじゃったからな」
王は真理奈に皮の袋を見せる。オーブが入れてあった袋だ。
「あっ! 泥棒するなよ!」
「泥棒ではない。これは収集だよ」
真理奈のツンツンした声色とは対照的に、王はその口調を崩さない。
「戦争もその為だ。植民地などにはしない。
我が国が支配する土地は、我が国民が住むべきだからだ。
だから、彼らは皆殺しだ」
「――!!」
「理解したかね?」
「そ…そんな事理解できる訳ないでしょ!! 何考えてるのよ!」
「何も考える必要は無い。貴様らは我が国の為にいなくなればいいのだ」
「――!!」
言葉には力がある。だからこそ、それは時に暴力として表現される。
相手の反論を許さず、ただその言葉を受け入れろ、とでも言いたげな兵士長の表情に
プレナは声を詰まらせる。
この人は怖い、と。
「だから、死ね」
兵士長が剣を構え、再びこちらに駆けて来る。
「くそっ!」
「ダメー!!」
それに合わせて駆けようとしたジュードの右腕をプレナが掴み、自分の方へ強引に引き寄せた。
「いっ?!」
上半身が後ろに引っ張られ、足は前に進もうとしたため、仰け反る格好になる。
ジュードが予期せぬ出来事に体勢を崩したところに、兵士長の剣が振り下ろされた。
ジュードはとっさに左腕に装備している盾でそれを受け流し、
プレナに腕を取られたまま体を捻り、兵士長の頭にハイキックを決める。
金属のぶつかり合う音が不快に響く。
フラつく兵士長に、今度はプレナを引き剥がしたジュードが襲い掛かる。
しかしそれもプレナのジュードへの体当たりで、攻撃が阻止される。
「邪魔だ! 何で敵を助ける!」
ジュードはそう怒鳴りながらプレナを突き飛ばし、後ろへ向き直って兵士長と相対する。
レンガの敷き詰められた地面へと投げ出されたプレナは、
そのままの体勢で荷物からまだらクモ糸を取り出し、2人へ投げつけ、
再び剣を交えようとした2人の動きを封じた。
「何なんだよっ!」
「それはこっちのセリフよ! どうしてすぐに戦おうとするの?
それじゃあモンスターと変わらないわ!」
雲が太陽を遮り、広場を暗くしていく……
「馬鹿じゃないの! それだけの為に人を殺すなんて!!」
しかし真理奈の世界の歴史は、そのようにして成り立ってきた一面がある。
そこまで思いが至らないのは、
真理奈が勉強不足だからなのか、勉強が本当の教育となっていないからなのか。
しかし思い至ったとしても、真理奈が発する言葉は同じだっただろう。
「これからは魔王の時代ではない。モンスターでもルビスでもない。
我らの時代よ。いつかはその事に世界が気付くじゃろうよ」
「そんなの絶対におかしい!」
「何とでも言いたまえ。
……少々お喋りが過ぎたようだ。王としてのクセだよ、これは」
王は恐るべき内容を淡々と、ただ淡々と語った。
真理奈もプレナと同様に恐怖を覚える。
「では本題に入ろうか。なぜお前がここに連れて来られたのか」
「???」
「オーブを手に入れるためだけの目的でお前自身をここに連れてくる理由などないだろう?
しかも毒まで使って身動きできないようにしてまで、だ」
「……! まさか!!」
「その通りだよ」
真理奈に手を伸ばす王。ニヤニヤは崩さない。
それどころか、ますます醜悪になっていく様に真理奈は感じた。
まず、肩に手をかけ、横たわっている真理奈を仰向けにする。
「ちょっ! 止めてよ!!」
そして王は真理奈のブラウスのボタンを外そうと、胸元に手を持っていく。
(マジ……?! 体! 動けっ!!)
しかし真理奈の体は、辛うじて手先が動くくらいにしか回復していなかった。
「死ねっ! 変態!!」
「女がそんな口を利いてはならんと言ったであろうが。黙ってろ!」
ボタンを少しずつ外していく王。 あぁ…真理奈の胸が……
「やめろって言ってるだろ!!」
「…ハァハァ……」
「くっ……イヤー!!」
「ふふ… いい! イイぞっ!! この肌触り! シャープなライン! 素晴らしい!!
この服はどこで手に入れたのだ?!」
「やめっ…………え?」
…………は?
「そしてこのスカートの色! 素材! こんな服見た事が無い! は、早くこれを私の物にっ!」
「服かよっ!!」
今日はここまで…
ちょwwwwwwwwww暇さんwwwwwwwwww
王様は制服フェチかよwwwwwwwwww
とりあえず つ囲
シャルル・レッドマンが投下したお陰で良い流れになりそうだ。
職人さん達乙です!
制服オチおkwwwww
> 服かよっ!!
クソワラタ
全然笑えない。お前らご機嫌取り乙
お前らもよく見とけよ。
よかったじゃないですか。265のせいに出来て。
生265様の生レスを拝見してもよろしいでしょうか?
>>267 意味がわからないのは私だけ?
とにかく続ききぼーんぬ
がんがれ職人さん
IDって日にちがたつと変わるからNG入れてもその日の内しか意味なさげ
同意
ID変わってqあwせdrftgyふじこlp
DQ4の作品、面白かったっす!
保管庫の魔でしか読んでないんだけど、過去ログには続き載ってますか?
276 :
274:2006/07/12(水) 21:20:52 ID:s8ekCcfm0
保守
278 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/14(金) 21:02:54 ID:P+CPpAjnO
あげ保守
保守
ほす
保守祭りにするぐらいなら一発ネタでも書くべきかな
ふとんがふっとんだ
スライムがスライムを買ってきた
>>283 マジレスすると、6の空飛ぶベッドは、まさにそれ状態。
布団でもベッドでも、寝床には変わらん。
ちょっと書いてみたので投下してみます。
01
強い衝撃を感じ、俺の意識は急速に覚醒した。
目覚めればそこは薄暗い建物の中だった。地下室か何かだろうか?
ひんやりとした石造りの壁で、端っこの方に壷や樽が置いてあるほかには何も無い。
そして目の前には何かごっついおっさんが変な格好をして木剣を片手に仁王立ちしている。
「どうした、もう降参か?」
何を言っているのだろう?さっぱり意味プーだ。
とりあえず今だ少しぼやけている頭を振ると、跳ね起きる。
何時の間にか俺の手にもおっさんの物と同じ木剣が握られている。
「ほう、どうやらまだ気力はあるようだな。だが、今日のところはここまでだ」
いや、意味わかんないから。
おっさんは、状況を整理しようと必死になっている俺には全く頓着せず、
呼び止める間もなくさっさと行ってしまった。
ええと……一体何をどうしろと?
いきなり放置プレイを喰らって呆然としていると、次第に体が痛み出してきた。
どうやら大分痛めつけられているらしい。
ふむ。情報が足りなすぎるが、とにかく俺の天才的頭脳で以って予測演算してみるに、つまりこれは――
痛めつけられた。
↓
ここは地下室。
↓
俺は虜囚の身。
↓
拉致監禁+秘密の特訓。
↓
組織最強の暗殺者として育てられている!!
…………な、なんですとーー!?
ま、まずい。いつの間に拉致られたのかは全然覚えていないが、おそらく薬でも盛られたのだろう。
きっとこのまま行くと、泣いたり笑ったり出来なくなるんだ。飛べない豚は唯の豚なんだー!
逃げなければ!
自由をこの手に掴む為に!!
地下室から地上へ上る階段を見つけると、一段一段慎重に上り、外へ出る。
そして周囲への索敵を怠らずにゆっくり歩く。と。
『勇者様、勇者様!』
ぬあ!?この俺が全く気配が感じられなかっただと!?
慌てて振り返ると、川辺に一匹のカエルがいた。
カエルが喋っている……!?
……ちょっと待て、落ち着け。
よく考えたらよく考えるまでも無くさっきから何かがおかしい。あまりにも脈絡が無さ過ぎる。
冷静になって状況をよく見渡すんだ。つまりこれは――
――ああ、なんだ。これは夢だ!!
夢ならばそんなにむきになって構える必要は無い。
『私は実はとある国のお姫様で――って、ちょっとユーリル!?』
俺はカエルを引っ掴むと、どうするかしばし思案に暮れる。
爆竹は無いし、夢とはいえ流石にそれは可哀想だ。
ストローも無いが、まあいいか。夢だし。
俺は大きく息を吸い込むと、カエルのケツに吹き込んだ。
『きゃあああああ!?』
大きく腹を膨らませたカエルを天高く放り投げると、中空でジェット噴射の如く加速し、
彼方へと飛んでいった。HAHAHAHAHAHA…………。
「空しい……」
わかってはいるのだ。
これは現実。多分原因は、あれだ。
俺が自宅の研究室で空間跳躍の研究実験をしてたことだろう。
あれが成功して実用化されれば、ちょっとシャレにならないくらい世界の有り様は変わっていったろうに。
あの時片方のカプセルに実験用の物体Xと共に愛猫ニトロが入り込んでしまった為、
つい慌てて俺までカプセルに飛び込んでしまい、さらにふとした弾みで最終スイッチまで入ってしまったのだ。
あの時は最悪、ネコ人間として生まれ変わってしまうのではないかとちょっとドキドキしていたりもしたのだが、
やはりそんな足して引いてない結果が出る筈も無く、何かこの俺の天才的頭脳をもってしても意味プーな
状況に陥ってしまったというわけでR。
う〜む、やはりまだ実験が手探りの段階だからって、転移用の物体に嘘か真か北極で発見されたという、
あらゆる解析を受け付けない謎の巨大生物の体細胞など用いたのが拙かったのだろうか?
「まぁ、とりあえずそれは置いといて」
すぐ傍を流れる川の面を覗く。
何か俺の世界じゃ天然では絶対ありえない緑色の髪がサラサラと微風に揺れている。
うむ。男の俺から見ても美男子だな。とかそれはどうでも良く、
カエルが喋ったり人間の風貌が人間離れしていたり、やはりこれは良く考えるまでも無く。
「世界越えちゃいましたー、HAHAHAHAHA……」
やはり空しい……。
拉致監禁でなかったのは幸いだが、俺自身の状況としては大差ない。
「さ〜て、どうしたものかな……」
と。
殺気を感じた。
振り返ると、そこには何か耳がとんがってて、さらにピンク色という俺以上にありえない色の
髪を持った美少女がいた。土や草にまみれてはいるが、この美少女っぷりはちとシャレにならない。
もちろん俺も引き篭もりがちな科学者とはいえ一人前の男な訳で綺麗な女の子に興味が無いわけも無く、
こんな状況でもなければ挨拶の一つもかけて、分化系硬派な生活にささやかな潤いを得たりもするのだが。
それはともかく。
――何で、彼女はあんなに怒っているのでせう?
控えめに言っても、キレてます。
知っている。アレは快楽殺人者の目だ。
知り合いの科学者やってる女が未知の触媒や実験動物に出会ったときにも似た、
見るからにおぞましい狂気の光が瞳にぎらぎらと宿っている。
『コロサレル』
と思考した時には彼女の姿は既に視界から霞み、同時――衝撃、が。
顎を、手か足で跳ね飛ばされたと認識する前にさらに打たれる。打たれる。打たれる。
水月金的人中胸尖村雨壇中鳥兎向骨――
美少女の華奢な拳は人体の前面に存在する急所という急所を的確に打ち抜き、
それと同時、俺の命も削り取っていく。
段々と痛みが薄れ――
「落ち着けシンシア!」「ひぃ、何だこの赤いの!まさかユー……」「離して、離してー!!」
――闇の中、黄金の光に包まれた、巨大な何者かの姿の影を垣間見ると同時――
「一体何があったんだ!!」「おい、じいさんはまだか!」「ユーリルを殺して私も死ぬ、死ぬのーー!!」
――俺の意識はホワイトアウトした。
目覚めるとやはり知らない天井だった。
先の地下室とは違い、ごく普通の木造家屋のようだ。
意識を取り戻す以前のことはあまりよく覚えていない。
とりあえず神の領域に到達しかけたことだけは覚えているのだが。
寝てても仕方が無いので痛む体に鞭打って寝かされていたベッドから何とか身を起こそうとすると、
何かオバハンがやってきた。
「体はもう大丈夫?」
「え、あ、はい。何とか」
察するにこの人があの桃色の暴風から命を救ってくれたのだろう。
この人とこの体の持ち主との関係は不明だが、先に外を見渡した限りでは、
ここは本当に、小さな村というか集落という感じだった。恐らく村人全員が知り合いなのだろう。
「一体何があったの、ユーリル?あの温厚なシンシアがあそこまで我をなくすなんて……」
問いかけには心からの気遣いが感じられる。きっとかなり近しい人物なのだろう。親子だろうか。
だがその割にはあまりにも容姿が似ていない。父親似とかそう言う次元ではなく、
何というか黄色人種と白色人種くらい違う。
ともあれ、俺が気にすることでもない。何か複雑な事情でもあるのだろう。
それよりあのピンクの殺戮者、シンシアというのか。本気で、あれはいったいなんだったのだろうか。
このオバハンは温厚とか訳のわからないことを口走っているが、アレを温厚と呼んでいいのなら、
この世の全ての事象を愛という言葉で解決しても許されると思う。
まぁ恐らく、俺が乗り移る前にこの体の持ち主、ユーリルがあの娘に酷いセクハラでもしたのだろう。
顔に似合わずスケベなヤツだ。
少々納得はいかないが、今後のためにも、折を見て謝っておいたほうがいいかも知れん。
夕食の材料を取りに行ったオバハン(後に母親と判明)の話によると、どうやら俺は丸一日気絶していたらしい。
昨日地下室から上がってきた時点で夕暮れ時だったので今もそのくらいの時間なのだろう。
ベッド脇のハメコミ式の窓を覗けば既に逢魔ヶ時。何か気持ち悪いくらいに真っ赤な夕焼け空が見える。
「う〜ん、まるで燃えているかのようですなぁ。何か焦げ臭いし、外で騒ぎ声が悲鳴が喧しいし……。
…………………………………………て言うか、燃えてますなぁ」
な ん で す と ! !
呆然としているとヒゲのおっさんが家に飛び込んできた。
「ユーリル!まだこんな所にいたのか!」
「ああ何が何やら急展開が大安売りで意味不明の大ピンチと考えられる状況はどうすると思われるのが
一番でしょうか――!?」
「とうとうこの日が来てしまった……さあ、私について来なさい」
シャレにならない空気を感じ、流石に混乱している俺をヒゲ(後に父親と判明)は軽くスルーし、
燃え盛る村を突っ切って、俺をあの地下室へと引きずっていった。
その後ヒゲは何か勇者とか魔物とか、情報が全く足りてない異邦人の俺にとっては正直、
毒電波にしか聞こえない戯言を垂れ流し、俺を地下室に閉じ込めて頑丈な扉に鍵を掛け、また出て行った。
「いや……だからどうしろと……」
しばらく上から聞こえてくる爆発音やら絶叫やらをBGMにこれからの行動を何とか模索しようとしていると、
新たな人影が階段を下りてきた。
それは――ヒィィ!!ピンクの殺戮者だった!!!!!ピンクは扉を開け、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
……騒ぎに乗じてこの俺を抹殺しに来たのか――!?
「ユーリル……私、お別れを言いに来たの……」
や は り か ! !
ピンクが何やらぶつぶつとつぶやくと、何とピンクの姿が緑色の髪をした美少年へと変化してゆく。
って、俺やん!!
落ち着け。カエルが喋るくらいなんだ。そんな魔法じみた技術があってもおかしくない。落ち着いて考えるんだ!
……そうか!さては俺を亡き者にしたあと俺になりすまし、完全犯罪を達成するつもりか!!
元ピンクの偽俺が後ろを振り返る。――今しかない!!!!!
「今まで楽しかったわユーリル……。さようなガフッ!!」
バイト先の先輩直伝、上段回し蹴り。
十二分に遠心力を効かせた俺の左足刀は、油断していたのか隙だらけだった偽俺の延髄を確実に刈り取った。
一瞬で崩れ落ちる偽俺。だがいつ目覚めるかわからないので油断は出来ない。
すぐさま部屋から出て、扉を閉めて鍵を掛ける。よし、これでとりあえずは大丈夫な筈だ。
上ではまだ騒動が続いているようだが、少なくともここよりは安全であろう。
いざ行かん、愛と自由と平和を求めて!!
HP:10
MP:120
装備:E旅人の服
だめー!
行っちゃだめー!ww
テラワロス
この新職人の続き期待wwww
勇者バロスww
HPのわりにMPが多いなw
期待してるwwww
MPが多いのはアレか、学者だからかwwww
何故シンシアがカエルに??って思ったが、
もしやと思って検索してみたらリメイク版で追加されてたシーンなのな。
シンシアのアナルに息を吹き込む………
これ何てエロゲ?
なんてイカス勇者だwwww
激しく続きが気になるな、頼むからここで辞めないで頂きたい。
激しく続きが気にならないな頼むからここで辞めて頂きたい。
ども〜
今回もキャラの名前について少し解説を……
レキウス、アリアハンの王様ですね。rex【王】という単語の変化です
ロマリア王ストゥルーストはstultus【愚か者】という意味から来ています。親馬鹿って事で…
フィリー(ロマリア王子)は【息子】filiusの変化 フィリアが娘なので名前が似ているんですね
プエラ(イシスの姫)はpuellaで【少女】 また出番があるかな〜?
ナヴィアス(ポルトガ王)は【船】 アルドゥス(エジンベア王)はArduus【高い】
キャビンは【熱烈な愛国者】 ゲノは【民族】 マヌ爺さんは【手】
そしてプレナは【たくさん持った】plenusの変化です。
ほとんどそのままの意味でつけてますね(苦笑)
一応タイトルを聖書関連でつけているので、ラテン語を使っている訳です。
ではでは
>>260の続きをどうぞ〜
――――――――――――――――――――7――――――――――――――――――――
「プレナ! たすけに きたよ!」
その声は思わぬ方向から飛んできた。
プレナ達が振り返ると大勢の男達が広場に集まって来ているところだった。
その集団はこの町の住民だけでなく、スー民族の若者も交じっていた。
それぞれ武器を手にし、いつでも戦闘可能な状態……
「皆……? どうして??」
「そこのおとこが きのうむらにきた!
プレナのまちつぶして スーもつぶすといった!
ていこうするなら あしたひろばにこい ともいった。
だからきたんだよ!」
話を聞いたプレナは思わず兵士長に怒鳴りそうになる。
が、拳をギュッと握る事でその怒りをどうにか押さえつける。
ここで我を忘れてしまっては全てが台無しになるだろう。
「皆、ありがとう。でも聞いて。
大丈夫。
私達の町は潰れたりしないわ。
だから皆落ち着いて。武器を置いて」
まだ武器を堅く握りしめているのを見ると、その言葉の全てを信じている訳ではないようだが、
興奮していた男達がプレナの言葉で飛び出すのを止めた。
プレナがいかに影響力を持っているかが分かる。
そしてプレナは再び兵士長に向かって話しかける。
「王の私欲の為だけに働くなんて間違ってるわ。
しかもその為に人を殺すなんて……
人はもっと違うものの為に働くのよ。
あなただって少しはこの町を見たでしょう?
彼らは自分の隣の人の為に働いているわ。
それが時に自分の家族であったり、お客さんであったりするだけよ。
そして自分自身も誰かの隣の人になる事もある。
だから誰かに優しくできるのよ。
そういう風にしてこの町は回っているの。
だからここまで大きくなれた。
もし私の思うままに造ろうとしていたら、どんなに発展していても悲しい結果になったでしょうね。
自分達の幸せより支配者の幸せだけを考えないといけないのだから……
……あなた達、この町を滅ぼしに来たと言ったわね。
でも暴力以外で解決する方法、私はあると思う。
だってあなた達の国に私達の町の隣じゃない。
私達はあなた達を拒まないわ。
お互いに手を繋ぎましょう?
そうすればいつかきっと良い結果がでるわ」
この話をエジンベア王にしたかったのか、とっさに考えたのかは分からない。
けれど、少なくとも聞く者の心に打つものが確かにあった。
ただ一人を除いて。
「ククク……そんな話に俺が感動して手を差し出すと思ったのか?」
「――!!」
「差し出すのはこの剣のみよ!!」
その瞬間、兵士長の足元から風が吹き出し、頭上へと舞い上がった。
バギの風だ。それはまだらクモ糸を切り刻み、空に吹き飛ばす。時間にして一秒程度。
風が止んだと同時に、体が自由になった兵士長が動き出した。
「フィリアっ!」 「!!」
その声を合図にジュードの体も風に包まれる。
しかし、一瞬、遅い。
風が止む時、そしてジュードが動けるようになったその時、兵士長は剣を刺し出した。
ズッ!!
文字にすれば、そんな感じ。しかし、実際にはそんな音が聞こえる訳ではない。
突かれた勢いで体がくの字に曲がる。
ズシュッ……!
肉に埋まった剣を抜く兵士長。今度はその剣に引っ張られ、一・二歩前に歩く。
「あっ」
小さく声が漏れる。無意識に傷口を手で塞ぐ。
温かい。血が手の平を撫でていく。
体中の血液がそこから抜け出そうとしているんじゃないか、という感覚に陥る。
「これが答えだ」
良く砥がれた刃が左肩から右腰に向かって流れる。
肩にかかっていた髪がその剣筋に沿ってキレイに切り揃えられる。
そして返り血の雨が降った。
足の力が抜け、膝を折り、プレナの体がゆっくりと倒れる。
兵士長の剣から飛び散ったプレナの血が左目に当たり、ジュードは反射的に目をつぶる。
プレナが切られたのは自分のせいだとジュードは思った。
一度目の突きは、もっと早く動けるようにしておけば十分対処できた。
そして二度目の斬撃。ただ、傍観してしまった。
確かに兵士長とジュードの戦いの間に割り込んで来たのはプレナ自身だ。
しかしそれには納得がいかない。
プレナは避けようとしなかったからだ。
(くそっ……! 何なんだよ……! 何でそんなに……)
今までこんなに変なヤツに会った事は無かった。
敵も味方も傷つかないなんて事は有り得ないのに、プレナはそれをしようとした。
ジュードにその考えは理解できない。
しかし、こうも思う。
(……気に入らないが、お前の言う通りにしてやろう)
と。
目を開き、兵士長をしっかりと睨みつける。
ジュードの目元から、プレナの血の涙が頬へと流れていった。
「「「「プレナ〜!!」」」」
その場に集まった町の男共とスー民族達はプレナに起きた出来事を理解すると、
口々にその名を叫び、敵に襲い掛かろうと一斉に走り出した。
ジュードが既に兵士長と打ち合っているのもきっかけになったのだろう。
「ボミオス!」
パトリスはその場にいる全員に再び呪文をかける。
敵・味方含めて300とも500ともつかない人数に呪文をかけるのは容易ではない。
しかし、やらなければ犠牲者が出る。
それだけは避けたい。
そこでパトリスはもう一つ呪文を唱える。
「スクルト!」
これでもし、誰かの呪文が切れて相手に飛び掛ろうとしても、ダメージを与える事はできないだろう。
こうする事でパトリスはパトリスなりにプレナの意志を尊重したのだ。
これで当面誰も傷つく事はない。
パトリスのMPが切れるまでは……
しかし、ジュードと兵士長。
この2人にはボミオスもスクルトも効かなかったようだ。
つまりこの決着は、ジュードと兵士長に委ねられたのだ。
商人の町は奇妙に静かだった。
全ての人々が広場の中央で繰り広げられているたった2人の戦いに目を注ぎ、
固唾を飲んで見守っていた。
今や2人の戦いは国同士の戦いと同義だった。
しかしこれを戦争と呼ぶのなら、それは何と効率的で、犠牲の少なく、あっけないものだろうか。
ギンッ!!
……ズサッ……
ザシュッ……!!
打ち合いの中、ジュードはとても冷静な自分に気付いた。
兵士長の攻撃も、自分の体の動きも、そして自分の心の中までも……
だからだろうか。ジュードは疑問を持つ。
自分を殺そうとする者に対して。
「お前、何の為に戦ってるんだ?」
「国の為! 王の為よ!!」
兵士長の剣がジュードの左腕を斬り付ける。
これで盾は使えなくなった。
しかしジュードも兵士長の足を傷つける。
「本当にそんなモンの為に戦ってるのか?」
「貴様もあの女と同じ事を?」
「……まぁ全部は守れそうにないけどな」
「くだらんな……」
支援
2人の間に距離が出来る。
その隙に兵士長は足に手をかざし、何かをつぶやいた。
血の噴出が止まり、傷が癒える。
「……そうか、あんた転職したんだな?」
「あぁ、国の為、王の為にな」
「もう聞き飽きたよ」
「しかし、それが真実だ!」
「そのまま祈っていればよかったのに」
「神などいらぬ! 想像の産物に祈って何になる!!」
「あぁ、なるほど。同感」
「だから俺は真に俺を助けてくれたものの為に戦う!」
ガキンッ!! ガキンッ!!!
再三の仕切り直し。回復していないジュードの方がより不利。
受けるので精一杯。
しかしそれは最初から分かっている事。
レベルが違う。
けれど、負けられない。
「あんたによく似たヤツを俺は知っている。けどあんたとは大分違うな」
「我が主の為に死ね!」
「……俺自身は特に誰かを守りたいとも思わない。
そんな事して強くなれるのか……?
けど、今だけは、そうさせてもらう」
それまで受け身だったジュードが上段に構え、兵士長に突っ込む。
と、ピカッと剣が光り、兵士長の目を瞑らせる。
それは太陽の光の反射か、それとも……
(――!! このままでは……)
兵士長は暗闇の中でジュードの剣を受けようと無意識に剣を顔の前にかざす。
ジュードはそれに構わず、剣を振り下ろす。
ス――ッ……
刃が交差したところから、剣が剣に切られる。
防御を打ち破った剣は続いて、鎧の左肩から右腰を切り裂いていった。
ジュードは突っ込んだその勢いで兵士長の左へ体を流す。
左足で着地。そして一歩進み、そのまま逆時計回りに体を回す。
兵士長の背後に回ったジュードは遠心力を使い、
兵士長の鎧の背後部分、右腰から左肩へと剣を走らせた。
自身の重みに耐えられなくなった鎧が、兵士長の体からガランガランと滑り落ちる。
そして兵士長も膝から崩れる。
その体には傷一つ付いていなかった。
しかしこれで兵士長は戦えない。
「あんたより、あいつの方が強かったぜ」
――――――――――――――――――――8――――――――――――――――――――
「アルドゥス王!! あっ……」
城のどこかに待機していた兵士だろうか。ひどく慌てた様子で入って来た。
もっとも入って来るなり王の見てはいけない行為を見てしまい、余計に慌ててしまう。
「……どうした?」
一度高まった気分に水を差され、明らかに不機嫌なのが見てとれる。
しかし、普通なら動揺しそうなもんだが…
「は、はい! し、侵入者が――」
そこで言葉が途切れる。
真理奈からは部屋の入り口は死角なので事態の推移を見る事が出来ないが、
王の体がビクリを反応した事で、何かがあった事だけは悟る。
では王は何を見たのだろうか。
それは炎に包まれ、一瞬にして炭と化した兵士の姿だった。
ただの黒と成り下がった兵士が倒れ、絨毯に触れた部分からさぁーっと人の形が崩れていった。
「やぁ、エジンベア王。久し振りだね」
人であったものを踏みつけ、新たな人間が入ってくる。
王から見れば、まだ若い。青年。
「だ、誰じゃお前は!」
間の抜けた質問。 兵士は侵入者が、と言ったではないか。
そしてその兵士を殺したのは後ろから入ってきたこの青年に間違いがない。
とすれば、この少年が侵入者であろう。
まぁ王が期待したのはそのような答えではないだろうが…
「ふん…下の者を働かせて、自分はお楽しみタイムって訳ですか」
青年は2人を一瞥して笑う。
そして右手をかざして――
「イオ」
呪文を唱えた。
爆発は2人の手前で起こり、彼らを引き離すかのように吹き飛ばした。
「ぐはっ!!」 「いったぁ〜!!」
王は部屋の横壁に叩きつけられ、真理奈は王座の側に転がった。
(何なんだよー、一体……)
未だに侵入者の姿は確認できない。
目を開けると目の前には自分のバッグが横たわっていた。
(や、薬草!じゃないか… 毒消し草…あるっけ?
草臭くなるからいつもいらないって言っちゃうんだけど……)
震える手を伸ばす。 幸いな事に腕までは何とか動かせるようになったようだ。
力も徐々に戻り始めている。
真理奈はバッグの中に入っているもう一つの皮袋を取り出す。
匂いがイヤできつく縛っておいたのが仇となった。なかなか解けない。
が、絶対に無理ではなかった。確実に真理奈の中の毒の効果は薄れている。
何とか結び目を解き、中身を見る。
(あった! ラッキー!! おじいちゃんサンキュー!!)
渡された時は閉口したものだが、今は喜んで口を開いて食べるしかない。
「どこの世界でもやる事は一緒か。まいったな」
本当に困ったとは思えない明るい口調で青年がつぶやく。
「ま、人が作り出す社会なんてそんなものか」
一人で納得した後、青年は王の所へ静かに足を進める。
「お…お前は……」
息も絶え絶えに王は繰り返す。
「あなたもよく知っている者ですよ。会った事はありませんがね」
しかし彼は"久し振りだ"と言ったはずだ。一体……?
「では自己紹介しましょう。僕の名前はゾーマです」
さて、取り合えずここまで〜
>>262-264 &
>>313、そして読んでくれてる方みんなありがとうございます〜
前回の制服オチが好評だったようで、嬉しい限りですw
楽しんでもらえるよう、また頑張ります
そして新人さんにはじめまして&wktkしつつ、今日はこの辺で退散します
ではでは〜ノシ
暇さん乙!
リアルタイムで読ませていただきました。
ワッフルの結末がこうなるとは思わなかったorz
乙乙乙乙乙乙乙乙乙!
02
俺が地下室から飛び出すと、何か村はすっかり炎に包まれていました。
目に見える範囲では爺さんやらユーリルのお袋さんやらが円陣を組んで何やらぶつぶつと
念仏みたいなのをつぶやいており、時々どういう原理か光ったり燃えたり凍ったり爆発したりしている。
さらに遠くの方からは、金属がぶつかり合う音や、人や獣の雄叫びみたいなのが
ひっきりなしに聴こえてくる。
「何、やってんだ、こいつら…………?」
何かの前衛的な宗教儀式だろうか?とにかく必死の気迫という奴は確実に伝わってくる。
ちょっと関わりたくないけど、あのピンクの殺戮者よりはマシだと思いたい。
俺はぶつぶつと必死に念仏ぶっこいてる爺さんに近付いて話し掛けようとしたが、
それより先に爺さんが気付いて、思いつめた、どこか後ろめたさを感じさせる顔で話し掛けてきた。
「!!……シンシア、か。すまぬ、お主には残酷な役回りをさせてしまったのう……」
――――――――――――――――――――――――――――――――は?
何を、言っている、この老人は?
シンシアというのは、俺を抹殺しようとしたあのピンクの殺戮者の名前だった筈だ。
……決して、燃え盛る村の熱気のせいというだけではない、冷たい汗が背筋を伝う。
シンシア――ピンクは俺を殺した後で、変な技で俺になりすまし、
俺という存在を闇に葬り去るつもりだったはずだ。
なぜ、こいつがピンクの計画を知っている……?
……考えるまでも無い。
村中がグルだったのだ。
小さな村であり、周囲は森に囲まれて交流はほとんど無さそうだ。
村中の人間が口裏を合わせれば人一人の死ぐらい、簡単に無かったことに出来るのだろう。
……ユーリルという少年が、この村においてどのような存在だったのかは知らない。
或は両親や村中から、最初からいなかった事にされるほどに
徹底的に処刑される程の罪を犯したのかもしれない。
――だが、そんなものはこの俺には何の関係も無い!
俺は生きる!
例え違う人間としてでも、こんな所で訳もわからずに殺されてたまるか!!
「……っ!!」
俺は走った。脇目も振らずに、つっ走った。
「バカな!突っ込むつもりか!?」「まさかおとりになるつもり!?」「待て、幾ら何でも一人じゃ無茶だ!」
何か後方から叫び声が聞こえてくるが無視だ無視!
今はとにかく俺が本物とばれないうちに逃げるしかない!!自分の事以外は考えるな!!
ある程度走ると、村と森の境で新たな人影が見えてきた。
先程の爺さん達とは違い、ガタイのいいオッサン達ばかりだ。
中には地下室で俺をぶちのめしたオッサンやユーリルのオヤジさんの姿も見える。
皆例外なく血まみれで、何かしらの手傷を負っているようだった。既に事切れてるのもいるっぽい。
普段の俺なら驚くなり引くなりするだろうが、今は自分の命が最優先だ。
小さな村だ。奴らも例に漏れずグルとみなした方がいいだろう。
俺は脇目も振らずにオッサンたちの間を駆け抜けていく。
「くっ、彼女の覚悟を無駄にするな!!」「これを機に敵を分断するぞ!!」「おお!!!!!」
後方からまたなんかよく分からない叫びが聞こえてくるが、気にしない。今はただ走れ。走るんだ。
村を抜け、森の中をひたすら走る俺の前に、複数の新たな人影が――って、人じゃない!?
な――何だ!?あのひたすら放射能に汚染されまくって突然変異を起こした挙句
邪教の館で三身合体して殺意の波動に目覚めたデ○ズニーランドみたいな連中は!?
「いたぞ!」「今までの奴らより歳が若い。奴が勇者か!?」「バカな奴だ、一人でやってくるとはな!」
ヒィ!?何か知らんがロックオンされたっぽい!?
「待て!落ち着け!!話合おグヒョッ――」
聞いてください、みのさん。何か六本足のライオンさんが僕を襲うんです。
思わずすくめた頭の上を、ものすごい唸りをあげて、ぶっとい腕の内の一本が通り過ぎていきます。
余波の衝撃で僕がよろめいたところに、もう一本が、今まさに頭上から真下に振り下ろされようとしてます。
計算なんてするまでも無く、あんなのをマトモに喰らったら死ぬでしょう。
ええ、そりゃあもうあの勢いですから、死体が原形を留めることすら難しいでしょう。
そうならないように、僕は頑張って計算しました。
世界の全てを数字に置き換えて、僕の身体強度とライオンさんの腕の破壊力と動きを仮定し、
どう動けば最も負荷を減らすことが出来るか一生懸命考えたのです。そりゃもう本当に、死ぬ前の走馬灯並の
集中力で頑張りました。脳内に住んでる小人さんや妖精さんたちともいっぱい話し合いました。
まぁ計算の過程なんかは面倒くさいから省略しておきますが、とにかく最終的に、前に2歩、左に1歩半の地点で
やや中腰気味でかがんでいれば、負荷のおよそ8割を相殺できるという計算結果を得ることが出来たわけです。
で、僕もやはり死にたくないわけですから、その通りに動いてみると、ライオンさんは僕の頭の横ぎりぎりを
空振りして、元からあまり良くなかった体のバランスを崩してしまいます。
それと同時、先程よりも凄まじい衝撃波が僕の脳を揺さぶり(つーかかすった)、頭の変な羽根飾りが
彼方に吹っ飛んでいきました。意識がぶっ飛びそうになるのを、まぁ頑張って我慢します。
とにかくそこに、僕がちょっと足を引っ掛けてやると、ライオンさんはあべしと盛大にずっこけました。
六本足の分際で二足歩行なんてするからです。間抜けです。ぶっちゃけ大笑いです。HAHAHAHAHAー!!
つられて他のなんちゃってデ○ズニーどもも大笑いです。ああ、何だか和気あいあいとしてきました。
この状況ならあの奥義も6割の確率で通用するでしょう。先に言っておきますが、バカにしてはいけませんよ。
こういうのは心理的タイミング(その場のノリとも言う)というものが大事なのですから。
それではいきましょう。
「ああーー!!アレは何だーー!?」
和やかな雰囲気から一転、突然の切羽詰った僕の声に、皆びっくりして、僕が指差した方向に
振り返ります。ああ……賢くないのですね。所詮はなんちゃってデ○ズニーです。
まぁそんな訳で、この隙に僕は、1で回れ右をして、2でクラウチングスタートの体勢をとり、3で――
ダッシュ!ダッシュ!!全力でダッシュ!!!!!
それと同時、奴らが図られたことに気付き、この世のものとは思えないような怒声を上げて、
俺を追いかけてきやがりました。特に六本足のライオンはもう本当に、殺意の波動に
目覚めているとしか思えないような、それだけで人が殺せそうな雄叫びをあげて追いかけてくる。
――さて、どうしようか?
もういい加減本気でいっぱいいっぱいでパトラッシュに泣き言の一つももらしたい訳なのだが、
諦めたらそこで試合終了な訳で。さらに今の場合、ゲームではなくてリアルに命がかかっている訳で。
どこをどう走ってきたのか何時の間にか険しい山の中に入り込んでいだり時々でっかいトカゲに火で炙られたり
何処からか飛んできた爆炎に危うく吹き飛ばされかけたりしながらも精一杯生きてる訳で!!
……くっそう、家にあるひみつ道具の数々さえ使えたら、あんな奴ら屁でもないのに……!
悲しいかな、科学の英知がクソの役にも立たない現状では、俺なんかただの歌って踊れて猫好きで
明るく楽しく優しいとご近所でも評判の格好良いお兄さんでしかないのだ。
何かユーリル君の体のポテンシャルがやたらに高いおかげで、何とかここまで頑張ってこれはしたが、
それでもいい加減、限界が近付いてきているような気がしないでもない。くそう、何か手は無いか?
――こうなったら、危険を承知で村まで戻って村の連中をおとりに使うか?
否。この状況でピンクの殺戮者に出会ったら約173%の確率で殺られる。
……う〜む、どうも一度殺されかけた恐怖からか、あの女に関しては思考にノイズがかかるなぁ。
つーか173パーって、いったいどういう計算したんだ、俺は。
あ〜でもまぁ、それも今となってはどうでもいいことだ。
それより今考えるべき事は、すぐ下は険しい崖だというのに、
何で、
いつの間にか、
足場がぽっかりと消えちゃったりしているのだろうか、という事である。
「…………NOOOOOoooooooooo!!!!!?????」
ほんの一瞬の滞空の後、俺は深い崖下へとまっ逆さまに、転落していった。
「やった!勇者を仕留めたぞ!!」「早速デスピサロ様に報告だ!!」「後は村の連中を片付けるだけだな!!」
暗転していく意識の中、そんな声が聞こえてきた。気がした。
かみさまなんて、大嫌いです。
いつか出会ったら、ケツから腕突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてやろうと思います。
HP:1/14
MP:20/132
装備:E旅人の服
特技:集中 閃き
#01
空恐ろしくなるほどの静寂の中、シンシアは覚醒した。
つい先程まで聞こえていた、戦闘の音の数々は今は全く聞こえない。
呆然としながらも立ち上がり、おぼつかない足取りで扉に向かってゆく。
扉を魔法で開錠し、ふらふらと、今にも転げ落ちそうになりながら階段を上がり、地上へと出た。
「――――――――――――――――」
朝日に照らされた、村だったその場所をぽかんと眺め、シンシアは、
――ああ、酷いことをするところだった。
と、ふと何となく、そんなことを思った。
ふらりと一歩歩き、二歩目で膝から力が抜け、三歩目で地に崩れ落ちた。
立ち上がれない。
立ち上がれない。
立ち上がれる訳が無い。
「ああ……」
これほどの絶望を彼に背負わせようとしていたのかと、
今更ながらにシンシアは彼に謝りたい気持ちだった。
ああ神様、何故私がここにいるのでしょう?
