かなり真面目にFFをノベライズしてみる。

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1名前が無い@ただの名無しのようだ
DQはちゃんとした小説がエニックス出版から出ていますが、FFは2以外まったく刊行されていません。
文才と多少の暇のある方、どうかこのFFDQ板でFFのどの作品でもいいので、ストーリーの最初から
最後まで完全小説化してみてください。
といっても一人でこんなこと最後までやりつづける人はいないでしょう、普通。印税入るわけじゃないし。
ただの趣味だし。根気が続くはずが無い。
なので、リレー小説にするのが妥当かと。
結構おもしろい企画だと思いませんか?

ただ飽くまでも「公式の小説が出版されていない作品を情熱あるこの板の住人がノベライズする」
がコンセプトなので、FFでなくてDQでもいいです。
ただしDQ1〜7は当然対象外になるわけで、可能なのはモンスターズ等でしょう。
やはりプロの作品にはかなわないですから、DQ1〜7は書く必要がないわけです。そういうものです。


でもやっぱり企画倒れか・・・
2名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 21:56 ID:vqV9pQRO
2
3名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 22:03 ID:jXxhD/0/
FF1やりたい。
1。
4名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 22:10 ID:PYQRnqW3
>>1
壮大な計画だな。
これが企画倒れに終わらなければ凄い事になりそうだ。
多分そうはならないだろうが。
5名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 22:14 ID:jXxhD/0/
1から順番にやろう。全部。
6名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 22:16 ID:L++42uFO

ひゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ボテッ
7名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/04 22:22 ID:Tj2EhX5e
この世は暗黒に包まれている

風はやみ、海は荒れ、大地は腐ってゆく

しかし人々は1つの予言を信じ、それを待っていた

「この世、暗黒に染まりし時、4人の光の戦士、現れん」

長い冒険の末、4人の若者がこの地に辿り着いた

そして、その手にはそれぞれクリスタルが握られていた





↓以下1で開始
8名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/06 10:57 ID:xLJVK8tm
とりあえず保守を
9名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/08 13:00 ID:mlvquzFc
hosyu
やっぱり企画倒れか…
11:04/08/12 13:43 ID:2lJgfyuH
誰もやらないようだから俺からやらしてもらいます。
誰もいないから、最初の俺が勝手にルールを決めます。
誰も来ないかもしれないけど。

1.あげない (地下連載でいきたいので、メール欄にsageと必ず入れてくれ)
2.荒らさない (やるからには真面目にやる。進行の邪魔はしないでほしい)

最低限これだけは守ってほしいので、よろしく。
じゃあ早速>>7のプロローグから始めたいのですが、
Tはパーティー選択制なので、困ってます。
希望の組み合わせがあればカキコしてください。あと名前も。

3時に締め切って、4時には上げたいと思います。
12 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 14:34 ID:2lJgfyuH
来るわきゃないか・・・でも上げないよ
13 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 15:15 ID:kg6YqziJ
この世は暗黒に包まれている

風はやみ、海は荒れ、大地は腐ってゆく

しかし人々は1つの予言を信じ、それを待っていた

「この世、暗黒に染まりし時、4人の光の戦士、現れん」

長い冒険の末、4人の若者がこの地に辿り着いた

そして、その手にはそれぞれクリスタルが握られていた
14 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 15:45 ID:kg6YqziJ
−プロローグ1−

緑豊かなその国に、4人はいた。
ここはコーネリア・・・。
城下町を包み込む、のどかで平和な空気は、4人の心を癒してくれる。
長く険しい旅を続けてきた、戦士たちの心を・・・。
15 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 16:01 ID:kg6YqziJ
人は問う。
どうして旅に出たのかと。
暗黒の大地には、魔物が彷徨っている。生あるものの命を求めて。
お前達は、何を求めて彷徨うのだ。
そんな時、4人は黙って石を見せるのだった。
その石には、不思議な輝きが宿っていた。そう、生あるものの輝きが・・・。

ひとりの兵士がこれを見た。

新たなる旅が始まろうとしていた・・・。
16 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 16:44 ID:kg6YqziJ
−プロローグ2−

4人は王城にて謁見の時間を待っていた。
「何だっていきなり王様に会わなきゃいけないんだ?」
緑の服を着た若者が口を開いた。
「兵士の方はこの石が気になってたみたいね。」
白い法衣をまとった少女が答える。
「この石の秘密、教えてくれるのかなあ・・・。」
黒い衣に身を包んだ少年がぼそりとつぶやいた。
手に持ったその石をじっと見つめている。
突然、青い鎧を身に着けた若者が立ち上がった。
「俺達の番だ!」
兵士が手招きしている。

王の間にたどり着き、その荘厳な扉が音を立てて開く。
その音は、4人の戦士を丁重に迎え入れるかのようだった。
巨大な玉座にたたずむ王の姿が、4人の目に飛び込んできた。
「すっげ・・・」
感嘆の声を上げようとした緑の若者の口を、黒の少年が慌ててふさいだ。

その時、王の第一声が、静まり返った部屋全体に響き渡った。
「よく来てくれた。クリスタルを持つ戦士達よ。」
17 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 17:27 ID:Gq4A7UI4
この調子じゃ1年経っても終わらんなあ・・・。
っていうか展開が地味でだるくなってきた。俺一人だし。
誰かこれ見っけたらサルベージして。
18 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 18:23 ID:Gq4A7UI4
−プロローグ3−

「クリスタル?」
4人は顔を見合わせた。
「さよう。おぬし達の持つその輝く石は、まさしくクリスタルだ。」
王の隣に控えていた大臣が話し始めた。
「しかし、今は多くを語っている時間はない。おぬし達の名前を聞いている時間すらな。
事態は一刻を争うのだ。」
「何が大変なことが起こったんですか?」
白の少女が尋ねた。
「我が国の王女、セーラ姫が、さらわれたのだ・・・。
こともあろうに、犯人は姫の護衛を担当していたナイト、ガーランドだ。
城下町を魔物から守るために、兵士のほとんどは警備に当たっている。
姫を連れ戻す手立てがなくて途方に暮れていたのだよ。
そこへクリスタルを持つおぬし達が現れた。そう、あの予言のように。
もはやこれは偶然ではあるまい。ぜひ力を貸していただけないだろうか・・・。」
「しかし、どうやって・・・?」
「ガーランドは北方にあるカオス神殿に潜伏しておる。何を企んでいるのかは知らんが、
とにかく姫を連れ戻してもらいたい。お願いだ・・・!」
「わしからも頼む・・・!」
家臣ならず、王までもが頭を下げた。とんでもない事だ。
「でも、そんな腕利きのナイトなんかに勝負を・・・」
「わかりました。」
戸惑う黒の少年を横目に、青い鎧の少年が答えた。

「必ず、王女を連れ戻してまいります。」
19 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 19:00 ID:Gq4A7UI4
−プロローグ4−

「まったく、なんでもお前一人で決めるなよな。
俺達は人助けの旅をしてるわけじゃないんだぜ?」

4人はカオス神殿に向かって歩いていた。
緑の少年は不機嫌だ。
「いいじゃない。この石がクリスタルだって分かっただけでも
大発見よ。ううん、王様達ならきっともっとすごい秘密を知ってるはず。」
「クリスタルかぁ・・・。やっぱりこれは相当えらい物だったんだね・・・。」
白の少女、黒の少年はさも大切そうに石を眺めたり、撫で回したりしている。
「当然だよ。村の人たちに託された大切な・・・」
青の少年が何かを言いかけたその時・・・。

「危ない!!!」

緑の少年が叫んだ、と同時に4人に突っ込んでくる影、影、影。
「囲まれてたんだ!僕達・・・!」
「ボーっとしやがって!さっさと陣形を組め!」
「ゴブリンか!?」
「1、2、3・・・7匹もいるっ!」

4人は何とか体制を立て直し、ゴブリン達と対峙した。
「行くぞ!」
「おおっ!」
「俺たちにケンカ売ったこと、後悔させてやるぜ!」
20 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 19:14 ID:Gq4A7UI4
結局ゲームとかわんね。やめたくなってきた。
誰にも見つからないでどこまでいけるかな〜。
21 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 19:54 ID:Gq4A7UI4
−プロローグ5−

ゴブリンを前に戦闘体制に入った4人。
白と黒の前に青と緑が立ち、守りを固める陣形だ。
しかし黒の少年がうずくまっている。

「どうしたの!?」
見ると、法衣の袖から、血が流れている。
「さっきの奇襲でやられたんだろ!俺らがなんとかすっから、
早く治してやれっ!」
群がるゴブリンをなぎ倒しながら、緑の少年が叫んだ。
「わかった!
少し待っててね・・・。」
黒の少年にそういうと、白の少女は目を閉じ、精神の統一を始めた。
そこにすかさずゴブリンがとびかかる。
「はぁっ!」
青の少年の掛け声とともに、
ゴブリンの眼前を一筋の光が駆け抜け、その視界を真っ二つに切り裂いた。
22 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 19:57 ID:Gq4A7UI4
−プロローグ6−


「・・・ケアル!」
少女の詠唱が完了した瞬間、
淡い輝きが黒の少年の腕を包み、傷口がみるみるうちにふさがっていく。
しかし黒の少年は動かない。
「どうしたのっ?」
少女が黒の少年の顔を覗き込んだ瞬間、
「・・・ファイア!」
突然の魔法発動に、最後のゴブリンは気づくまもなく燃え尽きた。

「・・・びっくりするじゃない!」
「ごめん、ケアルをかけてもらってる間に、
唱えておいたんだ、僕。みんなを驚かそうと思って。」

こんな光景でさえ、4人が今まで歩んできた険しい旅に比べれば、
平和な安息のひとときであった。

そして、遂に一行はカオス神殿に乗り込む。
真の始まりの場所へ。
23 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 20:09 ID:Gq4A7UI4
やる前はなめてたけど、文章書くのって難しいんだな。
なんかほとんど会話・・・っていうかつまんねえー。
あと無人島でやってるみたいでむなしい・・・。ageるべきか・・
24 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 21:08 ID:Gq4A7UI4
−プロローグ7−

そこはまさにカオスの名にふさわしい、混沌を絵に描いたような場所だった。
神殿に足を踏み入れた瞬間、4人は思わず咳き込んでしまった。
何百年もそこに閉じ込められていたかのような、淀んだ空気が、
動くことなくそこにある。

「ただならぬ雰囲気とはこの事だな・・・。」
「やった、魔物がいない・・・。ガーランドが追っ払ったんだ。
今のうちにお姫様を探そうぜ!」
「だけど、奥にはまだいるかもしれない・・・。」
「待って!あれ・・・。」
白の少女が指差した先には、古ぼけてほとんどまわりの色と同化していたが、
よく見ると立派な構えの扉があった。扉は・・・少し開いている。
「よくあんなのが見つかったな、ここから・・・。」

そのとき黒の少年が4人の頭上を飛ぶ何かに気づいた。
キィ・・・キィ・・・。
「うわっ・・・!コウモリ・・・!」
「そのコウモリ、私たちにガーランドの居場所を
教えようとしてくれてたみたい・・・あの中よ。絶対。」
白の少女ははじめからコウモリの存在に気づいていたようだ。
「そんな、気のせいじゃぁないの?」
「とにかく、相手は敵か味方かわからない。戦闘態勢を保っていこう。
俺が先頭に立つから、みんなは後ろについてくれ。」
4人は青の少年を中心に陣形を張ろうとした。

「誰だっ!!」
25 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 21:22 ID:Gq4A7UI4
いい加減糞ストーリーになりそうなので終了。
オリジナルのほうがまだよかった。絶対よかった。

・・・最後まで一人かよ!!
>26
しばらく静観してたが、とうとう始まったんだな。楽しみにしてるぞ。がんがれ。
気が向いたら乱入させてもらうかもしれんが、自分ところで7をノベライズしてるからちょっとムリぽ。
>>26
疲れたからしばらくやらないと思う。
ゲームの内容追っかけるだけってつまらねーもん。
リレーみたいだから続きはおまかせで。
>自分ところで7をノベライズしてる
どこのスレですか?
名前付けないで始めたのが間違いだったなあ。
決めた。
戦士→ガイガン
シーフ→ゲルげ
しろま→まさこ2
くろま→ぽコペン
29名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/12 22:42 ID:Gq4A7UI4
うおおおおおおおぉぉぁああああああ!!!
誰もこねえええええええええぃえああ!!!
もういいよ!!遊んでやるよ!!
タイトルはファイナルファンタジーグレート!!
30名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/12 22:43 ID:Gq4A7UI4
あ。間違えてあげちゃった・・・どうしよう。

↓ファイナルファンタジーグレート
「行くぞ!!」
バァーェァアン!!!
「ウボァーァアアアアアアア」
めでたし!めでたし!!!
バーーーーーーーン(THE END)
3226:04/08/12 23:16 ID:63dBesuO
レス番間違えたよ。自分をねぎらってどうするorz
漏れの書き込み、終了宣言の2分後だったんだな……
改めて乙>14-25

>27
2chでなくて自分のページでやってる。
ようやく女装イベントが終わったところ……
>>32
ちょっと興味あるんだけど、どうやったらそこに行けるかねぇ
34 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/12 23:49 ID:Gq4A7UI4
つーか間違えてあげちゃったけど人来ねーなー。
これもう俺一人で好き勝手やっていいって事か?
現にシェア70%近いだろこれ・・・。
暇だからTの続きやるか・・・。それともVあたりからいくか。
でも細かいストーリー覚えてねえんだよなあ。どうすっかな
Wやれよ、W。
36 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 00:01 ID:40j2mUAj
おお、客だあ!!
でも4のストーリー嫌いなんだよ。ローザが。
1〜3の寺田のやつの方が、地味だけどまとまってていいな。
37名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/13 00:05 ID:MxrdyMcH
ID:Gq4A7UI4が痛々しくて可哀想だから、ageてあげる
38 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 00:07 ID:40j2mUAj
一人雑談激しくつまらんわー。
ていうかあんまり俺の日記帳状態にするとまずいか。
よし!続きやろう!本当は別の話をやってみたいが、
思いつかん。待たせたなお前ら!!FF1プロローグ、
再開だぜ!!しかし誰も見てないという罠。
39 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 00:08 ID:40j2mUAj
>>38
上げんじゃねー!なんてことしてくれんだー!
40 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 00:38 ID:40j2mUAj
−プロローグ8−

古びた扉が軋みながら開いていく・・・。
埃とも煙ともつかない、不透明な空気の塊が、
部屋の奥からこぼれだしてくる。
それを背に受けて浮かび上がる甲冑の姿。
そして、横たわるドレスの女性・・・。

「王女っ!」
青の戦士が駆け寄ろうとしたが、なにかにはじき返され、
後方に吹き飛ばされた。
「うわぁーっ!」

「あ、あれが・・・」
「ガーランド・・・!」
甲冑の騎士が、禍々しく黒光りした剣を構えている。
「貴様ら、何者だ。」
甲冑の騎士、ガーランドはその剣の切っ先を4人に向けた。
射抜かれるような圧迫感が迫ってくる。
「あんた、やっぱり悪巧みしてたのか。
悪人に教える名前などないぜ。さっさと姫様を返しな!」
緑の少年がにじり寄る。
しかし、ガーランドは微動だにしない。

「さては、お前たちだな、クリスタルの戦士というのは・・・。」
「えっ!?」
「クリスタルをよこせ。さもなくば殺す。」
41 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 01:17 ID:40j2mUAj
−プロローグ9−

4人は驚愕した。
「何故、俺たちがクリスタルを持ってることを・・・?」
少し間をおいた後、ガーランドが切り出した。
「別に知っていたわけではない・・・。
だが、私はずっとお前たちを待っていた・・・。
いや、お前たちの持つ、クリスタルを・・・。
そうだ、お前たちの持つクリスタルと、このセーラ姫を
交換しよう。どうだね?」

今度はガーランドから近づいてくる。
「どうする・・・?逆らったら、きっと殺されちゃうよ・・・。」
黒の少年はがたがた震えている。
「いや、これだけは渡せない。
これがなくなったら、俺たちの旅は、初めからなかったことになる。
それだけじゃない・・・俺たちの・・・」
「わかった。」
青い少年の言葉を、ガーランドがさえぎった。
「そうか。ならば力ずくで奪うしかあるまい。4人まとめてかかって来い。
少しでも長生きしたければな!」
いい終わるや否や、ガーランドは剣を振りかざし、飛び込んできた。
「死ねえっ!!」
すかさず青の少年が太刀を受ける。
「ぐっ・・・!」
「そんなボロボロの剣で!この私に!勝てると思うかぁっ!」
瞬く間に少年の剣ははじき落とされ、
ガーランドの剣が振り下ろされた。
42 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 01:49 ID:40j2mUAj
−プロローグ10−

「まずは一人目だ!!」
黒い刃が少年の頭をとらえんとしたその時・・・
「ぐわっ!」
白い閃光がガーランドを貫いた。
黒い剣が床に突き刺さる。
「なっ、何をしたァッ!」
「ビリビリ痺れて動けないだろっ!」
黒の少年がガーランドに向かって両手をかざしている。
「雷魔法かッ・・・!」

「さすがだわ、サンダーを剣に落としたのね。」
「まったく、物凄いコントロールだぜ。」
「貴様らああ、許さんぞ・・・!」
ガーランドは急いで剣を拾おうとした。
「!?」
が、ない。
「あんたが探してるのは、これか?」
緑の少年が、ガーランドの剣を重そうに抱えている。
「い、いつの間に!!」
「何もしないで見てるだけだと思ったか?甘く見ないで欲しいな。」
「私も一応、がんばったのよ。」
白の少女の脇では、すばやい治療で立ち直った青の少年が、
ガーランドに剣を向けている。
「次に動いたら、ブリザドぶち込んで凍らせちゃうからね。」

「残念だったな、あなたの負けだ、ガーランド!」
43誰も来ないので自分で感想:04/08/13 02:06 ID:40j2mUAj
ガーランド弱えー!ゲームより弱ええ・・・。
こんなつもりじゃなかったのに・・・飽きちゃった。
文章でバトルをやるのは難しい。ゲームみたいにするのもちょっと違うしなあ
まああれだ手っ取り早く終わらせたかった。つーかプロローグなげーんだよ早く終われ。
FFのノベライズなら

ファイナルファンタジーS
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1089988078/l50
45 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 02:42 ID:40j2mUAj
−プロローグ11−

「よかった、気を失ってはいるが、王女は無事だ。」
4人はガーランドの出てきた部屋で、セーラ王女を取り囲んでいた。
部屋の隅では、ガーランドが壁にもたれかかっている。
天井を飛び交うコウモリたち。そして、部屋の中央にある巨大な物体・・・。
「なんにせよ、あんたがまだナイトの誇りを持っていてよかったぜ。
俺はてっきりお姫様を・・・」
「やめなさいよ。さっきは手荒くしちゃってごめんなさい・・・。」
「・・・。」
ガーランドは黙ったままだ。
「まだ・・・痺れますか?」
「あら、ケアルが効かなかったかしら・・・。」
白の少女がガーランドに近寄った。
「さわるな!」
ガーランドは少女の手を振り払った。
「フフフ・・・。お前たち、私に勝ったと思っているのか?」
「なに?」
「いつもの私なら、こんなガキどもに苦戦するなど、ありえないのだ・・・。」
「いつもの・・・?何が言いたいのかしら。」
「私の体はもう動かなくなっていたんだ。
私は・・・間もなく死ぬ運命なのだよ。お前たちが来ずともな。」
「えっ?」
4人はあっけにとられた。
「でも・・・どうして王女さまを連れ去ったり・・・。」
「お前たちにはわかるまい。
一国の王女を守るということが一体どんなことなのか。
そして、お前たちの持つ、そのクリスタルの意味すらもな・・・。」
46誰も来ないので自分で感想:04/08/13 02:51 ID:40j2mUAj
>>44
俺はここでひっそりと暮らしていくからいい。

>>45
会話だけって小説というよりただのシナリオ、台本だな。
もはや小説書いてるつもりはないが。それやると時間かかるしな。
あとつまんねーなこれ。とりあえず先進むか・・・。
47 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/13 03:35 ID:40j2mUAj
−プロローグ12−

「クリスタルの意味・・・?」
「そうだ。俺にはそのクリスタルがどうしても必要だった。
しかし、お前たちが意味も知らずにそれを持っていたのなら、
それはやはり宿命だったのだ。」
「言っていることがよくわかりませんが・・・?」
「いずれ分かる・・・。」
「つまり、クリスタルさえあれば、あんたが助かる。
だからよこせ、って言いたいんだろ。」
「いや、それはお前たちが持っていけ・・・。
それは、お前たちのところにあるべきなのだ。」
突然ガーランドの呼吸が、弱まり始めた。
「まさか、もう・・・!」
「お、俺たちのクリスタルを使ってくれ!」
青の少年が駆け寄った。
「お前たちは知らなければならない。クリスタルの意味を・・・。
何者にも教えてもらうことなく、自分たちの手で・・・。
お前たちの旅は・・・終わらない・・・。さあ行け・・・。
俺は一人で最期を迎えたいんだ・・・。さあ・・・早く・・・!」

4人はセーラを連れて駆け出していた・・・。
「・・・本当に、置いていっちゃうの?」
「・・・本当なら、あの場で斬り殺して欲しかったぐらいだったと思うぜ、
あいつ。戦士ってのはそういうもんだ・・・。」
「しかし、彼の言動は不可解だったわ・・・。
王女様をなぜ連れ出したのかもわからないし・・・。」
「謎だらけだな。お姫様が目を覚ましたら聞かせてもらおう。」

その時、神殿で異変が起きていたとは、誰も知る由がなかった。
「・・・コウモリの呼ぶ声がした。」
「まさかぁ。」
48誰も来ないので独り言:04/08/13 03:58 ID:40j2mUAj
みんなこのスレ見たらキレるだろうな。一人で遊んでるだけだかんな。
あと真面目にノベライズすんのきついわ。これは才能ないと無理。
どうしてもネタっつうかギャグをやりたくなっちゃう。まあどうせ俺一人だから好きなように
やればいいんだが・・・。どっちにしろ駄文であることに変わりはないか。
>>47
相変わらず表現力の乏しさがうらめしいね。はい糞話。
49誰か来た時のための独り言:04/08/13 04:09 ID:40j2mUAj
今レスを読み返したんだが・・・
プロローグ1〜12を最後まで読んで吐き気催さなかったら天才だね。キモい
あと、ゲームと違うじゃんってところが結構あって、気になったと思う。
実はプロローグとエピローグは構成を考えて始めた。一応。
ゲームと違う設定は、エピローグにつながるように色々いじってみた箇所だ。
だから、プロローグとエピローグだけ話せば、全部わかってしまう。
本編に関しては、ゲームから広げた設定は何も考えてない。だからやるつもりもない。
ていうか、表現力に限界を感じたので、もうやめるかもしれない。
誰も続きを書かなければ、俺がやるのかもしれない。
あと、個人的には名前を決めとかなかったのが最大の失敗だったと後悔している。
50誰もいないのに遺言:04/08/13 04:26 ID:40j2mUAj
なんで>>49みたいなのを書いたかといえば、もうダメだ、と思ったからですわ。
表現力に限界を感じた。当たり前といえばそれまでだが。
これをやるまで物書きごっこなんかやったことがなかったから、もうヘトヘトですわ。
誰か興味のある人が後を継いでくれればうれしい。
ていうか眠い。あと一個レスつけたら寝る。
51最後に〜謝罪〜:04/08/13 04:33 ID:40j2mUAj
一人で40個もレスつけて、駄文さらしまくって、本当にすいませんでした。
この場を借りてお詫びいたします。
また舞い戻ってくることがあれば、どうか暖かく見守ってやってください。
次来た時にレスが付いてなかったら、その時はまた好き勝手やらしてもらいます。
でも晒しあげだけは勘弁して下さい。マジで。さよなら
52最後の最後:04/08/13 04:35 ID:40j2mUAj
荒らすなとか言っといて、自分で荒らしてすいませんでした。マジで
誰も来てないじゃーーーーーーーーーーーーん
SEX!!!!!!!!!!!!!!!!
5432:04/08/13 21:27 ID:iiq0WtZz
>33
メル欄に入れとくよ。ageちまうけど勘弁な。
1名様ごあんな〜い。
……って目次に張ろうとしたら長すぎたんで、すまんがトップから自力出来てくれ。

FF1はなぁ…主人公が台詞なし、ジョブ未定、デフォ名さえ用意されてないから、
自分で0からキャラ作ってく必要がある。それなりの準備がないと辛いと思うよ。
まあ、めげずにがんがれ同志。
あと、周りの反応はも少し気長に待て。
55名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/13 22:15 ID:rO5qxJuz
暇があれば俺も手伝ったかもしれんが、今年はどうにも忙しいし書くのは無理だなあ。
初代FFはそもそもにして知っている人が多くないだろう。
でもこの板ならけっこうみんなやってるかな。微妙。

なんにせよ、ある程度決めてからやらんとならんだろうよ。
四人の簡単な個性づけ、ジョブ、年齢、容姿、etc…あとは適当に進めていくうちに各で深めればいいだろうけど。
少なくともそれらを決めてから進めないと自殺行為だ。自分だけで書くならまだ救いもあるけどさ。
まあ決めておくべき事は、前述したものなんかを含めて、
四人の名前、性格、関係を簡単に、ジョブ、年齢、容姿、性別
…まあこんなところ?名前が一番決められなさそう。ってかあの四人は過去が気になるところではあるんだよね(w

普通のリレー小説じゃあないから、これくらいは最低限決めておくことが必要だろうさ。
母体あるもののリレー小説ねー。おもしろい試みではあるけれど。
それらを決めたうえで、もう一度最初からやり直すのが賢明じゃない?
名前決めないでやるのは、まあおもしろそうだけど難しいだろうね、性質を考えると。

あと文体だね。基本的な文体の統一。
超基本的なところでは・・・は…を使え、とかね。改行の規則とかね。その辺はあとでいくらでも編集できるか。
っつーかあんまり…はつかわんほうがいいよ。たしかに便利だけどさ。


まあ、期待を込めてageてみようか。人が集まらない限りにはなんともならんだろうし。
人を集めるという意味では、初代FFは一番あつまらなさそうだから別のヤツからやったほうがいいかもしんないね。
7のノベライズはサイトまで持ってる人がいたんだ。
あとで読ませてもらお。

このスレではFF5辺りがいいような気が
自分も5の小説は読んでみたいし書いてみたい。
5は個性ないからこういうののリレー小説むきじゃないと思う。
6あたりなら割と楽かも。やってる人もかなり多い。
58 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/14 04:32 ID:OavET8q7
おお来てるじゃん。俺はもう降りた。
新しい企画が始まったらふらりと立ち寄るかもしんない。
実は今年受験だからこんなことばかりしてられん。あとはよろしく。
>>54
サンクス!
>>55
俺宛?サンクス!

バイバ〜イ!!!
>57
6はキャラが膨大なのが不安材料だな。
4だったら、一度に出るのは基本的に5人までだから、まだ何とかなりそうな気ガス。

XYZ.ReoI/2が書いてくれたプロローグ、4人の名前と大体の年齢だけ決めれば、後はなんとかなりそうだけどね。
熱血でお人よしっぽい戦士とか、コツコツ努力家っぽい黒魔とか、個性の片鱗は見えている。
まあ受験生にムリさせる訳にはいかんか。
61 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/14 17:25 ID:7A11nv4b
>>60
6とかはストーリーが平行するとこを分担して書いたらけっこう面白いと思う。
でもみんなバラバラのこと書くだろうから、最後は破綻する。ダメだね。
>>60
うん、VIはとにかくキャラが多いのが最大の魅力であり問題でもあるか。
IVか…俺はあれ好きじゃないけど、たしかに悪くないかもね。
特に問題となる点もなさそう。

>>61
それは各自で調整すればいいさ
>>57
FF5に個性がないって何を根拠に言ってるの?
>>63
悪口いってるんじゃないんだから怒らないでくれよ。
そりゃあ、まったくないとはいえんさ
ただね、FFお得意の恋愛シーンもないし、イベントは演出クサイけど実は簡素で数も少ない。
SFC以降の他のFFとは明らかに違う
キャラの強さもおんなじ。
いや、バッツはパーティ内で一番力強いとかクルルはガラフより実はHPが1高いとかはあるが、
そういうことをいってるんじゃないのはわかるだろう?
つまり、システムはキャラメイキングで人によっていろんな育て方があるし、キャラ同士の関係だとかも想像に任せられる部分がとても多い。
総じると、一般的には無個性といって差し支えないと思うね。それは別に悪いことじゃない
もっとも、信者としては数少ないセリフやイベントから考察してしまうけどね。バッツなんか影薄いけど深いよ。
でもそれはこのスレではむずかしいね
中途半端にあるのはもしかすると一番難しいかもしれない
>>64
恋愛イベントないのは1も3も同様だし、恋愛が主体だと言えるFFは8ぐらい。
1や3はキャラの確固たる性格付けがなされていないという点で5以上だし、想像に任せられる部分が多いというのもそう。
中途半端がいちばん難しいかもという結論がどうして出てくるのかもわからないです。
>63-65
5は自由度高いからなぁ…
個性と言うか、ジョブが完全にプレイヤー任せなせいで、キャラの特色がはっきりしない印象はあるな。装備もジョブ準拠だし。
イメージの許容範囲が広すぎて、多人数でやるには難易度が高い、ってことだと思う。
これは1と3も同様だけど、5にはデフォ名や過去の設定がついてるあたり『中途半端な個性』なのかな?
何ひとつ決まってないと、はっきりさせなきゃという意識が書き手にも出てくるが、
ある程度ゲーム内で用意されていると、それに頼ってしまって、結果的に像がぼやけたまま進んでしまうことを危惧しているんじゃないかな。
各自好きなように書いて行って、その積み重ねからキャラが立ってくるってのが理想なんだが。

個人的に5は、ギルガメッシュを出せるのが嬉しい(w
完全に原作に忠実な小説ってのは大抵おもしろくない。これ定説。
小説化する作家の主観が多少混じったほうがいいものが出来るよ
始まる気配はないな
>>65
おいおい、初代やIII、及びIIなんてもっと無個性じゃないか。
Vはそれらに比べると個性づけされてるという認識はいいよ、そこをもって中途半端だと表現したんだけど、そうつっかからないでくれよ。
まあ、他に俺のいいたいことはだいたい>>66が代弁してくれているよ。

もう少し詳しくいうと…>>67の内容、その通り。戯曲とかね。
それをリレー小説でやるなら、ある程度キャラなんかが統一されているもの、
もしくはまったく白紙に近いものがやはりやすいと思うんだよ。
多分、Vの問題点は、無個性でありながら完全に無個性ではないが故に、
各人の思い描くキャラがまったく違うままスタートしてしまうことじゃあないかな、と思う。
個性が最初からないなら、ある程度決めてからいけるけどVだとそういうわけにもいかないじゃない。
逆に言えば、それさえ克服しちゃえばどうにかなるかな、とも思うね。

だからさ、>>68
まあこういうスレを進めようと思うなら、とにかく誰かが「いーからやろうや、はい、これ決めよ」とかいってやればいいのさ。
そしたらまあなんのかんのいってるうちに進むし、進めば案どうにでもなる(w
つって、そればっかだとそのうちどうにもいかなくなるから俺みたいのもいるんだろうなあ。
あはは、でもいい加減なんか進まないと誰もいなくなりそうだねえ。
とりあえず何やりたいか投票でもしてみたらどうかな?
70 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/15 22:51 ID:N8UKc8vT
>>69
>68は俺。
俺は最初に始めたんだけど、誰も来ないうちに限界が来て途中で終わりになったの。
71名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/16 13:24 ID:IHfZVBev
age
んあー、FFは4,5,6しか持ってないけど、その内のどれかなら小説書くの協力するよ?
駄目文かもしれんが。

