FFDQバトルロワイアル3rd PART3

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365あの蒼い天空の様な 6/6:2005/03/21(月) 12:18:42 ID:pNBC+YXy

そして光の中心へと入る刹那、最後にビアンカを見た。
彼女は静かに微笑んでいた。やはり笑顔が似合うな、と素直に思う。

「また会いましょ、ギルダー」
「………ああ」

そうだ、この笑顔に俺は救われたのかもしれない。
手を伸ばしたのはセージだが、奴などとは天の地の差だ。無論、セージが地。
この何かわからない高貴な、神秘的なオーラに魅せられたのかもしれない。
あの全てを包み込む様な……例えるなら…あの蒼い天空の様な………。



「お母さん、ギルダーさん行っちゃったね…」
「そうね」
「相手にするならああいう徹し切れてない人間が嬉しいんだけどねぇ」
「そうも行かないわ。私たちもいつか危険な場所に踏み込むかもしれない」

しばらく旅の扉を見つめた後、ビアンカが一歩前に出る。

「行きましょう、これ以上いても仕方ないわ」

ビアンカの言葉に2人は頷いた。
そして、3人で同時に扉へと入っていった。


そして光に包まれ、先程の赤魔道師の様に次の世界へと誘われていった。
366あの蒼い天空の様な 6/6:2005/03/21(月) 12:22:33 ID:pNBC+YXy


【ギルダー 所持品:ライトブリンガー 手榴弾×2 ミスリルボウ
 第一行動方針:サックスとエリアを探し、ビアンカ達と再会
 基本行動方針:自分が殺した人の仲間が敵討ちに来たら、殺される】

【現在位置:新フィールドへ】


【セージ 所持品:ハリセン
 第1行動方針:タバサ達と共に行動する 基本行動方針:タバサの家族を探す】
【タバサ 所持品:ストロスの杖・キノコ図鑑・悟りの書 
 第1行動方針:セージ達と共に行動する 基本行動方針:同上】
【ビアンカ 所持品:ファイアビュート 雷の指輪
 第1行動方針:2人と共に行動する 基本行動方針:同上】

【現在位置:新フィールドへ】
367あの蒼い天空の様な 訂正:2005/03/21(月) 19:42:47 ID:2qVwtaJb
>>362

× そしてさっきの会話(と思われる)事を話し始めた。

○ そしてさっきの会話の内容(と思われる事)を話し始めた。


すみません……。
訂正お願いします。
368親友になれた筈だった 1/5:2005/03/22(火) 01:56:48 ID:3WB5Q1NO
――自惚れていたのだろう。

私が彼女を正しい道に案内したのだと。
私が彼女を狂気から救ったのだと。
そうやって私は彼女の信頼を得たのだと。

彼女の叫びと共に、疑った。
銃声と共に、気づかされた。
左肩を走る激痛と共に、思い知らされた。
二人の男性の叫びで、確信した。

彼女にとって、私は、クラウドという人とは比べられないほどに軽い存在だったのだと。

保護者を気取って、そのくせ彼女の発した警告に気づけなかった。
…私は、あまりにも、不甲斐無い。


確かに先程は、彼女の目に人を愛する心を見た。
ティナだって、彼女は正しい道を生きられると信じた。

彼女は確かに人を愛することを知っていた筈だった。
彼女は確かに正しい道を歩いていけた筈だった。

こんな状況でさえなければ。
こんな狂気の中にさえ身を置かなければ。

悪いのはアルティミシアだけ。
369親友になれた筈だった 2/5:2005/03/22(火) 01:57:41 ID:3WB5Q1NO
再度の銃声と共に、彼女の肩を掴んでいた腕から、力が一気に抜けていった。
身体が、後方に傾いた。

揺れる視界の中で、彼女は右手で銃を構えたまま、左手でスコールを突き飛ばしていた。
更に、右足でマッシュの顔面を蹴飛ばす。 
モンクとしての一流の実力をもつ彼でさえ、戦いの中に躊躇や恐怖を感じなくなった彼女の前では、為す術が無く後方に弾かれた。

彼女は、銃を再び構えた。
誰を先に撃つべきか、其処に一瞬の迷いがあった。
私はその隙に、体勢を立て直した。
他の二人と比べて、私は大きくは後ろに下がっていない。
今、自分が動くしか、ない。
彼女が私の行動に気づく前に、私は彼女に飛び掛かった。

私は、彼女が咄嗟に構えた銃の銃身を掴んだ。
肩の激痛に気を遣っている心の余裕は無かった。
彼女にこれ以上誰かを殺させたくはなかった。
銃をもぎ取ろうと力を入れて――

ドゴッ、と嫌な音を立てて、腹に激痛が走った。
彼女は、その長い脚を咄嗟に振り上げていた。
身体が、大きく後方に捻れる。
思わず再び手を離し、身体を後方に泳がせる。
そして直後に、どこか遠くで、耳障りな、音が、鳴り響いた。
私の身体を貫く何かが、彼女の手で、発射された音だった。
370親友になれた筈だった 3/5:2005/03/22(火) 01:58:52 ID:3WB5Q1NO
「アイラ!」
マッシュとスコールの声。

それに重なるように、それをかき消すように、何度も、何度も、耳障りな銃声が、響いた。


体中を撃ち抜かれた。
もう、痛みも感じない。
このまま、苦しみも、悲しみも、何一つ、感じなくなってしまうんだろう。
でもその前にやらなくちゃならないことが、ある。

最後の力を振り絞って、彼女の肩に手を掛ける。
彼女の構えた銃は、再び引き金が引かれると共に、カチャリという空虚な音を立てた。弾切れだった。
彼女が慌てて脚を振り上げようとする。
――そんなことをしなくても、どうせもう私には何も出来ない。
――あなたを正しい道に戻すことも。
だからこそ、彼女の目を見て、言ってやった。
血塗れた顔を、彼女に見せ付けて、言ってやった。

「死んでも、あなたの傍にいるから」

一瞬、彼女の表情は硬直した。
その唇から、一種恐怖を帯びた声が、漏れた。
呪われた過去が、重なって、彼女は、呟いた。

「エア、リ、ス?」

それでも彼女の身体の動きは止まらなかった。
振り上げた脚が、私の身体を空へと投げ出す。
371親友になれた筈だった 4/5:2005/03/22(火) 02:03:40 ID:3WB5Q1NO
ほんの一秒ほどの筈なのに、それは何秒にも感じた。
自分の身体が地面に堕ちるまでの、空虚な時間。
目を閉じて、思う。


マッシュ、スコール。
命に換えても彼女を止めようなんて、思わないで。
あなた達を愛している人を、彼女みたいにしないように。
生きて。生き残って。

フィン。
あなたに、後は任せるわ…
きっと、この理不尽な戦いを、止めてくれるわね?

