FFDQバトルロワイアル3rd PART2

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349死に至る病の果て4/4:05/01/06 17:42:52 ID:4cJYK9tZ
行くあても無く進んだ彼は見晴らしのいい砂浜に出た。
ピサロはあんな矢ごときで死ぬはずも無い、それどころか剣で衝いても死なないだろう。それは自分が一番よく分かっている。
「考えなくっちゃな…、アイツをどうするか」
ふと夜空に目を移した、澄み切った空に輝く星達と優しい光を放つ月。あそこではこんなきれいな夜空は見れないと彼は思った、
さっきと同じ波の音だけが一層大きく響いている。
「僕はもう怖いものなんて無いよ」
小さな声でそう呟いた。殺す、誰の為でもなく自分の為に。心にそう強く誓った。
瞳に絶望という名の光と明確な意思を湛えたスナイパーの姿がそこにあった。



【ピサロ(HP3/4程度、MP消費、睡眠中) 所持品:魔石バハムート 黒のローブ  基本行動方針:ロザリーを捜す】
【現在位置:レーベ北西の茂み、海岸付近】

【アーヴァイン(HP1/3程度) 所持品:竜騎士の靴 G.F.ディアボロス(召喚不能) スパス エクスカリバー 天の村雲 キラーボウ
 基本行動方針:皆殺し、ピサロを倒す方法を考える】
【現在位置:レーべ北西の海岸からどこかへ移動】

【ビビ、ターニア、レナ、ヘンリー、エリア、ソロ 死亡】
350作者:05/01/06 18:38:38 ID:DSeX1o2w
>>346->>349は無効です
351守りたいもの:05/01/06 21:26:42 ID:gQ1QYyFd
一人と一体は、数時間前地下牢にいた男女と、ほとんど同じ行動をしていた。
台所で、そしてこの階段前の廊下で、このゲームの被害者を目撃したのだ。
もう、物言わぬ被害者を。

彼ら…リュカとケット・シーの行動と、彼ら…キーファとリノアが辿った軌跡との違いといえば、
被害者の墓を作るのではなく暴いたことと、この廊下で尻尾の生えた若者に会わなかったこと位だ。
リュカ達が、わざわざ作られた墓を暴いたのは、探し人がいるから。
丁寧に埋葬された状態では、それが誰なのかはわからない。
暴いた墓の主は、探し人ではなかったけれど。

「昔、墓を荒らした魔物を退治したことがあったんだ」

リュカはそんなことを漏らしていた。
その行為は気持ちがいいものではない。けれど墓の主のほうは、そんなことではすまされないだろう。
確認を終え、墓を元の状態に戻した後、そんなことで墓荒らしの罪が消えるわけではないけれど、
とにかく放置するわけにもいかずに元に戻した後、ケットー・シーは言った。

「悪いことですよ。けど、必要なことや。なんもかんも理想通りにはいかんのや。人も、会社も…」

二箇所目の墓を直し終えて、彼らは今後どうするかを決めなければならなくなった。

「この建物には俺達以外の何者かがいる。少なくともいたはずだ」
「殺した人と、墓を作った人やな」
「うん。そこで、少しこの建物を調べようと思う。二手に分かれて」
一瞬、ケット・シーの顔が強張った。
「分かれな、あきまへんか?」
墓を作るような、それなりの道徳観を持った人物ならともかく、殺人者のほうもまだこの建物の中にいるかもしれない。
「一階だけだよ。一時間たったらこの階段のところに戻ってくるんだ。ね、大丈夫だから」
リュカのおだては根拠がなかったが、ケット・シーは結局折れてしまった。
別にケット・シーの意思が薄弱なのではなく、どうも逆らえないという感じを起こさせてしまう。
しかも、それは悪い感情でないのだから、むしろたちが悪いと、ケット・シーは思った。
352守りたいもの 2/5:05/01/06 21:27:35 ID:gQ1QYyFd
そして、一時間後、階段前廊下。

彼らの運は、いいにはいいなりに働き、悪いには悪いなりに働いた。
その頃殺人者たるハインは城の外に出ていたため、ケット・シーの杞憂は外れてくれた。
けれど一時間、二手に分かれてまで必死になって探したのに、現在この城の中にいるキーファ達と出会わなかったのだ。
キーファ達もリュカ達の存在を気づいていないのだから、相当運が悪いといっていい。
ちなみに、外の戦闘音はこの時点ではまだ城の中まで伝わっていない。

「収穫ゼロか」
「もう誰もいへんのやないですか?」

わかったことは、ここが結構広い城であること。外には城下町が広がっていること。
しかし日が沈んでだいぶたったため、肉眼で様子を確認するには困難があるということ。

「とりあえず、二階も調べてみる?」
「はぁ。けど、次は一緒に探しましょよ」
「うん」

彼らが二階に上がったのは、丁度ハイン戦にクラウドらの援護が来、そしてバッツ、ローグの二人が城下を出た頃だった。

階段の先は王室。広いが見晴らしがいい。パッと見、誰かがいるようには思えなかった。

「ココもハズレか。…ん?」
歩きながら辺りを見渡していたリュカの足に、何かが当たった。
拾ってみると、それは自分の持ち物によく似ている。
「ねえケット・シー、これも銃?」
「え、ああ、そうです。どうしたんです、それ?」
「ここで拾ったんだ。へぇ、これも銃かぁ」
「使い方はほとんど同じです。けど、デスペナルティより命中率があるんや。その分破壊力は落ちますけど」
引き金には十分注意して、リュカは興味津々にスナイパーCRをながめ、そしてそれを懐にしまった。

そんな時だ。光と音が、窓から襲ってきたのは。
353守りたいもの 3/5:05/01/06 21:29:03 ID:gQ1QYyFd

土埃が、晴れた。
その人たちは、赤い血を流していた。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん!?」
レックスはサイファーに走り寄る。真一文字に切り裂かれた、ひどい傷だ。ベホマを唱えているのに傷がふさがらない。
三度目を唱え終わったとき、ようやくサイファーの意識は回復した。
「大丈夫?」
「ああ、どうってことねぇ。くっ、不意打ち喰らって餓鬼に助けられるなんざ…ッグ」
意識が戻ったことに安堵のため息をついたレックスは、魔法を唱え続けながら、視線を横にスライドさせた。
そこには、倒れている女の人とその人を抱きしめる男の人がいる。
「…お姉ちゃんは?」
「……ない、……ないんだ」
パウロは、何かを言っている。レックスにはそれが聞き取れない。
けれど、パウロが面を上げたとき、その頬に伝っているのが涙だと、闇夜の中でもはっきりと認識してしまった。
「効かない、効かないんだ。ベホマも、ザオリクも…」
彼はそう言った。
レックスは呪文を唱えるのを止めた。
「くそ、くっそおおおーーーー!!!」
音としては、先程のサンダガに比べるまでもないが、思いのこもったその叫びは闇夜を振るわせた。
レックスは駆ける。
「レックス!!」
「止めろ、単独行動はまずい!!!」
テリーが、クラウドが止めようが、止まるはずがない。
レックスは勇者である。そうあるように育てられた。人々の希望を背負い、悪を討つ。そうしなければならない。
そして、金色の髪を持つ勇者の少年は、闇に飲まれた。
354守りたいもの 4/5:05/01/06 21:30:21 ID:gQ1QYyFd

光も、音も、今はもう去り、また闇が夜を支配しだした。
窓により、こちらの姿をさらさぬようリュカ達は城下に目を凝らす。
光が大きかった所為か、闇はいっそう増しているように感じられた。
「自然の、雷じゃないね」
「サンダー系の魔法や。誰か、戦っとる」
ケット・シーはそういうが、リュカの世界では、雷の魔法は、勇者とごく一部の魔物しか使えない魔法である。
そして勇者とは、彼の息子。
目に映るのは闇ばかり。
けれど、もしあの雷がレックスのものだったらと考えると、何か手がかりでもと必死にならざるを得ない。

