7 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/27 14:49:31 ID:lCrAu01P
高くて買えない。
一番先に買おうと思うけど…
【牡丹と桜】〜ブーメラン編〜
ここは私立アジアン女学園。清らかで美しい花園と称される、世界屈指のお嬢様学校である。
帰り仕度も早々に、桜は階段を駆け降りていた。はしたない、と学園では憚れるこの行為も
『彼女』の暴走を食い止めるためには許されているのだ。
いくつもの通路を抜け、ようやく伝えられた場所に着くと、そこには長い黒髪をなびかせ
一人椅子に腰掛ける彼女がいた。しかし何よりも、彼女の前に置かれている机に
貼り付けられた文字は、桜を驚愕させるには充分だった。
――ブーメラン部。
占い師でもなくとも、桜の予感は的中するだろう。そもそも、ふとしたきっかけで彼女と
義姉妹の契りを交わしたのが間違いだったのだ。
相手は世界を手中に収めたと言われるミッドガルド最大の集団公司の令嬢、牡丹。
釣り合いの問題ではない。桜自身、母国ジパングの財務官僚から非公式な言伝を
何度頼まれたことか。これは仕事――いや、任務なのだ、と言い聞かせ桜は歩みだした。
「お姉さま、一体これは……」
「あぁ、桜。待っていたのよ。実は部活動を始めることにしたの」
私はやりたくないです、とは言えず泣き寝入りする自分の姿を桜は想像した。
「それで、私の好きなドラゴンクエストオンライン部を作ろうとしたのだけれど、
生徒会に反対されてしまって……」
――やるじゃん生徒会! 桜は握りこぶしを作って称賛を表したが、
すぐさま疑問が駆け巡り頭を傾げた。なぜブーメランなのか、と。
「そのあと生徒会長に土下座されてしまって……やっぱりあまりに限定的なものでは
他の方も参加しにくいでしょ? そこで私が一番好きな武器であるブーメランに
することにしたら、生徒会も納得してくれたわ」
あなたの頭はブーメランよりクルクル回っていますね、と言い出しそうになり
桜は慌てて口をふさいだ。このまま窒息するのも良い手だろう。
「とにかく部室もできたし、あとは部員なのだけれど……誰か好きそうな方はいるかしら?」
桜はすでに部員のようだった。それに部室とは、前面に見上げるほどに存在する
第三体育館ことなのだろうか。そしてこの女はなぜ清々しい顔をしているのだろう。
もう全員巻き込んでやる、と桜は人生最高の笑顔を作ってみせた。
「きっといますよ。お姉さま、一緒に頑張りましょう」
かくして、ブーメラン部は活動を始めるのであった。
このスレも人知れず消えてしまう悪寒((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
_, ._
(゚ε゚ )
>>11さん
はい、できれば続けたいです。ただブーメランネタもなかなか難しいので……。
性懲りも無くまた書いてみました。誤字脱字、加えて文章の読みにくさをお許しください。
ネタ内容も含めてご指摘があれば、ぜひお願いします。
>>12さん
( д) ゚ ゚
【ブーメランでいこう!】
大学入試もあきらめ、早々に予備校に通うことになり、電車通学の日々が続いている。
今のところ不満があるわけではない。しかし、いつまで同じ事を続ければいいのか、
という葛藤の爆発が起こるのは目に見えている。――その時自分は耐えられるのだろうか。
飛田クミは予備校の入り口から真っ直ぐ伸びる駅前の並木道を歩き出した。
レンガに似せようとしているのか、赤く塗装されたアスファルトを踏みつける度に
パンプスの音がカッカッと鳴る。友達ができていれば、この音のリズムも遅くなるのかもしれないが、
生憎とスピードは増すばかりだ。加えて異常気象とは言われていても寒いものは寒い。
ジャケットをぐっと寄せて、ひたすら前へ進んでいく。
その時ふと薄汚れた建物を見つめる女性が目に入った。彼女はクミと同じ予備校の生徒だった。
普段あまり生徒に関心を持たずにいるクミが、おとなしめともいえる彼女を
覚えているのにはわけがある。それは彼女の使っている下敷がドラクエのものだったからだ。
普通の人ならば引いてしまうところだが、クミは隠れゲーマーであり、
大のドラクエファンでもあった。しかしそのことは口が裂けても言わないことにしている。
理由は一言でいうのならば、同族嫌悪。ちなみに彼女の名前は知ろうとも思わなかった。
だんだんと近づいていくと、どうやら彼女が誰かと話しているのが分かった。
クミは一瞬目を疑う。巨体モンスターが女性に襲いかかろうとしている――かに見えたのだ。
もちろんそれは巨漢の男性で、比較的楽しそうに話しているので、
もしかしたら彼氏なのかもしれない、とクミは気にせず通りすぎることにした。
「……そう、いっ一回でいいから。一回やってみませんか」
くぐもった男の声にクミの歩幅が狭まる。新手の勧誘だろうか。あまりいい気がしない。
すると彼女のほうが振り返った。
「あの……飛田さんですよね」
「えっ、あぁはい。そうですけど」
突然のことに適当に答えてしまったクミだったが、名前を呼ばれたことにひどく違和感を感じている。
「私、二ノ宮といいます。予備校で一緒の時もあるんですけど……ええと、
本当は飛田さんが使っている定規が気になってて」
「はぁ?」
「あれってドラクエのグッズですよね? すごいレアだと思いますよ」
確かに定規は古いものだが、すでに買った当初のことなど忘れてしまっている。
しかもあれにはドラクエの面影などないはずだ。彼女は何者――いや、オタか。
すると今まで黙っていた巨漢が割り込んできた。
「そ、そちらの方もどうですか。ご、ご一緒に?」
巨漢が手を広げ、建物を指す。三階建てと思われる入り口にはBUの文字があり、
横に小さく「ブーメラン連合東アジア支局」と書かれてあった。
「ブーメランってドラクエにも出てきますよね? 何か面白そうじゃありませんか?」
二ノ宮が人目も気にせず話し掛けてくるので、クミは小声で返すことにした。
「あのさ……あまり大きい声で話すことじゃないと思うんだよね」
「でもダイエットにもなりそうですし、飛田さんもドラクエ好きなんですよね?」
ダイエットはよけいなお世話である。それよりも巻き込むつもりなのだろうか。
気づけば二ノ宮には秘密を握られてしまっている。クミは察した。この女――地雷だ、と。
とにかく今は二ノ宮に関わらなければならない。意を決してBUの門をくぐるクミであった。
【牡丹と桜】〜ブーメラン編〜(2)
部活動とはいっても、「ブーメラン部」では前例がないに等しい。
桜は生徒会と話をつけ、運動部として認定してもらうことにした。
また第三体育館を返上し、空いていた部室を借りることにする。
これで、とりあえず部としての体裁が整った。
部室はすでに「牡丹テイスト」に改装され、桜はお姉さまのためにお茶を煎れている。
その時桜は茶葉の容器に特級の文字をみた。党幹部にしか口にできないといわれる最高茶葉の証し。
――これ一杯でどれほどの命が、などと言っていてはこの世界では生きていけない。
「ありがとう、桜」
ティーカップを置きテーブルに着くと、桜は牡丹が読んでいた本に目がいった。
「週間世界のブーメラン」とデカデカ載っている。――どんな物好きが読んでいるんだよ!