ティファ――
あなたが背負った悲しみのほんの一部でも、私に背負わせてくれればよかったのに。
そうすればきっと、仲のいい友達にだってなれた――

回想は途切れ、地面に叩きつけられた感覚を最後に、永遠とも思われた時間に終焉が訪れた。
372親友になれた筈だった 5/5:2005/03/22(火) 02:06:26 ID:3WB5Q1NO
【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石】
【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3) 、ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)】
【第一行動方針:? 第二行動方針:ゲームを止める】 

【ティファ 所持品:コルトガバメント(予備弾倉×5)、エアナイフ
 第一行動方針:目に映るものを全て殺す? 基本行動方針:魔女にクラウドの蘇生を乞う】


【アイラ 死亡  所持品:ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ】

【現在位置:東山脈中央部の森・川辺付近】


【残り86名】
373待機:2005/03/23(水) 20:33:24 ID:HMFsaQkL
また一人、逝ってしまった。
いくら手を伸ばしても届かないところで、
いくら目を凝らしても見えないところで、
堕ちてしまったのか。

運命に導かれし者達が、運命に弄ばれ、運命に立ち向かい、運命に捨てられていく。
悲しい現実に、仲間の死に、自分の無力に、思わず嘆息し、
戦士は、冥界の戦友達のために、目を閉じ暫し合掌した。

今まで戦士――ライアンは、誰一人として出会うことはなかった。
或いはそれは、運が良いのかもしれない。
だが、一人では、誰かを護ることも出来はしない。
そして、それは、彼にとって苦痛でしかないのだ。

「うん?」
目を開けると、視界の端に、僅かに蒼い渦の存在が見て取れた。
「旅の扉…」

これに入れば、次のフィールドに移動できるのだろう。
だが、彼はその傍に腰を下ろし、暫しの時を待つことにした。

誰かが。自分の護るべき誰かが、その場に現れるのを待って。
そして、憎むべき――殺す事すら厭わぬ様な者が姿を現すのを待って。

【ライアン 所持品:レイピア 命のリング
現在位置:レーベ南の森中央
第一行動方針:扉前で待機し、仲間を探す&マーダーを減らす 
最終行動方針:アルティミシアを倒す】
374保守マン:2005/03/26(土) 17:00:45 ID:DUSzxzov
保守
375絶望的観測 1/6:2005/03/28(月) 20:15:33 ID:mYALTUBx
俺たちは走っている。西へと向かって走っている。

(忘れたい)

耳の中で、様々な音が反響している。
無機質に鳴り響く電子音が。迸る炎と、肉が焦げる時の異質な音が。
正確なリズムで打ち出され続ける銃弾の音が。
ぽたぽたと地面に落ちる、涙のしずくの音が。
そして……コルク栓を抜くようなやけに軽い音が、耳から離れない。

(あの音が、耳から離れない)

何が悪かったのか、俺にはわからない。
疲労や眠気が集中力を妨げてしまったのかもしれない。
マシンガン男のような狂った襲撃者の存在が、神経をすり減らせてミスを誘発させてしまったのかもしれない。
……そうじゃなくて、他に理由があるのかもしれない。
俺にはわからない。

(……きっと、最初からバレてたんだ)

俺は後ろを走っているエドガーとデッシュを見る。
二人はずっと、徹夜で対人レーダーの研究を続けていた。
だから俺も二人を信頼する気になれた。
きっと、この二人ならなんとかできるんじゃないかと。

(期待なんか、するんじゃなかった)

希望は絶望の裏返しなのだと、誰かが言った。
今ならわかる。その通りなのだと。
376絶望的観測 2/6:2005/03/28(月) 20:18:59 ID:mYALTUBx
思い出す。今までのことを。

夜明けの放送を聞いた俺たちは、砂漠の旅の扉に向かう事にした。
アリアハンでは待ち伏せされる可能性が高いと、ザックスとエドガーが言い出したからだ。
それで俺たちは小走りで西に向かい……見つけた。
土の塊のような、小さな墓を。

(エドガーが掘り返し始めて、俺も手伝った……止めておけば良かったのに)

中には見慣れない女の遺体があった。
徹底的に切り刻まれて、内臓さえはみ出しているような無残な死体が。
エドガーは顔をしかめながら、それでもガチガチに硬くなった遺体に手をかけた。
首輪の研究をするためには、そうすることが必要だってことぐらい俺にもわかる。
デッシュはもちろん、シンシアもザックスも何も言わなかった。
俺を含めて、めいめいが顔を背けた。
エドガーがコトを終えるまで、誰もが明後日の方向を見つめていた。
――そして、音が聞こえた。コルク栓を抜くような、軽い音が。

(……不注意だって? あれが?)

俺は振り返った。焦げ臭いにおいが鼻についた。
真っ赤な血が撒き散らされていた。
シンシアが悲鳴を上げた。モミジの葉に似た肌色の物体が、俺のすぐ傍に落ちていた。
エドガーが右の手首を抑えてうずくまっていた。

そして、その先にあるべき『モノ』が無くなっていた。
377絶望的観測 3/6:2005/03/28(月) 20:24:48 ID:mYALTUBx
不幸中の幸いというべきか、エドガーの命に別状はなかった。
ザックスとシンシアの手当ても適確だったし、エドガー自身がある程度の回復魔法を使えたってことも幸運だった。
そして、当たり前だが誰かの首輪が爆発させられることもなかった。

(当たり前だって? 本当に?)

そして、こんな『事故』があっても、エドガーとデッシュは首輪の解析を続ける気を無くさなかった。

(事故だって? 本当に?)

エドガーは笑って言った。
今回の事故で逆に確信を持てたことがあると。 
爆発の仕方からしても、使われているのは爆薬と起爆装置とかではなくて、やはり魔法的なギミックなんだとか……
爆破条件は掛かった負荷の大きさではなく、負荷を掛け続けた時間で判定されているようだ、とか……
俺にしてみれば、そんなことが分かってもどうしようもない気がするのだが。
しかし本人たちがやる気だっていうのに、俺がとやかく言っても仕方がない。

(……そんなんだから、目を着けられたんじゃないのか?)

シンシアはずっと押し黙っている。
いくら芯が強いといっても、この光景はさすがにショックが強すぎたのだろう。
逆にザックスは、怯むどころかますます打倒主催者の気持ちを高めたようだ。
元々の性格もあるだろうし、あくまで主催に立ち向かおうとしたエドガーの姿勢に影響されてるのかもしれないし……
そう、さっきの放送で、親友とやらの名前が呼ばれたせいも入っているのかもしれない。
だから今も先頭を走りながら、絶対に一泡吹かせてやるのだと意気込んでいる。

(……あんたがそんな事を言い続けていたから、手を出してきたんじゃないのか?)

――死後硬直で死体が固くなってたから、外すのに手間取った上に力を加えすぎた?
――本当にそれだけの、ただの事故だっていうのか?