そして、掴んだ手がかりは、目からではなく耳からであった。

「声?」
リュカの左手はケット・シーの口元に、右手は耳にそれぞれ伸びた。
闇を震わす微かな、けれど確かな声。
「レックス」
音が消え、リュカがそう呟くと、彼はすでに次の行動に出ていた。
「あの声が、レックスさんなんですか……ってええーーー、何やっとるんやーーーリュカさーーん!!!??」
リュカは窓の淵に手をかけ、今にも飛び降りようと身を乗り出している。
「行ってくる。ケット・シーは隠れてて」
それだけ言うと、リュカは勢いよく窓を蹴り、夜の闇にはばたく。
「せ、せめて階段使いなはれーーー!!!!」
突然のことについ突っ込むべき箇所を見誤ったケット・シーだが、あわてて窓から身を乗り出して下を見、
傷一つなく地面に着地したのか元気よく手を振っているリュカを確認すると、どっと力が抜けた。
(あ、あかん。あの人、多分えらい強いと思うし、銃の腕もそこそこやけど、どっかずれとる。
 絶対、家族のためならえらい無茶するはずや。ほおっておけんやろー、もう)
動くのは危険だが、ここでリュカがやられでもしたら、今後がさらに危険になる。
そういう利己的な計算も無きにしも非ずだが、むしろ説明しがたい、保護欲のようなものを掻き立てられる。

部長が星を守らなければならないと、そう思ったときと、もしかしたら同じ感覚なのかもしれない。
355守りたいもの 5/5:05/01/06 21:33:28 ID:gQ1QYyFd
【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCR
 第一行動方針:レックスを探す 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】

【現在位置:アリアハン城外】

【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
 第一行動方針:リュカのもとに行く 基本行動方針:リュカを守る】

【現在位置:アリアハン城二階、王室】


【レックス(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:襲撃者(セフィロス)を倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口付近から城方向へ】

【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ)
 第一行動方針:不明 基本行動方針:仲間を見つけ、守る 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:不明
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】
356守りたいもの 2/5@修正:05/01/06 21:53:40 ID:gQ1QYyFd
そして、一時間後、階段前廊下。

彼らの運は、いいにはいいなりに働き、悪いには悪いなりに働いた。
その頃殺人者たるハインは城の外に出ていたため、ケット・シーの杞憂は外れてくれた。
けれど一時間、二手に分かれてまで必死になって探したのに、現在この城の中にいるキーファ達と出会わなかったのだ。
キーファ達もリュカ達の存在を気づいていないのだから、相当運が悪いといっていい。
ちなみに、外の戦闘音はこの時点ではまだ城の中まで伝わっていない。

「収穫ゼロか」
「もう誰もいへんのやないですか?」

わかったことは、ここが結構広い城であること。外には城下町が広がっていること。
しかし日が沈んでだいぶたったため、肉眼で様子を確認するには困難があるということ。

「とりあえず、二階も調べてみる?」
「はぁ。けど、次は一緒に探しましょよ」
「うん」

彼らが二階に上がったのは、丁度ハイン戦にクラウドらの援護が来、そしてバッツ、ローグの二人が城下を出た頃だった。

階段の先は王室。広いが見晴らしがいい。パッと見、誰かがいるようには思えなかった。

「ココもハズレか。…ん?」
歩きながら辺りを見渡していたリュカの足に、何かが当たった。
拾ってみると、それは自分の持ち物によく似ているものが、壊れた残骸のように見えた。
「ねえケット・シー、これも銃?」
「え、ああ、そうです。ひどいな、つぶされてるやん」
「ここで拾ったんだ。へぇ、これも銃かぁ」
「壊れてなかったら使えるんに。ここで、戦闘でもあったんやろか?」
残骸とはいえ、銃に興味を持ち出しているリュカは興味津々にながめ、そしてそれを懐にしまった。

そんな時だ。光と音が、窓から襲ってきたのは。
357守りたいもの 5/5@修正:05/01/06 21:54:47 ID:gQ1QYyFd
【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸
 第一行動方針:レックスを探す 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】

【現在位置:アリアハン城外】

【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
 第一行動方針:リュカのもとに行く 基本行動方針:リュカを守る】

【現在位置:アリアハン城二階、王室】


【レックス(HP3/4程度) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:襲撃者(セフィロス)を倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口付近から城方向へ】

【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ)
 第一行動方針:不明 基本行動方針:仲間を見つけ、守る 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:不明
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】
358破滅への序章 1/7:05/01/06 22:30:23 ID:tptJ5ZNY


テリーがレックスのあとを追いかけようとするのを、クラウドが止めた。
「何するんだよ!」
「死にたいのか!今、ばらばらになったら、ここにいるみんな、どうなるかわからないぞ!」
「じゃあ…ほっとくのかよ!レックスを…!」
「今はこうするしかない!」
「……」
テリーは黙った。そして、クラウドの背中に手をあてて、しがみついた。

「…お姉ちゃん、ほんとにもう…?」
その答えはわかりきっている。
いったいどこに、路上で、息もせず居眠りをする女がいよう?
クラウドの肩が震えるのをみながら、テリーは、悲しげに視線を落として、闇にむかって叫んだ。
「レックスーーー!戻って来るんだ…はやく、戻って…!」

ややあって、静かに、しかし力強く、クラウドは武器を構えた。
いる…間違いなく、強力な何者かが、この近くに潜んでいるのだ。
レックスは今、姿の見えない敵を探しているのだろう。
あちこちから、何かを壊すような音が聞こえる。
助けに行きたいが、この場を離れることはできない。
359破滅への序章 2/7:05/01/06 22:31:09 ID:tptJ5ZNY
「おい」
サイファーがふいに、クラウドに話しかけた。
「…あまり喋らない方がいい」
「ふん、問題ねえ。それよりも、あの、ちびっこいトンベリの野郎が、さっきからずっと同じところをみてるぜ」
「…?」
「モンスターってのは、俺たち人間より、こういうことは得意だろうな」
「なるほど…」
「それとな…これはあんたじゃなくて、おまえだ」
サイファーが、呆然と佇立しているパウロに向かっていった。
パウロはうつろな目で、サイファーを見た。
「なに、ぼーっとしてんだよ」
サイファーはそういうと、せき込んで、よろよろと剣を持った。



セフィロスは、前方の一匹のモンスターを忌々しげに覗き見た。
どうも、気づかれているらしい。やはりモンスターというのは、人間に比べ格段に察しがよい。
あの少年はあさっての方向で暴れている。勝手に体力を消耗してくれればいい。

クジャは今、別の場にいた。
人数が多いのを知って、少しずつ減らしていこうと提案すると、クジャは了解して、その方が有利だからと別行動になったのだ。
よって、ここにいるのは一人彼のみである。
まともに戦えるのは、せいぜい三人か四人。それだけならば、一人でもなんとかなろうか。
しかし、セフィロスが今突入しないのはわけがある。

今、クラウドの顔には表情がない。
それは、激しい怒りの裏返しでもある。
下手につっこめば、使ってくるかもしれない…かつて、自分にトドメをさしたあの技を。
そのうえ、クラウドのもつ武器は、持ち主の生命力に呼応するあの究極の武器である。
さらに、クラウドはさほどの傷を負っていない。
もし、あの技をくらえば、とても無事ではいられないだろう。
360破滅への序章 3/7:05/01/06 22:32:27 ID:tptJ5ZNY
そういった打算から、セフィロスは慎重に期を窺った。
そしてこのときに初めて、今この場にいないクジャのことを思った。
あのナルシストな男の、独りよがりな語りを道中ずっと聞いており、正直なところうんざりしていたのだが、
戦闘に関しては、恐らく自分と同等の力をもっている数少ない者であり、ある意味で信用のできる男である。

セフィロスは改めて、この状況をみた。
なるほど、クジャの動きを待つのもよい。だが、それは躊躇われた。
「上から…いくか」
セフィロスはみつからぬよう、闇に紛れ、台を伝い屋根の上へと飛んだ。
「なんだ?あいつは…」
城から、一人の男が飛び出ている。
ちょうどいい、あの男の叫び声をもって、再び混乱を生じさせるとしよう。
だが、それはセフィロス自身も予想できなかったことにより、遮られた。



大きな雷鳴を、クジャは聞いた。
「ふふふ…とりあえず、うまくいったみたいだね」
クジャは城下の混乱を愉快そうにみると、歩きながら、誰に向かってということもなく、語りだした。

