1 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:
小説ドラゴンクエストV
「第一章 勇者の息子」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ギャル:「ちょいと、そこのカッコいいお兄さん♪アタイと『パフパフ』しない?」
ロア:「・・・む・・むほぁ!ぱ・・パフパフとな!Σ(´□`〃)」
視線はギャルの巨乳に釘付け
「・・こ・・ここが噂に名高い夜の街アッサラームか・・しかし、ついて早々・・お・・鼻血が!?」
ギャルに悟られないように、鼻を抑えてティッシュをつめる
おねーちゃんのサービスがいいぞ!
ロア:「・・世界が魔王の闇の恐怖に脅えているというのに・・な・・なんて・・いい街なんだ!」
ギャル:「さっきから、何ブツブツ言ってるの?さっ行きましょっ♪」
強引に腕を引かれていくロア、「魔王討伐?・・なんですか?ソレ」といった表情だ!
連れて行かれた先は薄暗い路地・・
その奥のほうに「マジックドラゴン」と書いた看板が下がってる・・
「ぱふ・・ぱふだ・・マジックドラゴン??( ̄-  ̄;」
くだらねぇ!
・・・くだらないが・・・いい♪(・∀・
2 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/01/22 15:40 ID:NmLAyIxN
普段なら、こんなつまらないシャレを発見しようものなら、街中でも構わず剣を抜いて大暴れするところだが
・・どうですか・・ロアさん?
ロア:「許す!(・ω・)」
あ・・そう・・
ロアは、すっかり血だらけになった鼻を伸ばしている
部屋に入ると、ピンク色の照明と、鼻をくすぐるお香の匂い
ギャル:「お兄さん・・初めて?」
ロア:「・・は・・はい!」
かなり緊張している。そりゃそうだ、彼は魔王討伐の旅にでたとはいえ16歳なのだ!
ギャル「じゃあ、サービスしてあげるね♪」
ロア:「・・は・・はい!アリアハンから来たロア16歳です♪・・マジックドラゴン!( ノ≧ё≦)ノ」
メダパニよりひどい混乱である・・
ロア:「・・あ・・でもぼ・・ボクお金持ってないですけど・・・?」
ココでリアルな問題に正気に戻るロア・・しかしギャルは
ギャル:「いいの!初めてなんでしょ?アタイ、アンタのこと気に入ったから!
ロア:「ビバ!アッサラーム!俺!この街でクリアでいいや!」
「魔王め!平和な世界を闇に覆わせようとは・・許せん!」と心底思ったようである・・ま、動機はハードに不純だが・・いいか♪
人を動かす動機なんて大抵不純である
しかも彼は、まだ16歳の男の子なのだ!
誰も彼の欲望を批判することはできない♪
3 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/01/22 15:40 ID:QF71Nbul
=============== 終 了 ===============
4 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/01/22 15:43 ID:NmLAyIxN
ギャル:「明かり、消していい?」
ロア:「明かり?・・消しちゃうの?プリンちゃんなのに・・」
メダパニに最上級系の魔法があるとしたら、彼はまさにその状態だ(汗
ギャル:「恥ずかしいじゃん」
ロア:「見たいっす(・ω・)!」
ギャル:「・・・だーめ♪もう困ったちゃんね♪」
とギャルは、ロアの鼻を人差し指でツンッ!
ロア:「ビバ!アッサラーム!エンディングより嬉しいです!」
「奇面同士」よりも真っ赤な顔で、「幻術士」も真っ青なリアクションである
明かりが消えた。
何も見えない・・。
ただ、部屋のお香と、ギャルの香水の匂いだけが鼻を刺激した
ロア:「マジックドラゴン!パフ!アッサラーム」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
???:「・・ア・・起きなさい」
???:「・・ロアってば!起きなさいって!」
???:「起きろ!バカ息子!」
ツマンネ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
O 。
, ─ヽ
________ /,/\ヾ\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|__|__|__|_ __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/''' )ヽ \_________
||__| | | \´-`) / 丿/
|_|_| 从.从从 | \__ ̄ ̄⊂|丿/
|__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
|_|_|///ヽヾ\ / ::::::::::::ゝ/||
────────(~〜ヽ::::::::::::|/ = 完 =
1の母です1の父です1の兄です1の弟です1の姉です1の妹です1の祖父です
1の祖母です1の伯父です1の伯母です1の叔父です1の叔母です1の曾祖父です
1の甥です1の姪です1の従兄です1の従姉です1の従弟です1の従妹です
1の曾祖母です1の息子です1の娘です1の孫です1の曾孫です1の玄孫です
1の消防時のクラスメイトです1の消防時の担任です1の卒業消学校の校長です
1の今(厨房時)のクラスメイトです1の今の担任です1の現厨学校の校長です
1の家臣です1の御家人です1の右大臣です1の左大臣です
1の主治医です1の看護婦です1の入院している病院の院長です
1の背後霊です1の家に居る呪縛霊です1の先祖です1の家の仏壇です
1の使用ストUキャラです1がやってるDQの主人公です1がやってるFFの主人公です
1のエクソシストです1の占い師です1の体内に金属片を埋めた宇宙人です
1のPCです1のMOです1のマウスです1のキーボードです1のプリンターです
1の精子です1のティムポです1のチン毛です1のティムポの皮です1のティンカスです
1が毎日オナーニする時に使っている布です1の胸毛です1の脇毛です1の鼻毛です
1のツアー添乗員です1を泊めた宿の主人です1を泊めた宿の女将です
1の先輩です1の後輩です1を轢いたトラックです1を中央線三鷹駅で轢いた電車の運転士です
今 回 は 1 が こ の よ う な ス レ ッ ド を 立 て て し ま い 誠 に 申 し 訳
ご ざ い ま せ ん。 こ の 板 の 住 人 の 方 々 に 深 く お 詫 び し ま す。
検索もできんのかこのアホは。
パフパフで思い出したんだが、
ファミコン版ドラクエ3だと女勇者でもパフパフ受けられるんだよな。
で、2番目のキャラが女だとナゼか怒るという…。
11 :
◆P30tNFVAHA :04/01/29 06:03 ID:dInO9Vzt
続きはないん?
13 :
a:04/02/13 18:45 ID:UkrbLF/h
ミレーユ「ああテリーやめて」
テリー「姉さん俺ピーがびんびんだよ」
ミレーユ「ああおっきい」
テリー「姉さん顔に出ちゃう」
ミレーユ「あはっ、濃いのでたね」
テリー「姉さん、俺もうがまんできない」
テリー・ミレーユ「キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!! 」
1年後
おぎゃーおぎゃー
テリー「姉さんこれ」
ミレーユ「がんばりましょ・・・お父さん」
・・・・・・・・・完・・・・・・・・・
おいぉぃw
ミレーユと結婚してからもう三ヶ月。
毎日が幸せだとミレーユは言う。俺もそうだ。そうでなきゃおかしい。だってあれほど愛した人と
ひとつ屋根の下で暮らしているんだ。これ以上の幸せがあるか。
仕事中もミレーユのことで頭がいっぱいだ。ハッサンの大工の手伝いなんて、あまりいい仕事じゃないけど、
家に帰れば愛しい妻が出迎えてくれる、つらくなんかないさ。
そのぶん休日は何をするときだってお互い一緒で悶えまくり。買い物に出かけたり、
ちょっとした旅行にいったり楽しくてしょうがない。
価値観の違いなんて何のその。違いを乗り越えて二人だけの楽園に
たどり着いてみせる。愛があるっていいなあ。
なのに寝室が別々っておかしくないか。
この家に住むようになってからずっとだ。
せっかくわずらわしい王室から逃れて、自分たちだけの城を構えたっていうのに何にもならないじゃないか。
そんなに俺が信用できないのか。いや待て、それもおかしいだろ。
信用できないも何も、夫婦なのにどう問題があるっていうんだ。
そういうことも含めた上での合意があって、結婚したということじゃないのか。
俺はうすら寒い部屋内を見渡した。綺麗にまとめられているけど自分のだけの匂いしかしない部屋。
朝起きたとき自分一人なんていやだ。目覚めのキスはどうなる、何気なくおはようと言って、俺の頬だか額
だか知らないけど口付けしてくれるあいさつはどうなるんだ。
そういう生活を夢見てたんだ、馬鹿って言われてもいいし、子供っぽいと言われてもいい。
愛のある生活が欲しいだけなんだ。
そう思い至った途端、完全に覚醒した。
カーテン越しに差し込む朝日が突然光の矢になって目の奥に直撃した。天空から射られた運命の矢だ。
俺は意を決して、今日ミレーユの寝室に足を踏み込む。乱暴かもしれないけどもう我慢ができない。
廊下を走って、つき当たりの壁を蹴って直角ダッシュ、一路妻の寝室へ。
ミレーユの部屋は鍵がかかっている、だがそんなものは指先技でどうとでもなる。開いた、
呼吸が荒くなる、どうしたって初めてことには緊張する。
無意識にもぴたりと視線は固定される。桐のドアを見つめているはずが、その向こうにいるミレーユ
が透けて見えるようだった。安らかな眠りについているミレーユの姿が。
驚くだろうけど気兼ねする必要なんてない。飛び込んでやる!
俺はドアノブを回して力強く押し込んだ。
朝の陽だまりが浮かんだベッドのシーツはしわ一つなく、静謐さを保ちつづけていた。
薄いカーテンは自分の部屋と同じものだ。前に買った二枚重ねのカーテン、二人で分けよう、とかいって。
まるで人の匂いがないのも自分の部屋と同じなのかな。
ミレーユ、どこだ……? えっと、部屋間違えてないよな
「ミレーユゥ」
返事がない、
そのとき玄関で物音がして俺は廊下に飛び出た。「あっ、イザ、き、今日は起きるの早いのね」
ただの朝帰りのようだ。
ぉ
本格的に始まった?
イザって?
てゆうかこれで終わり?
19 :
通りすがり:04/02/17 20:57 ID:RlsMQeJ5
?
ここは疑問符だらけのインターネッツですね。
>>17 自分が書き込んだことで、本格的に終わった可能性も・・・
>>18 >イザ 小説版の名前です。
これで終わりというところがギャグかも。
>>19 確かに、何かしら疑問を抱きますね。
リュカはテーブルに手を置いて言った。
「他の男にもプロポーズされてたって本当か」
「ええ本当のことよ」
ビアンカは平然としていた。
「最初の人が私のことを好きだといってくれたとき、嬉しかった」
リュカはいまいましそうにテーブルの上で爪を立てている。
「あの人よかったな。冒険心に満ち溢れていて、素直で、口やかましくなくて、見栄はってなくて」
ビアンカはうっとり目を輝かせた。
「昔のこと思い出すだけで胸がかあっと熱くなるのよ」
リュカは唇を噛んで、声をはりあげた。
「そうかい、だったらいっそ、一番初めに言い寄ったその気違いと一緒になればよかったんだ!」
ビアンカはリュカの腕そっと手にとった。
「そう、だから今そうなってるんだけど、最初の人は変わってしまったみたいなの」
リュカはきょとんとしてビアンカをぼうっと見つめていた。
保守りつつ見守ーる。
>>21 小噺でありそうな感じ。
でも、こんなの好き。
tuduki kitai
>>23 ありがとう
ミネアは酒場のカウンター席で酔いつぶれていた姉を見下ろし、冷ややかに言った。
「ねえさん、いいこと。私たちはこの町へ何をしに来たのか……大前提を今さら問い直すのもどうかと思うけど
、でも姉さんのその様子見てると、崖下をどこまでも落ちていく枯れ葉みたいで、忍びないのよ。
ねえ、あらためて言うわよ。私たちは、父さんの命を奪った憎き仇を……
「何よ〜、あんたなんか嫌いだよ、私の集中力を削ぐようなことばっか言ってさ。ポーカーのときは『姉さん
ダブルアップは控えめに』。スロット回してるときは『姉さん、コインはお大事に』。モンスター格闘場じゃ
『姉さん、バルザックよバルザック』って……そんな奴一度も出てこなかったじゃない!