――そうじゃないかもしれないとか、考えたりしないのか?
378絶望的観測 4/6:2005/03/28(月) 20:29:18 ID:mYALTUBx
思い出す。
エドガー達は言った。俺らの会話は全て主催者に筒抜けなんだと。
考える。
本当は会話だけじゃなくて、行動自体が全部バレてるんじゃないかと。

(だから、魔女に目を着けられたんだ。きっとそうに決まってる)

けれど、俺は思い出す。
アリアハンで殺しあってた奴らや、銃を乱射した姿もわからない襲撃者を。
あの、女の遺体の惨状を。

(嫌だ……俺は死にたくない)
(殺されるなんて嫌だ。切り刻まれて死ぬなんて、絶対に嫌だ)

俺はまた、思い出す。
先ほどの放送を。
そしてザックス達や、エドガー達と出あった時の事を。

(ターニアも、イザの兄貴も呼ばれてなかった……)
(……嫌だ)
(イザの兄貴やターニアを手にかけるなんて絶対に嫌だし)
(ザックスやシンシアと殺しあうなんて考えたくもない)

そしてまた、考える。
ザックス達といてどうなるかを。

(……こいつらと一緒に、魔女に刃向かったとして首を吹き飛ばされる?)
(それも嫌だ。ゴメンだ。冗談じゃない)
379絶望的観測 5/6:2005/03/28(月) 20:32:10 ID:mYALTUBx
俺は考える。
(ザックスは強いし、エドガーとシンシアも俺よりかは戦えるだろう)
(四人と一緒にいた方が、心強い事は確かだ)
(でも、俺だって……魔王の手下から村を守る程度には戦える)
(それにこっちにはオートボウガンがあるんだ。
 銃弾ってヤツと違って、矢は回収すればまた使えるし、材料さえあれば自作もできる。弾切れの心配はほとんどない)
(レーダーがあれば、死角から襲撃される心配もない……)

俺は考える。
(打倒主催者を公言してるザックスとシンシア、首輪の研究をしてるエドガーとデッシュ……)
(どいつもこいつも、いつ首を吹き飛ばされてもおかしくない。それだけの行動をしてる)
(そんな連中と一緒に居る、俺も……)

考える。俺が取るべき道を。

(なぁ……ゲームに乗ってない人間が、こいつら以外に果たして何人いるっていうんだ?)
(そりゃあ、確かにイザの兄貴やターニア、ザックス達を殺すなんて無理だ。俺には出来ない)
(でも、俺はまだ、死にたくない)
(そう……イザの兄貴達や、ザックス達じゃなかったら……)
(ゲームにもう乗ってる奴だったら……俺の知らない、赤の他人が相手だったら……)

考える。俺が生き延びる術を。

(あのレーダーがあれば、襲撃から身を守ることができる)
(あのレーダーがあれば、相手に気付かれる前に位置を知ることができる)
(あのレーダーがあれば……俺一人でもやっていける……)

(レーダーがあれば……レーダーさえあれば……)
380絶望的観測 6/6:2005/03/28(月) 20:35:40 ID:mYALTUBx
レーダーは今、デッシュが預かっている。
このメンツの中で、唯一俺より弱いと言えそうな奴だ。

(………)

考える。考える。
考えなくてはいけない。誰も助けにはならない。
イザの兄貴も、ターニアも、ここにはいない。
ザックス達も、エドガーも、頼りにするにはあまりにも危険だ。
だから考える。

上手い方法を。
レーダーを手に入れてこいつらから離れるための、上手い方法を。


【エドガー(右手喪失) 所持品:バスタードソード 天空の鎧 ラミアの竪琴 イエローメガホン 
【デッシュ 所持品:ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 対人レーダー
【ザックス 所持品:スネークソード 毛布 
【シンシア 所持品:万能薬 煙幕×2 毛布
 第一行動方針:西部砂漠の旅の扉に急ぐ 第二行動方針:首輪の研究 最終行動方針:ゲームの脱出】
【ランド 所持品:オートボウガン 魔法の玉 毛布
 第一行動方針:ザックス達についていく/レーダーを入手して、ザックス達から離脱する
 第二行動方針:生き延びる(殺人も辞さないが、知り合いは殺さない&戦わない)】

【現在位置:アリアハン北の橋から西の平原→西部砂漠へ】
381この後どうするか 1/2:2005/03/28(月) 22:08:08 ID:T/13n//a
岩陰に隠れて眠っていたセフィロスは、閉じた瞼の向こうから眩い光が差しこんでくるのを感じた。
あまりの眩しさに目を開くと、その光の正体が朝日の陽光だと気付く。
…もう夜明けか。
誰にも聞かれない呟きを漏らしながら、重い体を起こす。
体の具合を確かめて見ると、まだ昨夜受けたダメージが完全に回復してはいないようだ。
しかし、残っているのは、傷跡で疼く小さい痛みと肩にのしかかる疲労感だけ。
この程度なら慣れているし、今後の行動に支障は無いだろう。流石はジェノバ細胞と言ったところか。
荷物を背負いなおし、そこから歩き出そうとすると――激しい地鳴りに続き、魔女の声が天から降り注いだ。

(死人が20人、昨日の日没までの数を合わせると51人…クジャの名は無かった…)
ザックから参加者名簿と地図を取り出し、素早く耳にしたばかりの情報を整理する。
昨日一日で51人が死に、残っているのは自分を含めた88の参加者だ。
この様子で行くと、ゲームがどんな形であれ終焉を迎えるのは1週間ほどかかるだろう。
ここで恐れなければいけないのは、参加者同士が団結する事だ。
おそらく、自分のようにゲームに乗って生き残ろうとする者はむしろ少数派だろう。
最初の部屋で他の参加者を観察した限り、殆どが確かな実力を持つ戦士だった。
また、これまた殆どが魔女や魔女に従う龍に敵意の視線を投げかけていた。
とすれば、その力を用い、魔女を倒す事でゲームを脱出しようと考える参加者が大多数を占める筈だ。
そのためには仲間を募って大所帯で行動するだろうし、何より自分のような考えのマーダーを許しはしないだろう。
だとすると、昨夜アリアハンで遭遇したような実力者の揃った集団と多勢に無勢の戦いを強いられる可能性が高いわけだ。

参加者がますますまとまって行動し始めると考えられるこの二日目以降は、
そんな不利な戦いを覚悟しなければいけないだろう。
382この後どうするか 2/2:2005/03/28(月) 22:11:07 ID:T/13n//a
そこまで考え、セフィロスは他の問題点に思考を移した。
それは、「旅の扉」の存在である。
「扉」そのものはゲームの最初に通った物と同じと考えて良いとして、問題はその位置だ。
魔女が話した扉の位置と地図とを合わせて見る限り、
これから2時間以内に行けそうな所が約1キロほど北にあるあの城下町しかないのだ。
昨日自分がそこで致命傷を負いながら辛くも逃れてきた事を考えると、あまり戻りたくない。
しかし、他の扉ではどうも間に合わなそうだ。
ナジミの搭とやらには海を越える手段が無いと行けそうに無いし、東部の山脈は険しい上に広すぎる。論外。
西部にある砂漠も考えたが、走っても間に合うかどうかという距離だ。
他の所へは遠過ぎて2時間という短か過ぎる時間内に辿りつくのはどう考えても無理だ。
では、どうする?
すぐに行ける距離にあるが、待ち伏せを受ける可能性が極めて高い城下町か。
上手くすれば他の参加者に会わずにすむが、辿りつけるか分からない他の扉か。
どうする?

