天空の錬金術師

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52天空の錬金術師2(1/9)
(このお話には最後の方に、不適切な表現が含まれているので、健全な青少年はよまないでくださいね)

ーー錬金術は偉大である。あらゆるものを錬成することができる。人でさえ、多少難解ではあるけれど不可能ではない。

リュカは過去を錬成したいと常々考えていたが、それは無理だと諦めていた。
過去というのはどんな権力を持っていたとしても、どんな能力、どんな想いを持っていても決して変えることのできないものだと考えていた。
たとえ自分が、世界の強国であるグランバニア王国の王だとしても、それだけはけして変えることが出来ないものだと。
可愛い息子や娘、美しい妻を得た自分は、傍目には幸福に移るのだろう、とリュカは思う。それ以上なにをお前は望むのか、と。
だが、リュカはいまでもおもっていた。あの優しく、この世のどんなものよりも強く逞しい、最愛の父のことをリュカは考えていた。

ーー錬金術でも過去を変えることはできない。だって、過去を何と等価交換すればいい?

父との旅、それは五歳の子供にとってあまりにも過酷なものであったことは否定しない。
長い旅のおかげで、足の豆は潰れてぐじゅぐじゅと膿み、膝はがくがくになり、激しい呼吸を繰り返す喉はこれ以上ないほど乾き、
夜の闇は自分を飲み込んでしまうように感じて、幼い自分はその貪欲な暗闇に恐怖したものだった。
サンチョはいつも自分をサンタローズに置いていくべきだと父に進言していた。だが、いつも父は認めなかった。
けれど、自分はサンチョがいうほど、あの旅を辛いとは思っていなかった。

何故ならば、仮に豆がつぶれたとしても父が自分の足にすり潰した薬草を丁寧に塗ってくれるのとへっちゃらになったし、
またどうしても歩けなくなると父はおんぶをしてくれたし(それはとても高く、世の中がガラリとかわって見えたものだった)、
父が木の実を取って飲ませてくれるジュースは甘く喉を潤してくれたし、夜の闇が怖くても、焚き火をして父にもたれかかりながら
うとうとと寝るとちっとも怖くなかったからだ。朝起きると、父はいつも静かに微笑んで町で買い置きしたミルクを渡してくれた・・・

53天空の錬金術師2(2/9):04/05/24 18:55 ID:Ssigp+ul

いま思うと自分は父にとって、本当に足手まといに違いない。彼一人ならば世界を廻るのもとても簡単だったはずだ。
天空の武器や防具も全て集め終わっていたかもしれない。(それでも勇者はみつからなかっただろうけれども)
なのに、父はそうせずに、自分を連れて世界を回った。母を捜した。それはどうしてなのか、自分はわからなかった。
けれど、あれから、もう18年ほどが経ち、自分は父の気持ちがわかるようになった。子供の愛しさが。一時も手放したくないと思う気持ちが。
そして、父がどれだけ自分を愛してくれていたか。


(過去を錬成することが、正しいことなのかわからない・・・けれど僕は・・・)

リュカは唇を強く噛み締めると、カッと目を見開いた。目前には見慣れたサンタローズの町並みが広がっている。
視界に移るいくつかの家の煙突からは、夕食の用意と思われる煙がゆっくりと、たちのぼっていた。

現在、リュカは、かつて幼い自分がプックルと日暮れまで散々遊んだ教会の前の広場にいる。
ありえないことだが、妖精の城の絵から、いいようのない不思議な力で過去にタイムスリップしていたのだ。
彼が諦めていた過去に。取り戻せない過去に・・・


彼はパパスの家に向かうべきか、それともここにいる自分と会話をすべきか悩んでいるところであった。
リュカは悩んだ。早く父に会いたい。たとえ自分がむすこだと打ち明けられなくても。けれど。
父に会う前にやはり、自分は課せられた義務を先にするべきだろう。長い葛藤の後に、リュカはそう決断した。

54天空の錬金術師2(3/9):04/05/24 19:02 ID:Ssigp+ul
教会の広場には誰も居なかった。沈み落ち込んでいく夕日が、赤く辺りを染めているのがリュカの目には眩しかった。
それは彼にとって、あらゆる全ての存在を包括した光であった。あの夕日の赤さ!リュカはうっとりと見つめた。