「皮肉なものだねぇ…みているかい?ジタン。僕は今、この大地に生をうけてたっているよ…。
 ふふ…これがいったい何を意味するのか、僕にもわからない。
 ただ、今の僕にあるのは、破滅への欲求、それだけさ。
 ジタン、このゲームに君がいるのは知っているんだよ…その仲間もね。
 是非もう一度、君に会いたいよ…そして、この手で息の根を止めるんだ。
 あはは、それはきっと、とても愉快だろうね…。
 君の悲鳴を考えただけでぞくぞくするよ…ふふふ…それだけさ、生きる欲求なんて、いまさら僕にあるはずもないんだから。
 目の前にいる敵を蹴散らしていくだけ…ごみを始末するようにね」
361破滅への序章 4/7:05/01/06 22:34:49 ID:tptJ5ZNY
クジャの視界に、サイファーにベホマをかけるレックスの姿が見える。

「ああ、死に損ないが、汚い地面には這い蹲って、それでもまだ生きようとしている!
 生への執着の、なんと醜いことだろう!…ふふ、それは、僕には言えた義理ではないかもしれないね。
 でも、だからこそわかる、彼らの絶望が…癒しの光も決して彼には届かないだろう。
 届く前に、この僕がその明かりを遮ってしまうんだから!
 無理矢理に立ち上がったところで、しょせんは風前の灯火、僕がふっと息を吹くだけで消え去ってしまう、脆い存在なのさ…」

クジャはふと、視線を落とした。そして、今までとは少し調子の違う声で、語り始めた。

「セフィロスは癪に障る男だけれど、きっと僕と同類なんだろうね。
 いや、わかるさ…彼は僕と同じなんだ。行き場を失った、絶望そのもの。
 …でも、戦闘の好みが僕とはだいぶ違うみたいだね。
 少しずつ、じわじわと殺していく…それも気分のいい最高のアトラクションの一つであるのに違いはないさ。
 でも、あの女を一瞬で切り捨ててしまうなんて…。なぜもっといたぶらないんだろう?
 あの男の、この光景、この醜さ、見ているだけで心が躍るようじゃないか。
 僕は今、華やかな血の惨劇がみたいんだ…慌て惑い、恐怖に絶望の色で顔を染めた、
 虫けらのようなやつらが、何の存在意義も見いだせず、ただただ滅び行く様を」

クジャは歩みをとめて、空を見た。レックスの声が聞こえる。

「くく…正義の戦士様はお怒りのようだ…それにしても、あの声の醜いことだよ。
 …さあ、頃合いかな。これには、セフィロスも驚くだろうね。彼には悪いけれど、今の僕はこんなまどろっこしいことはしたくないんだ。
 僕はすぐに、今すぐに聞きたいんだ、彼らの悲鳴を…きっと醜い声を出すんだろう。醜悪な姿を晒して」

「…そういえば、彼は、あのとんがり頭の彼のことを、彼は随分警視していたね。
 ことによると、僕とジタンのような間柄なのかもしれない。
 ふふ、だとしたら、彼が慎重になるのも仕方ないのかもね。
 でも、このままじゃらちがあかないよ。…ふふ、近づいてきたよ、おばかなネズミが一匹、自分から舞い込んできたよ…。
 第一幕、破滅への序章の始まりだ…!」
362破滅への序章 5/7:05/01/06 22:36:04 ID:tptJ5ZNY


「くそおおおおおお!!」
レックスは叫んだ。力の限り、叫んだ。
そして、視界にはいるものすべてを壊し、標的を探す。
「どこだ!?どこにいる!隠れてないででてこい!」
ルビスの剣を振りかざして、叫ぶ。
テリーの警告も、耳に届かない。

レックスはひたすら突き進んだ。
そして、アリアハンのある一角で、見た。
光を。
光?
レックスは何だろうと思った。
だが、その考えは次の瞬間、止まった。



リュカは聞いた。
大地の劈くような響きを。
その中に微かな、掻き消されそうな叫び声を。
リュカは見た。
ライフストリームのような、大きな光を。
その中にいる、息子を。

光は、やがて炎になって、また、新しい光が次々と生まれ、それが爆発した。
爆発の連鎖は、向こう側から断続的に起こり、家という家は音をたてて崩れ落ち、ついには自分の後ろでも、爆発を始めた。
城が激しい爆撃を受けるのを、リュカは惚けてみていた。
次の瞬間、我に返って叫んだ。息子の名を、炎に向かって。
363破滅への序章 6/7:05/01/06 22:36:56 ID:tptJ5ZNY
【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸
 第一行動方針:レックスを探す 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】

【現在位置:アリアハン城外】

【レックス(フレアスター直撃) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド
 第一行動方針:襲撃者(セフィロス)を倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城の手前】

【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 第一行動方針:事態処理 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ)
 第一行動方針:襲撃者に備える 基本行動方針:仲間を見つけ、守る 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】
【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0)
 第一行動方針:? 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:不明
 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:襲撃者に備える
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】
364破滅への序章 7/7:05/01/06 22:38:14 ID:tptJ5ZNY
【セフィロス 所持品:村正
 第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】

【現在位置:アリアハン中央あたり】

【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、
 第一行動方針:皆殺し 最終行動方針:最後まで生き残る】

【現在位置:アリアハン城近く】


クジャ暴走によりアリアハン半壊中。
城にも直撃。崩れはしないが、中にいる人も気づかないはずはない。
アリアハン周辺に聞こえる可能性はあり。
365行動開始1/3:05/01/07 05:01:49 ID:fRqCG9XC
荒れ狂う炎と閃光に包まれ、町は次々と破壊されていく。
暴風が吹き荒れ、あちこちで爆発が起こり、あたりを瓦礫が飛び交い、クラウド達を襲う。そんな中、
「みなさん、早くこちらへ!」
武器防具屋の中へ、ロザリーがみなを呼び寄せた。


建物の中は淡く、赤く光っており、中央に小さな魔方陣が組まれている。
その中央には、破壊の鏡、両脇には2つのルビーが安置され、そばには、ぶ厚い本が置かれていた。その背表紙には…
『素人から熟練者まで、これ一冊ですべてが分かる!決定版!世界結界全集』
と書かれている。
「これは…?」
「あの怪物との戦いに有利になるように、あと、休めるようにと作った簡易結界です。簡易といっても…」
ロザリーは破壊の鏡と、二つのルビー…支給品である守りのルビーと、ルビーの指輪…つまり力の指輪、
…余談だが、アンデッドとはいえ、魔道師のハインが剣で二人の人間を串刺しにし、二人の人間に対し優勢に戦えたのは
この指輪のおかげであるところも大きいのだが、
その二つを指さす。
「この二つのルビーの効果を中央の鏡が増幅させ、さらに魔方陣の効果を高めるようにはたらいています。
 さらにこちらのルビーには守りの効果が、こちらのルビーは力の上昇の効果が、さらにルビーの光に魔法を弱める効果があります。
 ですから、それなりの効果はあるはず…です」
「あるはず…かよ」
サイファーが突っ込む。
366行動開始2/3:05/01/07 05:03:37 ID:fRqCG9XC
「うん…きっと効果はあるよ。結構大きな魔力を感じるから…」
パウロはフォローを入れるが、先ほどまでと同様、その声はどこか暗く、重い。
「ロザリーお姉ちゃん、骸骨とみんなが戦ってるときからずっと、これを描いていたの?」
「ええ、私もお役に立てないか、と思って…でも初めてだから描くのに手間取って…ごめんなさい、もう少し早く完成させていれば…」
「あんたが気に病むことはない。斬り方からして、襲撃者はおそらくセフィロスという男だ。
 俺があいつらのことをすぐに話すべきだった。…この結界、どれくらい持つんだ?」
「…」
ロザリーは世界結界全集をめくる。代わりにパウロが答える。
「媒介が強力みたいだから、結構耐えられると思う。でもそんなこと聞いてどうするの?まさか…」
「ああ、元凶を取り除く。このままここでじっとしていても変わらないからな」
「だったら俺も…」「ぼ、僕も…」
サイファーが立ち上がろうとする、パウロが勇気を持って参戦しようとする、が、
「あんたたちはここにいろ。怪我人は足手まといになりかねない。それに、このトンベリ一匹で3人も守れないだろう。俺一人でいい」
クラウドが扉に手をかけようとしたとき、ロザリーがみなに声をかける。
「まだ、何かあるのか?」
「はい、町の外に救援を要請しましょうか?」
「できるのか?」
「呼びかけることはできます。ただ、誰も来ないかもしれませんし、危険な人物が来ることも否定できません」
「今より状況が悪くなることはないだろう。頼む。だが、あいつとの戦いは俺のけじめでもあるんだ。それに、まだレックスが外にいる」
「分かりました。どうかお気を付けて…」
367行動開始3/3:05/01/07 05:06:10 ID:fRqCG9XC
ロザリーは窓のそばで祈り始めた。
(みなさん、私の声が聞こえますか…)

