DQの周辺  

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387名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 12:07:07 ID:6Z9cLjQM


ドランのプレートには彼についての記述が細かく書かれており、最後に「ドラン」の字と同じくらいの太さ大きさで「愛を込めて」と記されてあった。
異種族との旅が好きなライアンへだろうか「うぅん…」
ドランは教会の竜だったからクリフトに準えてか「えぇ?」
ドランのプレートの内容を一番楽しんでくれそうな商人トルネコか「面白いですねぇ」
氷と冷気の魔法使いブライの足りない所を補う為に、炎を吐く竜を送ったのか「フフ…」
「誰に対しての言葉なのか、わざと書かなかったのかな」
半笑いでブライが言うと勇者は「いやぁ、そんなこ洒落た事するかな」と言って、
「おっちょこちょいだから書き忘れたんじゃないのかな」
ルーシアったら若いのに頭呆けちゃって…変えてやりたいなと彼女に、この勇者の割りには珍しく図々しいような大胆な思いで微笑んだ。
その頃天空城のルーシアはくしゅんくしゅんとくしゃみをしていた。地上の人間に風をうつされたのだろうか。熱に浮かされて赤い顔をしている。
あの頭が少し狂ったおばあちゃんが「全く地上の男は迷惑だ」とルーシアを撫でて慈しむ。そして珍しく自分から好きな男の事を語り出した。
地上ではドランが大きな目を瞬かせて忙しそうに人間達の表情を見詰めている。
388名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 12:08:53 ID:6Z9cLjQM

バコタとパノンの話の続きでした。
おてんば姫の旅に着いて来る教育係の老人が普通っぽい人に思えないのでこうなります。
389名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/13(土) 12:11:05 ID:6Z9cLjQM

>>337
バーサーカーの背を見失わないように、王子達は竜王の城の中を歩む。だがローレシア王子は彼女の案内を少しだけ待って貰い道を逸れた。
宝箱の中にあるロトの剣を発見。
最初にロトの物だったこの剣、それが何百年間も初代竜王が所持帯刀していた。
今から百年前にロトの勇者のサンがこの剣を取り、彼は自らの遺体と共にこの剣をこの城に残す。
剣は血に濡れてその効力と強靭さを失っていた。なぜロトの剣の威力が下がったのか。それは斬ってはならない者を斬ったからではとローレシア王子は思った。
剣は勇者の血で穢れたのではないか。竜王は斬ってはいけない勇者だったのか、ラダトームの勇者が自刃して果てたのか。
竜王の謎、ロトの謎を具現化したような剣が今目の前にある。ローレシアのスターはその静かな剣に触れゆっくりと握った。
ひっそりと呪われている剣に
(私と行こう)
とローレシア王子は心の中で呼び掛けた。
390名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 05:29:08 ID:L5E/OuRK
残された一本道をただひたすらに行って地下へ潜る。バーサーカーの背、その緑のマントが見えた時、彼女はただ一点の元へ走っていた。
「ギイ!」
一点は彼女の声に「なぬ!?」と答える。
「ギーーーイ!」
「うわぁぁぁ!!」
王座と思しき豪奢な大椅子の上でギッタンバッタン王とバーサーカーは出会う。バーサーカーの腕は王の腕に触れてしまったり、彼に彼女が馬乗りに近い形になり少し絡み合う。男と女の体が擦れ合う。
「何じゃ!?」
「ギィギィ」
男とモンスター女の長閑な会話だがローレシア王子とムーンブルク王女は官能的な男女の姿勢に釘付け。サマルトリア王子は見ちゃいられないと思い、そっとこのエロティックに背を向けた。
「動きの煩い奴だなぁ。座っとけ」
と王はバーサーカーの彼女に王座を譲ってしまった。「ギ?」と言う彼女はチョコンと王座に座らせられネズミの耳のような王冠も被させられてしまった。「ギョ」
黒い王冠恐らく布製は、彼女の黒い肌に良く似合った。元気な銀髪が雑草のように王冠の下でピンピンはねている。
王も彼女と同じく黒い肌が精悍であり、浅く波打つ短めの金髪で人間の男の姿をしている。だが人間ではないのだろう。
391名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/16(火) 06:56:50 ID:prRDnudq
何このオナニースレ
392名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/18(木) 16:44:18 ID:VLCH0gcS
勇者達を助けられる第三者の存在を紹介するなら何よりも先にデルコンダル大王を推すべきだが、彼女はこの王の元に勇者達を招いた。それは彼女がバーサーカー、つまりモンスターだからだ。
393ナジミ:2005/08/19(金) 00:18:37 ID:T/gUNdpS
/guest
a
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 00:20:40 ID:f6JNqRM5


