どーするよ?
2げっつ?
とりあえずたんすを調べる
とりあえず就職の心配はなくなるな
スライム狩ってれば生活費稼げるし。数G払えば宿屋に泊まれるから家も必要なし
5 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 05:51:09 ID:Y3CfadkC
とりあえずもう一寝する
自分のステータスを確認する
7 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 07:21:01 ID:ndYrEjU6
目が覚めたら、DQ世界の宿屋だった。
寝起きのはずなのになぜか宿屋のカウンターに直立している俺。
フラフラしながら宿屋の主人が何か言っているのを聞き流す。
とりあえずこの世界の人の話を聞きたいので「あの」と話しかけてみると、
即座に「泊まりますか?夜まで休みますか?どちらも4ゴールドです」と言われる。
怖くなって宿屋から出た俺はステータスを確認しようとするが、ステータス窓が出ない。
なんとなく HP11 MP2 Lv,1 そんな感じがする。感覚の問題らしい。
ちから3というのはレベル1にしても低すぎる気がするが、MPあるし、虚弱体質なので納得する。
装備は布の服。以上。ノーパンなので股間がスースーする。ブリーフでいいから下着が欲しい。
所持金0G。無一文だ。確かに俺はニートだが、10Gくらいあってもよさそうなものだ。
パンツがほしい。できればトランクス。
地形や色合いが不自然な町をウロウロして店を探す。
人通りはまばらだが、同じ顔の人間が複数いる気がする。誰も彼も目が死んでいるような気がする。
道具屋を発見。店主らしき小太りのオッサンに話しかける。「あの、パンツありませんか?」
「いらっしゃい、ここは道具屋です。何をお探しで?」「あの、パンツ」
パンツを求めるが、店主は何も言わず、よどんだ目でじっと俺を見つめている。
カウンターに見本らしい品々並べられていて、アルファベッドに似た字で、紙切れに品名が記されている。
なんとなく読める。やくそう、どくけしそう、せいすい、キメラの翼…下着は置いてないらしい。
「すいません、ほか行きます」「ありがとうございました!またどうぞ!」ある意味では良心的な店だが。
とりあえず「ゆうべはお楽しみでしたね」と言われてみる。
店を探して通りを歩く。歩いてる人が少なくて、それが妙に怖い。
と、町のスミっこの木陰に宝箱を発見。開けてみると、青と白のストライプの…ステテコパンツだ!
幸運に喜びつつ、そのまま木陰で着替える。布の服を脱ぎ捨てて全裸になった俺は、
ステテコパンツに足を通した。まあまあの履き心地だ。パンツ履いたので、布の服を着る。
上着を着て、ズボンを履いて、腰紐をキュッと締めた瞬間ステテコパンツが足元にパサッと落ちた。
そうだ、ステテコパンツは鎧扱いだった。
防御力4の布の服を装備して、とりあえず普通の人として外を歩くか。
防御力8のステテコパンツを装備して、パンツ一丁の変態として歩くか。
布の服のままステテコパンツを持って通りに戻ると、
40mほど先に武器屋と防具屋が並んで建っているのを発見。
防具屋の店主はインド人風の中年男、武器屋は筋肉ムキムキで半裸にツノマスク。
何をするでもなくカウンターの向こうに直立し、虚空を見つめている。
防具屋に話しかける。布の服なら15G、ステテコパンツなら50Gで買い取ってくれるとのこと。
こんな世界でもパンツ一丁というのは抵抗があるので、パンツを売る。
旅人の服は防御力7、70G。なんで服なのにパンツより脆いんだろう。でも欲しい。
モンスターを倒して金を得よう。素手じゃムリそうだったら、ひのきのぼう(20G)を買おう。
町を出ると妙にノッペリした世界が広がっていた。遠近感が狂いそうだが歩き始める。
最初に遭遇したスライムベスの一撃で意識が遠のき、DQキャラの苦難を痛感する。
蹴り殺してやろうとローキックを放ったら、その足に体当たりを食らい、鈍い音を立ててスネがヘシ折れる。
激痛で意識を失う。
次の瞬間、目の前に神父が立ってボソボソと何か言っていた。
どこも痛くないけど、精神的に疲れた。所持金は25Gに半減していた。
さっきと同じ町。どれくらい時間が経ったのかは分からないが真昼だった。
途方に暮れた俺は武器屋でひのきの棒を買い、宿に部屋をとった。
所持金1G。
ネバーエンディングストーリーを思い出すんだが・・・。
良スレ。
外に出る前に、さらなるアイテムを求めて町を探索する。
家々を回ってツボを割り、タルを割り、タンスを荒らす。思ったとおり何も言われない。
くまなく調べて薬草2個と聖水を獲得。生まれて初めて井戸に潜ってみたが、何もなかった。
パンツの時もそうだったが、俺の行動が何かに縛られているようだ。
ツボ割ってOKなら村娘の乳揉んでもOKだろうと、手を出そうとした瞬間、体が硬直して動かなくなった。
つまらん。
ひのきの棒。全長1mすこし、重量700gといったところ。使いやすい感じ。
外に出てスライム3匹に遭遇、交戦。スライムの小ささにイラつく。当たるけど狙いがシビア。
3匹全てを撃破する。しかし右眼球破裂、右肋骨3本骨折、それが肺に刺さると被害甚大。
戦ってるうちに気絶しないコツを掴んだので、死ぬほど痛いけどなんとか気絶しない。HP2(体感)。
口からゴボゴボ血を吐きつつ道具袋から薬草を取り出して右目にこすりつけてみる。
なんか、ブリブリと奇妙な音を立てて眼球が再生した。普通に見える。
他のケガにも擦り付けて体力全快。HP14ぐらい。レベルが2に上がったようだ。
何か呪文を覚えているかもしれないので、恥ずかしいけど試しに「ホイミ!」と叫んでみる。
何も起こらない。HP満タンだからなのか、MP足りないのか、覚えてないのか。不便だ。
ちょっと自信がついたので森に入ってみるとドラキーが2匹出た。
試しに手のひらを向けて「メラッ!」と叫んでみたところ、左耳を食いちぎられる。
1匹をなんとか撲殺したものの、2匹目の爪攻撃で右腕をもがれてしまい、HP5。
薬草を使ったら右腕がすごい勢いで生えてきた。耳も。ドラキーに聖水かけたらジュワーって溶けた。
足元に転がっていた俺の腕(元)がどこかに消えて、破れたはずの布の服のソデが再生している。
血まみれボロボロだったのに、いつのまにか新品同様になってる。おかしい。
所持金7G。
戦闘で金稼ぐの、しんどい。
帰りたい。
なんだか無駄にグロいw
良スレだからあげちゃえ
13 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:23:05 ID:mqu0qfcl
生々しい
良スレ期待age
15 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 12:06:20 ID:sQVl7yo9
メラワロス。
ククールに会いに行く
電車の中で読んでてブリブリの所で思わず吹き出してしまった(恥
良スレだなw
18 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 14:17:31 ID:WhHrepfq
続き楽しみやわ
20 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 15:20:48 ID:2mgOvH8f
頑張って作ってね
21 :
1:05/03/15 15:21:07 ID:YLWiDdRs
あっ、なんとなく立てたらなんか良スレっぽくなってる
>>7>>9>>11の人がんばって。Lv99まで
たぶん世界一の商人になる
8の世界ならまだしも、5あたりの世界に行ったら、キツいだろうな
主人公、散々な目に合うしさ
良スレsage
でも、こういうの面白いね。
応援sage
俺もネタを考えてみようかな
誰も書かないので、書いてくれよage
ID:ndYrEjU6天才だろw
続きはー?
>>27 もしかすると女の子ダメージスレのあの人じゃないか?
どちらにしても11は良ネタなので、あっちにも貼ってこよう。
30 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 10:08:51 ID:mco7rEHt
うはー天才がいる
上げ
面白いけどグロイな。
そうか、現実で現すとこんなんか。
とりあえず武器屋に住み込みで働いて金を貯めて家を買う。
そしたら気の効く綺麗な奥さんをもらって子供をもうける。
次に自分の店を持つための旅に出る。
店を持ってそこが軌道に乗ってきたら奥さんに任せて自分は伝説の武器を探す旅に出る。
質問。
DQの宿屋って飯付き?
戦いでボロボロになった体を癒そうと宿屋に向かう。
戦闘終了後はいつも現実では考えられない満身創痍だ。今日も腕がちぎれている。
「泊まりますか?夜まで休みますか?どちらも4ゴールドです」
もはや聞きなれたセリフ。毎回機械のように効率的な接客をしてくれる。
「はい」と答えると画面が真っ暗になり、気づくとちぎれた腕も復活し、俺はカウンターの
前に立っている。体力は全快しているが全く休んだ気にならない。
そういえば飯も出されていない。というか腹が減らないんだ…おかしい
それどころか便意も感じない…
俺の人間としての生理現象までDQ仕様になってしまっているようだ
35 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 13:17:57 ID:2MnW73ot
トリ!トリ!
死なないかぎりHP1でも普通に戦い続ける運命sage
37 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 13:43:44 ID:meDvdn6w
ndYrEjU6以外の奴はもう少し頭をひねれ。
39 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 13:55:29 ID:meDvdn6w
DQ仕様なら、腕千切れるとかないと思う
新しい村に到着する、何やら騒がしい、話を聞くと魔物が村を襲ったようだ。
村長らしき人に魔物退治を依頼される。嫌だ、行きたくない。
励ましの言葉でもかけて丁寧に断ろうとしたがなぜだ、頭の中には「はい」と「いいえ」の
二つしか浮かばない、仕方なく「いいえ」と答え、立ち去ろうとする・・・だめだ、
体が動かない、その上一度断った俺にまだしつこく依頼をしてくる。
観念して「はい」と答えてしまった・・・。
魔物は村の東の洞窟にいるらしい。他には何の情報もくれない。
村長の紹介で村人の1人が魔物退治に同行してくれることになった。
名前はトムというらしい、威勢のいい若者だ。準備もそこそこに洞窟に向け出発する。
トムは俺のケツにくっついて歩き、一言もしゃべらない、何なんだこいつは。
最初に会った時は口数も多かったじゃないか。
洞窟に到着した、普通は暗いはずの洞窟だが光に満ちている。これなら進みやすい。
少し奥に入ったところで魔物に襲われる、お化けキノコだ。
トムが果敢に突っ込んで行く、数回お化けキノコに攻撃を当てたが、
反撃を受けその場に倒れこむ。俺も買ったばかりの銅の剣で攻撃を仕掛ける。
さすが220ゴールドもした武器だ、お化けキノコは一撃で絶命した。
気がつくとトムがいつの間にか棺おけの中に入っている。何なんだこいつは。
あのお化けキノコが村襲った魔物だったんだろうか、情報がないから分からない。
もし目が覚めてそこがDQの宿屋だったら
できればDQ8の宿屋がいい。
だって他のはみんな重なって寝るんだぞ?
45 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 17:06:57 ID:zEe/DlRO
7の、アイラと出会うシーンで
「ねえ、こっちにこない?」って
外で寝るイベントがあったけど
アイラもうちょっと危険感じた方が
いんじゃないかと思った。
男3人ですよ・・・?
バーバラと重なって寝れるなら本望
47 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 18:11:20 ID:1/VKmPfm
>>45 襲われても返り討ちにできるくらい剣に自信があるんだよきっと
48 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 18:21:09 ID:zyt/5bRB
まぁ、
>>46のケツ穴にはハッサンの鍛えぬかれた業物が突き立てられているわけだが
並び順を考えればそうなるかもな・・・
バーバラを意図的に一番最初に持ってこないとw
51 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 18:37:31 ID:OPo60Agq
DQの世界だったら ずっとパフパフで一生過ごす
ちょっとまて。
思ったんだが、もしかして不老?
53 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 18:54:31 ID:zEe/DlRO
>>47 >>49 だって、アルスは性欲盛んなお年頃だし
ガボは野生児で理性ないし、
メルビンだってまだまだエロじじいだもの。
うん、やっぱり武芸に自信があるからでしょうね
54 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 19:03:18 ID:BK6qGnOM
ちんこにバイキルトかける
外が騒がしくて目が覚めた、目覚めの悪い朝だ
しかし、起きてみたのはいいが、枕や体に密着するベットの感触が違う
首を左右に振ってみる、いや、思い切り見覚えのない家だ、俺の家にはあんなタンスはない、と言うか、賃貸だ
酒を呑んだ覚えはない、だから、間違って他人様の家に上がり込んでしまった可能性はない
とりあえず、起きて窓を開けるために体を起こす、歩くと床がカツカツ鳴る
バタン、簡易的な鍵のかけられた窓を開けると、そこには日本では考えられない風景が広がっていた
小さな農村のようだが、明らかにここは日本じゃない。
まず、日本には上半身半裸のマッスルは歩いていない、牛舎なんて初めて生で見た、さっきからうるさいのは黄色かかった鶏か
とりあえず、とんでもないどこかのド田舎なのは分かった、ただ、時間が分からないのはかなりマズイ。ポケットをまさぐって、携帯電話を取り出す
・・・・圏外だ。あたりまえか、電柱なんか一本も立ってないし、電波塔も勿論無いだろう
さらに予想外だったのは、時計表示が消えていたことだ、ディスプレイには暗号のような文字がただ書いてあるだけだ
HP14MP0
Eしふく
Eスニーカー
Eやすもののゆびわ
タバコ
ライター
一体どうなっているんだ
57 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/17 08:38:33 ID:84+gRuQC
【7:12】 母の声で起床。まだ眠い。顔を洗う。
両手に持った剣と盾、頭につけたヘアバンドが激しく邪魔だ。
グラフィックの都合上、下におけないないのがつらい。
【7:22】 朝食だ。…と思ったら母について来いと言われる。イヤになる。
「ここから まっすぐいくと おしろ です。さあ いってらっしゃい」母の言葉だ。
うるさいんだよ。俺はオルテガじゃないただの息子なんだよ。
「どうしたの?おうさまに あっていってらっしゃい」うるせぇんだよこのババアが。
【7:35】 城に出発。城内ではうるせぇ兵士がわめいている殺すぞ。
【7:43】 「助けて〜!」王が叫んでいる。俺にどうしろっていうんだよ。
【7:50】 王に話を聞く。バラモスに世界征服されかけてるらしい。うだつの上がらない奴だ。
【8:03】 王から金と武器防具をもらう。50G、ひのきの棒、こんぼう×2、たびびとの服。
これなら城の兵士の方がいい装備してるんじゃね?気分が盛り上がらない。早く家へ帰りたい。
【8:46】 大臣がニヤニヤしている。
【9:30】 王への謁見終了。
【9:40】 帰宅。
【9:45】 ルイーダの酒場へ。戦士(男)僧侶(女)魔法使い(女)を仲間にする。また悩みの種が増える。
【10:11】みんなで談笑。戦士の笑い声にみんながいらつく。
【11:20】まもののむれ 登場。
【11:22】「スライムのこうげき!」 相変わらず元気な奴だ。
「ゆうしゃのこうげき!」本当はどうでもいい。戦士早く攻撃しろ。
【11:40】おおがらすに襲われる。獣臭い。残りHP1で力が出ない。
【11:42】「ホイミ!」僧侶だ。タイミングが良すぎる。どこから見ていたんだ?
【11:43】「まほうつかいはしんでしまった!」さようなら、魔法使い、こんにちはオレンジのウィンドウ。
スライムがニヤニヤしている。
【11:45】「かいしんのいちげき!!」ただの攻撃だ。
「まもののむれをやっつけた!」 このセリフには飽き飽きしている。
【11:49】戦闘終了。「大丈夫?」格好だけ聞いてみる。
【11:53】戦士が来た。「せんしのこうげき!」遅すぎる。もう戦闘終わってる。帰れ。
うだつの上がらない奴だ。
【12:30】帰宅。楽しみにとっておいたおやつのプリンをじじいが食べていた。
母がニヤニヤしてこっちを見ている。
いやがらせか?殺すか?
ますます良スレを願ってsage
>>58 それアンパンマンのチェンメの内容に似てるね
パロディだと気付けよ
初めは何がなんだかわからなかった・・・
ここがどこなのか実は今もわからない。
しかし、そろそろ素直に認めようとも思ってることがある。それは、
ここはやはりDQの世界だということを。地図がないから確認のしようがないが、あの個性的なモンスターやあらくれや教会は、
まず間違いなくDQの世界であることを物語っていた。
あの日以来、日本だけを目指しおびただしい数のモンスターたちと戦い、
数え切れぬほどの日数を重ねて街々を行き交い、船も手に入れることが出来た自分を、ちょっと誇りに思う。
そして、なによりも今は仲間がいる。自分を含めてパーティは4人。心強い仲間たち。
彼らのおかげで、抗うことの出来なかった運命が、ちょっと変わった気がした。
また、最近になって、彼らは自分に大きく期待していることを知った。
こんなに弱い自分に期待がかかってるなんて、現実世界では有り得たのだろうか?
みんなの期待を裏切らないために、もっと強くなりたいと思う。
たとえみんなと別れても、絶対に忘れない。
現実世界に戻れる日も、きっと来るのかもしれない。
希望を持って、また明日を迎えたいと思う。
そして、現実世界でも強く生きていけるように・・・
や は り
ル イ ー ダ の 酒 場 に
遊 び 人 と し て 志 願 し た の は
効 果 が あ っ た よ う だ
64 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/18 18:24:41 ID:b3GwhWgf
良スレage
携帯のディスプレイに表示された謎の文字。HP?MP?見覚えのある文字だが、思い出せない。
とりあえず、悩んでいても仕方ないだろう。俺はせらせらとそよ風が吹き込む窓を閉じ、一回に降りた
幸い、村人は日本語で会話しているみたいだ。土地も分からず、言葉も分からなかったら自殺すら考える所だ
宿屋のテーブルで朝食を取っている小太りの男に話し掛ける
「なぁ、あんた、ここはどこだ?」
「寝呆けてるのかい?ここはアルバート家が統治してるリーザス村だよ」
益々知らない土地だ。リーザスなんて浮いた名前。日本にあるか?
セントレアだか南アルプスだか、そんな市町村はどっかにあるみたいだが、少なくとも俺はリーザス村なんて知らない
「兄ちゃん、旅人のくせに軽装だが、ここからトラペッタやポルトリンクに行く時は魔物に注意しなよ、最近は関所が破壊されたり、昼から魔物がうろついたり物騒だかな」
マモノ?マモノってあの魔物か?キーワードが追加されるたびに頭の中が混乱する。
とりあえず、外に出よう。どうなっているんだ
「お、おい。兄ちゃん!!」
宿屋の中から、声が聞こえるが、もはや俺の耳には届いていない
右を見ると、やたら巨大な屋敷が見えた、これがさっき言ってたアルバートって家か。確かに裕福そうな家だ。
魔物に気を付けろと言われたが、所詮小動物か犬だろう。問題ない筈だ
焦って宿屋を飛び出してしまったが、心を落ち着かせるためにタバコに火を点ける
カチッ。ボッ
ジッポーライターとタバコがあって本当によかった、これは手放せない
と言っても、こんな世界にタバコの自販機が置いてあるとは思えない。葉巻くらいならありそうだが。
携帯灰皿に吸い殻を押しつけ、農場を走り回るガキを尻目に、ゲートを潜る
「また、来てくださいね」
入り口にいた女性にそう言われたが、もうこの村には帰ることはないだろう
気候は穏やか、日も出ていて暖かい。ここら辺は恵まれているみたいだ
さっきは気が付かなかったが、塔も見える
とりあえず、世界地図みたいな物があれば便利なんだろうが、残念なことに持ち金が無い
辺りを見回していると、死角から音がする
カサッ。カサカサ
・・・・誰だよ。でも、この動き方は人間らしくない
これが魔物って奴か?
ガサッ。
「誰だっ!」
音がする方向に向き直るが、何も居ない
「・・・・気のせい、か?」
そして、目線をずらした瞬間、鳩尾に深い痛みが走った
「おっふ・・・・」
紫と白のストライプの。猫?みたいな魔物が、俺の腹に突き刺さっている。気が付いたときには、一メートルくらい弾き飛ばされ、腰から勢い良く落ちた
「クソッ。なんだアイツ!」
落ちた目線を上に上げると、興奮している魔物がかなりの勢いで突き進んでくる
「うおっ!?」
体を転がし体当たりを回避する、くさむらまで退避するも、まだこっちを狙っている
「ギャア!」
奇声を張らせ、三度突撃してきた、冗談じゃない、さっきは必死だったから感じなかったが、まだ腹部が割れる思いだ
次ぎ食らったらやられる。そう思った俺はとっさに体を起こして、右足を振りかぶる
猪突猛進。体格の大きな相手にも怯まない敵。俺だってビビッている場合じゃない
腹部に向けて跳ね上がる魔物に向かって、俺は足を振り上げた。
ズン。鈍い音と共に、魔物が地を転がる。よし、効いているみたいだ
断末魔を響かせ、悶えながら絶命する魔物。うまく急所に入ったのかもしれない
魔物の死体は光となって消えた、跡にはキラキラ光る何かが
拾うと、それは金貨のようだった。20G。多いのか少ないのか。有り難く頂いておこう
路地に腰掛ける。ありえない何かとの戦いに、体は疲弊していた
節約しようと誓ったのにもかかわらず、早くも二本目のタバコに走ってしまう
思い返せばこの一時間。どれだけの体験を俺はしたのか、目が覚めてみれば知らない土地、外に出れば見たこともない野蛮なモンスターに襲われ、そしてそいつを退治した
奇妙なものだ。そして、体を起こそうとしたその時、頭にぬるりとした感触が走る
ねぷん。
俺の頭が青色の液体に包まれた。急すぎる視界の変化に、俺は一瞬でパニックに陥る
「・!?、。!?」
息ができない。いきができない。いきができない。
首が絞まる。首がしまる。くびがしまる。
引き剥がそうにも剥がれない、掴めない。
死ぬ。そう頭が冷えた瞬間。俺の手が勝手に動いた
ジッポーライターに手がのび、それが俺の頭を覆っている液体に着火された
ジュアッ。小さく振動したかと思うと、頭からそれは滑り落ちた
・・・・スライムだ。俺は知っている、頭から落ちたそのモンスターを。それと同時に、俺はすべてを理解した。そうか。この世界は・・・・ドラクエの世界か
光になっていくスライムを凝視しながら、俺は握り締めていたゴールドを地面に落とした
ライターで一撃かよw
メラだと思えば
71 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 00:10:59 ID:aLZFd9FK
>>68 (・∀・)bグッジョブ!
オモシロイヨ!
ライターが手放せないなw
もしオイルが切れたりなんかしたら・・(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
火花は半永久的に出せるから燃料に代わるものを作れば大丈夫…たぶん。
っつーか俺と同じIP(?)のやつが今この板にいる…
いきなり連続投稿(3回目)ですか? とか言われた
74 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 08:24:59 ID:aLZFd9FK
>>73 同じIPなんてありえるの?
そしたらIDも同じ?
朝起きると、体中に痛みを感じて目覚めた
どうやらベッドから落ちてそのせいで目覚めたようだ。
・・・?俺の寝床はベッドじゃないぞ、布団だ
酔った訳でもなく、普通に風呂入って寝た筈だ
周りを見ても、4畳半の部屋じゃない
簡素な木で出来た家のようだ
ボーッと周囲を見ていると、ふと急に左上の方に、白い枠で出来た板?みたいな物が出てきた
HP12 MP3 Lv1 確かにそう書いてあった
訳の分からぬまま、家を出てみると、どうやら町のようだ
町人は居るのは居るのだが、広さの割には少ない
そこで、一人の男にここが何処なのか聞いてみた
「ここは、トラペッタだよ」
???何処だ?周りを見ても、日本のような感じではない
俺は夢だと思い、逃げるように布団(ベッド)の中に潜り込んだ
まどろみ始めた時LIVEALIVEに似てるな、と思った
・・・目を開けると、おなじみの電灯が真っ先に目に飛込んでくるものの
今日は違った・・・いや、今日も違った
目に飛込んできたのは木で出来た茶色い屋根
もう元の世界に戻れないことを悟った俺は、気分を晴らすために、町の外に出た
青い空、眩しい太陽、白い雲・・・全てが見慣れた物だった
その時だった
ガサッ・・・
後ろの方で草が動く音がした
好奇心旺盛な俺は、そこに向かって調べてみた
何も無いじゃん。と、思って前に振り向いた瞬間!!
体に物凄い衝撃が走った
猫のような、妙な生物が腹に突進してきたのだった
何とか起き上がり、周りを見るとそいつは、もう一度突進するかのように
猛スピードでこちらに向かってきた!
>>74 いや、IPがどうかは知らない(だから?をつけた)
PCに詳しくなくてすまん。
とにかくここの鯖が俺と、もう一人の誰かが同一の
端末から書き込んだと誤認したっぽい。ってことを言いたかっただけ。
スレ違いスマソ
良スレハケーン
目が覚めた・・・まだ眠い、しかし体を強引に起こす・・・
ん?確か俺は自分の部屋で寝ていたはずだが、見覚えのないベッド、見覚えのない部屋
昨日酒飲んだっけ?? 否、確かに昨日俺は自分の部屋で床に付いたはず
おそるおそる起き上がり辺りの様子をうかがってみる。人の気配はないようだ
部屋の中を色々あさってみると、薬草×2 力の種 5G ・・・ん?・・・ってこれドラクエじゃん!!
頭の中がパニックになる、昨日自分の部屋で眠りについて起きたらドラクエの世界でした?
ありえない!ありえないだろうどう考えたって・・・!
は! そうか、こいつは夢か何かだな。 どおりで見たこともない薬草や力の種を俺がわかったはずだ
そうなればこの世界堪能しない手はないな!とりあえず俺は外を探索することにした。
外に出ると人工は少ないがそれなりの町のようだ。
とりあえず近くにいたおばさんに話しかけてみる、「あらおはよう、今日は早いのね」
え?この人何で俺のこと知ってる風なんだ?? 他の村人と話をしても同じように知り合いじみた話し方をされる
なるほど、どうやら俺はこの町の住人のようだ。
とりあえず町の中のタルやタンス、壷といったもの全て破壊して回ろう、これはこの世界でいっちゃお決まりみたいなものだ。
薬草×3 どくけしそう せいすい こんぼう 旅人の服 布の服 150G 力の種 守りの種 命の木の実 すばやさの種×2 etc・・・
・・・ふう結構あったな、とりあえず見つけた装備品は装備してみるか。
ぬのの服を着てみる、なにやらぺらぺらでおっさんが着てるシャツみたいだ
やっぱり旅人の服だな、俺は旅人の服とこんぼうを装備してみた、でもまてよ、俺ってステータスってあるのか???
そもそもどうやってみるんだ、そのとき自分の頭の中にステータスが現れた
LV1 HP8 MP0 攻撃力7 守備力5 所持金155G 肩書き???
ほうほう、どうやら頭の中でステータスを想像すると現れるしくみらしい
ん?肩書きってなんのことだろ、よく勇者とか魔法使いって表示されてるあれかな?
それにしても「???」ってなんだよ、ちょっとがっかりだな。
町の中を探索して荷物がいっぱいになった俺は一旦自宅へ帰ることにした、「ふくろ」って機能ないのかよ
タンスには布の服、種とかは壷にでもいれておけばいいか
ある程度道具の整理を終えた俺は一息入れようと立ち上がり後ろを振り返ったその時
無言で若者が俺の真後ろに立ってた、俺はあと少しで声をあげるところだった
「なな、なんだあんたは!?」俺の問いかけに一切答えることなく部屋の中をあさる若者
そして、俺が苦労して集めに集めた町中のアイテムを見つけふくろの中に入れていく
「待て!こら!何やってんだテメ!」すると若者は迷うことなく腰に下げていた青銅の剣で俺に斬りかかってきた
え?まてよ・・・こいつひょっとして・・・勇者様か?w
何で勇者様が村人を襲うんだよ! いや、俺がおそいかかったから勇者様が戦闘モードになってしまったのかw
いうまでもなく俺はその後の一太刀で肩から脇腹にかけてを斜めにズバッといかれその場に倒れた。
うぅ・・・こんなことが許されていいのだろうか、勇者なら何やってもいいのかよ・・・
痛い・・・俺は死ぬのか・・・
俺が最後に見たのは俺が必死こいて集めた町中のアイテムを嬉しそうに持ち去る勇者様だった・・・
ぅ・・・
目が覚めるとそこは教会だった 「なるほどな・・・」
俺は生きているようだがさきほど勇者に切られた傷がひどく痛む、頭痛も酷い 頭がくらくらする
歩くのが精一杯、ステータスを見てみる
HP1 MP0 攻撃力7 防御力5 所持金77G 肩書き ???
あぁ、HP1だよ・・・しかも金半分・・・
自分が今までさも当然かのようにしてきた人の家のものをあさるという行動に対する罪悪感が沸いてきた
それと同時に勇者に対しての怒りもふつふつを沸いてきた
「あの野郎今までは無敵の存在だったかもしれないが、俺を敵に回したことを後悔させてやる」
でも、今はとりあえず自宅に帰って休養しなければ、意識が飛んでしまいそうだ。
家に帰った俺は泥のように眠りに付いた・・・
種、食えよ。弱いんだからw
勇者様でない一般市民も個々の家庭をあされるのかw
85 :
76:05/03/20 00:14:57 ID:0YA0MhnB
げっ・・・ヤバイ・・・
と、このピンチに使えそうな尖った木の棒を見つける
すかさずそいつに木の棒を向けて構える
自分の想像通りに止まれず、避けれずに頭から深々と木の棒に突き刺さる
・・・車は急に止まれませんな
そいつは、奇声を挙げてしばらく痙攣したが、そのうち動かなくなった
経験値が少し上がったような気がした
イテテテテ・・・
骨をやられたのか知らんが、腹に刺さるような激痛が走る
見たくはないが、恐る恐る腹を見ると気持ち悪いくらいに腫上がっていた
どうしようかと、悩んでいると左上に先程の表示が現れた
HP4・・・さっきは12だったっけ・・・
参ったね・・・8も減ってるわ・・・
86 :
76:05/03/20 00:20:18 ID:0YA0MhnB
・・・?待てよ?今みたいな表示、何処かで見たような・・・?
ゲーマーな俺には、その答えがすぐに見つかった
そうだ、ドラクエだ!
信じ難いが、何故かドラクエの世界に入り込んでしまったみたいだ
世界の状況が少し把握できて、気持ちに余裕が出来たから
俺は少し興奮を抑えて、こう言った
「ホイミ!!」
すると、手の平から青白い光が出てきて俺を包み込んだ
そして、今までの怪我が嘘だったかのように痛みが引いていた
・・・マジかよ。マジでドラクエですか・・・
興奮と困惑が入り交じった俺はそのまま、家(例の木の家)に行き
そのまま眠りに就いた
トリップを付けてくれ。
朝起きて俺はまず、手持ちの金でひのきのぼうと皮の盾を買った
その買い物をしている時に事件は起こった
「魔物が町に入ってたぞー!!」と村の男達が騒ぐ
村の女達は男達の方向へ行こうとする子供を抑えていた
好奇心旺盛な俺は、その騒ぎの元となっている門の側に行ってみた
するとそこには、身長がやたらと小さい緑色の魔物と白馬の馬車が一つあり、それを男達が囲んでいた
緑色の魔物は「魔物じゃないわい!!」等とブツブツ言っていたが誰もがそれに耳を傾けようとはしなかった
そうこうしてるうちに一人のおっさんと18歳くらいの男が近づいて男達と話している
・・・いや、厳密に言えばおっさんだけだが。もう一人の方はやたら無口だ
はい、いいえしか言わねえ・・人間とは思えない動作をしている
面倒だから俺はそのまま門から出ていった
気がつけば、もう日が傾いていた
さっきまで朝だったのに・・・おかしい
夜になり周りの雰囲気も変わっていった
さて、何処に行こうか・・・
ピチャッ・・・
ん?なんか降ってきた・・・雨か?
しかし、向こうには月も星も見える。アラ?
すると、すぐ後ろで荒い息遣いが聞えてきた
さっと振り向くと肌色の壁・・・・?
肌色の壁の周りは緑色で、触ってみればザラザラしている・・・何だこれは?
ふと上を見上げると、巨大な斧を持ったでかいトカゲが、俺を見下ろしていた!!
ドランゴキタ━━━( ゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━( ゚∀゚ )━━━!!!!
・・・ヤベェ・・・
殺される・・・
トカゲは「グルルルル・・・」と唸って、斧を振りかざしてきた!
しかし、大振りだったので避けるのは容易かった
・・・何とかなるやもしれん
しかし、当たれば間違いなく死ぬよな・・・
逃げた方が得策だと思った俺は、急いで逃げた
だが相手は巨漢の割に恐ろしいほど速かった
俺は、死を覚悟して相手と戦う事にした
すかさず振り返って、相手の腕を狙い殴り付けた
「ギャア!!」効いてるのか知らんが相手は怯んだ
しかし怯んだのも束の間、相手は一歩退いて様子をうかがってきた
攻撃してくる→避ける→殴るの繰り返しで何とかなるだろうな・・・
だから俺も相手の様子を伺ってきた
案の定相手から先に攻撃を仕掛けてきた!!
しかし、斬りかかって来たのではない
その瞬間俺は、炎に包まれて意識が遠ざかっていくのを感じた・・・
俺の設定
HP12
MP3
Lv1
習得呪文
ホイミ
Eひのきのぼう
E皮の盾
E私服
50G
って設定
少々マンネリ気味な予感でヤバ気味・・・
朝、目が覚めたらなぜか立っていた。
俺の目の前には見慣れぬ服装の見たこともないヒゲの男。
「お早うございます。では、行ってらっしゃいませ」
誰だこいつ? ……ここはどこだ?
キョロキョロと周囲を見回すと外国っぽい建物の中にいた。
落ち着け、俺。まずは状況整理だぞ、俺。
昨日寝ぼけて海外旅行に出た――ありえない。
寝ぼけて他人の家に――これもありえない。
昨日、外に出たのは午前中にタバコを買いに行っただけであとは1日中2chという不毛な1日を過ごした。
ゲームをやめてベッドに入ったのが11時過ぎ。
明日は無職には関係ない振替休日だ、なんてことを考えてるうちに眠ったはずだ。
差し当たって考えられるのは夢。
うん、これだ。
夢を夢として意識できる時もあるらしいから、きっとそれだ。
なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
夢の中だってのに俺はかなりアホだな。もっといい夢見ろよ、俺。
こういう場合の常套手段――頬をつねる。
…………痛い。
頬を叩いてみる。
……痛い。
勢い良く頬を叩く。
痛い。
夢じゃない!!
真っ先に浮かんだ言葉が『拉致』だった。
何で俺が拉致られたんだ?
北朝鮮?
イラク?
韓国?
色々な国の名が浮かんでは消える。
頭の中ではパニックになりながらもこの建物の主人らしきヒゲの男に話しかけてみる。
「すんません、ここ、どこですか?」
「今日は。旅人の宿屋にようこそ」
「い、いえ、あの……そうでなくて……」
英語の勉強をしておけばよかった。『ここはどこですか?』すらも聞けないじゃないか。
「んーと、ホワット、イズ、ディス?」
日本に帰ったらNOVAに行くことを固く決意しながら、中学生未満の英語で聞いてみる。
「今日は。旅人の宿屋にようこそ」
くそ、通じない。こいつに使えない日本語教えたの誰だ?
自分の学力不足を棚に上げ、怒っても仕方ない。日本語がわかる奴を探そう。
はあ……とヒゲの男に気付かれぬように溜息をつきながら、
「いや、ノーサンキュー」
と礼を言った――はずなんだが。
「では、ごゆっくりお休み下さい」
なんだと?
ヒゲに文句を言う前に視界が真っ暗になった――
95 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/22(火) 19:29:06 ID:7tI3jCJ3
良スレage
期待してます
96 :
物質:2005/03/22(火) 21:12:53 ID:lyh5vRs9
すみません、携帯からですが質問させてください。
昨夜、自宅のPCで2chに繋いでいて、ゼシカタンのエロ画像で一発抜いて
疲れたので電源つけたまま寝ちゃったんです
それで、今朝起きてみたら、なんかドラクエの宿屋みたいな所にいたんです
何故僕はこんな所にいるんでしょうか?某国に拉致されましたか?
どうすれば帰れますか。ちなみにネタじゃないです。
OSはXPです
とりあえずレベル上げたら?
98 :
物質:2005/03/22(火) 21:32:41 ID:lyh5vRs9
さっき、受付の人に「ゆうべはお楽しみでしたね」って言われました
多分PCの画面を見られたんだと思います(画像を表示したままでした)
マジで恥ずかしいです・・・早くしないと親にも画面を覗かれてしまいます
とりあえず町の中を探索してみようと思います。
>>97 無理です。携帯の画面にステータスが出るんですが、最大HPが3です。
ちなみに力は2ですが、賢さが25ありました!!!11!!
でもMPが0だし呪文も特技もないので戦えません。
HP3て、おまえさんどんな虚弱体質だよw
腹筋運動とかしたら、防御力とか上がるんじゃない?
たぶん。
100 :
物質:2005/03/22(火) 21:56:59 ID:lyh5vRs9
なんか見覚えがあると思ったら、ここはリーザス村っぽいです。
で、村の人に話を聞くと、自分はツッシブという名前でこの村の住人のようです
で、自分の家に行ったら知らないおばさんが居て
「あらツッシブ、今日はゼシカちゃんと会う日じゃないの?」だそうです。
とりあえずイベントを進めてみます。
>>99 やってみました。HPが1減りました・・
自分はニートなので体力には自信がないです。
樽や壺も持ち上げられません。(主人公は凄いなと思いました)
最大HP3で、1減るっていったら…
0で「しに」だろ?
命の3分の1が削られるわけだから…考えたくもないな。
命がけの腹筋運動だな。すでに数字黄色いんじゃないか?
ゼシカに会いに行くフラグがたったのか。
よかったなー。
103 :
物質:2005/03/22(火) 22:11:53 ID:lyh5vRs9
すみません、自己解決しました!!!!
ゼシカタンの家に行ったらゼシカタンがいて
「あーらツッシブ、あたしとぱふぱふする?」と言われたので
「はい」を選んだら、本当にぱふぱふしてくれました!!!!11
ゼシカタンのおっぱい超キモチイイーーーー最高!!!!!!!!!
しかももう一回話しかけたらまた同じ展開になるようなので、やり放題です。
という訳で、僕はこの村に残ってゼシカタンと遊んで暮らしたいと思います。
ありがとうございました!!!1!!!!!!!
物質の母です。
息子がこのスレッドで、みなさまにご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありませんでした。
先程、息子の部屋に行ったところ、息子がパソコンの前で眠っていました。
どうやら、「ぱふぱふ」をすると、HPが1減っていたようで、2回目のぱふぱふで
HPが0、つまり、ゲームオーバーになったことで、現実に戻ってこれたようです。
改めて、息子がみなさまにご迷惑をおかけしたことを、お詫び申し上げます。
それでは、失礼しました。
はやっ
閲覧側から失礼ながら言わせてもらう
全然面白くない
一発ネタなら誰でも出来ると思われ
107 :
1:2005/03/23(水) 10:20:30 ID:aOD3qw7/
空気が悪くなるのでそういう発言禁止。
面白くないと思われたならスルーして下さい。
長文、短文なんでもいいのでどんどん書き込んでください
スライムを撃退するも、満身創痍の俺は、歩くことすらままならないくらいだ
かといって、このままここに居ては、またいつあのモンスターに襲われるか分かったものではない
「ハァ・・・・ハァ・・・・情けない・・・・」
普段のヘビースモーキングの賜物か、体力は激減している。ゲームのくせにうらめしい
千鳥足ながら、壁をつたって、リーザスまで戻ろうとする
だが、少し勇み足過ぎた、たった五十メートルの距離が千里に感じる
今更さっきのタックルのダメージが効いてきたみたいだ、口から血がパタパタ落ちる、右足の膝に感覚が無い
体が熱を籠もって、呼吸が荒い。
「冗談じゃない・・・・なんで・・・・こんな所」
フッ。俺の目から光が消え、そのまま道端に倒れてしまった
「・・・・生きているのか?」
「分からん、だが、まだ血は渇いていない。ここに倒れて時間は経っていないようだ」
「おい。聞こえるか?おい。」
頬に二三度、小さな痛みが走る。「うっ」と小さなうめき声をあげ、俺は意識を取り戻した
だが、未だに視界が暗い。相手の顔が見えない
「瞳孔が開いている・・・・毒にやられたな」
「薬草と解毒草を磨り潰して煎じた薬だ。飲め」
唇に竹の感触、程なくして、暖かい液体が俺の口に入り、自然と喉を通っていく
「ヴっ。げふっ、あふっ・・・・」
苦い、そして草の強烈な匂いが俺の胃を刺激する
苦しそうな数回のせきで、俺の口からは血と一緒に緑色のたんが出てきた
「出たな。よく効いている証拠だ」
「トム、助けたのはいいが、どうするんだ?」
「この大陸では見ない、異国の服装だな。軽装だが旅人だろう。少し戻れば村だ、今日はそこで休もう」
「まだお日様は高いけど」
「なら一人でポルトリンクまで行け。このまま歩けば夜には着くだろう」
「冗談。日が沈めばモンスターも数が増える。それに、夜になったら定期船だって出ないだろ」
二人の男の会話を最後まで聞くことはなく、そのまま俺は静かな眠りに入った
「もし、もし、お連れの方。もし。」
若い女性の呼ぶ声に釣られ、俺は重い目蓋を開いた
さっきの飲まされた薬が効いたのか、視力が回復した
横に立つ女性の顔を見ると、ホッとしたような顔をしていた
「全然起きてくれませんから、心配しましたよ」
「あ?・・・・あ、あぁ。悪い」
意識が途絶えてどれくらいの時間が経ったのだろうか、外の景色は暖かい
どうやら、さっきの村に戻っているようだが、あの時助けてくれた男が運んでくれたのだろうか
体を起こそうと、腹筋に力を入れるが、ボケた頭が一瞬で覚醒するような痛みが走る
「!?うぁ!?」
「あ、ダメですよ。重傷なんですから!」
よくよく体を見てみると、肩から腹部にかけて、包帯がびっしり巻かれている
「お連れの方々は、村の方を散策されてますが。あなたはどうなされますか?」
「どうなされますか?って。こんな体じゃどうしようもないだろ」
「あ、そう言う事ではなくて。お食事、なさいますか?って事です!」
「あ、あぁ。なら。もらおうかな、食事」
そう言うと、宿屋の女性は嬉しそうにほほ笑み、一階へ下りていった
ふと、ベットの横を見てみると、小さなナイフが一本置かれていた
手紙も一通
引きちぎれそうな体を起こし、それに手を伸ばす
「旅の者へ。行き倒れた所を私たちがリーザスまで送り届けた。怪我の治療のために、失礼とは思ったが色々調べさせてもらった。」
携帯やタバコは抜かれてない、本当に最低限だったんだな
「その際。どうやら武器を持っていないようだったので、力になるかは分からないが。ブロンズナイフを一本置いていく。そして、もし旅路に困っているなら、暫らく私たちと同行してはどうだろうか。返答は夜に聞こう。」
研き、鍛えられたブロンズナイフを手に取り軽く振ってみたりする。
手に馴染む、モンスター相手には心許ないだろうが、無いよりはいいだろう
手紙を見ていると、階段からさっきの女性が上がってきた
「はい。コーンスープとお薬です」
湯気を立ち上らせ、香ばしいコーンの香りが空腹の俺を刺激する
ゴクリと思わず生唾を飲む。ナイフと手紙を置き、早速一口いただく
「・・・・美味い」
「ありがとうございます。食べおわったら、少し外の空気も吸ってくださいね」
「あぁ。そうさせてもらうよ」
俺はぺろりとスープをたいらげ、薬もゴクリと飲み干す、体の調子が見る見るよくなっている
「凄い効き目ですね・・・・あんなに血色の悪かった顔が、もうこんなに・・・・」
「あぁ、こんな薬は初めてだ、心なしか、傷の方も。」
包帯を解いてみると、紫色に腫れていた腹の傷が塞がっているようだった、直に取り込んだお陰か、効き目も強いようだ
「あ、お連れの方が帰ってきましたよ」
階段を上がる音。さっきは顔を確認できなかったが、俺を助けてくれた人らしい
一人は初老のたくましい男性。もう一人は、俺と同じくらいの年の男だ
「もう調子はいいようだな。」
「お陰さまで」
「金は請求しないが、あんたはどうするんだ?まさかこの土地に永住するつもりもないだろ」
「・・・・」
俺は考えた、だが、もうそんな事は意味はない
多分、俺がここに居るのは間違いなんかじゃない。きっと夢でもない
だからなんらかの意味がある。俺はそう、信じることにした
否定したら、それは何となく、俺自身の存在を否定しているような。そんな気がしたから
「同行させてもらいます、多分、それが最良の選択だと思うので」
「私の名前はトム・ワーカーだ。よろしく頼むよ」
「俺の名前はアーサー・ワーカー。こう見えても、隣のオッサンの息子なんだぜ」
あぁ、そう言えば、俺の名前を教えていなかったな
「俺の名前は渡部淳。よろしくな」
こうして、俺はワーカーの旅の仲間になった。だが、その夜。アルバート盟君。ゼシカ不在の中。事件が起きるのを、ただ一人として予知できる人間は居なかった
熱い・・・痛い・・・その感覚だけが、俺を襲った
然しその感覚も一瞬で消え、現実に引き戻されたような気がした
俺は目を開けた
そこは教会だった
神父が目の前に居て、こう言ってきた
「もう大丈夫ですよ。貴方の燃え尽きた身体を偶然彼女が見つけていないと
貴方は助かっていませんでした───。」
彼女とはこの町のシスターのことらしい、だがここには居なかった・・・
「彼女は今隣の村のリーザス村というところに居ます。礼を言いたいのであれば
この地図を持っていきなさい。ほら、此処がトラペッタで此処がリーザス村です。」
リーザス村か・・・いずれ行こうかな
俺はもう一つ質問をした。何で炭になったのに助かったのかと
「我らを見守ってくださる神の力を借りて再び生の世界に引き戻すのが我々の役目なのです
神が貴方を助けてくれたのです」
・・・無宗派の俺には良く分からん
取り敢えず神父に礼をして、次に何をするか考えた
二つ考えが纏まった
一つは、リーザス村に行き礼を言うこと
二つ目は、あのトカゲ(バトルレックスというらしい)を倒すこと!!
ふと気付けば同じ場所だった。立ちくらみでも起こしたらしい。
「お早うございます。では、行ってらっしゃいませ」
ヒゲの親父がさっきと同じことを言う。――さっきと同じこと?
何となく、このヒゲ野郎に違和感を感じた。
何かがおかしい。
それが何なのかは良くわからないが嫌な感じだ。
俺の『嫌な感じ』はまともに当たった試しがないのが幸いだが。
「日本語話せるんですよね? キャンユースピークジャパニーズ?」
多分通じないだろうな。
「今日は。旅人の宿屋にようこそ」
ほら、やっぱり通じてない。
俺の言葉が日本語だってことくらいはわかるけどそれ以上はわからないらしい。外人にありがちだ。
しかも英語も通じない。何語なら通じるんだ?
ここでこれ以上話してもどうしようもないし……。
外に出て、誰かに事情を話した方がよさそうだな。
「い、いえ、もういいです。どうも。……サンキュー」
現在、俺が考えられることは一つ。
拉致したはいいものの犯人グループの状況が変わったので俺が残されたんだろう。
そうでなければこんな所に残す理由がわからない。
日本語の通用しない親父は何も知らなかったからのんきに得体の知れない日本語を話していたに違いない。
犯人グループから開放された俺がやるべきことは……警察だな。
日本語を話せる人を連れてきてもらって、日本大使館に連絡してもらえば帰れるはずだ。
くそ、無職童貞半ひきこもりの俺が何でこんな目にあわなきゃならないんだ。
現在、俺が考えられることは一つ。
拉致したはいいものの犯人グループの状況が変わったので俺が残されたんだろう。
そうでなければこんな所に残す理由がわからない。
日本語の通用しない親父は何も知らなかったからのんきに得体の知れない日本語を話していたに違いない。
犯人グループから開放された俺がやるべきことは……警察だな。
日本語を話せる人を連れてきてもらって、日本大使館に連絡してもらえば帰れるはずだ。
くそ、無職童貞半ひきこもりの俺が何でこんな目にあわなきゃならないんだ。
同じ日本語しか言えないヒゲをあのまま放置し、建物を出る。
見知らぬ土地で独りで歩くのはチキンな俺には怖いがそうも言ってられない。
初めての外国の土地は、暖かな陽射しが眩しく風も穏やか――ではなかった。
太陽は沈んでいるせいで薄暗く、風もやや冷たい。それほどまでぐっすりと眠ってしまっていたわけだ。
似たような建物が多いのはここが観光地なんだろう。
観光地=日本人も来てる可能性アリ。
日本人が来てるかも=日本語が話せる人がいる可能性アリ。
この際外人でもかまわないので誰か日本語が通じる人出てきてくれと祈りながら周囲を見渡す。……女の人発見。
「そ、ソーリー、ホワットイズディス?」
英語とも呼べない英語で女の人に話しかけてみる。
「ここアレフガルドは閉じられた闇の世界。ただ絶望があるだけですわ」
俺は、同年代の一般人と比べてゲームをやる方だ。
アニメやエロゲに詳しくないのでヲタではないと思いたいが、ゲームバカと呼ばれたら否定できない。
俺が初めて触れたゲームはスーパーマリオじゃなかった。
親父が、自分が楽しむためだけに買ってきたRPGだ。
そのゲームをプレイする親父の横で食い入るようにテレビを見つめる俺――それがゲーム絡みで最も古い記憶。
小学校3年生に初めてそのRPGをプレイした。
続けて家にあった続編をプレイ。
さらに3部作の完結編に位置する続編もプレイ。
1作目からプレイしてきた俺に深い感動を与えてくれた。
以来、そのシリーズは買い続けている。
去年発売された最新作やリメイクは勿論クリア済み。
他社から発売された番外編に相当する作品、ゲームではなく明らかに子供用おもちゃと思えるものも買っている。
万歩計だって買った。
買ってないのは小説や漫画くらいだ。理由は単純、世界観を壊したくないからだ。
ヲタ仲間の友人から『ここまで来ると病気だな』と言われようが俺に取ってそのゲームは絶対であり、堀井雄二は現人神だ。
そんな俺だからこそ、今、この女が言った言葉を聞き逃すことはできなかった。
このゲームをやったことのある人なら必ず知っていないとダメな地名。
アレフガルド――エニックス発売のRPG『ドラゴンクエスト』の最初の舞台。
漏れは旅先の旅館で朝早く目覚めた。
これから始発列車に乗るため、さっさと支度をして宿を後にする。
昨日夜、芸備線の某駅から歩いて、この宿に来た。
その時は真っ暗だった景色がこれから日の出とともに見える。
「何か、思ったより人口がいるみたいだな」
芸備線の県境にかけての区間は日本でも屈指の過疎地帯。
その寂しさを求めてこの地に入った漏れとしてはちょっとがっかりした。
朝早いので、一通りがあまり無い。田舎ではよくあることだ。
しかし、先ほどから自動車を一台も見かけない。
走っている奴はおろか、止まっているのもだ。
歩くこと10分、そろそろ線路が見えてもいい頃だ。
しかし、一向に線路は見えない。それどころか
ある地点を境に道路がとぎれ、そこから先は自然そのものである。
とりあえず、近くにいる人に尋ねてみる。
「ここから一番近い駅はどこですかね」
「駅?なんだそれは、そんなもの知らん」
話す相手を間違ったようだ。この人は駅を知らないらしい。
もうちょっと先だったかな?昨日着いた時は真夜中だったから、
距離を勘違いしていて、実はもっと向こうから歩いてきていたのかもしれない。
そう思って、道路から草原へ足を踏み入れようとすると
「おーい、そこの兄ちゃん。そんな格好で町を出るのは危ないぞ」
と言うオッサンがいた。何が危ないというのだろう?
猪とかクマーとかが出るとでもいうのだろうか?
「どうして危ないんですか?熊がいるとか?」
以前、根室の方に言った時、クマーが出ると言われたことがある。
結局、鹿とは遭遇したが熊とは会わなかった。
「町の外を歩くと魔物におそわれるぞ、
せめてうちの店で剣と盾くらい買っていけや」
なんだ、新手の土産物売りか。
しかし魔物が出るなんて面白い冗談を言う人だ。
「そうですか、魔物とやらが出たら撮影して2chにうpして神になりますよ。」
オッサンは、何を言っているんだこいつは? というような顔をしていたが
訳の分からないことを言う香具師にはこれくらいでちょうどいい。
手持ちの地図によると、もう少し南に言ったところに線路があるはずなので
できるだけ平坦な部分を選んで歩いていく。
何か地図と一致しない場所があるような気がするのはきのせいかな?
お、あんな所にウサギがいる。自然の多いところは違うなぁ。
しかもこっちに向かってくる。せっかくだ、撮影しようか。
そう思ってカメラを構えたその時、そのウサギが普通ではないことに気づいた。
額に角が生えている。しかも普通のウサギより数段でかい。
ウサギは猛然とこっちに突っ込んでくる。
やばい、暢気に写真撮影とかしている場合ではなさそうだ。逃げよう。
一目散に逃げたが、ドスッと言う音とともに衝撃がきて前へ吹っ飛ばされた。
イテテテテテ あのオッサンは
獰猛なウサギがいるからそれを追い払うために武器とかをそろえておいた方がいい
ということを言いたかったのか。
だったらわざわざ魔物なんて言わないで欲しいものだ。
ああ、背負っていたリュックに大きな穴が空いてしまった。
・・・・・・まてよ、もし漏れがリュックを背負っていなかったら、
こうなっていたのはリュックではなく漏れ自身か!?
ネタとか、そういうのの前に 自分の身の心配をしたほうが良さそうだ。
何とか追い払わなければ。 何か武器になるものはないか?
そうだ。漏れはリュックの紐を長く持って、遠心力を利用してウサギにたたき付けた。
重さ十キロほどもあるリュックをたたき付けられたウサギは、
その場に倒れ込んで動かなくなった。
ウサギの傍には、キラキラ光る金貨のような物が何枚か落ちていた。
とりあえず、拾っていくか。
よく考えると、昨日宿に行くまでの間に襲われなかったのは幸運だったといえる。
というよりこんなのが出るなら、広島県も注意表示出しとけよ。
こんな物が襲ってくるのなら オッサンの言うとおり、
刃物か何かを持っていた方がいいかもな。
帰りの飛行機で、預ける手間が増えるが そんなこと言っている場合じゃなさそうだ。
癪だけど さっきのオッサンの所に戻るか・・・・・。
「…………。」
「……。…ん、う〜ん。」
きかない体を無理やり起こそうとする。
「うぁっ!あぁっ!」
体が締め付けられる気がする。
*「大丈夫?」
女性が話しかけてきた。
「……。」
上を見上げると女性の顔が見える。
俺は………。そうだ!思い出した!
SEXの最中だったんだ!
124 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/27(日) 13:01:03 ID:EATjo3pG
ageる。
125 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/28(月) 18:25:51 ID:ZnZD8fuv
レベルEを思い出す。
実物大RPGツクールやってみたい・・・
ぱふぱふ屋めざして冒険する
「いたたた…ん???」
なぜか背中の痛みで目が覚めた。
変な姿勢で寝てしまってたのか?そんな風に思ったがどうやら違うらしい。
体を起こしてみると私が寝ていたのはいつものふかふかの布団ではなく、木製の固い固いベッドだった。
マットもろくに敷いていないようで、寝ている間に背中が痛くなったようだ。
「というか、ここは…」
私はきょろきょろと部屋を見渡す。明らかに私の部屋ではない。
目を覚ませば隣に知らない男がいた…なんて話はよく聞くが。
あいにく行きずりの男と夜を明かしたことなどない私には、ここがどこなのか全くわからない。
ここは一体…?
木枠の窓から朝日が差し込んで眩しい。
というより建物自体が木造のようだ。
日本家屋のそれとは違うようで、私はキャンプ場のコテージを想像した。
しかし私は誰にここへ連れられてきたのだろう。
…誘拐?一体なんのために?つーか私を誘拐するくらいならもっと可愛い子を誘拐してくれ。
目が覚めたばかりなのにも関わらず、様々な不安と不満が私の頭の中を巡る。
とりあえずこの部屋から出てみるか…。私は足音をたてずにそっと部屋を出てみることにした。
そろりと部屋を出ると、フロントのようなカウンターがありそこに外人のオヤジが立っている。
やはり、どうやらここはロッジ風のペンションのようだ。
ん?外人が経営ってことは、ここはもう日本じゃない??
私がひとり考え込んでいると、オヤジはこちらに気づいたようで
「おはようございます。それではいってらっしゃいませ」
と、にっこりと微笑みながら言った。
…日本語?ということはここは日本なの?
私は一番聞きたいことをたずねてみた。
「あ、あの…ここは…どの辺りになるんでしょう…?」
あまり家から遠くない県だったらいいんだけど…。
「えぇ?ここは…と言われますと…」
しばらくオヤジに詳しく話を聞くと、どうやらここは私の暮らしていた世界ではないらしい。
俗に言う異世界…というやつか。まるでゲームの世界に迷い込んでしまったようだ。
ドラクエは好きで結構プレイしていたが、きっとドラクエも…こんな世界なんだろう。
記憶喪失ばりにしつこく聞きまくる私にびびったのか、オヤジは終始顔を引きつらせていた。
きっとキ○ガイだと思っただろう。
はぁ…にしてもこれからどうしたらいいんだ…日本に帰れるのかな…。
私は途方に暮れながら宿屋を出て、天を仰いだ。自然と涙が出てきた。
…畜生。絶対帰ってやる。それまでドラクエみたいに生きてやるんだ。
Lv1
HP16 Eヘアピン
MP 0 Eスウェット
129 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/29(火) 10:52:57 ID:/QJ7htQ6
ageる
>>125 ゴーグル型の頭に装着するモニター付きのゲーム機がでたら出来るよ
360度視界で楽しそう。
朝起きる→見慣れぬ城の一室→どっかで見た半透明の生物やコウモリ一杯→鏡を見る→どっかで見た悪魔神官。
もし目が覚めたら、そこがDQ世界の(モンスターたちの)宿屋だったらって話。
悪魔神官とかならともかく、うみうしとかリップスとかになったらやだな。
コウモリ一杯て・・・orz
コウモリがいっぱいいる・・・ね。
目が覚めたらそこはベッドの上だった
とりあえず二度寝しようと寝返りを打つがどうも眠れない
ぐだぐだベッドの上で時間を過ごしていたが喉が渇いたので起きる
寝る前に着てたフリースにパンツはそのままだった。
「おや、気づかれたのですね!旅のお方!」
階下に下りるとやたらテンションの高い緑色のオヤジが話しかけてきた。ウザイ。
低血圧な俺は胡乱そうな目で睨んでやったが気づいたのか気づいてないのかテンションが変わらない。参る。
「行き倒れた貴方を見つけたときはどうしようかと思いましたよ!いや良かった!」
なんだろう、行き倒れてたって。っつーか、ここ何処よ。とりあえずヘタレな俺は「あ、どーも」とか言いながら薄ら笑いを浮かべる。
我ながらキモスwwwなどとやっている間に俺もテンションがようやく普通レベルにまで戻った
緑色の話では此処は宿屋らしい。まあ、とりあえず外に出ようと出入り口へ向かう途中銀髪の男と擦れ違った。
うはーDQNキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
怖いので絶対に目を合わせない。それが俺のジャスティス。
横目で窺うとまだこっちを見ていた。コワスwww脱兎の勢いで宿を抜け出す。もうここには戻れない。
宿を出るとなんか緑が一杯だった。
道らしきものはあるものの、人が踏み固めた程度のもので周りには草が沢山生えている。
なんだか田舎だなあと思った。夢っぽい。夢だとするなら都会から脱出したい願望でもあるのだろうか?
とりあえず、夢っぽいので色々出来ない事をしてみる。
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| / ブーン
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
とても恥ずかしくてできないような事もできてしまう。なんと良いものかー!
調子に乗って走っていたら花畑の中で何かに躓いてこけた。
しまった!?人を轢いてしまったか!?
