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1このスレを発見するなよ ◆C9.GJfEHa2
2名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:10 ID:z9ZY9BG3
 
3NT:遊 ◆AgRNCNR.DQ :03/01/29 19:11 ID:GqkAyE3l
ハケーン
4名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:13 ID:pp3swLtf
もしかしてROMじゃねーだろーな?
5名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:18 ID:UotkQ3wh
お前みたいな知恵熱経験済みの小賢しい迷子には用はないんだ!!!
6名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:23 ID:+68XHV6f
通報
7NT:遊 ◆AgRNCNR.DQ :03/01/29 19:23 ID:GqkAyE3l
ヤヴァいスレ立てた+IP記録中+FFDQ板の荒らしにひろゆきが反応したという事実

=「Sayonara.>>1
8吉良不羅:03/01/29 19:35 ID:OdJTCgJf
>>1
You is a big fool man.
Hahahaha.
9名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:43 ID:0F7BIWh6
>>8
You is・・・?
アナタエイゴワカリマスカー?
何これ?
11糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 19:49 ID:wkL8Dm6t
>>1
これなに?
どこにでも落ちてるもの晒して神気どりか(プヒャ
13糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 19:53 ID:wkL8Dm6t
>>12
だからコレは何よ?
このサイト何か沢山ダウソできるけどコレは何よ?
14名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:55 ID:RanoH7Js
チョン語わからない(ノД`)
15糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 19:55 ID:wkL8Dm6t
このサイトが何なのか教えてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
16名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 19:59 ID:RanoH7Js
これエミュソフトか?
うお
こりゃ消される前に落とすべきなのか?
それとも罠なのか?
俺はどうすりゃいいんだぁあぁ
18h174.p966.iij4u.or.jp:03/01/29 20:05 ID:rKLDNOdh
aiueo
19糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:12 ID:wkL8Dm6t
なんなのか判らないが一応メインはお気に入りにしておいたw
ってかホントにこれは何なのよ?
20糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:24 ID:wkL8Dm6t
これが何か教えてくれ〜〜!!
今から出かけてくるから、帰ってくるまでに教えてちょ!!
21名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 20:30 ID:YdjNzGFz
>>20
ROMイメージ
違法ゆえ落とさぬが吉
つーか教えてクソ(・∀・)カエレ!!!
こんなもの、megabbsに行きゃ大量に(略
なぜアドレスがケフカ?
24糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:36 ID:wkL8Dm6t
>>21
ROMイメージって何よ!!!??
>>21
落とさぬが吉?
知ったことか落としてやるぜ

ぐっは
エ○ュも本体が必要ですよ、と親切に説明してみる
ageるな
28糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:39 ID:wkL8Dm6t
>>25
落としたけどなにも起こらないよw
ってか、こんなので違法なんて言ってたら同人はどうすんよw
29名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 20:42 ID:ft+NkncK
うわぁ、噂どうり犯罪者がいっぱいだぁ
犯罪っつっても万引きと同レベルだから、
警察も海外までは動かな(略
31みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/29 20:46 ID:7AXHQhgm
なにかと思えばDQのROMイメージではないか。

DQのROMがほしい奴は消される前にDLするのが吉。
32糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:49 ID:wkL8Dm6t
>>31
ですから、そのROMってのを教えてくださいなw
調べてもread only memberしかでてこんよw
>>32
知らない方がいいよ。
知ってしまったら汚れてしまうから・・・。
このレベルのROMならもってるしな…

>>32
知らないんならそのままにしとき。
一応アングラの世界だから。

っつーかこんなもん普通に手に入るから今慌てなくても、
理解したときほしかったら手に入れる方がよい。

しかしDQのROMか…検索ですぐにでてくる範囲だな…
35糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 20:59 ID:wkL8Dm6t
わからね〜〜〜〜〜〜〜〜〜よ!!!
今、しりてーーーーよ!!!!
何かゲームが出来るって事かしらん?
ってかよ、落としても何もできないんだわw
ドラゴンクエストのread only memberです。
ゲームはやらないけど、小説は読む人のことです。

エミュとはダチョウの親戚のエミューのことです。
あほばかかえれくそしね
>>36
ナイス解説

教えて厨逝ってよし
40糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 21:14 ID:wkL8Dm6t
教えて厨だろうが、冬厨だろうが何だろうがどうでもイイから
とにかく、さっきのサイトからダウンできる物の使用方法を教えてくれ!!!!!
たのむーーーーーーーーー!!!!今、知らないといけない気がするんだ!!
41名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 21:16 ID:18L819RG
http://www.angel.ne.jp/~kisaraka/virtuanes/bin/virtuanes073bj.zip
↑を解凍して一番上の(yggdrasill.hihome.com/temproms.html)で
落としたのを開いてみろよククク
工三ヶL一夕−
↑をコピペして検索。そこから自力で考えろ。
43aほ ◆A32KEMONo6 :03/01/29 21:16 ID:sOs8n8k9
そんなことより開始直後に必ずフリーズする旧約メガテン1・2はどうにかなりませんか
44糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 21:18 ID:wkL8Dm6t
>>41
なんだそれーーーーーーーーー!!?気になる!!
>>42
エミュレーター!!か!!!!!?それを調べればイイんだな!!!
判った!ちょっと調べるから待っててくれ!!
>>40
↓ここのスレ逝って二度と戻ってくんな
http://game2.2ch.net|test|read.cgi|ff%40195.126.71.77/%63%72%61%73%68%6D%65
46糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 21:20 ID:wkL8Dm6t
>>45
タブブラにきくかーーー!!ぼけが〜〜〜〜!!
47糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/29 21:27 ID:wkL8Dm6t
>>42ありがとう!了解したYO!
【エミューレーター】
CPUなどのハードウェアやOSなどのソフトウェアの機能を
別のハードウェアやソフトウェアで
擬似的に実現する装置やプログラムのことです。

ここではファミコンのエミュレータ―から
playstetionのエミュレータ―まで
いろいろなエミュを扱っていきたいと思います。
なお、エミュレータ―本体だけではゲームはできないので
ROMイメージ(普通でいうならカセット)と言うものが必要になっています。
それは自分でカセットなどからイメージを吸い出してください。
ちなみにプレイステーションなどは市販で売っているソフトがそのまま使えます。
あとROMをホームページで掲載したり
ダウンロードしたりするのは違法なので注意してくださいね。
と、言ってもUG(違法)なホームページに行けば手に入る事があります
が、その場合何が起きても全て自分で責任を持ってください。
>>45はブラクラ

>>41落としてみたけど、本物のVirtuaNESだったぞ……
49本体:03/01/29 21:34 ID:7066pAKU
50名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 21:58 ID:RanoH7Js
タイーホタイーホ
51名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 22:28 ID:e1UjuGf4
なんだこれ?
あとはPC用のコントローラーを買えば完璧
53NT:遊 ◆AgRNCNR.DQ :03/01/29 22:34 ID:GqkAyE3l
エミュレータ うp・・・合法 ダウソ・・・合法
R@M     うp・・・違法 ダウソ・・・違法
54名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 22:55 ID:FDyvUxKc
>>8
プッ 
馬鹿丸出しだな プ
低学歴丸出しだな プ
You is?プッ 小学生でも間違いに気付くぞ プッ
あーあ、善悪の区別がつかないヤシがエミュのこと知っちゃった。
エミュ本体のダウソは合法
R@Mのダウソは違法

各自、自己責任でおながいします
……って、>>53が説明してたわ

鬱だ逝ってくる
58名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:05 ID:s4oMZ7jE
神になりたきゃたけしの挑戦状のROMでも持ってきな1
59名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:05 ID:ft+NkncK
でもよ、ROMって自分がカセット持ってれば合法らしいけど
60名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:07 ID:s4oMZ7jE
それは吸い出し機で吸い出した場合だろ?
ハングル文字をクリックしたら次のページに移ったぞ

でもたけ挑は無かった
DQ5って途中で真っ黒い画面になる
このスレ削除対象だろ
消える前に記念パピコ
64名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:36 ID:M7oRs2T1
禁煙パイポ
65ぐっちゃん ◆6yD.And.LA :03/01/29 23:37 ID:1Fk1mDIJ
違法っつと、万が一、いや憶が一逮捕されたら罪はどの程度なんかねえ
俺の連れたけしの挑戦状もってるけど、吸い出し方が分からん
紙よ!哀れな子羊達の尻をお拭き下さい!
68名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:44 ID:ft+NkncK
○損害賠償責任(ROMによりメーカーが損した分を払え、ということ)
○著作権法第119条1号  法定刑は3年以下の懲役又は100万円以下の罰金
が処罰の対象になります。(ほかにもあるけど)
69名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/29 23:47 ID:VAd6T02i
ファミコン決死隊でぐぐれ
で、データ改造の仕方を(ry
71ぐっちゃん ◆6yD.And.LA :03/01/29 23:48 ID:1Fk1mDIJ
>68
うわマジで?結構恐いな
ちょっとナメてたわ
元々警察ナメてるからなぁ 世の中んな甘くないのね
このスレが削除対象か
なら今頃ダウソ板は消滅してるのかな
73糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 00:13 ID:qrCK8oFn
>>72
消滅で済んだらかわいいね
74糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 00:21 ID:qrCK8oFn
それにしても、今宵は大漁ですたな・・・。
人の親切を釣った釣った喜んでる大人にはなりたくありませんw
76糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 00:36 ID:qrCK8oFn
>>75
ウソウソw
マジで知らなかったわwエミュレーターってのは聞いた事はあったんだけど
実際の物は全くだったわ。
いやーココのスレの人には感謝ですた。コレは本音よ
だから、
←の最下部にあるmegabbsに行けば簡単に(略
78糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 00:46 ID:qrCK8oFn
>>77
何々その話の続きが気になりますた。続きをどうぞ
これ実は著作権関係の抜き打ち現行犯逮捕のための罠だったりして
ガクガクブルブル
80糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 00:55 ID:qrCK8oFn
どうでもイイんだけどさ、さっきから見てるんだけどね↓のサイトにさ
http://members.madasafish.com/~kefka/
何か沢山さっきのがあるんだけど、これ全部ゲームなの?
なんかメッチャ知ってるゲームが沢山あるんだけどw
>>1をドメインサーチしたら、確かにチョン国だった
罠ではなさそう
つか、エミュで罠に掛かってタイーホなんて聞いた事ね〜よ

>>80
落として試せ
82糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:07 ID:qrCK8oFn
>>81
いやね、それがよ〜〜何かね〜〜〜
BIOSがどうのこうの、って言ってるんだよ!コレってなんなのかしらんw
ウィルスかも
84糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:13 ID:qrCK8oFn
>>83
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
念の為に言っとくけど、
スーファミのR@Mはスーファミのエミュ本体が必要でつ
86名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 01:19 ID:d1eSJ6tM
さて、落とした俺も犯罪者になるわけだが…………
87名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 01:20 ID:fzsxLQrw
AIRに音声化パッチ当てても声出ない助けて
糞猫 ◆giko/CDINs ←こいつ放置
リア厨なのか知らんが、お前いいかげんウザイよ

何が 「何か沢山さっきのがあるんだけど、これ全部ゲームなの?
    なんかメッチャ知ってるゲームが沢山あるんだけどw 」だよ

このボケが

PCを毎日10時間以上やると色盲になるらしぃ・・・

ここで検査してみな。
http://www.liquidgeneration.com/sabotage/vision_sabotage.asp
90糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:21 ID:qrCK8oFn
>>85
いやいや、それは何となく判るんだけどね〜
PSのエミュらしきものを発見したんだけど、それを使ってもPSのソフトが動いてくれないのよね〜〜
と、言うよりも【PSEmu】ってのをダブルクリックすると何かアラートが出ちゃう訳よ
普通はコレでROMってのを使えばゲームが出きるんだベよ
あぁぁぁ〜もうちょっとで出来そうなんだけどなぁ
91糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:21 ID:qrCK8oFn
>>89
それって、結構外出でつよw
92名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 01:23 ID:d1eSJ6tM
>>89おいおい、死体かよ。でも、モーターサイクルよりはマシだな
ってゆーか著作権保護法って親告罪じゃなかったっけ?
DLする時は念のため串させよと逝っておこう
95糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:32 ID:qrCK8oFn
多段串でつ
ってか、串さしてもどうせ本気で調査されたらバレルでしょw
ぺそにんも大分飽きて来てるな‥
卒業も時間の問題か
多段串を挿せるのに、エミュを知らない糞猫は何者なんだ
98糞猫 ◆giko/CDINs :03/01/30 01:44 ID:qrCK8oFn
>>97
いや〜ねパソコンを始めたのが最近だから全然詳しくないのよw
ホントにw
99みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 01:47 ID:1mvg/jwB
そんなことよりこれを見てくれよ。

ttp://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Tone/8966/WordsAvenue/kiroku.swf

これ見てぼろ泣きした。
100みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 01:47 ID:1mvg/jwB
100
101みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 01:49 ID:1mvg/jwB
俺はいまだに串の使い方がわからんw
102名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 01:50 ID:n0Cu/p6J
↑低脳
103みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 01:53 ID:6EYKtD1t
>>102
低脳言うな!!

PC歴1年半をなめんな。
>>103
低脳だな
105みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 01:58 ID:DWPGjkot
>>104
オマエモナ−
>103
低能でいいじゃないか
107ぺそにん ◆DD5pesoDNA :03/01/30 01:59 ID:lfEAhD9F
>>96
飽きてきたよ。何で分かるんだ。。。
108名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 02:04 ID:1vi+xjrK
>>1

       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | 通報しますた!
       \
          ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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       (ぃ9  |  (ぃ9 ./    /   \ \.∧_∧  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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       /   ∧_二つ (    /      ∪ ,  /   \_______
       /   /      \ .\\     (ぃ9  |
      /    \       \ .\\    /    /  ,、    ((( )))  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     /  /~\ \        >  ) )  ./   ∧_二∃    ( ´Д` ) < FlashGetで!
     /  /   >  )      / //   ./     ̄ ̄ ヽ    (ぃ9  )  \_______
   / ノ    / /      / / /  ._/  /~ ̄ ̄/ /   /    ∧つ
  / /   .  / ./.      / / / )⌒ _ ノ     / ./    /    \   (゚д゚)オトシマスタ!
  / ./     ( ヽ、     ( ヽ ヽ | /       ( ヽ、   / /⌒>  )  ゚(  )−
(  _)      \__つ    \__つ).し          \__つ (_)  \_つ   / >
109みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 02:08 ID:fZvz2Y+1
FlashGetよりiriaの方がイイ。
110名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 02:10 ID:1vi+xjrK
>>109
FGは回線混んでいるときに威力を発揮します、
普通に使っている限りではiriaでも良いでしょう。

しかし、はっきり言ってiriaはだしゃい、以上。
ADSLでSFCr@mとかダウンすると一瞬でしょ?
ISDNは3~4かかるからメンドイ
IDなんか気にしてみてもソース参照出来る人と管理側にはバレバレ。
それを踏まえてネタ仕込んでみても当然突っ込みはなし。
一般には見えないエサじゃ意味がない。
でも内輪では物笑いの種なのかもなー…
113みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/30 02:36 ID:YDI8Zlpn
ADSL早っ!

ISDNはもういや。遅すぎてストレス溜まりまくり。
ひかりはやーーーー

と言ってみるテスト
115114:03/01/30 02:48 ID:EgXXwBy4
ほんとは、今日工事予定だったのに、
雪で業者アボ〜ン。

116h165.p967.iij4u.or.jp:03/01/30 03:16 ID:JrAWJmyf
ADSLでも遅いんや
117h165.p967.iij4u.or.jp:03/01/30 03:17 ID:JrAWJmyf
光にしたひ
カシャアッ!
カーテンの引かれる音。同時にまばゆい陽光が瞼の裏を刺す。
長森「ほらぁ、起きなさいよーっ!」
がばぁっ!
長森「あれっ…!?」
長森「わぁーっ、毛布が丸めて人の形にしてあるっ!」
ぐー…。
長森「浩平ーっ、どこっ!?」
ぐー…。
長森「鞄も制服もあるし…」
長森「ほんと遅刻するよ、浩平ーっ!?」
ぐー…。
長森「浩平〜っ!!」
長森「あ〜んっ! どこどこどこーっ!?」
がちゃ!
がばっ!
ごそごそっ!
長森「あ、いたぁーっ!」
ずるずるずる…
ん…? なんか体が床と擦れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森に引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは残りの下半身を自分で引き出して、立ち上がる。
ずるずるずる…
ん…? なんか体が床と擦れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森に引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは残りの下半身を自分で引き出して、立ち上がる。
長森「どんな寝相だったら、ベッドの下なんかに潜っちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより、時間!」
浩平「ん?」
長森の差し出す腕時計を見る。いつもながら、芳しくない時間だ。
長森「はいはい!」
鞄と着替えを押しつけられる。
長森「ほらほらぁっ」
浩平「んー…」
そして背中を押され、部屋を後にする。
浩平「オレ、着替えるから、長森、おまえ歯を磨いてくれ」
長森「誰の?」
浩平「オレの」
長森「どうしてそんなことまでしてあげなくちゃいけないのよっ!」
浩平「いや、やってくれるかなぁって思って…」
長森「はぁ…」
長森「やっぱり面倒見のいいひとが必要だよ、浩平には…」
浩平「またか…?」
長森「ほら、待ってるんだから、早くしてよね」
浩平「ん、ああ…」
結局、着替えだけ済まし、早々に家を出る。
がちゃ!
がばっ!
ごそごそっ!
長森「あ、いたぁーっ!」
ずるずるずる…
ん…? なんか体が床と擦れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森に引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは残りの下半身を自分で引き出して、立ち上がる。
長森「どんな寝相だったら、机の下なんかに潜っちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより、時間!」
浩平「ん?」
長森の差し出す腕時計を見る。
いつもながら、芳しくない時間だ。
長森「はいはい!」
鞄と着替えを押しつけられる。
長森「ほらほらぁっ」
浩平「んー…」
そして背中を押され、部屋を後にする。
浩平「オレ、着替えるから、長森、おまえ歯を磨いてくれ」
長森「誰の?」
浩平「オレの」
長森「どうしてそんなことまでしてあげなくちゃいけないのよっ!」
浩平「いや、やってくれるかなぁって思って…」
長森「はぁ…」
長森「やっぱり面倒見のいいひとが必要だよ、浩平には…」
浩平「またか…?」
長森「ほら、待ってるんだから、早くしてよね」
浩平「ん、ああ…」
結局、着替えだけ済まし、早々に家を出る。
がちゃ!
長森「もうっ…」
ばたんっ。
たったったっ…
………。
……。
………。
……。
………。
ばたんっ!
長森「もーっ! ほんとに遅刻しちゃうよぉっ!!」
長森「浩平ー! 浩平ー! 浩平ったらーっ!!」
長森「はぅっ…」
長森「………」
長森「もうっ…今度こそ、先いくからねっ!」
長森「じゃぁ、おやすみっ!」
ばたんっ!
たったったったっ…
………。
……。
………。
……。
………。
……。
………。
ばたんっ!
長森「あぁぁ〜んっ! また戻ってきちゃったよ〜っ!」
長森「早く出てきてよぉっ! わたしまで遅刻しちゃうよ〜っ!」
長森「………」
長森「んぐぅ…」
ぐー…。
長森「……?」
ぐー…。
がちゃっ。
長森「あぁっ! 見つけたあぁっ!」
長森「浩平ったらぁっ!!」
ぐらぐらぐら…
ん…? なんか体が揺れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森にクローゼットから引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは踏み出した先の段差に転けそうになりながら、朝の挨拶をする。
長森「どんな寝相だったら、クローゼットの中に収まっちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより! 時間、時間!」
浩平「ん…?」
オレは長森の差し出す腕時計を見る。
とんでもない時間だった。
浩平「なんだ、今日はおまえまで遅かったんだなっ!」
長森「違うよっ、ちゃんとわたしはいつも通りに来たもんっ! 浩平が見つからなかっただけだもんっ!」
浩平「いいわけはいい」
長森「いいわけじゃないもんっ」
142ぺそにn ◆DD5pesoDNA :03/01/30 06:02 ID:lfEAhD9F
                 (´⌒´⌒ヽポッポー
                   |||
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              /_____|___|__
              |  人川川川川入  | ̄ ̄
              | ./.  -◎─◎- ヽ |
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              川/ヽ.___;;;;;;;;;;___.ノ\川
┏━<ぺそにん >━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃もういいじゃん。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オレはふくれっ面の長森を無視し、鞄と着替えをひっ掴むと、部屋を後にする。
長森「もう起こしにきてあげないよ?」
浩平「まあ、遅刻しそうな時間に起こしにきてくれても意味ないからな」
長森「うぐぅっ…ちゃんと来てたもんっ」
浩平「ほらっ、急ぐぞ」
着替えだけ済まし、早々に家を出る。
長森「でも、ほんとにわたしを驚かせるためにあんなことしてたの?」
浩平「ん?」
走りながらだから、よく聞こえない。
長森「ほんとにわたしを驚かせるためだけに、あんなところで寝てたのっ?」
浩平「ああ。それ以外にどんな理由であんな場所で寝るっていうんだ」
長森「はぁっ…」
長森「普段から十分驚いたりしてるから、あんなことしなくてもいいよ」
長森「体とか痛かったんじゃないの…?」
浩平「いやまあ、どこでも寝られる体質だからな」
長森「そんなことに気使うんだったら、もっと違うことに使ってくれたらいいのに…」
浩平「どんなことに」
長森「…えぇっ?」
長森「ほらっ…いつも起こしてあげてるからっ、日頃の感謝を込めてとかっ…」
浩平「そうだな、感謝を込めて…」
■プレゼントでもやろうか?
■デートにでも誘ってやろうか?

浩平「プレゼントでもやろうか?」
長森「あっ、わかってるねぇ」
浩平「そうだな、長森には毎朝お世話になってるからなぁ…」
長森「うんっ」
浩平「洗剤でも買ってやるか」
長森「そ、そんなの嬉しくないよ〜」
浩平「そうか? いつか使うだろ?」
長森「そりゃそうだけどっ…こう、なんていうか、形に残るものがいいなぁ…」
浩平「毛玉取り器とかはどうだ」
長森「じ、実用品から離れようよ〜」
浩平「どうして。おまえ、いっつも毛玉付けてるじゃん」
長森「それって浩平だよ。浩平、毛玉だらけだよ、いつも」
浩平「ああ、オレか。ン、ほんとだ」
長森「だーめ」
浩平「じゃあなぁ…」
長森「考える方向、合ってる…?」
浩平「猫好きだったよな、長森な」
長森「そうそう、合ってるよ」
浩平「よし、猫の剥製をやろう」
長森「いらないよ、そんなもの〜」
浩平「しかも手作りだ」
長森「はふんっ、残酷すぎるよぉ…」
おっと、言い過ぎたか…。長森が鼻をすすり上げて、走る速度を落とす。
浩平「冗談だって。ほら、遅刻するぞ」
長森「うんっ…」
再び併走し始める。
浩平「デートでも誘ってやろうか?」
長森「えっ? えぇ〜っ!?」
浩平「うん?」
長森「そ、そんなぁっ、まずいと思うよそれはぁっ…」
浩平「どうして?」
長森「ほらぁ、体裁悪いっていうかっ…」
長森「浩平のこと好きなコとか、勘違いしてショック受けちゃうよっ…」
浩平「はぁ…?」
■そんな奴がいるわけないだろ
■勘違いされても構わないぞ

浩平「そんな奴がいるわけないだろ」
長森「いるよぉー、たぶん…」
浩平「いない」
長森「いるって」
浩平「どこに」
長森「そ、そんなことわかんないよっ…」
浩平「じゃ、いない」
浩平「ということで、デートにレッツゴーだな」
長森「だめだめだめだめだめっ!」
浩平「だから、誰もショックなんて受けないって」
長森「ううん、絶対いるよ、どっかに浩平のこと思ってるひとが」
長森「だからね、そんな人のためにわたしなんかとデートしちゃだめだよ」
浩平「んー、オレは構わないんだけどなぁ」
長森「わたしが構うよ…」
浩平「そうか、残念だな」
長森「あ、でもでもでもでもっ…」
浩平「なに」
長森「デートじゃなかったら、いいよっ…」
浩平「ふたりでどっかに行くの?」
長森「うんっ…」
浩平「それってデートだろ」
長森「違うよ…ふたりで遊ぶだけだよ」
浩平「でも、さっきおまえが言ったような人はショック受けるんじゃないの?」
長森「あ、そうかな…」
浩平「そりゃそうだろう」
長森「んー…どうしたら、浩平と一緒に遊べるのかなぁ…」
浩平「まぁ、他人のこといちいち気にしてたら何にもできないって」
長森「そうかなぁ、いいのかなぁ…」
浩平「いいって、いいって」
浩平「オレは勘違いされても構わないぞ」
長森「えぇ〜っ、どうして〜っ!?」
長森「わたしだよ、わたしっ! わかって言ってるの〜っ!?」
浩平「長森だろ。わかってるよ」
長森「わ〜、浩平バカだよ! わたしなのに、わたしなのに、わたしなのにっ!」
浩平「おいっ、少しは落ち着け」
長森「あっ…ごめん…」
浩平「オレはおまえのほうが心配だぞ、そんな卑下してばっかで」
長森「そっかな…わたしは大丈夫だよ」
浩平「それってその気になれば、誰だって落とせるってこと…?」
長森「わぁ、そんなことあるわけないよっっ!」
長森「わたしは浩平じゃなくて、ひとりでなんでもできるってことだよ!」
浩平「寂しいこと言う奴だなぁ、やっぱ心配だぞ」
長森「わたしは…いいんだよっ。やっぱ浩平が心配」
浩平「そうかぁ…?」
長森「そだよ…」
ふたりは最後の角を曲がり、校門までの距離を一気に駆け抜ける。
浩平「お、間に合ったか?」
長森「鳴るよ、ほら」
長森が言うと同時、チャイムが晴れた空に鳴り響く。
浩平「後は、髭との勝負かっ」
長森「うんっ」
オレたちは、閑散とする中庭を抜け、下駄箱へと慌ただしく駆け込む。
浩平「ほら」
先についていたオレが、長森の分の上履きも出してやる。
長森「ありがと」
廊下を歩く、別クラスの担任を追い越し、教室へと転がり込む。
浩平「ふぅ…ま、こんなもんだな」
長森「うんっ」
教室の中では、まだ朝の挨拶から始まる無駄話が、とりとめもなく続いていた。
オレは長森に別れを告げ、窓側の自分の席まで歩いてゆくと、鞄を机の上に投げ出して、椅子に腰を下ろす。
目の前では七瀬がそっぽを向くように、窓の外を眺めていた。
■おはよう、と声をかける
■無視しておく

浩平「よっ、おはよう、七瀬っ」
七瀬「んっ…」
七瀬「うんっ…おはよ」
浩平「どうした、元気か?」
七瀬「げ、元気よ…」
浩平「そうか、そりゃ結構」
浩平「目の前にいるんだから、七瀬にはいつでも元気でいてもらわないとな」
七瀬「なによ、それ…」
浩平「視界内に不機嫌な奴の顔が入ると、オレまで元気がなくなる」
七瀬「そりゃいいこと聞いたわ。するとあたしが不機嫌でいると、あなたは日に日に弱ってゆくわけね」
浩平「おまえだって、弱るだろ?」
七瀬「いざとなったときの最終手段よ…」
お互いどこまで冗談なのかわからないような会話が終わらないうちに、担任の髭が現れ、朝のHRが始まった。
浩平「ふぅ…」
さすがに家から学校までの距離を走り抜くと、息も切れる。
オレは呼吸を整えるように、深い溜め息をつく。
浩平「………」
七瀬「………」
浩平「………」
七瀬「あ…」
浩平「……?」
七瀬「ヘンな人がいるっ…」
浩平「え? 外にか…?」
オレは七瀬の見ていた方向に目を向ける。
が、見下ろせる中庭には誰の姿もない。
浩平「誰もいないぞ」
七瀬「………」
…なんだ?
問いただそうとしたところへ、担任の髭が現れ、朝のHRが始まった。
うぅ…。
眠いな…。やっぱり、おかしな体勢で寝たもんだから、熟睡できなかったかな…。
こういうときは、いきなりあてられたりすると、一瞬で目が覚めたりするもんなんだがな…。
あるいは、何らかの軽作業に没頭するか…。
■没頭できる軽作業を探す
■やめておく

没頭できる軽作業か…。
浩平「お…」
オレは目の前に垂れ下がる七瀬の髪の毛の中に枝毛を発見した。
まったく仕方のないやつだ。
確か工作用のハサミが…
机の中に溜まったプリント群の奥から、それを引きずり出す。
そして七瀬の髪の毛の中から枝毛だけを選別し、ハサミで切りはじめる。
ちょきちょき…ちょきちょき…
ちょきちょき…ちょきちょき…
おっと切りすぎた…。
右だけが短くなってしまった…。
ちょきちょき…ちょきちょき…
うーん、バランス取りが難しいな…。
左を切っては、短くなりすぎ、右を切っては、短くなりすぎる。
ちょきちょき…ちょきちょき…
よし、こんなもんかな。
教師「それでは、ここまで」
浩平「え…?」
キーーーーンコーーーー…
ぐあ……熱中しすぎて授業が終わってしまった…。
ちょきちょき…ちょきちょき…
よし、こんなもんかな。
教師「それでは、ここまで」
浩平「え…?」
キーーーーンコーーーー…
ぐあ……熱中しすぎて授業が終わってしまった…。
これでは、寝てたほうがマシだったんじゃないのか…。
女生徒「あれ、七瀬さん、なんかスッキリしたね」
七瀬「え?」
女生徒「なんかお下げが短くなったみたい」
やばい…ばかっ…そんなことを言い出すんじゃない!
七瀬「そんなことあるわけっ…」
七瀬「あ…」
自分の席の真下を見て、その目が止まった。
浩平「ぐあ…」
そこには、先ほどさんざん切った七瀬の髪の毛が散乱していた。
浩平「実に気持ち悪かったぞ。見ていたら、おまえの髪の毛が途中から、ぷちぷちと千切れ落ちてゆくんだからな」
女生徒「な、七瀬さん、病気…?」
七瀬「ぐっ…」
どすどすどすどす…!
またも、廊下まで突っ張られてゆくオレ。
七瀬「妖怪かぁっ、あたしはぁっっ!!」
浩平「オレも初めて見たぞ」
七瀬「あんたが切ったんでしょっ! いつからあたしの席は床屋になったのよっ!!」
浩平「いや、枝毛多かったから…」
七瀬「はぁぅんっ……女の子の髪の毛切るなんてぇっ…」
浩平「悪いが、オレは床屋志望だ。それなりのプライドがある」
七瀬「プライドある奴がこっそり人を練習台に使うなっ! あほぉっ!!」
浩平「うー…」
七瀬「もう金輪際、あたしの髪の毛に触らないで。いいっ!?」
浩平「ああ、わかった」
七瀬「放っておいたら、放課後にはショートカットになってたところだわっ!」
最後に一喝して(何喝もしているが)、教室へと戻ってゆく。
浩平「うーん…」
これ以上、怒らせたら、オレもこのクラスに居続けられなくなるからな…。
そうだ…その恐怖を感じるだけで、十分目が覚めるじゃないか…。
オレはうつらうつらとするたび、七瀬の剣幕を思いだし、授業を受け続けた。
うぅ…。
眠いな…。やっぱり、おかしな体勢で寝たもんだから、熟睡できなかったかな…。
こういうときは、いきなりあてられたりすると、一瞬で目が覚めたりするもんなんだがな…。
あるいは、何らかの手段を講じるか…。
■居眠り防止策を練る
■やっぱり眠ってしまおう

