FFDQバトルロワイアル3rd PART6

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186悪意の螺旋 9/13:2005/09/17(土) 14:36:41 ID:ZVwfio1+
弾き飛ばされ、ピエールは雷鳴の剣とザックを一つ取り落とす。
雷鳴の剣はすぐに起き上がったピエールが再び手にしたが、ザックはアリーナが拾い上げた。
ウィーグラフは使い慣れぬレーザーウェポンを仕舞うと、青い片刃剣、フラタニティを取り出し駆ける。
ピエールも再び雷鳴の剣を使おうと振りかざす。
そして……アリーナがウィーグラフを背後から羽交い絞めにした。
「な、何!? 貴様ァッ!!!」
「ちょ、ちょーと、ストップ! あんた、私達は降参するわ!
 だからその物騒な剣を下ろして! 質問にも答えるから!」
それを聞いてピエールも動きを止める。
だがウィーグラフは納得がいかず激昂する。
「貴様何のつもりだ!」
「落ち着いてよ、あの剣は雷を操るのよ?
 ここの焼け跡見たでしょ? あんたアレ防げるの?」
「む……」
「だったら下手に危険を冒すよりも上手く切り抜けましょうよ。
 とりあえず私に任せてくれない?」
「ちっ」
ウィーグラフは一つ舌打ちすると一歩後ろへと下がる。
そしてアリーナはピエールと正面から向き合った。
「あなた、テリーを殺したわね?」
ピエールは沈黙をまもる。実際は殺してはいないが答える必要を認めなかった。
「そう、やっぱりね。アイツは私の手で引導を渡したかったんだけど、とりあえず礼を言っておくわ」
「戯言はいい。私が必要とするのはリュカ様の居場所だ」
そう、今のピエールはリュカの居場所を求めていた。
主のために殺人を犯してからは、完遂するまで会うことはしないと思っていたが事情が変わった。
先刻、テリーと対峙した際にピエールの命を救った王者のマント。
これがあればリュカの生存率は大幅に向上するだろう。何としてもリュカに渡さねばならない。
自分が他の参加者を殺し尽くしても、肝心のリュカが死ねば全ては無意味となるのだから。
最初は会えれば渡すという思考だった。しかしここに来てリュカの居場所を知る者と出会ってしまった
王者のマントに救われたときも思ったがこれは天命なのかもしれないと思うほどの偶然だ。
アリーナは肩を竦める。
「OK、OK、判ってるわ。それで教えた後のことなんだけど、あなた、私達をどうするつもり?」
187悪意の螺旋 10/13:2005/09/17(土) 14:38:09 ID:ZVwfio1+
「…………」
「必要なくなれば殺す。当然よね、でもさ……それって簡単だと思う?
 さっきの戦いでわかったでしょう? 私も、そして彼も強いわ。
 あなた強力な武器を持ってるけど、それの弱点も私は知ってる。」
ハッタリ第二段である。ピエールに動揺は見られないが、確実に迷いは与えたはずだ。
そう、状況は2対1。不利なのはピエールのほうなのだ。
「あなた、私達の仲間にならない?」
「何?」
この提案には流石のピエールも動揺を隠せなかった。
ウィーグラフも驚愕する。
「正気か小娘!」
アリーナはそれを黙殺して話を続ける。
「私達は全員ゲームに乗っている。それがこんな場所で潰し合いしても益はないわ。
 このゲームには異常な強さを持つ連中がごろごろいるわ。まだ人数もたくさん残ってる。
 だったら協力して事に当たり、最後に雌雄を決したほうが効率がいい。
 そうは思わないかしら? どう?」
「……考えている」
アリーナはピエールを観察する。噴出すような殺意が弱まってきている。
(もう一押しといったところね)
小声でウィーグラフに話しかける。
『ねぇ、私を治した薬まだ持ってるでしょ? あれ出して』
『な、何故知っている?』
『あんな強力な薬、数に余裕がなきゃ他人に使うわけないでしょ?
 しかも不確定な情報を聞き出すためになんて、よっぽど余裕がない限りは使わない』
『ぐ、確かにそうだが……奴が回復すればこちらに牙をむくかもしれんのだぞ?』
『大丈夫、人質がいるわ。リュカっていうね。
 私とあんたが逃げに徹すればアイツを撒くことは可能だし、それは奴もわかってる。
 そして私たちを逃せば私たちにリュカが殺されるかもしれない。
 だから絶対にアイツはここで私たちを始末するか、リュカを殺せない状況に持っていきたい筈なのよ。
 それに成功すれば強力な戦力になるわよ』
(今アイツが考えているのは私たちをこの場で確実に殺せるか否か。
 そしてそれは難しい。そこでもっと美味しい条件が別の選択肢に加われば……転ぶはず)
188悪意の螺旋 11/13:2005/09/17(土) 14:40:25 ID:ZVwfio1+
仕方なくウィーグラフはザックからエリクサーを取り出す。
「魔物よ。貴様が我らと同行するというのならこのエリクサーをくれてやっても良い。
 これは体力と魔力を完全に回復させる希少な薬だ」
チラリ、とピエールはウィーグラフの持つ小瓶に視線をやる。
「私たちを信用する必要はないわ。どうせいつかは訣別するのよ。
 だったらそれまで私たちを利用すればいい。私たちもあなたを利用する」
そのアリーナの言葉を区切りに、しばらくお互いに沈黙が続き――
ついにピエールは口を開いた。
「確認することが一つ。条件が一つ」
内心ほくそえみながらアリーナは答える。
「何かしら?」
「リュカ様とは何時であった? 負傷はされてないのか?」
「私が出会ったのはお昼頃かしらね。結構な怪我をしていたわよ。
 命には別状なさそうだけど、誰かに襲われたら危険でしょうね」
「!」
それでピエールの腹は決まったようだ。
「今後、リュカ様と出会っても一切手を出すな。その前に私を相手にしてもらおう。
 これが条件だ。飲めないならば私は敵となる」
「ええ、分かったわ。アンタもそれでいいでしょ?」
ウィーグラフも了承する。
「ウィーグラフ、だ。そちらがそんな条件を出すなら私も条件がある。
 ラムザ・ベオルブという者には手を出すな。奴は私が殺す。
 もし手を出せばいつでも私の剣は貴様らへの脅威となるぞ」
アリーナは得心したように頷く。
「なるほど、人質交換ってわけね」
「ふん、貴様にはそのような者はおるまい」
「いいえ」
そのアリーナの意外な答えにウィーグラフは少し驚く。
「このゲームには私がもう1人参加している。
 私と同じ容姿、同じアリーナの名前を持った参加者。
 彼女には決して手を出さないで」
「どういうことだ?」
189悪意の螺旋 12/13:2005/09/17(土) 14:41:50 ID:ZVwfio1+
「説明するのが面倒だわ。双子の姉妹とでも思ってちょうだい。
 大きな変わりはないから」
疑問は残ったがウィーグラフは追求しないことにする。
もとより関係のないことだ。
彼はプレデターエッジを拾うとエリクサーをピエールへと投げ渡した。
ピエールはすぐさま煽り、回復する。
これでお互いに人質を出し合ったことで裏切ることは難しくなった。
「それよりこれで同盟は成立ね」
「ならばリュカ様の居場所を教えてもらおうか」
「ラムザとアグリアスもな」
意気込んで問いかけてくる二人にアリーナはにっこりと笑いかける。
「場所はサスーン城よ。あの場所にアグリアスとその他二人の仲間がいるわ。
 アグリアスには怪我を負わせたから、まだそこに留まっていると思うわ
 そしてリュカとその連れエドガーも城に向かっていた。今頃はもう到着しているんじゃないかしら?
 ラムザはここから北のほうへ向かった。確実ではないけれど城へ行く可能性は結構高いんじゃない?」
ラムザのくだりだけは大嘘である。彼女はラムザが去った方向を見ていない。
だがその嘘を見破る方法は皆無である。
アリーナの証言に二人は頷く。
「ならば急ごう、もう日暮れも近い。夜の山は危険だからな」
「承知」
「OK! 行きましょう」
そして三者三様の思惑を胸に駆け出す。

(ラムザよ、アグリアスよ、とうとう尻尾を掴んだぞ!
 待っていろ、すぐに冥府魔道へと叩き落してやる)

(リュカ様、どうぞご無事で……! このピエール、一命を賭してお救いします!)