あなたお友達


女勇者は自ら描いた絵を売って、Gの代替に劇場でベリーダンスを教えてもらった。
ハーレムパンツを履いて踊り子達と華やかに町を歩く女勇者は擦れ違う美人をも振り向かせる。
「こんばんわお嬢さん。星がとっても綺麗な夜ね」
こんな声をパフパフ娘に掛けられる女勇者は彼女の客にはなれなかったが、夜の戦闘を終えて鎧姿で町を歩くと
「あら素敵なお兄さん。私とパフパフしましょ」
パフパフ娘は同じ人間と気付かず勇者を誘って来た。
「パフパフって?」
そう尋ねて来る勇者の声にパフパフ娘は仕事を忘れる。低い嗄れ声だが女の声のようでもあり、その勇者の在り様、存在が凄く気になった。有態に言うとこの勇者に誘惑された。
「着いて来て。試してみないと」
とパフパフ娘は女勇者と知らずに鎧姿の戦士を引っ張って行った。
パフパフ娘の自宅なのだろうか、薄暗く狭い廊下を渡りながら勇者は「これはエロだ」と感じた。
395名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 00:23:04 ID:f6JNqRM5
「私女…」
「え?」
「女です」
「そんな断り方ないじゃない」
もうどっちが客の心理になっているのかわからないまま、勇者はベッドに座らされ
「灯り消すわよ…」
と囁かれた。暗い部屋の中で勇者はやっと兜を脱ぐ事になる。暗闇の中で見た勇者の眼差し……それは凛々しさを持ちながらも女性のようにパフパフ娘は感じた。
しかしパフパフ娘も止まれない。止まれないから…女勇者の肩は何者かの手に掴まれた。
「これは…」
「ハハハ、どうだいぼうず」
暗がりの中で男の低い声がする。その男の手が女勇者の肩を揉み続ける。
「気持ち良い…」
男もその勇者の囁きにギクリとして一瞬プロの手を止めた。その隙に男はパフパフ娘に手を引かれて隠し扉から隣の部屋に連れて行かれてしまう。
「父さんのお客にするつもりなかったのよ、ごめん」
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 00:25:56 ID:f6JNqRM5
「俺が居るのを忘れて本気になるんじゃねぇ。イチャつきたいならヨソでやんな」
「ごめんってば。だって「俺は女だ」なんて言うからカッとなって…」
彼女はここが仕事場である事を忘れて勇者にのめり込んだ。
「で、あの人どっちの客になるんだよ」
「私のお客に…」
「やめろパフパフなんて」
このパフパフ娘はパフパフで商売した事はない。客引きだけをして父のマッサージに回すのが仕事だ。つまり彼女の行為は詐欺である。
「私だって…」
「だから、この仕事以外の事がしたいならヨソに行けよ!」
隠し扉の向こうの部屋…つまり親子が喧嘩をしている部屋は明るく、半開きの扉から射し込んでくる光を少し頼って勇者は無言のまま鎧を脱いだ。
親子が勇者の居る部屋に戻って来ると、ヌギヌギと鎧を脱ぎ終えた勇者が静かにベッドに座っていた。
厚い唇を持った口と、青い瞳、姿の良い乳房の全てが大きく、間違い無く女の色気だった。
「本当に女だったの…」
「うん」
と返事する女勇者に親子は視線の全てを奪われる。父親の方など言葉も無い。
397名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/19(金) 00:28:36 ID:f6JNqRM5
「どう言う事なの?」
と勇者は親子の言い争いの理由を尋ねて来る。
「なんだ、そっか…。ねぇ普通にマッサージで売れば良いじゃない」
「そりゃ、普通にも売ってるよ。でも俺の技が騙された後でも続けたいものなのかどうかたまには試したいんだ」
この男はここアッサラームの町に長く居過ぎて、この歓楽の町に慣れてしまってもっと刺激を欲しがっている。ぼったくりも詐欺もやる。それはGの為、そして捻じ曲がったプライドの為に。
(危ないなぁ)
と勇者は思う。そして彼女は
「G払うからマッサージして」
と男を誘った。
「じゅあ…そこに横になって」
言われた勇者は心の中で(わぁい)と歓喜して
「お願いします」
と見事な女体をベッドにしっとりと横たわらせた。
398名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/21(日) 14:34:57 ID:fg7tAAaS
男は脱ぐように勇者に言う。
「え、全部?」
勇者が少し驚いて尋ねると、下半身の物は纏って居ても良いと聞かされた。
勇者は思い切って脱ぎ出す。男に背を向け脱ぎ終えるとうつ伏せになった。
男は指先を宙でパキパキと鳴らし、
「よろしくお願いします」
と太く長い指を彼女のしなやかな背にそっと押し当てた。
399名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/24(水) 14:54:09 ID:vlujAxY4
勇者は息を漏らし眉を顰める。
始めは足から。勇者は男の指に合わせてパンツ一丁の体を少しくねらせる。
「さすが、鎧を着た戦闘で汗一つかかないだけの事はある。こりが殆どない」
「でも(気持ち)良い…」と伝える勇者はたまに「あっ…」と囁いてしまう。
最初彼女は「男の指だ」と思って妙な意識と緊張を持ったようだが…その意識すら解れて今は刺激の強い安らぎの中に居る。
男の仕事は今日も実を結んだ。彼女の喜びこそが幸せである。
充実を得ている男、その下で寝そべる女勇者はパフパフ娘の存在を探した。見渡すとこの部屋には居ない。
(あら、二人っきりだ)
と思う勇者が男に聞くと、パフパフ娘は隣の部屋に居るようだった。彼女はたまにこちらの様子を覗いてくれているようである。
(近くに居てくれて嬉しいな。ここに居てくれても良いのに)
勇者はそう望むが(父さんが裸で悶える若い女を揉んでるところなんて直視したくないだろうし)との思いも及ぶ。
余りに気持ちが良くて、彼女は涙が出て来てしまった。それを男は垣間見る。
彼女の背に指を滑らせながら、男は良い仕事を叶えている喜びで良い汗をかきながら息を弾ませる。
大きな体を熱くさせている指圧師。熱くなっているのは「男」としての血ではないのか…そう感じる度彼は自分を見据え、平静を取り戻す。
彼女の体に落としそうになる自身の汗を姿の良い腕でそっと拭い、男は勇者に仰向けになるように言った。
女勇者はハッとして、うつ伏せの姿勢から軽やかに寝返りを打つ。そして乳房を両腕で隠すとベッドに座り少し丸くなってしまった。
「ん?」
と良い汗が流れている男の顔が尋ねて来る。
男もベッドに座り彼女に迫ると彼女はもっと丸くなってしまった。
「俺に仕事を続けさせて欲しい」
「……」
強く見詰めて来る男を、女勇者は無言で優しく見詰め返す。
彼女は男を買い、仰向けになって自らの腕を解いた。
唇、乳首、性器には触らないと男は言う。安易な所には絶対に触れない。
(ここでイカせてやる)
男の指がそこに優しく触れると
「うぅ…」
と彼女の反応は良好である。
乳房の脇に触られ続けた時などは「イヤ、イヤ…」と彼女は変な気持ちになっていた。まず施術として快感だからまた泣いていた。
400名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/24(水) 14:57:03 ID:vlujAxY4
「やっぱり駄目、男の人…」
「大丈夫。俺を男と思ったら俺も貴方も幸せじゃないよ」
しかし勇者は「あん」と可愛い声を出してしまった。
はぁはぁと息を乱す女勇者を見詰めて、男もハァハァ息が上がって来る。
下腹に触れられた時、彼女はイッてしまった。それとほぼ同時にマッサージ師もイッた。
男は呆然として指が止まる。勇者はその停止をすぐには気付く事が出来ず、乳房を上下させて何度も深い吐息を漏らしていた。

