先輩、、、ごっつぁんです。
>>697の続きからです。
題名決まってないので、
>>689さん決めちゃってください!
「ゆ、勇者さま・・・!」
ミーシャが震えた声でテンを呼んだ。
「ん?」
テンとソラは足を止め、声のする方を振り向く。
「誰?・・・ソラの知ってる人?」
テンがミーシャを指さし、ソラに問いかける。
「う、ううん。知らない人だけど・・・テンの事は・・・知ってる子みたい・・・ね。」
ソラは首を横に振り表情を曇らせてそう答えた。
トトトトトッ
「はぁはぁはぁ!」
突然、駆け出すミーシャ。
「お、おいミーシャ・・・!」
「だ、だめですよ!グランバニア城内に入るにはきちんと手続きをしないと!」
アムールとライオウは頭から大きな汗をかいて止めようとする。
タッタッタッ
階段を駆け足で上るミーシャ。
長いスカートを両手でたくし上げ、一目散に目指すはテンの胸の中・・・?かと思った次の瞬間、
ズベッ!ビターン!!
「!!!!!」
勢いあまって転んでしまったミーシャ。
「キ、キミ!だ、大丈夫?」
テンが急ぎ足で駆け寄り、うつぶせに倒れたミーシャを抱き起こす。
「へ、平気だ。オ、オラ身体はがんじょうだから・・・!」
鼻を両手で抑えて返事をするミーシャ。二人の元にアムールとライオウ、もちろんソラも駆け寄ってくる。
「こ、こら!ミーシャ!」
「し、失礼しましたテン王子、ソラ王女。」
アムールがテンからミーシャを受け取り、ライオウはテンとソラに深々と頭を下げる。
「ううん、気にしないで!・・・それより、この子は?アムール達の友達なの?」
「いえ、友達ではないんですが・・・。さあ、ミーシャもお二人に無礼をわびなさい。」
ライオウが立ち上がったミーシャにそう言うと、ミーシャはショボーンとした顔でテンとソラに頭を下げる。
「あ、あの・・・オラすっかり舞い上がっちまったみたいで・・・すまなかっただ。」
「い、いいのよ。えっと・・・ミーシャさんでしたっけ?グランバニアには観光か何かでいらしたのですか?」
ソラがにっこりとミーシャにハンカチを差し出し声をかける。
そして、ミーシャの出す答えにこの後、グランバニア全体を巻き込む大惨事になることは、
この時まだ誰も思いもしなかったのである・・・。
「いえ、観光じゃねえんだ。オラ、勇者さまの所さ嫁ぎに来ただ!小せえ頃約束したんだ!」
「ええ?」
「なっ!!」
「・・・・。」
ミーシャの一言に、そこに居た多くの住民達や兵士、もちろんソラも一斉にテンに視線が集まる。
「・・・え?ボク・・・と?」
「はい!」
テンがそう言うと、ミーシャはニッコリと笑顔で短くそう答えた。
─────ギュィッ!
「○×△□×○!!!」
突然、テンは飛び上がり横に立つソラを見つめるが、ソラはツーンと横を向いている。
「あ、あのさぁ・・・。ぼ、ボクだって何のことかわかんないんだからそんな怒らなくてもさぁ・・・。」
小声でソラに耳打ちをするテン。
「あら?なんのことかしら?」
ソラはテンの言葉をスルリと流し、ポンッと手を叩いて話し始める。
「いけない、わたしサンチョの所に行かなくっちゃ!えっと、テン、彼女のことヨロシクネ?
それから、アムールとライオウは彼女の荷物をお城の客室に運んであげて下さい。」
「え、あ・・・はぁ。」
「御意。」
「ちょ、ソラ・・・!」
テンが自分のお尻をさすりながらソラを呼び止めるも、ソラはスタスタと小走りであっという間にテン達の視界から消えてしまう。
今日はこの辺りでつづく
729 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/16 18:08:14 ID:BYV9JRCb
嫉妬するソラ、ぼけるテンGoo。
フローラがどの様な対応を取るか楽しみでつ。
ミーシャの喋りが萌えないのはあくまで王子×王女だからミーシャとくっ付くのを
防止するためなのだろうか
731 :
689:05/01/17 13:21:43 ID:v/8aC1lp
GJです。波乱の展開を迎えそうですね。
さて、題名を決めさせていただけるということで考えてみました。
「リフレイン〜約束〜」なんてどうでしょうか。
あ、気に入らなかったら変えて下さい
732 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/17 23:18:44 ID:v7z6b8zL
サブタイトルは今後の内容を見てからリクエストさせて頂きまつ。
ちと気が早いが次スレのタイトル案を考えてみた。
ふたりの物語〜DQ5の王子と王女SSスレ7〜
ふたりは仲良し
ふたりは兄妹
天空のふたり
ふたりのお惚気
最後のやつに一票
ふたりのものがたりに一票
736 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/18 01:40:12 ID:0j1hjdkR
最初のに一票
737 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/18 08:37:53 ID:itkm5GL3
ふたなりの物語に一票
>>733 やはりふたりの物語かな、オーソドックスでいい
保管庫の更新乙です。
次スレはもう少しあとでも平気かな?
