386 :
保管庫4 :
03/02/23 01:16 ID:7sjar+cJ しばらくの間、追いかけっこは続いていたが、やはり、 セーラはとうとうピエールとフライヤに追い詰められてしまっていた。 「もう逃げられんぞ!大人しく己の罪にふさわしき裁きを受けよ!何か言い残す事は無いか!」 ピエールの声にセーラは黙したまま答えない、答えようにも恐怖のあまり言葉が出てこないのだ。 だからただ、心の中で彼女は祈るしかなかった、あの時のように黒衣の騎士、今は亡きレオンハルトが現れ 自分を救い出してくれる事を。 (騎士様!どうかお助けを騎士様!、貴方に会えずこのまま得体の知れぬ魔物風情にかかって死ぬのはいやでございます どうかこの声よ、騎士様に届いて) その沈黙が余計にピエールの怒りに火を注ぐ。 「そうか!ならばもはや何も問うまい、フローラ様のマリベル殿の痛み、苦しみを思い知れ!」 気合一閃、ピエールは必殺の突きをセーラへと繰り出す、これで終わった……フローラ様、マリベル殿 不肖ピエール、ようやくその無念を晴らし……!? だが、ピエールが感涙にむせぶのはまだ早すぎたようだ、何故なら 横合いから飛んできた小石がピエールの手首に命中し、必殺の突きはセーラの身体を捉えることなく 柱に穴をあけるにとどまった。 「ちょっと!ちょっと!ちょっと!そんなか弱い女の子になんてことしてるのよ!」 ピエールとフライヤは石の飛んできた方向を見る、そこに立っていたのは、 大きな胸を誇らしげにぷるんっと揺らす、ティファ=ロックハートの姿だった。
387 :
保管庫4 :03/02/23 01:17 ID:7sjar+cJ
話はしばらく前に遡る。 デッシュ・導師・ティファたち一行は神殿と目と鼻の先の林の中に潜んでいたが、 先ほど林の中で倒したロボット、キラーマシーンが城の周囲を巡回しているため、そこから先に進めずにいた。 「僕らを守りながらあいつと戦うのは容易なことではないです」 導師の言葉にティファも頷く。 林の中で遭遇したときは運が良かったのだ、実際の強さはあんなものではないはず。 デッシュはティファの方を見て呟く。 「あいつは一定の間隔、頻度で巡回をしている、その隙をついたとしても君の足なら大丈夫だが、 俺達はどんなに頑張っても捕捉されてしまう」 その言葉を聞いて何事かを考えていたティファだが、やがてそっと片手を上げて提案する。 「じゃあ、私1人なら大丈夫って事よね…」 「駄目だよ!君みたいな可愛い女の子にそんなことさせられないよ」 すかさずデッシュがティファの手を握り止めに入る。やはりここらへんは流石プレーボーイといった感がある。 もっともすでにデッシュは、ティファにはもうすでに心に決めた男性がいることにも、気がついていたが。 (どこのどいつかは知らんが、幸せな奴だぜ) だからといって女性の危険を見過ごすわけにはいかない、しかし。 「ここでじっと隠れて誰かを待つよりは、ずっとマシよね、まかせて!」 ティファはデッシュの手を振り切るとそのまま砂漠を超え、神殿の中へと入っていった。 こうして3人の中で1番戦闘力のあるティファがまずは単独で先行し、中の様子を探ることにしたのだった。
388 :
保管庫4 :03/02/23 01:21 ID:7sjar+cJ
さて、話を神殿内部に戻そう。 突如現れた乱入者に早速ピエールが異論を唱える。 「この娘は友の仇!邪魔をしないでいただきたい!」 普段のピエールなら決してこのような頭ごなしの言葉を吐いたりはしないのだが、仇を目の前にして、 邪魔が入ったことでかなり苛立っている。 と、そこでセーラがすかさず反論する。 「嘘ですわ!この魔物たちは私にいわれ無き罪を着せて殺そうと!騙されてはなりません」 「おのれ!言うに事欠いて何という事を、この女狐め!」 再びピエールが剣を構える。 フレイヤはそこから1歩離れて状況を見守っている。 そしてティファだが、 最初に言っておくが、彼女は特別魔族や亜人類に対して偏見を持っているわけでは決して無い。 だがやはり目の前の光景を人間として判断すれば、どちらに味方すべきかは明白のような気持ちがしないでもない。 少なくともティファには、目の前の少女がとても彼らの言う人殺しだとは思えなかった。 それに自分の見てる前での殺人を黙認するつもりも無い。 (ここはひとまず仲裁すべきよね) と、ティファがピエールを止めようと足を進めたときであった。 物陰から無機質なボディが姿を覗かせる。 神殿内部を警護していたキラーマシーンの一体である。 そのセンサーが不気味に瞬き、不可視の光線を放つ…その光線の先にいるのはスライムにまたがった騎士だ。 『You have no chance!』 キラーマシーンの手のボウガンが唸りを上げ、十数本の弓矢がピエールめがけ殺到する。
389 :
保管庫4 :03/02/23 01:26 ID:I8m8SXuN
幸運にも狙いはそれて全てピエールの傍らの柱に命中のみにとどまったが、一同が一瞬注意を解いたその隙をついて、 セーラは脱兎のごとく逃げ出していた。 「新手か!こやつは私が引きうける、フライヤ殿はあの女をお願いいたす!」 間髪いれず斬り込んできたキラーマシーンの刃を辛くも受けとめたピエールの言葉を受け、 フライヤがセーラを取り押さえようとするが、横合いからティファの蹴りを受け、 すんでの所で逃がしてしまう。 「早く逃げなさい!」 ティファの言葉を聞くまでもなくセーラは一目散に城の奥へと消えていった。 そしてキラーマシーンとピエールが切り結ぶ音をBGMにティファとフライヤは対峙する。 「我々にも引けぬ理由があっての、お主には無力化してもらう必要があるみたいじゃな」 (ピエールの言葉、それに先ほどのせりふ、やはりあの娘、かなり危険じゃな、やはり逃がすわけにはいかぬか) ますはフライヤが1歩前へと踏みこむ。 「そう、でもあたしだって強いんだから!」 (先行するんじゃなかったなぁ…何とか気絶でもさせてデッシュさんたちの所に早く戻らないと) それを受けてティファも1歩前へと進む。 また暫しの沈黙…そしてちょうど2人の中間の床に流れ矢が突き刺さった瞬間、 フレイヤのエストック、そしてティファの拳が唸りを上げて激突を開始した。
390 :
保管庫4 :03/02/23 01:28 ID:I8m8SXuN
【フライヤ、ピエール 所持武器;エストック、珊瑚の剣 現在位置;神殿 行動方針:フライヤ:ティファをやり過ごしセーラを捕捉 ピエール:キラーマシーンと戦う】 【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿 第一行動方針:ピエールたちから逃げる 第二行動方針:騎士様を探す&皆殺し】 【ティファ 所持武器 星降る腕輪 現在位置:神殿 第一行動方針:フレイヤを気絶させ離脱 第二行動方針:クラウドたち探す】 【導師/デッシュ 所持武器:天罰の杖/なし 現在位置:神殿近くの森(砂漠との境界線上) 行動方針:エドガーに会う・首輪の入手】