そもそもこれが部活動なのだろうか。もう戻れないと桜は確信している。
「ところで部活のことなのだけれど、やっぱり知名度が重要だと思うの。
そこで、他の部と競争するのはどうかしら」
「へっ?」
「例えばアーチェリー部との的当て競争なんて面白そうではなくて?」
何度引き返そうと思ったことか、しかし桜はアーチェリー部の射撃場まで来てしまった。
アーチェリー部代表は、バハラタ出身で世界有数のITグループ企業の娘、パドマ。
その褐色の額に何層もの皺を寄せて、牡丹を睨みつけている。
「バカなことを言って練習の邪魔をするな」
「それは負けを認めたということかしら」
二人の応酬に周囲は引いている。むしろ二人の後ろ楯を考えれば、傍観が一番だ。
「……そこまで言うのなら、的に当ててみせろ!」
「ええ、そのつもりです」
どこから取り出したのか、牡丹は銀色に輝くブーメランを手につかむと、
正面に均等間隔で広がる的の一つに狙いを定め、「えいっ!」と投げ付けた。
V字型のそれはクルクルと回転を続け、辺りを囲っていた網を切断し、
的を固定する棒も次々と切断。ついには女生徒に向かって迫ってきた。
「イヤー」「助けてー」「お母さーん」
その叫び声はどうか、とツッコミを入れる余裕すらない。
桜は予測不可能な飛行経路をとる凶悪物体から逃げるのに必死だった。
その時弓を構え、一人迫り来る銀色の悪魔と対峙する女生徒の姿が。
褐色の手から放たれた矢は、一直線に進み、見事直撃したのだった。
生徒会室では会長を始め桜も混じり、パドマを囲んで土下座を繰り返していた。
「ちょっと、なんで私がブーメラン部に入らないといけないわけ?」
「歯止めとなる方が必要なんです」
「いいかげんにしろよ!」
パドマは出ていってしまった。どうやら桜の望みも絶たれたようだ。
しかし、翌日ブーメラン部には牡丹と談笑するパドマの姿があった。
桜が驚いて何もできずにいると、パドマが寄ってきて耳元にそっと語りかける。
「父があいつと仲良くしろっていうから……部活も掛け持ちだし……勘違いするなよ」
パドマはそう言うと笑顔で席に戻っていった。
――世の中やっぱりお金だね、あはっ。
またブーメラン部に犠牲者が一人。
17 :
11:04/12/03 01:45:02 ID:ED7TAEl8
>>13 >ネタ内容も含めてご指摘があれば、ぜひお願いします。
じゃあ、生意気言わせてもらうね。
一通り読んでみたけど、ネタは悪くはないとおもうよ。
でも、文章の読みにくさは気おつけたほうがいいと思う。
どこかで読者を一息つかせる 間 を空けないと。
読んでて息が続かないってなると、面白いネタがもったいないからね。
>11さん
図々しくこのスレの乗っ取りを始めた挙げ句、勝手に妙なSSを投下している者にとって、
書き込みを頂けるだけで嬉しいです。生意気だなんてとんでもありません。
「間」ですね。自分でもいきなり場面転換していて、なんじゃこりゃ、と思うことが度々あります。
でもSSを書き終えた後は、「できたー!」って感じで勢いで投下してしまって……。
さらに一人称(主人公視点?)と三人称(神視点?)の区分けで悩んだりしていることが、
文章の読みにくさに繋がっているのだと思います。
なかなかすぐには直らないとは思いますが、努力してみますので、
よろしければこれからもお付き合いください。
あとできればネタの提供もお願……うわっ、ごめんなさい、ちゃんと努力し……
どうも物事が立て続けに起こっているだけの文章になってしまいます。
「間」の精進は当分続きそうです。
【ブーメランでいこう!】(2)
DQオタの二ノ宮、普通でありたい飛田クミの二人は、巨漢――大木というらしい――に案内され、
BU(ブーメラン連合)施設内に踏み込もうとしていた。
何の変哲もない自動ドアが開くと、フロントが見え、スーツ姿の女性がお辞儀する。
白を基調としたロビーで、なかなかしっかりしている、とクミは感じた。
が、突然スーツの女性が立ち上がると、ショルダーバッグを片手に「子供のお迎えなので帰ります」と
そのまま外へ出て行ってしまった。唖然とする二人を察して大木が口を開く。
「あ、あの人はパートの早川さんで、シングルマザーらしくて……と、とにかく、
気にせずこちらへどうぞ」
三人以外、誰も見当たらないロビーには、左側に階段があり、大木が案内する右側には
通路が続いていて、いくつかの部屋があるようだった。その一番手前のドアを大木が開ける。
「おお、大木じゃないか……あれっ、女の子? もしかして見学? 珍しいな」
声を上げたのは小柄で短髪に無精髭の男。ここは異世界の集まりなのだ、とクミは決め付け、
大木をオーガ、こいつはドワーフ、と認識することにする。どうやらこの部屋では、
ブーメランを板から削って自作しているらしい。
「おい、となりの部屋に麻倉がいるから呼んでこいよ。きっと喜ぶぞ」
ドワーフに言われてオーガが走る。頬がこけ目つきの鋭い麻倉――ゴブリンが顔をみせると、
お互いに自己紹介となった。もちろんクミは素っ気なく名前だけを述べる。
ちなみにドワーフは亀山だった。
「ところで、なんでブーメランなんかに興味をもったの?」
それはこっちのセリフだ、と言わんばかりに発言した亀山を睨みつけたクミだったが、
彼には表情を読み取る能力が欠けているらしい。横を見ると、二ノ宮も答えに迷っている。
「まぁ、とりあえず、二階の練習場で実際にやったらハマるかもな」
麻倉の意見でぞろぞろと二階へ移動することになった。途中入り口付近で逃げ出そうとも考えた
クミだったが、二ノ宮が彼らの餌食に――と想像すると一人で逃げ出すわけにはいかなかった。
クミがしぶしぶ二階に上がっていくと、不意に「バーン」という音が辺りに響いた。
