ドラクエZってメチャクチャ面白いよね。
平成生まれ同士で語り合いませんか?
2ゲット
4 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 00:29 ID:k4lDfUK2
昭和59年生まれの化石じゃ
5 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 00:30 ID:m5AvRbqo
|
|⌒彡
|冫、)
|` / 「激プリチーだな」
| /
|/
|
|
| サッ
|)彡
|
|
平成生まれっていうと、最高で15歳か。
こんなスレを立てるのも頷けるな。
7 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 00:31 ID:m5AvRbqo
最高で14だろ
8 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 00:31 ID:u8PBjMpt
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
< ジェズイットがシャドウウォークで7ゲットォー!
\_________________
(´⌒(´
≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
(´⌒(´⌒;;
ズザーーーーーッ
/⌒゛~'''"'''"""''"""'''""'''"''-,,
/ \ \
/ / | \ ヽ\
./ / / || \ .ヽ ゝ
/ | | | | | | i
.| | | / | .| | | i
| | .| /| | | |i | .| i
| | |-,,/ | | | | i_| | /
ゝ.| | "''‐-,,_ | .| ,,,,-‐''" | |''"i
| | | -''" ̄"''' ̄"'' "''''~  ̄""''ヾ| |/ |
| | | / ̄ヾ /"''‐-,,_| | /
| | .! '' .|:::・:::|ヽ\ / i::・::::| | | /
\| | ! ヾ::::/ | ヾ::/ | |
| | "'''''" | "'''''''" | |
| ! | !
"\ |ゝ "'' " /| /
"'' ヽ ‐--------‐ / |/
|ヽ ‐‐‐‐‐ /|
ヾ ヽ,,_ / /
| "'''''''''''" /
あちこちの板で同じスレ立てるなよ
子供は寝る時間だぞ。さっさと寝やがれクソ消防ども。
良い夢を。
12 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 00:47 ID:XHDJE4iW
S61生まれですが、何か?
来年が干支なわけだが、何か?(w
ちなみにDQ7未プレイだ(藁。
この板住民の年齢層ってどんなもんなのよ? と聞いてみるテスト
ドラクエの1が発売された時にすでに社会人でしたが、何か?
偉そうに年下を叩いている、
昭和生まれを名乗る“ガキ”が多いな。
DQ7を面白いと言う発言を見ただけでこんなに叩くのか。
なんつーか、自己中だね。
18 :
冬厨ひお++ ◆BSF/iBOFUY :03/01/25 07:42 ID:SeHXuLd0
むしろちんちんをいれてあげるよ
おしりのあなもときどきつかうことにした
19 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 07:44 ID:HqUED3TW
S58です。。ごめんなさいい
20 :
冬厨ひお++ ◆BSF/iBOFUY :03/01/25 07:48 ID:SeHXuLd0
(・▽・)あまってたらもらうから
普段はばいぶをつめて競争率を下げておいてね
他の人に人気があるとこの子は行きませんよ
21 :
冬厨ひお++ ◆BSF/iBOFUY :03/01/25 07:49 ID:SeHXuLd0
(・ー・)昭和 あまってたらぼくにおしえてね
22 :
山崎渉:03/01/25 07:50 ID:Ui7kV7JB
(^^;
昭和は遠くなりにけり
>>1は平成までしか生きられない
トットトシニナサイ
25 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 11:13 ID:U5gn9UnI
平成ももう終わる
>15
父さんって呼んでいいですか?
>1
スレタイが「この板に平成生まれっているの???」だったらよかったのに
27 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 11:25 ID:bDU8cGZ+
むしろ大正生まれがいたらおもしろいのになあ。
28 :
みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/01/25 11:43 ID:0+l6PsEg
オレッチは
ヰヱヰ
(-∀-)
―日―
昭和生まれでアル
昭和63年生まれでつ。
昭和16年
32 :
どどめ色:03/01/25 12:18 ID:ovwFB73N
19>>
オナジダ。
やっぱり若い子が多いなー
34 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 12:49 ID:7n28VRUo
昭和63年。
ギリギリで
>>1と同じじゃない。よかった。
35 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 12:52 ID:r7nfwY5r
1982
1989年で1月4日つまり幻の昭和64年うまれ。
38 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 12:55 ID:L9UYk52k
平成生まれで2CH来てる香具師って人生終わってるな。
アニメやゲームオタクって気持ち悪いな。
ファッションもヘアスタイルもダサい。
しかも童貞と来たもんだ。生きていて楽しい?
>39
コピペたのしい?
西暦-1925=昭和年号
ちなみに今って平成何年?14?15?
42 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 13:06 ID:YVNXlsFj
昭和60年生まれだな俺。
>>39ねたにマジレスだけど、
アニオタゲーオタと変わんないねそれじゃあw
おまえは女とファッションしか楽しみが無いのかとw
結局同じだろ、人の趣味ごときで口に出してる時点で
ダメじゃないか?しかもコレコピペかよw
∧_∧∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´∀`)´∀`)<
>>1の奴が糞スレ立てたらしいよ
( ) ) \________________
| | || |
(__)_)__)_)
|\
/ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| おいおいマジかよ?ってか
>>1はマジ言ってさっさと逝ってヨシ
\_____________________________
>44
なんでアンカーが40までなのか問いたい。一分ほどでいいから問いたい。
糞スレ立ってから俺が書き込むまでの奴まで限定
そうか。
48 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 13:44 ID:Ye7oEgCV
昭和生まれとかいいながらほとんど高校生じゃん。
自分も十分厨なくせに凄いいばりようだな。
>>31 ほんとかよ(笑) 60代じゃん。
61年生まれの俺は、五黄の虎。
なにげによい年にうまれたもんだ。
俺62年の早生まれ。
つまりこの板には工1の方々が多いと。
53 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 15:59 ID:XO10K/t4
1986生まれじゃよ
54 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 16:01 ID:knKmOXO+
昭和57年生まれの大学生ですよ
55 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 16:06 ID:wvIbz7yW
昭和54年生まれの古物商だよ^^
56 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 16:30 ID:jofXSo0t
昭和60年だ、わりーかよ
>>55 あなた大好きです。
>>54 あなたも割と好きです。
わたしは昭和55年です。
58 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/25 16:34 ID:6K7FYhoh
昭和52年ですが何か?平成生まれコロス(羨ましくて)
59 :
ロッテンマイヤー改:03/01/25 16:47 ID:Ds3M6EcF
ギリギリで平成元年です、
昭和55年生まれ
平成生まれってことはFFDQより年下ってことか…若いな
昭和○○念
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
1987年生まれの受験生だがなにか?
受験生はくるなよ。同い年だけどさ
若いなお前ら・・・
20代前半が中心かと思ってたけどこの板は10代後半中心なんだな。
とかいう自分も昭和60年だけど。
俺もS61(1986)生まれ。
懐古が主流だから年上多いのかと思ってたけど、高校生多いんだね
>54
同じだ
>>57 >>60 >>65 同じだ。この板って十代中心だったのか(´・ω・`)
(´-`).。oO(…すると、思春期にプレイしたゲームの主人公より年上になったショックを味わっているよね…)
69 :
a:03/01/26 00:34 ID:LgN7fLJW
60年
>>66 高校生くらいだから、ゲームに詳しいヲタが書いた偉そうな批判文とかを読むと、
それだけで影響されちゃって、最近のゲームの批判をはじめることが多いんだろう。
55年多い?
私も55年生まれ
俺もS61生まれ。
73 :
60:03/01/26 14:01 ID:M29Fgbkb
わーい、タメさんがいっぱい(・∀・)
10代後半てのは一番批判精神が旺盛なころだからね、自分もそうだったけど
ハタチ過ぎるとなんとなくいろいろ落ち着くもんよ
74 :
冬厨ひお++ ◆BSF/iBOFUY :03/01/26 14:41 ID:RXBao1SK
(・ー・)んー
((・ー・))不思議フードをかぶって暮らしていたら
けーさつの人が没収しました そして僕はもてなくなりました
(・ )あんまりだよね・・・・
75 :
冬厨ひお++ ◆BSF/iBOFUY :03/01/26 14:42 ID:RXBao1SK
( )そのかわりにちんちんごむほーすを置いていきました
( 、)横暴だよね、、、
もしかして昭和59年生まれって俺だけ?
神!
77 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 15:03 ID:wZ+IxP7e
………………………………………年下ばっかりだ。
まだまだ若いと思ってたのに…。
78 :
マクマナママン:03/01/26 15:06 ID:QeKCmMPE
S53
昭和55。
80 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 15:17 ID:v7BB62KV
ドラクエZは滅茶苦茶おもしろいなぁ〜
81 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 15:23 ID:GPx/BfFF
儂は昭和49年…(;´Д`)
平均年齢下がったのか、
それともこのスレだけ若いのか。
あるいは前にあった同種のスレだけが年齢高かったのか。
前に立ってた同種のスレは二十代前半多かったし
雑談スレも大学云々の話題が結構賑々しかった時期があった。
事実は結局不明ながら、僕は昭和48年。
84 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 15:35 ID:uT7k+AQk
漏れはギリギリ平成生まれのリア厨。
はっきり言ってDQZは糞。糞。糞。
>>1と同じくらい糞。
おつかいRPGにも程がある。
糞ゲーの鏡。
85 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 15:38 ID:dwzriVPK
俺は昭和59年生まれ、したがって18歳だよ
>>81 いっしょだと思う。今大学一回性だ
>>85 俺も18だがもうすぐ19だ・・・
やだな・・・
87 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 16:49 ID:VUJALjG9
〉85
あー、俺も俺も。59年ね。今年もう19。
88 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 16:51 ID:AFyPYsDf
昭和58年生まれて多いな
俺もだが
89 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 16:51 ID:Xh3as3ka
俺60年
90 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/26 16:59 ID:z9qU6AGV
記念真紀子
ちゃんと俺のメッセージは読んだか?
早く読めよデヴ
うわ、こんなスレが復活してる。
爆撃中にかいてすいませんでした。
昭和58年59年のやつらも一緒に謝れ!
plala規制で嵐が去ったな
折れも昭和55年だわ。ってか、2ちゃんに来て初めてホントの事を書いた気がする・・・。
なぜこのスレが潰されたんだろ
ひえぇぇぇ若いやつ多い!S54年生まれだよ俺。
平成生まれの子って初期作品とかリアルタイムで
プレイしてないよね?やっぱ親がやってたとか
そのへんからスタートしてるのか?リメイクとか。
未成年は2chに来るな。
若いやつ多っ!俺S54生・・・。
平成生まれは初期作品をリアルタイムでプレイできてないよね?
やはり、親の影響で…とか、リメイクで…とかがスタートだったのかな。
重複すまぬ。
折れも55年だけどDQ1,2とかFF1,2,3はリアルタイムではプレイしてないなぁ〜
>>68 >>103 禿同なS55。
リアルタイムだったと思うのは、DQ3〜とFF4〜。FF1は小2くらいでやってみて
難しくてクリア出来なかった…。
FF8をやったのが高3で、このときが多分1番
主人公との年齢の差が少なかったときなんだな…。ふぅ
それにしても55年多いな〜漏れもです。
と、言いながらもリアルタイムでプレイした作品がない罠。
社会人になってはじめて自分の金でハードとソフト買える様になってようやく…この板に。(w
ただその昔、近所の子と遊ぶ時は必ず「ドラクエごっこ」なんてのをやったな(w、竿とか持って。
…あの時出てきた言葉の意味が、数十年経た今になってようやく分かった時はちと感動した。
ついでに12年くらい前、小学校の演奏会でやった曲目が「ドラクエのテーマ」だったのは今でも覚えてる。
ここは昭和55年生まれ限定のスレになりました。
アバンストラッシュとかやったよね。ホウキで。
昭和58年だがアバンストラッシュは竹刀でやった
ブラッディースクライドも真似した
昭和55年生まれで、アバンストラッシュは傘でやったね
海破斬とかな。
昭和56年生まれが誰もいないのは何故か。
俺一人だけ仲間外れですか?
110 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 18:10 ID:mPWDfgv0
>>107 62年生まれの受験生だがアバンストラッシュとかやった記憶が。
このスレに大正生まれっているの?
あれ、俺もこのスレ始めてくるけど昭和55年生まれ多いっすね。自分含めて。
平成生まれは昭和天皇危篤のニュースでドラゴンボールの放送が潰れた悔しさを味わってないのか・・・
俺も昭和55年だ
図工で失敗したりとかの哀しい時に
冒険の書が消えてしまいました が流行ってたな
昭和62ですすいません。。。
同じく62年だよ
117 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:05 ID:0/6+6Ykc
同じく52年だよ
同じく42年だよ
\________ ______________________/
O モワモワ
o
____,,,,,,,,,,,,,,,,、、、
/ )))
/ ______,,,ノ
/ l / \\ヽ|)
| | '''''''''' ''''''''|
| | ( ・ ) ( ・ )l
| l l |
| ( ~ _) |
| | ,―――. l / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
l .|ヽ ー――' / < という夢をみたんだ。。。
ヾ | \____ノ \______________
120 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
121 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
122 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
光は動いているし、バイクの加速してゆくエンジン音だって聞こえる。
静止していたのは、それを見ている自分の世界だった。
真夜中、誰もが寝静まった中、遠くに犬の遠吠えや、バイクのエンジン音を聴くのに似ている。
そういうとき、ぼくは属する世界が違うという違和感を覚えるものだった。
123 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
ころころ…。
微かな音がした。
それは確かにこちら側の音だ。
(あそこには帰れないんだろうか、ぼくは)
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
124 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
(でもね、旅立ったんだよ、遠い昔に)
(そうだね。そんな気がするよ)
(でも遠い昔はさっきなんだよ)
125 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:KYDVENtY
(それも、そんな気がしてた)
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
126 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:32 ID:Njh2w7m5
(……そうだね)
ヘッドライトがヘッドライトを追ってゆく。
何度も見ている一定の距離感を置いて。
(いや…もう少しここにいるよ)
(そう? そうだね…)
ぼくは体を慣らすように、その光景に身を浸していた。
127 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:33 ID:KYDVENtY
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
>>109 同い年だ!
昭和56年生まれ少ないのかな?