740 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/19 23:40:27 ID:z20OBxnK
737>いつか来るとは思っていたが、やっぱり来たよ。
ふたりはプリキュアのように言われるのがデフォか>ふ○○り
742 :
杉山青貴&OMEGA TRIBE:05/01/20 02:58:13 ID:vBsrTyuC
となるとテーマソングはやっぱ コ レ !
「ふたりの夏物語〜NEVER ENDING SUMMER」
ondorya〜君に囁く〜♪
743 :
647:05/01/21 03:52:10 ID:cqeVEbIo
大変遅レスですが
>>656 >ぉっです。
どもです。
>>657 あまりテンには喋らせたくなかったのですよ。ソラの手握ったりソラの前に出たり、行動のみでなんかできないかなと。
描写不足でした。精進します。
>>658 頑張る子供、っていいですよね。
>>712 『If…』ですね。はじめて読んだDQ5SSがこれで、いつか同じシチュで書いてみたいと思ってたんですが……。
いざ書いてみたらただの劣化コピーにしかなってないですね。読み返してみて鬱でした。精進します。
744 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/21 23:28:36 ID:igNrt2ER
hosyu!!!
*お帰りなさい*(
>>203リメイクver)
ザッザッザッ・・・・・・。
男は深い森の中を歩いていた。目指しているはグランバニアという名の城。
枯葉を踏みしめる音が妙に心地よく聞こえるのは男の気のせいだろうか。
・・・・・・ザッザッ、ザッ。
その男―この体つきはまるで女のようだが―はふと歩みを止めた。
そこはほんのすこしだけ、他のところよりもひらけた場所だった。
(テン、ソラ、サンチョ。そしてドリス――皆は元気だろうか。)
突然、ぼんやりと考えていた男の胸に激痛が走った。
右手で胸を押さえた。が、痛みは和らがない。どうしようもなく、地面に倒れこんだ。
だんだんと酷くなってきている。そう、あの時よりも。
(痛い――。私の命は一体いつまでもつのだろうか? しかし私は約束した。必ず城へ帰る・・・と。)
やがて痛みが止むと男はこれまで進んできた森の中に視線を落とし、立ち上がり、
そんな嫌な思いを払いとばさんと再び足を、今度は先ほどよりも少しだけ早く、進めた。
そのまましばらく歩くと、男の目の前に大きな城が現れた。
変だな。城下町がない。 ・・・あぁ、そうだった、男ははっとした。
(・・・・・・この城は城下町が城の内部に設けられているのだった。)
男は城門をくぐり、そのまま内部へ続く扉を開けた。
城の中は可笑しいくらいに騒がしかった。
(国営のカジノがあるわけでもない。踊り子達のショーがあるわけでもない。それなのに何故――。)
「おい。何故こんなに騒がしいのだ。」
男は側にいた荒くれに話しかける。
「兄ちゃんよ、何いってんだい、寝ぼけてんのか?国王様、そうあのアベル王が帰ってきたんだよ!
一時期はどうなるかと思ったけどこれで安泰だぜ!これが騒がずにいられるってんだい!」
(アベル王? ・・・・・・そうか、テンとソラの――。)
「王子と王女はどこにいる?」
「あのお二人なら今頃は中庭じゃないか?」
答えてから荒くれは怪訝な顔をする。
「中庭か。 いや、何でもない。ちょっと気にかかっただけだ。」
「ふうん・・・。 ま、いいやな!」
余り深く疑問に突っ込まないのも荒くれの性格である。
「じゃあ俺は向こうで飲みなおしてくるわ! じゃーな!」
それには答えず、中庭のほうへ向かおうとするとそこに別の荒くれが近寄ってきた。
「何しけた顔してんだよ〜 兄ちゃん酒足りないんじゃないかい?
