432 :
4/4:04/02/03 21:21 ID:ZuGKTErT
それがわかるから、パパスは口元を緩めた。
「そうか。君は思った以上に強いようだ、安心した」
パパスの賞賛をエアリスは素直に受け止める。もう大丈夫だと、自らを信じ込ませるように。
そんな彼女の姿が、スピラで出会ったあの少女の姿と被って、ティーダの胸は熱くなる。
だから誓う。絶対に帰る、と。絶対に諦めない、アイツに会うために絶対に生きのびる、と。
こうして、ティーダ、エアリス、パパスは上を目指して出発した。
それぞれの胸に、それぞれの希望を抱いて。
【パパス 現在位置:エアリスの家
所持品:アイスブランド イオの書 バスターソード 妖剣かまいたち ドラゴンテイル 食料多
第一行動方針:神羅ビル前からゾーマ城へ
第二行動方針:バッツと双子を捜す。 とんぬらに会う。
最終行動方針:ゲームを抜ける】
【エアリス 現在位置:エアリスの家
所持品:エドガーのメモ マジャスティスのメモ 癒しの杖 妖精のロッド 月の扇
第一行動方針:神羅ビル前からゾーマ城へ
最終行動方針:ゲームから抜ける】
【ティーダ 現在位置:エアリスの家
所持品:吹雪の剣 いかづちの杖 参加者リスト ロトの剣 小型のミスリルシールド マテリア(かいふく) 真実のオーブ
第一行動方針:神羅ビル前からゾーマ城へ
第二行動方針:アーロンを探す
最終行動方針:ゲームから抜ける】
保守
hosyu
435 :
1/3:04/02/07 21:02 ID:p2OsQdUO
エドガーの演説を聞いて、オルテガは深く感じ入ったようだった。
ゾーマという巨悪の前にそれでも立ち向かい、実行に移した彼らの知恵と勇気に。
自分とて、ゾーマを許せぬという思いはある。打倒せねばとは考えていた。
しかし現実は、方法が思いつかず覆面一つに右往左往して時間を無為にしてしまったのだ。
なんて無様。今も、こんな場所から抜け出せぬ。これでは勇者など勤まらない。
けれど――――その不始末を償う機会が、与えられた。
一刻も早く、ゾーマの城に行かなくては。
オルテガは手に持ったソレを睨みつける。
これをつければ、解決するかも知れない。しかし、元に戻れるか。
ただ荒くれる開放感と戻った後のリバウンドに、耐えられるのか。耐えられる……訳がないのだ。
それでも、オルテガはソレを持ち上げた。
怖れぬもの、引き下がらぬものを勇者というのなら。
――――オルテガは、間違いなく、勇者だった……
「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
響きわたる雄叫び。フヌッ、と隣にいるチョコボを見る。チョコボはビクっとする。
ウホッ、とチョコボを肩に乗せると、そのまま大ジャンプ。列車の天井に着地。
飛び乗ってきた大男とチョコボの重量で列車の天井は抜けかける。抜ける前に別の列車の天井に飛び移る。
後はその繰り返し。人知を超えた、というか、まあそんな方法で、オルテガは列車墓場を抜けた。
チョコボを降ろしてその背に乗る。クエ、とチョコボは応じると、上を目指して駆け出した。
436 :
2/3:04/02/07 21:06 ID:p2OsQdUO
――――それから暫くして。
とんぬら、バッツ、アーロン、クーパー、アニー、リディア、エーコ、そしてアイラの八人は、七番街スラムの駅にきていた。
話し合いの後、とにかく上に行ってみようということになり、移動を始めたからだ。
バッツの薬を飲み、しばらく安静にしていたおかげでアーロンは復調している。
しかし、アイラはゾンビ状態のままだった。
エドガーの放送後、まだ眠っていたクーパーを起こして解呪を依頼したのだが、
「この指輪、そんな呪いなんて掛かってないよ?」と、事なげに引き抜いてしまった。
呪いの掛かった武器を装備すると解呪するまで外せない、という現象は確かにある。
ライアンやルーキーたちの世界ではそちらの方が一般的だったし、
とんぬらは呪いについて左程詳しくないので二人の言う事を鵜呑みにしていた。
しかし、呪いの指輪はその類いではない。普通に抜けるのである。
唖然とする父親に、インパスでちゃんと調べなきゃ、とクーパーは得意げに言い、
胸をそらす息子に、とんぬらは苦笑したのだが、それは閑話休題。
ゾンビ状態から復帰したアイラだったが、それだけで体力を使い果たしてしまった。
回復呪文をかけてもらったが、多少楽になった程度で戦闘に挑めるほどではない。
状況と、片腕になってしまった自分の体調、ゾンビ化している自分の行動。
それらを知ったアイラはゾンビ状態になってとんぬらに従うべきだと判断した。
正気ではとんぬらを見ていられないとか、そういう感情もあったがそれも閑話休題。
駅についた彼らは線路を辿って上に行くことにした。
その途中、バッツは地面に見慣れた足跡があることに気付く。
「これ、チョコボか……?」
その足跡は自分たちが来た方向とは別の場所から来て、自分たちと同じように線路を辿ってどこかに向かっている。
足跡は真新しく、つい先ほど出来たもののようだった。つまり……
「俺たち以外の誰かが、上に向かった、ということか?」
437 :
3/3:04/02/07 21:07 ID:p2OsQdUO
現在位置:上に通じる線路
【オルテガ(チョコボ) 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲
ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:ゾーマの城へ
第二行動方針:アルスを探す
最終行動方針:打倒ゾーマ】
現在位置:7番街スラムの駅
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣
第一行動方針:ゾーマの城へ、子供たちを守る
第二行動方針:パパス・ライアンをみつける】
【クーパー(睡眠中) 所持武器:珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【王女アニー(睡眠中) 所持品:マインゴーシュ
第一行動方針:とんぬらについていく】