(これであのバカ強い黒服に対抗できるわね。怨みを晴らしてあげるわ)

そしてアリーナは改めて思う。やはり力だけでは生き延びられないのだ。
考えろ、考えろ、どうすれば一番いいのか。
190悪意の螺旋 13/13:2005/09/17(土) 14:43:11 ID:ZVwfio1+
どうすれば生き延びられるのか。何度敗北してもいい、最後に生き残っていればそれが勝利だ。
考えろ、思考しろ、神経を研ぎ澄ませ。

こうして……悪意の螺旋は再び大陸の中心、サスーンへと向かう。


【ウィーグラフ 】
 所持品:暗闇の弓矢、プレデターエッジ、エリクサー×7、ブロードソード、レーザーウエポン、
     フラタニティ、不思議なタンバリン、スコールのカードデッキ(コンプリート済み)、
     黒マテリア、グリンガムの鞭、攻略本、ブラスターガン、毒針弾、神経弾 首輪×2、研究メモ、
 第一行動方針:ラムザを探す
 第二行動方針:生き延びる、手段は選ばない
 基本行動方針:ラムザとその仲間を殺す(ラムザが最優先)】

【ピエール(HP MAX MP MAX) (感情封印) 】
 所持品:雷鳴の剣、対人レーダー、オートボウガン(残弾1/3)、スネークソード
     王者のマント ひきよせの杖[2]とびつきの杖[1]ようじゅつしの杖[0]
     死者の指輪、毛布 聖なるナイフ 魔封じの杖
 第一行動方針:リュカを探し、王者のマントを渡す
 基本行動方針:リュカ以外の参加者を倒す

【アリーナ2(分身) (HP MAX) 】
 所持品:E:悪魔の尻尾 E皆伝の証 イヤリング 鉄の杖 ヘアバンド 天使の翼
 第一行動方針:出会う人の隙を突いて殺す、ただしアリーナは殺さない
 最終行動方針:勝利する】

【共通第一行動方針:サスーン城へ向かう
 共通第二行動方針:利用できるうちは同盟を護る】
【現在位置:カナーン北の山岳地帯→サスーン城へ】
191Rose,Wild rose 1/7:2005/09/17(土) 22:52:52 ID:eA3ZI4n6
空の一端を掠めていく青い影にも気付かずに、フリオニールは走る。
彼方に見える緑、その向こうにあるはずの村――カズスを目指して。

度重ねた戦闘のせいか、走った距離のせいだろうか。
息は上がり、足は鉛のように重い。
だが、疲労や痛覚をごまかすためか、高揚した神経は無意味な全能感を脳に吹き込み続けている。
どこまでも走れそうな感覚、しかし限界が近いことを訴える筋肉。
その二つを取り持とうとするかのように、心は繰り返し、繰り返し一つのフレーズを流し続ける。

(俺は、野ばらだ……誰にも摘まれない……手折らせない……フィンの野ばらだ……)

フィン王国の紋章、反乱軍の合言葉たる野ばら。
可憐な花を咲かせながらも、決して屈さず、媚びず、みだりに摘もうとする者の指を鋭い棘で貫く。
強大な帝国に対抗する者達の象徴としては、これ以上相応しいものもないだろう。

かつて反乱軍の戦士であった時、フリオニールは思った。
自分は野ばらの棘でありたいと。
フィンという花を手折ろうとした皇帝に、一矢報いる棘でありたいと。

今、殺人者となったフリオニールは思う。
自分は野ばらでありたいと。
今一度小さな花を咲かせるために、誰にも摘まれぬ強き野ばらでありたいと。

ユフィは未だ追ってきているのだろうか。
振り向いても見当たらないが、フリオニールがカズスに向かっていることは彼女にもわかっているはずだ。
それでも……いや、だからこそ、一分でも一秒でも早くカズスに行き、身を休める必要がある。
枯れた野ばらが二度と花を咲かせないように、死んでしまえば、全ての努力が水泡に帰すのだから。
(それだけは避けなければならない……何としてもだ!)

フリオニールは走り続ける。
マリアが蘇る時まで、手折られるわけにはいかない――その想いが駆り立てるままに。
192Rose,Wild rose 2/7:2005/09/17(土) 22:59:59 ID:eA3ZI4n6
――サックスとカインの追跡劇が幕を開けてから、数十分後。
村とも呼べない瓦礫の群れの真っ只中で、スコールとマッシュは立ち尽くしていた。

「ひどいな、こりゃ……一体全体、何をどうやったらこうなるってんだ?」
マッシュが、足元の石を蹴り飛ばす。
溶けかけの飴玉を思わせていたそれは、地面に落ちると同時に脆く砕けた。
周囲を見回せば、つつくだけで崩れそうな壁ばかり。
建物全体としてみれば、つつくまでもない状態だ。
「被害状況からして、何かが爆発したようだな。
 高レベルのG.F.を召喚したか、ごく小型の核爆弾でも使ったか……そうでなければ、俺の知らない魔法か」
村を囲む木々や、残された家の痕を調べていたスコールが、冷静に分析してみせる。
二人とも、不思議と怖気づいてはいない。
元々の性格もあるが、今に限っては、破壊の規模が大きすぎて現実味を感じられずにいるという要素が強かった。
「なぁ、あっち行ってみようぜ、スコール」
そう言って、マッシュが大きく抉れた地面を指さす。
そちらが爆心地であることは、木や建物の倒壊状況を見るまでもなく明白だ。
「危険だぞ」
どこかおざなりなスコールの言葉に、マッシュは足を進めながら言い返す。
「虎子を得るには、虎穴に入らなきゃならないだろ」
スコールも後を追う。いつも通りの仏頂面ではあるが、心なしか唇の端が釣り上がっているようにも見える。
「虎子ならいいがな……魔女が出てくるかもしれないぞ」
「アルティミシアか? 脱出の手間が省けるってもんだ、願ったり叶ったりさ」
声を上げて笑うマッシュに、スコールは呆れたように首を横に振った。
「二人きりでも戦う気かよ、あんた」
「当然。お前だってそうだろ」
言われて、スコールは目を閉じた。
「確かにな……どんな状況だろうと、俺は戦う事を選ぶだろう。
 そうすることで別の悲劇が幕を開けるとしても……奴を倒すことが、俺の義務だからな」
(義務?)
わずかに自嘲の色を帯びた呟きの意味を聞きあぐね、マッシュは問い返すつもりで口を開く。
――けれど、そこから紡がれたのは、全く別の言葉だった。
切り取ったように残された地面、その上に、ぽつんと横たわった『もの』に気がついたがために。
193Rose,Wild rose 3/7:2005/09/17(土) 23:06:48 ID:eA3ZI4n6
「あれ、人じゃないか?」

視線の先にあるのは、手折られた花を思わせる、赤い色彩。
スコールはマッシュに答えることなく、そしてマッシュもスコールの返事を待たず、ソレに向かって走り出した。

二人の視界の中央に、次第にはっきりと見えてくる。
吹き飛ばされた炭の欠片、千切れた腕、わずかに生前の面影を残す頭部。
半ば溶けて、中身が剥き出しになった首輪。
目を覆いたくなるような惨劇の中にあって、荒野に咲いた野ばらのように存在する赤髪の少女。
けれども胸に生えた剣が、赤黒い血が、白蝋を思わせる肌が、彼女が既に息絶えていることを示している――
一枚の絵画にも似た悪夢が、そこにはあった。