怖くなったのでそのまま逃げる。なんか帽子っぽいのが吹っ飛んでたように見えたが気にしない。気にしたら負けかなと思っている。
そのまま何処までも駆け水平線の向こうにまで行きたかったけど行けなかったので手近な地下倉庫に隠れる事にした。
最奥まで辿り着いてようやく一息つく。やれやれ。やはり、まだまだブーンをするにはスキルポイントが足りない。
なんか疲れたんでもう寝る。グッバイ、俺のドリーム。
ドンドンドンドン五月蝿い。
なんだぁ、また幼馴染のあいつが起こしにきたのかぁ。
考えてから一気に鬱になる。そんな都合の良い生き物が傍にいた事実は一切無い。
泣きたい気持ちを抑えて辺りを窺うと、どうやら地下室に反響しているようだった。
五月蝿いので壁に壷を投げつける。今の俺はハートブレイキングしていたのでなんの躊躇いも無い。
暫くしてようやく静かになったと思ったら、何か声が聞こえてきた。
「デスピサロさま! ゆうしゃ ソロを 捕らえ ソフィアを しとめました!」
「よくぞ でかした! では みなのもの ひきあげじゃあ!」
m9(^Д^)プギャーーーッ
ひきあげじゃあ!って何処の国の武将ですかwww
余りの滑稽さに腹を抱えて笑っていると何やらしくしくと啜り泣きが聞こえてきた。
いつのまにかこの地下室に俺以外の人間がいたのか。
緑色の髪の(not 宿屋の主人)どうやら娘、は俺の話が聞こえてるのかいないのか、ふらふらと扉を開けて外に出て行く。
俺はもう一度二度寝(?)をしようか迷ったが、なんか妙な静けさに恐ろしさを感じ、その娘の後に続いて、外に出た。
俺は言葉を失ってしまった。
今まで、見た事の無い風景が目の前にある。
綺麗な水は泥水に変わり、草や樹の爆ぜる音が時折響く。
家は赤々と燃え、村の中央にあった花畑は、紫色の悪臭を撒き散らしている沼になっていた。
亜qwsっせdfrgtyふじこlp;
溜まらず胃の中のものをげろっぴしてしまう。ヤバイ。ヤバスwww。
なんか泣いてるっぽい。なんで泣いてるんだろう。解らん。俺自身に解らないってやば過ぎる。宇宙ヤバイ。
かろうじて泥の混ざっていない水で口の周りを拭いてもう一度辺りを見回す。
紫色の沼の中。あの、緑色の髪の娘が佇んでいた。
ぐあー明らかに身体に悪そうな色なのに何やってんだー!
ヤケクソ気味に沼地へと突貫する。何やらずがずがと痛そうな音がした。
っつっかいてええええええええええええええええええええええああああああああああああああああああああ
しい言いいい言いいい言いいい言い言い言いぬうううううううううううううううううううううあばばば
必死だなwと、自分を嘲笑う事でかろうじて意識を保ち、娘を引きずり出した。
「ばかやろー!しにてえのか!」
まるで柄の悪いドライバーのような台詞を吐く。
だが、現実には死にそうなのは俺の方だった。多分、今、突付かれると死ぬ。リアルで。
娘はふるふると震えながら、何かを抱きしめているようだった。
俺には、それが何となくだが見覚えがある気がした。
大事そうに袋にしまう娘をぼんやりと見ていたのだが、やがて娘が立ち上がり、俺に向かって頭を下げてきた。
「あん?あー、いや、なによ。なんか喋れよ」
困った時の薄ら笑い。俺の必殺技を繰り出すものの、娘は何も喋ってくれない。
そうか。これはあれか。俺みたいなキモメンと喋るとうつりそう、ないし妊娠しちゃうって訳だな!?
あはーは、もう慣れっこさ!そういう事ならOK!
深い深い自虐の海に沈む俺を見て、何を思ったか娘は再びしゃがみこみ、何かを地面に記し始めた。
娘は、言葉が喋れなかったのだ。
村を出た。というか、廃墟なんだが敢えて村という事にする。
鬱蒼と茂る木々の中を歩く、歩く、歩く、怖い。
どうやら日が落ちているようで、辺りは真っ暗だった。
木の葉が擦れる音、虫の鳴き声――そして、獣の息遣い。
走り出したくなる気持ちを堪え、だが残念ながらびくびくしてしまうのは我慢できず、それでも何とか歩いて行く。
やがて、明かりが見えた。俺は極度の緊張が祟りもう今にも倒れそうだったので
「助けてください!」
ドアを蹴破れ恥も外聞も無く世界の中心で愛を叫んでみた。
「帰れ!ガキ!!!」
ズガン!
思い切りの良い蹴りが爽やかな風を巻き起こしながら迫り来る。
俺は今、外的ショックを受けると問答無用で死にそうな気が何故かしていたので必死で回避を試みる。
成功!どうやら俺の冒険はまだ続くようだ。
「あん?なんだ、しけた面しやがって。俺は陰気くさいガキが大嫌いなんだよ!
てめえらみたいなガキはさっさと山を降りやがれ!お城があるからよ!」
「へへへ、いやあおっしゃる通り!」
もみ手で近づく俺。ここは何とかして、このちっちゃいおっさんをだまくらかして寝床をキープしなければならない。
「ちょっと待った!なんだおめえのかっこうは!?それじゃ旅はできねえぞ!
あっちの部屋のつぼのなかに色々はいっているから持っていきやがれ!」
「ええ、それはもう。言われずとも持っていきますが今はなんつーかこう、疲れたな〜なんて。
物とかいらねーから休ませろ?」
「またおめえか!?ふん!てめえみてえなガキは一晩泊まっていきやがれ!」
…なんだか話が噛み合ってないような、その癖要望は叶ったような複雑な気分で俺たちは奥へと進んだ。
今は細かい事はどうでもいい。早く寝たい。もう足が棒なのだ。俺は子供の頃はスポーツ少年だったが今はインドア派なんだ。
ウォーキングなんぞ趣味じゃない。
はたして、そこにはベッドが一台、置いてあった。
・
・
・
そうして、今、俺は床に寝転がっている。
固い床。余りに身体が痛い。多分、明日は今以上に身体が軋んでいる事だろう。
これからどうしよう?
今日は俺、泣きながら眠ります。今日の事が、夢である事を信じて……。
HP:1
MP:0
装備:Eフリース Eパンツ
139 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/31(木) 16:15:36 ID:6T/w9CH+
オモスロイヨ。イイヨ、イイヨー
ワーカー親子と同行する事になった俺は、移送された宿屋で明け方を待つ事になった
何の宿命だか知らないが、俺は今知らない世界に生きている。恐らく俺の世界の常識はまったく通用しないと考えていいだろう。
現に常識ハズレの怪物や、致死の状態から回復させた薬草。軽くK点は越えている
実にリアルで、実にくだらない世界だ
しかし、そんな俺でも、夜になれば静々と明かりの消える世界に順応し、深い眠りへ落ちていった
カーン・・・・カーン・・・・
何の音だろうか、俺の安眠を妨げる
「出せー!出してくれー!」
小さな孤島、洞窟内の穴から、濁った声がこだまする
気味が悪い。ここはどこだよ
ふと、声が聞こえた
「煉獄島からは出られない。きっと、このまま・・・・」
煉獄・・・・島?
カーン・・・・カーン・・・・
「起きろ!魔物が出たぞ!」
アーサー・ワーカーが鉄鍋を鳴らして俺を叩き起こす
空は闇。まだ夜中みたいだ
「魔物って・・・・聖水を弾く魔物はここには居ないってさっき」
「レベルが違うんだよ!山の主が出たんだ!」
「主?」
「そう、主だ」
俺は言われるがまま外に連れ出された、村は松明の明かりで照らされ、私兵団が慌ただしく動き、女性、子供を村の中心へ誘導していた
「ゼシカ様が居てくれれば・・・・」
「弱音を吐くな!たかだか二匹の魔物に何を・・・・」
「アークデーモンとボストロールのどこが「たかだか」なんですか!!」
シン・・・・ざわざわ煩かった広場に一瞬の静寂
「嘘・・・・お父さんが・・・・」
「ママー、パパの方が強いよねー?」
「・・・・」
馬鹿だな、何で自分から不安を煽ってるんだよ
「アツシ、俺も親父の所に行く、オマエはあそこで待っていてくれ」
「ハッ、冗談だろ?何で女子供しかいない避難所に、俺が居残らなくちゃならねーんだよ」
役には立たないだろうが、怪我人の避難くらいなら出来るはずだ
「・・・・分かった、革の盾とブロンズナイフ、忘れずに装備しておけ」
「あぁ、分かった」
腰に巻いたバックルから盾とナイフを取り出す
軽装で、俺でも知ってるあの怪物に対し、果たして何かの役に立てるのか
我ながら無謀な行為だが、今更だが馬鹿らしい、あのまま逃げればよかったのに
山麓の道なき道を疾走する俺とアーサー
「ハッハッはっ」
「どうする?休むか?」
「ウルサイ、余裕だ」
しんどい。やっぱり逃げればよかった
と思っているうちに、林を抜けて、採掘所に辿り着いた
その場は正に惨劇。トラペッタ師団、ポルトリンクに着港していた兵士との連合軍をもってしても、ゆうに三メートルを越える化け物二匹に手も足も出ない状態だった
「アヘ、ニンゲン、ウマイ、バラス」
ボストロールは正に無邪気に暴れ、槍部隊を一閃でなぎ払い、よだれをバタバタ垂らしてケタケタ笑っている
「ムハハハハ!下らん!下らん!下らんぞぉぉぉ!」
アークデーモンは仁王立ちの姿勢で師団の攻撃を肉弾で弾き返していた
「剣が刺さらないぞぉぉぉぉ!」
「怯むなー!矢を絶やすな!」
山に囲まれた広い採掘所で、必死に戦うも、全くと言っていいほどダメージがない。いや、正確には目に見えた傷が付かないといったところか
「ウハッ、イダダキ!」
ボストロールがこんぼうを大きく振りかぶり、餅を打つ姿勢になった
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃ!」
見兼ねたアーサーが林から飛び出し、突撃した
「馬鹿野郎、盾を合わせてダメージを分散させるんだ!」
ダメだ、断末魔やモンスターのおたけびにかき消されて聞こえない
それに、的になっている兵士は士気がガックリ下がり、完全に腰が引け、一部の兵士は尻餅すらうっている
流石に敵が強すぎるか
「チィ!そこをどけぇ!」
武器、防具を放り捨て、兵士を掻き分けて先頭に立った
「プッチンツブレロォ!」
振りかぶりはスローだったのが、振りおろしは異常なスピードだった
ゴァァァァァと空気を裂くこんぼうを、アーサーは
「大・・・・防御ぉぉぉぉぉぉ!」
両腕で受けとめた
衝撃波が数十メートル離れた俺の所にまで届いた
煙が巻きあがり、一瞬すべての戦いが止まった
爆心地にいるアーサーは死んだ。だれしもがそう思ったが、その煙を裂き、アーサーが吠えた
「せいッ拳・・・・突きイィィィィィ!」
煙が一蹴され、アーサーの右手がボストロールの腹部を抉り飛ばした
完全にカウンターを取ったアーサー。アーサーはそのまま支持を出した
「今だ!メラを集中させてぶつけろ!」
「行くぞ!メラ!」
「メラ!」
「メラ!」
「メラミ!」
十人の兵士のメラと、アーサーのメラミが合体し、一つのメラゾーマになった
「ウガ、ウガァァァァァ!」
メラゾーマは巨大な火柱を立て、ボストロールは黒焦げになってしまった
「ハッ、どーよ。おたくの木偶の坊は炭になっちまったぜ」
鼻で笑い。アークデーモンを挑発するアーサー
「フン、甘いな」
「何?」
「貴様の統率力は見事だ、しかし・・・・」
アークデーモンは指をチッチッチッと揺らし、いやらしく笑い飛ばした
「貴様の父親は何処に行った」
「!?」
そう言えば、先程からオッサンの姿が見えない。まさか
「貴様・・・・まさか・・・・」
「綺麗に消えたな。イオナズンの破壊力には我ながらほれぼれする」
ドッ。地を蹴る鈍い音、アーサーは既にアークデーモンの懐に入っていた
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
再びせいけん突きのモーションに入るが、遠くから見ていた俺にはアーサーの危機が手に取るように分かった
アークデーモンのしっぽが、激しくスイングして、アーサーの横腹を抉る
「べふぅ」
血を吐き出し、アーサーは物凄い勢いで弾き飛ばされた
数メートル飛んだところで、指を地面に突き刺して無理矢理態勢を直すアーサー。しかし、口からは血がデロデロ流れている
「クソッ」
アークデーモンの注意がアーサーに向いていると感じた俺は、アーサーが捨てた剣を拾いに走る
だが勿論。アークデーモンにバレてしまった
「ゴミ虫が」
アークデーモンの右手が俺の方へ向いた
キュイィィィィン。右手に魔力が集まり。無慈悲にも、それは放たれた
「メラゾーマ!」
「に、にげぉ・・・・あつ・・・・しぃ」
「クッ」
剣と盾を拾う、だが、本物の剣はかなり重い。抱えて走るのはキツそうだ、そして、目線を上げると、俺に向かって赤い弾丸が迫ってきた
本物の火球が俺に迫る。体感は松阪のストレートより早い
「嘘・・・・マジかよ!」
咄嗟に盾を構える。メラゾーマが直撃するが、何の奇跡かメラゾーマが消滅してしまった
「ま、マジかよ・・・・」
勿論俺のやったことではない
「フ、敵の死体を確認せずに勝利宣言とは、多少あさはか過ぎたのではないかね」
俺の背後の採掘洞窟から、トムが飛び出してきた
「ま、マジックバリアだと!」
「そう言うことだ!」
いつの間にか、俺が抱えていた剣が鞘だけになっていた
「はやぶさ・・・斬り!!」
疾。十字斬りが、アークデーモンのバトルフォークごと引き裂いた
「ば・・・・馬鹿な・・・・」
トムの猛攻は終わらない。剣を捨て、気合いをぶつけた
「ぬぉぉぉぉぉぉ!」
全力で真空波を発生させる。翼をもぎ、体をずたぼろに引き裂き、アークデーモンは俯せに倒れた
「・・・・すげぇ」
言葉に詰まる。確かにイオナズンを食らったのだろう。トム自身も大ダメージを受けている
それでこの大逆転。正に奇跡だ
死んでしまった兵士もかなり居るが、よくここで食い止めたものだ(俺は全く役に立ってなかったが
緊迫した空気が切れ。思わず尻餅を付いてしまう俺
「ハハッ、力が・・・・入らねぇ」
苦笑する俺を、生き残った兵士とアーサーは渋い顔で見ている
「・・・・どうしたんだ?」
「後ろだ!アツシ!」
「え?」
ズッ
後ろからキツイ衝撃が走る。ハンマーで背中を打ちぬかれた気分だ
地面を転がる俺は、俺を蹴り飛ばした相手の正体を見た
「ボス・・・・トロール・・・・」
そいつは黒焦げになっても、まだしぶとく生きていた
つづく
泥のような眠りからゆるゆると覚める。
夜の山を歩く、ただそれだけで体力を使い果たしてしまっていた為か、夢は見なかった。
眼を開ける。否、別に意識してそうした訳では無い。いつのまにか眼が開いていた、が正しい。
視界に入る、ふわふわとした緑色の何かをぼんやりとふかふかする。
そういえば、昔、似たような事があった。
小学生か中学生の頃。
三つ離れた妹が、何かを恐れて一人で眠れないと言い出した。確か、テレビか何かだったろうか。
仕方が無いなと思いながら、一緒に眠った記憶。
今、思い出すと、それは遥かな憧憬の中で色褪せながらも尚、消える事無く残っていた。
「…んん」
HAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?
なんで!?どうして!?こんなに近いの!?
息遣いの音が聞こえる――こんにちわ犯罪歴。さようなら、真っ当な職業。
もうダメですか?誰も僕を使ってくれませんか!?
ついカッとなってやった。女なら誰でも良かった。今は反省している。
違う!何もしてないんだよおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ俺は男だよぉぉぉぉぉ!!!
認め難いものだな…若さゆえの過ちというものは…。
脳内で色んなキャラが大会議を開いている中で、目の前の娘がゆっくりと眼を覚ました。
もうだめぽ。きっと俺は夜這いをかけた最低男として明日にはインターネッツで顔写真が出回り世界の何処にも俺の安息の地はないのだろう。
だが、それが俺が一人の娘を傷つけた罰なのだとしたら、償おうと思います、刑事さん…。
今、俺と緑色の娘――名を、ソフィアというらしい――は、一日かけて山を越え、ブランカというお城の前にいた。
朝の一連の話は、どうやら彼女が床で寝ている俺を哀れんでくれたらしく、ベッドに引き上げてくれたのだそうな。
なんというか。力持ちな娘である。
そこかよ!?――ノリツッコミも寂しいな。
それにしても、目の前のお城がブランカという名前なのは良いのだが、つまり、どういう事なのだろう?
ブランカという国があるのだろうか?それにしては、なんというか、小ぢんまりとした印象である。
うまく伝える術が無いのだが、まるで城という家の中に人が引きこもっているかのような。
国民全員ニートかよwwwうはwww最悪wwwいや楽園かwww
城下町の宿を取った後、ソフィアは王様に会いに行くと城内へと消えていった。
一緒に行こうと誘われはしたのだが、丁重に断った。
そもそも、いきなり行って王様に会えるとも思えなかったし、それ以上に身体が動かない。
きこりの家からこの城まで、距離的には長くもなかったのだが…体力不足を思い知らされる。
それに比べて、ソフィアは強い。道中出会った青い液状のキモスなのもソフィアが一人で散らしてくれた。
「ねぇ、聞いた?」
ぐだぐだと宿屋の一階で飯を食っていると、別の客だろうか、何やらぼそぼそと喋っているのが聞こえた。
「山奥の村にいた、勇者様が魔族に殺されたんですって――」
はぁ?勇者って。ガオガイガーかよ。
腐女子ってのは何処にでもいるんだなと鬱になる。しかし、何で言葉が解るんだろう。
…ん?ゆうしゃ?そういえば、あの日本語がちょっと不自由な男の声の中に――。
『デスピサロさま! ゆうしゃ ソロを 捕らえ ソフィアを しとめました!』
『よくぞ でかした! では みなのもの ひきあげじゃあ!』
m9(^Д^)プギャーーーッ
思い出しただけで笑えるが今はそれどころでは無い。
勇者ソロが捕らえられ――勇者ソフィアを仕留めた?いや、違う。ソフィアは生きている。しかし、という事は…。
あの村を破壊したのが、魔族…魔族は、勇者を殺したい…もし、ソフィアが生きている事を知ったら…?
嫌な汗が出てくる。ヤバイ。あの娘と一緒にいるのはヤバイ。
道中出会った青い液状の何か。不気味に蠢き、一瞬、俺たちの身体ごと飲み込もうと大きく広がり波のように襲い掛かってきた。
あんなものに狙われたら…命がいくつあっても足りない。
他人の巻き添えで死ぬなんてまっぴらごめんだ。そういう、煩わしいのは俺は大嫌いなのだ。
宿屋を出る。時間はまだ宵の口か。ソフィアは未だ城から戻ってきていない。
俺は道行く人間に近くの町へはどういったものかを訊ねた。
どうやら、トンネルを抜けてエンドールという街に行くのがいいらしい。
エンドールは都会らしいから、恐らくは入ってしまえばソフィアには二度と出会わないだろうし、食い扶持も手に入れられるだろうし、
何より――元の世界に戻る法があるかもしれない。
一石三鳥の妙手を得た俺は、一目散に駆け出した。
一度だけ、自分より年下の娘の姿が脳裏を掠めたが、俺の足は止まらなかった。
筋肉痛が臨界点を突破し足がぎしぎしぎしぎし軋む。
周囲は異常な程に暗い。街灯など無いし、空は曇っているのだから当然か。最早、形容抜きで一寸先は闇が覆っている。
突然、ガツン!と、目の前で火花が散った。
どうやら、何かに頭を殴られたらしい。ズキズキと痛む頭を抱えて後ろを振り向くと、かろうじてその何かを判別できた。
それは、スコップを持ったもぐらだった。
大きさは、もぐらにしては明らかに大き過ぎる。それでも、いいとこ50cm前後といった所だろうか。
それが、二匹。巨大もぐら、という存在、一度も目にした事のない物を見る際の不気味さはバリバリだが、それでも何とかなるか。
あの娘にできたのだ。俺にだって――。
ザクン。
あれ?
背後に回った一匹のスコップが、真っ赤に染まっている。
なんか、耳元でプシューって音が。っつか、スコップを立てるなスコップを。危ないだろう。
がくりと膝が落ちる。ざくん、ざくん。ぶしゅー。無機物が有機物を切り裂き真っ赤なトマトがぶしぶしと漏れ出る。
赤い。紅い。朱い。銅い。いつのまにか世界の黒はアカに取って代わられ最早見る影も無く兎にも角にも儚く淡い。
ずごっと頚椎を砕く音をさせながらスコップらしきものが俺の首にめり込んだ。
ギィー。ギィー。ギギギィ。ギィィィィィィィィィ!ギヒ、ギヒヒヒヒヒヒィィィィィィィィィィィ!!!
不気味な鳴き声。歓喜の声が辺りに響く。まるでこれから宴が始まるかのよう。
ああ、歌え、踊れ。メインディッシュはこの俺だ。ふは、ひひ、ウヒヒヒヒ。
この展開はあれだろうか。きっとあれなのだろう。ああ、あれさ。
ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!
そこは何処であったろう。
見覚えなどある訳も無い空間。そこに、銀髪の男がいた。
例のDQNだ。こんな所にまで出てくるとは、余程俺はヤツにビビリが入っているのだろう。
DQNは何やら兜のようなものを持って歩いている。
やがて、前方に現れた人影に、その兜を被せた――。
意識が覚醒する。
すると同時に、緑色の塊がぶつかってきた。
俺はただ、呆けたように少女と、目の前の神父を見た。
薄気味悪い笑顔を浮かべた男だった。その笑顔が、いつも自分が浮かべるそれに酷似しているような気がして余計にキモスだった。
そして、自分にしがみついたまましくしくと泣く少女を見て、俺は深く後悔する。
この娘は――故郷を滅ぼされ身寄りも無くたった一人、放り出されて。
たまたま出会った旅人(だと、ソフィアには説明している)と行程を共にする程に――寂しかったのではないか。
それなのに、俺は――言葉の喋れない娘から、逃げ出したのだ。
これほどの後悔は母親が買ってきたデジカメの使い方が解らず俺に訊いてきた時にぞんざいな対応をしてその数日後母親が死に遺品のデジカメのデータを見ると俺の画像が沢山残っていた時以来だった。
いや、おかんはまだぴんぴんしているが。
HP:18
MP:0
装備:Eフリース Eパンツ
教会を出る。
ソフィアはブランカ〜エンドール間のトンネルを抜けた辺りで俺を見つけ、
そのままエンドールの教会に運び込んだらしい。
神父が死人を蘇らせる。はっきりいって、よく解らない。じゃあソフィアは村の人達を生き返らせれば良いだろうに。
制約があるらしいのだが、その辺りは神官にしか解らないのだそうだ。なんだかふに落ちない。
まあ、それは置いておくとして、とりあえずはこの言葉を操れない娘の手助け位はしなければならないので。
しかし、お互い特に当ては無い。暫くは、この街に居る事になるのだろうか。
教会から大通りに出た所で、突然俺たちは声をかけられた。
「もし…旅のお方。占いはいかがですか?10ゴールドで貴方の未来を視てあげましょう」
ぐあ!流石都会、いきなり変なのに遭遇してしまった!
ソフィアが興味津々と言った風に占い師を見ている。
どうせこの手のなんて当たるも八卦当たらぬも八卦。俺は細木○子が大嫌いだ。
だが、ソフィアが引っかかってしまっている。
田舎から出てきた小娘に任せていては、カモにされる可能性も無くは無い。
様子を見る、という事で、間に割って入りとりあえず俺が占ってもらう事にした。
「解りました。では、今日のあなたの運命をこのタロットに聞いてみましょう。
……。……。
あなたの運命を示すカードは――きゃあっ!くさった死体の正位置!
な、なんて事なの……。
探しものが見つかりますが、腐っています。
ラッキーナンバーは7837029849375843ラッキーカラーはくさった卵色です。
あの……お気を落とさないでくださいね?占いは道を示すだけ。心がけや行動次第で――」
( ⌒ )
l | /
∧_∧
⊂(#・д・) 心がけや行動次第で運命は良くも悪くも変わりますとか
/ ノ∪ もうやってらんないっすお!
し―-J |l| |
人ペタンッ!!
□
) □ (
⌒) (⌒
⌒Y⌒
カードを奪って地面に叩きつける俺。
腐った死体ってなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおそんなカードねえええええええええええよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ダメだダメだ!この占い師はインチキ占い師だ!
俺が暴れ狂っている間に、インチキ占い師はいつのまにかソフィアを水晶玉で占っていた。
「貴女のまわりには7つの光がみえます。
まだ小さな光ですが やがて導かれ大きな光となり……。 えっ!?
も もしや貴女は勇者さま!貴女をお探ししていました!
私の名前はミネア。導かれし者たちの一人です!ああ、これが運命なのですね!
さあ、光の導きのままに邪悪なるものたちを倒す旅に出発しましょう!」
俺は物凄い勢いで逃げ出した。勿論、ソフィアの腕を引っ張ってさ。
代金なんてしった事じゃない。それ以上に、アレはヤバイ。
まさか真性のきち○いに遭遇するとは思わなかった。インチキ占いとかそういうレベルじゃないヤバサ。
ああいうヤツラが神の名の下に突然大量殺人とかやりだすんだ。あーやだやだ。
何処をどう走ったものか。
軽く道に迷ってしまったので、ソフィアの提案でとりあえず此処からでも見えている馬鹿でかい城に一度行ってみる事にする。
なにやら、結婚式が開かれているらしい。
それも、ずっと。
なんでだ?そもそも、結婚式を何日もやるという感性が信じられない。アホか?アホなのか?
おめでたい席という事もあり、また、そうでなくても城は開放されているらしい。なんでよ。暗殺とかテロとかねーの?
もう解らない事ばかりで嫌になるんだが、此処をぐっと堪える。
ブランカでの分の償いもあったからだ。
結婚式はコロシアムで行われていた。何で、コロシアムで?いやまあ、行事をやる広場として存在するなら間違っちゃいないが、
話によれば武道大会とかもあったらしいのに、そんな血生臭い場所でいいのか…。
観客席からは、幸せそうな男女が見えた。
俺は他人の幸福を見ると不愉快になる人間だったので、
「できちゃった婚おめでとー!お腹の子供は誰の子供かな?」
と、叫んでやった。言ってやった言ってやった。
兵士らしき人影が鬼の形相で迫ってきたのでマジ逃げした。
日が落ちて、夜。
宿屋兼酒場の一階で飯を食っていると、なにやらこの地下にはカジノがあるという話を聞いた。
かくいう俺は、アミューズメント施設を利用する天才だ!だったので、一も二も無く行ってみる。
スロット、ポーカー、もんすたーばとる(って何よ?いや、システムは解ったんだが…うーむ…)
種類は少ないものの、娯楽があるだけマシなのかもしれない。
俺は折角なんで、コインを10枚入手しソフィアに遊ばせる事にした。
俺の運勢はくさった死体らしいし、彼女の眼は目新しいものを見る度にキラキラとしていたので。
コインを握り、何に使うか物色し始めるのを見届けてから、ふとスロットの方に眼をやった。
そこには痴女がいた。
うはwwwwwwヤバスwwwwwwリアル痴女なんて始めてみたよwwwwwwwみwなwぎwっwてwきwたw
上半身はまるでビキニの水着を着てるようだ。いや、肩紐すらない。
下半身も深いスリットから太ももが丸見えで、殆ど足の付け根まで見えてしまっている。
∧_∧
( ;´∀`) ヤバスwww勃ってきたwww
人 Y /
( ヽ し
(_)_)
軽く前傾姿勢を取りながらもそしらぬ顔で口笛なんぞ吹いてみたり。
すると突然、ソフィアが視界に入って来、痴女の隣に座りコインを投入し出した。
好機(チャンス)!
俺は通常の三倍の速さでソフィアの傍により、へ〜これに決めたのか、などと白々しい事を言いながら鷹のような鋭い視線を横に走らせ必殺のちら見を開始する。
乳デカスwwwけど俺はもう少し小さい方が好きwww背中もお腹も丸出しっすかwww
童貞には刺激の強い展開に幸福な右往左往をしていたのだが、不意に肩を叩かれる。
振り向くと、にっこりと笑った昼間の電波女がいた。
いかん!俺ともあろうものが女の色香に惑わされたか!?
逃げようとソフィアの方を見ると、コインが無くなりしょんぼりとしていた彼女に、痴女がコインを渡していた。
最初は戸惑った表情を浮かべ小首を傾げていたソフィアだったが、痴女がにっこり笑うと嬉しそうに再度コインを投入し、絵柄をじっと睨んでいる。
お、おのれ、余計なマネを――って、この二人肌の色も髪の色も似てる――。
「姉さん、お願いね」
「はいよ。任せといて」
NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
くそ、この痴女…!俺を騙しやがったな!?返せよ!?俺のときめき!!!
「はぁ?エロイ顔でじっと見てた癖に何を返せっての。というか、お代を払いなさいよ。タダ見は許さないわよ?」
知るかバカ!阪神優勝!
違う!
えぇい、こうなったら俺だけでも逃げ――ちゃ、ダメだよなあ……。
これからどうなるのだろう。おかしな宗教に入信させられた挙句にマインドコントロールされて修行しちゃうんだろうか。どうせ似たような事になるなら毒電波が使える方が良いのだが。
俺が自分の将来に絶望している間に、ソフィアは(うんのよさは低いくせに)777を叩きだし、痴女と一緒に喜んでいた。はぁ。
HP:18
MP:0
装備とかかわんねーよ!
◆gYINaOL2aE 天才かww
バギワロスwww
158 :
[:2005/04/04(月) 02:40:32 ID:PGukuRml
「………………。」
「………。」
俺は体に重みを感じながら目を開き体を起こした。
「ウ〜ンまだ眠ぃ」と思いなんとなく辺りを見回し二度寝しようと体を倒した。
ボフッ!
「ん…?俺の家には枕があるはずがないのにこの柔らかいのはなんだ?」
そう思いながら枕を触ってみる。
俺はすぐさま体を起こした!
「なんで枕が!?てか俺のベッドじゃねぇぞ!?」
俺は混乱したまま静止してしまった。
電波女ことミネアが先頭に立ち、その後ろにマーニャ、ソフィアと続く。
俺は最後尾。とはいえ、名誉あるしんがりを務めている訳では無い。
一人、大量の荷物を背負わされた為に足取りが遅々としているだけだ。
その上、無理やり装備させられたこの鉄のかたまりが重い。しかも格好の悪いことにまえかけときている。
…ま、鎧はこれ以上に重くて俺にはとても装備できなかったのだが。
前の糞女どもはさっきからピーチクパーチク五月蝿く俺の神経を逆撫でする。
いつの世も、女三人寄れば姦しいとは良く言ったものだと舌打ちをする。(ソフィアは喋っていないが)
それが前二人まで聴こえたのか、ソフィアは心配そうにこちらを見、マーニャはまるで下等生物を見るような視線を俺に向けた。
俺はマーニャみたいなギャル系は苦手なのだ。あまつさえ格好が格好だからまともに眼も合わせられない。
そして、あの女はそういった機微に聡い。それを理解し、自分が優位な立場にいる事を自覚している。
これが、最もタチが悪いのだ。
「それで、あんたは勇者ちゃんとどういう関係なわけ?」
宿の一室。マーニャの値踏みするような視線に、俺は耐え切れず目を逸らす。
ミネアはミネアで、訝るような、疑うような、少なくとも絶対に良い印象は抱いていないであろう。
俺は自慢じゃないが、女に好意的な視線を送られた事など一度も無い。
無職童貞ニートですからwww本当は人と喋るのも億劫なんですよwww
成長した妹は目の周りを真っ黒にして、事あるごとにキモイという女に成長した。
姉は、出来た人で母と二人なんとか俺を人間と見てくれてはいたものの、やはりそこには壁がある。
しかも、ミネアとマーニャは姉妹、二人だ。二人というだけで、いつ、
し! _ -── ‐- 、 , -─-、 -‐─_ノ
小 童 // ̄> ´  ̄  ̄ `ヽ Y , ´ ) 童 え
学 貞 L_ / / ヽ 貞 |
生 が / ' ' i !? マ
ま 許 / / く ジ
で さ l ,ィ/! / /l/!,l /厶,
だ れ i ,.lrH‐|'| /‐!-Lハ_ l /-!'|/l /`'メ、_iヽ
よ る l | |_|_|_|/| / /__!__ |/!トi i/-- 、 レ!/ / ,-- レ、⌒Y⌒ヽ
ね の _ゝ|/'/⌒ヽ ヽト、|/ '/ ̄`ヾ 、ヽト、N'/⌒ヾ ,イ ̄`ヾ,ノ!
l は 「 l ′ 「1 /てヽ′| | | 「L! ' i'ひ} リ
ヽ | ヽ__U, 、ヽ シノ ノ! ! |ヽ_、ソ, ヾシ _ノ _ノ
-┐ ,√ !  ̄ リ l !  ̄  ̄ 7/
レ'⌒ヽ/ ! | 〈 _人__人ノ_ i く //!
人_,、ノL_,iノ! /! ヽ r─‐- 、 「 L_ヽ r─‐- 、 u ノ/
/ / lト、 \ ヽ, -‐┤ ノ キ 了\ ヽ, -‐┤ //
ハ キ { / ヽ,ト、ヽ/!`hノ ) モ |/! 「ヽ, `ー /) _ ‐'
ハ ャ ヽ/ r-、‐' // / |-‐ く | > / / `'//-‐、 /
ハ ハ > /\\// / /ヽ_ ! イ ( / / // / `ァ-‐ '
ハ ハ / /! ヽ レ'/ ノ > ' ∠ -‐  ̄ノヽ /
{ i l ! / フ / -‐ / ̄/〉 〈 \ /!
などという暴言を吐かれるかと戦々恐々としてしまう。
俺が黙っているので、マーニャは苛々したのか持っていた鉄扇をバチン!と締めた。
何故、黙っているのか。どうも俺はこの状況が不愉快なのである。
子供の頃万引きで捕まり、泣きが入った時のような。
恐らく、俺という異物――ミネアに言わせるとつまり導かれし者では無い者――の存在を彼女たちも持て余しているのだろう。
このままなら、俺は彼女達からはお払い箱となり放り出されるのは明白だった。だが、それも良いと思い始めている。
それにしたって――それにしたって、酷い話だ。
俺は何も好き好んでこの場所にいる訳じゃない。
こんな――コンビニも無ければ本屋も無い、パソコンも無いまるで異世界じゃないか。
どうして、何故、こんな事になったのか。解らないのは俺だし、訊きたいのは俺の方じゃないか。
俺が導かれし者(この言い方からして、タチが悪いと思う。まるで選民思想だ。壷を買えと言い出したところで俺は驚かない)じゃない事は、俺の責では無いだろうに。
俺は半ば自棄になり、放り出すならそうすればいいと考えていた。
ソフィアだって、考えてみればいくら俺が彼女より弱いからと言って年頃の娘が男と旅なんてするもんじゃない。
女同士の方が都合の良い事は何かと多いだろうし、ソフィアがまだあの化け物達に狙われる可能性は以前消えていない。
そう、俺としてもこのまま訪れる結末は願ったり叶ったりの筈なのだ。
「はぁ。ま、いいわ。この娘は、私たちと一緒に魔物を倒す旅にでる。それは良いのよね?」
「姉さん。私たちの旅は、魔物を倒す旅じゃないわ。むしろ、世界を救う旅になるでしょう」
「――世界を、ねえ。ミネア、私はどうもそれは良く解らないわ。勿論、あんたには別のものが視えてるからそう言うのだろうし、私はあんたを信じてはいるけどね。
で、勇者ちゃんは良いのよね?」
ソフィアは、こくん、と小さく、だがはっきりと頷いた。
その眼には、何処と無く暗い光が宿っているように俺には感じられた。
考えてみれば、ソフィアは両親を、育った村を、大切な幼馴染を魔物に殺された事になるのだから、
これは当然の選択なのだろう。
――それが復讐かどうかは解らない。恨むのは当然だと思う。だがそれ故に、陳腐だ。
いずれにしても、今すぐには解らずとも、ひょんな事からもしソフィアの無事が魔族に知られたら、またあの破壊と殺戮が再現されるという事でもある。
ソフィアには選択肢など殆ど無いのだ。
そして、助けてくれるという人間が現れた。これは渡りに船というヤツなのかもしれない。
「で、あんたはどうするの?――私たちの旅は遊びじゃないし、相手はバカみたいに強いヤツラ。正直な話、あんたじゃみたとこ足手まといだわ。
無駄死には、あんたも望む所じゃないでしょ?」
それは、そうだ。
俺は死にたくない。もう、あんな思いは御免だ。
死、という感覚。あれは、ヤバイ。あの時はたまたま頭を最初に割られてしまった為か前後不覚に陥ったけれど。
思い出しただけでも身震いが止まらない。
「…お前たちみたいな胡散臭い連中に任せられるかよ。
世界を救うだなんて、頭のねじが緩んでるとしか思えねえ。ソフィアをおかしな宗教に入信させられちゃ夢見が悪い」
だが、口を出た言葉はそれだった。
俺なりの打算はある。この世界の事を知り、そして俺がこれからどうするか、どうすればいいのかを考えようと思ったら、一つ所に留まっているのは良くない。
一人になってこの街に置いていかれて、そして元の世界に帰れなかったら俺は本気で此処に骨を埋めなくてはならなくなる。
俺一人では、もぐらにすら勝てないのだから。
だが、それもソフィアに拒絶されたなら難しいだろう。姉妹の方は、俺の存在は邪魔でしか無い筈だから。
だから、ソフィアを見た。彼女は――俺の言葉を聴いて、嬉しそうに微笑んだのだった。
しかしその笑みは何処か――何処へのものだったろう。
それは、『俺を通して俺じゃない誰かへ向けた笑み』のような。そんな気がした。
ビキリッ!
「はぉう!?」
幼い姪と戯れていたときに間違ってか故意にかは知らないが少女の正拳突きが股間に入った時のような声を上げる俺。
いかん…持病の椎間板ヘルニアが…。
極端な話、俺の場合はギックリ腰になり易いというだけであるが。
ズキンズキンと大地を揺らすような痛みが腰にリズミカルに打ち鳴らされる。
これは…も、もうダメだ…。
「なによ。もうへばったの?ま、良いわ。今日の目的地は、ほらあそこに宿屋が見えるでしょ?きりきり歩く!」
前方にはなるほど、宿屋らしき建物が見える。
…どうもその奥には、砂漠が広がっているかのように見えるのだが、俺は夏休みの宿題は最終日にまとめてやるタイプだったので見なかった事にする。
死に物狂いでそこまで歩く。途中からどうやらランナーズハイに入ったらしく、痛みが気にならなくなりまた一つ人体の神秘にお目にかかってしまった。
宿屋の主人に代金を払い、部屋を取る。マーニャが仕切り、大部屋を一つ借りたようだが…嫌な予感がする。
荷を置いた後、俺たちは二手に分かれる。
野宿をしていた時もそうなのだが、ソフィアはミネアに剣を習い、俺はマーニャに(途中からミネアも混ざり)魔法を教えられていた。
ソフィアの腕は中々のものらしく、ミネアには余り教える事はできないらしいのだが、それでもまだミネアの方が強いらしい。
人は見かけによらない感じだ。
そして――本来、マーニャもミネアもソフィアに魔法を教えるつもりだったらしいのだが、彼女が喋れない為に急遽俺にお鉢が回ってきてしまった。
はっきり言って、ちんぷんかんぷんで俺はこの時間も辛いのだが、足手まといは悔しいし、身を守る術はやはり欲しかったので素直に師事を仰いでいる。
だが、マーニャも理論は苦手なのかそれとも俺の覚えが極端に悪いのか、余り眼を見張る成長ができているとは言い難い。
「はぁ。あんたダメだわ。才能ないよ」
らしい。鬱出し脳。
俺がOTZしていると、マーニャはけらけらと笑いながら足で小突いてきた。
「あ、そうだ。そういえば、勇者ちゃんっていつから言葉が喋れないわけ?」
突然の問い。
――いや、それは解らない。言われてみると、確かに少し気にかかる。
あの失語症は、先天的なものなのか、後天的なものなのか。
俺が解らないと答えると、マーニャはふーんと言ったきりその話は終った。
中々、ソフィア本人に訊ねるのはタイミングが難しいと思う。
そんな事を考えていると、ミネアとソフィアが戻ってきた。
ソフィアが落ち込んでいたので何かあったのかと訊ねると、砂漠越えに馬車を使えないかと持ち主に交渉したのだが断られたらしい。
そういえば、宿屋の隣に馬小屋もあった気がするが――あ!?
俺はぐるん!と、物凄い勢いでマーニャを見た。あの痴女は、俺がドキリとするような色っぽい笑みを浮かべた。
そうして、俺は馬小屋で寝ている。
明日には少し臭くなっているかもしれない。
PS
そういえば、道程でレベルが上がったようです。頭の中にメッセージがぐわんぐわん響いて死ぬかと思いました。
幸い、それだけだったので脳を破壊されずに済みました。
普通はちからとかかしこさとか上がるものじゃないかなあとも思いましたけど、まあ、しょうがないかなと思いました。
HP:18
MP:0
E:てつのまえかけ E:パンツ
165 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/07(木) 23:21:45 ID:Pbt91LrN
保守
すごい良作だ
最後まで見守りたい
>>166 禿同。
ソフィアの話を書いてる職人タソ応援してるからガンガッチー(つ∀`*)
みんなも妄想しようぜ
あのジプシー姉妹、誰に似てるって叶姉妹に似てるんだ。
別に顔は似てないがゴーマンな姉と少し控えめな妹というあたりが。
いやあ、納得がいったよね。(いかない?だったらゴメン!)
だけど俺は現状に納得がいかないんだ。
何がって?
藤岡弘ばりに洞窟の探検に赴いた俺たちを待っていたのは、いきなりの落とし穴だった事さ!そりゃテンションもおかしくなるYO!
ばか、ばか、まんこ!いきなり一人ぼっちとか無理すぎだろ!?最初のダンジョンにしては難易度高いじゃないか!!
きっかけはフジテレビだった。
違う、これは今はもう遥か遠い世界のキャッチフレーズだ。
そうきっかけは、あのホフマンとかいうDQNのせいだ。
あいつが素直に俺たちに馬車を献上していればこんな事には…って、まあ考えてみると、
譲ってくれって方が無理がある気がするんだが。
この『裏切りの洞窟』の中に、『しんじるこころ』という名の宝石があるらしい。
馬小屋で眼を覚まし、テンションの低いままぼーっとしている間にいつのまにかそれを取りに行く事になっていた。
今思い返せば、洞窟なんぞにこないで宿屋で待っていれば良かったのに…。
いや、それも叶わぬ願いか。どうせ荷物もちに担ぎ出されただろう。
兎に角、今は何とか脱出を目指さなければならない。
ひたり、ひたり。
己の足音がまるで自分のものである気がしない。
ぽたり、ぽたり。
何処かで水滴が落ちているのか。暗闇の中、松明の明かりで床を照らしてみると僅かに濡れているようである。
そういえば、洞窟に来るまでに橋を渡った気がする。
周りを水が走っているのだとしたら――嫌な感じだ。
水、というのにどうしてこうも不安になるのだろう。俺のゲーム知識では水は大抵優しいウンディーネの結晶だというのに。
溺死のイメージ。溺れるという事。何処かで記憶に刻み込まれているのだろうか。
俺は何気なく腰に手をやった。そこには、ソフィアのお下がりの銅製の剣がある。
それだけで、少しだけ気が楽になった。
手探りで進むうちに、やがて昇り階段らしきものを発見した。
俺は慎重に、気配と足音を俺なりに消した上で足を進める。
――キィン。
澄んだ音が響く。
階段を抜けた先の広間には、ソフィアと、叶姉妹が烈しい剣戟を響かせていた。
「――な!?」
溜まらず、驚きの声を上げてしまう。これが俺の経験の浅さだろうか。
切り結んでいたソフィアとミネアは直接俺の方を見ず、マーニャのみがその鋭い視線をちらりと俺に向けた。
えぇい、バレちまっちゃあしょうがない。
「何――やってんの」
その何とも間の抜けた問い。それに、まずマーニャが答えた。
「良かった、心配していたのよ。――それが、私たちにも解らないのよ。
あの後、ソフィアともはぐれてしまってようやく見つけたと思ったら、突然後ろから……」
心配?心配だと?胡散臭SEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!
ぷんぷん臭うぜええええええええええええええとまあジョジョっぽい感想を抱く。
「ソフィアさんは何者かに魔法をかけられているのかもしれません。
幻惑呪文か混乱呪文か…兎に角、動きを止めないことには調べることもままならなくて…」
と、ミネア。
妹の方は――電波ゆんゆんだが、受信している時以外はとても優しかった。
ソフィアの事を本当に心配しているように思える。
「――――――――……………………」
そして、彼女は喋らない。言葉を紡ぐ事ができない。
一瞬だけ視線が絡む。だが、彼女はすぐにそれを外し、今一度――大剣を構えた。
はがねのつるぎ。
エンドールで俺が家に帰る手段を模索していた時に、ボンモールへと足を伸ばした彼女が手に入れた剣呑な光を反射する武器。
そう、それは銅の剣などとは比べ物にならぬ程の『武器』であった。『武器』は、容易に全てを傷つけ犯し、殺す。
ソフィアはそんなものを――同じ人間に、共に行こうと言ってくれた仲間に、振るおうとしているのだ――。
そんな事は、させたくないと。胸の奥で感じた。
だから俺は腰に差した銅の剣を抜いた。鋼の剣と比べると、余りに脆弱な武器だったけれど。
だけど脆弱だから、少なくとも彼女を傷つけずに済むと思った。
一歩、二歩と足を進める。
彼女を傷つけずに済んだとしても、俺は傷ついてもしかすると死んじゃうかもなあとも考える。
恐怖に足が震えた。それでも、がくがくと震える足を無理やりに前に出した。
三歩、四歩。
俺は姉妹を背に、ソフィアと対峙する。
そうして、こんな事は止めてくれ、と頼んだ。
ソフィアが伏せていた顔を上げる。
瞳が、強烈な光を放っていた。俺の心身はその光芒に飲み込まれる。
涙を決して浮かべるものかという、彼女の決死の意思が俺を貫く。
唇が動く。少女のものにしては鮮やかに朱い。
彼女は言葉を紡げない。だけど、その時俺には何故か彼女の言葉が聴こえた気がした。
読唇術なんて気の利いた技術なんて持ち合わせている訳が無い。そんなものは漫画の中でしか出来なくて、俺は現実の通りに鬱になるくらい無力で。
だから俺が出来た事は唯(たった)一つ。――彼女にはきっと確信があるのだ。だからソフィアを、信じる。
ソフィアが身体を弓のように引き絞り、剣を突きの形に構える。
一足飛びで俺との距離が詰まる。俺の身体ごと貫かんとするかのように――だが刀身は俺の身体を避けて――体当たりをするかのように俺へと身体を浴びせかけた。
ドン、と俺の身体は弾かれる。その反動で、ソフィアもまた逆方向に身体を流す。
後ろからミネアが繰り出した槍の穂先は、今まで俺が居た空間を通過した。迷い無く繰り出された穂先は、本来ならば俺ごとソフィアを貫いていたのだろう。
――ズス、ン。
大剣がミネアの柔らかい身体を貫いた。それは、俺が今迄聞いてきたどんな音にも似ていなくて。
思ったよりも乾いた音だと思ったのも束の間、ぐちゅり、と臓腑が軋む音が響いた。
その時、既に俺の身体は動いていた。
ソフィアが剣を引き抜く前に、首を掻っ切ろうとマーニャが伸びた爪を閃かせる。
俺は無我夢中で剣を振るった。
スパッと、何かを薄く切り裂いたような、そんな手応え。
だがそれはそんな生易しいものではなく。
マーニャは首から噴水のように紅い水を撒き散らし、その場に崩れた。
……会心の一撃、というヤツだろうか?は、ハハ――。
バカな事を考えて意識を逸らそうとした努力も虚しく、俺は突如訪れた嘔吐感に従い胃の中のものを吐き出してしまう。
「――うぐっ、おぇぇぇぇ……」
ソフィアが背中を摩ってくれる。明らかに年下の娘に対して、余りに恥ずかしく情けない姿なのだが、そんな事を考えられる余裕はとても無かった。
殺した。殺してしまったのだ。人間を。仲間を――。
此処は、裏切りの洞窟。
こうやって、あのホフマンという男も…。
瞳に涙が浮かんできてしまう。だが、決してそれを零すまいと必死で堪えた。
どんなに人を嫌おうと、殺してしまいたいと思ったとしても、そんな事は絶対に実行してはならない事だと解っていた。
今でも昔と変わらず解っているのに、今の俺は解っているなんておこがましくてとても言えない。
どうして、と。何故、が。ぐるぐると渦巻く中で、それでもまだ神父に診せれば間に合うんじゃないかという考えに至ったのは僥倖なのだろうか。
慌てて身体を起こそうとした、その時。ソフィアが、俺の背で指を動かしているのが解った。
何度も何度も、同じ軌道を描く。少しして、彼女が何をしているのか理解した。
『大丈夫』
自然と、深い呼吸が為される。
そしてもう一度マーニャとミネアの死体を見てみると、そこには彼女たちの屍は無く。
恐ろしげな顔をした小鬼(と、言ってもホンモノの鬼を見た事は無いのだが、俺が持っていた鬼のイメージに近かった)のようなモノが二匹、斃れているだけだった。
考えてみれば、そうだ。俺の一撃なんかでマーニャが死んでしまう訳がない。
それもまた、それはそれで身震いが起きるし、この手で何かを殺した、という事実は変わらないのだが。
『信じて』
何を――何を信じろと言うのか。
ソフィアを信じろと言うのか。
マーニャとミネアはこんな簡単に斃れたりはしない。俺に斃されたりする彼女たちが本物である筈が無い。
それが、マーニャとミネアを信じるという事なのか。
だが、それらは余りに俺に都合が良すぎる――独善的な信頼のように感じられる。
信じるとは――なんなんだ?依存とは違うのか?
俺はさっき何を信じた?マーニャとミネアの言葉を聴いてソフィアと対峙し、そうしてソフィアの声無き声を聞き、彼女を信じた。
ソフィアを信じて、マーニャとミネアを信じなかった。
しかし、あのマーニャとミネアは本物の彼女たちじゃなかったんだ。
――だからといってマーニャとミネアを信じなかった訳じゃないなんて言うのは――卑怯じゃないのか。
答えは、無い。
ループしかける思考の渦を、頭を振ることで辺りに散らす。
こんなところで立ち止まっている訳にはいかない。今は、それに縋るしかなかった。
洞窟の探査を続ける中で、俺たちは再度、姉妹を見つけた。
彼女たちは俺たちの偽者に襲われたらしく警戒しており、ソフィアに質問を投げかけていた。
ソフィアは首を縦横に振り、危なげなく解答し、姉妹の信を得た。俺については、ソフィアが大丈夫だと言うのなら大丈夫だろう、という事らしい。
信頼したものである。だが、それは俺も同じで、ソフィアが大丈夫だと言うのなら、この姉妹は本物だと思えた。
俺は、ソフィアを信じたのだろう。そうして、マーニャとミネアも同じく。
――では、ソフィアは何を信じたのだろうか?
マーニャとミネアの姿をした魔物と迷い無く対峙したソフィア。
本物のマーニャとミネアを見つけた時は、姉妹とは対照的にまるで警戒した素振りも見せなかったソフィア。
洞窟の最深部にて。
俺たちは、『しんじるこころ』と呼ばれる宝石を手に入れた。
その宝石は確かに、視る者の心に優しく触れるような光を放っている気がした。
帰り道。
ミネアが荷物を少し持ってくれ、腰にホイミ(俺も習っている治療魔法)をかけてくれた。ミネアに言われて、マーニャもぶつくさ言いながら手伝ってくれた。
ソフィアは元より、手伝ってくれている。
彼女の胸元には、『しんじるこころ』が光っていた。
その光を見ていると、何かが頭に流れ込んでくる気がした。それは知識というよりも、理解そのものに近い。
きっと、どれもが真なのだ。
信じる、という行為。その在り方はそのどれもが正しいんだ。
マーニャとミネアの強さを信じるのも真ならば、彼女たちの言葉を信じるのも間違っていないんだ。
例えばそれが偽者の騙りで、その後悲劇が待っていたとしても、信じた行為そのものは究極的に偽である事は無い。
勿論、盲目的なのもダメだし嘘に騙されてしまってはダメだ。
だからこそ、常に客観的な視線を心がけなければならないし、騙されない為には相応の知識と齟齬を見抜く直感もまた必要になる。
俺はあの時マーニャへの違和感とソフィアの視線を受け理屈は解らずとも、ソフィアの意思と確信を信じた。
俺がそれ以上の確信を持てた時は、こちらが信じてもらう側に立つ。それが、盲目的な信頼や依存とは違う、信じるという行為。
そうしてそれと同時に発生する――覚悟、というものの存在をも『しんじるこころ』が照らしてくれたのだろうか。
……信じること自体は、既に出来ていた。足りなかったのは、ソレなのだろう。……いや、そう。俺に足りないのはきっと、その覚悟だけでは無い……。
俺はソフィアだけじゃなく少しずつでも、マーニャとミネアの事をより知る事で、より信じたいと思っている自分が居る事に気がついた。
そうしてそれこそが、『信じる』という事の始まりなのだとも。
HP:32
MP:5
Eてつのまえかけ Eパンツ Eどうのつるぎ
もう本だそうぜ
段々感動的になってる
。゚・(ノД`)・゚。
楽しみで仕方ない。ラスボスまで頑張ってください
HPとMPが増えてる。
ってことは魔法使えるようになるのか?
ソフィアが話せない=呪文が唱えられない
ってことで、◆gYINaOL2aEが呪文担当になるんだとみた。
太陽がジリジリと情け容赦なく辺りを焦がす。
砂漠の真ん中で、天幕を張り日陰を作り、そこで俺たちは休んでいた。
暑い昼間をこうやってやり過ごし体力を温存し、夕方と明け方に移動するのだ。
って漫画で言ってました!提案自体はホフマンのものだがー。
しかし、砂漠の辛さは想像以上のものだった。日陰を作ったとしても、昼間は沸騰するような暑さの中をじっとしていなければならないのだ。
歩けば、砂に足を取られる。唯でさえ暑さで体力を奪われているのに、ここでも消耗してしまう。
極めつけは夜の冷え込み。
これが、また寒いのだ。服を数枚重ねないと間違いなく風邪をひいてしまうだろう。
マーニャなどは昼は殆ど素っ裸の格好で、それでも暑い暑いと不平を漏らし、
夜になるとショールを胸の前で合わせ、ぶるぶると震える始末である。
まさか本当にこんな行程を進む事が俺の人生の中であるとは思わなかった。
溜まった疲労にぐったりとしていると、ホフマンが水を持って来てくれた。
『しんじるこころ』を手にしたホフマンは、まるで人が違ったような青年へと変貌していた。
不思議なもので、顔に浮かんでいた険も綺麗に消えてしまった。
そうして、彼は馬車と一緒に旅の同行を願い出た。
最初、ミネアは迷うような表情をしていたが慣れない砂漠越えの為か、俺という前例の存在故か。
ソフィアの快諾に、異を唱える事は無かった。
俺はというとそんな事はどうでもいいから馬車が欲しかった。
願いは叶い、ようやく大量の荷物から解放された事は特筆するべき出来事であり、
俺は自分史にこの日を『荷物地獄の解放』と名づける事にする。これが革命の第一歩なのだろう。
毎日の業務に馬の世話という項目も追加されたが、殆どホフマンがやってくれるので楽なものである。
その分、彼女たちに師事を仰ぐ時間が増えたのだが。
「大丈夫ですか?ああ、余り一気に飲まないでくださいね。湿らせる感じで」
手渡された水筒から零れる水を口に含む。
くぁー五臓六腑に染み渡るねぇ!
俺はありがとう、と礼を言う。基本がヘタレな俺は知り合って日が浅い相手には丁寧語や敬語を使う事の方が多い。
たまに例外もあるが(主に導かれてるらしい電波たち相手に)
「頑張ってください。この砂漠を越えた所にアネイルという街があります。
そこには温泉もありますから。砂埃も落とせますよ」
「詳しく」
俺のシンプル且つ身を乗り出しながらの物凄い喰い付きに一寸気圧されたかのような表情を浮かべるホフマン。
今の何を詳しく言えと言うのか解らないといった感じだ。
「え?ええ、ですから、アネイルという街があって、そこの名物は温泉なんです。
露天風呂もあるんですよ」
エロイベントキタ━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚ )━( )━( )━( ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━ !!
天に向かって拳を衝き上げる。我が生涯に一片の悔い無し!!
いや、ちょっと早いか。
しかし…しかしですよ…くそ、たまらん!
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
俺は我慢できず突き上げた手を振り始める。
この動作には何か神性力すら感じるのか、ホフマンは痛い人を見る眼をし始めていた。
アネイルの町。
南にある港町コナンベリーに比べると小さな町だが、湧き出している温泉のお陰でちょっとした観光地になっている、らしい。
しかしそもそも旅人いう概念が存在しているのかどうかも怪しいと思う。
今は丁度魔物が暗躍しているという噂のせいもあるのだろうか。
やれ、子供が攫われたとか、やれ、船が沈められたとか。そういった噂話はエンドールでもブランカでもよく聞いた。
それでも町の中に入ってしまえばそこは平和である。
町の入り口でとりあえず宿を探そうかと相談していた所に、突然、頭から角を生やした男が話しかけてきた。
すわ、ミノタウルスか何かか!?と思いきや、そういう帽子らしい。そういえば別の町でも見かけたか。流行っているのだろうか?
