そして僕が見た先には・・・なんとも巨大な竜の姿!
両手で大きな斧を持っている!
少女の前によだれをたらして立ちふさがって居る。
そして巨大な咆哮!
剣士が噛み付いてくる!
痛い!
だが、それどころではない!
「離れるんだ!みんな!」
スラりんが少女を連れて離れる。
バトルレックスが追いかけようとする!
「イオラ!」
僕は間一髪でバトルレックスに呪文を当てることが出来た。
剣士が僕を地面に叩きつけて牙を口からはずす。
そして余興は終わりだと言わんばかりに新品の剣を抜いた。
僕は三人に逃げるように言ってバトルレックスの前に立ちふさがった。
三人は走って駆けて行く。
「二匹まとめて退治してやる!」
「まずはでっかい方からだ。お前はその後切り刻んでやるからまっていろ!手出しは無用だ!」
「わからずや!」
僕は大声で怒鳴った。
剣士がバトルレックスに切りかかる。
バトルレックスが僕に大斧を振り下ろす。
僕はそれをかわす。
攻撃の対象を変え、戦いが続く。
三つ巴になってしまったか・・・そう思ったときに又もや戦いが中断された。
遠くから少女の悲鳴が聞こえたからだ!
そして遠くでも又もや巨大な咆哮!
剣士が冷静な顔でつぶやく。
「フン・・・やはり二匹いたか。報告を聞いたときからそう思っていた。」
「少女を見殺しにするのは体裁が悪いな。」
剣士はそういうと声の聞こえた方に走り出した。
しかしそれをバトルレックスの尾が捕まえてしまう!
「フン!時間さえあればお前など!」
セリフとは逆に剣士の顔が冷や汗にまみれている。
少女が危ないと予見しているんだろう。
「僕が行く!」
僕はそう言い放った!
許されなくても無視していくつもりだった。
しかし剣士の言葉は予想とは違っていた。
「・・・ひっこんでいろ。といいたいところだが、どこぞの『嫌われ者』は足が速いらしい。」
「さっきお前は俺から逃げることよりも、少女を救うことを優先した。」
「その点だけは信用してやる。」
剣士は持っている剣でバトルレックスの尾を切り裂き始めた。
「俺が行くまででいい。持ちこたえて見せろ!」
僕はその言葉を聞いた瞬間に走り出した。
あんないい人たちを、モンスターと人間の親しい大切な関係を奪われて溜まるか!
少女の元についたときには、スラりんはボロボロで、スーラが必死に二人の前で戦っていた!
少女は泣いてしまっている!
あんなに優しい子供を!
僕は威勢良くイオラをバトルレックスにぶち当てた!
バトルレックスがよろけながらも大斧を振り回す!
僕は少女の前で身を固めた!
二度切られたが、敵は時機に転んでしまった。
スーラがバトルレックスの片足に体当たりを食らわせたのだ。
スラりんがボロボロの体でスクルトを唱える。
きっとさっきから唱え続けているのだろう。
バトルレックスの大斧はたいした威力だったので二発でも堪えてしまったが、まだまだ戦える。
さらにイオラを当てる!
スーラには下がって少女を守ってもらう。
スラりんがさらにスクルトを!
バトルレックスが起き上がって大斧を振り下ろしたが、もはや痛くはない。
しかし安心したのも束の間、バトルレックスが息を吸い込む。
この位置での息攻撃は危険だ!
少女に当たってしまう!
しかし僕が攻撃するよりも早く、スラりんがメダパニを唱える!
混乱呪文だ。
バトルレックスは見事に混乱して踊りだしてしまった。
炎は曲芸のように天に向かって吐き出している!
僕はイオラをさらに数発唱える!
