1 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:
2 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 18:49:42 ID:peN9fb0R0
3 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 18:50:51 ID:peN9fb0R0
4 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 18:50:52 ID:rWK16WR6O
5 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 18:53:25 ID:peN9fb0R0
スライムナイトは兜を被ってて顔が見えないから
実は女ってのもありなんだよな
美少女スライムナイト主人公のゲームつくってよ
9 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 20:04:25 ID:O1XzMHH90
スライムナイトの足って臭いよな
10 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 20:18:10 ID:peN9fb0R0
11 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 20:18:50 ID:peN9fb0R0
彡ミl"'ヽ /i ___ ニヤニヤ
{[i];二三} // 《======》
「 ̄~l j,j、// (・∀・ ) Ω
ヽ_,ノ_ } O` ⊂三三三》つ.§
, ' U ヽ>ヽ ノ,\,,.\,,│§
.{ ; ・∀・ } (_(__). §
`ー----ー'’
主人公「兜の下ってどうなってんの?
/゛`lミ彡 ___
; {;三ニ[i]}《======》
「 ̄~l ⊂(・∀・#)
ヽ_,ノ_ }⊂三三三》
, ' U ヽ>ノ\,,.\ヽ
.{ ; ・∀・(_(__).
`ー----ー'’
主人公「いいから見せろや、ゴルァ!!
12 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 20:19:21 ID:peN9fb0R0
(ノタ~ヾハヽ ___
从゚、 ゚*リ) /゛`l《======》.て
「 ̄⊂j,j {三ニ(゚Д゚ ;) て
ヽ_,ノ_ }  ̄⊂三三三》
, '<ノ U ヽ ノ\,,.\ヽ
.{ ; ;∀; .} .(_(__)
`ー----ー'’
___ ___,,,
《====(ノタ~ヾハヽ
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´д从゚、 ゚*リ)゚・*:.。..。.:*・゜゚・*
《.三三 ⊂$(::).>
<;;;;::+: ノ::::+ノ
(___(__)
ルドマン「なんと 幼女が好きと申すか!?
そ それはいかん!
スライムナイトって確か下のスライムが本体だよな?
スライム+ナイト(?)でスライムナイトだろ?
14 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 20:26:54 ID:peN9fb0R0
>>13 DQ5小説の解釈では
・全てスライムの亜種はスライムから派生する
・思春期に当たる時期に、どのような大人になりたいと願うかで決まる
・騎士のように強くなりたいと願えば「騎士の芽」が頭から生えて来る
・騎士の芽は次第に大きくなり、激痛を伴いながら騎士の形へと成長する
・スライム本体の体力次第では騎士が実らないこともある
>>14 まじかよ、なんか意外と怖いなw
それで考えるとすると、はぐれメタルとか一番激痛を伴いそうだな。
はぐれメタルあんなたくさんに狩ってごめん。
・メタル系になるものは争いを好まなかった結果である
ということらしい。
好戦的なメタルライダーは、スライム族の正当な変化ではなく
邪悪なもの(魔王)の手によって歪められ、無理やり芽を生やされた結果。
けっこうグロス
17 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 21:41:40 ID:O1XzMHH90
スライムナイトは足が臭いからいやだ
18 :
スライム:2006/02/12(日) 21:42:52 ID:lndrP+IW0
俺に乗るな馬鹿者が。
19 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 22:01:29 ID:O9LpOboZ0
>>16 そうなのか…意外とあのかわいいスライム達にも裏にはグロイ部分があるみたいだな。
>>19 ………とりあえず、なんていうか…レスに困る。
バブルスライムは毒の沼地で溺れ死んだスライムの亡霊とか・・・?(((( ;゜Д゜)))
でもさ、スライムナイトってピョンピョン跳ねながら攻撃するときに下のスライムと上のスライム?と離れてない?
なにか問題が?
24 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/12(日) 23:09:54 ID:peN9fb0R0
>>22 だよなぁ
5と6は別ということでお願いします
…リメイクも離れてたっけ?
スライムのスタンド
ブラボ−!おぉ、ブラボォー!!
27 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 11:29:33 ID:BFQBOErN0
>>22 スライムナイトは下のスライムが本体で、上に人形が乗ってるだけだと
何かに書いてあったな
>>24 本体のスライムが騎士を操ってるんじゃないの?
メタルライダーはメタルスライム+騎士なのに、
経験値がメタルスライム以下なのは何故?
ここはスライム総合スレになりました。
CGでは明らかに分離して動いてるし、
公式ガイドにも「スライムに跨った誇り高き騎士」とある。
追加された「プチヒーローをライバル視」という設定からも
中の人はプチ族かコロ族と考えるのが妥当では?