思わず二ノ宮と共に耳を塞いでしまう。
「おお、やってるな神崎!」
二階は柱や壁の遮りのない吹き抜けの造りとなっており、いくつもの的が置かれ、
それに向かって勢いよくブーメランを投げつける者がいた。
磨かれた珠のような瞳に、くっきりとした鼻筋が流れ、つやつやと潤った口唇が続く。
少し長めの黒髪だったので女の子とも思ったが、シャツの膨らみがなかったのでそう判断した。
芸能人でもトップクラス。よく言われるカワイイ系だが、ホストにありがちな
面長の馬面をカッコイイと勘違いしている奴らをクミは理解できない。
彼が彼氏になったのなら、外国人と付き合って自らに流れる東洋の血をバカにするアホ女共を
ぎゃふんと言わせやることができるだろう。
声をかけた麻倉は神崎――天使のもとへ行き、何やら事情を説明しているようだ。
すると神崎がクミと二ノ宮の前にやってきて握手を求めてきた。
「僕、神崎といいます。ブーメランってマイナーなんですけど、やるとすごく面白いんですよ。
時間があったらお話したかったんですけど、今日は用事があって……また来てくれると
嬉しいです。それでは」
そう言うと神崎はペコリと頭を下げて、階段を下りて行ってしまった。
この出会いを逃すか、とクミは振り返り、後を追おうと足を踏み出そうとしたその時、
「じゃあ、俺達がブーメランの投げ方を教えようか」とタイミングの悪い一言が。
――だまれよ、ドワーフ! クミはここぞとばかりに二ノ宮の手を引いて、「そういえば、
あたし達も用事があるんだった。これで失礼します。また来ます」と逃げ出すようにBUを後にした。
しかし、神崎の姿はすでに見えない。とりあえずBUから離れるためにそのまま走り続け、
人通りの少ない脇道で二ノ宮と共に呼吸を整えることにした。
「……あのさ、二ノ宮。あっ、ごめん、呼び捨てにしちゃった」
「全然、むしろ飛田さんと知り合えて嬉しかったです」
「そう、それは良かった。あとあたしの名前も呼び捨てでいいよ」
「いえ、私はさん付けしないと落ち着かない性質なので、このままで」
「……まぁ、好きにして。それよりBUのことなんだけど、確かに悪い奴らじゃないと思うけど、
やっぱり一人で行くのは怖くない? もし行くなら二人の時にしようよ」
「うーん、そうですね。私も一人だと心細いですし」
「じゃ、決まりね。あたし電車だけど、二ノ宮は?」
「私は家が近くなので、歩きです」
「じゃあ、またね」
二人はそこで別れた。二ノ宮が去ったあとで一人クミはニヤついている。
うまくいったのだ。異世界三人組にはまるで用がないのだが、神崎は別だ。
しかし、二ノ宮といえども女は女。神崎を取られる心配がある。そこに予防線を張ったのだった。
はたして、BUに関わったことが吉と出るのか凶と出るのか、今は誰にも分からない。
100
何だかブーメラン使いの方に、申し訳ないスレになってしまって……
【BBさくら】
イブの夜。勤める剣菱重工が火事で焼け、降格人事が発表によって、子会社に飛ばされた父――
サンタがプレゼントの包みをそっと枕もとに置いてくれた。
薄目あけていたさくらは、ドアの閉まる音が聞こえると、待ちきれずに包みを開けてしまう。
彼女が生まれてから十回目のクリスマス。それはそれは楽しみにしていたのである。
しかし中から出てきたのは、黄色い牛の姿をした片腕で抱えられるほどのぬいぐるみ。
幼心に、我慢しよう、と思う健気な彼女であった。
「いやー、こいまで来っけんがばいきつかー。あさんさくらっと?」
突然ぬいぐるみが話し始めたので、さくらはその黄色い物体を床に叩きつけた。
すると今度は、「痛い!」と声をあげる。彼女はベットから下り、この状況を生み出した
原因と対峙することにした。
「何なの? 喋れるの? 外国語?」
「こんちきしょう! 九州ばかにしやがって! こほん、まぁそのなんだ、君にはブーメラン
ビューティーか、バニーになってもらう。名前は考え中なんだ。BBにするのが難しくて……」
「えー!」
「えー、じゃなくて、ほえー、だろ!」
「何それ、キモい」
「……まったく、最近の若い奴らは何かにつけてキモいキモい言っているが、外国人から見れば
同じ顔のお前らの方がよっぽどキモいってことに早く気付けばいいのに……あっ、ちなみに
俺の名前はベリアルだから、ベロちゃんって呼んでいいぞ」
さくらはベリアルの話も半分にベットに潜り込んでいた。明日の朝、パパになんと言えばいいのか。
とりあえず、ありがとうは必須だな、と行動を練っている。
「明日からはブーメランの練習を始めるからな。じゃあおやすみ!」
夢であればいいのに、と思うさくらであったが、翌朝彼女のベットにて
寝息を立てる黄色い牛の姿を見つけてしまうのであった。
>俺の名前はベリアルだから、ベロちゃんって呼んでいいぞ」
ワラタ
もうちょっと間を開けたら読みやすいかも。
がんばれ
>>24さん
ありがとうございます! 間も大事にがんばりたいです。
ただ……ネタが行き詰まって……。思えば当初、このスレにお邪魔するか、
それともDQオンラインスレにするか、迷っていました。
後者はdat落ちしたようですが、もしかしたら違った広がりがあったのかな、とも思います。
いえ、別にブーメランが悪いというわけではなくて……。
スキルスレでも負け犬扱いされているようですが、そこに親近感を感じますし、
えーと、形がカワイイですよね……。うわっ、どこからかヒュンヒュン音が……
えっ! うしr
26 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/10 12:39:06 ID:Z9hx5zEO
あぐぇ
>>26さん
保守ありがとうございます。お礼にブーメラントリビアを……