「相討ちになったのか……」
壊れた首輪を拾い上げながら、マッシュは呟く。
残されたパーツからでは、それが元は若い人間だったということしかわからない。
一方、スコールは少女の遺体に歩み寄ると、突き刺さったままの剣を力任せに引き抜いた。
それから、そっと彼女の首筋に触れ、感触を確かめる。
「……硬直の度合いからして、事があったのは正午前後だな。
 あんたが『光った』とか騒いでた、ちょうどその時かもしれない」
スコールの言葉を聞いているのかいないのか、マッシュは苛立ったようにばりばりと髪を掻く。
「やってらんねえな、まったく。
 どっちもまだ若いのに、こんな形で命を散らせるなんてよ」
舌打ちするマッシュを横目に、スコールは少女の持っていたザックを調べる。
中から出てきたのは、さほど大きくない袋と、一振りのナイフだった。

「これは……ティファのナイフ?」
スコールの言葉に、けれどマッシュは首を横に振る。
「いや、似ているけど違うぜ。
 あいつのナイフはロックの奴が使ってたのと同じだったからな、良く覚えてるんだ」
「そうか? ……あんたがそういうならそうなんだろうな」
口ぶりとは裏腹に、あまり納得していないような表情で、スコールは自分のザックに仕舞いかける。
――その時、二人の耳に女の声が届いた。
194Rose,Wild rose 4/7:2005/09/17(土) 23:15:21 ID:eA3ZI4n6
『待って……そのナイフを、見せて……』

「……ティナ?」
マッシュが慌てて魔石を取り出す。
ティファを回復して以来、淡い明滅を繰り返すのみだった魔石が、煌々と輝いている。
『見せて……私に…・・』
今にも消えてしまいそうなほど儚く、けれど、紛れもないティナの声が響いた。
スコールは一瞬悩む素振りを見せたが、ひとまずナイフを魔石の前に翳す。
「これで見えるか?」
肯定するように、緑の光が瞬いた。
「心当たりがあるのか?」
マッシュの問いに、ティナの声が答える。
『ええ。間違いないわ……
 これ……最初に殺した女の子の……彼が持っていったはずのナイフよ……』
それだけを言い残すと、力尽きたのか、ティナの声はぱったりと止んだ。
弱い光を湛える魔石の前で、スコールとマッシュは顔を見合わせる。
ティナの言う『彼』。それが誰なのかは、訊くまでもない。
「スコール。他に、あいつの持ち物らしいのが入ってたか?」
「いいや、こっちの袋には変な草が入ってるだけだ。ボウガンも大剣もない」
首を横に振るスコールに、マッシュは顔をしかめる。
それから、苦々しい声で問い掛けた。

「……どういうことだと思う?」
「何とも言えないな。判断材料が少なすぎる。
 ただ、あいつを殺して荷物を奪った可能性は低いだろう。
 他の武器が入っていないんだからな」
スコールは顎に手を当て、視線を地面に落とす。
「どこかで接触して取引でもしたか、上手いこと盗んで逃げ切ったか……
 あるいは……ティファみたいに、誰かを殺すために利用しようと渡したのか」
スコールは口を噤み、少女に視線を移す。
マッシュも痛々しげな目を亡骸に注ぐ。
そうして沈黙が降り、しばしの時が過ぎた。
195Rose,Wild rose 5/7:2005/09/17(土) 23:27:07 ID:eA3ZI4n6
――やがて、ふと、何かに気付いたようにスコールがマッシュを見やる。
「どうするんだ、それ?」
その視線は、マッシュの手に握られた首輪に注がれている。
溶けて穴が空いた外殻の中から、焦げた基盤や配線がはみ出た、壊れた首輪。
「あ? あ、ああ……つい拾っちまったけど、こんなモン持ってても仕方ねーよな」

そう言って、マッシュは放り捨てようと振り上げ――唐突にその手を止める。
「待てよ……これ、機械なのか?
 ……もしかして、兄貴なら調べられるか?」
「アニキ?」
「ああ。俺の国は、元々機械技術が盛んな国でさ。
 俺はそっち方面には興味がないけど、兄貴はかなり熱を入れてるんだ。
 ……そうだよ。機械なら、兄貴に任せればきっと何とかしてくれるぜ」
マッシュは目を輝かせる。
――が、それは一瞬のことだった。
「そんな壊れてるのに、解析なんかできるのか?」
スコールの指摘に、マッシュは壊れた首輪を見やり、沈んだようにため息をつく。
「……すまん、無理に決まってるな。
 ここまで壊れてるんじゃ、いくら兄貴だってどうしようも……」
がっくりと肩を落とすマッシュに、スコールは冷淡に声を掛けた。
「だから、壊れていない首輪があるだろ?」
そう言って、踵を返し歩き出す。
眉をひそめるマッシュの前で、スコールはガイアの剣を大きく振りかぶり――

風を切る鋭い音。
次いで、鈍く重い音。
目を瞬かせる間もなく、鋭い一閃が走った。
196Rose,Wild rose 6/7:2005/09/17(土) 23:39:57 ID:eA3ZI4n6
数十秒後、スコールは『壊れていない首輪』をマッシュに手渡した。
それから剣とナイフだけをザックに仕舞い、すたすたと歩き出す。
数メートルほど歩いたところで、立ち竦んでいるマッシュを振り返り、声を掛けた。

「行こう。この町にあいつはいない。
 これから来るとしても、この状況では、足を踏み入れたり留まったりする確率は低い。
 他の拠点を探した方が、あいつにも、あんたの兄貴とやらにも出会える可能性が上がるだろう」
そう言って歩くスコールの後姿と、転がる赤い髪を交互に見やり、マッシュは何かを言いかける。
だが、声にすることはついにできなかった。
そんなマッシュの代わりに、スコールが口を開く。

「なぁ……ラグナやマリベルの言葉を覚えてるか?」
マッシュは一瞬戸惑ったが、すぐに首を縦に振った。
スコールは振り返らなかったが、彼の答えがわかったかのように、言葉を続けた。
「俺には義務がある。
 仲間として皆の遺志を継ぐ義務……班長としてバカな班員を止める義務。
 何より……俺自身が作ってしまった物語を終わらせる義務がある」

――その時、スコールはどんな表情をしていたのだろう?
マッシュには見えなかったし、声色から想像することもできない。
ただ、硬く、硬く握られた拳が、彼の思いの一端を物語っていた。

「正しいかどうかなんて、どうでもいい。
 果たさなければならないことがある、だから成し遂げなくてはいけない。
 ……少なくとも俺には、奇麗事や甘い事を言っている余裕なんか無い」

それ以上、スコールは何も喋らなかった。
マッシュはしばらく渡された首輪を握り締めていたが、やがて、彼を追って歩き出した。
197Rose,Wild rose 7/7:2005/09/17(土) 23:42:19 ID:eA3ZI4n6
肩で息をしながら、フリオニールは足を進める。
己の希望を咲かせるために――薙がれて倒れた木陰を縫い、その先にある村へと。

死者の遺志を胸に、スコールとマッシュは歩く。
成すべき事を成し遂げるために――かつての仲間を探しに、見知らぬ地へと。

手折られぬ野ばらでありたいと願う者。
その棘は、この先誰を傷つけるのか。

あらゆる魔力を打ち破る剣、その凍てつく波動に触れた首輪。
それは、魔女の手を貫く野ばらの棘となるのだろうか。

運命は、未だ結末を教えてくれない。


【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石、神羅甲型防具改、バーバラの首輪、
 レオの支給品袋(アルテマソード、鉄の盾、果物ナイフ、君主の聖衣、鍛冶セット、光の鎧、スタングレネード×6 )】
【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
 吹雪の剣、ビームライフル、エアナイフ、ガイアの剣、アイラの支給品袋(ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ)】
【第一行動方針:他の拠点に移動し、アーヴァインかエドガーを探す
 第二行動方針:ゲームを止める】
【現在地:カズスの村・ミスリル鉱山入り口付近→村の入り口へ】