小説はあくまで作者の個人的な解釈ってことで
33 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 15:31:06 ID:xB3hKAws0
>>32 そうだな
アレが公式なわけじゃない
でもロマンを掻き立てる設定だな、と思った。
読んだことない人は読んでみて。2巻の序盤の主人公はピエールだから。泣ける。
小説だとスライムと騎士がくっついてるというか、
スライムにおできができてそれが長い時間苦痛に耐えて人型になる。
メタルスライムは元来好戦的な種族ではないのに、
魔族?か悪魔?が無理矢理その過程を行わせて変化させたのがメタルライダー。
強引な手法故に魂そのものが空虚なものとなっていて悪の手先の言いなりに
なっている可哀相なスライム。
そんな事よりくっついてるならどうやってズボンはかせるのかなとか
結合部分だけは穴空いてるのかなとか小説を読んだ小学生のとき
ずっとそんなことを考えてた。
35 :
クリフト:2006/02/13(月) 16:36:17 ID:qqrcFQ7X0
可愛いスライムたんにフェラしてもらってるんだけど
やわらかいし可愛いし気持ちいいし・・・
天国にいる気分 もう死んでもいい
ザキ
38 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 16:42:42 ID:cPekD7iO0
39 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:03:45 ID:xB3hKAws0
24 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/15 22:41:06 ID:arnTlrYc
『出会い』
彼女は孤独だった。
しかし、最初からそうだったわけではない。
生まれてすぐに親を亡くしていたが、片寄せあって暮らした年の離れた兄がいた。
そのころの彼女は幸せだった。兄は彼女にとても優しかったから。
彼女が心から慕う兄は、ピエールという名の凄腕のスライムナイトだった。
魔王軍にあっては鬼神と呼ばれ、敵からも味方から恐れられていた。
だからだろうか、数年前に魔王軍内の革新派と保守派の間で内部抗争があったとき、
そのどちらにも与しようとしなかったピエールは双方からやっかまれて殺された。
彼は妹を凶刃から守って死んだ。「お前は強く生きろ」とだけ言い残して。
彼女がピエールを名乗り魔王軍に入ったのは、それからいくらもたたないうちのことだった。
魔王軍に入ったピエールはめきめきと剣の腕を上げた。その姿には鬼気迫るものがあった。
それもそのはず、彼女の目的は仇を討つことだったからだ。
仇を討つために感情を殺し、性別も捨てた。
そのかいあってか、ピエールは兄を死に追いやったのと同じ暗殺という手段によって見事に仇討ちを果たした。
仇敵の血に塗れた手を見て、感情を押し殺したまま冷たく笑う。
ピエールは兄を思って微笑もうとしたのだが、もう自然に笑うことは出来なくなっていた。
仲間を殺したピエールにはすぐに追っ手がかかった。
魔王軍を一人抜け、愛スライムとともに野山を昼夜を問わず駆け抜けた。
向かってくるものは切り捨て、あてどなくただただ逃げ続けた。
ラインハット城の近くまで逃げ延びたとき、とうとう彼女はあまりの疲労と空腹に意識を失って倒れ伏した。
40 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:04:15 ID:xB3hKAws0
25 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/15 22:42:32 ID:arnTlrYc
「ねーねー、○○○○(←あなたの名前を入れてください」
「どうした、スラリン?」
スライムの呼びかけに、青いターバンの青年が足を止める。
「こんなところにスライムナイトが倒れてるよ。死んでるのかな。ぷるぷる。」
ターバンの青年は無言のまま、スライムが見つめる方向に歩いていった。
するとそこにはスライムの言うとおり、スライムナイトが倒れている。
青年が手を差し伸べ、脈を図ろうとするとそのスライムナイトはばっと飛び起きた。
瞬時に剣を抜き放ち、青年の首筋にぴったりと押し当てた。
青年は何かを言おうとしたが、それを押しとどめるように切っ先をさらに首筋に押し付ける。
その時、ピエールはふと青いターバンの青年と目があった。
切っ先を首筋に押し当てられ、いつ殺されてもおかしくない状況の中で青年はピエールに微笑みかけていた。
その中に懐かしい何かを見つけたピエールはもう剣を振るうことは出来なかった。
急にちからがはいらなくなって取り落とした剣が、石とぶつかって甲高い音をたてた。
ターバンの青年は優しく両手を背中に回すが、ピエールはもう抵抗できない。
青年はピエールのガラス細工のように繊細なピエールの体をそっと抱きしめた。
ピエールの視界は涙でゆがみ、殺していたはずの感情が津波となって押し寄せてくる。
彼女は孤独だった。だが、今は違う。
久方ぶりに暖かく大きな優しさに身を預けたピエールの頬に一筋の涙が伝っていた。
よい……。感動的だ。
これの次回作があったら読みたいよ……。
42 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:16:06 ID:xB3hKAws0
>>41 実はあるのだ
もういっこ貼っとくね。
泣けるんだよこれ…
43 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:16:50 ID:xB3hKAws0
46 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/20 21:02:10 ID:kb1p0bSn
