こんなFF・DQ小説がどうしても読んでみたい!!

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24SSつーかプレイ日記かも 1/6 ◆SATO.VV1aU
 晩ごはんのとき、パパがいいました。
「明日、店手伝ってくれ」
「えー? 明日は塾だよ」
「塾終わってからでいいよ。おもちゃ買ってやるぞ」
「やる!」
 死ぬかと思いました。いっぱいダンボール箱を運んで、
部品1個1個から全部数えました。
 漢字がたくさんあってよく分かんないけど、
きっと、ろうきほういはんです。
 でもパパは、毎日こうやってお仕事してるのですごいです。

 ごほうびにゲームを買ってもらいました。
中古のプレステ1とソフトで、2000円です。
説明書がなくてケースが割れてるので、安かったです。お買い得です。
 パパは「パチスロなら増やせたのに」とこぼしてました。
ぼくはゲームを持ってなかったので、すごくうれしいです。

 電源を入れると、アレクサンドリアの景色がぶわって広がりました。
クリスタルがきらきらしてます。音楽がきれいでドキドキします。
おおきな船が、空をすべり込んで来ました。
とんがり帽子の男の子が、船を見上げます。タイトルが浮かんできました。

 FINAL FANTASY IX

 えーと……漢字はまだ読めません。
ジタンはまだ弱いのに、森の中で迷子になってしまいました。
怖いので電源を切ります。
25Fortune favors the brave 2/6:2005/09/10(土) 22:45:54 ID:FrNHsUNE
「佐藤くん」
小学校に行ったら、しらない女子が話しかけてきました。
名前はしらないけど、いつもTVやゲームの話で盛り上がってる子です。
 ぼく知ってます。こう言う子を『ふじょし』って言うんです。
近所のおたくのおじさんが言ってたから、間違いないです。
 女子はみんな背も高いし、力も強いので怖いです。
「清掃委員、行かないの?」
「あ、行きます」
 清掃委員の仕事は地味です。ぞうきんの臭いがする倉庫で、
掃除道具の数を数えたり、補充したりします。
「バケツが足りないね」
「屋上にバケツがなかったっけ?」
そういえばふじょしさん、名前はなんですか?
「あたし? 佐藤! よろしく!」
佐藤さんでしたか。

 屋上はすごくいい天気です。風が爽やかでいい気分です。
屋上に、誰かが置きっぱなしにしたバケツがいっぱいありました。
佐藤さんは、クラス名が書いてないバケツを持ってきました。
「これが一番まともかなあ」
 佐藤ふじょしさん、目が大きいです。
髪の毛はキレイな茶色で、やわらかいパーマがかかってます。
ドキドキしてたら、佐藤さんが携帯を触りはじめました。
「なにしてるの?」
「FF!」
よくわからないハイテンションです。
26Fortune favors the brave 3/6:2005/09/10(土) 22:47:40 ID:FrNHsUNE
 ぼくも家でゲームをします。すごくむずかしいです。
「違うぞ龍。装備変えねーでどうすんだよ」
 あ、龍はぼくの名前です。ママが大学から帰ってきました。
「装備ってなに?」
「あー……取説ないのか。オタクのおじさん所行って、借りてこい」
 ママはとても美人で若いです。かっこいいです。
昔は総長でぶいぶい言わせてたそうです。
総長って分からないけど、きっとPTA会長ぐらい偉い人です。

 おじさんの家に行く途中、アゴが細い人とすれ違いました。
歯が溶けてるから、きっと純トロです。正体はラスボスに違いありません。
パパもママも言ってます。『バカになるからクスリはやるな』って。

 おたくのおじさんは、気持ちよくアルティマニアを貸してくれました。
とても機械に詳しいので、パパ自慢の友達です。
 ぼくがお腹にいた時、パパもママも結婚できる年じゃなかったそうです。
でも、おじさんが色々調べてくれました。
それで『大丈夫だよ』って言ってくれたらしいです。
『ケジメをつけなきゃな。ケジメをよ』と、パパは難しい事を言って、
沢山の書類にハンコ押してパパになったらしいです。
だからおじさんは、ぼくの命の恩人です。
 山積みの本の中に、かわいいガーネット姫の本がありました。
「これも貸してください」
「そっ、そそそそ、それは駄目だ!」
どうしてでしょうか。

 おじさんのお母さんが、肉じゃがをお土産に持たせてくれました。
技術・家庭科の先生をしてるだけあって、お料理が上手です。
とても優しいおばあちゃんで、大好きです。
27名無しさん@そうだ選挙に行こう:2005/09/10(土) 22:48:47 ID:FrNHsUNE
しばらく砂糖でお待ち下さい。