【サイファー(重傷) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)
 現行動方針:休む 基本行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【パウロ(精神不安定) 所持品:破壊の剣(使う気0)、シャナクの巻物、樫の杖
 現行動方針:武器屋内の人間を守る、結界の管理 第二行動方針:ロランを探す】
【ロザリー 所持品:世界結界全集、守りのルビー、力のルビー(ルビーの指輪)、破壊の鏡、もう一つ不明
 現行動方針:祈り、呼びかける 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:襲撃者に備える
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 現行動方針:テリー達を守る 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】

【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ) 、氷の刃
 第一行動方針:レックスを探す 第二行動方針:セフィロスを追い払う 基本行動方針:仲間を見つけ、守る 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】

以上、攻撃力、防御力、魔法防御上昇
【現在位置:アリアハン城下町、武器屋】

※武器屋に結界が張られています。媒介は鏡とルビーとなっています?ハワードの最初のやつみたいなものです。
※ロザリーの祈りは、イムルのみたいなやつ。眠っているキャラに届くかもしれません。
※なお、セリスの遺体も武器屋内部に。
368希望の鍵 1/3:05/01/07 06:36:33 ID:Gqmu22b0
「そろそろ大丈夫か…。デッシュ、後ろはどうだ?」
ザックを肩にかけ、ウインチェスターを手にしたエドガーがデッシュを振り返り、言った。
デッシュはかぶりを振った。注意深く、今しがた歩いてきた後方の道のりを睨み付ける。
「……大丈夫みたいだな。追ってくる気配はねぇ」
「そうか…」
エドガーはデッシュの返事に軽くうなずき、地図を広げた。

先程、マシンガンの襲撃を受けた場所から反対の方角へと逃げてきたが、
いつの間にか森のかなり奥地に入り込んでしまったようだ。このまま更に北に行くと、
大きな川 ── すなわち見通しの良くなる川岸だろう ── にたどり着くらしかった。
(広いところには出ないほうがいいな……)
そう考え、決めた進路を頭にたたきこむと、地図を折りたたんだ。
エドガーが考えをよぎらせていた、その時…急に嫌な感じがした。敵が襲い掛かってくる直前のような。
目の前の木陰から!?
前方にウィンチェスターを向けるのとほぼ同時に木陰から人影が飛び出してきた。
その人影は全く無駄のない動きでエドガーの間合いに入り、首筋に緑色の剣を突きつける。
エドガーは襲撃者の方を伺うと、凍り付くような鋭い視線とぶつかる。黒い髪のまだ若い青年だった。
「…動くな!」
黒髪の青年が警告する。
「キミも死ぬぞ?」
エドガーもウインチェスターを青年の心の臓にゼロ距離でポイントしている。
まさに一触即発。
お互い少しでも手元を動かせば相手を殺害できる状態にある。
「エドガー!!」
「…大丈夫だ」
背後でデッシュが叫ぶがエドガーは落ち着き払った声で答える。
(この状態なら最悪、相打ちに持ち込むことができる。そうなれば少なくともデッシュは助かる…)
その考えこそがエドガーに心理的優勢をもたらせていた。パニックに陥ることなく。
その状態でどれほど硬直していただろうか。
時間にして僅か数秒だったのだが、エドガーには半刻ほどにも感じた。
デッシュの方は一触即発の雰囲気に呑まれ、とてもじゃないが動ける状態ではなかった。
しかし事態は動き出す。
369希望の鍵 2/3:05/01/07 06:37:28 ID:Gqmu22b0
「う…う、動くな!」
デッシュの背後の木陰から、エドガーにとってはとても見慣れた武器を構えた金髪の青年と、
ピンク色の髪の女性が現れたのだ。
(…やれやれ、こちらは囮だったか)
金髪の青年が持つオートボウガンはエドガーとデッシュの背中をポイントしており、
そちらに武器を向ける余裕がないエドガーはただ唇を噛むことしか出来なかった。
「武器を捨てるんだ」
「…分かった」
黒髪の青年の言葉に対し、エドガーは実にあっさりとウインチェスターを手放し両手をあげる。
首筋に剣を突きつけたまま姿勢で青年はエドガーの顔と地面に落ちたウインチェスターを交互に見ていたが、
やがて首筋から剣を放し、鞘に収めた。
この行動に驚いたのがオートボウガンを構えた金髪の青年だった。
「お、おいザックス!何してんだ!?」
黒髪の青年――ザックスはエドガーが手放したウインチェスターを拾い上げ、金髪の青年に掲げる。
「まあ落ち着けランド。少なくともさっき俺たちを襲った奴はこの人達じゃねえよ。確かに銃をもってたけど
こいつはショットガンだ。さっきのマシンガンの野郎とは違う」
「けどよ!まだこいつらがゲームに乗ってないと断定できた訳じゃ…」
もっともな反論を返す、ランドと呼ばれた金髪の青年の言葉を遮り、エドガーが二人の会話に割り込む。
「マシンガン?…そうか、キミ達も奴に襲われたのか」
この言葉にいち早く反応したのがザックスだった。
「キミ達も、って…あんた達もあのマシンガンの野郎に?」
「そういうことになるかな。そこのデッシュとこのゲームについて話し合っていたら背後から突然な。
我ながらよく無傷で逃げ切ったと思うが、相手が予想以上に鈍かったせいで助かったというか」
あの時の状況を思い出しながら、苦虫を噛み潰したような表情して語るエドガーはさらに言葉を紡ぐ。
「我々はゲームに乗る気は無いし、デッシュと脱出方法も考えていたのだ。
…どうだろう?キミ達も見たところゲームには乗っていないみたいだしここはお互い協力するというのは?」
370希望の鍵 3/3:05/01/07 06:38:08 ID:Gqmu22b0
「ああ、いいぜ」
ザックスのあまりの即答ぶりに逆にエドガーが驚いた。
「いいのか?」
思わずもう一度聞きなおしたエドガーの言葉にザックスはコックリと頷いた。
「ありがとう・・・」
「断る理由はないしな。こっちとしても仲間が増えるのは大歓迎だ」
ランドはまだ納得いかなげな表情をしながらもオートボウガンをおろす。
とりあえずザックスの決定には従うようだ。
その横ではシンシアが「大丈夫ですか?」と言いながら、
緊張感から開放され腰が砕けたデッシュに手を伸ばしていた。

そしてお互い簡単な自己紹介を終えるとエドガーがあることに気づく。
「ところでミス・シンシア、その手に持っているものは?」
エドガーがシンシアが持つ対人レーダーを指差す。
「…あ、これは、自分達に近づく参加者の人達に反応する道具みたいです。
どういう仕組みなのかはよく分からないですけど…」
「こいつのおかげでさっきあんた達の背後を簡単に取れたわけだけどな」
ザックスとシンシアの言葉にエドガーとデッシュは顔を見合わせた。
「エドガー、こいつは…」
「ああ…いけるかもしれんな」
エドガーとデッシュは思ってもみなかったヒントをを手に入れた。
そして森で運良く出会えたザックス達とともにゲームを壊すためにその場を後にしたのだった。