セフィロスは迷った末、半壊したアリアハンの城下町へと歩を進めた。
クジャは私が去った後も派手に暴れたようだし、城下町ならもしかするとそのクジャと再会できるかもしれない。

【セフィロス(HP3/5程度) 所持品:村正 ふういんのマテリア
 現行動方針:アリアハンにある旅の扉から新フィールドへ 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】
【現在地:アリアハンへ移動】
383黙祷 1/2:2005/03/29(火) 00:58:09 ID:PTSBQVk4
朝の日が闇を振り払う。
それと同時に騎士の指にはめた指輪が、小さな音を立てて崩れ落ちた。
ピエールは、すでに空となっているアモールの水のビンと共に、それを適当な岩陰に隠した。
どのような跡から危険が迫るか分からないこの状況で、用心に越したことは無い。
すでにそこは、そこにピエールがいるという事実のみを除いて、何者かがいたという形跡をものの見事に消し去っている。

そこまでの工程を終えたと同時に、それはやってきた。

−−放送。

それをピエールは、驚きをもって迎えた。
無論リュカは呼ばれていない。けれど…。
(…レックス様!!)
驚きに悲しみはない。己がこの手で殺すことさえ覚悟していたのだから。
けれど、一度もまみえることなく、己の全く関与しない場所で死に至ってしまうことの覚悟を、果たしてしていたのだろうか?

目を閉じる。
死者に黙祷を捧げるその時間は、何秒ともなかった。

かつても平穏な日々。魔王を倒し、失うことの危険もようやくなくなった、あのわずかな時間。
ピエールはその瞬間に、その日々を思っていたのだろうか。

それは違う。
感傷に浸るのは全てが終わってからでいい。
全てが終わり、己が死ぬそのときでいい。
だから今は、あの小さな金の髪の少年の思い出を、深い、とても深いところに仕舞い込む。
384黙祷 2/2:2005/03/29(火) 00:59:43 ID:PTSBQVk4
朝日を右手に、ピエールは歩き出した。
砂漠の砂は夜の冷気によって、程よく冷たい潜伏場所となるだろう。
旅の扉を目的とする参加者達をどう狙おうか考えているピエールの眼差しは、放送前と変わらず、どこまでも冷徹なままであった。


【ピエール(HP4/5程度)
 所持品:鋼鉄の剣、ロングバレルR、青龍偃月刀、魔封じの杖、ダガー、死者の指輪
 第一行動方針:西部砂漠の旅の扉へ向かう 第二行動方針:旅の扉の近くで砂に紛れ潜伏し、参加者を襲う
 基本行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】
【現在位置:レーベ南西の山脈地帯最南部→西部砂漠】
385名前が無い@ただの名無しのようだ:皇紀2665/04/01(金) 23:16:57 ID:Vu/VKbbW
保守〜
386砂に沈む惨劇 1/12:2005/04/03(日) 03:02:54 ID:p54EeD/S
魔女に与えられたタイムリミットを半分以上残して、エドガー、デッシュ、ザックス、シンシア、ランドの五人は、
ようやく砂漠の中ほどにあるたびの扉を見つけた。
しかし、扉を目前に五人の足は止まった。
正確にはデッシュによって止められた。
彼の持つレーダーが、一見して砂しかない自分達と扉の間に、何者かの存在を警告してきたのだ。
「…また墓とかじゃないのか?」
「その割には死臭がしない」
ランドの疑問を一蹴し、ザックスはスネークソードを構えその地点に近づく。
残り時間を考えると戦闘をしてでもこの扉に入るべきだと判断したのだ。
だいたい、わざわざ扉の目前で砂に隠れて隙をうかがうような乗り乗りな奴が、そう易々とここから退却させてくれるとも思えない。

「ちょっと待ってくれ」
呼び止めたのはエドガーだ。
「私にはもう使えそうにないからな。これを君に渡しておく」
そう言って、ザックからバスターソードを取り出す。
バスターソード程の大剣を、使い慣れてもいないものが左手一本で扱うのは確かに無理がある。
「ありがたい。じゃああんたらは下がっててくれ。シンシアもだ。ランド、みんなを守るんだぜ」
「ん、ああ」
ランドは多少身を硬くして答えた。
その視線が、デッシュの持つレーダーをチラチラと覗き見ていることにザックスは気づいたが、
敵を警戒しての行動だと思い、特に気にしなかった。
387砂に沈む惨劇 2/12:2005/04/03(日) 03:04:27 ID:p54EeD/S
砂に身を沈めると、周りの気配が良くわかる。
視界から得られる情報を遮断してはいたが、ここに何者かが近づいていることはわかった。
砂を踏みしめる足音からして、四、五人だろう。
殺気を消しつつも手に持つ鋼鉄の剣に力が入る。

だが、彼らの足は止まった。
(…気づかれたか?)
そんなはずはないとも思う。
気配を完全に殺し、あの暗殺者の男をつけていたときのように動いてもいない。
しばらく様子を伺おうと、さらに彼らのほうへ意識を向ける。
(何か話しているな…)
十メートル以上距離がある所為か、内容までは聞き取れない。
すると、何故か一人だけがこちらに近づいてきた。
その者は、ほのかに殺気を漂わせている。
(…これは、まずいな)
どういう訳か、彼らは自分の居所を察知したようだ。
互いに位置を把握した状態で殺りあうなら、身動きがとり難いこちらが不利である。
そうこう考えている内に、距離は詰められ殺気は大きくなるばかり。
(ええい…!!!)
ピエールは、己に被せた何億何兆という砂粒を一気に振り払い、向かってくる男に一撃を浴びせた。
これは相手の隙をつくための行為ではなく、己の身を守るために必要な行為である。
故に、ザックスはこの攻撃がくることを容易に想像していた。
鋼鉄の剣は巨大なバスターソードに受け止められ、
重量に物を言わせた薙ぎにより宙を舞い、二十メートル近く離れた砂に突き刺さった。
388砂に沈む惨劇 3/12:2005/04/03(日) 03:06:01 ID:p54EeD/S
砂の中から現れた潜伏者が魔物であったことに、五人は僅かな驚きを覚えた。
だがそれは本当に僅かなもので、人間同士の殺し合いの舞台の上ではむしろ、
敵が容赦する必要のないものであったことへの安堵が含まれている。
間髪いれずザックスはバスターソードを振り下ろす。
ピエールは何とかそれを避け、体勢を立て直しつつザックから青龍偃月刀を取り出す。
足場の悪い砂場であって弾力のあるスライムボディは、ともかく機動力の面では勝っているようだった。

一旦距離をとる。
バスターソードより長い青龍偃月刀の間合いを測り、そこで相手を見据える。
ピエールは、このまま距離をとって戦いたかった。
だが、本体であるスライムのすぐ傍の地面をえぐる、銃弾。
「ザックス、そいつの本体は下のスライムだ!!」
マテリア『みやぶる』によって弱点を検索したデッシュが叫ぶ。
釣られてランドもオートボウガンを打つ。
ウインチェスターもオートボウガンも、使い手が人並みだが有能でない以上避けきることは可能だが、
飛び道具に気を使ってはザックスと互角には渡り合えない。
ピエールは決断も行動も早かった。
すぐさま青龍偃月刀をなおしダガーを構えてザックスの懐に飛び込む。
接近戦に持ち込めば敵の援護射撃も止めざるを得ないだろう。
389砂に沈む惨劇 4/12:2005/04/03(日) 03:10:28 ID:p54EeD/S
ピエールの思惑は図に当たった。
デッシュもランドも、ザックスに当たることを恐れ援護を止めたのだ。
だが、状況は決して好転したわけではなかった。

