FFDQバトルロワイアル PART3

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379保管庫3
二匹の騎士は足踏みを揃えて、切立った山を越え再び森へ入り、爆音が聞こえた場所近くまでやってきた。
森を抜けた先の砂漠地帯。今はここにいる。
「おそらく、この辺りのはずです」
「むう……あれかの」
フライヤは木々の隙間から見える空に目を凝らした。
教会なのか神殿なのか、途方もなく巨大な建物が目に飛び込んでくる。
まだ数百の歩数を踏まえねば辿り付かない距離なのに、建物から威圧感を感じてたじろぐ。

森を抜け砂漠を移動中にフライヤは聞いてみた。
「ピエール、下のスライムを休ませた方が良いのではないか?」
先程から熱っぽい頬を膨らませていたスライムが気になっていた。
「大丈夫です、彼と私は一心同体。この通り元気ですよ」
ピエールは体操でもするかのように腕を振り回した。
ビビのことがまだ払拭できないがためのカラ元気にも思えた。 勿論そんなことは口にしないが。
「それなら良いがくれぐれも無理はせんようにな」
そう、はりきり過ぎて肝心な時に動けないでは困る……ん?
フライヤはエストックを懐から取り出した。
「何か光ったような」
「え、なんです?」
反射光なら物体があるはず。 だが砂漠はもちろん、背後の森にも金属片などそうそうありはしない。
フライヤは空を仰ぎ見た。 「贈り物は天から来る……当たりかの」
有無を言わさぬ形でピエールの襟元を掴む、と同時に飛びのいた。
ヒュン!!
きらめきながら飛んできたものが砂漠に突き刺さる。 数本の矢だった。
少し強く引っ張りすぎたのか、ピエールは砂漠に頭から突っ込んでしまった。
「ぐ、うぐぐぐ!」
「すまぬっ」
またしても矢が飛んできたので、打ち払うのに気を取られピエールのことに手が回らない。
380保管庫3:03/02/23 01:01 ID:0SgRhdVP
ピエールは何とか砂地から頭を抜き出した。
「いきなりなんですかっ」
「敵じゃ!」
フライヤが剣で指し示した方向をピエールも見た。
「キラーマシーン!? こんな辺境の地にも配備されていたとは」
ピエールは珊瑚の剣を構えて
「あの機械人形奴は、もともと人間だけを狙う殺人兵器なのです。
高度な素材で作られていて半端な攻撃ではびくともしません」
「詳しいの……来る!」
ホバーというのかキラーマシーンは砂地から少し浮かび上がるようにして接近してくる。
紫のボデイがなめまかしく艶めいた。 こんなか細い剣では心もとない。 
もうキラーマシーンは目の前まで迫っていた。
フライヤはエストックを懐に収め呼吸を整える。
「ならばっ」
なぎ払われた右腕のブレードを軽いジャンプでかわし、腕の付け根目がけて蹴りを放った。
目の錯覚ではない。火花が散った。 間接部分は思ったほど硬くはない。
軋んだ音がしてキラーマシーンの図体が揺れ動く。 
「足は鍛えておるからのっ」
もう片方の足で着地する。痛みはあったが動くのに支障はない。
ガキイィっ!
背後に回ったピエールが間髪いれずに腕の付け根を斬りつけた。 そうじゃ、徹底的に同じ箇所を狙え!
勢いづいたフライヤは更に責めようと飛びかかった。 ピエールも続いてくれることを期待して。
381保管庫3:03/02/23 01:02 ID:0SgRhdVP
「どうしたピエール!」
ピエールは剣を構えたまま動こうとしない。
「こ、こんな時にっ」
ピエールが無防備にも視線を足元に落とす。 スライムがぶるっと震えた。

一撃を食らってピエールがふきとんだ。振るわれたのは左腕、ピエールの身体はつながっている。
キラーマシーンが興奮したかのように不愉快な金属音を弾き鳴らし ピエールを追う。
怒号とともに砂地が爆発した。 弾丸の如き勢いでフライヤが飛び出す。
ピエールと殺戮兵器の間に滑り込んだ。 
砂地にめり込んだ左足をバネに渾身の力を込めて鉄拳。
キラーマシンは大きく後退し機体をうち震わせた。
拳の痛みを堪える暇も惜しんで、ピエールの襟元を掴む。
「ま、またですか!?」
「今度は少し長いぞ」
フライヤはピエールを連れてジャンプした。


神殿内は思った以上に暗くもなければ、決して意外なほど明るいわけでもなかった。
埃っぽい空気が、長い間人が寄り付かなかったであろうことを感じさせた。
入口の扉はしっかりと閉じられ、キラーマシーンが侵入してくることは無さそうだ。
フライヤたちは辛くもジャンプであの場を逃れ、神殿に足を踏み入れることに成功したのだった。
「申し訳ありません。 言われたとおりスライムを休ませるべきでした。」
ピエールが恥ずかしそうに頭を掻く。
「もう済んだことじゃ。とにかく小休止といこう」
フライヤとピエールは腰を下ろしてしばし休息することにした。
382保管庫3:03/02/23 01:09 ID:OFnYO5UG
「ベホマ…!」
ピエールが呪文を唱えると、スライムは元気を取り戻したようで嬉しそうに跳ねた。
「もう安心じゃな」
「はい、では行きましょう」
金属の擦れるような音が神殿の中でしたような気がしたが、先程の戦いが耳に残っていたのだろうと
それ以上は深く考えなかった。 だが念のため足音はできるだけ立てずに歩くことにした。