129 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
130 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
たとえば泣きたいときがある。
どこへ向かって泣けばいいのだろう。
なにを思って泣けばいいのだろう。
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
131 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:Njh2w7m5
そんなことをする気にすらならない。
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
132 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:36 ID:KYDVENtY
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
133 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
この世界の存在を受け止めたうえで、あの場所に居残れるんじゃないかと、思っていたんだ。
でもダメだった。
(そんなことわざわざ言って欲しくないよ…)
134 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
ただね、もっとあのとき頑張っていれば、ほんとうに自分をあの場所に繋ぎ止められたのか、それが知りたかったんだ。
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
135 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:KYDVENtY
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
136 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:37 ID:Njh2w7m5
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
137 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
「そうかも」
喋りながら、ころころとカメレオンのおもちゃを手のひらで転がしていた。
ぺろぺろと舌が出たり入ったりするのを、みさおはくぼんだ目で、見つめていた。
ぼくはみさおには絶対に、苦しいか、とか、辛いか、とか聞かないことにしていた。
138 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
聞けば、みさおは絶対に、ううん、と首を横に振るに違いなかったからだ。
気を使わせたくなかった。
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
139 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:Njh2w7m5
そう思っていた。
年が明け、みさおは、正月も病室で過ごしていた。
ぼくも、こんなにも静かな正月を送ったのは初めてだった。
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
140 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:43 ID:KYDVENtY
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
でも、みさおの過ごす部屋だけは、ずっと変わらなかった。
「みさおー」
「お兄ちゃん、また、こんな時間に…」
「また手術するって聞いて、きたんだよ。また、どこか取るのか?」
「ううん…。その手術はしないことになったよ」
141 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
「みさおー」
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
142 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
「う…おにいちゃん…」
口だけは笑いながらも、顔は歪んでいた。
「ちがうぞ、おとうさんだぞ」
みさおが苦しい、辛いと言い出さない限り、ぼくも冷静を装った。
「うん…そだね…」
「じゃあ、見ててやるからな」
143 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:KYDVENtY
ぼくは壁を背にして立ち、ベッドに体を横たえる、みさおを見つめた。
ころころ…。
弱々しくカメレオンが舌を出したり、引っ込めたりしている。
ただそんな様子を眺めているだけだ。
………。
ころころ…。
144 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:46 ID:Njh2w7m5
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
「あ、ああ…そうだな」
………。
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
145 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:51 ID:Njh2w7m5
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
滅びに向かうからこそ、すべてはかけがえのない瞬間だってことを。
こんな永遠なんて、もういらなかった。
だからこそ、あのときぼくは絆を求めたはずだったんだ。
…オレは。
どこまでもつづく海を見たことがある。
146 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:51 ID:Njh2w7m5
どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだろう。
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
147 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:KYDVENtY
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
148 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:Njh2w7m5
永遠、たどり着けない。
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
149 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:52 ID:KYDVENtY
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
違うな…。変わるはずがないんだ。
150 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:KYDVENtY
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
(……そうだね)
151 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:KYDVENtY
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
152 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:53 ID:Njh2w7m5
(次はどこにいこうか)
(大丈夫。あたしはどこだってついていくよ。ずっとね)
(そうだね)
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
154 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:55 ID:Njh2w7m5
(きたよ…風…)
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
155 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:55 ID:Njh2w7m5
(空だけの世界…)
(この下には、何があるんだろうね)
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
156 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:56 ID:KYDVENtY
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
たとえば泣きたいときがある。
157 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:56 ID:Njh2w7m5
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
158 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:57 ID:KYDVENtY
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
159 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:7L98RHSR
(・∀・)カエレ!
160 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:KYDVENtY
やっぱりそうか…。
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
(この世界は終わらないよ)
161 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:58 ID:KYDVENtY
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
………。
……。
162 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 19:59 ID:Njh2w7m5
「よし、いい子だな、みさおは」
「浩平、あんたが言わないのっ!」
じっさいみさおが泣きやむのが早いのは、べつに性分からじゃないと思う。
ぼくが、ほんとうのところ、みさおにとってはいい兄であり続けていたからだ。
そう思いたい。
母子家庭であったから、みさおはずっと父さんの存在を知らなかった。
163 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:00 ID:Njh2w7m5
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
「だいじょうぶ。うまくやってみせるよ」
「ほんとぉ?」
「ああ。だから、次の父親参観日は楽しみにしてろよ」
「うんっ」
初めはバカにしていたみさおだったが、最後は笑顔だった。
164 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:00 ID:Njh2w7m5
みさおの笑顔は、好きだったから、うれしかった。
そして来月の父親参観日が、ぼくにとっても待ち遠しいものになった。
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
ちょっと治すのに時間がかかるらしく、病院のベッドでみさおは過ごすことになった。
「バカだな、おまえ。こんなときに病気になって」
「そうだね…」
165 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
「お兄ちゃん、ありがとね」
「まったく、こんなくだらない本ばっかでよんで暮らすおまえが、見るにたえなかったからな。よかったよ」
「うん。これで、退屈しないですむよ」
しかし話しに聞いていたのとは違って、みさおの病院生活は、いつまでも続いていた。
一度、大きな手術があって、後から知ったのだけど、その時みさおのお腹は、みさおのお腹でなくなったらしい。
そして、そのころから母さんは病院よりも、ちがう場所に入りびたるようになっていた。
166 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
どこかはよくしらない。
ときたま現れると、ぼくたちが理解できないようなわけのわからないことを言って、満足したように帰ってゆく。
『せっぽう』とか言っていた。どんな漢字を書くかはしらない。
「わ、病室まちがえたっ!」
「合ってるよ、お兄ちゃん」
「え…? みさおか?」
167 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:KYDVENtY
「うん、みさおだよ」
みさおは、髪の毛がなくなっていた。
「びっくりしたぞ、お兄さんは」
「うん…」
ただでさえ、ここのところやせ細っているというのに、さらに頭がツルツルになっていれば、ぼくだって見間違える。
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
168 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:02 ID:Njh2w7m5
気を使わせたくなかった。
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
そう思っていた。
169 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:03 ID:KYDVENtY
時間はあのときから止まっていた。
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
そのときを機に、みさおは父親参観日のことをよく口にするようになった。
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
170 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:03 ID:Njh2w7m5
手には舌を突きだしたままのカメレオンを握ったままだった。
恐いくらいに静まり返る室内。
「………」
「…みさおー」
………。
「…みさお?」
171 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:Njh2w7m5
「うん、今日…」
「場所は?」
「ここ…」
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
172 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:Njh2w7m5
「だめ?」
「よし、わかった。やろう」
「…よかった」
みさおが顔をほころばす。
ぼくは走って家に戻り、変装道具を押し入れから引っぱり出し、それを抱えて病院へと戻った。
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
173 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
「う…おにいちゃん…」
174 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
………。
ころころ…。
「………」
「うー…」
「みさおっ?」
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
175 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:05 ID:KYDVENtY
「あ、ああ…そうだな」
………。
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
「はっ…あぅぅっ…」
176 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:06 ID:Njh2w7m5
そして、ついにみさおの口からその言葉が漏れた。
「はぁぅっ…くるしいっ…くるしいよ、おにいちゃんっ…」
だからぼくは、走った。
足の下の缶がじゃまで、ころびながら、みさおの元へ駆けつけた。
「みさお、だいじょうぶだぞ。お兄ちゃんがそばにいるからな」
「いたいよ、おにいちゃんっ…いたいよぉっ…」
177 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:06 ID:KYDVENtY
そう思いたかった。
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
そのせいか、すべての音や感情をも、かき消されたような、静かな葬儀だった。
冷めた目で、みさおの収まる棺を見ていた。
母さんは最後まで姿を見せなかった。
178 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:07 ID:Njh2w7m5
「うんっ」
ぼくは、そんな幸せだった時にずっといたい。
それだけだ…。
あの日から、ぼくは泣くことが多かった。
泣いていない隙間を見つけては、生活をしているようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのところへとあずけられていた。
179 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:Njh2w7m5
消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
180 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:Njh2w7m5
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
駆け抜けるような4ヶ月だった。
そしてぼくは、幸せだったんだ。
(滅びに向かって進んでいるのに…?)
いや、だからこそなんだよ。
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
181 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:KYDVENtY
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
182 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:09 ID:KYDVENtY
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
183 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:10 ID:KYDVENtY
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
184 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:10 ID:Njh2w7m5
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
微かな音がした。
185 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:11 ID:KYDVENtY
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
(……そうだね)
ヘッドライトがヘッドライトを追ってゆく。
186 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:11 ID:Njh2w7m5
また…悲しい風景だ。
(どうしてぼくは、こんなにも、もの悲しい風景を旅してゆくのだろう)
(あたしにはキレイに見えるだけだけど…でも、それが悲しく見えるのなら、やっぱり悲しい風景なんだろうね)
(ひとが存在しない場所だ)
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
189 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:12 ID:Njh2w7m5
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
すぐ耳の後ろで声。
190 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:14 ID:Njh2w7m5
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
192 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:14 ID:KYDVENtY
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
193 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:15 ID:KYDVENtY
それはこの世界を蔑んでいることになる。
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
194 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:KYDVENtY
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
選択肢のない袋小路だった。
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね氏ね
196 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:Njh2w7m5
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
197 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:16 ID:KYDVENtY
(…それは、今のあなたのことなのかな)
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
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199 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:17 ID:Njh2w7m5
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
201 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:19 ID:Njh2w7m5
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
「ばかな理屈こねてないで、謝りなさい、みさおに」
「うあーーんっ!」
「うー…みさおぉ…ごめんな」
「ぐすっ…うん、わかった…」
「よし、いい子だな、みさおは」
203 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:20 ID:Njh2w7m5
どんな頭がうすくても、それは来てくれたらうれしいものらしかった。
しかしそのうれしさというものは、ぼくにとっては、えいえんの謎ということになる。
きっと、たぶん、二度と父親なんて存在はもてないからだ。
振り返ったとしても、そこには知った顔はなく、ただ誰かから見られているという実感だけがわく、ちょっと居心地の悪い授業でしかない。
ぼくの父親参観とは、そんな感じでくり返されてゆくのだ。
でもみさおには、男としての愛情を与えてやりたいとつねづね思っているぼくにしてみれば、ぼくと同じような、
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
♥♥♥♥♥♥
205 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:20 ID:KYDVENtY
アイアンクローごっこで少し遊んでやる。最近のお気に入りだ。
「はぅぅっ…だって、お兄ちゃん、大人じゃないもん」
「そんなものは変装すればだいじょうぶだ」
「背がひくすぎるよ」
「空き缶を足の下にしこむ」
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
>>205 うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
うるせーageんなカス
207 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:21 ID:KYDVENtY
「うん、でも、お腹に落書きするのはやめてよ。まえも身体検査のとき笑われたよ」
ぼくはいつも、油性マジックでみさおのお腹に落書きしてから布団をなおしてやるので、みさおのお腹はいつでも、笑ったり、泣いたり、怒ったりしていた。
「だったら、寝相をよくしろ」
「うん。そうだね」
みさおの邪魔そうな前髪を掻き上げてやりながら、窓の外に目をやると、自然の多く残る町の風景が見渡せた。
そして、秋が終わろうとしていた。
208 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:21 ID:KYDVENtY
「みさおー」
「あ、お兄ちゃん。どうしたの、こんな時間に」
「みさお、退屈してると思ってな」
「ううん、だいじょうぶだよ。本、いっぱいあるから、よんでるよ」
「本? こんな字ばっかのが、おもしろいわけないだろ。やせ我慢をするな」
「ぜんぜんがまんなんかしてないよ。ほんと、おもしろいんだよ」
210 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:25 ID:Njh2w7m5
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
そのせいか、すべての音や感情をも、かき消されたような、静かな葬儀だった。
冷めた目で、みさおの収まる棺を見ていた。
母さんは最後まで姿を見せなかった。
ぼくはひとりになってしまったことを、痛みとしてひしひしと感じていた。
211 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:27 ID:KYDVENtY
「いつになったら、あそべるのかな」
毎日のように泣き伏すぼくを見つけては、話しかけてくる。
ぼくは口を開いたことがなかった。開いたとしても、嗚咽を漏らしただけだ。
もう空っぽの存在。亡骸だった。
それにもかかわらず、彼女はそこに居続けた。
いったい、その子が何を待っているのか、ぼくにはわからなかった。
212 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:27 ID:Njh2w7m5
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
そんな思いが、言葉で伝わるとは思わなかった。
でも、彼女は言った。
「永遠はあるよ」
そしてぼくの両頬は、その女の子の手の中にあった。
213 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:30 ID:Njh2w7m5
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
光は動いているし、バイクの加速してゆくエンジン音だって聞こえる。
214 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:31 ID:Njh2w7m5
(あそこには帰れないんだろうか、ぼくは)
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
215 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:34 ID:KYDVENtY
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
すぐ耳の後ろで声。
(見えるよ)
216 :
f:03/01/27 20:34 ID:AtpBQ//t
★あなたのお悩み解決致します!!