どうやら男は観光地案内を生業としているらしい。きっと、いつも暇なんだろうな…と考えると、
何かの力が発動したか、公園でスーツを着てブランコに座ってる自分の姿が思い浮かんだ。
涙無くして語れない物語を男の角に見た俺も、皆と一緒に男の案内を受ける事にする。
ありがちな店屋紹介から始まり、墓場まで連れて行かれる。
墓場!?アホかこいつ――何でも、リバストとかいう戦士が眠っているらしい。
そんな事言われても――あー、函館が土方歳三の記念館とか作るのと同じノリなのか…。
けど、土方とか楠正成とか織田信長とかでもない限り墓を紹介されてもなあ…どうせ、村勇者レベルなんだろうし…テンション下がるわぁ。
続いて、教会へ入る。
此処には、例のリバストが使ったと言う鎧が展示されていた。
なんとも豪奢で立派な鎧に俺には見えたのだが、ミネアの眉間に皺が寄っている。
教会を出た所でこそっと訊いてみると、彼女は少し驚いてから、小さな声で教えてくれた。
「あの鎧は、恐らく模造品です。何の力も感じませんから…」
うはwww電波きてるwwwいやきてないのかwwwまあ、直感、なんかなあ?うーん……。
しかし、あの鎧が本物だったとしたらどうしたんだろうか。
……世界を救うために、譲ってくださいか貸してくださいかくらいは言いそうな気がする。
殆ど強盗だよな……いや、そういう場合俺が止めるべきなのか?常識ありそうなのが俺しかいないってどうよ。いや、ホフマンも大丈夫か。
角の男が最後に案内した場所。そここそが本日のメインこと温泉だった。
「やった〜温泉よ温泉!これはもう、絶対入っていくしかないわよね!」
「私は温泉ってちょっと苦手なんですけどね。どうしてもこの臭いが好きになれなくて…とはいえ、背に腹は変えられません」
姉さんたち乗り気ですよ!みwなwぎwってwくwるwwwwww
よーしパパ頑張って今日の業務をこなすぞー。
異常にやる気を出している俺に、もう見てらんない、と言った感じのホフマンだった。
「んー。そう、そういう感じ。ああ、いや違うなあ。こう、もっと、ぶわーっと」
マーニャの指示が飛ぶ。解るかそんなもん!とは口が裂けても言えない。
決して口答えせず、物を投げられても泣かない。それがマーニャに師事する際のたしなみ。
だが、時として彼女は理不尽な怒りをも向けてくる事があるので口論も多い。
大抵最後には俺がはいはいと従うのだが。
今日はそれでも機嫌が良い方だったようで、何も飛んでこなかった。
「ま、最初の頃よりはマシになってきたかな」
今は、魔法を扱う際の基礎の基礎、魔力の充填、という作業をやっている、らしい。
らしいというのは、俺にその実感が無いからである。やっている事はありがちな精神統一の真似事だ。
なんというか、軽くカルトだよなあ、とも考える。だけど、少なくとも彼女たちは犯罪を助長する事は無いと思う。
…時々、非常識な事も言うけど、多分。
マーニャやミネアに言わせると、微々たるものだが魔力が生まれてきているらしいのだが。
いずれにしても、魔法を扱うレベルにはなく、ようやくスタートラインに立ったと言った所のようだ。
「あんたみたいなのは珍しいのよねぇ。私たちは基本的に、生まれた時から――先天的に僅かながらも魔力を持っているのに。
中にはほんの少しも持たないで生まれてくるのもいるわ。だけどそういう人は結構良い身体能力を持ってたりするのよね。
持たざるが、逆に持つ事の証になる筈なのに――あんたは何なのかしらね。中途半端?」
ぐさぐさと俺の心にナイフを突き立てるマーニャ。俺の繊細なハートはレンコンのようになってしまっている。
俺的には魔法を使えるようになるのはこのまま30歳まで童貞を守った時だけなんじゃないかと思うのだが。
その際に使える魔法の一覧が確かこんなもんである。
○マホカンタ : 自分に向けられた「キモイ」等の罵声をそのまま相手に返す
○凍てつく波動 : つまらんギャグを飛ばして周辺を凍らせる
○コンフュ: 意味不明な発言で周囲を混乱させる
○メガンテ:自虐ネタで周りを巻き込みます
○サイレス: 空気を読めないとんちんかんな発言で周囲を絶句させる
○臭い息: 周囲の人間をことごとく不愉快な気分にさせる
○マヌーサ: 自分自身に幻影を見せ、現実に対する命中率を下げる
○グラビデ: 重苦しい雰囲気や嫌われオーラで周囲の人間を疲れさせ、体力を削り取る
○ラスピル: 周囲の人間を精神的に疲れさせ、精神力を削り取る
○バイキルト: 周囲の人間に不快感を与える力が倍増する
○トラマナ: クリスマス等にカップルだらけの街を一人で歩いてもダメージを受けない
○トヘロス: 自分の周囲に人が近寄ってこなくなる
○アストロン: 自分の殻に閉じこもる
○テレポ: 飲み会などの喪男が苦手な場から脱出する
○スカラ: 周囲の「キモイ」等の罵声や嫌がらせに対する忍耐力アップ
○フバーハ: 世間の恋愛至上主義の風から身を守ります
○メテオ: 高層ビルから飛び降りる
○ザラキ: 周囲の人間を練炭自殺に巻き込む
○死のルーレット: 練炭自殺する仲間を周囲の人間の中から無作為に選ぶ
○死の宣告: 練炭自殺する仲間として指名する
○レムオル: 周りから注目されません。空気のようにいないと認識されます。
○ルーラ: 仕事が嫌になるとバックレ、自宅にひきこもる 唯一の安息の地である家にまっすぐ帰る
○ラリホー: 昼間なのに自分を眠らせる
○ラナルータ: 自分だけ昼と夜を逆転させる
○メガザル: 合コンに行くことで周りの男の評価を相対的に上げます
○バシルーラ: バイト先などで人がどんどんやめていきます。もしくは、自分を転勤で地方に飛ばします。
○ドラゴラム: ネット上では竜のようになります
○エナジードレイン: 貯金が減っていき、生活レベルが下がる。
○リレイズ: 高額生命保険
うはー夢が広がりんぐwwwwww
「ま、少しでも得られるものがある以上鍛えるとしても…はー。出来の悪い生徒は面白くない。
今日はもういいや。ミネアん所に行きなさい」
しっしっと邪険に追い払われる。
俺はとぼとぼと宿の庭を目指した。ちなみにマーニャの鶴の一声で安宿ではなく高い方の宿になっている。
そこでは、相変わらず元気にソフィアとミネアが動き回っていた。
旅の中でソフィアの強さは素人目にもはっきりと解るほどに成長している。
ミネアも、はっきり言ってかなり強いのだ。そこらの魔物には引けを取らない。
だが、それ以上に――ソフィアが強くなってしまっている。
やって来た俺に気づいたのか、一旦二人は剣を納めた。
ここから、剣術の基本的な講義に入るのが最近の俺たちのスタンダードである。
ソフィアは村に居た頃、剣の師匠が居た為に、一通りの事は知っているのだがミネアのより実践的な講義は得るものがあるらしい。
俺はこっちに来るまで剣を振るった事など一度も無かった為、これも一から学んでいる状況である。
「うん、中々筋が良いですよ」
講義が終れば即実践。
ミネアの台詞だから少なからずお世辞は入っているのだろうが、褒められて悪い気はしない。
これでも、スポーツはそこそこ良い成績を納めてきたプライドもある。
腰が悪いから長時間は耐えられないが、電撃戦専用になれば良いかもしれない。シャア専用みたいで格好良いし。
とはいえ。こっちもとても実用レベルに達しているとは言えないのだが。
スコンと木刀が頭に打ち込まれる。俺は呻きながら庭をごろごろと転がった。ソフィアが、それを見て笑っていた。
日が暮れる。今日は都合により晩餐は省く。
何故なら、温泉の事で頭が一杯で何も覚えていないからだ。
俺は男部屋(マーニャが珍しくも男女に分けて部屋を取ってくれた。考えてみると馬車の所有者ホフマンがいるからかもしれないが)に戻った後、
壁に耳を当ててじっと身じろぎ一つしない。
ホフマンはそんな俺を傷ましそうな眼で見ている。
俺はどうでもいいような場合の他人の視線は異常に気にするが、気にした方が良い所では妙に(゚3゚)キニシナイ!!困った人間であった。
マーニャのはしゃぐ声が聞こえる。それを、ミネアが嗜めている。
そうして、扉が開く音がして、無音。
ミッションスタートだ!
こちらスネーク。脱衣場に到着した。大佐。指示をくれ。
今回はスニーキングミッションであるというのに高性能ぬるぽBOXならぬダンボールが無いことが不満であり不安だが、
世界の平穏の為に何としてでも成功させなければならない――ホフマン、そこでガッて言ってよ。
一通り辺りを窺う。ぬお!?あれは――脱いだ服か!?
性欲を持て余す――いやまてまて。まだ早い。
そもそも脱衣場に来たのが間違っていた。俺は、服をつまんだり、着てみたり、匂いを嗅いだりという変態的な事はしたくない。
脱衣場を脱出し、本丸こと露天風呂の裏に回る事にする。
途中、ホフマンが(どうやら脱衣場には入らず外で待っていたらしい)不安そうな声で訊いてきた。
「あのぅ…やっぱり止めた方が…」
何を言うのかな君は。
俺たちは、仲間なんだ。だけど、仲間だと言葉で言ったからそうなるもんじゃない。
信じるって言うのは、お互いを知る事じゃないか。俺たちはもっと知り合わないとならないんだよ!!
秘密の時間を持っていたりしたら、そこから疑念が浮かんできてしまうものだからね…。
俺の説得に、ホフマンは大分感銘を受けたようである。しめしめ。
こそこそと忍び足で裏手へと回る。
ホフマンは結局ヘタレたのか、先に宿に帰っていった。
実の所、俺もどうも慣れない事をしている気がする。
覗きは犯罪だし、本来の俺ならこんな事はしないと思うのだが。
しかし何故か――大いなる意思というか、それとも普遍的無意識とでも言うのか――そういったものに操られている?
うーん、ミネアの電波が移ったか?
無理やりこじつけるとするならこれは――修学旅行で風呂を覗く、ような。そういった、ネタ的な感じがしている。
昼間定めたポイントに来る。露天風呂は大小様々な石で囲まれていたが、大きな隙間には薄い木で壁が作られていた。
俺はゆっくりと調合したドーピングコンソメスープを服用する。
_
( ゚∀゚)x"⌒''ヽ、 さあ、空けよう。
(| ...:: Y-.、
| イ、 ! :ヽ トルネコという大商人がエンドール〜ブランカ間のトンネルを開通させたように。
U U `ー=i;;::.. .:ト、
ゝ;;::ヽ :`i 俺は栄光への架け橋となる扉を開く。
>゙::. .,)
/:::. /;ノ
ゞヽ、ゝヽ、_/:: /
`ヾミ :: :. ゙ _/
`ー--‐''゙~
※表現に誇張有り
鍛えた腕に剣を持ち、全身全霊を籠めそぉっと穴を空ける。否、開ける。
ゆっくりと中を窺う。湯煙が酷いが、どうにか目を凝らし……。
――そこは確かに、一つの理想郷。
――多くの男たちが目指すエルドラドの形であった。
風呂から立ち昇る煙で、見えるようで見えないと言った按配なのだがそれ以上に俺は見惚れてしまっていた。
真雪のように白い肌。お湯に濡れて光るうなじに、緑色の髪が張り付いている。
普段はあれは天然パーマなのか、くるくるっとした髪が元気な印象を与えていた少女だったが、
濡れた為にか、髪の毛が肩から背にまで落ちてきている。
香り立つような爽やかな色気。決して濃密では無いのに、確かに神経をくすぐる。
「私は戦士リバスト。私の鎧は天空のよろいと呼ばれていた。
しかし、何者かが我が鎧を盗みいずこかへと持ち去ったのだ」
突然、後ろから声が聞こえた。
だが人の気配はしないので、振り向くまでもなく幻聴だろう。というか、今は振り向けんよ?
白い少女に、褐色の肌を持った女が抱きついた。
成熟した肢体が現界する。膨らんだ胸。くびれた腰。締まった尻が、見事な曲線美を描いていた。
心臓の鼓動が早くなる。先ほどの少女を見た時は何故か儚い気分になって、これは幻想かと思わせる何かがあったのだが、
女は非常に肉感的で、現実的だった。
「旅の者よ。どうか我が失われし鎧を見つけ出して欲しい…」
まあ墓場が比較的近いし、心霊現象も起き易いんだろう。そんな事には構っていられないが。
二人から少し離れたところに、一人の女が居た。
彼女ははしゃぐ二人を見つめている。その表情は解らなかったが、優しそうな雰囲気を感じた。
まるで、慈母。聖母のような、緩やかで、穏やかな空気。
程よい女らしさを持った身体に泡を纏わせ、ゆっくりとお湯で洗い落とす。
――お湯が、胸から腰へ、腰から脚へと滑り落ちていく――。
「――娘たちよ。此処に覗きがいるぞ!」
突然、後ろから大声が響いた。
俺が驚いて振り返ると、そこには壮年の男が立っていた。
男はにやりと笑うとすーっとその姿を消してしまった。
眼をこしこしと擦り、改めて見てみるがやはりそこには誰もいない。
なんだったのだろうか――やはり、幻か。今の声も。
ほっと安堵の息を吐き、俺は再度穴を覗く。
と、突然バシャっという音と共に眼に水が飛び込んできた。
「ぬおおっ!?」
溜まらず呻いて眼から異物を取り除く。
回復した視力が俺に伝えた者は――タオルで身体を隠した二匹の、夜叉の存在だった。
「…………あんたねえ…………」
「…………姉さん。止めないわ。いえ、私も…………」
いやいやまてまて。これはだな。こう、お互いをより深く知る事で強い絆を生もうという俺なりのレクリエーションと言うか何と言うかここに二人がいるという事はさっきの水はソフィアなわけk
_, ,_ パーン
( ‘д‘)<ただ見は許さないって言ったでしょ
⊂彡☆))Д´) >>俺
┼─┐─┼─ / ,. `゙''‐、_\ | / /
│ │─┼─ /| _,.イ,,.ィ' ─────‐‐‐‐ゝ;。←俺
│ | │ | | | イン ,'´ ̄`ヘ、 // | \
__{_从 ノ}ノ/ / ./ | \
..__/}ノ `ノく゚((/ ./ |
/, -‐===≡==‐-`つ/ ,.イ  ̄ ̄// )) / ;∵|:・.
_,,,...//〃ー,_/(. / /ミノ__ /´('´ / .∴・|∵’
,,イ';;^;;;;;;;:::::""""'''''''' ::"〃,,__∠_/ ,∠∠_/゙〈ミ、、
/;;::◎'''::; );_____ @巛 く(. ( ゙Y} ゙
≧_ノ __ノ))三= _..、'、"^^^ \ ! }' 2HITS!!
~''''ー< ___、-~\( ,' / GOOD!!
\( ,'.. /
ミネアに見事にホムーランを打たれた俺は綺麗な星空を漂う。
夜空を見たら、思い出して欲しい。
あの、最も薄く輝いている星が俺かもしれないという事を……。
ちなみに、身体のラインや肌の色なんかは見えたが肝心な部分は何も見えなかった。
鬱だ…orz
HP:2
MP:5
Eてつのまえかけ Eどうのつるぎ Eパンツ
HP減ってるよww
すげww
ギャグと文才が凄い
ガンバレ
まじグッジョブw
そこでリバストの台詞を登場させる辺りセンス最高!
文章も面白いし、最後まで言ったら泣くわ、俺w
なぜか既に泣いてる俺がいる。
続きまだ?
>>195 まぁ書いて貰ってるんだから気長に待とうや。
他の人はどうなってるんだろう。
アネイルを更に南下するソフィアと愉快な仲間たちは港町コナンベリーに辿り着く。
今までの旅の道のりは、主にソフィアが決めている。姉妹が相談に乗るのは稀で、もっぱら俺と二人で打ち合わせている。
ミネアとマーニャはソフィアに導かれているらしいのだ。
勇者であるソフィアに導かれる者たち。少なくともミネアはそう解釈しているようだった。
しかし、俺にはそれが引っかかる。
まだ10代後半の少女に少し背負わせ過ぎでは無いか、と。
マーニャたちは悪い人間では無いし、出会った頃よりかは少しは打ち解けてきた気もするのだが、
どうも時々首を捻らざるを得ない事がある。これも、その一つだ。
いや…ひょっとすると、彼女たちにも余裕が無いのかもしれない。
普段は明るいマーニャが、時折沈み込む事があるという事実に気づいたのも最近だ。
ソフィアに優しく朗らかに接するミネアが、瞬間だけソフィアに縋るような視線を送るのも。
俺の視界が広くなっているのか。…そうかもしれない。俺も、今迄余裕があったかと問われたなら否定せざるをえないのだから。
日々の業務に追われているから不安を感じる暇も無いのだが、
それでも新しい町や村では、元の世界に戻る法を探している。
その度に失望し、やるせない気分になりはするのだが――それでも、自暴自棄にならずに済んでいるのは、
マーニャにミネア、ホフマン、そしてソフィア――彼女たちのお陰であろう事は自明であった。
現状はまるで良くなっていないけれど、それでもこの連中と共に在る時間が増える分だけ、余裕ができているのかもしれない。
ソフィアとの相談の結果、とりあえずはコナンベリーまで出よう、というのがエンドールを出る時の方針だった。
勿論それには理由があって、
・ボンモール以北には田舎村が一つしかない事。
・北西にはサントハイムへの道があるらしいのだが、現在サントハイムは情勢が不安定である事。
・エンドールから出るハバリア行きの船は、あちらの港が封鎖された為に暫く出る予定が立たない事。
・コナンベリーなら船が一番安く手に入ると思われた事。大陸間移動や未開の地に行く可能性を考慮すると船は必要不可欠である事。
などである。
まあ何が言いたいかと言うと、こっちしか道が無かったという。
しかし、魔物と呼ばれる化け物達もさるもので。此処にも勢力を置いていたらしい。
「さて。これから灯台に向かう訳だけど。
んー。私たち以外は初めてよね。魔物の巣に向かうの」
マーニャの言葉に俺たちは顔を見合わせる。
言われてみれば、確かにそうだ。裏切りの洞窟はこっちの姿に化けるヤツラだけだったし、
草原や砂漠などといった所謂町の外は、化け物達の巣と言った感じでは無かった。
「今日はゆっくり休みましょう。
準備だけは怠らないようにしてくださいね」
女部屋での打ち合わせの後、部屋を出た所でマーニャとミネアに呼び止められた。
「あんたは無理に行かなくてもいいわよ?」
マーニャが少し、突き放した感じでそう言った。
確かに考えてみると、わざわざ魔物の巣の中に入ろうなんてのはかなり酔狂な話だ。
なんでも、港を照らす灯台が魔物に占拠された為に、海が完全に支配され船が出せないそうな。
コナンベリーに来た目的は船の入手でもあったから、このままでは面倒だと言う事で俺たちが灯台の解放に向かうという筋書きである。
ソフィア、ミネア、マーニャは言うに及ばず、ホフマンがこれまた強いのだ。
彼は所謂魔力を持たない人間で、その分身体的に優れた才能を持っているタイプであり、
攻撃の力や防御の技術こそソフィアに及ばないものの、体力は一行の中でかなり抜きん出ていた。
戦力外は、詰まる所俺だけなのである。
俺の存在が戦局を有利にする事は無いだろうし、逆に不利になるケースはあるかもしれない。
結局の所、足手まといなのだ。
だが――マーニャの言葉には、それ以外の意味もあるような気がした。
勘違いだろうか。そうかもしれない。他人の機微を悟るのは苦手で、友達も多いタイプでは無かったので。
「いずれにしても、船を手に入れる為にはどうやっても港に戻ってきますし、今更貴方を置いて行こうとは私も思いません。
勇者様…ソフィアさんもホフマンさんも、良い顔はされないでしょうし」
此処で待つ。きっとそれが賢い選択だ。
だというのに。それだというのに――俺は、つまらない意地を張っているのだろうか。
もしくは、仲間外れにされるのが嫌だから?
子供の頃、かくれんぼで必死に隠れていたらいつの間にか皆帰ってしまって、一人で家に帰った記憶が蘇る。
あの時、俺は出迎えてくれた母親にどのような顔をしたのだったろう。
それは思い出せなかったが、唯――悲しかった思い出。
理由はそれで良いだろうか?いい大人が…バカにも程があるが。
今の俺に、命を張ってでもついていく理由は無い。
だが、もし此処で彼女たちを見送ってしまったらもう二度と――そんな、予感がするから。
俺は、俺の意思を伝えた。ミネアは黙って頷いてくれ、マーニャはいきなり背伸びをして、俺の頭を撫ぜた。
それは、想像を遥かに超えて巨大だった。
人々が大灯台と呼ぶに相応しい偉容を放っている。
俺たちはゆっくりと前進を始める。
先頭には初めてミネアでなくソフィアが立った。次いで、ミネア、俺、マーニャ、殿にホフマンである。
大抵の、知能の足りない魔物は大概前から順に狙ってくる事が多いのだが、
これを逆手に取るヤツラもいるらしい。
壁伝いに進むうちに、やがて昇り階段が見えた。
「――」
ソフィアがさっと手を振る。それに反応し、俺たちは皆身構えた。
階段の前に何かが居る――その、何かもまた俺たちに気づく――やいなや、何やらごむまりのような挙動でこちらに近づいてきた。
「おお!何方かは知りませんが丁度良い所へきてくれました!
この灯台にともっている邪悪な炎を消すつもりでここまで来たのですが、
魔物たちが強くてこれ以上進めなかったのです。
お願いです!私に代わって、邪悪な炎を消してきてくれませんか?」
転がるようにしてこちらの懐に飛び込んできた男は、一気にまくしたてながらソフィアの手を取って懇願している。
見た目は中々鈍重そうなガタイなのに侮れないおっさんだ。
「ええ。私たちもそのつもりで来ましたから。貴方は、ひょっとしてトルネコさんですか?町の皆さんが心配していましたよ」
「なんと!?それは心強い!いやあ、町の人には大見得を切った手前戻りにくいですがそうも言ってられませんな。
それでは、私は一足先に戻ってます!」
言うだけ言って、突き出た腹をぼよんぼよん揺らしながら場を立ち去ろうとする。
だが、これは――つまり、あの有名な商人トルネコが此処に向かった、というのは――町で聞き込みを行った俺にとっては想定内の出来事だったので。
それとなく彼の前に立ち塞がり、こう言った。
「トルネコさん。貴方は武器商人だって聞いたんすけど、何か良い武器は持ってませんか?」
「武器、ですか?ふぅむ、そうですなあ――天空の剣には及びませんが、中々の業物ならありますよ。
勿論、値は張りますが……」
天空の云々は何処かで聞いた気がしたのだが、思い出せないのでとりあえず今は置いておく。
現在、金はまとめてソフィアが管理している。確か、数千Gはあった筈だが――。
そこまで考えたとき、ミネアに耳打ちされたマーニャがずいっと俺の前に出た。
「良いわ。譲ってちょうだいな」
「ふむ、ふむ――そうですな。私には、このそろばんがありますし…それに、この灯台の魔物を何とかしなければどうしようもない。
私は、人を見る眼はあるつもりです。あなた方に託す意味も込めて、勉強しますよ」
その位なら、タダで譲ってくれても良いのになあと思ったものだが、
マーニャが機嫌よく金を払っているので何も言わない事にする。
こうして、俺たちは一振りの剣を手に入れた。トルネコが、最後に一つお辞儀をして、脱兎の如く塔から出て行った。
逃げて行った、が正しいかもしれないが。
「――はじゃのつるぎ、ですね。確かにこれは良い剣です」
くくっと刀身を水平に掲げ、改めてその業物を見定めるミネア。
そうして、ソフィアに手渡す。
ひゅっひゅっと二度、素振りをしたソフィアはその剣が気に入ったのかにっこりと笑って見せた。
「けど、良かったのか?今のは結構な出費だと思うんだけど…」
俺はトルネコを呼び止めた責任を感じていた。
確かあの金は、コナンベリーで船を買う為に貯めていたものだった筈である。
「良いんですよ。――何故なら、トルネコさんも導かれし者ですから」
ミネアの台詞が一寸、要領を得ず俺は小首を傾げる。
「導かれし者は、ソフィアさんと出会えば何かをするまでもなく集うものです。
ですから――結局の所同じ事なんですよ。幾らで買ったとしても。お金などは共有するのが私たちのルールでしょう?
今建造中のトルネコさんの船も」
軽く背筋に悪寒が走るのを感じる。
ミネアは、ぺろっと小さく舌を出して見せた。
そうか、あの時マーニャに耳打ちしていたのはそういう事だったのか。
最初から道を共にする事を解っていたから――恐ろしい。大商人と呼ばれる男をペテンにかけるとは。
いや、トルネコ自身も決して損をする訳でもないのだからペテンでも無いのか……。
トルネコ自身の意思で、ソフィアの元に集うというのならそれは彼の責任だから。
それにしても、何かをするまでもなく集うと言い切るミネアの自信には舌を巻いてしまう。
ソフィアが今迄使っていた鋼の剣が不要になった為俺に回される事になった。ゆるやかに力を込め剣を握り、軽く振ってみる。
道中で一度試しに持った時は構えることすらままならなかったが、
今はかろうじて装備できるようだった。すぐに腕が震えてきそうだが。
「ま、それもこれもあんたがあそこで引き止めたからだし、これで少し楽になるわね。
珍しくグッドジョブじゃない」
マーニャがぐりぐりと肘を当ててくる。俺は照れ笑いを浮かべていた。
俺が成そうと思っている事。喋れないソフィアの手助けをする。それが、有り金をはたいてまで俺を生き返らせてくれた彼女への、
せめてもの礼であり償いだから。
今迄の道中もそうだし、現在、そしてその先も――いつまでかは、解らないが。
ソフィアの先導が良いのか、探査は順調に行われた。
途中、天井に頭をぶつけて気絶した魔物の額に『にく』と書いてみたり、安置されていた種火を手に入れてみたり。
…いやあ、前者のようなアホな魔物がいる以上思ったより大した事なさそうだ。
種火も普通に置いてあったし。
最後の階段を上る途中、壁にゆらゆらと影が映っているのが見えた。
ソフィアがまず最初に昇り切り、手招きをする。
そこには、不気味な黒い炎を囲んで踊る虎がいた。
しかも二足歩行だ。
俺たちはその奇妙で、陽気な宴に僅かに眼を奪われた。
それまでが順調だった為に、油断もあったろう。
「けけけ。ケケケ。燃えろ、もえろ。邪悪な炎よ。その光で全ての船を、沈めてしまえ」
あの魔物を倒して、先ほど手に入れた種火を投げ込めばイエス!ミッションコンプリィィィ!!だ。
ソフィアが駆け出す。それに倣い、俺たちも散会しながら前に出る。
絶妙なタイミングだった。
二足歩行の虎が、躊躇なく黒炎の中に手を突っ込み、こちら目掛けてその炎を投げつけてきた。
二筋の火炎が縦に走り、散会していた俺たちを分断する。
いや、分断するて。思ったより冷静だな。いや、ついていけてないのか?
左右に視線を走らせると、それぞれ炎の壁の向こう側で、ソフィアとミネアが、マーニャとホフマンが、
炎が人を真似たような姿をした化け物と対峙している。
そして、俺の目の前には。
あの、二足歩行の虎がいた。
「けけけけ。此処までやってくるとはバカな人間だ。
丁度良い!この、炎の中に投げ込んで、焚き付けにしてやるわ!けけけけ」
間の抜けた笑いをあげる二足歩行の虎を前に俺は――思ったよりも落ち着いていた。
あの笑い方が余り恐怖を煽らないのもあるが。
どさりと背負っていた荷物を床に降ろし、腰に下げていた鋼の剣を構える。
ソフィアによって使い込まれた剣は、実によく馴染むのだ。
新品を使うより、お下がりにした方が良い、というのは何も金をケチった訳ではなく理に適ったものだった。
…ミネアはともかくマーニャはどうか知らないが。
剣を腰ダメに構え、一歩、踏み出したその瞬間――。
「グオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!」
――何が、起こったのか。
理解できずに頭が真っ白になる。視界の隅で、ミネアとマーニャが何か叫んでいた気がするけれど。
二足歩行の虎が、遅々とした動きで俺に近づいてくる。
それなのに、それなのに、頭では理解しているのに身体が動かない。
眼前にまで迫ったソレは、俺より頭一つ分大きく、その爪は見るからに剣呑な光を湛えている。
動かない、動けない俺を目掛けて、虎はなんの躊躇いも無く圧倒的で凶悪な膂力を振るった。
「く、退きなさい! 炎熱(ギラ)!」
パン!と、勢い良く開かれる鉄扇が合図のように、放たれた炎が扇型に広がる。
だが、橙色の炎はあっさりと人を模った黒い炎――ほのおの戦士に飲み込まれてしまった。
「くぅ〜!私の魔法が効かないなんて…」
「マーニャさん!ほのおの戦士を幾ら倒しても、あの炎がある限り何度でも出てくるかもしれない!
何とかあの虎を…!」
「そんな事言ったって――」
マーニャの目の前には、黒い壁が立ち塞がっている。
今の様子では、此処から虎めがけて魔法を放ったところで、結果は目に見えている。
「氷結呪文なんて、覚えてないわよ…!」
きりりと歯軋りの音が響いた。
「―――――!」
嵐のような剣戟が、炎を吹き散らす。
だが、炎はゆらゆらと揺らめいたかと思うと、すぐに再び人を模った。
「ダメです、ソフィアさん!焦ってはダメ!攻撃が荒く――」
ミネアの喚起は今一歩の所で届かず、ほのおの戦士の右拳がソフィアの腹にめり込んだ。
盛大に弾き飛ばされ、床を滑る。ミネアが慌てて駆け寄り、治療呪文(ホイミ)を施した。
剣を杖に立ち上がるソフィアを見て、ミネアはどちらの提案をしようかと迷う。
即ち、犠牲を強いて勝利を得るか否か。
彼女とて、できる事なら全員無事に全ての戦いを終わらせたかった。
だが、現実は時に厳しくて、それがままならない事はこれから幾度あるか解らない。
誰かが嫌な役を引き受けなければならないのなら、自分がやるべきだとミネアはそう思う。
――しかし。
やはり、それは最後の最後であるべきだ。決断を誤れば大惨事になる事であったとしても。
「ソフィアさん。あの黒炎の壁とほのおの戦士は私が引き受けます。ソフィアさんは――」
どれだけの時間、気を失っていたのだろう。
此処はまだあの灯台のようで、少し離れたところにはあの虎がいて。ほんの僅かな意識の喪失だったのか。
ずきんずきんと痛む胸に無造作に手をやると、そこにはある筈の鉄のまえかけが無く、生暖かい感触と共にべったりと、真っ赤な鮮血が彩った。
痛い。
先ほどのは、あの虎の雄叫びだったのだろう。身の毛がよだつとはまさにこの事で、
俺は丸っきり身動きが取れなくなってしまった。
怖い。
今迄、自分がどれだけ庇護されていたかを思い知らされた。
この世界で俺はそれなりに頑張ってきたつもりだったけど、それでも俺の傍には常にソフィアが居た。
マーニャが、ミネアが、ホフマンがいた世界で、魔物との戦いを殆ど彼女らに任せっぱなしで来ていた。
そのつけが、回ってきているのだ。
俺はどうしてこうなのか。元の世界でも、俺は人並みに苦労していると思っていた。
こっちの世界に来てからも、荷物持ちに日々の修練と、それなりに大変な思いをし、努力もしてきたと考えた。
それなのに――何のことは無い。俺は常に庇護されていて、それが無くなった途端――痛みを嘆いて、恐怖に震える始末だ。
左手で身体を起こしながら、右手で床を探る。――あった。俺の、剣。
傷は痛いし、魔物は怖い。目の前には俺の身体を傷つける為に存在する、虎の爪。そして、退路も、無い。
それでも――それでも。いつかこうなる事は解っていたから。俺に足りないのは諸々の覚悟だという事をあの洞窟で知った時から。
俺は、敵を殺す。
そこには、魔物だとか人だとか、そういう区別は無い。
戦わなければならないんだ。戦わなければ生き残れない。それは、世界によっては命を奪う事や身体を傷つける事では無いかもしれないけれど。
何かを傷つける事には変わり無い。
痛いと思うことも、怖いと思うことも、止められないかもしれない。
だけど、それで情けなくうろたえる事だけは最後にしよう。無理かもしれない。それでも最後にしたいとそう想う。
身体を前に傾けて、一直線に虎目掛けて突貫する。
再び、ヤツの雄叫びが灯台内に響き渡る。だが――俺の足は止まらない。
右手から、強烈な火炎が吹き荒れたかと思うと黒炎を貫き、唸りを上げて虎へと襲い掛かった。
大炎熱(ベギラマ)――黒炎の向こうでマーニャがぱちり、とウィンクする。
「真空(バギ)!」
左手からはミネアの裂帛の気合が響き、巻き起こった真空の刃が黒炎を吹き散らし道を作る。
飛び出してくるのは碧の疾風だ。
まるで羽が生えているかのような跳躍で、人で言う所の鎖骨の辺りに破邪の剣を突き立てた。
痛みと苦悶の咆哮を上げながら、肩に乗るソフィアを弾き飛ばす虎。
――だが、その彼女に向けた意識が、致命。
俺が両手で突き出した鍛えられた鉄の刃は、吸い込まれるかのように虎の首を刺し貫いた。
ごぽり。
口から血泡を漏らしながら、ヤツが最後の爪を振るう。
俺の背中に三本の筋を残し、虎の巨体は床に沈んだ。
ソフィアが種火を黒炎の中心へと投げ入れる。
たったそれだけで、あれほど吹き荒れていた黒炎は散り散りになってしまった。
かろうじてほのおの戦士だけが実態を伴っていたが、ホフマンとミネアによってそれぞれ消滅の道を辿る。
「――やぁれやれ。なんとかなったわねぇ」
鉄扇でぱたぱたと扇ぎながらマーニャがぼやいた。
軽く生死の境をさ迷っていた俺はホフマンに肩を借りてかろうじて立っていた。ミネアが治療をしてくれる傍らで、ソフィアが鉄のまえかけを持って立っている。
虎の返り血に塗れた少女。その時の俺には彼女が美しく見えた。
手を、くるくると跳ねた髪の毛に埋めて頭を撫でると、少女は僅かに眼を細めた。
「お前は……凄いよな」
俺の呟きに、ソフィアは要領を得ないといった顔をする。
ミネアなんかは、勇者に何を当たり前の事を言っているんだと言いたげにしていた。
「俺も……」
どうしようもなく照れてしまって、それ以上が言葉にならない。
鼻をこすってから、いつもの薄ら笑いを浮かべて誤魔化す事にする。
だがこの時、どういう訳か――俺自身も、そして誰もが気持ち悪いと感じるであろう薄ら笑いを見た筈なのに、ソフィアは力強く頷く事で肯定を現したのだった。
「今より強くなれますよ。きっと」
少女はホフマンの言葉に我が意を得たりといった風に笑うのだった。
HP:48
MP:12
Eてつのまえかけ Eはがねのつるぎ Eパンツ
>◆gYINaOL2aE、乙。
いやーなんか…言葉が浮かばないわ…
これ本当に、最後まで読んだらオレ泣くかもしんない…
いやー、すごいね。
たいへんだろうが、さいごまでがんばってくださいね。
つづき、きたいしてます。
心の底からありがとう。
続き、楽しみにしてるけど、無理はしないで。応援してる。
なんて真面目に感動しちゃって全くこの歳にもなって俺何やってんだろwwww
………きっと、忘れられない物語になる。
一番最初に書いた人の続きを見たいんだが
214 :
1:2005/04/13(水) 19:44:07 ID:XSSVtv/B
俺も。
まとめてみました。補完よろ。
勇者7
>>7-11,34,42-43
勇者◆WVtRJmfCVI
>>55,65-68,108-114,140-146
勇者◆nnvolY11AA
>>75-76,85-92,115
勇者79
>>79-82 勇者◆.zipDxMVwg
>>93-94,116-118
勇者119
>>119-122 勇者◆4c5D9CKRFI
>>127-128 勇者◆gYINaOL2aE
>>133-137,147-151,152-156,159-164,169-175,180-190,198-209
どの勇者さんもガンガレ!
>>215 乙
しかし、まさかここがこんなに良スレになるとは思ってもみなかった
>>215 乙。もちろん作者の皆様にも乙
>>216 良スレなんてそんなものさ。
そういやあ去年にもよその板でほんの少しスレタイが似た良スレを見たな。
みんな「目が覚める」とかにひきつけられるのか?w
218 :
1:2005/04/14(木) 02:54:40 ID:sEosDhqm
まぁ、俺としては家庭用ゲーム板の「もし自分の住んでる街がバイオの舞台になったら」の
パクってみただけなんだが…こういう妄想は誰でも一回はするよな…
広くて大きな母なる海。
美しい海原にゲロを撒き散らす俺。
なんかダメだ。折角決意も新たになったというのになんでこうダメなんだろう。
そもそも俺は船なんて殆ど乗った事が無いんだ。
精々が北海道〜東北間のフェリーくらいで、あの時も沿岸部をちょっと離れただけで酔ってしまった。
あまりの気分の悪さに船室に居る事もままならず、甲板に出てきたのだが、
案の定吐いてしまっていた。
まあ、吐くものさえ吐いてしまえばフェリーの時は多少楽になったので、今回もそれに期待したい。
船足は順調だった。スクリューのついていない帆船の為、風が重要になるらしい。
しかし…乗船してるのは俺たちのみというのはどうなのだろうか…せめて船員がいないと航行にも支障をきたすと思うのだが。
「あんたがやるのよあんたが。ま、全部とは言わないけど」
さいですか。はぁ。
そりゃ全部俺一人にやらせようものなら楽勝で転覆するわな。
暢気に日光浴をしているマーニャから視線を外し、ブリッジの方を見ると、ホフマンとトルネコが何か話している。
この二人、共に商人という事もあって、中々話が尽きないらしい。
特にホフマンにとってトルネコは敬意を払うべき相手のようだった。
まあ、俺やソフィアにしても彼がエンドール〜ブランカ間のトンネルを開通させていなければ、
今頃どうなっていたか解らないのだが。
奇妙な縁と言わざるを得ない。
「汚したら、自分で掃除してくださいね」
大量の洗濯物を抱えたミネアが俺の前を通り過ぎる。
大丈夫。ちゃんと海に全部吐いたから。甲板には漏らしておりません。
それにしても、潮風がウザイ。
情緒を感じるには今の俺のテンションは相応しくないらしい。
太陽は普通に照っているし、風も鬱陶しいくらいにびゅーびゅー吹いている。
まあこの分ならすぐに着くだろう。地図によればそう遠くない。
コナンベリーから南に舵を取り、ミントスの街へ。
処女航海という事もあり、近場の新たな大陸へ行ってみようという事になったのだ。
すとん、と。俺の眼前に急に現れるのは碧の少女だ。
いやお前は別にそれでも良いだろうがな俺の方はそういう現れ方をされるとびっくりする訳でこんな位置でのけぞったら船から落ちるだr
「――!」
何やら身振りで船の向かう先を指差している。
見張り台に登っていたソフィアのこのリアクション、此処はお約束の台詞を言えるチャンスか!
「陸がみえたどー!!」
違う、どじゃない。どじゃないんだ。肝心な所で噛む己に萎える。
そんなしょんぼりな出来事もあったけど、船は順調に接岸するのであった。
ちなみに船はそのまま放置である。良いのか…。いや、何も言うまい。
ホフマンが出て行った。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工なんでやねん!
何やらこのミントスの町にいる爺の元で商人の修行をするらしい。
ちょっと待てと。お前パトリシアどうするんだと。
「可愛がってくださいね!」
俺がかよ!?アホかお前!?
俺はお前がこの一行の最後の良心だと思っていたのに――裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!父さんと同じに、裏切ったんだ!
某ロボットパイロット並に相手を一方的に責めてみるが、どうやらホフマンの決意は固いようだった。
一緒に風呂も入った仲のホフマンが去るというのはとても寂しいのだが、夢を叶えようとする友を止める訳にもいかないのか。
これからの旅路を思うと溜息しかでない。しぼむ〜〜。
飴をくれる年上なのに外見は幼いキャラがいれば和むのになと妄想しながら荷物を降ろす為、宿屋に行く。
一行の最後尾で廊下を歩いていると、途中の部屋のドアが僅かに開いていた。
特に意識を向けた訳では無いのだが何気なく、見る、というより視界に入ってしまった、が正しいだろう。
おまwwwちょ、まwww
俺は余りに動揺してしまってつい前を歩いていたマーニャの手を掴んでいた。
マーニャが何よ?と問うてくるのを、俺はぷるぷると震える指でドアの隙間を指差す。
そこには、とてつもない頭をした老人がいた。
うはwwwこれは久しぶりにクォリティ高いwww
あんな風に禿るってどんな遺伝子www
頭頂部が綺麗に禿げてる上に、髭と揉み上げと側頭部が繋がっている。
俺も最近、額が広くなってきているような気がするので頭に関して心無い事は言いたくない。
しかしあれは…側頭部の白髪が鬼の角のように、まるで意思を持っているかの如く重力に逆らっているのである。
ソフィアのとも違うのだ。彼女のはパーマっぽいのだが、あの老人は真っ直ぐだ。なんと骨のある髪の毛だろうか。
整髪しているのだとしても、老人の何と強き意思の顕現か。
俺とマーニャは二人でテラワロスwwwしていたのだが、その間に荷物を置いたソフィア達がやってきた。
笑いを押し殺している俺たちに怪訝な顔をした後、ミネアがこんな事を言い出した。
なんでも、この宿屋には重病人がいるらしいのだが、それがミネアは気になるらしい。
ソフィア、ミネア、トルネコの三人が目の前のドアに入っていくので、俺とマーニャはドアの入り口付近で待機する事にする。
それ以上近づくと笑いが堪えきれないかもしれないので。
ミネアが老人に話しかける。どうやら、老人の仲間がどんな病をも直ぐに治してしまうという薬を取りにいったらしい。
なんとも都合の良い物があるんだなとニヒリズムに浸りかけていた俺を、ある天啓が呼び戻した。
早速隣のマーニャに小声で話しかける。
(……もしや、あの頭は病気なんじゃ!?)
(ええ!?そんな…つまり、禿げは病気だって言うの?)
(そんな事はないよ。禿げは病気じゃない。童貞が病気じゃないように)
(それは病気なんじゃないの?)
(違うよ!?童貞だからって病人だとか社会不適応者とみなされるのは俺の世界だけで十分だ!)
((・∀・)ニヤニヤ。まあ良いけどね。後半は何のことか解らないけど)
(そうじゃなくて姐さん。禿げは病気じゃない。だけど、あの頭はちょっと凄すぎる。――そう、禿げこそ、健康な部位なんじゃないか?)
(――はっ、ま、まさか!)
(そう!きっとあの爺さんの仲間は、あの髪の毛をきちんと脱毛する為に神秘の秘薬を求めて旅立ったんだよ!!!)
俺の素晴らしい推理にマーニャは、な、なんだってーと驚いてくれた後ぷくくくと笑いを噛み殺していた。
そんなアホ話をしている間にもミネア達と老人――ブライの話は続いていたらしく、
どうやら本当の所は、ベッドで寝ている男が病で動けなくなった為にアリーナと言う娘が一人で薬を取りにいったらしい。
だが、その娘が中々戻って来ず、やきもきしていたようだ。
どうにか娘を探し出して手助けをしてもらえないかと懇願された所で、
俺はソフィアに近づき、2,3言葉を交わした後彼女の意志を伝えた。
ブライは喜んで、自分もお供すると言い出し、宿屋の者にベッドで寝ている男の事を頼みにいった。
…それなら最初からそのアリーナとかいう娘についていけば良かったのに。
都合よく、ホフマンが宿屋の番頭に立ち修行を始めたようだったので、
俺たちからも病の男――クリフトの事を宜しく頼み、翌日、俺たち6人は一路万能薬を求めて旅立つことになった。
とりあえず、笑いが堪えられない為にブライをまともに見る事ができない。新手の拷問かこれは。
ツボにはまるという事の恐ろしさを実感しつつ、道中今までとは別の意味で厳しい旅になるかもしれないなと思った。
HP:48/48
MP:12/12
E鉄のまえかけ Eはがねのつるぎ Eパンツ
試演
二人のアホ話にテラワロスww
パンツが変わらない男、素晴らしい頭の悪さだw
マーニャがすげぇ身近な人種に思えてくるこの不思議。これからも頑張って下さい。
そしてトルネコ出番ねぇーw
そういやトルネコいたんだっけ
忘れてたw
まあ人質候補1だもんな
228 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/17(日) 18:24:22 ID:hcvZZE/t
age
229 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/17(日) 18:27:47 ID:qa+1hdz6
びっくりするよな!?人がみんな同じこと言って同じルート歩いて…
とりあえず教会いってセーブする
従者の病を治す為、薬草を求めて出立したサントハイム王国王女、アリーナ。
これだけを聞くと中々感動的なストーリーだが、大体において伝わる話とその実態には齟齬がある事が多い。
今回のケースでは齟齬とまではいかないかもしれないが、
いずれにしても――彼女は、この旅を心から楽しんでいた。
彼女にとってみれば、随分と長い間待ち焦がれ、何度も無理やりにその手に掴み取ろうとして叶わなかった願い。
念願の一人旅、である。
ミントスの町から東へ進み、ソレッタの村へ。
道中で現れる魔物をたった一人で撃破し、見事に辿り着いて見せた。
彼女は美しいと言うよりはまだ愛らしい外見であったが、それよりなにより、生気に溢れたその姿が見る者を魅了して止まない。
サントハイム王家には代々、魔力の強い者、それだけに留まらず特殊な力を発揮する者が産まれて来たが、
残念ながらアリーナ姫に魔術の素養は皆無であった。
だが――はたまた、それ故にか。
ただひたすらに強かった。それに加えて未だ成長途中だというのがおかしいのだ。
人は、実のところそれほど無力な存在では無い。
子供や老人でなければ、例えミネアの言う導かれし者では無かったとしても、そこそこに戦えるものは少なからず居る。
しかし、人と魔物を比べた時に、どうしても超えられない壁があるのもまた、事実であった。
そしてアリーナ姫は――導かれし者達の中でも抜群の、それは時に勇者すら超えかねない――才と器を備えた少女なのだ。
現段階の実力で言うならば、噂に名高いバトランドの王宮戦士辺りならば互角かそれ以上の者もいるかもしれないが、
こと、身体的・肉体的な素質に関して言うならばアリーナに勝るものはいないと言っても過言では無い。
さて、そんなお姫様であったが、ソレッタの村で手に入る筈だったパデキアが既に絶滅して久しい、と言うのには少し困った。
幸いなことにこういう場合に備え、冷気の満ちる洞窟の奥深くに種を残してあるらしいのだが、
そこは現在魔物の巣になっており、村の人間では取りに行く事ができないらしい。
――なんとお誂え向きのシチュエーションだろう。
勇んだ彼女は早速、洞窟へ向かおうとしたのだが、珍しくも一つの思案をする。
果たして、己一人で目的を達成する事ができるだろうか、と。
これが『魔物の棲家になっている洞窟を探検する』だとか『洞窟に篭もって修行をする』だとかなら、
一人で行って戻ってくるという行為自体に意味も出てくるのだが、
今回はあくまでパデキアの種を入手するのが最優先、手段と目的が入れ替わることがあってはならない。
これはブライがいつも口を酸っぱくして語る教えの一つであった。老人がこの場にいたなら感激したかもしれない。
アリーナはブライに甘えている所があるのか、老人が居る場合だと事の外彼の教えを無視して無茶をしたがる傾向があったので。
さて、となるとやはり一人では難しいかもしれない。
事は一刻を争うので悠長に何度も赴く訳にはいかないし、そうなると治癒の術が使えるものは必須である。
魔物を蹴散らして進むのが探査する際に効率的である以上、戦士の頭数もあるに越した事は無い。
洞窟に入る必要があると事前に解っていればミントスで募る手もあったのだろうが――そうすると、今度は道中の速度が下がっただろうし、
いずれにしても過ぎてしまった事をごちゃごちゃと言っても仕方が無いと気持ちを切り替える。
そして、アリーナはたまたまソレッタに逗留していた世界を救う旅をしているらしい戦士一行の手を借りる事にした。
だが――。
「――逃げ足、速いわねぇ」
ふぅ、と軽くぼやく。
そもそも、鍵のかかった扉をアリーナが蹴破った時点でどうもビクビクしているようだった。
最初は若い娘の頼みだからかへらへらと二つ返事で同行を受けてくれた彼らであったが、
アリーナの予想外の実力と、洞窟内の魔物の強さとに完全に恐れ戦いてしまい――逃げ出してしまったのである。
「ま、良っか。こうなった以上は私が一人でパデキア手に入れてみせるわ…!」
逆境に燃えるタイプなのか、苦境に立たされた後でも彼女の炎は消える所かより燃え盛るばかりであった。
「あ〜!苛々する〜!なんなのこの床は〜!」
ダン!
余りに燃え盛ってしまった炎は捌け口を求め、今回は床に霧散する。
アリーナは洞窟の仕掛けに非常に苦労していた。
どうしても床が滑ってしまって目の前にある階段に辿り着けないのだ。
こういう場合はいつもクリフトやブライが彼女を宥めると共に、仕掛けを解いてきたものなのだが――。
つきん、と痛んだ拳を唇に当てる。
魔物との連戦の際に負った怪我だ。もう少しで、薬草も尽きてしまう――。
その焦燥が、隙を生んでしまう。
突如横合いから巻き起こった大気の変動にアリーナは対処し切れず身体中を切り刻まれた。
「うあ!?痛った〜って――ブライ!?」
いいや、それはコンジャラーである。
コンジャラーと間違えたなどとあの老人が聞いたら最早嘆き悲しむ所の騒ぎでは無いかもしれない。
この間違い自体は良くあるネタなのだが、少し今回は間が悪かった。
アリーナの一瞬の躊躇が、彼女の命を縮める――。
「せぁ!!」
鋭い剣撃がコンジャラーの首を跳ね飛ばす。
頭と泣き別れになった胴体は、ぐらぐらと揺らいだ後仰向けに倒れた。
アリーナは一瞬何が起こったのか理解できなかったが、目の前に立つ人影に対し反射的に構えを取っていた。
――その、禍々しきは鎧兜。
首から足の先までを覆う全身鎧(フル・プレート)に、顔はフルフェイスの兜を被っている為表情が見えない。
だが、さまよう鎧とも違う――確かに、肉体の気配がするのだ。
それは先ほどの気合の声であったり、息遣いであったり視線であったり。そういった有機的なものをアリーナは本能で感じ取った。
鎧は血のついた剣を横に払う。それが合図であったかのように、アリーナは飛び掛った。
顔を目掛けた飛び蹴り――そして、本命は首元への刺突。
彼女の手には無数の魔物を屠り続けてきた鉄製の鉤爪が光っている。
蹴りがかわされ、続く爪撃。手応えは――無い。いや、浅い。
鉄板の上を滑った感覚。避けられた――そう認識する前に、鎧はアリーナの足を掴み、軽々と放り投げていた。
「――くっ!」
空中で軽業師のような身軽さを発揮し体勢を立て直し着地する。
今一度――そう、アリーナが構え直したときには、鎧は剣を鞘に収めてしまっていた。
「待て。俺は、君と戦う気は無い」
鎧から男の声が漏れる。
アリーナは不服だった。今の攻防は、悔しいがあちらが一本取ったと言わざるを得ない。
身体がまだ動く、いや例え動かずとも、負けっ放しなど冗談では無い――。
「この洞窟にパデキアがあると聞いた。君は、知らないかな」
だが。目の前の男は、強い。
強者は強者を知るように、アリーナは心と身体、その両方で眼前の鎧――それは、まるで騎士のように見える――を認めていた。
この男と戦って勝てるだろうか。薬を手に入れクリフトに届ける事ができるだろうか。
――できない事は無い。だが難しい、と判ずる。
「解らないわ。私も、探しに来たんだけどね」
「そうか……」
手を口元にあて、思案する騎士。
その人間的な仕草を見て、アリーナはやはりこの男は魔物の類では無いなと感じた。
鎧兜は相変わらず嫌な気配を漂わせていたけれど。
「ね。物は相談なんだけど。私と一緒にパデキアを探さない?」
「君と?」
「そう。貴方、中々強いようだし。お互い、足手まといになる事は無いと思うわ」
「…さっきのは、俺を試したという事か?」
声に不愉快さが混ざる。
ソレに対し、アリーナはあっけらかんと答えた。
「それもなくは無いけど、とりあえず私は相手が強そうなら戦ってみたいのよ。それだけ――ううん、実はもう一つあるけど、それは秘密」
その鎧兜の余りの邪悪さに、つい手が出た。
だが、流石にこれは余計だと思ったし、それにどうしてだかこの男の声音は――暖かいのだ。
闇と光の両方を内包したアンバランスさ、いやそれは実はアンバランスなどでは無いかもしれないが――不可思議なモノを感じる。
そうして、興味を持ったというのが正解に近いかもしれない。
「……そう、だな。それも良いかもしれない」
逡巡の後、騎士の応えが返る。
こうして、姫君と騎士は共同戦線を張る事になったが、それはよくある英雄譚とはかけ離れたものだった。
洞窟の中を縦横無尽に駆け回り、身体で魔物を屠って行く姫君に、追随し彼女のフォローをいれながら、的確に障害を取り除く騎士。
それは傍目から見れば良いコンビに見えたかもしれないが、以前、滑る床には苦労していた。
「――待て。そこはさっき踏んだぞ」
「え?そうだっけ?じゃ、次はこっちね」
「だから待てと。そこは、見るからにダメそう――」
「え?あわわ…」
「えぇい、仕方の無い…」
意外と面倒見が良いのか苦労性なのか。
騎士もまた律儀に同じ床を滑る、が少し先ほどとは違うルートに焦りを見せた。
段々と近づいてくるのは、ぽっかりと口を空けた落とし穴だ。
「――!?」
騎士は落ちる瞬間、咄嗟に腕を伸ばしアリーナを抱え込む。
金属と床が烈しくぶつかり合う音。そして、無音。
アリーナは、恐る恐ると言った風に鎧の上で身体を起こした。
「……生きてる?私なら、着地できたのに……」
「……生きてはいるが、それを聞いて酷く落ち込みそうだ……」
ごほっと咳き込みながらも、ずるりと身体を引き摺り壁に寄りかかる。
アリーナも、その隣にちょこんとしゃがみ込んだ。
「少し、休憩させてくれ」
ふぅ、と軽く息を吐く。
そうして、暫しの沈黙が流れる。
居心地が悪い訳では無かったけれど、何かしら喋っても良いかしら、とアリーナは思った。
「ね。…デスピサロって、知ってる?」
――デスピサロ。
その名前を聞いた瞬間に、騎士の様子が豹変した。
手は握りこまれ、ぶるぶると身体が震えているのが解る。
憎悪。焦燥。無力感。それらがない交ぜになったような――。
「知ってるの!?なら、教えて!私は――私は、ヤツに会わないと……!」
「――何故、デスピサロに会わないとならないんだ?」
今度はアリーナが黙る番だった。
時間のみが過ぎて行く。それは大した長さでは無かった筈なのに、二人にとっては永劫にすら近く感じられた。
「…良いわ。全部教えてあげる。私の名前は――サントハイム王女、アリーナ――」
城を抜け出したこと、エンドールの武術大会で優勝したこと、蛻の殻のようになっていた城に凱旋したこと――。
王を含めた城内の皆を探す旅に出たこと、旅の途中で魔物が活発に動き出しているとの噂を耳にしたこと、遠くバトランドではピサロの手先と名乗るモノが子供狩りをしていたらしいこと――。
それが、エンドールの武術大会に出場し、参加者を殺しまわっていた不気味な男、デスピサロと符合したこと。
「――そう、か」
少女が語り終えるまで、騎士は沈黙を守っていた。
再び流れる沈黙。アリーナは、身じろぎもせず、じっと待った。
「……今は、まだ、教えられない」
「どうして!?」
待った挙句の拒絶の言葉に、アリーナはいきり立った。
掴みかかるかのような勢いで、騎士に詰め寄る。だが、彼は憎らしいほどに冷静だった。
「――デスピサロは、俺よりも遥かに強いからだ。君をむざむざ死なせたくない」
アリーナの瞳に炎が宿る。ぎり、と歯が軋む音が響いた。
余りの悔しさに、涙が出そうになる。だが、この場で、この状況でかんしゃくを起こす程子供にもなれなかった。
騎士は、静かに手をかざし、アリーナに上位治癒(ベホイミ)を施した。
「俺は未だ身体が動かない。――お前も、急いでいるんだろう?」
アリーナの脳裏に今もまだ、病床で苦しんでいるであろうクリフトの顔が思い浮かぶ。
「――いいわ。だけど、私が戻るまで此処で待ってなさいよ!?」
飛び跳ねるように駆けて行く少女を見送り、騎士は小さく嘆息した。
真っ直ぐな少女だ。お供が常に傍にいてくれた、というのも大きいのだろうか。
――あの少女からは怨嗟、憎悪などが全く視えなかった。今の己には、存在さえすればはっきり視える筈なのに。
それらが無い筈は無いのに――それ以上の、何かで覆われているかのよう。
似たような境遇にありながら、違うものだなと感じる。
だがそれは決して嘆く事では無い筈である。――それとも、そう思うことで自分を肯定したいのだろうか。どうしようもなく愚かな己を。
結局、パデキアの種は見つからなかった。
アリーナがそれらしき場所に到達した時には、既に箱の中身は空っぽだったらしい。
騎士はがっくりと肩を落とす少女に、せめて町まで送っていこうと伝える。
瞬間転移(ルーラ)で、一気にミントスへと戻った二人は、町の入り口で暫し見詰め合った。
そう長い時を共にした訳ではない。
だが、何かお互いに感ずるものがあったのか。
「――助かったわ。ごめんね、パデキアを手に入れられなくて」
「気にするな。こっちはそれほど深刻な状況じゃない」
「そう――良かった、のかな?」
えへへ、と笑うアリーナであったが、騎士にはそれが明らかに無理をしていると解ったから。
だから最後の問いにはこう答えたのかもしれない。
「ねぇ。また、会える?」
「――ああ。会えるかもしれないな」
アリーナは嬉しそうに破顔した。
それは、少なからず少女の影を吹き飛ばす事に成功したようでもあった。
「うぅん、絶対に会うわ!数少ない手掛かりだもの!次に会う時には、貴方を圧倒してみせる!!そうしたら、ちゃんと喋ってもらうからね!!」
そうして、姫君と騎士はそれぞれ宿屋へ、隠れ里への帰路につく。
この二人が再度出会うその時は何時になるだろうか。
(幕間・終)
続きが気になる。毎日が楽しみです(つ∀`*)
ってか
幕間って何ですか?
いやーすばらしい
>>240 まくあい。まくまじゃないぞ。
意味はそのまま劇などの休憩時間
この場合は主人公目線じゃないときって感じかな?
神降臨してますな。
自分もなんか上で纏めてもらって嬉しいです
・・・でこのトリップに来たのも理由有りなんだけど
上の続きを書いて良いですかね?
鎧の男、なんとなく誰だか予想できつつも口には出さないのがマナー!
間違ってたら恥ずかしいしw
それにしても、うん。いかにもアリーナだ。感動。
キャラが生き生きしてて楽しいです。続き楽しみにしてます。
>>244 >間違ってたら恥ずかしいしw
お茶目でワラタ
>>244 俺は誰だか分からない。
ドラクエ4のキャラ?
だったらやったことないからわかんないや。
>>250 伏線は張ってあった、と思う
いや、俺もあってるかどうか分からんけど
ここは黙って待つのが吉
252 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/20(水) 23:28:23 ID:DUKWxLE7
スレタイの日本語がおかしい件について
夜の帳が降りた海は怖い。
まるで、闇が蠢いているかのように俺には思えた。
いや、これは比喩ではないな――本来、夜の闇は動いたりしない。だが、確かに船の縁から見える黒はゆらゆらと蠢いているのだ。
海は海である筈で、夜の闇とは別なのだけど、では海もまた闇を所持しているのだろうか。
俺は所在無げに船員結びの練習をしていた。
目の前には、舵を操作しているトルネコがいる。
このトルネコという男に、俺は同じ匂いを感じ取っていた。
即ち――足手まといの匂いを。
と、マーニャに言ったら思いっきりバカにされた。
船の所持者で商売に長けてて道具の鑑定能力があって宝を見つける感覚に優れている相手と勝負する気かと。
俺はごもっともぉ!と叫び、信長に仕えるサルのように平伏した。
どうやらこの船でのヒエラルキーは
頂点:マーニャ、アリーナ
第一層:ソフィア、ブライ
第二層:ミネア、クリフト、トルネコ
最下層:俺
と、なっているらしい。さて、練炭はどこにあったかな…。
新参たちにも余裕で抜かされていく己に絶望しながらも、考えてみるとそれ自体はいつもの事だったので、
あっさりと立ち直る。
妙な所でタフネスを発揮した後、できた結び目をトルネコに見せた。
「お、良いですね」
トルネコは、一度しっかりと結べているかを確認した後、簡単に解けるかの試行をする。
はらりと無くなる結び目に、合格です、と笑みを浮かべた。
俺は引きこもり体質な為、人見知りが激しいのだがトルネコとはここ何日かでようやく普通に接せられるようになってきた。
このトルネコという男、ホフマン並かそれ以上に――できた男、というか。人の良い男というか。
いわゆる、商売に向いていそうな性格にはとても思えなかった。
「ねぇトルネコさん。ミントスを出てから、マーニャとミネアの様子、ちょっと変すよね」
いくら人が良い男が相手だとはいえ、彼は三十路を越える恰幅のいいオヤジである。
しかも、なんと妻に子供までいるらしい。
――つまり、非童貞ってことだよ!!もうだめだ。この人には絶対に敵わない('A`)
一度でも、同じ足手まといじゃないかなどと思った俺が間違っていましたぁ!!!