こんな失態は始めてだと。驚きと悔しさで男は止まってしまったが、仕事は最後までやり遂げる。
髪を少し乱しながら笑顔でGを払おうとする女勇者を、マッサージ師は断った。
「あら」
勇者がびっくりしても、いらないと男は首を振る。
「どうして」
「仕事じゃなかった。貰えない」
「どうぞ」と女勇者は言う。そんな彼女に、Gを貰えない理由を男は語る。
「貴方に悪いよ。ここはどうか俺の言う通りに」
彼女は男の言葉を受け入れてGをしまう。
「こんな事言うの変だけど」
と女勇者は恥かしそうな笑顔でこう言った。
「あたしはじっくり見てても良いって言ったのに…娘さんはやっぱり今日お父さんの仕事あんまり見たくなかったのかな」
女勇者バリーのお父さん、オルテガの仕事は凄まじく結局彼女の目の前で死んでしまったりする。バリーは死に行くオルテガさえも見たかったのだろうか。何でも見ようとする彼女は幸せなのだろうか。
ただ勇者のバリーは頭が良く、胆力に優れた女性である事をマッサージ師は感じていた。そんな彼女を(お疲れでしょう)と指で労わった。
401名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/24(水) 14:59:30 ID:vlujAxY4
「今日は…裸の女の客なんて始めて見たから驚いたんだろうが、仕事は面白がってくれてるよ。でもあいつは継いでくれないや」
「女の子はあんまりお父さんの家業継がないよ」
「貴方はどうなんだい」
「ウフ」
「父さんは戦士だろ」
「はい」
「強い?」
「安定はしてないの。日々強くなってく感じ」
402名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/25(木) 12:41:40 ID:S8d9jEzp
「父さんいくつ?」
「52」
「年上…。その年で剣を振るう戦士で居るのはキツイだろう」
「そんな事ないよ。父さんの場合は魔法も使うから余計に戦えるだろうけど」
魔法を使う重戦士なんて居ない筈だ、凄く難しい存在だと、指圧師は本当に驚いている。
「あたしもそうだよ」
あんた達何者なんだと、男は少しゾッとした。女の艶かしい唇が動くのを待った。
「両方使えるのは生まれつきかもね。それで得もあるし損もあるよ。今日始めて会った人の顔や胸に触ってGにしても良い人とそうじゃない人も居ると思う。持って生れたものを上手に活かして…貴方は天職だね」
「貴方もこの職向いてる。俺だって貴方に触られたいと思うよ。実際男も女も貴方に吸い付いてくるだろ?」
「そう見えるの? ありがとう。でもあたし……あたしアリアハンから来たの。父さんが魔王を倒そうとしてるから助けに行こうとしてる」
と鎧姿の勇者は男の前で階段を上がった。彼女が彼の家を出る時はもう夜明けで、太陽を背に逆光の女勇者は男が今まで会った誰よりも強者に見えた。目映い光の中で黒の存在感を放つ女勇者は男に言う。
「でもその事なるべく、ちょっと内緒にして」

沢山の人や客に会って来たけれど。
「貴方みたいな人初めてよ」
「そう? あたしもパフパフ娘と指圧師の親子初めて見た」
そして「パフパフでやってくって考えてるの?」と勇者は娘に尋ねる。
「うぅん」と娘が首を振ると勇者は「ふぅん」と大きな目をパッチリ開いて納得する。
403名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/25(木) 12:42:36 ID:S8d9jEzp
女勇者はパフパフの事を指圧師に教えてもらった。お互いがハァハァ息を乱すベッドの上で。
「だから…おっぱいとおっぱいを…こうして…」
男がそう囁くと、「うそぉ…」と勇者は可愛い声で驚いていた。
「ほんと、ほんと…」
と男は少しうめきながら勇者の腰を押し流す。
「エッチ…」
勇者は半開きの口ではぁはぁ吐息を漏らしながらそう男をなじった。
「俺が考えたんじゃないよ…」
でも貴方は人を癒す技を次々に考え出しそうだと、勇者はワクワクしながら男に言ってくれる。
「…パフパフが人の癒しになると感じてる時点で貴方かなり…」
言われた勇者は恥かしがった。男の前で隠さない乳房がゆっくり揺れる。

朝のアッサラームの中を、滅茶苦茶に凛々しい戦士が歩んで行く。鎧の中身はアリアハンから来た16才の娘である。若い女はハツラツとあの指圧師を思い出していた。
(イイ男だったなぁ)

(くそう、イイ女だったなぁ!)
とマッサージ師は自室の机に突っ伏していた。彼はあの女勇者と“ヤリ”たかったのだろうか。
(いいや。人間としてのエロの高みを体験出来た。俺は幸せな経験した)
と男は緩やかに感動していた。
父が余りに堪えているので「そんなに心残りあるの?」とパフパフ娘は尋ねた。
「あぁ。あの人と一緒に働きたい。この町に戻って来てくれねぇかなぁ」
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/26(金) 12:28:48 ID:C0qhMWjP

鎧の戦士は歩きながら思った(そうだ、きっと兜を着けてるから男と思われるんだ)
女勇者は道端で兜を脱ぐ。精悍な鎧の上に女の顔が乗って、これで男と思われる事はないだろう。その女勇者が(あっ)と気付いた。
兜に大きなひびが。(あらあら)勇者は両手で兜を持って少し途方に暮れながら町の中を歩いた。
(買いかえよう)勇者はきょろきょろ町を見渡した。
屈強な男が営む北の武器屋は夜明けと共に店じまいしている。
その武器屋の西に大きな邸宅があり、更に西へ行くと洗練された武器屋がっあった。
北の武器商人は勇者に気付かず、欠伸をしながら店の扉を閉めている。西の邸宅はまだ皆寝ているのか静かだ。
西の武器屋の小太りな店主はもう起きていて、プックリと出た腹をポツポツと揺らしながら眠そうに武器を磨いていた。
だがこの武器屋も扉を開けそうにない。店が開くのはまだ先なのだろう。
405名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/26(金) 12:29:42 ID:C0qhMWjP
武器も商人も勇者から見ればガラス越しに見えているだけに過ぎない。ショーウィンドウと言う珍しいガラスの設置物である。
勇者はそこに並ぶ鉄の兜をぼんやり眺めてしまう。ガラスに少し写る自分の顔に勇者はちょっと驚く。厚い唇を半開きにした物欲しそうな顔がみっともなくて勇者は自分で少し可笑しくなった。
恥かしくてガラスからパッと顔を反らした勇者に、小さな扉を開けた店主が話し掛ける。
「何かお探しですか。店が開くのは5時間後です」
「兜を下さい。一度寝てからまた来ます」
そう言って去ろうとする勇者に向かい、商人は更に言葉を掛ける。
「Gで買うのですか」
「え?」
「この店で働いた報酬として兜二つと言うのはどうです」
「面白そう。私が働いて良いの?」
勿論です。わぁい。と言う商談が成立し、男女は手を振りながら5時間後を約束して別れた。
406名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/28(日) 01:38:53 ID:71jC87mR
ニャー
407ワック:2005/08/28(日) 01:40:22 ID:jGYGPNdN
408名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/28(日) 05:42:04 ID:9zSkv8Nr