(あぁ・・そうだ。ぼくはいつも夕焼けに辺りが染まるまで遊んでいて・・・サンチョが迎えに来て・・
  お父さんとサンチョと三人で・・・ミルクがたっぷり入ったあったかいシチューを食べてたんだ・・)

リュカは無性に泣き出したくなった。幸福だったあの頃を思い出すと、うれしいのだけど、ひどくつらい。
それはその後にあった父の死を同時に呼び覚ますからである。幸福と不幸、その落差のひどさといったら!
だからこそ、リュカはこの当時のことを勤めて思い出さないようにしていたのだ。
だが、駄目だった。ここにこうしているだけであの頃の思い出が、濁流のようにリュカを飲み込み、沈み込んでいた記憶を呼び覚ますのだ。
リュカは目を閉じて、感情の大波が引くのを静かに待った。感情の渦は激しく渦巻いていたが、やがてゆっくりと消えていった・・・


それから暫くして、リュカはようやく行動を開始した。自分がこの頃どこで遊んでいたかはよく思い出せなかったが、おそらく
教会の近くか、酒場の辺りか、洞窟に通じる川辺のところであろうと見当をつけて探し始めた。
(困ったな・・・急いでみつけないと・・・変に思われてしまう・・)
サンタローズは余所者には警戒心の強い村であった。あまり旅人がこないからであるが、アルパカに比べるとそれは
天と地ほどの差があった。けれど、それは決してわるいものではない。それは土地の人のつながりがそれだけ強いということだ。
が、そんな心配をよそに、たずね人はすぐに見つかった。
リュカは幼い頃の自分が大きな猫と遊んでいるのをみつけたのだ。大きな猫というのは無論、プックルである。
彼は川から教会へと上がる階段の縁にしゃがんで、プックルに何やら綺麗な玉を見せているところであった。
琥珀色の澄んだ瞳、健康的に日焼けした頬に林檎のような紅がさしている。唇は赤く、そこから白い息が漏れていた。
それでリュカはいまはまだ、妖精の国から春風のフルートがなくなっているのだ、ということを思い出して、すこし可笑しくなった。


55天空の錬金術師2(4/9):04/05/24 19:06 ID:Ssigp+ul
わざと大きな足音を立てながらゆっくりと近づくと、こちらに気がついたらしいリュカ坊は慌てて玉を袋に隠した。
リュカはそのしぐさをほほえましく思いながら「こんにちわ」と声をかけた。
「こんにちわ。お兄さん」と、リュカ坊はにこにこと答えた。その声は一際高いソプラノで、柔らかい素直な印象をうけた。
「ぼうや面白いものを持っているね、ちょっとお兄さんに見せてくれるかい?」と、リュカは言った。
「え?」
かつての自分・・リュカ坊は世界の全てを肯定しているかのように澄んでいる琥珀色の瞳を大きく開いて、突然の申し出に驚いた様子だった。
「駄目かい?」と、とりわけ残念そうな口調でリュカは続けた。


「うーん・・・」
形の良い眉を僅かにひそめて口ごもる坊やに、内心微笑みながらも、リュカは彼がOKしてくれるのを知っていた。
なぜなら自分はあのときこのかっこいいお兄さんを信用して確かに渡していたからだ。まさかそれが自分とは思わなかったけれど。