●浮気素行調査
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217 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:35 ID:KYDVENtY
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
(この下には、何があるんだろうね)
218 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:35 ID:KYDVENtY
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
(大地がないから、羊はみんな落下してゆくよ)
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
219 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:35 ID:Njh2w7m5
海に浮かぶ羊。それは唐突にしっくりくる、たとえだという気がした。
(でも、夢の中ではみんな、空を飛ぶんだよ)
(羊が空を飛ぶのかい)
(飛んでもいいと思うけどな)
(それはたぶん滑稽だよ。似合わない…)
(…羊たちは、自分の立場をわきまえた上で、海を選ぶんだ)
220 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:38 ID:KYDVENtY
「どうしたの、みさお」
「お兄ちゃんが、蹴ったぁーーっ!」
「浩平、あんた、またっ」
「ちがうよ、遊んでただけだよ。真空飛び膝蹴りごっこして遊んでたんだ」
「そんなのごっこ、なんて言わないのっ! あんた前は、水平チョップごっことか言って、泣かしたばっかじゃないのっ」
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
本当に若いよな(年齢詐称なければ)。
昭和54年だが
30代以上とレスするものをほとんどみかけないな。S16はうそ臭い。
222 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:40 ID:Njh2w7m5
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
ちょっと治すのに時間がかかるらしく、病院のベッドでみさおは過ごすことになった。
「バカだな、おまえ。こんなときに病気になって」
「そうだね…」
「おまえ、いつも腹出して寝てるからだぞ。気づいたときは直してやってるけど、毎日はさすがに直してやれないよ」
「うん、でも、お腹に落書きするのはやめてよ。まえも身体検査のとき笑われたよ」
223 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:41 ID:Njh2w7m5
ぼくは隠しもっていた、おもちゃをみさおに突きつけた。
「なにこれ」
「カメレオンだ」
「見たらわかるけど…」
プラスチックでできたおもちゃで、お腹の部分にローラーがついていて、それが開いた口から飛び出た舌と連動している。
「みろ、平らなところにつけて、こうやって押してやると、舌がぺろぺろ出たり入ったりする」
224 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:41 ID:Njh2w7m5
「わぁ、おもしろいね。でも、平らなところがないよ」
「なにっ?」
言われてから気づいた。
確かにベッドで過ごしているみさおからすれば、平らな机などは、手の届かない遠い場所だ。
「あ、でも大丈夫だよ。こうやって手のひら使えば…」
ころころ。
225 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:42 ID:KYDVENtY
「びっくりしたぞ、お兄さんは」
「うん…」
ただでさえ、ここのところやせ細っているというのに、さらに頭がツルツルになっていれば、ぼくだって見間違える。
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
「そうかも」
226 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:43 ID:KYDVENtY
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
「うん。今年こそはきてもらうよ」
時間はあのときから止まっていた。
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
227 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:43 ID:Njh2w7m5
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
そのときを機に、みさおは父親参観日のことをよく口にするようになった。
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
でも、みさおの過ごす部屋だけは、ずっと変わらなかった。
「みさおー」
228 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:44 ID:KYDVENtY
「うん…」
ころころ。
ふたりが黙り込むと、ただカメレオンを手のひらで転がす音だけが聞こえてくる。
「おかあさんは、どんな感じ?」
「相変わらずだよ」
「お兄ちゃん、おかあさんのことも心配してあげてね」
229 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:46 ID:KYDVENtY
「ここ…」
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
「だめ?」
「よし、わかった。やろう」
230 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:51 ID:Njh2w7m5
だからこそ、あのときぼくは絆を求めたはずだったんだ。
…オレは。
どこまでもつづく海を見たことがある。
どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだろう。
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
231 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:51 ID:Njh2w7m5
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
232 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:52 ID:KYDVENtY
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
光は動いているし、バイクの加速してゆくエンジン音だって聞こえる。
静止していたのは、それを見ている自分の世界だった。
233 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:53 ID:KYDVENtY
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
(でもね、旅立ったんだよ、遠い昔に)
234 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:53 ID:Njh2w7m5
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
違うな…。変わるはずがないんだ。
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
235 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:55 ID:KYDVENtY
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
(ねぇ、たとえば草むらの上に転がって、風を感じるなんてことは、もうできないのかな)
(ううん、そんなことはないと思うよ)
(そうしてみたいんだ。大きな雲を真下から眺めてさ)
236 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 20:55 ID:KYDVENtY
(だったらすればいいんだよ。これはあなたの旅なんだから、好きなことをすればいいんだよ)
(でも、どうしたらいいんだろう。ぼくはいつも見える世界の外側だ)
(まだ、難しいのかな。あたしは感じられるよ。草の匂いを帯びた風が)
(やり方を教えてくれよ)
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
237 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:02 ID:Njh2w7m5
………。
ころころ…。
「………」
………。
ころころ…。
「………」
238 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:02 ID:Njh2w7m5
「はーっ…あぅっ……」
………。
カメレオンの舌が動きをとめた。
そして、ついにみさおの口からその言葉が漏れた。
「はぁぅっ…くるしいっ…くるしいよ、おにいちゃんっ…」
だからぼくは、走った。
239 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:13 ID:Njh2w7m5
ころころ…。
微かな音がした。
それは確かにこちら側の音だ。
(あそこには帰れないんだろうか、ぼくは)
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
240 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:13 ID:KYDVENtY
(それも、そんな気がしてた)
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
241 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:13 ID:KYDVENtY
違うな…。変わるはずがないんだ。
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
242 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:14 ID:Njh2w7m5
急ぐ旅でもない。
ずっと、眺めていた。
また…悲しい風景だ。
(どうしてぼくは、こんなにも、もの悲しい風景を旅してゆくのだろう)
(あたしにはキレイに見えるだけだけど…でも、それが悲しく見えるのなら、やっぱり悲しい風景なんだろうね)
(ひとが存在しない場所だ)
243 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:14 ID:KYDVENtY
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
帰れない場所。
もう、そこからはどこにもいけない場所。
すべてを断ち切った、孤立した場所にぼくは、ずっと居続けていたいんだ。
そして、そんななにもない、どこにも繋がらない場所で、ぼくはぼくを好きでいてくれるひとだけの存在を、もっと切実に大切に思うのだ。
きみと一緒にいられること。
244 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:14 ID:KYDVENtY
それはこの世界との引き替えの試練のようであり、また、それこそがこの世界が存在する理由なのだと思う。
(次はどこにいこうか)
(大丈夫。あたしはどこだってついていくよ。ずっとね)
(そうだね)
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
245 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:14 ID:Njh2w7m5
(まだ、難しいのかな。あたしは感じられるよ。草の匂いを帯びた風が)
(やり方を教えてくれよ)
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
246 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:43 ID:Njh2w7m5
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
そんな思いが、言葉で伝わるとは思わなかった。
でも、彼女は言った。
「永遠はあるよ」
そしてぼくの両頬は、その女の子の手の中にあった。
247 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:47 ID:Njh2w7m5
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
(…というよりも、今の僕が、海に浮かぶ羊なんだと思う)
248 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:48 ID:Njh2w7m5
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
249 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:KYDVENtY
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
そんなことをする気にすらならない。
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
250 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:KYDVENtY
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
選択肢のない袋小路だった。
つまりそれは、終わりだ。
251 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:KYDVENtY
それを自分でも気づかないうちに心のどこかで悟っていたから、こんなにも空虚だったんだ。
空虚だったんだ。
帰り道…
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
252 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:Njh2w7m5
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
ほんとうの温もりはそこにあるはずだったんだからね。
(………)
(…それは、今のあなたのことなのかな)
253 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:Njh2w7m5
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
254 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:49 ID:KYDVENtY
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
(うん…)
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256 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:56 ID:Njh2w7m5
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
「はっ…あぅぅっ…」
なんてこっけいなんだろう。
こんなに妹が苦しんでるときに、ぼくがしていることとは、一番離れた場所で、ただ立って見ていることだなんて。
257 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:56 ID:Njh2w7m5
「はぁっ…あぅっ…お、おにいちゃん…」
「どうした? お兄ちゃんはここにいるぞ」
「うんっ…ありがとう、おにいちゃん…」
ぼくは、みさおにとっていい兄であり続けたと思っていた。
そう思いたかった。
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
258 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:KYDVENtY
せきを切ったようにして、ぼくの目から涙がこぼれだした。
こんな悲しいことが待っていることを、ぼくは知らずに生きていた。
ずっと、みさおと一緒にいられると思っていた。
ずっと、みさおはぼくのことを、お兄ちゃんと呼んで、
そしてずっと、このカメレオンのおもちゃで遊んでいてくれると思っていた。
もうみさおの笑顔をみて、幸せな気持ちになれることなんてなくなってしまったんだ。
259 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:KYDVENtY
すべては、失われてゆくものなんだ。
そして失ったとき、こんなにも悲しい思いをする。
それはまるで、悲しみに向かって生きているみたいだ。
悲しみに向かって生きているのなら、この場所に留まっていたい。
ずっと、みさおと一緒にいた場所にいたい。
うあーーーん…
260 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:KYDVENtY
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、うあーーーんっ!」
261 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:Njh2w7m5
それだけだ…。
あの日から、ぼくは泣くことが多かった。
泣いていない隙間を見つけては、生活をしているようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのところへとあずけられていた。
4月の陽光に映え、緑がきれいな町だった。
でも、それでも、ぼくの涙は乾くことはなかった。
262 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:Njh2w7m5
どれだけ涙というものは流し続けられるのだろう。不思議だった。
「泣いてるの…?」
そしてその町で、最初に泣いているぼくをみつけたのがその女の子だった。
晴れた日、曇りの日、小雨がぱらつく日…。
泣くぼくの隣には、彼女がいた。
「いつになったら、あそべるのかな」
263 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:57 ID:KYDVENtY
初めて、ぼくは話しかけた。
「キミが泣きやむの。いっしょにあそびたいから」
「ぼくは泣きやまない。ずっと泣き続けて、生きるんだ」
「どうして…?」
「悲しいことがあったんだ…」
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
264 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:58 ID:Njh2w7m5
言って、ちょんとぼくの口に、その女の子は口をあてた。
永遠の盟約。
永遠の盟約だ。
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
265 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:58 ID:1l6j8uN7
_,-‐' ^ ̄ ̄ ̄^''''‐-、
/ . \
/ / / / i | | l. i | | ヽ ヽ
i ./ / / | | || .| | | │ i i
| | ノ∨ヽ、_ i .| | |
| | .| ___ ____| } | .|
| | /⊂⊃ ⊂⊃ .| .| i !
. ! !| | ! / / /
! |!、 ー i // ./ <チョーウケル
^'‐- -- --- - ‐'^i /i/ \
, -‐┘ └‐- 、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
266 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 21:59 ID:Njh2w7m5
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
駆け抜けるような4ヶ月だった。
267 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:00 ID:KYDVENtY
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
268 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:02 ID:KYDVENtY
(そうだね。そんな気がするよ)
(でも遠い昔はさっきなんだよ)
(それも、そんな気がしてた)
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
269 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:03 ID:Njh2w7m5
(あたしにはキレイに見えるだけだけど…でも、それが悲しく見えるのなら、やっぱり悲しい風景なんだろうね)
(ひとが存在しない場所だ)
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
270 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:03 ID:Njh2w7m5
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
帰れない場所。
もう、そこからはどこにもいけない場所。
すべてを断ち切った、孤立した場所にぼくは、ずっと居続けていたいんだ。
271 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:04 ID:KYDVENtY
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
(ねぇ、たとえば草むらの上に転がって、風を感じるなんてことは、もうできないのかな)
(ううん、そんなことはないと思うよ)
(そうしてみたいんだ。大きな雲を真下から眺めてさ)
272 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:04 ID:KYDVENtY
(だったらすればいいんだよ。これはあなたの旅なんだから、好きなことをすればいいんだよ)
(でも、どうしたらいいんだろう。ぼくはいつも見える世界の外側だ)
(まだ、難しいのかな。あたしは感じられるよ。草の匂いを帯びた風が)
(やり方を教えてくれよ)
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
273 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:04 ID:Njh2w7m5
(そうだね。動いている)
(あれは、何に押されて動いてるのかな)
(風)
(そう、風だね…)
(風は、雲を運んで…ずっと遠くまで運んでゆくんだよ…)
(…世界の果てまでね)
274 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:08 ID:Njh2w7m5
空虚だったんだ。
帰り道…
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
275 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:08 ID:KYDVENtY
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
ほんとうの温もりはそこにあるはずだったんだからね。
(………)
(…それは、今のあなたのことなのかな)
そんなふうに聞こえた…?
