このお題でFFDQ創作小説を書いてみよう【第二章】
75 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:
人間になりたい。
私はそう思った、駆けていた、薄暗い洞窟の中を、光の匂いのする方へ、光のテントの中へ、
生命の受胎、出自の隠蔽、全てをこの非情なまでに科学的なな体に閉じ込め、触手がうごめく、
私の体がうごめく、化け物、魔物、ホイミスライム、それが私の真の形態。
人間になりたい。
心優しき人間に、昼と夜の世界に生き、労働と子を産む楽しみを知った、安らかな子午線の祭り、彼等になりたい。
この腐った陰気な巣窟から抜け出し、詠いたい、世界の神秘を、私自身の神秘を、生命を、小鳥のさえずりを、
森のささやきを、風のうなりを、川の流れに煌く星の結晶を、ちょっぴり苦い生活を。
人間になりたい。
吃音しかでないこの不器用な声帯、半透明に濁った暗緑色のこの体、気味の悪いと蔑まされたこの触手、
くらげのようにふわふわただよう、光はささない、決して私にはささない、死臭漂う私の住処、燐のともし火ほどの光もありはしない!
突如あたりの気配が変わった。あの匂いが洞窟に漂う。人間だ!
76 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/10 16:31:13 ID:2RVsfesY
来る、洞窟の砂利を踏みしめ、確かな老練な足取りで、細やかな気配を読み取り、
私のいる洞窟の最奥まで、血の匂いを滴らせ、戦士の汗、鞘の影、神秘の匂い、人間。
こっちへおいで、
こっちだよ。
おーい おーい
人間になりたい
そっちじゃないよ
人間に
こっちへおいで
おーい
人間になりたい。