「やっぱ駄目」と、そんなことを考えている彼を尻目に、リュカ坊はあっさりといった。
リュカは愕然とした。ちょ、ちょっと待て。それは話が違うじゃないか?そんなことあのときの自分はいわなかっただろ?
「ちょ、ちょっと、ぼうや・・・えっと・・・その・・・駄目なのかい?」
「うん。駄目。だって、これはとっても大事なものなんだよ」
だから、誰にもみせちゃいけないんだ。あ、ビアンカは別なんだけどね。といって、にこにこと笑う自分にリュカは呆れた。
こいつ、いっちょまえにのろけてやがる。まだ五歳くらいの癖に。
「ねぇ、御願いだからみせてくれないかな?その金の玉。僕、それにとても興味があるんだ」
我慢強く説得を続けるリュカ。ここであれをすりかえないと、世界は終わってしまう。
「そんなに興味があるの?これに?」
「ああ、とってもみたいんだ。少しだけ触らせてくれたら、あま〜い飴あげるから」
リュカは必死だった。過去を錬成するどころのさわぎではなかった。この坊やを説得しないと、世界は終わる。母も、死ぬ。
56天空の錬金術師2(5/9):04/05/24 19:11 ID:Ssigp+ul
と、先ほどから、そんな二人の様子を怪しげにみていた教会のシスターがいた。
(なにかしら・・・あの男・・・結構いいおとこね・・・だけど、怪しげなターバン巻いてるし。それにあそこにいるのリュカくんじゃない?)
シスターはなにやら虫の知らせ、いや、神の知らせによって、胡散臭いものを感じて木陰に隠れて二人を観察していたのだ。
だが、少し距離がある上に、耳もそれほどよくない彼女には会話が断片的にしか入ってこなかった。つまり。

金の玉     興味がある    みせろ     触らせて   いいおとこ

金の玉が、男のアレだろうと、考えたシスターは、ウホッ!と思った。リュカくんが変質者に襲われているのだと考えたのだ。
彼女はここでもう少し観察していたかったが、もしリュカくんがヤられたら、愛しのパパス様が黙ってないだろうと思い、
あわててすぐ傍にある、パパス家へと急いだ。口元に少しだけ腐った女子らしい笑みを残して。


「御願い!」
「だめだったら。ぼく、そろそろ帰りたいんだけど。お腹すいたし・・・ね、プックル」
「そこをなんとか」
「だめ」

それから5分ほど経ち、限りのない押し問答を続けていたリュカ(大人)の我慢はもう限界にきていた。
「あーーもう!おとなしくしてやればつけやがりやがって!いいからその金の玉みせろ!必要なんだ!」
「えーーー、な、なにするの??ちょ、ちょっとやめてよーーーー!」
リュカは力技に出た。少年を地面に押し倒すと、腰にぶら下げてある袋を探った。ここだ。さっきここに入れたのをみた。
だが、思ったより敏捷なので、リュカが手を伸ばしても、腰をひねらせてうまくかわす。大人しくしていたプックルもかみついてくる。
しかし、そんな攻撃は全くといっていいほど効かなかった。レベルに差がありすぎるのだ。リュカはふふん、と笑いプックルを蹴飛ばした。
邪魔者はいなくなった。なかなかうまく袋に手が届かない。リュカ坊やはうまく身体を捻って、こちらの手を逃れるのだ。
「くそ!いいからさっさと袋に触らせろ!」
リュカはいらいらして叫んだ。こうなったらズボンを脱がして丸ごと持っていくか、と考えた。
57天空の錬金術師2(6/9):04/05/24 19:16 ID:Ssigp+ul
リュカ坊は恐怖していた。いったいなんでこうなっているんだろうか、と混乱する頭の中で必死に考えた。
このおにいちゃん、見た目はとても優しそうだったのに、あれは嘘だったのかな。泥棒さんだったのかな。
ビアンカと大事にしていたゴールドオーブがとられちゃう。そしたら、ビアンカはもう自分と遊んでくれないかもしれない。
そんなことを考えると、こわくて涙がこぼれそうになった。サンチョがいうように、世の中には悪い人がいっぱいいるんだ。
リュカはそんなことを考えながら、必死に身体をずらそうとした。が、上にしっかりと乗られているので動けなかった。
そのうちに、男の手が自分の下腹部を探っていることに気がついた。それがなにを意味するのか、リュカにはわからなかったが、
身の毛もよだつような寒気を覚えていた。ズボンが脱がされる!その事実は、なんだか取り返しのつかないことになりそうな気がした。
だが、抵抗しようにも恐怖のあまり身体が動かなかった。