276 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:09 ID:KYDVENtY
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
277 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:09 ID:Njh2w7m5
ちがう
もうぼくは知ってるんだ。
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
278 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:11 ID:Njh2w7m5
きっと、たぶん、二度と父親なんて存在はもてないからだ。
振り返ったとしても、そこには知った顔はなく、ただ誰かから見られているという実感だけがわく、ちょっと居心地の悪い授業でしかない。
ぼくの父親参観とは、そんな感じでくり返されてゆくのだ。
でもみさおには、男としての愛情を与えてやりたいとつねづね思っているぼくにしてみれば、ぼくと同じような、
『ちょっと居心地の悪い授業でした』という感想で終わらしてやりたくなかった。
だから、一大作戦をぼくは企てたのだ。
279 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:11 ID:KYDVENtY
「そんなものは変装すればだいじょうぶだ」
「背がひくすぎるよ」
「空き缶を足の下にしこむ」
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
「だいじょうぶ。うまくやってみせるよ」
「ほんとぉ?」
280 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:12 ID:KYDVENtY
「ああ。だから、次の父親参観日は楽しみにしてろよ」
「うんっ」
初めはバカにしていたみさおだったが、最後は笑顔だった。
みさおの笑顔は、好きだったから、うれしかった。
そして来月の父親参観日が、ぼくにとっても待ち遠しいものになった。
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
281 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:12 ID:Njh2w7m5
「だったら、寝相をよくしろ」
「うん。そうだね」
みさおの邪魔そうな前髪を掻き上げてやりながら、窓の外に目をやると、自然の多く残る町の風景が見渡せた。
そして、秋が終わろうとしていた。
「みさおー」
「あ、お兄ちゃん。どうしたの、こんな時間に」
282 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:15 ID:Njh2w7m5
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
そう思っていた。
年が明け、みさおは、正月も病室で過ごしていた。
ぼくも、こんなにも静かな正月を送ったのは初めてだった。
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
283 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:16 ID:KYDVENtY
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
「うん。今年こそはきてもらうよ」
時間はあのときから止まっていた。
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
284 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:17 ID:KYDVENtY
「…みさおー」
………。
「…みさお?」
………。
「みさおっ!」
………。
285 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:19 ID:Njh2w7m5
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
「だめ?」
「よし、わかった。やろう」
「…よかった」
286 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:19 ID:KYDVENtY
ドアの前にたち、そしてノックをする。
ノックより歩く音のほうが大きかった。
「みさおー」
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
287 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:19 ID:KYDVENtY
………。
「…みさおーっ?」
「う…おにいちゃん…」
口だけは笑いながらも、顔は歪んでいた。
「ちがうぞ、おとうさんだぞ」
みさおが苦しい、辛いと言い出さない限り、ぼくも冷静を装った。
288 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:19 ID:Njh2w7m5
みさおが顔をほころばす。
ぼくは走って家に戻り、変装道具を押し入れから引っぱり出し、それを抱えて病院へと戻った。
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
スーツを着て、ネクタイをしめ、足の下に缶をしこんだ。
そして油性マジックで、髭をかいて、完成した。
カンカンカンッ!と、甲高い音をたてながら、みさおの部屋まで向かう。
289 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:19 ID:Njh2w7m5
………。
ころころ…。
「………」
………。
ころころ…。
「………」
290 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:21 ID:Njh2w7m5
「どうした? お兄ちゃんはここにいるぞ」
「うんっ…ありがとう、おにいちゃん…」
ぼくは、みさおにとっていい兄であり続けたと思っていた。
そう思いたかった。
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
291 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:21 ID:KYDVENtY
こんな悲しいことが待っていることを、ぼくは知らずに生きていた。
ずっと、みさおと一緒にいられると思っていた。
ずっと、みさおはぼくのことを、お兄ちゃんと呼んで、
そしてずっと、このカメレオンのおもちゃで遊んでいてくれると思っていた。
もうみさおの笑顔をみて、幸せな気持ちになれることなんてなくなってしまったんだ。
すべては、失われてゆくものなんだ。
292 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:22 ID:KYDVENtY
「うぐっ…うん、わかった…」
よしよし、と頭を撫でる。
「いい子だな、みさおは」
「うんっ」
ぼくは、そんな幸せだった時にずっといたい。
それだけだ…。
293 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:23 ID:Njh2w7m5
「泣いてるの…?」
そしてその町で、最初に泣いているぼくをみつけたのがその女の子だった。
晴れた日、曇りの日、小雨がぱらつく日…。
泣くぼくの隣には、彼女がいた。
「いつになったら、あそべるのかな」
毎日のように泣き伏すぼくを見つけては、話しかけてくる。
294 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:23 ID:KYDVENtY
ぼくは口を開いたことがなかった。開いたとしても、嗚咽を漏らしただけだ。
もう空っぽの存在。亡骸だった。
それにもかかわらず、彼女はそこに居続けた。
いったい、その子が何を待っているのか、ぼくにはわからなかった。
「…きみは何を待っているの」
初めて、ぼくは話しかけた。
295 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:24 ID:KYDVENtY
「キミが泣きやむの。いっしょにあそびたいから」
「ぼくは泣きやまない。ずっと泣き続けて、生きるんだ」
「どうして…?」
「悲しいことがあったんだ…」
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
296 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:24 ID:Njh2w7m5
永遠の盟約。
永遠の盟約だ。
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
297 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:24 ID:Njh2w7m5
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
みずかは。
キミは…。
(………)
298 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:24 ID:Njh2w7m5
長い時間が経ったんだ。
いろいろな人と出会って、いろいろな日々に生きたんだ。
ぼくはあれから強くなったし、泣いてばかりじゃなくなった。
消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
299 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:25 ID:KYDVENtY
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
300 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:26 ID:KYDVENtY
そういうとき、ぼくは属する世界が違うという違和感を覚えるものだった。
聞こえるのだけど、そこにはたどり着けない。
永遠、たどり着けない。
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
301 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:27 ID:Njh2w7m5
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
違うな…。変わるはずがないんだ。
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
302 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:29 ID:KYDVENtY
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
(ねぇ、たとえば草むらの上に転がって、風を感じるなんてことは、もうできないのかな)
(ううん、そんなことはないと思うよ)
(そうしてみたいんだ。大きな雲を真下から眺めてさ)
(だったらすればいいんだよ。これはあなたの旅なんだから、好きなことをすればいいんだよ)
303 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:29 ID:Njh2w7m5
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
すぐ耳の後ろで声。
(見えるよ)
(ゆっくりと動いてるよね)
(そうだね。動いている)
304 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:29 ID:KYDVENtY
草の匂いが、鼻の奥を刺した。
それは風に運ばれてきた匂いだ。
(きたよ…風…)
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
305 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:30 ID:Njh2w7m5
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
(大地がないから、羊はみんな落下してゆくよ)
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
306 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:30 ID:Njh2w7m5
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
(…というよりも、今の僕が、海に浮かぶ羊なんだと思う)
海に浮かぶ羊。それは唐突にしっくりくる、たとえだという気がした。
(でも、夢の中ではみんな、空を飛ぶんだよ)
307 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:30 ID:KYDVENtY
(…少し言い過ぎたかな)
(ううん、気にしてないけど…)
つまりは僕は、自分の立場をわきまえてこの世界を選んだのだと。
それはこの世界を蔑んでいることになる。
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
308 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:32 ID:Njh2w7m5
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
ぼくは海を越えて、知らない街で暮らすことになるんだ。
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
309 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:34 ID:KYDVENtY
もうぼくは知ってるんだ。
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
310 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:35 ID:KYDVENtY
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、おかあさーーんっ!」
「どうしたの、みさお」
「お兄ちゃんが、蹴ったぁーーっ!」
311 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:35 ID:Njh2w7m5
「うー…みさおぉ…ごめんな」
「ぐすっ…うん、わかった…」
「よし、いい子だな、みさおは」
「浩平、あんたが言わないのっ!」
じっさいみさおが泣きやむのが早いのは、べつに性分からじゃないと思う。
ぼくが、ほんとうのところ、みさおにとってはいい兄であり続けていたからだ。
312 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:37 ID:KYDVENtY
「お兄ちゃんって、あいかわらずバカだよね」
「バカとは、なんだ、このやろーっ!」
「イタイ、イタイよぉーっ、お兄ちゃんっ!」
アイアンクローごっこで少し遊んでやる。最近のお気に入りだ。
「はぅぅっ…だって、お兄ちゃん、大人じゃないもん」
「そんなものは変装すればだいじょうぶだ」
313 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:37 ID:Njh2w7m5
「うんっ」
初めはバカにしていたみさおだったが、最後は笑顔だった。
みさおの笑顔は、好きだったから、うれしかった。
そして来月の父親参観日が、ぼくにとっても待ち遠しいものになった。
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
ちょっと治すのに時間がかかるらしく、病院のベッドでみさおは過ごすことになった。
314 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:38 ID:KYDVENtY
「カメレオンだ」
「見たらわかるけど…」
プラスチックでできたおもちゃで、お腹の部分にローラーがついていて、それが開いた口から飛び出た舌と連動している。
「みろ、平らなところにつけて、こうやって押してやると、舌がぺろぺろ出たり入ったりする」
「わぁ、おもしろいね。でも、平らなところがないよ」
「なにっ?」
315 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:39 ID:Njh2w7m5
ころころ。
「そうだな」
「お兄ちゃん、ありがとね」
「まったく、こんなくだらない本ばっかでよんで暮らすおまえが、見るにたえなかったからな。よかったよ」
「うん。これで、退屈しないですむよ」
しかし話しに聞いていたのとは違って、みさおの病院生活は、いつまでも続いていた。
316 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:41 ID:Njh2w7m5
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
でも、みさおの過ごす部屋だけは、ずっと変わらなかった。
「みさおー」
「お兄ちゃん、また、こんな時間に…」
「また手術するって聞いて、きたんだよ。また、どこか取るのか?」
317 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:43 ID:KYDVENtY
月がまた変わった。
でもぼくたちは、なにも変わらないでいた。
みさおは誕生日を迎え、病室でささやかな誕生会をした。
でもぼくひとりが歌をうたって、ぼくひとりがケーキをたべただけだ。
………。
ころころ。
318 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:45 ID:KYDVENtY
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
「だめ?」
「よし、わかった。やろう」
「…よかった」
みさおが顔をほころばす。
319 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:45 ID:Njh2w7m5
ぼくは走って家に戻り、変装道具を押し入れから引っぱり出し、それを抱えて病院へと戻った。
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
スーツを着て、ネクタイをしめ、足の下に缶をしこんだ。
そして油性マジックで、髭をかいて、完成した。
カンカンカンッ!と、甲高い音をたてながら、みさおの部屋まで向かう。
ドアの前にたち、そしてノックをする。
320 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:46 ID:KYDVENtY
「…みさおーっ?」
「う…おにいちゃん…」
口だけは笑いながらも、顔は歪んでいた。
「ちがうぞ、おとうさんだぞ」
みさおが苦しい、辛いと言い出さない限り、ぼくも冷静を装った。
「うん…そだね…」
321 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:46 ID:Njh2w7m5
「じゃあ、見ててやるからな」
ぼくは壁を背にして立ち、ベッドに体を横たえる、みさおを見つめた。
ころころ…。
弱々しくカメレオンが舌を出したり、引っ込めたりしている。
ただそんな様子を眺めているだけだ。
………。
322 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:49 ID:KYDVENtY
ずっと、みさおと一緒にいられると思っていた。
ずっと、みさおはぼくのことを、お兄ちゃんと呼んで、
そしてずっと、このカメレオンのおもちゃで遊んでいてくれると思っていた。
もうみさおの笑顔をみて、幸せな気持ちになれることなんてなくなってしまったんだ。
すべては、失われてゆくものなんだ。
そして失ったとき、こんなにも悲しい思いをする。
323 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:50 ID:Njh2w7m5
それはまるで、悲しみに向かって生きているみたいだ。
悲しみに向かって生きているのなら、この場所に留まっていたい。
ずっと、みさおと一緒にいた場所にいたい。
うあーーーん…
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
324 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:50 ID:Njh2w7m5
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、うあーーーんっ!」
「うー…ごめんな、みさお」
「うぐっ…うん、わかった…」
325 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:50 ID:KYDVENtY
泣いていない隙間を見つけては、生活をしているようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのところへとあずけられていた。
4月の陽光に映え、緑がきれいな町だった。
でも、それでも、ぼくの涙は乾くことはなかった。
どれだけ涙というものは流し続けられるのだろう。不思議だった。
「泣いてるの…?」
326 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:52 ID:KYDVENtY
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
みずかは。
キミは…。
(………)
長い時間が経ったんだ。
327 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:52 ID:Njh2w7m5
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
駆け抜けるような4ヶ月だった。
そしてぼくは、幸せだったんだ。
(滅びに向かって進んでいるのに…?)
328 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:53 ID:KYDVENtY
どこまでもつづく海を見たことがある。
どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだろう。
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
329 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:53 ID:Njh2w7m5
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
330 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:54 ID:KYDVENtY
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
(でもね、旅立ったんだよ、遠い昔に)
(そうだね。そんな気がするよ)
(でも遠い昔はさっきなんだよ)
331 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:55 ID:Njh2w7m5
違うな…。変わるはずがないんだ。
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
(世界はここまでなんだね…)
ぼくは彼女に言った。
(飽きたら、次の場所へ旅立てばいいんだよ)
332 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:55 ID:Njh2w7m5
(……そうだね)
ヘッドライトがヘッドライトを追ってゆく。
何度も見ている一定の距離感を置いて。
(いや…もう少しここにいるよ)
(そう? そうだね…)
ぼくは体を慣らすように、その光景に身を浸していた。
333 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:55 ID:KYDVENtY
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
334 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:58 ID:KYDVENtY
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
(この下には、何があるんだろうね)
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
335 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:58 ID:Njh2w7m5
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
(…というよりも、今の僕が、海に浮かぶ羊なんだと思う)
海に浮かぶ羊。それは唐突にしっくりくる、たとえだという気がした。
(でも、夢の中ではみんな、空を飛ぶんだよ)
(羊が空を飛ぶのかい)
336 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 22:58 ID:Njh2w7m5
(飛んでもいいと思うけどな)
(それはたぶん滑稽だよ。似合わない…)
(…羊たちは、自分の立場をわきまえた上で、海を選ぶんだ)
(それも自分の比喩…?)
(………)
(…少し言い過ぎたかな)
337 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:02 ID:KYDVENtY
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
tes
339 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:02 ID:Njh2w7m5
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
ぼくは海を越えて、知らない街で暮らすことになるんだ。
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
340 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:04 ID:KYDVENtY
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
この世界の存在を受け止めたうえで、あの場所に居残れるんじゃないかと、思っていたんだ。
でもダメだった。
(そんなことわざわざ言って欲しくないよ…)
341 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:07 ID:KYDVENtY
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
342 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:08 ID:Njh2w7m5
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、おかあさーーんっ!」
「どうしたの、みさお」
「お兄ちゃんが、蹴ったぁーーっ!」
「浩平、あんた、またっ」
343 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:08 ID:Njh2w7m5
「ちがうよ、遊んでただけだよ。真空飛び膝蹴りごっこして遊んでたんだ」
「そんなのごっこ、なんて言わないのっ! あんた前は、水平チョップごっことか言って、泣かしたばっかじゃないのっ」
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
「ばかな理屈こねてないで、謝りなさい、みさおに」
「うあーーんっ!」
「うー…みさおぉ…ごめんな」
344 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:11 ID:KYDVENtY
ぼくの父親参観とは、そんな感じでくり返されてゆくのだ。
でもみさおには、男としての愛情を与えてやりたいとつねづね思っているぼくにしてみれば、ぼくと同じような、