仕方がない…。
七瀬の髪を指先に結びつけておこう。
こうしておけば、がくっと眠りこけてしまったときに、七瀬の髪を引っ張ってしまうことになる。
昨日のこともある。ただでは済まされないに違いない。
オレはうつらうつらとするたび、七瀬の剣幕を思いだし、授業を受け続けた。
うぅ…。
眠いな…。やっぱり、おかしな体勢で寝たもんだから、熟睡できなかったかな…。
こういうときは、いきなりあてられたりすると、一瞬で目が覚めたりするもんなんだがな…。
あるいは、何らかの手段を講じるか…。
■居眠り防止策を練る
その恐怖と常に背中合わせの緊張感が、オレの意識をしっかりと覚醒させ続けてくれるだろう。
素晴らしい作戦だ。
オレはその作戦を即座に敢行する。
七瀬の垂れ下がった髪をひっ掴み、自分の指にきゅっと結びつける。
さて、これで授業に専念できるな。
オレは黒板に目を向ける。
………。
ぐぅ…
七瀬「イタぁっ!!」
どわ、しまったぁぁっっ!!
速攻である。
おもいきり指が七瀬の髪を引っ張り、そして解けてしまっていた。
声「なんだ…?」
声「どうしたどうした」
短い悲鳴をあげた七瀬に、注目が集まってしまっている。
うーん、後でどうなるやら…。
………。
やがて興味の目は引き、再び静けさを取り戻す。
くそぅ、簡単に解けてしまいそうな中途半端なところが、緊張感を和らげてしまっていたんだな…。
■ここは思い切って…
■これ以上は…

ここは思い切って…
オレは腕の手首にキツク七瀬の髪をぎゅっ!ぎゅっ!と結びつける。
無論、気づかれないように十分注意を払う。
…よし。これで解けないだろう。
となると、オレが寝入ってしまった日には、七瀬のこの髪がオレの腕の重みで…
ぶちぶちぃっ!!
となるわけである。
恐ろしい。恐ろしすぎる。
その恐怖と常に背中合わせの緊張感が、オレの意識を今度こそしっかりと覚醒させ続けてくれるだろう。
よし、授業に専念だ。
………ぐぅ。
ぶちぶちぃっっ!!
七瀬「きゃああぁッ!!」
どへ〜っ!! また速攻!!
七瀬「くぁっ…」
女生徒「七瀬さん、どうしたのっ?」
隣のほうから心配する声があがる。
七瀬「うぐっ、ううん、なんにもっ…」
女生徒「先生ーっ、七瀬さん、泣いてますぅーっ!」
先生「おい、どうした、何事だっ!?」
男子生徒「なにぃっ、誰だ、泣かせたのはぁっ!」
もう場は収集つかない騒ぎとなる。
七瀬「なっ…なんでもありませんっ…」
うーん、これは冗談で済まなくなってきたぞ…。
オレは手首に絡む髪の毛を解き、それを床に捨てる。
まあ、さすがにこれ以上はよしておくか。
眠くなったらなったらで、潔く眠るとしよう…。
………。
……。
………。
結局、七瀬の騒ぎで眠気は吹き飛んでしまっていた。
いや、これ以上はさすがに何もしてはいけない。
オレの本能が赤信号を発していた。
…やめておけ。
実に手を出したくなる逸材ではあったが、オレの身の保証あってのシロモノだ。
うーん、仕方ない。授業に集中するか…。
ん…? いつの間にか目的がすり替わっているのは気のせいだろうか?
やっぱ眠ろう…。
………。
……。
…。
くー…。
……。
…。
七瀬「ちょっと、きてくれる?」
1時間目の授業が終わると、着席もせずにオレのほうを向く七瀬。
浩平「ああ」
オレも覚悟していたので、何も聞かず、七瀬の後につく。
長森「あれ…ふたりでどこいくの?」
行き際、長森とすれ違う。
浩平「長森、後のことはよろしくな」
長森「え?」
浩平「次の授業から、でられない体になっているだろうから…」
七瀬「なにされると思ってるのっっ!」
浩平「えっ?」
七瀬「くっ…とにかくきなさいっ!」
ずるずると腕を引っ張られてゆく。
廊下にでると、七瀬は足を止め、オレへ向き直る。
七瀬「ね、どういうつもりよ、一体」
浩平「いや、どういうつもりと言われても、沢山ありすぎて、どれのことだかわからないけど…」
七瀬「ぜんぶよっっ!」
浩平「まあ、これをリンチだと誤解したのは謝るよ…」
七瀬「そんな些細なこと言ってないっっ!」
七瀬「もっとヒドイことしてるでしょっ! ひとの髪をなんだと思ってるのっっ!」
浩平「いや、眠気防止センサーに使ったのは謝るよ…」
七瀬「んなッ…そんなことに使ってたのッ!?」
火に油をどぶどぶ注いでる気がする…。
七瀬「それで女の子の髪、抜いたりするなんてっ…」
浩平「いや、謝るって。ごめんっ!」
七瀬「はぁぅっ…怒りを通り越して、あきれたも通り越して、もう一回怒りに戻ってきたわっ!!」
浩平「そりゃ器用だ…」
七瀬「もういい。わかったわ、あなたの性格が」
浩平「オレも七瀬の性格がわかったきたけどな」
七瀬「とにかく、席を入れ替える。それだけで今日のことは水に流してあげるわ」
浩平「それでいいんなら、いいけど…」
七瀬「なによ、含み持たせた言い方して…」
浩平「いや、学年の最初は、一番先頭の席だったんだよ、オレ」
七瀬「それで…?」
浩平「それがなぁ、不思議なことにどんどん後ろに追いやられていったんだな」
七瀬「どうして…」
七瀬「どれが正解でも、却下するに十分よっっ!」
浩平「ちなみに答えはさ…」
七瀬「聞きたくないっっ!」
浩平「そうか…?」
七瀬「あーもう、どうしてこんな奴の前の席になっちゃったんだろ…最悪」
浩平「よく聞こえてるぞ」
七瀬「とにかくっ、もうちょっかいかけないで。いい?」
浩平「ああ。任せておけ」
七瀬「どういう返事よ、まったく…」
暗たんとした面もちで、教室に戻ってゆく
男子生徒「おい、ふたりで何話してたんだよっ」
浩平「参った。告白された」
七瀬(こらあぁっっ!)
押し殺した声でオレを振り返り睨む、七瀬。
浩平「はははっ、嘘だぞぉー、みんなっ」
これ以上怒らせると、今度こそリンチだからな…。
浩平「最初に吸うならどんな銘柄のタバコがいいか、相談されただけだぞ」
どどどどど…!
突っ張りの要領で、再びオレを廊下にまで押し出す七瀬。
七瀬「ね、一回殴っていい…?」
浩平「いや、すごく痛そうだからやめてくれ」
七瀬「ねぇ、あなた流の冗談なのかも知れないけど、ぜんっぜん笑えないから、やめてね」
口の端がぴくついている。
浩平「うーん、面白いと思ったんだけどな」
七瀬「凶悪に面白くないわよっ」
すごい表現をされる。
七瀬「はぁっ…クラス変えてもらおうかしら…」
再び溜め息をつきながら戻ってゆく。
男子生徒「仲がいいね、おふたりっ」
どこからともなく冷やかすような声。
七瀬「そんなことぜんっぜんっないのよ〜」
浩平「そうだぞ。ぜんぜんないぞーっ」
浩平「殴っていいか、脅されたぐらいだからなーっ」
どどどどど…!
再び突っ張りの要領で、廊下にまで押し出される。
七瀬「やっぱ殴るわ…」
浩平「いや、今のは面白かったと思うぞ…」
七瀬「殺人的に面白くないわよッ」
またすごい表現をなされる。
七瀬「はぁっ…もっかい転校しよっかな…」
肩を落とし、戻ってゆく。
…ん。
もう休み時間か…みごとに獣のように眠ってしまったようだな…。
ふい〜…。
うん、と伸びをする。
相変わらず七瀬の周りには、少なくなりつつはあるが、男子連中の輪ができていた。
その喧騒を聞きながら、ぼぉーっと休み時間を過ごした。
休み時間となれば何か言われるものと思っていたが、どうやら無視を決め込んだらしい。
オレはよほどこっちから話しかけてやろうかとも思ったが、そうする前にいつものように男子連中が集まり始め、七瀬を取り囲んでしまった。
ふぅ…。
その喧騒を聞きながら、ぼぉーっと休み時間を過ごした。
………。
……。
………。
相変わらず七瀬の席は、昼休みともなると、昼飯を手にした男子連中が集まってお食事談笑会の様相を呈する。
ぐいぐいとオレの席も押しやられ、なんとも腹立たしい。
■その中に割って入る
■大人しく学食にでも向かう

オレはあまりにもムカついたので、群がる男連中の中に割ってはいる。
男連中「あはは、そうなんだ。七瀬さんって面白いね」
皆で質問攻めにしているらしい。
これだけ人数がいたら、誰が喋ったかなんて見当もつかないだろう。
少し、連中が引くようなことを言って、熱を冷まさしてやろう。
男連中「ねぇ、その髪の結び方可愛いね」
声「ありがと。でもヅラなのよ、これ」
男連中「その制服、前の学校のだよね? それも可愛いよね」
声「ありがと。でもこれ、二年間脱いでないから、クッサイの。あんまり近づかないでね」
男連中「そのリボンも可愛いよね」
声「ありがと。でもこれ、お爺ちゃん愛用の腹巻きなの。ちょっとお気に入りーって感じ」
男連中「な………」
効果てきめん。徐々に男共が引いてゆく。
七瀬「…あれ? 誰か、あたしの代わりに答えてない…?」
声「そんなことないわよ、あたし七瀬。ななぴーって呼んでね」
七瀬「って…誰よ、あんたっ!?」
うわ、やばいっ、バレた!
オレは七瀬に捕まる前に、さっと身を引く。
とにかく、こんなところで飯なんか食えない。学食にでも避難しよう。
行き際、チューチューと牛乳を吸う長森と目があったが、女友達といたので、話しかけずにやり過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
長森「あー、いた」
オレを見つけてやってきたのは、長森だった。
長森「さっき無視したでしょー」
浩平「いちいち話しかけなくてもいいだろ」
長森「ひとりで食べるんなら、言ってくれればいいのに」
浩平「言ってどうなるんだよ。おまえたちと一緒に椅子並べて食べろとでも言うのか?」
長森「んー…わたしだけでも抜けられるよ」
浩平「はぁ…」
浩平「昼飯くらいひとりで食わせろ」
長森「ひとりで食べてるとね、行儀悪くなるんだよ?」
長森「音立てて食べたりとか、肘ついたりとか」
ほんと、保護者気取りなんだからなぁ、こいつは。
長森「だから居てあげるよ」
向かいの席に腰を下ろす。
浩平「………」
もぐもぐ。
長森「美味しい?」
浩平「うまいよ」
長森「浩平ってさぁ」
浩平「うん…」
長森「ひとくちが大きいよね」
そんなことはどうでもいい。
そんなふうに、とりとめもない会話をしながら、オレは昼食時を過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
住井「おー、いたか、こんなところに」
オレを見つけてやってきたのは、住井の奴である。正面の席に乱暴にトレイを叩きつけ、腰を下ろす。
住井「おまえも、いくならいくって声をかけてくれればいいのに。俺だって学食は多いんだから」
浩平「今度からは誘うよ」
住井「まったく、もう少し付き合いをよくしろっての」
言って、日替わりランチを掻き込みはじめる。
浩平「友情の印に、こいつの皮を剥いて食べやすくしておいてやろう」
住井「こらっ、ギョーザの皮をめくっていくなっ!」
そんなふうな、とりとめもないやり取りをしながら、昼食時を過ごした。
こんなところで飯なんか食えない。学食にでも避難しよう。
行き際、チューチューと牛乳を吸う長森と目があったが、女友達といたので、話しかけずにやり過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
長森「あー、いた」
オレを見つけてやってきたのは、長森だった。
長森「さっき無視したでしょー」
浩平「いちいち話しかけなくてもいいだろ」
長森「ひとりで食べるんなら、言ってくれればいいのに」
浩平「言ってどうなるんだよ。おまえたちと一緒に椅子並べて食べろとでも言うのか?」
長森「んー…わたしだけでも抜けられるよ」
浩平「はぁ…」
浩平「昼飯くらいひとりで食わせろ」
長森「ひとりで食べてるとね、行儀悪くなるんだよ?」
長森「音立てて食べたりとか、肘ついたりとか」
ほんと、保護者気取りなんだからなぁ、こいつは。
長森「だから居てあげるよ」
向かいの席に腰を下ろす。
浩平「………」
もぐもぐ。
長森「美味しい?」
浩平「うまいよ」
長森「浩平ってさぁ」
浩平「うん…」
長森「一口が大きいよね」
そんなことはどうでもいい。
そんなふうに、本当とりとめもない会話をしながら、オレは昼食時を過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
住井「おー、いたか、こんなところに」
オレを見つけてやってきたのは、住井の奴である。正面の席に乱暴にトレイを叩きつけ、腰を下ろす。
住井「おまえも、いくならいくって声をかけてくれればいいのに。俺だって学食は多いんだから」
浩平「今度からは誘うよ」
住井「まったく、もう少し付き合いをよくしろっての」
言って、日替わりランチを掻き込みはじめる。
浩平「友情の印に、こいつの皮を剥いて食べやすくしておいてやろう」
住井「こらっ、ギョーザの皮をめくっていくなっ!」
そんなふうな、とりとめもないやり取りをしながら、昼食時を過ごした。
………。
……。
………。
浩平「よし、七瀬、帰るか」
七瀬「うん、ちょっと待ってね」
七瀬「って、いつからそんな仲になってんのよ、あんたとっっ!!」
浩平「どうして、どうせ帰るんだろ? なら一緒に帰ろう」
七瀬「お生憎様。あたしには用があんのよ」
■ついてゆく
■ひとりで帰る
■部活に顔をだす

七瀬「ねぇ」
浩平「……ん?」
七瀬「どうして後、ついてくるの」
男子生徒「残念ーっ、今度、家教えてねーっ!」
七瀬「機会があればね〜っ!」
七瀬「…ふぅ」
浩平「相変わらず、可愛い女の子のフリしてんのか」
七瀬「それじゃまるであたしが男みたいじゃない」
浩平「近いもんだろ。本性があんな凶悪なんだからな」
七瀬「あんたにだけよっ」
浩平「そんなにモテたいのかよ」
七瀬「あんたには永遠わからないわよ、この女心は」
浩平「ムリしてるだけにしか見えないけどな」
七瀬「で、どこまでついてくる気よ」
浩平「いや、別についていってるつもりもない」
七瀬「………」
浩平「おまえだったら片手を腰なんぞにあてて…」
浩平「『こんなチマチマ飲んでられるかーっ!』とか叫んで、豪快に、ごが〜っ!って茶を一気に飲み干してしまいそうだ」
七瀬「………」
浩平「そうだな。牛乳部にいけ。よっぽど似合いそうだ」
七瀬「もぅ、ほっといてッ!!」
稲光が落ちた、ような気がした。
七瀬「もう金輪際あたしに話かけないで、いいっ!?」
浩平「いや…ただおまえの適正を見抜いてやっただけじゃないか」
七瀬は怒りに顔を紅潮させたまま、茶道部の部室のドアを思い切り開くと…
七瀬「一回死ね、アホッ!」
と吐き捨て、今度は思い切りバンッ!とそのドアを閉めた。
数分後、力無くそのドアが再び開く。
七瀬「……断られたぁ…」
泣きそうな顔で七瀬が現れる。
浩平「まあ、あれだけ凶悪な登場の仕方をすれば、断られるのも当然だ」
七瀬「…………」
浩平「一回死ね、アホッ!、はないだろう」
七瀬「………」
七瀬は黙ったまま階下へと降り、今度は美術室の前にくる。
浩平「今度は美術部か…。結局なんでもいいのか?」
七瀬「…違うわよ」
七瀬「初めから美術にも興味あったの」
浩平「しかし美術部にしても同じだろう」
浩平「どうせおまえのことだ」
浩平「『こんなチマチマ描いてられるかぁ〜っ!!』とか叫んで、モデルに絵の具ぶっかけて、うおりゃー!ってキャンバスに叩きつけるんだろう」
七瀬「………」
浩平「魚拓部へいけ。よっぽどストレス発散できるぞ」
七瀬「だから、ほっといてって言ってるでしょっ!!」
浩平「いや、次々と活きのいい魚たちを魚拓にしてゆくおまえの姿を浮かべると、あまりに似合ってたもんでな」
今度は美術室のドアを思い切り開けると…
七瀬「100ぺん死んで、ウジ虫にでも生まれ変わって、肥溜めで過ごしてろっっ!!」
と吐き捨て、再びバンッ!とそのドアを閉めた。
数分後、力無くそのドアが再び開く。
七瀬「……断られたぁ…」
泣きそうな顔でまた戻ってくる。
浩平「まあ、予想はついていたが…」
七瀬「………」
無言で、あからさまに肩を落とし、廊下を歩いてゆく七瀬。
少し可哀想にも思えてきた。
浩平「七瀬、元気だせ」
その頭をぽんぽんと叩く。
七瀬「あんたに言われたら泣けてくるわ…」
浩平「七瀬にもいいとこ沢山ある。オレにはわかるよ」
七瀬「なに言ってんの…」
浩平「例えば…」
■可愛い
■根性がありそうだ

浩平「例えば、か……」
七瀬「なによ…」
言えないぞ、正面きっては…こう睨みつけられては、とてもじゃないが…
■頑張って可愛いと告げる
■そんなことはよしておく

浩平「か…」
七瀬「………」
確かにあの性格を知っていて、言えるようなセリフでもないが…
しかし…ここは励ましてやるべき場面だからな…思い切って…
浩平「例えば…カバいい」
ぐあ…
七瀬「…かばっ!? 誰がっ? あたしがっっ!?」
みろ、逆効果じゃないか。(ちゃんと発音できなかったオレが悪いのは確かだが…)
浩平「まあ、みんなが認めるところだからな、それは。その点に関しては、自信を持てよ」
しまった。これは『可愛い』、と発音できた場合にいうセリフじゃないかっ…
七瀬「ぐっ…」
これではみんなが七瀬のことをカバだと言っており、そのカバな点に関しては自信を持てよと、まったくひどい具合に励ましているようじゃないか…。
七瀬「もぅ…」
浩平「ん、なにかな?」
七瀬「ついてこないでッッ!!」
ツーン…
耳が痛い。唾が冷たい。
しばらく耳鳴りが止むのを、待つしかなかった。
そして精神的に立ち直ったときには、すでに七瀬の背中は遠く廊下の先だった。
今から追いかけても、今日のところは和解を求めるなど不可能だろう…。
昨日の件もある。どう考えてみても七瀬からしてオレは、『ちょっといい感じの同級生』にはならないだろう…。
いや、まあ、なりたいというわけでもないんだけど…。
うーん…嫌われてしまったかな…?
いや、まあ、好かれたいというわけでもないんだけど…。
よしておこう。励ますにも嘘はいけない。嘘は。
七瀬「なによ、たとえば、で止まって…」
浩平「え? あ、ああ…」
浩平「えっと、例えば…制服が可愛い」
まあ、二次的対象に向かっては容易に言える。
七瀬「え、制服が?」
浩平「そう。制服」
七瀬「あ…まぁ、あたしも好きだからこうやって着続けてるんだけどね」
おっ、場繋ぎで言った思いつきの一言だったが、意外に嬉しそうだぞ。
浩平「うん、そうだよなぁ。その制服があってこその七瀬だよなぁ。その制服がなかったら七瀬じゃないよなぁ」
なんだか誉めてるのか、けなしてるのかわからなくなってきた…。
七瀬「あのね、この制服はね、スカーフのところがね…」
うっ…突っ込まれた話しをされてはボロがでるぞ…オレ…。
浩平「あ、もうこんな時間だな、七瀬っ!」
腕時計をうおりゃ!と七瀬の顔面にぶつける勢いで突きつける。
七瀬「わ、そんな近づけたら見えないって…」
浩平「ということだから、帰るな、オレ」
七瀬「あ、そう…?」
浩平「ああ。七瀬は?」
七瀬「あたし、まだ用あるから」
浩平「じゃあ、また明日だな」
七瀬「うん」
浩平「じゃあな」
七瀬「うん、じゃあ…」
オレはそそくさとその場を後にする。
なんだか少しだけ距離が縮まったような気もするなぁ。
浩平「例えば、根性がありそうだ」
七瀬「………」
浩平「根性がありそうだ」
七瀬「繰り返さなくても聞こえてるわよっ! そんな嬉しくもない言葉っ…!」
浩平「え? 嬉しくない?」
七瀬「あんた、編み物が上手そうね、って言われて嬉しい?」
浩平「オレ? そりゃ、意外な一面を見抜いてくれてるんだから、嬉しいだろ」
七瀬「たとえが悪かったわ…」
七瀬「とにかくっ…嬉しくないからそんなこと言ってほしくないの」
浩平「そうか? 誉めたつもりなんだけど」
七瀬「その点に関しては、そりゃ悪い気はしないけどっ…」
七瀬「でもね、あんた…女の子にはもっと気を使うべきよっ」
浩平「いや、べつに気を使ってないわけじゃないんだけど…」
七瀬「それでまぁ、よくあのコ、いつも一緒にいるものね…」
長森のことか…?
七瀬「さぁ、もう帰ったら? 用がないんだったら」
浩平「ん、もうこんな時間か」
七瀬「あたしはもう少し残ってるから、じゃあね」
こっちの返事も聞かず、一方的に別れを告げる。
浩平「ああ、じゃあ、また明日」
陽の傾き始めた廊下を歩いてゆく、七瀬の背中をしばらく見つめていた。
オレもぼぉーっとしてないで、いくか…。
浩平「なるほど、そこで精神を磨くってわけだ」
七瀬「まあね」
それで、あの性格が少しでも緩和されるならオレも助かるぞ。
浩平「七瀬、七瀬、七瀬ーーっ!!」
ぽかぽかぽかぽかぽかッ!!
七瀬「あはは、痛いって、折原君っ! 呼ぶんなら、叩くの一回だけにしてよぉっ、もぅっ!」
というような、なんとも和やかな(気持ち悪くもあるが)学園生活の青写真が浮かんでくる。
なんか、いいぞ。
浩平「よし、頑張れよ、七瀬」
七瀬「べつにあんたに応援されなくても、頑張るわよ、あたしは」
邪魔しないように、オレはこれにて失敬だ。
浩平「じゃあ、また明日な」
七瀬「あ、うん」
オレはそそくさと背中を向けて、階段を下りた。
この時間ともなると、昇降口も閑散としている。
遠く、部活に汗を流す野郎の怒声が聞こえてくるだけだ。
帰るか。
浩平「じゃあひとりで帰るよ、ちぇっ…」
七瀬「あたしなんか誘わないで、いつものコと帰ればいいでしょ」
浩平「長森か…? あいつは部活だからな」
七瀬「じゃあ、仕方ないわね」
浩平「ああ、じゃあな」
七瀬「あ、うん」
オレはそそくさと背中を向けて、教室を後にした。
浩平「じゃあ部活にでもいくよ、ちぇっ…」
七瀬「そうそう。やっぱ学生は部活にうち込むべきよ」
浩平「ああ、じゃあな」
七瀬「うん」
オレはそそくさと背中を向けて、教室を後にした。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。
出向いたところで、誰ひとりとしていないだろう。
人気のない渡り廊下を歩き、滅多に赴くことのない別校舎へと向かう。
美術室、音楽室など特殊な教室はこの校舎の一、二階に集中している。
そして目指す部室も、その三階に文化系クラブの部室として並んでいる。
オレは外見からも無人であると明白な、教室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその教室の隅に、ひとりの見知らぬ少女がいた。
なんて漫画みたいな出会いがあるなら、わざわざ出向いてくる価値もありそうなものだが、現実はそんなにドラマティックではない。
浩平「あほらし…」
オレはわざわざ何もないのをわかりきっていて、出てきてしまったことを後悔する。
そのまま開けっ放しだったドアからでる。
ちなみに、クラブは軽音学部といって、他学校にも負けないビッグバンドを作ろうとした顧問が3年ほど前に設立したものらしかった。
しかし、あまりに勘違いした入部者だらけで、本人にもそのやる気がなくなってしまって今の廃部寸前の現状に至っているらしい。
だいたいオレもビッグバンドの意味を未だに理解していない。
とりあえず、軽音楽というものがジャズであるということを知った時点で、オレにはお手上げだったからだ。
部活か…。
人気のない廊下を歩き、滅多に赴くことのない部室へと向かう。
オレはその教室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその教室の隅に、ひとりの見知らぬ男子生徒がいた。
男子生徒「やぁ」
肌が女のように白く、そして髪の毛もそれに合わせて淡い。まるで少女漫画の中から飛び出してきたような端正な野郎だった。
浩平「よぉ」
とりあえず挨拶を返しておく。
この場にいるのだから、恐らく軽音楽部の部員だとは思うが…顔に覚えがない。
男子生徒「やらないのかい」
浩平「なにを」
男子生徒「練習さ」
何を今さら寝ぼけたことを言っているんだ、こいつは。
浩平「見ての通りだ。練習もなにも、顧問さえいやしない」
男子生徒「顧問なんか必要ないさ。ひとりでさえなかったら、合わせられる」
何のことを言ってるんだ…?
男子生徒「キミだってそのために来たんじゃないのかい、折原くん」
浩平「え…? よく知ってるな、オレの名前…」
男子生徒「だって初対面じゃないんだよ、僕らは」
浩平「どっかで会ってたっけ…」
男子生徒「最初にこういうべきだったかな」
男子生徒「やぁ、久しぶり、とね」
何にしても回りくどい喋り方をする奴だ…。
浩平「しかしどこで会っていたかな」
男子生徒「入部したての頃」
浩平「と、すると、一年の頃…?」
男子生徒「そう。もう随分と時間が経つね」
浩平「はぁ……覚えていないのも無理はない」
男子生徒「どうして…?」
浩平「一瞬だったじゃないか、顔合わせなんて。それにあのときは人数も多かった」
男子生徒「覚えてないのかい」
浩平「ああ。覚えてない」
男子生徒「僕は覚えているよ、キミのことは」
男子生徒「だって、僕と同じ目をしてたからね」
浩平「同じ目…?」
男子生徒「僕は、氷上シュン。そんなに時間はないかもしれないけど、よろしく」
浩平「ああ、よろしく」
時間…。何を指して言っているのか、意味深な気がした。
浩平「転校でもするのかい」
氷上「いや、あくまでも予感だよ、それは」
氷上「キミが僕と同じ目をしているとは言ってるけど、根拠なんかない。そんな気がするだけ」
浩平「はぁ…なんだかおまえと話していると、疲れるよ」
氷上「そうかい。なら今日はもう話すのはよしておくかい」
浩平「今日はって、今日まで一度も会わなかったんだ。これから話す機会なんてのも、もうこないかもしれない」
265名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 11:21 ID:xIL7szO8
>>80
おい、頼むからそうそうROMサイトに直リン貼るなバカ、2ちゃんねる見てるやつが何人いると思ってるんだ?
今は2ちゃんねるは警察に常にマークされてるんだぞ?そういうことするから貴重なROMサイトがどんどんアクセス難になるんだよ・・・
本当にバカだよ・・・
氷上「僕はここにいるさ。話しがしたくなったらきてくれよ」
浩平「もともとこんな部に用なんてない。きっともうこないよ」
氷上「それは早計だな」
氷上「僕はキミの奏でる音も聞いてみたい。相性がわかるのは、そのときじゃないかな」
浩平「オレは音を奏でないし、気色の悪い男との相性なんて知りたくもない」
氷上「ふぅん…」
浩平「じゃあな」
開けっ放しだったドアから、オレは廊下にでる。
氷上「キミとはまた会えると思うよ」
最後にそんな奴の声が聞こえた。
部活か…。
どうせ誰もいやしないだろうけど…
オレは別校舎へと向かう。
他の部室からは、雑談でもしているような賑やかな声が聞こえてきたりもしたが、相変わらず我らが軽音部の部室からは物音ひとつ聞こえてこない。
案の定、ドアを開けても誰ひとりとしていなかった。
まあ、誰かが居たほうが驚くような現状だ。無理もない。
浩平「………」
遊び道具があるわけでもなく、オレは部室を後にした。
下駄箱で靴に履きかえると、そのまま昇降口を抜け、放課後の閑散とした中庭を通り、帰宅の途についた。
いつものようにひとりで夕飯を食べ、テレビを見ながら布団の中でうだうだする。
0時を回ったところで眠気も最高潮に達し、布団を被ったままでテレビと電灯を消す。
そして再び体を横にして目を閉じると、心地よく眠りが訪れた。
朝。
何かの喧噪で目が覚めたオレは、薄目を開けて枕元の時計に目を遣る。
蛍光色で加工された時計の針と文字盤が、薄闇の中で青白く浮かんでいた。
半分閉じかけた瞳を懸命にこらし、ぼやける視界の焦点を合わせる。
浩平「…6時…半か?」
嘘だろ…?
もう一度時計を見る。
……確かに6時30分。
いつもより1時間以上も早いじゃないか。
■起きる
■もう一度寝る