どうしてここにユーリルはいないのでしょうか?
貴方が彼を勇者として遣わせたのではなかったのですか?
「ユーリル……?」
ふと、彼の気配を感じた気がして、シンシアは頭を起こした。
毒素に侵され腐り果てた花畑を這いずりながら進むと、
朝日を反射して微かに光るユーリルの羽根飾りが落ちていた。
「あ……」
ところどころに黒く変色した血がこびりついたそれを手に取った瞬間、
シンシアの中で何かが壊れた。
「……あは。あはははは。あははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは――――」
笑って笑って、血を吐くまで笑ったあと、シンシアは一点の曇りも無い笑顔で空を見上げた。
「ちょっとだけ待っててねユーリル」
かみさまなんて、大嫌いです。
「あいつらを全部殺してから、私も行くから」
いつか出会ったら、八つ裂きにして殺してやろうと思います。
HP:92
MP:105
装備:E鋼の剣 E絹のローブ E羽根帽子
呪文:【炎熱】メラミ・ベギラマ・イオラ 【回復】ベホイミ・キアリー
【補助T】ラリホー・マヌーサ・マホトーン 【補助U】スクルト
【その他】モシャス
下級呪文省略。
ええと、とりあえず今回はここまでです。
テラワロス
期待期待!
なんか新しい切り口でヌゲー
実は最大級の能力を持った作者っぽいw
うんのよさMAXだなw
ギャグとシリアスのギャップがよいね
マスタードラゴン逃げてー!
すげえ面白いw 両者の暴走展開っぷりがすげえw
あと一つだけ言わせろ、主人公てめえ違うゲームに突入してないか?w
なにこのクオリティ!
主人公もすごいがシンシアがテラヤバスw
なにこの低クオリティ!
すげえ糞作品テラバロスw
ちょ、ま、え、すげええええええええ
クオリティたけええ!GJ!!
いいからさっさと続きを書けよ、職人共。
べ、別に期待なんかしてないんだからね!勘違いしないでよ!?
何気にシンシア、勇者より強いwwww
マスドラの運命如何にww
343 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/23(日) 14:05:05 ID:M4zv8gR2O
保守
保守
346 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/07/25(火) 20:37:11 ID:6WsUziJn0
他の人の作品に対して本気で嫉妬するとは思わなかった。
こんな長文誰が読むかよwwって思った。
でもやたら評判がいいので仕方なく読んでやった。
・・・面白いじゃないか!!
やってくれたな。特にドラクエ4は好きなんでストーリーにも入りやすい。
馴れ合い(笑
これはひどい
変なのが湧くのはしょうがない。夏だし
面白い続き期待GJばっかでろくな評価がない件について
これは評価じゃなくてただの馴れ合い ちゃんと良いところは指定していかないと作者も成長しないし
現状はだたのご機嫌取りにしか見えない
評価すると叩かれるし、スレも荒れるからな。仕方ないと言えば仕方ないのかもしれんが。
避難所に評価スレを立てたので、そちらにドゾー
ほしゅ
03
「師匠、石鹸と洗剤、発注数に足りてません!!材料も足りそうに無いです!!」
「あー、原料の配合比を適当に減らして水増ししとけ!少しくらいならわかりゃせん!!」
「師匠、酒場のマスターがこの前のカクテルが大好評だったからまた造ってくれって……!!」
「んな暇あるか!!オヤジに材料とレシピ渡しといて自分で造れって言っとけ!!」
「師匠、お城から火縄銃と手投げ弾の追加注文が山ほど……!!」
「……城の連中アホか!?こちとら二人しかいないんだぞ!?……………………受けるけど」
「……師匠!!!!!」
「んだよ弟子一号!?さっきからうるせぇな!!」
「何で後先考えずに依頼という依頼、片っ端から受けちゃうんですかぁ!!!!!」
「短時間で借金全額返すにゃあ、血尿出るまで頑張るしか無いだろうが!!!!!」
……こんにちわ、ユーリル(仮)です。
今俺はバトランドという国の片隅で小さなお店を開いている。ちょっと殺気立ってるのはクソ忙しいからだ。
隣の小うるさいのは、元旅人さんで、今はこの店唯一の従業員兼俺の弟子一号だ。
男にしておくのが勿体無いほどの、線の細い美人さんで、俺の命の恩人でもある。
――あの時、崖から落ちて瀕死の重傷を負った俺を、
回復呪文とか言う怪しげパワーで助けてくれたのが、彼だった。
その後、お互いに行く当てが無い者同士だとわかると、色々話し合った結果すっかり意気投合しちゃって、
しばらく行動を共にすることになったのだ。
いや、彼には本当にお世話になっている。
その当時の俺にさえ負けず劣らずなほど、世間知らずな面があったりもするのだが、
命の恩人というのはもちろん、俺に(あの!)呪文というものを教えてくれたり、
あの時俺を襲った、魔物という存在についても詳しく教えてくれた。
ちなみに親玉はデスピサロとか言うらしい。ん?何かどっかで聞いた名前だな?……まあいいや。
そのお返しとして、という訳ではないが、俺の世界の技術を少々教えてやったところ、
滅茶苦茶感動して、なんと行動を共にしている間、弟子入りを志願してきたのだ。
これには流石の俺もちょっと面食らったが、師弟という言葉が持つロマンに負けて、
速攻で了承してしまった。
弟子一号は、人探しの目的で旅をしているらしい。
だがやはりこのような世界でも先立つものというのは重要らしく、文無しでは旅をすることも無理がある。
特にこのバトランドという国は、四方を険しい山と海とに囲まれて、移動手段が非常に限られており、
国外に出るには金かコネかのどちらかが必要になるらしく、途方に暮れていたそうだ。
という訳で俺としても他に当てもないし、よその国にも興味があるので、金を稼ぐ為に
城下町で借金して店を買い、後にこの世界の歴史に(いろんな意味で)名が残るほどの伝説の店――
即ち『ユーリルのアトリエ 〜バトランドの錬金術師〜』が誕生したのであった。
それから俺は手っ取り早く名前を売る為に、そして三度の飯よりも好きだった、
科学や化学のエクスタシーに触れる機会が無かったというストレスもあり、
自分の世界のステキ技術をハイパーにフル活用してみたりしたのだが、いや、やはりというか、
何かあっという間に評判が広まり、王宮からまで宮廷付きにならないかとスカウトが来た。
まぁ、弟子一号は人探しの旅という目的があるし、俺も援助はされども活動に制限のかかる宮仕えなど
グレートごめんなさいなので、きっぱりと断った。
予想以上に燃料や火薬の原料になるものなどが手に入ったので、つい調子に乗ってこの世界の
文明レベルからすると結構シャレにならないモノも世に出したりしていたので、
ちょっと面倒なことになるかなと思ったのだが、この国の王様は誠実で公明正大と民衆からも
もっぱらの評判らしく、こちらが拍子抜けするほどあっさりと引いてくれた。
まぁ、俺たちにとっては都合がいいのでよしとしておこう。
そんなこんなで、店は繁盛し、あらかた必要な情報も集まり、店を買ったときの借金も
そろそろ返済できそうになったその日の夜、それは起こった。
まぁ、起こったと言うか、単に周りを大勢の兵士で徐々に囲まれつつあるだけなのだが。
アレか。国もやけにあっさり引いてくれると思ったら、流石にそこまで甘くはないか。
鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス。……ジャイアニズムならぬノブナギズムとでも言うのかね?
まぁ、王様の判断なのか家来の独断なのかは知らないが、どちらにしても今の状況は想定の範囲内だし、
やる事も変わりはしない。何も問題は無い。
「ど、どどど、どうしましょう、師匠!?僕たち何もしてないのに……何でこんな……?」
弟子一号なんかは未だに状況を把握しきれずにおろおろしている。コイツはいい奴なんだがちと人が良過ぎるな。
いつか性質の悪い人間に騙されるのではないかと、師匠としてちょっと心配になってくる。
「うろたえるな弟子一号、策はある。緊急マニュアル34号を開きたまえ」
「は、はい!」
帯出、転写厳禁なその書類に目を通し、そして次第に顔色が蒼白を通り越して土気色になっていく弟子一号。
「…………………………………………あの、師匠、これ…………マジで、やるんですか?」
「うむ、マジだ。凡俗どもに我が英知の偉大さを思い知らせてやろうぞ。……それではポチっとな」
俺がお決まりのかけ声と共に、巧妙に壁に隠されたスイッチを入れると、
地下へと続く階段が、低く響く音と共に床に現れる。
地下に降りた先には、一台の馬のない馬車がごっついカタパルトと共に用意してある。
その他にはまぁ、この国や弟子一号にさえ秘密な研究や作品などがちらほらと。
そんな作品の中のひとつ、『魔法の粘土』にちょこちょこっと細工をして、
ここの扉の開閉に(化学)反応するようにしておく。
「最近どうも収入と支出が全然合わないと思ってたら、こんな物造ってたんですか……」
「備えあれば憂いなし、だ。それより必要な荷物はもう積んであるから、とっととズラかるぞ!」
未だにおろおろと覚悟の決まらない弟子一号を馬車の幌の中にぶちこみ、俺も乗り込む。
「この先に馬が用意してある。そこまではちと荒っぽく行くから、しっかり手すりにつかまってろ!行くぞ!!」
後方にあるレバーを引くと、がこん、という音と共に一瞬の浮遊感。そして爆音。
そして俺たちは風になった。
巧妙に周囲の茂みにカモフラージュされた岩戸を突風の如き勢いで馬車が跳ね飛ばそうとすると、
岩戸に張り巡らされた、弾性のやたら強いロープが緩衝材となって馬車を押し留めた。
計算どおりで一安心だが、休んでいる暇はない。
俺は目を回している弟子一号の顔に、空気に触れると頭がすっきりする香りを発する液体を浸したハンカチをかぶせると、
岩戸のすぐ傍の小屋へ向かって走った。そして馬小屋の管理をしている爺さんへの挨拶もそこそこに、
小屋から四頭の馬を引っ張って馬車へと戻ると、何か弟子一号が壮絶な顔つきでのた打ち回っていた。
「おい、遊んでいる暇は無ぇぞ!早くしないと――」
その時だった。
大地をも揺るがす振動と共に、轟音が響き渡る。
確認するまでも無いが、音の出所を見遣ると、やはり城下町だった。
まずいな。あれでトンズラこいたことがバレた。さっさと移動しないと、街道を封鎖でもされると厄介だ。
俺は馬を片っ端から馬車に繋ぎ――恐るべきことに気がついた。
即ち――俺は、馬車など操縦できん!ということである。
「おい、弟子一号……」
「……………………はひ……………………」
「何やら近年稀に見る最高に笑える顔をしているが、残念ながら今は宴会芸など披露している場合ではないぞ」
「……我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢我慢……」
何やらぶつぶつ言っているが、気にしている暇は無い。
「時に弟子一号、お前は馬車を操れるか?」
「……いいえ、やった事ないです」
「そうか、俺もだ」
一陣の風。そして静寂。
「ど、どどど、どうするんですかそんな今更ぁ!!」
「まぁ落ち着け。基本は乗馬とそんなに変わらないんじゃないか?乗馬くらいなら経験あるだろ?」
「ないです」
「そうか、俺もだ」
一陣の風。以下略。
「手前ぇ、それでも旅人かぁ!!」
「――うるさいわ!!人間歴5ヶ月をなめんな!!」
「何をいきなり訳のわからん言い訳を……ええい、いいから行け弟子一号!!大丈夫だお前ならきっと出来る!!」
「あんたが行けよ!よく町外れで変なゴーレムみたいな乗り物作って遊んでたでしょうが!!」
「ば、ばっ、違、お前、アレはただの1/2スケールの旧ザ…………じゃなくて、
俺はあれだ!乗り物の操縦は苦手なんだよ!」
一応本当だ。車の免許の取得にえらい苦労したし。
事故を起こさず警察にさえ捕まらなけりゃあ、別に何やったって構わないと思っていたのだが、実際は違うらしい。
「あーもー、どうして肝心なところでいつもいつも抜けてるんですか、師匠は!!」
「何を!?泣き言と文句しか言わないヘタレにそんな事言われる筋合いは無いぞ!!」
「言ったね!?言いましたね!?」
「言ったさ!言ったともさ!!」
「ギャース!!」
「ギャースギャース!!」
「――――!!!!!」
「――――!!!!!」
結局。
見かねた馬番の爺さんが、俺たちにレクチャーしてくれました。
彼を拉致って操縦させようかとも考えたが、吹けば飛びそうな枯れ果てた爺さんだったので、やめておいた。
大丈夫、基礎さえ知っておけば後は何とでもなる。
何故なら、誰かと競う性質のものでもない限り、大抵の技術に対しての、俺の基本姿勢は『考えるな、感じろ』だからだ。
天才的な科学者ってのは99パーセントが閃きで出来ています。本当にありがとうございました。
という訳で、一時間ほどで基礎中の基礎だけを叩き込んだ俺たちは、爺さんの制止も無視して全速力で馬車をぶっ飛ばした。
途中17回ほど木に激突したり転倒したり、薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンを馬の口に突っ込んだりしながら、
街道に辿り着いた頃には、すっかりコツを掴んでしまいました。流石だな俺達。
そして半刻後――
「!ちぃ、もう見つかったのか、しつこい連中だ……!」
「ど、どどど、どうするんです、師匠!?何かもの凄まじい大軍で追っかけてきてますけど!!」
ボウガンに矢を装填しながら、街道を爆走する馬車の幌から後方をみやる。
土煙と地響きを上げながらこの距離からでもわかるくらいに殺気立って追いかけてきやがる。
アトリエで一杯喰わされたのがよほどムカついたと見えるな。何せ爆煙がここからでも見えたくらいだ。
それはともかく、俺も弟子一号も馬車の操者は超がつく初心者。
増して操縦を覚えるのに一時間も使ったのはマジで痛かった。
このままではいずれ追いつかれてしまいそうなので、俺は矢尻に安全ピンを抜いた手投げ弾をくくり付け、
連中に向かってボウガンを構えた。
「灰は灰に、塵は塵に。……ってな」
特に意味は無いが片手撃ち。煙草があれば完璧だったな。
無造作に見えて馬車の反動もしっかり計算に入れた必中の矢は、瞬く間に後方の土煙の中心に消え、
一瞬の後に、耳をつんざく轟音と共に土煙を二周りほど大きくした。
むしろ天に舞い上がった。連中の一部も天に舞った。
ああ、紙巻きの煙草が吸いたい。そしてシニカルに笑いたい。
酒はともかく煙草が不味いんだよこの世界。吸い過ぎると頭がくるくるぱーになるし。つーか違法だし。
……と。
再び鳴りはじめる地響きに俺は顔をしかめる。それも勢いが減るどころかむしろ増している。
連中予想以上に立ち直りが早いな、もう追ってきたか。
さすが異世界、葉っぱ喰って傷が塞がるだけはある。(最初見たときは心底ビビったぜ)
手榴弾くらい何ともないぜ!ってか。どころかあの立ち直りの速さじゃ、アトリエでも怪我人すら出たか怪しいもんだ。
――ごめん、自分で言ってて何だが、笑えねぇ。
……っと!
「見えた、洞窟だ!!あそこで何とかうるさい国家の犬どもを切り離すぞ!!」
「あああああ……もう完璧に悪者だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
御者席で手綱を握る弟子一号がいきなり絶叫を上げる。何か嫌なことでもあったのだろうか。
まぁ、今は気にしている余裕はない。後で相談にでも乗ってやろう。
とにかく洞窟を突破し、あの場所にさえ辿り着ければ、後はどうとでもなる。今、こんな所で捕まってたまるか!
バトランドと巨大な河川で分断されたイムルとを繋ぐ、
シンプルな一本道だが、馬車が余裕で通れるほどの巨大な地下洞窟。
川向こうに用事があるときや、アレを製作するときに何度か通ったこともある。
その為、大体の力学的な構造は把握してあるし、万一のときの為の仕込みも万端だ。
さらばだ洞窟君。君には世話になったが、君の国がいけなかったのだよ。
「ポチっとな」
洞窟を抜けた俺は、イムル側の洞窟の外壁に、巧妙に隠された魔法のスイッチを押し込む。
すると、洞窟の何ヶ所かに仕掛けられた魔法の粘土が次々と(化学)反応して――
―――――――――――――――――!!!!!
その日、大洞窟はバトランドから消滅した。
それから。
追っ手さえ振り切ってしまえば、後はすんなり事は運んだ。
この世界にはキメラの翼というある意味反則チックなブツもあるから完全に油断は出来なかったが、
無事にバトランド名物(?)、湖の塔まで辿り着き、屋上付近に隠してあったエアプレーンを起動することが出来た。
それまでは落ちるだの死ぬだのむしろ死ねだのと、ぎゃあぎゃあ騒いでいた弟子一号も、
いったん機体の姿勢が安定すれば、今までの険悪な顔つきは吹き飛んで、
ぽかんと阿呆みたいに遥か下の、村っぽい集落を眺めている。とりあえずは一件落着か。
アトリエに置いていった物は少なくないが、本当にヤバイ物はあらかた消し飛んでいるだろうし。
どの道正規の手段でこの国を出るつもりは無かったから、これも予定調和といえば予定調和の内なんだが……。
……何かドタバタしてるよなぁ。何でこうも俺の周りでばかりトラブルが起こるのだか。
まぁ、何が無くとも、この身に宿る英知さえあれば全て事足りるのだがな。
気の向くまま、適当に操縦桿を切りながら、そんなことを考える。
何か飛んでから気付いたけど、うっかりエアプレーンに燃料入れ忘れてて、もうほとんど残ってないしさ。
がくんと安定を崩して高度を下げる機体と、ぐんぐん近付く小さな塔っぽい建物。
「……お約束だなぁ」
塔の窓に突っ込みながら、最後にそんなことを思った。
暗転。
ユーリル 錬金術師?
HP:1/39
MP:105/178
装備:Eコルトパイソン E絹のローブ クロスボウ
呪文:【回復】ベホイミ・キアリー
特技:集中 閃き 必中
弟子一号 ユーリルの弟子
HP:1/52
MP:1/41
装備:E毒蛾のナイフ E絹のローブ 毒針
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク 【補助U】スクルト
#02
バトランド城門前 御触書
WANTED
錬金術師ユーリル
賞金 60,000G
罪状 国家反逆罪
詳細 錬金術による超高度な技術を持つ。狡猾で凶暴。要注意。
魔族の王や伝説の地獄の帝王の化身という噂もある。
弟子一号(恐らく仮名)
賞金 30,000G
罪状 国家反逆罪
詳細 錬金術師ユーリルの弟子。ユーリルと行動を共にしているものと思われる。
温厚な性格と優れた美貌。正体は魔物という確かな筋からの情報もある。
#03
『デスピサロ様……ただ今バトランド方面より緊急に連絡が入りました』
「……申せ」
『はっ!実は…………』
「……何?……それは確かか?」
『は……はっ、左様でございます!』
「――確かに、聞いた。下がれ」
『はっ、そ、それでは失礼します!』
「……大洞窟を一撃で埋没させる程の爆発に空を自由に行く飛行機械……。人間がそのような力を……?
……イムルの宿の事といい、流石にこれ以上捨て置く訳にもゆかぬな。
バトランドは列強ゆえ、今は絡め手で攻め、精鋭を回すのは避けたかったのだが……。
……おのれ、何処の誰かはわからぬが、私の邪魔はさせぬぞ……。」
#04
とある旅人の手記 その1
○月△日
人間の体にも大分慣れてきた。
情報収集と仕事探しの為、バトランドへ向かう途中、崖下で瀕死の男の人を救助した。
――思えばこれが運の尽きだった。
○月○日
男の人はユーリルさんというそうだ。
ライアンさんとはまるで性格が違うけど、とても頭の良い人で、
不思議な知識や技術をたくさん知っている。
僕はいつかライアンさんと再会したときに少しでもライアンさんの力になるために、
ユーリルさんに弟子入りすることにした。ユーリルさんも快く了承してくれた。
よかった。ライアンさんとは違うけれど、この人もとてもいい人だ。
○月×日
お金を稼ぐ為に、師匠といっしょにバトランドの城下町でお店をすることになった。
旅を急ぎたい気持ちもあるけど、本当に人間として生活しているようで実はちょっと楽しみ。
明日からがんばるぞ。
○月□日
思ったよりも人間の生活というのは大変だ。来る日も来る日もお仕事ばかり。
確かに色々教わったけど、こんなに働いてばかりで皆、つらくないのかな?
○月△日
一日の労働時間が16時間というのは普通にあり得ないらしい。
師匠に問い質した所、師匠はすごく嫌そうな顔で、「ちっ、気付きやがったか」と舌打ちした。
ライアン様。僕は今日はじめて殺意という衝動を覚えました。
△月□日
もう人間は嫌だ。ホイミスライムに戻りたい。
△月△日
いつの日か……。いつの日か……。
□月○日
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。ニンゲン怖い。
□月△日
――ごめんなさい、ライアン様。もう貴方に顔向けができません。
世の中には、魔物よりも人間よりも遙かに恐ろしい存在がいるということを心の底から思い知りました。
さようなら、ライアンさん。旅の無事と勇者様に会えることを心よりお祈りしています。
僕も精一杯逞しく生きていこうと思います。ええそれはもう全力で。
そしていつの日かあの腐れ――――――――
(インクが飛び散っていてこれ以上読むことができない)
今回ここまでです。
隙間風でした。
ちょwwwwwwホイミンwwwwwwwwwwwww
>>370 面白かったよ、乙!
ホイミンが可哀想だがww
で、ちょっと指摘。
内容は十分に面白いんだが、文がゴチャゴチャして状況が掴みにくいかな。
もうちょっとすっきりしたほうが読み易いかも。
ほんとに面白いと思えたよ、乙
上の状況が掴みにくいというのは一瞬思ったが脳内補完できるレベルなので
後でちょっと見直すなりすれば自分で直せるくらいじゃないかな?
ノリだけで突っ走る感触が気持ちいいなw
剣と魔法の世界に堂々と科学を持ち込んでるしw
だが気球で自由自在に移動できる謎物理法則の世界でどこまでできるか、今後を楽しみにしてます。
全部が長文でだらだら続くから読みにくいのかも
短くなりそうな文はそれだけでまとめて改行したら
全体的にすっきりして読みやすそう
とりあえずユーミルが微妙に悪人でホイミンがかわいそうだw
スライムに幸あれ
FC版のユーリル君は、悪人面だからな…
指名手配書の貼紙なんて似合いすぎだろw
>――思えばこれが運の尽きだった。
この一文が日記の初日にあるのは不自然だと思う。
・・・じゃぁどこに入れればいいかと言われると困るが。
「あの日この人を助けたのが運の尽きだった」と回想させるにしても、
それを日記のどこに入れても違和感が出るしなぁ・・・。
>>377 ○月×日追記
――思えばこれが運の尽きだっ た。
てな感じでいいんじゃね?
隙間風氏乙
素直に面白かった
別に読みにくくは無かったなあ
――思えばこれが運の尽きだっ た。
の件については同意
>>374 >剣と魔法の世界に堂々と科学を持ち込んでるしw
むしろDQの世界に堂々と他社のゲームのネタを持ち込んでることのほうが問題だろw
好きだからいいけどさ
しかし科学に関しては万能だなコイツ
いくら天才でも、あれだけ細分化・専門化された現代科学の知識・技術を
ここまで広く深く習得するのは並大抵ではないはずだが
とりあえず次回も期待しています
持てる才能を全て知識につぎ込んだんだろうなぁ…
飛行機を飛ばすだけの機関が作成できるっつーことは、
19世紀終わりまでの火器は作成できそうだな…
機関銃を作ったら弾の確保に難儀しそうだがwww
ってよく見たらコルトパイソン持ってるじゃねえか。
まさか第二次大戦後の火器まで作成可能かっ?
対戦車榴弾で粉砕されるエスタークとか嫌だなぁ…
また変な流れがw
極めつけは核兵器か。
保守
隙間風です。
ご意見を参考に、なるたけ短い文を連ねるような形でまとめてみました。
運の尽きやっぱり突っ込まれましたか。
一応そこらへんは考えて実は日記じゃなくて手記だったり。
追記の表現に一行開けてみたりと工夫した訳ですが
やはり努力足らずにへこみつつも続き投下します。
前回
>>369
04
「HAHAHA、いやいやお陰で助かりましたよ」
「いえ、当然のことをしたまでです」
いい趣味したテーブルでお茶をしばきながら、目の前の美しい女性と談笑する。
ああ、心が安らぐなぁ。
最近どたばたしてばかりだったからなぁ。
自称良いスライムと部屋の中でも鎧ずくめの護衛らしき男はいい顔をしていなかったが。
綺麗な女性は好きだけど恋愛事には興味ナッシングなので安心してくれ。
科学が俺の奥さんで化学は俺の愛人さー。
何だ君たちその顔は。いや約一名除いて表情なんて全然わかんないけど。
それはともかく、あの時。
エアプレーンでどこぞの塔(後に目の前の女性の住処にして今この場所と判明)に激突。爆発。アフロヘア。
弟子一号ともども瀕死の重傷を負ったところを回復呪文とかいう怪しげパワーで助けてくれたのが、
目の前のエルフ何つーファンタジー種族のお嬢さんだった。激しくデジャビュ。
いや、最初目が覚めて彼女を見たときには戦慄したさ。
何せ、恐らく同じ種族だからだろうがあのピンクの殺戮者によく似ている。
奴がここまで追ってきたのではないかと錯覚したくらいだったからな。
でもすぐにその浮世離れした雰囲気と溢れんばかりの世間知らずオーラで、別人と断じることが出来た。
ちなみに大破したエアプレーンは未だにすぐ傍の塔の窓に突き刺さっている。
オブジェとしては極めてシュールで、趣味の良いこの部屋でめちゃくちゃ異彩を放っていた。
弟子一号はただ今必要物資を揃えるために買出しに出かけているため、ここにはいない。
アトリエと馬車にあらかた荷物を置いてきたため結構な量を買い足さなければなるまいが、
こちとら伊達に王都中で評判の店を営んでいた訳ではない。
持ち出してきた金にはかなり余裕があるから問題なく揃うだろう。
ここは見た目のどかな田舎村の割に、店の品揃えがバトランドとは比べ物にならない程良かった。
何か特別なコネでもあるのだろうか?
あとこの村の雰囲気は弟子一号にとっても好ましいらしく、目が覚めてからはやたらと機嫌が良かった。
とか何とか考えていると、ふと目の前のお嬢さんの表情が、パッと見ではわからない位僅かに曇る。
ううむ。こちとら他人様の家ぶっ壊したうえ命を助けてもらった挙句に、もてなされてまでいる。
ここで見過ごすのは何ぼ何でも気が引ける訳で。
薮蛇かもしれないとも思いつつ、巧みな話術でさりげなく悩みを聞き出したりしてみるとやはり薮蛇だった。
みのさん、出番ですー。
何か相談者の彼女曰く、問題はデスピサロとか言うこの頃よく聞く名前の彼氏君。
人間が気に入らないから全て滅ぼすために魔族の王となって世界征服を企んでいるとか。
スケールでけぇ。
更に人間滅ぼす本当の理由は自分のルビーの涙を狙う人間達から自分を守る為とか惚気られた。
スケール小せぇ。
まぁそんな事を涙を流してルビー製造を実演しながら語ってくれた訳で。
ルビー小さ過ぎる上に歪なので価値は無いに等しい。つーか手に取ったら崩れた。どんな脆い組成しとんじゃ鋼玉。
……まぁそれは置いといて、この会話の間で俺は何となく理解した。
この娘は『良い娘』なんだと。
だけど、この場合の良い娘っていうのは、毒にも薬にもならない奴というのと同義だ。
少し前の弟子一号と同じだな。
最近になってあいつもようやく口答えの一つも出来るようになったけれど、
出会ったばかりの頃なんて、試しに店で半日以上ぶっ続けでコキ使っても、文句一つ言わない良い子ちゃんぶり。
便利なことは便利だったので本人がキレるまで続けてみたけど、ぶっちゃけキモかった。
弟子一号は置いといて。
そのヤクザな彼氏君だって、遊びでそんなある意味大志を抱いている訳でもあるまいに。
いくら恋人だからって、やめろと言われて簡単に命を賭けた漢の野望を捨てられる訳が無いのである。
ぶっちゃけ単純バカとしか言いようはないのだが、単純でしかもバカなだけに真っ向からの説得は難しい。
相手は単純でしかもバカ、更に愛しの君の為にやってることなのだから、説得するよりもむしろ裏から糸を引き、
彼氏の行動を自分の都合の良いようにコントロールするのが正しい恋人のあり方だろう。多分。
……とはいえ、そんな機転の利く女だったら、その彼氏君がこの娘を恋人に選んだかどうかは微妙だ。
自分とは全くタイプの違う、優しく柔和で純真無垢な温室栽培のお姫様。
そんなヤクザな自分をも癒してくれる彼女に萌え――もとい惹かれたというのは十分に考えられる。
それにしてもだ。
ヤクザな彼氏に世間知らずのお嬢様。しかも二人揃って単純バカ。
ううむ、何だか本気でこの娘たちの行く末が心配になってきた。
絶対いつか悪賢い奴に二人揃っていいように利用された挙句、人生を棒に振るような気がしてならない。
…………ふむ。命を救ってもらった上、一宿一飯の恩義って奴もあるし。
お礼としてここは一つ――
「――Fuck you」
「……え?」
『利根川式演説』あたりで啓蒙してあげるとしよう。
ちなみに一度やってみたかったからという訳では断じてない。
機会があったらどこかで『ギレン式』や『少佐式』も試してみたいとかは全く考えていない。いないったらいない!
知らない人の為にちょっと説明しておくけれど、『利根川式演説』とは。
言ってしまえば、主に社会から幾度もドロップアウトした筋金入りの駄目人間相手に使われる、
相手を徹底的にコキ下ろした後に檄を飛ばすという極端な話術である。
冷静に一歩引いて考えればあまりにも極論に走ってたり詭弁だったりもするのだが、相手は意外に気付かない。
何故なら言ってる事自体は間違っていないからだ。別に完全に正しいとも言えないのだが。
そして相手もまた間違いなく駄目人間であり痛いところをバシバシ突かれるから、
反論したくても出来ずにあっという間に話のペースを持っていかれてしまう。
……という訳で散々コキ下ろしてエルフの嬢ちゃんルビー大量生産する気満々。
自称良いスライム体当たりは痛いから止めろ。
鎧君殺気満々で剣を構えるのはシャレになってないからやめてくれ。
鎧君に殺される前に次のステップに移行。
精神コマンド激励使用。更に俺の命が懸かってるので連続使用。
さあ目を覚ませ。
泣き言で人生は開かない。
勝たなきゃゴミなんだ……!
勝たなければ……
勝たなければ……
勝 た な け れ ば …… ! !
ちなみにこれ使用する際には、本来はこっちにもそれなりの貫禄と迫力が必要になるのだが、
今回相手は弱気で世間知らずな小娘だったので無問題だった。
「ああ……ユーリル様……。私……私……!勝ちます!!」
「……うむ、わかってくれたか!!」
ああ、本当に良い娘だ……。
このパープリンぶりはきっと弟子一号(初期型)以上だろう。
何故だろう、目から心の汗が止まらない。
あまりに不憫だったので、つい持っていた愛銃と弾薬、手榴弾、
薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンをありったけ渡してしまった。
「ありがとうございます、ユーリル様……」
「うむ。銃とかは使い方を紙に書いておくからよく読んでおく事。手入れもしっかりな。
それから薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴンは、
息さえしてりゃどんな重傷でも直すし身体能力も胡散臭いほど上がるけど、
副作用で薬が効いてる間は頭の中身もレッドドラゴンになるので注意するように」
「はい!」
まぁ、実際あんな言葉やこんなオモチャで全てが解決するほど簡単な話でもないのだろう。
あの程度で性根が変わるほど人の心も易くは無い。
単純バカというならむしろ尚更だ。バカは死ななきゃ直らない。
だが。何時、何処かで、何かを変える切っ掛け……くらいには、なるかもしれない。
あの娘自身の魅力か、ついガラにも無い親心を出してしまったが、これ以上の手助けも不要だろう。
ここは素直にちょっとだけいい事をしたと思っておくことにしよう。
さて、ともあれだ。恋人のいる女の子の部屋に必要以上に居座るのもまずいだろうし。
もし今ひょっこりと人間嫌いでヤクザで魔王な彼氏君が帰ってきたりしたら俺マジで殺されちゃう。
……ので俺は今夜中には夜逃げ――もとい出発できるよう、荷物をまとめる事にした。
つーかさっさと帰って来い弟子一号。
そして短い間だったが強く生きるんだぞ弟子二号!
あと別に未だに煙吐いてるエアプレーンの件をうやむやにしようとか考えていない。多分。
ユーリル 旅人?
HP:42/45
MP:9/189
装備:Eピースメーカー E魔法の法衣 クロスボウ
呪文:【回復】ベホイミ・キアリー
特技:集中 閃き 必中 激励
弟子一号 ユーリルの弟子
HP:58/58
MP:47/47
装備:Eまどろみの剣 E魔法の法衣 毒蛾のナイフ 毒針
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク 【補助U】スクルト
#05
魔族の王デスピサロが自らの恋人を守る為に用意したその塔には、
五感と意識を惑わせる、高度な魔法による迷彩がかけられていた。
そこに進入する為には、とある正規の手段で魔法を解呪しなければならない。
だが、ごく稀に正規の手段以外で侵入を果たし得る者がいる。
強力な探知魔法を識る者。
盗賊の技法を究めた者。
或は、内部に通じている者の力を借りるか――
或は更に極々稀に、空から決死の特攻を敢行する者が居ないでもないかもしれないが。
ともあれ、そういった僅かなそして哀れな侵入者達は、即座に、
魔王の無二の腹心である、闇緑の鎧に身を包む騎士に切り捨てられることになる。
此度侵入を果たし得た例外者達も、いつも通りに切り捨てられる――――――――はずだった。
短く一言礼をとり、壁に立てかけた剣をとり部屋を出る忠実で寡黙な騎士。
ただ心配しながら彼を見送ることしか出来ないロザリーの胸に、とある旅人が残した言葉が蘇る。
(――泣き言で人生は開かない)
今まで誰も為し得なかったこの部屋への侵入を、常識破りな方法で果たし得た旅人たち。
(――勝たなきゃゴミなんだ……!)
勝ち負け以前に自分は戦ってすらこなかった。
扉の奥に目を向ける。
そこから聞こえるのは、金属同士がぶつかり合うけたたましい金切り音。
そして魔法によって空気が引き裂かれる音。
「怖い……」
怖い。恐ろしい。
今まで敵に立ち向かうなど思いもよらなかった。
(――勝たなければ……)
恐れを振り払うように首を振るロザリーの視界に、ふとテーブルの隅に置いてある物が映る。
それは件の旅人が去り際にロザリーに贈ったもの。
コルト・パイソン.357マグナム。
M24型柄付手榴弾・通称ポテトマッシャー。
名前の意味はよく分からないが、説明書きを読めばこれらがどれだけ強力な武器かは理解できる。
そして……。
薬草マキシカスタムVer3.2通称レッドドラゴン。
やはり名前の意味は殆ど理解できないが、ただ一つ、レッドドラゴンという名前は知っていた。
天空に住まう王者とは流石に比べるべくも無いが、それでも他の魔物とは一線を画す気高く勇猛な空の雄。
あの旅人はレッドドラゴンの如き強靭な精神を得ることが出来ると言っていた。(言ってません)
「ピサロ様……。少しだけ、少しだけ私に勇気をお与えください……!」
ロザリーは知らない。
この薬草どころか毒薬と呼ぶのもおこがましい、
稀代の錬金術師ユーリルがこれでもかという程間違えた方向に改良を重ねまくった魔薬。
それのネーミングが、単に彼の故郷に存在する精力ドリンクの名前からついたという事など――
(――勝たなければ……!!)