『ちょっと居心地の悪い授業でした』という感想で終わらしてやりたくなかった。
だから、一大作戦をぼくは企てたのだ。
「みさお、ぼくがでてやるよ」
「お兄ちゃんって、あいかわらずバカだよね」
345 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:11 ID:Njh2w7m5
「空き缶を足の下にしこむ」
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
「だいじょうぶ。うまくやってみせるよ」
「ほんとぉ?」
「ああ。だから、次の父親参観日は楽しみにしてろよ」
「うんっ」
347 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:13 ID:KYDVENtY
「そうだね…」
「おまえ、いつも腹出して寝てるからだぞ。気づいたときは直してやってるけど、毎日はさすがに直してやれないよ」
「うん、でも、お腹に落書きするのはやめてよ。まえも身体検査のとき笑われたよ」
ぼくはいつも、油性マジックでみさおのお腹に落書きしてから布団をなおしてやるので、みさおのお腹はいつでも、笑ったり、泣いたり、怒ったりしていた。
「だったら、寝相をよくしろ」
「うん。そうだね」
349 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:14 ID:KYDVENtY
「本? こんな字ばっかのが、おもしろいわけないだろ。やせ我慢をするな」
「ぜんぜんがまんなんかしてないよ。ほんと、おもしろいんだよ」
「というわけでだな、これをやろう」
ぼくは隠しもっていた、おもちゃをみさおに突きつけた。
「なにこれ」
「カメレオンだ」
350 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:15 ID:Njh2w7m5
確かにベッドで過ごしているみさおからすれば、平らな机などは、手の届かない遠い場所だ。
「あ、でも大丈夫だよ。こうやって手のひら使えば…」
ころころ。
「お、みさお、頭いいな。でも少し爽快感がないけどな」
「そんな舌が素早くぺろぺろ動いたって、そうかいじゃないよ。これぐらいがちょうどいいんだよ」
ころころ。
351 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:15 ID:Njh2w7m5
「そうだな」
「お兄ちゃん、ありがとね」
「まったく、こんなくだらない本ばっかでよんで暮らすおまえが、見るにたえなかったからな。よかったよ」
「うん。これで、退屈しないですむよ」
しかし話しに聞いていたのとは違って、みさおの病院生活は、いつまでも続いていた。
一度、大きな手術があって、後から知ったのだけど、その時みさおのお腹は、みさおのお腹でなくなったらしい。
>>349 カメレオン〜!?あっはははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
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はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははは
353 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:18 ID:KYDVENtY
「え…? みさおか?」
「うん、みさおだよ」
みさおは、髪の毛がなくなっていた。
「びっくりしたぞ、お兄さんは」
「うん…」
ただでさえ、ここのところやせ細っているというのに、さらに頭がツルツルになっていれば、ぼくだって見間違える。
354 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:19 ID:Njh2w7m5
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
「そうかも」
喋りながら、ころころとカメレオンのおもちゃを手のひらで転がしていた。
ぺろぺろと舌が出たり入ったりするのを、みさおはくぼんだ目で、見つめていた。
ぼくはみさおには絶対に、苦しいか、とか、辛いか、とか聞かないことにしていた。
355 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:20 ID:KYDVENtY
そう思っていた。
年が明け、みさおは、正月も病室で過ごしていた。
ぼくも、こんなにも静かな正月を送ったのは初めてだった。
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
356 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:20 ID:KYDVENtY
「そうか。よかった。どんどんみさおのお腹が取られてゆくようで恐かったんだよ」
「うん。もうしんぱいないよ」
「ほんと、よかったよ」
「うん…」
ころころ。
ふたりが黙り込むと、ただカメレオンを手のひらで転がす音だけが聞こえてくる。
357 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:24 ID:Njh2w7m5
静かに目を閉じる、みさお。
手には舌を突きだしたままのカメレオンを握ったままだった。
恐いくらいに静まり返る室内。
「………」
「…みさおー」
………。
358 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:25 ID:KYDVENtY
「いや、寝ちゃったかなと思って」
「うん…寝ちゃってたよ。どうしたの?」
「ううん、なんでもない。起こしてわるかったな」
「うん…おやすみ」
「おやすみ」
月がまた変わった。
359 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:25 ID:Njh2w7m5
………。
ころころ。
「………」
「おにいちゃん…」
「うん、なんだ?」
「ちちおや参観日にしようよ、今日…」
360 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:25 ID:Njh2w7m5
「今日…?」
「うん、今日…」
「場所は?」
「ここ…」
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
361 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:25 ID:KYDVENtY
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
スーツを着て、ネクタイをしめ、足の下に缶をしこんだ。
そして油性マジックで、髭をかいて、完成した。
カンカンカンッ!と、甲高い音をたてながら、みさおの部屋まで向かう。
ドアの前にたち、そしてノックをする。
ノックより歩く音のほうが大きかった。
362 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:26 ID:KYDVENtY
「みさおー」
ドアを開けて中に入る。
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
363 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:29 ID:KYDVENtY
「いたいよ、おにいちゃんっ…いたいよぉっ…」
カメレオンを握る手を、その上から握る。
「だいじょうぶだぞ。ほら、こうしていれば、痛みはひいてくから」
「はぁっ…あぅっ…お、おにいちゃん…」
「どうした? お兄ちゃんはここにいるぞ」
「うんっ…ありがとう、おにいちゃん…」
364 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:29 ID:Njh2w7m5
ぼくは、みさおにとっていい兄であり続けたと思っていた。
そう思いたかった。
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
そのせいか、すべての音や感情をも、かき消されたような、静かな葬儀だった。
冷めた目で、みさおの収まる棺を見ていた。
365 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:30 ID:Njh2w7m5
悲しみに向かって生きているのなら、この場所に留まっていたい。
ずっと、みさおと一緒にいた場所にいたい。
うあーーーん…
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
366 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:31 ID:Njh2w7m5
晴れた日、曇りの日、小雨がぱらつく日…。
泣くぼくの隣には、彼女がいた。
「いつになったら、あそべるのかな」
毎日のように泣き伏すぼくを見つけては、話しかけてくる。
ぼくは口を開いたことがなかった。開いたとしても、嗚咽を漏らしただけだ。
もう空っぽの存在。亡骸だった。
367 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:32 ID:KYDVENtY
「どうして…?」
「悲しいことがあったんだ…」
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
そんな思いが、言葉で伝わるとは思わなかった。
でも、彼女は言った。
368 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:32 ID:KYDVENtY
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
369 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:40 ID:Njh2w7m5
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
370 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:40 ID:KYDVENtY
(次はどこにいこうか)
(大丈夫。あたしはどこだってついていくよ。ずっとね)
(そうだね)
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
371 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:41 ID:Njh2w7m5
(やり方を教えてくれよ)
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
372 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:41 ID:Njh2w7m5
すぐ耳の後ろで声。
(見えるよ)
(ゆっくりと動いてるよね)
(そうだね。動いている)
(あれは、何に押されて動いてるのかな)
(風)
373 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:42 ID:KYDVENtY
(大地がないから、羊はみんな落下してゆくよ)
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
374 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:45 ID:KYDVENtY
つまりは僕は、自分の立場をわきまえてこの世界を選んだのだと。
それはこの世界を蔑んでいることになる。
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
375 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:47 ID:Njh2w7m5
どこへ向かって泣けばいいのだろう。
なにを思って泣けばいいのだろう。
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
そんなことをする気にすらならない。
376 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:48 ID:KYDVENtY
選択肢のない袋小路だった。
つまりそれは、終わりだ。
それを自分でも気づかないうちに心のどこかで悟っていたから、こんなにも空虚だったんだ。
空虚だったんだ。
帰り道…
(ん…?)
377 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:48 ID:Njh2w7m5
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
ぼくは海を越えて、知らない街で暮らすことになるんだ。
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
ほんとうの温もりはそこにあるはずだったんだからね。
378 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:49 ID:Njh2w7m5
(………)
(…それは、今のあなたのことなのかな)
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
379 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:49 ID:KYDVENtY
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
380 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:52 ID:KYDVENtY
ぼくだって、まるで影絵のようにしか覚えていない。
動いてはいるのだけど、顔なんてまるではんぜんとしない。
そんなだったから、みさおには、男としての愛情(自分でいっておいて、照れてしまうけど)を、与えてやりたいとつねづね思っていた。
父親参観日というものがある。
それは父親が、じぶんの子供が授業を受ける様を、どれ、どんなものなのかとのぞきに来る日のことだ。
ぼくだって、もちろん父親に来てもらったことなんてない。
381 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:54 ID:Njh2w7m5
「ぜんぜんがまんなんかしてないよ。ほんと、おもしろいんだよ」
「というわけでだな、これをやろう」
ぼくは隠しもっていた、おもちゃをみさおに突きつけた。
「なにこれ」
「カメレオンだ」
「見たらわかるけど…」
382 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:55 ID:KYDVENtY
「あ、でも大丈夫だよ。こうやって手のひら使えば…」
ころころ。
「お、みさお、頭いいな。でも少し爽快感がないけどな」
「そんな舌が素早くぺろぺろ動いたって、そうかいじゃないよ。これぐらいがちょうどいいんだよ」
ころころ。
「そうだな」
383 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:56 ID:Njh2w7m5
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
「そうかも」
喋りながら、ころころとカメレオンのおもちゃを手のひらで転がしていた。
ぺろぺろと舌が出たり入ったりするのを、みさおはくぼんだ目で、見つめていた。
ぼくはみさおには絶対に、苦しいか、とか、辛いか、とか聞かないことにしていた。
聞けば、みさおは絶対に、ううん、と首を横に振るに違いなかったからだ。
384 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:56 ID:Njh2w7m5
気を使わせたくなかった。
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
そう思っていた。
385 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/27 23:56 ID:KYDVENtY
時間はあのときから止まっていた。
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
そのときを機に、みさおは父親参観日のことをよく口にするようになった。
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
386 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:04 ID:LE2o0UFp
………。
ころころ…。
「………」
「うー…」
「みさおっ?」
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
387 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:04 ID:LE2o0UFp
なんてこっけいなんだろう。
こんなに妹が苦しんでるときに、ぼくがしていることとは、一番離れた場所で、ただ立って見ていることだなんて。
………。
「はーっ…あぅっ……」
………。
カメレオンの舌が動きをとめた。
388 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:05 ID:enoZXQ55
そして、ついにみさおの口からその言葉が漏れた。
「はぁぅっ…くるしいっ…くるしいよ、おにいちゃんっ…」
だからぼくは、走った。
足の下の缶がじゃまで、ころびながら、みさおの元へ駆けつけた。
「みさお、だいじょうぶだぞ。お兄ちゃんがそばにいるからな」
「いたいよ、おにいちゃんっ…いたいよぉっ…」
389 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:05 ID:enoZXQ55
カメレオンを握る手を、その上から握る。
「だいじょうぶだぞ。ほら、こうしていれば、痛みはひいてくから」
「はぁっ…あぅっ…お、おにいちゃん…」
「どうした? お兄ちゃんはここにいるぞ」
「うんっ…ありがとう、おにいちゃん…」
ぼくは、みさおにとっていい兄であり続けたと思っていた。
390 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:06 ID:enoZXQ55
ぼくはひとりになってしまったことを、痛みとしてひしひしと感じていた。
そして、ひとりになって、みさおがいつも手のひらでころころと転がしていたカメレオンのおもちゃを見たとき、
せきを切ったようにして、ぼくの目から涙がこぼれだした。
こんな悲しいことが待っていることを、ぼくは知らずに生きていた。
ずっと、みさおと一緒にいられると思っていた。
ずっと、みさおはぼくのことを、お兄ちゃんと呼んで、
391 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:07 ID:LE2o0UFp
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、うあーーーんっ!」
「うー…ごめんな、みさお」
「うぐっ…うん、わかった…」
よしよし、と頭を撫でる。
「いい子だな、みさおは」
392 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:09 ID:Zuzu9lrh
>>コピペ
自分自身でも今でも信じられないんですが実話です。
タイに観光で滞在していたときに成り行きで8才位の子供とSEXをしてしまいまし
た。
夕方に遺跡公園周辺で写真をとっていたとき、朝からしつこく物乞いをしてくる少
女がいたんです。自分自身は無視をしていたんですがあまりに付いてくるので50
0バーツほどの小銭(あとになって地元では大金だったと言う事に気が付いた)を
渡すと意味のわからない言葉を喋り、自分の手を引っ張りながら人目につかないと
ころに連れていかれました。意味不明なままちょうど観光客から死角になる部分に
付くと、いきなり少女が自分の少し砂で汚れたTシャツとスカートを脱ぎだし、自
分は「ノー プリーズ」意味不明な英語で脱ぐのを止めさせようとしたんですが。
既にパンツを下ろしかけていて綺麗な割れ目を見てしまいモラルや倫理も全て吹っ
飛んで舌で性器を舐め続けてしまいました。さすがに中に入れる事は躊躇われまし
たが性器を指で広げまだ犯されていない白濁色の処女膜をもうどうでもよくなり、
何度も愛撫をしながらSEXをしました。
し終った後、気が付くとブロックの地面に血が少女の性器から滴り落ちていたので
さすがに嫌悪感を抱きましたが。
これが自分の初めてのSEXでした・・(多少グロイ部分は省いてます)
(このあと少女の家 ・・というよりダンボール小屋に連れて行かれて3〜4日位
一緒にすごしました。もちろんSEXをしながら、ちなみにお金はその初めにあげ
た500バーツだけです)
393 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:15 ID:LE2o0UFp
消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
394 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:15 ID:LE2o0UFp
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
駆け抜けるような4ヶ月だった。
そしてぼくは、幸せだったんだ。
(滅びに向かって進んでいるのに…?)
いや、だからこそなんだよ。
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
395 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:16 ID:enoZXQ55
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
396 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:16 ID:enoZXQ55
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
397 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:16 ID:enoZXQ55
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
398 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:16 ID:LE2o0UFp
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
微かな音がした。
399 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:24 ID:LE2o0UFp
(風は、雲を運んで…ずっと遠くまで運んでゆくんだよ…)
(…世界の果てまでね)
(………)
草の匂いが、鼻の奥を刺した。
それは風に運ばれてきた匂いだ。
(きたよ…風…)
400 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:29 ID:LE2o0UFp
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
401 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:41 ID:LE2o0UFp
(この下には、何があるんだろうね)
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
(大地がないから、羊はみんな落下してゆくよ)
402 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:41 ID:LE2o0UFp
(そう、よかった)
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
403 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:42 ID:LE2o0UFp
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
404 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:51 ID:LE2o0UFp
(…というよりも、今の僕が、海に浮かぶ羊なんだと思う)
海に浮かぶ羊。それは唐突にしっくりくる、たとえだという気がした。
(でも、夢の中ではみんな、空を飛ぶんだよ)
(羊が空を飛ぶのかい)
(飛んでもいいと思うけどな)
(それはたぶん滑稽だよ。似合わない…)
405 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:51 ID:LE2o0UFp
(…羊たちは、自分の立場をわきまえた上で、海を選ぶんだ)
(それも自分の比喩…?)
(………)
(…少し言い過ぎたかな)
(ううん、気にしてないけど…)
つまりは僕は、自分の立場をわきまえてこの世界を選んだのだと。
406 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 00:51 ID:LE2o0UFp
それはこの世界を蔑んでいることになる。
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
407 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:03 ID:LE2o0UFp
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
たとえば泣きたいときがある。
どこへ向かって泣けばいいのだろう。
408 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:03 ID:LE2o0UFp
なにを思って泣けばいいのだろう。
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
そんなことをする気にすらならない。
それが幸せなのだろうか…。
409 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:03 ID:LE2o0UFp
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
選択肢のない袋小路だった。
411 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:19 ID:LE2o0UFp
つまりそれは、終わりだ。
それを自分でも気づかないうちに心のどこかで悟っていたから、こんなにも空虚だったんだ。
空虚だったんだ。
帰り道…
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
412 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:19 ID:LE2o0UFp
(そう…?)
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
413 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:19 ID:LE2o0UFp
ぼくは海を越えて、知らない街で暮らすことになるんだ。
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
ほんとうの温もりはそこにあるはずだったんだからね。
(………)
414 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:31 ID:LE2o0UFp
(…それは、今のあなたのことなのかな)
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
415 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:31 ID:LE2o0UFp
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
この世界の存在を受け止めたうえで、あの場所に居残れるんじゃないかと、思っていたんだ。
でもダメだった。
(そんなことわざわざ言って欲しくないよ…)
ただね、もっとあのとき頑張っていれば、ほんとうに自分をあの場所に繋ぎ止められたのか、それが知りたかったんだ。
(どうして?)