物凄い劣等感と、目上の相手にはそれなりの言葉遣いをという常識が相まって、敬語とは言えない体育会系用語で話しかける。
「んー……。そうですねぇ。ええ、私もそう思います」
同意を得られた俺は、やっぱりそうなのかと少し考え込んだ。
現在、俺たちはミントスの町から船で西に進路を取り、キングレオと言う名の城を目指している。
パデキアの洞窟でブライの言っていた娘と遭遇した後、彼女を尻目に首尾よく種を手に入れた俺たちは、ソレッタに戻り村長(実は国王らしいが俺は認めていない)にパデキアの種を渡した。
村長がパデキアを植えると、まるでジャックの豆の木のような非常識さでパデキアは成長した。
まあ、あれは物語だから許される訳だが…。
成長したパデキアの根っこが薬になるという事で、分けてもらった俺たちは急いでミントスに戻る。
洞窟で遭遇した娘、アリーナ(姫らしいが俺はこんなおしとやかでないお姫様は認めない)が何故か先に戻ってきていたりもしたが、
とりあえずはパデキアの根っこをクリフトに飲ませる。
煎じもしないで無理矢理飲ませようとしたアリーナとマーニャには、絶対に看病してもらいたくないなと思った。
いやいや、そんな心配はいりませんなwww自意識過剰wwっうぇwwwそんなシチュエーションはありえないwww
「お恥ずかしい…姫様を守るべき私がこのような有様だったとは…」
パデキアの効果は絶大で、クリフトの容態はみるみる良くなった。
ふと思ったんだが、クリフトを殺して生き返らせるってのはダメだったんだろうか?
…いや、もし俺が病気になって面倒だから殺して生き返らせよう!って言われたら泣いちゃうけどさ。
――しかし俺たちは、時に人道を無視してでも成さねばなならぬ事があるのではないだろうか!
今では無い事だけは確かだがー。
「いいのよ、クリフト。こうして無事治った訳だし…。さ!デスピサロを探す旅を続けましょう!」
――デスピサロ。
その名を聞いた途端、ソフィアが反応した。
それは声無き声で、宿屋の一室に居た全員を凍りつかせる。
デスピサロ。デスピサロ。――――デスピサロ。
なんと不吉な名前であろう。
何が不吉かなど解る必要は無い。この、ソフィアという優しく明るい少女に此処までの変化を促すという、ただそれだけで十分だ。
畏怖と、そうして僅かばかりの嫉妬を覚える。
「…どうかしたの?」
全員が息を呑む中、かろうじて沈黙を破ったのはアリーナだった。
俺も飛んでいた意識を取り戻し、差し障りの無いように説明する事にした。
ソフィアの居た村が魔物に襲われ、その魔物を率いていた者の名前がデスピサロと言うようだ、と。
喉が、異常に渇いていて喋り難い。
「じゃあ、ソフィアもデスピサロを!?」
「…以前、勇者の住む村がデスピサロに滅ぼされたそうです。もしや、ソフィア殿が…」
そう、ソフィアはずっとデスピサロを追ってきていたのだ。
彼女は喋れないから、ことさらにその意思を主張するような事は無かったけれど。
魔物たちが敬称をつけて呼んでいた存在。
そして、アリーナ達もまたデスピサロを追っているらしい。
「…そうだったの…。うん!よし、じゃあ一緒に探しましょう!旅は多い方が楽しいしね!
3人だろうが9人だろうが変わんないし!」
ブライが、姫、パトリシアは馬の名前ですから8人と1匹ですぞとツッコミをいれる。
いや、ツッコミいれる所はそこなのか?…俺はちらりとミネアに視線を走らせた。眼で、良いのか?と訊ねる。
占い師の娘は小さく頷いた。
――つまり、そういう事。
これは偶然なのだろうか?それとも――運命とでも言うのか?
ミネアならば、それで納得するかもしれない。マーニャは懐疑的だろう。トルネコはどうだろう?
何に対する疑惑かすら解らない疑念に囚われていた俺を、突然の来訪者が呼び戻した。
「お待ちください!悪いことだとは思ったのですが立ち聞きをしてしまいました。
ソフィア様が世界を救ってくれる勇者様だったとは…。
以前、この宿に泊まったライアンという者が勇者様を探していたのです。
確か、ライアン殿は遥か西の国、キングレオに行くと申しておりました……」
こうして俺たちは再び船上の人となり、新たなる戦場を目指している訳である。
……。今のはね!船上と戦場を(略
それにしても、キングレオに行くと決まった時からマーニャとミネアの様子がおかしい。
なんだかんだ言ってあの姉妹と付き合いが長いのは俺とソフィアだし、聞くべき事は聞いた方が良いのかもしれない。
俺はマーニャとミネアを探す前に、予めブライに今日の魔法の授業は休みたい旨を伝えることにした。
ミントスの町でブライが一行に加わってから、俺はずっと講義を受けている。
マーニャの抽象的な教え方とは少し違ったより理論的な話らしいのは解るのだがやっぱり難しい。
俺がブライの部屋を訊ねると、中から話し声が聴こえてきた。
「だから……の……圧縮……」
「氷結系は……あくまで……振動を……参考にはなるかもしれぬが……」
「いいから教えなさいよ!」
所々聞き取れなかったためと、扉をノックするため近づいたのだが突然の大声に俺は口から心臓を吐き出す。
いや、吐き出しそうになる位ビックリした。
その為、続いて開け放たれた扉を俺は避ける事ができない。
「ぎゃっ」
低い鼻が更に低くなる不幸を実感する。
マーニャは、鼻を抑えてうずくまる俺を見て一瞬、すまなそうな顔をしたがすぐに、
「――何やってるのよ、邪魔よ。……ああ、あんた、なんかすっかりあのお爺ちゃんに師事しているようね。
ふん……ま、私だって別に好きであんたなんかに色々教えてた訳じゃないしこれで清々するわ。もう二度と私にものを訊ねるんじゃないわよ!!」
一方的に怒鳴り散らしたあと、ずかずかとその場を立ち去るマーニャに、
俺は呆気に取られてしまってぽかーんと見送ってしまった。
「大丈夫かの?」
部屋からひょっこりと顔を覗かせたブライに、俺は何があったのかを訊ねた。
「ふむ。いやなに、炎を更なる密度で圧縮する法を問われたのでな。…あの小娘がワシにものを訊ねるなど明日は雪かもしれぬのぅ。
まあ知っての通りワシは氷結の呪がメインでな。その前置きをした途端、あれじゃよ」
むー。マーニャらしくない…事も無い気がしてアレだな。気分屋だからなあ。もしかしたらあの日とかか?
とりあえずは、ブライにマーニャとミネアの様子を見る旨を伝えると、すんなりと講義の欠席を許可してくれた。
普段はやれ炎は雑だとか年寄りの冷や水だとかで言い争っているブライとマーニャだが、
やはりというか、それ故にというか、どちらかの様子がおかしいと困るものなのだろうか。
ブライは病み上がりの為に念の為にまだ安静にしているクリフトの様子を見に行った。
船の中を歩く途中、先ほどの一件からマーニャに出会っても話もしてくれないかもしれないなと考え、途中でソフィアを引っ掛ける事にする。
勇者様が一緒なら、無下にはできまいという打算である。
ソフィアの部屋を訪ねると、彼女はアリーナと一緒に何やら遊んでいるようだった。
何やら示し合わせたように笑い合う。
俺はそれを見て、小学生の頃俺が教室に入るとクラスメイトがこちらを見てクスクスと嫌な笑いを漏らしていたシーンを思い出した。
背中に嫌な汗が浮かぶ。だがその汗も、ソフィアが目の前に来て『どうしたの?』と小首を傾げると、すっと引いてしまった。
アリーナもその隣でにこにことしている。ソフィアもアリーナも、とても良い子だ。
彼女たちの笑顔に悪意は感じられない。俺は嫌な思い出を頭を振って隅に追いやる。
事情を説明すると、ソフィアだけでなくアリーナもついてくると言い出した。
まだ行程を共にして日が浅い、というのを逆手に取り、よりお互いを知る方が良いと言うのだ。
その尤もらしい台詞に、俺はつい首肯してしまう。
マーニャの部屋を訪ねてみたが無人だったので、ミネアの部屋を訪ねてみる。
はたして、そこにはジプシーの姉妹が揃っていた。
「……はん。若い子二人も侍らせていい気なものね」
マーニャの開口一番がそれだ。俺だけじゃなく、ソフィアやアリーナに対しても失礼なその台詞に、俺は失望感を覚える。
面倒だ。今のマーニャは周り全てが敵に見えているのだろう。
俺はこの手の煩わしい事が大嫌いだった。
例えば、悲しげに説得する。例えば、怒鳴りつけて相手を諭す。
そのどれもがまるで滑稽だ。
そもそも、様子を見るなんていうのが間違っていたんだ。俺は、そういうキャラじゃない。
家族が相手だろうが、友達が相手だろうが、他人の悲しみを共有するのは俺には辛過ぎる。
自分のそれだけで手一杯なのに、どうして他人のそれまで背負う事ができるんだ?
苛々する。
まるで世界の不幸全てを背負ったような顔をするヤツを見ていると。
俺だって――俺だって、こんな訳の解らない世界にいきなり放り出されて――。
――いや、違う。
俺は、俺の事情を誰にも話していない。話した所で理解してもらえるとも思えないし、逆に警戒されてしまうかもしれないから。
だから、他人に俺は理解できない。それは仕方の無い事だ。俺の責任である。
俺が理解されない事なんて、今はどうでも良い事だ。こっちの気持ちも知らないで――それは、子供の理屈だ。
だけどどうしても辛い事があると――そう、思ってしまう事は誰にでもある事なのかもしれない。
「マーニャ……。話してもらえないと、俺たちには何も解らない。
あんたたちにとっては、余程の事なんだと思う。だけど、アリーナを、ソフィアを見てくれ。
俺に対してならまだ良い。だけどこの子達には、あたらないでくれよ」
「…………」
長い沈黙。
そうして暫く経った後、ミネアがマーニャの肩に手を置いた。
「姉さん。話すわね、キングレオでの事」
マーニャは肯定も否定もせずに、くるりとこちらに背を向けた。
それをミネアは無言の肯定と取ったのか、彼女は一歩前にでて、ゆっくりと語りだした。
「私たちの父、エドガンは錬金術師でした。父は、研究の途中偶然にもある発見をしました。
進化の秘法、と呼ばれるそれの具体的な内容は私も、姉も解りません。……父はそれをよくないモノと判断し闇に葬ろうとしました。
ですが……弟子であったバルザックに父は殺され、進化の秘法はバルザックに持ち去られてしまいました。
……私たち姉妹は父さんのもう一人の弟子だったオーリンと一緒に、父さんの仇を討つ為にバルザックを追い詰めたのですが……。
……あいつは、進化の秘法でキングレオの王子に取り入っていました。王子はまるで魔物のような力を手に入れ、
クーデターを起こし父王を幽閉しました。
……バルザックを追い詰めるのでへとへとになっていた私たちはキングレオの王子――今は、王ですね――に敗れ、
牢屋に放り込まれました。同じく幽閉されていた父王の協力もあって、何とか脱出できたのですが……その時に、オーリンが……」
一度言葉を切り、視線を斜め下へと落とす。
敗戦の記憶、仇を目の前に、逃げ出すことしかできなかった思い出。
そうして、大事な仲間を置き去りにした悔恨――。
「私たちはハバリアの港が封鎖される直前に船に乗り込み、エンドールへとやってきました。
そして…勇者様に出会う事ができたのです」
落としていた視線をソフィアに向ける。
その瞳には、年下の少女に対して一種の崇拝のようなものすら見て取れる。
「今度は、負けません。ソフィアさんに加えて、導かれし光の持ち主が6人も集っているのですから」
軽くトリップするミネア。当然、そこには俺は入っていないのだが仕方が無いか。
ミネアは決して悪い人間ではないし、普段は俺に対してもとても暖かく接してくれるのだが――。
こと、この予言めいた導かれし者たちの事になると、少し他に何も見えなくなるようだ。
それにしても…この姉妹も、仇討ちが主目的だったのか。
ソフィアもまた、仇討ちをする理由は十分だし、サントハイム組はどうなのだろう?…サントハイムの良い噂は、正直な所一度として聞いた事が無いのだが…。
トルネコはそういったものとは無縁なのか。後は俺もだがまあ、俺の事は置いといていいだろう。
俺はちらりとソフィアへと視線を転じた。
何処か、張り詰めたような雰囲気。ソフィアはいつも真面目で、期待されればそれに応えようとする。
俺にはそれが少しばかり危うく見えるのだ。
言うべきか、言わざるべきか。だが、この機会を逃してはこれから先いつ話せるか解らないから。
「なあ…あのさ――」
「ミネア。ちょっと勇者ちゃんに依存し過ぎ。これは、結局私たちの問題なんだからね」
突然、マーニャが割り込んできた。俺の台詞が…!
「とはいえ、多分手伝ってもらう事にはなる、かも、しれないけど、ね。ま、その時は頼むわ」
「OK、任せといて!悪党をのさばらせておく訳にはいかないし、そこそこ強そうだしね。腕が鳴るわ…!」
アリーナの場合、多分戦えれば何でも良いんだろう。俺はいつ彼女がオラ、わくわくして来たぞ!と言い出すかと気が気でない。
そしてマーニャは――やはり、彼女は彼女だった。
女性陣の中で一番年上で、一番大人でもある。いつもはだらしなく、ミネアに怒られてばかりだが、決して気遣いが無い訳では無いのだ。
「ソフィアさん、ごめんなさい。…本当に正直な話をするなら、私たちは私たちの仇討ちにソフィアさんを利用しようとしているのかもしれません。
いえ、事実そういった側面があるのは間違いない事ですから…」
ミネアの謝罪の言葉に、ソフィアはふるふると頭を振った。
そうして、足りない言葉の代わりにミネアの手を取り、しっかりと握り締める。
俺は、彼女の心境を代弁する事にした。
「エンドールであんたたちに会えなかったら俺とソフィアでどうなってたか解んないしな。
それに、ソフィアにしてみれば持ちつ持たれつってとこもあるかもしれないし…。
ま、俺は勇者だなんだって言ってまだ小娘のこいつによっかかるのはどうかねえと思ってたけど――けど、ま、あんたたちはそれだけじゃない」
ミネアが、目頭を指でそっと拭う。
俺はその仕草にみっともなくうろたえた。いかん、何かおかしな事を言ってしまったのだろうか。
「ミネアを泣かしたわね…全く、私の下僕の癖に最近調子づいてない?
あんた、今度から私の事もちゃんと師匠(マスター)って呼びなさいよ。あのお爺ちゃんにだけ先生だなんてつけるのはずるいわ」
いつから俺はお前の下僕になったんだとマーニャと口論が始まる。
最初から結果の見えてる戦いだ。マーニャはヒヒヒと笑いながら俺を煽るし、俺は俺で少しばかりムキになっているフリをする。
そんな餌で俺が釣られクマー!と言うヤツだ。
それを見てソフィアとミネアが笑い、アリーナもまたその『お約束』を理解する。
そう、こういう関係。俺は、少なからず居心地の良さを感じているのかもしれない。
HP:58/58
MP:24/24
Eはがねのつるぎ E鉄のまえかけ Eパンツ
携帯から毎日拝見させていただいてまつ。もう、神ですな(;´д⊂ こんなに毎日みるのが楽しみなスレははじめてよ。
だいぶレベルが上がったねー
トラペッタを出た俺は、日が暮れる前を目標にリーザス村を目指していた
道中、半分羊のようなキモイ人間が殴り掛かってきたが慣れない手つきながらも
ひのきの棒で殴りつけ、何とか進む事が出来た。
が、そんなへたくそな戦闘のせいで日没まで1時間足らず、というところまで来てしまった
ようやくリーザス村に辿り着いた時には、既に辺りは暗くなっていて20:00くらいになっていた(そっちの世界でだが)
門の前に差し掛かった時何やら馬車が止めてあった
身分の高い奴でも居るんだろうか・・・俺は金持ちとゴキブリが大嫌いなんだ。全く・・・
中には従者のような奴が居るようで、中からトンカチで金属を叩く音がした。何をやってるんだろうと俺は、中を覗いてみた
!!!
あわわわわわ・・・・ナメック星人が鍋を叩いてるよ・・・意味不明・・・
「これだけでも持って来て正解じゃったかもしれんな・・・
あのようなことが起きても、チカラが残ってるとは先代も良い物を手に入れたのう」
と、独り言を言ってるところからすると年老いてるようだ
・・・って何、冷静にコイツの観察をしてたんだ!
関わらない方が良さそうだな・・・
そう思って村に入ろうとした瞬間───
「ん?何の用じゃ?」
も し か し て 俺 で す か ? そ う で す か
HP16
MP 3
習得呪文
ホイミ
Eひのきのぼう E皮の盾 E私服
いろんなドラクエの世界が見れイイネ(*´Д`)
できることなら、Vの宿屋で目覚めたい。
そして遊び人になってルイーダに昼間から入り浸り、でも結局することないから
掃除なんかしちゃってね。勇者様からご指名かかるまで、毎日をマターリ過ごすのさ。
ああニートがうらやましい・・・orz
馬鹿だな
ニートなんて煮ても焼いても食えない金のかかる家畜みたいなもんだ
>>◆gYINaOL2aE
みんなが生きてる。それだけで俺はこんなにも嬉しい気持ちだ。
>>◆nnvolY11AA
まだなんとも言えないけど、それぞれのドラクエ、楽しみにしてる。頑張れ。
振り向いて下をみると、緑色の魔物が目の前に居た。何時の間に・・・
「見慣れない格好の者じゃな。察するにお前はこの辺の者ではないな?」
喋る魔物も居るもんだな・・・弱そうだから少し話を聞いてやるか
てか、周りから変に見られてたんだな、俺って・・・
まぁ、俺の本来の世界の格好だから奇妙な格好にも見えるのはおかしくないだろう
更に魔物の言葉は続き
「旅の者なら、一つ聞きたい。この辺に道化師のような格好した奴を見なかったか?」
道化師?あぁ、ピエロみたいな奴ね。
「いや、見た事が無い。それよりお前は何なんだ?
村の前で常駐して、お前みたいな魔物が村の近辺に居たら傭兵かなんかに襲われるのがオチだぞ?」
どうやらこの魔物はトロデ──トロデーン城という城の城主らしい
元々は人間だったが、道化師──ドルマゲスという魔法使いによって、この様な姿になったらしい
城もそいつのかけた呪いにより人々がイバラとなり、魔物の蔓延る城に化したのだそうだ
さっきまで気づかなかったが、馬車に繋いである馬もじつはこのおっさんの愛娘で
トロデーン城と同じような大きな城の王子と結婚する筈だったらしい
それで生き残った兵士エイトと道中で出会った山賊と旅をしているらしい
あまりにも言ってる事が生々しいので、俺も嘘とは思えなくなってしまった
そして、とても彼らが哀れになってきた
俺にはバトルレックスを倒すという目標があった
しかし、それは単なる憎しみに駆られた復讐ではないのか?
倒しても何になる?───小さな満足感に浸るだけだろう。
生物を殺す、この行動を楽しみにしていた自分を想像したら自分が怖くなってきた
宿の寝床に就いた俺は、イバラ化した人間を想像して中々眠る事が出来なかった
周りに迷惑をかけるかもしれないが・・・・
どうやら新たな目標が出来たようだ───
携帯から参加…。病院に入院してんで暇で…。下手でも書いていいですかね?
>>271 病院からDQ世界へ……
いいじゃない!レッツゴーレッツダイヴ!!
273 :
いちおDQ3:2005/04/24(日) 15:36:44 ID:V5YC8S0E
目の裏側の網膜に蒼い光が散ったような気がした。
それは赤になり緑になり様々な光の共演をみせる。美しい。
と、唐突に周囲が色彩を帯びる。光が白い−
目の前には木で出来た天井があった。ここは−どこだ?
体をおこす。病院で寝てたままの、パジャマ姿。腕には、点滴が入れやすいようにと埋め込まれたままのチューブがあった。
と、窓の外に目をやると城が目に入った。なんだ?インド系?拉致?
テンションが上がって思わず舞をおどってみる。足を挫く。痛い。
まだ入院してなきゃいけない体だ。体力は回復してないらしい。それはそうかと納得してみる。夢にしてはリアルだ。
先ずは現状把握か、とりあえず部屋を出る。
下に降りるとオヤジさんがいた。目があった。筋肉隆々な相手にはへりくつだるのがアイデンティティ。へこへこキョドりながら頭をさげてみる。
「おはようございます、今日は良い天気ですよ。勇者アレルの旅立ちに相応しいね。」
…はぁ?!勇者って…。あなた大丈夫?…とは口がさけても言えないチキンな俺。
城の方から歩いてくる一団が…いる。
274 :
いちおDQ3:2005/04/24(日) 15:37:44 ID:V5YC8S0E
…書いてみると神の凄さがわかりますね。
すごいなぁ。腐った文ですまんです。
>>274 いい感じだよー。
ガンガレ!!(入院生活も)
276 :
273の続き:2005/04/24(日) 21:50:34 ID:V5YC8S0E
先頭に立つのは黒髪の男。それを2、3人の兵士が護衛しているようだ。
彼がいわゆる勇者なのだろう。その存在感たるや!これがカリスマという奴なのだろうか。
道なりに進んでくる彼をじっと見ていたら、目があった。慌ててそらし、ちらっと見るという乙女心を出してみる。
「君は…?」
…おいおい、話しかけられましたよ!どうしよう。よりによって何故俺が…。
「見慣れない服装だね。どうしたの?」
透明な、声。
そうか、見慣れない服装で立ってジッと見てくる奴がいたら、目にもとまるよね。
カリスマが近づいてくるのに焦りまくり脱兎の勢いで逃げる俺。
とりあえず武器屋の裏まで逃げるのに成功した。
どうしたもんかね…。一人ごちる。とりあえず、俺は第三世界に放り出されたらしい。
帰りたい。授業始まったばっかりだし、彼女にも会いたい。親父とも仲直りしたばかりなのだ。
では、どうすればいい?彼の事が頭をよぎる。それでも、彼なら−−あんなカリスマを持つ彼なら−−何とかしてくれるんじゃないか。
甘い考えだ。結局は他力本願なのだ。
だが。この現状、この世界で無職となった俺が一人でなんとか出来るのか?
とりあえずは、彼についていこう。他は後で考える!
考えをまとめた俺は立ち上がった。兵士がルイーダが云々、酒場が云々言っていたのを聞いていたのだ。
277 :
273の続き:2005/04/24(日) 21:52:04 ID:V5YC8S0E
酒場は町の西にあった。入り口を押そうとした時ふと考えた。
…なんて言ってついていこう。
石化した。
…取り柄は…平凡な運動神経しかない俺には無い。偏差値はそこそこあったが大学に入ってめっきりバカになった。
内職をする手先の器用さもない。…荷物持ちする体力もない。
どーしよー。
冷や汗たらたらになっているといきなり向こうから戸が引かれた。
「あれ、さっきの君…」
うわ、ご対面だ。
「あん?なんだこいつ?」
…筋肉ムキムキ、斧をかついだ男が後ろから覗く。
いつもの癖で逃げ腰になっていると、
「どうなさったのですか?」
二人の女が覗いた。一人は幼い感じの、優しそうな人。もう一人は釣り目のちょっとキツそうな人。
278 :
273の続き:2005/04/24(日) 21:53:43 ID:V5YC8S0E
「訳ありみたいだね、話してごらんよ」
勇者が話しかけてくる。
とりあえず、現状を話した。その上で頼む。連れていってくれと。
まず反応したのは、筋肉。
「冗談じゃねぇ、俺らは魔王バラモスを倒そうって旅なんだ、遊びじゃねぇ。見た目強そうでもねぇし、呪文を使えるわけでもねぇんだろ?」
狐も
「魔法協会にもいなかったわね。呪文使いってわけないわ」
もう一人の優しそうな女は
「私たちの旅は危険なのです。ここ、アリアハンは福祉もしっかりしてますし、教会に行けば保護もうけられますよ」
…四面楚歌か。まぁ分かってはいたのだが、どうしよ。
279 :
273の続き:2005/04/24(日) 21:54:22 ID:V5YC8S0E
モジモジしていると勇者が目を見つめているのに気がついた。
「不思議な目だね。僕らとは違う目をしてる。」
…勇者ホモ説急上昇!?わかったよ、何発だ、耐えてやるから連れてってくれ!…初めてだからやさしくね。
なんてバカな事を考えているうちに勇者は三人を振り返って言った。
「僕らはこれから今まで誰も成し得なかった、魔王を倒しにいく。彼は異世界から来たのだと言う。これはルビスの導きかもしれない。ルビスの使途に無下な態度はとれないよね?」
…なんか話が大きくなってる気がする。…三人の俺を見る目が変わったような…。イヤな予感。慣れない視線。見知らぬ天井とくれば雨、逃げ出した後…逃げんのかい!
自分に突っ込んで妄想している間に話は進んだようだ。
「えぇと、君。僕らに力を貸してくれるんだよね?よろしく、僕、アレル。」
…なんか良く分からないが、連れていってくれるらしい、良かった良かった。
ここから俺の冒険は始まる−そして伝説へ−
HP.12
MP. 3
Eパジャマ
どーですかね。なんか神の凄さが良くわかりますた…
ホントですね
志村、点滴点滴ー!!
>>281 まあそういうなよ
文才ゼロの俺からしたら十分神の領域だ
>>283 >文才ゼロの俺からしたら十分神の領域だ
まったくですね
オレ コレ カナリスキ
いやまじで
続き期待してるよ
286 :
DQ3:2005/04/25(月) 23:58:34 ID:9Si9IUq8
「お前ってホントに取り柄ねーなー」
筋肉だ。名前はデニス。筋肉っぽい名前だ。
その筋肉を生かして代わりに薪わってくれよ。俺は頭まで筋肉詰まってねーんだよ、この○○○ヤロー。
…もちろん心の中で留める。
ルビスとかいうこの世界の神の使い疑惑は旅立ち三分で消えた。
青いゲル状の悪意ある物質との戦闘でいきなり瀕死のダメージを受けたのだ。
最弱らしいモンスターとの戦闘で死にかけ、泡をふく姿を見て、神の使いと思う奴はいないだろう。
気がつくと、青い髪の優しそうな女性に介護されていた。そこで呪文というものの神秘をみた。
一声発するだけで折れた肋骨も痛み無く繋がる。このごに及んでついていた点滴のチューブも引き抜いたが、あっと言う間に傷が塞がるのには脱帽だ。
癒しを与えてくれた女に俺は女神をみた。名前はスノウ。
287 :
DQ3:2005/04/26(火) 00:02:24 ID:9Si9IUq8
とまぁ、奇跡を体験した俺はこれがこの世界を生きるのに必要な力と考え、女性陣に師事をもとめた。正直痛いのはイヤなので後方支援をば、という打算もあった。
で、今。俺は薪を割っている。
パジャマは余りの装甲のゲッター1さに勇者がお古の服をくれた。
ところで狐と筋肉はやはり性格が悪い。
俺をどうするか会議で、呪文を教えながら旅をしてやる代わりに、旅の雑務を全て押しつけられたのだ。頼みの勇者もニコニコ見ていたので女神にすがりついたが。
女神は料理はしてくれるが、荷物持ちと燃料、水の調達は俺の割り当てとなった。
女神に力仕事はさせるのは男としてのプライドが許さないので、やむをえないが…。
で、冒頭につながるわけだ。筋肉は奴のアイデンティティを行使せず俺をからかうだけだ。ムカつくよ、このバカ。イね。
…頭の中だけ龍になれる俺だった。
288 :
DQ3:2005/04/26(火) 00:03:28 ID:ECHFbos3
で、雑務が終わると勇者と筋肉はチャンバラをはじめる。かなりの迫力で見ててあきないが、下手すると筋肉は狙いを俺に定めるので危険だ。一度木刀を受けた右腕が変な方にまがった事がある。まぁ、素人には以下略。
だから、俺は狐に呪文講座を習うことにしている。ムカつくが、こいつは論理的だ。語学における文法の様に、未知なるものを学ぶにはシステマティックに構成された論理を学ぶのが一番だと思う。
狐に言われたことを要約すると。
世界には魔力があふれている。これを自らの魔力を媒介に指向性なりなんなりを持たせ、言葉の力を借りて具現化する。これが呪文らしい。
魔力は正直まだ知覚できん。つか、カルトみたいでイマイチ…。だが、現に奴が火の玉や氷を出しているのをみると納得だ。百聞はなんとやら。
289 :
DQ3:2005/04/26(火) 00:07:29 ID:ECHFbos3
次はひたすら集中の練習。呪文はこれが大事らしい。
女神の説法も同時に受ける。神聖呪文は神への祈りによって目覚めるとか。とりあえず俺は頭は柔らかいのでこんなもんかと受け入れた。
今日はいよいよ契約である。呪文にしろ神聖呪文にしろ、扱うには契約がいる。その代わり、これは身体の成長を蝕む。魔力というのを体に合わせ持つのは体に悪いらしい。
ちょっと迷ったけど、契約をする。狐と女神がやってくれた。
胸に痣ができた。星形なら誰かみたいでやがては時をとめる呪文を覚えたりして、とむふむふしてると、狐に火を投げられた。
…へっ?俺の右手が燃えている…。
思考回路が止まる。
確かにあんたは俺を嫌いかもしんないがなにをすんだと詰め寄ろうとしてはたと気づく。
290 :
DQ3:2005/04/26(火) 00:08:30 ID:ECHFbos3
…熱くない…?!
「どう?気づいたかしら?それが、魔力よ」
…右手から透明な気流の様なものが出て皮膚と火の間に空間がある。
「ここ二週間の訓練であんたの中に魔力が生まれたのが分かってたの。だけど、自分の魔力を媒介に空間の魔力を集めるにはある種のカンがいるのよ。手っとり早いのはあたしがそこまでやってやること。さぁ、唱えなさい。火炎球の呪文を!」
おお!なんというか、腕が延びたような、見えない腕で空を掴むような感じがする。恐れ恐れ、昨日の授業で言われたスペルを叫ぶ!
291 :
DQ3:2005/04/26(火) 00:09:29 ID:ECHFbos3
「メラ!」
右手から何かが迸る感覚。恍惚とする、それでいて高揚感で包まれる。
その結果、右手から放たれた火球は勢い良く筋肉にぶちあたった。
ちょっと、さすがにフライパンであんたの筋肉で殴られたら死ねるというかちょっとまっt
とりあえず女神の神聖呪文で助かる俺。これは殺人ではなかろうかと思いながら気を失った。
HP.10
MP. 8
E旅人の服 E荷物
呪文
メラ
ワロス
俺のこの手が真っ赤に燃える
大陸間移動を果たした俺たちソフィア率いるアリーナとマーニャの下僕たちは、船を港にはいれず接岸し、陸から港町ハバリアへ足を踏み入れた。
逸る気持ちを抑え、宿で一度休息を取る一行。
急いでキングレオに行かないとならないのも確かなのだが、いかんせん長い船旅は皆初めてで、疲労の度合いが半端でなかったのである。
俺も部屋に入るや否や寝る準備もそこそこにすぐにベッドに潜り込んでしまった。
そして、夜。
急に眼が覚めてしまった。
もう一度寝直そうと何度か寝返りを打つのだが、どうもいけない。
少し外の空気にでも当たってこようか――そう考えて外に出ようと、音を立てぬようそっと部屋の扉をあけ廊下にでる。
――目の前に薄ぼんやりとした人影がある。
すわ!?幽霊か!?
俺は内心ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブルしながら、それでも旅の間で少しずつついてきてしまった度胸のせいで、それが果たして何なのか確かめようと眼をこらす。
碧色の髪。
なんだ、ソフィアじゃないか。薄暗くてよく解らなかった。
こんな時間に、どうしたんだろう?
ソフィアは迷い無く歩き、やがて宿屋を出て行ってしまった。
俺は彼女が気になったのもあるし、どうせ外に出ようと思っていたのもあったので、なんとはなしに彼女について行く事にした。
適当なところで声をかけてもいいし、後ろから驚かせるのも良いかもしれない。まさかいきなり斬り殺されたりはしないだろう。アリーナなら危ないが。
彼女を追いかけ宿屋を出ると、既に町からも出て行こうとしている。
慌てて後を追う。だが、歩調がかなり速い為か中々追いつけない。
町の近くとはいえ、一歩外に出てしまえばそこではいつ魔物に襲われてもおかしくない。
そしてこの辺りの魔物はエンドールやコナンベリー、ミントスの魔物と比べてもかなり強いのだ。
俺たちもまた少しずつ強く(或いは慣れてきているだけか?)なってきているのだが、まるでそれに比例するかのように魔物もまた強くなっている。
不安に襲われた俺は、彼女に声をかける事にした。
「おーい!ソフィア!」
だが、彼女の足は止まらない。
何故だ?聴こえていない筈はないだろうに――。
一度戻るべきか?多少迷うが、此処で彼女を見失ってしまえば例え戻ってミネアやクリフトに相談しても迅速な対処はできないだろう。
意を決して、一人でソフィアの後を追う。
幸いなことに――彼女の目的地はさほど遠くないようだった。
やがて見えてきた建物――あれは、祠だろうか?――に、その小さな姿が飲み込まれていく。
俺も慌てて彼女の後を追った。
「おわ!?」
するとどういう訳か入り口近くで立ち止まっていたソフィアに軽くぶつかってしまった。
そこで初めて俺の存在に気づいたかのように、ソフィアはひどく驚いているようだった。
俺が、宿屋から出て行く姿が見えたから追ってきた、途中で呼びかけたがそれも聴こえていないようだった旨を伝えると、
ソフィアは首を傾げて、俺の声は聞こえなかった、代わりというかなんというか、誰かに呼ばれて此処まで来たような気がするがよく覚えていない、との事だった。
もしかして、罠だろうか?
顎に手を当てて考え込む俺に、ソフィアはそういう嫌な気配は余り感じない、と言う。
…大丈夫だろうか?
未だ迷っている俺を尻目に、ソフィアの方はこの建物自体に興味津々と言った様子だった。
彼女は出会った時から好奇心が旺盛で、新しい物や場所にはとても関心を示す。
――だが、好奇心は猫をも殺す事もある。
まあ、そうならないように俺が見守る事ができれば良いのだが、残念ながら俺はまだまだ守られる側である。
…差は詰まる所か余計に開いている気もするがー…。
俺がまた内面世界に引き篭もっている間にソフィアの方はきょろきょろとしながら前進している。
俺は再び彼女を追った。
建物自体はそこそこの大きさがあるようだった。
高さも横幅も俺が知っているような家々のものとは違い大分大きい。どちらかというと、祭壇のイメージだろうか…?
建物の中央に、眼の高さ位まである十字の塀の中で一際大きな炎が赤々と滾っている。
とりあえず、火の大きさだけで俺の身長以上あるわけだ。
そして中央の炎を守護するように――或いは寄り添うように、7つの少し小さな、それでも十二分に大きな炎。
そもそも何が燃えているんだろうか?こんな所で炎を焚いている理由はあるんだろうか?
疑問は尽きないが、魔法が実在する世界でそういう事をあんまり気にしてもしょうがないかもしれない。と、最近達観してきている。
…思考停止だな。これは危険な気もするが…。
俺たち二人は、その何とも言えない不思議な空間に眼を奪われつつ、ぐるっと回り込み奥を目指した。
ソフィアの足が止まる。俺がどうしたのかと彼女の視線を追ってみると、そこには1つの人影が見えた。
「ようこそ。此処は、お告げ所。神のお告げが降る聖なる祠」
こちらが誰何の声を上げる前に、人影が語りだした。
声の雰囲気から察するにどうやら女のようだが。
俺とソフィアは一度顔を見合わせる。
「バトランドの戦士ライアンが、勇者を捜し求めてやって来たのです。
神の示された勇者の姿をライアンに伝えておきました。
光が一段と輝きを増しています。やがて、出会いの時が来るでしょう」
一方的に叩き込まれる情報に俺たちは軽い先制パンチを食らった気分だ。
というか、オラクルマスターはミネアだけで間に合っている。
「神って、なんすか?」
「神は、神です。全知にして、全能なる存在」
「本当にいるの?」
「いますよ」
「見た事あるの?」
「ありません」
「じゃあ、いる事の証明はできないんじゃね?」
「私には神の声が聴こえます。それに、存在するのですから、それは存在するのです」
淡々とした応答。うぐぅ、よく解らん。
俺はとりあえず一度質問を変える事にした。
「全知って事は、何でも知ってるの?」
「そうです」
「じゃあ、俺の事も知ってるんかな?」
「貴方についての神の御意思は量りかねますが、神が知りえぬ事はありません」
ふーん…?
どうも眉唾物の話しだが、仮に実在するとしたら神様とやらに会えれば元の世界に戻れるかも…?
しかし、なあ。全知全能ならもっと色々やって色々良くしてくれりゃいいのに。って、俺も抽象的過ぎるか。
少なくとも――ソフィアにこんな過酷な運命を背負わせる事は無いんじゃないかと思う。
それとも、神とはそういうものなのだろうか?存在するにしろ、しないにしろ。
あんまり良いイメージが無いな。神様とやらには。
いやまあ、神様に罪があるとするならその存在自体が罪だって事になっちまうし、それはあんまりかもしれないが。
カルトにしろ、原理主義にしろ、神の名を盾に好き勝手やるのがいるとなあ。
俺の世界の宗教はイデオロギーの面が強すぎるし――神がいつも見ていると説かないと己を律する事ができない奴が多いのが、人の落ち度なのだとしても。
神という概念が存在する世界としない世界を比べるのはナンセンスだが、どうだったろうなと考える事はある。
まあ、今より良いと断言できるほど神を憎んでもいないのだが。
俺の元の世界の話こそ今はどうでも良い。悲しい事だが。
この世界に神の概念がなければ、比較する事もできたかもしれないがね。
くんっと袖を引かれる。
何か訊きたい事があるのだろうか。どうした?と訊ねてみるが、ソフィアは眼を伏せ頭を振るばかり。
『此処は…此処は、何か、嫌…』
…震えているのか?
ソフィアのこんな姿を見たのは久しぶりな気がする。
それこそ、あの村や、エンドール以来では無いだろうか…?
この祭壇に邪悪なる者達の気配は無く、禍々しい邪気のようなものも感じない。(俺はまだまだ素人だが)
そんな俺が感じるのは――圧迫感、だろうか?
俺は女に軽く会釈をした後、ソフィアの手を引いてハバリアの町へ戻る事にした。
とりあえず、ライアンという戦士が確かにこの辺りに来ているらしいというのが解っただけ収穫だったと今は思おう。
俺たちの目前には、威風堂々とした城が立ちはだかっている。
なるほど、キングレオ城の名に恥じないものだ。
「相変わらずこの城はいやーな空気に満ちているわね」
隣にいるマーニャが、眉間に皺を寄せる。
ミネアがきゅっと自分の服の襟元を掴む。
「バルザック……。今度こそ、絶対に許さない」
思い詰めたようなミネアの言葉。
それとは対照的なのがアリーナだ。
「お城っていうだけでちょっとサントハイムを思い出すわ」
なんとも能天気な台詞だなと思い、アリーナを見ると、彼女の眼は思いのほか真剣だった。
此処ではない何処か。この眼は何処かで見た気がする。…そうか、あの時のソフィアも…。
――今は決して届く事が無い、哀切を帯びた瞳。
彼女たちには、非常に重たい荷があるのだろう。
現在、城の前にいるのはソフィア、アリーナ、ミネア、マーニャ、そして俺の五人である。
他の男たちは皆馬車で待機している。
この面子になったのも、事情を考えると妥当と言えば妥当なのだが妙に偏ったものだ。
アリーナだけは、彼女を心配するクリフトと揉めたのだが、
結局何処ぞのストリートファイターのような、俺より強いヤツに会いに行く的な事を言う姫君を止める事はできなかった。
俺としてはそんな強敵に出会う事無く、穏やかにつつがなく波風の無い人生を歩みたいのだが…。
…まあ、そんな事を言えばついてこれないクリフトに怒られてしまうかもしれない。潜入に近い形になる以上、全員でぞろぞろと行く訳にもいかなかったのだ。
俺は何のかんのと言ってもソフィアを出来る限り助けてやりたいと思っているし、その為にはついて行く必要があるのも確かだ。
俺がついて行きたいと言う限り、ソフィアは許可してくれそうなのだが――最近、こちらを心配そうに見る事が増えている。
もっとしっかりしないと危ないかも、俺。
見張りもおらず、開け放たれたままの城門をくぐる。
前方には庭が広がり、二つの噴水。そして、大きな正門。流石に正門の周りには、兵士が二人ほど立っていた。
先頭を行くソフィアが何かを見つける。どうやら、噴水の近くに人影があるらしい。
俺たちが近づいていくと、相手もこちらに気づいたようで小走りに近づいてきた。
「ボクはホイミンという旅の者です。
どうか、お城の中に連れて行かれたライアン様をお助けください!
魔法のカギがあれば中に忍び込める筈です」
なんだこいつ?ちょっと迂闊じゃね?
まあ、俺たちは城の兵士には見えないだろうが…。
アホな子かな、と思ったのだがどうやらかなり焦っているようである。
ライアンという戦士とどういう関係なのだろうか…?
ちなみに、ぱっと見は男に見えるのだが詩人のようなゆったりとした服装に、整った顔立ちの為性別がはっきりしない。
うほっ、なのかボクっ娘なのかは敢えて言及を避けよう。俺は後者の方が夢があって良いと思う。
「助けてと言われると途端に見捨てたくなるのは何故なの?ねえ、あたし。
そういえば、あの時も鍵がかかってて中に入れなかったわね」
サドっ気全開のマーニャに内心おどおどしつつ、
その時も魔法のカギとやらを使ったのかをミネアに訊ねた。
「いえ。以前はオーリンさんが扉をこじ開けてくれたんです」
この台詞が決定的だった。
これを聞くまでは、彼女もカギを先に取りに行かないとだめかーと言っていたのだ。
マッスル・プリンセス・アリーナその人である。
「人間に出来た力技なら私に出来ない訳がないわ!」
おまいはいつから人類最高の力を持っている事になったんだ。オーガか?
そもそも、忍び込むんだろう?門の前には兵士がいるんだぞ。
「城には大抵裏門がある筈よ!そっちからいきましょう!」
こうして俺たちは、アリーナが細い腕で信じられない力を発揮しこじ開けた扉をくぐり、城の中へと潜入した。
ホイミンも焦っていたことだし、兵は拙速を尊ぶという事で良しとしよう。
そこは、外見の立派さとは違い大分おかしな城だった。
一階にも二階にも玉座、王の間が無い。
城の廊下でキモスな男と娼婦のような女が追いかけっこをしている。それを咎めるべき兵士も殆どいない。
散乱したご馳走であったもの。床にぶちまけられたワイン。
それら腐敗臭に混じり、別の異臭もする気がする。毒ガスでも噴き出してるんじゃないのか?いや、それは困るが。
二階の一室に、ひっひっひっと解りやすく笑う学者っぽい男がいた。
軽く小一時間問い詰めたところ、なにやらこの国の王は城の人間を使って魔法の実験をしているらしい。
それを聞いたミネアの表情が沈痛なものに変わった。
とりあえず、こいつを簀巻きにするのは後でも良かろうと一度部屋を出る。
「これで一通り確認しましたね…こうなってくると逆にあそこしかない、となるのですが…」
まだ当てがあるらしく、こちらへ、とミネアが先導する。
城の奥の廊下を歩いていると、壁に向かって立っている兵士が三人ほど見えてきた。
「こ、こら!大人しくしろ!」
中央の、趣味の悪いピンク色の鎧を着た兵士――いや、あれは城の兵ではなく戦士、か――の気合の声が辺りに響く。
戦士――ライアンは、両隣にいた兵士たちを一息で吹き飛ばして見せた。
「あの戦士、中々できるみたいね。兵士をあんなに吹っ飛ばすなんて!」
喜びながら駆け出すアリーナ、そしてソフィア。俺たちも後に続く。
「む!?…碧の髪、そして蒼い瞳…。間違いない!お告げ所のお告げ通りだ!
ぬおおっ!このライアン、遂に捜し求めた勇者殿にお会いする事ができた!
勇者殿!貴方様を捜して、私は…どれほど旅をしたことか…っ!」
涙ぐむライアン。ぬおおって凄いな。
彼の勢いに、ソフィアは驚いて眼をぱちくりとさせている。
俺はなんとなく面白くない。
「……と、今は苦労話をしている時ではなかった!
この部屋の中にいるのは、世界を破滅せしめんとする邪悪の手の者と聞きます。
共に打ち倒し、その背後に潜む邪悪の根源を突き止めましょうぞ!
さあ!中へ!」
ライアンが壁の一点を押し込む。
すると、がこん、という音と共に壁が消え通路が現れた。
すげえ。からくり屋敷みてえだ。
俺は感心しながら奥へと進む。
「おのれ、曲者め!であえ、であえ!」
後方から響いてきたのは数人の兵士の声だった。
数人――これしか、いないのか?どうも、この城はおかしい。まあ、好都合なのだが。
「こやつらは私が引き受けた!勇者どの、早くキングレオを!」
一番先頭に居た筈のライアンが一気に戻ってきて、兵士たちと切り結び始める。
いや、三人同時に相手するとか、凄いとは思うんだが…俺たちに強敵押し付けですか('A`)
あれ?っつか、なんだこの流れは?キングレオは姉妹の仇って訳でもないような…。オーリンとかってのの仇なんだっけか?
ライアンが無事ならそれはそれで良いような…邪悪、邪悪、ねえ。
邪悪の手の者と聞きますって、誰に聞いたんだろう?あのお告げ所の女か?――ふむ。
どうやらこの隠し部屋こそ、この城の王の間であるらしい。普段の謁見とかどうするんだろう。
玉座の後ろには、獅子のレリーフが飾られている。
いや、玉座の後ろなどをじっくり観察する余裕などありはしない。
「騒々しい事だ…」
――獅子王。
そう呼ばれる存在が、玉座に座している。
豪奢な金髪が、確かにまるで鬣のようだ。
「…ん?ほう…お前たちは…バルザックを仇とやってきたエドガンの娘らだったな」
キングレオがマーニャとミネアを視界に収め、ニヤリと笑う。
姉妹は既に戦闘態勢を取り、各々の武器を構えている。
「生憎だがバルザックはもうおらんぞ。残念だったな…。
まあ、退屈しのぎに丁度良い。此処まで来てしまったからにはタダで帰す訳にもいかん。人間どもの力の無さを思い知らせてやろう」
つまり――人間では無いのか。目前の男は。
俺の推測を裏付けるかのように、キングレオの姿が歪む。
服が破れ、腕が、足が、生える――。
それは、変成(へんじょう)であった。なるほど、こんなものが、人である筈が、無い。
「お前たちをそのような脆い生き物に創った神を恨むが良い――」
四本の足で立ち上がり、四本の腕をそれぞれ別の生き物のように動かす。
巨大な身体。巨大な顔。顔を囲う変色した鬣――。
俺は、圧倒的な威圧感を感じていた。
あの大灯台にいた虎など、比べ物にならない。
――劣等感。
解る。解ってしまう。俺は、アレに比べれば――劣等種だ。
アリーナが、ソフィアが、ミネアがキングレオに斬りかかる。
爪を、剣を、槍が閃く。だが、さっと鮮血が舞う中でもキングレオは不気味に笑っていた。
「――遅いのだよ、お前たちは!」
ガン!ズガン!!
連続して響く破砕音。壁にめり込んでいるのはソフィアとアリーナだ。
――あの二人をほぼ同時に捉えたのか!?
彼女ら二人はうちのスピードキングだ。その二人を一度に殴り飛ばすなんてありえない――。
ミネアが慌ててソフィアに駆け寄り上位治癒(ベホイミ)を唱える。俺はそれを確認し、アリーナに近寄り、彼女を抱き起こした。
口の端から紅い筋が伝っている。
俺は慌てて荷物の中から薬草を取り出し、彼女の口元へと運んだ。
「――う……。う〜、いった〜……ありがとっ」
ぴょん、と跳ね起きる。だが、その足元はおぼつかない。
――薬草の効果が、ダメージに対して及んでいない。
こんなケースは極稀だった。今迄、痛恨の一撃を誰かがもらう事があっても、ミネアかクリフトの上位治癒で十分事足りたと言うのに。
ソフィアもアリーナも無防備な所を喰らった訳ではないのにこのダメージだ。
「調子に乗るんじゃ――ないわよ!」
マーニャが放つ大炎熱(ベギラマ)の炎が獅子を焦がす。
だが、焼き尽くすにはそれでも足りない。
俺は怯む心を叱咤して、鋼の剣を構え獅子に突貫する。
突き。それが、かろうじてものになって来ている俺のほぼ唯一の攻撃手段だ。
しかし、獅子は。
俺の全力の突きを、指先で、まるで無造作に止めてしまった。
「…弱いな、お前は。しかし、成る程、エドガンの娘たちはあの時よりかは多少腕を上げたようだな。だが…それも、無駄な努力だ」
キングレオが大きく息を吸い込む。
――ヤバイ。俺は咄嗟に、剣を無理やりに引き、バックステップを踏む。
周囲の熱が消える。体温が凍る。キングレオが迸らせるのは極寒の吹雪だった。
ヒュォォォォォォ――!!
冷気が俺の耳を切り裂いた。指の先が氷結し、感覚が死滅していく。
「――キャァァァ!!」
それは誰の悲鳴であったろう。
だが、それすらも確認できない。顔を僅かにも上げる事すら叶わない。
俺はキングレオの巻き起こす凍える吹雪、ただそれだけで既に生と死の境をさ迷ってしまっている。
「…あんたは下がりなさい!こいつは、あんたには荷が勝ちすぎるわ!」
マーニャの指示が飛ぶ。
確かに、これは――ダメだ。攻撃の余波だけで俺にはとても耐えられない。この上直接攻撃など喰らった日には――。
幸いな事なのかどうか、キングレオは俺を弱者と定め、そしてヤツは弱者には注意を払わないようである。
俺は、一歩、二歩と、凍りつきかけた足で後退した。
「弱い…脆い…人とは何と罪深き事よ…。
力無き者には仇を討つ所か、生を甘受する資格すらない」
ソフィアが、アリーナが吹雪の中を猛然と突き進み、獅子へと肉薄する。
マーニャは、長い呪文の詠唱と集中を行っている。
ミネアはソフィアの治療を行った後、自身も聖なる槍を獅子の身体に突き立てた。
「黙りなさい…!お父上を幽閉した挙句国を売り、デスピサロなどに城を与えられて喜んでいる愚王が…!」
「…父?ああ、あの男か。あの男も弱かった。獄死というのも、無様な王に似合いだと思わぬか?」
「――獄死、ですって。王様が……あの方まで、死んでしまったの……?
あの、優しかった王様を獄死させるなんて……どうしてそんな非道い事ができるの……」
「…弱いという事は罪なのだ。王は、国は、強くなくてはならん。優しさにかまけ、強さを放棄したあの男は大罪人だ」
……その理屈は、俺には少しだけ解ってしまった。
甘い顔ばかりでは、つけあがるヤツラは必ず存在する。
優しい。ただ、それだけで。永遠に搾取され続ける。
だが、俺はこの国の現状など知らなければ興味も無い。
この瞬間、最も俺が興味を持っている事はこの状況をどう切り抜けるか、だ。
キングレオの放った炎熱(ギラ)の炎が床を走る。
吹雪だけでなく炎も操るとはなんと器用なライオンか。
それでも先ほどの吹雪よりはマシだったのか、臆する事無くソフィアとアリーナが獣の身体に鉄を突き入れる。
確かにこちらの攻撃も効いている。だが、それ以上にこちらが満身創痍だ。
「――出来たわ」
ぽつりとマーニャが呟く。
手中には凄まじい魔力の奔流が渦を巻いていた。
「見せてやるわよ――この、天才魔術師マーニャ様の秘技!ミネア!勇者ちゃん!アリーナ!一気に決めるわよ!」
「OK!」
アリーナが嬉々として返事をする。
彼女の魂は、危機において尚、輝きを増すのか。
「――キングレオ。これが、最後です」
「お前たちの短い人生の、な」
ミネアが再びソフィアに治療を施した後、低く槍を構える。
ソフィアも、皆とそれぞれに視線を合わせて大きく頷いた。
それに呼応するかのように、キングレオもまた四本全ての腕の拳を握る。
――アリーナが、ソフィアが跳躍する。
――マーニャが、船に乗っている間からブライの協力を得て研究していた魔法、火焔球(メラミ)を解き放つ。
――ミネアが、敢えてワンテンポずらしたタイミングで距離を詰め、下から槍を突き上げる。
それは、全てが捨て身の攻撃だった。
彼女たちは、この強敵の前に己が命を賭けている。
特に、前衛の三人はキングレオの重い打撃にこれ以上耐えられないであろうと予測している。
それでも――例え、マーニャのあの呪文が止めとならなくても、誰か一人が残れば。
その人が、決めてくれる。
俺にはそれがとても眩しくて、格好良く見えた。
同時に、キングレオの打撃に、一度として耐えられないであろう己が身の貧弱さが悔しかった。
だから――。
――俺は、詠唱を開始していたのだ。
呪文。それは、意思の体現を促す式。
高度な魔法になればなるほど様々な物質のあり方から学び、正しく理解する事でイメージを更に強化していかなければならないのだが、
最も基礎的な魔法の行程は、精神を繋ぎ、意図を伝え、力を喚び、イメージを現実に回帰させる法であるとブライは言う。
意思。俺の意思。
俺の意思は――彼女たちに、傷ついて欲しくない。
そこに必要なイメージはなんだ。
――防具だ。防具があれば良い。
古い伝承に在る何者にも貫かれない盾を顕現させる。
イメージ。だが、どんなに最強の盾をイメージしても、それはどのような形ならば最強なのか?何で構成されていれば最強なのか?それが俺には解らない。
そして何よりも、それは最強の矛の前では存在し得ないのだ。
俺の中でその存在は矛盾する、と意識してしまえば、盾の強度は一気に崩壊する。
ダメだ。盾ではダメだ。いや、もう間に合わない――なら!!
城の床を蹴り、少女に少しでも近づくべく駆ける。
跳躍している彼女の後ろから、精一杯に腕を伸ばして俺は俺の意思を体現させる。
「物理障壁(スカラ)!!」
キングレオの拳が、ソフィアを弾き飛ばした。少女が盛大に宙を舞う。
マーニャの身長程もあるであろう特大の火の球がキングレオに着弾する。
圧縮され、炎熱や大炎熱よりも更なる高温を宿した火球がキングレオの肉をぶすぶすと焼き尽くした。
「おのれ――おのれぇ!!貴様、だけでも…!」
キングレオの瞳がぎらりと光り、碌に治療を受けられなかったアリーナへと向けられた。
中空にある彼女の身体を、キングレオの拳――否、凶悪な爪が、アリーナの身体を刺し貫かんと迫る!
――そこに浮かぶのは、三枚の盾。
獅子の瞳が驚愕に見開かれる。それは、アリーナにとっても同じ事だ。
「――!?ふざ、けるなぁ!」
更に突き込まれる爪に、盾の一枚が砕け散る。
二枚目――三枚目。それすらも、獅子は咆哮と共に貫いた。
だが、そこまでだ。
盾との拮抗で磨耗した爪を、アリーナは易々とやり過ごし、キングレオの顔に渾身の蹴りを見舞う。
ぐらりとその巨体を揺らす獅子。
無防備に晒された腹部に、ミネアの槍が突き刺さった。
「こ…この私が、敗れるのか…。お前たちは一体…」
身体中から血液を溢しながら、尚、立ち続けるのは王としての意地だろうか?
アリーナが、ミネアが、油断無く構える中、吹き飛ばされたソフィアが剣を杖に立ち上がった。
「勇者…と、言ったな…地獄の帝王様を滅ぼすと言われる勇者…?
ばか、な…勇者なら…デスピサロ様が既に殺した…筈…」
キングレオの身体が歪む。ミネアが槍を引き抜き、寂しそうにこう言った。
「王よ。貴方の理念や信条が間違っていたとは言いません。
ですが――この荒廃した城を見て尚、王として正しいと。そう、言えますか?
人を捨て魔物になった事が、城の人間を使って実験を繰り返す事が…!!」
「ふ……。強き事は素晴らしき事……強き、エドガンの娘たちよ……。
余が間違っていたとするなら、それは唯、一つ……お前たちに敗れる程に弱かった、余の……。デスピサロ様に……デスピサロに及ばなかった、余の……。
……教えてやろう。バルザックは……サントハイムに……」
最後の言葉を聴いたアリーナの顔色が変わる。
だが、少女はすぐに頭を振り一度は平静を取り戻したかのように見えた。
百獣の王の最後。
彼は力を求め、最後まで力が足りないが故の結果であると信じて力尽きていった。
ソフィアが、がっくりと膝をつく。
俺は慌てて彼女に駆け寄った。
「ソフィア!大丈夫か、ソフィア!」
俺の呼びかけに、少女は小さく頷いた。
ミネアも傍に来て、急いで治療を始める。
「それにしても、意外だったわね。私はてっきり、あの状況で物理障壁を使うなら勇者ちゃんにかけると思ったわ」
「うん、私も」
マーニャとアリーナがそんな事を言う。
これの意図する所はなんなのだろうか?
「んな事言ったって、ソフィアはミネアに何度か治療してもらってただろ。
アリーナは、俺の薬草が精々だったから、アリーナのがヤバイと思ったんだよ」
「あれ?そういうものなんだ。そうよね、危ない方を優先するのが普通よね」
やっぱりクリフトがおかしいんだと、アリーナは一人合点が言ったようだ。
マーニャの方は、ふーんとか、ほーとか、気の抜けたような相槌を打つばかりだ。
「その、な。…ごめん、な。痛い思い、させちまって」
ソフィアに謝意を述べると、少女は頭を振って先ほどよりも大きく意思を表す。
俺の掌を取り、そこに細い指でゆっくりと文字を書き始めた。
『呪文、使えたね。良かったね』
無我夢中で発動させた、初めての呪文。それはとても、スマートと言えるような流れでは無かったけれど。
彼女は、己の身体の痛みよりも何よりも先に、俺への祝福を優先してくれたのだった。
HP:3/68
MP:21/30
Eはがねのつるぎ E鉄のまえかけ Eパンツ
戦闘:物理障壁(スカラ)
通常:
311 :
DQ3:2005/04/26(火) 02:13:37 ID:ECHFbos3
流石ですね。俺も頑張って少しでも良いのをかいてみたいです。
>>309の最後で泣いた俺は普通だよな?とても言いたいことがある。
最良スレ確定
普通におもろいよ、うん
まとめ催吐欲しいくらい
>>311 個人的にはだけど、ウケを狙いよりリアルさ重視で書いてあると読んでて面白いです。
楽しみにしてるよ。っていうかあんまりリアルワールドに帰ってくるなよ。ガンガンいこうぜ。
げえ。
ウケを狙いより→ウケ狙いより
317 :
DQ3:2005/04/26(火) 11:15:49 ID:ECHFbos3
日が沈む。町の明かりを眼のはしにとらえながら背中の荷物を呪う。
肩に食い込むリュックの紐をなんとか軽減出来ないものかと思案する。火の玉出すより早急に必要な考えのように思えるのだが。
とりあえず顔もあげられないほど疲れながら必死についていく俺。女神と勇者がちょっと先で待ってくれている。
レーベという町についたのは深夜をまわったころだった。宿屋に転がり込み、荷物を下ろす。
一日の拷問に耐えきった肩を風呂で労っていると筋肉が入ってきた。
「よぉ、虚弱体質。ちったぁ筋肉つけろよ?」
はぁ、せっかくの憩いが台無しだな…。薄ら笑いを浮かべながら体を洗う。
「どれ、背中でも流してやるよ。荷物、ご苦労だな」
…意外な展開だ。実は良い奴かもな、こいつ。
318 :
DQ3:2005/04/26(火) 11:16:39 ID:ECHFbos3
風呂を堪能した後は狐の部屋に向かう。肩を労る魔法の開発に余念がないのだ。
次の日。俺が爆睡していると、大興奮の狐が入ってきた。
いざないの洞窟というところから外の大陸にいけるという。
必要な食料や道具を買い込み、でかける。…鶏肉なんか買うな。重いから。
また肩に食い込むものを感じながらしばらく歩いていると、突然筋肉が吹っ飛んだ!