ロザリーは意を決して天災錬金術師の贈り物に手を伸ばした。
前衛の戦士二人は曲がりなりにも自分の一撃を受け止め、後衛の魔法使いとの連携もなかなかだ。
自分には遠く及ばないものの、賊にしてはそれなりに腕の立つ手合いではあった。
だがそれだけだ。連中の末路は微塵も変わらない。
しかし、長い護衛生活で騎士の勘が鈍っていたのだろうか。
奇跡的に数度の斬撃を凌ぎ、賊が逃走を図った。格どころか次元そのものが違う相手だと悟ったらしい。
逃がすと後々厄介なことになる。
闇緑の騎士は一撃で全てを薙ぎ払わんと、手にした剣を腰だめに構え――
――――きぃ、と。
騎士の背後で扉が開いた。
女が笑う。
一瞬。
騎士も賊も。
動きが止まった。
世にも綺麗な女が笑う。
「ロ、ロザリー様!?ここは危険です、部屋にお戻りくだ――」
ぐしゃり。
と。
女のか細い腕で無造作に壁に叩きつけられ、魔界でも屈指の勇士は沈黙した。
息はあるようだが、運悪く衝撃が完璧に延髄を通ったらしく、ぴくりとも動かない。
「え……?」
「あ……ああ……?」
賊たちも動かない。動けない。
――と。
がぁぁぁぁん。
そんな空気を引き裂くような轟音が、塔内の狭く薄暗い通路をがむしゃらに跳ね回る。
それとまったく同時に、いきなり胸から大量の血を噴き出しながら吹っ飛んだ仲間の姿を目の当たりにして――
残された賊たちは、今度こそ、絶叫した。
ケタケタケタとオンナがワラウ。
――――惨劇が幕を開けた。
闇夜の森。
生き残った最後の賊、戦士風の男はどくどくと血の溢れる自分の体を見遣った。
「ハ、ハハ……やっぱりウワサは本当だったんだ……」
自分の体の、穴だらけの胸から腹から、
ちぎれかけた腕から足からあふれ出るソレを次々に掻き出し、男は哄笑する。
「こんなに、こんなにあるじゃねえかよ。真っ赤なルビーがこんなに
いっぱい、綺麗なルビーがいっぱい、いっぱいいっぱいおかねも
ちだあきははははははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははぎょぺっ!!」
脳漿をぶちまけて、最後の男が永遠に沈黙する。
ゆらゆらと歩きながら、オンナは硝煙の揺れる拳銃をだらりと下げた。
物言わぬ肉塊を見下ろし、禍々しい弧を描く紅い目が闇夜を照らす。
女が笑う。
世にも綺麗な女が笑う。
ケタケタケタとオンナが笑う。
「次ハオ前ダ、デスピサロ――」
ケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ――――
ロザリー
HP:375/36
MP:80/80
装備:Eコルトパイソン E光のドレス
呪文:【回復】ベホマ・キアリー・キアリク
【補助T】ラリホー・マヌーサ 【補助U】スクルト・フバーハ
#06
「…………何なんだ、今の夢は」
イムルの宿の寝台から身を起こし、少年は心底げんなりとぼやいた。
未だ部屋は暗く、当分夜が明ける様子は無い。
「ん……」
彼の声に反応したのか、傍らの褐色の美女が身じろぎして目を開けた。
「ああ、すまないミネア。起こしてしまったか」
「……いいえユーリル様。むしろ恐ろしい夢から現実に引き上げてくださって、助かりました」
ユーリルと呼ばれた少年は苦笑する。
仲間の内で唯一自分の秘密を知る、神秘的な美女を抱き寄せ軽く唇を重ねると、悪戯っぽく微笑んだ。
「そんなに恐ろしかったか?それより僕はあの狂ったエルフの女が口に出していた名前の方が気になったよ」
「ええ……本当に不思議な夢です。彼女もデスピサロと敵対しているのでしょうか?」
「さぁ?セリフだけを聞けばそんな感じだったけど」
何がおかしいのか、ミネアの髪を透きながらくすくす笑う少年。
逆に、ミネアの方は少年の胸にすがりつき、小さく震えた。
「ユーリル様……私は恐ろしいのです。
あなた様に出会って自分の運命を見出した時点で、先を見通せなくなるのは覚悟していました。
……ですが、それとは別に、何か運命が大きく乱れているような気がしてならないのです!」
ミネアの怯えた声を聞きながら、少年の笑みはさらに深まった。
「運命が乱れている……か。そんな事は僕が一番良く知っているよ」
「あ……」
失言を悔いるようにミネアが唇を噛む。
「――そうだ。何がおかしいって、今僕がこんな所に居るのが一番おかしいんだよ!」
「申し訳ありません、ユーリル様、申し訳ありません……!」
突如熱に浮かされたような少年に必死にすがりつくミネア。
だがすぐに少年は正気を取り戻した。
「……ああ、ごめん。また取り乱しちゃったね。君の傍だとどうしても気が緩む」
「いいえ、今のは私の失言でした……。本当に申し訳ありません」
「もういいって!……それよりあの夢、現実だと思うかい?」
「ええ、恐らくは。それも今この時に起こっている出来事という可能性もあります」
その答えを聞いて少年に笑みが戻る。
「面白いな……。奴の情報は少しでも欲しいし、次の目的地はこれで決まりかな?」
「はい。あのような奇怪なオブジェを持った塔は目立ちましょう。必ず何かしら手がかりはある筈です」
「うん。それじゃあ明日も早いし、そろそろ寝直そっか?」
「…………はい、ユーリル様」
ユーリル? 勇者?
HP:134
MP:153
装備:E破邪の剣 E鉄の鎧 E鉄の盾 E鉄仮面
呪文:【炎熱】メラミ・ベギラマ・イオラ
【回復】ベホイミ・キアリー・キアリク・ザメハ 【蘇生】ザオラル
【補助T】ラリホーマ・マヌーサ・マホトーン 【補助U】スクルト
【その他】モシャス
今回ここまでです。
隙間風でした。
ちょwwwロザリーwww
展開読めナサスww
隙間風氏、禿しく乙!
すごいハイペースだが、途中でバテないようにな
やばい、世界がどんどん歪んでいくw 根幹から揺らいでいくw
発想が面白すぎるw 続き楽しみにしてます無理しないで頑張って下さい。
しかし細々した所が愉快だな。毎回一つずつ増える精神コマンドとか限界突破する体力とかw
正直
レズは
萎えた
は?レズ?どこが?
最後の奴?
このスレクオリティ高いな
408 :
377:2006/08/01(火) 12:51:52 ID:Mn4+Riri0
気にしないでくれ。
こんな些細な揚げ足取り以外に批判のしようがないほどレベルの高い文章だ、ということだ。
(あの後いろいろ考えたが、この一文自体を消すか、または
>>378の手しかないと思う)
山奥の村とバトランドは山を隔ててこそいるものの比較的近い距離にある、とか
湖の塔からロザリーヒルまでは若干の距離があるがエアプレーンなら一飛びだ、とか
位置関係もちゃんと計算して作られているのも奥が深い。
最後に。あんな物騒な薬物を前回むりやり口に突っ込まれた馬のその後が心配でならない。
てか「通称レッドドラゴン」まで含めて正式名称ですか。
ヒントあるのにレズネタに気付けないのかー
410 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/01(火) 20:17:28 ID:Q+Q52+GdO
最近つまんね
前よりはマシ
う〜ん
今気づいた
ほんとだ>レズ
一番最初のほうが面白かったな・・・。
次にどんな展開になるのか楽しみに待てた。
いまは逆に悪い意味で先が見えてこない。
そうか?普通に面白いんだが
好みはみんな違うもんさ
俺は好きな職人増えて楽しいよ
>399の3行目って誤変換だよね?
イラストを付けてくれる人はいないものか…
挿絵みたいなのもいいかもな
絵師降臨しないかな
最初の入れ替わった展開のまま、本来の4のストーリーに沿ってたら面白かったかも。
住民の皆様大変遅くなって申し訳ございません
久しぶりの投下になります。
では
>>242の続きです
くそっ……………
ドルマゲスにコテンパンにやられてイライラしている俺がいた。
圧倒的な力を見せつけられた恐怖と何も出来なかった自分自身に対しての怒りが混沌としていた。
何か落ち着かない……………………
もょ「タケ、どうしたんだ。何かあったのか?」
タケ「何でもないで。気にすんな。」
もょ「そっか…」
もょもとはそれ以上追求してこなかった。俺自身の事で他人を巻き込ませるのは嫌だからな。
タケ「もょ、サマルに目を光らしてくれへんか。」
もょ「どうしたんだ?」
タケ「あいつまたリアちゃんに嫉妬していたからな。今夜何かあるかもしれへん。」
もょ「なにかこんきょがあるのか?」
タケ「ああ、ドラゴンの角でリアちゃんが燃えさかる橋を凍らせて何とか橋を渡る事が出来たやんか。
その時にあのバカから相当妬んでいる雰囲気が感じたからな。」
もょ「それならきをつけるのだが、サマルをバカよばりするのはよくないぞ。」
タケ「すまん。ちょっと感情的に話してしまったわい。今後気をつける。」
ちっ……………イライラするわ。マジで。
ムーン「もょもと。夕食の準備出来たみたいよ。リアも帰ってきているから食堂に来て頂戴。」
もょ「わかった。すぐにいく。」
俺達は食堂に行き、皆で夕食を食べに行く事にした。
ルプガナの名物シーフードピラフが食べれるのだがこれがとても美味しい。
ホタテ貝や海老などプリプリしていて鮮度も良い。
現実世界と食べ物があまり変わらないのが救いだ。
リア「美味しい!」
ムーン「中々いけるわ。海の幸が特に良いわね。」
ムーンとリアは楽しそうに食べている。サマルはあんまり手をつけてないみたいだった。
もょ「サマル、しょくよくがないのか?」
サマル「うん。ちょっと疲れてね。食欲がわかないんだ。」
もょ「まぁ、そういうときもあるとおもうけどたべないとげんきがでないぞ。」
サマル「心配かけてごめんね。でも今日は本当に疲れたんだ。先に休ませてもらうよ。」
そう言ってサマルは部屋に戻っていった。
リア「もょもとさん。お兄ちゃんは一体どうしたの?」
もょ「サマルはそうとうつかれたらしい。だからさきにやすむみたいだ。」
ムーン「一体何があったのかしら?」
もょ「わからない。たぶんひとりになりたいきぶんじゃないか?
とりあえずムーンにはちょっとしたいきさつをはなしておこうか。」
そう言ってもょもとはドラゴンの角での経緯をムーンに説明した。
ムーン「なるほど。もょもとがドルマゲスにやられてしまったわけね。」
もょ「ああ。あいつはつよすぎる。いまのおれではたちうちできなかった。」
リア「皆で戦えば何とかなったんじゃないかなぁ?」
ムーン「リア、幾らなんでも鉄の盾を溶かすような魔力を持っている相手では楽観出来ないのだわ。」
リア「そ、それもそうだったね。ごめんなさい、ムーンさん。」
ムーン「いいのよ。人間誰だってわからない事を間違えるのは当たり前なのよ。これから先どんどん学習していきましょ。」
リア「うん!」
やはりムーンは人に教えるのが上手だ。パーティーの司令塔はムーンがいいかも――――――な。
もょ「それにおれがたすかったりゆうはドルマゲスのようすがおかしくなってにげるようにとんでいったんだ。」
ムーン「そうだったの。多分、ドルマゲスは普通の人間じゃないわ。」
リア「どういうことなの?ムーンさん!?」
ムーン「私の推測ではドルマゲスは普通ではありえない何かの力で呪文を使えるようになったと思うの。」
もょ「しかしおれはじゅもんをつかえないぞ。」
ムーン「もょもとの場合は理由が分からないけど普通の人間なら基本的な呪文なら誰でも習得できるのよ。
しかし、空を飛んだり鉄の盾を熔す事ができる呪文はなかなか習得できないのだわ。」
リア「でも、ムーンさんはベホイミが出来るようになるまでの時間はどれぐらいかかったの?」
ムーン「私の場合は1ヶ月で習得できたけど、普通の人間が習得するとしたら最低3ヶ月以上はかかるみたいわね。
ドルマゲスの場合は何かの力を使いすぎて自分の意思で体を扱えなくなったんじゃない?」
ムーンが呪文の習得に関することを色々話してくれた。頭が痛くなるような内容ばっかりだったが――――――
言い換えたらある意味すごい趣がある内容でもあった。ある意味オタクの区域も入っているけどな。
リア「もょもとさん、ムーンさんお願いがあるのだけど…」
もょ「どうしたんだ?」ムーン「どうしたの?」
リア「シャールさんを一緒に探して欲しいのだけどダメかな?」
ムーン「シャールさんって?」
もょ「ムーンをルプガナまでおんぶしてくれたひとのことだ。」
ムーン「それに私を薬で眠らせて落ち着かせてくれた人ね。」
リア「実はまだ家に帰ってないらしいの。マリンちゃんが私に言っていたの。」
もょ「う〜ん……なにがあったのだろうなあ。」
ムーン「私は協力させてもらうわよ、リア。実際に会ってお礼を言わなきゃね。」
リア「あ、ありがとう!」
もょ「もちろんおれもきょうりょくするぞ。シャールさんにたすけてもらったんだからな。」
ムーン「ふふっ…それなら決まりね!」
リア「しかしどこに行ったかわからないの。」
ムーン「それなら二手に分かれて探すのが今の所ベストみたいだわ。」
もょ「じゃあおれひとりでいくからムーンとリアちゃんはいっしょにこうどうしてくれ。」
リア「それはいいのだけどお兄ちゃんはどうするの?」
ムーン「もょもと一人だけじゃ危ないのではないのかしら?」
もょ「サマルもたまたまちょうしがわるいんだ。むりさせてはだめだろう。」
そう言ってもょもと達は二手に別れて行動をとることにした。
ムーン「リア、隠れてもょもとの後について行きましょ。」
リア「また急にどうしたの?」
ムーン「もょもとは私達に話せない秘密があるみたいだわ。」
リア「そ、そんな…もょもとさんが?」
ムーン「ええ、不可解な事が2回もあったの。私ともょもとがムーンブルグの城に行ったときの事だけど、
リビングデッドという不死系の怪物がいたのだけど最初は一撃で倒せなかったのよ。」
リア「もしかして………急に一撃で倒せるようになった…とか?」
ムーン「まさしくその通りよ。彼は急にその怪物を倒せるようになった。怪しいと思わない?」
リア「たしかに怪しいね…」
ムーン「それにもょもととククールと一対一で戦った時にもょもとが負けそうになったの。」
リア「ええっ!!ククールさんともょもとさんが戦ったの!?」
ムーン「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃない。話は戻すけどもょもとが瀕死で負けそうになったから援護攻撃したのよ。
私が間に入って二人を止めようとしたら逆にもょもとが反撃にでたのよ。」
リア「結果はどうなったの?」
ムーン「勿論もょもとが勝ったわ。その後に治療を頼まれたけど………………リアはこの事をどう思う?」
リア「私は………………それでもいいと思うの。」
ムーン「でも、もょもとが怪しいの点に関してはどう思うの?」
リア「もょもとさんはもょもとさんだもん。私は気にしてないよ。」
ムーン「貴女らしいわね。私も考えすぎだったのだわ…ごめんね。」
リア「ううん。ムーンさん。『人生は死ぬまで勉強』でしょ?」
ムーン「…そうね。」
ムーン リア
Lv.11 Lv.12
HP:49/49 HP:61/61
MP:68/68 MP:43/43
E魔導師の杖 E旅人の服 E羽帽子 E青銅の剣 Eみかわしの服 E鱗の盾 E羽帽子
攻撃呪文:バギ 攻撃呪文:ギラ、ヒャド
回復呪文:ベホイミ 補助呪文:スカラ
補助呪文:マヌーサ
おおっ、久々の投下だな。
とにかく乙!
>レッドマン
投下する前にこれを使って見たら巧く出来ると思う。
tp://iranegi.s5.xrea.com:8080/2ch/aaedit/aaedit.php
ムーンとリアの成長が楽しみだな。
今回は行間をつめすぎじゃね?
良作が潰れている感じだな。
暇さんやタカハシ、総長も来ないようになったなー
ほしゅ
夏休み期間だしこまめにほしゅ〜
さんを付けろよスライムやろぉ!
いやごめんなさい本当ゆるしてくださあqwせdrtふゅひおp@
やべぇ。ある意味禁断症状だよ。
職人さん達なんとかしてくれ。
保
守(笑
捕手
438 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/10(木) 09:09:31 ID:3oylpBDQ0
これはまた夏らしい糞スレだな
糞板でいわれてもねえ
はいはいビットクルー乙。
ほ
し
ゅ(ワラ
444 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/11(金) 18:32:38 ID:VPeYTgmYO
神スレから糞スレに成り下がったな
一体いつ神スレになったのか疑問。元から糞スレだったならともかく
みんな面白いな。久々に読んでみてビックリした
>>隙間風氏
あなたが影響を受けた文章がなんとなくわかってしまったw
色々読んでそうだね。
「DQの世界に入った現実世界の人間」が
現実世界の物品や知識を活かして冒険する、なら
もう少しそのあたりの脈絡を細かく描写するといいかもしれん。
逆にそういうのでなく、DQ世界に普通のハチャメチャを持ち込みたいなら
今のままでも問題なし。
なんにせよ、面白いので期待してる。
447 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 21:24:39 ID:7D4pV+go0
期待あげ
とりあえず自分が何の呪文使えるか想像してみる。
「ルーラ」とかマジであったらいいなぁ・・・
ルーラは一回行ったことがある場所じゃないと行けないしなぁ
ホイミが使えるだけでも神だろうな
450 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/12(土) 23:04:46 ID:Gutx+VqS0
夏age!
( 頭 )
まだ243KBか…
このままだと容量制限落ちせずに1000行きそうだな
みんな帰ってきてほしいね。
しかし投下しにくい雰囲気なのかなぁ?
ほし
ここ最近、忙しくなかなか投下できなくてごめんなさい
来月末には落ち着きそうなので、また再開していきます
来月末・・・・・・長いな・・・
空気なんて自分で変えようと思えば変えられるだろ
459 :
ひまつぶし:2006/08/17(木) 21:25:52 ID:JZWnS7wA0
「王子!」
「待ってくださいよ、王子!」
聞いているのかいないのか、王子はずるずるマントを引きずりながら
あたしの前を歩いてゆく。ただ、ただ、歩いてゆく。
「話聞けっつーんだこのドチビッッ!」
くるり。
瞬間的に振り向く王子。
はは〜ん。
「『王子』には反応しなくても『チビ』には反応するわけね、王子様☆」
「うるさいッッ!」
顔を真っ赤にして怒る王子は、これでも勇者の子孫だとかなんとか。
うっそくさいわよね〜。
「だいたいなんなんだその格好は!? お前恥ずかしくないのか///」
王子が指差すのはプリーツのスカート(超ミニ)、ハイソにネクタイ、碇マークのついた襟。
あたしのセーラー服である。
紫や青を色調とした王子の服とはずいぶんかけ離れている。
460 :
ひまつぶし:2006/08/17(木) 21:26:32 ID:JZWnS7wA0
色々言い合いをしているが、この王子とはさっき合流したばかりである。
数学サボって屋上でうたた寝してたはずなのに、起きたらなぜかどっかの原っぱでさ、
なんか周りに青いゼリーみたいなのがいっぱいあたしを取り囲んでんのね。
顔にぴたーーーーん、て張り付いてるから最初はアイスノンみたいに気持ち良かったんだけどね、
だんだんぬる〜くなってくるわけ。
そろそろもういいやってべりって剥がそうとしたらどんどん顔に張り付いて離れなくて……
やべえ窒息する!?とか思ったらいきなりゼリーが燃えたのよ!
ジョワ〜〜〜って蒸発してさ、消えてなくなっちゃったわけ。
後で話を聞くと、王子が[メラ]を使って[スライム]を[倒して]くれたらしい。
メラに、スライムに、倒すとか経験値とかゴールドとか専門用語(?)が王子の口から
飛び出すたびに、あれ?あれ?あれれれれ?
あたしゃなにこれ夢見てんの?って気分でさ、ぽかんと口開ければ王子に田舎者とか
言われるし、でもさっ なんかこれって……これって、ひょっとすると……
失恋の後遺症でとうとう精神病にかかっちゃったって感じ??
ラベンダーの香りやら、犬が出てくる奴やら、車が空飛ぶやつやら、
色んなものが頭に浮かぶんだけど、ドラクエの世界に行っちゃったとか、
そんなバカな妄想はさすがに夢でも思いつかな、い、はずなんだけど。
でも[やくそう]とか食べさせられたら急に気力がわいてきて、
なんだかだんだん事実に思えてきた。
(厨くささ満載にした文章完)
>>458 他力本願乙
俺は今の雰囲気の方が気に入ってる。職人含む馴れ合い厨が消えて良かった良かった
462 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/18(金) 18:01:38 ID:ee9qjr/cO
過度の馴れあいはともかく今の投下の少ない状況が気に入ってる…?
461じゃないが元々元々投下スレじゃないだろ
元々を二回言う理由はわからんが、初代スレから投下スレだったぞ
まあ、投下スレじゃないっていうならネタでもふってくれ
本当に入ったら恐怖のあまり自殺する
勇敢に立ち向かえる自信があるやつは名乗り出てみろ
何にですか?
ノ
468 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 06:11:21 ID:2UzHpI4B0
「DQの世界に現実世界の一般人が入ったら」っていう小説を投下するのが
このスレの趣旨でそ
似たようなスレを知ってるがここまで厨臭いのはここだけだ
最近は職人気取りな馴れ合い厨の作品より地に落ちていくスレを楽しんでる
↑
日本語おかしくないか?
別に小説形式じゃなくてもいいんだろ?
473 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 17:13:28 ID:1c4pr/DB0
小説形式じゃなくてもいいことくらい
>>1に書いてある。
よく読め、アホ。
簡単な呪文を唱えても何も起こらなかったらおとなしく絶望する
厨の特徴
・簡単な文すら理解できない
・そのため相手の日本語が間違っていると勝手に思いこむ
・自分の読解力が無いという考えは思い浮かばない
・基本的に他力本願
・気に入らないレスには日本語でオk
・論破できなくなるとじゃあネタを振れとだけ言い残し逃亡
・こういったコピペを見てもスルーできずに切れ始める
↑
のようなレスをするのが典型的な厨ですw
反応する奴も立派な厨房www
男なら黙ってスルーしろカス共
↑
のようなレスをするのが典型的な厨ですw
479 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/19(土) 20:01:03 ID:58oKNidgO
目覚めたとき、俺は小さな部屋の中にある小さなベッドの上にいた。
……BGMだ…。何故だ、コンポでもあるのか?
部屋を出ると修道女らしき人に出会った。
彼女は「お目覚めになったのですね。良かった、死んだように眠っていたから、心配していたの」とにこやかに言う。
金色の髪を持った美しい女性だった。
と、ぱたぱたと幾人かの足音が聞こえ、間もなく小さな子供が二人やってきた。
「マリアおねえちゃん、遊ぼうよー」
「遊ぼうよー」
マリア?
「そうね、じゃあご本を読みましょう」
「「わーい」」
現れた時と同様に、ぱたぱたと軽やかに去る子供たち。それを目を細めて幸せそうに見ていた女性も、
「ふふっ。あの子たち、本がとっても好きなの。
また、あとで来るわね」
と言い残し姿を消した。
マリア、マリア…
…まさかあれか? まさか、ヘンリーと結婚する前の…
俺は足早に彼女の後を追った。
続
↑
のような糞作品を投下するのが典型的な厨ですw
まあ、おまいらおちけつ。
今の雰囲気じゃ投下しにくいぞ
前に4の人を叩いてた荒らしがもどってきたんでしょ
放置するが吉
思ったけど、ドラクエ世界行って、街とかフィールドの音楽がずっと流れてたらウザいだろうなぁw
484 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/20(日) 01:40:12 ID:pAdrVB9YO
「きのうはおたのしみでしたね」と言われる様な事をしたいと言ってみるテスト
アッー
「さぁいざゆかん、天空の塔へ〜ですよ〜」
緊張感の無い鬨の声を上げて一同の戦闘を進む女。
その背には羽…いや、翼が生えていた。
怪奇!?鳥人間!!と、いった感じだろうか。
まあ、喋り方がキモイお陰で外見ではそこまでびびらずに済んでいたりもするのだが。
ソフィアのリハビリも兼ねて木登りをしていた俺たちが、枝の先で見つけた女。
なんでも彼女は空から降りてきたのだという。
世界樹の葉を摘みにきて、魔物に羽を折られたそうな。
彼女の言うとおりに引き続き世界樹を探索してみると…確かに、そこにあった。
空の、剣が。
こうなってくると、彼女の話も信じざるを得ないのだが…。
ただ、トルネコだけが首を幾度も捻っていた。天空の剣。確かに装飾は見事だが、それほど素晴らしい武器だとも言い切れない。
そう呟いては意気消沈したようにため息を吐く。
無理も無いだろう。この人は、この剣の為に元々得意では無い戦闘に身を置き、これまで危険を乗り越えてきたのだから。
その剣が…言っちゃなんだが思ったよりしょぼかった、ともなれば凹みもするだろうな。
それでも、やがて元気を出して、全てが終るまでついて行くとソフィアに告げ、彼女と、そして皆に喜ばれていた。
なんでも戦いが終った後には天空の剣を譲ってもらい、家宝にしたいそうな。勇者が振るった伝説の剣を所持する事こそが、世界一の武器屋であることの証明になる…。
正直言うと少しピンとこない話ではあったのだが、そこには例えようのない…浪漫があるような気がした。
天空の武具を揃えた者は空へと昇る。
ルーシアの指し示す通りに気球を飛ばすと、はたしてそこには険しい山々に囲まれた、空を衝く塔が聳え立っていたのだった。
鎧、盾、兜…そして、剣。
それら全てを身に着けたソフィアが塔の前に立つと…ゆっくりと、その荘厳で巨大な扉が押し開かれる。
「…さあ、行きましょう」
「おう!!!」
ソフィアの号令に、一同は鬨の声を挙げた。
「うわー!みてみて、クリフト!ほら!あの海の先に見えるのってひょっとして…」
「……姫様……すみません……このクリフト、戦いに負けたのではなく、高さに負けました……」
「ちょ、ちょっと、クリフト!?」
バタリと倒れるクリフトを引き摺って馬車へと戻るアリーナ。
どうやら彼は高所恐怖症だったらしい。いや、今迄よくもったよ。ほんと。
気球といい世界樹といい高いとこばっかりだったしさ。
二人の代わりにライアンとミネアが馬車から降り立ち、天空の装備を纏ったソロ、そしてブライと共に俺たちは再び塔を昇り始める。
ソフィアはまだ病み上がりという事もあり、無理はせずソロと装備ごと交代して馬車の中にいる。トルネコさんは御者台だ。
マーニャは…寒がって出てこない。
いや、そりゃそうだろうさ。あの格好じゃ寒いよ。どんな装備でも兎に角薄くしようとするのは職業柄というより最早ろしゅつきょ――。
ひゅんひゅんさくぅっっっ!!
「うごごごご!!」
「きゃあ!頭に鉄の扇が刺さってますよ!」
「説明的台詞をありがとうミネアさん」
ミネアの治療を受けている間、馬車の中からはトルネコをからかうマーニャの声が聞こえてきた。
傍若無人すぎる姉に対して、何故か妹のミネアが申し訳なさそうにする。
相変わらず苦労してるな…そう考えると、ついくすっと笑ってしまった。
それに気づいたミネアは流血のせいで遂にヤバクなったのかと、一層哀しい顔をするものだから、俺はまたつい笑ってしまった。
「いよいよですね…」
治療と俺の笑いがひとしきり収まった後、ミネアがぽつりと呟いた。
いよいよ――。
彼女が俺にだけ聴こえるようにそう言うのだから、それはつまり――。
「良いんですか?…皆さんに伝えずとも」
「……」
良いのか、悪いのか――と聞かれると、決して良くはない気がする。
なんと言っても、薄情な話だ。
だが、そうだとしても…迷うのは、この先に本当に神がいるのか、この先で本当に俺は元の世界に戻れるのか、という事だ。
できもしない話なら余計な事を言うのもどうかと思う。
そして、もう一つは…それは本当に皆に伝えるべき事なのか、という事。
「…すみません、前の方はともかく、最後の理由の意味がよく解らないのですが」
「だからさ。…例えば、病気になったとするじゃないか。
後数年しか生きられない――と、なった時に自分の大切な人を最も悲しませない方法って言うのはさ。
全てを正直に話す事なのかな、っていう事。わざわざ数年で死んでしまう、なんて事は言わない方がさ…」
「馬鹿じゃないですか?」
ミネアにしては、強い語調だった。
だから、俺は小さく息を呑む。
「何を言ってるんですか?本気ですか?本気なら…私も本気で怒りますよ?」
「ま、待って…なんだよ、俺だって色々考えたのに、そこまで言う事…」
「…私、貴方の事見損ないました。それに、凄く悲しいです」
ミネアはそういうと、ぎゅーっと俺の手の甲を抓る。
痛い。痛いのだが…なんだか妙な雰囲気で。痛いのは俺の筈なのに、むしろ痛がっているのはミネアで、それを何とか我慢しているかのような。
「貴方にとって、私たちは…仲間でもなんでもなかった、という事なんですね」
「そ、そうじゃない。仲間だから…大切な仲間だから、どうするのが一番良いのか考えるんじゃないか…」
「…本当の本当に、そう思ってます?」
「本当の本当の本当に!」
じっと、何もかも見透かすかのような占い師の瞳が、俺を覗き込む。
どれだけそうしていただろうか。やがてミネアは小さく嘆息した。
「嘘じゃ…ないみたいですね」
「当たり前だろっ」
「なら、幼い貴方に特別に教えてあげます。私たちを…ソフィアさんを大切に思うなら…嘘は、つかないでください」
「だけど…」
「嘘が巧いなら、それも手かもしれません。ですが…貴方には向きません」
ぐさり。
それは褒められてるんだろうかけなされてるんだろうか…。
そうちゃかしたら、物凄い勢いで睨まれた。どうやら、あのミネアが本気で怒っているらしい。
「解った…言うよ、言う。神様に会えて、戻れるって事が解ったら、ちゃんと…言うから」
「絶対ですよ?」
「絶対!」
「……よろしい」
ずっと抓られていた手を解放されて、俺はようやく人心地ついた。
ふーふーと息を吹きかける俺を見て、ミネアはくすくすと笑っている。全く、誰のせいなんだか…。
不満なのか嬉しいのか、俺は自分でもよくわからない笑みを返していた。
俺たちがさぼっている間、前線はライアンとソロで保持されていた。
ブライが後ろから氷結呪文と補助呪文で援護し、ルーシアも時折例の気の抜けた声で呪文を唱えている。この娘もいまいち掴めない。天然か?
ミネアが治癒の呪文を唱える中、俺はライアンとソロの後ろ、1.5列目に立ち、ドラゴンキラーを構える。
「大分、板につきましたな」
現在、俺が剣について師事しているライアン。彼に褒められると素直に嬉しい。
それが面白くないのか(なんで面白くないのかは知らないが)こういう事に関してはやたら地獄耳なマーニャが馬車の中からにゅっと顔を出した。
「ま、呪文の方はまだまだだけどね。結局攻撃の呪文は殆ど使えないしー」
「そうでもないじゃろう。取捨選択としては間違っておるまい。攻勢力向上との相性は悪くないしの」
ああ…俺としては、ブライに褒められるのは嬉しいのだが、この状況だとそれも半減だ…。
一気に険悪な雰囲気になる二人。
理論のブライと、感性のマーニャ。こうなってくるとこの二人はいつも荒れるのだ。
「あによお爺ちゃん。私の下僕を庇うなんて良い度胸じゃない」
「下僕じゃないよ」
「ワシは事実を言ったまでじゃ。そろそろ少しは認めても良い頃合じゃろう」
「余計なお世話よ!奴隷の事に関しては師匠である私が決めるのよ!」
「奴隷じゃないよ」
「理論について教えたのはワシじゃからな。権利の半分はあってもおかしくないわな」
マーニャの髪がうねうねと揺れる様はメデューサのよう。
対するブライの髪はツインタワー。サ○ーちゃんのパパか三島平○か。
「珍しいわよねー。ブライが人の事褒めるなんて」
「いや、姫様に関しては特別厳しいのですよ…教育係ですし…うぷ…」
「あーもー、いいから寝てなさいってば!」
「申し訳ありません…」
謝ってる割に嬉しそうだなクリフト。
しかし、ブライがアリーナに厳しかったのはある種仕方がない気はする…教育係がいながらあれじゃ、なあ…。
それとも、口ではなんのかんのと言っても理解を示して、のびのびと育てようとしている?
…ひょっとすると、ありえなくもないかもしれない。
「はい、その辺りにしておきましょう」
「マーニャさんも、落ち着いてください」
こういう時止めに入るのは決まってライアンとトルネコの役目だ。
なんとも貫禄のある感じだ。ライアンはともかくトルネコにもあるのは、やはりこの中では一家の長であるというのが大きいのだろうか。
「ほえぇ…皆さん、仲が良いのですね〜」
それもまたどこか抜けた感想だなとつっこもうと思ったが、ソフィアとソロがルーシアに同意しているので止めた。
まあ、見方によってはそうも見えるかもしれないしな。
マーニャとブライも仲が悪い訳ではない。いや、悪いのかもしれないが、嫌い合っているという訳ではないから。
これは恐らく俺だけが知っている事だろう。二人について師事していた俺は、ぽそっと呟く言葉を聴く事が多いから。
ブライはマーニャの事を稀代の天才魔術師だと思っている節がある。だが、理論をほぼ極めた老人にはまだ彼女がその才に振り回されているように見えるらしいのだ。
それが、惜しい。故に、口煩くなる。
そしてマーニャもまたブライの経験には一目置いているのだ。
何度かマーニャがブライを頼った時、その的確なアドバイスは幾度となく彼女を袋小路から救い出したのだと言う。
それが、悔しい。故に、憎まれ口を叩く。
「あの二人は…もっと協力したら、想像を絶する術も使えそうだがな」
「だけど…もしかしたら、今のままでも良いのかもしれない」
ソロとソフィアがそれぞれ感想を漏らす。とても対照的だと思った。
俺としては…そうだな、どちらが良いというよりかは…どちらも…なら、更に良いのかもなあ。
こうして皆で塔を昇るというのも珍しい気がする。
大体、洞窟や塔といったものは魔物たちの巣になっている。それというのも、理由の一つとして魔物たちは狭い所を好む習性みたいなものがあるのかな。人と同じように天井がある方が良いのか。
しかし、だったら洞窟大好きっこなミネアは魔物かという話に…はっ、殺気… ((((;゜д゜)))ガクガクブルブル …この話はやめておこう。
で、狭いところにあるから馬車ごと入る訳にいかず、苦しい時に仲間皆で立ち向かうという事が中々できないのだ。
地上ではさほど窮地に陥ることも…人数が増えれば増えるほど無くなっていったしな。
だから、今のこの感覚…調子が悪くなったら馬車の面子と交代したりとか、そんな事は中々できなかったんだが。
「凄いち〜むわ〜くですよね〜素敵です〜」
そう…この間延びした台詞にはいらっとするが、此処に来て俺たちは…かなり仕上がってきている感じがした。
「ところで、ルーシア。この塔を昇った先には何があるの?」
クリフトを寝かしつけ、トルネコに代わり馬車の御者台に上ったアリーナが訪ねた。
その質問は皆が聞きたくて、だがどこか遠慮してきたものだった。
興味津々といった雰囲気で視線を投げるものが多い中、ミネアなどはあまり聞きたくないのか視線を逸らしていたりする。
…そういえば、ミネアにとっては今迄声だけ聞いていた存在っていうのが、そこにいるのかな。それは少し緊張したりするかもしれない。
「はい〜詳しくは、やっぱり着いてからのお楽しみという事で〜。
で、す、が♪空の上には竜神様がいるのですよ〜〜〜☆」
…やはりいるのか。竜の神が。
彼女は空の住人だ。マーニャが引っ張ったり毟ってみたりして本物だと確かめたあの羽を持つ女が言ってるんだ。
あの時…キングレオ城で導かれし者達が集い、サントハイム城でバルザックを討ち…。
全員揃った仲間たちが改めて踏み出した道、それが…竜神を探す我等が旅だった。
大陸を足で、船で、気球で横断し、深い洞窟を進み、今はまた空に続く高い塔を制覇しようとしている…。
町で、王宮で、村で…楽しい事も哀しい事も。色々…色々あった旅が…。
それが…終る、のだ。
そう考えるとなんだか鼻の奥がツンと痛くなってくる。
見ると、感慨深い顔をする者、目頭を軽く拭う者、皆それぞれがやはり俺と同じように複雑な顔をしていた。
俺は…導かれし者達ではないけれど…。
それでも、この長い旅を共にしてきた…皆の仲間だと。思って…いい、よな?
こんな事、訊いたら物凄い非難されるんだろうな。皆、良い奴だから。
だから、訊かない。
そっと添えられた碧の少女の手を、俺は強く握り返した。
この先に何が待つかは解らない。
俺が元の世界に戻れるのか、戻れないのか。戻れるのなら、戻るのか、戻らないのか。
先の先の事を考えて取らぬ狸の皮算用をするのが嫌だったから今迄あまり考えずにきたが、そうも言ってられないのだろうか。
だが、デスピサロの件もある。考える時間は…まだあるように思うから。
今は、進もう。
考えて、足が進まなくなる事のないように。
よし、元気出して、ガンガン行こうぜ!
近いか遅いか、旅立ちか死か、それらは解らずとも俺と『皆』の別離はいつか必ず訪れる。いや、多少のズレはあるかもしれないが、それは今迄に比べたらかなり近づいている。
だが、それは…悲しいだけの事じゃ無い筈だから!
HP:110/125
MP:20/61
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
GJ!
4の人キターー!
早速楽しませてもらいました。
魔物扱いされてキレそうなミネアわろたw
いよいよ主人公の道がはっきりしそうですね。
次の投下をwktkしながら待ってますが、どうぞご自分のペースで。
寝付けなくて見たら久しぶりの投下が!!!
乙です。
伝説の顕現。
神話の具現。
空に在り、雲に建つ巨城――。
余りの荘厳さに圧倒され、威圧され、声も無く。
雲の上に立つというあやふやな感覚の中、俺たちは…ただ、ただ、見上げていた。
この世界には不思議な事が沢山あった。
だが、空に浮くこの城程の物は…無かったのではないか。
「…行きましょう」
静寂の帳を破ったのはソフィアだった。
それに、天空の装備を纏ったソロが続く。
アリーナが、クリフトが、ブライが歩み、マーニャとミネアがふわりと雲を踏みしめ並んで行く。
殿はライアンが勤める。俺は、トルネコの後にともすれば震えだしそうになる足を叱咤し、進んでいった。
擦れ違う天空人は珍しげに俺達を見てきたが、こちらもあまり向こうのことをとやかく言えないだろう。
彼ら、彼女らには一様にルーシアと同じように翼があったから、こちらも結構まじまじと見てしまっていたかもしれない。
――ちなみに、ルーシアは城につくや否やいつものアホっぽい話し方ではなく、きちっとした言葉で礼を言い城の中へと入っていった。
どちらが素の彼女だったのだろうか…この城ではあのくらいぴしっとする必要があるのかなあ。
マスタードラゴンへの謁見までの少しの間に、俺たちは天空城を散策してみることにする。
その途中、俺たちは…一人の天空人の女性に出会う。
彼女は、ソロと…そしてソフィアを見つけると、はっと眼を見開いて…何処か、寂しそうに笑った。
そうして、彼女は眼にうっすらと涙を浮かべながら…悲しい昔の物語を教えてくれた。
その昔、地上に落ちて、きこりの若者と恋をした天空人の娘がいたこと。
しかし、天空人と人間は結ばれぬが定め。
きこりの若者は…雷に撃たれ、娘は悲しみに打ちひしがれたまま…空へと連れ戻された。
娘はどんなときも地上に残してきた子供のことを忘れずにいる…。
悲しい、物語。
彼女と別れた後、マーニャがそっと俺に耳打ちしてきた。
「ねぇ、今の話だけど…もしかして、さ」
「もしかして?」
「もう!鈍いわね。ちょっと、ミネア!こっちおいで」
手招きをされてミネアがこちらに近づく。
マーニャが言うには――さきほどの話しに出てきた地上に残された子供、というのは…ソフィアと、ソロのことではないかと。
「ありえないよ。だって、二人には育った村に親が――」
「だけどその親は産みの親じゃなかったのよ?」
「あ――そうか」
そうだ、二人の親は育ての親で、産みの親ではなかったと聞いた。
勇者とて、木の股から産まれてくるわけはない筈で…産みの親は居る筈なのだ。
だけど考えてみると、二人の産みの親を探そうという話には…ならなかった。
何故だろう?今までそうだと思っていた二人が実は産みの親ではないと解ったら――少なからず、探してみたいと思うものではないのだろうか。
「そうとも限りません。お二人が、今まで育ててくれたお父様とお母様を尊敬し、大好きでいたのなら…わざわざ産みの親を探す必要も無いでしょう」
「そうねえ。産みの親ってなるとなんだか本当の親とかって感じになるし…じゃあ育ててくれた人達は偽者の親なのかって言ったらそんなこともないしね」
そういうものだろうか。
…確かにそうかもしれないが…。
「思い返してみれば、かのご婦人と勇者どのたちには、どこか面影がありましたな」
にゅっと顔を突き出してきたから俺たちはびっくりしてしまう。
ライアンが珍しいこともあるものだ。あまり、この手の話には入ってこないのだが。
「いえ、私も疑問の思いましたので。…かのご婦人が…勇者どのたちの、産みの親なのではないかと」
彼女が?
