(前話は
>>493-494です)
「……ありゃ?」
リルムの言ったとおり、この時エドガーは明らかに油断していた。それは彼女
自身の能力を侮っていたのではなく、一国を担う王としての理想論――魔物や
他国に脅かされることのない平和な世という――が決定的な敗因となった。
「……ご、ごめん」
一方リルムとしては、まさかエドガーにこれ程のダメージを与えるとは夢にも
思っておらず、この状況に困惑の表情を浮かべていた。
「とにかくエドガーを中へ!」
回復をさせようにも道具と魔法の揃わない甲板では始まらない。気絶している
エドガーの両脇を、セリスとロックが抱えて歩きだす。
リルムは床に転がったロッドを拾うこともせず、ただ呆然とその光景を眺めて
いたのだった。