「よーし、じっとしてろ。すぐ済むからな」と、男がいうのをリュカは呆然と聞いていた。同時にズボンに手がかけられた。
もうだめだ。ビアンカ、ごめん。
諦めたように、瞳を閉じたリュカ少年の耳に鋭い声が入ってきたのはそのときのことだった。
「待て!この変質者!わしの息子に何をするつもりだ!」
あぁ、これほど、この世の中に、待ち焦がれた、何よりも嬉しい声、力強い声があるだろうか。
おとうさんだ、おとうさんがやってきてくれた。リュカ坊は歓喜した。
58天空の錬金術師2(7/9):04/05/24 19:19 ID:Ssigp+ul
パパスは彼女の知らせを聞いて激怒していた。
シスターが突然飛び込んできた時は何事かと思ったが、息子が変質者に襲われていると聞いて慌てて飛び出した。
サンタローズの村にはそんな奴はいないと思っていたが、自分の見当違いだったのか?いや、シスターの話によると、
どうも旅人らしい。ええい。うちの息子が目の中に入れても痛くないほど可愛いから悪いのか。
父親一人で育ててきたからであろうか、パパスは極度の親ばかであった。息子最高!二人はプリキュア!と常々思っていた。


「リュカー!」
パパスは全速力で教会の前の広場までいくと、階段のところで息子が変質者に押し倒されている場面を目撃した。
血管が切れそうだった。わしの可愛い息子になにしやがる。こちらからでは顔がみえないが、男は、リュカの下半身に手をやって
「さぁ、袋をみせろ!玉がいるんだ!」
と叫んでいた。「い、いやだっ!」リュカは必死に抵抗している。

「やめてよ!やめて!!」
「いいからさっさと玉を寄越せ!」

袋のなかの玉をとるだと!こ、こいつ!かなりの変態だ!パパスは憤怒にかられた。血圧がまたあがる。
彼はよく手入れされた愛用の剣を手に取ると、額に青筋を立てて、息子にのっかかっている青年に怒鳴った。
「待て!この変質者!わしの息子に何をするつもりだ!」


59天空の錬金術師2(8/9):04/05/24 19:22 ID:Ssigp+ul

その言葉を聴いて、冷静さを取り戻したリュカ(大人)は辺りを見渡すなり愕然とした。やばい。なにやらやばい。
金の玉・・ゴールドオーブをとることに夢中になっていたせいで、周りを気にしていなかったが、いつのまにか父や
サンチョやその他大勢の村の皆が自分を囲んでいるじゃないか。なんでだ?わけがわからない。
しかも各々その手には武器を持っているし、顔は怒りに満ちて赤くなっている。彼らは口々にののしっている。

「この変質者!ぼっちゃまを渡せ!」
「ショタコン野郎が!ぶっころしてやる!」
「変態よー!変態がいるわー!」
「リュカくん!もう少しの辛抱だからな!すぐにおじさんたちがこの変態をぶっころしてやるから!」


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::::::` ̄´   /  !ハ. ←リュカ(大人)
60天空の錬金術師2(9/12):04/05/24 19:30 ID:Ssigp+ul
リュカは状況を理解した。なるほど。そういうことか。確かにすこし誤解される行動だったかもしれない。
「いますぐ、このサンチョが変質者を斧で打ち殺してスライムの餌にしてあげますからね!」と、サンチョがいった。
いや、それはやりすぎだろ。と、突っ込みたかったが、そんな余裕はなさそうだった。
いまにも襲ってきそうだ。やばい。やばすぎる。でぶなだけのサンチョとか口うるさいだけの村人連中は問題じゃないが、
「貴様!このパパスの息子をキズモノにしようなどとフザケタことを!」
と、右手に愛用のパパスの剣を持って、いまにもとびかからんとする父がやばい。
身の危険を感じたリュカは反射的に、リュカ坊の身体を引き起こすと、喉元にさっと短刀をあてた。


「動くな。動くとお宅の可愛い息子さんの命がないぞ!」
「お父さぁぁぁん!」
「リュカ!!・・・・・ッく・・卑怯な・・」

ふー、これでなんとか一安心。って、おい。なにか違わないか?なんかこのシチュエーションどこかでみたような・・
リュカは混乱した頭でふとそんなことを考えたが、もうなんかそんなことはどうでもよくなった。
いまはとりあえずこの場を逃れることが先決だ。そのためにはこのガキをうまくつかわなければ。