アドバイスするときは、今回闘う魔物はどいつとどいつかぐらい把握しときなよ!」
「姉さん、もうだめね」
ルイーダの酒場で日ごろ仲のいい仲間たちをそろえた勇者は、ピラミッド探索に乗り出すことにした。
最近ピラミッドでは、見たこともないような魔物が現れたり、ミイラ男ともマミーとも違う謎の人影が内部を
走り回っていたりと不可思議な現象が起こっていた。
そこでイシスの女王が詳細をつかんで報告して欲しいと諸国の冒険者たちにむけてお触れを出していた
のだった。
ルーラでイシスに飛んだ四人は、まず町へ立ち寄り買い物にひた走った。
薬草できるだけ、毒消し草を多めに、聖水もいくつか、いざというときのキメラの翼もひとつ、
さらに食料も買い込んだ。広大な墓地であるピラミッドは構造が複雑で、一度迷うと脱出することができずに
迷いに迷ったあげく、ふらりと死者の眠りに誘われて自分もミイラの一員となってしまうのだと、怪談話
さながらの語り方で勇者に散々脅かされた仲間たちは、空腹紛れの眠気に襲われるのだけは防ごうと
通りに連なる店中でリンゴやパンや干し肉に手を伸ばすのだった。
「よーし、みんなそろったか。しかしすいぶん買ったなぁ。食料もだけど、その手提げ袋もなぁ」
「一番多く買い物したの誰?」
「俺だな、薬草2000枚。店のオヤジが在庫をひっくり返して四苦八苦してたぜ」
「ちょっと、そんなに持てませんよ、捨てなきゃなりません。まったく無駄なことを」
「いや、ちゃんと持ってるぞ。身体じゅうのあらゆる箇所に収めている、ほら靴底にも一枚」
「……どうやらあなたが常識はずれなだけですね。そんな薬草は使う気がしません、牛馬の餌にでもしなさい」
「まあ、いくか」
男勇者、女僧侶、男戦士、女魔法使いのパーティはピラミッドへ足を運ぶ。
砂漠を横断の途中、地獄のハサミに遭遇したが、スクルトをかけるばかりで一向に攻撃してこないカニに
嫌気がさし、四人はそんな敵とは戦わないことにした。
「これがピラミッドなんだ」
僧侶ははじめてみる巨大な建造物を前に感動を覚えた。勇者は立ち止まっていた僧侶を急かす。
「さっきのカニが被害妄想に駆られて追いまくってくるかもしれない。とにかく中に入ろう」
勇者が先頭に、そのあとを三人が続く。
内部は霞むほど長い石造りの通路が伸びて、壁と壁の間は十数メートルはある広大なところだった。
舞い飛ぶ砂の流入は足を踏み入れてすぐのところで波打ち際のような形で打ち切られていて、
先の通路は粉っぽくない。
それでも目を凝らせばこびりついた黄色の砂が床や壁あちこちで見受けられる。
冒険家たちの足が運んだのだろう、勇者はここに自分の足跡を残すことになるのだと思いを募らせた。
内部に罠があることは事前の作戦会議で十分検討されていた。集めた情報によれば壁沿いを歩けば問題ない
とのことなので、勇者たちはそれに従うことに決めている。もっとも罠は二階から始まるのだそうで、
一階は悠々と進み往く四人だったが……
二つ目の曲がり角を越えた先で、壁に寄り添うように近づいてくる少女の影を認めて勇者は身構えた。
「もしや噂の……」
少女は後ろに束ねた金髪を振りながら干上がりそうな息をして走ってきた。
彼女は武器を構えた勇者たちの目前にまで迫ると、
「もしかして、頼まれて私をつかまえにきたの? ごめん、私が悪かった。これから謝りにいくから、許して!」
ざっと脇を通り過ぎて出口の方へいってしまった。
勇者たちはいぶかしげに、遠くに消えてゆく少女を見送った。
「今の普通の女の子だったよな。なんでこんなところに一人でいたんだろ」
「私たちに謝ってたけど、なんのことだかわからないしね〜。へんな子」
勇者と僧侶は口をそろえて言った。
「しかし気にはなりますね、つかまえて話を聞いてみますか?」
魔法使いは伸縮式のステッキを折りたたむ。
「いや、いいよ。多分一連の現象とは関係ないと思う、可愛い子だったし」
「じゃ可愛くなければ疑うんですか?」
魔法使いは呆れ顔で冷やかした。そのとき戦士が上ずった声をあげた。
「……おい、まだ何かいるぜ」
通路の奥に奇妙な光があらわれたのを勇者は見た。
青白い炎が噴きあがって、その中に鬼のような形相した巨人の姿が点滅しながら浮かんでいる。
敵か、しかし、見たこともない魔物だ。どんな相手かうかがい知れない。
「魔法で援護たのむ、戦士は俺と同時につっこむ、いいな」
勇者の呼びかけに戦士は応じ、バトルアックスを構えた。
「なんか危険なにおいがする、無茶はやめてよ」
「私の魔法が通じれば良いのですがね、とにかく全力でやってみましょう」
僧侶も魔法使いも、眼前の敵が危険であることを戦わずして悟った。
炎は一気にふくれ上がり、青白い殻をやぶって巨人が中から這い出てきた。
刺のついた棍棒を手にした巨人、いや牛の頭をした怪物だった。
勇者は剣をかかげて突進する。戦士がそれに続く。
怪物はうなり声をあげ、二人に襲いかかった。
「効かない」
「勇者!」
僧侶は叫んだ。魔法使いのヒャドが命中したのも束の間、氷の弾丸は魔物の分厚い筋肉に阻まれ
砕け散って霧となった。
頭から生えた角は怒りを原理に生きていることの表れだった。魔物は真っ赤に染まった顔をふり回す。
赤い血がほとばしり、勇者が大きくのけぞった。
地に膝を落とし、角に裂かれた右の肩を押さえながら苦悶の表情をうかべている。
戦士が斧を振りあげるが途端に標的にされ、棍棒に打たれふき飛んだ。
勇者は再び斬りかかる、やはり剣は弾かれてしまう。
「くそっ、とんでもなく強い」
魔物は咆哮をあげ棍棒を振り下ろした。
間一髪で避けた勇者、しかし地面にぶつかった衝撃で跳ねた棍棒は、さらに第二撃を見舞う。
「なにっ」
跳ねあがった棍棒がもう一度降りおろされる。体勢がくずれていた勇者は回避できない。
勇者は目の前が暗くなって視界が閉じていくのを感じた。最後はあっけないものだと、
これで終わりなのかと、自分の人生を儚んだ。
一瞬後、何事か起こったのか起こらなかったのか、そっと目を開けた勇者は想像もしなかった光景を目にした。
プレリュード。
金属が打ち鳴らされた音と、人の息づかいのリズムがあわせて一つのテーマソングになった。
大きな剣を握りしめて牛頭鬼の棍棒を阻んだのは、クリスタルの戦士と言われたあの人、あの人です。
バッツです、栄光の騎士であるナイトの称号を得たバッツが勇者に迫り来る死の重圧を払いのけたのです。
「早く退がれっ」
ここではなぜかバッツが主役になったのです。
勇者は言われたとおり後方へ這いずっていった。
額に縦皺を刻み相手を押しつぶそうとすさまじい形相をした牛頭鬼をバッツは軽いバッスステップでいなすと、
剣を水平に構えた。「魔法剣、サンダガ」
地面に叩き降ろされた棍棒に気を奪われた魔物は、とびかかってきた雷光に胸を貫かれた。
魔物は絶叫と肉の焦げる臭いと血しぶきの渦をまき起こし、絶命した。
唖然としている勇者とその仲間たちにバッツは声をかけた。
「ちょうど近くを通りかかったもんでさ。怪我はないみたいだな、よかった。ああ、それでちょっと尋ねたいことが
あるんだが……」
バッツは人の形をつくるような手ぶりをして言った。
「女の子を見なかったか、金髪で目がぱっちりとした。クルルって名前なんだけど」
勇者は気を取り直して先ほど少女がこの通路を出口に向かって駆けていったことを伝えた.
「ちくしょう、もう外に逃げたのか」
バッツは悔しそうに舌打ちした。
「あいつ甘いもの見ると見さかいなくてさ、俺が大事にとっておいたシナモンロールを隠し持ってピラミッドの
中にまで逃げやがったんだ。なんとしてもつかまえてやろうと思って追いかけてきたんだけど」
バッツは赤茶色の逆立てた髪を撫でつけてうなった。
「まいったな、すれ違いだったか……」
FFも出てきていい感じw
勇者ロトの末裔である三人は、デルコンダルのコロシアムで行われる闘いに熱狂していた。
といっても大歓声の中、身を乗り出して興奮していたのは二人の王子だけで、アイリン王女は片肘ついて
つまらなそうに青い空を見ていた。
ちょもととすけさん王子はまわりの喚声に合わせるように大声をはりあげている。
アイリンはうんざりとした顔で言った。
「もう、こんなの見てて何がおもしろいのよ。早く船乗って別の大陸目指そうよ。まだ紋章はそろってないんだ
から」
しかし、男二人はまったく聞いていない。怒ったアイリンは立ち上がって絶叫に近い声で怒鳴った。
「ん、なんだ?」すけさんはようやく気づいて、隣りにいるちょもとの肩を叩いた。
「どうした、何かあったか」ちょもとはちらちら闘技場の方へ目をやりながら言った。「あっ、席を立つんなら
パンでも買ってきてくれないか、今いいところで目が離せないんだ、頼む」
ちょもとはアイリンに6ゴールド渡した。
「それでみっつな。行ってきてくれる代わりにアイリンの分も俺が払うよ」
アイリンはますます怒ったが、二人の目がもう闘技場の方を向いているのに気づき、これ以上声を荒げるのは
やめにした。「あっそう、じゃ行ってくる」アイリンは席を立って売店の方へ向かっていった。
しばらくしてアイリンは帰ってきた。
席に座りパンをかじりながらちょもとに4ゴールドを渡した。
「あれ、俺たちのぶんは?」
「うん、ちょうど品切れだったみたいでね。わたしの分一つしか残ってなかったの」
勇者は几帳面で計算高い性格だった。
長い道のりの末、ついに勇者は竜王の玉座へたどり着く。彼の魔王の力を肌で感じた勇者はおそれ戦いた。
「どうだ、わしの部下になるのなら世界の半分をやろう」
これは罠でありYESと答えたが最後、闇の底に引きづりこまれ永遠の呪いに囚われてしまうことを勇者は
知っていた。
かといってまともに戦うには実力不足、ここは一旦逃げるしかない。
だがうまい逃走方法がなかなか思い浮かばない。
「さて、返答はいかに」
勇者はしばらく考え、はっと思いつき言った。
「わかった、世界の半分もらおうか」
竜王は満足そうな顔をして手まねきした。
「よし、では傍に来い」
まて、と勇者は手をかざした。
「さっそくだが、もらった世界の半分あんたに預けたい。俺はまだ未熟者で到底世界を治めるような度量も
力もない。これから修行してもっと自分を磨いてくるから、俺がここに戻ってくるまであんたが世界を
統治してくれないか」
竜王は大きな声で笑った。
「くはははは、何を言うかと思えばなんとも謙虚なやつだ。ふーむ、そういう奴をわしは嫌いではない。
よかろう、貴様が帰ってくるまでわしが世界の半分を預かる!」
それから勇者は日々修行を続けた。ひたすら剣と呪文の稽古にはげみ、世界が竜王の手によって蹂躙
されていくのも目に入れず、極限まで体を鍛えたのだった。
そして、竜王と約束した日からちょうど一年後、勇者は再び竜王のもとへ赴いた。
竜王は驚きながらの愉悦といった表情で勇者を迎えた。
「本当に戻ってくるとはな。くははは、わしの統治の仕方はどうだ? 人間どもを恐怖のどん底に
おとし入れてやってるぞ、ははははっ。で、どうだ、あれからしばらく経ったが一人前にはなれたのかな」
勇者はうなずいて、竜王の傍へ近づいていった。
「ああ、充分修行してもう言うこと無しさ。それでは世界の半分を返してもらおう」
竜王は口元に笑いを含みながら近づく勇者に手を伸ばす。だが勇者はあと一歩のところで立ち止まった。
「ところで、預けた分は当然利息がつくはずだ。それも払ってもらいたい」
「利息?」
瞬間、勇者はとびかかり、目にも止まらぬ速さで竜王を一刀両断にした。
さらにベキラマを連続で唱え、変身する間も与えずに竜王を倒してしまった。
ついに宿敵を倒しようやく吐息をついた勇者は、竜王が鎮座していた玉座に腰をおろした。
「ちょうど一年で利息が100パーセントになったんだ」
こうして勇者は世界すべてを手に入れた。
34 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/02/23 12:20 ID:Cx5I85rM
利息ってなんじゃーーーーーーーーw
ほしゅ
いい日よりなのでルカは大通りを散歩していました。
すると空のむこうから黒い点が近づいてくるではありませんか。
なんだなんだ、鳥かな?