オレは目覚ましが鳴るよりも早くスイッチをオフにして、颯爽と布団から抜け出した。
どうだ、見たか長森!
272名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 11:29 ID:IDqDUqkc
あほにしあいかわらず暇人だな。さっさと自殺しろよ
オレはその気になればこんなに規則正しいやつなんだ。
と、長森の家の方角に向かって密かに勝利宣言をする。
静かだ。
そして、心地いい。
まるでこの世界で目覚めているのはオレ一人しかいないような錯覚さえ覚える。
一度大きく伸びをして、新鮮な朝の空気を吸うために窓とカーテンを一緒に開け放つ。
ザーーーーーーーーーーーー!
浩平「……」
ザーーーーーーーーーーーー!
浩平「……おいおい」
そこには期待していた清々しさなど微塵もなかった。
工場から出る煙のような黒い雲が隙間なく広がり、視界が霞むくらいの大粒の雨が、風に煽られてオレの部屋に水たまりを作る。
そして、稲光。
直後に轟音。
…これか、オレを叩き起こした張本人は。
ザーーーーーーーーーーーー!
バタン!
オレは陰鬱な雰囲気を振り払うように、一際強く窓を閉めてやった。
浩平「…ふう」
ひどい目にあった。
気を取り直し、荷物をまとめ部屋を出る。
よもやこんな時間に目が覚めるとは不覚だった。
オレは貴重な睡眠時間を取り戻すために、改めて布団をかぶりなおして目を閉じた。
………。
……。
………。
……。
……眠れなかった。
確かな眠気はあるのだが、別の何かがオレの安眠を妨げていた。
窓の外から聞こえる雑音。
それは雨の音だった。
一度気になると、その雨音が耳について離れない。
浩平「……」
オレはのそっと布団から這い出て、カーテンを開けた。
ざーーーーーーーーーーーーっ!
案の定、外は雨だった。
陽の光を完全に覆い隠すような分厚く黒い雲に覆われた空。
風に煽られた雨粒が、勢いよく室内に飛び込んでくる。
そして、遠くで何かが光った。
直後、地響きのような音が響く。
その雷鳴に触発されるように、さらに雨足が強まったような気がした。
浩平「…嫌な天気だなぁ」
一人呟いて、溜息と共にカーテンを閉める。
視界が閉ざされて、再び部屋が薄暗さを取り戻す。
しかし、眠気も完全になくなっていた。
眠気がひくと、代わりに空腹感が襲ってくる。
浩平(…仕方ない、素直に起きるか)
オレは布団に戻ることをあきらめて、手短に必要な荷物をかき集めた。
281ZERО☆ ◆8MJC2G8//Q :03/01/30 11:41 ID:K8wNKcn+
なんだこりゃ
282ぺそにn ◆DD5pesoDNA :03/01/30 11:42 ID:lfEAhD9F
嵐だから気にするなデブゼロってんじゃねえよ
そして、鞄を背負って部屋を出る。
1階のリビング。
オレは手探りで照明のスイッチを探し、オンにする。
無人のリビングに明かりが灯る。
…なるほど、この時間だと由起子さんもまだ寝ているのか。
まあ、仕事が忙しいんだから仕方ないんだろうけど。
オレは由起子さんを起こさないように、静かに台所へと移動する。
朝食を調達するためだ。
ごそごそと戸棚をあさると、買い置きの菓子パンが4袋。
よし、なかなかの収穫だ。
冷蔵庫をあけ、飲みかけのオレンジジュースを取り出し、そのまま指でキャップをはじいて喉を潤す。
半ば流し込むように2袋を腹に収め、残りを鞄に詰める。
…これで今日の昼食代は浮いたな。
そんなことを考えながら、ゆっくりと身支度を整え家を後にした。
結局、由起子さんと顔を合わすこともなかったな。
浩平「どうして先に行っちゃったのよ……とか言われそうだよな」
長森のふくれた顔を思い浮かべながら、傘をさして歩く。
とはいえ、別に一緒に登校する約束をしてるわけでもないしな。
何となく言い訳しながら、空を見上げる。
浩平「今日は全国的に雨、そして北海道では雪、か…」
今朝見た天気予報を振り返りながら、アスファルトで固められた住宅街を歩く。
雪…。
そうか、もうそんな季節か。
道理で寒いわけだ。
オレらしくもなく感慨に耽りながら、前方に出現した巨大な水たまりをジャンプしてかわす。
傘から滴る水滴が、制服を濡らす。
90%の確率で夜半までこんな天候が続くらしい。
…とは今朝見たテレビの受け売りだが、黒く染まった空を見上げると疑う余地はないような気がする。
歩きなれた町並みを傘の下から眺めながら、オレはある光景に気づいてふと足を止めた。
住宅が立ち並ぶ中にポッカリと開いた空間。
浩平「懐かしいな…まだあったんだ」
そんな言葉が思わず口をついて出る。
道路に面していながら背の高い雑草に囲まれていて中の様子は見えない。
さながら子供の秘密基地の様な場所だ。
そういうオレ自身、ガキの頃は学校帰りにここで日が暮れるまで遊ぶのが習慣になっていた。
その頃はオレの背より高かった雑草も、今では目線よりもずっと下にある。
浩平「もうなくなってるとばかり思ってたけど」
他にも幾つかあった空き地は、すでに真新しい住宅に変わっていた。
懐かしさ半分、好奇心半分でその場所に一歩足を踏み込む。
雨を存分に吸い込んだ地面が、オレの体重を受けてぐにゃりと沈みこむ。
浩平「昔のままだな…」
そこに居るだけで寂しさを感じる。
そんな場所だ。
オレはそこで、一人の女の子の姿を見つけた。
見慣れた制服。
オレと同じ学校の生徒か。
何もない場所で、何もない空間をただじっと見つめている。
そして、その姿が不思議と絵になる。
そんな女の子だった。
その子もオレの視線に気づいたのか、ゆっくりとした動作で振り返る。
女の子「……」
オレはその子に見覚えがあった。
里村 茜(さとむら あかね)。
クラスメートだ。
ちなみに、親しい間柄ではない。
茜「……」
いや、実は一度も喋ったことがない。
茜「……」
浩平「……」
視線だけで無言の会話。
俗にいうところのアイコンタクトというやつだ。
……。
いや、嘘だけど。
茜「……」
とはいえクラスメートと道端(?)で出会って挨拶しないのも礼儀に反する。
浩平「…よお、何やってんだこんな所で」
茜「誰?」
……うっ。
いきなり出鼻を挫かれる。
浩平「クラスメートの名前くらい覚えとけよ」
茜「…クラスメート」
落ち着いた…というより感情の起伏のない声で同じ言葉を繰り返す女の子。
浩平「同じクラスの折原だ」
茜「それで?」
……うっ。
2回目の出だしも失敗する。
浩平「…いや、偶然こんな所で出会ったんだし挨拶の一つでも交わそうかと…」
茜「それで?」
さらっと言う。
浩平「…いや、それだけなんだけど…」
茜「私に用があるの?」
浩平「オレは何もないな」
頷きながら答える。
茜「私も、ないです」
頷きもせずに答える。
ザーーーーーーーーーー!
雨足は未だ衰えず、厚手のカーテンのようにオレと女の子の間を遮っていた。
浩平「なあ、こんなところで何をしてるんだ?」
茜「用があるの?」
浩平「いや、全然ないけど…」
茜「私も全然ないです」
浩平「……」
茜「……」
浩平「……」
茜「……」
駄目だ…。
これが限界だった。
浩平「じゃあ、お互い用もないようだし、オレ行くから」
茜「…待って」
立ち去ろうとするオレを後ろから呼び止める。
相変わらず抑揚の無い声で、だが。
浩平「…なんだ?」
茜「……」
オレを真正面から見つめる。
寂しい瞳。
悲しい瞳。
茜「……」
何かにすがるような瞳。
茜「ごめんなさい、やっぱりいいです…」
一方的に視線を逸らす。
オレから、何もない中空へ。
それっきり黙り込む。
浩平「こんな雨の中で突っ立ってると、風邪ひくぞ」
茜「大丈夫です…」
茜「馬鹿は風邪ひかないらしいから…」
表情を変えずに、ぽそりと言う。
浩平「…そう…か」
空は真っ黒な雲に覆われ、雨はまだ小降りになる気配さえなかった。
里村を空き地に残したまま、オレは一人学校へと向かった。
傘を打つ雨が、重い足取りに拍車をかけていた。
傘の花が開く校門前を抜けて昇降口へ。
長森「どうして先に行っちゃったのよ!」
昇降口に辿り着いたところで、長森に捕まる。
息を切らしながら、予想通りの文句を言う長森。
長森「部屋の外から呼んでも全然返事しないし、わたしてっきり不摂生がたたって倒れたんじゃないかって…」
浩平「あのなぁ、玄関に靴なかっただろ?」
長森「なかったけど、でもまさか浩平が早起きするなんて考えられないから…」
浩平「考えられなくても、靴がなかったのなら他の答えはないだろ」
長森「もしかしたら、靴履いたまま寝ちゃったんじゃないかって…」
浩平「んなわけないだろっ!」
浩平「お前は、オレが早起きする確率よりも、靴を履いたまま寝る確率の方が高いと思ってるのか」
長森「そうは思ってないけど」
浩平「…もういい…時間がもったいない」
さっさと話を打ち切って靴を履き替える。
■長森に里村のことを訊ねる
■急いで教室に向かう

浩平「…なあ長森」
ふと思い立って、隣でロッカーを開ける長森に話しかける。
長森「なに?」
浩平「里村ってどんな子なんだ?」
オレは今朝会ったクラスメートについて訊ねることにした。
まがりなりにも長森は女の子だ。オレよりは女子生徒サイドの情報に詳しいはずだ。
長森「同じクラスの里村さん?」
浩平「そう、同じクラスの里村さんだ」
長森「可愛い子だよね」
浩平「…いや、そうじゃなくてだな、オレが訊きたいのは…」
長森「あ、おはよう」
その言葉を遮って、オレの背後に朝の挨拶。
茜「…おはようございます」
長森の声に、軽く会釈を交えて応える。
長森「…ね、本人に訊いてみたら? 訊きたいことあるんでしょ?」
オレの耳元でささやく。
その本人が答えてくれないからお前に訊いたんだ、長森。
心の中でため息をつきつつ、一応里村にも声をかけてみる。
浩平「よお、また会ったな」
茜「…はい」
浩平「なあ、あんな所で何してたんだ?」
大雨の降る空き地で、ただ立ってるだけの女の子。
至極当然の疑問だと思うぞ。
茜「……」
浩平「…もしかして、ラジオ体操とか?」
茜「……」
浩平「…違うのか?」
茜「……」
浩平「だったら…」
茜「……」
そのまま、オレの横を無言で通り過ぎる。
浩平「何だよ、教えてくれたっていいじゃないか」
茜「……」
立ち去りかけていた女の子が、ゆっくりとオレの方に振り返る。
茜「…ラジオ体操です」
それだけ言い残すと、再びくるりと身体を返し廊下の方に歩いていった。
登校する生徒に紛れて見えなくなってしまうまで、ただ何となく見送る。
浩平「…つまりな、長森」
里村の姿が見えなくなったころ、思い出したように言葉を続ける。
長森「なに?」
浩平「オレが訊きたかったことは…」
長森「無口な人だよね」
浩平「…それだけか?」
今のやりとりを見ても無口の一言で終わらせるのか…お前は。
長森「そろそろ、わたしたちも教室に向かわないと遅刻するよ」
浩平「ああ、そうだな…」
せっかく早起きをしたんだ、これで遅刻したら確かに馬鹿らしい。
…と、その時ちょうどチャイムの音。
長森「走らないと」
今にも泣き出しそうな瞳だった…。
少なくとも、オレにはそう見えた。
何だろな…この感じは…。
長森「ほんとに遅刻になるよ」
浩平「ああ…わかってる」
いつの間にかずいぶん先を行く長森を追い越すように、オレも走り出した。
慌てて上履きをはいて、オレの側に駆け寄る。
浩平「今日はせっかく早起きしたんだから、これで遅刻したらあまりにも馬鹿らしいぞ」
長森「まだ、時間があるから大丈夫だよ」
浩平「それもそうか」
長森の到着を確認して、廊下を歩きだす。
その時、ふと昇降口を振り返る。
茜「……」
見覚えのあるピンクの傘を畳んで、クラスメートが昇降口に現れた。
瞳を伏せるように視線を落として、静かに自分の靴箱に向かう。
その後ろでは、折からの雨がそのままの勢いで降り続いていた。
茜「……」
大粒の雨に囲まれて…。
何もない場所で…。
ただ佇む女の子…。
今にも泣き出しそうな姿だった。
少なくともオレにはそう見えた。
長森「…浩平、どうしたの?」
浩平「嫌な雨だよな」
長森「う、うん、そうだね」
言葉の意図がつかめずに、曖昧に頷き返す長森。
浩平「…行こうか」
里村から視線をそらして、教室に向かう。
その後ろを長森がついて歩く。
昨日までと変わらない光景。
でも…。
教室にはまだ担任の姿はなかった。
オレはクラスメートと軽く挨拶を交わして、自分の席に着いた。
雨で濡れた鞄を放り投げて、横を向くと、ちょうど教室に入ってきた里村と目があった。
茜「……」
何もなかったように視線をそらして、自分の席に座る里村。
浩平(…里村の席ってあそこだったのか)
今まではそれさえも知らなかった。
と、同時に前の扉から担任の髭が姿を現して、そして今日も1日が始まった。
退屈な午前の授業。自然とあくびの回数も多くなる。
ふと横を向く。
オレとは教室中央を挟んでちょうど反対側。
321ピカチュウ:03/01/30 12:39 ID:tVWlUeLz
今までは全く意識する事さえなかった場所。
そこに座る一人のクラスメート。
ノートを開いて、黒板に書き出される文字を淡々と写しとっている里村の姿があった。
その様子をじっと眺めていると、里村も誰かの(オレだけど)視線に気づいたのかシャーペンを置いてこっちを向く。
茜「……」
目が合う。
…なにか用ですか?
非難の視線がそう語っていた。
…いや、別に用はないけど。
…そう。
視線をノートに戻す。
……。
…なんですか?
未だに視線を向けるオレに再び向き直る。
…いや、何もないけど。
…そう。
もう一度視線をノートに落とす。
……。
オレもいい加減視線を戻す。
……。
なんか会話通じてるし…。
……。
今度は、反対の方を向く。
窓に張りついた水滴越しに、道行く人の姿が見える。
色とりどりの傘が歩いている。
雨……放課後までに止むといいけどな…。
そんなことを考えながら、午前の授業は過ぎていった。
4時間目の終了。
そして、昼休み。
みんなそれぞれ思い思いの行動をとりはじめる。
数人で学食にくりだす奴。
購買のパンを目指して走り出す奴。
他人の机をくっつけて、教室で円陣を組む奴。
浩平「自分の席でちゃんこ鍋をつつく奴」
七瀬「誰がよっ!」
わざわざオレの言葉に反応してくれる。
意外と律儀なのかも知れない。
…と、まあ、だいたい各人の行動パターンは決まっているのだが、その点でオレは違う。
日によって全くバラバラだ。
オレの昼食時の行動を読むことができるのは、おそらく長森くらいだな。
しかも今日はその中でも特に奇抜な行動を起こそうとしている。
オレは今朝詰めた弁当(菓子パン2つ)を鞄から取り出して、一人の生徒を探した。
浩平「おーいっ、南っ!」
南「…なんだ?」
オレに呼ばれた南が振り返る。
浩平「悪いけど、お前の机ちょっと貸してくれ」
南「なんだ折原…また妙なことに使うんじゃないだろうな」
浩平「なんだよ妙なことって」
南「この間、机を何段積みあげられるかに挑戦してただろ」
浩平「あれはウケがいまいちだったからな、もうやらない」
南「さあ、どうだか」
いろいろと前科がある分、信用がないらしい。
疑惑の眼差しでオレを見る。
浩平「いや、ただお前の席で昼食をとろうと思っただけだ」
南「普通にか?」
浩平「普通以外にどんな昼食の取り方がある」
南「お前なら何か新しい取り方をあみ出すかも知れない」
浩平「オレだってそんな暇じゃない」
南「どうだか」
執行猶予中の身分では契約もままならないらしい。
南「いらんっ!」
吐き捨てて、さっさと出ていく。
多少難航したが、契約成立。
これで、場所は確保した。
オレは南の席に座って、後ろを向いた。
浩平「…よお、奇遇だな」
茜「……」
この席の後ろの生徒……里村と目が合う。
もちろん奇遇でも何でもない。これが目的だ。
■一緒に食べようと誘う
■今朝のことを訊ねる

浩平「せっかくだから一緒に食べないか?」
茜「……」
浩平「な?」
茜「……」
何事もなかったように、ぱたんとランチボックスの蓋を閉じて、ハンカチで包む。
茜「…ごちそうさま」
浩平「待てっ! まだ全然食べてなかっただろっ」
茜「…おなかいっぱいだから」
浩平「いや、それでも残すのは良くない」
浩平「お米にはな、たくさんの神様が宿っていて粗末に扱うと罰が当たるぞ」
茜「今日はサンドイッチです」
浩平「それでも、半分くらいは居るかもしれないだろ」
茜「居ません」
浩平「今朝のことが気になったんだ」
茜「…どうして」
小さな、非難の声だった。
自分でも不思議だった。
オレはそれほど物事に執着する方ではないけど、このことに関してはどうしても引き下がれなかった。
何というか……他人事ではないような気がしたからだ。
茜「……」
迷惑そうだった。
浩平「嫌なら嫌で構わないけど…」
茜「…嫌です」
きっぱりと言われる。
浩平「分かった、それならもうこの話はしない」
茜「……」
浩平「でも、折角だから一緒に飯でも食うか?」
茜「…嫌です」
とりつく島もなかった。
そして…。
茜「…ごちそうさま」
弁当箱を片づけて、席を立つ。
浩平「おーい、まだ残ってるだろっ」
茜「お腹いっぱいです」
ついと横を向いて、そのまま廊下に出る。
残されたのは、女の子らしいピンクのハンカチに包まれたランチボックスだけ。
……。
何となく悔しいので、後ろを向いた不自然な格好のまま、あんパンをかじる。
無人の机と向かい合ったまま、もぐもぐと昼食。
…さすがに飲み物なしでパンは辛い…。
何度か喉につっかえながら、それでも全部たいらげる。
長森「…なにやってるの?」
長森がすれ違いざま疑問を投げかける。
浩平「見て分からないか…昼飯を食ってるんだ」
長森「そうなんだ…」
不思議そうに小首を傾げる。
結局、5時間目のチャイムが鳴るまで里村は帰ってこなかった。
浩平「もしかして、オレ嫌われてるのか?」
南「いや、オレに言われても」
確かに、帰ってきた南に訊いても仕方ない。
南「そんなことよりもはやくどいてくれ」
浩平「…ああ」
そして、オレが立ち上がるのと入れ替わりに里村が戻ってきた。
ついでに、次の教科の担当も…。
退屈な午後の授業。
窓越しに雨の降る街を眺めて時間を過ごす。
天気予報は、どうやら当たりのようだった。
6時間目終了のチャイムが鳴り、生徒達が一斉に席をたった。
■誰かを誘って帰る
■さっさと帰る

浩平「おーい、住井」
ちょうど鞄を背負っていた住井を呼び止める。
住井「なんだ?」
浩平「商店街でなんか食って帰らないか?」
住井「悪いな、オレにはこれからやらなければならない重大な使命があるんだ」
住井「これからその準備があるから、お前と一緒に帰ることはできそうもない」
浩平「また、なにかくだらない企画でも考えてるのか?」
住井「今はまだ教えられないが……そうだな、このクラス1つを巻き込んだ壮大なプロジェクトがついに動き出した、とだけ言っておこう」
意味ありげな笑みをたたえて、格好良くポーズを決める。
クラス1つの規模が壮大なのかどうかはこのさい突っ込まないでおく。
浩平「それで、そのプロジェクトの全容はいつ明らかになるんだ?」
長くて読む気にならんから、7行以下でまとめろ。
あと、sageろ。
住井「そうだなぁ…できるだけ早くに公表したいと思っている」
住井「おそらく、明日の午前中だな」
謎の計画は、以外と淡泊だった。
住井「そういうことで、まあ、楽しみにしててくれ」
じゃあな、と捨てぜりふを残して教室を出ていく。
その後ろ姿は、せこい悪巧みを企てている三流悪役のようだった。
浩平「…オレも帰るか」
一人で校舎を後にする。
こんな雨の日にどこかに寄り道して帰るつもりもないので、さっさと帰宅することにした。
鞄を背負って廊下にでる。
陰鬱な雨のせいか、今日は何もする気が起こらなかった。
帰宅部の生徒に混じって、昇降口に向かう。
放課後の昇降口。
天気予報が見事に的中し、朝からの雨はいまだ降り続いている。
とはいえ、さすがに今日傘を忘れた生徒はいないらしく、昇降口で途方に暮れる姿はなかった。
浩平(運動部の連中もさすがに休みか…)
浩平(今日はオレも帰るか、こんな天気だしな…)
もちろんオレの所属する部活に天気は関係ないのだが、まあ、何というか気持ちの問題だ。
さっさと家路につく知り合い連中と一言二言言葉を交わし、オレも上履きを履き替える。
「…くしゅん」
ん?
すぐ後ろでくしゃみ。
「…くしゅん」
何気なく振り向くと、クラスメートと目が合う。
茜「……」
つくづく今日は縁があるようだった。
今までなかった分まとめてきたのかもしれないな。
茜「…くしゅん」
確か、くしゃみ3回で風邪だったか。
浩平「大丈夫か?」
茜「…何が?」
浩平「やっぱり、風邪ひいたんじゃないか?」
茜「…大丈夫…くしゅん」
と、言ってるそばから4回目のくしゃみ。
浩平「保健室で風邪薬もらった方が…」
茜「…大丈夫です」
浩平「今年の風邪はたちが悪いらしいぞ」
毎年訊く台詞だけどな。
茜「…大丈夫です」
今年の風邪が大丈夫なのか、それとも絶対にひかない自信があるから大丈夫なのか…。
どちらにしろ、何の根拠もないと思うぞ、オレは。
浩平「あのなぁ、心配してやってるんだから、もう少し愛想良くできないのか」
茜「…用件はそれだけですか?」
訊いちゃいないな、人の話。
浩平「いや、まだあるぞ。今朝何か言いかけてなかったか?」
オレを呼び止めた時の、あのすがるような表情。
茜「気のせいです」
目線を伏せて、横を通り過ぎようとする。
浩平「いや、気のせいじゃないぞ、確かに…」
茜「…気のせいです」
背を向けたまま言う。
浩平「…そうか」
浩平「まあ、気のせいならそれでも構わないけど」
茜「……」
浩平「でもな……身体には気をつけたほうがいいぞ」
本当にな。
茜「……」
浩平「じゃあ、また明日な」
茜「…はい」
微かに頷いて、傘を広げ昇降口を後にした。
今朝、あの空き地で見たものと同じピンクの傘だった。
……。
浩平「オレって、根気あるよな…」
そう思うのだった。
雨だから、という理由は関係ないのだがオレも部活に顔を出すことなく下校することにした。
雨の降る町並みを眺めながら、帰路につく。
結局この日は、最後まで雨が止むことはなかった。
雨に濡れた制服をストーブの側で乾かしながらテレビをつける。
適当にチャンネルをかえながら時間をつぶしていると、気がつけば1時をまわっていた。
すっかり乾いた制服をハンガーにかけて、そして布団に横になる。
目を閉じれば、簡単に眠りにつくことができた。
カシャアッ!
カーテンの引かれる音。同時にまばゆい陽光が瞼の裏を刺す。
長森「ほらぁ、起きなさいよーっ!」
がばぁっ!
長森「あれっ…!?」
長森「わぁーっ、毛布が丸めて人の形にしてあるっ!」
ぐー…。
長森「浩平ーっ、どこっ!?」
ぐー…。
長森「鞄も制服もあるし…」
長森「ほんと遅刻するよ、浩平ーっ!?」
ぐー…。
長森「浩平〜っ!!」
長森「あ〜んっ! どこどこどこーっ!?」
がちゃ!
がばっ!
ごそごそっ!
長森「あ、いたぁーっ!」
ずるずるずる…
ん…? なんか体が床と擦れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森に引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは残りの下半身を自分で引き出して、立ち上がる。
長森「どんな寝相だったら、ベッドの下なんかに潜っちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより、時間!」
浩平「ん?」
長森の差し出す腕時計を見る。いつもながら、芳しくない時間だ。
長森「はいはい!」
鞄と着替えを押しつけられる。
長森「ほらほらぁっ」
浩平「んー…」
そして背中を押され、部屋を後にする。
浩平「オレ、着替えるから、長森、おまえ歯を磨いてくれ」
長森「誰の?」
浩平「オレの」
長森「どうしてそんなことまでしてあげなくちゃいけないのよっ!」
浩平「いや、やってくれるかなぁって思って…」
長森「はぁ…」
長森「やっぱり面倒見のいいひとが必要だよ、浩平には…」
浩平「またか…?」
長森「ほら、待ってるんだから、早くしてよね」
浩平「ん、ああ…」
結局、着替えだけ済まし、早々に家を出る。
がちゃ!
がばっ!
ごそごそっ!
長森「あ、いたぁーっ!」
ずるずるずる…
ん…? なんか体が床と擦れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森に引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは残りの下半身を自分で引き出して、立ち上がる。
長森「どんな寝相だったら、机の下なんかに潜っちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより、時間!」
浩平「ん?」
長森の差し出す腕時計を見る。
いつもながら、芳しくない時間だ。
長森「はいはい!」
鞄と着替えを押しつけられる。
長森「ほらほらぁっ」
浩平「んー…」
そして背中を押され、部屋を後にする。
浩平「オレ、着替えるから、長森、おまえ歯を磨いてくれ」
浩平「またか…?」
長森「ほら、待ってるんだから、早くしてよね」
浩平「ん、ああ…」
結局、着替えだけ済まし、早々に家を出る。
がちゃ!
がばっ!
ごそごそっ!
長森「いないよーっ!」
ぐー…。
長森「はぅ〜ん…」
長森「もう先、いくからね?」
長森「もうっ…」
ばたんっ。
たったったっ…
………。
……。
………。
……。
………。
ばたんっ!
長森「もーっ! ほんとに遅刻しちゃうよぉっ!!」
長森「浩平ー! 浩平ー! 浩平ったらーっ!!」
長森「はぅっ…」
長森「………」
長森「もうっ…今度こそ、先いくからねっ!」
長森「じゃぁ、おやすみっ!」
ばたんっ!
たったったったっ…
………。
……。
………。
……。
………。
……。
………。
ばたんっ!
長森「あぁぁ〜んっ! また戻ってきちゃったよ〜っ!」
長森「早く出てきてよぉっ! わたしまで遅刻しちゃうよ〜っ!」
長森「………」
長森「んぐぅ…」
ぐー…。
長森「……?」
ぐー…。
がちゃっ。
長森「あぁっ! 見つけたあぁっ!」
長森「浩平ったらぁっ!!」
ぐらぐらぐら…
ん…? なんか体が揺れて…
長森「ほらぁーっ、起きないと遅刻するよぉっ!」
うわ、長森にクローゼットから引きずり出されていたのか。
浩平「おはよ…」
オレは踏み出した先の段差に転けそうになりながら、朝の挨拶をする。
長森「どんな寝相だったら、クローゼットの中に収まっちゃうのよ!?」
浩平「いや、びっくりするかなって思って…」
長森「あー、びっくりした!」
長森「これでいいっ?」
浩平「ま、いいけど…」
長森「そんなことより! 時間、時間!」
浩平「ん…?」
オレは長森の差し出す腕時計を見る。
とんでもない時間だった。
浩平「なんだ、今日はおまえまで遅かったんだなっ!」
長森「違うよっ、ちゃんとわたしはいつも通りに来たもんっ! 浩平が見つからなかっただけだもんっ!」
浩平「いいわけはいい」
長森「いいわけじゃないもんっ」
オレはふくれっ面の長森を無視し、鞄と着替えをひっ掴むと、部屋を後にする。
長森「もう起こしにきてあげないよ?」
浩平「まあ、遅刻しそうな時間に起こしにきてくれても意味ないからな」
長森「うぐぅっ…ちゃんと来てたもんっ」
浩平「ほらっ、急ぐぞ」
着替えだけ済まし、早々に家を出る。
長森「でも、ほんとにわたしを驚かせるためにあんなことしてたの?」
浩平「ん?」
走りながらだから、よく聞こえない。
長森「ほんとにわたしを驚かせるためだけに、あんなところで寝てたのっ?」
浩平「ああ。それ以外にどんな理由であんな場所で寝るっていうんだ」
長森「はぁっ…」
長森「普段から十分驚いたりしてるから、あんなことしなくてもいいよ」
長森「体とか痛かったんじゃないの…?」
浩平「いやまあ、どこでも寝られる体質だからな」
長森「そんなことに気使うんだったら、もっと違うことに使ってくれたらいいのに…」
浩平「どんなことに」
長森「…えぇっ?」
長森「ほらっ…いつも起こしてあげてるからっ、日頃の感謝を込めてとかっ…」
浩平「そうだな、感謝を込めて…」
■プレゼントでもやろうか?
■デートにでも誘ってやろうか?