【フリオニール(HP1/3程度 MP1/2)
 所持品:ラグナロク ビーナスゴスペル+マテリア(スピード) 三脚付大型マシンガン(残弾9/10)
 第一行動方針:カズスの村へと走って移動する
 第二行動方針:日没時にカズスの村でカインと合流する
 最終行動方針:ゲームに勝ち、仲間を取り戻す】
【現在地:カズスの村・周囲の森→村の中へ】

*ひそひ草、及び様々な種類の草が入った袋(説明書付き・残り1/4)はバーバラの死体の傍に放置。
198腹の探り合い 1/7:2005/09/18(日) 06:21:13 ID:aKo4UYkz
このケフカという道化師、一体何を考えているのだろうか?
顔のペイントで表情が読みとりにくいし、さきほどから踊っているように見えるが、意味があるのか無いのか分からない。
話しかけてみても、はぐらかされるばかりだ。あまり好んで関わりたい人間ではない。
そう思っていたが、周りがよく見渡せる場所に出たとき、ケフカの方から話しかけてきた。

「ヒャヒャヒャ、やっと二人になれましたね」
俺は武器を構えた。いきなり襲ってくるとは思えないが、こいつが襲ってきても別段不思議でもない。

「おやおや、武器なんか構えられたら困りますよ。別に戦おうってわけじゃない。
 あのガ…あのガタイのいい男とルカくんとがいるとどうにも話しづらくてね。他人に聞かれたら困りますし。
 実はお前に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと、だと?」
仲間に秘密にしておきたいような頼みだ。ロクなものではあるまいが。
「ヒャヒャヒャ、そうですよ。戦うのが好きなお前にね。殺すのを、と言った方がいいかな?」
199腹の探り合い 2/7:2005/09/18(日) 06:22:48 ID:aKo4UYkz
俺が殺人者だと見抜かれたのか? いや、そんな素振りは見せていないはずだ。
「何故そう思った?」
「おや、違いましたか? 顔に書いてありますよ」

スミスにも心が丸見えだと言われたが…こいつも心が読めるのか?
そんなやつが何人もいたら、たまったものではない。
演技力には自信はある方なのだが。

「真面目に答えろ」
「つれないねぇ。なに、簡単なことですよ。
 お前、あの剣士を殺そうとした瞬間に笑っていたし、
 僕らが来た後でさえ、随分焦ってあの剣士を殺そうとしていたじゃないですか。
 他の二人は銃とやらの使い方の方に気を取られていましたけどね。
 僕の配下の兵士にも、お前のようなやつは何人もいましたよ。
 普段はおとなしいが、戦いの場では敵を殺すことを心の底から楽しみにしているようなヤツがね」

確かに、サックスを殺そうと焦っていたかもしれないし、追いつめたあの瞬間には油断して笑みを浮かべたかもしれない。
だが、いかに洞察力が優れていようと、それだけで分かるものだろうか? もしかすると。
「お前も、その手の人間なのか?」

これを聞いて、ケフカは一瞬顔をしかめた後、高笑いを始めた。
肯定しているのか、それとも馬鹿げたことだと考えて、俺を嘲って笑っているのかは分からない。
ただ、今一連の発言には後悔した。即座に否定しなかったということは、相手の言ったことを認めたと同義。
ケフカの目をにらみ返すが、受け流されただけだ。
「まあ、一番おっきな理由は、僕のカンなんですけれどね」
200腹の探り合い 3/5:2005/09/18(日) 06:27:53 ID:aKo4UYkz
コホン、と咳払いをして、ケフカが話を続ける。
「話がそれましたね。殺してほしいヤツがいるんですよ。
 レオといってね。頭がカタくて、しつこくて、不細工で、愚劣な男だ。お互いに死んでほしくてたまらない」
まるで親友のことを話しているような口ぶりだ。だが、目に憎悪の色がありありと浮かんでいるのが分かった。

「ただの私怨か?」
ゲームに乗っているとバレないように人を殺すには、それなりの理由や口実が必要だ。
レオとやらがどんな男なのかは知らないが、場合によっては周りの人間に殺人者に認定されかねない。

「なに、大義ならあるさ。あいつを生かしたまま帰すと、帝国の発展が遅れることになるからね。
 お前も騎士団長なんてやっているような身分なら、分かるだろ?
 生真面目な忠臣とかいう輩どもは、ときに邪魔になるんですよ」
「お前の世界のことなど、俺や、他の参加者の知ったことではない。
 それに、お前は知らないかもしれないが、金髪に気を付けろとかいうふざけたメモが出回っている。
 生真面目な忠臣、ということは、人望もそれなりにあるのだろう。そんなやつを殺せば、俺が不利になるのは明らかだ」

またもケフカはヒャヒャヒャと高笑いを始める。
「何が可笑しい」
「失敬失敬。お前もそのメモを読んでいたんですね。…読んでいなかったらラクだったんですけどね」
こいつ、俺をその気を付けるべき金髪に仕立て上げるつもりだったのか? 予想以上に食えないやつだ。

「なに、大丈夫ですよ。レオのやつも金髪だ。それに、お前はとっさに言い訳を考えるのは得意じゃないのかい?」
大丈夫ではないのではないか、それは…。窮地に陥ったら自分で何とかしろということなのか…。
201腹の探り合い 4/5:2005/09/18(日) 06:35:06 ID:aKo4UYkz
どこからともなく、紙が飛んでくる。そういえば、このステージは風が強いな…。
ケフカが足下に落ちたそれを拾い上げ、さらに笑う。
「ヒャーッヒャッヒャッヒャ!! ほら、それに、こんなものもあるよ。できれば、僕以外に拾ってほしかったんだけどねぇ」
そこには、血で囲まれ、キヲツケロと書かれた顔写真が握られていた。
確かに、この写真なら十分な理由になりうるが。

「まあ、他にも死んでほしいやつは沢山いますけどね。
 マッシュのパンチは痛かったですしねぇ。エドガーはいつもうるさくて邪魔でしたしねぇ。リルムは生意気でしたしねぇ。
 …あいつら、僕を馬鹿にしやがって。ちくしょう。
 …おっと、関係ない話をして悪かったですね。ヒャッヒャッヒャ!」
続きがないところをみると、ただの愚痴か。ギャップの激しいやつだ。それとも、これも演技なのだろうか?