という訳で応援sage。
おい◆XYZ.ReoI/2!
面白かったぞ!乙!
謙遜野郎は死ね!
さっさと何やるかだけでも決めようや。すすまん。
5がいいんじゃないか。
77名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/16 22:16 ID:fWOwbl5Y
未だに糞コテの糞文しかないじゃんここ。
で結局何がやりたいっていう意見は出てきてないけど
糞コテの続きもつまらなそうだな。
とりあえず漏れはFF6に一票いれとく。
ageちゃったごめん。
ていうか5でもいいや
ちなみに5を推す理由は、

・押し付けがましい恋愛に偏らない展開が望める。
・主役キャラに絡む脇キャラ少なめなので書きやすい。(多ければ多いほど、
 プロアマ問わず書くのが難しくなる)
・ジョブチェンジが魅力

他にもあるけど、とりあえず
ジョブチェンジをストーリーに絡めて書いてくの?
おい◆XYZ.ReoI/2!
暇だから次までに続き書いとけ!わかったな!
8254 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/16 23:52 ID:owYfNIv7
とりあえず始めちゃえ、って意見も出たことだし、独断と偏見で4のさわりだけ書いてみた。
……それで気がついたけど、俺4の中身よく覚えてないや。orz
攻略本も持ってないし、細かい演出や台詞回しなんかは超適当ですが、とりあえず張っておく。
まあ気に入らなかったら流して別の始めてくれてもいいんで。
83名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/16 23:54 ID:nmhS0kAm
投票するんならageるわ。
俺はVIに一票いれとくよ。

理由
ストーリー、キャラ設定が固まっていてやりやすく、人気も高い。
14人というキャラ人数も、多人数でやれば一人一人に構ってやれる。
ただし、キャラの多さは逆に難しさでもある。VIにおける問題点。
あとラスボスのちょっと恥ずかしいあのシーンをどう片づけるか(w


Vにおける問題点は>>69の他に、ジョブチェンジの描写の難しさもあるわな。
以前バトルロワイアルスレなんていうクロスオーバーリレー小説があったけど、ジョブチェンジに関してはかなりうやむやに誤魔化されていた。
まあ、参考になるとすればX-2みたいな感じか。
その場合、原作におけるジョブチェンジシステムとは一線を画したものになるから、オリジナル要素はより強くなる。
っつーかジョブシステムはひじょーに小説化しづらいだろう。アビリティとかもあるしな。
うまくやれればいいけど、できなければ目もあてられん糞作になることうけあい。
よくも悪くも人形劇チックだし、オリジナル要素の強さと既存の設定の尊重のバランスが要求される。
やりやすい点はキャラが少ない点。
恋愛要素…まあきめられんな。もしバツレナかバツファリかきめようものならこのスレマジで悲惨な状況に(ry

ちなみに一番やりやすいのはIVだと思う。俺はカイン好きなので辛いが。
っつーか別にVがいいならVでもいいからとにかく人集まれ。
俺小難しいこといってるけど正直なんでもいい。
>>82
すまんリロードしてなかった。
多分投票なんかよりもそれが一番てっとりばやいよ。
85 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/16 23:57 ID:owYfNIv7
FINAL FANTASY IV  プロローグ(1)

バロン王国が誇る飛空挺団『赤い翼』の帰還を知らせるラッパが鳴り響き、王城は俄に活気付いた。
中庭の発着場では、遥かミシディアの空から戻って来る五機の飛空挺を迎える入れるため、大勢の技師たちが所狭しと駆け回る。
屋内では女官たちや侍従らが、謁見の用意を整える。
騒々しく整えられた舞台の中央を歩み、暗黒騎士セシルは、玉座の前に進み出た。
「『赤い翼』師団長セシル、返命に参上いたしました」
「うむ。して、首尾はどうであった?」
「はっ。これを……」
セシルは、傍らに安置した赤絹の包みを王の前に差し出した。
老いたバロン王の筋の浮いた手が、もぎ取るようにそれを受け取り、幾重にも巻きついた布を、毟るように解いていく。
ほどなくその中心から、六角柱型の結晶体が先端をのぞかせた。
ただそれだけで、澄んだ蒼い輝きが玉座の間を照らす。
王は眩しそうに顔をしかめ、今回の遠征で最大の戦果を、赤絹で再び覆い隠した。
「間違いなく、水のクリスタル……
 大義であった。セシルよ。
 下がるがよい」
跪き、深々と頭を垂れたセシルにそれ以上の言葉をかけず、王自らが玉座を立つ。
赤絹の包みを、両手でしっかりと抱え込んで。
続いてセシルが、騎士としての礼儀を守り退出する。
無事に使命を果たした彼は、長旅を終えたばかりで疲れ果てていた。
──否、彼を疲労させたのは、旅路でも、まして王直々に命を下された栄誉の重さでもなかった。
魔道士の郷ミシディアから奪ってきた、水のクリスタル。
その輝きを包み隠したあの赤は、彼の指揮によって蹂躙された人々の血で、染め上げられているように思えてならなかった。
86k.w ◆Mc.k.w/a1A :04/08/16 23:57 ID:QOjs4lwR
祐巳はマリア像の前にいた。だが、それまでの記憶がなかった。
(あれ?私どうやってここにきたんだっけ)
あたりを見回すがなにも思い当たらない。
すると、後ろから声が聞こえた。

「お待ちなさい。」

祥子様っ!?そう思い振り返るとそこには大好きなお姉様・・・ではなく天敵、ロサ・ギガンティアが立っていた。
「へっへ〜祐巳ちゃん。祥子だと期待した?期待した?はっはっは。」
「も〜。やめてくださいロサギガンティア〜」
「おっと、タイがまがってるよ〜ん」
そういってロサ・ギガンティアは祐巳の背中に抱きついた。
「わああ〜」
「あいかわらず祐巳ちゃんは反応が面白いなぁ」
87k.w ◆Mc.k.w/a1A :04/08/16 23:59 ID:QOjs4lwR
アリアハン。もとはすべての国を治めていた大国である。
今日はここアリアハンで、ある者が魔王討伐の旅に出る日であった。
十数年前のあの日と同じように・・・

「ねえあなた。せめてあの子がもう少し大きくなるまで待てないの?」
巨体の男が答える。
「すまない、わかってくれ。俺は少しでも早く平和を取り戻したいんだ。」
彼の名はオルテガ。アリアハン一の強者と歌われる戦士である。
数年前突如現れた魔王バラモスによって、ネクロゴント周辺の小国や村が次々と滅んでいると聞き、勇敢な戦士は魔王を倒す決意をしたのであった。共無しで一人で行くと言う夫に妻は気が気でないらしい。
(家族と平和、どちらも大事だけど、もう少しいっしょに子供を育ててくれたっていいではないか。)
>>85
ああ、いいじゃない。全然いいよ。

ところでおせっかいかもしれないけれど、セリフ集。
ttp://members.at.infoseek.co.jp/nayuka_aaaa/wp/ff.html
理想はゲームをもっかいやり直すことだが。
>>86>>87はいったい何?
荒らし…かなあ?
91 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/17 11:22 ID:PyxecQmE
おお始まっとる!!
5のジョブチェンジは3と違ってストーリーの進行と実質関係ないから、
そんなにこだわらなくてもいいんじゃないだろうか。
とりあえず今は4に期待。
>>85乙!それと頑張れ!
自分かなり前に]を書いてたがティーダがスピラ来る前に挫折しますた_│ ̄│○
ここで続きを書くヤツがでるかでないかがこのスレの分かれ道
6なら自分も参加希望! 5は現在プレイ中なので見たい!読みたい! です。

で、個人的に思う6の進め方。>>83に加えて

・パーティー編成が自由な分(それは割り振りをあらかじめ決めて置いて)
 別視点からの物語を書けるという利点。
 例)「幻獣との和解」のイベントでは
    …Aサマサ上陸班でレオ殺害(実際にあったイベント。ロックセリスが固定)を
    …B帝国残留班で、帝国領脱出のイベント(エドガー、セッツァーが固定?を
 書いたりできるから。

というか、考察と並行して書いていきたいと言うのが自分の希望なんですが、こういうのは
如何でしょう? っていうか激しくやってみたい。
95 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/17 23:18 ID:yLdni3JH
お、>85結構好評だ。感激。
しかし俺はもともと遅筆な上、本命は7のほうなんで、そこんところよろしこ。
5や6も面白そうだし、表に出なかったエピソードも見てみたいので、誰か頑張ってくれ。

>88
d。マジ助かる。
そして、あんだけの長さで既にゲームと食い違っていたことに気付く…
ベイガン忘れてたよorz
FINAL FANTASY IV プロローグ(2)

玉座の間から立ち去るセシル。しかし、その寸前で彼は足を止めた。
暫くうつむき、何か躊躇うかのように身じろぎ一つしない。
「何をしておる。疾く下がらんか。」
バロン王の傍らで、直立不動の姿勢を堅持していた近衛兵長ベイガンが威圧するように口を開いた。

ガシャ。鎧が擦れる音が玉座の間に響く。セシルは振り返り、階上のバロン王を見据えていた。
漆黒の兜から覗く瞳には決意の色が見て取れる。

「陛下! 陛下は一体どういうおつもりなのです! 私は…」

「セシル隊長、言葉を慎め!」
ベイガンが声を荒げ、セシルの言葉を遮った。
「クリスタルは我がバロン国の繁栄の為に必要。それはお前も判っているだろう!
彼の魔導士らはクリスタルの秘密を知り過ぎた。放っておけば我がバロンの脅威ともなりかねん。」
「しかし、我々は誇り高き飛空艇団"赤い翼"! 無抵抗な魔導士から略奪するなど……やはり私には解せません!
皆、陛下に不審を抱いております!」

暫くの沈黙が、玉座の間を包む。


「お前をはじめとして、か?」
バロン王が沈黙を破り、セシルを睨めつける。

弾かれた様に姿勢を正すセシル。
「いえ、決してそのような……」
「私が何も知らぬとでも思っているのか? お前ほどの者が私を信頼してくれぬとはな。
 残念だがこれ以上お前に赤い翼を任せてはおけん! 今より飛空艇部隊長の任を解く! 」
FINAL FANTASY IV プロローグ(3)

「陛下!」
踵を返し、奥へ下がる王へセシルは追いすがる。
しかし、近衛兵のトライデントがその行く先を塞ぐ。
その姿を見ようともせず、バロン王は冷徹に言い放った。

「飛空挺部隊長の任に替わり、幻獣討伐の任に着け! それを終えるまで私の面前に立つことは許さん。下がれ!」

「陛下……!」
うなだれるセシル。

「お待ち下さい!」
そこに、青紫がかった甲冑を身に纏った青年が駆け込んできた。
バロン王は振り返り、彼を一瞥する。
「竜騎士団隊長、カインか。ふん、こ奴が気掛かりなら、お前もセシルと共に行くがいい!」
意にも介さず、再び彼らに背を向けるバロン王。

「陛下!」
「最早話すことなど無い。早々に立ち去るがいい。」
そう言い残すと、クリスタルを抱えたバロン王は玉座の奥へと姿を消した。

「陛下……」
セシルとカイン、二人の元騎士団長は、茫然とそこに立ち尽くすだけだった……。
5のストーリーまとめてあるサイトないですかね。
内容忘れてしまって
99 ◆XYZ.ReoI/2 :04/08/18 01:44 ID:lABWw9GJ
禿乙
続く人がいればいいんだが
101 ◆YFo8HFqYEU :04/08/18 18:24 ID:FT9pnQnc
FINAL FANTASY IV プロローグ(4)

「さぁ、もう出てください。」
残った近衛兵達がセシルとカインの前に立つ。
その表情には二人に対する哀れみの感情などはなく、淡々としたものだった。

突然、奥の扉が開く。
出てきたのは近衛兵人のリーダー、ベイガンである。
「セシル、カイン。陛下がお前たちに幻獣討伐の命を下された。
明朝、ミストの村までこの「ボムの指輪」を運ぶんだ。わかったな。」
ベイガンは薄い布で来るんだ指輪をセシルに渡すと、早々と奥の部屋へと戻っていった。

二人は謁見の間を出た。
「ベイガンめ。また陛下に媚を売っているのか。気に入らん。」
カインが悪態をつく。
「すまない。カイン、お前まで・・・。」
肩を落とすセシル。

「いいさ。俺は後悔はしていない。
それに幻獣討伐の任を果たせば、きっと陛下もお許しになる。また、赤い翼に戻ることが出来るさ。」
セシルを見て、カインが首を横に振った。
「気にするな。明日の準備は俺に任せて、今夜はゆっくり休め。」
102 ◆YFo8HFqYEU :04/08/18 18:29 ID:FT9pnQnc
FINAL FANTASY IV プロローグ(5)

「カイン・・・。」
セシルはもう一度カインに詫びた。
「気にするなと言っただろう。どうした?お前らしくもない。」
「僕は陛下の命令で暗黒剣を極めた・・・。でもそれは、バロンを守るためだ。
罪もない民から略奪をするためではなかったはずなのに。」
「そんなに自分をせめるな。」
見兼ねたかようにカインが言う。
「陛下にもお考えがあってのことなのだろう。」
「カイン。君が羨ましいよ。」
セシルは思わず本音を漏らした。
国のためといえども、負の力に走ってしまった自分は間違っていたと感じたのである。
「俺の父も竜騎士だった。
暗黒剣を極めれば、暗黒騎士と認められ階級もあがるだろうが、俺にはこっちの方が性に合う。
竜騎士でいれば、幼いころに死に別れた父をいつでも感じられる。そんなきがしてな・・・。」
カインは聞かなかった振りをして話す。
その気遣いに気づき、セシルは黙ってしまった。

「フッ」
カインが軽く微笑む。
「らしくない話をしてしまったな。ともかく、考えすぎるな。
お前がそんなんじゃ、こっちも張り合いがない。俺が一人で幻獣を倒してしまうぞ。」
その挑発的な一言に、セシルが思わず声を上げる。
「僕も負けはしない!」
セシルの顔は少し明るさを取り戻していた。
「明日は早い。早く休めよ。」
その表情を見て安心したのか、カインはそう言い残して広間の方へ行ってしまった。




しかし正直一番最初が一番よかったという印象がある
>>85か?確かに描写とかかなり丁寧だな。でもその後もすごく面白いよ。
106 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/20 00:51 ID:fTQnkE+C
FINAL FANTASY IV  プロローグ(6)

”準備は俺に任せて、今夜はゆっくり休め”
カインの厚意に甘え、西の塔に与えられた私室へ向かうセシルを、ひとりの女性が呼び止めた。
「セシル!」
彼が振り向くのを待たず、ローブの裾を軽くはためかせて、声の主はセシルに駆け寄った。繊細な顔立ちと、意志の強い瞳を併せ持つ、白魔道士ローザ。窓から差し込む夕陽を受けて、緩やかに波打つ髪が、彼女の名に相応しい色彩を帯びている。
「良かった、無事だったのね。
 あまり急な任務だったので、心配したわ」
「無事さ、僕らは…
 無抵抗な魔道士相手に、傷など負いはしない……」
「セシル!」
捻じ曲げた口の端から自嘲を溢れさせた暗黒騎士を、咎めるようにローザが叱咤する。
その口調は、あたかも母か姉のような労りに満ちていた。
──孤児であるセシルの記憶には、そのどちらも存在しない。
ただ、あえて任務の内容に触れなかった、ローザの優しさが嬉しかった。
だが今はその気遣いも、かえって彼の傷を浮き彫りにしてしまう。
彼女の励ましに、すぐに報いることは不可能だった。
「後で、あなたの部屋に行くわ……」
「ああ…」
「それじゃ」
軽く首を傾げて見を翻すローザを、セシルはぼんやりと見送った。
迫る夕闇の中で、長い渡り廊下を遠ざかる後姿が、白く浮かび上がる。
たなびくローブの先端が角の向こうに消え、向きを変えようとしたセシルは、彼自身がまとう鎧の一部に目を止めた。
漆黒に赤を映しこんだそれが、返り血のように見えてしまい、セシルは一瞬、立ち竦んだ。
トリップが違うとこは別人がやってるのかしら
禿禿乙期待sage

>>107
別人やろ。文体が違う。

そういえばさ、以前なんか懐かしくなってIVやろうとしたのよ
そしたらさ、セーブ画面にいかないでオープニングはじまりやがんの。
は?なんなんこれとか思ったけどさ、まあもう仕方ないよね。いったいどれだけの年月がたったやらわからんからなあ。
ミストの洞窟までやってやめたよ。
109 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/21 18:04 ID:3X3H8PJ6
今書いてるのは三人ぐらいかな?
寝る前に挨拶回りさせときたかったんで、連投になるがちょっと続き書いてみた。
最近魔物が増えてきたぞ、みたいな話、そういえばさせてないなあ…
110 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/21 18:06 ID:3X3H8PJ6
FINAL FANTASY IV  プロローグ(7)

「隊長!」
「セシル隊長!」
ローザと別れ、部屋に戻ろうとしたセシルを再び呼ぶ声は、彼の行く手、西翼の方から押し寄せてきた。
武装した兵士三人分の幅を持った階段から湧き出す、甲冑の群れ。
ついさっきまで部下だった、【赤い翼】の隊員だ。
よほど急いで駆けつけたのだろう、充分に鍛錬を積んだ彼らが、息を乱れさせている。
「…はぁはぁ……隊長……」
「本当なんですか…明日から、ミストに行かれると言うのは……」
「隊長が……団長の任を解かれたというのは!」
「ああ、その通りだ。
 ずいぶんと耳が早いな」
「何呑気なこと言ってるんですかっ!?」
「そうです!
 セシル隊長以外に、我ら【赤い翼】を束ねる者はいません!」
興奮しきった【赤い翼】の隊員たちは、声を潜めることをすっかり忘れているようだ。
──少なくともセシルの知る限り、バロン王は部下の進言も許さないような、狭量な人物ではない。
彼自身、今回の処遇は完全に予想外だったのだから、皆が驚くのも無理はない。
だが今となっては、どんな些細な内容であれ、王の采配に異を唱えるのは危険だと思わざるを得なかった。
このような城の一角で、不用意に話し込むのは賢明ではない。
「ここでは落ち着かないな。場所を変えよう。
 他の者は?」
詰め所です、との答えにうなずきを返し、セシルは彼らを誘った。
カインも許してくれるだろう。
まがりなりにも長の位置にあった彼が、突然に、隊を離れてしまうのだ。
きちんと事情を説明し──しばしの別れを告げる機会は、おそらく今しかないのだから。
111 ◆HHOM0Pr/qI :04/08/21 18:14 ID:3X3H8PJ6
FINAL FANTASY IV  プロローグ(8)

「来おったかー、セシル!」
兵に混じり、シド技師長の銅鑼声が、詰め所を訪れたセシルを迎えた。
奥の席で膝を崩し、沈んだ空気を跳ね除けるかのように、ジョッキをあおっている。
飛空挺の生みの親とも言えるシドが、この場所に顔を出すのは珍しいことではない。
『翼』の由縁たる天駆ける船を完成させ、整備を担う部下を育成し、さらなる性能の向上に心血を注ぐ。
彼が果たす役割は、飛空挺団という組織にとってある意味、指揮官よりも重要だ。
少々頑固だが面倒見がよく、実直な人柄もあって、目下からの敬意をよく集めている。
”騎士の代わりは大勢いるが、シド技師長はひとりしかいない”などと、軽口を叩く隊員は後を断たない。
「いろいろと言いたいこともあるが、まずはヒヨッコどもを大人しくさせるんじゃな。
 騒がしくてかなわん」
邪気のない悪態に、誰かが忍び笑いを洩らした。
「皆、もう聞いているようだが……
 本日陛下から、飛空挺団隊長の職を辞し、幻獣討伐の任に就くよう申し渡された。
 後任については、近日中に通達があると思う。急な話ですまない」
セシルが口をひらくと、詰め所を満たしていたざわめきが、霧のように引いていった。
重い沈黙の中、シドひとりが、素知らぬ顔で喉を鳴らす。
やがて気落ちした声が、詰め所の床を叩いた。
「……申し訳ありません。
 我々が、不平など洩らしたばかりに……」
「気にするな。間違ったことを言った訳じゃない」
”赤い翼も堕ちたもんですよ!”
”なんと後味の悪い任務なんでしょう……”
クリスタルを奪ってバロンへ戻る道中、疑問の声を耳にするたび、セシルは彼らをたしなめた。
それが隊長としての務めであり、何より彼は、王を信頼していた。……していたがっていた。
だがやはり、内心は同じ思いでいたことを、部下たちは承知している。
誰もが抱いていたやりきれなさと、原因となる命令を下した王への不審。
その代償を、セシルひとりに負わせてしまったように感じているのだ。
これ以上、彼らを不安にさせてはいけない。
「陛下もいずれ、お心の内を明かしてくださるだろう。それまでの辛抱だ」
セシルはあえて楽観的に、自分自身を含めた全員に言い聞かせた。
112名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/25 01:58 ID:RtYtH6TJ
ヨンダヨー
ここまでだいぶいい感じじゃん?続く人がいればねえ
期待age
1〜6くらいまで、かろうじて7くらいまではキチンとしたテキストもないので
やっぱテキスト情報量の少ない初期中期FFの方がノベライズしやすいね。
新参者 フラリと立ち寄ったがなかなか気に入ったがんがれ

自分はZ〜しかプレイしたこと無いんだ
115短編「魔列車」:04/08/28 15:54 ID:93FbjqJR
 薄暗い森の中を歩いていくと、深淵の闇の中には不釣合いな小さな駅があった。
彼女はその小さな駅のプラットホームをただ歩いていく。
少し歩くと、ベンチに初老の男性が座っているのが見えた。
「ん?」
 こちらに気づいたようだが、彼女は人見知りな性格もあってか近づくだけで話しかけようとはしなかった。
が、その男性は彼女に話しかけてきた。
「やあ、君も列車に乗るのかい?」
 優しい口調で話しかけてきた男性に少し気持ちが和らぎ、静かに口を開く。
「はい、森で迷ってしまって。次の列車は何時来ますか?」
「迷った?」
 その口調はどこか訝しがっているように思えた。
「森に入って帰ろうとしたら目印を見失ってしまって―――
でも、こんなところに駅があるなんて思いませんでした。
次の列車で、街にでようかと思います廃駅かとも思いましたけど」
 話し終わるや否や、その男性はゆっくりと立ち上がり、彼女の手を握った。
少しビックリして腰を引き後ずさりしたが、彼はすぐに手を離した。
「すまないね。いや、どうやら違うみたいだ。私と同じだな」
 何を言っているのか分からぬうちに、男性はまたベンチにこしかける。
116短編「魔列車」:04/08/28 15:55 ID:93FbjqJR
「あの―――」
「君は一人で来たのかい?」
「え?あ、はい」
「何故こんな森に一人で来たんだい?」
 先程と同じように優しい口調で話しかけてくる男性に、彼女は少しだが警戒心が下がるのを覚えた。
「この森の、湖に来たかったんです。湖畔で休むと気が休まりますから。懐かしい感じがするんです。
まだ行ったことはないけど、故郷の空気が感じられるようで。薄暗くて不気味ですけど、とても綺麗な森ですし。
本当は森にはあまり良い思い出が無いんですけど、でも、どうしても来たくなることがあるんです」
「そうかい。でもね、ここは廃駅だよ」
「え?」
 彼女は訝った。
急に話を変えられたようなせいもあるが、その唐突な発言の意味が分からなかった。
何故廃駅に人がいるのか、目の前にいる男性はどう見ても迷っているようには見えなかったからだ。
「もうじき列車が来るのは確かだがね。私は、妻を待っているんだよ。
君は列車に乗らない方がいい、街には続いていない。この森は、心配しなくてもすぐに出られる」
 やはり意味が分からなかったが、彼女は仕方なく彼の隣に腰掛けて話を聞くことにした。
117短編「魔列車」:04/08/28 15:57 ID:93FbjqJR
「ここにたどり着くことが出来るのは、迷った者か、望んで立ち寄る者だけだ」
 よくは分からなかったが、さっきよりは多少意味が分かった。
「貴方はどちらなのですか?」
「私は望んで来た者だよ」
「奥さんを迎える為に?」
「いや、見送る為に来たんだ」
 また少し不思議に思い尋ねる。
「どうして一緒に来られなかったのですか?」
「妻はもう列車に乗っているよ。前の駅でね。ここにはただ立ち寄るだけだ」
「奥さんは御旅行ですか?」
「ああ、長い旅行に出るんだよ。その間は連絡も取れないからね。だからこうして見送りに来ている」
「貴方は一緒に乗られないのですか?」
「切符がないからね、乗れないんだよ。無理矢理乗っても車掌に追い出される。
乗る方法はあるんだがね、それをすると、私はもう妻には会えなくなる。私はただ、その時が来るまで待ち続けなくてはならない」
118短編「魔列車」:04/08/28 15:58 ID:93FbjqJR
 考えられることはいくつかあった。
切符が高いのか、それとも何かの理由で配布されるのを待っているのか、何年かしたら行く約束でもしているのか。
いずれにせよ、彼女はそれ以上聞き返すことを止めた。
「君はもう行くといい。もし大事な人を失ったら、またこの森にくればいい。
きっと会えるだろう。だが絶対に一緒に行こうとは思うな。もう会えなくなってしまうからな」
 最後まで何を言っているのか分からなかったが、彼女は男性の言葉に従いベンチから立ち上がった。
 男性はだが、静かに言い放った。
「本当は君も、望んでここに来たのかも知れないな」
 彼女はただ聞き返すだけだった。
「じゃあ、どうすれば森から出られますか?」
「帰りたい、そう思えば出られるよ。とりあえず線路沿いに歩くのは止めなさい。ここから離れるように進めば出られる」
 彼女は男性の言うとおり歩いて行った。
振り返ると、薄暗い森の中にまるでその駅が闇を放っているかのようにたたずんでいた。
そこにはただ、太陽の光さえ遮っている漆黒の闇があった。
119名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/28 21:08 ID:SfbX1lP6
久々に上げてみよう。
>>115>>118
イイ! FF6の内容ほとんど忘れちゃったけど、すんなり読めるし、なんだか心にズシンと来た。

FF4の方もすごい上手いし、続きが気になります。応援してまっす
>>120
魔列車とはあの世へと続いている列車。
死者だけが乗ることが出来る。
少女の方は察するにティナだね。
>>115-118
面白かった。自分はマドリーヌかと思っちまった。幻獣界逝く前か、
ガストラによってティナと共に拉致された後の話とか。


FF4も未プレイだけど面白く読ませて貰ってます。
123RLYat2ch:04/09/02 22:20 ID:EizS+B/x
こういう短編がちょこちょこ入ってくるのもいいね。
ところで誰か、そろそろIVの続き書いてくれないかな…
124 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/02 23:29 ID:7wjpTgIn
しまった先頭に#付けるの忘れた……orz
トリップ変えるか
125名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/03 01:23 ID:KGkV+m+6
サルベージ

>>124
いまさらなんだが、そのトリップはホモ?
126名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/03 20:14 ID:AMJQdENE
魔列車は機関車トーマスの死後の姿です。
4の続き読みたい。自分が書いてもいいんだけど
ストーリーの細かい所覚えてないから無理だ。
今書こうとしたら全然駄目だった。
>>127
>>88みても思い出さないか?
思いだせないぜ
>>129
常駐スレがわかってしまう口調だw
現行は何が進んでるの?
4だけ?
俺は長いこと書くの嫌だから短編のみしか書かないけど。
しかし改めて見返すと粗がよく分かるな。
トーシロの俺じゃこんなもんか。
132名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/10 23:29:51 ID:69hPEaR2
保守
133名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/11 15:14:18 ID:rS5G52WK
保守してる人がいるってことは、見てる人もいるんだな
134 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/12 02:36:01 ID:jp6hg3rE
あまりにも続きが来ないんで書いてみた。
そーいや原作から展開ずれてたしな。なんとか今回で戻してみる。

>125
ウ ホ ッ、い い ト リ ッ プ
……いや、Mの後ろはゼロだから。
他はともかく、カイン出てくる4で振るには微妙なネタ
135 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/12 02:39:03 ID:jp6hg3rE
FINAL FANTASY IV  プロローグ(9)

兵たちとの話し合いを終えたセシルを捕まえ、苦笑する彼の前にむりやり杯を押しやると、おもむろにシドは口を開いた。
「ところで、魔物が出たと言っとったが……わしの可愛い飛空挺は無事か?」
「魔法具を使ったから、損傷はないよ。そちらは?」
「ああ、二度ほどこっちにもちょっかいをかけて来おった。
 留守番をしとった連中が懲らしめたようだが、おかげで船がボロボロだ。
 お前の部下は荒っぽくていかん。よく言っておけ」
本気で文句をつけるなら、セシルではなく後任の隊長に言うだろう。これは、早く元の地位に戻って来い、というシドなりの励ましなのだ。
だがそれにしても、バロンのほうでも魔物が現れたという、彼の言葉は気にかかった。
周囲のほとんどを壁で囲った街でもっとも恐ろしいのは、空を飛んで直接襲ってくる魔物たちだ。【赤い翼】の結成により、上空への備えは文字どおり、飛躍的に強化された。以前は追い払うことに主眼を置いていたが、深追いして止めを刺すことが可能になったのだ。
……だが、狩っても狩っても、襲撃は一向に減らない。むしろ、徐々に増えつつある。
バロン王も事態を放置してはいない。既に次の準備を始めている。だが。
「陛下は新型の飛空挺を作れとおっしゃるが……
 わしは飛空挺を、人殺しの道具になんぞしたくないんじゃ!
 町の者も不思議がっておる……」
セシルの憂いを読み取ったかのように、シドが深く息をついた。
誇り高い真紅の翼は、多くの民をその下に庇ってきた。空行く船を見上げる眼差しは、信頼と憧憬から、いつか恐怖に変わってしまうのだろうか。今回の遠征が、その先触れとなるのかもしれない。
136 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/12 02:41:56 ID:jp6hg3rE
FINAL FANTASY IV  プロローグ(10)

「……ええい、ここでクヨクヨしても始まらん!
 わしは家に帰るぞ。最近詰めっぱなしで、娘がうるさくてな!
 セシル、お前も悩んでばっかりいるんじゃないぞ!
 若い者がそれではいかん!ローザも心配しとったぞ!
 ローザを泣かセたら、このわしが許さんからな!」
我慢の限界だと言わんばかりに、唐突にシドが怒鳴りだした。興奮すると彼は早口になる。立ち上がった拍子に椅子を蹴飛ばし、無意味に力強い足取りで、技師長は詰め所から出て行った。
何事かと驚いていた隊員たちが、セシルに視線を移し、苦笑する元隊長に同じ表情を返す。
シド=ポレンディーナ技師長は、実に気持ちのいい人物だ。しかし彼の相手をしていて、ときどき疲れてしまうのは、セシルだけではないようだ。
室内の2/3が仲良く肩をすくめたところで、問題の人物がひょっこりと戻ってきた。
「ともかく気をつけてな!
 幻獣など、お前の暗黒剣で一撃じゃ!」
それだけ言い残して、さっさと首を引っ込める。顔中真っ赤になっていたが、かなり飲んでいたわりに、遠ざかっていく足音は危なげがない。
口をつけぬままの杯を置いて、セシルも席を立った。
「……そろそろ、僕も戻ることにする。
 皆、元気で」
「はい、お疲れ様です」
「早く戻ってきてくださいよ!」
入口で一度向きを変え、全員に敬礼を送るセシル。
それを見送る隊員たちは、彼が階段の上に消えるまで、姿勢を崩すことはなかった。
137名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/14 00:47:34 ID:XrljrKAB
乙! よく頑張った! 感動した!
138名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/17 21:23:43 ID:mZLIzY8T
仕方ない。
また適当に短編書くか。
ってことで保守。
139名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/17 22:06:05 ID:8P7wCG/H
このスレッドはここと関係あるんですか?