ほらこれは俺のおごりだ!飲め飲め〜!」
この荒くれ、よっぽど酔っているようだ。
「断る。」
男は無視して立ち去った。
「なんだよ、あいつ・・・・・・。」
男に取り残された荒くれは男のほうを見やりながら手に持っていた酒を一気に飲み干した。
中庭に出ると、男の体にボールがぶつかった。
「ガ、ガルッ。」
ボールの投げられた方向を見るとキラーパンサーが申し訳なさそうに立っていた。
あぁ、お前か、ゲレゲレ。
ふっと男は一瞬微笑んでから、ボールを蹴り返してやる。
(そういえば昔にも同じようなことがあったな――。)
当時のことを思い出すと胸が高鳴らずにはいられない。
早く、会いたい。 ――あの時からだ。この感情は何というのだ――
中庭では男の子と女の子が仲良く遊んでいた。
「ねぇ、テン。 私これ作ったの。」
そういって女の子が男の子―テンに差し出したのは花で作った王冠だった。
「ソラ、ありがとう。 ・・・・・・へへ、似合うかな?」
テンは頭に貰った王冠をかぶせてから女の子―ソラのほうを見る。
「うん、似合う似合う!」
そういってソラは左手でグーサインをだす。
「へへ、ありがとう。 じゃあこれは・・・お返し! 」
テンはポケットの中からこれまた花で作った指輪をだした。
「わぁ、ありがとう! ねぇテン、つけてみてもいい?」
「もちろん! ソラだからきっと似合うよ!・・・ホラねっ。」
二人の笑い声が中庭に響き渡る。
「・・・・・・あぁ、そうだな。似合うな。」
突如、男の声がテンとソラの背後から降ってきた。
二人ともこの声には聞き覚えがあった。
忘れるはずのない、いや、忘れることのできない声。
「カ、カデ・・・?」
いいながら、恐る恐る後ろを振り返る。
あの時の声そして雰囲気に身なり。全てそのままだ。
「カデシュ!お帰り!」
「カデシュ・・・よかった、よかった・・・・・・!」
男―カデシュ―に飛びつく二人を支えながらカデシュは言った。
「心配かけてすまなかった。
・・・・・・テン。"あの時"みせたお前の力は本物だった。しかし魔物を全滅させるなどとはもう言わない。
スラりんやゲレゲレ、ホイミンたちがいい魔物もいるということを証明してくれたからな。
そう、お前とともに私は魔物の王を打ち砕けば悪い魔物はいなくなるのだろう?
そしてソラ。約束していたな。後でお前に新しい呪文を教えよう。」
「ありがとう、カデシュ!今夜は泊まるんでしょ? 夕食の後お部屋に迎えに行くわね!」
「カデシュも旅についてきてくれるんだ、ありがとう!
あ、ねぇ。カデシュ? 聞いて!僕らのお父さんがやっと見つかったんだ!」
「そうなの、カデシュ!私達もう嬉しくって!