飛行機でした。ルカは目がいいのです。白いボディに小さな窓わくがたくさんついた模型みたいな飛行機です。
だんだん近づいてくると、それが模型ではなく本物の飛行機だとわかりました。
ルカはいそいで井戸の陰にかくれました。
ものすごい風がルカの体にぶつかります。ヤシの木がうんとふんばりお城の旗がはりさけそうな顔をして
どこにも飛ばされないように頑張っています。ルカは僕も負けるかと思いました。
マルタの人々はとんでくる砂つぶやら洗濯物やら魔物やらで、大変なことです。
ものすごい迷惑をかました飛行機がようやく砂浜に降りたつと、タラップがさげられ中から人が出てきました。
「おー、ココがマルタの国ですネ」
「ソーでごじゃるダイトウリョウ」
ブッシュ大統領とゴルバチョフ書記長です。
今日はマルタ会談の日です。マルタで冷戦は終結するのです。
ルカは歴史の証人になるのかもしれません。
にょほほほほ〜
保守理マス
ほしゅ
hossyu
「スコール、ねえスコール」
「なんだ」
「えへへ……呼んでみただけ」
「悪いが黙っててくれ、今そんな気分じゃないんだ。そういう軽い冗談をいわれると無性に腹が立つ」
するとそこへ突然ホイミンがあらわれた。
「腹が立つのはボクのほうですよ! ボクの得意なジョークがパクられてしまったんですからね!」
「あ、誰? もしかして魔物だったりして。それともただのクラゲ?」
リノアはホイミンの頬をつねった。
「なんてことするんですか! あまりの痛みに顔が真っ赤になったじゃないですか」
ふくれた風船のようなホイミンの顔は、ベホマスライムそのものだった。
「丁度よかった、ベホマ唱えてくれ。さっきから頭痛と吐き気に悩まされてたんだ」
スコールはホイミンの触手を一本つかんで手元に引きよせた。淡い光がスコールを包み込んだ。
リノアがスコールの顔色をうかがう。
「回復した?」
「まあな」
嬉しそうな二人はホイミンから手をはなすと歩いていってしまった。ホイミンだけがその場に取り残された。
「ボクは……ボクは……」
ネタに使われたけなんだと言ってみても自分が惨めになるだけ。
そう思ってホイミンは喉から出かけた言葉をのみ込んだ。
「ホイミンよ……」
物陰から一部始終を見ていたライアンは、ひとり涙を流さずにいられなかった。
「モンスターマスターになってどうするつもりなんだ」
テリーは言った。
ルカは首をすくめた。「どうするって?」
二人は一面ひらけた荒地のまっ只中で、かわいた土の上に腰をおちつけて向かいあっていた。
砂をふくんだ粉っぽい風は夜の静けさもはこんできていた。沈みかけた太陽がテリーの真顔にかさなる。
ルカはスライムの子供を腕のなかに抱いたまま、はずかしそうにテリーのまぶしい顔を見つめた。
>>44 げ、コピーの範囲指定を間違えてた
下六行はスルー推奨
>>39 (・∀・
ちょっとオチが微妙だったかなと。
前半は面白かたです。
eV9pBFAZiFA
sage
PAIhkwn5QMU
J2ToCuF5Vew
K7TDrmhwaiA
>>46 あああ、やっぱり。勢いで書いた序盤と惰性で書いた終盤の差が見事に出て
いましたね。こんな短い文章なのに最後は惰性(泣
時は正午すぎ。街道はにぎやかです。人々がお昼ごはんを食べに、食堂へむかいます。
空模様はあまり芳しくありません。降水確率は午後70lと予報されていました。
やがて、ぽつんぽつんと雨が降り出しました。
どんよりした黒雲に稲光がきらめきます。
金属でできている物を身につけていたらあぶない!
突然行き交う人々の中を煙のようにあらわれたオルゴ・デ・ミーラは、金属探知機を持ち出して大きな声で
いいました。
「これがあれば、どれが金属でどれがそうでないかがわかります! みなさん、雷に身を焼かれたく
ないのなら、検査を受けるべきです。そして金属品とわかったものから捨てましょう、後で私が回収します!
さあ、今すぐ検査をはじめましょう、料金はかかりません! タダです」
オルゴ・デ・ミーラはどよめいている大勢の前で、見せびらかすように機械をたかく掲げました。
どーん。
「な、なぜ……」
探知機が金属でできていたため、雷はオルゴ・デ・ミーラに落ちました。
「という昔話からはじめたら、ブッシュ氏もよろこんでくれると思うのね」
「そうかなあ」
話を聞いていたルカは小首をかしげました。
「なんか、あんまりいいストーリーじゃないなあ」
「じゃ、どんな話がいいのっ」
イルは片肘を立てて、ふくれっ面をしました。
「うーん」ルカは考えます。そしてぽんと手のひらを打ちました。「あれなんてどうかな」
ルカは椅子から降りて本棚に向かうと、一冊の本をとって戻ってきました。
「これに書いてあった話、じつは実話なんだ」
「じつわ実話?」
「うん。別にしゃれたつもりはないからね」
「うん、そんなこと聞いてないよ」
ルカはそんなやりとりをひとまず置いて、本をテーブルの上に拡げました。
「これ長い前置きがあるんだけど、全部よんだら時間オーバーするかもしれないんだ。だから飛ばす」
「どんなこと書いてあるの」
イルはちょっと気になって訊いてみました。ルカは大きく息を吸いこみます。
「――前置き。花壇の前には柵を置きましょう。お墓の前にはお花を置きましょう。妹の机の前には
化粧品が置いてあるのでそれをこっそり借りましょう、などなど」
ルカは息を細くゆっくりとはき出しました。
「ああ読まなくていいね、そんなの」
「前置きの意味がちがうんだよな」
本を縦にしてカバーのずれを直すと、ルカは一間おいてから言いました。
「じゃ本題に入るそー」
「本代といえば、図書館って本を買うお金はどうしてるんだろうね。だれが払ってくれるのかな」
「言葉遊びの時間じゃないぞ、イル」
ルカはしぶい顔をしています。
「だってお兄ちゃんがちょっとむずかしいことばを使うから……。六歳なのにそんなことでいいのって思って」
ルカはいきなり立ち上がり、腰に手をあて朗々と演説しはじめました。
「難しい言葉を使って何処が悪いというのですか?今日の若者は活字に触れる機会があまりにも欠しく、
ひじょうに制限された言葉のなかで会話をするものですから、あまりに会話に深みがない!
せめて僕たち子どもが範をしめして世の若者、ひいては大人たちに、もっとしっかりしろと……
えーと、次なんだっけ」
「政治家みたい……最後はちょっとちがうけど……お兄ちゃんが議員になっても清き一票なんて
ぜったい入れてやらないから」
「なんでだよう。あれ?そもそも議員になったってことは、すでに当選したってことじゃん。
一票入れるも入れないももう遅いよ。イルは選挙のしくみをよくわかってないんだなあ」
「学校で教えてくれないし、知ってるわけないよ!」
大声でまくしたてる二人、まわりの人たちは口に指をあて黙りなさいと合図をおくった。
「あーあ、怒られてる」
恥ずかしくなって二人はうつむいてしまいました。
「そろそろ話をすすめようよ」
「うん、……どのへんからおかしくなったんだ」
「たぶん、じつは実話のあたりから」
「そのへんはまだ大丈夫だったと思う。個人的には前置きがいけなかったんじゃないかと」
「またこむずかしいことば使ってる!『個人的』なんて普通つかわないよ!」
「その普通にっていうのは、ぼくみたいな子供は普通つかわないって意味だろ?」
「ああ、そう!だからなに?」
「だから何でもない」
わっはっはとルカは大笑い。さっき恥をかいたことへのお返しとばかりに高らかに、椅子の上に
立って背骨を反り返らせて、また演説するかのように笑ったのでした。
イルはしらけて冷たい視線を送りました。
「最低」
その一言にルカは矢で胸を射られたような気分になってしまいます。
「サイテイなんて言われると結構きついよ」
そう言ってがっくり肩を落としました。
「じゃ、もっとまじめにやってよ」
イルは不満げにテーブルをどんどんと叩きました。
「でも、そもそもの始まりはイルが言葉遊びするからなん」
「ルカ!」
「なんだよ」
「呼び捨てにしてもいい?」
「もうしてるよ」
「怒ってもいい!?」
「もう怒ってるだろ!」
中断?
3Yd3JJ347Ac
>>56 うん、思うところがあってちょっと中断を。
勝手なことやっとります
間の取り方とか上手いなぁ。
>>54のやりとりに爆笑。
60 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/04/02 12:36 ID:ZwZ/xpx9
保守。
まっきんほっしゅ
まっきんぷっしゅ
まっきんてぃっしゅ
ヘンリーはビアンカの石像に近づくと、懐からおもむろにペンをとりだした。
そのままじっとビアンカの首もとあたりを見据えたまま動かない。
「どうしたんだ、ヘンリー」
リュカは訊いた。ヘンリーは表情をくずさずに言った。
「いや、もしここにさ、これは俺のもの、って書いといたら石化がとけたときどうなるんだろうって思って。
俺もう一人嫁さんもらうことになるのかな、でもマリアがなんと言うかなあ」
リュカはつかつかと歩いていってヘンリーの肩をつかんだ
「ヘンリー」リュカは微笑をうかべて言った。「殴っていいか?」
・・・
65 :
35:04/04/11 23:15 ID:+KV9Uo9/
同じく。
どうせなら、3p(ry
>>59 そうですか?
なんか嬉しい
>>65 やっぱりヘンリーがリュカを殴る話の方がよかったですね。
なわけないですね、すみません。
>>66 ああ、3ポイントダメージですか。
そのくらいの微々たる威力のパンチを食らわせたいですね。
ある休みの日、ビアンカはティミーにせがまれて博物館にいくことになりました。
本当はのんびりとした一日をおくりたかったのですが、あんまりティミーが駄々をこねるので仕方なく
つれていくことにしたのです。
ポピーは行くんだったらもっと別のところがよかったけれど、まあつきあってあげるかなと同行することに
なりました。
さて、博物館についた三人はまず入場券を買うことになりました。
ここでビアンカは今日の昼食をちょっと豪華のものにしようと、あることを企みました。
チケット代うかせの術、です。
おとな3ゴールド 小・中・高校生2ゴールド、それ以下は無料、
と入り口に書かれています。
ビアンカは大人券を一枚だけ買いました。
「さ、中に入るわよ」
ビアンカが歩きだすと、子どもたちはそのあとについていきます。
ポピーは母の企みを察して、ゲートを通るあいだは何もいわない方がいいだろうと思いました。
「あんたもね」
ポピーはティミーの背中を押しました。ティミーは前につんのめって、ビアンカのふとももに激突しそうに
なりました。
「こんにちは、大人いちまいね」係員の太ったおばさんにビアンカは券をわたします。「この子たちはタダね」
うしろでポピーはすました顔をしています。
ところが不思議そうな表情のティミーはビアンカの袖口を引っぱりました。
「あれお母さん、僕は小学生だよ」
ビアンカはあわててティミーの口をふさぎました。
係員のおばさんは声をかけました。
「あの、お客さん」
「な、なんでもないんです。この子、はやく小学生になりたいっていつも言ってて、ちょっとませてるんです。
まだ幼稚園児なのに」
ビアンカはしどろもどろになりながら答えました。
ティミーはふさがれた手をどかして不満そうにいいました。
「なにいってるの? 僕は小学生だよ、忘れたの?」
ビアンカは顔を真っ赤にしておばさんにあらぬことを説明しましたが、後ろで見ていた他のお客さんが
くすくす笑っているので、もうなにを言っても裏目にでてしまいます。
ポピーは恥ずかしくなってうつむきました。なんてにぶい兄なんだと。これじゃまるでわたしの方が……。
まわりからとんでくる好奇な視線が三人に突き刺さります。まるで彼ら親子はおりの中の珍獣です。
そのうちに見回りをしていた別の係員のひとも来てしまいました。
「どうかされましたか?」
ビアンカは焦りにあせって、何がなんだかわからない言いわけを始めました。
ティミーはまだ袖口をつかんだまま放しません。ぼくは八歳小学生だと主張しつづけています。
何かあったのかとさらに人々が集まってきて、わいわいがやがや言っています。
もういまさら他人のふりもできそうにありません。ポピーははやくこんなところから帰りたいと心の底から
思ったのでした。
ティミーたんに延髄チョップやってあげよう♪
鈍い子はおねんねしましょ〜ね♪
まっきんまっしゅ
まっきんまっちょ
ビアンカは開いた門を抜け、階段を下った。
体をつきぬける夜の冷気、うしろから猛獣に似たうなり声。
花壇の傍を駆けながら懐中をさぐる。こんなときに邪魔な手袋をしていて後悔する。
ビアンカは顔が青くなる。
ない、たしかにナイフが内ポケットにあったはずなのに。
首すじに冷ややかな汗がつたうのを感じた。
もうすぐそこまで来ている。
悲鳴をあげるのを必死でこらえた。悲鳴をあげたら自分が自分でなくなってしまう。そうなったらもう走れない。
死んでたまるもんか。
でも目の前は不安で埋めつくされている。闇が頭のなかに入り込んで暗いところにいざなおうとしている。
泥と血ををかぶって倒れている自分を一瞬想像した。
急に前につんのめりそうになる。つたのように足に何かが絡む。草むらが邪魔してる。のび放題の雑草、
誰も手入れしてないいい加減な庭!