…だけど、その割には何もなかった。
ただ物語を教えてくれただけで――そう、なんだろう。その、感動の再会?
ちょっと俗な言い方だと思うが、お互い名乗りもせず普通に別れてしまっていて、親子の再会という雰囲気ではなかった。
ソフィアたちは顔も覚えていないようだから仕方が無いとして――子供のことを忘れずにいる彼女がどうして名乗らないのだろう?
「それは――私にも理由は解りかねます」
「ほら、掟とかあるみたいだし、その辺りじゃない?」
…なんでそんな掟があるんだろう。
理由は…俺には解らない何かがあるのかもしれない。
だけど、なんだかすっきりしなかった。
図書館で進化の秘法や戦いの歴史についての本を読んでいる最中に、兵士に呼ばれた。
俺たちは再び集い、一緒に玉座の間の扉をくぐる。
そこには、神がいた。
俺の眼の前に、竜神がいた。
大きく喉が鳴る音が聞こえる。
神――神か。これが、神なのか――!
黄金に輝く、巨大な龍――こんな存在が、本当に居て良いのか――。
「…私はこの城を治めるマスタードラゴン。竜の、神と呼ばれているものだ」
竜神は、こちらが思っているほどに絶対的なものではないのだと歯痒そうに述べ、
ときとして思わぬ力を発揮する種族、人間である導かれし者たちに賭けると言った。
「この城の真下が闇の世界への入り口…。
ソロ、そしてソフィアよ!いくがよい!」
ソロの持っていた天空の剣が輝く。
マスタードラゴンの力を得、剣はまさに神剣と化した。
トルネコの眼が剣と同じ位に光り輝いている。
一同、特にミネアとクリフトが感激に打ち震えながらも、めいめい勇ましく退出していく。
そんな中、俺は一人その場に残った。
最後に出て行ったミネアが、心配そうにこちらを振り返ったが、扉が音を立てて閉められる。
場に残された俺を、竜神の眼光が射抜く。
俺はその…冷たい…いや、冷たいのでは、ない…眼光に、思わず目を伏せてしまった。
「…どうしたのだ?」
「あ…そ、その…」
落ち着け!落ち着け、俺。俺だって、ここまで旅を続けてきたんだ。
竜だって見てきた!勿論、ここまででかい竜ではなかったが。
「俺、あの…じ、実は!この世界の人間じゃなくて!だから!
ああ、くそ、上手く説明できねえ…だからさ…」
――訥々と、自分の境遇、今迄の事、多くを語った。
余計な事も多分に話した気がするが、神はそれを止めなかった。
何故だろうか。ただ、そこだけは神らしい――らしい、というのもおかしな話だが――慈悲深さであったかもしれない。
即ち。
「なるほど。お前は元の世界に戻りたい、というのだな」
「ああ、そうだよ!」
「だが、本当に良いのか?この世界に未練はないのか」
「未練……」
未練は…ある。
そうだ…とりあえず、戻れるのなら、戻る前にやらなきゃならない事は沢山あるのだが。未練…というのは、戻ることそのものについて、だろうか?
ならば…本当に、良いのか?戻れる…なら、戻るのか?
だって…それが、正しい事だと思ってた。それが自然な事だと思ってた!
だから…正しい、んだ…。
沈黙を肯定と受け取り、竜神は鷹揚に頷いて見せる。
「では――開こう。扉を」
空気が変わった。
俺は背後の気配に振り返る。
空間が――収縮する――それはどこか、見た光で――。
青い…渦、のようなものが…。
ず…ずずず…!!
「な…!?」
引き摺りこまれる!?
堪えようとするが、これは――もたない――。
「ま、待ってくれ!まだ――まだ、やる事が――」
だが。
そう言って振り返り、仰ぎ見る俺を神は――見下ろし。いや、見下し。
嗤って――いたのだ。
――ばぁぁぁぁぁぁぁん!!
扉の前に控えていた兵士を薙ぎ倒し、巨大な扉が押し開かれる。
そのときには、俺は袖に身体の半ばを渦の中に引き摺りこまれており。
そうして、そのまま。
何事もなかったかのように人を飲み込んだ青い渦は、その姿を消失させた。
残ったのは竜神のみ。
低く嗤っていた神は、小さく呟いた。
「そうだな。戻るのも良かろう。今まで…よく、楽しませてくれた。
もっとも…何処に戻れるのかは保証せんが…な」
くっと、口の端を締める。
そのすぐ後に、導かれし者達がドヤドヤとやってきた。
マスタードラゴンは事情を説明し、ミネアがそれを聞き捕捉をいれた。
異世界の存在――皆、それにそれぞれのリアクションを取っていたが。
デスピサロの件が火急である事を理由に、マスタードラゴンは半ば無理矢理彼らを雲に開いた穴へと導いた。
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通常:治癒,上位治癒
4の人GJ!
先が気になる展開超GJ!
思えば長い旅とお話だよなあ。もう終盤だし。凄いわー。
なんかムカツク竜神様は別の作品のシンシア嬢にでも任せようw
4の人キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!
まだ読んでないけどGJ!w
まあまあクオリティ高いな
他が低すぎるんだろうけど
乙乙乙乙乙乙乙乙!!!
これからどうなるか超期待してます。
4の人乙です。
コンスタントにいい仕事するなあ。尊敬してます。
目が覚めるとそこは海の中だった。
がぼごぼがぼぼぼぼぼあれ?息できる?
おー…なんだろうこの不思議空間…。
もう大抵の事じゃ驚かないと思ってたけど、これはまた…驚いたなあ…。
と、言いつつさほどでも無さそうなのはやっぱり慣れちゃったんじゃないだろうか。悲しいことだが…人は慣れるものだよ…。
しかし、困ったな。
マーニャ達に何も言わずに出てきてしまった。あの女は…碌な挨拶もなしにいいいいって怒り狂ってる気がする…。
なんとも不義理なマネをしてしまった。どうしたものかな。
それに…。
ソフィアは…どうしてる、かな。
いずれにしても、ここでボーっとしている訳にもいかない。
兎に角、歩くか。歩いていれば…恐らく元の世界に戻れるのだろう。
海…水の中を歩くというのも斬新な経験のように思う。
そうでもないかな?ダイバーの人とかなら結構歩いているのか。
尤も、俺にそんなイケメンな趣味は無いが。
暫く歩くと、前方にうっすらと影のようなものが見えてきた。
なんだろう…目をこらしてじっくりと見てみる…ってなんか近づいてきた!
音が聞こえていたかどうかは覚えていない。
だが、恐るべき速度で恐るべき質量が迫り、俺を弾き飛ばしたのは解る。
水中をぐるぐると回転しながら上昇するが、制動もかけられず勢いが弱まるのを待つしかない。
やっととまったときには既に吐いていた。
き、きもちわるい…なんだ、一体。
かなり吹き飛ばされたのに水面が見えないのは不気味だが、それ以上に真下でぐるぐると蠢いている巨大な影のが数倍不気味だ。
なんだあれ…ってまたくる!?
ばちぃっと吹き飛ばされ最早俺の三半規管はぐだぐだになってしまった。
目が回る…奴はそれが狙いだったのか。
動きが完全に止まった俺めがけてその巨大な顎を広げ、一直線に迫り来る!
もう駄目なのか、と。
そうやって死を認識する事すらできなかった。そもそも、死、というものはそういうものなのかもしれないが。
ようやく思考が回り始めたときには、もう決着がついていた。
視界が霞んでいたがうっすらと覚えている。
俺の前に、情けないことに見慣れてしまった小さな背中が、割り込んできたのを。
海底(なんだろうか?)を揺らし巨大な影が血煙を挙げながら崩れる。
暫く残心のまま、やがて小さく息を吐きこちらを振り返るのは――。
「ソフィア!どうして…」
「飛び込んだから」
そう。
あの瞬間、扉を押し開き飛び込んできた影は、そのまま青い渦に飛び込んでいたのだ。
「だって、デスピサロは…もう時間だって…」
「五月蝿い」
ぴしゃりと言葉を遮られ、俺はどきりとした。
怒っている…?
いや、それは…そうだろう。基本的に鈍い俺でもそれくらいは…解る。
「ごめん。色々はっきりしてから…話そうと思ってたんだけど、いきなりで…」
「……いこう」
少女はそっぽを向いたまま歩き出す。
此処に留まっていてもしょうがない。
最初から方角も何も解らないのだから、目的地を定める必要も無い。
俺たちは当ても無く、不思議空間を彷徨い始めた…。
海に生えていた階段を登ると、洞窟へとたどり着いた。
洞窟を抜けると、今度は山の中。山の中を抜けると今度は塔。
明らかに…繋がりがおかしい。
一瞬、目を離すとソフィアの姿が見えなくなって、慌てて手を前に伸ばすと柔らかい肩を掴む感触。
数歩足を前に出すと、そこには不機嫌そうな顔をしたソフィアがいたりして。
試しに右手を横に突き出してみる。
俺の右腕の先が消失する。そして、その消失した腕から先は、天井から生えているといった具合に。
要するに、この空間は酷く歪んでいるのだ。
そのくせ魔物はうじゃうじゃとしている。
それもかなり強力な、だ。今迄で会ってきた魔物たちよりも…強い。
常にほぼ全力を出さなければならず、俺たちの疲労はかなりのスピードで上がって行った。
もっとも、その分大きな経験も得られているのだろうが。
修練の場としてはもってこいなのかもしれない。
傷ついたソフィアに完全治癒(ベホマ)をかける。
少女は憮然としながらも、俺の呪文を受けてくれた。良かった。これで駄々こねられたらどうしようかと思った。
いや、駄々をこねるというのとも違うか…俺が悪いんだからな。
考えてみると、こうやって二人だけで歩くのは…久しぶりかもしれない。
あの頃は…俺は、今以上に何もできなくて、この少女の後ろに隠れてばかりいて。
少女が傷ついても、何もできなくて…苦い、思い出。
ソフィアもまた思い出していた。
右も左も解らなかった。だけど――独りではなかった、旅。
それは短い期間だったけれど…あの頼りなくて、格好悪かった男が、今は自分の背を守り、傷を癒してくれる。
不思議な感覚…どこか、何かが暖かい。それは、傷を癒してくれる光のせいだけではなく。
「おや?人とは珍しい」
突然上から声が降ってきて少々物思いに耽っていた俺たちはビックリする。
慌てて剣を構えると、傍の階段から降りてきたのは人の良さそうな農夫…だった。
いや、農夫なんだからしょうがない。暢気そうに…できる場所ではないとは思うんだが。
「貴方は?」
「ワシは見ての通りの農夫じゃよ。それより、こちらにおいでなさい。お疲れのようだ、ゆっくり休むが良いじゃろう」
そう言って、登ってきた階段を戻っていく農夫。
俺たちは狐につままれた面持ちでその後ろをついていった…。
そこにはかなりの数の人間が生活しているようだった。
教会が中心にあり、その脇にはいくつかの家と、畑のようなものもある。
農夫に導かれ(微妙な導かれかただ)教会の奥に入ると、そこには神父と王冠を被った人物がいた。
「ほう、新たに迷い込んでいた者らか。此処は安全じゃ。安心するが良い」
「あのう…貴方は一体…」
「わしか?わしはサントハイムという国の王じゃよ」
へー。サントハイムの。
「もっとも、こんなところで王だなどと名乗っても失笑ものじゃがな。
だが兵たちの手前、体裁は整えねばならぬのよ。お主たちは他所から来たようじゃから言ってしまうがの」
わっはっはと笑う王様。
王様って人種にも今迄色々あってきたけどさ。
まさか此処でサントハイムの王様に会うとはね。
わっはっはー。
「こんなとこで何油売ってるんっすか!?アリーナが物凄い心配して探し回ってるってのに!!!」
思わず詰め寄る俺。
アリーナと聞いた王の顔は一変した。
詳しい話を求められた俺は、なるべく簡潔に事の経緯を果たした。
「そうか…そのような事に…。
だがわしらとて此処で遊んでいた訳ではないのだ。外を出れば強力な魔物が根を張っている。
それでもこの建物の周りには何故か魔物は現れないので此処を拠点にしてな。
多大な犠牲を経て外へ出てもみたが、得られたのは奥にいる奇妙な男たちが言い争っている風景だけ。
なんとも情けない話だがな…」
本当に悔しそうにそう言われると、俺たちとしては何も言えない。
その奇妙な男たち…とりあえず、彼らに会ってみるべきだろうか。
ゆっくりと休養を取ってから、俺たちは出発する事にした。
ノックをすると、小さな応えが返ってきた。
ソフィアは、こちらに背を向けてベッドに寝転がっている。
俺は手近な椅子を持って傍により、なるべく音を立てないよう腰掛けた。
「……」
ううむ…気まずい。
だが、黙っている訳にもいかない。
「ごめん。本当は…もっと早く言うべきだった。
だけど、俺の世界に戻れるのか…確証がもてなくて。
戻れないなら、いずれにしてもこちらで生きていかなければならないのだから、わざわざ言う事も無いと思った」
「……それで、戻るの?」
「……」
「戻りたいの?」
「……解らない」
解らない。
戻りたいのか、と言われたら…そう答えるしかない。
俺はこの世界に長く居過ぎた。そして、この世界で沢山のものを得すぎた。
今更…元の世界へ戻ったとしても、何があるのか…無くすモノの方が多過ぎる。
きっと…戻りたくないのだ。
だが、それを認められない。
だからこそ、中途半端な事をし続けて――結果的にこうなった。
マスタードラゴンが何をしたかったのかは…よく、解らない。
どうも俺にとって味方…では、無いようではあったが。
「私は戻る。皆の力になりたいから」
煮え切らない俺に向かって、ソフィアははっきりとそう言った。
「それに…ピサロも…」
「…?ピサロも…?」
「長く眠っている間、夢を見たの。
長い夢…ピサロと、ロザリーの夢。
私は…ピサロも救いたい」
「それは…無理だ。
ロザリーは死んでしまった。それに、もう時間も無い…ソロ達は既にデスピサロ討伐に向かっている筈だ」
「こんな所で油を売る羽目になったのは誰の所為だと思っているのかしら?」
グサリ。
きょ、今日のソフィアさんは…なんか怖いよう…うぐぅ。
「お、俺も協力するよ」
いや、別にビビッてそう言った訳じゃないが。
「……貴方は貴方の世界に戻るんじゃないの?
この空間は捻じ曲がっているようだし、あながち戻れないとも言い切れないわ」
「……………………」
考える。考え抜く。
なんとなく、戻らなければならない気がするから。
戻るものだと思うから。
そういう…曖昧な気持ちを抜いて、考え尽くす。
そうして――決めた。
「良いんだ」
この決断は…もしかしたら間違っているのかもしれないな、と思う。
間違っていたら、なんらかの形で俺は何かを失ってしまうのかもしれない。
だけど。
「長く眠っている間、夢を見たの。
長い夢…ピサロと、ロザリーの夢。
私は…ピサロも救いたい」
「それは…無理だ。
ロザリーは死んでしまった。それに、もう時間も無い…ソロ達は既にデスピサロ討伐に向かっている筈だ」
「こんな所で油を売る羽目になったのは誰の所為だと思っているのかしら?」
グサリ。
きょ、今日のソフィアさんは…なんか怖いよう…うぐぅ。
「お、俺も協力するよ」
いや、別にビビッてそう言った訳じゃないが。
「……貴方は貴方の世界に戻るんじゃないの?
この空間は捻じ曲がっているようだし、あながち戻れないとも言い切れないわ」
「……………………」
考える。考え抜く。
なんとなく、戻らなければならない気がするから。
戻るものだと思うから。
そういう…曖昧な気持ちを抜いて、考え尽くす。
そうして――決めた。
「良いんだ」
この決断は…もしかしたら間違っているのかもしれないな、と思う。
間違っていたら、なんらかの形で俺は何かを失ってしまうのかもしれない。
だけど。
「俺は、もう戻らない。俺は、さ。ソフィア。俺は…さ…その…ソフィアのことが…」
「私は貴方が好き」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
先に言われたあああああああああああ!!酷い…男に格好つけさせろ!!!」
「いつ言ってくれるのかと思ってたけど…。
待たせた罰。格好なんてつけさせない。貴方は格好悪いままでいなさい」
「そんな、ひどい…」
よよよと泣き崩れる俺を見て、ソフィアはうふふと笑う。
その笑顔が可愛いから、彼女の意地悪も容認してしまいそうになる。
「貴方はアリーナが好きなんだと思ってたけど」
「アリーナは可愛いよね」
「……」
「しまった、つい本音が……」
「……………………………」
「嘘です。ごめんなさい冗談です」
「バカ」
拗ねる姿も可愛いよなあ!そう思うだろ!
けどなあ、もうちょっと色気があっても良いような気もするんだけどなーこういうシチュエーションは。
いっそ、このまま押し倒s…押し倒せればもしかしたらそういう事もあるのかもしれないけど。
なんだろう。なんだろうな!嬉しいのかな!!
ういー俺みたいなキモメンがこんな可愛い彼女を…いや、可愛いだろ?頭はもこもこしてるけど。
あんまり羨ましがる気配を感じないのは気のせいだろうか…?
「じゃあ、とりあえず一緒に寝ようか」
「バカ」
追い出されました。
はあ…まあ、良いか。焦る事もあるまいよ。
あの世界で生きると決めた。
結局の所…元の世界に戻らなければならないとは思っていたが、戻りたいとは…思っていなかったのだ、俺は。
だって、こっちの世界にはソフィアが居る。
向こうには誰が居る?勿論、親兄弟もいた…ような気がするけれど、少なくとも…ソフィアは居ない。
許されるのか。それだけが俺には解らなかった。…そして、怖かった。
何を恐れていたんだろう。きっと、誰かに、何かに…怒られるような気がしてた。
そんなことは、ありはしないのに。
俺の人生は俺が決めなければならない。それは――何処で生きるかをも、定めることができるのだ。
責任は大きい。だが、ただ――それだけだ。大きな責任があるだけで、その選択自体は責められるものなどでは…無いのだ。
ソフィアと――添い遂げられれば良いが、いかんせん俺の器ではそれは難しいのかな…。
だけど、努力はしたいと思います。ええ。
今の俺なら何にでも勝てる気がする。
そう思っていた時期が俺にもありました。
「だから鳥より卵の方が偉いんだって!」
「そんな訳あるか!卵より鳥の方が偉いに決まってる!」
眼前で繰り広げられる恐ろしい規模の喧嘩に半ばちびってる俺。
ドラゴン○ール並に岩石が飛び交ったかと思えば、小さいのが物凄い勢いで炎を吐く。
なんだあれは。人間じゃないのか。
しかも喧嘩の中身が恐ろしく…内容が無いように見えるが彼らにとっては大事な事なのだろうか。
ソフィアもとてもじゃないが間に入れないと震えている。
あのソフィアが震えるんだぞ!これがどういう事か解るだろうか。
彼女が武者震いをする相手である、というのがどれほどの事か、正確に解るのはラブラブな俺だけだろう。フフン?
調子こいた俺に次元を超えた罵声が聞こえる(ような気がする)
ハハハ!文句があるなら俺を倒してみろよ!
めりぃっ!!
流れ岩に潰される俺。
…すんませんでした。
なんとかかんとかソフィアに救われたので、改めて考える。
どうしたものか。何とか話をしなければ進まない。その為には喧嘩を止めなければ。
彼らは鳥と卵どちらが偉いかで議論しているらしい。
鳥と卵。どちらが偉いのだろうか。
鳥がいなければ卵は産まれない。だが、卵がなければ鳥は産まれない。
あれ?しかし考えても見ろ。
卵から産まれるのは鳥じゃなくてひよこ(雛)じゃないのか?
卵は鳥から産まれて、ひよこは卵から産まれて、鳥はひよこが成長する。
「つまり本当に欠かせないのはひよこなんだよ!!!」
「な、なんだってー!!」
鳥男と卵男がハモる。
ソフィアはきょとーんとしている。まあそのリアクションが普通なんだろう。
「三つ巴となると決着をつけるというのも難しいなチキーラ」
「実に。ここは一旦休戦としようかエッグラ」
「そうしようそうしよう」
がしっと硬く握手する俺たち。
ノリだけで生きてる俺だけど良い事もあるんだな。
なんだかその後は妙に仲良くなってしまい賑やかに過ごした。
時折思い出したかのようにまた喧嘩を始めようとするのには参ったが。
「そうかそうか。お前らはお前らの世界に戻りたいのか」
「ならその火口に飛び込んだらいいぞ」
痺れを切らしたソフィアが訊ねると、彼等はあっさりとそう答えた。
火口に飛び込むというのも恐ろしい話だが…この歪んだ世界ならばそれもありうるだろう。
何より俺は彼らを信じている。いや、話してみるといいヤツらなのだ。
「ついでにサービスだ。世界樹にいってみろ。鳥に感謝しろよ」
「むがー!じゃあ俺はこの卵をやる!卵に感謝しろよ」
「ちっ。ならば俺はこの剣だ!なんといっても魔界製だぞ!」
「人間に魔界製の武器が使えるものか!賢い俺は魔界の兜を」
な?いいヤツラだろ?
なんだかお土産までもらって悪いなあ。
「…もうっ!」
俺があんまり彼らと仲良くしているもんだからソフィアは膨れて先に火口に飛び込んでしまう。
慌ててその後を追…おうとした。だが、その時後ろからかかった声に、俺の足は止まってしまう。
「お前。自分が誰だか解っているか?」
奇妙に…シンプルな問い。
突然何を言い出すのか、と笑いながら振り返った俺の前には、さきほどまで笑ったり、怒ったりしていた二人が、まるで能面のような無表情で立っている。
「…え?」
「自分の名前を言えるのか?」
俺の…名前?
バカな!何を言ってる。俺は…俺じゃないか。今まで、何度も何度も…仲間達に呼ばれてきた!
「何て、呼ばれてきたんだ――」
――あ。
そう、か……俺……。
「一度も…名前で呼ばれた事、無い…君、とか…お前とか…貴方とか…」
「責めるな。皆、仕方が無いのだ。世界そのものに影響を受けている以上、無意識の内に不自然を感じなくなってしまっている。そう、決められている」
決められている…?
なんだそれは。一体、誰にだよ!?
「もう、解っているんだろ?」
――マスタードラゴン。
「そうだ。我らは、この世界は狭間だからな。こうして忠告もできる。
あの世界に戻るつもりなら止めておけ。先で待つのは名も無き生、個人の崩壊だ。
自覚は無いか?自分が、自分で無くなるような感覚に」
ごくりと喉が鳴る。
そうだ――ある。心当たりが…あって、しまう。
「元々、お前はその男の意識として稼動し、そして離脱する予定だった。
だが…飽いたのだな、あの竜が。同じ遊戯を何度も続ければ、それも当然だと思うが」
「故に、今、お前は此処に居る。哀れな混じり物よ。我らはお前に同情している。
今なら――元の世界に我らが戻す事が可能だ。緩慢な死を迎える為にあのような暗い箱庭に戻る必要は無い」
彼らの話しは解る所もあれば、解らない所もあった。
なのに――その手には、強力な魔力が、あった。
眼の前に並べられた二つの手。
それはとても力強く、郷愁を感じるものだった。
HP:153/153
MP:12/84
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
4の人が大豊作だ…!!いっぱい読めて嬉しいぜ
上手い事まとめるなあ
マスタードラゴンは一体何を…????
4の人GJ
非常に乙。
ギャグでシリアスで楽しませて貰ってます。先が読めない。
男を見せられる場面が来ねえなあw
ちょwwww4の人連日更新ktkrwww(*゚∀゚)=3 ハァハァハァハァハァ
>男を見せられる場面が来ねえなあw
いつか「Eパンツ」が装備から外れる日が
ハ_ハ
('( ゚д゚∩ こないといいよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
まさか主人公の名前までが伏線とは思わなかった…。
とにかくGJ!!
どうにも結び付けようのないあの鳥と卵のダンジョンをそう使うか!
その発想はなかった。すごい。GJ!!
エグチキコワス
4の人乙
4の人が2日に渡って投下するとは…ッ!
何かもう凄い!
雰囲気変えようとしてるんだな
ぐったりとした導かれし者達を、暖かな光が照らす。
希望の祠――そう呼ばれた場所にしては、あまりにみすぼらしく、暗い。
だが…絶望の中に宿る小さな小さな希望…そういうものだと思えば、なるほどと思わないでも無かった。
デスピサロの居る場所に向かうには結界が張られており、彼等はその結界を張っていたデスピサロ直属の四天王を、今まさに撃破してきたところだった。
マーニャとミネアが、アリーナとクリフトが、ライアンとブライとトルネコが。
そして、ソロはたった独りでエビルプリーストと名乗った邪神官を打ち倒し、最後にこの祠に戻ってきた所だった。
「逃げられたがな…」
そう、呟いた後多くを語ろうとしないソロに、マーニャは苛立ったような声を上げる。
それをミネアが宥めるが、それが逆効果にすらなりそうだ。
ブライが火に油を注ぎ、こういう時に抑えに入るライアンとトルネコはくたびれたように深い息を吐く。
皆、ばらばらだった。
その理由が何かは、痛いほど解ってしまっていた。
「元々ねえ、あいつがむかつくのよ!あいつが…あれだけお世話になった私に一言も無くいなくなるなんて、許されるとおもってるの…!」
「なんじゃ。お主はさっきまでいなくなってせいせいしたと言っておったではないか?」
「な、なんですって!?」
「姉さん落ち着いて!」
止まない喧嘩にソロは小さく嘆息し、一晩休んでから出発しようと提案した。
誰もそれに反論しなかったが、特に賛成もしなかった。
ソフィアが居ない。
そして…彼が、居ない。
たったそれだけで、ここまでバラバラになるなんて。
ソロは勇者だった。だが、違ったのだ。皆、ソフィアという勇者がいたから纏まっていた訳ではない。
妹との器の差にソロは独り苦笑を浮かべる。
それもまた止むを得まい。
このまま皆で突撃しても、いたずらに死者を増やすだけだろう。場合によってはお互いが足を引っ張ってしまうかもしれない。
ならば、やる事は決まっていた。
元々、この魔の世界に日が昇る事はないようだった。
いつ出発したとしても、この薄暗い山道を登る事になっただろう。そう思えば後悔するような事も無い。
デスピサロを殺す。
それは彼の悲願。
誰とも――妹以外とは決して共有できないであろう、暗い夢。
トルネコには妻子がある。
ライアンには誇りがあるが――誇りしか、無い。
クリフトとブライにもそれは言える。彼らには忠誠しかない。
ミネアとマーニャには亡き父に対する責任感が。だが、死者に縛られる事は無いのだ。父が産み出したものだからといって、娘が背負わなければならない道理は無い。
無いのだ。
彼らには――命を賭す理由が。
世界を救う。そんなものは勇者に任せてしまえば良い。
他の、多くの人間がそうしているのだから。彼ら、彼女らがそうして悪い道理が無い。
「じゃあ、私は?」
山道を登りきったところで待ち受けるのは、オレンジ色の髪を靡かせる貴き姫君だった。
何も無いなんて、絶対に言わせない。
その強い瞳がなにより雄弁に語りかける。
私には――父を、城の皆の手がかりを探し出さなければならないという強い責任がある。
「何より、私がそうしたいという強い想いがある!ソロになんか負けない。今のソロになんか負けない!
ソロこそ!死んだ人達の為に復讐するなんて止めてもいいのよ、いつでも!だけど私はそれを否定しない。だから私は誰にも否定されない!!」
「……」
「ソロのバカ!そういう所が皆、解っているの!声を出さなくても、感じてるの!
最後には独りでいってしまう、誰も信じられない…誰かを信じられない人が、誰に信じてもらえるの!?
そんなの…そんな人を信じられる子なんて…本当の大バカしかいないわよ…」
顔を真っ赤にしてそう怒鳴り、ぐしっと鼻をすすって目を擦る。
「…怒ったり、泣いたり、忙しいヤツだな」
「あんたのせーでしょうが。女の子を泣かせたら、責任、取らなきゃならないのよ」
後ろから響くマーニャの声。
導かれし者達が、再び集う。
「王宮戦士の誇りは何者にも砕けませぬぞ」
「商人は、早く世界を平和にしないと物を満足に運べず困るのですよ。武器を売るのも儲かるのですが、本来そんなものは私の主義ではありませんので」
「アリーナ様の意志は私の意志でもあります」
「城の皆を救うのは、この老骨の最後の奉公じゃからな」
「今更私たちだけ仲間はずれってのもないでしょ」
「共に時間を過ごしてきたのですから、最早責任だけで此処に居る訳ではありません」
酔狂な事だ、と。
ソロは優しく笑って言った。
「ぐはあああ……!
なにものだ…おまえたちは?わたしは…わたしはデスピサロ…まぞくの…おう…。
うぐおおおおおおおお!!!!!なにも…わたしにはなにも…おもいだせぬ……。
しかしなにをやるべきかはわかっている。
がああああ……!!おまえたち……にんげんどもを……ねだやしにてくれるわぁぁぁぁぁ!!!!」
姿は…あのエスタークに似ている。
進化の秘法を扱うものは、皆あの巨大な姿を目指すのか。
「これがあの美形の成れの果て、か。少なくとも進化の秘法が私好みじゃないってのははっきりしてるわよね」
つまらなそうに呟きながら、マーニャが両手に焔を迸らせる。
あのエスタークと同じくらいなら、問題ない。自分たちは一度倒している。
ともすれば油断となりそうではあるが、この時はそれがよく作用した。
巨大な両手に握られた巨大な剣。その剣を避けアリーナが跳躍すれば、その剣を身体全体で受け止め押し返すのがライアンだ。
「やぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
武人達の裂帛の気合が辺りをビリビリと奮わせる。
アリーナがデスピサロの右腕を蹴り千切り、ライアンが左腕を叩き斬る。
両腕を失った事でバランスが取れないのか、ぐらぐらとおぼつかない足取りでよろめくデスピサロの頭を、トルネコの破壊の鉄球がずたずたに砕き潰す!
「やっぱりこれはライアンさんが使うべきですよ」
自分の戦果に戸惑ったトルネコが、ライアンと武器を交換しようとしたり。
腕と頭を潰されて、あっさりと地面に倒れ付した魔王に、皆は歓声を上げる。
「なーんだ、私が出るまでもなかったわね!」
「…いや、まだじゃ。伏せろ!!」
油断無くその慧眼を光らせていたブライがマーニャを引き摺り倒す。
何すんのよ――その言葉は身体の上を通過する激しい炎でかき消される。
何処から――?
その疑問は実物を見た上でもすぐには氷解しなかった。
腹が、開いている。
大きく縦横に裂けた腹から、ぶふっ、ごふっ、と不気味な音を立て、残り火が滾っていた。
「なんですか…あれ?…顔…?」
「それに、色も…なんなんだ!?」
腹に浮かび上がったのは口だけでない。
口の上にはなんの冗談か、少し小さめの口――瞳がぎろりと二つ開く。
それだけではなく、全体的に茶色ががっていた身体の色が緑色に――。
「あんたが――翠だなんて、許さない!」
キラーピアスを両の手につけたアリーナが怒りを露に踊りかかる。
私の親友の髪と同じ色――あの人の髪と同じ色――それが、この醜悪な化け物に汚されるのが許せない。
ズドォッ!ゴォッ!!!
デスピサロがあとずさる。
それすらも、姫君は許さない。
「お前が!お前が!!お前がいなければ良かったんだ!
ソロも、ソフィアも…お前がいなければ幸せに暮らせたんだ!
どうして…どうしてあんたみたいのがいたのよ!!!」
既にまともな思考すらも失ったデスピサロに、サントハイムの人々の行方を聞くは叶わない。
だから、彼女はただ怒りをぶつけていた。
もう…これ以上は、嫌だった。
だから自分が怒り狂う。他人の怒りを見れば、人は逆に冷静になるものだから。
鈍い音を立てて弾き飛ばされる。
死角からの攻撃――どこから!?その疑問は離れてデスピサロを見ればすぐに解る。
腕を失くし頭を失くし、腹に顔が浮かび――今度はわき腹…もはやだった位置、と言わざるをえない…から、最初にあったものより三倍は太い腕が――!!
「いやぁぁぁぁぁ!!」
ミネアがあまりの事態に悲鳴を上げる。
それが恐怖を伝播する。
恐ろしい――恐ろしい、のだ。こんなものが存在するなんて。
アリーナが打ち込み、打ち込み、打ち込んで、気味の悪い体液を撒き散らせていたと思った次の瞬間には腕が生え、傷は癒えてしまっている。
終りなど、本当に来るのか――?
永遠に続く悪夢に、自分たちは迷い込んでしまったのではないか?
ミネアが怯え、クリフトの歯は合わさらない。トルネコの背負っていたトレードマークの正義のそろばんがかちゃかちゃと鳴いた。
「――まだだ」
天空の鎧。天空の盾。天空の兜。
そして天空の剣を正眼に構える勇者が、皆の前に立ち塞がる。
ソロには雄々しさが常にあった。だが、今はそれだけではどこか無いようで。
振り返らずに、片手を剣から離し、後方に向かって振る。
――限りを極めた治癒。
ベホマズンの光が辺り一帯を照らし上げる。
その光が収まる頃には――炎に巻かれた仲間が、太い腕に弾き飛ばされたアリーナが、怪我一つ無い状態で立ち上がっていた。
「皆は死なない。行こう――」
ざっざっざっ。
振り返らずに、走る。その走りは孤独なものではない。
クリフトがスクルトを、ミネアがフバーハを、ブライがバイキルトを。
アリーナがソロの横に並ぶ。ライアンが、その後ろを守護するかのように追いかける。
精神を研ぎ澄ますマーニャや他の魔術師達を守るかのように、トルネコが横に身体を広げる。
皆が共にきてくれる――。
ソロを中心に、まとまって攻撃をしかけてくる導かれし者達に対し、デスピサロは――どこか笑ったような、気がした。
戦士たちの攻撃を受けたデスピサロの足が吹き飛ぶ。
しかしすぐに新たな足が生える。今度のそれは、先ほどのものより太く、強そうだ。
「諦めない――諦めてたまるか!いくわよ、ミネア!!」
「ええ、姉さん――真空――竜巻――いけぇぇ!!」
デスピサロの傍に数本の竜巻が発生し、巨体を切り刻む!
血だるまになり苦悶するヤツから、打ち合わせも無しに戦士たちが飛び離れた。
マーニャが皆に向かってウィンクをする。
「これで――おわりよ、全て!!極大、爆裂…イ・オ・ナ・ズゥゥゥゥン!!!」
瞬間。
大気が震えた。
それはあの時によく似た雰囲気。
デスピサロの身体中心に全てが引き込まれ、収縮し――次の瞬間撒き散らされる爆裂の波動!!
響く轟音!!砕ける大地!!破れる身体!!!
稀代の天才魔術師マーニャの一つの完成形がそこには確かに存在する!!
爆煙が少しずつ晴れて行く。
終った――これで、決まったろう。
誰もがそう思った。
…勇者、以外は。
悪夢が醒めれば次の悪夢が始まる。
夢から醒めた現実の方がより酷い悪夢である事など、この世界には数限りなくある。
ああ…畏れよ。
畏怖であり、畏敬。これだけの負荷をかけられながら尚、立ちはだかるその――神の御姿に。
腹に生えた顔の上に、更に首が生え、顔がある。
一番初めよりも二倍に膨れ上がったその体躯。強くなる。進化する――戦えば戦う程に、進化する。それも、導かれし者たちを超えるスピードで。
ギャァァァァオオオオオオオ!!!
デスピサロが魂を砕く咆哮を上げる。
竦み上がる皆。浮かび上がる鏡光。
「いかん…マホカンタじゃ…もう、これで魔法は効かぬぞ…」
ブライが警鐘を鳴らす。
力と魔法。その二つが合わさったから、今まで乗り切れた。
今までにマホカンタを使うものがいなかった訳では無い。それでも打ち勝ててきたのは、肉弾戦での征圧が可能だったからだ。
だが…今回ばかりは相手が悪過ぎる。無限に進化するこの化け物が相手では。
「大丈夫だ」
それでも。
尚、皆を鼓舞するその声。
「後、少しだ。これで終りにしよう。マーニャとミネアとブライは全力で魔法を。ライアンと今回はトルネコとクリフトも前に出てくれ。
アリーナは…俺についてこれるか?」
「ハッ!そんなの、当たり前でしょ!!」
「仲間を巻き込むのを恐れるな。俺が全て治す」
「ま、待つんじゃソロ殿!今の彼奴には反射鏡光(マホカンタ)が――」
「大丈夫だ。問題――無い」
勇者の持つ天空の剣が――煌く!!
白光が剣より迸り、デスピサロを貫いた!!
「さあ、行くぞ――今度こそ、終わりだ!!!天招、大雷檄(ギガデイン)!!!」
突き出された左腕より噴き出る雷を追いかけ、ソロが走り出す。
それに続きアリーナが。ライアンが、クリフトが、トルネコが駆ける。
ギガデインの雷は、紛う事無くデスピサロを打ち据えた。
ブライは目を見張る。何故――確かにそこにあった筈の反射鏡光が今は無い!
恐らくは、先ほどの剣の光――そこまでで、ブライは考えるのを止めた。今やるべき事は――。
デスピサロから不可視の波動が迸る。
全員を貫いたそれは傷はつけなかったものの、酷い脱力感をもたらした。
補助呪文の効果が打ち消される――だが、そんなもので止まりはしない!
ソロとアリーナが高く高く跳躍する。
その後ろから姿を現した三人が、全力で各々が武器を叩きつけた!
バギクロスが、イオナズンが、デスピサロの肉体は再びずたずたに引き裂く中、今度は更なる力が加わった。
「発動してくれよ…ワシの乾いた魔力よ…絶対氷凍結(マヒャド)ォォォォォ!!!」
収縮し、爆裂した大気が今度は凝固する。
ビキビキと、乾いた音を立て足元から首元まで優しく冷たい氷が覆いつくす!!