【リディア(魔法使用不可)(睡眠中) 所持品:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ、仲間を捜す?】
【エーコ&モーグリ 所持武器:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ】
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:クーパー達と共に行動する
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【アーロン 所持武器:折れた鋼の剣
第一行動方針:ゾーマの城へ
第二行動方針:仲間を探す】
【アイラ(ゾンビ・左腕欠損、処置済み) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪
行動方針:ゾンビ状態中はとんぬらを探していく。死者の指輪が外れたら???】
438 :
1/2:04/02/08 21:59 ID:FfBTP1nk
その場は沈黙に包まれていた。
放送直後は、ミッドガルの状況を知る方法はないかと色々探していたのだが、
結局わからないままで、後は会話もなく、ただ誰かが来るのを待っている。
味方が来るという保証はない。中の者たちが全滅したとは考えにくいが、
参加者を殺して回った連中が生き残っている可能性はある。
これは賭けだ。しかし、ゾーマを打倒する上で必要な事である。
だから、待ち続けた。その答えが、明るいことを信じて――――
そして、放送から半時。オブジェの脇に設置された転移ゲートが瞬き、
彼らは思った。ああ――――大失敗だ、と。
まず嘴。そして黄色の羽毛。愛らしいといえばそうかもしれない大きな瞳。
退化した翼。細い様で揺るぎない二本の足。
その生物に騎乗するのは、何も着ていない男。一応局部は隠してあるが、それだけ。
そして覆面。その向こうの目は明らかにイッている。
「あらくれ仮面推参! 世のため人のため生かしておけぬ魔王を始末しようぞ!」
ヤバい、南極だ。つーかあらくれ仮面って。
その場に居る誰もが思ったが、とりあえずゾーマ打倒の為に来たことは間違いないようだった。
極めてエレガントではないのであまり関りたくないというのが総論だったが、
そうも言っていられないので、エドガーは簡単に状況を説明する。
とある儀式により、ゾーマの城に移動する事ができたという事。
ゾーマを倒さない限り、何も解決しないという事。
故に、残った参加者に協力を呼びかけた事。
今も、魔王を食い止めるため、アルスたちが戦っているだろう、ということ。
439 :
2/2:04/02/08 22:01 ID:FfBTP1nk
偉そうに腕組みをしてエドガーの説明を聞いていたあらくれ仮面だったが、
アルスの名前を聞いてその態度は一転した。
「なんと、こうはしておれぬ!!」
チョコボは踵を返し、部屋の外へと走っていく。デスピサロがすかさず扉を開放したので蹴破られることだけは免れた。
そして残ったのは立った埃と、チョコボの足跡。それから、
「なあ、エドガー。もしかして俺たち」
「いうな。頼むから」
ほんの少しの後悔だった。
【デスピサロ 所持アイテム:『光の玉』について書かれた本 死神の鎌】
【サマンサ 所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1】
【エドガー 所持武器:エンハンスソード ミスリルシールド ボウガン 天空の鎧(装備不可) スナイパーアイ ブーメラン 首輪×5】
【デッシュ 所持武器:アサシンダガー 加速装置 裁きの杖 首輪×5】
以上、第一行動方針:参加者が訪れるのを待つ
最終行動方針:ゾーマ打倒
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 行動方針:最後まで物見遊山?】
【オルテガ(チョコボ) 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲
ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:アルスを救う
最終行動方針:打倒ゾーマ】
>437
一部更新されていないので修正
現在位置:7番街スラムの駅
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣
第一行動方針:ゾーマの城へ、子供たちを守る
第二行動方針:パパス・ライアンをみつける】
【クーパー 所持武器:珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【王女アニー 所持品:マインゴーシュ
第一行動方針:とんぬらについていく】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ、仲間を捜す?】
【エーコ&モーグリ 所持武器:なし
第一行動方針:ゾーマの城へ】
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:クーパー達と共に行動する
第二行動方針:パパスを捜す
最終行動方針:ゲームを抜け、ゾーマを倒す】
【アーロン 所持武器:折れた鋼の剣
第一行動方針:ゾーマの城へ
第二行動方針:仲間を探す】
【アイラ(ゾンビ・左腕欠損、処置済み) 所持武器:ダイアソード 死者の指輪
行動方針:とんぬらに従う】
441 :
1/4:04/02/09 14:42 ID:pZ9Ve/U8
「なんというか…ストレートに敵が出てきた方が気が楽だったような気がしませんか?」
「出来事が理解の外にあるというのは精神的疲労を招くモノだ」
たったの数分でとても疲れ切った顔になったサマンサの質問に、ピサロは頭を押さえて呻いた。
まあ、アレはハズレだろう。次はまともな人物が現れるに違いない。というか、そう思いたい。とても。
彼らの祈りが通じたからか、次に現れた人物はまともであった。
「よっ…と。リディア、大丈夫?」
「う、うん…」
数分後、再び扉がチカチカと瞬いて、小さな人影が二つ飛び出した。
緑色の髪をした幼い少女と、その手を取ってエスコートする小さな天空の勇者。
「ほう…生きていたか。父親は見つかったか?天空の勇者よ」