ヘンリー王子が帰ってきてからというもの、ラインハットにはかつてないほど平和な時間が流れていた。
かつて偽太后により、その力で人々を恐怖させ大地を血に染めたラインハット兵団は
侵攻のためではなく、国土のモンスター排除にのみ徹底された。
おかげで治安の確保は城下町だけではなく、ほぼ国土全域に及んでいた。
それは国民の居住可能区域の拡大につながり、さらに農業生産量の拡大にもつながった。
おかげで人々は、なにを恐れるでもなく、自由に暮らしていた。
しかし、国王コリンズには一つだけ不安があった。
もはや誰もが存在を忘れつつある、北東の遺跡である。
半年前、遺跡に向かわせた調査団は未だ帰ってはこない。誰一人…。
国王はまだ知らない…棲む場所を追いやられたモンスターがどこに潜んでいるのか。
人々はまだ知らない…平和の裏にある犠牲を。彼らの反対に位置する者たちの犠牲を。
反撃の狼煙が上がる。
44 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:18:03 ID:xB3hKAws0
64 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:39:14 ID:5cgGW9Nk
さわやかな風とともに、草原の中を走る街道を馬車に揺られながら進んでいると、遠くに街が見えた。
遠目からでもわかる巨大な城が、あの街はラインハットだということを示している。
「本当に帰ってこれたんだな」
ヘンリーが周囲の色と同じ鮮やかな緑の髪を風にさらしながら、ポツリとつぶやいた。
そのまま立ち止まってしまい足を動かす気配がない。
複雑な表情の相棒に、リュカは何も言うことができず、ただ手にした杖を握り締めた。
パトリシアが歩みを止めた人間たちをいぶかしむように首を振り、いなないた。
ラインハットへ向かう途中、リュカとヘンリーはさまざまな情報を得た。
奴隷として世間から隔絶されていた時間を埋めるために様々な話を聞いたのだが、一番驚いたのはラインハットの変わりようだった。
先王が崩御してから、王妃の人が変わったような悪政により、国の荒廃は目を覆わんばかりだという。
母国のひどい噂を聞いたヘンリーは強がっていたものの、時折見せる悲痛な表情はリュカにもつらい思いをさせていた。
「行こう。そのためにここまで来たんだからな」
「うん。君の国を救わないと」
悩みを振り払うように言ったヘンリーに向かって、リュカも力強く頷いてみせる。
それでも、やはり街が、城が近づくほどにヘンリーの口数は少なくなっていった。
65 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:40:11 ID:5cgGW9Nk
突然、パトリシアが大きくいなないた。と、同時に街道の左右の森からいくつかの影が飛び出してきた。魔物が襲ってきたのである。
視界の隅をかすめたゼリー状の塊から、ヘンリーはモンスターにスライムがいると判断した。
「リュカ! スライムがいる、敵はたいしたことがないぞ」
一般に、モンスターは人間を襲う場合、同じ程度の力量を持つもの同士で徒党を組む。ヘンリーの言葉はその常識から判断したものだった。
「愚か者めっ!」
リュカの声ではない、甲高い子供のような声が聞こえてきた。意表をつかれたヘンリーは、思わずそちらを凝視する。
「な、なんだぁ? スライムが人形乗っけてるのか?」
「いや、どうやら小さな魔族みたいだけど……」
ひそひそとリュカとヘンリーが敵の様子を窺う。奇妙なモンスターと一緒にいるダンスニードルともアウルベアーとも戦ったことはあるが、この奇妙な敵と出会うのは初めてだった。
普通よりも一回り大きいスライムの上に、完全武装した騎士が乗馬よろしく乗っているのだ。
いつまでたってもかかってこない敵に焦れたのか、騎士が手にした剣を振りかざした。
「どうした人間めっ! 栄光あるスライムナイトの私に恐れをなしたかっ!」
「おい、あれスライムナイトっていうらしいぜ」
「そうみたいだね」
「なにをひそひそとやっている。かかってこないのならばこちらから行くぞ!」
スラムナイトはその名にふさわしく、巧みに騎乗しているスライムを操って突撃してきた。
それを機に、じりじりと馬車を囲んでいた他のモンスターも襲いかかってくる。
46 :
Mr.名無しさん:2006/02/13(月) 17:18:54 ID:UjzPNi5B0
What?
66 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:41:17 ID:5cgGW9Nk
「リュカ、そいつはお前に任せた」
ヘンリーは言うが早いか、リュカの返事を待たずに、スライムナイト以外のモンスターを相手にし始めた。
「ちょっとヘンリー!」
スライムナイトの攻撃を杖で巧みにさばきながら、リュカが抗議したが、ヘンリーはこちらを振り向こうともしない。
「なかなかやるな人間」
「そっちこそ小さいわりになかなかの剣さばきだよ」
「小さいだと。騎士に対する侮辱かっ!」
リュカの言葉どおり、スライムナイトは力こそそれほどでないものの、その短いリーチを生かした回転の速い攻撃はなかなかのものだった。
並みの冒険者ならばやられてしまっていたかもしれない。とはいえ、リュカを倒すまでには至らない。
自身の攻撃があたらないことに業を煮やしたのか、スライムナイトは大きく飛びのいて距離をとった。
「くそっ! どうして攻撃してこない」
「なんだが子供を相手にしてるみたいで」
苦笑するリュカの言葉がスライムナイトに火をつけた。
「きさまっ、これほどの屈辱を私に与えるとは……許さん! くらえイオっ!!」
スライムナイトの小さな手に魔力が集まっていくのをリュカが察知した瞬間、爆音とともに光がはじけとんだ。
一瞬で閃光が消え去るとスライムナイトは高らかに宣言した。