浩平「プレゼントでもやろうか?」
長森「あっ、わかってるねぇ」
浩平「そうだな、長森には毎朝お世話になってるからなぁ…」
長森「うんっ」
浩平「洗剤でも買ってやるか」
長森「そ、そんなの嬉しくないよ〜」
浩平「そうか? いつか使うだろ?」
長森「そりゃそうだけどっ…こう、なんていうか、形に残るものがいいなぁ…」
浩平「毛玉取り器とかはどうだ」
長森「じ、実用品から離れようよ〜」
浩平「どうして。おまえ、いっつも毛玉付けてるじゃん」
長森「それって浩平だよ。浩平、毛玉だらけだよ、いつも」
浩平「ああ、オレか。ン、ほんとだ」
長森「それでまた、取ってくれ〜とか言ってわたしの用事増やすんだぁ」
浩平「確かにあれでうぃんうぃん取ってもらうと気持ちよさそうだな〜」
長森「だーめ」
浩平「じゃあ、耳掻きを買い与えてやろう」
長森「だからだめだって言ってるでしょっ」
浩平「長森、耳掻きするの上手そうなのにな」
長森「だーめ」
浩平「じゃあなぁ…」
長森「考える方向、合ってる…?」
浩平「猫好きだったよな、長森な」
長森「そうそう、合ってるよ」
浩平「よし、猫の剥製をやろう」
長森「いらないよ、そんなもの〜」
浩平「しかも手作りだ」
長森「はふんっ、残酷すぎるよぉ…」
おっと、言い過ぎたか…。長森が鼻をすすり上げて、走る速度を落とす。
浩平「冗談だって。ほら、遅刻するぞ」
長森「うんっ…」
再び併走し始める。
浩平「デートでも誘ってやろうか?」
長森「えっ? えぇ〜っ!?」
浩平「うん?」
長森「そ、そんなぁっ、まずいと思うよそれはぁっ…」
浩平「どうして?」
長森「ほらぁ、体裁悪いっていうかっ…」
長森「浩平のこと好きなコとか、勘違いしてショック受けちゃうよっ…」
浩平「はぁ…?」
■そんな奴がいるわけないだろ
■勘違いされても構わないぞ

浩平「そんな奴がいるわけないだろ」
長森「いるよぉー、たぶん…」
浩平「いない」
長森「いるって」
浩平「どこに」
長森「そ、そんなことわかんないよっ…」
浩平「じゃ、いない」
浩平「ということで、デートにレッツゴーだな」
長森「だめだめだめだめだめっ!」
浩平「だから、誰もショックなんて受けないって」
長森「ううん、絶対いるよ、どっかに浩平のこと思ってるひとが」
長森「だからね、そんな人のためにわたしなんかとデートしちゃだめだよ」
浩平「んー、オレは構わないんだけどなぁ」
長森「わたしが構うよ…」
浩平「そうか、残念だな」
長森「あ、でもでもでもでもっ…」
浩平「なに」
長森「デートじゃなかったら、いいよっ…」
浩平「ふたりでどっかに行くの?」
長森「うんっ…」
浩平「それってデートだろ」
長森「違うよ…ふたりで遊ぶだけだよ」
浩平「でも、さっきおまえが言ったような人はショック受けるんじゃないの?」
長森「あ、そうかな…」
浩平「そりゃそうだろう」
長森「んー…どうしたら、浩平と一緒に遊べるのかなぁ…」
浩平「まぁ、他人のこといちいち気にしてたら何にもできないって」
長森「そうかなぁ、いいのかなぁ…」
浩平「いいって、いいって」
浩平「オレは勘違いされても構わないぞ」
長森「えぇ〜っ、どうして〜っ!?」
長森「わたしだよ、わたしっ! わかって言ってるの〜っ!?」
浩平「長森だろ。わかってるよ」
長森「わ〜、浩平バカだよ! わたしなのに、わたしなのに、わたしなのにっ!」
浩平「おいっ、少しは落ち着け」
長森「あっ…ごめん…」
浩平「オレはおまえのほうが心配だぞ、そんな卑下してばっかで」
長森「そっかな…わたしは大丈夫だよ」
浩平「それってその気になれば、誰だって落とせるってこと…?」
長森「わぁ、そんなことあるわけないよっっ!」
長森「わたしは浩平じゃなくて、ひとりでなんでもできるってことだよ!」
浩平「寂しいこと言う奴だなぁ、やっぱ心配だぞ」
長森「わたしは…いいんだよっ。やっぱ浩平が心配」
浩平「そうかぁ…?」
長森「そだよ…」
ふたりは最後の角を曲がり、校門までの距離を一気に駆け抜ける。
浩平「お、間に合ったか?」
長森「鳴るよ、ほら」
長森が言うと同時、チャイムが晴れた空に鳴り響く。
浩平「後は、髭との勝負かっ」
長森「うんっ」
オレたちは、閑散とする中庭を抜け、下駄箱へと慌ただしく駆け込む。
浩平「ほら」
先についていたオレが、長森の分の上履きも出してやる。
長森「ありがと」
廊下を歩く、別クラスの担任を追い越し、教室へと転がり込む。
浩平「ふぅ…ま、こんなもんだな」
長森「うんっ」
教室の中では、まだ朝の挨拶から始まる無駄話が、とりとめもなく続いていた。
オレは長森に別れを告げ、窓側の自分の席まで歩いてゆくと、鞄を机の上に投げ出して、椅子に腰を下ろす。
目の前では七瀬がそっぽを向くように、窓の外を眺めていた。
■おはよう、と声をかける
■無視しておく

浩平「よっ、おはよう、七瀬っ」
七瀬「んっ…」
七瀬「うんっ…おはよ」
浩平「どうした、元気か?」
七瀬「げ、元気よ…」
浩平「そうか、そりゃ結構」
浩平「目の前にいるんだから、七瀬にはいつでも元気でいてもらわないとな」
七瀬「なによ、それ…」
浩平「視界内に不機嫌な奴の顔が入ると、オレまで元気がなくなる」
七瀬「そりゃいいこと聞いたわ。するとあたしが不機嫌でいると、あなたは日に日に弱ってゆくわけね」
浩平「おまえだって、弱るだろ?」
七瀬「いざとなったときの最終手段よ…」
お互いどこまで冗談なのかわからないような会話が終わらないうちに、担任の髭が現れ、朝のHRが始まった。
浩平「ふぅ…」
さすがに家から学校までの距離を走り抜くと、息も切れる。
オレは呼吸を整えるように、深い溜め息をつく。
浩平「………」
七瀬「………」
浩平「………」
七瀬「あ…」
浩平「……?」
七瀬「ヘンな人がいるっ…」
浩平「え? 外にか…?」
オレは七瀬の見ていた方向に目を向ける。
が、見下ろせる中庭には誰の姿もない。
浩平「誰もいないぞ」
七瀬「………」
…なんだ?
問いただそうとしたところへ、担任の髭が現れ、朝のHRが始まった。
うぅ…。
眠いな…。やっぱり、おかしな体勢で寝たもんだから、熟睡できなかったかな…。
こういうときは、いきなりあてられたりすると、一瞬で目が覚めたりするもんなんだがな…。
あるいは、何らかの軽作業に没頭するか…。
■没頭できる軽作業を探す
■やめておく

没頭できる軽作業か…。
浩平「お…」
オレは目の前に垂れ下がる七瀬の髪の毛の中に枝毛を発見した。
おっと切りすぎた…。
右だけが短くなってしまった…。
ちょきちょき…ちょきちょき…
うーん、バランス取りが難しいな…。
左を切っては、短くなりすぎ、右を切っては、短くなりすぎる。
ちょきちょき…ちょきちょき…
よし、こんなもんかな。
教師「それでは、ここまで」
浩平「え…?」
キーーーーンコーーーー…
ぐあ……熱中しすぎて授業が終わってしまった…。
これでは、寝てたほうがマシだったんじゃないのか…。
女生徒「あれ、七瀬さん、なんかスッキリしたね」
七瀬「え?」
女生徒「なんかお下げが短くなったみたい」
やばい…ばかっ…そんなことを言い出すんじゃない!
七瀬「そんなことあるわけっ…」
七瀬「あ…」
自分の席の真下を見て、その目が止まった。
浩平「ぐあ…」
そこには、先ほどさんざん切った七瀬の髪の毛が散乱していた。
浩平「実に気持ち悪かったぞ。見ていたら、おまえの髪の毛が途中から、ぷちぷちと千切れ落ちてゆくんだからな」
女生徒「な、七瀬さん、病気…?」
七瀬「ぐっ…」
どすどすどすどす…!
またも、廊下まで突っ張られてゆくオレ。
七瀬「妖怪かぁっ、あたしはぁっっ!!」
浩平「オレも初めて見たぞ」
七瀬「あんたが切ったんでしょっ! いつからあたしの席は床屋になったのよっ!!」
浩平「いや、枝毛多かったから…」
七瀬「はぁぅんっ……女の子の髪の毛切るなんてぇっ…」
浩平「悪いが、オレは床屋志望だ。それなりのプライドがある」
七瀬「プライドある奴がこっそり人を練習台に使うなっ! あほぉっ!!」
浩平「うー…」
七瀬「もう金輪際、あたしの髪の毛に触らないで。いいっ!?」
浩平「ああ、わかった」
七瀬「放っておいたら、放課後にはショートカットになってたところだわっ!」
最後に一喝して(何喝もしているが)、教室へと戻ってゆく。
浩平「うーん…」
これ以上、怒らせたら、オレもこのクラスに居続けられなくなるからな…。
そうだ…その恐怖を感じるだけで、十分目が覚めるじゃないか…。
オレはうつらうつらとするたび、七瀬の剣幕を思いだし、授業を受け続けた。
うぅ…。
眠いな…。やっぱり、おかしな体勢で寝たもんだから、熟睡できなかったかな…。
こういうときは、いきなりあてられたりすると、一瞬で目が覚めたりするもんなんだがな…。
あるいは、何らかの手段を講じるか…。
■居眠り防止策を練る
■やっぱり眠ってしまおう
素晴らしい作戦だ。
オレはその作戦を即座に敢行する。
七瀬の垂れ下がった髪をひっ掴み、自分の指にきゅっと結びつける。
さて、これで授業に専念できるな。
オレは黒板に目を向ける。
………。
素晴らしい作戦だ。
オレはその作戦を即座に敢行する。
七瀬の垂れ下がった髪をひっ掴み、自分の指にきゅっと結びつける。
さて、これで授業に専念できるな。
オレは黒板に目を向ける。
………。
ぐぅ…
七瀬「イタぁっ!!」
どわ、しまったぁぁっっ!!
速攻である。
おもいきり指が七瀬の髪を引っ張り、そして解けてしまっていた。
声「なんだ…?」
声「どうしたどうした」
短い悲鳴をあげた七瀬に、注目が集まってしまっている。
うーん、後でどうなるやら…。
………。
やがて興味の目は引き、再び静けさを取り戻す。
くそぅ、簡単に解けてしまいそうな中途半端なところが、緊張感を和らげてしまっていたんだな…。
■ここは思い切って…
■これ以上は…

ここは思い切って…
オレは腕の手首にキツク七瀬の髪をぎゅっ!ぎゅっ!と結びつける。
無論、気づかれないように十分注意を払う。
…よし。これで解けないだろう。
となると、オレが寝入ってしまった日には、七瀬のこの髪がオレの腕の重みで…
ぶちぶちぃっ!!
となるわけである。
恐ろしい。恐ろしすぎる。
その恐怖と常に背中合わせの緊張感が、オレの意識を今度こそしっかりと覚醒させ続けてくれるだろう。
よし、授業に専念だ。
………ぐぅ。
ぶちぶちぃっっ!!
七瀬「きゃああぁッ!!」
どへ〜っ!! また速攻!!
七瀬「くぁっ…」
女生徒「七瀬さん、どうしたのっ?」
隣のほうから心配する声があがる。
七瀬「うぐっ、ううん、なんにもっ…」
女生徒「先生ーっ、七瀬さん、泣いてますぅーっ!」
先生「おい、どうした、何事だっ!?」
男子生徒「なにぃっ、誰だ、泣かせたのはぁっ!」
もう場は収集つかない騒ぎとなる。
七瀬「なっ…なんでもありませんっ…」
うーん、これは冗談で済まなくなってきたぞ…。
オレは手首に絡む髪の毛を解き、それを床に捨てる。
まあ、さすがにこれ以上はよしておくか。
眠くなったらなったらで、潔く眠るとしよう…。
………。
……。
………。
結局、七瀬の騒ぎで眠気は吹き飛んでしまっていた。
いや、これ以上はさすがに何もしてはいけない。
オレの本能が赤信号を発していた。
…やめておけ。
実に手を出したくなる逸材ではあったが、オレの身の保証あってのシロモノだ。
うーん、仕方ない。授業に集中するか…。
ん…? いつの間にか目的がすり替わっているのは気のせいだろうか?
やっぱ眠ろう…。
………。
……。
…。
くー…。
……。
…。
七瀬「ちょっと、きてくれる?」
1時間目の授業が終わると、着席もせずにオレのほうを向く七瀬。
浩平「ああ」
オレも覚悟していたので、何も聞かず、七瀬の後につく。
長森「あれ…ふたりでどこいくの?」
行き際、長森とすれ違う。
浩平「長森、後のことはよろしくな」
長森「え?」
浩平「次の授業から、でられない体になっているだろうから…」
七瀬「なにされると思ってるのっっ!」
浩平「えっ?」
七瀬「くっ…とにかくきなさいっ!」
ずるずると腕を引っ張られてゆく。
廊下にでると、七瀬は足を止め、オレへ向き直る。
七瀬「ね、どういうつもりよ、一体」
浩平「いや、どういうつもりと言われても、沢山ありすぎて、どれのことだかわからないけど…」
七瀬「ぜんぶよっっ!」
浩平「まあ、これをリンチだと誤解したのは謝るよ…」
七瀬「そんな些細なこと言ってないっっ!」
七瀬「もっとヒドイことしてるでしょっ! ひとの髪をなんだと思ってるのっっ!」
浩平「いや、眠気防止センサーに使ったのは謝るよ…」
七瀬「んなッ…そんなことに使ってたのッ!?」
火に油をどぶどぶ注いでる気がする…。
七瀬「それで女の子の髪、抜いたりするなんてっ…」
浩平「いや、謝るって。ごめんっ!」
七瀬「はぁぅっ…怒りを通り越して、あきれたも通り越して、もう一回怒りに戻ってきたわっ!!」
浩平「そりゃ器用だ…」
七瀬「もういい。わかったわ、あなたの性格が」
浩平「オレも七瀬の性格がわかったきたけどな」
七瀬「とにかく、席を入れ替える。それだけで今日のことは水に流してあげるわ」
浩平「それでいいんなら、いいけど…」
七瀬「なによ、含み持たせた言い方して…」
浩平「いや、学年の最初は、一番先頭の席だったんだよ、オレ」
七瀬「それで…?」
浩平「それがなぁ、不思議なことにどんどん後ろに追いやられていったんだな」
七瀬「どうして…」
浩平「どうしてだと思う?」
七瀬「さあ、見当もつかないけど」
浩平「じゃあ三択だ」
浩平「@テスト中、堂々と振り向いてカンニングをする A授業中、居眠りするとき後ろの机を枕代わりにする B常時、平気で屁をこく」
七瀬「却下。席は今のままでいいわ」
浩平「どうした、答えはいいのか?」
七瀬「どれが正解でも、却下するに十分よっっ!」
な ン だ コ の ス れ ハ ?
浩平「ちなみに答えはさ…」
七瀬「聞きたくないっっ!」
浩平「そうか…?」
七瀬「あーもう、どうしてこんな奴の前の席になっちゃったんだろ…最悪」
浩平「よく聞こえてるぞ」
七瀬「とにかくっ、もうちょっかいかけないで。いい?」
浩平「ああ。任せておけ」
七瀬「どういう返事よ、まったく…」
暗たんとした面もちで、教室に戻ってゆく
男子生徒「おい、ふたりで何話してたんだよっ」
浩平「参った。告白された」
七瀬(こらあぁっっ!)
押し殺した声でオレを振り返り睨む、七瀬。
浩平「はははっ、嘘だぞぉー、みんなっ」
これ以上怒らせると、今度こそリンチだからな…。
浩平「最初に吸うならどんな銘柄のタバコがいいか、相談されただけだぞ」
どどどどど…!
突っ張りの要領で、再びオレを廊下にまで押し出す七瀬。
七瀬「ね、一回殴っていい…?」
浩平「いや、すごく痛そうだからやめてくれ」
七瀬「ねぇ、あなた流の冗談なのかも知れないけど、ぜんっぜん笑えないから、やめてね」
口の端がぴくついている。
浩平「うーん、面白いと思ったんだけどな」
七瀬「凶悪に面白くないわよっ」
すごい表現をされる。
七瀬「はぁっ…クラス変えてもらおうかしら…」
再び溜め息をつきながら戻ってゆく。
男子生徒「仲がいいね、おふたりっ」
どこからともなく冷やかすような声。
七瀬「そんなことぜんっぜんっないのよ〜」
ふい〜…。
うん、と伸びをする。
相変わらず七瀬の周りには、少なくなりつつはあるが、男子連中の輪ができていた。
その喧騒を聞きながら、ぼぉーっと休み時間を過ごした。
休み時間となれば何か言われるものと思っていたが、どうやら無視を決め込んだらしい。
オレはよほどこっちから話しかけてやろうかとも思ったが、そうする前にいつものように男子連中が集まり始め、七瀬を取り囲んでしまった。
ふぅ…。
その喧騒を聞きながら、ぼぉーっと休み時間を過ごした。
………。
……。
………。
相変わらず七瀬の席は、昼休みともなると、昼飯を手にした男子連中が集まってお食事談笑会の様相を呈する。
ぐいぐいとオレの席も押しやられ、なんとも腹立たしい。
■その中に割って入る
■大人しく学食にでも向かう

オレはあまりにもムカついたので、群がる男連中の中に割ってはいる。
男連中「あはは、そうなんだ。七瀬さんって面白いね」
皆で質問攻めにしているらしい。
これだけ人数がいたら、誰が喋ったかなんて見当もつかないだろう。
少し、連中が引くようなことを言って、熱を冷まさしてやろう。
男連中「ねぇ、その髪の結び方可愛いね」
声「ありがと。でもヅラなのよ、これ」
男連中「その制服、前の学校のだよね? それも可愛いよね」
声「ありがと。でもこれ、二年間脱いでないから、クッサイの。あんまり近づかないでね」
男連中「そのリボンも可愛いよね」
声「ありがと。でもこれ、お爺ちゃん愛用の腹巻きなの。ちょっとお気に入りーって感じ」
男連中「な………」
効果てきめん。徐々に男共が引いてゆく。
七瀬「…あれ? 誰か、あたしの代わりに答えてない…?」
声「そんなことないわよ、あたし七瀬。ななぴーって呼んでね」
七瀬「って…誰よ、あんたっ!?」
うわ、やばいっ、バレた!
オレは七瀬に捕まる前に、さっと身を引く。
とにかく、こんなところで飯なんか食えない。学食にでも避難しよう。
行き際、チューチューと牛乳を吸う長森と目があったが、女友達といたので、話しかけずにやり過ごした。
声「そんなことないわよ、あたし七瀬。ななぴーって呼んでね」
七瀬「って…誰よ、あんたっ!?」
うわ、やばいっ、バレた!
オレは七瀬に捕まる前に、さっと身を引く。
とにかく、こんなところで飯なんか食えない。学食にでも避難しよう。
行き際、チューチューと牛乳を吸う長森と目があったが、女友達といたので、話しかけずにやり過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
長森「あー、いた」
オレを見つけてやってきたのは、長森だった。
長森「さっき無視したでしょー」
浩平「いちいち話しかけなくてもいいだろ」
長森「音立てて食べたりとか、肘ついたりとか」
ほんと、保護者気取りなんだからなぁ、こいつは。
長森「だから居てあげるよ」
向かいの席に腰を下ろす。
浩平「………」
もぐもぐ。
長森「美味しい?」
浩平「うまいよ」
長森「浩平ってさぁ」
浩平「うん…」
長森「ひとくちが大きいよね」
そんなことはどうでもいい。
そんなふうに、とりとめもない会話をしながら、オレは昼食時を過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
住井「おー、いたか、こんなところに」
オレを見つけてやってきたのは、住井の奴である。正面の席に乱暴にトレイを叩きつけ、腰を下ろす。
住井「おまえも、いくならいくって声をかけてくれればいいのに。俺だって学食は多いんだから」
454脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:54 ID:ZAr4tjAf
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浩平「今度からは誘うよ」
住井「まったく、もう少し付き合いをよくしろっての」
言って、日替わりランチを掻き込みはじめる。
浩平「友情の印に、こいつの皮を剥いて食べやすくしておいてやろう」
住井「こらっ、ギョーザの皮をめくっていくなっ!」
そんなふうな、とりとめもないやり取りをしながら、昼食時を過ごした。
456脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:55 ID:ZAr4tjAf
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こんなところで飯なんか食えない。学食にでも避難しよう。
行き際、チューチューと牛乳を吸う長森と目があったが、女友達といたので、話しかけずにやり過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
長森「あー、いた」
オレを見つけてやってきたのは、長森だった。
長森「さっき無視したでしょー」
浩平「いちいち話しかけなくてもいいだろ」
長森「ひとりで食べるんなら、言ってくれればいいのに」
浩平「言ってどうなるんだよ。おまえたちと一緒に椅子並べて食べろとでも言うのか?」
長森「んー…わたしだけでも抜けられるよ」
浩平「はぁ…」
浩平「昼飯くらいひとりで食わせろ」
長森「ひとりで食べてるとね、行儀悪くなるんだよ?」
長森「音立てて食べたりとか、肘ついたりとか」
ほんと、保護者気取りなんだからなぁ、こいつは。
長森「だから居てあげるよ」
向かいの席に腰を下ろす。
460脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:56 ID:ZAr4tjAf
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浩平「………」
もぐもぐ。
長森「美味しい?」
浩平「うまいよ」
長森「浩平ってさぁ」
浩平「うん…」
長森「一口が大きいよね」
そんなことはどうでもいい。
そんなふうに、本当とりとめもない会話をしながら、オレは昼食時を過ごした。
混みあう学食を前にも気が滅入る思いがしたが、適当にパンを見繕って、席を陣取る。
結局、この騒がしさだと、自分の席でも同じような気がしてきた…。
住井「おー、いたか、こんなところに」
463脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:56 ID:ZAr4tjAf
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オレを見つけてやってきたのは、住井の奴である。正面の席に乱暴にトレイを叩きつけ、腰を下ろす。
住井「おまえも、いくならいくって声をかけてくれればいいのに。俺だって学食は多いんだから」
浩平「今度からは誘うよ」
住井「まったく、もう少し付き合いをよくしろっての」
言って、日替わりランチを掻き込みはじめる。
浩平「友情の印に、こいつの皮を剥いて食べやすくしておいてやろう」
住井「こらっ、ギョーザの皮をめくっていくなっ!」
そんなふうな、とりとめもないやり取りをしながら、昼食時を過ごした。
………。
……。
………。
浩平「よし、七瀬、帰るか」
七瀬「うん、ちょっと待ってね」
七瀬「って、いつからそんな仲になってんのよ、あんたとっっ!!」
浩平「どうして、どうせ帰るんだろ? なら一緒に帰ろう」
七瀬「お生憎様。あたしには用があんのよ」
■ついてゆく
■ひとりで帰る
■部活に顔をだす

七瀬「ねぇ」
浩平「……ん?」
七瀬「どうして後、ついてくるの」
浩平「いや、深い意味はないけど…」
七瀬「なんか、あからさまに怪しいけど…」
浩平「気のせいだよ」
男子生徒「あ、七瀬さーん、帰りーっ?」
廊下の突き当たりで、ミーハーな男子生徒が叫んでいる。
七瀬「うぅーん、もう少し用があるーっ!」
男子生徒「残念ーっ、今度、家教えてねーっ!」
七瀬「機会があればね〜っ!」
七瀬「…ふぅ」
浩平「相変わらず、可愛い女の子のフリしてんのか」
七瀬「それじゃまるであたしが男みたいじゃない」
浩平「近いもんだろ。本性があんな凶悪なんだからな」
七瀬「あんたにだけよっ」
470脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:58 ID:ZAr4tjAf
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471脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 14:58 ID:ZAr4tjAf
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浩平「そんなにモテたいのかよ」
七瀬「あんたには永遠わからないわよ、この女心は」
浩平「ムリしてるだけにしか見えないけどな」
七瀬「で、どこまでついてくる気よ」
浩平「いや、別についていってるつもりもない」
七瀬「あたしは今から茶道部の見学にいくの。だから暇人の相手してられるのも、ここまでなの」
■そんなものがおまえに務まるか
■なるほど、そこで精神を磨くってわけだな

浩平「茶道部…?」
浩平「そんなものがおまえに務まるか、やめとけ」
七瀬「………」
浩平「おまえだったら片手を腰なんぞにあてて…」
浩平「『こんなチマチマ飲んでられるかーっ!』とか叫んで、豪快に、ごが〜っ!って茶を一気に飲み干してしまいそうだ」
七瀬「………」
浩平「そうだな。牛乳部にいけ。よっぽど似合いそうだ」
七瀬「もぅ、ほっといてッ!!」
稲光が落ちた、ような気がした。
七瀬「もう金輪際あたしに話かけないで、いいっ!?」
浩平「いや…ただおまえの適正を見抜いてやっただけじゃないか」
七瀬は怒りに顔を紅潮させたまま、茶道部の部室のドアを思い切り開くと…
七瀬「一回死ね、アホッ!」
と吐き捨て、今度は思い切りバンッ!とそのドアを閉めた。
数分後、力無くそのドアが再び開く。
七瀬「……断られたぁ…」
泣きそうな顔で七瀬が現れる。
浩平「まあ、あれだけ凶悪な登場の仕方をすれば、断られるのも当然だ」
七瀬「…………」
浩平「一回死ね、アホッ!、はないだろう」
七瀬「………」
七瀬は黙ったまま階下へと降り、今度は美術室の前にくる。
浩平「今度は美術部か…。結局なんでもいいのか?」
七瀬「…違うわよ」
七瀬「初めから美術にも興味あったの」
浩平「しかし美術部にしても同じだろう」
浩平「どうせおまえのことだ」
浩平「『こんなチマチマ描いてられるかぁ〜っ!!』とか叫んで、モデルに絵の具ぶっかけて、うおりゃー!ってキャンバスに叩きつけるんだろう」
七瀬「………」
浩平「魚拓部へいけ。よっぽどストレス発散できるぞ」
七瀬「だから、ほっといてって言ってるでしょっ!!」
浩平「いや、次々と活きのいい魚たちを魚拓にしてゆくおまえの姿を浮かべると、あまりに似合ってたもんでな」
今度は美術室のドアを思い切り開けると…
479脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:01 ID:ZAr4tjAf
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あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
七瀬「100ぺん死んで、ウジ虫にでも生まれ変わって、肥溜めで過ごしてろっっ!!」
と吐き捨て、再びバンッ!とそのドアを閉めた。
数分後、力無くそのドアが再び開く。
七瀬「……断られたぁ…」
泣きそうな顔でまた戻ってくる。
浩平「まあ、予想はついていたが…」
七瀬「………」
無言で、あからさまに肩を落とし、廊下を歩いてゆく七瀬。
少し可哀想にも思えてきた。
浩平「七瀬、元気だせ」
その頭をぽんぽんと叩く。
七瀬「あんたに言われたら泣けてくるわ…」
浩平「七瀬にもいいとこ沢山ある。オレにはわかるよ」
七瀬「なに言ってんの…」
浩平「例えば…」
■可愛い
■根性がありそうだ

483脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:01 ID:ZAr4tjAf
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浩平「例えば、か……」
七瀬「なによ…」
言えないぞ、正面きっては…こう睨みつけられては、とてもじゃないが…
■頑張って可愛いと告げる
■そんなことはよしておく

浩平「か…」
七瀬「………」
確かにあの性格を知っていて、言えるようなセリフでもないが…
しかし…ここは励ましてやるべき場面だからな…思い切って…
浩平「例えば…カバいい」
ぐあ…
486脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:02 ID:ZAr4tjAf
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七瀬「…かばっ!? 誰がっ? あたしがっっ!?」
みろ、逆効果じゃないか。(ちゃんと発音できなかったオレが悪いのは確かだが…)
浩平「まあ、みんなが認めるところだからな、それは。その点に関しては、自信を持てよ」
しまった。これは『可愛い』、と発音できた場合にいうセリフじゃないかっ…
七瀬「ぐっ…」
これではみんなが七瀬のことをカバだと言っており、そのカバな点に関しては自信を持てよと、まったくひどい具合に励ましているようじゃないか…。
七瀬「もぅ…」
浩平「ん、なにかな?」
七瀬「ついてこないでッッ!!」
ツーン…
耳が痛い。唾が冷たい。
しばらく耳鳴りが止むのを、待つしかなかった。
489脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:02 ID:ZAr4tjAf
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そして精神的に立ち直ったときには、すでに七瀬の背中は遠く廊下の先だった。
今から追いかけても、今日のところは和解を求めるなど不可能だろう…。
昨日の件もある。どう考えてみても七瀬からしてオレは、『ちょっといい感じの同級生』にはならないだろう…。
いや、まあ、なりたいというわけでもないんだけど…。
うーん…嫌われてしまったかな…?
いや、まあ、好かれたいというわけでもないんだけど…。
よしておこう。励ますにも嘘はいけない。嘘は。
七瀬「なによ、たとえば、で止まって…」
浩平「え? あ、ああ…」
浩平「えっと、例えば…制服が可愛い」
まあ、二次的対象に向かっては容易に言える。
七瀬「え、制服が?」
浩平「そう。制服」
七瀬「あ…まぁ、あたしも好きだからこうやって着続けてるんだけどね」
おっ、場繋ぎで言った思いつきの一言だったが、意外に嬉しそうだぞ。
浩平「うん、そうだよなぁ。その制服があってこその七瀬だよなぁ。その制服がなかったら七瀬じゃないよなぁ」
なんだか誉めてるのか、けなしてるのかわからなくなってきた…。
七瀬「あのね、この制服はね、スカーフのところがね…」
うっ…突っ込まれた話しをされてはボロがでるぞ…オレ…。
浩平「あ、もうこんな時間だな、七瀬っ!」
腕時計をうおりゃ!と七瀬の顔面にぶつける勢いで突きつける。
七瀬「わ、そんな近づけたら見えないって…」
浩平「ということだから、帰るな、オレ」
七瀬「あ、そう…?」
浩平「ああ。七瀬は?」
七瀬「あたし、まだ用あるから」
浩平「じゃあ、また明日だな」
七瀬「うん」
浩平「じゃあな」
七瀬「うん、じゃあ…」
オレはそそくさとその場を後にする。
なんだか少しだけ距離が縮まったような気もするなぁ。
浩平「例えば、根性がありそうだ」
七瀬「………」
浩平「根性がありそうだ」
七瀬「繰り返さなくても聞こえてるわよっ! そんな嬉しくもない言葉っ…!」
浩平「え? 嬉しくない?」
七瀬「あんた、編み物が上手そうね、って言われて嬉しい?」
浩平「オレ? そりゃ、意外な一面を見抜いてくれてるんだから、嬉しいだろ」
七瀬「たとえが悪かったわ…」
七瀬「とにかくっ…嬉しくないからそんなこと言ってほしくないの」
浩平「そうか? 誉めたつもりなんだけど」
七瀬「その点に関しては、そりゃ悪い気はしないけどっ…」
七瀬「でもね、あんた…女の子にはもっと気を使うべきよっ」
浩平「いや、べつに気を使ってないわけじゃないんだけど…」
七瀬「それでまぁ、よくあのコ、いつも一緒にいるものね…」
長森のことか…?
七瀬「さぁ、もう帰ったら? 用がないんだったら」
498脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:03 ID:ZAr4tjAf
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あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
浩平「ん、もうこんな時間か」
七瀬「あたしはもう少し残ってるから、じゃあね」
こっちの返事も聞かず、一方的に別れを告げる。
浩平「ああ、じゃあ、また明日」
陽の傾き始めた廊下を歩いてゆく、七瀬の背中をしばらく見つめていた。
オレもぼぉーっとしてないで、いくか…。
浩平「なるほど、そこで精神を磨くってわけだ」
七瀬「まあね」
それで、あの性格が少しでも緩和されるならオレも助かるぞ。
浩平「七瀬、七瀬、七瀬ーーっ!!」
ぽかぽかぽかぽかぽかッ!!
七瀬「あはは、痛いって、折原君っ! 呼ぶんなら、叩くの一回だけにしてよぉっ、もぅっ!」
というような、なんとも和やかな(気持ち悪くもあるが)学園生活の青写真が浮かんでくる。
なんか、いいぞ。
浩平「よし、頑張れよ、七瀬」
七瀬「べつにあんたに応援されなくても、頑張るわよ、あたしは」
邪魔しないように、オレはこれにて失敬だ。
浩平「じゃあ、また明日な」
七瀬「あ、うん」
オレはそそくさと背中を向けて、階段を下りた。
この時間ともなると、昇降口も閑散としている。
遠く、部活に汗を流す野郎の怒声が聞こえてくるだけだ。
帰るか。
浩平「じゃあひとりで帰るよ、ちぇっ…」
七瀬「あたしなんか誘わないで、いつものコと帰ればいいでしょ」
浩平「長森か…? あいつは部活だからな」
七瀬「じゃあ、仕方ないわね」
浩平「ああ、じゃあな」
七瀬「あ、うん」
オレはそそくさと背中を向けて、教室を後にした。
504脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:06 ID:ZAr4tjAf
カラミティブラスト(ファイアランス)
奉霊の時来りて此へ集う!
鴆の眷属、幾千が放つ漆黒の炎! カラミティブラスト!!
Calamity Blast (Fire Lance)
The time of exorcism is at hand!
Venemous servants, unleash thy dark flames! Calamity Blast!
浩平「じゃあ部活にでもいくよ、ちぇっ…」
七瀬「そうそう。やっぱ学生は部活にうち込むべきよ」
浩平「ああ、じゃあな」
七瀬「うん」
オレはそそくさと背中を向けて、教室を後にした。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。
出向いたところで、誰ひとりとしていないだろう。
人気のない渡り廊下を歩き、滅多に赴くことのない別校舎へと向かう。
美術室、音楽室など特殊な教室はこの校舎の一、二階に集中している。
そして目指す部室も、その三階に文化系クラブの部室として並んでいる。
オレは外見からも無人であると明白な、教室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその教室の隅に、ひとりの見知らぬ少女がいた。
なんて漫画みたいな出会いがあるなら、わざわざ出向いてくる価値もありそうなものだが、現実はそんなにドラマティックではない。
浩平「あほらし…」
オレはわざわざ何もないのをわかりきっていて、出てきてしまったことを後悔する。
そのまま開けっ放しだったドアからでる。
ちなみに、クラブは軽音学部といって、他学校にも負けないビッグバンドを作ろうとした顧問が3年ほど前に設立したものらしかった。
しかし、あまりに勘違いした入部者だらけで、本人にもそのやる気がなくなってしまって今の廃部寸前の現状に至っているらしい。
だいたいオレもビッグバンドの意味を未だに理解していない。
とりあえず、軽音楽というものがジャズであるということを知った時点で、オレにはお手上げだったからだ。
部活か…。
人気のない廊下を歩き、滅多に赴くことのない部室へと向かう。
オレはその教室の前に立ち、そしてドアを開けた。
509脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:06 ID:ZAr4tjAf
デルタストライク(クールダンセル)
汝は知るだろう・・・ 幾何なりし封縛、
いかなる訃印を告げるものか! デルタストライク!!
Crystal Strike (Icicle Edge)
Surely thou can feel it. Thy days are numbered!
Thy death is at hand! Crystal Strike!
すると、誰もいないと思っていたその教室の隅に、ひとりの見知らぬ男子生徒がいた。
男子生徒「やぁ」
肌が女のように白く、そして髪の毛もそれに合わせて淡い。まるで少女漫画の中から飛び出してきたような端正な野郎だった。
浩平「よぉ」
とりあえず挨拶を返しておく。
この場にいるのだから、恐らく軽音楽部の部員だとは思うが…顔に覚えがない。
男子生徒「やらないのかい」
浩平「なにを」
男子生徒「練習さ」
何を今さら寝ぼけたことを言っているんだ、こいつは。
浩平「見ての通りだ。練習もなにも、顧問さえいやしない」
男子生徒「顧問なんか必要ないさ。ひとりでさえなかったら、合わせられる」
何のことを言ってるんだ…?
男子生徒「キミだってそのために来たんじゃないのかい、折原くん」
浩平「え…? よく知ってるな、オレの名前…」
男子生徒「だって初対面じゃないんだよ、僕らは」
浩平「どっかで会ってたっけ…」
男子生徒「最初にこういうべきだったかな」
男子生徒「やぁ、久しぶり、とね」
何にしても回りくどい喋り方をする奴だ…。
浩平「しかしどこで会っていたかな」
男子生徒「入部したての頃」
浩平「と、すると、一年の頃…?」
男子生徒「そう。もう随分と時間が経つね」
514脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:07 ID:ZAr4tjAf
デルタストライク(クールダンセル)
汝は知るだろう・・・ 幾何なりし封縛、
いかなる訃印を告げるものか! デルタストライク!!
Crystal Strike (Icicle Edge)
Surely thou can feel it. Thy days are numbered!
Thy death is at hand! Crystal Strike!
アブソリュートゼロ(アイシクルエッジ)
汝、美の祝福賜わらば、我、その至宝
紫苑の鎖に繋ぎ止めん! アブソリュートゼロ!!
Absolute Zero (Frigid Damsel)
If ye shall accept the benedictions of beauty, then,
yea, let these chains of aster surround thee. Absolute Zero!
浩平「はぁ……覚えていないのも無理はない」
男子生徒「どうして…?」
浩平「一瞬だったじゃないか、顔合わせなんて。それにあのときは人数も多かった」
男子生徒「覚えてないのかい」
浩平「ああ。覚えてない」
男子生徒「僕は覚えているよ、キミのことは」
浩平「はぁ……覚えていないのも無理はない」
男子生徒「どうして…?」
浩平「一瞬だったじゃないか、顔合わせなんて。それにあのときは人数も多かった」
男子生徒「覚えてないのかい」
浩平「ああ。覚えてない」
男子生徒「僕は覚えているよ、キミのことは」
男子生徒「だって、僕と同じ目をしてたからね」
浩平「同じ目…?」
男子生徒「僕は、氷上シュン。そんなに時間はないかもしれないけど、よろしく」
浩平「ああ、よろしく」
時間…。何を指して言っているのか、意味深な気がした。
浩平「転校でもするのかい」
氷上「いや、あくまでも予感だよ、それは」
氷上「キミが僕と同じ目をしているとは言ってるけど、根拠なんかない。そんな気がするだけ」
浩平「はぁ…なんだかおまえと話していると、疲れるよ」
氷上「そうかい。なら今日はもう話すのはよしておくかい」
浩平「今日はって、今日まで一度も会わなかったんだ。これから話す機会なんてのも、もうこないかもしれない」
氷上「僕はここにいるさ。話しがしたくなったらきてくれよ」
浩平「もともとこんな部に用なんてない。きっともうこないよ」
氷上「それは早計だな」
氷上「僕はキミの奏でる音も聞いてみたい。相性がわかるのは、そのときじゃないかな」
浩平「オレは音を奏でないし、気色の悪い男との相性なんて知りたくもない」
氷上「ふぅん…」
浩平「じゃあな」
開けっ放しだったドアから、オレは廊下にでる。
氷上「キミとはまた会えると思うよ」
最後にそんな奴の声が聞こえた。
部活か…。
どうせ誰もいやしないだろうけど…
オレは別校舎へと向かう。
他の部室からは、雑談でもしているような賑やかな声が聞こえてきたりもしたが、相変わらず我らが軽音部の部室からは物音ひとつ聞こえてこない。
案の定、ドアを開けても誰ひとりとしていなかった。
まあ、誰かが居たほうが驚くような現状だ。無理もない。
浩平「………」
遊び道具があるわけでもなく、オレは部室を後にした。
下駄箱で靴に履きかえると、そのまま昇降口を抜け、放課後の閑散とした中庭を通り、帰宅の途についた。
いつものようにひとりで夕飯を食べ、テレビを見ながら布団の中でうだうだする。
0時を回ったところで眠気も最高潮に達し、布団を被ったままでテレビと電灯を消す。
そして再び体を横にして目を閉じると、心地よく眠りが訪れた。
朝。
何かの喧噪で目が覚めたオレは、薄目を開けて枕元の時計に目を遣る。
蛍光色で加工された時計の針と文字盤が、薄闇の中で青白く浮かんでいた。
523脱肛 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 15:12 ID:ZAr4tjAf
デルタストライク(クールダンセル)
汝は知るだろう・・・幾何なりし封縛、いかなる訃印を告げるものか!デルタストライク