かなりまじめにFFをノベライズしてみる。
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1091624036/
140名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/17 22:07:30 ID:8P7wCG/H
>>139
失礼しました。
千一夜スレッドと間違えました。
141名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/17 22:47:05 ID:cJ00R4Pj
どこをどうして千一夜スレと関係あるのか…
あそこは18禁だし。今はどうなのかしらんけど…
142名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/17 23:14:10 ID:3v6smQej
>134-136
グッジョブ!!
143名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/19 21:01:23 ID:UswS1RTK
>>138
マダ〜?チンチン
144名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/19 23:52:58 ID:NFK8N7t6
自分でかきなはれ
145名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 01:27:18 ID:VikeokYj
FINAL FANTASY IV  プロローグ(10)

隊員たちとの餞別もすみ、なお複雑な思いが交錯しながらもセシルは自室へと向かった。
「セシル隊長」
ふと誰かに呼び止められ振り返ると、そこにはまだ少女のあどけなさが残るメイドが心配そうにセシルの方を見ていた。
「どうしたんだい?」
「いえ、その…ベッドのシーツを、取り替えておきました」
「そうか、ありがとう」
セシルがそう答えると少女はかすかに頬を赤らめ、うつむいて視線をせわしなく動かした後にふうっと息をついた。
「明朝、出発なさるそうですね…どうか…今夜はゆっくりおやすみ下さい」
そういうと逃げるように立ち去っていき、少女を見送ったセシルは、「ありがとう」と呟いた。

自室に入ると、張り詰めていた空気がすっと落ち着いた。
先までの喧噪が嘘のようで、辺りには時計の音より他は何も聞こえなかった。
ただ、時々誰かの叫ぶような声を感じた。
そして、ミシディアで聞いた悲鳴を思い出した。

気がつくと、窓からはいつの間にか星が見えていた。
時計をちらりと見て、セシルはベッドに潜り込んだ。
時計の音は辺りの静けさと反比例して、機械的な音がセシルの中に刻まれていく。
「陛下は…どうされたのだ?以前はナイトとしても名をはせ優しく強い御方だった。孤児の僕やカインを自分の子供のように育ててくれた…」
セシルはぎゅっと目をつぶり、下唇を噛み締めながら、かちんかちんという音といっしょに魔導師たちの叫びを聞いた。
「ミシディアのクリスタル…無抵抗な村人から奪ってまで手に入れなければならぬ程の物なのか……命令とは言え…!」
それは何かを吐き出すかのように見え、時計の音は消えていた。
その代わりに透き通った女性の声を聞いた。自分の名前を呼んでいるようだった。足音が、少しずつ大きくなってくる。
セシルは壁の方へと寝返りをうった。
146名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 01:29:13 ID:VikeokYj
FINAL FANTASY IV  プロローグ(10)

「セシル…」
また、名前を呼ばれた。心配するような、心を覗き込むような…
「急にミシディアへ行ったかと思えば幻獣の討伐に行くなんて。それに戻ってきてから、様子が変よ…」
しばらくの沈黙の後に、「なんでもないよ、ローザ」と押し殺した声が聞こえた。
「だったら、こっちを向いて」
「ローザ…」
肌の柔らかい感触を感じた。すべてを包容するような、冷え切った手を暖めるような。
「僕は…僕はミシディアで、罪もない人々からクリスタルを!この暗黒騎士の姿同様、僕の…僕の心も!」
「…あなたはそんな人じゃないわ」
「僕は陛下には逆らえない臆病な暗黒騎士さ」
「赤い翼のセシルはそんな弱音は吐かないはずよ!」
間髪いれずにローザが叫んだ。そして今度はゆっくりと、静かに言った。
「そんなこと、いわないはずよ」
「私の好きなセシルは…」
セシルは手にぎゅっと力が込められるのを感じた。暖かい。
ここで初めて、セシルは振り返ってローザに目を合わせた。
「セシルの顔、久しぶりに見たわ」
「僕も、久しぶりに君の顔を見たよ」
しばらく見つめ合ったまま、二人は動かなかった。
「明朝ミストに行く。もう遅いから、君も休むんだ」
「うん…。ねえセシル、私、あなたにもしものことがあったら」
「だいじょうぶさ。カインも一緒なんだからね。さあ、もう心配入らないから…」
「気をつけてね」
その言葉を後に、セシルは体温が下がるのを知った。足跡が遠のいていき、やがてかちんかちんと、例の規則的な音だけが聞こえてきた。
「ありがとうローザ。だが僕は暗黒騎士。きみとは…」

夜は、長かった。
147名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 01:30:07 ID:VikeokYj
FINAL FANTASY IV  プロローグ(12)

翌朝、窓から暖かい光がセシルの体を照らした。
城門でカインと落ち合い、軽く会話を交わすと城門が開かれた。
「さて、行こうか。当てにしてるぜ、カイン」
「フッ、任せておけ」
「城下町のほうで軽く買い物を済ませよう。それなりに時間はかかりそうだから、テントなんかも必要だろうしね」
「そうだな。しかしな…それなりの時間、か」
なんとなく、カインには予感があった。
それはセシルが帰ってきたときから?
それとも王に幻獣討伐を命じられたときから?
わからない、しかし、何かを感じていた。

「カイン、どうしたんだい」
「いや…なんでもない。行くか、セシル」
「ああ、行こう!」



かくして飛空艇団赤い翼の部隊長であった暗黒騎士セシルは
その座を剥奪され竜騎士部隊長カインとともに
辺境の村ミストをめざし霧深くたち込める谷へとバロン城を後にした。
人々の夢であった天駆ける船、飛空艇。
しかし飛空艇の機動力は同時に邪悪な欲望を満たす手段になりえた。
飛空艇団赤い翼の存在により世界最強の軍事力を持つバロンはなぜクリスタルを求めたのか…
またあまたの魔物が白日の元に姿を現わし始めたのか… 
クリスタルはただ静かにその光をたたえていた…
あたかも全てを知っているかのように…


プロローグ 終
148 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/20 01:44:11 ID:kQ0YBvCi
>145-147
ついにプロローグ終了か。ようやくここまで来たな。
禿乙!でもってグッジョブ!
番号ズレまくってるが。

人集めも兼ねて記念age
149名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 01:45:24 ID:M41QJ3ej
GJ!
150名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 01:57:33 ID:/QyFY0bV
ストーリーを最初から完全小説化って、どれだけの量になるんだろ?
20〜30スレを長文で埋めつくして、ようやく完結するくらい?
数年単位の話になりそう
151名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 02:34:34 ID:g7l42yG+
ノベライズ化の労力といったら
井上敏樹は仮面ライダー555の小説(約240ページ)を
ちょうど二週間で終わらせたそうな、本業である脚本家としての仕事もこなしながら
だから数年とはいかないんじゃないの?
152名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 02:37:38 ID:M41QJ3ej
>>151
あのねえ・・・それはお仕事でしょ?
153名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 03:10:49 ID:h2k95B7d
どれだけの人が書くかによるな
プロローグだけで13レス使ったってことは、やっぱり1000レスくらいは覚悟したほうがいいだろうな
たとえ一日1レスできても三年かかるが
というか戦闘描写とかどうすりゃいいんだ。ゲームのノベライズものって読んだことないからなあ
ゲームブックならあるが
154名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 04:26:28 ID:VtNazRkA
オリジナルのFFノベルをやりたいんだけどそういうスレはない?
155名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 06:23:42 ID:GjIHDgOk
>>154
自分で立てちまえば?どうせすぐ落ちるだろ
156名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 07:18:44 ID:wS3RBcqx
良スレハケーン
157 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/20 12:32:47 ID:kQ0YBvCi
>150
完結するまでの総量ねぇ……見当もつかん。
スルー可能なイベントの取り入れ方や、書き込みの度合いによってかなり変動するだろうし。
参考までに書いとくと、俺個人でやってるFF7は今htmlにして合計200KBちょっとあるんだが、
そんでようやくプレートが落下したところ。
期間については、>153も書いてるように参加人数によるだろうから、もっとわからん。

ちょうど話出たんで提案するけど、この調子で本編を通し番号でやったらかなり凄い数字になると思われ。
いくつかの章に分けたほうが、読むにも書くにもやりやすいと思う。サイドエピソードつけるにも便利だし。
区切る場所とか、サブタイトル(いままで『プロローグ』と入ってた所にでもつける場合)案とかについて皆様の御意見キボンヌ
158名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 14:33:36 ID:mnpVBq/y
んじゃさっさと決めるか。案だすぞ。
ぶっちゃけどこで区切るかは微妙。長さで考えたほうがいいかもしれん。
何か大きなイベントが起きるか、ボスを倒すまであたりずつくらいでちょうどいいか?
だいたい20〜30レスずつくらいになるんじゃないかな。


一章 ミストの村でカインとはぐれるまで(セシルがバロンを離れる決意をする)
二章 ダムシアンでギルバートが加わるまで(赤い翼の襲撃、テラとの別れ)
三章 カイポローザが加わるまで
四章 ファブール城に着くまで
五章 ファブールのクリスタルが奪われるまで(カインとの一騎打ち)
六章 リバイアさん出現まで(仲間との別れ)←ここはかなりいれるべき区切り

七章 試練の山に行くまで(暗黒騎士と決別せよといわれる)
八章 パラディンとなってミシディアに戻るまで(相当長引きそう)

九章 バロン侵入まで
十章 エンタープライズ発進まで(パロポロ石化、カインがローザを人質に)

十一章 トロイアでギルバートに出会うまで
十二章 磁力の洞窟〜赤い翼との接触まで
十三章 ゾットの塔のメーガス三姉妹まで
十四章 カインが再び仲間になり、バルバリシアを倒すまで(ゾットの塔脱出)
十五章 地底世界に行くまで
159名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 14:36:41 ID:mnpVBq/y
とりあえずここまで。ここでだいたい半分のはずだから、このペースでやるなら30章前後でおさまるかな?
まあでもざっとわけただけだから、進めながら臨機応変にやっていけばいいんじゃないかな。
ってか、章タイトルのほか、細かく場面ごとにサブタイトルってわけたほうがいいんじゃない?
サブタイトルごとに一人で書ききるっていう前提で。
ただ、長引くのは何回かわけなきゃだめだろうけど。
こんな感じ。

七章 バロンの攻防-17-
水のカイナッツォ3-氷の鎧-

章タイトルいらん気もするけどね。シーン毎のサブタイだけでいいかも。

番号もレスごとにふるんじゃなくて区切りことにふったほうがよさげ。1レスだけの中途半端なのとか繋げづらいし。
プロローグだったら、
>>85>>96-97>>101-102>>106>>110-111>>135-136>>145-147くらいを一人ずつ書いて、五回、と。。
13回とかレスで数えると膨大になるし、あとでまとめるときにやりづらいかと。

あと当たり前だけど、セリフのそのままの引用ってそればっかだとおもしろくないんだよな。
展開も全部原作の順序通りにする必要もないし、付け加えてもいいしとばしてもいいはず。
160 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/20 18:54:09 ID:kQ0YBvCi
>158-159
即レスd!
もう少し大雑把なのを想像してたが、区切りは大体そんな感じで俺もいいと思う。
>六章 リバイアさん出現まで(仲間との別れ)←ここはかなりいれるべき区切り
バロン城開放(スタート地点に戻って一区切り&カインの裏切り発覚)
地底世界へ(闇のクリスタルの存在が判明)
もかなり大きな区切りだな。
本で言うなら、一冊が終わったぐらいの盛り上がりが欲しいところ。
しかし
>サブタイトルごとに一人で書ききるっていう前提で。
これは逆にサブタイの乱立しかねない諸刃の剣。素人な漏れらにはお勧めしないでくれ。
ある程度まとまった長さで書かなきゃならない、って前提だと、参加人数減りそうだし。
161名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 19:21:31 ID:h2k95B7d
それなら章自体おもいきり大きくわけて、あとは場面ごとに節という風にしたらいい
節わけだと多分>>158-159の三倍くらいになりそう。100くらいか…
章タイトルととおし番号はいらんな
162名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 20:57:50 ID:o6wn4ycy
>>143
思いつかないのでパクリっつーかパロディでもいいw?
163143:04/09/20 22:04:48 ID:hJCzCHnS
別にいいよ。
あと俺も質問したいんだけど、FFをモチーフにしたオリジナルの話とかは
どこでやればいいのかな?
164名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 23:18:49 ID:RTqjjiAL
オリジナルっていうのがどういうのかは分からないど
書くならこの辺?

FF・DQ千一夜物語  第五百五十夜
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1090908492/

FFの恋する小説スレPart3
http://game8.2ch.net/test/read.cgi/ff/1073751654/

あとは、作品とかキャラ単体で立ってるスレに書くとか。
オリジナル色が強い場合は微妙なこともあるか…。
165名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/20 23:31:32 ID:SbvhhxXa
ありがとう。でも俺のやろうとしてるのはパロディ色がほとんどない・・・
やっぱり新スレ立てて叩かれまくるしかないのか・・・
166名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/21 18:43:23 ID:Qcp0/8Dw
>>165
お前スレ立てただろ?ちょっとはおもしろいかと期待したが、がっかりだよ。
167名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/21 19:17:41 ID:/7y1Pg/t
>>163
長ったらしく書かなければここでもいいと思うよ。
俺も短編書いた時怒られるかなと思ったが割と普通の反応だったし。
でも人少ないなさすがに。
最初にこのスレ発見したときノベライズにしてもらおうぜってスレかと思ってたが
実は自分らで書き連ねるスレだったからな。
168 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/21 23:21:26 ID:6KSZbI+W
>161
ん〜、じゃ、何章何節 節タイトル(つける場合) 〜話 みたいな感じかな?
節の分け方は、ストーリーの流れと雰囲気でその場で決めても、そんなに外したりはしないだろうから。
できれば長さも揃えたいから、番号はやっぱ1レスごとにつけたい。
そしたら、だいたいの文章量は番号見ればわかる。
その場合、まとめる時にどう大変なのか、いまいちピンと来ないし。やったことないから。

ぶっちゃけ俺、サブタイ誰かに考えてほしかったんだよな。
数字だけじゃ間違えやすいし味気ない。でも自分でつけるのめんどくさいし。
どうせなら文章書いた経験ない人も気軽に手を出せる部分をつくって、参加人数を増やせないか、という魂胆もある。

>165
新規スレ見たぞ。そっちもがんがれ。
169名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/21 23:52:01 ID:y4BnIKRs
まとめるというより編集作業だが、番号は特に支障ないと思われる。
まあといって別に文章量把握する必要もないように思うが。
どうせやるならプロローグから全部通したらいい。やっぱ1000くらいになるのかな。見物。

というかまず編集するのが必要になるくらい進めなきゃ話になんない罠。

概形できたんならはやくやろう
何章何節 節タイトル(つける場合) 〜話
170 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/25 02:25:46 ID:U9pk8aWi
>168
> というかまず編集するのが必要になるくらい進めなきゃ話になんない罠。
ごもっとも(w
というわけでとりあえず本編再開だ。っても、ミストの洞窟についたところまでだけど。
上の雛型に加えて、章番号の前に全体の通し番号もつけることにした。ナンバリングは1レス単位。
やっぱ、一節ごとに極端に長さが違うってのはなるべく避けたい。<文章量把握
サブタイは適当につけたから、しばらくこれで続けるか新しくつけるかは、続き書く人に任せた。
171 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/25 02:27:57 ID:U9pk8aWi
FINAL FANTASY IV #0014 1章 1節 闇と霧の邂逅(1)

バロンの北西、ミストの村への道程は、山脈に遮られてはいるものの、しばらくはなだらかな平野が続いている。見晴らしの良い草原のただなかで、セシルとカインは、6体からなるゴブリンの群と対峙していた。
「やれやれ、またか。やはり最近、なにかがおかしい」
この卑小な妖魔に出くわすのは、バロンを出てから早くもこれで4度目である。
魔物としてはもっとも弱い部類に入り、セシルたちにとっては、苦もなく一撃で葬ることのできる相手だが、こうも頻繁に出てこられては、さすがに鬱陶しい。
それにこの程度の、物陰にでも潜んでいるべき小物までが、白昼に数多く徘徊しているというのも──あまり良い兆候ではない。
「一ヶ所に固まっているな。僕が片付けよう」
相棒の応答を待たず、セシルは剣を抜き放った。漆黒の刀身をかざし、その先端に意識の焦点を合わせる。
剣に染み付いた闇が、周囲の空間をも侵蝕する手応えを得て、セシルは一気に刃を振り下ろした。巻き起こった黒い風が彼の生命の一部を喰らい、仮初めの意志を得てゴブリンたちに踊りかかる。
悲鳴。飛び吊る体液。そして、断末魔。
斬撃を経て殺気を衝撃波へと変化させ、広範囲の敵を切り刻む──暗黒剣を極めた者のみが放つ奥義である。
「こんな雑魚にいちいち奥の手を使っていては、ミストまで保たんぞ?」
「いい加減、僕もうんざりしてるからね。
 次はお前に任せるさ」
「フッ、いい心がけだ」
カインと冗談を交わしつつ、敵に触れることのなかった剣を鞘へと戻すセシル。だがその額には汗が浮いている。人間が負の力を操ることの代償だ。
こころなしか、普段よりも疲労が重く感じられるのは、己の技に対する迷いのせいか。
172 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/25 02:34:15 ID:U9pk8aWi
FINAL FANTASY IV #0015 1章 1節 闇と霧の邂逅(2)

徐々に立ち込めていた霧が、山裾の川を越えるた途端に濃くなった。緑の乏しい傾斜面の一角に、巨人が切り欠いたかのような絶壁がそびえている。灰白色の壁のほぼ中央、足元の道とが交わる箇所だけがごっそりと抉れ、粘性の低い闇を湛えていた。
ミストの大鍾窟。バロン平野とダムシアン砂漠を隔てる山脈を貫く、唯一の道である。
古くから山向こうへの抜け道として重宝されてきたが、その最奥を極めたという記録はない。人知を超えた造形の妙と、常に湧き出し続ける霧のため、幻獣界や冥府に通じているとも信じられてきた。
しかしセシルもカインも、実際にこの洞窟を利用するのは今回が初めてである。近年、やはり魔物が増えているという内部に足を踏み入れ、まず暗闇に目を慣らした。ただでさえ幻獣の居場所は掴めていないというのに、充分に視界の効かないまま動き回る訳にいかない。
瞬きを繰り返すうちに見えてきた光景は──それこそ、この世のものとも思われなかった。
「……凄い」
「ああ。話には聞いていたが、これほどとは……」
小屋ほどの面積をもつ巨大な円盤が、互いに重なり合いながら見渡す限り敷き詰められている。一枚の厚みは、およそ成人男性の半分ほど。せせらぎの音が幾重にも反響し、ひんやりと湿った空気は白く濁っている。
片や竜騎士、片や元飛空挺団の隊長、いずれも天空を自在に飛び回るのが本懐である戦士たちは、初めて目にする地底の光景に、声もなく見入っていた。
どちらからということもなく、再び足を動かし始めるで、どれほどの間があっただろうか。
霧に濡れた足場を気遣いながら歩を続ける彼らの耳に、『その声』は囁きかけてきた。
173 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/25 15:28:04 ID:8rrXDGMU
あ、レス番間違えてる。
170は>169宛ですた
174名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 19:40:22 ID:f5cUuEIb
GJ!
…でも、バロンの町はいかないでよかったのかな?
175 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/25 22:35:02 ID:1TDNosQ+
必要な準備は昨夜カインがしてたはず……というのは冗談で、本当は寄ったんだと思いますが、テンポ悪くなりそうなのでカットしました。
あの勇壮なオープニングの直後に、また町中でマターリしているのは個人的に美しくないと思う。
何か入れたい伏線などありましたら、回想シーンということでお願いします。

ちなみに白状すると、自分初プレイの時は素でバロンの町スルーしました。
FF自体が初めてだったもんで、城と一緒だと思っていた……。orz
176名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 22:42:06 ID:tPpzOJ4z
>>147で町に寄ろうって書いてるからいってないことはないだろう
まあ描写しなくても特に問題はないとは思うが、
ローザの母と会ったりとか町の人のセシルたちへの評価みたいなのはいれておきたかった気もする
177 ◆HHOM0Pr/qI :04/09/26 00:00:47 ID:DcKGLJZg
>176
暗黒騎士が(ってかセシル個人も)恐怖の対象である、て描写は確かにあったほうがよさげだな。
でも漏れ力尽きたからしばらく引っ込む。
誰かヨロ。
178名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/01 23:28:09 ID:lnpD5mXm
保守。
ここまだ見てるひといるのかな…
179名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/02 15:06:22 ID:6rWVDAsA
みてはいるが。
18016:04/10/04 20:57:02 ID:/DgxB9YB
1章 1節 闇と霧の邂逅(3)


そのとき、女性の透き通るような声で、「引き返しなさい」と聞いた。
セシルは霧の中に何者かと叫び問うたが、何の返事も得られなかった。
セシルはカインの方を見ると、カインは肩をすくめて歩き出した。

セシルたちの通るミストの洞窟は霧深く閉ざされており、
中に入ったものは寸分先を見るのにも神経がいるほどであった。
その怪しげな空気が邪なものを引き寄せるのか、内部には地上よりも多くの魔物が潜んでいる。
そうはいっても軍事国家バロンが誇る赤い翼、竜騎士団の隊長ともなれば、
どんなに群れてかかってきてもまだまだ役不足な相手であった。
そこでセシルたちは別段どうということもなく現れる魔物を切り伏せ突き進んでいったが、
何しろ先に述べたように霧が深く、少しの油断がどんな危険に繋がるかわからないという状況である。
魔物どもはこのような劣悪な環境に慣れているのか、視界の不利は力の差を少しは縮めていた。
それが決定的なものになるほどではなかったにせよ、
特に巨大な蛾のようなこの洞窟特有の魔物、インセクタスの存在はセシルたちを驚かせた。
もっとも、決して強いということはなく、地上にいるハリネズミのようなソードラットなどのほうがまだいくらか手強いだろうが、
やはり霧という特殊な状況がことさらにインセクタスにとっては有利なものであった。
18117:04/10/04 20:58:52 ID:/DgxB9YB
「カイン、こっちであってるのかな?」
「さあな。なにせこう霧が深いとな…」
不安げに口を開いたのはセシルであった。
それに答えるカインの口調もまた少し不安げであった。
なにしろ、同じところをぐるぐると回っているような感覚が二人の間にはあった。
視界すら頼りにならぬ状況である今、セシルたちは己の感覚を信じるより他なく、
ただどこからか感じる大きな気配にむかってひたすら歩くのみなのだ。
そのような不安が二人に影を落としてしばらく、代わり映えのない呆れるほど真っ白な光景に変化がおとずれた。
二人はあたりにびりびりと凄まじい殺気を感じ、思わず足をとめて辺りの様子を窺ったが、
霧はただ深まるばかりで何もわからず、いや、霧の深まりを感じ取り、身を強張らせて剣と槍を構えた。

「すぐに立ち去りなさい」

それは入り口付近で聞いた声と同じであったが、語気は鋭くなっており、なによりも周囲の空気が違っていた。
しかし、その声のあとは再び静寂が二人を包み、張り詰めていた空気も穴があいたように和らいだ。
「幻獣、じゃないか?今の声は…」
カインがいうと、セシルは「そうかもしれない」といい、眉間に皺をよせて再度足を前に踏み出した。

「やはりいくのか?」
「…そのためにきたんだ」
「そうだな…。しかし、嫌な予感がするぜ」
自分たちが感じていた大きな気配に何かしら推測がつき、自分たちの進む方向に確信を持ち始めたが、
それと同時にまた別の憂色が二人の顔に漂い始めたように見えたが、それはさらに深くなった霧の所為によるものだろうか。
心臓の鼓動が高まってきた。きっと出口がすぐそこにあるのだろう。
しかし、この鼓動はなんだというのだ?
そのとき、あの声が聞こえた。
182名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/05 21:46:13 ID:RMStquEc
ウホッ いいノベル
183 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/06 23:50:00 ID:h0arEebs
>180-181
GJ!
特に、具体的な敵の名前出してるとこなんかが良し。
モンスター名と出現地域が載ってるサイト、次書くまでに探しとこう……
184名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/07 00:30:28 ID:xr2fVzoy
普通に知ってるけど貼ったほうがいい?
多分データとか攻略とかで検索すればひっかかると思うが…
185名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/07 20:29:57 ID:zQVE2E0j
ttp://www.parabox.or.jp/~takashin/ff-04.htm

はるわ。一通り揃ってる。
FFIIIリメイク今度はでるのかな。
186 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/07 23:22:25 ID:BSSBBdKP
>184
d。
モンスターに加えてワールドマップ、ダンジョンマップまで揃ったウマーなサイト見つけたんで、とりあえずこれで間に合わせる。
>185
ありがたいんだが、飛ぼうとするとウィルスがどーたらいう警告が出て来るんで怖くて開けてない。スマソ。
187名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/09 18:55:29 ID:OyK/R6JI
>>186
マジかよ普通に踏んだぞおい。
188名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/09 20:58:15 ID:5KTKqJhY
>>187
ノートン先生の過敏反応か、マジモンのどっちかだな。
心配なら、ラウンジの鑑定スレで鑑定してもらえ
189 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/09 21:44:07 ID:72cdnFh3
>187-188
今試してみたら普通に行けた。
ウイルスバスターの過剰反応だったっぽいな。
改めてdクスコ>185
190名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/11 22:05:26 ID:m/7sc/Bi
ふと思った。
ウィルス騒ぎがなかったらこのスレおちてたな。
191名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/14 22:22:57 ID:mGXDWitl
ほしゅ
192名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/17 17:27:56 ID:fOLEmlXL
いつおちてもおかしくないな
書こうぜ
193名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/17 21:47:26 ID:lk+EDkms
ヤバイ、落ちそうだ。
てかネタ無いから書けねえ。
短編書きやすそうなネタない?
194名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/17 23:38:34 ID:LCdcDBc0
今FF4編の続き勝手に書かせて貰ってます。
霧龍を倒すところまでの予定ですが、差し支えなければ2、3日以内に貼りますが、如何?
195名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/17 23:49:59 ID:cu36rTAd
>>194
如何?じゃなくて貼ってくれんとヤバイこのスレ。
196名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/17 23:51:42 ID:LCdcDBc0
>>195
わかりました。それじゃ急いで残りを書いて明日にはうpします。
197名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 19:40:25 ID:wz9tAPN9
勝手に、って、別に誰も規制なんかしてないよー
とにかく書いて貼ってくれよー
1981:04/10/18 20:47:47 ID:sI2zGCOz
「バロンの者ですね…」
「誰だ!姿を見せろ!」
カインが鋭く叫んだ。やはり、この声の主が幻獣なのか?
声の主は穏やかな、それでいて厳かな口調で続ける。
「ここで引き返せば危害は加えません。即刻引き返すのです。」
「そうはいかない!」
次に声を上げたのはセシルだ。ここまで来て、引き返すわけにはいかない。
「このボムの指輪をミストの村まで届けなくてはならないんだ!」
「引き返す気はないのですね…ならば…仕方ありません!」
声の主がそう言うが早いか、それまで洞窟の中にたちこめていた霧が彼等の目の前一点に集まり、龍の形を作り上げて行った。
「やはりお前が幻獣か!覚悟!」
カイン槍を構えてが叫んだ時には、霧の固まりは白銀に輝く美しい龍――ミストドラゴンへと変貌を遂げていた。
1992/5:04/10/18 20:55:00 ID:sI2zGCOz
「覚悟しろ、幻獣!」
セシルは剣を抜くと一気に間合いを詰め、そのまま跳躍して幻獣に斬りかかった。
そして剣一閃、一撃で幻獣の身体を斬り裂いた、はずだった。
「!?」
おかしい。手応えがない。確かに幻獣に斬撃を浴びせたはずだ。
セシルがあわてて後ろを振り向くと、そこには全くダメージを受けていないドラゴンがいた。
「愚かな。私の身体は霧。故に私を斬る事など…」
幻獣はセシルの方に向き直り、高く舞い上がると、
「出来ないのです!」
牙をむき、暗黒騎士めがけて突進する。龍の牙はセシルの肩を捕らえ、高々と持ち上げていく。
「セシル!」
戦友の名を叫び、カインは高く飛び跳ねた。ドラゴンの真上まで達すると、そこで槍を振り下ろした。
幻獣は口で持ち上げていたセシルを放すと、カインの攻撃を避けた。二人から離れ、一旦距離を置く。
幻獣が充分に離れるのと同時に、セシルが岩の地面に叩きつけられる。
「大丈夫か!?」遅れて落ちてきたカインが、友の肩の傷にポーションで応急処置を施しながら続ける。
「しかし厄介だな…攻撃が全く効かないとは…」
「全くって訳じゃないよ、カイン。」傷を手で押さええながら、セシル。
「どういう事だ?」
「簡単な事さ」首をかしげる竜騎士に、セシルは続けた。
「奴は僕の方に噛み付いたし、頭を攻撃されそうになったら慌てて避けた。つまりあいつは頭が弱点だ!」
2003/5:04/10/18 20:56:08 ID:sI2zGCOz
「なるほど…だがどうする?奴の動きは素早くて、そうそう簡単に仕留められなそうだが…」
「それなら僕に考えがある。聞いてくれ。」
そういってセシルがカインの耳元で何かを伝え終わった直後、幻獣が動き出した。
「何を考えておいでですか?頭を潰そうとしているなら」
途端、ドラゴンの身体が霧へと戻りはじめた。洞窟の中に再び充満して行く。
「煙幕をはって隠すまでです。」
頭だけとなった幻獣はそう言うと、深い霧の中に紛れていった。
「よしカイン、やってみよう!」
何も見えない中、セシルが怒鳴る。
「わかった!また後でな!」
カインも怒鳴り返すと、再び高々とジャンプした。
竜騎士の極意は、槍を振るう腕もさることばがらなによりその「脚力」にある。
瞬時に遥か上方へと跳び、そのまま落下の勢いを使って一気に槍を自分もろとも叩きつけるのだ。
洞窟の壁を跳んで登り、ある程度の高さで止まって下を見たとき、カインは息を呑んだ。
セシルと幻獣がいると思われる部分に、霧が集中していたのだ。
標的の視界を潰すために作り上げられた霧のドームに、カインは槍を向け、待った。あとはセシルを信じる他ない。
――簡単な囮戦法で叩くんだ。僕が奴をひきつけるから、カインはどこか高いところにジャンプして待っていてくれ――
「頼むぞ、セシル…」カインが洞窟の壁につかまって槍を下に向け、ひたすら待った。
2014/5:04/10/18 20:57:08 ID:sI2zGCOz
一方、セシルは剣を構え、その場に立ち尽くしていた。
自分を包む白銀の霧など見えてはいない。代わりに彼を取り囲んでいるのは、音一つない闇の世界。
心を無にし、敵の気配一点に精神を集中しているのだ。
いま、霧の幻獣ミストドラゴンはセシルの周りを素早く飛び回り、彼を翻弄しようとしている。
その状態が暫く続いた後、幻獣は攻撃を仕掛けてきた。背後から牙をむいて飛びかかってきたのだ。
大きく開けられた口が噛み合わされた時、そこに暗黒騎士の姿はなく、代わりに真横から剣の切っ先が襲いかかってきた。
目を突かれる寸でのところでくるりと回転して攻撃を避け、再びドラゴンの頭は辺りを飛び回り始める。
「さすがですね…この霧のなかで私の動きを捉えているとは。」
「甘く見ないで欲しいな、幻獣。その程度の動きなら、容易に掴める。」
「よろしい。では、これはどうです!?」
不意に、幻獣の動きがセシルの真正面で止まった。口の中に霧を集め、凝縮し、こちらに向かって吐き出そうとしている。
「今度はこちらからも行かせてもらう!」
セシルは叫び終えると、再び剣を構え、意識を一点に集中した。
剣の刃に、魔力にも似た黒いオーラが集まっていく。弱小な魔物を一瞬にして全滅させた、あの技を再び放とうとしているのだ。
もっとも、今回は普通の魔物を倒した時とは比べ物にならない威力を秘めているが。