バトルレックスはとうとう伸びてしまった。
僕達は肩を抱き合って喜んだ。
少女が泣き止むように三人で笑いかける。
しかしスラりんはボロボロなので痛いしかった。
少女はこんなときに笑って居られなかったのだろうが、流石に賢い。
泣き止んでにっこり笑ってお礼を言ってくれた。
スラりんが言う。
「さっきは驚いた顔をしてごめんね。はぐりんが何であろうと、はぐりんははぐりんだよ。」
「ありがとう。ゆるしてくれるかい?」
僕は当然だと答えた。
しばらくすると幾らか傷ついた剣士がやってきた。
美形な顔にも残念ながら血がついている。
バトルレックスの血を被ったのかもしれない。
「はっはっはっ。完璧にマスターしたぜ。ドラゴン切り。」
「次はメタル切りでもマスターするかな?」
少女が嫌な顔をして剣士を眺める。
「冗談さ。小さなお嬢ちゃんを泣かせるほど俺はバカじゃない。」
「それと・・・はぐれメタル、お前は思っていたよりもずっといいモンスターだった。」
「こんなことは言いたくないが・・・俺に見る目が無かった。許せ。」
「余計なお世話かもしれないが、一言いっておくよ。」
「残念ながらお前が忌み嫌われているというのは事実だ。その辛さに耐えられないようならここに永住しちまった方がいい。」
そう言うと、剣士はもう一体のバトルレックスに止めを刺し、去って行った。
僕たちは再び薬草を摘んで家に帰った。
家に帰ったらスラりんの手当てをして、少女の薬作りと食事作りを手伝った。
またおいしいごはんだった。
また居心地の良い会話をした。
でも僕は・・・明日になったらここを出ることを告げた。
今日の出来事が僕に一つの決心をくれたからだ。
僕は今日、みんなに死んで欲しくなかったから必死だった。
その死んで欲しくないって気持ちは飾りっけのない素直な気持ちだった。
あいつらを・・・ゆうぼうを放って置いたらいずれここも襲われてしまうかもしれない。
現に被害が無かったけれど洪水は起きてしまった。
このままではみんな死んでしまう。
そう思うと、不思議と今まで出会った大切な仲間の顔が次々と浮かび上がった。
スタスタはきっと僕を信じて待っていてくれている。
はぐメタだって死んだとは限らない。
例え悲しい結果が待っていようとも、僕一人でも抵抗してやる。
そう決心した。
僕はここに来れて本当に良かった。
旅先ではいつもそう思うんだけどね・・・。
眠った。
次の日になった。
三十一日目の朝だ。
川に流されてから既に一週間が過ぎている。
家を出る僕に少女が何かをくれた。
スーラが言うには彼女の宝物だそうだ。
丸い水晶の様な石。それに紐を通して作ったネックレス。
ちょっと僕には大きいがそれを首に掛けた。
怪我をおしてスラりんが声を掛けてくれる。
「また来るんだよ!」
そしてピキーという鳴き声。
僕も真似てみた。キュルっと言う鳴き声になっちゃったけど。
スーラが笑ってさよならを言った。
「短い間だったけど楽しかった。」
そしてぐるっと回って見せる。
僕も真似てみた。回るのはちゃんとできたみたいだ。
少女が泣きながら手を振って見送ってくれた。
僕はこんなにいい人間が居るとは思って居なかった。
つい涙がこぼれてしまった。
「さようなら!」
僕はそういって走り出した。
僕は何度か後ろを振り向いた。
とうとう彼女たちも見えなくなった。
今日はここまでです。
最近時間が空いて長文投下という形になってきてるので、次からは短めの間隔で短文投下になるかもしれません。
どっちの方がいいのだろうか。
結局自分の都合で不定期的に書くことには代わりないのですが。
俺は時間が空いて長文のほうが好き
だけど作者さんの好きにしていいと思いますよ
青い剣士がテリーにしか見えません。
牙を口になんて挟むから(w
俺もテリ(ryにしか見えない
むしろテリ(ryだろw
キタっ!
むしろ、いつの間にか更新されるから、どうかな〜とのぞいてみたらキター!
って流れがいい。
スレッドランキングも、結構時間空いて長文だから下のほうだし。
とにかく乙カレー!
↓凍てつく波動保守
どちらでもいい。書いてさえくれるなら。
しかしいい話やなあ。
でら乙
いい感じ〜
ほす
めぐれハタルの冒険
保守保守。
↓疾風突き
↑疾風好き
同時にやったらどうなるんだ?
517 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 00:31:18 ID:5T87smR9
ほするか
三十二日目。
昨日はずっと上流の方に向かって歩いた。
つまり西の方へ向かったのだ。
夜には野宿をした。周りにモンスターの住処がなかったから野宿するしかなかったのだ。
地面が所々濡れていて、洪水の影響がこの辺りまであったということを示していた。
そろそろどこかモンスターの住処を訪ねてみたい。
洪水の被害が実際どれだけあったのかを知りたいのと、自分の正確な位置、迷いの森の正確な位置を聞きたいからだ。
幸か不幸か歩いていもモンスターに出会わない。
もしかしたら住処の復興で忙しいのかもしれない。
一時間ほど歩いたところで、北に向かうことにする。
河の上流の先の方を見渡しても住処らしきものが見えないからだ。
迷いの森も北の方にあることだし悪い選択ではないはずだ。
案の定三十分ほど歩いたら、大きな森が見つかった。
迷いの森よりもでかい。
ここならモンスターが居るだろう。友好的なモンスターが居てくれれば助かる。
友好的なスライムならばなお大歓迎だ!