女勇者が宿屋に向かい小走りしている頃、男はゆっくり噴水のある大通りへ進んでいた。
勇者と行き違いに歩んでいるこの男は、長い黒髪の三つ編みを大きな背で踊らせている体の大きな武闘家。
背の高い彼が眩しそうにしていた日はふいに曇った。あれほど光が満ちていた夜明けだが今日と言う日は長じて曇るのだろうか。
「素敵なおじさん」
女が声を掛けるとその三つ編みの男は振り向く。本当に素敵だったので女は驚いて二の句が継げなかった。
顔は決して端正ではない。しかしその顔もセックスアピールがあって性的刺激の強い中年である。
こんなイイ男は余り居ないようで珍しくて、立ち居振る舞いは落ち付いてはんなりとしていて長い手足も厚い唇も厚い胸も印象的、眼差しも惑的な武闘着姿。だがその着衣は少し乱れている。
つまりパフパフ娘は黙り込んだ。さっきの女勇者の次にこれかと言う驚きもある。
武闘家は言葉を失っている娘の様子を珍しがるでもなく、不思議がるでもなく黙っている。
パフパフしましょうと娘が誘うと
「よろしくお願いします」
と男は朝日の中、即金で払い終える。
男と並んで歩いているだけで女は興奮して寒気を覚えた。
(寝てないし、あの勇者にHなところを見せ付けられたし)それもあって娘は頭がボーッとする。男の美声で体が濡らされるような気分がする。体の奥まで濡れるような。
娘は早速自分の部屋へ武闘家を招待した。勿論父の仕事へ回す為。なんだか自分の“客”にしたくないと娘は思ったのだ。
(こんな形じゃなくて、そして私がもっと大人だったらな…)
ごめんねおじさん。と娘は目を閉じて男を抱いた。
女の肩を抱いていた艶かしい色の武闘着、その肩を、二人目の男の太い指が掴む。
武闘家は少し驚き、戦い慣れた彼の踵が触れようとした指圧師の首に向かって振り落とされた。
この町で物欲しそうな顔をしてはいけない。それは売る側、施術者の方にも言える事だった。
武闘家の重い重い体重ごと、マッサージ師の意識は地に落ちて消えた。
409名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/30(火) 11:00:52 ID:T6QNBv6P

昼間の西の商人は
(嫌われそうだから言わない)
そう思って女勇者に自分の今までの商法を隠した。
彼女の方も商人と打ち合せをしながら余計な事は何も聞かない。人間性も落ち付いて静かな人でそこも色っぽいのが彼女である。彼の心を読んでいるようにも見える不思議な女。
410名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/08/30(火) 12:33:01 ID:MWElvY0+

アッサラームの商人は極上の笑顔で武闘家を迎えてくれた。
「やあ。よくおいで下さいました。あなた友達」
その商人の隣にチョコンと女が立っている。
「はぁい。友達」
彼女は武闘家の仲間の女勇者だった。
「何やってんだ」
「鉄兜が欲しくて。働いた報酬で2つ貰う事にした」
この店にいきなり良い女の店員が現れたと言う事で「どら、どんな女じゃ」と覗きに来る客が多く、店はとても繁盛していた。
さらに彼女が居る間、品物は正規の値段となっていたので客の数は異常。
「薄利多売ね」
「この娘が居る間は祭りですよ。全く私首吊る覚悟」
「あなたもちゃんと並んで」
と勇者は笑顔で武闘家に言ったが、
「いや。働かせて貰いたくて…」
と武闘家は自分の大きな背中から、女性を一人覗かせた。
「貴方は…夜の」
と商人が驚く横で武闘家は言う。
「この娘の親父と俺とで事故があって」
「どうしたの」
と勇者は驚いている。
「蹴っちゃった」
全治云々。「何やってんの」勇者は驚き続ける。
「この娘を雇って欲しい」
「宜しいでしょう。貴方も働くならね」
と商人は武闘家に言う。
「俺?」
「さぁさぁ。忙しいのだからこちらへ」
この商人は元々アッサラームから出てしまうつもりで居た。可愛い女の子を雇って在庫処分の祭りである。女勇者と出会えた商人の喜びは大きい。運の良さそうな武闘家と美しいパフパフ娘も得て更に完売の兆しが見える。
それに…この女勇者とパフパフ娘と武闘家男……この三人と“やれたら”なぁ…なんて商人は思っていた。
4人一辺とは行かなくとも、誰か一人とでも官能的な関係になりたいと商人は思ったのだ。
商人がアッサラームを出て新しく目指す町はバハラタ。彼は黒胡椒に目を付けている。あれは大きな商売になると。
411名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/01(木) 17:05:12 ID:2/K0kckj

「いらっしゃいませ」
聞いたならいらっしゃるしかない武闘家の美声。身のこなしも声も端正で官能的、客は女も男も彼に誘われている。
パフパフ娘は印象的で美しい商売をする。
商売をしながら女勇者と男武闘家は密やかに語らう。
「お前への報酬はあの商人が処分したい在庫じゃないか。都合良く利用されてるんだぞ」
武闘家は勇者に明るく笑いながら言う。「あら、大変だ」と勇者も楽しそうに言う。
アッサラームは自分なりに遊んでこそ物の種だと、勇者も武闘家もわかっているのだ。
騙されてもぼったくられても平和な心。その平和を二人で確認し合って楽しく笑う。
「いらっしゃいませ」
客の影を感じて男女は共に言う。楽しそうな勇者と武闘家は声も笑顔も最高である。
女勇者と武闘家の仲間である戦士は…客としてこの店に入り圧倒されていた。
「イシスへはいつ」
いつ出発するんだと、男戦士は武闘家に問う。
あの砂漠を越えるのか! と店内は客と店員入り乱れて少し盛り上った。
「お客さん、話は店が終わってから」
武闘家は既にしゃんとした店員である。「店が終わるのはいつなんだ」と戦士が問うと「もうすぐだ」と武闘家は言う。
「完売するまで」
その武闘家の美声と頼もしさに店長の商人はゾクゾクして震えた。
412名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/04(日) 05:53:12 ID:0v3c6mt5

商人の在庫は夜を待たずに売り切れ。
「ばんざい」
と商人は勇者と喜び合い、手を振り合って別れた。結局彼女には官能的な事を何も告げられずに終わる。(返す返すも残念だ)
「楽しかったよ」
笑顔と凄い美声でそう言ってくれる武闘家に、報酬の見躱(かわ)しの服を渡す自分の手が緊張で震えているんじゃないかと商人は恐怖した。
「貴方からは学べる」
女性客に対する武闘家の仕事振り…あぁ男の色仕掛けとはあんなものかと商人は開眼する。
「私はバハラタに行こうと思っています。又貴方に会いたいものです」
「あぁ、俺はバハラタに妻子と家があるんだよ。元々の出身はダーマだけど」
「では、また会えますね。あなたダーマの男らしいと思っていたのです。黒髪がセクシーですよ」
会えたら会おうと武闘家に言われ商人は喜びを隠し切れないまま、うっかり武闘家を帰してしまった。
パフパフ娘にも報酬を渡し、商人は言う。
「私のアッサラームでの商売はこれで終わりです。もうこの店では働けないけれど貴方は技術よりも物を売る方が性に合いそうですね」
「そう、どうも。店長はこれからどこへ行くの」
「バハラタ。なんだかピンと来て。貴方は何か感じないですか」
「行ってみたい。でも今すぐには…お父さん意識取り戻したばかりだし」
「上手くないですね。でも家族は大事ですからね」
「さようなら」と商人は店の中へ帰って行った。最後の整理でもするのだろう。
413名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 11:28:44 ID:s8R4W68h