水晶ストライキ(つらら端)確かに、汝はそれを感じることができます。
汝のの余命は残り少ない!汝のの死は近づいてあります!水晶のストライキ!
■起きる
■もう一度寝る

オレは目覚ましが鳴るよりも早くスイッチをオフにして、颯爽と布団から抜け出した。
どうだ、見たか長森!
オレはその気になればこんなに規則正しいやつなんだ。
■起きる
■もう一度寝る

オレは目覚ましが鳴るよりも早くスイッチをオフにして、颯爽と布団から抜け出した。
どうだ、見たか長森!
オレはその気になればこんなに規則正しいやつなんだ。
と、長森の家の方角に向かって密かに勝利宣言をする。
静かだ。
そして、心地いい。
まるでこの世界で目覚めているのはオレ一人しかいないような錯覚さえ覚える。
一度大きく伸びをして、新鮮な朝の空気を吸うために窓とカーテンを一緒に開け放つ。
ザーーーーーーーーーーーー!
浩平「……」
ザーーーーーーーーーーーー!
浩平「……おいおい」
そこには期待していた清々しさなど微塵もなかった。
工場から出る煙のような黒い雲が隙間なく広がり、視界が霞むくらいの大粒の雨が、風に煽られてオレの部屋に水たまりを作る。
そして、稲光。
528名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 16:14 ID:xIL7szO8
おもしろくないよ? プッ
カシャアッ!
カーテンの引かれる音。同時にまばゆい陽光が瞼の裏を刺す。
長森「ほらぁ、起きなさいよーっ!」
がばぁっ!
長森「あれっ…!?」
長森「わぁーっ、毛布が丸めて人の形にしてあるっ!」
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…あと3寸だけ寝させて…」
長森「単位がおかしいよっ!」
浩平「ぐー…」
長森「ほら、3寸経ったよっ」
浩平「経ってたまるか、ばかっ」
長森「もーっ、授業は今日で最後だから頑張って起きようよーっ」
浩平「最後…?」
そうか、明日は休みで、明後日がもう終業式だったか…。
浩平「なら起きてやるか…」
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…あと3寸だけ寝させて…」
長森「単位がおかしいよっ!」
浩平「ぐー…」
オレは体を起こす。そして窓の外にやった目に飛び込んできたのは雨雲に包まれた空だった。
浩平「雨か…。古傷が痛むな」
長森「なに、古傷って」
浩平「知らなくても当然だろうな。おまえはあの頃小さかったからな」
長森「同い年だよっ」
浩平「激流に流されてゆくおまえを見つけて、果敢にも川に飛び込み、そしてその手をとって、助けがくるまで岩にしがみついていたんだ」
浩平「流れはきついし、水は冷いしで、よく助かったものだと今でも神に感謝するよ」
長森「怪我なんてしてないじゃない」
浩平「いや、おまえを冗談で川にはめてやろうと押したときに手首をくじいた」
長森「浩平のせいで流されてたんじゃないっ!」
浩平「そのときの傷がじんじんと痛むんだよ…」
長森「美談でもなんでもないよ、それって!」
浩平「そうか…?」
長森「そんなばかな話ししてないで、早く支度してよぉーっ」
浩平「へいへい…」
浩平「うぃっす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ」
浩平「今朝は、早かったんだな」
七瀬「あたしが早かったんじゃなくて、あんたたちが遅かったんじゃない」
浩平「そうか?」
七瀬「そうだってば。折原たち、ぎりぎりで走ってきたり、余裕で歩いてきたり、その日によってばらばらじゃない」
浩平「ま、そうかもな」
七瀬「そんなのでよく疲れないものよね」
浩平「それがオレたちの普通だからな」
それが今日までずっと続いてきたことなのだ。
………。
……。
………。
声「ねぇ、瑞佳、去年みたくウチでクリスマスパーティーやろうと思うんだけどっ」
昼休み、自分の机の上で寝伏していると、そんなやりとりが雑音に混じって聞こえてくる。
声「え? あ、そうなのっ」
声「瑞佳はもちろんオッケーよね?」
声「うん、もちろん、いくよっ」
声「よし、これで去年のメンバーが揃った」
声「佐織のウチだよねぇ?」
声「うん。たぶん、夕方からだと思う」
声「また何か作って持ってゆくよ」
声「楽しみにしてるわよ。瑞佳、いっつもびっくりするほど凝ったもの作ってくるから」
声「そんなプレッシャーかけないでよぉっ」
声「うんうん、これでよし」
声「はぁっ…いじわるっ」
ふぅ……。
浩平「なぁ、七瀬はどうするんだ、クリスマス」
七瀬「えっ?」
浩平「例年通り、一晩中ストリートファイトに明け暮れるのか」
七瀬「んなわけないでしょっ」
浩平「そうか、そりゃ残念」
七瀬「………」
再びオレは眠気にまかし、上体を伏せた。
………。
……。
………。
住井「そういや、折原」
浩平「あん?」
住井「明後日はどうするの」
浩平「明後日…?」
住井「午後からは、去年みたくどこかの教室で派手にやろうと思ってるんだが」
浩平「そうだな…いいかもな」
住井「じゃあ、夕方までは空けておくようにな」
浩平「べつに夜中までぶっ通しでもいいぜ」
住井「そりゃそういう奴もいるだろうけど、用がなくたって何も言わずに引き上げるのが、俺たちのルールだ」
浩平「おまえは?」
住井「言わない」
浩平「オレだけに言わせておいて、卑怯な奴だな」
住井「おまえが勝手にそれらしいこと漏らしたんじゃないか」
浩平「わかった。勝手に想像しておくよ」
住井「じゃあ、終業式終わったら、残っておけよ」
また別の連中を誘うのだろう。そう言い残し、どこかの一団の中に割り込んでいった。
七瀬「ねぇ、折原」
浩平「ん、なんだ」
七瀬「暇なのね、明後日の夜」
浩平「おう。なんだ、おまえもか? よし、デートでもするか」
七瀬「残念。先約済み」
浩平「まあ、予想はついてたけどな」
七瀬「瑞佳とは…?」
浩平「あいつは例年通り、仲のいい女友達同士で過ごすんだと思う」
七瀬「ふぅん、最後の頼みだったのにね」
浩平「こんなもんだよ。オレたちってのは」
………。
浩平「おーい、長森ぃっ」
長森「ん?」
浩平「まだ部活、忙しいのか?」
長森「うん、忙しいよ。ごめんね、一緒に帰れなくて」
浩平「いや、まあ、気にするな」
547名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 16:34 ID:m3rYYOJx
友達のいないあほにしが荒らしているスレはここですか?
長森「じゃね」
浩平「ああ、頑張ってこい」
長森「うん」
さて、ひとり残されたオレは…。
■帰る
■部活にいく

相変わらず学校に残ってたって、なんにもないしな…。
帰るか…。
他クラスの帰宅部の連中に混じって、オレも帰路についた。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。

相変わらず学校に残ってたって、なんにもないしな…。
帰るか…。
他クラスの帰宅部の連中に混じって、オレも帰路についた。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。
出向いたところで、誰ひとりとしていないだろう。
人気のない渡り廊下を歩き、滅多に赴くことのない別校舎へと向かう。
美術室、音楽室など特殊な教室はこの校舎の一、二階に集中している。
そして目指す部室も、その三階に文化系クラブの部室として並んでいる。
オレは外見からも無人であると明白な、部室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその部室の隅に、ひとりの見知らぬ少女がいた。
なんて漫画みたいな出会いがあるなら、わざわざ出向いてくる価値もありそうなものだが、現実はそんなにドラマティックではない。
浩平「あほらし…」
オレはわざわざ何もないのをわかりきっていて、出てきてしまったことを後悔する。
そのまま開けっ放しだったドアからでる。
ちなみに、クラブは軽音学部といって、他学校にも負けないビッグバンドを作ろうとした顧問が3年ほど前に設立したものらしかった。
しかし、あまりに勘違いした入部者だらけで、本人にもそのやる気がなくなってしまって今の廃部寸前の現状に至っているらしい。
だいたいオレもビッグバンドの意味を未だに理解していない。
とりあえず、軽音楽というものがジャズであるということを知った時点で、オレにはお手上げだったからだ。
今日もいってみるのか…?
どうせ誰もいやしないだろうけど…
オレは別校舎へと向かう。
他の部室からは、雑談でもしているような賑やかな声が聞こえてきたりもしたが、相変わらず我らが軽音部の部室からは物音ひとつ聞こえてこない。
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「……ばか、今日から冬休みだろがっ…」
長森「ばかは浩平だよっ! 冬休みは明日からっ!」
浩平「…なにぃ…すると、今日も授業がてんこもりなのかぁ…」
長森「てんこもりじゃないよ! 終業式だけだよっ」
555朧 ◆yGAhoNiShI :03/01/30 16:43 ID:RuobIGv1
555
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…あと3寸だけ寝させて…」
長森「単位がおかしいよっ!」
浩平「ぐー…」
長森「ほら、3寸経ったよっ」
浩平「経ってたまるか、ばかっ」
長森「もーっ、授業は今日で最後だから頑張って起きようよーっ」
浩平「最後…?」
そうか、明日は休みで、明後日がもう終業式だったか…。
浩平「なら起きてやるか…」
オレは体を起こす。そして窓の外にやった目に飛び込んできたのは雨雲に包まれた空だった。
浩平「雨か…。古傷が痛むな」
長森「なに、古傷って」
浩平「知らなくても当然だろうな。おまえはあの頃小さかったからな」
長森「同い年だよっ」
浩平「激流に流されてゆくおまえを見つけて、果敢にも川に飛び込み、そしてその手をとって、助けがくるまで岩にしがみついていたんだ」
浩平「流れはきついし、水は冷いしで、よく助かったものだと今でも神に感謝するよ」
長森「怪我なんてしてないじゃない」
浩平「いや、おまえを冗談で川にはめてやろうと押したときに手首をくじいた」
長森「浩平のせいで流されてたんじゃないっ!」
浩平「そのときの傷がじんじんと痛むんだよ…」
長森「美談でもなんでもないよ、それって!」
浩平「そうか…?」
長森「そんなばかな話ししてないで、早く支度してよぉーっ」
浩平「へいへい…」
浩平「うぃっす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ」
浩平「今朝は、早かったんだな」
七瀬「あたしが早かったんじゃなくて、あんたたちが遅かったんじゃない」
浩平「そうか?」
七瀬「そうだってば。折原たち、ぎりぎりで走ってきたり、余裕で歩いてきたり、その日によってばらばらじゃない」
浩平「ま、そうかもな」
七瀬「そんなのでよく疲れないものよね」
浩平「それがオレたちの普通だからな」
それが今日までずっと続いてきたことなのだ。
………。
……。
………。
声「ねぇ、瑞佳、去年みたくウチでクリスマスパーティーやろうと思うんだけどっ」
昼休み、自分の机の上で寝伏していると、そんなやりとりが雑音に混じって聞こえてくる。
声「え? あ、そうなのっ」
声「瑞佳はもちろんオッケーよね?」
声「うん、もちろん、いくよっ」
声「よし、これで去年のメンバーが揃った」
声「佐織のウチだよねぇ?」
声「うん。たぶん、夕方からだと思う」
声「え? あ、そうなのっ」
声「瑞佳はもちろんオッケーよね?」
声「うん、もちろん、いくよっ」
声「よし、これで去年のメンバーが揃った」
声「佐織のウチだよねぇ?」
声「うん。たぶん、夕方からだと思う」
浩平「なぁ、七瀬はどうするんだ、クリスマス」
七瀬「えっ?」
浩平「例年通り、一晩中ストリートファイトに明け暮れるのか」
七瀬「んなわけないでしょっ」
浩平「そうか、そりゃ残念」
七瀬「………」
再びオレは眠気にまかし、上体を伏せた。
………。
……。
………。
住井「そういや、折原」
浩平「あん?」
住井「明後日はどうするの」
浩平「明後日…?」
住井「午後からは、去年みたくどこかの教室で派手にやろうと思ってるんだが」
浩平「そうだな…いいかもな」
住井「じゃあ、夕方までは空けておくようにな」
浩平「べつに夜中までぶっ通しでもいいぜ」
住井「そりゃそういう奴もいるだろうけど、用がなくたって何も言わずに引き上げるのが、俺たちのルールだ」
浩平「おまえは?」
住井「言わない」
浩平「オレだけに言わせておいて、卑怯な奴だな」
住井「おまえが勝手にそれらしいこと漏らしたんじゃないか」
浩平「わかった。勝手に想像しておくよ」
住井「じゃあ、終業式終わったら、残っておけよ」
また別の連中を誘うのだろう。そう言い残し、どこかの一団の中に割り込んでいった。
七瀬「ねぇ、折原」
浩平「ん、なんだ」
七瀬「暇なのね、明後日の夜」
浩平「おう。なんだ、おまえもか? よし、デートでもするか」
七瀬「残念。先約済み」
浩平「まあ、予想はついてたけどな」
七瀬「瑞佳とは…?」
浩平「あいつは例年通り、仲のいい女友達同士で過ごすんだと思う」
七瀬「ふぅん、最後の頼みだったのにね」
浩平「こんなもんだよ。オレたちってのは」
………。
浩平「おーい、長森ぃっ」
長森「ん?」
浩平「まだ部活、忙しいのか?」
長森「うん、忙しいよ。ごめんね、一緒に帰れなくて」
浩平「いや、まあ、気にするな」
長森「じゃね」
浩平「ああ、頑張ってこい」
長森「うん」
さて、ひとり残されたオレは…。
■帰る
■部活にいく

相変わらず学校に残ってたって、なんにもないしな…。
帰るか…。
他クラスの帰宅部の連中に混じって、オレも帰路についた。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。

相変わらず学校に残ってたって、なんにもないしな…。
帰るか…。
他クラスの帰宅部の連中に混じって、オレも帰路についた。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。
出向いたところで、誰ひとりとしていないだろう。
人気のない渡り廊下を歩き、滅多に赴くことのない別校舎へと向かう。
美術室、音楽室など特殊な教室はこの校舎の一、二階に集中している。
そして目指す部室も、その三階に文化系クラブの部室として並んでいる。
オレは外見からも無人であると明白な、部室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその部室の隅に、ひとりの見知らぬ少女がいた。
なんて漫画みたいな出会いがあるなら、わざわざ出向いてくる価値もありそうなものだが、現実はそんなにドラマティックではない。
浩平「あほらし…」
オレはわざわざ何もないのをわかりきっていて、出てきてしまったことを後悔する。
そのまま開けっ放しだったドアからでる。
ちなみに、クラブは軽音学部といって、他学校にも負けないビッグバンドを作ろうとした顧問が3年ほど前に設立したものらしかった。
しかし、あまりに勘違いした入部者だらけで、本人にもそのやる気がなくなってしまって今の廃部寸前の現状に至っているらしい。
だいたいオレもビッグバンドの意味を未だに理解していない。
とりあえず、軽音楽というものがジャズであるということを知った時点で、オレにはお手上げだったからだ。
今日もいってみるのか…?
どうせ誰もいやしないだろうけど…
オレは別校舎へと向かう。
他の部室からは、雑談でもしているような賑やかな声が聞こえてきたりもしたが、相変わらず我らが軽音部の部室からは物音ひとつ聞こえてこない。
亞浦西「じゃあ、終業式終わったら、残っておけよ」
また独り言だろうか。そういってるわりには友達は一人もいなかった
ママン「ねぇ、あほにしちゃん」
亞浦西「ん、なんだよママン」
ママン「暇なのね、明後日の夜」
亞浦西「おう。なんだ、おまえもか? よし、デートでもするか」


案の定、誰の姿もない。
まあ、誰かが居たほうが驚くような現状だ。無理もない。
浩平「………」
遊び道具があるわけでもなく、オレは部室を後にした。
下駄箱で靴に履きかえると、そのまま昇降口を抜け、放課後の閑散とした中庭を通り、帰宅の途についた。
カシャアッ!
案の定、誰の姿もない。
まあ、誰かが居たほうが驚くような現状だ。無理もない。
浩平「………」
遊び道具があるわけでもなく、オレは部室を後にした。
下駄箱で靴に履きかえると、そのまま昇降口を抜け、放課後の閑散とした中庭を通り、帰宅の途についた。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「……ばか、今日から冬休みだろがっ…」
長森「ばかは浩平だよっ! 冬休みは明日からっ!」
浩平「…なにぃ…すると、今日も授業がてんこもりなのかぁ…」
長森「てんこもりじゃないよ! 終業式だけだよっ」
浩平「…なに…? そうか…そうだったな…」
オレは上体だけを起こして、ぼりぼりとへその下を掻く。
浩平「それぐらいなら、出てやってもいいな」
長森「なに大学生みたいなこと言ってるんだよっ…みんな出るの!」
浩平「そういえば、おまえさ…」
長森「なに?」
浩平「昔あだ名で、『だよだよ星人』って呼ばれてたことあったよな」
長森「それって浩平だけだよっ!」
浩平「ほら、おまえって必要以上に語尾に『だよ』つけるからな。思いだしたから、しばらくそう呼んでやろう」
長森「はぁっ…ばかなこと言ってないで、早く用意してよ」
浩平「鞄と制服をとってくれ、だよだよ星人」
長森「とってやんないもん」
浩平「ばかっ、それぐらいで拗ねるなっ」
仕方なくベッドから抜けだし、自分で鞄と制服を椅子から取りあげる。
長森「だったら、浩平は『ばかばか星人』だよ。いっつも、人のことばかばか言うもん」
浩平「ばかっ、それじゃまるでオレがバカみたいじゃないか。おまえがバカだから、オレはバカバカ言ってるんだぞっ!?」
長森「ほら、連発」
浩平「美男子っ、うー、美男子、美男子、美男子、はぁーっ美男子っ、まったく美男子だ」
浩平「これでオレは『美男子星人』だっ」
長森「でも美男子星出身ってだけで、浩平自身は美男子じゃないかもしれないよ」
浩平「ばかっ、美男子星出身だったら、誰もが美男子なんだよっ」
長森「そんなことないもん。長寿村って言って、みんなが長寿なわけじゃないもん」
浩平「今度は『もんもん星人』に変身しやがったなっ」
長森「『もん』だって、そんなに使わないもん。たまたま浩平がよく聞いてるだけだよっ」
浩平「両方とも今、使ってるじゃないか。ふたつ合わせて『だよもん星人』と命名してやる」
長森「ばかばか星人の言うことなんて誰も聞かないもん」
浩平「うっさいぞ、だよもん星人! 黙れ、ばかっ」
長森「うーっ」
浩平「ふかーっ!」
長森「うーーっ」
亞浦西「みんな馴れ合いやがってなんで漏れには友達いないんだ!?」
また独り言だろうか。当たり前のことだが亞浦西なんぞは友達は一人もいなかった
ママン「ねぇ、あほにしちゃん」
亞浦西「ん、なんだよママン」
ママン「暇なのね、明後日の夜」
亞浦西「おう。なんだ、おまえもか? よし、デートでもするか」




長森「…って、時間!!」
浩平「おっと、威嚇し合っている場合じゃなかった!」
長森「ほらっ、もう、急がないと遅刻だよっ!」
結局何をやってんだか、いつも通りに慌ただしい朝になってしまう。
浩平「うーっ、さみぃっ」
2学期最後の登校日は風が少し強く、冬の辛さを痛感させられるような日よりだった。
浩平「ラーメン食いたい…」
長森「えっ…?」
浩平「ラーメンだよ、ラーメン。無性に食いたくなった」
長森「そ、そう…」
浩平「『小吉ラーメン』のキムチラーメンが食いたい」
長森「前に一度、いったとこだねっ…」
浩平「そう」
浩平「どうして今まで忘れてたんだ? 冬になったら、あそこのキムチラーメンだろう」
長森「うん…そうだね…」
浩平「あぁ?」
長森の反応が芳しくない。
…そうか。忘れてた。こいつはニンニクがダメなんだったな。
前に行ったときも、往生してたの思いだした。店に入るなり、立ちこめる臭いだけで、顔色悪くしてたっけ…。
長森「浩平が行きたいんだったら、ついてくけど…」
うーん…。
■じゃ、付き合え
■いや、いいよ

浩平「じゃ、付き合え」
長森「うん、付き合うよ」
浩平「言っとくけど、今日だからな」
長森「えっ? 今日?」
浩平「そう。今日の夜」
長森「急すぎるよっ…だって、わたし、佐織たちとパーティーあるもん」
浩平「オレだって、住井たちとある」
長森「じゃ、何も無理することないよ」
浩平「でも今日食いたいんだよ。明日だと、もう食う気が失せてるかもしれない」
長森「うーん…でもぉ…」
浩平「なんとか時間作ってくれ。こっちも作るから。なんとか折り合いつけよう」
長森「じゃあ、六時から七時までの間…」
浩平「わかった。なら六時に集合だな。校門前でいいか?」
長森「うん、いいよ」
浩平「無理言って悪かったな」
長森「ううん、まあ、なんとかなるよ…」
浩平「うぃす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ…」
住井「おい、折原。すぐ体育館に移動だぞ。いこうぜ」
浩平「おっと、そうなのか」
見ると、確かにぞろぞろと、教室の生徒たちが逆流するかのように減り始めていた。
浩平「いくかっ」
校長が話し、生活指導部の教師が話し、学年主任が話し、そしてまた誰かが壇上に立つと一斉に生徒たちが溜め息をつく。そんなふうな退屈な終業式。
しかし誰もが今年最後の我慢だと考えながら、耐えている。
それに話を真剣に聞いている奴など、誰ひとりとしていなかっただろう。明日からの休みにみんな思いを馳せていたのだ。
………。
……。
………。
教室に戻ってくると、最後のHRを待つまでの時間がしばらく空く。
七瀬「折原…今日、予定入った?」
それに話を真剣に聞いている奴など、誰ひとりとしていなかっただろう。明日からの休みにみんな思いを馳せていたのだ。
………。
……。
………。
教室に戻ってくると、最後のHRを待つまでの時間がしばらく空く。
七瀬「折原…今日、予定入った?」
浩平「そうだなぁ…退屈しない程度には」
七瀬「えっ? 夜も…?」
浩平「ああ。長森が付き合ってくれるって」
七瀬「そ…瑞佳と…」
浩平「どうした」
七瀬「ううん…」
顔を上げると、髭がたくさんのプリントを抱えて教室に現れたところだった。
浩平「おい、長森ーっ、ちゃんと来いよーっ」
長森「うん、なんとかいくよ」
部活に出かけてゆく長森。終業式の後だと言うのに、よくもまあ、やってられるもんだと感心する。
住井「なんだ、長森さんとどっかいくの?」
浩平「夜の話しだよ」
顔を上げると、髭がたくさんのプリントを抱えて教室に現れたところだった。
浩平「おい、長森ーっ、ちゃんと来いよーっ」
長森「うん、なんとかいくよ」
部活に出かけてゆく長森。終業式の後だと言うのに、よくもまあ、やってられるもんだと感心する。
住井「なんだ、長森さんとどっかいくの?」
浩平「夜の話しだよ」
住井「お、今年こそ恋へと発展か…?」
浩平「ばか、ラーメンを食うだけだ」
住井「はぁ? ほんとにそれだけのことなのか?」
浩平「ああ、それだけだよ」
住井「なにをわざわざこんな日に…紛らわしすぎるぞ、おまえたち」
HRが終了し、住井たちとの打ち上げに向かおうとしたところで、オレはふと思い出す。
「特別な日に探して欲しい…」
あの氷上とかいう奴の言葉だ。
長い間、会っていなかったのに、どうしてか、その日になって思い出すとは不思議なものだ。
■探してみる
■やめておく