・・・自分は歓迎される方だけどね。
歓迎してもらえるといいなあ。
森の中へ歩いていく。
地面が濡れていて泥の様になっている。
少し進みづらいが動きが取れないと言うほどでもない。
よく周りを見渡せば木々の中には倒れている物もある。
更に歩いていく。
葉もいくらか散っているようであたりは明るい。
大きな広場に出た。
やった!モンスターたちが居る!それも溢れるほどにだ!
モンスターたちが協力して倒れた木を運んでいるみたいだ。
赤いホイミスライムの様なモンスター。ベホマスライムだろうか。
メタルスライムの様なモンスターも遠くに一匹居る。
スライムに乗った剣を携えた騎士。スライムナイトが二匹。
青色や赤色のスライムたち。
バブルスライムまで。
パタパタ飛んでいるのははねスライムだろう。
一部熱気が漂っているのはマグマスライムが居るからだろうか。
スライムが多い!
しかしスライムだけではない。
軍隊ありやオーク、グレムリンが多く働いている。
近くに居るはねスライムに話を聞いてみる。
「復興作業中ですか。」
「ええっ。パタパタ。木も家も随分と流されてしまいましたから。パタパタ。」
「ここはまだいい方ですよ。パタパタ。オークさんやグレムリンさんなんかはもう住処自体が流されてしまって復興しようがないらしいんです。パタパタ。」
「ここに住めばよいと皆言っているんですがね。パタパタ。本来はここはスライム族しか居なかったんです。パタパタ。」
「ここは元々大陸一大きな住処でしたから、洪水以前も何らかの理由でここに来る人は多いんです。パタパタ。幸か不幸か皆慣れているんですよ。パタパタ。」
「貴方も住処を失った口ですか。パタパタ。」
はねスライムが小さな石を運びながら飛んでいるので、横を歩きながら応答する。
「失ったというよりは旅の者というところです。」
「迷いの森というところを探していて・・・。」
「迷いの森ですか。ここから二日ほど西に歩けばつくでしょう。パタパタ。メタルスライム族の方ならば一日も掛からないかもしれませんね。パタパタ。」
「目指す所があると言うことはいいことですよ。パタパタ。向こうのスライムナイトさんたちは帰る所もなくって。パタパタ。」
「旅の方は分からないか知れませんが、このところ物騒なんですよ。パタパタ。連絡の取れなくなった住処がいくつかありまして。パタパタ。彼らの住処の古城はここから四日ほど西に歩いたところにあるのですが、なんでも二人を除いて全滅したそうですよ。パタパタ。」
「そうなんですか。そういえば少し聞いたことがありました。」
「色々と詳しく教えてくださってありがとうございます。」
僕はぺこりと頭を下げた。
「まあ、一連の物騒な事件についてはスライムナイトさんたちに聞いた方がいい情報が得られると思います。パタパタ。」
はねスライムは僕に羽を振ってスライムナイトの方を指し、石を探して飛んでいってしまった。
指して貰った先の方を見る。スライムナイトが二人、朽木を運んでいる。
じっと見ていると二人のうち一人もこっちを向く。
気が付いたようだ。彼と目が合う。
スライムナイトは何だか信じられないといった顔をする。
どうしたというのだろうか。
スライムナイトが一直線に走ってくる。
もう一人のスライムナイトが急に手を離されて木を持ったままよろよろと倒れこんでしまった。
「アーサー!」
走ってくるスライムナイトが相方の方に手招きをする。
その相方さんの方はオークとメタルスライムに救出してもらっている途中だ。
うーん。そんなに急いで駆け付けてくれるなんて♪
スライムナイトの知り合いは居ないはずなんだけど。
そうこう思っているうちにスライムナイトが近くにやってきた。
基本はまずは挨拶だ。
「こんにちは!」
僕はしっかりと挨拶をした。
二重丸をもらえるくらいの挨拶だ。
「よくもぬけぬけとっ!」
うう!