白銀の霧を凝縮して撃ち出されたブレスと、セシルの生命の一部を食らった漆黒の斬撃が放たれるのは、同時の事だった。
2025/5:04/10/18 21:15:11 ID:sI2zGCOz
幻獣は一瞬、何が起こったのかわからなかった。
ただ、自分が深手を負ったことだけは確かだ。
セシルの放った暗黒の刃は、幻獣の放ったブレスを弾き飛ばし、さらに幻獣の片目を切り裂いたのだ。
「く…よくも!」
毒づき、再びブレスを放とうとする。だが、先ほど受けたダメージは思った以上に大きく、ほぼ全く動けない。
「気付いて…いないようだな…お前は、今、煙幕の…外だ…」
その場にうずくまりながら、セシル。攻撃の反動で、こちらも満身創痍だ。
そして幻獣は、自分の今置かれている状況にようやく気付いた。
煙幕の外から出てしまい、待ち構えていた竜騎士に丸見えだ。
何より、その竜騎士は、槍の切っ先をこちらに向け頭上から凄まじい勢いで襲いかかってきている。

次の瞬間、カインの槍は、ドラゴンの残った片目を深深と貫いた。
ミストドラゴンは、悲鳴とも金切り声ともつかない断末魔の絶叫を上げ、果てた。

「はは…終われば…ハァ…楽だったな…」座り込み、肩で息をしながらセシルが言う。
「何が楽だ。ぼろぼろじゃねえか」カインが笑いながらセシルを助け起こしてやる。
「さあ、日の暮れないうちに指輪をミストの村まで届けよう。村へ指輪を届けたら一晩休んで、後はバロンへ帰還するだけだ。」
「帰還するだけ…か…」
「ああ、あと2,3日もすれば飛空艇隊隊長に返り咲き出来るさ。」
カインはそういって、ハハッと笑って見せる。
だが、この時二人とも何か言葉では言い表せない、嫌な予感のような物を感じていた。
心なしかその予感は、洞窟の出口に近づくごとに大きくなって行くような気がした。
203名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/18 22:10:36 ID:sI2zGCOz
訂正
>>200
○→カインは洞窟の壁につかまって〜
×→カインが洞窟の壁につかまって〜
>>202
○→「返り咲けるさ」
×→「返り咲き出来るさ」

おいおい間違えまくりじゃないか俺…orz
204名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/19 17:35:08 ID:6JY3FDPo
保守
205名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/19 23:10:48 ID:Fn0F1Phj
小説書きさんガンガレ!!
いつもコソーリ応援してます。
206名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/20 00:19:02 ID:KzWbvh/O
FFWの、

・リディアとセシルが和解するとこ
・ギルバートが仲間になるとこ
・ローザがファイア強制させるとこ
・カインの目の前でセシルとローザが抱き合うとこ
・カインが再洗脳されたあとまた戻ってくるとこ

を小説で読みたい。
207名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/22 15:46:00 ID:sRK1MrTT
>>206
上三つは普通に読めそうな希ガス
208名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/24 14:19:43 ID:XFGXvTdJ
209 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/25 01:33:49 ID:caqRoVjz
198-202
初のボス戦乙〜。でもサブタイ用のテンプレは使ってほしかったよ
そろそろリディアたん登場か。
210名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/27 11:48:50 ID:ZWUAcwau
お、落ちるって!!
211 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/29 00:26:11 ID:WnTECZXo
リディア登場まで書いたんで投下。カインとちょっと離れて欲しかったんで、ちょっとアレンジしてます。
上げようかと思ったけど、この時期に前面に出すには展開がアレなのでひっそり行きまつ。
212 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/29 00:27:09 ID:WnTECZXo
FINAL FANTASY IV #0023 1章 1節 闇と霧の邂逅(10)

濡れ輝く床に伸びた幻獣の骸が、細かな霧の粒となって掻き消える。出口から差し込む光に、白く浮き上がった靄をかき分け、セシルたちは洞窟を抜けた。
ミスト側の出口は、東西に伸びた谷の端に位置している。左右に迫った峰を見渡し、冷え冷えとした空気を深く吸い込んだ。いくら壮観であろうとも、長く地底に留まるのは、やはり2人の気性に合わない。
「どうやら無事に着けそうだな。
 厭な予感がしていたんだけど」
天を刺す古木の合間、蛇行しながら伸びる道の彼方に、かがり火らしき光が見えている。霧深い谷底の村では、一日中こうして火をともしているのかも知れなかった。
直に目的地を確認し、一息ついたセシルをからかい半分にカインが諌める。
「その油断が危ないのさ。落とすぞ」
「そのときは、ドラゴンに壊されたって事にでもしようか」
唇の端を歪め、左腕に巻きつけた袋を軽く持ち上げるセシル。幻獣の攻撃で背嚢の紐が千切れてしまったため、こうして手で持っていくことにしたのだ。中に入れていたポーションの瓶も、岩場に叩きつけられた際の衝撃で、半分以上が割れてしまった。
片手が塞がってしまうのはできれば避けたい所だったが、下手に修繕しようとしてかえって不安定になるよりも、こちらのほうが良いと判断したのだ。
「フッ。それじゃもう一匹出てくる前に、さっさと行くとしようか」
ミストの村はすぐそこだ。幻獣を退けてからは、魔物が現れる気配もない。任務の成功は疑いないように見えた。
それでいてふたりとも、何故か、得体の知れない不安を抱えている。既に幻獣は倒したというのに、現れる前よりもむしろ危機感が募っていた。過度の緊張に陥らないよう、互いに冗談を言い合いながらも、気を緩めることはない。
だがいくら彼らが己の精神をコントロールしようとも、漠然とした予感は、人知れず明瞭な悪夢へと変貌を開始していた。
形なき霧が凝縮し、鉄をも噛み砕く竜の顎と成ったように。
213 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/29 00:29:02 ID:WnTECZXo
FINAL FANTASY IV #0024 1章 1節 闇と霧の邂逅(11)

いち早くその予兆に目を止めたのはカインだった。場違いな色が視界の右端を過ぎ去り、それが袋から漏れた赤い光を反射した、セシルの篭手だと気がついた。
「おい、荷物が光ってるぞ?」
不定期に瞬く赤い光は、徐々に大きくなっていくようだった。驚いたセシルがその源を取り出す。
「指輪が光る……!?」
赤々と、いまや燃えるように光を放つボムの指輪。表面を覆う薄い布地がほどけぬように施された、見慣れぬ紋の封蝋に、セシルの指先が触れた。
幻獣との戦いの中、その封は衝撃に歪み、割れた瓶の破片によって損なわれていた。辛うじて原形を保っていた所に、鋼鉄の武具が、爪の先ほどもない小さな傷を付け加えたとき──紋章の形は決定的に崩れ、その効力を失った。
「つっ!」
指先に鋭い痛みが走る。セシルは咄嗟に手の中のものを放り投げた。
赤い星がさかしまに流れる。宙に投げ上げられた塊は、本物の炎によって倍以上の大きさに膨れ上がっていた。
瞬く間に消し炭と化したその中心から、一抱えもある巨大な火の玉が次々に生み出されていく。
小さな装飾品は、その名と同じ魔物を虚ろな環の中に封じ込めていたのだ。
ボム。虚空に漂う紅蓮の中に、残虐な笑みをたたえた人間の顔を浮かび上がらせた、生命ある炎。
握り拳大の核を包んだ火ももちろん厄介だが、本当に恐ろしいのは、手傷を負うか同族以外の炎に触れた途端に弾け飛び、自らの消滅と引き換えに周囲を焼き尽くすその性質だ。
20体以上はいるボムたちが、当然自分達に襲い掛かってくるものとセシルたちは考え、あわてて武器を構えた。
しかし魔物はふたりを無視し、前方に見えるかがり火に向け、獲物を追う猟犬のように群れ集い空を滑る。
少なくとも今すぐに、圧倒的な数の敵を相手にする羽目には陥らずに済んだが、2人にとってそれは必ずしも幸運ではなかった。
なぜなら、ボムの群れが目指す先には──
「まずい!」
「……村が!!」
遠ざかる魔物の列を追い、全力で駆け出す2人の騎士。
しかし炎と競うには、人の体は重すぎた。
214 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/29 00:30:55 ID:WnTECZXo
FINAL FANTASY IV #0025 1章 1節 闇と霧の邂逅(12)

押し寄せる魔物に気付いた村人たちの悲鳴が届く。
ボムの体が爆散する音が立て続けに空を裂くたび、大気は焼け焦げ、苦しげな唸り声を上げた。
ミスト村の入口でふたりを迎えたのは、村境をなす石柱の列を足場に踊り狂う炎の群れだった。沈みゆく太陽が、誤って堕ちてきたかのような光景だ。
張り巡らされた柵が燃え落ち、代わりに真紅の壁が、村への進入を永遠に阻んでいる。
「……これは!」
せめてもの抵抗のようなカインの叫びは、鉛のように鈍い。
「このために、僕らはここまで……?」
「この村を……焼き払うため……」
声の震えをセシルは自覚した。冷汗が背を濡らす。火傷した指先の痛みも、心中の激情に比べればどうということはなかった。いっそ潰れてしまえとばかりに、強く拳を握る。
そのときだ。村全体を巻き込んで渦巻いた炎の中に、人影のようなものが見えた。
一瞬の迷いもなく、セシルは村中に飛び込んだ。吹き付ける熱風に思わず顔を庇ったところを、強引にカインに引き戻される。
腕を掴まれたまま、ひたすら炎の中を凝視するセシルの前で、その人影はゆっくりと、見せつけるようにゆっくりと、崩れた。
「…………陛下……」
カインが腕を放した。
力なく膝をついたセシルの瞳が、視界を埋めた赤に重なり、ある幻影を映し出す。
決然と炎に消える騎士の背中。その高潔を誰もが称えた、昔日のバロン王の姿を。
かつて実際にこのような光景を目にしたことがある、というわけではない。
しかしバロン王は、セシルが鑑としてきた彼の養父は──もしこの場に居合わせたなら、こうした行動を取るはずだった。
罪もない他国の町から、力ずくで何かを奪うような命令を下したりはしない。
どんな理由があろうとも、村ひとつを丸ごと焼き滅ぼすような真似をするはずがない。
「……何故だ……」
そういう人だった。そういう人なのだ。それなのに。
この惨劇は、何故起きた?
「なぜだぁッ! バロン王ーッ!!」
両の拳を大地に叩きつけて問う。過ぎ去った幻影が、何を答えるはずもなく。
業火に呑み込まれたのは、あるいはセシルが寄せていた、信頼そのものでもあったかもしれない。
迸る慟哭もまた、炎に巻かれ、何処へともなく消え失せた。
215 ◆HHOM0Pr/qI :04/10/29 00:33:01 ID:WnTECZXo
FINAL FANTASY IV #0026 1章 1節 闇と霧の邂逅(13)

白霧に抱かれてあるべき村を、異臭と黒煙が覆ってる。
ミストの村を蹂躙し尽くした炎は、日没を境に衰えを見せ始めた。
「あれは……?」
煤を巻き上げる風が、細い嗚咽をも運んでくる。
声の主を求め、セシルたちは二手に分かれた。
炎に沿って村はずれを回り込み、まもなくセシルは、風の加減か辛うじて焼け残っている草地と、しゃがみこんだ1人の少女を見出した。
10歳ぐらいだろうか、仰向けに倒れた女性の体にすがって泣いている。
少女に怪我はないようだが、両手で顔の上部を隠したその女性は、指先から胸元にかけて、赤茶の乾いた血がべったりとこびりついていた。
「大丈夫か!?」
突然の声に驚き、少女が顔を上げる。赤く腫れた瞼が、大きな瞳の半分以上を隠していた。白玉を連ねた紐で束ねた、若草色の髪がひとふさ揺れる。
「おかあさん……おかあさんが……」
甲冑の下で、罪悪感がセシルの胸を抉った。火事が直接の原因ではなさそうだが、そんなことはこの際関係ない。
鼻の詰まった声で訴えかけるこの少女に、せめてもの償いを彼はしなければならない。
「ここは危ない。もう少し、村から離れないと」
か細い腕を取ったが、少女は首を振って動こうとしなかった。もう片方の手で、事切れた母親の服を掴んでいる。
セシルは少女の手を離すと、代わりに母親の骸を抱え上げ、斜面になった草地を昇った。無言のまま少女が後に従う。
十分な距離を取って、柔らかな草の上にセシルは遺体を横たえた。
肩を震わせる少女に予備のマントを手渡すと、亡骸の側に跪き、胸の上で指を組ませる。
続いて瞼を閉じさせようとして、彼女が顔面に負った傷の奇妙さに気付いた。
両目が、片方は薄刃に裂かれたような、もう片方は針で突き刺したような、互いに全く異なる方法で傷つけられているのだ。
どちらも異様に小さな傷だ。このような傷を与える魔物の話は、聞いたことがない。
あきらめて、荷物の中から手頃な布を探して顔の上に被せ、瞑目する。
セシルが唱える弔いの言葉に、途中から少女の声が合わさった。
216名前が無い@ただの名無しのようだ:04/10/30 22:59:08 ID:mzCsva6u
>>212-215
乙。相変わらずうまい文章でウラヤマスィ
描写も丁寧でかっこいいし、目の前に情景が見えるよう。

次回に期待sage
217名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/06 12:03:59 ID:2NWKWarE
落ちる落ちる!
218名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/07 21:07:31 ID:U9XHAmaR
なんかSSスレやたら多いしここはもう無理なのか
219名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/10 17:40:04 ID:T+2EBZIO
age
220 ◆HHOM0Pr/qI :04/11/11 01:05:40 ID:oTr0oqqX
見捨てられるのも怖いので予告。
今週末から来週頭ぐらいにはタイタン召喚まで投下できそうです。
DQ8出るまでになるべく進めておきたい。

>216
感想thx。
ちなみに>214の展開は、ニブルヘイム炎上シーンが元だったりします。

>218
俺は2chではここしか書いてないし、ここで終わるのは悔しいんでしばらくがんがります。

それと、保守してくれてる人ありがとう。
221名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/12 00:50:39 ID:FvsZojJM
>>220
がんばれ…陰ながら応援してるぞ!
222 ◆XYZ.ReoI/2 :04/11/12 01:02:03 ID:o7x49t54
>>220
俺も応援してます。頑張ってください
223名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 00:29:52 ID:hQqkoyCY
>168
で言ってる別のスレってどんなのです?
224名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 00:37:40 ID:uM/TVhu5
>>223もうない。つまらなかったよ
225名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 00:39:43 ID:hQqkoyCY
>224
そうですか。ここはリレー形式みたいですから、オリジナルに近いのはどこに投下していいものやら。
226名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 11:37:29 ID:11aAoLhs
ここでいいと思うよ。
ていうか書いてくれないとこのスレがヤバイんで。
227名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/13 23:02:29 ID:lV5DMpqi
>>115-118
亀レスだがヨカッタ
この老人がエンディングから数年後のカイエンかと思った
228 ◆HHOM0Pr/qI :04/11/13 23:07:57 ID:f7bJvalq
長くなりそうなのでいったん投下。

>221>222
これからも僕(ry

>225
前にFF6を下敷きにした短編書いた人とかいたよ。よほど長かったりしない限りは大丈夫だと思う。
つーか、そろそろこっちもリレーでなくなってきそうな悪寒。
書きたい人、いたら遠慮なく進めちゃって下さい。
229 ◆HHOM0Pr/qI :04/11/13 23:12:30 ID:f7bJvalq
FINAL FANTASY IV #0027 1章 1節 闇と霧の邂逅(14)

短い祈りが済んで顔を上げると、村を一周してきたカインの姿が目に入った。炎上する村を背にして、影絵のように全身が黒く塗り潰されている。
ひとりだった。
「カイン!」
セシルの呼びかけに、傍らの少女が身を震わせる。
「大丈夫、僕の友達だ」
怯えた様子を見て取り、セシルは少女に声をかけた。
首を竦め、合わせたマントを内側から握りしめた子供の、不安げな瞳に気付いているのか、カインは足早に坂を上って来る。
「セシル、この子は……?」
「村の外れにいた。どうも、母親が何かに襲われたらしい」
「!
 そいつはまだ、近くに?」
穏かならざる情報に、槍を掴むカインの手に力が篭る。頭部のほとんどは竜の上顎を象った兜に隠れているものの、険しい顔をしていることは想像に難くない。
「いや──気配はない。それに、この子はなんともないんだ」
未知の魔物が、近くにいるかもしれない。その考えに、セシルの表情も自然と厳しくなる。その腕を、小さな手が軽く叩いた。
「……ドラゴンが……」
多少落ち着きを取り戻したのか、あるいは剣呑な空気が危機感を高め、なすべきことに思い至らせたのか。セシルの注意を引いた少女は、初めて、かすれた声をあげた。
「お母さんのドラゴンが、死んじゃったから……
 お母さんも……」
深緑色の瞳に大粒の涙が盛り上がり、少女は喉を詰まらせた。頬の丸みに沿って、煤で汚れた顔に縞模様が浮かびあがる。嗚咽の声がまとわりついて、セシルの手足を縛った。
「おか……おか……っ……」
家族を失くしたばかりの子供に、最初からの筋道立った説明を求めるほうが酷だろう。カインも、無理に先を促そうとはしない。
なにより、今絞り出された言葉だけでも、恐ろしい疑惑をふたりに抱かせるには充分だった。
大股で死体に近づき、顔に被せた布をカインがめくりあげる。死者の顔が、再び露わになった。大きさこそ違え、ふたりが幻獣に与えたものと、全く同じ形の傷が。
230 ◆HHOM0Pr/qI :04/11/13 23:14:15 ID:f7bJvalq
FINAL FANTASY IV #0028 1章 1節 闇と霧の邂逅(15)

「……そういうことか」
「馬鹿な!
 あのドラゴンの正体が、この女性だったって?」
そんなことがあるはずない。人間が、竜に変わるなど。
それだけが、セシルに残された逃げ道だった。しかしただひとつの命綱を、沈痛な友の声が断ち切る。
「聞いたことがある。
 魔物を呼び出す力を持った者。確か……
 召喚士!」
「まさか……
 僕たちが、あのドラゴンを倒したから……」
乾ききった唇から、未練がましい言葉が滑り落ちた。
見苦しい真似をしている。この期に及んで、なお目を背けようとするセシルを、頭のどこかで誰かが笑う。
足元に横たわる女性の顔に視線を落とした。まだ若かった。セシルと十も違うかどうか。苦悶に歪んだ表情は、無念を訴えているようだ。
村を守りきれなかった、バロンの魔手を阻めなかった、それが彼女の心残りなのだろうか?
「じゃあ……おにいちゃんたちが、お母さんのドラゴンを!」
「まさか……君の母さんを……殺してしまうことになるとは」
釈明とも謝罪ともつかない、白々しい回答に、少女がその場に膝をついた。放心したように、大きく見開いた深緑の瞳でセシルを見上げる。物々しい闇色の甲冑をまとい、漆黒の仮面で顔を隠した暗黒騎士を。
「指輪のことといい、陛下はご存知だったのだろうな。
 そのつもりで俺たちを来させたんだ。
 この村の召喚士を、全滅させるため……」
「なんて事だ……」
そんな暴挙に、彼らは手を貸してしまった。あろうことか、その『手柄』で元の地位に返り咲こうなどと、愚かな期待を膨らませて。
容赦のないカインの指摘を受けて、今更のように、後悔がセシルの胸を蝕んだ。たまらず、目の前の少女から視線を外す。
だが彼の親友は、どんな残酷な事実であろうと、逃げ出す男ではなかった。
231 ◆HHOM0Pr/qI :04/11/13 23:33:17 ID:f7bJvalq
FINAL FANTASY IV #0029 1章 1節 闇と霧の邂逅(16)

「可哀想だが、この子も殺らねばならんようだな」
「カイン!」
少女に向けられた鋭い穂先と、それを握る友人の顔を、信じられない思いでセシルは見た。
「殺らねば俺たちが殺られる!
 気付いてるだろう、一歩間違えば、俺たちも炎に巻かれていた!!
「…………!」
「それでも構わないと、王はお考えだった。ここで任務にしくじれば、粛清は目に見えている」
息を呑んだセシルに、憐れむような眼差しを投げかけるカイン。
彼はセシルより、たった一つ年上であるに過ぎない。だが、その一年が大きな意味を持つ少年時代を、ふたりは共に過ごした。
自然と形作られる、兄弟に似た役割の差。その結果が今、現れている。
たぶん、彼の言うことが正しいのだろう。
「だからって……子供だぞ!」
「陛下に逆らえるか?」
「こんな殺戮を繰り返してまで、陛下に従うつもりはないっ!」
ミシディアで浴びた血の臭いも薄れぬうちに、こんな光景を見せ付けられれば、もうたくさんだ。
たとえその選択が、カインとの決別をも意味しようと、退くつもりはない。
「フッ、そう言うと思ったぜ。
 ひとりでバロンを抜けるなんて、させやしないさ」
無我夢中の叫びに、カインの腕から力が抜けた。兜の下からのぞく口元が、人の悪い笑みを浮かべる。
「……カイン?」
「いくら陛下に恩があるとはいえ、竜騎士の名に恥じる真似を、出来る訳なかろう」
親友のくせに、そんなことも分からないのか──子供っぽい拗ねた口調に、セシルは赤面する思いだった。こんな幼い少女を本気で彼が手にかけるなど、一瞬でも信じてしまうとは。
「だが、バロンは世界一の軍事国家。俺たちふたりが粋がった所でどうにもなるまい。
 他国に知らせ、援護を求めんことにはな」
あさっての方を向いたまま、強引に話を続けるカイン。彼が照れていることが、今のセシルは手に取るようにわかる。
「ローザも救い出さんと!」
「ありがとう。カイン」
率直な感謝に、ますますカインは照れた。首が真横を向いている。さんざん掌で踊らされたセシルの、ささやかなお返しだ。
「別に、お前の為じゃない」
ただの照れ隠しにしては、その声はやや硬かった。
232名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/14 00:23:23 ID:wuQ8up3f
>226
ありがとう。そんなにやばいというわけでもなさそうですが。
>228
ありがとう。応援してますので、頑張ってください。しかしだいぶ長くなりそうなので、困っております。
233名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/14 01:18:59 ID:+AmeJP00
ちょっとさ、また短編のネタ考えたんだよ。
今日は書かないけど。
でもね、ちょっと臭いっつーか、ラブコメっつーか、
書きたいけど書き辛い物を考えてしまったんですよ。
後ちょっとした設定考察も必要なものなんですけどね。
近いうちに書きたいなあと思ってるんですけど、どうでしょうか?
いや、あまりに恥ずかしすぎるんで自分に言い聞かせてるんですけどね。
234名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/14 01:46:16 ID:wuQ8up3f
一人だと恥ずかしいので、出来れば一緒に出していただきたい。
235名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/14 03:04:15 ID:Jy3x9yZ8
まあ期待しないで待ってるわ
236名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/19 18:15:24 ID:73WyUiEU
待ってる間に落ちちまうよ
237名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/23 01:42:06 ID:A/kpfegQ
ここで終わってしまうのか……!?
むぅ、俺にもう少しの文才と時間があれば…。
238名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/24 00:24:55 ID:RfVICNWZ
(まだ終わりませんよ。そのつもりです)
239名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/25 22:03:55 ID:AU0LGeuq
やっべやっぱ書けねえ。
予定が狂ってしまった。
オリジナルストーリーのネタはまだあるんで今回は見送りだ〜。
てか落ちるって落ちるって。
240名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/25 22:35:10 ID:LhxpAdpE
まだ落とさないよ
241名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/27 14:09:46 ID:x5OJNaB9
果たしてこのスレは祭りに耐えられるのか?
242名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/28 19:44:03 ID:2K+ef6Ih
保守。
243名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/28 23:59:29 ID:1qIrdMK7
落としません、終わるまでは。
244名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/29 00:22:55 ID:Ut2MtJm+
みんなFF4頑張ってるな。
こんなときでもFF6ネタを考えてる俺が嫌になる。
245名前が無い@ただの名無しのようだ:04/11/30 19:36:27 ID:TQpzpTEh
やっぱり無理だったね
晒しageついでに、反省会でもやる?
246名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/01 19:30:01 ID:B+RpO/Ql
ほしゅ?
247名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/02 01:55:10 ID:ybuxnRD9
保守るぜ〜。
中篇考えてるからなかなか書き込めね〜ぜ〜。
わざわざFF6の攻略本買ってきたし〜。
ちなみに基礎知識編買う予定だぜ〜。
まだ構想段階だぜ〜。
248名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/03 21:25:34 ID:lIiFX2Gd
6を書こうよ
249名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/07 22:33:40 ID:lo9lum/x
いや、ねえ。
基礎知識見つけたけど全然たいしたこと書いてねーんだなーこれが。
過去設定(特に年齢とか)知りたいのに、
やっぱ本編同様、設定がいい加減なんだよな〜FFって。
6だけに限らず。
もう妄想全開で頑張るかな。
250名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/08 02:52:48 ID:NTTntj9P
役に立つかはわからんが俺の持ってる攻略本に載ってた設定書いとくわ

ティナ=ブランフォード(Tina Branford) [魔導戦士]
    【年齢】18歳
【身長・体重】160cm 48kg
【生年月日】10月18日
  【血液型】不明
【出身地】不明
【好きな物】動物
【嫌いな物】人がいっぱいいる場所
【趣味】モーグリをふかふかすること

ロック=コール(Lock Cole) [冒険家]
    【年齢】25歳
【身長・体重】175cm 67kg
【生年月日】11月24日
  【血液型】O型
【出身地】不明
【好きな物】地図
【嫌いな物】キノコ
【趣味】野原で昼寝

エドガー=フィガロ(Edgar Figaro) [マシーナリー]
    【年齢】27歳
【身長・体重】183cm 77kg
【生年月日】8月16日
  【血液型】O型
【出身地】フィガロ王国
【好きな物】女性
【嫌いな物】説教
【趣味】変な武器開発、寝室の模様替え
251ちょっとずれてるけど勘弁:04/12/08 02:54:45 ID:NTTntj9P
マッシュ=フィガロ(Mash Figaro) [モンク]
    【年齢】27歳
【身長・体重】190cm 106kg
【生年月日】8月16日
  【血液型】O型
【出身地】フィガロ王国
【好きな物】くるみ
【嫌いな物】ナッツイーター
【趣味】修行

セリス=シェール(Celes Chare) [ルーンナイト]
    【年齢】18歳
【身長・体重】172cm 58kg
【生年月日】3月10日
  【血液型】B型
【出身地】ベクタ
【好きな物】アンティーク絵本
【嫌いな物】弱い男
【趣味】温室の世話、ローズ・トピアリー作り

シャドウ(Shadow) [アサシン]
    【年齢】不明(30代後半)
【身長・体重】178cm 66kg(推定)
【生年月日】不明
  【血液型】不明
【出身地】不明
【好きな物】かたゆで玉子
【嫌いな物】夢
【趣味】不明
252名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/08 02:55:44 ID:NTTntj9P
カイエン=ガラモンド(Cayenne Garamond) [サムライ]
    【年齢】50歳
【身長・体重】178cm 72kg
【生年月日】1月3日
  【血液型】A型
【出身地】ドマ国
【好きな物】伝統のあるもの
【嫌いな物】機械
【趣味】古武器集め

ガウ(Gau) [野生児]
    【年齢】13歳
【身長・体重】163cm 50kg
【生年月日】4月5日
  【血液型】B型
【出身地】レテ川河畔
【好きな物】キラキラ光るもの
【嫌いな物】洋服
【趣味】大暴れ

セッツァー=ギャッビアーニ(Setzer Gabbiani) [ギャンブラー]
    【年齢】27歳
【身長・体重】175cm 62kg
【生年月日】2月8日
  【血液型】AB型
【出身地】不明
【好きな物】真剣勝負
【嫌いな物】腰抜け
【趣味】ソリティア
253なんでずれるんだろ:04/12/08 02:57:01 ID:NTTntj9P
ストラゴス=マゴス(Stragos Magos) [青魔導士]
    【年齢】70歳
【身長・体重】151cm 43kg
【生年月日】6月13日
  【血液型】O型
【出身地】サマサの村
【好きな物】モンスター
【嫌いな物】年寄り扱い
【趣味】着ぐるみ作り

リルム=アローニィ(Relm Arrowny) [ピクトマンサー]
    【年齢】10歳
【身長・体重】153cm 40kg
【生年月日】9月9日
  【血液型】B型
【出身地】サマサの村
【好きな物】卵ふわふわのメイプルシロップのパンケーキ
【嫌いな物】毛虫、怖い人、苦ーいカゼ薬
【趣味】おえかき、リボン集め

ゴゴ(Gogo) [ものまね士]
    【年齢】謎に包まれている
【身長・体重】166cm 60kg(推定)
【生年月日】謎に包まれている
  【血液型】謎に包まれている
【出身地】謎に包まれている
【好きな物】謎に包まれている
【嫌いな物】謎に包まれている
【趣味】ものまね
254名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/08 02:57:46 ID:NTTntj9P
モグ(Mog) [モーグリ]
    【年齢】11歳
【身長・体重】122cm 43kg
【生年月日】5月11日
  【血液型】黒足アヒル型(本人の弁)
【出身地】ナルシェ
【好きな物】なでてくれる人
【嫌いな物】しっぽを触る人
【趣味】歌と踊り

ウーマロ(Umaro) [雪男]
    【年齢】数え始めてから4歳
【身長・体重】209cm 198kg
【生年月日】9月9日
  【血液型】赤い
【出身地】ナルシェ北方
【好きな物】骨
【嫌いな物】毛虫
【趣味】骨彫刻

バナン(Bannan) [リターナー指導者]
    【年齢】54歳
【身長・体重】172cm 70kg
【生年月日】10月23日
  【血液型】A型
【出身地】サウスフィガロ地方
【好きな物】平和
【嫌いな物】秩序なき混沌
【趣味】読書
255ティナの趣味かわいい:04/12/08 02:58:43 ID:NTTntj9P
レオ=クリストフ(Leo Cristophe) [将軍]
    【年齢】30歳
【身長・体重】188cm 83kg
【生年月日】7月8日
  【血液型】O型
【出身地】ベクタ
【好きな物】騎士道
【嫌いな物】卑怯な事
【趣味】音楽鑑賞

ゆうれい(Ghost) [浮遊霊]
    【年齢】不明
【身長・体重】不明
【生年月日】不明
  【血液型】不明
【出身地】不明
【好きな物】天国
【嫌いな物】地獄
【趣味】浮遊

ケフカ=パラッツォ(Cefca Palazzo) [大魔導士]
    【年齢】35歳
【身長・体重】167cm 48kg
【生年月日】11月19日
  【血液型】AB型
【出身地】不明
【好きな物】鏡
【嫌いな物】レオ将軍
【趣味】人形遊び
256これで終わり。シドの名前長い:04/12/08 02:59:44 ID:NTTntj9P
シド=デル=ノルテ=マルケズ(Cid Del Norte Marguez) [発明家]
    【年齢】46歳
【身長・体重】163cm 60kg
【生年月日】5月27日
  【血液型】B型
【出身地】ベクタ
【好きな物】瞑想、学問
【嫌いな物】世俗事、特に金
【趣味】新種の植物栽培