「遅れてごめん。でも、お父さんは見つかった…それから、僕の名前はクーパー、だよ」
口の端に笑みを浮かべて天空の勇者を…クーパーを見下ろすピサロ。
クーパーはその威圧感に負けぬように、やはり笑って見せた。
その間にも、背後のゲートからバッツが、アニーとエーコが、とんぬらがアーロンがアイラが姿を現す。
その人数と何気ない身のこなしなどから推測できる実力に、エドガーはほう、と感嘆の声を上げて見せた。
「人数的には十分集まったんじゃないか?」
デッシュは多少手狭になった部屋を見回して嬉しそうな声を上げた。
ゾーマに勝てる…とは言い切れないけれど、少なくとも対等に渡り合うだけのメンツは確保できたはずだ。
442 :
2/4:04/02/09 14:45 ID:pZ9Ve/U8
「それで…」
今の状況は?と言おうとしたとんぬらは、自分の耳元で鳴る奇妙な音に気づいた。
うぃんうぃん…と言う何かが唸るような音。耳元の、少し下辺りで…
「くっ、くびわっ!」
リディアが自分の首を押さえて驚きの声を上げた。音の発信源に気づいたのだ。
全員が首輪に手をやり、驚き、パニックが起こる前を瞬時の静けさがやってきて。
「落ち着け!解呪呪文を唱えろ!」
その静けさに、ピサロが怒鳴り声を滑り込ませた。
叫びかけたアニーがびくりと背筋を震わせる。破裂しそうになった混乱がすうっと波が引くように収まっていく。
バッツとクーパーは反射的に、呪を紡いで唱えた。
「シャナク!」「ディスペル!」
首輪に優しい光が巻き付いて、聞こえていた音が消える。
ほっとするのもつかの間、すぐさま二人は仲間の首輪の解除に取りかかった。
「危ないところだったな。しかしまあ、格好いいところを持っていく…」
ピサロの堂々として危なげのない態度を見て、エドガーはため息を一つ、小さく付いて見せた。
ガストラやケフカと闘っていた頃は自分があの立場にあったはずだが、どうも彼が優秀すぎて自分が格好いいところを見せられない。
ば ん っ !
そんな思考を、ドアを叩く、と言うか砕く強烈な音が断ち切った。
驚きボウガンを構え振り向くと、例の覆面変態がこちらに駆け込んでくるのが見えた。後ろから黄色い鳥…チョコボが追いかけてきている。
「ぬおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
絶叫しながら首もとを押さえて走ってくるパンツ一つの覆面男。エドガーは自分の頭が痛むのを必死でこらえた。何が起こったかは分かるが、しかしこれは…
443 :
3/4:04/02/09 14:46 ID:pZ9Ve/U8
エドガーは助けを求めるようにピサロを見たが、彼はもうこの男に関わらないことに決めたらしい。あさっての方向を向いて頭を押さえている…気持ちは、よく分かるが。
(本当に格好いいところ“だけ”持っていく…)
エドガーは格好悪いところをフォローする覚悟を決めて、言った。
「すまないが二人とも、アレにも解呪魔法を使ってやってくれ…」
【とんぬら(DQ5主人公) 所持品:さざなみの剣
第一行動方針:子供たちを守る、ゾーマを倒す
第二行動方針:パパス・ライアンをみつける】
【クーパー 所持武器:珊瑚の剣 天空の盾 天空の兜
第一行動方針:とんぬらについていく。ゾーマを倒す
第二行動方針:パパスを捜す
【王女アニー 所持品:マインゴーシュ
第一行動方針:とんぬらについていく】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし
第一行動方針:仲間を捜す?】
【エーコ&モーグリ 所持武器:なし
第一行動方針:ゾーマを倒す】
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個 レナのペンダント
第一行動方針:ゾーマを倒す
第二行動方針:パパスを捜す
【アーロン 所持武器:折れた鋼の剣
第一行動方針:ゾーマを倒す
第二行動方針:仲間を探す】
【アイラ(ゾンビ・左腕欠損、処置済み)所持武器:ダイアソード 死者の指輪
行動方針:とんぬらに従う】
444 :
4/4:04/02/09 14:48 ID:pZ9Ve/U8
【デスピサロ 所持アイテム:『光の玉』について書かれた本 死神の鎌】
【サマンサ 所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1】
【エドガー 所持武器:エンハンスソード ミスリルシールド ボウガン 天空の鎧(装備不可) スナイパーアイ ブーメラン 首輪×5】
【デッシュ 所持武器:アサシンダガー 加速装置 裁きの杖 首輪×5】
以上、第一行動方針:参加者が訪れるのを待つ
最終行動方針:ゾーマ打倒
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 行動方針:最後まで物見遊山?】
【オルテガ(チョコボ) 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲
ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:アルスを救う
最終行動方針:打倒ゾーマ】
445 :
1/5:04/02/09 21:31 ID:OzxfW8/j
色々思うところはあったが、とりあえずクーパーとバッツはオルテガの解呪を行う事にした。
その間に、お互いの情報交換を行う。状況説明と、探し人の手掛りが目的である。
と、そうこうしている内にオルテガの解呪が終わったらしい。
「助かったぞ少年たち!諸君等の善行は必ずや報われよう!」
バッツとクーパーの肩をポンポンと叩いてチョコボに乗り込む。
「あ、あの!」
「では、さらばだ!縁があればまた会おう!」
話を聞いてない。まあ関りたくないから別にそれはそれでいいのだが。
引きとめようと伸ばしたクーパーの手は空を切り、オルテガは再び部屋の向こうへと消えていく。
「……いっちゃった」
これまでほとんど遭遇した事のない奇天烈なパーソナルに、クーパーは呆然とする。
「少年って……俺もか?」
童顔に見られるが、一応二十歳のバッツは呆然と呟く。
「ヘンタイだねぇ」
身も蓋もないエーコの感想に一堂頷いた。