二手に別れて神殿内の探索を始めた。
見るも珍しい彫刻や、何に使うか見当もつかない異様な形の祭器など目に付くものは至るところにあった。
それに一つずつ触れては有益なものであるか確かめたり、はたまたこんな悪趣味なものを一同に揃える
のはどこの酔狂な御仁であるかと呆れてみたり。
フライヤはいつの間にか自分が秘宝の鑑定人にでもなったような気分でいた。

いくつもの柱が立っている神殿の一角。 古めかしいレリーフに縁取られた頑丈そうな扉が見える。
目を凝らすと人が二人いる。 扉にもたれかけながら番人のように座っていた。 
「フライヤッ」
ジタンだった。 薄暗い廊下に鮮やかな金色の髪が浮かび上がった。 
呆気にとられた。まさか望みがかなうとは。こうして偶然出会うのは二度目だ。
だが仲間との再開の喜びも束の間、辛い話をしなければならぬことを思うと心苦しくなる。
「ジタン……ビビのことは」
ジタンの足取りが止まる。言葉を捜している様子で顔を曇らせながら拳を握り締めている。
力ない冷めた表情があった。
「守れなかった……」
ジタンの言葉に追い討ちをかけるように頭上で風を切る音がした。
吹き抜けの天井の何処かに隙間があるのだろう。神殿がフライヤたちの心情を察したとでもいうのか。
沈黙が続いてどう切り出していいか迷った。だがこれ以上ジタンを追い詰める真似はしたくない。
「こちらにも自分に責があると思いつめて命を捨てる覚悟をした者がいる。
皆苦しんだのじゃ。 ジタン、これからのことを考えよう。
天にいるビビに笑われぬよう、これからを」
ジタンの目が微かに潤んだかに見えた。次の瞬間には燃え上がるような意思を瞳に宿していた。
383保管庫3:03/02/23 01:09 ID:OFnYO5UG

「そちらの婦人は?」
引き攣り気味の顔をフライヤに向ける野暮ったい恰好の娘。
まあ無理もないが。
「心配しなくていいぜ、俺の仲間だ。 その辺の人間よりかよっぽど信義に厚い頼りになる奴さ
ちょっと堅いところがあるけどな」
ジタンが説明すると、娘は幾分か穏やかな表情になった。
「……私はセーラです」
そう言ってそっと目を伏せる。
「私はフライヤ。 ネズミ族の竜騎士じゃ」
セーラはどうも落ち着きがなく、そわそわしながら顔を上げようとしない。
「そういえばあの戦士はどうした? 妙な乗り物に乗ってた。戦士というのかどうかわからないけど」
その言い方が可笑しかったのでフライヤは笑った。
「ピエールなら一緒に来ているが、乗り物などと言ったら怒るぞ。あれはスライムという立派な魔物じゃ」
突然、セーラがもう辛抱できないといった風に取り乱す。、
「ああっ、私の第六感ではこれ以上ここに留まるのは危険かと!」
セーラは中央に立つ柱の陰に飛び込んだ。
「いきなりどうしたんじゃ……?」
「おい、なんだよ」
ジタンとフライヤが突然のことに驚く。 何かを忍ばせたのか、出てきたセーラの服は奇妙に盛り上がっていた。
「ご、ごめん遊ばせ」
セーラはそそくさと出口の方に向かいだした。それと同時に横から現われた騎士のシルエットが目を惹いた。
384保管庫3:03/02/23 01:10 ID:OFnYO5UG
「貴様、あのときの女狐!」
セーラが怯えに狂ったような声を張り上げて、その場から飛び出す。
「ピエール、やっときたか」
「フライヤ殿っ、その女殺人鬼であります!! ジ、ジタン殿!?」
まだ事情が飲み込めてないらしく、ジタンは飄々と手をかざして応じた。
ピエールは何ともばつの悪そうな顔をする。
セーラはその間にも遠ざかっていく。 その動きを目で追いながらフライヤは質問をぶつけた。
「どういうことじゃ! 知っておるのか、あの娘を」
「はい、異常な妄念を抱えているようで、それがフローラ様というご婦人を手にかけ、
その上マリベル殿まで……」
そこまで聞いて話を切らせた。
死人を増やしたくはない。目的と外れるが天命が下ったと考えるしかないだろう。
「野に放つのは危険ということじゃな」
ピエールの切情なる言い方で確信は持ったが、再度確かめた。
「つまりは、そういうことです!」


フライヤはもう走り出していた。 ピエールもジタンに一礼した後それを追う。
セーラは見かけによらず足が速かったが、フライヤたちの脚力には到底敵わないであろう。
追いつくのは時間の問題のようだ。
「おーーーい」
ジタンの呼ぶ声が神殿内に響き渡る。 が、ピエール達の耳には届いていない。
「結局何しに来たんだよ」
385保管庫3:03/02/23 01:14 ID:7sjar+cJ

【フライヤ、ピエール 所持武器;エストック、珊瑚の剣 現在位置;神殿 
行動方針:セーラをつかまえる】

【セーラ 所持武器:ブレイズガン 現在位置:神殿 
第一行動方針:ピエールたちから逃げる
第二行動方針:騎士様を探す&皆殺し】

【ジタン:所持アイテム:仕込み杖、グロック17、ギザールの笛 現在位置:神殿
 第1行動方針:とりあえず部屋の番
 第2行動方針:サマンサとピサロの殺害
 第3行動方針:仲間と合流、ゲームから脱出】