ピエールの得意武器は鋼鉄の剣などの中型片手剣である。
ダガーは短剣。
扱ったことがない訳ではないが、もともと好んで使う戦闘スタイルではない。
一方のザックスのバスターソードは接近戦には向かない大剣ではあるが、ザックスはこの手の剣を最も得意としていた。
得意武器というものは、戦士の能力を最大限生かす。
ピエールは致命傷を避けつつも、劣勢に追い込まれていた。
(作戦を変えねばならないな…)
リュカのことを思えばここで全員殺すべきなのだが、今はまだ、無理をすべきときではない。

バスターソードがピエールの腕を打つ。
衝撃に耐え兼ねダガーを取り落とす。
けれど、ピエールはダガーを拾おうとはしない。
もちろん青龍偃月刀を取り出そうともしない。
ザックスが次撃を構える。
ピエールは、魔法の言霊を紡いだ。

「イオ」

爆発の魔力は誰を襲うことなく周囲の砂を舞い上げる。
(しまった!!)
ザックスは、己の手の先さえ見えぬ砂煙のうちに残された。
急いで敵の気配をさぐっても、もうすぐ傍にはいないということしか分からなかった。
390砂に沈む惨劇 5/12:2005/04/03(日) 03:11:46 ID:p54EeD/S
ザックスと敵とを包んだ砂煙に、四人は一様に警戒を強める。
そして煙の内より出てきたのはザックスではなく、青龍偃月刀を構えた…。

デッシュがウインチェスターを、ランドがオートボウガンをそれぞれ構え、
エドガーはとにかくイエローメガホンを手に取り、シンシアは魔力を高める。
しかしピエールは四人が次の行動をとる前に、もう一度同じ言葉を紡ぐ。
「イオ」
結果も同じ。
四人は視界の利かぬ煙に飲まれた。

デッシュは砂色の闇の中で動く光を捉えた。
己の外からではなく、中から。
対人レーダーが、自分に向かって急接近する『人』を捉えていた。

鈍い、青い閃光が走った気がした。
さっきまでデッシュがいた空を、すっぱり切り取っている。
間一髪だ。
そして煙が晴れる。
騎士の目と、スライムの目。
四つの眼が自分を睨んでいた。
391砂に沈む惨劇 6/12:2005/04/03(日) 03:12:40 ID:p54EeD/S
(また、居所を知られた…?)
視界は完全に塞いでいたはず。
人間である相手が、嗅覚だけで二度も正確に当てることができるだろうか?
ピエールは考える。
そしてデッシュの手に大切に握られているものを、視界に捉えた。
右手にはウインチェスター、左手には対人レーダー。

「「デッシュ」」

視界を回復させたザックスが、エドガーが、同時に叫ぶ。
ザックスは駆け出し、エドガーはイエローメガホンを振り上げ襲い掛かる。
ピエールはエドガーを軽くいなし、もう一度デッシュと対人レーダーを見る。
(何故そんなに大切そうに抱えている)
(戦闘に関係ないものなら、ザックの中に入れておけばいいだろう?)
スライムが、笑った。

ザックスは間に合わない。
エドガーは力が及ばない。
ピエールは青龍偃月刀を下から薙ぎ上げ、それを宙に飛ばした。
対人レーダーを、抱えていた腕ごと。
392砂に沈む惨劇 7/12:2005/04/03(日) 03:16:57 ID:p54EeD/S
「貴様!!」
バスターソードを掲げたザックスが、一撃を放つ。
ピエールは受け止めずに避け、そして。
「イオ」
またしても。
「みんな動け。標的を定めさせるな。見えないのは一緒だ!!」
ザックスはあらん限りの声で叫びつつ、全身の神経を研ぎ澄ませる。
自分に襲い掛かるなら返り討ちにする自信がある。
けれど相手の狙いは戦闘能力の低い奴等の掃討だ。
そして今一番危ないのは、五体不満足なエドガーとデッシュ。

「うぅ…」
デッシュはウインチェスターを持ったまま、右手でもぎ取られた左腕を押さえていた。
ザックスが何かを言っている。
痛みが、脳みその集中力を削いで言葉の理解を放棄してしまっているようだ。
デッシュは、立ち尽くしていた。
危険を知らせるレーダーを、持たないまま。

ふと、ザックスは後ろに気配を感じた。
振り返ると、誰かの影が見える。
影は、片腕のない男だ立っているものだ。
「デッシュか?絶対に俺から離れるなよ」
影は答えない。
393砂に沈む惨劇 8/12:2005/04/03(日) 03:20:42 ID:p54EeD/S
そして、煙が収まりかかる。
完全ではないが、肩から上位は見える。

「キャアアァァァーーーー!!!!」

悲鳴が上がった。
シンシアが、こちらから目をそらしている。
ザックの足に何かが当たった。
丸い、何か。
まだ足もとは砂が待ってよく見えない。
だから、影のあったほうを見る。
デッシュの首が、なくなっていた。
そして糸の切られたマリオネットのように、首のないデッシュは崩れ落ちた。
394砂に沈む惨劇 9/12:2005/04/03(日) 03:21:49 ID:p54EeD/S
ランドは二度の砂煙を、とにかくシンシアの手を引いて煙の外に出ることに努めた。
煙の外で視界を確保すれば、オートボウガンでの反撃もできる。
シンシアだけを連れたのは、デッシュやエドガーとは多少なりとも距離を置いていたことと、
彼ら二人とシンシアを天秤にかけたからであった。

結果的に、ランドはシンシアを守り、デッシュを見捨てた。
シンシアの悲鳴が、そのことを糾弾している。
ランドにはそう聞こえた。
(お、俺はそんなつもりじゃ…)
(あいつだって銃を持っていたじゃないか。自分のみぐらい守れるだろ!?)
煙のむこうに敵を見出す。
ザックスは駆ける。
ランドは茫然と、視線を落とした。

腕があった。
腕の先には手があり、あれを握っていた。
対人レーダー。
デッシュの腕が、こんなところまで吹き飛ばされている。
「これさえ、あれば…」
呟いた。
ランドに、もう周りは見えていなかった。
対人レーダーに手を伸ばす。
それで終わった。
395砂に沈む惨劇 10/13:2005/04/03(日) 03:24:02 ID:p54EeD/S
ピエールのロングバレルRに硝煙が上がっている。
シンシアは、先程まで自分を守ってくれていた人が、物言わぬ骸になった瞬間を見てしまった。
ランドは、自分が撃たれたことに気づかず逝った。
ゆっくりと、身体は求めていたレーダーに覆いかぶさるよう崩れた。