ばからしい。無視しておこう。
少しヘンや奴だったからな。このまま会わないほうがいい。
住井たちとの打ち上げは正午から始まり、辺りが真っ暗となる7時過ぎまで続いた。
友達が友達を呼んで集まったもんだから、やたら人数だけは多い打ち上げだった。
たまの冗談でサックスを吹かされたりしたが、まったく音が出なくて恥じをかいたりした。
それでも有意義に過ごせた。人数が人数だし、なにより明日からの休みに、皆心が踊っていたからだ。
皆、たがを外して、バカ騒ぎに興じたかったのだ。
どこまでも続きそうな勢いだったが、オレはふと長森との約束を思いだし、抜け出すことにした。
ちょうど、お腹が空いていたこともある。
いるかな…。30分も過ぎてるけど…。
校門前まで出ると、ぼぉーっと突っ立った人影がそこにあった。
長森「もーっ、遅いよぉっ」
浩平「悪い、悪い。抜け出すのに苦労したんだ」
長森「でも、浩平の30分ならマシなほうかぁ」
浩平「だろ?」
長森「でも、こんなことしてたら、ほんとの彼女と待ち合わせになったときに、振られちゃうよ?」
浩平「うーん、そうかな…」
長森「ま、わたしだから許しちゃうけど」
浩平「すると、おまえはオレみたくルーズな奴でも振らないわけだ」
長森「浩平だからだよ。慣れてるもん」
長森「それより時間。わたし、あんまり時間空けられないんだよ」
浩平「わかった。急いで、いくか」
長森「でも走るのはヤダよ。少しくらい、クリスマスの夜景、楽しみたいもん」
浩平「なんだ、結局良かったんじゃん。抜け出せて」
長森「まぁね」
浩平「よし、じゃあいこう」
長森「うん」
オレと長森は、肩を並べて賑わう夜の街を歩いた。
それでもオレたちは友達だったし、目指す先は、一軒のラーメン屋でしかなかった。
ふたりはラーメンを食べて、別れるだけだった。
でも、こんな日だって、ふたりきりになってくれるんだ。
もし、本気で告白したら、彼女になってくれるのかな、こいつ…。
………。
いや、違うな…。こいつにそんな気があるはずがない。
面倒のかかるオレに、世話好きの幼なじみ。
それは男と女の関係じゃない。永遠になりっこない。
浩平「いや、我慢してまで行くことはないんだよ」
長森「あ、我慢ってほどでもないんだよっ。いこうよ、小吉ラーメン」
浩平「いいって」
長森「…いいの?」
浩平「いい」
長森「…ごめんね」
浩平「他の奴といくからさ」
長森「うん…」
…そうだな、七瀬を誘うか。
あいつなら喜んで、ばくばく食いそうだ。キムチも好きそうだしな。
おかわりまでするかもしれないな。それも汁一滴残さずにだ。
オレだって困難なそれを、いとも容易くやってのけるだろう。
なぜなら、七瀬だからだ。きっとそうに違いない。
二杯目の空になったどんぶりをゴトンッ!と置いて…
「ナメないでよ…七瀬なのよ、あたし」
と、オレに啖呵を切ってくれる余裕さえ見せてくれそうだ。
よし、決定だ。
浩平「うぃす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ…」
浩平「そういや…」
七瀬「なにっ?」
浩平「七瀬、今日、暇か?」
七瀬「えっ、あっ、そうね…」
浩平「忙しいか?」
七瀬「あ、ううん、大丈夫」
浩平「そうか」
浩平「ならいいところに連れてってやるから、終わったら待ってろよ」
七瀬「うんっ」
住井「おい、折原。すぐ体育館に移動だぞ。いこうぜ」
浩平「おっと、そうなのか」
七瀬「………」
浩平「詳しい話は後だ」
七瀬「うんっ」
校長が話し、生活指導部の教師が話し、学年主任が話し、そしてまた誰かが壇上に立つと一斉に生徒たちが溜め息をつく。そんなふうな退屈な終業式。
しかし誰もが今年最後の我慢だと考えながら、耐えている。
それに話を真剣に聞いている奴など、誰ひとりとしていなかっただろう。明日からの休みにみんな思いを馳せていたのだ。
                    
                    
                           

                            


                   
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………。
……。
………。
教室に戻ってくると、最後のHRを待つまでの時間がしばらく空く。
七瀬「えっと…どうする今日?」
浩平「ああ、そうだったな。えっと夕方までは住井たちとの約束があるし…」
浩平「いいって。たぶんこんな恰好のほうが似合う場所だからな」
七瀬「え…そうなの?」
浩平「じゃあ、7時くらいに校門前な」
七瀬「わかった」
話し終えたと同時、髭がたくさんのプリントを抱えて教室に現れた。
HRが終了し、住井たちとの打ち上げに向かおうとしたところで、オレはふと思い出す。








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「特別な日に探して欲しい…」
あの氷上とかいう奴の言葉だ。
長い間、会っていなかったのに、どうしてか、その日になって思い出すとは不思議なものだ。
■探してみる
■やめておく

「特別な日に探して欲しい…」
あの氷上とかいう奴の言葉だ。
長い間、会っていなかったのに、どうしてか、その日になって思い出すとは不思議なものだ。
■探してみる
■やめておく

ばからしい。無視しておこう。
少しヘンや奴だったからな。このまま会わないほうがいい。
住井たちとの打ち上げは正午から始まり、辺りが真っ暗となる7時過ぎまで続いた。
友達が友達を呼んで集まったもんだから、やたら人数だけは多い打ち上げだった。
たまの冗談でサックスを吹かされたりしたが、まったく音が出なくて恥じをかいたりした。
それでも有意義に過ごせた。人数が人数だし、なにより明日からの休みに、皆心が踊っていたからだ。






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皆、たがを外して、バカ騒ぎに興じたかったのだ。
どこまでも続きそうな勢いだったが、オレはふと七瀬との約束を思いだし、抜け出すことにした。
ちょうど、お腹が空いていたこともある。
いるかな…。30分も過ぎてるけど…。
校門前まで出ると、ぼぉーっと突っ立った人影がそこにあった。
七瀬「遅いぃっ」











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浩平「悪い悪い。抜けだしてくるのに苦労したんだ」
七瀬「こんな寒い中、女の子ひとり待たせておいてぇ…」
長森だったら、『わたしだから許してあげるけど』とか言ってくれそうなところだけど、やっぱり違うんだな。
浩平「だから、謝ってるだろ?」
七瀬「でも、まあ、30分ってのは折原にしてみれば、マシなほうなのかな」
浩平「そうかもな。オレにはよくわからないけど」
七瀬「でも、やっぱ30分は遅すぎ。帰ってもよかったかな」
浩平「帰っていたら、おまえの家に電話かけてたよ」
七瀬「ほんと? だったら、結局一緒かぁ」
よくわからないが、嬉しそうだった。
七瀬「でも、ほんとに制服のままでよかったの?」
浩平「オレは好きだぞ、七瀬の制服」
                             
                                 
                                
                                 
                                   



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七瀬「あ、そう? うん、あたしも好きなんだけどね」
浩平「じゃ、いくか。あんまし遅くなると混むからな、あそこは」
七瀬「うんっ」
浩平「お、すげーっ。見ろ、七瀬」
七瀬「あ、うんっ…綺麗だね…」
浩平「それにすごい人だなっ…」
七瀬「そりゃあね…特別な日だしっ…」
浩平「急がないと、座れないぞ」
七瀬「ね、映画?」
七瀬「それともプラネタリウムとか、なにかのお芝居?」
浩平「おまえが泣いて感動しそうなものだ」
七瀬「ほんとっ?」










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浩平「きっとな」
七瀬「すごい楽しみっ」
浩平「おっ、やっぱ流行ってるなぁ」
七瀬「え…どれどれ?」
浩平「これ」
七瀬「………え?」
浩平「大盛りふたつっ!」
浩平「………」
七瀬「……」
浩平「………」
七瀬「……」
浩平「どうだ、うまいだろう」
七瀬「……」
浩平「もっとキムチを入れたほうがうまいぞ」
オレは取り放題の容器からどっさりとキムチを箸でつかみ取ると、それを七瀬のラーメンに入れてやる。
ぼちゃぼちゃっ。
七瀬「……」
浩平「やっぱ冬はラーメン。それも体の芯から温まるキムチラーメンだ」
浩平「なっ、七瀬」
七瀬「……」
浩平「七瀬、ラーメン好きだろう」
七瀬「……」
浩平「ほら、もっとキムチを入れてやるぞ」
ぼちゃべちゃっ。
                              
                             
                       

                              
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七瀬「ひんっ…」
浩平「ん…?」
七瀬「うくっ…ぐっ…」
浩平「おまえ、泣いてない…?」
七瀬「泣いてないわよっ…」
浩平「そうか。あまりのうまさに感動したのかと思った」
七瀬「しないわよっ…感動なんかぁっ…ぐすっ…」
浩平「あれ…やっぱ泣いてるだろ」
七瀬「泣いてないっ…!」
浩平「調子でも悪いのか…?」
七瀬「いいわよっ…すごぐっ…」
浩平「よし、今日は付き合ってくれたお礼におごってやるからな。おかわりしたっていいんだぞ?」
ぼちゃべちゃっ。
七瀬「嬉しくないっ…」
浩平「はぁ…? どうしたんだ?」
七瀬「嬉しくないって言ってんのよっ! こんなものおごってもらったって!!」
ばんっ!!
久しぶりに大きいのを見た気がする。



                         

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小銭を台に叩きつけると、その勢いのまま立ち上がり、店を飛び出してゆく。
浩平「え…おいっ…」
七瀬のどんぶりを見ると、まだ3分の1ほど麺が残ったままだった。
わけがわからない。
放っておくわけにもいかず、オレは自分のをすばやく平らげると、七瀬の後を追うこととした。
しかしあれから一目散に走り去ったとなると、もう追いつくのは無理か…。
                
                      
                     
                         


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667名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 17:09 ID:39pYzMQj
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と思ったら、通りの先で、こっちのほうを窺っている七瀬の姿が小さくあった。
オレの姿を見つけると、また文字通り一目散に走り去ってゆく。
浩平「…ったく、なんなんだ、あいつは」
仕方なく、付き合うことにする。
妙な追いかけっこを続け、辿り着いた先は、高台の公園だった。
浩平「おい、七瀬っ」
広場の中央に佇む七瀬のもとへと駆け寄る。
浩平「どうしたんだ、一体…」
七瀬「………」
浩平「そんなにラーメン不味かったか…?」
七瀬「うぐっ…」
七瀬「うぅんっ…美味しかったっ…」
浩平「じゃあ、どうしてそんなに泣きそうな顔してるんだよ」
………
七瀬「今日は……クリスマスなのよっ…」
浩平「え? あ、そうだったな」
七瀬「そうだった…?」
七瀬「あなたにとっては、それだけのことかもしれないけどっ…あ、あたしにとってはすごく大切な夜だったんだからっ…!」
七瀬「クリスマスよ、クリスマスっ!」
七瀬「期待してたのにっ…」
七瀬「ものすごく期待してたのにっ…」
七瀬「それがぁっ…」
七瀬「はぐぅっ…」
浩平「いや、美味しいから…」

                         
                            
                            



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七瀬「クリスマスよ、クリスマスっ!」
七瀬「期待してたのにっ…」
七瀬「ものすごく期待してたのにっ…」
七瀬「それがぁっ…」
七瀬「はぐぅっ…」
浩平「いや、美味しいから…」
七瀬「あたし、キムチラーメン食べるために、みんなの誘い断ったんだぁっ…」
七瀬「ば、ばかだぁっ…」
浩平「そこまで言うなよ…」
七瀬「だ、だって……やっと、男の子と過ごせると思ったのにっ…」
七瀬「だ…大好きな男の子とっ…ふたりきりで過ごせるってっ…」
浩平「………」
浩平「七瀬…」
七瀬「うぐっ…」
浩平「どっか行こうか」
七瀬「遅いわよっ、こんな時間じゃぁ…!」
浩平「どんなところに行きたかったんだ?」
七瀬「ダ…ダンスパーティーとか…」
浩平「ダンスパーティー…?」
七瀬「あ、憧れっ…」
そこでは誰も女の子はお姫様になれる、か…。
浩平「ふぅん……」
■今、七瀬の手をとる
■ダンスホールを探して回る

                            
                             
                             
                          
           



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浩平「よし、踊ろう、七瀬」
七瀬「え?」
浩平「ほら、手出して」
七瀬「………」
浩平「ほらっ」
オレは半ば強引に七瀬の手をとる。
浩平「で…どうすんだ?」
七瀬「………」
浩平「どうすんだ、七瀬っ」
七瀬「………」
七瀬「…こ、こうかなっ」
しぶしぶとオレの背にもう一方の手をまわし、そしてステップを踏み出す。
七瀬「ばかっ、そっちじゃないっ、こっちっ」
浩平「こうかっ…?」
七瀬「そ、そうっ…」
そうだな。もう少しオレは努力してやらなくちゃいけないな…。
こいつの、王子様なんだからな。
ただ手を取り合って踊り続けるふたり。
少し不器用だったが、そんなものはチームワークでカバーだ。
ごちんッ!
浩平「さすが七瀬、いい頭突きだ…」
ナイスな攻撃だった。
七瀬「わざとじゃないわよっ! そっちのステップが間違ってるのよっ!」
浩平「ん、こうか…?」
ごちんッ!
七瀬「いたぁっ! やり返すことないじゃないっ…!」
浩平「いや、そんなつもりじゃっ…」
ごちんッ!
浩平「ぐっ…やはり本物は違うな」
痛すぎる。
七瀬「なにやってんのよ、あたしたちっ!」
浩平「そりゃ、ダンスだろ」
七瀬「そ、そうよっ…ダンスよっ…」
浩平「うん、ダンスだ」
ふたりの息が合ってくると、頭突きの回数も減ってくる。
浩平「いい感じだな」
七瀬「うんっ…」
浩平「七瀬…」
七瀬「うん…?」
オレは七瀬の顔に口を寄せた。
七瀬「あ…」
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えじおfじょいsjkふぃおふいいおjfふいおhfほいdfふいhふぃおひおf
驚いたようだが、じっとしていた。
唇が、唇に触れた。
浩平「七瀬…」
七瀬「うん…」
キムチ臭い、と言おうとしたが、やめておいた。
また罵倒されるのがオチだ。
驚いたようだが、じっとしていた。
唇が、唇に触れた。
浩平「七瀬…」
七瀬「うん…」
キムチ臭い、と言おうとしたが、やめておいた。
また罵倒されるのがオチだ。
とにかく、最初のキスの感想はそんな感じだった。
キムチ臭い。
オレもか…。
浩平「よし、探して歩こう」
七瀬「なにをよ…」
浩平「ダンス会場」
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うhjぐいふうjfhんううぬjぬいjrfgg、もおおおおおjこk!
その後、オレはただひたすらに夜の街を歩いて回った。
数メートルの距離を置いて、七瀬もついてきていた。
こんな夜にオレたちは、どうして無言で離れて歩いているのだろう。
それはもともとオレの勘違いから始まったことか…。
勘違い……いや、ほんとうは気づいていたのかな。
でも信じられなかっただけだ。
浩平(はぁ…)
そうだな。もう少しオレは努力してやらなくちゃいけないな…。
こいつの、王子様なんだからな。
浩平「なぁ、七瀬…」
次、振り返ったときには、そこに七瀬の姿はなかった。
冬休みが訪れ、やがて迎える年明け。
しかしオレたちの正月はムチャクチャである。
住井たち、気の知れた男連中が住み着くような勢いで、三日三晩オレの部屋で騒いでいった。
まあ、なにもなしでそこまで騒げるわけではなく、やはりコタツの隣にはごろごろと空になった一升瓶が転がっていたりする。
住井「ところでさ、折原。おまえ、七瀬さんとはどうなってんの」
不思議なものだ。どうして、男連中で集まって酒を飲むと、そういう話しは避けて通れなくなるのだろう。
浩平「どうなってるって、何がだよ」
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住井「だって、おまえ、七瀬さん狙いだって見え見えじゃん」
残りのふたりは鼾をあげて、コタツで寝ていた。
浩平「ばぁか、一緒にいることが多いからそう見えるだけだ」
住井「そりゃもったいない。七瀬さんはまんざらでもないと、踏んでいるんだけどなぁ」
浩平「ふぁ…オレも眠い」
住井「こらこら、逃げるなよ。今やクラス中の注目の的だからな、おまえたちふたりは」
浩平「え…そだったのか…?」
住井「だから、誰も七瀬さんに寄りつかなくなったんだろ。見ててわからないか?」
浩平「うーん…そうだったのか…」
住井「おまえ、早く言っちまえって。絶対、七瀬さん拒まないから」
浩平「ばか、そんな気なんてない」
住井「おまえは昔から奥手だからなぁ。しゃあない、電話借りっぞ」
住井「だって、おまえ、七瀬さん狙いだって見え見えじゃん」
残りのふたりは鼾をあげて、コタツで寝ていた。
浩平「ばぁか、一緒にいることが多いからそう見えるだけだ」
住井「そりゃもったいない。七瀬さんはまんざらでもないと、踏んでいるんだけどなぁ」
浩平「ふぁ…オレも眠い」
住井「こらこら、逃げるなよ。今やクラス中の注目の的だからな、おまえたちふたりは」
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浩平「待てっ、こんな時間にどこかける気だっ!」
住井「俺ん家だよ。今日も泊まりだからって」
子機の電話機を外線にしてダイヤルをプッシュしてゆく。
住井「えっと、あってたかな、これで…」
浩平「おまえ、大丈夫か…?」
住井「………あ、夜分すみません。住井と申しますが、えっと、留美さんをお願いします」
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なに…
住井「それってさぁ、ずばり折原だよな」
な、なんてこと聞くんだ、こいつは…。
住井「どうして。教えてくれたっていいじゃん」
………。
住井「なんだ、そうなの…」
なに話してんだよ…。
住井「うーん、それじゃあ、折原の片思いってことかぁ」
………。
住井「いや、いまからあいつ告白するってさ。その前に俺が景気付けてやってたんだけど…。ああ、すぐ隣にいるよ」
浩平「なに言ってんだよ、おまえっ!」
住井「ほら、代わってやるよ」
1 :このスレを発見するなよ ◆C9.GJfEHa2 :03/01/29 19:09 ID:SrBwKQaI
http://yggdrasill.hihome.com/temproms.html
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_V.zip
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_VI.zip
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http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_III.zip


667 :名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:09 ID:39pYzMQj
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668 :名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:09 ID:dbu2iOa/
                             
                              
                             







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奪おうとしたところへ、受話器を差し出される。ここまで話しをこじらせておいて、こいつは…。
何を言い訳したものかもよくわからなかったが、とりあえず出てみる。
浩平「もしもし」
七瀬(もしもし…)
確かに七瀬の声だった。
七瀬(飲んでるの…?)
浩平「え…そだったのか…?」
住井「だから、誰も七瀬さんに寄りつかなくなったんだろ。見ててわからないか?」
浩平「うーん…そうだったのか…」
住井「おまえ、早く言っちまえって。絶対、七瀬さん拒まないから」
浩平「ばか、そんな気なんてない」
住井「おまえは昔から奥手だからなぁ。しゃあない、電話借りっぞ」



712 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:13 ID:ISWfKFRI
住井「だって、おまえ、七瀬さん狙いだって見え見えじゃん」
残りのふたりは鼾をあげて、コタツで寝ていた。
浩平「ばぁか、一緒にいることが多いからそう見えるだけだ」
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浩平「ああ。もう三日めだ」
七瀬(あんまり調子に乗らないようにね)
浩平「ああ。住井のバカがわけわかんないこと言って、ごめんな」
七瀬(ううん、気にしてないけど…)
浩平「そうか」
七瀬(でね、さっき住井に言ったこと、ウソだからね…)
浩平「なんのこと」
七瀬(えっと、そのっ……好きなひとのこと…)
浩平「よく聞いてなかったけど…」
七瀬(あ、うんっ……じゃあいいけど…)
浩平「じゃあ、そろそろ切るよ」
七瀬(うん、おやすみ)
浩平「ああ。もう三日めだ」
七瀬(あんまり調子に乗らないようにね)
浩平「ああ。住井のバカがわけわかんないこと言って、ごめんな」
七瀬(ううん、気にしてないけど…)
浩平「そうか」
七瀬(でね、さっき住井に言ったこと、ウソだからね…)
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浩平「おやすみ」
向こうが切るのを確認してから、オレも電話を切る。
住井「はぁ…なんだ意外になんにもなんだな、おまえたち」
浩平「だから言ってるだろ」
住井「俺のこと、なんか言ってたか、七瀬さん」
浩平「ああ。おまえに言ったことはウソだって言ってた」
住井「へ…?」
住井「ちょっと待てっ、それって…」
浩平「どうした」
住井「くぁ…俺も寝る……とんだ茶番劇に付き合わされたもんだ…」
浩平「なんのことを言ってるんだよ」
すでに住井はごそごそとコタツに潜ってしまっていた。
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浩平「………」
聞こえてくるのが鼾だけとなると、オレもベッドに潜り込んだ。
浩平「もしもし」
七瀬(もしもし…)
確かに七瀬の声だった。
七瀬(呑んでるの…?)
721 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:15 ID:MHHjZFcU
浩平「え…そだったのか…?」
住井「だから、誰も七瀬さんに寄りつかなくなったんだろ。見ててわからないか?」
浩平「うーん…そうだったのか…」
住井「おまえ、早く言っちまえって。絶対、七瀬さん拒まないから」
浩平「ばか、そんな気なんてない」
住井「おまえは昔から奥手だからなぁ。しゃあない、電話借りっぞ」



712 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:13 ID:ISWfKFRI
住井「だって、おまえ、七瀬さん狙いだって見え見えじゃん」
残りのふたりは鼾をあげて、コタツで寝ていた。
浩平「ばぁか、一緒にいることが多いからそう見えるだけだ」
浩平「ああ。もう三日めだ」
七瀬(飲み過ぎないでよ。未成年なんだから)
浩平「ああ。住井のバカがわけわかんないこと言って、ごめんな」
七瀬(ううん、気にしてないけど…)
浩平「そうか」
七瀬(うん…)
721 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:15 ID:MHHjZFcU
浩平「え…そだったのか…?」
住井「だから、誰も七瀬さんに寄りつかなくなったんだろ。見ててわからないか?」
浩平「うーん…そうだったのか…」
住井「おまえ、早く言っちまえって。絶対、七瀬さん拒まないから」
浩平「ばか、そんな気なんてない」
住井「おまえは昔から奥手だからなぁ。しゃあない、電話借りっぞ」



712 名前:名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:13 ID:ISWfKFRI
住井「だって、おまえ、七瀬さん狙いだって見え見えじゃん」
残りのふたりは鼾をあげて、コタツで寝ていた。
浩平「ばぁか、一緒にいることが多いからそう見えるだけだ」
  
fdyfぐdgyhぶいいじゅいgんggtfggfdgd
gfdgfgdfgふんjぬrぎふhydghぅぐぎゅsgzgぶgbgぶjhkdffv
dふじひぐrちぃhvjbぬdfgヴdぶyfhjぎゅfでゅgふぃじぢうう
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浩平「………」
七瀬(………)
浩平「じゃあ、そろそろ切るよ」
七瀬(うん、おやすみ)
浩平「おやすみ」
向こうが切るのを確認してから、オレも電話を切る。
1 :このスレを発見するなよ ◆C9.GJfEHa2 :03/01/29 19:09 ID:SrBwKQaI
http://yggdrasill.hihome.com/temproms.html
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_V.zip
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_VI.zip
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_I_+_II.zip
http://members.madasafish.com/~kefka/Dragon_Quest_III.zip


667 :名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:09 ID:39pYzMQj
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668 :名前が無い@ただの名無しのようだ :03/01/30 17:09 ID:dbu2iOa/
                             
                              
                             
住井「はぁ…なんだ意外になんにもなんだな、おまえたち」
浩平「だから言ってるだろ」
住井「俺のこと、なんか言ってたか、七瀬さん」
浩平「いや、なにも」
住井「そうか。なんだ、おもしろくないなぁ」
浩平「なにを期待してたんだ、まったく」
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住井「ふぁ…俺は寝るぞ…」
浩平「おい、オレひとりだけにすんなよっ」
すでに住井はごそごそとコタツに潜ってしまっていた。
浩平「………」
聞こえてくるのが鼾だけとなると、オレもベッドに潜り込んだ。
やがて、怠惰な冬休みも終わりを告げる。
カシャアッ!
カーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…あれ…どうしておまえがいるの…」
長森「あっきれたぁ。今日から学校だよっ、まさか忘れてたのっ?」
浩平「なにぃ…そうだったのか…イツツ…頭痛い…」
長森「うわ、一升瓶だらけ…まったく何やってんだよ、もう…」
浩平「おい、起きろぉ、みんなーっ」
長森「え…?」
長森「…きゃーーーっ!!」
オレの呼びかけで、ごそごそとコタツから住井たちが一斉にでてくる。
住井「ん…ありゃ長森さん。おはよう…」
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おぴそぴおぷいしゅいふrふhkでゅrhytgyてtf35rf6fdhbjk
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長森「びっくりしたよぉ…」
住井「ということは、今日から長森さんも、参戦?」
浩平「ばか。今日から学校だってよ。帰らなくていいのか」
住井「え…?」
住井「なにぃーーーっ!? すっかり忘れてたっ! おい、おまえたち、帰るぞ!」
どたどたと騒がしく部屋を出てゆく。
浩平「あいつら、完璧遅刻だな…」
長森「ほら、浩平も急いでよ。わたしたちも遅刻するよ?」
浩平「ああ、そうだな…」
浩平「うぃっす、七瀬」
七瀬「あ、おはよーっ」
浩平「少し太ったか、七瀬」
七瀬「そ、そんなことないって」
浩平「そうか? オレはどっちかって言うと、ふっくらした感じのほうが好きだけどな」
七瀬「あ、そうなんだ…」
七瀬「うん、少しだけ太ったかも…」
浩平「どれっ…」
七瀬のほっぺたを指で引っ張ってみる。
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七瀬「ふぃーーっ…ひょ、ひょっと折原っ…」
浩平「いい肉付きだ」
すぱん!と戻してやる。片頬だけが赤くなってしまった。
浩平「こっちも赤くしといてやろう。すると照れたみたいで可愛いと思うぞ」
七瀬「ふぃーーっ…!」
すぱん!
浩平「うむ、最高」
七瀬「もぅっ…」
浩平「って、おまえ本気で赤くない…?」
七瀬「んなことないわよっ…」
浩平「そうか。おっと、1時間目が始まるぞっ」
七瀬「うんっ」
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浩平「うぃっす、七瀬」
七瀬「あ、おはよーっ」
浩平「少し太ったか、七瀬」
七瀬「いきなり失礼ねっ、太ってなんかないわよっ」
浩平「そうか、ま、どっちでもいいか」
浩平「おっと、1時間目が始まるぞっ」
七瀬「うんっ」
………。
……。
………。
いつもと同じように一日は過ぎてゆき、放課後となる。
長森は部活だったし、七瀬も部活見学に再び熱を上げだしたようだった。
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そんな忙しげな奴らを余所に、オレはひとり、家路につく。
放課後は、どちらとも言い出さずに、ふたりきりになるようになった。
校庭から、運動部の威勢のいいかけ声が聞こえ続けている。
七瀬「あのときね、折原はあたしのことを乙女にしてくれたんだよね…」
浩平「いつ…?」
七瀬「ほら、あのバカ女との一件のとき」
そんな忙しげな奴らを余所に、オレはひとり、家路につく。
放課後は、どちらとも言い出さずに、ふたりきりになるようになった。
校庭から、運動部の威勢のいいかけ声が聞こえ続けている。
七瀬「あのときね、折原はあたしのことを乙女にしてくれたんだよね…」
浩平「いつ…?」
七瀬「ほら、あのバカ女との一件のとき」
バカ女……広瀬のことだ。
七瀬「我慢の限界がきて、怒鳴ろうとしたとき…あたしが怒鳴ってしまっていれば、またこの学校でもあたし、そんな性格で通ってしまってた」
七瀬「それを、寸前で折原が代わりに怒鳴ってくれた。胸がすっとした」
七瀬「あのときあたしは、折原に乙女にしてもらったんだよね」
浩平「ふぅん…」
七瀬「最初は抵抗あったんだ。それまで折原、イヤな奴だと思ってたから、ほんとにこんな奴があたしの王子様なの?って…」
浩平「またはっきり言うな、おまえ…」
七瀬「でももう、全部大好きになっちゃった…」
浩平「それもよくはっきり言えるな、おまえ…」
七瀬「うん、言えるよ、それくらい…」
そんなことを言ってしまった後だからだろうか。帰り道、七瀬は自分の昔の話をし始めた。
七瀬「ずっと剣道してたんだ」
浩平「へぇ…」
七瀬「剣道ってね、たぶん思ってる以上に生易しいものじゃないの」
七瀬「部室は年中臭いし、夏にはあんな重たいもの身につけて、汗びっしょりになって、冬には冷たい床の上を裸足で歩いて…」
七瀬「たくましくないと、やっていけないところだった」
七瀬「そんな中であたし、練習もたくさんして、すごく頑張ってたの。だから大会とかでも勝つようになって、実績も残していった」
七瀬「でも、2年生になったときにね、腰を悪くしたんだ…。もう剣道続けられなくなった」
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七瀬「突然、頑張ってきたもの、頑張れたものを失って、呆然とした。なにをすればいいのか、わからなくなった」
オレは自分の靴を履いた後、話しに夢中になってる七瀬の靴も出してやる。
七瀬「ありがと」
七瀬「そんなときに剣道部の部長に推薦されたの。3年生の当時の部長から」
七瀬「女子の部長なんて異例だったし、それに、竹刀も振れないような体の人間に、みんながついてきてくれるとも思わなかった」
七瀬「でも、その人にはお世話になっていたから、期待に応えようと思って部長になったの」
七瀬「ずっと陰口とか叩かれたりした。一部で嫌われてたのも知っていた。それでも、1年やり通したの、あたし」
七瀬「部も大きくなったし、大会でも前よりも好成績を納めるようになった」
七瀬「そして、最後の試合が終わったとき、1年前にあたしを部長に推薦してくれたその先輩が言ってくれたんだ」
「辛い役回りだったけど、よくやってくれた、七瀬。ここまで部が大きくなったのも、おまえのおかげだ」
「そして、七瀬。もう面なんて被るな。違う人生を生きろ。髪を伸ばして、リボンをつけろ」
「そうすれば違う幸せがおまえを待ってるよ」
七瀬「あたしはその言葉を聞くまで、そしてその通りにしてみるまで気づかなかったんだ」
七瀬「女の子としての幸せに」
その話しを聞いて、ようやくわかったことがある。
七瀬が小さな女の子のように、乙女に憧れる理由。
それは七瀬自身が女の子である自分を自覚したのが、遅かったからなんだ。だから、七瀬はまだ女の子としては子供なんだ。
まだ絵本の世界のお姫様になれると信じている女の子なんだ。
七瀬「あたしはその言葉を聞くまで、そしてその通りにしてみるまで気づかなかったんだ」
七瀬「女の子としての幸せに」
その話しを聞いて、ようやくわかったことがある。
七瀬が小さな女の子のように、乙女に憧れる理由。
それは七瀬自身が女の子である自分を自覚したのが、遅かったからなんだ。だから、七瀬はまだ女の子としては子供なんだ。
まだ絵本の世界のお姫様になれると信じている女の子なんだ。
浩平「可愛い奴だな、おまえは」
七瀬「えっ? ははっ、なんだか知んないけど、ありがと」
ほっぺたを摘んで、グニュグニュとこねてやった。
そんな話しを聞いてからだろうか。いつしかオレは、七瀬を自分を好きでいてくれる女の子として意識するようになっていた。
他愛ないやり取りの瞬間でも、こいつはオレのことが好きなんだな…と考えると奇妙な安心感を覚えるのだ。
会った当時は、あんなにも怒鳴りあっていたというのにな。
浩平「可愛い奴だな、おまえは」
七瀬「えっ? ははっ、なんだか知んないけど、ありがと」
ほっぺたを摘んで、グニュグニュとこねてやった。
そんな話しを聞いてからだろうか。いつしかオレは、七瀬を自分を好きでいてくれる女の子として意識するようになっていた。
他愛ないやり取りの瞬間でも、こいつはオレのことが好きなんだな…と考えると奇妙な安心感を覚えるのだ。
会った当時は、あんなにも怒鳴りあっていたというのにな。
小学生だったふたりが、大人になるまでを二ヶ月で経験したような感じだ。
そう。もうオレたちは、無邪気にからかい合うような小学生ではなく、お互いを異性として意識する大人だった。
いつものように放課後は、教室にふたりきりだ。
そして特に七瀬とふたりでいるようになったからか、なぜだか不思議な違和感を抱くことが多くなっていた。
孤立感。
ふと思うと、人との繋がりが希薄になっているような気がするのだ。
七瀬「ボエエエエエエエエエエエッッ」

