FFDQバトルロワイヤル PART4

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えっちらおっちらとジタンはイスを持って執務室の前に立つ。
いくらなんでも数回に分けて運ばなければ、とても人数分を揃える事は出来ない。
面倒くさい作業だったが、それでも余計なことを考えずに済むだけでもマシというものだろう。
ともかくジタンはイスを設置して、また会議室にとって返そうとしたのだが……。
ズルリ。

背もたれを持つ手に妙な感触を残してイスが廊下を滑る、いぶかしげにジタンが床を見る、そこには。
「これは…血?」
いかにマヌーサで偽装していても、扉の隙間から溢れ出す赤いものまでごまかすことはできない。
くんくんと鼻を鳴らすとやはりかすかだが血の匂いが漂ってくる。
この部屋にいたのは……マゴットとそしてあのセーラとかいう女の子だ。
「何があったんだ……」
首をかしげたその時、不意にジタンの脳裏にフライヤの言葉が甦る。
(心正しく生きるのじゃぞ)

(そうだ、俺はおっさんのことを無条件に信じすぎていたのかもしれない)
説明を求めた儀式の件のみならず、万事において秘密主義的なハーゴンの行動は恩人と言う事もあって、
あまり深く考えなかったが、
やはり何処かがおかしいような気がする……そしてここまでのハーゴンの行動、言動について考えて見る。
するとそこからある仮説が導き出されてくる。

「おっさんは確かにこのゲームを壊すって言った…だけどもそれは俺たちのタメじゃない、
 あくまでおっさん個人のため、俺達は駒ってことか?」
いや、駒ならまだマシだろう、下手をすると生贄なのかもしれない。
ましてハーゴンのみならず、マゴットはビビを見捨て、そして自分をも殺そうとしたあのサマンサの仲間なのだ。
(もう……たくさんだ)
疑心暗鬼に囚われて行くジタン、その時扉が開き、血に塗れた姿のマゴットが姿を現す。
どうやらアバカムで扉を開いたらしい、ハーゴンはあくまでもマゴットを守るために施錠の魔法をかけた。
それにセーラが魔法を使えないのは承知していたし。魔力を使い果たしている今のマゴットではアバカムを
唱えられまいと、そのため中から外に対しては通り一遍の対処しかしなかった。
しかしハーゴンは計算違いをしていた。
そう、本来鍵開けの呪文であるアバカムは魔力を消費しない珍しい呪文の一つ、
それが時を隔てるにつれ、わずかながら魔力を必要とするものへと変化していったのである。
そしてハーゴンはそのことを知らなかったのである。

そして素早く柱の影に隠れたジタンはマゴットのその姿を見たとき、
自分の抱いていた考えが正しかったことを確信した。
(もう、だまされやしないぞ)
やや、性急すぎるきらいもあったが、やはり先程からの疑心暗鬼と仲間を見捨てた奴の仲間だという先入観が、
そしてフライヤの言葉が、ジタンから考える余裕を奪っていた。
ジタンはグロックの安全装置を外す、一瞬だけ躊躇したが扉近くに転がっているものが何なのか理解したとき、
ジタンは迷うことなくマゴットめがけ引き金を引いた。

放たれた弾丸は4発、そのいずれもがマゴットに命中。
一発は腰に、それを受けて振り向いたマゴットの胸に二発、肩に一発。
糸の切れた操り人形のように宙に舞いながらもパクパクと口を開閉させ、マゴットは何かを言いたげだったが、
それは眉間に命中した止めの一発でさえぎられた……永遠に。

ジタンはマゴットの死体には目もくれず、そのまま書庫の方へと銃を構え向かっていく。
「よくも騙してくれたな、おっさん」


【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:ハーゴンを殺す
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害 最終行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】

【マゴット:死亡】