スライムナイトは剣を抜いたかと思ったら思いっきり切りかかってきたのだ!
あっ挨拶はーーー!?
僕は一歩下がって何故こんなことをするのかと質問する。
「我々にあれだけのことをして、良くもそんなことを言えたものだ!」
以前こんなことが会った気がする・・・。
「人違いじゃありませんか?」
「問答無用!」
「うりゃ!」
スライムナイトはスライムをクッションにして空高く舞い上がった。
そのままの勢いで切りつけて来る!
逃げようとした僕に下のスライムが抱きついてくる。
「そりゃ!」
スライムナイトはスライムに着地!
それと同時に僕に切りつけた!
痛い!
侮れない切れ味だ。
しかし完全に誤解されているに違いない!
二回目だからすぐに分かる。
「話を聞いてください!」
「話を聞いてくれないと僕も攻撃しなくっちゃならなくなる!」
しかしスライムナイトは僕の話を全然聞こうとしない。
周りに何があったのかとモンスターたちが集まってくる。
スライムナイトの手が光っている!
「イオラ!」
しかしそのイオラは僕に向けられたものではなく、地面に向けられた物だった。
泥がはじけて僕に覆いかぶさる。
「お前に呪文が聞かないのは知っている。」
そういって泥をぬぐっている僕に激しく切りつけて来た。
僕は何度か切られながらもスライムナイトの間合いから逃げ出した。
「止めてくれ!きっとゆうぼうって奴と間違えているんだよ!」
僕は誤解を解くのにがんばるしかなかった。
もし攻撃を加えたら信じてもらえる物も信じてもらえなくなるからだ。
「名前など知らん!顔だけで十分だ!」
スライムナイトが再三切りかかってくる!
しかし、火の玉が間に入りスライムナイトの動きが止まった!
僕が唱えた物でもなければスライムナイトの唱えた物でもない。
火の玉の放たれた方向を見ると一匹のメタルスライムが立っていた。
「以前聞いた。えっと、その・・・ピエール君の話だけど、きっと犯人は僕の住処を壊した奴と同じなんだと思うけど。へへへ。」
「そいつではないと思うよ。うん。」
「似ているけど違う。」
「あいつが相手ならばきっと今頃は君が黒焦げだよ。」
「僕はあいつに詳しいーんだ。へへへ。」
「演技かもしれない!」
ピエールと呼ばれたスライムナイトが言い返す。
「あいつは演技なんてしないよー。必要があればするかもしれないけど、ここでは必要ないよ。」
「君の古城のスライムナイトを悉く殺した化け物なんだよ。必要が無いじゃないか。」
「それに一人で乗り込んできたのではなかったんだろう。」
僕もチャンスだとばかりに口を出す。
「僕は君の住処を襲ったモンスターじゃないよ。」
「僕はしばらく前まで仲間と行動を共にしていたし、数日前は東の住処に居た。君の仇の仲間と戦ったこともあるんだ。迷いの森まで来てくれればきっとプチット族が証明してくれる。」
僕が喋っていると、もう一体のスライムナイトが遅れてやってきた。
「ああ。ひどいよ、ピエール。」
「僕の美しい顔に傷が付くところだったじゃないか。オーク君が助けてくれなかったら、今頃君世界中の僕のファンが泣いているところだったぞ。」
「むむっ!そこにいるのは我らが仇か!?」
「ふっ。(髪を書き上げる描写・・・ただし兜か邪魔で中途半端に。)」
「僕は決してそこの彼の様な争いを好む醜い男ではないが、仲間の仇が目の前に居るとあれば仕様がない。」
「ああ、我が胸の中で朽ちていった幼き少女。我が瞳に今でも焼き付けられた少年の死に顔。子供達を生かすために散っていった仲間達。」
「その雪辱、その悲しみ、その恨み、その全てを今ここで『愛スライム』ドゥン・スタリオンと共に晴らして見せよう!」
そういうとスライムナイトは華麗に剣を抜いた。
周りからおおっという声がほんのちょっとだけ上がる。
『愛スライム』ドゥン・スタリオンは恥ずかしそうに目をつぶって顔を伏せている。
「・・・どうやら、別人のようだよ。アーサー。」
ピエールと呼ばれた方のスライムナイトが少し不服そうにそう言った。
「・・・ふっ。ならば仕方ない。無駄な争いは好まない物だ。私の様な美しい男は。」
アーサーと呼ばれた方のスライムナイトはそういって剣を収めた。
