FFカップルのエロ小説が読みたい

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405【大火流る】(1)
 疾駆する銃身。引き金を引く、紅の狙撃手。
それは、一撃で禽獣を消し去る、最強の拳銃。
鍛え込まれた銃砲が、華奢な狙撃手の手に馴染む。
ヴィンセントの、贖罪と魂を取り込んで。

「ム−バーキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!」
「長居し過ぎて、アレが金と経験値に見えてきましたわ…(;´Д`)」
「あああああ!ヴィンセント!リボンに変化させんだから
 マスタートンベリ、一撃で倒さないでよぅ。・゚・(ノД`)・゚・。」
「ああ…すまない」
最後の戦いに向け、武器を、魔晄の結晶を鍛えるメンバー達。
 そこは大空洞の、異境。
湧き水が仄かな光をたたえ、緩やかに流れる。
曲線を描く象牙色の鍾乳石。
無垢な水滴が、濾過され、星の命と溶け合う所。
おぞましき最終決戦の地にあって、その場所は、何故か優しい。

「ぷっはー!やーっぱLv上げ後のビールは旨いねぇ!」
「おう!Σ(゚Д゚|||)…っておいおい!ユフィ、お前さんにゃまだ早ぇぞ!」
「へへっ。嘘だよん。ジンジャーエールさ!」
コスモキャニオンのパブ、スカーレット。
上質なカクテルと、賑やかな声。
「────どうだ?マスターマテリアは、完成したのか?」
「ああ、出来た。全員分には程遠いが、そろそろアイツに逢いに行こう。
 大空洞で、独り待ってる、セフィロスに」
「……最後の戦いか」
「男二人でなに話してんの?」
不意に割り込んで来たユフィに、クラウドが振り向く。
「驚いたな…俺はそろそろ休むよ。又明日宜しく」
406【大火流る】(2):03/05/13 00:23 ID:6IvvMbui
 扉の向うに。グレートウォールもかくやと思わせる、濃厚な天満星。
ふと、バレットが口を開いた。
「昔ココで、アバランチが産声を上げた。
 アバランチ創始者も、この星を見たんだろうか?」
「私は、きっと見たと思う。……星を守ろうとするこの地だからこそ
 組織が産まれ、有志が集まったのだろう」
熱い風が、パブの外で唸った。
「こんな夜は。無い筈の腕が痛む」
「…幻肢痛か」
「バレット、かわいそ…(´・ω・`)」
しょんぼりとしたユフィの背中を、バレットが軽く叩く。
ファントムペイン。失われた、幻の肉体の感覚。
「だがよ、悪い事ばっかじゃねぇ。この感覚が有るからこそ、
 銃が自分の手みてぇに思える。此処に手が有る、そう感じるんだ」

────私のこの體は。
何処迄が人で、何処からが人ならぬ身なのか…。

「ヴィンセント?」
ユフィに覗き込まれ、ヴィンセントが素に戻った。
「…バレットの様に思うのが、きっと良い。
 私は今も────再手術の夢を見る。麻酔は、無かった」
「酷え…!」
バレットの顔色が、激昂によって濃くなる。
「あのね。ウータイは戦場だったから、大怪我した仲間は一杯いるんだ。
 一番酷いのは…それは、いいや。又今度!
 痛かったら摩るよ、バレット。そんなんじゃ駄目かもしれないけど」
月の無い夜に。パブのざわめきが風に乗る。
407【大火流る】(3):03/05/13 00:25 ID:6IvvMbui
 ユフィの頬は紅潮している。
瑞々しい肢体が、よろよろと倒れ込む。
「えへへ〜!ねぇねぇヴィンセント、おんぶ!」
「飲んでいたのは、ジンジャエールでは無かったようだな…」
背負わぬ迄も肩を貸し、パブの目前にある宿に運ぶ。
最早バレットは高鼾だ。
「やー!熱いの!外ぉ!」
ひゆるりら〜と云う風を背負い、ついでに大虎と化したユフィも背負って
二人はパブの外へ出た。

 荒野の岩に冷やされた風。無数の風車が旋回し
コスモキャニオンの家々から、灯が零れている。
透明な小瓶を、ユフィに渡す。澄んだ水が、軽い音を立てた。
「…飲みなさい。早く酔いが醒めるだろう」
 
 大きな黒い瞳が、背の高いヴィンセントを見上げる。
「あのね。ウータイにこんな噂があるんだ。
 世界に出現する人形モンスターは、元ウータイ人捕虜だって」
「────!…それは」
「ゴメン。ヴィンセントにも、真相はわかんないよね。でもさ、
 アタシの家族は、死んだ後、神羅本社に居たんだ。
 何千枚もの切片になって…」
ユフィの声が詰まった。
ヴィンセントが、ユフィの肩を抱く。
「ゴメン、こんな…ゴメンね。でも、でもあれ、
 アタシのお母さんなのに…!」
ユフィの小さな肩が、ヴィンセントの腕の中で嗚咽する。
「……戦いが終わったら。フェニックスを持って行こう。
 甦る事を祈って」
408【大火流る】(4):03/05/13 00:27 ID:6IvvMbui
 突如、頬に軽い口付けの音がした。
「え?」
「…ありがと、ヴィンセント!
 元気出たよ!
 これでクラウドに続いてチュ−二人目!」
オロオロするヴィンセント(57)を置いて、
忍者娘は、足取りも軽やかに宿に向かう。
くるりと振り返り、破顔一笑。
「────ルクレッツイアさんと、幸せになれよ!」
「………………ハイ」

 完敗です。
何に勝ったり負けたりしたのか、さっぱり分りませんが。
勝った筈の、忍者娘ちゃんが叫びますた。
「マスター!初恋に破れたアタシにお茶気で一杯!」
「ハイハイお茶ですね。って飲み過ぎですよ、お客さん」

 蠍座の心臓、アンタレス。
軍神アレスに対抗する緋色の星。

 荒野の空の元に、漆黒の髪の狙撃手が独り、残される。
「この様なあさましき身であっても
 願わずには居られない…皆が、生きて帰る事を」
彼の流麗な紅い眼が、暗黒の星海を見据え、発砲する。
その標的として天に燃ゆるは────
蠍の心臓であり、龍の心臓でもある、心宿。   END