不気味な声が遺跡内に響き渡った。レックスの耳にもタバサの耳にもしっかりと聞こえたその声は徐々に大きなっていく。
ただでさえ、怖がりなタバサだ。こんな声まで聞こえてきたら、もう・・・
レックスは自分の後ろをゆっくりと振り向いた。やはり・・・タバサも体を震わして、何も聞かないように下を向いて耳を塞いでいる。
レックスは耳から強引にタバサの腕を引きはがすと、しっかりと掴んで駆け出した。ここは危険だ・・・・レックスはそう感じたのだ。
「走って、タバサ!!」
二人は駆けた。このときほど、早く走れたことはないと思う。それほど速かったのだ。
しかし、耳元に響いてくる、その声は途絶えることがなかった。もうすぐ、入り口だ・・・けど耳に入りこんでくる「呪・・・殺・・・滅」とかいった不気味な声。
入り口まであと数歩という所である。
突如としてレックスの足の動きが止まった。そして、それと同時に声も止んだ・・・・
「お、お兄ちゃん?」
レックスは呼ばれて、後ろをゆっくりと振り向いた。