「殺すに値する口実があるのは分かった。
 だが、俺がそれを引き受けることに、どんなメリットがある? もし俺が断ると言ったらどうするつもりだ?」
「そうですねぇ」
ケフカは考え込んでいたかと思うと、またも突然に笑い出した。
「よし、引き受けてくれるなら、お前が殺し大好き人間だってことを僕やお前の仲間に黙っておいてあげましょう。
 バレたら、色々と都合が悪いでしょ? 仲間は多い方がいいですしねぇ。
 そうそう、ここで殺そうとしたって無駄だよ。あのモヒカンは、遠くのことが見えるらしいですしね。
 きっと今も僕たちのことを心配して見てるだろうさ。動けないだろうけどねぇ。
 ここで戦ってもどうせ僕が勝つだろうけどねぇ」
202腹の探り合い 5/5:2005/09/18(日) 06:40:41 ID:aKo4UYkz
まあいい、どうせゲームに勝つには他の参加者を殺さねばならないのだ。
別にここでの口約束が大した意味を持つわけでもないだろう。
それに、この写真は案外役に立つかもしれない。
「いいだろう。レオを見つけたら、必ず殺すことにしよう」

相手の俺に対する認識は、悪人殺しを楽しんでいる偽善者、という程度のはず。(十分危険なやつのようにも思えるが)
まだ出し抜く余地はあるだろう。
手を組むには、こいつは少々厄介だ。スミスが戻ってから考えるべきだろう。

テリーという男、仲間なのに状況によっては殺さないといけない、とハッサンは言っていた。
すなわち、戦闘狂か、または精神不安定なやつだということだ。
そういうやつをスミスに紹介したら、泣いて喜ぶだろう。
砂漠をそろそろ抜ける。向こうで一瞬青が動いた気がする。
テリーは確か青い帽子をかぶっていたのだったな…。

【ケフカ(浮、MP消費) 所持品:ソウルオブサマサ、魔晄銃、ブリッツボール、裁きの杖、魔法の法衣
 最終行動方針:ゲーム、参加者、主催者、全ての破壊】
【カイン(HP5/6程度)  所持品:ランスオブカイン、ミスリルの小手、えふえふ(FF5)、この世界(FF3)の歴史書数冊、加速装置
                   草薙の剣、ドラゴンオーブ、レオの顔写真の紙切れ
 最終行動方針:殺人者となり、ゲームに勝つ】
【共通第一行動方針:西(テリー、アリーナ2,ラムザの戦場跡)へ行き、テリーと接触】
【現在地:カズスの村から西の砂漠】
203制裁 1/2:2005/09/20(火) 23:55:11 ID:dyYjAD+L
ロックたちがローグの埋葬に行った後ソロはピサロに話しかけた。
「なあピサロ」
「なんだ」
「このゲームから脱する方法を考えてみたんだけどさ」
そう言ってロックに話したことと同じ話をする。
天空の剣の効果があれば首輪の魔力を消せるかもしれない。
それを聞いてピサロは小馬鹿にするように笑った。
「貴様、私の力を忘れたのか。凍てつく波動など造作もないことよ」
ソロは驚いた後小躍りした。
「そうか、何か忘れていると思ったらお前、凍てつく波動使えたんだっけ!
 早速試してみよう、僕が実験台になる!」
「よし、ならばいくぞ」
ピサロはソロに手を翳し、念じ始める。すると。

ピーピーピー

「なんだ?」
「ピサロ、首輪が!」

ピピピピピピピピピピピピピーーーーーーーーーーボンッ

ピサロの首輪から電子音が鳴り響き、爆発した。
小規模ながらもその威力はピサロの首を切断し、空へと飛ばす。
「ピサローーーーッ、うわああああああああああああああーーーーーーー!!!!」
鮮血が飛び散る。

204制裁 2/2:2005/09/20(火) 23:56:11 ID:dyYjAD+L


「くくくくく、そう易々と首輪の解除などさせるものか」
盗聴によって事態を知ったアルティミシアが首輪を作動させたのであった。
「さあ、小細工は無駄だ。みな殺しあえ、アハハハハッハハハハハハッハハ」
魔女の哄笑が城内に木霊する。


【ソロ(魔力ほぼ枯渇 体力消耗) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
 第一行動方針:絶叫 基本行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す】

【ピサロ死亡】
【残り61名】
205名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 01:12:15 ID:U//cXRMQ
>>203-204は無効です。
206ユフィの勝利1/2:2005/09/21(水) 15:23:53 ID:AbZUuKXH
「これは一体」
フリオニールは廃墟になった町に着いた、唖然とした。
そして同じように廃墟になった故郷のことを思い出してしみじみした、
そのときだった
「追い付いたわよ!」
「!!」
フリオニールは集中力をなくしたせいでユフィの追撃に築かなかっ
た。
「くらえ!エッジの固き!」
一直線に新羅万像を放つ。
「ぐぎゃあ!」
無様な負け犬の声を聞いてユフィはしみじみ勝利を確信した。
そしてあるひとつのことを思い付いた。
「お前確かマシンガンを持ってたわよね。それで拷問してあげるワ」
フ「謝るから許して」
ユ「ダメ〜!」
ユフィはフリオニールにマシンガンを向けると引金を引いた
悲鳴と内蔵が飛び散った
「やった!固はとったよエッジ!ユフィは最強だからさからうのが間違ってる」
「ユフィ!!!何をしてる!」叫んだのはカインだった。
カインはフリオニールの悲鳴を聞いて戻ってきたのだ!
※実はカインは地獄耳です
しかしユフィは動じなかった。
「私が最強なのよ。
カインは邪魔なので死ぬ」
そして引金を引いた。
カインは目を見開きよけた。さすがカインだとしみじみ思った。カインは強い。
「俺に勝つだなんて10年早い!!」だが遅かっ
た。
207ユフィの勝利 2/2:2005/09/21(水) 15:26:06 ID:AbZUuKXH
「ぐぼばあ!」
結局カインも負け犬だった。
いやユフィの前ではみんなが負け犬……恐ろしい
「アタシは最強だからさからうのが間違ってる」
ユフィは狂いつつあった

【ユフィ(発狂)】



【フリオニール死亡】

【カインハイウインドー死亡】
208名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 18:03:48 ID:NzI7o3TG
>>206-207は無効です
209名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 20:46:40 ID:lgw4JMNF
hoshu
210名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 22:34:30 ID:ejKiWIxX
無効と有効の基準が分からないから投下できんorz
211名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 22:47:26 ID:LxQyTO3P
>210
くたばれ
212名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 22:48:55 ID:32Leadv5
     |ヽ ̄ン、     
   _/`´__ヽ      
     |从´∀`) ̄ 
     ソノ斤川ヽ 
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎   
213悪魔の囁き 1/6:2005/09/22(木) 03:09:21 ID:FikBfZsB
それはいつだったのか。まだ日は高かったと思う。
何事もなかったかのように静まり返った湖から、フィンは目を逸らした。
もう、見ていたくなかった。
湖を。あの魔物を。
ドーガさんが沈む湖を。ドーガさんを殺したあの魔物を。
ふらふらと、森の中へと進んでいく。
虚ろな目を、ただ前へと向けていく。

「アイラを、探さなきゃ…。ギルダーを、止めなきゃ」

まだ生きているはずの仲間を、守らなきゃいけない。
死んでしまった人の遺志を、継がなきゃいけない。
目的を持たなければ、迫り続ける無力感に押しつぶされ、きっと一歩も進めなくなる。

フィンはただ、歩き続けた。
時を忘れ、どれほど歩いているのか、どちらに向かって歩いているのかも分からずに。
214悪魔の囁き 2/6:2005/09/22(木) 03:10:47 ID:FikBfZsB
森を、抜けた。
日は、傾いていた。
けれどフィンにはそれが分からない。
空を見上げ、時間を確認することさえ忘れている。
歩かなきゃ、歩かなきゃ、歩かなきゃ…。
今、彼の頭の中にあるのは、只それだけ。
しかし彼は、不意に止まった。
自分でも何故止まったのかわからずに、フィンは自分の足を見る。
何も変わったことなどない。
もう一度、足を踏み出そうと試みる。
そして、フィンはその場に崩れ落ちた。

只前へ進むこと以外は、何も考えていなかった。
自分があの湖に落ちてから、びしょ濡れのまま動き続けたということも。
進んでいた森は多分に湿気を含み、決して服が乾くはずがないということも。
船乗りの息子として、その結果がどうなるかなど百も承知であるはずなのに。
そんな当然なことの配慮さえ、考えていなかった。

頭が痛い。体が熱い。
先へ、前へ行かなきゃ行けないのに。
アイラを、ギルダーを探さなきゃいけないのに……。
215悪魔の囁き 3/6:2005/09/22(木) 03:12:40 ID:FikBfZsB
ドサッという人の倒れた音。
その音のすぐ南の森から、今度はミシミシという木が軋む音がする。
フィンは、その音に気づかない。
完全に意識を失っていた。