「騎士を侮辱した報いを思い知ったか」
「驚いたよ。まさかイオを使えるなんて」
戦闘中とは思えないのんきな声が背後で聞こえた。スライムナイトがあわてて振り向くと、そこには冷や汗を拭うリュカの姿があった。
「いつの間に……」
「君の負けだ。ほら、向こうも終わるところだ」
リュカの視線の先では、ちょうどヘンリーがモンスター達にとどめをさすところだった。
「イオラ!」
鋭く響く言葉のあとに、先ほどの自分のものよりはるかに大きな閃光を見たスライムナイトは自分たちの負けを知った。
「私一人でも戦うっ!」
がむしゃらに剣を振り回すスライムナイトに、リュカもあきらめたのか杖で応戦し始める。
数合打ち合ったのち、リュカの杖が鋭くひらめき、スライムナイトの剣と、兜が宙を舞った。
67 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:43:53 ID:5cgGW9Nk
「……私の負けだ。殺せ」
リュカがうなだれるスライムナイトを困ったように見ていると、ヘンリーが剣を納めながらやってきた。
「なにやってるんだリュカ」
「いや、どうしたものかと思って」
「どうしたもこうしたも、相手は魔族なんだぞ」
「それはそうかもしれないけど」
ヘンリーにもリュカがためらう理由がよくわかった。
二人の目の前にうなだれているのは金髪の幼い少女だったからだ。
とがった耳と、荒く息をつく口の隙間から見える鋭い牙が、少女を人間ではない、魔族なのだと認識させるが、それを除けばなんら人間と変わらない。
それどころか、魔族の少女はこのままいけば間違いなくとびきりの美人になると思われる、すべすべとした白い肌と、見惚れるような端正な顔立ちの持ち主だった。
そのとき、辺りにくすぶっている煙を吹き消すように一陣の風が吹いた。
肩までにきれいに切りそろえられた魔族の少女の金髪がさらさらと揺れ、よけいに二人の躊躇を大きくする。
困惑する二人を鋭くにらみつけると、スライムナイトが口を開いた。
「どうした。早くとどめをさすがいい」
「どうしよう?」
「俺に聞かれてもこまるぜ、リュカ」
「そうだ、君も僕たちの仲間にならないかい」
突拍子もないことを言い出したリュカを、スライムナイトはぽかんと口を開けて見上げる。
「またお前の病気がはじまった」
ヘンリーがわざとらしく肩をすくめ笑った。
スライムナイトは事態についていけず、きょろきょろと二人を見回した。
49 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:20:18 ID:CsKoPni70
スライムナイトの上の騎士がうんこもらしてスライムグチャグチャってとこまで読んだ
68 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:46:14 ID:5cgGW9Nk
「どうかな? 僕たちの旅に一緒に来てくれないかな」
「な、なにを言いだすのだ貴様は。私は魔族で、お前は人間だろう」
「でも僕と君はほとんど違わないよ」
「無茶を言うなっ!」
「ほらな、無理だって」
ヘンリーがちゃちゃを入れるも、リュカは相手をせずに言葉を続ける。
「それに、ほかのモンスターはともかく、僕には君が好きで僕たちを襲ったようには見えない。
なにか事情があるのなら、教えてほしい。助けになれるかもしれない」
スライムナイトはどきりとした。自分の身の上を見抜かれたような気がしたからだ。
騎士になる前は、人間といえども殺すのは嫌だった。
それが、幼い少女の身でスライムナイトとなったのは、魔族の抗争に巻き込まれ、
薄汚い罠にはめられ死んだ兄のかわりに汚名を晴らすためだった。
魔族の軍団に入ったのもそのためだった。
だが、先ごろ、兄を謀殺した魔族によって家名の取り潰しが決まった。
スライムナイトは目的を失い、半ばやけくそになって人間を襲ったのだ。
黙ったままでいるスライムナイトをどう思っているのか、リュカはさらにしゃべり続けた。
「よし、それじゃあこうしよう。君を殺すかわりに僕の言うことを聞いてもらう。僕の望みは当然仲間になってくれ、だ」
「もうあきらめろよリュカ。みんながみんなスラリンたちみたいにはいかないさ」
ヘンリーの声がぼんやりと、スライムナイトの耳に届いた。
スライムの名前? なぜ人間の口からスライムの名前などが……。
疑問が顔に出たのだろう。ヘンリーがそれに答えてくれた。
「こいつはさ、不思議なやつでスライムとか、ドラゴンキッズなんかを仲間にしてるんだよ。そいつらは今、
モンスター爺さんのところで人間社会の常識について勉強してるところだ。何日かしたら引取りにいくことになってる」
69 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:47:08 ID:5cgGW9Nk
「まさか! モンスターが人間になつくなんて」
「そのまさかなんだよ。こいつは変なやつなんだ」
にやりと笑うと、ヘンリーは誇らしげにリュカの肩を叩いた。
「どうしてもだめなら僕たちはもう行くよ。君を殺すことはできそうにないしね。どうだろう、一緒に来てくれないかい?」
先ほどと同じ言葉をリュカが繰り返した。
自身をじっと見つめる黒い、不思議な光を湛えた瞳を見ていると、スライムナイトは不思議に安らぎを覚えた。
人間相手にそんな感情を抱くのはなぜだろう。そう思ったときに、スライムナイトは気づいた。
どこか死んだ兄と同じ雰囲気を、この人間は持っているのだ。姿かたちが似ているわけでもないのに。
リュカの瞳を見ていると、とげとげしかった心が次第に落ち着き、吸い込まれそうになっていく。
陶然としていた自分に気づき、スライムナイトは頬を染めた。
「……わかった。ついていこう」
その言葉にヘンリーが少し驚いた顔をしたが、自分の口から出た言葉に一番驚いたのはスライムナイト自身だった。
