90 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:
記念真紀子
ちゃんと俺のメッセージは読んだか?
早く読めよデヴ
うわ、こんなスレが復活してる。
爆撃中にかいてすいませんでした。
昭和58年59年のやつらも一緒に謝れ!
plala規制で嵐が去ったな
折れも昭和55年だわ。ってか、2ちゃんに来て初めてホントの事を書いた気がする・・・。
なぜこのスレが潰されたんだろ
ひえぇぇぇ若いやつ多い!S54年生まれだよ俺。
平成生まれの子って初期作品とかリアルタイムで
プレイしてないよね?やっぱ親がやってたとか
そのへんからスタートしてるのか?リメイクとか。
未成年は2chに来るな。
若いやつ多っ!俺S54生・・・。
平成生まれは初期作品をリアルタイムでプレイできてないよね?
やはり、親の影響で…とか、リメイクで…とかがスタートだったのかな。
重複すまぬ。
折れも55年だけどDQ1,2とかFF1,2,3はリアルタイムではプレイしてないなぁ〜
>>68 >>103 禿同なS55。
リアルタイムだったと思うのは、DQ3〜とFF4〜。FF1は小2くらいでやってみて
難しくてクリア出来なかった…。
FF8をやったのが高3で、このときが多分1番
主人公との年齢の差が少なかったときなんだな…。ふぅ
それにしても55年多いな〜漏れもです。
と、言いながらもリアルタイムでプレイした作品がない罠。
社会人になってはじめて自分の金でハードとソフト買える様になってようやく…この板に。(w
ただその昔、近所の子と遊ぶ時は必ず「ドラクエごっこ」なんてのをやったな(w、竿とか持って。
…あの時出てきた言葉の意味が、数十年経た今になってようやく分かった時はちと感動した。
ついでに12年くらい前、小学校の演奏会でやった曲目が「ドラクエのテーマ」だったのは今でも覚えてる。
ここは昭和55年生まれ限定のスレになりました。
アバンストラッシュとかやったよね。ホウキで。
昭和58年だがアバンストラッシュは竹刀でやった
ブラッディースクライドも真似した
昭和55年生まれで、アバンストラッシュは傘でやったね
海破斬とかな。
昭和56年生まれが誰もいないのは何故か。
俺一人だけ仲間外れですか?
110 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 18:10 ID:mPWDfgv0
>>107 62年生まれの受験生だがアバンストラッシュとかやった記憶が。
このスレに大正生まれっているの?
あれ、俺もこのスレ始めてくるけど昭和55年生まれ多いっすね。自分含めて。
平成生まれは昭和天皇危篤のニュースでドラゴンボールの放送が潰れた悔しさを味わってないのか・・・
俺も昭和55年だ
図工で失敗したりとかの哀しい時に
冒険の書が消えてしまいました が流行ってたな
昭和62ですすいません。。。
同じく62年だよ
117 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:05 ID:0/6+6Ykc
同じく52年だよ
同じく42年だよ
\________ ______________________/
O モワモワ
o
____,,,,,,,,,,,,,,,,、、、
/ )))
/ ______,,,ノ
/ l / \\ヽ|)
| | '''''''''' ''''''''|
| | ( ・ ) ( ・ )l
| l l |
| ( ~ _) |
| | ,―――. l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l .|ヽ ー――' / < という夢をみたんだ。。。
ヾ | \____ノ \______________
120 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
121 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
122 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
光は動いているし、バイクの加速してゆくエンジン音だって聞こえる。
静止していたのは、それを見ている自分の世界だった。
真夜中、誰もが寝静まった中、遠くに犬の遠吠えや、バイクのエンジン音を聴くのに似ている。
そういうとき、ぼくは属する世界が違うという違和感を覚えるものだった。
123 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
ころころ…。
微かな音がした。
それは確かにこちら側の音だ。
(あそこには帰れないんだろうか、ぼくは)
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
124 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
(でもね、旅立ったんだよ、遠い昔に)
(そうだね。そんな気がするよ)
(でも遠い昔はさっきなんだよ)
125 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
(それも、そんな気がしてた)
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
126 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
(……そうだね)
ヘッドライトがヘッドライトを追ってゆく。
何度も見ている一定の距離感を置いて。
(いや…もう少しここにいるよ)
(そう? そうだね…)
ぼくは体を慣らすように、その光景に身を浸していた。
127 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:33 ID:KYDVENtY
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
>>109 同い年だ!
昭和56年生まれ少ないのかな?