とりあえず気を取り直して、
「まあ、とりあえず、アレはほっとく事にしよう。それよりこれからの事だが……」
エドガーの露骨な話題転換にアーロンは頷く。
「外で敵を食い止めている連中への援護と、ここで脱出者を待つ二手に分けるべきだな」
「ああ。アルスたちと別れてだいぶ経つ。そう簡単にやられはしないと思うが」
それでも不安は残る。何しろ相手は魔王だ。
と、その時。
ゲートが瞬き、その向こうからティーダ、エアリス、パパスの三人が現れる。
「ティーダか」
「パパスさん!」「パパスおじさん!」「パパスおじさま!」
アーロン、バッツ、クーパー、アニーが呼びかける。
446 :
2/5:04/02/09 21:33 ID:OzxfW8/j
ティーダは自分の名を呼ぶのが誰か気付いて、その男に詰め寄った。
「アーロン! お前、どこに行ってたんだよ!」
「フッ、相変わらずだな、お前は」
軽くあしらわれて口篭もる。しかし、これがアーロンとの会話だ。
ソレをようやく取り戻せて、何とも不思議な気分になる。
何とも不思議な気分になっていたのは、とんぬらも同じだった。
何かを言わなければいけない。言いたいことは幾らでもあったはずだ。
しかし、それはカタチにならず霧の様に消えていく。
ただ、駆け寄っていった自分の子供たちの頭を撫でる父の姿を見ているだけで、目元が熱くなっていく。
「……父さん」
呟いたのはたった一言。自分を見るクーパー、アニー、そしてパパス。
パパスは妻によく似た、深く静かな瞳の青年を見て、ぽつりと呟いた。
「とんぬら、か?」
「………っ」
ぽたッ、と大きな涙が零れる。それだけは、どうしても止めようがない。
言葉もなく項垂れる息子に、パパスはなんと声をかければよいのかわからない。
それは彼の子供たちも同じだった。
今まで一度たりとも辛そうな表情を見せなかった父が、
何時だって優しく微笑んでいた父が泣いている。
喚くわけでもなく、悲しむわけでもない。ただ、肩を振るわせ泣いている。
その姿だけは、何時までもきっと忘れないだろうと、クーパーとアニーは思った。
447 :
3/5:04/02/09 21:36 ID:OzxfW8/j
その場の空気は唐突にしんみりとして、口を挟みづらい状況になった。
しかし、その再開が当人にとってどれだけ重要でも、今は優先すべき事がある。
こういうときに割り込むのは、人間ではない自分の役割だろうとデスピサロは思う。
「すまないが、感動の再開は後にしてくれ。非常事態なのでな」
「……うむ。とにかく、話は後にしよう。良いな?」
「はい」
頷くとんぬらに、アニーはハンカチを渡す。
とんぬらはアニーの頭をそっと撫でてから、目元を拭った。
彼らが落ち着きを取り戻した事を確認してから、エドガーは先ほどの話を続ける。
「――――それで、続きだが……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「ああ、もう今度は何だ!?」
再度話の腰を折られて、エドガーはデッシュを睨む。
デッシュはそれどころではないといった様子で、オブジェの脇にあるパネルを叩いている。
「動力が急激に低下してるんだ。このままじゃ、止まってしまう!」
「なにっ!?」
見る見るうちに、オブジェに点った光が消えていく。転移ゲートも、霞の様に消失する。
もう幾らパネルを叩こうと反応しない。完全に停止したようだった。
これは全員の脱出を確認したエビルマージが動力源を止めたのが原因なのだが、それを知る者はこの場にいない。
わかることは、ここにいる者と、戦っているアルスたちと、後まあ一名が、最終的な生き残りであることだけだ。
呆然とする一堂に、デスピサロは呼びかける。
「何にしても行動を開始するぞ。
先程の話どおり、ここにいる面々をアルスたちの援護部隊と、殿の部隊に分ける」
「え? あ、ああ。しかし、もうここを守る必要は……」
「向こうから大きな気配が来る。先程の魔王とは別種だが、同等の力を感じる。
下手に背後を付かれれば全滅する。かといってアルスたちを放ってはおけまい?」
エドガーの問いに、何事もないかのようにデスピサロは答える。
448 :
4/5:04/02/09 21:40 ID:OzxfW8/j
全く、本当に美味しいところだけを持っていく…エドガーは溜息を付いた。
「では早速パーティを分けよう。まず、援護には私が向かう。道を知っているからな」
「アルスが戦ってるなら俺も行くッスよ」
「私も」
「では俺も行こう。放っておいたらまた泣き出すからな」
「誰が泣くか!」
ティーダとエアリス、そしてアーロンが名乗りをあげる。
「ライアンさんがいるのか……」
「お前は残れ。息子に用があるのでな。お前が行っては子供の勇者も気が気でないだろう」
子供扱いされムっとするクーパーを軽く宥めながら、仕方ないと肩を竦める。
そんな親子にバッツは遠い日の自分の姿を重ねながら言った。
「なら俺が二人の代わりに行く。それでいいか?」
こうしてパーティ分けが決まり、別れる前に三人の首輪の解呪と武器の配分を行って準備を整える。
「なあアーロン。この剣ってあの壁の化け物のときにボロボロにしたヤツ?」
「ああ、無いよりはマシだととっておいた」
「ふむ、ならばこの剣を使ってはどうかね。重いが、そなたなら使えるだろう」
アーロンはパパスからバスターソードを譲り受け、
「お嬢さん、君の弟さんが着ているあの兜と盾だが」
「天空の兜と、天空の盾のこと?」
「実は同じような意匠の鎧を持っていてね。何か関連があると思う」
「……天空の鎧! これ、貰っていいの?」
「勿論。私には使えないようだしね、お役に立てれば光栄の極みさ」
「これ、クーパーの大切なものなの。捨てないでくれてありがとう」
「どういたしまして、レディ」
クーパーは(アニー経由で)エドガーから天空の鎧を譲り受けた。
449 :
5/5:04/02/09 21:42 ID:OzxfW8/j
こうして準備を整えたエドガー、ティーダ、エアリス、アーロン、バッツの五人はアルスたちの援護に向かい、残りはこの場で別の魔王を迎え撃つことにしたのだった。
【オルテガ(チョコボ) 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲
ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:アルスを救う
最終行動方針:打倒ゾーマ】
【エドガー 所持武器:エンハンスソード ミスリルシールド ボウガン スナイパーアイ ブーメラン 首輪×5】
【エアリス 所持品:エドガーのメモ マジャスティスのメモ 癒しの杖 妖精のロッド 月の扇】
【ティーダ 所持品:吹雪の剣 いかづちの杖 参加者リスト ロトの剣 小型のミスリルシールド マテリア(かいふく) 真実のオーブ】
【アーロン 所持武器:バスターソード 折れた鋼の剣】
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個 レナのペンダント】
以上、第一行動方針:アルスたちの援護に向かう
最終行動方針:ゾーマ打倒
【デスピサロ 所持アイテム:『光の玉』について書かれた本 死神の鎌】
【サマンサ 所持アイテム:勲章(重装備可能)星降る腕輪 手榴弾×1】
【デッシュ 所持武器:アサシンダガー 加速装置 裁きの杖 首輪×5】
【とんぬら 所持品:さざなみの剣】
【クーパー 所持武器:珊瑚の剣 天空の鎧 天空の盾 天空の兜】
【アニー 所持品:マインゴーシュ】
【リディア(魔法使用不可) 所持品:なし】
【エーコ&モーグリ 所持武器:なし】
【アイラ(ゾンビ・左腕欠損、処置済み)所持武器:ダイアソード 死者の指輪】
【パパス 所持品:アイスブランド イオの書 妖剣かまいたち ドラゴンテイル 食料多】
以上、第一行動方針:別の魔王を迎え撃つ
最終行動方針:ゾーマ打倒
【ゼニス 所持武器:アンブレラ 羽帽子? 行動方針:最後まで物見遊山?】
>>696 436 2/3 04/02/07 21:06 ID:p2OsQdUO
(略)
状況と、片腕になってしまった自分の体調、ゾンビ化している自分の行動。
それらを知ったアイラはゾンビ状態になってとんぬらに従うべきだと判断した。
だそうです
誤爆スマソ
452 :
1/4:04/02/11 01:03 ID:F81fQ+cP
「グッ……!」
比喩抜きで吹き飛ぶ。地面に叩き付けられ、一転二転。三転目で足を踏ん張って、転倒だけは免れた。
手早く自身の確認をする。全身の至る所に打ち身と裂傷。四肢はイカれていない。
握力は剣を握る分には不足ない。疲労は有るだろうが精神が磨耗してあまり感じない。
つまり、状態はあまりよくないが、戦闘続行には支障ない。
敵の様子を見る。異形の骸骨がそこにある。
最初の数分で身に纏っていた腐肉は飛ばしたが、アレはもうモノでしかなかったらしい。
骸骨はおぞましい程の力、ただそれだけを持って自分たちを打ちのめそうとしてくる。
技も術もない。だが純粋な力さえあれば、そんなもの関係ないのだ。
圧倒的な速度と破壊力をもって、防御を無視して全てを薙ぎ倒す。
それが魔王と呼ばれる存在の在りかただ。
血の滲んだ柄を握りなおし、アルスは後方を見た。
バラモスゾンビが力押しのみだと気付いてから、ティナとバーバラは後方支援、
自分とライアンは全面で押し返す、というフォーメーションを取っている。
それは今のところ上手くいっているが、二人とも戦闘開始から魔法を連発している。
何時魔力が切れてもおかしくない。だから、早々に決着をつけなくてはいけない。
だが――――
天空の剣を構えて打ち込む。閃光のような一撃は、バラモスゾンビの腕に阻まれる。
通らない。剣を返し、別の角度から二回、三回。
そのいずれもが、並みの魔物なら致命傷である。ソレを、
「こざかしいっ!」
「ッ!」
片腕で止められ、返す腕がアルスの胴を薙ぎ払う。
ギリギリ剣の背で受け止めるが、あっさり押し切られて体が浮いた。
453 :
2/4:04/02/11 01:06 ID:F81fQ+cP
「アルス殿!」
ライアンが大地のハンマーを振るいバラモスゾンビの肩口を殴りつけるが、それも決定的な一打にならない。
アルスにかけようとした追撃の拳を返し、ライアンに放つ。
ドム、と鈍い音が鳴ってライアンの体が宙に浮き、数メートル飛んで地面に叩き付けられる。
「アルス君、離れて!」
瞬間、ティナが放ったファイガの炎がバラモスゾンビを包み込んだ。
バーバラは蹲ってうめくライアンに駆け寄り、回復魔法を唱える。
「う……く。すまないでござる」
「黙って、舌噛むよ!」
自ら後方に飛び退いて威力を軽減させたが、それでもダメージは大きい。
まともに受けていたら胴体を突き抜かれていただろう。
と、その時。バラモスゾンビを包み込む炎から、何かが飛び出した。
バーバラがそれはバラモスゾンビの頭部であり、
牙を向いて自分に襲い掛かってきたということに気付いたときには、
決定的に間に合わない状態になっていた。
しまった、と思う間もない。圧倒的な暴力を前に目を瞑る暇さえない。
次の瞬間、彼女が見たのは、空を切ったアルスの剣と、彼の脇腹を切り裂いたバラモスゾンビの牙だった。
鮮血が飛び散る。アルスは受身も取れず床に崩れ落ち、頭部は火炎の中へと戻っていく。
バラモスゾンビが炎の中から出てくる。クチャ、クチャリと何かを咀嚼しながら。
「しゅうちゅうがとぎれたなゆうしゃ。おまえのにくはうまいぞ」
それが何か気付いて、ティナとバーバラは表情を青くする。
顔も表情もない、骸骨だけのバラモスゾンビが、厭らしい笑みを浮かべた気がした。
「………ッ」
アルスは立ち上がろうとする。
全身から脂汗が流れ、抉られた脇腹からポンプの水のように血が吹き出る。
足が震える。平衡感覚が上手く働いていない。痛恨の一撃を貰ってしまった……
それでも、彼は剣を杖代わりにして立ち上がった。
戦わなくてはいけない。それでも、戦わなくてはいけないのだから。
454 :
3/4:04/02/11 01:11 ID:F81fQ+cP
血に染まった脇腹に手を当て、回復魔法を唱える。
マジャスティスのために魔法は温存したかったが、もう形振り構っていられない。
そんなアルスに、トドメとばかりにバラモスゾンビは暴風をまとって突進する。
援護は、間に合わない……アルスは繰り出される絶望的な力の塊を睨みつける。
ギリギリのところを見切って、会心の一撃にかける。それしかない……!