【エドガー 所持品:バスタードソード 天空の鎧 ラミアの竪琴 
イエローメガホン ウインチェスター+マテリア(みやぶる)(あやつる)
【デッシュ 所持品:なし
【ザックス 所持品:スネークソード 毛布 
【シンシア 所持品:万能薬 対人レーダー 煙幕×2 毛布 
【ランド 所持品:オートボウガン 魔法の玉 毛布
現在位置:アリアハン北部の森奥地 第一行動方針:森で夜を明かす 最終行動方針:ゲームの脱出】
371シノビーズ 1/4:05/01/07 12:13:48 ID:bHaQQ54M
「あー、あたしもあたしも!」
「やっぱりそうだったか! 衣装があまりに似てたからよ、きっとお仲間だと思ってたぜ。
 で、忍術はどれぐらいマスターしてるんだ? 火遁ぐらいは使えるのか?」
「……かとん? なにそれ?」
「おいおい。忍者たるもの火遁は基本だろ。
 水遁、雷迅まで扱えるようになって、ようやく忍者としては一人前! ってやつだ。
 そこまで到達するのに俺も色々と壁を乗り越えてよ……へへっ……」
「あれ? ちょっとしんみりムードになってない?
 もしかして触れてはならない禁断の落ちこぼれメモリーだった?」
「ば、馬鹿いってんじゃねーよ。
 火遁もできないエセ忍者がそんな口を利くのは百年早いぜ!」
「な、なんだとぉー!」
「うわっ、よせ! 人の背中で暴れんな!」


「ええーっ!? 風魔手裏剣にしてはちょっと小さすぎない?
 なんかマテリア穴もみあたんないし」
「まてりあ? なんだそいつは。
 ……いや、待てよ? たしかどっかで……なんとなく覚えがあるんだが……」
「ふっふーん。知らないならこの1st級マテリアハンターであるユフィ様が教えてしんぜよう。
 マテリアとは、様々なエネルギーを秘めた球体の名称である。
 炎や雷、はたまた治癒といった魔法的な力を扱えるようになるものもあれば……」
「それだ! マリアさんが持ってたバカでかい剣に付いてた玉っころの説明書!
 ……そういえば今頃どうしてっかな。ちゃんと待っててくれればいいんだが。
 ここはひとつ、確かめてみるとするか」
「人がせっかく説明してあげてんのに、いきなり自己完結しちゃってるし。その態度はアリ?」
「杖が反応しない……移動しちまったのか?」
「ちょっと、聞いてるエッジ?」
「あ……ああ。わりぃなユフィ、聞いてなかった」
「ちょーむかつく! こんな美少女を無視するなんてさ!」
372シノビーズ 2/4:05/01/07 12:14:49 ID:bHaQQ54M
「口数が少なくなってないか」
「んー、ちょっとやんごとなき事情でグロッキー気味。克服できないってのは辛いね。
 エッジこそあんまり喋らなくなったじゃん」
「……そうかもな」
「あたし、そろそろ自分で走ろうか? 命の恩人二号様に元気な姿を見せたいしさ」
「今は体力温存しとけ。目的地はすぐそこだ」
「それがこうしているだけで消耗しちゃ……っ!?
 この匂い、微かだけど……もしかして……!」
「くそっ!」



――彼女は待っていた。
赤と白で彩られた細く美しい腕が浮かぶ血溜まりの中央で、頭上に輝く月を仰ぐように色を失った目を見開いて。
無論、マリアの体内から流れ出た体液は時間の経過と共に乾ききっている。
それでも二人の目には――それが真実だった。

エッジはしばし呆然とその光景を見詰めていたが、唇に触れた辛い感触を通じて我に返る。
涙があふれていた。
情けなかった。悔しかった。許せなかった。
こんな優しい人の命を奪った人間を、失わせてしまった自分を。

ユフィもエッジの背で泣いていた。
別段の面識があったわけではない。死の淵へ沈み行く際に、おぼろげながら彼女の記憶があるだけだ。
他愛もない世間話。王宮での生活。夫に対するおのろけ。
命を救われたことも勿論だが、移動中にエッジから聞かされたそれらの会話を思い出すと……それだけでたまらなかった。
無言でエッジの背から下り、よろよろと歩き――やがてバランスを失いその場にへたりこむ。
「ごめん……あたしのせいだよね……あたしのせいで……ごめっ……さい……」
冷たくなっているマリアの左手を握り締め、かすれた声を絞り出すように嗚咽する。

許してくれとは言わない。だが、ケジメだけはつけると約束するぜ……!
エッジが吼えた。力の限り、心の中で。
373シノビーズ 3/4:05/01/07 12:15:56 ID:bHaQQ54M
「……やめとけ。きっと、喜ばねぇよ」
ユフィの提案をやんわりと制し、マリアの遺体に土を被せていく。
「でも……あたし、こんなことぐらいしかしてやれないよ」
プリンセスリングを手にマリアの姿をじっと眺める。
支給品の水で顔と髪を洗い、苦労はしたが目も閉じさせた。
だが、それだけだ。
体は傷ついたままで、衣服はボロボロの状態。
感傷だとわかっていても、せめて少しでも綺麗に着飾らせて天上へ送ってやりたかった。
二度と伝える機会のなくなってしまった、お礼代わりに。
「うまく言葉に出来ないが……気持ちは届くぜ。絶対にな。
 だからその指輪はユフィ、お前が持ってろ」
ユフィはしばらく俯いて動かなかったが、不意に面をあげた。
泣き腫らして真っ赤な目を決意の眦に変えて。


埋葬を終えると、エッジはどうしても移動中には切り出せなかった出来事を語った。
ユフィが意識を失っている間に行なわれた――放送のことを。


「……マリベル。おそらく、これで全部だ」
微かにユフィが震えていた。
やはり、挙げた名前の中に親しかった者が含まれていたのだろう。
それでも取り乱したりはせず、表情も変えないで押し寄せる悲しみから耐えている。
傍から見れば数時間前の俺の姿と重なるのかもしれない。
まだマリアさんと一緒に行動していた頃、空から聞こえてきた二人の名前から生じた動揺を
必死で見せまいとする、自分の姿に。

忍術だとか、そんなものは関係ない。
こいつは正真正銘の――忍ぶ者。頼りにできる一人前の仲間。
心の底からエッジはそう思うのだった。
374シノビーズ 4/4:05/01/07 12:17:20 ID:bHaQQ54M
「まずはあの剣を所持している奴を探す。
 マリアさんを殺して奪い取ったのか、たまたま通りかかっただけの人間が持ち去ったのか。
 それを確かめるんだ」
ユフィがこくんと頷く。
「よし、それじゃ――」
手持ちの風魔手裏剣をユフィのザックに分けながら、エッジは続けた。
「特訓が先だ。片腕でもちゃんと動けるようにな」
「あたしなら大丈夫だってば。ホラ!」
シュッシュッシュッっと、左拳が空を切る。
しかし――
「そら見ろ。それだけで態勢崩れてるじゃねぇか」
「うー、片腕がないだけでこんなに影響あるなんて……」
失った腕を偲ぶように、右肩をなでながらユフィは独りごちる。
「急がば回れ、だ。無理すんなよ」
「りょーかーい」

……リディア。
知っての通り、俺は馬鹿で不器用だ。二つのことを同時になんてやれやしねぇ。
セシルもローザも逝っちまったらしいこの世界で寂しい思いをしているだろうが、もうすこしだけ辛抱してくれ。
必ず――必ず迎えに行く。それまで待っててくれよ。

二人の忍者は歩き出す。新たな誓いと命を背負って。


【エッジ 所持品:風魔手裏剣(10) ドリル 波動の杖 フランベルジェ 三脚付大型マシンガン
 第一行動方針:マリアの仇を討つ 第二行動方針:ユフィの特訓 第三行動方針:仲間を探す】
【ユフィ(傷回復/右腕喪失) 所持品:風魔手裏剣(20) プリンセスリング フォースアーマー
 行動方針:同上】
【現在位置:アリアハン北の橋から西の平原】
375加勢 1/6:05/01/07 14:20:07 ID:Aul9rbk/
「なんだ!?あの音は!」
今まで城下町で繰り広げられている交戦に気付くこともなく、城裏で調べ物をしていた3人、キーファ、ジタン、リノアは凄まじい爆発音と振動によりようやく外の異変に気づいた。
「城下町の方だ!!行ってみるぞ!!」
そう真っ先に告げ、ジタンが走り、それに並んでキーファとリノアが続く。
城門から外を見ようとしたその時、目の前が一閃し、それに続くように激しい爆発が次々と起き、辺りは爆発の際に生じた硝煙により包まれた。
そのせいでろくに辺りを見渡せなかったが、とんでもなく強い奴が襲撃している、ということは容易に判断できた。
煙が晴れ、うっすらと視界が良くなったその時、彼らは観てしまった。
銀髪で、異様な雰囲気を携えた男――攻略本で見た強さSの男、クジャの姿を。
「嘘だろ…あいつがやったのかよ!」
キーファはそう悪態をついた。――最悪だ。Sという強さを目前として蒼白な表情にならざるをえなかった。
だが、それ以上に驚愕の表情を浮かべた者がいた。
その当事者、ジタンは2人に何1つ言わず、飛び出していった。
「バカ!一人で行くな、やられるぞ!!」
「待って!一人でいっちゃ駄目よ!」
2人が咄嗟にそう叫んだが、一瞥することもなく走り去ってしまった。
376加勢 2/6:05/01/07 14:21:04 ID:Aul9rbk/