ザックスはその間の出来事をどれだけ目端で捕らえ、理解していただろうか?
確実に言えることは、ピエールがランドを撃ったことで、そこに隙が生じたこと。
ザックスの攻撃に対する防御も、回避もできなくなったこと。

けれど元から、ピエールは防御も回避もするつもりはなかった。
むろんここで死ぬつもりはない。
ザックスの攻撃は届かないのだ。

奴まで後三歩とない場所で、ザックスは青い光に包まれた。
それが何なのか判断できぬまま、光は強まり飲み込む。
ザックスは跡形もなく消え失せてしまった。
だが何故?
くどくどと膝下あたりにまだ舞っていた砂がようやく完全に晴れて、エドガーはその理由を理解した。
ザックスが消えた場所には、青い渦を巻く、旅の扉があったのだ。
三度目のイオの新の狙いはこれである。
砂煙によって扉を隠し、自分を囮に最も厄介なザックスを、この場から退場せしめたのだ。
396砂に沈む惨劇 11/13:2005/04/03(日) 03:27:28 ID:p54EeD/S
しばらく、ピエールはシンシアとエドガーに注意を払いつつ、その場を動こうとはしなかった。
確認を取っているのだ。
最初に集められた広間からこの地へ来るとき、その扉は一方通行だった。
だがこれもそうとは限らない。
タイムリミットの二時間だけ行き来が可能なのか、それとも一方通行なのか。
扉をくぐった先はランダムなのか、ある特定の場所なのか。
くぐった先のことはともかく、最初の疑問には答えが出た。
ザックスは、戻って来ない、来れない。

ピエールは動き出す。
武器を持たないエドガーとシンシア。
エドガーに至っては右手もない。
ザックスほどの戦闘力はないはずだ。
五人中四人。
皆殺しを諦めたピエールの、最良の結果だ。
397砂に沈む惨劇 12/13:2005/04/03(日) 03:28:38 ID:p54EeD/S
魔物の姿をした『死』が近づく。
傍らには親しい人の骸。
あの山奥を思い出す。
(ソロ…。私は…、諦めない!!)
あの時は自分がソロの姿をして死ぬことで、魔物を引き上げさせねばならなかった。
けれど今、死んではいけない。
生きるのだ。

ザック自体を盾に、シンシアが猛進する。
ピエールは青龍偃月刀でザックごと真っ二つに切った。
ザックには言っていた毛布が、一瞬だけピエールの視界を遮る。
シンシアは、避けていた。
手に持つ煙幕用の丸を落とす。
今度は、ピエールの視界が奪われるばんだった。

「エドガーさん!!」

女の声を聞き、右手のない男のいた辺りを闇雲に薙ぐが、手ごたえはない。
数秒後煙は引き、二人の姿はどこにもなかった。
398砂に沈む惨劇 13/13:2005/04/03(日) 03:30:13 ID:p54EeD/S
取り落とした武器と死者のアイテムを回収しながら、ピエールは己の慢心を恥じた。
一人はともかく三人も逃しては、やはり穴埋めをせねばなるまい。
この地での回復が困難なようにできているのは、昨日いやというほど思い知っていた。
べホイミもそこそこに、ピエールはイオラを放つ。
イオより大きな爆発は、そこに残る血を、死体を、砂の中に沈めてゆく。
旅の扉だけをアンコウの堤燈のように目立たせて、ピエールはまた砂に身を隠した。
次の獲物を狙って。
もうすぐ、制限時間が半分をきる。


【ザックス(HP9/10程度) 所持品:バスターソード スネークソード 毛布
 第一行動方針:??? 最終行動方針:ゲームの脱出】

【エドガー(右手喪失) 所持品:天空の鎧 ラミアの竪琴 イエローメガホン 
【シンシア 所持品:万能薬 煙幕×1(ザックその他基本アイテムなし)
 第一行動方針:??? 第二行動方針:首輪の研究 最終行動方針:ゲームの脱出】

【現在位置:新フィールドへ】


【ピエール(HP3/5程度) (MP1/2程度)
 所持品:鋼鉄の剣、ロングバレルR、青龍偃月刀、魔封じの杖、ダガー、死者の指輪、オートボウガン、魔法の玉、毛布、
     ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる) 対人レーダー
 第一行動方針:砂に紛れ潜伏し、参加者を襲う  基本行動方針:リュカ以外の参加者を倒す】

【現在位置:西部砂漠の旅の扉近くの砂の中】
399砂に沈む惨劇 追加と修正:2005/04/03(日) 03:51:57 ID:p54EeD/S
追加文:
【デッシュ 死亡確認】
【ランド 死亡確認】

【残り84名】

修正文:
1/12(本当は1/13)二行目
たびの扉→旅の扉

12/13 十一行目
は言っていた→入っていた

他にも誤字があるかも…
こんな時間だから勘弁してくれ、眠い。
400扉の向こうへッ! 1/3:2005/04/06(水) 14:30:54 ID:j3nl5i44
「アグリアス!アグリアス・オークス!!」
「そう大声を出さなくても聞こえているッ!なんだ?」
「扉と思わしきものを見つけた」
「何?」

マティウスの予想通り、それは旅の扉だった。


マティウス達が森に到着してから数十分。彼らは扉を探し続けていた。
扉といっても、想像できる形は不可思議なものから現実的なドアの様なものまで千差万別。
旅の扉の存在を知らない彼らは手間取っていた。

そしてマティウスは服に葉っぱや枝をくっ付けてしまいながら、
必死に扉と思われるものを探し続け、そして目の前に広がる光の渦を見つけた……。

「アグリアス!アグリアス・オークス!!」
「そう大声を出さなくとも聞こえているッ!なんだ?」
「扉と思わしきものを見つけた」
「何?」

マティウスの予想通り、それは旅の扉だった。
青く光る渦が美しい。この不可思議なものは、このゲームが始まった時にも見たものだ。
ならば間違いない、これが次の舞台への扉という奴だ。3人は一安心する。

「ようやくか……」
「マティウスッ、アグリアスッ、ご苦労だったなッ」
「ああ、ゴゴも……って、なんなんだその口調は」
「今は"興奮したアグリアス"の物真似をしているッ」
「な……馬鹿にしているのかッ!?」
「誤解だッ」
401扉の向こうへッ! 2/3:2005/04/06(水) 14:32:44 ID:j3nl5i44

溜息をつくアグリアス、そしてその真似をするゴゴ。
それを見て静かにマティウスは微笑した。そして問う。

「答えは決まったか?アグリアス」
「ああ、決まった」
「ならそれを聞かせてもらおうッ」

アグリアスに一発小突かれ、ゴゴは物真似を止めた。
そして咳払いを一つすると彼女は静かに答えた。

「魔女討伐に私も乗った。どこまで協力できるかわからないが、私も同行しよう」
「………私が最も理想的と考えた答えを弾き出してくれた事に感謝しよう、アグリアス」

そして2人はまたクールに微笑した。
ゴゴも微笑した………様に見えた。

「さてアグリアス、そろそろ行こうか」
「そうだな。だがその前に……」
「何だ?」
「その小汚い格好をどうにかしたほうが良い。滑稽だ」

アグリアスに指摘されようやく思いだした。
葉っぱや枝まみれになっていた自分の姿にだ。
すぐにそれらを払う。そして今度こそ。

「行くぞ」
「ああ」
「私も行く物真似をしよう」

森の中で3人は扉へと飛び込んだ。
それを見ているのは、幸福なことに小鳥達のみであった。
402扉の向こうへッ! 3/3:2005/04/06(水) 14:33:50 ID:j3nl5i44