あの後、石像になったお父さんを城の人達が見つけてくれたのよ。
後はお母さんだけど、あぁ、お父さんもカデシュもついてくれるんならすぐに見つかる気がするわ!」
カデシュに、彼の帰還に思いっきりはしゃいでいるテンとソラ。
その三人を二階のテラスから見ている人物が二人いた。
テンとソラの父アベルとそのいとこドリスだった。
「ふぅん・・・・・・彼がカデシュなんだね。」
「坊ちゃん探しの旅に同行した魔法使いよ。もっとも、元王子という肩書きもあるけれど・・・。
彼の国ストロスの宝、ストロスの杖を私達に預けてくれたんだ。
坊ちゃんもお礼くらい言ったら?」
アベルが手のワイングラスを口へ持って行く。
「あぁ、そうだね。 ドリスも彼に挨拶をしなくていいのかい?」
そしてグラスの中のものを一飲みしてからグラスを置き、マントに手をかける。
(挨拶か・・・・・・言いたいこといっぱいあるなぁ・・・。)
「おーい、ドリス。いくよー!」
「あ、まってよ坊ちゃん!」
ドリスは思考を中断させてアベルの後を追った。
そのまま中庭に腰を降ろして話を聞いていたカデシュ達。
「ねぇカデシュ。私達の部屋にいかない? もっとお話したいし、見せたいものもあるの。」
そのソラの提案にたまにはいいか、とカデシュは腰を上げて服についた草を払い落としながら言った。
「あぁ、そうだな。」
「カデシュ!」
背後から聞こえた声にカデシュは振り返る。
「・・・・・・ドリス、お前か。」
その変わらない声を聞いて安心したのだろう、ドリスの瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「もう、あそこでいきなりいなくなっちゃって・・・もしものことがあったらって・・・
ずっとずっと・・・!!でも、良かった・・・良かったよ・・・・!!」
「ドリス・・・・・・。」
テンとソラがドリスにかけよる。
ドリスの先にはアベルがいる。
カデシュはアベルのほうへ向かう途中に「お前にも話したいことがある。夜に、中庭で。」
そうボソッとドリスの耳だけに聞こえるような小声を放った後、アベルに向かって一礼した。
「貴方がグランバニアの王か、初めてお目にかかる。私はカデシュ。魔法使いだ――。」
アベルはカデシュに微笑むと左手でカデシュの右手を持ち上げ、自分の右手と握手させた。
「僕を助けるために手を尽くしてくださったそうで、感謝しています。本当にありがとう。
テンとソラも貴方に懐いているし、ドリスも・・・おっと、口が・・・ とにかく!
僕としては貴方にはこれからもグランバニアにいていただきたい。もちろん生活には困らせない。どうかな?」
(ずっとグランバニアに・・・・・・か。)
カデシュはすぐ側にいるドリスとテンとソラの双子を見る。
「なに、返事は今すぐにとは言いません。しばらく考えてみてください。 では、私は国務がありますので・・・・・」
そういうとアベルは階段をのぼっていってしまった。
「ねぇ、カデシュ?ドリスが・・・・・・」
テンがカデシュのローブの端をつかんでいる。
「ん?」
ドリスのほうを改めてみると、既にドリスは泣き止んでいた。
手にはあのペンダント。
「さぁ、カデシュ。約束は覚えてるよね? これ、返すから・・・・・・」
カデシュの首に再びかけようとした手を押さえて再びドリスの首にかけさせる。
「持っておけ。 もう私には必要のないものだ・・・・・・それに、私よりお前のほうが良く似合っているからな。」
「カ、カデ・・・!」
「あれ〜〜?ドリス、顔まっかだよ?へんなの〜〜!」
「テ、テン、うるさいわねっ!」
「わぁ、ドリスが怒った〜!」
「フフ・・・。」
テンが駆け出す。ドリスがそれを追いかけて行き、それを微笑んで見つめるソラ。
何も変わらない風景。
(毎日こんな生活が続くのもよいかもしれない。
明日グランバニア王に返事をしよう。 いさせていただく、と。)
カデシュが空を見上げると、太陽が城の見張り台の先にかかろうとしていた。
(明日も晴れだな――。)
fin
リメイク版(・∀・)イイ!! よりハッピーエンドぽくなって。
花で王冠指輪つくる2人はほほえましいし
>>720からの続き。
お父さんが戻ってきたという話を聞いて、僕たちはグランバニアに戻ってきた。
「お待ちください。」
僕たちが城へ入ろうとしたとき、一人の兵士に呼び止められた。
「お二人に大切なお話があります。どうぞ、こちらへ……」
今、急いでるんだけどな。後にしてもらえない?
でも話を聞かないと中に入れてもらえなさそうだったので、兵士についていくことにした。
「念のため確認させていただきます。テン様とソラ様で間違いありませんね。」
人気のないところまで来ると兵士はそう聞いてきた。僕たちは間違いないと答えた。
「分かりました。それではお二人にはここで死んでいただきます。」
そう言うと兵士は突然襲い掛かってきた。兵士は正体を現した。死神兵だった。
あっという間に死神兵を打ち倒した僕たちは、グランバニアの城の中を走っていた。
今、この城の中で何かよくないことが起きている。早く何とかしなければならない。
階段を駆け上り、通路を疾走し、玉座の間へ続くドアの前へ来た。僕はドアを開けた。
玉座には紫のターバンをかぶった男の人がいた。その横には二人の子供がいる。
……僕とソラ……?