これ以上走れない!
うしろをふり返った。
「おおおおおおおお」
おぞましい蛮声、甲冑と黄金のワニ皮と剣と牙、みんなごちゃまぜになって襲ってくる。
恐怖で目が狂いそうになる。心臓が破裂しそう、膝がふるえて倒れそう、もう泣きそう。
でも闘わなければ!
腰をおとし覚悟を決めた。
相手の出掛かりをつぶしてやる、まずマヌーサで。
それからありったけのメラをぶっつける。
相手が片手を突き出してきた、その拍子にあわせてこちらから……
「おおおおお奥さん、包丁を磨いでおきましたぜ」
リンガーが差しだした包丁は、突然出てきた月の明かりに照らされてなまめかしく輝いていた。
ビアンカは立ちくらんだときと同じ、頭の芯が燃えかすのようにしぼんでいって、ふっと意識を遠くに
手放しそうになった。体がぐらりとゆれる。
リンガーは手をさしのべてビアンカを支える。
ビアンカははっと気がつくと胸をさすりながら動悸をおさえた。
リンガーが
「大丈夫ですかい」
「あ、ありがと、大丈夫」
「それなら安心だ、ではこれを。切れ味が鈍ったら申し付けてください。また買ったばかりのピカピカ
新品みたいにしてあげますぜ」
リンガーはビアンカを放すと、ニヤリと笑ってから馬車の方へもどっていった。
夜に浮かぶ月の下、ビアンカは暗澹たる気分だった。
スラリン、ドラきち、スミス、ニトロ、コドラン、メッキー。
あのころはよかった……。
今はエミリー、ギーガ、ライオウ、サーラ、バトラー、リンガー。
何度敵と間違えたことか……
>>69 死んでしまいますよ
テリーが家に帰って居間のテレビをつけると「クイズ、ベギラゴン!」がはじまっていた。
司会の島田伸助があいさつをしているところで、ドアが開いてミレーユがやってきた。
「これ、今日で最終回なんだって。知ってた?」
ミレーユはこたつのミカンを手にとり、腰をおろした。
「へえ」
テリーもミカンに手をのばし、甘酸っぱい味を堪能しながらテレビ画面に食いついた。
六角形のテーブルにそれぞれ腰かけたゲストたちは、どれもドラクエじみた面々だった。
男魔法使い・マーニャ・マーリン・チャモロ・マリベル・魔軍司令ハドラーという構成だ。
どうやら、最初に問題を出すのは魔軍司令ハドラーらしい。伸助はハドラーの傍らで首を傾けた。
「ハドラーさん…ええっ、今日はじめてベギラゴンを習得されたというんですか」
「そうだ、バーン様からいただいた力、今日ここで存分に振る舞いたい!」
「わかりました、でもあまり無茶はしないでくださいよ」
ハドラーと伸助は問題選択のパネルを見た。
「どれを選びます?」
「そうだな、新宿区のサラリーマン正解率0%の問題」
パネルが開かれ出てきた問題はこちら
『DO5のラスボスの名前はいったいなんでしょう」
六人全員が沈黙した。
「よく考えてください。セーブ崩しを仕掛ける可能性もありますからね」
ハドラーはつぐんだ口に水の入ったグラスを運び、ワインの香りを確めるようなしぐさをした。
額にしわを寄せ、ずいぶん悩んだあとグラスを置きようやく口を開く。
「いや、この問題は難しすぎる。DQ5のラスボスなんて印象に残らないだろう」
「でもハドラーさんは知ってますよねえ」
「まあ出題者が知らないというのは様にならんだろうな」
伸助は向こうの席で腕組みしているマーニャに言った。
「マーニャさん、悪夢にうなされているような顔してますよ」
「だって、わかんな……いわけないでしょ、この私が」
マーニャは一瞬言葉がつまった。
「あれはかなり無理してるな(私も全然わからん)」←マーリン
「こんなの楽勝楽勝!(お願い、わたしにこないでよ)」←マリベル
「さて、髭の手入れでもしとるかの(余裕のふり、余裕のふり……)」←男魔法使い
「ゲント族一の頭脳をもつ僕ならばこんな問題たやすいですよ(はっきり言って嘘です)」←チャモロ
ハドラーはうなりながら五人の顔を一通り見渡した。
「ふむ……」
バッテンチョイス。
「よし、決めたぞ」
ハドラーを両手を合わせ親指を突きだした。
「マーニャさんに、ベギラゴン」
ハドラーはベギラゴンを唱えた。指から閃光が放たれ、向かい合わせの席でうんうんうなっているマーニャに
呪文の力が伸びる。
「あ、ええーと」
早く答えないと軽く100ポイントのダメージは受けてしまう。マーニャはあせった。
「う、、あ、そうだっ、答えはペペロンチー……じゃないミートソース!」
マーニャは閃光に押し出され、場外に消えていった。
だがそれだけでは済まなかった。
ハドラーのベギラゴンは思ったよりも威力が大きく会場の客たちをなぎ倒し、さらに暴れ狂ってスタジオを
火事にしてしまった。
「おい、消火器消火器!」
「通報しないとダメでしょ」
「はやく避難しないと!」
そこで突然CMが入り、しばらくして番組が再開した。
そこには焼け焦げた無人のスタジオとともに、謝罪そして今日で最終回のテロップが映しだされていた。
テリーとミレーユはあきれながら言った。
「これじゃ最終回にもなるよな」
「うん、苦情が多かったみたい。毎回怪我人出すなんてとてもお茶の間で見られないって」
ぎょえー、ミス訂正
>>73 ビアンカははっと気がつくと胸をさすりながら動悸をおさえた。
リンガーが口を開いて牙をのぞかせる。
>>73-74面白くてよかったです。
剣士さんはテリーとミレーユお好きそうなんで
テリミレ小説などを書いて欲しい。ここじゃスレ違いになるけど。
今じゃDQ5の双子スレ大盛り上がりだもんな。うらやましい。
勇者が敵にギガデインを唱えようとすると、ピサロに背後から肩をつかまれ投げ飛ばされた。
「こら、今日は省エネの日だ。電力を無駄にするな!」
勇者はしかたなくライデインを唱えたが、効果は薄く、あえなく全滅してしまった。
ライアンがドードー鳥に斬りかかろうとすると、ピサロに背後から殴られた。
「おい、いま愛鳥週間だろうが。知らなかったのか!」
ライアンは攻撃することができずに、高熱ガスを吐かれ続け全滅してしまった。
トルネコが商人軍団をよぼうとすると、ピサロに巴投げされた。
「よせ、草花のことを考えろ。あんな大勢に踏み荒らされたらかわいそうだ!」
トルネコはしかたなくつまらない冗談を言ったが、魔物をいきり立たせてしまい、全滅してしまった。
マーニャがおおにわとりにメラゾーマを唱えようとして、慌てて口をすぼめた。
「あ、愛鳥週間だったっけね」
ピサロは心得顔のマーニャに真空波を見舞った。
「とっくに終わったぞ、愛鳥週間は昨日までだ!」
ピサロはジゴスパークでおおにわとりたちを焼き鳥にしてしまった。
アリーナがデスキャッスルで敵に蹴りかかろうとすると、ピサロに四の字固めをかけられた。
「やめろ、埃が舞うだろ。あとで掃除するのが大変だろうが」
アリーナは何もできずに、土偶戦士のザラキで全滅してしまった。
ブライがマヒャドを唱えようとすると、背後からピサロに毒針で刺された。
「貴様、もう秋だというのにまだ冷房か。私が風邪をひいたらどうするつもりだ」
ブライはしかたなくバイキルトを唱えようとしたが、間に合わずに全滅してしまった。
ミネアが銀のタロットを引こうとすると、ピサロに背後から取り上げられた。
「馬鹿、戦闘中にタロット占いなど何事だ。目の前の敵に集中しろ!」
ミネアはせっかく星のカードを引き当てようとしていたのに、目のまえのメタルキングに逃げられてしまった。
クリフトだけネタが思い浮かばなかったというオチでした。以上。
>>77 微妙な話ほどなんでこんな風に書いたんだろ、と考え込んでしまいます。
現代なら誰もが馴染み深い舞台なので、ある程度の共通認識でもってツボはおさえられると思うんですが、
ゲーム内の中世的なイメージは自分の中に染み付いていないものだから
なにかと不自然だったりちぐはぐだったり、曖昧とした内容になってしまうんじゃないかなと。
でも
>>72>>73の話とは関係ないか。
>>78 あ、ギャグじゃなくての話ね。
たしかにテリーとミレーユは好きだけど、うーん。
ネタが浮かびやすいDQ作品は圧倒的に4>5>>>>6なんです。6が一番好きであるにも関わらず。
双子スレは本当に勢いがあってうらやましい。
>>79 ライアンネタが面白かったです。
ついでに、即興でクリフトネタでも書いてみました。
クリフトが姫様にベホマを唱えようとすると、背後からピサロにジゴスパークされた。
「貴様、なんだそのデカイ帽子は。邪魔すぎて敵が見えねぇから、思わず敵ごと倒しちまったじゃねぇか。」
隣で丸焦げになっているクリフトを見て唖然としているアリーナ。彼女もピサロに毒舌の餌食にされた。
「貴様も貴様だ。貴様がそんなでけぇ△帽子かぶってるから、このへたれ小僧が調子のって、『おそろいだね。てへっ(はぁと)』
とか妄想し出して戦闘に負けるんだろが。でけぇのは態度だけで充分だ。しかも、パンツ丸見えだ馬鹿。」
アリーナは胸もデカイわよ!と言いかけたが、また毒舌されそうなんで泣き寝入りするしかなかった。
>>81 ピサロがますますDQNになってていい感じですw。もはや魔王の威厳は失われたも同然・・・
って最初からない?
起死回生のアリーナ反撃の試みも、ブライを超える毒舌ぶりの前には結局沈黙するしかないわけかぁ。
ティミーです。
明日はお祭り。はっぴを着て僕はお神輿をかつぐんだ。
でもあんなに重たそうなものちゃんと持ち上げれるかなあ。
そのまえに手が届くか心配だったりもするけど。
さて次回のDQ5は
・僕は勇者だ、まかせとけ
・でもまだ子どもです、ごめんなさい
・もういいや、お神輿捨てて逃げちゃおう
の三本です
来週もまた見てくださいね
んがぐっぐ
エスタークです。
最近ダンジョンの浅層から夜な夜な振動音が聞こえてくるのだが、あれは一体なんなのか。
耳をすましてみると、「まったく攻略できん!」とか「こんなおまけ要素ならイラネ」とか「もうあきらめよ」
など、どうやら不満のはけ口を見つけられずに、あちこちに当たりちらしている様子。
製作者も罪なことをしたものだ。
さて次回のDQ5は
・すごろく場崩れ去る
・いったい何故、もしや主人公たちの仕業か
・違います、ただの地盤沈下です
の三本です
来週もまた見てくださいね
んがうっぐ
トンネルを抜けると、天空城だった。
トロッコ洞窟の謎めいた機関車のことを数秒前の記憶に置き忘れ、好奇心などという凡庸な単語では到底
追い求めることの出来ない、せつないほどの感慨を抱いてリュカは立っている。
その栗色の瞳から、現実をえぐり出す鋭く尖った刃は音も立てずにこぼれ落ちてしまった。
透きとおった目をして水のなかに浮かぶ城の外観を眺めていると、不意に体がふわりと浮いて、
あの頂点の突先にしがみつかねばならないほど高みにのぼる自分を、どこか遠くの物語の一場面として
思い描いているような気分になり、リュカは視界の端から端までが愛しくなってそっと包み込みたくなる。
「あ」
「息できる」
「魚になったみたい」
「でもやっぱり空気が足らないよ、なんか苦しいもの」
「首に巻きついてるよ、セーター」
プサンは大手品師だったのかもしれない。
見るものすべての心をとらえて放さない、優れた演出はここでこそ生きると、彼は知っていたのだから。
子どもたちは楽しそうに、それこそ水を得た魚のように飛び回っている。
ピエールもホイミンも、これが魔物かと笑いたくなるほど大はしゃぎで、リュカもおもいっきり体を動かしたい
衝動に駆られ、両手をひろげて走り出した。
ここには、本物の幻想がある。
剣士さんって結構文章書くスキル高いよね。
すごい書き慣れてるような気がします。
.