――何故だ。
俺はアイツを助けたのが間違えたのか。
だがあの時アイツは、確かにこう言ってくれた。

ジタン、生きるんだ……、と。

その言葉には確かに偽りが無かった筈だ。
いや、それだけではない。
密かに瀕死の状態にも関わらず、仲間達の脱出の手助けもしていた。
アイツは確かに、人を殺すのも平気で行なっていたし、テラとガイアを支配しようともしていた。
でも、最後には――自分の仕出かした行為に深く後悔をもしていた。
つまり、アイツはまだ人としての心があった。
だから俺は助けた。
――こういうと、誰かを助けるのに理由がいるかい、ってアイツに言ったのが嘘になっちまうな。
それよりも、今こうしてるということはあいつは所詮口先だけの善人だったのか。
だとしたら、それに見抜けなかった俺自身も許せないが、何よりもクジャを許せない――
377加勢 3/6:05/01/07 14:22:50 ID:Aul9rbk/

「あいつが行っちまったんじゃ仕方ないな…。よし、加勢しに行こう!」
先程の表情を消し気持ちを切り替え、威勢よくリノアに告げた。なんだかんだいって、好奇心が人一倍強いのが彼だ。
未知の敵と戦ってみたい、というのもあるし、僅かに開き直りもあるだろうか。だが、他にも理由があった。
(確かに相手は強いだろう、ひょっとすれば死ぬかもな。
でも、ここに居ても助かる見込みは無いだろう。ならばやれるだけやるってもんだ。
それに、あの本には俺の強さがDと表記されていた。
どうしても納得いかねぇ。だから今ここで、俺の強さがDでは無い事を証明してみせる――)
それと同時に、キーファはある重大なことに気づいた。
「そうね、行きましょう!」
リノアも迷い無く快諾したが、キーファの返答は今さっきとは打って変わってやや力の抜けた声だった。
「…すまん、今の俺には最低限の武器もないことを忘れてた…」
そう言うと、キーファは袋から攻略本を取り出した。
「本一冊じゃいくらなんでも戦えねえよ…」
「………」
確かに、もっともの話である。
378加勢 4/6:05/01/07 14:24:25 ID:Aul9rbk/

そう沈黙し合う2人であったが不意に背後から何者かに声を掛けられた。
敵か、と2人は素早く警戒の体勢をとったがその姿は敵とは思えぬ姿である。
その敵とは思えぬ姿、縫い包みのような物に乗っている猫は、2人に叫んだ。
「そこのお二人さん、ボーッとしとらへんで加勢してくださいな!」
何故ケット・シーがここにいるかと言うと、先程ケット・シーはすぐさまリュカに加勢しようとするため、城下町に向かっていた。
しかし城に出てすぐに、フレアスターによる凄まじい爆風、つまりジタンが城外に出るよりも前に再びアリアハン城に飛ばされ、そして今偶然キーファ達と鉢合わせしたというわけだ。
今まで互いに人がいることに気づかなかった理由は、全ては爆発の際に生じた硝煙であった。これにより互いに姿が今になるまで確認できなかったのだ。
そんな事も露知らず猫が喋った事に2人は口を開けて驚いたが、すぐに我に返りキーファがその言葉に答えた。
「そうしようと思ったんだけど、武器がないんだ」
「何いうとんですか、ボクだってありませんよ」
もっとも、ケット・シーはデブモーグリに乗っている限り武器が無くとも戦えるのだが。
「あ…そういえばまだ私の支給品見てないわ。もしかしたら貴方に役に立つ物もあるかも」
そう言って、リノアは袋の中へと手を入れた。
入れてすぐに袋の中から、何やら硬い物の手応えがあり、それを引っ張り出した。
しかしその引っ張り出した物を見て、2人は目が点になった。
379加勢 5/6:05/01/07 14:25:07 ID:Aul9rbk/
「………釘バット?」
その通り、そこにはビッシリと釘が打ち込まれたバットだった。
2人はそれを呆れがちに見ていたが、ケット・シーだけ反応が違っていた。
「おお、あんさん方運いいやなー、それ見た目はごっついですがそこらの剣より強いですよ」
その意外な言葉を聞いて釘バットに希望を持てたのかは分からないが、黙ってキーファに手渡した。
キーファはそれを黙って見詰め、
「……ハハ…まあ背に腹は変えられないよな…」
と苦笑混じりに言いながら釘バットを頂戴し、自分の袋に入れた。
事実、その武器はそこらの剣より確かに強いことを知らずに。
「えっと…他に何かあるかな…?」
再びリノアは袋の中に手を入れようとしたが、その行動は咎められた。
「ちょっと、こんなのんびりしとる場合じゃないんや、残りの支給品はあとで見とって下さい!」
そう言うとケット・シー(デブモーグリ)は強引に2人を掴んだ。
「え…お、おい!」
「きゃっ…ちょっと!」
二人の反対も聞かずに、ケット・シーは2人を掴んだまま駆けていった。
380加勢 6/6:05/01/07 14:25:58 ID:Aul9rbk/
【キーファ 所持品:攻略本 釘バット(FF7)
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】
【リノア 所持品:不明(2つ以内、何も無い可能性もあり)
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:リュカのもとに行く 基本行動方針:リュカを守る】

【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面
 現在位置:アリアハン城門→クジャの場所へ
 第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
381修正:05/01/07 14:55:20 ID:Aul9rbk/
>>376 2行目を

俺は間違えていたのか。やはりアイツは心底悪なのか…?

に修正します。
382究極魔法  1/4:05/01/07 21:35:27 ID:4vxWDAWR
武器防具屋を出ると、クラウドはレックスが走り去った方へと急いだ。
それにしても、先ほどの爆発の威力は凄まじい。
見渡す限りの建物は黒く焼け焦げ、ひどいものは崩れ落ちて原型すら無くしている。
さっき落ちた雷といい、この大爆発といい、どうもセフィロスの他に、誰か強力なマーダーがいるようだ。
しかもあの2人が斬られた時のセフィロスの動きからして、彼らは手を組んでいる。
だとしたら厄介な事この上ない。結界に守られているとはいえ彼らもいつまで大丈夫かわからない。
そのためにも、早くレックスを探し出して、彼らの所へ連れ戻して…
―――!!
あと数百メートルで一部半壊した城へと到達しようとした地点で、クラウドは背後に気配を感じた。

閉ざされた氷のように冷たく、研ぎ澄まされた剣のように鋭く、魔晄に浸された魔物のように邪悪なあの気配を。
立ち止まり、ゆっくりと振り向く。
思った通り、そこにはあいつが立っていた。
ご自慢の正宗よりも短い刀を手に持ち、不適な笑みでこちらを見ている。
「セフィロス」
クラウドが呟くと、彼は村雨を構え、歯を見せてにやりと笑った。
383究極魔法  2/4:05/01/07 21:36:36 ID:4vxWDAWR
「会えて嬉しいぞ、クラウド。」
かつての英雄は、そう言って一歩彼に近づく。
「俺は全然嬉しくないがな。セフィロス」
クラウドもアルテマウェポンを構え、答えるように一歩前へ出る。
セフィロスのほかに、誰か潜んでいるようには感じられない。彼一人で現れたのは、余裕の表れだろうか。
暫くの間、そのまま2人は睨み合った。
互いに鋭い眼光で直視しあい、今にも千切れそうなほどに緊張の糸が張り詰めて行く。
冷たい夜風に煽られて木の葉が地面に落ちるのを合図に、2人は同時に斬りかかった。