「魔物の巣に入ったみたいだ!注意しろ!」
立ち上がった筋肉が叫ぶ。めいめい武器を抜き、構える。俺も荷物を下ろし、買ってもらったナイフを抜く。
剣とは違い、致命傷は与えにくいのだが、鉄や銅の剣は重すぎて持てないのだ。
やがて、筋肉を吹っ飛ばしたモノが現れた。ぬめぬめした長い舌をたれるままにした、ヒト程もあるカエル。それが三体。
319 :
DQ3:2005/04/26(火) 11:17:30 ID:ECHFbos3
攻撃は最大の防御とばかりに狐がしかけた!
「ギラ!」
俺が扱う火の玉よりも高熱の帯が奴らを包む。が、ぬめぬめした体皮のせいで致命打には程遠い。
火が消えるや否や、勇者と筋肉が切りかかった。血しぶきが舞う。あまりに生々しい光景に、胃からこみ上げるものを感じる。
「うげぇ…」
昼間食ったものが胃液と混ざりながら吐き出される。
俺が吐き気と戦っている間に勇者が一匹しとめたようだ。だが。
「がはっ!」
ずっと攻撃の矢面に立たされていた筋肉が膝を折った。狐と女神はと見ると、新しく現れた巨大アリクイを相手に奮闘していた。
俺がやるしかない。
吐き気をこらえながら意識を集中させ覚えたての呪文を放つ。
「メラ!」
右手から放たれた火球は筋肉に舌を叩きつけようとする一体の顔面に突き刺さる。
舌と肺を焼かれ苦悶の声をあげるそいつを、膝をつきながらも切り上げた筋肉の一撃が体を両断する。
勇者も二体目をほふり、筋肉へ癒しの呪文を唱える。こっちは大丈夫だ。
女神の方へ目を向け、アリクイの化け物に同じく火球を叩きつけようと集中をはじめる。
「メ…ああっ?!」
突然右足に激痛が走った。見ると、ふくらはぎがぱっくり割れ、白いものが覗いている。足下に、緑色のゲルが…。
同時に右腕が動かなくなる。集中を乱したメラが右腕数センチの所で暴発したのだ。
前進を駆け巡る激痛に気が遠くなる。
左手に持ったナイフを逆手にもち、何度もゲルに突き立てる。
やがて、ゲルから泡が立ち上り、周りに滲んでいくのを最後に視界は暗転した。
女神の叫び声が聞こえた気がした。
HP. 2
MP.14
どく
Eせいなるナイフ
E旅人の服 E荷物
呪文
メラ
早朝、俺はリーザス村の教会に行った
それにしても、この村は過疎地域だからといってこの狭さは何なんだ・・・
10分もあれば踏破できる村なんて始めて見ましたよ。えぇ
木で出来た両扉を開けると、小さい教会ながらも崇拝者専用椅子・女神像やらが
揃っている感じだった。
───そこに彼女は居た
うはw美人www
『あのー・・・』
「ここは、神にみちびかれし迷える子羊たちのおとずれる場所。
わが教会にどんなご用でしょう?」
『え、え〜っと・・・先日はどうも有り難うございます・・』
やべぇ・・女性と会話する事無いから緊張するよ・・・こんな俺様無職童貞22歳
「あら?え〜っと・・・」
「あ!思い出しました!トラペッタの・・・」
『はい、そうです。本当に有り難うございました。
貴方が助けてくれなかったら、どうなるか分かりませんでした。』
どうやら覚えてくれていたようだ。
「あの時は、本当に驚きましたわ。
薬草を摘みに行ってたら黒いカタマリがあって・・・」
『それが俺・・・だったんですよね』
黒いカタマリか・・・
無理はないか全身に炎を浴びてそのまま放置だったらそうなる罠
「はい。でも、わざわざ私に言わなくても宜しかったのに・・・
貴方を見つけたのも、助けたのもどれも神の御導きです」
『神・・・ですか
でも、有り難うございました』
う〜ん、トラペッタの神父も言ってたような・・・
無宗派の俺には何とも言えませんな
聖戦の名の下に戦争仕掛けてくるところもあるしな・・・
でも、本当に俺は感謝している
こうして居られるのも彼女のおかげなのだ
俺はお礼を済ませ、像に手を合わせた。南無阿弥陀仏・・・これしか知らん
それから俺は、一先ず昨夜のおっさんのところへ向かった
※作品に訂正
>>265のHP16となっていましたが
本当は36の誤りです。すみませぬ
まとめサイトきヴぉんぬ
携帯からも見れるまとめサイトだとすごく嬉しい
まとめサイト…単純なものであれば作ってもいいのですが。
いりますか?
いるいる
携帯から見れればわりといい
329 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/29(金) 13:15:09 ID:ziimdvR+
>>327 通勤ブラウザ使えば大抵のサイト見れるよ。
330 :
326:2005/04/29(金) 14:52:03 ID:K3zi0B9w
ちょっとやってみます。
とりあえずテキストだけ貼り付けてますが、うpはまだです。
>>329 わざわざありがd
だがおれは使ってる
ほかのヤシは知らんかもしれんからね、携帯から見れるほが楽かと思った
332 :
326:2005/04/29(金) 17:14:22 ID:K3zi0B9w
あと、書き手さんの了承をもらったほうがいいのかな?と思ってみたりするのですが。
問題無いんじゃないかな
334 :
326:2005/04/29(金) 23:24:03 ID:aivkaDOP
335 :
326:2005/04/29(金) 23:37:14 ID:aivkaDOP
書き手の方、掲載不可であれば教えていただければ幸いです。
シンプルでいいな。
乙
>>335 乙。保管庫の筆者名の横にシリーズ名も付けといてもらえると、より分かり易いんだが、と提案してみる。
338 :
326:2005/04/30(土) 00:09:58 ID:e56Z1ilj
>>336 ありがとうございます。
>>337 シリーズ名を入れようとしたのですが、必ずしもシリーズ名がわかる作品ばかりではない気がしたので、今のところ入れていません。
判明分だけでも入れようかな…。
マーニャの道案内で俺とソフィアとクリフト+1名はコーミズ村西の洞窟にやってきている。
+1名とはぶっちゃけアリーナの事だ。まあ、一悶着あって今は俺の背中で眠っている。
キングレオからハバリアへ戻った俺たちは、二手に分かれて魔法のカギの入手と、お告げ所での情報収集をする事にした。
だが、それにアリーナが一人だけ反対したのである。
〃〃∩ _, ,_
⊂⌒( `Д´) < すぐにサントハイムに行かないとヤダヤダ!
`ヽ_つ ⊂ノ
ジタバタ
_, ,_
(`Д´ ∩ < 寄り道するのヤダヤダ!
⊂ (
ヽ∩ つ ジタバタ
〃〃
∩
⊂⌒( _, ,_) < お父様…みんな…
`ヽ_つ ⊂ノ
ヒック...ヒック...
∩
⊂⌒( _, ,_) zzz…
`ヽ_つ ⊂ノ
そうして、暴れ疲れて眠ってしまったと言う訳である。
あの時、サントハイムと聞いて顔色を変えた少女であったが、その後の落ち着きを見て大丈夫かとも思ったのだが。
いや…むしろ、大丈夫な訳が無いのか…。
「しかし…なんで俺が背負ってるんだろう…」
此処まで来る間に何度かした問いを繰り返す。
クリフトが僅かばかり苦笑しながらも律儀に応えてくれた。
「姫様をハバリアに置いておくと何をするか解りませんからね。私が姫様を背負うなど恐れ多い事ですし…」
「あんた、師匠の私やソフィアに背負わせる気?」
じろりとマーニャが睨んでくる。
ヒイ!と、軽く情けない悲鳴をあげる俺。
しかし、恐れ多い、ねえ。じゃあ俺は不敬罪じゃないのかな?
「いえいえ、そんな事にはなりませんよ。…それに、貴方には感謝しています。姫様を助けて頂いて」
ふーん。クリフトは本当にアリーナの事を心配してるんだなあ。
俺で言う所の――眞子様佳子様か?
あ。ちょっと解らない事もないかも。あの子達を背負うってなったら少し気が引けるかもなあ。
洞窟の最深部にあった宝箱の底を探ると、何やら小さなスイッチが見つかった。
カチリ、と押すと、地面にぽっかりと穴が開き降り階段が現れる。
こういう仕掛け好きだねえなどと軽口を叩きながら階下へと下りると、小さな研究室が俺たちの前に姿を現した。
「父さんったら…この分じゃ、色々隠し事してたのかも?
ま、あの父さんに限ってそんな事もないっか」
マーニャが父の面影を窺い知り、懐かしそうに部屋を見回す中、ソフィアが奥にあった箱から魔法のカギを取り出す。
俺は、壁際にあった本棚に何気なく視線を走らせた。
様々な本が並んでいる。
……座標融解現象……。
……魂の相似について……。
主に、学術書のようで俺にはちんぷんかんぷんだ。
マーニャの許可を得て、それでも多少解りやすそうな本を数冊持っていく事にした。
その中の一冊をぱらぱらと斜め読みする。どうやらこれは手記のようだ。
……進化の秘法……。
…これか?俺が更にページを繰ろうとした瞬間。
「――うぅん」
何やら悩ましい声と共に俺の背中でアリーナが寝返りを打った。
ぐ、ぐぱっ、む、胸が。
まだまだ幼い感じだし決して大きくはないけれど中々どうしてぶっほお。
毒男の俺はこういう状況に慣れていない為身体がびっきびきに固まってしまう。
ふと、視線を感じそちらを見ると、そこにはソフィアが立っていた。
――俺は、彼女のこんな冷たい視線を今迄見たことが無い。
いや、ちょっと大袈裟だけど。それにしても、なんだ。ジト目って言うのか。
あぁん、だけどちょっとツンとしてるソフィアも可愛いな。
業の深い感想を抱く俺をじとーっと見た後、少女はたかたかと走っていってしまった。
俺はなんか悪い事をしたんだろうか…。
アリーナ姫様は俺の背中が気に入ったのか、すやすやと暢気に寝ておられた。人の気も知らないでいい気なもんだ。
洞窟から脱出した俺たちは、マーニャとミネアの生まれ故郷でもあるコーミズの村に寄る。トルネコが待っている手筈になっていたからだ。
彼は、宿屋にいた旅の商人と腰を据えて交渉をしていた。
「いやあ、トルネコさんには敵いませんなあ」
「いえいえ、ありがとうございます」
「そういえば、以前砂漠のバザーをやっていた場所に新しい町が出来たという噂を聞きましたな」
「本当ですか?いや、それは一度行ってみたいものですね」
何やら朗らかに談笑しながら茶など啜っている。
俺は早速首尾を聞いた。
「ええ、かなり良い品が揃っていましたよ。少々無理をしてでも購入しておけば、後々楽になる筈です」
そう言って、買った品物を俺たちの前に並べる。
バトルアックス、はがねのよろい、てっかめん……武器も防具もあり、実に久しぶりの大きな買い物になったようだ。
「ライアンさんには厳しい役目を担ってもらうでしょうから、バトルアックスと鋼の鎧と鉄仮面を。
後は、ソフィアさんにも鋼の鎧を用意しました。
マーニャさんとアリーナさん、ブライさんには、このみかわしの服ですね。これは良いですよ。何と言っても軽いです」
トルネコはにこにこしながら物を並べつつ、解説してくれる。
この男、本当に武具が好きなようだ。
ソフィアが鋼の鎧を四苦八苦しながら装備しようとしている。
どうも、鎧でがっちがちに身体を固めるのを彼女は嫌がるのだ。
基本的に鎧は全身を覆う分のパーツ一式が用意されるものなのだが、ソフィアは重さで動きが鈍るのを嫌い、
その中から部分、部分を抜き出す。
今回、ショルダーガードと胸当て、腰回り、具足と言った辺りを着ける事にしたようだ。
…二の腕とか、太ももとか、布地すら無いんだけど良いのかなあ…。
「そうそう、貴方の分なんですが、鋼の鎧か、みかわしの服かを用意できますがどうしますか?
鋼の鎧は見た目通り頑丈ですが、重いです。みかわしの服は軽いですが、鉄のまえかけより純粋な耐久力は劣りますからね」
俺は、今迄幾度と無く命を救ってくれた鉄のまえかけを見た。
大掃除のときに中々物を捨てられないタイプである。
それにこれは、元々ソフィアやマーニャ、ミネアが買ってくれたもので、何となく気が引ける。
「んー。これも、もうボロボロね。買い換えときなさい」
みかわしの服を装備し、機嫌よさそうにくるくると踊っていたマーニャがひょいっと顔を覗かせてきた。
そのまま、勝手にトルネコと打ち合わせを始め、その後俺にみかわしの服を放ってきた。
勝手な女だ。…まさか、俺が遠慮するのを見越したなんて事はあるまい。
「ライアンさんがバトルアックスを使うとなると、破邪の剣が一本空きますから、貴方が使ったらどうですか?」
それを聞いたソフィアの肩がぴくっと動いた。な、なんだろう?
俺はそうっすねとトルネコに相槌を打つ。トルネコの方も、ソフィアの様子に気付いたのか、軽く頭を捻っている。
ソフィアがつつつ、と妙な足取りでこちらに近づいてきた。しかして、絶対にこちらを見ようとはしない。なんなんだ。
少女は無造作に自分の剣を鞘ごと外すと、俺に押し付けてきた。
勢いに押されて受け取ってしまう。
「ライアンさんがバトルアックスを使い、ソフィアがライアンさんの破邪の剣を使うので、ソフィアの破邪の剣を俺に…と、言う事っぽいすけど…」
「うーん、そうなんでしょうね…とりあえず鋼の剣の方は他に使える方もいませんので、下取りに出しておきますが…」
ソフィアはそんなにライアンのお下がりを使いたかったのだろうか?
俺はなんだか釈然としない気分だった。
マーニャが、アホね、と呆れたように嘆息していた。
ハバリアで合流した俺たちはお互いの得た情報を交換する。
俺とソフィアを驚かせたのは、あのお告げ所の女が消えてしまったという話だった。
なんでも、俺たち…じゃねえや。導かれし者達の倒すべき相手を告げようとした途端だったらしい。
地獄の帝王、エスなんとか。
ミネアの言うには、その地獄の帝王に消されたんじゃないかという話しだが、だとするなら恐ろしい話である。
俺、消されないだろうな?怖ぇなぁおい。
地獄の帝王って、ネーミング最悪wwwうはwwwワロスwww
なんてバカにしてみたら逆鱗に触れちゃったりしてな。なはは、そんな訳はないない。ぶっちゃけありえn
なんてなー!
ふう…長さんのいない今、このネタをやっても寂しくなるだけか…。
毎度お馴染みの一人相撲も程ほどに、俺たちは船に乗り込みサントハイムを目指す。
船上で、ブライとクリフトからサントハイムの状況について話を聞いた。
城内の人間全員が消えてしまった、か。
まるで、マリーセレスト号事件だな…まるっきりホラーだ。
しかし誰もいなくなってしまったからと言って城をほったらかしにして旅に出るアリーナ達も大概だよなあ。
と、言ってもじゃあ他にどうしたら良かっただろうかと考えると、この世界の国とか、政治とか、そういうのいい加減なんでさっぱり解らんが。
「城に赴くメンバーですが…どうしますか?勇者殿」
ライアンがソフィアに意見を求める。
此処は俺の出番!と、ソフィアと意思疎通を図るが、まだ怒ってるのかつーんとしたままだ。
ブライが訝しげな表情でこちらを見てくる。はわわ、マズイ。
俺は適当に俺の意見を言ってしまう事にした。
「えーと、バルザックと相対するのに、色々な事情からマーニャとミネアは外せないだろうし…。
アリーナも、黙ってられないだろう?」
勿論だとばかりにぶんぶんと頭を振るアリーナ。
「それに、ソフィアを加えて半分なんで…。バルザックが何処にいるか次第だけど、
出来るなら全員で、場合によっては女達を押し上げる形になるんじゃないかな。
――って、ソフィアちゃんが言ってました!」
ライアンがふむ、と頷く。
ブライやクリフトも、アリーナと離れるのは心配ではあるのだろうが、城の方も気になるしと言った按配のようだ。
ちなみにトルネコは舵取りをしている。
いや、マジで偶然だから!意図的な何かなんてありえないから!!
「では、男たちで縁の下の力持ちをするとしましょう」
男臭い笑みを浮かべながらライアンが言う。
この男、かなり頼もしい。マーニャなどは、この手の熱血漢は苦手などとぼやいていたが、
仲間を守る壁となるに最も相応しい、まさに戦士だ。
「現状の指針も決まった事ですし、一度解散しますかな」
三々五々に会議室として使っている船室を出て行く一行。
此処からはそれぞれの業務へと移って行く。とある者は炊事や家事であったり、ある者は見張りであったり。
俺はアリーナの様子が気になり、彼女の部屋を訪ねてみる事にした。
部屋の前には、クリフトとブライが所在無げに立っていた。なにやら、少女は着替えているらしい。
そういえば、アリーナ用のみかわしの服は…。
「はーい、いいわよん♪」
マーニャの声だ。どうも嫌な予感がする。
扉を開けた俺たちの前に現れたアリーナは――。
レオタードを着ていた。
しかも、ピンクの。
さらに、網タイツまで履いている
なんだ!?何が起きた!エマージェンシーエマージェンシー現況を報告せよ!
クリフトが顔を真っ赤にしてぶっ倒れた。ヤツには刺激が強すぎたか…。
戦友(とも)よ、安らかに。いずれ靖国で会おう。
「姫様!なんという格好をしておられるのですか!!はしたないにも程がありますぞ!!!」
「えー?でも、これ、かなり動きやすいししかも丈夫なのよ。トルネコも褒めてたし。
しまいにゃ着ますよ!?とか言ってたけど」
トルネコのレオタード姿とか、なにがどうしてそういう話になったのかは解らんが、
とりあえず俺は軽い前傾姿勢でテレマークを維持している。
やったよ船木ぃ、はちょっと古いか?けど、なんかそういうどうでも良い事を考えてないとなんか色々おかしくなっちゃいそうで。
こちらを見てマーニャがまた(・∀・)ニヨニヨしている。いつか死なす。
マーニャを睨んでいたのだが、ふわりと、重力から解放される感覚が俺を襲った。
「姫様!!!」
「ブラーイ!お説教はまた今度ね!!」
アリーナが俺の首根っこを掴み、強引に部屋からの脱出を試みたようだ。
なんで俺を連れて行くんだ!?死ぬ、首が絞まる、誰か、助けt……。
肌寒さで眼が覚めた。
どうやら、ここは船の見張り台らしい。ぶるっと身体を震わせる。
目の前には、アリーナが膝を抱えて座りじっとこちらを見ていた。
何が楽しいんだろう。ああ、俺の顔の造作か?まあ、ギャグかもしれん。…鬱…。
こういうのも自傷癖というのだろうか。
少女が、小さく身体を震わせた。なんだ、結局寒いんだな。
こんな所にいなければ良いのにと思いながらも、着ていた外套を少女へとかけた。
あー。似合わない事をしている。
気恥ずかしくて、俺は少女から視線を外し、夜の海の見張りを開始した。
沈黙が流れる。いつもよく喋り、よく動くアリーナが近くにいるとは思えない、静寂さ。
彼女の部屋を訪ねたのも、それが原因と言えた。
マーニャとミネアに関しても気になりはしたのだが、彼女たちはキングレオに向かう船上で結構吹っ切れた部分もあったと思う。
「で、そのレオタードと網タイツはどうしたんよ?」
「――え?あ、うん。マーニャがね。エンドールで見つけてきたんだって」
って事は、わざわざ瞬間転移(ルーラ)を使ったのか。何考えてんだろう…それとも、魔法のカギで開けられる何かに心当たりでもあったのか。
…ん?そういや、サントハイムにも転移で行けるんじゃないのか?
――ああ、けど、まあ。船で移動する為にかかる時間が、別の所に作用するという事もあるのかもしれない。
「ね」
「ん?」
「どうして、貴方を連れて此処に来たと思う?」
さて?なんだろう。
少なくとも、アリーナに関して愛だの恋だのが原因で起きた事では無いと言うのだけは断言できる。
相手が俺というのがどう逆立ちしてもありえないのもあるのだが、それ以上に、この娘はそういうのに、超絶的に疎いと思う。
「さあ…わかんね」
「ソフィアがね。貴方といると、安心するんだって。だから、試してみたの」
ソフィアが…?
「私にも、なんとなく解っちゃった。貴方、臆病でしょう?誰かを傷つけるのが怖い人。誰かを傷つける事で自分も傷ついてしまうのが怖い人。その痛みが怖い人。
だから、優しい人」
「けなしてるだろう」
「うぅん。そんな事ない。試してみて、やっぱり成功だったわ。なんだか、落ち着いたもの。
サントハイムの事を考えると、どうしても気が滅入っちゃってしょうがなかったけど。
――貴方って、変な人よね。なんだか私、見守られている気がする。もしかして、神様とかじゃない?」
「けなしてるだろう」
「うぅん。そんな事ない。試してみて、やっぱり成功だったわ。なんだか、落ち着いたもの。
サントハイムの事を考えると、どうしても気が滅入っちゃってしょうがなかったけど。
――貴方って、変な人よね。なんだか私、見守られている気がする。もしかして、神様とかじゃない?」
アホな事を言う少女に視線を戻す。
えへへ、と笑顔を浮かべている少女に、なんと言ったものかと迷う。
「俺は神様なんかじゃないし、それに神の意思を語るヤツってのは碌なのがいないもんだ。間違っても神様だとか、それに準ずる者だなんて言いたくないね。
よく解らんけど、俺はそんな褒められるようなヤツじゃない、引き篭もりのダメ人間だ」
「んー、そういう自虐的なのは確かにマイナスかなあ」
今度はにしし、と笑うアリーナ。
困った。ソフィアにしてもそうだが、俺はこういう時どうしたら良いか解らない。
自虐が良い事だとは俺だって思っていない。だけど、他人に肯定されるのに慣れていないのだ。そしてその後の否定が恐ろしい。
だから先回りして、己を貶める。そうする事で予防線を張るんだ。
俺は最初からこういうヤツだ。お前が最初に勘違いをしていたんだ、と。
この年下の少女に、なんだか見透かされている気がして、少し落ち着かない。
救い難い、臆病者。だが、それを優しいと肯定されたら、俺はどうしたら良いのか。
なんだか意味も無く身体を動かしたり、頭を掻いたりする。
その挙動不審な様子をアリーナは楽しそうに見ていた。
「わざわざ部屋まで様子見に来てくれて、ありがと」
少女のお礼。
それは、確かにある一つの事象を示している。
俺という人間がどういう人間であろうと、少女を心配し様子を見に行ったという事は、少女にとって肯定するべき事なのだ、と。
この場を見ているのが月と星だけである事を、俺は感謝した。
きっと気恥ずかしさ故に、格好の悪い表情を浮かべていたであろうから。
サランの町は、サントハイムの城下町という位置づけになっている。
実質的には少しばかり離れているのだが、今回はそれが僥倖だったようで魔物たちの気配は無い。
町に入った俺たちは、とても歓迎された。
流石に姫君の帰還は大きいらしかったが、それでも眼前のサントハイム城に魔物が住み着いたという現実を前に、
未だ悲観的な者も少なくなかった。
アリーナ達サントハイム組は悔しそうだったが、幼い少女にアリーナ様のようになりたい、アリーナ様頑張って、と言われると、にっこりと笑みを返していた。
「サントハイムの王族には、代々未来を予見する力があったと言われています。それ故に、狙われたのかもしれませんね…」
町の歴史家がそんな事を言っていた。
アリーナの表情は沈んだが、
「じゃあ、占いで未来が解るミネアは実は王族!?
だとしたら、私たちはアリーナのお姉さまねっ。あはははっ」
「もう、姉さん!」
この姉妹の精神状態は、仇を目前にしても良好であるらしかった。
それにつられるように、アリーナも微笑んだ。
サランの町で一晩ゆっくりと休んだ俺たちは、サントハイム城を前にしている。
キングレオ城よりも、無骨さは無いがその分、優雅であり、誠実そうな雰囲気である。
「解るわ。…あいつは、この中にいる」
「血が熱くなるの。あいつを倒せって声が聴こえる」
ミネアとマーニャの瞳に炎が灯った。
いざ、決戦と言った所だろうか。自然と緊張感が増し、俺もこめかみに軽く汗をかいた。
意を決して、扉を押し開け城内へと進む。
だが――その、内情は酷いものだった。
「――――」
アリーナの、クリフトの身体が固まる。ブライは、半ば予想していたのか、僅かに眼を細めるだけに努めた。
キングレオ城よりも遥かに酷い惨状が広がっている。
綺麗な絨毯は汚物に塗れ、荘厳な壁はまだらに染まり、その上ぼろぼろに朽ちかけてしまっている。
廊下の中央に無造作に放置されている不気味なオブジェ――あれは、人だろうか?
肉体が変形してしまっている。腕が頭から生えているのもいれば、顔が無い者もいる。
それは、最早魔物とも言えないような肉の塊であった。
余りの醜悪さに、俺たちは一様に気分が悪くなる――。
「――ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
アリーナの絶叫が城内に響いた。同時に、彼女は正面の階段目掛けて駆け出す。
俺たちは慌てて少女を追うが、本気の彼女に追いつける筈が無い。
階段の横合いから、魔物達の大群がぞろぞろと顔を出した。
正面突破をしようとしている少女に気付き、慌てて進路を妨害しようとするが、魔物たちすらも追いつけない。
結果、階段を登っていったアリーナと、俺たちの間に魔物達が立ち塞がる形になってしまう。
「くっ、姫様…!」
「流石にアリーナさんでもこのままでは…!」
ブライの、トルネコの焦燥が辺りに伝播しかける。
だが、それを阻んだのは逞しき王宮戦士だった。
「――手筈通りにいきましょう。勇者殿、私が道を拓きます。
勇者殿とマーニャ殿、ミネア殿――それと、貴公は上へ」
俺もっすか!?
いやまあ、これはどっちが楽そうかなというと――。
揺らめく邪悪な炎。
凶悪な牙をちらつかせる獣。
不気味に笑う魔法使い。
そういったのが、ぞろぞろごろごろいるこの場より、マシかもしれないが…。
「行きますぞ!皆さん!!」
俺のせこい打算を無視するかのように、
戦士の裂帛の気合が、辺りに響き渡った。
「……これ以上、魔物達の好きにはさせないわ。
……命にかえても、あいつら、みんな追い払ってやる」
アリーナが人間の限界に挑戦するかのような速度で玉座の間へと辿り着く。
そこには、一人の男が座っていた。汚らしく、くちゃくちゃと音を立てて果実を噛んでいる。
男は音を蹴立てて駆けてくるアリーナへ、胡乱そうな眼を向けた。
「お前は…」
「――貴様!!誰の玉座にのうのうと座っている!!!」
男に最後まで喋らせず、アリーナの飛び蹴りが炸裂した。
たるんだ頬肉にくっきりと足跡がつく。
「絶対に許さない!引き摺り下ろして、ぎったぎたのこてんぱんにしてやるから!!」
――しかし。
男はアリーナの渾身の蹴りもまるで意に介さず、逆にその足首を掴み宙に放り投げた。
アリーナもまた、バランスを取る。だが、いかな彼女でも空中では精々姿勢制御しかできない。
男が立ち上がる。脇に立てかけていた、数メートルはあるであろう巨大な棍棒を掴んだ。
ゴキン!!!
それを、思い切りバットのように振り回す。
アリーナはものの見事に弾き飛ばされ、城の柱にぶつかる。その余りの衝撃に柱が耐え切れず、ぼっきりと折れてしまった。
「礼儀がなっていない娘だな…この城の王であるこのバルザックが直々に躾をしてやろうか」
第二撃がアリーナの頭上を襲う。
足が言う事を効かない。避けられない――咄嗟に、両の腕を交差させ頭を守る。
ボキリ。
耳障りな音が響く。――左腕が、折れた。
バルザックが嗜虐的な愉悦を顔に浮かべている。
そのにたにたとした好色な笑いに、アリーナは生理的嫌悪感を禁じえない。
「クックック…次は、足を折ってやろう。身動きできなくなれば犯してやろう。
お前のような生意気な小娘は殺すよりも、組み伏す方がより悦楽を得られる」
「黙れ、黙れ、黙れ!!!」
腕の痛みをものともせずに、アリーナは再び跳躍する。
バルザックはぎひ、と嗤う。少女の腕が折れた時点で、挑発すればこうなる事は読めていた。
「神に近しい肉体を見せてやろう。これが、進化を極めるという事だ!!」
バルザックの恫喝が玉座の間に響き渡った。
それまではかろうじて、人の姿をしていた男が、まるで脱皮するかのように――人の皮を破り捨て、膨らみ出る巨体。
青への侮辱たる醜悪さ。だらしなく口からこぼれた長い舌が揺れている。
ぶよぶよとした胴。身体の半分ほどが、肉で覆われたその姿は、サイズの大きい棍棒を使う為には適していたであろう。
凶悪な棍棒が再度、振るわれた。少女の身体は、軽々と吹き飛ばされる。
「ハハ、アハハ、ヒャハハハハハ!!」
嘲笑が反響する。
力の差は圧倒的だった。それでもまだ、かろうじて息があるのはそのレオタードのお陰だろうか。
アリーナはふらつく足を叱咤し、再度立ち上がる。
「ふざけないで…私は…サントハイム王国王女、アリーナ…私には…この城を守る責務がある…。
私は…エンドール武術大会優勝者…貴様如き下衆に…負けたら…あの大会で戦った人達に…合わせる顔が無いわ…」
「ほう?お前は、この国の姫君か――ハハ、それは良い。
では、お前を孕ませ、子を産ませよう。恐怖のみで支配するよりかは、その方が都合が良いというものだ」
棍棒が三度、振るわれる。
宣言通り、ヤツは足を狙っているらしい。
万全の態勢ならば問題無く避けられる一撃も、今の少女には着の身着のままで月に行くのと同じ位難しい事だった。
余りの悔しさに身が震える。それすらも、バルザックは恐怖によるものだと勘違いし、愉快そうに笑うのだ。
アリーナは眩むような悔しさの中、ぎゅっと眼を瞑り、衝撃に備える――が、いつまでもそれは訪れない。
バルザックは己が目を疑った。
棍棒と少女の間に、僅かな空間が出来ている。
何かの力が働いて、それより先に押し込めない――。
「…頭に血が上りすぎだぞ、アリーナ」
そこに現れたのは、騎士であった。
黒い、邪悪な力を感じさせる鎧兜を纏う男。
パデキアの洞窟で遭遇した彼の騎士が、バルザックの棍棒を片手で止めてしまっていた。
HP:68/68
MP:30/30
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁
通常:
乙!
やっべぇ、DQ4やりたくなってきた。
DQ主人公雑談スレを読んでDQ5を買った
俺の財布がこのスレに反応しない訳がない。
357 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/30(土) 03:29:21 ID:/ajQ4ZL1
感動のあまりage
俺がおっさんの処に向かうのは訳がある
一つ。おっさん達を助けたい
これは純粋にそう思った。
でも実際に行こうとするとなると体が重い。ハテ?
二つ。安全の確保
彼らは旅慣れていそうだ。剣を握った事の無い俺が、フラフラと旅をしているようでは
絶対に道中で絶命する。先日のように誰かが助けてくれる・・・ってことも恐らく無いだろう
それに、元の世界に帰れる方法も分かるかもしれない
道化師だっけか。それを追うとなるとそれなりに世界中を歩かなければならない筈だ
その道中で何らかの情報も手に入るだろう
一人より二人。二人よりも三人。三人より・・・た〜くさんって訳だ
・・・まぁ、この二つの中で断然後者の方が強い訳ですがね
携帯の時計を見ると、九時を回ったところだった
俺は外に出るとキョロキョロと周りを見ておっさんを探した
───居た。
門から十数メートル離れた先の、門とは言えぬようなアーチ型の木で出来た柱に馬を留めて
中で鍋をカンカンと相変わらず耳障りな音を立てて叩いていた
『よぉ、おっさん。』
リアル試演
気配が無かったのか、ビクッと跳ね此方を向いてきた
「なんじゃ?お前は?
・・・あぁ、昨夜の者か。今から発つのか?」
『おっさん・・・俺も一緒に連れて行ってくれないか?
正直、昨日の話を聞いておっさん達を助けてやりたいって、思ったん───』
言い終わらないうちに、おっさんが口を割ってきた
「ダメじゃ!ダメじゃ!!ワシらの旅は、遊びじゃないんじゃぞ?
お前のような奴は足手纏いになるだけじゃ!!」
『ちょっと待てよ。俺だって本当は旅なんてしたくはないさ。
でも、旅をしなければいけないんだ』
「・・・ワケありのようじゃな。
どれ、話してみよ」
『信じてもらえないかもしれないが、実は俺はこの世界の者ではないんだ
自分がどうしてここに居るのか、ここが何処なのかサッパリ分からないんだ
そんな時におっさんに出会った。しかも聞けば、旅をして歩き回っているという
だから、おっさん達に付いて行けば何か情報も掴めるかもしれない・・・
だから、頼む。俺を連れてってくれ』
おっさんは少し考えて頷いてこう言った
「う〜む。異世界の者というのはにわかに信じ難いが
その格好を見ればそれも頷けるな・・・」
しばらく黙った後、こう付け足した
「・・・分かった。付いて行きたいのであれば、付いて来い
但し、それなりの覚悟が必要じゃからな!」
俺は、心の中で大きくガッツポーズをした
現在整えている途中ですが、何かご意見等あれば教えてください。
携帯対応ですが、一応手持ちのFOMAでは見ることはできるのですが…。パケ代が厳しいですよね…。
あと、何と言っても私、実は書き手さんの冒険の書はまだ読みきっていません。
なので、掲載モレがあれば教えてください。
>>362 326さん、乙です。仕事早いですなぁ。
それで早速リクエストなんですが、各冒険の書の最後に、
次の冒険の書へのリンクを貼っていただけないでしょうか。
そうそれば次のページを開く時、メニューまで戻らなくても済むと思うので。
>>363 了解です。
現在冒険の書3と8で試行中です。
まだ体裁も整ってないのに試行してしまうオイラって…。
>>326氏
乙です。
あと、細かいことですがスレタイミスってたんで報告を
×もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿だったら
○もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら
>>365 サンクスです。
訂正しました。
貼り付けただけのところがまだ多々ありますが、こちらは夜以降順次更新していきます。
ではしばし。
>>◆gYINaOL2aE
マジ好きだー!ギャグもシリアスも無茶苦茶好みですっ。
いつも長さがあって読み応えがあるのも嬉しいです。
貼り付けミスだと思ったんだけど、あそこ普通に繰り返しギャグだと思ってリアル鼻水吹いたw
(ソーリー。348-349の台詞が重なってるところはミスです。
ついでに355の 棍棒は三度 は 棍棒は四度 かな。失礼)
ゴーン・・・ゴーン・・・
(あれ、授業終了のチャイムかな・・・)
「ふぁ〜あ・・・よく寝た〜」
「・・・ ・・・ ・・・ ・・・ あれ?」
おかしい。なにかがおかしい。
まだ重たいまぶたを開くと、そこは見たことのない部屋だった。
しかもベッドに寝てる。
「・・・英語の講義の最中に居眠りしてた筈なんだが・・・」
やはり手は赤くなって痺れている。痛い。
手をブラブラさせ、痛みが引いてきたとき
ふと、ある予感が頭をよぎる。
「まさか・・・まぁいい・・・とりあえずここから出よう」
下への階段を降りながらワクワクしだしてきた気持ちを押し殺していた。
もし・・・もしそこに奴がいたら・・・
俺は自分に賭けた。
階段を降りきった。
目の前のカウンターにやはり奴はいた。
*「おはようございます。では、行ってらっしゃいませ。」
イタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
おっと、あまりの展開のよさに、ついテンションが上がってしまった
しかし・・・まさかホントに・・・
どこかで見たことのあるようなパターン。
すぐにそれの検討はついた。
ついさっきまで携帯で見ていたから。
それは、今となっては遠い世界の2ちゃんねるという掲示板に存在していた。
何を隠そう俺は”あのスレ”の大ファンなのだ。
「まさか”あのスレ”の事が現実に起きるなんて・・・」
間違いない、ここはDQとかいうゲームの世界だ
とりあえず外に出てみよう。ここがDQの世界だったとしても場所まではわからないから。
外に出ると、真っ先に目に飛び込んできたのが大きな滝だった。
「デケー・・・滝なんてリアルで見るの初めてだよ」
岩山の隙間から流れ出でる水が飛沫をあげながら悠々と地に落ちるその様はまさに壮観であった。
「マイナスイオン多そうだなー」
などと無粋なことを考えてると突然声をかけられた
*「やぁ兄さん。見慣れない格好だね。旅の人かい?」
確かにそうだ。講義中に寝ていたので学生服というなんとも場違いな格好だ。
にしてもちょっと待て。何だコイツは・・・上半身裸で角付き覆面。
俺こんな奴に服装のことで話題振られたのか?
お前の方がよっぽど見慣れない格好だよ。それともこの世界ではこれが普通なのか?助けて。
*「にしては何にも武器を持っていないようだね。おいでよ。いい店知ってるよ。」
なんだコイツ客引きかよ。
とかなんとか思ってるうちに腕を引っ張られズルズルと引きづられる俺。
なんとも強引な奴だ。しかもコイツの力は半端じゃない。見た目の筋肉そのままの力をしている。
・・・そういえば俺金持ってたっけ?
HP:20
MP: 0
E学生服
小説って書くの難しいですね。
まぁ結構楽しんでやってるんで生暖かい目で見守ってくださいm(__)m
ここまで増えてくると悪貨による良貨の駆逐が心配
裾野が広いほど山は高くなる。
まぁ、いいじゃないの
作者さんの成長過程を見守るのも読者の楽しみですよ
それにこういうスレの取っ付き易さや、入り込み易さはすごくいい部分だと思うけど
角覆面マッチョに連れられ武器屋に行く途中教会の前を通った。
さっき聞いた鐘の音はここのだったのであろう。どうりで大きな鐘楼がある。
相変わらずあの巨大な滝は大量の水を放出している。
「綺麗な水だね。飲めるかな?これ」
*「飲めるもなにもこの水はこの町の特産品だぜ?飲めば体力回復!傷もこの水で洗えば一発で直るさ!
多くの観光客や旅人もこの水が目当てさ。・・・アンタはこの水が目的でやって来たんじゃないのかい?」
なるほど、どうりで人が多いわけだこの町は。そんなに凄いなら後で汲んでおこうかな。
――などと考えならもう一度滝を振り向いたその時だった。
_, ._
( ゚ Д゚)
言葉を失った。つい先ほどまで美しかった水がみるみる赤くなってきた。
・・・ただの赤なんかじゃない・・・どす黒いまるで血のような赤だ。
町の中央を流れていた美しい川も、みるみるその赤に染まっていく・・・
*「キャー!!」
町の人の悲鳴も聞こえる。やっぱり何かあったんだ。
*「な、なにがあったんだよおい!」
俺に聞くなよ。第一ここの住民でもないんだぜ?
*「アンタ旅人だろっ?だったら腕も立つんじゃないか?」
と青銅色の剣を渡された。
*「兄ちゃんにこれを託すぜ。なぁに金はいらねぇ。
だからあそこの洞窟へ行って原因を調べてきてくれないか?頼む!」
ちょっと待て。落ち着け。見るからに俺よりお前の方が強そうだろ。
それにこの剣いかにも切れ味悪そうだよ?ていうか埃被ってるよ?ホントに店の商品なの?これよりそっちの剣のh(ry
そして俺は今、町の外にいる。
腰にはさっきの銅の剣を提げ、そして向かいの防具屋で買った鉄の胸当てをつけている。
(心配していた金だが持っていた財布のなかに見知らぬ金貨が入っていた。代わりに漱石様が数人消えていた。(泣
どうやら町の人の話だと2人の盗賊がこの町―アモール―の北にある洞窟へ宝物を探しに向かったそうだ。
行くか?俺は俺に訊ねた。洞窟なんて絶対魔物が居そうじゃないか。本物の魔物相手に戦うことなんてできるのか?
・・・悩んでても仕方がない。とりあえず前に進もう。
うわぁぁああぁぁああぁあぁぁあああぁあぁぁ!!!!
やばいって!!あれはマズイって!!!
俺の目の前に現れたのは悠に2メートルはあろう羊だ。しかも2速歩行で腕組みまでしてるー。
逃げる俺。しかもかなり全力だ。
あー・・・カッコワリィ・・・。
でもあんなのに勝てるわけねぇじゃん。命は大切にしようよ、ね!
必死で町に向かって走る俺。そして何か軟らかい物を踏んづけた俺。
えっ?
その”軟らかい物”が動き出し俺はバランスを崩してその場に前のめりになって倒れこむ。
慌てて振り返った眼前には羊。
嗚呼・・・もうダメだ・・・こんな所で散ってしまうか我が人生。まだあんなことやこんなこともしてないのに・・・
そう思った刹那、一人の人影が割って入った。
そいつは羊よりもなお大きく、その羊を受け止めてしまった!
なんという奇跡。なんという良くあるパターン。
俺はこの人に付いて行こう。是非兄貴と呼ばしてください!
HP:12
MP: 0
E銅の剣 E鉄の胸当て E学生服
382 :
冒険の書庫の書記 ◆nUtX8ZK/82 :2005/05/01(日) 21:39:14 ID:n1AV1RrJ
あー、管理という名前はひっかかるんでしたね。
こちらにします。
>>382 乙!
かなり丁寧にまとめてあるから見やすかった
しかし書き手スゴイよナ…DQ4マンセーだからあれは感動した。
続きが気になるな(*´д`*)
384 :
DQ3:2005/05/02(月) 03:45:48 ID:dk14y5U8
「んん…」
目を開くと黒い天井がみえた。体を起こす。
現状把握が出来ず戸惑う俺。机の上には買って貰ったナイフがおいてあった。
ドアの外から階段を上がって来る音。次いでドアがあけられる。
そこにあるのは俺の期待した顔−−女神−−ではなかった。
「おお、起きなすったか。あんたの仲間さんから手紙をあずかっとる。ほれ、これじゃ」
手紙は勇者のものだった。
−−バブルスライムというモンスターの毒におかされ、瀕死の重傷を負った俺を筋肉がかついでレーベまで来たこと。
神聖呪文で傷を癒やしたものの、目を覚まさない俺に悪いと思いながら先を急ぐ旅ゆえに先に行くことにしたこと。
賢者に会う為、鍵を取りにナジミの塔に登った事が書かれていた−−
自分に腹がたった。この世界で呪文という力を身につけ、自分が特別な存在に思えていた。
その慢心が敵が足下まで来ても気づかなくさせたのだ。
親父さんに礼を言うとナイフを掴み、外へ出る。
385 :
DQ3:2005/05/02(月) 03:46:49 ID:dk14y5U8
手紙によると勇者達はあの洞窟の祠に行ったみたいだ。大陸から旅立つ−−この一文が俺の足を急がせる。
このままだともう会えない気がしたから。あの魔物の巣を突っ切ることになったとしても、いかなくてはいけない。
それは唐突に。目の前に現れた。−キラービー。
巨大バチだ。レーベでも噂を聞いた、音もなく現れ、鋭い針を深々と脊髄に埋め込む暗殺者。
それと対峙する。筋肉が置いていってくれた皮の盾をかざす。ナイフを握る手が震える。
怖い。
今までは誰かがいてくれた。俺は防御し、逃げていればよかった。ダメージを受けても癒してもらえた。
だが今は。あの巨大な針を埋め込まれたら−死−
ゾッと体中が泡立つのを感じる。
逃げそうな俺を必死で叱責する。
確かに怖いが、これを乗り越えねば俺は先に進めないのだ。
386 :
DQ3:2005/05/02(月) 03:49:19 ID:dk14y5U8
覚悟をきめて震える足を踏み出す。刹那。
ハチの羽がブレたかと思うと盾が大きく弾かれる。
攻撃を受けたのだ。盾で防いだわけではない。たまたま頭と針をつなぐ直線に盾があったに過ぎない。
唐突に嗅いだ死の匂い。足が震える。
盾のあった位置には…奴がいた。
「うわ…ああぁぁっ!」
ガムシャラに前に出てナイフを振り回す。が、天性の暗殺者に当たるはずもなく、空をきるだけだった。
間合いを取る暗殺者に対して、俺は精神を集中した。
387 :
DQ3:2005/05/02(月) 03:56:40 ID:dk14y5U8
冷気だ。メラは空間に対してエントロピーを高めた。それと逆のことをすればいい。奴の機動性を奪うにはこれが良いだろう。
ナイフを握る右手をゆっくり掲げる。狙うは…羽!
「ヒャドぉ!」
俺の気合いと同時に空間がざわめき、奴の羽が凍り付く。奴は地面に落ちた。
俺は、ゆっくり歩いて。奴のもがく体に、深々と、光を差し込んだ。
初めての殺しに。
初めての感触に。
俺は心で鳴いた。
HP.23
MP.18
E聖なるナイフ E旅人の服 E皮の盾
メラ ヒャド
DQ4のは確かに面白いよな
もしかしたらゲームやりながら書いてるんじゃないか
と思ってる
おれは4やったことないけどね
あんまり「どれが面白い」とか言わんほうがいい。
それ以外の作者が途中放棄して過疎ったり、荒れだしたりしかねん。
心の中に留めとけ。
391 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:02:49 ID:ta90aZiM
「王子!王子!」
どこか遠く、そう、まるで違う世界から響いてくるような声。
うるさい。俺はこの朝のまどろみの時間が何よりも好きなんだ。
「王子!王子ー!」
だから誰だよ、朝っぱらから大声を出してる奴は。
俺のアパートは閑静な事だけが売りのアパートだったはずだ。
気違いのように叫び声を上げる住人などいない。
「王子!王子!」
ふと違和感を感じる。
少しずつ覚醒していく意識と共にそれは大きくなっていく。
「いい加減になさいませ!王子!今日は大切な日なのですぞ!」
バタン、とドアの開く大きな音と共に初老の男が部屋に入ってきた。
その音があまりにも大きかったために、驚いた俺は思わず起き上がった。
……誰だ?
いや、それ以前にここはどこなのだ。
「探しましたぞ、王子」
王子王子って俺は及川光博じゃない。
「お部屋におられぬ故どうしたのかと城内を見回りましたがどこにもおられず、
もしや王子の御身に何かあったのかと死にもの狂いで探し回ってみればかような所で高鼾とは……。
あれほど市井の者に迷惑を掛けぬよう教え込んだこの爺の努力は何だったのか……」
392 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:03:51 ID:ta90aZiM
質素なベッド。
石造りの部屋はあきらかに日本の文化には無い建築方法だ。
調度品はこのベッドと古びた机、小さいクローゼットだけだった。
小さな窓から朝霧にかすむ城が見える。
「王子!」
「耳元で大きな声を出さないでくださいよ。さっきからなんなんですか」
「まさか今日が何の日なのかお忘れしたわけではありますまいな?」
「は?いやそれよりも貴方は誰なんですか。そしてここは何処ですか」
「……まだ寝ぼけておられるようですな」
「いや、もう起きてますから」
「今日は我がローレシアの第一王子が魔王を討つべく出立なされる日でござりますぞ」
ローレシア……。
どっかで聞いた事のある名前だ。
なんだっけな。ワルキューレの塔じゃないし……。
「すみません、多分人違いです」
そう言いながら俺は一つ確信した。
これは夢だ。
現実感の無さといい、この自分の意志でままならない感じも夢としか考えられない。
しかし、せっかくの休日に見る夢としてはかなり最悪なレベルの夢だ。
せめてこのジジイが佐藤寛子だったら一気に殿堂入りするのだが……。
「うははは、なかなか面白い冗談ですな王子。しかし今は談笑している場合ではござりませぬ」
「いやあの、冗談を言ったつもりはないのですが」
「ささ、参りましょう。お父君であるローレシア王も心配されております」
夢であると確信した今、これ以上の押し問答は必要ないだろう。
どうせならこのリアル極まりないRPGを楽しんだ方が良さそうだ。
393 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:04:23 ID:ta90aZiM
「おお、心配したぞ。ささ、こちらへ参れ」
絵に描いたような王様が飛び出してくる。
王冠。杖。金襴緞子を思わせる派手なガウン。
我ながら貧困な発想力だな、と思う。
「皆の者、今日は我がローレシアの勇敢なる王子が魔王を討つために旅立つ。
世界が待ちわびた勇者がこのローレシアから生まれたのだ。
この偉大なる王子に祝福があらんことを!」
俺の父親という設定らしい王様が杖を高々と掲げると、
緋毛氈の敷かれた通路の脇に控えていた兵士が雄叫びを上げる。
……これだけの兵士が居ても太刀打ちが出来ない相手と一人で戦うのか。
まさにRPGの世界だな。
「王子よ、皆に出立の挨拶を」
王様に促されてくるりと身を翻す。
城内中から集まったと思しき人たちの視線が俺に集まる。
何か気の利いた事を言わなければならないのだろう。
どうせ夢だ。ちょっと臭い事を言っておくか。
「えー、おほん。魔王に怯えていた時は終わった。命に代えても魔王を討つ。
今日が我々の独立記念日である!」
うおおお、と地鳴りのような声が城内に響いた。
見れば先ほどのお目付け役がおいおいと涙を流している。
王様も身を震わせて涙をこらえている。
……あんなインデペンデンス・デイのパクり台詞でいいんだろうか。
いいのか。この世界で見た事のある奴はいないだろう。
なるほど、たまには勇者になるのも悪くない。
394 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:05:27 ID:ta90aZiM
「さあ、これを持って行くがいい。旅立ちに必要な物は用意しておいた」
従者が宝箱のような物を運んでくる。
ははあ、ここで魔王を討つための伝説の剣が出てくるんだな。
箱が開かれて豪華な装備が……出るはずだった。
はずだったのだ。
が、その豪華な箱から出てきた物は単なる木の棒だった。
青銅色をした剣。まさかこれが伝説の剣ではあるまい。
普通の布で出来た、何の変哲もない服。
防具らしき物としては、何かの動物の革で出来ていると思われる鎧が一つ。
それだけだった。あとは薬品が少々と通貨らしき物が袋に入っていた。
王国の威信を掛けた戦いである。
かなり高価そうな金の通貨が出てきたが、刻印には「1」と記されていた。
おいおい、夢なのに条件が厳しすぎだぜ。
「なにこれ」
「装備と薬品とゴールドじゃ」
「伝説の剣とか鎧は?」
「ない」
「いやいやいやいや、違う違う。普通ここで王国に伝わる伝説の剣とか出てくるべきで」
「そんなもんがあったらワシが魔王を倒しに行くわい」
「え?あれ?マジでこれだけ?」
「さあ王子の出立じゃ!送迎の拍手を!」
395 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:07:12 ID:ta90aZiM
兵士達の拍手に包まれて歩き出す。
正確には王様に背中を押されて無理矢理歩かされた。
兵士の中には鼻水を垂らしながら泣いている人もいる。
ちくしょう、ハメられた。
「ごめん、やっぱやめ」
なんて誤魔化せる雰囲気ではなくなってしまった。
腰に括り付けた銅の剣で王様を殴り倒して、
「いっそ全員でかかってこい!」
という展開にしてしまおうかとも思ったが、それもあんまりな展開だろう。
泣く泣く俺は城を出る。
まさか世界を救う勇者がこんな格好をしているとは誰も思うまい。
城下町の入り口を守る兵士に敬礼をされながら一先ず町を出る事にする。
何で淫夢はすぐに目が覚めるのに、こういうろくでもない夢は長く続くのだろう。
限りなく続く森と平原を見つめながら、俺は途方に暮れていた。
396 :
DQ2:2005/05/02(月) 19:07:46 ID:ta90aZiM
ごめん、書いてみたらすげえ長くなった。
今は反省している。
っていうか誰かマジで5書いて
>>397 下手の横好きで書きたいんだけどな・・・
アンケートとって不評なのはチラシの裏送りにするジャンプ型式
が旨くいくわけないか
DQ5の少し書いてみたけど、小説って難しいね
いまは書き手さんがいっぱいいるから、うpするか迷うんだけど、どうですかね?
いっぱいいても関係ないよ
さぁ書け
書いてください
zzz・・・うーん・・・ん・・・・・・?
俺は見知らぬ部屋で目を覚ました。
とりあえず俺の部屋ではない。
何故ここにいるのか分からない。
そもそもさっきまで何してたっけ・・・?
えと、確か・・・体育の授業でプールがあって、背泳のタイム測定してて結構良いタイムだったんだけど、
後ゴールまで5メートルってところで、頭の方からクラス一の美人、Kさんの話し声が聞こえて、
(・∀・)ニヤニヤして見上げたら、プールの壁が目の前にあって、ゴンってなって、意識飛んで・・・
思い出さない方が良かった・・・orz
・・・ということはここは保健室か。
保健室というだけでニヤニヤしてしまうお年頃の俺は、様々な脳内妄想を繰り広げていた。
コツコツコツ・・・
誰かが近づいて来る。多分保健の先生だろう。
美人で巨乳でボンキュボンで清楚な感じで白衣を着た21歳の女先生キボン。と良からぬ希望を胸に抱き、足音の主が近づいて来るのを寝たふりをして待つ。
*「気が付いたかい?」
優しそうな声。今の今まで寝ていたかのようにゆっくりと目を開ける。
俺「保健室のおねいさんが・・・・・老けた・・・orz」
余りのショックに声に出してしまった。
その"元"おねいさんは、それを聞いてムッとしていたが、少しの間の後、口を開いた。
*「気が付いたみたいだね。3日間も目を覚まさないから心配してたんだよ。
ダンナが浜辺に流れついてるあんたを見つけてね。ダンナは外にいるから行っておいで。」
その言葉に混乱する。
ここは保健室じゃないのか?なんでプールで溺れたのな浜辺に流れ着くんだ?
だが俺の脳内コンピュータにかかればすぐに答えに辿り着いた。
「プールの排水溝から流れてきたのか・・・」
自分の出した答えに納得した後、旦那さんに礼を言うため部屋を出る。
「うはwwwwwwww部屋から出たらいきなり外かよwwwww家狭杉wwwwwww」
ふいんき(←なぜか変換できない)からして、ここは小さな港らしい。
とりあえず、近くにいる男の人に声を掛ける。
俺「助けてもらったみたいで・・・dクス。」
*「良かった。気が付いたんだね。
後、ふいんきじゃなくてふんいきだよ。」
やっぱり港町は色々と釣れるんだな。と解釈し、この商人風のおじさんの話を聞く。
思った通り、ここはビスタとかいう港らしい。
もうすぐプロパンか何かそんな名前の人の船が到着するらしい。
そのプロパンさんには清楚で可愛い娘がいて、フローラというそうだ。
俺はフローラたんを一目見るために、ここに暫く滞在することにした。
405 :
DQ6:?:2005/05/03(火) 13:03:01 ID:gmfss33h
目が覚めた。
ガバッと起き上がり、周りを見渡す。
先程まで見ていた「それ」が夢であることを確信すると、
乱れた呼吸を落ち着けるために大きく息を吸い込み、吐き出す。
「すー…はぁー…」
――夢。
夢を見みていた。とても恐ろしい悪夢。
具体的にどんな?と聞かれても、思い出せないが、とにかく恐ろしい夢。
着ていた服も汗びっしょりで気持ち悪い。
最悪の目覚めだった。
「もう一眠り…ん?」
良く部屋を見回す。ベットが2,3個ある。
俺の部屋じゃなかった。
「どこで間違えたかな…?」
ガチャリ、ドアを開ける。
周りを見ると出入り口と思われる所の近くカウンターがあり、その奥には知らない人が立っていた。
俺の家じゃなかった。
もう一度部屋に戻り、少し考える。ふと、窓の外に目をやると、見えたのは…城。
俺の知ってる国でもなかった。
「どこの国だよ…おいおい…」
俺はいつの間にか知らない国に来てしまっていたらしい。
「ま、こうしててもしょうがないか…」
まず、持っている物の確認。
少し乾いてきたがまだ汗で湿っている服のポケットを探る。出てきたのは100円玉一枚。
ジュースすら買えねぇ。
はぁ、とため息をつきながら、人差し指でメガネを上げ――ようとしたがそれは外れ、眉間を押す。
あぁ、さっきから何か違和感があると思ったら、メガネがない。遠くの字が見えないくらいで生活に支障が出るわけでもないが、落ち着かない。
とりあえず、元の家に帰るため色々と聞いて回ることにした。
外に出ると改めて思う。そこは本当に俺の住んでいたところとは違う町だった。
周りの景色を珍しがりながら始めて来ました感丸出しで少し歩き回る、すると
「あら、旅の方?ここはレイドックの城下町よ」
と、来る人来る人にそればかりを繰り返す少女を見かけ――いや、見ないフリをした。
おかげでここの場所の名前と日本語で話しているというのはわかったけど、正直関わりたくない。
まぁ、頑張ってほしいと思う。
――太陽が空を赤く染め上げていた。綺麗な夕日。
それとは逆に俺の心はどんよりと曇っていた。
「もう、こんな時間か」
途中、井戸を見つけ半日ほどそこに座り込んでいた。
考えてみれば、人見知りの激しい俺が知らない国の知らない町の知らない人と話すなんてのは無理に近い話だった。
今日の収穫といえば偽王子がいたという話が聞こえてきた、くらいである。
自分から聞いた話じゃないから詳しいことはまったくわからないけれど。
明日があるさ。明日からがんばろう、などと呟きながら、とりあえず朝いた宿屋に帰る。
今日もお世話になろうと思う。
宿屋の人が あらわれた!
「ようこそ、旅の宿に。一晩10ゴールドですがお泊まりになりますか?」
コマンド?
ゴールドとかよくわかんない俺は、100円をつかった!
宿屋の人は、?をうかべている!
コマンド?
俺の心に100ポイントのダメージをうけた!
俺の野宿が決定した――!
俺がリアル厨房だったらこのスレに痛い小説書いてただろうな…
マジで最近酷いのが増えすぎ
408 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/03(火) 13:31:40 ID:gmfss33h
そうですね、日本語通じるからって通貨までは通じませんね。
はぁ、とため息をつく。今日はため息ばっかりだ。唯でさえ薄い幸がどんどん逃げていくような気がした。
今朝俺が寝ていた部屋に忘れ物がないか確認をし――まぁ忘れるものなんて一つも何もなかったわけだが――宿を出ようとする。
…が、すぐそこのテーブルに座っていた商人らしき男が目に入った。正確に言えば彼の持っていた品にだが。
商人は整理でもしているのか品を並べていた。その中の一つにメガネを見つけたのだ。
今、金なんてものはないが値段くらいは聞いておこうと思う。
深呼吸。すー・・はぁー・・
よしっ、と気合を入れて商人に話しかける。
「あ、あのぅ。コ、コレ、いくらになりますかね?」メガネを指さして言う。
少し声が裏返ってた気がしたけど気にしない。
商人は、俺に気づきこっちを向く。そしてメガネを手に取った。
「コレですか。コレは、さっき拾ったばかりでして…汚れているし、よろしければ差し上げますが。」
といってメガネを差し出してきた。
か、神キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
心の中でそう思いながらもごもごと「どうも」と一言いう。
「私は旅の商人ですが商売がらいろんなウワサを耳にします。あなたも旅人のようですけど何か聞きたいこと、ありますか?」
俺は旅人じゃないけど、うわ、なんだこのいい人。
迷信を信じているわけじゃないがもうこの人に足を向けて眠れないよ。
などと、心の中はハイテンションだった。
その後、この周りの事を聞いた。話し終えた後、薬草を売られそうになったが金がないので、と断った。
やっぱりそういうところは商人か、とか思いながら、俺は宿を後にした。
外に出る。すでに空は黒へと色を変え、星が点々としていた。
早速、貰ったメガネの汚れを軽く落とし、掛けた。
結構落ち着く。人差し指でメガネを上げる――今度は眉間を押すことはなかった。
先程、出てきた宿の壁に寄りかかり、はっきりいって、眠れるかわからないけど、目を閉じた。
しばらくそうしていると、漸く眠気が襲ってきた。眠りにつこうと言う瞬間に俺は願う。
もし、これが夢ならば、覚めていてほしい――と。
次の日の朝、目が覚めた。
ほぼ毎日見ていた悪夢はみなかったが、現実の悪夢は続いているみたいだ。
俺は少し遠くを見る。その目に映ったのは城。レイドックという名の城。
俺はまだ、この世界いる。――夢は続いていた。
>>407 そういやリア厨の頃、自作小説書いて悦に浸ってる奴いたな…
411 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/03(火) 13:49:35 ID:igEEn8ty
スライムをいじめに逝く
有名になると文句を言う奴も増えるよね………。
面白くなるのを待てよ。悪貨は良貨を、とは言うけど間口が広くなきゃ良貨だって入ってこんよ?