「どういうことだ、テンとソラが二人いるぞ?」
部屋の中にいたオジロンさんがそう叫んだ。
目の前にいるのは僕とソラの偽者だ。きっとこのお父さんも……
「なんだ、お前たちは? オレのガキの偽者か?」
紫ターバンの男がそう言った。
「偽者はそっちだろう!」
僕は叫んでいた。せっかくお父さんに会えると思ったのに、こんな偽者だなんて!
「口で言っても分からないか。お前たち、相手をしてやれ。」
紫ターバンがそう言うと、僕とソラの偽者が襲い掛かってきた。
僕は僕の偽者の攻撃を剣で受け止める。ソラも自分の偽者を相手にしている。
一度相手と間合いを取ると今度は僕から攻撃を仕掛ける。
相手は剣で受け止めるが僕は続けて切りかかる。相手は防戦一方だ。
僕の攻撃に相手の防御は追いついていない。僕は剣を振りかぶった。
「うわっ!」
突然僕の手に激痛が走り、思わず剣を手放してしまった。いったい何が起こったんだ?
「ふふん。子供を守るのは親の役目ってかー。」
紫ターバンの声だ。奴が雷の杖を振りかざして攻撃してきたのか。
武器を放してしまった僕に対し、偽者が襲い掛かってくる。
僕は何とかその攻撃をかわした。しかし、落とした武器からは離れてしまった。
敵はそのことを見逃すはずもなく、丸腰の僕に攻撃してくる。
僕は紙一重で攻撃をかわし続ける。僕は徐々に部屋の端のほうへ追い詰められていった。
敵は剣を構えている。僕は壁を背にして後がなくなってしまった。
僕と僕の偽者はどちらも動かないまましばらくにらみ合っていた。
「どうした? 早く始末しろ。」
業を煮やした紫ターバンが僕の偽者に命令した。
その言葉に反応して敵はじりじりと間合いを詰めてきた。
そして、剣を大きく振りかぶった。
「べギラマ!」
剣を振りかぶり隙のできた敵めがけて僕は攻撃呪文をぶち込んだ。
そして、相手がひるんでいる間に僕は部屋の隅へと走った。
そこには大きな袋があった。お父さんの荷物が入っている袋だ。
この中にはいくつかの武器も入っている。僕はその中のひとつを取り出した。
その直後体勢を立て直した敵が襲い掛かってきた。僕は手にした武器で迎え撃つ。
勝負は僕の勝ちだった。敵は僕の前で崩れるように倒れた。
しかし、勝利の余韻に浸っている暇はない。僕はすぐにソラの元へ向かった。
そこには二人のソラがいた。二人はほとんど同じ格好をしていた。
「おやおや、妹を助けるべくお兄様が駆けつけて来てくれたか。
妹の援護はしないのか? はやく妹の偽者を斬ってしまえばいいだろう。」
紫ターバンがそんなことを言った。
「どうした? まさか自分の妹がどちらか判らないわけではないだろうな。
例え同じ姿をしていても、どちらが本物かお前には簡単に判るのだろう?」
本物と偽者のソラを見分ける方法はある。僕は攻撃の対象を決めた。
「わかった、行くよ。もし本物だったらゴメンね。」
僕は剣を構えると、敵めがけて走っていった。
「ソラ! 援護だ!」
僕はそう叫ぶと紫ターバンめがけて剣を振りかざした。
攻撃の当たる直前、ソラのバイキルトが僕にかけられた。
「あ、あれだけ挑発してやったのに冷静な判断だったじゃないか……
それとも貴様には妹の見分けが付かなかっただけかな?」
紫ターバンの正体はデッドエンペラーだった。よかった、本物のお父さんじゃなくて。
「そんなことは関係ないよ。例え偽者でも僕にはソラを斬ることなんてできなかった。
ただ、それだけのことだよ。」
「お前、そ、それだったらなんで親の偽者は斬れるんだ……」
「だって僕、お父さん見たことないもの。」
「そ、そうでしたー!」
そう言い残してデットエンペラーは崩れて消えた。
「大丈夫だったかい?」
僕はソラに向かってそう言った。僕にバイキルトをかけてくれたのが本物だ。
「ありがとう。私は平気なの。」
「良かった。さて、この偽者はどうしようか。」
僕は偽者のソラの方を見た。
「私一人生き残るつもりはないわ。さっさと殺しなさいよ!」
ソラの偽者が叫んだ。こんな気丈なソラはちょっと新鮮だ。
「あのね、お兄ちゃん。この子を許して欲しいの。
この子あいつに命令されて、無理やりこんなことをやらされていたのよ。」
「そんなことだと思ったよ。ソラが本気を出せばとっくにけりが付いていただろうからね。
ソラが本気を出せないってことは、なにか理由があると思ったんだ。
それに僕の偽者もさ。せっかくのチャンスになかなか攻撃してこなかった。
まるで僕のベギラマの詠唱が終るのを待っていたみたいだったよ。
だからとどめは刺していない。気絶してるだけだからそのうち目を覚ますよ。」
「……じゃあ、コロヒロは生きているのね。」
そう言うと、ソラの偽者は泣き出してしまった。ソラの顔で泣かれると困るよ。
僕とソラの偽者はコロヒーローとコロマージというモンスターだった。
二人はデッドエンペラーに無理やり僕たちの偽者にさせられていたそうだ。
「テン! ソラ! 今までどこに行っていたのよ!」
突然、僕たちに怒鳴り声が降って来た。
「あ、ドリスお姉ちゃん。」
あれ、『今までどこに行っていたのよ!』って、お城には僕たちの偽者がいたじゃないか。
「私があの二人が偽者だって気づかなかったとでも思って?