【マティウス 所持品:ブラッドソード 男性用スーツ(タークスの制服)
 第一行動方針:新フィールドへ 第二行動方針:アグリアスの観察
 基本行動方針:アルティミシアを止める
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非交戦的だが都合の悪い相手は殺す】

【ゴゴ 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
 第一行動方針:マティウスの物真似をする】

【アグリアス 所持品:クロスクレイモア、ビームウィップ
 第一行動方針:マティウスに同行する 最終行動方針:魔女討伐に乗る】

【現在位置:レーベ南の森にある旅の扉から新フィールドへ】
403騎士の面前:2005/04/06(水) 22:07:41 ID:UKJ55bol
マティウスは気づいていなかった。
彼の存在に、彼のその眼光に。
それは幸いだったのか、それとも不運だったのか。

マティウス達が扉を発見する直前、
ライアンは彼らの存在にいち早く気づき、そして何故か木の上に上った。
今冷静に考えれば馬鹿なことをしたと、ライアンも思う。
だが、今更に冷静になるとその理由はわかった。

それはマティウスの覇気。
ただならぬ、御稜威をも射していると思えるその覇気。
彼から感じたそれが、ライアンを遠ざけたのだ。
だがそれだけではない。
マティウスから、更に感じ取ったものがあったのだ。

それは、闇。

かつて、マティウスのいる世界を暗黒に染めようとした者がいた。
その者がまさにマティウス張本人だった。まぁライアンがそれを知る由も無いのだが。
だがライアンはその二面性に無意識に気が付いたのだ。

何かがおかしい。何かに違和感を感じる。
そう、それは自分のかつての敵であるピサロに似ている。
今はまだそう易々と近づくべきではないのだと体が言った気がした。


だが、すぐに光へと消えていった彼には仲間がいた。
それに「魔女討伐」という単語も聞き取った。彼は正義側の人間だろう。
色々勘繰っている間に去られたのは惜しいが、仕方が無い。また誰かを待とう。
ライアンは木から飛び降り、辺りを眺め、そして呟いた。

「臆病になったものでござるな……拙者も」
404騎士の面前:2005/04/06(水) 22:08:44 ID:UKJ55bol


【ライアン 所持品:レイピア 命のリング
 第一行動方針:扉前で待機し、仲間を探す&マーダーを減らす 
 最終行動方針:アルティミシアを倒す】

【現在位置:レーベ南の森中央】
405名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/09(土) 04:51:58 ID:H3QK2RmW
保守
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/10(日) 02:56:48 ID:SBJC2nuS
保守
407それはかつての物語 1/6:2005/04/10(日) 13:18:33 ID:/g4pnT0+
その昔 暗黒に満ちた世界があった
もはやその世界は魔王の懐 希望は無く 絶望のみ
その世界を光に満たさんと 四人の人間が天より舞い降りた

その中の一人が かの勇者ロトである
そして彼は魔王を打ち払うその時に 聖なる武具を手にした

それは人の産物ではない それは人の空想ではない
神の手によって造られし希望の証


光の鎧
勇者の盾
そして 王者の剣


聖なる力により 護られるべくして護られた聖なる武具
伝説の鉱物の力と神の息吹によって造られた聖そのもの

そう それは常人には扱うことなどできはしない
神に選ばれし者すら辿り付く事の無い領域
唯の人がそれを扱おうとも その重みに全てを潰されるのみ

その聖なる光は 天に選ばれし者の為の光
その聖なる輝きは 天に選ばれし者の為の輝き
勇者はそれらを羽の様に軽く天に掲げ 闇を切り払うことだろう

大地の精霊ロトよ
勇者にその名を与え 聖なる光の祝福を与えよ

勇者に 光あれ
408それはかつての物語 2/6:2005/04/10(日) 13:19:35 ID:/g4pnT0+


「助かった…のか」

マッシュとスコールは、ティファの毒牙から逃れることが出来た。
いきなり襲い掛かってきた彼女に戸惑い、不意打ちに手間取ったものの幸運にも無傷で逃亡できたのだった。

そしてアイラの支給品も、スコールが袋ごとしっかりと持っていた。

「………彼女は、」
「死んだだろうな…くそっ!」

スコールの呟きを遮り、マッシュは怒りに打ち震えた。
仲間を護れなかった自分に腹が立っているのだ。
だが今は冷静になるときだ。あくまでもここは戦場だ。
悔しがるのは後で良い。

「ところでスコール。お前、この剣を使えるか?」
「これは……?」
「説明書みたいな紙にはロトの剣って書いてたんだけどよ。重いんだよ、凄く」
「重い?あんたが持ち上げられない程か?」

マッシュは、相手の持っていたアイラの袋から剣を落とすように出して言った。
スコールもそれを先程からずっと見つめていた。

スコール自身の得意戦術は大型の剣での斬撃。
どうせなら両手剣であって欲しかったが、ナイフや鞭よりはロトの剣のサイズの方が使いやすい事は確かだ。
マッシュがそれに気づいたのかは知らないが。

そして彼はマッシュから説明書と剣を受け取ると、ロトの剣を天高く持ち上げ……!!
409それはかつての物語 3/6:2005/04/10(日) 13:21:25 ID:/g4pnT0+

られなかった。

「……くっ!」
「どうした?」
「さっきから重過ぎて………全然持ち上がらないんだが」
「お前みたいなのにも無理なのか……」
「信じられないが……な。腹が立つな、全く」



「信じられない、かな?」
「いや、僕は信じるよ。そういう伝説は僕の世界にもあったし」

一方こちらはロラン達。
今度こそ本当に、アリアハンを目指そうと四苦八苦していたのであった。
朝の放送でショックに襲われていたが、今は悲しむ時ではないと皆は知っていた。
だから今はこうして、笑っている。悲しみに押し潰されない様に、笑っている。

「で、そのロトの剣って言うのが伝説の聖剣だというのはわかりました」
「うん。それで、その聖剣さえ手に入ればいいんだけど……」

ロランとすっかり回復したサックスは先頭に立って、こうして話をしながら歩いていた。
単純な防御力や咄嗟の行動等に長けた2人がその役目を志願したのだ。
そして他の皆は後ろで固まって歩いている。いくつもの明るい声が溢れていた。
それを確認すると、ロランは話を続けた。

「あれは他の人間には扱えない。勇者の血が流れていないと、常人にはとても重過ぎて持ち上げられないんだ」
「そりゃ凄い」
「どんな悪人が持とうがただの飾りと化す。あれはそういう剣なんだ」
「じゃあ大丈夫じゃないですか。ロランさん以外には使うことが出来ないんでしょう?」
410それはかつての物語 4/6:2005/04/10(日) 13:25:07 ID:/g4pnT0+

