FFDQバトルロワイアル PART3

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391保管庫5
フライヤとティファの主戦場は何時の間にか中庭の古ぼけた霊廟へと場所を移しつつあった。
ここまでの戦いは全くの互角だが、現時点ではややフライヤが主導権を握っているようだ。
縦に、横に、左右にとエストックを巧みに操り、突きを繰り出していく。

フライヤから繰り出される鋭い突きを何とか交わしながら、ティファも反撃を試みる。
まずは身体を屈めてローキックの体勢へと入る。
それを見てフレイヤは身体を浮かせ、飛び退ろうとするが、ティファのそれはフェイントだ。
フライヤのガードがわずかに下がったところで、すかさす強烈なラッシュを放つ。

しかしフライヤは後ろに下がるのではなく、滑るように横方向での回避に切り変える。
結果、ティファの攻撃は大理石の柱にいくつか穴を穿ったのみ、
そこを逃さず、フライヤの突きがティファの側面から迫るが、まともに避けても間に合わないと見た、
ティファは切っ先めがけキックを放ち、突きの軌道をズラす、穴に続いて柱に大きな傷が付く。
さらにティファはフライヤの顎めがけサマーソルトを放つのだが、これもフライヤは、
上体をわずかに逸らしてだけで難なく避ける。

(このままでは…)
フライヤの心に次第に焦りが生まれ始める、ここで時間を浪費している場合ではない。
しかし目の前の拳法使いの実力はかなりのもの、そう上手くは行くまい。
(早くこの場をどうにかして逃れなければ)

焦りがあるのはティファも同じである。
目の前の騎士は間違い無く強い、腕輪の力を持ってしても完全に身体を捉らえることが出来ない以上、
もはや気絶だのなんだのと考える余裕は無い。
(なんとか一撃で決めないと)

こうして戦いは無秩序な乱戦、いや消耗戦へと発展していく。
お互い有効打を与えられないまま、フライヤが剣を振り、ティファが拳を繰り出すたびに、
周囲の柱や床が傷だらけになっていくばかりだった。
392保管庫5:03/02/23 01:35 ID:MQ/wnF91
そんな中、フライヤがあることに気がついた。
(光?)
見るとさっきは気がつかなかったが、天井に大きな穴が開いており、そこから空が覗いている。
(あそこから出られる、ならば)

フライヤはティファへと飛び蹴りを出すと見せかけ、まずはガードの体勢を取らせる。
それを確認すると、そこから大きく背後へと飛び退き、
そこから穴めがけ龍騎士特有のジャンプで空中高くに舞いあがる。

それを見てティファは一瞬思案をめぐらせる。
フライヤのジャンプはこの場から逃れるためのものだが、彼女はこちらへの攻撃のためと判断したのだ。
相手にまだあんな手があったとは、もし空中から攻撃を受ければこちらは成す統べもない。
(この角度じゃドルフィンブロウは届かない、だったら)

ティファはとっさに床めがけ渾身の気合弾を放つ、気弾が床に当たって弾け飛び。
その反動を利用してティファもまた空中へと舞いあがる。
この完全に予想外の行動にフライヤは全く対応できなかった、
「何じゃと!」
慌てて応戦しようとするが、攻撃ではなく逃げの姿勢に入っていたため、間に合わない。
剣を構える間も無く、フライヤはティファによって空中で身体をロックされてしまっていた。


双方互角の状態の中、逃げることを選んだフライヤ、そして勝負に出ることを選んだティファ、
この瞬間に勝負は決したといってもいい。
この選択が逆ならば、おそらく結果も逆になっていただろう。
ともかく、空中でフライヤの身体をキャッチしたティファはそのまま身体を反転させ、
「メテオっ」
そのまま急降下で地上へと落下させようとする。
「ドライブ!」
393保管庫5:03/02/23 01:37 ID:MQ/wnF91
だが、空中でのメテオドライブなどという不慣れなことをしたため、本来極めてなければならないはずの
フライヤの右足が完全に自由になってしまっていた。
フライヤはその自由な右足でティファの脇腹を蹴りつけたため、空中での姿勢が崩れ、
結果、2人はもつれあいながら完全にバランスを崩して床に落下、ティファは石畳に肩をしこたま叩きつけられ、
フライヤは柱に激突し、腰を強打していた。

しばらくの間、倒れたまま動かなかった2人だったが、やがてティファがゆっくりとその身を起こす。
立っているだけでも肩から激痛が走る…どうやら鎖骨が折れているみたいだ。
「また肩やっちゃった、直してもらわないと」
フライヤもまた立ちあがろうとしたが、上体を起こす以上のことが出来ない…腰の骨が折れているのだ。
「立てぬ…腰をやられたか」