デスピサロの細胞は既に破壊し尽され、ズタボロだった。
だが、それでも時間さえ経てば回復してしまうのだろう。
「決めるぞ!アリーナ!」
「決めるわよ!ソロ!!」
勇者と、もっとも勇者らしい少女。
その少女が先に、デスピサロの脳天へと、全体重を載せた踵を落とす!
めこっと気持ちの悪い、だが素晴らしい手応えを伝える音がする。
アリーナは確信した。頭蓋を潰した事を。
後は――。
見上げた先には雷光を招き天空の剣に纏わせる勇者の姿。
雄々しく――神々しいその姿に、アリーナは柄にも無く胸を高鳴らせる。
それはアリーナだけではない。
ライアンも、クリフトもトルネコも、マーニャもミネアもブライですらも、若者の、ライバルの、息子のような、孫のような存在の、頼もしき姿に震える。
勇者の最大最強の一撃。
これで終る。
それは確信だ。
今までのような希望めいたそれではない。確定した事象ですらあろう。
支援
早く続き読みたし
――だと、いうのに。
いつまでも勝利の凱歌が上がらない。
何故だろう?訝しげに目を擦り、よく、見る。
「何故だ…」
デスピサロの頭上で新たな対峙が起きていた。
起きるべくもない対峙。だから、それを見ても一瞬、それを信じられない。
「何故、止める!!ソフィアァァァァァァァ!!!!」
ソロの慟哭めいた悲鳴が、魔の世界に響き渡った。
HP:
MP:
戦闘:
通常:
がんばってるなあ。
先が気になりすぎて朝からテンション下がらんぜ。
マジGJ。もう幾つ寝ればエンディング、だな。楽しみだ。
連日お疲れ様です。
勇者たちと彼が、どんな結末に向かうのか楽しみでならんよ。
俺、4の人の最終回を見たらあの子に告白するんだ…
死亡フラグキタコレwwwwwww
カオスを超え ←今ここ
終末の日が
やってくる
もしかして今日も来るんじゃと期待してしまうじゃないか!!
徹夜で待つぜー
_ ∩ _ ∩ _ ∩
( ゚∀゚)彡( ゚∀゚)彡( ゚∀゚)彡 4の人!4の人!
⊂彡 ⊂彡 ⊂彡
最初のスレからの住人としては4の人が完結しそうなのはちょっと寂しいかも
ひとつの時代が終わるようなそんな感じ
でも、すげー楽しみだ
期待するのは良いがあまり焦らさないようにな。
自分のペースでゆっくり書いてくれればそれでいいや。
保守
保守
労働
ネタスレかとおもたらSSですか、そうですか。。。
今思いついた妄想を超簡単に書いてみる
宿屋で目覚める
↓
異世界の住人だからいろいろな制約に引っかからない。簡単にレベルが上がる
↓
ある程度レベルを上げ。サンタローズで暮らし始める
↓
突如村を燃やし始めた池沼(ラインハット兵)を皆殺しにし往復へ向かう
↓
こっそり城へ忍び込みあっさりと国王を人質にし牢屋に入れ変わりにオレが王になる
↓
反乱とかいろいろあるけど沈める
↓
全世界へ宣戦布告
/ /\ /\ ヽ / 九 ノ| ⊥丶|/  ̄ ̄ ̄ ̄ | レ
| | < + |T = 人 / ̄/ レ  ̄|フ/⌒| |
ヽ ○ ノ \ ↑ |⊥ 口 人  ̄/ |_ /| 〇ヽ 〇ヽ
往復…?
まさか報復のこと…?
酔ってたのか
ゾーマ
この世界でその名を冠する事が許されたのは、ただ一匹の魔物だけだった
それは圧倒的強者であり、魔物達の王
かつてこの世界を恐怖の内に陥れた張本人
勇者ロトによって倒されたのは、まだ人々の記憶に新しい
しかしそれ故に最強
まさに魔王と呼ぶべき者
その名は自身が滅び去った今でも人々の間で悪の象徴として語られる
そして今、再びその名を語る者が現れた
果たして彼は一体何者なのか
我々の物語はまだ、それを知るには早すぎるのかもしれない
「ゾ……」
ゾーマ??
「いや、先程まで侵攻に忙しかったんですよ。しかしその甲斐あってダーマを滅ぼす事が出来ました」
「ダーマを……?」
もはや青年の言う事を繰り返すしか出来ないエジンベア王。それは理解が追いつかない証拠だろうか。
「しかしせっかく僕自ら出向いたっていうのにさ、防衛がこんなもんだったとはね。正直がっかりさ」
「こらー! てめー!!」
そこに体を侵していた毒から復活した真理奈が、先程の危害について言及しようと立ち上がる。
そして青年と初めて対顔する。
―――――――― ドクンッ ――――――――
瞬間、湧き上がる違和感と懐古。
本来この世界の中では明らかにあってはならないものが、そこにはあった。
なおかつ真理奈にとっては懐かしいニオイのするものが。
「え――?」
「君は――」
彼の目には、赤を特徴とした制服を身にまとった彼女の姿。
彼女の目には、青を基調としたブレザーを一寸の隙もなく着こなしている彼の姿。
それは元の世界ではどこでも見かけるもの。
しかしこの世界では唯一無二だと思っていたもの。
故にこの出会いは、二人共予想しなかった事態。
数秒の沈黙の中、ただお互いを見つめる。
「そうか。君も同じか」
「え? 同じって……?」
青年の方から時を進める。
もう回答を見つけ出したかのようなその口ぶり。頭の回転が速い。
そこに追いつこうと真理奈も脳をフル回転させる。
ドラクエ世界ではない元の世界の服を着た相手が今、ドラクエ世界に、そして真理奈の前にいるという事。
そう、そこから導き出される答えは――
「あんたもブレザー取られそうになったの?」
…………
いやいや! 違うから!!
そこは 「あなたも私の世界からいらっしゃったの?」 とかでしょ!?
真理奈の言う事が本当だったらエジンベア王は変態だよ!?
いや、変態かもしんないけどさ……
まったく……
しかし青年はその言葉で、王と真理奈の関係を把握したようだった。
「…? あぁなるほど、ね。残念だがそれでは0点だ」
「むっ! じゃあ答え教えろよー!!」
「もう言った。君はもう少し勉強した方がいい」
「……友達いないでしょ?」
「友達か……」
青年は遠くを見るかのように目を細める。
なぜか、憐れむような笑顔…
しかしそれも一瞬の事。
「まぁいいさ。答えは、君も僕と同じように日本から来たという事さ」
青年の答えを貰い、真理奈の中でようやく目の前の出来事が少しずつ整理されていく。
「あーあーあーあー、なるほどね〜うんうん。
って事はあんたも世界を救うために? だったら私と一緒に……
あれ? でもそしたら何で?」
モンスターが悪だとされているこの世界を救うのに、人を攻撃するヤツはいないだろう。
だから青年の先程の行動が、世界を救う為にしたものだとする事には矛盾が生じる。
それが真理奈の疑問。
「世界を? ……なるほどね。ありがちな設定だ」
少しバカにしたような言い方。
そりゃそうだけどさ。王道と言ってもらいたいな、王道と。
「設定?」
「三つだけいいかな?」
「むっ!」
さっきから軽く無視されているような感覚に、真理奈は少しイラッとする。
「まず一つ。僕はこの世界が気に入っている。
だから僕は別に帰りたいとは思っていない。
だから君とは一緒には行かない」
指を実際に一つ立てながら説明する。いちいちカッコつけだな……
「二つ。仮に君と一緒に世界を救っても、僕は帰れないだろう」
二つ目を立てながら、彼は真理奈から視線を逸らし、エジンベア王の元へ静かに歩み寄って行く。
「え? どうして?」
それを目で追う真理奈。エジンベア王がこっそりと逃げ出そうとしているのが見えた。
「ひっ!!」
しかし、入り口へ向かう王の前に立ちはだかる者……いや、あれはモンスターだ。
地獄の鎧、キラーエイプ、魔女。
その剣に、その拳に、その衣に、人の血と体の焼けた匂いが染み込んでいる。
城に残っていた兵士を殺して来たのだろうか……
地獄の鎧が目の前に這いつくばっている王をも殺そうと、武器を振り上げる。
「やめろ」
青年はそれを制するように、地獄の鎧に言葉を投げる。
すると地獄の鎧は、それに素直に従った。
興奮して落ち着きの無かった他の二匹も、動きを止めて待機する。
その一連の流れは、青年が真実魔王である証拠なのだろうか。
そして自分の命がこの青年の肩にかかっている事を理解した王は、モンスターから後ずさりして逃げ、
青年の足にみっとも無くすがり付く。
「た、助けてくれ!! いくら欲しいんだ? ん?
アイテムか?! なら地下の倉庫に――」
「僕が欲しいのはあなたの命ですよ、閣下」
その物騒な言葉とは裏腹に青年がにっこりと笑い、王の目の前に手をかざす。
そして述べる死の呪文は――
「ザキ」
それは心を殺す言葉。それに耐え得る精神力だけが、唯一の防御となる。
しかし、王の目は静かに閉じられた。
「あーっ!!」
「聞いてなかったみたいだから、自己紹介と三つ目を。
僕は魔王ゾーマ。つまり、君が倒すべき相手はこの僕さ」
「…………どうして殺したの?」
「人を殺す事は悪い事なのか?」
「は? 当たり前じゃん」
「なぜ悪いのかって考えた事あるかい?
僕らは動物を殺して食べるよね。実験の為に動物を殺す。
恨みや快楽の為に人を殺す。戦争で人を殺す。
生き物を殺すという行為はたくさんあるのに、罪になったりならなかったりする。
それを決定するのは何なのか」
「……」
「それは圧倒的な強者だよ。
強者が善悪の基準となり、弱者はそれを享受するのみ」
完全に悦に入った彼の演説は、たった一人の観衆さえも忘れられて続けられた。
「つまり強者次第では、殺人も罪になるとは限らないんだよ。君だって歴史を習っただろう?
今はたまたま殺人が罪になる時代だという事だよ。
この世界も、あっちの世界もね」
力の抜けた王を、足で蹴飛ばして退ける。
「しかしそれももう終わる。
この僕が変える」
ニヤリと笑う。それは悪役に相応しい、あの笑顔。
「分かった」
「それは良かった」
「あんたがムカつくヤツだって事が分かったって言ってんの」
「知る事は素晴らしい事だよ」
「そんなんだから人を殺せるんだよっ!」
真理奈は青年に突進する。
まず足払いを仕掛けて、それをジャンプで避けさせる。
そのまま一回転をして、飛び上がった相手に合わせてこちらも飛び上がる。
その遠心力を利用してソバットを叩き込むという作戦。
(完璧じゃん!)
何が完璧なのか聞きたいところだが……
念のため右手を引き、パンチのフェイントを入れてから青年の前でしゃがみ込み、右足が床を滑る。
絨毯を擦る音と、何かものに当たる感触。しかしその感触は予想していない。
疑問が生じるが体は止まらずにそのまま予定通り動き、真理奈は蹴りを思いっきり空振りしてコケる。
最初の一撃で既に青年は転倒していたのだ。
「いった〜……ちょっと! 真面目にやりなさいよ!!」
「痛いな…真面目にも何も殴って来ると思ったから…」
「フェイントに決まってんじゃん! 勉強しろとか言っといて、そんなのも分かんないの?」
「……僕は武術を習った事無いからな」
「は?」
「うん、でも君を倒すのに訳は無いから安心して」
何かを小さくつぶやく青年。
真理奈が何を安心すればいのか聞こうとした瞬間、青年の体が真理奈の視界から消え去る。
そして今度は疑問を挟む間も無く、横から衝撃を受ける。
「く……はっ…!」
自分の位置がいつの間にか変わっている事と、脇腹の痛みで吹き飛ばされた事を真理奈はようやく理解する。
青年はスクルトを唱え、素早さを格段に上げていたようだ。
「これで分かったろう?」
青年の余裕ある言葉が真理奈には気に食わなかった。
「この世界で君という存在に出会えたのはとても興味深い出来事だ。
他にも誰か来てるのかな? 探してみるのも面白そうだ。
けれど今日は闘う気分にはなれないな。だからもう帰るよ」
まるでそれは友達の家から帰る時のような軽さを持った発言だった
「ちょっと待ちなさいよ! まだ勝負は終わってないじゃない!!」
「いつから勝負になったんだい?」
「私とあんたが会った時からよ!」
真理奈は自分のバッグにダッシュし、武器を取り出し、装備する。
学校のバッグにこんなモノ入れてるなんて…まったく怖い女子高生だな。
「鉄の爪か。そんな装備で魔王を倒そうと?」
「あんたこそ素手でいいの?」
「そうだね。じゃあ僕の手下がやる事にするよ」
青年がモンスター達に合図をすると、三匹がゆっくりと近づいて来た。
「卑怯者!!」
叫んだ瞬間、魔女が枯れた声でベギラマを唱える。
炎の波が高級な絨毯を焼いていく。
真理奈は助走を付けてベギラマを飛び越えるように飛翔し、そのまま魔女に攻撃しようとする。
が、そこにキラーエイプの巨大な拳が迫って来る。
巨体のキラーエイプにとっては、ジャンプした真理奈の位置が格好の射程範囲だ。
とっさに鉄の爪をキラーエイプの手の甲に突き刺す真理奈。
そこを支点としてジャンプの勢いを方向転換し、キラーエイプのアゴに強烈なサマーソルトを決める。
グォッ……
白目を剥き、ゆっくり倒れるキラーエイプ。
音も無くキレイに着地する真理奈。
スカートを押さえるのだけは忘れないで…
着地の瞬間を狙って地獄の鎧が攻撃を仕掛けてくる。
真理奈の頭に向かって来る剣を鉄の爪で受け止め、地獄の鎧の腹に蹴りを入れ吹き飛ばす。
鎧が堅い。足が少し痺れた。
ククッ……
再びベギラマが真理奈を襲おうとする。
横っ飛びに逃げると、真理奈の後ろにいたキラーエイプが炎に包まれた。
受け身を取って反転し、一気に魔女との距離を詰める。
魔法使いは接近戦が弱いのは知っている。
慌てる魔女に密かに微笑み、真理奈は彼女の乗ってるほうきを奪って魔女を転ばしてしまう。
そしてそのまま、ほうきで頭を殴りつけてやった。
ガハッ…!!
ほうきを放り出すと、その場でいきなり後ろ回し蹴りをする。
その蹴りは、ちょうど真後ろまで来ていた地獄の鎧の兜にヒットする。
動く時の鎧の音で、真理奈に位置がバレてしまったようだ。
頭を揺らされフラフラとする地獄の鎧。
とどめとばかりに、真理奈は鉄の爪で兜ごと頭を吹き飛ばす。
見事な会心の一撃。ふぅ、と一息つく真理奈。
ガシャーンと、地獄の鎧が倒れる。
絨毯とキラーエイプを燃やす炎が次第に広がっていく。
「お見事。いや、君は凄いな。本当に強い」
青年がパチパチと拍手をしながら、真理奈に近づいて来る。
「逃げたんじゃなかったの?」
「一つ聞いていいかな? 君がこっちの世界に来た時、どこに現れたんだい?」
真理奈はさすがにうんざりとする。こんなに会話出来ないヤツは初めてだ。
「アリアハン! ってかアンタ何なの?!」
「やっぱり。グリズリーを倒したのも君だったのか」
「え? どうして!」
「また今度会った時には、君の疑問に答えてもいいかもしれないな。今日はホント、もう帰るよ」
青年が真理奈に背を向ける。
「待て待て待てー!!」
再三、真理奈が青年に突っ込み、鉄の爪で攻撃する。
が、振り返った青年はその細腕でいとも簡単にその刃を受ける。
ブレザーの袖は、一つも傷ついていなかった。
「なっ……!!」
「うん、まぁ一応仇を取っとくか。バギマ!」
彼が呪文を唱えると、鉄の爪の周囲だけで真空の刃が生じる。
高速回転するその刃は、鉄の爪の『爪』を綺麗に折ってしまった。
三本の爪が落ち、絨毯に突き刺さる。
「勝負はお預けだ。今日は殺さない。こういうのは大抵死亡フラグなんだろうけどね。
まぁ同郷のよしみってヤツさ」
ククッと声を殺して笑う。どこまでも気に触るヤツだ。
青年は再び真理奈に背を向け、出て行く。
真理奈はしばらくの間、炎と煙が充満しつつある玉座の間で立ち尽くしていた。
規制喰らったので携帯から
一応今回の投下分はカキコめたので一安心
しかし前回の投稿が
>>318で、しかも一ヶ月も空いてしまった…
申し訳ない
盛り上がってきたね。GJ!
あとスクルトじゃなくてピオリムだよね?
ぐはっ…おっしゃる通りです…スマソorz
真理奈の踵落し食らってくる....
暇さんおかえり!これからも頑張って。
ラスボス候補が現実世界の人間か。
意外な所を疲れたって感じだな。
×疲れた
○附かれた
過去スレ見て気付いたんたが
プロローグの欝叫びはゾーマだった……のか?
保守
>>426の続き
もょ「タケ、シャールさんをさがすのはいいのだがけんとうがつくのか?」
タケ「この世界で夜に人が集まりやすい場所って言ったら酒場みたいやな。悪魔でも参考程度しかならへんけど。」
もょ「とりあえずさかばにむかうか。」
俺達は酒場に向かった。
この町の酒場は宿屋と同様に人が多くいのだが特にバニースーツを着た綺麗なねーちゃんの色っぽさがたまんねぇ!!
流石に俺もニヤってしてしまった。
もょ「うれしそうだな。タケ。」
タケ「う、うるせーな。この状況で喜ばへん方がおかしいで。それにしてもこの世界はすげえわ!」
もょ「そうなのか?」
タケ「ああ。俺の世界ではあんなにおっぱいがでかくてセクシーなねーちゃんなかなかいねーよ…」
もょ「そ、そうなのか。」
タケ「お前もやっぱ男やね〜 話は変わるがククールならすぐナンパしそうやな。」
もょ「ククールはそんなにすごいのか?」
タケ「悔しいけどある意味女に関しての行動力はをすごいもん持っているからな。しかしあのバニーのねーちゃんすげーエロいで!」
もょ「タ、タケ。しかしほんらいのもくてきをわすれてはだめだ。」
タケ「おっと、そうやったな。そりあえず見回ってからかたっぱしにあたってみるか。」
ここはナンパのやり方をもょもとにみせたかったが流石に今の状況では出来なかった。
結果的にはシャールはみつからなかった。
微妙な情報では浜辺の方に行ったりとか灯台の方にいったりとか酔っ払いの意見は参考にならない。
一発ブン殴りたい所だが他所者が騒ぎを起こすのは不味いと思ったので止めておいた。
タケ「うまくいかねーなー 町中探すって言ってもかなり時間がかかるで。」
もょ「はぁ………………………………」
タケ「ムーン達はどうなんやろなー」
もょ「とりあえずはとうだいのほうにむかうか。」
ムーン「もょもとが灯台の方に行ったから私達は浜辺の方に行きましょうか。」
リア「そうだね!早くシャールさんを探さなくっちゃ。」
ムーン「そうね。しかしもょもとったら他の女の子を見てデレデレしちゃうなんて嫌になっちゃうわ。」
リア「どうしたの?ムーンさん?」
ムーン「な、何でもないわよ!!もう!!」
リア「変なムーンさん…………」
ムーン「早く行くわよ!!」
ムーン達は浜辺に向かっていった。浜辺に到着すると言い争っている人が3人いた。
一人はローブを着ていて何処かの魔導師っぽい人間ともう一人はハーゴン教団の特徴である仮面とローブを着ていた。
リア「あっ!ムーンさん。あいつらハーゴンの手下だよ!どうしたのかな………」
ムーン「あそこに物置があるから隠れて様子を見ましょ。」
*「一体どういう事だ。何を考えているんだ貴様は。」
*「わ、私にはそのような事は出来ません……」
*「グヒッグヒッ!ラーメド様。こいつの娘を無理矢理奪うのが一番です。」
ラーメド「そうだな。ハーゴン様は特に幼い女が好みだからな。まぁ……用済みになったら……ククク……」
*「そ、それだけは……」
*「グヒヒ。ハーゴン教団からは逃げれられないのさ。バカナヤツダナ、シャール。」
ラーメド「ヴェイネ。裏切り者の処分はお前に任せる。私はハーゴン様のところに戻るからな。」
ヴェイネ「はは。お任せを下さい。こいつの娘を連れて戻りますので。グヒヒ。」
ラーメドは『ルーラ』と発すると空へ飛んでいった。
リア 「もう……許さない……!」
ムーン「勝手に行ってはダメ!!あっ!!」
リアは青銅の剣を抜き戦闘態勢に入った。
ヴェイネ「ど〜したぁ!?早く逃げないとシヌゾォ〜!!どっちにしても結果は一緒だがな〜」
シャール「ひぃぃっ!」
どうやらシャールは腰が抜けて動けないらしい。
リア 「そんな事させないわ!ヒャドッ!!」
ヴェイネ「ぎゃあっ!!」
リアのヒャドが、まともにヴェイネにヒットした!
リア 「シャールさん!大丈夫!?」
シャール「あ…?ああ……ありがとう………」
ヴェイネ「コムスメが邪魔しやがって………おほっ!!なかなかい〜女じゃねぇか。クヒヒ。」
リア 「………絶対に私は負けないわ!」
ヴェイネ「それなら俺も戦うとするかぁ。シャールを殺る前にオマエを犯らせてもらうぜぇ〜〜〜〜〜」
ヴェイネが詠唱するとモンスター達が現れた。モンスターが3体現れた。
ヴェイネ「俺のかわ〜いい〜グレムリンちゃん達よ。あの女は殺さずに捕らえるんだ。いいな!」
グレムリン達がリアに襲い掛かったが直にムーンがバギを唱えた。
ムーン「バギッッ!!」
しかし、グレムリン達はあまりダメージを受けてはいないみたいだった。
リア 「ムーンさん!!」
ムーン「とにかく今はこの状況を乗り切る事よ!………………それにしてもあまり効いていないみたいわね。」
ヴェイネ「グレムリンちゃん達はバギ系の攻撃には耐性があるのだよ。それに俺好みの女に会えるなんて最高の夜だ!
クヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!!!!!!!!!!!」
ムーン「黙りなさい!!!!この変態!!」
ヴェイネ「おーおーたまんねぇな〜!コムスメとオマエで3p確定!!!さぁグレムリンちゃん達よ。やれ!!」
グレムリン達がリア達に向けて炎を吐くがリアはヒャドで対抗し相殺する。
ムーンは魔導師の杖で火の玉を出して攻撃をするのだがグレムリンの炎で逆に火の玉が吸収され、攻撃を受ける。
ムーン「きゃあっ!!」
リア 「ムーンさん!!この!!」
リアがグレムリンに斬りかかったがかすった程度で致命的なダメージが与えられない。
リア 「はあっ!はあっ!なかなか当たらないわ…」
ヴェイネ「グヒヒ!お前達はまったくダメだな。グレムリンちゃんすら対抗できないのだから。」
ムーン「ならこれならどうかしら?―――――――――――――――――――イオッ!!」
ムーンがイオを唱えるとグレムリン達に小さな爆発が起こった。効果が抜群でありグレムリンの動きが止まった。
ムーン「今よ!リア!」
リア 「えい!!」
リアがグレムリンの一匹に斬りかかり、クリーンヒットした。どうやら倒せたようだ。
リア 「やったあ!!」
ムーン「いい感じね!ついでにグレムリン達の動きも鈍くなったみたいよ。一気にやっつけましょ!」
ヴェイネ「そうは簡単にやらせねぇぜ……!!」
ドォォォォォォン!!!爆発音が聞こえた。
タケ「な、なんや…今の爆発音は?」
もょ「はまべのほうからきこえたぞ。なんだろうな?」
タケ「ちょっと見てみよう。――――あれはムーンとリアちゃんやないか!!シャールさんまでおるで!」
もょ「なんだって!?」
タケ「早く俺らも浜辺に向かうで!!モンスターもおるから急がんとヤバイ!」
ドクンッ………………………………!!!
タケ「うっ……また…………!き、気分が悪い…………」
もょ「タ、タケ!!だいじょうぶか!?」
すごく息苦しい。体調が悪いわけでもないのに身動きが取れない感じだ…
タケ「す、すまん…もょ、ここは任せた。」
もょ「すこしやすんでおけ。タケのぶんまでおれがたたかうことにする。」
何でや!?何で動かれへんのや!!俺は……………俺は……………クソッ!!!
もょもとが浜辺に向かっている最中サマルを見つけた。
もょ 「サマル!おきていたのか!?」
サマル「もょ。ど、どうしたんだい?そんなに慌てて。僕は眠れなくて夜風に当たりに来ていたんだけど…」
もょ 「ちょうどよかった。ムーンとリアちゃんがあぶないんだ。ちからをかしてくれ!!」
サマル「な、なんだって!?リアとムーンが……!わかった!すぐに行こう!」
もょ 「いそげ!ておくれにするわけにはいかないぞ!」
サマル「もちろんだよ、もょ。早く行こう!」
何やこの感じ……嫌なモンがメッチャ感じる……早く、早く向かわないと……………
「………………………………………………………………」
もょもととサマルは浜辺に到着した。
サマル「ああっ!リ、リア!!」
ムーン「リ、リアが私をかばって………サマル!リアを早く治療をしてあげて!!」
サマル「わかった!しかし何故ムーンが呪文が使えないの?」
ヴェイネ「グヒヒッ。ほっかむりの女にマホトーンをかけて呪文を封じ込めてやったのさ。
ちょっとやりすぎちまったか。まぁ死んでないから感謝するんだな!」
もょ「ふざけるなぁ!!はやぶさぎり!!」
もょもとが隼斬りをはなったんだがグレムリンがヴェイネを庇った。
*「ぴぎゃーーーーーーーーーーーー」
もょ「くっ…なんだと!」
ヴェイネ「オマエは許せんよなぁ…最後のグレムリンちゃんを殺しちゃったんだから……これでもくらいな!ベギラマ!」
超至近距離でヴェイネがベギラマを唱えたため、もょもとは防御態勢に入れなかった。
もょ「ぐはぁっ!!」
サマル「ああっ!もょ!」
ヴェイネ「グヒヒ。良く耐えたなぁ。野郎には興味が無いからさっさと終わらせてやるぜぇ〜」
もょ「まだまだ!くらえ!」
ヴェイネ「くっ…パワーはたいしたもんだ。受け流すのが必死で勝てる見込みはねぇ。しかしオマエは呪文を使えないみたいだな。」
もょ「それがどうしたっていうのだ…?」
ヴェイネ「こんな事も出来るのさ。ルカニ!」
ヴェイネがルカニを唱えるとすごい脱力感が感じられた。しかしその感覚は直に解消された。
もょ「しょせんはハッタリか。なんともないな。」
ヴェイネ「グヒヒ!!バカはオマエの方だよ!」
ヴェイネは杖でもょもとの腹を叩こうとしたんだが、もょもとはあえて突っ込んだ。
もょ「はがねのよろいにきくわけがな…………ぐばぁ!!!」
鉄球で腹部を叩かれた感じだ。もょもとの体が沈んでしまった。
もょ「な、なぜだ!きゅ、きゅうにつよくなった!」
ヴェイネ「その逆さ。オマエの守備力が弱くなったのさ。防具は紙切れ以下の物にしてやった。グヒヒ!愉快だ!」
サマル「少し調子を乗りすぎじゃないのかい!?」
サマルが鉄の槍で攻撃を仕掛けたのだがあまり効果が無い。
サマル「こ、鋼鉄の様に硬い。なぜだ!?」
ヴェイネ「物理攻撃用に防御呪文を唱えたのさ。これで俺様に死角はなくなったぜぇ!」
物理攻撃ではあまり効果は無く接近戦で戦うとルカニ&打撃コンボで確実にやられる!
もょ「ムーン!リアちゃんとシャールさんをつれてにげるんだ!」
ムーン「で、でも…」
もょ「おれとサマルでなんとかする!いそぐんだ!」
ムーン「わかったわ!シャールさん!急ぐわよ!」
ムーンとシャールがリアを抱えて逃げ出そうとしたのだが…
ヴェイネ「せっかくの獲物は逃がさねぇぜ!ヒャダルコ!」
しまった!ムーン達と離れていて盾になる事すらできない!しかも後ろ向きになっているため――――――
こ れ は や ば い
もょ「ああっ……ムーン!」
サマル「うぐぅ………!」
サマルがムーンをかばった。
ムーン「サ、サマル!!大丈夫!?」
サマル「な、何とか…」
ヴェイネ「グヒヒヒヒ!お涙頂戴ってか!?泣かせるねぇ…」
もょ「いいかげんにしろ!はやぶさぎり!!」
もょもとが隼斬りをはなったんだがヴェイネの守備力が高まったため致命的なダメージを与えられない。しかし距離をとる事に成功したようだ。
もょ「サマル!いまのうちにかいふくを!」
サマル「あ、ああ…」
サマルも結構堪えたらしい。実際問題何とか時間をかせがなければ…
ヴェイネ「ありがとうよ。お陰で召喚出来る態勢に入ったぜ。俺の最強の駒を出すとするかねぇ。」
ヴェイネが詠唱すると大きな羽の生えた人間が現れた。
ムーン「あ、あれは鳥人間!?」
ヴェイネ「グヒヒ。あれはガーゴイルよ。魔族の亜種だがな。ガーゴイル!!男共をやれ!!」
ガーゴイルともょもとが互いに攻撃をしているのだがルカニの影響で守勢にまわらないといけない為、攻撃を裁くのに必死だ。
もょ「くっ…じゅもんのえいきょうさえなければ!」
ヴェイネ「時間の問題だな。お前が力尽きるのは。後はサクサクっと決めちゃいますかぁ。グヒヒ!」
?「世の中簡単に思惑通りに上手くいく訳がない。メラミ!!」
いきなり大きな火炎球がガーゴイルに向かって直撃した。 一体誰が………?
もょもと&タケ
Lv.15
HP:46/105
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:隼斬り・魔人斬り
タケ専用 :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御
レッドマン氏、暇潰し氏、乙!
普通に面白いから困る
今後も楽しみですな!
しかしリアとムーンは仲がいいね。
お久しぶりです
少しだけ時間が出来たので、書いてきた話を読み直してみたんです。
読み直して、第四部がかなり予定していた内容とは変わっているので
申し訳ないんですが投下済み第四部は無かったことにさせてください。
とりあえずは第三部までという事で。
タカハシの続きは、もっと考えたいので時間を下さい。
その間に、短編でも投下しようと思っています。
603 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/08/30(水) 23:04:42 ID:TrpV9FQHO
>>602 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
期待して待ってますぞ!
保守
ほ
し
608 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/02(土) 09:55:23 ID:GnEBInFI0
ゅ
609 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/02(土) 20:50:56 ID:YwoOh+Gw0
4の人、そろそろ書こうよ
少し遅いよ
>>609 4の人だろうが他の職人だろうが無理強いするな
職人の都合を考えろ
お約束になりかけてるよーな釣りにわざわざひっかかってやるなよw
612 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/02(土) 22:48:41 ID:YwoOh+Gw0
>>610 はいはい、わかったわかった
自治厨気取りさんw
613 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/03(日) 12:26:41 ID:EuSnnL5Q0
糞スレ上げ
あんまり荒らすなよ。オマエラみたいな奴等のせいで雰囲気が悪くなるんだからな。
とりあえずID:YwoOh+Gw0が悪いという事だけは分かった。
反応する方も同類だって事に気付いてほしい
__
ヽ|・∀・|ノ 調子に乗るな!
|__|
| |
.図
618 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/05(火) 21:05:05 ID:Kd5jZ0yU0
原油高騰と言う割には株価さがってるじゃねぇか。
チャート見てても下がり続けそう。
原
チャ
保守
定期保守
┌──┐
i二ニニ二i
i´ノノノヽ)))
Wリ゚ -゚ノリ
__/((┃)) i_カリカリカリ
/ /... ヽ⌒) (,,ノ \\
/ /_______ ヽ\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
il ┌──┐ i
・ 。 ||i i二ニニ二i il
\. ||l i´ノノノヽ))) il |i
゚ヽ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ダンッ!!
。 ゚ _(,,) 保守 (,,)_ / ゚
・/ヽ| |て ─ ・。 :
/ .ノ|________.|(\ ゚ 。
 ̄。゚ ⌒)/⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヽ\
>>598の続き
メラミを放ったのはさっき酒場にいたバニースーツを着たねーちゃんだった。
おいおい何で一般人がそんな強力な呪文が使えるんだ?
タケ「もょ、大丈夫か!?」
もょ「ああ。タケはどうなんだ?」
タケ「お陰さまで何とか落ち着く事ができた。足を引っ張ってすまん。」
もょ「ぶじでよかったよ。いまルカニっていうじゅもんがかかっていて、よろいをそうびしていてもいみがないのにひとしいんだ。」
タケ「ちっ…うかつに攻められへんな。あいつが使った物理防御呪文があればええんやけど…しかし何で酒場のねーちゃんが!?」
もょ「わからん…」
?「とりあえず無事だったようね。勝手にだけど参戦させて貰うわよ。」
ねーちゃんが強引に戦闘に参加した。
ヴェイネ「うひひょー!これはまたセクシなねーちゃんだな。オイ!」
?「そうかしら?女の敵よね。あなたは。本当にいやらしいわね。」
ヴェイネ「何とでも言いやがれ!!俺の最強の手駒ガーゴイルをあっさりやるとはな。
だが呪文さえ使えなければオマエも終わりだ!マホトーン!」
しかしねーちゃんは上手く回避した。
?「ちょっとやっかいね…」
ヴェイネ「当たり前だ。パワーがそこのある男(もょもと)にはルカニをかけてあるし俺自身にスカラをかけているからな。」
?「ふうん。スカラもかけているの。しかし、自分で弱点を晒す馬鹿っているものね。同じような目にあわせてあげる。ルカニ!」
ねーちゃんが呪文が唱えるとヴェイネから脱力感が感じられた。
ヴェイネ「こしゃくな真似を…」
?「どうかしら?自分が同じような目にあうのは?」
ヴェイネ「アッタマにきたぜ!!これでもくらえ!ヒャダルコ!!」
?「ならばこっちも呪文で攻撃させて貰うわ!ベギラマ!!」
ねーちゃんとヴェイネが呪文で競り合っているが状況を見たらほぼ互角。しかし長期戦になったらさすがにヤバイだろう。
タケ「スカラと言う呪文さえ唱えられたら何とか守備力も元に戻りそうやな。もょ!ムーン達にスカラを唱えられるか確認してくれ!」
もょ「わかった!」
俺はもょもとに指示をした。
もょ「ムーン!!あのじょせいがじかんをかせいでいるあいだにスカラをとなえられないか!?」
ムーン「その前に私は呪文を封じれらているのよ。どうしようもないわ!それに習得していないわよ。」
もょ「そ、そうだったのか…すまん。」
ムーン「リアかサマルに使えるかどうか聞いてみたいのだけど治療中だからね…」
サマルがホイミを唱え続けているうちにリアの意識が回復した。
サマル「リア……無事でよかった。」
リア「お兄ちゃん…?もょもとさんまで…?」
もょ「サマル、リアちゃん。はやとちりですまないがスカラをつかえないか?」
サマル「そうしたんだい?」 リア「どうしたの?」
ムーン「もょもとの守備力があいつの呪文によって無効化にされたのよ。」
サマル「僕はまだ使えないな…」
流石に補助呪文は期待できない。無理もないか。ここはやはり俺が………
リア「私は使えるよ!!確か守備力を上げる呪文ってククールさんが言っていたの。」
もょ「そ、そうか。それならはやくおれにかけてくれ!あのじょせいがあぶない!!」
リア「うん!」
リアがスカラをもょもとに唱えると力が漲って来る感覚を与えられた。
タケ「(おおっ!俺にも何かテンションが上がってきたで!)」
もょ「(よし!これなら何とかいけそうだ!)」
タケ「(もょ!あの変態馬鹿野郎に一発かましてやれ!」
もょ「(おう!まかせておけ!)」
?「しつこいわね…」
ヴェイネ「中々やるじゃねぇか。しかしオマエの魔力が先に果てたみたいだな。」
?「くっ……図星だわ…」
ねーちゃんの表情が険しくなった。ヴェイネが言う通りねーちゃんに打つ手は無い。
もょ「たあああぁぁぁっ!!」
もょもとの剣がヴェイネを素早く攻撃した!!
ヴェイネ「て、てめぇ…死にに来たのか!!バカな野郎だ!!」
もょ「おれのなかまにもスカラがつかえるんでな。だからもとどおりにさせてもらった。」
ヴェイネ「なんだとぉ!?これでもくらえ!」
ヴェイネが杖で攻撃したのだがもょもとは苦しむ様子も無く勝ち誇った表情をしている。
ヴェイネ「ムカツク野郎だ。マジで守備力を元に戻すとは……」
サマル「ぼさっとしている暇は無いじゃないのかい?さっきの借りを返させて貰うよ!」
サマルがそう言って槍でヴェイネを突き刺した!!