(さ〜て、どうしようかなぁ〜)

木々の間に隠れ、スミスはこの行き倒れの処遇について考えてみた。
カインからは誰かを見つけても何もするなと言われている。
だから、上空でこの男を見つけたときはそのまま無視しようとしたのだ。
が、男はこっちが何もしないのに倒れてしまった。
勝手に倒れて意識もないのなら、自分の存在に気づくこともないだろう。
なら、もう少し近づいて何があったのか調査することも、偵察の内に含まれているのではないだろうか。
幸いこの周辺には誰もいなさそうだし。
そう結論付けて、とりあえずスミスは地上に降りたのだった。

(外傷は、たいしてないな。北の方に見えた湖で溺れでもしたのかな)

もちろんこのまま放っておくというのも選択肢の一つだ。
この男が重症で死にかけであるなら、迷わずそうしただろう。
だが、どうやら身体を濡らして発熱しているとはいえ、このまま死んでしまう確率は低いだろう。
ならいっそ弱っている今のうちに止めを刺しておいてもいいかもしれない。
ただこれは流石に偵察の範囲外になる。
216悪魔の囁き 4/6:2005/09/22(木) 03:14:04 ID:FikBfZsB
とりあえず、男が目を覚まさぬうちに何があったかを調べておくというのが順当だろう。
男に近づきその心を読む。
潜在的に何を考えているか読むだけなので、相手が覚醒していようが気を失っていようが関係ない。
いや、気を失っている状態ならむしろ警戒していない分入り込むことがたやすい。
まずは何を考えているのか。
これは最も表立っているため簡単に流れ込んでくる。

(…アイラ、ギルダー…。探して…、止めなきゃ……)
(ふ〜ん。仲間を探してるのか。止めなきゃって、何かあったのかな?)

そういえば、ギルダーという名前には聞き覚えがある。
あのタバサ達が一時的に行動を共にしてたという奴だ。
元マーダーだったらしいが、つまりこの男はギルダーがマーダーだった頃に接触して、それを止めたいと思っているのだろう。

何かに使えるかもしれないと思いつつ、その情報を頭の隅に寄せる。
今度はもう少し奥に、最近あったことの記憶を探ってみる。

(湖。島。いや、魔物、巨大な。氷塊。水。輝く水面。赤い、ローブ…)

生々しい記憶。それに伴う深い嘆き、後悔。
心に傷を負っている。前の大陸で会ったあの女みたいに。

…使える…。
217悪魔の囁き 5/6:2005/09/22(木) 03:15:31 ID:FikBfZsB
スミスは囁く。それは悪魔の囁き。
言葉は意味を成し、毒をつくり、染み込んでゆく。

(ねぇ、知ってる? 魔物使いがいるんだよ。
 そいつはね、自分では手を汚さず、手下の魔物を使ってもう何人も殺しているんだ。
 偽善者面に騙されちゃいけないよ。あのリュカと、タバサには…。
 女の子だからって、油断しちゃいけないよ。だって彼女、ギルダーの仲間なんだもの…)


木々の擦れる音に、フィンは目を覚ます。
音は、強い風が吹いたからだろう。そこには自分が一人、倒れているだけだった。
頭に手をやる。熱があるのは確実だ。
さっきまで熱かった身体が氷のように冷たい。

「何やってるんだ…」

少しとはいえ日のあたる場所で睡眠をとった所為か、頭はがんがんと痛いが先程より思考は回ってきた。
このまま野垂れ死んでは、それこそ自分は何も出来ない愚か者じゃないか。
キーファ、メルビン、アルカート、それにドーガさんに申し訳が立たない。
今は、自分の身体を休めることが肝心だろう。
仲間を探すためにも、亡き人の遺志を継ぐためにも。
ザックから地図と磁石を取り出す。
ここからならサスーンが近い。
フィンの目は、今度は決意に強く輝いていた。
218悪魔の囁き 6/6:2005/09/22(木) 03:16:21 ID:FikBfZsB
地図をザックにしまうとき、ふと参加者名簿を手に取る。
ぱらぱらとページをめくり、二人の人物を探し当てる。

タバサと、リュカ。

夢で言われたことを反芻する。
何故知っているはずのない人の名前が夢に出てきたかは分からない。
名簿の二人は、とても悪人のようには見えないけれど。
けれど、もし、本当に…。

フィンは、歩き始めた。
ゆっくりと、決して無理にならないように。
サスーンに二人がいることなど知るよしもなく。


その様子を、スミスは凍てついた眼差しで見つめた。
フィンを見送った後、彼は北へと翼をはためかせた。
巨大な魔物のことは、実際に行って調べたほうがいいだろう。
219悪魔の囁き:2005/09/22(木) 03:17:24 ID:FikBfZsB
【フィン(風邪) 所持品:陸奥守 魔石ミドガルズオルム(召還不可)、マダレムジエン、ボムのたましい
 第一行動方針:サスーンへ向かい身体を休める。
 第二行動方針:ギルダーを探し、止める。
 基本行動方針:仲間を探す】
【現在位置:湖の南の平原→サスーン城】


【スミス(変身解除、洗脳状態、ドラゴンライダー) 所持品:無し
 第一行動方針:湖へ行き、巨大な魔物(ブオーン)を調べる。
 第ニ行動方針:サスーン方面の偵察 終了次第カズスへと戻る
 行動方針:カインと組み、ゲームを成功させる】
【現在地:湖の南の平原上空→湖】
220魔王の訪問、魔王の出立 1/9:2005/09/24(土) 14:33:35 ID:N1/AsllK

ウルは、浮遊大陸を、そこにいる人物を繋いでいる過酷な定めとは無関係に、
静かだった。
10人もの数がその静寂の中で身を休めている。
今その村へとたどり着く、魔王の姿があった。

静かだ。
村の西側の入り口。ザンデはそんな感想を漏らしながら、歩みを止める。
本物の静寂の中、静けさを装う気配の存在に気付いたため。
「見張りか。ファファファ……そこにいるのだろう?出て来たらどうだ」
言いながらゆっくりと抱えていたレナの身体を静かに地面へ下ろす。
返事は素早かった。
「レナッ!?」
物陰から重装備に身を固めた少女が飛び出し、レナの元へと駆け寄る。
「レナ…良かった、気を失ってるだけか」
横たわるレナの生存を確認し、直立不動でそれをじっと凝視しているザンデを見上げる。
「あのさ、レナと…いや、レナは……うー、レナは一体どうしたのっ?」
「錯乱していたところを拾っただけだ。ただそれだけのこと」
「えーと、でもさ、レナを助けてくれたんだよね?あたしはリュック、あんたは?」
「ザンデだ。ノアの弟子、といってもわかるまい。だが、まずは」

わたぼうの連絡を受け急いでこちらへ向かっていたロックが見たものは、
威圧するようにリュックを見下ろす男の姿、
そして瞬時にリュックを捉える二つの魔力の直方体の像――
221魔王の訪問、魔王の出立 2/9:2005/09/24(土) 14:37:38 ID:N1/AsllK