「完全に信用したわけではないが、実害が出るまでは矛を収めよう。私はピエール。そっちはアーサー。間に入ってくれたのはメタリンだ。」
「僕ははぐりんです。よろしくお願いします。」
アーサーさんとピエールさんは再び朽木を運びに行った。
他のモンスターも自分の持ち場へ戻っていく。
メタリンがそそっと僕に近づいてくる。
「どうしてゆうぼうの名前を知っているんだい?」
「はぐメタって仲間が教えてくれたんです。今は離れ離れになったけど、また会ってゆうぼうを止めるのが僕たちの旅の目的です。」
「はぐメタか。そうか。なるほどなるほど。」
「はぐメタを知っているんですか!?」
「ああ。同郷だからね。へへへ。あそこから生き延びたのは僕と彼だけだろうと思うよ。」
「僕もはぐメタが居なきゃ今頃ここにいなかったけどね。いつか会ってお礼が言いたいね。」
「細かいところまで話を聞いてるか分からないが、ゆうぼうに追い詰められた時、はぐメタが来たおかげで逃げる機会を得たメタルスライムが僕なんだよ。」
「そのまま流れに流れて住処を転々としてきたのさ。」
「スライムナイトたちは最近ここに来たんだ。三日前くらいにね。」
「なんでもゆうぼうと見たことのないスライムたちに襲われたとかどうとか。」
「しかし変なことにスライムナイトたち以外で住処を襲われた者は、ホークマンやアンクルホーンに襲われたと言うんだ。真相はどうなのやら。」
見たこともないようなスライム。一体どのようなスライムなんだろう。
僕がメタリンさんに分かる範囲で返事をする。
「多分どっちも正しいんだと思います。僕たちも少し前にアンクルホーンたちと戦ったことがあって、その時はゆうぼうの探し物の時間稼ぎをしているといってましたから。」
「洪水の後にゆうぼうが何かを見つけちゃったんだと思います。」
僕は洪水の件に関してメタリンさんに話した。
メッサーラのこと、シュプリンガーのこと。
するとメタリンさんが意外なことを言った。
「僕も連れて行ってもらってもいいかな。ゆうぼうにもはぐメタにもそれぞれに言いたいことがあるんだ。」
「えっ、連れて行く?」
僕はつい繰り返してしまった。
まさか、旅に加わろうというスライムが現れるとは思わなかったからだ。
「不思議そうな顔をしてるね。ダメかな?」
「この付近でも襲われるということは、もう逃げる場所もなくなってきたということなんだ。」
「それならば一緒に行った方がずっといい。」
「あの、はぐメタがいいと言えばもちろん。それまではとりあえずって形なら。」
僕がそう応えると、意外なところから返事が聞こえてきた。
「それじゃあ、僕も連れて行ってもらおうかな?」
背後にアーサーさんが立っている。
話すのに夢中で近づいていたのに気づかなかったらしい。
「ここでボーっとしてるよりも君と一緒に居た方があいつの後を追えそうだ。」
「もし、君が嘘吐きで本物の仇だったならば、その時君を討てばいい。」
「どっちにしろ、付いていった方がいいってことになる。」
「ふっ。なにより旅をすれば、僕の美しい顔をより多くの人に見せることが出来るからね。」
「ピエールも誘えば付いてくるぞ。」
「メタリンが良くて、僕とピエールがダメということはないよな?」
僕が返事をしようとしたら、ピエールさんが走ってやってきた。
「森の入り口が騒がしい!」
「何人か襲われたそうだ。もしかしたら奴らかもしれない!」
僕たちは森の入り口に走っていった!
今日はここまでです。
色々とアドバイスありがとです。
とりあえず今後も長文の周期で行こうと思います。
それではまた。
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
お疲れさんです
毎度お疲れ様でっす。
↓ぎんのタロット
↑させるかっ!される前にメガンテだぁ!
ハッ
いや〜、お疲れ様です。
いい展開ですね〜!正直某ハリポタより(ry
うりゃそりゃのピエールとナルシストのアーサー。
起き上がった時に仲間にするならどちらだろうか。
ほす
保守…
僕たちは村の入り口に向かって走っていく。
住処に襲い掛かってきたモンスターとはどの様なモンスターなのだろうか。
しかしピエールさん、いやピエールさんの愛スライムはとても早い!