>>83 普通におもしろかた。リメイク5のすごろく場は正直地獄。
>>84 文章書くの上手いなーと思いました。
いいスレ見つけてしまった、幸せだ。応援します。
DQ5が好きなだけにDQ5ネタに激しく反応してしまうけど
いろんな世界が織り交じったり、織り交じってなかったりする物語の
ひとつひとつにはまりそうだ。もうはまってるかも。
一体脳のどこから捻り出してるんだろうって感じの表現の仕方にもびっくり。
うーん好きです。
おもしろいスレだ。保守。
90 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/05/20 00:43 ID:Hr5iZtea
>>1のマジックドラゴンって何のことだ?
それが理解できてないやつにとってはつまらなさも倍増するぞ。
ますたーどらごんのぱくり?
ほしゅっておこう
93 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/06/05 20:46 ID:HaRAakAI
上は悪いが剣士さんの作品は魅力的。
とりあえずage
ピエールが破壊の鉄球をふり回すと、オークスが目をまわし、その目の動きを追っていたドラきちも目まいを
感じ芝生の上に倒れまして、ぱさっという音とともにエンプサの腰みのが外れたわけでございます。
それを見たサイモンが唖然ぼう然、一服のたばこを地面に落とし、たちまち熱を帯びた灰は隣りの民家に
移りわたり、火事になって、中から飛び出てきたバトラーがもの凄い剣幕で怒鳴ったものです。
「おい、ここは空き家だったから、おまえら何も気にすることはないぞ」
と。
怒ったのはジュエルでして、あの家には金貨が隠してあったんだと思わぬ告白をし、それを聞いたドロンが
ジュエルの頭の閉じひもをほどきますと、体の中からまばゆいばかりの金貨があふれ出てきました。
実は俺のへそくりはお前の体の中に隠してあったんだよと、ドロンは抱えきれない量の金貨を口にふくんで
ドロンと逃げました。
終わりです。
>>85 まだ慣れてないかな・・・。
文章がおかしいところはいくらでもあると思います。
>>3 むしろ泣けるかも
>>87 無理やりつくった褒め言葉のよ……
いえ、なんでもありません!(悪意はまったくないんです、本当に。すみません)
>>88 それはまずいかと
>>89 ありがとう。
>>90 自分もその点がいまだ不明です
>>91 なにが?
>>92 そうですね
>>93 魅力か……見た目も中身も大事ですね
>>90 「Puff the Magic Dragon」という曲があるんですよ。学校で習うような
ちょっと童謡チックな曲です。(漏れは厨学の音楽の時間に習った。)
内容は、「パフ」と言う魔法の龍と、少年ジャッキーは友達で、いつも一緒にいたが、
ジャッキーが大人になってしまい、パフの元を離れていってしまったので、
パフは独りになってしなった・・・っていう感じだったと思います。
教訓としては「大人になっても、魔法の龍=純粋な心を忘れるな」って事でしょうね。
まぁ、元ネタが分かった漏れでも、全く笑えなかったですけどね。
ネタと関係なさ過ぎ。
ある日勇者が山奥の村のはずれで、樫の木にくくりつけた呪いの藁人形に五寸釘を打ちつけていると
不意に人の気配がした。
ふり返ってみると、ピサロが立っていた。
「相変らず暗いことをやってるな」
「……なんの用だ」
勇者はまた樫の木と向かい合い、藁人形に手を添えた。
「近くを通りかかったので、何気なく立ち寄ってみただけだ……それにしても随分荒れてるなここは」
草むらから剥き出しの赤土が顔をのぞかせている。ピサロがそこに視線を落としているのを、勇者は背中で
感じとる。肩がふるえてこれ以上ないくらいに気が昂ぶる自分をもう抑えることはできない。
「この人形には名前がついている」
勇者は目を閉じ忘れがたい思い出を口にした。故郷をなぜ離れなければならなかったか、心も体も奪われた
村人やシンシアのことを声に出して言った。
仇が誰とはいわず、背中だけで誰と語った。
「おまえが人形の名付け親か」
ピサロは鼻で笑った
「初めにピがつく名前だ」
勇者は熱い吐息を含んだしぼり声を出す。ピサロはうわべだけを繕ったような声を出す。
「ピピンといったかな、どこかの国で王の身辺の警備をしていた兵だった。
しかし、何をしたか知らないが勇者に命を狙われるとは不運だな。もう先は長くあるまい」
ピサロが言うと、勇者は喉を詰まらせた。呼吸が止まる。次の言葉が出るまで時を追う。勇者は待った。
「最後にロがつく名前だ」
勇者は肩で息をした。ピサロは肘を突き出し腰に手を当てた。
「すると、ピューロかな。ふむ、どこに生息していた魔物だったか。ひょうきんで可愛げのあるやつだったが、
何か悪さでもしたかな」
「ピとロの間にサが入る名前だ」
勇者は拳に力を込め奥歯を噛みしめた。深い血の味が口の中を通っていく。
樫の木が落雷を受け裂け目が入って燃えあがる光景を想像しながら、目を開いた。
「すると、私だな。まあ、ここに立ち寄ったのも偶然ではなかったわけだが……」
勇者は枯れ枝を踏みつぶし、仇を射止める目をしてピサロと向き直った。正面だけを見続けて。
ピサロは穏やかに笑う。
勇者が見たのは、白い便箋を握った手を胸に置くピサロだった。
「人知れぬ山奥で穏やかならぬ気配をたたえているものが一人いるとすれば、それは貴様だ。
他にはいない、このような僻地で独り暗い喜びに浸っているものなどな」
それは勇者が今日、速達で送るはずだった果たし状だった。
「何故それを!」
「馬車の中で拾った。清書して郵便で送るところだったんだろうな。よく探したか?」
ピサロは便箋を開いて見せつけるように前にかざす。
「汚い字だな……読むのに苦労したぞ、特に『世界の果てまでお前を追い詰める』のくだりは」
ピサロがくどくど説明するまでもなかった。文字が死んでいた。綴りが間違っていた。枠から字がはみ出ていた
全文ミミズがのたうちまわったような悪筆だった。勇者も自覚して気にしていた。
だが、面と向かって指摘されれば、腹が立つのも事実だった。
「黙れ、黙れ、涙で目がかすんで筆が思うように進まなかったんだ」
勇者は両手をかかげ、雷を呼んだ。空に虚しい灰色の雲がたち込め、低空で風の音が響きわたった。
ピサロは髪の止め具を外し、束ねていた銀髪を解いた。流れる空気に押され、銀色の筋が優雅に舞う。
「消えてなくなれ、ピサロ!」
勇者はギガデインを最大の力で解き放った。
雷はピサロを打った。焼け焦げた体には多少の裂傷があった。そしてピサロは立っていた。
勇者は愕然とするなか、それでももう一度呪文を叩きつける力を体の内部から呼ぼうと叫んだ。
だが、魔王の体はそう容易く崩れ落ちはしない。
「別段、死に急ぐこともあるまい。が、やむを得ん」
ピサロはゆっくりと剣を抜き、勇者に斬りかかるべく腕をしならせた。
>>96 実は名のある元ネタから取ったものだったんですね。
自分はその曲しらなかったので、マジックドラゴンが何のことやらで大変でした。
純粋な心って、このスレには似合わないものですかぁ。(泣
100げっと。
>90を書いた本人ですが・・・。
剣士さんのいう元ネタとやらは、あいにく存じません。
PPMの「Puff the Magic Dragon」は、大好きな歌だからよく知っていますが、
元ネタはそこではなかったんですね。
あれ、待てよ。間接的には元になっているのかな?
ややこしいや。
>>98の続きщ(゚Д゚щ)カモォォォン
と思ってしまったら負けですか?
もっちんほっしゅ
そろそろ保守の時期かな。
何となく思いついたネタを書き起こしてみました。
〜地球のへそ〜
「引き返せ〜引き返せ〜」
マスクがかける声は無機質だ。それでいて、人が聞けば、魔性の者に心臓を嘗め回されたような感覚を覚える、そんな響きがある。
それは勇猛な意思を挫かせ、周囲の陰に潜んでいる不安を、より異質なものとして際立たせる。
その前で勇者は座り込んでいた。
特に何をするわけでもないが、座っているのだ。
続き:
マスクはのっぺりとしていて、不気味なことこの上ないが、おかまいなしである。
ときにコインでお手玉をし、
「引き返せ〜引き返せ〜」
ときに間食をとり、
「引き返せ〜引き返せ〜」
ときに以前読んだ本の粗筋を思い出し、
「引き返せ〜引き返せ〜」
ときに立ち寄った街の名所を思い起こし、
「引き返せ〜引き返せ〜」
ときに仮眠をとって、・・・etc
「とっとと引き返さんかわりゃあーーーーーッ!!」
走って逃げた。
お粗末でした。お目汚し失礼。
>105-106
さっぱりしていて読後感が爽快。
シンプルなネタは好きです。
109 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/07/13 07:11 ID:puMhc7Mj
ほしゅ
もうこうなったらネタの使いまわししかないですよ
「ねえ、おとうさん」
「なんだい」
「えへへ……呼んでみただけ」
「やれやれ、またか。父さんはいそがしいんだよ……こら」
こつん。
するとそこへ突然サンチョがあらわれた。
「あれあれ〜、それいいんですか? 泣かれますよ、ホイミンさんに。ボクのギャグをとらないでくださいって
大泣きされてしまいますよ」
「サンチョ、君なら僕たち親子の間だけの秘密ということにしてくれるはずだよね。そう、何も見なかったこと
にしてくれよ」
「サンチョ、私からもお願い」
「いえ、それが、わたしのすぐ後ろにいるんですよ」
「誰が?」
「ホイミンさんが」
サンチョはひらりと身を横にふった。
後ろに控えていたホイミンは、いまにも破裂しそうな爆弾を抱えた真っ赤な顔をしていた。
「よくも、よくもボクの得意なジョークを……」
リュカはほっとした。
「なんだベホマンじゃないか。サンチョ覚えといてくれ、青いほうがホイミンで赤いほうがベホマンだから。
よく似てるけど中身は全然違うんだよ。ほら、こうすれば一目瞭然」
リュカはホイミンの触手を一本ぐいと引っぱった。
「ベホマンだからベホマの効果があるんだよ」
淡い光がリュカを包む。
「お父さん回復した?」
父のやること為すこと何でも嬉しそうなポピーが笑顔でたずねると
「うん、まあ……ね。なんだか効きが悪くなったような……」
と、リュカは答えたのだった。
>>100 元ネタ・・・
確かにそのまんまジョーク集から取ったネタもひとつあったりしますし、
結構色々あります。
>>101 なんだか私奴の成長を見届けるような口ぶりで・・・w
>>102 続きを書けない私の負けです(泣
>>105 動けない方達になんというひどい責め苦を・・・w
余裕のありすぎる勇者がいいです!
112 :
105〜:04/07/17 18:41 ID:KAnIwhtS
エロ以外の小説はあまり盛り上がりませんねえ。
>110〜
お疲れ様です。
それこそ落語のようなオチですね。
ところで使い回しとはどういうことでしょう?