ブーメランの数え方は「枚」ではなく、「本」だそうです。
バナナと同じですね。ブーメラン小説を書く場合はお気をつけください。
【BBさくら】(2)
魔力の力によって、ゆっくりと空に浮かび上がる二人のブーメラン使い――
炎のさくらと刃のひまわり。
まだ幼い少女達の戦いにこの世界の未来がかかっているのだ。
「こんな戦いやめようよ」
「うるさい! これは運命なんだ!」
さくらの願いも虚しく、ひまわりは青く鋭いブーメランを取り出すと、それを空中に投げつけた。
一方さくらも赤く染められたブーメランを握り締め、向かってくる青い刃に対処する。
互いのブーメランは回転しながら何度も激突を繰り返し、ある時は敵に向かって、
またある時は自らの主人を守るために、その動きを止めることはない。
しかし、元々の性能の差から、刃のブーメランには分が悪かった。
なにせ相手は最強とも言われる炎のブーメランである。
ひまわりはそれを見越してか、さらにもう一本のブーメランを取り出し、投げつけた。
二本を操ることには相当の魔力がいる。見事、彼女はそれをやってのけた。
たちまち形勢は逆転し、炎のブーメランの追撃を振り切った一本が、
さくらの服を次々に切り裂いていく。
「くっ」と声を上げる度に、彼女の集中力は低下し、
意識を保てるか限界のところまで追い詰められた。
その時、「さくら! このブーメランを使え!」という声が。
超プリティーで可愛くてお茶目でハンサムでナイスガイなベリアルが
ブーメランを片手に駆けつけてくれたのだ。
「……という感じで戦っていくわけよ」
黄色い牛のぬいぐるみの姿であまり可愛くない――ことベリアルが、
ワサビと牛肉の味付けでお馴染みのポテトチップを食べながら熱く語ってくれた。
しかし聞いていたさくらは物語よりも、共食いなのでは、
ということに関心が向いてしまっている。
「……で聞いた感想はどんな感じだった?」
「うーん、それよりも何でベロちゃんがここに来たのかを知りたいよ」
「……そうか。ついに話す時がくるとはな。これには深いわけがあって……」
法の裁定者とも呼ばれる悪魔ベリアルは、その容姿が端麗なこともあって、
ロトとの戦い以後は聖霊ルビスの下で働く、いや働かされることになった。
金髪の美青年の一日は、赤髪の女にコーヒーを運ぶところから始める。
何やら資料をめくっていたルビスはカップを受け取ると、
「ちょっとこれ見てよ」と紙の束をベリアルに投げてよこした。
そこには「ドラクエ8」の文字が見える。
「またよ、また! 何で私を登場させないわけ?」
ルビスが怪訝そうな顔つきでタバコを咥えた。慌ててベリアルが火をつける。
「しかも装備にブーメランなんて作るなんて、重点の置き方が間違ってんのよ!」
それはブーメランに失礼だろ、と思ったベリアルだったが、
ここは一発相手をおだててやることにする。
「それはきっとルビスの美しさを8では表現できないからではないでしょうか」
「うふふ、相変わらず女の扱いがうまいのね……でも私、心読めますから! 残念!
下界でブーメラン使いでも育てれば?」
「……というわけなのさ」
「うーん、よく分からないけど、ラスボスはそのルビスって人なの?」
「――!! そうか、その手があったのか! よし、明日からはビシビシいくからな!」
「ほえー」
だんだん読みやすくおもしろくなってきてるね!
期待してるよ!!
>>29さん
楽しんでいただければ、幸いです。読みやすさも続けられるようにしたいです。
剣や槍ではこんなネタスレは許されそうにないので……
ブーメラン好きの方は優しいんですね(と持ち上げてみr)
【ブーメランでいこう!】〜みがまえる前に襲い掛かってきたの巻〜
「次は投留野(なげるの)、投留野ー」
高校の友達二人と電車に乗って遊びに行くことになった飛田クミは、
この聞き慣れた車掌の声に眉を歪ませた。そして普段することのない願掛けも試みている。
願わくば、この二人の話題にならんことを。
「そういえば、クミの予備校ってここにあるんだよね?」
――げっ。「うん、そう」心で舌打ちをしながらクミは答えた。
「へー、面白そう。ちょっと覗いてみようか」
「私も知りたい。どんな感じ?」
もはや逃れることはできない。吊り革の手をギュッと握り締めながら、答えを――
いや言い訳を模索している。
「……ううん、全然大した事ないし、何にもないから」
「そうなの? ……なんかクミ隠してない?」
「そうそう、予備校でかっこいい人がいて私達に紹介したくないとか?」
半分合っていた。クミは改めて女の勘の恐ろしさを噛み締めている。
しかし、BUだけは、BUの存在だけは、知られるわけにはいかなかった。
女同士の会話は脈絡がなく戸惑うことも多い。しかし今はその習性がクミに味方していた。
二人の話題が違うものに移ったので、少し安心できる余裕が生まれたのだ。
外の景色でも見ようか、とクミが顔を横に向ける。
すると、なんと車両の奥に異世界三人組の姿があるではないか。
しかもタイミングの悪いことに、亀山ことドワーフと目が合ってしまう。
彼が手を上げるのに気付き、スローモーションと化す空間の中で、
クミはメデューサのごとく凄まじい形相で睨みつけた。
その眼光に何らかの波動を感じ取ったのか、麻倉と大木、ゴブリンとオーガが
慌てて手を下ろさせ、口を両手で押さえつける。
そして、電車のドアが開くと、何事もなかったかのように彼らは降りていった。
危機を乗り切り、はぁと溜め息をついて、クミは二人の友達の方に顔を向けた。
すると彼女達の目が異世界三人組を追っているのに気付く。
――ばれたのか! とクミは冷や汗を隠し切れない。
「いるよねー、ああいう人達。どういう生活してるんだろう」
「でもさ、時々ああいうのと結構美人の人が付き合ってるのを見かけない?