僕やメタリンさんに劣らないスピードだ。
そう思って走りながらピエールさんの方を見ていると、突然ピエールさんもこっちを振り返った。
いきなりのことでびっくりした僕にそのまま手を伸ばしてくる。
「ベホイミ。」
僕の体の傷が癒えていく。
そういえばピエールさんとの戦いで傷が付いていたことを忘れていた。
余り痛くなかった上に、はぐメタと知り合いで旅に連れて行けというメタリンさん、同じく同行するというアーサーさん、そしてこの襲来とびっくりすることが多くて忘れていたのだ。
ピエールさんが恥ずかしそうに喋る。
「私が間違えてつけた傷だからな。完全に信用したわけではないし、これで水に流してくれというつもりでもないがせめて回復させてくれ。」
「ううん。ありがとう!」
僕はしっかりとお礼を言った。
ピエールさんはどこか照れくさそうだ。
自然と足にも力が入る。
しかし力いっぱいに走っていると後ろの方から声がした。アーサーさんだ。
「みんな早過ぎる。僕のスタリオンはピエールのサスケ君とは違って足が遅いんだ。」
「申し訳ないが、少しスピードを下ろしてくれまいか。これでは私の美しいスタリオンが戦う前にへばってしまう!」
確かにスタリオン君は全力で走ってくれている様なのだが、僕達と比べて徐々に後退して行ってしまっている。
「仕方ないだろう!相手はもしかしたらあいつらかもしれないんだぞ。出来るだけ急がなくては!」
ピエールさんが振り返って大声で返す。
確かに早く行きたい。
しかし強敵相手に体調を考えずに進むのは良くないかもしれない。
僕はその理由を上げて二人にスピードを下げるように頼んだ。
「ああ、申し訳ない。この汚名は戦いで晴らして見せよう。」
そういうとアーサーさんは剣を少し柄から出してチャインと鳴らした。
「そうそうピエール。はぐりん君はあいつらの行方に多少の当てがあるようだ。」
「ふっ。僕はさっきメタリン君と一緒に旅の同行を申し出たところだった。君も来るといい。」
「もっとも僕もまだ答えはもらってないんだがね。」
そういえばその話がうやむやになっていた。
「当てがあるというか僕もあいつらを追っているという程度です。でも迷いの森に行ったら何か分かるかもしれません。」
僕が答える。
ピエールさんが口を開く。
「なるほど。ここでボーっとしているよりはいいかも知れんな。」
「おっと。ピエール。がさつな君が僕と同じような答え方をしないでもらいたい。」
アーサーさんがすかさず口を挟む。
「うるさい。私はがさつではない!」
「ふむ。私もこいつも余り遠くに出たことがなかったからそれも面白いかも知れんな。」
「我々の中には一人前になると傭兵になる者も居るし、大抵の者は外に出るのだが、私達は少し前まで半人前だったのでね。歩き回ったのは古城の周りくらいだった。」
「外の世界は面白いですよ。色々な新しいものに出会えて。僕も旅を始めてそんなに時間がたっていませんが旅は楽しいです。」
「おおっ。やる気が出ることを言ってくれる!」
「では私も連れて行ってもらおうか。・・・して私達への返事は?」
願ってもいない話だった。まさか三人も付いてきてくれることになろうとは。
しかし僕が返事をする前にメタリンさんが小さな声を出す。
「へへへっ。その話はまた後でだね。どうやら入り口の方に来たようだよ。モンスターたちの声が聞こえる。」
本当だ。
スライムたちの鳴き声や話し声、そしてその他のモンスターの声が聞こえてくる。
僕達は入り口に到着した。
そこにあったのは何体かのスライム族の遺体と住処の仲間たち、そしてニ十体以上のトロールだった。
その中でも極めて大きなトロールがいる。
あれが俗にいうボストロールかもしれない。巨大な棍棒を持っている。
一体のマグマスライムが何体かのトロールと奮闘している。
マグマスライムが声を出して怒るたびに場の温度が上がっていっている。
彼の通った先には火がつくほどだ。
他のスライムの中にも戦おうとしている者が居るし、声を出して出て行けと叫んでいる者も居る。
あるいは木の隅で隠れている者、逃げている者、仲間を集めている者、遺体を運んでいる者など様々だ。