「ほほほ。石となり、その姿のままで世界の終わりを見届ける……いいですねぇお二人とも」
ゲマの発した呪いがビアンカを包んだ。
「うっ、やだ、リュカ!」
ビアンカの叫び声がリュカの意識に入り込み、咄嗟に夫にしがみつこうとする妻から身をかわそうと
リュカはルーラを唱えた!
天井をつきぬけるほどの激しい高望みをした彼は、どこか遠くへ、打ち上げ花火のように、夏の夜空の果てへ
消え入ろうとしていた。ただ一人で、妻を置いてけぼりにして。
「この薄情者ぉーーーーーーー!!!」
しかし、リュカは塔の天井を突き破ることなく、空中で完全に石化した。
ならばとそのまま18年の重みをかけて、積年の恨みとともに引力とともに憎き仇の鼻面めがけ、
石像のリュカは迷うことなく突進した。
「な、なな何?」
遮られたゲマの言葉。空間圧縮。ゲマは押しつぶされ、完全にリュカは自分の足元に敵を征圧した。
その瞬間、リュカとビアンカはゲマの呪縛から解き放たれた。
「やったビアンカ、ゲマを倒したんだ」
「本当にあのときはどうなるかと思ったよ。でもギリギリのところでルーラを唱えて正解だった。
ゲマの奴も僕がこんな手を使おうとするなんて思いもしなかっただろうな」
「そうね、私を置いて逃げようとしたもんね」
「ち、違うって……」
>>112 ネタというか、文章、シチュエーションの使いまわしでしたね、ぐふっ
エロは人々の本能に訴えますからねぇ。ギャグとはまるで求心力が違います。
もし人生においてギャグとエロの二者択一があったら、ほとんどの人がエロを取るのではないかと
で、自分のことに話を振ると、エロSSには手を出さない方がよさそうです。滅茶苦茶になりそうなので。
一度書いてみたいけどね……w
そんな剣士さんガンバ。他の小説には無い感性が素敵ですよ!
そういえば、剣士さんはFFDQ板で読んでいる小説とかある?
なんとなく気になる・・・・
今日は給料日だ!
きっと街中を行き交う人々は、いつもは固めの表情を少しゆるめてあちらこちらの店に顔を出すだろう。
沈みがちだった夜の街の灯火も久々に明るく人々を照らしだすに違いない。
「でも私たちって固定給じゃないんだよね。次から次へと沸いて出るモンスターをやっつければ、お金が確かに
たまるけど、なんかほとんどエンカウントしない日もあって収入がマチマチ。落ち着かないんだよね。
みんなと遊ぶ日を合わせるのが難しいよ」
バーバラは手元の50ゴールドを指で弾いてぶつぶつとつぶやいた。
「あの通りを並んで歩くあの人たちは今日どこかで待ち合わせをしたカップルで、きっとこれから食事にいくとこ
ろなんだ」
ため息交じりで揺れる心のなかの風景をうらやましそうに眺めるバーバラ。
「そんなことよりバーバラ、戦ってよ!」
難敵に苦戦するミレーユの声があたりに響く。でもバーバラには届かない。
「あっ、前に予約したホテルの高級レストラン、あれキャンセルするの忘れた」
バトルレックスが吐いた炎がミレーユを包む。
「MPが足りねえ……誰か回復を……ぐわっ」
ハッサンが敵に胸を突かれて倒れた。ガーディアンが剣の柄を突きつけたらしい。
らしいというのはバーバラがたった今のその光景をほとんど心のなかに留めていない印象に残らない雑風景
としか捉えていなかったからであり、つまりは上の空であり、
「バーバラッ、何してんだっ、手を貸せよ」
激しい魔物の剣さばきの中で叫ぶイザの声にも、
「確かにみんなの身近にこの私がいるんだけど、仲がいいもの同士貸し借りは無しってことで了解してるから」
いま私は戦えない、というメッセージだけを残していた。
「キャンセル料かかるけど仕方ないか。あれは私の名前だったし」
歪んだ笑みとともに乱舞する厨子王丸の長刀に弄ばれイザは深手を負った。
「お金のやりとりはスムースに。それは余分な感情が入り込まない見知らぬ他人同士の方がうまくいくのよ」
そして今回バーバラが仲間につくった借りは、相当後になるまで根を持たれそうだった。
敵が最後に残ったテリーに照準をあわせると、テリーは激しく血昂ぶる目を敵よりもバーバラに仕向けた。
懐の裏ポケットに手をつっこんで取り出した銅貨をバーバラに投げつけようかと思ったが、敵の攻撃が
予想以上に早く抜き手を呪文で封じられ、息の絶える寸前の声を洩らして地に伏せてしまった。
「た…のむ……バーバラ、は、やく、マダ……ンテ、を……」
どうやらバーバラを商人に転職させたのがまずかったらしい。
>>115 感性の違いってのはかなり重要なんだとあらためて思ったりします。
そのギャグがおもしろいかどうかは読み手のギャグのセンスにかかっている、なんて言い方もありますしね。
まるで、その作品がおもしろくないのは読み手側の責任だみたいな言い方で…
すみませんw
自分が言ったセリフじゃないので、勘弁してくださーい
「小説」で検索してヒットするスレは2ちゃん覗くたびに毎回チェックしてます。
でも最近はあまり更新しないスレが多いですね、残念。
バーバラ(ノ∀`)アチャー
リメイク6では職業ごとに会話ができたりして。
あとチャモロが忘れられてます。・゚・(ノД`)・゚・。
良スレ保守します!
。
保守
上げてみます。
124 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/08/09 01:48 ID:p21PxD3t
脱糞
ホッキンデッシュ
>>119 きっとリメイクではやってくれるでしょう。萌えな人たちがぶっとびそうなありえない性格の会話とか……
あと、チャモロはバーバラの壮絶ぶりに体調を崩されて入院中とか……
最近アリーナの様子がおかしい。変だ。大抵は部屋に閉じこもりっきりで、たまに姿をみせたときは、
常識では考えられない行動をとっている。
家臣の方々はしきりに姫の奇行ぶりを訴える。
「ひっ、姫様が、カエルを食べているところを見ました」とか
「なんという御乱心! 真夜中、姫が月を目指して空中遊泳をしているところをみましたぞ!」とか
「サンドバックに熱心に拳を打ち付けているところ突然天井が崩れ落ちて、中の砂がぶちまけられ、挙げ句の
果てに床を丁寧に掃除をしている現場を目撃しました! あれは夢だったのでしょうか!」
これは一大事とみたクリフトとブライは、ある決意をした。
すなわち、決して誰にも開くことのなかった姫の自室のドアを今夜こじあける。
まるで堅牢な要塞のように、幾重のもの鎖が巻きつけられ五重の鋼鉄製のシャッターで戸締まりされている
部屋のことである。
そのように厳重な体制をアリーナが敷くようになったのは、一月ほど前からのことだった。
一月前といえば、飼い猫のミーちゃんが腹痛を起こして近くの動物病院に診てもらいにいったところ、動物には
保険がきかないために非常に高額の治療費を請求され、アリーナが落ち込んでノイローゼになってしまい、
三日ほど食料庫に閉じこもってしまったという出来事があった時である。
その辺りからアリーナは変わってしまった。
どんなときでもうすら笑いを浮かべ、ひらひらと宙を舞う木の葉のように城内をさまよい歩いては足の小指を
角にぶつけ、それで痛いというわけでもなく、虚ろな目をぶらさげたまま「ブリンク16、ぶりんく16」
とつぶやくようになった。
クリフトとブライは、燭台のランプの明りが消えた図書室で月の光だけに照らされながら、各々の決意の
ほどを語り合っていた。
ブライは涙に濡れてくしゃくしゃになった髭を直そうともせずずっとクリフトと向かい合っていた。常に姫には
泣かされてきたが、今回はさすがに程度が違う。
「クリフト、ワシも一緒に姫の部屋に乗り込む。そして姫に正気を取り戻してもらうべく百発ビンタをかます。
反撃でワシは死ぬかもしれんが、どうせ老い先短いこの老いぼれ爺じゃ」
ブライは最後の花道を飾るくらいの気持ちでいるという。堕ちかけたサントハイムの王女を救うことができる
のならば、この命ささげても惜しくは無いというふうに。
クリフトは大きくうなずいた。それから立ち上がり神官帽を真っすぐに直して言った。
「行きましょう、ブライ様」
そして二人は念のためにメタルキングの盾と剣を二つもっていくことにした。
アリーナの部屋の前。いつものように冷たい鉄の扉とぐるぐる巻の鎖が出迎える……かと思いきや、違った。
簡素な木製の扉がそこにあり、むせるほどの濃い森の香りが漂い二人を戸惑わせた。
訝しげに扉を見続けるクリフトにブライが顔を寄せた、そのとき扉が開き、中から夜会着を着たアリーナが
顔をのぞかせた。
「二人とも、何をしているの?」
クリフトは慌てて盾と剣を握っていた両手を背中に隠した。
「ひ、姫こそ、最近のご様子は、いかほどでございますか」
ブライは面食らった。夜会着と思われていたアリーナの服装は、実は凝った絵模様のある派手な下着だった。
「そのような恰好で……」
次の言葉が出ないブライをさしおいて、アリーナはクリフトにいきなり腕を伸ばし、肩をつかんで強引に中に
引き寄せた。当然クリフトはメタルキングの盾と剣を床に落とす。
「なっ、何を」
「ブライは入ってこないでよ」
アリーナは軽くにっこりをして、扉を閉めた。
目をぱちくりさせていたブライがあっ、と思い、咄嗟に手を出したがもう遅く、どんなに押しても叩いても扉は
開かなくなってしまった。
ブライは後ずさり、回れ右をして廊下を小走りに駆けていった。
「姫様……」
クリフトは緊張してそれ以上声が出なかった。窓からさしこむ月明かりは見事なまでに殺風景な部屋を
クリフトの目に映し出していた。
飾りたてるものどころか、生活ぶりをうかがわせるものが何一つない。机も椅子も、よく持ち込んではろくに片付けずに放り散らしてある菓子類の袋も、本も戸棚も、よくくつろいでいた寝椅子もなくて、中央にあるベッドだけが
異様なまでに存在感を示している。
クリフトは息を呑んだ。乱雑にしわをつくったシーツには何かこぼしたような染みがついている。
アリーナはクリフトの後ろからゆっくり近づいて、首筋に手をおいた。
「フフ……こっちにきて」
クリフトは飛び上がるくらい驚き後ろを振り返ろうとしたが、それより早くアリーナはクリフトの肩を追い越し、
ベッドの上に跳ねて乗った。
アリーナはベッドの上で仰向けになり、首をもたげかけると手を持ちあげ、おいでおいでをした。
「ねえ……いいことしましょう」
クリフトは唖然とするなか、生唾を飲み込んで、しきりに上半身に力をこめていた。
「姫……様、私は……」
アリーナは胸を覆っていた下着をとりはずして床に放り投げた。
「フフ……早くきて、じらさないで」
両腕を頭の上に乗せ、悩ましげなポーズをとりクリフトを挑発した。
クリフトは突き進んだ。ベッドに横たわれるアリーナを目指して。
荒々しい息がこぼれているのを承知でアリーナの耳元に顔を近づける。並々ならぬ興奮が体を包み込んで
いるのを淑女たる姫に悟られる。それを恥ずかしいとも思わない、理性がほとんどなくなっていたので。
「姫さま、うつくしくて、そ、その」
「かかったなクリフト!」
アリーナがクリフトの顔面を鷲づかみにして横倒しにし、ベッドに押し付けた。
「ふがっ」
クリフトはわけもわからず、手足をじたばたさせた。
「おまえが消えればもう姫はサントハイムに心残りがなくなる。姫は観念して諸国の王子に嫁ぐだろう。
何年経っても現れないおまえに疑問を抱き、そのうちこれまでの愛は偽りだったという確信に変わってな。
だから安心して死ぬがいい、クリフト」
偽アリーナは正体をあらわした。紅色の美女の肉体に蛇の下半身を足した魔物、ラミアクイーンである。
魔物は映える金髪をふり乱しクリフトの体に圧しかかった。
クリフトはもがき続けた。手足がしびれて火傷を負った痛みを感じて自分の心に火がついたと確信した。
姫はここにはいなかった。いたのは将来の夢を潰して愛という信頼をむさぼり食う魔物であった。
クリフトは拳にも火が燃え移ってすべて焼き尽くしてやりたいと心の中で叫んだ。
突然扉が開いた。
「クリフトッ、無事か!」
マヒャドを唱えて扉を凍結させ、それにマーニャのメラゾーマを浴びせて砕いたのだった。
そう、都合よく通りかかったマーニャを偶然ブライは見つけて連れてきたのだ。
「何者だ貴様ら」
「何者とは何ごとじゃ。アリーナ姫のお目付け役ブライを知らずして何が姫の変わり身じゃ」
「じいさんのことは忘れられていたわけか、そりゃ悲惨」
ラミアクイーンはクリフトを壁に叩きつけると、牙を剥いて二人に襲いかかった。
地面を這うように接近する魔物を凝視して、マーニャは唱えるべき最適な呪文を頭に思いうかべた。
「べギィィィイラゴーん!」
床に向けて手をかざし、照射、燃えさかる炎は床を伝いラミアクイーンを包み込んだ。
魔物は悲鳴を上げて、それでもなお接近しようとした。
「ぬっ、ワシのマヒャドで」
ブライが止めの呪文を唱えようとしたそのとき、クリフトがパッとブライの目の前に躍り出た。
「許せん、貴様だけは」
クリフトは憎しみに燃える拳を打ち出し、魔物の喉元にたたきつけた。骨の砕ける音が響きわたる。
ラミアクイーンはブリンク16を唱える暇も与えられずに息絶えた。
クリフトは手を火傷した。
あえいでいるクリフトの治療にマーニャは薬草を使う。
呼吸はおとなしくなったが、傷は深く回復には時間がかかりそうだった。
今は回復呪文の使い手がいない。使い手のクリフトはまるで舌がまわらない。
「何とか撃退したわけじゃが、本物の姫様はどこにおられるのかの」
ブライの一言で、静かだったクリフトにまた火がついた。マーニャの治療の手をはねのけ、無言で立ち上がり
部屋を出て行こうとする。
「なにやってんの! まだ無理だって」
マーニャとブライがクリフトを押さえつける。正気になったのかクリフトは突然気が抜けたように座り込む。
ふうと息をついてマーニャが汗を拭おうとしたときに、騒々しい足音が近づいてきた。
「たっ大変だー」
大臣が崩れた扉を踏み越えて中に入ってきた。
「何ごとですか、大臣」
ブライは面倒くさいことになりそうだと、部屋の荒れ果てぶりを見て思った。
「やはりここにいたか。そ、それが、なんとも信じがたいことに、アリーナ姫がエンドールに囚われているという
のだ」
ブライは顔をしかめてマーニャと目をあわせた。
「たった今入った情報によると、エンドールで武術大会が開かれており、その優勝賞品がアリーナ姫だとか」
マーニャはぽかんとして大臣を見つめた。
「なにそれ?」
続きはまた後にします。
続きがあるかどうか疑問だったりしますが…
+FF2ですね!凄い面白い!!