魔力が導いた像が消えるまで、ロックは身動きできなかった。
しかし、直ぐに思考を取り戻す。
ロックの視線にゆっくりとこっちを振り向いたその男と目が合う。体が躍動する。
「リュック!大丈夫か!?おい、なにしやがる!」
クリスタルソードを手に、持ち前のスピードで一気に間を詰めてゆく。
「ちょっとロック、やめてよ!あたしはなんともないよ!」
リュックの制止は耳に入らない。
けれども他に選択肢が思いつく状況であったかは別にしても
結果は未知の相手に対して無警戒が過ぎたと言えるものであった。
西日に照らされて長く伸びたザンデの影に切り込んでいくロックの影が触れた瞬間。
「シェイド」
短く影縛りの魔法が唱えられ、盗賊はその動きを止める。あたりは一転して静の情景へ。
「私は不毛な争いに来たわけではない、話をしに来たのだ。落ち着いて欲しいものだな。
 最もその状態では口を開くこともままならないか。さて、貴様はこの女の知り合いか」
麻痺して動けないロックを一瞥し、足元のリュックに話し掛ける。
「あ、うん。レナとは前の世界から一緒だった」
「から、か。ずいぶんと酷い状態だった。何があった」
「…それは、えーと……」
リュックの表情が判りやすく暗くなる。詮索する興味はそれで失せた。
「まあ特に私には関係ないことだな。それよりも貴様の仲間はこの男だけか」
「え、あ、ごめん。いや、他にもいるよ。向こうの宿屋でみんな休んでるんだ。
 話があるって?えーと、さっきわたぼうにみんなに知らせに行ってもらったから……ほら」
向こうに、わたぼうと報告を聞いて駆けつけたソロとピサロの姿が現れる。
「ごめーん、わたぼう、こっちは大丈夫。他の皆も呼んできてくれない?って、ええっ!?」
リュックの横で、動けないロックをライブラが襲っていた。
事情を説明しもう一度わたぼうに他のみんなを呼びに行ってもらっている間、
ライブラと分析癖についてザンデは四人に一応説明はしたが、それは別の話。
222魔王の訪問、魔王の出立 3/9:2005/09/24(土) 14:42:28 ID:N1/AsllK

 とりあえず目を覚まさないレナを宿屋とは別の建物―防具屋に運び込む。
 この際、ロックの主張により彼女の持ち物は全てリュックの管理下に移された。
 宿屋で眠り続ける人のためにビビとわたぼうについていてもらい、
 残りは村の真ん中、宿屋と防具屋を一望できる広場に集まる。
 そして、彼らの会談が始まった。

(屋内に何人残っているかは分からぬが、たいした人数が集まっているものだ)
 集まった者の顔を見回しながらザンデはにやりと笑う。
 ライブラで確かめるまでも無く目の前の銀髪の男と
 眼光の鋭い方の緑色の髪の男には強力な力を感じていたからである。
 それに私が求めているものとは異なるが、
 もう一人の緑髪の方にも異質な力を感じる。こっちは分析してみたい、と思うが。
 他にもレナと呼ばれた女と仲間だったという重装の女、
 疑った目でこちらを見ている盗賊、
 先ほどから連絡の役を負っている私にとって未知なる力あるモンスター、
 それに宿屋の入り口からちらりとこちらを覗き見ていた黒魔道士の子供。

 協力者として引き込めるなら能力も人数も望んだ以上だ。
 しかし、監視をくぐりつつ説明と説得が出来るだろうか。
 このような道楽を考え実行しているような奴等だ、目的は未だ不明だが、
 自分で楽しみを壊すような真似はしまい。おそらくそう妨害には出てこないはず。
 しかしルールを覆すような行動が可能となれば黙ってはいないだろう。
 全ては、賭けるに足る可能性を得てから一気にやってしまわねばならない。

「さて……では、話しても良いかね?私はザンデ、ノアの弟子だ」
223魔王の訪問、魔王の出立 4/9:2005/09/24(土) 14:47:13 ID:N1/AsllK

 各人の紹介がそれに応える。それから、ザンデはペースを崩すことなく淡々と話始めた。
「まず単刀直入に私の目的を伝えておこう。私はこの世界からの脱出を考えている」
 ゆっくりと5人を見回す。
「そのために私は高い魔力と、旅の扉についての情報を求めている。
 だから協力しろ、というわけだ。以上だ」
 簡潔すぎる、そしてあまりに一方的。賛同を得られるはずも無く、誰の反応もない。
「それだけか?たったそれだけであんたの事を信用して協力しろってか?」
 ロックが、最初に口を開いた。
「ほう、一体どのあたりに疑問があるのか」
「はっきり言って信用が無い。あんたがやりたいことも見えないし、素性もわからない。
 そもそも交渉の態度じゃないだろ、それ。大体ライブラだって何のつもりだか」
 一息に文句が口をつく。最後の方はシェイドとライブラの恨みか。
「ファファファ……今は向こうも様子見といったところだろうな」
「はぁ?何の話だよ」
 疑問の色を含んで全員の視線がザンデへ集まっていた。
「わからぬか?監視だ。程度はわからぬがこの世界には当然に監視の網があるだろう。
 そのような状況で危険な話を我が頭脳から外に出す愚行など犯さぬ。
 積極的に動く事は無いようだが明確な反抗を見過ごすはずはあるまい。
 脱出の意思を口にしただけで既に目をつけられていると考えても問題はない」
 反射的に自分の首輪へ手を伸ばすロック。言葉は出ない。
「それに素性、というがこの世界に集められた者どもは大抵お互いに見知らぬもの同士であろう。
 貴様らの関係は知らぬがそういった者がまとまるのは利害や目的の一致のためだ。
 その点で見て私に協力することが貴様らの利害に反するか?」
 ロックがそれに答えるより早く、ピサロが威圧感のある声が横から割り込んだ。
「貴様の謳う目的はほぼ全員の利益だ。しかし、ロックの言うことも尤もだろう」
 声のほうを向いたザンデとピサロの眼光が空中でぶつかり合う。
「貴様自身かなりの使い手のようだが、さらに魔力を手に入れて一体何をするつもりだ?
 口では脱出を唱えていてもその確証はどこにもない。
 全員に打ち勝てるだけの魔力を手に入れ勝者となる、と考えていない確証がな」
224魔王の訪問、魔王の出立 5/9:2005/09/24(土) 14:51:47 ID:N1/AsllK

 場の雰囲気はやや険悪な方向へと傾きかけているようだった。
 フォローを入れようかとソロが口を開くのを制する様に大きな笑い声が上がる。
「ファファファ……今この場にいる私以外がどういったもので結びついているかはわからぬ。
 信頼を重んじるというのであるならば今すぐに私にそれを示す手段などありはしまい。
 つまり、交渉は物別れのようだな」
「待ってください、ザンデさん」
 唐突に打ち切りを宣言した相手にソロが待ったをかける。
「引き止めるか?そうだな…貴様らとの話し合いは時間の無駄だ。私は自らの求めるものを探すのみ。
 だが、一つだけ頼みたいことがある。レナとやらを預かってもらえぬだろうか。
 やはり怪我人を負っていては動きに支障があるのでな」
「お前なっ、自分の言いたいことだけいいやがって…」
「うん、わかったよ」
 食って掛からんばかりのロックを無視してリュックがそれを受ける。
「そうだな。起きたら聞きたいこともある。あいつには辛いかもしれねぇけどよ」
 微妙な表情のまま、ヘンリーがそれに同意する。
「うん…でもっ、もともとあたし達の仲間なんだし。
 そりゃ、不安も心配もあるけど落ち着いて話してみないとわからないことだってあるだろうし。
 でもとにかく連れてきてくれてありがとね、ザンデさん」
「気にするほどのことでもない。
 明朝には私はこの村の北の洞窟にいるはずだ。協力する気になったなら来てもいい。
 さて、私は先に行くことにしよう」
 踵を返し歩き出そうとするザンデを、再び後ろからさっきと同じ声が引きとめた。
「いえ、まだです。待ってください、ザンデさん」
「まだ何か言いたい事でもあるのか?」
「確かにあなたは信用できない。それはピサロの言うとおりだ。
 だけどこれから信用することはできます。だから、僕はあなたを見定めたい。
 ザンデさん、今は誰とも敵対するつもりは無いのでしょう」
「向こうが仕掛けてこなければな。私の目的は定まっている。それは敵を増やすことではない」
「なら、僕も一緒に行きます」
「おい、ソロ!?」
225魔王の訪問、魔王の出立 6/9:2005/09/24(土) 14:56:05 ID:N1/AsllK