その言葉を聞いて、ロランは溜息をついた。
相手の言葉に対する呆れでは無い。現状に対しての呆れだ。
しばらく名簿をパラリパラリと捲るロラン。

「実はこの殺し合い、僕のご先祖様である勇者ロトが参加しているらしい」
「え?そうなんですか……」
「パウロも死んだ今、ロトの剣を使えるのは僕とそのロト本人だけだ。あまり考えたくは無いけど……」
「考えたくないけど?」
「彼以外の人間が、その剣を見限ってどこかに捨てるという可能性もある」

そうなってしまっては正直凹む。
ただの鈍らの剣に用はない、そう思う人間は数多くいるはずだ。

「まぁ、そうならない事を祈るだけだけど」
「そうですね……っと、ロランさん!前前!」
「あ……おーい、皆!森を抜けたぞー!」

後ろの中間達に振り返り、ロランは言った。
するとゼルやフルート達が我先にと平原に姿を出した。勿論辺りを警戒しながらだが。

「やった!ついに抜けたのね!」
「久々な気すらしますなぁ、この照りつける太陽は」
「やっぱこれくらい射してないとなんか変な感じだよなー」
「そうですね〜、まぁ私は慣れっこですけど〜」
「とにかく、まずはこれで一安心ですね」

各々が喜びを口にする中、サックスとロランは笑みを浮かべた。

「地図によると、ここから東に行けばやっとアリアハンらしい」
「あともう少しですし、この調子でアリアハンに行きましょう!」
「「「「「おー!!」」」」」
411それはかつての物語 5/6:2005/04/10(日) 13:27:15 ID:/g4pnT0+



「今すぐに移動か。確かに一理あるな」
「ああ、まだ襲撃が終わったとは言い切れないしな」
「それにこの剣の重さでは…話にならないからな」
「……俺にも重過ぎて何がなんだかって感じだったしな」
「そんなものを持たせようとしていたのか……」

そしてまたスコール達。
どうやらマッシュがここからの移動を提案したらしい。
スコールも同意し、彼が示した方角へと移動することにしたのだ。

「ところでスコール、お前その剣はどうするんだ?」
「そうだな……ここで捨てても良いが、何か特別な力が宿っているかもしれない。持っておこう」
「意外と物好きだな、お前も。ま…あいつの形見みたいなもんだし、な……」
「………ふん」

そして2人がかりでようやく剣を片付け、歩き出した。


こうして、仲間を目の前で失った者は動き出した。
こうして、かつての仲間がどこかで散ったことを知った者は動き出した。

次の世界へと行く為に。
いつか魔女を倒す為に。

時も、彼らと共に動き出す。
412それはかつての物語 6/6:2005/04/10(日) 13:29:21 ID:/g4pnT0+


【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石】
【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3)
            ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
            アイラの支給品袋(ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ)】

【第一行動方針:マッシュの示した方角に移動 第二行動方針:ゲームを止める】

※彼らがどの方角に移動したかは、次の書き手さんに任せます。


【フルート 所持品:スノーマフラー 裁きの杖 魔法の法衣】
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート】
【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪 ブロンズナイフ 
【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト】
【サックス 所持品:水鏡の盾 草薙の剣 チョコボの怒り】

【第一行動方針(五人共通):アリアハンへ向かう
 第二行動方針(五人共通):なるべく仲間を集める
 最終行動方針(五人共通):ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】

【ユウナ(ジョブ:白魔道士) 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子
【プサン 所持品:不明
 第一行動方針:フルート一行についていく 第二行動方針:ドラゴンオーブを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ、困ってる人や心正しい人は率先して助ける 最終行動方針:ゲーム脱出】

【現在位置:アリアハン西の平原(アリアハン西砂漠から東にある平原)】
413Adrenaline Rush!! 1/4:2005/04/11(月) 00:01:02 ID:VOc9MIsU
えらい事になった。
いや、本当にこれは凄い。
「最初から支給品は確認しとけっての!こんな良いモン入ってたんだろ!?」
「いやぁ、うっかりといいますか。まさかこんな奇妙なものが入っているとは」
ゼル達は目標を変え、アリアハンではなく砂漠の旅の扉へと爆走していた。
文字通り、爆・走!

きっかけはアリアハンに向かおうと意気込んでいた最中。
ユウナがプサンの支給品が未だに謎な事に気が付いたのだ。
もしかしたらとても凄いアイテムが眠っているかもしれない。
そう期待する彼らを尻目に、袋から無造作に放り出したそれはなんと!!


「はっはっはァ!!まぁでも確かに軽トラが入ってるなんて思うわけ無いぜ!!」


軽トラでした。
鉄で作られたそれは大体の障害にも耐えられる。
そうそう時間が無いこともあってか、彼らはそれを使う事にした。
そしてアリアハンではなく、少々無理をしてでも近場である砂漠の旅の扉を目指すことになったのだった!

そして車に一番詳しい(はずの)ゼルが運転しているのだ!
しかし慣れていないのか、確実に中心部には走っているものの、砂煙を撒き散らして暴走状態!!
じゃんけんに勝ったプサンを助手席に、そして残りの負け組共を後ろの荷台に乗せて走る走る走る!!
ゼルのアドレナリンは大爆発だ!すげぇ!!

そして砂煙が巻き起こるこの状況に、メンバーが文句を言いまくる!
「げほっげほっ!これもうちょっとスピード落とせないの!?」
「目に砂が入りそうですよ〜」
しかしゼルは無視だ!
頑張れゼル!負けるなゼル!後で絶対皆にボコられるから!!
414Adrenaline Rush!! 2/4

「む?」
一方こっちは砂に隠れているピエールである。
対人レーダーが大勢の人の塊を感知したことに気づいたのだ。
しかもやけに早い。さながら大勢の馬の塊のようだ。
「珍妙な……だがこれはチャンスだ」
立て続けに現れる大人数の参加者。どうも自分は運が向いているらしい。
今度こそ絶対に仕留めてやる。そして意気込んだピエールはそっとレーダーの感知した方向を見た。

凄い勢いで何かが迫ってくる。
ピエールの世界での文明レベルではありえないし、理解できないものが襲ってきている。
だが、何か嫌な予感だけはしていた。あれの直線上にいてはいけない気がしていた。さぁどうしようか。
「狙撃か……」
たどり着いた答えを、ピエールは袋から取り出して表現した。
そう、ロングバレルRだ。あれを狙撃しようというのだ。
砂煙に隠れて相手の姿は見えない。仕方が無いので直線上からは離れた。
そしてまた砂に隠れ、狙撃した!!


ズドォン!!


ゼル達の耳に銃声が届いた。
「うわ!何ですか今の!」
「今のは…銃!?私たちを狙っているんでしょうか。でもその割にはこちらには掠りもしなかったけど……」
「まぁ…つまりやばいんだね!おーいゼル!目の前に青い光があるだろ?アレに急いで突入してくれ!」
「おっしゃあ!皆捕まれよ!!」

だが、どうやら掠りもしなかったらしい。
相変わらず爆走する何かを見て舌打ちするピエール。
そしてまだまだ近づいてくる不思議な物に銃を構えた。