商売がしたいなら北の武器屋が良いんじゃないか。世界標準の仕事が出来るだろう。
勇者と共に歩んでいたが今は西の武器屋近くに残っている武闘家、一人立っていたパフパフ娘に話し掛けた。
「貴方色々心配してくれるね…貴方が教えてくれた父さんへの処置だって…教会で聞いてみたら完璧だって」
「目の前で倒れたらね」
「先に私達が騙したわ」
「俺が何かするのもこれが最後だよ」
そう言って全てを終わらせようとしている武闘家を呼びとめて、娘は囁いた。
「ごめんなさいね」
父を蹴り倒した男と…女は何をするのだろう。いや、父を助けてくれた男と思って…女は男に抱かれて………
いる途中で、いやこれからと言う時に男女は商人に見付かった。
(屋外で大胆な)と思う商人の前、彼は絶妙な暗さの路地裏でパフパフ娘と仲良くしていた。
武闘家は商人男を認めると、微かに恥を乗せた笑顔を見せる。
(人の気も知らないで。知ってるくせに)商人は声も動きも全て止めて黙っている。
武闘家は、何か商人の具合が悪いんだと思い「どうした?」と暗がりから聞く。
パフパフ娘も武闘家に潤まされたその目で商人を見る。娘も武闘家もおかしな店長を心配した。
駆け出す商人を武闘家も娘も咄嗟に追う。
娘は諦めたが武闘家は彼を追った。今まで女の前にいて…それで乱した服のまま武闘家は商人を追い掛ける。店長は妙な病気かと。
414名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 11:30:11 ID:s8R4W68h
「おい」
武闘家は商人の肩を掴む。自らの顔を上げるのを拒むが、武闘家にその涙を悟られた小太りの店長は今来た道を駆け戻って行った。
「ちょっと」
一人残った武闘家に話し掛ける女がある。
銀髪を清潔に、短く切った黒い肌。ギョロッとした鋭い目と厚い唇。
「あんな太った女が良いの」
(女と思われた。その方が良いか)
男と関係があると誤解されるのは面倒だと武闘家は思った。自分の夫が男色に関わるなんて良いものではあるまい。
女性と居たらしい夫に対し妻は怒っている。武闘家は取り立ててあの商人(大した事はなさそうだったので)にも妻にも用事はない。昨夜はこの女の所へ泊まって喧嘩した。今夜も泊まったが喧嘩はしなかった。

走る店長はパフパフ娘と鉢合わせとなった。
「店長具合悪いの?」
それはメダパニのような混乱…疲れから来る一種のヒステリーなのか(恐いなぁ)と思いながら
パフパフ娘は商人に話し掛けた。
「いいや」
首を振る店長の涙の跡までは解らなかったものの、今の彼の態度や顔をつぶさに見て娘はやがて悟る。店長はあの現場を見て…武闘家男に感動したのじゃないか。
確かに色気はあの人(武闘家)の方があるけど。
(私は何なのさ)
この場のばつの悪さから来る勢いで、この娘と店長がさっきの路地裏の続きをしても良さそうだが彼はそうしない。あの武闘家の女には手を出さない。
415名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/06(火) 11:32:15 ID:s8R4W68h
女勇者に何も出来なかった、しなかったのも、武闘家と働く彼女を見たからだ。あの女勇者、武闘家の女だろうと。
商人はおしとやかに家に帰る。
残されたパフパフ娘はアホらしいと思っているのか居ないのか。
(帰ろ)
彼女もこの場を去った。


“まさかお前が盗賊とは思わなかった”
だから別れる。それにお前は結婚当初の約束も守らないし。と武闘家は昔妻に言ってある。この二人離縁していたのである。
「盗賊じゃないってば」
416名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 01:29:15 ID:RM6sYixp
武闘家は彼女の親も見て彼女と結婚した。しかし彼女の両親も盗賊だったのだ。
「盗賊じゃない!」
「ピラミッドは、イシスの陵廟は、行ったんじゃないのか親子三人で」
「…それは……あなたはあれだね、黄金の爪どころか武器事体に興味ないよね」
「要らないね。大体その爪は埋葬品だろ、死人から盗むわけだ。死んでたって人間だよ」
「…ピラミッドに興味はあった。でも墓荒らしなんてしてない。私達が手に取るものは人が所有していた物じゃないんだ」
この女の言葉は信じられるし、信じてやりたいけれど…数年前会った時に彼女は盗賊団の中に居た。
「ごめんよ、ごめんよ。あれは違うんだってば」
女盗賊(人の物は盗らずの盗賊)は夫に甘えて来ているように見える。
「別れる」とこの男に言われた時は「あー、別れてやるとも!」と勢い良く言ったが本当はその瞬間から(しまった!)と彼女は後悔していた。
(あんたと情が切れたら生きていけない)
こんな事を口に出すのは何だか腹立たしいので言わないけれど、彼女の本音である。
「見て」
と彼女は自分の手にはめている武器を武闘家の前に出す。
「これのもっと強力なのはランシールにあるんだって。あなたの持つ武器はこれになるよ。
あなた物が介入すると良くないから体一つで戦うでしょ。声も良いしね(自分の体から出た強みと言う事で)
鉄の爪とさえ相性良くなかったでしょ、これなら戦う形が素手と変わらない」
この小ささが渋い武器は彼に良く似合っている。ランシールで言うパワーナックル。
417名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 01:32:26 ID:RM6sYixp
「これ私の武器でもある。あたしはね、隼の剣も使える。この剣ランシールで修行すれば武闘家にも使えるけど裏の技だよね。
あたしこの剣で堂々と神の竜とだって戦える。武闘家にあるものは持ってるんだ」
この女はまた生意気を言った。夫が武闘家である事が昔から気に入らないらしい。自分と同じくらい旅に役立つ能力を付ければ良いのにと夫に思っていた。あなたなら出来るのにと。
「私達、連発出来る会心の一撃はないけど」
武闘家は(お)と思った。この女ちょっと可愛くなっている。
復縁したいとか貴方の旅に着いて行きたいとかは意地を張って言わないけれど、彼が武闘家である事にケチを付ける気が無くっているし、彼が旅立つ事も良いらしいのだ。
(寂しいけどね)
寂しいなと、彼の顔を見るたび思う。この人笑わなくなった。
そう思った先に、男は女に向かってニコッと笑った。この女がここまで歩み寄ってくれているなら彼も一歩近付いてくれたのだろう。
(あっ、どうしたのあなた)
そうだった、この人こんな母性本能をくすぐる笑顔だった。だけど低い笑い声はメチャクチャ格好良くて倒錯的。
(やだよう。また変な気持ちになるじゃないか)
アッサラームで会ってから毎日毎日営んでいるこの夫婦。昨夜は喧嘩と喧嘩の間に抱擁があった。
今日はゆったりと甘く、二人仲良くお互いの(雄雌の体の)思いを叶える。
418名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 01:37:19 ID:J1PjotE1

