628 :
614:2006/01/05(木) 02:04:18 ID:onuhaZ6y0
―夜〜酒場―
「ハァァァ〜」
盛大な溜息をつくと、勇者はテーブル上の料理をフォークで突っついた。
町を一通り見て周った後、夕食を取ろうという事になり一行は酒場に来た。
が、戦士は食事もそこそこにどこかへ行ってしまったし、
武闘家と賢者は落ち込んでいる勇者に気を使ったのか
こちらも早々に席を立ってしまった。
「(気安す過ぎただろうか。軟派な奴と思われてしまっただろうか)」
さっきからそんな事ばかりが頭の中をグルグルと回っている。
恋…今まで戦ってきたどんな相手よりもやっかいな相手。
いかに勇者とはいえ、まだまだ十代半ばの少年である。まして相手は年上であった。
「ハァ」
何度目かの溜息をつくと、勇者はのそのそと食事を再開した。
629 :
614:2006/01/05(木) 02:05:21 ID:onuhaZ6y0
「おやおや、まだ食事の最中でしたか」
酒場に戻ってきた賢者はそう言いながら勇者の対面の席に腰掛けた。
「賢者さん…」
「どうしました?いつものあなたらしくないですね」
「そうは言うけどさ、もうどうしたら良いのか…」
思わず口ごもる勇者。その目を真っ直ぐ見ながら賢者は言った。
「うじうじ悩む前にまず行動してみてはどうです?口に出さなければ伝わらない事もあるのですよ」
「でも…」
「"やらずに悔やむよりもやってから悔やめ"、ですよ。あなたの信条ではありませんか」
「うん…」
「今何もせず、後から悔やんでも良いのですか?」
「そうか…そうだな」
その言葉に勇者は顔を上げると勢いよく席から立ち上がった。
「彼女でしたら町の外のオアシスにいましたよ。ポケットの中の物を忘れないで下さいね」
「賢者さん…ありがとう」
勇者はポケットの中を確かめると、勘定を済ませ夜の町へと駆けていった。
630 :
614:2006/01/05(木) 02:05:56 ID:onuhaZ6y0
「珍しいじゃない?あなたがそんなおせっかいを焼くなんて」
勇者と入れ替わるように酒場に入ってきた武闘家は、そう言いながら賢者の隣に腰掛けた。
彼女も勇者の事が心配で戻ってきたのである。
「なに、あの二人があんな様子では明日からの戦いに悪影響が出ると思いましてね」
とぼける様に言いながら賢者はグラスを傾けた。
「彼、とても良い目をしてたわよ。どんな助言をしたのかしら、賢者様?」
クスクス笑いながら武闘家はからうように尋ねた。
「やれやれ、一杯おごりますからもう勘弁していただけませんか?」
そう言いながら賢者は酒場のマスターに声をかけるのであった。
631 :
614:2006/01/05(木) 02:07:52 ID:onuhaZ6y0
―夜〜オアシス―
「どうしたのかしら、私」
戦士は一人ぼんやりとオアシスに映る月を眺めていた。
彼女は孤児だった。
両親は隣町へ出かけた際、モンスターに襲われて死んだ。
たまたま用があって一緒に行かなかった彼女は難を逃れたのである。
身寄りの無かった彼女は、父の親友である剣術道場の師範に引き取られる事になった。
それから数日経ったある日、彼女は養父に剣術を教えて欲しいと頼み込んだ。
初めは驚いた養父だったが、彼女の決心が固いと見ると弟子になる事を認めてくれた。
別段両親の仇を討とうとかそんな事を考えたわけではない。
実際、両親を殺したモンスターは町の自警団によって既に退治されていた。
ただ彼女は強くなりたかったのである。
養父にいつまでも迷惑を掛けたくないというのもあったが、
なによりも自分の無力さが嫌だった。
両親が殺されたと知ったとき、彼女は泣いた。一晩中泣き続けた。
両親を失った悲しみ、一人ぼっちになってしまった事への恐怖、
そしてただ泣く事しか出来ない自分の無力さが悔しくて泣いたのである。
「強くなりたい…もう何も出来ずに泣くのは嫌」
ただその一心で、来る日も来る日も彼女は修行に明け暮れていった。
同年代の少女達は恋にお洒落にと青春を謳歌していたが、彼女は剣を振るうのみであった。
それが辛いとは感じた事は無かった。
養父である師範は厳しい人であったが、実の子のように愛情を注いでくれたし、
道場に通う他の門下生達も、荒っぽいが気の良い人物ばかりだった。
剣の道は険しかったが、確かに彼女は充実していた。
632 :
614:2006/01/05(木) 02:09:37 ID:onuhaZ6y0
「それがこんな気持ちになるなんてね…」
昼間、民芸品屋で勇者に声をかけられた時、思わず心臓が跳ね上がった。
髪飾りに見惚れていたせいで隙だらけだったのである。
らしくない、実に自分らしくなかった。
この異国の持つ独特の雰囲気のせいだろうか?それともあの美しい女王に謁見したせい?