アルスとバラモスの因縁の対決。
それは今、決着がつこうとしていた――――
――――のだが。
意外と言えば意外な、あんまりと言えばあんまりなカタチで割り込まれた。
ガギン!
アルスとバラモスゾンビの合間に一本の剣が突き刺さる。
間合いを崩されたバラモスゾンビは一旦仕切りなおすべく後退し、
アルス、ライアン、ティナ、バーバラは剣が飛んできた方を見て……呆気を取られた。
「ぬ、なにやつ!」
必殺の機会に水を刺されて、バラモスゾンビは殺意を込めて怒鳴る。
ソレは……笑ったようだった。いや、あんまりわからないけれど。何しろ覆面だから。
ついでに言うと覆面とビキニパンツ以外何も着ていなくて、
何故かチョコボの上に立って腕組みをしている。
455 :
4/4:04/02/11 01:13 ID:F81fQ+cP
「悪党に名乗る名前などないが、誰だと聞かれて答えぬわけにはいかんな」
どっちだよ。
まあ、存在自体が意味不明の塊なのでどうでもいいことだが。
「この世に悪がはびこる限り、どこかで誰かが泣いている。
世界の庶民に成り代わり、正義の剣が悪を断つ!――――とうっ!」
ソレはチョコボの上から跳んで床に突き刺さったグレートソードの側に着地。
剣を抜き、ブゥン、と大きく振るう。
「――――人呼んであらくれ仮面! 見・参!!」
「なにぃ、あらくれかめんだとぉ? こしゃくな!」
「………えっと」
何と言えばよいのかはわからないが、
とりあえず今のうちに応急処置をしておこうとアルスは思った。
【アルス(マジャスティス習得・消耗・負傷) 所持武器:対人レミラーマの杖 天空の剣 黄金の腕輪】
【ライアン(消耗) 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
【ティナ(消耗) 所持武器:プラチナソード チキンナイフ】
【バーバラ(消耗) 所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・メイジマッシャー・ミスリルナイフ】
以上、第一行動方針:バラモスゾンビを倒す
最終行動方針:打倒ゾーマ
【オルテガ(チョコボ) 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲
ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:アルスを救う・バラモスゾンビを倒す
最終行動方針:打倒ゾーマ】
456 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:04/02/11 04:28 ID:n5tK9HkH
457 :
1/4:04/02/12 22:49 ID:mMTlAGk1
「ふふふくくくくくははは…」
その男の喉から漏れる不気味は含み笑いは、機械の動作音によってあっさりとかき消された。
緑色のローブを頭からすっぽりとかぶった男、エビルマージは血走った目をぎょろりと回して、培養槽のリュックを見た。
ローブの下に常軌を逸した笑みを浮かべ、彼は培養槽の下のパネルに手を伸ばした。
カタカタカタとパネルを叩く音が響き始め、機械動作音が、今度はそれと不気味な和音を奏でだした。
やった、勝てる。俺はゾーマに勝てるぞ…!