まったり行こうぜ。作者の人たちも頑張れ。楽しみにしてる。
_|\∧/|
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+ _∨//_ *
* / \ .
| jニニコ iニニ! +
i~^' fエ:エi fエエ)Fil .
ヽr > V *
l !ー―‐r l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人 `ー―' ノ < 大丈夫だったかい?
/;;| ゙ー‐-- ̄--‐'",, \_________
;;;;;;;;|  ̄ >/ ̄|;;;;;\
白い歯を見せて笑うこの男・・・名前はハッサンというらしい。
その筋肉質な体と不釣合いなピンクのモヒカンというアンバラスさが彼の魅力を一層引き立てている。
今にも「やらないか?」って言ってきそうだ。それだけは勘弁。
・・・・・・
ハッサンは3人で旅をしているらしい。
「イザとミレーユってんだ。俺たちはラーの鏡ってのを探して旅してるんだ。アンタはその鏡について何か知ってないかい?」
鏡?知らんなぁ・・・
そうこうしている内に仲間がやってきたようだ。
1人は俺と同い年くらいの少年だった。整髪料でガチガチの髪とはうらはらになんとも清純そうな目をしている。
もう1人は・・・うはwwwきたwwww超・美人wwwww
「もうっ探したわよ。一人で先に行っちゃって。あら?その人はどなたかしら?」
「あ、俺は・・・」
旅の者・・・とでも言っておこうか・・・。でも・・・
「実は・・・」
やはり本当のことを言うことにした。
目が覚めたらここにいたこと。目の前で滝が赤く染まったこと。成り行きで北の洞窟に向かうことになったこと。
まぁ到底信じて貰えないような話だがどうしても言いたかった。
「なんだ、オレ達と一緒じゃん。」
最初に口を開いたのは整髪料少年――イザだった。
なんだとはなんだ。人が腹くくって打ち明けたのに。・・・ってえぇ!!
「私たちも目が覚めたらここにいたのよ。そしたら滝の水が赤くなって・・・。今北の洞窟に向かってる途中なの。
あなたも北の洞窟に向かってる途中なのよね?だったらどう?一緒に来ない?」
願ってもいない誘いでだった。自分と同じ境遇の人間が3人も。どうやらかなり強そうだし、
それに・・・もしかしたら元の世界へ戻る方法もわかるかもしれない。
2人の顔を見てみた。
イザは相変わらずニコニコしている。ハッサンは大丈夫か?といったような表情だ。
「よろしくおねがいします!」
かくして俺はこの3人組と一緒にアモール北の洞窟へとむかった。
洞窟へ行くまで何度か魔物(あの変な奴らは魔物というらしい。妖怪みたいなものか?)たちに襲われた。
どうやらこの3人にとってこの程度の魔物は敵ではないらしい。適当にあしらって追い払ってる。
あんなにビビってた俺って一体・・・orz
そうこうしているうちに洞窟の入り口についた。
「やっぱりこっちは落盤してないのね。」
ミレーユさん何怖いこと言ってるんですか。これからここに入るっていうのに・・・。ていうか”こっち”って何?
そんなことを考えながら中に入っていった。町の人の言うとおりあの水はここから流れてきているみたいだ。
洞窟の中に大きな川があった。やはりそれは赤かった。
――何か聞こえる。水の流れる音に混じって何か・・・人の声?
耳を凝らしながら先へ進むと声の主が見えてきた。
*「おちない・・・・・・ おちない・・・・・・。
この剣についた血が いくら洗っても落ちないよ・・・・・・。」
そこには女の人が立っていた。川で何か洗っているみたいだ。
*「この先に宝なんかない。あるのは私の愛しい人 イリアの死体だけ・・・・・・。」
*「そうよ。私が彼を殺したの。この剣でね。だから・・・・・・。」
*「おちない・・・・・・ おちない・・・・・・。
この剣についた血が いくら洗っても落ちないよ・・・・・・。」
愛する人を殺してしまったショックで気が違えてしまったのだろうか。
イリアの死体・・・ということはこの人がジーナか。町の人が言ってたとおりこの人たちが原因だったのか。
規制回避
「でも、なんかおかしくないか?」
と、イザ。
「いくら返り血を浴びたとしたって、川ひとつ染め上げるなんて・・・」
確かにそうだ。いくらなんでもおかしい。
「きっと、ここはジーナさんの記憶の世界なんだわ。」
「記憶というものは多少誇張になるものよ。今回のはそれが大きかっただけ。」
記憶の世界?そんなものが存在するのか?
・・・いや、するのだろう。現にこんな光景を見てしまったんだから。
「奥に行ってみましょう。何でこうなったのか、原因がわかるかもしれないわ。」
とりあえず、ミレーユの言うとおり奥へ行ってみることにした。
一体何が原因でこんなことになってしまったんだろう。
愛し合う2人が殺し合うなんて・・・宝の奪い合いでこうなったのだろうか。
物思いに耽っていると奥から鋭い音が聞こえてきた。
キーン!キーン!
「なんだろう・・・行ってみよう!!」
一同駆けだし音のするほうへ向かった。
そして俺の目に飛び込んできたのは・・・
「な・・・なんだアレ・・・」
とてもこの世のものとは思えない、異形なものだった。
蝙蝠のような翼。鋭い爪に嘴。そして全身は血のような赤い体色。
焦点の定まっていない虚ろなその目は黄色を帯びている。
しかもその魔物の前には血まみれの男が相対しているではないか!
「ホラービースト・・・こいつが原因だったのね・・・!」
ミレーユが手で口元を覆う。
「おいっあれイリアさんじゃないか!?」
突っ込むイザとハッサン。どうやらホラービーストの気はこちらにむいたようだ。
その場に倒れこむイリア。イザとハッサンがホラービーストと戦ってる隙に俺はイリアの下へ駆け込む。
「大丈夫ですか!?」
「へっ・・・こんなのたいした傷じゃないさ・・・」
顔は無理やり笑みを作っているがその傷は尋常ではなかった。
俺は場所を岩陰に移し、急ぎ荷物袋から薬草をとりだしイリアの傷口に塗った。
そうとう沁みるのか、流石のイリアもこれには顔を歪めた。
・・・その体にはホラービーストがつけた裂き傷のほかに、胸のあたりになにか鋭いもので刺されたような傷があった。
イリアの治療が一通り終わったので(といっても薬草塗っただけだが)戦いの様子を見るべく岩陰から顔を突き出す。
どうやら善戦しているようだ。
「俺ももっと強かったら一緒に戦えるのに・・・」
今の俺じゃとても無理だろう。足手まといになるだけだ。
と、そんなときホラービーストの黄色い虚ろな目と視線が合った・・・
途端に意識が朦朧とし、手が腰に提げてある剣へと移った。
俺はその剣を抜き放ち、そのままイリアの首筋へと・・・
白く軟らかそうなその首筋はいとも簡単に斬れるだろう。斬ろうか?斬ってしまおうか?
そして剣を振りかぶり・・・首筋目掛けて勢いよく下ろす!
・・・が、剣は空中で静止した。誰かが俺の腕を掴んでいる。ミレーユだ。
ドけ。邪魔ダ。コロスゾ。
「やめなさい!!」
そのとき俺の意識が戻った。
「な・・・俺は一体なにを・・・」
剣を床に落とし、完全に動揺しまくってる俺にミレーユが話かけてきた。
「幻惑呪文―メダパニ―にかかっていたのね・・・」
幻惑呪文?何だそれ??
「気づくのがもう少し遅かったらどうなってたことだか・・・まったく・・・」
やれやれといった感じで首を振るミレーユ。
そこへイザとハッサンが戻ってきた。どうやら戦いは終わったのだろう。
3回で規制かかっちゃうのか…
「世話になったな。おかげで目的の鍵も手に入ったし。」
うるせーバーカ。お前なんかあっち行っちまえー。
「何かお礼をしなくちゃな。そうだ、これをあんたにあげるよ。」
貰えるものは貰っておく主義の俺は快くそのブツを貰った。
「・・・指輪?」
中央に羽飾りに付いたキレイな指輪だった。
俺は はやてのリングを うけとった!
▼
「じゃあな。縁があったらまた会おうぜっ!」
・・・行ってしまった。俺は貰ったその指輪を握り締めそしてはめてみた。
なんだか体が軽くなった気がする。
HP:25
MP:2
E銅の剣 E鉄の胸当て E学生服 E疾風のリング
*「ジ ジーナ!」
*「イリア!あ、あんた生きてたんだね!あたしてっきりあんたを殺してしまったと思って・・・・・。」
抱き合う男女。くぅ〜羨ましいぜ。
話によるとイリアもまたさっきの俺みたいに奴のメダパニとやらにかかってジーナに襲い掛かったそうだ。
そしてジーナは揉み合ってる最中にイリアを刺してしまい、あんな風になっていたらしい。
でも今はもう正気を取り戻しイリアとベタベタと・・・げ、キスし始めた。
「こら、あんまり見るんじゃないの」
怒られた。
「それよりジーナ。例の物はちゃんととってきたんだろうな?」
「カガミの鍵よね。ほらっここに。」
「さすがジーナだ!オレが死んだと思ってもとるものはとってらあ。」
「もしものときはあんたの形見にしようと思ってさ。」
「よせやい縁起でもねえ。」
ったくイチャイチャしやがって・・・。べつの場所でやれってんだ。バーカ バーカ。
・・・と軽くジェラシーに浸っているとイリアが近づいてきた。
>>313同じく、呪文詠唱のとこで鳥肌たった。
亀レススマソ。
426 :
ほーふぇん ◆XksB4AwhxU :2005/05/04(水) 00:23:58 ID:7t5824ol
ID:ndYrEjU6氏はもう居ないのでしょうか
「なんだ…お前は」
「下衆に名乗る名などない」
力と力の真正面からの拮抗。
純粋なそれだけならば、バルザックの方が勝るのだろうか。
僅かずつ押されていく中で、それでも騎士は左手でバルザックの動きを封じながら、右手でアリーナに上位治癒(ベホイミ)をかけた。
「あ…」
「治りきらないか。こっぴどくやられたようだな…君らしくもない」
騎士の言葉が少女の五感に浸透していく。
ハッと気付いたかのように、アリーナはその場を飛び退った。
それを見て、騎士もまたバルザックの力を受け流し横に逸らす。
「醜いな…貴様は俺が見てきたどんな魔物より、どんな人間よりも醜悪だ…」
「ほざくな小僧!この私を愚弄するか!!」
バルザックの怒りが大気を振るわせる。
そして騎士に、竜巻のような棍棒の乱舞が襲い掛かった。
上から、右から、左から、正面から、ありとあらゆる方角から打ち込まれる打撃の雄々しき独唱。
響く音は次第に大きくなり、やがてそれは爆砕音とすら言える程に高まっていく。
「――くっ!!」
アリーナの鉄の爪がぶよぶよとした腹に突き立てられる。
だが、その脂肪の壁を貫くには到底及ばない。
それでも、かろうじてバルザックの手を止める事は出来たようだった。
「ぐふぅ…蚊に刺された程度の痛痒よな…。
それに比べて、ほれ。あの男は爆心地に居たかのようではないか」
少女が、騎士の方向へと振り返る。
そこには砕けた床や埃が舞い上がっており、何も見通す事ができない。
「絶望したか?小娘よ。お前やあの小僧程度の実力で私に歯向かうとは、役不足というものだ」
バルザックの耳障りな笑い声が玉座に響く。
だが――アリーナは、その何も見えない空間に、何かを見通していた。
誇り高き――魂の輝きを。
「――――その通りだ。俺にとっては貴様の相手など、役不足で物足りない」
噴煙が晴れる。
何事もなかったかのように、その場に立ち続けるその姿。
その姿はまるで―― ――の、ようであった。
「うおらぁぁーー!!!」
ライアンが戦斧を振り回す度に、辺りに鮮血が舞う。
戦士は圧倒的な体力で前進を続けていた。
「範囲物理障壁(スクルト)!」
殿にいるクリフトからの支援が飛ぶ。
仲間全員に物理的な耐久力をつける、強度自体は多少劣るものの物理障壁(スカラ)の上位互換と言える。
それに加えて、流れるような槍捌きで犬のような魔物を屠る。
クリフトも中々どうして、見事な技量を披露していた。
確かに神官戦士を名乗るだけの事はある。
アリーナがいると、どうしても物理的な攻撃面では影が薄くなりがちだが侮ったものではない。
「ふむ。この場合の最適解は――そうじゃな。これでどうじゃ――速度上昇(ピオリム)!」
身体に羽が生えるとこうなるのだろうか?
突然の身の軽さに戸惑う。だが、これなら――駆ける事ができる。疾駆する事ができる。
ソフィアが、ミネアが、マーニャが階段に取り付いた。
ライアンが切り開いた隙間に細い身体を滑らせる。
僅かに遅れていた俺の前に紫色の土偶が立ち塞がった。
「させませんよぉ!」
トルネコが、その体型からはちょっと想像できない俊敏さで横から土偶を打ち砕いた。
首がすこーん!と遥か遠くにかっとんで行く。見事なホームランだ。
「すいません!」
俺は短く礼を言い、階段を駆け上がる。
その間際に見た男たちの表情は、皆一様に頼もしく、なんだか異常にカッコ良く見えた。
「さて――」
階段を背に、ブライが立ち、老人を守るかのようにライアンが正面に、クリフトとトルネコが左右にそれぞれ立った。
半円の陣で魔物達を迎え撃つ。
そして魔物達もまた、それほど積極的に動かなかった。
これはブライ達が知る事はできなかったが、実の所魔物達にとっても女たちが階上へ進むのは決して悪い事では無かったのだ。
魔物達はバルザックの強さを知っている。女子供に倒される訳は無く、彼女たちはすぐに慰み者となるだろう。そう、予測した。
ブライ達は、ソフィア達の強さを知っている。此処で魔物の本隊を足止めできれば、彼女達がバルザックを斃すのは想像に難くない。
ライアンとブライは更に、階上に魔物がいる可能性も考慮していたが、それを考えたとしても今はまず、この魔物達を掃除しなくては援護にも行けはしまい。
「一人、10体と言った所ですかな」
「ハハ…いや、私はちょっとおまけで免除して欲しいですよ」
「そうじゃな。トルネコ殿の分の幾許かは、魔法使いのワシが負担しよう」
「ブライ様もご無理はなさらないでくださいね」
「馬鹿者!クリフト!ワシを年寄り扱いするでないわ!!」
戦士が、商人が、魔法使いが、神官戦士が、一様に笑う。
歴戦をくぐり抜けてきた男たちが一同に介し、一つの目的に邁進しようとしていた。
鋭く大気を裂く音が玉座の間に響く。
騎士の剣は柄に翼の飾りのついた、美麗な剣だった。
どちらかというと儀礼的な雰囲気すら醸し出している剣であったが、それは確実にバルザックの皮膚を傷つけ、血を噴き出させている。
――ヒュン。
風斬り音は一度だけ。
だというのに、二箇所からほぼ同時に血液が舞う。
それはアリーナにさえ見切れない、隼のような速度の連撃だった。
「おのれ、ちまちまと小賢しい…!」
バルザックの苛立つ声が響く。
一撃自体は、決して重くない。だが、痛みは集中力を削ぎ落とす。
確実に蓄積していくダメージに、バルザックは焦り始めた。
棍棒で騎士を打ち据える。それでも、騎士は憎らしいほどに微動だにしないのだ。
ダメージは0ではあるまい。しかし、微々たるものであるのもまた、間違い無いだろう。
騎士の鎧兜は、頑丈過ぎる。異常とも言える頑強さは、何かを犠牲にしているのかもしれない。
バルザックの攻撃を、騎士はまるで避けようとしない。
避ける必要が無いのか、避ける事ができないのか。
例え後者だとしても、前者もまた同時に満たしていると考えた方が自然である。
ノーガードの打ち合いで遅れを取るなど屈辱の極みだが――だが、進化とは様々な状況に対応できるようになる事でもある。
そう考えれば、さほど悪い事では無い。
バルザックが凍りつく息を吐き出す。
騎士は、仮面の下で僅かに眉を寄せた。
自身の鎧は、物理攻撃だけでなく炎や吹雪、更には炎熱、爆裂系の呪文にすら耐性を持つ。
だが、その鎧でも氷結系の呪文にだけは、そこらの鎧となんら変わりない。
ヤツが冷気を得意とするなら少しマズイか。そう、思考したときには既にバルザックは呪文の詠唱に入っていた。
高速詠唱――それは進化の秘法故にか、それとも偉大なる錬金術師の元弟子故にか。
「広域氷結(ヒャダルコ)ォォ!!」
辺りの気温が下がると共に、大気の成分が変動し空気そのものが氷結する。
鎧と皮膚の隙間にある原子の振動が止まっていく。液状化。固体化。肉に突き刺さる、氷塊。
騎士は身体に走る痛みよりも、姫君の安否を優先した。
少女のダメージは大きかった。度重なった打撃に対する十分な治療が行われず、ブレス、呪文と続けばそれも致し方あるまい。
「――大爆裂(イオラ)」
炸裂音と共に、バルザックの頭上から瓦礫が降り注ぐ。
もうもうと立ち込める煙に一寸気を取られた隙に、騎士も姫もその姿を消してしまっていた。
「ふん…隠れたか。まあ、良いわ。ゆっくりと追い詰め、引き裂き、破壊してやろう…」
歪んだ愉悦を顔に張り付かせ低く嗤う。
破れた皮膚が、削がれた肉が再生していく。
ああ――それにしても。
腹が減った。女を抱きたい。惰眠を貪りたい。もっと偉くなりたい。全てを支配したい。
先ほどまでの戦いなど忘れてしまったかのように、気だるい欲求不満がバルザックを苛む。
もっと欲しい。もっと満たされたい。
――わたしは、何を望んでいたのだろう?
権力を手に入れ、それに付随する金も、女も、手に入れたというのに。
進化を極めたと言うのに――何故、満たされない。
とろとろとした白昼夢を見ているかのような感覚に、バルザックは苛立ちながらも身を委ねている。
「――見つけたわよ。バルザック」
そんな彼を現実に引き戻したのは――美しき、ジプシーの姉妹であった。
城の廊下を駆ける俺は、余りの嫌悪感に気が狂いそうになっていた。
至る所に元は人であったらしき物体が散乱し、鼻が曲がりそうな腐臭を放っている。
――進化の秘法の実験体。
キングレオにいた、魔法の実験を繰り返していた人間の話と符合する事実。
コーミズ村より更に南に位置するモンバーバラから、或いはハバリアから集められた人々の成れの果てがキングレオ城で、そしてこのサントハイム城に集結している。
これが…こんな、これが…人の所業だと言うのか。
事実そうである筈だ。これまで魔物の仕業にしてしまう事はできない。
バルザックもキングレオも、元は人間だったのだから。
人間と、魔物。それらがどれだけ違うというのか。どちらも――どちらも同じように、醜悪じゃないか。
突如響いた呻き声に、俺は飛び上がらんほどに驚いた。
まだ――生きてる、のか。
言いようの無い恐怖を覚え、全力以上の力で駆け抜ける。
死ぬよりは、生きている方が良い。そう、思っていたのは既に遠い過去のものになりそうだった。
「――見つけたわよ。バルザック」
奥に見える巨大な扉。
開け放たれた扉の近くに、マーニャの、ミネアの、そしてソフィアの後姿が見える。
俺はそれに少しでも早く近づきたくて、大量の荷物を背負っているため満足にとはいかないまでも、懸命に足を動かした。
「姿が変わっていても解るわ。今こそ…お父さんの仇…」
「おお…誰かと思えば懐かしい顔では無いか。マーニャ、そしてミネア。我が敬愛する愚かな師、エドガンの娘達!」
グフフ、と不気味な笑みを浮かべるバルザックに、
マーニャもミネアも、嫌悪感を少しも隠そうとしない。
そのぶよぶよとした姿を目の当たりにしたミネアがぽつりと呟いた。
「なんて禍々しい姿…」
「どうだ、見違えたであろう!
既に私は究極の進化を極めた。この肉体は――神に近い。
最早、デスピサロ様…いや!デスピサロのヤツすらも私には及ぶまい!フハ、グハハハハ!!」
ソフィアの身体がぴくりと揺らぐ。その、名前を聞くだけで。少女の心身は燃え上がる。
「ハッ!笑わせるんじゃないわよ!あんたみたいな小物が、神に近いだなんておこがましいわ!!」
マーニャが呪文の詠唱に入る。ソフィアとミネアが、剣と槍でそれぞれバルザックに迫る。
それが、戦いの合図となった。
俺もまた、物理障壁(スカラ)の準備を始める。先行したはずのアリーナの姿が無い事が少し気になった。
暖かい光を感じ、アリーナは眼を覚ました。
どうやら自分はベッドに寝かされているらしい。――このベッドは、懐かしい気がする。そうだ、自分のベッドだ。
翳される掌。上位治癒(ベホイミ)の光。クリフト…?否、彼では無い。
「――バルザックは!?」
一気に覚醒した少女はベッドから跳ね起きる。
騎士はソレを見て、一つ息を吐く。どうやら安心した様子だった。
「一度、玉座の間から上階に避難した。都合よくベッドがあったんで君を寝かせた。あれから時間はさほど経っていない」
「そう…」
悔しそうに歯噛みする少女。これでは――足手まといもいい所では無いか。
騎士が上位治癒の対象を自らに変える。
だが――光は、鎧兜の上からでは中々届かなさそうに見えた。
「私、征くわ」
「――君一人では……」
「大丈夫。もう、あんな風に我を忘れたりしないし、それに――今頃、きっと私の仲間たちが来ていると思うから。
このお城は、私のお父様のお城だもの。お父様が居ない間に勝手に侵入した不埒者は、私が成敗しないと」
少女の言葉と決意に、騎士は小さく頷く。
「……解った」
「貴方は、傷が治るまでここで休んでいてね。――此処、私の部屋なんだ」
小さく微笑む姫君に、騎士はなんと言葉を返したものか迷う。
…やはり、一箇所だけ穴が開きっぱなしになっている壁について尋ねるべきなのだろうか。
なんとなくそれは問うのを憚られたので、咄嗟に何の関係も無い疑問を口にする。
「……ところで、どうしてレオタードに網タイツなんだ?」
「――!?い、良いでしょ、どうしてでも!丈夫なんだから!!」
顔を真っ赤にしたアリーナは騎士に手加減なしのツッコミをいれて部屋を飛び出していく。
あれじゃ、手の方が痛いだろうなと思いながらも騎士はその後姿を見送った。
俺から見ても、ソフィア達は圧倒的に押していた。
彼女たちのモチベーション、新たな武具、そしてどうやらバルザックは手負いらしいのも要因の一つであろうか。
バルザックのタフさも特筆に値するものの、マーニャの火焔球(メラミ)が連続で着弾するのには耐えられないようだ。
「ぐぅぅ…広域氷結!!」
辺りに氷塊が浮き上がり、縦横無尽に暴れ狂う。
俺たち全員の肉体を、その鋭利な刃で傷つけた。
「ハハハ――どうだ。今なら、まだ命乞いを受け入れてやるぞ?私のものになるが良い。最高の富と快楽を与えてやるぞ」
なんだか卑猥な事を言うヤツだ。
多分、俺は入ってないだろう。入ってたら逃げる。一目散に。
「ふん。バカ言ってんじゃないわよ。あんたなんかに傅く位ならねえ。こいつの方がマシよ!!」
マーニャが、俺の右腕に身体を絡ませる。
師匠(マスター)挑発っすか。
「同感ですね。バルザック、貴方なんかに触れられる事になろうものなら私は舌を噛みます」
ミネアが、俺の左腕を取る。
みみみみみミネアさんまで!?か、勘弁してくださいっ。
「みんなー!」
後ろからアリーナの声がしたかと思うと、背中に体重を感じる。
コイツは何も解っていないんだろうが、多分雰囲気だけでなんとなくやってるんだろう。
「アリーナさん、無事だったんですね!」
「もちのロンよ!!」
女たちが無事を喜びあっている。
いやまあ、俺も嬉しいけど。
「――――!」
最後にソフィアが俺の傍で困ったような、尚、つーんとしているのを継続しているのだと言うような顔をしていた。
自分は怒っているのだ。それを忘れるな、これはあくまで挑発の為なのだと言わんばかりである。
暫し考えた後、ソフィアは俺の正面に立ち、首に腕を絡めてきた。
――ああ、そうか。これが、俺の人生のクライマックスか。
「貴様ら…この私をコケにしおって…許さんぞ!!その貧弱貧相貧賤な男が、私の何に勝るという!!
バルザックが棍棒を頭上でぐるぐると回している。
怖い…というか嫌な予感がする。
「あ〜ら?自称神様なのにそんな事も解らないの?じゃあ、このマーニャ様が教えてあげるわ。
――全部よ。全てにおいて、あんたよりは マ シ なの!!!」
あは。マシっすか。いやまあ、そんな程度だとは思ったけどNE!!
消去法の結果に、ショックを受けるなんて事は無い。そんなのは自惚れだからだ!!
「――シネェェェェ!!」
何やら物騒な雄叫びと共に、棍棒が振り下ろされる。
マーニャがさっと身を離し、ミネアもまた距離を取る。
アリーナとソフィアがほぼ同時に飛び退いた。俺はといえば当然それらの後に行動する訳だからして出遅れ必至な訳でちょっとまてリアルクライMAX!?
スゴン!!
物凄い衝撃が頭に走った。次の瞬間目の前が真っ暗になる。
既に何も見えない。ソフィアの悲鳴が聞こえた気がしたが、それも気のせいかもしれない。
思考の経路がぷちぷちと寸断していく感覚。しまった。物理障壁を自分にかけるのを忘れていた。
砕かれた頭から何かが噴き出していくのが解る――ああ、だけど――ほぼ、即死なら、あんまり苦しまないで済むと言えばそうなのかもしれない――。
・
・
・
「バルザックにサントハイムをくれてやった」
此処は、何処だ。
――王宮?そうか、いつか見た夢と同じ光景。
そこに居るのはあの時と同じ、銀髪のDQNと黒い騎士だけだ。
俺はそれを、ふわふわと浮かび上空から観察している。
「…あの城もお前がやったのか?」
「さて、どうだろうな?」
銀髪の男が愉快そうに笑い、言葉を続けた。
「――貴様はどうしたい?」
「……。サントハイムに魔物が住み着くなんて認めない。皆殺しにしてやる」
「そうか。まあ、好きにするが良い」
――その方が、都合が良い。実験の結果を見定めるためには。
どうせあの城にはバルザックの飼い犬しかいない。
「ああ、これを持って行け」
騎士に向かって何かを放り投げる。
それは――剣、だった。
「ロザリーが風邪を引いた時、わざわざパデキアを探しに行ってくれたそうじゃないか。
その報酬だと思え」
「……」
パシッと乾いた音を立てて剣を掴む。
抜き放ち、二度、三度振ってみた後、無造作に腰に差した。
「そうだ。それで良い。目的を達成する為には手段を選んでいられないのだからな」
ばさっとマントを翻し、銀髪の男が騎士の傍らを通り過ぎて部屋を出て行く。
騎士は、怒りとやるせなさに震えていた。
次の瞬間、外から見下ろしていた騎士に俺の姿が重なる。
これは俺の意思では無い。重なって、しまった――なんだ!?抜けられない――。
俺は、誰だ?俺は、俺だ。俺は、あの騎士と違うのか?
引き摺られる――俺が俺じゃなくなってしまう。
そうだ、俺はこれを最も恐れていた。
今、この時にしか解らない恐怖。この場以外では忘れてしまう感情。覚えていられない焦燥。
死そのものの先にある、俺が融けてしまう感覚。
嫌だ。これが、死、か?嫌だ――。
――誰かが、俺を呼んでいる。
その声に引き上げられるかのように騎士から抜け出、上を見上げた。
王宮の天井――それより更に上空から、誰かの声が聴こえる。
俺の姿は上へ、上へと昇って行く――。
暖かい腕に包まれるような感触。
温もりがあまりに心地よく。
何時の間にか、俺は誰かに抱かれているようだった。明るいシルエットで、誰かまでははっきり解らないが、身体のラインを見る限りどうやら女性のようである。
そのまま、ゆっくりと、次第に加速して場所を、時間を越えていく。
――これは――ミネア?
・
・
・
ゆっくりと意識が覚醒していく。
ぼんやりとした視界に最初に飛び込んできたのは、一心不乱に術の維持を行うミネアの姿だった。
彼女の組んだ両手からは、まるで生命力そのもののような光が溢れている。
――擬似蘇生(ザオラル)の光。
……死んでたのか、俺は。マジかよ……ヤバイ……あれだけ死なないよう頑張ってたのにこうもあっさり……なんか癖になりそうだ……。
一撃死だと苦しむ暇が無いとか、そういう問題じゃないわ……。
嫌な感じだ。死ぬってのは。なんだか解らんけどヤバイ気がする……って、ああ、くそ!内に篭もってる場合でもねえのか。
「ミネア…」
ゆっくりと腕に力を篭め身体を起こす。
ミネアは、脂汗を浮かべながらうっすらと笑んだ。
――その瞳には、安堵と、何故か戸惑いのような光があった。
「良かった…何とか成功しましたね…。――行きましょう」
精神を消耗したのか、ふらふらとした足取りで歩むミネアに手を貸して俺たちは進む。
どうやら大きな柱の影に隠れていたようだ。
前方では未だ、戦いが続いている。俺がどれだけの間倒れていたのかは解らなかったが。
「――!?あんた、ほんっと使えないわね!!」
俺の姿を見るなりマーニャの罵声が飛んできた。
お前、それはあんまりじゃないか!?
「何言ってんのよ!あんたがあそこでちゃんと避けてたら、一斉攻撃で終ってたのに、とんだ計算違いだわ!」
そんな事言ったって――見てみれば、マーニャの身体からも酷く出血しているようであった。
みかわしの服に長いスリットを入れた為相変わらず太ももなんか丸出しなのだが、そこにも深い裂傷が刻まれていた。
アリーナも、ソフィアもボロボロである。
事、ここに至り、既に口論をしている場合では無いと悟る。
「ミネア!治療はいいわ、あんたも手伝って!」
「え、でも――」
治療に駆け寄ろうとするミネアをマーニャが押し留める。
ミネアには多少迷いがあるようだった。それと言うのも、ミネアはソフィアやアリーナに比べると単純な力で劣る。
それ故に、バルザックのような脂肪の塊のような相手では、有効な打撃を与えにくいのだ。
「大丈夫よ!――あんた、此処で失敗したら一生あたしの奴隷だからね!?」
マーニャのひどい発破が俺に向けられる。
俺は、ミネアにしっかりと頷いて見せた。
バルザックが改めて姉妹が揃ったのを確認し、喜びの声を上げる。
「――そうだ、それで良い。マーニャ、そしてミネアよ。私は、お前たちと戦いたい。お前たちをこそ――この手に――」
ソフィアがバルザックの正面に立ち、ヤツの意識を自身に向けさせる。
煩わしい虫を潰そうと、振り下ろされる棍棒を破邪の剣で受け止めた。
「今までのお返し…!三倍返し、返品不可!!」
後ろに回りこんだアリーナが、今度こそとばかりに跳躍し、バルザックの後頭部に渾身の回し蹴りを放った。
鈍い音を立てて、陥没する頭蓋。だが、だと言うのに――何故か、俺にはバルザックの瞳に理性が宿った気がした。
一つ、二つと大きく息を吸い、吐き出して、自身と界を接ぐ。
ミネアの槍が、化け物の肉体ごときに敗れない映像。
彼女が俺を包み、引き上げてくれたように。今度は俺が、彼女に手を添え力になろう。
筋力の増強、武器の補強、骨子をそれらとして更にインパクトの瞬間に干渉する呪。
「――攻勢力向上(バイキルト)!」
背を押されるようにミネアが疾駆した。
彼女の聖なる槍が、バルザックの胴に突き刺さる。
異物の侵入を阻もうとする脂肪と筋肉に対し、更にそこからもう一押しを可能とする力が今の彼女には満ちていた。
見事、仇敵の胴を貫きせしめる槍。
バルザックの口の端に血塊が浮く。
ひゅーっ、ひゅーっ、と異音を漏らしながらヤツの上体が揺らいだ。
聖槍が引き抜かれる。穿たれた穴に、更にマーニャの火焔球が叩き込まれた。
――身体の内からその大量の脂肪を焼き尽くしていく。
「バカな…。完璧な筈の私の身体が…崩れる…?
進化の秘法がある限り…私に滅びは訪れない筈…今に…今に…いま、に…」
バルザックの身体が歪み、ざらざらと崩れ落ちていく。
その様子を一時も眼を逸らさずに見据える、ジプシーの姉妹の姿があった。
「……私は……何を望んだのか……。
金……権力……進化の秘法を封印すると言った師を許せず……欲しかったものを手に入れたのに満たされず……。
そうか……わた、しは……お前たち姉妹を……待――」
そうして、バルザックは跡形も無く滅び去った。
彼の男が果たして何を望み、最後に何を見たのかは俺には解らなかったが――少なくとも。これで一つの区切りがついたという事は解った。
「やった…遂にやったわ…!バルザックを…お父さんの仇を…!!」
マーニャがミネアに抱きついた。
ミネアの方は、最早声にならないらしい。
ぽろぽろと零れる涙。それを見て、マーニャの瞳にも同じものが浮かんでくる。
「やだ、ちょっと、こっち見ないでよ!!泣き顔はブスなんだから!!」
マーニャが珍しい事を言う。泣き顔がブスには見えなかったが、後でからかってやろうと思いつつ、ソフィアに近づいた。
バルザックの一撃を受け止め、へたりこんでいた少女に手を貸し立ち上がらせる。
アリーナが、バルザックの消えた跡を暫し黙って見詰めた後、隅の方の昇り階段へと駆けていった。
まあ、兎に角。とりあえずは――終ったのだろうか。
俺はソフィアに、お疲れさん、と労いの言葉をかけた。
「ふむ…どうやら、向こうも決着がついたようじゃな」
ブライが髭をしごく。
辺りには、夥しい数の魔物の死体が散乱していた。
「流石勇者殿達ですな」
「いやあ、流石なのはどっちもでしょう。信じられませんよ。まさか本当に、王宮の魔物全てを殲滅してしまうなんて」
トルネコがライアンに賛辞を述べる。
ライアンは、戦斧に付着した血液を拭いながら軽く笑った。
「なに、ブライ殿の氷結呪文とクリフト殿のお陰ですよ。やはり、治療の呪文を使える方がいるのは心強い。
…ホイミンを思い出しますな」
だが、褒められた当のクリフトは浮かない顔をしている。
いや、それ以上にはっきりと顔色が悪かった。
彼の前には、命を絶たれた『人』が転がっている。嘗ては人であったものが。
ライアンが心配そうに声をかけた。
「…あまり思い詰めない事です。私たちが彼らをあのような姿にした訳では無い」
「大丈夫…大丈夫、です…。ただ…ライアンさん、ブライ様、トルネコさん…。
ほんの、ちょっとだけなんですが――消えたサントハイムの人々じゃなくて良かった、なんて、思ってる自分が居て…自己嫌悪してしまって…」
老人が、若者の肩をぽんと叩く。
「このような事があってはならぬと思うのなら、探さねばな――元凶を。そして、戦わねばならぬ」
この面子の中では格段に若い神官戦士は、沈痛な面持ちで頷いた。
墓を作ってやらねばなるまい。それが、己の責務である、と。
城の廊下を歩くアリーナ。
先ほどは観察している余裕も無かったが、どうやらこのフロアは魔物達に荒らされていないようであった。バルザックが上がらせなかったのだろうか。
父王の寝室。やめておけ、と心が命じるのに逆らって、少しだけ覗いてみる。
そこには、誰もいない。
解りきっている事だ。それなのに、わざわざ確認して、後悔までしているのだから詮の無い話で。
がらんと静まり返った城の中。
戦いが終れば、こんなにも静寂に包まれてしまう、無人城。
少女の足が次第に速まる。そうして、少女自身の部屋の前にまでやってきた。
恐る恐る、扉を開ける――。
そこには、誰もいない。
ああ――誰も、いないのだ。
言いようの無い哀しみが少女を襲った。
ゆっくりと部屋の中を見回す。
ベッド――鏡台――箪笥――そして、破壊された壁。
あの頃が酷く懐かしい。お父様がいて、大臣がいて、兵士がいて、城の至る所に人が溢れていて。
皆に愛されていて、アリーナ自身も皆を愛していた。もう――あれから長い時間が過ぎ去っている。
静かに穴の縁に立ち、そこから空を見上げた。
いつのまにか日は落ちて、既に月が夜空に浮かんでいる。
少女はただじっと耐えた。
この、津波のように打ち寄せる感情をやり過ごす為に。
だが、それは、独りで凌ぐには余りに――過酷で。
ミー。
小さな小さな鳴き声。
アリーナは思い出した。この城に残された存在がいた事を。
壁に開いた穴から飛び出して、城の屋上に降り立つ。
少女が探すのは小さな猫だ。だが――そこにいたのは、猫を腕に抱く黒い騎士だった。
「あ――」
一寸、言葉に詰まってしまう。
騎士は、そっと猫を地面に降ろし、ゆっくりとアリーナに近づいた。
「――首尾はどうだ?」
「え?あ、うん。…バルザックは、斃したわ」
その返答に、騎士は頷いた。
そしてアリーナは、自分でも不思議な事に言葉を続けていた。
「だけど、ダメだった。バルザックを倒しただけじゃお父様は帰ってこなかった。
……ううん、平気。大丈夫。デスピサロを倒せば今度こそきっと……」
溢れる想いが言葉になる。
それは騎士に言う、というよりかは己に言い聞かせるかのようでもあった。
黙って聞いていた騎士は小さく頷きながら、少女の頭を撫でた。
「……本当の事を言うとね。お城に来るのは怖かったの。
誰もいないって解っているのに、どうしても期待してしまう。そうして、勝手に期待して、勝手に裏切られて――悲しくて、怖く、て。
だけど――。
ありがとう……。此処に、一緒に、居てくれて……」
月の光芒が嘗て栄華を誇った城を照らす。
屋上でその光を浴びるのは、城の主たる姫君と、黒い騎士。
その情景は、どこか物悲しく、どこか――儚さを感じさせるものだった。
「ピサロナイト様ー!!」
情動的な空気を破る甲高い声が響いた。
アリーナは驚いて身構える。
城の壁を登りぴょこんと顔を出したのは、ミニデーモンだった。
「実験は失敗だったみたいっすね。
うーん、やっぱり進化の秘法を完成させるには、黄金の腕輪が必要っぽいすよ。
ま、ピサロ様に報告しましょ――ってうわ!?こ、こいつは!!」
初めてアリーナに気付いたのか、ミニデーモンはぱっと飛び退った。
だが、当のアリーナは眼中に無いと言った按配で、呆けたように騎士を見ている。
「――ピサロ、ナイト?……ピサロの……デスピサロの、騎士……?」
騎士――ピサロナイトはアリーナに背を向け、歩き出した。
アリーナはそれを引き止めるかのように手を伸ばす。だが、肝心の足が動かない。
ピサロナイトとの距離がどんどん開いて行く――だが、それは突然ピタリと止まった。
闇夜に、白刃が閃く。
騎士が素早く隼の剣を引き抜き、受け止めた。
鍔迫り合いが起こる。隼の剣と――破邪の剣の。
「――ソフィア!?」
アリーナが驚きの声を上げる。
それでも、ソフィアは意に介さずに剣雨を振らせ続けた。
「…醜いな…お前も…お前の心も身体も…憎しみに塗れて見るに耐えん…」
仮面の下の瞳が剣呑な光を帯びた。
「――やめて!」
少女の絶叫が響く。
騎士は、振り下ろしかけた剣を逸らし、ソフィアに体当たりを仕掛けた。
バルザック戦の疲労もあったか、単純な実力差故か、少女は軽々と吹き飛ばされる。
「置いて行くぞ、ミニモン」
「あ、待ってくださいよ!!」
――瞬間転移(ルーラ)。
騎士とミニデーモンの姿は、跡形も無く消え去った。
「――……」
残されたのは、少女が二人。
一人は呆然と、一人はピサロの名を冠する者を逃がした事に唇を噛み。
それぞれ、まるで違う心境で騎士のいた場所を見詰めていた。
HP:78/78
MP:36/36
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:
450 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/04(水) 06:44:59 ID:YiSwbIr9
とりあえず、ぱふぱふされに行きたい。
最初の人のシリーズは面白かったのにそれ以降は猿マネとオナニーだな
452 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/04(水) 07:47:12 ID:Pqd8oh5E
禿同。
いつからキモヲタ小説を披露するスレになったんだ。
チラシの裏にでも書いてろよ同人野郎どもwwwwwwww
4のは好き
このスレは小説を書くスレじゃない。
目が覚めたらどうするか、を1文でもいいから書くスレだ。
それなのに小説を書いてもらってるってことが分からない、
お前らの理不尽な要求こそチラシの裏だろ。
>>456 言ってない
小説はかいて「もらってる」わけじゃないし、書き手が辞めたくなったらいつでも終了してよいものだyp
仕事じゃないんだし
文句言うならそれ以上のもの書いてみたら?(・∀・)ニヤニヤ
プロのが読みたいなら金だして本買え。
書きだめしてる作家さん方、遠慮せずにうpキボン
もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったらどーするよ?
>>1のこの一言で小説を書くスレになるのか?
もしそうであっても、そういうスレには暗黙の掟があると思うが。
黄金厨は華麗にスルー
文句を言うのは、読むしかできない奴なんだから
毛色を変えて「村上春樹風ドラゴンクエスト」
目が覚めた時、僕の前に一人の男が立っていた。
「ゆうべはおたのしみでしたね」と、その男が言った。
NHKのアナウンサーみたいに平坦で、特徴のない声だった。
「すみません、ここはどこでしょうか」と、僕は言った。
目が覚めたら見知らぬ土地の見知らぬ場所に立っていた。
ふと僕はカフカの小説ならそれもありかもしれないと思った。
「おとまりなら8ゴールドです」と男は言った。
それが僕の問いに対する返答だと気付くまで少し時間がかかった。
「ここは、どこですか」と、今度はゆっくりと聞いてみたが結果は同じだった。
オーケイ、この男はこれ以外の言葉は話せないのだ。
AMラジオでテレビが見えないのと同じ事だった。
やれやれ。
>>458 厨房はすぐ文句言うならそれ以上だな( ´,_ゝ`)
キモイ小説書くのお前ら豚だけだw
そもそも誰もプロのが読みたいなんて言ってないだろwwww
だいたい上にあるサントハイムのなんたらってなんだよ、
パッと見だけでも完全にゲーム内キャラだけのオナニー小説だろw
筒井康隆風
「オトマリハヨンゴールドデス」
俺は頭を掻き毟った。
「目が覚めたら知らない世界の宿屋にいたんです」などと言ったら、
きっとあのデブでハゲな課長は「ははあ、ついに君も気が触れてしまったようだ。
夢と現実の区別くらいはちゃんと付けたらどうかね」と嫌味を言うに違いない。
「オトマリハヨンゴールドデス」
「4ゴールドで泊まれる事はもう知っている。266回も聞いた。俺も馬鹿ではない。
大抵の物事は一度聞けば理解できる。問題はここがどこか、なのだ。
何度も言うように今日俺は大事な会議がある。9時までに出社して準備をしなければならない。
こんな場所で宿屋の店番をしているおまえにはわからんだろうが、
何か失敗をするたびに嫌味なハゲに胃壁をすり減らされるんだ。
聞こえてるのか?それともおまえは聾なのか?」
「オトマリハヨンゴールドデス」
「ははは、これで267回目だ」どうやら俺は白痴の聾に267回も話し掛けていたらしい。
壁に向かって話しているようなものだ。
「いいかこの片端。俺は7時に起きて身だしなみを整えて、朝飯を食い、
8時には駅に向かう。すし詰めの通勤電車に30分も揺られて出社するんだ。
息の臭いデブに嫌味を言われ、OLに話し掛ければセクハラと言われる。
何がセクハラだ。腐ったバナナみたいな顔しやがって。おまえの顔がハラスメントだ。
そして今日みたいな会議があればデブ、ハゲ、嫌味の三拍子揃った愚鈍どもに向けてプレゼンをするんだ。
わかるか、この精薄。ここはどこだ。どうやったら東京に戻れるんだ」
「オトマリハヨンゴールドデス」
ついに俺はおーいおーいと泣き出してしまった。
それが元の世界に戻れないという悲しみではなく、会社に行けないという悲しみである事に気付いて更に泣いた。
「オトマリハヨンゴールドデス」
複雑な感情が入り混じった俺の脳に270回目の声が響いた。
「オトマリハヨンゴールドデス」
え〜結構面白いとおもうんだけどなぁ…
結構っていうかかなりおもしろい
へたなプロよりイイ線いってると思う
無理な話だけど
ID:ndYrEjU6氏にもう一度書いて貰いたい
そう願うばかり
>k9t3MP3q
GJ!好きだなーこういうの
サランの町では簡単な祝賀会が開かれた。
これでもしサントハイムの人々が戻ってきて大団円となったのなら、町を、いや国を挙げてのお祭りになったのかもしれないがそこは仕方が無い所か。
マーニャが元気に酒をかっ喰らっている。
それをフォローするのは普段はミネアの役目なのだが、今はトルネコが行っている。
俺は今度の戦いで、色々と決着がつくと思っていたのだが…どうやら、そうでもないらしい。
アリーナは、結局誰一人戻ってきていない城を前にしたからかぼーっとしているし、
クリフトはクリフトで何やら消耗しているようだった。
そしてミネアもまた、仇を討った喜び以上に何がしかの懸念を覚えているようである。
ソフィアは…少し悔しそうにしていたが、今は比較的元気だ。
ブライは騒ぐマーニャに今にも毒を吐きそうだが一応、仇討ち完遂の日と言う事で我慢しているのだろうか。
それを宥めるライアン、といった構図だ。
俺はと言えば、これからどうしたものかと考えていた。
考えても詮無い話であるかもしれない。
相変わらず元の世界に戻る方法どころか手がかりすら掴めていないのだから。
今はそれこそ、眼が覚めたら元の世界に戻っているのに期待するしかない。
別に達観している訳でもない。焦燥はあるし、苛々っとくる事もあるのだが…まあ、それを一々回りに当り散らして発散する訳にもいかないし…。
…死んだ先にある、あの融解する感覚が元の世界に戻る方法だとは思えない。
アレは…どうもあの先に行くと、完全に戻ってこれなくなる気がする。
軽く嘆息する。
まあだけどこれからは、姉妹の仇討ちも終った訳だし何かを斃さなければならないって相手はデスピサロだけだろう。そういう意味では多少楽になるだろうか。
…あの銀髪の男がひょっとするとデスピサロなんかな?
けど、なんか美形だったしなあ…ん?むしろ美形であるべきなのか?そういう層を狙う為には…。
なんのこっちゃ。
あのDQNがそうだったとしても、何処にいるかはさっぱり解らない。
基本は船で世界を巡る事になるんだろうか。
…何年かかるんだろう…。
「ミネア殿達は、これからどうなさるのですか?」
ライアンがミネアにそう訊ねた。
マーニャの方はべろんべろんで話しにならないとの判断だろう。賢明な男である。
「…父の進化の秘法の研究から全てが始まったのなら私たちが止めねばなりません。
此処で私たちだけ降りてしまうなんてありえませんよ」
はっきりと言い切るミネア。
なるほど。バルザックという仇を討ちはしたが、進化の秘法は既にバルザックの手を離れてしまっている。
「アリーナ姫らも?」
「うむ。城の事は気がかりじゃが、デスピサロを追う事が皆を取り戻す唯一の可能性である事は、相違ないじゃろうからな」
アリーナに代わりブライが答える。
…可能ならばそれなりの兵力を城に置いておきたい所なのだろうが、それも叶わないようである。
相変わらずの無人城となるのだろう。そう考えると、人のいない城と言うのは何だか無性に寂しい。
「――今迄どおりと言った所ですかな。さて……」
恐らくは誰もがこれからの指針を求めているのだろう。
なんの当ても無く探すというのは、精神的にかなり厳しいものがある。
今までは一方向にしか進めないとか、次に何処に行くべきかなどおぼろげながらも解っていたのだが。
ミネアも何も言わないし、となるとソフィアの決断に委ねられるんだろうが…。
結局、その場では建設的な案は出なかった。
とりあえず、船出の準備だけはしておこうと言う曖昧な結論で散会となる。
何か手がかり――皆の指針もそうだし、俺の個人的な其れについても、探してみようか。
明けて、翌日。
船出の準備が一段落した所で、クリフトの姿が無い事に気がついた。
気になった俺は少し辺りを探してみる。
彼は教会の裏手の墓地にいた。
「おはようございます。…何をしているのか、ですか?
ええ、お墓を作っていました。進化の秘法の実験体にされてしまった人達の…」
――そうか。彼らに止めを刺したのは。
あの時俺は嫌悪感に耐え切れず、その場から逃げ出した。
前を行く彼女たちに追いつかなければならないと正当化して、問題を棚上げしたと言っても良い。
しかしそれも仕方ないんじゃないかと思う。
こっちが何もしていなくても魔物達は襲ってくるから、それに対抗する覚悟は出来た。
だけど、だからと言って――人であったものを、特に無抵抗なものを殺せるか、と言われたなら俺には是と言い切れない。
――俺には無理だから、他の人間にやらせる、やってもらう。それが正しい訳も無いのだが。
クリフトは神官戦士だ。
彼は、魔物を、そして人であったものを殺す事に躊躇いは無いのだろうか?
アホな問いだと後に思ったが、この時はそのまま訊ねてしまった。
「躊躇い、ですか。…ええ、ありますよ。嘗て人であった方、それで苦しんでいる方に対しても同様に…。
私は今、ある呪文の研究をしています。――対象を、即死させる術です。
こう言ってしまうとなんだか物騒ですね。まあ、事実物騒なのですが」
俺はクリフトのブラックジョークに軽く驚いた。
良いんだろうか?神官がこんな事を言ってしまって。
「私は、必要であれば殺します。それは、誰に何を言われても否定しません。結果が同じなら、手段など何でも同じだと言う方も世の中にはいるかもしれませんが――」
「いや、訊くよ。どうやって殺すんだい?」
「即死呪文――対象の血液を凝固させます。
これにより、相手は重度の心筋、及び脳梗塞を併発し――苦しみも痛みも殆ど無く――すぐに命を失う事になるでしょう。
…それが私に出来る手段です。目的は達成されなければなりません。手段にこだわり、目的を見失うのは本末転倒です。
ですが、目的を見失いさえしなければ、達成する為の手段は人それぞれです」
――貴方の目的は、何ですか?
クリフトは一通り墓の体裁を整えた後、神父にくれぐれもお願いしますと頭を下げて船へと戻っていった。
俺は彼の言葉に少し感動していた――のだが。
……即死呪文を連発する悪魔神官・クリフトの姿を想像してしまい、背筋が寒くなってもいた。
ま、彼に限ってそんな事は無いだろう。ないよね?
効かない強敵に対して治療を怠ってまでこだわったりしないよね?よねよね?
…大丈夫だと言ってよバーニィ…。
クリフトとの分れ際に、アリーナを見つけたら様子を見ておいてくれと頼まれた。
少女は確かに落胆しているようであった。それを悟られないように明るく振舞おうとするのが、少し痛々しい。
ま、どうせアイツがいるとすらなら高い所か武器屋だろうなと当たりをつけて捜してみる。
案の定直ぐに見つかった。
だが、武器屋に佇んでいた彼女に、やはり覇気は感じられなかった。
俺は少女に声をかけ、情報収集に付き合ってくれないかと頼んでみる事にする。
それが良い結果を生むかどうかは自信が無かったが、何もしないよりはマシかなとも思ったのだ。
町の人々に、人見知りをしながらも何とか話を聞いていくが、まあ、大した話は聴けない。
アリーナはどんどん俯いていく。ダメだ。俺はダメ人間だ。ダメ人間だもの。そんなラジオのコーナーがあった。ダメ人間で何が悪い!
郊外にまでやってきてしまった俺は藁にも縋る思いで民家を訪ねる。
回覧板を隣に回す時でさえ郵便受けに突っ込んでピンポンすら押さない俺にとっては格段の進歩なんだが今はそれを自慢している場合でも無いだろう。
というか、それは間違いでもない?なんつーか、世界が違うよなー。
俺は椅子に座っていた老人に話しかけた。ゆっくりとした動作でこちらに視線を向ける。
――と、その視線は俺を通り越して後ろのアリーナへと止まる。老人は少女の顔を見て、遠くを見るように眼を細めた。
そして、こんな事を言い出した。
「おや……?そちらの娘さんは懐かしい顔に似ておるのう
わしは昔、サントハイムの王様の教育係をしておったんじゃ。
あれは何年前であったか…王様が子供の頃の話じゃ。夜中うなされて、飛び起きたと思ったらこうせがむんじゃよ。
『ボクの娘が困っているから助けなきゃ!立て札を立ててよ!』ってな。
その当時は、娘がいるという話に驚いたものじゃったが…」
老人がふぉふぉ、と笑う。
その時何歳だったか知らんが、早熟な子供もいるだろうし確かに…。
話によると、その立て札は教会の裏にあるらしい。
アリーナが居ても立ってもいられないと言った感じで飛び出していく。
俺は折角なんで皆にも報せてから、それを見に行く事にした。
マーニャが二日酔いで死んでたが一人置いてくのもアレだろうってんで無理やり連れて行く。
はたして、そこには確かに立て札が立っていた。
そこにはこう記されている。
『みらいのボクの娘へ。
今、キミはきっと困ってる筈だからいいこと教えてあげるね。
お空のずっと上には天空のお城があって、竜の神様が住んでるんだって。
竜の神様はとても強くて、大昔地獄の帝王を闇に封じ込めたくらいなんだ。
天空のお城のことは、北の海のスタンシアラの人々がくわしいと思うよ。
サントハイムの王さまより』
「お父様……。
……………………。
ありがとう、お父様……ありがとう……」
アリーナが膝を崩し、立て札に見入っている。
それをそっとクリフトが支えた。
「……聴こえます。これも、導きの声?サントハイム王も、また?
スタンシアラへ、スタンシアラへ行きましょう」
規制回避の手助け
ミネアの言葉に頷く一同。
俺は考えていた。
…これはいよいよ、竜の神さまとやらに会える見込みが出てきたのだろうか?
こういう事があると、確かに導かれている、というのもあながち電波と言い切れない。
この世界の神さまとやらに出会って、元に戻れないって言われたらいよいよ骨を埋める覚悟をしなければならないかもしれないが…。
竜を探す旅――In quest of DRAGON...Dragon Questか。
これから明確に始まる――いや、俺が例え導かれていないのだとしても、ソフィアの旅に始まりから同行していた俺もまた、
最初から、竜を探す事になる旅をしていたのかもしれない。
HP:78/78
MP:36/36
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:
>ID:k9t3MP3q氏
ワロスwwwwww いーね新しい風が吹いたよ。
職人さんたちみんなガンガレ!
フレーヾ(゚ー゚ゞ)( 尸ー゚)尸_フレー
gYINaOL2aE氏の話はそろそろ、そして漸く序曲を鳴らす頃かいね?w
本当にクライマックスをまたも迎えてしまった彼に祝福あれ。応援してます。
>>まとめの人
冒険の書10と13はDQ6
12はDQ5
っぽいんで修正よろ
水の都スタンシアラ。
その形容に相応しく、城下町にも城の中にも縦横に水路が張り巡らされており小船でなければ移動ができない。
面倒な…。情緒の欠片も無い感想だが本音でもある。
誰が漕ぐんだ。はい、俺しかいませんね。
だけど初期の頃と違って今はソフィアに加えトルネコ、クリフト、ライアンが何かと手伝ってくれる。
この一行、男の方が優しく人間味に溢れている気がするんだがどうかー?
ま、ミネアは他の面で結構雑用をしていたりもするが。
城に行く前に、宿屋に荷物を置いた所で、客の一人が何処かに良い町は無いかなとぼやいていた。
トルネコが噂に聞いた移民の町の話を客に伝えると、喜んで出立していった。
あー…俺たちも一度は行ってみるべきなんだろうか?
けどタイミングが難しいよなー。うーん、一番無視してしまいそうな気がするぞ。
それか、一行か二行で済ませる悪寒。
行った!
戻った!
で終了。とか、どうよ?
ダメ?あ、そっすか。そっすよね。
町の人間に話を聞きながら、城へと向かう。
なるほど、彼らの間では『天空の城』というのは比較的ポピュラーな話のようだった。
そこには神さまが住んでいるらしい、と口を揃える当たり物語か伝説か何かで語り継がれているのかもしれない。
俺の中では『天空の城』と言えばラピュタしか無い訳だが…。
ラピュタと言えばムスカしか無い訳だが…。
ムスカと言えば眼がーっ眼がーっしか無い訳だが…。
大佐は素敵だなあ。命乞いをしろ!とか、いつか言ってみたい。
どっちかっつと言われて泣きが入る側だろうけど。
決定的な内容は、城の中で研究をしていた学者に聞くことができた。
それは古い言い伝えであると言う。
天空の鎧 兜 盾 そして剣を得たものは天空に昇れる。
トルネコが興奮して話を聞いている。
そういえば、彼は天空の剣を探していたんだったな。
これを俺なりに解釈するとなんか死ぬ感じすらしてくるんだが。天空に昇れるっていうのが何とも。
しかし、何処から何処までが実在するものだろう。
俺の常識で考えるなら、言い伝えなんて基本全部嘘っぱちで、鎧も兜も盾も剣も存在しないもんなんだが。
学者にその旨をそれとなく訊ねてみる。
「残念ながら、王家に伝わってきたのは兜だけなのじゃよ」
兜はあるのか!いやあ、それだけでも凄い。
けど、王家に伝わってるってんなら手に入れるのは難しそうな…国宝とかになってなければ良いが…。
あ、そういえばこっちにゃサントハイムのお姫様がいるじゃねーの。そのコネで…。
「そういう問題じゃないでしょー?」
う。アリーナに窘められるなんて…。ショックだ…。
まあ確かにそういう形で手に入れるのはちょっと違うかもしれんけどなあ。
とりあえず頼むだけ頼んでみようか、という事で俺たちは謁見を求めた。
玉座へと続く廊下を歩く途中、何故か売れない若手芸人のような連中を多く見かける。
なんともじめっとした嫌な空気だ。
嫌な予感…もとい、アホな予感がする…。
「よくぞ来た!さあ、わしを笑わせてみよ!」
やっぱりアホだった…。
国の王の第一声がそれである。この国の人間がかわいそうだ。
なんでも、王様を笑わせた者には望みのものを、とのおふれが出ているとかいないとか。
まあ、ある意味好都合な気もするが…俺はちょっと笑いには五月蝿いよ?