元ネタを知らなかったので、ドキドキしながら読みました。
文体も話ごとにガラッと変わって、そこも楽しみだったりします。
大変だとは思いますが応援させてください。
dat落ちになりそうで危なげなので上げておきます。
上がってなかった・・・OTL
下にあってもdat落ちはせんよ、基本的に。
スレが770くらいになったら最終書き込みの古い順に落ちる。
やっぱり
>>130の続きは後まわしになりましたね・・・
エスタークのすごろく場にアグリアスが来ていた。
「この並び……あれを撃ちたくなる形をしているが、それはともかく」
アグリアスはすごろくチケットの半券をぐっと握る。
「これは一度きりのチャンスだ……絶対に外せん」
さっそくサイコロを振った。
1が出た。草原のマスに止まる。
「調べるべきか、無視して進むべきか。この選択は重要だ。ここに宝があればそれをみすみす見逃す手は
ない、すごろく券は一枚しかないのだから。徹底して掘り尽くすべきだろう。だが、もし埋まっているのが宝では
なかったらどうする?思いがけない災難を掘り当ててしまったらどうするのだ?」
しばらく悩む。
そしてアグリアスは決断する。
よし、調べよう。こんなふり出しから罠があるとも思えん。くどくど考えず、もっとずっと先の見通しを立てるべきだ
そしてアグリアスは足もとを調べた。
そして――うわっ 落とし穴だ
「残念でしたね。またのお越しをお待ちしております」
そして終了した。
「なんだと、ふざけるなぁッ、聖光爆裂波!」
覇気とともにラグナロクから聖剣技が放たれて、向こう6パネルを雷光がつらぬいた。
パネルは吹き飛び、あとにのこされた残骸が埃を巻き上げてごちゃごちゃに。
叩き込んだ己の技の凄烈さにアグリアスは息をのむ。
「またやってしまった。これで何度目だ……。私が挑戦するたび、すごろく場は崩れ去ってゆく……」
愕然と両膝を折ってへたり込み、手で顔を覆うアグリアス。
暗い過去の記憶が洪水となって彼女の頭の中で荒れ狂う。
独り悶絶しているとろに係員がやってきて彼女の肩を叩く。
「あなたがすごろく場荒らしの異名を持つアグリアス様ですか。ちょっと事務所の方まで来ていただきたい。
支配人がお待ちです」
アグリアスは涙をすすりながら係員の顔をみつめる
「なんだ……茶でも出してくれるのか」
「そうですね、態度によっては命が無くなるかと」
突如物陰からあらわれた数人の黒ずくめの男たちにアグリアスは身体を拘束された。
事務所に通されたアグリアスをまっていたのは支配人エスターク。
「わたしが精魂こめてこしらえたすごろく場をよくも……」
身の危険を感じたアグリアスはラグナロクを投げつけ、テレポ移動で事務所から脱出した。
思わぬ光景に部下たちは動揺した。
「き、消えました!」
「探し出せえっ」
エスタークは憤怒に歪んだ顔で部下たちを睨み据えた。
手の甲で涙をぬぐい、魔界の荒野を南へ下るアグリアス。
「くそッ……せめて北斗壊骨打にするんだった。あれなら被害は最小限度で済んだというのに。
……なぜ私は自分を抑えられないんだ。どうしてブラックリストから私は逃れられないんだ」
アグリアスはダンジョンを出てから、からっきしの大声というものを大空見上げて叫んだ。
それは喉がかすれて声になっていない声だった。空にかかった紫の靄がアグリアスの声を吸収して
笑い返してやっているような光景だった。
歩き続け、アグリアスはジャハンナに入ると顔を伏せて、人目を避けながら街の片隅へ消えていった。
>>132 よかった。面白いって言ってくれると本当に嬉しいです。FF2の面白さを借りたからこその面白さでもありますが。
というかゲームでのラミアクイーンのイベント本当に可笑しくてw
>>133 FF2ってやっぱり7以降のFFと比べるとマイナーな感じがありますね、やっぱり。自分もGBAのリメイクで初めて
プレイしたクチで。でもやってみると面白かった。
文体は、特に自分のスタイルというのは決めてなくて、というか、そんな大そうなこと言えるほど書きなれてなくて、
毎回話を書く時期近くに読んだ本に影響されてたりw。 応援は、嬉しいですw(涙
リロード忘れてた……失礼しました。
>>135 自分の書き込みはいつも忘れたころにやってくるので……保守してくれると助かります。
>>136 そういうことらしいですNE
「大変、大変だよ」
「どうしたの」
「今日もテリーが夏服着てきたのよ。もうとっくにみんな衣替えしたのに一人だけ半そで。目立って目立って」
「それで?」
「私大声で言ってやったんだ。おーいそこ、半そでの小学生ー、寒くないのー、元気だねーって」
「そうしたら?」
「俺は群れるのが嫌いだ、みんなと違う個性を大事にしたいんだ、何しろ制服というデザイン統一がコンセプト
の服で個性を出すにはこの時期を利用するしかなかったんだ。って言われた。やっぱりテリーはかっこいい
ね」
「ただ天邪鬼なだけじゃないの、あるいは季節感というものをわかってないのか」
「うん、そうとも言うね(・∀・)」
ドリスが王宮の豪奢なテーブルの上に書き置きを残していった。
「王子なんてうんざり、吐き気がする、もう二度とあんなの見たくない、さよなら王家の人々」
帰ってきたビアンカはそれを見て仰天した。
「どういうこと、これ?何があったの」
貴賓室で来賓と語らい合っているリュカのところへビアンカは猛然とかけこむ。
「リュカ、これを見て」
ビアンカはドアを開くなり開口一番こう言った。
突然のことにリュカは驚いて、顔をしかめた。
「今大事な話をしているところだ、それにいきなり入ってきて失礼じゃないか」
皺と髭のすごい八十すぎかと思われる来客が、まあいいですからとリュカに手をさしだし、ではこれにてと
席を立った。
リュカは老人が去るのを見送ってからビアンカに小言を言う。
「あの人はグランバニアの老人施設に毎年寄付をしてくれている方なんだ。失礼があってはいけないよ」
ビアンカはまつ毛を伏せて一言謝った。それから猛然と顔をあげてリュカに食い入った。
「でもこれを見たら居てもたってもいられなくなって!」
手の中でくしゃくしゃになっていた紙をおもいっきりひろげてリュカに見せ付けた。
「……なんだって、ドリスが?」
リュカが文面とビアンカの顔を交互に見比べた。
「そう、これ見てどう思う?ティミーがドリスに何か……心当たりある?」
「いや」
「そうでしょ? どういうことなのかわからないのよ」
ビアンカは心配そうに窓の外の景色をながめた。
「でもドリスがいなくなったのは確かなわけだよな」
リュカも窓から見える景色のなかに俗世間を知らずしておしゃまなドリスの姿を探していた。まさかまだこんな
城のすぐ近くにいるはずがないというのに……。
リュカは首を何度も振った。ひとつ思いついたことがあって、でも相当きわどいことを何気なくつぶやいた。
「ティミーはまだ10歳、ドリスは24歳の婦女子、普通ありえないよなぁ……」
ビアンカは驚いてリュカを見つめた。
「何いってるの、そんなの……そんなわけあるはずないでしょ」
「何いってるの、そんなの……そんなわけあるはずないでしょ」
抗議するような目をリュカに向ける。
「でも他に考えられるかい? 男と女の感情のもつれ合いの産物としか読めないんだよ、この置き手紙」
ドリスの手紙からは憎しみ、怨念といったものが伝わってくるのだ。
ビアンカが重苦しい息を吐く。
「嘘よ……ティミーはまだそんな子じゃないよ。だってあんなに可愛くてまだあちこち飛び回ってる腕白の盛り
じゃない。なのに……」
「そう、だからこれはティミーじゃなくて、ドリスの方から誘ったことなんだ、きっと。ほら、だってあの子は」
リュカとビアンカはぱっと顔を見合わせた。
「ドリス……長年城に篭もりっぱなしだったもんね」
「寂しさもあっただろうし、日々鬱屈してたんだと思うと、本当に可哀相な子だったんじゃないか。歪んだ方向に
気が向いてしまっても、無理ないよな」
「オジロンさんがいけないのよ。ドリスに外出を禁じたのはおじさまじゃない」
「僕がもっと気をつけなくちゃいけなかったんだ。叔父には叔父の考えがあるとばかり、任せっきりにしてきた…
しょせん直接親子孫の関係から離れた親類は他人同士だなんていうのは……薄情だよな」
「そうよ、言ってあげなくちゃ、ドリスはもう大人なんだって。彼女は一人で生きていける、立派に人生を歩んで
いける女よ」
リュカは大きく息を飲み込んだ。
「よし、とにかく今は彼女を探しだすことだ。とりあえずドリスの行き先として考えられそうなところは……」
そのときいきおいよくドアが開いて当のドリス本人が部屋に入ってきた。
「あ〜、ちょいと間違えたっ」
ドリスは棒立ちのリュカの手から手紙をつまみあげるとテーブルに押し付け、皺だらけの紙を睨みながら
上から筆ペンでちょいちょいと文字に付け足しをした。
「タマゴって点が必要だったっけね。これでよし、と」
ドリスは独り納得した顔でうなずくと部屋を後にした。
「玉子料理から解放されるぞばんざーい、親元離れてみるっていいなぁ」
一度好きだと口にしたとたん、際限なく玉子関係の料理で占められるようになった王家の食卓にうんざりのドリ
スは、今夜酒場で鴨の燻製肉をほおばりながら酒を楽しみたいお年頃。
今回も楽しませてもらいました。それではちょっとだけツッコミを。
アグアりスのステータスならエスタークもなんのそのって気が(´Д`;)
何となくですが、「どうしたの」「それで」「そうしたら」「そうとも言うね」
のセリフがミレーユではないかと感じました。
何だかんだ言ってドリスはティミーに院政を働きかける気がします。
まあ、その方が安泰だと思いますが。
>>144 しかしエスタークを倒してしまったら更なる強大な組織に命を狙われそうな予感。
リメイク6ではドレアムがすごろく場をつくってたりして、そこのブラックリストに……
確かにあのセリフはミレーユのものとして書いてました。もう一人はバーバラで、最後からふたつ目のセリフが
クラスメイトの横槍。なんとしても弟のフォローにまわりたいのがミレーユなんでしょうか。
ドリスは・・・・・・将来影の権力者になるのかもしれませんね。
あの性格はたなぼた式になんでも手に入りそうな強運を司る性格ですから、たぶん・・・
「どれだけお金を使ってもすぐ元の分以上に稼いでくれる。毎日豪遊できるなんて幸せ」
勇者は満面の笑みをうかべて仲間たちを見つめた。
「ああ、たまらないなァ、本当に(´∀`)」
商人×3が本領を発揮するパーティだった。
「稼いでも稼いでもどんどん増える出費に追いつかない。赤字続きでもう冒険どころじゃない」
勇者は仲間たちを恨めしそうに見つめた。
「ああ、貯まらないなァ、本当に(TдT)」
遊び人×3が幅をきかせるパーティだった。