不思議でならないんだけど。どういう接点があるのかな」
「きっと人に言えない趣味があるんだよ」
クミは苦笑するしかなかった。ばれていなかっただけ、よしとせねばならない。
ドワーフは テンションを ためた!
クミは メデューサの瞳を はなった!
ドワーフたちに 平均 20 ポイントの ダメージ!
ドワーフたちの テンションが さがった!
ドワーフたちは にげだした!
クミは レベルが あがった!
ブーメランの スキルを あげますか?
はい
→いいえ
そういえば A.I.さんはFFDQ板で他の人の書く小説読む?
ほしゅ
>>32さん
読みます! 全部読めたらいいのですが、ひそかに書き込まれているSSにも
面白いものがあるんですよね。
最近はFFのSSに、こんな描写ができたらいいなと思いました。
参考にしたいところですが……このスレの実力では、とても無理そうです。
あと別にDQを書かれている方が悪いと言ってるわけではありませ……
ふー、何とか逃げ切った。あれっ、またヒュンヒュン音が……ふん、ブーメランなんて
しゃがんでしまえば……しまった! ギガスr
>>33さん
ありがとうございます。このままブーメランでやってみます……たぶん。
【ブーメランでいこう!】〜黒と髑髏と呪われしブーメランの巻〜
二ノ宮から連絡があり、BU(ブーメラン連合)に顔を出すことになった。
なんでも歓迎会を開くためらしい。しかし飛田クミがこれに参加するのには一つ条件がある。
「神崎さんもいらっしゃるみたいですよ」
行きつけの美容室の兄ちゃんに気合を入れてカットさせた。
そして罪滅ぼしと口封じ――やな奴、と神埼に告げ口されてはたまらない――のために
そこそこ有名な店でケーキを買っていく。
「あー、私、何にも持ってきませんでした」
「別にあたしが食べたかっただけだし、何なら二人からのってことにしてもいいし」
「そんな、とんでもないです」
待ち合わせ場所で二ノ宮がケーキに食いついてきた。
別にこの女に気付いてもらう必要はないが、カットの方が金はかかっている。
BUの施設内に入ると、受付の早川がこれまたケーキに、
「あら、それもしかしてケーキなの? じゃあ、お茶用意するわね」
と早足でどこかへ行ってしまった。別にこれはかまわない。
クミと二ノ宮が手前の部屋、通称多目的室に入っていくと、異世界三人組が待ち受けていた。
RPGならば、ここで戦闘だ。しかし、クミが差し入れのことを告げると、
とたんに友好的になった。さらに彼らからもプレゼントがあるという。
それは三翼型ブーメランだった。彼らの自作らしく、クミと二ノ宮、それぞれに手渡された。
聞くところによると、三翼は初心者でも使いやすく、女性に好まれているらしい。
加えて科学的な話もされたが、クミにはさっぱりだった。
唯一分かったのは、大木(オーガ)が材料を調達、麻倉(ゴブリン)が設計、
亀山(ドワーフ)が製作しているということだ。おお、合理的だ、とクミは感心する。
しかし、そこには神埼の姿は見えなかった。三人の話を興味深く聞いている二ノ宮をよそ目に、
クミにイライラの限界が訪れようとしている。
とりあえず所在の有無を尋ねようと、クミが口を開こうとした瞬間、
「おまたせ」と神埼が登場した。――黒い軍服姿で。
それはナチスの姿だった。クミも歴史で何度か見たことはある。さらにこれはクミの主観だが、
少女漫画等で人気の出たキャラは、何故か軍服を着せられる傾向にある気がする。
髑髏が施された帽子に始まり、上から下まで真っ黒な服だ。だが、かっこいい。
神崎自身の風貌はかわいい系だが、一度は見ておいて損はない。
ふと神埼の右腕に目をやると、そこには鉤十字型のブーメランが装着されていた。
「いやー、四翼は作るのに苦労するんですよ。さらに俺達のポリシーは
しっかり飛ばせるところにありますから」
――あっそ。麻倉のどうでもいい説明が続いているが、クミの耳には入らない。
二ノ宮の反応はどうか。こういうのが好きそうだから、きっと面白がっているに違いない。
クミが二ノ宮に顔を向けると、彼女は机にうつ伏したまま、身体を震わせていた。
慌ててクミが彼女の傍に寄る。そして、「どうしたの?」と声をかけながら、背中をさすった。
もしかしたら、ここでは言いにくいことなのかもしれない。
クミは「ちょっと外に出てみない? 楽になるかもよ」と二ノ宮を連れ出そうとした。
「違うんです……すみません、すごく個人的なことで……実は、私の母がユダヤ人なんです」
――えっー。辺りに衝撃が走った。ジパング人ならば、一度は経験するであろう過去との軋轢。
教科書は過去を教えてくれたが、そこから回避する方法は教えてくれなかった。
ゆとりでも詰め込みでもいいから、グローバル社会で大人の対応ができるような教育が必要では?