「どこに行くの?」
ベッドとシーツの間から、黒い上半身だけを月明かりにさらしている女は男に聞いた。
「散歩」
「連れて行ってよ」
「すぐに戻る」
女は、男の背と空を見上げながら雨が降りそうだなと思った。

散歩しながら武闘家は思った。
(あいつを置いて、行きたくも無いイシスに向かうのは嫌だな)
黄金の爪の噂を聞くのが辛い(彼とこの爪の間には何か因縁があるらしい)、イシスの女王に捕まるのも嫌(以前囚われて大変な事に発展したので)。
つまり彼に取ってはイシスは再訪の地である。
419名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/09(金) 01:41:35 ID:J1PjotE1
彼女は窓からヒョイと首を出して、彼が早く帰って来ないか夜の町を見て待っていた。
その町を世界屈指の良い男が歩いて行く。
「カンダタ!」
女は慌てて若い盗賊の名を呼んだ。
「あ! どうも、お久しぶりです。あれから引っ越ししなかったの」
「ちょっとあんたっ、あんたの父(てて)! 今アッサラームに居るんだ! 盗賊だってバレたらあんた殺されるよ」
「え………会いたいな…」
「あんたよくそんなクソ度胸で盗賊やってるよ! もっと臆病になりな!」
逃げろ、死んでも知らないからなと、女は警告してくれる。
「アッサラームだって広いぞ。そんな調子良く会わねぇよ」
カンダタはそう言って走って行った。
走るカンダタに溶け込まれ、着き従う三つの影も見える。
カンダタが子分達と見ているのは北西の大邸宅。黒装束の男4人が庭まで侵入し不法に芝生を犯す。
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/10(土) 11:57:30 ID:i9S+viJp
「なんだぁ、盗むのかいボス?」子分のAはカンダタに問う。Bは「盗みじゃないんだな」と言う。「変な事考えないでよ親方」とC。
「学者の主人と遊んで来るよ」
黒胡椒の商売が当たるか否か、学者からも聞き出すカンダタのクオリティ。
彼はバハラタ出身。土地柄からダーマ男の血が強く混ざり、くせの無い髪が黒く、肌は乾いた砂漠の色。髪も装束も黒い男は白い壁に飛び付き音も無く屋根へ駆け上った。

散歩中の体の大きな武闘家は北西の邸宅を振り返った。
住宅の中にモンスターの気配を感じて北を見詰めるが、その視界が不意に潤んだ。
雨は夜になってから降り出したらしい。

カンダタは不法侵入中、雨で滑る屋根に足を取られて高い邸宅から落下した。
本当は雷が恐くて(キャー)と思ったり、モンスターの気配が体中を駆け上ってびっくりした事なども重なり身を持ち崩したのだ。
あーと落ちる彼の腕を掴み、屋根の上へ引き上げようとする逞しい腕。カンダタはその長くしっかりとした腕、自分を救出する全てに戦慄した。
助けてくれている武闘家はその眼差しでこの美男の端正さを褒めてくれる。
(抱いてくれ、あんたが嫌なら俺があんたを抱く)
そう思うカンダタは色っぽいおじさんにしみじみし、武闘家はすげぇ良い男だなとカンダタに感心した。二人で相手の男振りにびっくりしている。
「どこかで会った事があるか?」
武闘家は彼をシャンパーニの塔で会った盗賊だと思い出せずにいる。(いけず)とカンダタ。
「うぅん、はじめまして(嘘である)。助けてくれてありがとう。貴方はなんでここに」
「モンスターの気配がしたから来たんだが、話しに聞くとここの主人が飼ってるらしいな」
「本当に飼ってるのかな。ヤバイ感じだ。俺はここの主人に用があったんだけど」
「屋根に居ないで普通に尋ねたら良いだろ。俺は落ちそうな影を見たから咄嗟に上ったけど」
「鍵がかかってるんだよ。扉に魔法も掛かってる。何か変だと思って、本当にヤバかったら主人を助けてやろうかと」
421名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/10(土) 11:59:10 ID:i9S+viJp
武闘家は魔法の鍵には俄然興味を示した。魔法の鍵はイシスの持ち物ではないと以前女王から聞いてもいた事だし。盗掘云々とはレベルの違う神からの授かり物。
(お前が言っていたのはこれだな)
武闘家は妻を思い出して胸を鳴らした。
彼には沢山妻が居るが、彼と一緒に旅が出来そうな妻はアッサラームの彼女だけだろう。
他の妻への気遣いで、一人の妻に対し飛び抜けた特別扱いしないと言うのがこの武闘家と妻達の間にある約束。
だがこの約束の中から例外を、彼の方から彼女に与えようとしている。
(ピラミッドにお前を連れて行く)
15年も連れ添って居るが、契りの年数が長い妻達の中で子供が出来ないのは彼女だけだった。友達のような恋人のような彼女に例外を。

バハラタに行きたいと言うアッサラームの商人も魔法の鍵がなければどうにもならない。
勇者一行に商人も加わり、一時期4人パーティーとなってイシスを目指した。
「ほら、あそこがすごろく場だ。財産擦るなよ」
と武闘家に送られる商人はアッサラーム南のすごろく場で時間稼ぎである。難関の砂漠へは勇者達三人で向かった。

アッサラームの劇団の座長は、操縦の仕方もわからないながら何と無く砂漠の船を持って居た。
座長は好奇心旺盛で、趣味の良い所もあるけれど意味不明な物も良く持って居る。
武闘家は一度イシスに行った事があるのでキメラの翼を使えばある程度近付けそうだが、あの武器屋の客の盛り上りを裏切れないのでこの船で渡る事にした。
そして地獄のはさみのしぶとさも仲間達に経験させようと武闘家は思ったし、訪れたのはもう古い記憶なので頼りない。この高速の船で行こう。
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/10(土) 12:01:04 ID:i9S+viJp
「見様見真似だけど俺がなんとか」
「先生凄いんだな」
と戦士が武闘家を褒める。
勝手知ったるように猛然と武闘家は船を飛ばす。
「この船一つだけ解らない事がある」
一つだけかぁ。と若い二人は憧れの眼差しで武闘家を見ていた。
「ブレーキだ」
もの凄い勢いで船は砂の上を吹き飛んで行く。オアシスが見えた時戦士が言った。
「止まりたい、止まりたいって!」
勇者はこの事態に一番能動的。船の裏に回ったりして止まる方法を静かに探している。

案外無事に到着してしまうのが三人の地力である。
武闘家は新しいイシスを記憶するとすぐにもアッサラームへ帰って妻を呼び、イシスのオアシスへ彼女と入る。入国はしないで仲間二人を待っていた。
「お前を俺の何だと紹介しようか」
「友達で良いんじゃない? あたし好きだよこの言葉。アッサラームに長く居過ぎたかな」
「仲間の男戦士の方はお前と俺の関係知ってる筈だ。この前道で会っただろ白くてデカイの」
「夫婦とは言ってないでしょ? 良いじゃない」
「あと女戦士の方、あいつも盗賊みたいのが好きじゃなくてね。お前の力見せてやれよ」
「あんたにもね」
武闘家と女は視線を合わせた。
「あんたにも私の力を見せてやる」
鋭い視線を交し合って、15年来の夫婦とは思えない迫力である。
二人の間にライバル同士の熱く冷列な空気が流れる。女勇者と戦士の影が見えた時、その強い空気は鳴りを潜めた。

