153 :
保管庫:
モニカは平静を取り戻した湖面を、アーロンが落ちていったソコを、
未だに見つめ続けていた。
その瞳には深い絶望と、さらにその奥には激しい憎しみの炎が燃えていた。
彼女の目は既に湖面を見てはいなかった。
体が動かないアーロンを見捨てた男と、激しく荒れ狂う湖面の映像だけが
何度も何度も繰り返されていた。
「モニカ殿!!」
不意にかけられた、とても耳慣れた声にモニカは声の方を振り向いた。
そこには、祠の所で離ればなれになった二人と、青い服を着た青年が立っていた。
「よかった…。モニカ殿は無事だったんでござるな」
メルビンは崖の傍で座り込んでいるモニカの姿を見て安堵の溜息をついた。
「向こうの島から光が見えたんで、様子を見に来たんでござるよ」
「………」
「…? モニカ殿、どうしたんでござるか?」
明らかに様子のおかしいモニカをメルビンは心配そうに覗き込んだ。
「…どうして。…どうしてメルビンさん達はこんな所にいるんですか!!」
激しい怒りのこもったモニカの言葉に、メルビンは何が起こったのか薄々感づいた。
「どうして、ここにいるんですか? どうして祠の所にいなかったんですか?
外で戦いが始まって、皆さんの声が聞こえなくて、とても心配で、
祠から出たらアーロンさんが倒れてて、体が冷たくなってて、
地震が起きて、メチャクチャになって、アーロンさんが湖に落ちて、
いろいろあって、それなのにどうして…。なんでこんな所にいるんですか!!!」
今、彼女の怒りの矛先は全てメルビンに向けられていた。
自分が、アーロンが祠で沢山酷い目に遭っていたのに、
彼が安全な所で油を売っていた事がとても腹が立つのだろう。
「どうして…、どうして……!!!」
モニカは涙を流しながら、メルビンの胸を叩き続けた。
ガウとロックには、二人を遠巻きに眺めている事しかできなかった
154 :
保管庫:03/04/27 01:36 ID:F3WkoB9w
「…そうだったんですか。それでこの島に」
「うむ、うかつでござった。あんな罠に引っ掛かってしまうとは…」
泣き疲れて落ち着いたモニカに、メルビンはこの島に来た経緯を説明した。
「それで、こちらの方は?」
モニカはガウと一緒にいる青いバンダナの男を見た。
「ああ、俺はロック。まあ、こいつの保護者みたいなもんだ」
そう言って、ロックはガウの首に腕を回し、頭をワシワシと掻き回した。
ガウはその戒めから容易に抜け出し、お返しとばかりにロックの頭を掻き回した。
「そうですか、ガウ君の…」
「…モニカ殿。ワシらがあの島を離れた後、
あの島で何が起こったのか説明して欲しいでござる」
「…ごめんなさい。まだ整理がつかなくて……」
落ち着いたように見えたが、まだ少し早かったようだ。
無理もない。綺麗だった対岸の島は、とてつもなく凶悪な力で無残にも引き裂かれて
いたのだ。どんな事が起きたのかは押して知るべし、である。
「メルビンさん、先にあの銀髪の男の事を話しておかないか?
たぶん、これからどうするにしても重要になることだろうから」
「うむ。橋は落としておいたでござるから、アヤツは追って来れないだろうでござるしな」
二人は暗い表情をして頷きあった。
モニカには彼らがどんな目に遭ってきたのかわからなかったが、
おそらく彼等がどうしようもない程の敵に遭遇したのだという事は想像できた。
このゲームの、おそらく最強の殺人鬼に。
155 :
保管庫:03/04/27 01:37 ID:F3WkoB9w
【メルビン/ガウ 所持武器: 虎殺しの槍 /なし 現在位置:祠南の島
第一行動方針:状況説明
第二行動方針:仲間を探す
第三行動方針:ホフマンの仇をうつ】
【モニカ:所持武器:エドガーのメモ(ボロ) 現在位置:祠の南の島
第一行動方針:心の整理
第二行動方針:仲間を探す】
【ロック 所持武器:吹雪の剣 現在位置:祠南の島
第一行動方針:状況説明
第二行動方針:エリアを探す】
祠南の島と台地を結ぶ橋は落とされました。