**アラタナデアイ(゚д゚)フローラ奥様のスレですわ・24**
ああ、乙女よ。日の光に透ける髪は空の青さを映して風に
流れるまま輝きそよぎ、新芽の瞳は見つめるものをかえっ
て戸惑わせるかのように何かを投げかけ、語りかけてくる。
飾り石のついた踝までの長い衣装は、乙女の華奢な身体を
包み、彼女の魅力をあますところなく引き出している。
白い腕に抱かれた花々さえ乙女の愛らしさの前にはその華
やかさも霞んでしまう。
乙女よ、君は今旅立つ。かたわらの若者と手を携えて果て
なく広い世界へと。
子供の頃のことを思い出す。町には同じ年頃の子供たちが
いなく、僕と君はいつも一緒に過ごした。
春の日に、風に散ってゆく桜の花びらを止めて、と僕に泣
いてうったえた君。夏の夜、地平の向こうに消える星座を
見つめ『大人になったら大好きな人をたすけて支えてあげ
たい』と呟いた君。そして君は修道院へ預けられた。
僕はただひたすら君の帰る日を待っていた。でも・・・時
は僕だけを置き去りにして行った。8年の歳月は君の中で
どんな風に過ぎていったのだろう。さだめの星はいつ動き
出していたのだろうか。僕たちはもうあの頃とは違うんだ
ね。
詩人の妻ではなく戦士の妻になることを選んだ乙女。
行く手に何が待っていようと決して後悔しない、自分自身
で決めたことだから、と揺ぎ無い決意を見せた凛とした唇。
僕は願わずにはいられない。君の未来にあふれる幸せがあ
らんことを。こちらを振り帰り、眩しそうに笑いそして手
を振る愛くるしいその姿。黒髪の戦士よ、あなたに彼女を
託そう。見るものを惹きつけずにはおかない不思議な瞳を
持つ旅の戦士。あなたが底知れぬ何かを背負っているのを
僕は感じた。しかし何であれ、彼女を想うあなたの心は嘘
いつわりない、と僕は信じている。
乙女よ、どうか幸せに。
天の使いか、妖精か、それとも美神そのものか。
薄桃色の頬にかかるはひとすじの青い絹糸の髪。
僕はいつまでも綴っていこう。詠っていこう。
このサラボナの地に咲いた白薔薇と讃えられた
乙女のことを。