FFDQバトルロワイヤル PART4

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それはセーラにとっては簡単すぎる作戦の筈だった。
ハーゴン達は遠くに行ってしまったし、マゴットはよく眠っている、加えてハーゴンは扉に呪文をかけて出て行ったから邪魔が入る余地など無い。
自分も脱出出来ないが、あの連中を騙すなど造作も無い事の筈であった。
「………」
マゴットが寝返りを打つ、セーラに背を向ける形で横になっているマゴットのうなじがセーラの目に飛び込んできた。
「まあ!」
セーラの心が激しく躍る、何と綺麗なうなじなのだろう、このうなじから流れる血が、マゴットが苦しみながら力尽きていく様が、見たい。
心の欲求のままにセーラがダガーを構えて近付いたその時。
「!}
「ぐぅっ!」
突然マゴットが反転してセーラの鳩尾に拳をめり込ませる、更に腹を押えて下がるセーラに近くにあった鎌を振り下ろす。
「あぐぅっ!」
「……」
武術の心得の無いセーラにその一撃を完全に交わしきる事は不可能だった、肩口を深く斬られ、その衝撃で転倒してしまう。
「お待ちください、マゴットさん、私は敵では」
ヒュンッ!
セーラの言葉を無視して死神の鎌が唸りを上げる、マゴットの目はガラスの様に感情を示してはいない。
「こ、此処にいるのもハーゴンさんに頼まれて」
更に一撃を喰らい、左足を半ばまで切り裂かれる。
「きゃぁぁぁぁっ!騎士様っ!騎士様ぁっ!」
怯え、混乱したセーラは左足を引き摺って扉へと這い進む、マゴットはその間に鎌を構え直して様子を窺う、
ようやく扉まで辿り着いたセーラは近くの壁に寄り掛りながら何とか立ち上がった。

セーラが知らなかった事が3つある、ハーゴンはセーラの事を疑わなかったが同時に頼りにならぬ人物=計画の駒としては使えないと判断していた事。
そしてマゴットは唯一ハーゴンの脱出方法を知っていながらハーゴンと共に生き残り、共に首を狩っている事。
だからこそハーゴンはマゴットに意識があった事を導師に秘密にし、更に部屋に鍵をかけた、セーラという獲物を決して逃さない為に。
扉を開けようと悪戦苦闘するセーラは背後からマゴットに切り裂かれた。
セーラが自分の血溜まりで首を切られている頃、ハーゴンもまた書庫で自らの血溜まりに倒れていた。
突然吐血して倒れたハーゴンに大慌てで駆け寄り、回復呪文を唱え始める導師、癒しの光がハーゴンの身体に降り注ぐ。
「む、面倒をかけたな。」
「そう思うなら動かない事!」
身を起こそうとするハーゴンを導師が押し止める。
「ならばこの体勢で話す事にしよう、わしはもうじき死に至る、正確には3〜36時間といった所だろう」
海のような沈黙、石のような沈黙、そしてやっと導師の渇いた笑いがその沈黙を打ち破る。
「じょ、冗談でしょ?」
「こんな状況でジョークを飛ばせる程余裕のある人生を歩んできたつもりは無い。」
「じゃあこのゲームを壊すっていうのは嘘?」
「破壊はする、で、いつわしがジタン達と一緒に脱出すると言ったのだ?」
からかう様な笑みを浮かべながらハーゴンは今度こそ立ち上がりつつ首輪を放る。
「それ程知りたければわしの事も脱出計画の事も話してやろう、
それは兎も角貴様には仲間はおらんのか?いい加減心配してると思うのだがな」
(いるなら一旦追い返して逃走、いなければ引き込む事も考えて良いだろう、
船頭多くして船山に登るとも言うし、今日はもうこれ以上の揉め事は御免だ。)
【セーラ 死亡】

【ハーゴン(呪文使用不能、左手喪失、衰弱) 
 武器:グレネード複数、裁きの杖、ムーンの首、グレーテの首、首輪 現在位置:神殿の書庫
 第1行動方針:授業
 第2行動方針:不明
 最終行動方針:ゲームの破壊】
【導師(MP減少):所持武器:天罰の杖 星振る腕輪、首輪 現在位置:神殿の書庫
 第一行動方針:ハーゴンの話を聞く
 第二行動方針:エドガーに会う
 最終行動方針:不明】

【マゴット(MP0、左目負傷) 武器:死神の鎌、アサシンダガー、セーラの首(処理済)、首輪 現在位置:神殿の執務室
 第1行動方針: ハーゴンに呪法について習う
 第2行動方針:不明 
 最終行動方針:ゲームから脱出、仲間と合流】