416 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:31 ID:LE2o0UFp
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
417 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:44 ID:LE2o0UFp
(うん…)
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
(この世界は終わらないよ)
(だって、すでに終わっているんだから)
418 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:44 ID:LE2o0UFp
また、ぼくはこんな場所にいる…。
悲しい場所だ…。
ちがう
もうぼくは知ってるんだ。
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
419 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 01:45 ID:LE2o0UFp
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
420 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:00 ID:LE2o0UFp
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
………。
……。
…。
421 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:00 ID:LE2o0UFp
うあーーーん…
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
422 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:00 ID:LE2o0UFp
「うあーーーーん、おかあさーーんっ!」
「どうしたの、みさお」
「お兄ちゃんが、蹴ったぁーーっ!」
「浩平、あんた、またっ」
「ちがうよ、遊んでただけだよ。真空飛び膝蹴りごっこして遊んでたんだ」
「そんなのごっこ、なんて言わないのっ! あんた前は、水平チョップごっことか言って、泣かしたばっかじゃないのっ」
423 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:08 ID:LE2o0UFp
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
「ばかな理屈こねてないで、謝りなさい、みさおに」
「うあーーんっ!」
「うー…みさおぉ…ごめんな」
「ぐすっ…うん、わかった…」
「よし、いい子だな、みさおは」
424 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:09 ID:LE2o0UFp
「浩平、あんたが言わないのっ!」
じっさいみさおが泣きやむのが早いのは、べつに性分からじゃないと思う。
ぼくが、ほんとうのところ、みさおにとってはいい兄であり続けていたからだ。
そう思いたい。
母子家庭であったから、みさおはずっと父さんの存在を知らなかった。
ぼくだって、まるで影絵のようにしか覚えていない。
425 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:11 ID:LE2o0UFp
動いてはいるのだけど、顔なんてまるではんぜんとしない。
そんなだったから、みさおには、男としての愛情(自分でいっておいて、照れてしまうけど)を、与えてやりたいとつねづね思っていた。
父親参観日というものがある。
それは父親が、じぶんの子供が授業を受ける様を、どれ、どんなものなのかとのぞきに来る日のことだ。
ぼくだって、もちろん父親に来てもらったことなんてない。
でもまわりの連中を見ていると、なんだかこそばゆいながらも、うれしそうな顔をしてたりする。
426 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:26 ID:LE2o0UFp
どんな頭がうすくても、それは来てくれたらうれしいものらしかった。
しかしそのうれしさというものは、ぼくにとっては、えいえんの謎ということになる。
きっと、たぶん、二度と父親なんて存在はもてないからだ。
振り返ったとしても、そこには知った顔はなく、ただ誰かから見られているという実感だけがわく、ちょっと居心地の悪い授業でしかない。
ぼくの父親参観とは、そんな感じでくり返されてゆくのだ。
でもみさおには、男としての愛情を与えてやりたいとつねづね思っているぼくにしてみれば、ぼくと同じような、
427 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:26 ID:LE2o0UFp
『ちょっと居心地の悪い授業でした』という感想で終わらしてやりたくなかった。
だから、一大作戦をぼくは企てたのだ。
「みさお、ぼくがでてやるよ」
「お兄ちゃんって、あいかわらずバカだよね」
「バカとは、なんだ、このやろーっ!」
「イタイ、イタイよぉーっ、お兄ちゃんっ!」
428 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:29 ID:LE2o0UFp
アイアンクローごっこで少し遊んでやる。最近のお気に入りだ。
「はぅぅっ…だって、お兄ちゃん、大人じゃないもん」
「そんなものは変装すればだいじょうぶだ」
「背がひくすぎるよ」
「空き缶を足の下にしこむ」
「そんな漫画みたいにうまくいかないよぉ、ばれるよぉ」
429 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:48 ID:LE2o0UFp
「だいじょうぶ。うまくやってみせるよ」
「ほんとぉ?」
「ああ。だから、次の父親参観日は楽しみにしてろよ」
「うんっ」
初めはバカにしていたみさおだったが、最後は笑顔だった。
みさおの笑顔は、好きだったから、うれしかった。
430 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:49 ID:LE2o0UFp
そして来月の父親参観日が、ぼくにとっても待ち遠しいものになった。
みさおが病気になったのは、そろそろ変装道具をそろえなきゃな、と思い始めた頃だった。
ちょっと治すのに時間がかかるらしく、病院のベッドでみさおは過ごすことになった。
「バカだな、おまえ。こんなときに病気になって」
「そうだね…」
「おまえ、いつも腹出して寝てるからだぞ。気づいたときは直してやってるけど、毎日はさすがに直してやれないよ」
431 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 02:52 ID:LE2o0UFp
「うん、でも、お腹に落書きするのはやめてよ。まえも身体検査のとき笑われたよ」
ぼくはいつも、油性マジックでみさおのお腹に落書きしてから布団をなおしてやるので、みさおのお腹はいつでも、笑ったり、泣いたり、怒ったりしていた。
「だったら、寝相をよくしろ」
「うん。そうだね」
みさおの邪魔そうな前髪を掻き上げてやりながら、窓の外に目をやると、自然の多く残る町の風景が見渡せた。
そして、秋が終わろうとしていた。
432 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:00 ID:LE2o0UFp
「みさおー」
「あ、お兄ちゃん。どうしたの、こんな時間に」
「みさお、退屈してると思ってな」
「ううん、だいじょうぶだよ。本、いっぱいあるから、よんでるよ」
「本? こんな字ばっかのが、おもしろいわけないだろ。やせ我慢をするな」
「ぜんぜんがまんなんかしてないよ。ほんと、おもしろいんだよ」
433 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:09 ID:LE2o0UFp
「というわけでだな、これをやろう」
ぼくは隠しもっていた、おもちゃをみさおに突きつけた。
「なにこれ」
「カメレオンだ」
「見たらわかるけど…」
プラスチックでできたおもちゃで、お腹の部分にローラーがついていて、それが開いた口から飛び出た舌と連動している。
434 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:11 ID:LE2o0UFp
「みろ、平らなところにつけて、こうやって押してやると、舌がぺろぺろ出たり入ったりする」
「わぁ、おもしろいね。でも、平らなところがないよ」
「なにっ?」
言われてから気づいた。
確かにベッドで過ごしているみさおからすれば、平らな机などは、手の届かない遠い場所だ。
「あ、でも大丈夫だよ。こうやって手のひら使えば…」
435 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:12 ID:LE2o0UFp
ころころ。
「お、みさお、頭いいな。でも少し爽快感がないけどな」
「そんな舌が素早くぺろぺろ動いたって、そうかいじゃないよ。これぐらいがちょうどいいんだよ」
ころころ。
「そうだな」
「お兄ちゃん、ありがとね」
sage
437 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:22 ID:LE2o0UFp
「まったく、こんなくだらない本ばっかでよんで暮らすおまえが、見るにたえなかったからな。よかったよ」
「うん。これで、退屈しないですむよ」
しかし話しに聞いていたのとは違って、みさおの病院生活は、いつまでも続いていた。
一度、大きな手術があって、後から知ったのだけど、その時みさおのお腹は、みさおのお腹でなくなったらしい。
そして、そのころから母さんは病院よりも、ちがう場所に入りびたるようになっていた。
どこかはよくしらない。
438 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:35 ID:LE2o0UFp
ときたま現れると、ぼくたちが理解できないようなわけのわからないことを言って、満足したように帰ってゆく。
『せっぽう』とか言っていた。どんな漢字を書くかはしらない。
「わ、病室まちがえたっ!」
「合ってるよ、お兄ちゃん」
「え…? みさおか?」
「うん、みさおだよ」
439 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:36 ID:LE2o0UFp
みさおは、髪の毛がなくなっていた。
「びっくりしたぞ、お兄さんは」
「うん…」
ただでさえ、ここのところやせ細っているというのに、さらに頭がツルツルになっていれば、ぼくだって見間違える。
そのくらい、みさおは姿が変わってしまっていた。
「やっぱり、お腹がなくなったから、体重減っちゃったのか?」
440 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:38 ID:LE2o0UFp
「そうかも」
喋りながら、ころころとカメレオンのおもちゃを手のひらで転がしていた。
ぺろぺろと舌が出たり入ったりするのを、みさおはくぼんだ目で、見つめていた。
ぼくはみさおには絶対に、苦しいか、とか、辛いか、とか聞かないことにしていた。
聞けば、みさおは絶対に、ううん、と首を横に振るに違いなかったからだ。
気を使わせたくなかった。
441 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:47 ID:LE2o0UFp
だから、聞かなかった。
ほんとうに苦しかったり、辛かったりしたら、自分から言いだすだろう。
そのとき、なぐさめてやればいい。
元気づけてやればいい。
そう思っていた。
年が明け、みさおは、正月も病室で過ごしていた。
442 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:57 ID:LE2o0UFp
ぼくも、こんなにも静かな正月を送ったのは初めてだった。
「みさおは、今年の願い事はなんだ?」
「もちろん元気になることだよ。それで、お兄ちゃんがきてくれる、ちちおや参観日をむかえるの」
「そうだな。去年は無理だったもんな」
「うん。今年こそはきてもらうよ」
時間はあのときから止まっていた。
443 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 03:58 ID:LE2o0UFp
そろえ始めていた変装道具も、中途はんぱなままで、部屋に置いてある。
進んでいるのは、みさおのやせる病状だけに思えた。
そのときを機に、みさおは父親参観日のことをよく口にするようになった。
ぼくも、今年こそはと、強く思うようになっていった。
正月も終わり、街並みが元通りの様相に戻ってゆく。
でも、みさおの過ごす部屋だけは、ずっと変わらなかった。
444 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:00 ID:LE2o0UFp
「みさおー」
「お兄ちゃん、また、こんな時間に…」
「また手術するって聞いて、きたんだよ。また、どこか取るのか?」
「ううん…。その手術はしないことになったよ」
「そうか。よかった。どんどんみさおのお腹が取られてゆくようで恐かったんだよ」
「うん。もうしんぱいないよ」
445 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:14 ID:LE2o0UFp
「ほんと、よかったよ」
「うん…」
ころころ。
ふたりが黙り込むと、ただカメレオンを手のひらで転がす音だけが聞こえてくる。
「おかあさんは、どんな感じ?」
「相変わらずだよ」
446 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:22 ID:LE2o0UFp
「お兄ちゃん、おかあさんのことも心配してあげてね」
「うん、そうだな…」
「じゃあ、そろそろ眠るよ」
「ああ」
静かに目を閉じる、みさお。
手には舌を突きだしたままのカメレオンを握ったままだった。
447 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:22 ID:LE2o0UFp
恐いくらいに静まり返る室内。
「………」
「…みさおー」
………。
「…みさお?」
………。
448 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:26 ID:LE2o0UFp
「みさおっ!」
………。
「みさおーっ! みさおーーっ!」
「…なに、お兄ちゃん」
「いや、寝ちゃったかなと思って」
「うん…寝ちゃってたよ。どうしたの?」
449 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:38 ID:LE2o0UFp
でもぼくひとりが歌をうたって、ぼくひとりがケーキをたべただけだ。
………。
ころころ。
「………」
………。
ころころ。
450 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:42 ID:LE2o0UFp
「場所は?」
「ここ…」
「ほかの子は…?」
「みさおだけ…。ふたりだけの、ちちおや参観日」
「………」
「だめ?」
451 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:44 ID:LE2o0UFp
「よし、わかった。やろう」
「…よかった」
みさおが顔をほころばす。
ぼくは走って家に戻り、変装道具を押し入れから引っぱり出し、それを抱えて病院へと戻った。
病院の廊下で、ぼくはそれらを身につけ、変装をおこなった。
スーツを着て、ネクタイをしめ、足の下に缶をしこんだ。
452 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:45 ID:LE2o0UFp
そして油性マジックで、髭をかいて、完成した。
カンカンカンッ!と、甲高い音をたてながら、みさおの部屋まで向かう。
ドアの前にたち、そしてノックをする。
ノックより歩く音のほうが大きかった。
「みさおー」
ドアを開けて中に入る。
453 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 04:57 ID:LE2o0UFp
………。
「みさおーっ?」
………。
「…みさおーっ?」
「う…おにいちゃん…」
口だけは笑いながらも、顔は歪んでいた。
454 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 05:36 ID:LE2o0UFp
「ちがうぞ、おとうさんだぞ」
みさおが苦しい、辛いと言い出さない限り、ぼくも冷静を装った。
「うん…そだね…」
「じゃあ、見ててやるからな」
ぼくは壁を背にして立ち、ベッドに体を横たえる、みさおを見つめた。
ころころ…。
455 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 05:37 ID:LE2o0UFp
弱々しくカメレオンが舌を出したり、引っ込めたりしている。
ただそんな様子を眺めているだけだ。
………。
ころころ…。
「………」
………。
456 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 05:40 ID:LE2o0UFp
ころころ…。
「………」
「うー…」
「みさおっ?」
「しゃ、しゃべっちゃだめだよぉ…おとうさんは…じっとみてるんだよ…」
「あ、ああ…そうだな」
457 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 05:57 ID:LE2o0UFp
………。
「うー…はぅっ…」
苦しげな息が断続的にもれる。
ぼくはみさおのそんな苦しむ姿を、ただ壁を背にして立って見ているだけだった。
「はっ…あぅぅっ…」
なんてこっけいなんだろう。
458 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 06:36 ID:LE2o0UFp
こんなに妹が苦しんでるときに、ぼくがしていることとは、一番離れた場所で、ただ立って見ていることだなんて。
………。
「はーっ…あぅっ……」
………。
カメレオンの舌が動きをとめた。
そして、ついにみさおの口からその言葉が漏れた。
459 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 06:37 ID:LE2o0UFp
「はぁぅっ…くるしいっ…くるしいよ、おにいちゃんっ…」
だからぼくは、走った。
足の下の缶がじゃまで、ころびながら、みさおの元へ駆けつけた。
「みさお、だいじょうぶだぞ。お兄ちゃんがそばにいるからな」
「いたいよ、おにいちゃんっ…いたいよぉっ…」
カメレオンを握る手を、その上から握る。
こうへいはザオリクをとなえた
みさおはいきかえった
よかったね
-完-
461 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 06:50 ID:LE2o0UFp
「だいじょうぶだぞ。ほら、こうしていれば、痛みはひいてくから」
「はぁっ…あぅっ…お、おにいちゃん…」
「どうした? お兄ちゃんはここにいるぞ」
「うんっ…ありがとう、おにいちゃん…」
ぼくは、みさおにとっていい兄であり続けたと思っていた。
そう思いたかった。
test
463 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:14 ID:LE2o0UFp
そして最後の感謝の言葉は、そのことに対してのものだと、思いたかった。
みさおの葬儀は、一日中降り続く雨の中でおこなわれた。
そのせいか、すべての音や感情をも、かき消されたような、静かな葬儀だった。
冷めた目で、みさおの収まる棺を見ていた。
母さんは最後まで姿を見せなかった。
ぼくはひとりになってしまったことを、痛みとしてひしひしと感じていた。
464 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:16 ID:LE2o0UFp
そして、ひとりになって、みさおがいつも手のひらでころころと転がしていたカメレオンのおもちゃを見たとき、
せきを切ったようにして、ぼくの目から涙がこぼれだした。
こんな悲しいことが待っていることを、ぼくは知らずに生きていた。
ずっと、みさおと一緒にいられると思っていた。
ずっと、みさおはぼくのことを、お兄ちゃんと呼んで、
そしてずっと、このカメレオンのおもちゃで遊んでいてくれると思っていた。
465 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:17 ID:b7UHrnaV
466 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:17 ID:LE2o0UFp
もうみさおの笑顔をみて、幸せな気持ちになれることなんてなくなってしまったんだ。
すべては、失われてゆくものなんだ。
そして失ったとき、こんなにも悲しい思いをする。
それはまるで、悲しみに向かって生きているみたいだ。
悲しみに向かって生きているのなら、この場所に留まっていたい。
ずっと、みさおと一緒にいた場所にいたい。
467 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:18 ID:LE2o0UFp
うあーーーん…
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
468 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:33 ID:LE2o0UFp
「うあーーーーん、うあーーーんっ!」
「うー…ごめんな、みさお」
「うぐっ…うん、わかった…」
よしよし、と頭を撫でる。
「いい子だな、みさおは」
「うんっ」
469 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:37 ID:LE2o0UFp
ぼくは、そんな幸せだった時にずっといたい。
それだけだ…。
あの日から、ぼくは泣くことが多かった。
泣いていない隙間を見つけては、生活をしているようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのところへとあずけられていた。
4月の陽光に映え、緑がきれいな町だった。
470 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:41 ID:LE2o0UFp
でも、それでも、ぼくの涙は乾くことはなかった。
どれだけ涙というものは流し続けられるのだろう。不思議だった。
「泣いてるの…?」
そしてその町で、最初に泣いているぼくをみつけたのがその女の子だった。
晴れた日、曇りの日、小雨がぱらつく日…。
泣くぼくの隣には、彼女がいた。
471 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 07:53 ID:LE2o0UFp
「いつになったら、あそべるのかな」
毎日のように泣き伏すぼくを見つけては、話しかけてくる。
ぼくは口を開いたことがなかった。開いたとしても、嗚咽を漏らしただけだ。
もう空っぽの存在。亡骸だった。
それにもかかわらず、彼女はそこに居続けた。
いったい、その子が何を待っているのか、ぼくにはわからなかった。
472 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:04 ID:LE2o0UFp
「…きみは何を待っているの」
初めて、ぼくは話しかけた。
「キミが泣きやむの。いっしょにあそびたいから」
「ぼくは泣きやまない。ずっと泣き続けて、生きるんだ」
「どうして…?」
「悲しいことがあったんだ…」
473 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:17 ID:LE2o0UFp
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
そんな思いが、言葉で伝わるとは思わなかった。
でも、彼女は言った。
「永遠はあるよ」
そしてぼくの両頬は、その女の子の手の中にあった。
474 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:20 ID:LE2o0UFp
「ずっと、わたしがいっしょに居てあげるよ、これからは」
言って、ちょんとぼくの口に、その女の子は口をあてた。
永遠の盟約。
永遠の盟約だ。
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
いらなかったんだ、そんなもの。
2get
476 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:24 ID:LE2o0UFp
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
みずかは。
477 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:39 ID:EkHLnGj3
まさしく、厨房スレ。
478 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:39 ID:LE2o0UFp
キミは…。
(………)
長い時間が経ったんだ。
いろいろな人と出会って、いろいろな日々に生きたんだ。
ぼくはあれから強くなったし、泣いてばかりじゃなくなった。
消えていなくなるまでの4ヶ月の間、それに抗うようにして、ぼくはいろんな出会いをした。
479 :
bloom:03/01/28 08:50 ID:J+FHOcgm
480 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 08:51 ID:LE2o0UFp
乙女を夢見ては、失敗ばかりの女の子。
光を失っても笑顔を失わなかった先輩。
ただ一途に何かを待ち続けているクラスメイト。
言葉なんか喋れなくても精一杯気持ちを伝える後輩。
大人になろうと頑張り始めた泣き虫の子。
そして、そこでも、ずっとそばにいてくれたキミ。
481 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:00 ID:LE2o0UFp
駆け抜けるような4ヶ月だった。
そしてぼくは、幸せだったんだ。
(滅びに向かって進んでいるのに…?)