ガストラ(Gastra) [皇帝]
    【年齢】50歳
【身長・体重】179cm 71kg
【生年月日】10月26日
  【血液型】B型
【出身地】不明
【好きな物】権力
【嫌いな物】人に従う事
【趣味】絵画収集
257名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/08 10:48:07 ID:zIw+x/oY
・・・ス、スマン!!
まさに攻略本そのまんまのことじゃなくて、
例えばマッシュは何歳の時に出て行ったとか、
ロックは何歳のとき旅に出たとか、
シャドウは何歳の時にサマサ?(やっべ名前忘れた)とくっついたのかとか、
そ〜ゆ〜ことが知りたかったんだ。
今俺の足りない脳みそで中篇を頑張ろうかなと思ってる真っ最中なのだ。
冬休みになったら書こうかなと思ってる。
258名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/09 01:54:44 ID:eF0Axukf
>>257
「フィガロ王家年表」などのキーワードで検索すると掲載しているサイトが
けっこう出てきますよ。
帝国の侵攻や魔大戦直後の世界から始まる各国の興りや分布なども
年表にした物もあったりします。これらの設定が1冊にまとまった本があれば
自分も欲しいのですが…。

ゲーム中で人々から聞ける話や資料だけを参考に、妄想するのも一興ですよ。
259名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/09 09:39:49 ID:cwsHfzOr
>>258
マジすか、サークルKサンクス。(寒)
てかそれ公式設定なのかな?
FF大辞典とかにもたいしたこと書いてなかったしなあ。
260名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/09 11:32:31 ID:upd2302L
>>259
FF6発売当時にVジャンプという本(実際に見たことがないのでなんとも言えませんが)に
掲載されていた裏設定資料だとか。だから公式ではないのだろうけれど、容量の関係で
削られたイベントの話とかに混じって本編中では語られなかった歴史設定も掲載されて
いたそうです。(余談ですが削られたストラゴスとシャドウのイベントは是非見てみたい)
検索すれば難なく見つかると思うので、お試しあれ。

逆にお伺いしたいのが、設定資料とかにアイテムの由来などの記載はあるのでしょうか?
(攻略上の意味ではなく、アルテマウェポンなら崩壊前の宿屋?で聞ける学者の証言み
たいな感じの)
261名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/10 00:57:27 ID:GnD2qQSw
基礎知識編と設定資料編があるみたいだな。
後者が是非とも欲しいとこだな。
ネット検索はダルイし、微妙に違ってたらやだし。
つーかかなり構想が崩れてきてしまった。

この際だから俺もリレー小説に参加しようかな。
262名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/12 15:01:08 ID:fnR98psM
a
263名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/12 22:58:17 ID:k0Prej2F
Wはどうする?二つとも平行してつづけるん?
264名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/12 23:44:03 ID:6p4AX+gv
>>263
読んでないからアレなんだが二つ同時進行なのか?
265名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/16 21:45:52 ID:xzoFmlpo
さあ、そろそろ落ちそうになってきたぞ!
266名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/19 01:59:12 ID:pf4+4yNb
保守。陰ながら毎度応援してるよ…みなさん読みごたえあるよ…
267名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/19 02:49:47 ID:O1vOQ1RL
携帯で見回ってて初めてこのスレ見ました。
面白そうだから落ちて欲しくないな…乱入大丈夫なら協力させてもらいたい。
268名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/19 09:22:55 ID:eKeXo9vf
>>267
参加型スレだから乱入は大歓迎。
ていうかむしろ乱入しろ。いやしてください。
269267:04/12/19 16:32:51 ID:zo5//TVz
承諾得ずいきなり続き書いたら投下して良いんですか?
他の書き手さん達と被ったら…
とりあえず◆HHOM0Pr/qI さんの>>231の続きを考えてますが。
270名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/19 17:17:43 ID:Z6qgCCYX
>>269
被らんから安心汁
被っても楽しさ2倍だから安心汁
271267:04/12/19 17:25:36 ID:6ytVe3dQ
>>270
どうもすみません(;´∀`)ヾ
じゃあもうちょっと推敲したらお邪魔します。
272 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/19 17:58:46 ID:CQGDIJRH
すいませんここんところずっとDQ漬けでした…
>271さん、よろしくお願いします。
273 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/19 17:59:48 ID:CQGDIJRH
すいませんここんところずっとDQ漬けでした…
>271さん、よろしくお願いします。
274267:04/12/19 18:18:38 ID:1zvDFjoI
今日の夜中に携帯で見回ってて興味深いスレハケーンということで
勝手ながら>>229-231の続きを書かせてもらいました。
>>158さんが出してくれた案に従って、サブタイ続けさせてもらいました。
次から二章…?よくわかってないまま最後まで「一章 一節」ですがorz
急いで書いたので至らないところは多いと思いますが他の書き手さんを見習ってがんばります(`・ω・´)
カインと別れるところあたりがちょうど話の節目になりそうなので
そこで一度「第一章完」みたいにさせてもらいました。

ではお邪魔します((((((;゚д゚))))))キンチョウ
275267:04/12/19 18:20:38 ID:1zvDFjoI
FINAL FANTASY IV #0030 1章 1節 闇と霧の邂逅(17)

そんな二人を余所目に炎はますます勢いを強くしていた。
ほんの少し前まで人が暮らしていた建物は見るも無残な炎のかたまりと化して
中から逃げ場を失った熱気が勢いよく窓や扉を吹き飛ばす。
――ガシャン!
粉々になった窓ガラスと内側から噴出す炎の渦が、身を竦ませて怯える少女にも襲い掛かろうとする。
吹き荒れる火の粉を軽く手で振るい払って、低い声でカインはセシルに問う。
「それよりここは危ない。早く村を出ないと…あの子はどうする?」
セシルはカインの方へ向き直らず、軽く頷いて意思を伝えた。
「ぼくらが連れて行くしかあるまい!
さあ…ここは危険だ。とにかく…ぼくらと一緒に!!」
セシルは視線を少女の方へ戻した。少女はまだ呆然と膝をついたままで赤い炎を背に
やり場がないように手を宙に浮かせて悲痛な表情でセシルとカインを見ていた。
株との隙間から見える世界から少女を外したくても、朱色に染まる視界の全ては現実を見せ付けてしまう。
この子の身を守ることが僅かでも罪滅ぼしになるのなら。
渦巻く炎がセシルの脳裏に鮮血をフラッシュバックさせる。
クリスタルの略奪を――
276267:04/12/19 18:43:33 ID:dEweXuoc
FINAL FANTASY IV #0031 1章 1節 闇と霧の邂逅(18)

パシッ!!
「!?」
セシルが右の手のひらに微かな衝撃を覚え我に変えると、少女は先程と形相を変えて
顔を伏せて、右手を振りかぶっていた。ハッと今の状況を思い出す。
セシルが彼女の手を取ったとき、彼女は汚いものに触れたかのように手を振り払ったのだ。
「このままだと君も死んでしまう!」
嗚咽をまじえて少女はさらに強く二人を睨みつけ、じりと後ずさりをしている。
「…いや!」
――君も、死んでしまう。君も、殺してしまう。
小さな困惑がセシルの思考を一瞬遅らせ、その後間髪をいれずにカインがセシルの肩を押さえ前に出て腕を伸ばした。
「やむを得ん、無理やりにでも連れて行くしか!」
「ちかよらないでぇええーっ!!」

ド…ン
少女の布を引き裂くような甲高い悲鳴に空気が震えた。
「待ってくれ!ぼくは…」
「来ないで!来ないでよぉっ!!」
277267:04/12/19 18:45:08 ID:dEweXuoc
FINAL FANTASY IV #0032 1章 1節 闇と霧の邂逅(19) 

少女の悲鳴は耳に入らず。
セシルの視界はまるでスローモーションであった。
手を伸ばし、拒まれ、瞬きで目に映る景色が切り替れば
年端もいかぬ女の子が口を大きく開いて何かを訴えている。
助けなければいけない。
彼女の命を救わなければ。
そんな焦燥感に駆られ、セシルはカインの手を振り払い少女の手首を掴んだ。
今、彼女を助けられるのは自分たちしかいない。そう強く信じた。
――だけど今、彼女を危険にさらしたのは…
「お母さんを返してぇえええっ!!!!」
―――!!

一瞬だった。何が起こったのかなどと考える余裕も与えられず、
セシルは自分の足が、いや体が突き飛ばされたように背後に倒れこまされるのがわかった。
背中を地面に打ち付けた衝撃で視界は少女の上方に移る。
そしてセシルは召喚士の脅威を目の当たりにした。
少女の後ろに、赤銅の肌の軽く城の一角にも匹敵するかのような巨人が立ち構えている。
「みんな……みんな」
セシルは、辛うじて轟音の中で少女の呟きを聞いた。
それから巨人がその巨大な足を持ち上げるのを見た。
278267:04/12/19 18:46:36 ID:dEweXuoc
FINAL FANTASY IV #0033 1章 1節 闇と霧の邂逅(20)  

「だいっ嫌いっ!!!」
「…ッ!!!!」
「――セシルッ!」
巨人の振り下ろした足に大地が引き裂かれる音に、三者の叫びは呑み込まれた。
セシルは無我夢中に少女に覆い被さっていた。
地面が激しく傾くのを感じる。兜や鎧の上に止め処なく火の粉や砕けた石が落ちてくる。
少女は泣き喚きながら必死にセシルから逃れようと鎧を拳で殴りつける。
最早少女を連れてこの場を離れるだけの猶予も残されていない。
セシルは、例え自分の身が岩に潰されたとしてもこの少女を犠牲にするわけにはいかないと思っていた。

「……!…!……」
大地の発する轟音にかき消されたのは誰の叫び声だったのだろう。
守ってくれるものを失った少女か、信じてくれた友か。
この手で命を奪った者か、それとも自分自身か。

セシルはまるで自身が奈落に落とされるように感じた。
それはセシル自身の体が衝撃によって弾かれ感じたものだったのか?
彼の後悔が感じさせた幻惑だったのか、誰も知る由はなかった。
279267:04/12/19 18:52:57 ID:dEweXuoc
お粗末です。
投下に時間かかってすみません。電話していました(´・ω・`)
後から見直したら短ぇ〜…
どうも主人公視点で文を書く癖があって、他の方と文章つなげると
違和感があるかもしれません。

>>◆HHOM0Pr/qI さん
続けさせてもらいました。
まとめて読み返すと ◆HHOM0Pr/qI さんの文の細かさ凄いorz
DQ頑張って下さいw

では失礼しました。
280名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/20 00:47:54 ID:mBXsVQcT
>>267
ウホッ、久しぶりに覗いたら続きが…! オツカレです。
序盤の名シーン、いい感じの描写です。ステキ!
タイタンはやっぱり迫力だねぇ。

しかし、まだまだ先は長いなぁ。
281 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/22 02:13:59 ID:JYsoASRV
267さんGJ!
DQは今2週目なんでセーブ残しながらマターリと堪能中です。
まさか、ゴル兄さんに匹敵するキャラが出てくるとは…。
282名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/25 17:48:15 ID:mCBIcWPI
乙、そして保守
283名前が無い@ただの名無しのようだ:04/12/30 03:52:00 ID:kwplSlzo
さらに乙&保守。
284 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/30 03:55:49 ID:i8LQbhJ1
FINAL FANTASY IV #0034 1章 2節 砂塵(1)

「出やがった!」
足元がぐらついた、と思った瞬間、鋭い二つの切先が砂の下から現れる。高々と吹き上がった砂煙が、陽光を受けて金色に染まった。
不意打ちを食らった交易商たちは、経験を積んだ者から順に、荷車を捨ててその場を離れようとする。
輝く靄の中に浮かび上がる、大蛇とよく似た長い影。巨大な甲虫ハンドレッグが、獲物の気配を察し巣から這い出てきたのだ。
遥か頭上に鎌首をもたげた捕食者が、足をもつれさせながら逃げ惑う、若い商人に踊りかかる。
湾曲した顎が、若者の背を捉える寸前。セシルは虫の真下にもぐりこみ、その腹に深々と刃を差し込んだ。
大きくのけぞるハンドレッグ。予想を越える力に、危うく剣を持っていかれそうになる。
力任せに引き抜くと、体節の継ぎ目を狙って再び剣を突き入れた。同時に、刀身に込めた暗黒の力を解き放つ。
勝負はついた。
でたらめに宙をかく無数の足を避け、セシルはハンドレッグの側を離れた。ほどなくして倒れた虫が、盛大な砂埃を巻き起こす。
「……すげえ、やったぜ!」
ビッグスの声を契機に、一目散に逃げた商人たちが、おそるおそる背後を振り返った。
なおも激しく身をよじり、虚しく地面に尾を打ち付ける大百足の姿を見て、皆の間に歓声が広がる。
犠牲者が出なかったことを喜ぶのはもちろんだが、戻った商人たちが、痙攣を続けるハンドレッグに取り付いたため、セシルは呆気に取られた。
思わず、横のビッグスを振り返る。20年以上キャラバンを率いてきたという男は、満面の笑みを浮かべ、セシルの労をねぎらった。
彼曰く、これも砂漠の恵みの一部──市に持ち込めば、いい値がつくのだそうだ。
「気ぃつけろ! まだ動いてるぞ!
 こらそこ! しっかりラクダ見てろ!」
ベテランの商人たちから、活気に満ちた指示が飛ぶ。
甲皮や腱は天幕に、毒は薬の材料に。巨体は見る間に解体され、荷車に収まってしまった。
285 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/30 03:58:48 ID:i8LQbhJ1
FINAL FANTASY IV #0035 1章 2節 砂塵(2)

オアシスの町カイポまで、残す所わずか。幌をかけた荷車の中で、セシルは休息を取っていた。
傍らで、ミストの生き残りの少女が、目を閉じて横たわっている。
あの日、少女が巨人を呼び出した後、何が起きたか彼の記憶ははっきりしない。
気がつくと夜が明けていて、彼は気絶した少女を抱え、土砂に半ば埋まっていた。
どうにか這い出し、周囲の様子を調べて、バロンへの帰路が閉ざされたことを知った。地滑りが起きて、洞窟の入口が塞がれてしまったのだ。
姿の見えないカインも気がかりだったが、少女の身を考えると、一刻の猶予もない。
砂漠を渡るか、無理にでも山を越え、バロンに引き返すか。迷った末に、セシルは前者を選んだ。
余裕を持たせたとはいえ、水も食料も、バロンに戻るまでの用意しかない。山中で調達できるかもしれないが、肝心の道がなくてはどうしようもない。
それよりは、砂漠に向かったほうが、まだ可能性があると考えたのだ。
交易で栄える町と、その住人を潤すオアシスが、あちこちに点在している。自力でたどり着くのは無理でも、キャラバンを見つければ、助けを求めることが出来る。
カインへのメッセージを残すと、少女を背負って、セシルはミストの地を後にした。
星を読み、記憶を頼りに最寄の町を目指して歩くこと2日。結局道を外れかけていたセシルは、通りがかったビッグスの隊に拾われた。
キャラバンを襲った魔物を退治したことで、少しは借りを返せたようだ。
「君にもいつか……
 いや、ムリだね」
巨人の召喚が、大きな負担となったのだろう。少女はあれ以来、一度も眼を開いていない。
町についたらまず、彼女を託す場所を探そうとセシルは心に決めていた。
出来るものなら、この手で罪を償いたい。だが少女のほうは、セシルに側にいられたくないだろう。
それに、バロンとの戦いに巻き込むわけには行かない。
いつか全てが終わったら、そして少女がそれを許してくれたら、改めて彼が面倒を見るつもりだった。
ずいぶんと先の話になる。今のうちに一度謝っておきたいが、相手が眠ったままではそれもかなわない。
結局、キャラバンがカイポの門をくぐるまで、少女が目を覚ますことはなかった。
286 ◆HHOM0Pr/qI :04/12/30 04:07:52 ID:i8LQbhJ1
そろそろage。

なりゆきで越えられる砂漠はイヤなのでオリジナルキャラ登場。
高熱病の予防についても書く予定だったけど、長くなるのでやめますた。
287名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/03 07:26:15 ID:gEOhOoY0
相変わらずうまい文章乙。
288名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/06 11:33:42 ID:8NozKNNT
続きマダー?(・ω・)

他力本願でおながい(´・ω・`)
289 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/08 03:04:27 ID:BgNuVISm
ちょうど連休なのでがんがって見る。
しかしこのあとのイベントって……ちょっといじらないとかなり不自然になりそうだorz
290 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/09 18:43:54 ID:0QHsdhdv
とりあえずジェネラル襲撃直前まで投下。
次は戦闘シーンか…苦手なんだよなあ……
291 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/09 18:47:00 ID:0QHsdhdv
FINAL FANTASY IV #0036 1章 2節 砂塵(3)

ビッグス率いるキャラバンは、オアシスの南岸に宿を定めた。セシルが世話になるのはここまでだ。旅人相手の宿を紹介してもらい、眠りつづける少女を連れて、隊を離れた。
日干し煉瓦を積み上げた壁がどこまでも続き、入り組んだ路地に影を落として、傾いてなお烈しい陽光から人々を守っている。平面と直角だけで構成された砂漠の建物は、それ自体がひとつの巨大な煉瓦のようだ。
「いらっしゃいませ……
 ああ、お嬢ちゃんの顔色が悪い。早くこちらへ」
「すまない」
少女の様子をひとめ見るなり、宿の主人はカウンターを飛び越え、突き当たりの部屋までセシルたちを案内した。促されるまま少女を横たえ、水などを持ってくるよう主人に頼む。
「高熱病……じゃあないみたいだが、どうしたんだい?」
「疲れているだけだ」
「妹かい? ずいぶんとキツそうじゃないか」
「悪いが、しばらく休ませてくれないか」
流行り病を警戒してか、あれこれと詮索したがる主人に多めの宿代を渡し、隣のベッドにセシルは腰を下ろした。ランプに火を入れ、武具の手入れをする。しばらくして、水差しとグラス、それに蜂蜜の入った壺が届いた。
「ありがとう。そこに置いてくれ」
二つのグラスに水を注いで、主人はあっさり部屋から出て行った。荷物から小振りの瓶を出し、中身を手の平にあける。無数の突起を持った真珠色の粒をよっつ、指先ですりつぶし、グラスに溶かした。砂漠特有の熱病を防ぐ薬は、合流した際にビッグスから分けてもらった。
──正確には、怒声とともに押し付けられた、というべきか。バロンの人間であるセシルは、高熱病の恐ろしさを今ひとつ実感していなかったが、進んで体調を崩すこともないので、素直に従っている。
自分のグラスを空にすると、新たに3粒の薬を瓶から出し、粉状にして蜜と混ぜた。水でのばし、少女の唇に塗りつける。小さな舌が、それを舐めとる。
少しずつ薬を与えるうちに、固く閉じていた少女の瞼が、震え始めていることにセシルは気がついた。
手を止め、息を詰めた彼の前で──数日ぶりに、少女は目を開いた。
292 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/09 18:48:36 ID:0QHsdhdv
FINAL FANTASY IV #0037 1章 2節 砂塵(4)

目覚めた少女は、瞬きを繰り返しながら、ベッドの上で体を起こした。状況が把握できないのだろう、不思議そうにあたりを見回している。
いかにも夢から覚めたばかりといった様子だったが、目の前のセシルに気付いた途端、表情が硬くなった。体を縮こめ、少しでも距離を取ろうとする。
「気がついたね。気分は?
 そういえば、まだ名前を聞いてなかったな」
「…………」
返答の代わりに、少女は手元のシーツを握りしめた。これぐらいは覚悟のうちだ。セシルは構わず話し掛けた。
「この薬を飲んでおくといい。熱病にかからなくなるそうだ。それと……」
明日君の世話をしてくれる所を探す、もう顔は見せないから、一晩だけ我慢して欲しい。そう続けるつもりだった。
「……君のお母さんは、僕が殺したも同然……許してくれるわけはない……」
少女の、怒りと怯えと諦めが混じりあった眼差しに、用意していた言葉が全て、こぼれ落ちて行く。
罪の深さを、その自覚を、いま少女に示してどうなるというのだろう。
ミストでカインと交わした誓いを、セシルは忘れていなかった。バロンに起こっている異変の正体を突き止め、かつての
彼女に償うためだけに、生きる覚悟もないくせに。
「ただ、できるだけのことをさせてくれないか……」
少女は何も言わなかった。まるでセシルの言葉が聞こえないか、聞いても理解できないかのように、じっと彼の顔を見つめ続ける。セシルは息を殺して、裁きを待った。
荒々しい物音が、沈黙を破る直前。確かに少女は、何かを言おうとしていた。
293 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/09 18:57:35 ID:0QHsdhdv
ちょっと補足。続き書いてくださる人がいたら、無視してかまいませんので、参考までに。

セシルがリディア置いてくつもりでいるのは、この時点では、バロンの外で狙われることはないと考えてるから、という想定で書いてます。
この後追っ手がやってきて、やっぱり自分で守らないと、という風に考えが変わります。
……この辺一気に書くつもりでいたんだけど、なかなか思い通りには行かず。orz
294タイタンあたり書いた者:05/01/11 08:06:17 ID:WbwOemWU
続き待ってました待ってました!ついにリディアとの和解ですね。
書かせていただきたいのですがなかなか時間がとれず…
次、ジェネラルってかなりの見せ場(((;゜д゜)))
できればまた協力させていただきます○| ̄|_
295 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/11 23:45:56 ID:oTnT0Uw1
うがぁ、なんか一部文章が抜けてる……コピペミスったか(汗
#0037の後ろ1/4ぐらいの文章は、こうなるはずでした。↓

ミストでカインと交わした誓いを、セシルは忘れていなかった。バロンに起こっている異変の正体を突き止め、かつての故郷を取り戻す決意を捨てられない。
彼女に償うためだけに、生きる覚悟もないくせに。

>294
おながいします。こっちも時間取れるかわからないので。
296名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/17 23:57:50 ID:C59qdJbZ
保守。
297名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/20 23:31:58 ID:BzUr8HBL
過疎化か。ようし、いっちょ俺が………

むりぽ
298 ◆HHOM0Pr/qI :05/01/20 23:57:10 ID:SOOAJkZ2
>297
そんなこといわずにたのむよ。
な?
299名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/22 19:21:55 ID:QQ0a03p8

「みつけたぞセシル!」
荒々しく開けられたドアの音が部屋中に漂う長い沈黙を打ち消した。
「!」
少女は突然の物音にびくんと体を震わせた。
「誰だ!!」
セシルはその声を聞くと反射的に武器をとりドアの方へ目を向けた。
そこには赤い鎧をまとった男が3人そして緑の鎧をまとった男が1人たっていた。
「こんな所にいたとわな!」
そう叫びながら緑の鎧の男が部屋に入り込んできた。
その男達の鎧にセシルは見覚えがあった。
「バロン兵……何故ここが!」
セシルは思わず疑問を口に出してしまった。
だがセシルのその疑問はすぐに解消された、さっきは男達に隠れて見えなかったが、
男達の後ろに宿の主人が申し訳なさそうにセシルをみていた。
「あなた……始めから僕のことを知っていたのか!」
「その通りだ、だがこいつらにおまえの場所を教えないつもりだったんだが……本当にすまない!」
主人は本当ににすまなそうにこちらを見ていた、よく見ると体中に抵抗したのか殴られた形跡があった。
彼としても彼等を此処に案内したには本意ではなかったのだろう。
「まってくれ!バロン王は……」
後に続く言葉がみつからない、ミストの事を洗いざらい話せば許してもらえるとは決して思っていない。
だがその時のセシルには他に言葉を発することができなかった。
「その王のご命令だ! ミストの生き残りのその子どもを引き渡せとな!」
「なんだって!?」
セシルは愕然とした。自分はたしかにバロン王に反旗を翻した、だが何故あの少女を引き渡さねばならないのだろう。
「何も知らんようだな、なら教えてやる。ミストの者は我々への協力を拒んだ。
そのため王はおまえとカインに指輪を渡しミストへむかわしたのさ、ミストの者を滅ぼすために。おまえは王にうまく利用されたのさ」
「!」
その男から語られた言葉に少女は今まで以上に震え上がった。
セシルは激しい怒りを覚えた。バロンの卑劣なやり口にもだが何よりも体よく利用されたあげくミストを滅ぼした自分にである。
「そういうことだ、さあその娘を渡せ!」
「ことわる!」
300299:05/01/22 19:34:54 ID:QQ0a03p8
章タイトルを入れ忘れましたが
一応292の続きを書いて見ました
301FFシナリオページ探してます:05/01/22 20:17:37 ID:gRsMOs1L
・・・FF4ならこのページはいかがですか?
http://www.parabox.or.jp/~takashin/ff4story01.htm
302名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/23 12:29:01 ID:RP/WAr4V
>>299
よくぞやってくれましたアリガトウ
>>300
携帯なんでパソコンで見ます(´・ω・`)
303名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/23 12:31:05 ID:RP/WAr4V
間違い、300じゃなく301でした。
304299:05/01/25 03:38:09 ID:bUnOGCWr
FINAL FANTASY IV #0039 1章 2節 砂塵(6)

セシルは怒りにまかせてバロン兵にそう言い放った。
「ならば力ずくでも連れて行くぞ!」
そう言って男達は剣を抜いた。
セシルも剣を構える。
「かかれ!」
緑の鎧の男がそう言うと後の3人が一斉に襲いかかってきた。
だがセシルは向こうの剣を受け止め反撃しようとする。
「この匂い!」
セシルはその男と剣を交えた瞬間異様な匂いを感じた。
「こいつ、人間ではないのか!」
相手に反撃しつうセシルはそう言った。間違いない今のはモンスターの匂いだ。
何故バロン兵がモンスターに?セシルは疑問を抱いた、だがその疑問もすぐに頭から消えていった。
眼の前の敵を相手にしているためそんな事を深く考えている余地はなかった。
1対3の状況は決して自分に有利ではないのだ。
その上この男達……いやモンスター達は後ろの男の指令により絶妙なコンビネーションで攻めてくる。
このままではいずれ押されて負けてしまう。
この状況を打破するには指令を下している後ろの男を倒すしかない。
セシルは思った……だがなかなかその反撃のチャンスがやってこないのだ。
305299:05/01/25 03:40:58 ID:bUnOGCWr
FINAL FANTASY IV #0040 1章 2節 砂塵(7)

「かかれ!」
もう何度めになるのか分からない後ろのの男の指令が聞こえてくる。
「!」
モンスター達の攻撃を剣で防ぎつつセシルはあることの気付いた。
……そうモンスター達は攻撃し終わってから次の指令が下されるまでは動きが鈍くなる。
つまりその間になんとか後ろの男を攻撃できないものだろうか?だが失敗したら次は無いだろう。
「どうする?」
セシルは悩んだ、だがこのスキを突くことが最良の方法だろう。
そう決心すると、セシルは敵の攻撃を受け止めながら反撃のタイミングを伺った。
モンスター達の攻撃の手が止まる。
「今だ!!」
セシルはそのタイミングを逃さず後ろの男に斬りかかった。
「な!」
男は何か言おうとした、だがそれが言葉になるよりも先にセシルの剣が男の鎧を貫いていた。
男は鎧から血しぶきを上げて倒れ二度と起きあがらなかった。
モンスター達はそれでもなお抵抗してきた。
だがリーダーを失ったモンスター達は烏合の衆となりセシルの敵ではなかった。
306299:05/01/25 03:54:22 ID:bUnOGCWr
FINAL FANTASY IV #0041 1章 2節 砂塵(8)

バロンからの刺客を退けた後部屋にはセシルと少女の2人だけが部屋に残された。
宿の主人は処分すると言って部屋から男の死体を持って出て行った。先程の出来事の一部始終を見ていた彼は他に何も言わなかった。
しばらくの沈黙の後、口を開いたのは少女の方だった。
「ごめんなさいあたしのせいで……」
少女は今にも泣きそうな声で呟いた。
「あやまるのは僕のほうだ。それもあやまって済むような事じゃない……」
利用されていたとはいえ確かにミストを滅ぼしたのは自分だ、それは変えようのない事実でありどんな事をしても償えるものではない。
それはセシル自体も重々承知していることである。
「でも守ってくれた……」
少女は再び呟いた、その眼からは涙があふれていた。
「……」
そうだ……自分はバロンからこの少女を守った。
そしてそれはもう此処が少女のとって安全な場所でない事を意味している。
彼女を守る事、それが今セシルが少女にできる最低限の事だろう。
「きみを守らせてくれないか……」
セシルは少女に呟いた。
少女が自分を憎んでいるのは知っている、しかしこのまま少女を誰かに預ける事など今のセシルにはできそうになかった。
「あたし……リディア……」
リディア……それが少女の名前であること、そしてそれが彼女の答えだと言うことを理解するのに少しばかり時間がかかった
「ありがとう……リディア……」
セシルはそうリディアに呟くと黙って泣き続ける彼女を抱きしめた。 



307名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/25 19:25:28 ID:nc7vnYvv
>>304-306
素晴らしい!
乙です!
308297:05/01/25 21:02:53 ID:zhyW8WTb
FINAL FANTASY IV #0041 1章 3節 光を求めて(1)

「ほらほら、セシル早く!」
「ま、まってくれよリディア……」
「まてないー、遅いよっ!」

 エメラルドグリーンの美しい髪をたなびかせながら、無邪気に駆け回るリディアが先を急かす。
その爛漫な姿はまるで、砂上に輝くオアシスの妖精のようであったが、後ろに控えている暗黒騎士は、
それはみじめな有り様だった。自慢の鎧は吹き付ける砂によってその鮮やかな漆黒を汚され、全身を包む
その黒色がたっぷりと日光を吸収して、中の男ーーセシルは蒸し風呂のような責め苦を味わっていた。
おまけに、彼の背中には巨大な買い物袋が累々と積み上げられていた。
「セシルが言い出したんだからねー」
「わかってるよ……でも、ちょっと休ませて」
耐えきれなくなったセシルはドカドカと荷物を下ろすと、日陰に腰を下ろした。
暑いのには変わりないが、日なたとは偉い違いである。全く、信じられない暑さだ。
兜を外し大きく息をつくと、リディアも横にチョコンと座り、汗をふいてくれた。
309297:05/01/25 21:04:17 ID:zhyW8WTb
FINAL FANTASY IV #0043 1章 3節 光を求めて(2)

 昨夜のこと。
リディアを抱き締めながら、セシルはなんとか彼女を元気づける手段を考えていた。
しかし、どんな慰めの言葉があると言うのだ。考えれば考えるほど、彼女の境遇はあまりにも不憫だった。
「大丈夫?」
「………うん」
「もう寝た方がいい。僕が見張っているから安心して」
「………うん」
彼女はまだなにか言いたげだった。だが、彼はそれを聞くのがなぜだか怖かった。
そっと体を離すと、リディアに向って微笑んだ。
「さっきもいったけど、君のために、僕にできる限りの事をさせてほしい」
「………うん」
リディアの背中を撫でていると、ふと、ミストでの騒動や砂漠を歩いてきたせいだろうか、
彼女の服のあちこちが擦り切れているのに気付いた。
「とりあえず、まずは君に服をプレゼントする」
「………うん」
「おやすみ」
オヤスミ、と聞き取れないような小さな声で呟き、リディアは布団をかぶった。
さいごの「うん」にかすかに明るさを感じとれて、セシルはほんの少しだけ救われたような気がした。

 ところが翌朝、
「おにいちゃん、おそいよー!」
食堂に行くと、驚いたことにリディアがとっくに食事を済ませて騒いでいた。
それも、”かすかに”どころかとびきりの明るい笑顔をふりまいている。
旅館の主人も、昨日の今日での彼女の回復ぶりに目を丸くしていた。
「早く済ませて、買い物してくれるんでしょ!」
セシルが昨夜誓ったことをおぼろげに後悔しだしたのはこの時である。
310297:05/01/25 21:06:11 ID:zhyW8WTb
FINAL FANTASY IV #0044 1章 3節 光を求めて(3)

