■FINAL FANTASY XII 〜FF12スレッド〜 ver.0197■
先週末、静岡の実家に帰省した。弟の四十九日だった。
両親に兄弟二人の四人家族。年が離れていたせいか、兄弟喧嘩をすることもなかった。
弟は俺になついてくれていたし、俺も弟を可愛がっていた。仲の良い兄弟だと近所でも評判だった。
部活から帰ってくるのを健気に待っていた弟に、外灯の下でサッカーを教えたりもしたっけ。
風呂から上がったら、今度はゲーム大会。負けるとすぐ泣くから、うまく手を抜くのに苦労したな。
そんな弟が高校入学を目前に事故死したと聞いた時、とても信じられなかった。
棺に入れられた弟が火葬場に運ばれて、小さな骨壷におさまってしまっても、それでも。
一か月ぶりに帰った家は……まるで別の家のように思えた。廃屋のように静まり返っていた。
快活だった弟がいなくなって、落胆した両親が残された我家を見て、
ようやく……俺は弟の死が現実のものだと悟らされた。母はまるで別人のようになってしまっていた。
帰省した翌日、父に頼まれて遺品を整理することになった。母にはとても無理だから、と。
一部屋を仲良く使っていた俺達だから、俺に依存はなかった。当然の義務だと思っていた。
懐かしい部屋を開けた。半開きのカーテンから覗く光が、静まり返った子供部屋を照らしていた。
弟の机の上にはトロフィーが飾ってある。いつのまにか俺より上手くなったサッカーで貰った物だ。
これだけは貰って帰ろうと思った。二人でボールを追っかけていた日々の思い出に。
机の上に出しっ放しになっていた雑誌などを片付けていたら、青色の日記帳がでてきた。
弟の事だから、三日坊主で終わっているかと思えば、意外にも数年前からキチンとつけている。
悪いとは思いながらも、ついつい読みふけってしまった。どんな風に中学時代を過ごしてたのか……。
弟は奥手だったらしく、あまり女の子の事は書いていなかった。
書いてあるのはサッカーの事ばかり。それと友達の話。そして好きだったテレビゲームのこと。
ウイイレのシステムやRPGの攻略法について、バカみたいに真面目に語っている。
そして最後のページ。一言、こう書かれていた。
「もうすぐFF12がでる。楽しみだな」