ガギィィン、と甲高い金属音が響く。
「くっ…」
技量こそセフィロスが勝っているとはいえ、大剣アルテマウェポンの剣圧には流石に圧されてしまう。
彼が仰け反ったのを見計らい、クラウドが次の一撃を見舞おうとすると、セフィロスは横に大きく跳んで交わす。
チョコボに似た髪形の彼がそれに追いすがり、
再び大剣を振るうと、今度は村雨の切っ先をその刃に合わせて威力を殺した。
「な…?」
「図に乗るな」
訝るクラウドに冷たく言い放つと、セフィロスは彼の腹に満身の力を込めた蹴りを見舞った。
クラウドは数歩後ろに勢いよく飛ばされたが、空中で一回転して体制を整え、2本の足で着地する。
アルテマウェポンを片手で一回転させると、再びセフィロスめがけて突進した。
384究極魔法  3/4:05/01/07 21:37:57 ID:4vxWDAWR
セフィロスに走り寄る最中、クラウドのアルテマウェポンが金色の輝きを発する。
セフィロスにもそれが何を意味するか判っていた。恐らく、とうの昔にリミットブレイクしていたのだろう。
「超究!武神覇斬!!」
クラウドの怒号とともに、幾つもの斬撃がセフィロスを襲う。
剣風で周囲の木は残らず切り落とされ、民家は八つ裂きに切り刻まれていく。
だが――
「それがお前の切り札か?クラウド。」
当のセフィロスは余裕を湛えた、厭な笑みを浮かべながら、次々と襲い来る斬撃を軽々とかわしている。
最後の一撃を刀で受け止め、当惑したような表情のクラウドにむかって言い放った。
「この私に、何度も同じ技が通じるとでも?」
事実、セフィロスはかつてこの超究武神覇斬でクラウドに一度葬られている。
「言った筈だ。図に乗るなと!」
村雨にてアルテマウェポンを持った手を斬りつけて弾き、クラウドの胴体めがけて容赦無く斬りつけた。


濃密なワインのように紅い血が辺りに飛散し、悲痛な叫びを上げながらクラウドが地面に崩れ落ちる。
セフィロスは冷たい眼で彼を見下ろしている。
と、彼の喘ぐような苦しそうな息が、やがてせせら笑うような、気味の悪いものに変わってきた。
見ると、片手を肩にかけたザックの中に突っ込んでいる。
「…何を隠している?」セフィロスが警戒しながら聞くと、彼は「これさ」と答え、ザックの中の手をおもむろに引き出した。
瞬間、セフィロスは目を見開いた。
クラウドの手の中で妖しい光を放っている丸い玉は…間違いない。かつて自分も血眼になって探していたあれだ。
「お前、それを何故…」
「みんな、ごめんな。」
クラウドが最期の言葉を言い終えると同時に、黒マテリアが一層強い輝きを発した。
385究極魔法  4/4:05/01/07 21:39:57 ID:4vxWDAWR
かつてセフィロスが呼んだものよりも遥かに小さい隕石が、
しかしそれでもかなりの大きさの隕石が降ってきた。
クラウドが最後の力を使い、メテオを発動させたのだ。
慌てて跳び、場を逃れようとするが早いか、炎に包まれた巨大な岩塊がすぐ近くに落下した。

天を焦がす火柱が上がり、辺りの物全てが粉々に吹き飛ばされて行く。
爆風が辺りを叩き、隕石の破片や瓦礫が無数の投げナイフとなってセフィロスを襲う。
彼らが居た地点から半径数十メートルが完全に破壊され、灰燼と帰した。

「少し、驚かされたな。」
瓦礫の山の中から、セフィロスが姿を現した。
黒いコートは焼け爛れ、頭からは細い血の筋が垂れているが、メテオの直撃から逃れたのは流石と言うべきか。
体に刺さった細かい破片を抜き取り、火傷に湿らせた布をあてがってとりあえずの手当てを施す。
幸い大した怪我はしていないようだし、所持品にも目立った傷はない。
「まあ、お前にしては頑張った方じゃないか。」
彼はクラウドがいた辺りを一瞥し、歩き去った。


【セフィロス(HP1/2程度) 所持品:村正
 第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】

【クラウド 死亡】

・メテオの攻撃範囲は割と狭いですが、爆発その物はかなり目立ちます。
・クラウドの所持品が瓦礫の中に埋もれている可能性があります。
386修正:05/01/07 22:31:59 ID:4vxWDAWR
>>382
クラウドが呟くと、彼は村雨を構え、歯を見せてにやりと笑った。
>>383
再び大剣を振るうと、今度は村雨の切っ先をその刃に合わせて威力を殺した。
>>384
村雨にてアルテマウェポンを持った手を斬りつけて弾き、クラウドの胴体めがけて容赦無く斬りつけた。

の部分の「村雨」を「村正」に脳内変換お願いします…
387分裂の代償 1/4:05/01/08 03:11:09 ID:kczY5N50
アリアハンの鳴動が図書館に届く少し前のことである。

「おいおい、こんな物もあるんだってよ…」
ジタンが本の一頁を指差し、キーファとリノアに見せた。
「分裂の壷…この壷は、入れられた対象の物質的性質をそのままコピーし複製を作り出す…」
「つまりどういうことだよ」
キーファが頭をボサボサ掻いて言った。
「つまり、アイテムをコピーするって事?一つのアイテムを二つに…」
リノアが口を挟んだ。
「多分そうだろうな」
「じゃぁ、キューソネコカミとか言う武器をそれで二つにすれば、いや、無限に増やせるじゃないか!」
「無理だな。一個の壷では限度があるし、入れたものは割らないと取り出せないらしいぜ」
一瞬で気落ちするキーファを尻目に、リノアは別の質問をした。
「分裂の壷なのに、分裂するんじゃなくてコピーするの?」
「あぁ…ここには、オリジナルとコピーの見分けがつかない為に分裂と呼んでも構わないから…と書いてある」
それを聞くと、リノアはもう一つ気になる事を聞いてみた。
「ねぇ、それって…人間もコピーできる?」
「さぁ…書いてないしなぁ…」
ジタンは少し腕組みをして考え、こう結論付けた。
「無理だと思うな。物質的性質をコピーするって書いてあるだけだから、このアツ〜いハートまではコピーできないと思うな」
自分の心臓を指差し、ニヤリと笑った。
「もしコピーできても、きっとそれは…ハートが未完成だと思うぜ?」
「まさか、自分を分裂させようとか思う人はいないだろうけどな」
キーファの一言に、頷く3人だった。勿論、本当に自分を分裂させた人がいるなどと知らずに。
そして、直後に彼らを襲った爆音と振動によって、彼らはそれをすっかりと忘れることになった。
388分裂の代償 2/4:05/01/08 03:12:18 ID:kczY5N50

――それは突然の出来事だった。

クリムトは死亡者通知を一通り話した後、二人のアリーナと向かい合うように座った。
膝を抱え泣く二人のアリーナを見て、少し気を許した瞬間だった。
片方の――クリムトから見て右側だったと事以外もう一人と何の違いも無かった――アリーナが、いきなり顔を上げた。