129 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
130 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
たとえば泣きたいときがある。
どこへ向かって泣けばいいのだろう。
なにを思って泣けばいいのだろう。
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
131 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
そんなことをする気にすらならない。
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
132 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:KYDVENtY
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
133 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
この世界の存在を受け止めたうえで、あの場所に居残れるんじゃないかと、思っていたんだ。
でもダメだった。
(そんなことわざわざ言って欲しくないよ…)
134 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
ただね、もっとあのとき頑張っていれば、ほんとうに自分をあの場所に繋ぎ止められたのか、それが知りたかったんだ。
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
135 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
136 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:Njh2w7m5
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
137 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
「そうかも」
喋りながら、ころころとカメレオンのおもちゃを手のひらで転がしていた。
ぺろぺろと舌が出たり入ったりするのを、みさおはくぼんだ目で、見つめていた。
ぼくはみさおには絶対に、苦しいか、とか、辛いか、とか聞かないことにしていた。
138 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
聞けば、みさおは絶対に、ううん、と首を横に振るに違いなかったからだ。
気を使わせたくなかった。
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
139 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
そう思っていた。
年が明け、みさおは、正月も病室で過ごしていた。
ぼくも、こんなにも静かな正月を送ったのは初めてだった。
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
140 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:KYDVENtY
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
でも、みさおの過ごす部屋だけは、ずっと変わらなかった。
「みさおー」
「お兄ちゃん、また、こんな時間に…」
「また手術するって聞いて、きたんだよ。また、どこか取るのか?」
「ううん…。その手術はしないことになったよ」
141 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
「みさおー」
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
142 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
「う…おにいちゃん…」
口だけは笑いながらも、顔は歪んでいた。
「ちがうぞ、おとうさんだぞ」
みさおが苦しい、辛いと言い出さない限り、ぼくも冷静を装った。
「うん…そだね…」
「じゃあ、見ててやるからな」
143 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
ぼくは壁を背にして立ち、ベッドに体を横たえる、みさおを見つめた。
ころころ…。
弱々しくカメレオンが舌を出したり、引っ込めたりしている。
ただそんな様子を眺めているだけだ。
………。
ころころ…。
144 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:Njh2w7m5
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
「あ、ああ…そうだな」
………。
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
145 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:51 ID:Njh2w7m5
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
滅びに向かうからこそ、すべてはかけがえのない瞬間だってことを。
こんな永遠なんて、もういらなかった。
だからこそ、あのときぼくは絆を求めたはずだったんだ。
…オレは。
どこまでもつづく海を見たことがある。
146 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:51 ID:Njh2w7m5
どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだろう。
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
147 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:KYDVENtY
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
148 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:Njh2w7m5
永遠、たどり着けない。
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
149 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:KYDVENtY
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
違うな…。変わるはずがないんだ。
150 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:KYDVENtY
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
(……そうだね)
151 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:KYDVENtY
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
152 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:Njh2w7m5
(次はどこにいこうか)
(大丈夫。あたしはどこだってついていくよ。ずっとね)
(そうだね)
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
154 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:55 ID:Njh2w7m5
(きたよ…風…)
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
155 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:55 ID:Njh2w7m5
(空だけの世界…)
(この下には、何があるんだろうね)
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
156 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:56 ID:KYDVENtY
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
たとえば泣きたいときがある。
157 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:56 ID:Njh2w7m5
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
158 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:57 ID:KYDVENtY
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
159 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:7L98RHSR
(・∀・)カエレ!
160 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:KYDVENtY
やっぱりそうか…。
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
(この世界は終わらないよ)
161 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:KYDVENtY
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
………。
……。
162 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:59 ID:Njh2w7m5
「よし、いい子だな、みさおは」
「浩平、あんたが言わないのっ!」
じっさいみさおが泣きやむのが早いのは、べつに性分からじゃないと思う。
ぼくが、ほんとうのところ、みさおにとってはいい兄であり続けていたからだ。
そう思いたい。
母子家庭であったから、みさおはずっと父さんの存在を知らなかった。
163 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:00 ID:Njh2w7m5
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
「だいじょうぶ。うまくやってみせるよ」
「ほんとぉ?」
「ああ。だから、次の父親参観日は楽しみにしてろよ」
「うんっ」
初めはバカにしていたみさおだったが、最後は笑顔だった。
164 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:00 ID:Njh2w7m5
みさおの笑顔は、好きだったから、うれしかった。
そして来月の父親参観日が、ぼくにとっても待ち遠しいものになった。
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
ちょっと治すのに時間がかかるらしく、病院のベッドでみさおは過ごすことになった。