今更ながらにクミは二ノ宮の名前を思い出していた。――二ノ宮ハンナ。
名前はよく覚えているほうだったが、二ノ宮に関しては何故か気にしていなかった。
顔つきもジパンク人そのものだったことが影響しているのかもしれない。
クミは心の中で、ゴメン、と叫んでいた。
「失礼しまーす。ごめんごめん、遅くなっちゃって。カップが見つからなくて……
今日は紙コップで許して」と、そこへ空気の読めない早川が現れた。
きっと話もきかない、地図も読めない女に違いない。
紅茶の入った紙コップ、皿とフォークを置いていくと、何故か彼女は
ケーキを次々と取り出し、選んだ二つを再びケーキの箱に戻した。
「もう子供のお迎えの時間なのよ、これ持ち帰っていい?」
クミは何も言わずに口を引きつらせながら応じた。
「ありがとね、クミちゃん。じゃあ、みんなごゆっくり」
とにかく、今はこの白けきった場を何とかしなければならない。
クミは一番話の通じそうな麻倉を睨みつけ、何とかしろ、と合図を送った。
彼はそれを読み取り、神崎に近づいていった。
「神崎、もうひとつドラクエ8のコスがあるだろう。そっちにしろ」
――違うだろ。
「分かった、そうする。ただ、トーポ役のハムスターが見当たらないんだよね」
なんの話なのか、クミには想像がつかない。しかし、机の上で顔を洗っているハムスターを見て、
これから起こるであろう状況を把握した。もちろん、その時にはすべてが遅かったのだが。
ハムスターの冒険によって、紅茶は川や海となり、ケーキは城や街と化した。
ただ一人、ハムスターの動きに笑いをこぼす二ノ宮の声が、その場に響いていた。
38 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/23 15:40:57 ID:mL5pQoZH
いみふ
No! Boomerang!!
>>38さん
はい、その通りです。そもそもこのスレに存在意義なんて……:.` ;:.・∵ ゚ д:.`
>>39さん
No! Border! そういえばアレ食べてないなぁ。塩味食べてみたい。
この広い世界には、サンタさんからブーメランをプレゼントされる子がいるはず……
翌朝、家族とブーメランで遊んでいる姿を想像すると、何だか微笑ましいです。
飛べブーメラン! 子供達の夢をのせて!
うーん、最終回っぽい流れ。そろそろ潮時かもしれません。
(もっとブーメランが身近にあれば、ネタの幅が広がったのに……残念)
続き期待mati
【ブーメランでいこう!】〜導かれし者たちの巻〜
1922年、イギリスの考古学者ハワードカーターによって、
古代エジプト王ツタンカーメンの墓から、ブーメランが発見された。
これは一体何を指し示すのか。
ブーメランを研究する一人の学生が、偶然にもその中の一本を譲り受けることになった。
そしてそのブーメランは『呪われしブーメラン』として、
今も双燕大学のどこかに眠っている、はずだったのだが……。
登場人物
・飛田クミ……双燕大学一年。ブーメラン部、部長。呪われしブーメランを偶然見つける。
・二ノ宮ハンナ……双燕大学一年。副部長(部員は二人だけ)。ドイツ留学から帰国。
・麻倉サクラ……高校生だが双燕大学にはすでに推薦で合格。兄は飛田たちと知り合い。
本が売れない。BBさくらブーメランでGO! と、DQ外伝〜ブーメラン物語〜
では本が山積みなのも頷ける。ここに集まる人々は、三大欲求の一つを満たしに来ているのだから。
双燕大学ブーメラン部は、世界最大のオタクの祭典に、あろうことか売る側で参加している。
二ノ宮は「二回目で受かるなんて快挙ですよ!」とはしゃいでいたが、
止めさせるべきだった、と飛田クミは悔やんでいた。
パイプ椅子で背伸びをした後、辺りを見回す。ひとひとひと、しかも全員オタクなのだ。
中にはこの場所にとても不釣合いな人物もいるのだが、
同人誌を手に取るその姿は――もう見ていられない。
クミは自分のトートバッグに入った、黒ずんだブーメラン――通称呪われしブーメランを見つめた。
そもそもこれを拾ったのが、間違いの始まりだったのかもしれない。
このブーメランには不思議な力があり、願うと何でもかなってしまうのだ。
しかもこの部活は文化部にも運動部にも所属せず、申請するとすぐに部室が用意された。
聞くところによると、この部室は一度も他の部に明け渡されたことはなく、
たとえ部員がいなくとも、部屋は残されるのだという。
「呪いのブーメラン、使っちゃうか」
クミがぽつりと呟くと、二ノ宮と麻倉が勢いよく振り返った。
そう、このブーメランには代価交換の法則が働くのだ。
つまり願いには、何かの代償が必要となる。加えてその大きさはランダムなのが恐ろしい。
「だって、ほら。あたしが神埼と縒りを戻した時は、何も起こらなかったし」
「何言っているんですか、クミさん。そのせいで私、ドイツ留学に行くことになったんですよ。
向こうではユーディンってバカにされて……あぁ、思い出しただけでも、
あのアメリカーネリンがムカツキます!」
それは違う気がする。しかも留学で苦しんでいるやつが、メールを通じて麻倉を動かし、
画像添付によって同人誌を作り上げることなどしない。
「……あの、飛田先輩ってそんなこと願ったんですか? なんかヤバくないですか?」
麻倉のふいの一言にクミの中で何かが弾けた。
クミは 呪われしブーメランを 装備した!
クミは ブーメランスキル 撲殺を はなっ……
「やめてください、クミさん! 目が本気で怖いです!」
「放せ! こいつは知らないんだ! 彼氏が他の大学にいる寂しさを!」
二ノ宮がなんとかクミを抑え、その場は収まった。
一応クミも反省し、話題を変えることにする。
「そういえば、二ノ宮は何か買ったの? またあの手のやつ?」
二ノ宮は「ハハッ」と恥ずかしそうに、紙袋を手元に持ってきた。
「あの手ってヤオイのことですか? 二ノ宮先輩、見せてください」
二ノ宮の制止も聞かず、麻倉は一冊の同人誌を手にとった。
「……うわっ、これってレズですか? なんかキモいです」
ニノミヤは 呪われしブーメランを 装備した!