睨み合いながら激しく抱き合う男女である。アッサラームに居る時と変わらず好きな男に毎日抱かれている女は何とも言えない絶妙な顔付きになっており、
「言って置きたい事があるんだけど」
と、戦士と女勇者を呼び出してそう言った。
423名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/12(月) 12:30:57 ID:nAsgsn5V
あの人は超専門の武闘家と言う訳じゃない。呪文だってどうにか使える筈なんだ。体が思い出せないだけ。昔は勇者と呼ばれる程の…でも色々あって今はああして武闘着を着ています。
人の為、世界の為に本気で戦える人なのでどうかよろしく。嘗めたら私があんた達を倒すので。
と最後を結ぶ。
こんな恋心と尊敬を、勇者も戦士も初めて眼前で見て聞いた気がした。
あぁあの人の事、私なりに伝えられかな…と彼女はハラハラして来た。
彼をわかってあげたい。でも全部は勿論わかれない。15年は短い。
そうか専門家じゃなかった…と女勇者は思う。勇者でありつつ生粋の格闘家の雰囲気も持つ(勝ち取る)のは並大抵ではない。(騙されちゃったな)と女勇者は彼を思って照れた。
「嘗めるとは」
女盗賊の言葉に戦士男が鋭く斬り込んだ。
「この女勇者を第一の勇者と見る事は、あの先生に取ってはいけない事か」
戦士の嗄れ声に女は「いや」と言う。「それはそれで良い。そんなあんたをあの人は認めてるんだろう。あんたの目が未熟かどうかは私じゃなく、これからの世界が教えてくれる。
だたの武闘家としては見ないで欲しいと言う事さ。私が倒すとかそれ以前にあの人侮ったらあんた達が損するよ。友達だろうから余程の事がない限りあんた達を殺しはしないだろうけど」
彼はダーマ神殿の側で育った。人が変わる瞬間を何度も感じて来た男である。
「こんな事言うのなんだけど、凄い男さ。凄い事してくれるよ」
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/14(水) 04:52:23 ID:xKSciOmp
喋りながら女は物静かな勇者を感じていた。見た目は女だが逞しい男にしか感じられない時もある。
彼女は夫の仲間、一人ずつとも話をした。
女勇者の場合
自分より色っぽい唇、自分より低い声。彼女が自分より良い女かどうかは
「私女だけど…あんた見た時ドキッとしたよ」
「エヘヘ…」
言われた勇者は嬉しそうに笑った。恐れ入りますと言う風で邪気が無い。
「あたしも貴方を見た時に」
そんな事を言う勇者の瞳に、彼女はまたギクリとする。“町を歩けば突き刺さってくる男の眼差し”と同じ様な鋭さと性の喜びを女勇者の視線は持って居た。
女の自尊心を強く刺激してくれる男の目。この女もなぜかあの喜びを与えてくれる。
男の目で女性を見る事が出来る女である。
(面白い奴だな…)
良い女。だけどあの人に似てる。どこがと問われると「どことなく」だが
(やっぱりあの人勇者だわ)
と夫を思う。そして女勇者にこう言った。
「あの人もあんたを良い女と思ってる筈よ」
(凄い事言うな)と女勇者はこの人妻に緊張する。
「でもあの人自分に似たもの好きじゃないから」
言われた女勇者は元気の無い顔を見せた。盗賊は勇者に対し(沈んじゃって、素敵な顔)と思いながら、自分は“どうだ顔”をする。
「まぁ、私とあの人も似てると言えば似てるけどね」

戦士の場合
「男同士喧嘩しちゃ駄目だ。絶対駄目になるあんた達」「はい」
返事をしながら戦士は煙草を吸う。
「煙草嫌がるでしょ」と言われ「そう」と戦士は頷く。
戦士は以前武闘家に「体を使って本気で戦って行きたいなら煙草はやめなさい」と言われた事がある。
他人の嗜好をとやかく言う男じゃないが、友達なら。
武闘家の戦友は咄嗟に「はい」と言ってしまう。
「そりゃ、好きな女が俺の子を妊娠したとか起こればやめるよ」
そう返事をしながら戦士は何と無く涙が出そうになった。あのありがたさは一体何だったのだろうとたまに思う。本当に勇者なのかも知れない。
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/17(土) 01:30:51 ID:/tR9zPzv

勇者の仲間二人は良い男過ぎる。こう言う男二人組みは余り見ない。その内一人は自分の夫なので「変な気持ちだけど」と断わりつつ女盗賊はこう言った。
「こんな男二人と三人で旅して照れない?」
てれるとは、やっぱり言葉選びの妙な人だと勇者は思った。そして(可愛い)と。

「変な事を言う奴だな」
俺は武闘家だよ。勇者と呼ばれていた時期が異常だったんだ。と彼は妻に言った。
「それに勇者だ武闘家だとか、この旅で拘る必要もない。大体俺の事はどうでも良いよ」
「迷惑だったの。あなたの事を思って私言ったのに。そりゃごめんなさいね。あんたはどう言う事がどうでも良くないと思ってるのさ」
「お前と行くピラミッドは楽しみだ。よろしく」
そう言うと彼は大きな手を彼女に差し出した。彼女はその手をきゅっと握って小さく振りながら
「どう言う意味があるのその言葉」
男に問う。男は妻にこう答えた。
「お前の事が好きなんだよ」
彼にこんな事を言われたのはこれで二度目。前に言われたのはずっと昔だった。
「駄目だよ、すぐにもピラミッドに行くんだから」
「え?」駄目とは何の事なのか男は考え、色っぽい声で「あーぁ」と気付く。
(あぁ、また私は余計な事を)
そう後悔する彼女の乳房は小振り。だが足は肉感的な魅力で、太股のしっとりした瑞々しさと曲線は彼に愛された。
彼がその両太股に分け入る事は今夜も簡単である。
しかし二人は少し離れた所で仰臥した。武闘家が盗賊に低い声で言う。自分の事を思って(夫を勇者と信じ)行動した彼女を迷惑と言わず「お世話になってます」と。
自分の行動に対して彼はしつこいようにも、すっきりと優しいようにも感じられて、女は閉口した。
「だから好き勝手してごめんって言ってるじゃないか」
不機嫌そうに言う女は彼に謝っているらしい。
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/19(月) 12:17:54 ID:sW1CNbEu