そして、一瞬の間に彼女は立ち上がり、彼女の指は目の前に座っていたクリムトの両目を抉っていた。

「ぐ…がっ!」
「ちょ、ちょっと何すんの!」
クリムトの呻きともう一人のアリーナの声が重なった。

「何…何って、決まってるじゃない。生き残るために殺すの」
アリーナの声で、アリーナらしからぬ台詞を彼女は吐いた。

アリーナは(便宜上こちらを以降アリーナ2と呼ぶことにする)クリムトの目から指を勢いよく引き抜く。
ぼたぼたと滴り落ちる血とその中に落ちた眼球、倒れ顔を手で押さえて呻くクリムトを一瞥しアリーナ2はアリーナに対し話を続ける。
「あなたも一緒に闘わない?あたし達が力をあわせれば絶対にこのゲームに勝ち残れるよ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
自分の分身であるはずの彼女の凶行に、まだ思考がついていかない。
「決断はお早めにね」
ケラケラと、アリーナ2は笑って見せた。
389分裂の代償 3/4:05/01/08 03:13:18 ID:kczY5N50
「さっきまであたしと同じようにしていたのに…!」
思わず本音が出た。自分と同じ様に動いてくれる分身だと思っていたのに、という本音が。
「あのねぇ。相手の隙を作ってそこを狙うって、基本中の基本じゃない」
狂ってる、とアリーナは思った。
これは自分の分身。それでも、まるで自分とは違う人物のよう。信じられなかった。
――ジタン曰く、ハートが未完成。
そして、分裂の壷が生物には向いていない事をこのとき初めて悟った。
「あたしはゲームになんか乗らないわよ!」
「わからないの?あたしとあなたが力をあわせればこのゲームに勝て…」
「冗談じゃないわよ!」
思わず声が裏返った。怒りで、自分への怒りで、今、一杯だ。
「あなたはあたしの分身だけど、あたしじゃない!今ここであたしと勝負して!」
「嫌よ。あたしは勝ちたい。勝ち残りたいの」
アリーナ2は当然とでも言うように胸を張って言う。
アリーナの声で、彼女らしくない冷静な声。
癪に障る言い回し。

「あなたに正義は無いの…!?」
「…あたしの正義は、勝利を得ること」
アリーナ2はまた高らかに笑って見せると、アリーナに背中を向けた。
「あなたに勝つ気が無いなら、あたし一人で他の奴ら片付けてくる。甘い考えに付き合っている暇は無いの」
言うなり、アリーナ2は走り出した。
クリムトに止めを刺す事無く、アリーナらしからぬ高笑いを響かせて。
運が良ければ最後に闘うことになるかもね、という捨て台詞すら吐いて。
390分裂の代償 4/4:05/01/08 03:15:15 ID:kczY5N50
「…何と言うことだ…ッ」
クリムトが、ようやく上半身を起こした。
「あっ…大丈夫!?」
アリーナが駆け寄る。
「う、む…眼をやられた…これでは動き回ることは出来まい…」
クリムトは二、三言呟き回復の呪文を自らにかける。
何度か繰り返すうちに血は止まったが、眼が見えるようになる訳ではない。

表情を――といっても眼が無いのだからそれはかなり制限されたものだったが――歪めたクリムトを見て、アリーナは決意した。
自分の罪は自分が償わなくてはいけないと。
しかし今は、この人の身を守らなくてはならないと。

闇の奥に消えた自身の分身を思い、深く溜息をついた。

【アリーナ 所持品:なし 第一行動方針:クリムトの安全確保 第二行動方針:アリーナ2を止める(殺す)】
【クリムト(両目重傷、失明) 所持品:力の杖、プロテクトリング 第一行動方針:不明 最終行動方針:ゲーム脱出】
【現在位置(共通):レーべ南東の山岳地帯近くの、南の森】

【アリーナ2(分身) 所持品:なし 第一行動方針:出会う人の隙を突いて殺す 最終行動方針:勝利する】
【現在位置:レーベ南東の山岳地帯近くの、南の森から移動中】

391名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/08 09:53:55 ID:I43ZBgek
>>382-385は無効です。
392名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/08 12:32:37 ID:a8xiF2A8
>>382-385は有効です。
393修正@シノビーズ:05/01/08 14:51:18 ID:G++f59hw
2/4
上のセリフ群はそのままで、以下を全改定。

不自然に堆く盛られた土。申し訳程度に添えられた一輪の花。
これが何を意味するのかは考えるまでもないだろう。
問題は、これが誰のために作られたものなのか。
その一点だ。

思案の末、二人は掘り返すことにした。
淡い希望と、押し潰されそうな不安を胸に。

最初に現れたのは腕だった。汚れてはいるが白くて華奢な――腕。
時が凍りつき、心臓を握られたような圧迫感が急速に押し寄せる。

もうやめたかった。――やめるわけにはいかなかった。



程なくして再会は果たされることとなる。
双方が望まぬ――残酷な形で。


3/4
支給品の〜 → 支給品の水で顔と髪を洗い、こびりついた血は拭った。
埋葬を終えると → 再度の埋葬を終えると
394名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/08 17:07:41 ID:NavrhJuF
修正>>390

アリーナ2の行動方針を修正です。

【アリーナ2(分身) 所持品:なし 
第一行動方針:出会う人の隙を突いて殺す、ただしアリーナは殺さない
最終行動方針:勝利する】
395Disaster 1/3:05/01/08 23:38:02 ID:hKPV5wb4
「レックス!レーックス!!」

リュカは必死に息子の名前を叫んだ。
炎が支配する地を駆け、息子の姿を探す。
だが、城門も建物も崩れていく中で見付かるはずもなく。
目を焼くような激しい炎の中で、声が届くはずもなく。

轟音と炎が支配するのみ。
絶望と恐怖が支配するのみ。

「どこだ!どこだ!レックス!!」

『求めれば必ず会えます。しかし、大切なものを失います』
という言葉を思い出す。
大切なものを失うのであれば、この状況だろうと嫌な思いが駆け巡る。
その思いを抱いたまままた一歩炎の中に踏み出そうとしたとき、後ろから声が聞こえた。

「リュカさーん!」

ケット・シーだった。
リュカが会ったことがない人と一緒に走ってくる。
そして何かを話した後、ケット・シーだけこちらにやってきた。

「リュカさん!こんなんやと危なすぎます…離れましょ!」
「でも…僕の息子が!!」
「どちらにせよこの状況で探すんは自殺もんです!!冷静になってアレの犯人を「でも!!」

ケット・シーが最後まで言い終わる前に、リュカの声が遮った。

「でも……やっと…やっと会えたんだ!ここに来る前に!やっと……っ!!」

リュカの声には、涙が混じっているように思えた。
396Disaster 2/3:05/01/08 23:38:47 ID:hKPV5wb4
ケット・シーと男が何か口論している。
キーファ達が見ている映像からはそれくらいの情報しかわからなかった。

リュカを見るなり「ちょっと待っといてください!」と行って駆けてしまった。
そして今は口論。混乱させる状況を見事に揃えた敵には反吐が出る。
キーファが心底そう思っていると、リノアが話しかけてきた。

「ねぇ、中の物を確認したんだけど…」
「ああ…何が入ってた?」
「えっと…」

中に入っていたのは、茶色い木の杖に蒼い宝石を埋め込んだシンプルな物に盾。
説明書を見ると「賢者の杖」「ロトの盾」と書かれてある。
杖の方は高い攻撃力と癒しの効果を持ち、盾の方は持ち主を選び力を発揮する、と書かれてある。

「そういえば…持ち主を選ぶ装備があるって攻略本に書いてた様な……」
「じゃあこれがそうかな…通りで何か頼りなさそう……」
「真の持ち主がいれば良いわけだな。それも血が濃い奴」
「血……?」

キーファの話はこうだった。
持ち主を選ぶ剣は意思を持っているかの如くその力を変える。
どうやら持ち主の血脈に反応しているらしい。
かつて勇者の末裔が伝説の剣を持ってはいたが…それを越える剣が存在したという事例まであるらしい。
その装備を自在に操るには、その血脈が流れるもののみ。
あえて特別な事例を言うなら…その装備自体が力を貸してやろうとした時だけだ。

「信じられない話だけど…もしそうだとしたらこれは……」
「当たりかもしれないな。しかもかなりの値打ちものだ。あとこっちの杖も多分」

2人の会話はそこで終わった。ケット・シーが急いで走ってきたからだ。
名残惜しそうに、悔しそうに、息子がいる筈の場所を眺めながら走ってくるリュカと共に…
397Disaster 3/3:05/01/08 23:40:35 ID:hKPV5wb4


【キーファ 所持品:攻略本 釘バット(FF7)
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】
【リノア 所持品:賢者の杖 ロトの盾
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:ジタンに加勢 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】

【ケット・シー 所持品:正宗 天使のレオタード
 現在位置:アリアハン城門→城外へ
 第一行動方針:キーファ達と行動を共にする 基本行動方針:リュカを守る】
【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸
 第一行動方針:ケット・シーと行動する 第二行動方針:レックスを探す
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】


※レックスは未だに生死不明です
398名前が無い@ただの名無しのようだ
PART3が立ちました。
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1105260916/