ボトボトボトッ

浩平「きったねえええええええええ!!!」
するとまた、七瀬を求めたくなる。
結局オレだって、こいつに填っているのかな…と思う。
七瀬「いい風」
浩平「もう寒くなる日はないかな…」
七瀬「そうだね。これからは春に向かって、暖かくなってくるんだろうね」
浩平「暖かくなったら、いろんなことしような」
七瀬「うん」
浩平「ピクニックとかな」
七瀬「子供みたい」
七瀬「でも、楽しそう」
風に靡く髪を気にして手で押さえる七瀬。
ふと、その瞬間がかけがえなく思い、オレは胸が痛いと思う。
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浩平「なぁ、七瀬」
七瀬「ん?」
浩平「抱いていいか」
そんなことを言ってしまっていた。
七瀬「えっ…ま、待って…」
手をその背中に回そうとすると、意外なほど反発を受ける。
七瀬「こ、こんなところじゃヤダっ…」
浩平「誰もこないって」
七瀬「そーいう問題じゃなくてっ…場所の問題っ…」
浩平「え?」
うーん、べつに抱きしめるぐらいどこだっていいだろうに…。
浩平「じゃ、どこだったらいいんだ?」
七瀬「そ…そんなこと聞かないでよっ…」
浩平「じゃあ、ここで」
七瀬「ま、待って!」
七瀬「やっぱり最初はっ…男の子の部屋がいいかなっ…」
浩平「オレの部屋?」
七瀬「う、うんっ…」
言って顔を真っ赤にする七瀬。
あれ…?
オレはそのときようやく気づいた。
七瀬は、アレのことを言っているんじゃないか?
抱く、の意味を取り違えてるんじゃないのか?
たぶん間違いない。最初は、男の子の部屋がいい、っていうのはそういうことだよな…。
浩平「………」
オレもそれに気づくと、どう答えていいかわからなくなった。
■誤解をとく
■誤解のまま押し通す

浩平「いや、オレはここがいいな」
七瀬「だからダメだって…」
浩平「七瀬、ジッとしてて」
七瀬「え…で、でも…」
オレの言葉に体を強張らして、それでもジッと待つ七瀬。
その体の後ろに回り、オレはそっとその体を抱きしめた。
浩平「抱くってのはな、こうしたかっただけだ」
七瀬「え…」
そして七瀬の左肩に顎を埋める。つんと女の子の匂いが鼻腔をついた。
七瀬「そう…だったの…」
浩平「ほんとうに抱かれてみたかったか…?」
七瀬「ううん…ちょっと恐かった…」
浩平「もう少し時間が経ったらな」
七瀬「うん…」
今はこれだけで十分だった。
七瀬の匂いと温度、それを感じていられるだけで。
浩平「わかった」
浩平「じゃあ、オレの部屋だ。いいな?」
こくりと、無言で(顔を真っ赤にしたまま)頷く七瀬。
オレの家へと向かう道中、気まずい沈黙が続く。
まあ、当然だろう。
ふたりとも、これからHをすることを前提にオレの家へと向かっているんだから。
うーん…
この七瀬と…。
ちらりと七瀬の横顔を見る。
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確かに男子生徒からは圧倒的に人気があるからな、こいつは…
可愛いのは確かだ。
認めよう、うん。
しかしあの性格だからな…
色気もなにもあったもんじゃないぞっ…
しかしこうやって黙ってると、やっぱり…
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はっ…だめだ…。
顔を見てると、煩悩が底なしに渦巻いてしまうっ…。
七瀬「あっ」
七瀬が不意に声をあげる。
浩平「どうした」
七瀬「ゲーセン」
浩平「初めて見たのか」
七瀬「うぅん…なんか新しいの入ってるかなぁって…」
浩平「おまえ、あからさまに本題から逃げようとしてるだろ…」
七瀬「だ、だってゲーセンよ、ゲーセン! ゲームがいっぱい置いてあるのよっ!」
浩平「ほぅ、それは興味深い場所だな。明日にでも存分、時間を費やすとしよう」
七瀬「今日限りのがあるかもっ!」
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浩平「安心しろ。ない」
七瀬「うぅ…」
七瀬「あっ、カラオケ!」
浩平「それがどうした」
七瀬「なんか、新曲入ってるかもっ」
浩平「よし、明日いこうな」
七瀬「うぅっ…」
七瀬「あっ、魚屋!」
浩平「それがどうした」
七瀬「なんか、いい魚が入ってるかも」
浩平「よし、明日一緒にさばこうな」
七瀬「うぅっ…」
七瀬「あっ、佐藤さんの家だっ!」
浩平「それがどうした」
七瀬「小学校の頃の友達の家かもっ…」
浩平「よし、明日訪ねてみような」
七瀬「うぅっ…」
七瀬「えっと…家の方は…?」
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浩平「安心しろ。夜にならないと帰ってこない」
七瀬「うーっ…」
浩平「どうした、入ってこいよ」
七瀬「………」
浩平「散らかってるけど、我慢してくれよな」
七瀬「ほんっと散らかってるわね…」
七瀬「帰るわ」
浩平「こ、こらっ! 来たばっかりだろっ!!」
七瀬「じょ、冗談よ…」
浩平「ほんとに出ていこうとしたじゃないか」
七瀬「冗談だってば…」
浩平「………」
七瀬「……」
浩平「…さて」
七瀬「なにっ!?」
浩平「いや、お茶でも持ってこようかなって…」
七瀬「そ、そう…」
オレは一度階下へと下り、台所で簡単にお茶を入れる。
浩平(うーん…あんなに身構えられてもなぁ…)
こぽこぽ…。
ずずっ…
ずーっ…
ずぅっ…
ずずずっ…
浩平「なぁ…」
七瀬「なにっ…」
浩平「なにやってんだ、オレたち…?」
七瀬「お、お茶飲んでるんじゃないっ…」
浩平「ま、そうなんだけど…退屈じゃないか…?」
七瀬「え? うぅん、楽しいよ、あたしはっ…」
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浩平「そうか…?」
七瀬「うんっ…楽しいよっ…」
浩平「そうか…」
七瀬「そうよっ…」
ずずっ…
ずーっ…
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ずぅっ…
ずずずっ…
浩平「ほんとにかっ…?」
七瀬「えっ? なにがっ?」
浩平「いや…べつのことしないか?」
七瀬「べ、べつのことって…」
浩平「うん…そうだなぁ…たとえばゲー…」
七瀬「わ、わかったわよ…」
カチャンと、湯飲みを置く。
そして、床の一点を見つめて言う。
七瀬「でも…どうしたらいいかわからないのよ…は、初めてだからっ…」
浩平「は…?」
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オレは七瀬の言っている意味に気づいて、すぐ閉口する。
べつにオレは急かすつもりなんかはまったくなかったんだけど…(大体、ゲームでもするか、と言いかけていた)。
まあ、こんな意識しまくった状況じゃ、なにもできはしないか…。
かといって、本当にするのか…?
■本当にする
■やめておく

そうか…するのか…。
まあ、これはイヤラシイことをしたい、とかそういうのではなく、七瀬を好きだという、その延長線上に位置する行為だと思えばそう後ろめたいこともなにも…
よし。
オレも意を決す。
といっても、オレだってこんなことは初めてだ。どうすればいいんだ…?
まあ、あれからかな…。
浩平「七瀬…」
七瀬「は、はいっ…」
浩平「なに緊張してるんだ」
七瀬「あ、そ、そうねっ…」
浩平「隣いくぞ」
七瀬「…うん…」
オレは一度腰をあげ、七瀬の隣に座り直す。
横を向くと、すぐ七瀬の顔があった。
七瀬「は…ぅっ…」
オレと目を合わせると、慌てて息を詰まらせる七瀬。
普段の言動からすると、それは到底想像にも及ばない女の子らしい姿だった。
悔しいが(なんで悔しいんだ?)、それを認めざるをえなかった。
浩平「七瀬…」
七瀬「う、うん…」
オレはその七瀬の、小さな唇を求め、自分の口を寄せた。
七瀬「………」
唇と唇の距離が狭まって…
七瀬「あっ、大相撲の時間!」
ピッ!
「…錦ノ海は先場所より体にツヤがでてきましたねぇ…対する浜の山、まわしの色を変えての今場所はどうでしょう…」
浩平「こらあぁぁっっ!!」
七瀬「あはっ…あははははっ…」
浩平「あはは、じゃないーっっ!!」
浩平「BGMを相撲中継なんかにするなぁっっ!!まわしの色なんか聞きながら、キスしたくないわっっ!!」
浩平「ったく、いつの間にリモコン隠し持ったんだっ…」
七瀬の手からテレビのリモコンを取り上げる。
七瀬「き、気になるじゃない…賜杯の行方…」
浩平「そんなに相撲が好きだったのか。なら誕生日は関取のプロマイドで決定だな」
七瀬「そ、そんなぁ…冗談だってば…」
浩平「じゃあ、もうふざけるなよ」
七瀬「う、うん…」
しかし気を取り直そうにも、あまりに調子が狂ってしまっていた。
浩平「………」
七瀬「…どうしたの?」
浩平「…はぁ……やめとくか」
七瀬「…え? どうして?」
浩平「あれだけ雰囲気壊しておいて、よく言うよな」
七瀬「…あ…ごめん…」
浩平「相撲でも見るか」
オレが再びリモコンでテレビをつけようとすると、
七瀬「待って…」
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と、その手を掴む七瀬。
浩平「あ?」
七瀬「な、なに…どうすればいいの? キ、キスしようとしてたんだっけ?」
どもりながらに聞いてくる。
浩平「ああ、そうだけど…」
七瀬「じゃあ………」
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七瀬がオレの首の後ろに手を回す。
七瀬「………」
そして少しだけ開いた口を、寄せてくる。
浩平「………」
オレはなにもしなかった。
待っていただけだ。
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七瀬「………」
温かく、柔らかなものが唇に触れた。少し湿ったそれは、触れたところでじっとしていた。
浩平「………」
七瀬「……」
これが七瀬と交わす二度目のキス…。
やめよう、と言ったところを向こうから求めてきたもの。苦笑してしまうぐらいに、健気だと思った。
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■健気なところを攻めてみる
■次の行為に移る

オレは、その健気なところをどうしても、攻めたくなった。合わさった口の中で、オレは舌を差し出してみる。
唇を擦って抜け(その時点でおもしろいほど七瀬の動揺がわかる)、中途半端に開いた歯の間を通り、その先の同じものと触れる。
オレが求めているのがわかったのだろう、怖ず怖ずと七瀬もそれを差し出す。
ちろっちろっとふたつのものが触れあう。んんっ…と七瀬の鼻息が漏れる。
七瀬の息の匂いと、そして七瀬の口の中の味…。臭覚と味覚が、七瀬のものに満たされていた。
甘くて(気分的に)、女の子らしい(これも実はよくわからない)匂いと味だった。
まあ、そう表現してやるのが、七瀬に対する思いやりだ。
しかしあの出会った頃に、怒鳴られて顔面に何度も飛ばされていた唾をこうして直に舌で味わうことになろうとは…
うーん、複雑だ…。
ちゅっ…くちゅっ…
慣れてくると、互いが動かしたり吸ったりするために、音がたつ。するとそれが恥ずかしくなってか、七瀬が舌を引っ込める。
オレが深く求めると、またおずおずと出してくる。それの繰り返しだった。
なにが普通なのかは、お互いよくわからなかったし、どちらかがヘンだと言い張らない限りは、それはオレたちにとっての普通だった。
しかしこんなことを10分以上も続けてるなんて、他人が聞いたら迷わずヘンだと指摘するだろうか?
だがその行為は七瀬の女の子らしい健気な部分が実によく見えて、オレは調子にのって続けてしまった。
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結局、互いが疲れてようやく口を離したのは、さらにしばらくしてからだった。
七瀬「はぁっ…」
ふたり無言で息をつく。七瀬の口の周りがべたべただった。
するとオレもか…。
手で拭ってみると、案の定、どちらのともとれない唾液が甲を濡らした。少しいやらしい…。
なるほど。気づかないうちに七瀬のおかげで、オレも気を取り直すことができたようだ。
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オレが少し七瀬の肩を押してやると、そのまま唇が離れてゆく。
七瀬「はぁっ……」
顔を赤く染めて小さく息をつく七瀬。少しいやらしい。
なるほど。気づかないうちに七瀬のおかげで、オレも気を取り直すことができたようだ。
■口でやらせてみる
■服を脱がしにかかる

こんなにも健気な七瀬をもう少しイジめてみたくもある。いや、言葉がよくないな。
もう少し七瀬自身が求める乙女の部分を引き出すのを手伝ってやろう。
そう思えば、問題ない。
オレはベッドの上に腰を下ろす。
浩平「七瀬」
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七瀬「……?」
オレのほうを振り返る七瀬。
こいこい、と手招きしてやると、何も知らずに股下までやってくる。
浩平「あー…まぁ、こういうもんらしいんだ」
オレはおもむろにモノを取り出す。
モノはこれからの行為を期待してか、すでに頭を擡げていた。
七瀬「………」
しかし七瀬はいきなりのことに戸惑ってか、顔を反らす。どうやって誘導してやればいいだろう…。
オレは七瀬の頭の後ろに手を置いて、ぐっと引き寄せる。
七瀬「えぇっ!?」
拒絶の声をあげて、オレを見上げる。
浩平「これは必要な行為らしいんだ。そう、オレを責めるような目で見るな」
七瀬「なにをすればいいの…」
浩平「口開けて」
七瀬「ま、まさかぁ…」
浩平「いや、ほんと」
七瀬「うそ…」
浩平「いや、ほんとだってば」
831bloom:03/01/30 17:31 ID:00wePKT7
七瀬「………」
まぁ、さっきのことで負い目もあるのだろう、迷ったあげく意を決したかのようにモノを見つめる。
そして口を開く。だが、そこから動けないでいる。
オレは七瀬の頭を自分の股に向けてさらに引き寄せる。
少し歯に擦って、七瀬の口の中にモノの頭の部分が入った。
七瀬「………」
しかし、口を閉じないで頑張っている。モノは七瀬の口の中で宙ぶらりんとなっていた。ただ息の温かさだけが伝わってくる。
七瀬「………」
オレは今度はその七瀬の顎の下をくっと持ち上げてやる。
下唇がモノの下部に触れた。それをしてしまうと、やっと吹っ切れたのか、上唇もモノに添わせた。
しかしまだ味わいたくないのだろう、舌だけは踏ん張って引っ込めていた。
浩平「七瀬、舌も当てるんだよ」
それだけは手で誘導しようもない。オレはそう告げた。
七瀬「………」
ぴとっ。
温かく濡れた舌がモノに触れる。しばらくじっとして慣らしてから、ちろちろっと細かく動かした。
浩平「うっ…」
なんていうか、未知の快感である…。
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浩平「ちょっと…擦らせてみてくれない…?」
そう頼んでみると、すっ、すっ、と股の間で七瀬の頭が前後に動き出す。
口を開けっ放しで唾液が溜まっていたのだろう、絡んでくる舌はふんだんにぬめっていた。
出入りする径の部分がべっとりと濡れてゆく。
七瀬「んんっ…んくっ…」
要領を得たのか、スムーズに動き出す。
浩平(うわー…)
はっきり言って、この行為はあまりに気持ちよすぎる。七瀬の可愛さを引き出すどうこうの建前で収まる話ではなかった。
長々と七瀬の口の中で自分の最も敏感な部分が弄ばれているのだ。堪えようもない興奮が、下半身からぽわーーんと昇ってくる。
ちゅっ……くちゅっ…
な、七瀬…
一生懸命にモノを口にほう張る七瀬が無闇に愛おしくなってくる…
これを、本気になりそうだ、というんだろうか…? いや、もともと本気だったんだから、それもおかしいな…
じゃあ、なんて言うんだろう…。さらに本気になった、か…?
まあ、なんだっていい。
言葉で表せないぐらい七瀬が好きになった。それでいいじゃないか。
浩平「七瀬、もっと奥まで…」
オレが堪えきれずそう言うと、
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七瀬「んっ…」
ぐぽっ…!
ぴっちりと径に巻き付いた七瀬の唇が根本のあたりまで一気に滑ってくる。
頭の部分が七瀬の喉の奥の粘膜にぶつかる。そこで細かく、くちゅくちゅとされる。
くおっ…
一気に脳髄のあたりまで興奮が達する。
浩平「七瀬っ…もういいっ…」
限界ぎりぎりだった。オレだけ先に果ててしまうわけにもいかない。
ぬるっ、と最後に七瀬の唇と舌がひと滑りし、モノがようやく解放される。
危なかった…。
七瀬の唾液がそそり立つモノから袋にまで大量に垂れ、そしてその下のシーツにまで大きな染みを作っていた。
七瀬「あ…」
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それを見た七瀬が、慌ててティッシュを探す。
浩平「いや、いいよ」
今更だが、七瀬は唾液を飲み込むことがなかったな…。言えばよかった…。
まあ、今はいいか。
浩平「ふぅ…」
今度はオレの番だ。
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七瀬をベッドの上に寝かせ、その上を跨ぐ。
七瀬は裸になることを拒んだので、オレも必要以上に脱がさなかった。
その制服を七瀬が好きだったことも知ってたし、彼女にしてもすがれるものが必要だったんだろう。
しかし逆に半裸、というほうがいやらしく思えるのはオレだけなんだろうか…?
この姿を道ゆく人に見せて、聞いてまわりたいとも思ったが、きっと七瀬に怒られる。
って、何を考えているんだろう、オレは…。
静寂が少し気に障る…。
女の子の体とはこういうもんなんだろうか…。
というのも、すでに七瀬の下半身の部分はじっとりと濡れていたからである。
七瀬が股をきつく閉めて、見せるのを嫌がったこともそれを見たら納得がゆく。
浩平「七瀬は…オカシイのか?」
七瀬「女の子はこうなのっ…!」
ということだった(聞くオレもオレだが…)。
下着を脱がすとき、その部分だけが張り付いたようになっていて、粘着質の糸を何本も走らせながら、ゆっくりと剥がれていった。
こういう下着は高く売れるんだろうな、なんてことを考えながら、匂いを嗅いでみる。
七瀬「あっ…バカッ!」
七瀬に見つかって、ばきっ!と顎のあたりを蹴られる。
七瀬「な、なんでそんな恥ずかしいことするのよ…!」
浩平「いや、どんな匂いがするかなって思って…」
七瀬「し、死ぬほど恥ずかしいんだから、やめてよっ…!」
浩平「あ、悪い…」
局部を濡らした下着をたたんで、床の上に置いておく。
さて…
その部分に指をつけてみる。
七瀬「ぁっ…」
短い声。
ずぷっと少し先を埋没させる。中まで熱くぬめっていた。
よく、ここの液体をつけた指を見せつけたりするよな…。
浩平「七瀬、見ろ」
オレは七瀬の顔の前で、ねばねばの親指と人差し指をつけたり離したりする。糸がぬちゃぬちゃと走る。
七瀬「わ…バカッッ!!」
また、ばきっ、と蹴られる。
七瀬「はぁぁぁーんっ…!」
そして泣くような声を上げる。
七瀬「どうしてそんなにイジめるのよぉっ…」
浩平「いや…悪い悪い…」
普段とのギャップがおもしろいんだろうな。まあ、このぐらいにしておこう。
たぶん、もうこれ以上何もする必要はないんだろう。どう見ても、濡れ具合は十分だったからだ。
オレは剥き出しのままで、冷たくなりかけていたモノをその部分に宛う。
入り口のところで上下に擦らして、温かい液体を先に塗る。そうしていると、ぴらっとその部分がめくれる。
その少し開いた口へとモノを差し入れる。
ぬぷっ。
ぱっくりと割れ、モノを甘受する。
浩平「七瀬、少し入ったぞ」
七瀬「う、うくっ…」
七瀬は返事とも、鼻息ともとれないような声を返す。
さらにオレは自分を押し進める。
七瀬「あぅっ…!」
なにかを突き抜いた感覚。破瓜した。
浩平「痛かったか…?」
七瀬「うんっ…」
それ以上喋れないようだった。
浩平「一度やめるか…?」
七瀬「うぅん…」
854ミ ´Å`彡 ◆ZAPKFwwAms :03/01/30 17:37 ID:S+HgT4nc
 また会ったな佐藤。
首を振った。
浩平「なら、いくぞ…」
七瀬「うん…」
ずぷぷ…。
かなり入った。異様に濡れているだけあって、挿入自体はスムーズだ。
浩平「異様に濡れているだけあって、挿入自体はスムーズだな」
七瀬「バカッ…」
なぜ考えていることを喋ってしまうのだろう…。
さらにオレは自分を進めた。
ぬぷっ…
完全に合体した。七瀬のあそことオレの下腹部が隙間なく、合わさっている。
浩平「七瀬のあそことオレの下腹部が隙間なく、合わさっているぞ」
七瀬「はぅっ…バカッ…!」
また言ってしまった…。
七瀬「うぅっ…」
そして、それはオレにとっても冷静ではいられないような状況だった。
敏感な部分のすべてが七瀬の熱くぬめる部分に覆われ、そのことを考えるとすぐにも果ててしまいそうなほどに気持ちいい。
しかし七瀬にも感じてもらわないとな。オレは腰を緩やかに動かし出す。
ずぷっ…
ずぷぷっ…
七瀬「うぅっ…」
オレは必死で別のことを考えながら、腰を動かし続ける。
顔を紅潮させ、痛みに耐えている七瀬…。う……その顔を見ていると一層、興奮が増してくる…。
なんだか、七瀬もオレのことが好きだということが伝わってきて…
浩平「七瀬…」
オレは七瀬に顔を寄せ、名前を呼ぶ。
七瀬のすべてを感じたかった。
ぴと、と七瀬の鼻に自分の鼻をつけ、七瀬の切ったように吐く息を感じる。
腰を深く差し入れ、七瀬にすべてを包まれたいと願う。
七瀬の匂いと温度と思い…。それらをオレはずっと感じていた。
そして最後に限界が訪れ、オレは自分自身を無心の中で放った。
………
……