いや、だからこそなんだよ。
それを、知っていたからぼくはこんなにも悲しいんだよ。
滅びに向かうからこそ、すべてはかけがえのない瞬間だってことを。
482 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:05 ID:LE2o0UFp
こんな永遠なんて、もういらなかった。
だからこそ、あのときぼくは絆を求めたはずだったんだ。
…オレは。
どこまでもつづく海を見たことがある。
どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだろう。
そのまっただ中に放り出された自分を想像してみる。
483 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:31 ID:LE2o0UFp
手をのばそうとも掴めるものはない。
あがこうとも、触れるものもない。
四肢をのばしても、何にも届かない。
水平線しかない、世界。
そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。
そしてその世界には、向かえる場所もなく、訪れる時間もない。
484 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:39 ID:LE2o0UFp
でもそれは絶望ではなかった。
あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。
大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。
だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平線に思いを馳せたものだった。
虚無…。
意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、虚無のそんざいだった。
485 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:40 ID:LE2o0UFp
あって、ない。
でもそこへ、いつしかぼくは旅だっていたのだ。
夕日に赤く染まる世界。
静止した世界。
べつに光景が止まっているわけじゃない。
光は動いているし、バイクの加速してゆくエンジン音だって聞こえる。
486 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 09:51 ID:LE2o0UFp
静止していたのは、それを見ている自分の世界だった。
真夜中、誰もが寝静まった中、遠くに犬の遠吠えや、バイクのエンジン音を聴くのに似ている。
そういうとき、ぼくは属する世界が違うという違和感を覚えるものだった。
聞こえるのだけど、そこにはたどり着けない。
永遠、たどり着けない。
どれだけ歩いていっても、あの赤く染まった世界にはたどり着けないのだ。
487 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 10:09 ID:LE2o0UFp
それがわかっていた。
そこには暖かな人々の生活がある。
でもそこにはたどり着けないのだ。ぼくは。
ころころ…。
微かな音がした。
それは確かにこちら側の音だ。
何の語りだよこれは
489 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 10:22 ID:LE2o0UFp
(あそこには帰れないんだろうか、ぼくは)
訊いてみた。
(わかってるんだね、あそこから来たってことが)
(ああ、わかる。でも、ほんとうにあの街のどこかに住んでいたわけじゃない)
(そう。すごいね)
(つまり、あっち側の一部だったってことがわかるんだ)
490 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 10:25 ID:LE2o0UFp
(でもね、旅立ったんだよ、遠い昔に)
(そうだね。そんな気がするよ)
(でも遠い昔はさっきなんだよ)
(それも、そんな気がしてた)
(つまり、言いたいこと…わかる?)
(わかるよ。よくわかる)
491 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 10:37 ID:LE2o0UFp
ずっと、動いている世界を止まっている世界から見ていた。
一分一秒がこれほど長く感じられることなんてなかった。
もどかしいくらいに、空は赤いままだったし、耳から入ってくる音は、変わり映えしなかった。
違うな…。変わるはずがないんだ。
進んでいるようで、進んでいない。メビウスの輪だ。
あるいは回転木馬。リフレインを続ける世界。
492 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 10:56 ID:LE2o0UFp
(いや…もう少しここにいるよ)
(そう? そうだね…)
ぼくは体を慣らすように、その光景に身を浸していた。
急ぐ旅でもない。
ずっと、眺めていた。
また…悲しい風景だ。
493 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:12 ID:LE2o0UFp
(どうしてぼくは、こんなにも、もの悲しい風景を旅してゆくのだろう)
(あたしにはキレイに見えるだけだけど…でも、それが悲しく見えるのなら、やっぱり悲しい風景なんだろうね)
(ひとが存在しない場所だ)
(そうだね)
(ひとが存在しない場所にどうしてぼくは存在しようとするのだろう。もっと、ひとの賑わう町中や、暖かい家の中に存在すればいいのに)
(さあ…よくわかんないけど。でも、あなたの中の風景ってことは確かなんだよ)
494 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:13 ID:LE2o0UFp
(つまりそれは…ぼくの心を風景に置きかえてみたときの姿なんだろうか)
(だったら、少し悲しすぎる…?)
(わからない)
(でも、こんな世界だからこそ、ぼくは求めたんだろうけどね)
帰れない場所。
もう、そこからはどこにもいけない場所。
495 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:18 ID:LE2o0UFp
すべてを断ち切った、孤立した場所にぼくは、ずっと居続けていたいんだ。
そして、そんななにもない、どこにも繋がらない場所で、ぼくはぼくを好きでいてくれるひとだけの存在を、もっと切実に大切に思うのだ。
きみと一緒にいられること。
それはこの世界との引き替えの試練のようであり、また、それこそがこの世界が存在する理由なのだと思う。
(次はどこにいこうか)
(大丈夫。あたしはどこだってついていくよ。ずっとね)
496 :
ぐっちゃん ◆6yD.And.LA :03/01/28 11:23 ID:ZjByGlt8
これ読んでる奴いるの?
497 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:25 ID:LE2o0UFp
(そうだね)
(このままずっと、いけばいいんだね)
(そう。ずっと)
どこまでもいけばいい。ぼくの心の中の深みに。
(ねぇ、たとえば草むらの上に転がって、風を感じるなんてことは、もうできないのかな)
(ううん、そんなことはないと思うよ)
498 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:29 ID:LE2o0UFp
(そうしてみたいんだ。大きな雲を真下から眺めてさ)
(だったらすればいいんだよ。これはあなたの旅なんだから、好きなことをすればいいんだよ)
(でも、どうしたらいいんだろう。ぼくはいつも見える世界の外側だ)
(まだ、難しいのかな。あたしは感じられるよ。草の匂いを帯びた風が)
(やり方を教えてくれよ)
(うーん……じゃあ、手伝うよ)
499 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:29 ID:LE2o0UFp
彼女が僕の背中に回って、そして両腕で僕の体を抱く。
(いい?)
(あ、うん…)
(雲が見えるよね…)
すぐ耳の後ろで声。
(見えるよ)
500 :
????:03/01/28 11:30 ID:Gxd61xeq
何、これはどこかの小説をコピペしているのか?
元の小説を見つけた者に1000000G進呈しよう(嘘
くだらねえ文章。
まず、『赤と黒』や『魔の山』とか、文学作品読みなさい。
糸冬。
502 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:41 ID:LE2o0UFp
(ゆっくりと動いてるよね)
(そうだね。動いている)
(あれは、何に押されて動いてるのかな)
(風)
(そう、風だね…)
(風は、雲を運んで…ずっと遠くまで運んでゆくんだよ…)
読んでないからくだらないかどうかはなんともいえんけど
これはなんなんだ?ってゆう疑問がいっぱいいっぱい
504 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:45 ID:LE2o0UFp
(でも、もう少し手伝っていてほしいな)
(うん、わかったよ)
もう少し、抱かれていたかった。
世界の果てまで届くという風を感じながら。
(空だけの世界…)
(この下には、何があるんだろうね)
505 :
????:03/01/28 11:49 ID:Gxd61xeq
手動? 超低速スクリプトだったりしてw
506 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:49 ID:LE2o0UFp
(なんにもないよ)
(そうかな。あたしは、広大に広がる野に、放し飼いの羊がたくさんいると思うよ)
(いや、ずっと空だけが続いてるんだと思う)
(どうして…? 羊を放し飼いにしておこうよ)
(大地がないから、羊はみんな落下してゆくよ)
(だったら、大地を作ろうよ。新緑の芽生えたばかりの大地)
507 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:50 ID:LE2o0UFp
(いらないよ。海でいい)
(羊は、みんな海に落下してゆくの…?)
(そう。ぼちゃぼちゃと海に落ちる。一面水平線の海。そこでぷかぷかと浮かんで余生を送るんだ)
(でもその羊たちは、みんなあなたなんだよねぇ?)
(そう。僕だよ。無力な羊はぜんぶ僕だ…)
(…というよりも、今の僕が、海に浮かぶ羊なんだと思う)
ずーっと一本の話を続けているのかと思ったら、
同 じ 文 の 繰 り 返 し で し た 。
新手のスクリプト荒らしと見た。
現在、この文の出所を調査中・・・。
509 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 11:53 ID:LE2o0UFp
海に浮かぶ羊。それは唐突にしっくりくる、たとえだという気がした。
(でも、夢の中ではみんな、空を飛ぶんだよ)
(羊が空を飛ぶのかい)
(飛んでもいいと思うけどな)
(それはたぶん滑稽だよ。似合わない…)
(…羊たちは、自分の立場をわきまえた上で、海を選ぶんだ)
いや、違うな・・・。
510が改造で、元ネタはもっと別な「何か」・・・
そう・・・もっと別な、邪悪なものを感じる・・・
512 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:02 ID:LE2o0UFp
(それも自分の比喩…?)
(………)
(…少し言い過ぎたかな)
(ううん、気にしてないけど…)
つまりは僕は、自分の立場をわきまえてこの世界を選んだのだと。
それはこの世界を蔑んでいることになる。
513 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:06 ID:LE2o0UFp
彼女を含むこの世界を。
…気づいているだろうか?
この僕の猜疑心に。
(でも羊たちは、とても泳ぎがうまいんだ)
(ほんとに…?)
(じゃぶじゃぶと波を掻き分けてゆくよ。たぶんね)
514 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:06 ID:LE2o0UFp
(だったらいいよね。空が飛べなくても)
でもたどり着ける島なんて、ないんだ。
ないんだよ。
たとえば泣きたいときがある。
どこへ向かって泣けばいいのだろう。
なにを思って泣けばいいのだろう。
515 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:08 ID:LE2o0UFp
虚無からは幸せは生まれない。
そんな気がしていた。
放り出された海に浮かび、ぼくはなにを泣き叫ぶのだろう。
そんなことをする気にすらならない。
それが幸せなのだろうか…。
空虚は、ぽっかりと胸に空いた穴。
ONE 〜輝く季節へ〜
・・・これだ。これ以外に考えられない。
やはりエロゲーかっ!!
思い出して泣けてきた…次はkanonキボンヌ
ただし別板でお願いします
518 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:12 ID:LE2o0UFp
もう失うこともない。
それが完全な形なのだろうか。
なにも失わない世界にいるぼくは
なにをこんなにも恐れているのだろう。
選択肢のない袋小路だった。
つまりそれは、終わりだ。
>>516 マジで今気付いたんか? 時代は変わったな…
そんで死人禅を毎日行ったんだ
暗闇の中に全てを落としこむ
521 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:13 ID:LE2o0UFp
それを自分でも気づかないうちに心のどこかで悟っていたから、こんなにも空虚だったんだ。
空虚だったんだ。
帰り道…
(ん…?)
帰り道を見ている気がするよ。
(そう…?)