僕が最初に話しかけたはねスライムも空から石を投げつけている。
すばしっこくてトロールの反撃の石つぶては当たらない。
「よかった。あの手のモンスターなら逃げる必要がないや。」
メタリンがぽつんと呟く。
ピエールが大声でボスと思われるトロールに怒鳴りつける。
「ここに何のようだ!」
ボストロールが口を開く。
「へへっええはあ。おめえぃらがよぉ。じゃまあでよぉ。えへっ。でていってほしんだあーーーあ。」
「ここいらあよぉ。あれてぇなくていぃぃい。おいらたちのぉすみかにするとぉきめたんだぜぇえ。」
「おれらぁのすみかぁもうありゃゃゃあもうぅすぅめねぇぇ。」
「すむのはぁおいらたちだけだあぁ。おまえぃらぁでてぃくかぁおれらのぅうひひ。しょくりょうにでもなってくれれれぇやあ。」
アーサーが口を開き返す。
「それで住んでいる者を攻撃したのだな。容姿が美しくないならば、せめて心は美しくすれば良いものを!」
「ここには災害を受けた者を受け入れる用意がある!」
「しかし、ここには侵略者や心の美しくないものを受け入れる用意はない!」
「ふっ。君たちには剣の楔にしてやる価値もない。さっさと立ち去れば命だけは助けてやろう。」
「おめぇむかつくやつぅだぁ。ころしてやるだぁよぉお。おらぁおめぃらえんりょすることぁねえ!ぜんぶころせぇ!うばええっ!」
ボストロールの掛け声にあわせて敵が押し寄せてくる。
マグマスライムが一時撤退を決めたようだ。ベギラマを放って僕達の方に下がってくる。
「君、いいこというね。俺はマグマンだ。あいつらなんぞ入れてやる必要は無い!」
「君。君。君もよろしくな!」
はねスライムも降りてきた。
「やあ、久方ぶり。パタパタ。頭悪いのに体力だけはあるみたいなんですよ。パタパタ。申し遅れましたね。パタパタ。私ははねぼうです。パタパタ。あんなやつら、さっさと追い出しちゃってやりましょう。パタパタ。」
他にも色々なスライムたちが近づいてきた。みんな戦いに参加するようだ。
オークやグレムリンの姿もある。住処の半数のモンスターは集まってきているだろう。
トロールの強烈な攻撃が何匹かのモンスターに当たってしまう。
スライムなどは残酷なことに一撃でやられてしまう。
しかし好き勝手にさせてる訳ではない。
マグマンさんたちマグマスライムのメラミが飛び交う。
メタリンさんもメラミかと思いきやなんとザキを唱えているではないか。
ピエールさんとアーサーさんは剣で相手を寄せ付けない。
特にアーサーさんの剣はとても華麗だ。その上スタリオン君にジャンプ力があるようで一度飛び上がれば誰もかわせない。
バブルスライムは毒攻撃だ。懐かしい。
オーク達はトロールとの力比べに負けていないし、グレムリン達は空から攻撃している。
はねぼうさんはなんとかまいたちを起こしている。
僕も負けじとベギラマで攻撃だ。
多くのトロールたちが倒れていく。
しかし、その中に攻撃をいくら受けても暴れまわるトロールが居た。ボストロールだ。
巨大な棍棒で周りのモンスターをどんどんなぎ払っていく。
あいつを何とかしなくては!
「なさぁけぇぇねぇぞぉぉお。おめえぃらぁ。やられっぱなしでねぇぇぇかあぁぁああ。」
「こいつもぉこいつもぉおただのざこだぁ。くずなぁちびどもだぁ。うへへへへぇえ。」
そういっては周りに居るモンスターを吹き飛ばす。
ボストロールから逃げ出す仲間たちまで出てきてしまう。
「僕が相手だ!イオラ!」
僕はそういってボストロールの前に立ちはだかった。イオラのおまけ付だ。
しかしボストロールはきょとんとしている。体がそこまで丈夫なのか、それとも鈍感なのか。
「へへへぇ。いたくぅないぞぉ。ちびぃ。」
そういってぼりぼり腹をかく。
「おまえらぁ。みなごろしだぁ。みなごろしぃぃ。ぜんぶころすぅぅぜんぶぅ。がきもぉおじぃじぃいもぉぜぇえんぶだぁ。」
「ここはぁおれらぁのもんだぁ。うひうひひひぃへへへぇははははっは!?」
ボストロールが突然黙ってしまう。
攻撃でも受けたのだろうか。
しかし正面から見た限りでは何が起こったか分からない。
そしてゆっくりとボストロールが前倒しに倒れてくる!
僕はボストロールを大きく避けた。
ドンッッッ!