 以後、朝からずっと町中を引きずり回されているわけだ。砂漠の焼きつけるような陽射しに
長時間晒されっぱなしで、セシルの意識は朦朧としていた。しかし鎧を脱ぐわけにはいかなかった。
当分追っ手はないと思うが、それでも念のためと言うことがある。用心にこしたことはない。
横を見るとリディアは踊子の服を着ている。サイズがまるで合ってないのだが、気にしていないらしい。
「わたしにもお水ちょうだい」
生温くなった水を流し込み、セシルはリディアに水筒を渡した。にっこりと笑うと、
彼女はそれをさもおいしそうに飲み干した。
 リディアは不自然なくらい明るかった。実際、不自然だった。もちろんその半分ぐらいは、
彼女の素なのだろうが。自分のために無理をして明るく振舞う、その幼さに不釣り合いな優しさに、
セシルはつくづく感謝していた。
「ね、そろそろいこうよ。荷物わたしも持つから」
「いやいや、心配しないで。僕が持つから」
火傷しそうなほど熱を帯びている兜をかぶりなおし、セシルは勢いよく立ち上がると、
よりかかっていた民家の石壁の窓辺に手をついた。
「荷物もてる?一回宿屋に戻ろうか?
ねえ、さっきあっちで聞いたんだけど、向こうで男のひと用の服も売ってるんだって。
セシルも買いなよ、私が選んであげるよ。それと……」
返事が返ってこないのでリディアが訝しげに振り返ると、セシルは民家の窓をじっと見ていた。
言葉を失ったように微動だにしないセシルの視線の先には、ベッドに臥せている美しい女性の姿があった。
「……ーザ」
「えっ?」
リディアがセシルに触れようとした瞬間、突然彼は走り出した。
呆気にとられ、民家の中に駆け込んでいくセシルと置き去りにされた荷物を見比べ、
それから慌てて裾を踏んづけながら、セシルの後を追いかけた。
311297:05/01/25 21:09:47 ID:zhyW8WTb
FINAL FANTASY IV #0045 1章 3節 光を求めて(4)

「ローザ!ローザ、僕だよローザ。ローザ……」
セシルは先程の女性に寄り添い、何度も何度も名前を呼びかけている。
家の主の老人は突然の来訪者に戸惑い、どうしたものかと困りこんでいた。
「セシル……?」
リディアは恐る恐る呼びかけたが、彼女の声は全く届いていないようだった。
セシルは一心に女性に話しかけている。
「どうやら、彼女は彼の想い人らしいのう」
「…オモイビト?」
「おや、お嬢ちゃんにはちょいとわからんかのう」老人は髭をかきながら、穏やかに笑った。
オモイビト、という言葉の意味がリディアには分からなかったが、
大切そうに女性の顔に手を添えるセシルに、なぜだか無性に腹が立っていた。
312297:05/01/25 21:11:29 ID:zhyW8WTb
つうわけです。はい。
313名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/25 23:15:14 ID:i5j+tp7d
信じられんくらいさくさくと話が進んでいる……
>299氏&297氏 感謝!
314名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/28 02:14:46 ID:wfeBXw53
久々に来たらニ話も進んでるよー。
乙。
315名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/29 18:10:07 ID:NCJh7trI
支援age
316299:05/01/30 19:04:59 ID:WKPJ2km2
FINAL FANTASY IV #0046 1章 3節 光を求めて(5)

「ローザはいったいどうなってしまったんですか!」
セシルは慌てた様子で老人に問いただす。
「そ、それがじゃな……」
セシルのいきなりの問い詰めに老人は困った顔をした。
「セシル、そんなに慌てて問いつめると答えれるものも答えられないわよ」
リディアはつい二人の間に割って入ってしまった。
昨日はあれほどまでに必死に自分を守ってくれたセシルがこんなにも取り乱してしまうのはリディアにとって面白い事ではなかった。
「わかっているよリディア……けど!」
そう言ってセシルは近くの椅子に腰掛けた、その様子はひどく焦っているようだ。
「じつはな……」
老人は再び口を開いた。
「彼女は数日前にこの街の近くでたおれておってのう、その時には既に砂漠の高熱病にやられておってな可哀想だがこのままでは……」
「!」
セシルはその老人の言葉を聞くと驚愕した、そしてはやる気持ちを抑え彼に尋ねた。
「なんとかならないんですか!」
「あいては高熱病じゃ、なんとかならないかといろいろ手をつくしたのじゃが一向によくならん
砂漠にあると言われる光さえあればな……」
老人はため息をついた、その顔には諦めが感じ取られた。
317299:05/01/30 19:06:20 ID:WKPJ2km2
FINAL FANTASY IV #0047 1章 3節 光を求めて(6)

「光……それは何なんですか?」
セシルは訪ねる。
「高熱病を治すと言われてるものじゃ砂漠の光とも言われておる、だがそれがどんな物かも分からんし本当に存在するのかも定かではない」
「砂漠の光……それがあればローザは」
「まさか探しにいくというのか、無理じゃやめておけ!」
「だが、このまま何もしないよりは!」
そう言ってセシルは立ち上がりローザの手を握り小さな声で囁いた。
「待っていてくれローザ、すぐに助けてあげるからね」
セシルは老人に一礼した後急いで部屋を出て行った。
「ちょっと待ってよセシル!」
部屋に残されそうになったリディアは慌てて部屋を出ようとする。
「ありがとう、おじいさん」
振り返って老人に礼を言う、その時一瞬だけローザの方に眼をやる。
「…………」
とても綺麗な人──そして一途な人──それがリディアの第一印象であった。
318名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/30 20:05:02 ID:psEHFF7a
キター!!!!
イイヨ〜、キミタチ。スゴクイイ!
319299:05/01/30 20:59:51 ID:WKPJ2km2


「明日にはもう出発するの?」
その夜リディアはなかなか寝付けずベットの中から思わずセシルに声をかけた、出発の準備をしてるようだ。
「ああ、早くしなければローザは……」
そう言って再び出発の準備に戻る。
「ねえ……ローザって人はセシルとどういう関係なの?」
しばらく間をおいてリディアは昼から気になっていた事を思い切って訪ねてみた。
オモイビト……老人はそう言っていたが?
「ローザは僕の大切な人、それだけだよ」
セシルはそう言った、だがリディアはその答えがどうも腑に落ちなかった。
「本当にそれだけ?」
リディアはもう一度訪ねる。
「そう……僕はローザを……けど……」
その声はしだいに小さくなっていった。
「…………」
リディアはもうなにも言わなかった、だがセシルにとって自分以上に大切な存在があることだけは理解できた。
「分かった……じゃあもう寝るね」
リディアはそのままベットにもぐり眠ろうとした、だがやはりなかなか寝付けなかった。

320299:05/01/30 21:07:33 ID:WKPJ2km2
すいません。 章タイトル入れ忘れました。
321名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/30 21:52:23 ID:psEHFF7a
問題ないよ、乙。

割り込んでゴメン。
322299:05/01/31 20:57:18 ID:2f05els7
FINAL FANTASY IV #0049 1章 3節 光を求めて(8)

セシルはカイポから北東の暗い地下水脈にいた。
「なんで此処にきたの?」
リディアが訪ねる、昨日眠れなかったのだろうか眠たそうな眼をしてる。
「人を探すんだよ」
「誰を?」
リディアは疑問に思った事を口にした。こんな所を人が通るとは到底思えない。
「賢者テラだよ」
「賢者?」
リディアにとってそれは初めて聞く名前だった。
「そう……賢者テラ」
セシルは今朝の事を思い出す。
323299:05/01/31 20:59:06 ID:2f05els7
FINAL FANTASY IV #0050 1章 3節 光を求めて(9)

早朝、セシルはカイポの町外れにある家の戸を叩いていた。
「すいません、誰かいませんか」
セシルはドアに向かっていう。だが返事は返ってこない。
「どうかしたんですか?」
セシルは後ろから声に気付き振り返る。そこには初老の女性が立っていた。
「あっ、はいこの家にテラさんという賢者が住んでいるって聞きまして」
砂漠の光を捜すと言っても何か手がかりが必要だ、そんな時セシルは宿の主人からこの町に賢者テラがんでいるという噂を聞いたのだ。
賢者と呼ばれるテラなら砂漠の光についても何か分かるのではないかと思ったのだが……
「でも誰も居なくて、留守なんだろうか?」
「…………」
その女性は何故か険しい表情をしていた。
「どうかしたんですか?」
「あっいえ何でもありません。テラさんは少し前にダムシアンまで行かれましたよ」
「じゃあもうこの家には居ないんですか?」
「ええ……」
女性はセシルの問いに何故か暗い表情をした。
「そうですか、それでは」
セシルはその表情に疑問を持ったが敢えて追求せずにその場を立ち去った。
324299:05/01/31 21:01:37 ID:2f05els7
FINAL FANTASY IV #0051 1章 3節 光を求めて(10)

「それでそのテラって人を捜しに来たわけ?」
「そうだよ、カイポからダムシアンへ行くには此処を通るしかないからね」
セシルはリディアの問いに答える。
「それよりも昨日は眠れなかったの?」
「別に……」
リディアはそう答えたが本当はろくに眠れていなかった、ローザの事を考えていたのだ。
あのセシルがあんなにも大切に思っているなんてどんな人だろう、そんな事ばかりをずっと考えていた。
きみを守らせてくれないか……バロンの兵を退けた時セシルはそう言った。
今でもセシルはあの約束を覚えているのだろうか?ひょっとするともう忘れてしまったのではないか、そんな不安が頭をよぎった。
だが今はセシルと一緒にいれるだけで良かった、それにリディアもローザを放っておくのは納得できなかった。
「リディア、後ろ!」
そんな事を考えているとセシルが自分を呼ぶ声が聞こえた。
何事がと思って振り返るとそこには巨大な蛙がいた、ギガントード……主に水辺に生息するモンスターだ。
不意打ち、そう思った時にはすでにその蛙の化け物はリディアに襲いかかって来た。
「!」
リディアは頭の中が真っ白になった、そして眼を閉じた。
だがその蛙の化け物がリディアに襲いかかることは無かった、リディアに襲いかかる寸前に氷付けになっていた。
「氷の魔法ブリザド、一体だれが!」
眼を開きその光景を見たリディアはその疑問を口にした。
自分が唱えた覚えはないでは誰が?
リディアは辺りを見回した。
325299:05/01/31 21:06:33 ID:2f05els7
FINAL FANTASY IV #0052 1章 3節 光を求めて(11)

「大丈夫かお嬢ちゃん」
リディアの疑問はその声に打ち砕かれた。リディアの前に老人が現れた。
「うん……ありがとう」
リディアは礼を言いその老人を見た、眼鏡をかけた頑固そうだがどこか優しそうな雰囲気を持った老人であった。
「助かりました」
剣を収めたセシルがそう言ってこちらにやって来る。
「不意打ちには気をつけろ常に警戒するようにな」
「分かりました、あなたは何故こんな所に?」
セシルは訪ねる、このような所を老人一人で歩いているのはセシルたちと同じく何か特別な事情があるように思えたからだ。
「私は元々カイポに住んでいたのだが娘のアンナが吟遊詩人に騙されダムシアンにいってしまったのじゃ
私はそれを追ってな……」
老人はそう呟く、どこか悲しい眼をしていた。
「……ではあなたが賢者テラ?」
何故そう訪ねたのか分からない、だがセシルにはこの老人こそがテラではないかと思ったのだ。
「いかにも私がテラじゃが……」
賢者テラと呼ばれた老人は不思議そうにセシルを見る。
「やはりそうでしたか、僕はあなたに用があって此処まで来ました」
「一体どうしたんじゃ?」
「カイポで僕の大切な人が高熱病にかかっているんです、何とか助けたくてその為には……」
「砂漠の光がいると」
セシルの言葉を遮りテラが言う。
326299:05/01/31 21:09:14 ID:2f05els7
FINAL FANTASY IV #0053 1章 3節 光を求めて(12)

「知っているんですか!」
セシルは驚いて聞き返す。
「ああ、あらゆる病を治療する幻の宝石と言われておるが詳しい場所は私にも分からん」
「そうですか……」
セシルは落胆する。
「そうがっかりするな詳しい場所は分からなくとも砂漠の光の伝説はダムシアンから生まれたと言われとる
ダムシアンに行けば何か情報が得られるかもしれん」
「本当でしょうか?」
「おそらくはな、なので少し手を借してくれないか」
「何をですか?」
「この先の地下の湖にいる巨大な魔物がいる、とてつもない力を持った奴じゃ。
私の魔法だけでは太刀打ちできん、みればお主暗黒騎士の様じゃなお主の暗黒剣とならば」
テラはそう言って協力を申し出てくる、どうも上手く利用されているような気はしたが今は
ダムシアンに行くのが一番最良の方法にも思えた。
「分かりました、協力しましょう」
このまま迷っていても仕方ないと思いセシルは協力を申し出た。
「ならば決まりじゃ、一刻も早くダムシアンヘ」
テラはそう言って一足先に歩いていく。
「元気のいいおじいさんね」
いつの間にかセシルの隣にいたリディアがそう呟く。
「ああ……」
だがセシルにはその背中がどこか寂しげに思えた。
327名前が無い@ただの名無しのようだ:05/01/31 21:44:55 ID:t6lOCBn3
ウホッ、いい文章…。

順調ですねえ、299さん乙!
328名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/04 00:02:54 ID:z7SZ8fxf
保守。
329299:05/02/07 02:09:29 ID:G4v52qe1
FINAL FANTASY IV #0053 1章 3節 光を求めて(12)

地下水脈をしばらく進んだ所に開けた場所があった。
「よしここで休んでいこう」
テラはそこで急きょそんな提案をした。
「急ぐんじゃなかったんですか?それに魔物にでも襲われたら」
セシルは率直な意見を言う、どうもさっきから
このテラという人に上手く使われているような気がした。
「まあ待て、焦りは禁物じゃここで休んでおいた方が身の為じゃそうは思わんか?
それにこの部屋には結界が張っておりモンスターはまず近づけんよ」
「…………」
セシルは何も言い返せなかった。
「決まりじゃな、ではテントでも張るかのう」
そう言ってテラは用意していたテントを張り始めた」
「ほんとに元気なおじいさんね」
セシルの側に来たリディアがくすくすと笑う。
確かにセシルはそう思わざるを得なかった、
何処か悲しそうな雰囲気に見えたのは自分の気のせいだったのだろうか?
頭の中をいろいろな思考が駆けめぐる。
「おいっセシル手伝わんかい」
「あっはい!」
テラの呼ぶ声によりセシルは現実に引き戻され慌てて駆けていく。
「がんばってね」
後ろからはリディアの苦笑紛れの激励が聞こえてきた。
330299:05/02/07 02:12:08 ID:G4v52qe1
FINAL FANTASY IV #0055 1章 3節 光を求めて(14)

その夜セシルは眠ろうとした時テラに呼び止められた。
「一体何です?」
セシルは聞き返す。
「少し話をせんか」
「話ですか……」
セシルは疲れていたので早いとこ眠ってしまいたかった。
「ああ少しだけでいいんじゃ」
「……分かりました少しだけなら」
セシルはしぶしぶ了承する。
「そうか、ありがとな」
そう言ってテラは焚き火の近くに座りセシルもその近くに座った。
「それで何を話すんですか?」
セシルは訪ねる、元々人と積極的に話すのは得意ではなかった。
「お主はバロンから来たのか?」
「やはり知っていましたか」
331299:05/02/07 02:13:42 ID:G4v52qe1
FINAL FANTASY IV #0056 1章 3節 光を求めて(15)

「それであのお嬢ちゃんは?」
テラがテントの方に眼をやる、リディアの事を言っているのだろう。
「それは……」
ミストの事を話すべきだろうか?だがなかなか言い出せなかった。
「さん……お母さん……」
セシルがそんな事を悩んでいるとテントから声が聞こえてきた。
「リディア……」
やはり明るく振る舞っていてもミストの事がまだ……
「ミストの召喚士です、そしてこの娘の母は僕が…………」
セシルはそれだけ言い後は何も言わなかった。
「そうかやはりミストは……悪いことを聞いてしまったようじゃな」
そうセシルに言った後テラは厳しそうな顔でリディアを見て呟く。
「しかし召喚士とはなそれにかなりの資質を秘めておる」
そして今度は顔を緩めてこう続ける。
「しかし可愛い寝顔じゃ……幼い頃のアンナのようじゃ」
そう呟くテラにはセシルは出会った時に感じた寂しそうな顔をしていた。
「そのアンナという人は確か……」
その表情を見てセシルは思わずテラに訪ねる。
「そう私の唯一人の娘じゃ、吟遊詩人に騙されたというのは嘘でな本当は自ら出て行ってしまったんじゃ」
「何故アンナさんはそんな事を?」
「アンナとその吟遊詩人は愛し合っていた、だが私が二人の仲を許さなかったばかりに……」
テラもセシルも何も言わなかった。
332299:05/02/07 02:14:57 ID:G4v52qe1
FINAL FANTASY IV #0057 1章 3節 光を求めて(16)

「さて、そろそろ私も眠るとするか」
しばらくの沈黙の後テラがそう言って眠ろうとする。
「何故僕にあんな話をしたんですか?」
セシルはテントに入ろうとするテラに訪ねる。
「お前にはいやな話をさせたからな、それのお返しじゃ」
「そうですか……」
セシルはこの老人の事が少しだけ分かったような気がした。
「それと洞窟の魔物とは一体?」
「巨大な八つの足を持つ恐ろしい奴じゃアンナとお主の大切な人のためにも
まず奴を倒さねばそれにダムシアンには……」
テラの表情に陰りが見える。
「どうしました?」
「いや、何でもない」
そう言ってテラはテントに入っていく。
そしてセシルも焚き火の火を消してテントに入って行った。
333名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/07 17:07:09 ID:DrvgrgWp
うほっ、ついに次はオクトマンモス戦!
299さん、乙です!
334名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/09 01:02:34 ID:VGHBgzhD
支援age
335名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/15 18:33:42 ID:2RRsjcFx
保守っとな
336名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/17 16:41:05 ID:kls7+EzI
844 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ sage New! 投稿日:05/02/15 17:43:21 ID:XcnYXXMg
フトO|Eトロト

874 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ sage New! 投稿日:05/02/15 19:22:18 ID:XcnYXXMg
ベホマンwwwwwっうぇwっうぇうぇwwwwwwww
337299:05/02/22 01:29:36 ID:OOkQvTE/
FINAL FANTASY IV #0058 1章 3節 光を求めて(17)

地下水脈の最深部──ダムシアンに続く闇と静粛に支配されたこの場所に響くのは中央に流れる滝の音だけであった。
「奴はいつもここで獲物を取ろうと待ちかまえている」
テラはそう言って滝の下にできている湖を指す。
「お前は奴を引きつけろ、私が魔法で援護する」
「分かりました」
セシルは剣を抜き近くの足場に飛び移った。
「あとこの娘にも手伝ってもらおうか」
そう言って後ろにいるリディアの方を見る。
「黒魔法は使えるか?」
「…………」
無言のまま首を横にふる。
「そうか……分かった」
その声はどこか腑に落ちない物であった。
セシルはその声に疑問を感じつつも周りの様子に意識を集中する。
辺り一帯は静かであった、本当に此処に魔物がいるのだろうか?
「セシル後ろに!」
そんな事を考えているとリディアの叫びが聞こえ後ろを振り返る、だが振り向く前に何かが襲いかかり水の中に勢いよく吹き飛ばされた。
「くっ」
何とか体勢を立て直し近くの岩場へ上がり周りを見渡す、そこにはいくつもの巨大な触手がセシルを取り囲んでいた
さらに前方にはそれを操ると思われる怪物の顔がこちらを見ていた。
「そいつが八つの足を持つ魔物オクトマンモスじゃ」
テラはそれだけ言うと魔法の詠唱に入る。セシルも剣を構え奴の攻撃に備える
338299:05/02/22 01:31:03 ID:OOkQvTE/
FINAL FANTASY IV #0059 1章 3節 光を求めて(18)

オクトマンモスは自慢の足であらゆる方向から攻撃をしかけてきた。その攻撃はセシルといえども苦戦する相手であった。
「サンダー」
テラの雷魔法がオクトマンモスの足に電流を走らす。そのスキを突いてセシルは足の一つを切り落とす。
「ありがとう、テラ」
「礼には及ばん。さすがは暗黒剣の使い手じゃな」
それだけ行って再び魔法の詠唱に戻る。
オクトマンモスは残った足で執拗にセシルに襲いかかってくる。
七つになったとはいえやはりその攻撃は激しくなかなか反撃をするスキがない。
だがやはり本能赴くままに行動するだけの魔物。その攻撃は単調な攻撃であり見切るのは難しいことではなかった。
魔物は足を失うごとにだんだんと攻撃の勢いをなくしていった。そしてついにテラの援護もあり最後の足を切り落とす。
「これで奴も終わりだな」
安堵の息をもらし剣を納めようとする。
「まだだ!」
その時テラの叫び声が聞こえると同時に全ての足を失った魔物がこちらに体ごと突撃してきた。
「!」
慌てて剣を戻し押し返そうとするが一足遅かった。体勢を崩され防御するだけで精一杯であった。
押し寄せる波と魔物の攻撃にだんだんと体力を奪われていき防戦一方になる。
「このままでは!」
そう思ってからどれほどの時間がたったのか分からない。だがその時、今まで以上に強い雷がオクトマンモスを襲った。
魔物は動きを止め酷く痙攣する。
「今じゃセシル!」
後ろからテラの叫び声が聞こえる。
一瞬何が起こったのか分からなかった、しかし今が攻撃のチャンスだと思った。
「分かりました」
セシルは怪物の頭へ剣を振るう、魔物は雄叫びを上げ水中に消えていった。
339299:05/02/22 01:32:51 ID:OOkQvTE/
FINAL FANTASY IV #0060 1章 3節 光を求めて(19)

「ありがとうテラ、今の魔法は一体?」
テラの元へ駆け寄りそう訪ねる。
「なあーに少しばかりの賭けじゃよ」
「賭け?」
「そう忘れていた魔法を使えるかどうか試してみたんじゃ」
「忘れていたとは?」
セシルは訪ねる。昨日からこの老人には質問してばかりだ。
「年のせいか物忘れが激しくてな、昔は使えたはずの魔法が思うように使えなくなってしまったんじゃ」
テラは笑いながらそう言った。
「そうですか」
そんな事ができるとは全く持ってすごい人だ。セシルは少しばかり感心する。
「私もまさかここまで上手くいくとは思わなかったわ」
そう言って大きな声で笑う。
「よし出発じゃ、もう少しでダムシアンだぞ!」
そう言ってテラは立ち上がって湖の向こうに見える出口へ駆けていく。
「本当に元気ね」
リディアが笑いながら言う。
「ああ」
セシルは半ば呆れながらそう言った。
「早く追いかけよう。あのままじゃ置いて行かれそうだよ」
「うん」
そういって二人はテラの後を追いかけていった。
340名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/22 03:46:05 ID:sBiQ6Kzf
そしてダムシアンへ・・(ドキドキ
341名前が無い@ただの名無しのようだ:05/02/27 00:35:53 ID:fYvw05Au
そわそわ・・・
342名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/05 13:10:49 ID:NQVqHlv/
ほっしゅほっしゅ
343名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/10 01:34:35 ID:E5648+eF
いいスレだ。保守。
344名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 13:05:25 ID:CU1KM6TE
FINAL FANTASY IV #0061 2章 2節 光を求めて(20)

「…さ、流石に熱いな…」
日の光も届かない闇の洞穴をやっとのことで抜けたかと思うと、
今度は砂漠を照らす灼けるような昼の日差しが彼らを襲った。
おまけに丸一、ニ日も松明だけを頼りにしていたせいで、目が痛いほどに眩しい。
「年寄りには答えるわい。早くダムシアンへ急がねばな」
ローブで体を隠して日差しを避けながら、テラ。
「しかしここからは」
セシルが老人をふりかえる。
「ダムシアンまでかなりの距離があります。徒歩では少なくとも一日はかかるでしょう」
「ふむ…」
確かに、手元の地図によると、この地下水脈とダムシアンの都は随分離れている。
カイポへと辿りついた時のように運良くキャラバンなどに遭遇出来ればそれにこした事は無いが、そんな偶然に何度も遭遇できるとは思えない。
「砂漠のど真ん中での野宿は覚悟したほうが良いかも「多分それはしなくていいと思うよ」
セシルは思わぬ方向からの声に、少し面食らった。
何かと思っていきなり口を挟んできたリディアの方を見やると、彼女はどこから連れて来たのか、一羽のチョコボに跨ってこちらを見下ろしていた。

「…チョコボ…?」
「うん。チョコボだよ」
呆気に取られるセシルに、さも当然そうにリディアが答える。
「あ、いや、その、だからね、そういうことじゃなくて、何処にいたの?そのチョコボ?」
「幻界」
え、ゲンカイ?聞きなれない単語に、またも呆気に取られた。
その様子が可笑しかったのか、いたずらっぽくクスクスと笑いながら、リディアは続ける。
「幻界っていうのは幻獣のすんでる所。
 知らないの?チョコボって、元々は幻獣なんだよ?」
「…それで、今召喚したと?」
セシルよりはある程度おちついていたテラが、そう尋ねる。
「そ。ここから歩くと疲れると思って」
にっこりと笑う少女を前に、騎士と賢者は顔を見合わせた。
…やっぱり、この子はすごい。
345名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 13:07:55 ID:CU1KM6TE
FINAL FANTASY IV #0062 2章 2節 光を求めて(21)

それから3人は、一羽のチョコボに乗ってダムシアンを目指した。
いくらなんでも一度には一羽しか召喚できないので、仕方なく3人で乗ることにしたのだ。
流石に重過ぎるのか、チョコボは時々危なっかしくよろめき、いかにも辛そうだったが、
しかしそれでも随分速い。出発して2時間といったところだが、もうダムシアンまでの距離の半分は走破していた。
「日暮れ前に到着できそうだね。それにしても速い!」
「でしょ〜?ね、ところで、ダムシアンってどんな所?」
「ああ、とっても平和な所さ、リディア。
 住んでいる人々もみんな温厚で優しくてね。特に王子のギルバ…」
セシルとリディアがそんな話をしていたその時、彼らの乗るチョコボよりも遥かに速い何かが頭上をよぎった。

セシルは思わず、上空を見上げた。
この音。かつて嫌と言うほど耳に飛び込んできた、この音。
それは紛れもなく、飛空艇のエンジン音だった。

飛空艇は彼らに構うことなく、一直線にどこかへと向かって行く。
彼らと同じ方向へ。つまり、ダムシアンへ。
そう、四つの内の一つのクリスタルがある、ダムシアン城へ。
「…まずい!」
セシルが叫ぶ。
ダムシアンのクリスタルを狙っているとするなら、ミシディアやミストと同じ惨劇がくりかえされることになる。
それはなんとしても避けたい。
「奴らはダムシアンのクリスタルが狙いだ!
 リディア!急いでくれ!このままだと大変な事になる!」
セシルの鋭い叫びにリディアは驚き、チョコボもまた、それまでよりも速く砂の大地を駆け始めた。

その約一時間後…
ダムシアンの城は眼前に写る頃には、そこは既に大部分が原型を失っていた。
城としての面影はなく、所々が火の海と化している。
目を凝らすと、去っていく飛空艇の点のような姿が見えた。
346名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 13:11:13 ID:CU1KM6TE
FINAL FANTASY IV #0063 2章 2節 光を求めて(22)

「間に合わなかったか!」
セシルがチョコボから下りると同時に叫ぶ。
「ひどい…」
リディアも、目の前の無残な城の姿にそれだけ呟く。

しかし、自分の知る「紅い翼」は、ここまで残虐だったか?
ふと、セシルの頭の中でそんな考えが首をもたげる。
あのミシディアの急襲でも、ここまではしなかった。
勿論それは自分の命令もあっただろうが、隊員達も皆途中で出会う魔導師達は出来るだけ無視してクリスタルのある宮殿へと向かった。
もっとも、徹底的な抵抗を見せる者達は仕方なく殺すか、捕虜にするかで対処したが。
それに比べて、この惨状はなんだ?
無抵抗だったと思われる人々も徹底的に殺され、辺りに散る死体は目を逸らしたくなるようなものばかりだ。
セシルはそれらに、何か厭な予感を感じた。
確かに、バロン王は近頃人が変わったようだ。
しかしそれでも、シドや自分を初め彼に異を唱える者が大勢いた。
「紅い翼」の隊員たちもそうだ。
幾ら王に命令されたとは言え、彼らがここまでやるとは考えられない。少なくとも自分はそうだ。
そんな彼等がここまでの事をすると言う事は、やはりバロンでは何かが起こっている…
そこまで考えが至った時、後ろから「アンナ!」という素っ頓狂な声が聞こえた。
347名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 13:12:31 ID:CU1KM6TE
FINAL FANTASY IV #0064 2章 2節 光を求めて(23)

「アンナは!アンナは何処におる!」
そう叫ぶテラの顔は、普段のものとはまるで違った。その様子に、セシルとリディアは顔を見合わせる。
恐らく、この攻撃の激しさでは生きてはいない…
セシルは勿論、子供のリディアにもそれは分かっていたが、取り乱した老人相手にそんなことを言える筈も無い。
そうしている内にテラは「アンナを助けねば!」と叫び、城の中に走って行く。
「ま、待ってください!」とセシルが慌てて彼の肩を掴むが、彼は「うるさい!」と怒鳴って老人とは思えぬ力でその腕を振りほどき、
これまた老人とは思えぬ力で瓦礫の山と化した城を走り抜けて行く。

「アンナ!わしじゃ!テラじゃ!いたら返事をせい!」
そんなことを叫びながら、テラは血の匂いが漂う城内をくまなく探して行く。
「待ってくださいテラ!貴方の娘さんは恐らく、もう…」
セシルもリディアを背負って後に続く。
そうして城の上層までたどり着いた時、
彼らは内心少し覚悟していた、しかし一番見たくなかった光景を目の当たりにした。

一人の女性が胸から血を流して倒れていた。
348名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 13:16:32 ID:CU1KM6TE
以前vs霧龍を描いた者です。
◆HHOM0Pr/qI氏や299氏の先を越してしまっては悪いと思い、今までは描かずにいましたが、
このままでは誰も寄りつかなくなってしまうと感じて保守も含めて投下させて頂きました。
お二方、今描いてる所を先を越してしまったようなら申し訳無いです。
349名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/12 15:57:46 ID:ke3ZGZBP
とってもナイス!!
350 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/12 17:11:57 ID:w1HzVf36
>348
>先を越してしまっては悪いと思い
そんなことないぞ。GJ!
特にテラの取り乱し様や、ミシディアと比べて『赤い翼』の残虐さが増しているところなんか、すごくいい描写。
351629:05/03/12 18:19:21 ID:AMXSq2P7
>348
乙。

このスレはリレー形式なので、いつでも
気軽に書いていいと思いますよ。
352299:05/03/12 18:22:49 ID:AMXSq2P7
>351
間違えた……
629でなく299です

353名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:07:50 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0065 2章 2節 光を求めて(24)

 ダムシアン王位継承第1王子、ギルバート・クリス・フォン・ミューアは、争いごとを好まない青年であった。
 悲哀に満ちた美しい容姿を持ち、その容姿のように優しい性格を持っていた。
 身分や金銭といった俗世を嫌い、剣の代わりに竪琴を愛し、呪文の代わりに詩を口ずさむ、そのような青年だった。
  
 いま、彼の周りには、焼け焦げた破片となった城壁がそこら中にあって、もの言わぬ死体となったヒトの姿がそこら中にある。
 その空間の中ただひとり、ただひとりだけ、ギルバートは立って、居た。
 自身を愛し、守ってくれた家族。自身を慕い、守ってくれた国民。血溜まりの中のすべてを前にして、その表情に感情の色はなかった。
 ただ立ちつくすだけ。
 なぜこんなことになったのか。こんなことになって、自分はこれからどうすればいいのか。そもそもどのような思考をすればいいのか。
 絶望することも億劫なくらいに、体がだるくて重たくて。だからただ、立っているだけ。ギルバートはぼんやりと、静寂の中に立っていた。

 ――――アンナっ!