フライヤが置きあがれないのを見て、ティファは一旦外へと向かうが、
だが、そのままずりずりと這いずりながらもこちらに進もうとするフライヤの姿が目に入り、
しばらく思案顔をしていたが、やがてだらりと両手を垂らしたままの姿勢でティファはフライヤの方へと向かう。
その時であった。
 
ゴゴゴという響きと共に、霊廟が崩れ始める。
見た目こそ頑丈で重厚だったが、元々老朽化していた上に長年の雨ざらし、さらに先程の戦闘、
こういった要因が重なった上の崩壊だった。
ティファは未だに起きあがれないフライヤを何とか助けようとするが、2人の間を分かつように、
巨大な柱が倒れ、思うように近づけない。
それでも何とかもうもうと煙が立つ中、ようやくフライヤの近くまで来る事が出来たティファ。
それを確認したフライヤが必死の表情でティファへと手を伸ばす。

ティファはフライヤが必死で伸ばした手を取り、引っ張って脱出させようとしたが、
手を伸ばそうとしたとき、肩に激痛が走り、その余りの痛みに手を伸ばす事ができず、引っ込めてしまう。
それを見て驚愕と絶望の表情を浮かべるフライヤ。
そしてその時、完全な崩壊が始まる、連鎖反応で次々と倒れる柱、壊れる床、降り注ぐ天井、
それらが次々とフライヤの身体に襲いかかっていく。

もはやティファはそこから転がるように脱出するのがやっとだった。
同じ頃、霊廟が崩れる音は離れた場所にいたジタンの耳にも届いていた。
フライヤは自分と違い、慎重で百戦錬磨だ、だから心配無い。
そう自分に言い聞かせながらも、胸騒ぎがする…まさかフライヤに限って…
ともかくジタンは音のした方角へと向かった。

崩壊が収まり、骨組だけになった霊廟の中を恐る恐る覗きこむティファ。
瓦礫の上にわずかに覗く手を発見したティファは急いで瓦礫を取り除こうとするが、
腕がほとんど動かず、さらに握力がほとんど無いのではどうしようもない。

途方にくれるティファの背後から声がする。
「何やってんだ?」
振り向くとそこには銃を構えた金髪の少年がいた。
「ちょうと良かったわ、お願い手伝って!」
相手は銃を構えているが、それどころではない、ティファは構わず大声で呼びかける。

この銃が見えないのか?怪訝な表情ながらも中を覗きこむジタンだったが、瓦礫の上に覗く手を見て、
表情を変える。
「フライヤ!ちくしょうどうして!」
ここで何があったか、そしてこいつがだれなのか、そんなことはどうでもいい、早くしないと。
手の傍らにいたティファを弾き飛ばし、ジタンは大急ぎで瓦礫に取りつき、フライヤの身体を
引きずりだそうとする。
やがて瓦礫は取り除かれ、フライヤを何とかして外に出す事には成功するが…

「そんな!」
「ひどい…」
瓦礫の中から引きずりだされた、フライヤの身体は肉が潰れ、骨が砕け…もはや原型をとどめて
いなかった。
それでもわずかながら息があるのを確認すると、2人は一目散にそれぞれ、ある場所へと走った。
395保管庫5:03/02/23 01:43 ID:5B/Bnt8g

まずジタンはハーゴンの部屋に戻ると、必死でドアを叩き、大声で叫ぶ。
しかし返事が無い、それならばと鍵をこじ開けようとするが中から魔法で鍵をかけてあるのか、
びくともしない。
それでも諦めることなくジタンは必死で扉を叩き、声を張り上げる、その拳はすでに血まみれだった。
「おっさん!頼む、起きてくれおっさん!仲間が死にそうなんだ、開けてくれおっさん!」

一方、ティファは傷ついた身体を押して、砂漠を駆ける。
今、自分の知る限り唯一の回復魔法の使い手である、導師の元へ戻るために。

【フライヤ(瀕死) 所持武器;エストック 現在位置;神殿 行動方針:不明】 
(死の1歩手前です、もし救おうとするならば何らかの大きな代償が必要でしょう
少なくともベホマやケアルガでどうにかなるような状態ではないです)

【ティファ(重傷) 所持武器:星降る腕輪 現在位置:神殿外の砂漠 
行動方針:導師を連れてきてフレイヤを救う】
(現在手技は一切使えません、足技のみです)

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 行動方針:ハーゴン達を起こしてフライヤを救けてもらう】