「グリグリ」
勇者は女盗賊に対してそんな言葉を発した。
「その名前で呼ばないでよ」
本名で呼ばれるのを嫌がる盗賊だが、武闘家が勇者の背後で朝食を食べながら(食べ歩き)親から貰った名前なんだから大事にしなさいと口をもごもごさせながらでかい体で言う。
私に何か用かと盗賊は勇者に問う。
「一緒にお風呂に入ろう」
「なにっバリーこのやろー!」
盗賊は(くらえ)と言う事でレミーラを使って女勇者をキラキラ輝かせた。
勇者は困っている。盗賊の鍵やら沢山持っている彼女はギラギラで、恥かしいわ眩しいわ。
結局二人は一緒に入ってしまう。(デカイ胸自慢しようってのか)と不機嫌ながら盗賊は、夫が大事にしている女勇者を見る為に同行した。
勇者は別に深い意味も無く盗賊を誘ったが、自分には無い彼女の魅力を見たかったのかも知れない。彼女の持つ圧倒的な魅力を。

四人パーティーで向かうピラミッド。
女勇者は砂漠を飛び地獄のハサミを倒す。彼女が勝利する度、喋る度、笑う度に、男二人の背中が華やいでいるのを女盗賊は見た。
427名前が無い@ただの各無しのようだ:2005/09/19(月) 12:19:53 ID:sv/dfLwu
改行をもうちょっとしっかり汁。
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/21(水) 03:11:12 ID:5YlQJLOu
失礼しました。ありがとうございます
429名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 05:30:42 ID:R0Tjsubj
脳内キャストはバリーが中島美嘉でカンダタが室伏だな
FFの天野が中島と室伏を描いたらこうなるんじゃないか的なイメージで
とにかく応援してるんで続けてくださいね〜
430KINO ◆v3KINOoNOY :2005/09/22(木) 09:23:18 ID:uZTdV5V4
そろそろスレ移動ですか?
個人的にものすごい応援してます(*゚▽゚)
431名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/22(木) 19:33:48 ID:g41SOegc
私的にはバリーはt.A.T.uの黒い方なイメージがある。
432名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 04:00:38 ID:fAlEOlex
>29,31
カンダタ室伏、バリーが中島美嘉とかt.A.T.uとか意外です。面白かった。ありがとうございます。
ローレシア王子は見た目ピアノマン。FC公式イラスト金髪碧眼だと思うので。

>30 どうもありがとう。では次スレも考えてみます。
433名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 04:06:37 ID:fELVng4i
倒したと言っても地獄のハサミは気絶しているだけ。目を覚ますと砂を力無く蹴って逃げて行く。
女勇者のバリーは10才の頃からアリアハンで働いていたので自らの財産がある。モンスターを売ってGに変える必要は無かった。
地獄のハサミが砂漠に残して行った上腕のハサミの跡。それは勇者の仲間の胸より小さかった。
でっかい、でっかいと女勇者が二人の胸を言う。
言われた男二人はへにゃへにゃ。楽しいやら恥かしいやら。
「バリーはあんた達のアイドルなの?」
女盗賊の言葉が掛かる。バリーがアイドルとはまんざらでもない…と言う風の男達。戦士などはコクッと頷く。そして男達は恐る恐る明言する。
「アイドル」
「うーん…アイドル」
「バーカ」
盗賊は吐き捨てると男二人に背を向けた。
(私もバリーに「あなたの○○○○○でっかい」とか言われたら興奮するけどさ)
そう思うと彼女は本当に変な気持ちになって来た。

ピラミッドにまた一歩近付いた時盗賊女は砂の上に座り込む。
あの人が、あの人がと、砂も空も自分に話し掛けているように彼女には感じられた。
あの人が
(取られちゃう)
取られてしまうよあの人を、と。
あの人を持って、待って、何年も寂しい思いを。その重く寂しい思いさえあの女勇者の前では屈してしまうのか。待っても彼が戻らない日が来そうだ。
(他に女が居ても、私のところにちゃんと来てくれた)
他の女の存在が嫌だと思って過ごして来た15年はなんだったのか。たった一人の女の為に。
バリーを嫌いになるのも憎むのも嫌だし。
「どうした」
見たらギョッとする男である。透けるような白い肌の大男。顔貌の一つ一つはとても端正で繊細。だが全体像となると何か物足りない面差しである。
女勇者に取って抱かれたい率100%はあの武闘家だけだか、この戦士が眼鏡を掛ければその数値に近い。眼鏡の欲しい顔である。眼鏡マッチョこそが彼である。
434名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 04:09:42 ID:fELVng4i
「あの人バリーを女と思ってない。一番煩い私に紹介したんだし。大体妹じゃないか」
どこから妹と言う発想が出たのか。(そう言えば似てると言ってたっけ)と戦士は思う。
「でも女は女だ。俺だってバリーの兄貴だとしてもあのおっさん先生邪魔くさいよ」
盗賊は、この戦士何か妙だと思った。戦士の顔はあのお馴染みの武闘家の顔と同じくらいの高さから女を見ている。
「私はあの人の女だ。そんなに安くないんだよ」
盗賊は啖呵を切るが、この戦士の腕力で襲われたら絶対やられてしまう。実際戦士の方も彼女の小さい胸や色っぽい足に興味が無いわけではない。
「何もしないよ。あのおっさんにビビッてるわけじゃねぇ。俺は今一人の女の事しか考えてない。俺がそうしたくてしてるんだ」
「あんた二十歳でしょう。その、我慢してるわけじゃないの?」
「これは我慢じゃない」
凛々しい青年を前にして女は「バリー…」と溜め息を付く。
「死んでくれないかなぁ…」
戦士は盗賊の言葉に爆笑した。彼女の悪意よりも可笑しさをより多く受け入れて大きな声で笑った。
「バリーが死んだら俺は真っ先にあんたに手ぇ出すよ。あのおっさんといつか本気で喧嘩したいとも思うしな」
「バカだ。アハハ」
この男女には何か仲の良い、喜劇的な相性の良さがあった。
俺も女からこんな愛され方を得られる男かな、そうありたいもんだけどなと戦士は思った。
435名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/09/23(金) 04:15:49 ID:EnGVOgBy
436名前が無い@ただの名無しのようだ
後に“ここアレフガルドに貴方の血を残しなさい”と言われるバリー。彼女はこれから始まる強大な世界と長い歴史の母である。
“この女は俺の子を丈夫に元気に産んでくれそうだ”と思うから男達は彼女に近付いているのかも知れない。男本人にも解らないながら強い本能で彼女に魅了されていると。
女勇者のバリーはふぅと溜め息を付いた。
母親になれば、自分が女である事や夫が男である事を忘れる瞬間が今よりは増えるだろう。それは女親として当たり前の事だ。
女勇者ロトは、あの武闘家に永遠に女として愛される運命の女盗賊を思っていた。子の産めない女の魅力を思っていた。

因縁のピラミッド。未踏の武闘家が想像していたよりずっと大きく威厳に満ちていた。美声の彼は(おぉ)と圧倒される。