ヴェイネ「ぐはぁっ!!バ、バカナ…ありえねぇ……こ、こんな奴らに………」
もょ「ととめだ!」
もょもとが大きく振りかぶって切り裂いた。
ヴェイネ「お、俺様が……!!」
ヴェイネは完全に動けなくなった。
ムーン「やったわね!!無事に終わってよかった。」
皆が安堵の表情をした。結構やばかったから本当に良かった。
もょ「ありがとうございました。」
?「まぁ、無事で良かったわ。最近この町の治安が悪いのよ。」
もょ「そ、そうなのですか……」
もょもとがねーちゃんのおっぱいに目がいっていた。無理もないけど…
タケ「(もょ〜、何ねーちゃんのおっぱいばかりみているねん。やっぱりお前はムッツリスケベやな〜)」
もょ「(えっ、えっ、その……)」
タケ「(このまましてたらムーンやリアちゃんが怒るで〜)」
もょ「(ム、ムーンやリアちゃんはかんけいないだろ!!)」
タケ「(とりあえず俺に代われ!お前だけ独占はあかんがな!!法律違反やで!!)」
もょ「(わ、わかったよ…しょうがないな……)」
男の性は辛いものよ。しかし何の法律違反やねん。
?「…どうしたの?」
タケ「ああ…すみません。失礼ですがお名前教えていただけませんか?」
?「いいわよ。私の名前はゼシカ。」
ゼシカだって!?確かククールと別れるときに教わった名前だ。
タケ「もしかして……ククールやヤンガス、トロデ王、ミーティア姫はご存知ですか?」
ゼシカ「何であなたが知っているの!?」
流石にゼシカも驚きが隠せなかったようだ。
ムーン「実は私たちククール達と少しだけ旅をしていたのよ。」
ムーンがさりげなくフォローを入れてくれた。空気が読めているなぁ。
ゼシカ「ど、どうゆう事なの!?ヤンガス達もこの世界にいるってわけ!?」
ムーン「ええ。彼らはこの世界にあるローレシアって言うお城にに向かったわ。私達と合流する約束をしたの。」
ゼシカ「そうなんだ。ところで貴方達の名前を教えてくれない?」
タケ「俺から紹介させてもらうよ。俺の名はもょもと。」
ムーン「私はムーン。あそこで治療している男の子はサマルで治療を受けている女の子はリアよ。」
ゼシカ「もょもとにムーンね。話は変わるけどエイトって言う男性なんだけど知らない?」
タケ「エイトって確か黄色いバンダナを頭に巻いた青年だな。ククールから聞いている。」
ゼシカ「ええ、そうよ。」
タケ「悪いけど俺達は彼を見ていない。すまないな。」
ゼシカ「手がかり無しね……」
ムーン「話は変わるけどゼシカは何で私達を助けてくれたの?」
ゼシカ「そうねぇ、夜になったらいつも浜辺に散歩するんだけど、その時にリアがムーンを庇ったでしょ。
それを見た時、妹が姉のを守るためにしたんじゃないかなって私にはそう見えたの。」
ムーン「やあねぇ。リアは私の妹じゃないわ。サマルとリアが兄妹なの。」
ゼシカ「へぇ。仲が良さそうね…」
実際は違うって言う事は俺ともょもとが知っている。しかしゼシカは羨ましそうに言った。
タケ「しかし酒場のバニーの姉ちゃんが俺たちを助けてくれるとは思わなかったな。超がつくほど意外だった。」
ゼシカ「ふふふ…びっくりしたでしょ!?私がこの世界に来たのは2週間前だけど住み込みで働かせて貰っているのよ。」
ムーン「し、しかしバニースーツの格好って恥ずかしくない!?」
ムーンは顔を赤くしながら言った。く〜っ、こういうギャップって言うのはたまりません!
ゼシカ「う〜ん今は全く抵抗は無いわ。最初はちょっと恥ずかしかったけど慣れたら別の自分が表現できて結構楽しいわよ。癖になるわ。」
ムーン「そ、そうなの…」
ムーンとゼシカが話し込んでいる。ここはムーンに任せるか。
タケ「ムーン、ゼシカさん。ちょっとシャールさんの所に行って来る。」
ゼシカ「ゼシカでいいわよもょもと。一体どうしたの?」
タケ「あそこにいる男性は俺とムーンにとっては命の恩人だからな。」
ムーン「ちょっともょもと。お礼を言いに行くのなら抜け駆けは無しよ。」
タケ「すまん、ムーン。シャールさんには何かがあったんだろう。
それに男同士じゃないと話せない事があると思うからな。ここは俺に任せてくれないか。」
ムーン「それは一理あるわね……今回はもょもとに任せるわ。シャールさんは元ハーゴン教団の人間だったみたいなのだわ。」
タケ「なんだと!?」
ムーン「しかし彼は完全に抜けたがっているのだわ。多分マリンちゃんが関わっていると思う。」
成程、これで俺達に護衛を依頼した意味が良く分かった。ようやく話がつながった。
俺はシャールのところに向かった。
シャール「ありがとう……私の命まで助けられるとは……何て言えば良いのかわからない。」
タケ「それはお互い様ですよ。私も貴殿のおかげで生き延びる事ができた。感謝します。」
シャール「そうか……」
シャールは頷いたまま何も話そうとはしなかった。
タケ「シャールさん。伺いたい事があるのですが。」
シャール「ど、どうした?」
タケ「貴方はハーゴン教団にいたそうですね?」
シャール「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シャールの表情が変わった。相当うろたえている様だ。
シャール「な、何故そのような事を知っているのだ?」
タケ「ムーンから聞きました。貴方がハーゴン教団の人間に言い詰められていた所を見たそうです。」
シャール「………………………………」
タケ「親父さんや娘のマリンちゃんが心配していますよ。」
シャール「馬鹿な!!親父がそのような事は絶対にないはずだ!」
タケ「私には話してくれましたよ。親父さんの心境を。」
ここはハッタリかまさないと本音が聞けない。ずるいやり方だが仕方があるまい。
シャール「そうか。なら話そう…わしがハーゴン教団に入信経緯を。」
シャールが言うには
・シャールの奥さんが病気のため世界樹の葉と言う薬を捜すために旅を出た。それが6年前。その時にマリンが産まれる。
・世界樹の葉が見つからず4年後に奥さんが死去。
・自暴破棄になったシャールは旅先で知り合った男(ヴェイネ)の紹介によりハーゴン教団に入信
・ハーゴンの性癖が異常なためマリンが心配になり脱走し、ルプガナに戻る最中に俺達と出会った。
タケ「……………ハーゴンの野郎、完全に人間じゃねーな…」
シャール「だが、私は妻を失ってしまった。それにこれから先、親父やマリンに会う資格は無い…」
タケ「何言っているんだ。あんた!じゃあ何でここに戻ってきた!?」
シャール「わ、わしは…」
タケ「娘や父親が心配だから自分の故郷に戻ってきたのだろうが!!ふざけた事をいうな!!」
俺は思いっきりシャールの急所を握った。
シャール「ああああああ……!!……ぐぅ………」
タケ「あんたも男なら意地を見せてみろ。それが出来ないくらいならさっさと死ね!!わかったか!!」
シャール「ああ……………」
やっちまったよ。かなり言い過ぎたようやな〜〜………これで失敗したらどないしよ。
シャール「や、やるだけやってみるよ。何もせずに諦めるのは良くないからな…」
タケ「今の貴方ならできるはずだ。頑張ってくれ。」
シャールは立ち去っていった。
もょ「タ、タケ!やりすぎじゃないのか!?」
タケ「ウジウジしてる奴には誰かが押してやる事も必要やねん。優しい言葉をかけるだけが解決じゃないからな。」
もょ「しかしイキナリちんちんをにぎるやつはいるか!?」
タケ「う、うるせー!そ、それぐらいやらんとアカンって言うこっちゃ。それに取り返しがつかない状況やないからな。」
もょ「な、なるほど。しかしかなりごういんだな……」
無理矢理正論を通してやった。流石にこの方法は使えにくいから今後封印しておくか。
ムーン「どうだった。もょもと?貴方が怒鳴っていたみたいだけど。」
タケ「ちょっと発破をかけただけだ。キッツイお灸を沿えたからな。」
ムーン「ふーん………」
ムーンがじーっと俺の顔を見ている。
タケ「な、なんだよ?」
ムーン「ふふっ…何でもないわ。それよりもなんだか疲れたわね。」
タケ「ああ…さっさと休もうか。」
ゼシカ「まずはサマル君達を呼ばないと。さっさと行きましょ。」
う〜ん……まさに両手に花ですなぁ。中々こんな機会は無いから嬉しい限りやで!
タケ「サマル、リアちゃん。大丈夫か?」
サマル「何とかね。しかし結構疲れたよ。リアが緊張の糸が切れたみたいで寝てしまった。」
タケ「そうか。しかしサマルもヒャダルコを喰らったんだけど相当酷い思うのだが?」
サマル「まぁ、ね。その点は問題ないよ。僕も治療済みだから大丈夫。」
タケ「無理はするなよ。そうそう、話は変わるけどサマルに紹介しておくよ。」
俺はサマルにゼシカを紹介した。流石にサマルも男でありゼシカのおっぱいに目に行ったのだが直ぐ逸らした。
やせ我慢しなくて良いんだよ〜サマル君。
ゼシカ「それにしてもリアの寝顔って可愛いわ。まるで天使みたい。」
ムーン「そうね…この娘は人懐っこい所があるのよ。性格が人の表情を表すみたいだわ。」
タケ「いい事言うねぇ。ムーン。俺がリアちゃんをおんぶして宿屋に戻るとするか。」
サマル「ぼ、僕がリアをおんぶするよ。そこまでもょに迷惑はかけれないや。」
タケ「バーカ。サマルも結構何だかんだ言って結構ダメージ受けているんだから体力馬鹿の俺に任しておけ。」
ムーン「確かに体力馬鹿だよね、もょもとは。」
タケ「はいはい。わかったわかった。おめでてーな。(パチパチパチパチ)」
ゼシカ「へぇ…返事の仕方がククールに似ているわね。」
タケ「ちょっと拝借させてもらったんだけど結構使えるのさ。多分、ククールも会話の時に結構冷静に突っ込んでいただろうな。」
ゼシカ「ご名答よもょもと。ヤンガスや王様との会話中の時にその言葉を良く使うわ。
それをみて私やエイトは良く笑っているけどね。」
サマル「それは結構面白そうだね。とりあえずはみんな疲れたと思うからゆっくり休もう。」
もょもと&タケ
Lv.16 (LvUP!!)
HP:31/112
MP: 0/ 0
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:隼斬り・魔人斬り
タケ専用 :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御
乙乙乙!!
ゼシカ参入でおにゃのこイパーイ(*´д`)
バニーのねーちゃんはゼシカだったかw
とりあえず
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
>>632 >親父やマリンに会う資格は無い…
ごめんヤリマンって読んじゃったんだ。
保守
【アニマルヤンちゃんによるビッグバンsage講座】
____ ________ ________
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 ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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ゝ ノ
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ 、从, / /
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| 入れるんでがす!! | ( ヨ / /
| 分かったがすか!?. | | `| /⊂//
\ \ | | /⊂//
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / ノ ̄ `/ /
+ + / / イ O○ヽ
+ ( `ノ )/(/| |'^ \ \ アニキノタメナラ ビッグバンモ スルデガス
+ + (メ ,C`、* )| | \ \
< V V > | ) | )
+ V ̄V / / / /
/ / ∪
∪
保守
/ ̄ ̄ ̄フ\ _ ノ^)
// ̄フ / \ .//\ ./ /
// ∠/ ___\___ __// \ / (___
// ̄ ̄ ̄フ /_ .//_ //_ / \./ (_(__)
// ̄フ / ̄//////////// | (_(__)
/∠_/./ ./∠///∠///∠// ∧ ∧ /) (_(__)
∠___,,,__/ .∠__/∠__/∠__/ (´ー` ( ( (_(___)
\ \ \/ ̄ ̄ ̄フ\ \ \_ \ _ /⌒ `´ 人___ソ
\ \ \フ / ̄\ \ .//\ //\ / 人 l 彡ノ \
\ _ \//___\/∠_ // < Y ヽ ヽ (. \
//\///_ //_ /// 人├'" ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
// //.////////∠/ ヽ-i ヽ__ ヽ
/∠_//./∠///∠// .\\ `リノ ヽ |\ ヽ
∠____/.∠__/∠__/∠フ\.\\ c;_,;....ノ ヾノヽ__ノ
ほ
AA荒らしウザ
どうもどうも
>>582>>584>>599 サンクスです!
コテ通り、暇が無いと書けないのは悪いなぁと最近思う…
>>585 そうかな?自分的にはありがちだと言われるかと思ってましたが
前も何か魔王になっちゃうっていう作品があったような…
>>587 誰もがあぁいう事を感じる時があるんじゃないかな?
とだけ言っておきますかw
ではでは
>>580の続きをどうぞ
――――――――――――――――――――9――――――――――――――――――――
「プレナさん…」
「あ、真理奈ちゃん。起きたの?」
その声は周りの雑音にかき消されるくらいに小さいものだった。
が、プレナはそれに気付き、自分のテーブルに来るように手招きする。
プレナが置き手紙をして、真理奈を呼び出したのだ。
真理奈が席に着くと、飲み物が運ばれてきた。
「それにしても無事で良かったわ」
「こっちも、大丈夫だったんですね」
「パトリスさんがエジンベアの人達を足止めしてくれたの。
私も怪我しちゃったけど、フィリアちゃんが治してくれたし。
ジュード君は私の事を守ろうとしてくれたみたい…後から聞いたんだけどね」
「ふ〜ん、アイツが」
「感謝しなくちゃね。
……そっちはどうだったのか、聞かない方がいいのかな?」
真理奈が黙ってしまう事で、他のテーブルの音が耳に入ってくる。
チラリとプレナを見ると、プレナは優しい顔で真理奈を待ってくれていた。
「私…会ったんです」
「誰に?」
「魔王」
「ま、おう…?」
「ゾーマだって。モンスター連れてて…王様殺しちゃった…」
「そう……怖かったね」
「違うんです! そんな事じゃなくて…」
「じゃなくて?」
「その人…わ、私の世界の人だった」
「――!!」
プレナは絶句する。
最近モンスターの活動が再び活発になっている事。
そして魔王が復活したのだという噂も聞いた事がある。
この世界が平和になった後も、モンスターは消滅する事は無かった。
プレナはその中から力を持ったものが現れただけだと思っていた。
それが魔王と呼ばれるようになっただけだと。
しかし真理奈の言った事が本当なら……
「今まで…私は夢を見ているんだって思ってたのかもしれない。
だって突然違う世界で生きることになったなんて信じられます?
ほら、夢の中で冒険したり、何か大変な事に巻き込まれちゃう事あるでしょ?
そういう時って何だが知らないけど自分は一生懸命生きようとするでしょ?
あれと同じ感覚かなぁ…
人が怪物と同じところで生きている世界。
その中でボスを倒せば私は私の世界に帰れるんだと思ってた。
夢から覚めれると思ってた。
けど……そのボスが私の世界の人だったなんて、信じられなくて…
でもそれ以上に……何で私なの、って……やっぱり思っちゃいます」
うつむいてしまう真理奈。
普段は明るく振舞っていても、その中では自分の問題にしっかりと向き合っているのだ。
けれど普段の性格から、それを他人に話すという事があまり出来ない。
それに、そんな相談は他人にとっては迷惑だという思いもあるのかもしれない。
当人を心配する人にとっては、むしろ話してくれた方が嬉しいのだが…
「…真理奈ちゃんはさ、勇者ロトの話、聞いた事ある?」
「詳しくは、知りません」
「私ね、勇者と一緒に旅した事あるのよ」
「え?!」
「凄いでしょ?」
少し自慢するかのようにプレナは笑う。
「アリアハンで勇者に誘われた時、私はまだ見習いの商人だったわ。
知識を少し齧っただけの初心者。
それなのにいきなり『ここに町を造ってほしい』って頼まれたのよ。
普通に考えれば、無理な話だわ。
正直不安だったし。
けどその時は『やってやる!!』って気持ちの方が大きかったの。
このチャンスを逃す手は無いと思って頑張った。
その甲斐もあってか、町はどんどんと発展していった。
どんどんと新しい建物が建って、新商品の入荷、そしてたくさんの人が移住して来たわ。
凄く、嬉しかった。
勇者も旅の合間に見に来てくれて、褒めてくれたし。
けれど、町が大きくなると同時に、私の心にも慢心が広がっていったのね。
ある日私は町人のリコールで牢屋に入れられてしまったの。
当たり前よね。毎日毎日何時間も働かせちゃったし……
町の事ばかり考えて、そこに住む人の事は考えてなかったんだわ。
勇者にその事を怒られちゃった。
その倍くらい励ましてくれたんだけどね。
私は反省したわ。
それからは人の気持ちを第一に考えるようになった」
「でもそんな私がそれ以上に知りたかったのは、勇者の心の中。
だって私が立ち直れたのは勇者のおかげなんだもん。
それである時、聞いたの。
『勇者はどうして世界を救おうとしてるの?』って。
もう十分だと思ったの。
その頃の勇者はバラモスを倒していたんだから。
この世界はいったん平和になったわ。
でも勇者はまだ行かなくちゃいけないところがあるって言ってた。
だから…私はすがりついて泣いたわ。
『もう旅は忘れて、世界の事なんか忘れて、この町で一緒に暮らそう?』って。
そしたら勇者は何て言ったと思う?
何も言わなかったわ。
ただ笑って…『またね』 だってさ。
私、今でもずっと考えてる。
世界を救わないといけない人があの勇者だった理由なんて無いって。
でも勇者は世界を救ったわ。
そうしたのは、大切な人を守りたいって思ったからなんじゃないかって私は思う。
彼の隣にはいつも、幸せそうにしている人がいたから…
きっとその気持ちを貫く事と、世界を救うって事が同じ意味だっただけなんだって思う。
彼はそれきり姿を現さなかったけど、きっとその人と幸せに過ごしてるんだわ。
でも案外ひょっこり現れるんじゃないかって思ってる。
だって勇者の事を思っている人がこの世界にはいっぱいいるんですもの。
もちろん私もその中の一人」
「これで勇者ロトの話はおしまい」
「私…私、能登真理奈って言うんです」
「のと…? そっか。これは偶然じゃないのかも」
「でも笑えないギャグですよ」
「そうだねw」
結局笑っておいて、プレナはキレイな色をしたお酒を口に運ぶ。
「でも大丈夫よ真理奈ちゃん。
真理奈ちゃんが自分の気持ちを大切にしていれば、いつかきっとあなたの世界に帰れるわ。
だって勇者がいつも見守っているんですもの。
これ、何のマークだか知ってる?」
プレナが真理奈の胸を指す。
アリアハンの宿屋の女将が勝手に施した刺繍。
「それ、勇者があの後装備していた鎧の紋章なのよ。
今では伝説の武具として有名なんだけど。
だからこれを付けていればいつでも勇者に会えるわ」
「勇者…ロト…」
真理奈がドラクエ世界に来た当初から付きまとっていたその名前。
今初めてそれに何だか親近感を感じた。
真理奈は決して勇者ではない。
けれど、勇者のようになれるかもしれない。
そう、それこそルビスの望むように、世界を救う事が……
商人の町に音楽が流れる。演奏しているのはスー民族。
商人の町との交流があるとは言え、未だ原始的な生活を守っている彼らの音楽は
真理奈が聴くような曲調とは違い、基本的に単調なリズムの繰り返しである。
彼らの音楽はルビス様への感謝の証なのだ。
"退屈な日々の繰り返しさえもルビス様のおかげとして喜び合おうじゃないか"
今流れているのはそういう曲である。
「ジュードっ! 飲んでる〜?」
後ろから肩を叩かれ振り返ると、コップを片手にした真理奈が立っていた。
頭にはなぜかモヒカンの毛が…
広場の中央で盛大に焚かれている炎の灯りが真理奈の頬に当たり、微かに揺れている。
顔が赤く見えるのはそのせいだろうか。
……いや、その頭で居られても全然ロマンチックじゃないな。
「……。どこ行ってたんだ?」
真理奈が横に座るのを待ってから聞いてみる。
「ん? え〜っと、寝てたぁ。んでさっき起きたトコロ」
「ふ〜ん」
ジュードは真理奈がさらわれた事を既に聞かされていた。
けれどそれを聞いたのは、パトリスがエジンベアに真理奈を迎えに行った後だった。
ジュードは刺されたプレナの方に付っきりだからだ。
フィリアがプレナの治療をしてくれたので、命にかかわる事態にはならなかったが。
そんな訳で、すぐに真理奈のところへ行かなかったのが引っかかったのかもしれない。
だからとっさに知っている事を聞いてしまった。
まぁ真理奈にはそこまで伝わってないようだが。
「聞いたよ〜プレナさんの為に戦って兵士長やっつけたんだって?」
ジュードは酒に口をつける。あんまり旨いと思わないのはまだ若い証拠だろうか。
「照れんなって〜! あっ、もしかしてプレナさんの事好きになっちゃった?!」
「ちげーよ。あんな人に会ったの初めてだったからさ」
「ムフフw そっかそっか! プレナさんキレイだもんね〜」
「…ってかその頭なんだよ!!」
「えへへ、面白いでしょ? 何か貰ったの〜ってかやっとツッコんだね! ずっと待ってたのに〜」
「外せ! こっちが恥ずかしい!」
「あ、話変えようとしてもダメだよ〜正直に言いなさい!」
「だから〜――」
言い合いが収まるまで少々お待ち下さい
………… ……… …… …
夜が深まるにつれ、広場の火の灯りが徐々に落ちていった。
「私さ」
「ん?」
真理奈は膝の上でモヒカンの毛を撫でている。
「魔王に会ったよ」
「は?」
そんなに気に入ったんだろうか。
「私の世界の人だった」
「え? お前それって…」
まぁその行為に意味なんて無いんだろうけどさ。
「うん。でも全然敵わなかったんだー」
「そっか」
「だからさ…」
「うん?」
「連合作るの、最後まで手伝っても、いいかな?」
ジュードは一瞬分からない。
そんな事でケンカしたのも、大分昔のように思えた。
でも真理奈はまだ覚えていたようだ。
「…変なヤツ」
「なに〜? 人がせっかくお願いしてるのにー!!」
「手伝いとかお願いじゃねーんだよ」
「え?」
「俺らのリーダーはお前だ。アリアハンの王様も言ってたろ?」
「そうだっけ?」
「ったく…… だからさ、お前がやるんだったら、やっていいんだよ」
「…そっか」
真理奈が嬉しそうな顔をする。
「じゃあ改めてヨロシクって事で」
差し出されたコップにジュードは自分のを合わせる。
カツンっと音が鳴った。
「よ〜し、じゃあ何か飲み物貰って来て!」
「は? 俺が?」
「そう。リーダー命令だよ〜」
「てめぇ!!」
「キャーww」
〜Tower of Babel 完〜
今日はここまで。長かった…
さてさてステータスを(適当に)考えたので載せますか
能登 真理奈
女
武道家
レベル/ 17
ちから/ 82
素早さ/ 79
体力/ 60
賢さ/ 15
運の良さ/ 58
最大HP/ 163
最大MP/ 0
はい、バカですねw
真理奈が元の世界に帰れる時が来たなら、賢さの種をどっさりと持って帰らせる事にしましょう
あ、スリーサイズとか考えようかな
乙っす!
頭が悪いのは愛嬌でいいんじゃね?
今のフツーの女子高生って感じでさ。
主人公同士のバトルロイヤルも案外面白いかもな。
ジュードがちょっとツンが入っているなw
真理奈たんヵヮィィョ真理奈たん
保守
659 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/09/20(水) 02:17:23 ID:K8Tn7e0X0
保守
それにしても元祖
>>1の書記さんはどうしているのだろうか?
さて!投下しますかね!!
>>634の続きだす!!
夜明け前に目が覚めた。
流石にサマル達は疲れてぐっすりと眠っている。
眠れそうもないしこっそり抜け出して散歩でもする事にした。
夜明け前って言う事もあって、人が全くっていない言ってもいい。
漁に出る準備もしている者もいればお店の開店準備している者もいる。
現実世界では俺も仕事に行く準備しているんだよな…
実際問題俺はどうなるのかなって思ったりもするが今はもょもと達と一緒にいたいていう気持ちが強いのだけどな。
浜辺に歩いていると水鳥が20匹位飛んでいて美しく感じられた。
そーいえばガキの頃、田舎に帰った時今は亡きじーちゃんと一緒に朝散歩したよな。すごく懐かしく感じられた。
正体を隠すためとはいえ使い慣れない標準語を喋るのは関西人にとってかなり苦痛やがな。気軽に話したいで。ホンマに。
しばらく海を眺めていると誰かが声をかけてきた。「おはよう。」
こんな朝早く誰が起きているんだ?――――――――――――――――――ゼシカだった。
タケ「おはよう。早起きなんだな。」
ゼシカ「もょもとも早いじゃない。眠れなかったの?」
タケ「まあな…今更言うのもアレだけど改めて礼を言わせてもらうよ。ありがとう。ゼシカ。」
ゼシカ「別にいいのよ。当たり前の事しただけじゃない。」
タケ「そっか…ゼシカに聞きたい事があるんだけどいいか?」
ゼシカ「どうしたの?」
タケ「どうやってこの世界に来たんだ?」
この点俺も気になっていた。俺の場合は仕事から帰って自分の布団に寝て翌朝、もょもとの体内に入っていた感じだった。
ゼシカ「そうね…私の場合はみんなで宿屋で寝たんだけど夢を見たの。」
タケ「夢?」
ゼシカ「そう。内容は思い出せないけど誰かが呼んで吸い込まれる感じがして気がついたらルプガナの酒場にいたのよ。」
タケ「そ、それはまたありえねー内容だな…」
ゼシカ「もちろんお店の人に泥棒扱いされたわよ。何とか説得して働かせてもらう事になったんだけどね。」
タケ「うむむ…しかしククールやヤンガス達はどうだったのだろうな?」
ゼシカ「わからないわ…反対に聞くけどもょもとがヤンガス達に会った時彼らの様子はどうだった?」
タケ「そうだな。ククールと会った時はこの世界に来たばっかりって感じだった。ヤンガス達は2日間くらい彷徨っていた感じだな。」
ゼシカ「ふうん…」
タケ「案外時間のズレがあるみたいだな。エイトがまだこの世界に来ていないって言う可能性はある。」
ゼシカ「その仮説も結構当たりかもね…」
タケ「話は変わるがドルマゲスってどんな奴なんだ?」
ゼシカ「ドルマゲスですって!?貴方が何故知っているの!!」
タケ「そうあせんなって。経緯を話すよ。」
俺はゼシカにドルマゲスと戦った時の事を話した。
ゼシカ「はっきり言って自殺行為ね。一人っで戦って良く生き延びれたと思うわ。」
タケ「やっぱり?」
ゼシカ「ええ。私もドルマゲスと初めて対峙した時全く動けなかったのよ。すごく悔しかった…」
タケ「ある意味俺が生き延びれたのは奇跡的なんだな…」
何とかしたい………このままじゃこれから先、俺がもょもとの足を引っ張るだけ。咄嗟にゼシカに頼み込んだ。
タケ「なぁ、ゼシカ。」
ゼシカ「どうしたの?」
タケ「俺に呪文を教えてくれないか?頼む!」
ゼシカ「何か事情がありそうね…」
タケ「呪文が使えたら戦術も大きく変わるし、それにドルマゲスにやられた無様な自分自身が嫌だからな。」
ゼシカ「なるほど…もょもとは客観的な意見として呪文は使えそうなの?」
タケ「ある老人に言われたのだが俺に呪文を習得できる資質が無いらしい。その代わり不思議な力があるって言われたんだがな。」
ゼシカ「そうなんだ。しかしその不思議な力に実感性はある?」
タケ「うーん…ごめん、なんとも言えないな。多分無いと思う。」
俺は咄嗟に嘘をついた。流石にこの状態を気を許して話す訳にはいかなかった。
ゼシカ「もょもと、ちょっと私の手を握ってくれないかしら?」
タケ「ど、どうしたんだよ!?急に?」
流石に俺もドキッとした。
ゼシカ「な〜に考えているのよ。魔力があるかどうか調べるだけよ。」
タケ「そ、そうか。」
ゼシカ「かわいい所あるんだね。もょもと。」
タケ「うるせー!」
流石にいきなりは恋人フラグは立たないか…
ゼシカ「う〜ん。確かに判別できない不思議な力はあるわね。微妙ながら魔力が感じられるわ。」
タケ「マ、マジか!?俺にもついに呪文が使えるのか!?」
ゼシカ「多分実戦で呪文に揉まれている内に資質が開花したかもね。
しかし治療呪文や補助呪文などの色んな種類があるけど初期呪文の中でも使える呪文が限られるわね。」
タケ「まじっすか………」
ゼシカ「超初級呪文のメラぐらいね。使える可能性はあるのは。」
タケ「まぁ、無いよりはましか。しかしメラってそんなに簡単なのか?」
ゼシカ「ええ、私もメラから覚えたわ。一番使いやすいと思うの。」
タケ「ふむふむ、さっそく呪文を使いたいのだがどうすればいい?」
ゼシカ「そうね。まず私が魔力を引き出してあげるから後は回数をこなすことね。」
タケ「なんだかワクワクしてきたなぁ。」
ゼシカ「じゃあ始めるわよ。」
ゼシカが俺の手を握り何かを呟き始めた。ゼシカの体中から光が輝き出したのだ。おおおおッッッッッ!!
強風で体が浮き上がるような感じだ。これが呪文の儀式ってやつか…?
ゼシカ「ふう、終わったわよ。これで使えるようになったわね。」
タケ「おっしゃあ!」
ゼシカ「他人の魔力を引き出すことが出来る行為って上級魔術師の証でもあるのよ。上手くいって良かったわ。」
タケ「ど、どういう事だ?」
ゼシカ「中級魔術師が同じ行為をすると魔力を引出す足す対象を傷つけてしまう事もあるの。」
タケ「極端に例えるとゼシカのメラミが俺に直撃する可能性もあったわけか!?」
ゼシカ「そんなもんね。」
タケ「スゲー危険な状態かよ!ある意味ギャンブルだな!オイ!かなりギャンブルだったんだな。」
ゼシカ「結構スリルがあったわよ。内心ヒヤヒヤしていたけど。まぁ結果的にはOKね!」
大胆さはムーン以上だな。けどこれで俺自身攻撃のバリエーションが増えたわけだ。
ゼシカ「但し呪文を使うのに制限があるわよ。」
タケ「えっ!?おこがましくて申し訳ないが、俺頭が悪いから分かりやすく言ってくれ。」
ゼシカ「呪文が得意不得意の相性もあるのよ。それは個人差にもよるわ。私が得意なのは火炎系のメラ系・閃熱系ギラ系呪文だけどね。」
タケ「逆にゼシカはヒャド系の呪文は不得意なのか?」
ゼシカ「そうね。私も氷系のヒャド系は不得意だし真空系のバギ系は使えないわ。爆烈系のイオ系はそこそこ使えるって感じかな。」
タケ「ほぼ攻撃呪文のオールラウンドだな。すげえよ…」
ゼシカ「ううん。稲妻系の呪文は使えないし稲妻系は特に限られた術者しか使えないみたい。
全ての呪文を使える人って俗に言う『賢者』って呼ばれる人の事ね。」
ゼシカ「それにね、慣れてない内に呪文を多用してしまうと術者に負担が大きくなるの。」
タケ「どういうことだ?」
ゼシカ「例えると今のもょもとが私が使える呪文メラミを使った場合、
もょもとの体に大きな負担がかかり、最悪の場合死に至る事があるの。」
タケ「マ、マジかよ…サマル達は呪文を多用しまっくているのは大丈夫なのか?」
ゼシカ「サマル君達の場合は魔力が強いからよ。しかし彼らもいきなり上級呪文を使ったりすると危ないわね。」
タケ「しかし上級呪文も簡単には習得出来るとは思えないけどな。」
ゼシカ「確かに簡単には習得できないけどそれは各個人の才能が開花してで使えるようになるって感じね。」
タケ「なるほど。今の俺には天空上の話の内容だな。」
タケ「それにしてもゼシカはすげー詳しいな。いかにも体験談を語ってるみたいだな。」
ゼシカ「そうね。以前、危ない時にベギラゴンって言う呪文を使ったの。」
タケ「それってベギラマより強い呪文か?」
ゼシカ「そうよ。しかし無理して使ったとたんに急に苦しくなったの。血も吐いたし。治癒呪文をかけてもらっても中々回復しなかったわね。」
タケ「無理しすぎたら必ずツケが来るって事か…」
ゼシカ「それを防ぐためには日々特訓するしかないわよ。いいわね!?」
タケ「わかった。」
ゼシカ「後1つ、気になる事があったわ。」
タケ「どうした?」
ゼシカ「魔力を引き出している時にもょもとの後ろに男の人の影が見えたの。半透明って感じだったな。」
タケ「それなんてオバケ?」
ゼシカ「上手くは表現出来ないけど何故かもょもとを見守っている感じだったわ。」
タケ「そのオバケはどんな感じの特徴だった?」
ゼシカ「間違いなくこの世界や私の世界の人間ではないわね。黒髪に服装も青いズボンに、変わった靴、
見慣れない文字?の赤色のシャツを着ていたわ。」
それは間違いなく現実世界の俺だ。じゃあ俺はもょもとの守護霊って訳なのか!?
仮にそうだとしても何で背後霊じゃなくもょもとの体内にいるんだ?ツマジマが合わないじゃねーか。訳わかんねぇ…
タケ「案外守護霊かもしれないなそいつは。根拠は無いけどそのような感じがするよ。」
ゼシカ「無根拠なのにそんな事良く言えるわね。」
タケ「さぁ?俺自身がそう感じているからな。他人が聞いたら納得できないけど。」
ゼシカ「うーん私はなんとも言い切れないわね。何かの暗示かもしれないし…まぁいいでしょ。もょもとがどこまで言うのなら。」
タケ「ゼシカ、今日の事は内緒にしといてくれないか?」
ゼシカ「どうしたの?」
タケ「俺がメラを完成させた時みんなにびっくりさせたいからな。格好良くバシっって決めたいモンよ!」
ゼシカ「それだけじゃないでしょ?」
タケ「他に何か理由があるのか?」
ゼシカ「決まっているでしょ。朝から私と一緒にいたらムーンやリアに疑われるからでしょ〜☆ムーンがカンカンに怒りそうね。」
タケ「そんな事ないってば!!でも怪しまれるのは間違いないな…」
ゼシカ「そんなに悩まなくてもいいわよ。黙っておいてあげる。その代わり私もローレシアに連れて行ってもらうわ。」
タケ「それなら良いよ。よろしく頼むぞ。ゼシカ。」
ゼシカ「こちらこそよろしくね!もょもと。」
もょもと&タケ
Lv.16
HP:112/112
MP: 0/ 2
E鋼の剣 E鋼の鎧 E鉄兜
特技 共通技:チェンジ
もょもと専用:隼斬り・魔人斬り
タケ専用 :かすみ二段・強撃・ゾンビ斬り・大防御・メラ
乙です。
しかし、一年以上書き込んでいる作者は4の人、総長、レッドマンの3人だけなんだよな。
ある意味凄いな。
乙デイン。
しかし主人公・2・8キャラをどう上手く絡ませていくのか
見ものだな。
グダグダした展開にならないで欲しい。
4の人と総長て初代スレからいるんだよな
今さらだけどここまで続くとはねぇ当時は単発ネタスレだと思ってたのにw
つまらん。つまらんぞーーー
遅い、早く書け。
「心にも無い事言ってくれるじゃないの ところで俺の*を見てくれ こいつをどう思う?」
死ねばいいと思う
しかしこのスレは敷居が高い気がするのは俺だけか?
メンタル的に強い奴じゃないと投下しにくいと思うのだが。
七スレも続いたのが奇跡だな
定期的に嵐が出るし、住人も他の職人スレに比べると辛口気味だからじゃないか?
683 :
679:2006/09/26(火) 09:02:25 ID:eGDesQlo0
>>679 スレの悪い雰囲気で書き続ける事を辞めた職人さんが過去にいたからなぁ。
それに新人が中々投下しにくいと思う。
684 :
679:2006/09/26(火) 09:07:36 ID:eGDesQlo0
乙
兵士「まずは王様に会いにゆけぱらりりゃ
俺は王様に会いに行った。
王「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
勇者ロトの血を引く者よ!」
王様は俺に会うなりバケツをひっくり返したように感激の涙を流した。
王「そなたの来るのを待っておったぞーっ!う、ううう。
もうね、聞いて聞いて!大変なの!この世の中!聞いて聞いて!」
王はハンカチで鼻汁をすすりつつ泣きついてきた。
王「あのね!チーン!竜王って言う悪い奴がね!チーン!
光の玉っていうね!チーン!すっごい大切なもの盗んでね!チーン!
そんでね!チーン!さらにね!チーン!ぼくの大切なローラひめまで…
「わかった、わかった」
俺は王のほとばしる鼻水にびしょ濡れになりながら言った。
「とりあえず、その汚い鼻水を全部出し切ってからしゃべりなさい。
「ウン!わかった!」王は大きくうなずいた。
「ぼく、鼻水出し切ってからしゃべる!」
王はひとりうなずきながら王座から立ち上がり、
すううっと大きく息を吸い込むと天も割れよとばかりに
勢いよく鼻水を鼻腔から噴出しだした。
王「ブッ!チーーンブリュリュリューッズババババーーーーーーーーッッ!
ヂッ!ヂヂッ!ヂーーーーーーーーズズズーーーー
ピーーーーゴロードンガラガッシャーングバババーッグバッ!
グババッ!!ギューンギュギュギューンドロドロピシャーーーーッ
ドリュルルイドバババーーーーーーーーーーッビビビビーンブリュァーーーーーーーーッ
シュゴーーーーーーゴゴゴッ!ゴッ!ドベッ!ズビズバビビビビョ!
ブビョ!ドバババブーゴブゴゴゴゴ!
・…ゴゴッ!ゴッッ!!!!バタン」
兵士A「王!
突然王が倒れ、後頭部をしたたか床に打ちつけた。
兵士B「し、死んでる…
兵士C「鼻汁を出しすぎたんだ…
その日ラダトームでは盛大な葬式が行われた。
※葬式の間にて
ラダトーム兵「ウ、ウウ…王…
城の門番「この大変な時期に何で!どうして!
女性「せめて最期にローラ姫に会わせてあげたかった…
道具屋の前の青年「おいたわしや。おいたわしや。
武器と鎧の店の前の女性「ヒーン!
老人「おお!神よ!何ゆえこのような苦しみを!
老婆「終わりじゃ。もうこの国は終わりじゃ。
国民の嗚咽と絶望の声が教会に響き渡る。
と、その時。
兵士A「皆!聞いてくれ!」
教会の祭壇に、あのとき部屋にいた兵士Aが飛び出した。
兵士A「王に先立たれ、わが国の行く末を案じる者もいるだろうが、
まずは事の真相を知って欲しい。
あのとき、王が亡くなられたとき、
王はそこにいる1人の若者と謁見中であった。」
兵士Aが指差す方に皆が一斉に注目する。俺だった。
兵士A「俺は聞いたぞ。そいつが王に『鼻水を出し切れ』というのを。」
兵士B「そうだ。俺も聞いたぞ。」
兵士C「王は『鼻水を出し切ったら死ぬ病』におかされていたというのに。」
途端に批難罵倒の声が俺に対して浴びせ掛けられる。
女性「何て酷いことを!
武器屋のおやじ「それでも人か!
老人「鬼じゃ!悪魔じゃ!鬼畜じゃ!
道具やの主人「お前が王を殺したんだ!
(ワーワー、ワーワー)
「待たれよ皆の衆!」
突然飛び出す白い陰。
大臣「この方をどなたと心得る!」
大臣が祭壇で民衆に向かって話し始めた。
大臣「この方はかの勇者ロトの血を引き正しきものぞ!