某月某日、スクウェアエニックス本社に、ドラクエの生みの親である堀井雄二氏の遠い親戚にあたる人物が
週に一回通っている英会話教室の教師A氏の友人の知り合いがやっている芸能プロダクション関係者で、
映画監督を目指して来日した中国生まれのラテン系アメリカ人、ホーリィ・UG・フレアー氏(誰だよ)が訪れた。
「ワタシ、オモシロイげーむノキカクをオモイツイタので、ゼヒツカッテクダさい」
応接室で担当者がどんな案か聞いてみると、今までに出たFFDQ作品のキャラを入れ替えるというものだった。
「しかしそれだけで違ったゲームになりますかね」
「でもおもしろそうだから試しにシミュレートしてみないかい」
ちょうど本社に来ていた堀井雄二氏がそう言って、とりあえず三人は開発室へ向かった。
「ドラクエ5とFF7のキャラを入れ替えましょう」
ドラクエ5の主人公をFF7の世界へ転送中……
「ややっ、本当にFF7の世界にとばされるなんて」
リュカ(5主人公)はタキシードを着込んでいた。
どうやらここは婚礼式場らしい。
そのとき、重々しい響きで向かいの扉が開いてウェディングドレス姿のティファがあらわれた。
「リュカ、私たちついに結婚するのね」
突然のことにリュカは驚いた。
「ちょ、ちょっと、いきなりどういう展開なんだこれ」
ティファはリュカの身を純白のドレスに包んでうっとりとした眼差しを浴びせる。
「嬉しいっ、でももっと早くこうしていればよかったのに。リュカが結婚を渋るものだから」
「お、おかしいんじゃないか、FF7に結婚イベントなんてないはずだ!」
「別にいいじゃない、おかしくたって。私たちもう夫婦になれるんだし」
「意味がわからないよ!」
困惑するリュカ、そしてその場に突如エアリスがあらわれた。
「リュカ……そういう結論なわけね。まあ、私もデート一回でリュカの心をつなぎとめることなんて出来やしない
と思ってはいたけど」
エアリスはリュカにかじりつくティファをまじまじと見つめる。
「ふーん、でもティファとね……」
ティファは目をぱちくりさせて、あらいたの?とでも言いたげにエアリスを見た。
「幼なじみっていいわよ。子供の頃から結ばれる運命にあるだなんて素敵だと思わない?エアリス」
「幼なじみなんてのはただの腐れ縁だと思い知ってね、リュカ」
エアリスとティファの間に火花が散った。
「ファイナルヘブン!!」「零式バハムート!!!」
リュカは、荒れ狂う式場の中心で絶望をさけぶ。
「うわあ、やめてくれ二人とも。僕はもともとこの世界に来たくはなかったんだー!」
「…………」
「なぜ結婚イベントが発生してしまったの?」
「どうやら5主人公のデータには結婚イベントがつきまとうようです」
「デ、コノげーむハドウデショウ」
「……もうひとつの方も見てみようか」
開発室で今度はクラウドをドラクエ5の世界に転送中……
サラボナの街ではルドマンが財力にものをいわせて人口を集め、クラウド排斥運動を起こしていた。
「クラウド反対!」
「クラウド来るな!」
「フローラお嬢様を守れ!」
見晴らしの塔の頂で盛り上がる運動の中心にはルドマンとフローラがいた。
「クラウドが来たら、きっと忌まわしいセフィロスの『あのイベント』もついてきてしまう。そうなっては我が娘は
殺されてしまう! なんとしてもクラウドには来て欲しくない!」
「お父様、私、事態が良い方向に進むように祈っておりますわ……」
「いかんフローラ!祈りなど。あのイベントは、まさに祈りの最中に起こったのだ。今はどんな些細なことでも
気をつかわねばならん。形だけとはいえ、自ら不幸を呼ぶような真似はせんでくれ」
「は、はい。お父様……」
何もすることができず、フローラの肩はのしかかる不安に震えた。
「クラウドはんたーい!」
「とにかく来るな!」
「フローラ様を守れ〜」
クラウド否定の大合唱がサラボナ一帯に木霊する……
「クラウドのデータが逆流しました。まるで転送を嫌がっているような……」
「こんな不思議なことがあるの?」
「デ、ドンナモンデショウ、ワタシのアンは」
「とにかく却下」
フレアー氏は、スクエニ本社をさびしそうに去っていった。
DQで遊び人×3ネタを見るとやりたくなるんですが、
結局いつも無難なパーティーしか選べません。
ホーリィ・UG・フレアー氏(誰だよ)
ここでもう笑ってしまいました。このソフトでぜひDQとFFをやりたいです!
とりあえず、・長男セフィロス(FF7)・次男セシル(FF4)・三男テリー(DQ6)で
銀髪三兄弟チームとか。セシルが苦労しそう。
銀髪三兄弟は、くたびれて色あせた屋根の下で雨漏りの音におびえながら囁きあっていた。
「どうしてこうも貧乏なのかねえ、僕達は」
「おまえがいつもくだらん物を買ってくるからだ、この色男」
「そうだふざけるなよ。末っ子の俺はいつも兄貴のおさがりを着て我慢してんだ」
末弟テリーの怒りは頂点に達した。
家全体がぐらりと響き、かつてないほどの雷雲がテリーたちの頭上で轟き始めた。
「サンダガ!!」
すどーん。
「って、兄貴かよ!この雷雲呼んだのは」
テリーはたまげて目がくらくらして星を見ていた。
セフィロスは台所に向かい、染みのついたコーヒーカップに水を汲んでからもどってきた。
それをぐいと一杯飲み干してから一息つく。
「おまえの怒りを表現するのにすばらしい演出だっただろう。まあとりあえず落ち着くんだな」
セフィロスはこんな兄をやっていて、今年二十九歳になる。
「そんなことやってるから女にモテないんだ、このクソ兄貴」
悪態をついたテリーは、兄からカップを奪い取った。
「なにする気だ」
セフィロスはテリーを見つめた。
「こんな水なんか飲んでる場合じゃないぞ。俺は今日姉さんに会いに行く予定なんだ」
「僕達に姉さんいたっけ?」
セシルがぽかんと口をあけている。
「どうせいつもの妄想だろうな、こいつの姉妄想はとうとう尋常ではない域に達した」
セフィロスはいつのまにか家宝であるマサムネをその手に握っていた。
「兄さん!」
「止めるなよ、セシル。私はこの弟にしてこの兄ありと言われるのがもう我慢できん」
テリーに引導を渡すため、セフィロスが狂気の腕を振りかざした。
「外は大雨だよ、そのうえ家の中には血の雨を降らせるなんて酷いよ!」
「だがもう遅い、弟よ覚悟!」
鈍い輝きをはなつマサムネにあわせて雷鳴の剣がきらめいた。
セフィロスとテリーの鍔迫り合いだ。
「やるな弟よ、さすがは剣士の血筋だな」
「くっ、こんな馬鹿やってる俺たちはいったい何なんだって話だぜ!」
そう、こういう兄弟たちだったいう物語なのです……。
>>149 同じく遊び人三人はやったことないですねぇ。
いくら後で賢者に化けるとはいえ、そこまで育てるのにあまりに手間暇かかるお子様たちのようですしw
勇者の身になってみるときっとそれが骨身に染みてよくわかるんでしょうね。
ところで銀髪三兄弟って響きが良くて、勢いのあまり変な想像をふくらませてしまいました・・・
そして私はどうやらセシルの性格がいまいちつかめていないようです(泣
・セフィロス→私 ・セシル→僕 ・テリー→俺
呼び方の設定も性格設定もバッチリでした.。.:*・゜゚・(´ー`).。*・゜゚・*:.。.
貧乏設定なのは意外だったんですけど、味がありますね。
セシルは料理も洗濯も家の修理もやらされるタイプ?だと想像しました。
ごちそうさまでした! の一言です。
153 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 00:54:55 ID:5T87smR9
応援age
154 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/09/25 00:58:49 ID:mdfCV07S
全然面白くないんだよキモオタども
>>154 うーん、まあ、調子にのってたかなと思うことはある。
ただ、もう少し抑制した書き込みをしてほしいかな。どこの誰かも知らない相手にその言い方は、果たして
何の意味があるんだろとも思ったし。
もちろん、おもしろくない・おもしろいは存分に言ってくれて構わないよ。
なにしろこのスレ、レスがつくこと自体稀な現象なので……。
>>152 やはりA・Iさんでしたか。
性格設定に違和感なしですか。よかったー。
貧乏にしたのは、彼らが雰囲気的にリッチそうだったから、それを逆転することがまずギャグにつながる
と思いまして……まあ、大して考えもなしにそういう設定にしたという噂もありますがw
>>153 ありがたいです。本当に。
――そしてしばらくギャグから逃亡します
死んだ花の香りとヘンリーの吐息で満たされた教会前の空気。
オラクルベリーを出てはじめてたどり着いた村、ラインハット。
リュカはつい昨日まで、記憶からこの村の名前が抜け落ちていた。
焼け跡から這いずり出てきたばかりのようなひどい顔をして、シスターがリュカを抱きしめた。
「リュカ、リュカですね。……あの坊やがこんなに」
深めにかぶっていたシスターのフードから土ぼこりがこぼれて、リュカの胸を転がっていった。
「いま、天に召された方の弔いをしてきたところです……ずっと私たちを支えてくれたあの人が死んで、
私は、もう、信じられるものも全て信じられない」
リュカの背中へまわした手に次第に力がこめられていく。シスターの目に怨嗟とおぼしきものが映り、
黒く光ってくすぶりはじめた。
何も悪いことはしていない、神に背くような真似をしていない。
日々の移り変わりに忠実で、祈りを絶やしたことなどはない。
苦しんで、苦しんで、苦しんだ、私たちは。
リュカは、濁りのない潤んだシスターの瞳をやさしいまなざしでそっと迎えた。
「辛かったんだろうね、わかるよ」
パパスが既にこの世にいないこと、長かった奴隷生活のことを話すと、シスターは目をいっぱいに丸くして
リュカの顔に近づけた。
「あ、ああ、リュカ、あなた……」
そのままキスもできそうな距離まで来たとき、リュカはシスターの抱擁の手を解いて、今度は自分の両腕を
彼女の背中にまわした。
「僕も辛いことを経験したよ、シスター」
雑に地を舞う木の葉も、黒く煤けた壁も、よく晴れた空までもそろって、ふたりを慈しんで泣いていた。
リュカは教会を出た。
あとはヘンリーをどうするかだ。
どこにも姿が見えない。
もう、ひょっとしたら、村を出て行ってしまったんじゃないか。
リュカはじりじりとする背中をさすりながら、ひとまず峠を越える辺りまでと決めて歩き出した。
ご迷惑をおかけしました。
5はこの辺りが大きな節目だと感じます。
ヘンリーや序盤の魔物との冒険が一番好き! という方も多いのでは……。
本当にヘンリーと別れた後は切なくなります。
緊急保守
緊急保守