「いや、心配は要りません。ヘンリーさん。ところでザンデさん、
 さっき明朝には北の洞窟にいるといいましたが、どこへ向かうつもりなんです?」
「カズスとサスーンへ向かい同様に目的のものと協力者を探すつもりだ。
 真夜中までにはサスーンへたどり着きそこから折り返す予定にしている。
 洞窟で一応待ち合わせの約束があるのでな」
「なるほど。…ピサロ、それにみんな。僕が戻るまでターニア達を守ってやってくれませんか?」
「いや、ソロよ。それは受け入れ難いな」
 さっきからやり取りをじっと見ていたピサロが立ち上がり、口を開く。
「目的のため、動きたいのはお前だけではない。はっきり言って明朝までの時間拘束は痛い。
 それに、お前も万全ではないだろう。それでは不安が残る」
 言葉を切り、いったん辺りを見回す。
「つまりは…だ。その見極めの役、私が引き受けよう。
 そろそろ動きたいと考えていたところだ。理由としてはちょうどいい」
 視線をザンデで止め、睨みつけたまま言葉を続ける。
「ザンデ。貴様を信頼したわけではない。そこの男、ソロを信用したのだ。
 それに私も自らの目的のために行動する。貴様を仲間と思って同行するわけではない」
「ファファファ……私の邪魔さえせぬなら誰なりと勝手についてくればいい。
 私はもう発たせてもらおう」
 そのまま背を向けるとザンデはもう歩き出していた。
「おい、勝手に決めんなよ」
「怪我人はおとなしく安静にしていることだ。後は…レナだ、気をつけて見ておけ」
「…ピサロ、それじゃあ僕の代わりを頼む。みんなは僕が守るから」
「お前も無理は避けてゆっくり休め」
「おい待てって!」
 ヘンリーとロックが何かわめいているが聞き入れもせず、ピサロはザンデの後を追って歩き出す。

入るは一人、出るは二人。二人の魔王が目指す次の目的地は――カズス。
226魔王の訪問、魔王の出立 7/9:2005/09/24(土) 14:59:31 ID:N1/AsllK


「ったくよ。何様だよあいつ。勝手に決めやがって、行っちまいやがった」
「まあヘンリーさん、落ち着いて」
「俺だって元気なら何とかしたい相手がいるってんだよ…?おい、ロック?」
 目の端に動くものを感知して振り返るヘンリー。だがそこには既に誰もいなくて。
「おいローックッ!どこ行くんだよーっ!」
 村の出口へ向け駆け出しているロックの姿があった。
「ソロ、ヘンリー、リュック、悪い。でも俺も行かせてもらうぜ!
 あいつらだけじゃ信用ならねぇからよ、俺もいろいろと見極めたい!」
「お前なぁっ!!」
「それじゃ、またなっ!お互い無事でいようぜ!!」
 言い残し、反転。それから小さくなった二つの人影を追いダッシュで走り去った。

「全くよ、どいつもこいつも…勝手だぜ」
「ええ、でもヘンリーさん、このゲームが始まってもう二日目の夕方です。
 僕の仲間も含めてたくさん死んでしまったし、動かなきゃって焦る気持ちも分かります」
「だからって怪我人も放っては置けねぇしなぁ。くそっ、こんなゲームが…」
「……ああーーっ、そーーだっ!!」
「ーーーっ、何だよリュック、大声出して」
「ごめんごめん。あー、ピサロさんもロックももう行っちゃったよね…
 みんなに伝えなきゃいけないことがあったんだけどなぁ」
「大事なことならいまさら思い出すなよな」
「だって色々あって大変だったじゃない。みんな疲れて休んでたしさ」
「それで、大事なことって、なんですか?」
「ああ、えーとね、アリーナって子の………」
227魔王の訪問、魔王の出立 8/9:2005/09/24(土) 15:01:27 ID:N1/AsllK

【ソロ(魔力ほぼ枯渇 体力消耗) 所持品:さざなみの剣 天空の盾 水のリング
 第一行動方針:休息 基本行動方針:これ以上の殺人(PPK含む)を防ぐ+仲間を探す】
【ヘンリー(手に軽症)
 所持品:G.F.カーバンクル(召喚可能・コマンドアビリティ使用不可、HP3/4) キラーボウ グレートソード
 第一行動方針:休息 基本行動方針:デールを止める(話が通じなければ殺す)】
【リュック(パラディン) 
 所持品:バリアントナイフ マジカルスカート クリスタルの小手 刃の鎧 メタルキングの剣
 ドレスフィア(パラディン)、チキンナイフ、薬草や毒消し草一式
 第一行動方針:アリーナの仲間を探し、アリーナ2のことを伝える
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す  最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【現在地:ウルの村 外(中心の広場)】

【ビビ 所持品:スパス 毒蛾のナイフ
 第一行動方針:休息 基本行動方針:仲間を探す】
【わたぼう 所持品:星降る腕輪 アンブレラ
 第一行動方針:アリーナの仲間を探し、アリーナ2のことを伝える
 基本行動方針:テリーとリュックの仲間(ユウナ優先)を探す  最終行動方針:アルティミシアを倒す】
【エリア(瀕死からは回復 体力消耗 怪我回復) 所持品:妖精の笛、占い後の花
 第一行動方針:睡眠中】
【バッツ(左足負傷・睡眠中)
 所持品:ライオンハート、ローグの支給品(銀のフォーク@FF9 うさぎのしっぽ 静寂の玉 アイスブランド ダーツの矢(いくつか))
 第一行動方針:眠って頭の整理中 基本行動方針:レナ、ファリスとの合流】
【ターニア(心労過多) 所持品:微笑みの杖
 第一行動方針:睡眠中 基本行動方針:イザを探す】
【現在地:ウルの村 宿屋内部】

【レナ(気絶) 所持品:なし
 第一行動方針:不明】
【現在地:ウルの村 防具屋内部】
228魔王の訪問、魔王の出立 9/9:2005/09/24(土) 15:02:09 ID:N1/AsllK

【ザンデ(HP 4/5程度) 所持品:シーカーソード、ウィークメーカー
 第一行動方針:仲間、あるいはアイテムを求め、カズスの村へ
 基本行動方針:ドーガとウネを探し、ゲームを脱出する】
【ピサロ(MP1/2程度) 所持品:天の村雲 スプラッシャー 魔石バハムート 黒のローブ
 第一行動方針:ザンデに同行し相手を見極める 基本行動方針:ロザリーを捜す】
【ロック 所持品:キューソネコカミ クリスタルソード
 第一行動方針:ザンデ(+ピサロ)の監視
 基本行動方針:生き抜いて、このゲームの目的を知る】
【現在地:ウルの村→カズスの村へ】
229ユフィがヒロイン:2005/09/24(土) 15:46:06 ID:rt1Ykh6n
ピサロとザンデとロックは歩いていた
するとユフィが現れてピサロとザンデを倒した
ロックは強いユフィにメロメロになった
「ユフィは俺が守る」
「ロックったら…」もじもじ
ロックはそのままユフィの体をむさぼった。
「ああん…ロックう」
二人がどこに向かうかは誰も知らない。

【ロック 行動方針ユフィを守る
【ユフィ 行動方針ロックに守られる
【ピサロ死亡】
【ザンデ死亡】
230名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/24(土) 15:48:09 ID:/nLIZAjs
>>229は無効です
231名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/25(日) 20:30:51 ID:/jwiRwHE
補間
232名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/26(月) 22:10:00 ID:e+Li7iSd
保守
233名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 02:09:24 ID:L0CSVab8
保守
234名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/28(水) 20:17:07 ID:L6/wSRqu
235名前が無い@ただの名無しのようだ
何この自由参加型とか言った一部の奴だけのオナニースレ。