「バカだな、おまえ。こんなときに病気になって」
「そうだね…」
165 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
「お兄ちゃん、ありがとね」
「まったく、こんなくだらない本ばっかでよんで暮らすおまえが、見るにたえなかったからな。よかったよ」
「うん。これで、退屈しないですむよ」
しかし話しに聞いていたのとは違って、みさおの病院生活は、いつまでも続いていた。
一度、大きな手術があって、後から知ったのだけど、その時みさおのお腹は、みさおのお腹でなくなったらしい。
そして、そのころから母さんは病院よりも、ちがう場所に入りびたるようになっていた。
166 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
どこかはよくしらない。
ときたま現れると、ぼくたちが理解できないようなわけのわからないことを言って、満足したように帰ってゆく。
『せっぽう』とか言っていた。どんな漢字を書くかはしらない。
「わ、病室まちがえたっ!」
「合ってるよ、お兄ちゃん」
「え…? みさおか?」
167 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
「うん、みさおだよ」
みさおは、髪の毛がなくなっていた。
「びっくりしたぞ、お兄さんは」
「うん…」
ただでさえ、ここのところやせ細っているというのに、さらに頭がツルツルになっていれば、ぼくだって見間違える。
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
168 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:Njh2w7m5
気を使わせたくなかった。
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
そう思っていた。
169 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:03 ID:KYDVENtY
時間はあのときから止まっていた。
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
そのときを機に、みさおは父親参観日のことをよく口にするようになった。
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
170 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:03 ID:Njh2w7m5
手には舌を突きだしたままのカメレオンを握ったままだった。
恐いくらいに静まり返る室内。
「………」
「…みさおー」
………。
「…みさお?」
171 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:Njh2w7m5
「うん、今日…」
「場所は?」
「ここ…」
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
172 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:Njh2w7m5
「だめ?」
「よし、わかった。やろう」
「…よかった」
みさおが顔をほころばす。
ぼくは走って家に戻り、変装道具を押し入れから引っぱり出し、それを抱えて病院へと戻った。
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
173 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
「う…おにいちゃん…」
174 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
………。
ころころ…。
「………」
「うー…」
「みさおっ?」
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
175 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
「あ、ああ…そうだな」
………。
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
「はっ…あぅぅっ…」
176 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:06 ID:Njh2w7m5
そして、ついにみさおの口からその言葉が漏れた。
「はぁぅっ…くるしいっ…くるしいよ、おにいちゃんっ…」
だからぼくは、走った。
足の下の缶がじゃまで、ころびながら、みさおの元へ駆けつけた。
「みさお、だいじょうぶだぞ。お兄ちゃんがそばにいるからな」
「いたいよ、おにいちゃんっ…いたいよぉっ…」
177 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:06 ID:KYDVENtY
そう思いたかった。
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
そのせいか、すべての音や感情をも、かき消されたような、静かな葬儀だった。
冷めた目で、みさおの収まる棺を見ていた。
母さんは最後まで姿を見せなかった。
178 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:07 ID:Njh2w7m5
「うんっ」
ぼくは、そんな幸せだった時にずっといたい。
それだけだ…。
あの日から、ぼくは泣くことが多かった。
泣いていない隙間を見つけては、生活をしているようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのところへとあずけられていた。
179 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:Njh2w7m5
消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
180 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:Njh2w7m5
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
駆け抜けるような4ヶ月だった。
そしてぼくは、幸せだったんだ。
(滅びに向かって進んでいるのに…?)
いや、だからこそなんだよ。
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
181 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:KYDVENtY
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
182 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:KYDVENtY
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
183 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:10 ID:KYDVENtY
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
184 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:10 ID:Njh2w7m5
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
微かな音がした。
185 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:11 ID:KYDVENtY
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
(……そうだね)
ヘッドライトがヘッドライトを追ってゆく。
186 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:11 ID:Njh2w7m5
また…悲しい風景だ。
(どうしてぼくは、こんなにも、もの悲しい風景を旅してゆくのだろう)
(あたしにはキレイに見えるだけだけど…でも、それが悲しく見えるのなら、やっぱり悲しい風景なんだろうね)
(ひとが存在しない場所だ)
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
189 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:12 ID:Njh2w7m5
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
すぐ耳の後ろで声。
190 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:14 ID:Njh2w7m5
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
192 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:14 ID:KYDVENtY
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
193 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:15 ID:KYDVENtY
それはこの世界を蔑んでいることになる。
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
194 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:KYDVENtY
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
選択肢のない袋小路だった。
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196 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:Njh2w7m5
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
197 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:KYDVENtY
(…それは、今のあなたのことなのかな)
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
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199 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:17 ID:Njh2w7m5
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
201 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:19 ID:Njh2w7m5
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
「ばかな理屈こねてないで、謝りなさい、みさおに」
「うあーーんっ!」
「うー…みさおぉ…ごめんな」
「ぐすっ…うん、わかった…」
「よし、いい子だな、みさおは」