愚かな参加者共は全員脱出し、仮想世界との連絡ゲートは閉じられた。
その事での叱責…否、制裁が来ることも危惧していたが、どうやらその余裕もないらしい。
何から何まで都合がいい。参加者とゾーマはどちらかが全滅するまで闘うだろうし、それに…
それだけの時間があれば、究極の生命体はこの世に具現化する。
すでに、見当は付いている。
この女は究極生物の欠片を扱いこなし、しかしその究極生物は培養槽の肥やしに過ぎない状況にある。
その違いは一つ。黄金の腕輪。進化の秘宝。それを使ったか、否か。
その情報さえ得られれば、その理論さえ解明できれば、究極生物は完成し、この俺は大魔王に、ゾーマなど問題にならぬような大魔王になれるハズだ。
その理論を解明する鍵が、この女だ。
この女はしばらく秘宝を身につけていた。だが、身につけても効果を知らぬ事には扱えるはずもない。
効果を何処で知ったか…恐らくは腕輪から引き出したのだろうが、そんなことはどうでもいい。
問題は、それをこの女がまだ“覚えている”と言うことだ。
この女はまだ進化を続けている。エネルギーの再利用、変換両方の効率が異常に引き上げられ、欠点を補い長所を伸ばし続けている。
腕輪がないのに進化が続いている。どこかに進化を促進するモノ、進化の秘宝の情報がどこかに保管されているのだ。
俺はパネルを操り、女の体の中…物理的なモノではない、精神的な深淵にアクセスした。
458 :
2/4:04/02/12 22:51 ID:mMTlAGk1
普通に考えれば、その情報が眠っているのは脳だろう。だが、デリケートなソレをいじって壊してしまってはつまらない。
俺は女の中の魂にクラックをかけた。
魂とは、死後もその存在を維持し続けられることからも分かるように、肉の塊の脳髄よりずっと頑丈だ。
そして、生まれ変わりなどの事例を見ても分かるように、魂は個人の情報をより未来へ確実に届けることが出来るのだ。
女の魂は、ぐちゃぐちゃに乱れて、解析しても無意味な文字の羅列にしか過ぎない。
これは別種の生物になってしまい、それ故に人だったときの理論的な思考が消えてしまったためだ。
だが、この魂を修復し、そこから情報を取り出すことは簡単である。
俺は自分が歓喜のあまり汗だくになっていることを自覚しながらその作業を開始した。
私は、もう何もない。
何もないと言うことを考えるだけの余裕はあるようだが、それだけ。
どれだけ前からこうしているのだろう?もう分からない。五感はすでに消失している…
かちり
と、突然なにかが繋がる音がした。一体、何?
それはすぐに知れた。ガラスの外の鉄の部屋、ボコボコと言う気泡の音、臭いも味もない水の感覚。
全く全然なんの前触れもなく、私は全ての感覚を取り戻した。
かちり、かちりかちりかちりかちりかちり!
繋がる音が連続して聞こえてくる。それと一緒に、今度は記憶が溢れ出す。
アーロン、ティーダ、ユウナ、ルールー、ワッカ、ゲーム、ゾーマ、進化…
次々いろんな事が溢れ出してきて、最後のかちっと言う音が聞こえた瞬間、
私はさっぱりすっきり、これからどうするべきかと言うことまで一切合切を自分の手に取り戻したのだった。
459 :
3/4:04/02/12 22:53 ID:mMTlAGk1
俺は一瞬意識を失うのを自覚しながらへたり込んだ。
やった。目の前の画面に、進化の秘密の全てが文字情報となって示されている。
ははっ、はははははくはははははあははははははははははははははあはあははははあはははははっ!!
全身をどんな女を抱いたときよりも激しい快感が突き抜ける。涎と汗と涙とが、止めようとしても止まらない。
この女の魂の修復は完了、情報は全て俺のモノだ!ざまあみろゾーマ!俺の勝ちだ!俺の勝利だ!
「俺は大魔王だぁっ!」
これ以上ないほど快楽に溶けた顔でおれはさけんだ。そしte…?
そして、エビルマージは仰向けに倒れ伏した。倒れたとたんばくっ、と言う音がして身体が真っ二つになる。
真っ二つ。登頂から股間まで、最初から別々のモノだったかと錯覚するほどに綺麗に。
直後には、培養槽がはぜ割れて、中から怪物ではない人間の女が、リュックが飛び出した。
培養液で濡れた金色の髪を撫でつけて、皮膚が変じたいつもの服を軽く叩き水気を取る。
彼女の放った真空波で真っ二つになったエビルマージを腹立ち紛れに蹴りつけた。
エビルマージのミスは、欲しい情報を見つけるためにリュックの魂…こころを修復してしまったことだ。
魂が修復され、意思を取り戻したリュックは、機械を通してしかソレを認識できないエビルマージよりも確実に、それを理解したのだ。
リュックは一カ所ずつ確かめるように、体を動かす。
身体と魂とを完璧な状態にしたエビルマージのおかげで、今のリュックは完璧に進化を制御できる。
もっとも、究極生物を法則ごと飲み込んでしまったリュックは、すでにリュックではなく、生物とリュックが混じり合って生まれた新生物だ。
だが、彼女は自分がリュックであると確信しているし、リュックと呼んでも差し支えはあるまい。
460 :
4/4:04/02/12 22:55 ID:mMTlAGk1
リュックは傍らの大きな培養槽の、その中にある究極生物の姿を見上げた。
同じ細胞を持ったソレに、リュックは進化した力を持って干渉する。
同じ細胞だからこそ干渉することが出来、そして干渉の結果はシンプルだ。
アポトーシスを命じられた究極生物は、己より進化した存在にひれ伏し、彼女の意思通りに己を殺した。
培養槽の中でぐずぐずと溶けていく究極生物に興味を失い、リュックは部屋の外に飛び出した。
「ティーダ、アーロン、みんな…私が助けるからね!」
リュックか力強く叫ぶ。
みんなを助ける、自分になら出来る。だから、そのために!