まるで地震でも起きたかのように地面が揺れる。
僕は何が起こったのか確かめようとした。
・・・!
ボストロールの頭に剣が突き刺さっている。
僕は周りを見渡した。
剣といえばスライムナイトだ。
しかしピエールさんもアーサーさんも剣を持ったまま、何が起きたのか確かめようとこっちを見ている。
他のモンスターたちも一緒だ。
トロールたちだけがボスをなくして一目散に住処から逃げ出している。
空から剣でも降ってきたのだろうか。
しかし、それにしても・・・ボストロールの首に突き刺さっている剣はとても邪悪な物に見えた。
まるでこの世に生を受けた物は触ってはいけないかのように禍々しい剣だ。
僕達があっけに取られているとボストロールの頭上に何かがゆっくりと降りてきた。
片手を胸に当て。まるで貴婦人に出会ったときの騎士のように静かに佇んでいる。
そして深々とお辞儀をした。
青と黒の騎士・・・。
しかしただの騎士ではない。邪悪な兜を被り、スライムナイトと同じくスライムに乗っている・・・。
そしてそのスライムの姿もまた、まるで悪魔の様な邪悪な佇まいをしていた・・・。
敵のだろうか、味方なのだろうか・・・。見たことも聞いたこともないモンスターだ・・・。
騎士は剣に手を掛けてゆっくりと引き抜いた・・・。
はねぼうさんがどちら様ですかと聞きに近づいた。
ピエールとアーサーが同時に声を上げて「近づくなっ!」と叫んだ!
それを拍子に僕達は我に帰った。
はねぼうさんは次の瞬間には真っ二つに切り捨てられていた。
「はねぼうさーん!」
僕の声とは裏腹に、更に次の瞬間には一体のグレムリンが切り捨てられた。
動き出した騎士はまるで悪魔のように次々とみんなを切っていく。
オーク、スライム、スライムベス、またもやグレムリン、バブルスライムを二体、マグマスライムを三体、ついにはピエールの方に向かっていく。
ピエールはギリギリのところで刃を受け止める。
しかしピエールがイオラを唱えたときには既に別のところでオークを二体切っていた。
目で追えない早さだった。
僕はもう何が何だか分からなかった。
邪悪な姿とはいえ、話もせずにいきなり襲い掛かってくるとは思わなかったからだ。
僕のように戸惑ったモンスターが逃げ出していく。
しかし騎士は逃げ出したモンスターから順に切り捨てていくので一匹も逃げ切れなかった。
ピエールが何か叫んでいるが僕には分からなかった。
そこまで頭が追いつかなかったのだ。
誰かが「助けてくれ!」か、あるいは「なぜこんなことを!?」と言った気がしたが、同じ声色は二度と聞こえてこなかった。
一分も経つ頃には死体の山が築かれてしまった。
返り血を幾度と浴びたはずの騎士は、まるで何も起こらなかったかのように気にせず切り続けている。
絶望的な気持ちになった僕に更に嫌な物が聞こえてきた。
こういう時は何も聞こえなくなる。
そのくせになんでより嫌な物は聞こえてしまうのだろう?
それはトロールたちの断末魔だった。
そしてトロールたちの逃げ出した方角から更にもう一体の騎士がゆっくりと歩いて来たではないか。
騎士だけではない。
邪悪な姿をしたスライムが更にニ匹空から舞い降りてきた。
トロールたちがやられたことで僕は目が覚めた。
こいつらはどちらかの敵とかどちらかの味方とかいう枠に当てはまる物ではなかったのだ。
全てを襲う物だったのだ。
そして僕の頭がしっかりしたときには周りには十体に満たない仲間しか残されていなかった。
散々仲間を切った邪悪な騎士は僕の方を見た。
そして音もなく僕に切りかかって来た。
今日はここまでです。
続きはまた後日に。
少し間が開いてて申し訳なかったです。
保守ありがとうでした。
キター!W!!
やっぱり凄いなぁ。。。
続きが楽しみです、けどマターリ待ちます。
お早い反応が。応援ありがとです。
今見直したらちょっとミスがありますね。
大事な場面で頭→首とか。
いつの間に剣が移動したのかと自分自身に小一時間(ry
一応一度通して見直しているのですがチェックが甘かったですね。
以後気をつけます。
仰られるとおりまったり待ってくださると助かります。
それではまた。
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名前が無い@ただの名無しのようだ:
追悼〜はねぼう〜