昭和59年
523 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:14 ID:LE2o0UFp
うん。遠く出かけたんだ、その日は。
(うん)
日も暮れて、空を見上げると、それは違う空なんだ。いつもとは。
違う方向に進む人生に続いてるんだ、その空は。
その日、遠出してしまったために、帰りたい場所には帰れなくなってしまう。
ぼくは海を越えて、知らない街で暮らすことになるんだ。
>519 エロゲーとかギャルゲーをやらないのでねぇ。
その筋では有名なのかも知らないけど、微塵も知らなかった。
525 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:16 ID:LE2o0UFp
そしていつしか大きくなって、思う。
幼い日々を送った、自分の生まれた街があったことを。
それはとても悲しいことなんだ。
ほんとうの温もりはそこにあるはずだったんだからね。
(………)
(…それは、今のあなたのことなのかな)
526 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:23 ID:LE2o0UFp
そんなふうに聞こえた…?
(うん…)
ぼくはね、最後まで頑張ったんだ。
(………)
あのとき、頑張って、自分の街に居続けることを願った。
それは別にこの世界を否定しようとしたんじゃない。
527 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:25 ID:LE2o0UFp
この世界の存在を受け止めたうえで、あの場所に居残れるんじゃないかと、思っていたんだ。
でもダメだった。
(そんなことわざわざ言って欲しくないよ…)
ただね、もっとあのとき頑張っていれば、ほんとうに自分をあの場所に繋ぎ止められたのか、それが知りたかったんだ。
(どうして?)
べつに、可能性があったとして、それはここに来ないで済んでいたのか、という話しじゃない。
528 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:26 ID:LE2o0UFp
ただ、もしほんとうにできるんだったら、ぼくの人との絆っていうものがそれだけのものだったのかと、悔しいだけなんだ。
どう思う?
(たぶん…無理だったと思うよ)
(この世界はあなたの中で始まっていたんだから)
やっぱりそうか…。
(うん…)
529 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:27 ID:LE2o0UFp
でも、それが無理でも、この世界を終わらせることはできたかもしれない。
(………)
いや、できる、かもしれない。
(この世界は終わらないよ)
(だって、すでに終わっているんだから)
また、ぼくはこんな場所にいる…。
530 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:34 ID:LE2o0UFp
悲しい場所だ…。
ちがう
もうぼくは知ってるんだ。
だから悲しいんだ。
(悲しい…?)
今さら、キャラメルのおまけなんか、いらなかったんだ。
531 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:37 ID:LE2o0UFp
(たくさんあそべるのに?)
うん。
いらなかったんだ、そんなもの。
(どうして?)
おとなになるってことは、そういうことなんだよ。
(わからないよ)
532 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:38 ID:LE2o0UFp
わからないさ。
だってずっと子供のままだったんだから…
………。
……。
…。
うあーーーん…
533 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:43 ID:LE2o0UFp
うあーーーーーーーんっ!
泣き声が聞こえる。
誰のだ…?
ぼくじゃない…。
そう、いつものとおり、みさおの奴だ。
「うあーーーーん、おかあさーーんっ!」
534 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 12:52 ID:LE2o0UFp
「どうしたの、みさお」
「お兄ちゃんが、蹴ったぁーーっ!」
「浩平、あんた、またっ」
「ちがうよ、遊んでただけだよ。真空飛び膝蹴りごっこして遊んでたんだ」
「そんなのごっこ、なんて言わないのっ! あんた前は、水平チョップごっことか言って、泣かしたばっかじゃないのっ」
「ごっこだよ。本当の真空飛び膝蹴りや水平チョップなんて真似できないくらい切れ味がいいんだよ?」
535 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:04 ID:LE2o0UFp
「ばかな理屈こねてないで、謝りなさい、みさおに」
「うあーーんっ!」
「うー…みさおぉ…ごめんな」
「ぐすっ…うん、わかった…」
「よし、いい子だな、みさおは」
「浩平、あんたが言わないのっ!」
536 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:05 ID:LE2o0UFp
じっさいみさおが泣きやむのが早いのは、べつに性分からじゃないと思う。
ぼくが、ほんとうのところ、みさおにとってはいい兄であり続けていたからだ。
そう思いたい。
母子家庭であったから、みさおはずっと父さんの存在を知らなかった。
ぼくだって、まるで影絵のようにしか覚えていない。
動いてはいるのだけど、顔なんてまるではんぜんとしない。
537 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:14 ID:LE2o0UFp
そんなだったから、みさおには、男としての愛情(自分でいっておいて、照れてしまうけど)を、与えてやりたいとつねづね思っていた。
父親参観日というものがある。
それは父親が、じぶんの子供が授業を受ける様を、どれ、どんなものなのかとのぞきに来る日のことだ。
ぼくだって、もちろん父親に来てもらったことなんてない。
でもまわりの連中を見ていると、なんだかこそばゆいながらも、うれしそうな顔をしてたりする。
どんな頭がうすくても、それは来てくれたらうれしいものらしかった。
538 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:24 ID:LE2o0UFp
【祐一】「………」
【真琴】「………」
【祐一】「…そろそろ始めるかぁ」
【真琴】「………」
【祐一】「おい、真琴。起きてるか?」
【真琴】「………」
539 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:27 ID:LE2o0UFp
【祐一】「うり〜」
俺の胸にあった真琴の頬を人差し指で押し込んでやる。
【真琴】「……?」
ようやく気づいて、真琴が俺の顔を見る。
【祐一】「始めるぞ」
【真琴】「………」
540 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:28 ID:LE2o0UFp
すぐ前の真琴の顔に向かって囁く。
【祐一】「俺たちの結婚式だ」
ウェディングドレス一式なんて、とてもじゃないが、手が出るような値じゃなかった。
だから、俺が真琴に与えられたのは、頭にかぶるベールだけだった。
真琴はそれが何かわかっていない様子だったが、俺が頭に被せてやると、風で飛ばされないようにと手で押さえた。
それだけで充分だった。
541 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:35 ID:LE2o0UFp
参列者は、名雪が作ってくれた雪だるまだけ。
名雪に見られているようで恥ずかしかった。
でもそいつは溶けかけていて、自分のことで精一杯にも見えた。
それでも、そんな振りをして祝福してくれているのだろう。あいつらしかった。
そして俺は寒風に向かって立ち、永遠の祝詞を口ずさむ。
真琴は鼻歌でも聞くように、静かに耳を傾けていた。
542 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:43 ID:LE2o0UFp
これで真琴の願いは成就したと信じた。
最初、俺に憎しみの念を抱いて現れた真琴。
それは俺が一瞬の、人の温もりを与えてしまったためなんだろう。
何も知らなかった、純粋に無垢だったあの頃に。
そして真琴は帰ってきた。
もう一度、人の温もりの中に身を置くことを望んで。
543 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:46 ID:LE2o0UFp
子供のようにはしゃいで、みんなを困らせて…真琴は幸せだっただろうか。
それでも家族で一緒にいて、真琴は幸せだっただろうか。
嫌いな俺なんかといつも一緒にいて、真琴は幸せだっただろうか。
すべては、報われただろうか。
それでも本当はみんな大好きだったことに気づいていれば、幸せなはずだった。
うわべではいがみ合っていても、俺もおまえを大好きだったことに気づいていれば、幸せなはずだった。
544 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:47 ID:LE2o0UFp
でも、おまえはいつだってあまのじゃくだったから…
ちょっとだけ心配だよ、俺は。
【祐一】「真琴」
俺は小さな体を引き寄せて、抱きしめた。
【祐一】「ずっと、いっしょにいような」
びゅうと風が吹きつけ、白いベールが真琴の手から離れ、遠く空へと舞った。
545 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 13:49 ID:LE2o0UFp
【真琴】「あ…」
真琴が小さな声をあげて、手を伸ばした。
でも、もう届かない。
【真琴】「あ…あぅーっ…」
そして泣いた。
ぼろぼろと涙を零し、子供のようにしゃくりあげた。
546 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:00 ID:LE2o0UFp
【祐一】「あーあ…ほら、泣くな、真琴」
【祐一】「ベールなんて、どうでもいいから…」
【祐一】「今日は記念の日なんだからな。めでたい日なんだぞ」
【祐一】「今日から俺たちは、本当の家族なんだからな」
【真琴】「あぅーっ…うぐっ…」
それでも涙は止まない。後から後から溢れ出た。
お次はMOON.で。
って、これ知ってる人いないだろうな…
エロゲーです。
548 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:05 ID:LE2o0UFp
【祐一】「仕方のない奴だな、おまえは…」
【祐一】「ほら、こい。頭、撫でてやるから」
【真琴】「あぅっ…うぐぅーっ…」
地面に腰を下ろして、そして後ろから抱いてやる。
【祐一】「ほら、これで遊ぼうぜ、真琴」
【真琴】「うーっ…」
549 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:06 ID:LE2o0UFp
いつまでも泣きやまない真琴をあやすため、俺はその手首にはまる鈴を指先で転がした。
【祐一】「ちりんちりーん、ってな」
ちりんちりん。
小気味よく、音が転がった。
【真琴】「あぅーっ…」
それへ視線を落とす真琴。
550 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:08 ID:LE2o0UFp
頬の震えが止まった。
【祐一】「ほら、真琴も、ちりんちりんしてみな」
【祐一】「おまえ、そうやって遊ぶのが好きだったろ」
【真琴】「あぅ…」
指先をネコのように丸めて、その鈴を掻いた。
ちりんちりん。
寝るなーっ、真琴!
わかってても叫んでしまう。
それはそうと、やっぱこれって漏れの責任かな?スマソ
どうせなら明日が誕生日の、まいっちの話を投下して欲しかった。
でも
>>547の通り、MOON.のがいいですよ。RPGだし(w
552 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:16 ID:LE2o0UFp
【真琴】「あぅーっ…」
一度鳴らすと、それが鳴り止まないように、何度も何度も指で掻き続けた。
ちりんちりん…ちりんちりん…
熱心な面もちで真琴がそれに耽る。
…ちりんちりん…ちりんちりん…
ちりんちりん…ちりんちりん…
553 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:19 ID:LE2o0UFp
ちりん……ちりん…
【真琴】「………」
やがて、それを子守歌代わりにするようにして、真琴の目が閉じてゆく。
【祐一】「真琴…?」
ちりん…………ちりん…
鈴の鳴る感覚が開いてゆく。
554 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:21 ID:LE2o0UFp
【祐一】「おーい、真琴…」
【真琴】「あぅっ…」
真琴が返事をして、もう一度目を見開いた。
そして、再び鈴を頑張って掻きだす。
ちりんちりん…ちりんちりん…
…ちりんちりん……ちりんちりん…
555 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:26 ID:LE2o0UFp
ちりんちりん……ちりんちりん…
…ちりん………ちりん………
……ちりん…………ちりん……
………………ちりん……
鈴の音が、途切れてゆく。
………。
556 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 14:41 ID:LE2o0UFp
【祐一】「おーい、真琴ぉ…」
【真琴】「………」
【祐一】「寝るなよ、真琴…」
うりうりと、その頬を指で押し込んでやる。
【真琴】「あぅ…」
【祐一】「ほら、鈴で遊ぼうぜ」
557 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/01/28 15:41 ID:a/arG71V
もうやだ
今更
>>1へだが平成世代ですでにこういうとこに書き込んでるなんて引きこもりか?
少し友人同士でコミュニケーションでもしたほうがよろしいかと。
ちなみにオレは昭和
俺S59で、俺の友達の弟が厨1で、そいつが兄の影響で
パソコンをいじりだしてそのままネットにも
入り浸るようになったんだけどかなりキテる。
ずっと家にいるし友達と遊んでるのを見た事がない。
元々人付き合いは苦手なようだったんだけど。
かわいそうだから俺がたまに野球や買い物に誘ったりしてるんだけど
休日は何があってもパソコンの前からはなれん。
アニメオタクとかちょっとヤバイ系なものに走ってないだけ
ましだけどこのままじゃ確実に社会不適合者になる。
兄もずいぶん心配してるようだがもうどうしようもない…。
真琴萌え
おっ、このスレまだあったのか。
S51年生まれでアグ萌えスレとファリス萌えスレに常駐(ROM専)して
ますが何か?
>>562 別にいいじゃん。一応定職についてるしこの板しか見てないわけでもないし。
ただここ1年ほとんどゲーム自体やってないけどね。
>お次はMOON.で。
>って、これ知ってる人いないだろうな…
知ってはいるが、やったことは無いな。
そんな俺は、S57年生まれ。
567 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:03 ID:5DwTTWjk
S48年
568 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:05 ID:5FLt+eZi
(゚θ゚)イヒヒヒヒッ…
569 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:06 ID:5FLt+eZi
松野狂信者のS58っす。
570 :
KING:03/02/20 23:07 ID:Vo67l9Cx
S62年生まれですがなにか?
571 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:11 ID:lLOmkZ3G
S58
572 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/20 23:14 ID:HMnXs7ZW
M36、
こんな俺がユウナタンでシコって悪いか?
573 :
KING:03/02/20 23:16 ID:Vo67l9Cx
悪くない
昭和生まれ大杉
576 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/22 19:55 ID:zZUe3zCW
S61
577 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/22 20:16 ID:5kq6/9M2
平成元年生まれだと今何歳だ?
オラぁ昭和生まれだが。
578 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/22 21:00 ID:petlZT6V
S54
579 :
名前が無い@ただの名無しのようだ:03/02/23 19:37 ID:6ZpFDFsf
だいたい平成生まれがインターネットやってること自体
な ま い き だ
580 :
みかえる ◆gHxfQkwNBM :03/02/23 19:41 ID:+d61D6xe
昭和61年1月27日生まれ。
昭和53年生まれの大学院生でつ。
S58
リア厨で2ちゃんは人生終ってるな。
天正9年生まれ
天保元年の生まれ。
俺の青春時代は食い物がなくて苦労したよ。
大化元年生まれです。当時は大化の改新が(ry
昭和53年です
この板若い奴多かったんだな・・・
昭和57年!!!
昭和40年代前半生まれだが。
つうか20越えの人に聞きたいんだけど
この板いると鬱にならね?
雑談とかネタスレとか煽りあい見てると特に。
>>589 とりたてて……
現実世界でも似たようなものだから
>>589 大学に入ってからはそうかも・・
現実世界にちゃんと目を向けるようになったからかな・・
浪人中はネット漬けでくだらんことでカッカしまくってたからね。
今思うと鬱。。
>>589 鬱というより寧ろ面白い、アホ過ぎて。(w
「信者」って言える程ある一つの物を好いているって言う姿勢は、
ある意味見ていると羨ましくもなるね、実生活では妥協ばかりが目立つから。w
カップリングネタ以外でお願いしたいものだけど…。
>>589 むしろほほえましい。幼稚園児とかが口喧嘩してるのってなんか笑顔で見てしまうだろ?
あんな感じだ。
結局、昭和生まればっかりだったわけね。スレタイ見た時ちょっと焦ったよ
昭和50年生まれですが何か?
会社でなかなかゲームの話ができないので
ここが心のオアシスですが何か?
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