ニノミヤは ブーメランスキル 撲殺を はなっ……
「ちょっ、やめろ、二ノ宮! 目がいっちゃってる!」
「放してください! この子に差別に苦しんだ民族の恐ろしさを思い知らせてやります!」
今度はクミが抑える番だった。
その様子を少し離れたところから観察する青年の姿があった。
茶髪にジャケットにプリーツスカート姿で相手をつかんでいるのが飛田クミ。
長い黒髪にコートを着て怒っているのが二ノ宮ハンナ。
キャスケットをかぶり眼鏡をかけ慌てて逃げるのが麻倉サクラ。
そして鈍く光っている呪われしブーメラン。
彼の名は、竜村エイト。ブーメランの本当の持ち主である竜村イチローの子孫だ。
「くそー、双燕大学に入学して、ブーメランを取り返してやる。
あっ、あいつら願い事で客を呼びやがった」
突然客が集まり、本はすべて完売した。当然クミたちの懐は暖まる。
しかしその後謎の悪寒に襲われ、彼女達は回復するのに一週間を要するのだった。
【ブーメランでいこう!】〜ふりだしにもどるの巻〜
「はあぁー」「たあぁー」「やあぁー」
なんと飛田クミ、二ノ宮ハンナ、麻倉サクラの三人がブーメランを手に、
黒い三角頭巾をかぶった者達と戦っている。
なぜこんなことになったのか。それには少し話を戻してみる必要がある。
クミは双燕大学の学生会館へと急いでいた。ブーメラン部の部室にて、
二ノ宮・麻倉と集まることになっていたからだ。
まだ病み上がりの身体を引きずって、会館の階段を上っていく。
五階までの道のりは長いが、エレベーターを使う気にはなれない。
「どこのサークル?」と質問された時の対応に困るからだ。
打ちっぱなしと塗装された壁が交互に織り成す階段を上りきると、
一番奥の部屋に向かって歩き出した。そこにはブーメラン部というプレートがかけてある。
隣の部屋がオカルト研究会という泣けてくる場所だ。
ドアに手をかけると中からすぐに反応が返ってきた。
「あっ、クミさん、あけましておめでとうございます」
「飛田先輩、あけましておめでとうございます」
二ノ宮と麻倉が笑顔で出迎えてくれた。
「うん、あけおめー……いや、ちゃんとしておくか……あけましておめでとうございます」
挨拶を終えると、クミはバッグを置いて椅子に腰掛けた。
古い書物や漫画の入った本棚。クローゼットや物置と化すロッカー。
床設置型の冷暖房装置。テレビデオにラジカセ。壁にかけられたブーメランの数々。
いつもと変わらない光景だ。今日は暖房がよく働いているらしい。
ふとテレビに目をやると、少し光沢が違って見えた。
「あっ、気付きました? 実は本の売上で新しいのを買っちゃいました」
そう言って二ノ宮がリモコンに手を伸ばす。そう、ここではテレビを見ることができる。
しかも契約していない衛星放送もだ。配線はオカルト研究会がやってくれたが、
きっと違法なことをしているに違いない。いや、考えてはいけない。
しかし、なかなかテレビは映らなかった。二ノ宮が首を傾げながらテレビの後ろに回る。
「あー、接続がゆるいみたいです……何か細長いものでもありません?」
「じゃあ、あたしがやるよ、これで」
クミはニヤッと歯を見せて、呪われしブーメランを取り出した。
そしてアダプターを何回か小突くと――画面に、駆け回る雪国の子供達が映し出された。
「……何だか幸せでいいですねぇ。今年は平和であるといいんですけど」
「そうだね」
二ノ宮の言葉に、クミは相づちを打った。呪いのブーメランを握っていることなど忘れて――。
それにいち早く気付いたのは麻倉だった。眼鏡がずれるほどにガクガクと震えている。
「……その願いの代償って、とんでもなく大きいんじゃ……」
突然ドンッという音ともに黒い三角頭巾をかぶった者達がドアを蹴って現れる。
みな手にグローブや木刀などを持っていた。とっさに三人は壁のブーメランを手に取り、
思いっきり投げつけた。そして戦いが始まった。
すでに通路には三角頭巾十人ほどが寝そべっている。麻倉は太極拳をかじっており、
それと組み合わせたブーメラン格闘術がかなりの成果をあげていたのだ。
よく見ると倒れているのはオカルト研究会の者達がほとんどだった。
普段は良い人達ではあるが、ここでやらなければやられてしまう。
しかし状況は悪化していた。会館のサークルが次々と頭巾に染まっていたのだ。
体育系のやつらが参戦してくれば、クミ達などひとたまりもない。
「あー、もう。何でこんなことに……何とかなんないのかよ……あっ」
クミは時空の狭間に吸い込まれた。一行目に戻る。
>>41さん
ありがとうございます。設定を変えて、続きに挑戦してみました。
あけましておめでとうございますm(_ _)m
今年がいい年でありますように。
このスレで少しでも笑顔がうまれますように……
あれっ、この願いはダメっぽい……:.` ;:.・∵ ゚ д:.`
48 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/02 23:30:35 ID:KUAFwv+Y
ごめん、ブーメラン使いと聞いて「スパルタンX」を思い出しちゃった。
【ブーメランでいこう!】〜ゆうべはおたのしみでしたねの巻〜
残雪が木々を白く染めている。街をデコレーションした天からの贈り物は、
そろそろ終わりを迎えているが、その景色は多くの人々の心に残り続けることだろう。
しかし、心無い者にとって白い塊は邪魔者以外の何者でもなかった。
さらに言えば、彼らにとっては「まだ溶けてねーのかよ」という憤慨の対象でしかない。
初雪の時には、あれほど目を輝かせていたのに――そんな人間がここにも一人。
「あー、部屋あったかーい。雪うざいし」
双燕大学のブーメラン部の部室に入るなり、飛田クミは声をあげた。
クミはすぐさま椅子に座り、机に顎を乗せながら、テレビを見ている二ノ宮と麻倉に目を向ける。
「ねぇ、前から気になってたんだけどさ。あたし達ってオタクだよね……すでに」