モンスターが為政者に化けるなんてのは昔からある手よ。
今はまだ確証がなかったから、あいつらの様子を見ていたわけ。
そんなわけだから、偽国王に何一つ好きな様にはさせなかったわ。」
ドリスお姉ちゃん鋭いんだなー。
「私はまったく気づかなかったよ……」
わっ、オジロンさん! そういえばずっとこの部屋にいたんだっけ。
「もう、パパはなんでもすぐに信じちゃうんだから。もっとしっかりしてよ!
まあ、本物の二人はテルパドールへ向かったって、私は知っていたからね。
二人に船を貸したって手紙をルドマンさんから貰っていたからさ。」
ああ、そんなカラクリがあったのか。
「とにかく、二人とも私に黙って城を抜け出すなんて……」
あ、ドリスお姉ちゃん怒ってる? もしかしてこのあと雷の杖より激しい雷が……
「あんまり私たちを心配させないでよ。」
僕とソラはドリスお姉ちゃんの両腕にぎゅっと抱きしめられた。
ドリスお姉ちゃんって意外と心配性なんだね。
……あれ、なんだかずっと昔にもこんなことがあった気がする……
「まったく、テルパドールまでいったい何しに行っていたのよ。
……あら、テン。今手に持っているその剣は……」
「ああ、これね。お父さんの道具袋にあったんだ。ちょっと借りただけだよ。
あの道具袋は触っちゃ駄目だって言われていたけど、緊急事態だったからさ。
この剣のおかげで敵を倒せたんだ。もしかしたら、お父さんが守ってくれたのかもね。」
「お兄ちゃん、これって天空の剣なの……」
「うん。たまたまこの剣が最初に見つかったからね。」
「天空の武具は伝説の勇者様しか身につけることができないんだよ。
……お兄ちゃんが伝説の勇者様だったの?」
ああ、なるほど。あの噂が本当だったらそういうことになるね。
…………え?
「ぼ、僕が伝説の勇者様だって!?」
そんな、まさか! いきなりそんなこと言われても困るよ!
ずっと探していた勇者様が僕自身? それはちょっと間抜けな気が……
お父さんも、そのお父さんであるパパスおじいちゃんも探していた勇者様。
勇者様さえいればおばあちゃんを助けることができると信じていた。
でも、その勇者は僕だった。これから僕はどうしたらいいんだろう……
――親子の絆 完
―――――
容量やばかった。
次スレ立てちゃいますね。
……できませんでした……
>>765 ドンマイ!そしてGJ!次スレはもうちょっと待ってもいいんじゃない?たぶん
GJ!
ついに勇者覚醒か〜
,〃,⌒⌒ ヽ.
!∞,,i_Li Lハ!o
. !i_l_,i! (┃┃i!|
>>768 ヾ,ゝ、 ワノ" 乙彼様〜!!
. /.〃"ヾ
|l'”`y"〉
| .〉〉 il
|// il
んヾ._ _.il
`ト-.r-i´
./ / |
. /、./ l .!
〈. _〈 !-.}
ヽ_)l__ノ
残り4kb!