あのとき王に謁見していたのも竜王を倒す命を授かっていたからだ!」
「そんなの知るか!」
1人の戦士が怒鳴り返す。「王を殺したのはそいつだぞ!竜王じゃない!」
「姫様だっていないのにこの国はどうなる!」
今度は違う方から声がした。
大臣「フム…確かにおぬしたちの言う事も一理ある。
王殺しの罪は重い。ならば、その罪を洗い清めるため、
また今は無き王座の後継ぎへとなる姫を取り返すためにも、
この若者を竜王討伐へと向かわせればよかろう。」
そして、俺は竜王討伐の旅へ出発することになった。
―出発の日―
大臣「この城を出るととなりにマイラの街がある。
そこでまず武器と防具を買い揃えることだな。
これは少ないが旅の足しにするがよい」
大臣はGの入った白い皮袋と松明をよこした。
袋の中をのぞくと10G入っていた。
俺「たったこれだけ…!」
大臣「何じゃ?不満かな?」
大臣は長い眉毛をひそめいぶかしそうに言った。
大臣「忘るるでないぞ。おぬしは罪人だ。
本来ならば死刑のところをこのわしが助けてやったのだからな。
よいか。必ずや竜王を倒し姫をとりもどし、
この世に再び光をもたらすのだ!ゆけ!勇者よ!」
※ラダトーム城下街。
「人殺しー」
「モンスターにでも喰われちまえちまえー」
「気取ってんじゃねーぞこの豚やろうー」
「王様を返せー」
わーわー。わーわー。
見晴台より見下ろす、大臣
「ひひ。これでこの国もろた。
邪魔者であるロトの末裔も追い出す事に成功した。けけけけけ。
どうせあいつも1人で竜王の城までたどりつけっこあるまい。
ひひ。いひひ。いひひひひ。」
別室にて、水晶を眺める呪い解き爺さん
「かわいそうじゃ・・・勇者アレルはアリアハン王の要請を
受けて、人々の歓呼に送られ冒険の旅に出発した・・・
それなのに、わしらの勇者に対する仕打ちはこれか!?
勇者が・・・あまりにかわいそうじゃ・・・」
アレルって観呼どころか見送りすらされてなくね?
きっとそこは、ロト紋パクったんだよ
今後も見守っていこうではないか!!
1の世界がベースみたいだな。
なかなか面白い
もはや宿屋じゃないけどな
まぁ宿屋から始まってないのもあるからなぁ
スレタイも読まない阿呆は(ry
埋め
702 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/02(月) 06:15:21 ID:AGNo+F6oO
チンクルだろ
無限ループに突入しているな。
保守
点検
保守
>>692の続き
ラダトームを追い出されて2日、北に向かって歩いて行くと街が見えてきた。
いや、正確には「聴こえて」きた。
何かのメロディーが町から流れている。
今日はお祭りか?
ウキウキしながら町へ入ると、
「こんにちはぁ〜♪ここはガライ♪ガライ♪ガライの」
『町ですう〜〜〜♪』←合唱
町人達が一斉に歌いながら集まってきた。
「ようこそ〜♪ミューズに愛されし町ガライへぇええ〜♪」
「きみィ〜の歌声、聞かせておくれよォ〜♪」
『楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!楽しみっ!』←合唱
まるで町人全員がミュージカルをやってるみたいだ。
「私はロトの末裔です。
竜王にさらわれたラダトーム姫を探して旅をしているのですが、
みなさん何かご存知ないでしょうか」
『!!♪』
一瞬町人全員に驚きと、焦りと、苦悶の表情が浮かんだ。
「?どうか・・・なさいまし」
「ララ!ラララ!ラララ〜♪」
「勇者は歌声を持たないー♪」
『持たない!持たない!持たないー♪』
必死にメロディーを作り上げようとしているのだ。
「こォ〜の町では歌わなければならないィ〜Ah hooo♪」
『ならないィ〜♪』
「そォ〜れがこのまち〜の掟さぁ〜〜♪」
『掟さァ〜♪』
「屁をこくにしても!」
「プップ〜♪」
「糞するにしても!」
「ブリッ♪ブリブリミチミチィッ♪」
『歌わなけれ〜ば、な〜らない〜♪』
そう歌うとみんな「ラララ」と合唱を始め、
1人の少女が道に出された大便を嗅いで
「く、くさい〜♪」と歌いながら倒れた。
どうやらこの町ではみんなで一つのメロディーを作らねばならないらしい。
レストランに入れば食器でリズムをとったり、
パンの食べカスを口からとばしながら歌ったりしているし、
道行く人も足音でタップダンスをしたり、
合唱の輪に加わろうと声を張り上げ歌ったりしている。
町人たちの歌によると、なにやらこの町を作ったのが
有名な吟遊詩人とかで、自然と町自体も歌と踊りの町になったらしい。
しかし、一見このミュージカル風の町の雰囲気は楽しそうに見えるが、
例えば排尿の際に
「ジョボボボジョボボボジョボボボボ〜♪流れるよ、わたしの真っ黄色なオシッコ〜♪」
と歌わねばならなかったり、
「あん、ア、アアア〜♪」
「どうだいぼくの×××の味はァ〜♪君のアソコに△△して○○〜♪」
「E!E!気持ちE♪」
といった、あられもない人間の生理現象、性衝動さえも、
この町全体を包み込む1つのメロディーに昇華しなければならず、
「ぉおっと、かわいい姉ちゃんだね〜♪」
「へっへへ、おいらたちと一緒に遊ぼうや〜♪」
「なんです!あなたたちは♪やめて下さい♪」
「いいじゃねえか遊ぼうよ♪」
「やめて♪やめて♪やめて下さい〜♪」
『やめて♪やめて♪やめて下さい〜♪』
「ああ、やめて、あん、そこは・・・やめて触らないでお願い・・・」←哀しそうなメロディーで
といったことも、全体を通して流れるメロディーの雰囲気に
調和していれば誰も何もとがめず、むしろはやしたてたりする。
これを、メロディーを無視して例えば「やめろ!」となど言って殴りかかると、
すぐさま町から追放されたり、音楽それ自体の持つ陶酔感によって
群集が怒り狂って死刑にまで発展するからたまったもんじゃない。
「やめろ〜♪」と歌いながら止めに入らねばならない。
要するに町全体に流れる音楽にマッチしていれば何でもアリなのだ。
(姫の情報を聞いたら、こんなアブナイ町すぐおさらばしよう)
俺は何とかみんなの歌に混ざりながら竜王と姫の情報を聞き出し、町を出た。
ヴォースゲー!
乙です。町人がイカレポンチばっかりに噴いたw
「う………?」
変だな…
違和感を感じる…
「起きた 起きたよ!」
!!
だ、誰なんだ…?
なんで勝手に俺の部屋に─
「よかった、気がついたのね」
誰だあんたは?
うまく… ものを考えられない…
「まだぼんやりしてるみたいだね」
「それはそうよ、長い間、眠っていたんだから…」
長い間…?
「とにかく、起きてくれてよかった
おはよう、私はレア」
「おはよう、僕はレムス」
「お、おはよう… 俺は、タチバナ…」
う…あ…
俺は何を普通に挨拶して…
だいたい─
「ちょ、ちょっと待った!」
少し裏返った声に二人がきょとんとした表情になる
「い、いや ここって何処?」
ようやく、驚きの次に感覚を取り戻したタチバナが誰にとでも無く問う
「ここはメザレの宿屋だよ」
「メザレ?宿屋?」
わからない わからない…
「ねぇタチバナ、あなたはまだ目が覚めて少しだから混乱してると思うの
だから少し落ち着いて、とりあえずお父さんとお母さんを呼んでくるから」
そう言いレアが部屋を出て行く
俺は一体、どうしてこんなところに居るんだ…
レアという女の言う通り、混乱だ
「まぁ少し落ち着いてさ、少し気持ちはわかるよ
そうそう、あんたの服は着替えさせたよ
まさか寝かせるのにあんな格好じゃあね」
あ…
これはベッド…
俺はベッドに寝かされていたのか
"あんたの服"
現実的じゃない場面での現実的な"この"言葉に、俺はようやく落ち着きだけは取り戻した
「あ、ありがとう… 俺、いつ頃からここに? それと、どれくらい眠ってた?」
すぐ意味があるとは思えないけど、頭に浮かんだこの疑問を、俺はレムスに聞いてみた
「う〜ん 確かアプリーリスの5日朝だったと思う
ごめん、僕もあんまり覚えてないんだ
それで今日はユーニウスの13日朝だから…70日くらいかな?」
70日!
アプリーリスとかユーニウスとか意味がわからないけど、70日…
どうなってるんだ…………
そうか!
夢!
夢だ、夢なんだこれは!
そう考えると楽しくなってしまい
「フフ」
と声に出して思わずほくそ笑んでしまった
レムスが少し驚いた顔をしたが俺は"なんでもないよ"と誤魔化す
そうか、夢ならどうって事はない
寝て起きれば現実に戻れるんだ
「お待たせ」
レアが部屋へ戻ってきた
その後ろにはレアの両親だろう二人が続く
「やぁ、俺はカルリ
レアとレムスの父親だ」
「私はテティス
カルリの妻よ、身体は大丈夫?」
「あ、俺はタチバナといいます」
レアとレムスは姉弟なんだな
「あの… ところでここはどこなんですか?」
夢なんだからどうでもいいんだけど、一応聞いてみる
「うん、ここはメザレの村だよ」
メザレの村か
夢にしては姉弟や親子や村の名前がやたらしっかりしているんだな
もしかして俺は天才なんじゃないか?
よくわからないけど
「タチバナさん、起きられる?
動けるなら、食事を摂ったほうがいいわ
寝ている間はずっと薬草だけだったから」
身体は─ 動かせる
どこも調子は悪くない 夢なのに健康だ
ん? 夢だから健康なのか
「はい、動けます」
"ヨッ"っとベッドを飛び降りる
「レムス 彼の服を取ってあげなさい」
「わかった、父さん」
"ありがとう"とレムスから受け取った服
それは俺が気に入ってしょっちゅう来ている白の長袖シャツと薄色Gパン
タチバナが着替え始めるのを見てレアとテティスは部屋を出る
「あれ靴は…?」
「君は裸足で村の入り口に倒れていたんだ」
カルリがそう言いながらゴツゴツとした革の靴を差し出す
うーん、これしか無いな
蒸れて変な病気にならなきゃいいけど…
まぁ夢だからいいか
着替えもすっかり終わり、三人は部屋を出る
短い廊下を歩き、階段をミシミシ下りるとすぐフロアに出た
「ここがこの宿自慢の食堂兼休憩室なんだ」
カルリが少しテレながら言う
なるほど、どうやらこの宿屋は全て丸太を組んで作ったログハウス
広いこのフロアは観葉植物が並び大きな窓があり開放感に溢れている
窓の外では緑が陽の温かさを全身に浴び、嬉しそうに揺れていた
「へぇ 心地いいですね」
俺は素直な意見を言った
嬉しそうなカルリは俺を広いテーブルの席へと案内し、その対面へ座る
「君は… タチバナくんはどうしてこんな辺境の地へ?」
「あ、タチバナって呼び捨てで呼んでもらえますか?
なんだか慣れなくて…」
額をカリカリ掻きながらカルリへ伝える
「ん、そうか …タチバナ、よければ教えてくれないか?」
テティス、レア、レムスは料理の盛られた皿を忙しく運んでいたがやがて、席に座り俺とカルリの話に耳を傾けた
各人の前にはメインであろうスープ皿と拳大のパンが二つ、中央には大きめの更に緑のサラダ
そう言われても…
これは夢で、目が覚めたらここにいたんだからどうにも答えようが無いし…
あ、もしここで"夢だから"って言ったらこの夢は終わるかな?
"おもしろそうだ"
俺は軽い気持ちで、それでも顔は真剣に答えた
「それはもちろん、これが夢だからですよ」
俺は─ "ここで目が覚め時計を確認している" そんな様を思い描いていた
だけれど目は覚めず、代わりに四人のまっすぐな、別の意味で目が覚める程の注目を浴びる事になる
「あ… あれ?」
この、変な違和感は何だ?
あの、目覚める前に感じたモノと同じ
その、リアルな感情はまるで現実
とても夢とは感じられない、感覚
そんな…
夢だったんじゃないのか?
夢はここで、終わりだったんじゃ─ ないのか?
久しぶりに投下してみました。
タカハシの旅はまだ続編が出来てません。
まだしばらくの時間を下さい。
再度書きますが第三部まで、という事でお願いします。
投下済みの第四部は破棄します。
その間、短編─ で終われるかわかりませんが、短い話を投下していってみようと思います。
トリップに関しては、タカハシの旅だけ「タカハシ ◆2yD2HI9qc.」とするつもりです。
では、また新しい話が書けた時に。
乙乙
うん、まぁやっぱりタカハシの続き読みたいよね
以下の前スレ579からの続き
ttp://ifstory.ifdef.jp/log/ifyado_log006.html#R579 ●前後
「こ ここもか…」
青い鎧を身にまとったその男、言葉と共に乾いた地面へ腰を下ろす
彼の名はテリー
世界からはゆっくりと人間が消えていた
なんの前触れも無く刺激も痛みも声も無く
まるで幻の源がその場から立ち去ってしまうかのように
「世界は一体、どうしてしまったんだ
人は消える… 神の加護を全く感じない… 魔物はかつて無いほどの群れをなし襲ってくる…
このままでは魔物の世界になってしまうではないか…!」
ガツンと、彼は拳を地へ叩き付けしばし項垂れる
彼、テリーはタカハシと別れた後グランバニア近郊で商いをするメルビンと合流した
毎日まいにち剣の修行に明け暮れ過ごした
数ヶ月してメルビンの教え全てを吸収したテリーは単身修行に出る
壮絶な修行だったけれど自身が強くなるのを自分で感じることが出来た
修行の途中、チゾット近くで倒れるタカハシを手助けしたりもした
ある日、旅商人と大地の上で会話していると目の前で突然消える商人
テリーは嫌な予感と焦りを感じ、情報収集のためグランバニアへ赴いたが町人も兵士も王も
そして姉ミレーユの姿もついに見つけることが出来なかった
姉を思いテリーは少し泣いた
泣いたけれどそれではいけないと、何が起こっているのかを知りたいと
タカハシを探しここライフコッドへやってきたのだ
「タカハシ…! お前は一体どこにいるんだ…
まさかお前も消えてしまったのか……?!」
突如、耳の中、頭の中へ音が響く
やさしく聞いたことがある、初めて聞く声
「……そうか、そういう事なのか─」
テリーは立ち上がり歩き始める
増え始めた魔物と剣を交えようとする決意
希望と少しの笑顔が混じる、それは凛とした顔だった
●再び
真白な空間にぼんやりと浮かぶ白い影
『あ、あれは…』
手の届きそうなほど遠い箇所に、その影が次第に灰色の人物へと姿を変える
対峙する三つの、見覚えのあるシルエット
禍禍しい男が手を伸ばすと、その情景はぐしゃりと歪む
突如、目の前の弱弱しい男が後ろにある細細とした女を斬る
『俺、だ…!』
何度も何度も、時折り息継ぎながら伝わる殺気と共に斬りつけてゆく
『やめろ…! わからないのか…! 結末は………!』
「タカハシが苦しそうだ… なんとか、早く元に戻せないだろうか」
タカハシの苦しむ姿を直視出来ず、つい漏らす
いままで何十回、何百回おなじ言葉を口にしただろう
聞いたところで答えは変わらないのだが、交わしたかった
「…今はただ、祈り待つだけしか…」
俺は、あの魔物による大襲撃の間、ずっと戦い続けていた
何人かと一緒に戦ったけど、圧倒的なその数には敵わず
終には一人となり、おかしな術でここへ連れてこられたのだ
ここは生気の抜けた人間が集まるまさに地獄
名前を付けてやるなら"絶望の町"
何人かは強い意志を持って自我を保っているが、大半の人間はからっぽだ
どういう事か、話を聞いて廻ってわかった事がある
この世界で少しでも気を抜くと、すぐさま力を吸い取られてしまう
俺もこの状況に心が折れそうになってしまったが、どうにか堪えている
それはここにいるタカハシ、そして姉ミレーユと再開することが出来たから─
「姉さんだってこうして生きる力を取り戻すことが出来た
タカハシだってきっと、戻ると思うんだ」
「ええ、ほんとうに… テリーのおかげね、ありがとう」
こんな状況だというのに、俺は少し気恥ずかしくなって俯いた
そう、姉も他の人間同様、力を抜かれまるで生きる屍
俺は傍に、ずっと傍について声を掛け続けた
それはとてもとても長く、終わりの見えない遥かな時間
姉が立ち、初めて絶望の町を隅々まで見てまわったとき
静かに、だけど苦悶の表情を浮かべ横たわるタカハシを見つけた
その様は姉やその他の人間とは違い、まるで何かに憑かれているよう
「彼もきっと、こうして私達が傍にいてあげれば、私のように力を取り戻すに違いないわ」
「うん…
だけど俺も姉さんも、そして他の人間も戦う力だけは一向に戻らない
話に聞いた"魂の集まる場所"へ行けば、なんとか…
戦う力さえ戻れば…!」
気配を感じた
言葉は途切れ、その正体が判明するまでの僅かな時間─
「どうですか? 様子は…」
●仕組み
「あ、トルネコさんか…」
「おや 私で何かご不満でも?」
「いえ、なんでもないんです」
トルネコ─
彼は、この絶望の世界で連れてこられた我々人間を管理していた
「さぁ、彼の着替えです
少しだけ部屋を空けてもらえますかな
…見たいなら構いませんけど ほっほっ」
「ああ、ははは… お願いします」
俺と姉はトルネコとタカハシを残し部屋を出る
ここ絶望の町は魔物が用意した割りに設備が整っている
トルネコによると健康を保たなければ上質な力を吸い取れないかららしい
「トルネコさん、どうしてあんなに…」
「仕方が無いよ姉さん あの人は以前の心を無くしたまま、連れてこられたんだ…
ルビス様の選んだ勇者というだけであんな事をやらされてる
誰の事も、人間の世界の記憶だって残ってない」
しばらくして着替えが終わり、部屋へと戻る
「あなた方も、まだ元気なんですねぇ
知ってますか? 力は一定量溜まると吸い取られてしまうのですよ」
「ええ、それは… 知ってます」
「意識をもって辛い思いするより、無意識で楽にしていたほうが良いと思うんです
力を吸い取りつくす事はないですし」
回避
思わず反論しそうになる
だけど…
彼は、記憶も人間の意志も持たず、ただただこの世界を管理しているだけなんだ
魔物側でもなく人間側でもなく、ただただ中立な存在なんだ
この発言もその所為で…
「そういえば、力はギリギリまで持っていかれるんですよね?」
姉はずっと黙っているが、表情が辛い
話題を変えようと俺は常々疑問だった事を聞くことにした
トルネコはいろんな事を教えてくれる
この町や世界から抜け出る方法以外で知っている事だけだが─
「ええ、そうですよ 死なない程度に」
「持って行かれた側は力を無くす だけどまた吸い取るなんて出来ないですよね?」
「そうですね さっきも言いましたが一定量の力を蓄えると…
ええと、力を吸い取るにも上限下限があるんです
ここで言うのは"吸い取られる側の限度"ですね」
「だけどそれは、吸い取られきった人に対しての答えでは…」
「それは今からお教えしますよ
ようするに、人間は食事を摂っていれば栄養になり力となる
少なからずそれは、意識を持っていようがなかろうが潜在的な力にもなるわけです
知っていると思いますが、意識を持たず生きている人たちも食事だけはしています
それはこちらである程度操作している部分もあるわけですが、大半は必要として自ら摂る
力を失い絶望を感じ自らを失っている、だけど本能はそれを許さない
深い深い所では"生きようとする力"は失われていないわけです」
「へぇ… わかるようなわからないような…」
「そういう人たちの場合、下限で力が吸い取られます
貴方たちのようにはっきりと意識を持つ人たちは上限まで蓄えられます」
「それはなぜ? 私達も下限で力を吸い取れば、こんなに元気ではいられないわ
その方が魔物にとっては都合が良いと思うのだけど…」
沈黙していた姉が、トルネコをまっすぐにそう言った
「明確な生きる意思を失った者の上限から吸い取るよりも、上質な強い力を頂けるからですよ
それに貴方たちの強い力を中途半端な段階で吸い取ると、その効率は落ちるのです
どういう仕組みなのかはわかりませんが、そういう事なんですよ
…話がずれてしまいましたが、ようするにこの世界に居る人間は私が管理している以上、
力が完全に無くなってしまう事はないのです
固い意思で自ら命を落とす人も、もちろんいますけどね」
「…生かされず殺されず、という事ですか」
「そうなりますね
ただ貴方たちは少なくとも"生きて"いますよ
他にも数人、元気な人がいますがいつ力を無くす事か」
「……トルネコさんは、どう思いますか?」
「ほ? 何がですか?」
「人間が、このまま全員だめになっていくほうがいいのか…
それとも全員が奮起してこの世界を崩すほうがいいのか…」
思わず、どうしても気持ちを抑えきれず意味の無い質問をしてしまう
今のトルネコにこんな事を聞いたって、仕方がない事なのに
「私としては、どちらでも構いません
どうなっても管理するのは私ですからね
自分の仕事をするまでですよ」
やっぱり…
ほんの、ほんの少しでも良い答えを期待した自分が情けない
「…ですが、ここまで堕ちた人達が再び奮起するなんて事があるのであれば、見てみたいですね
興味として、ですがね」
興味として…
だけど、その答えって自分の意思、じゃないのか
「トルネコさん、あなたはもしかして─」
「私はこの町の管理人トルネコです
それは、少しの意志くらいは持ってます
ですがそれでどうこうという話はありませんぞ?
前と同じ事を言おうとしたのはわかってます
自分で言うのもおかしいのですが、私に期待したって何もありません ほっほっ」
やはり味方に出来そうにはない
俺は以前に、実はトルネコがわざと演技でこんな事をしているんじゃないかと問い詰めた事がある
いろんな情報を提供してくれるだけでも、ありがたいと思わないといけないか
その後、他愛の無い話をし、トルネコは別の部屋へと移っていった
勇者トルネコが守ろうとした世界は今─
こんな世界に人間としての記憶を持たず彼がここにいるという事
それだけが俺にとっても救いであった
なんだか中途半端だけど、ここまで。
>>719 タカハシの続き、やっぱり自分でも知りたいから奮い立たせる意味でも投下してみました。
書き忘れた
何度もごめんなさい
>>720 から仕切りなおしの第四部始まりです
タカハシGJ!
ありがとう
タカハシ乙
ローディとか総長とか来ないかなぁ
隙間風氏が帰ってくるの待ってる
あの先の読めない展開が今後どうなるのか気になって気になって
今回はテリー編みたいだな。
乙!!
736 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/10(火) 21:39:57 ID:gSbG275A0
アッー!
保守
>>729 からの続き
●逃毀
ある日、夜も昼もわからないこの世界
目覚めた頃に二つの魔物、りゅうき兵が現れこう言った
「そこの女、お前ついてこい」
耳を疑った
意味はわからないが、身体が動く
「待て、何の用なんだ!」
俺は椅子に座り緊張する姉をかばう様に、立ちふさがる
「女、早くしろ」
りゅうき兵はそれを無視してミレーユを睨む
「くっ…! お前ら俺を無視するな!!」
敵うわけが無い
武器も鎧も魔法だって無いんだ
だけど何もしないわけには─
ミレーユを睨みつける一つの魔物、それめがけてテリーは殴りかかった
"バシリ"と少し平手打ちに近い音
テリーの拳は確実にりゅうき兵の頬を捕らえている
「なんだお前は」
"ジロリ"とようやくテリーへ眼を向けるりゅうき兵
同時に腕を強く引き上げられ、宙に浮く身体
渾身の打撃は魔物の顔をわずかに動かすだけ、期待した効果を発揮しなかった
「う…ぐ…! 離せ!!」
やはりどうする事も出来ない…!
くそ!
このままでは姉が…
どうしたら、どうしたら……
「こんなに生気にあふれる人間だ、殺すわけにはいかん
しかし頬に触った 俺はひどく痛憤している」
意地の悪い顔を、テリーに向けるりゅうき兵
「まって!」
ミレーユが声をあげる
「なんだ女 俺は今こいつをどう苦虐させるか考えているんだ、邪魔をするな!」
姉さん…!
だめだだめだ絶対にダメだ!
「言う通りに、します… 弟に何もしないで……!」
悔しさなのか恐怖からなのか、ミレーユの身体が小刻みに震える
「んん? こいつはお前、女の弟なのか ク、ククッ
ならば話は更に易い」
先よりも邪悪な笑みを浮かべる魔物二つ
「女、お前 今から連れて行くが、今後一切抵抗してみろ
ククッ こいつの無事は無いと思え 貴様ら人間が想像できない苦しみを与えてやる
言っておくが自害するなど無駄だ
古代魔法ザオリクを以って、悪魔神官が苦しみを永遠に与えてくれるだろう クックッケッケッ!」
な、な、なんて事だ……
俺が、おれが抵抗したばかりに余計な条件が…!
いらない事をしなければ… まだ、もしかしたら救える方法があったかもしれないのに……!
りゅうき兵の手が開く
俺は地面へ落ちガックリと頭をたれ、掌を握る
素早く、傍へ来た姉がそっと、耳元で囁いた
「どうあったとしても、私は連れて行かれる…
こんな世界だけど、少しの間だけど一緒に過ごせて良かった
…無事でいて、そしていつかタカハシと一緒に世界を─」
"バサッ"
ミレーユが魔物に腕を捕まれ連れて行かれる
俺は、顔を上げて姉を見ることが出来なかった
きっと俺を見ているだろう、姉の顔を……
●白い女性
時間だけが過ぎていた
変わらず俺はタカハシへ話しかけている
違うのはただ一つ
姉さんがいない
この世界でたった一人
これは、思っていた以上に辛い
目の前で捕らえられる姉を助けることが出来なかった
それは現実で、実際に俺は一人だ
「俺は何の為に…」
今までの戦いを全否定したくなる
"勇者になろうと思う"
そう、タカハシに語った事が懐かしい
戦えなかった事が恥ずかしい─
今はただただ、タカハシを元に戻すことだけを考え、力を持っていかれないようにするだけだ…
「テリーさん、いいですか?」
トルネコが、入り口に立っている
どうやら俺は、床に座ったまま膝を抱え、寝入ってしまったらしい
「あ、ああ… はい…」
椅子へ座りなおし、中へ入るよう促す
「ええと、新しく来た人がいるのですが」
「まだ戦っている人がいたのか…」
トルネコへ言うでもなく呟いた
「戦うようにはみえないんですけどね」
そう言い、入り口に向かって"どうぞ"とトルネコが言う
その声に応え、そこに白い女性が現れた
「ここですか… あれが…」
女性が、タカハシの姿を見つけ言った
「この人、名前を思い出せないそうです
ちょうどあなたのお姉さんが連れて行かれてここが空いたので、いろいろ教えてあげてもらえませんか」
トルネコの、悪気のないその言葉に、俺は歯を噛む
「トルネコ 案内、ご苦労でした」
「え? あ、ああ、じゃあ、私はこれで
何かあったら呼んでください」
女性の言葉に戸惑いながらも、トルネコは部屋を出る
女性は立ったまま動かない
俺も特に、声を掛けることなく、タカハシを挟み奇妙な時間を過ごす
回避
「彼は…」
女性が細い声で話し始めた
「いつからこんな状態に…?」
この人は、タカハシを知っているようだ
俺は聞かれた事を、簡単に、短く伝えた
伝えるといっても、俺が見つけた時からこの状態だったから二言三言で済む
「…そうですか テリー、あなたも約束を守ってくれているのですね」
約束…?
「悪いが俺はあんたを知らない
おおかたトルネコに名前を聞いたのだろうけど─」
女性が顔を俺に向ける
普通の人間とは違う…
どこか懐かしささえ感じる…
「タカハシへ十分に協力してほしいという願いを… 今も、守ってくれています」
「え…? な、なぜその事を知って……!」
まさかと思うが…
人間へ姿を見せるなど、ありえない事
だけどこの感じ……
「思い出してくれましたか?
私はルビス、貴方たち人間の生みの親…」
●無くした希望
「な…… なぜ! なぜこのような所へ…!!」
思わず椅子から飛び降り、肩膝を突く
俺は、人間を守る神であるルビスが人間を守らなかったのか
それを聞くより先に、こんな場所へ来た理由を問いかけた
「以前にお話ししました、タカハシの事…
私はタカハシに全てを託し見てきました
ですが彼は、ゾーマに破れこの世界へ飛ばされてしまった…」
な…!
タカハシは、魔王とすでに戦って……!
「この世界はゾーマが新たに作った世界
10番目の世界といえるでしょう
そしてこの10番目の世界は、私たち神には手を出すことが出来ない世界」
何を、何が今、起こっているんだ
タカハシは魔王に敗れたといい、神であるルビスが目の前に居る
そうして世界が違うとかなんとかと…
「手を出せなくとも、私にはタカハシを導く責任があります
この世界の事は全く見ることが出来なかったのですが…
魔物を欺きようやく、この世界へ取り込まれる事が出来た」
わからない事だらけだけど、ここにルビスが来た
神が、直接きてくれた
これは世界が救われる前兆じゃないか…!
「ルビス様! では、タカハシをすぐ目覚めさせて…!」
「いいえ 残念ですが、私の力ではどうする事も出来ないようです
なぜなら、今の彼は誰の声も届かない深く暗い場所に佇んでしまっています…
これでは私の声など、役に立たないでしょう」
「え、ですが!
あなたは神だ!」
「…テリー、言っておかねばなりません
通常の私は肉体を持たず、見える姿は貴方たち人間の思う女神の姿…
私はここへ来るため人間の姿へと形を変え肉体を持ちました
その時、ほとんどの力を消費し、肉体を持った瞬間、多くの力を失ったのです…
今の私にタカハシを呼び戻す力などありません」
「そん、な……」
じゃあ…
姉さんも助けることが出来ないじゃないか…!
「じゃあ… ルビス様… 一体、何の為に…」
身体から力が抜け、壁を背にだらしなく足を伸ばす
少し、気力というか精神が、抜けていく感じがする
ああ…
俺はもう、だめだ…
力を奪われていくのがわかる…
「ルビス…様……」
無表情のルビスに、俺は話しかけた
「俺はもう、だめです…
これ以上、気持ちを強く持つことなど、出来ない…
神でさえ、どうすることも出来ないのでは、タカハシが目覚めたとしてもきっと……」
静かに、言葉を聞くルビス
「せめて、せめて姉さんを自由にしてやる事は、出来ませんか……」
もう、動けない…
俺は今から闇に、飲まれるんだ…
「……方法が、無いわけではありません」
ルビスのその言葉に、安心した俺はやがて、飲み込まれた
姉さん、ごめん
姉さんはルビス様が、助けてくれるよ…
俺は先に、眠ることにする………
今日はここまで
まとめにあわせ慌てて投下
あと誤字修正
>>746 五行目
肩膝を突く -> 片膝を付く
現在431952バイト
まだ大丈夫かな?
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
|ヽ(`Д´)ノ 萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! |
\ /
 ̄ ̄V ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|や、やめなさい! |
\ /
 ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧
(´Д`;)
.r' `ヽ
/ , , ヘ
,l ,lヘ .l |
l l ヘ__,ノ ,l
∧_∧^m)、,.__,ノ )
(´∀`*)l / /^l, 〈
と ノ r' r' l 'l
/ /〉 〉_| l | |、
.(_,(_)(__ノ .(_,ノ
タカハシ乙!まだ読んでないけど増えてたんで脊髄反射的にレスしてしまったw
これから堪能させていただきます
まとめサイトを更新
http://ifstory.ifdef.jp/index.html ・スレ立て用テンプレートの追加
・暇潰し ◆ODmtHj3GLQ氏の物語を現行スレまで更新
・隙間風 ◆njN6YTN.DI氏の物語を現行スレまで更新
・七泊目レス93一発ネタ氏の物語を「完結した物語」へ追加
恐怖の月曜日氏が襲ってくる前に更新できました
またしばらくまとめ作業をさぼろうと思います
よくやった!感動した!
保守
756 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/10/17(火) 09:31:03 ID:GzPDVRpoO
あげほ
保守
424KB
まとめサイトを更新
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html ・エイコLv.1◆h97CRfGlsw氏の物語を「完結した物語」へ追加
・魔神戦争 ◆vNFYAR5c0g氏の物語を現行ログまで更新
・ニートLV1 ◆tHwkIlYXTE氏の物語を現行ログまで更新
・まとめローカル用圧縮ファイルを更新
エイコLv.1◆h97CRfGlsw氏の物語は完結していませんが終了書き込みがあったため完結としています。
ほ
よくやった!感銘した!
早めに次スレ立てた方が良いかなぁ・・・。
でも、もう書く人いないし・・・。
その発言はどうだろう
危険な発言だなあ
世界樹の花
「何故、止める!!ソフィアァァァァァァァ!!!!」
ソロの慟哭を正面から受け止め、ソフィアは兄に語りかける。
「もう、止めよう、兄さん。憎しみで憎しみを殺してもどうしようも無い事は、兄さんだって解ってる筈」
「奇麗事を言うな…例えそれが解っていたとしても、この身を焼く怨嗟の焔、消えるわけが無いのはお前が一番解る筈だろう…!」
「消えはしない…殺しても、殺さなくても…この哀しみは消えはしない。マーニャとミネアを見ていれば、それは解る」
姉妹は小さく俯いた。
確かに、それはその通りだった。
エドガンの仇を討ったすぐ後は、嬉しかった。無常の喜びを感じた。
なのに、虚しい。
その理由は既に解っている。例えバルザックを殺したとしても、あの頃は戻りはしなかったから。
頼もしい父が居て、優しいオーリンが居て、賢いバルザックが居た。
優しい笑顔に満ち溢れていたあの頃には。
「ピサロを殺しても何も戻らない…父さんも母さんも、師匠も長老も…シンシアも!!!」
姉妹はソフィアのその言葉が嬉しかった。
復讐を遂げた彼女達には、その言葉を言う資格が無い。
自分たちで気づいてもらうしかなかった。
長い時を共に過ごし、本当の妹のように愛し、慈しんできた少女がそこに至れた事に、知らず涙を流す。
少女が――その考えに至れたのだとしたら、自分達のしてきた事も、間違いではなかったのだと思える。
「マーニャとミネアとてバルザックが生きていれば心中穏やかではいられまい!
それと同じ事だ!終った後が虚しかろうが…こいつが生きている事が、俺には許せない!どけ、ソフィア!」
がっと剣の柄で少女を押す。
不安定な足場でバランスを崩した少女が、落下する。
地上で青年が少女を抱きとめるのを確認するまでもなく、ソロは雷光を纏った剣をデスピサロの頭に叩きつけ、そのまま飛び降りる!
頭、顔、胸、腹に浮かぶ顔…その全てを雷光神剣(ギガソード)で切り裂いて、勇者は地上に降り立った。
「――トドメだ」
再度、掌に雷を宿らせる。
天招大雷檄(ギガデイン)――勇者の、勇者たる光が、今――。
放てない。
放てない。
放てない……!
ソロは悔しさに歯噛みした。
「どうして…なんで…やめろ、俺の前に…」
ぼろぼろぼろぼろ。
止める事もできず溢れ出る涙。
思い出してしまった。自分と共に最後まで戦った少女。妹の姿に変じ、殺されながらも尚、魔族が引き上げるまで妹の姿を保ち続けた少女。
その少女に良く似た…ずっと守り続けてきた、世界樹の花の力を受け蘇った、エルフの娘。
「ロザリー…」
「ソロ様…申し訳ありません。ソロ様の、気が済むようになさってください。
私は何をされても…恨みはしません」
そう言って、デスピサロに向かって歩いて行く。
ソロは膝から崩れ落ちた。
出来る訳が無かった。
他の誰かなら、例え巻き込んだとしても雷を叩きつける事ができただろう。
だが…ロザリーにだけは…できる訳が無かった…。
傷ついた勇者の頭を王女が抱きかかえる。
「ピサロ様…」
巨大な化け物と化した恋人の成れの果ての前で、エルフの娘は手を組み合わせる。
デスピサロは動かない。だが、それはダメージが大きかったからに他ならない。そのダメージすらも、進行形で癒えていっている。
全て癒えれば、デスピサロは動くだろう。目の前のロザリーを屠り。
既に彼の者の瞳に理性の光は無いのだから。
それを見て…ロザリーは悲しくなった。
何をされても耐えた娘が、耐えられない悲しみに襲われていた。
たった一人…たった一人の為だけに。
このような姿になる者に。
たった一人…たった一人の為だけに。
涙を流す娘。
紅い瞳から零れる紅い涙。
頬を伝い、顎へと進み、宙へと舞う。
大地に吸い寄せられる間に――凝固し。
ルビーと成りて、地へと降り立つ。
(ハハハ、自分を追いかけていた人間が殺されて悲しいとは。面白いヤツだ)
(……)
(お前の名は?)
(……?)
(なんだ、名も無いのか。…そうだな、ではロザリーとこれからは名乗るが良い)
(ロザリー……?)
(そうだ。また、会おう、ロザリー。私の名はピサロだ)
(ピサロ……様……)
(此処に塔を建てようと思う)
(塔、ですか?)
(そうだ。私だけが鍵を知る、安全な塔をな)
(……)
(なんだ、嬉しくはないのか?)
(いえ、そのような事は…ありません。ただ、少し…寂しいです)
(案ずるな。この地は人間は無く、住んでいるのはホビットと動物たちだけだ。ホビットたちにはもう話をつけてある。
そうだな…この地にも名をつけようか。…ロザリーヒル。ロザリー、お前の丘だ)
(私は…皆の丘が良いです)
(フフ…お前ならそう言うと思ったぞ)
「ロザリー……」
「私……寂しかったんですよ……ピサロ様……」
「あの地は賑やかになっていったろう……スライムでは、慰めにはならなかったか……」
「お気持ちは嬉しかった……あの子も、私をよく励ましてくれた……だけど、私は……貴方に、会いたかった……貴方と一緒に居たかった……!」
「……すまなかったな……ロザリー……」
ピサロとロザリーが抱き合う。
その感動的な光景を、俺はどことなくつまらなそうに見ていた。
だって、マーニャに踏まれてるんだもん。それで感動して泣けって言うほうが無理だろ。
「私たちの間にも浮いた話ないってのに…なんであそこでラブってるのかしら…複雑ね。敵に先越されるだなんて…」
実は俺たちも、とでも言ったらきっと殺されるに違いない。
黙ってようそうしよう。
「ピサロ……」
「ソロ、か……」
「人間たちをロザリーヒルの塔に招きいれたのは、エビルプリーストだ。人間の力だけでは、あの塔には入れない」
ソロは知っていた。
結界を解く為に向かった先で待っていたエビルプリーストは、聞いてもいない事を実によく喋ってくれた。
それを仲間達に言わなかったのは…。
リーダーが迷う、迷いを見せてしまう事の危険性を理解していたからに他ならない。
「……そうか。そうだったな。では、行くとしよう」
二人は一度も目を合わせず、同時に歩き出した。
傍にいたアリーナがきょとんとしている。
「ちょ、ちょっと待ってよ!何、一体どういう事!?どうするの!?」
「元凶を叩きに行くって事よ。皆でね」
戸惑うアリーナの肩をぽんと叩く。
振り向くと、そこには晴々とした笑顔を浮かべたソフィアが立っていた。
「それで、何で俺たちは水着を着ているんだろう?」
「さあ…どうしてでしょうねえ」
トルネコが囚人服みたいな水着で隣に寝転がっている。
なんだか見てるだけで憂鬱になってくるので視線を外した。
此処は海辺の村…ハバリアから船で北に進路を取ると辿り着く小さな島にある村だ。
そこにシートを敷きパラソルを立てて、何故か暢気に海水浴をしている。
おかしいな…俺たちはラストダンジョンでラスボスと死闘を繰り広げている所に乱入したと思ったんだが…。
「女性たちの我が侭なんて今に始まった事では無いではないですか」
にこやかに言いながら槍を振るうライアン。全裸で。いや、ふんどし一丁で、か。
まあそうなんだけどさ。俺もいつものように槍の手解きを受けてたりするし。
「ちょっと!今日くらいは遊ぶのよ、あんたたちも!!」
隣にソロとピサロを侍らせて、マーニャさんはご機嫌だ。
ってピサロもかよ!!怖っ!!物凄い怒ってるし!!