勝手に、口が動いていく。
「お前に、いや、あなたに私の剣をささげよう」
そう言うと、スライムナイトは跳ね飛ばされた剣を拾い、リュカの前に捧げるようにしてひざまずいた。
突然の展開にうろたえるリュカに、ヘンリーが王族らしくアドバイスをする。
「そういうときは許すって言えばいいんだ」
「わ、わかった。……許す」
多少ぎこちないながら、誓いの儀式が終わった。
70 :名前が無い@ただの名無しのようだ :04/10/30 02:49:09 ID:5cgGW9Nk
リュカがスライムナイトに手を差し伸べる。
「仲間になれて嬉しいよ。これからはよろしく」
にっこり微笑まれた幼いスライムナイトは、顔を真っ赤にしてそれに応えた。
スライムナイトが握った手は暖かかった。
「ところで、君の名前はなんていうの?」
「ピエールだ」
「ピエール?」
ヘンリーとリュカが同時に繰り返した。
「騎士になるときに女の名は捨てた。かわりに尊敬する兄の名をもらったのだ」
「そうなのか。……よし、それじゃあ改めて、よろしくピエール! さあラインハットに向かおう!」
リュカの号令によって一行は、戦闘によってそれてしまった街道に戻ることとなった。
街道沿いに置いてきた馬車へ向かう途中、リュカがピエールに向かって微笑んだ。
「どんな事情があるのかはわからないけれど、そのうち、いつかでいいから、本当の名前を教えてもらえたら嬉しい」
自分にだけ聞こえるようにささやかれたリュカの言葉は、ピエールの耳にとても優しい響きとして届いた。
兄が死んでから初めて、ピエールは心に暖かいなにかを感じた。
そして、なぜかどきどきしてリュカの顔を見ていられなかったピエールは、すでにパトリシアの手綱を握っていたヘンリーのもとへ駆け出した。
さっそく新しい仲間に話しかけているヘンリーがリュカに見えた。翠緑と金が寄り添う姿がひどくほほえましい。
「おい、お前小さいくせにそのしゃべり方なんとかならないのか?」
「黙れ、貴様のような者にうんぬんされる筋合いはない」
「なにぃ。これでも俺はラインハットの王族だぞ」
「貴様のようなものが王族とは片腹痛い」
軽妙な二人の掛け合いと、緑豊かな街道を背景に、馬車はラインハットへ進む。
これが後に、グランバニアを守護する美貌の女騎士と称えられることになるピエールと、グランバニア王リュカの出会いであった。
53 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:23:01 ID:xB3hKAws0
以上。
もちろん作者は俺じゃない。
リュカという名前から見るように、作者さんはDQ5小説の設定を基にしてるみたいですね
そういえば似たようなシーンがあったなぁ
54 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:23:05 ID:NKS6WQ/z0
56 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/13(月) 17:25:50 ID:xB3hKAws0
>>55 すまん。違う作者さんのが混ざりまくってることに気付いた。
最初は
>>43はその後の展開の導入部かと思ったけど
>>39-40で既にピエールが仲間になってるもんな。
続きじゃなかった。別の話みたいだ。すまん
いや、これはこれでなかなかいいよ。
サンクス。
∧ f´,ミ彡
| | r''∪ヽ
| | {=三=}
モェヽ.♀ノ.「 ̄l
ゝ.人,'ノヽ_ノ
6´ じヽ
( ,,・ ∀ ・,, )
`ー─―−'
59 :
メロ ◆IwoqIdI3dM :2006/02/13(月) 17:45:09 ID:gBEBFYxUO
1,2,3,4 ガンガン ズンズン グイグイ 上昇
5,6,7,8 毎回 ビッグ キック Check yeah
夢に描いたショータイム デカイ理想は夢じゃない
スタート前の深呼吸 パイプショーでmaking making dream
跳ね上がれ舞い上がれ 魔法のジュータン ボードに変えて
フロント・バックとかっ飛ばす インディ・メソッド・720°
戦場・炎上・技・特上 燃えた瞳が物語る
強い味方がmellowな売り 夢に向かってフルパワー
あの頃夢見描いた世界は 今この手の中に
夢・感動・ファンタジー My dream トリノオリンピック
保守
メロにメロメロw
スライムもりもり団の設定(ナイト部分は武器)は、非公式ってこと?
そこだめぇwwwwwwwww
>>63 さあ?
作品ごとに設定が違うからよく分からん
スライムナイトの上にのっているのはさまようよろい
下のスライムは実はホイミスライム
>>66 それだとしたらスライムナイトの上のやつすごくね?
バランス感覚いいよなwそれか、もしかして上のやつって物凄く軽いのか?
68 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/15(水) 19:00:01 ID:vind36pt0
でもさまようよろいだから重くね?
>>66 ちょwwwサイズ違いすぎな上にホイミスライム形違うしw
何でよりにもよってスライムをチョイスしたんだろうな
あばれうしどりとかにすればいいのに
あばれうしどりは寝てるから無理。
人食い草なんてどう?
上に乗ってる人食べちゃいそうだから却下
74 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/15(水) 20:27:28 ID:T1FtCcEPO
パオーム
プチイール
ドラゴンライダーとかマジイケメン
エクササイズのボールでぷよぷよ乗ってるだけで筋肉がしまりますよみたいなのあるじゃん?
あれってまんまスライムナイトのパクリだよな
つまりナイトの部分はダイエットをしているだけだったんだ!
スライムダイエットか!