とりあえず準備が出来てないのでトルネコに頼んでお茶を濁してもらうことにする。
「わ、私ですか!?そ、そうですなぁ…。
象がここにいるぞう…」
ああ――。
ごめんよ、トルネコさん。
さて。
まともにいじりもしないで早々に戦略的撤退、その後作戦会議である。
宿屋の一室で俺たちは知恵を出し合っていた。
俺の持論としてはまあ色々あるのだが、とりあえず近い良い文書があったのでそれを引用させてもらう。
志村へ
この手紙をもって俺の芸人としての最後の仕事とする。
まず、俺たちのコントを再考するために、君に過去のフィルムを確認して貰いたい。
以下に、コントについての愚見を述べる。
コントを考える際、第一選択はあくまで「笑いを取れば勝ち」という考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には若手芸人の多くがそうであるように、他人をバカにして笑いを取ったり、
素人にツッコミを入れるだけで内輪受けに走っている事例がしばしば見受けられる。
その場合には、企画段階から綿密な計算と準備が必要となるが、
残念ながら未だ満足のいくコントには至っていない。
これからのコントの飛躍は、綿密な企画立案、それとライブの復活にかかっている。
俺は、志村がその一翼を担える数少ない芸人であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
志村にはコントの発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、素人いじりや他人をこき下ろすような芸がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、俺たちのコントを再考の後、君の笑いの一石として役立てて欲しい。
先人の芸は活ける師なり。
なお、最後に芸人でありながら、多数の人を泣かせて旅立ったことを、心より恥じる。
いかりや長介
長さん……。
いかん、しんみりとしてしまった。
とりあえず俺が言いたいのはコントについてではなく素人いじりについてである。
俺はこれが好きじゃない。
特に名指しするとすれば、一時期の(今もやってるのか?)イギリスの靴たちだ。
お笑い芸人は身体張ってなんぼ、それでお金をもらっているというのに、
素人をバカにしたり釣ったりして誘い笑いで無理やり笑わせるなど愚鈍の極み。
まああの素人たちが実は劇団員とか、やらせとかで金もらってる線も無くはないのだが…。
兎に角あれだけは認められん。ごめんな。ああいうのが好きってのも居ると思うんだけど。
そして、今この現在に即している話題でもありませんが何か?問題でも?
笑いにも色々な種類があると思う。
ここは、一つにやけ笑いを取ってみるというのはどうだ。
その名もズバリ「二人はプリティでキュアキュア!!」作戦である。
ソフィアが白、アリーナが黒でお送りする大活劇!似合うかどうかは微妙だが画像キボンヌ!
キュートな女の子たちの活躍に王様もニヤニヤニマニマする事間違いなしだ!
| プリキュア♪
| プリキュア〜♪
| ∧∧ ∧∧ プリキュア♪
| ヾ(゚∀゚)ノ ≡ (゚∀゚ )プリキュア〜♪
| ( ) ≡ 〜( 〜)
| /< < ≡ ノ ノ
./ プリキュア♪ プリキュア〜♪
∧∧∧∧
(゚∀゚≡゚∀゚)
(∩∩)
内訳は俺と王様とクリフトである。この顔にすりゃ笑わせたって事にもなろう。
完璧じゃね?よし、早速ミネアに頼んで衣装を縫ってもらわねば…。
断られました…。
絶対いけると思うんだが仕方が無い。プランBへ移行するぞ。
ブーン戦隊 導かレンジャー!!
rっ . (.\ブーン
/⌒ \ │| ブーン \\ /⌒ヽ ブーン
⊂二(^ω^ )二二 |/⌒ヽ \\ /⌒ヽ ニ二( ^ω^)二⊃
ヽ | (^ω^ ) \( ^ω^) | /
ソ l _二二二/⌒ヽ ブーン / ⊂_) ( ヽノ
ブーン ( < \ _/ ⊂二二二( ^ω^ )二二二⊃) ノ ノ>ノ
\|\| (´ ._ノ ヽ / /ノ ̄ レレ
\\ \ (⌒) | '´
レ’\\ ⌒∨
レ’
※左からトルネコ、マーニャ、ソフィア、俺、クリフト
もういいじゃんこれで。マンドクセ('A`)
トルネコはイエローな。
「おや、私も一員ですか。照れますなあ」
カレーでも食ってろデブとは言わないのが俺の優しさ。
でもカレーは持ってもらう。
「なんかよく解んないけど踊ればいいわけ?」
踊るのとちょっと違うけどまあ似たようなもんか?
お色気担当ピンクでよろ。
「この場合、私は…」
当然グリーンで。今やってるのだと結構熱い系なお兄ちゃんだけど、
基本的に特徴無いよね。緑って。
俺は青でいいです。というか俺じゃなくてもいいんだが。
SHINJOYさんが控え目にしてたのって配慮だと思うね。チームメイトへの。
そしてレッドは真打ソフィアちゃんですよ。
彼女は俺が渡した( ^ω^)のお面を見て可愛いと喜んでいる。
くはー!ソフィアちゃんこそ可愛いよなあ。よし!これでVIP層ゲット!
王様がVIPPERだったら大勝利間違いなしだ!!
俺は今、最後の打ち合わせをトルネコさんとしている。
結局、俺の(アホな)提案を悉く無視した導かれし者たちは、モンバーバラとやらに行ってパノンとかいう売れっ子芸人を連れてきた。
唯一、面白いと思いますよと言ってくれたトルネコさんを相方に、ヤツラより一歩先に笑いを取ってヒエラルキーの頂点に登ってやんよー!
王様は若くは無い。
やはり、ここは往年のヤスキヨで行くべきだろう。
怒るでしっかしー!よっしゃ、やったるでー!
「メガネ、メガネ…」
あ、あれ?なにこの寒い空気?
おかしい…ネタは完璧なのに…別世界だから既出って事も無い筈…。
いやまてよ、既出じゃないからこそ、お約束的な笑いも出ないのか。
そしてそれ以上に――ただ、ネタをトレースした所でダメなものはダメなのか。
トルネコさんは頑張ってくれた。
だが、俺自身があの伝説の漫才師の空気を生み出す事ができなかったのだ。
当然と言えば当然の結果なのだが…。
お笑いは、やはり深いな…。
俺ごときが偉そうに講釈を垂れられるものでは無い…。
結局、天空の兜はパノンがギャグじゃなく、王様のおふれの意図を読み取り、
ちょ、ちょっと待った!今、パノンがいい事言った!的展開でゲットした。
この野郎、芸人がいい事言ってどうすんだバカ野郎。
ちょっと悔しくて懲りずにぶつぶつ文句を言う俺の肩をトルネコがぽんと叩く。
トルネコさん…俺、もう二度と貴方のギャグをつまらないなんて言わないよ!
| | ∧_∧ _
| | (´・∀・`/ / 「まあ、カレーでも食べていてくださいw」
| | ( ,/_〇
トルネコは俺にそう言って、いい笑顔でスプーンを俺に差し出した。
HP:78/78
MP:36/36
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:
乙!
トルネコかわいいよトルネコ
乙!
ぷれすて版なのか
乙!
騎士がピサロナイトだった事に驚いてしまったが、描写がホント最高でひたすら感動してしまった…!
故に惚れてしまった自分がいる(*´д`*)
死なないで欲しいが、とにかく続きが楽しみだ!
乙!
そういや最近はその傾向も忘れ気味だったが、彼はvipperだったなw
>>490 俺の予想が確かならば、まだ貴様は驚かされる筈だ、とか言ってみる。
ああ、想像通りの展開だったら燃えるなぁ………。
乙カレー!
画面を見ながら
(・∀・)ニヤニヤしてしまう
この感じがなんともいえないww
>>491 マジでか?w
それは楽しみだけど、結構皆予想とかしてるんだなー…と感心。
自分は全然予想できなかったな、話が凄く上手くて読むのに精一杯。
しかしプレステ版という事と今までのストーリーの展開具合いを考えて頑張って予想してみよう。
自分の陳腐な脳じゃことごとく外れそうだがw
自分の作品に自信を無くした俺がいる
がんばれ
あきらめたらそこで試合終了だよ
深夜の町に突如現れた全裸の男はゆっくりと立ちあがると
町唯一の酒場へ向かって歩き出した。
生まれたままの姿で躊躇なく酒場の中へ入ってゆく大男。
「いらっしゃい。ここは出会いと別れの・・・ヒッ!!」
男の下半身を見るや、店の女主人が思わずのけぞる。
だが男は微塵も気にする素振りも見せず、無表情のまま女主人の前を過ぎる。
そしてなにやら店の客を値踏みするかのように、
店内をゆっくりと見回しながら更に奥へと進んでゆく。
突然の珍客に酒場の客はみなニヤニヤと笑みを浮かべながら好奇の視線を向けているが、
男はそんな視線などお構い無しとばかりに、相変わらず無表情で店内を物色している。
ふと男の視線が止まる。
その先には全裸男に負けずとも劣らない大柄な戦士風の男がビールジョッキ片手に
うすら笑いを浮かべながら珍客の挙動を見つめていた。
ようやく獲物を見定めたのか全裸男は向き直り、
店の一番奥のテーブルへと歩き出した。
視線は依然、鎧姿の大柄な戦士に向けられたままだ。
戦士風の男が上等とばかりに立ち上がり珍客を威圧する。
どうやらかなりの腕自慢のようだ。こちらは既に臨戦態勢。
そして二人の男が対峙する。
身の丈、体格共に同等といったところか。だが両者共、人並はずれた大男だ。
今にも掴みかからん形相の戦士とは対照的に、無表情のまま相手を見据える全裸。
だがそんな緊張も数刻だった。
沈黙を保っていた全裸が静かに重い口を開いたのだ・・・
全裸の男「君の装備している鎧がほしい。」
495
俺もだ。君はなにを書いてんだい?
天空の兜がソフィアの頭にふわりと納まる。
これ、さっき俺が装備しようとしたらとんでもなく重いんでやんの。
首が折れるかと思った。
俺たちがわいわいと生命の危機に陥っている中、ライアンが戻ってきた。
城にいた詩人が、天空の盾はバトランドにあるとの噂を聞いたらしい。そして、ライアン自身にも朧げながらも記憶にあるようだ。
バトランドはライアンの故郷である。
これは良い感じじゃね?という訳で俺たちは再び船に乗り込んだ。
船での生活も長くなったものである。
というか、最近は時間的に殆どを船で生活していると言っても良いのでは無いか。
荷物を背負って歩かなくても良いのは楽なのだが、やる事も多くなっている。
今回は少し箇条書きにしてみた。
・マーニャと修行
・ブライの様々な事物、魔法に関する講義
・ライアンの剣術指導
・クリフト&ミネアの魔法講座
・アリーナの遊び相手
最後が一番死ねる。
これらは基本的にマンツーマンで行われる事は無い。マーニャとのそれ位か?
ブライの講義やライアンの指導にはソフィアやアリーナが同席する事も多いし、クリフトやミネアも顔を出す。
アリーナの遊び相手になる時も大抵ソフィアが一緒である。
突然やってきたアリーナが、襟首掴んで俺を連行していくんでこう書いたが。俺に限らず彼女の被害に遭う者は少なくない。
で、まあ炊事洗濯やら雑事やらも多い。
……俺、頑張ってるなあ……。
とは言え、彼女ら導かれし者たちはその道のエキスパートばかりだし、この環境って地味に凄いんだろうな。
これらは俺の都合がメインではなく、基本的に彼女たちの暇を見て行われている。ま、当然ですが一応。
「なるほど。その突きは良いですな」
ある日の剣術指導風景。
俺の所作を見てライアンが頷いた。
「教えたのはミネア殿で?お見事です。初めて剣を振るう時は、どうしても腰が引けてしまうもの。
届かない斬りや払いは余計な隙を生みますからな。動作も少なく済みますから、体力の消耗も抑えられます。
しかし……突きは死太刀でもあります。どうしたものか……」
うーむ、と唸るライアン。
俺は、どういう事かを訊ねてみた。
「突きは確かに、届かない斬りや払いよりはマシですが、避けられた時の隙は多大なのです。
一撃必殺、二の太刀は無い。故に、死太刀、などとも言われる訳ですが――。
これからの事を考えたときに、その突きを伸ばすか、それともより実践的・総合的な剣術を学ぶか、その方向性をどうするか」
いずれにしても総合的な技術を学ぶ事にはなるのだが、その上でどちらに重点を置くかという話らしい。
より攻撃的になるならば、突きを伸ばした方が良いし、
防御的な性格を考慮するなら斬りや払いに、より手を出していった方が良いとライアンは言う。
少し考え込む。
何かを守るという事。それには、攻撃的な力が必要なのだろうか?
「今慌てて決める事もありますまい。ゆっくり考えてからで良いですぞ」
俺はその言葉に甘えてすぐに結論を出す事を避けた。
この選択は少し慎重にすべきだと思ったからだ。
戦うという事に対する覚悟はあっても、明確に殺しに行くかどうかはまた話が別だ。
出会い頭に襲われ、抵抗した結果殺してしまったというのが俺の限界で。
自衛の為に力をつけるのと、自衛の為に相手を殺す力をつけるのとでは、少し違う気がする。
殺す事をソフィア達に任せてしまって、俺は自分の身を守る技術を覚えれば良いのか。
恐らく皆はそれで良い、と言ってくれるだろうが…。
何かを奪う力ではなく、何かを守るための力。
俺の世界では、こういう物語がよく好まれたなと思い出す。確かに、それは理想的な力の行使だ。
だが実際に選ばないとならなくなった今、考えてみればその理想は様々なものを棚に上げ、他人に押し付けているのだと思い知る。
それは正しい事だろうか。いや、正しい訳が無い。ただ、卑怯なだけだ。
と、言っても、俺自身に明確な、何かを殺さなければならないと言う意識が余り無いのも確かなのだ。
何故、戦うのか。
襲われるから、撃退する。自衛の技術だけで済む話では無いか。わざわざ相手を殺す技術を得る必要はあるのか。
自衛の為に――仕方がなく、結果的に殺してしまう。俺の覚悟は、そこで止まっている。
スタンシアラから東へ。短くない距離を船で走破する。
目的の大陸に上陸した俺たちは、バトランドの王宮まではもう少し距離があった為、途中にあったイムルの村へと立ち寄った。
なんでも、この村を中心に起きた子供が消える事件をライアンが解決したらしく、
戦士はちょっとした英雄になっているらしい。
「小さな村ですからな」
戦士が照れたように頬を掻く。
道行く人々に声をかけられ、それに一々律儀に応対し変わりは無いかなどを訊ねていった。
「ええ、それが事件という程の事では無いのですが――。
今は、宿屋に泊まるとおかしな夢を見ると言う話で持ちきりですよ」
おかしな夢、か。
ま、いずれにしても宿屋はそこ一軒だろうし、今から夜通し歩くってのもだるいし。
泊まらざるを得ないんだろうが――淫夢とかだったらどうしようハァハァ。
問題の宿屋にて、男女でそれぞれ部屋を取った後、再び集合し食事とちょっとした会議が開かれる。
とはいえ、差し迫った議題があるわけでも無いし方針も決まっているので、なんのかんのとだべるだけではあるが。
ライアンが宿屋の主人やその家族との会話を終えてこちらに戻って来た所で、クリフトが彼の事件について訊ねた。
今回の話題はライアンが語り手となる。
「それで、その事件はいつ起きたんですか?」
「そうですな…数年…前ですかなあ。宿屋の息子も大きくなったものです」
一応、この世界にも年という概念はあるようである。
しかし、そうなると…。
「じゃあ、それからずっと勇者ちゃんを探してたの?」
「まあ、そうなりますか」
問いかけるマーニャに、ライアンは事も無げに言い放った。
簡単そうに言うが、居るかどうかも解らない、居たとしても何処にいるのかも解らない、勇者を探す旅を長い間続けるというのはどういう心境なのだろう。
「大変ではありましたが、楽しいことも多くありました。
私はそれまでバトランドを出た事もなく、また出る事も無くゆったりとした時間の中で老い、朽ちて行くのだと半ば達観しておりました。
それが表にも出ていたのか、同僚にはのろまのライアン、などと揶揄される事もあったくらいで…」
戦士がカイゼル髭を撫でながら面映そうに笑う。
今のこの男が元昼行灯とか無気力症候群だったとか言われてもとても信じられんのだが…。
「城を出て、見聞を広める内に自分がどれだけ狭い世界に居たのかを思い知らされました。
これというのも、勇者殿の存在と、私の勝手な願いを聞き届けてくれた王のお陰…そこで、勇者殿。お願いがあるのですが…。
王に、貴女を勇者として紹介しても宜しいか?」
ソフィアはすぐには返答できなかった。
それでも、小さく頷きはしたが――今日の所はそれで解散となり、各々部屋へと戻っていく。
俺とソフィアだけが残った。――少女に、服の裾を掴まれていたからだ。
俺は少女がその意思を顕にしてくれるまでじっと待つ。
――そういえば、ここの所ずっとソフィアはどっかよそよそしかったっけ。
結局俺にはどういう事か解らず、時間が解決してくれるだろうと考えて、結果的には普通に接するくらいには修復されていたのだが。
『ライアンさんは…私にとても気を遣ってくれてる。重荷をただ背負わせる事のないよう、いつも配慮してくれてる』
頷く。そして、続きを促した。
『…勇者って、何?私は、別に勇者だから戦っているんじゃない。だけど、皆は私を勇者だと言う。
この天空の兜も、それを証明していると言う。
パノンさんはスタンシアラの王様に、私が世界を救い人々が心から笑える日を取り戻してくれるでしょうって言ったけど…。
もしかしたら結果的にそうなるかもしれない。だけど、私はそれを第一に考えている訳じゃない。
それでも――私は、勇者なのかな?』
少女は多弁だった。
いや、それまでずっと内に抱えていたものを少しだけ吐き出したと言った方が正しいか。
――これも、全てでは無い筈だ。
勇者の解釈。
この世界の人間は、俺が見た限り勇者とは人間を救ってくれるものだと無条件で信じている節がある。
俺の世界での勇者が、時に冗談のような使い方、アホな人間を揶揄する時にすら使われる事もあるのと比べると対照的だ。
人々は、ソフィアを勇者と呼ぶ。その中に悪意は無いだろう。しかし、好意しか無いというのも問題なのだが。
勇者だから人々に期待される。だがそれ以上に――ソフィアにとっては。
勇者だから、村を滅ぼされた。その度合いの方が強いのではないだろうか。
何故、ソフィアは勇者なのだろう?――誰が、決めた?
…此処で俺は既に一つの仮説を立てている。
ソフィアに勇者という過酷な運命を背負わせたのは、神、では無いか、と。
「もう少しで…その答えも出るような気がする」
その時、君は――もし俺の仮説が正しかったなら、一体どうするのだろう。
・
・
・
その夜、夢を見た。
人とは思えぬ陶器のような美しさを湛えた少女。
彼女は、すらりと高い塔に住んでいて、
そこに入るには笛を奏でなければならない。
太古の仕掛けが用いられた塔を訪れる銀髪の男。
男女は互いの名を呼び合う。
人間を滅ぼそうとする魔族の王と。
それを諫める麗しい娘。
ピサロと、
ロザリー。
魔王は、娘の言を聞き入れずにまた去(い)ってしまう。
少女は祈る。
誰か――ピサロ様を、止めてください。
届いて欲しい。この、想い――。
・
・
・
翌日、俺たちは皆が同じ夢を見た事を確認したが、夢の内容については積極的に検討しなかった。
ピサロの恋人のような娘。彼女の願いは、ピサロを止めてくれる者が現れる事。
だが――止める、とはなんだ。
つまり、ピサロを殺せと言っているのか――そうではあるまいな。
そしてそうでない以上、例えただの夢では無かったとしても、一行の中心であるソフィアが納得する筈が無い。
故に、不思議な夢の話はこの時それ以上膨らむ事は無かった。
バトランドで、勇者と呼ばれる少女は王との謁見をはたした。
ライアンの良き理解者であり、質実剛健を地で行くかのような王は、戦士が見事目的を達成した事を喜び、
一同を歓待してくれた。
まあ、肝心の天空の盾は無かった訳だが。
何でも昔、隣国のガーデンブルクの女王にあげてしまったらしい。
あげるってなんだ。献上?それとも贈呈?あー、いや、女王に、か。
ガーデンブルクという国の性質も考えるとこれはちょっと色々事情があるのかもしれない。
夜には小さな宴が開かれた。
ライアンが目的を達成したお祝いと、更に続く旅への壮行会のようなものも兼ねている。
そして、主賓にもう一人。勇者その人である。
事件を解決し、自国の村を救った英雄の帰還と、噂に名高い勇者の存命且つ、来訪は明るいニュースだったのだろう。
大々的にしないのは、配慮であるとも取れるし、相応のレベルかなとも思う。
今迄の城でこんな待遇を受けた事は無いし。サントハイムが正常な状態なら、違っただろうが…。
まあ、勇者と言っても山師的なのもいるだろうし、やはりライアンの存在なんだろうな。
俺たちはそれぞれ、正装をさせられた。タキシードだか燕尾服だかそういうの。
襟元が苦しい…しかし、トルネコのサイズもちゃんとあるんだから、王宮ってのは準備の良いものだなあ。
女たちはそれぞれにドレスを着ていた。
マーニャは相変わらず露出のでかい上にきらきらとした派手な衣装だし、ミネアはそれとは対照的に落ち着いた色の、控え目な装いだ。
ま、どっちも似合っているのだが。
アリーナは髪を結い上げて、スカートの大きなまさにプリンセスと言った感じのドレスを着ている。
彼女自身は動き難いと嫌がったそうだが、ブライの泣きが入ったらしい。
ソフィアの方は青緑を基調としたドレスが髪とマッチして可愛らしかった。
頭にはティアラではなく天空の兜をそのままつけていたが、あれは兜って感じでも無い為それほど違和感は無い。
とりあえず、うちの女性陣は美人揃いで非常に見目麗しいのだが、男どもはダメだなあと思った。(主に俺とトルネコとブライ)
アリーナとクリフトが危なげないダンスを披露している。
こう見ると、やっぱりお姫様だよなあ。クリフトの作法も実に堂に入ったものだ。
ライアンがソフィアを伴い、フロアの中央に進む。
…ソフィアは確か、田舎者の筈だが…大丈夫だろうか…。
俺の心配通りに、少女のステップは滅茶苦茶で、少し場の空気が変わる。
だが、それを無難にまとめ見事なリードをしてみせたのが王宮戦士であった。
鎧姿を見慣れてしまった俺たちにしてみれば、彼の正装はちょっとおかしかったのだが、こういう場に立ってみると馴染んでいるなと思わせられる。
「へー。中々やるじゃない。だけど、まだまだねー。私のレベルについてこれるいい男はいないみたい」
マーニャさんが酷評なさる。
…誰にも聴こえてないだろうな?何で俺がびくびくしないとダメなんだろう。
「…ふん。宮廷のきの字も知らない小娘が…宮廷ダンスの奥深さも知らぬと見える…」
ヒイ!?
なんでこう、マーニャとブライは衝突するんだ!?
二人は俺を挟んで火花を散らしている。何で俺は挟まれてるんだろう。今度からはもっと立ち位置をチェックしないと…。
「あーら。お爺ちゃんが私のステップについてこれるかしら?」
「やめておけやめておけ。おぬしの足がもつれてすっ転ぶだけじゃ」
「……私が足をもつれさせるですって?上等じゃない……年寄りだからって容赦しないわよ!?」
睨み合う二人はそのままずんずんとフロアに降り立ち踊り始める。
その、竜虎相打つと言った――主に表情に出ている鬼気迫る雰囲気に、周りからもどよめきが起こる。
パフォーマーがするようなその大袈裟な表情が怖いと言うか、面白いと言うか。笑いが我慢できないというか。
俺とミネアとトルネコは壁の花だ。
ミネアの方は、何度か誘われているようだが全て断っていた。
「私は、こういうのはちょっと…」
苦手らしい。ま、それっぽいっすね。
俺とトルネコにはそういう浮いた噂は無い。
ああ、この恰幅の良い親父の隣という位置。実に落ち着く。もしかしたら、此処こそが、俺の真のポジションなんじゃないか?
「何ぼーっとしてるの?踊ろー!」
突然にゅっとアリーナが顔を出してきた。
驚いてのけぞる俺。TU−KA庶民の俺が踊れる訳ねーだろーが。アホか。っかー、これだから王族とか貴族ってやつぁー困るぜぇ。
俺のやさぐれをアリーナは全く気にせず、フロアの中央へとずるずる引き摺っていく。
クリフトが姫君を止められないのを謝るかのように両手を合わせているのが見えた。
「大丈夫よ。皆最初から踊れる訳ないんだから。基本ステップだけ覚えて、後は曲に合わせて動けばそれでいいの。
別に難しい技とかしてかっこつける必要なんて無いし」
そうは言っても。
人前で下手を晒して恥をかきたくないし、周りの視線が気になるのは最早病気の域だ。
――笑われている気がする。これだけでもう、身体が動かない。
「此処にいる人達は別に貴方の粗を探して喜ぶ為に来てる訳じゃないでしょー?
中には性根の腐ったのもいるかもしれないけど、そういうのは極少数!基本的に皆味方だから!
それに相手が典型的な貴族の娘とかならアレかもしれないけど私なら別に足踏んでも大丈夫よ」
アリーナらしい強引な理屈だなと半ば感嘆しながら、結局流される意志薄弱な俺。
基本ステップ…を覚えるのですら大分手間取った。それから先は、主にアリーナがくるくる回るのに合わせて、身体の位置をずらすといった程度である。
それでも踊っているように見えるんだろうか?よくわかんね。それより、この身体の密着具合が鬱で死にたくなる。
「ね?大丈夫でしょ?ダンスはね、踊っている人が楽しいと感じる事が一番大事なのよ」
満面の笑みを浮かべて少女がそう言った。
彼女も元気になったものである。やはり、父の残した言葉というのが偉大だったのだろう。
ようやく解放され、アリーナ姫も気が済んだのかなと思いきや、今度はトルネコにレクチャーするようである。
全くもって元気の塊のようだ。
俺が再び壁際に戻ると、ミネアに声をかけられた。
「見てましたよ。お上手じゃないですか」
彼女の世辞に素直に礼を言う。
「折角ですし、ソフィアさんを誘ってみたらどうですか?」
お前な。
何が折角なんだと。
その折角の遣い方は絶対におかしい。コンバット越前の『せっかくだから俺はこの赤の扉を選ぶぜ』並におかしい。
あのな。折角だからってのは割といい加減な表現なんだよ。
ソフィアを誘うって。女の子をダンスに誘うってのはそんないい加減にできるもんじゃねーだろ。
どこぞのホストでも池面でもない俺になんでそんなハードルの高い要求してくれてるのか小一時間問い詰めたい。
「……何だか凄い必死ですね……ですが、アリーナさんと踊ってソフィアさんとは踊れないんですか?」
は……あ、そうか。これは所謂、社交辞令……礼儀的な一面って事か?
あーなんかそんなのありそうね。貴族社会の通例なんてしらんけど、誰か一人をやたらちやほやするのってジョンブルっぽくない。
別にアリーナをちやほやした覚えも無いんだが…引き摺られただけだし…うーむ。
なんかやだな。何かの罰ゲームで隣にいる女の子グループをナンパする位に嫌だ。
けどまあ、相手がソフィアなだけ気が楽かもしれないが。
「うだうだしてないで行け!」
マーニャにぼかんと尻を蹴っ飛ばされる。
なんか汗だくではーはー荒い息を吐いてるぞ…ブライは倒れてるし。魂出てないだろうな?
どうやらかなり白熱した好勝負だったらしい。種類の違うダンスとは言え、踊り子と渡り合えるのだからこれはブライを褒めるべきだろう。
ソフィアはライアンと踊り終えた後は、フロアを見ているだけで誰とも踊っていないようだった。
誘われはするものの、丁重に断っている。
断ってくれると逆に、恥をかかずに済むかもしれない…あれ?断られるのはいいの?まあ、ある意味当然の結果だと思えるし…。
ネガティブな思考で逃げ道を作りつつ、ソフィアに手を差し伸べる。
少女は少し驚いた顔をした。
あああああああああああああああああああああああああああああ死にたい。いや、死のう。
驚かれるってどうしたらいいかわかんないけど微妙だよね!!
腰が砕けにそうになる俺。そんな俺を哀れんでくれたのか、少女はそっと小さな手を添えた。
手袋をしていても、解る。少女の手はその容姿や年齢に似合わず、酷く荒れていた。
毎日行われる鍛錬により豆ができ、潰れ、治りきらぬ上から鍛錬を重ねる毎日の証。
少女と同じ手をしている女性は、この場では恐らくアリーナだけであろう。
今度は少女がしまったという顔をして、手を引っ込めようとした。
それを咄嗟に掴み止める。
これは、哀れみでは無い。少女の荒れた手が嫌だなんて、俺は思っていないのだから。
では少女が俺に手を添えたのは哀れみだったのだろうか?
俺はそんな事はどうでも良いと思った。そんなのは、どちらでも良い事だ。
つたない足取りでステップを踏む。
勇者と、その従者のような者のダンスは、とても見れたものでは無かった。
だが、二人は楽しそうであり、それをハラハラと見守る周囲の人々にもまた、暖かい笑顔が浮かんでいた。
HP:78/78
MP:36/36
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:
>>497 タミさんキターーーーーww
>>◆gYINaOL2aE氏
これからもがんがって下さい
>>497 ターミネータープギャワロスwwww
>>書記の人
まとめサイトの現行スレのとこ
×宿 ○宿屋
なので、修正よろ。
>>◆gYINaOL2aE氏
設定をただ使うだけじゃなくて綺麗に活用してみせてる辺り凄いなあと思う。
キャラクターが実にいいなぁ。トルネコの隣は落ち着くだろうなぁw
次はリアル「その歳で童貞なんて(ry」の国だ(多分)!頑張れ主人公!w
518 :
497の続き:2005/05/07(土) 20:33:35 ID:mF9/Wcwq
目前の裸のジョークに
他の客はおろか、対峙していた戦士もたまらず声を上げて笑った。
張り詰めた空気から一変、店内を爆笑の渦が支配する。
だが当の全裸男は意に介さずといった様子で、
目の前の戦を直視したまま、戦士の返答を待っていた。
「力ずくで奪ってみな。」
それが戦士の返答だった。
すると彼の仲間とおぼしきターバンを巻いた男が、
持っていたひのきの棒を全裸男の後ろから背中めがけて振り下ろす。
その衝撃にバキリと折れるひのきの棒。
だが殴られた全裸男は微動だにせず、ゆらりと振り返り男を一瞥する。
そして次の瞬間、折れ残った柄を持ったターバン男の右手を素早く掴むと、
あっという間にテーブルに組み伏せ、表情ひとつ変えずにその腕をへし折った!
「ギャアアアアアーーー!!!!」
ターバン男の悲鳴で店内の雰囲気が一転する。
店の客から笑顔が消える。
その内の数人がエモノを携え全裸男を取り囲み、そして一斉に飛びかかった!
軽やかなフットワークで全裸男の目前に踊り出る武道家。
だが全裸男はその拳をやすやすと受け止め、強烈なボディを見舞った。
その一撃で活力を失った武道家は力なくその場に崩れる。
他の者も同様だった、成す術なく返り討ちにされ、
彼を取り囲んだ5人の猛者はあっけなく床に転がった。
519 :
497の続き:2005/05/07(土) 20:34:39 ID:mF9/Wcwq
全裸男が先程の戦士に歩み寄る。
派手な立ち回りにも関わらず汗ひとつかいた様子は無い。
その表情は依然、無表情のままである。
既に余裕を失った鎧姿の戦士。
だが次の瞬間、彼は懐から一振りのブロンズナイフを取り出すと、
全裸男の脇腹に突き立てた!
「見たかこの変態野郎がぁ!!」
そんな戦士の突然の暴挙にも動じず、全裸男は己の身体に刺さったナイフをちらりと見るや、
すぐに視線を戻し相手の胸倉を掴むと、身長2mはあろうかという巨漢の戦士を片手で高々と持ち上げた!
戦士「うおっ・・・!?離せ!!離しやがれ!!」
全裸「離してほしいのか?」
そう言うと全裸男はロクに相手の返答も待たずに
宙に浮いたまま足をバタつかせる戦士の巨漢を、その鬼人の如き豪腕で放り投げた!!
まるで人形のように宙を舞った戦士の身体は店のテーブルを2つ飛び越え
緩やかな弧を描いた後、壁に激突した!
背中をしたたかに打ちつけ、うめき声を上げて床にうずくまっている戦士を
全裸男がその傍らに仁王立ちで見下ろす。
すると戦士はすぐにたちあがり、なんとなかまになりたそうにこちらを見ている!!
なかまにしますか?
全裸「・・・いいえ。」
戦士「お・・・オレが悪かった!!・・・な?許してくれよ!」
必死の形相で許しを乞う戦士。
だが彼はまだ全裸男の要求に応えてはいない。
おびえる彼の顔と彼の身に付けている鎧とを交互に見つめる全裸。
ようやく全裸男の本心を察した戦士が、身に付けていた鎧を全裸に託す。
520 :
497の続き:2005/05/07(土) 20:35:50 ID:mF9/Wcwq
全裸男「ありがとう。」
無表情のままそれを受け取り、礼を述べる全裸男。
今まで戦士が身に付けていた革の鎧は、まるで測ったかのように全裸男のぶ厚い胸板に収まった。
目的を果たした元全裸男がくるりと振り返り店の入り口へと歩き出す。
だが店を出て間も無く、納得のいかない一人の男が彼を呼び止めた。
覆面「このクソ野郎!!店をメチャクチャにしやがって!!」
どうやら店の関係者らしい。
顔面を角の生えたマスクで覆い、下半身はビキニパンツ一丁といういでたちで
手に持った棍棒を今にも振り下ろさんとしている。相当興奮しているようだ。
詫びすら入れずに無言で近付く元全裸。
だが先程の全裸男の立ち回りを目の当たりにした覆面は、元全裸と相対し完全に腰が引けている。
しかも今度は鎧付きだ。もう全裸じゃない。とてもじゃないが覆面に勝ち目はないだろう。
そして元全裸は覆面の目前に立つと、目にもとまらぬ速さで覆面から棍棒を取り上げた!
唯一の武器を一瞬にして奪われた覆面は一気に戦意喪失し、その場にへたりこむ。
覆面の顔にゆっくりと手を伸ばす元全裸。おびえる覆面。
覆面「駄目だ・・・殺される!!」
だが元全裸は覆面の被っているマスクの角を掴み、そのままゆっくりと引き上げ自らそれを被った。
覆面から取り上げたマスクを自ら被り第二の覆面となった元全裸。
こうして革の鎧のみならず棍棒、さらには角マスクまで手に入れた二代目覆面は新たな世界へと旅立った・・・
T-1000
しょくぎょう ふくめん おとこ
E こんぼう
E かわのよろい
E ふくめん
ブロンズナイフ
和露誰
>・・・いいえ。
バギワロ
DQターミネーター、マジワラタ
一発ネタだと思ってたけど続くのか、楽しみ
>>◆gYINaOL2aE氏
あいかわらずおもしろいです
次は女の花園か…楽しみにしてます
てか刺さったままじゃんW
527 :
1:2005/05/08(日) 10:19:02 ID:la7SEAN1
俺がたてたスレでここまで勢いがあるのは初めてだ
528 :
497:2005/05/08(日) 14:38:58 ID:tAmCQ02W
T-1000・・・×
T-800・・・○
勘違いスマソ
T-1000だとジェリーマンになってしまうな
俺は今、
*ろうやのなかにいる*
ああ…。石壁が冷たいのよぉ…。
なんかもう俺の人生設計は完全に瓦解したな…。
常に限りなく白に近いグレーを歩み、決して犯罪はしないで細々と欲求を満たしつつ、
平々凡々とした一生を送りたかったのに…。
獄に繋がれるっていよいよもうダメじゃん…。気持ち的にダメになる…。
ソフィアちゃんが隣に寝てた時以上に悪い状況やよね…。
そもそも、何で箪笥を開けたら怒られるんだ。
ずっとそうしてきた!それでも何も言われなかった!!
下着を被って遊んでいたんだ何が悪い!!
……。
悪い事だね。
バトランドから更に東へ進む途中、巨大な岩が道を塞いでいた。
だが、サントハイムの宝物庫にあったマグマの杖をブライが設置すると、岩はたちまちどろどろに溶けてしまった。
武器や鎧には特殊な力を持つものがあるという。俺の持っている破邪の剣もそうらしい。詳しくは後の講義でブライが教えてくれる事となった。
ガーデンブルクは女性の国。
と、言っても女しか居ないという訳でもないようだ。ま、当たり前と言えば当たり前だが。
ジェンダーとかあんまり好きくないし、俺は女に対して極端な被害妄想が発症するものだから最初は気が乗らなかったのだが、
女性陣がこぞってピンクのレオタードを購入し、装備し始めた当たりから色んな所のテンションが妙に上がってしまった。
それが失態である。
此処までの旅の道中で、ソフィア達が結構好き勝手に壷を割ったりしていたのを見ていた俺は、調子に乗ってしまいある部屋の箪笥を開けてしまった。
そして、つい、下着を発見してしまったのだ。
考えてみると此処は異世界である。現実の法など適用される事も無いのではないかと今更ながらに思ったから。
網タイツを履いて準備完了。
クロス・アウッ!!!(脱衣!!)
,_,..,ィヽ,、 |
/;;::r‐〜-ミ、 | ウ ェ ル カ ム
4~/へi::::::;/,ヘミ7 | W E L C O M E !
'-l|<>|:::::|<フ1|i' ノ ( よ う こ そ )
l! '" |::::l、~`リ へ
/`ー、 ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y; ヽ、_` ー―――――
,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト- ~` ー- 、_
, ィ ´ ,ゝ、_ `r' l | 、レ // `テ三..ノく _ ` ヽ、
/ , -' ,、 `、_) l,i, i // (/ ...,,;;;;:` 、 ヽ
;' '" ノ ;;;;:::: i ! : // .....:::::;;イ、_、_\ _ _ノ
l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,// - = ""::;; :/ ` '''' '"
ヾ :;;;,, ,i l,// ,,..," / _,,.....,_
,. -- .,_ \ :;,. ;' V ;! `; /;: ノ ,.ィ'"XXXXヽ
/XXX;iXXミ;:-,、 ヾ '" ''' /./! ヾ / ,. - '"XXXXXXXX;i!
,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、 i 、. / ;:::゙i ;: , | ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
|XXXXX;|XXXXX;|::::::::|`ヽ、 ,! ,': : :| ,.レ"::::|XXXXXXX|XXXXXXX;l!
!XXXXX;|XXXXX:|:::::::::i ` ;! : : i! / !:::::::::|XXXXXXX|!XXXXXXX|
XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::! `. /:: | '" l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::! |:: | i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
XXXXX/ \XXソ::::::::::/ i!:: ノ i!::::::::::::ゞXX:/ lXXXXXXX|
XXXX:/ `ヾ::;;;;;:ツ ヾ;::: ; ノ ヾ:;;:::::::ゝ'" ヾXXXXX |
…もう、語るのすら辛くなってきた…。
今、思えばどうして脱いだのか全く持って自分でも解らない…いくらソフィア達より先行していたとは言え…俺が俺じゃないような…俺って誰だ…。
テンションが上がるのって怖いな…これが俺のスーパーハイテンション?それとも更に高みがあるのか。
そのままの姿で連行された俺は周りから大分冷たい眼で見られたが、何故か興奮してる自分が居たりして余計に涅槃に赴きたくなる。
女王の前まで引き立てられた俺達に、主な罪状はロザリオの強奪だと言い渡される。(下着は別に盗もうとした訳では無い、というのが認められた。何故?)
無くなったらしいロザリオについて、こっちは知らんから濡れ衣である。
その旨を訴えると女王は、信用するから犯人を捕まえて見せろとか言い出した。
これだからヒステリックな女は嫌いなんですよー。
濡れ衣だと言うなら自分達の無罪を証明してみせろってその理屈なんかおかしくねー?その前に証拠がねーだろう証拠が!
そんな真っ当な反論も、この姿では形を成す訳が無い。変態って辛いね…。というか俺自身が証拠になりかねんよな…。
現在の俺は、人質というわけである。全員で捕まえに行ったら、そのまま逃げちゃうしね。
人質を選択する時に、微妙な牽制の仕合があったのだが、俺に決まった時のトルネコの顔が忘れられない。
諦観から意外、そして歓喜へと変わる一連の変化…。
俺の悲しい慟哭が地下に響く。
なんだか虚しくなってきたので、この機会に本でも読む事にしよう。
十分な灯りがあるとは言えないが仕方があるまい。
ソフィア達が冤罪を晴らしてくれるまでの我慢だ。
この本は、例のエドガン秘密研究所にあったものを拝借した手記のようなものである。
とりあえず、最も気になっていた『進化の秘法』について、何か解らないかとぱらぱらめくっていく。
あったあった…。
『進化の秘法が及ぼす変質についての考察。
勿論、ここでは具体的な内容などは言及しない。
あれは封印すべき邪悪なる法であるからだ。
見つけてしまった私の責任において破棄するとして、此処では、何故進化の秘法が邪悪なそれかという簡単なメモを残しておく。
いずれまとめて後の世の警鐘としたい…が、それすらも残さない方が良いのかもしれない。
そういった存在があるという事を知ってしまえば、好奇心を強くもつ人と言う種族にとって不幸な知識になってしまうかもしれないからだ。
結局私自身の手で燃やす事になり、徒労となるかもしれないが、それはそれで良いだろう。
だがこの手記が存在している間は、記しておかなければならない事がある。
この法は、唯、単純に力が手に入ると言った類のものでは無いという事を。
進化の秘法の使用に際し、起こる現象として最も注目されるのが肉体的変質である。
見た目にも解りやすく、外部への影響も大きい。
これは別の項でまとめるとして、此処では私が最も懸念する現象を記述したい。
それは、精神的変質である。
肉体的な変質は進化の秘法の進行具合や資質にも依るのだが、元に戻れるケースがある。
だが、精神的変質が元に戻る事は――奇跡などが起こらぬ限りありえ無い。
まず、欲、そして強い感情などが増幅される。
肥大化した欲を満たす為、肉体の変質が始まるが、元の身体を維持する事は当然ながらできない。
優先順位が変わるのだ。…こんなものに手を出すとするなら、その程度の事は覚悟の上で望むものかもしれないが…。
力は強くなり、炎や吹雪を操る化け物となる。だが、それでも欲は決して満たされない。
満たされた時こそ、進化の終るときだからだ。
延々と無間地獄のように続く進化の中で、止められない欲を満たす為あらゆる倫理観が崩壊し、己の法でのみ活動するようになる事が、
この進化の秘法の邪悪さの根源と言えるだろう。
錬金術において進化とは――』
あれ?ここで切れてる…うーん、まあ、なんだろう。
あんまり解ったことってないな。
それも仕方が無いか。エドガン自身の為のメモのようだし、バリバリ解るものが残っていたらそれはそれで問題だろうしな。
進化の秘法の困るところっていうのが、倫理観の崩壊であるって事なんだろうけど…。
欲、欲か。
食欲、性欲、睡眠欲…。それ以外にも、何かしらの欲というものを人…いや、意思、意識あるものは持っている。
同時に大なり小なり我慢して生きていく。そうしなければ、社会は成り立たないだろう。
…進化の秘法を使うと、その欲が我慢できない位に増幅されてしまう。『手段』による『目的』の変質…。
『目的』に達するための『手段』なのに、永遠に『目的』が達成される事が無くなる『手段』でもある…。
それは殆どの目的にとって、相応しい手段足りえない。
肉体的な力も強くなってるから、周りにとっては傍迷惑な事この上なくなってしまう、と。
「何を読んでるんですか?」
っぷぉあ!?
耳元に響いた声に、俺は驚いて跳ね上がる。
疚しい事は何も無いのだが、寝床の下に本を隠す。まるでエロ本を隠すかのように。
声の主はミネアだった。な、なんでこんなとこに居るんだ。確かガーデンブルク南の洞窟に盗賊を追いかけてるんじゃ…。
「ええ、少し思うところがありまして。人質になる事にしました。
普通に兵士の方に鍵を開けてもらって、入ってきたんですけど…何か集中して読んでいたようですね」
全く気付かなかった。
っつか、ミネアが人質やるなら俺はいなくても良いんじゃ…。
「そうでしょうけど、まあ良いじゃないですか」
…良いのか?いや、どうなんだろう…。
ちらりと羽織った外套の裾から太ももが覗く。
あ、あぁーーっ!?ミネアもレオタードじゃん!?
£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)!!!!!!!!!!ギャル文字使っちゃう位無理だよ!!
――こんな狭くて薄暗い所で、レオタード着た美人と二人きり――。
俺は慌てて煩悩を退散させる為の呪文を唱え始める。
(落ちつくんだ…『素数』を数えて落ちつくんだ…『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字…俺に勇気を与えてくれる。
2…3…5…7…11…13…17…19…)
「それにしても、私たちも長い付き合いになりましたね。
あのエンドールで出会ったのは、もうどの位昔になるでしょう」
少し不自然な話の振り方に少々戸惑いながらも、
俺もまたあの頃へと思いを馳せる。
そう――どの位になるのだろう。
一年?二年か?それ以上かもしれない。
「貴方は――少し、逞しくなりましたね」
そうだろうか?――そうかもしれない。
腕も足も大分太くなってしまっているし、肌も少し日焼けしている。
大地を歩き続けることで体力もついた。元々、体格はそこそこだったのでそれなりに見れるかもしれない。
顔以外は('A`)
「以前の貴方は、とても弱々しかったけれど。
そういえば、出会う前の貴方は何をしていたんですっけ」
……。
それは、その。まあ、旅とか。旅人だった訳で。
「ええ、そう仰られてましたね。
あの細腕で、この物騒な時に一人旅を」
……。
「私…。貴方を責めているのではありません。
ですが、少々納得できないのも事実なんです。疑念という程のものではありませんが、すっきりしたい。
覚えてますか?サントハイム城で、バルザックによって貴方が斃された時…」
ああ、と小さく頷いた。
頷きながらも、どうしたものかと頭を回転させていたが、妙案は浮かばない。
「擬似蘇生(ザオラル)という呪文は、体組織の再生の後、意志――魂とは少し違うのですがそれに近い――を引き戻す必要があります。
完全蘇生(ザオリク)との違いはそこにあるのですが…あちらはより、洗練された知識と現界力が必要になり、高度なんです。
…意志を引き戻すという行為の途中、術者は対象の精神に直接触れます。それで――まあ、その……色々と、視えるんです」
なんで顔を赤らめてるんだろう?
……おま、バカ、何視たんだ!?
「いいんです!何も視てません!いえ、視えたんですけどそういうのは見て無いんです!!
ですから、私が言いたいのは――貴方には、背景が何も視えなかったんです。勿論、全て視えしまうなどと言う事は無いのですが…。
貴方はまるで、ソフィアさんと出会った瞬間に、産まれたかのように……ソフィアさんや私たちと居る時が全てのようで……。
いえ、それも事実ではありません。…視えた事を信じ、伝えてきた私がこんな言い難い事は初めてです。
私自身が、信じ難い――あまりに荒唐無稽な。
笑わないでください。貴方に、私は――まるで、異世界を視たんです」
――――。
……そう、か。あの時の、あの視線は……そういう意味の……。
「貴方にとってはきっと荒唐無稽なんかじゃない、真実なのだと思います。
だけどあまりに突飛だから――誰にも話さなかったとしても、不思議ではない。
……今迄一緒に旅をしてきて、今更貴方を疑う事などありません。
ですから、貴方から聞きたいのです」
……それを聞いて、どうするんだ。
「どうもしません。望まれないのであれば他の人に話しもしません。
だけど、私は視てしまったから――。視てみぬ振りをしたくなかった。
…私では貴方と同じ世界を共有することは出来ないかもしれない。それでも、少しは耐性があるつもりです。
ずっと、お独りで居らしたのではないですか?心の内では」
ああ、そう、かも、しれ、ない。
ずっと、ずぅっと独りぼっちだったのだろうか。
思い出を共有する相手も、常識を共有する相手もいない。
知識を共有できる相手もいないし、目的を共有する相手もいなかった。
遥かな異世界で唯ひたすら日々の忙しさに眼を向けて、まるで現実を見なかった。
幸いなことに言葉は通じた。食うに困るという事も余り無かった。出会いが良かったと言えるだろう。
それを良い事に――考えてこなかった。考えずに済まさなければ、足が止まってしまいそうだったから。
ふとした瞬間に脳裏を掠める度に、それっぽい理屈をつけて隅へ、奥へと押し込めて。
それを――他人に指摘されただけで、こうも簡単に揺らいでしまうものなのか。
「私は、貴方の力になりたい。
貴方は、私達を助けてくれたから」
だが――それでも。やはり、遥かに遠いのだ。この地で眼が覚めたあの瞬間は。
「……大丈夫だよ、ミネアさん」
かりかりと鼻の頭を掻きながら、そう答えた。
俺は彼女から少し視線を外す。
「俺は…確かに、見た事も聞いた事も無い世界に突然放り出されてしまったけど…。
だけどやっぱり独りじゃなかった。ソフィアが居てくれたし、すぐにあんた達にも出会えた。
それに、今はほら、竜の神さまとやらに会えれば何とかなるかもって気もしてるし。
……けど、もし戻れないって言われた時は……」
その時は、また、泣いてしまうかもしれないとそう思う。
だから、続く彼女の言葉は、俺にとって本当にありがたく、最も聞きたい言葉だったかもしれない。
「……そうですか。解りました。その時は、思い詰めずどうかお話してください。
――ええ、これでいよいよ私達は空の城へと赴かなければなりませんね。
導かれし者達だけではなく、貴方も一緒に」
細い指を折り畳み、くっと拳を握る。
そうして、ふんわりとした笑みをこちらに向けるのだった。
その慈愛に満ちた表情を見ていると、鼻の奥がつんとしてくるのを感じて、俺は必死に堪えた。
数日して、ソフィアたちが戻って来る前に一足速く、彼女達が無事、盗賊を捕えたと言う報告が入った。
それまでは牢屋で治療呪文について集中講義を受けていたのだが、掌を返したかのように賓客として遇される事となり戸惑う。
玉座の前で再会した俺たちは、お互いの無事を喜び合った。
その時に気付いたのだが、俺は牢屋に居る間ソフィア達が戻って来ないのでは無いかとまるで考えなかった。
ミネアが居たのも理由の一つなのだろうが――。バカだな、と自嘲する。だが、それは悪い気分では無い。
女王からは天空の盾がソフィアへと授けられる。
トルネコがしきりに感心しているのを見る限り、良い武具なのだろう。
これで、二つ目。天空の名を冠する武具が揃った事になる。
そして、女王は最後にこう告げた。
「此処から南、ロザリーヒルにはかつて魔族が住んでいたそうです。
何か解るかもしれません。行ってみると良いでしょう」
HP:78/78
MP:36/36
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上
通常:
乙!
やっぱりミネアたんはいいな(;´Д`)ハァハァ
しかし最初のギャグから転じてのシリアス
繋ぎ方がとてもうまいとおもう
すごいよ、尊敬しちゃう
>>540キャラをバランスよく出すところが良いね〜
をををを…感動した!!
こんなに物語に引きずり込まれる事あまりないからホント凄い…!!
しかし言い回しが上手いなぁ…
ああ、でも、次はロザリーヒルか…ピサロナイト…(ボソ)
怖いけど、楽しみだ…!!
おもろいよ
うん
トルネコとのコンビもいい味出してるな
ネタ交じりな言動にある意味親近感を感じてしまう駄目俺w
ほんと、ドラクエでありながらオリジナルである事に心から尊敬する。
それぞれのキャラとの関わりもあって、なんか嬉しいよなぁ………。なんか。
初めの頃に比べてちょっとはかっこよくなったよな、主人公。頑張れ!
ギャル語読めねぇw
俺は
>>530を見た瞬間に「あ、今回はトルネコの目線なんだなw」って思ったら違ってたw
普通はあの場面だとトルネコが牢屋逝きだからてっきりw
牢屋での会話はかなり(・∀・)イイ!!すね
ギャル文字解読サイトまで行ってしまったよ(w
£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ)£ヽレ) → むりむりむりむり
551 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/10(火) 19:18:24 ID:wUB1uo82
あげ
「――お主の思考はどうも凝り固まっておる所がある。発想を転換させてみる事じゃ。
剣が炎を出す訳が無い。そうではなく、炎を出す、出せる剣がある。それは何故かと考えていく事が大事なのじゃよ。
そうでなくば、新たな発見はなくなってしまうからのぅ――ほれ、聞いておるか!?」
「ブライせんせ〜い。アリーナが寝てま〜す」
「人の事はよろしい!それに姫には最初から期待しておらん」
教育係りが匙を投げてる!?あんまりな物言いだが、彼女は講義中常に眠っているのだからそれも仕方が無いか。
俺がいなければ、無理矢理にでも起こすんだろうが…。
アリーナが寝る度に起こしてたんじゃまるで進まないから、妥協してるんだろう。
「もう少し詳しく説明したいのじゃが、やはり良い教材が手元に無いのが痛いのぅ。
破邪の剣や炎の爪などと言ったものは、少々勝手が違うからの――」
卓の上に置かれた破邪の剣をしげしげと見た後、ブライは小さく溜め息をついた。
特殊な効果のある武具を中心とした講義であったのだが、良い範例が無いようで難航している――。
どすん、と何かにぶつかる音がした気がした。
…まさか座礁したんじゃないだろうな?
俺は一度ブライと示し合わせて様子を見に行く事にする。
アリーナは全く起きる気配を見せないので放置だ。
甲板に上がるとマーニャを除く全員が既に集まっていた。
あいつもどうせ寝てるんだろう。
早速、何かあったのかとクリフトに訊ねてみる。
「それが…どうも、この先に洞窟があるようなんですよ。
小船でしか入れなさそうなのですが…」
「…この先には魔物の気配がします。
ですが、奥に何か…大切なものがあるようです」
なるほど。ミネアの占いか。
こうなってくると、やはり探索するしかないのだろうな。
流石に慣れてくるよね!
「アリーナ姫はもう、お休みで?なら、私が前衛を務めましょう」
「講義が途中ですからな。中で続けますぞ」
ライアンとブライがそれぞれ志願した。
…ん?中で講義するって、俺に向けてっすかね?俺も確定っすか?
当然ながらソフィアも赴くとして、後一人はクリフトかミネアと言った所だろうか。
「では、私が。ミネアさんとトルネコさんは、船をお願いします」
こうして、海側から入る比較的珍しい洞窟への探索が始まった。
慎重に小船を進ませる。櫂を操るのは俺とライアンだ。
前方に大きな――あれは、扉か?――が、見えてきた。
こういう場所にあるという事は、水門か何かなのかもしれないが。
クリフトが迷い無く、最後の鍵と呼ばれるガーデンブルグの女王から譲り受けた鍵を取り出す。
身を乗り出して鍵穴に差し込み、回すと、ずずず、という重い水音と共に扉が左右にスライドする。
…今、スライドしたぞ!?なんだ…此処は、人工的な洞窟なのか。
いやまあ、扉がある時点でそうかもしれないが、妙に凝った仕掛けだ…まあ、こういうのに遭遇するのも、少ない事ではないんだが…。
俺とライアンは再び、慎重に櫂を動かす。
小さな上陸地点に、降り階段を見つけたが、一応先に他の地点も探ってみる事にする。
何かお宝があるかもしれないしね。ああ、トルネコさんがいればそれもさくっと解るのに。
「――さて、今日の予定は座標融解現象についてじゃったな。
これを説明する前にこの空間について、学者たちの認識を説明しておかねばなりますまい。
この、我々の目の前にある空間。これには、極小の単位で『座標』と呼ばれる数値で表す事ができるという説があるのじゃ。
例えば、こう、手を翳す。この手が存在する空間――座標には、今、ワシの手が存在し、他には何も存在していない。
厳密には手の構成要素じゃがな」
――おいおい、爺さん、敵が出ないからってマジで講釈垂れ始めたぞ。
音が響いて寄ってきたらどうするんだよぅ。
俺は軽く慌ててクリフトに眼で助けを求めた。
(たーすけてーポッパーイ)
(何ですかポパイって。まあ…ブライ様も久しぶりに張り合いがあって嬉しいのでしょう。
どうかお付き合いしてあげてください)
あっさりと見放された。
老い先短い老人には優しくしても良いんだけどよー…それにしても、ちんぷんかんぷん過ぎるんだよ!
しかも脈絡がねえ!って、あー。そうか、これについては俺が訊いたんだっけ。
言葉自体はどっかで見たんだが、意味が解らなかったんだ。
「さて、手と手とこう合わせてみる。力を入れても、二つの手が重なる事は無いじゃろう?
これはつまり、一つの座標に別々のものが同時に存在する事は無いという一つの法則じゃ。強い力が込められれば手の方が先に壊れてしまう。
じゃが――時に、この法則は歪んでな」
ブライはいよいよ乗ってきたのか俺の方を放置して語り始めている。
座標。そういえば、MMOなんかでは自分の位置をXとYで表す機能がついていた気がする。
…とはいえ、あれは二次元――3Dのゲームでも大抵は空間を認識せずキャラの立っている位置を記録するのが精一杯だった筈だ。
ゲームじゃない、この広い世界で縦と横だけじゃなく高さまで細かく数値が振り分けられているという概念が理解できない。
ただ単に数字が小さいか大きいか、という問題でも無いと思うのだが…どうなのだろう。
いや、実際に数値が振られてる訳じゃないのか。学者たちの、考え方の一つという事かもしれない。
そんな事を考えながら相槌を打つ俺を見て、ブライはそこはかとなく満足そうに頷く。
なんだかんだ言って俺は真面目に考えてしまうから、それが気に入られてるのかもしれない。
「本来存在し得ないもの――全くの、同質の存在――そして、時にその強力な属性ゆえに――。
理由は様々あるものの、現実にはほぼ存在し得ぬレアケース。決して存在してはならぬ筈の同一存在」
ぴくっとソフィアの肩が震えた気がした。
「aという物と全く同じaが存在するとする。その二つが同座標に存在しようとしたらどうなるか。
まるで融け合ってしまうかのように、何の抵抗も無く重なってしまう。
aという物体の形を今まで三角形だと世界は認識しておったのに、急に角が4つできてしまう。それも、何の力も働いていないのに。
世界は歪みを嫌うと言われておる。故に、反発が起こるのじゃな。
簡単に言ってしまえば爆発じゃ。じゃが、この爆発は超新星のそれに匹敵するとすら言われる。――これは大袈裟じゃが。
兎に角、両者を離そうとする訳じゃ」
「なるほどねえ。…けど、お目にかかる機会って少ないんでしょ?」
「さて?それはどうかのぅ」
ブライがもったいぶるかのようにゆっくりと顎鬚を撫でる。
なんだそりゃ。さっき自分で言ってたのに。
「…これは比較的最近の話じゃ。
人の手で、真なるコピーを作り上げる術を編み出した者がおる、とな。事実なら、レアケースとも言えなくなるやもな。
そして、その術に深く関連するのが――錬金術という訳じゃ」
――錬金術。これも、か。
556 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/11(水) 01:44:59 ID:WMuqnQx+
晒しage
「まあ、この話の講義をしたのは――。
そうさな、お主に訊ねられたから、が八割。残りの二割は、その噂を思い出したからじゃよ」
満足したのか、語り終えた老人はまるで好々爺と言った風に笑った。
そうか、座標融解現象という言葉を見たのも確かエドガンの隠し部屋だった。
錬金術師の部屋に、錬金術に関する本があるというのも頷ける話である。
話の内容は全く頷けるものでは無かったがー。
それにしても、ブライの博学ぶりには恐れ入る。
伊達に長生きしていないと言った感じだ。智謀沸くが如しってか。
「――それにしても、キリが良い所で助かりましたな」
前方を見据えていたライアンが不意に声を発した。
俺はその時点で軽く嫌な予感がしていた。もう、ミネアの占い並に外れる気がしなくなっている。良い予感は外れるけど。
ドラゴンに乗った人影――水の上を走る巨大とかげ――まるで恐竜のような青い物体――。
「では、始めるとしましょうか」
ライアンの声と同時に、
すらりとソフィアが腰の剣を抜いた。
「……あの。今のって、敵一グループっちゅうか……数は全部で5匹だったよね」
「ええ、そうですね…っ!」
「なのに何で全滅しかかってるのよ!?」
俺は必死で覚えたての治療呪文をソフィアに施していた。
クリフトは俺の愚痴に返事をする余裕も無いようだ。彼は、一人でライアンとブライの傷を癒している。
ソフィアの身体がどんどん冷たくなっていく――俺は焦りながらも、治癒(ホイミ)から、上位治癒(ベホイミ)へと切り替える。
この洞窟の敵の強さは異常だと思った。
特に、あのドラゴンライダーがヤバイ。何で十把一絡げ的な魔物があんな速いんだ。しかも、一撃が重い。
はしりとかげは魔物全員の傷を、一瞬で治してしまうし。
俺はと言えば、竜が吐くブレスのせいで何もできずひたすら薬草を食って命を繋いでいた。
「ソフィア…ソフィア!しっかりしてくれよ!」
外傷は何とか消す事ができた。
ぺちぺちと少女の頬を軽く叩く。
腕の中で、僅かな身じろぎをした後、長い睫が震え、ゆっくりとまなこが開かれる。
安堵の余り思わず表情を崩した。
それを見たソフィアがくすっと笑う。よほどおかしな顔をしていたのだろう。
――少女が此処まで傷ついている間、俺は薬草を齧る事しかできなかった。
俺が死ねば、彼らにとって余計な負担になっただろう、というのは勿論ある。
だが――だからといって――。
自分の身だけは少なくとも守る。そういう、戦闘技術を手に入れる。それはつまり――こういう事を繰り返すだけじゃないか……!