それとも―
「それとも、あの優しい眼差しのせい?」
思わず呟いていた。
633 :
614:2006/01/05(木) 02:13:59 ID:onuhaZ6y0
「良かった、まだいたんだ」
その声に振り向くと、勇者がこちらに向かって歩いて来る所だった。
余程急いで走って来たのだろうか?汗をかきながら肩で息をしている。
「勇者…」
まただ。また心臓がドキドキする。
でも嫌な感じでは無かった。むしろ心は穏やかだった。
やがて勇者は戦士の目の前に立った。が、ただ黙っているだけだった。
「何か話でもあるの?言い辛い事?」
戦士が尋ねると、勇者はやっと口を開いた。
「渡したい物があるんだ。手を出して」
訳の分からないまま戦士が手を出すと、
勇者はポケットから何かを取り出しその上に乗せた。
634 :
614:2006/01/05(木) 02:15:29 ID:onuhaZ6y0
「え?こ、これ…」
戦士は驚いた声を上げた。それは昼間民芸品屋で手に取ったあの髪飾りだった。
「きっと似合うと思ってさ。やっぱり買っちゃったよ、それ」
照れながら勇者がそう言った。
「な、何言ってるのよ。いらないって言ったでしょ。大体こんな物買ってる場合じゃ…」
なおも言葉を続けようとする戦士だったが、勇者はそれを遮ってこう言った。
「だからさ、今じゃなくて良いんだ」
「え…?」
きょとんとする戦士を真剣な目で見つめながら、勇者は言葉を続けた。
「約束するよ。きっと魔王を倒して世界に平和を取り戻してみせる。
だから…そうしたらそれを身に着けてくれないかい?
その時にはきっと俺も君に相応しい男になっていてみせるから」
そこまで言った後、バツが悪そうに頭を掻きながら、
「ま、まぁ皆の協力が必要なんだけどね」
とそう付け加えた。
「もぅ…馬鹿」
黙って話を聞いていた戦士だったが、勇者の方に向き直るとそう言った。そして、
「でも、ありがとう」
そう笑顔で付け加えたのだった。
手の中の髪飾りを大事そうに握りしめながら―
終
635 :
614:2006/01/05(木) 02:17:05 ID:onuhaZ6y0
はい。お目汚しでした。とりあえずこんな感じで。
若干性格なんかが変わっているような気がするけど気にしないで。
特に勇者。熱血漢よりも頑張りやとかのほうが良かった?
最後に。
「どこかで見た展開だな〜」とか思っても笑って許して。
勿論盗作とかしていないけど、似たようなSSを書かれている方もいると思うし。
俺自身今まで触れてきた小説やら漫画やらゲームやらに多大な影響を受けているしね。
636 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/05(木) 10:57:38 ID:BAe20eELO
(*´∀`*)ほのぼのできた
↑やべ、sage忘れた…
(゚∀゚) イイ!
GJ!
ほしゅあげ
641 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/09(月) 16:33:26 ID:AKnXouke0
女戦士は素直クールが良いと思うのです
ほう
645 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/12(木) 21:01:41 ID:jZHb9Ubx0
あげまん
hoshu
647 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/14(土) 12:33:44 ID:O//BCj/QO
新山の女戦士はツンデレ?
ツン間で逝ってない
>647
デレデレツンデレ
ho
冬コミに本人、来てたのか?つか、本買った人おる?
ほしゅ
あげちゃう!
654 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/20(金) 16:46:22 ID:L9NX+aRQO
古川やすしって知ってる?
656 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/22(日) 14:01:24 ID:9C9qW2C+0
ほしゅあげ
657 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/25(水) 00:57:10 ID:L1qY4epV0
おっぱい
658 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/26(木) 02:30:45 ID:KoOIusuX0
腹直筋あげ
ほしゅ
660 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/28(土) 00:29:25 ID:bbeK7nWp0
金メダルアクメッッ!!
『ひねくれもの』の女戦士ってツンデレだよな。
でも女戦士と言えば、『さびしがりや』・・・ハァハァ(´Д`;)
662 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/01/30(月) 04:51:16 ID:rhRMqMyD0
一時期、この人のエロ虹ってなかった?
新山たかしの絵はやたらエロいけど
実際にエロい描写を描かせると、何故か全くエロくなくなる
>>663 この人のマンガは直接的なエロ描写よりも抽象的な表現が萌へる!
女戦士のヤキモチとかクリフト・アリーナ、ピサロ・ロザリーのバカップルぶりとか
ho
666 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/01(水) 11:07:07 ID:uhfFZw5U0
↑絶対見るな!!
668 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2006/02/01(水) 19:37:05 ID:88R0okz50
ワンクリにひっかかって慌てる女戦士たん
ho
人いないね…
カレー吹いちゃった
>>669は今頃なにやってんだろうな
>>673 古川やすし18禁同人より。PC無害。青少年有害。
構図はイイけどネタがどうにも安っぽい……。
>666は恐い画像?
677 :
(; ´エカ`):
>>673 朝勃ちセクース(; ´エカ`)ハァハァ