「さぁ、パパス。武器を捨てろ。それともこのまま息子が死んでもいいのか?」
「く・・・・・」
「お父さん!駄目だよ!ぼくなんかどうなってもいいから剣を捨てないで!」
61天空の錬金術師2(10/12):04/05/24 19:38 ID:Ssigp+ul
「ふふふ。どうしたパパス。貴様の可愛いむすこが死んでもいいのか?」と、調子にのってナイフを近づけながら続けると、
「ま、待て。わかった!」とパパスが叫んだ。リュカ坊が「父さん!言うこときいちゃだめだ!」と泣きながらいった。
パパスはそんな息子をこれ以上愛しいものはない、というような慈愛に満ちた顔でみつめた。美しい光景だ、と周りにいる誰もが思った。
「心配するな、リュカ」とパパスは息子にいって、こちらをぎゅっと見据えると、確認するようにゆっくりと言った。






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      \:|      (:::, ρ)      l// ノ      .な  放  れ
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62天空の錬金術師2(11/12):04/05/24 19:46 ID:Ssigp+ul
別にそんなことしろとはリュカは一言もいってなかったのだが、パパスがいそいそと脱ぎ始めたので、とめるタイミングがなかった。
元々、半裸みたいな鎧だから脱ぐのは簡単そうだった。パパスの鍛えられた肉体があらわになる。リュカはそれを唖然とみつめていた。

(父は露出狂だったのだろうか・・・)
そんなことを漠然と思うだけだった。そうこうするうちに、父は全裸になった。ギャランドゥがすごかった。
だが、リュカは久しぶりにみる父の裸に何やらドキドキした。それが父への思慕か、また別の類のものか彼には判断つかなかった。
もしかして、自分は父さんのことを・・・・リュカはひどく動揺した。父への思慕は、家族愛だと思っていたが、もしかしたら・・・

一方、パパスは服を脱ぎながら、青年の顔が自分好みなのに驚いていた。この男・・・どことなくマーサに似ている・・・・
それはパパスにとって、もうあえないと思っていた、愛しの女性であった。マーサ!パパスは激しく困惑した。

この二人がお互い惹かれていくことを誰が止めることができただろうか?少なくとも筆者にはそれは不可能だと断言できる。
男同士であることなど、最早問題ではなかった。それは寧ろ、二人の前にある愛の障害にすぎなかった。
愛は障害があるほど燃え上がるものだ。かつてマーサと駆け落ちしたパパスはそのことをよくしっていた。
愛は困難の後に成就するものだ。愛は人が錬成できる最上のものである。
いま、この二人は運命の出会いを果たした。それだけで理屈は充分でないだろうか?やがて、パパスが静かにいった。

「  や  ら  な  い  か ?」

リュカはこたえた。

「そんなこといっていいのかい?俺はダンカンにだってほいほいついていくんだぜ?」
「嬉しいこといってくれるじゃないの」

交渉成立だった。

63天空の錬金術師2(12/12):04/05/24 19:52 ID:Ssigp+ul
軽妙な会話のあと、二人は教会の脇にあるトイレへとはいっていこうとした。愛の錬成が始まろうとしていた。
もう金の玉などどうでもよかった。リュカは未来を捨てて、過去を選んだ。
過去と等価交換できるものは、未来だったんだな、と考えながら、リュカはほいほいパパスについていこうとした。

一方、残されたリュカ坊は、目の前で父がホモだということを知り、わけのわからない感情にとらわれるのであった。
(お、おとうさんが、変態だったなんて・・・!う、嘘だ、嘘だ嘘だ!ああああSだだあSSだふぁSふぁSふぁ)
完全に錯乱しかけたリュカ坊の肩をその青年はそっと、いたわるように叩いて、力強くこういった。



     ,, - ―- 、
  ,. '" _,,. -…;   ヽ
  (i'"((´  __ 〈    }
  |__ r=_ニニ`ヽfハ  }      ぼうや
  ヾ|!   ┴’  }|トi  }        どんなに辛いことがあっても
    |! ,,_      {'  }         くじけちゃ駄目だ  頑張れよ  
   「´r__ァ   ./ 彡ハ、           
    ヽ ‐'  /   "'ヽ
     ヽ__,.. ' /     ヽ
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