スライムってオナニー道具に使えね?
チンポしゃぶらせたり頭を穴に入れたり
ちんぽ食いちぎられるよ
彡ミl"'ヽ /i
{[}<9<9} // <あ?
「 ̄~l j,j、//
ヽ_,ノ_ } O`
, ' U ヽ>ヽ
.{ ; ・∀・ }
`ー----ー'’
84 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/16(木) 09:08:24 ID:bE0pjw4NO
スライムでぱふぱふ?
85 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/16(木) 09:20:27 ID:SZVYmaBz0
(ノタ~ヾハヽ
从゚、 ゚*リ) <…ふざけるな。スライムは私の相棒であり、私の一部だ。
「 ̄⊂j,j
ヽ_,ノ_ }
, '<ノ U ヽ
.{ ; ;∀; .}
`ー----ー'’
>>78 つーことは、いつも乗っているから、鎧脱いだら物凄く痩せてんじゃね?
87 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/16(木) 12:22:11 ID:bE0pjw4NO
むしろ鍛えられてマッチョだったり…
スライムダイエットしようぜ!
92 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/17(金) 02:08:16 ID:YnbOI8IU0
(ノタ~ヾハヽ
从゚、 ゚*リ) <…それも悪くないな。その黄色い球体に乗り換えるとするか。
「 ̄⊂j,j
ヽ_,ノ_ }
, '<ノ U ヽ
.{ ; ;∀; .} <ヒドイ
`ー----ー'’
たるんだ身体に嫌気が指しているアナタ!
このスライム型バランスボールさえあればもう安心!
TVに向かってドラクエをやりながら座っているだけで身体の芯からシェイプナップ!
夏までにスマートな身体になって昨日はお楽しみでしたね!
とかやればいいのにな
94 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/17(金) 13:20:51 ID:YnbOI8IU0
昨日はおたのしみwwwwそこまで保証してくれるのか
>>94 だまされるな!!ヒゲを永久脱毛してモッテモテと同じタイプの誇大広告だ!!wwww
今日のはなまるマーケットでバランスボールの特集やってたらしい。
永井マサルはあれやって鍛えてるんだと。
んでそれを見た母親が案の定欲しがって今日楽天で購入しちまったよ。
日曜か月曜にはウチにスライムママンが誕生する。
97 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/17(金) 22:09:24 ID:KD0PsaSxO
ダークナイト(スライムダークに乗ったアレね)は?
98 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/17(金) 22:13:30 ID:arB4NI5N0
>>96 スライムママンイイ(・∀・)!!
次第にスライムに意思を奪われて
気付いたら下のスライムが本体になってました
なんてことがないようにね(*^▽^*)
100 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/18(土) 12:06:24 ID:dtd7tEblO
>>96 スライムボールに顔書いてママンが乗ってるところをうpしたら神
>>96 ちょ、俺のオカンも欲しい言うとったわwww
スライムナイト大量発生の悪寒
103 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/19(日) 21:00:28 ID:QebebaiT0
今日友人の家でスライムナイトになってきた
どうせならキング系のでかいスライムに乗ればいいのに
スライムナイトの正体は寄生虫みたいなスライムが人間の脳神経支配して操ってたんだ!
じゃあやっぱり先端がケツにささってるわけだな!
ケツからナイト部分を支配を・・・
これであのダイエット用のボールの突起の意味がわかったぜ・・・
とうとう来たぜー!バランスボール。
座って足が床につかないようにフラフラしてるのがムズイが降りた後はケツの重力がなくなったかのような妙な感覚だ。
スライムナイトのように常時足を地面から離しているってのは相当すげぇぜ。
109 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/22(水) 20:18:33 ID:jm1Esjig0
>>108 この修行を乗り越えた時、あなたは一人前のスライムナイトになれるんだ!
頑張って!!!
素来無乃徒【すらいむないと】
「素来無乃徒」とは古代中国周の時代において王の警護として仕えた集団を指す。
彼らは馬の代わりに「やわらかくよく跳ねる」動物を乗りこなして王に仇なすもの達を撃退したと伝えられている。
この動物の正体については現在に至るまで様々な説が挙がっている。
現在最も有力視されているのは巨大粘菌説であるが、決定的な証拠は見つかっていない。
太公望書林刊『中国――王族と剣士たち――』より抜粋
>>44-52の作品には続きがあったはず
どっかのスレで見た記憶がある
スライムナイトage
511 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 04:55:30 ID:ulD4QQjc0
ただの袈裟切り。それも人間のものだ、受け止め、弾き返し、返す刀で切り捨てればよい。
相手の太刀筋に合わせ剣を構えた。
それはもう何百、何千と繰り返してきた行為、それで全て終わる。
部下を養うため仕方が無いとは云え、騎士が野党紛いの真似までするのは正直、気が滅入るが。
しかし、そんな事を考えながらでも軽く止められると見ていたその袈裟切りは、
「――――ガッ!!? 」
今まで感じたことの無い凄まじい一撃だった。
有り得ない感触が体に伝わる。――宙に。浮いている?