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                          ‐' ' `‐'       -'-'  -'-'
    脱ぐ       たたむ      コーヒーを     砂糖と塩を
                         つくる      まちがえる。
28Fortune favors the brave 4/6:2005/09/10(土) 22:55:43 ID:FrNHsUNE
 塾からの帰り道。ラスボスが佐藤さんに絡んでます。
「……だから! 貸すお金なんかないって!」
まずいです。ものすごく恐喝っぽいです。
 目を合わさずに逃げたら、きっとぼくママに叱られます。
ぶったりはしないんですが。
正座させられて『恥ずかしい生き様をするな!』って怒られます。

 あ、誰か来た。だったら、もしかしたら。
 けど、でも。
 どうしてぼく、子供なんでしょうか。えいやって変身できません。
 だけど、そんな。
 ビビだって最初は弱かったじゃないか。
 いや、だって。
 これはゲームじゃない。殺されちゃうよ。
 だけど、だけど!

 ぼく、バカです。考える前に叫んでしまいました。
「お……おまわりさーん! こっちです!」
トルエン臭いラスボスと目が合いました。
「ああ? チクってんじゃねえぞ糞ガキ」
怖くないです。ママよりは。でも、足がガクガク震えます。
そうしたら、佐藤さんが。
一気にラスボスのズボンを引き下ろしたんです!
あ、ショッピングセンターのトランクスだ。

 一瞬の隙をついて、逃げ出します。
僕達はとにかく走ります。人通りの多い所、大人のいる所へ!
29Fortune favors the brave 5/6:2005/09/10(土) 22:57:02 ID:FrNHsUNE
 どこかの家に飛び込めるなら飛び込もう。
お店があるなら、かくまってもらおう。ぼくは耳打ちしました。
「佐藤さん。商店街に行こう!」
ふじょしさんが、うなずきます。商店街はすぐそこです。
 ズボンが絡んで走れなくても、やっぱりラスボスは速いです。
ズボンを脱ぎ捨て、ずんずん追いついてきます。

 わき腹は痛いし、足が笑ってます。もう駄目だ。捕まる! そう確信した時。
 佐藤さんが携帯を突き出しました。
「録音、したからねっ!!」
パンツ一丁のラスボスが、石化しました。
周りの大人に気が付いて、明らかに毒気が抜けています。
 そこに家庭科のおばあちゃん先生が通りかかりました。
HPで言ったら、きっとすごく弱いです。でも。
「あら、あなたは……」
 ラスボスが脱兎になりました。
商店街のおじちゃんが囲んで、捕まえてくれました。
なーんだ。
ラスボスでもなんでもない、ただの学生さんだったんだね。

 佐藤さんとぼくは、なんにもなかったです。
抱きついて来たり、キスしてくれたりとかもないです。
でも。ありがとうと言ってくれました。
 それで、携帯で彼氏に泣き付いてました。
彼氏? 
しかも大人な小3?不純異性交遊ですか佐藤さん!
30Fortune favors the brave 6/6:2005/09/10(土) 22:59:04 ID:FrNHsUNE
「いいじゃん」
 ママが一服しながら、ぼくの後ろでゲーム画面を見てます。
「あー……アンパンマンを責めんな。あいつも大変なんだよ。
 それよか、もうすぐペプシマンだろ? がんばんな」
「うん」
 アルティマニアのおかげで、あっと言う間に終盤です。
永遠の闇と戦って、何度も失敗して。
最後のムービーを見てたら、目が潤んできました。
 これは、失恋したからです。物語で泣いたりしません。

 ぼくより小さいかもしれない、ビビ。
ムービーの中で、たくさんのビビが楽しそうにしてます。
でも。
一緒に冒険をしたビビ。
ぼくが間違えて変な魔法使っても、羊に血祭りにされても。
ずっと一緒にいた、あのビビが……。
 胸が苦しいのはなぜ。明るい場面なのに、切ないのはどうして。
 ママがぼくにデコピンしました。
「いいんだよ。こう言う時は、男も泣いていい。
 良い物語に出会えるのは、幸せだろ?」

 ビビ、ありがとう。
 ゲームしてる間、テストも怖い犬の事も忘れて、楽しかったよ。
 ほんの少し、ぼくにも勇気をくれてありがとう。
 君の事、忘れないよ。

 ムービーは続きます。きっと、ジタン達の冒険も続くんです。

END