浩平「やめよう、七瀬」
七瀬「…え?」
浩平「いいよ、ゆっくりしていけばいい」
七瀬「そ、そう…?」
浩平「ああ」
七瀬「でもっ…そういうこと…したかったんじゃないの…?」
浩平「いや、まぁ、おまえの勘違いから始まったことだしな」
七瀬「あたしの勘違い…?」
七瀬「そう…だったの…」
浩平「ほんとうに抱かれてみたかったか…?」
七瀬「ううん…ちょっと恐かった…」
浩平「もう少し時間が経ったらな」
七瀬「うん…」
今はこれだけで十分だった。
七瀬の匂いと温度、それを感じていられるだけで。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…」
長森「まったく、相変わらずだよね、浩平は…」
浩平「どうして…」
長森「しっかりしてそうだもん。七瀬さんって」
浩平「…ど、どうして知ってんだ、それ」
長森「雰囲気でわかるよ」
まさか、この鈍感な長森が気づいていたとは…。
こいつにバレてるってことは、それこそ学校全体に知れ渡ってるぐらいとも錯覚するぞ…。
長森「ここから家遠いのかな? わたしの代わりに起こしにきてくれないのかな?」
七瀬に起こされるだと…?
そんなもの想像するだけで恐いぞ…。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
七瀬「こら、起きんかぁああああーーーーーいっ!!」
ぼぐぅっっ!
浩平「ぐほぉっ…!」
七瀬「まだこれでも起きないって言うの…!?」
浩平「待て、起きてるっ! ぱっちり目が開いてるだろがっ!」
七瀬「なら、さっさと着替える!」
浩平「あ、ああ…」
七瀬「なにチマチマやってんのよぉっ! そんなもの脱ぐなんてこうすりゃいいのよっ!」
びりィィッ! ばりばりばりぃぃぃぃーーっっ!!
浩平「どへーっ! オレのパジャマがぁっ!」
七瀬「すぐ制服を着る!」
浩平「わかった、わかったから待て!」
七瀬「んなもの、なんだって頭から被れば入るのよっ!」
ずぼぉっっ!
浩平「待て、これズボンだろっ!? 前が見えないぞっ!」
七瀬「ほら、鞄持って一階に下りる!」
浩平「だから前が見えないって!」
七瀬「階段なんて前が見えなくたって、下には辿りつけるものなのっ!」
ぼかっ!
浩平「どわぁーーーーーっ!!」
ごろごろごろごろごろォーーーーーーーッッ! ずどんッッ!!
七瀬「ほら、朝食よ、口開けて!」
浩平「ま、待…ごぼぉっ!」
七瀬「さ、いくわよっ!」
ずりずりずりずりぃーーーーーっ!
浩平「死ぬわあぁぁっ!」
長森「……?」
浩平「いや、こっちの想像…」
長森「今日話してみよっと、七瀬さんに」
浩平「いや…朝はおまえのほうがいいな…」
長森「どうして?」
浩平「なんとなく…」
長森「七瀬さんだって大丈夫だと思うよ?」
浩平「オレが大丈夫じゃない…」
長森「それに、七瀬さんだったら、浩平の喜びそうな起こし方してくれるかもよぉ?」
浩平「なんだ、そりゃ」
長森「いつも浩平言ってるよ、なんかHな起こし方」
ぼぐぅっっ!
浩平「ぐほぉっ…!」
七瀬「なにチマチマやってんのよぉっ!」
びりィィッ! ばりばりばりぃぃぃぃーーっっ!!
浩平「どへーっ! オレのパジャマがぁっ!」
しまった…さっきと同じ想像になってしまった…。
馬鹿かお前
長森「……?」
浩平「とにかく…朝はおまえ」
長森「まったく贅沢なんだからぁ」
なんだか朝っぱらからひどく疲れたな…。
長森「って、時間っ!」
浩平「え?」
ああっ、もうダメッ!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
ビッ、ブリュッ、ブリュブリュブリュゥゥゥーーーーーッッッ!!!
いやああああっっっ!!見ないで、お願いぃぃぃっっっ!!!
ブジュッ!ジャアアアアーーーーーーッッッ…ブシャッ!
ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウンッ、ウンコォォォッッ!!!
ムリムリイッッ!!ブチュブチュッッ、ミチミチミチィィッッ!!!
おおっ!ウンコッ!!ウッ、ウンッ、ウンコッッ!!!ウンコ見てぇっ ああっ、もうダメッ!!はうあああーーーーっっっ!!!
ブリイッ!ブボッ!ブリブリブリィィィィッッッッ!!!!
いやぁぁっ!あたし、こんなにいっぱいウンチ出してるゥゥッ!
ぶびびびびびびびぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!ボトボトボトォォッッ!!!
ぁあ…ウンチ出るっ、ウンチ出ますうっ!!
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ブババババババアアアアアアッッッッ!!!!
んはああーーーーっっっ!!!ウッ、ウッ、ウンコォォォッッ!
長森「うわーっ、ものすごくやばいよっ! 支度、支度!」
浩平「おっと、そうだな…!」
飛び起きたところへ、ナイスタイミングで鞄と制服を渡される。
それを両腕で抱いて、階下へと急いだ。
浩平「ふぃーっ、危なすぎたぞ、今日は…」
一時間目が終わったところで、ようやく七瀬に話しかける。
今朝は授業が始まると同時に教室に飛び込んだもんだから、朝の挨拶だってままならなかったのだ。
七瀬「おはよ、折原」
七瀬「また寝坊したの?」
浩平「いや、起きるには起きたんだけどな、長森のバカが余計なこと言い出してさ」
七瀬「それで話し込んじゃったの?」
浩平「いつものパターンだけどな」
長森「浩平ーっ」
そこへ長森が割り込んでくる。
長森「これ、宿題のノート。机の上に載ってたの、朝わたしが見つけて持ってきてたんだ」
浩平「あ、悪い」
長森「途中までしかできてなかったから、後、適当に埋めておいたよ?」
うーん…計算通りだ。
もう面と向かって、やっておいてくれ!と頼んでも断られるようになっていたからな。
長森「あ、七瀬さん、おはよーっ」
七瀬「おはよ。今朝も大変だったんだって?」
長森「うん、浩平がね、七瀬さんじゃなきゃ起きないって、ダダこねるんだよ」
浩平「ばかっ、話しをねつ造するんじゃないっ!」
七瀬「ふぅん。でも楽しそうだねよぇ…」
浩平「楽しいわけないだろ。おかげで毎朝、早朝ダッシュだ」
七瀬「そういうのがいいんだと思うよ」
浩平「なら、一緒にやるか?」
オレは自分で言って、しまった…と思う。
長森「そうだよね、七瀬さん、明日はわたしの代わりに朝迎えにいってあげてよ」
七瀬「いいのっ?」
七瀬「うん。瑞佳のように、ちゃんと起こせるかな…?」
長森「あはは、七瀬さんだったらすぐ起きるよ。もう、わたしなんかだと全然言うこと聞かないもん」
まさか、想像通りにはならないだろうな…。
長森「あのね、8時ぐらいにね、いくといいよ」
長森「でね、勝手に上がってね…」
オレは目の前で段取りを話し合うふたりを見ていても、ただ心配なだけだった。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
声「折原ーっ、朝だよ」
浩平「うーん…後少しだけ寝かせておいてくれ…」
声「え? あ、うん。少しだけね」
あれ…? なんだか今朝の長森は気合いが足りないな…。
まあ、いいか…。
………。
……。
………。
声「折原ーっ、そろそろ起きないとマズイよ?」
………。
……。
ぐー…。
声「折原ってばぁ。ほらぁ」
体が揺すられる。でも穏やかだったから、逆に気持ちがいい。
………。
声「折原ーっ……ほら、ちょっと急がないとダメな時間になっちゃったよ?」
………。
……。
声「ねぇ、走らないとダメになっちゃったよ? これじゃ、瑞佳と一緒じゃない、結局…」
………。
声「うわ、ヤバイなぁ、どうしたら起きるんだろ…。ねぇっ、ねぇって!」
………。
声「わーっ、折原っ! どうしよっ、ぜんぜん起きないやっ…」
………。
声「折原、折原、折原っ!」
………。
……。
………。
浩平「あれ…七瀬…」
七瀬「おはよ」
浩平「そうか、今朝は七瀬が迎えにくるって話しだったんだな…」
七瀬「瑞佳だと思ってた?」
浩平「ああ…」
七瀬「でさ、一時間目、始まっちゃってるんだけど…」
バーカ
浩平「………」
浩平「…はい?」
七瀬「一時間目、始まっちゃってるの。ほら、8時半過ぎてるもの」
浩平「なんだって!?」
浩平「ばか、なんで起こさないんだよっ!」
オレは飛び起きて、鞄と制服を受け取る。
すかっ。
抱きかかえた両手には何もなかった。
七瀬はぼぉーっと突っ立ったままだ。
すると、鞄と制服も椅子にかかったままだ。
………。
七瀬「うん?」
結局、30分以上も遅刻となって、オレたちふたりは教室に辿り着くことになった。
七瀬「はぁ…悔しいなぁ…」
浩平「なにが?」
七瀬「朝。起こせなかったの」
七瀬「瑞佳にはできて、どうしてあたしにはできないんだろう…」
浩平「うーん…思った以上に遠慮してたからな、おまえ」
七瀬「じゃあ、もっと騒々しく起こす?」
浩平「いや…力にだけは訴えてくれるなよ」
七瀬「うん、あたしだってそんな起こし方したくないもの」
七瀬「うーん…どうすればいいのかなぁ…」
浩平「………」
七瀬「あのさ…」
浩平「うん?」
七瀬「三日頑張る」
浩平「なにを?」
七瀬「起こすの」
浩平「それで…?」
七瀬「それだけ」
七瀬「ただ、自分が許せないだけよ。一度でも起こして遅刻しないで登校しておかないと」
それはオレの彼女としてのプライドからだろうか。
またおかしな意地に付き合わされて、迷惑被るのも御免だぞ…。
でもまあ、その真剣な横顔を見ていると、オレだって努力しないといけないな、と思う。
こいつはオレの彼女なんだからな。
長森「じゃあ、わたし、もう起こしにいかなくてもいいんだね」
浩平「もう、じゃない。遅刻せずに登校できるまでだ。それも三日の期限付きのな」
長森「んー、そんなこと言わずに毎日起こしにきてもらえばいいのに」
浩平「あいつ、家が遠いし大変だろ?」
長森「じゃあ、毎日行き道の途中で待ち合わせしたらいいんだよ」
長森「七瀬さんが待ってるってわかったら、浩平だって頑張って起きると思うよ」
浩平「甘いな。そんなことでオレが起きると思ってるのか」
浩平「今日はサボる。吉野屋行こう」
七瀬「わぁー吉野屋、行ってみたかったのー」
長森「うーん…浩平って薄情だもんねぇ」
浩平「まあ、だから、とりあえず明日は起こしにきてもらわなくてもいいよ」
長森「うん、わかったよ」
長森「頑張って遅刻しないようにくるんだよ?」
浩平「ああ、ガキじゃないんだから、大丈夫だよ」
七瀬「はぁ…」
途中入場となってしまった一時間目が終わるなり、深い溜め息を七瀬がつく。
浩平「ちょっと二日連続で遅刻はマズかったな…。髭がチェック入れてたぞ」
七瀬「うん…」
浩平「どうする? まだ続けるか…?」
七瀬「うん、後二日は頑張ってみる」
浩平「おまえ、もう少し早くこい。そうすれば間に合うよ」
七瀬「でも…瑞佳だって来るの8時なんでしょ?」
浩平「そうだけど、何も同じにすることはないだろ?」
七瀬「ううん、だったら、あたしも8時。それ以上早くはいかない」
浩平「そうか…?」
またおかしな意地を張りやがって。
でも、それは乙女の真髄にどうこう関係しているようなことだとは思えない。
いつでもこいつの考えることは、理解しがたいな。
でもまあ、段取りさえよくすれば間に合うはずなんだから、頑張ってみるか。
そして今日の反省点を明日にいかす。
以上だ。
教室に飛び込むと同時にチャイムが鳴り響いた。
浩平「よっしゃああぁぁぁぁーーっ!」
オレは思わず手を固く握り、それを振り下ろしていた。
七瀬「あはは、やったね」
授業の用意をし始めていた生徒たちの注目を一手に集めてしまうが、関係ない。
遅刻せずに登校するということだけで、こんなにも達成感を得られるなんて思わなかった。
オレはこの喜びを分かち合おうと、クラスメイト全員とハイタッチして回ろうかと思ったが、たぶんしてくれないだろうからやめておいた。
七瀬「先生きたよ、座ろ」
オヤオヤ アラアラ ソレマタドンドコショー
浩平「あ、ああ…」
興奮を抑えて、七瀬の後について席につく。
ただ、オレはまた、こんなことで喜ぶなんてオカシイだろうか? とふと思ってしまう。
でもそれは、あまりに不器用なふたりだったから共有できる、特別な幸せなのかもしれない。
どんなことも形ばかり気にして、その実なにもできないでいる、七瀬とオレだから。
そう考えると、このオカシさも悪くない。
なによりも楽しかったからだ。
そしてひとつ気づいたことがある。
浩平「七瀬は、おまえに勝とうとしていたんだな」
長森「え…? わたし?」
浩平「そう。おまえ」
長森「でも勝負なんてしてないよ、わたしたち」
905名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 17:54 ID:16HpJF9Z
http://www.starchild.co.jp/special/azuki
あずきちゃんDVDBOXとともに健やかにあげよう
浩平「おまえがそうでもな、あいつひとりで戦ってたんだよ」
長森と過ごした8年間を、数ヶ月で追い抜こうと躍起になっていたのだ。
抜けるわけがない。あの不器用さで。
でもその頑張りは、オレのためにあるんだよな。
長森「……?」
浩平「いや、わからなかったらそれでいいよ」
浩平「おまえがそうでもな、あいつひとりで戦ってたんだよ」
長森と過ごした8年間を、数ヶ月で追い抜こうと躍起になっていたのだ。
抜けるわけがない。あの不器用さで。
でもその頑張りは、オレのためにあるんだよな。
長森「……?」
浩平「いや、わからなかったらそれでいいよ」
浩平「じゃあ、部活頑張れよな」
長森「うん、ばいばい」
そのことに気づいてしまったから、オレは前にも増して七瀬と面と向かうのが気恥ずかしくなってしまった。
七瀬「うん…?」
好きなんだよな、こいつはオレを…。
浩平「いや…」
よくもまあ、オレみたい不甲斐ない奴を…。
七瀬「何話してたの、瑞佳と?」
浩平「長森がおまえの胸は全部筋肉だって」
七瀬「んなこと言うわけないでしょ、あの子が」
浩平「意外に毒舌だからな、あいつは」
七瀬「バカなこと言ってないで、帰ろうよ」
浩平「そうだな」
七瀬「はぁぁ…」
またも途中参加となってしまった一時間目の授業を終え、七瀬が落胆しきった顔をオレへと向ける。
浩平「うーん…やっぱやめておこうか」
七瀬「だめ。やるの」
浩平「しかしこうやって遅刻を続けてたら内申にだって響くぞ」
911名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 17:55 ID:VaueoTOB
浩平「と見せかけてスマッシュ」
七瀬「ゴフッなにすんだ!ビチグソ野郎!!」
七瀬「いいの。そんなの構わない」
浩平「なにをムキになってるんだよ」
七瀬「あ、ごめん…」
浩平「いや、いいけどさ」
七瀬「でも後一日だけ頑張ろうよ」
浩平「ああ、最初からそういう話しだったしな…」
七瀬「うん…」
教室に飛び込むと同時にチャイムが鳴り響いた。
浩平「よっしゃああぁぁぁぁーーっ!」
オレは思わず手を固く握り、それを振り下ろしていた。
七瀬「あはは、やったね」
授業の用意をし始めていた生徒たちの注目を一手に集めてしまうが、関係ない。
遅刻せずに登校するということだけで、こんなにも達成感を得られるなんて思わなかった。
オレはこの喜びを分かち合おうと、クラスメイト全員とハイタッチして回ろうかと思ったが、たぶんしてくれないだろうからやめておいた。
七瀬「先生きたよ、座ろ」
浩平「あ、ああ…」
興奮を抑えて、七瀬の後について席につく。
ただ、オレはまた、こんなことで喜ぶなんてオカシイだろうか? とふと思ってしまう。
でもそれは、あまりに不器用なふたりだったから共有できる、特別な幸せなのかもしれない。
どんなことも形ばかり気にして、その実なにもできないでいる、七瀬とオレだから。
そう考えると、このオカシさも悪くない。
なによりも楽しかったからだ。
そしてひとつ気づいたことがある。
浩平「七瀬は、おまえに勝とうとしていたんだな」
長森「え…? わたし?」
浩平「そう。おまえ」
長森「でも勝負なんてしてないよ、わたしたち」
浩平「おまえがそうでもな、あいつひとりで戦ってたんだよ」
長森と過ごした8年間を、数ヶ月で追い抜こうと躍起になっていたのだ。
抜けるわけがない。あの不器用さで。
917名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 17:55 ID:mO5uZdxp
unko
でもその頑張りは、オレのためにあるんだよな。
長森「……?」
浩平「いや、わからなかったらそれでいいよ」
浩平「じゃあ、部活頑張れよな」
長森「うん、ばいばい」
そのことに気づいてしまったから、オレは前にも増して七瀬と面と向かうのが気恥ずかしくなってしまった。
七瀬「うん…?」
好きなんだよな、こいつはオレを…。
浩平「いや…」
よくもまあ、オレみたいな不甲斐ない奴を…。
七瀬「何話してたの、瑞佳と?」
浩平「長森がおまえの胸は全部筋肉だって」
920名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 17:56 ID:u7yuKJ4G
記念パペポ
1000は取らさんぞ この童貞め!!
七瀬「んなこと言うわけないでしょ、あの子が」
浩平「意外に毒舌だからな、あいつは」
七瀬「バカなこと言ってないで、帰ろうよ」
浩平「そうだな」
七瀬「終わったね…」
浩平「そうだな」
七瀬が最初から決めていた期限、その三日目が今日終わった。
七瀬「やっぱり、瑞佳には叶わなかった」
浩平「え…?」
オレはその言葉を聞いて、ようやく七瀬が何故ここまで意固地になっていたかがわかった。
浩平「いや、まあ、あいつは長いからさ、一緒に居るのが」
七瀬「うん、そうだけどさ…やっぱり悔しいんだよね」
七瀬「折原は瑞佳と長くいるけど、それには永遠に追いつけないのかなって」
浩平「んなことはないだろ。明日から長森と一切会わずに、おまえとずっと一緒にいたら、8年後には追いつく」
七瀬「はぁ…そのときは何歳なんだろね」
つまり、多感なこの年頃にってわけか。確かにそれは無理だ。
浩平「でも頑張ったよ、七瀬は」
七瀬「うん…」
浩平「そうやって褒めるのは七瀬だけだからな。長森になんかは絶対言わない」
七瀬「はは、うん」
その言葉で少しは救われたのだろうか、ようやく笑ってくれた。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「うーん…あと3寸だけ寝させて…」
長森「単位がおかしいよっ!」
浩平「ぐー…」
長森「ほら、3寸経ったよっ」
浩平「経ってたまるか、ばかっ」
長森「もーっ、授業は今日で最後だから頑張って起きようよーっ」
エリンギ
浩平「知らなくても当然だろうな。おまえはあの頃小さかったからな」
長森「同い年だよっ」
浩平「激流に流されてゆくおまえを見つけて、果敢にも川に飛び込み、そしてその手をとって、助けがくるまで岩にしがみついていたんだ」
浩平「流れはきついし、水は冷いしで、よく助かったものだと今でも神に感謝するよ」
長森「怪我なんてしてないじゃない」
浩平「いや、おまえを冗談で川にはめてやろうと押したときに手首をくじいた」
長森「浩平のせいで流されてたんじゃないっ!」
浩平「そのときの傷がじんじんと痛むんだよ…」
長森「美談でもなんでもないよ、それって!」
浩平「そうか…?」
長森「そんなばかな話ししてないで、早く支度してよぉーっ」
浩平「へいへい…」
浩平「うぃっす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ」
浩平「今朝は、早かったんだな」
七瀬「あたしが早かったんじゃなくて、あんたたちが遅かったんじゃない」
浩平「そうか?」
七瀬「そうだってば。折原たち、ぎりぎりで走ってきたり、余裕で歩いてきたり、その日によってばらばらじゃない」
浩平「ま、そうかもな」
七瀬「そんなのでよく疲れないものよね」
浩平「それがオレたちの普通だからな」
それが今日までずっと続いてきたことなのだ。
………。
……。
………。
声「ねぇ、瑞佳、去年みたくウチでクリスマスパーティーやろうと思うんだけどっ」
昼休み、自分の机の上で寝伏していると、そんなやりとりが雑音に混じって聞こえてくる。
声「え? あ、そうなのっ」
声「瑞佳はもちろんオッケーよね?」
声「うん、もちろん、いくよっ」
鍵厨
声「よし、これで去年のメンバーが揃った」
声「佐織のウチだよねぇ?」
声「うん。たぶん、夕方からだと思う」
声「また何か作って持ってゆくよ」
声「楽しみにしてるわよ。瑞佳、いっつもびっくりするほど凝ったもの作ってくるから」
声「そんなプレッシャーかけないでよぉっ」
声「うんうん、これでよし」
声「はぁっ…いじわるっ」
ふぅ……。
浩平「なぁ、七瀬はどうするんだ、クリスマス」
七瀬「えっ?」
浩平「例年通り、一晩中ストリートファイトに明け暮れるのか」
七瀬「んなわけないでしょっ」
浩平「そうか、そりゃ残念」
七瀬「………」
再びオレは眠気にまかし、上体を伏せた。
………。
……。
………。
住井「そういや、折原」
浩平「あん?」
住井「明後日はどうするの」
浩平「明後日…?」
住井「午後からは、去年みたくどこかの教室で派手にやろうと思ってるんだが」
浩平「そうだな…いいかもな」
住井「じゃあ、夕方までは空けておくようにな」
浩平「べつに夜中までぶっ通しでもいいぜ」
住井「そりゃそういう奴もいるだろうけど、用がなくたって何も言わずに引き上げるのが、俺たちのルールだ」
浩平「おまえは?」
住井「言わない」
浩平「オレだけに言わせておいて、卑怯な奴だな」
住井「おまえが勝手にそれらしいこと漏らしたんじゃないか」
浩平「わかった。勝手に想像しておくよ」
住井「じゃあ、終業式終わったら、残っておけよ」
また別の連中を誘うのだろう。そう言い残し、どこかの一団の中に割り込んでいった。
七瀬「ねぇ、折原」
浩平「ん、なんだ」
七瀬「暇なのね、明後日の夜」
浩平「おう。なんだ、おまえもか? よし、デートでもするか」
七瀬「残念。先約済み」
浩平「まあ、予想はついてたけどな」
七瀬「瑞佳とは…?」
941D ◆M7XU6DPoJs :03/01/30 18:01 ID:AHwwBGoc
自己満
浩平「あいつは例年通り、仲のいい女友達同士で過ごすんだと思う」
七瀬「ふぅん、最後の頼みだったのにね」
浩平「こんなもんだよ。オレたちってのは」
七瀬「そうかぁ、可哀想にね」
浩平「今年は男らしく、ひとりでクリスマススペシャルの恋愛ドラマでも見て過ごすか」
七瀬「そりゃ男らしいわ」
うーん…自分で言ってて、空しくなってきたぞ…。
………。
……。
………。
浩平「おーい、長森ぃっ」
長森「ん?」
浩平「まだ部活、忙しいのか?」
長森「うん、忙しいよ。ごめんね、一緒に帰れなくて」
浩平「いや、まあ、気にするな」
長森「じゃね」
浩平「ああ、頑張ってこい」
長森「うん」
945名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:02 ID:nexDg2ro
七瀬「EDAJIMAがあと十人いたら・・・」
浩平「アメリカは負けていただろう」
時の大統領はそう言ったという・・・。
さて、ひとり残されたオレは…。
■帰る
■部活にいく

相変わらず学校に残ってたって、なんにもないしな…。
帰るか…。
他クラスの帰宅部の連中に混じって、オレも帰路についた。
部活…。
所属するにはしているが…幽霊部員、いや、部自体が幽霊船と化しているからな…。
出向いたところで、誰ひとりとしていないだろう。
人気のない渡り廊下を歩き、滅多に赴くことのない別校舎へと向かう。
美術室、音楽室など特殊な教室はこの校舎の一、二階に集中している。
948D ◆M7XU6DPoJs :03/01/30 18:04 ID:AHwwBGoc
くだらね〜
949名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:05 ID:VaueoTOB
浩平「赤いモビルスーツ…シャアか!」
そして目指す部室も、その三階に文化系クラブの部室として並んでいる。
オレは外見からも無人であると明白な、部室の前に立ち、そしてドアを開けた。
すると、誰もいないと思っていたその部室の隅に、ひとりの見知らぬ少女がいた。
なんて漫画みたいな出会いがあるなら、わざわざ出向いてくる価値もありそうなものだが、現実はそんなにドラマティックではない。
浩平「あほらし…」
オレはわざわざ何もないのをわかりきっていて、出てきてしまったことを後悔する。
マンコ
そのまま開けっ放しだったドアからでる。
ちなみに、クラブは軽音学部といって、他学校にも負けないビッグバンドを作ろうとした顧問が3年ほど前に設立したものらしかった。
しかし、あまりに勘違いした入部者だらけで、本人にもそのやる気がなくなってしまって今の廃部寸前の現状に至っているらしい。
だいたいオレもビッグバンドの意味を未だに理解していない。
とりあえず、軽音楽というものがジャズであるということを知った時点で、オレにはお手上げだったからだ。
今日もいってみるのか…?
1000まだ〜?
どうせ誰もいやしないだろうけど…
オレは別校舎へと向かう。
他の部室からは、雑談でもしているような賑やかな声が聞こえてきたりもしたが、相変わらず我らが軽音部の部室からは物音ひとつ聞こえてこない。
案の定、誰の姿もない。
まあ、誰かが居たほうが驚くような現状だ。無理もない。
浩平「………」
遊び道具があるわけでもなく、オレは部室を後にした。
下駄箱で靴に履きかえると、そのまま昇降口を抜け、放課後の閑散とした中庭を通り、帰宅の途についた。
カシャアッ!
いつものようにカーテンの引かれる音と、そして目の奥を貫く陽光。
長森「ほら、起きなさいよーっ!」
浩平「……ばか、今日から冬休みだろがっ…」
>>1


江ラオJギTW3亜OIJGARWPEO:TIWOPRらゑオピギWらOPEIPISJGLKFSGDFJ]

WRE@KTPWJGSKLRMWRGSLK;KJGSKJKLJ死LGPRJ下尾WR歩WオWペフォポPを江ふぃ

絵WP@井ウェイRRゐ炉いRをエイPWR歩尾WPリイオRゐFG歩位Rフォプジェ;
長森「ばかは浩平だよっ! 冬休みは明日からっ!」
浩平「…なにぃ…すると、今日も授業がてんこもりなのかぁ…」
長森「てんこもりじゃないよ! 終業式だけだよっ」
浩平「…なに…? そうか…そうだったな…」
オレは上体だけを起こして、ぼりぼりとへその下を掻く。
浩平「それぐらいなら、出てやってもいいな」
958名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:05 ID:sEBjW3+E
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・センデンスルナラ イマノウチ
   |⊂
   |
長森「なに大学生みたいなこと言ってるんだよっ…みんな出るの!」
浩平「そういえば、おまえさ…」
長森「なに?」
浩平「昔あだ名で、『だよだよ星人』って呼ばれてたことあったよな」
長森「それって浩平だけだよっ!」
浩平「ほら、おまえって必要以上に語尾に『だよ』つけるからな。思いだしたから、しばらくそう呼んでやろう」
長森「はぁっ…ばかなこと言ってないで、早く用意してよ」
浩平「鞄と制服をとってくれ、だよだよ星人」
長森「とってやんないもん」
浩平「ばかっ、それぐらいで拗ねるなっ」
仕方なくベッドから抜けだし、自分で鞄と制服を椅子から取りあげる。
長森「だったら、浩平は『ばかばか星人』だよ。いっつも、人のことばかばか言うもん」
浩平「ばかっ、それじゃまるでオレがバカみたいじゃないか。おまえがバカだから、オレはバカバカ言ってるんだぞっ!?」
長森「ほら、連発」
浩平「美男子っ、うー、美男子、美男子、美男子、はぁーっ美男子っ、まったく美男子だ」
浩平「これでオレは『美男子星人』だっ」
長森「でも美男子星出身ってだけで、浩平自身は美男子じゃないかもしれないよ」
浩平「ばかっ、美男子星出身だったら、誰もが美男子なんだよっ」
962名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:05 ID:sEBjW3+E
   ♪    Å
     ♪ / \   ランタ ランタ
      ヽ(;´Д`)ノ  ランタ タン
         (へ  )    ランタ タンタ
             >    タン
     ♪  Å
   ♪   / \   ランタ タン
      ヽ(´Д`;)ノ   ランタ タン
         (  へ)    ランタ ランタ
          く       タン
長森「そんなことないもん。長寿村って言って、みんなが長寿なわけじゃないもん」
浩平「今度は『もんもん星人』に変身しやがったなっ」
長森「『もん』だって、そんなに使わないもん。たまたま浩平がよく聞いてるだけだよっ」
浩平「両方とも今、使ってるじゃないか。ふたつ合わせて『だよもん星人』と命名してやる」
長森「ばかばか星人の言うことなんて誰も聞かないもん」
浩平「うっさいぞ、だよもん星人! 黙れ、ばかっ」
長森「そんなことないもん。長寿村って言って、みんなが長寿なわけじゃないもん」
浩平「今度は『もんもん星人』に変身しやがったなっ」
長森「『もん』だって、そんなに使わないもん。たまたま浩平がよく聞いてるだけだよっ」
浩平「両方とも今、使ってるじゃないか。ふたつ合わせて『だよもん星人』と命名してやる」
長森「ばかばか星人の言うことなんて誰も聞かないもん」
浩平「うっさいぞ、だよもん星人! 黙れ、ばかっ」
長森「うーっ」
浩平「ふかーっ!」
長森「うーーっ」
長森「…って、時間!!」
浩平「おっと、威嚇し合っている場合じゃなかった!」
長森「ほらっ、もう、急がないと遅刻だよっ!」
結局何をやってんだか、いつも通りに慌ただしい朝になってしまう。
浩平「うーっ、さみぃっ」
2学期最後の登校日は風が少し強く、冬の辛さを痛感させられるような日よりだった。
浩平「ラーメン食いたい…」
長森「えっ…?」
浩平「ラーメンだよ、ラーメン。無性に食いたくなった」
長森「そ、そう…」
浩平「『小吉ラーメン』のキムチラーメンが食いたい」
長森「前に一度、いったとこだねっ…」
浩平「そう」
浩平「どうして今まで忘れてたんだ? 冬になったら、あそこのキムチラーメンだろう」
長森「うん…そうだね…」
浩平「あぁ?」
長森の反応が芳しくない。
…そうか。忘れてた。こいつはニンニクがダメなんだったな。
前に行ったときも、往生してたの思いだした。店に入るなり、立ちこめる臭いだけで、顔色悪くしてたっけ…。
長森「浩平が行きたいんだったら、ついてくけど…」
うーん…。
968get
■じゃ、付き合え
■いや、いいよ

浩平「じゃ、付き合え」
長森「うん、付き合うよ」
浩平「言っとくけど、今日だからな」
長森「えっ? 今日?」
浩平「そう。今日の夜」
長森「急すぎるよっ…だって、わたし、佐織たちとパーティーあるもん」
浩平「オレだって、住井たちとある」
長森「じゃ、何も無理することないよ」
浩平「でも今日食いたいんだよ。明日だと、もう食う気が失せてるかもしれない」
長森「うーん…でもぉ…」
浩平「なんとか時間作ってくれ。こっちも作るから。なんとか折り合いつけよう」
長森「じゃあ、六時から七時までの間…」
浩平「わかった。なら六時に集合だな。校門前でいいか?」
長森「うん、いいよ」
浩平「無理言って悪かったな」
長森「我々は一人の英雄を失った。しかし、これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!」
長森「ううん、まあ、なんとかなるよ…」
浩平「うぃす、七瀬」
七瀬「あ、おはよ…」
住井「おい、折原。すぐ体育館に移動だぞ。いこうぜ」
浩平「おっと、そうなのか」
見ると、確かにぞろぞろと、教室の生徒たちが逆流するかのように減り始めていた。
浩平「いくかっ」
校長が話し、生活指導部の教師が話し、学年主任が話し、そしてまた誰かが壇上に立つと一斉に生徒たちが溜め息をつく。そんなふうな退屈な終業式。
しかし誰もが今年最後の我慢だと考えながら、耐えている。
それに話を真剣に聞いている奴など、誰ひとりとしていなかっただろう。明日からの休みにみんな思いを馳せていたのだ。
………。
……。
………。
教室に戻ってくると、最後のHRを待つまでの時間がしばらく空く。
七瀬「折原…今日、予定入った?」
浩平「そうだなぁ…退屈しない程度には」
七瀬「えっ? 夜も…?」
浩平「ああ。長森が付き合ってくれるって」
七瀬「そ…瑞佳と…」
浩平「どうした」
七瀬「ううん…」
顔を上げると、髭がたくさんのプリントを抱えて教室に現れたところだった。
浩平「おい、長森ーっ、ちゃんと来いよーっ」
長森「うん、なんとかいくよ」
978名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:10 ID:nexDg2ro
浩平「どうした雷電?顔色が悪いぞ?」
雷電「むぅ!あれは!」
浩平「知っているのか?」
雷電「聞いたことがある・・・」
爆挺殺(ばくていさつ)
戦国時代一一五七年、濃越の国主 農善長友の守定兼と習野の国主
黒羽行康の松ヶ原合戦に折、一進一退の膠着状態を打ち破らんと
黒羽軍侍大将 江藤新兵衛が単身火薬を背に敵の本陣に突入し、
身を挺し自爆。見事敵将長友の首級をあげたという
必殺必死の奇襲戦法である。
----- 民明書房刊「戦国異聞記」より
979名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:10 ID:raa5MyJT
979
部活に出かけてゆく長森。終業式の後だと言うのに、よくもまあ、やってられるもんだと感心する。
住井「なんだ、長森さんとどっかいくの?」
浩平「夜の話しだよ」
住井「お、今年こそ恋へと発展か…?」
浩平「ばか、ラーメンを食うだけだ」
住井「はぁ? ほんとにそれだけのことなのか?」
浩平「ああ、それだけだよ」
住井「なにをわざわざこんな日に…紛らわしすぎるぞ、おまえたち」
HRが終了し、住井たちとの打ち上げに向かおうとしたところで、オレはふと思い出す。
「特別な日に探して欲しい…」
あの氷上とかいう奴の言葉だ。
長い間、会っていなかったのに、どうしてか、その日になって思い出すとは不思議なものだ。
■探してみる
■やめておく

ばからしい。無視しておこう。
少しヘンや奴だったからな。このまま会わないほうがいい。
住井たちとの打ち上げは正午から始まり、辺りが真っ暗となる7時過ぎまで続いた。
友達が友達を呼んで集まったもんだから、やたら人数だけは多い打ち上げだった。
たまの冗談でサックスを吹かされたりしたが、まったく音が出なくて恥じをかいたりした。
それでも有意義に過ごせた。人数が人数だし、なにより明日からの休みに、皆心が踊っていたからだ。
皆、たがを外して、バカ騒ぎに興じたかったのだ。
どこまでも続きそうな勢いだったが、オレはふと長森との約束を思いだし、抜け出すことにした。
ちょうど、お腹が空いていたこともある。
いるかな…。30分も過ぎてるけど…。
校門前まで出ると、ぼぉーっと突っ立った人影がそこにあった。
長森「もーっ、遅いよぉっ」
浩平「悪い、悪い。抜け出すのに苦労したんだ」
長森「でも、浩平の30分ならマシなほうかぁ」
浩平「だろ?」
985名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:11 ID:fXzY9izH
ぬらりひょんってさぁ、なんか井筒監督に似てるっていうかさぁ、その、何だ?
あー、あれだ。小回りの効く4WD的な。うん。ポイントは的ね。「まと」とか読むなよ。
それでやっぱり個人的にはミルキーはママの味だったら俺の母ちゃん漬け物工場で働いてるからなんとも言えないんだけどさ。
え、何?おぎやはぎ?おぎやはぎって言っても未だにどれがおぎやか知らないしね。うん。
しかもそこに板尾が絡む訳よ。そりゃもう濃厚に。
あぁ、俺も新しい松井秀喜欲しいぜ全く。

ってな訳よ。オーライ?
長森「でも、こんなことしてたら、ほんとの彼女と待ち合わせになったときに、振られちゃうよ?」
浩平「うーん、そうかな…」
長森「ま、わたしだから許しちゃうけど」
浩平「すると、おまえはオレみたくルーズな奴でも振らないわけだ」
長森「浩平だからだよ。慣れてるもん」
長森「それより時間。わたし、あんまり時間空けられないんだよ」
浩平「わかった。急いで、いくか」
長森「でも走るのはヤダよ。少しくらい、クリスマスの夜景、楽しみたいもん」
浩平「なんだ、結局良かったんじゃん。抜け出せて」
長森「まぁね」
浩平「よし、じゃあいこう」
長森「うん」
オレと長森は、肩を並べて賑わう夜の街を歩いた。
それでもオレたちは友達だったし、目指す先は、一軒のラーメン屋でしかなかった。
ふたりはラーメンを食べて、別れるだけだった。
でも、こんな日だって、ふたりきりになってくれるんだ。
もし、本気で告白したら、彼女になってくれるのかな、こいつ…。
………。
989名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:12 ID:nexDg2ro
男塾名物 「大鐘音」(だいしょうおん)
その由来は,戦国時代武田信玄が上杉謙信との合戦において
どうしても援軍にいけず苦戦におちいっている味方の兵を
励ますために自陣の上に一千騎の兵をならべ,
いっせいに大声をださせ激を送ったという故事に由来する.
その距離はおよそ二十五里,キロに直すと100キロ離れていたと
いうから驚嘆のほかはない.
余談ではあるが,昭和十五年の全日本大学野球選手権に於いて,
W大学応援団のエールは神宮球場から池袋まで聞こえたという
記録がある.
----- 民明書房刊「戦国武将考察」より
990名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:12 ID:raa5MyJT
あっ ああん!!
いや、違うな…。こいつにそんな気があるはずがない。
面倒のかかるオレに、世話好きの幼なじみ。
それは男と女の関係じゃない。永遠になりっこない。
ただ、こんな特別な夜が、オレに勘違いを起こさせているだけだ。
それだけなんだと思う。
浩平「いや…いいよ」
長森「え? どうして? いこうよ」
浩平「おまえ、ダメだったじゃないか」
長森「あ、うん…いいんだよ、我慢するからっ…」
浩平「いや、我慢してまで行くことはないんだよ」
長森「あ、我慢ってほどでもないんだよっ。いこうよ、小吉ラーメン」
浩平「いいって」
993名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:13 ID:xt9gOr8+
1000げとー
長森「…いいの?」
浩平「いい」
長森「…ごめんね」
浩平「他の奴といくからさ」
長森「うん…」
…そうだな、七瀬を誘うか。
995名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:13 ID:mvCF4rSp
何打この糞スレは!!
996名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:13 ID:raa5MyJT
マンコとチンポが華麗に1000デット
997名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/30 18:13 ID:9apKfXXg
(゚Д゚)なんだここ・・・
(・∀・)でも1000げと
998島田 ◆SIMADA4fdY :03/01/30 18:13 ID:6X86gFUC
電車だ
1000get
 ∧⊂ヽ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (゚Д゚)ノ < 1000?
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  ∪∪
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