 老人の声が静寂を破る。
 ――――アンナ?
 空間に響いたその名前を耳にして、ギルバートの瞳が揺らぎ、仄かに意志が宿る。
 アンナ。その名が指すのはひとりの女性。この平間の中央で胸から血を流して倒れているひとりの女性。そうだ、アンナ。彼女は、僕を庇って―――― 
 ギルバートはアンナの元へ、のろのろと歩みを進めた。


 テラの視界に映ったのは、すでに致命傷を負ってしまっている愛しい娘。そしてこの状況でただひとりだけ、生きている男の姿。
「貴様、あのときの吟遊詩人!」
 それを認識した瞬間、テラの憤怒が爆発した。
 どうしてもこの手で救いたかった娘はすでに倒れ伏していて、娘を奪った憎い男だけが、今ものうのうと二の足で立っている!
354名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:09:15 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0066 2章 2節 光を求めて(25)

 気がつけば、テラは両手に握った杖でギルバートに殴りかかっていた。
 殴る。
 殴る。
 殴る。
 アンナを奪ったことへの怒りをわめき散らしながら、テラは殴った。堰を切った流れは止まらない。
 男の弁解など聞けない。弁解しようとする男の態度も気に入らない。この五体満足なままでいる男に、アンナの痛みを――――

 ――――やめてっ!!

 背後から、声がした。聞き間違えるはずのない、愛娘の声。
 
 テラもギルバートもアンナを振り返り、セシルとリディアもアンナへと駆け寄った。
 アンナの瞳に、自分を覗き込むセシルとリディアの姿が映った。その表情は悲痛。
 他人から見て、自分がどれだけ血を流しているか知らないけれど、目の前で自分のせいでそんな顔をされるのは堪えるものだ。だからせめてふたりを安堵させようとアンナは微笑む。
 その微笑みをみて、リディアは顔を哀しみにゆがめながらアンナの手を握る。アンナを、少しの時間でもこの世につなぎ止めるように。
 その微笑みが、自分たちのためのものだと気づいたから。
 少女の小さな手、アンナはその感触に安らいだ。ふたりを安心させるはずが逆に安心させられてしまった。
 アンナは少女の心へ負担をかけてしまう罪悪感を胸にしまい、「ありがとう」と涙をこらえる少女に甘えることにした。
 まだ声を出すことができるのだと、大きく息をついた。このまま死ぬわけにはいかなかった。父に、伝えなければならないことがあるのだ。
 駆け寄って、生きていてくれたかと安堵する父へと言葉を告げる。
 ギルバートはこの国、ダムシアンの王子であり、吟遊詩人として身分を隠しながら旅をしていたこと。
 カイポを訪れた彼と出会い、恋におちた。そして、心からギルバートを愛していることを。
「……ごめんね、お父さん、勝手に飛び出したりして。でも、カイポに戻ろうとしてたの。……お父さんのことが大好きだからこそ、ギルバートのことを許してほしかったから。でもそのとき……」
 苦しげに言葉を紡ぐアンナを、ギルバートが引き継いで言う。
「ゴルベーザと名のる者が率いる、バロンの赤い翼が……」
355名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:10:45 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0067 2章 2節 光を求めて(26)

 テラたちと同じようにアンナを見つめていたセシルが顔を上げる。ゴルベーザ。それが、いまの隊長の名前か。
「ゴルベーザとはいったい何者なんだ?」
「わかりません……黒い甲冑に身を包んでいて……、人とは思えぬ強さで……」
「赤い翼はやはりクリスタルを!?」
「……はい。やつらはクリスタルを奪おうと火を放ち……、父も母もやられ……アンナも……、僕をかばって弓に……」
「そんなにまで、こ奴のことを……」
 ギルバートを庇った。その言葉に、テラの胸が痛む。アンナはギルバートのために自身の生命と投げ出したというのだから。

 そしてアンナは、自身の終わりを自覚する。テラとギルバートに、自分の死という不幸をもたらしてしまうことだけが最後の心残りだった。
「ごめんね、お父さん、私を許して。ギルバートを許してあげて……」
「アンナッ!!」
 死にゆくアンナを呼び止めるテラの叫びは届かない。
「ギルバート、あい……してる」
 そうして、最愛の恋人へと言葉を告げて、アンナは目蓋を閉じた。
 死にゆくアンナに最後に残るのは、リディアの小さな手の感触。
 その感触も薄れきってしまう前に、哀しい気持ちにさせてごめんなさいとその手を握りかえして。
 それが伝わったかどうかはわからないままアンナはこときれた。
 
「アンナ!! アンナ!! ……おのれ!! そのゴルベーザというのは一体何者なんだ!!」
 激昂するテラに、「最近バロンにやってきて、赤い翼を率いクリスタルを集めているとしかわからない」とギルバートは首を振る。
 アンナの死に涙するギルバートに、テラは「情けない!」と吐き捨てた。
「泣いてもアンナは生き返らん!! バロンの、ゴルベーザ……!!」
 テラはギルバートたちに背を向け、ここから立ち去ろうとする。
「テラ!? どこへ!?」
「アンナの仇をとりにいく!!」
 引き留めるセシルへ、激情のままテラは怒鳴り返した。
「ひとりでは……!!」
「助けなどいらぬ!! 娘の仇だ、私ひとりでやる!!」
「テラ!!」
 そうして。セシルの声に振り返ることなく、テラは去っていった。
356名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:23:06 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0068 2章 2節 光を求めて(27)

 城門へ向かって廊下を歩くテラの胸には、後悔だけ。
 アンナとギルバートのことを認めなかったこと、激情のままギルバートを殴打したこと、自分を案じるセシルへと怒鳴り返してしまったこと。
 賢者の名にとてもふさわしくない、感情のまま行った愚行。それは後悔となって胸の中に沈殿する。
 しかし、いまさら引き返すことなどできるはずもない。
 いまはただ、最愛の娘を失ったこの哀しみも後悔もすべて復讐の怨念へ変えて、ゴルベーザへと向けることしか考えられなかった。


 テラが去った後には、未だ哀しみの色濃い気まずい静寂。
 その中、眠るアンナを前にして、涙をこぼし続けるギルバート。からっぽだった彼の心が色づいていく。
 ―――それは哀しみの色。
 ―――それは悲しみの色。
 ―――それは、絶望の色。
 家族が、国家が、そして恋人が永久に失われてしまった。
 もう、二度と取り戻すことが叶わないのだ。それを、理解してしまった。
 アンナの遺体に跪いて、身を縮めて、泣き崩れる。
 そしてギルバートは、慟哭に至らぬ嗚咽をもらし続ける。


 リディアは、目に涙をためて、うつむいて、それでも泣くことをこらえていた。
 迫りあがる哀しみを噛み潰すように、下唇を噛み締めている。
 迫りあがる悲しみを握り潰すように、両手を握り締めている。
 静寂の中、聞こえるのはギルバートの嗚咽だけ。
 聞こえ続ける彼の嗚咽の中で、リディアは体を震わせていた。
 そんな彼女へセシルが声をかけようとした瞬間、ギルバートへ向かってリディアの感情が爆発した。
「弱虫!! 弱虫っ!! お兄ちゃんは男でしょう!? 大人でしょう!? なのに……!」
 感情のたかぶりのせいで声が詰まる。涙がこぼれる。言いたいことの半分も言えやしない。
357名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:25:59 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0069 2章 2節 光を求めて(28)

 リディアの手の中には、確かなぬくもりがあった。
 哀しくて哀しくて仕方なかった自分のために、アンナが最後の最後に残してくれた、微かな、されど確かな感触。
 あの優しいひとは、ギルバートを愛して、ギルバートのために死んだのだから。
 ギルバートは、ちゃんとあのひとために、あのひとの愛に応えなきゃならないはずだとリディアは思う。
「そうさ……君の言うとおり、僕は弱虫さ! だからずっとこうしてアンナのそばにいるんだ!」
 しかし幼い少女にすらこう言われたことがさらにギルバートを自棄にしてしまったのか、もう何もかもどうでもいいんだと彼は訴える。
「な……、あたしだって……!!」
 怒りに言葉を詰まらせながら、それでも反論しようとするリディア。しかしそれよりも先に、ふたりのやりとりを聞いていたセシルがギルバートの頬を殴りつけていた。
 リディアが目を丸くしてセシルをみる。セシルはギルバートの胸ぐらをつかんで自分の正面に彼の体を向けさせた。
「悲しい思いをしているのは君ひとりだけじゃないんだぞ! 何よりそんなことをしていて、アンナが喜ぶと思っているのか!!」
 ギルバートはうなだれる。この暗黒騎士の言うことは正論だ。全くの正論だ。だからと言って、これから自分はなにを為せばいいというのだろう?
 そんな彼に、セシルは続けた。
「助けてほしい人がいるんだ」
「助ける? 僕が?」
「光熱病に倒れている仲間を助けるために、君の力を貸してほしい」
「光熱病……、砂漠の光だね」
「そうだ、ローザを助けるために、……僕の大事な人を救うために、どうしても君の力が必要なんだ……頼む!」
 大事な人を、救う。そんなセシルの明確な願いを前に、ギルバートの瞳にしっかりとした意志の光が灯る。
 自分には、もう何もないとギルバートは思う。だけど、そんな考えは間違っていると知った。
 アンナは自身の生命と引き替えに、僕という大事な人を救ってくれたのだ。アンナだけではない。父母も、兵士たちも、みんな自分を守るために死んでいった。
 そしてギルバートはここに生きて、居る。
358名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:28:38 ID:l5y+3sA/
FINAL FANTASY IV #0070 2章 2節 光を求めて(29)

 みんなが救ってくれたこの身に、まだ生命が残っている。まだ意志が残っている。
 ならば、立ち上がらなければ。
「愛する人を、失ってはいけない」
 セシルを真っ直ぐに見つめてギルバートは言った。
「僕はギルバート。ギルバート・クリス・フォン・ミューア。君は?」
「僕はセシル。そして彼女は……」
「あたしはリディア。よろしくね、ギルバート」
「よろしく、セシル、リディア。……リディア、さっきはすまなかったね」
「え、ううん……いいの。かなしい気持ちは、あたしたちにもわかるから……」
 先ほどまで罵倒に近いことを言った相手とはいえ、大の大人に人に面と向かってこうして謝られることにリディアは戸惑った。
 しどろもどろに答えるリディアにギルバートは、優しいんだねと微笑む。
「ありがとうリディア。……セシル。砂漠の光は東の洞窟に住むアントリオンの、産卵の時に出す分泌物からできるんだ。でも洞窟に行くまでに浅瀬があって、それを越えなきゃならない。」
「浅瀬か……」
「うん、でも大丈夫。ホバー船がこのダムシアンにある。カイポまで帰るときにも浅瀬を渡っていけるはずだ。……それじゃあ、急ごう。僕はホバー船を用意してくるから、ふたりは先に外で待っていてくれ」
「わかった」
 そうして、セシルとリディアは外へ。
 ギルバートがひとり、ここに残される。ギルバートは空間を見渡した後、一拍の間、目を閉じ、開き、そして。
「さよなら……、アンナ」
 背を向ける。
 死に満ちた瓦礫を踏みしめて。ギルバートは歩き出した。
359名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 03:51:37 ID:l5y+3sA/
リレー初参加です。この文章が皆さんのなんらかの娯楽になれば幸いです。
唐突にアンナの死(母親以外の死)に接するガキんちょリディアのシーンが思いついたので書いてみました。

しかしSSである以上、リディアだけ書けばいいというものではなく、ちゃんとしたシーンにしなけりゃならないっつーことで
スーファミ引っ張り出してFF4やったんですよ。で、ダムシアン到着。
……なんだこいつら? と素でポカーンでした。
ギルバートってこんなヘタレだったっけ?←何がシクシクだ。ギャグかよ。
テラってこんなDQNだったっけ?←なんでそこでひとりで立ち去ることになるんだ。ギャグかよ。リディアの方が精神年齢たけーぞオイ
セシル影薄すぎ!←ギルバートとの会話、日本語になってねーよ
と、単にロープレとして遊ぶ分には問題ないけど文章にするにはちときつい。そんな印象でしたorz
360名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:27:20 ID:KJB0Jek2
361名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:27:48 ID:14xYMf/a
 
362名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:28:16 ID:izwmYLNS
 
363名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:28:35 ID:fHYTGcQX
 
364名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/15 11:28:51 ID:CAWQbezh
 
365299:05/03/15 23:10:30 ID:dXiHThZc
乙です。

イベントシーンについては、再プレー以外にも
>>88>>301のセリフ集があるので、それも参考にしてください。
366名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/16 01:00:22 ID:3FvWFdg+
このスレは素晴らしいの一言。
353さん、乙です!
367名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/18 03:23:31 ID:1pbj6glf
368名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/18 13:37:55 ID:wG4AzbU2
a
369名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/18 23:27:36 ID:/mLC0fpa
人いませんねこのスレ……。
>>359
よかったです。
>単にロープレとして遊ぶ分には問題ないけど文章にするにはちときつい
きついと言っておきながらここまでの良作を書くあなたは何者ですかw
ギルバートのシクシクをここまでシリアスな描写にできることに素直に感心しました。
370 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/18 23:42:11 ID:fcbs8h83
今度の三連休は久々に時間取れそうなので、続き書いて見ます。早ければ明日の夜ぐらいに。

>359
再プレイしたんですか。どうりで臨場感が。
>と、単にロープレとして遊ぶ分には問題ないけど文章にするにはちときつい。
突っ込み始めるときりがないですよ…ええ……(ニガワラ
追っ手に見つかったのに、部屋も変えずにそのまま休んだりとかね……
仕方ないさ、ゲームだから仕方ないんだけど…
371名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 00:56:03 ID:T8BA0LHF
いつも楽しまして読ませてもらってます。
書き手さんたちはこれからもがんばってくださいね。
372名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 01:25:38 ID:tHrxqvM1
 
373359:05/03/19 01:51:42 ID:tHrxqvM1
ごめんなさい。書き込みミスりました。しかもageてしまった……orz

>>369
どうも誉めてくださってありがとうございます。
>ギルバートのシクシクをここまでシリアスな描写に
いや。シリアスにした、というより、ゲームとしてデフォルメされた部分を自分なりに取っ払っただけです。
ゲームそのままに文章化したら、セシルとリディアは死ぬ間際のアンナをただ眺めてるだけのモブキャラになっちまったり。
そういう意味では>>357で、恋人の死についてギルバートがセシルの一言で立ち直ってしまうのは失敗でした。もっと心理描写を増やすべきだったorz

>>370
臨場感、ありましたか? 自分では意識してなかったのですが、そう言われるとうれしいです。
>仕方ないさ、ゲームだから仕方ないんだけど…
ギルバートの竪琴攻撃なんてどう描写すればいいのかw ふつうにナイフとか持たせればいいのかなあ。
「かくれる」とかもなあ……。
そう言えばメテオとか召喚獣とかも描写のアレンジしなきゃならないですね。
374名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 13:46:25 ID:bnHZknW6
4の小説で盛り上がってるところ失礼します。
5か9を書いてみたい気がするんですが、書いちゃってみてもいいですか?
まあ文章は上手くないとおもいますが
375名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 15:14:35 ID:j6WZnnkn
>374
つ『ガンガンいこうぜ』
376名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/19 23:19:54 ID:sCXjQX59
>>374
30年前のエクスデス封印時の洞窟内の描写、
第一世界の各塔とか、エクスデス城潜入、バリアの塔、ガラスvsエクスデス一騎打ち
各ギルガメッシュ戦、
この辺なんかはドット絵の立ち姿でもかなり描写のし甲斐がありそうだよな。
などと煽ってみる。
377名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 18:18:51 ID:FJz50bYW
何気にFF1のがあるのを知った。これ書いたのミンウじゃねーか。
378名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 19:27:52 ID:dnAVp8Kc
ああ、東大受かってなりきり辞めた彼ね。
今思えば、色んなスレで活躍してたんだな〜。
379名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:16:55 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0071 2章 2節 光を求めて(30)

ダムシアンに来た時は東にあった太陽が、いまでは真上に上りつつある。
セシルとリディア、それにホバー船を操縦するギルバートは小さくなって行く城を背後に、
一路アントリオンが棲むとされる辺りを目指していた。
「なかなか乗り心地いいね。これ」
後ろへ流れていく風景を眺めながら、リディア。
「ああ。低空しか飛べないし武装も何もないけど、この子の機動力は飛空艇並みだよ」
速度を少し上げながら、ギルバートが答える。
「襲撃された時も、生き残った人達はこのホバー船に乗って領内の集落に逃げたんだ。無事だといいのだけれど…」
「大丈夫、きっと無事さ」
顔を曇らす彼を、セシルが軽く励ます。

そんな話を暫く続けていると、砂の地面が一旦途切れ、少し先に浅い海が広がった。
3人を乗せたホバー船はその海を強引に突っ切り、数キロ先の対岸を目指して一直線に走って行く。
「たったいまファブールの領内に入った」
対岸へ渡り終えた時、ギルバートが言った。
「アントリオンの巣はこの先のホブス山のふもとにある。そろそろ着くよ」
彼がそう続けた時、地平線の向こうに尖った何かが見えた。
それは近づくにつれ高く大きくなっていき、やがて気高い岩山である事が分かる。
「ホブス山だ」
セシルが、遠くにそびえる巨峰を見やりながら言う。
「おっきい…」
リディアはその巨大さに圧倒されている様子だ。
実際、ホブス山は彼女が生まれ育った山々よりも遥かに高い。
世界でも1,2を争う偉大さだが、セシルはこれに匹敵する山を見た事がある。
ただ、あそこは何やら尋常ではない雰囲気を感じ、近づきがたい感じだ。
ホブス山がいよいよその全景を現した時、
その膝元に明らかに周りの景色と馴染んでいない「穴」のようなものが認められた。
「着いたよ、2人とも」
ギルバートがその「穴」を指差しながら言う。
「あれがアントリオンの産卵地だ」
380名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:18:27 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0072 2章 2節 光を求めて(31)

停止したホバー船から降り、アリ地獄をそのまま大きくしたような巣の中央へと歩いていく。
中央へたどり着いた時、ギルバートはその場に座り込み、砂の大地の中に手を突っ込んだ。
「えーっと、確かこの辺りに…あった!」
そう叫ぶと、地中をまさぐっていた右手を引きぬく。
その手には、美しい輝きを放つ紅い宝石が握られていた。
「これが”砂漠の光”?」
ギルバートから宝石を受け取りながら、セシル。
「そうだよセシル。さあ、日の暮れない内にカイポへ…」
その時、ギルバートの背後に巨大な鋏が、地面を突き破りつつ真下から現れた。
「アントリオン!」
突然の出現にセシルは鋭く叫びながら交代し、リディアは「キャー!」と叫んで巣の上のほうまで駆け戻る始末だ。
ギルバートだけは落ち着き払った様子で、その場に立ったまま鋏の形をした腕を見据えている。
「大丈夫。凶悪な外見の割にアントリオンはおとなしいんだ。
 人間には危害を加えない。さあ、行」
そこまで言った時、鋏が突然大きく開いたかと思うと、
――ギルバートめがけて伸びてきた。

「うわあ!」
「危ない!」
セシルが咄嗟に短剣を投げる。
それはギルバートを襲おうとした鋏の関節の辺りに突き刺さって一瞬怯ませる。
その隙を見て命からがらギルバートが逃げてくる。同時に、腕だけを露わにしていたアントリオンがその姿を現す。
――蟹に良く似た、先端が鋏の形をした太い腕を2本持ち、それよりもだいぶ細い足が4本生えている。
全体としてはザリガニか尻尾の無い蠍、そうでもなければトンボの幼虫のような姿だが、全身を硬そうな甲殻で包んでいる。
砂漠の巨獣アントリオンが、今まさに3人を襲おうとしていた。
381名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:20:23 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0073 2章 2節 光を求めて(32)

「ええい!」
セシルは剣を抜き、あの独特の構えに入る。数瞬後に、その刃を闇色の光が包み、そして放たれた。
一発。顔を狙ったが、硬い皮膚に弾かれてダメージは与えられない。
二発。頭は効かないと見て腕を狙うも、やはり効果は無い。
三発。今度は少し離れた所からリディアが魔法で援護してくれ、
そちらに気を取られている隙に左腕を付け根から斬り落とした。
その痛みに怒声を上げ、体を苦しげによじるアントリオン。
だが、魔物の痛みはすぐに怒りに変わり、残った右腕を一閃して鎧を着たセシルを軽々と弾き飛ばす。
「セシル!」
宙を舞うセシルをギルバートが受け止めるような格好になり、二人はもんどりうって砂の大地に倒れる。
「だ、大丈夫?」リディアが駆け寄り、ケアルで応急処置を施す。
「ああ、なんとか…」頭を押さえ、セシル。
そこへアントリオンがザクザクと不気味に足音を響かせながら詰め寄ってくる。
その動作が以外に速く、すぐに攻撃の射程に入ってしまう。

鋏が3人の首めがけて繰り出されるその瞬間、3人の姿はそこから消えた。
382名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:22:01 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0074 2章 2節 光を求めて(33)

突然姿を暗ました敵に訝り、アントリオンが滅茶苦茶に腕を振りまわす。
が、砂以外の何にも触れない。獲物を完全に見失ってしまっている。
実は、3人はアントリオンのすぐ近く、足下の辺りに隠れていた。
攻撃を受けようというその瞬間に、ギルバートがセシルとリディアを脇に懐に飛びこんだのだ。
これが意外な盲点でまさに灯台下暗し、それまで前方にばかり注意を払っていた巨獣は彼らを見つけられずにいる。
「驚いたな…咄嗟にここまで上手い隠れ場所を見つけるなんて」
「僕、逃げたり隠れたりするのは昔から得意でね」
声を殺していうセシルに、ギルバートは自嘲気味に笑う。
「それより、ここ熱い…」
リディアが、体の砂を払いながら呟く。
確かに、彼らは砂漠の日ざしによって焼石のように熱された砂に、半ば埋もれるようにしている。
仮にこのままアントリオンをやり過ごせても、
それまでには3人とも残らず干物か天然バーベキューか、さもなければ踏み潰されてミンチ肉が関の山だ。
「どうする?ここにいたらいずれ見つかってしまうし、
 そもそも見つかるまでもなくこの熱さにやられてしまうかも…」
「それなら大丈夫だ。僕に任せて」
ギルバートはそう言うと背負っていた竪琴を取り出した。

「楽器なんかで何するの?」
「暫くの間注意を引きつけるのさ、リディア」
訝しげに竪琴を見つめるリディアにそう答えながら、吟遊詩人は狭い中で器用に演奏できる体勢になる。
「それともう一つ教えておくと、これはただの楽器じゃない。
 …モンスター用に作られた、一風変わった武器でもあるのさ」
そう言って彼は竪琴を奏で始め、辺りに美しい調べの音が響いた。
383名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:25:52 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0075 2章 2節 光を求めて(34)

その途端、アントリオンが殴られでもしたかのように悶え始める。
魔物はそのまま逃れるようにその場から逃れる。その拍子に彼らを見つけたが、
わき目もふらずに竪琴の音色から少しでも遠くへと移動して行く。
巣の反対側まで来てようやく落ちついたのか、立ち止まって憎々しげにこちらを睨むが、決して近づいてこない。

「一体何をしたんだ?」
訝しげに、まだ竪琴を奏で続けるギルバートを見やる。
「この竪琴は特殊でね。人間には普通に聞こえても、
 モンスターが聞くと驚くぐらいに嫌がるんだ。あんな風にね」
答えながら、近づこうか近づくまいか迷うような素振りをする魔物を見やる。
「それよりセシル、倒すなら今だ!」
「わかってる!」

怒鳴り返し、剣を手に一気にセシルが走り寄る。
動きが鈍い鋏の迎撃をかわして顔まで到り、一気に鎧のような甲殻に守られていない眼に剣を突き刺す。
太い鳴き声でアントリオンが咆哮する。それに混じって、リディアの「どいて!」という叫び声が聞こえる。
セシルが剣から手を放してその場に伏せると、背後からサンダ―の雷が飛んできた。
雷は狙いたがわずセシルの突き刺した剣にあたり、そこから巨獣の全身を剣もろとも貫いた。
ゴオウ、という唸り声とともに、アントリオンが数歩後ろに仰け反る。
しかしそれも束の間、体勢を整えて目の前のセシルだけでも殺そうと隻眼片腕で襲いかかる。
が、当のセシルはその場で棒立ちし、ただ迫る魔物を見据えていた。
「チェックメイト」

そう暗黒騎士がいうが早いか、
眼に刺さったままの剣から放たれた暗黒の刃によって砂漠の巨獣アントリオンは中から切り刻まれた。
384名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:28:25 ID:dnAVp8Kc
FINAL FANTASY IV #0076 2章 2節 光を求めて(35)

「おかしい」
竪琴を背負いなおし、アントリオンの死骸を見下ろしながら、ギルバート。
「おれほど大人しい生き物の筈のアントリオンがなぜ…」
「最近、魔物の数が以上に増えている」
訝る彼に、セシルが言う。
「これまで大人しかった者達まで襲いかかってくる…」
そこで一旦、かぶりをふる。
「やはり、何かが起ころうとしている前触れ…」
そう続けると、3人を厭な予感めいた物が襲った。
何かとてつもなく不吉で、不穏な何か…
バロン王の豹変、戦争の拡大、魔物の増加に生き物の狂暴化…
一体、何が起きている?
いくら考えてもわかりそうにない。
「ね」
沈黙を破ったのはリディアだった。
「早くローザさんの所へ!」
「ああ、行こう!」
懐から”砂漠の光”を取りだし、セシルはホバー船に走った。

カイポに戻った時には、日は既に西に沈みかけていた。
385名前が無い@ただの名無しのようだ:05/03/20 23:33:00 ID:dnAVp8Kc
ど根性でなんとかアントニオ戦終了…
アントニオの外見がもう見ただけでOTLでイヤだったので勝手にFF9ティストも加えて見ますた。
もう一つ問題だったのがFF4随一のヘタレ野郎、ギルちゃん。
こいつのする事は隠れたり謎の音波飛ばしたり(くすりコマンドの事は忘れてました)描写し辛いのが多い。
よって捏造設定出しまくりですが、果たして良い物やら…
もっと表現力が欲しいです。
386 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 01:57:47 ID:jU3rswCH
かふっ、モタモタしてる間に先を越されてしまった…。
幸い目立った矛盾はなさそうなので、サイドストーリー扱い(?)で投下します。

>378
あの人東大受けてたんですか。そりゃ書いてる暇ないはずだ…
せっかく続いているんだし、見てくれてるといいんですけどね。

>379-385
あのギルバートが、ボス戦でまともに活躍している!?
俺としては捏造大歓迎ですよ。ただ原作のストーリーをなぞるだけでは面白くない、と以前のレスにもありましたし。

じゃあ次から黒歴史スタート。
387 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 02:03:03 ID:jU3rswCH
FINAL FANTASY IV SubStory 1 継承者の出立(1)

ギルバートの言に従い外へ向かう途中、セシルたちは無残に踏みにじられた城の様子を再び見ることとなった。
壁や天井を彩る飾りタイルは砕け落ち、中庭の優美な噴水は悪臭を放つ溜池と化し──そして一面に広がる、人の肉の焼ける臭い。
その蛮行に旧知の者が加わっていた点を差し引いても、充分に胸の悪くなる光景だった。
まして幼い子供を連れて長居をすべき場所ではない。足早に通り抜けようとするセシルの腕を、当のリディアが後ろに引いた。
「ねえあそこ、さっき動いたみたい」
少女が指し示す先に意識を凝らすと、崩れた柱と壁の陰に、何者かの気配がある。瓦礫を除けると、下働きらしい少年が肩を押さえ息を殺していた。体を挟まれ身動きが出来ないようだ。そのおかげで、逆に難を逃れたのだろう。
ひどく怯えた様子の少年にうなずき、セシルは残る瓦礫に手をかけた。
「まってて、今なおしてあげる!」
全身に痣を作った少年を見て、リディアも習ったばかりの回復魔法を唱え始めた。魔道士の素質を見出したテラが、彼女に教えを授けたのだ。
ブリザドやサンダーといった初歩の攻撃魔法まで、短い道中の間にリディアは身につけてしまった。少女の才能もさることながら、師である賢者の力量には感嘆するほかない。
「……ケアル!」
瓦礫をほぼ取り去ると同時に正しい呪文が完成し、リディアの手に淡い光が生まれた。緑色を帯びた粒子となって少年の体に吸い込まれ、傷を癒す。
「だいじょうぶ? もう痛くない?」
「……あ…………」
「えーっと、魔法、ちゃんとかかったよね?」
「あ……うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
自由になった少年は、突然悲鳴をあげ、身を乗り出してきたリディアを突き飛ばした。とっさに支え事無きを得たが、その間に少年は城の奥へ走り去ってしまう。
そして。
「…………………。
 コラ〜〜〜っ! なにすんのよっ!!」
しばし呆然とした後、親切を仇で返されたリディアが少年を追って駆け出す。引っかかるものを感じながらも、セシルもまた子供たちに続いて、再び城の奥へと向かった。
388 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 02:05:50 ID:jU3rswCH
FINAL FANTASY IV SubStory 1 継承者の出立(2)

ひどく壊されたとはいえ、はじめてこの城を訪れたセシルたちと、もともとの構造をよく知る少年では条件に差がありすぎる。あっという間に見失い、諦めて外に出ようとして、ギルバートとかち合った。
「君たち、どうしてこんなところ?」
「お兄ちゃん!! そっちに男の子来なかった!?」
まだおかんむりのリディアは、外で待てと言われたことなどすっかり忘れているようだ。面食らった様子のギルバートに気付かず、勢いよくまくし立てる。
「ひどいんだよ!
 助けてあげたのに、お礼もいわないで逃げてったの!
 あたし、もうちょっとで転んじゃうところ──」
「待ってくれ!
 城の者が……生き残りがいたのか!?」
「え? うん、あの、そうじゃなくて」
「下の、中庭の南側の廊下にいた。瓦礫に隠れていて見つからなかったらしい」
強い調子でさえぎられ、逆に驚く少女に代わって、セシルが事の次第を説明する。ギルバートの顔に喜色が浮かび、そしてセシルは、自分が感じていた引っかかりの正体を知った。
彼はこの国の王子だ。ダムシアンの人間でもないセシルに手を貸し、見ず知らずの女性を救うよりも先に、やらなければならないことがある。
「ギルバート、やはり君は……」
──だから。リディアが気付いたあの少年の気配を、彼は感じなかった。
生存者を探そうともせず、さっさと城から出ようとした。
惨禍に心を痛めるふりをして、結局はローザと、彼女を助けたい自分のことしか頭になかった。
臆病で我が身がかわいい暗黒騎士。一度や二度命令に逆らったぐらいで、都合よく変われやしない。
「君は……」
異様な空気を察した二人がセシルの顔を注視する。後に続く言葉を、なんとかして外に押し出そうとした。
ギルバートは、ここに残らなければならない。
だけどローザが。
「殿下。
 これは一体、如何なる仕儀にあらせます」
結局は口を噤んだセシルを、まるで叱責するかのように、厳めしい声が彼の背を打った。
389 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 02:09:15 ID:jU3rswCH
FINAL FANTASY IV SubStory 1 継承者の出立(3)