彼女はゾーマを探して疾駆した。
【リュック(進化完全制御):所持武器:なし
現在位置:エビマジの研究室から外へ
行動方針:ゾーマを倒し、仲間を救う】
【エビルマージ 死亡】
保守
保守
463 :
1/3:04/02/15 20:17 ID:jgpOmFxX
ふんっ!ふんふんふんふんふんふんふんふんふんふんっ!」
「ぬっ、ぬおおっ?おおおおおおおおっ!」
2種類の奇妙な雄叫びが、ゾーマの城に響き渡る。
雄叫びを上げている片方…あらくれ仮面の鋭い一閃を、もう片方が、バラモスゾンビが受け止めた。
鋭く冷たい輝きのグレートソードを骨だけの掌で受け止めて、逆の手であらくれ仮面の顔面を狙う。
あらくれ仮面はグレートソードから片手を離し、手首の部分を鷲掴みにする。
そこで動きは止まり、力と力の拮抗に、みしみしと鈍い音が響く。
「ぬ、き、きさまは?」
バラモスゾンビは間近に迫ったあらくれ仮面の両の目を見て、それが誰であるかに気づいた。
アルスよりも早く、たった一人でゾーマの城にたどり着いた…そう、名前は
「お、おる…」
「シィィィィッ!そこでストップっ!」
出てきかけた名前を、あらくれ仮面が押しとどめる。
「その話は後でゆっくりと、だ。ここでは不味い。かなり不味い。マジ不味い」
覆面下の表情が容易に推察できるほど必死になって、あらくれ仮面が言う。
何となく断りづらく、バラモスゾンビはこくこく頷いた。
「なんというか…たいへんだな」
「…ほおっておいてくれ」
一瞬疲れた視線が絡み合い、その直後にはお互いが弾かれたように間合いを取っていた。
「凄く…強いわね、あの人」
「…うん、ちょっと信じられないくらいね」
あらくれ仮面VSバラモスゾンビの様子を見ながら、ティナとアルスは呆然と呟いた。
いきなりアレが出てきた時はさすがに色々な事を…死まで含めて…一瞬覚悟したが。
まさか自分たち四人が束になってかかっても苦戦するような相手と互角に渡り合っているとは、にわかに信じがたい。
しかもあのあらくれ仮面の動き、誰かに似ているような…。
464 :
2/3:04/02/15 20:18 ID:jgpOmFxX
(いや、こうしてる場合じゃないんだ)
アルスはぼおっとしてしまっていた自分に渇を入れ、天空の剣を手に取った。
「二人を…頼む!」
傍らのティナにバーバラとライアンを頼み、立ち上がる。
脇腹の傷は治癒しきっていない、というかほとんど治っていないが、このまま座っているわけにも行かない。
そして剣を構えようとして、そして、愕然とした。
(重い…?!っ)
さっきまで羽根のように軽かった天空の剣が、ずっしりと鉛のように重い。
傷のせいで。とも思うが、違う。物理的に、剣が重たくなっている。
『資格がある者なら、自ら私の所へ来るはずだ。お前は私を持っていればよい』
(まさか、そう言う事か!?)
以前、一度だけ口を利いた天空の剣の言葉を思い出す。
資格がある者がいるなら、剣はその人の者。その瞬間剣は自分の物ではなくなり…。
「くそっ!」
思わず毒づいて、無理矢理剣を構える。だが、すでに視界の中に2人は居なかった。
遠くに剣戟の音が聞こえる。あの2人は戦っている内に、かなり遠くまで行ってしまったらしい。
「バラモスっ…!」
アルスは音のする方に走っていこうとするが、脚をもつれさせてあっさり転ぶ。
出血が脚にまで来ているのか、と思いながら、アルスは顔面を地面に埋める覚悟を決めた。
「アルス君ッ!前!」
ティナの声が聞こえる。慌てたような声で…え?前?
どん、と、衝撃と共にアルスの身体が止まる。
自分の胸を支える腕の感触。それを掴んで身体を起こすと…
「ティーダ!」
「へへへ…久しぶりッスね」
恥ずかしげに頬を掻くティーダが、そこにいた。他にも知った顔が、何人か。
465 :
3/3:04/02/15 20:20 ID:jgpOmFxX
【オルテガ 所持武器:危ない水着 グレートソード 覆面 壊れた水鉄砲 ビーナスゴスペル&マテリア(回復)天罰の杖
第一行動方針:バラモスゾンビを倒す
最終行動方針:打倒ゾーマ】
【アルス(マジャスティス習得・消耗・負傷) 所持武器:対人レミラーマの杖 天空の剣 黄金の腕輪】
【ライアン(消耗) 所持武器:大地のハンマー エドガーのメモ(写し)】
【ティナ(消耗) 所持武器:プラチナソード チキンナイフ】
【バーバラ(消耗) 所持武器:果物ナイフ・ホイミンの核・メイジマッシャー・ミスリルナイフ】
【エドガー 所持武器:エンハンスソード ミスリルシールド ボウガン スナイパーアイ ブーメラン 首輪×5】
【エアリス 所持品:エドガーのメモ マジャスティスのメモ 癒しの杖 妖精のロッド 月の扇】
【ティーダ 所持品:吹雪の剣 いかづちの杖 参加者リスト ロトの剣 小型のミスリルシールド マテリア(かいふく) 真実のオーブ】
【アーロン 所持武器:バスターソード 折れた鋼の剣】
【バッツ(魔法剣士 白魔法)/ 所持武器:ブレイブブレイド、グレネード五個 レナのペンダント】
以上、第一行動方針:バラモスゾンビを倒す
最終行動方針:打倒ゾーマ
(オルテガのチョコボは此方にいます)
ご指摘を受けましたので
>>464の
>さっきまで羽根のように軽かった天空の剣が、ずっしりと鉛のように重い。
を
ついさっきまでは普通に振り回せていたはずの天空の剣が〜
に修正します。スマソ
感想スレ417氏に感謝。
ほ
氏
ゅ
保守
捕手
catcher
ぴっちゃぁ
せんたぁ
ばっくすくりーん
さくごえ
ぽーるちょくげき
なにこの流れ…('A`)
しんぱんぶちぎれ
だいらんとう