>>822 日系流通全文
人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト」の音楽が進化している。今春発売予定のプレイステーション2版
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」には、NHK交響楽団演奏の音楽が初めて搭載。
5月には同ゲーム音楽をもとに作ったバレエ「ドラゴン・クエスト」が上海で初の海外公演を行う。
ソフト発売から今年で18年。ゲーム機が変わり、経済の浮き沈みを経験しつつも、今もなお広がり続ける
「ドラクエ」音楽の世界を、作曲家すぎやまこういち氏に語ってもらった。
#基礎はクラシック#
社会人になって初めて作曲したのがCM音楽だった。しかも、テレビが普及してない時代だったので、ラジオCM。
映像に頼らず消費者を引きつけるすべはこの時代に学んだ。
15秒で消費者の心をつかむCM音楽とヒットする歌謡曲は似ている。CM音楽は商品名をすぐに覚えてもらおうとし、
ヒット曲は出だしで聴衆の心をつかまえようとする。しかしゲーム音楽は正反対だ。
ゲームが終わるまで何百回も同じ曲を聴かなければならないからだ。
灰汁(あく)の強い音楽は飽きられる。何度聞いても飽きない、”聴き減り”しない音楽を目指すには、
クラシック音楽の精神を尊重することが大事だと思う。
クラシック音楽は何百回どころか、何百年も親しまれている。私のゲーム音楽はクラシック音楽手法を取り入れている。
「ドラクエ」音楽は交響組曲だ。最初はゲームでありきで、戦闘シーンなど場面に合った音楽を作曲するが、
最後はそれぞれのパーツを組み合わせて完成品を作っている。この手法が接続力の秘けつなのかもしれない。
クラシック音楽だからバレエ音楽にもつながる。「ドラクエ」の音楽によるバレエは、佐野光司氏(音楽評論家)と一緒に、
スターダンサーズ・バレエ団の太刀川先生に製作をお願いした。
#ゲーマーの立場で#
そもそも、「ドラクエ」音楽を作るようになったのは、私自身がゲームについていた購入者用のハガキを
投稿したのがきっかけだ。ハガキを見たのが当時のエニックス社の役員で、作曲の依頼がくるようになった。
ユーザーの立場で作曲しているのが最大の強みだと思っている。どんなにハードが変わろうと、
内臓音源の容量が増えようと、絶対に変わらないのは消費者としての目線。ゲームをしている自分を想像しながら作曲している。
しかし、ハードの進化とともに制作費と、それに費やす手間と時間がどんどん増えているのには、驚いている。
この歳になって我が人生で一番忙しい。
#本物の「曲」目指し#
ファミコン時代はゲーム1本の制作費が約1億円といわれ、スーパーファミコンで約10億円。今のプレステ2は約100億円だそうだ。
制作費と比例して作り手として拘束される時間も増えている。17年前、「ドラクエI」の曲に感動してくれたファンは
今よりもはるかに内蔵音源の容量が少ないシンセサイザー音で感動してくれた。
接続するモノ作りの本質はここだと思っている。これまでハードの技術革新に伴ってさまざまにソフトは進化してきた。
しかし、どこかでハードを満足させるだけのモノ作りになっていた気がする。
生のフルオーケストラであろうと、ゲームであろうと、お客さんに感動を与える「曲」かどうか。生き残るカギはそれに尽きると思っている。
ゲームソフト「ドラゴンクエスト」の関連CDは現在、約30種類販売中。昨年発売の「交響君曲『ドラゴンクエスト』コンプリートCD-BOX」は
小売価格1万円台で約6000セット売れた。VIIのオリジナル・サウンドトラックの販売数は約4万枚
以上全文
しかしBOXは6000も売れているとは・・・