「……これは、中々参りましたな」
ライアンがゆっくりと身体を起こした。
――もし前衛が彼でなく、アリーナだったなら恐らく持たなかったであろう。
誰一人斃れる事無く切り抜けられたのは、敵の真正面で踏ん張り続ける戦士の功績が多大だった。
治療を受けた老魔法使いが、腰をとんとんと叩きながら勇者に進言する。
「どうでしょうな。一度、引き返すというのも手かもしれませんぞ」
確かに、戦士の言うとおりだ。
慢心があったとは思いたくないが、それに近いものはあったかもしれない。
俺はソフィアの意志を確認する。
『ブライさん…遺跡脱出(リレミト)は大丈夫ですか?』
「…うむ。無論、可能じゃよ」
『では…先ほどの階段を降りましょう。その先の深さにもよりますが、いよいよとなった時は遺跡脱出で』
――そうだった。
この程度であっさりと引き返すような性格をしていないのだ、この娘は。
猪突猛進とまではいかぬものの、限りなくそれに近い――猛々しき魂を持っていると思う。
だからアリーナともあれだけ気が合う訳で。
あの姫君の場合全滅するまで退かない気がするがー。
「――御意。では、進むとしましょうか」
「仕方がないのぅ。ま、姫様よりは退き際を心得ておられるじゃろうからその点は安心じゃが。
クリフト。ワシ等も余力を惜しまず常に補助を展開して行くぞ」
「解りました、ブライ様」
導かれし者たちは、簡単に打ち合わせた後すぐに立ち上がる。
俺もまた、少し遅れる形にはなったが、それでも彼らの後に続いた。
階段を降りた先に、光苔が生えているのか薄ぼんやりとした広場が見える。
辺りに魔物の気配は無い。中央に静かに佇むのは――天空の盾に刻まれた文様と似た装飾の施された鎧だ。それに向かってソフィアが、一歩足を踏み出した――。
ギャオォォォォ!!
背後から響く雄叫びに縮み上がる俺。
うわわわわ、きたきたきたきたあああ!!
「勇者殿!ここは我らが食い止めます故、鎧を!」
ライアンが臆する事無く一行の殿に入り、怒鳴った。
俺は、戦士の背中を間近で目の当たりにする。――なんと、逞しく、雄々しくて、頼もしいのか。
同じ男である事に誇らしさを感じ、それと同時にこの境地にまで至れて居ない情けなさ、達したい憧れ。
様々な葛藤を胸に抱きながら、俺はライアンの隣に立った。
半歩下がった位置に居るのは、身の程というものだ。まだ――並び立つ事はできない。ライアンにも、アリーナにも、ソフィアにも。
だけど、やはり俺はあの時強くなりたいと思ったから。ホフマンは、きっと強くなれると言ってくれたから。
「ソフィア!行ってくれ!」
俺の声に意を決したか、少女の駆けて行く音が聞こえてきた。
クリフトが、ライアンを挟んで俺と対照の位置に立つ。
ブライとクリフトの呪文の詠唱を聞きながら、俺もまた物理障壁(スカラ)と攻勢力向上(バイキルト)の魔法を己に施す。
この二つをかけた状態でも、素のライアンに敵わないのだから泣けてくる話ではあるが。
少女を先に行かせ、魔物の群れに立ち塞がる。おおおなんか無駄に燃えてきたぁぁぁ!
「そうでしょうそうでしょう。これが、醍醐味というものでしてな」
にやりと笑うライアン。
ブライがくつくつと低く笑い、クリフトもまた緊張に強張っていた身体を解す。
この場を俺がただ、切り抜けようと思うなら、戦闘は彼らに任せて先ほどのように薬草を食んでいれば良い。
だけど、それは余りに悔しいから…!
「ライアンさん――俺、やっぱ、突きを教えて欲しい。
俺は――これから、どうなるか解らないけれど、皆と一緒に居る時は、誰に言われるでもなく戦わなきゃならないと思うし、戦いたいと思う。
あんたたちにばっか、苦労させたくないもんな!」
「――良いでしょう。厳しくいきますからな。此処を切り抜けたら覚悟しておくのですぞ!」
戦士が一歩踏み出す。
その圧倒的な圧力で地がへこみ、突き出された斧は巨大な原住民の面のような魔物を叩き割った。
勇者には、なれない。
あの大灯台からこれまでの道のりで、ソフィアとの力の差は埋まる所か開きっ放しだったから。
勇者と呼ばれる存在に、ある種の疑念を抱いてしまったから。
覚悟はしていた。俺みたいなのが、勇者と呼ばれる者と同じ位強くはなれないだろう、と。
それは諦めに近い感情。だが――今、再び俺は目的を掴み取った。
クリフトとの会話に、ミネアの慈愛に、ライアンの背中に、そして駆けて行くソフィアの気配に、あるべき俺の姿を視る。
「俺は――俺は、ソフィアの、剣になりたい。決めた。今、決めた!!」
破邪の剣を水平に振るう。
接敵した水竜の返り血が、俺の頬を染め上げた。
「全く…青いのぅ。じゃが、若いとは良い事じゃな」
ブライがやれやれと嘆息しながら、遺跡脱出(リレミト)の準備に入った。
HP:63/88
MP:21/42
Eはじゃの剣 Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
はい
いいえ
>おつ
オシ!!
566 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/11(水) 12:55:13 ID:tYoEz17R
批評スレが落ちたか。
いいことだ。
…何で「いいこと」なんだ?
別に、ここの作品が批判されてた訳でもないのに
568 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/11(水) 15:33:33 ID:Lktl+7sI
乙!
主人公が段々と格好よくなっていく気配がするよう。集中講義も役に立ったようで何よりだな。
役割とか、関係とか、透けて見えるのがいいね!
なんか強烈に伏線張られた気がする………(悶々)w
乙!
小説の更新、楽しみな自分がいてなんか毎回ドキドキさせられて良いなホント
キャラも偏りが無いし、皆魅力的に書かれてて、何より主人公が身近に感じるのがイイ(・∀・)!!
あー確かになんか伏線ぽいのがあった感じがしてまさかなー…って今思ってるw
なんにせよ続きが楽しみだ…!!
とりあえず学校さぼります
何もかも捨てて俺も冒険の世界に旅立ちてぇなw
575 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/11(水) 23:18:41 ID:uTbiaG+G
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577 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/12(木) 00:48:25 ID:4QdWqNwl
晒しage
ガーデンブルクの南、アネイルの東。
大河を挟んだその先に、一つの大陸がある。
手強い魔物が住み着いていた。地理的に人の侵攻し難い難所でもあった。
様々な要素と諸々な理由が噛み合い、その大陸は人の殆ど住まない土地となっていた。
この大陸の川沿いに、ホビット達が作った一つの集落が存在した。
彼等は日々を穏やかに、まるで時が止まっているかのように過ごしていたが、
とある日に来訪した二人の男女が、彼らの生活に色と、華やかさを与える事となる。
それはホビット達が望んでいたもの、という訳でも無かったのだが、彼等は二人を歓迎した。
一人は、魔族の青年。
もう一人は、エルフの少女。
集落の近くの丘に、朽ちかけた塔が立っていた。
それは、遥かな古代の技術が用いられ、造りに仕掛けが施されていた。
青年はそれに目を付け、少女の為にその塔を蘇らせた。
魔族の青年は冷たい瞳をしていた為に最初はとても恐れられた。
だが、エルフの少女は村人に分け隔てなく接し、とても優しくて、綺麗な声で詩を歌ってくれたので、
ホビット達はやがて少女の住む丘の塔の周りに新たに家を造り住み始めた。
青年が、少女と話す時にとても穏やかな顔をするのも、次第に伝わっていった。
やがて、ふらりと訪れた魔物や動物、そして人まで住み着くものが現れた。
ホビット達は余所者に平和が脅かされるのを恐れ、困惑した。
だが、移り住んできた者達は一様に、誇り高き魔族の青年の前では秩序を乱す事など到底できず、
美しきエルフの少女の前ではどんな者もまるで毒気を抜かれたかのようになってしまう。
それは、青年と少女、どちらが欠けても維持できないであろう一つの理想郷であった。
ホビット達と他所から移り住んだ者達は、この素晴らしい集落に改めて名を付ける事にした。
少女の住まう丘――ロザリーヒル。
「…むむむ!これは、中々…」
トルネコが唸り声を上げる。
彼は一本の大剣をあらゆる角度から検分しようと大きな身体を左右に揺らしていた。
「これは、私にも解りますな。良い剣です」
ふむう。トルネコとライアンが言うからには、かなりの物なのだろう。
俺?いやいや、そう言われれば良い物のような気はするけど、はっきりは解らない。
「此処でしっかりと準備をすれば、きっとこれからの戦いの役に立ちますよ」
にこにこと笑いながらトルネコがそう言った。
願ったり叶ったりだ。実力不足を武器のせいにするつもりは毛頭無いが、
不足しているからこそ、武器で補う事もまた必要だろう。
「…ほう。それは、ひょっとするとドラゴンキラーでは無いか?」
珍しく、ブライが武器に興味を示した。
店主の老人(この店主は、他にも道具屋、防具屋、神父の真似事までするマルチな爺さんだ。一々口調まで変えるこだわりっぷりである)が、軽く頷く。
俺は、その大剣がどうしたのか訊ねてみる。
「うむ、これこそ特殊な武装として最も顕著な例と言える。
…見る限り、少し大きな普通の剣じゃろう?じゃが確かに、この剣を使えば竜族をより屠れる。
それは何故か?炎が出る訳でもなく、氷が出る訳でも無い。
もしかすると、別に竜に限らずその切れ味を発揮するやもしれぬ。唯、単純に強い剣かもしれぬじゃろう?」
ドラゴンキラー…竜にだけ特化した大剣。
だけどそれが本当に竜にのみ優れた剣なのか、それとも総合的に強い剣なのかを証明するのは難儀だ。
だが、それでも、この剣はやはり竜に特別な効果を発揮するとブライは言う。
それは使ってみれば『なんとなく』感じる事ができるかもしれない、らしいのだ。
眼に見えて強い、とまでなるかどうかは人に依る。
言い方を変えればその程度の武器でしかないのだが――これを侮るのは、少々考え物だなと思った。
「まあ、総合的に見てもこの店随一の物じゃなかろうかな?
のう、トルネコ殿?」
「ええ。仰るとおりだと思います。これを、ソフィアさんとライアンさんに…貴方は、どうします?」
「……けど、ちょっと、高いねえ」
俺はかりかりと頬を掻いた。
値札を見ると、他と桁が一つ違う。
次に高いまどろみの剣の、およそ二倍の値が張るのだ。恐ろしい話である。
「一端の剣士になるには、やはり武具も大事です。
選ばず済むのは、達人でなくば。…今までずっとお下がりを使っていたのですから、それで得られるモノは十二分に得たでしょう。
戦いへの意志も決まったようですし、此処は一つ扱って見てはどうですか?」
うーん…。
別に、ソフィアのお下がりが嫌だった訳では無いのだが、確かに…新品の剣、というものに、僅かながらも憧れが無いと言えば嘘になる。
ちらりとソフィアに視線を走らせた。
少女は何処と無く、寂しそうな眼をしている、気が、するうううう。
いやいやいやいや、それは俺の勝手な思い込みではないか。
ううーむ。別にソフィアから巣立つとかそういうんでも無いのだが。
――しかし、そう。俺が彼女の剣になるのだとしたら、財布の事情が苦しいとかならともかく、
俺の方から背中を向ける訳にはいかないと思う。
腰に新しい剣を帯びる。
なんだか異常なまでに気恥ずかしい。トルネコが、お似合いですよ、と言ってくれた。いい人だ。
ソフィアもまた、笑みを向けてくれる。俺はそれにほっと安堵の息を吐くのだった。
結局、ソフィアとライアンにもドラゴンキラーを。
後はクリフトとミネアにまほうの法衣、そしてライアンにドラゴンメイルが渡された。
魔法使いが扱うような武具は無かったのだが、マーニャが後でごねるかもしれない。
ちなみに、ソフィアの防具に関しては既に彼女は天空装備で身を固めている。
「あの…」
アリーナがトルネコに何かを手渡した。きらりと光る小さな物である。
「ふむ?これは…キラーピアスですか。
ですが、今のアリーナさんには炎の爪の方が恐らく良いですよ?」
「うん。私もそう思う。
…だけど、ね。ちょっと、色々戦い方について考えることがあって――これって、両手に装備する物でしょう?
もしかしたら――なんだけど」
余り歯切れが良くないアリーナというのも中々お目にかかれない。
確信は無いが、自信はある。そういった雰囲気だ。
しかし、どうしてこそこそしてるんだろう?
「だって、ブライにピアスが欲しいなんて聴こえたら何言われるか解らないじゃない」
…あの爺さんは喜ぶんじゃないかな?
お洒落に目覚めたとか、勘違いして。それとも、耳に穴開けるなんて持っての外!って感じなんだろうか?
お姫様ならその位ありなんじゃないかなあとも思うが。
「…解りました。では、これも購入しましょう」
トルネコが、まるで娘に相対するような表情を浮かべる。
アリーナがトルネコの出っ張ったお腹に抱きついた。全く。微笑ましい光景である。
…けどこれって、俺の世界じゃ下手したら援助交際とかそんな風に見られる可能性もあるよな。
なんだろうねえ。大人と子供ってのは、俺は目の前にある光景のような感じであるべきだと思うのだが。
大人が悪いのか、子供が悪いのか。それとも、何かが悪いと言うような問題でもないのか。
まあ、いいか。今は目の前の事を考えねばならないし。
「むううううううぅぅぅぅぅぅ……」
夕食の席にて。
マーニャさん、ご立腹である。
こういう場合、触らぬ神に祟りなしを決め込むのが常道なのだが、この時は新しい剣のせいで気が大きくなっていたか、つい触ってしまった。
「あの…マーニャさん…じゃなくて師匠(マスター)…一体どうしたん?」
途中、石化してしまいそうな凶悪なメンチを切られたので慌てて敬称にするヘタレ。
それが俺だ!
「…さっき、あんたたちと分かれてミネアと宿取ってた時。この村じゃ珍しく人がいたもんだから話しかけてみたのよ。
そうしたらそいつ、何て言ったと思う?
『オレはルビーの涙を流すというエルフを探してこの村にやってきた。
もし、そのエルフを見つけて捕まえる事ができたなら、きっと大金持ちになれるぞ!』
って、こうよ!?ほんと、あさましいにも程があるわ。同じ人間であることがイヤになってくるわよ…」
一気に捲くし立てられ、俺は飛んでくるご飯粒を避け、防ぐので手一杯である。
そんな事自慢げに話すヤツって頭大丈夫なんだろうか?――エルフを攫うって事に罪悪感なんて微塵も無いのかもしれない。
マーニャは特にその手のタイプの人間を嫌う傾向がある。
俺にしてみればカジノで豪遊するマーニャさんも軽く危ないのでは無いのかと思うのだが、
彼女の中では明確に線引きがされているらしく、エルフを捕まえると言うのは完全にアウトらしい。
まあ、俺も考えるまでも無くマーニャに同意だ。
「全く。けしからん輩がいるものですな」
ライアンが憤慨したように呟いた。
しかし――具体的にどうにかしよう、というのも中々難しい話である。
その男を見つけてボコにするのは可能なのだろうが…。
そいつをボコにした所で根本的な解決にはならないし、それにまだ何もしていない人間を痛めつけるってのも…。
とはいえ、放っておいたらエルフはどうなる?今の所お目にかかっていないが、本当にいるのだとしたら…。
…ん?エルフ?
「うむ?エルフとは、か?お主の言うとおり、白い肌に尖った耳が特徴の種族じゃな」
「ここは、ホビット族の村のようですからエルフは居ないでしょうね。
ホビット族は、言い方を変えると小人さんたちです。服が可愛いですよね」
ブライとミネアが説明してくれた。
ふむ、やはり、そうか――。
夜の帳が降りた後、俺は宿を出た。
どうもこの辺りは見覚えがある――ゆっくりと、丘を登っていく。
そこには、塔が立っていた。
――既視感(デジャヴュ)
そう、この場所は見た事がある気がする。あの塔から顔を覗かせるエルフの娘――。
訪れたのは間違いなく初めてだ。それなのに、どうして――。
……いつか見た、夢か?
あの時は確か、銀髪の男が何か笛のようなものを吹いていた筈だ。
常に背負っている荷物の山を降ろす。
笛なら何でも良いという訳でも無いだろうが、とりあえず試しに吹いてみようかと思ったのだ。
「なにしてるのー?」
ホワッツ!?
だから急に声をかけるなっつーの!この姫さんは俺を驚かして楽しんでるな!?
俺にだってそんな沢山引き出しないんだからさあ…。
「なんかね。皆、眼が冴えちゃってるみたいで。すぐに来るわよ。
私はクリフトと一緒に先に来てみたんだけど――まさか、貴方が先に居るとはね」
何故か悔しそうな姫君を放って置いて、
俺はクリフトに捜索を手伝ってもらうことにした。
「何を探せば良いのですか?笛、ですか。――ああ、これなんてどうでしょう?」
おお、凄い。ごちゃごちゃした荷物の中からクリフトが一発で取り出した笛は、少々奇妙な笛だった。
何が奇妙なのかと言われると答え難いのだが、管の部分が曲がってる時点でまともに音が出るものなんだろうか。
いつ手に入れたんだったかな?俺が拾ったもんじゃないから、ちょっと解らない。
やがて、ぞろぞろと導かれし者達が集う。
いい感じに挙動不審だ。夜だし。職質されたら一発でアウトだな。
「誰が吹きますか?」
クリフトが何気なく訊ねると、それはやはり奇妙な程に――自然な動作で、ソフィアが笛を手にした。
それは元から少女が吹く事を定められていたかのように。
「…あやかしの笛ですか」
トルネコの小さな声は、すぐに響きだした音に掻き消された。
物悲しい――落ち着かない、余り心地良い旋律とは言えない、音色。
何処と無く、不気味さすら感じさせる――。
ガコン。
足元の地面がへこんだ。
こ、今度はなによ!?――あ!そういえば、夢でもなんか地面に沈んでってた!
――そうか、しまった、ボッシュートか…!
⌒ ⌒ ⌒
_⌒ ⌒ ⌒__
/:::::Λ_Λ:::::::::::::::/
/::::::(∩;´Д`)∩ :::::/
/:::::::( >>俺 /::::/ チャラッチャラッチャーン
俺のスーパーヒトシ君がぁぁぁぁぁぁ!!!
と、一人緊張感の無い事を考えている間に、柵の無いエレベーターみたいなものが終点についたようだ。
「…とりあえず、進んでみる?」
「うん!行こう!」
587 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/12(木) 02:35:45 ID:WimkDXLD
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マーニャに対しアリーナが元気に答え、歩み始める。
うちの女たちは非常に積極的なので、男たちはそれに唯々諾々と従うのみだ。いや、そんな事も無いけど。
通路を進むと、やがて登り階段が見えてきた。なるほど、塔だからな。登っていくわけね。
…ここにもエレベーターつけてくれよ…。
空気の読めない建築家を非難してから一歩ずつ階段を登る。
登りきった先に、また出現する階段。どれだけ登れって言うんだ…。
もう帰りたくなってきていたのだが、泣き言を言う訳にも行かず必死で喰らいついていく。
…おお、目の前に大きな扉が現れた。やった、なんとかてっぺんにこれたようだ。
アリーナとマーニャが一度視線を合わせた後、ゆっくりと扉を押し開く。
通路が伸びていた。
その先には、もう一枚の扉。構造から推測するに何かしらの部屋があるのだろうか。
そして――。
「――まさか、此処に入り込める者がいるとはな。……しかも、よりにもよって人間か」
煩わしそうに、不愉快そうに。
苛立だしげに響く男の声。
邪悪な鎧兜に身を包んだ黒い騎士が、最後の扉を守護するかのように立ちはだかっていた。
HP:88/88
MP:42/42
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
>>◆gYINaOL2aE 言うまでもないけどGJ!
乙かれ!!
更新早くて感動する!
そして何回も言っているがやはり描写が素晴らしい…!!
いよいよピサロナイトが出て来てドキドキだ…どうなるのか分からなくてちと怖いが楽しみだ!
乙
予想ではソ…が複線か?
それにしても他書いてないな…3書いてた人面白くなりそうで期待してたんだが…退院したのか?
◆gYINaOL2aEさん、グッジョブっす。
毎日楽しく読ませてもらってます。
DQ4はファミコン版しかやってないからPS版がめっさ欲しくなってきたですよ。
おれも3好きだったんだが…
このままだと4の人が終わったら一気に過疎るな
今のも面白いけど最初の頃のノリで書く奴いないかな。
いかにもゲームの世界にリアル人間を無理矢理ねじ込んだような
ちぐはぐ感が妙に生々しくて、何となくSFっぽい感じが好きだった。
とりあえず今おかれた状況を確認しようと頭を抱える。
最後にした行動は……あぁ、そうだ。授業中に居眠りをした。
ならば居眠りをする前は?
制服は暑いとか、男子の学ランは大変だよなとか、そんな事を考えていた気がする。
今となってはどうでもいい。問題は何故自分が今こんなおかしな所にいるか、だ。
―――せめて財布をもっときゃよかった。帰りに定期買うから1万以上入ってるのに…。
どうでもいい考えが頭を廻る。こんな時でまでお金の心配をする自分の貧乏性が腹立たしい。
いや、そんな場合じゃない。とにかく今をどうするか。
私は辺りを見渡した。先程と変わらない光景が目に映る。
カウンターに立ち身動きしない親父。
動物園の熊のごとく同じ場所を行ききしてるおばさん。
どちらも気味の悪いほど笑顔を浮かべている。何がそんなに可笑しいのだ。
窓から外を見れば、元々人通りの少ない通りなのか、それとも人口が少ないのか、あまり人影は見えない。
ただ、入り込む日差しからは今が朝なのだということは分かる。
重い口を開き、恐る恐る親父に話しかける。
「あの…」
「お泊りですか?それとも夜まで休まれま…」
「失礼しました」
私だって馬鹿じゃない。このやり取りは既に16回も行われたのだ。
親父の言葉はそれ以後も続いたようだったが私は構わず宿を出た。
開放的な青空。澄んだ空気。やたらと派手な色使いな気もするが、すぐに慣れるだろう。
―ーとりあえずの目標は、生きる。どんな状況に陥ろうとも。
固く心に誓い、私は新しい世界の新しい一歩を踏み出した。
私の長所は、どんなに絶望的な状況に置かれても、決して諦めない事だ、と思う。
◆gYINaOL2aEさん
導かれし者達が米食だったことが今回一番の衝撃ですたw
作者いるんなら挙手汁
>>◆gYINaOL2aE氏
乙です!さあ、一つの山場、期待の伏線、楽しみにしてますよ!
きっとアレも伏線なんだろうなと予想を膨らませているのが一番楽しいw
他の作者の人も気兼ねなく上がって欲しいよね………。
結構楽しみにしてたのもあるし、遠慮なく上げてくれて構わないのに。
>>598 書きたい。ネタはある。時間はないw
だいぶ前に書いて放置してたのを
この前消したところだ……
誰か目が覚めたらエスタークだった、っての書いて
結構作者たち居るね
居るんならうp汁!
ノシ
ある朝目覚めると、僕はエスタークになっていた。
幸いにも自分の家ではなく暗い洞窟の玉座のような場所だったので、
家族に説明する手間は省けた。
いや、それ以前にこの体では僕の部屋に収まりきらないような気がする。
色々考えた結果、物事というものは実に上手く出来ていて、
一番面倒のない状況を勝手に作ってくれるのだと気付いた。
きっとこの4本しか指の無い巨大な手では、剣は持てても箸は使えまい。
はてさて、それにしても何故こんな面妖な事になってしまったのだろう。
僕が考えるに、原因は寝る前にエミュレーターでドラゴンクエスト4をプレイしたからだと思う。
エミュレーターだったのが不味かったのだ。
大人しく中古のプレステ版を買うべきだった、と悔やんでも後の祭りである。
しかしそれにしても静かだ。
物音は何もしない。
玉座のような場所にいるが、側近らしき物は存在しない。
せっかく強大な魔王になったのだから楽しまなければ損だ。
とりあえず僕は、
・手近な町を襲撃
・天空の城の神と戦う
・勇者側に寝返る
・エンドールのカジノで遊ぶ
という四つのプランを立ててそれぞれを検証してみる事にした。
まずここから一番近い町といえばアッテムトだが、ここはもう既に廃墟となってしまっている。残念だ。
そうすると、キングレオ城、ハバリア、コーミズ、モンバーバラが次の選択肢となるが、
キングレオ城はもう既に悪行の限りが尽くされている場所なので却下する。
要するに魔王の威厳をこれでもかと見せ付けて、人々を蹂躙しなければならないのだ。
ここまで考えて、このプランを実行するには勇者一行の動きが掴めないと危険だという事に気付いた。
たまたま行った先の街に勇者が居て、倒されてしまったらおもしろくない。
勇者側のレベルが低ければいいが、今まさにエスタークを滅ぼさんという気勢の時に出会って、
まさに飛んで火に入る夏の虫、などという状況は御免被りたいのである。
では魔物を集結させて天空に住んでいる竜神と一大戦争を始めてみようか。
しかし残念な事にここからどうやって天空まで行ったものかとんと検討が付かない。
勇者達と同じ道程を辿るのはいささか面倒だし、そもそも僕は天空装備を何も持っていない。
いや、持っていたら行けるのか、という疑問は捨て置く事にする。
この案の中では勇者側に寝返るという案が一番実現的な気がしてきた。
だが勇者といえば正義の味方である。
魔王になってまで「アリーナたん萌え萌え」と言って亜麻色の髪が揺れるのを眺め、
「マーニャたんエロすぎ」と言って躍動する胸を眺めて指を咥えていだけというのは余りにも空しい。
百歩譲ってメンバーが女勇者、アリーナ、マーニャ、ミネアの四人だけならいいが、
爺とむさ苦しい戦士、始終食事をしないと生きていけない商人、即死魔法を多用する神官のオプションが邪魔すぎる。
これで勇者が男だったら僕は悶絶してしまうだろう。
ではエンドールでカジノでもと思った所で、ずたぼろになったアンクルホーンがやってきた。
「エスターク様、勇者が、勇者が・・・」
冗談じゃない。
まだ僕は何もやってないではないか。
こんな陰気臭い洞窟の中一人妄想に耽っていただけで殺されてたまるか。
「後は任せた」
「は?」
「いやだから後は任せた」
「いえ・・・ここの守護隊はもう壊滅寸前であります・・・」
「ならなおさら逃げないと」
「お言葉ですがエスターク様ならば勇者など一捻りに」
「無理無理。奴等いざとなったら会心の一撃しか出なくなるとか出来るし」
「はあ・・・」
「デスピサロとか八回なのに何でエスタークだと四回なのかなあ・・・。不公平だよね・・・」
「何の事かサッパリわかりませんが・・・」
「まあいいや。それじゃがんばって」
そう言い残して僕は転位魔法を試みて見る事にした。
エスタークはゲームでは魔法を使っていなかったが、そこは魔王である。
きっと魔法を使わなかっただけで使えないのではないと自分に言い聞かせる。
精神を集中させ、僕は瞬間移動する姿を想像する。
イメージが重なった所で僕の体が宙に浮き、猛スピードで飛び上がった。
「エスタークさまあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」というアンクルホーンの絶望的な悲鳴が聞こえたが、
そこはそれ、さっくりと無視を決め込む。
嗚呼こんにちは自由の日々。さようなら魔王であった自分。
気が付くと僕は洞窟の床で目を覚ました。
あれ、バニーガールは?
と目を白黒させていると、バニーガールの代わりに四人の男が突っ立っていた。
「エスターク、覚悟しろ」
緑髪の少年が叫ぶ。男勇者だった。
何とか起き上がって勇者一行に目をやると、勇者を囲むようにライアン・ブライ・クリフトが戦闘態勢に入っていた。
つい先程、僕が想像した最悪のパーティだった。
そう、洞窟内でルーラを使っても頭をぶつけてしまうだけだったのだ。
今日はじめてこのスレに来て全レス一気に読んでしまった
こんな良スレを今まで知らなかったのが悔しいのと同時に
出会えたのがまだスレが生きてる今で本当によかった
特にWの人の、たぶんとんでもない山場に間に合ったことに感謝
職人の皆さんこれからも頑張ってください
僕はルーラではなくリレミトを使うべきだったのだ。
二回目の失敗だった。
しかもかなり致命的な失敗だった。
しかしそれにしてもこの勇者はセンスの欠片もない。
勇者・アリーナ・マーニャ・ミネアでも戦力的には同じではないか。
よりにもよって男四人で攻めてきやがって。
せめてマーニャたんのメラゾーマで消し炭になりたかった。
でもドラゴラムだけは勘弁な!
ふと見ると「うおおおおおお」と雄叫びを上げて勇者が剣を振るう。
切れ味の鋭いその剣先が僕の腹部を鎧ごと切り裂いた。
血液というよりは体液と言った感じの液体が飛沫を上げて飛び散った。
痛い。物凄く痛い。
畜生、奴等僕が気絶してる間に四回ほど逃げる振りしやがったんだな。
ライアンが巨大な斧を振りかざして飛び上がったのを見て、僕は思わず左腕でブロックする。
ガシン、と鈍い音を立てたが、今度は多少痺れた感じはする物の、痛くは無い。
流石に防御さえすれば凌げるか、と思って左腕を見る。
僕の腕は肘から先が切り落とされ、地面に転がっていた。
痛くなかったのではなく、痛覚を司る神経が麻痺しただけだった。
考える暇もなく、無数の鋭利な氷が頭上から降り注ぐ。
ブライのマヒャドだ。
体液が目に入ったのか、右目が見えなくなったので肩口で拭うと、脳に鈍痛が走った。
一片の氷が僕の眼球を貫いていた。
会心の一撃を連発する勇者パーティに勝てる気がしなかった。
僕は堀井雄二を呪った。
いや、別に彼がこの裏技を作ったのかどうかは知らないが。
自分が勇者になりきっていた時は憎かった敵にも、色々複雑な事情があったのだなあ。
と、僕はもう既に諦めモードに入ってしまった。
そんな中で一人ザラキを唱える神官の姿が非常に微笑ましかった。
ごめんよクリフト、もしもう一度このゲームをプレイする事が出来るのなら何があろうとクリフトをレギュラーにするよ。
メガザルも使わずにタロットで即死するアホなんか使わないから。
クリフトが今度はザキの詠唱を始めた時、
勇者の剣が僕の心臓を貫いた。
噴水のように噴き出した体液を見ながら、何でこんな事になってしまったのだろうかと考えた。
そりゃあ最初は悪行三昧で脳汁垂れ流そうかとも思ったさ。
でも結局の所僕は魔王の姿でカジノへ行こうとしただけなんだ。
魔王の姿でさり気なくスロットマシーンに興じてみたかっただけなんだ。
生でバニーガールのコスチュームを堪能したかっただけなんだ。
838861枚のコインを4Gで買いたかっただk
ワロス
エスターク乙w
リクあった後の仕事の速さに感動。いや、リクした本人作か?どっちにしろGJ
そして言うまでもなくWの人GJ!続き気になってしょうがない。いつのまに治癒使える程成長したんだろ。いつか現実へ帰るのか、もしかしたら骨を埋めるのか…ラストまで楽しみだ
書く気ないなら書庫から消そうぜ
エスタークせつねぇw
使えればリレミト→モシャスで遊びたい放題だったのに………。
>>613 多分牢の中の集中講義の成果。多分。
617 :
603:2005/05/13(金) 19:41:45 ID:ED7JpX9d
◆Wj/kq68872氏GJ!!
まさか本当に書いてくれるとは、アンタいい人だ
続き物もいいけど
数レスで完結する短編のほうが面白いなあ
俺は続き物が好きだ
続き物書いてる職人様には最後まで頑張って欲しい
エスタークよかったよ!早いのに芸が細かいな。
どことなく後ろ向きな感じが好き
621 :
1:2005/05/13(金) 23:37:46 ID:9OeFSj5u
>>618 俺もそっち派…というかこんな壮大なストーリーで続いていくとは思ってなかった。
単発レスで終わると思ってたから・・・
2スレ目行くようなら
>>990の人が立ててください。いやまぁ誰でもいいんだけど…
あんま壮大すぎると作者のオナニー度が高くなるんだよね。
オナーニでもショーとして完成されてればそういう作品として金が取れるよ
そんな完成度の高いオナーニショーなら見たい人は少なくない
世の中には見たくないオナニーと見て楽しいオナニーがあるからなあ。
どんなのが見たいかは人それぞれだよね。
普段は隠れてこっそりやるもんだが、皆がおおっぴらにやってると
自分の恥ずかしいところも誰かに見せたくなってくることであるなあ。
見て楽しいオナニーとはこれいかに
つまり男のオナニーか女のオナニーか、ってことだな
ここはオナテク板ですか?
起きたらドラクエの宿屋だった
しかもジャハンナ
暗い。恐い。寒い
外に出た
キラーマシンに斬首された
その瞬間教会に居た
早く勇者達が来ないかな
聖水持って外に出た
バズズに食われた
その瞬間教会に居た
そういえばカンダタ子分は人間じゃないか
話が分かるだろう
町を大回りしてみる
ゴールはもう少しだ
急に暗転した
どうやら間違って外に出たらしい
ああ、今度はグレイトドラゴンだ
オナニーもののAVはある
エロゲーにもオナニーシーンがある
可愛い子のオナニーは見たい
見るだけじゃなくて突っ込みたい
>>629 つまりシリアスなだけじゃなく
適度なボケも絡ませろ、って事か。
朝起きたらどこかの洞窟にいた。なんだか体がおかしい。
よく見ると何か動物のような体になっていた。2足歩行が出来ない。
多分夢だろう。俺は周りを見まわした。
後には剣があった。「パパスのもの」と書いてある。
ヒマだから散歩をすることにした。適当に歩いていると洞窟の外に出た。
さらに歩くと小さな村があった。村に近づくと突然夜になった。変な村だ。
村には畑があった。朝飯がまだだったので少し頂くことにした。
…まずい。そういえば俺は野菜は嫌いだった。
しかし他に食べれそうな物は無かったので我慢することにした。
しばらく食べていると、人がやってきた。俺は本能的に逃げ出した。
行く場所は無かったのでさっきの洞窟に戻った。
夢なのになんだか疲れたのでそろそろ目を覚まそうと思った。
しかしどうやっても起きれない。何でだ?
考えるのがめんどくさいし、何故か眠くなってきたので寝ることにした。
夢の中で寝るってのも変な話しだな。
だけどきっと次に目が覚めた時はあったかいベッドの中だろう。
そんなことを考えながら俺は眠りについた。
自分の物にきちんと名前書いてるパパス萌え
633 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 11:33:33 ID:GqP9DYYQ
連載作の続編マダー?
634 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 12:15:17 ID:LJiUj0/6
635 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 12:50:42 ID:L0SyCGlk
最初の人とエスタークの人は一緒だと思う!
すげー独特の世界観があって好き、7、8以外やったことないけどそのシーンがありありと想像できる!
また読みたいと思った。
ついさっき目が覚めた俺が最初にしたことは、自分の目を疑うことだった。
昨夜はいつもどおり自分のベッドで寝たはずだったのだが、目が覚めたときには見たことのないベッドの上にいたからだ。
ワンルームマンションで2階などないはずなのになぜか存在する階段を下りると、今度は自分の正気を疑った。
俺はどこかの旅館に泊まっていたらしい。
そして、店の客らしき人を見て、ここがどこなのかわかった。
ここはDQの世界だ。
上半身裸でツノが生えてる変なマスクを被ってるマッチョなんてどう考えてもDQの荒くれだ。
しかも俺の予想が正しければここはDQ8の世界。
宿屋の主人らしい男、バニー、荒くれ、商人らしき男……今現在俺が目に付く人間はDQ8の人間と同じ。
ある程度の予想が付いたところで俺は、再度2階に上がりベッドにもぐりこんだ。
一体どうして……とか、夢を見てるのかとか、ベッドの中で考えたのはもし戻れなかったらどうしようとかではなかった。
2ちゃんにスレを立てよう。
ただそれだけだった。
――こんな荒唐無稽な話、誰も信じてくれるはずはないだろうな。
――自分では厨房じゃないと思ってる真正の厨房が煽ってきたり、『晒しage』とかうんこのAA貼るかもしれない。
スレを立ててもいないのに不安になる俺がいた。
スレタイはもう決めていた。というか、これしか考えられなかった。
『もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら』
END
637 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/05/15(日) 16:05:16 ID:8bVz8hhT
二度寝する
とりあえずタンスをあさる
ここは何処だ?船?体が動かない。なんだろうこの感じ。とても気持いい。何かに包まれているような感じがする。
気がつくと、目の前に人が現れた。いや、人じゃない。精霊…と行ったほうが良いかもしれない。
そいつは、俺に近付いてきた。それだけじゃない。俺の中に入ってきた。やめろ。入ってくるな…。やめろ…。やめてくれ!
うわっ!
俺は目を覚ました。どうやら夢だったらしい。体はビッショリ濡れていた。俺は服を着替えようと、ベットを抜け出した。
ここで俺は異変に気付いた。ここは俺の部屋じゃない。俺の部屋は、もっと狭い。なにより汚い。
この部屋は綺麗すぎた。しかも何もない。あるのは、このベットと箪笥だけだ。そしてハシゴのような階段がひとつ。
一体ここは何処だ?少なくとも俺の家じゃない。じゃあ誰の家だ?
俺は考えるよりも行動が先に出るタイプだ。とりあえず階段を降りてみた。そしたら何か分かるかもしれない。
「そうか。そういえば、また薄汚い人間がルビーの涙を求めてやって来たと聞いたな。
お前たちの事か?」
騎士の視線が一人一人を見定めていく。
ソフィア――そして、アリーナ。彼女ら二人で、僅かに止まりかけた気がした。
「私たちはそんな事しないわ!」
「……」
アリーナの叫びに反応し、騎士は暫く動きを止めた。
だが――。
鞘走りの音を立て、剣を抜いたのは…ソフィアだった。
「……いずれにしても戦いになるんだ。なら、君の言い分を信じた所で不都合は生じないな」
肩が揺れる。…笑ったのか。
どうもソフィアとアリーナの様子がおかしい。
ソフィアはまるで魔物に相対しているかのように好戦的だ。
いや、事実そうなのか?確かにあの鎧兜は…どうも嫌な感じだ。グロテスクというか、悪趣味というか。
雰囲気だけでなく、装飾も酷い。
しかし、彼をさまよう鎧等と同列に語るには、中身が入り過ぎている気がする。
アリーナはソフィアとは対照的に、交戦に迷いを見せている。
あの、アリーナが、だ。相手が魔物だろうが人間だろうが強さ比べをしたがる彼女らしくない。
…力比べなら、喜んでするのだろう。だが、その先で生死が分かれるなら、少女とて考える。
仲間達や俺などと言った相手と命の遣り取りをしたいとは思わない筈だ。
…つまり、どういう事なんだ?ちょっと空気を読み切れない。
だが、一行の意志を最も顕著に纏めるのはソフィアの無言の行程だ。
ソフィアは自己主張が強い訳では無い。だから、仲間たちが意見を言った後で、纏めるように指針を示す。
彼女の行動は、皆の行動。そうでなければ集団はバラバラになってしまう。
ソフィアが積極的に動くのは比較的珍しい事であったが、それは疑念と言う程のものではない。
騎士に向かってソフィアが突っ込む。
同じ前衛であるアリーナとライアンは静観だ。此処の通路は狭すぎる。同時に立ち回るのは難しい。
「――ふん」
血飛沫が中空に舞う。
あれは、ソフィアのか…?見れば、少女の頬と手の甲に紅い筋が走っている。
全く見えなかった…一度剣閃が走ったのは解ったが軌跡も追えず、しかも二度も走っていたなどまるで想定外である。
それでも、ソフィアには見えていたのか。傷自体は浅そうではあった。
「…あれは、隼の剣。
それに…そんな…なんと恐ろしい…」
トルネコの呟きが俺の耳朶を打った。
俺は時が時、場が場なら知っているのか雷電!と問い詰めたかった所だが、ここは自重しておく。
「…あの鎧は、魔神の鎧と呼ばれる呪われた鎧でしょう。使用者に、強力な防御力と魔法やブレスへの耐性を与えます。
とてつもなく重い為避けるという選択肢は無くなるそうですが…一説には避けられないのではなく、避ける必要が無いのだとも」
トルネコの顔面は蒼白だった。
武器商人だからこそ、あの騎士の纏う武具が恐ろしい物であると誰より理解してしまうのか。
「それ以上に…それ以上に、あの兜がいけない。いえ、兜ではなく本体は顔を覆う面にあります。
――邪神の面。最強最悪の呪怨武具。魔神の鎧と同じく一度装備したなら自分の力では外せない。
あの面を被っている限り物理的な攻撃で致命傷を与えるのは不可能に近いでしょう。
そして――あの面は……使用者の正気を奪うと言われています」
…なんだって?正気を、奪う?
では、あの男は……。
「恐らく、混乱してしまっているでしょう。私たちが見ているものとは全く別のものが見えている可能性もあります」
そう語るトルネコの表情に傷ましさのようなものが混じった。
騎士に実際何が起きているのかは推測の域を出ないが、物に操られるというのは余り良い気分はしない。
「…なんだかよく解んないけど、魔法はそこそこ効くんでしょ?援護するわ!」
「全く。なんでもかんでも相手を攻撃すれば良いというものでは無いわ…」
マーニャの火焔球(メラミ)が騎士に着弾する。
横合いからの乱入により呻いて後退する騎士に、ソフィアが追撃の一撃を放った。
そのインパクトの瞬間、ブライの攻勢力向上(バイキルト)が少女の背中を押した。
金属と金属の衝突する大きな不協和音が響く。これなら――少しは効いたと思いたい。
「…なるほど。良い魔術師が居るようだ。息も合っている」
炎の中から姿を現した黒騎士。
その手には――小さな、珠があった。
それを見たミネアが一瞬、呆けたような顔をし、すぐに悲鳴に近い声を上げる。
「…え?――そんな!?どうして貴方がそれを!?」
「さて、な?――静寂の珠よ!!」
支援
天に翳される珠玉。橙色を帯びた光が辺りを照らし出す――すると突然、まるで空気が停止したような感覚に陥った。
いや、違う。そうではない。普通に喋る事はできる。
では何故そう感じたのか。この感覚は魔法を扱う者達のみ共有したものだろう。
呪文が――封じられた。
「…!ちょっと、あんた、卑怯じゃない!!」
「この防具は、呪文に対しては完全な防御力を発揮できるとは言えないからな。
――当然、手は打たせてもらうさ」
どちらかといえばマーニャの方が理不尽事を言っているのだろうが、俺も全く同感だった。
呪文が無ければ足手まといになりかねないのだから必死にもなる。
…それにしても、あいつ、かなり強いぞ…。
っつっか、戦い慣れしてる…。
冷静にこちらの行動を潰してくる騎士に対し、ソフィアは余りに感情的過ぎた。
圧倒的な手数の前に、身体中から血を噴き出させる。
俺は堪らず少女に駆け寄った。だが、それより速く騎士とソフィアの間に割って入った者がいる。
「勇者殿は少しご休憩なさってください――私がお相手いたそう」
竜を冠する剣と鎧に身を包んだ戦士が、一歩前に出る。
騎士は一目で戦士の実力を看破したのか、慎重な様子を見せた。
「では…こちらからいきますぞ!」
地響きをさせるかのような踏み込みで戦士が距離を詰め、
一挙動でドラゴンキラーを下から上へと跳ね上げた。
騎士はそれを隼の剣で受けようとしたが、細身の剣は易々と弾き飛ばされた。
続く二の太刀をモロに喰らい、数歩後退する。
「ひゅーひゅー!ライアンちゃん頑張って〜!」
マーニャの、戦士の実力を信頼しているが故の、ふざけた声援が飛ぶがそれには両者共に無反応だ。
恐ろしい程に集中している。
ライアンは、今の攻防は技量の差というよりかは相手の剣の軽さが幸いしたと考えた。
事実、隼の剣とドラゴンキラーでは重量にかなりの差があると見られる。
でなくば――この手の痺れを説明できない。
それでも勝てなくは無い。剣の実力は、こちらに僅かながらも分がある。それが戦士の分析だった。
「…なるほど。認識を改めなければならないな。魔術師だけでなく、戦士も強い。
だが――」
騎士が、隼の剣を腰に差していた鞘ごと投げ捨てた。
――なんだ?よく見てみれば。――二本、いや、三本差し!?
「俺は負けられない。ヤツ以外には負けられない!ヤツを滅ぼせるのなら――この身がどれだけ呪われようと、構う――ものかぁ!!」
抜き放たれる魔剣。間合いの遥か外の行動だったが、ライアンは油断無く身構える。だが、此処ではそれが裏目に出た。
魔剣から赤みを帯びた光が一直線に伸び、辺りを眩く照らし出す!
「――これは、劣化装甲(ルカナン)の光!?」
「いけない、皆殺しの剣です!あんなものまで…!」
ブライとトルネコが驚愕する。
この光をまともに浴びているのは誰あろう――ライアンだ。
騎士は即座に剣を腰に戻し、流れるような動作で右手を首の後ろに回す。
そこには、柄があった。騎士が背負う巨大なもろはの剣が長き眠りから目覚める。
――魔剣が袈裟に振り下ろされた。
剣の強度と、劣化した鎧が相まって、死を誘う斬撃は易々と戦士の皮膚と肉を斬り下げた。
「む、ぐ……」
「ライアンさん!」
たまらず一歩、二歩と後退した戦士にクリフトが薬草を持って駆け寄り、処方する。
だが薬草では何処まで効果があるものか。
「――大爆裂(イオラ)」
騎士の左手からバチバチと音を立てて炸裂する光球が放たれる。
それは、戦士を通り過ぎ――後方の俺達の方へと飛んできた、って、うお!?
光の球体は空中で幾つにも分散し辺りに衝撃と炸裂音を響かせた。
「――あ、う」
呻き声がそこここから聴こえてくる。
広範囲に撒き散らされた爆発は、見事に全員を巻き込みダメージを与えていた。
俺は何とか身を起こし、ソフィアへ薬草を飲ませた。
ぐったりとしたマーニャとブライに、ミネアと戻って来たクリフトが薬草で治療を始める。
だが――それが、彼の騎士の狙いだったのだ。
紫電が辺りを走る。
静電気が背中から駆け上がって行くかのような感覚に、俺は薄ら寒さを覚えた。
騎士の左手に集う、裁きの光。
向けられるのは、傷の治りきらなかった戦士に、だ。
それでも、薬草はそれなりに効いたのか、ライアンは立ち上がり騎士に剣を向けていた。
「ライアンさん、すみません!…一度だけ、耐えてくださ――」
「ライアンさん、すみません!…一度だけ、耐えてくださ――」
ミネアの願いは途中で止まる。
見てしまったのだ。戦士の右腕が、既にぼろ雑巾のように爛れてしまっているのを。
大爆裂が、ライアンにも及んでいた。
誰が見ても戦士は満身創痍であり、立っているのがやっとなのだ。
「――ええ、勿論ですとも。このライアン、一度と言わず二度でも三度でも耐え、剣を振るってみせましょう」
なのに。
戦士は、こちらを振り向く事無くそのような事を言う。
「…良く言った、戦士よ。この絶望的な状況で尚、仲間を鼓舞するとはな…」
「私は、本気ですからな」
「…では、耐えてみせろ!雷(いかずち)よ来たれ!招雷撃(ライデイン)!!」
その速度は正しく、光そのものであった。
戦士は仁王立ちで破壊の光刃を受け止める。
ッガァァァァァァァァン!!!!
閃光。爆裂。轟音。そして――静寂。
余りの眩さに眼を閉じてしまった。続いた轟音は天地が裂けたと言われても信じてしまうかもしれない。今は、視界を取り戻すのが酷く恐ろしい。
「――ライアン!!!」
仲間の悲痛な叫びが聞こえる。
俺は恐る恐る、瞳を開いた。
そこにあるのは――人の影、それだけだった。俺にはそうとしか見えなかった。
黒ずみ、炭化した戦士であったもの。
――死んだ。ライアンが。
あの誰よりタフで、生命力に溢れていた男、が、だ。
仲間の死を前に心臓の鼓動のペースがめちゃくちゃに乱れる。
それを俺は必死で抑え込んでいた。
戦士を完全に打ち倒した騎士が呪文の詠唱を行う。
「…瞬間治癒(ベホマ)」
絶望だ。それは、確かに絶望だった。
騎士に蓄積していたであろうダメージが、戦士が死してまで与えたダメージが瞬時に無くなってしまう。
ライアンは斃れ、魔法は封じられている。
……全滅?
全滅したら、どうなるんだ?
全員が死んだら――何処かで、生き返る?
それも無くは無いかもしれない。以前、クリフトが言っていた。
導かれし者達は、神の加護により蘇生呪文で再び立ち上がる事が出来るのだ、と。
だが――実の所、一行の中で全滅した者は誰一人としていなかった。
果たして、その先にあるものは何なのか――誰も知らない。
事が事であるだけに、試す訳にもいかない。
「安心しろ。逃がしは、しない」
かつり、こつり。
靴底の音がやけに高く響く。
今の俺には、目の前の男は鎧を着た死神以外の何者でも無い。
だが、縦横無尽に進撃をかける男に立ち塞がる者がいる。
サントハイム王女、アリーナ。
王女は騎士に立ち向かう意を決したようだった。
「…ピサロナイト!貴方はどうして…」
姫君が彼の騎士の名を呼んだ。
ピサロナイト。ピサロの、騎士。そうか、迂闊だった。この塔をピサロが訪れたのなら、ヤツの手の者がいてもなんら不思議じゃない。
「……。勘違いするなよ、アリーナ。俺は別に、ピサロに忠実な騎士じゃない。
ヤツは…ヤツは、俺から全てを奪っていった。村も、家族も、幼馴染も――」
「解らないわ!それじゃ尚更――」
「だが、俺は弱かった!ヤツに掠り傷一つつけられない位に!どんなに叫んでも、どんなに願ってもヤツを滅ぼせない――。
だから、最も確実で、最も速く目的を達する手段を選んだ。ヤツはどういう訳か、俺を殺さなかった。その上、力をつけろと言い出した。
――ヤツの思惑など知った事じゃない。俺はヤツを利用しているんだよ」
「そんなの…貴方の方がただ、利用されてるだけかもしれないじゃない…!」
「ああ……そうかもしれない。それも、解った上で、だ。
……アリーナ。俺は魔族が、魔物が憎くてしょうがない。ヤツラは弱き人をごみのように扱う。なのに――。
……醜悪なのは、魔族だけじゃなかった。人間も――同じ位に汚物そのものだったんだよ……」
初めてアリーナが息を呑む。
騎士の告白は続く。
「ロザリーヒルを訪れる人間たち、バルザック…。
そしてお前たちもそうだ。仇討ちに狂う者達…特に、そっちのヤツは身体中が憎しみの炎で包まれていて姿も見えない」
ソフィアの方を見て、吐き捨てるように言う。
「…何の事は無い。ピサロの言うとおりだった。俺は幸せな村にいたから、何も知らなかっただけで――。
魔物と人間なんて、大して変わらない。
…だが、一番醜いのはこの俺だ。俺の身体こそ業火に灼かれ尚形を保っているかどうかも確認し得ない。それが解ってからは――尚更手段なんてどうでも良くなった」
「…私には、解らないわ。何がそんなに醜いのか――それほどまでに嫌悪する事なんて無いと思う。誰に対しても。
だけど――これだけは言える。倒そうとしているヤツの下に居る限り、どんなに強くなってもそいつを超える事ができるとは思えない。
貴方はヤツ以外には負けられないと言った。だけどそれは、あいつには負けても良いって言ってるのと同じよ!」
「アリーナ…君の姿が見える理由はそこにあるのかもしれないな…。…では、どちらの手段が正しいか、死合いで証明するとしよう」
「ええ。結局、言葉を交わすよりも解りやすいもの!
私は貴方と殺し合うんじゃない。試合って、解り合って、その先に行けると信じてる!」
アリーナが騎士へと駆ける。
迎え撃つ騎士は、横薙ぎに諸刃の剣を振るった。
弾き飛ばされる少女。だが、すぐにその勢いを利用し壁を蹴り、再度迫る。
その機動の高い戦闘に俺はまるでついていけず、かろうじて視線で追う事しかできない。
――だけど。
自分より年下の娘があんな風に戦っているのに、自分は何もせずにいる。
そんな事――認められない。よな?誰より、俺自身が。
じゃないと、あの誓いに、新品の剣に、申し訳無さ過ぎるから。
少女達と騎士の剣が交差するのを尻目に、俺は後退しミネアに話しかけた。
連投援護
「ミネア、あの珠の事、何か知ってるの?」
「え?え、ええ…あれは、静寂の珠。父の、形見のような物です」
「それを、どうしてあいつが持ってるんだ?」
「解りません!――どうしたのかしら、私は、ねえ、姉さん。私たち、アレを捨てたりしてないわよね?」
「…当たり前よ。…なのに、私もミネアも覚えていないわ。こんなバカな事ってあると思う?
お父さんの形見を、失くした事にすら気付かないなんて…」
悲しげなミネア。悔しそうなマーニャを見て、彼女達は本当に覚えていないのだと悟る。
しかし、俺はもう少し簡単に考えていた。
つまり、あるんじゃないか?――こちらにも、静寂の珠が。
むしろ話を聞く限り無い方がおかしいような気がする。
荷物を探る。これはちからの種…かやくつぼ…。
無い…やはり、無いのか…?失望感に襲われながらも最奥にまで伸ばした手が、丸い物に触れた。
「え――?」
ミネアが小さく声を上げる。
それは寸分違わずあの騎士の持っている珠と同じ物だった。
「ありえないわ!どうして、此処にもあるの!?」
「落ち着くんじゃ。…あるのじゃから、これは存在しておる。それに疑問を挟むのは今すべき事では無い」
パニックに陥りかけるマーニャをブライが窘めた。
老人に諫められたのが少し腹立だしそうではあったが、現状を理解し口を噤む。
「ですが、これで逆転の目が出ましたか?あの騎士の呪文を封じる事ができれば…」
「…いや、仮に封じる事ができてもあの装甲を剣のみで破るのは現実的では無い。
――旗色はいずれにしても悪い……」
クリフトの言葉を否定し、ブライが唸る。
これじゃ、ダメか…同じ珠…在り得ない筈の存在。……。
そうだ。それならば、ひょっとすると。
静寂の珠を持ち、立ち上がる。
俺は極小の可能性に賭け、やれる事をやろうと一歩足を踏み出した。
だが、二歩目が前に出ない。
怖気づいた訳じゃない。俺の意思とは別に、抑制しているものがある。
ソフィアの掌。
それが、俺の肩に乗っていた。
手、肘、肩と順に伝い少女と視線を合わせる。
少女の意志は言葉ではなく、口の動きと文字をなぞる指と、その強い光を湛えた瞳で語られた。
『私が行く』
少女は言外にそう語る。
ああ、思い出した。あの話は、君も聞いていたっけ。
「…こんな役目、女に任せる訳いかないじゃないか」
『男とか女とか、関係無い。
あいつは強い。私でも巧く行くかどうか…同じ事をするのなら、成功率の高い方が実行するのは当然』
「…それは――」
もいっちょ
『時間が無い。アリーナも、もうもたない。お願い。じゃないと、私は貴方を傷つけなくてはならない』
「――――」
俺は、それでも彼女に静寂の珠を渡すことができなかった。
この思い付きそのものである行動、分の悪い博打を人任せにしたくない。
だが、何かそれ以外の所でも嫌な予感がするのだ。――なんだろう。心がざわめくと言うか。
…そんな当てにならない話よりはむしろ、脅すような事を言われてしまったからには、の方が正解に近かったかもしれないが。
『……。ごめんなさい』
少女の当身が俺に直撃する。
悶絶する俺に泣きそうな瞳を向けた後、零れ落ちた静寂の珠を拾い、一直線に駆け出した。
俺は少女を掴まえようと必死に手を伸ばすが、後一歩の所で届かない。
アリーナがソフィアの存在を感じ取り、後ろに目があるかのような動作で横に飛ぶ。
ソフィアの唐竹割りを騎士は諸刃の剣で受け止めた。
「炎の爪よ!」
アリーナの炎の爪から、特大の火球が飛び出した。
此処で呪文に準ずるモノが飛んでくるとは思わなかったのか、騎士に僅かながら動揺が走る。
そこに、ソフィアの手が滑り込んだ。
騎士の腰にくくりつけられた静寂の珠と、ソフィアの持つ静寂の珠が接触する。
一ミリ。それ以下であろう。だというのに――それは、発生した。
――――景色が歪む。空気が歪む。音が歪み、存在が歪んだ。
――――存在しない筈の存在に、世界が悲鳴と警鐘を鳴らす。
――――警戒、警報、対処、在り得ないモノは、在るべき形に。
なんだ!?騎士を中心に――捩れた渦が発生してる…?何が捩れてるんだ。空気?空間?
いけない。あれは、マズイ。いくら俺がこの世界に疎かろうが、元来鈍感だろうがはっきり解る。解ってしまう。
「ソフィアー!」
その予想を遥かに超える異常な状況に、己の見通しの甘さを呪い自己嫌悪しながらも俺は必死に叫んだ。
せめて声で少女を護る事ができれば、と。だが、叫んだだけで何かを護れるのなら誰も苦労はしない。そんな都合の良い話は存在しない。
筈だった。
「…ソフィア?」
その呟きは、本当に小さく聴こえた。
余りにも小さかった。そして、余りにも遅すぎた。開けてはならない悲劇の幕が上がって行く。
遅きに失したその中で、尚、騎士は意志を体現せしめた。
騎士が全力でソフィアの身体を突き飛ばす。
小柄な少女は俺の足元にまで吹き飛んできた。
身体を丸める騎士。まるで、これから起こる事象の余波をできる限り押さえ込もうとするかのように。
――世界が鳴動した。
収縮した星の爆発にすら匹敵すると言われる現象。
剣が砕け、騎士の鎧が、兜が粉々に砕け飛ぶ。
呪われた武具ですら破壊する究極的且つ、局所的な爆発。
ソフィアが死後硬直を起こしたかのように、身体を固まらせた。
破壊の奔流に巻き込まれていく男の姿が、一瞬見えたから。
『――――…………兄さん?』
騎士の髪はソフィアと同じ、碧色をしていた――。
HP:34/88
MP:42/42
Eドラゴンキラー Eみかわしの服 Eパンツ
戦闘:物理障壁,攻勢力向上,治癒,上位治癒
通常:治癒,上位治癒
>>◆gYINaOL2aE氏
乙、相変わらずおもしろいなー
ついに謎の騎士の正体がわかりましたね
一番最初のヒントとか、ここまでの伏線の張り方が本当にうまいと思います
こんな夜中まで起きててよかった、次も楽しみにしてます
乙!
面白いというか、巧いな。4はFC版しかやったことないけど、オリジナルなのか?
最初の頃のギャグ要素が減ってきたのが残念っちゃ残念
だが続きを期待してます。無理せず頑張ってください
勇者ソロになるべきだったはずのもの、か
ところで容量的に次スレのこと考えたほうがよくない?
>>書記の人
次スレの1にまとめサイトへの直リン貼るのはOK?