「………………」
「なによ、ピーちゃん。文句あんの?」
「……品が無いな、お前は。ロザリーはどこだ」
「あんですってぇぇぇぇ!!!!」
と、怒り狂いながらピサロの腕を掴み、自分の胸で挟む。
な…!なんて、羨ましい……!
「俺とピサロの扱いが違いすぎる件」
「ピーちゃんにはこっちのが利くと思って」
見てみると、俺に呼び捨てにされたピサロが何か怒ろうとしているのだが、
顔が赤いのでそれもいまいちままならないようだった。
「ほほぅ…魔王様は初心なんですな」
「ふざけるな!こんな所をロザリーに見られたら、また哀しませてしまうだろう…えぇい、手を離せ!」
だけどそういうときにこそ、見られちゃうもんだよね。
俺とマーニャが嫌な顔をしながら指差す先には、アリーナ、ソフィア、ミネア、そしてロザリーの四人がいた。ついでに荷物持ちのクリフト。
「…………!!」
今にもルビーの涙を溢しそうになるロザリー。
ソロがマーニャの傍で嘆息し、呆れた目で見てはいるのだが、それもまるでソロがマーニャに侍っているように見えて驚きに目を見開くアリーナ。
興味津々なソフィア。姉の所業に申し訳なさからごめんなさいごめんなさいと聞かれてもいないのに謝るミネア。
ビーチボールだとかネットだとかを持たされて余裕の無いクリフト。
皆それぞれのリアクションをしている。楽しそうだなあ。
俺はといえばマーニャはまあいつも薄着だもんで、他の女性陣の水着姿にでれでれとしていたのだが。
すこーんと剣の鞘が飛んできた。ソフィアの仕業らしい。顔はにこやかだが、何とも。
ちなみに無論ピサロも水着だ。
最初は競泳用を穿かせようとしたんだが抵抗しやがった。なんか呪文とか唱え出したから諦めたさー今はハーフパンツ型のを穿いてパーカーを羽織っている。
なんともな。なんだかこの暢気さ。
いいのかねーこんなんで。
水辺で貝を拾っているソフィアに向けてその疑問を言う気にはならなかった。
まあ、良いだろうさ。
次の戦いが最後になる――それを、皆薄々感じているようだった。
「私は、まだみんなと旅ができて嬉しいなあ」
アリーナなどは素直に感情を口にするから、こんな事も言ってしまう。
皆、それにそれぞれの反応で賛同しているようだった。かくいう俺も…。
何か珍しいものを見つけたのか、ソフィアが俺を手招きしている。
なんだなんだと傍に寄ってみると、海の中に一点だけ、海水が無い場所があった。
海水が無い…というのもおかしな話なのだが、なんというか。海に穴が開いている、が一番近いか。
「珍しい石ね…」
「そうだなあ…あ、そうだ。この石あったらさ…」
俺はこしょこしょとソフィアに耳打ちする。
何やら身を捩っていたソフィアだったが俺の考えを聞くと、即座に賛同してくれた。
キメラの翼で近くにまで降り立ち、俺たちは目当ての洞窟を発見する。
一度きたものの、水の中に階段があるだけでどうにも先に進めなかった場所なのだ。
そこに、先ほどの渇きの石を放り投げる…見事に水は引き、俺たちはその階段を降りていった。
「私いっちばーん!」
「お、お待ちください!姫様!危のうございます!!」
アリーナが駆けていき、クリフトがそれを追いかける。
仲間達はそんな様子を見て、呆れながらも楽しそうに三々五々中へと足を進めた。
「…お前達はいつもこうなのか」
「楽しそうで良いですね」
対照的なリアクションを返すピサロとロザリーに、ソフィアは笑顔を向ける。
滝の流れる洞窟という事で皆水着のままだ。なんともシュールな光景である。
特にライアンとかトルネコとかブライとか。
あの辺は意識的に見ないようにして良いだろうか?良いよね?
偶に出てくる魔物もアリーナに蹴飛ばされたりピサロに睨み付けられたりして程よく散っている。
長閑なものだ…やがて、先の方でアリーナが何か武器を見つけたらしく、トルネコを先頭に皆駆けていった。
その場に残ったのは、俺とソフィアのみ。
俺は自然に、無造作に、どこか意識をしてソフィアと手を繋いだ。
「……」
少女がこちらを見て何か言いたそうにしていたが、俺は敢えて視線を合わせない。
結局諦めたのか、それともこれで良いと思ってくれたのか。何も言わずに前を向く。
こうしていると…デートみたいだな、と思う。
みたいだ、ではなくそうなのかな。そう…思おうか。
最初…で。
最後…の。
「…?」
くいっと腕を引かれた。
少し物思いに耽っていたので驚いたが、何かでたのかと視線を向ける。
だが、ソフィアの瞳に剣呑な光はなく、むしろ何かを発見したかのような喜びに満ちていた。
少し見え難い所に宝箱があったらしい。
「どうするかな。ブライさんがいないと敵性識別(インパス)ができないから…」
「開けてみよう?人食い箱やミミックでも何とかなると思うし、何かあってもクリフトに完全蘇生(ザオリク)してもらえるし」
ソフィアがこういう積極性を見せるのは珍しい事だった。
仲間の安全をかなり優先する傾向があったので、こういう時は大抵焦らず皆を待つ。
だが…もしかしたから、何か思うところもあるのだろうか。
甘えたように腕を引かれれば俺も嫌とは言えない。
ゆっくりと宝箱を開ける。
どうやら罠の類はなさそうだ…バーンと一気に開けきると。
箱の奥には…小さな砂時計が置かれていた。
「何かしら?これ?」
「んー…時の…砂…って書いてあるな」
「時の砂…」
一見するとただの砂時計のようだった。
さかさかと振ってみるが、特に何も起こらない。
後でトルネコさんに見てもらえば良いか…。それよりも、何となく二人で見つけた物である、というのが、なんか良い。
世界樹の頂上で見つけた花は、消えてしまったから…。
そんな気持ちでソフィアを見たら、ぱちっと視線が合った。
お互いを察したのか気恥ずかしそうに笑う。
「ソフィア…。俺…」
「……」
意を決し、改めて俺の気持ちを自分から告白…。
しようとしたのによおおおおおおおおおお!
「みてみてソフィア!凄い剣みつけたわよ!!」
奥からどやどやと空気の読めない奴らが戻ってきた。
いや、中には読めるのもいたのか小さく頭を下げている者もいたが。
少し残念ではあったが仕方が無い。
むしろ…これで良かったのかもしれない、とすら思う。
HP:205/205
MP:125/125
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
GJ!
やった!リアル遭遇したよ俺!!
ちょww水着で動き回ってんのかこいつらw
ピサロがすっかり導かれし者達ペースに巻き込まれてるwww
ちょwwww久々にキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!と思ったら
さらにえらいことになってるwwwwwwみじゅぎwwwwwもっと描写kwskwwww
テンションの変化が素敵すぎるw なんで今更海水浴なんだよw
まじ乙でグッジョブです。久々に読めてドキドキしてますよ。
やっぱ4の人のは面白いな
そろそろ旅も終わりに近そうで寂しいけど
他の職人さんたちも待ってるよ
新まとめのタカハシ氏も忙しいのに乙
◆gYINaOL2aEさんお疲れです。
今回もドキムネで面白く読ませてもらいました。
今450KBだけど、そろそろ次スレ必要かな?
ピサロを普通に呼び捨てにできるまでに成長したか主人公w
かつてのソフィア+その他の荷物持ちの立場が懐かしい。
とりあえず、乙。
>>748 から続き
●結んだ願い
「ん……?」
確か…
そうだ、気力を失いそして力を吸われ…
「気が、つきましたね テリー」
「ルビス様…」
いつも使うベッドに横たわっている
なぜこうも意識がはっきりしている?
力を失ったんじゃないのか、俺は…
「私が、貴方が眠る前に言った言葉を… 覚えていますか?」
「もちろん… 覚えてます」
眼を閉じ、瞬間を思い出す
「方法があると…」
「……世界を救うにはテリー、貴方しかいません
そしは姉ミレーユをも救うことになるのです」
「本当ですか?!」
勢いよく身を起こし、続く言葉を求める
ルビスはベッドの隣へ立ち、厳しい口調で語り始めた
「今からあなたの力を取り戻します
私は─ あなたが眠り、しばらくこの世界の事を探りました
魔物には知り得ない力を使いましたが─
調べていく内、私に残された能力で力を取り戻せる事がわかったのです」
「ルビス様は……?」
「…この世界で、あなた方と同じように私の力はほとんど抑えられています
更に肉体を持った事で、元々持っていた能力のほとんどを失いました
元の姿に戻ることは不可能、戦いに役立つ事はないでしょう
それに力を戻す事が出来るのは、一回だけなのです」
「で、では…」
「テリー、あなたに託します
たったの一回、この一回が後世の世界を決定付ける
失敗は… 許されません」
……力を取り戻した後、どうすれば?
「あなたはある場所へ向かい…
そこには無数の光が浮かび……
その光は奪われた力や魔力、肉体の精神を形作る元─ "いのちの源"を見るのです」
「命の みなもと…?」
命の根源があるというのか、こんな世界に…
「これを持ち"いのちの源"へ触れて下さい
私の考えが正しければ、タカハシは目を覚ますでしょう…」
ルビスがそっと小さな玉を手渡す
「それはメイが持っていた静寂の玉
彼女が肉体を離れる際、タカハシに託した持ち主の精神を込める事の出来る特殊な石です」
肉体を離れる……?!
「それは… 彼女は死んだと?」
俺はその表現から導き出した言葉で問いかけた
その問いに、ルビスの視線が眠るタカハシへと移る
「……タカハシの手で傷つき、そして守るため彼女は命を落としました」
「えっ??」
「タカハシを手助けしてほしいという私の願い、彼女は命で結んでくれたのです」
どういう事だ?
タカハシが殺したのか??
状況がわからない…
「…ゾーマの罠に掛かり、タカハシはメイを自分の手で斬ってしまった
それでも彼女は、私の願いを…
自身の想いもあったと思いますが究極魔法マダンテでタカハシを助けようとし、命を落とした
ですが… ですがマダンテをもってしてもゾーマが斃れることは無く……
そうして彼、タカハシの開放されようとしていた力は深いところへ、絶望に飲まれ、意識と共に沈んでいった…」
「なんと、いう…」
マダンテがどういった魔法なのかはわからなし、俺にはあいつの苦しみがわかりようもない
さぞ、無念だっただろう……
「この静寂の玉に込められたメイの精神が、"いのちの源"と共鳴しタカハシに働きかけてくれるはず…
メイならば、今のタカハシを闇から引き出す事が出来る…
神とはいえ人間の深く広大な心理全てに対し、働きかけを行うことは出来ないのです
ですから私には、いえ、世界は… "静寂の玉に込められた想い"を信じるほかありません」
神にもわからない人間の深さ
土壇場で力を発揮する、そういう部分がきっと計れない所なんだろうな
俺は彼女とタカハシの関係を知るわけではないが、命を懸けて守ろうとしたんだ
その想いは本物、そう感じる
「ですが、もしうまくいったとしてもタカハシの力はどうなるのです?
一回しか戻せないのでは」
「それは心配いりません
タカハシが意識を取り戻せばそのような事、容易に跳ね除けることができます」
そうか…
ルビス様がここまでしようとするタカハシは、きっと特別な力を持つに違いない
わからない事も多いが今は世界のため姉のため
詳しい事は後で聞けば良い
未来に希望を見出せた俺は、さっそく行動することにした
●錆びた世界
身体の奥から溢れ出してくる力
失われていた、充実する魔力
これだ
ずいぶん懐かしい、この気力
「……これで、全てです 力は戻されました」
ルビスは疲れたように、深く、椅子へ腰掛ける
入り口には呼ばれたトルネコ
ルビスの力によって、まるで操り人形のごとく指示を待つ
この、人間を押し込める窮屈な建造物から出るためには彼の力が必要だ
「では、行ってきます」
言葉少なく俺は部屋を出た
トルネコに導かれグルグルと階段を降り続ける
この"絶望の町"にいる"壊れた人間"の、いくつもの目線だけが、その様を追いかける
「ここへ…」
静かに一言、発するトルネコが何も無い壁へ向かい、鍵であろう小さな棒を差し込む
ベージュの壁にぽっかりと穴が開き薄暗い部屋が姿を現す
部屋の中は無数に並んだ武具で埋め尽くされ、その先の壁を更にトルネコが鍵を使い開く
開いた壁の向こう─ そこには錆びた色が見える
「武器はここに隠されていたのか…」
連れてこられた人間の武器を棄却せずに並べてあるという事は、恐らく魔物達で使うつもりなのだろう
回避
連投回避
ガラガシャと手前から武器防具をひっくり返し剣を探す
が、なかなか見つけることが出来ない
もしや、すでに持ち去られた後なのでは…
そんな不安を抱き始めたとき、奥まった箇所で青白く鈍い光を放つ一振りの剣を見つけた
「あの光…!」
跳ねるように剣へと近づき、柄をグッと掴む
「これだ… 雷鳴の剣!」
剣をゆっくり天井へと突き上げる
見覚えある、刀身に刻まれた一筋の青
まるで再会を喜ぶかのように、魔力と共鳴する雷鳴の剣
この剣を手に入れてから、様々な事があった
ライフコッドでのドラゴンとの戦い…
メルビンとの出会い…
激しい修行の旅…
あれからとても強くなった
今ならあのドラゴンにだって、敗れはしないはず…
身体は小刻みに震え、心は強く奮う─
「きっと、良い結果を持ち帰ります」
トルネコへ、今は理解できないだろう言葉を掛け、外界へと向かう
らせん状に高く伸びたその建物から一歩二歩、振り返るとゆっくり静かに塞がる肌色の穴
真っ赤に染まる煉獄そのもの、炎の鎧を身に纏いゆっくりと錆色の世界を見渡す
赤茶色に焦げた空
不気味な殷紅色の地
匂いも音も無く、時が止まったような空間
「この方向だな…」
空は鈍鈍と蠢いている
雷鳴の剣をしっかと携え、目的へと歩みだす
●言葉の意味
思った以上に広いこの地
竹の水筒を口に当て喉へ胃へ、水を流し込む
「そんなに距離はないと聞いたのだが…ん?!」
突如、あたり一面に生成色の霧雨が立ち込める
同時に邪悪な気配と汚れの無い気配
正体の見えない相手に、息を潜め剣を抜き戦闘態勢で様子を見る
「やはり長くは続かないな… ゾーマ様のおっしゃるように完璧な隠蔽は出来るのだろうか」
「ギャアギャア」
霧雨が薄まり、目と鼻の先に二つの魔物が会話しているのを聞いた
その向こうには幾重にも重ねられた純白の雲─?
あれが邪悪とは違う気配の…
「! おまえ、どうやってこんな所へ!」
鎧の魔物、ガーディアンに見つかった
覚悟を決めキッと睨み返す
「なぜだ? お前から力を感じるな…」
ジリと足元を踏み固める鎧の魔物
「待て! その雲がなんなのかを教えてくれれば、お前達の疑問に答えよう」
ガーディアンの言葉を遮り、逆に質問を投げかけた
「……」
ガーディアンが少し考え話し始めた
「力を持ったとして、我々に敵う訳も無い… いいだろう」
「ギャ!」
もう一つの魔物、ダークサタンも同調したようだ
「この雲の中にはゾーマ様の力が蓄えられている
いのちの力とおっしゃられていたがよくわからない」
いのちの力
じゃあここに、ルビス様の言っていた"いのちの源"が…
「そして元々魔力の高い人間を選び出し、安定させるためこの中で、邪神の像へと魔力を送らせているのだ」
魔力の高い人間?
それじゃあ─ !
「姉さんもここか?!」
「姉さんだと? そんなもの知るわけがない
つい最近、女が一人つれてこられたがな」
間違いない、姉さんだ
こんなところに!
「さぁ、お前! どうやって力を取り戻した!」
「すぐに教えてやるさ」
全身の力を込め地を蹴り、ガーディアンへまっすぐ剣を突き刺す
「クッカッ…!!」
突然の事に動けないダークサタン
雷鳴の剣は鎧を貫き、ガーディアンが穴の開いた胸を抑え後ずさりする
「お、お前…! だましたのか!!」
ガーディアンはいきりたち盾を捨て、巨大な刃のついた矛をビュウと俺めがけ振り下ろす
「だましてはいない!」
その刃を横っ飛びで避け、オロオロするダークサタンの目の前へ─
「ギャ!!」
驚いたダークサタン
滅茶苦茶に尻尾を振り回し間合いを取ろうとする
が─ 尻尾を振る事だけに気をとられた魔物
俺は難なく背後へまわり尻尾を切り落とし─
「ギ………!」
地へ転がるダークサタンの頭
背中に飛び乗った俺は胴体と頭の付け根へ剣を叩き付けていた
歴然とした差を見せ付ける
避
「はっ……!」
敵の力を知り怖気付くガーディアン
「言ったじゃないか、"理由"を教えると」
剣を構えゆっくりと鎧の魔物へ近づいていく
両者はもうほとんど、手を伸ばせば互いの顔へ届く距離にある
「う、か……」
巨大な矛を構えるその態勢は、戦うモノではない
混乱し、ただ持っているものを目の前に突き出す
それは目の前に対峙する、自分より強い者から身を隠すように─
「もう終わりか?」
「ぐぬ─!」
身を乗り出したガーディアンは、その動作よりも早く払われた雷鳴の剣によって矛ごと二つに分かれた
ガシャンと墜ちる二つの身体
「…力を取り戻した方法 それはこうやってお前達魔物を倒し平和を築くと、行動したからだ」
ふわりと気体とも固体ともいえず"いのちの源"へ吸い込まれる魔物
その一言だけを言い放ち、俺はいよいよ向かうべき目の前の雲へと足を踏み入れ雲を割って進んでいく
感触はほとんどない
あるのは視界を遮る白い雲
「この中に…」
確実にわかるのは"いのちの源"がありそして、姉がいる事だ
気配を殺し、確実に前へ歩む
水筒の水が完全に無くなった時、視界が開けた─
●最後の教え
「あ… あれが、いのちの……」
目の前に広がる、まるで見たことも無い途方な情景
夜の空に浮かぶたくさんになった小さな光たち
それぞれが不定な大きさで、ゆらゆらと、それぞれに力を携え瞬く
その光たちに囲まれて、更に大きな光が浮かんでいる
光の集中する地だけが部分的にぽっかりと口を開け、地から天、天から地へと無限に続いていた
「ここは…夜空じゃあないか…!
あの光が、ルビス様のいう"いのちの源"…
なんて、なんて美しい………」
しばらく散りばめられた光を眺め、はっと我に返り使命を思い出す
「そ、そうだ、静寂の玉を持ってこの光に触れて─」
視線を上から下へ向けると数人の人間が、小さな像に向かって集中している
その中には姉ミレーユの姿もある
「姉さん!!」
声はじゅうぶん届いたはずだ
だが、届いていない
「姉さん!俺だ、テリーだ!」
すぐ側へ駆け寄り、更に大きな声で呼びかける
が、やはり届かない
ミレーユ以外の人間も声に応えるでもなく、全くの無反応
まるでそれは、何か心奪われてしまったように、無心にひたすらに
「な、なんだ… まるで俺の存在に気付いてない─」
「オマエ ナニシテル グルゥゥゥ…」
う?!
低く、醜い声へ振り向く
「あ、お前はあの時の…!」
姉に気を向けすぎ全く気がつかなかった
目の先には、ライフコッドで戦ったあのドラゴン─ バトルレックスが今にも襲い掛かろうとしている
「ドウヤッテ ココマデ キタ? ナゼ、チカラヲ モッテイル…」
外に居た魔物と同じ事を投げかけてくる
「俺は 邪魔されるわけにはいかない…」
"いのちの源"を見る
どうやってもこのバトルレックスを相手に触れられる距離じゃない
どうあっても、ここで倒さねばならない
「マア、イイ コノ クウカンデ シネルコトニ カンシャ スルンダナ」
死んでたまるか!
「うおおお!」
スラッと剣を抜き魔力を込めまっすぐ駆ける
『シャァアアァアァアァァア!!!』
きた!
思惑通り激しい冷気を吐くバトルレックス
真正面の広範囲に広がるそれを、俺は避けるように動く
前は恐ろしい技だったが、今はそれが恐ろしく鈍い攻撃に感じる
いける!
俺は、自分で思う以上に強い─!
バトルレックスの横腹へ回り込み一突き
ギシリと固い音が聞こえ、厚い鱗を破る
同時に尾が俺の頬をかすり、直撃を免れるため場を飛び退く
更にじりじりと、他の人間が巻き添えにならない位置へと移動する
「く、油断ならんやつ… さすがに外にいた雑魚とは違う…」
だが─
以前は無理だった剣での直接攻撃でダメージを与えられる
制約なく動けるその意味は大きい
_
「ギガデイン!!」
突進してくるバトルレックスへ魔力の薄い雷撃魔法を見舞う
大した効果は望めないがこいつは雷撃にめっぽう弱い
考えたとおり、ドラゴンの足が一瞬とまる
「おおぉお!」
その隙、飛び上がり上段へ構えた剣を振り下ろす
「バカメ!」
「!」
ガスッと胴へ、バトルレックスの腕が入り弾き飛ばされる
「ソンナ コザカシイ コトデ コノ オレヲ!」
「ぬ…!」
炎の鎧のおかげか、俺の力か、大したダメージではない
こいつは目晦ましなんかじゃ無理だ
力で剣技で、対抗するしか─
「わかっていたがやはり簡単じゃないな
よし、真っ向勝負といこう!」
「ヨシ ノッテヤル」
話に乗ってきたバトルレックスが、少し笑ったように見えた
こいつは、俺と同じにおいがする…
「は!」
敵は一つ
強烈な冷気にさえ気をつければ問題ないはずだ
俺は剣を斜めに、間合いを詰め切りかかる
対してバトルレックスの武器はその鋭い爪と腕力、そして長い尾
俺の連続した剣技を器用に、そして力強く捌いていく
キィンギィンギリガキリと、次々に雷鳴の剣を叩きつけ払われる
少し隙を見せれば今度は逆に爪と尾が襲い掛かり、それを刃で払い除ける
一進一退、だが一瞬でも気を抜けばあっさりと爪に裂かれるだろう
振るわれるドラゴンの爪を剣で払い、勢いのついた身体を回転させ刃を身体へ中てる
尾を足で受け、切先を突き刺す
刃を撥ねられドラゴンの尾が胴へ衝撃を伝え、爪によって頬や腕が切られる
「はぁはぁ… ちくしょう、このままじゃ埒があかない…」
「グゥゥゥゥ…… グゥウ…」
互いに体力を消耗し、だんだんと手数も減ってくる
ダメージが蓄積されてゆく
対峙したまま距離を置き、肩で息を切る
ほぼ互角─
「ふぅはぁ… こんな、強い魔物が、まだいるっていうのか はぁはぁ」
思わず漏らしたその言葉に、ドラゴンも続いて呟く
「グルゥゥ オレハ ゾーマ サマノ ソッキン ダ… グゥゥルゥゥウゥ…」
強すぎると思えばこいつは側近か!
倒せばもしや、魔王を除いて残りは雑魚かもしれん
そうとわかればまだまだ踏ん張れる
こいつを倒しタカハシを目覚めさせ、共に魔王を討つ!
「いぁぁあ!」
力なんてほとんど残ってなかった
だが倒さなければ なんとしても─
『シャアァァアァアアァァァ!!』
「し、しまっ…!」
冷気!
俺は咄嗟に両腕を身体の正面で合わせ、防御する
「ぐうぅぅぅぅうう!!」
体中が軋む
冷たさが全身を蝕み痛みを発生させ筋肉を硬直させる
体内から確実に肉体を滅ぼさんとする究極の技
「オ、オレハ マケルコトハ デキヌ… カタネバナラヌ グゥゥウゥ…」
どうにか冷気に耐え、倒れる事はしなかった
幸いだったのはバトルレックスも消耗し冷気の質が高くなかったことだ
だがダメージはそれでも、大きい
「う、うう… 俺だって、負けるわけにはいかん… ちくしょう…」
痛い
全身が痛い
身体は、足や腕は辛うじて動かせる
だがどこまでもつか
「ソロソロ オワリニ サセテモラウ! グゥオォオ!」
バトルレックスの追撃
全力の打撃を見舞おうと高く尾を持ち上げ地を鳴らし近づいてくる
これは、この攻撃をかわしたとしても今のままでは決め手に欠け─
『これは非常に危険な技じゃが… お前なら成功させることが出来るじゃろうテリー…』
ふと、メルビンの言葉が思い出される
彼が最後に教えてくれた、危険な技
ヤツも次を最後の攻撃にしようと全力だ
ならば俺も、全ての体力と魔力を懸ける─!
「グアアォォォオオ!」
バトルレックスの尾が振り降ろされる瞬間
「おぉぉおぉおお!」
体力魔力全てを攻撃力とし、切先で地面を削りながら防御無視の刃をドラゴンへ叩きつける─!
『ズバッガッ!!』
「ガアアアァァァァァアアアアア!!!」
「がはっ!!」
血を噴きながら地面へと突っ伏すバトルレックス
尾によって殴り飛ばされ地面へ這い蹲る俺
相打ちだと思った
だが僅かに早く、雷鳴の剣がドラゴンの胴を切り裂き、尾の一撃は失速していた
通常の戦闘では絶対に使うことの出来ない、捨て身の攻撃
この剣技は相手との力が互角に近くないと威力を発揮しない
防御を完全に捨て、もてる全ての力を攻撃力のみへ傾けるソレは"まじん斬り"と名付けられていた
「グ ググゥゥ…… ガッハッ! アノ シュンカンニ、ミゴト ナ… コウゲキ…… ダ………」
バトルレックスの呼吸が止り、そしてもう二度と、動くことは無かった
「はぁはぁ 勝った、勝ったぞ……」
尾は肩から胴、足へかけ袈裟斬りされたような感覚
炎の鎧の硬い鉄を通してもなお、衝撃はすさまじい
もし、もしもヤツがベホマを使っていたら、俺は確実に倒されていた
冷気を使ったが俺の言葉に乗って魔法までは、使わなかったのだろうか
ふむ… どちらにしても、強かった 見事だったよ……
冷気ダメージもあり、薬草も回復魔法もない今、動くためにはしばしの休息が必要だった
●静寂の光
落ち着きと少しの体力を取り戻した俺は"いのちの源"へと歩み寄る
「この静寂の玉をもって、どれでもいいから触れればいいんだよな」
夜空に浮かぶ無数の光
生命全ての元であるこの光に、手を触れるなど通常なら躊躇する
果たして触れていいのか、触れて平気なのか
全く一切の予想も出来ないがそうしなければ世界は滅ぶ
開いた地から沸いてくる光へ触れようと右手をかざす
左手には静寂の玉を持ち、いよいよ光へ手が触れる─
「??!!?」
触れた瞬間
喜びに声を張り上げそうな感覚
怒りに我を失いそうな感覚
哀しみに引き裂かれそうな感覚
楽しさに笑い出しそうな感覚
懐かしさで満たされるような感覚
心へ何かが入ってくるような感触
理解を超える理性に支配されそうな感触
身体が飲み込まれてしまいそうな感触
たくさんの"意識"が一度に大量に押し寄せる
このままでは精神が持たない
「ううぅ…」
た、たしか
ルビス様は静寂の玉が反応すると…
それでわかると しかしどう反応するというんだ!
早く…!
なんなんだこの …!
光が、静寂の玉が反応を始めたのか光を放つ
同時に熱を帯び始め、左手から右手へ身体を巡り─
「これ、が! 反応?!」
右手から"いのちの源"へと伝わったのを感じ、素早く手を引く
「か、はぁはぁはぁはぁ…………
とにかく、うまくいった はぁはぁ」
静寂の玉から光が失われ、発せられていた熱も無くなった
その不思議な現象に、しばらく心を奪われてしまう
「…これで」
やるべき事は完遂できた
後は姉を連れ戻し、あの建物へ戻る
未だ、バトルレックスと派手に戦っていたというのに邪神の像へ魔力を込め続ける人間達
何も無かったかのように静かに
「姉さん、帰ろう」
姉の肩へ手をかけ話しかける
しかし反応が無い…
「…どうなっているんだ」
手荒な事はしたくなかったが、姉の両腕を掴みそのまま立ち上がらせようとする
が、動かない
いや、動かせなかった
どういうわけか全く、微動だにしない
「くそ! 像を破壊すればいいのか?」
邪神の像は"いのちの源"のすぐ側へ無造作に置かれている
それはこの世の生き物とは思えない姿を形取り、不気味に"いのちの源"を凝視していた
放置したとしても絶対に害にしかならないだろう
俺はそれを剣で破壊しようと構えた時─
「それを破壊されては困る…」
背後に漆黒の霧と禍々しい気配
構えた身体を動かすことが出来ないほどに、強烈なその魔力
「私の… 力に乱れを感じた
何事かと来てみれば…」
鼓動が激しくなる
汗腺全てから嫌な汗が滲み出してくる
突如あらわれたその男の声
気が遠くなるほどに圧倒的な存在感
"私の力"と言った
この男は"いのちの源"を自分のモノだと言ってのけた
恐恐とその正体を確認する
いや 確認するまでもなく、わかってしまった
こいつは… 信じたくはないが こいつが魔王 ゾーマ、だ
「人間、私の力になにをした」
その言葉に俺は、質問では無く死を感じた
●失敗
魔王ゾーマ
俺を冷たい目で見浅む男
「隠蔽は失敗… 我が側近を倒し… なぜお前は力を持つのだ」
魔王の言葉は全て質問のようでそうではない
発するたびに俺の終わりが確実に近づいてくる
そんな言葉だ
「邪神の像を破壊しようとしたのか… やはり隠蔽する術を見つけなければならぬな…」
タカハシはこんな相手と戦ったというのか
対峙して初めてわかった
次元が、そのものが違いすぎる…!
「俺の」
だけど俺は、せめて姉だけは救ってやりたい
どうにか手段を聞き出し─
「姉に何をした…」
魔王が"ほう"とテリーの言葉に興味を持つ
「お前、そうかあの人間の女は姉か」
魔王は、何かを唱えミレーユを指差す
「どうだ 縛りを解いてやったぞ
さぁ、再会を喜ぶが良い」
姉を見ると確かに、様子が変わり周りを訝しげに見渡す
状況が理解できていないようだ
「姉さん!」
ザッと駆け寄り姉を背に隠す
他の人間達は変わらず像へ魔力を送り続けている
「どうだ、望み通りだろう」
こ、こいつは何を考え…
は!
しまった、姉を知られてしまったのは却って逆効果だったか
タカハシとメイの事を忘れていた─
「テリー! これは一体…」
ミレーユが今にも消えそうな声でテリーへ話しかける
「姉さん、すまない 俺は失敗してしまった…!」
俺の言葉に姉はますます"わからない"という顔をする
今ここで、全てを説明するのは無理だ
そしてなにより、生きて戻る事はないかもしれない
「あれは… 魔王ゾーマなんだ
詳しく説明することはできないけど、すまない もう、無理かもしれないんだ…」
俺は側近にさえ危うく倒されかけた
そんな俺が満足に戦えるとは到底思えない
先の戦いでの傷だってまだ癒えていないんだ
「そんな…… テリー、私を助けにこんなところへ…」
それもある
それもあるんだが、もう一つ大事な事もあった
そしてそれは幸運にも済ませる事ができた…
くそ!
このままうまくいくはずだった…
まさか魔王が目の前に現れるなど!
「ククク……」
魔王の目が怪しく光る
こうなるとわかっていれば…
俺一人が死ぬだけで済んだかもしれないのに…!
「喜びは分かち合えたか? そろそろ絶望をいただくとする」
殺られる!
「姉さん! 時間稼ぎをする! 白い雲に向かって走るんだ!
どうにか逃げてくれ!」
ミレーユの背中を強く押し、促すテリー
剣を構え呪文詠唱に入っていた
「ギガデイン!」
ズガガと強力な雷撃がゾーマの頭上へと落ち、テリーの雷鳴の剣がうなりをあげ斬りかかる
その様子を、ミレーユは背後で感じ、だがテリーの思いを無駄にするまいと雲の中を駆けた
●我が力と
「ぐ!!」
俺の剣が全く効かない!
くそう!
身体さえ完全なら掠るくらいは…!
「楽しくないな まだ人間界で抵抗してきたルビスの使いと女のほうが楽しめた
少なくとも絶望の味は格別であった! クックックックック」
それはタカハシとメイの事か
楽しいとか楽しくないとか、絶望がうまいとか……!!
「おおおお!!」
もう一度、今一度まじん斬りを!
命尽きてもかまわん!!
再び剣を構え全ての力を込め─
「う?!」
身体が動かない…?
な、んだ
何か強い力が俺を抑え付けてくる…!
「どうした? フハハハハハ!」
だめだ…
絶対に考えるのはよそうと決めたんだが
どうしたって絶望を─
支援
「メラゾーマ!!」
ゴオという爆音と共に魔王が巨大な火の玉に包まる
「テリー!!」
「!!」
姉さん!
なぜ戻ってきたんだ!?
「弟が傷つけられるのを、黙ってみていられないわ!」
即座に魔法詠唱をはじめ─
「ベギラゴン!!」
俺の身体は未だ動かせない
魔王は益益、強大な炎に包まれていく
「テリー! 今のうちに!!」
くっ!
だめなんだ姉さん!
動けない、声すらも……あ!
前触れ無くテリーの拘束が解ける
急いてテリーは姉の下へと向かう
「フフ それでこそ、絶望はより深くなるというものだ…」
強い魔力を感じたかと思うと一瞬にして、魔王を取り巻く炎が消えて無くなった
「無くすには惜しい逸材だな」
姉の震えが伝わってくる
正直もう、打つ手は無い
「お前たち 借した力を返してもらおう」
「借した力だと? これは元々じぶんのモノだ!」
わからない
どうなるんだ俺達
どうしたらいいんだ
ルビス様…
「簡単なことだ」
魔王が両手を二人へかざす
「く…!」
身体が持ち上げられ、再び身動きが取れなくなる
今度はミレーユも一緒に─
「死んだ者がどうやって"私の力"へ取り込まれるのは知っているが─」
ググッと姉弟の身体が"いのちの源"へ移動させられる
「生きた者がどう取り込まれるのか、今、知りたくなった」
魔王が手をグイと握る
同時に二人の身体は中央の大きな光へ押し付けられてゆく
「う、うううぅうううぅううぅっぅぅぅ!!!!」
テリーとミレーユの声が混ざり合い、空間へ響く
先刻触れた小さな光よりももっと大きく複雑な"意識"が二人を襲う
か…た、たかはし
た の む……
膨大かつ巨大な意識に支配され、やがて気を失い
身体は溶けるように"いのちの源"へ取り込まれ─
魔王は静かに、そして感動と共に眺めていた
テリーとミレーユ、二人の取り込まれる様が
予想以上に、魔王にとっては美しいのだ
空間は静けさを取り戻し
夜空は美しく光を湛え
邪心の像は一心に魔力を受け取り
人間達は無心に魔力を送り続けた
「我が力となれる事を 光栄に思うが良い」
利用される"いのちの源"
その悦事に魔王自身、身震いすら覚えるのであった
以上、第四部完です
話は第五部へ続きます
470KBになったので新スレ立てようとしたのですが、規制されているようで無理でした。
テンプレを次のレスへ乗せるのでどなたかお願いできませんか。
>>819 ありがとう!
乙!!!なんかゾーマ様が強すぎて、この先どうなるのかが不安だww
新スレについては携帯からは無茶でした。
ゾーマの描写が絶対的な物になっているな。
こいつぁ!たまげた!
::|
::| ____
::|. ./|=| ヽ. ≡三< ̄ ̄ ̄>
::|. / |=| o |=ヽ .≡ ̄>/
::|__〈 ___ ___l ≡三/ /
::|、ヽ|.|┌--、ヽ|/,-┐| ≡/ <___/|
::|.|''''|.\ヽ--イ.|ヽ-イ:| ≡三|______/
::|.ヾ |.::. .. ̄ ̄| ̄ /
::| ';:::::┌===┐./
::| _〉ヾ ヾ二ソ./ こ、これは乙じゃなくてスラッガーなんだから
::||ロ|ロ| `---´:|____ 変な勘違いしないでよね!
::|:|ロ|ロ|_____/ロ|ロ|ロ,|`ヽ
::| |ロ|旦旦旦旦旦/ロ/ロ|旦,ヽ
::|ロヽ 旦旦旦旦旦./ロ,/|::旦旦)
::|ヾ旦旦旦旦旦旦,,,/::::|、 旦旦|
タカハシならぬタカハ神だなこりゃ
スレ立て依頼出してきます
保守
総長さんとレッドマンさんがまだだな。
後暇潰しさんや隙間風さんも。
彼らは一体どうしているのだろうか
書き込み初めてです。
皆さんの面白さに触発されました。
新スレ立ったら投下しようと思うので
新人ですが宜しくお願いします。
賛否あるかと思いますが
リメ5で行きたいと思います。
モチベーションの維持が最重要課題みたいですね。
あ、すいません。
船の上って宿屋ですか?w
ダメそうなら諦めます。
とりあえず投下
話はそれからだ
残り28MBしかないから投下は次スレで
>>835 KBですねw
スレ立て代理をサロンにある依頼スレでお願いしたのですが、どうやら過疎ってるようで。
他に依頼できるスレとか、ないかな
ちょっと立ててみる
ごめん
無理だった
俺もためしてみるぜ
無理だった
すまん・・・
試しに立ててみようか?
すまない、うちのホストでもダメなようだ
サロンでの依頼を取り消し、自治でスレ立て依頼してきました