其れは大型モンスターの突進すら凌駕せんばかりの衝撃。
体は愛騎から弾き飛ばされ、ボールの様に地面を2・3回バウンドし、
後方の樹に激突する事で漸く止まった。
512 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 04:56:17 ID:ulD4QQjc0
点滅する意識を奮わせ体の状態を確認する。
手はおろか腕は痺れ当然握力など無い。
口から咳でもしたかの様な音を立て血を吐く、肋骨でも折れどこか内臓を傷つけた様だ。
自分が装備する様なフルプレートメイルは、斬撃には強いが衝撃にはそう強くはない。
とはいってもメイスも使わず、まさか剣で体ごと弾き飛ばしダメージを
与えられるとは思わなかったが。――認めよう、奴を人間と侮っていたと。
この傷では最早まともには戦えまい、私の命は此処で終わる――それは良い。
人間というだけで相手の力を弱いと決め付け、侮り、見抜けずダメージを負ったのは私の責任だ。
それにより命を落とすのも私の責任だ。
だが、しかし。と、顔を上げ、前を見据える。
視界に入るのは悲鳴を上げながら必死で攻撃を避け、逃げ惑う部下たちの姿。
良く凌いでいる。が、このままでは彼らは命を落とすだろう。
否、そればかりは受け入れられない。
115 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:25:39 ID:SgR+fNlM0
513 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 04:57:12 ID:ulD4QQjc0
父の言葉を思い出す。今、手の中にある剣を私の肩に置き言った言葉を。
「――――誓え。王を守れ、仲間を守れ、民を守れ。その誓いを誇りとし、生涯守り抜くと。」
それは騎士の誓い。父の今際の際で交わした何よりも大事な誓い。
――ならば彼らを生かして帰すのも、私の責任だ。私は騎士なのだから。
悲鳴を上げる体を捻じ伏せ、失くした筈の握力を搾り出し、剣を支えに立ち上がる。
私の決意を感じたのか愛騎が近寄り乗れ、と背中を向けて来た。
ああ、全く私にはもったいないぐらいの素晴しい相棒だ。
いいだろう、奴の実力は受けたこの身が一番知っている。相手にとって不足は無い。
部下を逃がすため捨石に成れる。まさに騎士の本懐。
一人ではなく共に死地に向かう相棒までいる。足りぬ物など何も、無い。
愛騎に跨り、誓いの剣を頭上に高く掲げる。
深呼吸する様に大きく息を吸い込み、
退け、退け。と叫びながら――突撃を開始する。
116 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:26:19 ID:SgR+fNlM0
514 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 04:58:04 ID:ulD4QQjc0
奴。紫のターバンを被った男の動きが止まり、此方を見据え構えを取った。
視界の隅では部下たちが退却し始めるのを視界に捉えた。
この段階で目的の半分は既に叶っている、
後は1秒でも長くこの場に奴を拘束し時間を稼ぐことのみ。
奴との距離は既におよそ10m。此方のスピードは最高潮。
あと一呼吸間を置けば其処は既にクロスレンジだ。
頭上の剣を縦に1回転させる、その回転を殺さぬまま奴に叩きつけた。
全くの互角、一瞬の交錯は火花を散らし終わり駆け抜ける。
今の攻防で確信した、騎兵の一撃を歩兵が同じ獲物で防ぐなどは正気の沙汰ではない。
自分が同じことをするのは不可能だ。
つまり私は奴より剣技に劣り、力で負けている――だが心だけは負けていない、負けられない。
元よりこの戦いは奴を倒すのではない、部下の命を守る事こそが勝利。
故に、――負ける訳にはいかない。
十分に距離を取ったのを確認し、先ほどと同じく剣を頭上に、
血の混じった雄叫びを挙げながら突撃する。
互角で良い、相棒となら打ち合える。何度でも仕掛けるのだ――命の続く限り。
117 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:28:16 ID:SgR+fNlM0
515 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:18:57 ID:ulD4QQjc0
紫のターバンを被った男と騎士の戦いはこうして始まった。
それはこの時代。魔物が世を席巻し、我が物顔で闊歩する乱世において
有り得る筈の無い、敗者の存在しない戦い。
男は騎士を斬り勝利する、当然だ。実力で勝る上に騎士は手負いなのだから。
だが男は騎士の気高き誓いを知らぬ、故に騎士もまた勝利する。
本来なら此処で話は終わる。しかし話は終わらない。
男が騎士の誓いを知らぬのと同様に騎士も又、男の真の力と想いを知らぬ。
516 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん 投稿日: 2006/01/24(火) 05:20:32 ID:ulD4QQjc0
――私は遠い日の夢を見る。
人間たちがサンタロ−ズと呼ぶ村の近くの山に私の屋敷は在った。
決して豊かな生活だった訳では無い、寧ろ貧しかっただろう。
八つの時に母が死んだ。生来、丈夫では無い体で無理を重ねたからだった。
過労と栄養失調、それが病名。父は静かに泣いていた。
私に満足な食事を与える為に自分の食事を削っていた。そう後から聞いた。
魔界の王は私たちを獣と見ている。餓えさせ、弱い人間たちを襲わせる為に
配下に十分な食料を与えないのだ。とも。
それでも父は自らを含め均等に食料を配給し、母は誇らしげに其れを見ていたのを覚えている。
母が逝った後も其れは変らなかった。誇りに想う。
118 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:29:37 ID:SgR+fNlM0