>>768さん
乙です。こっちはのんびり消費しましょう。
771 :
647:05/01/24 11:33:39 ID:aEut57J9
埋め立て兼ねて嘘予告をひっそりと投下してみる。
DQ5とDQ6のクロスオーバーネタ。DQ4も設定だけちょっと拝借。
ビアンカは夢を見る。
それは懐かしくて、暖かくて、だけど、記憶にないヒトの夢だった。
剣士テリーは旅の途中、空から落ちてきた子供と出くわす。
子供の背には、剣が背負われていた。その剣はテリーが知る伝説の剣と瓜二つ。
彼が知る伝説の剣、その剣の名は、ラミアス。
目の前には、テンシがヒトリ。
「そん、な」
ビアンカがつぶやきを漏らす。
どうして。どうして。
あたしはあの人を知っている。あの人のぬくもりを知っている。
覚えている。赤ん坊だったあたしを包んでくれたその愛情を、覚えている。
肩まで伸びる、流れるような黄金色の髪。
神秘を宿す、透き通る碧の瞳。
肌は真珠をまぶしたように美しく、その裸身をしなやかな白衣が包み、踝で翻っていた。
……だが、しかし。
その背中の翼は抱くべき白色ではなく、障気を孕む禍々しい漆黒であり。
そのたおやかな手には愛撫すべき赤子ではなく、身の丈上回る双身刀を携えていて。
―――それは、悪夢。目を背けたくなる、残酷な現実の具現。
―――それは、黒夢。現実を黒く塗りつぶす、絶望の具現。
「おかあ、さん――――」
母親のカタチをした悪夢を前にして、ビアンカは絶望にくずおれた――――
天高く、光が弾ける。
光の窓から現れたるは赤毛の少女。頭の上で束ねられた髪をなびかせ舞い降りる。
光の残滓が漂う中、トン、と軽やかに着地。
そして意志と怒りを宿した杏色の瞳で、女性を睨みつけ、
「現れたか、カルベローナの長」
「あいにく、今はゼニスのいち客人でしかないわ。そんなことよりも、あんたの目的、話してもらうわよ――――
敵意を込めて、誰何の声を叩きつける。
――――Dark dreamッ!!」
「まだ立つか。イズュラヒーンよ」
レイドック王子イザは立ちあがる。何度でも、何度でも。
「何度でも立ってやるさ……! 負けない、絶対に、絶対に、お前を倒してみせる!」
ラミアスの剣が、イザに呼応するように輝きを増す。
「夢は、終わらせなきゃ、母親と闘うなんて悪夢は、必ず終わらせなきゃならないんだから……!!」
怒りを押し殺すように小刻みに体を震わせていたソラは、やがてグッと顔をあげ、吼える。
「この身は勇者であらざれど、しかしこの魂は誰より勇者に近きもの!!」
だから、わたしは、目を塞がない! 耳を塞がない!
哀しい。涙が止まらない。それでも、濡れた瞳のまま、その女性から目をそらさず、その「敵」から目をそらさず、
泣きながら、
確かな声で、
確かな意志で、
その決意を、
「あなたを――――倒しますッ!」
自分の祖母に、告げた。
テンは剣の柄を握り締める。強く、強く、強く。剣の記憶を汲みあげる。
年月を隔て、
世界を隔て、
人の手を渡っていったその記憶を汲みあげる。
――――かつて、この剣を振るって魔と闘ったひとりの勇者の記憶を。
「……はっ、ぐ……ッ!」
指先の毛細血管が破れる。血がぽたぽた滴り落ちる。
容量限界。進化の秘法を打ち破ったかつての勇者に比して少年はあまりにも未熟――――
歯を喰いしばる。今、今、この瞬間さえ耐えればいい。ただこの力を集めるための歯車となれ。制御しろ、この全てを。
廻せ、廻せ。柄から汲みあげた魔力をこの身体を経由して刀身へ。刀身の魔力が溢れ出さぬよう押さえつける。
圧縮、圧縮、圧縮。魔力は稲妻へとカタチを変え、堅い悲鳴をあげる。
敵を―――その女性を睨みつける。
「いくぞ――――」
赤い世界の中、敵の体は白のまま。敵の翼は黒のまま。
「ギガ――――
雷鳴を纏った剣を振りかぶる。踏み出す足に力を込める――――!!
ソード――――!!」
敵は進化の秘法+天空人+ダークドレアムのごった煮キメラ!
襲いくる悪夢を天空の少年と少女は乗り越えることができるのか!!
Coming Soon...!
うーん、いまいちですかね?(´・ω・`)