141 :
保管庫:
自分の背後の物音にセリスは思わず振り返る、とそこには何故か巨大な樽が落ちていた。
不思議そうに空を見上げるセリスだったが、さらにそれだけではなく、
引き続き幾つか鍋や、農具、さらにはチーズの塊までも空から落ちてきたのである。
「何なのかしら?」
いきなりの不可思議な現象に首をかしげながらも、セリスはチーズの塊だけを拾うと
ゆっくり先へ進む、何者かに後をつけられているような気がしたので、
そのまま西へは向かわずにとりあえず東に戻ったのだ。
おそらくはこの森を抜ければ崖の上から見えた、湖のほとりに出るはず、湖に出たらとりあえず
チーズでも食べよう、そういえば何も食べていないし。
しかし歩く事で不安は幾分まぎれたが、人恋しさは忘れられない、さらにチーズを見て空腹感まで涌いてきた。
自分の肩を抱くような仕草をすると、また再びセリスは歩き出す。
(寂しいのならあの時後をつけてきた人に声でもかければよかったのに…
記憶は無くしても命は惜しいのかしら)
そう皮肉気に心の中で呟きながらも先を急ぐ。
やがて彼女の目の前にきらきらと光る湖面が現れ、
そして夕暮れの光がこれまで暗い森の中をさまよっていたセリスの身体を包む。
が、セリスは森の出口から1歩も動こうとはしない。
決して夕日に見とれているわけではない、そう、彼女の目の前の岩場に、
1人の巨漢がひっかかるような形で打ち上げられていたのだ。
142 :
保管庫:03/04/25 01:51 ID:qemotjKs
セリスはこの予想外の展開にすこし慌てながらも男に駆け寄り、その首筋に手を当て、脈の有無を確認する。
どうやら意識は無いが脈はある、少なくともまだ生きているようだ。
しかしセリスはそれ以上は動こうとはせず、考え込んだままだ。
歩きながらも思い出した事が幾つかある…その中の1つに、ここが戦場だという認識も含まれていた。
生きて帰れるのは1人、という声がおぼろげながらもセリスの脳裏に響く…。
ならば彼も敵、なのだろうか?
じっと立ちすくんだままのセリスの足元でぴくりとも動かないアーロン、
その生命はまさに風前の灯であった。
【セリス:記憶喪失 所持武器:ロトの剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
行動方針:不明】
(思い出したのはスタート時の説明の一部です)
【アーロン(怪我・半冷凍)所持武器:折れた鋼の剣 現在位置:大陸北東の祠の湖のほとり
第一行動方針:?
第二行動方針:仲間を探す】
(巨大な樽等は祠の離れにあった物です)