517 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:21:58 ID:ulD4QQjc0
十の時に一向に人間たちを襲わぬ父に痺れを切らしたか正式な命令が下った。
これより十日の内に一騎に付き十の首級を挙げよ。と。
当時サンタローズにラインハットから数百の兵が向かっていた。到着はおよそ五日後。
常識で考えて五日でサンタローズを滅ぼせ。と言う命令だと考えるのが普通だ。
現に軍議は荒れた、騒ぎ立てる配下を前に父は、静かな良く通る声で語りかける。
「何を騒ぐ事が有る。弱き民を斬るなど騎士には有り得ぬ、ならばラインハットの軍勢から
その首級、頂こう。」と。
翌朝、朝焼けの中晴々とした顔でラインハットとの戦に向かう僅か十二騎の騎士たちは、
とても眩しかった。
518 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:22:57 ID:ulD4QQjc0
――嗚呼、何故私はこんな大事な事を忘れていたのか。
あの時の父の在り方に、騎士たちの姿に惹かれて、騎士を真に目指したのでは無かったのか。
魔族が操る国となったラインハットの行動を邪魔した。
そんな理由で騎士団はチリジリにさせられ、領地転換が行われ新たに
配下に宛がわれたのは獣系のモンスター達。
父は戦傷と尋問の所為で新たな領地に移って間も無く亡くなった。
だが、そんな事は決して理由に成らない。
父の今際の誓いの言葉は常に胸に有り、誓いの剣は手にしている。
そう思い込み安堵し現状に流されていた。騎士になった積もりで居たのだ。
私は真実忘れていたのだ、真の誓いを。
つまりは、私は騎士では無かったのだ。紫のターバンを被った男との戦いまでは。
あの戦いだけは私の一生で唯一、誇れるものだ。あの世の父と母にも胸を張って聞かせてやれる。
何やら温かな光が体を包むのを感じる。
なるほど夢では無く走馬灯だったか。と、我ながらどこか的外れなことを思う。
さて、父と母に良い土産話も出来たことだ、そろそろ逝くか。
そうして光が意識を塗り潰し、暗転した。
119 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:30:19 ID:SgR+fNlM0
519 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:24:15 ID:ulD4QQjc0
体に奔った鈍い痛みで意識が覚醒する。
どうやら死後の世界でも痛みは有る物らしい。ゆっくりと瞼を開き。固まった。
――理解できない。
何故、紫のターバンの男が、私に、回復呪文を掛けている。それも顔中汗まみれに為ってまで。
私は確かに死の淵に居た筈だ。其れを呼び戻すなど、どれ程の力を使ったのか。
いや、それ以前に自分の命を狙った敵の命を、こんなに為ってまで救うのは如何かと思う。
私が男の顔を見つめたまま固まっていると、男は視線で此方の覚醒に気が付いた様だ。
顔を上げて此方を見てきた。視線が合う。
――其の瞳に息を飲む。
今まで私を見て恐怖に震える目をした者が見た。憎悪を剥き出しにして睨み付ける者が居た。
同族にすら嫌悪や侮蔑の目で見られた事もしばしば有る。
けれども今、目の前に有る瞳は経験の無い物だった。
吸い込まれる様な瞳とはこの様な物を指すのだろう、全てが飲み込まれ包まれる気がした。
「大丈夫かい。君の仲間は皆無事逃げたよ。」と、心配そうに男が声を掛けて来た。
回収してくれたのだろう、横には剣が地面に置かれている。
しかし、私が斬り付ける等とは考えないのだろうか。
全く、なんてお人好しだろう。否、考えないからこの瞳なのか。
歩兵でありながら騎兵を討つ程の武力。
命を狙った相手に対してこの寛容さ。
何より、この瞳。
120 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:32:22 ID:SgR+fNlM0
20 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:36:22 ID:ulD4QQjc0
――此れではまるで物語の中の王様ではないか。
男が立ち上がり歩き去ろうと踵を返す。知らず言葉が口から漏れる。
お待ち下さい。と。男は立ち止まって此方を振り向く。
一瞬の間、それで十分意思は固まった。
姿勢を正し、男の足元に跪き、今度は確固たる自我で口を開く。
「私はピエールと申す駆け出しの騎士で御座います。是非、御名を伺わせて頂きたい。」
驚いたのか一瞬の戸惑いの後声がした。
「リュカ。僕の名はリュカと云います。」
リュカ殿。其の名を噛み締め、次の言葉を。
121 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/28(火) 09:33:29 ID:SgR+fNlM0
21 名前: はがねのつるぎ、ちかいのけん [sage] 投稿日: 2006/01/24(火) 05:38:47 ID:ulD4QQjc0
「では、リュカ殿。」
傍らの剣を手にし、リュカ殿の前に水平に捧げる。
傍目にはなんの変哲も無い鋼の剣。されど父から息子に与えられた誓いの剣。
それを捧げ、宣誓の言葉を謳う。
「――――私ピエールはリュカ殿に生涯、騎士として忠誠を誓う。
御身の敵を討ち、御身を守り抜く事を、この剣に誓う。」
この日、辺境の森の中で一組の主従が生まれた。
後の世に長く賢君と謳われる王。リュカと、魔物で在りながら最良の騎士。
と呼ばれることと為るスライムナイトのピエールの主従の誕生だった。
そりゃ!うりゃ!
123 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/03/03(金) 17:55:39 ID:mQnblHqkO
保守
スライムナイトのスライム部分をサンチョにしてやった
そのサンチョの部分をスライムナイトの頭部と入れ替えてやった