「ムスターファ! お前も無事だったか」
六十は越しているだろうか。ギルバートに名を呼ばれた老人は、一国の重鎮であろうと推測するに充分な風格を漂わせていた。
「……殿下」
その場で膝をつく老ムスターファ。組んだ指を眉の高さに持ち上げて、恭順の意を表す。動作のひとつひとつに、異様な気迫がみなぎっていた。
「この老いぼれめは、殿下の器量を見誤っておりました。さぞやいままで御不快にあらせられたと存知ます。
 されど──それほどの覇気がおありなら、なにゆえ隠しておられました!
 殿下が御座を省みぬからこそ、兄君がたも!」
(……おじいさん、何で怒ってるの?)
言い回しは理解できずとも異様な空気は察したか、小声で尋ねるリディアに、セシルは黙って首を横に振るしかなかった。
愛する女性の死を前に取り乱しでもしなければ、彼の出自は容易に知れる。今はバロンに弓引く身だと、察してくれなど無体な話。
「ムスターファ……
 まさかお前……僕が?」
「さもなくば、なにゆえ御身は怪我もなく、そうして立っておられるのです!?
 なにゆえ暗黒騎士など、お側に召されているのです!!
 なにゆえ──」
「違う! 彼は……」
「違います、僕は……」
顔を上げ、怒りとも憎しみともつかぬ眼光を向ける老人の誤解を解こうと、遅まきながらセシルとギルバートが声をあげる。
だが最後まで言い終わる前に、抜き放たれた刃を認め、それが逆手に握られていることを見て取り……
「よせ、ムスターファ!」
老人の意図を悟り、反射的にセシルはリディアの顔を手の平で覆った。
390 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 02:11:48 ID:jU3rswCH
FINAL FANTASY IV SubStory 1 継承者の出立(4)

「ちょっと、離してよ!」
「……だめだ。君は、見ちゃいけない」
間に合っていてくれと願いながら、激しくもがく少女を押さえつけることだけにセシルは神経を集中させた。
ギルバートが何か言っている。ムスターファは、まだかろうじて息が残っているようだった。しかし、血臭に気付いたリディアの手から力が抜け、セシルが彼女を解放したときは、既に事切れていた。
「………なんで?」
まだ温かい死体の側に、とぼとぼとリディアが歩み寄る。
「おじいさん……なんで?」
「じい。ひどいね。
 最期まで信じてくれなかった」
少女の疑問を放置して、年若い王子は皺だらけの頬を撫ぜている。
形だけでなく、詩人の作法が心身に染み付いているのだろう。放心しきった呟きさえ、節らしいものがついていた。
「それとも、そう思いたかったのかい?
 城にも戻らず歌ってばかりいるよりは、バロンと通じていたほうが、まだましだと言うのかな……」
今は何を言っても無駄だろう。所在なくさまよわせた視線が、物陰に潜んだ誰かのそれとぶつかった。
誰何の声を上げる前に、勢いよく飛び出したのはリディアが救ったあの少年だ。憤激の中に、わずかに後悔の色があった。もしかすると、彼が故人にセシルのことを知らせたのかもしれない。
「裏切り者!」
ありったけの敵意を投げつけ、即座に身を翻す。幾分迷った後、とにかく行き先を知っておこうと動きかけたセシルの肩に、ギルバートが手を置いた。
「いいよ、砂漠の光を取りに行こう」
「しかし……」
「おいでリディア、ここまで来たんだ、ホバー船が動く所を見せてあげる」
「ギルバート!」
「僕らは今、ここにいるべきじゃない」
「……すまない」
飄然と歩くギルバートの背に、セシルは彼の返事を探した。
会いたかった。ローザに。カインに。シドに。テラに。
挫けている場合じゃないと、叱り飛ばして欲しかった。
「なにさ、助けてあげたのに!!」
リディアが悔しそうに、少年の消えた回廊の奥に向かって叫ぶ。
ちょうどいい高さにある柔らかな髪を撫で、のろのろと、セシルは足を動かした。
──人の気配が絶えた城は、途方もなく広かった。
391 ◆HHOM0Pr/qI :05/03/21 02:14:53 ID:jU3rswCH
以上です。個人的趣味により鬱全開。
なによりストーリーが一歩も進んでいない所が。orz
392名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/21(月) 21:04:31 ID:yla1/ECz
乙です。
読んでて「なるほど」と感じさせられました。
確かに、ギルの立場って実際問題で考えると日当たり厳いよな…盲点。
物語が進まずとも、こんな感じのストーリーの掘り下げはあってもいいかと。
それが文章化の一つの楽しみや強みでもありますし。
393名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/25(金) 13:01:19 ID:eqMcSiSi
保守
394名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/03/26(土) 01:30:21 ID:lIHOXnld
>379より
セシルの股間にそびえる巨峰を見やりながら言う。
「おっきい…」
リディアはその巨大さに圧倒されている様子だ。
395名前が無い@ただの名無しのようだ:スクエニ暦03/04/01(金) 10:30:49 ID:SmSVb4qQ
日付がおかしい
396名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/03(日) 02:28:04 ID:/o49IANt
な!?
397299:2005/04/04(月) 21:55:47 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0077 2章 3節 新たなる旅立ち(1)

カイポに戻ったセシル達は、直ぐにローザを介抱してくれている老夫婦の家へと向かった。
「まさか本当に持ち帰ってくるとは……」
「でもよかった! もうだめかと思ったよ」
老夫婦は少しばかり驚いていたが、明るい表情でセシル達を迎えてくれた。
「ローザはまだ生きて居るんですね」
そんな二人の反応にセシルもほっと胸を撫で下ろした。
もし間に合わなかったら。カイポを出発してからずっと心の何処かで思っていたのだが、その考えはどうやら杞憂に終わったようだ。
「ああ、だが急いでくれ。様態は以前より悪くなっている」
二人の案内でローザの部屋に通される。
「ローザ……」
ローザは以前と同じく、ベットに伏したままであった。
しかし前より顔色は悪くなっており、病状が悪くなっているのは一目瞭然であった。
「すごい熱……」
ローザの額に手をあててリディアが言う。
「昨日から急に熱があがりだしてな、手の施しようもなくなっていた所だったんじゃよ」
「セシル、早くローザさんに砂漠の光を」
ギルバートが言う。
「ああ」
セシルは懐から砂漠の光を取り出す。
「ギルバート、これはどうやって使うんだ?」
手の中で輝くその宝石をもう片方の手で指しながら訪ねる。
398299:2005/04/04(月) 21:56:53 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0077 2章 3節 新たなる旅立ち(2)

「そのままローザに向かってかざして」
「それだけでいいのか?」
その答えに、セシルは思わず訪ねる。
セシルは今まで宝石で病気が治るという事例に遭遇したことがなかった。そのため、かざすだけでよいというのは少しばかり驚いた。
もっと複雑な手順がかかるとおもっていたのだが。
「ああ、それだけだ。だけど、あえて言うなら一つだけ注意することがあるね」
「何?」
「その人が治ってほしいと願うこと」
「え?」
その一言だけではギルバートが何を言っているのか分からなかった。
ギルバートは少し間をおいて続ける。
「大切な人を失いたく無い。そう願えばきっと大丈夫さ……」
「分かった……」
アンナの事を思い出していたのか、ギルバートは悲しそうな顔をしていた。
「ローザ……すぐに直ぐに治してあげるから」
セシルはローザの耳元で優しく言い放ち、懐から砂漠の光を取り出した。
ギルバートに言われたとおりに、砂漠の光をローザの枕元でかざす。
その途端、宝石が輝き始め、ローザに向かって光りを照射した。
光がローザを優しく包み込む。
お願いだ……ローザを……
砂漠の光をかざしながら、セシルはそう願い続けた。
誰もが黙ってその様子を見ていた。
どれぐらいの時間がたったのだろう。突如、砂漠の光が砕け散った。
それによりさらに輝きは増し、部屋を光りが支配する。
その光にセシル達は目を覆った。
399299:2005/04/04(月) 21:58:32 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0077 2章 3節 新たなる旅立ち(3)

光が止み、辺り今までの光景が戻ってくる。
先程までセシルの手で輝いていた宝石は、砕け散り輝きを失った状態で、辺りに散乱していた。
「ううん……」
ローザの目覚める声が聞こえた。
「此処は……」
ローザは寝起きのような、ぼんやりとした目で周りをきょろきょろと見回し、近くのセシルと目が合った。
「セシル……何故あなたが……そうか! 私、あなたを追って」
そこでようやく自分がどどのような経緯で、此処にいるかを思い出したようだ。
「私……あなたにこんな顔……」
寝起きを見られたのが恥ずかしかったのか、ローザは顔を真っ赤にしたまま黙り込んでしまった。
「全く……無茶だよ君は」
そんなローザを見て、今までの張りつめていた緊張の糸が一気に途切れる。
「私、ミストであなたが死んだと聞いて、でも信じられなくて」
「もう良いよ、ローザ」
あたふたと話し始めるローザを制止する。
何故セシルを追ってきたのか。その事はローザの口から聞かなくても分かっていた。
ただ、そんなにも自分を想っていてくれるローザを少しかわいいと思った。
「ねえ、ところでカインは。カインとは一緒でないの?」
しばらくして、ローザが訪ねてくる。
「ああ……ミストではぐれてね。そのまま……」
ミストはリディアの呼び出した召喚獣によって地割れに飲み込まれた。そして自分が目覚めた時にはカインはすでに居なかった。
あまり考えたくはないがカインはひょっとしてもう……
「そう……」
「大丈夫、きっと生きているよ」
肩を落とすローザを見て思わずそう言ってしまう。だが今はそう思うしかなかった。
400299:2005/04/04(月) 22:00:54 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0077 2章 3節 新たなる旅立ち(4)
「ローザ、今度は僕の方から質問があるんだ」
「分かったわ」
突然険しい口調に変わったセシルを見て、少し戸惑ったがローザは了解した。
「その前に紹介するよ、ギルバート、リディアこっちへ来てくれ」
後ろを向き、先程からセシル達の会話を側で聞いていた二人を呼ぶ。
「君たちにも関係のある話なんだ」
「ああ」
「うん」
二人はセシルの呼びかけに答え、こちらにやってくる
「彼はギルバート、ダムシアンの王子だ。君の病気を治ったのも彼のおかげだ」
「どうもありがとう」
ローザが深く一礼をする。
「いえ……僕は別に」
ギルバートは少し照れながら答えた。
「この娘はリディア。ミストの召喚士の生き残りだ」
セシルは続けた。
「ミストがどうなったかは君も見ただろう?」
「ええ……」
「ここからが君に聞きたい事だ、ローザ」
セシルは少し間を開けて、話始めた。
401299:2005/04/04(月) 22:03:17 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0077 2章 3節 新たなる旅立ち(5)

「ゴルベーザーとは誰なんだ?」
ダムシアンで聞いた時からずっと気になっていたその名を訪ねる。
「どうしてその名を?」
ローザは少しばかり驚いた様子だ。
「ダムシアンを赤い翼が襲った時ギルバートから。その時の赤い翼は酷く残虐なやり方でダムシアンを攻撃した。
僕のいた頃はあんな事などするわけがない。その時、赤い翼を指揮していた男、それがゴルベーザだ。奴は一体」
「あなたがバロンを出てから直ぐのことよ」
しばらくして、ローザは話し始めた。
「王はゴルベーザーと言う男を、赤い翼の新たな指揮官にしたの。それからの事よ、王が以前にも増しておかしくなったのは。
自分のやり方に反対するものは皆、牢に入れ、民へも厳しくなっていった。ダムシアンを攻める時だってシドが反対したので牢に……」
「シドが!」
セシルは思わず声を荒げた。
「ええ」
ローザが続ける。
「そんな時にあなたとカインが死んだって噂が流れて、そのままいても立ってもいられずに」
「そうか……」
自体はセシルの予想以上に大きくなっていた。
402299:2005/04/04(月) 22:04:25 ID:elG0Kpcb
FINAL FANTASY IV #0078 2章 3節 新たなる旅立ち(6)

「ローザ、バロンは……いや赤い翼は次は何処のクリスタルを?」
「え?」
予想外の問いにローザは思わず声を上げる。
「もうバロンには帰れない。ならば赤い翼が次にねらおうとしてるクリスタルを守らなければ」
「ダムシアンのクリスタルを手に入れたとなるとおそらく次はファブールだろう」
ギルバートが横から口を挟む。
「こうしてはおけない、ファブールへ。ゴホゴホッ!」
突然ローザが立ち上がろうとして咳き込む。
「ローザ、無理をするな。ファブールは僕らが行く」
「でもファブールへ行くボブス山を通らなければならないな」
ギルバートが言う。
「なにか問題があるのか?」
セシルが訪ねる。
「ボブス山の入り口は、厚い氷で覆われている。それを何とかしなければ」
「そうか」
「その氷を黒魔法で退かせばどう? リディア、あなたファイアは使える?」
ローザはリディアの方に向き直り訪ねる。
「! ……ううん、つかえない……」
そのまま黙り込んだ。
「召喚士のあなたが魔法の初歩ともいえるファイアを使えないはずは……うッ……ゴホッ!」
「ローザ! やはり君は待ってなきゃだめだ!」
またもや咳き込むローザを見て、強い口調でセシルは言う。
「私なら大丈夫。それに私は白魔導士。足手まといにはならないはずよ……」
「…………」
「セシル……ローザは君と一緒に居たいんだよ」
「……分かったローザ……一緒に行こう」
セシルはしばらく考え込んでそう言った。
「もう夜だ……とにかく、今夜はゆっくりお休み」
「セシル……分かったわ」
403299:2005/04/04(月) 22:14:38 ID:elG0Kpcb
訂正
>401最後
自体でなく事態です。
404名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/05(火) 13:49:59 ID:O9MeQRvW
乙です。いつのまにかうぷされててびっくり。
あいかわらずここのSSはレベル高いですねぇ。
405 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/08(金) 01:10:22 ID:u+xWIEr2
FINAL FANTASY IV #0078 2章 3節 新たなる旅立ち(7)

ギルバートとふたり、カイポの北側に向かってリディアは歩いていた。
セシルとローザは、まだ老夫婦の家にいる。ダムシアンの壊滅に始まって、赤い翼の現状、消息を絶った竜騎士、バロンに残された人々の安否──リディアの知らないことばかり険しい顔で話し込む二人の側に居辛くて、用事があると部屋を出たギルバートについてきた。
セシルの大切な人が無事だった。そのことは、もちろん嬉しい。それにしても。
「……きれいな人だね。ローザって」
初めて見たときからわかっていたことだが、病が癒え、面と向かって話してみると、その印象は更に強い。
わかったことは他にもある。セシルがローザを大切にするのと同じぐらい、彼女もセシルが好きなのだ。それに大人で、きっとリディアより魔法もたくさん使えるんだろう。
だからどうだというわけではないのだが、自分の胸にしまっていると、据わりが悪くてしかたなかった。
「そうだね。それに、行動力もある。
 ……ちょっと似てるな」
考えていたことを吐き出して、賛同もしてもらったのに、まだ気分がすっきりしない。いろいろ理由を考えるうち、そもそも彼が何のために、どこへ向かっているのか知らないことをリディアは思い出した。
「ねえ、こっちってオアシスがあるんだよね?」
「そうだよ。たくさんのキャラバンがテントを張っている。
 知り合いが結構いてね、できたら話を聞こうと思って」
カンテラを手に日の落ちきった町を歩くギルバートの足取りは、ずいぶんと迷いがない。リディアに合わせ遅らせていることもあるが、元々このあたりを歩き慣れているのだろう。
おいしそうな料理の匂いと話し声を夜風が運ぶ。だんだんと道が広がり、ささやかな灯火に代わって湖面に踊る月の光が二人の行く手を照らし出す。
岸辺に並んだ大きなテント、何十人もの人が囲んだ大きな大きなかがり火に、リディアは思わず立ちすくんだ。
406 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/08(金) 01:23:46 ID:u+xWIEr2
FINAL FANTASY IV #0079 2章 3節 新たなる旅立ち(8)

オアシスの南に広がる平地。そこでは複数のキャラバンがテントを張って、焚き火を囲み酒を飲み、日没から就寝までのひとときを過ごす。
スパイスの効いた炙り肉。蒸留酒に水煙草。小銭を賭けてのカードゲーム。
無秩序な騒ぎの中で、ふいに場違いな音を耳にし、商人たちの間に緊張が走った。
宵闇の向こうに、小さな光が見えている。おぼろげに浮かぶ影は、大人と子供の二人連れに見えた。
「誰だ?」
部下たちの中に欠けた者がないことを確かめて、ビッグスは声を放った。
「怪しいものじゃない」
返答に混じって、再び同じ音がする。今度はやや長く──リュートが奏でる音階と、聞き覚えのある声に、ビッグスは警戒を解いた。
「……おまえか、ギルバート。おどかすな」
40年以上も商売を続けていれば、酒場や広場で技を披露し対価を得る芸人たちとも、それなりの縁が出来てくる。ギルバートもその1人で、他の町へ移るついでに連れて行ったこともあった。
「それは悪かったね。でも、町中でそこまで用心してるとは思わなかった」
「まあ、普通ならな」
このところ物騒な話が多い。地下水路に巣食った怪物、山崩れに飲まれたミストの村、ここカイポでも、どこぞの宿が人間に化けた魔物に襲われたらしい。
「知ってるか?
 何でも、ダムシアンまで襲われたって話だ。
 城から逃げてきたって連中も近くにいるが、それっきり音沙汰が無いってんで──」
「なんだって!
 その人たちはどこに!?」
勢いに呑まれたビッグスが、避難者が集まっているテントを指すと、若い詩人はすぐさま身を翻した。
「あ、おいてかないでよ!」
カンテラを下げた女の子が後を追うが、運悪く横切った商人とぶつかり、見失ってしまったようだ。
「もう〜〜〜っ、ギルバートのバカ!」
「仕方ねえ、連れてってやろうか?」
ビッグスの申し出に、少女は力いっぱいうなずいた。どうも見覚えがあると思ったら、以前拾った暗黒騎士が連れていた子だ。あのときはずっと眠っていたので、ビッグスのことは覚えていないだろうが、今はすっかり元気らしい。
「じゃ、ついてきな」
親切心だけでない。顔と名前と歌い手としての力量以外、ほとんど知らないギルバートの変貌に、彼は好奇心をそそられていた。
407 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/08(金) 01:27:27 ID:u+xWIEr2
隊アントリオンでしっかり活躍しておいて、いまさらサハギンと殴りあうのもなあ……ということで、激しく捏造第2弾。
続きは土日にアップする予定です。
408名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/10(日) 00:28:55 ID:HiB1iaFC
よくやったと褒めておこう。
409名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/10(日) 00:59:50 ID:pV7DD/fA
期待してますと言わせて頂こう。
410 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/11(月) 01:01:23 ID:yMKi0aLs
FINAL FANTASY IV #0080 2章 3節 新たなる旅立ち(9)

その後、いくどか道を尋ねながら、ギルバートは目指すテントの前に立った。
7,8人も入ればいっぱいだろう。賑わいを避けるように離れた所に張ってある。入口にかけられた幕は膝上ちかくに巻き上げられ、隙間から光がこぼれていた。
注意を引こうとして、ギルバートは逡巡する。
あの襲撃を逃れた者たちがいると聞き、駆けつけはしたものの──どうすれば力付けてあげられるれるのだろう?
「どちら様かね」
「ああ──その……」
垂れ幕越しに声がする。迷っている間に先をこされ、思わず漏らした声を聞きつけたか、布地を突き破らんばかりの勢いで初老の女性が顔を出した。
「ギルバート様! よくぞご無事で!」
「マトーヤ。その……苦労をかけた」
「ああ、やっぱり!」
「今のお声は!」
目を潤ませた女官長マトーヤを押し退けるようにして、次々と中から人が現れ、ギルバートを取り囲む。
飛空挺が姿を現した時点で、念のためにと王はホバー船による脱出を命じた。間に合ったのがわずか6人、うち5人が女性で、ただ1人の例外は、母親に手を引かれた5歳ぐらいの男の子だった。
「ダムシアンに戻れるんでしょうか?」
「夫は、わたしの夫はどうなりました!?」
「一体、何故こんなことに……」
「ええい、静まりや!」
それぞれ不安を訴える女たちが、マトーヤの一喝で口を閉ざす。全員の視線が一点に集まった。
「城は……落ちた。父も、母も亡くなった。
 何人か生き残った者もいるけど、長く住める状態じゃない」
血の匂いは魔物を呼び寄せる。破壊された城壁でそれを防げるか。隊商の行き来が絶えれば、焼け残った食料はまたたく間に尽きるだろう。水は。薬は。埋葬が遅れれば、夥しい数の骸から疫病が発生する。
他の集落に身を寄せても、受け入れる側に充分な蓄えがなければ遠からず問題が起きる。
砂漠の光を手に入れカイポに向かう段階になって、ようやくギルバートが残された人々の苦労と向き合う時間を持った。
セシルのせいとは思わない。どうせ彼らが来なければ、アンナの側を離れることなく、自棄に任せて首でも括っていただろう。まだギルバートにも誰かを救うことができる、それを教えてくれて感謝している。
これ以上、甘えるわけにはいかなかった。
411 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/11(月) 01:16:49 ID:yMKi0aLs
FINAL FANTASY IV #0081 2章 3節 新たなる旅立ち(10)

──ダムシアンに着いた後も、アンナはギルバートを説得した。父テラと話し合い、結婚を許してもらおうと。
”無理だよアンナ、ぼくなんかが……”
”そんなこと言わないで。もっと自分を信じるのよ!”
既に一度、にべもなく断られている。いくら愛していようとそれだけで娘はやれん、そう言われてギルバートは反論できなかった。身分を持ち出しても怒りを買うだけだろう。
”きっと今度こそ、君と引き離されてしまう。そうしたら、ぼくは……ぼくはどうしたらいいんだ!”
”ギルバート、勇気を出して!”
そして。度重なる懇願に、遂に折れたギルバートが城を出ようとした矢先。
アンナは彼を庇って死んだ。
もっと早く決心していれば、少なくともアンナは命を落とさずにすんだ。
”大丈夫。あなたは、私が選んだ人なんだから……”
彼女は何度も、そう言ってくれたのに。

「明日ファブールに向かう。
 バロンで起きてることを止めなければ、いつまた今度のようなことが起きるかもしれない」
泣き崩れるダムシアンの民に向けて、ギルバートは言葉を続けた。
「バロンにも今のやり方に反対している者がいる。
 彼らと同行し、ファブール王との橋渡しをする。ぼくにしかできない役目だ。だから……」
「我らを捨て置いて、この国を出られる、と?」
「違う!」
ずっと逃げていた。何かを決めること。なにかを背負うこと。何かを伝えること。
「今すぐに、皆の力になれないことはすまなく思う。
 でも、信じてほしい。
 ぼくにできる精一杯の事をする。そして……必ず戻ってくる」
ギルバートは訴えた。厳しい目をしたマトーヤに。頼りなさそうに彼を見あげる女たちに。
「ぼくのことを、信じてほしい」
ひとり仇を追うテラに。愛してくれたアンナに。
そして自分自身に。
「うん! ぼく、しんじるよ!」
声を上げたのは、一同の中でもっとも若い──否、幼い子供だった。それを号令として、5人の女たちが一斉に膝をつく。おごそかに、マトーヤが宣言した。
「クリスタルの祝福を。……吉報をお待ちいたします」
412 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/11(月) 01:20:50 ID:yMKi0aLs
FINAL FANTASY IV #0082 2章 3節 新たなる旅立ち(11)

「ギルバート……王子……?」
「うん、そうだよ。知らなかった?」
一部始終を見ていたリディアは、隣で硬直したビッグスの呟きを質問と受け取った。ずいぶん仲が良さそうで、セシルのことまで知っていたのに、何で驚くのかいまいち腑に落ちないが。
オバサンたちが出てきたところで追いついて、どうも邪魔してはいけなさそうだったので、ギルバートの用が済むまで大人しく待っていた。ぶじ仲直りしたようなので、遠慮せず声をかける。
「ギルバート! おいてくなんてひどいよ!」
「リディア?
 ……ごめん、忘れてた!」
「なにそれ〜〜!!」
口では悪いと言いながら、ギルバートの目は笑いっぱなしで、反省した様子がない。オバサンたちまで、なぜかくすくす笑っている。目のはしに、ちょっと涙を浮かべながら。
「あやまるから許しておくれ。
 ……ビッグス、頼みがある」
「あ、いやその、俺は……」
「今夜だけ、僕のことは黙っていてくれないかな。
 聞いてたかもしれないけど、しばらく砂漠を離れなくちゃいけない。
 思い切り歌っておきたいんだ」
くしゃくしゃとリディアの頭を撫でながら、ギルバートの足は早くも、商人たちが集まった焚き火の方に向いている。ずいぶんと嬉しそうなので、特別にもう許してあげようとリディアは思った。
キャラバンの所に戻る。たむろっている商人たちにギルバートが話し掛け、座が大きく盛り上がった。詩人のために場所を空け、ありあわせの木材で即席の舞台をつくる。
人が動いて風がおき、煽られた火が大きく揺れる。
ミストの村でもこうやって、いつも火を燃やしていた。どんなに深い霧が出ても、すぐに村が見つかるように。
大事な目印。大切な火。
もっと大きく、どんどん燃やす。もっと。もっと。もっと。もっと。
そうしたら、炎がはじけて──
「リディア? リディア!」
とつぜん体が揺さぶられる。地面が揺れてる。山が怒る。
「リディア、しっかり!」
「……え?
 なんでもないよ?」
「なら、いいけど……具合でも悪いんなら、ちゃんと言わないと」
肩を揺すっていたのはギルバートだった。ちょっとぼんやりしてただけなのに、ずいぶん心配しているみたいだ。
413 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/11(月) 01:23:59 ID:yMKi0aLs
FINAL FANTASY IV #0083 2章 3節 新たなる旅立ち(12)

「へいきへいき。ほら、呼んでるよ。
 はやくギルバートの歌聞かせてよ」
気がつくと、やけに大勢の人がギルバートの方を見ていた。他の隊の人まで集まってきたらしい。手近な青年にリディアを見ているように頼んで、ギルバートは輪の中央へと進んだ。
主役の登場を受けて歓声が湧き上がり、弦の調子を整えて前奏を始めると、潮のように引いていく。
そして歌い始めると、他の全ての音が消えた。
高く、低く。流れるように、踊るように。人が出しているとは思えないような豊かな声が、いつも大人しいギルバートの喉から生まれ、複雑な旋律を危なげもなく歌いこなす。
爪弾かれた竪琴は、ときには朝の雫のように艶やかな光を宿し、ときには真冬の星のようにキラキラと輝いて、出せない音などないかのように様々な音色を紡ぎ出す。
人と楽器が織りなす鮮やかな夢をリディアは見た。
戦乱に巻き込まれた4人の若者が抱く希望。
からくり仕掛けの巨人を操り、夜の雪原をさすらう少女。
囚われた青いナイトを待って姫が眠る硝子の宮殿。
星空のむこうから時を越えて届いた祈り。
そして──
幻想に心を奪われていたリディアが、なぜかふと視線をそらしたとき、人込みの中にその姿を見つけた。
And no one knows it- where she came from, whereshe's going
(アンナ!?)
ダムシアンで息絶えたはずのアンナが、歌うギルバートを見つめている。
血の跡などどこにもなく、穏やかに、幸せそうに。
She's like a rainbow.
When she cames up, all are lit up
And when she whispers, you will hear this-
"Don't chase after rainbow
ギルバートは気付いてないようだった。
リディアの視線を感じたのか、こちらを向いて悪戯っぽい笑いを浮かべ、人差し指を口に当てる。
Everyone is sad abd blue when she is far away,
Don't you know it's time to pray she'll be coming soon?
(なんで……)

And once you meet her--
414 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/11(月) 01:25:49 ID:yMKi0aLs
FINAL FANTASY IV #0084 2章 3節 新たなる旅立ち(13)

優しく体を揺さぶられ、リディアは目を覚ました。
「リディア……リディア、帰るよ」
「え? あたし、寝ちゃってた?」
誰かが運んでくれたのだろう、箱に被せた毛布の上にリディアは横たわっていた。
瞼をこすってあたりを見ると、アンナどころか他の人も、ほとんど姿を消している。
「だいぶ遅くなったからね。負ぶっていこうか?」
暗い気持ちでリディアは首を横に振った。ものすごい失敗だ。せっかくアンナを見つけたのに、どこに行ったかわからない。いつのまに寝入ってしまったのだろう。
「まだ眠そうだよ、大丈夫?」
この様子だと、ギルバートは絶対気付いてなさそうだ。ここに来てたことだけでも教えあげないと。
「あのね、あたし……」
言いかけたリディアの脳裏に、アンナが見せた最後の笑顔がよみがえる。
唇の前で指を立てた彼女は、淋しそうではなかった。
(ナイショ……なんだ)
理由はわからない。でももしアンナにそのつもりがあったなら、会っていかないはずがない。
「あのさ。また歌ってね。
 あたし、もっとギルバートの歌、聞きたい」
「そうだね。今度は君が起きてる時間に」
子供あつかいされてしまった。頬をふくらせるリディアを見て、ギルバートは楽しそうに笑う。
見上げると、円い月は見たこともないほど高い位置にあった。
415名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/12(火) 09:38:25 ID:pRiWmp47
今回はいつにもまして素晴らしいノベライズで・・・
まさかギルバートとサファギンのエピソードがここまで綺麗にアレンジされるとは・・・・
感動しました。
416名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/12(火) 14:08:50 ID:7mBx+6wI
GJ!!
417名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/13(水) 21:27:46 ID:iyxWK4FO
マジすげぇです!!
GJ( ^∀^)b
418名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/14(木) 01:38:43 ID:mbG0wLTD
乙です!
毎回楽しみにさせてもらってます。ガンガってください!
419名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/14(木) 03:30:26 ID:bSEOM+gl
小説の内容もさることながら、歌にも感動した。
PRAYだよね?
ささやかなところでもマジ感動した。
420名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/17(日) 02:43:31 ID:My48y6Ks
最高!!毎回続き楽しみにしてるぞ!!
421名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/18(月) 00:26:53 ID:D/wJYCjm
そろそろほしゅage
422名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/18(月) 01:14:15 ID:ZlCizSQS
ギルバートがビデオの録画に失敗して
まで読んだ
423 ◆HHOM0Pr/qI :2005/04/18(月) 23:08:46 ID:Q4P3BT8M
>415-421
どうもありがとうございます。正直、話変えすぎと叱られる覚悟でいたんですが、
なんとなく程度で踏破できるホブス山はどうしても嫌だったので(そこで修行してるモンク僧の立場なさすぎ)、ギルやんにも早々に覚悟を決めていただきました。
ご指摘の通り、今回ギルバートに歌わせた曲は全てボーカルコレクションI『PRAY』からです。
424名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/20(水) 13:12:44 ID:tSzkWgux
むしろ、あの(オレにとっては)つまらないサハギン戦闘を
ここまでおもしろくしてくれるとは・・・ 話アレンジマンセー
425名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/21(木) 23:48:33 ID:jFd5rD3i
ほしゅ EDまで小説化したら神スレ認定
426名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/22(金) 15:19:43 ID:u91yRLgR
前回うpされたのが10日前(´・ω・`)
このスレには何人職人さんがいるんだろう
427名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/23(土) 01:03:09 ID:j2Txb3L0
イベントアレンジの職人さんといえば>>353-358の人はもう書かないのかな。
この人のギルバートシクシクイベントはマジに秀逸だったと思うのだが(シクシクのくせに)。他の場面も書いてホスィ・・・。
428名前が無い@ただの名無しのようだ:2005/04/24(日) 00:13:52 ID:dI/8V1Ma
前に一部書かせてもらったものですが、ここんところ皆さんのアレンジが素晴らしすぎて
あれこれ考えてみているうちに先に素晴らしいのが来て考え直しの繰り返しですw
EDまでいったら全部繋げて読みたいね。
429名前が無い@ただの名無しのようだ
何ヶ月後、何年後になるかわかったもんじゃないけどねw
しかし、いつかは完成させたいな〜