「わたしは、そう思ってます……一応、自覚あります」
二ノ宮が長い髪を弄りながら答えた。彼女が戸惑っている時の癖だ。
「私もそうです。あんなイベントに参加したんですから……ただ譲れない一線はありますけど」
眼鏡にハンチングをかぶった麻倉が含みを持たせて言う。帽子好きには何か意味があるのだろうか。
「……二ノ宮先輩が持ってるあっち系のは、付いていけません」
麻倉の発言に、二ノ宮の髪を巻きつける手が異様に速さを増す。
そして動きが止まったかと思うと、何やら自らのバッグを探り始めた。
「わたし独文ですから、独語の授業があるんですけど、生まれが向こうなので結構楽なんです。
そこで教えてほしいって映像研究会の女の人がいて、趣味を話したら、これを貸してくれて……」
言いながら二ノ宮が机に二本のビデオテープを置いた。
それぞれ「ヘンリー変」「ビアンビアンカ」と書いてある。
紫のターバンをした青年がベットに腰掛けている。そこへ緑色の髪をした青年が近づいてきた。
コスプレだろうか。中世のみすぼらしい服を着ている。
やがて緑髪がターバンの耳元で語りかけると、彼らはお互いに頷き、突然濃厚なキスをし始めた。
「二ノ宮、ストップ!」
クミの声に二ノ宮はリモコンの停止ボタンを押す。それは、大人しか借りられないビデオだった。
しかもかなり特殊な――。「一人で見る勇気がなくて……」と二ノ宮。
可哀想に、麻倉は硬直してしまった。結局、その日は解散となった。
翌日、クミは部室にいた。それが目当てではなかったが、視線は机に置かれたビデオにいってしまう。
この時限、二ノ宮は授業のはずだ。そして麻倉が来る予定はない。一応、部室に鍵を掛けた。
さらに念を入れ、部の経費(同人誌の収入)で買った薄型PS2をテレビに接続し、
ドラクエ5の冒険の書を開いた。クミのデータは、主人公が大人になり、お金を貯めて、
刃のブーメランを装備させたところだ。
ここまでして、クミはビデオテープをデッキに入れ、例の場面の続きを観賞することにした。
仮に誰かが来ても、すぐにゲームに切り替えることができる、という寸法だ。
こんな自分に情けなさを感じるクミだったが、今は知的好奇心の方が勝っていた。
すでに裸になったテレビ画面の彼ら。緑髪が仁王立ちになると、ターバンは上目遣いで、
目の前の男性の象徴を見た。そして、ゆっくりと近づいていき――。
クミは背筋の辺りがゾクゾクし、どこぞとなくジンジンする感覚が身体に伝達された。
むしろこの映像よりは、危ないことをしているという背徳感と誰かに見られるという恐怖感から
生み出されている感じがしていた。
少し飽きてきたので、早送りで最後を見てしまおうとクミがリモコンに手をかけたその時、
ドアノブを回そうとする音が室内に響いた。
慌てて立ち上がった衝撃で、PS2の接続端子が抜けてしまう。
付け直そうとしたが、何故か全部抜けてしまった。
ドアの鍵が開く音がする。パニック状態の中、クミは画面を見せたくない一心で
テレビを抱くような体勢になった。
「あっ、クミさん。今日は授業が休講だっ……た……ので」
「……というわけで、あんなことに」
「そうだったんですか。わたしはてっきりクミさんがビデオを見ながら
テレビ台の角で変なことしてるのかと……」
「そんな小学生みたいなことするか!」
「えっ? 小学生の時には、してたんですか?」
ここでクミの中で何かが弾けた。呪われしブーメランを手に二ノ宮を追い込んでいる。
これを手にしてから、キレやすくなっている気がするが、
世界征服を目論んでいないだけ、世間から感謝されていてもいいくらいだ。
「許してください。もう言いませ、きゃ!」
二ノ宮に運がなかったのか、はたまたブーメランの呪いの力なのか、
どちらにしてもクミのせいであることに変わりはないのだが、二ノ宮は足を滑らせ、
腰を打ち付け、机の上に仰向けに倒れた。
顔を歪めながら頭を起こそうとする二ノ宮を、クミは謝りながら支えてあげていた。
さながらその姿は、数百年の眠りから目覚めた姫を優しく抱き上げる王子のよう――。
「先輩いますか? 差し入れもっ……て」
一瞬全てが凍りついた部室内から、麻倉はゆっくりとドアを閉め、後にする。
そして、世の中には色々な愛の形があるんだ、と納得する――なんて無理だよ、こんちきしょう!
>>48さん
スパルタンXは見たことがないのですが、ハンガー刑事?なら……
ブーメランネタからそろそろ逃げ出そうかと思っていたりします。
他のブーメランスレも廃れてきているようですし、所詮ブーメランなんてこの程度……
……なんだろう。胸が締め付けられる感じがする。
もうブーメランがないと生きていられない身体なの?
――なんて嘘です。剣の方が断然やりやすそう。
LV99くらいに成るとブーメランって強いな〜
炎のブーメランが破壊の鉄球と大差ないダメージ与えるグリンガムよりは上
主人公の力が他のキャラより飛び抜けて強くなる所為だけど・・・
漏れは、もうチョットブーメランスキル上げとけば良かったと後悔してるところ
しかた無いので竜に髑髏狩りしてきます。
55 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/16 21:17:24 ID:uNNBrIK+
あげ
>>53さん
>>55さん
保守ありがとうございます。……それともあれですか、
バカを晒してやろうという魂胆ですか?
>>54さん
コピペかどうなのか、分かりかねますが……お客さん、いい話がありますよ。
炎のブーメランより強いブーメラン! どうです? 興味がわきませんか?
しかもお客さんは運がいい。実はいま、偶然にも手元にあるんですよ。
それとここだけの話、あるみたいです……メ・タ・ル・特・効。
30万と言いたいところですがね、お客さんのLVを聞いて何もしなかったら、
商売人の名がすたるってもんです。20万でどうでしょう?
ネタはそのうち……